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特表2022-513357硬質ポリウレタンフォーム配合物およびそれから作製されたフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】硬質ポリウレタンフォーム配合物およびそれから作製されたフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20220131BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20220131BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C08G18/00 L
C08G18/42
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545354
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(85)【翻訳文提出日】2021-04-09
(86)【国際出願番号】 US2019053844
(87)【国際公開番号】W WO2020076539
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】102018000009267
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】521152013
【氏名又は名称】ダウ ターキヤ キマ サナイ ヴェ ティカレット リミテッド スィルケティ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】リッコ、ロッセラ
(72)【発明者】
【氏名】フェラーリ、エレナ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトゥチェッリ、ルイジ
(72)【発明者】
【氏名】アトランディ、エスマ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイロ、ジュゼッペ
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF14
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF22
4J034DF27
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA08
4J034HB17
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC16
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC63
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC02
4J034KD02
4J034KD12
4J034KE02
4J034NA02
4J034NA03
4J034NA08
4J034QA01
4J034QB11
4J034QB14
4J034QB16
4J034QB19
4J034QC01
4J034RA10
4J034RA14
(57)【要約】
ポリオール組成物の重量に基づく重量で、150~300mgKOH/g未満の平均ヒドロキシル数および少なくとも2の平均官能基を有する70%超の少なくとも1つのポリエステルポリオールを含むポリオール組成物と、水と補助発泡剤とを含む発泡剤と、シリコーンコポリマー界面活性剤と、ポリオール組成物の重量に基づく重量で、25℃で21ダイン/cm未満の表面張力を有する1%~5%の環状シロキサンであって、シリコーンコポリマー界面活性剤に対する環状シロキサンの重量比が、0.6~2.27未満である、環状シロキサンと、触媒と、任意選択で難燃剤と、ポリイソシアネートと、を含み、結果として、イソシアネート指数が、180~500の範囲になるような硬質ポリウレタンフォーム配合物、フォーム配合物から形成された硬質ポリウレタンフォーム、ならびに硬質ポリウレタンフォームを形成する方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質ポリウレタンフォーム配合物であって、
ポリオール組成物であって、前記ポリオール組成物の重量に基づく重量で、150~300mgKOH/g未満の平均ヒドロキシル数および少なくとも2の平均官能基を有する70%超の少なくとも1つのポリエステルポリオールを含む、ポリオール組成物と、
水と補助発泡剤とを含む発泡剤と、
シリコーンコポリマー界面活性剤と、
前記ポリオール組成物の重量に基づく重量で、25℃で21ダイン/cm未満の表面張力を有する1%~5%の環状シロキサンであって、前記シリコーンコポリマー界面活性剤に対する前記環状シロキサンの重量比が、0.6~2.27未満である、環状シロキサンと、
触媒と、任意選択で難燃剤と、
ポリイソシアネートと、を含み、
イソシアネート指数が、180~500の範囲である、フォーム配合物。
【請求項2】
前記シリコーンコポリマー界面活性剤が、ポリエーテル-ポリシロキサンコポリマーを含む、請求項1に記載のフォーム配合物。
【請求項3】
前記環状シロキサンが、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、およびドデカメチルシクロヘキサシロキサンからなる群から選択される、請求項1に記載のフォーム配合物。
【請求項4】
前記シリコーンコポリマー界面活性剤に対する前記環状シロキサンの重量比が、0.6~1.5の範囲である、請求項1に記載のフォーム配合物。
【請求項5】
前記ポリエステルポリオールが、200~280mgKOH/gの平均ヒドロキシル数を有する、請求項1に記載のフォーム配合物。
【請求項6】
前記ポリオール組成物が、前記ポリオール組成物の総重量に基づく重量で、200~250mgKOH/gのヒドロキシル数を有する30%~70%の第1のポリエステルポリオールと、280~320mgKOH/gのヒドロキシル数を有する70%~30%の第2のポリエステルポリオールと、を含む、請求項1に記載のフォーム配合物。
【請求項7】
前記フォーム配合物の総重量の重量に基づいて、0.5重量%~1.5重量%の前記シリコーンコポリマー界面活性剤を含む、請求項1に記載のフォーム配合物。
【請求項8】
前記補助発泡剤が、ペンタン異性体、2,2-ジメチルブタン、ヒドロフルオロカーボンおよびヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のフォーム配合物。
【請求項9】
請求項1に記載のフォーム配合物の反応生成物を含む、硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項10】
20~50kg/mの密度を有する、請求項9に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項11】
硬質ポリウレタンフォームを形成する方法であって、請求項1に記載のフォーム配合物を提供することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質ポリウレタンフォーム配合物およびそれから作製された硬質ポリウレタンフォームに関する。
【0002】
序論
ポリウレタンフォームは、冷蔵庫などの電化製品の断熱材料として、または建設業界の屋根および壁の断熱材として広く使用されている。典型的には、これらのフォームは、炭化水素(HC)などの低導電率ガスを気泡内に含む独立気泡の硬質フォームである。ポリウレタン断熱フォームは、高圧スプレー、低圧泡立て、インプレース注入金型技術、ならびに自由立ち上がりおよび制約付きライズボード製造を含む様々な方法によって生成され得る。
【0003】
気泡の核形成を促進するいわゆる核剤を添加することによって、気泡の細かさを高め、それによってフォームの断熱特性を改善することが可能である。パーフルオロ化炭化水素は、ポリウレタンフォームの生成のために広く使用されている核剤である。しかし、米国環境保護庁(EPA)のレポート(Global Anthropogenic Non-CO Greenhouse Gas Emissions:1990-2020,June 2006 Revised)によると、市販のパーフルオロカーボン(PFC)(例えば、The 3M Companyから入手可能なPF-5056)は、高い地球温暖化係数(GWP)に関して不利な点を有する。
【0004】
これらの環境規制のために、ポリウレタンフォームの断熱特性の改善を示す、PFCよりも低いGWPを有する添加剤を有するポリウレタンフォームが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、特定の比率で特定のポリオール組成物と、シリコーンコポリマー界面活性剤を組み合わせた環状シロキサンと、を含む新規の硬質ポリウレタンフォーム配合物を提供する。硬質ポリウレタンフォーム配合物は、それから作製された、改善された断熱特性を備えた硬質ポリウレタンフォームを提供し得る。
【0006】
第1の態様では、本発明は、
【0007】
ポリオール組成物の重量に基づく重量で、150~300mgKOH/g未満の平均ヒドロキシル数および少なくとも2の平均官能基を有する70%超の少なくとも1つのポリエステルポリオールを含むポリオール組成物と、
水と補助発泡剤とを含む発泡剤と、
シリコーンコポリマー界面活性剤と、
ポリオール組成物の重量に基づく重量で、25℃で21ダイン/cm未満の表面張力を有する1%~5%の環状シロキサンであって、シリコーンコポリマー界面活性剤に対する環状シロキサンの重量比が、0.6~2.27未満である、環状シロキサンと、
触媒と、任意選択で難燃剤と、
ポリイソシアネートと、を含む、硬質ポリウレタンフォーム配合物であり、
ここで、イソシアネート指数は、180~500の範囲である。
【0008】
第2の態様では、本発明は、第1の態様のフォーム配合物の反応生成物を含む硬質ポリウレタンフォームである。
【0009】
第3の態様では、本発明は、硬質ポリウレタンフォームを形成する方法である。本方法は、ポリイソシアネートを以下の成分:
ポリオール組成物の重量に基づく重量で、150~300mgKOH/g未満の平均ヒドロキシル数および少なくとも2の平均官能基を有する70%超の少なくとも1つのポリエステルポリオールを含むポリオール組成物、
水と補助発泡剤とを含む発泡剤、
シリコーンコポリマー界面活性剤、
ポリオール組成物の重量に基づく重量で、25℃で21ダイン/cm未満の表面張力を有する1%~5%の環状シロキサンであって、シリコーンコポリマー界面活性剤に対する環状シロキサンの重量比が、0.6~2.27未満である、環状シロキサン、
触媒、ならびに任意選択で難燃剤、さらに
ポリイソシアネートと接触させることを含み、
ここで、イソシアネート指数は、180~500の範囲である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用される場合、「ポリウレタンフォーム」には、ポリイソシアヌレートフォーム、ウレタン修飾ポリイソシアヌレートフォーム、ポリウレタン-ポリ尿素フォーム、およびポリイソシアヌレート-ポリウレタン-ポリ尿素フォームも含まれる。硬質ポリウレタンフォームは、典型的には、欧州規格UNI EN826:2013に従って測定された室温(20~25℃)で80kPa以上の圧縮強度を示す。
【0011】
フォーム配合物中のポリオール組成物は、1つ以上のポリエステルポリオールを含む。ポリエステルポリオールは、150~300mgKOH/g未満の範囲の平均ヒドロキシル(OH)数(すなわち、1グラムのポリエステルポリオールを中和するのに必要であるミリグラム単位の水酸化カリウム(KOH)の質量)を有し得る。ポリエステルポリオールを1つだけ使用する場合、平均ヒドロキシル数は、そのようなポリエステルポリオールのヒドロキシル数である。2つ以上のポリエステルポリオールを使用する場合、平均ヒドロキシル数は、これらの2つ以上のポリエステルポリオールの平均ヒドロキシル数であり、これは、各ポリエステルポリオールの重量分率に各ポリエステルポリオールのヒドロキシル数を掛けたものの合計によって決定される。ポリエステルポリオールの平均ヒドロキシル数は、ASTM D4274-16(試験方法D)に従って測定された場合、150mgKOH/g以上、160mgKOH/g以上、170mgKOH/g以上、180mgKOH/g以上、190mgKOH/g以上、200mgKOH/g以上、210mgKOH/g以上、220mgKOH/g以上、230mgKOH/g以上、240mgKOH/g以上、またはさらには250mgKOH/g以上、同時に、295mgKOH/g以下、290mgKOH/g以下、285mgKOH/g以下、280mgKOH/g以下、またはさらには275KOH/g以下であり得る。一般に、本発明において有用なポリエステルポリオールは、1.8以上、2.0以上、2.5以上、またはさらには3.0以上、同時に4.5以下、4.0以下、またはさらには3.5以下の平均官能基(イソシアネート反応性基/分子の平均数)を有し得る。好ましいポリエステルポリオールは、芳香族ポリエステルポリオールである。本明細書で使用される場合、「芳香族」は、交互の単結合および二重結合の少なくとも1つの共役環を有する有機化合物を指す。
【0012】
本発明において有用なポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸またはそれらの無水物と多価アルコールとの反応生成物であり得る。ポリカルボン酸または無水物は、脂肪族、脂環式、芳香族、および/または複素環式であり得る。好適なポリカルボン酸には、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメル酸、スベリン酸、アゼラン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタコン酸、α-ヒドロムコン酸、β-ヒドロムコン酸、α-ブチル-α-エチル-グルタル酸、α,β-ジエチルコハク酸、オレイン酸、リノール酸、リノール酸、二量体化脂肪酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、および1,4-シクロヘキサン-ジカルボン酸が含まれ得る。好ましくは、ポリカルボン酸は、フタル酸、テレフタル酸、またはそれらの混合物である。脂肪族または芳香族であり得る好適な多価アルコールには、例えば、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,7-ヘプタンジオール、グリセロール、1,1,1、-トリメチロールプロパン、1,1,1-トリメチロールエタン、ヘキサン-1,2,6-トリオール、α-メチルグルコシド、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、スクロース、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、またはそれらのブレンドが含まれ得る。また、ビスフェノールA、ビス(4,4’-ヒドロキシフェニル)スルフィド、およびビス-(4,4’-ヒドロキシフェニル)スルホンとして一般的に既知の2,2-(4,4’-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのフェノールに由来する化合物も含まれる。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリオールは、一般に、少なくとも30重量%のフタル酸残基またはその異性体の残基を含むポリカルボン酸から調製され得る。いくつかのさらなる実施形態では、ポリカルボン酸は、テレフタル酸、オレイン酸(または他の脂肪酸)、および無水フタル酸の混合物である。他のいくつかの実施形態では、ポリカルボン酸は、テレフタリン酸と無水フタル酸との混合物である。ポリエステルポリオールは、ポリオール組成物の重量に基づく重量で、70%超(>70%)、例えば、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、92%以上、93%以上、95%以上、98%以上、またはさらには100%の量で存在し得る。
【0013】
本発明において有用なポリオール組成物は、好ましくは、異なるヒドロキシル数を有する2つ以上のポリエステルポリオールの混合物、より好ましくは、300mgKOH/g未満のヒドロキシル数を有する少なくとも1つのポリエステルポリオールと、300mgKOH/g以上のヒドロキシル数を有する少なくとも1つのポリエステルポリオールとを含む。ポリオール組成物は、ポリオール組成物の総重量に基づく重量で、200~250mgKOH/gのヒドロキシル数を有する30%~70%の第1のポリエステルポリオールと、280~320mgKOH/gのヒドロキシル数を有する70%~30%の第2のポリエステルポリオールとを含み得る。
【0014】
フォーム配合物中のポリオール組成物は、任意選択で、1つ以上のポリエーテルポリオールを含み得る。ポリエーテルポリオールは、1分子あたり少なくとも2、3~8、または4~6の活性水素原子の官能基を有し得る。ポリエーテルポリオールは、100~500mgKOH/gまたは55~600mgKOH/gの範囲のヒドロキシル数を有し得る。ポリエーテルポリオールは、芳香族または脂肪族であり得る。ポリエーテルポリオールは、任意の既知の方法で生成され得る。典型的には、ポリエーテルポリオールは、開始剤と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはそれらの組み合わせなどの1つ以上のアルキレンオキシドとの同時または連続的な反応によって形成され、それによってランダムおよび/またはブロックコポリマーを形成する。好適な開始剤には、例えば、水、多価アルコール;線状および環状アミン化合物、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。有利には、芳香族開始ポリエーテルポリオールは、ノニルフェノール、ホルムアルデヒド、およびジエタノールアミンのアルコキシル化誘導体などを含む、フェノール/ホルムアルデヒド/アルカノールアミン樹脂(しばしば「マニッチ」ポリオールと呼ばれる)のアルキレンオキシド付加物である。さらに、グリセリン、スクロース、エチレンジアミン、およびそれらの混合物などの他の開始剤のアルコキシル化物が一般的に使用される。ポリエーテルポリオールは、典型的には、フォーム配合物中のポリオールの総重量に基づく重量で、ゼロ~30%、例えば、または5%~20%、または10%~20%の量で存在する。
【0015】
本発明のフォーム配合物はまた、ポリオールと反応性である1つ以上のポリイソシアネートを含む。ポリイソシアネートは、平均2つ以上、好ましくは平均2.0~4.0のイソシアネート基/分子を有する任意の化合物を指す。ポリイソシアネートは、15重量%~36重量%、25重量%~35重量%、または30重量%~34重量%のイソシアネート基(NCO)含有量を有し得る。有機ポリイソシアネート、修飾ポリイソシアネート、イソシアネートベースのプレポリマー、またはそれらの混合物を含むポリイソシアネートが用いられ得る。これらは、脂肪族、脂環式、または特に芳香族であり得る。好適なポリイソシアネートには、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート(すべての異性体)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の4,4’-、2,4’、および2,2’-異性体、ならびにそれらの異性体混合物、2,4-および2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、ならびにそれらの異性体混合物、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、1-メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、m-およびp-フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン-2,4-ジイソシアネート、ジフェニレン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアネート-3,3’-ジメチルジフェニル、3-メチルジフェニル-メタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアナトトルエン、2,4,4’-トリイソシアナトジフェニルエーテル、トリス-(4-イソシアナトフェニル)メタン、トルエン-2,4,6-トリイルトリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5’,5’-テトラ(イソシアネート)、m-フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、1,3-ビス-(イソシアナトメチル)ベンゼン、4-メトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-エトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,4’-ジイソシアナトジフェニルエーテル、5,6-ジメチル-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,4-ジメチル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4-ジイソシアナトジフェニルエーテル、ベンジジンジイソシアネート、4,6-ジメチル-1,3-フェニレンジイソシアネート、9,10-アントラセンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトジベンジル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、2,6’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(ポリマーMDI、PMDIとして一般的に既知)、ならびにそれらの混合物、さらにそれらのプレポリマーが含まれ得る。好ましいポリイソシアネートは、モノマーMDI中のポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートの混合物であるポリマーMDIである。ポリマーMDI生成物は、5~50重量%、より好ましくは10重量%~40重量%の遊離MDI含有量を有し得る。そのようなポリマーMDI生成物は、The Dow Chemical Companyから商標名PAPI(商標)およびVORANATE(商標)で入手可能である。一実施形態では、ポリイソシアネートは、2.3~3.3のイソシアネート基/分子の平均イソシアネート官能基および130~170のイソシアネート当量を有するポリマーMDI生成物である。好適な市販の生成物には、PAPI(商標)27、PAPI(商標)20、PAPI(商標)94、PAPI(商標)95、PAPI(商標)580N、VORANATE(商標)M229、VORANATE(商標)220、VORANATE(商標)M595、およびVORANATE(商標)M600が含まれ、これらはすべてThe Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0016】
フォーム配合物中のポリイソシアネートは、180以上、190以上、200以上、210以上、220以上、230以上、240以上、またはさらには250以上、同時に500以下、490以下、480以下、470以下、460以下、450以下、440以下、430以下、420以下、またはさらには410以下のイソシアネート指数を提供する量で存在し得る。イソシアネート指数は、配合物中のイソシアネート基の数をイソシアネート反応性水素原子の数(水などのイソシアネート反応性発泡剤に含有されるものを含む)で割り、100を掛けて計算される。
【0017】
本発明のフォーム配合物は、1つ以上の環状シロキサンを含む。本発明において有用な環状シロキサンは、25℃で21ダイン/センチメートル(ダイン/cm)(21ミリニュートン/メートル)未満、例えば、20.5ダイン/cm以下、20ダイン/cm以下、19.5ダイン/cm以下、19ダイン/cm以下、18.5ダイン/cm以下、またはさらには18ダイン/cm以下の表面張力を有し得る。表面張力は、力張力計を用いた「リング法」を使用して測定され得る。3回、測定され得る。例えば、調査中の各試料の表面張力は、精密天びんから吊り下げられた最適に濡れるプローブの助けを借りて、Sigma701(張力)力張力計を使用して測定され得る。高さの調節が可能な試料キャリアを使用して、測定対象の液体をプローブに接触させる。これらの実験では、デュヌイ法としても既知のリング法が使用される。標準形状のプラチナ-イリジウムリングが力天びんから吊り下げられている。液体とリングとの間にメニスカスが形成されるため、天びんによって表面との接触が記録されるまで液体は上昇される。次に、試料を再び下げると、リングの下に生成された液膜が引き伸ばされる。フィルムが引き伸ばされると、最大力が発生し、測定に記録される。これらの測定では、10回の測定のサイクルが行われる。リングプローブの長さは既知であるため、次の式を使用して液体の表面張力を計算するのに最大力を使用することができ:
【数1】
【0018】
式中、γ=表面張力または界面張力、Fmax=最大力、F=持ち上げられた液体の体積の重量、L=接液長、およびθ=接触角。リングの下に持ち上げられた液体の体積の重量は、Fの項で表され、液体によって加えられる真の力を得るには、測定された最大力から差し引く必要がある。リングは最大限大きな表面エネルギーを有するようにプラチナイリジウムでできているため、最大力の点で、接触角θは実質的に0°になる。これは、最大力の点で、項cosθの値が1を有することを意味する。
【0019】
本発明において有用な環状シロキサンは、式(I)の構造を有し得、
【化1】

式中、nは3~6であり、RおよびRは各々独立して、-H、-CH3、-CH-CH3、-CH=CH2、-CH-CH-CF3、好ましくはRおよびRは各々独立して、-CHである。
【0020】
好適な環状シロキサンの例には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、またはそれらの混合物が含まれる。フォーム配合物中の環状シロキサンは、ポリオール組成物の重量に基づく重量で、1%以上、1.2%以上、1.5%以上、1.8%以上、2%以上、2.1%以上、2.2%以上、2.3%以上、2.4%以上、またはさらには2.5%以上、同時に5%以下、4.8%以下、4.6%以下、4.5%以下、4.4%以下、4.3%以下、4.2%以下、4.1%以下、4.0%以下、3.8%以下、3.5%以下、3.2%以下、またはさらには3.0%以下の量で存在し得る。
【0021】
本発明のフォーム配合物は、1つ以上のシリコーンコポリマー界面活性剤をさらに含む。そのような界面活性剤を用いて、崩壊および大きな不均一な気泡の形成に対して起泡反応物を安定化させる。本発明において有用なシリコーンコポリマー界面活性剤は、1つ以上のポリエーテル-ポリシロキサンコポリマーを含み得る。本明細書で使用される場合、「ポリエーテル」は、ポリオキシアルキレン基を示す。ポリオキシアルキレン基は、典型的には、オキシエチレン単位(-CO-)、オキシプロピレン単位(-CO-)、オキシブチレン単位(-CO-)、またはそれらの組み合わせを含み得る。ポリエーテル-ポリシロキサンコポリマーは、ポリシロキサンポリオキシルアルキレンブロックコポリマーであり得る。ポリエーテル-ポリシロキサンコポリマーは、200以上、300以上、400以上、500以上、800以上、1,000以上、1,200以上、またはさらには1,500以上、同時に80,000以下、70,000以下、60,000以下、50,000以下、40,000以下、30,000以下、25,000以下、またはさらには20,000以下の分子量を有し得る。本発明において有用なポリエーテル-ポリシロキサンコポリマーは、102~4,500、200~3,000、または300~2,000の分子量を有するポリエーテル鎖を含み得る。ポリエーテル-ポリシロキサンコポリマーのポリエーテル鎖は、ポリエーテル鎖の重量に基づく重量で、40%~100%、60%~100%、または80%~100%のオキシエチレン単位を含み得る。本明細書における「分子量」は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などの日常的な分析技法によって決定される数平均分子量を指す。典型的な機器は、Waters2695分離モジュールとWaters2410示差屈折計とで構成され得る。分離は、2つの(300mmx7.5mm)Polymer Laboratories PLgel 5μmのMixed-Cカラムで行われ得る。試料はテトラヒドロフラン溶媒で調製でき、分析はテトラヒドロフランを溶離液として使用して実行できる。分子量平均は、ポリスチレン標準物を使用して作成された較正曲線と比較して決定され得る。
【0022】
好適なポリエーテル-ポリシロキサンコポリマーの例には、米国特許第2,834,748号、同第2,917,480号、および同第2,846,458号に開示されているものが含まれる。市販製品のいくつかの例には、The Dow Chemical CompanyのVORASURF(商標)DC193およびVORASURF(商標)SF2938シリコーン界面活性剤(VORASURFは、The Dow Chemical Companyの商標である)、EvonikのTEGOSTAB B8421ポリエーテル-ポリジメチル-シロキサンコポリマー、Momentive Performance MaterialsのNiax L6635およびNiax L6633シリコーンコポリマー、またはそれらの混合物が含まれる。
【0023】
本発明において有用なシリコーンコポリマー界面活性剤は、フォーム配合物の重量に基づく重量で、0.1%以上、0.2%以上、0.3%以上、0.4%以上、0.5%以上、0.55%以上、0.6%以上、0.65%以上、またはさらには0.7%以上、同時に2%以下、1.9%以下、1.8%以下、1.7%以下、1.6%以下、1.5%以下、1.4%以下、1.3%以下、1.2%以下、1.1%以下、またはさらには1.0%以下の量で存在し得る。好ましくは、シリコーンコポリマー界面活性剤は、0.6超~、2.27未満、例えば、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、0.9以上、0.95以上、またはさらには1.0以上、同時に2.0以下、1.9以下、1.8以下、1.7以下、1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、1.15以下、またはさらには1.1以下のシリコーンコポリマー界面活性剤に対する環状シロキサンの重量比を提供する量で存在する。
【0024】
本発明のフォーム配合物は、水と物理的発泡剤などの1つ以上の補助剤とを含む発泡剤をさらに含む。補助発泡剤には、炭化水素、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、およびそれらの混合物が含まれ得る。炭化水素発泡剤には、ペンタン異性体、ヘキサン異性体、およびヘプタン異性体を含むアルカン;シクロアルカン;(好ましくは4~8個の炭素原子を有する);ならびにそれらの混合物が含まれ得る。炭化水素発泡剤の具体例には、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、2,3-ジメチルブタン、n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、イソヘプタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、およびそれらの混合物が含まれる。好ましい炭化水素発泡剤には、シクロペンタン、n-ペンタン、イソペンタン、およびそれらの混合物が含まれる。特に望ましいHFOおよびHCFOには、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd(E))および(z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz-Z)、ならびにそれらの混合物が含まれる。好適なヒドロフルオロカーボン発泡剤の例には、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、およびそれらの混合物が含まれる。好ましくは、補助発泡剤は、炭化水素を含む。いくつかの実施形態では、発泡剤は、水と、シクロペンタンと、イソペンタンとで構成される。
【0025】
発泡剤の量は、フォームの所望の密度に依存する。例えば、水の量は、ポリオール組成物の総重量に基づいて、0.05%~2.5%、0.1%~2%、または0.2%~1.5%の範囲であり得る。補助(物理的)発泡剤は、ポリオール組成物の総重量に基づく重量で、2%以上、3%以上、4%以上、またはさらには5%以上、同時に30%以下、20%以下、15%以下、またはさらには10%以下の量で存在し得る。
【0026】
本発明のフォーム配合物は、例えば、三量化触媒、三級アミン触媒、有機金属触媒、およびそれらの混合物を含む1つ以上の触媒をさらに含む。三量化触媒は、有機イソシアネート化合物の三量体化を触媒して、イソシアヌレート部分を形成するであろうと当業者に既知であるものであればどれでもよい。好適な三量化触媒には、例えば、四級アンモニウム塩、2,4,6-(N,N-ジメチルアミノメチル)フェノール、ヘキサヒドロトリアジン、ナトリウムN-2-ヒドロキシ-5-ノニルフェニル-メチル-N-メチルグリシネート、カルボン酸のカリウム塩、例えば、オクタン酸カリウムおよび酢酸カリウム、ならびにそれらの混合物が含まれ得る。市販の三量化触媒には、Evonik Corporationからの商品名DABCO TMR、DABCO K15、およびPOLYCAT46のものが含まれ得る。
【0027】
三級アミン触媒は、平衡触媒として有用であり得る。三級アミン触媒には、少なくとも1つの三級窒素原子を含有し、ヒドロキシル/イソシアネート反応を触媒することができる任意の有機化合物が含まれる。好適な三級アミン触媒には、例えば、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、1-メチル-4-ジメチルアミノエチルピペラジン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルエタノールアミン、2,4,6-トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール、ビス(2-ジメチルアミノ-エチル)エーテル、N,N’,N-エチルモルホリン、およびそれらの混合物が含まれ得る。好適な有機金属触媒の例には、ビスマス、鉛、スズ、チタン、鉄、アンチモン、ウラン、カドミウム、コバルト、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン、ジルコニウム、およびそれらの組み合わせの化合物が含まれる。いくつかの実施形態では、触媒の混合物が使用される。さらなる実施形態では、2つの三量化触媒(カリウムベースの触媒など)と三級アミン触媒との混合物が、ポリイソシアヌレートフォームの生成における触媒として使用される。
【0028】
触媒の総量は、所望の反応速度を提供するように選択される。触媒は、フォーム配合物の総重量に基づく重量で、0.5%以上、1%以上、またはさらには2%以上、同時に5%以下、4%以下、またはさらには3%以下の量で存在し得る。
【0029】
本発明のフォーム配合物は、任意選択で、1つ以上の難燃剤を含み得る。難燃剤は、ハロゲン化または非ハロゲン化難燃剤を含み得る。有用な難燃剤には、臭素化タイプ、リン含有タイプ、酸化アンチモン、剥離グラファイト、アルミナ三水和物、およびそれらの組み合わせが含まれる。好適な臭素化難燃剤には、テトラブロモフタレートジエステル/エーテルジオール、例えば、Albemarle CorporationによってSaytex RB79として販売されているもの、またはChemtura CorporationによってPHT-4-ジオールとして販売されているもの、テトラブロモビスフェノールA、臭素化ポリスチレン、臭素化スチレン-ブタジエンポリマー、臭素化エポキシ樹脂、臭素化アルカン、例えば、1-ブロモプロパン、臭素化ポリマー、例えば、ChemturaによってEmerald 3000として販売されているもの、または臭素化アクリルモノマーもしくはそれらのポリマー、それらの混合物が含まれ得る。好適なリン含有難燃剤の例には、様々なホスフィナート、ホスフェート、およびホスホネート化合物、例えば、アルミニウムジエチルホスフィナート、トリス(2-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス(1,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、ジエチルエチルホスホネート、ジアンモニウムホスフェートトリエチルホスフェート、ポリ(m-フェニレンメチルホスホネート)、オリゴマーエチルエチレンホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ならびにそれらの混合物が含まれる。難燃剤は、フォーム配合物の総重量に基づく重量で、1%~20%、2%~15%、または3%~10%の量で存在し得る。
【0030】
上記の成分に加えて、本発明のフォーム配合物は、他の添加剤のいずれか1つまたは組み合わせをさらに含み得る:着色剤、染料、追加の界面活性剤、充填剤、ならびに顔料、例えば、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化鉄、ミクロスフェア、アルミナ三水和物、ウォラストナイト、調製されたガラス繊維(滴下または連続)、ポリエステル繊維、および他のポリマー繊維、さらにそれらの組み合わせ。これらの添加剤は、フォーム配合物の重量に基づく重量で、ゼロ~30%の合計量で存在し得る。
【0031】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、上記のフォーム配合物から調製される。一般に、ポリウレタンフォームは、発泡剤がフォーム配合物を膨張させる間、ポリオール(複数可)およびイソシアネート(複数可)が反応するような条件下で、フォーム配合物の様々な成分を一緒にすることによって調製され得る。そのようなポリウレタンフォームは、典型的には、反応成分、すなわち、ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート成分(「A成分」としても既知)を、典型的には、ポリエステルポリオールと、シリコーン有機界面活性剤と、上記で定義された発泡剤と、任意選択で難燃剤とを含むイソシアネート反応性成分(「B成分」としても既知)とともに密接に混合することによって調製される。様々な触媒および他の任意の添加剤を導入するために、必要に応じて、追加の成分(「C成分」としても既知)を含めることができる。核剤は、ポリイソシアネート成分に添加され得る。これらの成分は、例えば、静的混合装置または容器を備えたまたは備えていない混合ヘッドなどの、目的のために従来技術に記載された混合機器のいずれかを使用し、次に反応混合物を基材上に堆積させることによって、任意の便利な方法で一緒に混合され得る。硬質ポリウレタンフォームはまた、スラブストック、例えば、パイプまたは断熱壁もしくは船体構造を含む成形品、噴霧フォーム、発泡フォーム、あるいは他の材料で形成されたラミネートまたはラミネート製品、例えば、ハードボード、石膏ボード、プラスチック、紙、金属、あるいはそれらの組み合わせの形態で生成され得る。一般に、ポリウレタンフォームは、一般に不連続パネルプロセス(DCP)および連続ダブルベルトラミネーション(DBL)と呼ばれるプロセスを含む、不連続または連続プロセスによって生成され得、起泡反応およびその後の硬化は金型内またはコンベヤー上で実行される。
【0032】
得られる本発明の硬質ポリウレタンフォームは、下の実施例のセクションに記載される試験方法に従って測定される場合、20kg/m以上、22kg/m以上、25kg/m以上、26kg/m以上、29kg/m以上、30kg/m以上、またはさらには31kg/m以上、同時に50kg/m以下、48kg/m以下、45kg/m以下、43kg/m以下、41kg/m以下、40kg/m以下、38kg/m以下、またはさらには35kg/m以下の密度を有し得る。硬質ポリウレタンフォームは、ASTM D6226-15規格に従って測定される場合、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、またはさらには10%未満の連続気泡含有量を有し得る。
【0033】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、上記の環状シロキサンがないことを除いて同じフォーム配合物から作製されたフォームと比較して、10℃でのkファクターの少なくとも0.3mW/m.Kの低下によって示されるように、改善された熱伝導率を有し得る。例えば、硬質ポリウレタンフォームは、EN13165規格に従って測定される場合、15~25mW/m.K、例えば、22.5mW/m.K以下、22.0mW/m.K以下、21.5mW/m.K以下、21.0mW/m.K以下、20.5mW/m.K以下、またはさらには20.0mW/m.K以下の10℃でのkファクターを示し得る。
【0034】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、クーラー、冷凍庫、冷蔵庫、屋根、壁、およびデッキなどの断熱用途に特に有用である。フォーム配合物はまた、自由立ち上がり用途で使用され得る。
【実施例
【0035】
本発明のいくつかの実施形態は、以下の実施例においてここに記載され、すべての部およびパーセンテージは、他に特定されない限り、重量による。
【0036】
無水フタル酸由来のポリエステルポリオール1は、Stepanから入手可能なStepanpol PS2352ポリオールであり、235mgKOH/gのヒドロキシル数および2の官能基を有する。
【0037】
無水フタル酸由来のポリエステルポリオール2は、Stepanから入手可能なStepanpol PS3152ポリオールであり、315mgKOH/gのヒドロキシル数および2の官能基を有する。
【0038】
The Dow Chemical Companyから入手可能なテレフタル酸由来のポリエステルポリオール2は、テレフタリン酸をベースにしたポリエステルポリオールであり、315mgKOH/gのヒドロキシル数および2.4の官能基を有する。
【0039】
The Dow Chemical Companyから入手可能なテレフタル酸由来のポリエステルポリオール1は、テレフタリン酸をベースにしたポリエステルポリオールであり、212mgKOH/gのヒドロキシル数および2の官能基を有する。
【0040】
Evonikから入手可能なDABCOK15触媒は、ジエチレングリコール中の2-エチルヘキサン酸カリウムである。
【0041】
Evonikから入手可能なPOLYCA(商標)5触媒は、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)である。
【0042】
Evonikから入手可能なDABCOK2097触媒は、ジエチレングリコール中の酢酸カリウムである。
【0043】
ICLから入手可能なトリス(2-クロロイソプロピル)-ホスフェート(TCPP)は、難燃剤として使用される。
【0044】
ICLから入手可能なトリエチルホスフェート(TEP)は、難燃剤として使用される。
【0045】
界面活性剤1は、非加水分解性ポリエーテル-ポリジメチル-シロキサン-コポリマーであるEvonikから入手可能なTEGOSTAB B8421である。
【0046】
界面活性剤2は、Momentive Performance Materialsから入手可能なNIAXL-6633シリコーンコポリマーである。
【0047】
界面活性剤3は、The Dow Chemical Companyから入手可能なVORASURF(商標)SF 2938シリコーン界面活性剤である。
【0048】
CP/IP(70/30)は、発泡剤として使用されるシクロペンタン(CP)とイソ-ペンタン(IP)との混合物(重量で70/30)である。
【0049】
The Dow Chemical Companyから入手可能なXIAMETER(商標)PMX-0245シクロペンタシロキサンは、25℃で18ダイン/cmの表面張力を有するデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)である。
【0050】
The Dow Chemical Companyから入手可能なXIAMETER(商標)PMX-200シリコーン流体1CSは、25℃で17.4ダイン/cmの表面張力を有するオクタメチルトリシロキサン(L3)である。
【0051】
The Dow Chemical Companyから入手可能なXIAMETER(商標)PMX-200シリコーン流体0.65CSは、25℃で15.9ダイン/cmの表面張力を有するヘキサメチルジシロキサン(L2)である。
【0052】
The Dow Chemical Companyから入手可能なVORANATE(商標)M600イソシアネートは、1モルあたり302グラムの平均分子量、2.3の官能基、約131.4g/eqのイソシアネート当量、31.36~32.57重量%の-NCO含有量を有するポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート(PMDI)である。
【0053】
XIAMETERおよびVORANATEは、The Dow Chemical Companyの商標である。
【0054】
実施例では、以下の標準的な分析機器および方法を使用する。
【0055】
起泡プロセス
すべてのフォーム試料を、L型の自己クリーニング混合ヘッド(FPL14ヘッド、出力速度:200g/s)を備えた高圧射出成形機モデルAfros-CannonA-40を使用して調製した。各配合ポリオールを、表1に列挙するようにポリオール、触媒、難燃剤、シリコーン界面活性剤、使用する場合はシロキサン、および発泡剤のすべてを事前に混合することによって得た。配合ポリオールを事前に混合し、20±2℃に保った。イソシアネートを20±2℃に保った。次に、配合ポリオールおよびイソシアネートを、150±20バール(15000±2000kPa)に等しい混合圧力で処理した。
【0056】
得られたフォーム配合物を20cm×20cm×20cmの木箱で起泡させることによって、反応性かつ自由立ち上がり密度の試料を得た。
【0057】
得られたフォーム配合物を70x50x10cmのアルミニウム金型に流し込むことによって得て、50℃に保った成形フォームから、機械的および熱的特性のための試料を切り取った。
【0058】
反応性
フォームの上昇中に、クリーム時間、ゲル時間、およびタックフリー時間を秒(複数可)単位で記録した。クリーム時間は、フォームが上昇し始める時間であり、この時点で、泡が形成されるため、液体はより透明になる。ゲル時間は、フォーム混合物が寸法的に安定するのに十分な内部強度を発達させた時点であり、それは、引き抜かれるときに金属棒に付着して、ひもを形成する。タックフリー時間は、フォームに軽く触れたときに、フォームの表皮が手袋で覆われた指に付着しなくなる時点である。
【0059】
*自由立ち上がり密度(FRD)
上のように自由立ち上がりボックスフォームを調製し、次に30分後に切り取って、密度を測定した。フォーム試験片の体積を、フォームのコアから切り取ったフォーム試験片の3方向の寸法を乗算することによって決定した。密度を、フォーム試験片の質量を前述の体積で割ることによって決定した。
【0060】
熱伝導率
熱伝導率測定を、UNI EN13165:2016規格に従って、10.0℃の平均温度でLaserComp Fox200機器を用いて実行し、kファクターとして報告した。試験片を70x50x10cmの成形試料から切り取った。
【0061】
連続気泡含有量
連続気泡含有量測定を、UNI EN ISO4590:2016に従って実行した。試験片を70x50x10cmの成形試料から切り取った。
【0062】
圧縮強度
圧縮強度を、UNI EN826:2013に従って室温で測定した。試験片を70x50x10cmの成形試料から切り取った。
【0063】
試料I、II、およびIII
成形フォーム試料の3つのグループ、試料I、II、およびIIIを、表1に示す配合に基づいて、上記の起泡手順に従って、高圧射出成形機およびAfros-Cannonの分配機器を使用して調製した。線状および環状シロキサン(L2、L3、およびD5)を、ポリイソシアヌレート(PIR)フォームの熱伝導特性への影響に関して、添加剤として試験した。イソシアネート指数は、2.5~4.1まで変化した。上記の試験方法に従って、フォーム配合物試料を、反応性、密度、熱伝導率、連続気泡含有量、圧縮強度について評価した。これらの特性の結果を表1に示す。
【0064】
試料Iに関して、表1に示すように、特定の添加剤/SS比でシリコーン界面活性剤と組み合わせたD5環状シロキサンを含むEx1のフォーム配合物は、シロキサンを一切含まない配合物(Comp Ex A)と比較して、kファクターに関して0.3mW/m.K超の低下によって示されるようなより良好な熱伝導率を有するフォームを提供した。対照的に、2.27の添加剤/SS比でのD5(Comp Ex A2)または線状シロキサン(L3、Comp Ex A1)を使用しても、熱伝導特性の改善を示さなかった。Ex 1のフォーム配合物は、圧縮強度の著しい低下を示さなかった。
【0065】
試料IIに関して、Ex2およびEx2-1のフォーム配合物は両方とも、Comp Ex Bと比較して、改善された熱伝導率および圧縮強度を有するフォームを提供した。対照的に、線状シロキサン(L2、Comp Ex B1)、または0.57の添加剤/SS比でのD5(Comp Ex B2)を含むフォーム配合物は、フォームの熱伝導特性の改善を提供できなかった。
【0066】
試料IIIに関して、Ex3のフォーム配合物は、シロキサンを含まないComp Ex Cと比較して、改善した熱伝導率および圧縮強度を有するフォームを提供した。
【表1】
【国際調査報告】