(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-08
(54)【発明の名称】ポリイソシアヌレート系ポリマー及び繊維強化複合材料
(51)【国際特許分類】
C08G 18/02 20060101AFI20220201BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20220201BHJP
C08J 5/24 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
C08G18/02 020
C08G18/00 030
C08J5/24 CFF
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533590
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(85)【翻訳文提出日】2021-08-06
(86)【国際出願番号】 US2019065711
(87)【国際公開番号】W WO2020123640
(87)【国際公開日】2020-06-18
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521254616
【氏名又は名称】トリマー テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ソダーノ、ヘンリー エイ
【テーマコード(参考)】
4F072
4J034
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明は、混合物の平均イソシアネート官能性が2.1より大きい1つ以上の多官能イソシアネートと、少なくとも1つの三量化触媒と少なくとも1つのエポキシド基とを含む触媒組成物と、を含む反応混合物と、反応混合物を硬化させて、イソシアネートとそれ自体との反応生成物から形成される硬化されたポリマー組成物を与えることと、に関連する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアヌレート系ポリマーを製造する方法であって、
液体芳香族ポリイソシアヌレートを提供するステップと、
触媒組成物を提供するステップと、
前記芳香族ポリイソシアヌレートが、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)とポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)の組み合わせを含み、前記芳香族ポリイソシアヌレートに2より大きい平均官能性を与えることによって、反応混合物を形成し、前記触媒組成物が、三量化触媒と、単官能又は多官能である少なくとも1つのエポキシドとを含み、前記反応混合物を硬化させて、2つ以上のイソシアネートの反応生成物を含むポリマー組成物を生成するステップと、
を含む、
イソシアヌレート系ポリマーの製造方法。
【請求項2】
2より大きい官能性を有する前記芳香族ポリイソシアヌレートを提供するステップは、約2.5より大きい平均官能性を有する前記芳香族ポリイソシアヌレートを提供することによって更に定義される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ウレチジオン(uretidione)、イソシアヌレート、ビウレット、アロファネート又はイミノオキサジアジンジオンの少なくとも1つを含むヘキサメチレンジイソシアネートの脂肪族ポリイソシアネートを提供するステップを更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒組成物が、単官能又は多官能であるエポキシドを、反応混合物全体に対して、最大約7重量%の割合で含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エポキシドが、反応混合物全体に対して、約3重量%の割合で含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応混合物は、反応性水素を実質的に含まず、硬化した前記組成物は、ウレタン基及びアミド基を実質的に含まない、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記反応混合物が、ウレタン基、アミド基、ウレア基、ウレトジオン基、ビウレット基、アロファネート基、イソシアヌレート基又はカルボジイミド基の少なくとも1つを含むイソシアネート末端プレポリマーによってさらに定義される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記反応混合物が、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオンとヘキサメチレンジイソシアネートの三量体の少なくとも1つを5~20重量%で含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマー組成物は、300℃を超えるガラス転移温度を提供するために、湿潤環境又は水溶液のいずれか一方で後硬化される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
大気中の水分を含む環境下で、環境温度及び環境圧力で前記ポリマー組成物をエージングさせ、それによって前記ポリマー組成物に約300℃を超えるガラス転移温度を与えるステップを更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー組成物は、環境エージングの後に約350℃を超えるガラス転移温度を得る、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
繊維質材料を提供し、前記繊維質材料を反応混合物に注入するステップであって、前記反応混合物を触媒化した後、前記繊維強化複合材料の反応混合物を硬化させるために前記反応混合物を加熱する前に行われる、ステップを更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのエポキシドは、前記三量化触媒を提供する前に前記反応混合物に混合され、それによって、後に前記三量化触媒で触媒化するための貯蔵安定のある混合物を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記反応生成物が、ASTM規格D5045による約0.5MPa・m
1/2を超える破壊靭性を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記反応生成物を硬化させる前記ステップは、前記反応混合物を10分未満で熱硬化させることによって更に定義される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記反応生成物を硬化させる前記ステップは、前記反応混合物を120℃未満、5分未満で熱硬化させることによって更に定義される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記反応生成物を硬化させる前記ステップは、前記反応混合物を170℃未満、2分未満で熱硬化させることによって更に定義される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記反応生成物を硬化させる前記ステップは、前記反応混合物を170℃未満、1分未満で熱硬化させることによって更に定義される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記液体芳香族ポリイソシアヌレートは、1,500mPa・s未満の粘度を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記液体芳香族ポリイソシアヌレートは、300mPa・s未満の粘度を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
繊維状材料を提供する前記ステップが、一方向性ガラス繊維、ガラス繊維織布、ノンクリンプガラス繊維、ガラス繊維不織布、一方向性炭素繊維、炭素繊維織布、ノンクリンプ炭素繊維、炭素繊維不織布、一方向性玄武岩繊維、玄武岩繊維織布、非圧着玄武岩繊維、玄武岩繊維不織布、および同等物のうちの少なくとも1つを提供することによってさらに定義される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
イソシアヌレートポリマー材料を製造する方法であって、
メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)及びポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)を含む芳香族ポリイソシアネートを提供するステップと、
触媒量のエポキシを前記芳香族ポリイソシアネートと混合して反応ブレンドを調製するステップと、
前記反応ブレンドを調製した後、前記イソシアヌレートポリマー材料の重合を開始するために、触媒を前記反応ブレンドと混合し、前記反応ブレンドを約170℃未満、5分未満で加熱し、それによってイソシアヌレートポリマー材料を硬化させるステップと、
を含む方法。
【請求項23】
触媒を前記反応ブレンドに混合する前記ステップが、三量体化触媒を前記反応ブレンドに混合することによって更に定義される、
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
触媒を前記反応ブレンドに混合する前記ステップが、適切な溶媒に溶解されたビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAEE)、又は1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)の少なくとも1つを、前記反応ブレンドに混合することによって更に定義される、
ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
触媒量のエポキシを前記芳香族ポリイソシアヌレートと混合する前記ステップは、約10重量%未満のエポキシを前記芳香族ポリイソシアヌレートと混合することによってさらに定義される、
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項26】
繊維状材料を提供するステップと、前記反応ブレンドを加熱する前に、前記繊維状材料を触媒化された前記反応ブレンドに注入するステップと、を更に含む、
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項27】
繊維質材料を提供する前記ステップが、一方向性ガラス繊維、織布ガラス繊維、ノンクリンプガラス繊維、ガラス繊維不織布、一方向性炭素繊維、炭素繊維織布、ノンクリンプ炭素繊維、炭素繊維不織布、一方向性玄武岩繊維、玄武岩繊維織布、ノンクリンプ玄武岩繊維、玄武岩繊維不織布、及びこれらの同等物のうちの少なくとも1つを提供することによってさらに定義される、
ことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリイソシアヌレートポリマーが、反応性水素、ウレタン基及びアミド基を実質的に含まないことによって定義される、
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記反応ブレンドを加熱する前記ステップは、前記反応ブレンドを120℃未満、5分未満で加熱することによって、前記イソシアヌレートポリマー材料を硬化させることによって更に定義される、
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記ポリマー組成物が、環境温度及び環境圧力でエージングした後、300℃を超えるガラス転移温度を得る、
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にイソシアネート反応混合物に一般に関する。より詳細には、本発明は、硬化時に、高強度、高破断ひずみ、高破壊靭性及び高ガラス転移温度を有するポリマーをもたらすポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)を含むイソシアネート反応混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
イソシアヌレートは、3つのイソシアネートの三量化によって形成され、ポリウレタン、エポキシ、ポリウレアの熱安定性を高めるために数十年にわたって広く使用されてきた。イソシアヌレートは、その優れた難燃性のために発泡体の製造にも広く使用されているが、ポリイソシアヌレートだけを本質的にベースにした高密度ポリマーは、ポリマーの靭性を高める働きをする追加の結合を形成しなければ使用できなかった。ポリイソシアヌレート発泡体の脆さとして広く知られている欠陥を克服するために、ポリイソシアヌレートは、イソシアネート基を消費してポリマー中のイソシアヌレートの割合を制限する反応物を高い割合で含むことが必要であった。例えば、特許文献1には、発泡体の摩損性を減少させるために、「活性水素官能性を特徴とし、約50以上のヒドロキシル数及び約2,000未満の当量を有する表面活性有機シリコーン化合物と、可塑化量の不揮発性有機可塑剤と、のフォーム製剤を4~20重量%で」使用することが記載されている。特許文献2は、ポリマーの弾性を増加させるポリウレタンリネージを形成するために1~10%の脂肪族ジオールを使用することを開示している。特許文献3では、第三級アミンのような三量化触媒を用いて、イソシアネートで終端したポリオキサゾリドンプレポリマーを三量化することが記載されている。発明者たちは、得られたポリマーが、オキサゾリドン結合の組み込みにより、低摩擦性及び高難燃性を示すと記述している。特許文献4では、純粋なポリイソシアヌレートの架橋密度が高い発泡体は、非常に脆い特性を有し、「実用的価値がない」ことを開示している。発明者たちは、脆さの低減を得るために10~50%のエポキシ樹脂を使用している。
【0003】
ポリイソシアヌレートをボイド含有量の少ない緻密なプラスチックの製造に使用する場合、線形結合、鎖延長剤、又は靭性を高める作用のあるフレキシブルな基、つまり特許文献3、特許文献5及び特許文献6に開示されているオキサゾリドン、特許文献7、特許文献8、特許文献9に開示されているウレタン、及び特許文献10及び特許文献11に開示されている尿素を組み込まないと、材料が脆くなることが広く知られている。例えば、特許文献12は、エポキシとイソシアネートの比が1:5未満である硬化されたイソシアネート/エポキシ混合は非常に脆く、ジフェニルジイソシアネート濃度(MIDI)の増加と共により悪化することを教示しており、特許文献13は、ポリイソシアヌレート中に20%未満のエポキシが含まれる場合、機械的特性の悪化を示すことを教示している。これら2つの特許文献は、20%未満のエポキシ樹脂又は高温でのイソシアネートとエポキシとの反応の結果である20%未満のオキサゾリドンを含み、高強度及び高靱性を有するポリマーを得ることができないことを教示する。更に、特許文献14は、「ポリイソシアヌレートからなる材料は、強靭化が非常に困難であることが知られており、効果的に強靭化するにはあまりにも脆いものもある」、「過去における破壊靱性を高める試みは、しばしば、弾性率の変化(一般的には減少)及び熱特性、例えば、ガラス転移温度(Tg)の減少を犠牲にして行われ、それにより、結果として得られる複合材料の適用可能性に許容できない制限が生じる」と教示している。
【0004】
特許文献15は、少なくとも1つのエポキシ樹脂の少なくとも1つのイソシアネート樹脂に対するモル比が、少なくとも0.4:1、最も好ましくは1:1であるべきであり、この比率が、「ガラス転移点、弾性率及び耐衝撃性について特に有利な特性」をもたらすことを教示する。これらの好適な比は、所望の引張強度、引張剛性、破断までの引っ張りひずみを得るためのエポキシの触媒量をはるかに超えている。更には、上述した特許文献は、本質的にポリイソシアヌレートからなるポリマー及び発泡体は高度な脆さを示すことを明確に教示している。
【0005】
特許文献16は、イソシアネートに対するエポキシの比が1未満であるオキサゾリドン/イソシアヌレートポリマーの製造方法を開示し、最も有利なイソシアネートに対するエポキシの比が0.29~0.5の範囲で、高ガラス転移温度及び良好な機械的特性が得られることを指摘する。特許文献16は「高い架橋密度を有するイソシアヌレート結合部分と、エポキシドに基づく比較的柔軟な部分とが一緒に存在しているため、2つの部分の間に適度なバランスが維持されており、優れた機械的特性を備える硬化物を得ることができる」と開示している。発明者たちは、「多官能有機イソシアネートが5当量以上である場合、硬化物の特性は著しく脆くなる傾向がある。特に、多官能有機イソシアネートを2~3.5当量の範囲で使用する場合、熱安定性及び機械的性能の点で良好な結果が得られる。」と述べている。特許文献12は、発明者たちが、イソシアネートに対するエポキシの比について特定された範囲で特許文献16のポリマーを評価し、「与えられた架橋条件に従うと、極めて脆いオキサゾリドン/イソシアヌレート成形材料が得られ、機械的特性は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の濃度の増加に伴い、より悪化する」ことが発見されたと開示している。発明者たちは、良好な機械的特性のポリマーを得るためには、イソシアネートに対してエポキシを1~5倍混合するべきであると主張している。この開示は、高強度、高破断ひずみ、高破壊靱性及び高ガラス転移温度を有するポリマーを達成するために大きな割合のオキサゾリドンが必要であるという考えに反論し、触媒量のエポキシとともにポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)が反応混合物に含まれる場合、本質的にイソシアヌレート架橋からなる硬化組成物が優れた機械的特性を提供することができることを実証する。
【0006】
オキサゾリドンは、その高い熱安定性のために重要な用途に使用されているが、オキサゾリドンの形成には、一般に150℃を超える高温を必要とするため、全ての用途に適合するわけではない。ポリウレタンは、コーティング、接着剤、シーラント及びエラストマー(CASE)と共に硬質プラスチックの開発において一般的な化学物質で、ヒドロキシルとイソシアネートの反応によって形成され、ほとんどのポリマーは、ジオール又はポリオールと、ジイソシアネート又はポリイソシアネートと、の反応から形成される。三量体化が望まれる場合、この化学物質は、よくプレポリマーを形成するために使用される、又は反応混合物中のイソシアネート(NCOと表記)の重量パーセントが減少し、硬化組成物が改善された弾性及び靭性を示すように反応混合物中に組み込まれるが、一般的にはヤング率及びガラス転移温度(Tg)が犠牲となる。特許文献17は、イソシアネートとポリオールの比率の上限を10:1として、換言するとイソシアネートインデックスを10として、1つ以上のポリオールを存在させて硬化させることが一般的に好ましいことを教示している。特許文献18は、ホルムアルデヒドを必要としない木工用接着剤を製造するために、ポリメリックMDIを、pMDIに対する濃度比が2:1~10:1、好ましくは3:1~7:1の比で、フェノールノボラック樹脂と共に使用することを開示している。特許文献18は、pMDIは、高靭性を有する高強度ポリマーを形成するために、フェノールノボラック樹脂を高い割合で必要とすることを教示している。これらの特許文献は、いずれも、許容可能な機械的特性を有する硬化組成物を得るためには、ウレタン結合が必要であることを教示している。
【0007】
多数の特許は、後に活性水素を含む分子と反応して緻密なポリマーを形成することができる末端イソシアネート基を有するオリゴマープレポリマーの形成に焦点を当てている。特許文献19には、MDI異性体とポリメリックMDIとのイソシアネートブレンドをプレポリマー化して、部分的に三量体化されたイソシアヌレートポリマーを形成し、その後ポリオールと反応させてイソシアヌレート発泡体の砕けやすさを低減させることが開示されている。特許文献20は、20~88重量%のTDI及び12~80重量%のMDIを含む24~40重量%のNCO基含有量を有する貯蔵安定な液体の部分的に三量化されたポリイソシアネートを開示している。特許文献21は、三量化触媒の存在下で、(三量化に関して)異なる反応性を有する2つのイソシアネート成分のイソシアネート基を少なくとも部分的に三量化することによる混合三量体の調製プロセスと、このプロセスによって調製された混合三量体とを開示する。特許文献22は、NCO基含有量が36.5~45%であり、25~70部の部分的に三量化された2,4-TDIと75~30部の未変性の2,4-及び/又は2,6-TDIとを混合することによって調製される貯蔵安定性液体ポリイソシアネートが記載されている。これらの文献には、芳香族、脂肪族、及び芳香族と脂肪族とがブレンドされた構造のイソシアヌレートプレポリマーを製造する多数の方法が開示されているが、いずれの文献も本質的にイソシアネートの反応によって調製される硬化組成物を開示していない。
【0008】
増加された破壊靱性を示すポリイソシアヌレートポリマーの調製に対する別のアプローチは、アミド、イミド、ウレア、ウレタン、アロファネート又はビウレット結合を含むプレポリマーの調製、及びその後のイソシアネート末端プレポリマーの三量化である。特許文献23及び特許文献24は、約15~約42%のNCO基含有量を有するアロファネート修飾トルエンジイソシアヌレートを開示している。これらの組成物は、A)トルエンジイソシアネート、及びB)少なくとも1つのヒドロキシル基を含む有機化合物を、触媒量のC)少なくとも1つのアロファネート-トリマー触媒の存在下、又はアロファネート-トリマー触媒系下で反応させることによって調製される。これらの組成物は、イソシアヌレート基と高パーセントのアロファネート基との両方を含み、ウレタン基も含む。しかし、これらの特許文献は、アロファネート修飾トルエンジイソシアヌレートを、それら自身又は他のイソシアネート末端モノマー、オリゴマー、プレポリマー又はポリマーと後に反応させて硬化組成物を形成することを教示していない。
【0009】
特許文献25、特許文献26及び特許文献27では、三量体化されたプレポリマーを形成し、続いて残留する遊離イソシアネートを単官能活性水素化合物又はその混合物と反応させて、イソシアヌレート三量体を含むポリウレタンを製造することが記載されている。後に活性水素含有分子と反応させるイソシアヌレート含有プレポリマーを形成し、続いて活性水素含有分子と反応させること、若しくはウレタン、尿素、アロファネート、アミド、ビウレット又はオキサゾリドンを用いて調製されたイソシアヌレート末端プレポリマーを三量化することに関する文献は豊富にあるが、これらの反応混合物はいずれも硬化組成物を形成するために活性水素化合物を必要とするため、ウレタン、アミド、尿素、ビウレット、又はアロファネート反応生成物を利用して硬化組成物を形成する。本発明は、硬化組成物を形成するための本質的にイソシアネート末端のモノマー、オリゴマー又はプレポリマー又はポリマーからなる反応混合物から製造される硬化組成物を開示する。
【0010】
特許文献28では、ポリイソシアヌレートをベースとし、補強用フィラーを含む複合材料が記載されており、ポリイソシアヌレートマトリックスは、以下の式、
【化1】
を有するイソシアヌレート繰返し構造単位に由来する。
【0011】
ここで、少なくとも1つの基Xは-R1-NCO基を表し、少なくとも1つの基Xは基-R1-NH-CO-OR2-(-OCO-NH-R1-NCO)n基を表し、nは1~8の整数、好ましくは1~3の整数であり、R1は20までの炭素原子を含む脂肪族、シクロ脂肪族、芳香族又は混合基であり、R2は、R1と同じ又は異なり、20までの炭素原子を含む脂肪族、シクロ脂肪族、芳香族又は混合基である、若しくはカルボニック、シロキサン、シラン又は対応する混合基であり、複合材料は、特に以下のプロセスによって得ることができる。好ましい実施形態によれば、式(I)の繰り返し構造単位において、平均で2つの基Xは、-R1-NCO基を表し、3つ目の基Xは、ラジカル-R1-NH-CO-OR2-(-OCO-NH-R1-NCO)n基を表す。従って、形成されるプレポリマーは、連結部の最低33%がポリウレタン鎖であるポリウレタンプレポリマーである。また、発明者たちは「本発明の複合材料の本質的な特徴は、それらが得られるプロセスであり、室温で流動性を保つポリイソシアネート及びポリオールの部分的な添加によって調製される、特定のプレポリマーの使用を含む」と述べているため、イソシアヌレート変性ポリウレタンについて明確に記載している。特許文献28は、イソシアヌレートで本質的に構成される硬化組成物又は補強フィラーを含む硬化組成物を教示していない。
【0012】
特許文献29は、ポリイソシアネートと、ポリオールと、三量化触媒と、任意で含まれる添加剤との反応樹脂混合物を繊維に含浸させることによって製造される繊維複合材料成分、及びその製造方法に関する。発明者らは、イソシアネート基の数とOH基の数との比が1.6~6.0、特に2.1~3.5であることを教示している。特許文献29は、反応混合物がエポキシ樹脂を含まないことが好ましいことも開示しているが、イソシアネートとそれ自体との反応生成物、すなわちイソシアヌレート、ウレトジオン、カルボジイミド及び開放構造で実質的に構成されるポリマーを教示していない。
【0013】
特許文献30では、活性化された成分を混合し、ポリイソシアネート及びポリオールのような2つ以上の化学前駆体を明確に定義された化学量論により正確に組み合わせることが求められるため、ポリイソシアネートとウレタンとの化学的性質をベースにした熱硬化性樹脂は、フィラメントワインディングでは広く使用されていないことが開示されている。活性化された成分を混合することの問題は、触媒を使用せず環境温度であっても接触によって反応が起こる可能性があり、反応速度を制御することが困難であるために、反応の制御が困難である点にある。
【0014】
上述した先行技術文献には、様々な活性水素含有分子を反応させてポリイソシアヌレートを含むポリマーの物理的特性を改善する様々な取り組みが開示されているが、いずれの文献も、これらの部位の反応生成物を本質的に含まず、且つ現代のポリマー、繊維強化ポリマー及び接着剤に求められる高強度、高剛性、高破断ひずみ、高靭性、高ガラス転移温度を提供する、反応によって生成される硬化組成物を提供していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第4568701号明細書
【特許文献2】米国特許第3676380号明細書
【特許文献3】米国特許第3,793,236号明細書
【特許文献4】中国特許出願公開第103,012,713号明細書
【特許文献5】米国特許第8,501,877号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2010/0151138号明細書
【特許文献7】欧州特許第226,176号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第0,643,086号明細書
【特許文献9】米国特許第9,334,379号明細書
【特許文献10】米国特許第6,617,032号明細書
【特許文献11】中国特許第103,568,337号明細書
【特許文献12】米国特許第4,564,651号明細書
【特許文献13】米国特許第5,036,135号明細書
【特許文献14】欧州特許出願公開第3,189,088号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2018/0051119号明細書
【特許文献16】米国特許第4,070,416号明細書
【特許文献17】米国特許第9,816,008号明細書
【特許文献18】米国特許第6,294,117号明細書
【特許文献19】米国特許第4,382,125号明細書
【特許文献20】米国特許第6,515,125号明細書
【特許文献21】米国特許第4,518,761号明細書
【特許文献22】米国特許第4,456,709号明細書
【特許文献23】米国特許第6,028,158号明細書
【特許文献24】米国特許第6,063,891号明細書
【特許文献25】米国特許第4,359,550号明細書
【特許文献26】米国特許第3,817,939号明細書
【特許文献27】米国特許第4,359,541号明細書
【特許文献28】欧州特許第226,176号明細書
【特許文献29】米国特許第9,334,379号明細書
【特許文献30】米国特許出願公開第2005/0038222号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
一実施形態において、イソシアヌレートポリマーの製造方法は、エポキシ樹脂が約10重量%未満で液体芳香族ポリイソシアヌレートに混合された液体芳香族ポリイソシアヌレートを提供する。別の実施形態において、約10重量%未満のエポキシド樹脂を提供した後、液体芳香族ポリイソシアヌレートを触媒組成物と混合する。芳香族ポリイソシアヌレートは、反応混合物を形成するために2より大きい平均官能性を有する芳香族ポリイソシアヌレートを提供するポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)を含む。一実施形態において、pMDIは、MDIとより高い官能性のpMDIとのブレンドを含む。この混合物を、約70℃を超える温度で硬化させ、2つ以上のイソシアネートの反応生成物を含むポリマー組成物を製造する。別の実施形態において、混合物を環境温度及び圧力でエージングさせて、性能を向上させる。
【0017】
先行技術文献では、pMDI又は他の芳香族ポリイソシアヌレートを高い比率で使用する反応混合物は、一般的に実用には耐えられないほど脆い、低い性能のポリマーとなることが示されている。本発明の化学組成物は、これらの主張を否定し、他の全てのポリイソシアヌレート混合物を上回る予想外の性能結果をもたらす。驚くべきことに、得られた熱硬化性ポリマーのガラス転移温度は、300℃をはるかに超え、ポリイソシアヌレートでは従来達成できなかったレベルである。
【0018】
驚くべきことに、水分を含む大気圧及び温度環境下でポリマーをエージングさせることで、ガラス転移温度(Tg)が大幅に上昇したイソシアヌレートポリマーが得られることが発見された。更に、反応混合物中に脂肪族イソシアヌレート(三量体)又はウレトジオン(二量体)が存在すると、より完全な硬化が得られ、高強度のポリマーを得るために必要な温度が低下することが示されている。また、本発明によれば、ポリマーを5分未満で硬化させることができ、その結果、より長い時間、高い温度で硬化させたポリマーと同等の機械的特性が得られることが見出された。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の他の利点は、添付の図面に関連して理解され、以下の詳細な説明を参照することにより、理解が深まれば、容易に理解されるであろう。
【0020】
【
図1】
図1は、熱硬化後、サンプルを環境温度、環境圧力及び環境湿度で90日間放置した後の実施例10のDMA測定値である。
【
図2】
図2は、環境制御された実験室で、環境温度及び環境湿度で60日間エージングした後の実施例21のDMA測定値を示す。
【
図3】
図3は、熱硬化後、硬化されたサンプルを湿度100%、40℃の環境に72時間置いた後の実施例12のDMA測定値である。
【
図4】
図4は、熱硬化後、硬化されたサンプルを80℃の水に24時間浸漬した後の実施例9のDMA測定値である。
【
図5】
図5は、環境制御された実験室で、環境温度及び環境湿度で65日間エージングした後の炭素繊維複合材料の実施例24のDMA測定値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、ポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)を含む液体反応混合物の重合により、強度、ガラス転移点、ヤング率及び靭性が高い硬化(硬化した)組成物が得られるが、反応混合物は、オキサゾリドン、アミド、ウレタン及び尿素のような鎖延長剤を硬化中にもたらす化学物質を実質的に含まないということを見出した。以下、本明細書で更に説明するように、適切な触媒を選択することで、本発明の硬化組成物を、120℃、5分以下で、及び140℃以上、2.5分以下で得ることができ、これまでに得ることができなかった結果を提供する。本発明において緻密なポリマーとは、ボイド含有量が10%未満、更には2%未満でありボイドを実質的に含まないものである。本発明では、高い靭性(0.5MPa・m1/2より大きい)、高い破断ひずみ(3%より大きい)、高いガラス転移温度(160℃より高い)、高い引張強度(60MPaより大きい)を、ポリマーメチレンジフェニルジイソシアネートと触媒量のエポキシを含む反応混合物の重合によって達成する一方で、当業者に知られているヒドロキシル、第一級および第二級アミン、カルボン酸、チオールなどの活性水素部位を含む分子を実質的に含まない。本発明は、予想に反して、脂肪族ウレトジオン、脂肪族三量体又は脂肪族イミノオキサジアジンジオン(これらは、2又は3の脂肪族イソシアネートの反応混合物である)の存在が重合反応を促進し、より大きなイソシアネート変換と、改善された機械的強度とをより低い硬化温度で可能とすることを更に示す。
【0022】
本発明は、1つの実施形態において、イソシアネート基の重合によって硬化されたポリマー組成物の製造方法を提供し、該方法は、以下のステップを含む。
【0023】
(1)液体反応混合物を提供するステップであって、該液体反応混合物は、
A)少なくとも1つの液体、芳香族ポリイソシアネート、及び
B)任意に少なくとも1つの液体、脂肪族ポリイソシアネート、
C)触媒組成物、
を含み、
少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートが2より大きい、特に少なくとも2.2、又は少なくとも2.5、更には2.65より大きい官能性を有するように、少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートは、ポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)を含む。更に、反応組成物は、少なくとも1つのエポキシドを含み、少なくとも1つのエポキシドは単官能又は多官能であってもよく、反応混合物全体に対して最大7.5重量%、特に0.01%~5%、別の実施形態においては0.5%~4%、別の実施形態においては1.0%~3%、更に別の実施形態においては2%の割合で含まれる。
【0024】
(2)イソシアネート基の自己反応によって前記反応混合物を硬化させ、イソシアネートとそれら自体との反応生成物の構造を含む硬化されたポリマー組成物を得るステップ。
【0025】
更なる態様において、本発明は、硬化組成物の機械的特性を改善するためにフィラーを含有する硬化組成物であって、フィラーが、一実施形態において連続繊維であり、別の実施形態において不連続繊維である、硬化組成物に関連する。
【0026】
本明細書において、「少なくとも1」とは、1以上、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9又はそれ以上を指す。本明細書に記載の触媒組成物の成分について、この情報は分子の絶対量ではなく、成分の種類に言及するものである。従って、例えば「少なくとも1つのエポキシ樹脂」は、1つ以上の異なるエポキシ樹脂、つまり1つ以上の異なる種類のエポキシ樹脂を意味する。量と共に、量は、既に定義されているように、対応して識別された種類の成分の総量を指す。
【0027】
本明細書において「液体」とは、室温(20℃)及び常圧(1,013mbar)で流動可能な組成物を示す。
【0028】
化学的部分に言及する場合、「実質的に含まない」は、特定の部分を含む分子のモル分率が反応混合物又は硬化組成物において7.5%未満であることを意味する。いくつかの場合では、「実質的に含まない」は、特定の部分を含む分子のモル分率が反応混合物又は硬化組成物において5%未満であることを意味する。反対に、「実質的に」及び「本質的に」は、特定の部分を含む分子のモル分率が、反応混合物又は硬化組成物の92.5%を上回ることを意味する。いくつかの場合では、「実質的に」及び「本質的に」は、特定の部分を含む分子のモル分率が反応混合物又は硬化組成物の95%より大きいことを意味する。
【0029】
本明細書に記載の液体組成物の粘度は、特に、組成物がポンプ可能であり、例えば、繊維強化プラスチック部品に使用されるような繊維材料を濡らして含浸させることが可能であるように十分に低い。様々な実施形態において、反応混合物は、室温で<2,500mPa・S、50℃の温度で<150mPa・Sの粘度を有する。粘度を決定するために、樹脂混合物は、適切なミキサーを用いて室温で製造され、粘度は、スピンドル型レオメーターで決定される。
【0030】
本発明は、本質的にポリイソシアネートから構成された反応混合物を硬化することによって、高強度、高破壊靭性、及び高ガラス転移温度を有する硬化組成物であって、反応混合物が2より大きい、特に少なくとも2.2であり、別の実施形態では少なくとも2.5であり、更なる実施形態では2.7を超える官能性を有するような、少なくとも1つのポリイソシアネートがポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)である。硬化組成物を提供する。少なくとも1つのエポキシを含む三量化触媒を用いて反応混合物を硬化させると、硬質ポリマーが得られ、この本質的にイソシアヌレートのポリマーは、高い引張強度(50MPaより大きい)、高い靭性(0.5MPa・m1/2より大きい)、高い破断ひずみ(3%より大きい)、及び高いガラス転移温度(160℃より高い)を示す。2より大きい、特に少なくとも2.2、より好ましくは少なくとも2.5、及び更により好ましくは2.65より大きいイソシアネート官能性を生成するように、ポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)をわずかな量の反応混合物として使用しない場合には、本質的にポリイソシアヌレートの硬化組成物の調製は、破壊靭性及び強度が欠ける。従来技術では、エポキシはポリマーの破壊靭性を改善することが知られているが、本発明は、触媒であることを表す量のエポキシを含むため、材料特性に著しい影響を与えない。
【0031】
本出願の意味でのオリゴメリックMDIは、少なくとも3つの芳香核と少なくとも3の官能性を有するMDIの高核同族体のポリイソシアネート混合物を意味する。「ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート」、「ポリメリックMDI」、「オリゴメリックMDI」の用語は、本発明の文脈内では、オリゴメリックMDIと任意にモノメリックMDIとの混合物を指すために使用される。一般的には、ポリメリックMDIのモノマー含有量は、平均官能性が約2.1よりも大きくなるようなpMDIの総質量を基準にして、25~85wt%の範囲にある。
【0032】
pMDIに加えて、ステップ1)のイソシアネート混合物は、モノマーイソシアネート又はオリゴマーイソシアネート又はプレポリマーイソシアネートを含んでもよい。モノマーイソシアネートは、ポリウレタン化学から知られている慣用的な脂肪族、シクロ脂肪族、及び脂肪族ジ、及び/又はポリイソシアネート、特に芳香族イソシアネートを含む。芳香族イソシアネート、特にMDIシリーズの異性体(モノメリックMDI)及びTDIが特に有益である。
【0033】
本明細書で開示される実施形態において有用なイソシアネートは、イソシアネート、ポリイソシアネート、イソシアネートカルボジイミド、ウレトジオン、及びそのようなイソシアネートを含む三量体を含む。適切なポリイソシアネートは、公知の任意の芳香族、脂肪族、脂環式、シクロ脂肪族、及びアラリファティック(araliphatic)ジ-及び/又はポリイソシアネートを含む。これらのイソシアネートには、特にイソシアネート同士の反応によって生成されるウレトジオン、イソシアヌレート、カルボジイミド、イミノオキサジアジンジオンのような変形種が含まれる。
【0034】
適切な芳香族ジイソシアネート化合物は、例えば、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1,4-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、m-又はp-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4-イソシアナトフェニル)-スルホン、イソプロピリデンビス(4-フェニルイソシアネート)等を含み得る。1分子あたり3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートは、例えば、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアナトベンゼン、2,4,6-トリイソシアナトトルエン、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネート等を含み得る。脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトブタン、1,8-ジイソシアナトオクタン、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネートトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等、及び、これらのポリイソシアネートのウレトジオン型付加体、カルボジイミド付加体、及びイソシアヌレート環付加体を含み得る。脂環式ジイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン-2,4-又は-2,6-ジイソシアネート、1,3-又は1,4-ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,2-シクロヘキサンジイソシアネート等、及びこれらのポリイソシアネートのウレトジオン型付加体、カルボジイミド付加体、及びイソシアヌレート環付加体を含み得る。
【0035】
本発明の更なる実施形態において、反応混合物は、15~85%のポリメリックMDIと、15~85%のジフェニルメタンジイソシアネートの異性体及び同族体とを含む。この発明の他の実施形態では、反応混合物は、15から85%のポリメリックMDIと、25~65%のジフェニルメタンジイソシアネートの異性体及び同族体と、2~20%のヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオンとを含む。本発明の別の実施形態において、反応混合物は、15~85%のポリメリックMDIと、25~65%のジフェニルメタンジイソシアネートの異性体及び同族体と、2~20%のヘキサメチレンジイソシアネートの三量体とを含む。
【0036】
驚くことに、本発明のステップ2)で形成された硬化組成物は、反応混合物が脂肪族ウレトジオン、脂肪族イソシアヌレート、又は脂肪族イミノオキサジアジンジオンを含む場合、より大きなイソシアネート変換を達成し、硬化組成物は、それらの非存在時よりも低い反応温度で高い機械的特性を得ることができる。脂肪族イソシアネートは、芳香族イソシアネートよりも反応が遅いことが知られているため、この結果は予想外であるが、ステップ1)の反応混合物において、反応性が向上する。ウレトジオン、イソシアヌレート、カルボジイミド、及びイミノオキサジアジンジオンは、以下に示すような2つ又は3つのイソシアネートの反応生成物であり、x、x’及びx”は、末端イソシアネート基を有する同じ又は異なる脂肪族リネージである。
【化2】
【0037】
また、当然ながら、上記のいずれかのイソシアネートの混合物も使用することができる。更には、本発明の反応混合物を含むポリイソシアヌレートを形成するために必要な化合物を接触させる又は組み合わせる順番は、多くの異なるものがある。当業者であれば、化合物の添加する順番をブレンドしたり、変化させたりすることが本発明の範囲に入ることを理解するであろう。
【0038】
(触媒組成物)
反応混合物は、ポリマーの三量化を誘導する触媒組成物を介して硬化される。三量化触媒は、N,N-ジメチルベンジルアミン(BDMA)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、2-ジメチルアミノピリジン(2-DMAP)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAEE)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(DBN)、N-アルキルモルフォリン、N-アルキルアルカノールアミン、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、N,N-ジアルキルシクロヘキシルアミン、アルキル基がメチル、エチル、プロピル、ブチル及びそれらの異性体であるアルキルアミン、複素環アミン等のアミン触媒を含むことができる。アミン触媒は、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムメトキシド(2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム2-エチルヘキサノエート、(2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムフォルメート等の第4級アンモニウムヒドロキシド及び第4級アンモニウム塩も含む。ベンゼン、ベンゾニトリル、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼン、又は当業者には既知の他の適切な溶媒等の適切な溶媒に溶解させた触媒を、一実施形態ではBDMA、別の実施形態ではBDMAEE、別の実施形態ではDABCOを、0.001~10wt%、より好ましくは0.1~3wt%の重量で触媒組成物中に使用する。別の実施形態において、DABCOの溶媒として触媒を使用してもよく、適切な触媒溶媒としては、BDMA、イミダゾール、有機金属化合物、又は当業者に既知のDABCOを溶媒和しうる他の触媒が、触媒組成物中に0.001~10wt%、より好ましくは0.1~3wt%の重量で使用される。
【0039】
非アミン触媒を使用することもできる。ビスマス、鉛、スズ、カリウム、リチウム、ナトリウム、チタン、鉄、アンチモン、ウラン、カドミウム、コバルト、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン、及びジルコニウムの有機金属化合物を用いることができる。例としては、酢酸カリウム、ナフトール酸カリウム、オクト酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、硝酸ビスマス、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、塩化第二鉄、三塩化アンチモン、酢酸第一スズ、オクト酸第一スズ、2-エチルヘキサン酸第一スズなどが挙げられる。
【0040】
他の実施形態において、適切な触媒は、1分子あたり1つのイミダゾール環を有する化合物を含むイミダゾール化合物、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、2-フェニル-4-ベンジルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-イソプロピルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1)’]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4-メチルイミダゾリル-(1)’]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1)’]-エチル-s-トリアジン、2-メチルイミダゾリウム-イソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾリウム-イソシアヌル酸付加物、1-アミノエチル-2-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-ベンジル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等と、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-ベンジル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等の上記ヒドロキシメチル含有イミダゾール化合物を脱水し、これらを脱ホルムアルデヒド反応により縮合して得られる1分子あたり2個以上のイミダゾール環を有する化合物、例えば、4,4’-メチレン-ビス-(2-エチル-5-メチルイミダゾール)等と、を含む。
【0041】
任意で、特許文献29に記載されているような潜在性触媒を使用して、硬化反応を遅らせることができる。このような潜在性触媒は当業者に知られており、プリプレグ、シートモールディングコンパウンド(SMC)およびバルクモールディングコンパウンド(BMC)の調製に一般的に使用されている。 先行技術に開示されていない一実施形態では、2-(ジメチルアミノ)ピリジンが潜在性触媒として作用する。
【0042】
本発明の他の実施形態において、触媒は、少なくとも1つのエポキシ樹脂の共触媒を含む。エポキシ樹脂の共触媒の挙動については、米国特許第2,979,485号明細書に記載されている。エポキシ樹脂は、エポキシド基含有モノマー、プレポリマー、ポリマー及びそれらの混合物を含むことができ、以下、エポキシドまたはエポキシド基含有樹脂とも呼ぶ。適切なエポキシド基含有樹脂は、特に、1分子あたり1~10個、若しくは1~2個、若しくは1個のエポキシド基を含む樹脂である。本明細書で使用される「エポキシド基」は、1,2-エポキシド基(オキシラン)を意味する。好ましくは、少なくとも1つのエポキシが、反応混合物の0.1~10wt%、若しくは0.5~3wt%の重量で反応混合物に添加される。エポキシは共触媒として作用するが、三量化触媒とは別に反応混合物に添加してもよい。一実施形態において、エポキシは本質的にイソシアヌレートの反応混合物と混合され、後に触媒作用を発揮することができる貯蔵安定性のある混合物を形成する。
【0043】
反応混合物を触媒組成物と混合し、三量化により硬化させて、本質的にポリイソシアヌレートで構成され、500kg/m3、好ましくは1000kg/m3の密度を有する硬化組成物を形成する。硬化反応は、50~200℃、若しくは75~170℃、更には80~150℃の高温で実施されることが好ましい。本発明の一実施形態において、反応混合物を触媒組成物と混合し、硬化させて、イミドを含む2つ以上のイソシアネート間の反応生成物から本質的に構成される硬化組成物を形成する。
【0044】
イソシアヌレートの三量体化は、特に溶媒がない場合、遅いプロセスであることが知られているが、本発明では驚くほど速く硬化させることができる。本発明は、反応混合物が120℃で5分未満、又は140℃を超える温度で、2.5分未満で硬化することができる一方で、より長い時間をかけて硬化させたもの(実施例11参照)と同等の機械的特性(実施例17~23参照)を達成できることを示している。急速なポリマーの硬化は、10分未満での重合が必要な自動車産業のような大量生産の製造業に必要とされる。予想外の急速な硬化は、高い強度、剛性、及び靭性を更に達成する。本発明の一実施形態において、反応混合物は2分以下で硬化することができ、別の実施形態では、反応混合物は90秒以下で硬化することができる。本発明の別の実施形態では、反応混合物は60秒未満で硬化することができる。反応の速度は触媒濃度によって制御され、三量化触媒と反応して複合材料を形成する共触媒として含まれるエポキシ又はエポキシドの存在によって大きく加速される。三量化触媒に対するエポキシの比率が高くなると、重合速度が速くなる。驚くべきことに、本発明による反応混合物は、温度が70℃以上に上昇するまでかなりの期間安定しており、その後は非常に速く硬化が起きることがわかった。更に、この反応は、他の速硬化性樹脂(例えば、ビニルエステル、エポキシ、ポリエステル等)に比べて発熱が低いため、厚い材料の加工が可能である。
【0045】
予想外なことに、場合によってはサンプルの周囲に湿度や水分が存在していても、硬化組成物は時間の経過とともに硬化し続け、250℃より高い、又は300℃より高い、又は325℃より高い、又は340℃より高いガラス転移温度を得ることができる。この最終的な硬化反応の速度は、硬化組成物の周囲の環境の温度と湿度とによって規定される。硬化組成物を、気候制御された建物内の一般的な湿度レベル、例えば、22℃で20~70%の相対湿度に曝すと、最終反応は2~12週間、或いは4~8週間で完了する。
図1は、実施例10の90日のエージング後の動的機械分析(DMA)で測定した貯蔵弾性率とtanδを示しており、ガラス転移温度が大幅に改善されていることを示す。
図2は、実施例21の動的機械分析(DMA)で測定した貯蔵弾性率とtanδを、周辺環境で60日間エージングした後に示したもので、硬化後の195.5℃から、環境大気条件で60日間放置した後には354.2℃まで、大幅に向上したガラス転移温度を実証する。
図2は、5分未満で硬化させたサンプルが、より長時間硬化させたサンプルと同じように予想外のTgの上昇を示すことを実証している。しかし、
図3のDMA測定に示されているように、40℃、大気圧で相対湿度100%の場合は、24~72時間で、若しくは24時間で反応が完了する。エージング反応条件は変更可能であり、湿度と温度とが高いほど、より急速な硬化が可能となる。
図1を参照すると、以下で更に説明するように、熱硬化後、サンプルを環境温度、環境圧力、及び環境湿度に90日間置いた後の実施例10のDMA測定結果が示されている。エージング期間の後、ガラス転移温度(Tg)は、196℃から356℃に上昇する。この結果は、従来の技術の教示に基づいても全く予期できないものである。更に、
図3を参照すると、本明細書で以下に更に説明するように、熱硬化後、硬化したサンプルを40℃、湿度100%の環境に72時間暴露した後の、実施例12のDMA測定結果が示されている。ガラス転移温度(Tg)は、185℃から345℃に上昇しており、もう一つの予想外の結果である。
【0046】
付加的な実施形態において、硬化組成物を水に浸漬させて反応を完了させ、250℃よりも高い、又は300℃よりも高い、又は325℃よりも高い、又は340℃よりも高いガラス転移温度を得ることができる。反応の速度は、水の温度と圧力とによって決まると考えられている。例えば80℃の中にサンプルを浸漬すると、48時間未満、又は24時間未満で完全な硬化が得られる。動的機械分析(DMA)によって測定した熱機械特性を、熱硬化後、熱硬化ポリマーを80℃の大気圧の水中に、24時間浸漬した後の実施例9について、
図4に示す。ガラス転移温度(Tg)は、Tanδ曲線のピークから測定され、水に浸漬後にTgが240℃から374℃に上昇することを示す。多くのポリマーは吸湿後にガラス転移温度が低下するが、本発明はガラス転移温度が飛躍的に向上することを示している。
図4を参照すると、本明細書で以下に更に詳細に説明するように、実施例9について、熱硬化後、硬化したサンプルを80℃、大気圧の水中に24時間浸漬した後のDMA測定結果が示される。水中に浸漬後、ガラス転移温度(Tg)は、240℃から374℃に上昇している。
【0047】
本発明の一実施形態において、反応混合物は、連続又は不連続強化繊維とブレンドされ、三量化触媒組成物を用いて硬化させて、繊維強化成型部品を形成する。このような成型部品は、自動車、風力発電機、スポーツ用品、航空宇宙構造物、圧力容器、建築材料、及びプリント回路基板の構造に有用である。しかし、繊維強化プラスチック成型部品の最終用途は、当業者に知られているように、他の用途にも適用することができる。
【0048】
繊維強化硬化組成物のための繊維成分として適した公知の高強度繊維材料は、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリオキサゾール繊維、ポリヒドロキノンジイミダゾピリジン繊維、アラミド繊維等の合成繊維、ボロン繊維、酸化アルミニウム/二酸化ケイ素繊維、炭化ケイ素繊維等の酸化性又は非酸化性セラミック繊維、例えばスチール又はアルミニウム製の金属繊維、若しくは亜麻、麻、又はジュート等の天然繊維を含む。これらの繊維は、マット、織布、編地、敷設スクリム、不織布、ロービングの形で導入されることができる。また、これらの2種類以上の繊維材料を混合して使用することも可能である。このような高強度繊維、敷設スクリム、織布、ロービングは、当業者に知られている。
【0049】
特に、繊維複合材料は、特に優れた機械的特性を得るために、繊維複合材料全体を基準にして、25vol%より多く、又は50vol%より多く、又は50~70vol%の体積パーセントで、繊維を含むべきである。
【0050】
反応混合物は、例えば、樹脂トランスファー成形(RTM)、真空アシスト樹脂トランスファー成形(VARTM)、射出成形、高圧反応射出成形(HP-RIM)、ウェットレイアップ、引抜成形、又はプリプレグ技術などの公知の方法によって強化繊維とブレンドしてもよい。本発明は、常温の液体であることから、特に注入に適している。
【0051】
本発明の様々な実施形態では、所望の用途に応じて、反応混合物は、例えば接着剤として使用される場合には基板に塗布され、プラスチック部品を製造するための成型用化合物として使用される場合には成型ツールに装填される。一実施形態では、この方法は樹脂トランスファー成形(RTM)法であり、反応混合物は反応性射出樹脂である。本文脈で用いられる「反応性」とは、射出樹脂が化学的に架橋できることを意味する。RTM法では、反応混合物を提供すること、すなわち、記載された方法のステップ(1)は、射出樹脂を成形ツールに注入すること、特に射出することを含むことができる。記載された方法及び反応混合物が特に適している繊維強化プラスチック部品を製造する場合、繊維又は半完成の繊維製品(プレウーブン/プレフォーム)を、射出の前に成形ツールに入れることができる。使用される繊維及び/又は半完成の繊維製品は、先行技術でこの用途について公知の材料であることができ、特に炭素繊維である。
【0052】
本発明の一実施形態において、反応混合物は、樹脂トランスファー成形によって連続又は不連続繊維を含む型に射出され、5分未満で硬化される。本発明の別の実施形態において、反応混合物は、樹脂トランスファー成形によって連続又は不連続繊維を含む型に射出され、2分未満で硬化される。本発明の別の実施形態において、反応混合物は、樹脂トランスファー成形によって連続又は不連続繊維を含む型に射出され、1分未満で硬化される。
【0053】
本発明の一実施形態において、反応混合物は、樹脂転写成形により連続又は不連続繊維を含む風力タービンブレード型に射出され、95未満の温度で硬化される。本発明の別の実施形態において、反応混合物は、直接注入によって連続繊維に塗布されるか、または樹脂浴に入れられ、加熱されたダイを通して引抜き成形される。これらのいずれの実施形態においても、触媒は処理の直前に反応混合物にブレンドされる。また、本発明の組成物は、5分未満、別の実施形態では2分未満の速硬化性であるため、特に引抜き加工に適していることを理解すべきである。
【0054】
硬化組成物と同様に、硬化組成物を用いて調製された繊維強化複合材料も、環境エージングによってTgが増加する。
図5は、65日間のエージング後の実施例24についての、動的機械分析(DMA)によって測定された貯蔵弾性率とtanδとを示し、209.3℃から335.1℃へと、従来では達成できないと考えられるレベルで、ガラス転移温度が大幅に改善していることが実証されている。
【0055】
本発明の一実施形態において、反応混合物は、接着剤として使用するために十分な接着性を含む。反応混合物は、接着剤として知られているフィラー、例えば、ヒュームドシリカ、ガラスビーズ、セラミック粒子、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノ粒子、カーボンナノチューブ(CNT)、ゴム、エラストマー又は熱可塑性樹脂のような合成粒子が配合されてもよい。
【0056】
本発明の更なる実施形態では、硬化組成物は難燃性である。本発明の別の実施形態において、硬化組成物は不燃性である。
【0057】
本発明は、高い硬化温度又は高価な化学化合物を使用せずに、優れた機械的特性を備えるイソシアヌレート架橋で本質的に構成された硬化組成物を実現するものである。更に、本発明は、非常に高いガラス転移温度を有するポリマーを得る。更に、一般的な予想では脂肪族成分の存在が反応性を低下させると考えられるのに対し、本発明では、反応混合物中に脂肪族ウレトジオン、脂肪族三量体、又は脂肪族イミノオキサジアジンジオンが存在しても、三量体化反応が促進され、より大きなイソシアヌレート変換をもたらすことを示している。更に、本発明は、重合反応が数分で完了でき、大量生産と両立可能なポリマーとなることを示している。
【0058】
(実施例)
ポリイソシアヌレートポリマーは以下の方法で調製した。モノマーMDIは、Covestro社の商品名MONDOUR MLQ及びBASF社の商品名LUPRANATE MIのメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)異性体の液体ブレンドとして使用され、ブレンドは本質的に4,4’-MDI及び2,4’-MDIとの50/50ブレンドからなる。BASF社のLUPRANATE M20という商品名のポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)は、材料のMSDSによると、55%未満のオリゴメリックMDI、38%のモノメリック4-4ジフェニルメタンジイソシアネート、10%未満のMDI異性体からなり、平均イソシアネート官能性が2.7である。Covestro社から入手した商品名MONDUR MR Lightのポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)は、Covestro社によると、材料のMSDSは、58%のオリゴメリックMDI、38%のモノメリック4-4ジフェニルメタンジイソシアネート、3.8%の2,4’-MDI、及び0.2%の2,2’-MDIからなり、平均イソシアネート官能性は2.8である。HDIウレトジオンはCovestro社から商品名DESDODUR N3400を入手し、HDIトリマーは、Wanhua社から商品名Wannate HT-100を入手した。テクニカルグレードのトルエンジイソシアネート(80%トリレン-2,4’-ジイソシアネート)は、Sigma Aldrich社から純度80%で入手し、全ての化学物質は受領した状態のものを使用した。Hexion社からEPONTM 828の商品名で販売されているビスフェノールA/エピクロロヒドリン由来の二官能性液状エポキシ樹脂の原液と、Hexion社からEPONTM 862という商品名で販売されているビスフェノールFのジグリシジルエーテル、更に、TCI America社から99%超の純度で入手した単官能反応性希釈剤のグリシジルフェニルエーテル(GPE)と、Evonik社から入手した商品名Epodil 742のクレシルグリシジルエーテル(CGE)を使用した。N-ベンジルジメチルアミン(BDMA)をAlfa Aesar社から純度98%超で入手し、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)をTCI Chemicals社から純度98%超で入手し、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAEE)をHuntsman International社から商品名ZF-20で入手し、オクト酸第一スズをSigma Aldrich社から純度92.5~100.0%で入手した。これらの試薬については、特別な保存方法又は取り扱い手順はなく、更なる精製処理をすることもなかった。
【0059】
(ニートレジンのサンプル調製)
選ばれた配合組成のために選択されたイソシアネートをボルテックスミキサーを用いて混合し、触媒エポキシを溶液に加えた。この混合物を、フィッシャーボルテックスミキサーを用いて更に1分混合した。次に、触媒を所望の濃度で混合物に加え、ボルテックスミキサーを用いて1分間混合した。続いて、この溶液を遠心分離機を用いて5,000rpmで2分間遠心分離し、混合中に混入した空気を除去した。サンプルの脱気には、他の一般的な方法も使用できる(つまり、真空圧、超音波処理)。次に、Ellsworth Adhesives社のXIAMETER(登録商標)RTV-4230-Eシリコンラバーキットを使って作ったシリコーンゴム型に、この溶液を注意深く加えた。反応混合物を含む型をオートクレーブに入れ、100psigに加圧した後、所望の温度に加熱し、この温度で所定の時間保持してから室温まで冷却した。硬化したサンプルは、オートクレーブの温度が80℃未満に下がるまで加圧して冷却し、硬化したポリマーをオートクレーブから取り出した。触媒(触媒化された)反応混合物を添加する前にシリコーン型を加熱してからオートクレーブに入れ、急速に閉じて加圧・排気し、硬化したポリマーを所定の硬化時間内にオートクレーブから取り出すことができるように、10分未満で硬化されたサンプルを調製した。試験片を直ちに型から取り出した。
【0060】
(破壊靱性)
ニートレジンの破壊靱性を測定するためのサンプルは,ASTM Standard D5045 - Plain Strain Toughness Testing of Polymersに準拠して、特に「ノッチ付きビーム」形状に沿って作成した。Buehler ECOMET 3可変速度グラインダーポリッシャーを使用して、表面の欠陥を除去するとともに、試験片が試験規格で定められた幾何学的許容値に適合させた。プレクラックは、CNCフライス盤のスリットソーを用いて作成し、その後、固定された未使用のカミソリの刃の上でサンプルを最低10回スライドさせてクラックの先端を鋭くした。カミソリの刃はサンプル試料ごとに交換し、クラックの先端が均一に研げるように固定具を使用した。予めクラックを入れたサンプルを、30kNのロードセルを備えたInstron 3367試験フレームに取り付けた3点曲げ試験装置で荷重をかけた。クラックがサンプルに広がる前の最大荷重を記録し、破壊靱性の計算に使用した。平均値と標準偏差を少なくとも5つの試験片からなるサンプルセットに基づいて算出した。
【0061】
(引張試験片)
ニートレジンの引張強さと剛性とを測定するためのサンプルは、ASTM Standard D638に準拠して、特にタイプIVの形状を用いて作成した。サンプルはシリコーンゴムの型から取り出し、Buehler ECOMET 3可変速度グラインダーポリッシャーを用いて仕様に合わせて研磨した。側面は商用グレードのサンドペーパーを用いて手作業で研磨し、最終的には1500gritのウェット/ドライサンドペーパーを用いて研磨した。試験片は、Instron 3367の試験フレーム内で30kNのロードセルに取り付けられたInstron 50kNウェッジグリップに取り付けられた。試験中に材料の適切且つ予想される破断が発生したことを確認し、ゲージ部の破断を確実にするために破断モードの分析を行った。試験中の最大荷重を記録して引張強さの計算に用い、応力-ひずみ曲線の初期勾配を用いて引張弾性率を計算し、クロスヘッドの伸びを用いて各試験片の破断までのひずみを計算した。平均値と標準偏差は、少なくとも5つの試験片からなるサンプルセットに基づいて算出した。
【0062】
(水浴処理)
前述の手順でニートレジンサンプルを作成した。オートクレーブから取り出し、型を外した後、ROフィルタでろ過した水槽に浸した。水槽は緩く蓋がされており、80℃のオーブンに24時間入れた。その後、オーブンから水槽を取り出し、冷めてからサンプルを水槽から取り出した。次に、対応するサンプル作成手順に従って、試験用のサンプルを作成した。
【0063】
(湿度処理)
ニートレジンサンプルを前述の手順で作成した。それらをオートクレーブから取り出して、型から外した後、試験片を飽和湿度環境に置いた。この環境は、実験室の真空オーブン内のパイレックス製天板に過剰な液体の水を入れて作ったものである。オーブンは40℃まで加熱し、水が空気中に蒸発してそこに留まるように外部環境から完全に密閉した。オーブン内の湿度を約100%に保持した。サンプルはこの環境下に24~72時間置かれた。同様の試験を、22℃で相対湿度が20~70%になるように制御された実験室環境で大気圧下で実施した。
【0064】
大気中でのエージング:サンプルを気候制御された実験室内でエージングさせた。相対湿度は制御しなかった。
【0065】
動的機械分析:硬化されたポリマー及び繊維強化ポリマー複合材料のガラス転移温度(Tg)を、動的機械分析(DMA)を使用して測定し、TgがTanδ硬化のピークとして特定された。
【0066】
本発明の実施形態のいくつかを実証するために、比較例を用意した。表1、3及び4は、反応混合物の成分と反応条件とを示す。全ての実施例の反応物は、ニートレジン試験サンプルの手順に従って調製した。
【0067】
(実施例1~9)
実施例1~9の配合と硬化条件とを表1に、全ての実施例の対応する材料特性を表2に示す。引張強度、引張剛性、及び破断ひずみは、タイプIV形状を用いてASTM D638に従って求め、破壊靱性は、シングルエッジノッチビーム試験片を用いてASTM 5045に従って測定した。比較例1~9は、180℃、12時間の硬化条件を実例し、反応物の様々な組み合わせを用いて、高い機械的強度、剛性、靭性を有するポリマーを実現できることを示している。表2は、環境条件で12週間のエージングを行った後の試験片のガラス転移温度を示し、非常に高いTgが得られることを示す。
【0068】
【0069】
【0070】
(実施例10~23)
実施例10~16の配合と硬化条件とを表3に、実施例17~22の配合と硬化条件とを表4に示し、全ての実施例に対応する材料特性を表5に示す。引張強度、引張剛性、及び破断ひずみは、ASTM D638に準拠してタイプIV形状を用いて測定し、破壊靱性はASTM 5045に準拠してシングルエッジノッチビーム試験片を用いて測定した。比較例10~16は、低温硬化条件によって硬化組成物が得られることを示し、比較例17~22は、高い性能特性を有する硬化組成物が5分未満で得られることを示している。比較例10は、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート(Wannate HT-100)を含み、比較例11は、85℃、2時間硬化させたヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン(DESMODUR N3400)を含み、優れた機械的特性が得られることを示しているが、比較例12は、脂肪族成分を省略し、同じ硬化条件下で、強度が制限された脆いポリマーが得られている。脂肪族イソシアネートは、芳香族イソシアネートより反応性が低いことが知られており、それゆえ、反応混合物中に脂肪族成分が存在すると、反応が遅くなることが予想される。この比較例は、予想に反して、脂肪族成分の存在が、より低い温度でのポリマーの硬化を可能にすることを示している。この結果は、それぞれ110℃及び120℃で2時間硬化させた実施例13及び14によって更に実証され、反応温度の上昇に伴って機械的特性が向上し120℃の反応混合物中に脂肪族イソシアネートがなくても同様の特性を得ることができることを示している。比較例15は、触媒として、1:5の重量比でBDMAに溶解されたDABCOを使用することを示しており、一方、比較例16は、硬化温度を上げることで機械的特性を更に向上させることができることを示している。比較例17及び18は、本発明の反応混合物は、より低い温度で長時間硬化させたものと同様の機械的特性を達成しながら、わずか5分で硬化させることができることを示している。実施例19~23では、適切な溶媒に溶解させたDABCOの触媒溶液を使用する。実施例19~23は、DABCO:ベンゾニトリルの重量比が1:3の溶液を使用する。比較例19及び20は、本発明の反応混合物が、低温で長時間硬化させたものと同等の機械的特性を達成しながら、わずか3分で硬化させることができることを実証している。実施例21は、本発明の反応混合物が、より低温で長時間硬化させたものと同等の機械的特性を達成しながら、160℃でわずか2分で硬化させることができることを実証している。実施例22は、反応混合物が、より高い温度で硬化させたものと同等の機械的特性を達成しながら、120℃、5分で硬化させることができ、実施例23は、反応混合物が、より高い温度で硬化させたものと同等の機械的特性を達成しながら、130℃、3分で硬化させることができることを実証している。
【0071】
(実施例24)
反応混合物を繊維状の強化材に注入し、繊維強化複合材料の試料を作成することで実証した。真空アシストレジントランスファー成形(VARTM)を採用して、実施例20の反応混合物を、373gsmの軽い重量を有する12kのMitsubishi Grafil炭素繊維一方向性炭素テープの8プライに注入した。VARTMプロセスは、パネルをオートクレーブで100psi、170℃、3分間で、又はホットプレスで170℃、3分で硬化させる前に、2~10分間で完了させた。複合材料をオートクレーブに挿入した後、密封し、真空バッグされた複合材料を入れてから約90秒後に100psiに達するまで直ちに加圧し、その後、約15秒間圧力を保持し、その後オートクレーブのドアを開けて180秒後に温度で複合材料を取り出すことができるようにベントした。オートクレーブから取り出した後、硬化した複合材料を直ちに平板と真空バッグから取り出し、環境条件で硬化させた。このプロセスは、高圧レジントランスファー成形(HP-RTM)プロセスをシミュレートするためのもので、高圧射出システムでは型に導入する前に樹脂を加熱して硬化を大幅に促進することができるのに対し、低温の樹脂を3分で硬化させることが実証された。この複合材料のショートビーム強度をASTM 2344に基づいて試験したところ、69.0±3.68MPaという高いショートビーム強度が得られた。
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
本発明の一実施形態では、硬化組成物は、大気中の水分の存在下でのエージング時、又は水に浸漬させた場合に、大幅にガラス転移温度を上昇させる。表6は、環境圧力及び環境湿度でのエージングと、高温及び高湿度でのエージングとの前後、熱水への浸漬の後における、選択された実施例のガラス転移温度(Tg)を示す。各実施例において、結果は、硬化組成物のガラス転移温度が大幅に向上することを示す。先行技術のポリマーは、水分に曝されると主にガラス転移の低下を示す。しかし、本発明の硬化組成物は、以下の表6に示されるように、そのガラス転移温度が大幅に上昇している。この結果は、極めて驚くべきことに、従来の教示に反している。
【0076】
【0077】
明らかに、本発明の多くの修正及び変形が上記の教示に照らして可能であり、前述の発明は関連する法的基準に従って記述されており、従って、その記載は本質的に限定ではなく、単なる例示である。開示された実施形態の変形および変更は、当業者には明らかとなり、本発明の範囲内に入ることができる。従って、本発明に与えられる法的保護の範囲は、以下の請求項を検討することによってのみ決定され得る。
【0078】
[付記]
[付記1]
イソシアヌレート系ポリマーを製造する方法であって、
液体芳香族ポリイソシアヌレートを提供するステップと、
触媒組成物を提供するステップと、
前記芳香族ポリイソシアヌレートが、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)とポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)の組み合わせを含み、前記芳香族ポリイソシアヌレートに2より大きい平均官能性を与えることによって、反応混合物を形成し、前記触媒組成物が、三量化触媒と、単官能又は多官能である少なくとも1つのエポキシドとを含み、前記反応混合物を硬化させて、2つ以上のイソシアネートの反応生成物を含むポリマー組成物を生成するステップと、
を含む、
イソシアヌレート系ポリマーの製造方法。
【0079】
[付記2]
2より大きい官能性を有する前記芳香族ポリイソシアヌレートを提供するステップは、約2.5より大きい平均官能性を有する前記芳香族ポリイソシアヌレートを提供することによって更に定義される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0080】
[付記3]
ウレチジオン(uretidione)、イソシアヌレート、ビウレット、アロファネート又はイミノオキサジアジンジオンの少なくとも1つを含むヘキサメチレンジイソシアネートの脂肪族ポリイソシアネートを提供するステップを更に含む、
付記1に記載の方法。
【0081】
[付記4]
前記触媒組成物が、単官能又は多官能であるエポキシドを、反応混合物全体に対して、最大約7重量%の割合で含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0082】
[付記5]
前記エポキシドが、反応混合物全体に対して、約3重量%の割合で含まれる、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0083】
[付記6]
前記反応混合物は、反応性水素を実質的に含まず、硬化した前記組成物は、ウレタン基及びアミド基を実質的に含まない、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0084】
[付記7]
前記反応混合物が、ウレタン基、アミド基、ウレア基、ウレトジオン基、ビウレット基、アロファネート基、イソシアヌレート基又はカルボジイミド基の少なくとも1つを含むイソシアネート末端プレポリマーによってさらに定義される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0085】
[付記8]
前記反応混合物が、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオンとヘキサメチレンジイソシアネートの三量体の少なくとも1つを5~20重量%で含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0086】
[付記9]
前記ポリマー組成物は、300℃を超えるガラス転移温度を提供するために、湿潤環境又は水溶液のいずれか一方で後硬化される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0087】
[付記10]
大気中の水分を含む環境下で、環境温度及び環境圧力で前記ポリマー組成物をエージングさせ、それによって前記ポリマー組成物に約300℃を超えるガラス転移温度を与えるステップを更に含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0088】
[付記11]
前記ポリマー組成物は、環境エージングの後に約350℃を超えるガラス転移温度を得る、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0089】
[付記12]
繊維質材料を提供し、前記繊維質材料を反応混合物に注入するステップであって、前記反応混合物を触媒化した後、前記繊維強化複合材料の反応混合物を硬化させるために前記反応混合物を加熱する前に行われる、ステップを更に含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0090】
[付記13]
前記少なくとも1つのエポキシドは、前記三量化触媒を提供する前に前記反応混合物に混合され、それによって、後に前記三量化触媒で触媒化するための貯蔵安定のある混合物を形成する、ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0091】
[付記14]
前記反応生成物が、ASTM規格D5045による約0.5MPa・m1/2を超える破壊靭性を有する、ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0092】
[付記15]
前記反応生成物を硬化させる前記ステップは、前記反応混合物を10分未満で熱硬化させることによって更に定義される、ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0093】
[付記16]
前記反応生成物を硬化させる前記ステップは、前記反応混合物を120℃未満、5分未満で熱硬化させることによって更に定義される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0094】
[付記17]
前記反応生成物を硬化させる前記ステップは、前記反応混合物を170℃未満、2分未満で熱硬化させることによって更に定義される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0095】
[付記18]
前記反応生成物を硬化させる前記ステップは、前記反応混合物を170℃未満、1分未満で熱硬化させることによって更に定義される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0096】
[付記19]
前記液体芳香族ポリイソシアヌレートは、1,500mPa・s未満の粘度を有する、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0097】
[付記20]
前記液体芳香族ポリイソシアヌレートは、300mPa・s未満の粘度を有する、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0098】
[付記21]
繊維状材料を提供する前記ステップが、一方向性ガラス繊維、ガラス繊維織布、ノンクリンプガラス繊維、ガラス繊維不織布、一方向性炭素繊維、炭素繊維織布、ノンクリンプ炭素繊維、炭素繊維不織布、一方向性玄武岩繊維、玄武岩繊維織布、非圧着玄武岩繊維、玄武岩繊維不織布、および同等物のうちの少なくとも1つを提供することによってさらに定義される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0099】
[付記22]
イソシアヌレートポリマー材料を製造する方法であって、
メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)及びポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)を含む芳香族ポリイソシアネートを提供するステップと、
触媒量のエポキシを前記芳香族ポリイソシアネートと混合して反応ブレンドを調製するステップと、
前記反応ブレンドを調製した後、前記イソシアヌレートポリマー材料の重合を開始するために、触媒を前記反応ブレンドと混合し、前記反応ブレンドを約170℃未満、5分未満で加熱し、それによってイソシアヌレートポリマー材料を硬化させるステップと、
を含む方法。
【0100】
[付記23]
触媒を前記反応ブレンドに混合する前記ステップが、三量体化触媒を前記反応ブレンドに混合することによって更に定義される、
ことを特徴とする付記22に記載の方法。
【0101】
[付記24]
触媒を前記反応ブレンドに混合する前記ステップが、適切な溶媒に溶解されたビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAEE)、又は1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)の少なくとも1つを、前記反応ブレンドに混合することによって更に定義される、
ことを特徴とする付記23に記載の方法。
【0102】
[付記25]
触媒量のエポキシを前記芳香族ポリイソシアヌレートと混合する前記ステップは、約10重量%未満のエポキシを前記芳香族ポリイソシアヌレートと混合することによってさらに定義される、
ことを特徴とする付記22に記載の方法。
【0103】
[付記26]
繊維状材料を提供するステップと、前記反応ブレンドを加熱する前に、前記繊維状材料を触媒化された前記反応ブレンドに注入するステップと、を更に含む、
ことを特徴とする付記22に記載の方法。
【0104】
[付記27]
繊維質材料を提供する前記ステップが、一方向性ガラス繊維、織布ガラス繊維、ノンクリンプガラス繊維、ガラス繊維不織布、一方向性炭素繊維、炭素繊維織布、ノンクリンプ炭素繊維、炭素繊維不織布、一方向性玄武岩繊維、玄武岩繊維織布、ノンクリンプ玄武岩繊維、玄武岩繊維不織布、及びこれらの同等物のうちの少なくとも1つを提供することによってさらに定義される、
ことを特徴とする付記26に記載の方法。
【0105】
[付記28]
前記ポリイソシアヌレートポリマーが、反応性水素、ウレタン基及びアミド基を実質的に含まないことによって定義される、
ことを特徴とする付記22に記載の方法。
【0106】
[付記29]
前記反応ブレンドを加熱する前記ステップは、前記反応ブレンドを120℃未満、5分未満で加熱することによって、前記イソシアヌレートポリマー材料を硬化させることによって更に定義される、
ことを特徴とする付記22に記載の方法。
【0107】
[付記30]
前記ポリマー組成物が、環境温度及び環境圧力でエージングした後、300℃を超えるガラス転移温度を得る、
ことを特徴とする付記22に記載の方法。
【国際調査報告】