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特表2022-513327機能性アプタマーを選択するための方法および組成物
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】機能性アプタマーを選択するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   C40B 10/00 20060101AFI20220131BHJP
   C12N 5/09 20100101ALI20220131BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20220131BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20220131BHJP
   C40B 40/06 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/115 20100101ALN20220131BHJP
【FI】
C40B10/00 ZNA
C12N5/09
C12N5/071
C12N1/20 A
C40B40/06
C12N15/11 Z
C12N15/115 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542284
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(85)【翻訳文提出日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 IB2019001082
(87)【国際公開番号】W WO2020065404
(87)【国際公開日】2020-04-02
(31)【優先権主張番号】62/738,235
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519262283
【氏名又は名称】オーグマニティ ナノ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521128856
【氏名又は名称】オミューン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アミール,ヤニブ
(72)【発明者】
【氏名】アブ-ホロヴィッツ,アルモギト
(72)【発明者】
【氏名】バチェレト,イド
(72)【発明者】
【氏名】バサリ,リロン,アンナ
(72)【発明者】
【氏名】デビー,エリノア
(72)【発明者】
【氏名】エフラティ,リロン,レヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィ,エレズ
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ,オメール
(72)【発明者】
【氏名】ケデム,ノアム マメト
(72)【発明者】
【氏名】パズ,アナスタシア
(72)【発明者】
【氏名】レイス,ネリア
(72)【発明者】
【氏名】ルシネク,イタイ
(72)【発明者】
【氏名】シャーフ,イェーラ
(72)【発明者】
【氏名】スカルカ,ニール
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
(57)【要約】
本開示は、機能性アプタマーを選択するための組成物および方法を記載する。特定の実施形態において、本明細書で提供されるのは、アプタマーライブラリから機能性アプタマーを識別するためにアプタマークラスター含有粒子を使用する方法である。特定の実施形態において、機能富化されたアプタマーの集団が本明細書で提供される。特定の実施形態において、本明細書で提供されるのは、個別化されたがん治療に使用するためのアプタマーを選択する方法、および腫瘍送達システムを作成する方法である。特定の実施形態において、本明細書では、アプタマークラスター含有粒子、標的細胞(例えば、がん細胞、免疫細胞等)、および/または細胞機能の検出可能な指標(例えば、アポトーシス、細胞増殖、遺伝子もしくはタンパク質発現の蛍光指標等)を含む組成物が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能富化されたアプタマー集団を作製するための方法であって、その方法が:
(a)標的細胞を、アプタマークラスターのライブラリが表面に固定化された複数の粒子(「アプタマークラスター粒子」)及び細胞機能のレポーターと接触させ、ここで固定化されたアプタマークラスターの少なくとも一部が標的細胞の少なくとも一部と結合して、細胞アプタマークラスター粒子複合体が形成されるステップ;
(b)細胞アプタマークラスター粒子複合体中の標的細胞の少なくとも一部が細胞機能の作用を受けるのに十分な期間の間、前記細胞アプタマークラスター粒子複合体をインキュベートするステップ;
(c)細胞機能のレポーターを用いて、細胞機能の作用を受けている細胞アプタマークラスター粒子複合体を検出するステップ;
(d)ステップ(c)で検出された、細胞機能の作用を受けている標的細胞を含む細胞アプタマークラスター粒子複合体を、他の細胞アプタマークラスター粒子複合体から分離するステップ;ならびに
(e)分離された細胞アプタマークラスター粒子複合体中のアプタマーを増幅して、機能富化されたアプタマー集団を作製するステップ、
を含む前記方法。
【請求項2】
ステップ(c)および(d)が、フローサイトメーターを用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(d)で分離された細胞アプタマークラスター粒子複合体において、アプタマークラスター粒子を標的細胞から分離することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
分離されたアプタマークラスター粒子中の粒子からアプタマーを解離させるステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(f):(i)ステップ(e)の機能富化されたアプタマーの集団からアプタマークラスター粒子を形成すること;ならびに(ii)新たに形成されたアプタマークラスター粒子を用いてステップ(a)~(e)を繰り返し、さらに機能富化されたアプタマーの集団を作製すること、をさらに含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
ステップ(f)が少なくとも2回繰り返される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(f)が少なくとも3回繰り返される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(f)が少なくとも4回繰り返される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(f)が、連続する富化の繰り返しにおいて制限条件を適用することをさらに含む、請求項5~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
制限条件が、(i)粒子の総数を減らすこと、(ii)粒子あたりのアプタマーのコピー数を減らすこと、(iii)標的細胞の総数を減らすこと、(iv)インキュベーション期間を短縮すること、および/または(v)エラープローンポリメラーゼを用いてアプタマーの集団を増幅することによりアプタマー配列にエラーを導入すること、から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(f)のさらに富化されたアプタマーの集団が、ステップ(a)のアプタマークラスターのライブラリと比較して、2倍の配列多様性の減少を示す、請求項5~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
ステップ(f)の各ラウンドが、細胞機能を調節するアプタマーについて、アプタマー集団を少なくとも1.1倍富化する、請求項5~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
ステップ(e)の後に、配列決定によってアプタマーの富化された集団を特定するステップをさらに含む、請求項1~12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
ステップ(a)の前にアプタマークラスター粒子を作製するステップをさらに含む、請求項1~13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
アプタマークラスター粒子を作製するステップが:
(1)アプタマーライブラリからの多数のアプタマーを粒子表面に固定化すること;ならびに
(2)多数の固定化されたアプタマーを粒子表面上で局所的に増幅してアプタマークラスター粒子を形成すること、
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(2)において、エマルジョンPCRを用いて、固定化された多数のアプタマーが増幅される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
アプタマークラスター中のアプタマーが、分子キャップを有する、露出されていない一本鎖核酸配列を含む、請求項1~16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
アプタマークラスター粒子上に固定化されたアプタマークラスターが、エマルジョンPCRを用いて調製される、請求項1~17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
アプタマークラスター粒子の少なくとも95%が、10個以下のユニークなアプタマー配列の複数コピーを個別に含んでいる、請求項1~18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
アプタマークラスター粒子の少なくとも95%が、7個以下の異なるアプタマー配列の複数コピーを個別に含んでいる、請求項1~18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
アプタマークラスター粒子の少なくとも95%が、5個以下の異なるアプタマー配列の複数コピーを個別に含んでいる、請求項1~18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
アプタマークラスター粒子の少なくとも95%が、3個以下の異なるアプタマー配列の複数コピーを個別に含んでいる、請求項1~18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
アプタマークラスター粒子の少なくとも95%が、2個以下の異なるアプタマー配列の複数コピーを個別に含んでいる、請求項1~18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
アプタマークラスター粒子の少なくとも95%が、1個を超えない特徴的なアプタマー配列の複数コピーを個別に含んでいる、請求項1~18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
アプタマークラスター粒子が、1個を超えない特徴的なアプタマー配列の複数コピーを個別に含んでいる、請求項1~18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
アプタマークラスターが、少なくとも50個の同一のアプタマーを含む、請求項1~25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
アプタマークラスターのライブラリが、100から1014個の異なるアプタマー配列を含む、請求項1~26のいずれか1つに記載の方法。
【請求項28】
アプタマークラスターのライブラリが、少なくとも108個の異なるアプタマー配列を含む、請求項1~27のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
アプタマークラスターが、保存配列の領域およびランダム化配列の領域を含有するアプタマーを含む、請求項1~28のいずれか1つに記載の方法。
【請求項30】
ランダム化配列の領域は露出され、保存配列の領域はキャップ付きである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
粒子が、ポリマービーズ、アガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、アクリルアミドビーズ、ソリッドコアビーズ、多孔質ビーズ、常磁性ビーズ、ガラスビーズ、制御された細孔ビーズ、マイクロビーズ、およびナノ粒子から選択される、請求項1~30のいずれか1つに記載の方法。
【請求項32】
粒子が、少なくとも1次元で、約25nm~約30μmの平均直径を有する、請求項1~31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項33】
粒子が、少なくとも1次元において、約25nm、50nm、100nm、250nm、0.5μm、2μm、5μm、10μm、20μm、または30μmの平均直径を有する、請求項1~31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項34】
アプタマークラスターのライブラリが、結合Cell SELEX、ネガティブSELEX、およびin vitro進化からなる一群から選択される1つまたは複数のプロセスを介して予め選択されたアプタマーを含む、請求項1~33のいずれか1つに記載の方法。
【請求項35】
アプタマーの初期ライブラリを、標的細胞に結合するアプタマーについて富化して、アプタマーの結合富化集団を生成し、次いでそのアプタマー結合富化集団を使用してステップ(a)のアプタマークラスター粒子を作製することをさらに含む、請求項1~33のいずれか1つに記載の方法。
【請求項36】
アプタマーの初期ライブラリが、1以上の回数の結合Cell SELEXを行うことによって富化される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
アプタマークラスター粒子を作製するステップが:
(1)アプタマーの結合富化集団から多数のアプタマーを粒子表面上に固定化すること;および
(2)固定化された多数のアプタマーを粒子表面上で局所的に増幅してアプタマークラスター粒子を形成すること
を含む、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
アプタマークラスターが、化学修飾または非天然ヌクレオチドを含有するアプタマーを含む、請求項1~37のいずれか1つに記載の方法。
【請求項39】
アプタマークラスターが、DNA、RNA、またはそれらの化学修飾物であるアプタマーを含む、請求項1~38のいずれか1つに記載の方法。
【請求項40】
アプタマークラスターが、蛍光マーカー、または光学顕微鏡下での視認を可能にするためのエレメントで標識される、請求項1~39のいずれか1つに記載の方法。
【請求項41】
その期間が、約10分から約5日である、請求項1~40のいずれか1つに記載の方法。
【請求項42】
その期間が、約1.5時間から約24時間である、請求項1~40のいずれか1つに記載の方法。
【請求項43】
その期間が、約1.5時間から約2時間である、請求項1~40のいずれか1つに記載の方法。
【請求項44】
標的細胞が原核細胞である、請求項1~43のいずれか1つに記載の方法。
【請求項45】
標的細胞が細菌である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
標的細胞が真核細胞である、請求項1~43のいずれか1つに記載の方法。
【請求項47】
真核細胞が哺乳類細胞である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
哺乳類細胞が、がん細胞または免疫細胞である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
哺乳類細胞が、患者由来の細胞である、請求項46~48のいずれか1つに記載の方法。
【請求項50】
患者由来の細胞が、患者由来のがん細胞または患者由来の免疫細胞である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
標的細胞をアプタマークラスター粒子と接触させる前、接触させている間、または接触させた後に、標的細胞を細胞機能のレポーターと接触させる、請求項1~50のいずれか1つに記載の方法。
【請求項52】
標的細胞を、ステップ(b)の前、ステップ(b)の間、またはステップ(b)の後に、細胞機能のレポーターと接触させる、請求項1~50のいずれか1つに記載の方法。
【請求項53】
細胞機能のレポーターが蛍光色素である、請求項1~52のいずれか1つに記載の方法。
【請求項54】
蛍光色素が、カルシウム感受性色素、細胞追跡用色素、親油性色素、細胞増殖色素、細胞周期色素、代謝物感受性色素、pH感受性色素、膜電位感受性色素、ミトコンドリア膜電位感受性色素、または酸化還元電位色素である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
細胞機能のレポーターが、活性化関連マーカー、酸化ストレスレポーター、血管新生マーカー、アポトーシスマーカー、オートファジーマーカー、細胞生存マーカー、またはイオン濃度のマーカーである、請求項1~54のいずれか1つに記載の方法。
【請求項56】
細胞機能が、細胞生存、アポトーシス、細胞増殖、遺伝子発現、細胞形態、細胞活性化、リン酸化、カルシウム動員、脱顆粒、細胞移動、または細胞分化である、請求項1~55のいずれか1つに記載の方法。
【請求項57】
標的細胞が、がん細胞である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
細胞機能がアポトーシスである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
細胞機能が、免疫チェックポイントタンパク質のリガンド発現の調節である、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
標的細胞が免疫細胞である、請求項1~55のいずれか1つに記載の方法。
【請求項61】
細胞機能が、免疫タンパク質の発現の調節である、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
免疫タンパク質が細胞表面免疫タンパク質である、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
細胞表面タンパク質が免疫チェックポイントタンパク質である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
免疫タンパク質がサイトカインである、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
細胞機能が増殖である、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
細胞機能がアポトーシスである、請求項60に記載の方法。
【請求項67】
細胞アプタマークラスター粒子複合体が、標的細胞あたり約2個~約4個の粒子を含む、請求項1~66のいずれか1つに記載の方法。
【請求項68】
アプタマークラスター粒子が、粒子あたり平均1~6個のアプタマークラスターを含む、請求項1~58のいずれか1つに記載の方法。
【請求項69】
多数の細胞アプタマークラスター粒子複合体が、ステップ(b)で単一の反応容量の中に含まれる、請求項1~68のいずれか1つに記載の方法。
【請求項70】
細胞アプタマークラスター粒子複合体が、ステップ(d)において、フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡、光学ピンセット、マイクロピペット、マイクロ流体分離、顕微操作、または分離シーディングを介して分離される、請求項1~69のいずれか1つに記載の方法。
【請求項71】
ステップ(d)で分離された細胞アプタマークラスター粒子複合体中のアプタマークラスター粒子を、細胞溶解および遠心分離によって分離することをさらに含む、請求項1~70のいずれか1つに記載の方法。
【請求項72】
分離された細胞アプタマークラスター粒子中のアプタマーが、ステップ(e)の前に、HPLC精製によって単離される、請求項1~71のいずれか1つに記載の方法。
【請求項73】
請求項1~72のいずれか1つに記載の方法によって作製される、機能富化されたアプタマー集団。
【請求項74】
アプタマー集団が、富化される前のアプタマークラスターライブラリ内のアプタマーと比較して、2倍を超える機能富化を特徴とする、請求項73に記載の機能富化されたアプタマー集団。
【請求項75】
細胞機能が、がん細胞死またはアポトーシスの促進である、請求項73または74に記載の機能富化されたアプタマー集団。
【請求項76】
細胞機能が、免疫応答の促進である、請求項73~75のいずれか1つに記載の機能富化されたアプタマー集団。
【請求項77】
個別化がん治療に使用するためのアプタマーを選択する方法であって、請求項75に記載の機能富化されたアプタマー集団から、患者由来のがん細胞の細胞死またはアポトーシスを促進する少なくとも1つのアプタマー候補を選択することを含む、前記方法。
【請求項78】
選択されたアプタマーを配列決定することをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
配列決定されたアプタマーを合成することをさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
腫瘍送達システムを作成する方法であって、請求項75に記載の機能富化されたアプタマー集団から、がん細胞死またはアポトーシスを促進する少なくとも1つのアプタマー候補を選択し、その少なくとも1つのアプタマーを、腫瘍局所送達のために腫瘍治療薬と組み合わせることを含む、前記方法。
【請求項81】
個別化がん治療に使用するためのアプタマーを選択する方法であって、請求項1~72のいずれか1つにしたがって、機能富化されたアプタマーの集団を調製すること、ならびに、その機能富化されたアプタマー集団から、患者由来のがん細胞の細胞死またはアポトーシスを促進する少なくとも1つのアプタマー候補を選択することを含む、前記方法。
【請求項82】
選択されたアプタマーを配列決定することをさらに含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
配列決定されたアプタマーを合成することをさらに含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
被験体においてがんを治療する方法であって:
(a)被験体からがん細胞を採取すること;
(b)そのがん細胞を標的細胞として使用して、請求項1~72のいずれか1つにしたがって、機能富化されたアプタマー集団を調製すること;
(c)機能富化されたアプタマー集団から、がん細胞の細胞死またはアポトーシスを促進する少なくとも1つのアプタマーを選択すること;および
(d)そのアプタマーを被験体に投与すること、
を含む、前記方法。
【請求項85】
アプタマークラスターのライブラリが固定化された多数の粒子(「アプタマークラスター粒子」)、標的細胞、および細胞機能のレポーターを含む組成物。
【請求項86】
細胞機能のレポーターが蛍光レポーターである、請求項85に記載の組成物。
【請求項87】
蛍光レポーターが膜完全性レポーターである、請求項86に記載の組成物。
【請求項88】
蛍光レポーターがキャプシド完全性レポーターである、請求項86に記載の組成物。
【請求項89】
蛍光レポーターがタンパク質完全性レポーターである、請求項86に記載の組成物。
【請求項90】
蛍光レポーターがタンパク質変性レポーターである、請求項86に記載の組成物。
【請求項91】
蛍光レポーターが細胞死レポーターである、請求項86に記載の組成物。
【請求項92】
蛍光レポーターが酸化還元電位レポーターである、請求項86に記載の組成物。
【請求項93】
組成物が、少なくとも約106個のアプタマークラスターを含む、請求項85~92のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項94】
組成物が、106~109個のアプタマークラスターを含む、請求項85~92のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項95】
各アプタマークラスターが、少なくとも約104コピーのアプタマーを含む、請求項85~94のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項96】
各アプタマークラスターが、約104~106コピーのアプタマーを含む、請求項85~94のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項97】
アプタマークラスターが蛍光マーカーで標識される、請求項85~96のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項98】
アプタマークラスターが、光学顕微鏡下での視認を可能にするためのエレメントで標識される、請求項85~96のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項99】
そのエレメントがナノ粒子である、請求項98に記載の組成物。
【請求項100】
アプタマークラスターがアンチセンス鎖で標識される、請求項85~99のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項101】
アンチセンス鎖が、標的の結合時に置き換えられるか、または除去される、請求項100に記載の組成物。
【請求項102】
酵素をさらに含む、請求項85~101のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項103】
酵素が、リガーゼ、ポリメラーゼ、ヌクレアーゼ、編集酵素、および/または制限酵素である、請求項102に記載の組成物。
【請求項104】
標的細胞が原核細胞である、請求項85~103のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項105】
標的細胞が細菌である、請求項104に記載の組成物。
【請求項106】
標的細胞が真核細胞である、請求項85~103のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項107】
真核細胞が哺乳類細胞である、請求項106に記載の組成物。
【請求項108】
哺乳類細胞が、がん細胞または免疫細胞である、請求項107に記載の組成物。
【請求項109】
哺乳類細胞が患者由来の細胞である、請求項107または108に記載の組成物。
【請求項110】
患者由来の細胞が、患者由来のがん細胞または患者由来の免疫細胞である、請求項109に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機能性アプタマーを選択するための方法および組成物に関する。
【0002】
関連出願
本出願は、2018年9月28日に出願された米国仮特許出願第62/738,235号の優先権の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
背景
アプタマーは、特定の標的分子に結合することができる短い一本鎖の核酸オリゴマーまたはペプチドである。アプタマーは通常、大きなランダム候補集団から反復プロセスで選択される。最近では、細胞内、in vivo、およびin vitroでのアプタマーの選択に成功している。
【0004】
アプタマーの選択、その構造機能相関、および作用のメカニズムは、いずれも十分に理解されていない。これまでに100を超えるアプタマーの構造が解明され、報告されているが、繰り返し現れる構造モチーフはほとんど同定されていない。
【0005】
特定の標的に結合しうるアプタマーについてアプタマーライブラリを富化するために、さまざまな異なるアプタマー選択プロセスが記述されている。このような結合富化プールから同定された結合性アプタマーの一部は、細胞に対する機能的作用に関与する能力を有すると後に判明した。しかしながら、アプタマーが細胞に結合するという事実は、望ましい細胞機能を誘導することを意味しない。例えば、特定の標的細胞にのみ結合する多くのアプタマーは、その細胞の機能に影響を与えないか、または所望する細胞機能とはまったく異なる細胞機能を誘導する可能性がある。さらに、標的細胞に弱く結合する機能性アプタマー、および/または、標的細胞の表面上に低レベルで発現されている抗原に結合する機能性アプタマーは、従来のアプタマー選択プロセスでは富化されない。
【0006】
したがって、当技術分野において、望ましい細胞機能に関与するアプタマーを求めてアプタマーライブラリを直接富化することを可能にする組成物および方法が大いに必要とされている。重要なことは、そのような方法および組成物が、目的とする標的細胞への望ましい機能的効果を調節することができるアプタマーの直接同定を可能にすることであって、それはアプタマー治療に多大な影響を与えることになろう。
【発明の概要】
【0007】
概要
本明細書において、望ましい細胞機能を誘導するアプタマーについてアプタマーライブラリを直接富化することを容易にする組成物および方法が開示される。本明細書で開示されるように、本明細書に記載の方法は、従来の結合ベースのアプタマー富化プロセスとは異なるアプタマー配列についてアプタマーライブラリを富化し、その結果、望ましい細胞機能を誘導するアプタマーが高度に富化されたアプタマープールの生成をもたらす。これによって、例えばアプタマー治療薬として、有用な機能性アプタマーの同定が容易となる。また、本明細書において、本明細書に記載の方法にしたがって作製された機能富化されたアプタマーライブラリ、ならびに本明細書に記載の方法を用いて同定された機能性アプタマーも提供される。
【0008】
特定の態様において、機能富化されたアプタマー集団を作製するための方法がここに提供される。特定の実施形態において、その方法は、(a)標的細胞を、アプタマークラスターのライブラリが表面に固定化された多数の粒子(「アプタマークラスター粒子」)と接触させ、ここで固定化されたアプタマークラスターの少なくとも一部が標的細胞の少なくとも一部と結合して、細胞アプタマークラスター粒子複合体が形成されるステップ;(b)細胞アプタマークラスター粒子複合体中の標的細胞の少なくとも一部が細胞機能の作用を受けるのに十分な期間の間、細胞-アプタマークラスター粒子複合体をインキュベートするステップ;(c)細胞機能の作用を受けている細胞アプタマークラスター粒子複合体を検出するステップ;(d)ステップ(c)で検出された、細胞機能の作用を受けている標的細胞を含む細胞アプタマークラスター粒子複合体を、他の細胞アプタマークラスター粒子複合体から分離するステップ;ならびに(e)分離された細胞アプタマークラスター粒子複合体中のアプタマーを増幅して、機能富化されたアプタマー集団を作製するステップを含む。いくつかの実施形態において、ステップ(c)および(d)は、フローサイトメーターを用いて行われる。
【0009】
一部の実施形態において、細胞機能は、細胞生存、細胞死(例えば、アポトーシス、非プログラム細胞死)、細胞増殖、遺伝子発現(例えば、サイトカイン発現)、細胞形態、細胞活性化、リン酸化、カルシウム動員、脱顆粒、細胞移動、または細胞分化である。
【0010】
特定の実施形態において、標的細胞は、ステップ(b)の前および/またはステップ(b)の間に、細胞機能のレポーター(例えば、細胞機能の蛍光レポーター)とさらに接触させる。いくつかの実施形態において、標的細胞は、標的細胞をアプタマークラスター粒子と接触させる前、接触させている間、または接触させた後に、細胞機能のレポーターと接触させる。特定の実施形態において、標的細胞は、細胞機能の作用を受ける際に、細胞機能のレポーター(例えば、蛍光タンパク質)を発現するように改変される。特定の実施形態において、細胞機能の作用を受ける細胞アダプタークラスター粒子複合体は、ステップ(c)で細胞機能のレポーターを検出することによって検出される。特定の実施形態において、細胞機能のレポーターは、蛍光色素である。いくつかの実施形態において、細胞機能のレポーターは、発光色素である。一部の実施形態において、蛍光色素および/または発光色素は、カルシウム感受性色素、細胞追跡用色素、親油性色素、細胞増殖色素、細胞周期色素、代謝物感受性色素、pH感受性色素、膜電位感受性色素、ミトコンドリア膜電位感受性色素、または酸化還元電位色素である。特定の実施形態において、細胞機能のレポーターは、活性化関連マーカー、酸化ストレスレポーター、免疫原性細胞死マーカー、壊死マーカー、細胞分化マーカー、血管新生マーカー、アポトーシスマーカー、オートファジーマーカー、細胞生存マーカー、またはイオン濃度のマーカーである。特定の実施形態において、標的細胞は、細胞機能のレポーターと接触させない。いくつかの実施形態において、細胞機能の作用を受ける細胞は、形態および/または挙動の変化によって検出される。
【0011】
いくつかの実施形態において、本方法は、ステップ(d)で分離された細胞アプタマークラスター粒子複合体において、アプタマークラスター粒子を標的細胞から分離することをさらに含む。特定の実施形態において、細胞アプタマークラスター粒子複合体中のアプタマークラスター粒子は、ステップ(d)において細胞溶解および遠心分離によって分離される。
【0012】
特定の実施形態において、本方法は、分離されたアプタマークラスター粒子中の粒子からアプタマーを解離させることをさらに含む。一部の実施形態において、分離された細胞アプタマークラスター粒子中のアプタマーは、ステップ(e)の前にHPLC精製によって単離される。いくつかの実施形態において、本方法は、ステップ(e)の後に、配列決定によってアプタマーの富化された集団を特定することをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、本方法は、ステップ(a)の前にアプタマークラスター粒子を作製することをさらに含む。特定の実施形態において、アプタマークラスター粒子を作製するステップは、以下を含む:(1)アプタマーライブラリからの多数のアプタマーを粒子表面に固定化すること;ならびに(2)多数の固定化されたアプタマーを粒子表面上で局所的に増幅してアプタマークラスター粒子を形成すること。一部の実施形態では、ステップ(2)において、エマルジョンPCRを用いて、固定化された多数のアプタマーを増幅する。
【0014】
いくつかの実施形態において、本方法は、ステップ(f):(i)ステップ(e)の機能富化されたアプタマーの集団からアプタマークラスター粒子を形成すること;ならびに(ii)新たに形成されたアプタマークラスター粒子を用いてステップ(a)~(e)を繰り返し、さらに機能富化されたアプタマーの集団を生成すること、をさらに含む。いくつかの実施形態において、ステップ(f)は、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、または少なくとも8回繰り返される。いくつかの実施形態において、ステップ(f)のさらに富化されたアプタマーの集団は、ステップ(a)のアプタマークラスターのライブラリと比較して、例えば、少なくとも1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5倍、配列多様性が減少している。いくつかの実施形態において、ステップ(f)の各ラウンドは、細胞機能を調節するアプタマーについて、例えば、少なくとも1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5倍、アプタマー集団を富化する。
【0015】
ある実施形態において、ステップ(f)は、連続する富化の繰り返しにおいて制限条件を適用することをさらに含む。いくつかの実施形態において、制限条件は、(i)粒子の総数を減らすこと、(ii)粒子あたりのアプタマーのコピー数を減らすこと、(iii)標的細胞の総数を減らすこと、および/または(iv)インキュベーション期間を短縮すること、から選択される。いくつかの実施形態において、本方法は、エラープローンポリメラーゼを用いてアプタマーの集団を増幅することにより、アプタマー配列にエラーを導入することを含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、アプタマークラスター中のアプタマーは、分子キャップを有する、露出されていない一本鎖核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、アプタマークラスターは、保存配列の領域およびランダム化配列の領域を含有するアプタマーを含む。いくつかの実施形態において、ランダム化配列の領域は露出され、保存配列の領域はキャップ付きである。特定の実施形態において、アプタマークラスターは、化学修飾または非天然ヌクレオチドを含有するアプタマーを含む。一部の実施形態において、アプタマークラスターは、DNA、RNA、またはそれらの化学修飾物であるアプタマーを含む。いくつかの実施形態において、アプタマークラスターは、蛍光マーカー、または光学顕微鏡下での視認を可能にするためのエレメントで標識される。一部の実施形態において、光学顕微鏡での視認を可能にするためのエレメントは、ナノ粒子である。
【0017】
特定の実施形態において、本方法で使用されるアプタマークラスター粒子の少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、または少なくとも95%)は、3つ以下のユニークなアプタマー配列の複数コピーを個別に含んでいる。特定の実施形態において、本方法で使用されるアプタマークラスター粒子の少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%)は、2つ以下のユニークなアプタマー配列の複数コピーを個別に含んでいる。特定の実施形態において、本方法で使用されるアプタマークラスター粒子の少なくとも60%(例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、または少なくとも75%)は、わずか1つのユニークなアプタマー配列の複数コピーを個別に含んでいる。
【0018】
いくつかの実施形態において、アプタマークラスターは、少なくとも2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、103、104、または105個の同一のアプタマーを含む。特定の実施形態において、アプタマークラスターのライブラリは、集合的に、少なくとも100、200、300、400、500、600、700、800、900、103、104、105、106、107、108、109、1010、1011、1012、1013、1014、1015、または1015個の異なるアプタマー配列を含む。特定の実施形態において、アプタマークラスターのライブラリは、100から1014個の異なるアプタマー配列を含む。
【0019】
特定の実施形態において、アプタマークラスター粒子の粒子は、ポリマービーズ、アガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、アクリルアミドビーズ、ソリッドコアビーズ、多孔質ビーズ、常磁性ビーズ、ガラスビーズ、制御された細孔ビーズ、マイクロビーズ、およびナノ粒子から選択される。特定の実施形態において、粒子は、少なくとも1次元で、約3nm~約30μm(例えば、約25nm~約30μm)の平均直径を有する。特定の実施形態において、粒子は、少なくとも1次元において、約3nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、50nm、100nm、250nm、0.5μm、2μm、5μm、10μm、20μm、または30μmの平均直径を有する。
【0020】
特定の実施形態において、アプタマークラスターのライブラリは、結合Cell SELEX、ネガティブSELEX、およびin vitro進化からなる一群から選択される1つまたは複数のプロセスを介して予め選択されたアプタマーを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、アプタマーの初期ライブラリを、標的細胞に結合するアプタマーについて富化して、アプタマーの結合富化集団を生成し、次いでそのアプタマー結合富化集団を使用してステップ(a)のアプタマークラスター粒子を作製することをさらに含む。いくつかの実施形態において、アプタマークラスター粒子を作製するステップは、以下を含む:(1)アプタマーの結合富化集団から多数のアプタマーを粒子表面上に固定化すること;および(2)固定化された多数のアプタマーを粒子表面上で局所的に増幅してアプタマークラスター粒子を形成すること。特定の実施形態において、アプタマーの初期ライブラリは、結合Cell SELEXを1回または複数回(例えば、1回、2回、3回、4回、5回)繰り返して行うことによって富化される。いくつかの実施形態において、初期ライブラリは、ステップ(a)の前に結合アプタマーについて富化されていない。
【0021】
特定の実施形態において、ステップ(b)の期間は実質的に瞬時である。特定の実施形態において、その期間は、1マイクロ秒から約1ヶ月である。特定の実施形態において、その期間は、約10分から約5日である。特定の実施形態において、その期間は、少なくとも10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、または12時間である。特定の実施形態において、その期間は、15分以下、20分以下、25分以下、30分以下、35分以下、40分以下、45分以下、50分以下、55分以下、1時間以下、2時間以下、3時間以下、4時間以下、5時間以下、6時間以下、7時間以下、8時間以下、9時間以下、10時間以下、11時間以下、または12時間以下である。いくつかの実施形態において、その期間は約10分から約1ヶ月である。特定の実施形態において、その期間は、約1時間から約24時間である。いくつかの実施形態において、その期間は、約1時間から約2時間である。いくつかの実施形態において、その期間は、約1.5時間から約24時間である。特定の実施形態において、その期間は、約1.5時間から約2時間である。
【0022】
特定の実施形態において、標的細胞は原核細胞である。一部の実施形態では、原核細胞は細菌である。特定の実施形態において、細菌は病原性細菌である。
【0023】
いくつかの実施形態において、標的細胞は真核細胞である。特定の実施形態において、真核細胞は哺乳類細胞である。いくつかの実施形態において、哺乳類細胞は、がん細胞または免疫細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、患者由来の細胞である。一部の実施形態では、患者由来の細胞は、患者由来のがん細胞または患者由来の免疫細胞である。
【0024】
いくつかの実施形態において、標的細胞は、がん細胞(例えば、患者由来のがん細胞)である。特定の実施形態において、標的細胞ががん細胞である場合、細胞機能は、細胞死および/またはアポトーシスである。いくつかの実施形態において、標的細胞ががん細胞である場合、細胞機能は、免疫チェックポイントタンパク質(例えば、PD-L1、PD-L2)のリガンド発現の調節(例えば、阻害)である。
【0025】
特定の実施形態において、標的細胞は、免疫細胞(例えば、T細胞(ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、制御性T細胞等)、B細胞、マクロファージ、樹状細胞)である。いくつかの実施形態において、標的細胞が免疫細胞である場合、細胞機能は、免疫タンパク質(例えば、免疫チェックポイントタンパク質(例えば、PD-1、CTLA-4、免疫活性化マーカー)等の細胞表面免疫タンパク質)の発現の調節(例えば、増強または抑制)である。いくつかの実施形態において、免疫タンパク質は、サイトカイン(例えば、炎症性サイトカイン)である。いくつかの実施形態において、標的細胞が免疫細胞である場合、その機能は細胞増殖である。いくつかの実施形態において、標的細胞が免疫細胞である場合、その機能は細胞死(例えば、アポトーシス)である。特定の実施形態において、その機能は、免疫細胞による細胞傷害性の増加である。
【0026】
特定の実施形態において、細胞アプタマークラスター粒子複合体は、平均して、標的細胞あたり約1個~約6個の粒子を含む。特定の実施形態において、細胞アプタマークラスター粒子複合体は、平均して、標的細胞あたり約2個~約4個の粒子を含む。
【0027】
特定の実施形態において、ステップ(b)の間、多数の細胞アプタマークラスター粒子複合体が、単一の反応容量の中でインキュベートされる。
【0028】
一部の実施形態では、細胞アプタマークラスター粒子複合体は、ステップ(d)において、フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡、光ピンセット、マイクロピペット、マイクロ流体分離、顕微操作、または分離シーディングを介して分離される。
【0029】
特定の態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の方法によって作製された、機能富化されたアプタマー集団である。特定の実施形態において、そのアプタマー集団は、富化する前のアプタマークラスターライブラリ内のアプタマーと比較して、1.1倍を超える機能富化(例えば、1.5倍を超える機能富化)を特徴とする。いくつかの実施形態において、細胞機能は、がん細胞死またはアポトーシスの促進である。特定の実施形態において、細胞機能は、免疫応答の促進である。
【0030】
特定の態様において、本明細書で提供されるのは、個別化されたがん治療に使用するためのアプタマーを選択する方法であって、その方法は、本明細書で提供される機能富化されたアプタマー集団から、患者由来のがん細胞の細胞死またはアポトーシスを促進する少なくとも1つのアプタマー候補を選択することを含む。特定の実施形態において、本方法は、選択されたアプタマーを配列決定することをさらに含む。一部の実施形態において、本方法は、配列決定されたアプタマーをさらに含む。一部の実施形態において、アプタマーは、選択に先立って配列決定された。特定の実施形態において、選択プロセスは、ハイスループット機能アッセイ、およびアッセイ結果の追加的な配列決定を含む。いくつかの実施形態において、その後、すべての候補のデータが分析される(例えば、集団の中で最も優れた機能的候補を検出するために)。
【0031】
特定の態様において、本明細書で提供されるのは、腫瘍送達システムを作成する方法であって、その方法は、本明細書で提供される機能富化されたアプタマー集団から、がん細胞死またはアポトーシスを促進する少なくとも1つのアプタマー候補を選択し、その少なくとも1つのアプタマーを、腫瘍局所送達のために腫瘍治療薬と組み合わせることを含む。
【0032】
いくつかの態様において、本明細書で提供されるのは、個別化がん治療に使用するためのアプタマーを選択する方法であって、その方法は、本明細書で提供される方法を用いて機能富化されたアプタマーの集団を調製すること、ならびに、その機能富化されたアプタマー集団から、患者由来のがん細胞の細胞死またはアポトーシスを促進する少なくとも1つのアプタマー候補を選択することを含む。一部の実施形態では、アプタマーは、選択の前に配列決定された。一部の実施形態において、本方法は、選択されたアプタマーを配列決定することをさらに含む。特定の実施形態において、本方法は、配列決定されたアプタマーを合成することをさらに含む。
【0033】
特定の態様において、本明細書で提供されるのは、被験体においてがんを治療する方法であって、その方法は、(a)被験体のがん細胞を標的細胞として使用する本明細書に記載の方法を用いて、機能富化されたアプタマー集団を調製すること;(b)機能富化されたアプタマー集団から、がん細胞の細胞死またはアポトーシスを促進する少なくとも1つのアプタマーを選択すること;および(c)選択されたアプタマーを被験体に投与すること、を含む。いくつかの実施形態において、本方法は、被験体からがん細胞を採取することをさらに含む。
【0034】
特定の態様において、アプタマークラスターのライブラリが固定化された多数の粒子(「アプタマークラスター粒子」)、標的細胞、および、必要に応じて細胞機能のレポーターを含む組成物が、本明細書において提供される。
【0035】
いくつかの実施形態において、細胞機能のレポーターは、蛍光レポーターである。一部の実施形態において、蛍光レポーターは、膜の完全性のレポーターである。いくつかの実施形態において、蛍光レポーターは、キャプシド完全性レポーターである。いくつかの実施形態において、蛍光レポーターは、タンパク質完全性レポーターである。特定の実施形態において、蛍光レポーターは、タンパク質変性レポーターである。いくつかの実施形態において、蛍光レポーターは、細胞死レポーターである。一部の実施形態において、蛍光レポーターは、酸化還元電位レポーターである。
【0036】
いくつかの実施形態において、組成物は、少なくとも約10、100、103、104、105、106、107、または108個のアプタマークラスターを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、106~1011(例えば、106~109)個のアプタマークラスターを含む。特定の実施形態において、各アプタマークラスターは、少なくとも約10、100、103、または104コピーのアプタマーを含む。特定の実施形態において、各アプタマークラスターは、約104~106コピーのアプタマーを含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、アプタマークラスターは、蛍光マーカーで標識されている。いくつかの実施形態において、アプタマークラスターは、光学顕微鏡下での視認を可能にするためのエレメントで標識されている。特定の実施形態において、そのエレメントはナノ粒子である。いくつかの実施形態において、アプタマークラスターはアンチセンス鎖で標識されている。特定の実施形態において、アンチセンス鎖は、標的の結合時に置き換えられるか、または除去される。
【0038】
いくつかの実施形態において、組成物は、酵素をさらに含む。特定の実施形態において、酵素は、リガーゼ、ポリメラーゼ、ヌクレアーゼ、編集酵素、および/または制限酵素である。
【0039】
本明細書に記載される組成物の特定の実施形態において、標的細胞は原核細胞である。いくつかの実施形態において、原核細胞は細菌である。特定の実施形態において、細菌は、病原性細菌である。
【0040】
本明細書に記載される組成物の特定の実施形態において、標的細胞は真核細胞である。特定の実施形態において、真核細胞は哺乳類細胞である。一部の実施形態では、哺乳類細胞は、がん細胞または免疫細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、患者由来の細胞である。いくつかの実施形態において、患者由来の細胞は、患者由来のがん細胞または患者由来の免疫細胞である。
【0041】
本明細書に記載される組成物の特定の実施形態において、標的細胞は、がん細胞(例えば、患者由来のがん細胞)である。特定の実施形態において、標的細胞ががん細胞である場合、細胞機能は、細胞死および/またはアポトーシスである。いくつかの実施形態において、標的細胞ががん細胞である場合、細胞機能は、免疫チェックポイントタンパク質(例えば、PD-L1、PD-L2)のリガンドの発現の調節(例えば、阻害)である。
【0042】
本明細書に記載される組成物の特定の実施形態において、標的細胞は、免疫細胞(例えば、T細胞(ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、制御性T細胞等)、B細胞、マクロファージ、樹状細胞)である。いくつかの実施形態において、標的細胞が免疫細胞である場合、細胞機能は、免疫タンパク質(例えば、免疫チェックポイントタンパク質(例えば、PD-1、CTLA-4、免疫活性化マーカー)等の細胞表面免疫タンパク質)の発現の調節(例えば、増強または抑制)である。いくつかの実施形態において、免疫タンパク質は、サイトカイン(例えば、炎症性サイトカイン)である。いくつかの実施形態において、標的細胞が免疫細胞である場合、その機能は細胞増殖である。いくつかの実施形態において、標的細胞が免疫細胞である場合、その機能は細胞死(例えば、アポトーシス)である。
【0043】
特定の態様において、本明細書で提供されるのは、細胞機能を調節するアプタマーの集団を選択する方法である。いくつかの実施形態において、その方法は以下を含む:(i)標識されたアプタマークラスター粒子(例えば、マイクロビーズやナノビーズ等のビーズ)のライブラリを、ある条件下および期間の間、単一の反応容量の中で標的細胞とともにインキュベートして、細胞アプタマークラスター粒子複合体を形成すること;(ii)細胞機能を変化させた細胞アプタマークラスター粒子複合体を、望ましい効果を持たない細胞アプタマークラスター粒子複合体、結合していない粒子、および結合していない細胞から分離すること;(iii)細胞機能を変化させた細胞アプタマークラスター粒子複合体から、アプタマークラスター粒子を単離すること;(iv)その粒子からアプタマーを解離させること;ならびに(v)個々のアプタマー配列を増幅して、機能富化されたアプタマー集団を提供すること。特定の実施形態において、本方法は、ステップ(i)~(v)を繰り返すことにより、アプタマーの集団の機能富化を追加的に行うステップをさらに含む(例えば、ステップ(i)~(v)を少なくとも1、2、3、4、5、または6回以上追加して繰り返す)。特定の実施形態において、追加的にアプタマーの集団を機能富化するステップは、連続するラウンドにおいて制限的な条件(例えば、粒子の総数を減らす、粒子あたりのアプタマーのコピー数を減らす、標的細胞の総数を減らす、インキュベーション期間を短縮すること)を適用することを含む。いくつかの実施形態において、機能富化されたアプタマー集団は、インキュベーションステップから得られる多数のアプタマーと比較して、少なくとも2倍(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、または9倍)配列多様性が減少している。特定の実施形態において、富化されたアプタマーの集団は、インキュベーションステップからの多数のアプタマーと比較して、少なくとも10、102、103、104、105、または106倍、配列多様性が減少している。いくつかの実施形態において、スクリーニングのそれぞれの追加ラウンドのアプタマー集団は、少なくとも1.1、1.2、1.3 1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、または3倍、富化される。いくつかの実施形態において、実行されるラウンド数は、少なくとも2回(例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10回)である。特定の実施形態において、本方法は、ステップ(v)の後に、配列決定によってアプタマーの富化された集団を特定するステップをさらに含む。特定の実施形態において、本方法は、ステップ(i)の前に、標識されたアプタマークラスター粒子のライブラリを提供することをさらに含む。いくつかの実施形態において、アプタマークラスター粒子のライブラリは、以下を含む方法によって調製される:(a)アプタマーライブラリからの多数のアプタマーを粒子表面上に固定化すること;および(b)多数の固定化されたアプタマーを粒子表面上で局所的に増幅して、多数の固定化アプタマークラスター粒子を形成すること。
【0044】
特定の実施形態において、アプタマークラスター粒子は、粒子(例えば、マイクロビーズもしくはナノビーズ等のビーズ)の表面に固定化された露出した一本鎖核酸のクラスターを含む。いくつかの実施形態において、露出した一本鎖核酸は、天然に存在しないものである。いくつかの実施形態において、アプタマークラスター粒子は、分子キャップを有する露出されていない一本鎖核酸配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、分子キャップ、3'キャップおよび/または5'キャップは、特定のPCRプライマー配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド(例えば、18ヌクレオチドの長さ)である。いくつかの実施形態において、アプタマークラスターは、エマルジョンPCRを用いて調製される。いくつかの実施形態において、各アプタマークラスター粒子は、10個未満(例えば、7個未満、5個未満、3個未満、または2個未満)の異なるアプタマー配列のクラスターを含む。いくつかの実施形態において、各アプタマークラスター粒子は、粒子の表面上にクラスターとして複数コピーのユニークなアプタマー配列を含む。一部の実施形態において、アプタマーはペプチドアプタマーである。
【0045】
いくつかの実施形態において、各アプタマークラスターは、少なくとも2個(例えば、少なくとも50個)の同一アプタマーを含む。特定の実施形態において、アプタマークラスター粒子のライブラリは、粒子の表面に固定化された100~1014個の異なるアプタマーを含む。いくつかの実施形態において、アプタマークラスター粒子のライブラリは、粒子の表面に固定化された少なくとも108個の異なるアプタマーを含む。いくつかの実施形態において、アプタマー配列は、保存配列の領域、およびランダム化配列の領域を含む。いくつかの実施形態において、ランダム化配列は露出し、保存配列はキャップで覆われる。
【0046】
特定の実施形態において、粒子は、ポリマービーズ、アガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、アクリルアミドビーズ、ソリッドコアビーズ、多孔質ビーズ、常磁性ビーズ、ガラスビーズ、制御された細孔ビーズ、マイクロビーズおよびナノ粒子からなる一群から選択される。いくつかの実施形態において、粒子は、約25nm、50nm、100nm、250nm、0.5μm、2μm、5μm、10μm、20μm、または30μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態において、粒子は、約25nm、50nm、100nm、250nm、0.5μm、2μm、5μm、10μm、20μm、または30μmの少なくとも1つの寸法を有する。いくつかの実施形態において、アプタマーは、Cell SELEX、ネガティブSELEX、およびin vitro進化からなる一群から選択される1つまたは複数のプロセスを介して事前に選択される。特定の実施形態において、アプタマー配列は、化学修飾を含む。一部の実施形態において、アプタマーは、一本鎖核酸(例えば、DNA、RNA、またはその化学修飾物)である。いくつかの実施形態において、アプタマーは、部分長相補鎖にハイブリダイズされた一本鎖核酸である(例えば、アプタマーのプライマー配列はキャップされ、ランダム化配列は一本鎖である)。いくつかの実施形態において、アプタマー配列は、非天然ヌクレオチドを含む。
【0047】
ある実施形態において、期間は、アプタマークラスターが標的細胞に影響を与えるのに十分な時間である。いくつかの実施形態において、期間は、約10分から約5日(例えば、約1.5時間から約24時間、または約1.5時間から約2時間)である。
【0048】
特定の実施形態において、標的細胞は、天然エピトープを有する全細胞である。一部の実施形態において、標的細胞は、原核細胞(例えば、細菌)である。いくつかの実施形態において、標的細胞は、真核細胞(例えば、哺乳類細胞、がん細胞、免疫細胞、または患者由来の細胞)である。特定の実施形態において、標的細胞は、実質的に自然な(ネイティブな)環境中に存在する。
【0049】
いくつかの実施形態において、標的細胞は検出できるように標識されている。特定の実施形態において、標的細胞は、標識されたアプタマークラスター粒子のライブラリを標的細胞とインキュベートする前、その間、および/またはその後に、検出可能な標識により標識化される。いくつかの実施形態において、検出可能な標識は、蛍光色素(例えば、カルシウム感受性色素、細胞トレーサー色素、親油性色素、細胞増殖色素、細胞周期色素、代謝物感受性色素、pH感受性色素、膜電位感受性色素、ミトコンドリア膜電位感受性色素、または酸化還元電位色素)である。いくつかの実施形態において、検出可能な標識は、活性化関連マーカー、酸化ストレスレポーター、血管新生マーカー、アポトーシスマーカー、オートファジーマーカー、細胞生存マーカー、またはイオン濃度のマーカーである。いくつかの実施形態において、調節される細胞機能は、細胞生存、アポトーシス、細胞増殖、遺伝子発現、細胞形態、細胞活性化、リン酸化、カルシウム動員、脱顆粒、細胞移動、または細胞分化である。いくつかの実施形態において、調節される細胞機能はアポトーシスである。特定の実施形態において、調節される細胞機能はアポトーシスであり、標的細胞はがん細胞である。他のいくつかの実施形態において、調節される細胞機能は免疫機能(例えば、免疫細胞の活性化、免疫細胞の抑制、免疫細胞の増殖、サイトカインの発現、免疫細胞の分化)であり、標的細胞は免疫細胞である。
【0050】
特定の実施形態において、細胞アプタマークラスター粒子複合体は、標的細胞あたり約2~4個の粒子を含有する。一部の実施形態において、アプタマークラスター粒子は、粒子あたり約1~6個のクラスターを含む。いくつかの実施形態において、多数の細胞アプタマークラスター粒子複合体が、単一の反応容量中に含まれる。いくつかの実施形態において、分離ステップは、個々の細胞からの信号を定量化し、その後、変化した細胞機能を有する細胞アプタマークラスター粒子複合体を物理的に分離することによって行われる(例えば、フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡、光学ピンセット、マイクロピペット、マイクロ流体分離、顕微操作、または分離シーディングを介して)。いくつかの実施形態において、アプタマークラスター粒子は、細胞溶解および遠心分離によって分離される。特定の実施形態において、アプタマーは、粒子から解離された後、HPLC精製によって単離される。
【0051】
特定の態様において、本明細書で提供されるのは、がん細胞(例えば、トリプルネガティブ乳がん細胞)のアポトーシスを誘導するアプタマーである。特定の実施形態において、アプタマーは、配列番号1~10のいずれか1つと、少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%)同一である配列を含む。特定の実施形態において、アプタマーは、100、90、80、70、60、59、58、57、56、55、または54ヌクレオチド以下の長さである。いくつかの実施形態において、アプタマーは、RNA、DNA、および/または非天然のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、アプタマーは化学的に修飾されている。いくつかの実施形態において、アプタマーはPEG化されている。特定の実施形態において、アプタマーは、トリプルネガティブ乳がん細胞(例えば、TNBC9)細胞のアポトーシスを誘導する。いくつかの実施形態において、アプタマーは、配列番号1~10のうち1つから選択される配列からなる。
【0052】
特定の態様において、本明細書に記載のアプタマーを含む医薬組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含む、がんを治療する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態において、がんは乳がんである。いくつかの実施形態において、がんはトリプルネガティブ乳がんである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1は、本明細書に記載される特定の実施形態によるアプタマーライブラリ合成、配列決定、および標的識別のワークフローの概略図である。
図2図2は、本明細書に記載される結合SELEXアッセイのワークフローの概略図である。図2は、配列番号11を明らかにする。
図3図3は、本明細書に記載される機能SELEXアッセイのワークフローを示す概略図である。
図4図4は、本明細書に記載される特定の典型的な実施形態による特定のアプタマー構造の概略図である。
図5図5は、代表的なフローサイトメトリーのゲーティングおよびソーティング戦略である。パネルAは、標的細胞とともにインキュベートする前のクラスター化マイクロビーズライブラリのヒストグラムである。パネルBは、標的細胞とともにインキュベートした後、カスパーゼ-3/7プローブ(Cas-3/7)とともにインキュベートした、クラスター化マイクロビーズライブラリの散布図である。
図6図6は、2つの機能性プローブを用いたフローサイトメトリーのゲーティングおよびソーティング戦略の例である。パネルAは、クラスター化したビーズライブラリに結合した細胞を黒い四角で示した散布図である。パネルBは、パネルAの黒い四角からのイベントの散布図であって、カスパーゼ-3/7およびミトコンドリア膜電位(MitoProbe Red)をプローブとして調べたイベントを示す。
図7図7は、指示された細胞のアポトーシスを誘導するアプタマーについて、本明細書に記載の典型的な方法によって、アプタマーライブラリを機能富化した結果を示す。各パネルの左側の棒グラフは、機能富化の異なるラウンドごとのカスパーゼ-3/7(Cas3/7)またはミトコンドリア膜電位(DilC1(5))の増加倍数を示す。各パネルの右側のヒストグラムは、機能富化の第1ラウンド(黒)および最終ラウンド(グレー)で富化されたライブラリを重ねて表示する。Kasumi-1を除いて、表示されるすべての結果は、結合SELEXの第3ラウンドから開始された機能富化から得られた。Kasumi-1の結果は、ランダムライブラリ(結合富化されていない)から開始された機能富化から得られた。パネルAは、HCT116ヒト大腸がん細胞株の結果を示す。パネルBは、4T1マウス乳がん細胞株の結果を示す。パネルCは、CT26マウス大腸がん細胞株の結果を示す。パネルDは、Kasumi-1ヒト急性骨髄性白血病(AML)細胞株の結果を示す。パネルEは、ドナーから採取したAML1初代AML PBMCの結果を示す。パネルFは、ドナーから採取したAML9初代AML PBMCの結果を示す。パネルGは、ドナーから採取したCLL1初代慢性リンパ性白血病(CLL)PBMCの結果を示す。
図8図8は、複数ラウンドの結合Cell-SELEXおよび機能富化から得られたアプタマー富化ライブラリのイルミナ(Illumina)シーケンシングの存在量プロファイルを示す。x軸は、異なる選択ラウンドを示しており、「B」は結合Cell-SELEXのラウンド、「F」は機能富化のラウンドに対応している。機能富化は結合Cell-SELEXのラウンド#3から開始された。Y軸は個々のアプタマーの相対存在量を対数目盛で示す。それぞれの結合Cell SELEXラウンドにおいて最も存在量の多い10,000個のアプタマーを黒い線で示す。それぞれの機能Cell SELEXラウンドにおいて最も存在量の多い10,000個のアプタマーを青い線で示す。それぞれの結合Cell SELEXラウンドで最も存在量の多い10個のアプタマーを太い実線で表す。それぞれの機能富化ラウンドで最も存在量の多い10個のアプタマーを破線で表す。パネルAは、AML1初代ヒト骨髄芽細胞で実施したアッセイのプロファイルである。パネルBは、HCT116大腸がん細胞株で実施したアッセイのプロファイルである。
図9図9は、結合富化された、クラスター化マイクロビーズライブラリまたは機能富化されたクラスター化ビーズライブラリを標的細胞とインキュベートした後のカスパーゼ-3/7活性化の比較である。マイクロビーズに結合した細胞およびカスパーゼ-3/7陽性細胞の割合をフローサイトメトリーで測定した。パネルAは、AML1標的細胞とともに富化ライブラリをインキュベートした後の結果を示す。パネルBは、HCT116標的細胞とともに富化ライブラリをインキュベートした後の結果を示す。各データポイントは4つのテクニカルレプリケートで測定し、ウェルチの一元配置t検定で有意性を算出した。
図10図10は、機能富化された殺腫瘍性アプタマーライブラリからリードアプタマー候補であるE8を同定したことに関する結果である。パネルAは、複数の機能SELEXラウンドから得られた配列存在量プロットである。このプロットは、各ラウンドで最も多く存在する10,000個のアプタマー配列のうち、1,000個のアプタマー配列をランダムに抽出したものである。最も存在量の多い10個のアプタマー配列が強調表示されている。パネルBは、パネルAの最も存在量の多い10個のアプタマーの代表的なスクリーニングであって、TNBC9細胞において溶媒(V)およびランダムオリゴヌクレオチド(R)と比較して有意なカスパーゼ-3/7活性化についてスクリーニングするものである。アプタマーIDは1~10(E1、E2、...E10)と表示される。パネルCは、アプタマー候補E8がTNBC9細胞(青)において細胞死を誘導する選択性を、陰性のMCF10A標的細胞(赤)と比較して示す。STAはスタウロスポリン;PACはパクリタキセル;Randomはランダムオリゴヌクレオチド。パネルDは、MDA-MB-231細胞に対するE8の効果を示す。パネルEは、E8およびPEG化E8の用量反応曲線を示す。パネルFは、マウス血清中のTNBC細胞に対するE8の効果を示す。
図11図11は,動物モデルにおけるE8アプタマー候補の生体内分布および有効性を実証する結果を示す。パネルAは、MDA-MB-231由来の腫瘍を持つNOD/SCIDマウスに注射した後、0.1時間、24時間、および48時間後にin vivoで測定されたE8の蛍光を示す。白い矢印は腫瘍の位置を示す。パネルBは、静脈内注射から3時間後の腫瘍部位におけるE8の保持を示す(Veは溶媒、Kは腎臓、Tは腫瘍)。右側の挿入図は拡大して示し、白い矢印は腫瘍部位を指す。パネルCは、48時間にわたる腫瘍内のE8蛍光シグナルの定量的測定を示す。パネルDは、マウスの腫瘍体積の減少におけるE8の有効性を示す。アスタリスクは、p < 0.05の統計的差異を示す(n = 8マウス/グループ)。パネルEは、11日目に屠殺したマウスから摘出した腫瘍の代表的な写真を示す。パネルF-Gは、腫瘍由来の組織切片におけるカスパーゼ-3活性の組織化学的分析を示す(パネルFは溶媒投与、パネルGはE8投与)。パネルH-Iは、腫瘍由来の組織切片のTUNEL分析を示す(H、ビヒクル投与、I、E8投与)。
図12図12は、ヒトex vivo器官培養(EVOC)におけるE8の有効性を示す結果である。パネルAは、患者1(P1)由来の組織標本を示す。パネルBは、患者2(P2)由来の組織標本を示す。盲検下の2人の病理医が0~4の尺度で病理学的段階評価を行った。白い星印は、効果が少なくとも3のグレードに達したサンプルを示す。Rnd、ランダム。
【発明を実施するための形態】
【0054】
詳細な説明
総論
本明細書において、標的細胞に対する機能的効果を調節するアプタマーの同定に関する方法および組成物を提供する。特定の実施形態において、本方法は、表面(例えば、マイクロビーズ、ナノビーズを含めたビーズ等の粒子の表面)上に固定化された多数のアプタマークラスターに標的細胞を接触させることを含む。したがって、いくつかの実施形態において、本方法は、アプタマークラスター粒子のライブラリを、ある条件下および期間の間、単一の反応容量の中で標的細胞とともにインキュベートして、細胞アプタマークラスター粒子複合体を形成すること、ならびに細胞機能を調節するアプタマーの集団を分離および同定することを含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、細胞機能を機能的に調節するアプタマーは、調節される機能を表示する検出可能な標識(例えば、カルシウム感受性色素、細胞トレーサー色素、親油性色素、細胞増殖色素、細胞周期色素、代謝物感受性色素、pH感受性色素、膜電位感受性色素、ミトコンドリア膜電位感受性色素、または酸化還元電位色素等の蛍光色素)を標的細胞に提供し、次にその検出可能な標識のシグナルを測定した後、細胞機能を変化させた細胞アプタマークラスター粒子複合体を物理的に分離することによって、同定される。物理的な分離は、例えば、フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡、光ピンセット、マイクロピペット、マイクロ流体分離、顕微操作、または分離シーディング等によって行うことができる。次に、アプタマークラスター粒子は、例えば、細胞溶解および遠心分離を介して、細胞アプタマークラスター粒子複合体から分離することができる。個々のアプタマー配列は、粒子から解離させ、増幅して、配列を決定することができる。
【0056】
特定の態様において、表面(例えば、粒子表面)上に固定化されたアプタマークラスターを作製することに関連する方法および組成物も本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、(例えば、本明細書に記載のアプタマーライブラリからの)アプタマーは、粒子上に固定化される。粒子は、任意の材料で作ることができる。例えば、いくつかの実施形態において、粒子は、プラスチック、ガラス、ポリマー、または金属で作られている。特定の実施形態において、粒子は、ポリマービーズ、アガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、アクリルアミドビーズ、ソリッドコアビーズ、多孔質ビーズ、常磁性ビーズ、ガラスビーズ、制御された細孔ビーズ、マイクロビーズまたはナノ粒子である。いくつかの実施形態において、粒子は、少なくとも1次元の平均直径が、約0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、7. 5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、または200μmである。いくつかの実施形態において、粒子は、ポリマー、タンパク質、オリゴ、脂質、および/または化学基等のブロッカーでコーティングされている。いくつかの実施形態において、粒子は、クラスターの近傍で標的細胞を結合するための任意の長さのアンカーを含有する。アンカーは、ポリマー、タンパク質、オリゴ、脂質、および/または化学基であってもよい。いくつかの実施形態において、その後、エマルジョンPCR等の局所的な増幅プロセスを実行し、アプタマークラスターを生成する。相補鎖は、一本鎖アプタマークラスターを生成させるために取り除くことができる。その後、アプタマークラスター粒子は、本明細書で提供されるアプタマー同定方法にすぐ使用できる状態である。
【0057】
定義
便宜のため、本明細書、実施例、及び添付の特許請求の範囲において使用される特定の用語をここに集める。
【0058】
冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、冠詞の文法的対象の2以上(例えば、少なくとも1つ)を指すために用いられる。一例として、「要素」は、1要素または2以上の要素を意味する。
【0059】
本明細書において使用される、「アプタマー(aptamer)」という用語は、タンパク質もしくはペプチド標的または標的細胞に対するトポグラフィー的特徴に特異的に結合し得る短い(例えば、200塩基未満)一本鎖核酸分子(ssDNA及び/またはssRNA)をいう。
【0060】
本明細書において使用される「アプタマークラスター」という用語は、同一配列の局所的に固定されたアプタマーの集合(例えば、少なくとも10)をいう。
【0061】
「結合(する)」または「相互作用する」という用語は、会合であって、例えば、生理学的条件下での、静電、疎水性、イオン及び/または水素による結合の相互作用に起因して、2つの分子間の、例えばアプタマーと標的との間の、安定した結合であり得る会合をいう。
【0062】
本明細書において使用されるとおり、2つの核酸配列は、それらが各位置で互いに塩基対を形成する場合、互いに「相補性」であるか、または「相補的」である。
【0063】
本明細書において用いられる「接触させる(接触する)」とは、2以上の分子実体を、それらが互いに相互作用し得るに、互いに一緒にすることをいう。
【0064】
本明細書において使用されるとおり、2つの核酸配列は、両方が同じ核酸配列に相補的である場合に、互いに「対応する」。
【0065】
「調節」又は「調節する」という用語は、機能的特性または生物学的な活性もしくはプロセス(例えば、酵素活性または受容体結合)に関して使用される場合、上方制御する(例えば、活性化または刺激する)、下方制御する(例えば、阻害または抑制する)、或いはばこのような特性、活性、もしくはプロセスの性質を変更する能力をいう。特定の例では、そのような調節は、シグナル伝達経路の活性化等の具体的な事象の発生を条件とする場合があるか、及び/または特定の細胞タイプでのみ顕在化することがある。
【0066】
本明細書において使用される、「特異的結合」とは、アプタマーが、予め決定された標的に結合する能力を指す。特定の実施形態では、アプタマーは、その非特異的で無関係な標的(例えば、BSA、カゼイン、またはHEK293細胞もしくは細胞がプロセスの標的ではなく、プロセスの陰性対照として使用された場合におけるE. coli細胞等の無関係な細胞)への結合に対するそのKDよりも有意に少ない(例えば、少なくとも2倍少ない、少なくとも5倍小さい、少なくとも10倍小さい、少なくとも50倍小さい、少なくとも100倍小さい、少なくとも500倍小さい、または少なくとも1000倍小さい)KDにて、標的に結合する。特定の実施形態では、アプタマーは、約10-6 M未満、約10-7 M未満、約10-8 M未満、約10-9 M未満、約10-10 M未満、約10-11 M未満、約10-12 M未満、約10-13 M未満、又は約10-14 M未満のKDに対応する親和性にて、その標的に特異的に結合する。
【0067】
本明細書において用いられる、2つのオリゴヌクレオチドのTmまたは融解温度とは、オリゴヌクレオチド/標的の50%が結合し、オリゴヌクレオチド標的分子の50%が結合しない温度である。2つのオリゴヌクレオチドのTm値は、オリゴヌクレオチド濃度に依存し、反応混合物中の一価、二価カチオンの濃度に影響される。Tmは、参照により本明細書に組み込まれる、Santa Lucia, J. PNAS (USA) 95:1460-1465(1998)に記載されているように、経験的に決定してもよく、最近傍式を用いて計算してもよい。
【0068】
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、本明細書において互換的に用いられれる。これらの用語は、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはそれらの類似体のいずれかの長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有することができ、既知または未知の任意の機能を実行し得る。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子断片のコーディングまたは非コーディング領域、連鎖解析から定義される遺伝子座(遺伝子座)、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、合成ポリヌクレオチド、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、及びプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体等の修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーのアセンブリの前に行われてもよく、または後に行われてもよい。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識成分との結合等によりさらに修飾され得る。
【0069】
アプタマーライブラリ
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法及び組成物は、アプタマーライブラリに存在するアプタマーのうちで所望の特性を有するアプタマーの特定に関する。本明細書において用いられる、アプタマーライブラリとは、別個の配列(例えば、少なくとも102、103、104、105、106、107、108、109、1010、1011、1012、1013、1014、又は10-15の別個の配列)を有する核酸分子(例えば、DNA及び/またはRNA)の集合であり、少なくとも核酸分子のサブセットは、標的タンパク質、ペプチド、または細胞の組織分布的特徴に特異的に結合し得るように構造化されている。いくつかの実施形態では、潜在的なアプタマーの任意のライブラリが、本明細書で提供される方法及び組成物で使用され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される方法及び組成物に使用されるアプタマーライブラリは、式(I):
P1-R-P2(I)
による配列を有する核酸分子(例えば、DNA及び/またはRNA)を含む、からなる、及び/または本質的にからなり、
ここで、P1は、約10~100塩基長、約10~50塩基長、約10~30塩基長、約15~50塩基長、または約15~30塩基長の5’プライマー部位配列であり;P2は、約10~100塩基長、約10~50塩基長、約10~30塩基長、約15~50塩基長、または約15~30塩基長の3’プライマー部位配列であり;及びRは、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75もしくは80塩基長及び/または約1000、900、800、700、600、500、400、300、200、150、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55もしくは50塩基長以下のランダムに配置された塩基を含む配列である。
【0071】
一実施形態では、Rは、約25%のAを含む配列である。別の実施形態では、Rは約25%のTを含む配列である。別の実施形態では、Rは約25%のGを含む配列である。別の実施形態では、Rは約25%のCを含む配列である。さらに別の実施形態では、Rは、約25%のA、約25%のT、約25%のG、及び約25%のCを含む配列である。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される方法及び組成物に使用されるアプタマーライブラリは、式(I):
P1-R"-P2(I)
による配列を有する核酸分子(DNA及び/またはRNA)を含むか、からなる、及び/または本質的にからなり、
ここで、P1は、約10~100塩基長、約10~50塩基長、約10~30塩基長、約15~50塩基長、または約15~30塩基長の5’プライマー部位配列であり;P2は、約10~100塩基長、約10~50塩基長、約10~30塩基長、約15~50塩基長、または約15~30塩基長の3’プライマー部位配列であり;及びR"は、バイアスのかかった混合物からのランダムに配置された塩基、またはランダムな文字列と反復またはバイアスされた文字列の任意の組み合わせを含む、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75もしくは80塩基長及び/または約120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、または50塩基長以下の配列である。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される方法及び組成物に使用されるアプタマーライブラリは、式II:
P1-S1-L1-S1*-S2-L2-S2*-P2(II)
による配列を有する核酸分子(DNA及び/またはRNA)を含む、からなる、及び/または本質的にからなり(例示的な模式図は、図4Aに示される)、
ここで、
P1は、約10~100塩基長、約10~50塩基長、約10~30塩基長、約15~50塩基長、または約15~30塩基長の5’プライマー部位配列であり;P2は、約10~100塩基長、約10~50塩基長、約10~30塩基長、約15~50塩基長、または約15~30塩基長の3’プライマー部位配列であり;S1及びS2は、各々独立して、少なくとも1つの塩基(例えば、約4~40塩基長または4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40塩基長)のステム領域配列であり;S1*は、S1の相補配列であり;S2*はS2の相補配列であり;L1及びL2は、各々独立して、少なくとも1塩基(例えば、約1~50塩基長または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49もしくは50塩基長)のループ領域配列であり;及びS1-L1-S1*-S2-L2-S2*は、合計で少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75または80塩基長、及び/または約120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55もしくは50塩基長以下である。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される方法及び組成物で使用されるアプタマーライブラリは、式III:
P1-S1-L1-S2-L2-S2*-L1-S1*-P2(III)、
による配列を有する核酸分子(DNA及び/またはRNA)を含む、からなる、及び/または本質的にからなり(例示的な模式図を、図4Bに示す)、
ここで、
P1は、約10~100塩基長、約10~50塩基長、約10~30塩基長、約15~50塩基長、または約15~30塩基長の5’プライマー部位配列であり;P2は、約10~100塩基長、約10~50塩基長、約10~30塩基長、約15~50塩基長、または約15~30塩基長の3’プライマー部位配列であり;
S1及びS2は、各々独立して、少なくとも1つの塩基(例えば、約4~40塩基長または4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40塩基長)のステム領域配列であり;S1*はS1の相補配列であり;S2*はS2の相補配列であり;
L1及びL2は、各々独立して、少なくとも1塩基(例えば、約1~50塩基長または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50塩基長のループ領域配列である)であり;そして
S1-L1-S2-L2-S2*-L1-S1*は、合計で少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75もしくは80塩基長、及び/または約120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55もしくは50塩基長以下である。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される方法及び組成物に用いられるアプタマーライブラリは、式IV:
P1-Lib-M1/M2-D-M1/M2*-Lib-P2(IV)
による配列を有する核酸分子(DNA及び/またはRNA)を含む、からなる、及び/または本質的にからなり(例示的な概略図が図4Cに提供される)、
ここで、
P1は、約10~100塩基長、約10~50塩基長、約10~30塩基長、約15~50塩基長、または約15~30塩基長の5’プライマー部位配列である;P2は、約10~100塩基長、約10~50塩基長、約10~30塩基長、約15~50塩基長、または約15~30塩基長の3’プライマー部位配列であり;
Libは:(i)R;(ii)R”;(iii)S1-L1-S1*-S2-L2-S2*;及び(iv)S1-L1-S2-L2-S2*-L1-S1*から選択される式を有する配列であり;
Rは、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75もしくは80塩基長及び/または約1000、900、800、700、600、500、400、300、200、150、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55もしくは50塩基長以下のランダムに配置された塩基を含む配列であり;
R”は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75もしくは80塩基長、及び/または約1000、900、800、700、600、500、400、300、200、150、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55もしくは50塩基長以下の配列であり、バイアスされた混合物からのランダムに配置された塩基、またはランダムな文字列と繰り返しもしくはバイアスされた文字列との任意の組み合わせを含む;
S1及びS2は、各々独立して、少なくとも1つの塩基(例えば、約4~40塩基長または4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39もしくは40塩基長)のステム領域配列
であり;S1*はS1の相補配列であり;S2*はS2の相補配列であり;
L1及びL2は、各々独立して、少なくとも1塩基(例えば、約1~50塩基長または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49もしくは50塩基長)のループ領域配列であり;
ここで、S1-L1-S1*-S2-L2-S2*は、合計で少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75もしくは80塩基長及び/または約120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55もしくは50塩基長以下であり;
Dは、少なくとも1つの塩基(例えば、約1~20塩基長、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20塩基長)を含むスペーサー配列であり;
M1は、約10~18塩基長または10、11、12、13、14、15、16、17もしくは18塩基長の多量体形成ドメイン配列であり、配列の鎖が相補的なドメインを含む別の鎖と相互作用し得;そして
M2は、M1配列の鎖と相互作用する鎖を含むM1の相補的ドメインである。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される方法及び組成物で用いられるアプタマーライブラリは、式V:
P1-Lib-T*-Lib-P2(V)
による配列を有する核酸分子(DNA及び/またはRNA)を含む、からなる、及び/または本質的にからなり(例示的な概略図を図4Dに示す)、
ここで:
P1は、約10~100塩基長、約10~50塩基長、約10~30塩基長、約15~50塩基長、または約15~30塩基長の5’プライマー部位配列であり;P2は、約10~100塩基長、約10~50塩基長、約10~30塩基長、約15~50塩基長、または約15~30塩基長の3’プライマー部位配列であり;
Libは、以下から選択される式を有する配列である:(i)R;(ii)R”;(iii)S1-L1-S1*-S2-L2-S2*;及び(iv)S1-L1-S2-L2-S2*-L1-S1*;
Rは、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75もしくは80塩基長及び/または約1000、900、800、700、600、500、400、300、200、150、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55もしくは50塩基長以下のランダムに配置された塩基を含む配列であり;
R”は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75または80塩基長及び/または約1000、900、800、700、600、500、400、300、200、150、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55もしくは50塩基長以下の配列であり、バイアスされた混合物からのランダムに配置された塩基、またはランダムな文字列と繰り返しもしくはバイアスされた文字列との任意の組み合わせを含み;
S1及びS2は、各々独立して、少なくとも1つの塩基(例えば、約4~40塩基長または4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39もしくは40塩基長)のステム領域配列であり;
S1*はS1の相補配列であり;S2*はS2の相補配列であり;
L1及びL2は、各々独立して、少なくとも1塩基(例えば、約1~50塩基長または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49もしくは50塩基長)のループ領域配列であり;
ここで、S1-L1-S1*-S2-L2-S2*は、合計で少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75もしくは80塩基長及び/または約120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55もしくは50塩基長以下であり;
Tは、Lib配列またはT*の任意の部分にワトソン/クリックまたはフーグスティーンの塩基対によって結合される2番目の鎖であり、ここでこの鎖は、必要に応じてその5’及び3’末端に不対ドメインを含む(例えば、アプタマーへの機能的部分の付着を促進するため);そして
T*は専用ドメイン配列である(例えば、約4~40塩基長、または4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39もしくは40塩基長)。
【0077】
いくつかの実施形態において、本明細書において提供される方法及び組成物に使用されるアプタマーライブラリは、
P1-R-P1*、P1-S1-R-S1-P2、及びP1-R-S1-R-S1-R-P2
から選択される式の配列を有する、核酸分子(DNA及び/またはRNA)を含む、からなる、及び/または本質的にからなり、
ここで、
P1は、約10~100塩基長、約10~50塩基長、約10~30塩基長、約15~50塩基長、または約15~30塩基長の5’プライマー部位配列であり;P2は、約10~100塩基長、約10~50塩基長、約10~30塩基長、約15~50塩基長、または約15~30塩基長の3’プライマー部位配列であり;P1*はP1に相補的な配列である。
【0078】
Rは、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75もしくは80塩基長及び/または約1000、900、800、700、600、500、400、300、200、150、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55もしくは50塩基長以下のランダムに配置された塩基を含む配列であり;
S1は、少なくとも1つの塩基(例えば、約4~40塩基長または4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39もしくは40塩基長)のステム領域配列である。
【0079】
上記の式のいくつかの実施形態において、R、P、又はSは、CpGアイランド及び/又はG四重鎖配列を含む。
【0080】
上記の式のいくつかの実施形態において、Rは少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75もしくは80塩基長、及び/または約120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55もしくは50塩基長以下という任意のランダム混合物(例えば、基準塩基の場合、25%A、25%T、25%G、25%C)からランダムに配置された塩基である。
【0081】
上記式のある実施形態では、Rは約25%のAを含む配列である。別の実施形態では、Rは約25%のTを含む配列である。別の実施形態では、Rは約25%のGを含む配列である。別の実施形態では、Rは約25%のCを含む配列である。さらに別の実施形態では、Rは約25%のA、約25%のT、約25%のG、及び約25%のCを含む配列である。
【0082】
上記の式のいくつかの実施形態において、R”は、バイアスされた混合物からランダムに配置された塩基を含む配列である(例えば、基準塩基については、1塩基あたり25%から逸脱する任意の混合物)。いくつかの実施形態では、R”は約0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%または75%のAを含む配列である。いくつかの実施形態では、R”は、約0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%または75%のTを含む配列である。いくつかの実施形態では、R”は、約0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%または75%のCを含む配列である。いくつかの実施形態では、R”は、約0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%のGを含む配列である。いくつかの実施形態では、R”はランダムな文字列(文字列は、単一の塩基を含む任意の配列)と繰り返し文字列またはバイアス文字列との任意の組み合わせを含む配列である。
【0083】
上記の式のいくつかの実施形態において、R”は、バイアスされた混合物からランダムに配置された塩基(例えば、基準塩基の場合、1塩基あたり25%から逸脱する任意の混合物);またはランダムな文字列(文字列は単一の塩基を含む任意の配列)と、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75もしくは80塩基長、及び/または約120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55もしくは50塩基長以下の繰り返しまたはバイアスされた文字列との任意の組み合わせである。
【0084】
上記の式のいくつかの実施形態において、S1は少なくとも1塩基以上のステム領域配列である。他の実施形態では、S1は、約4~40塩基長または4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39もしくは40塩基長のステム領域配列である。
【0085】
上記の式のいくつかの実施形態において、S2は少なくとも1塩基以上のステム領域配列である。他の実施形態では、S2は、約4~40塩基長または4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39もしくは40塩基長の間のステム領域配列である。
【0086】
上記の式のいくつかの実施形態において、L1は少なくとも1つの塩基のループ領域配列である。他の実施形態では、L1は、約1~50塩基長または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49もしくは50塩基長のループ領域配列である。
【0087】
上記の式のいくつかの実施形態において、L2は少なくとも1つの塩基のループ領域配列である。他の実施形態では、L2は、約1~50塩基長または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49もしくは50塩基長のループ領域配列である。
【0088】
上記の式のいくつかの実施形態では、Tはその5’及び3’末端に不対ドメインを含んでもよく、またはパドロック(padlock)テール(例えば、ライブラリと対になった2つのドメイン間のループ)であってもよい。本開示のアプタマーは、任意の数のステム及びループ、ならびにステム及びループからなる他の構造(例えば、ヘアピン、バルジ等)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アプタマーのループは、主ライブラリ軸に直交するステムを形成する安定したループ-ループWCペアリングを形成するために埋め込まれた塩基を含む。他の実施形態では、アプタマー内の2つのループが一緒になって直交ステムを形成する。さらに他の実施形態では、アプタマーのループは、主ライブラリ軸に沿って既存のステムと安定したフーグスティーンペアリングを形成するために埋め込まれた塩基を含む。他の実施形態では、アプタマーのループは、アプタマーの任意のステムとフーグスティーンペアリングを形成し得る。
【0089】
上記の式のいくつかの実施形態では、アプタマー配列は、1つ以上の多量体形成ドメインをさらに含む。
【0090】
上記の式のいくつかの実施形態では、アプタマー配列は、1つ以上(例えば、約1~20塩基長または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20塩基長)のスペーサーをさらに含む。
【0091】
本開示のアプタマーは、様々な方法で調製され得る。一実施形態では、アプタマーは化学合成により調製される。別の実施形態では、アプタマーは酵素合成により調製される。一実施形態では、酵素合成は、鋳型を使用してまたは使用せずに、ヌクレオチドを付加してプライマーを伸長し得る任意の酵素を使用して実行され得る。いくつかの実施形態では
、アプタマーは、kマー(例えば、k≧2塩基)を一緒にアセンブルすることにより調製される。
【0092】
いくつかの実施形態において、本開示のアプタマーは、DNA、RNA、ならびにそれらの天然及び/または合成類似体の任意の組み合わせを含んでもよい。一実施形態では、アプタマーはDNAを含む。一実施形態では、アプタマーはRNAを含む。
【0093】
他の実施形態において、本開示のアプタマーは、5’末端、3’末端、または内部に任意の改変を含んでもよい。アプタマーの修飾としては、限定するものではないが、スペーサー、リン酸化、リンカー、結合化学、フルオロフォア、クエンチャー、光反応性、及び修飾塩基(例えば、LNA、PNA、UNA、PS、メチル化、2-O-メチル、ハロゲン化、超強塩基、iso-dN、逆塩基、L-リボース、骨格としての他の糖等)が挙げられる。
【0094】
いくつかの実施形態では、本開示のアプタマーは、5’末端、3’末端、または内部的に、外部の非核酸分子に結合され得る。非核酸分子の非限定的な例としては、限定するものではないが、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、低分子薬、単糖類及び多糖類、脂質、抗体及び抗体断片、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0095】
本開示のアプタマーは、生物学的機能を有する任意のドメインを含んでもよい。本明細書に記載のアプタマーの生物学的機能の非限定的な例としては、限定するものではないが、RNA転写の鋳型としての機能、タンパク質への結合、認識、及び/または活性の調節、転写因子への結合、特殊化された核酸構造(例えば、Z-DNA、H-DNA、G-quad等)、制限酵素の酵素基質としての作用、特定のエキソヌクレアーゼ及びエンドヌクレアーゼ、組換え部位、編集部位、またはsiRNAが挙げられる。一実施形態では、アプタマーは、少なくとも1つのタンパク質の活性を調節する。別の実施形態では、アプタマーは少なくとも1つのタンパク質の活性を阻害する。
【0096】
他の実施形態では、本開示のアプタマーは、いくつかの公知の方法のいずれか1つによって構築された核酸ナノ構造に組み込むための任意のドメインを含んでもよい(Shih et al, Nature 427:618-621 (2004); Rothemund, Nature 440:297-302 (2006); Zheng et al, Nature 461:74-77 (2009); Dietz et al, Science 325:725-730 (2009); Wei et al, Nature 485:623-626 (2012); Ke et al, Science 338:1177-1183 (2012); Douglas et al, Science 335:831-834 (2012)、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる)。さらに他の実施形態では、本開示のアプタマーは、分子論理及び計算の機能を果たす任意のドメインを含んでもよい(Seelig et al, Science 314:1585-1588 (2006); Macdonald et al, Nano Lett 6:2598-2603 (2006); Qian et al, Nature 475:368-372 (2011); Douglas et al, Science 335:831-834 (2012); Amir et al, Nat Nanotechnol 9:353-357 (2014)、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる)。
【0097】
いくつかの実施形態では、本開示のアプタマーは、陰性対照標的(例えば、真核生物または原核生物の細胞、ウイルスまたはウイルス粒子、タンパク質、分子、組織、または生物全体、インビボまたはエキソビボ、を含むがこれに限らない)に対して1回以上の負の選択サイクルを受ける。他の実施形態では、本開示のアプタマーは、陽性標的(例えば、真核細胞または原核細胞、ウイルスまたはウイルス粒子、分子、組織、または生物全体、インビボまたはエキソビボ)に対して1回以上の正の選択サイクルを受ける。
【0098】
本開示のアプタマーは、溶液状態であってもよく、固相(例えば、表面、粒子、樹脂、基質等)に付着していてもよい。いくつかの実施形態では、アプタマーはある表面に付着している。一実施形態では、表面は粒子表面である。
【0099】
いくつかの実施形態では、本開示のアプタマーは、アプタマーライブラリで合成される。本開示のアプタマーライブラリは、様々な方法で調製され得る。一実施形態では、アプタマーライブラリは化学合成により調製される。別の実施形態では、アプタマーライブラリは、酵素合成により調製される。一実施形態では、この酵素合成は、鋳型ありで又は無しで、ヌクレオチドを付加してプライマーを伸長し得る任意の酵素を使用して行われ得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、アプタマーライブラリで合成されたアプタマーは、DNA、RNA、及びそれらの天然及び/または合成類似体の任意の組み合わせを含んでもよい。一実施形態では、アプタマーライブラリで合成されたアプタマーは、DNAを含む。一実施形態では、アプタマーライブラリで合成されたアプタマーはRNAを含む。
【0101】
いくつかの実施形態において、アプタマーライブラリで合成されるアプタマーは、核酸(例えば、DNA、RNA、天然または合成塩基、塩基類似体、またはそれらの組み合わせ)10K種(K≧2)のコレクションであり、1種あたりZコピー(1≦Z≦K-1)がある。
【0102】
他の実施形態において、本開示のアプタマーライブラリで合成されたアプタマーは、5’末端、3’末端、または内部に、任意の改変を含んでもよい。アプタマーの修飾としては、限定するものではないが、スペーサー、リン酸化、リンカー、結合化学、フルオロフォア、クエンチャー、光反応性修飾、及び修飾塩基(例えば、LNA、PNA、UNA、PS、メチル化、2-O-メチル、ハロゲン化、超強塩基、iso-dN、逆塩基、L-リボース、骨格としての他の糖)が挙げられる。
【0103】
いくつかの実施形態では、アプタマーライブラリで合成されたアプタマーは、5’末端、3’末端、または内部で外部の非核酸分子に結合されてもよい。非核酸分子の非限定的な例としては、限定するものではないが、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、低分子薬、単糖類及び多糖類、脂質、抗体及び抗体断片、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0104】
アプタマーライブラリで合成されたアプタマーは、生物学的機能を有する任意のドメインを含んでもよい。本明細書に記載のアプタマーの生物学的機能の非限定的な例としては、限定するものではないが、RNA転写の鋳型としての機能、タンパク質への結合、認識、及び/またはタンパク質の活性調節、転写因子への結合、特殊化された核酸構造(例えば、Z-DNA、H-DNA、G-quad等)、制限酵素の酵素基質としての作用、特定のエキソヌクレアーゼ及びエンドヌクレアーゼ、組換え部位、編集部位、またはsiRNAが挙げられる。一実施形態では、アプタマーライブラリで合成されたアプタマーは、少なくとも1つのタンパク質の活性を調節する。別の実施形態では、アプタマーライブラリで合成されたアプタマーは、少なくとも1つのタンパク質の活性を阻害する。
【0105】
他の実施形態では、アプタマーライブラリで合成されたアプタマーは、いくつかの公知の方法の1つによって構築された核酸ナノ構造への組み込みのための任意のドメインを含んでもよい(Shih et al, Nature 427:618-621 (2004); Rothemund, Nature 440:297-302 (2006); Zheng et al, Nature 461:74-77 (2009); Dietz et al, Science 325:725-730 (2009); Wei et al, Nature 485:623-626 (2012); Ke et al, Science 338:1177-1183 (2012); Douglas et al, Science 335:831-834 (2012)、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる)。さらに他の実施形態では、本開示のアプタマーは、分子論理及び計算の機能を果たす任意のドメインを含んでもよい(Seelig et al, Science 314:1585-1588 (2006); Macdonald et al, Nano Lett 6:2598-2603 (2006); Qian et al, Nature 475:368-372 (2011); Douglas et al, Science 335:831-834 (2012); Amir et al, Nat Nanotechnol 9:353-357 (2014), each of which is hereby incorporated by reference)、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる)。
【0106】
いくつかの実施形態では、アプタマーライブラリで合成されたアプタマーは、標的(例えば、真核細胞または原核細胞)に対して1回以上の負の選択サイクルを受ける。他の実施形態では、本開示のアプタマーは、標的(例えば、真核細胞または原核細胞)に対して1回以上の正の選択サイクルを受ける。
【0107】
アプタマーライブラリで合成されたアプタマーは、溶液中にあっても、固相(例えば、表面、粒子、樹脂、基質等)に付着していてもよい。いくつかの実施形態では、アプタマーライブラリで合成されたアプタマーは表面に付着している。一実施形態では、表面は粒子表面である。
【0108】
固定されたアプタマークラスター
特定の態様では、標的細胞を含む試料と、粒子表面に固定された複数のアプタマークラスター(例えば、本明細書において提供されるアプタマーライブラリ由来のアプタマーのクラスター)とをインキュベートすることにより、標的細胞を調節する(モジュレートする)アプタマーを特定する方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、表面はビーズ(例えば、マイクロビーズ、ナノビーズ)である。
【0109】
粒子の表面に固定化されたアプタマークラスターを生成するために、当技術分野において知られている任意の公知の方法を使用し得る。特定の実施形態では、表面に固定されたアプタマークラスターは、最初にアプタマー(例えば、本明細書に開示されたアプタマーライブラリから)を表面(例えば、粒子の表面)に固定することにより生成される。いくつかの実施形態では、少なくとも約10、10、10、10、10、10、10、10または1010個の別個のアプタマーが表面上に(例えば、粒子の表面に)固定される。アプタマーの固定化に続いて、局所増幅プロセス(例えば、エマルジョンPCR、ブリッジ増幅またはローリングサークル増幅)を実行して、それによって、元の固定されたアプタマーの固定化部位の近くに配置された各々の固定されたアプタマーのコピーのクラスターを生成する。特定の実施形態(例えば、ローリングサークル増幅が実施される実施形態)では、アプタマークラスターは、表面に直接固定されるのではなく、表面のナノピットまたは細孔に収容される。いくつかの実施形態では、アプタマークラスターは、エマルジョンPCRを用いて用意し得る。いくつかの態様において、増幅は、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、800,000、900,000、又は1000,000個の同一のアプタマー分子を含む各々のアプタマークラスターをもたらす。特定の実施形態では、次いで、アプタマークラスターを配列決定する(例えば、Illumina配列決定またはPolonator配列決定により)。存在する場合、一本鎖アプタマーのクラスターを生成するために、鎖のハイブリダイゼーションの影響を受けにくい(例えば、塩濃度及び/または温度による)条件下で、表面を洗浄することにより、相補鎖をアプタマークラスターから除去してもよい。次い
で、表面(例えば、粒子表面)は、本明細書において提供されるアプタマー特定方法で使用する準備が行われる。いくつかの実施形態において、固定されたアプタマークラスターは、1つの機器上で調製及び/または配列決定され、次いで、アプタマー特定のために別個の機器に移される。他の実施形態において、アプタマークラスターは、アプタマー特定に使用されるのと同じ機器で調製及び/または配列決定される。
【0110】
いくつかの実施形態において、各アプタマークラスター粒子は、1000個未満の異なるアプタマー配列のクラスターを含んでおり、例えば、900個未満、800個未満、700個未満、600個未満、500個未満、400個未満、300個未満、または200個未満、100個未満、90個未満、80個未満、70個未満、60個未満、50個未満、40個未満、30個未満、または20個未満、10個未満、9個未満、8個未満、7個未満、6個未満、5個未満、4個未満、3個未満、または2個未満の異なるアプタマー配列を含む。ある実施形態において、各アプタマークラスター粒子は、粒子の表面にクラスターとして複数コピーの状態でユニークなアプタマー配列を含む。いくつかの実施形態において、それぞれのアプタマークラスターは、少なくとも2つの同一のアプタマー(例えば、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9, 000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、800,000、900,000、または1,000,000個の同一のアプタマー)を含む。
【0111】
上記の方法のいくつかの実施形態において、(例えば、アプタマーライブラリからの)アプタマーまたはアプタマークラスターは、そのアプタマーを表面の高さに至らせるようにするアダプターを含んでいる(例えば、細孔を含む粒子のように表面が平坦でない場合)。ある実施形態において、アプタマーまたはアプタマークラスターは、粒子表面の細孔の内部に固定化され、アプタマーを表面の高さに至らせるために、アダプターを用いてアプタマーを表面に結合させる。いくつかの実施形態において、アダプターは、核酸アダプター(例えば、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100塩基の長さの配列)である。いくつかの実施形態において、アプタマースクリーニングの前に、アダプター配列に相補的な配列をアダプターにハイブリダイズさせる。いくつかの実施形態において、アダプターは、化学的アダプター(例えば、アプタマーを表面に接続するポリマー)である。
【0112】
アプタマーライブラリスクリーニング
特定の態様において、本明細書で提供されるのは、標的細胞の機能を特異的に調節する1つもしくは複数のアプタマーを同定する方法であって、この方法は概して下記を含む:(i)ライブラリを、ある条件下および期間の間、単一の反応容積中で標的細胞とともにインキュベートして、細胞アプタマークラスター粒子複合体を形成すること;(ii)細胞機能を変化させた細胞アプタマークラスター粒子複合体を、望ましい効果を有さない細胞アプタマークラスター粒子複合体、未結合の粒子および未結合の細胞から分離すること;(iii)細胞機能を変化させた細胞アプタマークラスター粒子複合体からアプタマークラスター粒子を分離すること;(iv)その粒子からアプタマーを解離させること;(v)個々のアプタマー配列を増幅して、機能富化されたアプタマー集団を提供すること。
【0113】
特定の実施形態において、本方法は、特異的で富化された、機能性アプタマーの集団を得るために、ステップ(i)~(v)を追加のラウンドで繰り返すことによって、機能性アプタマーの集団を富化するステップをさらに含む。特定の実施形態において、機能性アプタマーの集団を富化するステップは、連続するラウンドにおいて制限的な条件(例えば、粒子の総数を減らす)を適用することを含む。いくつかの実施形態において、富化されたアプタマー集団は、インキュベートステップからの多数のアプタマーと比較して、少なくとも1.5倍(例えば、約1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、または2.0倍)配列多様性が減少している。いくつかの実施形態において、スクリーニングの追加ラウンドごとのアプタマー集団は、少なくとも1.1倍(例えば、約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7. 1.8、1.9、または2.0倍)富化される。富化のラウンド数は、何回でも望み通りとすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、ラウンドの数は、少なくとも2回(例えば。少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51.52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100回)である。特定の実施形態において、本方法は、ステップ(v)の後に、配列決定によって機能性アプタマーの富化された集団を同定するステップをさらに含む。
【0114】
アプタマークラスター粒子のライブラリは、細胞アプタマークラスター粒子複合体を形成し、アプタマークラスター粒子が標的細胞に影響を与えることを可能にするのに役立つ任意の条件で、標的細胞とともにインキュベートすることができる。条件としては、例えば、管理された期間、最適な温度(例えば、37℃)、および/またはインキュベーション培地(例えば、標的細胞培地)等が挙げられるが、これらに限定されない。インキュベーションの期間は、約10分から約5日間、約30分から約4日間、約1時間から約3日間、約1.5時間から約24時間、または約1.5時間から約2時間とすることができる。いくつかの実施形態において、インキュベーション期間は、例えば、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、または7日であってもよい。
【0115】
標的細胞およびアプタマークラスター粒子のライブラリは、形成される細胞アプタマークラスター粒子複合体が標的細胞あたり約1~10個の粒子(例えば、標的細胞あたり1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の粒子)を含むような割合で混合することができる。特定の実施形態において、形成された細胞アプタマークラスター粒子複合体は、標的細胞あたり約2~4個の粒子を含む。いくつかの実施形態において、形成された細胞アプタマークラスター粒子複合体中のアプタマークラスター粒子は、粒子あたり約1~10個のクラスター(例えば、粒子あたり1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のクラスター)を含む。特定の実施形態において、形成された細胞アプタマークラスター粒子複合体中のアプタマークラスター粒子は、粒子あたり約1~6個のクラスターを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、標的細胞は、検出可能な標識により標識される、及び/又は検出可能な標識を含む。標的(例えば標的細胞)は検出可能な標識で標識されるか、及び/または検出可能な標識を含む。この標的は、検出可能に直接(例えば、直接化学リンカーを介して)または間接的に(例えば、検出可能に標識された標的特異的抗体を使用して)標識され得る。標的が細胞である実施形態では、検出可能な標識が細胞によって内在化されるような条件下で、標的細胞を検出可能な標識とインキュベートすることにより、この標的細胞が標識され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のアプタマースクリーニング方法を実施する前に、標的を検出可能に標識する。いくつかの実施形態において、標的は、本明細書で提供されるアプタマースクリーニング方法の実施中に標識される。いくつかの実施形態において、この標的は、アプタマークラスターに結合した後に標識される(例えば、結合した標的を検出可能に標識された抗体と接触させることにより)。いくつかの実施形態では、任意の検出可能な標識が使用され得る。検出可能な標識の例としては、限定するものではないが、蛍光部分、放射性部分、常磁性部分、発光部分及び/または比色部分が挙げられる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される標的は、蛍光部分に連結されるか、それを含むか、及び/またはそれによって結合される。蛍光部分の例としては、限定するものではないが、アロフィコシアニン、フルオレセイン、フィコエリトリン、ペリジニン-クロロフィルタンパク質複合体、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750、Alexa Fluor 790、EGFP、mPlum、mCherry、mOrange、mKO、EYFP、mCitrine、Venus、YPet、Emerald、Cerulean及びCyPetが挙げられる。
【0117】
標的は、非分子標的であっても、または超分子標的であってもよい。本開示のアプタマーが結合及び/または調節し得る標的の非限定的な例としては、限定するものではないが、細胞、細菌、真菌、古細菌、原生動物、ウイルス、ビリオン粒子、合成及び自然発生の顕微鏡的粒子、及びリポソームが挙げられる。いくつかの実施形態では、アプタマークラスター粒子と接触させる標的は、生/天然である。他の実施形態において、アプタマークラスター粒子と接触させる標的は、固定されている又は溶液中にある。
【0118】
いくつかの実施形態において標的細胞は、原核細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は細菌細胞である。細菌の非限定的な例としては、Aspergillus、Brugia、Candida、Chlamydia、Coccidia、Cryptococcus、Dirofilaria、Gonococcus、Histoplasma、Klebsiella、Legionella、Leishmania、Meningococci、Mycobacterium、Mycoplasma、Paramecium、Pertussis、Plasmodium、Pneumococcus、Pneumocystis、Pseudomonas、Rickettsia、Salmonella、Shigella、Staphylococcus、Streptococcus、Toxoplasma及びVibriocholeraeが挙げられる。例示的な種としては、淋菌(Neisseria gonorrhea)、Mycobacterium tuberculosis、Candida albicans、Candida tropicalis、Trichomonas vaginalis、Haemophilus vaginalis、B群Streptococcus sp.、Microplasma hominis、Hemophilus ducreyi、Granuloma inguinale、Lymphopathia venereum、Treponema pallidum、Brucella abortus、Brucella melitensis、Brucella suis、Brucella canis、Campylobacter fetus、Campylobacter fetus intestinalis、Leptospira pomona、Listeria monocytogenes、Brucella ovis、Chlamydia psittaci、Trichomonas foetus、Toxoplasma gondii、大腸菌(Escherichia coli)、Actinobacillus equuli、Salmonella abortus ovis、Salmonella abortus equi、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、Corynebacterium equi、Corynebacterium pyogenes、Actinobaccilus seminis、Mycoplasma bovigenitalium、Aspergillus fumigatus、Absidia ramosa、Trypanosoma equiperdum、Babesia caballi、Clostridium tetani、及びClostridium botulinumが挙げられる。
【0119】
いくつかの実施形態では、細胞は真核細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は動物細胞(例えば、哺乳動物細胞)である。いくつかの実施形態では、細胞はヒト細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ(例えば、雌ウシ、雄ウシ、バッファロー)、シカ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、ニワトリ、ネコ、イヌ、フェレットまたは霊長類(例えば、マーモセット、アカゲザル)等の非ヒト動物に由来する。いくつかの実施形態では、細胞は、寄生虫細胞(例えば、マラリア細胞、リーシュマニア細胞、クリプトスポリジウム細胞またはアメーバ細胞)である。いくつかの実施形態では、細胞は、例えば、Paracoccidioides brasiliensis等の真菌細胞である。
【0120】
いくつかの実施形態では、細胞はがん細胞(例えば、ヒトがん細胞又は患者由来癌細胞)である。いくつかの実施形態では、細胞は、任意のがん性または前がん性腫瘍由来である。がん細胞の非限定的な例としては、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、結腸、食道、胃腸、歯肉、頭部、腎臓、肝臓、リンパ節、肺、鼻咽頭、首、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌、または子宮由来のがん細胞が挙げられる。さらに、がんは具体的には以下の組織型のものであってもよいが、これらに限定されない:新生物、悪性、癌腫、がん、未分化、巨細胞及び紡錘細胞癌、小細胞癌、乳頭癌、扁平上皮癌、リンパ上皮癌、基底細胞癌、毛母癌、移行細胞癌、乳頭移行細胞癌、腺癌、ガストリノーマ、悪性、胆管癌、肝細胞癌、肝細胞癌と胆管癌の組み合わせ、小柱腺癌、腺様嚢胞癌、腺腫性ポリープの腺癌、腺癌、家族性大腸ポリポーシス、固形癌、カルチノイド腫瘍、悪性、分枝肺胞腺癌、乳頭腺癌、嫌色素性癌、好酸性癌、好酸性腺癌、好塩基性癌、明細胞腺癌、顆粒細胞癌、濾胞性腺癌、乳頭及び濾胞性腺癌、非被包性硬化癌、副腎皮質癌、子宮内膜癌、皮膚付属器癌、アポクリン腺癌、皮脂腺癌、耳垢腺癌、粘表皮癌、嚢胞腺癌、乳頭嚢胞腺癌、乳頭漿液性嚢胞腺癌、ムチン性嚢細胞癌、ムチン性腺癌、印環細胞癌、浸潤管癌、髄様癌、小葉癌、炎症性癌、ページェット病、乳腺、腺房細胞癌、腺扁平上皮癌、扁平上皮化生随伴腺癌、胸腺腫、悪性、卵巣間質腫瘍、悪性、莢膜腫、悪性、顆粒膜細胞腫瘍、悪性および芽球腫、悪性、セルトリ細胞癌、ライディッヒ細胞腫瘍、悪性、脂質細胞腫瘍、悪性、傍神経節腫、悪性、乳腺外傍神経節腫、悪性、褐色細胞腫、グロマン肉腫、悪性黒色腫、メラニン欠乏性黒色腫、表在拡大型黒色腫、悪性黒色腫巨大色素性母斑、類上皮細胞黒色腫、青母斑、悪性、肉腫、線維肉腫、線維性組織球腫、悪性、粘液肉腫、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、胚性横紋筋肉腫、肺胞性横紋筋肉腫、肺胞横紋筋肉腫、間質肉腫、混合腫瘍、悪性、ミュラー混合腫瘍、腎芽腫、肝芽腫、癌肉腫、間葉腫、悪性、ブレンナー腫瘍、悪性、葉状腫瘍、悪性、滑膜肉腫、中皮腫、悪性、発芽細胞腫、胎児性癌、奇形腫、悪性、卵巣甲状腺腫、悪性、絨毛腫、中腎腫、悪性、血管肉腫、血管内皮腫、悪性、カポジ肉腫、血管周囲細胞腫、悪性、リンパ管肉腫、骨肉腫、傍皮質骨肉腫、軟骨肉腫、軟骨芽細胞腫、悪性、間葉性軟骨肉腫、骨の巨大細胞腫瘍、ユーイング肉腫、歯原性腫瘍、悪性、エナメル上皮歯牙肉腫、エナメル上皮腫、悪性、エナメル芽細胞性線維肉腫、松果体腫、悪性、脊索腫、神経膠腫、悪性、上衣細胞腫、星状細胞腫、原形質星細胞腫、線維性星状細胞腫、星状芽細胞腫、グリア芽細胞腫、乏突起細胞腫、乏突起膠腫、原始神経外胚葉、小脳肉腫、軟組織肉腫、神経節芽細胞腫、神経芽腫、網膜芽腫、嗅神経原性腫瘍、髄膜腫、悪性、神経線維肉腫、神経鞘腫、悪性、顆粒細胞腫瘍、悪性、悪性リンパ腫、ホジキン病、ホジキンリンパ腫、傍肉芽腫、悪性リンパ腫、小リンパ球、悪性リンパ腫、大細胞、びまん性、悪性リンパ腫、濾胞、菌状息肉腫、その他の特定の非ホジキンリンパ腫、悪性組織球症、多発性骨髄腫、肥満細胞肉腫、免疫増殖性小腸疾患、白血病、リンパ性白血病、形質細胞白血病、赤白血病、リンパ肉腫細胞白血病、骨髄性白血病、好塩基球性白血病、好酸球性白血病、単球性白血病、肥満細胞性白血病、巨核球性白血病、骨髄肉腫、及びヘアリー細胞白血病。
【0121】
いくつかの実施形態において、標的細胞は、免疫細胞(例えば、ヒト免疫細胞または患者由来免疫細胞)である。本明細書において使用される「免疫細胞」という用語は、免疫応答において役割を果たす細胞を指す。免疫細胞は造血系の細胞であり、B細胞およびT細胞等のリンパ球;ナチュラルキラー細胞;単球、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、好塩基球、および顆粒球等の骨髄系細胞が含まれる。
【0122】
いくつかの実施形態において、標的細胞は、ウイルスに感染している。例えば、いくつかの実施形態において、ウイルスは、HIV、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、ヘルペスウイルス(例えば、HSV-1、HSV-2、CMV、HAV-6、VZV、エプスタインバールウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLV、デングウイルス、パピローマウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、またはエボラウイルスである。
【0123】
いくつかの実施形態において、調節される細胞機能は、細胞生存、細胞増殖、遺伝子発現、細胞形態、細胞活性化、リン酸化、カルシウム動員、脱顆粒、細胞移動、および/または細胞分化である。特定の実施形態において、標的は、標的に対する生物学的または化学的効果の検出を可能にする検出可能な標識に、連結されるか、それによって結合されるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、検出可能な標識は、蛍光色素である。蛍光色素の非限定的な例には、カルシウム感受性色素、細胞トレーサー色素、親油性色素、細胞増殖色素、細胞周期色素、代謝物感受性色素、pH感受性色素、膜電位感受性色素、ミトコンドリア膜電位感受性色素、および酸化還元電位色素等があるが、これらに限定されない。ある実施形態において、標的は、カルシウム感受性色素、細胞トレーサー色素、親油性色素、細胞増殖色素、細胞周期色素、代謝物感受性色素、pH感受性色素、膜電位感受性色素、ミトコンドリア膜電位感受性色素、または酸化還元電位色素で標識される。
【0124】
特定の実施形態において、標的細胞は、活性化関連マーカー、酸化ストレスレポーター、血管新生マーカー、アポトーシスマーカー、オートファジーマーカー、細胞生存マーカー、またはイオン濃度のマーカーで標識される。さらに別の実施形態では、標的細胞は、アプタマーを標的に暴露する前に、活性化関連マーカー、酸化ストレスレポーター、血管新生マーカー、アポトーシスマーカー、オートファジーマーカー、細胞生存マーカー、またはイオン濃度マーカーで標識される。
【0125】
いくつかの実施形態において、標的細胞は、アプタマーを標的に曝露した後に標識される。ある実施形態において、標的は、蛍光標識された抗体、アネキシンV、抗体フラグメントおよび人工抗体ベースの構築物、融合タンパク質、糖類、またはレクチンで標識される。別の実施形態において、標的細胞は、アプタマーを標的に曝露した後、蛍光標識された抗体、アネキシンV、抗体フラグメントおよび人工抗体ベースの構築物、融合タンパク質、糖類、またはレクチンで標識される。
【0126】
いくつかの実施形態において、標的細胞は、蛍光色素で標識される。蛍光色素の非限定的な例としては、カルシウム感受性色素、細胞トレーサー色素、親油性色素、細胞増殖色素、細胞周期色素、代謝物感受性色素、pH感受性色素、膜電位感受性色素、ミトコンドリア膜電位感受性色素、および酸化還元電位色素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
いくつかの実施形態において、標的細胞は、カルシウム感受性色素、セルトレーサー色素、親油性色素、細胞増殖色素、細胞周期色素、代謝物感受性色素、pH感受性色素、膜電位感受性色素、ミトコンドリア膜電位感受性色素、または酸化還元電位色素で標識される。特定の実施形態において、標的細胞は、活性化関連マーカー、酸化ストレスレポーター、血管新生マーカー、アポトーシスマーカー、オートファジーマーカー、細胞生存マーカー、またはイオン濃度マーカーで標識される。さらに別の実施形態において、標的細胞は、アプタマーを細胞に曝露する前に、活性化関連マーカー、酸化ストレスレポーター、血管新生マーカー、アポトーシスマーカー、オートファジーマーカー、細胞生存マーカー、またはイオン濃度のマーカーで標識される。いくつかの実施形態において、標的細胞は、アプタマーの標的への曝露後に標識される。ある実施形態において、標的細胞は、蛍光標識された抗体またはその抗原結合フラグメント、アネキシンV、蛍光標識された融合タンパク質、蛍光標識された糖、または蛍光標識されたレクチンで標識される。ある実施形態において、標的細胞は、アプタマーを細胞に曝露した後に、蛍光標識抗体またはその抗原結合フラグメント、アネキシンV、蛍光標識された融合タンパク質、蛍光標識された糖、または蛍光標識レクチンで標識される。
【0128】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法において、細胞機能の任意のレポーターを使用することができる。
【0129】
ある実施形態において、細胞機能は、細菌の膜の完全性である。細菌の膜完全性のレポーターの例としては、LIVE/DEAD BacLight Bacterial Viability Kitが挙げられるが、これに限定されない。特定の実施形態において、細胞機能は、細菌の酸化酵素および還元酵素の発現である。細菌の酸化酵素および還元酵素の発現のレポーターの例としては、BacLight RedoxSensor Bacterial Vitality Assayが挙げられるが、これに限定されない。特定の実施形態において、細胞機能は、細菌の膜電位の変化である。細菌の膜電位の変化のレポーターの例には、BacLight Bacterial Membrane Potential Kitが含まれるが、これに限定されない。
【0130】
ある実施形態において、細胞機能はアポトーシスである。アポトーシスレポーターの例を表14に記載する。
【0131】
いくつかの実施形態において、細胞機能のレポーターは抗体である。特定の実施形態において、抗体は、蛍光性の部分で標識されている。蛍光部分の例としては、アロフィコシアニン、フルオレセイン、フィコエリトリン、ペリジニン-クロロフィルタンパク質複合体、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546, Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750、Alexa Fluor 790、EGFP、mPlum、mCherry、mOrange、mKO、EYFP、mCitrine、Venus、YPet、Emerald、Cerulean、およびCyPet等があるが、これらに限定されない。
【0132】
特定の実施形態において、細胞機能はオートファジーであり、抗体はオートファジーのマーカー(例えば、LC3、p62)に結合する。
【0133】
一部の実施形態において、細胞機能は細胞増殖であり、抗体は増殖マーカー(例えば、Ki67、MCM2、PCNA)に結合する。
【0134】
いくつかの実施形態において、細胞機能は腫瘍抗原の発現であり、抗体は腫瘍抗原(例えば 前立腺特異抗原(PSA)、前立腺膜抗原(PSMA)がん抗原15-3(CA-15-3)、がん胎児性抗原(CEA)、がん抗原125(CA-125)、αフェトプロテイン(AFP)、NY-ESO-1、MAGEA-A3、WT1、hTERT、チロシナーゼ、gp100、MART-1、メランA、βカテニン、CDC27、HSP70-2-m、HLA-A2-R17OJ、AFP、EBV-EBNA、HPV16-E7、MUC-1、HER-2/neu、マンマグロビンA)に結合する。
【0135】
いくつかの実施形態において、細胞機能は、免疫チェックポイントタンパク質の発現であり、抗体は、免疫チェックポイント受容体および/または免疫チェックポイント受容体リガンド(例えば、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、B7-H5(VISTA)、BTLA(CD272)、CD96(Tactile)、CD112(Nectin-2)、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD137L(4-1BBL)、CD152(CTLA-4)、CD155(PVR)、CD223(LAG3)、CD226(DNAM1)、CD252(OX40L)、CD258(LIGHT)、CD273(PD-L2)、CD274(PD-L1)、CD278(ICOS)、CD279(PD-1)、CD357(GITR)、DR3(TNFRSF25)、ガレクチン9、GITRL、HVEM、ICOSL(B7-H2)、IDO、TIGIT、TIM3、TL1A、VSIG4)に結合する。
【0136】
いくつかの実施形態において、細胞機能はサイトカイン発現であり、抗体はサイトカイン(例えば、IL-6、TNF-α、IFN-γ、IL-1β、IL-3、IL-4、IL-5、IL-13、GM-CSF、IL-2、IL-8、GRO-α、IL-10、MCP-1、MIP-1、MCP-3、MIG、IL-12、CCL5)に結合する。
【0137】
いくつかの実施形態において、細胞機能はマクロファージ機能であり、抗体は、マクロファージ機能のマーカー(例えば、IDO、CD163、CD206、アルギナーゼ1、CD204(MSR-1)、CD369、GPNMB、VSIG4、Marco、MerTK、オステオポンチン、Axl、VISTA)に結合する。
【0138】
いくつかの実施形態において、細胞機能は樹状細胞機能であり、抗体は、樹状細胞機能のマーカー(例えば、CD103、CD11b、XCR1、CD80、CD86)に結合する。
【0139】
図1は、本明細書に記載される方法の特定の実施形態を示す、典型的なワークフローを提供する。ワークフローは、最初のアプタマーライブラリ(例えば、本明細書に記載のアプタマーライブラリ)から始まるが、これはイルミナ(Illumina)シーケンシングのために選択され準備されたようなものである。このライブラリは、例えば、新たに合成されてもよいが、前の選択プロセスの産物であってもよい。このプロセスは、1回または複数回のポジティブ選択サイクル、1回または複数回のネガティブ選択サイクル、またはその両方を、一緒に、および順を追って、含むことができる。
【0140】
図3は、本プロセスの一部の段階を例示する略図である。図3Iは、標的細胞に対する結合特異的アプタマーを選択するための一連の結合SELEX段階、および細胞に機能的効果をもたらす結合アプタマーを用いて集団を富化するために行われる機能SELEXを示す。多くの選択肢がありうるのは、結合SELEXおよび機能SELEXを任意の回数、繰り返すことができるからである。図3IIは、本明細書に記載のアプタマークラスター粒子(Bを参照されたい)および細胞(Aを参照されたい)を組み合わせて、検出できるように標識されたアプタマークラスター粒子細胞複合体(Cを参照されたい)を形成するステップを説明する図である。図3IIIは、細胞機能の蛍光マーカーの強度(y軸)、ならびに細胞を有する粒子複合体(x軸)を検出するフローサイトメトリーの結果を示す図であり、これによって、細胞機能を変化させた細胞アプタマークラスター粒子複合体(iiと表示)を、望ましい効果を持たない細胞アプタマークラスター粒子複合体(ivと表示)、結合していない粒子(v)、ならびに望ましい効果あり(iと表示)および望ましい機能なし(iiiと表示)の両方の未結合の細胞から分離することができる。
【0141】
調製されたライブラリは、ビーズ等の粒子上に固定される。エマルジョンPCR(ePCR)増幅は、初期ライブラリからの単一配列をそれぞれ、少なくとも、例えば10,000コピーの同一配列からなるクラスターに変える。その後、アプタマークラスター粒子のライブラリを標的細胞とともにインキュベートする。標的細胞は、アプタマークラスター粒子に導入される前に、標的細胞に対する生物学的または化学的効果をレポートする目的で、蛍光色素で標識することができる。標的細胞およびアプタマークラスター粒子のライブラリを一定時間インキュベートすることで、効果を発揮させることができる。生物学的または化学的効果(例えば、細胞活性化、アポトーシス等)をレポートするための蛍光色素またはマーカーを、その後に標的細胞に送り込むことができる(図1を参照されたい)。いくつかの実施形態において、レポーターはインキュベーションの前に細胞に添加される。いくつかの実施形態において、レポーターは、インキュベーションの間に添加される。特定の実施形態において、レポーターはインキュベーション後に添加される。いくつかの実施形態において、アプタマーとのインキュベーションプロセスとは無関係に、求める表現型(例えば、アポトーシス)を発現する細胞をマークするために、(例えば、インキュベーションの前に)第2のレポーターが使用される。特定の実施形態において、第2のレポーターは、偽陽性を区別するのに役立つ。いくつかの実施形態において、検出された表現型が偽陽性でないことを確認するために、第2(または第3)のレポーター(例えば、異なるメカニズムで作用するレポーター)を使用する。次に、効果が陽性のクラスターを効果が陰性のクラスターから選別し、対応する機能性アプタマー配列を分析する。選別された陽性クラスターを増幅し、スクリーニングの追加ラウンドのための初期ライブラリとして粒子の表面に固定化することができる。各ラウンドのスクリーニング後、富化された機能性アプタマーの一部は、出力サンプリングおよび比較機能分析を受けた後、配列決定によるアプタマーの同定を行う。
【0142】
他の組成物および方法
特定の態様において、本明細書では、本明細書に記載のアプタマーライブラリスクリーニング法を用いて選択されたアプタマーの集団等、機能富化されたアプタマーの集団を含む組成物も提供される。いくつかの実施形態において、機能富化されたアプタマーの集団は、対照アプタマーと比較して、機能が1.1倍を超えて増加していることを特徴とし、例えば、対照ライブラリと比較して1.2倍を上回る、1.3倍を上回る、1. 4倍を上回る、1.5倍を上回る、1.6倍を上回る、1.7倍を上回る、1.8倍を上回る、1.9倍を上回る、2.0倍を上回る、2.1倍を上回る、2.2倍を上回る、2.3倍を上回る、2.4倍を上回る、2.5倍を上回る、2.4倍を上回る、2.5倍を上回る、2.6倍を上回る、2.7倍を上回る、2.8倍を上回る、2.9倍を上回る、3倍を上回る、3.5倍を上回る、4倍を上回る、4.5倍を上回る、5倍を上回る、5.5倍を上回る、6倍を上回る、6.5倍を上回る、7倍を上回る、7.5倍を上回る、8倍を上回る、8.5倍を上回る、9倍を上回る、9.5倍を上回る、10倍を上回る機能向上を特徴とする。対照ライブラリは、例えば、1つもしくは複数の機能的でないアプタマー、アプタマーのランダムプール、機能的スクリーニングもしくは富化を行う前のアプタマークラスターライブラリ、または目的とする特定の細胞機能を調節しないアプタマーの集団とすることができる。ある実施形態において、機能は、細胞機能の検出可能な標識の定量的蛍光として、細胞機能の検出可能な標識の定量的発光として、または細胞の形態変化として測定される。いくつかの実施形態において、測定される機能は、がん細胞死またはアポトーシスであり、例えば、腫瘍由来細胞の細胞死またはアポトーシスである。したがって、腫瘍由来個別化細胞を改変するアプタマー集団も本発明に包含される。いくつかの他の実施形態において、測定される機能は、免疫細胞の活性化/非活性化、または他の表現型転換/スキューイング/極性化である。
【0143】
特定の態様において、本明細書では、アプタマークラスター(例えば、本明細書に記載の方法の実施中に生成されたクラスター化アプタマーライブラリ)を含む組成物が提供される。特定の実施形態において、アプタマークラスターは、固体支持体(例えば、粒子表面)に固定化されている。特定の実施形態において、組成物は、標的細胞(例えば、がん細胞、免疫細胞、細菌細胞)をさらに含む。特定の実施形態において、組成物は、細胞機能のレポーターをさらに含む。特定の実施形態において、レポーターは、蛍光レポーター(例えば、膜完全性レポーター、カプシド完全性レポーター、タンパク質完全性レポーター、タンパク質変性レポーター、細胞死レポーター、または酸化還元電位レポーター)である。
【0144】
いくつかの実施形態において、組成物は、少なくとも約102個のアプタマークラスター(例えば、少なくとも約5×102、103、5×103、104、5×104、105、5×105、106、5×106、107、5×107、108、5×108、または109個のアプタマークラスター)を含む。特定の実施形態において、組成物は、少なくとも約106個のアプタマークラスターを含む。一部の実施形態では、組成物は、105~1010個のアプタマークラスター(例えば、105~5×109、105~109、105~5×108、105~108、105~5×107、105~107、105~5×106、105~106、105~5×105、5×105~1010、106~1010、5×106~1010、107~1010、5×107~1010、108~1010、5×108~1010、109~1010、5×109~1010、5×105~5×109、106~109、5×106~5×108、107~108個のアプタマークラスター)を含む。特定の実施形態において、組成物は106~109個のアプタマークラスターを含む。一部の実施形態では、各アプタマークラスターは、少なくとも約2コピーのアプタマー(例えば、少なくとも約103、5×103、104、5×104、105、5×105、または106コピーのアプタマー)を含む。特定の実施形態において、各アプタマークラスターは、少なくとも約104コピーのアプタマーを含む。いくつかの実施形態において、各アプタマークラスターは、103~107個のアプタマー(例えば、クラスターごとに、103~5×106、103~106、103~5×105、103~105、103~5×104、103~104、103~5×103、5×103~107、104~107、5×104~107、105~107、5×105~107、106~107、5×106~107、5×103~5×106、104~106、または5×104~5×105個のアプタマー)を含む。特定の実施形態において、各アプタマークラスターは104~106個のアプタマーを含む。
【0145】
いくつかの実施形態において、標的は、任意の種類の細胞(例えば、細菌もしくは古細菌等の原核細胞、または動物細胞、植物細胞、原生動物細胞、哺乳類細胞等の真核細胞)、ウイルス等とすることができる。
【0146】
いくつかの実施形態において、細胞機能のレポーターは、蛍光レポーターである。いくつかの実施形態において、機能の蛍光レポーターは、細胞死レポーター、酸化還元電位レポーター、膜完全性レポーターである。細胞死レポーターの例は、7-AAD、およびアネキシンVフルオロフォアである。いくつかの実施形態において、機能の蛍光レポーターは、カプシド完全性レポーター(例えば、ウイルスのカプシド完全性および/または機能を測定するためのレポーター)等のウイルスレポーターである。いくつかの実施形態において、機能の蛍光レポーターは、タンパク質レポーターであり、例えば、タンパク質完全性レポーター(すなわち、タンパク質の構造的完全性および安定性を測定するためのレポーター)またはタンパク質変性レポーター(すなわち、タンパク質変性を検出するためのレポーター)である。
【0147】
いくつかの態様において、がん治療のためにアプタマーを選択する方法も提供される。例えば、いくつかの実施形態において、個別化されたがん治療に使用するためのアプタマーを選択する方法は下記を含む:a)対照アプタマーと比較して、患者由来がん細胞の細胞死またはアポトーシスの促進を1.5倍より多く増加させることを特徴とするアプタマーの集団を提供すること;b)そのアプタマー集団から少なくとも1つのアプタマー候補を選択すること;およびc)個別化がん治療に使用するために少なくとも1つのアプタマーを調剤すること。いくつかの実施形態において、機能富化されたアプタマーの集団は、本明細書に記載のアプタマーライブラリスクリーニング法を用いて調製される。
【0148】
いくつかの態様において、腫瘍標的化送達システムを調製する方法は下記を含む:a)対照アプタマーと比較して、患者由来がん細胞の細胞死またはアポトーシスの促進を1.1倍より多く(例えば、1.5倍)増加させることを特徴とするアプタマーの集団を提供すること;b)そのアプタマー集団から少なくとも1つのアプタマー候補を選択すること;およびc)腫瘍局所的送達のために、少なくとも1つのアプタマーを腫瘍治療薬と組み合わせること。いくつかの実施形態において、機能富化されたアプタマーの集団は、本明細書に記載のアプタマーライブラリスクリーニング法を用いて調製される。
【0149】
がん細胞のアポトーシスを誘導するアプタマー
特定の態様において、本明細書では、アポトーシスを誘導することを含めて、がん細胞(例えば、トリプルネガティブ乳がん細胞等の乳がん細胞)に選択的に結合する、および/または、それを選択的に死滅させる、アプタマーが提供される。いくつかの態様において、本明細書では、そのようなアプタマーを含む医薬組成物、そのようなアプタマーを使用してがんを治療する、および/またはがん細胞を死滅させる方法、ならびにそのようなアプタマーを製造する方法が提供される。
【0150】
特定の態様において、本明細書では、配列番号1~10(表1)のいずれか1つと少なくとも60%同一(例えば、少なくとも65%同一、少なくとも70%同一、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも92%同一、少なくとも94%同一、少なくとも96%同一、少なくとも98%同一)である核酸配列を含むアプタマーが提供される。いくつかの実施形態において、アプタマーは、配列番号1~10のいずれか1つの核酸配列を含む。特定の実施形態において、アプタマーは、配列番号1~10のいずれか1つの少なくとも20個(例えば、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも41個、少なくとも42個、少なくとも43個、少なくとも44個、少なくとも45個、少なくとも46個、少なくとも47個、少なくとも48個、少なくとも49個、少なくとも50個、少なくとも51個、少なくとも52個、少なくとも53個)の連続したヌクレオチドを含む。特定の実施形態において、本明細書で提供されるアプタマーは、配列番号1~10のいずれか1つの核酸配列を含む。一部の実施形態において、本明細書で提供されるアプタマーは、基本的に配列番号1~10からなる配列を有する。特定の実施形態において、本明細書で提供されるアプタマーは、配列番号1~10からなる配列を有する。
【0151】
【表1】
【0152】
2つ以上の核酸に関して「同一の」もしくは「パーセント同一性」という用語は、同一であるか、または指定割合の同一ヌクレオチド(すなわち、比較ウィンドウもしくは指定領域にわたって比較し、最大一致を得るようにアラインしたとき、約60%の同一性、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより高い同一性)を有する、2つ以上の配列または部分配列を指すが、これは、後述のデフォルトパラメータを用いたBLASTまたはBLAST 2.0配列比較アルゴリズムを用いて、または手動によるアラインメントおよび目視検査によって測定される(例えば、NCBIのウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/等を参照されたい)。
【0153】
特定の実施形態において、アプタマーは、長さが100ヌクレオチド以下(例えば、長さが90ヌクレオチド以下、長さが85ヌクレオチド以下、長さが80ヌクレオチド以下、長さが75ヌクレオチド以下、長さが70ヌクレオチド以下、長さが65ヌクレオチド以下、長さが60ヌクレオチド以下、長さが59ヌクレオチド以下、長さが58ヌクレオチド以下、長さが57ヌクレオチド以下、長さが56ヌクレオチド以下、長さが55ヌクレオチド以下、または長さが54ヌクレオチド以下である。
【0154】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるアプタマーは、がん細胞(例えば、ヒトがん細胞)に結合することができる。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるアプタマーは、がん細胞に接触すると、がん細胞(例えば、ヒトがん細胞)の細胞死(例えば、アポトーシス)を誘導することができる。いくつかの実施形態において、がん細胞は、患者由来のがん細胞である。いくつかの実施形態において、がん細胞は、固形腫瘍細胞である。特定の実施形態において、がん細胞は、(上皮性の)癌細胞である。一部の実施形態において、がん細胞は乳がん細胞である。一部の実施形態において、がん細胞は、トリプルネガティブ乳がん細胞(すなわち、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)およびHER/2neuの遺伝子を発現しない乳がん細胞)である。いくつかの実施形態において、アプタマーは、in vitroでがん細胞に接触したときに細胞死を誘導する。特定の実施形態において、アプタマーは、in vivo(例えば、ヒトおよび/または動物モデル)でがん細胞に接触させると、細胞死を誘導する。
【0155】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるアプタマーは、1つまたは複数の化学修飾を含む。修飾の例を表2に示す。
【0156】
【表2】
【0157】
特定の実施形態において、アプタマーは末端修飾を含んでいる。いくつかの実施形態において、アプタマーは、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、0.5~40kDa)で化学的に修飾されている(例えば、アプタマーの5'末端に付けられている)。いくつかの実施形態において、アプタマーは、5'末端キャップを含む(例えば、逆方向チミジン、ビオチン、アルブミン、キチン、キトサン、セルロース、末端アミン、アルキン、アジド、チオール、マレイミド、NHSである)。特定の実施形態において、アプタマーは、3'末端キャップを含む(例えば、逆方向チミジン、ビオチン、アルブミン、キチン、キトサン、セルロース、末端アミン、アルキン、アジド、チオール、マレイミド、NHSである)。
【0158】
特定の実施形態において、本明細書で提供されるアプタマーは、1つまたは複数(例えば 少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、または54個)の修飾された糖を含んでいる。いくつかの実施形態において、アプタマーは、1つもしくは複数の2'糖置換(例えば、2'-フルオロ、2'-アミノ、または2'-O-メチル置換)を含む。特定の実施形態において、アプタマーは、ロックド(locked)核酸(LNA)、アンロックド(unlocked)核酸(UNA)および/または2'-デオキシ-2'-フルオロ-D-アラビノ核酸(2'-F-ANA)の糖をその骨格に含んでいる。
【0159】
特定の実施形態において、アプタマーは、1つまたは複数(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、または54個)のメチルホスホネートインターヌクレオチド結合および/またはホスホロチオエートインターヌクレオチド結合を含む。特定の実施形態において、アプタマーは、1つまたは複数(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、または54個)のトリアゾールインターヌクレオチド結合を含む。特定の実施形態において、アプタマーは、(例えば、その5'末端で)コレステロールまたはジアルキル脂質により修飾されている。
【0160】
いくつかの実施形態において、アプタマーは、1つまたは複数の修飾塩基(例えば、BzdU、ナフチル、トリプタミノ、イソブチル、5-メチルシトシン、アルキン(ジベンゾシクロオクチン)、アジド、マレイミド)を含む。
【0161】
特定の実施形態において、本明細書で提供されるアプタマーは、DNAアプタマー(例えば、D-DNAアプタマーまたはR-DNAアプタマー)である。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるアプタマーは、RNAアプタマー(例えば、D-RNAアプタマーまたはR-RNAアプタマー)である。いくつかの実施形態において、アプタマーは、DNAおよびRNAの混合物を含む。
【0162】
アプタマーは、当業者によく知られている方法で合成することができる。例えば、アプタマーは、例えば固体支持体上で化学的に合成することができる。固相合成は、ホスホロアミダイト化学を用いることができる。簡潔に説明すると、固体支持体上のヌクレオチドを脱トリチル化し、次に適切に活性化されたヌクレオシドホスホロアミダイトと結合させて、亜リン酸トリエステル結合を形成する。次にキャッピングを行い、続いて酸化剤、通常はヨウ素により、亜リン酸トリエステルを酸化する。その後、このサイクルを繰り返してアプタマーを構築することができる。
【0163】
治療方法
特定の態様において、本明細書で提供されるアプタマー(例えば、治療上有効な量のアプタマー)を含む医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、製薬上許容されるキャリアをさらに含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は非経口投与用に製剤される。
【0164】
特定の実施形態において、医薬組成物は、がんの治療用である。一部の実施形態において、がんは固形腫瘍である。特定の実施形態において、がんは、(上皮性の)癌である。一部の実施形態において、がんは乳がんである。いくつかの実施形態において、乳がんはトリプルネガティブ乳がんである。
【0165】
「製薬上許容されるキャリア」とは、被験体への活性薬剤の投与、および被験体による活性薬剤の吸収を助ける物質であって、重大な毒物学的有害作用を患者に及ぼすことなく本明細書に記載された組成物に含めることができるものを指す。製薬上許容される添加剤の非限定的な例としては、水、NaCl、生理食塩水、乳酸リンゲル、通常のショ糖、通常のグルコース、結合剤、増量剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、甘味料、香味料、塩類溶液(リンゲル液等)、アルコール、油、ゼラチン、炭水化物、たとえば乳糖、アミロース、デンプン等、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、および着色料等が挙げられる。このような製剤は、滅菌することが可能であって、必要に応じて、本明細書に記載の組成物と有害な反応をしない、滑沢剤、防腐剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩類、緩衝剤、着色料、および/または芳香物質等の補助剤と混合することができる。当業者であれば、他の医薬品添加物が有用であることを認識するであろう。
【0166】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の1つもしくは複数のアプタマーを含有する医薬組成物を投与することを含む、がんを治療する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態において、がんは乳がんである。いくつかの実施形態において、がんはトリプルネガティブ乳がんである。したがって、特定の態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載のアプタマーおよび/または医薬組成物を被験体に送達する方法である。
【0167】
特定の実施形態において、本明細書に記載された医薬組成物およびアプタマーは、例えば、腫瘍の放射線治療および外科的切除等、他の従来のあらゆる抗がん治療と併せて投与することができる。これらの治療は、必要に応じて、および/または、指示通りに、適用されてもよく、本明細書に記載された医薬組成物、剤形、およびキットを投与する前、投与と同時、または投与した後に、行うことができる。
【0168】
特定の実施形態において、本方法は、アプタマーの複数回投与を含む。個別の投与は、2回、3回、4回、5回、または6回の投与を含めて、2回以上の任意の回数の投与(例えば、複数回投与)を含むことができる。当業者であれば、本明細書で提供される治療方法および他のモニタリング方法のために、当技術分野で知られている方法に従って、実施すべき投与回数、または1回もしくは複数回の追加投与の実施が望ましいことを容易に判定することができる。いくつかの実施形態において、投与量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30日、または1、2、3、もしくは4週間で分けることができる。したがって、本明細書で提供される方法は、被験体に1回もしくは複数回の投与を提供する方法を含むが、この投与回数は、被験体をモニタリングすることによって判定され、モニタリングの結果に基づいて、1回もしくは複数回の追加投与を提供すべきか否かを判定することができる。1回もしくは複数回の追加投与を行うべきか否かの決定は、腫瘍増殖の兆候もしくは腫瘍増殖の阻害、新たな転移の出現もしくは転移の阻害、被験体の抗細菌抗体価、被験体の抗腫瘍抗体価、被験体の健康全般、および/または被験体の体重を含むがこれらに限定されない、さまざまなモニタリング結果に基づいて行うことができる。
【0169】
投与と投与の間の期間は、さまざまな期間のいずれかとすることができる。投与間の期間は、投与回数、被験体が免疫反応を開始する期間、および/または被験体が正常組織から細菌を除去する期間に関して記載されるように、モニタリングステップを含めた、さまざまな要因のいずれかの関数とすることができる。一例を挙げると、期間は、被験体がが免疫反応を開始する期間の関数とすることができる;例えば、期間は、被験体が免疫反応を開始する期間よりも長く、例えば、約1週間より長く、約10日より長く、約2週間より長く、または約1ヶ月より長い期間とすることができる;さらに例を挙げると、期間は、被験体が免疫反応を開始する期間よりも短く、例えば、約1週間未満、約10日未満、約2週間未満、または約1ヶ月未満とすることができる。また別の例では、期間は、被験体が正常組織から細菌を除去する期間の関数とすることができる;例えば、期間は、被験体が正常組織から細菌を除去する期間よりも長く、例えば、約1日より長く、約2日より長く、約3日より長く、約5日より長く、または約1週間より長い期間とすることができる。
【0170】
本明細書に記載されるアプタマーの有効な用量は、特定の患者、組成物、および投与方法において、患者への毒性を最小限に抑えながら、望ましい治療反応を達成するのに有効なアプタマーの量である。有効な投与量レベルは、本明細書に記載された方法を用いて特定することができるが、さまざまな薬物動態学的要因に左右されるものであって、そうした要因には、投与される個別の組成物の活性、投与経路、投与時間、使用される個別の化合物の排泄率、治療期間、使用される個別の組成物とともに併用される他の薬物、化合物および/または材料、治療を受ける患者の年齢、性別、体重、疾患、全般的な健康状態および既往歴等が挙げられる。一般に、がん治療薬の有効な用量は、治療効果を生じるために有効な最低用量となる治療薬の量である。このような有効用量は、一般に上記の要因に依存する。
【0171】
投与経路の例としては、経口投与、直腸投与、局所投与、吸入(鼻腔)または注射が挙げられる。注射による投与には、静脈内(IV)、病巣内、腫瘍周囲、筋肉内(IM)、および皮下(SC)投与が含まれる。本明細書に記載の組成物は、任意の形態で、任意の効果的な経路で投与することが可能であって、これには、経口、腸管外、経腸、静脈内、腫瘍内、腹腔内、外用、経皮(例えば、任意の標準的なパッチを使用する)、皮内、眼、経鼻(鼻腔内)、局所、非経口、例えば、エアロゾル、吸入、皮下、筋肉内、頬側、舌下、(経)直腸、膣、動脈内、およびくも膜下腔内、経粘膜(例えば、舌下、舌、(経)頬側、(経)尿道、膣(例えば、経膣および膣周囲))、埋め込み型、膀胱内、肺内、十二指腸内、胃内、ならびに気管支内等がある。好ましい実施形態において、本明細書に記載の細菌組成物は、経口投与、直腸投与、局所投与、膀胱内投与、流入領域リンパ節の中もしくは近傍への注射による投与、静脈内投与、吸入もしくはエアロゾルによる投与、または皮下投与で与えられる。
【0172】
投与計画は、さまざまな方法および量のいずれをとってもよく、既知の臨床上の要因に応じて当業者が決定することができる。医療技術分野で知られているように、任意の1人の患者に対する投与量は、被験体の生物種、大きさ、体表面積、年齢、性別、免疫能力、腫瘍の寸法および全般的な健康状態、投与される個別の微生物、投与期間および投与経路、病気の種類および病期、例えば腫瘍サイズ、ならびに同時に投与される薬物等の他の化合物を含めた、数多くの要因によって左右されうる。
【0173】
本明細書に記載の治療方法は、原発性腫瘍、二次性腫瘍または転移の治療に加えて、腫瘍または癌の再発にも適していると考えられる。本明細書に記載の医薬組成物の投与量は、剤形、投与経路、対象疾患の程度または病期等に応じて適切に設定または調整することができる。
【0174】
いくつかの実施形態において、被験体に投与される用量は、がんを予防する、がんの発症を遅らせる、がんの進行を遅らせるかもしくは止める、もしくはがんの再発を防ぐ、または被験体の全生存に寄与するのに十分な量である。当業者であれば、投与量が、使用される個別の化合物の強度、ならびに、被験体の年齢、生物種、疾患、および体重等、さまざまな要因によって決まることを認識するであろう。また、投与量の規模は、投与の経路、タイミングおよび頻度に加えて、個々の化合物の投与に伴う有害な副作用の有無、性質、および程度、ならびに必要な生理学的効果によって決定される。
【0175】
適当な投与量および投与計画は、当業者に公知の従来の用量反応域検出技術によって決定することができる。一般に、治療は化合物の最適用量よりも少ない少量の投与量で開始される。その後、そうした状況の下で最適な効果が得られるまで、投与量を少しずつ増加させる。有効な投与量および治療プロトコルは、例えば、実験動物において低用量から開始し、効果を確認しながら投与量を増やし、投与計画も系統的に変化させる等、所定の常法によって決定することができる。動物実験は、体重1kgあたりの生理活性物質の最大耐量(MTD)を決定するためによく用いられる。当業者は、ヒトを含めた他の生物種において、毒性を回避する一方、有効性のための用量を規則に従って推定する。
【0176】
上記にしたがって、治療用途での、本明細書に記載のアプタマーの投与量は、選択された投与量に影響を与える他の要因の中でも、個別のアプタマー、レシピエント患者の年齢、体重および臨床症状、ならびに治療を行う臨床医もしくは開業医の経験および判断に応じて変化する可能性がある。一般に、投与量は、腫瘍の増殖を遅らせ、好ましくは退縮させ、最も好ましくはがんの完全な退縮を引き起こす結果をもたらすのに十分な量であるべきである。
【0177】
本明細書に記載の方法によって治療することができるがんの例には、血液悪性腫瘍、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、白血球血症性白血病、好塩基球性白血病、芽球性白血病、ウシ白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、胎児細胞性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、リーダー細胞性白血病、シリング白血病、幹細胞性白血病、亜白血性白血病 未分化細胞白血病、ヘアリー細胞白血病、血球母細胞性白血病、血球芽細胞性白血病、組織球性白血病、幹細胞性白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性(lymphatic)白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性(lymphocytic)白血病、リンパ球性(lymphogenous)白血病、リンパ性(lymphoid)白血病、リンパ肉腫細胞性白血病、マスト細胞性白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄性白血病、骨髄性顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞(plasma cell)白血病、形質細胞性(plasmacytic)白血病、前骨髄球性白血病、腺房細胞癌、小葉癌、腺様嚢胞(adenocystic)癌、腺様嚢胞(adenoid cystic)癌、腺癌、副腎皮質癌、肺胞癌、肺胞上皮癌、基底細胞癌(basal cell carcinoma)、基底細胞癌(carcinoma basocellulare)、基底細胞様癌、基底扁平細胞癌、気管支肺胞癌、細気管支癌、気管支原性癌、脳様癌(cerebriform carcinoma)、胆管細胞癌、絨毛癌、膠様癌(colloid carcinoma)、面皰癌、子宮体癌、篩状癌、鎧状癌、皮膚癌、円柱上皮癌、円柱細胞癌、腺管癌、硬癌、胎児性癌、脳様癌(encephaloid carcinoma)、類表皮癌、腺様上皮癌、外向発育癌、潰瘍癌、線維癌、膠様癌(gelatiniform carcinoma)、膠様癌(gelatinous carcinoma)、巨細胞癌、印環細胞癌、単純癌、小細胞癌、ソラノイド(solanoid)癌、球状細胞癌、紡錘形細胞癌、海綿様癌、扁平上皮癌、扁平上皮細胞癌、数珠様癌、毛細血管拡張性癌(carcinoma telangiec
taticum)、毛細血管拡張性癌(carcinoma telangiectodes)、移行上皮細胞癌、結節癌(carcinoma tuberosum)、結節癌(tuberous carcinoma)、疣状癌、絨毛癌、巨細胞癌、腺癌、顆粒膜細胞癌、毛母癌、血性癌、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞腫、硝子細胞癌、副腎様癌、乳児胎児性癌、インサイチュ癌(正常位置での癌、carcinoma in situ)、表皮内癌、上皮内癌(intraepithelial carcinoma)、Krompecherの癌、クルチツキー細胞(神経内分泌細胞)癌、大細胞癌、レンズ状癌(lenticular carcinoma)、レンズ状癌(carcinoma lenticulare)、脂肪腫性癌、リンパ上皮癌、髄様癌(carcinoma medullare)、髄様癌(medullary carcinoma)、黒色癌、軟性癌、粘液性癌(mucinous carcinoma)、粘液性癌(carcinoma muciparum)、粘液細胞癌、粘表皮癌、粘液癌(carcinoma mucosum)、粘液性癌(mucous carcinoma)、粘液種様癌、鼻咽頭癌、燕麦細胞癌、骨化性癌、類骨癌、乳頭癌、門脈周囲癌、前浸潤癌、有棘細胞癌、髄質様癌、腎細胞癌、予備細胞癌、肉腫様癌、シュナイダー癌、スキルス癌、陰嚢癌、軟骨肉腫、繊維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、子宮内膜肉腫、間質肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、アバーネシー肉腫、脂肪肉腫(adipose sarcoma)、脂肪肉腫(liposarcoma)、胞巣状軟部肉腫、エナメル上皮肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫性肉腫、絨毛癌、胎児性肉腫、ウィルムス腫瘍肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素沈着性出血性肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、イェンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉腫肉腫、傍骨肉腫 細網肉腫、横紋筋肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫、毛細血管拡張性肉腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽腫、膀胱がん、乳がん、卵巣がん、肺がん、直腸結腸がん、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、小細胞肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃がん、大腸がん、悪性膵島細胞腫、悪性カルチノイド、前癌皮膚病変、精巣がん、リンパ腫、甲状腺がん、神経芽腫、食道がん、泌尿生殖器がん、悪性高カルシウム血症、子宮頚癌、子宮内膜癌、副腎皮質癌、ハーディング・パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、末端黒子型黒色腫、無色素性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、結節型黒色腫、爪下黒色腫、表在性拡大型黒色腫、形質細胞腫、大腸がん、直腸がんがあるが、これらに限定されない。
【0178】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法および組成物は、肉腫の治療に関するものである。「肉腫」という用語は、一般に、胎生結合組織のような実体で構成される腫瘍であって、概して、原線維様で不均質または均質な実体に組み込まれた密集した細胞からなる腫瘍を意味する。肉腫には、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、子宮内膜肉腫、間質肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、アバーネシー肉腫、脂肪肉腫(adipose sarcoma)、脂肪肉腫(liposarcoma)、胞巣状軟部肉腫、エナメル上皮肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫性肉腫、絨毛癌、胎児性肉腫、ウィルムス腫瘍肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素沈着性出血性肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、イェンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉腫肉腫、傍骨肉腫、細網肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫、毛細血管拡張性肉腫等があるが、これらに限定されない。
【0179】
本明細書に記載の方法および組成物を使用して治療することができる新生物の追加例としては、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽腫、乳がん、卵巣がん、肺がん、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、小細胞肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃がん、大腸がん、悪性膵島細胞腫、悪性カルチノイド、前癌皮膚病変、精巣がん、リンパ腫、甲状腺がん、神経芽腫、食道がん、泌尿生殖器がん、悪性高カルシウム血症、子宮頚癌、子宮内膜癌、及び副腎皮質癌等が挙げられる。
【0180】
いくつかの実施形態において、治療されるがんは黒色腫である。「黒色腫」という用語は、皮膚および他の臓器のメラニン細胞系から生じる腫瘍を意味するとされている。黒色腫の非限定的な例は、ハーディング・パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、末端黒子型黒色腫、無色素性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、結節型黒色腫、爪下黒色腫、および表在性拡大型黒色腫である。
【0181】
本明細書に記載の方法および組成物を使用して治療することができる腫瘍の特定のカテゴリには、リンパ増殖性疾患、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、骨がん、肝臓がん、胃がん、結腸がん、大腸がん、膵臓がん、甲状腺がん、頭頸部がん、中枢神経系のがん、末梢神経系のがん、皮膚がん、腎臓がん、および上記のすべての転移癌が含まれる。個別の腫瘍タイプとしては、肝細胞癌、肝癌、肝芽腫、横紋筋肉腫、食道癌、甲状腺癌、神経節芽腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、浸潤性乳管癌、乳頭状腺癌、黒色腫、肺扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌(高分化型、中分化型、低分化型、もしくは未分化型)、細気管支肺胞上皮癌、腎細胞癌、副腎腫(グラヴィッツ腫瘍、hypernephroma)、副腎様腺癌、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、精巣腫瘍、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、および大細胞肺癌を含む)、膀胱癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、松果体腫、網膜芽細胞腫、神経芽細胞腫、結腸癌、直腸癌、造血器悪性腫瘍(急性骨髄性白血病、急性骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、マスト細胞白血病、多発性骨髄腫、骨髄性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫等のあらゆるタイプの白血病およびリンパ腫を含む)がある。
【0182】
特定の実施形態で扱うがんには前癌病変も含めるが、これは例えば、光線角化症(日光角化症)、ほくろ(異形性母斑)、光線性口唇炎(ファーマーズリップ)、皮角、バレット食道、萎縮性胃炎、先天性角化異常症、鉄欠乏性嚥下障害、扁平苔癬、口腔粘膜下線維症、光線(日光)弾力線維症および子宮頸部異形成等である。
【0183】
一部の実施形態で扱うがんには、例えば内胚葉、外胚葉または間葉起源の、非がん性または良性の腫瘍が含まれており、これには、胆管腫、大腸ポリープ、腺腫、乳頭腫、嚢胞腺腫、肝細胞腺腫、胞状奇胎、腎尿細管腺腫、扁平上皮乳頭腫、胃ポリープ、血管腫、骨腫、軟骨腫、脂肪腫、線維腫、リンパ管腫、平滑筋腫、横紋筋腫、星状細胞腫、母斑、髄膜腫、および神経節腫等が含まれるが、これらに限定されない。
(実施例)
【実施例1】
【0184】
実施例2および3で使用する試薬
結合バッファー(×10)を作製するために、50mgのtRNAを秤量して50mlのチューブに分配し、5mlのアジド溶液(PBSX1中10%アジド)、0.5ml MgCl2(1M)、および44.5ml PBSX1を加えた。10%ヒト血清を含有する培地は、目的とするがん細胞の標準増殖培地(DMEM、IMDM、RPMI等)に10%ヒト血清を加えて作製した。ランダムDNAライブラリは、DNAライブラリをDNase/RNaseフリーの超純水(UPW)に最終濃度1mMとなるように溶解し、エッペンドルフチューブに分注して作製した。プライマー配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列を調製し、キャップ3'およびキャップ5'のそれぞれをDNase/RNaseフリーのUPWに最終濃度100mMとなるように溶解し、エッペンドルフチューブに分注して、アプタマーキャッピング(キャップ3'およびキャップ5')溶液を作製した。キャップ3'およびキャップ5'の両者を50mMの濃度としたチューブを調製した。上記の溶液は新調製し、4℃で保存した後、それぞれの実験の前にあらかじめ室温まで温めた。
【実施例2】
【0185】
結合CELL-SELEX:標的細胞に結合するアプタマーの選択(図2を参照されたい)
a. がん細胞への結合SELEX、ラウンド1
細胞は1日前に調製した。テストされる細胞の増殖速度に応じて、1:2または1:3の比率で細胞を分割した。PIで細胞をカウントし、CytoFLEXで実行した。
【0186】
アプタマーのプールは、DNase/RNaseフリーのエッペンドルフチューブで表3に記載のように調製した。
【0187】
【表3】
【0188】
アプタマーのプールを95℃にて5分間加熱して変性させ、遠心沈澱させた後、氷上で10分間冷却した。10%のヒト血清を加えた438.21μlの培地をアプタマープールに添加し、そのチューブを室温で少なくとも10分間インキュベートした。5.0E6細胞をエッペンドルフチューブに移し、300xgで5分間遠心分離した。上清を捨て、細胞を1mlの培地に再懸濁した。再度300xgで5分間遠心分離し、上清を捨てた。次に、アプタマープールを細胞ペレットに加え、静かに混合して、37℃、50rpmで1時間インキュベートした。その後、細胞を300xgで5分間遠心分離し、大部分の上清を取り除く(チューブ内には上清約10μlのみを残す)ことで、結合していない配列を除去した。その後、1mlの培地で細胞を懸濁し、300xgで5分間遠心分離し、大部分の上清を取り除き(チューブ内には上清約10μlのみを残し)、新しいチューブに細胞を移すというステップを2回繰り返すことで、1mlの培地を用いて細胞を洗浄した。結合したDNAを溶出させるために、590μLのUPWをペレットに加えた後、95℃にて10分間加熱した。その後、反応物を13.1xgで5分間、室温にて遠心分離し、上清を新しいチューブに移した。
【0189】
PCRキャリブレーションは以下の条件で作成した:30%および60%テンプレート、30および36サイクル、プライマー比1:10、ならびにTmは2つのプライマーのうち低い方のTmとする。表4にしたがって反応を組み立て、ボルテックス攪拌して遠心沈降させた。実験は氷上で行い、ヘラクレス(Herculase)の添加後、速やかに行った。
【0190】
【表4】
【0191】
60%テンプレート用に4本、30%テンプレート用に4本の、8本のPCRチューブを用意した。60%テンプレートのネガティブには12μlのUPWを、30%テンプレートのネガティブには6μlのUPWを添加した。同量の溶出液を試験管に加えた。8μlのPCRキャリブレーションミックスを各60%テンプレートチューブに加え、14μlのミックスを各30%テンプレートチューブに加えた。libのマーカーは、UPWで10μMの濃度に希釈し、ローディング色素と混合して調製した。マーカーは4℃で保存し、ライブラリのキャリブレーションに使用することができる。以下のプログラムを用いてPCR反応を行う(TmはプライマーのTmに応じて変更可能)。
【0192】
【表5】
【0193】
各サンプルの20μlを、4μlのローディング色素とともに3%アガロースゲルにロードした。マーカーのサイズにおいて最も強い一本鎖のバンドが分離された。最も強いバンドを生じさせるPCR反応条件を用いて、大量のPCR反応を行った。例えば、大量PCRのために、30%テンプレート、30サイクル、1:10、Tm=56℃という条件が用いられた。
【0194】
【表6】
【0195】
サンプルを10k Amicon(登録商標)Ultra Centrifugal Filterで濃縮した。カラムを指定のチューブに挿入し、各チューブに500μlのサンプルを加えた。チューブを14,000xgで20分間遠心分離した。各カラムを逆さまにして新たなエッペンドルフチューブに移し、その新チューブを1000xgで2分間遠心分離した。すべてのチューブのサンプルが混合され、合計で約80~100μlのサンプルが得られた。
【0196】
インサート付きのHPLCバイアルを用意した。サンプルの容積を測定し、最大102μlのサンプルをインサートに移した。サンプルをHPLCバイアルに通したが、完了するまで約20分を要した。HPLCの結果を分析した。画分は3%アガロースゲル上で泳動させ、目的の画分を混合した。DNAを洗浄し、NanoDropを用いて濃度を測定した。
【0197】
b. がん細胞への結合SELEX、ラウンド2
ラウンド2は、ラウンド1の手順を下記のように変更して繰り返しすことによって実施した。アプタマーのプールはDNase/RNaseフリーのエッペンドルフチューブ内で、表7に記載のように調製した。
【0198】
【表7】
【0199】
5.0E6細胞をエッペンドルフチューブに移し入れた(この数は細胞の種類によって変わり得るが、前の条件よりも制限されるはずである)。このエッペンドルフチューブを37℃、50rpmで50分間(ラウンド1でのように1時間ではなく)インキュベートした。洗浄および溶出ステップは、ラウンド1と同じとした。ネガティブ選択は、例えば、PBMCに対して行った。80μl 結合バッファーX1をペレットにアジドなしで添加した。結合したDNAを10分間95℃に加熱して溶出させ、13.1xgで5分間、室温で遠心分離した。その上清を新チューブに移した。溶出されたDNAは、5分間95℃に加熱し(遠心沈澱)、次に氷上で10分間冷却することで変性させた。10%ヒト血清を加えた220μlの培地を添加した。PBMCのバイアルを解凍してカウントし、5.0E6細胞の総量をエッペンドルフチューブに等分した。この細胞を300xgで5分間遠心分離した。上清を捨て、1mlの新培地(添加物なし)を加えて細胞を懸濁した。再度、300xgで5分間細胞を遠心分離した。上清を捨て、新鮮培地をペレットに加えた。エッペンドルフチューブを37℃、50rpmで1時間インキュベートした。300xgで10分間、細胞を遠心分離した。上清を新たなチューブに移した。溶出液から150μlを用いてラウンド1の手順を繰り返し、増幅および精製を行った(合計500μlのサンプル)。
【0200】
c. がん細胞への結合SELEX、ラウンド3
ラウンド3は、ラウンド2のステップを、条件の制限を高めて繰り返すことで実施した。例えば、インキュベーションには3.0E6細胞を使用し、インキュベーション時間は40分に短縮した。
【実施例3】
【0201】
浮遊細胞に対する機能SELEX:細胞を標的とする機能性アプタマーの選択(図3を参照されたい)
実施例3のラウンド3から得られた上清に対してLog PCRキャリブレーションを行った。表8を用いて、8、10、12、および14サイクルのPCRによりサンプルを調製した(最初の3サイクルはTm 56℃、残りはプライマーのTmで行った)。各サンプルの20μlを、4μlのローディング色素とともに3%アガロースゲルにロードした。
【0202】
【表8】
大量のPCR反応は、例えば、15%テンプレート、12サイクル、およびTm=56℃の条件で行った。
【0203】
【表9】
【0204】
すべてのPCRチューブから得られたサンプルを混合し、102μlのサンプルをHPLCにより精製した。精製されたDNAの濃度は、Qubitで測定した。
【0205】
ビーズは、2nMのInvitrogen社製Template beads for ion Torrent(商標名)を使用し、表10に従って調製した。
【0206】
【表10】
【0207】
精製したDNAサンプルを95℃で5分間加熱して変性させ、遠心沈澱した後、氷上で10分間冷却した。チューブを室温で30分間、90/60rpmでインキュベートした。10%ヒト血清を加えた培地800μlをプールに加えた。
【0208】
5.0E6細胞をエッペンドルフチューブに移した。ネガティブ(細胞のみ)およびポジティブ(細胞および毒素)の2つの対照を調製した。細胞を300xgで5分間遠心分離し、上清を捨てて1mlの新培地(添加物なし)を加えた。細胞を300xgで5分間遠心分離した。上清を捨て、ペレットにビーズプールを添加し、静かに混合した。エッペンドルフチューブを37℃、90/60rpmで1時間インキュベートした後、300xgで5分間遠心分離し、上清を除去した。10%ヒト血清を加えた培地800μl、および0.8μlのカスパーゼ3/7グリーンを加えた。チューブを37℃にて15分インキュベートした。死細胞複合体および生細胞複合体の表示を付した、BSAでコーティングされた2本のFACSチューブを用意した。サンプルをBD FACSMelody(商標名)セルソーターにかけた(ゲインを調整するために対照を最初に実行した)。サンプルは、ラウンド1では収量、ラウンド2以降では純度に基づいてソートした。2種類のソートされた細胞、すなわちチューブ#1のビーズアプタマーと複合した死滅したがん細胞、およびチューブ#2のビーズアプタマーと複合した生きたがん細胞の両者が得られた。結合したDNAは、95℃で10分間加熱することにより溶出し、300xgで5分間、室温で遠心分離した。その上清を新しいチューブに移した。
【0209】
下記の条件を用いてPCRキャリブレーションを調製した:15%テンプレート(足りなければ30%以上にアップスケール)、最初の3サイクルは変更せずに14~22サイクル(表11)、2つのプライマーのうち低い方のTmをTmとして用いた。
【0210】
【表11】
PCR反応は以下のようなプログラムで実施した。
【0211】
【表12】
各サンプルの20μlを、4μlのローディング色素とともに3%アガロースゲルにロードした。ラージスケールPCRは以下のように実行した。
【0212】
【表13】
【0213】
インサート付きのHPLCバイアルを用意した。サンプルの体積を測定し、その体積(102μl)をインサートに移した。バイアルをキャップで閉じて、P1A1の位置に置いた。サンプルをHPLCに通し、約20分で完了した。HPLCの結果を分析し、必要に応じて、画分を3%アガロースゲルに泳動させた。濃度をQubitで測定し、2nMのビーズが調製された。ラウンド2の手順を必要な回数だけ繰り返した。得られたプールの中で最も大量に存在する機能性アプタマーを、標準的な方法に基づいて配列決定した。同定されたアプタマーは、がん細胞を用いたアポトーシスアッセイで検証した。
【実施例4】
【0214】
機能Cell-SELEX法の例
がん細胞に対する3ラウンドの結合SELEXを(例えば、実施例2に記載のように)実施した。具体的には、定常領域で挟まれたランダムコアで構成されたssDNAライブラリを、定常領域に相補的なオリゴヌクレオチド(キャップと呼ぶ)の存在下でフォールドする。フォールディングは,95℃で5分間インキュベートした後,氷上で10分間冷却し,さらに10分間37℃でインキュベートすることによって行われた。フォールドされたライブラリおよび細胞は、10%ヒト血清を添加した標的細胞用培地中でともに1時間インキュベートした。インキュベーションステップでのライブラリの濃度は500nMとした。各ラウンドの後、サンプルを洗浄し、未結合の候補物質を1回目の選択ラウンドでは104倍、2回目の選択ラウンド以降は106倍希釈した。次のラウンドのインプットライブラリを調製するために、結合した画分は、95℃で10分間インキュベートすることによって溶出された。2回目のラウンド以降はネガティブ選択を加えた。溶出したライブラリを再度フォールドし、上記のように非標的細胞とインキュベートしたが、この場合、未結合画分を非対称PCR(aPCR)プロセスの入力とした。すべてのラウンドからのアウトプットライブラリのサンプルは、評価のために保存された。
【0215】
結合SELEXを3ラウンド行った後、油中水型エマルジョン中のマイクロビーズ上に結合富化ライブラリを増幅して、1ピコリットルの液滴ごとに平均して1つの配列の結合富化ライブラリを含むようにする。その後、IonTorrent OneTouchを用いてエマルジョンPCRを行い、液滴ピコリアクター内のビーズ表面上に各アプタマーを増幅する。その後、エマルジョンを破壊する。アプタマービーズライブラリは、108個のマイクロビーズで構成され、それぞれが1つのオリゴの複数コピーのクラスターで覆われている。このライブラリは、機能SELEXの第1ラウンドで使用される。ビーズライブラリは、ライブラリの隣接領域を補完するオリゴキャップを含めて、急速な温度勾配で細胞とともにインキュベートできるように調製され、これらは蛍光機能標識を含有する(図5A)。
【0216】
ビーズは複数の候補を保持することができる。各ビーズに保持される候補が多ければ多いほど、多様な候補を一定数のビーズでスクリーニングすることができる。しかしながら、1つのビーズ上の候補数を増やすと、それぞれの候補の有効濃度が低下する。クラスター化されたビーズを作製するために、Ion Protonサンプル調製Ion PI(商標名)Hi-Q(商標名)OT2 200 KitおよびIon OneTouch(商標名)自動サンプル調製システムを使用した。このキットに付属するプロトコルは、Protonシーケンシング技術に最適化されており、その場合、モノクローナルビーズを高率で作製することが優先事項である。メーカーが推奨する100 pMのストック6~8μlを使用して約10%テンプレート化ビーズを作製する代わりに、2 nMのストック1μlを使用して約40%テンプレート化ビーズを作製した。このテンプレート化ビーズのパーセントにフィットするポアソン分布は、テンプレート化ビーズの母集団の0.75より多くがモノクローナルであり、テンプレート化ビーズの約0.195がバイクローナルであり、この母集団の約0.05のみが3つ以上のオリゴ候補を保持していることを示す。反応あたりのビーズ数を制限要因とすると、これは約500 x106個のビーズ上に示される約642 x106個のオリゴとなる。推奨されるテンプレートの量を超えたことを除いて、Ion PI(登録商標)Hi-Q(登録商標)OT2 200 Kitのユーザーマニュアルの指示に従った。Enrichment QCはIon Sphere(登録商標)Quality Control Kitを用いてメーカーの指示に従って行った。Ion Sphereは、FACSMelodyでの検出を助けるために、Cy5結合キャップを用いて標識した。
【0217】
標的となるがん細胞は、培養皿で90%コンフルエンスに達するように1:2/1:3の割合で細胞を分割して1日前に調製した。細胞のみ(ネガティブ対照)および毒素を添加した細胞(ポジティブ対照)の2種類の対照を調製した。ビーズライブラリを添加する1時間前に、細胞培養培地を馴化培地に変えた。培地を吸引し、10%ヒト血清を含有する培地で希釈したアプタマービーズライブラリを細胞に加えて、緩やかな振盪条件で37℃にて1.5~2時間インキュベートした。培地上清から未結合アプタマーを回収し、新しいチューブに移した。結合したアプタマーを含む標的細胞をプレートから静かにはずし、1本の収集チューブにまとめた。この細胞を、ストック濃度500 nMの機能性プローブCellEvent Caspase-3/7、1.5μLと共に、37℃にて15 分間、暗下でインキュベートした。場合によっては、CellEvent Caspase-3/7およびMitoProbe Dilc1等の、2つの機能性プローブを標的細胞およびビーズライブラリ混合物とともに同時にインキュベートした(図6)。また、FACS解析においてシグナルとノイズとをよりよく区別するために、最初に1つの機能性プローブで染色した細胞を、その後、2つ目の機能性プローブとともにインキュベートするという機能性標識化も実施した。機能Cell Selex法で使用できる代替プローブの例を表14に示す。
【0218】
【表14】
【0219】
BSAでプレコートした2本のFACSチューブに、死細胞複合体(チューブ#1)および生細胞(チューブ#2)の表示を付した。サンプルはBD FACSMelody(登録商標)セルソーターで実行した(ゲインを調整するために対照を最初に実行した)。サンプルは、ラウンド1では収量、ラウンド2以降では純度に基づいてソートした。ソート時には形態的に無傷の細胞のみをゲートオンした。ビーズに結合し、カスパーゼ-3/7染色が陽性の細胞(clust+/cas+)を「ポジティブイベント」とした。ビーズに結合しているが、カスパーゼ3/7染色が陰性の細胞(clust+)も今後の分析のために収集し、「ネガティブイベント」と分類した。代表的なゲーティング戦略を図5Bに示す。2種類のソーティングされた細胞、すなわち、チューブ#1内のビーズアプタマーと複合した死滅したがん細胞、およびチューブ#2内のビーズアプタマーと複合した生きたがん細胞の両者が得られた。結合したDNAを95℃で10分間加熱して溶出させた後、300xgで5分間、室温で遠心分離した。上清を新しいチューブに移した。カスパーゼ-3/7色素およびビーズラベルが陽性となったイベントをエマルジョンPCRで増幅し、機能SELEXの次のラウンド用のビーズライブラリを得た。ビーズとともにインキュベートした標的細胞集団において機能の富化が観察されるまで、機能SELEXおよびエマルジョンPCRを繰り返した。
【実施例5】
【0220】
機能富化されたアプタマーライブラリによる異なる腫瘍細胞に対する細胞毒性の検証
実施例7に記載の、複数ラウンドの機能Cell-SELEXプロセスを、以下のがん細胞株に対して実施した。
A. HCT116ヒト大腸がん細胞株
B. 4T1マウス乳がん細胞株
C. CT26マウス大腸がん細胞株
D. Kasumi-1ヒト急性骨髄性白血病(AML)細胞株
E. ドナーからのAML1初代AML骨髄芽細胞
F. ドナーからのAML9初代骨髄芽細胞
G. ドナーからのCLL1初代慢性リンパ性白血病(CLL)リンパ球
【0221】
Kasumi-1細胞を除いて、結合SELEXを3ラウンド行った後に機能Cell-SELEXプロセスを開始し、カスパーゼ-3/7アポトーシスを測定した。Kasumi-1細胞については、(結合富化されていない)ランダムなライブラリから機能SELEXを開始し、ミトコンドリア膜電位(MitoProbe DilC1(5))を測定した。
【0222】
機能の富化は、機能アッセイによって検証するが、この機能アッセイでは、機能SELEXの全ラウンド/大半のラウンドから得られるビーズライブラリを標的細胞集団とともにインキュベートし、異なるビーズ集団にわたってアポトーシスの富化を比較する(図7)。Kasumi-1を除いて、表示された機能プロセスのすべては、アポトーシスプローブとしてCaspase3/7を用いて実施され、3ラウンドの結合SELEXの後、結合が富化されたライブラリから開始した。Kasumi-1はMitoProbe DilC1(5)ミトコンドリア膜電位プローブを用いて実施し、初回の機能ライブラリは(結合富化されていない)ランダムライブラリとした。
【0223】
機能SELEXの最終ラウンドでは、最終的にクラスター化したマイクロビーズライブラリを、ポジティブ標的細胞とインキュベートした後、ネガティブ対抗選択細胞とともにインキュベートした。ヒト浮遊細胞(初代または細胞株)については、健康なドナーからのPBMCをネガティブ対抗選択細胞として使用した。ヒト接着性細胞株に関しては、MCF10a細胞株または健康なドナーからのPBMCをネガティブ対抗選択細胞として使用した。マウス接着性細胞株については、新鮮な単離脾細胞をネガティブ対抗選択細胞として使用した。対抗選択中に出現したポジティブイベントは、イルミナ(Illumina)シーケンシング解析中の偶然の機能性リードを除去するために使用した。
【実施例6】
【0224】
結合富化アプタマーライブラリと機能富化アプタマーライブラリの比較
上記で作製された、すべての機能SELEXラウンドから得られたライブラリは、各ラウンドのネガティブイベント、および対抗選択細胞からのポジティブイベントを含めて、イルミナ(Illumina)シーケンシングのために調製された。配列決定は、NextSeq 500/550 High Output Kitを用いて、Illumina NextSeq 500シーケンサーで行った。AML1初代ヒト骨髄芽細胞およびHCT116大腸がん細胞株で行われた選択について、シーケンシング存在量プロファイルは、結合Cell-SELEXラウンドのアプタマーと機能Cell-SELEXラウンドのアプタマーとを対照した。それぞれのSELEXプロセスは、10-6 log存在量から開始し、最終的に富化されたアプタマーライブラリについて10-3または10-2 log存在量で終了した。図8に見られるように、いずれの組織起源でも、最終的なSELEXラウンドにおいて、10,000個の最も豊富なアプタマーについて、結合富化ライブラリと機能富化ライブラリとの間で、ほとんど交差は観察されなかった。また、最終的なSELEXラウンドにおいて、10種類の最も豊富なアプタマーについても、結合富化ライブラリと機能富化ライブラリとの間で交差は認められなかった。
【0225】
また、結合SELEXから得られた最終的に富化されたライブラリと、機能SELEXの最終富化ライブラリを、AML1およびHCT116の組織/細胞起源で選択した後、カスパーゼ-3/7活性化能力について比較した。結合富化ライブラリまたは機能富化ライブラリをマイクロビーズ上にクラスター化し、標的細胞とともに37℃にて2時間インキュベートした後、カスパーゼ-3/7プローブとともにインキュベートした。マイクロビーズに結合した細胞およびカスパーゼ3/7陽性細胞の割合をゲートとして、フローサイトメトリーで測定した。機能富化ライブラリは、カスパーゼ-3/7活性の増加を示した。AML1標的細胞について、結合富化ライブラリのラウンド7と機能富化ライブラリのラウンド7を比較したところ、機能富化ライブラリとのインキュベーションは、カスパーゼ-3/7の1.5倍の増加を示した(図9、パネルA)。HCT116標的細胞については、結合富化ライブラリのラウンド7と機能富化ライブラリのラウンド8を比較したところ、機能富化ライブラリとのインキュベーションは、カスパーゼ-3/7の2倍の増加を示した(図9、パネルB)。
【実施例7】
【0226】
リードアプタマーオリゴヌクレオチド候補の選定および機能検証
TNBC9と呼ばれる患者由来の異種移植片(PDX)由来のトリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞のアポトーシスに関与するアプタマーの機能富化(実施例8)に続いて、リード分子の選択を行った。シーケンス解析(図10、パネルA)に基づいて、機能富化アプタマー集団の中で最も豊富な10個の配列を選択し、合成し、フォールドした。選択した候補アプタマーの配列を表15に示す。
【0227】
【表15】
【0228】
選択した候補アプタマーの標的死滅効果をTNBC9細胞で測定した。具体的には、候補アプタマーを合成し、フォールドして、TNBC9細胞におけるカスパーゼ-3/7活性化の誘導を直接検証した。図10のパネルBに示すように、選択した候補アプタマーのすべてが、溶媒単独もしくはランダムなオリゴヌクレオチドと比較して、この細胞において有意なレベルのアポトーシスを誘導した。
【0229】
アプタマーE8は、選択したアプタマーの中で、アポトーシスを誘導するのに最も効果的であると確認され(図10、パネルB)、さらに分析するために選択された。注目すべきことに、in vitroおよびex vivoで観察されたE8による直接的な標的死滅レベルは、独立した生物学的反復実験において20~40%の範囲であり、これは承認された抗がん性生物学的製剤で観察されたレベルに匹敵する。(例えば、Yamashita, M. et al. A novel method for evaluating antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity by flow cytometry using cryopreserved human peripheral blood mononuclear cells. Sci. Rep. 6 , 19772 (2016); Romano, E. et al. Ipilimumab-dependent cell-mediated cytotoxicity of regulatory T cells ex vivo by nonclassical monocytes in melanoma patients. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 112, 6140-6145 (2015); Kumar, R. et al. PD-1 blockade restores impaired function of ex vivo expanded CD8 T cells and enhances apoptosis in mismatch repair deficient EpCAMPD-L1 cancer cells. Onco. Targets. Ther. 10 , 3453-3465 (2017)を参照されたいが、これらはいずれも参照により本明細書に組み入れられる)。E8は、標的細胞レベルで顕著な選択性を示し、TNBC9細胞を死滅させたが、in vitro進化プロセスでネガティブ標的として使用されたMCF10A細胞は死滅させなかった(図10、パネルC)。E8はTNBC9だけにとどまらず、MDA-MB-231細胞にも同様に顕著な効果を示した(図10、パネルD)。in vivo試験に備えて、これらの効果を、オリゴヌクレオチドのin vivo安定性を高め半減期を延ばす修飾である、ポリエチレングリコール(PEG)で修飾したE8を用いて再検証したところ、PEGについて効果が維持されていることが実証された(図10パネルE)。さらに、E8はマウス血清中で機能を保持していた(図10、パネルF)。
【実施例8】
【0230】
動物モデルにおけるリードアプタマー候補の生体内分布および有効性
アプタマーE8(実施例10に記載)のin vivo生体内分布は、蛍光標識されたE8を用いて測定した。E8は、アプタマーのin vivoイメージングプローブについて以前に記載されたように標識した(Bouvier-Mueller, A. & Duconge, F. Application of aptamers for in vivo molecular imaging and theranostics. Adv. Drug Deliv. Rev. 134, 94-106 (2018); Kryza, D. et al. Ex Vivo and In Vivo Imaging and Biodistribution of Aptamers Targeting the Human Matrix MetalloProtease-9 in Melanomas. PLoS One 11, e0149387 (2016); Theodorou, I. et al. In Vitro and In Vivo Imaging of Fluorescent Aptamers. Methods Mol. Biol. 1380, 135-150 (2016)、これらはいずれも、参照によりその全体がそのまま本明細書に組み入れられる)。アプタマー分子は、5'においてCy5.5により、3'においてポリエチレングリコール(PEG)により修飾されており、オリゴヌクレオチドのin vivo安定性を高め半減期を延長する修飾である。蛍光標識されたE8を、右後肢にMDA-MB-231腫瘍を誘発したNOD/SCIDマウスに、2回(6および60mg/kg)静脈内注射した。注射の0.1時間後、24時間後、および48時間後にin vivoで蛍光を測定した。E8リードアプタマー候補は、注射後24時間および48時間の時点で腫瘍内に局在し、有意に保持された(図11、パネルA-C)。具体的には、E8の保持レベルは、注射後1~3時間でピークに達し、その後低下したが、注射後48時間まで依然として維持された。
【0231】
さまざまな濃度のE8アプタマー候補を赤血球とともに、および健康なドナーのPBMCとともに個別にインキュベートし、E8の投与が臨床環境で適用できることを確認した。血液凝集もしくは赤血球溶血の影響は測定されなかった。PBMCに対するサイトカイン抗体アレイアッセイ後に、特定のサイトカインのわずかな放出が検出されたのみであった。
【0232】
腫瘍量に対するE8の有効性を評価するために、PEG化アプタマーを2日に1回、11日間にわたって100mg/kgの用量で注射した(モル換算で標準的な化学療法剤と同等)。この11日間で、E8投与動物では、溶媒投与動物と比較して、腫瘍体積が有意に減少し、E8投与動物から摘出された腫瘍は、肉眼で見える組織死の兆候を示した(11日目の最終体積:E8投与動物および溶媒投与動物において、それぞれ168±39および301±51 mm3)(図11、パネルD)。E8投与動物から摘出した腫瘍は、肉眼で見える組織死の兆候を示した(図11、パネルE)。溶媒投与動物およびE8投与動物の腫瘍由来の組織切片におけるカスパーゼ-3活性の組織化学的分析は、E8投与動物の腫瘍における顕著な染色を示した(図11、パネルF-I)。アポトーシス性のDNA断片化を測定するTUNEL分析では、さらに、E8投与動物の腫瘍由来組織切片から細胞死の増加が示された。PBS対照と比較してE8の注射後に、身体的外見もしくは体重に有意な変化は見られなかった。
【実施例9】
【0233】
ヒトex vivo器官培養(EVOC)におけるリードアプタマー候補の有効性
アプタマーE8(実施例10に記載)の有効性を、ヒトex vivo器官培養(EVOC)で評価した。EVOCは、2人の代表的なTNBC患者から新たに得られたものであって、Curesponse社によって調製された。250μm幅の組織切片を、高酸素条件にて、培地中で24ウェルプレートにプレーティングした。原発性腫瘍のがん細胞は最大14日間生存させた。
【0234】
E8アプタマーおよび他の化学療法剤(パルボシクリブ、エベロリムス、フルベストラント)を、20~50μMの濃度でEVOCに投与した。1日目の後に、サンプルの培地を交換し、同じ濃度の治療薬の2回目の投与を行った。5日後、サンプルを4% w/vパラホルムアルデヒドで固定し、組織切片を調製してヘマトキシリン・エオジンで染色した。効果は盲検下の病理医2名が0-4スケールで評価した。病理学的評価によって、少なくとも1種類の化学療法剤に抵抗性を示した2名の患者から得られたEVOCサンプルにおいて、E8候補が腫瘍細胞に有意な効果(0-4スケールでグレード3-4)を有することが示された(図12)。
【0235】
参照による援用
本書に記載されているすべての出版物、特許、および特許出願は、あたかも個々の出版物、特許、または特許出願がそれぞれ参照により組み込まれることが明確かつ個別に指示されているかのように、その全体がそのまま参照により本明細書に組み入れられる。矛盾が生じる場合は、ここでの定義を含めて、本出願が優先される。
【0236】
均等物
当業者であれば、本明細書に記載された本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、または日常的な実験以上のものを用いずに確認することができる。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
2022513327000001.app
【国際調査報告】