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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-08
(54)【発明の名称】風力発電機
(51)【国際特許分類】
   F03D 3/06 20060101AFI20220201BHJP
   H02S 10/12 20140101ALI20220201BHJP
   H02S 40/22 20140101ALI20220201BHJP
   H01L 31/0725 20120101ALI20220201BHJP
   H01L 31/073 20120101ALI20220201BHJP
【FI】
F03D3/06 Z
H02S10/12
H02S40/22
H01L31/06 410
H01L31/06 420
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525175
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(85)【翻訳文提出日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 IB2019059626
(87)【国際公開番号】W WO2020095269
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】102018000010157
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.KEVLAR
(71)【出願人】
【識別番号】521197427
【氏名又は名称】オルランド・ロッツィ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】オルランド・ロッツィ
【テーマコード(参考)】
3H178
5F151
【Fターム(参考)】
3H178AA12
3H178AA40
3H178AA43
3H178AA62
3H178BB31
3H178BB33
3H178BB71
3H178CC02
3H178DD12Z
5F151AA08
5F151DA15
5F151JA13
5F151JA22
5F151JA30
(57)【要約】
電気エネルギーの生成のための一体型の風力・光起電力システムが提供される。このシステムが、背部を有する風車翼を引き続き設けられた準垂直軸を装備する風力発電機を備え、これらの風車翼の空力プロファイルの背部が、少なくとも部分的に、柔軟性を有する光起電力パネルから構成される被覆物を設けられ、複数の同一平面にあるレンズを備える太陽光集光光学系が設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーの生成のための一体型の風力・光起電力システムであって、前記システムが、背部を有する風車翼を引き続き設けられた準垂直軸を装備する風力発電機を備え、これらの風車翼の空力プロファイルの前記背部が、少なくとも部分的に、柔軟性を有する光起電力パネルから構成される被覆物を設けられ、複数の同一平面にあるレンズを備える太陽光集光光学系が設けられる、システム。
【請求項2】
前記太陽放射集光光学系が、互いに離間される2つの別個の平行な平面上に配置され、これらの平面の間の距離とロータの最大直径との比が1/10から1/2の間であり、好適には1/5である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光学系が、中央リングの間で張力をかけられた高張力ベルトと、前記風車翼の頂部のところに設けられる結合ブラケットとから構成される同心多角形マトリックスを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記光学系が、40Xから60Xの間の太陽光集光率平均値を有する、複数の集中フレネルレンズを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記集中フレネルレンズが、大きい入射放射受光角βを有するプリズムモジュールを含み、βが好適には最大25°である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記集中フレネルレンズが、前記レンズの上面を画定する、ポリメチルメタクリレートポリマーから作られる上側層であって、この上面が太陽放射に露出される面である、上側層と、対向する下面を画定し、マルチプリズム構成を有する、ポリカーボネートで作られる下側層とを有し、これらのレンズが90%を超える高い放射線透過係数を有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
柔軟性を有する光起電力パネルから構成される前記被覆物が前記風車翼の前記背部の広い長手方向領域を覆い、前記パネルが前記翼自体の前記空力プロファイルに沿って接合される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記柔軟性を有する光起電力パネルが、400nmから1000nmの間の波長のスペクトルにおいて、45%を超える高い電気変換効率を有するような、高温のための窒化ガリウム(GaN)-窒化インジウムガリウム(InGaN)を用いる、柔軟性を有する多接合光起電力パネルを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
柔軟性を有する光起電力パネルから構成される被覆物を備える前記風車翼が、これらのパネルに応じて発生する熱の熱放散を促進するために、および長期間の使用の場合でも電気変換の収率を向上させるために、アルミニウム合金で作られる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記風車翼が、両端部において開いている細長い中空本体を含み、前記翼を通過する空気流を送り出すノズルを前記翼の上側端部のところに装備する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記光起電力パネルによって発生する前記電気エネルギーが、前記ロータとハブのための支持体との間に配置されるブラシ・コレクタ系を通して管理インバータに移送され、前記ブラシ・コレクタ系が前記風車ロータに連結される回転コレクタリングを含み、前記光起電力パネルから来る電気ケーブルと、前記風車ロータを回転可能に支持する固定構造または台に取り付けられるブラシとが前記回転コレクタリングに接続される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記風力発電機によって発生する前記電気エネルギーが、前記光起電力パネルによって発生する前記電気エネルギーが移送される前記インバータに移送され、前記インバータがシステム制御盤に電気的に接続される、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、電気エネルギーを生成するための一体型の風力・光起電力システムに関する。より詳細には、本発明は、風力エネルギーを活用する風によって動作する機械および太陽放射から得られるエネルギーを活用する光起電力パネルの両方を一体化する、電気エネルギーの生成のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]いわゆる準垂直軸を有する風力発電機、つまり実質的に垂直である回転軸を有するロータと、ロータの基部に連結されてロータの基部からロータの頂部の方に向かって開き角を形成するように「V」字状の構成に方向付けられる複数の風車翼とを装備する風力発電機が、電気エネルギーの生成の分野で知られている。この技術分野での近年の進歩により、風力エネルギーを電気エネルギーに変換するためのより効率的な機械を構築することが可能となっている。継続して電気エネルギーの生成の分野に言及すると、光起電力パネルの発電機も知られている。この分野では、近年の技術的開発により、アモルファスシリコンで作られる従来の第1世代のパネルの電気変換効率より250%高い電気変換効率を有する、厚さを低減された光起電力パネルを製造することが可能となっている。
【0003】
[0003]しかし現在も既知の発電機は、風力発電機であっても光起電力発電機であっても、その設置のためには大きい投資を依然として必要とする。また、風力発電機または光起電力パネルを作るのに必要となる経済的投資を妥当なものとするためには、大型の風力発電機、または光起電力パネルを用いて覆われるのに使用可能である広い領域を用意することが依然として必要となる。
【0004】
[0004]電気エネルギーの生成の分野では、例えば、垂直軸のロータおよびこのロータに連結される翼を装備して、さらに光起電力パネルを備える風力発電機を有する、一体型の風力・光起電力システムが知られている。これらのシステムは、例えば、文献、米国特許出願公開第2008/047270(A1)号およびJP WO2014181585A1で説明されている。
【0005】
[0005]しかし、既知の一体型の風力・光起電力システムは、これらのシステムを設置することの複雑さや高い製造コストを含めた、多くの欠点を有する。
[0006]したがって、現在、いわゆる再生可能資源からの電気エネルギーの生成の分野では、経済的投資を低減しながらも有益に採用され得るような効率性の向上したコンパクトなシステムを作り出すことが切に必要であると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0007]したがって、本発明の主要な目的は、大量の電気エネルギーを生成することができるコンパクトである電気エネルギー発生のシステムを提供することである。
[0008]本発明の別の目的は、多くの使用分野に適用可能である電気エネルギー発生のためのシステムを提供することである。
【0007】
[0009]最新世代の光起電力パネルの1つのタイプとして、柔軟性を有するタイプである、つまり完全に平坦ではなくも表面に適合することができる光起電力パネルがある。さらに、現在、厚さを低減された柔軟性を有する光起電力パネルも利用可能であり、これは、通常、ミリメートルのオーダーであり、例えば約1.5~2.0mmの厚さを有する。これらの最新世代の柔軟性を有する薄型の光起電力パネルは、高い電気変換効率を有するが、太陽放射に露出されるときに相当に加熱されるという短所を有することが知られている。この加熱現象は、特には、比出力を向上させるためにレンチキュラー系を使用して太陽放射をパネルに集中させる場合に起こる。
【0008】
[0010]しかし、最新の技術を使用して製造される光起電力パネルは従来のパネルの効率の少なくとも2倍の効率を呈することができることから、これらのパネルの使用および上記の加熱問題に対しての解決策が強く望まれ、非常に有益なものであることは明らかである。
[0011]したがって、本発明は、適切な技術的解決策を開発することにより、光起電力パネルを作るのに使用される新しい技術のこれらの望ましくない影響を克服することも狙いとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0012]本発明による、電気エネルギーの生成のための一体型の風力・光起電力システムが、準垂直軸を有して風車翼を引き続き設けられたロータを装備する風力発電機を備え、このような風車翼の空力プロファイルの背部が、少なくとも背部の表面の一部において、柔軟性を有する光起電力パネルから構成される被覆物を設けられる。好適には、風車翼がロータの垂直軸を基準として傾斜している。加えて、翼が本体を有し、本体内で、ロータハブの近位側にあってロータハブに対して拘束される第1の下側端部、およびロータハブの遠位側にある第2の上側端部すなわち頂部が画定される。
【0010】
[0013]したがって、有利には、本発明によるシステムが、準垂直の風力発電機および太陽放射コレクタの2つの機能を1つのコンパクトな機械に一体化する。
【0011】
[0014]本発明の好適な実施形態によると、柔軟性を有する光起電力パネルから構成される被覆物が風車翼の背部の広い長手方向領域を覆う。より好適には、柔軟性を有する光起電力パネルから構成される被覆物が、風車翼の背部上に画定される利用可能な表面領域の大部分、またはより良好には全体を覆う。加えて、光起電力パネルが、好適には、翼自体の空力プロファイルに沿って接合される。
【0012】
[0015]本発明による一体型のシステム内で、風車翼が準垂直の「V」字状の構成として構成され、それにより、ロータの実質的に垂直である回転軸を基準として下方に配置される小型の基部を備える実質的に切頂円錐を形成する。
【0013】
[0016]有利には、本発明によると、風力発電機の翼の頂端域のところに接続される好適には同一平面にある複数の集束レンズから構成される太陽光集光方式の特別な光学構造または光学系を使用して太陽放射が集中される。
【0014】
[0017]有利には、太陽光を光起電力パネル上に集中させて集束させるための光学系が、ロータの垂直である回転軸に沿って垂直方向に連続するように構成される、集中フレネルレンズの複数の平面から構成される。好適には、光学系の集中フレネルレンズが相互に離間される形で相互接続され、風車翼の上側端部に取り付けられるタイロッドメッシュに連結される。
【0015】
[0018]レンズの複数回の屈折を活用する垂直方向に連続する集中フレネルレンズを用いるこの構造的構成が、風推進力の効果により発電機を回転させながら、日中を通して広範囲の角度の太陽位置にわたって光起電力パネルへ集束および照射を保証することができる。
【0016】
[0019]本発明の好適な実施形態において、太陽放射の集中を利用する光学系が、回転軸に対して垂直である少なくとも1つの平面内に構成されるように設けられる。より好適には、本発明は、互いに離間される2つの別個の平行な平面内にこの光学系を配置することを実現し、ここでは、これらの平面の間の距離とロータの最大直径つまり風車翼の上側端部すなわち頂部を通過する円周のところで測定される直径との比が1/10から1/2の間であり、好適には1/5である。
【0017】
[0020]本発明のより好適な実施形態によると、光学系が、風力発電機のロータの実質的に垂直である回転軸と同軸に配置される、中央リングの間で張力をかけられた高張力ベルトと、風車翼の上側端部すなわち頂部のところに設けられる対応する結合ブラケットとから好適には構成される同心多角形マトリックスを含む。このマトリックスが、光学系の対応する第1の平面または上側平面を画定する複数の集中フレネルレンズを取り付けるための実質的に平坦な上側構造を画定する。本発明によると、好適には、集中フレネルレンズが太陽光集光率平均値を有する。この太陽光集光率が、好適には、40Xから60Xの間である。
【0018】
[0021]また、本発明によると、集中フレネルレンズが、大きい入射放射受光角βを有するプリズムモジュールを含み、βが好適には最大25°である。
【0019】
[0022]集中フレネルレンズが、好適には、レンズの上面を画定する、ポリメチルメタクリレートポリマーから作られる上側層であって、この上面が太陽放射に露出される面である、上側層と、対向する下面を画定し、マルチプリズム構成を有する、ポリカーボネートで作られる下側層とを有する。また、これらのレンズが、好適には90%を超える高い放射線透過係数を有する。
【0020】
[0023]本発明の好適な実施形態によると、柔軟性を有する光起電力パネルから構成される被覆物が風車翼の背部の広い長手方向領域を覆う。加えて、光起電力パネルが、翼自体の空力プロファイルに沿って接合される。
【0021】
[0024]本発明の目的に特に適する光起電力パネルの1つのタイプは、高温のための窒化ガリウム(GaN)-窒化インジウムガリウム(InGaN)を用いる、柔軟性を有する多接合光起電力パネルを含む。これらのパネルが、通常、400nmから1000nmの間の波長のスペクトルにおいて、45%を超える高い電気変換効率を有する。
【0022】
[0025]本発明の好適な実施形態によると、柔軟性を有する光起電力パネルを備える風車翼が、これらのパネルに応じて発生する熱の放散を促進するために、および長期間の使用の場合でも電気変換の収率を向上させるために、アルミニウム合金で作られる。最新世代の光起電力パネルの柔軟性が、有利には、翼のプロファイルの空力性能自体には影響することなく、風車翼の好適には湾曲している背部に対しての完全な付着および一体化を可能にする。
【0023】
[0026]光起電力パネルの加熱を原因とするエネルギー変換効率の低下という欠点を克服するために、本発明によると、パネルが風車動翼の背部に一体化される。また、翼が有利には中空セクションを有するようにアルミニウム合金で作られ、その結果、翼自体がヒートシンクの機能を果たす。また、風車翼が、好適には、翼を通過する空気流を送り出すノズルをその上側端部すなわち頂部のところに装備する、両端部において開いている細長い中空本体を含む。
【0024】
[0027]アルミニウム翼の中空プロファイルが、有利には、翼の取り付け部の中央内部領域から風力発電機ロータのハブまでの空気流を外部の周縁部周辺領域の方に通過させるのを可能にし、それにより、翼の背部上に一体化されるパネルの熱の十分な放散を保証し、それにより最大のエネルギー変換効率を保証するような値付近に動作温度を維持する。
【0025】
[0028]本発明によると、風車翼の上側周縁部から出る高温空気の流れが、翼の上側遠位端部のところに位置するノズルにより適切に誘導され、それにより、ロータの中心から周縁部まで空気流が翼を通過する間において光起電力パネルからの熱を除去することにより、空気の加熱により生じる上記流れの、入口と比較した場合の、速度の増大により発生する推進力を効果的に活用することができるようになる。このノズルは、具体的には、そこを通過する空気流に実質的に90°の経路として機能させることができる概略「L」字状の形状を有する。
【0026】
[0029]本発明による電気エネルギー発生のシステムが、光起電力パネルによって発生する電気エネルギーを、好適には、風力発電機のロータとハブの支持体との間に配置されるブラシ・コレクタ系によりインバータに移送するのを実現する。インバータがさらに、システム制御盤に電気的に接続されていてよい。
【0027】
[0030]好適な実施形態で、ブラシ・コレクタ系が風車ロータに連結される回転コレクタリングを含み、光起電力パネルから来る電気ケーブルと、上記風車ロータを回転可能に支持する固定構造または台に一体化される固定ブラシとが、例えば特別な軸受筒または軸受の介入を介して、回転コレクタリングに接続される。
【0028】
[0031]また、本発明によると、風力発電機によって発生する電気エネルギーが、好適には、光起電力パネルによって発生する電気エネルギーが移送されるインバータに移送される。
【0029】
[0032]添付図面を参照して、非限定的な例として本発明のいくつかの好適な実施形態を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】[0033]本発明の好適な実施形態によるシステムを示す部分側面図である。
図2A】[0034]光学系のレンズを支持する多角形マトリックスを示す上面図である。
図2B】[0035]図2Aのレンズを示す上面図である。
図2C】[0036]図2Bのレンズの横断面に沿う断面図である。
図3A】[0037]図1の風力発電機のロータの翼を示す正面図である。
図3B】[0038]図3Aの風車翼のノズルを示す上方からの斜視図である。
図3C】[0039]図3Bのノズルを示す側面図である。
図3D】[0040]図3Aの風車翼を示す断面図である。
図3E】[0041]図3Aの風車翼の頂部のところに設けられる結合ブラケットを示す部分断面図である。
図4】[0042]本発明によるシステムを示す全体側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[0043]図1を参照すると、本発明による、電気エネルギーの生成のための一体型の風力・光起電力システムの構成が示されている。電気エネルギーの生成のための風力・光起電力システムが、準垂直軸Y-Yを有して風車翼2を引き続き設けられたロータ110を含む風力発電機100を備える。風車翼2が、ロータ110のロータハブ1の近位側にあってロータハブ1に対して拘束される第1の下側端部と、ロータ110のハブ1の遠位側にある第2の上側端部すなわち頂部とを有する本体を有する。これらの風車翼2は、好適には、その数が2個から7個であってよく、好適には、風力発電機100のロータ110の垂直軸Y-Yを基準として30°から60°の間の角度αで傾斜している。示される実施形態では、風車翼2が概略円錐台形の構造を形成するように概略「V」字状の構成に配置され、ロータ110の垂直回転軸Y-Yを基準として下方に配置される小型の基部を有する。翼2は、その下側において、ロータ110のハブ1に対して拘束されており、その上側において、結合ブラケット3を有する。
【0032】
[0044]有利には、本発明による風力・光起電力システムが、準垂直の風力発電機および太陽放射コレクタの2つの機能を1つの機械に一体化する。これを目的として、本発明によるシステムが、翼2の空力プロファイルの背部2’の表面の少なくとも一部を覆う、光起電力パネル8から構成される被覆物を有する。また、光起電力パネル8が、翼自体の空力プロファイルに沿って接合される。光起電力パネル8が、柔軟性を有する光起電力パネルを含む。これらの光起電力パネル8の柔軟性が、有利には、翼2の通常は曲線状である背部2’に対しての完全な付着を可能にする。
【0033】
[0045]本発明の目的に特に適する光起電力パネルの1つのタイプが、高温のための窒化ガリウム(GaN)-窒化インジウムガリウム(InGaN)を用いる、柔軟性を有する多接合の光起電力パネルを含む。これらのパネルが、通常、400nmから1000nmの間の波長のスペクトルにおいて、45%を超える高い電気変換効率を有する。
【0034】
[0046]有利には、本発明によると、太陽光集光方式の特別な光学系または光学構造を使用して太陽放射hが集中される。光学系が、風力発電機100の翼2の頂端域のところで接続される複数の同一平面にあるレンズ5を備える。
【0035】
[0047]有利には、光hを光起電力パネル2上に集中させて集束させるための光学系が、ロータ110の回転軸Y-Yに沿って垂直方向に連続するように配置される、集中フレネルレンズ5の複数の平面6、6’から構成される。加えて、光学系が、ロータ110の垂直である回転軸Y-Yと同軸に配置される、中央リングの間で張力をかけられた高張力ベルト4と、翼2の上側端部のところに設けられる結合ブラケットとから好適には構成される同心多角形マトリックス112を有する。ベルト4が、好適には、特別なKevlar29+ナイロン繊維に基づく材料で作られる。ベルト4から構成される多角形マトリックス112が、柔軟性を有する実質的に平坦なメッシュ構造12を画定し、集中フレネルレンズ5が適切な支持体によりメッシュ構造12の上に取り付けられる。示される実施形態では、ベルト4から構成される多角形マトリックスが、互いに適切に離間されてロータ110の垂直である回転軸Y-Yに対して実質的に垂直である2つの別個の実質的に平行な平面6、6’を画定する。本発明によると、2つの平面6、6’の間の距離が、これらの平面6、6’の間の距離とロータ110の最大直径つまり風車翼2の上側端部すなわち頂部を通過する円周のところで測定される直径との比が1/10から1/2の間となるように、また好適には1/5となるように、選択される。第1の末端側の平面6が風車翼2の上側ゾーンに対応するところに位置し、対して第2の平面6’が、上記第1の平面6の下方で、ロータ110の直径に応じて適切に選択される距離「d」のところに位置し、これが好適には、示される実施例では、0.2メートルから1.0メートルの間である。他の実施形態で、集中フレネルレンズの2つ以上の平面を設けることまたは平面を1つのみ設けることも可能である。
【0036】
[0048]次に図2A、2B、および2Cを参照すると、末端側の同一平面構造6を形成するベルト4およびレンズ支持体112の系が示されている。図2Bおよび2Cの複数の図で、光学系を作るのに使用されるフレネルレンズ5が示されており、このレンズが概略長方形形状を有し、好適には、長さ「b」より小さい幅「a」を有する。好適には、これらの集中フレネルレンズ5が、太陽光hの集光率平均値を有し、これが好適には40Xから60Xの間である。また、本発明によると、集中フレネルレンズ5が、大きい入射放射h受光角βを有するプリズムモジュールを有し、βが好適には最大25°である。
【0037】
[0049]高い電気エネルギー生成効率を有する柔軟性を有する光起電力パネル8が、翼の背部域内で、各翼2に取り付けられ、同一平面構造6、6’の方を向くように方向付けられる。
【0038】
[0050]図3Aから3Eを参照すると、これらの図が翼2を詳細に示しており、翼2の背部2’に対して光起電力パネル8が結合される。翼2が、両端部において開いており内部空洞2bを画定する細長い本体を備える。翼2が、有利には、高い熱伝導率を有するアルミニウム合金で作られ、それにより、翼2が、太陽放射h中に光起電力パネル8に応じて生じる熱のためのヒートシンクの機能を有する。示される実施例では、光起電力パネル8が、風車翼2の全長lbのうちの長さlpにわたって延在する、翼2の背部2’の長手方向部分を覆う。しかし、他の実施形態では、光起電力パネルが、風車翼の背部の表面の大部分、またはより好適には風車翼の表面全体を覆うことが可能である。
【0039】
[0051]翼2の内部空洞2bが翼内部の空気を通過させるのを可能にし、その結果、翼2の本体を通過する空気が、翼2の背部2’の上に一体化される光起電力パネル8を冷却することができる。
【0040】
[0052]各翼2の中空セクション9の内部を通過する加熱された空気の流れが、風力発電機のハブ1の近くで、翼2の下側開口部2aを通して室温で吸い込まれ、翼2の内部空洞2bを通過した後、翼2の軸ybに対して実質的に垂直となるような位置に位置する適切なノズル13に従って翼2の先端部のところで送り出される。
【0041】
[0053]図4を参照すると、本発明による一体型の風力・光起電力システムによって生成される電気エネルギーの、電気パネル19への移送の回路図が示されている。
【0042】
[0054]光起電力パネル8によって発生する電気エネルギーが、パネル8から出て各翼2の下側端部の方に延びて、ハブ1と一体化されるリングを備える両極式の回転コレクタ16と、支持構造体20に固定されるブラシ17とを有するデバイスに接続される電気ケーブルを通して、移送される。
【0043】
[0055]中央回転ハブ1がインバータ18に接続される発電機10のロータに接続され、光起電力パネル8からの電気エネルギーも、ブラシ17を通してインバータ18まで移送される。
【0044】
[0056]説明され、例示される本発明は複数の変形形態および修正形態を受け入れることができ、このような変形形態および修正形態のすべてが同一の本発明の原理の範囲内にある。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
【国際調査報告】