IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウルトラジェニックス ファーマシューティカル インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-513318プロピオン酸血症を処置するための遺伝子治療
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】プロピオン酸血症を処置するための遺伝子治療
(51)【国際特許分類】
   C12N 7/01 20060101AFI20220131BHJP
   C12N 15/52 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20220131BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220131BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20220131BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C12N7/01
C12N15/52 Z ZNA
C12N5/10
A61K35/76
A61K48/00
A61K9/08
A61P3/00
A61P43/00 111
A61K31/7088
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542078
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(85)【翻訳文提出日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 US2019054003
(87)【国際公開番号】W WO2020072451
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】62/739,471
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513252910
【氏名又は名称】ウルトラジェニックス ファーマシューティカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フラー, マシュー スコット
(72)【発明者】
【氏名】ウォズワース, サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】クラーク, ケリー リード
(72)【発明者】
【氏名】ドーハティ, ショーン クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ, スチュワート
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AA95X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA27
4B065CA44
4C076AA11
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC21
4C076CC29
4C076FF11
4C076FF68
4C084AA13
4C084MA16
4C084MA55
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZC21
4C084ZC41
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA16
4C086MA55
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZC21
4C086ZC41
4C087AA01
4C087AA02
4C087CA12
4C087CA20
4C087MA16
4C087MA55
4C087MA65
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZC21
4C087ZC41
(57)【要約】
本開示は、プロピオン酸血症(PA)を処置するための遺伝子治療における、アデノ随伴ウイルスベクター、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)、およびこれらの使用の方法を提供する。また、本発明の組換えアデノ随伴ウイルスおよび薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。これらの医薬組成物は、プロピオニルCoAカルボキシラーゼαサブユニット(PCCA)における変異またはプロピオニルCoAカルボキシラーゼβサブユニット(PCCB)における変異により生じるPAの処置のための遺伝子治療において有用であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、5’から3’の順に
(a)5’逆位末端反復配列(5’-ITR)の配列、
(b)プロモーター配列、
(c)PCCAまたはPCCBの部分的または完全なコード配列、および
(d)3’逆位末端反復配列(3’-ITR)の配列
を含む、rAAV。
【請求項2】
前記AAVカプシドが、血清型1、2、3、4、5、6、7、8,9、10、11、12、rh10またはhu37のAAV由来である、請求項1に記載のrAAV。
【請求項3】
前記AAVカプシドが、AAV9由来である、請求項2に記載のrAAV。
【請求項4】
前記AAVカプシドが、AAV8由来である、請求項2に記載のrAAV。
【請求項5】
前記AAVカプシドが、AAV9バリアントカプシドである、請求項1に記載のrAAV。
【請求項6】
プロモーターが、ニワトリβアクチン(CBA)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)前初期遺伝子プロモーター、トランスサイレチン(TTR)プロモーター、チロシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、アルファ1アンチトリプシン(A1AT)プロモーター、CAGプロモーター、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーター、およびPCCB遺伝子特異的内因性プロモーターから選択される、請求項1~5のいずれかに記載のrAAV。
【請求項7】
前記プロモーターが、前記ベクターゲノムにおける前記部分的または完全なコード配列がPCCAのものである場合、配列番号34の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、前記PCCA遺伝子特異的内因性プロモーターである、請求項6に記載のrAAV。
【請求項8】
前記プロモーターが、前記ベクターゲノムにおける前記部分的または完全なコード配列がPCCBのものである場合、配列番号36の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、前記PCCB遺伝子特異的内因性プロモーターである、請求項6に記載のrAAV。
【請求項9】
前記プロモーターが、前記CBAプロモーターである、請求項6に記載のrAAV。
【請求項10】
前記5’-ITRおよび/または前記3’-ITR配列が、AAV2由来である、請求項1~9のいずれかに記載のrAAV。
【請求項11】
前記5’-ITR配列および前記3’-ITR配列が、配列番号15を含むか、またはこれからなる、請求項10に記載のrAAV。
【請求項12】
前記5’-ITR配列および/または前記3’-ITR配列が、非AAV2供給源由来である、請求項1~9のいずれかに記載のrAAV。
【請求項13】
前記PCCAの部分的または完全なコード配列が、野生型コード配列である、請求項1~7および9~12のいずれかに記載のrAAV。
【請求項14】
前記PCCAのコード配列が、配列番号1を含む、請求項13に記載のrAAV。
【請求項15】
前記PCCAの部分的または完全なコード配列が、コドン最適化コード配列である、請求項1~7および9~12のいずれかに記載のrAAV。
【請求項16】
前記PCCAのコード配列が、配列番号2~6から選択されるコード配列を含む、請求項15に記載のrAAV。
【請求項17】
前記PCCBの部分的または完全なコード配列が、野生型コード配列である、請求項1~6および8~12のいずれかに記載のrAAV。
【請求項18】
前記PCCBのコード配列が、配列番号7を含む、請求項17に記載のrAAV。
【請求項19】
前記PCCBの部分的または完全なコード配列が、コドン最適化コード配列である、請求項1~6および8~12のいずれかに記載のrAAV。
【請求項20】
前記PCCBのコード配列が、配列番号8~12から選択されるコード配列を含む、請求項19に記載のrAAV。
【請求項21】
前記パッケージングされたゲノムが、ヒトPCCA5’非翻訳領域(UTR)および/または3’-UTRの切断型または完全ヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1~7および9~16のいずれかに記載のrAAV。
【請求項22】
前記ヒトPCCA5’-UTRの完全ヌクレオチド配列が、配列番号30を含む、請求項21に記載のrAAV。
【請求項23】
前記ヒトPCCA5’-UTRの切断型ヌクレオチド配列が、配列番号30の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも100個の連続するヌクレオチド配列を含む、請求項21に記載のrAAV。
【請求項24】
前記ヒトPCCA3’-UTRの完全ヌクレオチド配列が、配列番号31を含む、請求項21に記載のrAAV。
【請求項25】
前記ヒトPCCA3’-UTRの切断型ヌクレオチド配列が、配列番号31の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、請求項21に記載のrAAV。
【請求項26】
前記パッケージングされたゲノムが、ヒトPCCB5’非翻訳領域(UTR)および/または3’-UTRの切断型または完全ヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1~6、8~12および17~20のいずれかに記載のrAAV。
【請求項27】
前記ヒトPCCB5’-UTRの完全ヌクレオチド配列が、配列番号32を含む、請求項26に記載のrAAV。
【請求項28】
前記ヒトPCCB5’-UTRの切断型ヌクレオチド配列が、配列番号32の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも100個の連続するヌクレオチド配列を含む、請求項26に記載のrAAV。
【請求項29】
前記ヒトPCCB3’-UTRの完全ヌクレオチド配列が、配列番号33を含む、請求項26に記載のrAAV。
【請求項30】
前記ヒトPCCB3’-UTRの切断型ヌクレオチド配列が、配列番号33の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、請求項26に記載のrAAV。
【請求項31】
前記パッケージングされたゲノムが、ポリアデニル化シグナル配列をさらに含む、請求項1~30のいずれかに記載のrAAV。
【請求項32】
前記ポリアデニル化シグナル配列が、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列、SV40ポリアデニル化シグナル配列、ウサギベータグロビンポリアデニル化シグナル配列、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列から選択される、請求項31に記載のrAAV。
【請求項33】
前記ポリアデニル化シグナル配列が、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列またはSV40ポリアデニル化シグナル配列である、請求項32に記載のrAAV。
【請求項34】
前記ポリアデニル化シグナル配列が、配列番号22を含むか、またはこれからなる、請求項33に記載のrAAV。
【請求項35】
前記ポリアデニル化シグナル配列が、配列番号23を含むか、またはこれからなる、請求項33に記載のrAAV。
【請求項36】
前記ポリアデニル化シグナル配列が、前記ベクターゲノムにおける前記部分的または完全なコード配列がPCCAのものである場合、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列を含む、請求項1~7、9~16、21~25ならびに31および32のいずれかに記載のrAAV。
【請求項37】
前記PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列が、配列番号35の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、請求項36に記載のrAAV。
【請求項38】
前記ポリアデニル化シグナル配列が、前記ベクターゲノムにおける前記部分的または完全なコード配列がPCCBのものである場合、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列を含む、請求項1~6、8~12、17~20および26~32のいずれかに記載のrAAV。
【請求項39】
前記PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列が、配列番号37の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、請求項38に記載のrAAV。
【請求項40】
前記パッケージングされたゲノムが、1つまたは複数のエンハンサー配列をさらに含む、請求項1~39のいずれかに記載のrAAV。
【請求項41】
前記エンハンサーが、サイトメガロウイルス(CMV)前初期遺伝子エンハンサー、トランスサイレチンエンハンサー(enTTR)、ニワトリβアクチン(CBA)エンハンサー、En34エンハンサー、およびアポリポタンパク質E(ApoE)エンハンサーから選択される、請求項40に記載のrAAV。
【請求項42】
前記エンハンサーが、CMVエンハンサーである、請求項41に記載のrAAV。
【請求項43】
前記エンハンサーが、配列番号19を含むか、またはこれからなる、請求項42に記載のrAAV。
【請求項44】
前記エンハンサーが、前記プロモーター配列の上流に位置する、請求項40~43に記載のrAAV。
【請求項45】
前記パッケージングされたゲノムが、1つまたは複数のイントロン配列をさらに含む、請求項1~44のいずれかに記載のrAAV。
【請求項46】
前記イントロンが、SV40スモールTイントロン、ウサギヘモグロビンサブユニットベータ(rHBB)イントロン、ヒトベータグロビンIVS2イントロン、Promegaキメライントロン、およびhFIXイントロンから選択される、請求項45に記載のrAAV。
【請求項47】
前記イントロンが、SV40スモールTイントロンまたはrHBBイントロンである、請求項46に記載のrAAV。
【請求項48】
前記イントロンが、配列番号20を含むか、またはこれからなる、請求項47に記載のrAAV。
【請求項49】
前記イントロンが、配列番号21を含むか、またはこれからなる、請求項47に記載のrAAV。
【請求項50】
AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に
(a)5’-ITR配列、
(b)エンハンサー配列、
(c)プロモーター配列、
(d)イントロン配列、
(e)PCCAまたはPCCBの部分的または完全なコード配列、
(f)ポリアデニル化シグナル配列、および
(g)3’-ITR配列
を含む、rAAV。
【請求項51】
前記AAVカプシドが、血清型1、2、3、4、5、6、7、8,9、10、11、12、rh10またはhu37のAAV由来である、請求項50に記載のrAAV。
【請求項52】
前記AAVカプシドが、AAV8またはAAV9由来である、請求項51に記載のrAAV。
【請求項53】
前記AAVカプシドが、AAV9バリアントカプシドである、請求項50に記載のrAAV。
【請求項54】
プロモーターが、ニワトリβアクチン(CBA)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)前初期遺伝子プロモーター、トランスサイレチン(TTR)プロモーター、チロシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、アルファ1アンチトリプシン(A1AT)プロモーター、CAGプロモーター、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーター、およびPCCB遺伝子特異的内因性プロモーターから選択される、請求項50から53のいずれかに記載のrAAV。
【請求項55】
前記プロモーターが、前記ベクターゲノムにおける前記部分的または完全なコード配列がPCCAのものである場合、配列番号34の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、前記PCCA遺伝子特異的内因性プロモーターである、請求項54に記載のrAAV。
【請求項56】
前記プロモーターが、前記ベクターゲノムにおける前記部分的または完全なコード配列がPCCBのものである場合、配列番号36の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、前記PCCB遺伝子特異的内因性プロモーターである、請求項54に記載のrAAV。
【請求項57】
前記プロモーターが、前記CBAプロモーターである、請求項54に記載のrAAV。
【請求項58】
前記5’-ITRおよび/または前記3’-ITR配列が、AAV2由来である、請求項50~57のいずれかに記載のrAAV。
【請求項59】
前記5’-ITR配列および前記3’-ITR配列が、配列番号15を含むか、またはこれからなる、請求項58に記載のrAAV。
【請求項60】
前記5’-ITR配列および/または前記3’-ITR配列が、非AAV2供給源由来である、請求項50~57のいずれかに記載のrAAV。
【請求項61】
前記PCCAの部分的または完全なコード配列が、野生型コード配列である、請求項50~55および57~60のいずれかに記載のrAAV。
【請求項62】
前記PCCAのコード配列が、配列番号1を含む、請求項61に記載のrAAV。
【請求項63】
前記PCCAの部分的または完全なコード配列が、コドン最適化コード配列である、請求項50~55および57~60のいずれかに記載のrAAV。
【請求項64】
前記PCCAのコード配列が、配列番号2~6から選択されるコード配列を含む、請求項63に記載のrAAV。
【請求項65】
前記PCCBの部分的または完全なコード配列が、野生型コード配列である、請求項50~54および56~60のいずれかに記載のrAAV。
【請求項66】
前記PCCBのコード配列が、配列番号7を含む、請求項65に記載のrAAV。
【請求項67】
前記PCCBの部分的または完全なコード配列が、コドン最適化コード配列である、請求項50~54および56~60のいずれかに記載のrAAV。
【請求項68】
前記PCCBのコード配列が、配列番号8~12から選択されるコード配列を含む、請求項67に記載のrAAV。
【請求項69】
前記ポリアデニル化シグナル配列が、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列、SV40ポリアデニル化シグナル配列、ウサギベータグロビンポリアデニル化シグナル配列、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列から選択される、請求項50から68のいずれかに記載のrAAV。
【請求項70】
前記ポリアデニル化シグナル配列が、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列またはSV40ポリアデニル化シグナル配列である、請求項69に記載のrAAV。
【請求項71】
前記ポリアデニル化シグナル配列が、配列番号22を含むか、またはこれからなる、請求項70に記載のrAAV。
【請求項72】
前記ポリアデニル化シグナル配列が、配列番号23を含むか、またはこれからなる、請求項70に記載のrAAV。
【請求項73】
前記ポリアデニル化シグナル配列が、前記ベクターゲノムにおける前記部分的または完全なコード配列がPCCAのものである場合、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、請求項50~55、57~64、および69のいずれかに記載のrAAV。
【請求項74】
前記PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列が、配列番号35の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、請求項73に記載のrAAV。
【請求項75】
前記ポリアデニル化シグナル配列が、前記ベクターゲノムにおける前記部分的または完全なコード配列がPCCBのものである場合、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、請求項50~54、56~60、および65~69のいずれかに記載のrAAV。
【請求項76】
前記PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列が、配列番号37の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、請求項75に記載のrAAV。
【請求項77】
前記エンハンサーが、サイトメガロウイルス前初期遺伝子(CMV)エンハンサー、トランスサイレチンエンハンサー(enTTR)、ニワトリβアクチン(CBA)エンハンサー、En34エンハンサー、およびApoEエンハンサーから選択される、請求項50~76のいずれかに記載のrAAV。
【請求項78】
前記エンハンサーが、CMVエンハンサーである、請求項77に記載のrAAV。
【請求項79】
前記イントロンが、SV40スモールTイントロン、ウサギヘモグロビンサブユニットベータ(rHBB)イントロン、ヒトベータグロビンIVS2イントロン、Promegaキメライントロン、またはhFIXイントロンから選択される、請求項50~78のいずれかに記載のrAAV。
【請求項80】
前記イントロンが、SV40スモールTイントロンまたはrHBBイントロンである、請求項79に記載のrAAV。
【請求項81】
前記パッケージングされたゲノムが、前記ベクターゲノムにおける前記部分的または完全なコード配列がPCCAのものである場合、ベクターゲノムエレメント(d)と(e)との間に位置するヒトPCCA5’非翻訳領域(UTR)の切断型または完全ヌクレオチド配列をさらに含む、請求項50~55、57~64、69~74および77~80のいずれかに記載のrAAV。
【請求項82】
前記ヒトPCCA5’-UTRの完全ヌクレオチド配列が、配列番号30を含む、請求項81に記載のrAAV。
【請求項83】
前記ヒトPCCA5’-UTRの切断型ヌクレオチド配列が、配列番号30の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも100個の連続するヌクレオチド配列を含む、請求項81に記載のrAAV。
【請求項84】
前記パッケージングされたゲノムが、前記ベクターゲノムにおける前記部分的または完全なコード配列がPCCBのものである場合、ベクターゲノムエレメント(d)と(e)との間に位置するヒトPCCB5’非翻訳領域(UTR)の切断型または完全ヌクレオチド配列をさらに含む、請求項50~54、56~60、65~72および75~80のいずれかに記載のrAAV。
【請求項85】
前記ヒトPCCB5’-UTRの完全ヌクレオチド配列が、配列番号32を含む、請求項84に記載のrAAV。
【請求項86】
前記ヒトPCCB5’-UTRの切断型ヌクレオチド配列が、配列番号32の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも100個の連続するヌクレオチド配列を含む、請求項84に記載のrAAV。
【請求項87】
前記パッケージングされたゲノムが、前記ベクターゲノムにおける前記部分的または完全なコード配列がPCCAのものである場合、ベクターゲノムエレメント(f)と(g)との間に位置するヒトPCCA3’非翻訳領域(UTR)の切断型または完全ヌクレオチド配列をさらに含む、請求項50~55、57~64、69~74および77~83のいずれかに記載のrAAV。
【請求項88】
前記ヒトPCCA3’-UTRの完全ヌクレオチド配列が、配列番号31を含む、請求項87に記載のrAAV。
【請求項89】
前記ヒトPCCA3’-UTRの切断型ヌクレオチド配列が、配列番号31の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、請求項87に記載のrAAV。
【請求項90】
前記パッケージングされたゲノムが、前記ベクターゲノムにおける前記部分的または完全なコード配列がPCCBのものである場合、ベクターゲノムエレメント(f)と(g)との間に位置するヒトPCCB3’非翻訳領域(UTR)の切断型または完全ヌクレオチド配列をさらに含む、請求項50~54、56~60、65~72、75~80および84~86のいずれかに記載のrAAV。
【請求項91】
前記ヒトPCCB3’-UTRの完全ヌクレオチド配列が、配列番号33を含む、請求項90に記載のrAAV。
【請求項92】
前記ヒトPCCB3’-UTRの切断型ヌクレオチド配列が、配列番号33の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、請求項90に記載のrAAV。
【請求項93】
前記ベクターゲノムが、ゲノムエレメント(e)の上流にコンセンサスKozak配列を含む、請求項50~92のいずれかに記載のrAAV。
【請求項94】
前記コンセンサスKozak配列が、配列番号24を含む、請求項93に記載のrAAV。
【請求項95】
AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、プロピオン酸血症(PA)の処置に有用な組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に
(a)5’逆位末端反復配列(ITR)の配列、
(b)エンハンサー配列、
(c)プロモーター配列、
(d)イントロン配列、
(e)配列番号1~6から選択されるPCCAのコード配列または配列番号7~12から選択されるPCCBのコード配列、
(f)ポリアデニル化シグナル配列、および
(g)3’逆位末端反復配列(ITR)の配列
を含む、rAAV。
【請求項96】
前記AAVカプシドが、血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、rh10またはhu37のAAV由来である、請求項95に記載のrAAV。
【請求項97】
前記AAVカプシドが、AAV9由来である、請求項96に記載のrAAV。
【請求項98】
前記AAVカプシドが、AAV8由来である、請求項96に記載のrAAV。
【請求項99】
前記AAVカプシドが、AAV9バリアントカプシドである、請求項95に記載のrAAV。
【請求項100】
AAV9カプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、プロピオン酸血症(PA)の処置に有用な組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に
(a)5’逆位末端反復配列(ITR)の配列、
(b)エンハンサー配列、
(c)プロモーター配列、
(d)イントロン配列、
(e)配列番号1~6から選択されるPCCAのコード配列または配列番号7~12から選択されるPCCBのコード配列、
(f)ポリアデニル化シグナル配列、および
(g)3’逆位末端反復配列(ITR)の配列
を含む、rAAV。
【請求項101】
AAV9カプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、プロピオン酸血症(PA)の処置に有用な組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に
(a)AAV2 5’逆位末端反復配列(ITR)の配列、
(b)CMVエンハンサー配列、
(c)CBAプロモーター配列、
(d)rHBBまたはSV40スモールTイントロン配列、
(e)配列番号1~6から選択されるPCCAのコード配列または配列番号7~12から選択されるPCCBのコード配列、
(f)BGHまたはSV40ポリアデニル化シグナル配列、および
(g)AAV2 3’逆位末端反復配列(ITR)の配列
を含む、rAAV。
【請求項102】
前記パッケージングされたゲノムが、前記ベクターゲノムにおける前記コード配列がPCCAのものである場合、ベクターゲノムエレメント(d)と(e)との間に位置するヒトPCCA5’-UTRの切断型または完全ヌクレオチド配列をさらに含む、請求項95~101のいずれかに記載のrAAV。
【請求項103】
前記パッケージングされたゲノムが、前記ベクターゲノムにおける前記コード配列がPCCBのものである場合、ベクターゲノムエレメント(d)と(e)との間に位置するヒトPCCB5’-UTRの切断型または完全ヌクレオチド配列をさらに含む、請求項95~101のいずれかに記載のrAAV。
【請求項104】
前記パッケージングされたゲノムが、前記ベクターゲノムにおける前記コード配列がPCCAのものである場合、ベクターゲノムエレメント(f)と(g)との間に位置するヒトPCCA3’-UTRの切断型または完全ヌクレオチド配列をさらに含む、請求項95~102のいずれかに記載のrAAV。
【請求項105】
前記パッケージングされたゲノムが、前記ベクターゲノムにおける前記コード配列がPCCBのものである場合、ベクターゲノムエレメント(f)と(g)との間に位置するヒトPCCB3’-UTRの切断型または完全ヌクレオチド配列をさらに含む、請求項95~101および103のいずれかに記載のrAAV。
【請求項106】
前記ベクターゲノムが、ゲノムエレメント(e)の上流にコンセンサスKozak配列を含む、請求項95~105のいずれかに記載のrAAV。
【請求項107】
前記コンセンサスKozak配列が、配列番号24を含む、請求項106に記載のrAAV。
【請求項108】
前記請求項のいずれかに記載のrAAVおよび薬学的に許容される担体を含む組成物。
【請求項109】
治療有効量の請求項1~107のいずれかに記載のrAAVまたは請求項108に記載の組成物をヒト対象に投与するステップを含む、前記ヒト対象においてプロピオン酸血症(PA)を処置する方法。
【請求項110】
1.前記コード配列が、PCCBのものではなくPCCAのものであり、前記プロモーターが、PCCB遺伝子特異的内因性プロモーターではなくPCCA遺伝子特異的内因性プロモーターであり、前記ポリアデニル化シグナル配列が、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列ではなくPCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、請求項1~7、9~16、21~25、31~37、40~55、57~64、69~74、77~83、87~89、93~102、104ならびに106および107のいずれかに記載のrAAVを含む治療有効量の組成物、ならびに/または
2.前記コード配列が、PCCAのものではなくPCCBのものであり、前記プロモーターが、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーターではなくPCCB遺伝子特異的内因性プロモーターであり、前記ポリアデニル化シグナル配列が、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列ではなくPCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、請求項1~6、8~12、17~20、26~35、38~54、56~60、65~72、75~80、84~86、90~101、103および105~107のいずれかに記載のrAAVを含む治療有効量の組成物
をヒト対象に投与するステップを含む、前記ヒト対象においてプロピオン酸血症(PA)を処置する方法。
【請求項111】
(1)および(2)の前記組成物が、同時、連続的、または別々に投与される、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
PCCAにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象においてプロピオン酸血症(PA)を処置する方法であって、前記コード配列が、PCCBのものではなくPCCAのものであり、前記プロモーターが、PCCB遺伝子特異的内因性プロモーターではなくPCCA遺伝子特異的内因性プロモーターであり、前記ポリアデニル化シグナル配列が、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列ではなくPCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、請求項1~7、9~16、21~25、31~37、40~55、57~64、69~74、77~83、87~89、93~102、104ならびに106および107のいずれかに記載のrAAVを含む治療有効量の組成物を前記ヒト対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項113】
PCCAにおける前記変異が、表1から選択される、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
PCCBにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象においてプロピオン酸血症(PA)を処置する方法であって、前記コード配列が、PCCAのものではなくPCCBのものであり、前記プロモーターが、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーターではなくPCCB遺伝子特異的内因性プロモーターであり、前記ポリアデニル化シグナル配列が、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列ではなくPCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、請求項1~6、8~12、17~20、26~35、38~54、56~60、65~72、75~80、84~86、90~101、103、および105~107のいずれかに記載のrAAVを含む治療有効量の組成物を前記ヒト対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項115】
PCCBにおける前記変異が、表2から選択される、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記rAAVまたは前記組成物が、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、または静脈内に投与される、請求項109~115のいずれかに記載の方法。
【請求項117】
前記rAAVまたは前記組成物が、静脈内に投与される、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記rAAVが、約1×1011~約1×1014ゲノムコピー(GC)/kgの用量で投与される、請求項109~117のいずれかに記載の方法。
【請求項119】
前記rAAVが、約1×1012~約1×1013ゲノムコピー(GC)/kgの用量で投与される、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記rAAVを投与するステップが、
a)単一用量のrAAV、または
b)複数用量のrAAV
の投与を含む、請求項116~119のいずれかに記載の方法。
【請求項121】
核酸配列が、配列番号1の野生型コード配列と80%未満同一である、配列番号16のPCCAポリペプチドをコードする組換え核酸。
【請求項122】
前記核酸配列が、配列番号2~6から選択される配列と少なくとも80%同一である配列を含む、請求項121に記載の組換え核酸。
【請求項123】
前記核酸配列が、配列番号2~6から選択される配列を含む、請求項122に記載の組換え核酸。
【請求項124】
核酸配列が、配列番号7の野生型コード配列と80%未満同一である、配列番号17のPCCBポリペプチドをコードする組換え核酸。
【請求項125】
前記核酸配列が、配列番号8~12から選択される配列と少なくとも80%同一である配列を含む、請求項124に記載の組換え核酸。
【請求項126】
前記核酸配列が、配列番号8~12から選択される配列を含む、請求項125に記載の組換え核酸。
【請求項127】
配列番号2~6から選択される配列と少なくとも80%同一である配列を含む組換え核酸。
【請求項128】
配列番号2~6から選択される配列と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項127に記載の組換え核酸。
【請求項129】
配列番号2~6から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む、請求項128に記載の組換え核酸。
【請求項130】
配列番号2~6から選択される配列を含む組換え核酸。
【請求項131】
配列番号8~12から選択される配列と少なくとも80%同一である配列を含む組換え核酸。
【請求項132】
配列番号8~12から選択される配列と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項131に記載の組換え核酸。
【請求項133】
配列番号8~12から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む、請求項132に記載の組換え核酸。
【請求項134】
配列番号8~12から選択される配列を含む組換え核酸。
【請求項135】
前記核酸配列が、TGA、TAAおよびTAGから選択される1つまたは複数の終止コドンを3’末端にさらに含む、請求項121~134のいずれかに記載の組換え核酸。
【請求項136】
請求項121~135のいずれかに記載の組換え核酸を含むrAAV。
【請求項137】
請求項121~135のいずれかに記載の組換え核酸または請求項136に記載のrAAVを含む宿主細胞。
【請求項138】
HeLa、Cos-7、HEK293、A549、BHK、Vero、RD、HT-1080、ARPE-19またはMRC-5細胞から選択される、請求項137に記載の宿主細胞。
【請求項139】
前記コード配列が、PCCBのものではなくPCCAのものであり、前記プロモーターが、PCCB遺伝子特異的内因性プロモーターではなくPCCA遺伝子特異的内因性プロモーターであり、前記ポリアデニル化シグナル配列が、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列ではなくPCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、請求項1~7、9~16、21~25、31~37、40~55、57~64、69~74、77~83、87~89、93~102、104ならびに106および107のいずれかに記載のrAAV。
【請求項140】
前記コード配列が、PCCAのものではなくPCCBのものであり、前記プロモーターが、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーターではなくPCCB遺伝子特異的内因性プロモーターであり、前記ポリアデニル化シグナル配列が、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列ではなくPCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、請求項1~6、8~12、17~20、26~35、38~54、56~60、65~72、75~80、84~86、90~101、103、および105~107のいずれかに記載のrAAV。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月1日出願の米国特許仮出願第62/739,471号の利益および優先権を主張し、この全開示は、あらゆる目的のために、この全体を参照により本明細書に組み込む。
配列表
【0002】
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出した配列表を含み、この全体を参照により本明細書に組み込む。2019年9月22日に作成された前記ASCIIコピーは、ULP-001WO_SL_ST25.txtと名付けられ、98,889バイトのサイズである。
【0003】
本開示は一般に、プロピオン酸血症を処置するための遺伝子治療における、アデノ随伴ウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス、およびこれらの使用の方法に関する。
【背景技術】
【0004】
プロピオン酸血症(PA)は、プロピオン酸尿症としても知られ、奇数鎖脂肪酸およびプロピオジェニック(propiogenic)アミノ酸、特には、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、およびバリンの異化経路における鍵となるステップである、プロピオニルCoAの(D)メチルマロニルCoAへの変換に必要とされる酵素である、活性プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)の欠乏により生じる先天性有機酸代謝異常である。PCC酵素は、2つの非同一サブユニット、αおよびβからなり、これらはPCCAおよびPCCB遺伝子によりそれぞれコードされる。プロピオニルCoAカルボキシラーゼ欠乏は、PCCAまたはPCCBのいずれかにおける変異から生じ得る。ある試験では、PAを有する患者30人の変異解析を実施し、患者15人がαサブユニット欠乏であり、患者15人がβサブユニット欠乏であったことがわかった。Yang et al., 2004, Mol Genet and Metab. 81: 335-342を参照されたい。
【0005】
PAの推定発症率は、米国において1:105,000~1:130,000である。このまれな常染色体劣性代謝障害は、食欲不振、嘔吐、嗜眠、てんかん発作、および筋緊張の欠如を新生児初期において呈する。処置せずにおくと、二次的な高アンモニア血症、感染症、心筋症、または基底核脳卒中のため急速に死に至り得る。PAは、新生児においてほぼすぐに診断することができ、疾患は、米国における新生児スクリーニングパネルに含まれる。
PAは、現在、アミノ酸前駆物質の食事制限、カルニチンレベルの減少に対処するLカルニチンの補給、および腸内細菌によるプロピオン酸産生を減少させる抗生物質の投与により処置されている。肝臓移植は、患者を標準処置により管理することができない状況下で、PAの管理における役割を得つつある。しかし、食事療法、補助因子療法、および抗生物質療法の複雑な組合せを介して疾患に対処する積極的な取り組みにもかかわらず、PAを有する患者の長期予後は、不良なままである。van der Meer et al., 1996, Eur. J. Pediatr. 155: 205-210を参照されたい。したがって、この疾患、すなわちPCC欠乏の根本原因に対処する治療手法の向上が、必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Yang et al., 2004, Mol Genet and Metab. 81: 335-342
【非特許文献2】van der Meer et al., 1996, Eur. J. Pediatr. 155: 205-210
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、PAを有する患者への機能性PCCAまたはPCCB遺伝子の移行を媒介するアデノ随伴ウイルスベクターの生成を介して、この必要性に対処する。また、本発明は、PAを有する患者へ機能性PCCAまたはPCCB遺伝子を送達する組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の生成について記載する。
【0008】
本発明は、遺伝子治療における、組成物およびこれらの使用の方法を提供する。より詳細には、アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、PAの処置に有用な、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を本明細書において提供する。
【0009】
一態様では、本開示は、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、5’から3’の順に(a)5’逆位末端反復配列(5’-ITR)の配列、(b)プロモーター配列、(c)PCCAの部分的または完全なコード配列、および(d)3’逆位末端反復配列(3’-ITR)の配列を含む、rAAVを提供する。
【0010】
別の態様では、本開示は、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含むrAAVであって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に(a)5’-ITR配列、(b)エンハンサー配列、(c)プロモーター配列、(d)イントロン配列、(e)PCCAの部分的または完全なコード配列、(f)ポリアデニル化シグナル配列、および(g)3’-ITR配列を含む、rAAVを提供する。
【0011】
特定の実施形態では、本開示は、AAVカプシド、ならびにAAV5’-ITR配列、プロモーター配列、PCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、およびAAV3’-ITR配列を含む、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、rAAVを提供する。
【0012】
特定の実施形態では、本開示は、AAVカプシド、ならびにAAV5’-ITR、プロモーター配列、ヒトPCCA5’非翻訳領域(5’-UTR)の切断型または完全ヌクレオチド配列、PCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、切断型または完全ヒトPCCA3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列、およびAAV3’-ITRを含む、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、rAAVを提供する。
【0013】
特定の実施形態では、本開示は、AAVカプシド、および配列番号30により表す完全ヒトPCCA5’-UTRを含む、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、rAAVを提供する。特定の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、切断型ヒトPCCA5’-UTRヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ヒトPCCA5’-UTRの切断型ヌクレオチド配列は、配列番号30の部分を含む。一部の実施形態では、ヒトPCCA5’-UTRの切断型ヌクレオチド配列は、配列番号30の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも100個の連続するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、切断型または完全ヒトPCCA5’-UTRは、パッケージングされたベクターゲノムにおける部分的または完全なコード配列がPCCAのものである場合、イントロン配列とPCCAの部分的または完全なコード配列との間に位置する。
【0014】
特定の実施形態では、パッケージングされたベクターゲノムは、配列番号31により表す完全ヒトPCCA3’-UTRを含む。特定の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、切断型ヒトPCCA3’-UTRヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ヒトPCCA3’-UTRの切断型ヌクレオチド配列は、配列番号31の部分を含む。一部の実施形態では、ヒトPCCA3’-UTRの切断型ヌクレオチド配列は、配列番号31の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、切断型または完全ヒトPCCA3’-UTRは、パッケージングされたベクターゲノムにおける部分的または完全なコード配列がPCCAのものである場合、ポリアデニル化シグナル配列と3’-ITR配列との間に位置する。
【0015】
一実施形態では、PCCAの部分的または完全なコード配列は、野生型コード配列である。代替の実施形態では、PCCAの部分的または完全なコード配列は、コドン最適化コード配列である。例となる一実施形態では、PCCAの部分的または完全なコード配列は、ヒトにおける発現のためにコドン最適化されている。
【0016】
一部の実施形態では、PCCAは、配列番号1に示す野生型コード配列によりコードされる。別の実施形態では、PCCAの天然アイソフォームまたはバリアントを発現するコード配列を使用してもよく、例えば、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号P05165-1(配列番号25)、P05165-2(配列番号26)およびP05165-3(配列番号27)に示すものが挙げられる。特定の実施形態では、PCCAは、コドン最適化コード配列によりコードされる。一部の実施形態では、PCCAは、配列番号1に示す野生型コード配列と80%未満同一であるコドン最適化コード配列によりコードされる。例となる一部の実施形態では、PCCAは、配列番号2~6から選択されるコドン最適化コード配列によりコードされる。一部の実施形態では、PCCAは、配列番号2~6から選択される配列と少なくとも80%同一であるコドン最適化コード配列によりコードされる。一部の実施形態では、PCCAは、配列番号2~6から選択される配列と少なくとも90%同一であるコドン最適化コード配列によりコードされる。一部の実施形態では、PCCAは、配列番号2~6から選択される配列と少なくとも95%同一であるコドン最適化コード配列によりコードされる。一部の実施形態では、PCCAのコード配列は、終止コドン(TGA、TAAまたはTAG)を3’末端にさらに含み得る。一部の実施形態では、発現したPCCAは、配列番号16のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる。
【0017】
別の態様では、本開示は、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、5’から3’の順に(a)5’-ITRの配列、(b)プロモーター配列、(c)PCCBの部分的または完全なコード配列、および(d)3’-ITRの配列を含む、rAAVを提供する。
【0018】
別の態様では、本開示は、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含むrAAVであって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に(a)5’-ITR配列、(b)エンハンサー配列、(c)プロモーター配列、(d)イントロン配列、(e)PCCBの部分的または完全なコード配列、(f)ポリアデニル化シグナル配列、および(g)3’-ITR配列を含む、rAAVを提供する。
【0019】
特定の実施形態では、本開示は、AAVカプシド、ならびにAAV5’-ITR配列、プロモーター配列、PCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、およびAAV3’-ITR配列を含む、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、rAAVを提供する。
【0020】
特定の実施形態では、本開示は、AAVカプシド、ならびにAAV5’-ITR、プロモーター配列、ヒトPCCB5’非翻訳領域(5’-UTR)の切断型または完全ヌクレオチド配列、PCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアンの部分的もしくは完全なコード配列ト、切断型または完全ヒトPCCB3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列、およびAAV3’-ITRを含む、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、rAAVを提供する。
【0021】
特定の実施形態では、パッケージングされたベクターゲノムは、配列番号32により表す完全ヒトPCCB5’-UTRを含む。特定の実施形態では、パッケージングされたベクターゲノムは、切断型ヒトPCCB5’-UTRヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ヒトPCCB5’-UTRの切断型ヌクレオチド配列は、配列番号32の部分を含む。一部の実施形態では、ヒトPCCB5’-UTRの切断型ヌクレオチド配列は、配列番号32の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも100個の連続するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、切断型または完全ヒトPCCB5’-UTRは、パッケージングされたベクターゲノムにおける部分的または完全なコード配列がPCCBのものである場合、イントロン配列とPCCBの部分的または完全なコード配列との間に位置する。
【0022】
特定の実施形態では、パッケージングされたベクターゲノムは、配列番号33により表す完全ヒトPCCB3’-UTRを含む。特定の実施形態では、パッケージングされたベクターゲノムは、切断型ヒトPCCB3’-UTRヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ヒトPCCB3’-UTRの切断型ヌクレオチド配列は、配列番号33の部分を含む。一部の実施形態では、ヒトPCCB3’-UTRの切断型ヌクレオチド配列は、配列番号33の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、切断型または完全ヒトPCCB3’-UTRは、パッケージングされたベクターゲノムにおける部分的または完全なコード配列がPCCBのものである場合、ポリアデニル化シグナル配列と3’-ITR配列との間に位置する。
【0023】
一実施形態では、PCCBの部分的または完全なコード配列は、野生型コード配列である。代替の実施形態では、PCCBの部分的または完全なコード配列は、コドン最適化コード配列である。例となる一実施形態では、PCCBの部分的または完全なコード配列は、ヒトにおける発現のためにコドン最適化されている。
【0024】
一部の実施形態では、PCCBは、配列番号7に示す野生型コード配列によりコードされる。別の実施形態では、PCCBの天然アイソフォームまたはバリアントを発現するコード配列を使用してもよく、例えば、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号P05166-1(配列番号28)およびP05166-2(配列番号29)に示すものが挙げられる。代替の実施形態では、PCCBは、コドン最適化コード配列によりコードされる。一部の実施形態では、PCCBは、配列番号7に示す野生型コード配列と80%未満同一であるコドン最適化コード配列によりコードされる。例となる一部の実施形態では、PCCBは、配列番号8~12から選択されるコドン最適化コード配列によりコードされる。一部の実施形態では、PCCBは、配列番号8~12から選択される配列と少なくとも80%同一であるコドン最適化コード配列によりコードされる。一部の実施形態では、PCCBは、配列番号8~12から選択される配列と少なくとも90%同一であるコドン最適化コード配列によりコードされる。一部の実施形態では、PCCBは、配列番号8~12から選択される配列と少なくとも95%同一であるコドン最適化コード配列によりコードされる。一部の実施形態では、PCCBのコード配列は、終止コドン(TGA、TAAまたはTAG)を3’末端にさらに含み得る。一部の実施形態では、発現したPCCBは、配列番号17のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる。
【0025】
一部の実施形態では、5’-ITR配列は、AAV2由来である。一部の実施形態では、3’-ITR配列は、AAV2由来である。一部の実施形態では、5’-ITR配列および3’-ITR配列は、AAV2由来である。一部の実施形態では、5’-ITR配列および/または3’-ITR配列は、配列番号15を含むか、またはこれからなる。他の実施形態では、5’-ITR配列および/または3’-ITR配列は、非AAV2供給源由来である。
【0026】
一実施形態では、プロモーターは、ニワトリβアクチン(CBA)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)前初期遺伝子プロモーター、トランスサイレチン(TTR)プロモーター、チロシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、アルファ1アンチトリプシン(A1AT)プロモーター、CAGプロモーター(CMV初期エンハンサーエレメント、CBA遺伝子のプロモーター、第1エクソン、および第1イントロン、ならびにウサギベータグロビン遺伝子のスプライスアクセプターを使用して構築されている)、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーター、およびPCCB遺伝子特異的内因性プロモーターから選択される。例となる実施形態では、プロモーターは、CBAプロモーターである。一実施形態では、CBAプロモーターは、配列番号18を含むか、またはこれからなる。一部の実施形態では、プロモーターは、遺伝子特異的内因性プロモーターである。一部の一実施形態では、プロモーターは、天然遺伝子プロモーターエレメントを含む。例となる実施形態では、プロモーターは、ベクターゲノムにおける部分的または完全なコード配列がPCCAのものである場合、配列番号34の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーターである。例となる実施形態では、プロモーターは、ベクターゲノムにおける部分的または完全なコード配列がPCCBのものである場合、配列番号36の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、PCCB遺伝子特異的内因性プロモーターである。
【0027】
一部の実施形態では、パッケージングされたベクターゲノムは、1つまたは複数のエンハンサー配列をさらに含む。一実施形態では、エンハンサーは、サイトメガロウイルス(CMV)前初期遺伝子エンハンサー、トランスサイレチンエンハンサー(enTTR)、ニワトリβアクチン(CBA)エンハンサー、En34エンハンサー、およびアポリポタンパク質E(ApoE)エンハンサーから選択される。例となる実施形態では、エンハンサーは、CMVエンハンサーである。一実施形態では、CMVエンハンサーは、配列番号19を含むか、またはこれからなる。ある特定の実施形態では、エンハンサーは、プロモーター配列の上流に位置する。
【0028】
一部の実施形態では、パッケージングされたベクターゲノムは、1つまたは複数のイントロン配列をさらに含む。一部の実施形態では、イントロンは、SV40スモールTイントロン、ウサギヘモグロビンサブユニットベータ(rHBB)イントロン、ヒトベータグロビンIVS2イントロン、β-グロビン/IgGキメライントロン(Promegaキメライントロン)、またはhFIXイントロンから選択される。一つの例となる実施形態では、イントロンは、SV40スモールTイントロンである。一実施形態では、SV40スモールTイントロン配列は、配列番号20を含むか、またはこれからなる。別の例となる実施形態では、イントロンは、rHBBイントロンである。一部の実施形態では、rHBBイントロン配列は、配列番号21を含むか、またはこれからなる。
【0029】
一部の実施形態では、パッケージングされたベクターゲノムは、コンセンサスKozak配列をさらに含む。一部の実施形態では、コンセンサスKozak配列は、イントロン配列の下流に位置する。一実施形態では、コンセンサスKozak配列は、GCCGCC(配列番号24)である。特定の実施形態では、コンセンサスKozak配列は、PCCAのコード配列の上流に位置する。特定の実施形態では、コンセンサスKozak配列は、PCCBのコード配列の上流に位置する。
【0030】
一部の実施形態では、パッケージングされたベクターゲノムは、ポリアデニル化シグナル配列をさらに含む。ある特定の実施形態では、ポリアデニル化シグナル配列は、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列、SV40ポリアデニル化シグナル配列、ウサギベータグロビンポリアデニル化シグナル配列、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列から選択される。例となる実施形態では、ポリアデニル化シグナル配列は、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列である。一実施形態では、BGHポリアデニル化シグナル配列は、配列番号22を含むか、またはこれからなる。別の例となる実施形態では、ポリアデニル化シグナル配列は、SV40ポリアデニル化シグナル配列である。一実施形態では、SV40ポリアデニル化シグナル配列は、配列番号23を含むか、またはこれからなる。別の例となる実施形態では、ポリアデニル化シグナル配列は、ベクターゲノムにおける部分的または完全なコード配列がPCCAのものである場合、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列を含む。一実施形態では、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列は、配列番号35の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む。別の例となる実施形態では、ポリアデニル化シグナル配列は、ベクターゲノムにおける部分的または完全なコード配列がPCCBのものである場合、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列を含む。一実施形態では、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列は、配列番号37の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む。
【0031】
特定の実施形態では、AAVカプシドは、血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、rh10またはhu37のAAV由来である。例となる一実施形態では、AAVカプシドは、AAV9由来である。例となる別の実施形態では、AAVカプシドは、AAV8由来である。例となる別の実施形態では、AAVカプシドは、AAV9バリアントカプシドである。
【0032】
特定の実施形態では、本開示は、コード配列が、PCCBのものではなくPCCAのものであり、プロモーターが、PCCB遺伝子特異的内因性プロモーターではなくPCCA遺伝子特異的内在性プロモーターであり、ポリアデニル化シグナル配列が、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列ではなくPCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、rAAVを提供する。特定の実施形態では、本開示は、コード配列が、PCCAのものではなくPCCBのものであり、プロモーターが、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーターではなくPCCB遺伝子特異的内因性プロモーターであり、ポリアデニル化シグナル配列が、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列ではなくPCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、rAAVを提供する。
【0033】
一部の態様では、本開示は、PCCAをコードする新規のコドン最適化核酸配列を提供する。一実施形態では、PCCAをコードするコドン最適化核酸配列は、配列番号1に示す野生型コード配列と80%未満同一である。一部の実施形態では、PCCAをコードするコドン最適化核酸配列は、配列番号2~6と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一である。一部の実施形態では、本開示は、配列番号1に示す野生型コード配列と80%未満同一であり、配列番号2~6と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一である、核酸配列を提供する。例となる実施形態では、本開示は、配列番号2~6から選択されるPCCAをコードする核酸配列を提供する。機能性PCCA活性を有するポリペプチドをコードする配列番号2~6に示す核酸配列の断片をさらに提供する。一部の実施形態では、PCCAをコードする核酸配列は、終止コドン(TGA、TAAまたはTAG)を3’末端にさらに含み得る。
【0034】
一部の態様では、本開示は、PCCBをコードする新規のコドン最適化核酸配列を提供する。一実施形態では、PCCBをコードするコドン最適化核酸配列は、配列番号7に示す野生型コード配列と80%未満同一である。一部の実施形態では、PCCBをコードするコドン最適化核酸配列は、配列番号8~12と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一である。一部の実施形態では、本開示は、配列番号7に示す野生型コード配列と80%未満同一であり、配列番号8~12と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一である、核酸配列を提供する。例となる実施形態では、本開示は、配列番号8~12から選択されるPCCBをコードする核酸配列を提供する。機能性PCCB活性を有するポリペプチドをコードする配列番号8~12に示す核酸配列の断片をさらに提供する。一部の実施形態では、PCCBをコードする核酸配列は、終止コドン(TGA、TAAまたはTAG)を3’末端にさらに含み得る。
【0035】
特定の実施形態では、本開示は、PAの処置における遺伝子治療の薬剤として有用な組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされた本明細書に記載のベクターゲノムを含む、rAAVを提供する。一部の実施形態では、AAVカプシドは、血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、rh10またはhu37のAAV(すなわち、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh10またはAAVhu37)由来である。例となる実施形態では、AAVベクターは、AAV血清型9(AAV9)ベクター、AAV9バリアントベクター、AAV血清型8(AAV8)ベクター、またはAAV血清型2(AAV2)ベクターである。
【0036】
特定の実施形態では、本開示は、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、プロピオン酸血症(PA)の処置に有用なrAAVであって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に(a)5’-ITR配列、(b)エンハンサー配列、(c)プロモーター配列、(d)イントロン配列、(e)配列番号1~6から選択されるPCCAのコード配列、(f)ポリアデニル化シグナル配列、および(g)3’ITR配列を含む、rAAVを提供する。
【0037】
特定の実施形態では、本開示は、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、プロピオン酸血症(PA)の処置に有用なrAAVであって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された分として5’から3’の順に(a)5’-ITR配列、(b)エンハンサー配列、(c)プロモーター配列、(d)イントロン配列、(e)配列番号7~12から選択されるPCCBのコード配列、(f)ポリアデニル化シグナル配列、および(g)3’ITR配列を含む、rAAVを提供する。
【0038】
特定の実施形態では、本開示は、AAV9カプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、プロピオン酸血症(PA)の処置に有用なrAAVであって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に(a)5’-ITR配列、(b)エンハンサー配列、(c)プロモーター配列、(d)イントロン配列、(e)配列番号1~6から選択されるPCCAのコード配列、(f)ポリアデニル化シグナル配列、および(g)3’ITR配列を含む、rAAVを提供する。
【0039】
特定の実施形態では、本開示は、AAV9カプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、プロピオン酸血症(PA)の処置に有用なrAAVであって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に(a)5’-ITR配列、(b)エンハンサー配列、(c)プロモーター配列、(d)イントロン配列、(e)配列番号7~12から選択されるPCCBのコード配列、(f)ポリアデニル化シグナル配列、および(g)3’ITR配列を含む、rAAVを提供する。
【0040】
特定の実施形態では、本開示は、AAV9カプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、プロピオン酸血症(PA)の処置に有用なrAAVであって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に(a)AAV2 5’-ITR配列、(b)CMVエンハンサー配列、(c)CBAプロモーター配列、(d)rHBBまたはSV40スモールTイントロン配列、(e)配列番号1~6から選択されるPCCAのコード配列、(f)BGHまたはSV40ポリアデニル化シグナル配列、および(g)AAV2 3’-ITR配列を含む、rAAVを提供する。
【0041】
特定の実施形態では、本開示は、AAV9カプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、プロピオン酸血症(PA)の処置に有用なrAAVであって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に(a)AAV2 5’-ITR配列、(b)CMVエンハンサー配列、(c)CBAプロモーター配列、(d)rHBBまたはSV40スモールTイントロン配列、(e)配列番号7~12から選択されるPCCBのコード配列、(f)BGHまたはSV40ポリアデニル化シグナル配列、および(g)AAV2 3’-ITR配列を含む、rAAVを提供する。
【0042】
特定の実施形態では、本開示は、(a)5’-ITR配列、(b)プロモーター配列、(c)PCCAの部分的または完全なコード配列、および(d)3’-ITR配列を含む、組換え核酸構築物を提供する。特定の実施形態では、本開示は、(a)5’-ITR配列、(b)プロモーター配列、(c)PCCBの部分的または完全なコード配列、および(d)3’-ITR配列を含む、組換え核酸構築物を提供する。
【0043】
一部の態様では、本開示は、PAの処置のための本明細書に開示のrAAVの使用であって、このrAAVが、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、使用を提供する。一部の実施形態では、rAAVは、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に、5’-ITR、プロモーター配列、PCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、および3’-ITRを含む、パッケージングされたゲノムを含む。例となる実施形態では、パッケージングされたゲノムはまた、プロモーター配列の上流にエンハンサー配列、プロモーターの下流にイントロン、および3’-ITRの上流にポリアデニル化配列を含む。例となる一実施形態では、rAAVは、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に、AAV2 5’-ITR配列、CMVエンハンサー、CBAプロモーター、SV40スモールTイントロン、PCCAのコード配列、BGHポリアデニル化シグナル配列、およびAAV2 3’-ITRを含む、パッケージングされたゲノムを含む。一部の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、イントロン配列の下流に位置するコンセンサスKozak配列をさらに含む。一部の実施形態では、PCCAのコード配列は、配列番号1~6から選択される。一部の実施形態では、カプシドは、AAV9カプシドである。
【0044】
一部の態様では、本開示は、PAの処置のための本明細書に開示のrAAVの使用であって、このrAAVが、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、使用を提供する。一部の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に、5’-ITR、プロモーター配列(例えば、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーター配列)、ヒトPCCA5’-UTRの切断型または完全ヌクレオチド配列、PCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、ヒトPCCA3’-UTRの切断型または完全ヌクレオチド配列、および3’-ITRを含む。例となる実施形態では、パッケージングされたゲノムはまた、プロモーター配列の上流にエンハンサー配列、プロモーターの下流にイントロン、および3’-ITRの上流にPCCA遺伝子特異的ポリアデニル化配列を含む。一部の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、ヒトPCCA5’-UTRの切断型または完全ヌクレオチド配列の下流、およびPCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列の上流に位置するコンセンサスKozak配列をさらに含む。一部の実施形態では、PCCAのコード配列は、配列番号1~6から選択される。一部の実施形態では、カプシドは、AAV9カプシドである。
【0045】
一部の態様では、本開示は、PAの処置のための本明細書に開示のrAAVの使用であって、このrAAVが、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、使用を提供する。一部の実施形態では、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に含むパッケージングされたゲノムは、5’-ITR、プロモーター配列、PCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、および3’-ITRを含む。例となる実施形態では、パッケージングされたゲノムはまた、プロモーター配列の上流にエンハンサー配列、プロモーターの下流にイントロン、および3’-ITRの上流にポリアデニル化配列を含む。例となる一実施形態では、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に含むパッケージングされたゲノムは、AAV2 5’-ITR配列、CMVエンハンサー、CBAプロモーター、SV40スモールTイントロン、PCCBのコード配列、BGHポリアデニル化シグナル配列、およびAAV2 3’-ITRを含む。一部の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、イントロン配列の下流に位置するコンセンサスKozak配列をさらに含む。一部の実施形態では、PCCBのコード配列は、配列番号7~12から選択される。一部の実施形態では、カプシドは、AAV9カプシドである。
【0046】
一部の態様では、本開示は、PAの処置のための本明細書に開示のrAAVの使用であって、このrAAVが、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、使用を提供する。一部の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に、5’-ITR、プロモーター配列(例えば、PCCB遺伝子特異的内因性プロモーター配列)、ヒトPCCB5’-UTRの切断型または完全ヌクレオチド配列、PCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、ヒトPCCB3’-UTRの切断型または完全ヌクレオチド配列、および3’-ITRを含む。例となる実施形態では、パッケージングされたゲノムはまた、プロモーター配列の上流にエンハンサー配列、プロモーターの下流にイントロン、および3’-ITRの上流にPCCB遺伝子特異的ポリアデニル化配列を含む。一部の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、ヒトPCCB5’-UTRの切断型または完全ヌクレオチド配列の下流、およびPCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列の上流に位置するコンセンサスKozak配列をさらに含む。一部の実施形態では、PCCBのコード配列は、配列番号7~12から選択される。一部の実施形態では、カプシドは、AAV9カプシドである。
【0047】
本開示は、本明細書に開示のrAAVを含む医薬組成物にさらに関する。一部の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、または静脈内投与用に製剤化される。例となる実施形態では、医薬組成物は、静脈内投与用に製剤化される。
【0048】
さらに別の態様では、本開示は、治療有効量の本明細書に開示の少なくとも1つのrAAVをヒト対象に投与するステップを含む、ヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。一実施形態では、本開示は、AAVカプシド、およびPCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列を含む、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含むrAAVを投与するステップを含む、PAを処置する方法を提供する。別の実施形態では、本開示は、AAVカプシド、およびPCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列を含む、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含むrAAVを投与するステップを含む、PAを処置する方法を提供する。
【0049】
特定の実施形態では、本開示は、(1)AAVカプシド、およびPCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列を含む、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含むrAAV、ならびに(2)AAVカプシド、およびPCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列を含む、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含むrAAVを投与するステップを含む、PAを処置する方法を提供する。一部の実施形態では、(1)および(2)のrAAVは、同時に投与され得る。一部の実施形態では、(1)および(2)のrAAVは、連続的に投与され得る。一部の実施形態では、(1)および(2)のrAAVは、別々に投与され得る。
【0050】
特定の実施形態では、本開示は、(1)AAVカプシド、およびコード配列が、PCCBのものではなくPCCAのものであり、プロモーターが、PCCB遺伝子特異的内因性プロモーターではなくPCCA遺伝子特異的内因性プロモーターであり、ポリアデニル化シグナル配列が、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列ではなくPCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含むrAAV、ならびに/または(2)AAVカプシド、およびコード配列が、PCCAのものではなくPCCBのものであり、プロモーターが、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーターではなくPCCB遺伝子特異的内因性プロモーターであり、ポリアデニル化シグナル配列が、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列ではなくPCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、ベクターゲノムを含むrAAVを投与するステップを含む、PAを処置する方法を提供する。一部の実施形態では、(1)および(2)のrAAVは、同時に投与され得る。一部の実施形態では、(1)および(2)のrAAVは、連続的に投与され得る。一部の実施形態では、(1)および(2)のrAAVは、別々に投与され得る。
【0051】
特定の実施形態では、本開示は、PCCAにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象に、治療有効量の本明細書に開示の少なくとも1つのrAAVを投与するステップを含む、ヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。一実施形態では、本開示は、AAVカプシド、およびPCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列を含む、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、rAAVを投与するステップを含む、PCCAにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、AAVカプシド、およびコード配列が、PCCBのものではなくPCCAのものであり、プロモーターが、PCCB遺伝子特異的内因性プロモーターではなくPCCA遺伝子特異的内因性プロモーターであり、ポリアデニル化シグナル配列が、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列ではなくPCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、rAAVを投与するステップを含む、PCCAにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。特定の実施形態では、PCCAにおける変異は、表1から選択される。一部の実施形態では、PCCAのコード配列は、配列番号1~6から選択される。一部の実施形態では、カプシドは、AAV9カプシドである。
【0052】
一部の態様では、本開示は、PCCBにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象に、治療有効量の本明細書に開示の少なくとも1つのrAAVを投与するステップを含む、ヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。一実施形態では、本開示は、AAVカプシド、およびPCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列を含む、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、rAAVを投与するステップを含む、PCCBにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、AAVカプシド、およびコード配列が、PCCAのものではなくPCCBのものであり、プロモーターが、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーターではなくPCCB遺伝子特異的内因性プロモーターであり、ポリアデニル化シグナル配列が、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列ではなくPCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、rAAVを投与するステップを含む、PCCBにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。特定の実施形態では、PCCBにおける変異は、表2から選択される。一部の実施形態では、PCCBのコード配列は、配列番号7~12から選択される。一部の実施形態では、カプシドは、AAV9カプシドである。
【0053】
一部の実施形態では、rAAVは、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、または静脈内に投与される。例となる実施形態では、rAAVは、静脈内に投与される。一部の実施形態では、rAAVは、約1×1011~約1×1014ゲノムコピー(GC)/kgの用量で投与される。さらなる実施形態では、rAAVは、約1×1012~約1×1013ゲノムコピー(GC)/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、単一用量のrAAVを投与する。他の実施形態では、複数用量のrAAVを投与する。
【0054】
一部の態様では、本明細書に開示の組換え核酸分子、AAVベクター、またはrAAVを含む、宿主細胞を本明細書において提供する。特定の実施形態では、宿主細胞は、AAVの増殖に適し得る。特定の実施形態では、宿主細胞は、HeLa、Cos-7、HEK293、A549、BHK、Vero、RD、HT-1080、ARPE-19またはMRC-5細胞から選択される。
【0055】
本発明のこれらおよび他の態様および特徴は、本開示の以下の節に記載する。
【0056】
本発明は、以下の図の参照により、さらに完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1は、一実施形態による、PCCAを含む例となるパッケージングされたベクターゲノム構築物を示す例示的な図である。5’-ITR、CMVエンハンサー、ニワトリβアクチンプロモーター、SV40スモールTイントロン、コンセンサスKozak配列、PCCAコード配列、SV40ポリアデニル化シグナル、および3’-ITRは、それぞれ図において1、2、3、4、5、6、7および8により表す。
【0058】
図2図2は、一実施形態による、PCCBを含む例となるパッケージングされたベクターゲノム構築物を示す例示的な図である。5’-ITR、CMVエンハンサー、ニワトリβアクチンプロモーター、SV40スモールTイントロン、コンセンサスKozak配列、PCCBコード配列、SV40ポリアデニル化シグナル、および3’-ITRは、それぞれ図において1、2、3、4、5、6、7および8により表す。
【0059】
図3図3は、対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、noTX)、増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC346)、またはヒトPCCAのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC347、DTC348またはDTC349)を継代肝細胞株(HepG2)にトランスフェクションした後のRT-qPCRにより判定した場合のPCCA RNA発現における倍率変化を示す棒グラフである。
【0060】
図4A図4Aは、レーン1~レーン7にそれぞれ、対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、noTX)、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC346)、ヒトPCCAのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC347、DTC348またはDTC349)、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列およびヒトPCCBの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC365)、または増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)をトランスフェクトした継代肝細胞株(HepG2)において、ウエスタンブロットにより検出したタンパク質発現レベルを示す画像である。βアクチン(「アクチン」)をローディング対照として使用した。
【0061】
図4B図4Bは、レーン1~レーン7にそれぞれ、対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、noTX)、増強した緑色蛍光タンパク質、eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC346)、ヒトPCCAのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC347、DTC348またはDTC349)、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列およびヒトPCCBの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC365)をトランスフェクトした継代肝細胞株(Huh7)において、ウエスタンブロットにより検出したタンパク質発現レベルを示す画像である。βアクチン(「アクチン」)をローディング対照として使用した。
【0062】
図5図5は、全細胞溶解液(WCL)、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC346)をトランスフェクトするか、またはトランスフェクトしない継代肝細胞株(HepG2)から単離した細胞内画分(細胞質画分(cyto)およびミトコンドリア画分(ミトコンドリア))における、ウエスタンブロットにより検出したPCCAタンパク質発現レベルを示す画像である。1Xおよび2Xは、ロードしたミトコンドリア画分の相対容量を表す。βアクチン(「アクチン」)をローディング対照として使用した。
【0063】
図6図6は、左から右に、増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC346)、またはヒトPCCAのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC347、DTC348またはDTC349)を継代腎細胞株(HEK293)に3重トランスフェクションした後のqPCRにより判定した場合のPCCA AAV9力価(ゲノムコピー(GC)/mLによる)の倍率変化を示す棒グラフである。それぞれを、AAV9カプシドを発現するプラスミド(pAAV2/9)およびアデノウイルスヘルパー機能を供給するプラスミド(pAdHelper)を同時トランスフェクトした細胞において発現させる。非トランスフェクト細胞を対照として使用し、「noTX」として表す。
【0064】
図7図7は、左から右にそれぞれ、PCCAおよびPCCB発現組換えAAV(rAAV)ベクターカセット(DTC365)、PCCA発現組換えAAV(rAAV)ベクターカセット(DTC349、DTC348、DTC347またはDTC346)またはeGFP発現組換えAAV(rAAV)ベクターカセット(DTC343)を含むアフィニティ精製したAAV9粒子のDNAアルカリアガロースゲルの画像である。
【0065】
図8図8は、対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、noTX)、増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCBの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC366)、またはヒトPCCBのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC367、DTC370、DTC368、DTC369またはDTC371)を継代肝細胞株(HepG2)にトランスフェクションした後のRT-qPCRにより判定した場合のPCCB RNA発現における倍率変化を示す棒グラフである。
【0066】
図9A図9Aは、レーン1~レーン8にそれぞれ、対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、noTX)、増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCBの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC366)またはヒトPCCBのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC367、DTC368、DTC369、DTC370またはDTC371)をトランスフェクトした継代肝細胞株(HepG2)における、ウエスタンブロットにより検出したタンパク質発現レベルを示す画像である。βアクチン(「アクチン」)をローディング対照として使用した。
【0067】
図9B図9Bは、レーン1~レーン8にそれぞれ、対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、noTX)、増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCBの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC366)またはヒトPCCBのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC367、DTC369、DTC368、DTC370またはDTC371)をトランスフェクトした継代肝細胞株(Huh7)における、ウエスタンブロットにより検出したタンパク質発現レベルを示す画像である。βアクチン(「アクチン」)をローディング対照として使用した。
【0068】
図10図10は、全細胞溶解液(WCL)、ヒトPCCBの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC366)をトランスフェクトするか、またはトランスフェクトしない継代肝細胞株(HepG2)から単離した細胞内画分(細胞質画分(cyto)およびミトコンドリア画分(ミトコンドリア))における、ウエスタンブロットにより検出したPCCBタンパク質発現レベルを示す画像である。1Xおよび2Xは、ロードしたミトコンドリア画分の相対容量を表す。βアクチン(「アクチン」)をローディング対照として使用した。
【0069】
図11図11は、左から右に、増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCBの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC366)、またはヒトPCCAのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC367、DTC368、DTC369、DTC370またはDTC371)を継代腎細胞株(HEK293)に3重トランスフェクションした後のqPCRにより判定した場合のPCCB AAV9力価(ゲノムコピー(GC)/mLによる)の倍率変化を示す棒グラフである。それぞれを、AAV9カプシドを発現するプラスミド(pAAV2/9)およびアデノウイルスヘルパー機能を供給するプラスミド(pAdHelper)を同時トランスフェクトした細胞において発現させる。非トランスフェクト細胞を対照として使用し、「noTX」として表す。
【0070】
図12図12は、左から右にそれぞれ、対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、noTX)、eGFP発現組換えAAV(rAAV)ベクターカセット(DTC343)またはPCCB発現組換えAAV(rAAV)ベクターカセット(DTC366、DTC367、DTC368、DTC369、DTC370またはDTC371)を含むアフィニティ精製したAAV9粒子のDNAアルカリアガロースゲルの画像である。
【0071】
図13図13は、ヒトPCCAの完全天然配列(DTC346)またはヒトPCCAのコドン最適化配列(DTC347、DTC348またはDTC349)をコードするrAAVによる処置後の野生型FVBマウスにおけるマウス内因性PCCA発現に対するヒトPCCAタンパク質発現の百分率を示す棒グラフである。エラーバーは、標準偏差を表す。
【0072】
図14図14は、ヒトPCCAの完全天然配列(DTC346)またはヒトPCCAのコドン最適化配列(DTC347、DTC348またはDTC349)をコードするrAAVによる処置後のPCCA発現低下マウスモデル(A138T変異体)において発現したヒト野生型PCCAタンパク質の濃度(nmol/gタンパク質による)を示す棒グラフである。列挙する百分率の数は、野生型FVBマウスの内因性PCCAタンパク質レベルに対する百分率として算出したヒト野生型PCCA発現を表す。エラーバーは、標準偏差を表す。
【0073】
図15図15は、1分あたりの平均カウント(CPM)データにより測定した、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするrAAV(DTC346)による処置後のPCCA発現低下マウスモデル(A138T変異体)におけるヒトPCCA活性の棒グラフである。エラーバーは、標準偏差を表す。列挙する百分率の数は、野生型FVBマウスにおいて観察されたものに対するCPMデータを記載する。Dunnettの多重比較検定を使用して、**は、PBS処置群との比較によりp<0.01を表す。
【0074】
図16-1】図16A~Cは、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするrAAV(DTC346)による処置後のPCCA発現低下マウスモデル(A138T変異体)におけるプロピオン酸血症の既知のバイオマーカーの濃度を示す棒グラフである。図16Aは、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするrAAV(DTC346)による処置後のPCCA発現低下マウスモデル(A138T変異体)におけるC3(プロピオニルカルニチン)の血漿濃度を示す棒グラフである。図16Bは、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするrAAV(DTC346)による処置後のPCCA発現低下マウスモデル(A138T変異体)におけるC3/C2(プロピオニルカルニチン/アセチルカルニチン)の血漿濃度比の棒グラフである。図16Cは、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするrAAV(DTC346)による処置後のPCCAマ発現低下ウスモデル(A138T変異体)における2-メチルクエン酸(2MC)の血漿濃度を示す棒グラフである。Preは、rAAVの注射0~14日前を示し、2Wは、rAAV注射2週後を示し、3Wは、rAAV注射3週後を示し、4Wは、rAAV注射4週後を示し、6Wは、rAAV注射6週後を示す。エラーバーは、標準偏差を表す。Dunnettの多重比較検定を使用して、**は、PBS処置群との比較によりp<0.01を表し、***は、PBS処置群との比較によりp<0.001を表す。
図16-2】同上。
【発明を実施するための形態】
【0075】
本発明は、治療適用に使用する様々な新規の薬剤および組成物を提供する。本発明の核酸配列、ベクター、組換えウイルス、および関連する組成物は、本明細書に開示のように、PAを回復、予防、または処置するために使用することができる。
【0076】
他に述べない限り、技術的用語は、通常の使用法に従って使用する。分子生物学における一般的用語の定義は、Benjamin Lewin, Genes V, published by Oxford University Press, 1994 (ISBN 0-19-854287-9);Kendrew et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Biology, published by Blackwell Science Ltd., 1994 (ISBN 0-632-02182-9);およびRobert A. Meyers (ed.), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, published by VCH Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1-56081-569-8)に見出され得る。
【0077】
本開示の種々の実施形態の再考察を容易とするために、特定の用語について以下の説明を提供する。
【0078】
アデノ随伴ウイルス(AAV):小型で複製欠損の、エンベロープを有しないウイルスであり、ヒトおよび他の一部の霊長類種に感染する。AAVは、疾患を生じないとされており、誘発する免疫応答は非常に軽度である。AAVを利用する遺伝子治療ベクターは、分裂細胞と静止細胞の両方に感染させることができ、染色体外の状態で存続可能であり宿主細胞のゲノムに組み込む必要がない。このような特徴により、AAVは、遺伝子治療のための魅力的なウイルスベクターとなっている。現在、認識されている12種のAAV血清型(AAV1~12)が存在する。
【0079】
投与/投与する:対象に薬剤、例えば、治療薬(例えば、組換えAAV)を、任意の有効経路により提供または与えること。例となる投与経路としては、注射(例えば、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、および静脈内)、経口、管内、舌下、直腸、経皮、鼻腔内、膣内、および吸入による経路が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
コドン最適化:「コドン最適化」核酸は、コドンが特定の系(例えば、特定の種または種の群)における発現に最適であるように変更されている核酸配列を指す。例えば、核酸配列は、哺乳動物細胞または特定の哺乳動物種(例えば、ヒト細胞)における発現のために最適化することができる。コドン最適化では、コードされたタンパク質のアミノ酸配列は変更しない。
【0081】
エンハンサー:プロモーターの活性を高めることにより転写率を上昇させる核酸配列。
【0082】
イントロン:タンパク質のコード情報を含まない遺伝子内のひと続きのDNA。イントロンは、メッセンジャーRNAの翻訳前に除去される。
【0083】
逆位末端反復(ITR):効率的な複製に必要とされるアデノ随伴ウイルスのゲノム内の対称的な核酸配列。ITR配列は、AAV DNAゲノムの各末端に位置する。ITRは、ウイルスDNA合成のための複製起点として作用し、AAV組込みベクターの生成に必須のcis成分である。
【0084】
単離物:生物の細胞もしくは組織または生物それ自体における他の生物学的成分から実質的に分離または精製した「単離」生物学的成分(例えば、核酸分子、タンパク質、ウイルスまたは細胞)であり、この成分は、他の染色体および染色体外DNAおよびRNA、タンパク質ならびに細胞のように天然に存在する。「単離」された核酸分子およびタンパク質は、標準的精製方法により精製されたものを含む。また、この用語は、宿主細胞において組換え発現により調製した核酸分子およびタンパク質ならびに化学的に合成した核酸分子およびタンパク質を包含する。
【0085】
作動可能に連結:第1の核酸配列を第2の核酸配列と機能的関係において配置する場合、第1の核酸配列は、第2の核酸配列と作動可能に連結させる。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響する場合、プロモーターは、コード配列に作動可能に連結させる。一般には、作動可能に連結したDNA配列は、同一のリーディングフレームにおいて近接し、2つのタンパク質コード領域の連結に必要な場所に存在する。
【0086】
薬学的に許容される担体:本開示において有用な薬学的に許容される担体(ビヒクル)は、通常のものである。Remington’s Pharmaceutical Sciences, by E. W. Martin, Mack Publishing Co., Easton, Pa., 15th Edition (1975)では、1つまたは複数の治療化合物、分子または薬剤の医薬送達に適する組成物および製剤を記載している。
【0087】
一般には、担体の性質は、利用される特定の投与方法に依存する。例えば、非経口的製剤では、薬学的および生理学的に許容される液体、例えば、水、生理食塩水、平衡塩類溶液、デキストロース水溶液、グリセリン等をビヒクルとして含む注射液を通常含む。固形組成物、例えば、散剤、丸剤、錠剤、またはカプセルの形態では、通常の非毒性固形担体は、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムを含み得る。生物学的に中性の担体に加えて、投与する医薬組成物は、少量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、保存剤およびpH緩衝剤等、例えば、酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートを含み得る。
【0088】
疾患の予防、処置または回復:疾患(例えば、PA)の「予防」は、疾患の完全な発症の阻害を指す。「処置」は、疾患または病態(例えば、PA)の兆候または症状を、発症を開始した後に回復させる治療介入を指す。「回復」は、疾患(例えば、PA)の兆候または症状の数または重症度の低下を指す。
【0089】
プロモーター:核酸(例えば、遺伝子)の転写を方向づける/開始するDNAの領域。プロモーターは、転写開始部位の付近に必要な核酸配列を含む。多くのプロモーター配列が当業者に公知であり、人工核酸分子における種々のプロモーター配列の組合せも、やはり可能である。本明細書において使用する場合、遺伝子特異的内因性プロモーターは、目的の内因性遺伝子の発現を制御する天然プロモーターエレメントを指す。例となる実施形態では、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーターは、PCCA遺伝子の発現を制御する。例となる別の実施形態では、PCCB遺伝子特異的内因性プロモーターは、PCCB遺伝子の発現を制御する。
【0090】
精製物:用語「精製物」は、絶対的純度を必要とせず、むしろ、相対的用語を意図する。したがって、例えば、精製ペプチド、タンパク質、ウイルス、または他の活性化合物は、天然に付随するタンパク質および他の夾雑物から全部または部分的に単離されたものである。特定の実施形態では、用語「実質的精製物」は、細胞、細胞培養培地、または他の粗製物から単離し、分画に供して最初の調製物の種々の成分、例えば、タンパク質、細胞残屑および他の成分が除去されている、ペプチド、タンパク質、ウイルスまたは他の活性化合物を指す。
【0091】
組換え体:組換え核酸分子は、天然に存在しない配列を有するか、または配列の2つの他の別々のセグメントの人工的組合せにより生成された配列を有するものである。この人工的組合せは、化学合成または核酸分子の単離したセグメントの人工的操作、例えば、遺伝子改変技術により達成することができる。
【0092】
同様に、組換えウイルスは、天然に存在しない、または異なる起源の少なくとも2つの配列の人工的組合せにより生成される、配列(例えば、ゲノム配列)を含むウイルスである。また、用語「組換え体」は、天然核酸分子、タンパク質またはウイルスの部分の付加、置換、または欠失により単独で変更されている、核酸、タンパク質およびウイルスを含む。本明細書において使用する場合、「組換えAAV」は、組換え核酸分子、例えば、PCCAをコードする組換え核酸分子および/またはPCCBをコードする組換え核酸分子がパッケージングされているAAV粒子を指す。
【0093】
配列同一性:2つもしくはそれよりも多い核酸配列、または2つもしくはそれよりも多いアミノ酸配列間の同一性または類似性は、配列間の同一性または類似性に関して表す。配列同一性は、百分率同一性に関して測定することができ、百分率が高いほど、配列は同一である。配列類似性は、百分率類似性(保存的アミノ酸置換を考慮する)に関して測定することができ、百分率が高いほど、配列は類似する。核酸またはアミノ酸配列のホモログまたはオルソログは、標準的方法を使用してアラインメントした場合、相対的に高度な配列同一性/類似性を有する。この相同性は、オルソロガスなタンパク質またはcDNAが、より遠縁の種(例えば、ヒトおよびC.elegansの配列)と比較して、より近縁の種(例えば、ヒトおよびマウスの配列)に由来する場合、より顕著である。
【0094】
比較のための配列のアラインメントの方法は、当技術分野において周知である。種々のプログラムおよびアラインメントアルゴリズムは、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482, 1981;Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443, 1970;Pearson & Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444, 1988;Higgins & Sharp, Gene, 73:237-44, 1988;Higgins & Sharp, CABIOS5:151-3, 1989;Corpet et al., Nuc. Acids Res. 16:10881-90, 1988;Huang et al. Computer Appls. in the Biosciences 8, 155-65, 1992;およびPearson et al., Meth. Mol. Rio. 24:307-31, 1994に記載されている。Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-10, 1990では、配列アラインメント方法および相同性算出の詳細な考察を示す。
【0095】
NCBIのBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-10, 1990)は、配列解析プログラムであるblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxと関連する使用のために、米国立生物情報センター(NCBI)およびインターネット上を含む、いくつかの供給源から入手可能である。さらなる情報は、NCBIウェブサイトにおいて見出すことができる。
【0096】
血清型:抗原の特性集合により識別される近縁の微生物(例えば、ウイルス)の群。
【0097】
スタッファー配列:大型の核酸分子(例えば、ベクター)に含まれるヌクレオチドの配列を指し、2つの核酸物質間(例えば、プロモーターとコード配列との間)に所望のスペースを生成するか、または核酸分子を伸長して所望の長さとするのに典型的に使用する。スタッファー配列は、タンパク質コード情報を含まず、不明/合成の起源であり、および/または大型の核酸分子内の他の核酸配列とは無関係であり得る。
【0098】
対象:生多細胞脊椎生物であり、ヒトおよび非ヒト哺乳動物含む種類。
【0099】
合成物:研究室において人工的手段により生成され、例えば、合成核酸は、研究室において化学的に合成され得る。
【0100】
非翻訳領域(UTR):コード領域の上流および下流にそれぞれ5’非翻訳領域(「5’UTR」)および3’非翻訳領域(3’UTR)を含む典型的mRNA(Mignone F. et. al., (2002) Genome Biol 3:REVIEWS0004を参照)。
【0101】
治療有効量:薬剤により処置する対象または細胞において所望の作用を達成するのに十分な特定の医薬品または治療薬(例えば、組換えAAV)の量。有効量の薬剤は、それらに限定されないが、処置する対象または細胞および治療組成物の投与方法を含む、いくつかの因子に依存する。
【0102】
ベクター:ベクターは、ベクターの複製能および/または宿主細胞に組み込む能力を妨害することなく外来核酸の挿入を可能とする核酸分子である。ベクターは、宿主細胞における複製を可能とする核酸配列、例えば、複製起点を含み得る。また、ベクターは、1つまたは複数の選択マーカー遺伝子および他の遺伝的エレメントを含み得る。発現ベクターは、挿入した1つまたは複数の遺伝子の転写および翻訳を可能とするのに必要な制御配列を含むベクターである。本明細書における一部の実施形態では、ベクターは、AAVベクターである。
【0103】
他に説明しない限り、本明細書において使用するすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同一の意味を有する。単数の用語「a」、「an」および「the」は、文脈上明白に他に指示しない限り、複数の参照対象を含む。「AまたはBを含む」は、AもしくはBまたはAおよびBを含むことを意味する。核酸またはポリペプチドのために示す、すべての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、ならびにすべての分子量または分子質量の値は、近似値であり、説明のために提供されることがさらに理解されるべきである。本明細書に記載のものと類似または等価な方法および材料を、本開示の実践または試験において使用することができるが、適する方法および材料は、以下に記載する。本明細書において言及するすべての公表文献、特許出願、特許、および他の参考文献は、これらの全体を参照により組み込む。矛盾する場合は、用語の説明を含む本明細書が優先される。加えて、材料、方法、および実施例は、単なる例示であり、制限することは意図しない。
ウイルスベクター:
【0104】
一部の態様では、本開示は、AAV5’-ITR、プロモーター配列、PCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、およびAAV3’-ITRを含む、パッケージングされたゲノムを含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを提供する。
【0105】
特定の実施形態では、本開示は、AAV5’-ITR、プロモーター配列、ヒトPCCA5’-UTRの切断型または完全なヌクレオチド配列、PCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、切断型または完全なヒトPCCA3’-UTRヌクレオチド配列、およびAAV3’-ITRを含む、パッケージングされたゲノムを含むAAVベクターを提供する。
【0106】
一部の態様では、本開示は、AAV5’-ITR、プロモーター配列、PCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、およびAAV3’-ITRを含む、パッケージングされたゲノムを含むAAVベクターを提供する。
【0107】
特定の実施形態では、本開示は、AAV5’-ITR、プロモーター配列、ヒトPCCB5’-UTRの切断型または完全なヌクレオチド配列、PCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、切断型または完全なヒトPCCB3’-UTRヌクレオチド配列、およびAAV3’-ITRを含む、パッケージングされたゲノムを含むAAVベクターを提供する。
【0108】
一部の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、本明細書に記載のエンハンサー、イントロン、コンセンサスKozak配列、および/またはポリアデニル化シグナルをさらに含み得る。一部の実施形態では、組換えベクターは、1つまたは複数のスタッファー核酸配列をさらに含み得る。一実施形態では、スタッファー核酸配列は、イントロンとPCCAまたはPCCBの部分的または完全なコード配列との間に位置する。
【0109】
本明細書に記載の種々の実施形態では、組換えウイルスベクターは、AAVベクターである。AAVベクターは、血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12のAAVベクター(すなわち、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11またはAAV12)ならびにヒトおよび非ヒト霊長類組織から単離された100種を超えるバリアントのいずれか1つであり得る。例えば、Choi et al., 2005, Curr Gene Ther. 5: 299-310, 2005およびGao et al., 2005, Curr Gene Ther. 5: 285-297を参照されたい。任意の血清型のAAVベクターを本発明において使用してもよく、AAV血清型の選択は、遺伝子治療の標的とする細胞型(複数可)に部分的に依存する。PAの処置では、肝臓は、適切な標的器官の1つである。一部の実施形態では、AAVベクターは、血清型9(AAV9)、血清型8(AAV8)またはこのバリアントから選択される。例となる実施形態では、AAVベクターは、血清型9(AAV9)またはこのバリアントである。
【0110】
一部の実施形態では、AAVおよびアデノウイルスヘルパー機能がtransに提供される場合、組換えAAVベクターは、ベクターDNA複製起点とベクターゲノムのパッケージングシグナルの両方として機能するAAV ITR配列を含む。加えて、ITRは、大型のRepタンパク質による一本鎖エンドヌクレアーゼによるニッキングの標的となり、複製中間体から個々のゲノムを分割する。
【0111】
一部の実施形態では、5’-ITR配列は、AAV2由来である。一部の実施形態では、3’-ITR配列は、AAV2由来である。一部の実施形態では、5’-ITR配列および3’-ITR配列は、AAV2由来である。一部の実施形態では、5’-ITR配列および/または3’-ITR配列は、AAV2由来であり、配列番号15を含むか、またはこれからなる。他の実施形態では、5’-ITR配列および/または3’-ITR配列は、非AAV2供給源由来である。
【0112】
例となる一部の実施形態では、AAVベクターは、AAV血清型9(AAV9)ベクターであり、ベクターは、本明細書に記載のエンハンサー、プロモーター、イントロン、PCCAまたはPCCBのコード配列、およびポリアデニル化シグナルを含む。一部の実施形態では、AAV9ベクターは、2つのAAV2、AAV8またはAAV9逆位末端反復(ITR)配列を、一方はエンハンサーの5’に、他方はポリアデニル化シグナルの3’にさらに含む。例となる実施形態では、AAV9ベクターは、2つのAAV2逆位末端反復(ITR)配列を、一方はエンハンサーの5’に、他方はポリアデニル化シグナルの3’に含む。一部の実施形態では、AAV2 ITR配列は、配列番号15を含むか、またはこれからなる。例となる別の実施形態では、AAV9ベクターは、2つのAAV9逆位末端反復(ITR)配列を、一方はエンハンサーの5’に、他方はポリアデニル化シグナルの3’に含む。
プロモーター:
【0113】
本明細書に記載の種々の態様では、導入遺伝子発現、例えば、PCCAまたはPCCBの発現の駆動および制御に役立つプロモーター配列を含むパッケージングされたゲノムを含む、ウイルスベクターを提供する。特定の実施形態では、プロモーターは、ニワトリβアクチン(CBA)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)前初期遺伝子プロモーター、トランスサイレチン(TTR)プロモーター、チロシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、アルファ1アンチトリプシン(A1AT)プロモーター、CAGプロモーター、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーター、およびPCCB遺伝子特異的内因性プロモーターから選択される。例となる実施形態では、プロモーター配列は、選択された5’-ITR配列とPCCAまたはPCCBの部分的または完全なコード配列との間に位置する。一部の実施形態では、プロモーター配列は、エンハンサー配列の下流に位置する。一部の実施形態では、プロモーター配列は、イントロン配列の上流に位置する。一部の実施形態では、プロモーター配列は、選択された5’-ITR配列とヒトPCCAまたはヒトPCCB5’-非翻訳領域(UTR)の切断型または完全なヌクレオチド配列との間に位置する。
【0114】
一部の例示的実施形態では、CMV前初期エンハンサー(CMV IE)の下流に必要に応じて位置し得る、ユビキタスなニワトリβアクチンプロモーター(CBA)を使用する。一部の特定の実施形態では、本明細書に記載のパッケージングされたゲノムは、天然PCCAまたはPCCBプロモーターエレメントを含む。一部の例示的実施形態では、本明細書に記載のパッケージングされたゲノムは、パッケージングされたゲノムにおける部分的または完全なコード配列がPCCAのものである場合、配列番号34の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーターを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載のパッケージングされたゲノムは、配列番号34の等長領域と少なくとも95%同一である、約15(例えば、約30、約45、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、約230、約240、約250、約260、約270、約280、約290、約300、約325、約350、約375、約400、約425、約450、約475、約500、約525、約550、約575、約600、約625、約650、約675、約700、約725または約750)個の連続するヌクレオチド配列を含む、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーターを含む。一部の例示的実施形態では、本明細書に記載のパッケージングされたゲノムは、ベクターゲノムにおける部分的または完全なコード配列がPCCAのものである場合、配列番号34の等長領域と100%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーターを含む。
【0115】
一部の例示的実施形態では、本明細書に記載のパッケージングされたゲノムは、ベクターゲノムにおける部分的または完全なコード配列がPCCBのものである場合、配列番号36の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、PCCB遺伝子特異的内因性プロモーターを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載のパッケージングされたゲノムは、配列番号36の等長領域と少なくとも95%同一である、約15(例えば、約30、約45、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、約230、約240、約250、約260、約270、約280、約290、約300、約325、約350、約375、約400、約425または約450)個の連続するヌクレオチド配列を含む、PCCB遺伝子特異的内因性プロモーターを含む。一部の例示的実施形態では、本明細書に記載のパッケージングされたゲノムは、ベクターゲノムにおける部分的または完全なコード配列がPCCBのものである場合、配列番号36の等長領域と100%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む、PCCB遺伝子特異的内因性プロモーターを含む。
【0116】
一部の実施形態では、プロモーターは、ニワトリβアクチン(CBA)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)前初期遺伝子プロモーター、トランスサイレチン(TTR)プロモーター、チロシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、アルファ1アンチトリプシン(A1AT)プロモーター、およびCAGプロモーターから選択される。例となる実施形態では、プロモーターは、CBAプロモーターである。一実施形態では、CBAプロモーターは、配列番号18を含むか、またはこれからなる。
【0117】
プロモーターに加えて、パッケージングされたゲノムは、他の適切な転写開始、終止、エンハンサー配列、および効率的なRNAプロセシングシグナルを含み得る。さらに詳細に以下に記載するように、このような配列は、スプライシングおよびポリアデニル化(ポリA)シグナル、発現を増強する制御エレメント(すなわち、WPRE)、細胞質mRNAを安定化する配列、翻訳効率を増強する配列(すなわち、Kozakコンセンサス配列)およびタンパク質安定性を増強する配列を含む。
【0118】
一部の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、コンセンサスKozak配列をさらに含む。一部の実施形態では、コンセンサスKozak配列は、イントロン配列の下流に位置する。一部の実施形態では、コンセンサスKozak配列は、GCCGCC(配列番号24)である。当業者により理解されるように、コンセンサスKozak配列は、コード配列のすぐ上流に典型的に位置し、この場合、PCCAまたはPCCBの部分的または完全なコード配列のすぐ上流に位置する。当業者により理解されるように、コンセンサスKozak配列は、治療ポリペプチド、例えば、PCCAまたはPCCBの開始コドンに対応するATG残基を共有すると考えられ得る。開示の単純化のために、本明細書に記載する場合、コンセンサスKozak配列は、治療ポリペプチド、例えば、PCCAまたはPCCBと共有されない領域に対応する6ヌクレオチド配列を含む。
非翻訳領域(UTR):
【0119】
内因性遺伝子特異的mRNA由来の5’非翻訳領域(UTR)は、翻訳開始因子およびリボソームの細胞転写物との競合、mRNA崩壊または転写後遺伝子サイレンシングの最小化によるmRNA半減期の延長、ならびに制御タンパク質または阻害RNA二次構造との有害相互作用の回避による導入遺伝子生成の最適化において重要な役割を果たすことで知られている(Chiba, Y., and Green, P. (2009). J. Plant Biol. 52, 114-124、Moore, M. J., and Proudfoot, N. J. (2009). Cell 136, 688-700、Jackson, R. J., et. al. (2010). Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 11, 113-127を参照)。タンパク質コード配列の下流に位置する3’非翻訳領域(3’-UTR)は、転写物切断、安定性およびポリアデニル化、翻訳ならびにmRNA局在化を含む、多数の制御プロセスに関与することがわかっている。したがって、これらは、mRNAの運命決定において重要である(Barrett, L.W., et. al. (2012). Cell Mol Life Sci. Nov; 69(21): 3613-3634を参照)。特定の実施形態では、本開示は、ヒトPCCAまたはPCCB5’-UTRの切断型または完全なヌクレオチド配列を含む、パッケージングされたゲノムを含むrAAVを提供する。特定の実施形態では、本開示は、ヒトPCCAまたはPCCB3’-UTRの切断型または完全なヌクレオチド配列を含む、パッケージングされたゲノムを含むrAAVを提供する。
【0120】
特定の実施形態では、本開示は、AAV5’-ITR、プロモーター配列、ヒトPCCA5’-UTRの切断型または完全なヌクレオチド配列、PCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、切断型または完全なヒトPCCA3’-UTRヌクレオチド配列、およびAAV3’逆位末端反復配列(ITR)を含む、パッケージングされたゲノムを含むrAAVを提供する。
【0121】
特定の実施形態では、本開示は、AAV5’-ITR、プロモーター配列、ヒトPCCB5’-UTRの切断型または完全なヌクレオチド配列、PCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、切断型または完全なヒトPCCB3’-UTRヌクレオチド配列、およびAAV3’-ITRを含む、パッケージングされたゲノムを含むrAAVを提供する。
【0122】
特定の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、配列番号30により表す完全なヒトPCCA5’-UTRを含む。特定の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、配列番号32により表す完全なヒトPCCB5’-UTRを含む。
【0123】
特定の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、切断型天然ヒトPCCA5’-UTRを含む。特定の実施形態では、切断型ヒトPCCA5’-UTRは、配列番号30の等長領域と少なくとも95%同一である、約50個の連続するヌクレオチド~約1400個の連続するヌクレオチド(例えば、約75、約100、約125、約150、約175、約200、約250、約275、約300、約325、約350、約400、約425、約450、約475、約500、約525、約550、約575、約600、約625、約650、約675、約700、約725、約750、約775、約800、約825、約850、約900、約925、約950、約975、約1000、約1025、約1050、約1075、約1100、約1125、約1150、約1175、約1200、約1225、約1250、約1275、約1300、約1325または約1350個)のヌクレオチド配列を含む。
【0124】
特定の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、切断型天然ヒトPCCB5’-UTRを含む。特定の実施形態では、切断型ヒトPCCB5’-UTRは、配列番号32の等長領域と少なくとも95%同一である、約50個の連続するヌクレオチド~約1400個の連続するヌクレオチド(例えば、約75、約100、約125、約150、約175、約200、約250、約275、約300、約325、約350、約400、約425、約450、約475、約500、約525、約550、約575、約600、約625、約650、約675、約700、約725、約750、約775、約800、約825、約850、約900、約925、約950、約975、約1000、約1025、約1050、約1075、約1100、約1125、約1150、約1175、約1200、約1225、約1250、約1275、約1300、約1325または約1350個)のヌクレオチド配列を含む。
【0125】
特定の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、配列番号31により表す完全なヒトPCCA3’-UTRを含む。特定の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、配列番号33により表す完全なヒトPCCB3’-UTRを含む。
【0126】
特定の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、切断型天然ヒトPCCA3’-UTRを含む。特定の実施形態では、切断型ヒトPCCA3’-UTRは、配列番号31の等長領域と少なくとも95%同一である、約15(例えば、約30、約45、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、約230、約240、約250、約260、約270)個の連続するヌクレオチド配列を含む。
【0127】
特定の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、切断型天然ヒトPCCB3’-UTRを含む。特定の実施形態では、切断型ヒトPCCB3’-UTRは、配列番号33の等長領域と少なくとも95%同一である、約15(例えば、約30、約45、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140または約150個の連続するヌクレオチド配列を含む。
PCCAまたはPCCBポリペプチド:
【0128】
本明細書に記載するように、本発明の態様では、AAV5’-ITR、プロモーター配列、PCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、およびAAV3’-ITRを含む、パッケージングされたゲノムを含む組換えベクターを提供する。さらに、AAV5’-ITR、プロモーター配列、PCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、およびAAV3’-ITRを含む、パッケージングされたゲノムを含む組換えベクターを記載する。
【0129】
一実施形態では、PCCAまたはPCCBの部分的または完全なコード配列は、野生型コード配列である。本明細書において使用する場合、用語「野生型」は、天然に存在するバイオポリマー(例えば、ポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列)と同一のバイオポリマー(例えば、ポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列)を指す。
【0130】
代替の実施形態では、PCCAまたはPCCBの部分的または完全なコード配列は、コドン最適化コード配列である。一実施形態では、PCCAまたはPCCBの部分的または完全なコード配列は、ヒトにおける発現のためにコドン最適化されている。
【0131】
本明細書に記載の種々の実施形態では、PCCAまたはPCCBのコード配列を含むパッケージングされたゲノムを含むベクターを提供する。本明細書に記載のベクターにより送達されるポリペプチドは、ヒトを含む哺乳動物の処置において使用し得る、PCCAおよびPCCBポリペプチドを包含する。
【0132】
一部の実施形態では、本明細書に記載のベクターにより発現するポリペプチドは、PCCA(配列番号16;GenBank受託番号NP_000273.2;728アミノ酸)またはこの機能性断片、機能性バリアント、もしくは機能性アイソフォームである。一部の実施形態では、本明細書に記載のベクターにより発現するポリペプチドは、PCCAであり、配列番号16を含むか、またはこれからなる。
【0133】
一実施形態では、PCCAポリペプチドは、配列番号1に示す野生型コード配列によりコードされる。別の実施形態では、PCCAの天然アイソフォームまたはバリアントを発現するコード配列を使用してもよく、例えば、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号P05165-1(配列番号25)、P05165-2(配列番号26)およびP05165-3(配列番号27)に示すものが挙げられる。代替の実施形態では、PCCAポリペプチドは、コドン最適化コード配列によりコードされる。一部の実施形態では、PCCAポリペプチドは、配列番号1に示す野生型コード配列と80%未満同一であるコドン最適化コード配列によりコードされる。例となる一部の実施形態では、PCCAポリペプチドは、配列番号2~6から選択されるコドン最適化コード配列によりコードされる。一部の実施形態では、PCCAのコード配列は、終止コドン(TGA、TAAまたはTAG)を3’末端にさらに含み得る。
【0134】
一部の実施形態では、本明細書に記載のベクターにより発現するポリペプチドは、PCCB(配列番号17;GenBank受託番号NP_000523.2;539アミノ酸)またはこの機能性断片、機能性バリアント、もしくは機能性アイソフォームである。一部の実施形態では、本明細書に記載のベクターにより発現するポリペプチドは、PCCBであり、配列番号17を含むか、またはこれからなる。
【0135】
一実施形態では、PCCBポリペプチドは、配列番号7に示す野生型コード配列によりコードされる。別の実施形態では、PCCBの天然アイソフォームまたはバリアントを発現するコード配列を使用してもよく、例えば、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号P05166-1(配列番号28)およびP05166-2(配列番号29)に示すものが挙げられる。代替の実施形態では、PCCBポリペプチドは、コドン最適化コード配列によりコードされる。一部の実施形態では、PCCBポリペプチドは、配列番号7に示す野生型コード配列と80%未満同一であるコドン最適化コード配列によりコードされる。例となる一部の実施形態では、PCCBポリペプチドは、配列番号8~12から選択されるコドン最適化コード配列によりコードされる。一部の実施形態では、PCCBのコード配列は、終止コドン(TGA、TAAまたはTAG)を3’末端にさらに含み得る。
【0136】
種々の態様では、本発明は、本明細書に記載のPCCAまたはPCCBポリペプチドの断片、バリアント、アイソフォーム、または融合物を送達するのに使用し得る。
【0137】
一部の実施形態では、本発明は、少なくとも50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550または600アミノ酸残基を含み、完全長ポリペプチドと関連する1つまたは複数の活性(例えば、酵素の場合は触媒活性)を保持する、PCCAまたはPCCBポリペプチドの断片を送達するのに使用し得る。このような断片は、当技術分野において日常的かつ周知の組換え技術により得られ得る。その上、このような断片は、当業者に公知の日常的なin vitroでのアッセイにより、触媒活性について試験し得る。例えば、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)活性は、(1)1mMの2メルカプトエタノールおよび0.1mg/mlのウシ血清アルブミンを含む10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)によりポリペプチドを希釈し、(2)50mMのTris-HCl pH8.0、5mMのグルタチオン、2mMのATP、100mMのKCl、10mMのMgCl、10mMの[14C]炭酸水素塩(特異的活性12.4mCi/mmol)、3mMのプロピオニルCoAを含む標準的反応混合物を用いて37℃で15分間インキュベートし、(3)10%のトリクロロ酢酸の追加により反応を停止させ、(4)200×gで遠心分離し、(5)加熱ランプ下でアリコートを乾燥させ、(6)水に溶解させ、(7)Aquasol中で計数することにより定量することができ、この場合、1単位の酵素活性は、37℃で1pmolの炭酸水素塩/分の固定を触媒する量の酵素として定義する。PCC活性アッセイの説明についてKalousek et al., 1980, J Biol Chem 255(1): 60-65およびHsia et al., 1973 J. Pediatr. 83: 625-628を参照されたい。本発明は、上記のポリペプチド断片をコードする核酸分子をさらに含む。
【0138】
一部の実施形態では、本発明は、PCCAまたはPCCBポリペプチドのバリアントを送達するのに使用し得る。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドは、野生型治療ポリペプチド、例えば、配列番号16の野生型PCCAポリペプチドまたは配列番号17の野生型PCCBポリペプチドと少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%または100%)同一であり得る。一部の実施形態では、バリアント治療ポリペプチドは、それぞれの野生型ポリペプチドと比較して少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40個の異なる残基を有し得る。このようなバリアントは、当技術分野において日常的かつ周知の組換え技術により得られ得る。その上、このようなバリアントは、当業者に公知の日常的なin vitroでのアッセイにより、触媒活性について試験し得る。プロピオニルCoAカルボキシラーゼ活性アッセイの説明について、例えば、Kalousek et al., 1980, J Biol Chem 255(1): 60-65およびHsia et al., 1973 J. Pediatr. 83: 625-628を参照されたい。本発明は、上記の治療ポリペプチドバリアントをコードする核酸分子をさらに含む。
新規のコドン最適化配列:
【0139】
一部の態様では、本開示は、PCCAをコードする新規のコドン最適化核酸配列を提供する。一実施形態では、PCCAをコードするコドン最適化核酸配列は、配列番号1に示す野生型コード配列と80%未満同一である。一部の実施形態では、PCCAをコードするコドン最適化核酸配列は、配列番号2~6と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%または100%)同一である。一部の実施形態では、PCCAをコードするコドン最適化核酸配列は、配列番号2~6から選択される配列と100%同一である。一部の実施形態では、本開示は、配列番号1に示す野生型コード配列と80%未満同一であり、配列番号2~6と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一である核酸配列を提供する。例となる実施形態では、本開示は、配列番号2~6から選択される、PCCAをコードする核酸配列を提供する。機能性PCCA活性を有するポリペプチドをコードする、配列番号2~6に示す核酸配列の断片をさらに提供する。一部の実施形態では、PCCAをコードする核酸配列は、終止コドン(TGA、TAAまたはTAG)を3’末端にさらに含み得る。
【0140】
一部の態様では、本開示は、PCCBをコードする新規のコドン最適化核酸配列を提供する。一実施形態では、PCCBをコードするコドン最適化核酸配列は、配列番号7に示す野生型コード配列と80%未満同一である。一部の実施形態では、PCCBをコードするコドン最適化核酸配列は、配列番号8~12と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%または100%)同一である。一部の実施形態では、PCCBをコードするコドン最適化核酸配列は、配列番号8~12から選択される配列と100%同一である。一部の実施形態では、本開示は、配列番号7に示す野生型コード配列と80%未満同一であり、配列番号8~12と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一である核酸配列を提供する。例となる実施形態では、本開示は、配列番号8~12から選択される、PCCBをコードする核酸配列を提供する。機能性PCCB活性を有するポリペプチドをコードする、配列番号8~12に示す核酸配列の断片をさらに提供する。一部の実施形態では、PCCBをコードする核酸配列は、終止コドン(TGA、TAAまたはTAG)を3’末端にさらに含み得る。
ベクターゲノムエレメント:
【0141】
一部の実施形態では、rAAVは、1つまたは複数のエンハンサー配列をさらに含むパッケージングされたベクターゲノムを含む。一実施形態では、エンハンサーは、サイトメガロウイルス前初期遺伝子(CMV)エンハンサー、トランスサイレチンエンハンサー(enTTR)、ニワトリβアクチン(CBA)エンハンサー、En34エンハンサー、およびApoEエンハンサーから選択される。例となる実施形態では、エンハンサーは、CMVエンハンサーである。一実施形態では、CMVエンハンサーは、配列番号19を含むか、またはこれからなる。
【0142】
一部の実施形態では、rAAVは、1つまたは複数のイントロン配列をさらに含むパッケージングされたベクターゲノムを含む。一部の実施形態では、イントロンは、SV40スモールTイントロン、ウサギヘモグロビンサブユニットベータ(rHBB)イントロン、ヒトベータグロビンIVS2イントロン、Promegaキメライントロン、またはhFIXイントロンから選択される。一つの例となる実施形態では、イントロンは、SV40スモールTイントロンである。一実施形態では、SV40スモールTイントロン配列は、配列番号20を含むか、またはこれからなる。別の例となる実施形態では、イントロンは、rHBBイントロンである。一部の実施形態では、rHBBイントロン配列は、配列番号21を含むか、またはこれからなる。
【0143】
一部の実施形態では、rAAVは、ポリアデニル化シグナル配列をさらに含む、パッケージングされたベクターゲノムを含む。一実施形態では、ポリアデニル化シグナル配列は、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列、SV40ポリアデニル化シグナル配列、ウサギベータグロビンポリアデニル化シグナル配列、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列から選択される。例となる実施形態では、ポリアデニル化シグナル配列は、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列である。一実施形態では、BGHポリアデニル化シグナル配列は、配列番号22を含むか、またはこれからなる。例となる別の実施形態では、ポリアデニル化シグナル配列は、SV40ポリアデニル化シグナル配列である。一実施形態では、SV40ポリアデニル化シグナル配列は、配列番号23を含むか、またはこれからなる。一実施形態では、ポリアデニル化シグナル配列は、遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である。例となる実施形態では、ポリアデニル化シグナル配列は、ベクターゲノムにおける部分的または完全なコード配列がPCCAのものである場合、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である。特定の実施形態では、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列は、配列番号35の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列は、配列番号35の等長領域と少なくとも95%同一である、約15(例えば、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140、約150または約160)個の連続するヌクレオチド配列を含む。例となる別の実施形態では、ポリアデニル化シグナル配列は、ベクターゲノムにおける部分的または完全なコード配列がPCCBのものである場合、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である。特定の実施形態では、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列は、配列番号37の等長領域と少なくとも95%同一である、少なくとも15個の連続するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列は、配列番号37の等長領域と少なくとも95%同一である、約15(例えば、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90または約100)個の連続するヌクレオチド配列を含む。
AAVカプシド:
【0144】
別の態様では、本開示は、PAの処置における遺伝子治療のための薬剤として有用なrAAVであって、AAVカプシド、およびそこにパッケージングされた本明細書に記載のベクターゲノムを含む、rAAVを提供する。一部の実施形態では、AAVカプシドは、血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、rh10またはhu37のAAV(すなわち、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh10またはAAVhu37)由来である。例となる実施形態では、AAVベクターは、AAV血清型9(AAV9)ベクター、AAV9バリアントベクター、AAV血清型8(AAV8)ベクター、またはAAV血清型2(AAV2)ベクターである。
【0145】
AAV9カプシドは、複数のAAV9vpタンパク質からなる自己集合AAVカプシドである。AAV9vpタンパク質は、配列番号14(GenBank受託:AAS99264)のvp1アミノ酸配列をコードする、配列番号13の核酸配列、またはこれと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列によりコードされる選択的スプライシンングバリアントとして典型的に発現する。このようなスプライシングバリアントは、配列番号14の異なる長さのタンパク質を生じる。特定の実施形態では、AAV9カプシドは、AAS99264と99%同一であるか、または配列番号14と99%同一であるアミノ酸配列を有するAAVを含む。米国特許第7,906,111号および国際公開第2005/033321号も参照されたい。本明細書において使用する場合、AAV9バリアントは、例えば、国際公開第2016/049230号、米国特許第8,927,514号、米国特許出願公開第2015/0344911号、および米国特許第8,734,809号に記載のものを含む。
【0146】
本明細書に示すように、AAV9配列およびタンパク質は、rAAVの生成において有用である。しかし、他の実施形態では、別のAAVカプシドが選択される。組織特異性は、カプシド型により決定される。適する標的(例えば、肝臓、筋肉、肺、またはCNS)に形質導入するAAV血清型は、AAVウイルスベクターのカプシドの供給源として選択でき、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVrh64R1、AAVrh64R2、AAVrh8が挙げられる。例えば、米国特許出願公開第2007/0036760号、米国特許出願公開第2009/0197338号、および欧州特許第1310571号を参照されたい。国際公開第2003/042397号(AAV7および他のサルAAV)、米国特許第7282199号および第7790449号(AAV8)も参照されたい。加えて、まだ発見されていないAAVまたはこれに基づく組換えAAVも、AAVカプシドの供給源として使用し得る。また、これらの文書は、AAVの生成のために選択され得る他のAAVについても記載しており、参照により組み込まれる。一部の実施形態では、ウイルスベクターにおける使用のためのAAVカプシドは、上述のAAVカプシドの1つまたはこれをコードする核酸の変異誘発(すなわち、挿入、欠失、または置換)により生成することができる。一部の実施形態では、AAVカプシドは、2つまたは3つまたは4つまたはそれよりも多い上述のAAVカプシドタンパク質由来のドメインを含むキメラである。一部の実施形態では、AAVカプシドは、2つまたは3つの異なるAAVまたは組換えAAV由来のVp1、Vp2およびVp3単量体のモザイクである。一部の実施形態では、rAAV組成物は、2つ以上の上述のカプシドを含む。
組換え核酸分子を含む宿主細胞:
【0147】
一部の態様では、本明細書に開示の組換え核酸分子、ウイルスベクター、例えば、AAVベクター、またはrAAVを含む宿主細胞を本明細書において提供する。特定の実施形態では、宿主細胞は、AAVの増殖に適し得る。
【0148】
広範な宿主細胞、例えば、細菌、酵母、昆虫、哺乳動物細胞等を使用し得る。一部の実施形態では、宿主細胞は、組換えAAV(rAAV)の生成に適切な細胞(または細胞株)、例えば、HeLa、Cos-7、HEK293、A549、BHK、Vero、RD、HT-1080、ARPE-19またはMRC-5細胞であり得る。
【0149】
組換え核酸分子またはベクターは、当技術分野において公知の適する任意の方法を使用して、宿主細胞培養物に送達することができる。一部の実施形態では、組換え核酸分子またはベクターをゲノムに挿入した、適する宿主細胞株を生成する。一部の実施形態では、本明細書に記載のrAAVベクターを含む、適する宿主細胞株を生成する。rAAVベクターの宿主細胞培養物へのトランスフェクション後、rAAVの宿主ゲノムへの組み込みは、Nakaiら、Nature Genetics(2003年)34巻、297~302頁、Philpottら、Journal of Virology (2002年)76巻(11号):5411~5421頁およびHowdenら、J Gene Med 2008年;10巻:42~50頁によって記載されるとおり、抗生物質選択、蛍光標識細胞分取、サザンブロット、PCRに基づく検出、蛍光in situハイブリダイゼーションなどの種々の方法によってアッセイされうる。さらに、安定細胞株は、Clark、Kidney International、61巻(2002年):S9~S15頁およびYuanら、Human Gene Therapy 2011年5月;22巻(5号):613~24頁に記載のものなどの当技術分野において周知のプロトコールに従って確立されうる。
遺伝子治療のための組換えAAV:
【0150】
AAVは、Parvoviridae科のDependovirus属に属する。AAVは、小型のエンベロープを有しないウイルスであり、直鎖の一本鎖DNAゲノムをパッケージングする。AAV DNAのセンスおよびアンチセンスの両鎖は、AAVカプシドに同頻度でパッケージングされる。
【0151】
AAVゲノムは、2つのオープンリーディングフレーム(ORB)に隣接する2つの逆位末端反復(ITR)により特徴づけられる。AAV2ゲノムでは、例えば、ITRの最初の125ヌクレオチドは、折り畳んで塩基対形成を最大化し、T字型ヘアピン構造を形成する回文構造である。ITRの他の20塩基は、D配列と呼ばれ、不対形成されないままである。ITRは、AAV DNA複製に重要なcis作用配列であり、ITRは、複製起点であって、DNAポリメラーゼによる第2鎖合成のプライマーとして作用する。この合成において形成された二本鎖DNAは、複製形態単量体と呼ばれ、第2ラウンド自己プライミング複製に使用され、複製形態二量体を形成する。このような二本鎖中間体は、鎖置換機構を介してプロセシングされ、パッケージングに使用される一本鎖DNAおよび転写に使用される二本鎖DNAが生じる。Rep結合エレメントおよび末端分解部位(TRS)は、ITR内に位置する。これらの特徴は、AAV複製においてウイルス制御タンパク質Repにより使用されて、二本鎖中間体がプロセシングされる。AAV複製におけるこれらの役割に加えて、ITRはまた、AAVゲノムのパッケージング、転写、非許容条件下での負の制御、および部位特異的組込みに必須である(Days and Berns, Clin Microbiol Rev 21(4):583-593, 2008)。
【0152】
AAVの左のORFは、Rep遺伝子を含み、これは、4つのタンパク質、Rep78、Rep68、Rep52およびRep40をコードする。右のORFは、Cap遺伝子を含み、これは、3つのウイルスカプシドタンパク質(VP1、VP2およびVP3)を生成する。AAVカプシドは、正20面体対称に配置される60個のウイルスカプシドタンパク質を含む。VP1、VP2およびVP3は、1:1:10のモル比で存在する(Daya and Berns, Clin Microbiol Rev 21(4):583-593, 2008)。
【0153】
AAVは、現在、遺伝子治療に最も頻繁に使用されるウイルスの1つである。AAVは、ヒトおよび他の一部の霊長類種に感染するが、疾患を生じないとされており、誘発する免疫応答は非常に軽度である。AAVを利用する遺伝子治療ベクターは、分裂細胞と静止細胞の両方に感染させることができ、染色体外の状態で存続可能であり宿主細胞のゲノムに組み込む必要がない。AAVの有利な特徴により、本開示は、本明細書に開示の組換え核酸分子および方法のためのAAVの使用を企図する。
【0154】
AAVは、標的細胞に結合して侵入し、核に侵入する能力、核において長時間発現する能力、および低い毒性を含む、遺伝子治療ベクターのいくつかの望ましい特徴を有する。しかし、小型のサイズのAAVゲノムでは、組込み可能な異種DNAのサイズが制限される。この問題を最小化するために、Repおよび組込み効率エレメント(IEE)をコードしないAAVベクターが構築されている。ITRは、パッケージングに必要とされるcisシグナルであるため、保持される(Daya and Berns, Clin Microbiol Rev, 21(4):583-593, 2008)。
【0155】
遺伝子治療に適するrAAVを生成するための方法は、当技術分野において周知であり(例えば、米国特許出願第2012/0100606号、第2012/0135515号、第2011/0229971号、および第2013/0072548号、ならびにGhosh et al., Gene Ther 13(4):321-329, 2006を参照)、本明細書に開示の組換え核酸分子および方法とともに利用することができる。
【0156】
一部の態様では、本開示は、プロピオン酸血症(PA)の処置のための本明細書に開示のrAAVであって、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、rAAVの使用を提供する。一部の実施形態では、rAAVは、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に、5’-ITR、プロモーター配列、PCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、および3’-ITRを含むパッケージングされたゲノムを含む。一部の実施形態では、rAAVは、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に、5’-ITR、プロモーター配列、ヒトPCCA5’-UTRの切断型または完全なヌクレオチド配列、PCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、ヒトPCCA3’-UTRの切断型または完全なヌクレオチド配列、および3’-ITRを含むパッケージングされたゲノムを含む。例となる実施形態では、パッケージングされたゲノムはまた、プロモーター配列の上流にエンハンサー配列、プロモーターの下流にイントロン、および3’-ITRの上流にポリアデニル化配列を含む。したがって、例となる別の実施形態では、rAAVは、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に、5’-ITR、エンハンサー配列、プロモーター配列、イントロン配列、PCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、ポリアデニル化シグナル配列、および3’-ITRを含むパッケージングされたゲノムを含む。例となる別の実施形態では、rAAVは、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に、5’-ITR、エンハンサー配列、プロモーター配列、イントロン配列、ヒトPCCA5’-UTRの切断型または完全なヌクレオチド配列、PCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、ポリアデニル化シグナル配列、ヒトPCCA3’-UTRの切断型または完全なヌクレオチド配列、および3’-ITRを含むパッケージングされたゲノムを含む。例となるさらなる実施形態では、rAAVは、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に、AAV2 5’-ITR配列、CMVエンハンサー、CBAプロモーター、SV40スモールTイントロン、PCCAのコード配列、BGHポリアデニル化シグナル配列、およびAAV2 3’-ITRを含むパッケージングされたゲノムを含む。例となるさらなる実施形態では、rAAVは、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に、AAV2 5’-ITR配列、CMVエンハンサー、天然PCCAプロモーター、SV40スモールTイントロン、PCCA5’-UTRのヌクレオチド配列、PCCAのコード配列、天然PCCAポリアデニル化シグナル配列、PCCA3’-UTRのヌクレオチド配列、およびAAV2 3’-ITRを含むパッケージングされたゲノムを含む。一部の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、イントロン配列の下流に位置するコンセンサスKozak配列をさらに含む。一部の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、天然PCCA5’-UTR配列の下流に位置するコンセンサスKozak配列をさらに含む。一部の実施形態では、PCCAのコード配列は、配列番号1~6から選択される。一部の実施形態では、カプシドは、AAV9カプシドである。
【0157】
PCCAの発現のための例となるパッケージングされたベクターゲノム構築物を示す例示的な図は、図1に示し、これは、5’から3’の順に、5’-ITR、CMVエンハンサー、CBAプロモーター、SV40スモールTイントロン、コンセンサスKozak配列、PCCAコード配列、SV40ポリアデニル化シグナル配列、および3’-ITRを示す。
【0158】
一部の態様では、本開示は、プロピオン酸血症(PA)の処置のための本明細書に開示のrAAVであって、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、rAAVの使用を提供し、ここで、パッケージングは、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に、5’-ITR、プロモーター配列、PCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、および3’-ITRを含む。一部の実施形態では、rAAVは、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に、5’-ITR、プロモーター配列、ヒトPCCB5’-UTRの切断型または完全なヌクレオチド配列、PCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、ヒトPCCB3’-UTRの切断型または完全なヌクレオチド配列、および3’-ITRを含むパッケージングされたゲノムを含む。例となる実施形態では、パッケージングされたゲノムはまた、プロモーター配列の上流にエンハンサー配列、プロモーターの下流にイントロン、および3’-ITRの上流にポリアデニル化配列を含む。したがって、例となる別の実施形態では、rAAVは、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に、5’-ITR、エンハンサー配列、プロモーター配列、イントロン配列、PCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、ポリアデニル化シグナル配列、および3’-ITRを含むパッケージングされたゲノムを含む。例となる別の実施形態では、rAAVは、作動可能に連結する成分として5’から3’の順に、5’-ITR、エンハンサー配列、プロモーター配列、イントロン配列、ヒトPCCB5’-UTRの切断型または完全なヌクレオチド配列、PCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列、ポリアデニル化シグナル配列、ヒトPCCB3’-UTRの切断型または完全なヌクレオチド配列、および3’-ITRを含むパッケージングされたゲノムを含む。例となるさらなる実施形態では、rAAVは、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に、AAV2 5’-ITR配列、CMVエンハンサー、CBAプロモーター、SV40スモールTイントロン、PCCBのコード配列、BGHポリアデニル化シグナル配列、およびAAV2 3’-ITRを含むパッケージングされたゲノムを含む。例となるさらなる実施形態では、rAAVは、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に、AAV2 5’-ITR配列、CMVエンハンサー、天然PCCBプロモーター、SV40スモールTイントロン、PCCB5’-UTRのヌクレオチド配列、PCCBのコード配列、天然PCCBポリアデニル化シグナル配列、PCCB3’-UTRのヌクレオチド配列、およびAAV2 3’-ITRを含むパッケージングされたゲノムを含む。一部の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、イントロン配列の下流に位置するコンセンサスKozak配列をさらに含む。一部の実施形態では、パッケージングされたゲノムは、天然PCCB5’-UTR配列の下流に位置するコンセンサスKozak配列をさらに含む。一部の実施形態では、PCCBのコード配列は、配列番号7~12から選択される。一部の実施形態では、カプシドは、AAV9カプシドである。
【0159】
PCCBの発現のための例となるパッケージングされたベクターゲノム構築物を示す例示的な図は、図2に示し、これは、5’から3’の順に、5’-ITR、CMVエンハンサー、CBAプロモーター、SV40スモールTイントロン、コンセンサスKozak配列、PCCAコード配列、SV40ポリアデニル化シグナル配列、および3’-ITRを示す。
タンパク質局在性:
【0160】
プロピオニルCoAカルボキシラーゼは、ミトコンドリアマトリクスに局在する多量体(mutimeric)タンパク質である(Browner et al., (1989). Journal of Biological Chemistry. 264:12680-5を参照)。したがって、PCCAおよび/またはPCCB遺伝子(複数可)を送達する遺伝子治療ベクターが、機能性でミトコンドリアに局在するタンパク質をコードすることが可能であることは必要不可欠である。一態様では、本明細書に開示の1つまたは複数のウイルスベクターにより、ミトコンドリアに局在するPCCAおよび/またはPCCBタンパク質(複数可)をコードする遺伝子の発現(例えば、PCCAまたはPCCBの発現)が駆動および制御される。
医薬組成物:
【0161】
本明細書に開示のrAAVを含む組成物および薬学的に許容される担体を、本開示により提供する。rAAVの投与に適する医薬製剤は、例えば、米国特許出願公開第2012/0219528号に見出すことができる。本開示において有用な薬学的に許容される担体(ビヒクル)は、通常のものである。Remington’s Pharmaceutical Sciences, by E. W. Martin, Mack Publishing Co., Easton, Pa., 15th Edition (1975)では、1つまたは複数の治療化合物、分子または薬剤の医薬送達に適する組成物および製剤について記載している。
【0162】
前述の段落において強調されるように、本開示は、一部の態様では、本発明のrAAVを含む医薬組成物に関する。一部の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、または静脈内投与用に製剤化する。例となる実施形態では、医薬組成物は、静脈内投与用に製剤化する。
【0163】
一部の実施形態では、rAAVは、ヒト対象における注入に適する緩衝液/担体中に製剤化される。緩衝液/担体は、rAAVが注入管に固着するのを防ぐが、in vivoでのrAAV結合活性に干渉しない成分を含むべきである。種々の適する溶液は、緩衝生理食塩水、界面活性物質、および約100mMの塩化ナトリウム(NaCl)~約250mMの塩化ナトリウムと等価なイオン強度に調整した生理学的に適合する塩または塩の混合物、あるいは等価なイオン濃度に調整した生理学的に適合する塩の1つもしくは複数を含み得る。pHは、6.5~8.5または7~8.5または7.5~8の範囲であり得る。適する界面活性物質、または界面活性物質の組合せは、ポロキサマー、すなわち、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の2つの親水鎖と隣接するポリオキシプロピレン10(ポリ(プロピレンオキシド))の中央の疎水鎖からなる非イオン性トリブロック共重合体、SOLUTOL HS15(マクロゴール15ヒドロキシステアレート)、LABRASOL(ポリオキシカプリル酸(capryllic)グリセリド)、ポリオキシ10オレイルエーテル、TWEEN(登録商標)(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、エタノールおよびポリエチレングリコールの中から選択され得る。
プロピオン酸血症を処置する方法:
【0164】
さらに別の態様では、本開示は、治療有効量の本明細書に開示する少なくとも1つのrAAVをヒト対象に投与するステップを含む、ヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。
【0165】
一実施形態では、本開示は、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含むrAAVであって、このベクターゲノムが、PCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列を含む、rAAVを投与するステップを含む、PAを処置する方法を提供する。
【0166】
別の実施形態では、本開示は、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含むrAAVであって、このベクターゲノムが、PCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列を含む、rAAVを投与するステップを含む、PAを処置する方法を提供する。
【0167】
特定の実施形態では、本開示は、(1)AAVカプシド、およびPCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列を含む、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含むrAAV、ならびに(2)AAVカプシド、およびPCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列を含む、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含むrAAVを投与するステップを含む、PAを処置する方法を提供する。一部の実施形態では、(1)および(2)のrAAVは、同時に投与され得る。一部の実施形態では、(1)および(2)のrAAVは、連続的に投与され得る。一部の実施形態では、(1)および(2)のrAAVは、別々に投与され得る。
【0168】
特定の実施形態では、本開示は、(1)AAVカプシド、およびコード配列が、PCCBのものではなくPCCAのものであり、プロモーターが、PCCB遺伝子特異的内因性プロモーターではなくPCCA遺伝子特異的内因性プロモーターであり、ポリアデニル化シグナル配列が、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列ではなくPCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含むrAAV、ならびに/または(2)AAVカプシド、およびコード配列が、PCCAのものではなくPCCBのものであり、プロモーターが、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーターではなくPCCB遺伝子特異的内因性プロモーターであり、ポリアデニル化シグナル配列が、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列ではなくPCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、ベクターゲノムを含むrAAVを投与するステップを含む、PAを処置する方法を提供する。一部の実施形態では、(1)および(2)のrAAVは、同時に投与され得る。一部の実施形態では、(1)および(2)のrAAVは、連続的に投与され得る。一部の実施形態では、(1)および(2)のrAAVは、別々に投与され得る。
【0169】
特定の実施形態では、本開示は、PCCAにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象に、治療有効量の本明細書に開示の少なくとも1つのrAAVを投与するステップを含む、ヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。一実施形態では、本開示は、AAVカプシド、およびPCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列を含む、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、rAAVを投与するステップを含む、PCCAにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、AAVカプシド、およびコード配列が、PCCBのものではなくPCCAのものであり、プロモーターが、PCCB遺伝子特異的内因性プロモーターではなくPCCA遺伝子特異的内因性プロモーターであり、ポリアデニル化シグナル配列が、PCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列ではなくPCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、rAAVを投与するステップを含む、PCCAにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。特定の実施形態では、PCCAにおける変異は、表1から選択される。一部の実施形態では、PCCAのコード配列は、配列番号1~6から選択される。一部の実施形態では、カプシドは、AAV9カプシドである。
【0170】
一部の実施形態では、本開示は、PCCBにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象に、治療有効量の本明細書に開示の少なくとも1つのrAAVを投与するステップを含む、ヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。一実施形態では、本開示は、AAVカプシド、およびPCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列を含む、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、rAAVを投与するステップを含む、PCCBにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、AAVカプシド、およびコード配列が、PCCAのものではなくPCCBのものであり、プロモーターが、PCCA遺伝子特異的内因性プロモーターではなくPCCB遺伝子特異的内因性プロモーターであり、ポリアデニル化シグナル配列が、PCCA遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列ではなくPCCB遺伝子特異的内因性ポリアデニル化シグナル配列である、そこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、rAAVを投与するステップを含む、PCCBにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。特定の実施形態では、PCCBにおける変異は、表2から選択される。一部の実施形態では、PCCBのコード配列は、配列番号7~12から選択される。一部の実施形態では、カプシドは、AAV9カプシドである。
【0171】
PCCAおよびPCCBにおけるPAを生じる変異を記載する総説は、Ugarte et al., 1999, Hum. Mutat. 14(4): 275-282において提供されている。
【0172】
変異PCCA遺伝子により生じるPAでは、PCCA遺伝子における以下の変異および多型が同定されている。
【表1】
【0173】
変異PCCB遺伝子により生じるPAでは、PCCB遺伝子における以下の変異および多型が同定されている。
【表2】
【0174】
一部の実施形態では、本開示は、治療有効量の本明細書に開示する少なくとも1つのrAAVを前記ヒト対象に投与するステップを含む、表1から選択される、PCCAにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。一実施形態では、本開示は、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含むrAAVであって、このベクターゲノムが、PCCAもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列を含む、rAAVを投与するステップを含む、表1から選択される、PCCAにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。一部の実施形態では、PCCAのコード配列は、配列番号1~6から選択される。一部の実施形態では、カプシドは、AAV9カプシドである。
【0175】
一部の実施形態では、本開示は、治療有効量の本明細書に開示する少なくとも1つのrAAVを前記ヒト対象に投与するステップを含む、表2から選択される、PCCBにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。一実施形態では、本開示は、AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含むrAAVであって、このベクターゲノムが、PCCBもしくはこのアイソフォームまたはこの機能性断片もしくは機能性バリアントの部分的もしくは完全なコード配列を含む、rAAVを投与するステップを含む、表2から選択される、PCCBにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象においてPAを処置する方法を提供する。一部の実施形態では、PCCBのコード配列は、配列番号7~12から選択される。一部の実施形態では、カプシドは、AAV9カプシドである。
【0176】
適する任意の方法または経路を、本明細書に開示のrAAVまたはrAAV含有組成物を投与するのに使用することができる。投与経路は、例えば、全身、経口、吸入、鼻腔内、気管内、動脈内、眼内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、および他の非経口(parental)的投与経路が挙げられる。一部の実施形態では、rAAV、rAAVを含む組成物、または複数のrAAV(例えば、PCCAを発現する第1のrAAVおよびPCCBを発現する第2のrAAV)を含む組成物は、静脈内に投与される。
【0177】
投与する特定の用量は、各患者について均一の用量、例えば、1患者あたりウイルス1.0×1011-1.0×1014ゲノムコピー(GC)であり得る。あるいは、患者の用量は、患者のおよその体重または表面積に応じて決定することができる。適切な用量の決定における他の因子は、処置または予防する疾患または症状、疾患の重症度、投与経路、ならびに患者の年齢、性別および医学的条件を含み得る。処置に適切な用量の決定に必要とされる算出のさらなる微調整は、特に、本明細書に開示する用量情報およびアッセイを考慮して、当業者により日常的に行われる。また、用量は、使用量を決定するための公知のアッセイの使用により、適切な用量応答データと組み合わせて決定することができる。また、個々の患者の用量は、監視する疾患の進行に応じて調整することができる。
【0178】
一部の実施形態では、rAAVは、qPCRまたはデジタルドロップレットPCR(ddPCR)により測定した場合、例えば、患者の体重1キログラムあたり約1.0×1011ゲノムコピー(GC/kg)~約1×1014GC/kg、患者の体重1キログラムあたり約5×1011ゲノムコピー(GC/kg)~約5×1013GC/kg、または約1×1012~約1×1013GC/kgの用量で投与する。一部の実施形態では、rAAVは、約1×1012~1×1013ゲノムコピー(GC)/kgの用量で投与する。一部の実施形態では、rAAVは、約1.1×1011、約1.3×1011、約1.6×1011、約1.9×1011、約2×1011、約2.5×1011、約3.0×1011、約3.5×1011、約4.0×1011、約4.5×1011、約5.0×1011、約5.5×1011、約6.0×1011、約6.5×1011、約7.0×1011、約7.5×1011、約8.0×1011、約8.5×1011、約9.0×1011、約9.5×1011、約1.0×1012、約1.5×1012、約2.0×1012、約2.5×1012、約3.0×1012、約3.5×1012、約4.0×1012、約4.5×1012、約5.0×1012、約5.5×1012、約6.0×1012、約6.5×1012、約7.0×1012、約7.5×1012、約8.0×1012、約8.5×1012、約9.0×1012、約9.5×1012、約1.0×1013、約1.5×1013、約2.0×1013、約2.5×1013、約3.0×1013、約3.5×1013、約4.0×1013、約4.5×1013、約5.0×1013、約5.5×1013、約6.0×1013、約6.5×1013、約7.0×1013、約7.5×1013、約8.0×1013、約8.5×1013、約9.0×1013、約9.5×1013ゲノムコピー(GC)/kgの用量で投与する。rAAVは、所望の治療結果の必要に応じて、単一用量または複数用量(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはこれよりも多い用量)で投与することができる。
【0179】
用量は、週、月もしくは年に1もしくは複数回、または2~20年毎に1回のみ与え得る。例えば、各用量は、最低で1週間隔、2週間隔、3週間隔、1カ月間隔、3カ月間隔、6カ月間隔、または1年間隔で与え得る。当業者は、体液または体組織における標的化可能な構築物または複合体の測定した滞留時間および濃度に基づいて、投与の反復速度を容易に推定することができる。
【0180】
記載全体を通じて、組成物が特定の構成成分を有している、含んでいる(including)もしくは含んでいる(comprising)として記載される場合、または工程および方法が特定のステップを有している、含んでいる(including)もしくは含んでいる(comprising)として記載される場合、追加的に、列挙された構成成分から本質的になるまたはそれからなる本発明の組成物があり、列挙された処理ステップから本質的になるまたはそれからなる本発明による工程および方法があることが企図される。
【0181】
本開示において、エレメントまたは構成成分が、列挙されたエレメントまたは構成成分のリストに含まれるおよび/またはそれから選択されると述べられている場合、エレメントもしくは構成成分は、列挙されたエレメントもしくは構成成分の任意の1つでありうる、またはエレメントもしくは構成成分は、列挙されたエレメントもしくは構成成分の2つもしくはそれより多くからなる群から選択されうることは理解されるべきである。
【0182】
さらに、本明細書に記載される組成物または方法のエレメントおよび/または特性が、本明細書において明確であるかまたは暗示的であるかどうかに関わらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の方法において組み合わされうることは理解されるべきである。例えば、具体的な化合物に言及する場合、その化合物は、内容からそうでないと理解されない限り、本発明の組成物の種々の実施形態および/または本発明の方法において使用されうる。言い換えると、本開示内で、実施形態は、明確で簡潔な開示が記載され、描かれることを可能にする方法で記載され、描かれているが、実施形態が本教示および発明(単数または複数)から離れることなく、種々に組み合わされる、または分けられうることは意図され、理解されるであろう。例えば、本明細書に記載および描かれるすべての特性は、本明細書に記載され、描かれる本発明のすべての態様(単数または複数)に適用可能であることは理解されるであろう。
【0183】
表現「少なくとも1つの」は、内容および使用から他に理解される場合を除いて、表現の後に列挙された対象のそれぞれを個別に、および列挙された対象の2つまたはそれよりも多くの種々の組合せを含むことは理解されるべきである。3つまたはそれよりも多い列挙された対象と関連する表現「および/または」は、内容から他に理解される場合を除いて、同じ意味を有すると理解されるべきである。
【0184】
その文法的同等語を含む、用語「含む(include)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」または「含有している(containing)」の使用は、他に具体的に述べられているまたは内容から理解されない限り、一般に制約なくかつ非限定的であるとして、例えば、追加的な列挙されていないエレメントまたはステップを排除しないとして理解されるべきである。
【0185】
用語「約(about)」の使用が定量的な値の前である場合、本発明は、他に具体的に述べられない限り、具体的な定量値それ自体も含む。本明細書において使用される場合、用語「約(about)」は、他に示されるまたは推測されない限り、名目値からの±10%変動を指す。
【0186】
ステップの順序またはある特定の作用を実施する順序は、本発明が作動可能なままである限り重要でないことは理解されるべきである。さらに、2つまたはそれよりも多いステップまたは作用は、同時に実施されうる。
【0187】
本明細書におけるありとあらゆる例、または例示的語の使用、例えば「などの(such as)」または「挙げられる(including)」は、本発明をよりよく例示する目的のためだけであり、特許請求しない限り本発明の範囲に制限を提示しない。本明細書における語は、特許請求されていない任意のエレメントが本発明の実施に不可欠であるとことを示すとして解釈されるべきでない。
【実施例
【0188】
ここで一般的に記載する本開示は、以下の実施例の参照により、さらに容易に理解され、これは、単に本開示の特定の態様および実施形態の例示目的のために含まれ、本開示の範囲を制限することは決して意図しない。
(実施例1)
PCCAのRNAおよびタンパク質の発現
RNA発現
【0189】
この実施例は、RT-qPCRにより判定した場合の継代肝細胞株(HepG2)のトランスフェクション後のPCCAのRNA発現に関する。簡潔には、HepG2細胞に対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、NoTX)、増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCAの完全な天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC346)、またはヒトPCCAのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC347、DTC348またはDTC349)を、リポフェクタミン2000(Invitrogen)を使用し製造者の指示に従ってトランスフェクトした。トランスフェクション後72時間にHepG2細胞を採取して溶解した。RNAは、TRIzol試薬(Invitrogen)を使用し製造者の指示に従って、溶解したHepG2細胞から抽出した。RNAの質および量をNanoDropND-1000(ThermoScientific)を使用しOD260/280およびOD260/230の比率で測定した。全RNAは、High-Capacity cDNAreverse transcription kit(ThermoFisherScientific)を使用し製造者の指示に従ってcDNAに逆転写した。リアルタイムRT-qPCRをPowerSYBR GreenPCR Master Mix(AppliedBiosystems)を使用し製造者の指示に従ってAppliedBiosystems7500Real-TimePCR Systemを使用して実施した。PCCA発現における倍率変化は、デルタ-デルタCt(2-ΔΔCt)法により、RNAポリメラーゼIIポリペプチドA(POLR2A)を各試料に対する内部対照として利用して算出し、算出した倍率変化を「noTx」対照に対して正規化した(Livak KJ, Schmittgen TD (2001) Analysis of relative gene expression data using real-time quantitative PCR and the 2(-delta delta C(T)) method. Methods 25(4): 402-408を参照)。図3は、対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、noTX)、増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC346)、またはヒトPCCAのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC347、DTC348またはDTC349)を継代肝細胞株(HepG2)にトランスフェクションした後のRT-qPCRにより判定した場合のPCCA RNA発現における倍率変化を示す棒グラフである。
【0190】
プロットしたデータは、DTC346によるトランスフェクション後の完全な天然ヒトPCCAのRNA発現が、DTC347およびDTC348によるトランスフェクション後の2つのコドン最適化ヒトPCCAバージョンの発現と同等であることを示す。DTC349をトランスフェクトした細胞では、さらに高いRNA発現が実証された。
タンパク質発現
【0191】
この実施例はまた、継代肝細胞株であるHepG2およびHuh7のトランスフェクション後のPCCAのタンパク質発現に関する。簡潔には、HepG2およびHuh7細胞株に対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、NoTX)、ヒトPCCAの完全な天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC346)、ヒトPCCAのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC347、DTC348またはDTC349)、ヒトPCCAの完全な天然配列をコードするヌクレオチド配列およびヒトPCCBの完全な天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC365)、または増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)を、リポフェクタミン2000(Invitrogen)を使用し製造者の指示に従ってトランスフェクトした。トランスフェクション後72時間に細胞を採取して、プロテアーゼインヒビタ-ミックス(Sigma)およびホスファターゼインヒビターカクテル2+3(Sigma P5726およびP0044)を添加したNP-40溶解緩衝液(50mMのTris・HCl pH8.0、150mMのNaCl、1.0%のNP-40)により溶解した。タンパク質を10%のドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)ゲル上で分解し、IMMUN-BLOT(登録商標)フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜(Bio-Rad)上に移した。ウエスタンブロット解析は、抗PCCA(Abcam、Cambridge、UK)抗体を1:1000希釈で、その後、遠赤フルオロフォアとコンジュゲートした二次抗体(Licor IRDye二次抗体)を使用して実施した。
【0192】
図4Aは、レーン1~レーン7にそれぞれ、対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、noTX)、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC346)、ヒトPCCAのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC347、DTC348またはDTC349)、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列およびヒトPCCBの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC365)、または増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)をトランスフェクトした継代肝細胞株(HepG2)において、ウエスタンブロットにより検出したタンパク質発現レベルを示す画像である。βアクチン(「アクチン」)をローディング対照として使用した。
【0193】
図4Aに示すように、「noTX」対照における予想された基底レベルのPCCAタンパク質発現(レーン1)、ならびにDTC346(レーン2)をトランスフェクトした細胞およびDTC347(レーン3)またはDTC348(レーン4)をトランスフェクトした細胞における、「noTX」対照(レーン1)と比較した場合のPCCAタンパク質の過剰発現が存在した。DTC349をトランスフェクトした細胞では(レーン5)、このバージョンが大量のRNAを発現することが観察されても、PCCAタンパク質の過剰発現は実証されなかった。DTC343をトランスフェクトした細胞では(レーン7)、eGFP発現が予想通り実証された。
【0194】
図4Bは、レーン1~レーン7にそれぞれ、対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、noTX)、増強した緑色蛍光タンパク質、eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC346)、ヒトPCCAのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC347、DTC348またはDTC349)、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列およびヒトPCCBの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC365)をトランスフェクトした継代肝細胞株(Huh7)において、ウエスタンブロットにより検出したタンパク質発現レベルを示す画像である。βアクチン(「アクチン」)をローディング対照として使用した。
【0195】
図4Bに示すように、「noTX」対照における予想された基底レベルのPCCAタンパク質発現(レーン1)、ならびにDTC346(レーン3)をトランスフェクトした細胞およびDTC347(レーン4)またはDTC348(レーン5)をトランスフェクトした細胞における、「noTX」対照(レーン1)と比較した場合のPCCAタンパク質の過剰発現が存在した。DTC349をトランスフェクトした細胞では(レーン6)、このバージョンが大量のRNAを発現することが観察されても、PCCAタンパク質の過剰発現は実証されなかった。DTC343をトランスフェクトした細胞では(レーン2)、eGFP発現が予想通り実証された。
(実施例2)
過剰発現したヒトPCCAタンパク質はミトコンドリアに局在する
【0196】
この実施例では、継代肝細胞株(HepG2)において過剰発現したヒトPCCAがミトコンドリアに局在することを示す。簡潔には、継代肝細胞株(HepG2)にヒトPCCAの完全な天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC346)をトランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞は、細胞内分画に供して、細胞質およびミトコンドリア画分を単離した。また、全細胞溶解液を処理した。タンパク質を10%のドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)ゲル上で分解し、IMMUN-BLOT(登録商標)フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜(Bio-Rad)上に移した。ウエスタンブロット解析は、抗PCCA(Abcam、Cambridge、UK)抗体を1:1000希釈で、その後、遠赤フルオロフォアとコンジュゲートした二次抗体(Licor IRDye二次抗体)を使用して実施した。図5は、全細胞溶解液(WCL)、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC346)をトランスフェクトするか、またはトランスフェクトしない継代肝細胞株(HepG2)から単離した細胞内画分(細胞質画分(cyto)およびミトコンドリア画分(ミトコンドリア))における、ウエスタンブロットにより検出したPCCAタンパク質発現レベルを示す画像である。1Xおよび2Xは、ロードしたミトコンドリア画分の相対容量を表す。βアクチン(「アクチン」)をローディング対照として使用した。
【0197】
図5に示すように、また、図4A~Bに示す結果と一致して、ヒトPCCAの完全な天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC346)をトランスフェクトした細胞では、非トランスフェクト対照細胞と比較した場合(図5のレーン7対レーン8)、全細胞溶解液において、PCCAの過剰発現が実証された。ミトコンドリアに局在することで知られるタンパク質であるミトフィリン(mitofilin)のレベルを調べて、単離した細胞画分の相対純度を判定した。図5に示すように、非トランスフェクトおよびDTC346トランスフェクト細胞の細胞質画分では、検出可能なレベルのミトフィリンは実証されなかったが(図5のレーン1対レーン2)、ミトフィリンは、ミトコンドリア画分および全細胞溶解液において、予想通り容易に検出された(図5のレーン3~8)。過剰発現したPCCAは、ミトコンドリアに主に局在した(図5のレーン2対レーン4および6)。
(実施例3)
PCCA AAV9力価収率の比較
【0198】
この実施例は、ヒトPCCAの完全な天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC346)またはヒトPCCAのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC347、DTC348またはDTC349)からのPCCA AAV9力価収率の比較に関する。継代腎細胞株(HEK293)にヒトPCCAの完全な天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC346)、ヒトPCCAのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC347、DTC348またはDTC349)、または増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)を3重トランスフェクトした。それぞれを、AAV9カプシドを発現するプラスミド(pAAV2/9)およびアデノウイルスヘルパー機能を供給するプラスミド(pAdHelper)を同時トランスフェクトした細胞において発現させた。非トランスフェクト細胞を対照として使用し、図6において「noTX」として表す。細胞上清を採取し、DNaseIまたは等価物で処理して、カプシド形成されなかったDNAを除去し、これらの築物のデザインに含まれるポリアデニル化シグナルに特異的なプライマー/プローブのセットを利用して、DNase耐性粒子(DRP)力価の定量を容易とした。図6は、左から右に、増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC346)、またはヒトPCCAのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC347、DTC348またはDTC349)を継代腎細胞株(HEK293)に3重トランスフェクションした後のqPCRにより判定した場合のPCCA AAV9力価(ゲノムコピー(GC)/mLによる)の倍率変化を示す棒グラフである。それぞれを、AAV9カプシドを発現するプラスミド(pAAV2/9)およびアデノウイルスヘルパー機能を供給するプラスミド(pAdHelper)を同時トランスフェクトした細胞において発現させる。非トランスフェクト細胞を対照として使用し、「noTX」として表す。図6は、qPCRにより判定した場合の非トランスフェクト細胞に対するPCCA AAV9力価(ゲノムコピー(GC)/mlによる)における倍率変化を示す。図6に示すデータは、天然完全ヒトPCCA発現構築物(DTC346)とすべてのコドン最適化バージョン(DTC347、DTC348およびDTC349)との間での同等のrAAV力価を実証する。
(実施例4)
試験するPCCA DNAの完全性
【0199】
HEK293細胞における3重トランスフェクションによるAAV9 rAAVウイルス粒子の生成後、細胞上清を採取し、AAVX樹脂(ThermoFisher)または等価物とともにインキュベートした。AAV9 rAAVウイルス粒子を精製し、次いで、Amicon遠心フィルター(Millipore Sigma)を使用して濃縮した。精製したウイルスをアルカリ溶解緩衝液中でインキュベートし、DNAアガロースゲルにロードして、アルカリ泳動用緩衝液の存在下で一晩、電気泳動を行った。図7は、左から右にそれぞれ、PCCAおよびPCCB発現組換えAAV(rAAV)ベクターカセット(DTC365)、PCCA発現組換えAAV(rAAV)ベクターカセット(DTC349、DTC348、DTC347またはDTC346)またはeGFP発現組換えAAV(rAAV)ベクターカセット(DTC343)を含むアフィニティ精製したAAV9粒子のDNAアルカリアガロースゲルの画像である。
【0200】
図7に示すように、ゲル画像は、天然およびコドン最適化PCCAベクターカセットについて、予想したサイズの明瞭な単一のバンドを示し、ベクターゲノムの適切なパッケージングを示唆する(DTC346、DTC347、DTC348およびDTC349)。eGFP対照(DTC343)では、小型のベクターゲノムがパッケージングされるという公知の制限と一致して、2つのバンドのパッケージングが実証された。
(実施例5)
PCCBのRNAおよびタンパク質の発現
RNA発現
【0201】
この実施例は、RT-qPCRにより判定した場合の継代肝細胞株(HepG2)のトランスフェクション後のPCCBのRNA発現に関する。簡潔には、HepG2細胞に対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、NoTX)、増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCBの完全な天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC366)、またはヒトPCCBのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC367、DTC370、DTC368、DTC369またはDTC371)を、リポフェクタミン2000(Invitrogen)を使用し製造者の指示に従ってトランスフェクトした。トランスフェクション後72時間にHepG2細胞を採取して溶解させた。RNAは、TRIzol試薬(Invitrogen)を使用し製造者の指示に従って、溶解したHepG2細胞から抽出した。RNAの質および量をNanoDropND-1000(ThermoScientific)を使用しOD260/280およびOD260/230の比率で測定した。全RNAは、High-Capacity cDNAreverse transcription kit(ThermoFisherScientific)を使用し製造者の指示に従ってcDNAに逆転写した。リアルタイムRT-qPCRをPowerSYBR GreenPCR Master Mix(AppliedBiosystems)を使用し製造者の指示に従ってAppliedBiosystems7500Real-TimePCR Systemを使用して実施した。PCCB発現における倍率変化は、デルタ-デルタCt(2-ΔΔCt)法により、RNAポリメラーゼIIポリペプチドA(POLR2A)を各試料に対する内部対照として利用して算出し、算出した倍率変化を「noTx」対照に対して正規化した(Livak KJ, Schmittgen TD (2001) Analysis of relative gene expression data using real-time quantitative PCR and the 2(-delta delta C(T)) method. Methods 25(4): 402-408を参照)。図8は、対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、noTX)、増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCBの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC366)、またはヒトPCCBのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC367、DTC370、DTC368、DTC369またはDTC371)を継代肝細胞株(HepG2)にトランスフェクションした後のRT-qPCRにより判定した場合のPCCB RNA発現における倍率変化を示す棒グラフである。
【0202】
プロットしたデータは、DTC366によるトランスフェクション後の完全なヒトPCCBの天然配列のRNA発現が、DTC367、DTC368、DTC370またはDTC371によるトランスフェクション後の4つのコドン最適化ヒトPCCBバージョンの発現と同等であることを示す。DTC369をトランスフェクトした細胞では、さらに低いRNA発現が実証された。
タンパク質発現
【0203】
この実施例はまた、継代肝細胞株、HepG2およびHuh7のトランスフェクション後のPCCBのタンパク質発現に関する。簡潔には、HepG2およびHuh7細胞株に対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、noTX)、増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCBの完全な天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC366)、またはヒトPCCBのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC367、DTC368、DTC369、DTC370またはDTC371)を、リポフェクタミン2000(Invitrogen)を使用し製造者の指示に従ってトランスフェクトした。トランスフェクション後72時間に細胞を採取して、プロテアーゼインヒビタ-ミックス(Sigma)およびホスファターゼインヒビターカクテル2+3(Sigma P5726およびP0044)を添加したNP-40溶解緩衝液(50mMのTris・HCl pH8.0、150mMのNaCl、1.0%のNP-40)により溶解させた。タンパク質を10%のドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)ゲル上で分解し、IMMUN-BLOT(登録商標)フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜(Bio-Rad)上に移した。ウエスタンブロット解析は、抗PCCB(Abcam、Cambridge、UK)抗体を1:1000希釈で、その後、遠赤フルオロフォアとコンジュゲートした二次抗体(Licor IRDye二次抗体)を使用して実施した。
【0204】
図9Aは、レーン1~レーン8にそれぞれ、対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、noTX)、増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCBの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC366)またはヒトPCCBのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC367、DTC368、DTC369、DTC370またはDTC371)をトランスフェクトした継代肝細胞株(HepG2)における、ウエスタンブロットにより検出したタンパク質発現レベルを示す画像である。βアクチン(「アクチン」)をローディング対照として使用した。
【0205】
図9Aに示すように、「noTX」対照における予想された基底レベルのPCCBタンパク質発現(レーン1)、ならびにDTC366(レーン3)をトランスフェクトした細胞およびDTC367(レーン4)またはDTC370(レーン7)をトランスフェクトした細胞における、「noTX」対照(レーン1)と比較した場合のPCCBタンパク質の過剰発現が存在した。DTC368(レーン5)、DTC369(レーン6)またはDTC371(レーン8)をトランスフェクトした細胞では、PCCBタンパク質の過剰発現は実証されなかった。DTC343をトランスフェクトした細胞では(レーン2)、eGFP発現が予想通り実証された。
【0206】
図9Bは、レーン1~レーン8にそれぞれ、対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、noTX)、増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCBの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC366)またはヒトPCCBのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC367、DTC369、DTC368、DTC370またはDTC371)をトランスフェクトした継代肝細胞株(Huh7)における、ウエスタンブロットにより検出したタンパク質発現レベルを示す画像である。βアクチン(「アクチン」)をローディング対照として使用した。
【0207】
図9Bに示すように、「noTX」対照における予想された基底レベルのPCCBタンパク質発現(レーン1)、ならびにDTC366(レーン3)をトランスフェクトした細胞およびDTC367(レーン4)またはDTC370(レーン7)をトランスフェクトした細胞における、「noTX」対照(レーン1)と比較した場合のPCCBタンパク質の過剰発現が存在した。DTC368(レーン6)、DTC369(レーン5)またはDTC371(レーン8)をトランスフェクトした細胞では、PCCBタンパク質の過剰発現は実証されなかった。DTC343をトランスフェクトした細胞では(レーン2)、eGFP発現が予想通り実証された。
(実施例6)
過剰発現したヒトPCCBタンパク質はミトコンドリアに局在する
【0208】
この実施例では、継代肝細胞株(HepG2)において過剰発現したヒトPCCBがミトコンドリアに局在することを示す。簡潔には、継代肝細胞株(HepG2)にヒトPCCBの完全な天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC366)をトランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞は、細胞内分画に供して、細胞質およびミトコンドリア画分を単離した。また、全細胞溶解液を処理した。タンパク質を10%のドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)ゲル上で分解し、IMMUN-BLOT(登録商標)フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜(Bio-Rad)上に移した。ウエスタンブロット解析は、抗PCCB(Abcam、Cambridge、UK)抗体を1:1000希釈で、その後、遠赤フルオロフォアとコンジュゲートした二次抗体(Licor IRDye二次抗体)を使用して実施した。
【0209】
図10は、全細胞溶解液(WCL)、ヒトPCCBの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC366)をトランスフェクトするか、またはトランスフェクトしない継代肝細胞株(HepG2)から単離した細胞内画分(細胞質画分(cyto)およびミトコンドリア画分(ミトコンドリア))における、ウエスタンブロットにより検出したPCCBタンパク質発現レベルを示す画像である。1Xおよび2Xは、ロードしたミトコンドリア画分の相対容量を表す。βアクチン(「アクチン」)をローディング対照として使用した。
【0210】
図10に示すように、また、前の結果と一致して、ヒトPCCBの完全な天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC366)をトランスフェクトした細胞では、非トランスフェクト対照細胞と比較した場合(レーン7対レーン8)、全細胞溶解液において、PCCBタンパク質の過剰発現が実証された。ミトコンドリアに局在することで知られるタンパク質であるミトフィリン(mitofilin)のレベルを調べて、単離した細胞画分の相対純度を判定した。図10に示すように、非トランスフェクトおよびDTC366トランスフェクト細胞の細胞質画分では、検出可能なレベルのミトフィリンは実証されなかったが(レーン1対レーン2)、ミトフィリンは、ミトコンドリア画分および全細胞溶解液において、予想通り容易に検出された(レーン3~8)。過剰発現したPCCBは、ミトコンドリアに主に局在した(レーン2対レーン4および6)。
(実施例7)
PCCB AAV9力価収率の比較
【0211】
この実施例は、ヒトPCCBの完全な天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC366)またはヒトPCCBのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC367、DTC368、DTC369、DTC370またはDTC371)からのPCCB AAV9力価収率の比較に関する。継代腎細胞株(HEK293)に増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCBの完全な天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC366)、またはヒトPCCAのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC367、DTC368、DTC369、DTC370、またはDTC371)を3重トランスフェクトした。それぞれを、AAV9カプシドを発現するプラスミド(pAAV2/9)およびアデノウイルスヘルパー機能を供給するプラスミド(pAdHelper)を同時トランスフェクトした細胞において発現させた。非トランスフェクト細胞を対照として使用し、図11において「noTX」として表す。細胞上清を採取し、DNaseIまたは等価物で処理して、カプシド形成されなかったDNAを除去し、これらの構築物のデザインに含まれるポリアデニル化シグナルに特異的なプライマー/プローブのセットを利用して、DNase耐性粒子(DRP)力価の定量を容易とした。図11は、左から右に、増強した緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC343)、ヒトPCCBの完全天然配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC366)、またはヒトPCCAのコドン最適化配列をコードするヌクレオチド配列を保有するrAAVベクタープラスミド(DTC367、DTC368、DTC369、DTC370またはDTC371)を継代腎細胞株(HEK293)に3重トランスフェクションした後のqPCRにより判定した場合のPCCB AAV9力価(ゲノムコピー(GC)/mLによる)の倍率変化を示す棒グラフである。それぞれを、AAV9カプシドを発現するプラスミド(pAAV2/9)およびアデノウイルスヘルパー機能を供給するプラスミド(pAdHelper)を同時トランスフェクトした細胞において発現させる。非トランスフェクト細胞を対照として使用し、「noTX」として表す。図11は、qPCRにより判定した場合の非トランスフェクト細胞に対するPCCB AAV9力価(ゲノムコピー(GC)/mLによる)における倍率変化を示す。図11に示すデータは、天然完全ヒトPCCB発現構築物(DTC366)とすべてのコドン最適化バージョン(DTC367、DTC368、DTC369、DTC370およびDTC371)との間での同等のrAAV力価を実証する。
(実施例8)
試験するPCCB DNAの完全性
【0212】
HEK293細胞における3重トランスフェクションによるAAV9 rAAVウイルス粒子の生成後、細胞上清を採取し、AAVX樹脂(ThermoFisher)または等価物とともにインキュベートした。AAV9 rAAVウイルス粒子を精製し、次いで、Amicon遠心フィルター(Millipore Sigma)を使用して濃縮した。精製したウイルスをアルカリ溶解緩衝液中でインキュベートし、DNAアガロースゲルにロードして、アルカリ泳動用緩衝液の存在下で一晩、電気泳動を行った。図12は、左から右にそれぞれ、対照プラスミド(空のベクターを有するプラスミド、noTX)、eGFP発現組換えAAV(rAAV)ベクターカセット(DTC343)またはPCCB発現組換えAAV(rAAV)ベクターカセット(DTC366、DTC367、DTC368、DTC369、DTC370またはDTC371)を含むアフィニティ精製したAAV9粒子のDNAアルカリアガロースゲルの画像である。
【0213】
図12に示すように、ゲル画像は、天然およびコドン最適化PCCBベクターカセットについて、予想したサイズの明瞭な単一のバンドを示し、ベクターゲノムの適切なパッケージングを示唆する(DTC366、DTC367、DTC368、DTC369、DTC370およびDTC371)。eGFP対照(DTC343)では、小型のベクターゲノムがパッケージングされるという公知の制限と一致して、2つのバンドのパッケージングが実証された。
(実施例9)
PCCAウイルスベクターの野生型マウスへの投与
【0214】
この実施例は、完全天然ヒトPCCA(DTC346)またはコドン最適化ヒトPCCA(DTC347、DTC348およびDTC349)を発現するrAAVによる処置後の野生型FVBマウスにおけるヒトPCCAタンパク質発現に関する。簡潔には、マウス(n=2または3)に、配列番号38により表す完全天然ヒトPCCA(DTC346)を発現するrAAVまたはコドン最適化ヒトPCCA(DTC347、DTC348およびDTC349)を発現するrAAVを1.66×1011ウイルスゲノム(VG)または5×1011VG静脈内注射した。ヒトPCCAタンパク質および内因性マウスPCCAタンパク質をLC-MSにより検出した。図13は、ヒトPCCAの完全天然配列(DTC346)またはヒトPCCAのコドン最適化配列(DTC347、DTC348またはDTC349)をコードするrAAVによる処置後の野生型FVBマウスにおけるマウス内因性PCCA発現に対するヒトPCCAタンパク質発現の百分率を示す棒グラフである。エラーバーは、標準偏差を表す。図13に表すデータは、天然PCCA(DTC346)1.66×1011VGの投与により発現したヒトPCCAが、内因性マウスPCCAレベルに対して2.5%であり、天然PCCAウイルスベクター(DTC346)5×1011VGの投与により発現したヒトPCCAが、内因性マウスPCCAレベルに対して11.6%であったことを示す。
(実施例10)
PCCA発現低下マウスモデルにおけるヒトPCCA活性
【0215】
この実施例は、PCCA発現低下マウスモデルにおけるヒトPCCA活性の試験に関する。マウスにおけるPCCA遺伝子の欠失は、最も重度の型のヒト疾患を模倣する。PCCA遺伝子を欠失させたマウスは、誕生から36時間以内に死に、静脈内投与による全身療法の試験が困難となる(Guenzel et al., Mol Ther. 2013 Jul; 21(7): 1316-1323を参照)。PCCA発現低下マウスでは、PCCAノックアウトマウスの遺伝的背景に対する、病原性A138T変異を有するヒトPCCAをコードする導入遺伝子の導入のため、PCCA活性が低下している。この変異PCCA遺伝子により、プロピオニルカルニチン、メチルクエン酸、グリシン、アラニン、リシン、アンモニア、および心筋症と関連するマーカーのレベルの上昇が生じ、プロピオン酸血症(PA)を有する患者におけるこれらの化合物のレベルと類似する。簡潔には、マウス(n=5)に、配列番号38により表すヒトPCCA(DTC346)の完全天然配列をコードするrAAVを1.66×1011ウイルスゲノム(VG)または5×1011VG静脈内注射した。PBS処置マウスは、対照マウスとして使用した。
PCCA発現レベルおよび酵素活性アッセイ
【0216】
注射6週後に、マウス肝臓をホモジネートし、ヒト野生型PCCAタンパク質をLC-MSにより測定した。図14は、ヒトPCCAの完全天然配列(DTC346)またはヒトPCCAのコドン最適化配列(DTC347、DTC348またはDTC349)をコードするrAAVによる処置後のPCCA発現低下マウスモデル(A138T変異体)において発現したヒト野生型PCCAタンパク質の濃度(nmol/gタンパク質による)を示す棒グラフである。列挙する百分率の数は、野生型FVBマウスの内因性PCCAタンパク質レベルに対する百分率として算出したヒト野生型PCCA発現を表す。エラーバーは、標準偏差を表す。列挙する百分率の数は、野生型FVBマウスの内因性PCCAタンパク質レベルに対する百分率として算出したヒト野生型PCCA発現を表す。これまでの結果と一致して、コドン最適化ヒトPCCAをコードするrAAVから発現したヒトPCCAタンパク質では、完全天然ヒトPCCAをコードするrAAVから発現した天然ヒトPCCAタンパク質と比較した場合、低い発現レベルが実証された。肝臓ホモジネートのPCCA酵素活性は、炭酸水素ナトリウム[C14]の取込みとして、シンチレーションカウンターを使用して測定した。図15は、1分あたりの平均カウント(CPM)データにより測定した、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするrAAV(DTC346)による処置後のPCCA発現低下マウスモデル(A138T変異体)におけるヒトPCCA活性の棒グラフである。エラーバーは、標準偏差を表す。列挙する百分率の数は、野生型FVBマウスにおいて観察されたものに対するCPMデータを記載する。Dunnettの多重比較検定を使用して、**は、PBS処置群との比較によりp<0.01を表す。
【0217】
図15に示すように、完全天然ヒトPCCAをコードするrAAVを高用量(5×1011VG)で注射したマウスでは、PBS処置マウスと比較してPCCA活性における統計学的に有意な上昇(11%)が実証された。
プロピオン酸血症(PA)の既知のバイオマーカーの濃度に対する天然PCCAウイルスベクターのPCCA発現低下マウスへの投与の作用
【0218】
また、この実施例は、PAの既知のバイオマーカーの血漿濃度に対するヒトPCCA(DTC346)の完全天然配列をコードするrAAVのPCCA発現低下マウスへの投与の作用の試験に関する。簡潔には、マウス(n=5)に、配列番号38により表すヒトPCCA(DTC346)の完全天然配列をコードするrAAVを1.66×1011VGまたは5×1011VG静脈内注射した。PAの既知のバイオマーカー(プロピオニルカルニチン(C3)、アセチルカルニチン(C2)および2-メチルクエン酸(2MC))の血漿濃度は、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)により判定した。図16A~Cは、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするrAAV(DTC346)による処置の前(Pre)ならびに2、3、4および6週間(それぞれ、2W、3W、4Wおよび6W)後のPCCA発現低下マウスモデル(A138T変異体)におけるプロピオン酸血症の既知のバイオマーカーの濃度を示す棒グラフである。エラーバーは、標準偏差を表す。Dunnettの多重比較検定を使用して、**は、PBS処置群との比較によりp<0.01を表し、***は、PBS処置群との比較によりp<0.001を表す。図16Aは、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするrAAV(DTC346)による処置後のPCCA発現低下マウスモデル(A138T変異体)におけるC3(プロピオニルカルニチン)の血漿濃度を示す棒グラフである。図16Bは、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするrAAV(DTC346)による処置後のPCCA発現低下マウスモデル(A138T変異体)におけるC3/C2(プロピオニルカルニチン/アセチルカルニチン)の血漿濃度比の棒グラフである。図16Cは、ヒトPCCAの完全天然配列をコードするrAAV(DTC346)による処置後のPCCA発現低下マウスモデル(A138T変異体)における2-メチルクエン酸(2MC)の血漿濃度を示す棒グラフである。
【0219】
ヒトPCCA(DTC346)の完全天然配列をコードするrAAVをいずれかの用量(1.66×1011VGまたは5×1011VG)で処置したマウスでは、PBS処置マウスと比較して、血漿C3、C3/C2および2-MCレベルにおける統計学的に有意な低下が実証された。
付番した実施形態
【0220】
本明細書に開示する実施形態は、本開示の付番した実施形態に提供する実施形態P1~P136を含む。
【0221】
実施形態P1:AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、5’から3’の順に
(a)5’-ITRの配列、
(b)プロモーター配列、
(c)PCCAの部分的または完全なコード配列、および
(d)3’-ITRの配列
を含む、rAAV。
【0222】
実施形態P2:前記AAVカプシドが、血清型1、2、3、4、5、6、7、8,9、10、11、12、rh10またはhu37のAAV由来である、実施形態P1に記載のrAAV。
【0223】
実施形態P3:前記AAVカプシドが、AAV9由来である、実施形態P2に記載のrAAV。
【0224】
実施形態P4:前記AAVカプシドが、AAV8由来である、実施形態P2に記載のrAAV。
【0225】
実施形態P5:前記AAVカプシドが、AAV9バリアントカプシドである、実施形態P1に記載のrAAV。
【0226】
実施形態P6:プロモーターが、ニワトリβアクチン(CBA)プロモーター、サイトメガロウイルス前初期遺伝子(CMV)プロモーター、トランスサイレチン(TTR)プロモーター、チロシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、アルファ1アンチトリプシン(A1AT)プロモーター、およびCAGプロモーターから選択される、実施形態P1~P5のいずれかに記載のrAAV。
【0227】
実施形態P7:前記プロモーターが、前記CBAプロモーターである、実施形態P6に記載のrAAV。
【0228】
実施形態P8:前記PCCAの部分的または完全なコード配列が、野生型コード配列である、実施形態P1~P7のいずれかに記載のrAAV。
【0229】
実施形態P9:前記PCCAのコード配列が、配列番号1を含む、実施形態P8に記載のrAAV。
【0230】
実施形態P10:前記PCCAの部分的または完全なコード配列が、コドン最適化コード配列である、実施形態P1~P7のいずれかに記載のrAAV。
【0231】
実施形態P11:前記PCCAのコード配列が、配列番号2~6から選択されるコード配列を含む、実施形態P10に記載のrAAV。
【0232】
実施形態P12:5’ITR配列が、AAV2由来である、実施形態P1~P11のいずれかに記載のrAAV。
【0233】
実施形態P13:3’ITR配列が、AAV2由来である、実施形態P1~P11のいずれかに記載のrAAV。
【0234】
実施形態P14:5’ITR配列および3’ITR配列が、AAV2由来である、実施形態P1~P11のいずれかに記載のrAAV。
【0235】
実施形態P15:5’ITR配列および3’ITR配列が、配列番号15を含むか、またはこれからなる、実施形態P12~P14のいずれかに記載のrAAV。
【0236】
実施形態P16:5’ITR配列および/または3’ITR配列が、非AAV2供給源由来である、実施形態P1~P11のいずれかに記載のrAAV。
【0237】
実施形態P17:パッケージングされたゲノムが、1つまたは複数のエンハンサー配列をさらに含む、実施形態P1~P16のいずれかに記載のrAAV。
【0238】
実施形態P18:エンハンサーが、サイトメガロウイルス(CMV)前初期遺伝子エンハンサー、トランスサイレチンエンハンサー(enTTR)、ニワトリβアクチン(CBA)エンハンサー、En34エンハンサー、およびApoEエンハンサーから選択される、実施形態P17に記載のrAAV。
【0239】
実施形態P19:エンハンサーが、CMVエンハンサーである、実施形態P18に記載のrAAV。
【0240】
実施形態P20:エンハンサーが、配列番号19を含むか、またはこれからなる、実施形態P19に記載のrAAV。
【0241】
実施形態P21:エンハンサーが、プロモーター配列の上流に位置する、実施形態P18~P20に記載のrAAV。
【0242】
実施形態P22:パッケージングされたゲノムが、1つまたは複数のイントロン配列をさらに含む、実施形態P1~P21のいずれかに記載のrAAV。
【0243】
実施形態P23:イントロンが、SV40スモールTイントロン、ウサギヘモグロビンサブユニットベータ(rHBB)イントロン、ヒトベータグロビンIVS2イントロン、Promegaキメライントロン、またはhFIXイントロンから選択される、実施形態P22に記載のrAAV。
【0244】
実施形態P24:イントロンが、SV40スモールTイントロンである、実施形態P23に記載のrAAV。
【0245】
実施形態P25:イントロンが、配列番号20を含むか、またはこれからなる、実施形態P24に記載のrAAV。
【0246】
実施形態P26:イントロンが、rHBBイントロンである、実施形態P23に記載のrAAV。
【0247】
実施形態P27:イントロンが、配列番号21を含むか、これからなる、実施形態P26に記載のrAAV。
【0248】
実施形態P28:前記パッケージングされたゲノムが、ポリアデニル化シグナル配列をさらに含む、実施形態P1~P27のいずれかに記載のrAAV。
【0249】
実施形態P29:前記ポリアデニル化シグナル配列が、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列、SV40ポリアデニル化シグナル配列、およびウサギベータグロビンポリアデニル化シグナル配列から選択される、実施形態P28に記載のrAAV。
【0250】
実施形態P30:前記ポリアデニル化シグナル配列が、前記ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列である、実施形態P29に記載のrAAV。
【0251】
実施形態P31:前記ポリアデニル化シグナル配列が、配列番号22を含むか、またはこれからなる、実施形態P30に記載のrAAV。
【0252】
実施形態P32:ポリアデニル化シグナル配列が、SV40ポリアデニル化シグナル配列である、実施形態P29に記載のrAAV。
【0253】
実施形態P33:ポリアデニル化シグナル配列が、配列番号23を含むか、またはこれからなる、実施形態P32に記載のrAAV。
【0254】
実施形態P34:AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、5’から3’の順に
(a)5’-ITRの配列、
(b)プロモーター配列、
(c)PCCBの部分的または完全なコード配列、および
(d)3’-ITRの配列
を含む、rAAV。
【0255】
実施形態P35:前記AAVカプシドが、血清型1、2、3、4、5、6、7、8,9、10、11、12、rh10またはhu37のAAV由来である、実施形態P34に記載のrAAV。
【0256】
実施形態P36:前記AAVカプシドが、AAV9由来である、実施形態P35に記載のrAAV。
【0257】
実施形態P37:前記AAVカプシドが、AAV8由来である、実施形態P35に記載のrAAV。
【0258】
実施形態P38:前記AAVカプシドが、AAV9バリアントカプシドである、実施形態P34に記載のrAAV。
【0259】
実施形態P39:プロモーターが、ニワトリβアクチン(CBA)プロモーター、サイトメガロウイルス前初期遺伝子(CMV)プロモーター、トランスサイレチン(TTR)プロモーター、チロシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、アルファ1アンチトリプシン(A1AT)プロモーター、およびCAGプロモーターから選択される、実施形態P34~P38のいずれかに記載のrAAV。
【0260】
実施形態P40:前記プロモーターが、前記CBAプロモーターである、実施形態P39に記載のrAAV。
【0261】
実施形態P41:前記PCCBの部分的または完全なコード配列が、野生型コード配列である、実施形態P34~P40のいずれかに記載のrAAV。
【0262】
実施形態P42:前記PCCBのコード配列が、配列番号7を含む、実施形態P41に記載のrAAV。
【0263】
実施形態P43:前記PCCBの部分的または完全なコード配列が、コドン最適化コード配列である、実施形態P34~P40のいずれかに記載のrAAV。
【0264】
実施形態P44:前記PCCBのコード配列が、配列番号8~12から選択されるコード配列を含む、実施形態P43に記載のrAAV。
【0265】
実施形態P45:5’ITR配列が、AAV2由来である、実施形態P34~P44のいずれかに記載のrAAV。
【0266】
実施形態P46:3’ITR配列が、AAV2由来である、実施形態P34~P44のいずれかに記載のrAAV。
【0267】
実施形態P47:5’ITR配列および3’ITR配列が、AAV2由来である、実施形態P34~P44のいずれかに記載のrAAV。
【0268】
実施形態P48:5’ITR配列および3’ITR配列が、配列番号15を含むか、またはこれからなる、実施形態P45~P47のいずれかに記載のrAAV。
【0269】
実施形態P49:5’ITR配列および/または3’ITR配列が、非AAV2供給源由来である、実施形態P34~P44のいずれかに記載のrAAV。
【0270】
実施形態P50:パッケージングされたゲノムが、1つまたは複数のエンハンサー配列をさらに含む、実施形態P34~P49のいずれかに記載のrAAV。
【0271】
実施形態P51:エンハンサーが、サイトメガロウイルス(CMV)前初期遺伝子エンハンサー、トランスサイレチンエンハンサー(enTTR)、ニワトリβアクチン(CBA)エンハンサー、En34エンハンサー、およびApoEエンハンサーから選択される、実施形態P50に記載のrAAV。
【0272】
実施形態P52:エンハンサーが、CMVエンハンサーである、実施形態P51に記載のrAAV。
【0273】
実施形態P53:エンハンサーが、配列番号19を含むか、またはこれからなる、実施形態P52に記載のrAAV。
【0274】
実施形態P54:エンハンサーが、プロモーター配列の上流に位置する、実施形態P51~P53に記載のrAAV。
【0275】
実施形態P55:パッケージングされたゲノムが、1つまたは複数のイントロン配列をさらに含む、実施形態P34~P54のいずれかに記載のrAAV。
【0276】
実施形態P56:イントロンが、SV40スモールTイントロン、ウサギヘモグロビンサブユニットベータ(rHBB)イントロン、ヒトベータグロビンIVS2イントロン、Promegaキメライントロン、またはhFIXイントロンから選択される、実施形態P55に記載のrAAV。
【0277】
実施形態P57:イントロンが、SV40スモールTイントロンである、実施形態P56に記載のrAAV。
【0278】
実施形態P58:イントロンが、配列番号20を含むか、またはこれからなる、実施形態P57に記載のrAAV。
【0279】
実施形態P59:イントロンが、rHBBイントロンである、実施形態P56に記載のrAAV。
【0280】
実施形態P60:イントロンが、配列番号21を含むか、これからなる、実施形態P59に記載のrAAV。
【0281】
実施形態P61:前記パッケージングされたゲノムが、ポリアデニル化シグナル配列をさらに含む、実施形態P34~P60のいずれかに記載のrAAV。
【0282】
実施形態P62:前記ポリアデニル化シグナル配列が、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列、SV40ポリアデニル化シグナル配列、およびウサギベータグロビンポリアデニル化シグナル配列から選択される、実施形態P61に記載のrAAV。
【0283】
実施形態P63:前記ポリアデニル化シグナル配列が、前記ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列である、実施形態P62に記載のrAAV。
【0284】
実施形態P64:前記ポリアデニル化シグナル配列が、配列番号22を含むか、またはこれからなる、実施形態P63に記載のrAAV。
【0285】
実施形態P65:ポリアデニル化シグナル配列が、SV40ポリアデニル化シグナル配列である、実施形態P62に記載のrAAV。
【0286】
実施形態P66:ポリアデニル化シグナル配列が、配列番号23を含むか、またはこれからなる、実施形態P65に記載のrAAV。
【0287】
実施形態P67:AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に
(a)5’ITRの配列、
(b)エンハンサー配列、
(c)プロモーター配列、
(d)イントロン配列、
(e)部分的または完全なPCCAのコード配列、
(f)ポリアデニル化シグナル配列、および
(g)3’ITRの配列
を含む、rAAV。
【0288】
実施形態P68:AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に
(a)5’ITRの配列、
(b)エンハンサー配列、
(c)プロモーター配列、
(d)イントロン配列、
(e)部分的または完全なPCCBのコード配列、
(f)ポリアデニル化シグナル配列、および
(g)3’ITRの配列
を含む、rAAV。
【0289】
実施形態P69:前記AAVカプシドが、血清型1、2、3、4、5、6、7、8,9、10、11、12、rh10またはhu37のAAV由来である、実施形態P67またはP68に記載のrAAV。
【0290】
実施形態P70:前記AAVカプシドが、AAV9由来である、実施形態P69に記載のrAAV。
【0291】
実施形態P71:前記AAVカプシドが、AAV8由来である、実施形態P69に記載のrAAV。
【0292】
実施形態P72:前記AAVカプシドが、AAV9バリアントカプシドである、実施形態P67またはP68に記載のrAAV。
【0293】
実施形態P73:プロモーターが、ニワトリβアクチン(CBA)プロモーター、サイトメガロウイルス前初期遺伝子(CMV)プロモーター、トランスサイレチン(TTR)プロモーター、チロシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、アルファ1アンチトリプシン(A1AT)プロモーター、およびCAGプロモーターから選択される、実施形態P67~P72のいずれかに記載のrAAV。
【0294】
実施形態P74:前記プロモーターが、前記CBAプロモーターである、実施形態P73に記載のrAAV。
【0295】
実施形態P75:前記PCCAの部分的または完全なコード配列が、野生型コード配列である、実施形態P67に記載のrAAV。
【0296】
実施形態P76:前記PCCAのコード配列が、配列番号1を含む、実施形態P75に記載のrAAV。
【0297】
実施形態P77:前記PCCAの部分的または完全なコード配列が、コドン最適化コード配列である、実施形態P67に記載のrAAV。
【0298】
実施形態P78:前記PCCAのコード配列が、配列番号2~6から選択されるコード配列を含む、実施形態P77に記載のrAAV。
【0299】
実施形態P79:PCCBの部分的または完全なコード配列が、野生型コード配列である、実施形態P68に記載のrAAV。
【0300】
実施形態P80:PCCBのコード配列が、配列番号7を含む、実施形態P79に記載のrAAV。
【0301】
実施形態P81:PCCBの部分的または完全なコード配列が、コドン最適化配列である、実施形態P68に記載のrAAV。
【0302】
実施形態P82:PCCBのコード配列が、配列番号8~12から選択されるコード配列を含む、実施形態P81に記載のrAAV。
【0303】
実施形態P83:エンハンサーが、サイトメガロウイルス(CMV)前初期遺伝子エンハンサー、トランスサイレチンエンハンサー(enTTR)、ニワトリβアクチン(CBA)エンハンサー、En34エンハンサー、およびApoEエンハンサーから選択される、実施形態P67またはP82に記載のrAAV。
【0304】
実施形態P84:エンハンサーが、CMVエンハンサーである、実施形態P83に記載のrAAV。
【0305】
実施形態P85:イントロンが、SV40スモールTイントロン、ウサギヘモグロビンサブユニットベータ(rHBB)イントロン、ヒトベータグロビンIVS2イントロン、Promegaキメライントロン、またはhFIXイントロンから選択される、実施形態P67~P84のいずれかに記載のrAAV。
【0306】
実施形態P86:イントロンが、SV40スモールTイントロンである、実施形態P85に記載のrAAV。
【0307】
実施形態P87:イントロンが、rHBBイントロンである、実施形態P85に記載のrAAV。
【0308】
実施形態P88:前記ポリアデニル化シグナル配列が、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列、SV40ポリアデニル化シグナル配列、およびウサギベータグロビンポリアデニル化シグナル配列から選択される、実施形態P67~P87のいずれかに記載のrAAV。
【0309】
実施形態P89:前記ポリアデニル化シグナル配列が、前記ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列である、実施形態P88に記載のrAAV。
【0310】
実施形態P90:ポリアデニル化シグナル配列が、SV40ポリアデニル化シグナル配列である、実施形態P88に記載のrAAV。
【0311】
実施形態P91:AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、プロピオン酸血症(PA)の処置に有用な組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に
(a)5’ITRの配列、
(b)エンハンサー配列、
(c)プロモーター配列、
(d)イントロン配列、
(e)配列番号1~6から選択されるPCCAのコード配列、
(f)ポリアデニル化シグナル配列、および
(g)3’ITRの配列
を含む、rAAV。
【0312】
実施形態P92:AAVカプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、プロピオン酸血症(PA)の処置に有用な組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に
(a)5’ITRの配列、
(b)エンハンサー配列、
(c)プロモーター配列、
(d)イントロン配列、
(e)配列番号7~12から選択されるPCCBのコード配列、
(f)ポリアデニル化シグナル配列、および
(g)3’ITRの配列
を含む、rAAV。
【0313】
実施形態P93:AAVカプシドが、AAV9由来である、実施形態P91またはP92に記載のrAAV。
【0314】
実施形態P94:AAV9カプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、プロピオン酸血症(PA)の処置に有用な組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に
(a)5’ITRの配列、
(b)エンハンサー配列、
(c)プロモーター配列、
(d)イントロン配列、
(e)配列番号1~6から選択されるPCCAのコード配列、
(f)ポリアデニル化シグナル配列、および
(g)3’ITRの配列
を含む、rAAV。
【0315】
実施形態P95:AAV9カプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、プロピオン酸血症(PA)の処置に有用な組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に
(a)5’ITRの配列、
(b)エンハンサー配列、
(c)プロモーター配列、
(d)イントロン配列、
(e)配列番号7~12から選択されるPCCBのコード配列、
(f)ポリアデニル化シグナル配列、および
(g)3’ITRの配列
を含む、rAAV。
【0316】
実施形態P96:AAV9カプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、プロピオン酸血症(PA)の処置に有用な組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に
(a)AAV2 5’ITRの配列、
(b)CMVエンハンサー配列、
(c)CBAプロモーター配列、
(d)rHBBまたはSV40スモールTイントロン配列、
(e)配列番号1~6から選択されるPCCAのコード配列、
(f)BGHまたはSV40ポリアデニル化シグナル配列、および
(g)AAV2 3’ITRの配列
を含む、rAAV。
【0317】
実施形態P97:AAV9カプシドおよびそこにパッケージングされたベクターゲノムを含む、プロピオン酸血症(PA)の処置に有用な組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記ベクターゲノムが、作動可能に連結された成分として5’から3’の順に
(a)AAV2 5’ITRの配列、
(b)CMVエンハンサー配列、
(c)CBAプロモーター配列、
(d)rHBBまたはSV40スモールTイントロン配列、
(e)配列番号7~12から選択されるPCCBのコード配列、
(f)BGHまたはSV40ポリアデニル化シグナル配列、および
(g)AAV2 3’ITRの配列
を含む、rAAV。
【0318】
実施形態P98:ベクターゲノムが、ベクターゲノムエレメント(d)と(e)との間に位置するコンセンサスKozak配列を含む、実施形態P67~P97のいずれかに記載のrAAV。
【0319】
実施形態P99:コンセンサスKozak配列が、配列番号24を含む、実施形態P98に記載のrAAV。
【0320】
実施形態P100:前記実施形態のいずれかに記載のrAAVおよび薬学的に許容される担体を含む組成物。
【0321】
実施形態P101:治療有効量の実施形態P1~P99のいずれかに記載のrAAVまたは実施形態P100に記載の組成物をヒト対象に投与するステップを含む、ヒト対象においてプロピオン酸血症(PA)を処置する方法。
【0322】
実施形態P102:
(1)実施形態P1~P33のいずれかに記載のrAAVを含む治療有効量の組成物、および
(2)実施形態P34~P66のいずれかに記載のrAAVを含む治療有効量の組成物
をヒト対象に投与するステップを含む、ヒト対象においてプロピオン酸血症(PA)を処置する方法。
【0323】
実施形態P103:(1)および(2)の組成物が、同時に投与される、実施形態P102に記載の方法。
【0324】
実施形態P104:(1)および(2)の組成物が、連続的に投与される、実施形態P102に記載の方法。
【0325】
実施形態P105:(1)および(2)の組成物が、別々に投与される、実施形態P102に記載の方法。
【0326】
実施形態P106:PCCAにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象においてプロピオン酸血症(PA)を処置する方法であって、実施形態P1~P33のいずれかに記載のrAAVを含む治療有効量の組成物をヒト対象に投与するステップを含む、方法。
【0327】
実施形態P107:PCCAにおける前記変異が、表1から選択される、実施形態P106に記載の方法。
【0328】
実施形態P108:PCCBにおける少なくとも1つの変異を有すると診断されたヒト対象においてプロピオン酸血症(PA)を処置する方法であって、実施形態P34~P66のいずれかに記載のrAAVを含む治療有効量の組成物をヒト対象に投与するステップを含む、方法。
【0329】
実施形態P109:PCCBにおける前記変異が、表2から選択される、実施形態P108に記載の方法。
【0330】
実施形態P110:前記組換えウイルス、前記rAAVまたは前記組成物が、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、または静脈内に投与される、実施形態P101~P109のいずれかに記載の方法。
【0331】
実施形態P111:前記rAAVまたは前記組成物が、静脈内に投与される、実施形態P110に記載の方法。
【0332】
実施形態P112:前記rAAVが、約1×1011~約1×1014ゲノムコピー(GC)/kgの用量で投与される、実施形態P101~P111のいずれかに記載の方法。
【0333】
実施形態P113:前記rAAVが、約1×1012~約1×1013ゲノムコピー(GC)/kgの用量で投与される、実施形態P112に記載の方法。
【0334】
実施形態P114:前記rAAVを投与するステップが、単一用量のrAAVの投与を含む、実施形態P110~P113のいずれかに記載の方法。
【0335】
実施形態P115:前記rAAVを投与するステップが、複数用量のrAAVの投与を含む、実施形態P110~P113のいずれかに記載の方法。
【0336】
実施形態P116:核酸配列が、配列番号1の野生型コード配列と80%未満同一である、配列番号16のPCCAポリペプチドをコードする組換え核酸。
【0337】
実施形態P117:前記核酸配列が、配列番号2~6から選択される配列と少なくとも80%同一である配列を含む、実施形態P116に記載の組換え核酸。
【0338】
実施形態P118:前記核酸配列が、配列番号2~6から選択される配列を含む、実施形態P117に記載の組換え核酸。
【0339】
実施形態P119:核酸配列が、TGA、TAAおよびTAGから選択される1つまたは複数の終止コドンを3’末端にさらに含む、実施形態P116~P118のいずれかに記載の組換え核酸。
【0340】
実施形態P120:核酸配列が、配列番号7の野生型コード配列と80%未満同一である、配列番号17のPCCBポリペプチドをコードする組換え核酸。
【0341】
実施形態P121:前記核酸配列が、配列番号8~12から選択される配列と少なくとも80%同一である配列を含む、実施形態P120に記載の組換え核酸。
【0342】
実施形態P122:前記核酸配列が、配列番号8~12から選択される配列を含む、実施形態P121に記載の組換え核酸。
【0343】
実施形態P123:核酸配列が、TGA、TAAおよびTAGから選択される1つまたは複数の終止コドンを3’末端にさらに含む、実施形態P120~P122のいずれかに記載の組換え核酸。
【0344】
実施形態P124:配列番号2~6から選択される配列と少なくとも80%同一である配列を含む組換え核酸。
【0345】
実施形態P125:配列番号2~6から選択される配列と少なくとも90%同一である配列を含む、実施形態P124に記載の組換え核酸。
【0346】
実施形態P126:配列番号2~6から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む、実施形態P125に記載の組換え核酸。
【0347】
実施形態P127:配列番号2~6から選択される配列を含む組換え核酸。
【0348】
実施形態P128:核酸配列が、TGA、TAAおよびTAGから選択される1つまたは複数の終止コドンを3’末端にさらに含む、実施形態P124~P127のいずれかに記載の組換え核酸。
【0349】
実施形態P129:配列番号7~12から選択される配列と少なくとも80%同一である配列を含む組換え核酸。
【0350】
実施形態P130:配列番号7~12から選択される配列と少なくとも90%同一である配列を含む、実施形態P129に記載の組換え核酸。
【0351】
実施形態P131:配列番号2~6から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む、実施形態P130に記載の組換え核酸。
【0352】
実施形態P132:配列番号7~12から選択される配列を含む組換え核酸。
【0353】
実施形態P133:前記核酸配列が、TGA、TAAおよびTAGから選択される1つまたは複数の終止コドンを3’末端にさらに含む、実施形態P129~P132のいずれかに記載の組換え核酸。
【0354】
実施形態P134:実施形態P116~P133のいずれかに記載の組換え核酸を含むrAAV。
【0355】
実施形態P135:実施形態P116~P133のいずれかに記載の組換え核酸または実施形態P134に記載のrAAVを含む宿主細胞。
【0356】
実施形態P136:HeLa、Cos-7、HEK293、A549、BHK、Vero、RD、HT-1080、ARPE-19またはMRC-5細胞から選択される、実施形態P135に記載の宿主細胞。
参照による組み込み
【0357】
本明細書において参照される特許文書および科学記事のそれぞれの開示全体は、すべての目的について参照により組み込まれる。
均等物
【0358】
本開示は、その精神または本質的特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態において具体化されうる。したがって、前述の実施形態は、本明細書に記載される開示への制限よりむしろ、あらゆる点で例示的であると見なされるべきである。種々の実施形態および開示する種々の方法ステップの種々の構造エレメントは、種々の組合せおよび順列で利用してもよく、このようなすべての変形形態は、本開示の形態であるとみなされるべきである。本開示の範囲は、したがって前述の記載によってよりむしろ添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の等価の意味および範囲内に生じるすべての変化は、それに含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16-1】
図16-2】
【配列表】
2022513318000001.app
【国際調査報告】