(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-08
(54)【発明の名称】太陽光パネルのアレイから雲量を検出する灌漑制御システムとその方法
(51)【国際特許分類】
G01W 1/12 20060101AFI20220201BHJP
A01G 25/00 20060101ALI20220201BHJP
A01G 25/16 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
G01W1/12 G
A01G25/00 501Z
A01G25/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533364
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(85)【翻訳文提出日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 US2019065645
(87)【国際公開番号】W WO2020123606
(87)【国際公開日】2020-06-18
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521254270
【氏名又は名称】エイチジーシーアイ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カイド・カート
(57)【要約】
灌漑制御システムを運用するための方法が提供され、方法は、灌漑制御システムによる環境データの受信、および太陽電池のアレイからの運用データの受信を含む。方法はさらに、太陽光パネルのアレイから空の雲量を決定し、少なくとも部分的に環境データおよび運用データに基づいて、灌漑制御システムに関連する灌漑ゾーンの蒸発散値を計算することを含む。方法はさらに、蒸発散値に少なくとも部分的に基づいて灌漑ゾーンの灌漑スケジュールを決定し、灌漑ゾーンを灌漑するために灌漑スケジュールを実行することを含む。灌漑管理システムも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
灌漑制御システムを運用する方法であって、前記方法は、
太陽光パネルのアレイから運用データを受信するステップと、
少なくとも部分的に前記運用データに基づいて前記太陽光パネルのアレイから空の雲量を決定するステップと、
少なくとも部分的に前記空の雲量に基づいて前記灌漑制御システムに関連する灌漑ゾーンの蒸発散値を計算するステップと、
少なくとも部分的に前記蒸発散値に基づいて前記灌漑ゾーンの灌漑スケジュールを決定するステップと、
前記灌漑ゾーンを灌漑するために前記灌漑スケジュールを実行するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
運用データを受信するステップは、前記太陽光パネルのアレイから電力出力データを受信するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記雲量を決定するステップが、前記アレイの少なくとも1つの前記太陽光パネルについて、前記電力出力データを前記アレイの隣接する太陽光パネルと比較するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記灌漑ゾーンを灌漑するために前記灌漑スケジュールを実行するステップが、水源から、流体バルブを通り、分配ユニットに流体が送られるように、水源および分配ユニットに関連した流体バルブを作動させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記太陽光パネルのアレイが前記灌漑ゾーンから離れた場所にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記灌漑制御システムによって環境データを受信するステップをさらに含み、蒸発散値システムが少なくとも部分的に前記環境データおよび前記運用データに基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
環境データを受信するステップが、少なくとも1つの環境センサーから環境データを受信するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの環境センサーが、降雨センサー、風センサー、土壌水分センサー、湿度センサー、および気象センサーの1つまたは複数を備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
環境データを受信するステップが、予測気象モデルから予測気象データを受信するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
灌漑制御システムであって、
水源および分配ユニットに関連し、前記水源から前記分配ユニットへ流体を選択的に供給することを容易にするよう構成された流体バルブと、
命令を受信するよう構成された少なくとも1つのプロセッサを備える灌漑スケジューラであって、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記灌漑制御システムによって環境データを受信させ、
太陽光パネルのアレイから運用データを受信させ、
前記太陽光パネルのアレイから空の雲量を決定させ、
少なくとも部分的に前記環境データおよび前記運用データに基づいて、前記灌漑制御システムに関連する灌漑ゾーンの蒸発散値を計算させ、
少なくとも部分的に前記蒸発散値に基づいて前記灌漑ゾーンの灌漑スケジュールを決定させ、
前記灌漑ゾーンを灌漑するために前記灌漑スケジュールを実行させる、
灌漑スケジューラと、
を備える、灌漑制御システム。
【請求項11】
前記プロセッサに運用データを受信させるステップが、前記太陽光パネルのアレイから電力出力データを前記プロセッサに受信させるステップを含む、請求項10に記載の灌漑制御システム。
【請求項12】
前記プロセッサに前記雲量を決定させるステップが、前記アレイの少なくとも1つの前記太陽光パネルについて、前記プロセッサに、前記電力出力データを前記アレイの隣接する太陽光パネルと比較させるステップを含む、請求項11に記載の灌漑制御システム。
【請求項13】
前記灌漑ゾーンを灌漑するために前記プロセッサに前記灌漑スケジュールを実行させるステップが、水源から流体バルブを通り分配ユニットへ流体が送られるように、前記プロセッサに水源および分配ユニットに関連した流体バルブを作動させるステップを含む、請求項10に記載の灌漑制御システム。
【請求項14】
前記太陽光パネルのアレイが前記灌漑ゾーンから離れた場所にある、請求項10に記載の灌漑制御システム。
【請求項15】
前記命令がさらに、前記プロセッサに前記灌漑制御システムによって環境データを受信させ、前記蒸発散値システムが少なくとも部分的に前記環境データおよび前記運用データに基づいている、請求項10に記載の灌漑制御システム。
【請求項16】
環境データを受信するステップが予測気象モデルから予測気象データを受信するステップを含む。請求項15に記載の灌漑制御システム。
【請求項17】
前記灌漑スケジューラが前記命令を保存するオンボードの非一時的なコンピュータ可読媒体を備える、請求項10に記載の灌漑制御システム。
【請求項18】
前記灌漑スケジューラが、基地局から離れており、前記基地局に前記命令を送信するよう構成されたクラウドベースサーバーを備える、請求項10に記載の灌漑制御システム。
【請求項19】
灌漑制御システムであって、
太陽光パネルのアレイと、
前記太陽光パネルのアレイに電気的に連結され、かつ前記太陽光パネルのアレイの少なくとも1つの太陽光パネルからの運用データを検出するよう構成されたコンピューティングシステムであって、前記運用データに基づいて、灌漑システムによって使用される蒸発散値の計算を容易にする、コンピューティングシステムと、
を備える、灌漑制御システム。
【請求項20】
前記運用データが前記太陽光パネルのアレイの電力出力データを備える、請求項19に記載の灌漑制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載される装置および方法は、一般に、太陽光パネルのアレイから雲量を検出する灌漑制御システムに関する。特に、雲量は、太陽光パネルから受け取った運用データから決定され、蒸発散量の計算に使用される。
【背景技術】
【0002】
いくつかの従来の灌漑システムは、蒸発散値に少なくとも部分的に基づいて計算される灌漑スケジュールを使用して、エリアの灌漑を制御している。しかし、これらの蒸発散量は、特に正確ではなく、灌漑スケジュールの精度に悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態によれば、灌漑制御システムを運用するための方法が提供される。この方法は、太陽光パネルのアレイから運用データを受信し、太陽光パネルのアレイから空の雲量を決定するステップを含む。この方法は、少なくとも部分的に運用データに基づいて灌漑制御システムに関連する灌漑ゾーンの蒸発散値を計算し、少なくとも部分的に蒸発散値に基づいて灌漑ゾーンの灌漑スケジュールを決定するステップをさらに含む。この方法はさらに、灌漑ゾーンを灌漑するために灌漑スケジュールを実行するステップを含む。
【0004】
別の実施形態によれば、灌漑制御システムは、流体バルブおよび灌漑スケジューラを備える。流体バルブは、水源と分配ユニットに関連付けられ、水源から分配ユニットへの流体の選択的な供給を容易にするように構成されている。灌漑スケジューラは、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに灌漑制御システムによる環境データを受信させ、太陽光パネルのアレイから動作データを受信させる命令を受け取るように構成される。この命令により、プロセッサはさらに、太陽光パネルのアレイから空の雲量を決定し、環境データと運用データに少なくとも部分的に基づいて、灌漑制御システムに関連付けられた灌漑ゾーンの蒸発散量を計算する。さらに、この命令により、プロセッサは、蒸発散量の値に少なくとも部分的に基づいて灌漑ゾーンの灌漑スケジュールを決定し、灌漑スケジュールを実行して灌漑ゾーンを灌漑する。
【0005】
さらに別の実施形態によれば、灌漑制御システムは、光電池のアレイおよびコンピューティングシステムを含む。コンピューティングシステムは、太陽光パネルのアレイと電気的に結合され、太陽光パネルのアレイから少なくとも1つの太陽光パネルからの動作データを検出するように構成され、灌漑システムで使用するための動作データに基づく蒸発散値の計算を容易にする。
【0006】
特定の実施形態は、以下の添付の図面と併せた以下の説明からよりよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】太陽光パネルのアレイに関連する灌漑制御システムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
選択された実施形態は、
図1および
図2の図および例に関連して以下に詳細に説明される。一実施形態による灌漑制御システム10は、一般に、
図1および
図2に示されている。灌漑制御システム10は、基地局12と、消費者の家などの灌漑サイト15に沿って分散された複数の遠隔バルブ14を含むことができる。
図1を参照すると、遠隔バルブ14は、適切な灌漑範囲を提供するために、灌漑サイト15の異なる場所に提供されることが示されている。
【0009】
遠隔バルブ14のうちの1つが説明されるが、これは
図1に示される他の遠隔バルブ14を代表するものであると理解することができる。遠隔バルブ14は、流体入口16と、流体出口18と、流体入口16および流体出口18のそれぞれと流体連絡するゲートバルブ20を備えることができる。流体入口16は、流体入口16に水を供給する水源22と結合することができる。流体出口18は、スプリンクラーなどの分配ユニット24と結合することができ、分配ユニット24に隣接する領域への水の分配を容易にする。一実施形態では、流体入口16および流体出口18のそれぞれは、それぞれの水源22と、従来のガーデンホース(図示せず)を有する分配ユニット24とに結合することができ、これにより、ユーザは、灌漑サイト15内の遠隔バルブ14および分配ユニット24の位置を容易に選択することができる。
【0010】
ゲートバルブ20は、水源22から分配ユニット24への流体の流れを制御するために、開位置と閉位置との間の選択的作動をするように構成することができる。一実施形態では、ゲートバルブ20は、全開位置または全閉位置のいずれかで動作する2位置弁であり得る。別の実施形態では、ゲートバルブ20は、ゲートバルブ20を通る流体の流れが制御可能であるように、全開位置と全閉位置との間で選択的に可変であり得る(例えば、ボールバルブ)。遠隔バルブ14は、例えば、電池(例えば、充電式または使い捨て)または太陽光パネルのアレイなどのオンボード電源(図示せず)によって電力を供給され得る。
【0011】
以下でさらに詳細に説明するように、基地局12は、ゲートバルブ20を選択的に開閉して分配ユニット24から周辺領域への水の分配を容易にする遠隔バルブ14に命令を送信するように構成することができる。一実施形態では、基地局12および遠隔バルブ14は、互いに無線通信することができる。このような実施形態では、基地局12および遠隔バルブ14のそれぞれは、例えば、ZigBeeプロトコルなどの様々な無線通信プロトコルのいずれかをサポートするそれぞれの送受信機(図示せず)を有することができる。別の実施形態では、基地局12および遠隔バルブ14は、例えば、24VDC制御線などによって、互いに有線通信することができる。
【0012】
依然として
図1を参照すると、遠隔バルブ14の1つは、第1のゾーンZ1を画定することができ、他の2つの遠隔バルブ14は、第2のゾーンZ2を画定することができる。一実施形態では、基地局12は、それらが配置されているゾーンに基づいて(例えば、ゾーンベースの灌漑戦略)遠隔バルブ14の動作を制御することができる。任意の数の遠隔バルブ14が灌漑ゾーンを画定できることを理解されたい。また、任意の数の遠隔バルブ14(例えば、1つ)を灌漑サイト15に設けることができ、基地局12によって制御することができることも理解されたい。
【0013】
灌漑スケジューラ26は、ネットワーク34(すなわち、インターネット)を介して基地局12と通信することができ、灌漑スケジュールに基づいて遠隔バルブ14の動作を制御することができる。灌漑スケジュールは、特定の灌漑サイトまたはゾーンの水のやり過ぎ/水不足を防ぐために、散水日、散水時間、散水期間、流量、または遠隔バルブ14の他のさまざまな操作パラメータのいずれかを制御するように調整することができる。
【0014】
灌漑スケジューラ26は、遠隔バルブ14に命令を中継することができる基地局12に異なる時間に個別の命令を送信することによって、灌漑スケジュールを実行することができる。例えば、灌漑のための灌漑スケジュールの呼び出しが、特定の期間(例えば、30分)一日二回(例えば、正午と午後5時)である場合、灌漑スケジューラ26は、第1のスケジュールされた時間(例えば、正午)に基地局12に第1の命令を送信することができ、これは、遠隔バルブ14に、所与の期間(例えば、30分)開いたままでいるように命令する。基地局12は、次に、その命令を遠隔バルブ14に中継することができ、これにより、遠隔バルブ14が開き、所定の時間が経過した後に自動的に閉じる。灌漑スケジューラ26は、第2のスケジュールされた時間(例えば午後5時)に、基地局12に第2の命令を送信することができ、これは、遠隔バルブ14に、所定の時間(例えば、30分)開いたままでいるように命令する。基地局12は、次に、その命令を遠隔バルブ14に中継することができ、これにより、遠隔バルブ14が開き、所定の時間が経過した後に自動的に閉じる。
【0015】
灌漑スケジューラ26は、プロセッサ30およびメモリ32を有することができ、灌漑スケジュールをメモリ32に完全に格納することができる。一実施形態では、灌漑スケジューラ26は、ネットワーク34(すなわち、インターネット)と通信するクラウドベースのサーバーを含むことができる。灌漑スケジューラ26から基地局12に個別の命令を送信することにより、灌漑スケジュールを基地局12または遠隔バルブ14に独立して保存する必要はない。代わりに、基地局12は、灌漑スケジューラ26からの命令を、遠隔バルブ14に送信するための適切な通信プロトコル(例えば、Zigbee)に変換することができるパススルーデバイスとして機能することができる。別の実施形態では、灌漑スケジュールは、灌漑スケジューラ26から基地局12に送信され、基地局12がさらに灌漑スケジューラ26と通信することなく灌漑スケジュールを実施できるように、基地局12上のメモリ(図示せず)に格納され得る。灌漑スケジューラ26は、様々な適切な代替コンピューティングシステムのいずれかであり得ることが理解されるべきである。
【0016】
一実施形態では、灌漑スケジュールは、ネットワーク34を介して灌漑スケジューラ26と通信しているコンピューティングデバイス40(例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、またはデスクトップコンピュータ)からユーザによって最初に作成することができる。コンピューティングデバイス40は、ユーザが灌漑スケジュールの様々なパラメータ(例えば、散水日、散水時間、散水期間、および/または流量)を入力することを可能にするグラフィカルユーザインターフェースの表示を容易にすることができる。これらのパラメータは、灌漑スケジューラ26に送信され、灌漑スケジュールとしてメモリ32に格納される。別の実施形態では、灌漑スケジューラ26は、検出された環境条件に基づいて灌漑スケジュールを自動的に作成することができる。
【0017】
以下でさらに詳細に説明するように、灌漑スケジューラ26は、例えば気象予報、過去の気象データ、蒸発散量データ、予測降雨量、雲量、または灌漑の必要性に影響を与える可能性のあるその他の変数など、灌漑の必要性に影響を及ぼし得る環境条件の変化に対応するために、灌漑スケジュールを定期的に(例えば、毎時または毎日)調整することができる。
【0018】
灌漑スケジューラ26は、ネットワーク34を介して気象サーバー36と通信することができる。気象サーバー36は、灌漑スケジュールを生成および/または調整するために使用される灌漑スケジューラ26に気象データを提供することができる。気象データには、灌漑サイト15の今後の気象を予測できる(つまり、予測モデルからの)予測気象データを含めることができる。灌漑スケジューラ26は、この予測データを使用して灌漑スケジュールを調整し、灌漑サイト15の水のやり過ぎ/水不足を防ぐことができる。たとえば、予測気象モデルが次の2日間で100%の雨の可能性があることを示している場合、灌漑スケジューラ26は、灌漑サイト15の水のやり過ぎを防ぐために、次の2日間の予定された灌漑イベントを一時停止することがある。基地局12、灌漑スケジューラ26、および気象サーバー36のそれぞれは、イーサネット、TCP/IP、および/またはWiFiなどの有線または無線のデータ伝送リンクを介してネットワーク34に接続できることを理解されたい。
【0019】
灌漑スケジューラ26はまた、ネットワーク34を介して、灌漑スケジュールを決定する際に使用するために他のタイプの環境データを灌漑スケジューラ26に伝える遠隔環境センサー38と通信することができる。一実施形態では、遠隔環境センサー38は、降雨センサー、風センサー、土壌水分センサー、湿度センサー、または気象センサー、あるいはそれらのいくつかの組み合わせを含むことができる。ただし、遠隔環境センサー38は、灌漑スケジュールを決定する際に使用するために、環境データを灌漑スケジューラ26に伝えることができる任意のデバイスであり得ることが理解されるべきである。
【0020】
遠隔環境センサー38は、灌漑サイト15またはその近くに配置して、サイトの環境条件を検出することができる。一実施形態では、遠隔環境センサー38は、それ自体がネットワーク34に接続することができ(例えば、Wi-Fiを介して)、ルーターまたは他のデバイスと通信して環境データを灌漑スケジューラ26に通信することができるネットワーク対応デバイスであり得る。別の実施形態では、遠隔環境センサー38は、基地局12がネットワーク34にアクセスして環境データを灌漑スケジューラに送信する責任を負うように、基地局12と無線通信することができる。
【0021】
灌漑スケジューラ26は、灌漑スケジュールを決定/調整する際に使用される灌漑サイト15の蒸発散値を決定するように構成することができる。蒸発散とは、土壌やその他の表面からの蒸発や植物からの蒸散によって、水が土壌から大気に移動するプロセスを意味することが理解できるだろう。そのため、灌漑サイト15での蒸発散は、たとえば、蒸発散を促進する灌漑サイト15に与えられる日光の量に影響を与える可能性のある空の雲量など、さまざまな環境要因の影響を受ける可能性がある。
【0022】
灌漑スケジューラ26は、蒸発散値を計算するために少なくとも部分的に使用することができる、空の雲量を決定するように構成することができる。一実施形態では、灌漑スケジューラ26は、
図1に示されるように、太陽光発電システム42から提供される運用データに基づいて、空の雲量を決定することができる。太陽光発電システム42は、太陽光パネルのアレイ(例えば、ソーラーパネル)44と、ネットワーク34を介して灌漑スケジューラ26と通信するアレイコントローラ46とを含むことができる。
【0023】
ソーラーパネル44は、家庭用電力網または配電/送電網などの電力システムに供給するために、太陽エネルギーを電力に変換することを容易にすることができる。ソーラーパネル44は、ソーラーパネル44に与えられる太陽放射照度が灌漑サイト15が受ける太陽放射照度を表すことができるように、灌漑スケジューラ26によって制御される灌漑サイト15またはその近くに設けることができる。一実施形態では、
図2に示されるように、ソーラーパネル44は、灌漑サイト15に位置する住宅または商業ビルなどの住居構造48の上に取り付けることができる。別の実施形態では、ソーラーパネル44は、送電網に供給するための電力を生成するために電力会社によってしばしば配備されるような、灌漑サイト15の近くに配置された独立型パネルであり得る。いくつかの実施形態では、ソーラーパネル44は、その取り付け位置に関して旋回可能であり得る。これらの実施形態では、アレイコントローラ46は、ソーラーパネル44の旋回を制御して、空を横切る太陽の動きを追跡するように構成することができる。
【0024】
ソーラーパネル44から供給される電力量(例えば、電力出力)は、ソーラーパネル44に与えられる太陽放射照度(すなわち、太陽からの)の強度に依存することができる。太陽放射照度の強さは、時間帯、時期、現在の雲量、またはその他のさまざまな要因によって異なる。
【0025】
アレイコントローラ46は、灌漑スケジューラ26と通信することができ、ソーラーパネル44に関する動作データを灌漑スケジューラ26に送信して、空の雲量の計算を容易にすることができる。一実施形態では、アレイコントローラ46は、ソーラーパネル44の現在の電力出力を電力出力データとして灌漑スケジューラ26に送信することができる。灌漑スケジューラ26は、ソーラーパネル44の現在の電力出力を、ソーラーパネル44の利用可能な最大電力出力と比較することができる。現在の出力と利用可能な最大出力の差は、空の雲量を示す可能性がある。例えば、ソーラーパネル44の現在の電力出力値が利用可能な最大電力出力の約70%である場合、灌漑スケジューラ26は、その領域に約30%の雲量があると決定することができる。
【0026】
ソーラーパネル44の利用可能な最大電力出力は、ソーラーパネル44内のすべてのセルが完全に動作し(例えば、誤動作しているセルがない)、現在の時刻、時期、および地理的位置に照らして、ソーラーパネル44が完全な太陽にさらされている(例えば、雲に覆われていない)場合に、ソーラーパネル44が生成できる電力出力であると理解することができる。太陽からの放射照度の量は、ソーラーパネル44からの最大利用可能出力電力が時間帯、時期、地理的位置に応じて異なることができるように、雲量を決定している時間帯、時期、地理的位置によって影響を受けることができることを理解されたい。例えば、太陽からの放射照度は、早朝または午後遅くとは対照的に、正午にソーラーパネル44でより大きくなる可能性がある。同様に、太陽からの放射照度は、冬の日(太陽が地球から遠いとき)よりも夏の日に大きくなる可能性がある。したがって、最大利用可能電力出力は、ソーラーパネル44の最大定格電力出力ではなく、時刻および時期に基づく、ソーラーパネル44からの実際の最大利用可能電力出力であり得る。このように、灌漑スケジューラ26は、アレイコントローラ46からの電力出力データから雲量を決定する場合、電力出力データには、計算が行われている時刻、時期において利用可能な最大電力出力を含めることができる。
【0027】
異なる時間帯および時期に対するソーラーパネル44の利用可能な最大電力出力は、アレイコントローラ46のメモリ(図示せず)に(例えば、ルックアップテーブルとして)格納され、空の雲量を決定する際に使用するための、ネットワーク34を介した電力出力データ(例えば、運用データ)の一部として灌漑スケジューラ26に送信され得る。一実施形態では、利用可能な最大電力出力は、空の雲量を決定するために必要に応じて、アレイコントローラ46から灌漑スケジューラ26に送信することができる。このような実施形態では、灌漑スケジューラ26は、雲量が決定されている時刻および時期を識別でき、それに応じて、アレイコントローラ46は、その時刻におよび時期に利用可能な最大電力出力を灌漑スケジューラ26に送信することができる。別の実施形態では、ルックアップテーブル全体を、アレイコントローラ46から灌漑スケジューラ26にまとめて送信することができ、これは、灌漑スケジューラ26のメモリ32に格納される。このような実施形態では、灌漑スケジューラ26は、アレイコントローラ46からの情報を繰り返し要求する必要なしに、所与の時間帯および時期の利用可能な最大電力出力を識別する。
【0028】
一実施形態では、ソーラーパネル44の最大利用可能電力出力は、ソーラーパネル44の物理的パラメータ(例えば、ソーラーパネル44の角度、ソーラーパネルの設置面積44、欠陥のあるセルの数)および過去の環境データ(たとえば、時間帯と時期の太陽からの放射照度の量)に基づいて、異なる時間帯および時期について計算することができる。別の実施形態では、アレイコントローラ46は、時間の経過とともにアレイコントローラ46によって収集された過去の電力出力データに基づいて、異なる時間帯および時期の利用可能な最大電力出力を推定することができる。このような例では、異なる時間帯および時期のソーラーパネル44からのピーク電力出力を、ソーラーパネル44の利用可能な最大電力出力として使用することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、ソーラーパネル44およびアレイコントローラ46は、アレイコントローラ46からの動作データが灌漑制御システム10の所有者にはすぐに利用できないように、隣接する建物または電力会社などのサードパーティプロバイダによって制御(例えば、所有/動作)され得る。このような実施形態では、運用データは、第三者との合意(例えば、サブスクリプション)を通じて灌漑スケジューラ26に提供することができる。
【0030】
灌漑サイト15の蒸発散値は、計算された空の雲量に加えて、例えば、土壌水分、最近の降雨量、風速の大きさと方向、湿度、土壌の種類、植物の種類、または植物の密度などの特定の環境条件に従って計算できることを理解されたい。土壌水分、湿度、風速の大きさや方向など、これらの環境条件の一部は、上記の環境センサーから取得することができる。例えば、土壌タイプ、植物タイプ、および植物密度などの他の環境条件は、灌漑制御システム10のセットアッププロセスの一部として灌漑スケジューラ26に提供することができる。
【0031】
空の雲量を使用して蒸発散値を決定することにより、特定の従来の構成よりも灌漑スケジュールを確立/調整する際に使用するためのより正確な蒸発散値を提供できることも理解されたい。特に、雲量が増加または減少すると、計算された蒸発散量はそれに応じて変化し、今後予定されている灌漑の量および/または長さがそれぞれ増加または減少して、より効果的な雲量に対応でき、従来の構成で現在利用可能なものより灌漑サイト15の灌漑をより効果的に行うことができる。
【0032】
本開示の実施形態および例の前述の説明は、例示および説明の目的で提示されている。これは、網羅的であること、または開示を記載されている形式に限定することを意図したものではない。上記の教えに照らして、多くの変更が可能である。それらの修正のいくつかは議論されており、他は当業者によって理解されるであろう。実施形態は、本開示の原理および企図される特定の使用に適した様々な実施形態を最もよく説明するために選択および説明された。本開示の範囲は、もちろん、本明細書に記載の例または実施形態に限定されるものではなく、当業者によって任意の数の用途および同等の装置に使用することができる。むしろ、本発明の範囲は、本明細書に添付された特許請求の範囲によって定義されることが意図されている。
【符号の説明】
【0033】
10 灌漑制御システム
12 基地局
14 遠隔バルブ
15 灌漑サイト
16 流体入口
18 流体出口
20 ゲートバルブ
22 水源
24 分配ユニット
26 灌漑スケジューラ
30 プロセッサ
32 メモリ
34 ネットワーク
36 気象サーバー
38 遠隔環境センサー
40 コンピューティングデバイス
42 太陽光発電システム
44 ソーラーパネル
46 アレイコントローラ
48 住居構造
【国際調査報告】