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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】規制物質変性用組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/70 20220101AFI20220131BHJP
   A62D 3/35 20070101ALI20220131BHJP
   A62D 3/38 20070101ALI20220131BHJP
   A62D 101/20 20070101ALN20220131BHJP
【FI】
B09B3/00 304Z
A62D3/35
A62D3/38
A62D101:20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544092
(86)(22)【出願日】2019-06-18
(85)【翻訳文提出日】2021-04-19
(86)【国際出願番号】 US2019037742
(87)【国際公開番号】W WO2020072107
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】62/740,625
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/792,762
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521140674
【氏名又は名称】オクラ・メディカル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Okra Medical, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・スタース
(72)【発明者】
【氏名】イージョン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】エバン・ボイスト
(72)【発明者】
【氏名】ベンカタ・エス・レディ・チャンヌ
(72)【発明者】
【氏名】エマ・ライシュマン
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA48
4D004AB05
4D004CA34
4D004CC11
4D004CC12
4D004CC15
4D004DA03
4D004DA10
(57)【要約】
薬学的に活性な薬剤を分解するための組成物は、最大30重量%の酸化剤;および最大30重量%のイモビライザーを含む;ここで、重量%は、組成物の総重量に基づく。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的に活性な薬剤を分解するための組成物であって、
最大30重量%までの酸化剤;および
最大30重量%までのイモビライザーを含み;
ここで、重量%は、組成物の総重量に基づく、組成物。
【請求項2】
酸化剤が、過マンガン酸塩、過酸化物、ハロゲン化酸化剤、次亜塩素酸塩、硝酸、硫酸、塩酸、過ホウ酸ナトリウム四水和物、ピロリン酸ナトリウム四塩基、またはそれらの混合物のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
過マンガン酸塩が、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸カルシウム、またはその両方を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
過酸化物が、過酸化水素を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
ハロゲン化酸化剤が、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム二水和物、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
酸化剤が、過マンガン酸カリウムおよびジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
過マンガン酸カリウムが、組成物の総重量に基づいて、0.1~8重量%の間で存在し、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物が、0.1~25重量%の間で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
酸化剤が、過マンガン酸カリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物、およびトリクロロイソシアヌル酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
過マンガン酸カリウムが、組成物の総重量に基づいて、0.1~8重量%の範囲で存在し、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物が、0.1~25重量%の範囲で存在し、トリクロロイソシアヌル酸が、0.1~7重量%の間で存在する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
イモビライザーが、ゼラチン、アガロース、デンプン、植物ガム、セルロース、セルロース誘導体、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、アルギン酸塩、グアーガム、キサンタンガム、サッカリド、アミロペクチン、アラビアガム、ポリアクリル酸、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
イモビライザーが、キサンタンガムを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
キサンタンガムが、組成物の最大30重量%を構成する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
多価アルカリ土類金属系塩化物をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
多価アルカリ土類金属系塩化物が、CaCl2、MgCl2、BaCl2、またはそれらの混合物である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
アルカリ土類金属系塩化物が、組成物の最大5重量%を構成する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
粘土、ヒュームドシリカ、砂、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む凝固剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
粘土が、最大25重量%まで存在し;ヒュームドシリカが、最大25重量%まで存在し;および/または砂が、最大25重量%まで存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
加水分解剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
加水分解剤が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、またはそれらの組み合わせを含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
加水分解剤が、総組成物の0.1~40重量%を構成する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
規制物質分解組成物であって、
過マンガン酸カリウム;
ジクロロイソシアン酸ナトリウム二水和物;および
イモビライザーを含む、組成物。
【請求項22】
過マンガン酸カリウムが、組成物の総重量に基づいて、最大8重量%まで存在し、ジクロロイソシアン酸ナトリウム二水和物が、最大25重量%まで存在する、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
イモビライザーが、ゼラチン、アガロース、デンプン、植物ガム、セルロース、セルロース誘導体、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、アルギン酸塩、グアーガム、キサンタンガム、サッカリド、アミロペクチン、アラビアガム、ポリアクリル酸、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
イモビライザーが、組成物の総重量に基づいて、最大30重量%まで存在する、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
トリクロロイソシアヌル酸をさらに含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項26】
トリクロロイソシアヌル酸が、組成物の総重量に基づいて、最大7重量%まで存在する、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
粘土、ヒュームドシリカ、砂、またはそれらの混合物をさらに含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
粘土が、最大25重量%まで存在し;ヒュームドシリカが、最大25重量%まで存在し;および砂が、最大25重量%まで存在する、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
最大7重量%までのCaCl2をさらに含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
加水分解剤をさらに含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項31】
加水分解剤が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、またはそれらの組み合わせを含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
加水分解剤が、総組成物の0.1~40重量%を構成する、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
薬学的活性成分を分解する方法であって、
請求項1~32の記載のいずれかに記載の組成物に薬学的活性成分を入れること;および
薬学的活性成分を分解すること、を含む方法。
【請求項34】
薬学的活性成分が、アメリカ麻薬取締局によって分類されたスケジュールI、II、および/またはIII規制物質である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
薬学的活性成分を分解することが、アメリカ麻薬取締局によって21 C.F.R.§1300.05下で定義されるように、薬学的活性成分を再生不能にすることを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
請求項1~32の記載のいずれかに記載の組成物に水を加えることをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
薬学的活性成分が、組成物に入れられてから2時間以内に分解される、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法119条の下に、2019年1月15日出願の米国仮出願第61/714,565号、2013年3月15日出願の米国仮出願第62/792,762号および2018年10月3日出願の米国仮出願第62/740,625号に対する優先権を主張し、上記各出願の開示の全体は、参照することにより本出願に包含される。
技術分野
本開示は、一般に、有害廃棄物の処分、より具体的には、規制物質および規制物質の処分に関する。
【背景技術】
【0002】
米国での事故死の主な原因は薬物乱用である。米国だけで毎日100人以上がオピオイド関連の薬物過剰摂取で死亡している。2017年だけで合計42,249人がオピオイドの過剰摂取で死亡した。さらに、現在200万人以上のアメリカ人がオピオイド依存症に苦しんでおり、1140万人のアメリカ人が処方オピオイドを誤用した。さらに、これらの薬物の多くは、環境および飲料水に浸透する。
【0003】
これらの薬物の多くの供給源は、それらが意図された患者以外の人々によって使用された処方薬に発する。多くの場合、未使用の薬物は、引き出しまたは薬棚に残されるか、またはゴミ箱に捨てられる。トイレに流される場合もある。
【0004】
現在、環境的に安全で、家庭または病院で規制物質を完全に変性させる安全な処分方法はない。さらに、医療従事者の間でのオピオイド関連薬物の流用はます深刻化を増す問題である。医療提供者の間では、薬剤師の15%、看護師の10%、および医師の8%が、アルコール依存症または薬物依存症のいずれか、もしくは両方を持っている可能性がある。
【0005】
不要な薬物または未使用の薬物を処分するための有効な方法は、それらの薬物が乱用されるのを防ぐのに役立つ。Rx Destroyer(商標)、 Rx Destroyer(商標)、Drug Buster(商標)、Narc-X(商標)、Pill Terminator(商標)、Element MDS(商標)、Cactus Smart Sink(商標)、Mallinckrodt MDS(商標)、Pill Catcher(商標)、Stericycle(商標)などの、これらの薬物を分解することを目的とする多くの市販の製品がある。しかしながら、これらの製品の多くは規制物質を分解する能力を備えているが、普遍的な解決策を提供するものはなく、規制物質のほぼ100%の分解に達することができるものはごくわずかであり、ほとんどまたはすべての規制物質の分解は、はるかに少ない
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
その結果、規制物質を一般的に分解し、理想的には、規制物質を普遍的に分解する効果的な方法に対する非常に大きな満たされていない要求が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概略
1つの態様では、薬学的に活性な薬剤を分解するための組成物が、本明細書に記載される。いくつかの実施態様では、組成物は、最大30重量%までの酸化剤;および最大30重量%までのイモビライザーを含み;ここで、重量%は、組成物の総重量に基づく。酸化剤は、過マンガン酸塩、過酸化物、ハロゲン化酸化剤、次亜塩素酸塩、硝酸、硫酸、塩酸、過ホウ酸ナトリウム四水和物、ピロリン酸ナトリウム四塩基、またはそれらの混合物のうちの1つ以上を含む。過マンガン酸塩は、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸カルシウム、またはその両方を含むことができる。過酸化物は、場合によっては過酸化水素を含む。場合によっては、ハロゲン化酸化剤は、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム二水和物、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。
【0008】
いくつかの実施態様では、酸化剤は、過マンガン酸カリウムおよびジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物を含む。場合によっては、過マンガン酸カリウムは、組成物の総重量の0.1~8重量%の間で存在し、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物は、0.1~25重量%の間で存在する。
【0009】
場合によっては、酸化剤は、過マンガン酸カリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物、およびトリクロロイソシアヌル酸を含む。過マンガン酸カリウムは、組成物の総重量の0.1~8重量%の範囲で存在し、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物は、0.1~25重量%の範囲で存在し、トリクロロイソシアヌル酸は、0.1~7重量%の間で存在する。
【0010】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載のイモビライザーは、ゼラチン、アガロース、デンプン、植物ガム、セルロース、セルロース誘導体、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、アルギン酸塩、グアーガム、キサンタンガム、サッカリド、アミロペクチン、アラビアガム、ポリアクリル酸、またはそれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。特定の実施態様では、イモビライザーはキサンタンガムを含む。キサンタンガムは、場合によっては、組成物の最大30重量%を構成することができる。
【0011】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の組成物は、多価アルカリ土類金属系塩化物をさらに含む。多価アルカリ土類金属系塩化物は、CaCl2、MgCl2、BaCl2、または場合によってはそれらの混合物であり得る。場合によっては、アルカリ土類金属系塩化物は、組成物の最大5重量%を構成する。
【0012】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の組成物は、粘土、ヒュームドシリカ、砂、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む凝固剤(solidifier)をさらに含む。粘土は、最大25重量%まで存在しうる;ヒュームドシリカは、最大25重量%まで存在しうる;および/または砂は、最大25重量%まで存在しうる。
【0013】
さらなる実施態様では、本明細書に記載される組成物は、加水分解剤をさらに含みうる。例示的な加水分解剤には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、またはそれらの組み合わせが含まれる。場合によっては、加水分解剤は、総組成物の0.1~40重量%である。
【0014】
別の実施態様では、規制物質分解組成物は、過マンガン酸カリウム;ジクロロイソシアン酸ナトリウム二水和物;およびイモビライザーを含む。組成物の総重量に基づいて、過マンガン酸カリウムは、最大8重量%まで存在することができ、ジクロロイソシアン酸ナトリウム二水和物は、最大25重量%まで存在することができる。場合によっては、組成物の総重量に基づいて、イモビライザーは、最大30重量%まで存在することができる。
【0015】
いくつかの実施態様では、イモビライザーは、ゼラチン、アガロース、デンプン、植物ガム、セルロース、セルロース誘導体、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、アルギン酸塩、グアーガム、キサンタンガム、サッカリド、アミロペクチン、アラビアガム、ポリアクリル酸、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。
【0016】
別の実施態様では、規制物質分解組成物は、トリクロロイソシアヌル酸をさらに含む。トリクロロイソシアヌル酸は、組成物の総重量に基づいて、最大7重量%まで存在することができる。
【0017】
いくつかの実施態様では、規制物質分解組成物は、粘土、ヒュームドシリカ、砂、またはそれらの混合物をさらに含む。粘土は、最大25重量%まで存在することができ;ヒュームドシリカは、最大25重量%まで存在することができ;および砂は、最大25重量%まで存在することができる。
【0018】
場合によっては、規制物質分解組成物は、最大7重量%までのCaCl2をさらに含む。
【0019】
いくつかの実施態様では、規制物質分解組成物は、加水分解剤をさらに含む。加水分解剤は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、またはそれらの組み合わせを含みうる。加水分解剤は、場合によっては、総組成物の0.1~40重量%を構成する。
【0020】
別の態様では、薬学的活性成分を分解する方法が記載される。薬学的活性成分を分解する方法は、薬学的活性成分を本明細書に記載の任意の組成物に入れ;そして、薬学的活性成分を分解することを含む。薬学的活性成分は、場合によっては、アメリカ麻薬取締局によって分類されたスケジュールI、II、および/またはIII規制物質でありうる。
【0021】
いくつかの実施態様では、薬学的活性成分を分解することは、アメリカ麻薬取締局によって21 C.F.R.セクション1300.05下で定義されるように、薬学的活性成分を再生不能にすることを含む。場合によっては、薬学的活性成分は、組成物に入れられてから2時間以内に分解される。
【0022】
薬学的活性成分を分解する方法は、場合によっては、本明細書に記載の任意の組成物に水を加えることをさらに含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な記載
本明細書に記載の実施態様は、以下の詳細な説明、実施例、および図面を参照することにより、より容易に理解することができる。しかしながら、本明細書に記載の要素、装置、および方法は、詳細な説明、実施例、および図面に示されている特定の実施態様に限定されない。これらの実施態様は、本開示の原理の単なる例示であることを認識されたい。本開示の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、多数の修正および適合は、当業者にとって容易に明らかになるであろう。
【0024】
さらに、本明細書に開示されるすべての範囲は、それに含まれるありとあらゆるサブ範囲を包含すると理解されるべきである。たとえば、「1.0~10.0」の範囲には、最小値が1.0以上で、最大値が10.0以下のすべてのサブ範囲、たとえば、1.0~5.3、または4.7~10.0、または3.6~7.9が含まれると見なされるべきである。
【0025】
本明細書に開示されるすべての範囲はまた、特に明記しない限り、範囲の終点を含むと見なされるべきである。たとえば、「5~10の間」の範囲は、一般に、終点5および10を含むと見なされるべきである。
【0026】
さらに、「最大」という句が量(amount)または量(quantity)に関連して使用される場合、その量は、少なくとも検出可能な量(amount)または量(quantity)であることが理解されるべきである。たとえば、指定された量までの量で存在する材料は、検出可能な量から指定された量まで存在することができる。
【0027】
すべての重量%の量は、特に明記しない限り、組成物の総重量に基づく。
【0028】
その主要な態様にしたがって簡単に説明すると、本明細書に開示される組成物は、21CFRセクションセクション1308.11(スケジュールI)、1308.12(スケジュールII)、およびセクション1308.14(スケジュールIII)(これらのそれぞれは、参照によりその全体が組み込まれる)においてアメリカ麻薬取締局(DEA)によって識別および定義されている、スケジュールI、II、および/またはIII規制物質を不可逆的に分解することができる。スケジュールI、II、およびIIIに基づく例示的な規制物質には、フェンタニル、スフェンタニル、ヒドロモルフィン、モルヒネ、レミフェンタニル、メペリジン、メタドン、ミダゾラム、ロラゼパム、ジアゼパム、ケタミン、ヒドロコドン、オキシコドン、コデイン、ナルブフィン、ブトルファノール、コカイン、ヘロイン、エクスタシー、アンフェタミン、メタンフェタミン、メトヘキシタール、ペントバルビタール、THC、プロポフォール、ケタミン、グリコピロレート、またはスケジュールI、スケジュールII、またはスケジュールIIIに記載されているその他の規制物質のいずれかが含まれる。これらのリストされた規制物質は単なる例示であり、網羅的なリストを意味するものではないが、むしろ、これらのスケジュールにリストされた多数の規制物質の少数のサンプリングを説明するためにリストされている。本発明組成物は、これらの規制物質を分解するだけでなく、いくつかの実施態様では、任意の処方薬、処方箋なしの市販薬または医薬、不法/違法物質、または、21CFRセクションセクション1308.14(スケジュールIV)および1308.15(スケジュールV)でDEAによって識別および定義されている、スケジュールIVおよびスケジュールVの規制物質などの、本開示の目的と矛盾しない物質を分解することができる。重ねて、これらの例は網羅的なものではないが、本明細書に記載の組成物および方法によって分解され得る、スケジュールI、II、III、IV、およびVの物質、処方薬および医薬品、不法/違法物質、および市販薬または医薬のいくつかを説明するためにのみリストされている。本明細書の目的のために、この段落で論じられるすべての薬物は、集合的かつ一般的に、「規制物質」、「薬学的に活性な薬剤」、および/または「薬学的に活性な成分」と呼ばれる。
【0029】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の組成物は、規制物質を不可逆的に分解することができ、これは、規制物質の化学構造が、その化学構造が根本的に変更されて、日常的または容易に化学的に変更されて、元の規制物質に戻ることができないように修飾されることを意味する。
【0030】
さらに、いくつかの実施態様では、本明細書に記載の組成物は、21CFRセクション1300.05の下でDEAによって定義されるように規制物質を「再生不能(non-retrievable)」にすることができ再生不能とは、「破壊の目的で、その規制物質の物理的または化学的状態または状態を不可逆的な手段によって恒久的に変更し、それによって規制物質をすべての実用的な目的で利用できないようにするプロセスに従うようにすることを意味する。再生不能な条件または状態を達成するためのプロセスは、物質の化学的または物理的特性に固有である可能性がある。規制物質は、規制物質または規制物質類似体としての物理的または化学的条件または状態に変換され得ない場合、「再生不能」と見なされる。破壊の目的は、規制物質を再生不能な状態にし、そのような物質が違法な目的に転用されるのを防ぐことである。場合によっては、米国食品医薬品局(FDA)は、「回復不能(non-recoverable)」という用語を、DEAの「再生不能」という用語と同じ意味で使用する。本書の目的上、「回復不能」および「再生不能」という用語は、同等かつ交換可能であると見なされ、本明細書に記載の組成物は、FDAおよびDEAがそれぞれ理解するように、規制物質を「回復不能」および「再生不能」の両方にすることができる。
【0031】
さらに、いくつかの実施態様では、本明細書に開示される組成物は、最終的に水路および飲料水に入る規制物質の量を減らすことができる。場合によっては、本明細書に開示される組成物は、流し台および排水管に廃棄される規制物質の量を減らすことができる。場合によっては、本明細書に開示される組成物は、分解された規制物質を固化することによって、漏出のリスクを減らすことができる。さらに、該組成物は、規制物質を不可逆的に分解し、分解された規制物質は、破壊するために専門の有害廃棄物施設に輸送する必要がなく、輸送のための特別な免許を必要としないので、開示される組成物の使用は、規制物質の運搬コストを削減することができる。
【0032】
I.組成物
1つの態様では、規制物質、薬学的に活性な薬剤、および/または薬学的に活性な成分を分解(decomposing)または分解(degrading)するための組成物が本明細書に開示されている。いくつかの実施態様では、組成物は、酸化剤およびイモビライザーを含む。
【0033】
組成物の総重量に基づいて、本明細書に記載の組成物中に存在する酸化剤の総量は、0.1重量%~50重量%でありうる。酸化剤は、単一の酸化剤または酸化剤の混合物として組成物中に存在することができる。いくつかの実施態様では、組成物中に存在する酸化剤の総量は、組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~40重量%、0.1重量%~30重量%、0.1重量%~25重量%、0.1重量%~20重量%、0.1重量%~15重量%、0.1重量%~10重量%、0.5重量%~50重量%、1重量%~50重量%,5重量%~50重量%、8重量%~50重量%、10重量%~50重量%、12重量%~50重量%、15重量%~50重量%、18重量%~50重量%、20重量%~50重量%、25重量%~50重量%、30重量%~50重量%、40重量%~50重量%、5重量%、8重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、または30重量%の間である。好ましい実施態様では、組成物中に存在する酸化剤の総量は、最大20重量%である。より好ましい実施態様では、組成物中に存在する酸化剤の総量は、最大30重量%である。
【0034】
本明細書に記載の酸化剤は、電子を獲得し、化学反応で還元される物質など、本開示の目的と矛盾しない任意の酸化剤(oxidizer)または酸化剤(oxidizing agent)でありうる。理論に拘束されることを意図するものではないが、酸化剤は、規制物質の構造に存在する還元基または還元部分と反応して規制物質を酸化し、規制物質の分子構造を不可逆的に分解すると考えられる。
【0035】
いくつかの実施態様では、酸化剤は、過マンガン酸塩、過酸化物、ハロゲン化酸化剤、次亜塩素酸塩、硝酸、硫酸、塩酸、過ホウ酸ナトリウム四水和物、ピロリン酸ナトリウム四塩基、またはそれらの混合物のうちの1つ以上を含む。より好ましい実施態様では、酸化剤は、過マンガン酸塩を含む。
【0036】
過マンガン酸塩は、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸カルシウム、または両方を含むことができる。好ましい実施態様では、酸化剤は過マンガン酸カリウムを含む。過酸化物は、過酸化水素など、本開示の目的と矛盾しない任意の過酸化物でありうる。ハロゲン化酸化剤は、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物、ジクロロイソシアヌル酸カリウム二水和物、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、またはそれらのいずれかの組み合わせなど、本開示の目的と矛盾しない任意のハロゲン化酸化剤でありうる。ハロゲン化酸化剤は、水性溶媒と混合すると、場合によっては次亜塩素酸塩を生成する可能性がある。次亜塩素酸塩は、家庭用漂白剤を含む次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、または次亜塩素酸リチウムを含むことができる。
【0037】
1つの実施態様では、酸化剤は、過マンガン酸カリウムと1つ以上のハロゲン化酸化剤との混合物を含む。たとえば、場合によっては、酸化剤は、過マンガン酸カリウムとジクロロイソシアル酸ナトリウム二水和物の混合物を含む。場合によって、組成物の総重量に基づいて、過マンガン酸カリウムは、0.1重量%~8重量%、0.3~7重量%、0.5重量%~6重量%、0.7重量%~5重量%、または1重量%~4重量%の間で存在することができ、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物は、の間で存在することができる。場合によって、組成物の総重量に基づいて、過マンガン酸カリウムは、0.1重量%~8重量%、0.3~7重量%、0.5重量%~6重量%、0.7重量%~5重量%、または1重量%~4重量%の間で存在することができ、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物は、0.1~25重量%、2重量%~23重量%、4重量%~21重量%、6重量%~19重量%、または8重量%~15重量%の間で存在することができる。好ましい実施態様では、組成物の総重量に基づいて、過マンガン酸カリウムは、0.1~8重量%の間で存在し、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物は、0.1~25重量%の間で存在する。
【0038】
もう1つの実施態様では、酸化剤は、過マンガン酸カリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物、およびトリクロロイソシアヌル酸の混合物を含む。組成物の総重量に基づいて、過マンガン酸カリウムは、0.1重量%~8重量%、0.3~7重量%、0.5重量%~6重量%、0.7重量%~5重量%、または1重量%~4重量%の間で存在することができ、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物は、0.1重量%~25重量%、2重量%~23重量%、4重量%~21重量%、6重量%~19重量%、または8重量%~15重量%の間で存在することができ、トリクロロイソシアヌル酸は、0.1重量%~7重量%の間で存在することができる。好ましい実施態様では、組成物の総重量に基づいて、過マンガン酸カリウムは、0.1~8重量%の間で存在し、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物は、0.1~25重量%の間で存在し、トリクロロイソシアヌル酸は、0.1~7重量%の間で存在する。
【0039】
イモビライザーは、単一の固定剤(immobilizing agent)または固定剤の混合物として組成物中に存在することができる。場合によっては、イモビライザーは、組成物の個々の成分を懸濁し、それらの個々の成分の沈降または分離を防ぐことができる。たとえば、イモビライザーは、規制物質および酸化剤の一部が存在することができる、複数の「ポケット」を有する、溶媒中のネットワークまたはマトリックスを形成することができる場合もある。場合によっては、これらの部分は、固定化されるか、これらのポケット内に近接して一時的に一緒に存在し、酸化剤が規制物質と相互作用および反応する時間を与えることができる。場合によっては、酸化剤は、イモビライザーが存在しない溶液と比較して、イモビライザー中に存在する場合、規制物質と反応するための追加の時間を提供する。
【0040】
本明細書に記載の組成物中に存在するイモビライザーの総量は、組成物の総重量に基づいて、1重量%~50重量%の間でありうる。いくつかの実施態様では、組成物中に存在するイモビライザーの総量は、組成物の総重量に基づいて、1重量%~40重量%、1重量%~30重量%、1重量%~25重量%、1重量%~20重量%、1重量%~15重量%、1重量%~10重量%、1重量%~50重量%,5重量%~50重量%、8重量%~50重量%、10重量%~50重量%、12重量%~50重量%、15重量%~50重量%、18重量%~50重量%、20重量%~50重量%、25重量%~50重量%、30重量%~50重量%、40重量%~50重量%、5重量%、8重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、または30重量%の間である。好ましい実施態様では、組成物中に存在するイモビライザーの総量は、最大20重量%または最大25重量%である。より好ましい実施態様では、組成物中に存在するイモビライザーの総量は、最大30重量%である。
【0041】
本開示の目的と矛盾しない任意のイモビライザーを使用することができる。いくつかの実施態様では、イモビライザーは、ゼラチン、アガロース、デンプン、植物ガム、セルロース、セルロース誘導体、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、アルギン酸塩、グアーガム、サッカリド、アミロペクチン、アラビアガム、高吸水性ポリマー(SAP)、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。
【0042】
例示的な植物ガムおよびサッカリドには、キサンタンガム、寒天、セルロース、グアー、ローカストビーン、ペクチン、デンプン、アルギン酸塩、カラギーナン、または本開示の目的と矛盾しないその他の植物ガムまたはサッカリドが含まれる。例示的なカルボマーには、アクリル酸のホモポリマー、またはペンタエリスリトールのアリルエーテル、スクロースのアリルエーテル、またはプロピレンのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸が含まれる。例示的なアミロペクチンには、2000-200,000グルコース単位(gu)、2000-175,000 gu、2000-150,000 gu、2000-125,000 gu、2000-100,000 gu、2000-75,000 gu、2000-50,000 gu、2000-50,000 gu、2000-25,000 gu、2000-15,000 gu、2000-10,000 gu、10,000-200,000 gu、20,000-200,000 gu、30,000-200,000 gu、40,000-200,000 gu、50,000-200,000 gu、75,000-200,000 gu、100,000-200,000 gu、125,000-200,000 gu、150,000-200,000 gu、50,000-150,000 gu、75,000-125,000、または30,000-110,000 guの平均分子量が含まれる。例示的な高吸水性ポリマーには、ポリアクリル酸;ポリ(ビニルアルコール)(PVA);ポリ(エチレンオキシド)(PEO);ポリアクリルアミドコポリマーなどのさまざまなコポリマーへのグラフト化デンプン;ポリアクリルアミドコポリマーなどのさまざまなコポリマーへのグラフト化タンパク質;ポリアクリル酸ナトリウムが含まれる。高吸水性ポリマーは、少なくとも50,000分子単位(mu)、少なくとも75,000mu、少なくとも150,000mu、少なくとも250,000mu、少なくとも500,000mu、少なくとも750,000mu、少なくとも100万mu、100万mu超え、またはそれらの組み合わせを有することができる。さらに、高吸水性ポリマーは、低度の架橋密度を有することができる。
【0043】
好ましい実施態様では、イモビライザーは、キサンタンガムを含む。キサンタンガムは、100kDa~8MDa、100kDa~5MDa、100kDa~1MDa、100kDa~800kDa、100kDa~600kDa、100kDa~400kDa、100kDa~300kDa、または100kDa~200kDaの範囲の平均分子量を有しうる。1つの実施態様では、キサンタンガムは、組成物の最大40重量%の平均分子量を含む。好ましい実施態様では、キサンタンガムは、組成物の最大30重量%の平均分子量を含む。より好ましい実施態様では、サンタンガムは、組成物の最大25重量%の平均分子量を含む。
【0044】
本明細書に記載の組成物は、二価、三価、より高い原子価などの多価カチオン源をさらに含むことができる。理論に拘束されることを意図するものではないが、多価カチオン源は、キサンタンガムなどの多くのイモビライザーとイオン架橋を形成すると考えられる。多くの場合、イオン架橋の形成は、イモビライザーを有する組成物の固有粘度および弾性を低下させ、それらの物理的特性を達成するために必要なイモビライザーの量を減少させながら、組成物の物理的特性のより大きな制御を可能にする。
【0045】
いくつかの実施態様では、多価カチオン源は、多価アルカリ土類金属系塩化物である。多価アルカリ土類金属系塩化物は、CaCl2、MgCl2、BaCl2、またはそれらの混合物を含むことができる。
【0046】
アルカリ土類金属系塩化物などの多価カチオン源は、組成物の最大1重量%、最大2重量%、最大3重量%、最大4重量%、最大5重量%または最大6重量%で含まれうる。
【0047】
本明細書に記載の組成物は、凝固剤をさらに含むことができる。凝固剤は、組成物において1つ以上の機能を実行することができる。たとえば、場合によっては、溶媒が組成物に添加された場合、凝固剤は、イモビライザーによって完全に固定化されるのと比較して、イモビライザーによって形成されるマトリックスまたはネットワークを破壊することができ、酸化剤および規制物質のいくらかの動きを可能にする。さらに、いくつかの実施態様では、規制物質の分解後に溶媒が組成物から除去または蒸発されると、凝固剤は、分解生成物および任意の未反応の酸化剤を含む固形廃棄物を形成することができる。この固形廃棄物の形成は、取り扱いが面倒な粉末などを低減または排除することにより、組成物の容易な処分を助けることができる。
【0048】
凝固剤は、単一の凝固剤または凝固剤の混合物として組成物中に存在することができる。本明細書に記載の組成物中に存在する凝固剤の総量は、組成物の総重量に基づいて、1重量%~75重量%の間でありうる。いくつかの実施態様では、組成物中に存在する凝固剤の総量は、組成物の総重量に基づいて、1重量%~75重量%、1重量%~65重量%、1重量%~55重量%、1重量%~45重量%、1重量%~35重量%、1重量%~25重量%、1重量%~20重量%、1重量%~15重量%、1重量%~10重量%、5重量%~75重量%、10重量%~75重量%、15重量%~75重量%、20重量%~75重量%、25重量%~75重量%、30重量%~75重量%、35重量%~75重量%、40重量%~75重量%、45重量%~75重量%、50重量%~75重量%、55重量%~75重量%、60重量%~75重量%、65重量%~75重量%の間、5重量%、8重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、または75重量%である。
【0049】
凝固剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の凝固剤を含むことができる。いくつかの実施態様では、凝固剤は、粘土、ヒュームドシリカ、砂、またはそれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。
【0050】
例示的な粘土には、ベントナイト、ヘクトライト、およびカオリナイトなどのフィロケイ酸塩が含まれる。いくつかの実施態様では、粘土は、疎水性または親水性の官能基を有する変性粘土である。粘土は、10nm~100μm、50nm~100μm、100nm~100μm、200nm~100μm、300nm~100μm、400nm~100μm、500nm~100μm、600nm~100μm、700nm~100μm、800nm~100μm、900nm~100μm、1μm to 100μm、10nm~1μm、10nm~900nm、10nm~700nm、10nm~500nm、10nm~350nm、100nm~800nm、200nm~700nm、300nm~600nm、または200nm~500nmの平均粒径を有することができる。例示的なシリカは、50~380、90~380、130~380、150~380、200~380、255~380、300~380、50、90、130、150、200、255、300、または380m2/gのBET表面積を有するヒュームドシリカを含むことができる。砂は、0.25mm~3.0mm、0.5mm~1.5mm、0.75mm~1.25mm、最大1mm、最大2mm、最大3mmで、0.25mm~2mm、0.25mm~1.5mm、0.25mm~1.25mm、0.25mm~1mm、0.25mm~0.75mm、0.5mm~3mm、1mm~3mm、1.5mm~3mm、2mm~3mmまたは2.5mm~3mmの平均粒径を有することができる。いくつかの実施態様では、凝固剤は、溶媒が組成物から除去されたときに充填密度を最適化する粒径分布を有する粒子を含むことができる。たとえば、いくつかの異なる粒径を使用して、充填密度を最大化することができる。
【0051】
好ましい実施態様では、粘土は、最大25重量%で存在し;ヒュームドシリカは、最大25重量%で存在し;および砂は、最大25重量%で存在する。
【0052】
いくつかの実施態様では、凝固剤は、固形廃棄物の形成を助けることができるが、他の実施態様では、酸化剤および他の反応性成分は、イモビライザーをゆっくりと分解する。その場合、固形廃棄物は形成されない。むしろ、酸化剤および他の反応性成分がイモビライザーを分解するにつれて、液体廃棄物が形成される。イモビライザーの分解速度は、一般に、規制物質の分解速度よりも遅いが、場合によっては、両方の分解速度がほぼ等しい。
【0053】
本明細書に記載の組成物は、任意選択で、加水分解剤をさらに含むことができる。本明細書に記載の加水分解剤は、本開示の目的と矛盾しない水酸化物イオン(OH-)を生成する任意の化合物でありうる。いくつかの実施態様では、加水分解剤はアルカリ剤である。加水分解剤は、単一の加水分解剤、または加水分解剤の混合物として組成物中に存在することができる。本明細書に記載の加水分解剤は、規制物質の分解に効果的に寄与することができる任意の量で組成物中に存在することができる。いくつかの実施態様では、加水分解剤は、組成物の総重量の0.1重量%~40重量%を構成する。他の実施態様では、酸化剤は、組成物の総重量の0.1重量%~30重量%、0.1重量%~25重量%、0.1重量%~20重量%、0.1重量%~15重量%、0.1重量%~10重量%、0.5重量%~40重量%、1重量%~40重量%、5重量%~40重量%、8重量%~40重量%、10重量%~40重量%、12重量%~40重量%、15重量%~40重量%、18重量%~40重量%、20重量%~40重量%、25重量%~40重量%、30重量%~40重量%、5重量%、8重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、30重量%、35重量%または40重量%を構成する。
【0054】
理論に拘束されることを意図するものではないが、加水分解剤は組成物を塩基性にし、このことは、場合によっては、規制物質のアミン分解を増加させることが観察されている。しかしながら、組成物はまた、酸性条件下で作動して規制物質を分解することが観察されているが、酸の存在は、酸化剤の分解を加速し、したがって、規制物質を分解するために利用可能な酸化剤の量を減らすと考えられる。特に、酸性条件は、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物、トリクロロイソシアヌル酸、および他の既知の次亜塩素酸塩生成物などの酸化剤によって生成される次亜塩素酸塩組成物の貯蔵寿命を低下させる可能性がある。
【0055】
例示的な加水分解剤は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、またはそれらの組み合わせを含む。
【0056】
本明細書に記載の組成物は、任意選択で抑止剤をさらに含むことができる。抑止剤は、本明細書に記載されているように、1つ以上のヒトの感覚に不快な影響を与える物質または化合物である。たとえば、組成物が消費される場合、抑止剤は苦味または酸味を与えることができる。場合によっては、組成物が消費されると、抑止剤が、悪心または嘔吐を引き起こすか、または誘発する可能性がある。抑止剤が致命的でないか、または組成物中に存在する量において永久的な身体的損傷を引き起こさない限り、当業者に知られている任意の抑止剤を使用することができる。抑止剤の例示的な実施態様は、硫酸銅IIである。
【0057】
本明細書に記載の抑止剤は、組成物の総重量の0.1重量%~20重量%でありうる。場合によっては、抑止剤は、組成物の総重量の0.1重量%~18重量%、0.1重量%~16重量%、0.1重量%~14重量%、0.1重量%~12重量%、0.1重量%~10重量%、0.1重量%~8重量%、0.1重量%~6重量%、0.1重量%~5重量%、0.1重量%~3重量%、3重量%~20重量%、5重量%~20重量%、8重量%~20重量%、10重量%~20重量%、12重量%~20重量%、14重量%~20重量%、16重量%~20重量%、18重量%~20重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、12重量%、13重量%、14重量%、または15重量%を構成する。
【0058】
いくつかの実施態様では、組成物は散剤である。しかしながら、他の例では、組成物は、水性溶媒、アルコール、または他のプロトン性または非プロトン性溶媒などの溶媒をさらに含む液剤である。好ましい実施態様では、組成物は、水を含む。
【0059】
II.分解法
別の態様では、規制物質、薬学的に活性な薬剤、および/または薬学的に活性な成分を廃棄、分解、破壊する方法が記載される。いくつかの実施態様では、規制物質を処分する方法は、本明細書のセクションIに記載される任意の組成物に、規制物質を入れること;および該薬物を分解することを含む。本明細書で前述したように、規制物質は、本発明組成物によって不可逆的に分解され、回復不能であり、および/または再生不能である。
【0060】
場合によっては、セクションIに記載の組成物は散剤であり、方法は、組成物および規制物質混合物に溶媒を添加することをさらに含む。得られた溶媒和混合物は、任意選択で振とうまたは攪拌して成分を分配することができる。次に、組成物中の酸化剤および他の成分が、規制物質を分解する。場合によっては、溶媒が組成物に添加され、その後、規制物質が添加される。
【0061】
規制物質は、錠剤、カプセル剤、散剤、液剤の形態、またはその他の一般的に知られている形態でありうる。規制物質が、錠剤またはカプセルの形態である場合、錠剤またはカプセル剤は、組成物に直接添加することができ、錠剤またはカプセル剤は、組成物に添加する前に粉砕または破壊することができる。
【0062】
場合によっては、規制物質の分解は、酸化、加水分解、または両方による。たとえば、場合によっては、規制物質は酸化剤によって酸化され、次に、酸化された生成物は次に加水分解剤によって加水分解されて、容易にまたは日常的に再結合または変換されて元の規制物質を形成することができない小さな成分になる。あるいは、規制物質は、加水分解剤によって加水分解され、その後、酸化剤によって酸化されて、容易にまたは日常的に再結合または変換されて元の規制物質を形成することができない小さな成分を形成することができる。さらに、場合によっては、規制物質は、酸化または加水分解単独によって不可逆的に分解される。これらは単なる例示的な化学的分解ステップであり、限定的であると見なされるべきではない。当業者は、組成物中の反応性成分が、組成物を構成する特定の成分に基づいて多くの異なるタイプの化学反応を受けることができ、最終生成物が不可逆的に分解された規制物質であることを容易に認識するであろう。
【0063】
規制物質は、15分~10時間以内に組成物中で不可逆的に分解されうる。いくつかの実施態様では、規制物質は、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、または10時間以上以内に組成物中で不可逆的に分解されうる。好ましい実施態様では、規制物質は、30分~1時間以内に組成物中で不可逆的に分解される。より好ましい実施態様では、規制物質は、2時間以内に組成物中で不可逆的に分解される。規制物質は、15分~10時間以内に組成物中で不可逆的に分解されうる。いくつかの実施態様では、規制物質は、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、または10時間以上以内に組成物中で不可逆的に分解されうる。好ましい実施態様では、規制物質は、30分~1時間以内に組成物中で不可逆的に分解される。より好ましい実施態様では、規制物質は、2時間以内に組成物中で不可逆的に分解される。
【0064】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の方法は、分解された規制物質および組成物を固化することをさらに含む。たとえば、規制物質がより小さな化学成分に分解されると、これらの成分は、本明細書に記載のイモビライザーによって吸収されうる。さらに、場合によっては、イモビライザーは、追加された溶媒を吸収することができ、溶媒が吸収されると、凝固剤が固形廃棄物を形成しうる。
【0065】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の組成物は、錠剤、「パック(puck)」に成形するか、またはポリビニルアルコールパケットなどの密封されたパケットに包むことができる。本明細書に記載の組成物を液体規制物質と共に使用するために、錠剤または「パック」の形態の組成物を、液体制御物質に入れる。重力は、組成物と規制物質との混合を助けることができる。SAPまたはキサンタンガムなどのイモビライザーは、規制物質を分解するのに必要な時間よりも長い取り込み時間を有する可能性がある。固化(すなわち、イモビライザーの取り込み時間)は、約30分、1時間、2時間、3時間、または3時間以上であり、固化する前に、組成物の反応性成分が規制物質と相互作用し、分解するのに十分な時間を提供する。
【0066】
本明細書に記載のいくつかの実施態様は、以下の非限定的な例にさらに示される。
【実施例1】
【0067】
規制物質標準の調製
アンフェタミン、ブトルファノール、コカイン、コデイン、ジアゼパム、フェンタニル、グリコピロレート、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ケタミン、ロラゼパム、メペリジン、メタドン、メタンフェタミン、ミダゾラム、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、ペントバルビタール、プロポフォール、レミフェンタニル、スフェンタニル、およびΔ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)のストック溶液を、メタノール(MeOH)中で、またはコカインHClおよびメペリジンの場合は水中で、100μg/mLの濃度で調製した。レミフェンタニルおよびスフェンタニルストックを、100μg/mLの低濃度で調製し、これらをMeOHで10μg/mLに希釈した(10μg/mL濃度)。
【実施例2】
【0068】
フェンタニルとモルヒネに対するさまざまな酸化剤の効果
フェンタニルとモルヒネの分解を、さまざまな異なる酸化剤クラスを使用してテストした。固体形態で提供された酸化剤を水で希釈した。各化合物の溶解度が変化するので、溶液の濃度は化合物ごとに異なり、表1にリストされる。フェンタニルとモルヒネの1mg/mL標準液を、HPLCグレードのメタノールで100μg/mLに希釈した。約500μLの各酸化剤溶液を500μLのフェンタニルおよびモルヒネ溶液と別々のバイアルで合わせた。標準として水を使用した。硝酸および過酢酸の場合、モルヒネおよびフェンタニル希釈液のバイアルに250μLのみを添加した。各バイアルに蓋をして振とうし、ベンチに約2時間置いた。硝酸と過酢酸を含むサンプルを、250μLの水酸化カリウム(KOH)溶液を添加して中和した。次に、すべてのサンプルを0.45μmのRCシリンジフィルターでろ過し、新しいHPLCバイアルに入れた。結果を表1に示すが、これは、1%KMNO4、8.25%次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤)、および32%過酢酸が、フェンタニルとモルヒネの両方を効果的に変性/分解したのに対し、他の酸化剤クラスはさまざまな程度の変性/分解を示たことを示す。結果を表1に示す。
【0069】
表1:フェンタニルとモルヒネに対する異なるクラスの酸化剤の効果
【表1】
【実施例3】
【0070】
KMnO 4 中の規制物質の分解
フェンタニル、モルヒネ、メタドン、オキシコドン、ナルブフィン、ロラゼパム、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、グリコピロレート、ケタミン、アンフェタミン、メタンフェタミン、ペントバルビタール、コカイン(水中)、コカイン(メタノール中)、ジアゼパム、メペリジン(水中)、および メペリジン(メタノール中)の分解を、過マンガン酸カリウム(KMnO4)を使用してテストした。各規制物質の100μg/mL希釈液を実施例1に従って調製し、水中の1%KMnO4または精製水(対照として)で約2時間処理した。各バイアルに蓋をして振とうし、ベンチに約2時間置いた。次に、すべてのサンプルを0.45μmのRCシリンジフィルターでろ過し、新しいHPLCバイアルに入れた。結果を表2に示すが、これは、1%KMNO4がフェンタニル、モルヒネ、メタドン、オキシコドン、ナルブフィン、ロラゼパム、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、およびグリコピロレートを効果的に変性/分解したことを示す。しかし、1%KMNO4は、ケタミン、アンフェタミン、メタンフェタミン、ペントバルビタール、コカイン(水中)、コカイン(メタノール中)、ジアゼパム、メペリジン(水中)、およびメペリジン(メタノール中)を完全に変性/分解することができなかった。
【0071】
表2:1%KMnO4で処理された規制物質の分解
【表2】
【実施例4】
【0072】
KMnO 4 およびKOH中の規制物質の分解
フェンタニル、モルヒネ、メタドン、オキシコドン、ナルブフィン、ロラゼパム、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、およびグリコピロレートの分解を、KMnO4とKOHの組み合わせを使用してテストした。実施例1に従って調製した各規制物質の100μg/mL希釈物をストックする。約50μLの各ストック希釈液を2つの別々のバイアルに加えた。350μLの水、500μLの1%KMnO4、および500μLの60%KOHをバイアルの1つに加えた。標準として、約1.3mLの水が2番目のバイアルのそれぞれに加えられた。バイアルをベンチに2時間置いた。KOHを含む各バイアルを500μLのHClで中和し、標準バイアルにそれぞれ500μLの水を加えた。次に、すべてのサンプルを0.45μmのRCシリンジフィルターでろ過し、新しいHPLCバイアルに入れた。サンプルをLC-MSで分析した。結果を表3に示すが、これは、KMNO4とKOHがフェンタニル、モルヒネ、メタドン、オキシコドン、ナルブフィン、ロラゼパム、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、およびグリコピロレートを効果的に変性/分解したことを示す。
【0073】
表3:KMnO4とKOHの混合物で処理された規制物質の分解
【表3】
【実施例5】
【0074】
ハロゲン化酸化剤中の規制物質の分解
アンフェタミン、コカイン、ジアゼパム、ケタミン、メペリジン、メタンフェタミン、およびペントバルビタールの100μg/mLの希釈液を実施例1に従って調製した。これらの規制物質のそれぞれは、1%KMnO4の存在下で限定的な分解を示した。各標準液を、HPLCグレードのメタノールで100μg/mLに希釈し、コカインとメペリジンの場合は水で希釈した。トリクロロイソシアヌル酸(TCI)の溶液を水で希釈して0.5%溶液にし、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物(DCI)を水で希釈して20%溶液にした。家庭用漂白剤を使用して、5.25%の次亜塩素酸ナトリウム溶液の溶液を得た。各100μg/mLの薬剤希釈液の約500μLをそれぞれ4つの別々のバイアルに入れた。4つのうちのバイアル1に、500μLの家庭用漂白剤を入れた。4つのうちのバイアル2に、500μLの20%DCIを入れた。4つのうちのバイアル3に、500μLの0.5%TCIを入れた。4つのうちのバイアル4に、500μLの水を対照として入れた。バイアルに蓋をし、振とうし、ベンチに約2時間置いた。次に、すべてのサンプルを0.45μmのRCシリンジフィルターでろ過し、新しいHPLCバイアルに入れた。約500μLのHPLCグレードのメタノールを各バイアルに加え、サンプルをLC-MSで分析した。結果を表4に示すが、これは、次亜塩素酸ナトリウム、DCI、およびTCIが、1%KMnO4に対して不活性であった多くの規制物質を効果的に変性/分解したことを示す。
【0075】
表4:次亜塩素酸ナトリウム、DCI、TCIで処理された規制物質の分解
【表4】
【実施例6】
【0076】
KMnO 4 、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物、およびトリクロロイソシアヌル酸中の規制物質の分解
100μg/mLの標準として提供され、HPLCグレードのメタノールで10μg/mLに希釈されたレミフェンタニルおよびスフェンタニルを除いて、100μg/mLのアンフェタミン、ブトルファノール、コカイン、コデイン、ジアゼパム、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ケタミン、ロラゼパム、メペリジン、メタドン、メタンフェタミン、ミダゾラム、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、ペントバルビタール、プロポフォール、レミフェンタニル、スフェンタニル、およびTHCの希釈液を、実施例1に従って調製した。約500μLの各薬物希釈液を3つの別々のバイアルに入れた。次に、3つのうちのバイアル1に、標準対照として990μLの水を入れ、3つのうちのバイアル2に、330μLの1%KMnO4、330μLの0.5%TCI、および330μLの0.5%DCIを入れ、3つのうちのバイアル3に、330μLの1%KMnO4、330μLの0.5%TCI、および330μLの20%DCIを入れた。バイアルに蓋をして振とうし、ベンチに約2時間置いた。次に、LC-MSで分析する前に、すべてのサンプルを0.45μmのRCシリンジフィルターでろ過した。結果を表5に示すが、これは、0.5%TCIおよび1%KMnO4と組み合わせた0.5%DCIが、コカインとペントバルビタールを除くすべての薬剤を2時間以内に変性させるのに十分であることを示す。0.5%TCIおよび1%KMnO4と組み合わせた20%DCIにより、コカインとペントバルビタールの約90%が、2時間以内に完全に変性した。
【0077】
表5:KMnO4、DCI、およびTCIで処理された規制物質の分解
【表5】
【実施例7】
【0078】
イモビライザーと凝固剤の存在下でのKMnO 4 、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物、およびトリクロロイソシアヌル酸中の規制物質の分解
フェンタニル、ケタミンおよびモルヒネの変性物として6つの製剤をテストした。各製剤には、2 mLの1%KMnO4、2 mLの0.5%TCI、および2 mLの20%DCI、ならびに次の成分が含まれた:
・製剤1:キサンタンガム1g;
・製剤2:キサンタンガム0.5g+粘土0.5g;
・製剤3:微粉化セルロース0.75gおよび塩化カルシウム0.25g;
・製剤4:キサンタンガム0.25g+ヒュームドシリカ0.25g+砂0.25g+粘土0.25g;
・製剤5:微粉化セルロース0.25g+ヒュームドシリカ0.25g +砂0.25g+粘土0.25g;および
・製剤6:微粉化セルロース1g。
【0079】
フェンタニル、モルヒネ、およびケタミン標準を、実施例1に従って、HPLCグレードのメタノールで100μg/mLに希釈した。100μg/mLのケタミン、フェンタニル、およびモルヒネを、約500μL、別々のバイアルに入れた。製剤1~6のそれぞれ500mgを、ケタミン、フェンタニル、およびモルヒネを含むバイアルに入れた。ケタミン、フェンタニル、またはモルヒネのみを含み、製剤を含まないバイアルを対照として使用した。バイアルに蓋をして、ベンチに約2時間置いた。次に、各バイアルに1.5 mLのメタノールを入れ、バイアルを振とうし、固体を底に沈殿させた。次に、上部の液体を除去し、0.45μmのRCシリンジフィルターでろ過し、HPLCバイアルに入れた。サンプルをLC-MSで分析した。結果を表6に示しすが、これは、さまざまなイモビライザーおよび安定剤と組み合わせたKMnO4、DCI、およびTCIが、多くの規制物質を効果的に変性/分解したことを示し、製剤4および5が最も効果的である。
【0080】
表6:酸化剤、イモビライザー、および安定剤による規制物質の分解
【表6】
【実施例8】
【0081】
規制物質の分解:比較データ
第三者は、実施例1に従って、フェンタニル、モルヒネ、およびケタミンの100μg/mL希釈物を調製するように契約された。これらの規制物質は、水中の1%KMnO4330μL、20%ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物(DCI)330μL、および0.5%トリクロロイソシアヌル酸(TCI)330μLからなる組成物1で約2時間処理された。対照として精製水を使用した。3つの規制物質は、9つの異なる市販のブランド製品でさらに処理され、ブランド製品には次の有効成分が含まれている:
・ブランド1:活性炭および液体溶解剤
・ブランド2:25%活性炭
・ブランド3:水系の独自成分配合
・ブランド4:次亜塩素酸カルシウム、フラー土、吸水性ポリマー
・ブランド5:有機植物系粉末
・ブランド6:変性剤と抑止剤の独自の混合物
・ブランド7:活性炭
・ブランド8:ベントナイト粘土
・ブランド9:活性炭。
【0082】
ブランド1~9の有効成分を、フェンタニル、モルヒネ、およびケタミンの100μg/mL希釈液と組み合わせた。バイアルを振とうし、ベンチ上に約2時間放置した。次に、各サンプルをろ過し、LC-MSを使用してテストした。結果を表7に示す。示されるように、組成物1は、フェンタニル、モルヒネ、およびケタミンのそれぞれの100%を成功裏に変性/分解した。対照的に、市販製品のいずれもが、規制物質のいずれをも100%変性/分解することができず、多くはまったく分解を示さなかった。
【0083】
表7:比較データ
【表7】
【0084】
上記の説明および添付の特許請求の範囲は、本発明のいくつかの実施態様を開示しているが、本発明の他の代替の態様は、以下のさらなる実施態様に開示される。
【0085】
実施態様1.酸化剤;および加水分解剤を含む組成物。
実施態様2.酸化剤が、過広酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、ハロゲン化酸化剤、過酸化水素、硝酸、硫酸、過ホウ酸ナトリウム四水和物、ピロリン酸ナトリウム四塩基性、またはそれらの混合物である、実施態様1の組成物。
実施態様3.酸化剤が、過マンガン酸カリウムである、実施態様1の組成物。
実施態様4.加水分解剤が、アルカリ剤である、実施態様1の組成物。
実施態様5.加水分解剤が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、またはそれらの組み合わせである、実施態様1の組成物。
実施態様6.さらに結合剤を含む、実施態様1の組成物。
実施態様7.結合剤が、ゼラチン、アガロース、デンプン、ヒュームドシリカ、植物ガム、粘土、セルロース、サッカリド、またはそれらの混合物を含む、実施態様6の組成物。
実施態様8.サッカリドが、スクロースを含む、実施態様7の組成物。
実施態様9.混合物を凝固させるための吸収剤をさらに含む、実施態様1の組成物。
実施態様10.吸収剤が、ポリマーである実施態様9の組成物。
実施態様11.ポリマーが、高吸水性ポリマーである実施態様10の組成物。
実施態様12.高吸水性ポリマーが、ポリアクリル酸塩を含む、実施態様11の組成物。
実施態様13.抑止剤をさらに含む、実施態様1の構成。
実施態様14.抑止剤が、硫酸銅IIである実施態様13の組成物。
実施態様15.酸化剤が、組成物の総重量の0.1重量%~50重量%を構成する、実施態様1の組成物。
実施態様16.加水分解剤が、組成物の総重量の0.1重量%~50重量%を構成する、実施態様1の組成物。
実施態様17.結合剤が、組成物の総重量の0.1重量%~20重量%を構成する、実施態様6の組成物。
実施態様18.吸収剤が、組成物の総重量の25重量%~75重量%を構成する、実施態様9の組成物。
実施態様19.麻薬取締局によって分類されたスケジュールI、II、および/またはIIIの規制物質を実施態様1~18のいずれかの組成物に入れ;次に、該物質を分解することを含む、規制物質の処分方法。
実施態様20.分解された該物質および組成物を凝固させることをさらに含む、実施態様19の方法。
実施態様21.該物質が、不可逆的に分解される、実施態様19の方法。
実施態様22.酸化、加水分解、または両方により該物質が分解される、実施態様19の方法。
実施態様23.物質が、15分~10時間以内に組成物中で分解される、実施態様19の方法。
実施態様24.物質が、1時間~6時間以内に組成物中で分解される、実施態様19の方法。
実施態様25.組成物の総重量に基づいて、最大30重量%の酸化剤;および最大30重量%のイモビライザーを含む、規制物質を分解するための組成物。
実施態様26.酸化剤が、過マンガン酸塩およびハロゲン化酸化剤の1つ以上を含む、実施態様25の組成物。
実施態様27.過マンガン酸塩が、過マンガン酸カリウムを含む、実施態様26の組成物。
実施態様28.ハロゲン化酸化剤が、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム二水和物、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、実施態様26の組成物。
実施態様29.酸化剤が、0.1~8重量%過マンガン酸カリウム;0.1~25重量%のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物;および0.1~7重量%のトリクロロイソシアヌル酸を含む、実施態様26の組成物。
実施態様30.イモビライザーが、ゼラチン、アガロース、デンプン、植物ガム、セルロース、セルロース誘導体、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、アルギン酸塩、グアーガム、キサンタンガム、サッカリド、アミロペクチン、アラビアガム、ポリアクリル酸、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、実施態様25の組成物。
実施態様31.イモビライザーが、キサンタンガムを含む、実施態様25の組成物。
実施態様32.キサンタンガムが、組成物の8~30重量%を構成する、実施態様25の組成物。
実施態様33.多価アルカリ土類金属系塩化物をさらに含む、実施態様32の組成物。
実施態様34.多価アルカリ土類金属系塩化物が、組成物の最大5重量%存在するCaCl2である、実施態様33の組成物。
実施態様35.粘土、ヒュームドシリカ、砂、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む凝固剤をさらに含む、実施態様25の組成物。
実施態様36.粘土が最大25重量%存在し;ヒュームドシリカが最大25重量%存在し;および/または砂が最大25重量%存在する、実施態様35の組成物。
実施態様37.組成物の総重量に基づいて、最大30重量%のキサンタンガム;最大8重量%の過マンガン酸カリウム;0.1~25重量%のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物;および0.1~7重量%のトリクロロイソシアヌル酸を含む、組成物。
実施態様38.最大25重量%の粘土;最大25重量%のヒュームドシリカ;および最大25重量%の砂の1つ以上をさらに含む、実施態様37の組成物。
実施態様39.最大7重量%のCaCl2をさらに含む、実施態様37の組成物。
実施態様40.薬学的に活性な成分を、実施態様1の組成物に入れ;次に、薬学的に活性な成分を分解することを含む、薬学的に活性な成分を分解する方法。
実施態様41.薬学的に有効な成分が、アメリカ麻薬取締局によって分類されたスケジュールI、II、および/またはIIIの規制物質である、実施態様40の方法。
実施態様42.21 C.F.R.セクション1300.05の下でアメリカ麻薬取締局によって定義されるように、薬学的活性成分を再生不能にすることを含む、薬学的活性成分を分解する実施態様40の方法。
実施態様43.実施態様1の組成物に水を加えることをさらに含む、実施態様40の方法。
実施態様44.実施態様1の組成物に入れた後、2時間以内に薬学的に活性な成分が分解される、実施態様40の方法。
【0086】
化学的変性および規制物質の取り扱いおよび廃棄の当業者は、本開示の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、前述の説明に対して多くの修正および置換を行うことができることを理解するであろう。
【国際調査報告】