(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-08
(54)【発明の名称】融合によって修飾されたCMVのウイルス様粒子
(51)【国際特許分類】
C12N 7/01 20060101AFI20220201BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20220201BHJP
C07K 2/00 20060101ALI20220201BHJP
C07K 14/33 20060101ALI20220201BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220201BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20220201BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20220201BHJP
A61K 47/66 20170101ALI20220201BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20220201BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220201BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20220201BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220201BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220201BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220201BHJP
C12P 21/02 20060101ALN20220201BHJP
【FI】
C12N7/01
C12N15/62 Z
C07K2/00
C07K14/33
C07K19/00
A61K39/00 G
A61K39/00 Z
A61K35/76
A61K47/66
A61P37/08
A61P37/06
A61P33/00
A61P31/12
A61P31/04
A61P35/00
C12P21/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533352
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2019086788
(87)【国際公開番号】W WO2020128037
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521253756
【氏名又は名称】サイバ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゼルティンス、アンドリス
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA45
4C076AA95
4C076CC06
4C076CC07
4C076CC27
4C076CC32
4C076CC35
4C076EE59
4C085AA03
4C085EE01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087MA05
4C087NA13
4C087ZB08
4C087ZB13
4C087ZB26
4C087ZB33
4C087ZB35
4C087ZB37
4H045AA10
4H045AA11
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA01
4H045CA11
4H045CA30
4H045CA40
4H045CA50
4H045DA86
4H045EA20
4H045EA22
4H045EA28
4H045EA31
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの融合タンパク質を含む、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)に関し、上記少なくとも1つの融合タンパク質は、b)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記キメラCMVポリペプチドは、(iii)CMVポリペプチドであって、上記CMVポリペプチドが、CMVのコートタンパク質を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくはCMVの上記コートタンパク質が、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、また一層好ましくは少なくとも90%、またさらに好ましくは少なくとも95%、なお一層好ましくは少なくとも98%、なおまた一層さらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなるCMVポリペプチドと;(iv)抗原性ポリペプチドであって、上記抗原性ポリペプチドが、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入が、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基間にある抗原性ポリペプチドと;(iii)Tヘルパー細胞エピトープであって、上記Tヘルパー細胞エピトープが、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、好ましくは上記CMVポリペプチドの上記N末端領域が、配列番号62のアミノ酸2~12に対応するTヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの融合タンパク質を含むキュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)であって、前記少なくとも1つの融合タンパク質が、下記のとおりであるVLP:
a)以下を含むキメラCMVポリペプチド:
(i)CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCMVポリペプチド;
(ii)前記CMVポリペプチドに挿入され、
前記抗原性ポリペプチドの前記挿入が、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、前記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にある抗原性ポリペプチド;
(iii)前記CMVポリペプチドのN末端領域を置換するTヘルパー細胞エピトープ。
【請求項2】
キメラCMVポリペプチドが第1のアミノ酸リンカーをさらに含み、前記第1のアミノ酸リンカーは、抗原性ポリペプチドのN末端又はC末端に位置し、好ましくは前記第1のアミノ酸リンカーは、最大30アミノ酸の長さを有する、請求項1に記載のCMVの修飾VLP。
【請求項3】
キメラCMVポリペプチドが第2のアミノ酸リンカーをさらに含み、第1のアミノ酸リンカーは、抗原性ポリペプチドのN末端に位置し、前記第2のアミノ酸リンカーは、前記抗原性ポリペプチドのC末端に位置し、好ましくは前記第2のアミノ酸リンカーは、最大30アミノ酸の長さを有する、請求項2に記載のCMVの修飾VLP。
【請求項4】
第1及び第2のアミノ酸リンカーが、以下からなる群から独立して選択される、請求項2又は請求項3に記載のCMVの修飾VLP:
(a.)n=2~10の長さのポリグリシンリンカー(Gly)
n;
(b.)少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であって、好ましくは前記GSリンカーが、(GS)
r(G
sS)
t(GS)
u(r=0又は1、s=1~5、t=1~5及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有するグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー);ならびに
(c.)少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含むアミノ酸リンカー。
【請求項5】
第1及び/又は第2のアミノ酸リンカーが、以下から独立して選択される、請求項2又は請求項3に記載のCMVの修飾VLP:
(i)少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であって、前記GSリンカーが、(GS)
r(G
sS)
t(GS)
u(r=0又は1、s=1~5、t=1~5及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有するグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)、ならびに
(ii)少なくとも1つのグリシン、少なくとも1つのセリン、少なくとも1つのグルタミン酸及び少なくとも1つのアスパラギン酸を含むグリシン-セリン-グルタミン酸-アスパラギン酸リンカー(GSED-リンカー)であって、前記GSEDリンカーが、(DED)
x(G
sS)
t(G)
y(DED)
z(GS)
u(s=1~5、t=1~5、u=0又は1、x=0又は1、y=0~5及びz=0又は1)のアミノ酸配列を含むグリシン-セリン-グルタミン酸-アスパラギン酸リンカー(GSED-リンカー)。
【請求項6】
CMVポリペプチドが、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも90%、好ましくは95%の配列同一性を有するアミノ酸配列である、請求項1~5のいずれかに記載のCMVの修飾VLP。
【請求項7】
CMVポリペプチドが、
(i)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であって、配列番号62を含むか、好ましくはそれからなる、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;又は
(ii)配列番号62の少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり;
(i)又は(ii)で定義される前記アミノ配列が、配列番号63又はアミノ酸配列領域を含み、前記アミノ酸配列領域が、配列番号63と少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項1~6のいずれかに記載のCMVの修飾VLP。
【請求項8】
CMVポリペプチドのN末端領域が、配列番号62のアミノ酸2~12に対応する、請求項1~7のいずれかに記載のCMVの修飾VLP。
【請求項9】
Th細胞エピトープが、破傷風毒素に由来するか、PADRE配列である、請求項1~8のいずれかに記載のCMVの修飾VLP。
【請求項10】
Th細胞エピトープが、配列番号64又は配列番号65のアミノ酸配列を含む、請求項1~9のいずれかに記載のCMVの修飾VLP。
【請求項11】
キメラCMVポリペプチドが、配列番号5又は配列番号66のアミノ酸配列を含み、抗原性ポリペプチドが、配列番号5の88位のアミノ酸残基と89位のアミノ酸残基との間に配列番号5の前記キメラCMVポリペプチドに挿入されるか、前記抗原性ポリペプチドが、配列番号66の86位のアミノ酸残基と87位のアミノ酸残基との間に配列番号66の前記キメラCMVポリペプチドに挿入される、請求項1~10のいずれかに記載のCMVの修飾VLP。
【請求項12】
CMVの修飾VLPが、少なくとも1つのCMVタンパク質をさらに含み、前記CMVタンパク質はCMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記CMVタンパク質は場合により、Tヘルパー細胞エピトープによって修飾され、好ましくはCMVの前記コートタンパク質が配列番号62を含む、請求項1~11のいずれかに記載のCMVの修飾VLP。
【請求項13】
抗原性ポリペプチドが、(a)アレルゲン;(b)ウイルス;(b)細菌;(c)寄生虫;(d)腫瘍;(e)自己分子;(h)ホルモン;(i)サイトカイン;及び(k)ケモカインからなる群に由来するポリペプチドである、請求項1~12のいずれかに記載のCMVの修飾VLP。
【請求項14】
抗原性ポリペプチドが、アレルゲン、自己抗原、腫瘍抗原、又は病原体のポリペプチドである、請求項1~13のいずれかに記載のCMVの修飾VLP。
【請求項15】
キメラCMVポリペプチドが、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号29、配列番号39、配列番号46、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号128、配列番号132、配列番号134又は配列番号139からなる群から選択される、請求項1~14のいずれかに記載のCMVの修飾VLP。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物ウイルスキュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子に関し、特に、特定の位置でCMVポリペプチドに挿入された抗原性ポリペプチドを含み、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換するTh細胞エピトープをさらに含むキメラCMVポリペプチドを含む、CMVの修飾VLPに関する。さらに、これらの修飾VLPは、好ましくは、上記CMVポリペプチドに融合された上記抗原性ポリペプチドに対する免疫応答、特に抗体応答を生じさせるためのワクチンプラットフォームとして機能する。さらに、本発明は、融合抗原性ポリペプチド(in-fused antigenic polypeptide)を含む上記キメラCMVポリペプチドと、上記抗原性ポリペプチドを含まない追加のCMVタンパク質とを含むモザイクウイルス様粒子である修飾ウイルス様粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
植物ウイルス及びそれに由来するウイルス様粒子(VLP)は、特徴的な翻訳後修飾、費用対効果、有益な安全性プロファイル、生産速度及び拡張性をもたらすそれらの能力に照らして、主に、VLPワクチンを生成するための経済的かつ迅速な代替プラットフォームとしての植物の役割のために、近年注目を集めている(Chen Q and Lai H,Human Vaccines&Immunotherapeutics(2013)9:26-49;Zeltins A,Mol Biotechnol(2013)53:92-107)。さらに、特に植物ウイルスのVLPは、感染性哺乳動物ウイルスに観察されるものと同様の強力な免疫応答を誘発することを目的として、それらの表面に様々な抗原を提示するための担体構造と考えられている(Balke I,et al.,Adv.Drug Deliv.Rev.(2018)https://doi.org/10.1016/j.addr.2018.08.007)。
【0003】
キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV、ブロモウイルス(Bromoviridae)科、ククモウイルス(Cucumovirus)属)は、極めて広い宿主範囲を有する線状のポジティブセンス等直径植物ウイルス(linear positive-sense isodiametric plant virus)である。ウイルスゲノムは、3つの一本鎖RNA(RNA1、RNA2及びRNA3)からなり、コートタンパク質(CP)遺伝子は、ゲノムRNA3(約2200nt)及びサブゲノムRNA4(約1000nt)の両方に存在する。カプシドは、約25kDaの単一タンパク質種の180コピーを含む。CMV-B株、CMV-C株CMV-D株、CMV-L株、CMV-S株、CMV-T株、CMV-WL株、CMV-V株、CMV-Fny株、CMV-Ix株、CMV-Q株、CMV-R株など、宿主植物に関する様々な症状に関連するCMVから知られている複数の異なる株が存在する(Carrere I,et al.,Arch Virol(1999)144:1846-1857;Edwards MC,et al.,Phytopathology 81983)73:1117-1120;www.dpvweb.net)。
【0004】
近年、表面上に様々な抗原を提示するための化学リンカーカップリング技術を使用した、CMV VLPに基づくワクチンプラットフォームが記載されている。記載されているCMV VLPは、T細胞刺激エピトープが挿入された、CMVの修飾CPに由来する(A.Zeltins,et al.Vaccines 2(2017)30;国際公開第2016/062720号パンフレット)。
【0005】
CMVのキメラ形態はまた、提示系として機能し、C型肝炎ウイルス(HCV)に由来するエピトープをそれらの外面に発現するように操作されている。詳細には、CMV擬似組換え型CMV-D/Sは、CMV-S株由来のゲノムRNA3と、CMV-D株由来のRNA1及びRNA2とを担持するように操作されている。この系は、クサンシ(Xanthi)タバコ植物では、接種後に軽度のモザイク、及び葉脈の消失などのウイルス症状を発症させた。次いで、C型肝炎ウイルス(HCV)エピトープをコードするように、CP遺伝子が様々な位置で操作された。選択されたペプチドは、いわゆるR9ミモトープ、すなわち、HCVエンベロープタンパク質E2の多くの超可変領域1(HVR1)配列に由来する27アミノ酸の合成ペプチドであった。CMV遺伝子へのR9ミモトープの挿入点の選択は、必須の要因、すなわち、i)カプシド内で付加的な安定化の役割を有する独特なN末端へリックスを特徴とする(Smith TJ,et al.,J Virol(2000)74:7578-7686)、CMVコートタンパク質のN末端領域(CMVを安定化するタンパク質-RNA相互作用に関与する内部Rドメインとして知られる高濃度の塩基性アミノ酸を含む(Wikoff WR,et al.,Virology(1997)232:91-97)を保護する必要性;ii)その推定される免疫原性能力の可能性を高めるための外来エピトープの表面位置;iii)修飾クローンを産生することができる変異誘発経路の利用可能性を考慮して行われた。これらの考察に基づいて、R9ミモトープの挿入は、CMV-S RNA3のCP遺伝子内の様々な位置で行われている(AF063610,www.dpvweb.net)。上記CP遺伝子内に単一のR9ミモトープを挿入するために、R9ミモトープヌクレオチド配列が上記CP遺伝子の253、475、529位に挿入されたのに対して、2つのR9ミモトープを挿入するために、R9ミモトープヌクレオチド配列が392及び529位に挿入された。最初の2つの挿入部位の場合、そのように調製されたキメラCMVは、宿主植物内で全身に広がる能力を保持していたものの、ウイルス抽出収率が低下した。したがって、感染組織内でウイルス粒子の濃度を高めることを確実にするために、CP遺伝子の529位に挿入されたR9ミモトープを含むモザイクCMVが選択され、HCV患者血清反応性について試験された。慢性C型肝炎患者60例から得られた血清試料は、上記キメラCMVに感染した粗植物抽出物に対して顕著な免疫反応性を示した(Natilla A,et al.,Arch Virol(2004)149:137-154;Piazzolla G,et al.,J Clin Immunol(2005)25:142-152;Nuzzaci M,et al.,Arch Virol(2007)152:915-928;Nuzzaci M,et al.,Journal of Virological Methods(2009)155:118-121;Nuzzaci M,et al.,Journal of Virological Methods(2010)165:211-215;Piazzolla G,et al.,J Clin Immunol(2012)32:866-876)。
【0006】
さらに、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)に基づく発現系が、アルツハイマー病に対する潜在的なワクチンとして、及びブタサーコウイルス(porcine circovirus)特異的ワクチンの生成に関して記載されている(Vitti A,et al.,J Virol Methods(2010)169:332-340;Gellert A,et al.,PloS ONE(2012)7(12):e52688)。詳細には、CMVコートタンパク質(CP)遺伝子の248、392又は529位に様々な11~15アミノ酸長のAβ由来断片を有するキメラ構築物が作製され、ウイルス生成物がそれらの天然宿主において複製され得ることが証明された。一方、アミノ酸位置131以降のキュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)-R株の植物ウイルスコートタンパク質には、最大20アミノ酸長のブタサーコウイルス(porcine circovirus)2型(PCV2)カプシドタンパク質エピトープが組み込まれた。この挿入点131~132は、CMV CPのβE-αEFループの中央に位置し、この位置は、挿入されたエピトープがCMV CP三量体の中央に三部分基(tripartite group)を形成し、抗体をさらに効率的に産生することを可能にするという利点を有するとの結論が下された。
【0007】
さらに、広く使用されている従来の大腸菌(E.coli)発現系によるCMVのウイルスカプシドタンパク質(CP)の発現は、不溶性封入体又は非常に少量の可溶性タンパク質をもたらしたに過ぎないものの、CMVのキメラウイルス様粒子(VLP)の生成も記載されている(Xu Y,et al.,Chem Commun(2008)49-51)。一方、ジャガイモウイルスX(potato virus X)(PVX)に基づくベクターから発現されたキメラCMVコートタンパク質は、VLPに集合することができた(Natilla,A,et al.,Arch Virol(2006)151:1373-1386;Natilla,A,et al.,Protein Expression and Purification(2008)59:117-121;Chen Q and Lai H,Human Vaccines&Immunotherapeutics(2013)9:26-49)。キメラCMVコートタンパク質は、そのアミノ酸194~199に対応する、CMV CPの内部βH-βI(モチーフ5)ループに遺伝的に融合したニューカッスル病ウイルス(Newcastle disease virus)(NDV)の17~25アミノ酸長のエピトープを含む(He X,et al(1998)J Gen Virol 79:3145-3153)。
【0008】
VLPに基づくワクチンの開発の過程では進歩があったものの、また別の別個のVLP系が依然として必要とされている。特に、ワクチンは、免疫された対象及び個体に対して、多くの場合100倍を超える変動の範囲に及ぶ可変的な抗体応答を誘導する。さらに、B型肝炎に対するワクチンなどの一部のワクチンは、一定数の非応答者という弱点を有する。非応答性は特定のMHCクラスII分子に関連し、良好なTヘルパー(Th)細胞応答を誘導できないことが、これらの個体に見られる不十分な抗体応答の原因であると考えられている(Goncalves L,et al.,Virology(2004)326:20-28)。さらに、高齢者は一般に不十分な抗体応答を示し、不十分なTh細胞応答が、この場合も非効率的な抗体応答の原因であると考えられている。したがって、ワクチン開発の分野では、本質的にあらゆる対象及び個体に対して良好なTh細胞応答を誘導するワクチンが重要な目標である。さらに、ワクチン構築プロセス中の未だ解決されていない1つのまた別の関連する非常に重要な問題が、抗原の空間的立体構造である。ワクチン構築では、ウイルス構造全体に影響を及ぼすことなく粒子表面上に最適なペプチド提示を達成することが重要である。これは、VLPが50個又は70個を超えるか、さらに長いアミノ酸長のタンパク質ドメインを収容し、典型的なVLP形態を保持することができるのは例外的な場合に限ることから、明らかになる(I.Balke et al.,Adv.Drug Deliv.Rev.(2018),https://doi.org/10.1016/j.addr.2018.08.007;I.Kalnciema,et al.Mol.Biotechnol.52(2012)129-139)。
【発明の概要】
【0009】
本発明者らはここで、驚くべきことに、Tヘルパー細胞エピトープの組込みによって既に修飾されたCMVポリペプチドの特定の位置に、様々な非常に異なる長さ及び性質の抗原性ポリペプチドを挿入することができ、上記得られた融合タンパク質が、さらに高度に免疫原性である修飾ウイルス様粒子(VLP)を依然として形成し、それらに集合することができることを見出した。好ましくは、さらに驚くべきことに、融合抗原性ポリペプチドを有する上記融合タンパク質を含み、そのような融合抗原性ポリペプチドを有しないCMVタンパク質をさらに含むモザイク修飾ウイルス様粒子を生成した。これらのモザイク修飾CMV VLPは、最大200を超えるアミノ酸長の抗原性ポリペプチドの組込みなど、非常に長い抗原性ポリペプチドの組込みに非常に有益であり、かつそれさえも可能にすることが分かった。
【0010】
第1の態様では、本発明は、少なくとも1つの融合タンパク質を含む、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供し、上記少なくとも1つの融合タンパク質は、
a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記キメラCMVポリペプチドは、
(i)CMVポリペプチドであって、上記CMVポリペプチドが、CMVのコートタンパク質を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくはCMVの上記コートタンパク質が、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、また一層好ましくは少なくとも90%、またさらに好ましくは少なくとも95%、なお一層好ましくは少なくとも98%、なおまた一層さらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなるCMVポリペプチドと;
(ii)抗原性ポリペプチドであって、上記抗原性ポリペプチドが、上記CMVポリペプチドに挿入され、
上記抗原性ポリペプチドの上記挿入が、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基間にある抗原性ポリペプチドと;
(iii)Tヘルパー細胞エピトープであって、上記Tヘルパー細胞エピトープが、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、好ましくは上記CMVポリペプチドの上記N末端領域が、配列番号62のアミノ酸2~12に対応するTヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなる。
【0011】
さらなる態様では、本発明は、少なくとも1つの融合タンパク質を含む、CMVの修飾VLPを提供し、上記少なくとも1つの融合タンパク質は、
a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記キメラCMVポリペプチドは、
(i)CMVポリペプチドであって、上記CMVポリペプチドが、CMVのコートタンパク質を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくはCMVの上記コートタンパク質が、配列番号62;又は上記コートタンパク質と、好ましくは配列番号62と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、また一層好ましくは少なくとも90%、またさらに好ましくは少なくとも95%、なお一層好ましくは少なくとも98%、なおまた一層さらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなるCMVポリペプチドと;
(ii)抗原性ポリペプチドであって、上記抗原性ポリペプチドが、上記CMVポリペプチドに挿入され、
上記抗原性ポリペプチドの上記挿入が、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基間にある抗原性ポリペプチドと;
(iii)第1のアミノ酸リンカー、好ましくは第1のアミノ酸リンカー及び第2のアミノ酸リンカーであって、上記第1のアミノ酸リンカーが、上記抗原性ポリペプチドのN末端又はC末端に位置し、好ましくは上記第1のアミノ酸リンカーが、
(a.)n=2~10の長さのポリグリシンリンカー(Gly)n;
(b.)少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であって、好ましくは上記GSリンカーが、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=1~5、t=1~5及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有するグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー);ならびに
(c.)少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含むアミノ酸リンカーからなる群から選択される第1のアミノ酸リンカー、好ましくは第1のアミノ酸リンカー及び第2のアミノ酸リンカーとを含むか、好ましくはそれらからなる。
【0012】
別の態様では、本発明は、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供し、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、
(a)少なくとも1つの融合タンパク質であって、上記少なくとも1つの融合タンパク質が、
a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記キメラCMVポリペプチドが、
(i)CMVポリペプチドであって、上記CMVポリペプチドが、CMVのコートタンパク質を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくはCMVの上記コートタンパク質が、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、また一層好ましくは少なくとも90%、またさらに好ましくは少なくとも95%、なお一層好ましくは少なくとも98%、なおまた一層さらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなるCMVポリペプチドと;
(ii)抗原性ポリペプチドであって、上記抗原性ポリペプチドが、上記CMVポリペプチドに挿入され、
上記抗原性ポリペプチドの上記挿入が、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基間にある抗原性ポリペプチドとを含むか、好ましくはそれらからなる少なくとも1つの融合タンパク質;ならびに
(b)少なくとも1つのCMVタンパク質であって、上記CMVタンパク質が、CMVのコートタンパク質を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくはCMVの上記コートタンパク質が、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、また一層好ましくは少なくとも90%、またさらに好ましくは少なくとも95%、なお一層好ましくは少なくとも98%、なおまた一層さらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり、上記CMVタンパク質が、場合により、Tヘルパー細胞エピトープによって修飾され、上記Tヘルパー細胞エピトープが、上記CMVタンパク質のN末端領域を置換し、好ましくは上記CMVタンパク質の上記N末端領域が、配列番号62のアミノ酸2~12に対応する少なくとも1つのCMVタンパク質を含む。
【0013】
本発明のさらなる態様及び実施形態は、この説明が続くにつれて明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】シングルカット制限酵素部位(single-cut restriction enzyme site)を有するpET-CMV-Ntt830-Ab36プラスミドマップの説明。他のマップ(pET-CMV-Ntt830-Ab15;pET-CMV-Ntt830-Ab16;pET-CMV-Ntt830-Ab17)はいずれも、本質的に同じ配列及び遺伝子構成を有する;それらは、アミロイド(β)ペプチドをコードするヌクレオチド配列のみが異なる。
【
図2A】CMV-Ntt830-Ab36の発現に由来するVLPの精製のSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);S-スクロース勾配(20~60%)前に細胞抽出物中で20℃で18時間培養した後の大腸菌(E.coli)C2566細胞内の可溶性タンパク質;P-不溶性タンパク質;1~6-スクロース勾配画分(チューブの底部での60%から上部での0%まで。アスタリスク(*)は、SDS/PAGEゲル中の対応するCMV-Ntt830-Ab36キメラCMVポリペプチドの相対位置を示す。
【
図2B】CMV-Ntt830-Ab15の発現に由来するVLPの精製のSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);S-スクロース勾配(20~60%)前に細胞抽出物中で20℃で18時間培養した後の大腸菌(E.coli)C2566細胞内の可溶性タンパク質;P-不溶性タンパク質;1~6-スクロース勾配画分(チューブの底部での60%から上部での0%まで。アスタリスク(*)は、SDS/PAGEゲル中の対応するCMV-Ntt830-Ab15キメラCMVポリペプチドの相対位置を示す。
【
図2C】CMV-Ntt830-Ab16の発現に由来するVLPの精製のSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);S-スクロース勾配(20~60%)前に細胞抽出物中で20℃で18時間培養した後の大腸菌(E.coli)C2566細胞内の可溶性タンパク質;P-不溶性タンパク質;1~6-スクロース勾配画分(チューブの底部での60%から上部での0%まで。アスタリスク(*)は、SDS/PAGEゲル中の対応するCMV-Ntt830-Ab16キメラCMVポリペプチドの相対位置を示す。
【
図2D】CMV-Ntt830-Ab17の発現に由来するVLPの精製のSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);S-スクロース勾配(20~60%)前に細胞抽出物中で20℃で18時間培養した後の大腸菌(E.coli)C2566細胞内の可溶性タンパク質;P-不溶性タンパク質;1~6-スクロース勾配画分(チューブの底部での60%から上部での0%まで。アスタリスク(*)は、SDS/PAGEゲル中の対応するCMV-Ntt830-Ab17キメラCMVポリペプチドの相対位置を示す。
【
図3A】CMV-Ntt830-Ab36の発現に由来する精製VLPの電子顕微鏡分析。白色の水平バーは100nmに相当する。
【
図3B】CMV-Ntt830-Ab15の発現に由来する精製VLPの電子顕微鏡分析。白色の水平バーは100nmに相当する。
【
図3C】CMV-Ntt830-Ab16の発現に由来する精製VLPの電子顕微鏡分析。白色の水平バーは100nmに相当する。
【
図3D】CMV-Ntt830-Ab17の発現に由来する精製VLPの電子顕微鏡分析。白色の水平バーは100nmに相当する。
【
図4】CMV-Ntt830-Ab36 VLP、Aβ1-42ペプチド及びCMV-Ntt830 VLPに対する、アデュカヌマブの可変領域配列を有するモノクローナル抗体の結合。
【
図5A】CMV-Ntt830-Ab16 VLP、CMV-Ntt830-Ab17 VLP及びCMV-Ntt830-Ab36 VLPは、全長Aβ1-42ペプチドを認識する抗体を誘導する。
【
図5B】CMV-Ntt830-Ab36 VLPは、アルツハイマー病患者の脳内のプラークを認識する抗体を誘導する
【
図6】シングルカット制限酵素部位を有するpETDu-CMVB2xArah202-CMV-ttプラスミドマップの説明。発現ベクターは、CMV-Ntt830-Arah202及び未修飾CMV-Ntt830の同時合成を確実にする。
【
図7A】CMV-Ntt830-Arah202及び未修飾CMV-Ntt830を含むモザイクVLPの精製のSDS-PAGEゲル。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);T-20℃で18時間培養した後の大腸菌(E.coli)C2566/pETDu-CMVxArah202-CMVtt細胞内の総タンパク質;S-スクロース勾配(20~60%)前の細胞抽出物中の可溶性タンパク質;P-不溶性タンパク質;1~6-スクロース勾配画分(チューブの底部での60%から上部での0%まで)。アスタリスク(*)は、ゲル中のCMV-Ntt830-Arah202キメラCMVポリペプチドの相対位置を示す。
【
図7B】CMV-Ntt830-Arah202及び未修飾CMV-Ntt830を含むモザイクVLPの精製のウエスタンブロット分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);T-20℃で18時間培養した後の大腸菌(E.coli)C2566/pETDu-CMVxArah202-CMVtt細胞内の総タンパク質;S-スクロース勾配(20~60%)前の細胞抽出物中の可溶性タンパク質;P-不溶性タンパク質;1~6-スクロース勾配画分(チューブの底部での60%から上部での0%まで)。ウエスタンブロットには、Arah2に対するウサギpAb(1:1000;Indoor Biotechologies、#PA-AH2)を使用した。ウエスタンブロットにより、CMV VLP画分中のAra-h202の存在が確認される。アスタリスク(*)は、ブロットにおけるCMV-Ntt830-Arah202融合タンパク質の相対位置を示す。
【
図8A】CMV-Ntt830-Arah202及び未修飾CMV-Ntt830を含むモザイクVLPの精製のSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620)、1-精製CMV-Ntt830 VLP(対照試料)2-CMV-Ntt830-Arah202及び未修飾CMV-Ntt830を含む精製モザイクVLP。
【
図8B】CMV-Ntt830-Arah202及び未修飾CMV-Ntt830を含むモザイクVLPの精製の電子顕微鏡分析。CMV-Ntt830-Arah202及び未修飾CMV-Ntt830を含む精製モザイクVLPの電子顕微鏡画像。白色の水平バーは100nmに相当する。
【
図9】Ara-h202、又はCMV-Ntt830-Arah202及び未修飾CMV-Ntt830を含むモザイクVLP(CMV-M-Arah202)を用いて免疫した14日後の組換えAra-h202に対するIgGのELISA。
【
図10A】アレルギーの全身及び局所反応に対するCMV-M-Arah202を用いたワクチン接種の保護効果を検討するための実験デザイン
【
図10B】全身及び局所惹起からの保護。ピーナッツ抽出物を用いた全身惹起。
【
図10C】全身及び局所惹起からの保護。ピーナッツ抽出物を用いた皮膚プリック試験。
【
図11】シングルカット制限酵素部位を有するpET28-CMVBxFeld1-CMV-ttプラスミドマップの説明。発現ベクターは、CMV-Ntt830-Feld12及び未修飾CMVNtt830の同時合成を確実にする。
【
図12A】CMV-Ntt830-Feld12及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-Felの精製のSDS-PAGEゲル。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);0-誘導前の大腸菌(E.coli)C2566/pET28-CMVxFeld1-CMVtt細胞内の総タンパク質;T-20℃で18時間培養した後の大腸菌(E.coli)C2566/pET28-CMVxFeld1-CMVtt細胞内の総タンパク質。S-スクロース勾配遠心分離前の細胞抽出物中の可溶性タンパク質;P-不溶性タンパク質;1~6-スクロース勾配画分(チューブの底部での60%から上部での0%まで)。アスタリスク(*)は、ゲル中のCMV-Ntt830-Feld12キメラCMVポリペプチドの相対位置を示す。
【
図12B】CMV-Ntt830-Feld12及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-Felの精製のSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620)、1-CMV-Ntt830-Feld12及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含む精製モザイクVLP、すなわちCMV-M-Fel。
【
図12C】CMV-Ntt830-Feld12及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-Felの精製の電子顕微鏡分析。CMV-Ntt830-Feld12及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含む精製モザイクVLP、すなわちCMV-M-Felの電子顕微鏡画像。白色の水平バーは100nmに相当する。
【
図13】CMV-M-Felは、Fel d1に対する強力な抗体応答を誘導する。Fel d1に対するIgGは、Fel d1と、CMV-Ntt830-Feld12のVLPと、CMV-Ntt830-Feld12及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-Felとを用いてナイーブマウスを免疫した14日後の450nmでの吸光度として示される。
【
図14A】アレルギーの全身及び局所反応に対するCMV-M-Felを用いたワクチン接種の保護効果を検討するための実験デザイン。
【
図14B】CMV-M-Felは、Fel d1による全身惹起に対する防御を誘導する。惹起は、3マイクログラムのFel d1抽出物、組換え二量体Fel d1を静脈内投与して行った。
【
図15】pET28-CMVB2x19nanp-CMVttプラスミドマップの説明。プラスミドは、CMV-Ntt830-19NANP及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-CSPの発現に役立つ。
【
図16】CMV-Ntt830-19NANP及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-CSPの精製のSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);S-スクロース勾配前の細胞抽出物中で20℃で18時間培養した後の大腸菌(E.coli)C2566内の可溶性タンパク質;P-不溶性タンパク質;1~6-スクロース勾配画分(チューブの底部での60%から上部での0%まで)。アスタリスク(*)は、SDS/PAGEゲル中のCMV-Ntt830-19nanpの相対位置を示す。
【
図17】精製CMV-M-CSPモザイクVLPの電子顕微鏡画像。白色の水平バーは100nmに相当する。
【
図18】クローン化α-シヌクレインエピトープcDNAを有するCMVNtt830遺伝子を含むpET-CMV-Ntt830-egyプラスミドクローンの説明。このプラスミドの詳細な説明は、いずれも本質的に同じ配列及び遺伝子構成を有するプラスミドクローンpET-CMV-Ntt830-egy、pET-CMV-Ntt830-kne及びpET-CMV-Ntt830-mdvを説明するための例である。それらは、α-シヌクレインペプチド変異体をコードするヌクレオチド配列のみが異なる。
【
図19A】CMV-Ntt830-egyの発現に由来するVLPの精製のSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);T-20℃で18時間培養した後の大腸菌(E.coli)C2566細胞内の総タンパク質;1~6-スクロース勾配画分(チューブの底部での60%から上部での0%まで)。
【
図19B】CMV-Ntt830-kneの発現に由来するVLPの精製のSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);T-20℃で18時間培養した後の大腸菌(E.coli)C2566細胞内の総タンパク質;1~6-スクロース勾配画分(チューブの底部での60%から上部での0%まで)。
【
図19C】CMV-Ntt830-mdvの発現に由来するVLPの精製のSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);T-20℃で18時間培養した後の大腸菌(E.coli)C2566細胞内の総タンパク質;1~6-スクロース勾配画分(チューブの底部での60%から上部での0%まで)。
【
図20A】精製CMV-Ntt830及びα-シヌクレインペプチド融合VLPのSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);1-精製CMV-Ntt830B-mdv融合タンパク質VLP;2-精製CMV-Ntt830B-egy融合タンパク質VLP;3-精製CMV-Ntt830B-kne融合タンパク質VLP;4-精製CMV-Ntt830未修飾VLP。
【
図20B】精製CMV-Ntt830B-egy融合タンパク質VLPの電子顕微鏡画像。白色の水平バーは100nmに相当する。
【
図20C】精製CMV-Ntt830B-kne融合タンパク質VLPの電子顕微鏡画像。白色の水平バーは100nmに相当する。
【
図20D】精製CMV-Ntt830B-kne融合タンパク質VLPの電子顕微鏡画像。白色の水平バーは100nmに相当する。
【
図21A】pETDu-CMVB3d-CMVB3d-flIL5-CMVttプラスミドマップの説明。プラスミドは、CMV-Ntt830-fel-IL-5及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-fel-IL-5の発現に役立つ。
【
図21B】pETDu-CMVB3d-CMVB3-flIL5-CMVttプラスミドマップの説明。プラスミドは、CMV-Ntt830-fel-IL-5*及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-fel-IL-5*の発現に役立つ。
【
図22A】CMV-Ntt830-fel-IL-5及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-fel-IL-5の精製のSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);0-IPTG誘導前の大腸菌(E.coli)C2566/pETDu-CMVB3d-flIL5-CMVtt細胞内のタンパク質;T-20℃で18時間培養した後の大腸菌(E.coli)C2566/pETDu-CMVB3d-flIL5-CMVtt細胞内の総タンパク質。S-スクロース勾配(20~60%)前の細胞抽出物中の可溶性タンパク質;P-不溶性タンパク質;1~6-スクロース勾配画分(チューブの底部での60%から上部での0%まで)。アスタリスク(*)は、SDS/PAGEゲル中のCMV-Ntt830-fel-IL-5の相対位置を示す。
【
図22B】CMV-Ntt830-fel-IL-5及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-fel-IL-5*の精製のSDS-PAGEゲル分析。 M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);0-IPTG誘導前の大腸菌(E.coli)C2566/pETDu-CMVB3-flIL5-CMVtt細胞内のタンパク質;T-20℃で18時間培養した後の大腸菌(E.coli)C2566/pETDu-CMVB3-flIL5-CMVtt細胞内の総タンパク質。S-スクロース勾配(20~60%)前の細胞抽出物中の可溶性タンパク質;P-不溶性タンパク質;1~6-スクロース勾配画分(チューブの底部での60%から上部での0%まで)。アスタリスク(*)は、SDS/PAGEゲル中のCMV-Ntt830-fel-IL-5*の相対位置を示す。
【
図23A】精製CMV-M-fel-IL-5モザイクVLPのSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);1-13000rpmでの清澄化後の精製可溶性CMV-M-fel-IL-5モザイクVLP;2-13000rpmでの清澄化後の不溶性CMV-Ntt830-fel-IL-5/CMV-Ntt830。
【
図23B】精製CMV-M-fel-IL-5モザイクVLPの電子顕微鏡画像。水平バーは200nmに相当する。
【
図23C】精製CMV-M-fel-IL-5*モザイクVLPのSDS-PAGEゲル分析。 M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);1-13000rpmでの清澄化後の精製可溶性CMV-M-fel-IL-5*モザイクVLP。
【
図23D】精製CMV-M-fel-IL-5*モザイクVLPの電子顕微鏡画像。
【
図24】pETDu-CMVB3d-CMVB3d-2xflIL5-CMVttプラスミドマップの説明。プラスミドは、CMV-Ntt830-fel-IL-5及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-2xfel-IL-5の発現に役立つ。
【
図25】CMV-Ntt830-2xfel-IL-5及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-2xfel-IL-5の精製のSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);0-IPTG誘導前の大腸菌(E.coli)C2566/pETDu-CMVB3d-2xflIL5-CMVtt細胞内のタンパク質;T-20℃で18時間培養した後の大腸菌(E.coli)C2566/pETDu-CMVB3d-2xflIL5-CMVtt細胞内の総タンパク質。S-スクロース勾配(20~60%)前の細胞抽出物中の可溶性タンパク質;P-不溶性タンパク質;1~6-スクロース勾配画分(チューブの底部での60%から上部での0%まで)。アスタリスク(*)は、ゲル中のCMV-Ntt830-2xfel-IL-5タンパク質の相対位置を示す。
【
図26A】精製CMV-M-2xfel-IL-5モザイクVLPのSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);1-13000rpmでの清澄化後の精製可溶性CMV-M-2xfel-IL-5モザイクVLP;2-13000rpmでの清澄化後の不溶性CMV-Ntt830-2xfel-IL-5/CMV-Ntt830。
【
図26B】精製CMV-M-2xfel-IL-5モザイクVLPの電子顕微鏡画像。水平バーは200nmに相当する。
【
図27】pETDu-CMVB3d-CMVB3d-cIL1b-CMVttプラスミドマップの説明。プラスミドは、CMV-Ntt830-cIL-1b及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-cIL-1bの発現に役立つ。
【
図28】CMV-Ntt830-cIL-1b及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-cIL-1bの精製のSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);0-IPTG誘導前の大腸菌(E.coli)C2566/pETDu-CMVB3d-cIL1b-CMVtt細胞内のタンパク質;T-20℃で18時間培養した後の大腸菌(E.coli)C2566/pETDu-CMVB3d-cIL1b-CMVtt細胞内の総タンパク質。S-スクロース勾配(20~60%)前の細胞抽出物中の可溶性タンパク質;P-不溶性タンパク質;1~6-スクロース勾配画分(チューブの底部での60%から上部での0%まで)。アスタリスク(*)は、ゲル中のCMV-Ntt830-cIL-1bタンパク質の相対位置を示す。
【
図29A】精製CMV-M-cIL-1bモザイクVLPのSDS-PAGEゲル分析。M-タンパク質サイズマーカーPageRuler(Thermo Fisher Scientific、#26620);1-13000rpmでの清澄化後の精製可溶性CMV-M-cIL-1bモザイクVLP;2-13000rpmでの清澄化後の不溶性CMV-Ntt830-cIL-1b/CMV-Ntt830。
【
図29B】精製CMV-M-cIL-1bモザイクVLPの電子顕微鏡画像。水平バーは200nmに相当する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載及び開示された実施形態、好ましい実施形態及び非常に好ましい実施形態は、具体的に再度言及されるか、簡潔にするためにその繰り返しが回避されるかどうかに関係なく、すべての態様及び他の実施形態、好ましい実施形態及び非常に好ましい実施形態に適用されるべきである。本明細書で使用される冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法的対象の1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指す。本明細書で使用される用語「又は」は、文脈上別途明確に示されない限り、「及び/又は」を意味すると理解されるべきである。
【0016】
ウイルス様粒子(VLP):本明細書で使用される用語「ウイルス様粒子(VLP)」は、非複製的又は非感染性、好ましくは非複製的かつ非感染性ウイルス粒子を指すか、ウイルス粒子、好ましくはウイルスのカプシドに似た非複製的又は非感染性、好ましくは非複製的かつ非感染性構造を指す。本明細書で使用される用語「非複製的」は、VLPに含まれるゲノムを複製することができないことを指す。本明細書で使用される用語「非感染性」は、宿主細胞に入ることができないことを指す。本発明によるウイルス様粒子は、ウイルスゲノム又はゲノム機能の全部又は一部を欠くため、非複製的かつ非感染性である。本発明によるウイルス様粒子は、それらのゲノムとは異なる核酸を含み得る。組換え生成されたウイルス様粒子は、典型的には、宿主細胞由来のRNAを含む。本発明によるウイルス様粒子の典型的かつ好ましい実施形態は、本発明のポリペプチドから構成されるウイルスカプシドである。ウイルス様粒子は、典型的には、ウイルス様粒子1つ当たり60、120、180、240、300、360、又は360超のタンパク質サブユニットを典型的に含むウイルスコートタンパク質から構成される巨大分子集合体である。典型的かつ好ましくは、これらのサブユニットの相互作用は、固有の反復的構成を有するウイルスカプシド又はウイルスカプシド様構造の形成をもたらす。ウイルス様粒子の1つの特徴は、そのサブユニットの高度に秩序化された反復配列である。
【0017】
CMVの修飾ウイルス様粒子:用語「CMVの修飾ウイルス様粒子」は、CMVポリペプチドを含む少なくとも1つの融合タンパク質を含むウイルス様粒子を指す。典型的かつ好ましくは、CMVの修飾ウイルス様粒子は、CMVのカプシドの構造に類似する。CMVの修飾ウイルス様粒子は、非複製的及び/又は非感染性であり、CMVの複製機構をコードする少なくとも単数又は複数の遺伝子を欠き、典型的には、宿主へのウイルスの付着又は侵入に関与する単数又は複数のタンパク質をコードする単数又は複数の遺伝子も欠く。この定義には、上記の単数又は複数の遺伝子が依然として存在するが不活性である修飾ウイルス様粒子も含まれる。好ましくは、非複製的及び/又は非感染性修飾ウイルス様粒子は、組換え遺伝子技術によって得られ、典型的かつ好ましくはウイルスゲノムを含まない。2つ以上の異なるポリペプチドを含む修飾ウイルス様粒子は、「モザイクVLP」と呼ばれ、特に本発明に包含される。モザイク修飾ウイルス様粒子は、本発明の非常に好ましい実施形態及び態様である。したがって、一実施形態では、本発明による修飾ウイルス様粒子は、少なくとも2つの異なる種のポリペプチドを含み、非常に好ましくは、上記モザイクVLPは、モザイク修飾CMC VLPをもたらす、本発明に従って場合により修飾された2つの異なる種のCMVポリペプチドを含む。好ましくは、CMVの修飾VLPは、典型的にはVLP1つ当たり180のそのようなタンパク質サブユニットを含む、本発明に従って修飾されたCMVポリペプチドから構成される巨大分子集合体である。
【0018】
ポリペプチド:本明細書で使用される用語「ポリペプチド」は、アミド結合(ペプチド結合としても知られる)によって直線的に連結されたアミノ酸モノマーから構成されるポリマーを指す。これはアミノ酸の分子鎖を示し、生成物の特定の長さを指すものではない。したがって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド及びタンパク質が、ポリペプチドの定義内に含まれる。本明細書で使用される用語「ポリペプチド」はまた、典型的かつ好ましくは、以前に定義され、限定するものではないが、グリコシル化を含む翻訳後修飾などの修飾を包含するポリペプチドを指すべきである。好ましい実施形態では、本明細書で使用される上記用語「ポリペプチド」は、以前に定義され、グリコシル化などの翻訳後修飾などの修飾を包含しないポリペプチドを指すべきである。特に、上記生物学的に活性なペプチドについては、上記グリコシル化などの上記修飾は、その後のインビボでも、例えば細菌によって起こり得る。
【0019】
キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)ポリペプチド、CMVポリペプチド:本明細書で使用される用語「キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)ポリペプチド」は、(i)キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)のコートタンパク質のアミノ酸配列、又は(ii)変異アミノ酸配列であって、変異対象のアミノ酸配列がCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、上記変異アミノ酸配列、及び変異対象の上記アミノ酸配列、すなわち、CMVの上記コートタンパク質が、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、一層好ましくは少なくとも98%、またさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す変異アミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなるポリペプチドを指す。典型的かつ好ましくは、CMVポリペプチドは、自己集合による発現時にCMVのウイルス様粒子を形成することができる。本明細書で使用される場合、用語「キメラ」は、ポリペプチドの文脈で言及する場合、2つ以上の異なる供給源からのポリペプチド成分を含むポリペプチドを指すことを意図している。この用語はさらに、ポリペプチド成分が一緒に、すなわち、それぞれ融合及びペプチド結合によって結合又は付着される特定の様式を付与することを意図している。したがって、用語「キメラCMVポリペプチド」は、そのように定義され、特に本発明に従って定義される。
【0020】
キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)のコートタンパク質(CP):本明細書で使用される用語「キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)のコートタンパク質(CP)」は、自然に発生する、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)のコートタンパク質を指す。キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)の極めて広い宿主範囲のために、CMVの多くの異なる株及び分離株が知られており、上記株及び分離株のコートタンパク質の配列が決定されており、したがって当業者にも知られている。CMVの上記コートタンパク質(CP)の配列は、Genbank、www.dpvweb.net又はwww.ncbi.nlm.nih.gov/protein/などの公知のデータベースに記載されており、そこから検索可能である。CMVの具体例CPは、国際公開第2016/062720号パンフレットの12頁8行~13頁25行に記載されており、その開示は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。CMVコートタンパク質の非常に好ましい例及び実施形態は、配列番号62に提供されている。したがって、好ましくは、本明細書で使用される用語「キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)のコートタンパク質」は、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列を指し、上記アミノ酸配列は、配列番号62、又は配列番号62の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、また一層好ましくは少なくとも90%、またさらに好ましくは少なくとも95%、なお一層好ましくは少なくとも98%、なおまた一層さらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。
【0021】
これらの株及び分離株が、コートタンパク質のN末端を含む様々なタンパク質ドメインに、高度に類似したコートタンパク質配列を有することは注目に値する。特に、完全に配列決定された全CMV分離株の98.1%が、それらのコートタンパク質配列の最初の28アミノ酸以内で85%を超える配列同一性を共有し、完全に配列決定された全CMV分離株のなお79.5%が、それらのコートタンパク質配列の最初の28アミノ酸以内で90%を超える配列同一性を共有する。
【0022】
CMVポリペプチドのN末端領域:本明細書で使用される用語「CMVポリペプチドのN末端領域」は、上記CMVポリペプチドのN末端、特にCMVのコートタンパク質のN末端、又は上記CMVポリペプチドもしくはCMVの上記コートタンパク質のN末端の領域を指すが、上記CMVポリペプチド又は上記コートタンパク質がN末端メチオニン残基を含む場合、上記CMVポリペプチド又はCMVの上記コートタンパク質のN末端の第2のアミノ酸から始まる。好ましくは、上記CMVポリペプチド又は上記コートタンパク質がN末端メチオニン残基を含む場合、実用的な観点から、開始コドンをコードするメチオニンは、通常欠失され、本発明に従ってTh細胞エピトープのN末端に付加される。さらに好ましくは、1つ、2つ又は3つの付加的なアミノ酸、好ましくは1つのアミノ酸が、場合により、クローニング目的のために開始メチオニンとTh細胞エピトープとの間に挿入され得る。本明細書で使用される用語「CMVポリペプチド又はCMVコートタンパク質の変異アミノ酸配列のN末端領域」は、上記CMVポリペプチドもしくはCMVの上記コートタンパク質の上記変異アミノ酸配列のN末端、又は上記CMVポリペプチドもしくはCMVの上記コートタンパク質の上記変異アミノ酸配列のN末端の領域を指すが、上記変異アミノ酸配列がN末端メチオニン残基を含む場合、上記CMVポリペプチド又はCMVの上記コートタンパク質の上記変異アミノ酸配列のN末端の第2のアミノ酸から始まる。好ましくは、上記CMVポリペプチド又は上記コートタンパク質がN末端メチオニン残基を含む場合、実用的な観点から、開始コドンをコードするメチオニンは、通常欠失され、Th細胞エピトープのN末端に付加される。さらに好ましくは、1つ、2つ又は3つの付加的なアミノ酸、好ましくは1つのアミノ酸が、場合により、クローニング目的のために開始メチオニンとTh細胞エピトープとの間に挿入され得る。
【0023】
組換えポリペプチド:本発明の文脈では、用語「組換え」は、ポリペプチドの文脈で使用される場合、組換えDNA技術の少なくとも1つの工程を含むプロセスによって得られるポリペプチドを指す。典型的かつ好ましくは、組換えポリペプチドは原核生物発現系において生成される。大腸菌(E.coli)などの原核生物発現系で発現される組換え生成ポリペプチドがN末端メチオニン残基を含み得ることは当業者にとって明らかである。N末端メチオニン残基は、典型的には、組換えポリペプチドの成熟中に発現宿主内の組換えポリペプチドから切断される。ただし、N末端メチオニンの切断は不完全であり得る。したがって、組換えポリペプチドの調製物は、N末端メチオニン残基の有無にかかわらず、普通なら同一のポリペプチドの混合物を含み得る。典型的かつ好ましくは、組換えポリペプチドの調製物は、N末端メチオニン残基を有する10%未満、さらに好ましくは5%未満、さらに一層好ましくは1%未満の組換えポリペプチドを含む。
【0024】
組換え修飾ウイルス様粒子:本発明の文脈では、用語「組換え修飾ウイルス様粒子」は、組換えDNA技術の少なくとも1つの工程を含むプロセスによって得られる修飾ウイルス様粒子(VLP)を指す。
【0025】
変異アミノ酸配列:用語「変異アミノ酸配列」は、変異対象のアミノ酸配列に規定の変異セットを導入することによって得られるアミノ酸配列を指す。本発明の文脈では、変異対象の上記アミノ酸配列は、典型的かつ好ましくは、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列である。したがって、変異アミノ酸配列は、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも1つのアミノ酸残基が異なり、上記変異アミノ酸配列、及び変異対象の上記アミノ酸配列は、少なくとも90%の配列同一性を示す。典型的かつ好ましくは、上記変異アミノ酸配列、及び変異対象の上記アミノ酸配列は、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を示す。好ましくは、上記変異アミノ酸配列と変異対象の上記配列とは、最大11、10、9、8、7、6、4、3、2又は1つのアミノ酸残基が異なり、さらに好ましくは、上記差は、挿入、欠失及びアミノ酸交換から選択される。好ましくは、変異アミノ酸配列は、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも1つのアミノ酸が異なり、好ましくは上記差はアミノ酸交換である。
【0026】
残基に対応する位置...:別のアミノ酸配列の所与の残基に対応する、アミノ酸配列上の位置は、配列アラインメントによって、典型的かつ好ましくはBLASTPアルゴリズムを使用して、最も好ましくは標準設定を使用して同定することができる。典型的かつ好ましい標準設定は、expect threshold:10;word size:3;max matches in a query range:0;matrix:BLOSUM62;gap costs:existence 11、extension 1;compositional adjustments:conditional compositional score matrix adjustmentである。
【0027】
配列同一性:2つの所与のアミノ酸配列の配列同一性は、両配列のアラインメントに基づいて決定される。配列同一性を決定するためのアルゴリズムは当業者に利用可能である。好ましくは、2つのアミノ酸配列の配列同一性は、「BLAST」プログラム(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)又は「CLUSTALW」(http://www.genome.jp/tools/clustalw/)などの公的に利用可能なコンピュータ相同性プログラムを使用して、これにより、好ましくはhttp://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiのNCBIホームページで提供される「BLAST」プログラムによって、そこに提供されるデフォルト設定を使用して決定される。典型的かつ好ましい標準設定は、expect threshold:10;word size:3;max matches in a query range:0;matrix:BLOSUM62;gap costs:existence 11、extension 1;compositional adjustments:conditional compositional score matrix adjustmentである。
【0028】
アミノ酸交換:アミノ酸交換という用語は、異なる化学構造を有する任意の他のアミノ酸残基による、好ましくは別のタンパク質新生アミノ酸残基による、アミノ酸配列内の所与のアミノ酸残基の交換を指す。したがって、アミノ酸の挿入又は欠失とは対照的に、アミノ酸交換は、上記アミノ酸配列のアミノ酸の総数を変化させない。
【0029】
エピトープ:エピトープという用語は、抗原、好ましくはポリペプチドの連続的又は不連続的な部分を指し、上記部分は、MHC分子に関連して抗体又はT細胞受容体によって特異的に結合され得る。抗体に関して、特異的結合は非特異的結合を排除するが、交差反応性を必ずしも排除しない。エピトープは、典型的には、抗原部位に固有の空間的立体構造に5~20個のアミノ酸を含む。
【0030】
Tヘルパー(Th)細胞エピトープ:本明細書で使用される用語「Tヘルパー(Th)細胞エピトープ」は、ヘルパーTh細胞による認識が可能なエピトープを指す。典型的かつ好ましくは、本明細書で使用される用語「Th細胞エピトープ」は、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のMHCクラスII分子に結合することができるTh細胞エピトープを指す。ペプチド配列がTh細胞エピトープであるかどうかを決定する最も簡単な方法は、ペプチドが個々のMHCクラスII分子に結合する能力を測定することである。これは、MHCクラスII分子への既知のTh細胞エピトープペプチドの結合と競合するペプチドの能力によって測定され得る。HLA-DR分子の代表的な選択は、例えば、Alexander J,et al.,Immunity(1994)1:751-761に記載されている。MHCクラスII分子に対するTh細胞エピトープの親和性は、少なくとも10-5Mであるべきである。異なる個体に存在するMHCクラスII分子の代表的な集合は、Panina-Bordignon P,et al.,Eur J Immunol(1989)19:2237-2242に示されている。結果として、本明細書で使用される用語「Th細胞エピトープ」は、好ましくは、免疫化及びブースティング時に測定可能なT細胞応答をもたらすTh細胞エピトープを指す。さらに、本明細書で使用されるまたさらに好ましい用語「Th細胞エピトープ」は、好ましくは、少なくとも500nMの親和性で(Alexander J,et al.,Immunity(1994)1:751-761、及び本明細書に引用されている参考文献に記載されているように)、DR1、DR2w2b、DR3、DR4w4、DR4w14、DR5、DR7、DR52a、DRw53、DR2w2aから選択され、また好ましくは、DR1、DR2w2b、DR4w4、DR4w14、DR5、DR7、DRw53、DR2w2aから選択される少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、さらになお好ましくは少なくとも3つのDR対立遺伝子に結合することができるTh細胞エピトープを指す。上記親和性を評価するための好ましい結合アッセイには、Sette A,et al.,J Immunol(1989)142:35-40に記載されているものがある。またさらになお好ましい様式では、本明細書で使用される用語「Th細胞エピトープ」は、少なくとも500nMの親和性で(Alexander J,et al.,Immunity(1994)1:751-761、及び本明細書に引用されている参考文献に記載されているように)、DR1、DR2w2b、DR4w4、DR4w14、DR5、DR7、DRw53、DR2w2aから選択される少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、さらになお好ましくは少なくとも3つのDR対立遺伝子に結合することができるTh細胞エピトープを指す。上記親和性を評価するための好ましい結合アッセイには、Sette A,et al.,J Immunol(1989)142:35-40に記載されているものがある。細胞エピトープは、例えば、Alexander J,et al.,Immunity(1994)1:751-761,Panina-Bordignon P,et al.,Eur J Immunol(1989)19:2237-2242,Calvo-Calle JM,et al.,J Immunol(1997)159:1362-1373、及びValmori D,et al.,J Immunol(1992)149:717-721によって記載され、当業者に公知である。
【0031】
抗原性ポリペプチド:本明細書で使用される場合、用語「抗原性ポリペプチド」は、MHC分子によって提示されると、抗体又はT細胞受容体(TCR)によって結合され得る分子を指す。抗原性ポリペプチドはさらに、免疫系によって認識され得、及び/又はBリンパ球及び/又はTリンパ球の活性化をもたらす液性免疫応答及び/又は細胞性免疫応答を誘導し得る。抗原性ポリペプチドは、1つ以上のエピトープ(Bエピトープ及びTエピトープ)を有することができる。本明細書で使用される抗原性ポリペプチドはまた、いくつかの個々の抗原性ポリペプチドの混合物であり得る。本発明のポリペプチド、特に、本発明の修飾ウイルス様粒子を形成している、本発明の上記融合タンパク質は、抗原性ポリペプチドを含む。
【0032】
ピーナッツアレルゲン:本明細書で使用される用語「ピーナッツアレルゲン」は、ヒトに対してアレルギーを引き起こすことが示唆されるナンキンマメ(Arachis hypogaea)種の任意のタンパク質及びそのアイソフォームを指す。好ましくは、本明細書で使用される用語「ピーナッツアレルゲン」は、www.allergen.orgの下に検索可能であるように、示唆されるピーナッツアレルゲン及びそのアイソフォームのいずれか、又はそのようなピーナッツアレルゲン及びそのアイソフォームと少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、またさらに好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。さらに好ましくは、本明細書で使用される用語「ピーナッツアレルゲン」は、www.allergen.orgの下に検索可能であるように、現在17の示唆されるピーナッツアレルゲン及びそのアイソフォームのいずれか、又はそのようなピーナッツアレルゲン及びそのアイソフォームと少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、またさらに好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。またさらに好ましくは、本明細書で使用される用語「ピーナッツアレルゲン」は、Ara h1、Ara h2、Ara h3、Ara h4、Ara h5、Ara h6、Ara h7、Ara h8、Ara h9、Ara h10、Ara h11、Ara h12、Ara h13、Ara h14、Ara h15、Ara h16及びAra h17から選択されるピーナッツアレルゲン及びそのアイソフォームのいずれか1つ、又はそのようなピーナッツアレルゲン及びそのアイソフォームと少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、またさらに好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。またさらに好ましくは、本明細書で使用される用語「ピーナッツアレルゲン」は、Ara h1、Ara h2、Ara h3及びAra h6から選択されるピーナッツアレルゲン及びそのアイソフォームのいずれか1つ、又はそのようなピーナッツアレルゲン及びそのアイソフォームと少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、またさらに好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。またさらに好ましくは、本明細書で使用される用語「ピーナッツアレルゲン」は、Ara h1、Ara h2、Ara h3及びAra h6から選択される任意のタンパク質、ならびにそのアイソフォーム、又はそのようなピーナッツアレルゲンと少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、またさらに好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。またさらに好ましくは、本明細書で使用される用語「ピーナッツアレルゲン」は、Ara h1、Ara h2、Ara h201、Ara h202、Ara h3及びAra h6から選択される任意のタンパク質、又はそのようなピーナッツアレルゲンと少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、またさらに好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。
【0033】
Fel d1タンパク質:本明細書で使用される用語「Fel d1タンパク質」は、Fel d1の鎖1及びFel d1の鎖2を含むか、あるいはそれらからなるタンパク質を指す。好ましくは、Fel d1の鎖1及びFel d1の鎖2は共有結合している。好ましい一実施形態では、Fel d1の鎖1及びFel d1の鎖2は、少なくとも1つのジスルフィド結合を介して連結されている。別の好ましい実施形態では、鎖1及び鎖2は、直接又はスペーサーを介して融合され、この場合、上記Fel d1タンパク質は、スペーサーをさらに含むか、あるいはそれからなる。好ましくは、本明細書で定義されるFel d1タンパク質は、合計で最大300個、さらになお好ましくは最大200個のアミノ酸からなる。典型的かつ好ましくは、本発明によるFel d1タンパク質は、天然に存在するFel d1のいずれかに特異的に結合する抗体の産生をインビボで誘導することができる。
【0034】
Fel d1の鎖1:本明細書で使用される用語「Fel d1の鎖1」は、配列番号76のアミノ酸配列又はその相同配列を含むか、あるいはそれからなるポリペプチドを指す。本明細書で使用される用語「配列番号76の相同配列」は、80%超、さらに好ましくは90%超、さらになお好ましくは95%超である、配列番号76との同一性を有するポリペプチドを指す。本明細書で使用される用語「Fel d1の鎖1」はまた、本明細書で定義されるFel d1の鎖1の、限定するものではないが、少なくとも1つのグリコシル化を含む少なくとも1つの翻訳後修飾を包含するポリペプチドを指すべきである。好ましくは、本明細書で定義されるFel d1の鎖1は、合計で最大130個、さらになお好ましくは最大100個のアミノ酸からなる。
【0035】
Fel d1の鎖2:本明細書で使用される用語「Fel d1の鎖2」は、配列番号77、配列番号78もしくは配列番号79のアミノ酸配列、又はその相同配列を含むか、あるいはそれからなるポリペプチドを指す。本明細書で使用される用語「配列番号77、配列番号78又は配列番号79の相同配列」は、80%超、さらに好ましくは90%超、さらになお好ましくは95%超である、配列番号77、配列番号78又は配列番号79との同一性を有するポリペプチドを指す。本明細書で使用される用語「Fel d1の鎖2」はまた、本明細書で定義されるFel d1の鎖2の、限定するものではないが、少なくとも1つのグリコシル化を含む少なくとも1つの翻訳後修飾を包含するポリペプチドを指すべきである。好ましくは、本明細書で定義されるFel d1の鎖2は、合計で最大150、さらになお好ましくは最大130、さらに一層好ましくは最大100個のアミノ酸からなる。
【0036】
アジュバント:本明細書で使用される用語「アジュバント」は、宿主内でデポーの生成を可能にし、これにより、本発明のワクチン及び医薬組成物とそれぞれ組み合わせた場合にさらになお増強された免疫応答をもたらし得る、免疫応答の非特異的刺激剤、又は物質を指す。好ましいアジュバントは、完全及び不完全フロイントアジュバント、アルミニウム含有アジュバント、好ましくは水酸化アルミニウム、及び修飾ムラミルジペプチドである。さらに好ましいアジュバントは、水酸化アルミニウムなどの鉱物ゲル、リゾレシチンなどの表面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにヒトアジュバント、例えば、BCG(カルメット・ゲラン桿菌(bacille Calmette Guerin))及びコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)である。そのようなアジュバントも当技術分野で周知である。本発明の組成物とともに投与することができる追加のアジュバントには、限定するものではないが、モノホスホリル脂質免疫調節剤、AdjuVax 100a、QS-21、QS-18、CRL1005、アルミニウム塩(ミョウバン)、MF-59、OM-174、OM-197、OM-294及びビロソームアジュバント技術が含まれる。アジュバントはまた、これらの物質の混合物を含み得る。ウイルス様粒子は、一般にアジュバントとして記載されている。ただし、用語「アジュバント」は、本出願の文脈内で使用される場合、本発明の修飾ウイルス様粒子ではないアジュバントを指す。むしろ「アジュバント」は、本発明の組成物、ワクチン又は医薬組成物の追加の異なる成分に関する。
【0037】
アミノ酸リンカー:本明細書で使用される用語「アミノ酸リンカー」は、アミノ酸残基のみからなるリンカーを指す。アミノ酸リンカーのアミノ酸残基は、当技術分野で公知の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、全Lもしくは全D又はそれらの混合物から構成される。アミノ酸リンカーのアミノ酸残基は、好ましくは天然アミノ酸、全Lもしくは全D又はそれらの混合物である。
【0038】
GS-リンカー:本明細書で使用される用語「GS-リンカー」は、グリシン及びセリンアミノ酸残基のみからなるリンカーを指す。本発明によるGS-リンカーは、少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリン残基を含む。典型的かつ好ましくは、本発明によるGS-リンカーは、最大50アミノ酸の長さを有し、典型的かつさらに好ましくは、本発明によるGS-リンカーは、最大30アミノ酸の長さを有する。
【0039】
GST-リンカー:本明細書で使用される用語「GST-リンカー」は、グリシン、セリン及びトレオニンアミノ酸残基を含む、好ましくはそれらからなるリンカーを指す。本発明によるGST-リンカーは、少なくとも1つのグリシン、少なくとも1つのセリン及び少なくとも1つのトレオニン残基を含む。典型的かつ好ましくは、本発明によるGST-リンカーは、最大50アミノ酸の長さを有し、典型的かつさらに好ましくは、本発明によるGST-リンカーは、最大30アミノ酸の長さを有する。
【0040】
GSED-リンカー:本明細書で使用される用語「GSED-リンカー」は、グリシン、セリン、グルタミン酸及びアスパラギン酸アミノ酸残基を含む、好ましくはそれらからなるリンカーを指す。本発明によるGSED-リンカーは、少なくとも1つのグリシン、少なくとも1つのセリン、少なくとも1つのグルタミン酸及び少なくとも1つのアスパラギン酸残基を含む。典型的かつ好ましくは、本発明によるGSED-リンカーは、最大50アミノ酸の長さを有し、典型的かつさらに好ましくは、本発明によるGSED-リンカーは、最大30アミノ酸の長さを有する。
【0041】
免疫刺激物質:本明細書で使用される場合、用語「免疫刺激物質」は、免疫応答を誘導及び/又は増強することができる物質を指す。本明細書で使用される免疫刺激物質には、限定するものではないが、トール様受容体活性化物質、及びサイトカイン分泌を誘導する物質が含まれる。トール様受容体活性化物質には、限定するものではないが、免疫刺激核酸、ペプチドグリカン、リポ多糖、リポテイコ酸、イミダゾキノリン化合物、フラジェリン、リポタンパク質、及び免疫刺激有機物質、例えば、タキソールが含まれる。
【0042】
免疫刺激核酸(ISS-NA):本明細書で使用される場合、免疫刺激核酸という用語は、免疫応答を誘導及び/又は増強することができる核酸を指す。免疫刺激核酸は、リボ核酸、特にデスオキシリボ核酸(desoxyribonucleic acid)を含み、リボ核酸及びデスオキシリボ核酸はともに、二本鎖又は一本鎖のいずれかであり得る。好ましいISS-NAは、デスオキシリボ核酸であり、さらに好ましくは、上記デスオキシリボ核酸は一本鎖である。好ましくは、免疫刺激核酸は、非メチル化Cを含む少なくとも1つのCpGモチーフを含有する。非常に好ましい免疫刺激核酸は、少なくとも1つのCpGモチーフを含み、上記少なくとも1つのCpGモチーフは、少なくとも1つ、好ましくは1つのCGジヌクレオチドを含むか、好ましくはそれからなり、Cは非メチル化である。必須ではないが好ましくは、上記CGジヌクレオチドは回文配列の一部である。免疫刺激核酸という用語はまた、修飾塩基、好ましくは4-ブロモ-シトシンを含む核酸を指す。本発明の文脈では、特に好ましいのは、樹状細胞内でIFN-α産生を刺激することができるISS-NAである。本発明の目的に有用な免疫刺激核酸は、例えば、国際公開第2007/068747A1号パンフレットに記載されている。
【0043】
オリゴヌクレオチド:本明細書で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、2個以上のヌクレオチド、好ましくは約6~約200個のヌクレオチド、さらに好ましくは20~約100個のヌクレオチド、最も好ましくは20~40個のヌクレオチドを含む核酸配列を指す。非常に好ましくは、オリゴヌクレオチドは約30個のヌクレオチドを含み、さらに好ましくはオリゴヌクレオチドは正確に30個のヌクレオチドを含み、最も好ましくはオリゴヌクレオチドは正確に30個のヌクレオチドからなる。オリゴヌクレオチドは、ポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドであり、好ましくは、(a)未修飾RNA又はDNA、及び(b)修飾RNA又はDNAから選択される。修飾体は、骨格又はヌクレオチド類似体を含み得る。オリゴヌクレオチドは、好ましくは、(a)一本鎖及び二本鎖DNA、(b)一本鎖領域及び二本鎖領域の混合物であるDNA、(c)一本鎖及び二本鎖RNA、(d)一本鎖領域及び二本鎖領域の混合物であるRNA、ならびに(e)一本鎖、もしくはさらに好ましくは二本鎖、又は一本鎖領域と二本鎖領域との混合物であるDNA及びRNAを含むハイブリッド分子からなる群から選択される。好ましいヌクレオチド修飾体/類似体は、(a)ペプチド核酸、(b)イノシン、(c)トリチル化塩基、(d)ホスホロチオアート、(e)アルキルホスホロチオアート、(f)5-ニトロインドールデスオキシリボフリラノシル(desoxyribofliranosyl)、(g)5-メチルデスオキシシトシン(methyldesoxycytosine)及び(h)5,6-ジヒドロ-5,6-ジヒドロキシデスオキシチミジン(dihydroxydesoxythymidine)からなる群から選択される。ホスホロチオアート化ヌクレオチドは、細胞内又は生物内の分解から保護されるため、好ましいヌクレオチド修飾である。リン酸ジエステル結合ヌクレオチドのみからなる未修飾オリゴヌクレオチドは、典型的には修飾ヌクレオチドよりも活性であるため、本発明の文脈では一般に好ましい。最も好ましいのは、リン酸ジエステル結合デオキシヌクレオチドのみからなるオリゴヌクレオチドであり、さらに好ましくは、上記オリゴヌクレオチドは一本鎖である。細胞内、好ましくは樹状細胞内でIFN-α産生を刺激することができるオリゴヌクレオチドがさらに好ましい。細胞内でIFN-α産生を刺激することができる非常に好ましいオリゴヌクレオチドは、A型CpG及びC型CpGから選択される。Capを有しないRNA分子がさらに好ましい。
【0044】
CpGモチーフ:本明細書で使用される場合、用語「CpGモチーフは、Cが、非メチル化されており、中心CpG(の3’及び5’側)に隣接する少なくとも1つの塩基、好ましくは1つ又は2つのヌクレオチドによって囲まれた非メチル化中心CpGを含むヌクレオチドのパターン、すなわち、非メチル化CpGジヌクレオチドを指す。典型的かつ好ましくは、本明細書で使用されるCpGモチーフは、非メチル化CpGジヌクレオチド、ならびにその5’及び3’末端の2つのヌクレオチドを含むか、あるいはそれらからなる。理論に拘束されるものではないが、CpGに隣接する塩基は、CpGオリゴヌクレオチドに対する活性のかなりの部分を付与する。
【0045】
非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド:本明細書で使用される場合、用語「非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド」又は「CpG」は、少なくとも1つのCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド、好ましくはオリゴデスオキシヌクレオチドを指す。したがって、CpGは、少なくとも1つの非メチル化シトシン、グアニンジヌクレオチドを含む。好ましいCpGは、脊椎動物骨髄由来細胞に対する分裂促進効果を刺激/活性化し、例えば、有するか、脊椎動物骨髄由来細胞によるサイトカイン発現を誘導又は増加させる。例えば、CpGは、B細胞、NK細胞及び抗原提示細胞、例えば、樹状細胞、単球及びマクロファージを活性化するのに有用であり得る。好ましくは、CpGは、3’にグアノシンが続く非メチル化シトシンを含むオリゴデスオキシヌクレオチド、好ましくは一本鎖オリゴデスオキシヌクレオチドに関し、上記非メチル化シトシン及び上記グアノシンは、ホスファート結合によって連結されており、好ましくは上記ホスファート結合は、リン酸ジエステル結合又はホスホロチオアート結合であり、さらに好ましくは上記ホスファート結合はリン酸ジエステル結合である。CpGは、ヌクレオチド類似体、例えば、ホスホロチオエステル結合を含む類似体を含むことができ、二本鎖又は一本鎖であり得る。一般に、二本鎖分子の方がインビボで安定であるが、一本鎖分子は増大した免疫活性を有する。好ましくは、本明細書で使用される場合、CpGは、少なくとも約10ヌクレオチド長であり、少なくとも1つのCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドであり、さらに好ましくは、上記CpGは、10~60、さらに好ましくは15~50、さらに一層好ましくは20~40、さらに一層好ましくは約30、最も好ましくは正確に30ヌクレオチド長である。CpGは、メチル化及び/又は非メチル化ヌクレオチドからなり得、上記少なくとも1つのCpGモチーフは、Cが非メチル化である少なくとも1つのCGジヌクレオチドを含む。CpGはまた、メチル化及び非メチル化配列ストレッチを含み得、上記少なくとも1つのCpGモチーフは、Cが非メチル化である少なくとも1つのCGジヌクレオチドを含む。非常に好ましくは、CpGは、3’にグアノシンが続く非メチル化シトシンを含む一本鎖オリゴデスオキシヌクレオチドに関し、上記非メチル化シトシン及び上記グアノシンは、リン酸ジエステル結合によって連結されている。CpGは、ヌクレオチド類似体、例えば、ホスホロチオエステル結合を含む類似体を含むことができ、二本鎖又は一本鎖であり得る。一般に、リン酸ジエステルCpGは以下に示すようにA型CpGであり、一方、ホスホチオエステル安定化CpGはB型CpGである。本発明の文脈では、好ましいCpGオリゴヌクレオチドはA型CpGである。
【0046】
A型CpG:本明細書で使用される場合、用語「A型CpG」又は「D型CpG」は、少なくとも1つのCpGモチーフを含むオリゴデスオキシヌクレオチド(ODN)を指す。A型CpGは、T細胞の活性化及び樹状細胞の成熟を優先的に刺激し、IFN-α産生を刺激することができる。A型CpGでは、少なくとも1つのCpGモチーフのヌクレオチドは、少なくとも1つのリン酸ジエステル結合によって連結されている。A型CpGは、その5’末端及び/又は好ましくはその3’末端にホスホロチオアート結合ヌクレオチドが隣接し得る少なくとも1つのリン酸ジエステル結合CpGモチーフを含む。好ましくは、CpGモチーフ、よって、好ましくはCGジヌクレオチドと、少なくとも1つ、好ましくは2つのヌクレオチドを含むその直接隣接領域とは、リン酸ジエステルヌクレオチドから構成される。好ましいA型CpGは、リン酸ジエステル(PO)結合ヌクレオチドのみからなる。典型的かつ好ましくは、ポリGモチーフは、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも3つ、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15のG(グアノシン)、最も好ましくは少なくとも10のGを含むか、あるいはそれらからなる。好ましくは、本発明のA型CpGは、回文配列を含むか、あるいはそれからなる。
【0047】
パッケージ化:本明細書で使用される用語「パッケージ化」は、それぞれコア粒子及びVLPに関連したポリアニオン性巨大分子又は免疫刺激物質の状態を指す。本明細書で使用される用語「パッケージ化」は、例えば、化学的カップリングによる共有結合であるか、非共有結合、例えば、イオン性相互作用、疎水性相互作用、水素結合などであり得る結合を含む。この用語はまた、ポリアニオン性巨大分子の封入又は部分的封入を含む。したがって、ポリアニオン性巨大分子又は免疫刺激物質は、実際の結合、特に共有結合の存在を伴わずVLPによって封入され得る。好ましい実施形態では、少なくとも1つのポリアニオン性巨大分子又は免疫刺激物質は、最も好ましくは非共有結合様式でVLPの内部にパッケージ化される。上記免疫刺激物質が核酸、好ましくはDNAである場合、パッケージ化という用語は、上記核酸がヌクレアーゼ加水分解から隔絶されている、好ましくはDNAse加水分解(例えばDNaseI又はベンゾナーゼ)から隔絶されていることを意味し、好ましくは、上記接近性は、国際公開第2003/024481A2号パンフレットの例11~17に記載されているようにアッセイされる。
【0048】
有効量:本明細書で使用される場合、用語「有効量」は、所望の生物学的効果を実現するのに必要又は十分な量を指す。組成物あるいは医薬組成物の有効量は、この選択された結果を達成する量であり、そのような量は、当業者が常用的に決定することができる。好ましくは、本明細書で使用される用語「有効量」は、ピーナッツアレルギーによって引き起こされる少なくとも1つの症状を低減させるレベルまで、上記少なくとも1つのピーナッツアレルゲンのレベルを低下させるのに有効であるのに必要又は十分な量を指す。好ましくは、本明細書で使用される用語「有効量」は、少なくとも1つのピーナッツアレルゲンの活性を中和するのに有効であるのに必要又は十分な量を指す。有効量は、投与される特定の組成物、及び対象のサイズに応じて変化し得る。当業者であれば、過度の実験を必要とすることなく、本発明の特定の組成物の有効量を経験的に決定することができる。
【0049】
治療:本明細書で使用される場合、用語「治療(treatment)」、「治療する(treat)」、「治療された(treated)」又は「治療する(treating)」は、予防及び/又は療法を指す。一実施形態では、用語「治療(treatment)」、「治療する(treat)」、「治療された(treated)」又は「治療する(treating)」は、治療的処置を指す。別の実施形態では、用語「治療(treatment)」、「治療する(treat)」、「治療された(treated)」又は「治療する(treating)」は、予防的処置を指す。
【0050】
第1の態様では、本発明は、少なくとも1つの融合タンパク質を含む、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供し、上記少なくとも1つの融合タンパク質は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドであって、上記CMVポリペプチドが、CMVのコートタンパク質を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくはCMVの上記コートタンパク質が、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、また一層好ましくは少なくとも90%、またさらに好ましくは少なくとも95%、なお一層好ましくは少なくとも98%、なおまた一層さらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなるCMVポリペプチドと;(ii)抗原性ポリペプチドであって、上記抗原性ポリペプチドが、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入が、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基間にある抗原性ポリペプチドと;(iii)Tヘルパー細胞エピトープであって、上記Tヘルパー細胞エピトープが、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、好ましくは上記CMVポリペプチドの上記N末端領域が、配列番号62のアミノ酸2~12に対応するTヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなる。非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、第1のアミノ酸リンカー、好ましくは第1のアミノ酸リンカー及び第2のアミノ酸リンカーをさらに含み、上記第1のアミノ酸リンカーは、上記抗原性ポリペプチドのN末端又はC末端に位置し、上記第1のアミノ酸リンカーは、(a.)n=2~10の長さのポリグリシンリンカー(Gly)n;(b.)少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であって、好ましくは上記GSリンカーが、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=1~5、t=1~5及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有するグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー);ならびに(c.)少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含むアミノ酸リンカーからなる群から選択される。
【0051】
好ましいアミノ酸リンカー、すなわち、GS-リンカー又はGSED-リンカーは、本発明の修飾VLPを形成する集合プロセスを妨げる球状障害(spherical disorder)を克服するため、及び/又は本発明の形成された修飾VLP間の凝集傾向を克服するため、及び/又は非常に長い抗原性ポリペプチドの挿入に対する柔軟性を高めるために非常に有益であることが見出された。これは特に、上記GS-リンカー又はGSED-リンカーが第1のアミノ酸リンカーとして、及び第2のアミノ酸リンカーとしてさらに適用される場合、またさらに、上記第1のアミノ酸リンカー及び上記第2のアミノ酸リンカーが、上記挿入された抗原性ポリペプチドを伴わず存在するアミノ酸配列状況を模倣する場合、これは本発明の好ましいCMVポリペプチドにとって特に有益であった。したがって、上記挿入された抗原性ポリペプチドを伴わず存在するアミノ酸配列状況を模倣することは、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基間、特に、配列番号5のSer(88)及びTyr(89)に対応する位置間に抗原性ポリペプチドを挿入するのに特に有益であることが見出された。好ましくはGS-リンカー又はGSED-リンカーを使用することによる、特に抗原性ポリペプチドのC末端に位置し、GS-リンカーであるか、GSで終端するGSED-リンカーである第2のアミノ酸リンカーを使用することによる、GSの後(すなわち、それぞれ配列番号62の84位及び配列番号5の88位の後)及びYYの前(すなわち、それぞれ配列番号62の85位及び配列番号5の89位の前)の抗原性ポリペプチドの挿入は、特に有益であることが見出された。
【0052】
さらなる態様では、本発明は、少なくとも1つの融合タンパク質を含む、CMVの修飾VLPを提供し、上記少なくとも1つの融合タンパク質は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドであって、上記CMVポリペプチドが、CMVのコートタンパク質を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくはCMVの上記コートタンパク質が、配列番号62;又は上記コートタンパク質と、好ましくは配列番号62と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、また一層好ましくは少なくとも90%、またさらに好ましくは少なくとも95%、なお一層好ましくは少なくとも98%、なおまた一層さらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなるCMVポリペプチドと;(ii)抗原性ポリペプチドであって、上記抗原性ポリペプチドが、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入が、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基間にある抗原性ポリペプチドと;(iii)第1のアミノ酸リンカー、好ましくは第1のアミノ酸リンカー及び第2のアミノ酸リンカーであって、上記第1のアミノ酸リンカーが、上記抗原性ポリペプチドのN末端又はC末端に位置し、好ましくは上記第1のアミノ酸リンカーが、(a.)n=2~10の長さのポリグリシンリンカー(Gly)n;(b.)少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であって、好ましくは上記GSリンカーが、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=1~5、t=1~5及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有するグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー);ならびに(c.)少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含むアミノ酸リンカーからなる群から選択される第1のアミノ酸リンカー、好ましくは第1のアミノ酸リンカー及び第2のアミノ酸リンカーとを含むか、好ましくはそれらからなる。非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、Tヘルパー細胞エピトープをさらに含み、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、好ましくは、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応する。
【0053】
別の態様では、本発明は、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)のモザイク修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。第1の態様では、本発明は、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供し、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、(a)少なくとも1つの融合タンパク質であって、上記少なくとも1つの融合タンパク質が、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記キメラCMVポリペプチドが、(i)CMVポリペプチドであって、上記CMVポリペプチドが、CMVのコートタンパク質を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくはCMVの上記コートタンパク質が、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、また一層好ましくは少なくとも90%、またさらに好ましくは少なくとも95%、なお一層好ましくは少なくとも98%、なおまた一層さらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなるCMVポリペプチドと;(ii)抗原性ポリペプチドであって、上記抗原性ポリペプチドが、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入が、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基間にある抗原性ポリペプチドとを含むか、好ましくはそれらからなる少なくとも1つの融合タンパク質;ならびに(b)少なくとも1つのCMVタンパク質であって、上記CMVタンパク質が、CMVのコートタンパク質を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくはCMVの上記コートタンパク質が、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、また一層好ましくは少なくとも90%、またさらに好ましくは少なくとも95%、なお一層好ましくは少なくとも98%、なおまた一層さらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり、上記CMVタンパク質が、場合により、Tヘルパー細胞エピトープによって修飾され、上記Tヘルパー細胞エピトープが、上記CMVタンパク質のN末端領域を置換し、好ましくは上記CMVタンパク質の上記N末端領域が、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは上記CMVタンパク質が、配列番号5を含み、好ましくはそれからなる少なくとも1つのCMVタンパク質を含む。非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、Tヘルパー細胞エピトープをさらに含み、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、好ましくは、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応する。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、第1のアミノ酸リンカー、好ましくは第1のアミノ酸リンカー及び第2のアミノ酸リンカーをさらに含み、上記第1のアミノ酸リンカーは、上記抗原性ポリペプチドのN末端又はC末端に位置し、上記第1のアミノ酸リンカーは、(a.)n=2~10の長さのポリグリシンリンカー(Gly)n;(b.)少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であって、好ましくは上記GSリンカーが、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=1~5、t=1~5及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有するグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー);ならびに(c.)少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含むアミノ酸リンカーからなる群から選択される。
【0054】
本発明のすべての態様について、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基間への上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位である上記セリン(S)残基と配列番号62の85位である上記チロシン(Y)残基との間の挿入に対応する。
【0055】
本明細書に記載及び開示された実施形態、好ましい実施形態及び非常に好ましい実施形態は、具体的に再度言及されるか、簡潔にするためにその繰り返しが回避されるかどうかに関係なく、すべての態様及び他の実施形態、好ましい実施形態及び非常に好ましい実施形態に適用されるべきである。
【0056】
好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列、又は変異アミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなり、変異対象のアミノ酸配列は、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、上記変異アミノ酸配列、及びCMVの上記コートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、またさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示し、好ましくは、上記変異アミノ酸配列と上記変異対象のアミノ酸配列とは、少なくとも1つ、及び最大11、10、9、8、7、6、5、4、3又は2つのアミノ酸残基が異なり、さらに好ましくは、これらの差は、(i)挿入、(ii)欠失、(iii)アミノ酸交換、及び(iv)(i)~(iii)の任意の組合せから選択される。
【0057】
好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。別の好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。別の好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。別の好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。別の好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。別の好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。別の好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも75%、好ましくは85%の配列同一性を有するアミノ酸配列である。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも90%、好ましくは95%の配列同一性を有するアミノ酸配列である。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、配列番号62を有する、CMVのコートタンパク質である。好ましい実施形態では、CMVの上記コートタンパク質は、配列番号62を含む。好ましい実施形態では、CMVの上記コートタンパク質は、配列番号62からなる。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質を含む。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質からなる。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドはCMVのコートタンパク質を含み、CMVの上記コートタンパク質は配列番号62を含む。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドはCMVのコートタンパク質を含み、CMVの上記コートタンパク質は配列番号62からなる。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドはCMVのコートタンパク質からなり、CMVの上記コートタンパク質は配列番号62からなる。
【0058】
好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、配列番号63又はアミノ酸配列領域を含み、上記アミノ酸配列領域は、配列番号63と少なくとも75%の配列同一性を有する。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、配列番号63又はアミノ酸配列領域を含み、上記アミノ酸配列領域は、配列番号63と少なくとも80%の配列同一性を有する。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、配列番号63又はアミノ酸配列領域を含み、上記アミノ酸配列領域は、配列番号63と少なくとも85%の配列同一性を有する。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、配列番号63又はアミノ酸配列領域を含み、上記アミノ酸配列領域は、配列番号63と少なくとも90%の配列同一性を有する。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、配列番号63又はアミノ酸配列領域を含み、上記アミノ酸配列領域は、配列番号63と少なくとも95%の配列同一性を有する。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、配列番号63又はアミノ酸配列領域を含み、上記アミノ酸配列領域は、配列番号63と少なくとも98%の配列同一性を有する。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、配列番号63又はアミノ酸配列領域を含み、上記アミノ酸配列領域は、配列番号63と少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0059】
好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、(i)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であって、上記アミノ酸配列が、配列番号62を含むか、好ましくはそれからなる、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;又は(ii)配列番号62の少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり;(i)又は(ii)で定義される上記アミノ配列は、配列番号63又はアミノ酸配列領域を含み、上記アミノ酸配列領域は、配列番号63と少なくとも90%の配列同一性を有する。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、(i)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であって、上記アミノ酸配列が、配列番号62を含むか、好ましくはそれからなる、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;又は(ii)配列番号62の少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり;(i)又は(ii)で定義される上記アミノ配列は、配列番号63又はアミノ酸配列領域を含み、上記アミノ酸配列領域は、配列番号63と少なくとも95%の配列同一性を有する。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、(i)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であって、上記アミノ酸配列が、配列番号62を含むか、好ましくはそれからなる、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;又は(ii)配列番号62の少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり;(i)又は(ii)で定義される上記アミノ配列は、配列番号63を含む。
【0060】
好ましい実施形態では、置換された上記N末端領域のアミノ酸の数は、上記Tヘルパー細胞エピトープを構成するアミノ酸の数以下である。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドの上記置換されたN末端領域は、5~15個の連続するアミノ酸からなる。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドの上記置換されたN末端領域は、9~14個の連続するアミノ酸からなる。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドの上記置換されたN末端領域は、11~13個の連続するアミノ酸からなる。好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応する。好ましい実施形態では、上記Tヘルパー細胞エピトープは、ユニバーサルTヘルパー細胞エピトープである。好ましい実施形態では、上記Tヘルパー細胞エピトープは、最大20個のアミノ酸からなる。
【0061】
本発明の好ましい実施形態では、Th細胞エピトープは、HA 307-319(配列番号67)、HBVnc 50-69(配列番号68)、TT 830-843(配列番号64)、CS 378-398(配列番号69)、MT 17-31(配列番号70)、TT 947-967(配列番号71)及びPADRE(配列番号65)から選択される。非常に好ましい実施形態では、上記Th細胞エピトープは、破傷風毒素に由来するTh細胞エピトープであるか、PADRE配列である。好ましい実施形態では、上記Tヘルパー細胞エピトープは、ヒトワクチンに由来する。非常に好ましい実施形態では、上記Th細胞エピトープは、破傷風毒素に由来するTh細胞エピトープである。好ましい実施形態では、上記Th細胞エピトープはPADRE配列である。非常に好ましい実施形態では、上記Th細胞エピトープは、配列番号64又は配列番号65のアミノ酸配列を含む。非常に好ましい実施形態では、上記Th細胞エピトープは、配列番号64又は配列番号65のアミノ酸配列からなる。非常に好ましい実施形態では、上記Th細胞エピトープは、配列番号64のアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、上記Th細胞エピトープは、配列番号64のアミノ酸配列からなる。非常に好ましい実施形態では、上記Th細胞エピトープは、配列番号65のアミノ酸配列を含む。非常に好ましい実施形態では、上記Th細胞エピトープは、配列番号65のアミノ酸配列からなる。
【0062】
好ましい実施形態では、上記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり、上記アミノ酸配列は、配列番号62、又は配列番号62の少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり;上記アミノ配列は配列番号63を含み、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記置換されたN末端領域は、11~13個の連続するアミノ酸、好ましくは11個の連続するアミノ酸からなり、さらに好ましくは、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応する。
【0063】
非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列を含む。非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号66のアミノ酸配列を含む。
【0064】
非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号5又は配列番号66のアミノ酸配列を含み、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号5の88位のアミノ酸残基と89位のアミノ酸残基との間で配列番号5の上記キメラCMVポリペプチドに挿入されるか、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号66の86位のアミノ酸残基と87位のアミノ酸残基との間で配列番号66の上記キメラCMVポリペプチドに挿入される。
【0065】
非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号66のアミノ酸配列を含み、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号66の86位のアミノ酸残基と87位のアミノ酸残基との間で配列番号66の上記キメラCMVポリペプチドに挿入される。
【0066】
非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列を含み、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号5の88位のアミノ酸残基と89位のアミノ酸残基との間で配列番号5の上記キメラCMVポリペプチドに挿入される。
【0067】
好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、第1のアミノ酸リンカーをさらに含み、上記第1のアミノ酸リンカーは、上記抗原性ポリペプチドのN末端又はC末端に位置し、上記第1のアミノ酸リンカーは、(a.)n=2~10の長さのポリグリシンリンカー(Gly)n;(b.)少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であって、好ましくは上記GSリンカーが、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=1~5、t=1~5及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有するグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー);ならびに(c.)少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含むアミノ酸リンカーからなる群から選択される。好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、第2のアミノ酸リンカーをさらに含み、上記第2のアミノ酸リンカーは、上記抗原性ポリペプチドのN末端又はC末端に位置し、上記第2のアミノ酸リンカーは、(a.)n=2~10の長さのポリグリシンリンカー(Gly)n;(b.)少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であって、好ましくは上記GSリンカーが、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=1~5、t=1~5及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有するグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー);ならびに(c.)少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含むアミノ酸リンカーからなる群から選択される。好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、第1のアミノ酸リンカー及び第2のアミノ酸リンカーをさらに含み、上記第1のアミノ酸リンカーは、上記抗原性ポリペプチドのN末端に位置し、上記第2のアミノ酸リンカーは、上記抗原性ポリペプチドのC末端に位置し、上記第1及び上記第2のアミノ酸リンカーは、(a.)n=2~10の長さのポリグリシンリンカー(Gly)n;(b.)少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であって、好ましくは上記GSリンカーが、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=1~5、t=1~5及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有するグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー);ならびに(c.)少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含むアミノ酸リンカーからなる群から独立して選択される。
【0068】
好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、最大30アミノ酸の長さを有する。好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、最大20アミノ酸の長さを有する。好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、最大15アミノ酸の長さを有する。好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーは、最大30アミノ酸の長さを有する。好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーは、最大20アミノ酸の長さを有する。好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーは、最大15アミノ酸の長さを有する。好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、上記抗原性ポリペプチドのN末端に位置する。好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、上記抗原性ポリペプチドのC末端に位置する。好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、第2のアミノ酸リンカーをさらに含む。好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、上記抗原性ポリペプチドのN末端に位置する。好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーは、上記抗原性ポリペプチドのC末端に位置する。好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、第1のアミノ酸リンカー及び第2のアミノ酸リンカーを含む。好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、上記抗原性ポリペプチドのN末端に位置し、上記第2のアミノ酸リンカーは、上記抗原性ポリペプチドのC末端に位置する。好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、(a.)n=2~10の長さのポリグリシンリンカー(Gly)n;(b.)少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であって、好ましくは上記GSリンカーが、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=1~5、t=1~5及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有するグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー);ならびに(c.)少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含むアミノ酸リンカーからなる群から選択され、好ましくは、少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含む上記アミノ酸リンカーは、GST-リンカー又はGSED-リンカーである。好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、n=2~10の長さのポリグリシンリンカー(Gly)nである。好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)である。好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であり、上記第2のアミノ酸リンカーは、そのN末端にGly-Serを有する。さらに好ましい実施形態では、上記GSリンカーは、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=1~5、t=1~5及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有する。さらに好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーはグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であり、上記GSリンカーは、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=3又は4、t=1、2又は3、及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有する。さらに好ましい実施形態では、上記GS-リンカーは、最大30アミノ酸の長さを有する。さらに好ましい実施形態では、上記GS-リンカーは、最大20アミノ酸の長さを有する。さらに好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーはグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であり、上記GSリンカーは、配列番号10、配列番号11、配列番号30、配列番号31及び配列番号47から選択されるアミノ酸配列を有する。さらに好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、配列番号10及び配列番号30から選択されるアミノ酸配列を有する。好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含むアミノ酸リンカーである。好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、少なくともThrとを含むアミノ酸リンカー(GST-リンカー)であり、さらに好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、少なくとも1つのグルタミン酸と、少なくともアスパラギン酸とを含むアミノ酸リンカー(GSED-リンカー)であり、好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、少なくともThrとを含むアミノ酸リンカー(GST-リンカー)であり、上記第2のアミノ酸リンカーは、そのN末端にGly-Serを有する。さらに好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、少なくとも1つのグルタミン酸と、少なくともアスパラギン酸とを含むアミノ酸リンカー(GSED-リンカー)であり、上記第2のアミノ酸リンカーは、そのN末端にGly-Serを有する。好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーは、少なくとも1つのグリシンと、少なくとも1つのセリンとを含む(GS-リンカー)、少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、少なくともThrとを含むアミノ酸リンカー(GST-リンカー)、又は少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、少なくとも1つのグルタミン酸と、少なくともアスパラギン酸とを含むアミノ酸リンカー(GSED-リンカー)であり、上記第2のアミノ酸リンカーは、そのN末端にGly-Serを有する。さらに好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーはGSEDリンカーであり、上記GSED-リンカーは、(DED)x(GsS)t(G)y(DED)z(GS)u(s=1~5、t=1~5、u=0又は1、x=0又は1、y=0~5及びz=0又は1)のアミノ酸配列を含む。さらに好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーはGSEDリンカーであり、上記GSED-リンカーは、(DED)x(GsS)t(G)y(DED)z(GS)u(s=3又は4、t=1、2又は3、u=0又は1、x=0、y=1~5、好ましくはy=3、及びz=1)のアミノ酸配列を含む。さらに好ましい実施形態では、上記GSED-リンカーは、最大30アミノ酸の長さを有する。さらに好ましい実施形態では、上記GSED-リンカーは、最大20アミノ酸の長さを有する。さらに好ましい実施形態では、上記第1のアミノ酸リンカーはGSED-リンカーであり、上記GSEDリンカーは、アミノ酸配列として配列番号126を含み、好ましくはそれからなる。
【0069】
好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーは、(a.)n=2~10の長さのポリグリシンリンカー(Gly)n;(b.)少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であって、好ましくは上記GSリンカーが、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=1~5、t=1~5及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有するグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー);ならびに(c.)少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含むアミノ酸リンカーからなる群から選択される。好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーは、(a.)n=2~10の長さのポリグリシンリンカー(Gly)n;(b.)少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であって、好ましくは上記GSリンカーが、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=1~5、t=1~5及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有するグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー);ならびに(c.)少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含むアミノ酸リンカーからなる群から選択され、好ましくは、少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含む上記アミノ酸リンカーは、GST-リンカー又はGSED-リンカーである。好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーは、n=2~10の長さのポリグリシンリンカー(Gly)nである。好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーは、少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンからなるグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)である。好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーは、少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であり、上記第2のアミノ酸リンカーは、そのN末端にGly-Serを有する。さらに好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーはグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であり、上記GSリンカーは、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=3又は4、t=1、2又は3、u=0又は1)のアミノ酸配列を有する。さらに好ましい実施形態では、上記GS-リンカーは、最大30アミノ酸の長さを有する。さらに好ましい実施形態では、上記GS-リンカーは、最大20アミノ酸の長さを有する。さらに好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーはグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であり、上記GSリンカーは、配列番号10、配列番号11、配列番号30、配列番号31及び配列番号47から選択されるアミノ酸配列を有する。さらに好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーは、配列番号11、配列番号31及び配列番号47から選択されるアミノ酸配列を有する。さらに好ましい実施形態では、上記GSリンカーは、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=1~5、t=1~5及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有する。好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーは、少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含むアミノ酸リンカーである。
【0070】
好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーは、少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、少なくともThrとを含むアミノ酸リンカー(GST-リンカー)であり、さらに好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーは、少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、少なくとも1つのグルタミン酸と、少なくともアスパラギン酸とを含むアミノ酸リンカー(GSED-リンカー)であり、好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーは、少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、少なくともThrとを含むアミノ酸リンカー(GST-リンカー)であり、上記第2のアミノ酸リンカーは、そのN末端にGly-Serを有する。さらに好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーは、少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、少なくとも1つのグルタミン酸と、少なくともアスパラギン酸とを含むアミノ酸リンカー(GSED-リンカー)であり、上記第2のアミノ酸リンカーは、そのN末端にGly-Serを有する。好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーは、少なくとも1つのグリシンと、少なくとも1つのセリンとを含む(GS-リンカー)、少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、少なくともThrとを含むアミノ酸リンカー(GST-リンカー)、又は少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、少なくとも1つのグルタミン酸と、少なくともアスパラギン酸とを含むアミノ酸リンカー(GSED-リンカー)であり、上記第2のアミノ酸リンカーは、そのN末端にGly-Serを有する。さらに好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーはGSEDリンカーであり、上記GSED-リンカーは、(DED)x(GsS)t(G)y(DED)z(GS)u(s=1~5、t=1~5、u=0又は1、x=0又は1、y=0~5及びz=0又は1)のアミノ酸配列を含む。さらに好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーはGSEDリンカーであり、上記GSED-リンカーは、(DED)x(GsS)t(G)y(DED)z(GS)u(s=1~5、t=1~5、u=0又は1、x=0又は1、y=0~5及びz=0又は1)のアミノ酸配列からなる。さらに好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーはGSEDリンカーであり、上記GSED-リンカーは、(DED)x(GsS)t(G)y(DED)z(GS)u(s=3又は4、t=1、2又は3、u=0又は1、x=1、y=0~5、好ましくはy=0、及びz=0)のアミノ酸配列を含む。さらに好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーはGSEDリンカーであり、上記GSED-リンカーは、(DED)x(GsS)t(G)y(DED)z(GS)u(s=3又は4、t=1、2又は3、u=0又は1、x=1、y=0~5、好ましくはy=0、及びz=0)のアミノ酸配列からなる。さらに好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーはGSEDリンカーであり、上記GSED-リンカーは、(TS)(DED)x(GsS)t(G)y(DED)z(GS)u(s=1~5、t=1~5、u=0又は1、x=0又は1、y=0~5及びz=0又は1)のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。さらに好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーはGSEDリンカーであり、上記GSED-リンカーは、(TS)(DED)x(GsS)t(G)y(DED)z(GS)u(s=3又は4、t=1、2又は3、u=0又は1、x=1、y=0~5、好ましくはy=0、及びz=0)のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。さらに好ましい実施形態では、上記GSED-リンカーは、最大30アミノ酸の長さを有する。さらに好ましい実施形態では、上記GSED-リンカーは、最大20アミノ酸の長さを有する。さらに好ましい実施形態では、上記第2のアミノ酸リンカーはGSED-リンカーであり、上記GSEDリンカーは、アミノ酸配列として配列番号127を含み、好ましくはそれからなる。
【0071】
好ましい実施形態では、上記第1及び上記第2のアミノ酸リンカーは、(a.)n=2~10の長さのポリグリシンリンカー(Gly)n;(b.)少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であって、好ましくは上記GSリンカーが、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=1~5、t=1~5及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有するグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー);ならびに(c.)少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含むアミノ酸リンカーからなる群から独立して選択される。好ましい実施形態では、上記第1及び上記第2のアミノ酸リンカーは、独立して、n=2~10の長さのポリグリシンリンカー(Gly)nである。好ましい実施形態では、上記第1及び上記第2のアミノ酸リンカーは、独立して、少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)である。好ましい実施形態では、上記第1及び上記第2のアミノ酸リンカーは、独立して、少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であり、上記第2のアミノ酸リンカーは、そのN末端にGly-Serを有する。さらに好ましい実施形態では、上記GSリンカーは、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=1~5、t=1~5及びu=0又は1)のアミノ酸配列を有する。さらに好ましい実施形態では、上記第1及び上記第2のアミノ酸リンカーは、独立して、グリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であり、上記GSリンカーは、(GS)r(GsS)t(GS)u(r=0又は1、s=3又は4、t=1、2又は3、u=0又は1)のアミノ酸配列を有する。さらに好ましい実施形態では、上記第1及び上記第2のアミノ酸リンカーは、独立して、グリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であり、上記GSリンカーは、配列番号10、配列番号11、配列番号30、配列番号31及び配列番号47から選択されるアミノ酸配列を有する。好ましい実施形態では、上記第1及び上記第2のアミノ酸リンカーは、独立して、少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、Thr、Ala、Lys、Asp及びGluから選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含むアミノ酸リンカーである。
【0072】
好ましい実施形態では、上記第1及び上記第2のアミノ酸リンカーは、独立して、少なくとも1つのGlyと、少なくとも1つのSerと、少なくとも1つのグルタミン酸と、少なくともアスパラギン酸とを含むGSED-リンカー(GSED-リンカー)であり、上記第2のアミノ酸リンカーは、そのN末端にGly-Serを有する。さらに好ましい実施形態では、上記第1及び上記第2のアミノ酸リンカーは独立してGSED-リンカーであり、上記GSEDリンカーは、(DED)x(GsS)t(G)y(DED)z(GS)u(s=1~5、t=1~5、u=0又は1、x=0又は1、y=0~5及びz=0又は1);又は(TS)(DED)x(GsS)t(G)y(DED)z(GS)u(s=1~5、t=1~5、u=0又は1、x=0又は1、y=0~5及びz=0又は1)のアミノ酸配列を独立して有する。
【0073】
さらに好ましい実施形態では、上記第1及び上記第2のアミノ酸リンカーは独立してGSED-リンカーであり、上記GSEDリンカーは、(DED)x(GsS)t(G)y(DED)z(GS)u(s=3もしくは4、t=1、2もしくは3、u=0もしくは1、x=1、y=0~5、好ましくはy=0、及びz=0、又はs=3もしくは4、t=1、2もしくは3、u=0もしくは1、x=0、y=1~5、好ましくはy=3、及びz=1);又は(TS)(DED)x(GsS)t(G)y(DED)z(GS)u(s=3又は4、t=1、2又は3、u=0又は1、x=1、y=0~5、好ましくはy=0、及びz=0)のアミノ酸配列を独立して有する。
【0074】
さらに好ましい実施形態では、上記第1及び上記第2のアミノ酸リンカーは独立してGSED-リンカーであり、上記GSリンカーは、配列番号126及び配列番号127から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0075】
非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列を含み、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号5の上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基88(Ser)とアミノ酸残基89(Thr)との間で上記CMVポリペプチドに挿入される。
【0076】
非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列を含み、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号5の上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基88(Ser)とアミノ酸残基89(Thr)との間で上記CMVポリペプチドに挿入され、上記キメラCMVポリペプチドは、第1及び第2のアミノ酸リンカーをさらに含み、上記第1及び上記第2のアミノ酸リンカーは、独立して、少なくとも1つのグリシン及び少なくとも1つのセリンを含むグリシン-セリンリンカー(GS-リンカー)であり、上記第2のアミノ酸リンカーは、そのN末端にGly-Ser配列を有する。
【0077】
一態様及び好ましい実施形態では、本発明は、モザイクウイルス様粒子を提供する。したがって、好ましい実施形態では、CMVの上記修飾VLPは、少なくとも1つのCMVタンパク質をさらに含み、上記CMVタンパク質は、CMVのコートタンパク質を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくは、CMVの上記コートタンパク質は、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、また一層好ましくは少なくとも90%、またさらに好ましくは少なくとも95%、なお一層好ましくは少なくとも98%、なおまた一層さらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましい実施形態では、CMVの上記修飾VLPは、少なくとも1つのCMVタンパク質をさらに含み、上記CMVタンパク質は、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、上記CMVタンパク質は、場合により、Tヘルパー細胞エピトープによって修飾され、好ましくはCMVの上記コートタンパク質は配列番号62を含む。
【0078】
好ましい実施形態では、上記CMVタンパク質は、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、上記CMVタンパク質は、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、上記CMVタンパク質は、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、上記CMVタンパク質は、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、上記CMVタンパク質は、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、上記CMVタンパク質は、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、上記CMVタンパク質は、CMVのコートタンパク質、又は配列番号62と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、上記CMVタンパク質は、CMVのコートタンパク質を含む。好ましい実施形態では、上記CMVタンパク質は、CMVのコートタンパク質からなる。好ましい実施形態では、上記CMVタンパク質はCMVのコートタンパク質を含み、CMVの上記コートタンパク質は配列番号62を含む。好ましい実施形態では、上記CMVタンパク質はCMVのコートタンパク質を含み、CMVの上記コートタンパク質は配列番号62からなる。好ましい実施形態では、上記CMVタンパク質はCMVのコートタンパク質からなり、CMVの上記コートタンパク質は配列番号62からなる。別の好ましい実施形態では、上記CMVタンパク質は、Tヘルパー細胞エピトープによって修飾され、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVタンパク質のN末端領域を置換する。別の好ましい実施形態では、上記CMVタンパク質の上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応する。非常に好ましい実施形態では、上記CMVタンパク質は、配列番号5を含む。非常に好ましい実施形態では、上記CMVタンパク質は、配列番号5からなる。
【0079】
好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、少なくとも3アミノ酸の長さを有する。好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、少なくとも3アミノ酸及び最大225アミノ酸の長さを有する。好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、少なくとも3アミノ酸及び最大200アミノ酸の長さを有する。好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、少なくとも40アミノ酸の長さを有する。好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、少なくとも40アミノ酸及び最大225アミノ酸、好ましくは最大200アミノ酸の長さを有する。好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、少なくとも50アミノ酸の長さを有する。好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、少なくとも50アミノ酸及び最大200アミノ酸の長さを有する。好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、少なくとも70アミノ酸の長さを有する。好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、少なくとも70アミノ酸及び最大200アミノ酸の長さを有する。
【0080】
好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、(a)アレルゲン;(b)ウイルス;(b)細菌;(c)寄生虫;(d)腫瘍;(e)自己分子;(h)ホルモン;(i)サイトカイン;(k)ケモカイン;(l)生物学的に活性なペプチドからなる群に由来するポリペプチドである。
【0081】
別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、アレルゲン、自己抗原、腫瘍抗原、又は病原体のポリペプチドである。
【0082】
さらに好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはアレルゲンであり、好ましくは、上記アレルゲンは、(a)花粉抽出物;(b)ダスト抽出物;(c)イエダニ抽出物;(d)真菌抽出物;(e)哺乳動物表皮抽出物;(f)羽毛抽出物;(g)昆虫抽出物;(h)食品抽出物;(i)毛髪抽出物;(j)唾液抽出物;及び(k)血清抽出物からなる群に由来する。さらに好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはアレルゲンであり、上記アレルゲンは、(a)樹木;(b)草;(c)ハウスダスト;(d)イエダニ;(e)アスペルギルス(aspergillus);(f)動物の毛;(g)動物の羽毛;(h)ハチ毒;(i)動物性製品;(j)植物製品;(k)動物のふけ;(l)ピーナッツアレルゲンからなる群から選択される。
【0083】
さらに好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、(a)ハチ毒ホスホリパーゼA2;(b)ブタクサ(ragweed)花粉Amb a 1;(c)カバノキ(birch)花粉Bet v I;(d)白頭スズメバチ毒(white faced hornet venom)5 DoI m V;(e)イエダニDer p 1;(f)イエダニDer f 2;(g)イエダニDer p 2;(h)イエダニLep d;(i)真菌アレルゲンAlt a 1;(j)真菌アレルゲンAsp f 1;(k)真菌アレルゲンAsp f 16;(l)ピーナッツアレルゲン(m)ネコアレルゲンFel d1;(n)イヌアレルゲンCan f1、Can f2(o)ピーナッツ由来アレルゲン;又は(p)スギ(Japanese cedar)アレルゲンCry J2からなる群から選択されるアレルゲンに由来する組換えポリペプチドである。
【0084】
さらに好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは組換えアレルゲンであり、上記アレルゲンは、(a)ハチ毒ホスホリパーゼA2;(b)ブタクサ(ragweed)花粉Amb a 1;(c)カバノキ(birch)花粉Bet v I;(d)白頭スズメバチ毒(white faced hornet venom)5 DoI m V;(e)イエダニDer p 1;(f)イエダニDer f 2;(g)イエダニDer p 2;(h)イエダニLep d;(i)真菌アレルゲンAlt a 1;(j)真菌アレルゲンAsp f 1;(k)真菌アレルゲンAsp f 16;(l)ピーナッツアレルゲン(m)ネコアレルゲンFel d1;(n)イヌアレルゲンCan f1、Can f2(o)ピーナッツ由来アレルゲン;又は(p)スギ(Japanese cedar)アレルゲンCry J2からなる群から選択される。
【0085】
さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはピーナッツアレルゲンである。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号27、配列番号72又は配列番号73から選択されるアミノ酸配列を含むピーナッツアレルゲンである。非常に好ましい実施形態では、上記ピーナッツアレルゲンは、配列番号27、配列番号72もしくは配列番号73から選択されるアミノ配列を有するタンパク質、又は配列番号27、配列番号72もしくは配列番号73と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、またさらに好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記ピーナッツアレルゲンは、配列番号27、配列番号72もしくは配列番号73から選択されるアミノ配列を有するタンパク質、又は配列番号27、配列番号72もしくは配列番号73と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、またさらに好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記ピーナッツアレルゲンは、配列番号27、配列番号72又は配列番号73から選択されるアミノ配列を有するタンパク質を含む。さらに非常に好ましい実施形態では、上記ピーナッツアレルゲンは、配列番号27、配列番号72又は配列番号73から選択されるアミノ配列を有するタンパク質からなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記ピーナッツアレルゲンは、配列番号27のアミノ酸配列を含む。さらに非常に好ましい実施形態では、上記ピーナッツアレルゲンは、配列番号27のアミノ酸配列からなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号27のアミノ酸配列を含む。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号27のアミノ酸配列からなる。
【0086】
非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくは、上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドはピーナッツアレルゲンであり;上記ピーナッツアレルゲンは、(a)配列番号27;(b)配列番号72(c)配列番号73から選択されるアミノ酸配列を含み、好ましくは、上記ピーナッツアレルゲンは、配列番号27を含み、好ましくはそれからなり、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64又は配列番号65、また好ましくは配列番号64のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。
【0087】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドはピーナッツアレルゲンであり;上記ピーナッツアレルゲンは、配列番号27を含み、好ましくはそれからなり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号29からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、アレルギー、好ましくはピーナッツアレルギーを治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【0088】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、少なくとも1つの融合タンパク質を含み、少なくとも1つのCMVタンパク質をさらに含み、上記少なくとも1つの融合タンパク質は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドはピーナッツアレルゲンであり;上記ピーナッツアレルゲンは、配列番号27を含み、好ましくはそれからなり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなり;上記CMVタンパク質は、CMVの、好ましくは配列番号62のコートタンパク質を含み、好ましくはそれからなり、上記CMVタンパク質は、場合により、Tヘルパー細胞エピトープによって修飾され、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVタンパク質のN末端領域を置換し、上記CMVタンパク質の上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは配列番号29からなり、上記CMVタンパク質は配列番号5からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、アレルギー、好ましくはピーナッツアレルギーを治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【0089】
さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、スギ(Japanese cedar)Cry J 2に由来するアレルゲンである。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号74のスギ(Japanese cedar)Cry J 2に由来する。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、スギ(Japanese cedar)Cry J 2に由来し、配列番号74のアミノ酸配列を含む。
【0090】
さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、ブタクサ(ragweed)花粉Amb a1に由来するアレルゲンである。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号75のブタクサ(ragweed)花粉Amb a 1に由来する。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、ブタクサ(ragweed)花粉Amb a1に由来し、配列番号75のアミノ酸配列を含む。
【0091】
本発明の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、ネコアレルゲンFel d1に由来するアレルゲンである。イエネコ(Felis domesticus)は、屋内アレルゲンの重要な供給源である(Lau,S.,et al.(2000)Lancet 356,1392-1397)。症状の重症度は、比較的軽度の鼻炎及び結膜炎から、潜在的に生命を脅かす喘息増悪まで及ぶ。患者は時折、ネコのふけ及び毛皮内のいくつかの異なる分子に感作されるが、主要なアレルゲンはFel d1である。このアレルゲンの重要性は、多くの試験で強調されている。実際、ネコアレルギー患者の80%超が、この強力なアレルゲンに対するIgE抗体を示す(van Ree,R.,et al.(1999)J.Allergy Clin Immunol 104,1223-1230)。Fel d1は、10~20%のN結合炭水化物を含有する35~39kDaの酸性糖タンパク質であり、ネコの毛皮、唾液及び涙腺に見出される。これは、2つの非共有結合したヘテロ二量体によって形成される。各ヘテロ二量体は、別個の遺伝子によってコードされる1つの70残基ペプチド(「鎖1」として知られる)と、1つの78、85、90又は92残基ペプチド(「鎖2」として知られる)とからなる(Duffort,O.A.,et al.(1991)Mol Immunol 28,301-309;Morgenstern,J.P.,et al;(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88,9690-9694及びGriffith,I.J.,et al.(1992)Gene 113,263-268を参照)。Fel d1のいくつかの組換え構築物が記載されている(Vailes LD,et al.,J Allergy Clin Immunol(2002)110:757-762;Gronlund H,et al.,J Biol Chem(2003)278:40144-40151;2003;Schmitz N,et al.,J Exp Med(2009)206:1941-1955;国際公開第2006/097530号パンフレット;国際公開第2017/042241号パンフレット)。
【0092】
したがって、さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはrFel d1である。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはFel d1タンパク質であり、上記Fel d1タンパク質は、Fel d1の鎖1とFel d1の鎖2とを含む融合タンパク質であり、Fel d1の上記鎖2は、そのC末端を介してFel d1の上記鎖1のN末端に、1つのペプチド結合を介して直接、又はスペーサーを介して融合され、上記スペーサーは、1~20個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列からなり、好ましくは、上記スペーサーは、10~20個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列からなる。非常に好ましくは、上記スペーサーは15個のアミノ酸残基のアミノ酸配列からなり、さらに好ましくは、上記スペーサーは配列番号30のアミノ酸配列を有する。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはFel d1タンパク質であり、上記Fel d1タンパク質は、Fel d1の鎖1とFel d1の鎖2とを含む融合タンパク質であり、Fel d1の上記鎖1は、そのC末端を介してFel d1の上記鎖2のN末端に、1つのペプチド結合を介して直接、又はスペーサーを介して融合され、上記スペーサーは、1~20個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列からなり、好ましくは、上記スペーサーは、10~20個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、Fel d1の上記鎖1は、配列番号76の配列、又はそのホモログ配列を含み、上記ホモログ配列は、90%を超える、又はさらになお好ましくは95%を超える、配列番号76との同一性を有する。さらに好ましくは、Fel d 1の上記鎖2は、配列番号77、配列番号78もしくは配列番号79の配列、又はそのホモログ配列を含み、上記ホモログ配列は、90%を超える、さらになお好ましくは95%を超える、配列番号77、配列番号78又は配列番号79との同一性を有する。
【0093】
非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、(a)配列番号38;(b)配列番号80;又は(c)又は配列番号81から選択されるアミノ酸配列を含むFel d1タンパク質である。別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号38を含み、好ましくはそれからなる。非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号80を含み、好ましくはそれからなる。別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号81を含み、好ましくはそれからなる。
【0094】
さらに非常に好ましい実施形態では、上記Fel d1タンパク質は、(a)配列番号38;(b)配列番号80(c)配列番号81から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0095】
別の非常に好ましい実施形態では、上記Fel d1タンパク質は、配列番号38のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。別の非常に好ましい実施形態では、上記Fel d1タンパク質は、配列番号80のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。別の非常に好ましい実施形態では、上記Fel d1タンパク質は、配列番号81のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。
【0096】
非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくは、上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、Fel d1タンパク質であり;上記Fel d1タンパク質は、(a)配列番号38;(b)配列番号80(c)配列番号81から選択されるアミノ酸配列を含み、好ましくは、上記Fel d1タンパク質は、配列番号38を含み、好ましくはそれからなり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64又は配列番号65、また好ましくは配列番号64のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。
【0097】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、Fel d1タンパク質であり;上記Fel d1タンパク質は、配列番号38を含み、好ましくはそれからなり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号39からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、アレルギー、好ましくはネコアレルギーを治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【0098】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、少なくとも1つの融合タンパク質を含み、少なくとも1つのCMVタンパク質をさらに含み、上記少なくとも1つの融合タンパク質は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、Fel d1タンパク質であり;上記Fel d1タンパク質は、配列番号38を含み、好ましくはそれからなり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなり;上記CMVタンパク質は、CMVの、好ましくは配列番号62のコートタンパク質を含み、好ましくはそれからなり、上記CMVタンパク質は、場合により、Tヘルパー細胞エピトープによって修飾され、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVタンパク質のN末端領域を置換し、上記CMVタンパク質の上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは配列番号39からなり、上記CMVタンパク質は配列番号5からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、アレルギー、好ましくはネコアレルギーを治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【0099】
さらに好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは腫瘍抗原であり、好ましくは、上記腫瘍抗原は、(a)乳癌細胞のポリペプチド;(b)腎癌細胞のポリペプチド;(c)前立腺癌細胞のポリペプチド;(d)皮膚癌細胞のポリペプチド;(e)脳癌細胞のポリペプチド;及び(f)白血病細胞のポリペプチドからなる群から選択される。
【0100】
さらに好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、(a)Her2;(b)ガングリオシドGD2;(c)EGF-R;(d)癌胎児抗原(CEA);(e)CD52;(f)CD21;(g)ヒトメラノーマgp100;(h)ヒトメラノーマmelanA/MART-1;(i)ヒトメラノーマmelanA/MART-1類似体;(j)チロシナーゼ;(k)NA17-A nt;(l)MAGE3;(m)p53タンパク質;及び(n)(a)~(m)の腫瘍抗原のいずれかの抗原性断片からなる群から選択される腫瘍抗原である。
【0101】
さらに好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、(a)IgE、(b)IL-6(c)核因子kBリガンドの受容体活性化因子(RANKL);(d)血管内皮増殖因子(VEGF);(e)血管内皮増殖因子受容体(VEGF-R);肝細胞増殖因子(HGF)(f)インターロイキン-1α;(g)インターロイキン-1 β;(h)インターロイキン-5;(i)インターロイキン-8;(j)インターロイキン-13;(k)インターロイキン-15;(l)インターロイキン-17(IL-17);(m)IL-23;(n)グレリン;(o)アンジオテンシン;(p)ケモカイン(C-Cモチーフ)(CCL21);(q)ケモカイン(C-Xモチーフ)(CXCL 12);(r)ストロマ細胞由来因子1(SDF-I);(s)マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF);(t)単球走化性タンパク質1(MCP-I);(u)エンドグリン;(v)レジスチン;(w)ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH);(x)成長ホルモン放出(GHRH);(y)黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH);(z)甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH);(aa)マクロファージ遊走阻止因子(MIF);(bb)グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP);(cc)エオタキシン;(dd)ブラジキニン;(ee)Des-Argブラジキニン;(ff)Bリンパ球走化性因子(BLC);(gg)マクロファージコロニー刺激因子M-CSF;(hh)腫瘍壊死因子α(TNFα);(ii)アミロイドβペプチド(Aβ1-42);(jj)アミロイドβペプチド(Aβ3-6);(kk)ヒトIgE;(ii)CCR5細胞外ドメイン;(mm)CXCR4細胞外ドメイン;(nn)ガストリン;(oo)CETP;(pp)C5a;(qq)上皮細胞成長因子受容体(EGF-R);(rr)CGRP;(ss)α-シヌクレイン;(tt)カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)(uu)アミリン;(vv)ミオスタチン;(ww)インターロイキン-4;(xx)胸腺間質性リンパ球新生因子;(yy)インターロイキン-33;(zz)インターロイキン-25;(aaa)インターロイキン-13又は(bbb)ポリペプチド(a)~(aaa)のいずれか1つの断片;及び(ccc)ポリペプチド(a)~(aaa)のいずれか1つの抗原性突然変異体もしくは断片からなる群から選択されるポリペプチドである。
【0102】
さらに好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは自己抗原であり、上記自己抗原は、(a)IgE、(b)IL-6(c)核因子kBリガンドの受容体活性化因子(RANKL);(d)血管内皮増殖因子(VEGF);(e)血管内皮増殖因子受容体(VEGF-R);肝細胞増殖因子(HGF)(f)インターロイキン-1 α;(g)インターロイキン-1 β;(h)インターロイキン-5;(i)インターロイキン-8;(j)インターロイキン-13;(k)インターロイキン-15;(l)インターロイキン-17(IL-17);(m)IL-23;(n)グレリン;(o)アンジオテンシン;(p)ケモカイン(C-Cモチーフ)(CCL21);(q)ケモカイン(C-Xモチーフ)(CXCL 12);(r)ストロマ細胞由来因子1(SDF-I);(s)マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF);(t)単球走化性タンパク質1(MCP-I);(u)エンドグリン;(v)レジスチン;(w)ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH);(x)成長ホルモン放出(GHRH);(y)黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH);(z)甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH);(aa)マクロファージ遊走阻止因子(MIF);(bb)グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP);(cc)エオタキシン;(dd)ブラジキニン;(ee)Des-Argブラジキニン;(ff)Bリンパ球走化性因子(BLC);(gg)マクロファージコロニー刺激因子M-CSF;(hh)腫瘍壊死因子α(TNFα);(ii)アミロイドβペプチド(Aβ1-42);(jj)アミロイドβペプチド(Aβ3-6);(kk)ヒトIgE;(ii)CCR5細胞外ドメイン;(mm)CXCR4細胞外ドメイン;(nn)ガストリン;(oo)CETP;(pp)C5a;(qq)上皮細胞成長因子受容体(EGF-R);(rr)CGRP;(ss)α-シヌクレイン;(tt)カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)(uu)アミリン;(vv)ミオスタチン;(ww)インターロイキン-4;(xx)胸腺間質性リンパ球新生因子;(yy)インターロイキン-33;(zz)インターロイキン-25;(aaa)インターロイキン-13又は(bbb)ポリペプチド(a)~(aaa)のいずれか1つの断片;及び(ccc)ポリペプチド(a)~(aaa)のいずれか1つの抗原性突然変異体もしくは断片からなる群から選択されるポリペプチドである。
【0103】
好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、インターロイキン17(IL-17)、好ましくはヒトIL-17である。インターロイキン17は、広範囲の細胞型で炎症誘発性介在物質の放出を誘導するT細胞由来サイトカインである。IL-17の異常なTh17応答及び過剰発現は、関節リウマチ及び多発性硬化症を含むいくつかの自己免疫障害に関与している。IL-17を遮断する分子、例えば、IL-17特異的モノクローナル抗体は、動物モデルでは疾患の改善に有効であることが証明されている。さらに、組換えIL-17とコンジュゲートしたウイルス様粒子を使用した、IL-17を標的とする能動免疫が近年示唆されている(Rohn TA,et al.,Eur J Immunol(2006)36:1-11)。IL-17-VLPによる免疫化は、高レベルの抗IL-17抗体を誘導し、それにより、アジュバントを添加しない場合であっても、自己寛容を克服した。IL-17-VLPを用いて免疫したマウスでは、コラーゲン誘導性関節炎及び実験的自己免疫性脳脊髄炎においてはともに、疾患の発生率が低下し、疾患への進行が遅くなり、疾患重症度のスコアが低下していた。したがって、好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号82を含むか、好ましくはそれからなる。さらに、本発明の修飾CMV VLPは、動物又はヒトの炎症性疾患、好ましくは慢性炎症性疾患を治療する方法に使用される。好ましくは、上記炎症性疾患は、RA、MS、乾癬、喘息、クローン病、大腸炎、COPD、糖尿病、神経皮膚炎(アレルギー性皮膚炎)から選択され、また好ましくは、上記炎症性疾患はMSであり、さらに好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号82を含むか、好ましくはそれからなる。
【0104】
別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはIL-5、好ましくはヒトIL-5である。またさらに好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号83を含むか、好ましくはそれからなる。さらに、本発明の修飾VLPは、動物又はヒトの炎症性疾患、好ましくは慢性炎症性疾患を治療する方法に使用される。好ましくは、上記炎症性疾患は、RA、MS、乾癬、喘息、クローン病、大腸炎、COPD、糖尿病、神経皮膚炎(アレルギー性皮膚炎)から選択され、さらに好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号83を含むか、好ましくはそれからなる。
【0105】
別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはイヌIL-5である。またさらに好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号84、又は配列番号84と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号84を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号84からなる。
【0106】
別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはネコIL-5である。非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号85、配列番号125、配列番号141、又は配列番号85、配列番号125、配列番号141と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、またさらに好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号85、配列番号125又は配列番号141を含む。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号85、配列番号125又は配列番号141からなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号85、又は配列番号85と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、またさらに好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号125、又は配列番号125と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、またさらに好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号85を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号85からなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号125を含む。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号125からなる。
【0107】
非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくは、上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、(a)配列番号85;(b)配列番号125(c)配列番号141から選択されるアミノ酸配列を含み、好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号125を含み、好ましくはそれからなり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64又は配列番号65、また好ましくは配列番号64のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。
【0108】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、配列番号125を含み、好ましくはそれからなり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号128、配列番号132又は配列番号139からなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号128からなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号132からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、動物又はヒトの炎症性疾患、好ましくは慢性炎症性疾患を治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。好ましくは、上記炎症性疾患は、RA、MS、乾癬、喘息、クローン病、大腸炎、COPD、糖尿病、神経皮膚炎(アレルギー性皮膚炎)から選択される。
【0109】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、少なくとも1つの融合タンパク質を含み、少なくとも1つのCMVタンパク質をさらに含み、上記少なくとも1つの融合タンパク質は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、配列番号125を含み、好ましくはそれからなり、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなり;上記CMVタンパク質は、CMVの、好ましくは配列番号62のコートタンパク質を含み、好ましくはそれからなり、上記CMVタンパク質は、場合により、Tヘルパー細胞エピトープによって修飾され、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVタンパク質のN末端領域を置換し、上記CMVタンパク質の上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは配列番号128からなり、上記CMVタンパク質は配列番号5からなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは配列番号132からなり、上記CMVタンパク質は配列番号5からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、動物又はヒトの炎症性疾患、好ましくは慢性炎症性疾患を治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。好ましくは、上記炎症性疾患は、RA、MS、乾癬、喘息、クローン病、大腸炎、COPD、糖尿病、神経皮膚炎(アレルギー性皮膚炎)から選択される。
【0110】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはIL-4、好ましくはヒトIl-4である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号86を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号86からなる。
【0111】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはイヌIL-4である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号87、又は配列番号87と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号87を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号87からなる。
【0112】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはネコIL-4である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号88、又は配列番号88と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号88を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号88を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号88からなる。
【0113】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはIL-13、好ましくはヒトIL-13である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号89を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号89からなる。
【0114】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはイヌIL-13である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号90、又は配列番号90と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号90を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号90からなる。
【0115】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはネコIL-13である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号91、又は配列番号91と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号91を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号91からなる。
【0116】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはウマIL-13である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号92、又は配列番号92と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号92を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号92からなる。
【0117】
さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはTNFαである。
【0118】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはIL-1α、好ましくはヒトIL-1αである。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号93を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号93からなる。
【0119】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはイヌIL-1αである。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号94、又は配列番号94と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号94を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号94からなる。
【0120】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはネコIL-1αである。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号95、又は配列番号95と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号95を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号95からなる。
【0121】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはウマIL-1αである。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号96、又は配列番号96と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号96を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号96からなる。
【0122】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはIL-33、好ましくはヒトIL-33である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号97を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号97からなる。
【0123】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはイヌIL-33である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号98、又は配列番号98と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号98を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号98からなる。
【0124】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはネコIL-33である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号99、又は配列番号99と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号99を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号99からなる。
【0125】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはウマIL-33である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号100、又は配列番号100と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号100を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号100からなる。
【0126】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはIL-25、好ましくはヒトIL-25である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号101を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号101からなる。
【0127】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはイヌIL-25である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号102、又は配列番号102と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号102を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号102からなる。
【0128】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはネコIL-25である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号103、又は配列番号103と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号103を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号103からなる。
【0129】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはウマIL-25である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号104、又は配列番号104と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号104を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号104からなる。
【0130】
さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはIL-1β、好ましくはヒトIL-1βである。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号105を含むか、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはイヌIL-1βである。非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号134、配列番号143、配列番号144、又は配列番号134、配列番号143、配列番号144と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、またさらに好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号134、配列番号143、配列番号144を含む。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号134、配列番号143、配列番号144からなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号134、又は配列番号134と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、またさらに好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号135を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号135からなる。
【0131】
非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくは、上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、(a)配列番号134;(b)配列番号143(c)配列番号144から選択されるアミノ酸配列を含み、好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号134を含み、好ましくはそれからなり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64又は配列番号65、また好ましくは配列番号64のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。
【0132】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、配列番号134を含み、好ましくはそれからなり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号135からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、動物又はヒトの炎症性疾患、好ましくは慢性炎症性疾患を治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。好ましくは、上記炎症性疾患は、RA、MS、乾癬、喘息、クローン病、大腸炎、COPD、糖尿病、神経皮膚炎(アレルギー性皮膚炎)から選択される。
【0133】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、少なくとも1つの融合タンパク質を含み、少なくとも1つのCMVタンパク質をさらに含み、上記少なくとも1つの融合タンパク質は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、配列番号134を含み、好ましくはそれからなり、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなり;上記CMVタンパク質は、CMVの、好ましくは配列番号62のコートタンパク質を含み、好ましくはそれからなり、上記CMVタンパク質は、場合により、Tヘルパー細胞エピトープによって修飾され、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVタンパク質のN末端領域を置換し、上記CMVタンパク質の上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは配列番号135からなり、上記CMVタンパク質は配列番号5からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、炎症性疾患を治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【0134】
さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはネコIL-1βである。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号145を含むか、好ましくはそれからなる。
【0135】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはIL-31、好ましくはヒトIL-31である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号106を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号106からなる。
【0136】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはイヌIL-31である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号107、又は配列番号107と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号107を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号107からなる。
【0137】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはネコIL-31である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号108、又は配列番号108と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号108を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号108からなる。
【0138】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはウマIL-31である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号109、又は配列番号109と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号109を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号109からなる。
【0139】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、胸腺間質性リンパ球新生因子(TLSP)、好ましくはヒト胸腺間質性リンパ球新生因子(TLSP)である。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号110を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号110からなる。
【0140】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはイヌTLSPである。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号111、又は配列番号111と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号111を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号111からなる。
【0141】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはネコTLSPである。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号112、又は配列番号112と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号112を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号112からなる。
【0142】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはウマTLSPである。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号113、又は配列番号113と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号113を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号113からなる。
【0143】
またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、IgE、又はIgEに含まれるペプチドもしくはドメインである。
【0144】
またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、Aβ-1-42(配列番号114)由来のN末端に由来するペプチド、特に最大7個の連続するアミノ酸長のAβ-1-42(配列番号114)の断片、好ましくは最大6個の連続するアミノ酸長のAβ-1-42(配列番号114)の断片である。
【0145】
したがって、さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、Aβ-1-6(配列番号1)、Aβ-1-7(配列番号2)、Aβ-3-6(配列番号3)、Aβ-1-5(配列番号4)、Aβ-2-6(配列番号115)又はAβ-3-7(配列番号116)から選択される。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはAβ-1-6(配列番号1)である。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはAβ-1-7(配列番号2)である。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはAβ-3-6(配列番号3)である。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはAβ-1-5(配列番号4)である。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはAβ-2-6(配列番号115)である。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはAβ-3-7(配列番号116)である。
【0146】
非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくは、上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、Aβ-1-6(配列番号1)であり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64又は配列番号65、また好ましくは配列番号64のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、アルツハイマー病を治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【0147】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、Aβ-1-6(配列番号1)であり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号6からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、アルツハイマー病を治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【0148】
非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくは、上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、Aβ-1-7(配列番号2)であり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64又は配列番号65、また好ましくは配列番号64のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、アルツハイマー病を治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【0149】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、Aβ-1-7(配列番号2)であり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号7からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、アルツハイマー病を治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【0150】
非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくは、上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、Aβ-3-6(配列番号3)であり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64又は配列番号65、また好ましくは配列番号64のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、アルツハイマー病を治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【0151】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、Aβ-3-6(配列番号3)であり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号8からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、アルツハイマー病を治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【0152】
非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくは、上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、Aβ-1-5(配列番号4)であり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64又は配列番号65、また好ましくは配列番号64のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、アルツハイマー病を治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【0153】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、Aβ-1-5(配列番号4)であり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号9からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、アルツハイマー病を治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【0154】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、α-シヌクレイン、又はα-シヌクレインに由来するペプチドであり、好ましくは上記ペプチドは6~14個のアミノ酸からなり、さらに好ましくは上記抗原性ポリペプチドは、配列番号49、配列番号50、配列番号51及び配列番号117のいずれか1つから選択されるα-シヌクレインに由来するペプチドである。α-シヌクレインに由来するさらに好ましいペプチドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2011/020133号パンフレットに開示されている。
【0155】
α-シヌクレイン(α-Syn)は、複数の生理学的機能及び病理学的機能を有する小さなタンパク質であり、パーキンソン病(PD)を含むレビー小体病の病理学的特徴である、レビー小体に見られる主要なタンパク質の1つである。さらに最近では、α-Synは、血液及び脳脊髄液を含む体液中に見出されており、末梢組織及び中枢神経系の両方によって産生されている可能性が高い。脳と末梢組織との間のα-Synの交換は、重要な病態生理学的意義及び治療的意義を有する可能性がある(Gardai SJ et al.,PLoS ONE(2013)8(8):e71634)。パーキンソン病(PD)の病因では、α-シヌクレイン(a-syn)を暗示する証拠は圧倒的である。ただし、a-synがPD及び他のシヌクレイン病ではどのように病態を引き起こすかに関する明確な意見の一致はない。
【0156】
α-シヌクレインは、レビー小体(LB)の主要成分であり、凝集をもたらすa-syn過剰発現に関する記載は豊富である。ヒトの遺伝学的データは、a-syn遺伝子でのミスセンス変異及び多重化が家族性PDを引き起こすことを実証している。遺伝子多重化の場合、a-synタンパク質のレベルの増加が、病態を引き起こす優勢な機能獲得をもたらすと推定されている。a-synのレベルの増加は凝集及び毒性をもたらし得るが、過去数年にわたる研究から、a-synの上昇が小胞プールの形成、局在化及び/又は維持を妨げる可能性があることも明らかにされている(Gardai SJ et al.,PLoS ONE(2013)8(8):e71634;及びそこに引用されている参考文献。
【0157】
したがって、さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号49、配列番号50、配列番号51及び配列番号117から選択される配列のいずれか1つから選択される。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号49である。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号50である。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号51である。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号117である。
【0158】
非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくは、上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは配列番号49であり、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64又は配列番号65、また好ましくは配列番号64のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。
【0159】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは配列番号49であり、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号52からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、疾患、障害又は生理学的状態を治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供し、上記疾患、障害又は生理学的状態は、レビー小体病から選択され、好ましくは上記疾患、障害又は生理学的状態はパーキンソン病である。
【0160】
非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくは、上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは配列番号50であり、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64又は配列番号65、また好ましくは配列番号64のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。
【0161】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは配列番号50であり、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号53からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、疾患、障害又は生理学的状態を治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供し、上記疾患、障害又は生理学的状態は、レビー小体病から選択され、好ましくは上記疾患、障害又は生理学的状態はパーキンソン病である。
【0162】
非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくは、上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは配列番号51であり、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64又は配列番号65、また好ましくは配列番号64のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。
【0163】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは配列番号51であり、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号54からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、疾患、障害又は生理学的状態を治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供し、上記疾患、障害又は生理学的状態は、レビー小体病から選択され、好ましくは上記疾患、障害又は生理学的状態はパーキンソン病である。
【0164】
またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはアミリンである。非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、アンジオテンシンI、又はアンジオテンシンIに由来するペプチドである。別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、アンジオテンシンII、又はアンジオテンシンIIに由来するペプチドである。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはGnRHである。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはエオタキシンである。
【0165】
別の非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはミオスタチン、好ましくはウシミオスタチンである。またさらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号118、又は配列番号118と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、配列番号118を含むか、好ましくはそれからなる。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは配列番号118からなる。
【0166】
さらに好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、寄生虫のポリペプチドであり、好ましくは、上記病原体は、(a)トキソプラズマ(Toxoplasma)種;(b)熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum);(c)三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax);(d)卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale);(e)四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae);(f)リーシュマニア(Leishmania);(g)住血吸虫(Schistosoma)及び(h)線虫(Nematodes)からなる群から選択される。好ましくは、上記抗原性ポリペプチドは、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)又は三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)(配列番号119)に由来する。
【0167】
さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)に由来する。さらに非常に好ましい実施形態では、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)に由来する上記抗原性ポリペプチドは、配列番号44を含むか、好ましくはそれからなる。
【0168】
非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;又は配列番号62と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくは、上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)に由来し、好ましくは、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)に由来する上記抗原性ポリペプチドは、配列番号44を含むか、好ましくはそれからなり、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64又は配列番号65、また好ましくは配列番号64のアミノ酸配列を含み、好ましくはそれからなる。
【0169】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる少なくとも1つの融合タンパク質を含み、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、配列番号44を含むか、好ましくはそれからなり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号46からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、マラリアを治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【0170】
さらに非常に好ましい実施形態では、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾ウイルス様粒子(VLP)は、少なくとも1つの融合タンパク質を含み、少なくとも1つのCMVタンパク質をさらに含み、上記少なくとも1つの融合タンパク質は、a)キメラCMVポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記キメラCMVポリペプチドは、(i)CMVポリペプチドと、(ii)抗原性ポリペプチドと、(iii)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはそれらからなり;上記CMVポリペプチドは、配列番号62;(ii)抗原性ポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、上記抗原性ポリペプチドは、上記CMVポリペプチドに挿入され、上記抗原性ポリペプチドの上記挿入は、配列番号62の84位及び85位のアミノ酸残基に対応する、上記CMVポリペプチドのアミノ酸残基の間にあり;上記抗原性ポリペプチドは、配列番号44を含むか、好ましくはそれからなり;上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVポリペプチドのN末端領域を置換し、上記CMVポリペプチドの上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなり;上記CMVタンパク質は、CMVの、好ましくは配列番号62のコートタンパク質を含み、好ましくはそれからなり、上記CMVタンパク質は、場合により、Tヘルパー細胞エピトープによって修飾され、上記Tヘルパー細胞エピトープは、上記CMVタンパク質のN末端領域を置換し、上記CMVタンパク質の上記N末端領域は、配列番号62のアミノ酸2~12に対応し、好ましくは、上記Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号64を含み、好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは配列番号46からなり、上記CMVタンパク質は配列番号5からなる。本明細書のさらに非常に好ましい実施形態及び態様では、本発明は、マラリアを治療する方法に使用するための、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の上記修飾ウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【0171】
さらに好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは細菌のポリペプチドであり、好ましくは、上記細菌は、(a)クラミジア(Chlamydia)(b)ストレプトコッカス(Streptococcus);(c)肺炎球菌(Pneumococcus);(d)ブドウ球菌(Staphylococcus);(e)サルモネラ(Salmonella);(f)マイコバクテリア(Mycobacteria);(g)クロストリジウム(Clostridia)(h)ビブリオ(Vibrio)(i)エルシニア(Yersinia)(k)髄膜炎菌(Meningococcus)(l)ボレリア(Borrelia)からなる群から選択される。
【0172】
さらに好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはウイルス抗原であり、好ましくは、上記ウイルス抗原は、(a)HIV及び他のレトロウイルス;(b)インフルエンザウイルス(influenza virus)、好ましくはインフルエンザA(influenza A)M2細胞外ドメイン又はHAもしくはHA球状ドメイン;(c)B型肝炎ウイルスのポリペプチド、好ましくはpreSl;(d)C型肝炎ウイルス;(e)HPV、好ましくはHPV16E7(f)RSV、(g)SARS及び他のコロナウイルス、(h)デング(Dengue)及び他のフラビウイルス(Flavivirus)、例えば、西ナイルウイルス(West Nile Virus)及び手足口病ウイルス(Hand Foot and Mouth Disease Virus)、(i)チクングニア(Chikungunya)及び他のアルファウイルス(Alphavirus)。(k)CMV及び他のヘルペスウイルス(Herpesvirus)、(l)ロタウイルス(Rotavirus)からなる群から選択されるポリペプチドである。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはRSVに由来する。さらに非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドはデングウイルス(Dengue virus)に由来する。
【0173】
好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、インフルエンザAウイルス(Influenza A virus)M2タンパク質の細胞外ドメイン、又はその抗原性断片である。非常に好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、インフルエンザAウイルス(Influenza A virus)M2タンパク質の細胞外ドメインを含むか、好ましくはそれからなり、好ましくは、インフルエンザAウイルス(Influenza A virus)M2タンパク質の上記細胞外ドメインは配列番号120である。別の好ましい実施形態では、上記抗原性ポリペプチドは、インフルエンザウイルス(Influenza virus)の球状ドメインである。
【0174】
さらに非常に好ましい実施形態では、上記キメラCMVポリペプチドは、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号29、配列番号39、配列番号46、配列番号52、配列番号53又は配列番号54からなる群から選択される。
【0175】
さらに好ましい実施形態では、上記修飾VLPは、少なくとも1つの免疫刺激物質をさらに含む。非常に好ましい実施形態では、上記免疫刺激物質は、本発明の修飾VLPにパッケージ化される。別の好ましい実施形態では、免疫刺激物質は、本発明の修飾VLPと混合される。本発明に有用な免疫刺激物質は、当技術分野で一般に公知であり、とりわけ、国際公開第2003/024481A2号パンフレットに開示されている。
【0176】
本発明の別の実施形態では、上記免疫刺激物質は、非真核生物起源のDNA又はRNAからなる。さらに好ましい実施形態では、上記免疫刺激物質は、(a)免疫刺激核酸;(b)ペプチドグリカン;(c)リポ多糖;(d)リポテイコ酸;(e)イミダゾキノリン化合物;(f)フラジェリン;(g)リポタンパク質;及び(h)(a)~(g)の少なくとも1つの物質の任意の混合物からなる群から選択される。さらに好ましい実施形態では、上記免疫刺激物質は免疫刺激核酸であり、上記免疫刺激核酸は、(a)リボ核酸;(b)デオキシリボ核酸;(c)キメラ核酸;及び(d)(a)、(b)及び/又は(c)の任意の混合物からなる群から選択される。さらに好ましい実施形態では、上記免疫刺激核酸はリボ核酸であり、上記リボ核酸は細菌由来RNAである。さらに好ましい実施形態では、上記免疫刺激核酸は、ポリ(IC)又はその誘導体である。さらに好ましい実施形態では、上記免疫刺激核酸はデオキシリボ核酸であり、上記デオキシリボ核酸は非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドである。
【0177】
非常に好ましい実施形態では、上記免疫刺激物質は非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドである。さらに好ましい実施形態では、上記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドはA型CpGである。さらに好ましい実施形態では、上記A型CpGは回文配列を含む。さらに好ましい実施形態では、上記回文配列は、その5’末端及びその3’末端でグアノシン実体に隣接する。さらに好ましい実施形態では、上記回文配列は、その5’末端で、少なくとも3個及び最大15個のグアノシン実体に隣接し、上記回文配列は、その3’末端で、少なくとも3個及び最大15個のグアノシン実体に隣接する。
【0178】
別の好ましい実施形態では、上記免疫刺激物質は非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドであり、好ましくは上記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドは回文配列を含み、さらに好ましくは上記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドのCpGモチーフは、回文配列の一部である。
【0179】
さらなる態様では、本発明は、医薬品として使用するための、本発明の修飾ウイルス様粒子を提供する。
【0180】
さらなる態様では、本発明は、本発明の修飾ウイルス様粒子を含むか、あるいはそれからなるワクチンを提供する。単独、又は任意の可能な組合せのいずれかで、上記修飾VLPが、本明細書に開示される技術的特徴のいずれか1つを含むワクチンが包含される。一実施形態では、ワクチンはアジュバントをさらに含む。さらなる実施形態では、ワクチンはアジュバントを欠く。好ましい実施形態では、上記ワクチンは、本発明の組成物の有効量を含む。
【0181】
さらなる態様では、本発明は、(a)本発明の修飾VLP又は本発明のワクチンと、(b)薬学的に許容される担体、希釈剤及び/又は賦形剤とを含む医薬組成物に関する。上記希釈剤は、滅菌水溶液(例えば、生理食塩水)又は非水溶液及び懸濁液を含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。担体又は密封包帯を使用して、皮膚透過性を高め、抗原吸収を増強することができる。本発明の医薬組成物は、塩、緩衝液、アジュバント、又はコンジュゲートの有効性を改善するために望ましい他の物質を含有する形態であり得る。医薬組成物の調製に使用するのに適した材料の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Osol,A,ed.,Mack Publishing Co.,(1990))を含む多数の情報源に提供されている。一実施形態では、上記医薬組成物は、本発明のワクチンの有効量を含む。
【0182】
本発明のさらなる態様は、本発明の修飾VLP、本発明のワクチン、又は本発明の医薬組成物を動物又はヒトに投与することを含む免疫化の方法である。好ましい実施形態では、上記方法は、本発明の組成物、本発明のワクチン、又は本発明の医薬組成物を動物又はヒトに投与することを含む。
【0183】
本発明のさらなる態様は、動物の疾患、障害又は生理学的状態を治療又は予防する方法であり、上記方法は、本発明の修飾VLP、本発明のワクチン、又は本発明の医薬組成物を上記動物に投与することを含み、好ましくは上記動物はヒトであり得る。さらに好ましい実施形態では、上記修飾VLP、上記ワクチン又は上記医薬組成物は、上記動物に皮下、静脈内、皮内、鼻腔内、経口、経リンパ節(intranodal)又は経皮的に投与される。
【0184】
さらに非常に好ましい実施形態では、上記疾患、障害又は生理学的状態は、アレルギー、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、感染性疾患からなる群から選択される。
【0185】
さらに非常に好ましい実施形態では、上記疾患、障害又は生理学的状態は、RA、MS、乾癬、喘息、クローン病、大腸炎、COPD、糖尿病、神経皮膚炎(アレルギー性皮膚炎)、アルツハイマー病、パーキンソン病、インフルエンザAウイルス(influenza A virus)感染症、マラリア、RSV感染症からなる群から選択される。
【0186】
さらに非常に好ましい実施形態では、上記疾患、障害又は生理学的状態は炎症性疾患である。さらに非常に好ましい実施形態では、上記疾患、障害又は生理学的状態は、RA、MS、乾癬、喘息、クローン病、大腸炎、COPD、糖尿病、神経皮膚炎(アレルギー性皮膚炎)から選択される炎症性疾患である。
【0187】
さらに非常に好ましい実施形態では、上記疾患、障害又は生理学的状態は感染性疾患である。さらに非常に好ましい実施形態では、上記疾患、障害又は生理学的状態は、インフルエンザAウイルス(influenza A virus)感染症、マラリア、RSV感染症から選択される炎症性疾患である。さらに非常に好ましい実施形態では、上記疾患、障害又は生理学的状態はマラリアである。
【0188】
さらに非常に好ましい実施形態では、上記疾患、障害又は生理学的状態は、アルツハイマー病又はパーキンソン病である。さらに非常に好ましい実施形態では、上記疾患、障害又は生理学的状態はアルツハイマー病である。さらに非常に好ましい実施形態では、上記疾患、障害又は生理学的状態はパーキンソン病である。
【0189】
例
例1
キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mosaic Virus)(CMV)の修飾コートタンパク質にAβ1-42の断片をクローニングし、CMV-Aβ-キメラCMVポリペプチドを生成する
Aβタンパク質断片Aβ1-6(配列番号1)、Aβ1-7(配列番号2)、Aβ3-6(配列番号3)及びAβ1-5(配列番号4)を含む、本発明によるCMV-Aβ-キメラCMVポリペプチドを調製した。
【0190】
破傷風トキソイド由来のTヘルパー細胞エピトープを含む非常に好ましい修飾CMVコートタンパク質であるCMV-Ntt830(配列番号5)のアミノ酸残基Ser(88)とTyr(89)との間に、これらのAβペプチドを挿入した。本発明によるこれらの好ましいキメラCMVポリペプチドのアミノ酸配列は以下の通りである:
「CMV-Ntt830-Ab16」のアミノ酸配列:配列番号6;
「CMV-Ntt830-Ab17」のアミノ酸配列:配列番号7;
「CMV-Ntt830-Ab36」のアミノ酸配列:配列番号8;
「CMV-Ntt830-Ab15」のアミノ酸配列:配列番号9。
【0191】
これらの好ましいキメラCMVポリペプチドのアミノ酸配列は、両末端に、導入されたAβペプチドに隣接するグリシン-セリンリンカーをさらに含む。配列番号6~配列番号9の好ましい融合タンパク質はいずれも、導入されたAβペプチドのN末端に直接GGGS-リンカー(配列番号10)を含み、導入されたAβペプチドのC末端にGGGSGS-リンカー(配列番号11)を含む。
【0192】
上記好ましいキメラCMVポリペプチドの対応するヌクレオチド配列は以下の通りである:
「CMV-Ntt830-Ab16」の核酸配列:配列番号12;
「CMV-Ntt830-Ab17」の核酸配列:配列番号13;
「CMV-Ntt830-Ab36」の核酸配列:配列番号14;
「CMV-Ntt830-Ab15」の核酸配列:配列番号15。
【0193】
これらのAβペプチド、又はCMV-Ntt830の対応するCMV DNA配列内のDNA配列をコードする他の抗原性ポリペプチドの導入のために、BamHI部位含有配列をその後のクローニングのために対応する位置に導入した。CMV-Ntt830をコードする核酸配列は、国際公開第2016/062720A1号パンフレットの例3に記載されているように調製し、国際公開第2016/062720A1号パンフレットの配列番号14に対応する。
【0194】
以下に列挙するオリゴヌクレオチドと、鋳型として以前に構築されたpET-CMV-Ntt830とを使用する2段階PCR変異誘発によって、BamHI部位を導入した。国際公開第2016/062720A1号パンフレットの例3に記載されているように、鋳型pET-CMV-Ntt830を調製した。
第1のPCR:フォワード-pET-90プライマー(pET28a+をアニーリング)(配列番号16)
リバース-RGSYrev(配列番号17)
第2のPCR フォワード-RGSYdir(配列番号18)
リバース-CMV-AgeR(配列番号19)
【0195】
両PCR産物の精製後、次のPCRを行ってPCR断片を結合した(プライマーを用いず5サイクル、次いでプライマーpET-90及びCMV-AgeRを使用して25サイクル)。
【0196】
遺伝子増幅後、pTZ57R/Tベクター(InsTAclone PCR Cloning Kit、Fermentas #K1214)に、得られたPCR産物を直接クローニングした。クローニング及びプラスミド増幅のための宿主として、大腸菌(E.coli)XL1-Blue細胞を使用した。
【0197】
RT-PCRエラーを回避するために、BigDyeサイクル配列決定キット及びABI Prism 3100 Genetic analyzer(Applied Biosystems)を使用して、いくつかのCMV-Ntt830遺伝子含有pTZ57プラスミドクローンを配列決定した。配列決定後、配列エラーがなく、CMV-Ntt830B遺伝子を含み、BamHI部位を導入したpTZ-プラスミドクローンをNcoI及びAgeI酵素を用いて切断した。次いで、pET-CMV-Ntt830のNcoI/AgeI部位に断片をサブクローニングし、ヘルパーベクターpET-CMV-Ntt830Bを得た。
【0198】
アミロイド-(β)ペプチドをコードするDNAの導入のために、以下のオリゴヌクレオチドをPCR反応に使用した(PCRではいずれも、鋳型はpET-CMV-Ntt830であった):
第1のPCR:フォワード-C-Ab15(配列番号20)
リバース-CMcpR(配列番号21)
第2のPCR:フォワード-C-Ab16(配列番号22)
リバース-CMcpR(配列番号21)
第3のPCR:フォワード-C-Ab17(配列番号23)
リバース-CMcpR(配列番号21)
第4のPCR:フォワード-C-Ab36(配列番号24)
リバース-CMcpR(配列番号21)
【0199】
全PCR断片をpTZ57R/Tベクターに直接ライゲーションし、大腸菌(E.coli)XL1細胞内での形質転換後に、対応する挿入物含有プラスミドクローンを単離した。BigDyeサイクル配列決定キット及びABI Prism 3100 Genetic Analyser(Applied Biosystems)を使用して、PCR産物DNAを含むいくつかのプラスミドクローンを配列決定した。配列決定後、部位BamHI及びHindIIIを使用して、pET-CMV-Ntt830BヘルパーベクターにAb断片含有CMV 3’末端断片をライゲーションした。BamHI/HindIII制限酵素試験後に正しいクローンを選択した。
【0200】
さらに、プラスミドクローンpET-CMV-Ntt830B-Ab15、pET-CMV-Ntt830B-Ab16、pET-CMV-Ntt830B-Ab17及びpET-CMV-Ntt830B-Ab36を大腸菌(E.coli)C2566細胞の形質転換に使用した。pET-CMV-Ntt830B-Ab36のプラスミドマップを
図1に例示的に示す。
【0201】
例2
CMV-AβVLPをもたらすCMV-Aβ-キメラCMVポリペプチドの発現
CMV-AβVLP、すなわちCMV-Ntt830-Ab16 VLP、CMV-Ntt830-Ab17 VLP、CMV-Ntt830-Ab36 VLP又はCMV-Ntt830-Ab15 VLPを単離するために、対応するプラスミドpET-CMV-Ntt830-Ab15、pET-CMV-Ntt830-Ab16、pET-CMV-Ntt830-Ab17及びpET-CMV-Ntt830-Ab36を用いて、大腸菌(E.coli)C2566(New England Biolabs,USA)コンピテント細胞を形質転換した。
【0202】
標的タンパク質の発現レベルが最も高いクローンを選択した後、カナマイシン(25mg/l)を含有する2TY(トリプトン1.6%、酵母エキス1%、0.5%NaCl、0.1%グルコース)培地中で、ロータリーシェーカー上30℃で、0.8~1.0のOD(600)値まで大腸菌(E.coli)培養物を増殖させた。次いで、0.2mM IPTGを用いて細胞を誘導し、培地に5mM MgCl2を添加した。インキュベーションをロータリーシェーカー上20℃で18時間続けた。得られたバイオマスを低速遠心分離により回収し、-20℃で凍結した。
【0203】
CMV-AβVLPの精製は、以下の工程を含む:
1)3gのバイオマスを20mlの50mMクエン酸Na、5mMホウ酸Na、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、pH9.0中に懸濁させ、超音波(HielscherソニケーターUP200S、16分、振幅70%、周期0.5)を用いて懸濁液を処理する;
2)溶解物を+4℃、11000rpmで20分間遠心分離する;
3)50mMクエン酸Na、5mMホウ酸Na、2mM EDTA、0.5%TX-100を含有する緩衝液中で、35mlチューブ内でスクロース勾配(20~60%)を調製する;
4)5mlのVLP試料をスクロース勾配に重ねる;
5)SW32ローター、Beckman(25000rpm、+18℃)を使用して6時間遠心分離する。
6)各勾配チューブの内容物を6mlの画分に分割する。対応する画分をプールする;
7)SDS-PAGEを用いて勾配画分を分析する(
図2A、
図2B、
図2C、
図2D)。
8)SDS-PAGE分析は、第3のスクロース勾配画分中のVLPの存在を示唆している。24mlの第3の画分を24mlの緩衝液(5mMホウ酸Na、2mM EDTA、pH9.0)により希釈する;
9)ローターType 70(Beckman Optima、L100XP超遠心機;4時間、50 000rpm、5℃)を使用した超遠心分離によってVLPを収集する;
10)ペレットを3mlの5mMホウ酸Na、2mM EDTA、pH9.0に可溶化する;
11)20%スクロース「クッション」(5mMホウ酸Na、2mM EDTA、pH9.0緩衝液中)の上部にVLP懸濁液を重ねる;
12)ローターTLA100.3(Beckman;1時間、72000rpm、5℃)を使用した超遠心分離によってVLPを収集する;
13)ペレットを2mlの5mMホウ酸Na、2mM EDTA、pH9.0に一晩4℃で可溶化する;
14)EM下でVLPを分析する(
図3A、
図3B、
図3C、
図3D)。
【0204】
図2A、
図2B、
図2C、
図2Dに示すように、4つのCMV-AβVLPは、大腸菌(E.coli)細胞内で首尾よく発現することができ、得られたかなりの部分は可溶性画分中にあり得る。さらに、これらのタンパク質は、スクロース勾配分析(
図2A~
図2D)及び電子顕微鏡分析(
図3A~
図3D)によって示されるように、等大VLPの形態で大腸菌(E.coli)細胞抽出物中に直接見出されている。
【0205】
例3
アデュカヌマブの可変領域配列を有するモノクローナル抗体はCMV-AβVLPを認識する
Aβ1-42、CMV-Ntt830-Ab36 VLP又はCMV-Ntt830 VLPによりELISAプレートをコーティングし、アデュカヌマブの配列を示す可変領域との組換え抗体の結合をELISAによって試験した。
【0206】
ELISA:
100μlのAβ
1-42、CMV-Ntt830-Ab36 VLP又はCMV-Ntt830 VLP(1μg/ml)のPBS、pH7.4溶液により、ELISAプレート(Nunc Immuno MaxiSorp,Rochester,NY)を4℃で一晩コーティングした。非特異的結合を回避するために、200μlの2%BSAのPBST溶液を用いてELISAプレートをブロックし、室温で2時間インキュベートした。アデュカヌマブの可変領域配列を有するモノクローナル抗体を発現する細胞の上清をコーティングプレートに移した。室温で2時間インキュベートした後、ELISAプレートを200μlのPBSTで5回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch)によって、血清抗体の結合を検出した。検出抗体を2%BSA/PBSTで1:1000に希釈し、100μl/試料の体積を移した。プレートを室温で1時間インキュベートした。ELISAプレートを前述のように洗浄した。洗浄の前に、基質溶液を調製した。この目的のために、1錠(10mg)のOPD(1,2-フェニレンジアミン二塩酸塩)及び9μlの30%H
2O
2を25mlのクエン酸緩衝液(0.066M Na
2HPO
4、0.035Mクエン酸、pH5.0)に溶解させた。100μlの体積の基質溶液をプレートにピペッティングし、室温で7分間正確にインキュベートした。反応を停止させるために、50μlの停止溶液(H
2O中5%H
2SO
4)をプレートに直接ピペッティングした。1,2-フェニレンジアミン二塩酸塩呈色反応の450nmでの吸光度読取値を分析した。
図4は、CMV-Ntt830-AβVLPに対する、アデュカヌマブの可変領域配列を有するモノクローナル抗体の結合を示す。
【0207】
例4
CMV-AβVLPによるマウスの免疫化
CMV-Ntt830-Ab16 VLP、CMV-Ntt830-Ab17 VLP又はCMV-Ntt830-Ab36 VLPを用いて、雌Balb/cマウス4匹の群を免疫した。VLPを150mM PBS、pH7.4及び150μlに配合し、0日目に30ugの用量で静脈内注射した。0日目(免疫前)及び14日目にマウスから採血し、Aβ1-42コーティングELISAプレートを使用して血清を分析した。免疫組織化学的検査によって、アルツハイマー病患者から得られた脳切片に対して、CMV-Ntt830-Ab36 VLPによって誘導された抗体をさらに分析した。
【0208】
ELISA:
示された時間に、マウス血清中の抗体応答を分析した。Aβ1-42特異的抗体を決定するために、100μlのAβ1-42(1μg/ml)のPBS、pH7.4溶液により、ELISAプレート(Nunc Immuno MaxiSorp,Rochester,NY)を4℃で一晩コーティングした。非特異的結合を回避するために、200μlの2%BSAのPBST溶液を用いてELISAプレートをブロックし、室温で2時間インキュベートした。血清試料を2%BSA/PBSTで希釈した。予備希釈した血清をコーティングプレートに移し、さらに連続希釈して、OD50計算に基づいて抗体価を得た。室温で2時間インキュベートした後、ELISAプレートを200μlのPBSTで5回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートしたヤギ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch)によって、血清抗体の結合を検出した。検出抗体を2%BSA/PBSTで1:1000に希釈し、100μl/試料の体積を移した。プレートを室温で1時間インキュベートした。ELISAプレートを前述のように洗浄した。洗浄の前に、基質溶液を調製した。この目的のために、1錠(10mg)のOPD(1,2-フェニレンジアミン二塩酸塩)及び9μlの30%H
2O
2を25mlのクエン酸緩衝液(0.066M Na
2HPO
4、0.035Mクエン酸、pH5.0)に溶解させた。100μlの体積の基質溶液をプレートにピペッティングし、室温で7分間正確にインキュベートした。反応を停止させるために、50μlの停止溶液(H
2O中5%H
2SO
4)をプレートに直接ピペッティングした。1,2-フェニレンジアミン二塩酸塩呈色反応の450nmでの吸光度読取値を分析した。
図5Aは、CMV-Ntt830-Ab16 VLP、CMV-Ntt830-Ab17 VLP又はCMV-Ntt830-Ab36 VLPに特異的な抗体を示す。
【0209】
免疫組織化学的検査:
ミクロトームを用いて、アルツハイマー病患者のパラフィン包埋脳(海馬)組織の切片を調製した。切片をスライド上に載せ、3%H
2O
2と10分間インキュベートすることによって内因性ペルオキシダーゼをブロックした。次いで、スライドをPBS-Tweenで洗浄し、続いてPBSのみで5分間3回洗浄した。PBS+ヤギ血清3%、カゼイン0.5%、NaN
30.1%を用いて、スライドを室温で30分間ブロックした。CMV-Ntt830-Ab36 VLP免疫マウスから得られた1:50希釈血清とともに、スライドを1時間程度インキュベートした。スライドをPBS-Tweenで洗浄し、続いてPBSのみで5分間にわたり3回洗浄した。次いで、スライドを二次抗体ヤギ抗マウスIgG-HRP(#161)1:1000とともに室温で2時間インキュベートし、PBS-Tweenで洗浄し、続いてPBSのみで5分間3×5洗浄した。結合した抗体をDAB基質(Kit abcam ab64238を使用して)によって可視化し、続いて水により洗浄した。ヘマトキシリンを用いて対比染色を30秒間行い、続いて水中で2分間洗浄した。
図5Bは、CMV-Ntt830-Ab36 VLPによって誘導された免疫血清によるプラークの染色を示す。
【0210】
例5
Ara-h202を含む、CMVの修飾コートタンパク質のクローニング
本発明による単一プラスミド系から抗原を含有するモザイクVLPを得るために、構築の工程は、第2のT7プロモーター下のpETDuet-1(Novagen)のポリリンカーへのCMV-Ntt830遺伝子の挿入であった。ここで、CMV-Ntt830核酸配列は、国際公開第2016/062720A1号パンフレットの例3に記載されているように調製し、国際公開第2016/062720A1号パンフレットの配列番号14に対応する。クローニングのための対応する制限部位を有するCMV構造遺伝子について、以下のオリゴヌクレオチドを使用して、PCR反応で上記CMV-Ntt830遺伝子を増幅した:
フォワード:CM-830NdeF(配列番号25)
リバース:CM-cpR(配列番号26)
【0211】
遺伝子の増幅後、pTZ57R/Tベクター(InsTAclone PCR Cloning Kit、Fermentas #K1214)に、対応するPCR産物を直接クローニングした。クローニング及びプラスミド増幅のための宿主として、大腸菌(E.coli)XL 1-Blue細胞を使用した。RT-PCRエラーを回避するために、BigDyeサイクル配列決定キット及びABI Prism 3100 Genetic analyzer(Applied Biosystems)を使用して、いくつかのCMV-Ntt830遺伝子含有pTZ57プラスミドクローンを配列決定した。配列決定後、CMV-Ntt830遺伝子を含み、配列エラーのないpTZ-プラスミドクローンをHindIII酵素を用いて切断し、クレノウ酵素を用いて処理し、最後にNdeI制限酵素を用いて処理した。次いで、pETDuet-1のNdeI/EcoRV部位に断片をサブクローニングし、ヘルパーベクターpETDu-CMV-Ntt830を得た。
【0212】
Ara-h202タンパク質コードDNA配列をCMV-Ntt830核酸に挿入するために、例えば、CMV-Ntt830の配列番号5のSer(88)及びTyr(89)に対応する位置の間に上記挿入を生成するように、BamHI部位含有15及び10アミノ酸長Gly-Serリンカーコード配列を導入した。Ara-h202タンパク質のアミノ酸配列は配列番号27に記載されており、対応するDNA配列は配列番号28に記載されている。
【0213】
「CMV-Ntt830-Arah202」と呼ばれる、本発明によるこの好ましいキメラCMVポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号29である。この好ましいキメラCMVポリペプチドのこのアミノ酸配列は、両末端に、導入されたAra-h202タンパク質に隣接するグリシン-セリンリンカー、すなわち、導入されたAra-h202タンパク質のN末端に直接ある15アミノ酸長GS-リンカー(配列番号30)と、導入されたAra-h202タンパク質のC末端にある10アミノ酸長GS-リンカー(配列番号31)とを含む。この好ましいキメラCMVポリペプチドCMV-Ntt830-Arah202の対応するヌクレオチド配列は、配列番号32に記載されている。
【0214】
最初に、以下のオリゴヌクレオチドを使用して、CMV-Ntt830遺伝子断片及びAra-h202コード配列(BamHIに隣接し、「開始」及び「停止」コドンを有しない)をPCR反応で増幅した:
CMV遺伝子5’末端の第1のPCR:
フォワード:830-NcoF(配列番号33)
リバース:C-5xg4s-R(配列番号34)
鋳型:国際公開第2016/062720A1号パンフレットの例3に記載されているように調製したpET-CMV-Ntt830を使用した。
CMV遺伝子3’末端の第2のPCR:
フォワード:C-5xg4s-F(配列番号35)
リバース:CMcpR(配列番号21)
鋳型:国際公開第2016/062720A1号パンフレットの例3に記載されているように調製したpET-CMV-Ntt830を使用した。
Arah202の第3のPCR:
フォワード:Ara-BamF2(配列番号36)
リバース:Ara-BamR2(配列番号37)
鋳型:国際公開第2017/186808A1号パンフレットの例13に記載されているように調製した、pUCIDTプラスミド内の遺伝子合成Ara-h202遺伝子。
【0215】
全PCR断片をpTZ57R/Tベクターに直接ライゲーションし、大腸菌(E.coli)XL1細胞内での形質転換後に、対応する挿入物含有プラスミドクローンを単離した。PCRエラーを回避するために、BigDyeサイクル配列決定キット及びABI Prism 3100 Genetic Analyser(Applied Biosystems)を使用して、PCR産物DNAを含むいくつかのプラスミドクローンを配列決定した。配列決定後、部位BamHI及びHindIIIでは、pTZ57-CMV-5-末端ベクターにCMV 3’末端の断片をライゲーションした。結果として、Ara-h202コード配列のその後のサブクローニングのためにGlySerリンカー及びBamHI部位を含むヘルパープラスミドpTZ-CMVB2が得られた。次の工程として、pTZ-CMVB2 BamHI部位に、部分的BamHI処理後のAra-h202断片をサブクローニングした。プライマーAra-BamF2/CMcpRを使用した「コロニーPCR」反応では、正しい向きのAra-h202挿入物を含む正しいクローンが見出された。陽性PCRシグナルを有するプラスミドクローンを再配列決定した。pTZ-CMVB2-Ara-h202プラスミドクローンの配列決定結果から、CMVと融合したAra-h202遺伝子の存在が確認された。
【0216】
発現ベクターを構築するために、NcoI及びHindIII酵素を使用してヘルパープラスミドからCMVB2-Arah202挿入物を切り出し、構築したヘルパーベクターpETDu-CMV-Ntt830にサブクローニングした。得られたpETDu-CMVB2xArah202-CMV-ttのプラスミドマップを
図6に示す。
【0217】
例6
CMVの修飾コートタンパク質と融合Ara-h202とを含むモザイク粒子(CMV-M-Arah202)の発現
モザイクCMV-Arah202 VLPを単離するために、プラスミドpETDu-CMVB2xArah202-CMV-ttを用いて、大腸菌(E.coli)C2566(New England Biolabs,USA)コンピテント細胞を形質転換した。
【0218】
標的タンパク質の発現レベルが最も高いクローンを選択した後、アンピシリン(100mg/l)を含有する2TY(トリプトン1.6%、酵母エキス1%、0.5%NaCl、0.1%グルコース)培地中で、ロータリーシェーカー上30℃で、0.8~1.0のOD(600)値まで大腸菌(E.coli)培養物を増殖させた。次いで、0.2mM IPTGを用いて細胞を誘導し、培地に5mM MgCl2を添加した。インキュベーションをロータリーシェーカー上20℃で18時間続けた。得られたバイオマスを低速遠心分離により回収し、-20℃で凍結した。バイオマス排出量-約12gの湿潤バイオマス/1lの培養物、OD(600)は培養終了時に6.8であった。
【0219】
本発明によるCMV-Ntt830-Arah202及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP(上記モザイクVLPは「CMV-M-Arah202」と呼ばれる)の精製は、以下の工程を含む:
1)6gのバイオマスを20mlの50mMクエン酸Na、5mMホウ酸Na、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、pH9.0中に懸濁させ、超音波(HielscherソニケーターUP200S、16分、振幅70%、周期0.5)を用いて懸濁液を処理する;
2)溶解物を+4℃、11000rpmで20分間遠心分離する;
3)50mMクエン酸Na、5mMホウ酸Na、2mM EDTA、0.5%Tx-100を含有する緩衝液中で、35mlチューブ内でスクロース勾配(20~60%)を調製する;
4)5mlのVLP試料をスクロース勾配に重ねる。4本のチューブを準備する;
5)SW32ローター、Beckman(25000rpm、+18℃)を使用して6時間遠心分離する。
6)各勾配チューブの内容物を6mlの画分に分割する。対応する画分をプールする;
7)SDS-PAGE及びウエスタンブロットを用いて勾配画分を分析する(
図7)。
8)SDS-PAGE分析は、第3のスクロース勾配画分中のモザイクVLPの存在を示唆している。24mlの第3の画分を24mlの緩衝液(5mMホウ酸Na、2mM EDTA、pH9.0)により希釈する;
9)ローターType 70(Beckman Optima、L100XP超遠心機;4時間、50 000rpm、5℃)を使用した超遠心分離によってVLPを収集する;
10)ペレットを3mlの5mMホウ酸Na、2mM EDTA、pH9.0に可溶化する;
11)20%スクロース「クッション」(5mMホウ酸Na、2mM EDTA、pH9.0緩衝液中)の上部にVLP懸濁液を重ねる;
12)ローターTLA100.3(Beckman;1時間、72000rpm、5℃)を使用した超遠心分離によってVLPを収集する;
13)ペレットを2mlの5mMホウ酸Na、2mM EDTA、pH9.0に一晩4℃で可溶化する;
14)SDS-PAGEゲル(
図7)を用いて、及びEM下(
図8)で、精製後のVLPを分析する。
【0220】
例7
モザイク粒子CMV-M-Arah202によるマウスの免疫化
CMV-Ntt830-Arah202及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むVLP(CMV-M-Arah202)として合計10μgのAra-h202量を用いて、又は遊離形態のAra-h202を用いて、雌Balb/cマウス3匹の群を皮下免疫した。VLPを150mM PBS、pH7.4に配合し、10ugを150ulの体積で皮下注射した。免疫化の14日後にマウスから採血し、組換えAra-h202に対するELISAによって全免疫血清を試験した。
【0221】
ELISA:
示された時間に、マウス血清中の抗体応答を分析した。Ara-h202特異的抗体価を決定するために、ピーナッツ抽出物(1μg/ml)のPBS溶液から精製した100μlのAra-h2により、ELISAプレート(Nunc Immuno MaxiSorp,Rochester,NY)を4℃で一晩コーティングした。非特異的結合を回避するために、200μlの2%BSAのPBST溶液を用いてELISAプレートをブロックし、室温で2時間インキュベートした。血清試料を2%BSA/PBSTで希釈した。予備希釈した血清をコーティングプレートに移し、さらに連続希釈して、OD50計算に基づいて抗体価を得た。室温で2時間インキュベートした後、ELISAプレートを200μlのPBSTで5回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートしたヤギ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch)によって、血清抗体の結合を検出した。検出抗体を2%BSA/PBSTで1:1000に希釈し、100μl/試料の体積を移した。プレートを室温で1時間インキュベートした。ELISAプレートを前述のように洗浄した。洗浄の前に、基質溶液を調製した。この目的のために、1錠(10mg)のOPD(1,2-フェニレンジアミン二塩酸塩)及び9μlの30%H
2O
2を25mlのクエン酸緩衝液(0.066M Na
2HPO
4、0.035Mクエン酸、pH5.0)に溶解させた。100μlの体積の基質溶液をプレートにピペッティングし、室温で7分間正確にインキュベートした。反応を停止させるために、50μlの停止溶液(H
2O中5%H
2SO
4)をプレートに直接ピペッティングした。1,2-フェニレンジアミン二塩酸塩呈色反応の450nmでの吸光度読取値を分析した。
図9は、Ara-h2に特異的な抗体を示す。
【0222】
Ara h202 IgGを決定するために、PBS緩衝液中の2μg/ml Ara h2により、96ウェルNunc Maxisorp(商標)ELISAプレート(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)を4℃で一晩コーティングした。PBS/0.15%カゼイン溶液を用いて2時間ブロッキングした後、プレートをPBS/0.05%Tweenで5回洗浄した。血清の連続希釈物をプレートに加え、4℃で2時間インキュベートした。次いで、プレートをPBS/0.05%Tween(PBST)で5回洗浄した。その後、HRP0標識ヤギ抗マウスIgG(The Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME,USA)抗体を4℃で1時間インキュベートした。TMB(3,30,5,50テトラメチル-ベンジジン)及びH
2O
2を用いてELISAを発色させ、1mol/L硫酸を用いて停止させた。光学密度を450nmで測定した。最大半量抗体価(half-maximal antibody titer)は、飽和時に測定されたODの半分をもたらす希釈の逆数として定義される。
図9は、Ara-h202に特異的な抗体を示す。
【0223】
例8
CMV-M-Arah202による免疫化はアナフィラキシー反応から保護する
感作及びワクチン接種
0及び7日目に、200μlのミョウバンに配合したピーナッツ抽出物の腹腔内注射によって、マウスをピーナッツアレルゲンに感作させた。次いで、対照群については、マウスにCMV-M-Arah202又はCMV-Ntt830 VLPをワクチン接種した(21日目に200ul PBS中30ug)。
図10Aは、アレルギーの全身及び局所反応に対するCMV-M-Arah202を用いたワクチン接種の保護効果を検討するための実験デザインを示す。
【0224】
全身及び局所惹起
感作及びワクチン接種したBALB/cの耳に対して、静脈内投与又は皮膚プリック試験(180ug/20ul PBS)によってピーナッツ抽出物20ugによる惹起を行った。それぞれ体温低下(
図10B;簡潔にするためにCMV-Ntt830 VLPはCMVと略される)又は体液組織滲出(点直径、
図10C、簡潔にするためにCMV-Ntt830 VLPはCMVと略される)によって、全身及び局所のアレルギー反応を決定した。グラフは、2つの独立した実験の代表である。1群当たり5匹のマウスの平均値+/-SEMを示す。2元配置分散分析検定によって、アナフィラキシー曲線を分析した。両側スチューデントt検定によって、皮膚プリック試験を分析した。
【0225】
例9
CMVの修飾コートタンパク質と融合FEL D 1とを含むモザイク粒子(CMV-M-Fel)の構築及び発現
最初に、「CMV-Ntt830-Feld12」と呼ばれる、本発明による好ましいキメラCMVポリペプチドのコード配列を調製する。
【0226】
CMV-Ntt830-Feld12は、Fel d1の鎖1及び鎖2と、上記鎖1を上記鎖2に連結する15アミノ酸のGS-リンカーとの融合タンパク質に対応する、配列番号38のFel d1タンパク質を含む。配列番号38の構築物は、国際公開第2017/042241号パンフレットの例7に記載されている。さらに、CMV-Ntt830-Feld12内では、配列番号38の上記Fel d1タンパク質はグリシン-セリンリンカーに隣接しており、詳細には、配列番号38の上記Fel d1タンパク質は、そのN末端では配列番号30の15アミノ酸長GS-リンカーに直接隣接し、そのC末端では配列番号31の10アミノ酸長GS-リンカーに直接隣接している。さらに、上記の構築物全体、すなわち、記載のグリシン-セリンリンカーに隣接する、配列番号38の構築物は、CMV-Ntt830の配列番号5のSer(88)及びTyr(89)に対応する位置の間に挿入され、CMV-Ntt830-Feld12をもたらす。
【0227】
「CMV-Ntt830-Feld12」と呼ばれる、本発明によるこの好ましいキメラCMVポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号39である。この好ましいキメラCMVポリペプチドCMV-Ntt830-Feld12の対応するヌクレオチド配列は、配列番号40に記載されている。
【0228】
CMV-Ntt830-Feld12遺伝子は、国際公開第2017/042241号パンフレットの例7に記載されているように同様に調製し、その開示の全体は参照により本明細書に組み込まれる。上記CMV-Ntt830-Feld12遺伝子を得るために、まず、PCRによって以下のオリゴヌクレオチドを用いてFel d1対応遺伝子を増幅した:
フォワード:FG4S-BamF(配列番号41)
リバース:FG4S-BamR(配列番号42)
【0229】
隣接するGly-SerリンカーとBamHI部位とを両末端に含むPCR断片をpTZ57R/Tベクターに直接ライゲーションし、大腸菌(E.coli)XL1細胞内での形質転換後に、対応する挿入物含有プラスミドクローンを単離した。PCRエラーのない挿入物を見出すために、BigDyeサイクル配列決定キット及びABI Prism 3100 Genetic Analyser(Applied Biosystems)を使用して、PCR産物DNAを含むいくつかのプラスミドクローンを配列決定した。配列決定後、BamHI部位で、ヘルパーベクターpET-CMV-Ntt830Bに正しいFel d1断片をライゲーションした。プライマーFG4S-BamF/CMcpRを使用した「コロニーPCR」反応では、正しい向きのFel d1挿入物を含む正しいクローンが見出された。陽性PCRシグナルを有するプラスミドクローンを再配列決定し、その後のクローニングのために正しいクローンを選択した。その結果、ヘルパープラスミドpET-CMVB-Feld1を得た。次の工程として、ヘルパーベクターpETDu-CMV-Ntt830に、NcoI/HindIII処理後のCMVB-Feld1断片をサブクローニングした(例5を参照)。Amp耐性遺伝子を有しない発現ベクターを構築するために、CMV-Ntt830-Feld12融合物及び未修飾CMV-Ntt830遺伝子を含むカセット全体を切り出し、pET28a+(Novagen)のNcoI/XhoI部位にサブクローニングし、発現ベクターpET28-CMVBxFeld1-CMVttを得た。プラスミドマップを
図11に示す。
【0230】
本発明によるモザイクCMV-Feld1 VLP、すなわち、CMV-Ntt830-Feld12及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP(「CMV-M-Fel」と呼ばれる)の単離は、以下の工程を含む:
プラスミドpET 28-CMVBxFeld1-CMVttを用いて、大腸菌(E.coli)C2566(New England Biolabs,USA)コンピテント細胞を形質転換した。
【0231】
標的タンパク質の発現レベルが最も高いクローンを選択した後、カナマイシン(25mg/l)を含有する2TY(トリプトン1.6%、酵母エキス1%、0.5%NaCl、0.1%グルコース)培地中で、ロータリーシェーカー上30℃で、0.8~1.0のOD(600)値まで大腸菌(E.coli)培養物を増殖させた。次いで、0.2mM IPTGを用いて細胞を誘導し、培地に5mM MgCl2を添加した。インキュベーションをロータリーシェーカー上20℃で18時間続けた。得られたバイオマスを低速遠心分離により回収し、-20℃で凍結した。
【0232】
モザイクCMV-M-Fel VLPの精製は、以下の工程を含む:
1)6gのバイオマスを20mlの50mMクエン酸Na、5mMホウ酸Na、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、pH9.0中に懸濁させ、超音波(HielscherソニケーターUP200S、16分、振幅70%、周期0.5)を用いて懸濁液を処理する;
2)溶解物を+4℃、11000rpmで20分間遠心分離する;
3)50mMクエン酸Na、5mMホウ酸Na、2mM EDTA、0.5%TX-100を含有する緩衝液中で、35mlチューブ内でスクロース勾配(20~60%)を調製する;
4)5mlのVLP試料をスクロース勾配に重ねる;
5)SW32ローター、Beckman(25000rpm、+18℃)を使用して6時間遠心分離する。
6)各勾配チューブの内容物を6mlの画分に分割する。対応する画分をプールする;
7)SDS-PAGEを用いて勾配画分を分析する(
図12A);
8)SDS-PAGE分析は、第2のスクロース勾配画分中のモザイクVLPの存在を示唆している。24mlの第3の画分を24mlの緩衝液(5mMホウ酸Na、2mM EDTA、pH9.0)により希釈する;
9)ローターType 70(Beckman Optima、L100XP超遠心機;4時間、50 000rpm、5℃)を使用した超遠心分離によってVLPを収集する;
10)ペレットを3mlの5mMホウ酸Na、2mM EDTA、pH9.0に可溶化する;
11)20%スクロース「クッション」(5mMホウ酸Na、2mM EDTA、pH9.0緩衝液中)の上部にVLP懸濁液を重ねる;
12)ローターTLA100.3(Beckman;1時間、72000rpm、5℃)を使用した超遠心分離によってVLPを収集する;
13)ペレットを2mlの5mMホウ酸Na、2mM EDTA、pH9.0に一晩4℃で可溶化する;
14)SDS-PAGEゲル(
図12B)を用いて、及びEM下(
図12C)で、精製後のVLPを分析する。
【0233】
例10
モザイク粒子CMV-M-Felによるマウスの免疫化
CMV-M-Fel、又はCMVNtt830 VLPに化学的に結合したFel d1、又は組換えFel d1抽出物を用いて、雌Balb/cマウス4匹の群を免疫した。VLPを150mM PBS、pH7.4に配合し、25ugを150ulの体積で皮下注射した。組換えFel d1抽出物をPBSに配合し、10ugを皮下注射した。2週間後、マウスから採血し、Fel d1に対する抗体レベルをELISAによって決定した。Schmitz N,et al.,J Exp Med(2009)206:1941-1955に記載されているように、組換えFel d1に対するELISAによって、全免疫血清を試験した。
【0234】
ELISA:
示された時間に、マウス血清中の抗体応答を分析した。Fel d1特異的抗体価を決定するために、100μlのFel d1(1μg/ml)のPBSにより、ELISAプレート(Nunc Immuno MaxiSorp,Rochester,NY)を4℃で一晩コーティングした。非特異的結合を回避するために、200μlの2%BSAのPBST溶液を用いてELISAプレートをブロックし、室温で2時間インキュベートした。血清試料を2%BSA/PBSTで希釈した。予備希釈した血清をコーティングプレートに移し、さらに連続希釈して、OD50計算に基づいて抗体価を得た。室温で2時間インキュベートした後、ELISAプレートを200μlのPBSTで5回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートしたヤギ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch)によって、血清抗体の結合を検出した。検出抗体を2%BSA/PBSTで1:1000に希釈し、100μl/試料の体積を移した。プレートを室温で1時間インキュベートした。ELISAプレートを前述のように洗浄した。洗浄の前に、基質溶液を調製した。この目的のために、1錠(10mg)のOPD(1,2-フェニレンジアミン二塩酸塩)及び9μlの30%H
2O
2を25mlのクエン酸緩衝液(0.066M Na
2HPO
4、0.035Mクエン酸、pH5.0)に溶解させた。100μlの体積の基質溶液をプレートにピペッティングし、室温で7分間正確にインキュベートした。反応を停止させるために、50μlの停止溶液(H
2O中5%H
2SO
4)をプレートに直接ピペッティングした。1,2-フェニレンジアミン二塩酸塩呈色反応の450nmでの吸光度読取値を分析した。
図13は、Fel d1に特異的な抗体を示す(
図13)。
【0235】
例11
CMV-M-Felによる免疫化はアナフィラキシー反応から保護する
1日目に、ミョウバンに配合したネコの毛から単離された1ugの天然Fel d1を用いて腹腔内感作することによって、Fel d1に対してマウスをアレルギーにした。次いで、CMV-M-Fel又はCMV-Ntt830 VLP(PBS中30ug、14日目)を用いてマウスを免疫した後に、体温低下による静脈内全身アナフィラキシー反応を判定した。
【0236】
感作
0日目に、200μlのミョウバンに配合した天然Fel d1抽出物(1ug)(Indoor Biotechnologies)の腹腔内注射によって、マウスをFel d1に感作させた。次いで、対照群については、マウスにCMV-M-Fel又はCMV-Ntt830 VLP(21日目に200ul PBS中30ug)をワクチン接種した。
図14Aは、アレルギーの全身及び局所反応に対するCMV-M-Felを用いたワクチン接種の保護効果を検討するための実験デザインを示す。
【0237】
全身惹起
感作及びワクチン接種したBALB/cマウスを対象に、Fel d1抽出物を静脈内投与して惹起を行った。全身アレルギー反応を体温低下によって判定した(
図14B)。グラフは、2つの独立した実験の代表である。1群当たり5匹のマウスの平均値+/-SEMを示す。2元配置分散分析検定によって、アナフィラキシー曲線を分析した。
【0238】
例12
CMVの修飾コートタンパク質と熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)のスポロゾイト周囲タンパク質(CSP)の融合内部反復(in-fused internal repeat)とを含むモザイク粒子(CMV-M-CSP)の構築及び発現
熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)CSタンパク質断片、すなわち、中央反復領域から配列番号44(19nanp)をもたらすNANP(配列番号43)の19反復のクローニングのために、配列番号45の配列を商業的供給源から得た(遺伝子合成):
配列番号45の配列は、CMV-Ntt830遺伝子の3’末端部分、ならびに必要な制限部位BamHI及びHindIIIもコードする。
【0239】
次に、遺伝子合成産物由来のDNA断片をBamHI/HindIIIを用いて処理し、ヘルパーベクターpTZ-CMVB2にサブクローニングした(例5を参照)。制限部位分析(BamHI/HindIII)を使用して、19NANP挿入物を含む正しいクローンを見出した。正しい制限酵素パターンを有するプラスミドクローンを再配列決定した。次の工程として、ヘルパーベクターpETDu-CMV-Ntt830に、NcoI/HindIII処理後のCMVB-19NANP断片をサブクローニングした(例5を参照)。Amp耐性遺伝子を有しない発現ベクターを構築するために、pETDu-CMV-Ntt830由来のCMV-19NANP融合物及び未修飾CMV-Ntt830遺伝子を含むカセット全体を切り出し、pET28a+(Novagen)のNcoI/BlpI部位にサブクローニングし、発現ベクターpET28-CMVB2x19nanp-CMVttを得た。プラスミドマップ及び配列の詳細を
図15に示す。
【0240】
「CMV-Ntt830-19NANP」(又は本明細書で区別なく使用される「CMV-Ntt830-19nanp」)と呼ばれる、本発明によるこの好ましいキメラCMVポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号46である。この好ましいキメラCMVポリペプチドのこのアミノ酸配列は、両末端に、配列番号44の導入された19nanpタンパク質に隣接するグリシン-セリンリンカー、すなわち、導入された19nanpタンパク質のN末端に直接ある15アミノ酸長GS-リンカー(配列番号30)と、導入された19nanpタンパク質のC末端にある12アミノ酸長GS-リンカー(配列番号47)とを含む。この好ましいキメラCMVポリペプチドCMV-Ntt830-19NANPの対応するヌクレオチド配列は、配列番号48に記載されている。
【0241】
さらに、CMV-Ntt830-19NANP及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-CSPの合成のために、得られたプラスミドクローンpET28-CMVB2x19nanp-CMVttを大腸菌(E.coli)C2566細胞の形質転換に使用した。CMV-M-CSPの単離のために、例6に記載されているように、大腸菌(E.coli)細胞の培養、バイオマスの処理、及び精製を行った。SDS-PAGEゲル中のスクロース勾配精製後のVLPの分析を
図16に示す。電子顕微鏡分析後の精製CMV-M-CSPの画像を
図17に示す。
【0242】
例13
CMV-M-CSPの保護効果
CMV-M-CSPを用いて雌Balb/cマウス4匹の群を免疫する。VLPを150mM PBS、pH7.4に配合し、10ugを150ulの体積で皮下注射した。ワクチンの効果を確認するために、1群当たり雌BALB/c近交系マウス6匹及び1群当たり雌CD1非近交系マウス8匹(8週齢)を英国のHarlanから購入し、マウス1匹当たり20μg(50μL)のCMV-Ntt830又はCMV-M-CSPを筋肉内(i.m)ワクチン接種する。0及び21日目にワクチン接種を行う。0、21、42日目に、各ワクチン接種前に試料(血液)を採取し、ELISAによってCSP特異的免疫応答を測定する。42日目に、マウスに、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)タンパク質のCSPタンパク質を発現するネズミマラリア原虫(Plasmodium berghei)置換物を感染させる。マウスが1%の寄生虫血症に達するまで、惹起後4日目から開始して寄生虫血症を連日確認する。
【0243】
ELISAによるCSP特異的抗体応答の測定
抗体産生、総IgG及びそのサブクラスの評価のために、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を行う。そのために、96ウェルマイクロタイターELISAプレート(Thermo Scientific,Nottingham,UK)を1μg/mLの精製CSPの濃度で100μL/ウェルでコーティングし、pH=9.6.で50mMの炭酸塩緩衝液(CBB)で希釈し、4℃で一晩インキュベートする。翌日、非特異的結合を回避するために、プレートを200μLの2%BSA-PBSで満たし、室温で2時間インキュベートする。次いで、免疫マウスから得られた血清を0.2%BSA-PBS緩衝液で希釈する。ELISAプレートで、最初に100分の1で開始し、続いて11回1/3連続希釈する。総IgG測定のために、1:2000に希釈したヤギ抗マウスIgG(二次抗体、HRPコンジュゲート(ThermoFisher,Paisley,UK)100μL/ウェルを加え、室温で1時間インキュベートする。IgGサブクラスの評価のために、ヤギ抗マウスIgGサブクラス(ヤギ抗マウスIgG1、IgG2a、IgG2b HRP結合、Life Technologies)を1:2000の希釈で使用し、室温で1時間インキュベートする。反応を進行させるために、100μL/ウェルのTMB基質(Sigma-Aldrich)を適用し、光保護のためにアルミニウム箔の下で室温で10分間インキュベートする。その後、0.5M H2SO4(100μL/ウェル)を用いて反応を停止させ、マイクロプレートリーダーを使用して450nmでプレートを読み取る。力価は、最大半量OD(OD50)をもたらす希釈として表される。
【0244】
保護効果の測定
本試験で使用した寄生虫は、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)のCSPタンパク質を発現するネズミマラリア原虫(Plasmodium berghei)である(Sci Rep.2015 Jul 3;5:11820.doi:10.1038/srep11820.)。雌のハマダラカ(Anopheles stephensi)に、感染したTuck-ordinary(TO)マウスを食わせる。感染した蚊を、加湿インキュベーター内で19~21℃の温度で12時間の昼夜サイクルで21日間飼育し、フルクトース-p-アミノ安息香酸(PABA)溶液を与える。21日後、蚊から唾液腺を解剖してSchneider培地(Pan Biotech,Aidenbach,Germany)に入れ、ガラスホモジナイザーを使用してスポロゾイトを穏やかに遊離させる。スポロゾイトを100μL中1000個の寄生虫の濃度に希釈し、マウスの尾静脈に静脈内注射する。寄生虫。マウスが1%の寄生虫血症に達するまで、惹起後4日目から開始して寄生虫血症を連日確認する。
【0245】
例14
α-シヌクレインペプチドとのCMV融合物を含むVLPの構築及び発現
α-シヌクレインペプチドegy(配列番号49)、kne(配列番号50)及びmdv(配列番号51)を含む、本発明によるCMV-α-シヌクレインキメラCMVポリペプチドを調製した。
【0246】
これらのα-シヌクレインペプチドは、CMV-Ntt830(配列番号5)のアミノ酸残基Ser(88)とTyr(89)との間に挿入されている。本発明によるこれらの好ましいキメラCMVポリペプチドのアミノ酸配列は以下の通りである:
「CMV-Ntt830-egy」のアミノ酸配列:配列番号52;
「CMV-Ntt830-kne」のアミノ酸配列:配列番号53;
「CMV-Ntt830-mdv」のアミノ酸配列:配列番号54;
【0247】
これらの好ましいキメラCMVポリペプチドのアミノ酸配列は、両末端に、導入されたα-シヌクレインペプチドに隣接するグリシン-セリンリンカーをさらに含む。配列番号52~配列番号54の好ましい融合タンパク質はいずれも、導入されたα-シヌクレインペプチドのN末端に直接GGGS-リンカー(配列番号10)を含み、導入されたα-シヌクレインペプチドのC末端にGGGSGS-リンカー(配列番号11)を含む。
【0248】
上記好ましいキメラCMVポリペプチドの対応するヌクレオチド配列は以下の通りである:
「CMV-Ntt830-egy」の核酸配列:配列番号55;
「CMV-Ntt830-kne」の核酸配列:配列番号56;
「CMV-Ntt830-mdv」の核酸配列:配列番号57;
【0249】
α-シヌクレインペプチド変異体をコードするDNAを発現ベクターに導入するために、以下のオリゴヌクレオチドをPCR反応に使用したが、PCRではいずれも、鋳型はpET-CMV-Ntt830であった:
第1のPCRフォワード:CM-egyF(配列番号58)
リバース:CMcpR(配列番号59)
第2のPCRフォワード:CM-kneF(配列番号60)
リバース:CMcpR(配列番号59)
第3のPCRフォワード:CM-mdvF(配列番号61)
リバース:CMcpR(配列番号59)
【0250】
全PCR断片をpTZ57R/Tベクターに直接ライゲーションし、大腸菌(E.coli)XL1細胞内での形質転換後に、対応する挿入物含有プラスミドクローンを単離した。BigDyeサイクル配列決定キット及びABI Prism 3100 Genetic Analyser(Applied Biosystems)を使用して、対応するPCR産物のDNAを含むいくつかのプラスミドクローンを配列決定した。配列決定後、α-シヌクレイン断片含有CMV 3’末端断片をpTZベクターから切り出し、BamHI及びHindIII制限酵素部位を使用してpET-CMV-Ntt830Bヘルパーベクター(例1を参照)にライゲーションした。BamHI/HindIII制限エンドヌクレアーゼ試験後に正しいクローンを選択した。
【0251】
さらに、プラスミドクローンpET-CMV-Ntt830B-egy、pET-CMV-Ntt830B-kne及びpET-CMV-Ntt830B-mdvを大腸菌(E.coli)C2566細胞の形質転換に使用した。プラスミドマップ及び配列の詳細を
図18に示す。
【0252】
対応するα-シヌクレインペプチド含有VLPの単離、大腸菌(E.coli)細胞培養、バイオマスの処理、及び精製を例2に記載されているように行った。
【0253】
【0254】
例15
CMVの修飾コートタンパク質と融合ネコインターロイキン5とを含むモザイク粒子(CMV-M-fel-IL-5)の構築及び発現
ネコIL-5抗原を含む、CMVの修飾コートタンパク質のクローニングのために、2つの異なるベクターを構築した。
【0255】
以下のようにPCR変異誘発及びオリゴヌクレオチドを使用して、fel IL-5抗原の両側に、少なくとも1つのGly、少なくとも1つのSer及び少なくともGluを含み、少なくとも1つのAspをさらに含むアミノ酸リンカーの導入を可能にする第1のベクターを構築した:
第1のPCR反応:
フォワード:830-NcoF(配列番号33)
リバース:Cmded-BamR(配列番号121)
鋳型:pETDu-CMVB2xArah202-CMV-tt
第2のPCR反応:
フォワード:CMded-BamF(配列番号122)
リバース:CM-cpR(配列番号26)
鋳型:pETDu-CMVB2xArah202-CMV-tt
【0256】
遺伝子断片の増幅後、pTZ57R/Tベクター(InsTAclone PCR Cloning Kit、Fermentas #K1214)に、対応するPCR産物を直接クローニングした。クローニング及びプラスミド増幅のための宿主として、大腸菌(E.coli)XL1-Blue細胞を使用した。RT-PCRエラーを回避するために、BigDyeサイクル配列決定キット及びABI Prism 3100 Genetic analyzer(Applied Biosystems)を使用して、いくつかのCMV-Ntt830遺伝子含有pTZ57プラスミドクローンを配列決定した。配列決定後、NcoI/BamHI制限酵素を用いて、第1のPCR反応からの産物を含むpTZ-プラスミドクローンを切断し、BamHI/HindIIIを用いて第2のPCRからのクローンを切断し、ライゲーション反応で、NcoI/HindIIIを用いて切断したヘルパーベクターpETDu-CMVB2xArah202-CMV-ttと連結した。ここで、本発明者らは、ヘルパーベクターとしてプラスミドpETDu-CMVB2xArah202-CMV-ttを使用して、新しいCMVベースの発現ベクターを作製した。NcoI/HindIII処理により、CMVB2xArah202遺伝子を完全に除去した。3つのDNA断片のライゲーションにより、ヘルパープラスミドpETDu-CMVB3d-CMVttを得た。ベクターは、コードされた両タンパク質内に破傷風毒素由来のTh細胞エピトープを有するCMV-Ntt830遺伝子と、少なくとも1つのGly、少なくとも1つのSer及び少なくともGluを含み、少なくとも1つのAspをさらに含み、詳細には、追加のAsp-Glu-Aspストレッチ、及び第1のT7プロモーター下のCMV-Ntt830遺伝子内の抗原DNA配列のサブクローニングのためのBamHI/SpeI部位を有するGly-Serリンカーを含むアミノ酸リンカーをコードする導入された配列とを含む。
【0257】
さらに、以下のようにPCR変異誘発及びオリゴヌクレオチドを使用して、fel IL-5抗原のN末端上のGS-リンカーと、少なくとも1つのGly、少なくとも1つのSer及び少なくともThrを含む、fel IL-5抗原のC末端上のアミノ酸リンカーとの導入を可能にする第2のベクターを構築した:
第3のPCR反応:
フォワード:CM-BamSpeF(配列番号137)
リバース:CM-cpR(配列番号26)
鋳型:pETDu-CMVB2xArah202-CMV-tt
【0258】
第3の反応からのPCR産物も、pTZ57R/Tベクターに直接クローニングした。得られたライゲーション混合物を大腸菌(E.coli)XL1-Blue細胞の形質転換に使用した。プラスミドDNAの単離後、いくつかのクローンを配列決定した。BamHI/HindIII制限酵素を用いて正しいプラスミドクローンを切断し、得られた断片を、同じ酵素を用いて切断したpETDu-CMVB2xArah202-CMV-ttにサブクローニングした。ライゲーション反応により、ヘルパープラスミドpETDu-CMVB3-CMVttを得た。
【0259】
遺伝子合成サービス(General Biosystems,USA)から、プラスミドpET42-felIL5Nの形態でネコインターロイキン5(IL5)遺伝子を得た。クローニングのために、以下のオリゴヌクレオチドを使用して、PCR反応でfelIL5遺伝子を増幅した:
フォワード:I5-BamF(配列番号123)
リバース:I5-SpeR(配列番号124)
鋳型:pET42-felIL5N
【0260】
PCR産物をpTZ57に直接ライゲーションし、プラスミドDNAの単離後、いくつかのクローンを配列決定した。配列エラーのないクローンの同定後、部位BamHI/SpeIでpETDu-CMVB3d-CMV-tt又はpETDu-CMVB3-CMV-ttに、felIL5遺伝子をさらにサブクローニングした。得られたpETDu-CMVB3d-flIL5-CMV-tt及びpETDu-CMVB3-flIL5-CMV-ttのプラスミドマップを
図21A及び
図21Bに示す。上記プラスミド及び発現ベクターは、CMV-Ntt830-fel-IL-5及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-fel-IL-5の発現を確実にし、その発現に役立つ。
【0261】
CMV-Ntt830-fel-IL-5は、少なくとも1つのGly、少なくとも1つのSer及び少なくとも1つのGluを含むアミノ酸リンカーに隣接する、配列番号125のネコIL-5タンパク質を含む。詳細には、配列番号125の上記ネコIL-5タンパク質は、そのN末端では配列番号126の18アミノ酸長GSED-リンカーに直接隣接し、そのC末端では配列番号127の15アミノ酸長GSED-リンカーに直接隣接する。さらに、上記の構築物全体、すなわち、記載のGSED-リンカーに隣接する、配列番号125の構築物は、CMV-Ntt830の配列番号5のSer(88)及びTyr(89)に対応する位置の間に挿入され、CMV-Ntt830-fel-IL-5をもたらす。「CMV-Ntt830-fel-IL-5」と呼ばれる、本発明によるこの好ましいキメラCMVポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号128である。この好ましいキメラCMVポリペプチドCMV-Ntt830-fel-IL-5の対応するヌクレオチド配列は、配列番号129に記載されている。
【0262】
CMV-Ntt830-fel-IL-5*は、N末端上のGS-リンカー、ならびに少なくとも1つのGly、少なくとも1つのSer及び少なくともThrを含む、fel IL-5抗原のC末端上のアミノ酸リンカーに隣接する、配列番号125のネコIL-5タンパク質を含む。詳細には、配列番号125の上記ネコIL-5タンパク質は、そのN末端では配列番号30の15アミノ酸長GS-リンカーに直接隣接し、そのC末端では配列番号138の11アミノ酸長GST-リンカーに直接隣接する。さらに、上記の構築物全体、すなわち、記載のGS及びGST-リンカーに隣接する、配列番号125の構築物は、CMV-Ntt830の配列番号5のSer(88)及びTyr(89)に対応する位置の間に挿入され、CMV-Ntt830-fel-IL-5*をもたらす。CMV-Ntt830-fel-IL-5*と呼ばれる、本発明によるこのキメラCMVポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号139である。このキメラCMVポリペプチドCMV-Ntt830-fel-IL-5*の対応するヌクレオチド配列は、配列番号140に記載されている。
【0263】
このように、モザイクCMV-M-fel-IL-5及びCMV-M-fel-IL-5*の発現及び精製のために、プラスミドpETDu-CMVB3d-flIL5-CMVtt及びpETDu-CMVB3-flIL5-CMVttを用いて、大腸菌(E.coli)C2566(New England Biolabs,USA)コンピテント細胞を形質転換した。
【0264】
標的タンパク質の発現レベルが最も高いクローンを選択した後、アンピシリン(100mg/l)を含有する2TY(トリプトン1.6%、酵母エキス1%、0.5%NaCl、0.1%グルコース)培地中で、ロータリーシェーカー上30℃で、0.8~1.0のOD(600)値まで大腸菌(E.coli)培養物を増殖させた。次いで、0.2mM IPTGを用いて細胞を誘導し、培地に5mM MgCl2を添加した。インキュベーションをロータリーシェーカー上20℃で18時間続けた。得られたバイオマスを低速遠心分離により回収し、-20℃で凍結した。バイオマス排出量-約14gの湿潤バイオマス/1lの培養物、OD(600)は培養終了時に7.6であった。
【0265】
CMV-Ntt830-fel-IL-5又はCMV-Ntt830-fel-IL-5*及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP(上記モザイクVLPはCMV-M-fel-IL-5及びCMV-M-fel-IL-5*と呼ばれる)の精製は、以下の工程を含む:
1)1.5gのバイオマスを10mlの20mM Tris-HCl(pH8)、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、5%グリセロール、10%スクロース中に懸濁させ、超音波(HielscherソニケーターUP200S、16分、振幅70%、周期0.5)を用いて懸濁液を処理する;
2)溶解物を+4℃、11000rpmで20分間遠心分離する;
3)20mM Tris-HCl(pH8)、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、5%グリセロール、0.5%TX-100を含有する緩衝液中で、35mlチューブ内でスクロース勾配(20~60%)を調製する;
4)5mlのVLP試料をスクロース勾配に重ねる。2本のチューブを準備する;
5)SW32ローター、Beckman(25000rpm、+18℃)を使用して6時間遠心分離する。
6)各勾配チューブの内容物を6mlの画分に分割する。対応する画分をプールする;
7)SDS-PAGEを用いて勾配画分を分析する(
図22A及び
図22B)。
8)SDS-PAGE分析は、第2及び第3のスクロース勾配画分中のモザイクVLPの存在を示唆している。第2及び第3の画分を当量の緩衝液(20mM Tris-HCl、5mM EDTA、pH8.0)で希釈する;
9)ローターType 70(Beckman Optima、L100XP超遠心機;4時間、50 000rpm、5℃)を使用した超遠心分離によってVLPを収集する;
10)ペレットを2mlの20mM Tris-HCl(pH8)、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、5%グリセロール、10%スクロースに可溶化する;
11)20%スクロース「クッション」(20mM Tris-HCl(pH8)、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、5%グリセロール緩衝液中)の上部にVLP懸濁液を重ねる;
12)ローターTLA100.3(Beckman;1時間、72000rpm、5℃)を使用した超遠心分離によってVLPを収集する;
13)ペレットを2mlの20mM Tris-HCl(pH8)、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、5%グリセロール、10%スクロースに一晩4℃で可溶化する;
14)遠心分離(5分、13000rpm、Eppendorf 5418)によって懸濁液を清澄化する
15)SDS-PAGEゲル(
図23A及び
図23C)を用いて、及びEM下(
図23B及び
図23D)で、精製後のVLPを分析する。
【0266】
EM写真は、CMV-Ntt830-fel-IL-5及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、したがってモザイクVLP CMV-M-fel-IL-5が、CMV-Ntt830-fel-IL-5*及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、したがってモザイクVLP CMV-M-fel-IL-5*と比較して、顕著に少ない数の凝集VLPを含むことを示している。この観察結果は、本発明による上記両モザイクVLPの動的光散乱(DLS)分析によって確認された。
【0267】
例16
CMVの修飾コートタンパク質と融合複製ネコインターロイキン5とを含むモザイク粒子(CMV-M-2xfel-IL-5)の構築及び発現
2コピーのネコIL-5抗原を含む、CMVの修飾コートタンパク質をクローニングするために、以下のようにPCR変異誘発及びオリゴヌクレオチドを使用して、fel IL-5抗原の両側に、少なくとも1つのGly、少なくとも1つのSer及び少なくともGluを含み、少なくとも1つのAspをさらに含むアミノ酸リンカーと、両ネコIl-5抗原を接続するアミノ酸リンカーとの導入を可能にする対応するベクターを構築した:
第1のPCR反応:
フォワード:I5-BamF(配列番号123)
リバース:2xIL5-gsKpnR(配列番号130)
鋳型:pETDu-CMVB3d-flIL5-CMV-tt
第2のPCR反応:
フォワード:2xIL5-gsKpnF(配列番号131)
リバース:I5-SpeR(配列番号124)
鋳型:pETDu-CMVB3d-flIL5-CMV-tt
【0268】
遺伝子断片の増幅後、pTZ57R/Tベクター(InsTAclone PCR Cloning Kit、Fermentas #K1214)に、対応するPCR産物を直接クローニングした。クローニング及びプラスミド増幅のための宿主として、大腸菌(E.coli)XL 1-Blue細胞を使用した。PCRエラーのないプラスミドを見出すために、BigDyeサイクル配列決定キット及びABI Prism 3100 Genetic analyzer(Applied Biosystems)を使用して、いくつかのfel-IL5遺伝子含有pTZ57プラスミドクローンを配列決定した。配列決定後、Kpn2/EcoRI制限酵素を用いて、第2のPCR反応からの産物を含む正しいpTZ-プラスミドクローンを切断し、同じ制限酵素を用いて切断した、第1のPCR反応からのPCR産物を含むpTZプラスミドに、得られた断片をライゲーションした。ライゲーション反応により、Gly-Serリンカーと接続された2コピーのflIL5遺伝子を含むヘルパープラスミドpTZ-2xflIL5を得た。複製したfelIL5を含むプラスミドをXL1細胞から精製した。BamHI/SpeI制限酵素を使用して2xfel-IL5遺伝子をさらに切り出し、同じ制限部位で発現ベクターpETDu-CMVB3d-CMVttにライゲーションした。得られたベクターは、Gly-Serリンカーによって分離され、少なくとも1つのGly、少なくとも1つのSer及び少なくともGluを含み、少なくとも1つのAspをさらに含み、詳細には、追加のAsp-Glu-Aspストレッチを有するGly-Serリンカーを含むアミノ酸リンカーに隣接する2つのネコIL5遺伝子をコードする配列が導入されたCMV-Ntt830を含む。得られたpETDu-CMVB3d-2xflIL5-CMV-ttのプラスミドマップを
図24に示す。上記プラスミド及び発現ベクターは、CMV-Ntt830-2xfel-IL-5及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-2xfel-IL-5の発現を確実にし、その発現に役立つ。
【0269】
CMV-Ntt830-2xfel-IL-5は、Gly-Serリンカー(配列番号30)と接続され、少なくとも1つのGly、少なくとも1つのSer及び少なくとも1つのGluを含むアミノ酸リンカーに隣接する、配列番号125のネコIL-5タンパク質の2つのコピーを含む。詳細には、Gly-Serリンカー(配列番号30)と接続された、配列番号125のネコIL-5タンパク質の2コピーの上記配列は、そのN末端では配列番号126の18アミノ酸長GSED-リンカーに直接隣接し、そのC末端では配列番号127の15アミノ酸長GSED-リンカーに直接隣接する。さらに、上記の構築物全体、すなわち、配列番号30と接続され、記載のGSED-リンカーに隣接する、配列番号125の2コピーの構築物は、CMV-Ntt830の配列番号5のSer(88)及びTyr(89)に対応する位置の間に挿入され、CMV-Ntt830-2xfel-IL-5をもたらす。
【0270】
「CMV-Ntt830-2xfel-IL-5」と呼ばれる、本発明によるこの好ましいキメラCMVポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号132である。この好ましいキメラCMVポリペプチドCMV-Ntt830-2xfel-IL-5の対応するヌクレオチド配列は、配列番号133に記載されている。
【0271】
このように、モザイクCMV-M-2xfel-IL-5の発現及び精製のために、プラスミドpETDu-CMVB3d-2xflIL5-CMVttを用いて、大腸菌(E.coli)C2566(New England Biolabs,USA)コンピテント細胞を形質転換した。
【0272】
標的タンパク質の発現レベルが最も高いクローンを選択した後、アンピシリン(100mg/l)を含有する2TY(トリプトン1.6%、酵母エキス1%、0.5%NaCl、0.1%グルコース)培地中で、ロータリーシェーカー上30℃で、0.8~1.0のOD(600)値まで大腸菌(E.coli)培養物を増殖させた。次いで、0.2mM IPTGを用いて細胞を誘導し、培地に5mM MgCl2を添加した。インキュベーションをロータリーシェーカー上20℃で18時間続けた。得られたバイオマスを低速遠心分離により回収し、-20℃で凍結した。バイオマス排出量-約15gの湿潤バイオマス/1lの培養物、OD(600)は培養終了時に8.0であった。
【0273】
本発明によるCMV-Ntt830-2xfel-Il5及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP(上記モザイクVLPは「CMV-M-2xfel-IL-5」と呼ばれる)の精製は、以下の工程を含む:
1)1.5gのバイオマスを10mlの20mM Tris-HCl(pH8)、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、5%グリセロール、10%スクロース中に懸濁させ、超音波(HielscherソニケーターUP200S、16分、振幅70%、周期0.5)を用いて懸濁液を処理する;
2)溶解物を+4℃、11000rpmで20分間遠心分離する;
3)20mM Tris-HCl(pH8)、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、5%グリセロール、0.5%TX-100を含有する緩衝液中で、35mlチューブ内でスクロース勾配(20~60%)を調製する;
4)5mlのVLP試料をスクロース勾配に重ねる。2本のチューブを準備する;
5)SW32ローター、Beckman(25000rpm、+18℃)を使用して6時間遠心分離する。
6)各勾配チューブの内容物を6mlの画分に分割する。対応する画分をプールする;
7)SDS-PAGEを用いて勾配画分を分析する(
図25)。
8)SDS-PAGE分析は、第2及び第3のスクロース勾配画分中のモザイクVLPの存在を示唆している。第2及び第3の画分をプールし、当量の緩衝液(20mM Tris-HCl、5mM EDTA、pH8.0)で希釈する;
9)ローターType 70(Beckman Optima、L100XP超遠心機;4時間、50 000rpm、5℃)を使用した超遠心分離によってVLPを収集する;
10)ペレットを2mlの20mM Tris-HCl(pH8)、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、5%グリセロール、10%スクロースに可溶化する;
11)20%スクロース「クッション」(20mM Tris-HCl(pH8)、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、5%グリセロール緩衝液中)の上部にVLP懸濁液を重ねる;
12)ローターTLA100.3(Beckman;1時間、72000rpm、5℃)を使用した超遠心分離によってVLPを収集する;
13)ペレットを2mlの20mM Tris-HCl(pH8)、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、5%グリセロール、10%スクロースに一晩4℃で可溶化する;
14)遠心分離(5分、13000rpm、Eppendorf 5418)によって懸濁液を清澄化する
15)SDS-PAGEゲル(
図26A)を用いて、及びEM下(
図26B)で、精製後のVLPを分析する。
【0274】
例17
CMVの修飾コートタンパク質と融合イヌインターロイキン1bとを含むモザイク粒子(CMV-M-cIL-1b)の構築及び発現
隣接するBamHI及びSpe I部位を有するイヌインターロイキン1b遺伝子を商業的供給源から得た(pUCcIL1bにおける遺伝子合成産物、General Biosystems,USA)。プラスミドpUCcIL1b-BSからBamHI/SpeI断片を切り出し、ヘルパーベクターpETDu-CMVB3d-CMVtt(部位BamHI及びSpeI)にライゲーションした。得られたプラスミドを大腸菌(E.coli)XL1細胞から単離し、導入されたcIL-1b配列を確認するために再配列決定した。pETDu-CMVB3d-cIL1b-CMV-ttのプラスミドマップを(
図27)に示す。上記プラスミド及び発現ベクターは、CMV-Ntt830-cIL-1b及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP、すなわちCMV-M-cIL-1bの発現を確実にし、その発現に役立つ。
【0275】
CMV-Ntt830-cIL-1bは、少なくとも1つのGly、少なくとも1つのSer及び少なくとも1つのGluを含むアミノ酸リンカーに隣接する、配列番号134のイヌIL-1bタンパク質を含む。詳細には、配列番号134の上記イヌIL-1bタンパク質は、そのN末端では配列番号126の18アミノ酸長GSED-リンカーに直接隣接し、そのC末端では配列番号127の15アミノ酸長GSED-リンカーに直接隣接する。さらに、上記の構築物全体、すなわち、記載のGSED-リンカーに隣接する、配列番号134の構築物は、CMV-Ntt830の配列番号5のSer(88)及びTyr(89)に対応する位置の間に挿入され、CMV-Ntt830-cIL-1bをもたらす。
【0276】
「CMV-Ntt830-cIL-1b」と呼ばれる、本発明によるこの好ましいキメラCMVポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号135である。この好ましいキメラCMVポリペプチドCMV-Ntt830-cIL-1bの対応するヌクレオチド配列は、配列番号136に記載されている。
【0277】
このように、モザイクCMV-M-cIL-1bの発現及び精製のために、プラスミドpETDu-CMVB3d-cIL1b-CMVttを用いて、大腸菌(E.coli)C2566(New England Biolabs,USA)コンピテント細胞を形質転換した。
【0278】
標的タンパク質の発現レベルが最も高いクローンを選択した後、アンピシリン(100mg/l)を含有する2TY(トリプトン1.6%、酵母エキス1%、0.5%NaCl、0.1%グルコース)培地中で、ロータリーシェーカー上30℃で、0.8~1.0のOD(600)値まで大腸菌(E.coli)培養物を増殖させた。次いで、0.2mM IPTGを用いて細胞を誘導し、培地に5mM MgCl2を添加した。インキュベーションをロータリーシェーカー上20℃で18時間続けた。得られたバイオマスを低速遠心分離により回収し、-20℃で凍結した。バイオマス排出量-約15gの湿潤バイオマス/1lの培養物、OD(600)は培養終了時に8.8であった。
【0279】
本発明によるCMV-Ntt830-cIL-1b及び未修飾CMV-Ntt830タンパク質を含むモザイクVLP(上記モザイクVLPは「CMV-M-cIL-1b」と呼ばれる)の精製は、以下の工程を含む:
1)1.5gのバイオマスを10mlの20mM Tris-HCl(pH8)、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、5%グリセロール、10%スクロース中に懸濁させ、超音波(HielscherソニケーターUP200S、16分、振幅70%、周期0.5)を用いて懸濁液を処理する;
2)溶解物を+4℃、11000rpmで20分間遠心分離する;
3)20mM Tris-HCl(pH8)、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、5%グリセロール、0.5%TX-100を含有する緩衝液中で、35mlチューブ内でスクロース勾配(20~60%)を調製する;
4)5mlのVLP試料をスクロース勾配に重ねる。2本のチューブを準備する;
5)SW32ローター、Beckman(25000rpm、+18℃)を使用して6時間遠心分離する。
6)各勾配チューブの内容物を6mlの画分に分割する。対応する画分をプールする;
7)SDS-PAGEを用いて勾配画分を分析する(
図28)。
8)SDS-PAGE分析は、第2及び第3のスクロース勾配画分中のモザイクVLPの存在を示唆している。第2及び第3の画分をプールし、当量の緩衝液(20mM Tris-HCl、5mM EDTA、pH8.0)で希釈する;
9)ローターType 70(Beckman Optima、L100XP超遠心機;4時間、50 000rpm、5℃)を使用した超遠心分離によってVLPを収集する;
10)ペレットを2mlの20mM Tris-HCl(pH8)、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、5%グリセロール、10%スクロースに可溶化する;
11)20%スクロース「クッション」(20mM Tris-HCl(pH8)、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、5%グリセロール緩衝液中)の上部にVLP懸濁液を重ねる;
12)ローターTLA100.3(Beckman;1時間、72000rpm、5℃)を使用した超遠心分離によってVLPを収集する;
13)ペレットを2mlの20mM Tris-HCl(pH8)、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、5%グリセロール、10%スクロースに一晩4℃で可溶化する;
14)遠心分離(5分、13000rpm、Eppendorf 5418)によって懸濁液を清澄化する
15)SDS-PAGEゲル(
図29A)を用いて、及びEM下(
図29B)で、精製後のVLPを分析する。
【配列表】
【国際調査報告】