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特表2022-513299リソソーム標的化のための二官能性分子ならびに関連する組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】リソソーム標的化のための二官能性分子ならびに関連する組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20220131BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220131BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20220131BHJP
【FI】
C07K16/28
C07K19/00
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61P35/00
A61K47/61
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534939
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(85)【翻訳文提出日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 US2019067228
(87)【国際公開番号】W WO2020132100
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】62/782,193
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/932,347
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ベルトッツィ、 キャロリン
(72)【発明者】
【氏名】バニク、 スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ペドラム、 カイボン
(72)【発明者】
【氏名】アン、 グリーン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065BA01
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE30
4C076EE59
4C076FF68
4C085AA13
4C085BB11
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB43
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045BA10
4H045BA41
4H045BA53
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA10
4H045FA74
(57)【要約】
細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合する第1部分と、リソソーム標的化分子に特異的に結合する第2部分とを含む、二官能性分子が提供される。二官能性分子は、例えば、エンドソーム/リソソーム経路を介した細胞表面および細胞外分子(例えば、タンパク質)の標的化された分解に使用される。二官能性分子を含む組成物およびキット、ならびに二官能性分子を使用する方法も提供される。二官能性分子を作製する方法も提供される。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二官能性分子であって、
細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合する第1の部分と、
リソソーム標的化分子に特異的に結合する第2の部分と、を含む、二官能性分子。
【請求項2】
前記第1の部分のみの存在下での前記細胞表面分子または細胞外分子の分解と比べて相対的に、前記細胞表面分子または細胞外分子の分解を増強する、請求項1の二官能性分子。
【請求項3】
前記第1の部分が、細胞表面分子に特異的に結合する、請求項1または請求項2に記載の二官能性分子。
【請求項4】
前記細胞表面分子が細胞表面受容体である、請求項3に記載の二官能性分子。
【請求項5】
前記細胞表面受容体が成長因子受容体である、請求項4に記載の二官能性分子。
【請求項6】
前記細胞表面分子が癌細胞上に存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の二官能性分子。
【請求項7】
前記細胞表面分子が腫瘍関連抗原または腫瘍特異的抗原である、請求項6に記載の二官能性分子。
【請求項8】
前記細胞表面分子が免疫細胞上に存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の二官能性分子。
【請求項9】
前記免疫細胞が、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、単球、好中球、樹状細胞、T細胞、B細胞、肥満細胞、好塩基球および好酸球からなる群から選択される、請求項8に記載の二官能性分子。
【請求項10】
前記細胞表面分子が抑制性免疫受容体である、請求項8に記載の二官能性分子。
【請求項11】
前記細胞表面分子が抑制性免疫受容体のリガンドである、請求項10に記載の二官能性分子。
【請求項12】
前記細胞表面分子が免疫チェックポイント分子である、請求項8に記載の二官能性分子。
【請求項13】
前記免疫チェックポイント分子が、PD-1、PD-L1、CTLA4、TIM3、LAG3、TIGIT、およびB7ファミリーのメンバーからなる群から選択される、請求項12に記載の二官能性分子。
【請求項14】
前記第1の部分が細胞外分子に特異的に結合する、請求項1に記載の二官能性分子。
【請求項15】
前記細胞外分子が細胞表面受容体のリガンドである、請求項14に記載の二官能性分子。
【請求項16】
前記細胞外分子が成長因子である、請求項15に記載の二官能性分子。
【請求項17】
前記細胞外分子がサイトカインまたはケモカインである、請求項15に記載の二官能性分子。
【請求項18】
前記細胞外分子が抗体である、請求項14に記載の二官能性分子。
【請求項19】
前記抗体が自己抗体である、請求項18に記載の二官能性分子。
【請求項20】
前記抗体が細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合する、請求項18または19に記載の二官能性分子。
【請求項21】
前記第1の部分が、ポリペプチド、リガンド、アプタマー、ナノ粒子および小分子からなる群から選択される、請求項1~20のいずれか一項に記載の二官能性分子。
【請求項22】
前記第1の部分がポリペプチドである、請求項21に記載の二官能性分子。
【請求項23】
前記第1の部分が抗体である、請求項22に記載の二官能性分子。
【請求項24】
前記抗体が、IgG、単鎖Fv(scFv)、Fab、(Fab)、(scFv’)、またはナノボディである、請求項23に記載の二官能性分子。
【請求項25】
前記第2の部分が、ポリペプチド、リガンド、アプタマー、ナノ粒子および小分子からなる群から選択される、請求項1~24のいずれか一項に記載の二官能性分子。
【請求項26】
前記リソソーム標的化分子が、マンノース-6-リン酸受容体(M6PR)である、請求項1~25のいずれか一項に記載の二官能性分子。
【請求項27】
前記第2の部分が、1個または複数のM6PRリガンドを含む、請求項26に記載の二官能性分子。
【請求項28】
前記1個または複数のM6PRリガンドが、1個または複数のマンノース-6-リン酸(M6P)を含む、請求項27に記載の二官能性分子。
【請求項29】
前記1個または複数のM6PRリガンドが、1個または複数のM6P類似体を含む、請求項27または請求項28に記載の二官能性分子。
【請求項30】
前記1個または複数のM6P類似体が、1個または複数のマンノース-6-ホスホネート(M6Pn)を含む、請求項29に記載の二官能性分子。
【請求項31】
前記第2の部分が1個~500個のM6PRリガンドを含む、請求項27~30のいずれか一項に記載の二官能性分子。
【請求項32】
前記第2の部分が、前記1個または複数のM6PRリガンドをディスプレイするポリマー足場を含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の二官能性分子。
【請求項33】
前記ポリマー足場が、前記1個または複数のM6PRリガンドを含むグリコポリマーである、請求項32に記載の二官能性分子。
【請求項34】
前記グリコポリマーが、前記1個または複数のM6PRリガンドで官能化された1個または複数のアミノ酸を含む糖タンパク質である、請求項33に記載の二官能性分子。
【請求項35】
前記糖タンパク質がN-カルボキシ無水物(NCA)由来の糖タンパク質である、請求項34に記載の二官能性分子。
【請求項36】
前記リソソーム標的化分子が肝臓細胞の表面に発現される、請求項1~25のいずれか一項に記載の二官能性分子。
【請求項37】
前記リソソーム標的化分子が肝細胞の表面に発現される、請求項36に記載の二官能性分子。
【請求項38】
前記リソソーム標的化分子が、肝細胞癌(HCC)細胞、線維性肝臓細胞、またはその両方の表面上に発現される、請求項36または37に記載の二官能性分子。
【請求項39】
前記リソソーム標的化分子がアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)である、請求項36~38のいずれか一項に記載の二官能性分子。
【請求項40】
前記第2の部分が、前記1個または複数のASGPRリガンドを含む、請求項39に記載の二官能性分子。
【請求項41】
前記1個または複数のASGPRリガンドが、1個または複数のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を含む、請求項40に記載の二官能性分子。
【請求項42】
前記1個または複数のASGPRリガンドが、1個または複数のガラクトースを含む、請求項40または41に記載の二官能性分子。
【請求項43】
前記1個または複数のASGPRリガンドが、1個または複数のグルコースを含む、請求項40~42のいずれか一項に記載の二官能性分子。
【請求項44】
前記第2の部分が1個~500個のASGPRリガンドを含む、請求項40~43のいずれか一項に記載の二官能性分子。
【請求項45】
前記第2の部分が、前記1個または複数のASGPRリガンドを含むポリマーを含む、請求項40~44のいずれか一項に記載の二官能性分子。
【請求項46】
前記第2の部分がポリ(GalNAc-co-Ala)を含む、請求項45に記載の二官能性分子。
【請求項47】
前記第2の部分が、一価、二価または三価のGalNAc含有デンドリマー足場を含む、請求項41に記載の二官能性分子。
【請求項48】
前記第2の部分が、三価のGalNAc含有デンドリマー足場を含む、請求項47に記載の二官能性分子。
【請求項49】
前記第2の部分が、一価、二価または三価のガラクトース含有デンドリマー足場を含む、請求項42に記載の二官能性分子。
【請求項50】
前記第2の部分が三価ガラクトース含有デンドリマー足場を含む、請求項49に記載の二官能性分子。
【請求項51】
前記第1の部分が、肝細胞上に発現される細胞表面分子に特異的に結合する、請求項36~50のいずれか一項に記載の二官能性分子。
【請求項52】
前記細胞表面分子が成長因子受容体である、請求項51に記載の二官能性分子。
【請求項53】
前記成長因子受容体が、上皮成長因子受容体(EGFR)、C-Met、インスリン様成長因子1受容体(IGF1R)、線維芽細胞成長因子受容体4(FGFR4)、および血小板由来成長因子受容体(PDGFR)からなる群から選択される、請求項52に記載の二官能性分子。
【請求項54】
前記第1の部分がポリペプチドであり、前記第2の部分がポリペプチドであり、前記二官能性分子が、前記第2の部分に融合された前記第1の部分を含む融合タンパク質である、請求項1~53のいずれか一項に記載の二官能性分子。
【請求項55】
前記第1の部分が前記第2の部分に直接融合されている、請求項54に記載の二官能性分子。
【請求項56】
前記第1の部分と前記第2の部分との間にスペーサードメインを含む、請求項54に記載の二官能性分子。
【請求項57】
前記二官能性分子が、
前記細胞表面分子または細胞外分子と
前記リソソーム標的化分子と
に特異的に結合する二重特異性抗体である、請求項1~56のいずれか一項に記載の二官能性分子。
【請求項58】
前記二官能性分子が、前記第2の部分にコンジュゲート化された前記第1の部分を含むコンジュゲートである、請求項1~53のいずれか一項に記載の二官能性分子。
【請求項59】
前記第1の部分が抗体である、請求項58に記載の二官能性分子。
【請求項60】
請求項27~35のいずれか一項に定義された第2の部分を含む、請求項58または請求項59に記載の二官能性分子。
【請求項61】
請求項40~50のいずれか一項に定義された第2の部分を含む、請求項58または請求項59に記載の二官能性分子。
【請求項62】
請求項54~57のいずれか一項に記載の二官能性分子をコードする核酸。
【請求項63】
請求項62に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項64】
請求項62に記載の核酸または請求項63に記載の発現ベクターを含む、細胞。
【請求項65】
請求項62に記載の核酸または請求項63に記載の発現ベクターを細胞に導入することを含む、請求項64に記載の細胞を製造する方法。
【請求項66】
前記第1の部分を前記第2の部分にコンジュゲート化することを含む、請求項58または請求項59に記載の二官能性分子を作製する方法。
【請求項67】
前記コンジュゲート化することが、前記第1の部分を前記第2の部分に部位特異的にコンジュゲート化することを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記第1の部分がポリペプチドを含み、前記コンジュゲート化することが、前記第2の部分を前記第1の部分の予め選択されたアミノ酸に部位特異的にコンジュゲート化することを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記予め選択されたアミノ酸が前記第1の部分のN末端またはC末端にある、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記予め選択されたアミノ酸が前記第1の部分の内部にある、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記予め選択されたアミノ酸が非天然アミノ酸である、請求項68~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記第1の部分が抗体である、請求項66~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記第2の部分が、請求項27~35のいずれか一項に定義された通りである、請求項66~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記第2の部分が、請求項40~50のいずれか一項に定義された通りである、請求項66~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記コンジュゲート化することがアルキン-アジド環化付加によるものである、請求項66~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
細胞表面分子または細胞外分子を分解する方法であって、
リソソーム標的化分子が前記細胞表面分子または細胞外分子を分解のためにリソソームにシャトルする条件下で、前記細胞表面分子または細胞外分子を請求項1~61のいずれか一項に記載の二官能性分子と接触させることを含む、方法。
【請求項77】
前記二官能性分子が、前記第1の部分のみの存在下での前記細胞表面分子または細胞外分子の分解と比べて相対的に、前記細胞表面分子または細胞外分子の分解を増強する、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記方法がインビトロで実施される、請求項76または請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記方法がインビボで実施される、請求項76または請求項77に記載の方法。
【請求項80】
医薬組成物であって、
請求項1~61のいずれか一項に記載の二官能性分子と、
薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項81】
前記組成物が非経口投与のために製剤化される、請求項80に記載の医薬組成物。
【請求項82】
請求項80または請求項81に記載の医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む方法。
【請求項83】
癌を有する個体に、有効量の請求項80または請求項81に記載の医薬組成物を投与することを含む、癌を治療する方法。
【請求項84】
前記第1の部分が、癌細胞上の細胞表面分子、癌細胞上の細胞表面分子のリガンド、免疫細胞上の細胞表面分子、免疫細胞上の細胞表面分子のリガンド、抑制性免疫受容体、および抑制性免疫受容体のリガンドからなる群から選択される分子に特異的に結合する、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記個体が肝細胞癌(HCC)を有し、前記第1の部分が前記個体のHCC細胞上の細胞表面分子に結合し、前記第2の部分がASGPRに結合する、請求項83または請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記第1の部分が、前記個体のHCC細胞上の成長因子に結合する、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記第1の部分が、EGFR、C-Met、IGF1RおよびFGFR4からなる群から選択される成長因子に結合する、請求項90に記載の方法。
【請求項88】
前記第2の部分が、請求項36~50のいずれか一項に定義される通りである、請求項85~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
抗体依存性細胞傷害(ADCC)を増強する方法であって、ADCCを必要とする個体に請求項80または請求項81に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項90】
個体における癌の免疫原性を増強する方法であって、請求項80または請求項81に記載の医薬組成物を個体に投与することを含む方法。
【請求項91】
前記第1の部分が、抑制性免疫受容体および抑制性免疫受容体のリガンドからなる群から選択される分子に特異的に結合する、請求項89または請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記投与することが非経口投与によるものである、請求項82~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記二官能性分子が、前記第1の部分のみの存在下での細胞表面分子または細胞外分子の分解と比べて相対的に、前記細胞表面分子または細胞外分子の分解を増強する、請求項82~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
キットであって、
請求項1~61のいずれか一項に記載の二官能性分子と、
前記第1の部分が特異的に結合する細胞表面分子または細胞外分子を分解するための指示書と、を含む、キット。
【請求項95】
前記指示書が、インビトロで前記細胞表面分子または細胞外分子を分解するためのものである、請求項94に記載のキット。
【請求項96】
前記指示書が、インビボで前記細胞表面分子または細胞外分子を分解するためのものである、請求項94に記載のキット。
【請求項97】
キットであって、
請求項1~61のいずれか一項に記載の二官能性分子または請求項80もしくは請求項81に記載の医薬組成物と、
前記二官能性分子または医薬組成物を、それを必要とする個体に投与するための指示書と、を含む、キット。
【請求項98】
前記二官能性分子または医薬組成物が、1個または複数の単位用量で存在する、請求項97に記載のキット。
【請求項99】
前記二官能性分子または医薬組成物が、2以上の単位用量で存在する、請求項97に記載のキット。
【請求項100】
ポリマー足場と、
前記ポリマー足場に結合した1個または複数のマンノース-6-リン酸受容体(M6PR)リガンドと、を含む、グリコポリマー。
【請求項101】
前記グリコポリマーが、前記1個または複数のM6PRリガンドで官能化された1個または複数のアミノ酸を含む糖タンパク質である、請求項100に記載のグリコポリマー。
【請求項102】
前記糖タンパク質が、N-カルボキシ無水物(NCA)由来の糖タンパク質である、請求項101に記載のグリコポリマー。
【請求項103】
前記1個または複数のM6PRリガンドが、1個または複数のマンノース-6-リン酸(M6P)を含む、請求項100~102のいずれか一項に記載のグリコポリマー。
【請求項104】
前記1個または複数のM6PRリガンドが、1個または複数のM6P類似体を含む、請求項100~103のいずれか一項に記載のグリコポリマー。
【請求項105】
前記1個または複数のM6P類似体が、1個または複数のマンノース-6-ホスホネート(M6Pn)を含む、請求項104に記載のグリコポリマー。
【請求項106】
前記ポリマー足場が1個~500個のM6PRリガンドを含む、請求項100~105のいずれか一項に記載のグリコポリマー。
【請求項107】
請求項100~106のいずれか一項に記載のグリコポリマーを製造する方法であって、107
1個または複数のM6PRリガンドを前記ポリマー足場に結合させること、または
1個または複数のM6PRリガンドで官能化されたモノマーから前記ポリマー足場を合成することを含む、方法。
【請求項108】
前記足場が、前記1個または複数のM6PRリガンドで官能化された1個または複数のモノマーから重合され、前記合成することは固相合成によるものである、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記グリコポリマーが糖タンパク質ポリマーであり、前記合成することが固相ペプチド合成によるものである、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
請求項100~106のいずれか一項に記載のグリコポリマーと、
目的の分子に前記グリコポリマーをコンジュゲート化させるための指示書と、を含む、キット。
【請求項111】
前記グリコポリマーを目的の分子にコンジュゲート化させるための試薬をさらに含む、請求項110に記載のキット。
【請求項112】
前記目的の分子がポリペプチドである、請求項110または111に記載のキット。
【請求項113】
前記ポリペプチドが抗体である、請求項112に記載のキット。
【請求項114】
前記目的の分子が、細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合する、請求項110~113のいずれか一項に記載のキット。
【請求項115】
1個または複数のマンノース-6-リン酸受容体(M6PR)リガンドで官能化されたモノマー。
【請求項116】
前記モノマーがアミノ酸である、請求項115に記載のモノマー。
【請求項117】
前記モノマーが、非天然アミノ酸である、請求項115に記載のモノマー。
【請求項118】
前記1個または複数のM6PRリガンドが、1個または複数のマンノース-6-リン酸(M6P)を含む、請求項115~117のいずれか一項に記載のモノマー。
【請求項119】
前記1個または複数のM6PRリガンドが、1個または複数のM6P類似体を含む、請求項115~118のいずれか一項に記載のモノマー。
【請求項120】
前記1個または複数のM6P類似体が、1個または複数のマンノース-6-ホスホネート(M6Pn)を含む、請求項119に記載のモノマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月19日に出願された米国仮特許出願第62/782,193号、および2019年11月7日に出願された米国仮特許出願第62/932,347号の利益を主張するものであり、これらの出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府支援の声明
本発明は、国立衛生研究所により授与された契約CA227942、GM059907、およびGM123636下で政府支援を受けてなされたものである。政府は本発明に一定の権利を有する。
【発明の概要】
【0003】
細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合する第1部分と、リソソーム標的化分子に特異的に結合する第2部分とを含む、二官能性分子が提供される。二官能性分子は、例えば、エンドソーム/リソソーム経路を介した細胞表面および細胞外分子(例えば、タンパク質)の標的化された分解に使用される。二官能性分子を含む組成物およびキット、ならびに二官能性分子を使用する方法も提供される。二官能性分子を作製する方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本開示の一実施形態による、二官能性分子およびその使用の概略図である。
図2】一実施形態による、マンノース-6-リン酸N-カルボキシ無水物を合成するためのスキーム。この経路により、N-カルボキシ無水物重合におけるモノマーとして使用するための、例えばセリン残基に結合したマンノース-6-リン酸グリカンへのアクセスが可能になる。
図3】一実施形態による、マンノース-6-ホスホネートN-カルボキシ無水物を合成するためのスキーム。この経路により、N-カルボキシ無水物重合におけるモノマーとして使用するための、例えばセリン残基に結合したマンノース-6-ホスホネートグリカンへのアクセスが可能になる。ホスホン酸基は、マンノース-6-リン酸グリカンと比較して血清安定性が優れていることが以前に示された、加水分解に対して安定なリン酸基のバリアントである。
図4】一実施形態による、マンノース-6-カルボキシレートN-カルボキシ無水物を合成するためのスキーム。この経路により、N-カルボキシ無水物重合におけるモノマーとして使用するための、例えばセリン残基に結合したマンノース-6-カルボキシレートグリカンへのアクセスが可能になる。カルボキシレート基は、マンノース-6-リン酸グリカンと比較して血清安定性が優れていることが以前に示された、加水分解に対して安定なリン酸基のバリアントである。マンノース-6-カルボキシレートグリカンは、マンノース-6-リン酸グリカンと比較して、陽イオン非依存性M6PR(CIM6PR)に対して0.3の相対結合親和性が以前に示された。受容体とリガンドの相互作用を化学的に調整する能力により、生物学的適用をより細かく制御して、オフターゲット結合イベントを減らすことができる。
図5】一実施形態による、マンノース-6-アクリレートN-カルボキシ無水物を合成するためのスキーム。この経路により、N-カルボキシ無水物重合におけるモノマーとして使用するための、例えばセリン残基に結合したマンノース-6-アクリレートグリカンへのアクセスが可能になる。アクリレート基は、マンノース-6-リン酸グリカンと比較して血清安定性が優れていることが以前に示された、加水分解に対して安定なリン酸基のバリアントである。マンノース-6-アクリレートグリカンは、マンノース-6-リン酸グリカンと比較して、CIM6PRに対して0.7の相対結合親和性が以前に示された。受容体とリガンドの相互作用を化学的に調整する能力により、生物学的適用をより細かく制御して、オフターゲット結合イベントを減らすことができる。
図6】一実施形態によるグルコース-6-ホスホネートN-カルボキシ無水物を合成するためのスキーム。この経路により、N-カルボキシ無水物重合におけるモノマーとして使用するための、例えばセリン残基に結合したグルコース-6-ホスホネートグリカンへのアクセスが可能になる。グルコース-6-ホスホネート残基は、マンノース含有グリカンと比較して、CIM6PRに対する結合親和性が著しく弱い。
図7】一実施形態による、マンノース-6-ホスホネートイソチオシアネートを合成するためのスキーム。この経路により、マンノース-6-ホスホネートイソチオシアネート(M6Pn-ITC)へのアクセスが可能になり、それを例えば、タンパク質中のリジン残基に直接コンジュゲートすることができる。所定のタンパク質内の複数のアミノ酸(例えば、リジン)に対する、複数のM6Pn-ITCのコンジュゲートにより、M6Pnグリカンの多価提示が可能になる。
図8】一実施形態による、M6Pリガンドをディスプレイするための足場(scaffold)を合成するための一般的なNCA重合スキームの図である。他のアミノ酸由来NCAとのコポリマーも同様に容易に合成され、複数のM6Pリガンド残基を有する様々な構造および組成を有する多数のポリマーへのアクセスを提供する。その後、これらの材料を脱保護して、完全なポリペプチド/グリカン構造が提供される。
図9】一実施形態による、マンノース-6-ホスホネートペプチドオリゴマーの固相ペプチド合成のためのスキーム。示されるように、M6Pリガンドをディスプレイするための足場は、M6P、M6Pnなどのアミノ酸から出発して、固相ペプチド合成を使用して合成することもできる。この合成経路は、NCA重合経路と比較してポリペプチド長および組成のより大きな制御を可能にし、NCA重合由来材料と比較して特別な合成条件を必要としない。
図10】ビオチンキャップで官能化されたM6Pnポリマーが、細胞外ニュートラアビジン-647(NA 647:ビオチンが強く結合するタンパク質)が分解のために細胞外空間からリソソームへ移行することを仲介できることを示す実験の概略図(上)および蛍光イメージング結果(下)。タンパク質とリソソーム染色色素の両方の共局在化が観察される。
図11】いくつかの細胞株が、M6Pnポリマー依存的様式でNA647の取り込みを示すことを実証するデータ。これらの結果を考慮すると、M6PR(例えば、CIM6PR)を有する任意の細胞株が、この方法によるリソソームへのタンパク質のシャトリングを可能にし、本研究で試験した細胞株に限定されないことが予測される。
図12】非変性ゲルポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を使用して、M6Pポリマーによるタンパク質(抗体を含む)の官能化を監視できることを示すデータ。この例では、最初に目的のタンパク質を反応性アルキン(例えば、ビシクロ[6.1.0]ノニン、BCN)で標識し、続いてアジド含有ポリマーとインキュベートすることによって官能化を行った(生体直交(bio-orthogonal)銅フリー歪み促進クリック反応)。
図13】ポリ(M6Pn)標識抗体がそれらの結合パートナーをリソソームにシャトルすることができることを示す、概略図(上)および蛍光イメージングデータ(下)。この例では、マウスIgG-488を、ポリ(M6Pn)タグを有する抗マウスIgG抗体とインキュベートし、タンパク質およびリソソーム染色色素の両方を共局在化させた(マージ)。
図14】ポリ(M6Pn)標識抗体がそれらの結合パートナーを細胞内区画にシャトルすることができることを示す、概略図(上)およびデータ(下)。この例では、組換えヒトapoE4を、マウス由来抗ヒトapoE4抗体、抗マウスIgG抗体、またはポリ(M6Pn)タグを有する抗マウス抗体とインキュベートした。M6Pn含有二次抗体では、有意により多くの取り込みが観察される。
図15】ポリ(M6Pn)標識抗体がそれらの結合パートナーを分解のためにシャトルすることができることを実証するデータ。この例では、M6Pnタグを有するセツキシマブと共に細胞をインキュベートすることによってEGFR分解を評価した。試験されたすべての細胞株について、セツキシマブまたは疑似ポリマー(GalNAc)を有するセツキシマブと比較して総EGFRの喪失が観察される。EGFはEGFR分解についてのポジティブコントロールである。レーン1:コントロール。レーン2:EGF(100ng/mL、1時間、+コントロール)。レーン3:セツキシマブ。レーン4:セツキシマブ-GalNAcコンジュゲート。レーン5:セツキシマブ-M6Pコンジュゲート(長)。レーン6:セツキシマブ-M6Pコンジュゲート(短)。コントロールのパーセントをデンシトメトリーによって計算した。
図16】ポリ(M6Pn)標識抗体断片がそれらの結合パートナーをリソソームにシャトルできることを示すデータ。この例では、M6Pnタグを有するセツキシマブ由来Fab部分と共に細胞をインキュベートすることによってEGFR分解を評価した。セツキシマブFab単独または疑似ポリマーを有するセツキシマブFab(GalNAc)と比較して総EGFRの喪失が観察される。
図17】ポリ(M6Pn)標識抗体がそれらの結合パートナーを分解のためにシャトルすることができることを実証するデータ。この例では、CD71(トランスフェリン受容体)の分解を、CD71に対する一次マウス由来抗体、抗マウスIgG抗体、またはポリ(M6Pn)タグを有する抗マウス抗体と共に細胞をインキュベートすることによって評価した。M6Pタグを含む系は、有意により多くの分解をもたらす。
図18】ポリ(M6Pn)標識抗体断片がそれらの結合パートナーを分解のためにシャトルすることができることを実証するデータ。この例では、PDL1分解を、M6Pタグを有する抗PDL1抗体または抗PDL1抗体と共に細胞をインキュベートすることによって評価した。分解は、M6P標識抗PDL1抗体でのみ観察される。
図19】二重特異性抗体である二官能性分子を使用した標的細胞外タンパク質分解の概略図。この例では、CIM6PRと所定の標的とに対する二重特異性抗体であり、これはエンドソームの低下したpHにおいて標的から離れる。このストラテジーにより、所定の二重特異性抗体が受容体とサイクルし、抗体の分解なしに、カーゴおよび標的をリソソームに連続的に送達することが可能になる。
図20】本開示の実施形態による、二官能性分子の第2の部分が結合し得るリソソーム標的化分子の概略図である。この例では、リソソーム標的化分子は、実質的に排他的に肝臓細胞(liver cells)(例えば肝細胞(hepatocytes))上に発現されるアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)である。右側に示されるように、ASGPRは、原形質膜とエンドソームとの間で構成的にリサイクルされ、それにより、リソソームにおける分解のために細胞外糖タンパク質を細胞内へ運ぶ。左下には、抗体(例えば、肝細胞の表面に発現する分子または肝細胞の細胞外空間に存在する分子に結合する抗体)である第1の部分と、ASGPRに結合するための多価ASGPRリガンドを含む第2の部分とを含む、例示的な二官能性分子が示されている。この例では、第2の部分は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)のポリマー、特に、示されているポリ(GalNAc-co-Ala)ポリマーを含む。
図21】標的分子に結合する第1の部分(この例では、抗体)および図20に示されるGalNAc含有ポリマーを含む第2の部分を含む二官能性分子を使用した、HEPG2(肝細胞癌)細胞への標的分子の移入を示す概略図およびデータ。
図22】HUH7(肝細胞癌)細胞におけるASGPRを介した効率的な細胞取り込みを実証する概略図およびデータ。
図23図20に示されるGalNAc含有ポリマーを含む第2の部分にコンジュゲート化したセツキシマブ(第1の部分)を含む二官能性分子を使用した、HEP3B(肝細胞癌)細胞におけるEGFRの効率的な分解を示す概略図およびデータ。M6PRリガンドを含む第2の部分にコンジュゲート化されたセツキシマブ(第1の部分)を含むコンジュゲートについてのEGFR分解データも示される。
図24図20に示されるGalNAc含有ポリマーを含む第2の部分にコンジュゲートしたセツキシマブ第1の部分)を含む二官能性分子を使用した、HEPG2細胞におけるEGFRの効率的な分解を示すデータ。M6PRリガンドを含む第2の部分にコンジュゲートされたセツキシマブ(第1の部分)を含むコンジュゲートについてのEGFR分解データも示される。
図25】HEP3B細胞におけるEGFR分解を経時的に評価する経時研究からのデータ。
図26】上記のセツキシマブ・コンジュゲートを使用したHEP3B細胞の処理によって膜EGFRの大部分が分解されるが、残留EGFRは細胞の内部にあることを示す免疫蛍光データ。
図27】トラスツズマブ単独またはGalNAc含有ポリマーにコンジュゲート化したトラスツズマブの存在下での、HUH7およびHEPG2細胞におけるHER2の分解の程度を示すウエスタンブロットのデータ。
【発明を実施するための形態】
【0005】
細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合する第1部分と、リソソーム標的化分子に特異的に結合する第2部分とを含む、二官能性分子が提供される。二官能性分子は、例えば、エンドソーム/リソソーム経路を介した細胞表面および細胞外分子(例えば、タンパク質)の標的化された分解に使用される。二官能性分子を含む組成物およびキット、ならびに二官能性分子を使用する方法も提供される。二官能性分子を作製する方法も提供される。
【0006】
本開示の二官能性分子、組成物、キットおよび方法がより詳細に記載される前に、二官能性分子、組成物、キットおよび方法は、記載される特定の実施形態に限定されずしたがって当然のことながら変化し得ることが理解されるべきである。二官能性分子、組成物、キットおよび方法の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0007】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限値と下限値の間の、文脈上そうではないと明確に指示されない限りは下限値の単位の10分の1までの各介在値、およびその記載される範囲内の任意の他の記載値または介在値が、二官能性分子、組成物、キットおよび方法内に包含されることを理解されたい。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立してより小さい範囲内に含まれてもよく、これらもまた、記載される範囲内の特に除外された限界を別にして、二官能性分子、組成物、キットおよび方法内に包含される。記載された範囲が片方または両方の限界値を含む場合、それら含まれた限界値のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、二官能性分子、組成物、キットおよび方法に含まれる。
【0008】
ある特定の範囲は、数値の前に用語「約」が付された状態で本明細書に提示される。「約」という用語は、それが先行する正確な数字、およびその用語が先行する数字に近接または近似する数字に文言的サポートを提供するために本明細書において使用される。ある数が、特定の列記された数に近接または近似するか否かを決定するにあたり、近接または近似するが列記されていない数は、それが提示されている文脈において具体的に列記された数と実質的に等価な数であり得る。
【0009】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、二官能性分子、組成物、キットおよび方法が属する当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の二官能性分子、組成物、キットおよび方法もまた、二官能性分子、組成物、キットおよび方法の実施または試験に使用することができるが、代表的な例示的な二官能性分子、組成物、キットおよび方法がここで説明される。
【0010】
本明細書に引用されるすべての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれ、刊行物が引用されるところの関連する方法および/または材料を開示かつ記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。刊行物の引用は、出願日前のその開示についてのものであり、提供される刊行年は、個別に確認を必要とし得る実際の刊行年とは異なる場合があるので、二官能性分子、組成物、キットおよび方法はその刊行物よりも先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0011】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は任意選択的な要素を排除するようにも起草され得ることにさらに留意されたい。このように、この記述は、特許請求の要素の列挙に関連して「専ら」、「のみ」などのような排他的な用語の使用または「負の」限定の使用のための文言的根拠としての役割を果たすことを意図する。
【0012】
明瞭さのために別々の実施形態の文脈中で記載された、二官能性分子、組成物、キットおよび方法の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わされても提供され得ることが認識される。逆に、簡潔性のために単一の実施形態の文脈で説明された、二官能性分子、組成物、キットおよび方法の様々な特徴は、別々にまたは任意の適切なサブコンビネーションにおいて提供されてもよい。実施形態のすべての組み合わせは、本開示によって具体的に包含され、本明細書において、このような組み合わせが実施可能なプロセスおよび/または組成物を内包する程度までありとあらゆる組み合わせが個別にかつ明示的に開示されたかのように、開示される。さらに、そのような可変要素を記載している実施形態に列挙されているすべてのサブコンビネーションも、本発明の二官能性分子、組成物、キットおよび方法によって具体的に包含され、そのような各サブコンビネーションが個々におよび明示的に開示されているかのように、本明細書に開示される。
【0013】
本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に説明され例証された個々の実施形態の各々は、本開示の方法の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得る、または組み合わせられ得る個別の構成要素および特徴を有する。いかなる列挙された方法も、列挙された事象の順序で、または論理的に可能なあらゆる他の順序で実行され得る。
【0014】
二官能性分子
本開示は、細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合する第1部分と、リソソーム標的化分子に特異的に結合する第2部分とを含む、二官能性分子を提供する。ここで、二官能性分子の特定の非限定的な実施形態を説明する。
【0015】
上に要約したように、本開示の二官能性分子は、細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合する第1の部分を含む。いくつかの実施形態では、第1の部分は、細胞表面分子に特異的に結合する。「細胞表面分子」とは、例えば、細胞膜に挿入されるかまたは細胞膜にまたがるドメイン(例えば細胞膜テザリングドメインまたは膜貫通ドメイン)を有するために、細胞膜に結合された分子を意味する。細胞表面分子は、エンドソーム/リソソーム経路を介した標的化分解が望まれる任意の細胞表面分子であり得る。いくつかの態様では、細胞表面分子は細胞表面受容体である。目的の細胞表面受容体としては、限定されないが、幹細胞受容体、免疫細胞受容体、成長因子受容体、サイトカイン受容体、ホルモン受容体、受容体チロシンキナーゼ、上皮成長因子受容体(EGFR)ファミリーの受容体(例えば、HER2(ヒト上皮成長因子受容体2)など)、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)ファミリーの受容体、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)ファミリーの受容体、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)ファミリーの受容体、rearranged during transfection(RET)受容体ファミリーの受容体、Eph受容体ファミリーの受容体、ジスコイジンドメイン受容体(DDR)ファミリーの受容体、およびムチンタンパク質(例えば、MUC1)が挙げられる。いくつかの態様では、細胞表面分子はCD71(トランスフェリン受容体)である。特定の態様では、細胞表面受容体は、T細胞受容体、B細胞受容体、ナチュラルキラー(NK)細胞受容体、マクロファージ受容体、単球受容体、好中球受容体、樹状細胞受容体、肥満細胞受容体、好塩基球受容体、および好酸球受容体から選択される免疫細胞受容体である。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、特異的な分子相互作用を介してではなく(したがって、ブロッキングの影響を受けにくい)、バルクな生物物理学的作用または凝集作用を介して、その効果を仲介する細胞表面分子に特異的に結合する。そのような細胞表面分子の非限定的な例はムチンである。ムチンの例としては、MUC1、MUC16、MUC2、MUC5 AC、MUC4、CD43、CD45、GPIbなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の部分が細胞表面分子に特異的に結合する場合、その細胞表面分子は癌細胞上に存在するものである。「癌細胞」とは、例えば、異常な細胞成長、異常な細胞増殖、密度依存性増殖阻害の損失、足場非依存性の増殖能力、免疫無防備状態の非ヒト動物モデルにおける腫瘍増殖および/もしくは発達、ならびに/または細胞形質転換の任意の適切な指標を促進することができる能力のうちの1つ以上によって特徴付けることができる、新生物細胞表現型を示す細胞を意味する。「癌細胞」は、本明細書では「腫瘍細胞」、「悪性細胞」または「癌性細胞」と互換的に使用され得、固形腫瘍、半固形腫瘍、血液悪性腫瘍(例えば、白血病細胞、リンパ腫細胞、骨髄腫細胞など)、原発腫瘍、転移性腫瘍などの癌細胞を包含する。いくつかの実施形態では、癌細胞上に存在する細胞表面分子は、腫瘍関連抗原または腫瘍特異的抗原である。
【0018】
特定の態様では、第1の部分が細胞表面分子に特異的に結合する場合、その細胞表面分子は免疫細胞上に存在するものである。いくつかの実施形態では、細胞表面分子は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、単球、好中球、樹状細胞、肥満細胞、好塩基球および好酸球から選択される免疫細胞上に存在する。特定の態様では、免疫細胞上に存在する細胞表面分子は、抑制性免疫受容体である。本明細書で使用するとき、「抑制性免疫受容体」は、免疫応答を負に調節する、免疫細胞上に存在する受容体である。本開示の方法に従って阻害され得る抑制性免疫受容体の例としては、これらに限定されないが、CD200R、CD300a(IRp60、マウスMAIR-I)、CD300f(IREM-1)、CEACAM1(CD66a)、FcyRIIb、ILT-2(LIR-1、LILRB1、CD85j)、ILT-3(LIR-5、CD85k、LILRB4)、ILT-4(LIR-2、LILRB2)、ILT-5(LIR-3、LILRB3、マウスPIR-B)、LAIR-1、PECAM-1(CD31)、PILR-α(FDF03)、SIRL-1、およびSIRP-αを含む、Igスーパーファミリーの抑制性免疫受容体が挙げられる。本開示の方法に従って阻害され得る抑制性免疫受容体のさらなる例としては、シアル酸結合性Ig様レクチン(Siglec)受容体、例えば、Siglec7、Siglec9などが挙げられる。本開示の方法に従って阻害され得る抑制性免疫受容体の追加の例としては、これらに限定されないが、CLEC4A(DCIR)、Ly49Q、およびMICLを含む、C型レクチンが挙げられる。抑制性免疫受容体に関する詳細は、例えば、Steevels et al.(2011)Eur.J.Immunol.41(3):575-587に見出すことができる。いくつかの態様では、免疫細胞上に存在する細胞表面分子は、抑制性免疫受容体のリガンドである。特定の態様では、免疫細胞上に存在する細胞表面分子は、免疫チェックポイント分子である。第1の部分が特異的に結合し得る免疫チェックポイント分子の非限定的な例としては、PD-1、PD-L1、CTLA4、TIM3、LAG3、TIGITおよびB7ファミリーのメンバーが挙げられる。
【0019】
上に要約したように、本開示の二官能性分子は、細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合する第1の部分を含む。いくつかの実施形態において、第1の部分は、細胞外分子に特異的に結合する。「細胞外分子」とは、可溶性分子であって、その可溶性分子の近傍にある細胞の細胞膜の外側にあるものを意味する。細胞外分子は、エンドソーム/リソソーム経路を介した標的化分解が望まれる任意の細胞外分子であり得る。いくつかの態様において、細胞外分子は、細胞表面受容体のリガンドである。目的の細胞表面受容体リガンドには、成長因子(例えば、上皮成長因子(EGF)、血管内皮成長因子(VEGF)など)、サイトカイン(例えば、インターロイキン、インターフェロン、腫瘍壊死因子(TNF)、トランスフォーミング成長因子β(TGF-β)(このようなサイトカインの任意の特定のサブタイプを含む))、ホルモンなどが含まれるが、これらに限定されない。特定の態様では、第1の部分は、アポリポタンパク質E4(ApoE4)に特異的に結合する。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、細胞外分子に特異的に結合し、細胞外分子は、抗体、例えば、細胞表面分子または異なる細胞外分子に特異的に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は自己抗体である。自己抗体の非限定的な例としては、リウマチ因子(RF)、抗核抗体(ANA)、抗好中球細胞質抗体(ANCA)、抗二本鎖DNA(抗dsDNA)、抗セントロメア抗体(ACA)、抗ヒストン抗体、環状シトルリン化ペプチド抗体(CCP)、可溶性核抗原抗体(例えば、抗SS-A(Ro)および抗SS-B(La)、抗RNP、抗Jo-1、抗Sm、Scl-70)、カルジオリピン抗体、ベータ2糖タンパク質1抗体、抗リン脂質抗体(APA)、ループス抗凝固因子(LA)、糖尿病関連自己抗体、抗組織トランスグルタミナーゼ(抗tTG)、抗グリアジン抗体(AGA)、内因性因子抗体、壁細胞抗体、甲状腺自己抗体(例えば、抗TPO、TSH受容体抗体)、平滑筋抗体(SMA)、抗ミトコンドリア抗体(AMA)、肝臓ミクロソーム1型抗体(抗LKM-1)、抗糸球体基底膜(GBM)、アセチルコリン受容体(AChR)抗体などが挙げられる。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、疾患において蓄積する分泌タンパク質(例えば、α-シヌクレイン)、コレステロール担体(例えば、ApoB)、感染性疾患毒素(例えば、AB毒素、ESAT-6)、感染性粒子(例えば、ウイルス全体、細菌全体など)、凝固因子(例えば、第IX因子)、細胞外分子に結合する任意のFDA承認抗体の標的(例えば、TNFアルファ)、任意のケモカインもしくはサイトカイン(例えば、IL-1のような、敗血症または慢性炎症のメディエーター)、タンパク質性ホルモン(例えば、インスリン、ACTHなど)、気分障害のタンパク質性メディエーター、エネルギー恒常性のタンパク質性メディエーター(例えば、レプチン、グレリンなど)、血流中に存在するタンパク質性アレルゲン、またはそのようなアレルゲンに対する抗体(例えば、ピーナッツアレルギーの場合)、タンパク質性毒素(例えば、蛇毒ヒアルロニダーゼなど)などである細胞外分子に特異的に結合する。
【0022】
特定の実施形態では、第1の部分は、細胞表面または細胞外分子に特異的に結合し、その細胞表面または細胞外分子は変異タンパク質である。いくつかの実施形態では、二官能性分子は、リソソームへの変異タンパク質のシャトリングを引き起こし、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)(例えば、MHCIまたはMHCII)上へのそのローディングを促進し、それによって免疫系による変異タンパク質の認識を促進する。これに関連して、二官能性分子は、変異した望ましくないタンパク質(例えば、KIT)に特異的な抗体を作製することに使用を見出す。
【0023】
「特異的に結合する」とは、第1の部分および第2の部分が、それぞれの標的に、例えば約10-1以上の親和性またはK(すなわち、1/Mの単位による、特定の結合相互作用の平衡会合定数である)で結合することを意味する。特定の実施形態では、第1の部分および第2の部分は、それぞれの標的に、約10-1、10-1、10-1、10-1、1010-1、1011-1、1012-1、または1013-1以上のKで結合する。「高親和性」結合は、少なくとも10-1、少なくとも10-1、少なくとも10-1、少なくとも1010-1、少なくとも1011-1、少なくとも1012-1、少なくとも1013-1、またはそれを超えるKでの結合を指す。あるいは、親和性は、Mの単位による、特定の結合相互作用の平衡解離定数(K)(例えば、10-5M~10-13M、またはそれ未満)として定義され得る。特定の態様では、特異的結合は、第1の部分および第2の部分が、それぞれの標的に、約10-5M以下、約10-6M以下、約10-7M以下、約10-8M以下、または約10-9M、10-10M、10-11Mもしくは10-12M以下のKで結合することを意味する。第1の部分および第2の部分のそれぞれの標的に対する結合親和性は、従来の技術を使用して、例えば競合ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、平衡透析、表面プラズモン共鳴(SPR)技術(例えば、製造業者によって概説された一般的な手順を使用するBIAcore 2000機器)、ラジオイムノアッセイなどにより、容易に決定することができる。
【0024】
第1の部分は、エンドソーム/リソソーム経路を介した分解の標的となる細胞表面分子または細胞外分子に結合することができる、任意のタイプの部分であり得る。特定の態様では、第1の部分は、ポリペプチド、リガンド(例えば、細胞表面受容体のためのリガンドであり、その場合その細胞表面受容体が分解のために標的化される)、アプタマー、ナノ粒子、および小分子から選択される。第2の部分は、リソソーム標的化分子に結合することができる任意のタイプの部分であり得る。特定の態様では、第2の部分は、ポリペプチド、リガンド(例えば、リソソーム標的化分子のリガンド)、アプタマー、ナノ粒子、および小分子から選択される。
【0025】
いくつかの実施形態では、二官能性分子の部分がポリペプチドである場合、その部分は抗体である。用語「抗体」および「免疫グロブリン」は、任意のアイソタイプの抗体または免疫グロブリン(例えば、IgG(例えばIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)、IgE、IgD、IgA、IgMなど)、全抗体(例えば、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの二量体2つで構成される四量体で構成される抗体);単鎖抗体;細胞表面分子または細胞外分子(第1の部分の場合)またはリソソーム標的化分子(第2の部分の場合)に対する特異的な結合を維持している抗体断片(例えば、全抗体または単鎖抗体の断片)(限定されないが、Fv、単鎖Fv(scFv)、Fab、F(ab’)、Fab’(scFv’)、ダイアボディ、およびナノボディを含む);キメラ抗体;モノクローナル抗体;完全ヒト抗体;ヒト化抗体(例えば、ヒト化全抗体、ヒト化抗体断片など);および、抗体の抗原結合部分および非抗体タンパク質を含む融合タンパク質またはそれらの断片を含む。抗体は、例えば、インビボイメージング剤などで検出可能に標識することができる。抗体は、他の部分、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)などにさらにコンジュゲートされ得る。抗体Fc領域(またはその断片)への融合、PEGへのコンジュゲートなどは、例えば、被験体への投与の際に抗体の血清半減期を増加させるための用途を見出し得る。
【0026】
「小分子」とは、1000原子質量単位(amu)以下の分子量を有する化合物を意味する。いくつかの実施形態では、小分子は750amu以下、500amu以下、400amu以下、300amu以下、または200amu以下である。特定の態様では、小分子はポリマー中に存在するような反復分子単位から作られていない。
【0027】
上に要約したように、第2の部分はリソソーム標的化分子(lysosomal targeting molecule)に特異的に結合する。本明細書で使用される場合、「リソソーム標的化分子」は、二官能性分子の第2の部分によって結合されると、該二官能性分子とその第1の部分によって結合された細胞表面分子または細胞外分子とを細胞内のリソソームへとシャトルする、細胞表面分子である。リソソームへの送達および内在化の際に、二官能性分子および細胞表面分子または細胞外分子は、リソソーム酵素、例えば酸加水分解酵素によって分解される。このようにして、二官能性分子は、第1の部分によって結合された細胞表面分子または細胞外分子を分解のためにターゲティングし、そのターゲティングは、研究および臨床用途を含む様々なインビトロおよびインビボ用途において使用される。
【0028】
第2の部分は、任意の適切なリソソーム標的化分子に結合し得る。リソソーム標的化分子の非限定的な例としては、マンノース-6-リン酸受容体(M6PR)、ソルチリン(sortilin)、葉酸受容体、ASPGR、IFITM3、エンドソーム/リソソーム経路の分子(例えば、LIMP-1、LIMP-2)などが挙げられる。
【0029】
いくつかの実施形態において、第2の部分が結合するリソソーム標的化分子は、マンノース-6-リン酸受容体(M6PR)である。M6PRは、身体の組織全体に存在し、マンノース-6-リン酸(M6P)タグ化カーゴ(例えば、酸加水分解酵素)をゴルジ区画および細胞外空間からリソソームに輸送する役割を果たす。M6PRに関する詳細は、例えば、Gary-Boboら(2007)Curr.Med.Chem.14:2945-2953;Das et al.(2016)ACS Macro Lett.5:809-813、およびその他に見ることができる。第2の部分が結合し得るM6PRの例としては、UniProtKB-P 20645として提供されるカチオン依存性ヒトM6PRおよびUniProtKB-P11717として提供されるカチオン非依存性M6PR(インスリン様成長因子2受容体(IGF2R)とも呼ばれる)が挙げられる。カチオン非依存性マンノース6-リン酸受容体は、細胞表面で、マンノース6-リン酸(M6P)担持タンパク質、IGF-II、レチノイン酸、プラスミノーゲンなどのリガンドに結合する多機能タンパク質である。その主な機能は、M6P酵素を結合しリソソームに輸送することであるが、様々な細胞外M6P糖タンパク質、例えば潜在型TGFβ前駆体、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体、グランザイムB、成長因子、ヘルペスウイルスなどの活性を調節することもできる。
【0030】
特定の態様では、リソソーム標的化分子がM6PRである場合、第2の部分は、M6PRに特異的に結合する抗体である。抗M6PR抗体は利用可能であり、MOB-1772z組換え抗ヒトM6PR抗体(Creative Biolabs)、EPR6599、2G11、MEM-238、EPR6599およびEPR7691抗M6PR抗体(Abcam)などを含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、リソソーム標的化分子がM6PRであるとき、第2の部分は、1個または複数のM6PRリガンドを含む。特定の態様では、1個または複数のM6PRリガンドは、1個または複数のマンノース-6-リン酸(M6P)を含み、ここで、M6Pは、以下の構造を有する:
【化1】
【0032】
それに代えて、またはそれに加えて、1個または複数のM6PRリガンドは、1個または複数のM6P類似体を含む。「M6P類似体」とは、M6Pではないが、M6PRのM6P認識部位に結合する分子を意味する。ホスホネート基、カルボキシレート基、スルフェート基、スルホネート基またはマロネート基を有するいくつかのM6P類似体は、M6P自体よりも高い親和性およびヒト血清中でのより強い安定性を示す。いくつかの構造的特徴が、M6PとM6PRとの結合に重要であることが示されている。例えば、ピラノース環の2位のヒドロキシル基がアキシャル(axial)であり、M6PRへの強い結合が観察される。負電荷とピラノース環との間の距離もまた、M6PRによるM6P認識において役割を果たす。適切な類似体は一般に、M6PRに効率的に結合するためにM6Pに対してアイソステリック(isosteric)であるべきであり、単一の負電荷はM6PRへの結合を可能にするのに十分であるが、認識を確実にするのにリン原子は必要ではなく、2つの負電荷の存在(M6Pのマロネートおよびホスホネート同配体類似体におけるように)は、M6PRへの結合のために有益であることが示されている。いくつかの実施形態では、1個または複数のM6PRリガンドが1個または複数のM6PR類似体を含む場合、1個または複数のM6PR類似体は、1個または複数のホスホネートM6P類似体(M6Pn)、マロネートM6P類似体、カルボキシレートM6P類似体、スルホネートM6P類似体、アクリレートM6P類似体などを含む。いくつかの実施形態では、1個または複数のM6PR類似体は、以下の構造を有する1個または複数のホスホネートM6P類似体(M6Pn)を含む(式中、Mは任意の対カチオンまたは水素原子である):
【化2】
【0033】
いくつかの実施形態では、1個または複数のM6PR類似体は、以下の構造(式中、Mは任意の対カチオンまたは水素原子である)のうちの1つを有する1個または複数のカルボキシレートM6P類似体を含む:
【化3】
【0034】
いくつかの実施形態では、1個または複数のM6PR類似体は、以下の構造(式中、Mは任意の対カチオンまたは水素原子である)を有する1個または複数のマロネートM6P類似体 を含む:
【化4】
【0035】
M6PRによるM6PおよびM6Pアナログの認識、ならびに本開示の二官能性分子に利用され得るM6Pアナログ類似体に関する詳細は、例えば、Gary-Boboら((2007)Curr.Med.Chem.14:2945-2953、および、Jeanjeanら(2008)Bioorg Med Chem Lett.18(23):6240-3に見ることができ、その開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
特定の態様では、第2の部分が1個または複数のM6PRリガンドを含む場合、第2の部分は、1~1000個のM6PRリガンド、例えば1~750個、1~500個、1~250個、1~100個、1~75個、1~50個、1~40個、1~30個、1~20個、1~10個(例えば、1~6個)、または1~5個のM6PRリガンドを含む。いくつかの実施形態において、第2の部分が1個または複数のM6PRリガンドを含む場合、第2の部分は、10~50個、15~45個、20~40個、または25~35個のM6PRリガンドを含む。特定の態様では、第2の部分が1個または複数のM6PRリガンドを含む場合、第2の部分は、5個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、75個以上、100個以上、250個以上、500個以上、750個以上、または1000個以上のM6PRリガンドを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、第2の部分が1個または複数のM6PRリガンドを含む場合、第2の部分は、1個または複数のM6PRリガンドをディスプレイする(例えば、それによって官能化されている)、ポリマー足場を含む。そのような二官能性分子およびその使用の一例を図1に模式的に示す。この例では、二官能性分子は、第1の部分として抗体を含む。抗体は、標的細胞外分子(左に示す)または標的細胞表面分子(右に示す)のいずれかに結合し得る。抗体は、M6Pリガンド(図1では「6P」と表記している)をディスプレイするポリマー足場にコンジュゲート化される。ディスプレイされたM6Pリガンドが細胞表面M6PRに結合すると、M6PRは、二官能性分子(および結合した標的(Target)分子)を分解のためにリソソームにシャトルする。
【0038】
第2の部分が1個または複数のM6PRリガンドをディスプレイするポリマー足場を含む場合、ポリマー足場は、1個または複数のM6PRリガンドを含むグリコポリマーであり得る。例として、グリコポリマーは、1個または複数のM6PRリガンドで官能化された1個または複数のアミノ酸(例えば、天然および/または非天然アミノ酸)を含む糖タンパク質であり得る。グリコポリマーが糖タンパク質である場合、糖タンパク質は、N-カルボキシ無水物(NCA)由来の糖タンパク質であり得る。NCAモノマーの開環重合(ROP)は、広範囲の有用な物理的特性を有する合成ポリペプチドおよびポリペプチド・ハイブリッドをもたらす、よく研究された経路である。いくつかの実施形態では、重合は金属触媒される。α-アミノ酸-N-カルボキシ無水物のラージスケール合成に適したアプローチは、例えば、Sempleら(2016)Synthetic Communications 47(1):53-61に記載されている。
【0039】
マンノース-6-リン酸N-カルボキシ無水物を合成するための例示的なアプローチを図2に概略的に示す。マンノース-6-ホスホネートN-カルボキシ無水物を合成するための例示的なアプローチを図3に概略的に示す。マンノース-6-カルボキシレートN-カルボキシ無水物を合成するための例示的なアプローチを図4に概略的に示す。マンノース-6-アクリレートN-カルボキシ無水物を合成するための例示的なアプローチを図5に概略的に示す。グルコース-6-ホスホネートN-カルボキシ無水物を合成するための例示的なアプローチを図6に概略的に示す。マンノース-6-ホスホネートイソチオシアネートを合成するための例示的なアプローチを図7に概略的に示す。
【0040】
特定の実施形態では、本開示の二官能性分子は、肝臓細胞、例えば肝細胞(肝細胞癌(HCC)細胞を含む)の表面に発現されるリソソーム標的化分子に特異的に結合する第2の部分を含む。第2の部分が結合し得る、肝臓細胞の表面上に発現されるリソソーム標的化分子の非限定的な例は、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)(血液からの糖コンジュゲートの除去を仲介する肝受容体)である。この受容体は、遺伝子ASGR1およびASGR2によってコードされる2つのタンパク質、アシアロ糖タンパク質受容体1および2(ASGR1(UniProtKB-P07306-ヒト)およびASGR2(UniProtKB-P07307-ヒト))を含む。ASGPRは、シアル酸が除去されてガラクトースおよびガラクトサミン残基が露出した糖タンパク質であるアシアロ糖タンパク質に結合する。肝臓細胞上に位置する受容体は、標的糖タンパク質を循環から除去する。ASGPRは、肝細胞、いくつかのヒト癌細胞株、および肝臓癌の表面に高度に発現される。
【0041】
リソソーム標的化分子がASGPRである場合、適切な第2の部分としては、抗ASGPR抗体、ASGPRリガンドなどが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態によれば、そのような第2の部分は、1個または複数のASGPRリガンドを含む。適切なASGPRリガンドには、1個または複数のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、1個または複数のガラクトース、1個または複数のグルコース、およびそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、そのような第2の部分は、1~1000個のASGPRリガンド、例えば1~750個、1~500個、1~250個、1~100個、1~75個、1~50個、1~40個、1~30個、1~20個、1~10個(例えば、1~6個)、または、1~5個のASGPRリガンドを含む。いくつかの実施形態において、第2の部分が1個または複数のASGPRリガンドを含む場合、第2の部分は、10~50個、15~45個、20~40個、または25~35個のASGPRリガンドを含む。特定の実施形態では、第2の部分が1個または複数のASGPRリガンドを含む場合、第2の部分は、3個以上、5個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、75個以上、100個以上、250個以上、500個以上、750個以上、または1000個以上のASGPRリガンドを含む。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、リソソーム標的化分子がASGPRであり、第2の部分が1個または複数のASGPRリガンドを含む場合、第2の部分は、1個または複数のASGPRリガンドを含む足場(scaffold)を含む。1つの非限定的な例において、第2の部分は、GalNAcを含むポリマーを含む。特定の実施形態では、そのような第2の部分はポリ(GalNAc-co-Ala)を含み、その構造は下記および図20に提供される。
【化5】
【0043】
特定の実施形態では、リソソーム標的化分子がASGPRであり、第2の部分が1個または複数のASGPRリガンドを含む場合、第2の部分は、1つ(一価)、2つ(二価)、3つ(三価)または4つ以上のASGPRリガンド、例えば、GalNAc、ガラクトースおよびグルコースから独立して選択されるASGPRリガンドを含むデンドリマー足場を含む。例えば、いくつかの実施形態によれば、第2の部分は、一価、二価または三価のGalNAc含有デンドリマー足場を含む。使用され得る三価GalNAc含有デンドリマー足場の非限定的な例は、以下のものである(本明細書ではTri-GalNAcデンドリマーと呼ばれる):
【化6】
【0044】
いくつかの実施形態によれば、第2の部分は、一価、二価または三価のガラクトース含有デンドリマー足場を含む。使用され得る三価ガラクトース含有デンドリマー足場の非限定的な例は、以下である(本明細書ではTri-Galデンドリマーと呼ばれる):
【化7】
【0045】
いくつかの実施形態によれば、第2の部分が、肝臓細胞の表面上に発現されるリソソーム標的化分子、例えばASGPRに特異的に結合する場合、第1の部分は、肝細胞(肝細胞癌(HCC)細胞を含む)上に発現される細胞表面分子に特異的に結合する。そのような細胞表面分子の非限定的な例には、成長因子受容体が含まれる。目的の成長因子受容体には、上皮成長因子受容体(EGFR)、C-Met、インスリン様成長因子1受容体(IGF1R)、線維芽細胞成長因子受容体4(FGFR4)、HER2、および血小板由来成長因子受容体(PDGFR)が含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
特定の実施形態では、二官能性分子は、肝細胞癌(HCC)細胞の表面上の成長因子を分解するのに使用され(例えば、HCCを有する個体に投与してHCCを処置する際にインビボで)、ここで、二官能性分子は、EGFR、C-Met、IGF1R、FGFR4またはHER2に特異的に結合する第1の部分を含み、第2の部分は、ASGPRに特異的に結合する(例えば、第2の部分は、GalNAc、ガラクトースおよび/またはグルコース等のASGPRリガンドを含む足場(例えば、ポリマー足場)を含み得る。)。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、二官能性分子は、線維性(fibrotic)肝臓細胞上に発現される細胞表面分子(例えば、成長因子)を分解するのに使用され(例えば、インビボで、肝臓の線維症を有する個体に投与した際)、ここで、二官能性分子は、線維症を促進する細胞表面または細胞外タンパク質(例えば、PDGFR)に特異的に結合する第1の部分を含み、第2の部分は、ASGPRに特異的に結合する(例えば、第2の部分は、GalNAc、ガラクトースおよび/またはグルコース等である1個または複数のASGPRリガンドを含む足場(例えばポリマー足場)を含み得る。)。
【0048】
特定の実施形態では、二官能性分子は、第1の部分のみの存在下での細胞表面分子または細胞外分子の分解と比べて相対的に、細胞表面分子または細胞外分子の分解を増強する。いくつかの実施形態によれば、二官能性分子は、第1の部分または第2の部分のみの存在下での細胞表面分子または細胞外分子の分解と比べて相対的に、細胞表面分子または細胞外分子の分解を増強する。これに関連して「分解を増強する」とは、同じ条件下で、細胞表面分子または細胞外分子が、二官能性分子の存在下では分解され、第1の部分単独の存在下または第1の部分もしくは第2の部分単独の存在下では分解されないこと、または、同じ条件下で、細胞表面分子または細胞外分子が、第1の部分単独の存在下または第1の部分もしくは第2の部分単独の存在下で分解されるよりも大きな程度まで、二官能性分子の存在下で分解されることを意味する。細胞表面分子または細胞外分子が、同じ条件下で、第1の部分単独の存在下または第1の部分もしくは第2の部分単独の存在下で分解されるよりも大きな程度まで、二官能性分子の存在下で分解される場合、その分解は、二官能性分子の存在下で、1.2倍以上、1.4倍以上、1.6倍以上、1.8倍以上、2倍以上、2.5倍以上、3倍以上、3.5倍以上、4倍以上、4.5倍以上、5倍以上、5.5倍以上、6倍以上、6.5倍以上、7倍以上、7.5倍以上、8倍以上、8.5倍以上、9倍以上、9.5倍以上、または10倍以上であり得る。
【0049】
本開示の二官能性分子が、第1の部分のみの存在下での細胞表面分子の分解と比較して細胞表面分子の分解を増強する非限定的な例が、以下の実験セクションの実施例4に提供される。第1の部分単独の存在下での細胞表面分子の分解と比較して細胞表面分子の分解を増強しない二官能性分子の例が実施例5に提供される。
【0050】
当業者は、目的の二官能性分子が、第1の部分単独の存在下または第1の部分もしくは第2の部分単独の存在下での細胞表面分子または細胞外分子の分解と比較して、細胞表面分子または細胞外分子の分解を増強するかどうかを容易に決定することができる。そのような決定を容易に行うための適切なアプローチの非限定的な例は、以下の実験セクションで提供される。
【0051】
本開示の二官能性分子は、任意の適切なフォーマットであり得る。いくつかの実施形態では、第1の部分はポリペプチドであり、第2の部分はポリペプチドであり、二官能性分子は、第2の部分に融合した第1の部分を含む融合タンパク質である。第1の部分は、第2の部分に直接融合され得る。他の態様では、第1の部分は、例えばスペーサードメインが第1の部分と第2の部分との間に配置されている場合のように、第2の部分に間接的に融合され得る。二官能性分子が融合タンパク質である場合、二官能性分子をコードする核酸も本開示によって提供される。そのような核酸を含む発現ベクターも提供され、本開示の核酸および/または発現ベクターのいずれかを含む細胞(例えば、宿主細胞)も提供される。このような細胞を製造する方法も提供され、当該方法は、例えば、適切な細胞トランスフェクション・プロトコルおよびトランスフェクション試薬を使用して、本開示の核酸および/または発現ベクターのいずれかを細胞に導入することを含む。二官能性分子が融合タンパク質である場合、二官能性分子を作製する方法も本開示によって提供される。そのような方法は、二官能性分子が細胞内で発現される条件下で本開示の細胞を培養することを含み得る。
【0052】
本開示の二官能性分子の他の適切なフォーマットには、コンジュゲートが含まれる。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の二官能性分子は、第2の部分にコンジュゲート化された第1の部分を含む。特定の態様では、第1の部分は抗体であり、第2の部分はM6PRに特異的に結合する。例として、第1の部分は抗体であってもよく、第2の部分は、1個または複数のM6PRリガンド(例えば1個または複数のM6Pおよび/またはM6P類似体)を含む/ディスプレイするポリマー足場を含んでもよく、ここで、ポリマー足場は抗体にコンジュゲート化される。いくつかのそのような態様において、第2の部分は、1個または複数のM6PRリガンドで官能化された1個または複数のアミノ酸を含む糖タンパク質である。そのようなコンジュゲートを作製する方法も提供され、当該方法は、第1の部分を第2の部分にコンジュゲート化させることを含む。第1の部分が抗体であり、第2の部分が本明細書に記載のグリコポリマーである当該方法の非限定的な例を図12に概略的に示す。いくつかの実施形態において、当該方法は、第1の部分を第2の部分に部位特異的にコンジュゲート化させることを含む。例えば、第1の部分がポリペプチド(例えば、抗体)を含む場合、コンジュゲート化することは、第1の部分の予め選択されたアミノ酸に部位特異的に第2の部分をコンジュゲート化することを含んでもよい。特定の態様では、予め選択されたアミノ酸は、第1の部分のN末端またはC末端にある。他の態様では、予め選択されたアミノ酸は、第1の部分の内部、すなわち、第1の部分のN末端アミノ酸とC末端アミノ酸との間にある。いくつかの実施形態では、予め選択されたアミノ酸は、非天然アミノ酸である。コンジュゲーションを容易にするために第1の部分および/または第2の部分に提供され得る非天然アミノ酸の非限定的な例としては、アジド、アルキン、アルケン、アミノオキシ、ヒドラジン、アルデヒド(例えば、ホルミルグリシン、例えば、Catalent Pharma SolutionsのSMARTag(商標)技術)、ニトロン、ニトリルオキシド、シクロプロペン、ノルボルネン、イソシアニド、ハロゲン化アリールおよびボロン酸官能基から選択される官能基を有するものが挙げられる。目的の官能基を提供するために組み込まれ、選択され得る非天然アミノ酸は公知であり、例えば、Mazaら(2015)BioconjugChem.26(9):1884-9;Patterson et al.(2014)ACS Chem.Biol.9:592-605;Adumeau et al.(2016)Mol.Imaging Biol.(2):153-65、およびその他に記載されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1の部分を第2の部分にコンジュゲート化することは、第2の部分を第1の部分上のグリカンにコンジュゲート化すること、またはその逆を含む。そのような方法は、第1の部分の1個または複数のグリカンを改変して、第2の部分が結合され得る官能基を提供することを含んでもよい。1つの非限定的な例では、第1の部分(例えば、抗体)のN-グリカンが、過ヨウ素酸酸化によってアルデヒド基に改変され得、次いで、第2の部分、例えばアミノオキシM6Pnで官能化され得る。
【0054】
二官能性分子がコンジュゲートである場合、第2の部分に対する第1の部分のコンジュゲーションを容易にするために、1個または複数のリンカーが使用され得る。そのようなリンカーの非限定的な例としては、エステルリンカー、アミドリンカー、マレイミドまたはマレイミドベースのリンカー、バリン-シトルリンリンカー、ヒドラゾンリンカー、N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)ブチレート(SPDB)リンカー、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)リンカー、ビニルスルホンベースのリンカー、テトラエチレングリコールなどだが、これらに限定されない、ポリエチレングリコール(PEG)を含むリンカー、プロパン酸を含むリンカー、カプロレイン酸を含むリンカー、およびその任意の組み合わせを含むリンカーが挙げられる。特定の態様では、リンカーは、中性pH(血流pH7.3~7.5)で安定であるが、標的細胞(例えば、癌細胞)の弱酸性エンドソーム(pH5.0~6.5)およびリソソーム(pH4.5~5.0)への内部移行の際に加水分解を受ける酸切断性リンカーのような、化学的に不安定なリンカーである。化学的に不安定なリンカーには、ヒドラゾン系リンカー、オキシム系リンカー、カーボネート系リンカー、エステル系リンカーなどが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態によれば、リンカーは、酵素不安定性リンカーであり、例えば血流中では安定であるが標的細胞への内部移行の際に標的細胞(例えば癌細胞)のリソソーム中の例えばリソソームプロテアーゼ(カテプシンまたはプラスミンなど)によって酵素的切断を受ける酵素不安定性リンカーである。酵素不安定性リンカーには、ペプチド結合を含むリンカー、例えば、ジペプチドベースのリンカー、例えばバリン-シトルリンリンカー、例えばマレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジル(MC-vc-PAB)リンカー、バリル-アラニル-パラ-アミノベンジルオキシ(Val-Ala-PAB)リンカーなどが含まれるが、これらに限定されない。化学的に不安定なリンカー、酵素的に不安定なリンカーおよび切断不可能なリンカーは公知であり、例えば、Ducry&Stump(2010)Bioconjugate Chem.21:5-13に詳細に記載されている。
【0055】
リンカーを介して第1および第2の部分をコンジュゲート化するための多数のストラテジーが利用可能である。例えば、第1の部分は、リンカーを第1の部分に共有結合させることによって誘導体化されてもよく、ここでリンカーは、第2の部分の「化学的ハンドル」と反応することができる官能基を有する。また、例として、第2の部分は、リンカーを第2の部分に共有結合させることによって誘導体化されてもよく、ここでリンカーは、第1の部分の「化学的ハンドル」と反応することができる官能基を有する。リンカー上の官能基は様々であり得、第1または第2の部分の化学的ハンドルとの適合性に基づいて選択され得る。一実施形態によれば、化学的ハンドルは、化学的ハンドルを有する非天然アミノ酸を第1または第2の部分に組み込むことによって提供される。いくつかの実施形態では、第1および第2の部分のコンジュゲート化は、アルキン-アジド環化付加によるものである。
【0056】
本開示の二官能性分子の他の適切なフォーマットには、二重特異性抗体が含まれる。例えば、本開示の二官能性分子は、第1の部分(例えば、第1のFabアーム)が細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合し、第2の部分(例えば、第2のFabアーム)がリソソーム標的化分子(例えば、M6PR)に特異的に結合する二重特異性抗体であり得る。そのような二重特異性抗体の概略図を図19に示す。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体は、エンドソームの低下したpHにおいて標的から離れる。そのようなストラテジーにより、所与の二重特異性抗体が受容体と共にサイクルし、抗体の分解なしに、カーゴおよび標的をリソソームに連続的に送達することが可能になる。二重特異性抗体を作製するためのアプローチは公知である。例えば、二官能性分子が二重特異性抗体である場合、二重特異性抗体は、「ノブ・イントゥ・ホール(knobs-into-holes)」(KIH)アプローチを使用して作製され得る。KIH技術は、ヘテロ二量体化を促進するために各重鎖に「ノブ」または「ホール」のいずれかを創出するようにCH3ドメインを操作することを含む。KIHの設計および製造ストラテジーは公知であり、例えば、Xuら(2015)MAbs 7(1):231-42;Carterら(2001)J.Immunol.Methods 248(1-2):7-15;Ridgwayら(1996)Protein Eng.9(7):617-2;および、Merchant ら(1998)Nat.Biotechnol.16(7):677-81に記載されているものが挙げられる。
【0057】
組成物
上に要約したように、本開示は組成物を提供する。組成物は、上記の二官能性分子のセクションに記載されている二官能性分子のいずれかを含め、本開示の二官能性分子のいずれかを含んでよく、それはここに組み込まれるが、簡潔にするために繰り返し記載はしない。
【0058】
特定の態様では、組成物は、液体媒体中に存在する本開示の二官能性分子を含む。液体媒体は、水、緩衝溶液等の水性液体媒体であってもよい。1つ以上の添加剤、例えば、塩(例えば、NaCl、MgCl、KCl、MgSO)、緩衝剤(トリス緩衝液、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N-トリス[ヒドロキシメチル]メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)等)、プロテアーゼ阻害剤、グリセロール等が、そのような組成物中に存在してもよい。
【0059】
医薬組成物もまた提供される。医薬組成物は、本開示の二官能性分子のいずれか、および薬学的に許容される担体を含む。医薬組成物は、一般に、治療有効量の二官能性分子を含む。「治療有効量」とは、所望の結果をもたらすのに十分な投与量、例えば、有益なまたは所望の治療(予防を含む)結果、例えば、二官能性分子の第1の部分が特異的に結合する細胞表面分子または細胞外分子に関連する細胞増殖障害(例えば、癌)を有する個体における細胞増殖の減少などをもたらすのに十分な量を意味する。有効量は、1回または複数回の投与で投与され得る。
【0060】
本開示の二官能性分子は、治療用投与のための種々の製剤に組み込むことができる。より具体的には、二官能性分子は、適切な薬学的に許容される賦形剤または希釈剤との組み合わせによって、医薬組成物に製剤化することができ、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤などの固体、半固体、またはガス状形態の製剤に製剤化することができる。
【0061】
個体への投与に好適な(例えば、ヒト投与に好適な)本開示の二官能性分子の製剤は、一般に無菌であり、さらに選択される投与経路に従って個体に投与するには禁忌である検出可能な発熱物質または他の混入物質を含まない状態であってもよい。
【0062】
医薬剤形において、二官能性分子は、単独で、または他の薬学的に活性な化合物との適切な会合において、および組み合わせて、投与することができる。以下の方法および賦形剤は単なる例であり、決して限定するものではない。
【0063】
経口製剤の場合、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプンなどの従来の添加剤、結晶セルロース、セルロース誘導体、アラビアゴム、コーンスターチまたはゼラチンなどの結合剤、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムまたはタルクなどの潤滑剤、所望により、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤および香味剤を用いて、錠剤、散剤、顆粒またはカプセル剤を製造するために、二官能性分子を単独でまたは適切な添加剤と組み合わせて使用することができる。
【0064】
二官能性分子は、植物油もしくは他の類似の油、合成脂肪酸グリセリド、高次脂肪酸のエステル、またはプロピレングリコール等の水性溶媒もしくは非水性溶媒に溶解、懸濁または乳化することによって、また、所望な場合、可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤および防腐剤等の従来の添加剤を用いて、注射用製剤に製剤化することができる。
【0065】
医薬組成物は、液体形態、凍結乾燥形態、または凍結乾燥形態から再構成された液体形態であってもよく、凍結乾燥製剤は投与前に滅菌溶液で再構成されるべきである。凍結乾燥組成物を再構成するための標準的な手順は、一定量の純水(典型的には、凍結乾燥中に除去された体積と当量である)を加え戻すことであるが、非経口投与用の医薬組成物の産生に抗菌剤を含む溶液が使用されてもよい。
【0066】
二官能性分子の水性製剤は、pH緩衝溶液中、例えば約4.0~約8.0、例えば約4.5~約7.5、例えば約5.0~約7.0の範囲のpHで調製され得る。この範囲内のpHに好適である緩衝液の例には、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、クエン酸緩衝液、コハク酸緩衝液、酢酸緩衝液および他の有機酸緩衝液が含まれる。緩衝液濃度は、例えば、緩衝液および製剤の所望の張性に応じて、約1mM~約100mM、または約5mM~約50mMであり得る。
【0067】
使用方法
上に要約したように、本開示の二官能性分子を使用する方法も提供する。いくつかの実施形態では、当該方法は、上記の二官能性分子のセクションに記載されている二官能性分子のいずれかを使用することを含み、それはここに組み込まれるが簡潔にするために記載を繰り返さない。
【0068】
特定の態様では、細胞表面分子または細胞外分子を分解する方法が提供される。そのような方法は、リソソーム標的化分子が細胞表面分子または細胞外分子を分解のためにリソソームにシャトルする条件下で、細胞表面分子または細胞外分子を本開示の二官能性分子のいずれかと接触させることを含む。そのような方法は、様々な用途に使用される。特定の態様では、当該方法は、インビトロで(例えば、チューブ、細胞培養プレートまたはウェルなどにおいて)実施され、例えば検査および/または研究用途で使用される。他の態様では、当該方法はインビボで(例えば、二官能性分子が投与される個体において)実施され、例えば臨床/治療用途で使用される。
【0069】
いくつかの実施形態では、治療有効量の本開示のいずれかの二官能性分子またはいずれかの医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む方法が提供される。様々な個体が当該方法に従って治療可能である。一般に、そのような対象は「哺乳動物」または「哺乳類」であり、これらの用語は、肉食目(例えば、イヌおよびネコ)、げっ歯目(例えば、マウス、モルモットおよびラット)、および霊長目(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む哺乳類綱内の生物を記述するために広く使用される。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
【0070】
いくつかの実施形態では、有効量の二官能性分子(またはこれを含む医薬組成物)は、単独で(例えば、単剤療法において)、または1つ以上のさらなる治療薬剤と組み合わせて(例えば、併用療法において)、1回以上の用量で投与されたときに、二官能性分子または医薬組成物を用いる治療が存在しない状態での個体における症状と比較して、個体の病状(例えば、癌、神経変性障害など)の症状を、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%以上減少するのに有効な量である。
【0071】
特定の態様では、個体は、脳におけるアミロイド-β沈着(例えば、アルツハイマー病)または脳におけるタウタンパク質沈着(例えば、タウオパチー)を特徴とする神経変性障害を有するか、または有することが疑われ、二官能性分子の第1の部分は、apoE4(例えば、APOE4遺伝子のε4アリルから発現されるapoE4)に特異的に結合し、そして、apoE4の標的化分解によって個体の神経変性障害が治療される。
【0072】
いくつかの実施形態では、治療有効量の本開示のいずれかの二官能性分子またはいずれかの医薬組成物を、癌を有する個体に投与することを含む方法が提供される。そのような方法によれば、二官能性分子の第1の部分は、個体の癌に少なくとも寄与する細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合し、二官能性分子を使用した細胞表面分子または細胞外分子の標的化分解は、個体の癌を治療する。特定の態様では、第1の部分は、癌細胞上の細胞表面分子、癌細胞上の細胞表面分子のリガンド、免疫細胞上の細胞表面分子、免疫細胞上の細胞表面分子のリガンド、抑制性免疫受容体、および抑制性免疫受容体のリガンドから選択される分子に特異的に結合する。
【0073】
特定の実施形態では、個体は、固形腫瘍、半固形腫瘍、原発腫瘍、転移性腫瘍などの存在を特徴とする癌を有する。いくつかの実施態様では、個体は、乳癌、黒色腫、肺癌、結腸直腸癌、前立腺癌、神経膠腫、膀胱癌、子宮内膜癌、腎臓癌、白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML))肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、例えば、原発性または再発性HCC)、非ホジキンリンパ腫、膵臓癌、甲状腺癌、それらの任意の組み合わせ、およびそれらの任意のサブタイプから選択される癌を有する。
【0074】
いくつかの実施態様によれば、個体は、特定の肝臓疾患(肝細胞癌(HCC)を含むがこれに限定されない)を有し、本方法は、その疾患を治療するためのものである。例えば、特定の実施形態では、個体はHCCを有し、第1の部分は個体のHCC細胞上の細胞表面分子に結合し、第2の部分はASGPRに結合する。特定の実施形態では、第1の部分は、個体のHCC細胞上の腫瘍促進タンパク質に結合する。いくつかの実施形態によれば、腫瘍促進タンパク質は、HCC細胞上の成長因子である。そのような成長因子の非限定的な例としては、EGFR、C-Met、IGF1RおよびFGFR4が挙げられる。そのような二官能性分子は、本明細書の他の箇所に記載されているように、ASGPRに結合する第2の部分のいずれかを含んでよい。
【0075】
特定の実施形態では、個体は、肝臓の線維症を有し、当該方法は、肝臓線維症を処置するためのものである。例えば、いくつかの実施形態によれば、個体は肝臓線維症を有し、第1の部分は個体の線維性肝臓細胞上の細胞表面分子に結合し、第2の部分はASGPRに結合する。特定の実施形態では、第1の部分は、個体の線維性肝臓細胞上の線維症促進タンパク質に結合する。いくつかの実施形態によれば、線維症促進タンパク質は、線維性肝臓細胞上の成長因子である。そのような成長因子の非限定的な例は、PDGFRである。そのような二官能性分子は、本明細書の他の箇所に記載されているように、ASGPRに結合する第2の部分のいずれかを含んでよい。
【0076】
本開示の二官能性分子を使用する任意の方法において、特定の実施形態では、二官能性分子は、第1の部分のみの存在下での細胞表面分子または細胞外分子の分解と比べて相対的に、細胞表面分子または細胞外分子の分解を増強する。同様に、本開示の二官能性分子を使用する任意の方法において、いくつかの実施形態によれば、二官能性分子は、第1の部分または第2の部分のみの存在下での細胞表面分子または細胞外分子の分解と比べて相対的に、細胞表面分子または細胞外分子の分解を増強する。そのような分解の増強に関する詳細は、上記の二官能性分子のセクションに提供され、ここに組み込まれるが簡潔にするために記載を繰り返さない。
【0077】
「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」または「治療(treatment)」とは、個体の医学的状態(例えば、細胞増殖性障害、例えば、癌)に関連する症状の少なくとも改善を意味し、改善は、治療されている医学的状態に関連するパラメータ、例えば症状の大きさの少なくとも減少を指すために広義に使用される。したがって、治療はまた、個体がその医学的状態、または少なくともその医学的状態を特徴付ける症状にそれ以上苦しむことがないように、医学的状態または少なくともそれに関連する症状が完全に抑制された、例えば、発生するのを防止された、または停止された、例えば、中止された状況も含む。
【0078】
特定の態様では、本開示は、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を増強する方法であって、ADCCを必要とする個体に本開示の二官能性分子または医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、二官能性分子の第1の部分は、抑制性免疫受容体またはそのリガンドに特異的に結合する。特定の態様では、二官能性分子の第1の部分は、PD-1、PD-L1、CTLA4、TIM3、LAG3、TIGIT、またはB 7ファミリーのメンバーなどの免疫チェックポイント分子に特異的に結合する。
【0079】
二官能性分子または医薬組成物は、インビボおよびエクスビボでの方法、および全身および局所的な投与経路を含め、薬物送達に好適な任意の利用可能な方法および経路を使用して、個体に投与されてもよい。従来のおよび医薬的に許容される投与経路としては、鼻腔内、筋肉内、気管内、皮下、皮内、局所適用、眼内、静脈内、動脈内、経鼻、経口、および他の経腸および非経口投与経路が含まれる。いくつかの態様では、投与は非経口投与によるものである。投与経路は、二官能性分子および/または所望の効果に応じて、組み合わせることができ、または必要に応じて調節することができる。二官能性分子または医薬組成物は、単回投与または複数回投与で投与することができる。いくつかの実施形態では、二官能性分子または医薬組成物は、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、二官能性分子または医薬組成物は、例えば、全身送達(例えば、静脈内注入)のために、または局所部位に、注射によって投与される。
【0080】
キット
上に要約したように、本開示はキットも提供する。いくつかの実施形態では、対象キットは、本開示の二官能性分子(上記の二官能性分子のセクションに記載されている二官能性分子のいずれかを含み、それはここに組み込まれるが、簡潔にするために記載を繰り返さない)のいずれか、および第1の部分が特異的に結合する細胞表面分子または細胞外分子を分解するために二官能性分子を使用するための指示書を含む。特定の態様では、指示書は、例えば検査および/または試験目的のために、インビトロで細胞表面分子または細胞外分子を分解するためのものである。他の態様では、指示書は、例えば臨床/治療用途のために、インビボで細胞表面分子または細胞外分子を分解するためのものである。例えば、本開示の二官能性分子または医薬組成物のいずれかと、それを必要とする個体に二官能性分子または医薬組成物を投与するための指示書とを含むキットが提供される。そのようなキットは、単位用量、例えばアンプル、または多回投与形式で存在する一定量の二官能性分子または医薬組成物を含んでよい。したがって、特定の実施形態では、キットは、二官能性分子または医薬組成物の1個または複数(例えば、2以上)の単位用量(例えば、アンプル)を含んでよい。
【0081】
「単位用量」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒトおよび動物対象の単一の投与量として適切な物理的に別個の単位を指し、各単位は、所望の効果をもたらすのに十分な量で計算された、所定量の組成物を含有する。単位用量の量は、使用される特定の二官能性分子、達成されるべき効果、および個体における二官能性分子に関連する薬力学などの様々な要因に依存する。さらに他の実施形態では、キットは二官能性分子または医薬組成物の単一の複数投与量を含み得る。
【0082】
他の態様では、本開示の任意のグリコポリマー(上記の二官能性分子のセクションに記載される任意のグリコポリマーを含み、それはここに組み込まれるが簡潔にするために記載を繰り返さない)、およびグリコポリマーを目的の分子にコンジュゲート化するための指示書を含むキットが提供される。そのようなキットは、目的の分子にグリコポリマーをコンジュゲート化するための試薬をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、目的の分子はポリペプチドである。そのようなポリペプチドの非限定的な例には、抗体が含まれる。特定の態様では、目的の分子は、上記の二官能性分子のセクションに記載されている細胞表面分子または細胞外分子のいずれかを含む細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合し、それはここに組み込まれるが、簡潔にするために記載を繰り返さない。
【0083】
キットの成分は、別々の容器内に存在してもよく、または複数の成分が単一の容器内に存在してもよい。
【0084】
キットに含まれる指示書は、適切な記録媒体に記録され得る。例えば、指示書は、紙またはプラスチックなどの基材上に印刷することができる。そのようなものとして、指示書は、パッケージ挿入物としてキット中に存在したり、キットの容器またはその構成要素のラベルに存在したり(すなわち、パッケージングまたは内部パッケージングに付随)し得る。他の実施形態では、指示書は、ポータブルフラッシュドライブ、DVD、CD-ROM、ディスケットなどの適切なコンピュータ可読記憶媒体上に存在する電子記憶データファイルとして存在する。さらに他の実施形態では、実際の指示書はキット中には存在しないが、例えばインターネットを介してリモートソースから指示書を取得するための手段が提供される。この実施形態の一例は、指示書を閲覧することができ、かつ/または指示書をダウンロードすることができるウェブアドレスを含むキットである。指示書と同様に、指示書を得るための手段は、好適な基材上に記録される。
【0085】
グリコポリマー、モノマーおよびその製造方法
本開示はまた、グリコポリマーを提供する。いくつかの実施形態において、本開示のグリコポリマーは、ポリマー足場と、ポリマー足場に結合した1個または複数のマンノース6-リン酸受容体(M6PR)リガンドとを含む。グリコポリマー、ポリマー足場および/またはM6PRリガンドは、上記の二官能性分子のセクションに記載されているもののいずれかであってもよく、それは、ここに組み込まれるが簡潔にするために記載を繰り返さない。例えば、グリコポリマーは、1個または複数のM6PRリガンドで官能化された1個または複数のアミノ酸を含む糖タンパク質であり得る。糖タンパク質は、N-カルボキシ無水物(NCA)由来の糖タンパク質であり得る。特定の態様では、1個または複数のM6PRリガンドは、1個または複数のマンノース-6-リン酸(M6P)を含む。あるいは、またはさらに、1個または複数のM6PRリガンドには、1個または複数のM6P類似体、例えば、本明細書中に記載される任意のM6P類似体、例えば、1個または複数のマンノース-6-ホスホネート(M6Pn)が含まれる。いくつかの実施形態では、ポリマー足場は、1~50個のM6PRリガンド、例えば1~40個、1~30個、1~20個、1~10個(例えば、1~6個)、または1~5個のM6PRリガンドを含む。特定の態様では、ポリマー足場は、10~50個、15~45個、20~40個、または25~35個のM6PRリガンドを含む。特定の態様では、ポリマー足場は、5個以上、10個以上、20個以上、30個以上または40個以上のM6PRリガンドを含む。
【0086】
本開示のグリコポリマーを製造する方法も提供される。いくつかの実施形態において、グリコポリマーの作製は、重合を含む。重合は、NCA重合によるものであってもよく、その一例を図8に概略的に示す。
【0087】
特定の態様では、グリコポリマーを作製する方法は、1個または複数のM6PRリガンドをポリマー足場に結合させることを含む。他の態様では、そのような方法は、1個または複数のM6PRリガンドで官能化されたモノマーからポリマー足場を合成することを含む。例えば、足場は、1個または複数のM6PRリガンドで官能化された1個または複数のモノマーから合成することができ、合成は固相合成によるものである。例示的な固相合成スキームを図9に示す。
【0088】
関連する態様では、本開示はモノマーを提供する。モノマーは、1個または複数のマンノース-6-リン酸受容体(M6PR)リガンドで官能化されている。特定の態様では、モノマーはアミノ酸である。いくつかの実施形態では、モノマーは非天然アミノ酸である。1個または複数のM6PRリガンドは、1個または複数のマンノース-6-リン酸(M6P)を含んでよい。それに代えて、またはそれに加えて、1個または複数のM6PRリガンドは、1個または複数のM6P類似体、例えば、本明細書中に記載される任意のM6P類似体、例えば、マンノース-6-ホスホネート(M6Pn)を含んでよい。
【0089】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示は、以下の実施形態によっても定義される。
【0090】
1.二官能性分子であって、
細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合する第1の部分と、
リソソーム標的化分子に特異的に結合する第2の部分と、を含む、二官能性分子。
【0091】
2.第1の部分のみの存在下での細胞表面分子または細胞外分子の分解と比べて相対的に、細胞表面分子または細胞外分子の分解を増強する、実施形態1の二官能性分子。
【0092】
3.第1の部分が、細胞表面分子に特異的に結合する、実施形態1または実施形態2に記載の二官能性分子。
【0093】
4.細胞表面分子が細胞表面受容体である、実施形態3に記載の二官能性分子。
【0094】
5.細胞表面受容体が成長因子受容体である、実施形態4に記載の二官能性分子。
【0095】
6.細胞表面分子が癌細胞上に存在する、実施形態1から5のいずれか1つに記載の二官能性分子。
【0096】
7.細胞表面分子が腫瘍関連抗原または腫瘍特異的抗原である、実施形態6に記載の二官能性分子。
【0097】
8.細胞表面分子が免疫細胞上に存在する、実施形態1から7のいずれか1つに記載の二官能性分子。
【0098】
9.免疫細胞が、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、単球、好中球、樹状細胞、T細胞、B細胞、肥満細胞、好塩基球および好酸球からなる群から選択される、実施形態8に記載の二官能性分子。
【0099】
10.細胞表面分子が抑制性免疫受容体である、実施形態8に記載の二官能性分子。
【0100】
11.細胞表面分子が抑制性免疫受容体のリガンドである、実施形態10に記載の二官能性分子。
【0101】
12.細胞表面分子が免疫チェックポイント分子である、実施形態8に記載の二官能性分子。
【0102】
13.免疫チェックポイント分子が、PD-1、PD-L1、CTLA4、TIM3、LAG3、TIGIT、およびB7ファミリーのメンバーからなる群から選択される、実施形態12に記載の二官能性分子。
【0103】
14.第1の部分が細胞外分子に特異的に結合する、実施形態1に記載の二官能性分子。
【0104】
15.細胞外分子が細胞表面受容体のリガンドである、実施形態14に記載の二官能性分子。
【0105】
16.細胞外分子が成長因子である、実施形態15に記載の二官能性分子。
【0106】
17.細胞外分子がサイトカインまたはケモカインである、実施形態15に記載の二官能性分子。
【0107】
18.細胞外分子が抗体である、実施形態14に記載の二官能性分子。
【0108】
19.抗体が自己抗体である、実施形態18に記載の二官能性分子。
【0109】
20.抗体が細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合する、実施形態18または実施形態19に記載の二官能性分子。
【0110】
21.第1の部分が、ポリペプチド、リガンド、アプタマー、ナノ粒子および小分子からなる群から選択される、実施形態1から20のいずれか1つに記載の二官能性分子。
【0111】
22.第1の部分がポリペプチドである、実施形態21に記載の二官能性分子。
【0112】
23.第1の部分が抗体である、実施形態22に記載の二官能性分子。
【0113】
24.抗体が、IgG、単鎖Fv(scFv)、Fab、(Fab)、(scFv’)、またはナノボディである、実施形態23に記載の二官能性分子。
【0114】
25.第2の部分が、ポリペプチド、リガンド、アプタマー、ナノ粒子および小分子からなる群から選択される、実施形態1から24のいずれか1つに記載の二官能性分子。
【0115】
26.リソソーム標的化分子が、マンノース-6-リン酸受容体(M6PR)である、実施形態1から25のいずれか1つに記載の二官能性分子。
【0116】
27.第2の部分が、1個または複数のM6PRリガンドを含む、実施形態26に記載の二官能性分子。
【0117】
28.1個または複数のM6PRリガンドが、1個または複数のマンノース-6-リン酸(M6P)を含む、実施形態27に記載の二官能性分子。
【0118】
29.1個または複数のM6PRリガンドが、1個または複数のM6P類似体を含む、実施形態27または実施形態28に記載の二官能性分子。
【0119】
30.1個または複数のM6P類似体が、1個または複数のマンノース-6-ホスホネート(M6Pn)を含む、実施形態29に記載の二官能性分子。
【0120】
31.第2の部分が1個~500個のM6PRリガンドを含む、実施形態27から実施形態30のいずれか1つに記載の二官能性分子。
【0121】
32.第2の部分が、1個または複数のM6PRリガンドをディスプレイするポリマー足場を含む、実施形態27から実施形態31のいずれか1つに記載の二官能性分子。
【0122】
33.ポリマー足場が、1個または複数のM6PRリガンドを含むグリコポリマーである、実施形態32に記載の二官能性分子。
【0123】
34.グリコポリマーが、1個または複数のM6PRリガンドで官能化された1個または複数のアミノ酸を含む糖タンパク質である、実施形態33に記載の二官能性分子。
【0124】
35.糖タンパク質がN-カルボキシ無水物(NCA)由来の糖タンパク質である、実施形態34に記載の二官能性分子。
【0125】
36.リソソーム標的化分子が肝臓細胞の表面に発現される、実施形態1から実施形態25のいずれか1つに記載の二官能性分子。
【0126】
37.リソソーム標的化分子が肝細胞の表面に発現される、実施形態36に記載の二官能性分子。
【0127】
38.ソソーム標的化分子が、肝細胞癌(HCC)細胞、線維性肝臓細胞、またはその両方の表面上に発現される、実施形態36または実施形態37に記載の二官能性分子。
【0128】
39.リソソーム標的化分子がアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)である、実施形態36から実施形態38のいずれか1つに記載の二官能性分子。
【0129】
40.第2の部分が、1個または複数のASGPRリガンドを含む、実施形態39に記載の二官能性分子。
【0130】
41.1個または複数のASGPRリガンドが、1個または複数のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を含む、実施形態40に記載の二官能性分子。
【0131】
42.1個または複数のASGPRリガンドが、1個または複数のガラクトースを含む、実施形態40または実施形態41に記載の二官能性分子。
【0132】
43.1個または複数のASGPRリガンドが、1個または複数のグルコースを含む、実施形態40から実施形態42のいずれか1つに記載の二官能性分子。
【0133】
44.第2の部分が1~500個のASGPRリガンドを含む、実施形態40から実施形態43のいずれか1つに記載の二官能性分子。
【0134】
45.第2の部分が、1個または複数のASGPRリガンドを含むポリマーを含む、実施形態40から実施形態44のいずれか1つに記載の二官能性分子。
【0135】
46.第2の部分がポリ(GalNAc-co-Ala)を含む、実施形態45に記載の二官能性分子。
【0136】
47.第2の部分が、一価、二価または三価のGalNAc含有デンドリマー足場を含む、実施形態41に記載の二官能性分子。
【0137】
48.第2の部分が、三価のGalNAc含有デンドリマー足場を含む、実施形態47に記載の二官能性分子。
【0138】
49.第2の部分が、一価、二価または三価のガラクトース含有デンドリマー足場を含む、実施形態42に記載の二官能性分子。
【0139】
50.第2の部分が三価ガラクトース含有デンドリマー足場を含む、実施形態49に記載の二官能性分子。
【0140】
51.第1の部分が、肝細胞上に発現される細胞表面分子に特異的に結合する、実施形態36から実施形態50のいずれか1つに記載の二官能性分子。
【0141】
52.細胞表面分子が成長因子受容体である、実施形態51に記載の二官能性分子。
【0142】
53.成長因子受容体が、上皮成長因子受容体(EGFR)、C-Met、インスリン様成長因子1受容体(IGF1R)、線維芽細胞成長因子受容体4(FGFR4)、および血小板由来成長因子受容体(PDGFR)からなる群から選択される、実施形態52に記載の二官能性分子。
【0143】
54.第1の部分がポリペプチドであり、第2の部分がポリペプチドであり、二官能性分子が、第2の部分に融合された第1の部分を含む融合タンパク質である、実施形態1から実施形態53のいずれか1つに記載の二官能性分子。
【0144】
55.第1の部分が第2の部分に直接融合されている、実施形態54に記載の二官能性分子。
【0145】
56.第1の部分と第2の部分との間にスペーサードメインを含む、実施形態54に記載の二官能性分子。
【0146】
57.二官能性分子が、
細胞表面分子または細胞外分子と
リソソーム標的化分子とに特異的に結合する二重特異性抗体である、実施形態1から実施形態56のいずれか1つに記載の二官能性分子。
【0147】
58.二官能性分子が、第2の部分にコンジュゲート化された第1の部分を含むコンジュゲートである、実施形態1から実施形態53のいずれか1つに記載の二官能性分子。
【0148】
59.第1の部分が抗体である、実施形態58に記載の二官能性分子。
【0149】
60.実施形態27から実施形態35のいずれか1つに定義された第2の部分を含む、実施形態58または実施形態59に記載の二官能性分子。
【0150】
61.実施形態40から50のいずれか1つに定義された第2の部分を含む、実施形態58または実施形態59に記載の二官能性分子。
【0151】
62.実施形態54から57のいずれか1つに記載の二官能性分子をコードする核酸。
【0152】
63.実施形態62に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【0153】
64.実施形態62の核酸または実施形態63の発現ベクターを含む、細胞。
【0154】
65.実施形態62に記載の核酸または実施形態63に記載の発現ベクターを細胞に導入することを含む、実施形態64の細胞を製造する方法。
【0155】
66.第1の部分を第2の部分にコンジュゲート化することを含む、実施形態58または実施形態59に記載の二官能性分子を作製する方法。
【0156】
67.コンジュゲート化することが、第1の部分を第2の部分に部位特異的にコンジュゲートすることを含む、実施形態66に記載の方法。
【0157】
68.第1の部分がポリペプチドを含み、コンジュゲート化することが、第2の部分を第1の部分の予め選択されたアミノ酸に部位特異的にコンジュゲート化することを含む、実施形態67に記載の方法。
【0158】
69.予め選択されたアミノ酸が第1の部分のN末端またはC末端にある、実施形態68に記載の方法。
【0159】
70.予め選択されたアミノ酸が第1の部分の内部にある、実施形態68に記載の方法。
【0160】
71.予め選択されたアミノ酸が非天然アミノ酸である、実施形態68から実施形態70のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
72.第1の部分が抗体である、実施形態66から実施形態71のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
73.第2の部分が、実施形態27から実施形態35のいずれか1つに定義された通りである、実施形態66から実施形態72のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
74.第2の部分が、実施形態40から実施形態50のいずれか1つに定義された通りである、実施形態66から実施形態72のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
75.コンジュゲート化することがアルキン-アジド環化付加によるものである、実施形態66から実施形態74のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
76.細胞表面分子または細胞外分子を分解する方法であって、
リソソーム標的化分子が細胞表面分子または細胞外分子を分解のためにリソソームにシャトルする条件下で、細胞表面分子または細胞外分子を実施形態1から実施形態61のいずれか1つに記載の二官能性分子と接触させることを含む、方法。
【0166】
77.二官能性分子が、第1の部分のみの存在下での細胞表面分子または細胞外分子の分解と比べて相対的に、細胞表面分子または細胞外分子の分解を増強する、実施形態76の方法。
【0167】
78.インビトロで実施される、実施形態76または実施形態77に記載の方法。
【0168】
79.インビボで実施される、実施形態76または実施形態77に記載の方法。
【0169】
80.医薬組成物であって、
実施形態1から実施形態61のいずれか1つに記載の二官能性分子と、
薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【0170】
81.組成物が非経口投与のために製剤化される、実施形態80に記載の医薬組成物。
【0171】
82.実施形態80または実施形態81に記載の医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む方法。
【0172】
83.癌を有する個体に、有効量の実施形態80または実施形態81に記載の医薬組成物を投与することを含む、癌を治療する方法。
【0173】
84.第1の部分が、癌細胞上の細胞表面分子、癌細胞上の細胞表面分子のリガンド、免疫細胞上の細胞表面分子、免疫細胞上の細胞表面分子のリガンド、抑制性免疫受容体、および抑制性免疫受容体のリガンドからなる群から選択される分子に特異的に結合する、実施形態83に記載の方法。
【0174】
85.個体が肝細胞癌(HCC)を有し、第1の部分が個体のHCC細胞上の細胞表面分子に結合し、第2の部分がASGPRに結合する、実施形態83または実施形態84に記載の方法。
【0175】
86.第1の部分が、個体のHCC細胞上の成長因子に結合する、実施形態85に記載の方法。
【0176】
87.第1の部分が、EGFR、C-Met、IGF1RおよびFGFR4からなる群から選択される成長因子に結合する、実施形態90に記載の方法。
【0177】
88.第2の部分が、実施形態36から実施形態50のいずれか1つに定義される通りである、実施形態85から実施形態87のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
89.抗体依存性細胞傷害(ADCC)を増強する方法であって、ADCCを必要とする個体に実施形態80または実施形態81に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【0179】
90.個体における癌の免疫原性を増強する方法であって、実施形態80または実施形態81に記載の医薬組成物を個体に投与することを含む方法。
【0180】
91.第1の部分が、抑制性免疫受容体および抑制性免疫受容体のリガンドからなる群から選択される分子に特異的に結合する、実施形態89または実施形態90に記載の方法。
【0181】
92.投与することが非経口投与によるものである、実施形態82から実施形態91のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
93.二官能性分子が、第1の部分のみの存在下での細胞表面分子または細胞外分子の分解と比べて相対的に、細胞表面分子または細胞外分子の分解を増強する、実施形態82から実施形態91のいずれか1つに記載の方法。
【0183】
94.
実施形態1から実施形態61のいずれか1つに記載の二官能性分子と、
第1の部分が特異的に結合する細胞表面分子または細胞外分子を分解するための指示書と、を含む、キット。
【0184】
95.指示書が、インビトロで細胞表面分子または細胞外分子を分解するためのものである、実施形態94に記載のキット。
【0185】
96.指示書が、インビボで細胞表面分子または細胞外分子を分解するためのものである、実施形態94に記載のキット。
【0186】
97.
実施形態1から実施形態61のいずれか1つに記載の二官能性分子または実施形態80もしくは実施形態81に記載の医薬組成物と、
二官能性分子または医薬組成物を、それを必要とする個体に投与するための指示書、とを含む、キット。
【0187】
98.二官能性分子または医薬組成物が、1個または複数の単位用量で存在する、実施形態97に記載のキット。
【0188】
99.二官能性分子または医薬組成物が、2以上の単位用量で存在する、実施形態97に記載のキット。
【0189】
100.
ポリマー足場と、
ポリマー足場に結合した1個または複数のマンノース-6-リン酸受容体(M6PR)リガンドと、を含む、グリコポリマー。
【0190】
101.グリコポリマーが、1個または複数のM6PRリガンドで官能化された1個または複数のアミノ酸を含む糖タンパク質である、実施形態100に記載のグリコポリマー。
【0191】
102.糖タンパク質が、N-カルボキシ無水物(NCA)由来の糖タンパク質である、実施形態101に記載のグリコポリマー。
【0192】
103.1個または複数のM6PRリガンドが、1個または複数のマンノース-6-リン酸(M6P)を含む、実施形態100から実施形態102のいずれか1つに記載のグリコポリマー。
【0193】
104.1個または複数のM6PRリガンドが、1個または複数のM6P類似体を含む、実施形態100から実施形態103のいずれか1つに記載のグリコポリマー。
【0194】
105.1個または複数のM6P類似体が、1個または複数のマンノース-6-ホスホネート(M6Pn)を含む、実施形態104に記載のグリコポリマー。
【0195】
106.ポリマー足場が1個~500個のM6PRリガンドを含む、実施形態100から実施形態105のいずれか1つに記載のグリコポリマー。
【0196】
107.実施形態100から実施形態106のいずれか1つに記載のグリコポリマーを製造する方法であって、
1個または複数のM6PRリガンドをポリマー足場に結合させること、または
1個または複数のM6PRリガンドで官能化されたモノマーからポリマー足場を合成することを含む、方法。
【0197】
108.足場が、1個または複数のM6PRリガンドで官能化された1個または複数のモノマーから重合され、合成することは固相合成によるものである、実施形態107に記載の方法。
【0198】
109.グリコポリマーが糖タンパク質ポリマーであり、合成することが固相ペプチド合成によるものである、実施形態108に記載の方法。
【0199】
110.
実施形態100から実施形態106のいずれか1つに記載のグリコポリマーと、
目的の分子にグリコポリマーをコンジュゲート化させるための指示書と、を含む、キット。
【0200】
111.グリコポリマーを目的の分子にコンジュゲート化させるための試薬をさらに含む、実施形態110に記載のキット。
【0201】
112.目的の分子がポリペプチドである、実施形態110または実施形態111に記載のキット。
【0202】
113.ポリペプチドが抗体である、実施形態112に記載のキット。
【0203】
114.目的の分子が、細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合する、実施形態110から実施形態113のいずれか1つに記載のキット。
【0204】
115.1個または複数のマンノース-6-リン酸受容体(M6PR)リガンドで官能化されたモノマー。
【0205】
116.モノマーがアミノ酸である、実施形態115に記載のモノマー。
【0206】
117.モノマーが、非天然アミノ酸である、実施形態115に記載のモノマー。
【0207】
118.1個または複数のM6PRリガンドが、1個または複数のマンノース-6-リン酸(M6P)を含む、実施形態115から実施形態117のいずれか1つに記載のモノマー。
【0208】
119.1個または複数のM6PRリガンドが1個または複数のM6P類似体を含む、実施形態115から実施形態118のいずれか1つに記載のモノマー。
【0209】
120.1個または複数のM6P類似体が、1個または複数のマンノース-6-ホスホネート(M6Pn)を含む、実施形態119に記載のモノマー。
【実施例
【0210】
以下の実施例は、限定ではなく例示として提供される。
【0211】
実験
[実施例1-マンノース-6-リン酸ポリマーは、カーゴをリソソームにシャトルする]
この実施例では、ビオチンキャップ(本明細書で使用される「第1の部分」―図10に三角形として示される)およびM6Pnポリマー(本明細書で使用される「第2の部分」)を含む二官能性分子(図10参照)を試験して、二官能性分子が分解のために細胞外空間からリソソームへのニュートラアビジン-647(NA647―ビオチンが強く結合するタンパク質)の移動を仲介できるかどうかを決定した。図10は、タンパク質とリソソーム染色色素との両方の共局在化が観察されるように、二官能性分子が実際にニュートラアビジン-647のリソソームへの移動を仲介することができることを実証する蛍光イメージング結果(下)を提供する。
【0212】
次に、上記のようにして様々な細胞株を試験した。図11には、いくつかの細胞株がM6Pnポリマー依存的様式でNA 647の取り込みを示すことを実証するデータが示されている。これらの結果を考慮すると、M6PRを有する任意の細胞株(例えば、CIM6PR)が、この方法によって細胞表面および細胞外分子のリソソームへのシャトリングを可能にし、本研究で試験した細胞株に限定されないと予測される。
【0213】
[実施例2-M6Pnコンジュゲート抗体は、リソソームへ標的物をシャトルする]
この実施例では、第1の部分が目的の特定の標的に結合する抗体であり、第2の部分がM6Pn含有糖タンパク質である二官能性分子を試験した。
【0214】
図13には、ポリ(M6Pn)標識抗体がそれらの結合パートナーをリソソームにシャトルすることができることを示す概略図(上)および蛍光イメージングデータ(下)が提供される。この例では、マウスIgG-488を、ポリ(M6Pn)タグを有する抗マウスIgG抗体とインキュベートし、タンパク質およびリソソーム染色色素の両方を共局在化させた(マージ)。
【0215】
図14には、ポリ(M6Pn)標識抗体がそれらの結合パートナーを細胞内区画にシャトルすることができることを示す概略図(上)およびさらなるデータ(下)が提供される。この例では、組換えヒトapoE4を、マウス由来抗ヒトapoE 4抗体、抗マウスIgG抗体、またはポリ(M6Pn)タグを有する抗マウス抗体とインキュベートした。M6Pn含有二次抗体では、有意により多くの取り込みが観察される。
【0216】
図15には、ポリ(M6Pn)標識抗体がそれらの結合パートナーを分解のためにシャトルすることができることを実証するさらなるデータが提供される。この例では、M6Pnタグを有するセツキシマブと共に細胞をインキュベートすることによってEGFR分解を評価した。試験されたすべての細胞株について、総EGFRの喪失が、セツキシマブまたは疑似ポリマー(GalNAc)を有するセツキシマブと比較して観察される。EGFはEGFR分解についてのポジティブコントロールである。レーン1:コントロール。レーン2:EGF(100ng/mL、1時間、+コントロール)。レーン3:セツキシマブ。レーン4:セツキシマブ-GalNAcコンジュゲート。レーン5:セツキシマブ-M6Pコンジュゲート(長)。レーン6:セツキシマブ-M6Pコンジュゲート(短)。コントロールのパーセントをデンシトメトリーによって計算した。
【0217】
図16には、ポリ(M6Pn)標識抗体断片がそれらの結合パートナーを分解のためにシャトルすることができることを実証するデータが提供される。この例では、M6Pnタグを有するセツキシマブ由来Fab部分と共に細胞をインキュベートすることによってEGFR分解を評価した。総EGFRの喪失が、セツキシマブFab単独または疑似ポリマーを有するセツキシマブFab(GalNAc)と比較して観察される。
【0218】
図17には、ポリ(M6Pn)標識抗体がそれらの結合パートナーを分解のためにシャトルすることができることを実証するさらなるデータが提供される。この例では、CD71に対する一次マウス由来抗体、抗マウスIgG抗体、またはポリ(M6Pn)タグを有する抗マウス抗体と共に細胞をインキュベートすることによってCD71(トランスフェリン受容体)の分解を評価した。M6Pタグを含む系は、有意により多くの分解をもたらす。
【0219】
図18には、ポリ(M6Pn)標識抗体がそれらの結合パートナーを分解のためにシャトルすることができることを実証するさらなるデータが提供される。この例では、M6Pタグを有する抗PDL1抗体または抗PDL1抗体と共に細胞をインキュベートすることによってPDL1分解を評価した。分解は、M6P標識抗PDL1抗体でのみ観察される。
【0220】
[実施例3-ASGPRリガンドは、肝細胞中のリソソームにカーゴをシャトルする]
いくつかの現在の治療法は、オフターゲット効果に悩まされている。この実施例では、肝臓癌および肝臓線維症などの肝臓関連疾患を治療するために使用され得る、肝臓におけるタンパク質の標的化分解が記載される。アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)と呼ばれるスカベンジャー受容体は、肝臓細胞(肝細胞)において排他的またはほぼ排他的に発現される。図20(左)に模式的に示すように、ASGPRは、原形質膜とエンドソームとの間で構成的にリサイクルする。ASGPRは、リソソームにおける分解のために細胞外糖タンパク質を細胞内に運ぶ。膜タンパク質または細胞外タンパク質に結合する第1の部分とASGPRリガンドとを含む第2の部分を含む二官能性分子を使用して肝細胞上の細胞外タンパク質または膜タンパク質を分解するための、この受容体の利用が本明細書で実証される。
【0221】
本明細書のASGPR関連の実施例では、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)のポリマー、特に、図20(左下)に示されるポリ(GalNAc-co-Ala)ポリマーを含む第2の部分にコンジュゲート化された、分解されるべき標的分子に結合する抗体を含む二官能性分子を試験した。
【0222】
ASGPRリガンドを含む二官能性分子が実際に肝細胞中のリソソームにカーゴをシャトルすることができるかどうかを評価するために、図21に概略的に示すアッセイを使用した。ポリ(GalNAc-co-Ala)ポリマーにコンジュゲート化した抗マウスIgG抗体を含む二官能性分子を試験して、二官能性分子が細胞外蛍光標識マウスIgG(IgG-AF647)を肝細胞の細胞内区画にシャトルできるかどうかを決定した。この実施例では、M6PRリガンドにコンジュゲート化した抗マウスIgG抗体を含む二官能性分子も試験した。HEPG2細胞(肝細胞癌細胞株)を、50nMのIgG-AF 647および25nMの抗マウスのコンジュゲートと1時間インキュベートした。細胞取り込みをフローサイトメトリーによって分析した。棒グラフによって示されるように、GalNAc含有コンジュゲートを使用した場合は細胞蛍光の約8倍の増加が観察された一方、M6Pn含有コンジュゲートはバックグラウンドよりも2倍の増加を誘導した。データは、ASGPRの発現レベルがM6PRの発現レベルよりも高い肝細胞では、細胞取り込みを誘発することにおいてGalNAc含有コンジュゲートの方がより効果的であることを実証している。
【0223】
図22には、図21について記載したアッセイであるがただしHUH7細胞(別の肝細胞癌細胞株)におけるものの結果が示されている。HUH7細胞へのIgG-AF647の効率的な取り込みが観察された。さらに、細胞をM6PRまたはASGPRの阻害剤(それぞれ、単量体M6P(mM6P)および単量体GalNAc(mGalNAc))とインキュベートしたコントロールも含めた。細胞を阻害剤とインキュベートした場合、取り込みは減少し、GalNAcまたはM6Pn含有コンジュゲートによる取り込みが実際にそれぞれASGPRまたはM6PRによって仲介されていることを示した。
【0224】
[実施例4-セツキシマブ-ASGPRリガンド・コンジュゲートを使用した、肝細胞におけるEGFRの効率的な分解]
上皮成長因子受容体(EGFR)は、肝細胞癌(HCC)において増殖および血管新生を誘導することが知られている。HCC患者の68%は、HCC細胞上にEGFRを発現する。移植が現在のところHCC患者にとって最良の治療選択肢のままであり、良質な死亡ドナー臓器の供給は限られている。受容体チロシンキナーゼ(RTK)の阻害剤または抗体がしばしば治療に使用されるが、HCC細胞は、受容体チロシンキナーゼ(EGFR、HER2、HER 3、c-Met、IGF1R)のヘテロ二量体化(同じ下流エフェクターのリン酸化をもたらして、RTKクロストークを介して発癌性シグナル伝達を回復させる)によって、これらの治療に対する耐性を発達させる。EGFR遮断抗体であるセツキシマブは、HCC患者における第II相臨床試験で失敗した。
【0225】
この実施例では、図23(上)に概略的に示すように、ASGPRリガンド(この例ではポリ(GalNAc-co-Ala))にコンジュゲート化させた抗EGFR抗体(この例ではセツキシマブ)を含む二官能性分子が、HCC細胞におけるEGFRの取り込みおよび分解を誘導することができるかどうかを評価した。セツキシマブ-M6PRリガンド・コンジュゲートも試験した。
【0226】
HEP3B細胞を第1の実験で使用した。細胞を10nMのセツキシマブ・コンジュゲートと共に48時間インキュベートし、次いで、ウエスタンブロット分析のために溶解させた。ウエスタンブロット(図23の下に示す)は、5つのレーン:1)処置なし、2)EGF(EGFRの公知の下方調節因子)、3)セツキシマブ、4)セツキシマブ-GalNAcコンジュゲート、および、5)セツキシマブ-M6Pnコンジュゲートを有する。示されるように、セツキシマブ-GalNAcコンジュゲートは、効率的なEGRFR分解、およびセツキシマブ-M6Pnコンジュゲートと比較してより大きなEGFR分解を示した。ビンキュリンをローディングコントロールとして使用した。
【0227】
HEPG2細胞を第2の実験で使用した。結果を図24に示す。HEPG2細胞におけるEGFRの効率的な分解が観察された。ここで、分解効率は、おそらくHEP3BおよびHEPG2細胞株におけるEGFRの相対レベルに起因して、セツキシマブ-GalNAcコンジュゲートとセツキシマブ-M6Pnコンジュゲートとの間で類似していた。右側には、2つの細胞株におけるこれらの受容体およびEGFRの相対mRNAレベルが示されている(公開データベースで入手可能)。HEP3B細胞と比較してHEPG2細胞ではEGFRレベルが比較的低いので、これらのデータは、効果性がより低い分解体(セツキシマブ-M6Pnコンジュゲート)の場合であっても、ほとんどの膜EGFRが分解されていること、およびウエスタンブロットで見られる残留EGFRは内部EGFRであり得ることを示唆している。ASGPRレベルもモニターされ、異なる処理全体にわたってASGPRのレベルは一定のままであったことが示された。
【0228】
次に、セツキシマブ・コンジュゲートで処理したHEP3B細胞におけるEGFR分解を経時的に評価するために経時研究を行った。結果を図25に示す。示されるように、12時間までに、セツキシマブ-GalNAcコンジュゲートは、EGFRレベルを50%未満に低下させる。分解は48時間で増加する。セツキシマブ-M6Pnコンジュゲートは、試験した時点のいずれにおいてもEGFRレベルを50%未満に低下させなかった。
【0229】
免疫蛍光実験を行って、残留EGFRが膜EGFRであるか細胞内EGFRであるかを評価した。結果を図26に示す。HEP3Bおよびセツキシマブにおける細胞の輪郭は、膜上のEGFR局在を示す。HEP3Bをセツキシマブ-M6Pnコンジュゲートで処理した場合、EGFRの一部が内部に局在し、一部は膜上に残る。HEP3Bをセツキシマブ-GalNAcコンジュゲートで処理した場合、膜上にEGFRはほとんど観察されず、EGFRの大部分は細胞内にある。したがって、セツキシマブ-GalNAcコンジュゲートは、ほとんどの膜結合EGFRを分解し、ウエスタンブロット上に見られる残留(約30%)EGFRは、細胞内EGFRであると思われる。
【0230】
[実施例5-トラスツズマブ単独およびトラスツズマブ・コンジュゲートを介したHER2分解]
この実施例では、トラスツズマブ単独または図20に示すGalNAc含有ポリマーにコンジュゲート化されたトラスツズマブ(「トラスツズマブ-GalNAc」)の存在下でのHUH 7およびHEPG2細胞におけるHER2の分解の程度を評価した。HUH7およびHEPG2細胞を10nMのトラスツズマブまたはトラスツズマブ-GalNAcコンジュゲートと48時間インキュベートし、次いでウエスタンブロット分析のために溶解させた。図27のウエスタンブロットは、各細胞株に関して3つのレーン:1)処置なし、2)トラスツズマブ、3)トラスツズマブ-GalNAcを有する。図27の棒グラフは、各細胞株におけるコントロールに対するHER2の平均パーセントを示す。示されるように、いずれの細胞株においても、トラスツズマブ単独またはGalNAc含有ポリマーにコンジュゲート化したトラスツズマブの存在下でのHER2分解に統計的差異はなかった。したがって、トラスツズマブ-GalNAcコンジュゲートは、トラスツズマブ単独の存在下でのHER2の分解と比較してHER2の分解を増強しなかった。
【0231】
このように、上記は、単に本開示の原理を説明しているに過ぎない。当業者であれば、本明細書に明示的に記載または図示はしないが本発明の原理を具現化し、その趣旨および範囲内に含まれる様々な構成を工夫することができることが理解されよう。さらに、本明細書に列挙されたすべての例および条件的文言は、本発明の原理および発明者らにより当該技術分野の促進のために寄与された概念を読者が理解することを助けることを主に意図しており、このような具体的に列挙された例および条件への限定ではないと解釈されるべきである。また、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにその具体的な例を列挙する本明細書におけるすべての記述は、その構造的および機能的等価物の両方を包含することを意図する。加えて、そのような等価物は、現在知られている等価物および将来開発される等価物の両方、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を果たすあらゆる開発要素も含むことが意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書で示され説明された例示的な実施形態に限定されることを意図しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11
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図15
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図21
図22
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図26
図27
【国際調査報告】