(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】乳、初乳及び酸性又は甘性ホエーから高度に精製されたラクトフェリン及びラクトペルオキシダーゼを製造する方法
(51)【国際特許分類】
C07K 1/18 20060101AFI20220202BHJP
C07K 14/79 20060101ALI20220202BHJP
C12N 9/02 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
C07K1/18
C07K14/79
C12N9/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525090
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(85)【翻訳文提出日】2021-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2019080428
(87)【国際公開番号】W WO2020094731
(87)【国際公開日】2020-05-14
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521195319
【氏名又は名称】アルヘル プロジェクティランジェ イン インゼニリング ディー.オー.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キート、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ローカー、ブラッズ
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン、マヤ ジュパンチッチ
(72)【発明者】
【氏名】ストランカー、アレス
【テーマコード(参考)】
4B050
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC07
4B050DD11
4B050FF11C
4B050LL01
4B050LL02
4H045AA20
4H045CA43
4H045EA01
4H045EA20
4H045GA23
(57)【要約】
ラクトフェリンタンパク質及び/又はラクトペルオキシダーゼタンパク質を含む画分をこれらのタンパク質の少なくとも一つを含む原料から製造する方法であって、前記原料は、乳、初乳、酸性又は甘性ホエーからなる群から選択され、強カチオン交換体特性を有するモノリスカラムを用いたクロマトグラフィー分離プロセスを利用し、前記分離プロセスにおいて、前記カラムに前記原料を導入後、pH勾配又はpH及び塩を組み合わせた勾配溶出を利用する、方法。さらに、C値が60%超であり、A値が1%超であるラクトフェリン又はラクトペルオキシダーゼを含む組成物が開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトフェリンタンパク質及び/又はラクトペルオキシダーゼタンパク質を含む画分をこれらのタンパク質の少なくとも一つを含む原料から製造する方法であって、
前記原料は、乳、初乳、酸性又は甘性ホエーからなる群から選択され、
強カチオン交換体特性を有するモノリスカラムを用いたクロマトグラフィー分離プロセスを利用し、
前記分離プロセスにおいて、前記カラムに前記原料を導入後、pH勾配又はpH及び塩を組み合わせた勾配溶出を利用する、方法。
【請求項2】
前記pH勾配が、約4.0~約8.0未満のpH範囲内で開始する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記pH勾配が、約8~13未満のpH範囲内で終了する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記原料が、カラムへの前記原料の導入前に、ろ過される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
約8~約11未満のpH範囲、特に約8.9~約10のpH範囲、又は約5~55mS/cmの範囲内のより高い伝導度において約6.6~約7.5のpH範囲において溶出する画分Aが回収される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
約10.4超~約12のpH範囲、特に約11超~約11.7のpH範囲、又は約5~55mS/cmの範囲内のより高い伝導度において約9.6~約10.7のpH範囲において溶出する画分Bが回収される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記クロマトグラフィー分離プロセスが、
(i)前記原料のpHをpH7未満の値、特にpH6.5未満に調整する工程、
(ii)前記工程(i)の原料を強カチオン交換体特性を有するモノリスカラムと接触させる工程、次いで、
(iii)pH勾配緩衝剤を前記カラムに流し、それによって前記pH値を増加させる工程、及び
(iv)約8~約11未満のpH範囲、特に約8.0~約10のpH範囲、好ましくは約8.2~約10のpH範囲、より好ましくは約8.9~約10のpH範囲、又は約5~55mS/cmの範囲内のより高い伝導度において約6.6~約7.5のpH範囲において溶出し、典型的にはラクトペルオキシダーゼを含む、画分Aを回収する工程、及び/又は
(v)約10超~約12.0のpH範囲、好ましくは約10.4超~約12のpH範囲、より好ましくは11.0超~12.0のpH範囲、特に約11超~約11.7のpH範囲、又は約5~55mS/cmのより高い伝導度において約9.6~約10.7のpH範囲において溶出し、典型的にはラクトフェリンを含む、画分Bを回収する工程、
(vi)任意で、前記画分A及び/又は前記画分Bを、特に、中和、濃縮及び保存などの処理によって、さらに処理する工程、
を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記原料が、前記工程(ii)の前にろ過され、又は前記モノリスカラムが、前記工程(ii)の前に、約7未満、特に約6.5未満のpH値を有する平衡化緩衝剤を用いて平衡化される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記強カチオン交換体特性を有するモノリスカラムが、-SO
3H修飾モノリスカラム、-COOH修飾モノリスカラム、-OSO
3H修飾モノリスカラム又は-OPO
3H修飾モノリスカラムからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記塩勾配が塩の濃度によって行われ、特に前記塩勾配は、約5mS/cm~約55mS/cmの範囲内における伝導度に対応する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記工程(iii)又は前記工程(iv)の前に、前記カラムが、請求項8に記載の前記平衡化緩衝剤で洗い流される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ラクトフェリン及び前記ラクトペルオキシダーゼを含む画分は、乾燥され、特に噴霧乾燥によって乾燥される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ラクトフェリンの純度は90%超であり、前記ラクトペルオキシダーゼの純度は50%超であり、特に前記ラクトフェリンのC値は50%超であり、前記ラクトフェリンのA値は1%超である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記工程(iv)又は前記工程(v)の後、前記カラムは、pHが約12超の緩衝剤で前記カラムを洗い流すことにより洗浄される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
C値が60%超であり、A値が1%超であるラクトフェリンを含む組成物。
【請求項16】
前記C値が70%以上であり、前記A値が2%以上である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法により得られる、ラクトフェリン又はラクトペルオキシダーゼを含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクトフェリンタンパク質又はラクトペルオキシダーゼタンパク質の少なくとも一つを含む原料からラクトフェリンタンパク質又はラクトペルオキシダーゼタンパク質を含む画分を製造する方法並びに高度に精製されたラクトフェリンタンパク質又はラクトペルオキシダーゼタンパク質に関する。
【背景技術】
【0002】
ラクトフェリン(LF)及びラクトペルオキシダーゼ(LPO)は、乳、ホエー及び初乳中に存在する機能性の微量タンパク質である。LFは、様々な生理的変化及び環境変化に対応可能な80kDaのグリコシル化タンパク質であり、そのために、ホストの防御の最前線において重要な成分だと考えられている。LFの構造特性は、Fe3+恒常性機能に加えて、全てのトランスフェリンに共通する機能である、広範囲の細菌、菌類、酵母、ウイルス及び寄生生物に対する広範なスペクトラムの抗菌活性;抗炎症活性及び抗発がん活性;並びにいくつかの酵素機能をもたらす[1]。LPOは、病原微生物に対する乳腺及び新生児の腸管の保護において極めて重要な役割を果たしており、様々な発がん物質の分解及び過酸化効果に対する動物細胞の保護に関与している[2]。
【0003】
LFは、鉄を結合させることができる。天然LFは、15~20%のホロLFを含み、ホロLFは鉄を含む。残部はアポLFであり、アポLFは鉄を含まない[32]。理論上では、アポLFはやや低い鉄飽和度を有する(既に結合した鉄-A値)。アポLFのA値の理論値は、約3%未満である。さらに、アポLFは、高い鉄結合ポテンシャル(鉄容量-C値)を有する。アポLFのC値は、約50%超である。高純度及び非変性のアポLFは、70%超のより高いC値を有するポテンシャルを有している。一方で、ホロLFは高いA値(50%超)及び低いC値(10%未満)を有する。単離LFのC値が高いほど、LFの鉄結合ポテンシャルが高くなる。活性LFは微生物の増殖に必要な鉄を除去するため、高い鉄結合ポテンシャルはより高レベルの抗菌活性をもたらす。
【0004】
最近では、LF及びLPOは、(I)ヘパリンリガンドを有するポリ(メタクリル酸グリシジル)を有する常磁性粒子による単離[3]、(II)カチオン性界面活性剤(例えば、臭化セチルジメチルアンモニウム)の使用[4]、(III)様々なクロマトグラフィー法(例えば、カチオン交換又はアフィニティークロマトグラフィー)[1、2、5~10]、及び(IV)他の方法(例えば、疎水性イオン液体[11])などの多くの様々な方法によって、乳及び乳加工副生成物(例えば、ホエー)から単離される。一般的に、クロマトグラフィー法、特にイオン交換クロマトグラフィーは、LFを比較的低コストで速く分離する方法を代表している[12]。クロマトグラフィー法はまた、そのロバスト性及び繰り返し性のために他の方法に勝る。LF及びLPOのクロマトグラフィー精製における最も一般的な方法では、強カチオン交換樹脂粒子及び膜又はモノリスカラムを用いる[13~15]。
【0005】
現在のクロマトグラフィーは、(I)流速の増加に伴い、細孔内での拡散物質移動に起因してピークが広がるため、流速が増加する場合には、同じ分解能を得るために勾配の傾斜を緩やかにする必要があること、(II)増加した流速は、クロマトグラフィー工程の時間を減少させるが、同時に溶出体積を増加させること、及び(III)カラム長さによりカラムの圧力損失が大きくなり、流速の制限要因となることなどのいくつかの難点を有する。
【0006】
クロマトグラフィー精製工程において、乳又はホエー中に存在するLF及びLPOは、所定の条件下で強カチオン交換体の表面に結合し、その後、高pH又は高塩濃度を有する緩衝剤を用いて溶出画分中に収集される。分離プロセスを簡略化するため、多くの場合、LF及びLPOは、ステップモードにおいて高イオン強度又はpH>9のどちらかを有するいくつかの緩衝液を用いて溶出される。このような方法は、一つのクロマトグラフィー工程において、所望のタンパク質の画分について比較的高い純度(60~95%)をもたらすことが多い。脱塩、濃縮及び純度向上のため、限外ろ過法が微量の低分子量不純物を除去するために導入されることが多い。得られたタンパク質濃縮物は、その後、凍結乾燥又は噴霧乾燥によって乾燥されることが多い。Wang他は、凍結乾燥LFが噴霧乾燥LF(≒5%)に比べてより少ない水(約2~3%)を含むが、それに対して噴霧乾燥LFはわずかに低い変性度及び6~7%高い抗酸化活性を示し、新鮮な液体LFに近いことを示した[18]。噴霧乾燥[1]は、損傷のない分子構造及び高い抗酸化能力を有するアモルファスLF粉末を製造するために確信を持って用いられている。
【0007】
欧州特許第0418704号[19]は、表面スルホン酸基を有する樹脂粒子を含むイオン交換クロマトグラフィーカラムを用いた、鉄と結合可能な乳タンパク質の分離、精製及び回収のプロセスを記載している。LFは、pH/伝導度ステップ溶出モード(pH/conductivity step elution mode)によって単離され、最終生産物の純度は90%超と主張されている。また、微量の低分子量不純物を除去するために限外ろ過法が必要とされ、最終的にLPO及びLFの純度は90%以上とされている。
【0008】
欧州特許出願公開第1466923号[20]に記載されたプロセスは、強酸性カチオン交換樹脂(粒子)を用いたクロマトグラフィー工程を含み、単離LFの純度が79~91%の範囲内にある。
【0009】
国際公開第2006/119644号[21]は、LFを精製し、溶液中で安定化させ、活性を向上させる方法を記載している。このプロセスは、既に単離された低純度のLFをさらに精製することを意図している。精製は、ある濃度の荷電した除外溶質を含む酸性水溶液の存在下で疎水性吸着剤(粒子)を用いて行われる。得られるLFの最終純度は、95%超であった。
【0010】
米国特許第5861491号[13]は、組み換えヒトLF(rhLF)をコードする導入遺伝子の発現によって生成されたヒトLFを含むヒトLF及び他の関連LF種を、乳、典型的には牛乳から単離する方法を記載している。一般に、hLFを含む乳又は乳画分は、強カチオン交換樹脂への非LFタンパク質及び他の物質の結合を抑制するために、比較的高いイオン強度において強カチオン交換樹脂と接触させられる。そして、樹脂粒子は遠心分離によって乳から分離され、所定のカチオン交換樹脂に結合したLFは、その後、ステップモードにおいて様々な塩濃度を有するいくつかの緩衝液を用いて溶出される。hLF及びbLFの上位画分(top fractions)の純度は、約95%超である。
【0011】
欧州特許第0348508号[22]は、スルホン化架橋多糖類樹脂(粒子)を用いた生乳からのLF単離を開示している。
【0012】
カラムに吸着したLFは、より高いNaCl濃度を有する緩衝剤を用いてステップモードにおいて溶出される。脱脂したヒト初乳から得られたLFの純度は98%であり、ウシLFの純度は95%と測定された。
【0013】
米国特許第6096870号[23]に記載された方法は、ホエータンパク質(免疫グロブリン、β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、ウシ血清アルブミン、LF)の分離に関し、特に、強カチオン交換樹脂粒子を有するプレパッククロマトグラフィーカラムを用いた、ホエータンパク質の別個の画分への逐次分離に関する。前記タンパク質画分の逐次溶出は、ステップワイズモードにおいて好適なpH及びイオン強度の緩衝剤を用いて達成される。噴霧乾燥した最終生産物の純度は、免疫グロブリンでは80%以上、BSA及びLFでは75%以上、及びβ-ラクトグロブリンでは85%以上であった。
【0014】
米国特許第8603560号[24]は、カラムに充填されたカチオン交換樹脂を用いて、乳又はホエーから乳タンパク質を単離するプロセスを記載している。溶出は、pH又はイオン強度の段階的変化によって促進される。最終LF純度は、80%であった。
【0015】
カナダ特許第2128111号[25]は、工業規模で乳及び乳製品からLF及びLPOを単離するプロセスを記載している。単離は、前記タンパク質をカチオン交換体に吸着し、一つ以上の塩溶液を用いた段階的溶出によって、これらのタンパク質を別個に又は同時に溶出することによって達成される。単離タンパク質の最終純度に関する情報はない。
【0016】
欧州特許第0253395号[26]は、弱酸性カチオン交換樹脂を用いて、高純度で乳からウシLFを単離するプロセスを開示している。LFは、様々な濃度を有する塩化ナトリウム溶液を用いた段階的溶出によってイオン交換体から回収される。従来のローレル法によると、生成したLFの純度は90~99%になると測定される。
【0017】
米国特許第5596082号[27]は、工業規模で乳及び乳製品からLF及び酵素LPOを単離するプロセスを開示している。このプロセスは、乳又は乳誘導体をカチオン交換体に通すことによって、これらのタンパク質をカチオン交換体に吸着させる工程を含む。前記タンパク質の溶出は、様々な塩濃度を用いた段階的溶出によって促進される。LPO及びLFの最終純度は、それぞれ93%及び94%であった。
【0018】
米国特許第9115211号[28]に開示された発明は、カチオン交換樹脂を用いたLFの単離を記載している。記載された方法によって得られたLFは、純度が95%超であり、実質的にLPS、エンドトキシン及びアンギオゲニンを含まず、9%~15%の鉄飽和度を有する。
【0019】
欧州特許出願公開第2421894号[29]は、鉄飽和度が10%未満又はより好ましくは約9%~3.89%である低鉄分LFを調製する方法を記載している。このプロセスによって生成された低鉄分LFは、標準のLFと比べて高い抗菌活性を示す。このプロセスは、酸及び溶媒を使用する。Fe3+が放出された後、添加されたプロセス助剤はUF及びDFプロセスによって除去された。得られた生産物は、薄黄色/薄茶色であり、(HPLC/蛍光X線分析(XRF)による)鉄飽和度が3.89%~5.1%である。
【0020】
国際公開第2014/207678号[30]は、分泌液からLFを精製する方法を開示しており、この方法は、分泌液をアルカリ化すること、アルカリ化分泌液を空気と接触させること、そして有機溶媒(アセトン)を用いてアルカリ化分泌液からLFを析出させることを含む。
【0021】
国際公開第1995/022258号[31]は、乳、特にヒト以外の種の乳からヒトLFを精製する方法、及びヒト以外のLF種からの分離を含む、乳中に存在する不要な高分子種からヒトLFを分離する方法を開示している。単離を行うためには、強カチオン交換樹脂(例えば、S Sepharose(商標))が用いられる。タンパク質(LFなど)は、段階的な塩及びpHの勾配を利用して溶出された。
【0022】
G.Majka他(ラクトフェリン調製における鉄飽和度の定量化のためのハイスループット法、Anal. Bioanal. Chem.、405、5191~5200、2013)は、低い鉄含有量のウシラクトフェリンを得る方法を開示している。低い鉄含有量のラクトフェリンを得るためには、イオン交換クロマトグラフィーを行うだけでは不十分であった。したがって、イオン交換クロマトグラフィーは、100mMのクエン酸緩衝剤に対して24時間の大々的な透析法と組み合わされた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の一つの目的は、高純度な高活性ラクトフェリンの組成物を提供することである。
【0024】
本発明のもう一つの目的は、先行技術の課題の少なくともいくつかを解決するのに適切な方法を提供することである。
【0025】
高活性ラクトフェリンは、やや低い鉄飽和度(既に結合した鉄-A値)及び高い鉄結合ポテンシャル(鉄結合容量-C値)を特徴とする。
【0026】
本発明のもう一つの目的は、ラクトペルオキシダーゼを高純度で含む組成物を提供することである。
【0027】
本発明のさらにもう一つの目的は、ラクトフェリン又はラクトペルオキシダーゼをこれらのタンパク質を含む原料から高純度で製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
これらの目的は、ラクトフェリンタンパク質又はラクトペルオキシダーゼタンパク質を含む画分をこれらのタンパク質の少なくとも一つを含む原料から製造する方法によって達成され、前記原料は、乳、初乳、酸性又は甘性ホエーからなる群から選択され、強カチオン交換体特性を有するモノリスカラムを用いたクロマトグラフィー分離プロセスを利用し、分離プロセスにおいては、カラムに原料を導入後、pH勾配又はpH及び塩を組み合わせた勾配溶出が利用される。
【0029】
本発明の一つの実施形態では、pH勾配は、通常4.0~8.0未満のpH範囲内、好ましくは4.0~7.5のpH範囲内、より好ましくは約4.0~約7未満のpH範囲内、特に約4.5~約6.5未満のpH範囲内で開始する。
【0030】
本発明の他の実施形態では、pH勾配は、典型的には、約8~13未満のpH範囲内、好ましくは8~12のpH範囲内、特に8~12未満のpH範囲内で終了する。
【0031】
カラムに原料を導入する前に原料をろ過することが有利となり得る。
【0032】
本発明のさらに別の実施形態では、塩勾配は、塩濃度を増加させることによって行われ、特に塩勾配は、約5mS/cm~約55mS/cmの範囲内における伝導度に対応する。緩衝液のpHへの干渉を避けるため、塩濃度を調整するには中性塩を用いることが望ましい。食品工業プロセスにおいて用いられる塩、典型的には塩化ナトリウム、が特に有利である。
【0033】
前述の塩勾配と組み合わせて用いられるpH勾配は、典型的には、4.0~8.0未満のpH範囲内、好ましくは4.0~7.5のpH範囲内、より好ましくは4.0~7未満のpH範囲内、特に4.5~6.5未満のpH範囲内におけるpH値で開始する。塩勾配と組み合わせて用いられるpH勾配は、典型的には、8~13未満のpH範囲内、好ましくは8~12のpH範囲内、特に8~12未満のpH範囲内で終了する。
【0034】
本発明のさらに別の実施形態では、約8~約11未満のpH範囲、好ましくは8.0~10.0のpH範囲、さらに好ましくは8.2~10.0のpH範囲、特に約8.9~約10のpH範囲において溶出する画分Aが回収され得る。この画分は、典型的にはラクトペルオキシダーゼを含む。
【0035】
本発明のさらに別の実施形態では、10超~12.0のpH範囲、好ましくは10.4超~12のpH範囲、好ましくは約11超~約12のpH範囲、特に約11超~約11.7のpH範囲において溶出する画分Bが回収され得る。この画分は、典型的にはラクトフェリンを含む。
【0036】
本発明の方法の特に有用な実施形態では、クロマトグラフィー分離プロセスは、
(i)原料のpHを7未満の値、特にpH6.5未満に調整する工程、
(ii)工程(i)の原料を強カチオン交換体特性を有するモノリスカラムと接触させる工程、次いで、
(iii)勾配緩衝剤をカラムに流し、それによってpH値を増加させる工程、及び
(iv)約8~約11未満のpH範囲、好ましくは8.0~10.0のpH範囲、好ましくは8.2~10.0のpH範囲、特に約8.9~約10のpH範囲において溶出する画分Aを回収する工程、及び/又は
(v)10超~12.0のpH範囲、好ましくは約10.4超~約12のpH範囲、好ましくは11.0超~12.0のpH範囲、特に約11超~約11.7のpH範囲において溶出する画分Bを回収する工程、
(vi)任意で、画分A及び/又は画分Bを、特に、中和、濃縮及び保存などの処理によって、さらに処理する工程、
を含む。
【0037】
工程(ii)の前に、ラクトフェリン及び/又はラクトペルオキシダーゼを含む原料をろ過することが有利となり得る。
【0038】
本発明の方法の他の実施形態では、モノリスカラムは、工程(ii)の前に、約7未満、特に約6未満のpH値を有する平衡化緩衝剤を用いて平衡化され得る。
【0039】
強カチオン交換体特性を有するモノリスカラムは、特に、SO3H修飾モノリスカラム、-COOH修飾モノリスカラム、-OSO3H修飾モノリスカラム又は-OPO3H修飾モノリスカラムからなる群から選択される。本発明との関係において、SO3H、-COOH、-OSO3Hまたは-OPO3H修飾モノリスカラムは、また、酸性部分に対応する塩、特にナトリウム塩及びカリウム塩などのこれらのアルカリ塩を包含し、例えば、SO3Na、-COONa、-OSO3Na若しくは-OPO3Na又はSO3K、-COOK、-OSO3K若しくは-OPO3Kが挙げられる。
【0040】
本発明の方法によると、画分Bは典型的にはラクトフェリンを含み、画分Bよりも低いpH値で溶出する画分Aは典型的にはラクトペルオキシダーゼを含む。
【0041】
本発明のさらなる実施形態では、工程(iii)又は工程(iv)の前に、カラムは平衡化緩衝剤で洗い流され得る。
【0042】
典型的には、ラクトフェリン及びラクトペルオキシダーゼを含む画分は、例えば、乾燥、特に噴霧乾燥による乾燥などの更なる処理を施され得る。
【0043】
本発明の方法により、高純度のラクトフェリン又はラクトペルオキシダーゼが得られる。ラクトフェリンの純度は98%超であり、ラクトペルオキシダーゼの純度は78%超である。さらに、ラクトフェリンのC値は50%超又は60%超であり、ラクトフェリンのA値は1%超である。好ましくは、ラクトフェリンのC値は70%超であり、ラクトフェリンのA値は2%超である。好ましくは、ラクトフェリンのC値は、70.0%以上であり、好ましくは70.0%と80.0%との間であり、より好ましくは70.0%と77.0%との間である。好ましくは、ラクトフェリンのA値は、2.0%以上であり、好ましくは3.9%未満であり、好ましくは1.0%と7.0%との間であり、好ましくは2.0%と7.0%との間であり、好ましくは2.0%と5.0%との間であり、より好ましくは2%と4%との間である。
【0044】
本発明の他の実施形態によると、典型的には、工程(iv)又は工程(v)の後、モノリスカラムは、pHが約12超の緩衝剤で洗い流すことにより洗浄され得る。
【0045】
本発明の対象は、本発明の方法により得られるラクトフェリン又はラクトペルオキシダーゼを含む組成物でもある。ラクトフェリンのC値は60%超であり、A値は1%超である。好ましくは、ラクトフェリンのC値は70%超であり、A値は2%超である。好ましくは、ラクトフェリンのC値は70.0%以上であり、好ましくは70.0%と80.0%との間であり、より好ましくは70.0%と77.0%との間である。
【0046】
好ましくは、ラクトフェリンのA値は、1.0%と7.0%との間であり、好ましくは2.0%と7.0%との間であり、好ましくは2.0%と5.0%との間であり、より好ましくは2%と4%との間であり、好ましくは2.0%以上及び/又は好ましくは3.9%未満である。
【0047】
好ましくは、本発明の生産物のA+Cの値は、少なくとも61%であり、少なくとも72%であり、又は少なくとも73%である。
【0048】
本発明の方法は、
・乳、初乳及び酸性又は甘性ホエーからLF及びLPOを単離する迅速かつ簡単な方法、
・高純度な目的タンパク質(例えば、純度が98%超のLF)を得ることができる、LF及びLPO単離のための線形pH勾配を用いた単一のクロマトグラフィー工程単離プロセス、
・開示された方法によって得られた生産物(LFタンパク質)であり、不飽和鉄結合能(UIBC)を測定するために確立された方法によると、高活性(C値が70%超、LF用C値決定キット、株式会社NRLファーマ製)であり、既に結合した鉄の量(A値が3.9%未満、LF用A値決定キット、株式会社NRLファーマ製)が少なく、これらは市場で入手可能なLFのなかでも優れた特徴である。前記生産物は、特殊な化学物質を使用することなく、オンサイトで(モノリスカチオン交換体において)行われる、経済的で手段的に無理のない方法によって製造される。
・少ない量の鉄(A値が3.9%未満)を含むと同時にアンギオゲニンを含まないLFの製造を可能にする方法、
・高い総生物活性(C値+A値が72%超)を有するLFの製造を可能にする方法、
・製造規模まで容易にスケールアップでき、高純度及び高生物活性であるLF及びLPOのコスト効率の高い製造を可能にする方法、
・全体としてLFの85%超を回収できる、クロマトグラフィー、濃縮/脱塩及び乾燥プロセスを含む、LF/LPO単離の全プロセス、
・タンパク質の高分解能を妨げることなく、移動相の高流速(700L/m2/h)を可能にし、高生産性プロセスをもたらすクロマトグラフィープロセス、
・単離を目的としたタンパク質(例えば、ホエー)を有する媒質に化学物質を導入しないか、あるいは他の方法でその特性を変化させないプロセスであって、これにより他の生物化学産業プロセスにおいて媒質をさらに利用可能にするプロセス、
・既に結合した鉄を所定割合で有するLFの製造を可能にする方法、
を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】
図1は、LF溶出サブピークからなるLF溶出ピークのクロマトグラフを示す。この現象は、鉄含有量によるLF等電点(IEP)における僅かな差に起因する。Voswinkel他[32]は、鉄含有量の減少は、結果としてLFのIEPを僅かに低下させることを示した。
【
図2B】
図2Bは、市販のLF製品及びLFのクロマトグラフを示す。
【
図3】
図3は、一つの8Lモノリスカラム(CIMmultus(商標) SO3、BIAセパレーションズ社製)を用いた酸性ホエーからのLF単離スキーム及びプロセスの物質収支に関する基本情報を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
強カチオン交換基を有するモノリスカラムCIMmultus(商標) SO3-Strong CEX(BIAセパレーションズ社製)は、ろ過したホエー又は乳からLF及びLPOを別々に単離するための様々な溶出モードにおいて試験された。LF/LPOの導入は、ホエーの本来のpHで行われ、2つの目的タンパク質は、(I)pHの段階的増加、(II)伝導度ステップ、(III)線形伝導度勾配及び(IV)線形pH勾配によって、別々に溶出された。
【0051】
比較のために行われたステップ溶出モードの場合、得られたLFの純度は約95%であり、伝導度勾配の場合に得られた純度は95%よりも僅かに高くなった。驚くべきことに、本発明によると、増加するpH勾配、特に線形的に増加するpH勾配による溶出で、98%超のタンパク質純度が達成されることが見出された。純度は、HPLC、SDS-PAGE分析、バイオアナライザ及びSECクロマトグラフィーによって証明された。本発明の方法は、単一のクロマトグラフィー工程により、製造規模において、これらの結果を提供する。なお、欧州特許第0253395号において純度計算に用いられたローレル法[26]によると、本発明の方法により得られる生産物の算出純度は118%超である。この確立された計算方法は、古く、LF純度の正確な決定にはもはや適していないとみられる。
【0052】
線形pH勾配溶出の場合、LF溶出はいくつかの小さなサブピークからなることが分かった(
図1)。後者は、LFがタンパク質の鉄含有量レベルで、低いものから高いものまで分離されたことを示唆している。この理由は、他者によって既に議論され証明されている[32]。
【0053】
濃縮されたLF水分散液は噴霧乾燥又は凍結乾燥機によって乾燥され、その後、LFの不飽和鉄結合能(UIBC)が測定された。株式会社NRLファーマによって提供された鉄比色分析キットによると(詳細な原理はIto他[33]によって公表された)、本発明の方法によって得られたLFは、2%と4.9%との間の鉄飽和度(既に結合した鉄-A値)を有していた。不飽和鉄結合能(UIBC)とも呼ばれる鉄結合ポテンシャル(鉄結合容量-C値)は、70%超であった。前記結果は、A値及びC値がそれぞれ4.6~11.7%及び34.4~52.1%の間に位置する市販品と比べて、上位を占める(表1を参照)。同時に、市販品の総生物活性(C値+A値)は、通常、本発明の生産物と比べて低い。
【0054】
【0055】
本発明の方法は、ラクトフェリンタンパク質又はラクトペルオキシダーゼタンパク質を含む画分をこれらのタンパク質の少なくとも一つを含む原料から製造する方法を提供し、前記原料は、乳、初乳、酸性又は甘性ホエーからなる群から選択され、強カチオン交換体特性を有するモノリスカラム、特に-SO3H修飾モノリスカラムを用いたクロマトグラフィー分離プロセスを利用し、分離プロセスにおいて、カラムに原料を導入後、pH勾配溶出を利用する。
【0056】
モノリスカラムは、一般的に中空体を備えたクロマトグラフィー分離装置であり、モノマーのポリメリセート(polymerisate)である多孔質固体材料を含む。前記材料の孔は、例えば、重合プロセスの間に形成される(米国特許第4923610号、米国特許第4952344号、米国特許第4889623号)。
【0057】
好適な装置は、例えば、欧州特許第1058844号及び欧州特許第777725号などの先行技術文献に記載されており、市場で入手可能である。本発明で用いられるモノリスクロマトグラフィー材料は、特に多孔質材料の表面に露出している-SO3H部分によって修飾されている。-SO3H基による表面修飾は、前記材料にいわゆる強カチオン交換特性(CAX)を提供する。当業者なら、例えば、弱カチオン交換体に分類される他の材料を知っている。これに対して、他の目的でアニオン交換体(AEX)が用いられ得る。
【0058】
pH勾配クロマトグラフィーは、pHを開始値から終点まで増加させることによって行われる。略線形に設計することもできるが、本発明の結果、すなわち本発明のラクトフェリン及び/又はラクトペルオキシダーゼが得られる限り、異なる軌道でもよい。当業者は、そのような勾配クロマトグラフィーをどのように実行するかを知っている。本発明の明示的かつ暗示的な開示に基づく、カチオン勾配クロマトグラフィー条件の最適化は、当業者の通常の行為の範囲内であり、過度な負担のかかる実験を要しない。
【0059】
再現性のある処理条件を確立するために、pH勾配による実際の分離の前に、モノリスカラムを平衡化することが有利であり得る。この場合、カラムは平衡化緩衝剤で洗い流される。典型的には、カラムのデッドボリュームの8~12倍に相当する体積の平衡化緩衝剤でカラムは洗い流される。クロマトグラフィーの開始pH値の選択は、LF及び/又はLPOを含む原料のpH値による影響をある程度受ける。例えば、酸性ホエーがLF及び/又はLPOの原料である場合、平衡化のためのpH値は4.6となり得、甘性ホエーを使用する場合のpH値は、より高い値、すなわち5.0~6.5となり得る。
【0060】
カラムに原料を導入する前に原料をろ過することが有利であり得る。一般に、乳製品産業において使用されるろ過手段を用いることができる。特に有用なのは、セラミックTFFフィルター、スパイラル型膜又は他の連続ろ過法である。
【0061】
原則として、pH勾配クロマトグラフィーは、モノリスカラムに原料を導入した後に開始することができる。しかし、pH勾配クロマトグラフィーを開始する前に、不純物を除去するために、平衡条件付近のpH値でカラムをさらに洗い流すことが有用であり得る。これにより、LF及び/又はLPOの分離がそのpH値で溶出するタンパク質または他の混入物質により汚染されないため、製造されるタンパク質の分離が補助される。
【0062】
pH勾配は、典型的には、4.0~8.0未満のpH範囲内、好ましくは4.0~7.5のpH範囲内、好ましくは約4.0~約7未満のpH範囲内、特に約4.5~約6.5未満のpH範囲内におけるpH値で開始する。pH勾配は、典型的には、約8~13未満のpH範囲内、好ましくは8~12のpH範囲内、特に8~12未満のpH範囲内で終了する。
図1は、pH勾配クロマトグラフィーの典型的な軌道を図示している。
【0063】
溶出緩衝剤のイオン強度もまた分離に何らかの影響を及ぼす可能性があることに留意するべきである。イオン強度はまた、必要なpH勾配をカバーするクロマトグラフィー分離の間の増加勾配に従う可能性がある。前述の塩勾配と組み合わせて用いられるために必要なpH勾配は、典型的には、4.0~8.0未満のpH範囲内、好ましくは4.0~7.5のpH範囲内、好ましくは4.0~7未満のpH範囲内、特に4.5~6.5未満のpH範囲内におけるpH値で開始する。塩勾配と組み合わせて用いられるpH勾配は、典型的には、8~13未満のpH範囲内、好ましくは8~12のpH範囲内、特に8~12未満のpH範囲内で終了する。
【0064】
例えば、LPOは、イオン強度が約15mS/cmの伝導度に相当する場合、約8~約11未満のpH範囲で溶出するが、伝導度が4mS/cmから55mS/cmに、好ましくは5mS/cmから55mS/cmに増加する場合は、約6.6~約7.5のpH範囲内のより低いpHで溶出する。LFの溶出は、同様の形態に従う。伝導度が中程度で一定のままである場合、LFは約10.7~約11.7のpH範囲内で溶出するが、伝導度が4mS/cmから55mS/cmに、好ましくは5mS/cmから55mS/cmに増加する場合は、LFは約9.6~約10.7のpH範囲内のより低いpHで溶出する。イオン強度、すなわち伝導度は、適切な塩を添加することによって調整することができる。適切な塩を使用することにより、溶出緩衝剤のpH値を調整してもよい。
【0065】
約8~約11未満のpH範囲、好ましくは8.0~10.0のpH範囲、好ましくは8.2~10.0のpH範囲、特に約8.9~約10のpH範囲、又は約5~55mS/cmのより高い伝導度においては約6.6~約7.5のpH範囲において溶出する画分Aは、回収される。この画分は、典型的にはラクトペルオキシダーゼを含む。10超~12.0のpH範囲、好ましくは10.4超~12のpH範囲、好ましくは約11超~約12のpH範囲、特に約11超~約11.7のpH範囲、又は約9.6~約10.7のpH範囲(より高い伝導度:約5~55mS/cm)において溶出する画分Bは、回収される。この画分は、典型的にはラクトフェリンを含む。
【0066】
以下に、本発明の方法の典型的な工程を説明する。LF及びLPOが溶出するpH範囲は、約15mS/cmの中程度の伝導度に対応する。クロマトグラフィー分離プロセスは、
(i)原料のpHを7未満の値、特にpH6.5未満に調整する工程、
(ii)工程(i)の原料を強カチオン特性を有するモノリスカラム、特に-SO3修飾モノリスカラムと接触させる工程、次いで、
(iii)勾配緩衝剤をカラムに流し、それによってpH値を増加させる工程、及び
(iv)約8~約11未満のpH範囲、好ましくは8.0~10.0のpH範囲、好ましくは8.2~10.0のpH範囲、特に約8.9~約10のpH範囲において溶出する画分Aを回収する工程、及び/又は
(v)10超~12.0のpH範囲、好ましくは約10.4超~約12のpH範囲、好ましくは11超~12のpH範囲、特に約11超~約11.7のpH範囲において溶出する画分Bを回収する工程、
(vi)任意で、画分A及び/又は画分Bを、特に、中和、濃縮及び保存などの処理によって、さらに処理する工程、
を含む。
【0067】
不要な物質を除去するため、ラクトフェリン及び/又はラクトペルオキシダーゼを含む原料は、工程(ii)の前に、セラミックフィルターを通してろ過される。
【0068】
モノリスカラムは、工程(ii)の前に、約7未満、特に約6未満のpH値を有する平衡化緩衝剤を用いて平衡化される。工程(iii)又は工程(iv)の前に、カラムは平衡化緩衝剤で洗い流される。
【0069】
ラクトフェリン及びラクトペルオキシダーゼを含む画分を回収した後、これらは噴霧乾燥によりさらに処理される。
【0070】
得られたラクトフェリン又はラクトペルオキシダーゼは高純度である。ラクトフェリンの純度は98%超であり、ラクトペルオキシダーゼの純度は78%超である。さらに、ラクトフェリンのC値は60%以上であり、ラクトフェリンのA値は1%以上である。好ましくは、ラクトフェリンのC値は70%超であり、ラクトフェリンのA値は2%超である。好ましくは、ラクトフェリンのC値は、70.0%以上であり、好ましくは70.0%と80.0%との間であり、より好ましくは70.0%と77.0%との間である。好ましくは、ラクトフェリンのA値は、1.0%と7.0%との間であり、好ましくは2.0%と7.0%との間であり、好ましくは2.0%と5.0%との間であり、より好ましくは2%と4%との間であり、好ましくは2.0%以上及び/又は好ましくは3.9%未満である。
【0071】
本発明の他の実施形態によると、典型的には、工程(iv)又は工程(v)の後、モノリスカラムは、pHが約13超の緩衝剤で洗い流すことにより洗浄される。
【0072】
洗浄工程は、1~3時間の接触時間で、脱イオン水(10-15cv)、1MのNaOH(4-10cv)でカラムを洗い流し、再び水(30cv超)で洗い流すことによって行われる。この工程は、クロマトグラフィーを8~10回実行する毎に行ってもよい。
【0073】
本発明の方法による新規アプローチの独自性は、(I)タンパク質が単離される原料(例えば、ホエー)の化学的修飾を必要せず、標準的なろ過法を用いて単に事前ろ過すればよく、(II)他のプロセス(例えば、欧州特許出願公開第2421894号[29])とは異なり、安価な化学物質(緩衝剤)を少量使用し、(III)LPO及びLFの高純度な分離画分を提供し、(IV)既に結合した鉄を所定割合で有するLFの製造を可能にし、さらに(V)タンパク質溶出分散液の脱塩/濃縮及び乾燥の製造工程を含めて85%超の高いタンパク質回収率をもたらす、ということにもある。
【0074】
本明細書に引用された全ての参考文献は、本明細書の明示的な教示と矛盾しない限り、その全範囲が、本明細書に参照により取り込まれる。
【0075】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明され、例示される。
【実施例】
【0076】
<分析>
[HPLC分析]
サンプル中のLF及びLPOを特定するために、MWD多波長検出器及びpH測定キットを有する伝導度モニターを備えたクロマトグラフィーシステム(PATfix(商標)、BIAセパレーションズ社製、アイドフシュチナ、スロベニア)を使用した。クロマトグラフィー分離は、3.5mS/cmから152mS/cmに増加させた伝導度勾配モードで、2つのリン酸ナトリウム一塩基緩衝液(25mM、pH=7.5)を使用して、CIMac SO3-0.1(孔1.3μm、BIAセパレーションズ社製、アイドフシュチナ、スロベニア)分析カラムにおいて実行した。分析されたタンパク質の溶出は、226nmにおいてMWD検出器によって観察された。クロマトグラフィー法に関する詳細な情報は表2に示され、いくつかの分析したサンプルのクロマトグラムは
図1及び2に示されている。すべてのサンプルは、分析の前に、CHROMAFIL(商標) A-45/25(孔径0.45μm)セルロース混合エステルフィルターを用いてろ過された。
【0077】
【0078】
[C値及びA値の決定]
乾燥LFサンプルのC値及びA値を決定するために、株式会社NRLファーマ(日本)によって提供された鉄比色分析キットを使用し(詳細な原理はIto他[33]によって公表された)、乾燥サンプル及び液体サンプルのA値を決定するために、HPLC法と組み合わせて、文献[33、34]に記載されたアプローチと同じものを用いた。
【0079】
[C値の決定]
LFのC値を決定するために、LFは公知の過剰量の鉄で飽和された。残留鉄はキレート試薬(最大吸収波長760nm)で着色された。残留鉄は760nmで分光光度法で定量化される。鉄錯体の連続希釈液を調製し、検量線を760nmで分光光度法で決定する。結合した鉄は、添加した鉄から残留鉄を差し引くことで算出される。C値は相対的に示され、LFの算出された理論鉄結合容量(LFの各分子は2個の鉄原子に結合できる)は100%として設定される。
【0080】
[C値の計算]
M(Fe):鉄の分子量、M(LF):LFの分子量
c(Fe
Start):鉄の開始濃度、c(Fe
End):残留鉄の濃度
【0081】
[A値の決定]
LFのA値を決定するために、LFは変性試薬で変性され、放出された鉄はキレート試薬(最大吸収波長760nm)で着色された。放出された鉄は760nmで分光光度法で定量される。鉄錯体の連続希釈液を調製し、検量線を760nmで分光光度法で決定する。既に結合した鉄(A値)は、相対的に示され、1個のLF分子に結合した2個の鉄原子は100%として定義される。
【0082】
[A値の計算]
M(Fe):鉄の分子量、M(LF):LFの分子量
【0083】
[試験的システムのスキーム]
図3は、LF/LPO単離法における原理に関するフローシート及び1回のクロマトグラフィー実験の規模におけるプロセスの物質収支の概算値を示す。LF/LPO単離の前に、1100Lの酸性ホエーは、0.8μm未満の孔径を有するセラミックTFFフィルターシステムを用いてろ過される。次いで、ろ過したホエー(1000L)は、平衡化されたクロマトグラフィーカラムに送り出される。その後、カラムに結合したLF及びLPOは、様々な緩衝液の組み合わせによって溶出される。次いで、溶出した画分は濃縮され、必要に応じて脱塩される。濃縮タンパク質の乾燥後、60~90gの乾燥LF生産物が得られる。僅かに変化したフロースルーホエー及びホエースラリーは、別個で又は混合され、下流においてさらに使用又は処理され得る。
【0084】
<実施例1>
モノリスカラム、80mL CIMmultus(商標) SO3(BIAセパレーションズ社製)は、導入前に、800mLの緩衝液A(リン酸ナトリウム又はクエン酸緩衝剤:5~50mM、pH=4.6)を用いて平衡化された。平衡化後、ろ過された酸性ホエーは、LF及びLPOのカラム容量に達するまでカラムに送り出された。カラム容量の飽和は、分析の項目で説明されたHPLC法により、カラムの流出側におけるフロースルーサンプルを分析することによって確認された。0.24L/minの流速でカラムに送り出されたホエーの体積は、通常、処理されたホエー中のLF/LPO濃度に主に依存して、10~20Lであった。その後、カラムは緩衝液Aで洗い流された。LF及びLPOの分離は、線形pH勾配モードにおいて、2つの緩衝液(クエン酸ナトリウム緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、TRIS緩衝剤及び炭酸塩緩衝剤の混合物、4~50mM、pH=4.6及び12.0)を使用してカラムを洗い流すことによって、開始された。pHは、4.6~12.0の範囲内で徐々に線形的に変化させた。LPO/LF溶出のpH範囲は、それぞれ8.9~10及び11~11.7であった。分離操作の結果は、クロマトグラフ的に非常によく分離されたLPO及びLFの2つの溶出画分であり、これらはさらに別々に容易に処理された。引き続く工程において、単離されたタンパク質の画分は、少量の好適な酸性溶液を用いてpH=6に中和され、1~50kDaの孔径を有するTFF膜を用いて濃縮され、そして噴霧乾燥された。LF及びLPOの最終純度は、それぞれ98%超及び70%超であった。LFのC値及びA値は、それぞれ71%及び3.4%であると決定された。
【0085】
<実施例2>
モノリスカラム、80mL CIMmultus(商標) SO3(BIAセパレーションズ社製)は、導入前に、緩衝液B(リン酸ナトリウム又はクエン酸緩衝剤:5~50mM、甘性ホエーのpHと同じpH=5.0~6.5)を用いて平衡化された。その後、甘性ホエーは、LF及びLPOのカラム容量に達するまでカラムに流された。カラム容量の飽和は、分析の項目で説明されたHPLC法により、カラムの流出側におけるフロースルーサンプルを分析することによって確認された。0.24L/minの流速でカラムに送り出されたホエーの体積は、通常、処理されたホエー中のLF/LPO濃度に主に依存して、10~40Lであった。その後、カラムは緩衝液Bで洗い流された。LF及びLPOの分離は、線形pH勾配モードにおいて、2つの緩衝液(クエン酸ナトリウム緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、TRIS緩衝剤及び炭酸塩緩衝剤の混合物、4~50mM、pH=5.0及び12.0)を使用してカラムを洗い流すことによって、開始された。pHは、5.0~12.0の範囲内で徐々に線形的に変化させた。LPO/LF溶出のpH範囲は、それぞれ8.9~10及び11~11.7であった。前述の操作の結果は、クロマトグラフ的に非常によく分離されたLPO及びLFの2つの画分であり、これらはさらに別々に容易に処理された。引き続く工程において、単離されたタンパク質の画分は、少量の好適な酸性溶液を用いてpH=6に中和され、1~50kDaの孔径を有するTFF膜を用いて濃縮され、そして噴霧乾燥された。LF/LPOの最終純度は、98%超又は70%超であった。LFのC値及びA値は、それぞれ70.2%及び3.9%であると決定された。
【0086】
<実施例3>
モノリスカラム、8L CIMmultus(商標) SO3-Strong CEX(BIAセパレーションズ社製)は、導入前に、40~80Lの緩衝液C(NaClを添加した、リン酸ナトリウム又はクエン酸緩衝剤:5~50mM、pH=4.6及び15mS/cmの伝導度)を用いて平衡化された。その後、酸性ホエーは、LF及びLPOのカラム容量に達するまでカラムに流された。カラム容量の飽和は、分析の項目で説明されたHPLC法により、カラムの流出側におけるフロースルーサンプルを分析することによって確認された。8L/minの流速でカラムに送り出されたホエーの体積は、通常、処理されたホエー中のLF/LPO濃度に主に依存して、1000~2000Lであった。その後、カラムは緩衝液Cで洗い流された。LF及びLPOの分離は、線形pH勾配モードにおいて、2つの緩衝液(NaClを添加した、クエン酸ナトリウム緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、TRIS緩衝剤及び炭酸塩緩衝剤の混合物、4~50mM、pH=4.6及び12.0)を使用してカラムを洗い流すことによって行われた。pHは4.6~12.0の範囲内で徐々に線形的に変化させ、伝導度(15mS/cm)は、線形pH勾配の全体を通して一定であった。LPO/LF溶出のpH範囲は、それぞれ8.2~9.3及び10.7~11.2であった。前述の操作の結果は、クロマトグラフ的に非常によく分離されたLPO及びLFの2つの溶出画分であり、これらはさらに別々に容易に処理された。引き続く工程において、回収されたタンパク質の画分は、先ず、少量の好適な酸性溶液を用いてpH=6に中和され、1~50kDaの孔径を有するTFF膜を用いて脱塩及び濃縮され、そして噴霧乾燥により乾燥された。LF/LPOの最終純度は、98%超又は75%超であった。LFのC値及びA値は、それぞれ74.2%及び2.5%であると決定された。
【0087】
<実施例4>
モノリスカラム、8L CIMmultus(商標) SO3-Strong CEX(BIAセパレーションズ社製)は、導入前に、緩衝液C(リン酸ナトリウム又はクエン酸緩衝剤:5~50mM、甘性ホエーのpHと同じpH=5.0~6.5)を用いて平衡化された。その後、酸性ホエーは、LF及びLPOのカラム容量に達するまでカラムに流された。カラム容量の飽和は、分析の項目で説明されたHPLC法により、カラムの流出側におけるフロースルーサンプルを分析することによって確認された。8L/minの流速でカラムに送り出されたホエーの体積は、通常、処理されたホエー中のLF/LPO濃度に主に依存して、1000~2000Lであった。IEPが7.5未満であるタンパク質は、先ず、pH=7.5の緩衝液Cを用いてpHステップ溶出モードにより溶出され、その後、LF及びLPOの分離は、実施例2の緩衝液と同じ緩衝液を使用し、線形pH勾配モードにおいてカラムを洗い流すことで行われた。pHは7.5~12.0の範囲内で徐々に線形的に変化させた。LPO/LF溶出のpH範囲は、それぞれ8.9~10及び11~11.7であった。別々に回収されたLPO及びLFの溶出画分は、その後、少量の好適な酸性溶液を用いてpH=6に中和され、1~50kDaの孔径を有するTFF膜を用いて濃縮され、そして噴霧乾燥により乾燥された。LF及びLPOの最終純度は、それぞれ98%超又は75%超であった。LFのC値及びA値は、それぞれ72.6%及び2.8%であると決定された。
【0088】
<実施例5>
モノリスカラム、8L CIMmultus(商標) SO3-Strong CEX(BIAセパレーションズ社製)は、導入前に、緩衝液C(NaClを添加した、リン酸ナトリウム又はクエン酸緩衝剤:5~50mM、pH=4.6及び15mS/cmの伝導度)を用いて平衡化された。その後、酸性ホエーは、LF及びLPOのカラム容量に達するまでカラムに流された。カラム容量の飽和は、分析の項目で説明されたHPLC法により、カラムの流出側におけるフロースルーサンプルを分析することによって確認された。8L/minの流速でカラムに送り出されたホエーの体積は、通常、処理されたホエー中のLF/LPO濃度に主に依存して、1000~2000Lであった。その後、カラムは緩衝液Cで洗い流された。IEPが7.5未満であるタンパク質は、先ず、pH=7.5の緩衝液Cを用いてpHステップ溶出モードにより溶出され、その後、LF及びLPOの分離は、実施例3の緩衝液と同じ緩衝液を使用し、線形pH勾配モードにおいてカラムを洗い流すことで行われた。pHは7.5~12.0の範囲内で徐々に線形的に変化させ、伝導度(15mS/cm)は、pH勾配の全体を通して一定であった。LPO/LF溶出のpH範囲は、それぞれ8.2~9.3及び10.7~11.2であった。別々に回収されたLPO及びLFの溶出画分は、その後、少量の好適な酸性溶液を用いてpH=6に中和され、1~50kDaの孔径を有するTFF膜を用いて濃縮され、そして噴霧乾燥法により乾燥された。LF及びLPOの最終純度は、それぞれ98%超又は80%超であった。LFのC値及びA値は、それぞれ71.6%及び3.2%であると決定された。
【0089】
<実施例6>
モノリスカラム、8L CIMmultus(商標) SO3-Strong CEX(BIAセパレーションズ社製)は、導入前に、緩衝液C(リン酸ナトリウム又はクエン酸緩衝剤:5~50mM、pH=4.6)を用いて平衡化された。その後、酸性ホエーは、LF及びLPOのカラム容量に達するまでカラムに流された。カラム容量の飽和は、分析の項目で説明されたHPLC法により、カラムの流出側におけるフロースルーサンプルを分析することによって確認された。8L/minの流速でカラムに送り出されたホエーの体積は、通常、処理されたホエー中のLF/LPO濃度に主に依存して、1000~2000Lであった。その後、カラムは緩衝液Cで洗い流された。IEPが7.5未満であるタンパク質は、先ず、pH=7.5の緩衝液Cを用いてpHステップ溶出モードにより溶出され、その後、LF及びLPOの分離は、2つの緩衝液(好適な伝導度を得るためにNaClを添加した、クエン酸ナトリウム緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、TRIS緩衝剤及び炭酸塩緩衝剤の混合物、4~50mM、pH=4.6及び12.0)を使用してカラムを洗い流すことによって行われた。pHは7.0~12.0の範囲内で徐々に変化させ、その間、伝導度の勾配を4mS/cmから55mS/cmに増加させた。LPO/LF溶出のpH範囲は、それぞれ6.6~7.5及び9.6~10.7であった。別々に回収されたLPO及びLFの溶出画分は、その後、少量の好適な酸性溶液を用いてpH=6に中和され、1~50kDaの孔径を有するTFF膜を用いて脱塩及び濃縮され、噴霧乾燥法により乾燥された。LF及びLPOの最終純度は、それぞれ98%超又は85%超であった。LFのC値及びA値は、それぞれ76.1%及び2.0%であると決定された。
【0090】
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【国際調査報告】