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特表2022-513407NHEJを介したゲノム編集のための組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】NHEJを介したゲノム編集のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/10 20060101AFI20220131BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/54 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20220131BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20220131BHJP
   A61K 38/46 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220131BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220131BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 9/14 20060101ALN20220131BHJP
   C12N 9/10 20060101ALN20220131BHJP
   C12N 9/22 20060101ALN20220131BHJP
   C07K 14/715 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C12N15/10 100Z
C12N15/10 110Z
C12N15/12 ZNA
C12N15/54
C12N15/55
C12N15/861 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/867 Z
C12N5/10
A61K35/28
A61K35/17 Z
A61K38/46
A61K48/00
A61P37/04
A61P43/00 105
C12N9/14
C12N9/10
C12N9/22
C07K14/715
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021548554
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(85)【翻訳文提出日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 US2019058917
(87)【国際公開番号】W WO2020092611
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】62/752,959
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518192998
【氏名又は名称】クリスパー・セラピューティクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】CRISPR Therapeutics AG
(71)【出願人】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100165892
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 啓司
(72)【発明者】
【氏名】コスト,グレゴリー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウエニシ,ジーン アイ
【テーマコード(参考)】
4B050
4B065
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC04
4B050DD02
4B050DD07
4B050DD11
4B050LL01
4B065AA01Y
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA31
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA44
4C084CA53
4C084CA56
4C084DC22
4C084NA14
4C084ZB021
4C084ZB051
4C084ZB091
4C084ZB211
4C084ZC541
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB64
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZB02
4C087ZB05
4C087ZB09
4C087ZB21
4C087ZC54
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA51
4H045EA20
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本出願は、相同性に依存しない機序による細胞中のゲノム編集、特に相同性に依存する機序による修復に必要な機構を欠く細胞中のゲノム編集のための組成物および方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造血幹細胞(HSC)中の標的遺伝子座におけるゲノム修飾のための方法であって、
(a)ヌクレアーゼまたは前記ヌクレアーゼをコードする核酸を前記HSCに導入することであって、前記標的遺伝子座が、前記ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む、導入することと、
(b)二本鎖ドナー核酸を前記HSCに導入することであって、前記二本鎖核酸が、外因性核酸配列を含み、相同性に依存しない機序によって前記標的遺伝子座に挿入されるように構成される、導入することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記HSCが、長期生着HSC(LT-HSC)またはSCID再増殖細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記HSCが、以下のマーカー:Lin/CD34/CD38/CD90/CD45RAを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Linが、CD235a、CD41a、CD3、CD19、CD14、CD16、CD20、およびCD56のうちの1つ以上として特徴付けられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Linが、CD235a/CD41a/CD3/CD19/CD14/CD16/CD20/CD56として特徴付けられる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
静止T細胞中の標的遺伝子座におけるゲノム修飾のための方法であって、
(a)ヌクレアーゼまたは前記ヌクレアーゼをコードする核酸を前記静止T細胞に導入することであって、前記標的遺伝子座が、前記ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む、導入することと、
(b)二本鎖ドナー核酸を前記静止T細胞に導入することであって、前記二本鎖核酸が、外因性核酸配列を含み、相同性に依存しない機序によって前記標的遺伝子座に挿入されるように構成される、導入することと、を含む、方法。
【請求項7】
前記静止T細胞が、非活性化T細胞である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
HDR欠損細胞中の標的遺伝子座におけるゲノム修飾のための方法であって、
(a)ヌクレアーゼまたは前記ヌクレアーゼをコードする核酸を前記HDR欠損細胞に導入することであって、前記標的遺伝子座が、前記ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む、導入することと、
(b)二本鎖ドナー核酸を前記HDR欠損細胞に導入することであって、前記二本鎖核酸が、外因性核酸配列を含み、相同性に依存しない機序によって前記標的遺伝子座に挿入されるように構成される、導入することと、
(c)前記標的遺伝子座への前記二本鎖ドナー核酸の組込みに十分な時間、HDR欠損細胞を培養することと、を含み、
ステップ(a)、(b)、および(c)が、前記二本鎖ドナー核酸の挿入効率が少なくとも約4%であるように実行される、方法。
【請求項9】
前記二本鎖ドナー核酸の前記挿入効率が、少なくとも約8%である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記二本鎖ドナー核酸が、前記外因性核酸配列の第1の末端に隣接する前記ヌクレアーゼの第2の認識配列をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記二本鎖ドナー核酸が、前記外因性核酸配列の第2の末端に隣接する第3の認識配列をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記二本鎖ドナー核酸が、前記細胞への導入後、前記第2および/または第3の認識配列において切断される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記二本鎖ドナー核酸が、前記切断された二本鎖ドナー核酸を前記標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、修飾された標的遺伝子座における前記ヌクレアーゼの認識配列が作成されず、前記切断された二本鎖ドナー核酸を前記標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、前記修飾された標的遺伝子座における前記ヌクレアーゼの認識配列が作成されるように構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ヌクレアーゼが、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)であり、前記標的遺伝子座および二本鎖ドナー核酸における前記ヌクレアーゼの前記認識配列の各々が、プロトスペーサー配列である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法であって、前記方法が、前記プロトスペーサー配列のうちの1つ以上を標的とする1つ以上のgRNAを前記細胞に導入することをさらに含む、方法。
【請求項15】
前記標的遺伝子座および前記ドナー核酸における前記プロトスペーサーを標的とするスペーサーを含むgRNAを、前記細胞に導入することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記標的遺伝子座における前記プロトスペーサーが順配向にあり、前記二本鎖ドナー核酸における前記外因性核酸が順配向にあり、前記二本鎖ドナー核酸における前記プロトスペーサーが逆配向にある、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記標的遺伝子座および前記ドナー核酸における前記プロトスペーサーが同じである、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記標的遺伝子座および前記ドナー核酸における前記プロトスペーサーのうちの少なくとも1つが、前記gRNAスペーサーに不完全に一致する遅延作用プロトスペーサー(DAP)である、請求項15または16に記載の方法。
【請求項19】
前記DAPが、i)前記gRNAスペーサーよりも少なくとも約1ヌクレオチド短い長さであり、かつ/またはii)前記gRNAスペーサーとの少なくとも約1ヌクレオチドのミスマッチを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ドナー核酸における前記プロトスペーサーが、DAPであり、前記標的遺伝子座における前記プロトスペーサーが、前記gRNAスペーサーに完全に一致する、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記二本鎖ドナー核酸が、前記外因性核酸配列に隣接する2つのDAPを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ドナー核酸における前記プロトスペーサーが、前記gRNAスペーサーに完全に一致し、前記標的遺伝子座における前記プロトスペーサーが、DAPである、請求項18または19に記載の方法。
【請求項23】
前記RGENが、Cas9ヌクレアーゼである、請求項14~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記RGENおよび前記1つ以上のgRNAを含むリボ核タンパク質(RNP)を前記細胞に導入することを含む、請求項14~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記RGENをコードするmRNAを前記細胞に導入することを含む、請求項14~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記二本鎖ドナー核酸が、二本鎖ウイルスゲノムである、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記二本鎖ウイルスゲノムが、アデノウイルスゲノム、レンチウイルスゲノム、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)ゲノムである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記AAVゲノムが、自己相補的AAV(scAAV)ゲノムである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
scAAVゲノムが、scAAV6ゲノムである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ドナー核酸が前記細胞に導入される前に、前記ヌクレアーゼまたは前記ヌクレアーゼをコードする核酸が前記細胞に導入される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記ヌクレアーゼまたは前記ヌクレアーゼをコードする核酸が、前記ドナー核酸が前記細胞に導入される前の1時間以内に前記細胞に導入される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ヌクレアーゼまたは前記ヌクレアーゼをコードする核酸が、前記ドナー核酸が前記細胞に導入される前の5分以内に前記細胞に導入される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記細胞が、低酸素条件下で培養される、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記細胞が、前記ヌクレアーゼまたは前記ヌクレアーゼをコードする核酸および前記ドナー核酸を前記細胞に導入する前に、約48時間まで培養される、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記細胞が、前記ヌクレアーゼまたは前記ヌクレアーゼをコードする核酸および前記ドナー核酸を前記細胞に導入する前に、約24時間まで培養される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記細胞が、前記ヌクレアーゼまたは前記ヌクレアーゼをコードする核酸および前記ドナー核酸を前記細胞に導入する前に、約2時間まで培養される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記細胞が、Notchリガンドの存在下で培養される、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記Notchリガンドが、Delta様Notchリガンド(DLL)、Jagged-1、Jagged-2、またはそれらのコンジュゲートである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記Delta様Notchリガンドが、DLL1、DLL3、またはDLL4である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記Notchリガンドが、Fc-DLL1、Fc-DLL3、Fc-DLL4、Fc-Jagged-1、またはFc-Jagged-2である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む、編集されたHSCの個体における生着のための方法であって、
(a)前記標的遺伝子座において挿入された前記外因性核酸配列を含む編集されたHSCの集団を含むHSCの出力された集団を生成するために、前記個体から得られたHSCの入力された集団に対して、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法を実行することと、
(b)編集されたHSCの前記集団を前記個体に投与して、前記編集されたHSCが前記個体に生着するようにすることと、を含む、方法。
【請求項42】
前記個体における編集されたHSCの生着の量が、相同性に依存する機序を使用して調製された対応する編集されたHSCの生着の量と同じであるか、またはそれより多い、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記個体から得られたHSCの前記入力された集団が、LT-HSCおよび短期生着HSC(ST-HSC)を含むHSCの混合集団を含み、生着した編集されたHSCの前記集団が、編集されたLT-HSCを含む、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
編集されたHSCの前記集団を前記個体に投与することは、HSCの前記出力された集団を前記個体に投与することを含む、請求項41~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
請求項1~5および10~40のいずれか一項に記載のHSC中の標的遺伝子座におけるゲノム修飾のための方法によって調製された、操作されたHSC。
【請求項46】
請求項6~7および10~40のいずれか一項に記載の静止T細胞中の標的遺伝子座におけるゲノム修飾のための方法によって調製された、操作された静止T細胞。
【請求項47】
対象の疾患または状態を治療する方法であって、前記疾患または状態が、機能性タンパク質の発現の欠損を特徴とし、請求項45または46に記載の操作された細胞を前記対象に投与することを含み、前記外因性核酸が、前記操作された細胞中で発現され得る前記タンパク質の機能的形態をコードする、方法。
【請求項48】
前記疾患または状態が、SCIDであり、前記外因性核酸が、リンパ系の発達またはリンパ球の増殖および/もしくは代謝に関与する前記個体において変異した遺伝子の機能的形態を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記外因性核酸が、機能的形態のIL2Rg、RAG1、IL7R、ADA、またはPNPをコードする、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記疾患または状態が、ゴーシェ病、ファブリー病、ムコ多糖症I~IX型、または副腎白質ジストロフィーである、請求項47に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月30日に出願された米国仮特許出願第62/752,959号の優先権の利益を主張し、これは、任意の図面を含め、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
配列表の組込み
添付の配列表の内容は、ここで参照により本出願に組み込まれる。052984-528001WO_Sequence Listing.txtという名前の添付の配列表テキストファイルは、2019年10月28日に作成され、24,932バイトである。
【0003】
本開示は、相同性に依存しない機序による細胞におけるゲノム編集のための組成物および方法に関する。さらに、例えば様々な疾患および状態の治療のために、そのような操作された細胞を使用する方法が提供される。
【背景技術】
【0004】
重症複合免疫不全症(SCID)は、リンパ系の発達に関連する遺伝子(例えば、IL2Rg、RAG1、およびIL7R)、またはリンパ球の増殖および代謝に関連する遺伝子(例えば、ADAおよびPNP)における変異によって最も一般的に引き起こされる稀な遺伝性障害である。この疾患の表現型は、T細胞および/またはB細胞の欠如を特徴とし、したがって、感染症と闘うことができなくなる。
【0005】
現在、SCIDの最も一般的な治療法は、十分に近い一致を見出すことができる人のための骨髄移植である。骨髄移植を受けた患者の80%は生存するが、生涯にわたる免疫抑制に追いやられる。γレトロウイルスを用いた遺伝子療法が試みられたが、白血病の発生率が高いため、取組みが中止された。
【0006】
SCID患者の大多数は、特定の遺伝子座に変異があり、既にSCIDのスクリーニングの一部になっている。一旦同定されると、患者の骨髄から造血幹細胞(HSC)を採取して、遺伝子置換または遺伝子修正のいずれかによって、SCIDの原因となる変異した遺伝子(複数可)の標的ゲノム編集を行うことができる。しかしながら、HSCにおける遺伝子編集のための現在の技法では、効果的な治療効果を生み出すのに十分な期間持続する、編集されたHSCを産生することができない。したがって、HSCで使用するための改良された遺伝子編集技法が必要である。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、本明細書で提供されるのは、造血幹細胞(HSC)中の標的遺伝子座におけるゲノム修飾のための方法であり、(a)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸をHSCに導入することであって、標的遺伝子座が、ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む、導入することと、(b)二本鎖ドナー核酸をHSCに導入することであって、二本鎖核酸が、外因性核酸配列を含み、相同性に依存しない機序によって標的遺伝子座に挿入されるように構成される、導入することと、を含む。いくつかの実施形態では、HSCは、長期生着HSC(LT-HSC)またはSCID再増殖細胞である。いくつかの実施形態では、HSCは、以下のマーカー:Lin(系統陰性)/CD34/CD38/CD90/CD45RAを特徴とする。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a、CD41a、CD3、CD19、CD14、CD16、CD20、およびCD56のうちの1つ以上として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a/CD41a/CD3/CD19/CD14/CD16/CD20/CD56として特徴付けられる。
【0008】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、静止T細胞中の標的遺伝子座におけるゲノム修飾のための方法であり、(a)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸を静止T細胞に導入することであって、標的遺伝子座が、ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む、導入することと、(b)二本鎖ドナー核酸を静止T細胞に導入することであって、二本鎖核酸が、外因性核酸配列を含み、相同性に依存しない機序によって標的遺伝子座に挿入されるように構成される、導入することと、を含む。いくつかの実施形態では、静止T細胞は、非活性化T細胞である。
【0009】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、HDR欠損細胞中の標的遺伝子座におけるゲノム修飾のための方法であり、(a)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸をHDR欠損細胞に導入することであって、標的遺伝子座が、ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む、導入することと、(b)二本鎖ドナー核酸をHDR欠損細胞に導入することであって、二本鎖核酸が、外因性核酸配列を含み、相動性に依存しない機序によって標的遺伝子座に挿入されるように構成される、導入することと、(c)標的遺伝子座への二本鎖ドナー核酸の組込みに十分な時間、HDR欠損細胞を培養することと、を含み、ステップ(a)、(b)、および(c)は、二本鎖ドナー核酸の挿入効率が少なくとも約4%であるように実行される。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸の挿入効率は、少なくとも約8%である。
【0010】
いくつかの実施形態では、上記のゲノム修飾のための方法のうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第1の末端に隣接するヌクレアーゼの第2の認識配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第2の末端に隣接する第3の認識配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、細胞への導入後、第2および/または第3の認識配列において切断される。
【0011】
いくつかの実施形態では、上記のゲノム修飾のための方法のうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されず、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されるように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、上記のゲノム修飾のための方法のうちのいずれかに従い、ヌクレアーゼは、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)であり、標的遺伝子座および二本鎖ドナー核酸におけるヌクレアーゼの認識配列の各々は、プロトスペーサー配列であり、この方法は、プロトスペーサー配列のうちの1つ以上を標的とする1つ以上のgRNAを細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、標的遺伝子座およびドナー核酸におけるプロトスペーサーを標的とするスペーサーを含むgRNAを、細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座におけるプロトスペーサーは順配向にあり、二本鎖ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、二本鎖ドナー核酸におけるプロトスペーサーは逆配向にある。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座およびドナー核酸におけるプロトスペーサーは同じである。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座およびドナー核酸におけるプロトスペーサーのうちの少なくとも1つは、gRNAスペーサーに不完全に一致する遅延作用プロトスペーサー(DAP)である。いくつかの実施形態では、DAPは、i)gRNAスペーサーよりも少なくとも約1ヌクレオチド短い長さであり、かつ/またはii)gRNAスペーサーとの少なくとも約1ヌクレオチドのミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸におけるプロトスペーサーは、DAPであり、標的遺伝子座におけるプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列に隣接する2つのDAPを含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸におけるプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、標的遺伝子座におけるプロトスペーサーは、DAPである。
【0013】
いくつかの実施形態では、RGENを採用する上記のゲノム修飾のための方法のうちのいずれかに従い、RGENは、Cas9ヌクレアーゼである。
【0014】
いくつかの実施形態では、RGENを採用する上記のゲノム修飾のための方法のうちのいずれかに従い、この方法は、RGENおよび1つ以上のgRNAを含むリボ核タンパク質(RNP)を細胞に導入することを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、RGENを採用する上記のゲノム修飾のための方法のうちのいずれかに従い、この方法は、RGENをコードするmRNAを細胞に導入することを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、上記のゲノム修飾のための方法のうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノムである。いくつかの実施形態では、二本鎖ウイルスゲノムは、アデノウイルスゲノム、レンチウイルスゲノム、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、AAVゲノムは、自己相補的AAV(scAAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、scAAVゲノムは、scAAV6ゲノムである。
【0017】
いくつかの実施形態では、上記のゲノム修飾のための方法のうちのいずれかに従い、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸は、ドナー核酸が細胞に導入される前に細胞に導入される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸は、ドナー核酸が細胞に導入される前の1時間以内に細胞に導入される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸は、ドナー核酸が細胞に導入される前の5分以内に細胞に導入される。
【0018】
いくつかの実施形態では、上記のゲノム修飾のための方法のうちのいずれかに従い、細胞は、低酸素条件下で培養される。
【0019】
いくつかの実施形態では、上記のゲノム修飾のための方法のうちのいずれかに従い、細胞は、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸およびドナー核酸を細胞に導入する前に、約48時間まで培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸およびドナー核酸を細胞に導入する前に、約24時間まで培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸およびドナー核酸を細胞に導入する前に、約2時間まで培養される。
【0020】
いくつかの実施形態では、上記のゲノム修飾のための方法のうちのいずれかに従い、細胞は、Notchリガンドの存在下で培養される。いくつかの実施形態では、Notchリガンドは、Delta様Notchリガンド(DLL)、Jagged-1、Jagged-2、またはそれらのコンジュゲートである。いくつかの実施形態では、Delta様Notchリガンドは、DLL1、DLL3、またはDLL4である。いくつかの実施形態では、Notchリガンドは、Fc-DLL1、Fc-DLL3、Fc-DLL4、Fc-Jagged-1、またはFc-Jagged-2である。
【0021】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集されたHSCの個体における生着のための方法であり、(a)標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集されたHSCの集団を含むHSCの出力された集団を生成するために個体から得られたHSCの入力された集団に対して、上記の実施形態のうちのいずれかによるゲノム修飾のための方法を実行することと、(b)編集されたHSCが個体に生着するように(例えば、編集されたHSCが、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16週間、またはそれ以上のうちのいずれかにわたって個体において持続するように)、編集されたHSCの集団を個体に投与することと、を含む。いくつかの実施形態では、個体における編集されたHSCの生着の量は、相同性に依存する機序を使用して調製された対応する編集されたHSCの生着の量と同じか、またはそれより多い。いくつかの実施形態では、個体から得られたHSCの入力された集団は、LT-HSCおよび短期生着HSC(ST-HSC)を含むHSCの混合集団を含み、生着した編集されたHSCの集団は、編集されたLT-HSCを含む。いくつかの実施形態では、編集されたHSCの集団を個体に投与することは、HSCの出力された集団を個体に投与することを含む。
【0022】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、(a)ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む標的遺伝子座、(b)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸、および(c)外因性核酸配列を含む二本鎖ドナー核酸を含む、操作されたHSCであり、二本鎖ドナー核酸は、相同性に依存しない機序によって標的遺伝子座に挿入されるように構成される。いくつかの実施形態では、HSCは、LT-HSCまたはSCID再増殖細胞である。いくつかの実施形態では、HSCは、以下のマーカー:Lin/CD34/CD38/CD90/CD45RAを特徴とする。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a、CD41a、CD3、CD19、CD14、CD16、CD20、およびCD56のうちの1つ以上として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a/CD41a/CD3/CD19/CD14/CD16/CD20/CD56として特徴付けられる。
【0023】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、上記の実施形態のうちのいずれかによる、細胞中の標的遺伝子座におけるゲノム修飾のための方法によって調製された、操作されたHSCである。いくつかの実施形態では、この方法は、(a)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸を入力されたHSCに導入することであって、標的遺伝子座が、ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む、導入することと、(b)二本鎖ドナー核酸を入力されたHSCに導入することであって、二本鎖核酸が、外因性核酸配列を含み、相同性に依存しない機序(例えば、NHEJ)によって標的遺伝子座に挿入されるように構成される、導入することと、を含む。いくつかの実施形態では、HSCは、LT-HSCまたはSCID再増殖細胞である。いくつかの実施形態では、HSCは、以下のマーカー:Lin/CD34/CD38/CD90/CD45RAを特徴とする。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a、CD41a、CD3、CD19、CD14、CD16、CD20、およびCD56のうちの1つ以上として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a/CD41a/CD3/CD19/CD14/CD16/CD20/CD56として特徴付けられる。
【0024】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、(a)ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む標的遺伝子座、(b)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸、および(c)外因性核酸配列を含む二本鎖ドナー核酸を含む、操作された静止T細胞であり、二本鎖ドナー核酸は、相同性に依存しない機序によって標的遺伝子座に挿入されるように構成される。いくつかの実施形態では、静止T細胞は、非活性化T細胞である。
【0025】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、上記の実施形態のうちのいずれかによる、細胞中の標的遺伝子座におけるゲノム修飾のための方法によって調製された、操作された静止T細胞である。いくつかの実施形態では、この方法は、(a)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸を入力された静止T細胞に導入することであって、標的遺伝子座が、ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む、導入することと、(b)二本鎖ドナー核酸を入力された静止T細胞に導入することであって、二本鎖核酸が、外因性核酸配列を含み、相同性に依存しない機序(例えば、NHEJ)によって標的遺伝子座に挿入されるように構成される、導入することと、を含む。いくつかの実施形態では、静止T細胞は、非活性化T細胞である。
【0026】
いくつかの実施形態では、上記の操作された細胞のうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第1の末端に隣接するヌクレアーゼの第2の認識配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第2の末端に隣接する第3の認識配列をさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、上記の操作された細胞のうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されず、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されるように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、上記の操作された細胞のうちのいずれかに従い、ヌクレアーゼは、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)であり、標的遺伝子座および二本鎖ドナー核酸におけるヌクレアーゼの認識配列の各々は、プロトスペーサー配列であり、操作された細胞は、標的遺伝子座および二本鎖ドナー核酸におけるヌクレアーゼの各々別個の認識配列に特異的な1つ以上のgRNAをさらに含む。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、標的遺伝子座およびドナー核酸におけるプロトスペーサーを標的とするスペーサーを含むgRNAを含む。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座におけるプロトスペーサーは順配向にあり、二本鎖ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、二本鎖ドナー核酸におけるプロトスペーサーは逆配向にある。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座およびドナー核酸におけるプロトスペーサーは同じである。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座およびドナー核酸におけるプロトスペーサーのうちの少なくとも1つは、gRNAスペーサーに不完全に一致する遅延作用プロトスペーサー(DAP)である。いくつかの実施形態では、DAPは、i)gRNAスペーサーよりも少なくとも約1ヌクレオチド短い長さであり、かつ/またはii)gRNAスペーサーとの少なくとも約1ヌクレオチドのミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸におけるプロトスペーサーは、DAPであり、標的遺伝子座におけるプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列に隣接する2つのDAPを含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸におけるプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、標的遺伝子座におけるプロトスペーサーは、DAPである。
【0029】
いくつかの実施形態では、上記のRGENを含む操作された細胞のうちのいずれかに従い、RGENは、Cas9ヌクレアーゼである。
【0030】
いくつかの実施形態では、上記のRGENを含む操作された細胞のうちのいずれかに従い、操作された細胞は、RGENおよび1つ以上のgRNAを含むリボ核タンパク質(RNP)を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、上記のRGENを含む操作された細胞のうちのいずれかに従い、操作された細胞は、RGENをコードするmRNAを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、上記の操作された細胞のうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノムである。いくつかの実施形態では、二本鎖ウイルスゲノムは、アデノウイルスゲノム、レンチウイルスゲノム、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、AAVゲノムは、自己相補的AAV(scAAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、scAAVゲノムは、scAAV6ゲノムである。
【0033】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、対象の疾患または状態を治療する方法であって、疾患または状態が、機能性タンパク質の発現の欠損を特徴とし、上記の実施形態のうちのいずれかに従って、操作された細胞を対象に投与することを含み、外因性核酸が、操作された細胞中で発現され得るタンパク質の機能的形態をコードする、方法である。いくつかの実施形態では、疾患または状態は、SCIDであり、外因性核酸は、リンパ系の発達またはリンパ球の増殖および/もしくは代謝に関与する個体において変異した遺伝子の機能的形態を含む。いくつかの実施形態では、外因性核酸は、IL2Rg、RAG1、IL7R、ADA、またはPNPの機能的形態をコードする。いくつかの実施形態では、疾患または状態は、ゴーシェ病、ファブリー病、ムコ多糖症I型~IX型、または副腎白質ジストロフィーである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1A】Cas9/gRNA RNPの存在下または非存在下、示された濃度のpCR2.1-TOPO-psSCRAM-SA-P2A-H2Bj-Venus-BGHpA-psSCRAM(0カットベクタープラスミド)またはpCR2.1-TOPO-psAAVS1-SA-P2A-H2Bj-Venus-BGHpA-psSCRAM(1カットベクタープラスミド)で処理されたK562細胞におけるGFP発現によって決定される、NHEJを介した標的組込みの14日目(D14)にフローサイトメトリー結果を示し、pCR2.1-TOPOは、ベクタープラスミド骨格であり、psSCRAMは、PAMを有するスクランブルプロトスペーサー配列であり、psAAVS1は、ゲノムDNA配列と同じプロトスペーサー配列であり、Cas9/gRNA RNPは、PAMで切断し、SAは、スプライスアクセプターであり、P2Aは、ペプチド切断シグナル配列であり、H2Bj-Venusは、核中のGFPを安定化するヒストンH2Bに融合された修飾GFPであり、BGHpAは、ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列である。
図1B】7日目(D7)および14日目(D14)における図1Aのフローサイトメトリー研究の定量化を示す。
図2】Cas9/gRNA RNPの存在下または非存在下、K562細胞における示された濃度での0カットベクタープラスミドまたは1カットベクタープラスミドの標的ドナー組込みのPCR分析を示す。
図3A】HDR、NHEJ、またはHDRおよびNHEJの両方による活性化T細胞への標的組込みのフローサイトメトリーの結果を示す。
図3B図3Aのフローサイトメトリー研究の定量化を示す。
図4】それぞれHDRドナー、scAAV6 2カットNHEJドナー、または両方を送達するAAV6を利用することによって、HDR、NHEJ、またはHDRおよびNHEJの両方による標的組込みを伴う活性化T細胞のCD4/CD8分布のフローサイトメトリー結果を示す。
図5A】それぞれHDRドナー、scAAV6 2カットNHEJドナー、または両方を送達するAAV6を利用することによって、HDR、NHEJ、またはHDRおよびNHEJの両方による非活性化T細胞への標的組込みのフローサイトメトリー結果を示す。
図5B図5Aのフローサイトメトリー研究の定量化を示す。
図5C】NHEJによる標的組込みを伴う非活性化T細胞のCD4/CD8分布のフローサイトメトリー結果を示す。
図6】プロトコル1またはプロトコル2を使用した、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みのフローサイトメトリーの結果を示す。
図7A】プロトコル1またはプロトコル2を使用した、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みのフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図7B】scAAV6 2カットドナーを有する2人の異なるドナーからのヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みのフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図8A】プロトコル1またはプロトコル2を使用した、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みの絶対細胞性を示す。
図8B】scAAV6 2カットドナーを有する2人の異なるドナーからのヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みの絶対細胞性を示す。
図9A】D1で編集した場合の、プロトコル1またはプロトコル2を使用した、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、2日目(D2)、3日目(D3)、4日目(D4)、および5日目(D5)のフローサイトメトリーの結果を示す。
図9B】D1で編集した場合の、プロトコル1またはプロトコル2を使用した、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、D2、D3、D4、およびD5でのフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図9C】D1で編集した場合の、プロトコル1またはプロトコル2を使用した、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、D2、D3、D4、およびD5での絶対細胞性を示す。
図9D】D1で編集した場合の、プロトコル1またはプロトコル2を使用した、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについてのD2、D3、D4、およびD5での相対細胞性を示す。
図10A】D1でSFEM II培地中で編集した場合の、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、D2、D3、D4、およびD5でのフローサイトメトリー結果を示す。
図10B】SCGM培地で編集した場合の、D1でのヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、D2、D3、D4、およびD5でのフローサイトメトリー結果を示す。
図11A】低酸素または正常酸素条件下、scAAV6 2カットドナーを用いてD1で編集した場合の、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、D2、D3、D4、およびD5でのフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図11B】低酸素または正常酸素条件下、scAAV6 2カットドナーを用いてD1で編集した場合の、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、D2、D3、D4、およびD5での絶対細胞性を示す。
図11C】低酸素または正常酸素条件下、scAAV6 2カットドナーを用いてD1で編集した場合の、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みのD2、D3、D4、およびD5での相対細胞性を示す。
図11D】低酸素または正常酸素条件下、scAAV6 2カットドナーを用いてD1で編集した場合の、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、D2、D3、D4、およびD5でのGFPおよびeGFP集団中のCD34:CD34細胞の比を示す。
図12A】scAAV6 2カットドナーを用いてD1またはD2で編集した場合の、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、D2、D3、D4、およびD5でのフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図12B】scAAV6 2カットドナーを用いてD1またはD2で編集した場合の、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、D2、D3、D4、およびD5での絶対細胞性を示す。
図12C】scAAV6 2カットドナーを用いてD1またはD2で編集した場合の、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、D2、D3、D4、およびD5での相対細胞性を示す。
図13】scAAV6 2カットドナーを用いてH1(時間1)またはD1で編集した場合の、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、D2、D3、およびD4でのフローサイトメトリー結果の定量化および相対細胞性を示す。
図14A】RNP Lonza 4-DヌクレオフェクションプロトコルDZ-100またはRNP Lonza 4-DヌクレオフェクションプロトコルCA-137を使用してD1で編集した場合の、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、D2でのフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図14B】RNP Lonza 4-DヌクレオフェクションプロトコルDZ-100またはRNP Lonza 4-DヌクレオフェクションプロトコルCA-137を使用してD1で編集した場合の、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、D2での絶対細胞性を示す。
図14C】RNP Lonza 4-DヌクレオフェクションプロトコルDZ-100またはRNP Lonza 4-DヌクレオフェクションプロトコルCA-137を使用してD1で編集した場合の、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、D2での相対細胞性を示す。
図15】SpyFi Cas9またはGeneArt Cas9を使用してD1で編集した場合の、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みのフローサイトメトリー結果の定量化、絶対細胞性、および相対細胞性を示す。
図16】少量(+)または大量(+++)のRNPと少量(+)または大量(+++)のAAVを使用してD1で編集した場合の、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みのフローサイトメトリー結果の定量化、絶対細胞性、および相対細胞性を示す。
図17】Cas9/gRNA RNPの存在下または非存在下、CD34細胞において5000vp/細胞でAd5/35によって送達された2カットドナーの標的ドナー組込みのPCR分析を示す。
図18A】Tenascin C(TenC)、Fc-DLL1(DLL1)、またはTenascin C+Fc-DLL1コーティング上で、またはコーティングなしで培養されたscAAV6 0カットドナーを使用した、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、D2でのフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図18B】Tenascin C(TenC)、Fc-DLL1(DLL1)、またはTenascin C+Fc-DLL1コーティング上で、またはコーティングなしで培養されたscAAV6 0カットドナーを使用した、ヒトCD34細胞におけるNHEJを介した標的組込みについて、D1、D2、およびD3でのCD34/CD90/CD38/CD45RA細胞の絶対細胞性を示す。
図19】scAAV6 0カットまたはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入されたマウスの末梢血からの、0、6、9、13、および16週目のhCD45細胞(上のパネル)およびGFP細胞(下のパネル)のフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図20A】scAAV6 0カットまたはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入されたマウスの骨髄からの、16週目のhCD45細胞(上のパネル)およびGFP細胞(下のパネル)のフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図20B】scAAV6 0カットまたはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD1において注入された後16週目のマウス骨髄からの総CD45細胞のパーセントとして、hCD34、hCD3、hCD33、hCD19、および他のhCD45細胞の相対量を示す。
図21】scAAV6 0カットまたはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってH1(新鮮な解凍)のD1において編集されたヒトCD34の、D2におけるGFP/CD34細胞のフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図22A】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からの8週目のhCD45細胞について、フローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図22B】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞のD1における注入、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞のH2における注入後8週目におけるマウスの末梢血からの総CD45細胞のパーセントとして、hCD3、hCD33、hCD19、および他のhCD45細胞の相対量を示す。
図22C】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からの8週目のhCD45細胞のパーセントとして、GFP細胞のフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図22D】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からの8週目の総CD45細胞のパーセントとして、GFP細胞のフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図23A】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からの10週目のhCD45細胞について、フローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図23B】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞のD1における注入、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞のH2における注入後10週目におけるマウスの末梢血からの総CD45細胞のパーセントとして、hCD3、hCD33、hCD19、および他のhCD45細胞の相対量を示す。
図23C】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からの10週目のhCD45細胞のパーセントとして、GFP細胞のフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図23D】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からの10週目の総CD45細胞のパーセントとして、GFP細胞のフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図24A】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からの12週目のhCD45細胞について、フローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図24B】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞のD1における注入、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞のH2における注入後12週目におけるマウスの末梢血からの総CD45細胞のパーセントとして、hCD3、hCD33、hCD19、および他のhCD45細胞の相対量を示す。
図24C】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からの12週目のhCD45細胞のパーセントとして、GFP細胞のフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図24D】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からの12週目の総CD45細胞のパーセントとして、GFP細胞のフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図25A】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からの14週目のhCD45細胞について、フローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図25B】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞のD1における注入、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞のH2における注入後14週目におけるマウスの末梢血からの総CD45細胞のパーセントとして、hCD3、hCD33、hCD19、および他のhCD45細胞の相対量を示す。
図25C】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からの14週目のhCD45細胞のパーセントとして、GFP細胞のフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図25D】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からの14週目の総CD45細胞のパーセントとして、GFP細胞のフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図26A】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からの16週目のhCD45細胞について、フローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図26B】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞のD1における注入、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞のH2における注入後16週目におけるマウスの末梢血からの総CD45細胞のパーセントとして、hCD3、hCD33、hCD19、および他のhCD45細胞の相対量を示す。
図26C】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からの16週目のhCD45細胞のパーセントとして、GFP細胞のフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図26D】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からの16週目の総CD45細胞のパーセントとして、GFP細胞のフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図27A】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの骨髄からの16週目のhCD45細胞について、フローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図27B】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞のD1における注入、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞のH2における注入後16週目におけるマウスの骨髄からの総CD45細胞のパーセントとして、hCD3、hCD33、hCD19、および他のhCD45細胞の相対量を示す。
図28A】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの骨髄からの16週目のCD34細胞のパーセントとして、GFP細胞のフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図28B】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの骨髄からの16週目のhCD45細胞のパーセントとして、GFP細胞のフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図28C】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの骨髄からの16週目の総CD45細胞のパーセントとして、GFP細胞のフローサイトメトリー結果の定量化を示す。
図29A】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からのhCD45血細胞の時間経過を示す。
図29B】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からのhCD45細胞のパーセントとして、GFP細胞の時間経過を示す。
図29C】i)scAAV6 0カットもしくはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入された、またはii)scAAV6 2カット(新鮮な解凍)のNHEJを介した標的組込みによってH1において編集されたヒトCD34細胞をH2において注入されたマウスの末梢血からの総CD45細胞のパーセントとして、GFP細胞の時間経過を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
出願人は、相同性指向修復(HDR)を十分に行わない細胞中の標的遺伝子座におけるゲノム修飾のためのシステムおよび方法を発見した。特に、出願人は、長期生着造血幹細胞(LT-HSC)および静止(休止)T細胞を含む他の静止細胞における改善された編集、ならびに操作された細胞を作製し、使用する方法、およびそのような方法に有用な組成物を実証した。
【0036】
以前のデータは、HDRを受けるHSCは、長期生着の可能性を失ったものであり、修正されたHSCが疾患の永続的な治療的修正を不可能にすることを示した。逆に、長期生着の可能性を保持しているHSCは分裂しないため、HDRを効率的に受けない。対照的に、非相同末端結合(NHEJ)は、LT-HSCなどの静止細胞を含むすべての細胞型で作動するDNA二本鎖切断(DSB)修復機序である。出願人は、この経路を操作して、静止LT-HSCおよび静止T細胞における導入遺伝子の標的組込みを媒介し、編集された細胞の長期生着および導入遺伝子の持続的発現を可能にすることを発見した。例えば、ヒトCD34細胞は、インビボドナー切断のためのCRISPR/Cas9認識部位とのNHEJを介した組込みに二本鎖ドナーテンプレートを採用して、GFP発現カセットを内因性PPP1R12C遺伝子座に標的組込みするためのCRISPR/Cas9システムを使用して編集された。編集された細胞を注入されたマウスでは、末梢出血からのhCD45細胞の割合としてのGFP細胞の量は、注入後16週目まで安定しており、CRISPR/Cas9システムが、LT-HSCを編集することができ、編集されたLT-HSCが、治療用途に役立つのに十分な時間にわたって生着および持続可能であったことを実証した。このプラットフォーム技術により、異種核酸の標的遺伝子修正または挿入を、LT-HSC中でそれらの生着の可能性を失うことなく実施することができ、これらの編集されたHSCの治療用途での使用を可能にする。
【0037】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で参照されるすべての特許、出願、公開された出願、および他の刊行物は、特に明記しない限り、それら全体が参照により明示的に組み込まれる。本明細書の用語に複数の定義がある場合、特に明記しない限り、このセクションの定義が優先する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「a」または「an」は、1つまたは2つ以上を意味し得る。
【0039】
「約」は、明細書に照らして読むと、その平易かつ通常の意味を持ち、例えば、測定可能な値を指すときに使用することができ、指定値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、およびなおもより好ましくは±0.1%の変動を包含することを意味し得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、「タンパク質配列」は、タンパク質の一次構造であるアミノ酸のポリペプチド配列を指す。本明細書で使用される場合、「上流」は、ポリヌクレオチド上の位置の5′位、およびポリペプチド上の位置のN末端に向かう位置を指す。本明細書で使用される場合、「下流」は、ヌクレオチド上の位置の3′位、およびポリペプチド上の位置のC末端に向かう位置を指す。したがって、「N末端」という用語は、ポリペプチド上の位置のN末端に向かうポリヌクレオチド上の要素または場所の位置を指す。
【0041】
「核酸」または「核酸分子」は、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)などのポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生成されるフラグメント、およびライゲーション、切断、エンドヌクレアーゼ作用、およびエキソヌクレアーゼ作用のうちのいずれかによって生成されるフラグメントを指す。核酸分子は、天然型ヌクレオチド(DNAおよびRNAなど)であるモノマー、または天然型ヌクレオチドの類似体(例えば、天然型ヌクレオチドのエナンチオマー形態)、または両方の組み合わせから構成され得る。修飾ヌクレオチドは、糖部分および/またはピリミジンもしくはプリン塩基部分に改変を有する可能性がある。糖修飾には、例えば、1つ以上のヒドロキシル基のハロゲン、アルキル基、アミン、およびアジド基による置換が含まれるか、または糖をエーテルもしくはエステルとして官能化することができる。さらに、糖部分全体を、アザ糖および炭素環式糖類似体などの立体的かつ電子的に類似した構造に置き換えることができる。塩基部分の修飾の例には、アルキル化プリンおよびピリミジン、アシル化プリンもしくはピリミジン、または他の周知の複素環式置換基が含まれる。核酸モノマーは、ホスホジエステル結合またはそのような結合の類似体によって結合することができる。ホスホジエステル結合の類似体には、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホルアニリデート、ホスホルアミデート等が含まれる。「核酸分子」という用語はまた、いわゆる「ペプチド核酸」を含み、これはポリアミド骨格に結合した天然型または修飾型核酸塩基を含む。核酸は、一本鎖または二本鎖のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、融合タンパク質をコードする核酸配列が提供される。いくつかの実施形態では、核酸は、RNAまたはDNAである。
【0042】
「コーディング」または「エンコーディング」は、本明細書で使用され、遺伝子、cDNA、またはmRNAなどのポリヌクレオチド中のヌクレオチドの特定の配列の特性を指し、定義されたアミノ酸配列などの他の高分子の合成のためのテンプレートとして役立つ。したがって、その遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳が、細胞または他の生体系においてタンパク質を産生する場合、その遺伝子はタンパク質をコードする。
【0043】
「ポリペプチドをコードする核酸配列」は、互いに縮重したバージョンであり、同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸が提供され、ここで核酸は、融合タンパク質をコードする。
【0044】
「ベクター」、「発現ベクター」、「ドナー」、または「構築物」は、細胞内で異種核酸の発現を提供するための調節エレメントを有する細胞に異種核酸を導入するために使用される核酸である。ベクターには、プラスミド、ミニサークル、酵母、およびウイルスゲノムが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ベクターは、プラスミド、ミニサークル、酵母、またはウイルスゲノムである。いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスである。いくつかの実施形態では、ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは、E.coliなどの細菌系におけるタンパク質発現のためのものである。本明細書で使用される場合、「発現」または「タンパク質発現」という用語は、転写されたRNA分子のタンパク質分子への翻訳を指す。タンパク質の発現は、その時間的、空間的、発達的、または形態学的な性質、ならびに定量的または定性的な兆候を特徴とし得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のタンパク質は、タンパク質がリガンドの存在下で二量体化のために位置付けられるように発現される。
【0045】
本明細書で使用される場合、「調節エレメント」という用語は、遺伝子調節活性を有するDNA分子、例えば、作動可能に連結された転写可能なDNA分子の転写および/または翻訳に影響を与える能力を有するものを指す。プロモーター、リーダー、イントロン、および転写終結領域などの調節エレメントは、遺伝子調節活性を有し、生細胞における遺伝子の全体的な発現に不可欠な役割を果たすDNA分子である。したがって、植物において機能するプロモーターなどの単離された調節要素は、遺伝子工学の方法を通じて植物の表現型を修飾するのに有用である。
【0046】
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結された」という用語は、第2の分子に接合された第1の分子を指し、分子は、第1の分子が第2の分子の機能に影響を与えるように配置される。2つの分子は、単一の連続する分子の一部であり得、隣接し得る。例えば、プロモーターが細胞内の目的の転写可能なDNA分子の転写を調節する場合、プロモーターは、転写可能なDNA分子に作動可能に連結されている。
【0047】
「プロモーター」は、特定の遺伝子の転写を開始するDNAの領域である。プロモーターは、遺伝子の転写開始部位の近く、同じ鎖上、およびDNAの上流(センス鎖の5′領域)に位置し得る。プロモーターは、条件付き、誘導性、または構成的プロモーターであり得る。プロモーターは、細菌、哺乳動物、または昆虫細胞のタンパク質発現に特異的であり得る。融合タンパク質をコードする核酸が提供されるいくつかの実施形態では、核酸は、プロモーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、細菌、哺乳動物、または昆虫細胞のタンパク質発現に特異的である。いくつかの実施形態では、プロモーターは、条件付き、誘導性、または構成的プロモーターである。
【0048】
本明細書で使用される場合、「対象」は、治療、観察、または実験の対象である動物を指す。「動物」は、魚、甲殻類、爬虫類、特に哺乳類などの冷血および温血の脊椎動物および無脊椎動物を含む。「哺乳類」は、限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、霊長類(サル、チンパンジー、類人猿など)、特にヒトを含む。いくつかの代替例では、対象は、ヒトである。
【0049】
NHEJを介したゲノム編集のためのシステム
一態様では、本明細書で提供されるのは、外因性核酸の標的組込みを含む操作された細胞(例えば、LT-HSCなどの操作された造血幹細胞)を生成するためのシステムであり、外因性核酸は、非相同末端結合(NHEJ)によって標的遺伝子座に挿入される。このシステムは、a)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸(ヌクレアーゼは、ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む標的遺伝子座でのゲノム編集を媒介することができる)、およびb)二本鎖ドナー核酸(二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列を含み、NHEJによって標的遺伝子座に挿入されるように構成される)を含む。いくつかの実施形態では、システムは、編集されるセルをさらに含む。とりわけ、エクスビボゲノム編集を採用して、機能的標的タンパク質欠損に関連する障害または健康状態を有するか、または有すると疑われる対象を治療するためのシステムも提供される。例えば、いくつかの実施形態では、対象は、標的細胞における標的タンパク質の機能的欠損(例えば、標的タンパク質の発現および/または活性の欠損)に起因する疾患を有し、システムは、標的細胞またはその前駆体におけるゲノム編集を媒介することができ、疾患が治療されるように、対象におけるゲノム編集細胞またはそれらの子孫における標的タンパク質またはその機能的誘導体の十分な発現を可能にする。いくつかの実施形態では、標的細胞またはその前駆体は、エクスビボで編集され、対象に投与される。
【0050】
いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸を含む本明細書に記載のシステムのうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第1の末端に隣接するヌクレアーゼの第2の認識配列をさらに含む。例えば、いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼの第2の認識配列は、外因性核酸配列の第1の末端に直接隣接するか、または約5塩基以上(例えば、約10、20、50、100、200、500、1000塩基、もしくはそれ以上のうちのいずれか)外因性核酸配列の最初の末端から離れている。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第2の末端に隣接する第3の認識配列をさらに含む。例えば、いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼの第3の認識配列は、外因性核酸配列の第2の末端に直接隣接するか、または約5塩基以上(例えば、約10、20、50、100、200、500、1000塩基、もしくはそれ以上のうちのいずれか)外因性核酸配列の第2の末端から離れている。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されず、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されるように構成される。
【0051】
いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸を含む本明細書に記載のシステムのうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノムである。いくつかの実施形態では、二本鎖ウイルスゲノムは、アデノウイルスゲノム、レンチウイルスゲノム(例えば、レンチウイルスRNAゲノムのdsDNA中間体)、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、AAVゲノムは、自己相補的AAV(scAAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、scAAVゲノムは、scAAV6ゲノムである。いくつかの実施形態では、レンチウイルスゲノムは、インテグラーゼ欠損レンチウイルスゲノムである。
【0052】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸を含む本明細書に記載のシステムのうちのいずれかに従い、ヌクレアーゼは、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)である。いくつかの実施形態では、RGENは、Cas9ヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、システムは、標的遺伝子座における第1の認識配列を切断するようにRGENを誘導することができるgRNAをさらに含む。いくつかの実施形態では、gRNAは、ドナー核酸における1つ以上の認識配列を切断するようにRGENを誘導することができる。いくつかの実施形態では、システムは、RGENおよびgRNAを含むリボ核タンパク質(RNP)を含む。いくつかの実施形態では、システムは、RGENをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、RGENをコードする核酸は、mRNAまたはプラスミドである。
【0053】
いくつかの実施形態では、RGENまたはRGENをコードする核酸を含む本明細書に記載のシステムのうちのいずれかに従い、標的遺伝子座および二本鎖ドナー核酸におけるヌクレアーゼの認識配列の各々は、プロトスペーサー配列である。いくつかの実施形態では、システムは、プロトスペーサー配列のうちの1つ以上を標的とする1つ以上のgRNAをさらに含む。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座および二本鎖ドナー核酸におけるプロトスペーサーの各々は同じであり、システムは、プロトスペーサー配列を標的とする1つのgRNAを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムは、i)第1のプロトスペーサーを含む第1の核酸、およびii)スペーサーを含むgRNAを含み、第1のプロトスペーサーは、スペーサーに対する不完全な一致であり、第1のプロトスペーサーがスペーサーに一致する程度は、第1のプロトスペーサーにおける第1の核酸の修飾を可能にするのに十分である。対応するgRNAに関連するそのようなプロトスペーサーは、本明細書では「遅延作用プロトスペーサー」または「DAP」とも称される。そのようなシステムは、DAPとスペーサーとの間の一致の程度を変えることによって、第1のプロトスペーサーにおける第1の核酸の、RGENを介した切断の一時的な制御を可能にする。いくつかの実施形態では、DAPは、スペーサーよりも少なくとも約1ヌクレオチド(例えば、少なくとも約2、3、またはそれ以上のうちのいずれか)だけ長さが短い。いくつかの実施形態では、DAPは、スペーサーとの少なくとも約1(例えば、少なくとも約2、3、またはそれ以上のうちのいずれか)ヌクレオチドミスマッチを含む。例えば、gRNAは、配列番号8のポリヌクレオチド配列からのスペーサーを含み得、第1のプロトスペーサーは、配列番号16~28のうちのいずれか1つのポリヌクレオチド配列からのプロトスペーサーを含み得る。いくつかの実施形態では、システムは、第2のプロトスペーサーを含む第2の核酸をさらに含み、第2のプロトスペーサーは、スペーサーに完全に一致する。例えば、gRNAは、配列番号8のポリヌクレオチド配列からのスペーサーを含み得、第2のプロトスペーサーは、配列番号9のポリヌクレオチド配列からのプロトスペーサーを含み得る。そのようなシステムは、単一のgRNAを使用してそれぞれのプロトスペーサーでの第1および第2の核酸の、RGENを介した切断の異なる時間的プロファイルを可能にし、gRNAスペーサーに不完全に一致する第1のプロトスペーサーでの第1の核酸の切断の開始と比較して、gRNAスペーサーに完全に一致する第2のプロトスペーサーでの第2の核酸の切断の開始がより速い。
【0055】
標的部位の切断の一時的な制御を容易にするための、標的核酸またはドナーテンプレートなどの核酸におけるDAPの存在には、いくつかの利点がある。一つには、そのような核酸にDAPが存在することにより、異なる時間に投与される各遺伝子座に複数のgRNAを必要とせずに、複数の遺伝子座における標的部位の切断の一時的な制御が可能になる。これにより、ゲノム編集システムを比較的少ないスペースに被包することができ、使用するgRNAの数が少なくなるため、オフターゲット効果の可能性が低くなる。本開示の実施形態のさらなる利点は、当業者には明らかであろう。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムのうちのいずれかに従い、システムは、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、外因性核酸が挿入される標的遺伝子座において第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができる)、およびc)二本鎖ドナー核酸を含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが片側または両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、第1のプロトスペーサーおよび第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。いくつかの実施形態では、システムは、標的遺伝子座を含む細胞をさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞は、相同性指向修復(HDR)に必要な機構を欠いている。いくつかの実施形態では、細胞は、長期生着造血幹細胞(LT-HSC)などの造血幹細胞(HSC)である。いくつかの実施形態では、細胞は、SCID再増殖細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、以下のマーカー:Lin/CD34/CD38/CD90/CD45RAのうちの1つ以上(例えば、2、3、4、または5のうちのいずれか)を特徴とする。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a、CD41a、CD3、CD19、CD14、CD16、CD20、およびCD56のうちの1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、または8のうちのいずれか)として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a/CD41a/CD3/CD19/CD14/CD16/CD20/CD56として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、細胞は、静止T細胞である。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムのうちのいずれかに従い、システムは、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、外因性核酸が挿入される標的遺伝子座において第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する)、およびc)二本鎖ドナー核酸を含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。いくつかの実施形態では、システムは、標的遺伝子座を含む細胞をさらに含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムのうちのいずれかに従い、システムは、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、外因性核酸が挿入される標的遺伝子座において第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである)、およびc)二本鎖ドナー核酸を含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。いくつかの実施形態では、システムは、標的遺伝子座を含む細胞をさらに含む。
【0059】
NHEJを介したゲノム編集の方法
一態様では、本明細書で提供されるのは、細胞中の標的遺伝子座におけるゲノム修飾のための方法であり、(a)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸を細胞に導入することであって、標的遺伝子座が、ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む、導入することと、(b)二本鎖ドナー核酸を細胞に導入することであって、二本鎖核酸が、外因性核酸配列を含み、NHEJによって標的遺伝子座に挿入されるように構成される、導入することと、を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞におけるゲノム修飾の方法のうちのいずれかに従い、細胞は、相同性指向修復(HDR)に必要な機構を欠いている。いくつかの実施形態では、細胞は、長期生着造血幹細胞(LT-HSC)などの造血幹細胞(HSC)である。いくつかの実施形態では、細胞は、SCID再増殖細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、以下のマーカー:Lin/CD34/CD38/CD90/CD45RAのうちの1つ以上(例えば、2、3、4、または5のうちのいずれか)を特徴とする。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a、CD41a、CD3、CD19、CD14、CD16、CD20、およびCD56のうちの1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、または8のうちのいずれか)として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a/CD41a/CD3/CD19/CD14/CD16/CD20/CD56として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、細胞は、静止T細胞である。
【0061】
いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸を採用する本明細書に記載の方法のうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第1の末端に隣接するヌクレアーゼの第2の認識配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第2の末端に隣接する第3の認識配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、細胞への導入後、第2および/または第3の認識配列において切断される。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されず、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されるように構成される。
【0062】
いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸を採用する本明細書に記載の方法のうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノムである。いくつかの実施形態では、二本鎖ウイルスゲノムは、アデノウイルスゲノム、レンチウイルスゲノム(例えば、レンチウイルスRNAゲノムのdsDNA中間体)、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、AAVゲノムは、自己相補的AAV(scAAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、scAAVゲノムは、scAAV6ゲノムである。いくつかの実施形態では、レンチウイルスゲノムは、インテグラーゼ欠損レンチウイルスゲノムである。
【0063】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸を採用する本明細書に記載の方法のうちのいずれかに従い、ヌクレアーゼは、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)である。いくつかの実施形態では、RGENは、Cas9ヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、この方法は、標的遺伝子座における第1の認識配列を切断するようにRGENを誘導することができるgRNAを細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、gRNAは、ドナー核酸における1つ以上の認識配列を切断するようにRGENを誘導することができる。いくつかの実施形態では、この方法は、RGENおよびgRNAを含むリボ核タンパク質(RNP)を細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、RGENをコードする核酸を細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、RGENをコードする核酸は、mRNAまたはプラスミドである。
【0064】
いくつかの実施形態では、RGENまたはRGENをコードする核酸を採用する本明細書に記載の方法のうちのいずれかに従い、標的遺伝子座および二本鎖ドナー核酸におけるヌクレアーゼの認識配列の各々は、プロトスペーサー配列である。いくつかの実施形態では、この方法は、プロトスペーサー配列のうちの1つ以上を標的とする1つ以上のgRNAを細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座および二本鎖ドナー核酸におけるプロトスペーサーの各々は同じであり、この方法は、プロトスペーサー配列を標的とする1つのgRNAを細胞に導入することを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、外因性核酸を細胞中の標的遺伝子座に組み込むための方法であり、細胞ゲノムは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを含み、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができる)、およびc)二本鎖ドナー核酸を細胞に導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが片側または両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、第1のプロトスペーサーおよび第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、DAPは、gRNAスペーサーよりも少なくとも約1ヌクレオチド(例えば、少なくとも約2、3、またはそれ以上のうちのいずれか)だけ長さが短い。いくつかの実施形態では、DAPは、gRNAスペーサーとの少なくとも約1(例えば、少なくとも約2、3、またはそれ以上のうちのいずれか)ヌクレオチドミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。いくつかの実施形態では、細胞は、相同性指向修復(HDR)に必要な機構を欠いている。いくつかの実施形態では、細胞は、LT-HSCなどのHSCである。いくつかの実施形態では、細胞は、SCID再増殖細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、以下のマーカー:Lin/CD34/CD38/CD90/CD45RAのうちの1つ以上(例えば、2、3、4、または5のうちのいずれか)を特徴とする。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a、CD41a、CD3、CD19、CD14、CD16、CD20、およびCD56のうちの1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、または8のうちのいずれか)として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a/CD41a/CD3/CD19/CD14/CD16/CD20/CD56として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、細胞は、静止T細胞である。いくつかの実施形態では、この方法は、RGENおよびgRNAを含むRNPを細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、RGENをコードする核酸を細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、RGENをコードする核酸は、mRNAまたはプラスミドである。いくつかの実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、外因性核酸を細胞中の標的遺伝子座に組み込むための方法であり、細胞ゲノムは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを含み、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する)、およびc)二本鎖ドナー核酸を細胞に導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、外因性核酸を細胞中の標的遺伝子座に組み込むための方法であり、細胞ゲノムは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを含み、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである)、およびc)二本鎖ドナー核酸を細胞に導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のゲノム修飾の方法のうちのいずれかに従い、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸は、ドナー核酸が細胞に導入される前に細胞に導入される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸は、ドナー核酸が細胞に導入される前の1時間以内に細胞に導入される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸は、ドナー核酸が細胞に導入される前の5分以内に細胞に導入される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸を細胞に導入することは、RGENおよびgRNAを含むRNPを細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノム、例えば、scAAVゲノムである。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のゲノム修飾の方法のうちのいずれかに従い、この方法は、ドナー核酸が細胞に導入される前に、RGENおよびgRNAを含むRNPを細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、RNPは、ドナー核酸が細胞に導入される前の1時間以内に細胞に導入される。いくつかの実施形態では、RNPは、ドナー核酸が細胞に導入される前の5分以内に細胞に導入される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノム、例えば、scAAVゲノムである。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のゲノム修飾の方法のうちのいずれかに従い、細胞は、低酸素条件下で培養される。
【0071】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のゲノム修飾の方法のうちのいずれかに従い、細胞は、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸およびドナー核酸を細胞に導入する前に、約48時間まで培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸およびドナー核酸を細胞に導入する前に、約24時間まで培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸およびドナー核酸を細胞に導入する前に、約2時間まで培養される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸を細胞に導入することは、RGENおよびgRNAを含むRNPを細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノム、例えば、scAAVゲノムである。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のゲノム修飾の方法のうちのいずれかに従い、細胞は、Notchリガンドの存在下で培養される。いくつかの実施形態では、Notchリガンドは、Delta様Notchリガンド(DLL)、Jagged-1、Jagged-2、またはそれらのコンジュゲートである。いくつかの実施形態では、Delta様Notchリガンドは、DLL1、DLL3、またはDLL4である。いくつかの実施形態では、Notchリガンドは、Fc-DLL1、Fc-DLL3、Fc-DLL4、Fc-Jagged-1、またはFc-Jagged-2である。
【0073】
一態様では、本明細書で提供されるのは、HSC中の標的遺伝子座におけるゲノム修飾のための方法であり、(a)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸をHSCに導入することであって、標的遺伝子座が、ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む、導入することと、(b)二本鎖ドナー核酸をHSCに導入することであって、二本鎖核酸が、外因性核酸配列を含み、NHEJによって標的遺伝子座に挿入されるように構成される、導入することと、を含む。いくつかの実施形態では、HSCは、長期生着HSC(LT-HSC)またはSCID再増殖細胞である。いくつかの実施形態では、HSCは、以下のマーカー:Lin/CD34/CD38/CD90/CD45RAのうちの1つ以上(例えば、2、3、4、または5のうちのいずれか)を特徴とする。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a、CD41a、CD3、CD19、CD14、CD16、CD20、およびCD56のうちの1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、または8のうちのいずれか)として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a/CD41a/CD3/CD19/CD14/CD16/CD20/CD56として特徴付けられる。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、外因性核酸をHSC中の標的遺伝子座に組み込むための方法であり、HSCゲノムは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを含み、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができる)、およびc)二本鎖ドナー核酸をHSCに導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが片側または両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、第1のプロトスペーサーおよび第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。いくつかの実施形態では、この方法は、RGENおよびgRNAを含むRNPをHSCに導入することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、RGENをコードする核酸をHSCに導入することを含む。いくつかの実施形態では、RGENをコードする核酸は、mRNAまたはプラスミドである。いくつかの実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、外因性核酸をHSC中の標的遺伝子座に組み込むための方法であり、HSCゲノムは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを含み、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する)、およびc)二本鎖ドナー核酸をHSCに導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、外因性核酸をHSC中の標的遺伝子座に組み込むための方法であり、HSCゲノムは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを含み、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである)、およびc)二本鎖ドナー核酸をHSCに導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。
【0077】
一態様では、本明細書で提供されるのは、静止T細胞内の標的遺伝子座におけるゲノム修飾のための方法であり、(a)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸を静止T細胞に導入することであって、標的遺伝子座が、ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む、導入することと、(b)二本鎖ドナー核酸を静止T細胞に導入することであって、二本鎖核酸が、外因性核酸配列を含み、NHEJによって標的遺伝子座に挿入されるように構成される、導入することと、を含む。いくつかの実施形態では、静止T細胞は、非活性化T細胞である。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、外因性核酸を静止T細胞中の標的遺伝子座に組み込むための方法であり、静止T細胞ゲノムは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを含み、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができる)、およびc)二本鎖ドナー核酸を静止T細胞に導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが片側または両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、第1のプロトスペーサーおよび第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。いくつかの実施形態では、この方法は、RGENおよびgRNAを含むRNPを静止T細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、RGENをコードする核酸を静止T細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、RGENをコードする核酸は、mRNAまたはプラスミドである。いくつかの実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、外因性核酸を静止T細胞中の標的遺伝子座に組み込むための方法であり、静止T細胞ゲノムは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを含み、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する)、およびc)二本鎖ドナー核酸を静止T細胞に導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、外因性核酸を静止T細胞中の標的遺伝子座に組み込むための方法であり、静止T細胞ゲノムは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを含み、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである)、およびc)二本鎖ドナー核酸を静止T細胞に導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。
【0081】
一態様では、本明細書で提供されるのは、HDR欠損細胞中の標的遺伝子座におけるゲノム修飾のための方法であり、(a)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸をHDR欠損細胞に導入することであって、標的遺伝子座が、ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む、導入することと、(b)二本鎖ドナー核酸をHDR欠損細胞に導入することであって、二本鎖核酸が、外因性核酸配列を含み、NHEJによって標的遺伝子座に挿入されるように構成される、導入することと、を含む。いくつかの実施形態では、この方法は、二本鎖ドナー核酸の標的遺伝子座への組み込みに十分な時間、HDR欠損細胞を培養することをさらに含み、ステップは、二本鎖ドナー核酸の挿入効率が少なくとも約4%(例えば、少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、またはそれ以上のうちのいずれか)であるように実行される。いくつかの実施形態では、HDR欠損細胞は、分裂しておらず、複製しておらず、したがって、HDRの機構を発現していない任意の細胞型である。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、外因性核酸をHDR欠損細胞中の標的遺伝子座に組み込むための方法であり、HDR欠損細胞ゲノムは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを含み、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができる)、およびc)二本鎖ドナー核酸をHDR欠損細胞に導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが片側または両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、第1のプロトスペーサーおよび第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。いくつかの実施形態では、この方法は、RGENおよびgRNAを含むRNPをHDR欠損細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、RGENをコードする核酸をHDR欠損細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、RGENをコードする核酸は、mRNAまたはプラスミドである。いくつかの実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、外因性核酸をHDR欠損細胞中の標的遺伝子座に組み込むための方法であり、HDR欠損細胞ゲノムは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを含み、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する)、およびc)二本鎖ドナー核酸をHDR欠損細胞に導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、外因性核酸をHDR欠損細胞中の標的遺伝子座に組み込むための方法であり、HDR欠損細胞ゲノムは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを含み、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致しないDAPである)、およびc)二本鎖ドナー核酸をHDR欠損細胞に導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。
【0085】
操作された細胞
いくつかの態様では、本明細書で提供されるのは、標的染色体遺伝子座において組み込まれた外因性核酸配列を含む、操作された哺乳動物細胞(例えば、HSC、T細胞)などの操作された細胞であり、外因性核酸配列は、NHEJによって標的遺伝子座に組み込まれている。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、本明細書に記載のゲノム編集の方法のうちのいずれかによって産生される。「操作された細胞」という用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫も指す。変異または環境の影響のいずれかにより、特定の修飾が次の世代で発生する可能性があるため、そのような子孫は、実際には親細胞と同一ではない可能性があるが、依然として本明細書で使用される用語の範囲内に含まれる。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、(a)ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む標的遺伝子座、(b)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸、および(c)外因性核酸配列を含む二本鎖ドナー核酸を含む操作された細胞(例えば、LT-HSCなどのHSC、もしくは静止T細胞などのT細胞)であって、二本鎖ドナー核酸は、相同性に依存しない機序(例えば、NHEJ)によって標的遺伝子座に挿入されるように構成される。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかによる、細胞中の標的遺伝子座におけるゲノム修飾のための方法によって調製された、操作された細胞(例えば、LT-HSCなどのHSC、または静止T細胞などのT細胞)である。いくつかの実施形態では、この方法は、(a)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸を入力された細胞に導入することであって、標的遺伝子座が、ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む、導入することと、(b)二本鎖ドナー核酸を入力された細胞に導入することであって、二本鎖核酸が、外因性核酸配列を含み、相同性に依存しない機序(例えば、NHEJ)によって標的遺伝子座に挿入されるように構成される、導入することと、を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された細胞のうちのいずれかに従い、細胞は、相同性指向修復(HDR)に必要な機構を欠いている。いくつかの実施形態では、細胞は、長期生着造血幹細胞(LT-HSC)などの造血幹細胞(HSC)である。いくつかの実施形態では、細胞は、SCID再増殖細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、以下のマーカー:Lin/CD34/CD38/CD90/CD45RAのうちの1つ以上(例えば、2、3、4、または5のうちのいずれか)を特徴とする。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a、CD41a、CD3、CD19、CD14、CD16、CD20、およびCD56のうちの1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、または8のうちのいずれか)として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a/CD41a/CD3/CD19/CD14/CD16/CD20/CD56として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、細胞は、静止T細胞である。
【0089】
いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸を含む本明細書に記載の操作された細胞のうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第1の末端に隣接するヌクレアーゼの第2の認識配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第2の末端に隣接する第3の認識配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されず、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されるように構成される。
【0090】
いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸を含む本明細書に記載の操作された細胞のうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノムである。いくつかの実施形態では、二本鎖ウイルスゲノムは、アデノウイルスゲノム、レンチウイルスゲノム(例えば、レンチウイルスRNAゲノムのdsDNA中間体)、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、AAVゲノムは、自己相補的AAV(scAAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、scAAVゲノムは、scAAV6ゲノムである。いくつかの実施形態では、レンチウイルスゲノムは、インテグラーゼ欠損レンチウイルスゲノムである。
【0091】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸を含む本明細書に記載の操作された細胞のうちのいずれかに従い、ヌクレアーゼは、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)である。いくつかの実施形態では、RGENは、Cas9ヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、標的遺伝子座における第1の認識配列を切断するようにRGENを誘導することができるgRNAをさらに含む。いくつかの実施形態では、gRNAは、ドナー核酸における1つ以上の認識配列を切断するようにRGENを誘導することができる。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、RGENおよびgRNAを含むリボ核タンパク質(RNP)を含む。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、RGENをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、RGENをコードする核酸は、mRNAまたはプラスミドである。
【0092】
いくつかの実施形態では、RGENまたはRGENをコードする核酸を含む本明細書に記載の操作された細胞のうちのいずれかに従い、標的遺伝子座および二本鎖ドナー核酸におけるヌクレアーゼの認識配列の各々は、プロトスペーサー配列である。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、プロトスペーサー配列のうちの1つ以上を標的とする1つ以上のgRNAをさらに含む。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座および二本鎖ドナー核酸におけるプロトスペーサーの各々は同じであり、操作された細胞は、プロトスペーサー配列を標的とする1つのgRNAを含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された細胞は、i)第1のプロトスペーサーを含む第1の核酸、およびii)スペーサーを含むgRNAを含み、第1のプロトスペーサーは、スペーサーに不完全に一致するDAPであり、第1のプロトスペーサーがスペーサーに一致する程度は、第1のプロトスペーサーにおける第1の核酸の修飾を可能にするのに十分である。いくつかの実施形態では、DAPは、スペーサーよりも少なくとも約1ヌクレオチド(例えば、少なくとも約2、3、またはそれ以上のうちのいずれか)だけ長さが短い。いくつかの実施形態では、DAPは、スペーサーとの少なくとも約1(例えば、少なくとも約2、3、またはそれ以上のうちのいずれか)ヌクレオチドミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、第2のプロトスペーサーを含む第2の核酸をさらに含み、第2のプロトスペーサーは、スペーサーに完全に一致する。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された細胞のうちのいずれかに従い、操作された細胞は、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、外因性核酸が挿入される操作された細胞中の標的遺伝子座において第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができる)、およびc)二本鎖ドナー核酸を含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが片側または両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、第1のプロトスペーサーおよび第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、相同性指向修復(HDR)に必要な機構を欠いている。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、LT-HSCなどのHSCである。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、SCID再増殖細胞である。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、以下のマーカー:Lin/CD34/CD38/CD90/CD45RAのうちの1つ以上(例えば、2、3、4、または5のうちのいずれか)を特徴とする。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a、CD41a、CD3、CD19、CD14、CD16、CD20、およびCD56のうちの1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、または8のうちのいずれか)として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a/CD41a/CD3/CD19/CD14/CD16/CD20/CD56として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、静止T細胞である。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された細胞のうちのいずれかに従い、操作された細胞は、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、外因性核酸が挿入される操作された細胞中の標的遺伝子座において第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する)、およびc)二本鎖ドナー核酸を含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された細胞のうちのいずれかに従い、操作された細胞は、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、外因性核酸が挿入される操作された細胞中の標的遺伝子座において第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである)、およびc)二本鎖ドナー核酸を含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。
【0097】
いくつかの実施形態では、操作された細胞は、HSCであり、LT-HSCおよび短期生着HSC(ST-HSC)、例えばCD34であるが、CD90、CD38、および/またはCD45RAではないHSCの両方を含む。
【0098】
HSCは、既知の技法に従って収集し、フローサイトメトリーおよび/または免疫磁気選択などの抗体への親和性結合などの既知の技法によって濃縮または枯渇させることができる。いくつかの実施形態では、HSCは、患者から得られた自己HSCである。
【0099】
いくつかの実施形態では、操作された細胞は、T細胞、またはT細胞に分化することができる前駆体細胞である。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、CD3、CD8、および/またはCD4Tリンパ球である。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、CD8T細胞傷害性リンパ球細胞であり、これはナイーブCD8T細胞、中央記憶CD8T細胞、エフェクター記憶CD8T細胞、またはバルクCD8T細胞を含み得る。
【0100】
リンパ球(Tリンパ球)は、既知の技法に従って収集し、フローサイトメトリーおよび/または免疫磁気選択などの抗体への親和性結合などの既知の技法によって濃縮または枯渇させることができる。いくつかの実施形態では、T細胞は、患者から得られた自己T細胞である。
【0101】
本開示はさらに、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるように操作された細胞を含む組成物を提供する。
【0102】
操作された細胞の生着方法
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、個体の標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集されたHSCを生着させる方法であり、本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかによる編集されたHSCの集団を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、編集されたHSCは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16週間、またはそれ以上のうちのいずれかにわたって個体において持続する。いくつかの実施形態では、編集されたHSCの集団は、本明細書に記載の方法のうちのいずれかに従って調製される。いくつかの実施形態では、個体における編集されたHSCの生着の量は、相同性に依存する機序を使用して調製された対応する編集されたHSCの生着の量と同じか、またはそれより多い。いくつかの実施形態では、編集されたHSCの集団は、個体から得られたHSCの入力された集団に由来するHSCの出力された集団に含まれる。いくつかの実施形態では、個体から得られたHSCの入力された集団は、LT-HSCおよびST-HSCを含むHSCの混合集団を含み、生着する編集されたHSCの集団は、編集されたLT-HSCを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、HSCの出力された集団を個体に投与することを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の個体の標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集されたHSCを生着させる方法のうちのいずれかに従い、編集されたHSCは、(a)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸をHSCに導入することであって、標的遺伝子座が、ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む、導入することと、(b)二本鎖ドナー核酸をHSCに導入することであって、二本鎖核酸が、外因性核酸配列を含み、NHEJによって標的遺伝子座に挿入されるように構成される、導入することと、を含む方法によって調製される。いくつかの実施形態では、HSCは、長期生着造血幹細胞(LT-HSC)である。いくつかの実施形態では、HSCは、SCID再増殖細胞である。いくつかの実施形態では、HSCは、以下のマーカー:Lin/CD34/CD38/CD90/CD45RAのうちの1つ以上(例えば、2、3、4、または5のうちのいずれか)を特徴とする。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a、CD41a、CD3、CD19、CD14、CD16、CD20、およびCD56のうちの1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、または8のうちのいずれか)として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a/CD41a/CD3/CD19/CD14/CD16/CD20/CD56として特徴付けられる。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の個体の標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集されたHSCを生着させる方法のうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第1の末端に隣接するヌクレアーゼの第2の認識配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第2の末端に隣接する第3の認識配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、細胞への導入後、第2および/または第3の認識配列において切断される。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されず、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されるように構成される。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の個体の標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集されたHSCを生着させる方法のうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノムである。いくつかの実施形態では、二本鎖ウイルスゲノムは、アデノウイルスゲノム、レンチウイルスゲノム(例えば、レンチウイルスRNAゲノムのdsDNA中間体)、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、AAVゲノムは、自己相補的AAV(scAAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、scAAVゲノムは、scAAV6ゲノムである。いくつかの実施形態では、レンチウイルスゲノムは、インテグラーゼ欠損レンチウイルスゲノムである。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の個体の標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集されたHSCを生着させる方法のうちのいずれかに従い、ヌクレアーゼは、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)である。いくつかの実施形態では、RGENは、Cas9ヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、編集されたHSCを調製する方法は、標的遺伝子座における第1の認識配列を切断するようにRGENを誘導することができるgRNAをHSCに導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、gRNAは、ドナー核酸における1つ以上の認識配列を切断するようにRGENを誘導することができる。いくつかの実施形態では、編集されたHSCを調製する方法は、RGENおよびgRNAを含むリボ核タンパク質(RNP)をHSCに導入することを含む。いくつかの実施形態では、編集されたHSCを調製する方法は、RGENをコードする核酸をHSCに導入することを含む。いくつかの実施形態では、RGENをコードする核酸は、mRNAまたはプラスミドである。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の個体の標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集されたHSCを生着させる方法のうちのいずれかに従い、標的遺伝子座および二本鎖ドナー核酸におけるヌクレアーゼの認識配列の各々は、プロトスペーサー配列である。いくつかの実施形態では、編集されたHSCを調製する方法は、プロトスペーサー配列のうちの1つ以上を標的とする1つ以上のgRNAをHSCに導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座および二本鎖ドナー核酸におけるプロトスペーサーの各々は同じであり、この方法は、プロトスペーサー配列を標的とする1つのgRNAを細胞に導入することを含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の個体において編集されたHSCを生着させる方法で採用される、標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集されたHSCを調製する方法のうちのいずれかに従い、HSCゲノムは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを含み、この方法は、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができる)、およびc)二本鎖ドナー核酸をHSCに導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが片側または両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、第1のプロトスペーサーおよび第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、DAPは、gRNAスペーサーよりも少なくとも約1ヌクレオチド(例えば、少なくとも約2、3、またはそれ以上のうちのいずれか)だけ長さが短い。いくつかの実施形態では、DAPは、gRNAスペーサーとの少なくとも約1(例えば、少なくとも約2、3、またはそれ以上のうちのいずれか)ヌクレオチドミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。いくつかの実施形態では、この方法は、RGENおよびgRNAを含むRNPをHSCに導入することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、RGENをコードする核酸をHSCに導入することを含む。いくつかの実施形態では、RGENをコードする核酸は、mRNAまたはプラスミドである。いくつかの実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の個体において編集されたHSCを生着させる方法で採用される、標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集されたHSCを調製する方法のうちのいずれかに従い、HSCゲノムは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを含み、この方法は、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する)、およびc)二本鎖ドナー核酸をHSCに導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の個体において編集されたHSCを生着させる方法で採用される、標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集されたHSCを調製する方法のうちのいずれかに従い、HSCゲノムは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを含み、この方法は、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである)、およびc)二本鎖ドナー核酸をHSCに導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の個体において編集されたHSCを生着させる方法で採用される、標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集されたHSCを調製する方法のうちのいずれかに従い、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸は、ドナー核酸がHSCに導入される前にHSCに導入される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸は、ドナー核酸がHSCに導入される前の1時間以内にHSCに導入される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸は、ドナー核酸がHSCに導入される前の5分以内にHSCに導入される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸をHSCに導入することは、RGENおよびgRNAを含むRNPをHSCに導入することを含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノム、例えば、scAAVゲノムである。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の個体において編集されたHSCを生着させる方法で採用される、標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集されたHSCを調製する方法のうちのいずれかに従い、この方法は、ドナー核酸がHSCに導入される前に、RGENおよびgRNAを含むRNPをHSCに導入することを含む。いくつかの実施形態では、RNPは、ドナー核酸がHSCに導入される前の1時間以内にHSCに導入される。いくつかの実施形態では、RNPは、ドナー核酸がHSCに導入される前の5分以内にHSCに導入される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノム、例えば、scAAVゲノムである。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の個体において編集されたHSCを生着させる方法で採用される、標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集されたHSCを調製する方法のうちのいずれかに従い、HSCは、低酸素条件下で培養される。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の個体において編集されたHSCを生着させる方法で採用される、標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集されたHSCを調製する方法のうちのいずれかに従い、HSCは、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸およびドナー核酸をHSCに導入する前に、約48時間まで培養される。いくつかの実施形態では、HSCは、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸およびドナー核酸をHSCに導入する前に、約24時間まで培養される。いくつかの実施形態では、HSCは、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸およびドナー核酸をHSCに導入する前に、約2時間まで培養される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸をHSCに導入することは、RGENおよびgRNAを含むRNPをHSCに導入することを含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノム、例えば、scAAVゲノムである。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の個体において編集されたHSCを生着させる方法で採用される、標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集されたHSCを調製する方法のうちのいずれかに従い、HSCは、Notchリガンドの存在下で培養される。いくつかの実施形態では、Notchリガンドは、Delta様Notchリガンド(DLL)、Jagged-1、Jagged-2、またはそれらのコンジュゲートである。いくつかの実施形態では、Delta様Notchリガンドは、DLL1、DLL3、またはDLL4である。いくつかの実施形態では、Notchリガンドは、Fc-DLL1、Fc-DLL3、Fc-DLL4、Fc-Jagged-1、またはFc-Jagged-2である。
【0116】
治療の方法
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、それを必要とする対象における疾患または状態を治療する方法であり、疾患または状態は、対象に、タンパク質の機能的形態を発現するための本明細書に記載の方法のうちのいずれかに従って編集された細胞を投与することを含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、疾患は、重症複合免疫不全症(SCID)であり、この方法は、対象において変異したタンパク質の機能的形態を発現するように、本明細書に記載の方法のうちのいずれかに従って編集されたHSCの集団を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、HSCは、リンパ系の発達に関与するタンパク質、例えば、IL2Rg、RAG1、またはIL7Rを発現するように編集される。いくつかの実施形態では、HSCは、リンパ球の増殖および/または代謝に関与するタンパク質、例えば、ADAまたはPNPを発現するように編集される。いくつかの実施形態では、疾患は、ゴーシェ病、ファブリー病、ムコ多糖症I型~IX型、または副腎白質ジストロフィーである。
【0118】
いくつかの実施形態では、疾患または状態の治療を必要とする対象においてそれを行う方法のうちのいずれかに従い、編集された細胞は、(a)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸を細胞に導入することであって、標的遺伝子座が、ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む、導入することと、(b)二本鎖ドナー核酸を細胞に導入することであって、二本鎖核酸が、外因性核酸配列を含み、NHEJによって標的遺伝子座に挿入されるように構成される、導入することと、を含む方法によって調製される。いくつかの実施形態では、細胞は、相同性指向修復(HDR)に必要な機構を欠いている。いくつかの実施形態では、細胞は、長期生着造血幹細胞(LT-HSC)などの造血幹細胞(HSC)である。いくつかの実施形態では、細胞は、SCID再増殖細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、以下のマーカー:Lin/CD34/CD38/CD90/CD45RAのうちの1つ以上(例えば、2、3、4、または5のうちのいずれか)を特徴とする。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a、CD41a、CD3、CD19、CD14、CD16、CD20、およびCD56のうちの1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、または8のうちのいずれか)として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a/CD41a/CD3/CD19/CD14/CD16/CD20/CD56として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、細胞は、静止T細胞である。
【0119】
いくつかの実施形態では、疾患または状態の治療を必要とする対象においてそれを行う方法のうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第1の末端に隣接するヌクレアーゼの第2の認識配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第2の末端に隣接する第3の認識配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、細胞への導入後、第2および/または第3の認識配列において切断される。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されず、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されるように構成される。
【0120】
いくつかの実施形態では、疾患または状態の治療を必要とする対象においてそれを行う方法のうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノムである。いくつかの実施形態では、二本鎖ウイルスゲノムは、アデノウイルスゲノム、レンチウイルスゲノム(例えば、レンチウイルスRNAゲノムのdsDNA中間体)、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、AAVゲノムは、自己相補的AAV(scAAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、scAAVゲノムは、scAAV6ゲノムである。いくつかの実施形態では、レンチウイルスゲノムは、インテグラーゼ欠損レンチウイルスゲノムである。
【0121】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象における疾患または状態を治療する方法のうちのいずれかに従い、ヌクレアーゼは、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)である。いくつかの実施形態では、RGENは、Cas9ヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、編集された細胞を調製する方法は、標的遺伝子座における第1の認識配列を切断するようにRGENを誘導することができるgRNAを細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、gRNAは、ドナー核酸における1つ以上の認識配列を切断するようにRGENを誘導することができる。いくつかの実施形態では、編集された細胞を調製する方法は、RGENおよびgRNAを含むリボ核タンパク質(RNP)を細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、編集された細胞を調製する方法は、RGENをコードする核酸を細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、RGENをコードする核酸は、mRNAまたはプラスミドである。
【0122】
いくつかの実施形態では、疾患または状態の治療を必要とする対象においてそれを行う方法のうちのいずれかに従い、標的遺伝子座および二本鎖ドナー核酸におけるヌクレアーゼの認識配列の各々は、プロトスペーサー配列である。いくつかの実施形態では、編集された細胞を調製する方法は、プロトスペーサー配列のうちの1つ以上を標的とする1つ以上のgRNAを細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座および二本鎖ドナー核酸におけるプロトスペーサーの各々は同じであり、この方法は、プロトスペーサー配列を標的とする1つのgRNAを細胞に導入することを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の疾患または状態の治療を必要とする対象においてそれを行う方法で採用される、標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集された細胞を調製する方法のうちのいずれかに従い、細胞ゲノムは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを含み、この方法は、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができる)、およびc)二本鎖ドナー核酸を細胞に導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが片側または両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、第1のプロトスペーサーおよび第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、DAPは、gRNAスペーサーよりも少なくとも約1ヌクレオチド(例えば、少なくとも約2、3、またはそれ以上のうちのいずれか)だけ長さが短い。いくつかの実施形態では、DAPは、gRNAスペーサーとの少なくとも約1(例えば、少なくとも約2、3、またはそれ以上のうちのいずれか)ヌクレオチドミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。いくつかの実施形態では、この方法は、RGENおよびgRNAを含むRNPを細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、RGENをコードする核酸を細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、RGENをコードする核酸は、mRNAまたはプラスミドである。いくつかの実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0124】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の疾患または状態の治療を必要とする対象においてそれを行う方法で採用される、標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集された細胞を調製する方法のうちのいずれかに従い、細胞ゲノムは、標的遺伝子座に第1のプロトスペーサーを含み、この方法は、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する)、およびc)二本鎖ドナー核酸を細胞に導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。
【0125】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の疾患または状態の治療を必要とする対象においてそれを行う方法で採用される、標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集された細胞を調製する方法のうちのいずれかに従い、細胞ゲノムは、標的遺伝子座に第1のプロトスペーサーを含み、この方法は、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである)、およびc)二本鎖ドナー核酸を細胞に導入することを含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。
【0126】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の疾患または状態の治療を必要とする対象においてそれを行う方法で採用される、標的遺伝子座において挿入される外因性核酸配列を含む編集された細胞を調製する方法のうちのいずれかに従い、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸は、ドナー核酸が細胞に導入される前に細胞に導入される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸は、ドナー核酸が細胞に導入される前の1時間以内に細胞に導入される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸は、ドナー核酸が細胞に導入される前の5分以内に細胞に導入される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸を細胞に導入することは、RGENおよびgRNAを含むRNPを細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノム、例えば、scAAVゲノムである。
【0127】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の疾患または状態の治療を必要とする対象においてそれを行う方法で採用される、標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集された細胞を調製する方法のうちのいずれかに従い、この方法は、ドナー核酸が細胞に導入される前に、RGENおよびgRNAを含むRNPを細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、RNPは、ドナー核酸が細胞に導入される前の1時間以内に細胞に導入される。いくつかの実施形態では、RNPは、ドナー核酸が細胞に導入される前の5分以内に細胞に導入される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノム、例えば、scAAVゲノムである。
【0128】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の疾患または状態の治療を必要とする対象においてそれを行う方法で採用される、標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集された細胞を調製する方法のうちのいずれかに従い、細胞は、低酸素条件下で培養される。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の疾患または状態の治療を必要とする対象においてそれを行う方法で採用される、標的遺伝子座において挿入される外因性核酸配列を含む編集された細胞を調製する方法のうちのいずれかに従い、細胞は、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸およびドナー核酸を細胞に導入する前に、約48時間まで培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸およびドナー核酸を細胞に導入する前に、約24時間まで培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸およびドナー核酸を細胞に導入する前に、約2時間まで培養される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸を細胞に導入することは、RGENおよびgRNAを含むRNPを細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノム、例えば、scAAVゲノムである。
【0130】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の疾患または状態の治療を必要とする対象においてそれを行う方法で採用される、標的遺伝子座において挿入された外因性核酸配列を含む編集された細胞を調製する方法のうちのいずれかに従い、細胞は、Notchリガンドの存在下で培養される。いくつかの実施形態では、Notchリガンドは、Delta様Notchリガンド(DLL)、Jagged-1、Jagged-2、またはそれらのコンジュゲートである。いくつかの実施形態では、Delta様Notchリガンドは、DLL1、DLL3、またはDLL4である。いくつかの実施形態では、Notchリガンドは、Fc-DLL1、Fc-DLL3、Fc-DLL4、Fc-Jagged-1、またはFc-Jagged-2である。
【0131】
組成物
本明細書で提供されるのは、本開示に記載されるように、操作された細胞を生成するためのシステムの1つ以上の要素を含む組成物である。
【0132】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、a)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸(ヌクレアーゼは、ヌクレアーゼの第1の認識配列を含む標的遺伝子座においてゲノム編集を媒介することができる)、およびb)二本鎖ドナー核酸(二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列を含み、NHEJによって標的遺伝子座に挿入されるように構成される)のうちの1つ以上を含む組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、編集される細胞をさらに含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸を含む本明細書に記載の組成物のうちのいずれかによれば、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第1の末端に隣接するヌクレアーゼの第2の認識配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第2の末端に隣接する第3の認識配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されず、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されるように構成される。
【0134】
いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸を含む本明細書に記載の組成物のうちのいずれかによれば、二本鎖ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノムである。いくつかの実施形態では、二本鎖ウイルスゲノムは、アデノウイルスゲノム、レンチウイルスゲノム(例えば、レンチウイルスRNAゲノムのdsDNA中間体)、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、AAVゲノムは、自己相補的AAV(scAAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、scAAVゲノムは、scAAV6ゲノムである。いくつかの実施形態では、レンチウイルスゲノムは、インテグラーゼ欠損レンチウイルスゲノムである。
【0135】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸を含む本明細書に記載の組成物のうちのいずれかによれば、ヌクレアーゼは、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)である。いくつかの実施形態では、RGENは、Cas9ヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、組成物は、標的遺伝子座における第1の認識配列を切断するようにRGENを誘導することができるgRNAをさらに含む。いくつかの実施形態では、gRNAは、ドナー核酸における1つ以上の認識配列を切断するようにRGENを誘導することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、RGENおよびgRNAを含むリボ核タンパク質(RNP)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、RGENをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、RGENをコードする核酸は、mRNAまたはプラスミドである。
【0136】
いくつかの実施形態では、RGENまたはRGENをコードする核酸を含む本明細書に記載の組成物のうちのいずれかに従い、標的遺伝子座および二本鎖ドナー核酸におけるヌクレアーゼの認識配列の各々は、プロトスペーサー配列である。いくつかの実施形態では、組成物は、プロトスペーサー配列のうちの1つ以上を標的とする1つ以上のgRNAをさらに含む。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座および二本鎖ドナー核酸におけるプロトスペーサーの各々は同じであり、組成物は、プロトスペーサー配列を標的とする1つのgRNAを含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、i)第1のプロトスペーサーを含む第1の核酸、およびii)スペーサーを含むgRNAを含み、第1のプロトスペーサーは、スペーサーに不完全に一致するDAPであり、第1のプロトスペーサーがスペーサーに一致する程度は、第1のプロトスペーサーにおける第1の核酸の修飾を可能にするのに十分である。いくつかの実施形態では、DAPは、スペーサーよりも少なくとも約1ヌクレオチド(例えば、少なくとも約2、3、またはそれ以上のうちのいずれか)だけ長さが短い。いくつかの実施形態では、DAPは、スペーサーとの少なくとも約1(例えば、少なくとも約2、3、またはそれ以上のうちのいずれか)ヌクレオチドミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、第2のプロトスペーサーを含む第2の核酸をさらに含み、第2のプロトスペーサーは、スペーサーに完全に一致する。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物のうちのいずれかに従い、組成物は、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、外因性核酸が挿入される標的遺伝子座において第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができる)、およびc)二本鎖ドナー核酸のうちの1つ以上を含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが片側または両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、第1のプロトスペーサーおよび第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含む。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。いくつかの実施形態では、組成物は、標的遺伝子座を含む細胞をさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞は、相同性指向修復(HDR)に必要な機構を欠いている。いくつかの実施形態では、細胞は、長期生着造血幹細胞(LT-HSC)などの造血幹細胞(HSC)である。いくつかの実施形態では、細胞は、SCID再増殖細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、以下のマーカー:Lin/CD34/CD38/CD90/CD45RAのうちの1つ以上(例えば、2、3、4、または5のうちのいずれか)を特徴とする。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a、CD41a、CD3、CD19、CD14、CD16、CD20、およびCD56のうちの1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、または8のうちのいずれか)として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、Linは、CD235a/CD41a/CD3/CD19/CD14/CD16/CD20/CD56として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、細胞は、静止T細胞である。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物のうちのいずれかに従い、組成物は、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、外因性核酸が挿入される標的遺伝子座において第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致する)、およびc)二本鎖ドナー核酸のうちの1つ以上を含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPであり、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。いくつかの実施形態では、組成物は、標的遺伝子座を含む細胞をさらに含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物のうちのいずれかに従い、組成物は、a)RGENまたはRGENをコードする核酸、b)スペーサーを含むgRNAまたはgRNAをコードする核酸(gRNAは、外因性核酸が挿入される標的遺伝子座において第1のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第1のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全には一致しないDAPである)、およびc)二本鎖ドナー核酸のうちの1つ以上を含み、ドナー核酸は、第2のプロトスペーサーが両側に隣接する外因性核酸を含み、gRNAは、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーを切断するようにRGENを標的とすることができ、第2のプロトスペーサーは、gRNAスペーサーに完全に一致し、ドナー核酸は、外因性核酸がNHEJによって標的遺伝子座に挿入され得るように構成される。いくつかの実施形態では、ドナー核酸は、i)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されず、ii)切断されたドナー核酸を切断された標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、gRNAによって誘導されるRGENによって切断され得る外因性核酸に隣接するプロトスペーサーが作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座における第1のプロトスペーサーは順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸における第2のプロトスペーサーは逆配向にある。いくつかの実施形態では、組成物は、標的遺伝子座を含む細胞をさらに含む。
【0141】
本開示に記載されるように調製された、哺乳動物細胞などの遺伝子組換え細胞を含む組成物もまた、本明細書で提供される。
【0142】
本明細書で提供および説明される操作された細胞を生成するための操作された細胞および/またはシステム要素を含むキットおよびシステムもまた、本明細書で提供される。したがって、例えば、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載のタンパク質配列、本明細書に記載の発現ベクター、および/または本明細書に記載の細胞のうちの1つ以上を含むキットである。
【0143】
核酸
ゲノム標的化核酸またはガイドRNA
本開示は、関連するポリペプチド(例えば、部位特異的ポリペプチドまたはDNAエンドヌクレアーゼ)の活性を標的核酸内の特定の標的配列に向けることができるゲノム標的化核酸を提供する。いくつかの実施形態では、ゲノム標的化核酸は、RNAである。ゲノム標的化RNAは、本明細書では「ガイドRNA」または「gRNA」と呼ばれる。ガイドRNAは、少なくとも目的の標的核酸配列およびCRISPR反復配列にハイブリダイズするスペーサー配列を有する。タイプIIシステムでは、gRNAはまた、tracrRNA配列と呼ばれる第2のRNAも有する。タイプIIガイドRNA(gRNA)では、CRISPR反復配列とtracrRNA配列は、互いにハイブリダイズして二重鎖を形成する。タイプVガイドRNA(gRNA)では、crRNAは、二重鎖を形成する。どちらのシステムでも、二重鎖は、ガイドRNAおよび部位特異的ポリペプチドが複合体を形成するように部位特異的ポリペプチドに結合する。ゲノム標的化核酸は、部位特異的ポリペプチドとの会合により、複合体に標的特異性を提供する。したがって、ゲノム標的化核酸は、部位特異的ポリペプチドの活性を指示する。
【0144】
いくつかの実施形態では、ゲノム標的化核酸は、二重分子ガイドRNAである。いくつかの実施形態では、ゲノム標的化核酸は、単一分子ガイドRNAである。二重分子ガイドRNAは、2本のRNA鎖を有する。第1の鎖は、5′から3′の方向に、任意のスペーサー伸長配列、スペーサー配列、および最小のCRISPR反復配列を有する。第2の鎖は、最小のtracrRNA配列(最小のCRISPR反復配列に相補的)、3′tracrRNA配列、および任意のtracrRNA拡張配列を有する。タイプIIシステムの単一分子ガイドRNA(sgRNA)は、5′から3′方向に、任意のスペーサー伸長配列、スペーサー配列、最小CRISPR反復配列、単一分子ガイドリンカー、最小tracrRNA配列、3′tracrRNA配列、および任意のtracrRNA拡張配列を有する。任意のtracrRNA伸長は、ガイドRNAに追加の機能性(例えば、安定性)を寄与する要素を有し得る。単一分子ガイドリンカーは、最小のCRISPR反復および最小tracrRNA配列を連結して、ヘアピン構造を形成する。任意のtracrRNA伸長は、1つ以上のヘアピンを有する。タイプVシステムの単一分子ガイドRNA(sgRNA)は、5′から3′の方向に、最小CRISPR反復配列およびスペーサー配列を有する。
【0145】
例示的なゲノム標的化核酸は、WO2018/002719に記載されている。
【0146】
ドナーDNAまたはドナーテンプレート
DNAエンドヌクレアーゼなどの部位特異的ポリペプチドは、二本鎖切断または一本鎖切断を核酸、例えばゲノムDNAに導入することができる。二本鎖切断は、細胞の内因性DNA修復経路(例えば、相同性に依存する修復(HDR)または非相同末端結合(NHEJ)または代替の非相同末端結合(A-NHEJ)またはマイクロホモロジー媒介末端結合(MMEJ)を刺激することができる。NHEJは、相同テンプレートを必要とせずに、切断された標的核酸を修復することができる。これにより、切断部位の標的核酸に小さな欠失または挿入(インデル)が生じることがあり、遺伝子発現の破壊または改変をもたらし得る。
【0147】
二本鎖切断が起こる細胞の核内に外因性DNA分子が十分な濃度で供給されると、外因性DNAは、NHEJ修復プロセス中に二本鎖切断に挿入され、したがってゲノムへの恒久的な付加となり得る。外因性DNAにヌクレアーゼ標的部位を含めると、NHEJを介したDNA修復中に標的部位へのヌクレアーゼ標的部位の挿入が大幅に刺激される。これらの外因性DNA分子は、いくつかの実施形態ではドナーテンプレートと称される。ドナーテンプレートが、プロモーター、エンハンサー、ポリA配列、および/またはスプライスアクセプター配列(本明細書では「ドナーカセット」とも称される)などの関連する調節配列とともに、必要に応じて導入遺伝子のコード配列を含む場合、導入遺伝子は、ゲノムに組み込まれた核酸から発現され、細胞の寿命にわたって恒久的発現をもたらし得る。さらに、ドナーDNAテンプレートの組み込まれた核酸は、細胞が分裂するときに娘細胞に伝達され得る。
【0148】
いくつかの実施形態では、ドナーDNAは、ヌクレアーゼとともに、または様々な異なる方法によって、例えば、トランスフェクション、ナノ粒子、マイクロインジェクション、またはウイルス形質導入によって独立して供給され得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、外因性核酸配列を含む本明細書に記載のドナーテンプレートのうちのいずれかに従い、外因性核酸配列は、片側または両側にgRNA標的部位が隣接している。例えば、そのようなドナーテンプレートは、外因性核酸配列の5′のgRNA標的部位および/または外因性核酸配列の3′のgRNA標的部位を有する外因性核酸配列を含み得る。いくつかの実施形態では、ドナーテンプレートは、外因性核酸配列の5′にgRNA標的部位を有する外因性核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ドナーテンプレートは、外因性核酸配列の3′にgRNA標的部位を有する外因性核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ドナーテンプレートは、外因性核酸配列の5′のgRNA標的部位および外因性核酸配列の3′のgRNA標的部位を有する外因性核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ドナーテンプレートは、外因性核酸配列の5′のgRNA標的部位および外因性核酸配列の3′のgRNA標的部位を有する外因性核酸配列を含み、2つのgRNA標的部位は、同じ配列を含む。いくつかの実施形態では、ドナーテンプレートは、少なくとも1つのgRNA標的部位を含み、ドナーテンプレート中の少なくとも1つのgRNA標的部位は、ドナーテンプレートの外因性核酸配列が組み込まれる標的遺伝子座におけるgRNA標的部位と同じ配列を含む。いくつかの実施形態では、ドナーテンプレートは、外因性核酸配列の5′のgRNA標的部位および外因性核酸配列の3′のgRNA標的部位を有する外因性核酸配列を含み、ドナーテンプレート中の2つのgRNA標的部位は、ドナーテンプレートの外因性核酸配列が組み込まれる標的遺伝子座におけるgRNA標的部位と同じ配列を含む。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座におけるgRNA標的部位は順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸のgRNA標的部位は逆配向にある。
【0150】
いくつかの実施形態では、ドナーテンプレートは、二本鎖ドナー核酸である。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列を含み、NHEJによって標的遺伝子座に挿入されるように構成される。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第1の末端に隣接する第1のヌクレアーゼの第1の認識配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、外因性核酸配列の第2の末端に隣接する第2のヌクレアーゼの第2の認識配列を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のヌクレアーゼは、同じヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、第1および第2の認識配列は、同じ認識配列である。いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸は、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に所望の配向で挿入しても、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されず、切断された二本鎖ドナー核酸を標的遺伝子座に他の配向で挿入すると、修飾された標的遺伝子座におけるヌクレアーゼの認識配列が作成されるように構成される。いくつかの実施形態では、第1および第2のヌクレアーゼは、RGENであり、第1および第2の認識配列は、プロトスペーサー配列である。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二本鎖ドナー核酸は、プロトスペーサーが一端または両端に隣接する外因性核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、外因性核酸配列は、その5′末端にプロトスペーサーが隣接している。いくつかの実施形態では、外因性核酸配列は、その3′末端にプロトスペーサーが隣接している。いくつかの実施形態では、外因性核酸配列は、その5′および3′末端にプロトスペーサーが隣接している。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座におけるプロトスペーサー配列は順配向にあり、ドナー核酸における外因性核酸は順配向にあり、ドナー核酸におけるプロトスペーサーは逆配向にある。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二本鎖ドナー核酸は、gRNAのスペーサーに不完全に一致する遅延作用プロトスペーサー(DAP)が一端または両端に隣接する外因性核酸配列を含み、DAPがスペーサーに一致する程度は、gRNAによって誘導されるRGENによるDAPでのドナー核酸の修飾を可能にするのに十分である。いくつかの実施形態では、DAPは、スペーサーよりも少なくとも約1ヌクレオチド(例えば、少なくとも約2、3、またはそれ以上のうちのいずれか)だけ長さが短い。いくつかの実施形態では、DAPは、スペーサーとの少なくとも約1(例えば、少なくとも約2、3、またはそれ以上のうちのいずれか)ヌクレオチドミスマッチを含む。例えば、gRNAは、配列番号8のポリヌクレオチド配列からのスペーサーを含み得、DAPは、配列番号16~28のうちのいずれか1つのポリヌクレオチド配列からのプロトスペーサーを含み得る。
【0153】
いくつかの実施形態では、二本鎖ドナー核酸を採用する本明細書に記載の方法のうちのいずれかに従い、二本鎖ドナー核酸は、二本鎖ウイルスゲノムである。いくつかの実施形態では、二本鎖ウイルスゲノムは、アデノウイルスゲノム、レンチウイルスゲノム(例えば、レンチウイルスRNAゲノムのdsDNA中間体)、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、AAVゲノムは、自己相補的AAV(scAAV)ゲノムである。いくつかの実施形態では、scAAVゲノムは、scAAV6ゲノムである。いくつかの実施形態では、レンチウイルスゲノムは、インテグラーゼ欠損レンチウイルスゲノムである。
【0154】
部位特異的ポリペプチドまたはDNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸
したがって、いくつかの実施形態では、ゲノム編集の方法および組成物は、部位特異的ポリペプチドまたはDNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列を使用することができる。部位特異的ポリペプチドをコードする核酸配列は、DNAまたはRNAであり得る。部位特異的ポリペプチドをコードする核酸配列がRNAである場合、それはgRNA配列に共有結合するか、または別個の配列として存在することができる。いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドまたはDNAエンドヌクレアーゼのペプチド配列が、その核酸配列の代わりに使用され得る。
【0155】
ベクトル
別の態様では、本開示は、本開示のゲノム標的化核酸をコードするヌクレオチド配列を有する核酸、本開示の部位特異的ポリペプチド、および/または本開示の方法の実施形態を実行するために必要な任意の核酸もしくはタンパク質性分子を提供する。いくつかの実施形態では、そのような核酸は、ベクター(例えば、組換え発現ベクター)である。
【0156】
企図される発現ベクターには、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、SV40、単純ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、レトロウイルス(例えば、ネズミ白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、およびRous肉腫ウイルス、Harvey肉腫ウイルス、鳥類白血病ウイルス、レンチウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、乳腺腫瘍ウイルスなどのレトロウイルスに由来するベクター)、ならびに他の組換えベクターが含まれるが、これらに限定されない。真核生物の標的細胞について企図される他のベクターには、ベクターpXT1、pSG5、pSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVLSV40(Pharmacia)が含まれるが、これらに限定されない。真核生物の標的細胞について企図される追加のベクターには、ベクターpCTx-1、pCTx-2、およびpCTx-3が含まれるが、これらに限定されない。宿主細胞と適合する限り、他のベクターを使用することができる。
【0157】
いくつかの実施形態では、ベクターは、1つ以上の転写および/または翻訳制御要素を有する。利用される宿主/ベクター系に応じて、構成的かつ誘導性のプロモーター、転写エンハンサー要素、転写ターミネーターなどを含む、多数の適切な転写および翻訳制御要素のいずれかを発現ベクターで使用することができる。いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルス配列またはCRISPR機構の構成要素または他の要素のいずれかを不活化する自己不活化ベクターである。
【0158】
好適な真核生物プロモーター(すなわち、真核細胞で機能するプロモーター)の非限定的な例には、前初期サイトメガロウイルス(CMV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ、初期および後期SV40、レトロウイルスからの長い末端反復(LTR)、ヒト伸長因子-1プロモーター(EF1)、サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサーをニワトリβアクチンプロモーター(CAG)に融合させたハイブリッド構成体、マウス幹細胞ウイルスプロモーター(MSCV)、ホスホグリセリン酸キナーゼ-1遺伝子座プロモーター(PGK)、およびマウスメタロチオネイン-Iからのものが挙げられる。
【0159】
Casエンドヌクレアーゼに関連して使用されるガイドRNAを含む低分子RNAを発現するために、例えばU6およびH1プロモーターを含むRNAポリメラーゼIIIプロモーターなどの様々なプロモーターが有利であり得る。そのようなプロモーターの使用を強化するための説明およびパラメータは、当該技術分野で知られており、追加の情報およびアプローチが定期的に説明されている。例えば、Ma,H.et al,Molecular Therapy-Nucleic Acids 3,e161(2014)doi:10.1038/mtna.2014.12を参照されたい。
【0160】
発現ベクターはまた、翻訳開始のためのリボソーム結合部位と転写ターミネーターを含むこともできる。発現ベクターはまた、発現を増幅させるための適切な配列を含むことができる。発現ベクターはまた、部位特異的ポリペプチドに融合され、したがって融合タンパク質をもたらす非天然タグ(例えば、ヒスチジンタグ、血球凝集素タグ、緑色蛍光タンパク質など)をコードするヌクレオチド配列を含み得る。
【0161】
いくつかの実施形態では、プロモーターは、誘導性プロモーター(例えば、熱ショックプロモーター、テトラサイクリン調節プロモーター、ステロイド調節プロモーター、金属調節プロモーター、エストロゲン受容体調節プロモーターなど)である。いくつかの実施形態では、プロモーターは、構成的プロモーター(例えば、CMVプロモーター、UBCプロモーター)である。いくつかの実施形態では、プロモーターは、空間的に制限されたおよび/または時間的に制限されたプロモーター(例えば、組織特異的プロモーター、細胞型特異的プロモーターなど)である。いくつかの実施形態では、ベクターは、遺伝子がゲノムに挿入された後、ゲノムに存在する内因性プロモーターの下で発現されようとしている場合、宿主細胞において発現される少なくとも1つの遺伝子のためのプロモーターを有しない。
【0162】
部位特異的ポリペプチドまたはDNAエンドヌクレアーゼ
NHEJおよび/またはHDRによる標的DNAの修飾は、例えば、変異、欠失、改変、統合、遺伝子修正、遺伝子置換、遺伝子タグ付け、導入遺伝子挿入、ヌクレオチド欠失、遺伝子破壊、転座、および/または遺伝子変異につながり得る。非天然核酸をゲノムDNAに組み込むプロセスは、ゲノム編集の一例である。
【0163】
部位特異的ポリペプチドは、ゲノム編集でDNAを切断するために使用されるヌクレアーゼである。部位特異的ポリペプチドは、1つ以上のポリペプチド、またはポリペプチドをコードする1つ以上の核酸のいずれかとして細胞または患者に投与することができる。
【0164】
CRISPR/CasまたはCRISPR/Cpf1システムの文脈では、部位特異的ポリペプチドは、ガイドRNAに結合することができ、順にポリペプチドが向けられている標的DNAの部位を指定する。本明細書のCRISPR/CasまたはCRISPR/Cpf1システムの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、DNAエンドヌクレアーゼなどのエンドヌクレアーゼである。そのようなRNA誘導型部位特異的ポリペプチドはまた、本明細書では、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ、またはRGENとも称される。
【0165】
例示的な部位特異的ポリペプチドは、WO2018/002719に記載されている。
【0166】
標的配列の選択
いくつかの実施形態では、特定の参照遺伝子座に対する5′境界および/または3′境界の位置のシフトは、本明細書でさらに説明および図示されるように、編集のために選択されたエンドヌクレアーゼ系に部分的に依存する遺伝子編集の特定の用途を促進または強化するために使用される。
【0167】
そのような標的配列選択の第1の非限定的な態様では、多くのエンドヌクレアーゼ系は、CRISPRタイプIIまたはタイプVエンドヌクレアーゼの場合、DNA切断部位に隣接する特定の位置におけるPAM配列モチーフの要件など、切断のための潜在的な標的部位の最初の選択を導く規則または基準を有する。
【0168】
標的配列の選択または最適化の別の非限定的な態様では、標的配列および遺伝子編集エンドヌクレアーゼの特定の組み合わせに対する「オフターゲット」活性の頻度(すなわち、選択された標的配列以外の部位で発生するDSBの頻度)は、オンターゲット活動の頻度と比較して評価される。場合によっては、所望の遺伝子座で正しく編集された細胞は、他の細胞と比較して選択的な利点を有し得る。選択的利点の例示的であるが非限定的な例には、複製率の向上、持続性、ある特定の条件に対する耐性、生着の成功率の向上または患者への導入後のインビボでの持続性などの属性の獲得、およびそのような細胞の数または生存率の維持または増加に関連する他の属性が含まれる。他の場合には、正しく編集された細胞を特定、分類、または他の方法で選択するために使用される1つ以上のスクリーニング方法により、所望の遺伝子座で正しく編集された細胞を適切に選択することができる。選択的利点および指示された選択方法の両方が、修正に関連する表現型を利用することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、意図された細胞集団を選択または精製するために使用される新しい表現型を作成する第2の修飾をもたらすために、2回以上編集され得る。そのような第2の修飾は、選択可能またはスクリーニング可能なマーカーに第2のgRNAを付加することで作成され得る。場合によっては、cDNAおよび選択可能なマーカーを含むDNA断片を使用して、所望される遺伝子座で細胞を正しく編集することができる。
【0169】
実施形態では、任意の選択的利点が適用可能であるか、または任意の有向選択が特定の場合に適用されるかどうかにかかわらず、標的配列選択はまた、適用の有効性を増強し、かつ/または所望の標的以外の部位での望ましくない改変の可能性を低減するために、オフターゲット頻度を考慮することによって導かれる。本明細書および当該技術分野でさらに説明および図示されるように、オフターゲット活性の発生は、標的部位と様々なオフターゲット部位との間の類似性および非類似性、ならびに使用される特定のエンドヌクレアーゼを含む多くの要因によって影響を受ける。オフターゲット活性の予測を支援する生物情報学的ツールを利用することができ、また頻繁に、そのようなツールを使用して、オフターゲット活性の最も可能性の高い部位を特定することもでき、次いで、実験設定で評価して、オンターゲット活性に対するオフターゲットの相対頻度を評価することができ、それにより高い相対オンターゲット活性を有する配列の選択を可能にする。そのような技法の例示的な例が本明細書で提供され、他のものは当該技術分野で知られている。
【0170】
標的配列の選択の別の態様は、相同的組換え事象に関する。相同領域を共有する配列は、介在配列の欠失をもたらす相同的組換え事象の焦点として機能し得る。そのような組換え事象は、染色体および他のDNA配列の通常の複製過程で、またDNA配列が合成されている他の時点で、例えば、通常の細胞複製サイクル中に規則的に起こるが、様々な事象の発生(UV光および他のDNA切断の誘導物質など)またはある特定の薬剤の存在(様々な化学的誘導物質など)によって強化され得る、二本鎖切断(DSB)の修復の場合に発生する。そのような誘導物質の多くは、DSBをゲノム内で無差別に発生させ、DSBは、正常細胞内で定期的に誘導および修復されている。修復中に、元の配列を完全に忠実に再構築することができるが、場合によっては、小さな挿入または欠失(「インデル」と称される)がDSB部位に導入される。
【0171】
本明細書に記載のエンドヌクレアーゼ系の場合のように、特定の位置でDSBを特異的に誘導することもでき、これを使用して選択された染色体位置で有向または選好的遺伝子修飾事象を引き起こすことができる。相同配列がDNA修復(および複製)の文脈で組換えを受ける傾向は、多くの状況で利用でき、CRISPRなどの遺伝子編集システムの1つのアプリケーションの基礎となり、相同性指向修復を使用して、「ドナー」ポリヌクレオチドの使用を通じて提供される目的の配列を所望の染色体位置に挿入する。
【0172】
わずか10塩基対以下を有し得る「マイクロホモロジー」の小さな領域であり得る、特定の配列間の相同性の領域を使用して、所望の欠失をもたらすこともできる。例えば、単一のDSBが、近くの配列とのマイクロホモロジーを示す部位に導入される。そのようなDSBの通常の修復過程において、高頻度で生じる結果は、DSBおよび付随する細胞修復プロセスによって促進される組換えの結果としての介在配列の欠失である。
【0173】
しかしながら、状況によっては、相同領域内の標的配列を選択することによっても、遺伝子融合(欠失がコード領域にある場合)を含む、はるかに大きな欠失が生じる可能性があり、特定の状況では望ましい場合とそうでない場合がある。
【0174】
本明細書で提供される例は、本明細書に記載の1つ以上のシステム構成要素を挿入するように設計されたDSBの作成のための様々な標的領域の選択、ならびにオンターゲット事象に相対的なオフターゲット事象を最小化するように設計されたそのような領域内の特定の標的配列の選択をさらに示す。
【0175】
核酸の修飾
いくつかの実施形態では、細胞に導入されたポリヌクレオチドは、例えば、本明細書でさらに説明され、当該技術分野で知られているように、活性、安定性、もしくは特異性を強化する、送達を改変する、宿主細胞中の自然免疫応答を低減するため、または他の強化のために、独立してまたは組み合わせて使用され得る1つ以上の修飾を有する。
【0176】
特定の実施形態では、修飾ポリヌクレオチドがCRISPR/Cas9/Cpf1システムで使用され、その場合、ガイドRNA(単一分子ガイドもしくは二重分子ガイドのいずれか)および/または細胞に導入されたCasもしくはCpf1エンドヌクレアーゼをコードするDNAもしくはRNAは、以下に説明および図示されるように修飾され得る。そのような修飾ポリヌクレオチドを、CRISPR/Cas9/Cpf1システムで使用して、いずれか1つ以上のゲノム遺伝子座を編集することができる。
【0177】
そのような用途の非限定的な説明の目的でCRISPR/Cas9/Cpf1システムを使用すると、ガイドRNAの修飾を使用して、単一分子ガイドまたは二重分子、およびCasまたはCpf1エンドヌクレアーゼであり得る、ガイドRNAを有するCRISPR/Cas9/Cpf1ゲノム編集複合体の形成または安定性を高めることができる。ガイドRNAの修飾はまた、または代替として、ゲノム編集複合体とゲノム内の標的配列との相互作用の開始、安定性、または動力学を強化するために使用することができ、これは、例えば、オンターゲット活性を強化するために使用することができる。ガイドRNAの修飾はまた、または代替として、他の(オフターゲット)部位での効果と比較して、特異性、例えば、オンターゲット部位でのゲノム編集の相対速度を高めるために使用することもできる。
【0178】
修飾はまた、または代替として、例えば、細胞内に存在するリボヌクレアーゼ(RNase)による分解に対する抵抗性を高めることによって、ガイドRNAの安定性を高め、それにより細胞内での半減期を増加させるために使用することができる。エンドヌクレアーゼをコードするRNAを使用して、ガイドRNAおよびコードされたCasまたはCpf1エンドヌクレアーゼが細胞中で共存する時間を増やすことができるのと同時に導入されたガイドRNAの半減期を延長するため、ガイドRNA半減期を強化する修飾は、CasまたはCpf1エンドヌクレアーゼが、エンドヌクレアーゼを生成するために翻訳する必要があるRNAを介して編集される細胞に導入される実施形態において特に有用であり得る。
【0179】
修飾はまた、または代替として、細胞に導入されたRNAが先天性免疫応答を誘発する可能性または程度を減少させるために使用することができる。下記および当該技術分野で説明するように、低分子干渉RNA(siRNA)を含むRNA干渉(RNAi)の文脈で十分に特徴付けられているそのような応答は、RNAの半減期の低減および/またはサイトカインまたは免疫応答に関連する他の因子の誘発に関連する傾向がある。
【0180】
細胞に導入されるエンドヌクレアーゼをコードするRNAに対して1つ以上のタイプの修飾を行うこともでき、限定されないが、RNAの安定性を高める修飾(例えば、細胞中に存在するRNAseによる分解を増加させることによって)、得られた産物(すなわち、エンドヌクレアーゼ)の翻訳を強化する修飾、および/または細胞に導入されたRNAが自然免疫応答を誘発する可能性または程度を低下させる修飾が挙げられる。
【0181】
前述のものおよび他のものなどの修飾の組み合わせも同様に使用することができる。CRISPR/Cas9/Cpf1の場合、例えば、ガイドRNA(上に例示したものを含む)に対して1つ以上のタイプの修飾を行うことができ、かつ/またはCasエンドヌクレアーゼをコードするRNA(上に例示したものを含む)に対して1つ以上のタイプの修飾を行うことができる。
【0182】
例示的な修飾核酸は、WO2018/002719に記載されている。
【0183】
送達
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用される任意の核酸分子、例えば、本開示のゲノム標的化核酸をコードする核酸および/または部位特異的ポリペプチドは、細胞への送達のために送達ビヒクルの中または表面上に被包される。企図される送達媒体には、ナノスフェア、リポソーム、量子ドット、ナノ粒子、ポリエチレングリコール粒子、ヒドロゲル、およびミセルが含まれるが、これらに限定されない。当該技術分野で説明されているように、様々な標的化部分を使用して、そのようなビヒクルと所望の細胞型または位置との優先的相互作用を強化することができる。
【0184】
本開示の複合体、ポリペプチド、および核酸の細胞への導入は、ウイルスまたはバクテリオファージ感染、トランスフェクション、接合、プロトプラスト融合、リポフェクション、エレクトロポレーション、ヌクレオフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリエチレンイミン(PEI)媒介トランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、リポソーム媒介トランスフェクション、粒子銃技術、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、ナノ粒子媒介核酸送達などによって起こり得る。
【0185】
例示的な送達方法および試薬は、WO2018/002719に記載されている。
【0186】
本開示は、特定の代替案を参照して上記に記載されている。しかしながら、上記以外の代替案も、本開示の範囲内で同様に可能である。上記のものとは異なる方法ステップが、本開示の範囲内で提供され得る。本明細書に記載されている異なる特徴およびステップは、記載されているもの以外の組み合わせで組み合わせることができる。
【0187】
本明細書における複数形および/または単数形の使用に関して、当業者は、文脈および/または用途に適切であるように、複数形から単数形へ、および/または単数形から複数形へと翻訳することができる。明確にするために、様々な単数形/複数形の順列を、本明細書に明示的に記載することができる。
【0188】
一般に、本明細書で、特に添付の特許請求の範囲で使用される用語(例えば、添付の特許請求の範囲)は、一般に「オープン」な用語と解釈されるべきであることは、当業者によって理解されるであろう(例えば、「含む(including)」という用語は「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきであるなど)。
【0189】
さらに、本開示の特徴または態様が、マーカッシュ群に関して説明される場合、当業者は、それによって、本開示が、マーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループに関しても説明されることを認識するであろう。
【0190】
第1~第11の態様の代替案の特徴のうちのいずれも、本明細書で特定されるすべての態様および代替案に適用可能である。さらに、第1~第11の態様の代替案の特徴のうちのいずれも、任意の方法で本明細書に記載される他の代替案と部分的または全体的に独立して組み合わせることができ、例えば、1つ、2つ、または3つ以上の代替案を、全体的または部分的に組み合わせることができる。さらに、第1~第11の態様の代替案の特徴のいずれも、他の態様または代替案に対して任意に作製することができる。様々な例示的代替案および実装に関して上で説明したが、個々の代替案のうちの1つ以上に記載された様々な特徴、態様、および機能性は、それらが説明された特定の代替案への適用性に限定されないが、代わりに、そのような代替案が説明されているかどうか、およびそのような特徴が説明されている代替案の一部として提示されているかどうかにかかわらず、本出願の他の代替案のうちの1つ以上に、単独でまたは様々な組み合わせで適用することができる。したがって、本出願の幅および範囲は、上記の代替例のうちのいずれによっても制限されるべきではない。
【0191】
本明細書で引用されるすべての参考文献は、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する限り、本明細書は、そのような矛盾するいかなる資料に優先し、かつ/または上位にあることを意図している。参照により本明細書に組み込まれる刊行物および特許または特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する限り、本明細書は、そのような矛盾するいかなる資料にも優先し、かつ/または上位にあることを意図している。
【0192】
本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の添付の説明に記載されている。本明細書に記載されているものと類似または同等の任意の材料および方法を、本開示の実施または試験に使用することができる。本開示の他の特徴、目的、および利点は、説明から明らかとなるであろう。説明において、文脈が明らかにそうでないと指示しない限り、単数形は複数形も含む。別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本説明が優先する。
【0193】
本明細書に記載の実施例および実施形態は、例示のみを目的としており、それに照らして様々な修正または変更が当業者に提案され、本出願の趣旨および範囲、ならびに添付の特許請求の範囲に含まれることが理解される。本明細書で引用されたすべての刊行物、特許、および特許出願は、あらゆる目的のためにそれら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0194】
本明細書で提供される開示のいくつかの実施形態は、以下の非限定的な例によってさらに説明される。
【実施例
【0195】
実施例1:K562細胞におけるNHEJを介した標的組込み
この研究は、K562細胞において、ドナー切断の有無にかかわらず刺激されたNHEJを介した標的組込みの実現可能性を決定するために実行した。発現のために内因性PPP1R12Cプロモーターに依存するGFP発現カセットを備えたプラスミドドナーベクターを、インビボドナー切断のためのCRISPR/Cas9認識部位の有無にかかわらずクローン化した。
【0196】
これらの実験では、30万個のK562細胞を、1.50、2.75、および3.50pmolの1カットプラスミドドナー(pCR2.1-TOPO-psAAVS1-SA-P2A-H2Bj-Venus-BGHpA-psSCRAM)または3.50pmolの0カットプラスミドドナー(pCR2.1-TOPO-psSCRAM-SA-P2A-H2Bj-Venus-BGHpA-psSCRAM)を用いて-1日目にヌクレオフェクトした。pCR2.1-TOPO:ベクタープラスミド骨格;psSCRAM:PAMを有するスクランブルプロトスペーサー配列;psAAVS1:ゲノムDNA配列と同じプロトスペーサー配列、Cas9/gRNA RNPはPAMにより切断する;SA:スプライスアクセプター;P2A:ペプチド切断シグナル配列;H2Bj-Venus:核内でGFPを安定化するヒストンH2Bに融合された修飾型GFP;およびBGHpA:ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列。24時間後、各条件のK562細胞を、RNPの有無にかかわらずヌクレオフェクトした。RNPは、12pmolのCas9(Feldan)と60pmolのAAVS1ガイドRNA(Axolabs)との複合体であった。K562細胞株用のLonza 4D Nucleofector(登録商標)による標準的なヌクレオフェクションプロトコルを使用した。ヌクレオフェクション後7日目(D7)および14日目(D14)にフローサイトメトリーによって細胞を分析し、組込みの分子分析のためにゲノムDNA(gDNA)をD7で収集した。
【0197】
フローサイトメトリー結果を図1Aおよび1Bに示す。GFPシグナルによって決定された編集効率は、次のとおりであった:NHEJ 0カット3.5pmol-RNP:D7=3.25%、D14=7.9%;NHEJ 0カット3.5pmol+RNP:D7=3.28%、D14=6.86%;NHEJ 1-カット1.50pmol-RNP:D7=2.78%、D14=7.34%;NHEJ 1-カット1.50pmol+RNP:D7=13.7%、D14=15.7%;NHEJ 1-カット2.75pmol-RNP:D7=3.95%、D14=7.29%;NHEJ 1-カット2.75pmol+RNP:D7=20.3%、D14=18.9%;NHEJ 1-カット3.50pmol-RNP:D7=4.46%、D14=7.25%;NHEJ 1-カット3.50pmol+RNP:D7=23.0%、D14=22.2%。これらの結果は、ドナー切断による編集効率の向上を示す。
【0198】
D7で抽出されたgDNAを、組込み検出のためのin-out PCRに使用した(図2の概略図を参照)。gDNA試料を、10μLのAmpliTaq Gold(登録商標)360 2×マスターミックス、以下のプライマーの組み合わせ:5′正配向AB(1μLのプライマーA:AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマーB:IntAmp1(GATGGGGGTGTTCTGCTGG、配列番号14))、3′正配向CV(1μLのプライマーV:AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、1μLのプライマーC:IntAmp2(CGTAAACGGCCACAAGTTCA、配列番号15))、5′逆配向AC(1μLのプライマーA:AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマーC:IntAmp2(CGTAAACGGCCACAAGTTCA、配列番号15))、3′逆配向BV(1μLのプライマーV:AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、1μLのプライマーB:IntAmp1(GATGGGGGTGTTCTGCTGG、配列番号14)、100ngのゲノムDNA、1μLのGC-エンハンサー、およびH2O(合計20μLまで)のうちの1つを使用してPCR増幅させた。図2に示されるように、すべての試料は、予想どおりout-outバンドを有していたが、Cas9/gRNA RNPおよびRNPによって標的とされる少なくとも1つの切断部位を有するドナープラスミドの両方で処理された試料のみが、in-out PCRバンドによって証明されるように、導入遺伝子の組込みを示した。
【0199】
実施例2:分裂細胞と非分裂細胞におけるNHEJ-TIとHDR-TIのモデルとしてのT細胞
この研究は、ヒトCD3T細胞において、分裂細胞と非分裂細胞におけるNHEJを介した標的組込みとHDRを介した標的組込みの実現可能性を決定するために実行した。エクスビボ培養で精製されたT細胞は、自然に静止しており、成長および拡張を開始するように刺激されない限り、HDRを効率的に受けない。以下は、刺激されたT細胞および刺激されていないT細胞の両方におけるHDRを介した標的組込みおよびNHEJを介した標的組込みの両方について説明する。
刺激後(分裂)T細胞の標的組込み
【表1】
【0200】
Pan CD3T細胞を、StemCell Technologiesキット(17951)を介して単離し、AIMV(Invitrogen 12055083)+5% CTS免疫細胞血清置換(SR)(Invitrogen A2596101)で培養し、T細胞活性化/拡張キット(Miltenyi Biotec 130-093-627)を使用し、IL-2 100ng/mL(PeproTech)およびIL-7 100ng/mL(PeproTech)を用いて活性化した。
【0201】
VBL(CBGU004)からのNHEJ-TIウイルス(配列番号6)は、50,000vg/細胞のMOIで使用し、VBL(CBGGU014)からのHDR-TIウイルス(配列番号7)は、50,000vg/細胞のMOIで使用した。RNPには、GeneArt v2 Cas9 1pmol/10,000細胞およびSynthego gRNA(配列番号8)2.5pmol/10,000細胞が含まれていた。
【0202】
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、Primary Cell P3ヌクレオフェクター溶液(Lonza V4XP-3032)およびヌクレオフェクションプロトコルEO-115とともに製造元の推奨に従って使用した。
【0203】
細胞培養
これらの実験では、20万個の細胞/条件(合計320万個の細胞)を解凍し、DMSOを洗い流した(1mLの凍結細胞を解凍し、10mLの培地で希釈した)。細胞を350×gで10分間回転させ、上清を吸引し、管を軽くたたいて細胞を再懸濁した。活性化ビーズを含む培地を100万細胞/mLで添加し、細胞を48時間培養した。
【0204】
ビーズの枯渇
解凍後2日目に、細胞を50mL円錐管に収集し、激しくピペッティングして凝集細胞を解離させた。細胞を含む管を磁気スタンドに置き、10分間インキュベートした後、上清を他の50mL円錐管に静かにピペッティングした。細胞を含む管を再び磁気スタンドに置き、10分間インキュベートした後、上清を他の50mL円錐管に静かにピペッティングした。管を350×gで10分間遠心分離し、上清を吸引除去し、細胞を100万細胞/mLで再懸濁し、ヌクレオフェクションの前に少なくとも2時間培養した。
【0205】
RNPヌクレオフェクション
細胞を50mL円錐管に収集し、350×gで10分間遠心分離し、その間にRNP複合体を調製した。以前に分注されたRNP複合体を解凍し、20:50pmolのCas9:gRNA/10μLヌクレオフェクション試薬で、P3ヌクレオフェクション試薬+RNPマスターミックスを調製した。10μLのヌクレオフェクション試薬/ウェルを適切なウェル/条件で16ウェルヌクレオフェクションストリップに分注した。収集した細胞を、P3ヌクレオフェクション試薬に200,000細胞/10μL(20,000細胞/μL)で再懸濁し、10μLの細胞含有ヌクレオフェクション試薬を、16ウェルヌクレオフェクションストリップの各ウェルに総量20μLで分配した。
【0206】
ウイルス形質導入
ヌクレオフェクションの前に、ウイルス形質導入培地を調製した。無血清培地のウイルス含有マスターミックスを以下のように調製した。a.50,000vg/細胞ウイルスを含む総量80μL、b.400億(vg+追加)を含む320μL(+追加)。培地のみの対照も調製した。80μLの形質導入培地または対照を、96ウェルプレートのウェルに分注した。
【0207】
ヌクレオフェクションに続いて、80μLの形質導入培地を100μLのピペットで吸引し、16ウェルヌクレオフェクションストリップのウェルに穏やかに移した。100μLの形質導入培地/ヌクレオフェクション培地の混合物を吸引し、ピペットで96ウェルプレートの対応するウェルに戻した。細胞(現在は、2×10細胞/mLで)形質導入を可能にするために2時間インキュベートし、次いで、1mLの培地を有する24ウェルプレートのウェルに移した。細胞を最大2週間培養し、2日目(D2)、4日目(D4)、7日目(D7)、および14日目(D14)にフローサイトメトリーによって分析した。ゲノムDNAを2日目(D2)に収集して切断効率を決定し、7日目(D7)に収集してドナー組込みを決定した。
非刺激(非分裂)T細胞の標的組込み
【表2】
【0208】
Pan CD3T細胞を、StemCell Technologiesキット(17951)を介して単離し、AIMV(Invitrogen 12055083)+5% CTS Immune Cell SR(Invitrogen A2596101)中でIL-2 100ng/mL(PeproTech)、IL-7 100ng/mL(PeproTech)、IL-15 100ng/mL(PeproTech)、SCF 100ng/mL(PeproTech)、およびFLT3L 100ng/mL(PeproTech)とともに培養した。
【0209】
VBL(CBGU004)からのNHEJ-TIウイルス(配列番号6)は、50,000vg/細胞のMOIで使用し、VBL(CBGGU014)からのHDR-TIウイルス(配列番号7)は、50,000vg/細胞のMOIで使用した。RNPには、GeneArt v2 Cas9 1pmol/10,000細胞およびSynthego gRNA(配列番号8)2.5pmol/10,000細胞が含まれていた。
【0210】
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、Primary Cell P3ヌクレオフェクター溶液(Lonza V4XP-3032)およびヌクレオフェクションプロトコルEO-115とともに製造元の推奨に従って使用した。
【0211】
細胞培養
これらの実験では、500万個の細胞/条件(合計1億2000万個の細胞)を解凍し、DMSOを洗い流した(5mLの凍結細胞を解凍し、50mLの培地で希釈した)。細胞を350×gで10分間回転させ、上清を吸引し、管を軽くたたいて細胞を再懸濁した。培地を200~500万個の細胞/mLで添加し、細胞を24時間培養した。
【0212】
RNPヌクレオフェクション
細胞を50mL円錐管に収集し、350×gで10分間遠心分離し、その間にRNP複合体を調製した。以前に分注されたRNP複合体を解凍し、200:500pmolのCas9:gRNA/50μLヌクレオフェクション試薬で、P3ヌクレオフェクション試薬+RNPマスターミックスを調製した。適切な条件のために、50μLのヌクレオフェクション試薬を、100μLのヌクレオフェクションキュベットに分注した。収集した細胞をP3ヌクレオフェクション試薬に2,000,000細胞/50μLで再懸濁し、50μLの細胞含有ヌクレオフェクション試薬を、各ヌクレオフェクションキュベットに総量100μLで分配した。
【0213】
ウイルス形質導入
ヌクレオフェクションの前に、ウイルス形質導入培地を調製した。無血清培地のウイルス含有マスターミックスを以下のように調製した。a.50,000vg/細胞ウイルスを含む総量900μL、b.1000億(vg+追加)を含む4800μL(+追加)。培地のみの対照も調製した。900μLの形質導入培地または対照を、24ウェルプレートのウェルに分注した。
【0214】
ヌクレオフェクションに続いて、約500μLの形質導入培地をトランスファーピペットで吸引し、ヌクレオフェクションキュベットに穏やかに移した。すべての形質導入培地/ヌクレオフェクション培地混合物を吸引し、ピペットで24ウェルプレートの対応するウェルに戻した。細胞を最大2週間培養し、2日目(D2)、4日目(D4)、7日目(D7)、および14日目(D14)にフローサイトメトリーによって分析した。ゲノムDNAを2日目(D2)に収集して切断効率を決定し、7日目(D7)に収集してドナー組込みを決定した。
【0215】
結果を図3A、3B、4、5A、5B、および5Cに示す。HDR-TIは、活性化T細胞(図3Aおよび3B)で好まれたが、NHEJ-TIは、非活性化T細胞で好まれた(これらは検出可能なHDR-TIではなかった、図5Aおよび5B)。さらに、図5Cに示されるように、NHEJ編集非活性化T細胞は、主にCD4であった(4.97% CD8と比較して91.1% CD4)。
【0216】
実施例3:CD34細胞中のNHEJを介したTIを試験する。
この研究は、ヒトCD34細胞において、インビボドナー切断の有無にかかわらず、刺激されたNHEJを介した標的組込みの実現可能性を決定するために実行した。この研究では、2つのプロトコルを比較して、操作の順序が標的組込みの収量および生存率/細胞性に影響を与えるかどうかを判断した。HSCは、2カットドナー(配列番号5)または0カットドナー(配列番号4)およびRNPのいずれかを担持するscAAV6で処理した。
【表3】
【0217】
条件ごとに20万個のCD34細胞を使用した(Stem Cell TechnologiesまたはAllCells製)。scAAV6 0カットNHEJベクター(配列番号4)または2カットNHEJベクター(配列番号5)(Vector Biolabs)を20,000vg/細胞のMOIで使用した。RNPには、24pmolのCas9(Feldan)~120pmolのAAVS1ガイドRNA(配列番号8)(Axolabs)が含まれていた。
【0218】
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、Primary Cell P3ヌクレオフェクター溶液(Lonza V4XP-3032)およびヌクレオフェクションプロトコルDZ-100とともに製造元の推奨に従って使用した。
【0219】
細胞培養
分注された培地およびサイトカインを、使用直前に解凍した。解凍したサイトカインおよび小分子を、StemSpan SFEM IIに添加して完全培地を作成し、37℃に温めた。200,000細胞/条件に十分なhCD34のバイアルを解凍し、細胞を15mL円錐管に移し、CD34培養培地とともに、総量を最大15mLにした。細胞を90×gで9分間回転させ、上清を吸引し、細胞を1mLのCD34培養培地に再懸濁した。低結合T75フラスコ(最大200,000細胞/mL)で総量を少なくとも20mLにし、細胞を少なくとも24時間静置した。
【0220】
RNPヌクレオフェクション
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、各ウェルに適切なプログラムで使用した。ヌクレオフェクション緩衝液P3をサプリメントと事前に混合し、Cas9:gRNA RNPを前述のように調製し、10μL/管で分注した。その後の実験のために十分なRNPを解凍した。細胞を1.5、15、または50mL管に収集し、100μL(全体の1:100)の細胞を採取し、Vi-Cell XRを使用して生存率および細胞濃度を測定するために1mL(1:10希釈)に希釈した。細胞を90×gで10分間回転させ、その間に対応する量のRNPまたはmRNAをヌクレオフェクションストリップの各ウェルに添加し、ヌクレオフェクション試薬を最大10μLの容量まで添加した。培養プレートを、24ウェルプレートの各ウェルに1mLの完全培地を添加することによって調製した。細胞上清を吸引またはデカントし、緩衝液P3+サプリメントの試料あたり1/2量で細胞を再懸濁した。ヌクレオフェクション試薬中の細胞10μLを各ウェルに添加し、ヌクレオフェクターを製造元のプロトコルに従って実行した。ヌクレオフェクション後、80μLの予熱した完全培地を各ウェルに直ちに添加し、細胞を調製した培養プレートの各ウェルに細胞を穏やかにピペッティングした。
【0221】
AAV感染
AAVを氷上で解凍した。解凍したサイトカインおよび小分子をStemSpan SFEM IIに添加して、使用直前に完全培地を作成し、37℃に温めた。細胞を15mL円錐管に収集し、100μL(全体の1:100)の細胞を採取し、Vi-Cell XRを使用して生存率および細胞濃度を測定するために1mL(1:10希釈)に希釈した。細胞を90×gで9分間回転させ、その間にAAV希釈液を低結合タンパク質管内で調製した。培養プレートを、96ウェルプレートの各ウェルに50μLの完全培地を添加することによって調製し、対応する量のAAV希釈液を各ウェルに添加した。上清をデカントし、細胞を完全培地の条件数の50μL倍に再懸濁した。50μLの細胞を各ウェルに添加し、細胞を加湿した37℃の正常酸素インキュベーターに2時間戻した。次いで、細胞を1.5mLの滅菌エッペンドルフ管に収集し、90×gで10分間回転させ、その間に24ウェルプレートの各ウェルに0.7mLの完全培地を添加することによって培養プレートを調製した。上清をデカントし、細胞を300μLの完全培養培地に再懸濁し、調製した培養プレートに移した。
【0222】
条件固有のプロトコル
プロトコル1(P1)
プロトコル1(P1)を、最初にAAV処理、続いてRNP処理により実行した。細胞をAAVで処理し、2時間後に1.5mLの滅菌エッペンドルフ管に収集した。細胞を90×gで10分間回転させ、その間にヌクレオフェクション試薬およびRNPを調製し、ウェルあたり900μLの完全培地を含む24ウェル培養プレートを調製した。細胞を20μLのP3+/-RNPに再懸濁し、100μLの細胞を調製した24ウェル培養プレートに移した。細胞を正常酸素インキュベーターで最大+5日間培養し、2日ごとに培地を添加した。
【0223】
プロトコル2(P2)
プロトコル2(P2)を、最初にRNP処理、続いてAAV処理により実行した。細胞をRNPの有無にかかわらずヌクレオフェクトし、100μLの細胞を調製した培養プレートに移した。細胞を1時間静置した後、AAVで2時間処理した。次いで、細胞を収集し、回転させ、新鮮な培地に再懸濁し、正常酸素インキュベーターで最大+5日間培養し、2日ごとに培地を添加した。
【0224】
データ収集
TIDE分析
細胞を1.5mLのマイクロ遠心管に収集した。次いで、細胞をすすぎ、残りの培地を1mLのPBSで収集した。細胞を350×gで5分間の遠心分離によってペレット化し、上清をデカントした。総量が1.2mLを超える場合は、同じ管内でステップ1~4を繰り返した。gDNAを、製造元のプロトコルに従い、Qiagen DNeasy(登録商標)キット(カタログ番号69506)を使用して抽出した。
【0225】
gDNA試料を、10μLのAmpliTaq Gold(登録商標)360 2×マスターミックス、1μLのプライマー1 AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマー2 AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、200ngのゲノムDNA、1μLのGC-エンハンサー、およびHO(合計20μLまで)を使用し、以下のパラメータを用いてPCR増幅させた:1.変性:95℃ 00:010:00、2.変性:95℃ 00:00:15、3.アニーリング:60℃ 00:00:15、4.伸長:72℃ 00:02:00、ステップ2~4を35サイクル繰り返す、5.最終伸長72℃ 00:07:00、6.12℃を保持する。
【0226】
次いで、精製されたPCR産物を以下のように配列決定した。PCRクリーンアップを、製造元のプロトコルに従い、Qiagen PCR精製キット(カタログ番号28106)を使用して実施した。精製されたPCR産物を、Sanger配列決定のためにSequetechに提出した。配列決定に使用されるネストされたプライマー:AAVS1 TIDE-4R:cctctccatcctcttgctttctttg(配列番号12)、およびAAVS1 TIDE-4F:aactgcttctcctcttgggaagt(配列番号13)。
【0227】
TSUNAMI Batch TIDE分析(54.234.74.37/home/または54.158.189.0/home/のウェブページ)を使用して、CRISPR/Cas9切断効率についてINDEL分析を実行した。分析を開始するために必要なデータファイルをアップロードした。CSVファイルリスト-4つのカラムを含むヘッダーのない「.csv」ファイル(試料名のリスト-アウトプットファイルでラベル付けに使用される);予想されるgRNA配列-PAM配列のすぐ上流にある予想されるgRNA配列を表す20nt(5′-3′)DNA文字列(PAMは含まれない)、試験試料の名称、対照試料の名称)、配列決定ファイル(.ab1または.scfファイル)。分析のために次のパラメータを入力した。左側の境界:デフォルトは100bpである、右の境界:切断部位でのデフォルト設定-10bp、分解ウィンドウ:分解に使用される配列セグメントを決定する(デフォルト設定は、アップロードされた配列に可能な最大のウィンドウである)、インデルサイズ範囲:モデル化されるインデルの最大サイズを設定する。デフォルト値は10である。P値のしきい値:デフォルトはp<0.001である。次いで、結果を生成し、出力の品質測定値を評価し、必要に応じてパラメータを調整した(切断部位前の平均異常配列シグナル<10%(対照および試験試料の両方)、分解結果についてR2>0.9)。参考文献:Brinkman et al,Nucleic Acids Res.2014 Dec 16;42(22):e168.doi:10.1093/nar/gku936。
【0228】
組込み検出のためのin-out PCR
TIDE分析のために抽出された同じgDNAを、組込み検出のためのin-out PCRに使用した。gDNA試料を、10μLのAmpliTaq Gold(登録商標)360 2×マスターミックス、以下のプライマーの組み合わせ:5′正配向AB(1μLのプライマーA:AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマーB:IntAmp1(GATGGGGGTGTTCTGCTGG、配列番号14))、3′正配向CV(1μLのプライマーV:AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、1μLのプライマーC:IntAmp2(CGTAAACGGCCACAAGTTCA、配列番号15))、5′逆配向AC(1μLのプライマーA:AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマーC:IntAmp2(CGTAAACGGCCACAAGTTCA、配列番号15))、3′逆配向BV(1μLのプライマーV:AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、1μLのプライマーB:IntAmp1(GATGGGGGTGTTCTGCTGG、配列番号14)、100ngのゲノムDNA、1μLのGC-エンハンサー、およびHO(合計20μLまで)のうちの1つを使用してPCR増幅させた。
【0229】
TOPO-TAクローニング
TOPO-TAクローニングを、4μLのin-out PCRアンプリコン、1μLの塩溶液、および1μLのTOPO-TAベクター(pCR(商標)2.1-TOPO(登録商標)ベクター)を使用して実行した。反応物を25℃で15分間インキュベートした後、氷上で冷却した。
【0230】
上位10の化学的にコンピテントな細胞を氷上で解凍し、2μLのTOPO-TAクローニング産物を解凍した上位10の化学的にコンピテントな細胞に添加した。細胞懸濁液を穏やかに軽くたたくことによって混合し、氷上で5分間インキュベートした後、42℃で45秒間熱ショックを与えた。次いで、細胞を氷上で5分間インキュベートし、250μLのSOC培地を添加し、細胞を細菌シェーカー内で37℃で30分間インキュベートした。150μLの細胞をX-galでコーティングしたカルベニシリン寒天プレートにプレーティングし、一晩インキュベートした。プラスミドの成長および配列決定のために白いコロニーを選択した。
【0231】
フローサイトメトリー
細胞を細胞培養プレートから5mLのFACS管に収集し、最大4mLのFACS緩衝液を添加した。細胞を350×gで5分間回転させ、上清をデカントした。細胞表面抗原に対する生存率色素および/またはコンジュゲートされた抗体を添加し、細胞を室温で20分間インキュベートした。最大4mLのFACS緩衝液を添加し、細胞を350×gで5分間回転させた。上清をデカントし、総量を200μLにし、細胞をU底96ウェルプレートに移し、Attuneハイスループットシステムを使用して実行した。
【0232】
結果を図6、7A、7B、8A、および8Bに示す。P1およびP2の両方について、編集効率は、0カットドナーよりも2カットドナーの方が高く、P2は、対応する条件のP1と比較してより優れた編集効率を示し(図6および7A)、ドナー切断の利点をさらに示し、最初にRNP処理、続いてAAV処理が、より効率的な標的組込みにつながることを示唆している。
【0233】
実施例4:CD34細胞中のNHEJを介したTIを試験する:SCGMとSFEM-II培地、低酸素と正常酸素、D1編集とD2編集
この研究は、ヒトCD34細胞において、インビボドナー切断の有無にかかわらず、刺激されたNHEJを介した標的組込みの実現可能性を決定するために実行した。ここで、培地またはOレベルがNHEJ-TIに影響を与えたかどうかを調べた。P2およびP1の両方が休止し、HDRを介した標的組込みによって編集する前に48時間HSCを予備刺激するため、1日(D1)と2日(D2)の休止期間条件も試験した。
【表4】
【表5】
【0234】
これらの実験では、200,000個のCD34細胞/条件(Stem Cell Technologies製)を使用した。細胞を、SCF 100ng/mL、TPO 100ng/mL、FLT3L 100ng/mL、およびIL6 100ng/mLを含むSCGM(CellGenix、GMPグレード)またはSFEM-II(Stem Cell Technologies)中、低酸素条件(5% O、5%CO、90% N)または正常酸素条件(ATM O2、5% CO2、90% N2)で培養した。
【0235】
RNPには、24pmolのCas9(Feldan)~120pmolのAAVS1ガイドRNA(配列番号8)(Axolabs)が含まれていた。scAAV6 2カットNHEJベクトル(配列番号5)(Vector Biolabs)を、20,000vg/細胞のMOIで使用し、2×10細胞/mLで2時間のインキュベーションに続いて、0.9mLの新鮮な培地に移した。
【0236】
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、Primary Cell P3ヌクレオフェクター溶液(Lonza V4XP-3032)およびヌクレオフェクションプロトコルDZ-100とともに製造元の推奨に従って使用した。
【0237】
細胞培養
分注された培地およびサイトカインを、使用直前に解凍した。解凍したサイトカインおよび小分子を、SCGMまたはSFEM IIに添加して完全培地を作成し、37℃に温めた。200,000細胞/条件に十分なhCD34のバイアルを解凍し、細胞を15mL円錐管に移し、CD34培養培地とともに、総量を最大15mLにした。細胞を90×gで9分間回転させ、上清を吸引した。細胞を1mLのCD34培養培地に再懸濁し、低結合T75フラスコで総量を少なくとも20mLにした(最大で200,000細胞/mL)。
【0238】
RNPヌクレオフェクション
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、各ウェルに適切なプログラムで使用した。ヌクレオフェクション緩衝液P3をサプリメントと事前に混合し、Cas9:gRNA RNPを前述のように調製し、10μL/管で分注した(後続の実験のために十分なRNPを解凍した)。細胞を1.5、15、または50mL管に収集し、100μL(全体の1:100)の細胞を採取し、Vi-Cell XRを使用して生存率および細胞濃度を測定するために1mL(1:10希釈)に希釈した。細胞を90×gで10分間回転させ、その間に対応する量のRNPまたはmRNAをヌクレオフェクションストリップの各ウェルに添加し、ヌクレオフェクション試薬を最大10μLの容量まで添加した。培養プレートを、24ウェルプレートの各ウェルに1mLの完全培地を添加することによって調製した。細胞上清を吸引またはデカントし、緩衝液P3+サプリメントの試料あたり1/2量で細胞を再懸濁した。ヌクレオフェクション試薬中の細胞10μLを各ウェルに添加し、ヌクレオフェクターを製造元のプロトコルに従って実行した。ヌクレオフェクション後、80μLの予熱した完全培地を各ウェルに直ちに添加し、細胞を調製した培養プレートの各ウェルに細胞を穏やかにピペッティングした。
【0239】
AAV感染
AAVを氷上で解凍した。解凍したサイトカインおよび小分子を、SCGMまたはSFEM IIに添加して、使用直前に完全培地を作成し、37℃に温め、その間に低結合タンパク質管内でAAV希釈液を調製した。96ウェル培養プレートを調製し、80μLの完全培地および対応する量のAAV希釈液を各ウェルに添加した。100μLのヌクレオフェクトされた細胞(80μLのレスキュー培地を添加)を、16ウェルストリップから調製した培養プレートに移し、細胞を加湿した37℃の低酸素インキュベーターに2時間戻した。次いで、細胞を収集し、その間に24ウェルプレートの各ウェルに0.7mLの完全培地を添加することによって培養プレートを調製した。細胞上清をデカントし、細胞を再懸濁し、調製した24ウェル培養プレートに移した。96ウェル培養プレートを200μLの新鮮な培地で激しくピペッティングすることによって洗浄し、培地を24ウェルプレートの対応するウェルに移した。
【0240】
次いで、細胞を4日間培養した後、細胞を収集し、1.5mL管内でペレット化した。Machery-NagelゲノムDNA抽出キットを、製造元のプロトコルに従って使用して、gDNAを収集した。
【0241】
TIDE分析
細胞を1.5mLのマイクロ遠心管に収集した。次いで、細胞をすすぎ、残りの培地を1mLのPBSで収集した。細胞を350×gで5分間の遠心分離によってペレット化し、上清をデカントした。総量が1.2mLを超える場合は、同じ管内でステップ1~4を繰り返した。gDNAを、製造元のプロトコルに従い、Qiagen DNeasy(登録商標)キット(カタログ番号69506)を使用して抽出した。
【0242】
gDNA試料を、10μLのAmpliTaq Gold(登録商標)360 2×マスターミックス、1μLのプライマー1 AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマー2 AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、200ngのゲノムDNA、1μLのGC-エンハンサー、およびHO(合計20μLまで)を使用し、以下のパラメータを用いてPCR増幅させた:1.変性:95℃ 00:010:00、2.変性:95℃ 00:00:15、3.アニーリング:60℃ 00:00:15、4.伸長:72℃ 00:02:00(ステップ2~4を35サイクル繰り返す)、5.最終伸長72℃ 00:07:00、6.12℃を保持する。
【0243】
次いで、精製されたPCR産物を以下のように配列決定した。PCRクリーンアップを、製造元のプロトコルに従い、Qiagen PCR精製キット(カタログ番号28106)を使用して実施した。精製されたPCR産物を、Sanger配列決定のためにSequetechに提出した。配列決定に使用されるネストされたプライマー:AAVS1 TIDE-4R:cctctccatcctcttgctttctttg(配列番号12)、およびAAVS1 TIDE-4F:aactgcttctcctcttgggaagt(配列番号13)。
【0244】
TSUNAMI Batch TIDE分析(54.234.74.37/home/または54.158.189.0/home/のウェブページ)を使用して、CRISPR/Cas9切断効率についてINDEL分析を実行した。分析を開始するために必要なデータファイルをアップロードした。CSVファイルリスト-4つのカラムを含むヘッダーのない「.csv」ファイル(試料名のリスト-アウトプットファイルでラベル付けに使用される);予想されるgRNA配列-PAM配列のすぐ上流にある予想されるgRNA配列を表す20nt(5′-3′)DNA文字列(PAMは含まれない)、試験試料の名称、対照試料の名称)、配列決定ファイル(.ab1または.scfファイル)。分析のために次のパラメータを入力した。左側の境界:デフォルトは100bpである、右の境界:切断部位でのデフォルト設定-10bp、分解ウィンドウ:分解に使用される配列セグメントを決定する(デフォルト設定は、アップロードされた配列に可能な最大のウィンドウである)、インデルサイズ範囲:モデル化されるインデルの最大サイズを設定する。デフォルト値は10である。P値のしきい値:デフォルトはp<0.001である。次いで、結果を生成し、出力の品質測定値を評価し、必要に応じてパラメータを調整した(切断部位前の平均異常配列シグナル<10%(対照および試験試料の両方)、分解結果についてR2>0.9)。参考文献:Brinkman et al,Nucleic Acids Res.2014 Dec 16;42(22):e168.doi:10.1093/nar/gku936。
【0245】
組込み検出のためのin-out PCR
TIDE分析のために抽出された同じgDNAを、組込み検出のためのin-out PCRに使用した。gDNA試料を、10μLのAmpliTaq Gold(登録商標)360 2×マスターミックス、以下のプライマーの組み合わせ:5′正配向AB(1μLのプライマーA:AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマーB:IntAmp1(GATGGGGGTGTTCTGCTGG、配列番号14))、3′正配向CV(1μLのプライマーV:AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、1μLのプライマーC:IntAmp2(CGTAAACGGCCACAAGTTCA、配列番号15))、5′逆配向AC(1μLのプライマーA:AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマーC:IntAmp2(CGTAAACGGCCACAAGTTCA、配列番号15))、3′逆配向BV(1μLのプライマーV:AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、1μLのプライマーB:IntAmp1(GATGGGGGTGTTCTGCTGG、配列番号14)、100ngのゲノムDNA、1μLのGC-エンハンサー、およびHO(合計20μLまで)のうちの1つを使用してPCR増幅させた。
【0246】
フローサイトメトリー
細胞を細胞培養プレートから5mLのFACS管に収集し、最大4mLのFACS緩衝液を添加した。細胞を350×gで5分間回転させ、上清をデカントした。細胞表面抗原に対する生存率色素および/またはコンジュゲートされた抗体を添加し、細胞を室温で20分間インキュベートした。最大4mLのFACS緩衝液を添加し、細胞を350×gで5分間回転させた。上清をデカントし、総量を200μLにし、細胞をU底96ウェルプレートに移し、Attuneハイスループットシステムを使用して実行した。フローサイトメトリーCD34エクスビボパネルには、CD34 BV510、CD90 PerCP-Cy5.5、CD38 APC、CD45RA PE、およびGhost Red 780生存率色素が含まれていた。
【0247】
結果を、図9A、9B、9C、9D、10A、10B、11A、11B、11C、11D、12A、12B、および12Cに示す。SCGM培地は、500nm範囲のシフトを引き起こし、eGFPおよびCD34-BV510チャネルの負の集団のシフトを引き起こした。これは、eGFP細胞の明確な集団の欠如を説明し得る。酸素レベルは、編集率に大きな影響を与えなかった。しかしながら、低酸素状態は細胞成長、恐らく細胞周期を減少させ、HSCがより静止していることを示唆する。LT-HSC集団は、正常酸素と比較して低酸素で保持された。D1編集は、D2編集よりもわずかな利点を示した。HSCが培養に費やす時間を減らすことで、生着の可能性を維持できる場合がある。長期間培養されたHSCは、生着の可能性を失うことが以前に示されている。HDRを介した標的組込みには2日間の予備刺激が必要であったが、HSCは、NHEJを介したTIに余分な日を必要としないようである。
【0248】
実施例5:CD34細胞中のNHEJを介したTIを試験する:H1編集とD1編集
この研究は、ヒトCD34細胞において、インビボドナー切断の有無にかかわらず、刺激されたNHEJを介した標的組込みの実現可能性を決定するために実行した。以前に、解凍後24時間(D1)の予備刺激/レスキュー培養が、高い生存率を維持しながらNHEJを介した標的組込みに十分であると判断された。この研究では、解凍後24時間のレスキュー培養と比較して、解凍後1時間(H1)のレスキュー培養が効率的かつ実行可能なNHEJを介したTIに十分であるかどうかを調査した。
【表6】
【0249】
これらの実験では、200,000個のCD34細胞/条件(Stem Cell Technologies製)を使用した。細胞を、SCF 100ng/mL、TPO 100ng/mL、FLT3L 100ng/mL、およびIL6 100ng/mLを含むSFEM-II(Stem Cell Technologies)中、低酸素条件(5% O、5%CO、90% N)で培養した。
【0250】
RNPには、Cas9(GeneArt V2)およびAAVS1ガイドRNA(配列番号8)(Synthego)が10:25pmolの比率で含まれていた。scAAV6 0カットNHEJベクトル(配列番号4)(Vector Biolabs)を、20,000vg/細胞のMOIで使用し、2×10細胞/mLで2時間のインキュベーションに続いて、0.9mLの新鮮な培地に移した。
【0251】
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、Primary Cell P3ヌクレオフェクター溶液(Lonza V4XP-3032)およびヌクレオフェクションプロトコルDZ-100とともに製造元の推奨に従って使用した。
【0252】
細胞培養
H1編集条件では、解凍後1~2時間で細胞を下記のように操作した。D1編集条件では、解凍後24時間で細胞を下記のように操作した。
【0253】
分注された培地およびサイトカインを、使用直前に解凍した。解凍したサイトカインおよび小分子を、SFEM-IIに添加して完全培地を作成し、37℃に温めた。200,000細胞/条件に十分なhCD34のバイアルを解凍し、細胞を15mL円錐管に移し、CD34培養培地とともに、総量を最大15mLにした。細胞を90×gで9分間回転させ、上清を吸引した。細胞を1mLのCD34培養培地に再懸濁し、低結合T75フラスコで総量を少なくとも20mLにした(最大で200,000細胞/mL)。
【0254】
RNPヌクレオフェクション
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、各ウェルに適切なプログラムで使用した。ヌクレオフェクション緩衝液P3をサプリメントと事前に混合し、Cas9:gRNA RNPを前述のように調製し、10μL/管で分注した(後続の実験のために十分なRNPを解凍した)。細胞を1.5、15、または50mL管に収集し、100μL(全体の1:100)の細胞を採取し、Vi-Cell XRを使用して生存率および細胞濃度を測定するために1mL(1:10希釈)に希釈した。細胞を90×gで10分間回転させ、その間に対応する量のRNPまたはmRNAをヌクレオフェクションストリップの各ウェルに添加し、ヌクレオフェクション試薬を最大10μLの容量まで添加した。培養プレートを、24ウェルプレートの各ウェルに1mLの完全培地を添加することによって調製した。細胞上清を吸引またはデカントし、緩衝液P3+サプリメントの試料あたり1/2量で細胞を再懸濁した。ヌクレオフェクション試薬中の細胞10μLを各ウェルに添加し、ヌクレオフェクターを製造元のプロトコルに従って実行した。ヌクレオフェクション後、80μLの予熱した完全培地を各ウェルに直ちに添加し、細胞を調製した培養プレートの各ウェルに細胞を穏やかにピペッティングした。
【0255】
AAV感染
AAVを氷上で解凍した。解凍したサイトカインおよび小分子を、SFEM IIに添加して、使用直前に完全培地を作成し、37℃に温め、その間に低結合タンパク質管内でAAV希釈液を調製した。96ウェル培養プレートを調製し、80μLの完全培地および対応する量のAAV希釈液を各ウェルに添加した。100μLのヌクレオフェクト細胞(80μLのレスキュー培地を添加)を、16ウェルストリップから調製した培養プレートに移し、細胞を加湿した37℃の低酸素インキュベーターに2時間戻した。次いで、細胞を収集し、その間に24ウェルプレートの各ウェルに0.7mLの完全培地を添加することによって培養プレートを調製した。細胞上清をデカントし、細胞を再懸濁し、調製した24ウェル培養プレートに移した。96ウェル培養プレートを200μLの新鮮な培地で激しくピペッティングすることによって洗浄し、培地を24ウェルプレートの対応するウェルに移した。
【0256】
次いで、細胞を4日間培養した後、細胞を収集し、1.5mL管内でペレット化した。Machery-NagelゲノムDNA抽出キットを、製造元のプロトコルに従って使用して、gDNAを収集した。
【0257】
TIDE分析
細胞を1.5mLのマイクロ遠心管に収集した。次いで、細胞をすすぎ、残りの培地を1mLのPBSで収集した。細胞を350×gで5分間の遠心分離によってペレット化し、上清をデカントした。総量が1.2mLを超える場合は、同じ管内でステップ1~4を繰り返した。gDNAを、製造元のプロトコルに従い、Qiagen DNeasy(登録商標)キット(カタログ番号69506)を使用して抽出した。
【0258】
gDNA試料を、10μLのAmpliTaq Gold(登録商標)360 2×マスターミックス、1μLのプライマー1 AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマー2 AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、200ngのゲノムDNA、1μLのGC-エンハンサー、およびHO(合計20μLまで)を使用し、以下のパラメータを用いてPCR増幅させた:変性:95℃ 00:010:00、2.変性:95℃ 00:00:15、3.アニーリング:60℃ 00:00:15、4.伸長:72℃ 00:02:00(ステップ2~4を35サイクル繰り返す)、5.最終伸長72℃ 00:07:00、6.12℃を保持する。
【0259】
次いで、精製されたPCR産物を以下のように配列決定した。PCRクリーンアップを、製造元のプロトコルに従い、Qiagen PCR精製キット(カタログ番号28106)を使用して実施した。精製されたPCR産物を、Sanger配列決定のためにSequetechに提出した。配列決定に使用されるネストされたプライマー:AAVS1 TIDE-4R:cctctccatcctcttgctttctttg(配列番号12)、およびAAVS1 TIDE-4F:aactgcttctcctcttgggaagt(配列番号13)。
【0260】
TSUNAMI Batch TIDE分析(54.234.74.37/home/または54.158.189.0/home/のウェブページ)を使用して、CRISPR/Cas9切断効率についてINDEL分析を実行した。分析を開始するために必要なデータファイルをアップロードした。CSVファイルリスト-4つのカラムを含むヘッダーのない「.csv」ファイル(試料名のリスト-アウトプットファイルでラベル付けに使用される);予想されるgRNA配列-PAM配列のすぐ上流にある予想されるgRNA配列を表す20nt(5′-3′)DNA文字列(PAMは含まれない)、試験試料の名称、対照試料の名称)、配列決定ファイル(.ab1または.scfファイル)。分析のために次のパラメータを入力した。左側の境界:デフォルトは100bpである、右の境界:切断部位でのデフォルト設定-10bp、分解ウィンドウ:分解に使用される配列セグメントを決定する(デフォルト設定は、アップロードされた配列に可能な最大のウィンドウである)、インデルサイズ範囲:モデル化されるインデルの最大サイズを設定する。デフォルト値は10である。P値のしきい値:デフォルトはp<0.001である。次いで、結果を生成し、出力の品質測定値を評価し、必要に応じてパラメータを調整した(切断部位前の平均異常配列シグナル<10%(対照および試験試料の両方)、分解結果についてR2>0.9)。参考文献:Brinkman et al,Nucleic Acids Res.2014 Dec 16;42(22):e168.doi:10.1093/nar/gku936。
【0261】
組込み検出のためのin-out PCR
TIDE分析のために抽出された同じgDNAを、組込み検出のためのin-out PCRに使用した。gDNA試料を、10μLのAmpliTaq Gold(登録商標)360 2×マスターミックス、以下のプライマーの組み合わせ:5′正配向AB(1μLのプライマーA:AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマーB:IntAmp1(GATGGGGGTGTTCTGCTGG、配列番号14))、3′正配向CV(1μLのプライマーV:AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、1μLのプライマーC:IntAmp2(CGTAAACGGCCACAAGTTCA、配列番号15))、5′逆配向AC(1μLのプライマーA:AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマーC:IntAmp2(CGTAAACGGCCACAAGTTCA、配列番号15))、3′逆配向BV(1μLのプライマーV:AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、1μLのプライマーB:IntAmp1(GATGGGGGTGTTCTGCTGG、配列番号14)、100ngのゲノムDNA、1μLのGC-エンハンサー、およびHO(合計20μLまで)のうちの1つを使用してPCR増幅させた。
【0262】
フローサイトメトリー
細胞を細胞培養プレートから5mLのFACS管に収集し、最大4mLのFACS緩衝液を添加した。細胞を350×gで5分間回転させ、上清をデカントした。細胞表面抗原に対する生存率色素および/またはコンジュゲートされた抗体を添加し、細胞を室温で20分間インキュベートした。最大4mLのFACS緩衝液を添加し、細胞を350×gで5分間回転させた。上清をデカントし、総量を200μLにし、細胞をU底96ウェルプレートに移し、Attuneハイスループットシステムを使用して実行した。フローサイトメトリーCD34エクスビボパネルには、CD34 BV510、CD90 PerCP-Cy5.5、CD38 APC、CD45RA PE、およびGhost Red 780生存率色素が含まれていた。
【0263】
結果を図13に示す。解凍の1時間後に編集された細胞は、わずかに低い効率ではあるが、NHEJを介した標的組込みの成功の証拠を示した。しかしながら、細胞がD1と比較してH1で編集された場合、相対細胞性および生存率はわずかに増加した。細胞を同じ日に解凍、編集、および注入するプロトコルは、技術の臨床応用を簡素化し得る。これは、HDRを介したTIに必要な予備刺激ステップを必要としないため、NHEJ-TIに固有のものである。
【0264】
実施例6:CD34細胞中のNHEJを介したTIを試験する:ヌクレオフェクションプロトコル(DZ-100とCA-137)、Cas9ソース(Aldevron SpyFi、GeneArt V2)
この研究は、ヒトCD34細胞において、インビボドナー切断の有無にかかわらず、刺激されたNHEJを介した標的組込みの実現可能性を決定するために実行した。ここでは、ヌクレオフェクションプロトコル、およびCas9のソースを比較した。
【表7】
【0265】
これらの実験では、200,000個のCD34細胞/条件(Stem Cell Technologies製)を使用した。細胞を、SCF 100ng/mL、TPO 100ng/mL、FLT3L 100ng/mL、およびIL6 100ng/mLを含むSFEM-II(Stem Cell Technologies)中、低酸素条件(5% O、5%CO、90% N)で培養した。
【0266】
RNPには、24pmolのCas9(GeneArt V2とAldevron SpyFi)~120pmolのAAVS1ガイドRNA(配列番号8)(Synthego)が含まれていた。scAAV6 2カットNHEJベクトル(配列番号5)(Vector Biolabs)を、20,000vg/細胞のMOIで使用し、2×10細胞/mLで2時間のインキュベーションに続いて、0.9mLの新鮮な培地に移した。
【0267】
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、Primary Cell P3ヌクレオフェクター溶液(Lonza V4XP-3032)およびヌクレオフェクションプロトコルDZ-100またはCA-137とともに製造元の推奨に従って使用した。
【0268】
細胞培養
分注された培地およびサイトカインを、使用直前に解凍した。解凍したサイトカインおよび小分子を、SFEM-IIに添加して完全培地を作成し、37℃に温めた。200,000細胞/条件に十分なhCD34のバイアルを解凍し、細胞を15mL円錐管に移し、CD34培養培地とともに、総量を最大15mLにした。細胞を90×gで9分間回転させ、上清を吸引した。細胞を1mLのCD34培養培地に再懸濁し、低結合T75フラスコで総量を少なくとも20mLにした(最大で200,000細胞/mL)。
【0269】
RNPヌクレオフェクション
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、各ウェルに適切なプログラムで使用した。ヌクレオフェクション緩衝液P3をサプリメントと事前に混合し、Cas9:gRNA RNPを前述のように調製し、10μL/管で分注した(後続の実験のために十分なRNPを解凍した)。細胞を1.5、15、または50mL管に収集し、100μL(全体の1:100)の細胞を採取し、Vi-Cell XRを使用して生存率および細胞濃度を測定するために1mL(1:10希釈)に希釈した。細胞を90×gで10分間回転させ、その間に対応する量のRNPまたはmRNAをヌクレオフェクションストリップの各ウェルに添加し、ヌクレオフェクション試薬を最大10μLの容量まで添加した。培養プレートを、24ウェルプレートの各ウェルに1mLの完全培地を添加することによって調製した。細胞上清を吸引またはデカントし、緩衝液P3+サプリメントの試料あたり1/2量で細胞を再懸濁した。ヌクレオフェクション試薬中の細胞10μLを各ウェルに添加し、ヌクレオフェクターを製造元のプロトコルに従って実行した。ヌクレオフェクション後、80μLの予熱した完全培地を各ウェルに直ちに添加し、細胞を調製した培養プレートの各ウェルに細胞を穏やかにピペッティングした。
【0270】
AAV感染
AAVを氷上で解凍した。解凍したサイトカインおよび小分子を、SFEM IIに添加して、使用直前に完全培地を作成し、37℃に温め、その間に低結合タンパク質管内でAAV希釈液を調製した。96ウェル培養プレートを調製し、80μLの完全培地および対応する量のAAV希釈液を各ウェルに添加した。100μLのヌクレオフェクトされた細胞(80μLのレスキュー培地を添加)を、16ウェルストリップから調製した培養プレートに移し、細胞を加湿した37℃の低酸素インキュベーターに2時間戻した。次いで、細胞を収集し、その間に24ウェルプレートの各ウェルに0.7mLの完全培地を添加することによって培養プレートを調製した。細胞上清をデカントし、細胞を再懸濁し、調製した24ウェル培養プレートに移した。96ウェル培養プレートを200μLの新鮮な培地で激しくピペッティングすることによって洗浄し、培地を24ウェルプレートの対応するウェルに移した。
【0271】
次いで、細胞を4日間培養した後、細胞を収集し、1.5mL管内でペレット化した。Machery-NagelゲノムDNA抽出キットを、製造元のプロトコルに従って使用して、gDNAを収集した。
【0272】
TIDE分析
細胞を1.5mLのマイクロ遠心管に収集した。次いで、細胞をすすぎ、残りの培地を1mLのPBSで収集した。細胞を350×gで5分間の遠心分離によってペレット化し、上清をデカントした。総量が1.2mLを超える場合は、同じ管内でステップ1~4を繰り返した。gDNAを、製造元のプロトコルに従い、Qiagen DNeasy(登録商標)キット(カタログ番号69506)を使用して抽出した。
【0273】
gDNA試料を、10μLのAmpliTaq Gold(登録商標)360 2×マスターミックス、1μLのプライマー1 AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマー2 AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、200ngのゲノムDNA、1μLのGC-エンハンサー、およびHO(合計20μLまで)を使用し、以下のパラメータを用いてPCR増幅させた:1.変性:95℃ 00:010:00、2.変性:95℃ 00:00:15、3.アニーリング:60℃ 00:00:15、4.伸長:72℃ 00:02:00(ステップ2~4を35サイクル繰り返す)、5.最終伸長72℃ 00:07:00、6.12℃を保持する。
【0274】
次いで、精製されたPCR産物を以下のように配列決定した。PCRクリーンアップを、製造元のプロトコルに従い、Qiagen PCR精製キット(カタログ番号28106)を使用して実施した。精製されたPCR産物を、Sanger配列決定のためにSequetechに提出した。配列決定に使用されるネストされたプライマー:AAVS1 TIDE-4R:cctctccatcctcttgctttctttg(配列番号12)、およびAAVS1 TIDE-4F:aactgcttctcctcttgggaagt(配列番号13)。
【0275】
TSUNAMI Batch TIDE分析(54.234.74.37/home/または54.158.189.0/home/のウェブページ)を使用して、CRISPR/Cas9切断効率についてINDEL分析を実行した。分析を開始するために必要なデータファイルをアップロードした。CSVファイルリスト-4つのカラムを含むヘッダーのない「.csv」ファイル(試料名のリスト-アウトプットファイルでラベル付けに使用される);予想されるgRNA配列-PAM配列のすぐ上流にある予想されるgRNA配列を表す20nt(5′-3′)DNA文字列(PAMは含まれない)、試験試料の名称、対照試料の名称)、配列決定ファイル(.ab1または.scfファイル)。分析のために次のパラメータを入力した。左側の境界:デフォルトは100bpである、右の境界:切断部位でのデフォルト設定-10bp、分解ウィンドウ:分解に使用される配列セグメントを決定する(デフォルト設定は、アップロードされた配列に可能な最大のウィンドウである)、インデルサイズ範囲:モデル化されるインデルの最大サイズを設定する。デフォルト値は10である。P値のしきい値:デフォルトはp<0.001である。次いで、結果を生成し、出力の品質測定値を評価し、必要に応じてパラメータを調整した(切断部位前の平均異常配列シグナル<10%(対照および試験試料の両方)、分解結果についてR2>0.9)。参考文献:Brinkman et al,Nucleic Acids Res.2014 Dec 16;42(22):e168.doi:10.1093/nar/gku936。
【0276】
組込み検出のためのin-out PCR
TIDE分析のために抽出された同じgDNAを、組込み検出のためのin-out PCRに使用した。gDNA試料を、10μLのAmpliTaq Gold(登録商標)360 2×マスターミックス、以下のプライマーの組み合わせ:5′正配向AB(1μLのプライマーA:AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマーB:IntAmp1(GATGGGGGTGTTCTGCTGG、配列番号14))、3′正配向CV(1μLのプライマーV:AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、1μLのプライマーC:IntAmp2(CGTAAACGGCCACAAGTTCA、配列番号15))、5′逆配向AC(1μLのプライマーA:AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマーC:IntAmp2(CGTAAACGGCCACAAGTTCA、配列番号15))、3′逆配向BV(1μLのプライマーV:AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、1μLのプライマーB:IntAmp1(GATGGGGGTGTTCTGCTGG、配列番号14)、100ngのゲノムDNA、1μLのGC-エンハンサー、およびHO(合計20μLまで)のうちの1つを使用してPCR増幅させた。
【0277】
フローサイトメトリー
細胞を細胞培養プレートから5mLのFACS管に収集し、最大4mLのFACS緩衝液を添加した。細胞を350×gで5分間回転させ、上清をデカントした。細胞表面抗原に対する生存率色素および/またはコンジュゲートされた抗体を添加し、細胞を室温で20分間インキュベートした。最大4mLのFACS緩衝液を添加し、細胞を350×gで5分間回転させた。上清をデカントし、総量を200μLにし、細胞をU底96ウェルプレートに移し、Attuneハイスループットシステムを使用して実行した。フローサイトメトリーCD34エクスビボパネルには、CD34 BV510、CD90 PerCP-Cy5.5、CD38 APC、CD45RA PE、およびGhost Red 780生存率色素が含まれていた。
【0278】
結果を図14A、14B、14C、および15に示す。DZ-100ヌクレオフェクションプログラムは、CA-137ヌクレオフェクションプログラムよりも優れたパフォーマンスを示した。細胞の絶対細胞性に著しい相違はなかったが、DZ-100を使用すると編集効率が大幅に向上した。GeneArt V2 Cas9は、AldevronのSpyFi Cas9よりも優れた性能を発揮した。編集効率は、GeneArt V2 Cas9で著しく向上したが、SpyFiは生存率を改善しなかった。
【0279】
実施例7:CD34細胞におけるNHEJを介したTIを試験する:RNPおよびAAV滴定
この研究は、ヒトCD34細胞において、インビボドナー切断の有無にかかわらず、刺激されたNHEJを介した標的組込みの実現可能性を決定するために実行した。NHEJを介したTI効率を維持しながら生存率を高めるために、RNPレベルおよびAAVレベルを滴定した。
【表8】
【0280】
これらの実験では、200,000個のCD34細胞/条件(Stem Cell Technologies製)を使用した。細胞を、SCF 100ng/mL、PO 100ng/mL、FLT3L 100ng/mL、およびIL6 100ng/mLを含むSFEM-II(Stem Cell Technologies)中、低酸素条件(5% O、5%CO、90% N)で培養した。
【0281】
RNPには、Cas9(GeneArt V2):AAVS1ガイドRNA(配列番号8)(Synthego)が、1)Lo:10:50pmolまたは2)Hi:20:100pmolの比率で含まれていた。scAAV6 2カットNHEJベクトル(配列番号5)(Vector Biolabs)を、1)Lo:20,000vg/細胞または2)Hi:60,000vg/細胞のMOIで使用し、2×10細胞/mLで2時間のインキュベーションに続いて、0.9mLの新鮮な培地に移した。
【0282】
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、Primary Cell P3ヌクレオフェクター溶液(Lonza V4XP-3032)およびヌクレオフェクションプロトコルDZ-100とともに製造元の推奨に従って使用した。
【0283】
細胞培養
分注された培地およびサイトカインを、使用直前に解凍した。解凍したサイトカインおよび小分子を、SFEM-IIに添加して完全培地を作成し、37℃に温めた。200,000細胞/条件に十分なhCD34のバイアルを解凍し、細胞を15mL円錐管に移し、CD34培養培地とともに、総量を最大15mLにした。細胞を90×gで9分間回転させ、上清を吸引した。細胞を1mLのCD34培養培地に再懸濁し、低結合T75フラスコで総量を少なくとも20mLにした(最大で200,000細胞/mL)。
【0284】
RNPヌクレオフェクション
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、各ウェルに適切なプログラムで使用した。ヌクレオフェクション緩衝液P3をサプリメントと事前に混合し、Cas9:gRNA RNPを前述のように調製し、10μL/管で分注した(後続の実験のために十分なRNPを解凍した)。細胞を1.5、15、または50mL管に収集し、100μL(全体の1:100)の細胞を採取し、Vi-Cell XRを使用して生存率および細胞濃度を測定するために1mL(1:10希釈)に希釈した。細胞を90×gで10分間回転させ、その間に対応する量のRNPまたはmRNAをヌクレオフェクションストリップの各ウェルに添加し、ヌクレオフェクション試薬を最大10μLの容量まで添加した。培養プレートを、24ウェルプレートの各ウェルに1mLの完全培地を添加することによって調製した。細胞上清を吸引またはデカントし、緩衝液P3+サプリメントの試料あたり1/2量で細胞を再懸濁した。ヌクレオフェクション試薬中の細胞10μLを各ウェルに添加し、ヌクレオフェクターを製造元のプロトコルに従って実行した。ヌクレオフェクション後、80μLの予熱した完全培地を各ウェルに直ちに添加し、細胞を調製した培養プレートの各ウェルに細胞を穏やかにピペッティングした。
【0285】
AAV感染
AAVを氷上で解凍した。解凍したサイトカインおよび小分子を、SFEM IIに添加して、使用直前に完全培地を作成し、37℃に温め、その間に低結合タンパク質管内でAAV希釈液を調製した。96ウェル培養プレートを調製し、80μLの完全培地および対応する量のAAV希釈液を各ウェルに添加した。100μLのヌクレオフェクトされた細胞(80μLのレスキュー培地を添加)を、16ウェルストリップから調製した培養プレートに移し、細胞を加湿した37℃の低酸素インキュベーターに2時間戻した。次いで、細胞を収集し、その間に24ウェルプレートの各ウェルに0.7mLの完全培地を添加することによって培養プレートを調製した。細胞上清をデカントし、細胞を再懸濁し、調製した24ウェル培養プレートに移した。96ウェル培養プレートを200μLの新鮮な培地で激しくピペッティングすることによって洗浄し、培地を24ウェルプレートの対応するウェルに移した。
【0286】
次いで、細胞を4日間培養した後、細胞を収集し、1.5mL管内でペレット化した。Machery-NagelゲノムDNA抽出キットを、製造元のプロトコルに従って使用して、gDNAを収集した。
【0287】
TIDE分析
細胞を1.5mLのマイクロ遠心管に収集した。次いで、細胞をすすぎ、残りの培地を1mLのPBSで収集した。細胞を350×gで5分間の遠心分離によってペレット化し、上清をデカントした。総量が1.2mLを超える場合は、同じ管内でステップ1~4を繰り返した。gDNAを、製造元のプロトコルに従い、Qiagen DNeasy(登録商標)キット(カタログ番号69506)を使用して抽出した。
【0288】
gDNA試料を、10μLのAmpliTaq Gold(登録商標)360 2×マスターミックス、1μLのプライマー1 AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマー2 AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、200ngのゲノムDNA、1μLのGC-エンハンサー、およびHO(合計20μLまで)を使用し、以下のパラメータを用いてPCR増幅させた:1.変性:95℃ 00:010:00、2.変性:95℃ 00:00:15、3.アニーリング:60℃ 00:00:15、4.伸長:72℃ 00:02:00(ステップ2~4を35サイクル繰り返す)、5.最終伸長72℃ 00:07:00、6.12℃を保持する。
【0289】
次いで、精製されたPCR産物を以下のように配列決定した。PCRクリーンアップを、製造元のプロトコルに従い、Qiagen PCR精製キット(カタログ番号28106)を使用して実施した。精製されたPCR産物を、Sanger配列決定のためにSequetechに提出した。配列決定に使用されるネストされたプライマー:AAVS1 TIDE-4R:cctctccatcctcttgctttctttg(配列番号12)、およびAAVS1 TIDE-4F:aactgcttctcctcttgggaagt(配列番号13)。
【0290】
TSUNAMI Batch TIDE分析(54.234.74.37/home/または54.158.189.0/home/のウェブページ)を使用して、CRISPR/Cas9切断効率についてINDEL分析を実行した。分析を開始するために必要なデータファイルをアップロードした。CSVファイルリスト-4つのカラムを含むヘッダーのない「.csv」ファイル(試料名のリスト-アウトプットファイルでラベル付けに使用される);予想されるgRNA配列-PAM配列のすぐ上流にある予想されるgRNA配列を表す20nt(5′-3′)DNA文字列(PAMは含まれない)、試験試料の名称、対照試料の名称)、配列決定ファイル(.ab1または.scfファイル)。分析のために次のパラメータを入力した。左側の境界:デフォルトは100bpである、右の境界:切断部位でのデフォルト設定-10bp、分解ウィンドウ:分解に使用される配列セグメントを決定する(デフォルト設定は、アップロードされた配列に可能な最大のウィンドウである)、インデルサイズ範囲:モデル化されるインデルの最大サイズを設定する。デフォルト値は10である。P値のしきい値:デフォルトはp<0.001である。次いで、結果を生成し、出力の品質測定値を評価し、必要に応じてパラメータを調整した(切断部位前の平均異常配列シグナル<10%(対照および試験試料の両方)、分解結果についてR2>0.9)。参考文献:Brinkman et al,Nucleic Acids Res.2014 Dec 16;42(22):e168.doi:10.1093/nar/gku936。
【0291】
組込み検出のためのin-out PCR
TIDE分析のために抽出された同じgDNAを、組込み検出のためのin-out PCRに使用した。gDNA試料を、10μLのAmpliTaq Gold(登録商標)360 2×マスターミックス、以下のプライマーの組み合わせ:5′正配向AB(1μLのプライマーA:AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマーB:IntAmp1(GATGGGGGTGTTCTGCTGG、配列番号14))、3′正配向CV(1μLのプライマーV:AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、1μLのプライマーC:IntAmp2(CGTAAACGGCCACAAGTTCA、配列番号15))、5′逆配向AC(1μLのプライマーA:AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマーC:IntAmp2(CGTAAACGGCCACAAGTTCA、配列番号15))、3′逆配向BV(1μLのプライマーV:AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、1μLのプライマーB:IntAmp1(GATGGGGGTGTTCTGCTGG、配列番号14)、100ngのゲノムDNA、1μLのGC-エンハンサー、およびHO(合計20μLまで)のうちの1つを使用してPCR増幅させた。
【0292】
フローサイトメトリー
細胞を細胞培養プレートから5mLのFACS管に収集し、最大4mLのFACS緩衝液を添加した。細胞を350×gで5分間回転させ、上清をデカントした。細胞表面抗原に対する生存率色素および/またはコンジュゲートされた抗体を添加し、細胞を室温で20分間インキュベートした。最大4mLのFACS緩衝液を添加し、細胞を350×gで5分間回転させた。上清をデカントし、総量を200μLにし、細胞をU底96ウェルプレートに移し、Attuneハイスループットシステムを使用して実行した。フローサイトメトリーCD34エクスビボパネルには、CD34 BV510、CD90 PerCP-Cy5.5、CD38 APC、CD45RA PE、およびGhost Red 780生存率色素が含まれていた。
【0293】
結果を図16に示す。RNPレベルが低下すると、編集効率が低下した。AAVレベルの増加は、RNPのレベルの増加とともに使用した場合に効率を著しく増加させ、相対生存率を低下させなかった。
【0294】
実施例8:2カットドナーの標的ドナー組込みのPCR分析
この研究は、ヒトCD34細胞における標的ドナー組込みを媒介する際にCas9/gRNA RNPの要件を決定するために実行した。
【0295】
これらの実験では、200,000個のCD34細胞/条件を使用した。細胞を、SCF 100ng/mL、TPO 100ng/mL、FLT3L 100ng/mL、およびIL6 100ng/mLを含むSFEM-II(Stem Cell Technologies)中、低酸素条件(5% O、5%CO、90% N)で培養した。
【0296】
RNPには、Cas9(GeneArt V2):AAVS1ガイドRNA(Synthego)が20:50pmolの比率で含まれていた。Ad5/35 2カットNHEJベクター(Welgen Inc)を、5000vp/細胞のMOIで使用し、2×10細胞/mLで2時間インキュベーションした。
【0297】
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、Primary Cell P3ヌクレオフェクター溶液(Lonza V4XP-3032)およびヌクレオフェクションプロトコルDZ-100とともに製造元の推奨に従って使用した。
【0298】
RNPヌクレオフェクションおよびウイルス感染を、以前に記載されたように実行した。組込み検出のためのin-out PCR分析は、ヌクレオフェクションおよびAd5/35処理の7日後に実施した。
【0299】
結果を図17に示す。すべての試料はout-outバンドを有していたが、Ad5/35およびRNPヌクレオフェクションの両方で処理された試料のみが、in-out PCRバンドによって証明されるように導入遺伝子の組込みを示した。
【0300】
実施例9:CD34細胞中のNHEJを介したTIを試験する:培養条件-マトリックスタンパク質
前の実施例は、CD34 HSCでのNHEJを介した標的組込みのための全体的に最適化された編集条件を示す。培養条件はHDRのために最適化されており、HSCでの細胞周期が必要である。しかしながら、HSCでの細胞増殖を誘導すると、一般に分化が誘導され、LT-HSCの割合が減少する。NHEJを介したTIでは、細胞が循環して成長する必要がない。ここでは、マトリックスタンパク質が、効率的な標的組込みを維持しながらLT-HSC表現型を維持するのに役立ち得るかどうかを調べた。NOTCHシグナル伝達の誘導のためのtenascin C、マトリックスタンパク質、およびDLL1-Fcコーティングの使用を調べた。これらの要因は両方とも、骨髄のニッチ、HSCの発生、および維持に関連している。
【表9】
【0301】
これらの実験では、200,000個のCD34細胞/条件(Stem Cell Technologies製)を使用した。細胞を、SCF 100ng/mL、TPO 100ng/mL、FLT3L 100ng/mL、およびIL6 100ng/mLを含むSFEM-II(Stem Cell Technologies)中、低酸素条件(5% O、5%CO、90% N)で培養した。
【0302】
培養プレート(組織培養処理した24ウェルプレート)を、以下のように調製した。1.対照プレート(低付着プレート)。2.Tenascin-C:1μg/cm(EMD Millipore)、3.DLL1-Fc:1μg/cm(R&D Systems)、4.Tenascin-C:1μg/cm(EMD Millipore)+DLL1-Fc:1μg/cm(R&D Systems)。
【0303】
RNPには、Cas9(GeneArt V2):AAVS1ガイドRNA(配列番号8)(Synthego)が10:25pmolの比率で含まれていた。scAAV6 0カットNHEJベクトル(配列番号4)(Vector Biolabs)を、20,000vg/細胞のMOIで使用し、2×10細胞/mLで2時間のインキュベーションに続いて、0.9mLの新鮮な培地に移した。
【0304】
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、Primary Cell P3ヌクレオフェクター溶液(Lonza V4XP-3032)およびヌクレオフェクションプロトコルDZ-100とともに製造元の推奨に従って使用した。
【0305】
細胞培養
Tenascin Cでコーティングされた細胞培養プレートを、以下のように調製した。100μgの解凍したTenascin Cを24mLの冷PBSで希釈し、0.22μmのPVDF膜でのろ過によって滅菌し、0.5mL/ウェルのPBS-TenC混合物を24ウェルプレートのウェルに添加した。プレートをパラフィルムで覆い、4℃で一晩インキュベートした。PBS-TenC混合物を、使用直前に吸引した。
【0306】
DLL1-Fcでコーティングされた細胞培養プレートを、以下のように調製した。DLL1-Fcを、50μgのDLL1-Fcを12mLの冷PBSに希釈することによってPBS(製造業者のプロトコル)で再構成し、0.5mL/ウェルのPBS-DLL1-Fc混合物を24ウェルプレートのウェルに添加した。プレートをパラフィルムで覆い、4℃で一晩インキュベートした。PBS-DLL1-Fc混合物を、使用直前に吸引した。
【0307】
Tenascin CおよびDLL1-Fcでコーティングされた細胞培養プレートを、以下のように調製した。50μgの解凍したTenascin Cを12mLの冷PBSに希釈し、0.22μmのPVDF膜でのろ過によって滅菌した。50μgの再構成されたDLL1-Fcを添加し、0.5mL/ウェルのPBS-TenC-DLL1-Fc混合物を、24ウェルプレートのウェルに添加した。プレートをパラフィルムで覆い、4℃で一晩インキュベートした。PBS-TenC-DLL1-Fcを、使用直前に吸引した。
【0308】
分注された培地およびサイトカインを、使用直前に解凍した。解凍したサイトカインおよび小分子を、SFEM-IIに添加して完全培地を作成し、37℃に温めた。200,000細胞/条件に十分なhCD34のバイアルを解凍し、細胞を15mL円錐管に移し、CD34培養培地とともに、総量を最大15mLにした。細胞を90×gで9分間回転させ、上清を吸引した。細胞を1mLのCD34培養培地に再懸濁し、低結合T75フラスコで総量を少なくとも20mLにした(最大で200,000細胞/mL)。
【0309】
RNPヌクレオフェクション
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、各ウェルに適切なプログラムで使用した。ヌクレオフェクション緩衝液P3をサプリメントと事前に混合し、Cas9:gRNA RNPを前述のように調製し、10μL/管で分注した(後続の実験のために十分なRNPを解凍した)。細胞を1.5、15、または50mL管に収集し、100μL(全体の1:100)の細胞を採取し、Vi-Cell XRを使用して生存率および細胞濃度を測定するために1mL(1:10希釈)に希釈した。細胞を90×gで10分間回転させ、その間に対応する量のRNPまたはmRNAをヌクレオフェクションストリップの各ウェルに添加し、ヌクレオフェクション試薬を最大10μLの容量まで添加した。培養プレートを、24ウェルプレートの各ウェルに1mLの完全培地を添加することによって調製した。細胞上清を吸引またはデカントし、緩衝液P3+サプリメントの試料あたり1/2量で細胞を再懸濁した。ヌクレオフェクション試薬中の細胞10μLを各ウェルに添加し、ヌクレオフェクターを製造元のプロトコルに従って実行した。ヌクレオフェクション後、80μLの予熱した完全培地を各ウェルに直ちに添加し、細胞を調製した培養プレートの各ウェルに細胞を穏やかにピペッティングした。
【0310】
AAV感染
AAVを氷上で解凍した。解凍したサイトカインおよび小分子を、SFEM IIに添加して、使用直前に完全培地を作成し、37℃に温め、その間に低結合タンパク質管内でAAV希釈液を調製した。96ウェル培養プレートを調製し、80μLの完全培地および対応する量のAAV希釈液を各ウェルに添加した。100μLのヌクレオフェクトされた細胞(80μLのレスキュー培地を添加)を、16ウェルストリップから調製した培養プレートに移し、細胞を加湿した37℃の低酸素インキュベーターに2時間戻した。次いで、細胞を収集し、その間に24ウェルプレートの各ウェルに0.7mLの完全培地を添加することによって培養プレートを調製した。細胞上清をデカントし、細胞を再懸濁し、調製した24ウェル培養プレートに移した。96ウェル培養プレートを200μLの新鮮な培地で激しくピペッティングすることによって洗浄し、培地を24ウェルプレートの対応するウェルに移した。
【0311】
次いで、細胞を4日間培養した後、細胞を収集し、1.5mL管内でペレット化した。Machery-NagelゲノムDNA抽出キットを、製造元のプロトコルに従って使用して、gDNAを収集した。
【0312】
TIDE分析
細胞を1.5mLのマイクロ遠心管に収集した。次いで、細胞をすすぎ、残りの培地を1mLのPBSで収集した。細胞を350×gで5分間の遠心分離によってペレット化し、上清をデカントした。総量が1.2mLを超える場合は、同じ管内でステップ1~4を繰り返した。gDNAを、製造元のプロトコルに従い、Qiagen DNeasy(登録商標)キット(カタログ番号69506)を使用して抽出した。
【0313】
gDNA試料を、10μLのAmpliTaq Gold(登録商標)360 2×マスターミックス、1μLのプライマー1 AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマー2 AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、200ngのゲノムDNA、1μLのGC-エンハンサー、およびHO(合計20μLまで)を使用し、以下のパラメータを用いてPCR増幅させた:1.変性:95℃ 00:010:00、2.変性:95℃ 00:00:15、3.アニーリング:60℃ 00:00:15、4.伸長:72℃ 00:02:00(ステップ2~4を35サイクル繰り返す)、5.最終伸長72℃ 00:07:00、6.12℃を保持する。
【0314】
次いで、精製されたPCR産物を以下のように配列決定した。PCRクリーンアップを、製造元のプロトコルに従い、Qiagen PCR精製キット(カタログ番号28106)を使用して実施した。精製されたPCR産物を、Sanger配列決定のためにSequetechに提出した。配列決定に使用されるネストされたプライマー:AAVS1 TIDE-4R:cctctccatcctcttgctttctttg(配列番号12)、およびAAVS1 TIDE-4F:aactgcttctcctcttgggaagt(配列番号13)。
【0315】
TSUNAMI Batch TIDE分析(54.234.74.37/home/または54.158.189.0/home/のウェブページ)を使用して、CRISPR/Cas9切断効率についてINDEL分析を実行した。分析を開始するために必要なデータファイルをアップロードした。CSVファイルリスト-4つのカラムを含むヘッダーのない「.csv」ファイル(試料名のリスト-アウトプットファイルでラベル付けに使用される);予想されるgRNA配列-PAM配列のすぐ上流にある予想されるgRNA配列を表す20nt(5′-3′)DNA文字列(PAMは含まれない)、試験試料の名称、対照試料の名称)、配列決定ファイル(.ab1または.scfファイル)。分析のために次のパラメータを入力した。左側の境界:デフォルトは100bpである、右の境界:切断部位でのデフォルト設定-10bp、分解ウィンドウ:分解に使用される配列セグメントを決定する(デフォルト設定は、アップロードされた配列に可能な最大のウィンドウである)、インデルサイズ範囲:モデル化されるインデルの最大サイズを設定する。デフォルト値は10である。P値のしきい値:デフォルトはp<0.001である。次いで、結果を生成し、出力の品質測定値を評価し、必要に応じてパラメータを調整した(切断部位前の平均異常配列シグナル<10%(対照および試験試料の両方)、分解結果についてR2>0.9)。参考文献:Brinkman et al,Nucleic Acids Res.2014 Dec 16;42(22):e168.doi:10.1093/nar/gku936。
【0316】
組込み検出のためのin-out PCR
TIDE分析のために抽出された同じgDNAを、組込み検出のためのin-out PCRに使用した。gDNA試料を、10μLのAmpliTaq Gold(登録商標)360 2×マスターミックス、以下のプライマーの組み合わせ:5′正配向AB(1μLのプライマーA:AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマーB:IntAmp1(GATGGGGGTGTTCTGCTGG、配列番号14))、3′正配向CV(1μLのプライマーV:AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、1μLのプライマーC:IntAmp2(CGTAAACGGCCACAAGTTCA、配列番号15))、5′逆配向AC(1μLのプライマーA:AAVS1-outsideF(cggaactctgccctctaacg、配列番号10)、1μLのプライマーC:IntAmp2(CGTAAACGGCCACAAGTTCA、配列番号15))、3′逆配向BV(1μLのプライマーV:AAVS1-outsideR(ctgggataccccgaagagtg、配列番号11)、1μLのプライマーB:IntAmp1(GATGGGGGTGTTCTGCTGG、配列番号14)、100ngのゲノムDNA、1μLのGC-エンハンサー、およびHO(合計20μLまで)のうちの1つを使用してPCR増幅させた。
【0317】
フローサイトメトリー
細胞を細胞培養プレートから5mLのFACS管に収集し、最大4mLのFACS緩衝液を添加した。細胞を350×gで5分間回転させ、上清をデカントした。細胞表面抗原に対する生存率色素および/またはコンジュゲートされた抗体を添加し、細胞を室温で20分間インキュベートした。最大4mLのFACS緩衝液を添加し、細胞を350×gで5分間回転させた。上清をデカントし、総量を200μLにし、細胞をU底96ウェルプレートに移し、Attuneハイスループットシステムを使用して実行した。フローサイトメトリーCD34エクスビボパネルには、CD34 BV510、CD90 PerCP-Cy5.5、CD38 APC、CD45RA PE、およびGhost Red 780生存率色素が含まれていた。
【0318】
結果を図18Aおよび18Bに示す。マトリックスタンパク質上で細胞を培養しても、対照細胞と比較して、編集された細胞の生存率および絶対細胞性は増加しなかった。興味深いことに、DLL1-Fc上で培養された細胞は、LT-HSC表現型(CD34CD91CD45RACD38)を有する細胞数を維持していた。Tenascin Cの効果は、DLL1-Fcの効果を打ち消した。DLL1-FcもTenascin Cも、NHEJを介した標的組込み効率に影響を与えなかった。
【0319】
実施例10:NHEJ-TI生着研究2
この研究は、ヒトCD34細胞において、インビボドナー切断の有無にかかわらず、刺激されたNHEJを介した標的組込みの実現可能性を決定するために実行した。ここでは、注射前の細胞内ドナー切断の有無にかかわらず、NHEJ-TIによって修飾されたCD34HSCの生着の可能性を調べた。
【0320】
この研究では、以下の条件で合計20匹のマウスを使用した。培養対照:3匹のマウス、RNPのみ:3匹のマウス、scAAV6 0カットのみ:3匹のマウス、scAAV6 2カットのみのマウス:3匹のマウス、RNP+scAAV6 0カット:4匹のマウス、およびRNP+scAAV6 2カット:4匹のマウス。
【0321】
500,000個のCD34細胞/マウス(Stem Cell Technologies製)を使用し、SCF 100ng/mL、TPO 100ng/mL、FLT3L 100ng/mL、およびIL6 100ng/mLを含むSFEM-II(Stem Cell Technologies)中、低酸素条件(5% O、5% CO、90% N)で培養した。
【0322】
RNPには、Cas9(GeneArt V2):AAVS1ガイドRNA(配列番号8)(Synthego)が50:250pmolの比率で含まれていた。scAAV6 0カットNHEJベクター(配列番号4)(Vector Biolabs)またはscAAV6 2カットNHEJベクター(配列番号5)(Vector Biolabs)を、60,000vg/細胞のMOIで使用し、2×10細胞/mLで2時間のインキュベーションを伴う。
【0323】
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、Primary Cell P3ヌクレオフェクター溶液(Lonza V4XP-3032)およびヌクレオフェクションプロトコルDZ-100とともに製造元の推奨に従って使用した。
【0324】
実験のタイムラインは次のとおりであった。0日目(D0)-細胞を解凍した:1,000万個の動員されたCD34HSC(Stem Cell Technologies)。1日目(D1)-細胞を操作した:RNPのヌクレオフェクションおよびscAAV6感染。2日目(D2)-マウスに注入した:午前中に200cGyでマウスに照射し、午後に注入した。6週目-中間採血を行う。9週目-中間採血を行う。13週目-中間採血を行う。16週目-エンドポイント分析。
【0325】
細胞培養
分注された培地およびサイトカインを、使用直前に解凍した。解凍したサイトカインおよび小分子を、SFEM-IIに添加して完全培地を作成し、37℃に温めた。500,000細胞/マウスに十分なhCD34のバイアルを解凍し、細胞を15mL円錐管に移し、CD34培養培地とともに、総量を最大15mLにした。細胞を90×gで9分間回転させ、上清を吸引した。細胞を1mLのCD34培養培地に再懸濁し、低結合T75フラスコで総量を少なくとも20mLにした(最大で200,000細胞/mL)。
【0326】
RNPヌクレオフェクション
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、各ウェルに適切なプログラムで使用した。ヌクレオフェクション緩衝液P3をサプリメントと事前に混合し、Cas9:gRNA RNPを前述のように調製し、10μL/管で分注した(後続の実験のために十分なRNPを解凍した)。細胞を50mL管に収集し、100μL(全体の1:100)の細胞を採取し、Vi-Cell XRを使用して生存率および細胞濃度を測定するために1mL(1:10希釈)に希釈した。細胞を90×gで10分間回転させ、その間に対応する量のRNPを各ヌクレオフェクションキュベットに添加し、ヌクレオフェクション試薬を最大50μLの容量まで添加した。培養フラスコを、各条件について5mLの完全培地を個々のT25フラスコに添加することによって調製した。細胞上清を吸引またはデカントし、緩衝液P3+サプリメントの試料あたり1/2量で細胞を再懸濁した。ヌクレオフェクション試薬中の細胞50μLを各キュベットに添加し、ヌクレオフェクターを製造元のプロトコルに従って実行した。ヌクレオフェクション後、500μLの予熱した完全培地を各キュベットに直ちに添加し、細胞を調製した培養フラスコに穏やかにピペッティングした。
【0327】
AAV感染
AAVを氷上で解凍した。解凍したサイトカインおよび小分子を、SFEM IIに添加して、使用直前に完全培地を作成し、37℃に温め、その間に低結合タンパク質管内でAAV希釈液を調製した。培養フラスコを、750μLまたは1mLの完全培地および対応する量のAAV希釈液をT75フラスコに添加することによって調製した。600μLのヌクレオフェクトした細胞(500μLのレスキュー培地を添加)を、ヌクレオフェクションフラスコから調製したAAV感染培養フラスコに移し、細胞を、加湿した37℃の低酸素インキュベーターに6時間戻した。次いで、細胞を15mL円錐管に移し、90×gで10分間回転させ、上清を吸引し、細胞を7.5mLまたは10mLに再懸濁し、T75フラスコに移して一晩培養を続け、細胞のアリコートを保存して、編集分析のために培養を続けた。
【0328】
細胞を収集し、15mL円錐管にペレット化し、上清を吸引し、細胞を165μLまたは220μLの注入緩衝液(PBS+0.5% BSA)に再懸濁した。10μLアリコートの細胞を1:100に希釈し、Vi-Cellを使用してカウントした。残りの細胞を、注入時まで氷上に置いた。操作中の細胞の解凍から注入の準備までの細胞損失のレベルは予想よりも大きく、各マウスは、最大200,000個の細胞のみを受容した。
【0329】
細胞の編集効率は次のとおりであった。
【0330】
D2 eGFPレベル:培養対照:0.31% eGFP、RNPのみ:0.21% eGFP、scAAV6 0カットのみ:0.28% eGFP、scAAV6 2カットのみ:1.29% eGFP、RNP+scAAV6 0カット:1.10% eGFP、RNP+scAAV6 2カット:2.93% eGFP
【0331】
D3 eGFPレベル:培養対照:0.064% eGFP、RNPのみ:0.17% eGFP、scAAV6 0カットのみ:0.32% eGFP、scAAV6 2カットのみ:0.71% eGFP、RNP+scAAV6 0カット:1.64% eGFP、RNP+scAAV6 2カット:4.14% eGFP
【0332】
D4 eGFPレベル:培養対照:0.24% eGFP、RNPのみ:0.38% eGFP、scAAV6 0カットのみ:0.35% eGFP、scAAV6 2カットのみ:0.53% eGFP、RNP+scAAV6 0カット:1.67% eGFP、RNP+scAAV6 2カット:4.49% eGFP
【0333】
これらのデータは、ドナー切断を採用する場合の編集効率の向上をさらに示す。
【0334】
scAAV6 0カットまたはscAAV6 2カットのNHEJを介した標的組込みによってD1において編集されたヒトCD34細胞をD2において注入されたマウスの末梢血からの0、6、9、13、および16週目のhCD45細胞(上のパネル)およびGFP細胞(下のパネル)について、結果を図19に示し、注入後16週目にRNP+scAAV6 2カットで処理された細胞を注入されたマウスにおけるGFP細胞の持続を示し、編集された細胞が長期生着HSCであったことを示唆する。図20Aは、マウスの骨髄から16週目のhCD45細胞(上のパネル)およびGFP細胞(下のパネル)の結果を示し、この時点でRNP+scAAV6 2カットで処理された細胞を注入されたマウスにおけるGFP細胞の持続をさらに示す。図20Bは、16週目のマウスの骨髄からの総CD45細胞のパーセントとしてのhCD34、hCD3、hCD33、hCD19、および他のhCD45細胞の相対量の結果を示し、この時点でRNP+scAAV6 2カットで処理された細胞を注射したマウスにおけるhCD45細胞の最大の亜集団が、CD33であったことを示す。結果は驚くべきものであり、トランスジェニック画分がしばしば急激に低下する、HSPCでのHDRを介した標的組込みで一般的に見られるものとは異なる。
【0335】
実施例11:NHEJ-TI生着研究3
この研究では、NHEJを介した標的組込みプロトコルをさらに最適化した。NHEJ-TIによって修飾されたCD34HSCの生着能を評価し、操作中の細胞喪失を説明した。DLL1-Fcおよび解凍-編集-注入条件で培養されたCD34HSCの生着の可能性も評価した。
【0336】
この実験では、36匹のマウスを使用した。1)PBS対照:3匹のマウス、2)培養対照:3匹のマウス、3)RNPのみ:3匹のマウス、4)scAAV6 0カットのみ:3匹のマウス、5)scAAV6 2カットのみ:3匹のマウス、6)RNP+scAAV6 0カット:4匹のマウス、7)RNP+scAAV6 2カット:4匹のマウス、8)DLL1コーティングされたプレート上のRNP+scAAV6 2カット:4匹のマウス、9)新鮮な解凍:3匹のマウス、10)RNP+scAAV6 2カット(D0編集-解凍-注入):4匹のマウス。
【0337】
100万個のCD34細胞/マウス(Stem Cell Technologies製)をD1+1条件に使用した。細胞喪失を説明するために、160万個のCD34細胞/マウスを解凍した。500,000個のCD34細胞/マウスを、新鮮な解凍および培養対照条件に使用した。細胞を、SCF 100ng/mL、TPO 100ng/mL、FLT3L 100ng/mL、およびIL6 100ng/mLを含むSFEM-II(Stem Cell Technologies)中、低酸素条件(5% O、5%CO、90% N)で培養した。
【0338】
RNPには、Cas9(Feldan):AAVS1ガイドRNA(配列番号8)(Synthego)が50:250pmolの比率で含まれていた。scAAV6 0カットNHEJベクター(配列番号4)(Vector Biolabs)およびscAAV6 2カットNHEJベクター(配列番号5)(Vector Biolabs)を、50,000vg/細胞のMOIで使用し、2×10細胞/mLで2時間のインキュベーションを伴う。
【0339】
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、Primary Cell P3ヌクレオフェクター溶液(Lonza V4XP-3032)およびヌクレオフェクションプロトコルDZ-100またはCA-137とともに製造元の推奨に従って使用した。
【0340】
研究で使用された実験のタイムラインは、次のとおりであった。0日目(D0):細胞を解凍した。D1+1注入:4000万個のCD34+細胞(GCSF動員)。1日目(D1):D1+1細胞を操作した。RNPのヌクレオフェクションおよびscAAV6感染。2日目(D2):マウスに注射した。午前-200cGyでマウスに照射した。D0解凍-編集-注入条件:細胞を操作した。午後-D1+1条件:マウスに注入した。D0条件:マウスに注入した。8、10、12、および14週目:中間採血。16週目:エンドポイント分析。
【0341】
細胞培養
分注された培地およびサイトカインを、使用直前に解凍した。解凍したサイトカインおよび小分子を、SFEM-IIに添加して完全培地を作成し、37℃に温めた。1,600,000細胞/マウスに十分なhCD34のバイアルを解凍し(細胞喪失を説明する)、細胞を15mL円錐管に移し、CD34培養培地とともに、総量を最大15mLにした。細胞を90×gで9分間回転させ、上清を吸引した。細胞を1mLのCD34培養培地に再懸濁し、低結合T75フラスコで総量を少なくとも20mLにした(最大で250,000細胞/mL)。
【0342】
RNPヌクレオフェクション
Lonza 4D Nucleofector(登録商標)を、各ウェルに適切なプログラムで使用した。ヌクレオフェクション緩衝液P3をサプリメントと事前に混合し、Cas9:gRNA RNPを前述のように調製し、10μL/管で分注した(後続の実験のために十分なRNPを解凍した)。細胞を50mL管に収集し、100μL(全体の1:100)の細胞を採取し、Vi-Cell XRを使用して生存率および細胞濃度を測定するために1mL(1:10希釈)に希釈した。細胞を90×gで10分間回転させ、その間に対応する量のRNPを各ヌクレオフェクションキュベットに添加し、ヌクレオフェクション試薬を最大50μLの容量まで添加した。培養フラスコを、各条件について5mLの完全培地を個々のT25フラスコに添加することによって調製した。細胞上清を吸引またはデカントし、緩衝液P3+サプリメントの試料あたり1/2量で細胞を再懸濁した。ヌクレオフェクション試薬中の細胞50μLを各キュベットに添加し、ヌクレオフェクターを製造元のプロトコルに従って実行した。ヌクレオフェクション後、500μLの予熱した完全培地を各キュベットに直ちに添加し、細胞を調製した培養フラスコに穏やかにピペッティングした。
【0343】
AAV感染
AAVを氷上で解凍した。解凍したサイトカインおよび小分子を、SFEM IIに添加して、使用直前に完全培地を作成し、37℃に温め、その間に低結合タンパク質管内でAAV希釈液を調製した。培養フラスコを、750μLまたは1mLの完全培地および対応する量のAAV希釈液をT75フラスコに添加することによって調製した。600μLのヌクレオフェクトした細胞(500μLのレスキュー培地を添加)を、ヌクレオフェクションフラスコから調製したAAV感染培養フラスコに移し、細胞を、加湿した37℃の低酸素インキュベーターに6時間戻した。次いで、細胞を15mL円錐管に移し、90×gで10分間回転させ、上清を吸引し、細胞を7.5mLまたは10mL培地に再懸濁し、T75フラスコに移して一晩培養を続け、細胞のアリコートを保存して、編集分析のために培養を続けた。
【0344】
細胞を収集し、15mL円錐管にペレット化し、上清を吸引し、細胞を165μLまたは220μLの注入緩衝液(PBS+0.5% BSA)に再懸濁した。10μLアリコートの細胞を1:100に希釈し、Vi-Cellを使用してカウントした。残りの細胞を、注入時まで氷上に置いた。
【0345】
DLL1-Fc条件固有のプロトコル:1)T75フラスコを、実施例9で前述したようにDLL1-Fcでコーティングした。2)細胞を解凍し、DLL1-Fcでコーティングされたプレート上で一晩培養した。3)操作のために細胞を剥離するために、上清を収集し、プレートを洗浄し、PBS中の1mM EDTAとともに5分間2回インキュベートした。4)細胞を上記のように編集した。5)RNPヌクレオフェクション後、新しいDLL1-FcでコーティングされたT75フラスコでAAV感染を行った。6)細胞を一晩培養した。7)細胞を上記のように注入用に調製したが、再度、プレートを洗浄し、PBS中の1mMのEDTA中で5分間2回インキュベートした。
【0346】
解凍-編集-注入条件固有のプロトコル:1)細胞を注入日に解凍した。2)細胞を低付着T75フラスコ内の完全培地で1時間静置した。3)細胞を上記のように操作した。4)AAV感染の2時間後、細胞を希釈する代わりに収集し、注入用に調製した。
【0347】
各マウスは、必要な数の細胞を受容した(培養対照の場合は500,000細胞/マウス、他の条件の場合は1,000,000細胞/マウス)。結果を図21、22A~22D、23A~23D、24A~24D、25A~25D、26A~26D、27A、27B、28A~28C、および29A~29Cに示す。
【0348】
細胞の初期編集効率は次のとおりであった。培養対照:0.01% GFP、RNPのみ:0.62% GFP、AAV 0カットのみ:0.42% GFP、AAV 2カットのみ:0.73% GFP、AAV 0カット+RNP:1.54% GFP、AAV 2カット+RNP:3.07% GFP、AAV 2カット+RNP+DLL1-Fc:2.49% GFP、新鮮な解凍:0.24% GFP、新鮮な解凍AAV 2カット+RNP:2.58% GFP、ここで培養対照、RNPのみ、AAV 0カットのみ、AAV 2カットのみ、および新鮮な解凍条件のGFPシグナルのパーセンテージは、バックグラウンドノイズである。これらのデータは、ドナー切断を採用する場合の編集効率の向上をさらに示す。
【0349】
16週間後の骨髄生着のパーセンテージ:培養対照:38%±27% hCD45、RNPのみ:37%±25% hCD45、AAV 0カットのみ:19%±8.4% hCD45、AAV 2カットのみ:23%±17% hCD45、AAV 0カット+RNP:18%±11% hCD45、AAV 2カット+RNP:15%±6.7% hCD45、AAV 2カット+RNP+DLL1-Fc:35%±19% hCD45、新鮮な解凍:38%±6.6% hCD45、新鮮な解凍AAV 2カット+RNP:47%±12% hCD45。16週目のhCD45細胞の生着の最大量は、AAV 2カット+RNPを用いた新鮮な解凍条件で観察された。
【0350】
16週間後の骨髄GFPパーセンテージ:培養対照:0.30%±0.19% GFP、RNPのみ:0.76%±0.14% GFP、AAV 0カットのみ:0.64%±0.33% GFP、AAV 2カットのみ:0.70%±0.013% GFP、AAV 0カット+RNP:1.36%±0.077% GFP、AAV 2カット+RNP:4.1%±0.90% GFP、AAV 2カット+RNP+DLL1-Fc:3.6%±1.9% GFP、新鮮な解凍:0.66%±0.039% GFP、新鮮な解凍AAV 2カット+RNP:2.4%±1.7% GFP、ここで培養対照、RNPのみ、AAV 0カットのみ、AAV 2カットのみ、および新鮮な解凍条件のGFPシグナルのパーセンテージは、バックグラウンドノイズである。16週目のGFP細胞の最大量は、AAV 2カット+RNP条件で観察された。図29Bに示されるように、末梢出血からのhCD45+細胞の画分としてのGFP+細胞の量は、NHEJを介した編集のためにRNP+AAVで処理した細胞を注入されたマウスでは、16週目まで安定しており、編集されたHSCが長期生着HSCであったことを示す。
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【表10-4】
【表10-5】
【表10-6】
【表10-7】
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A-1】
図9A-2】
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19-1】
図19-2】
図20A
図20B
図21
図22A
図22B
図22C
図22D
図23A
図23B
図23C
図23D
図24A
図24B
図24C
図24D
図25A
図25B
図25C
図25D
図26A
図26B
図26C
図26D
図27A
図27B
図28A
図28B
図28C
図29A
図29B
図29C
【配列表】
2022513407000001.app
【国際調査報告】