IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロードの特許一覧

特表2022-513632支持されるべき領域を含む熱交換器を製造するための方法及びそのような方法を用いて製造された熱交換器
<>
  • 特表-支持されるべき領域を含む熱交換器を製造するための方法及びそのような方法を用いて製造された熱交換器 図1
  • 特表-支持されるべき領域を含む熱交換器を製造するための方法及びそのような方法を用いて製造された熱交換器 図2
  • 特表-支持されるべき領域を含む熱交換器を製造するための方法及びそのような方法を用いて製造された熱交換器 図3
  • 特表-支持されるべき領域を含む熱交換器を製造するための方法及びそのような方法を用いて製造された熱交換器 図4
  • 特表-支持されるべき領域を含む熱交換器を製造するための方法及びそのような方法を用いて製造された熱交換器 図5
  • 特表-支持されるべき領域を含む熱交換器を製造するための方法及びそのような方法を用いて製造された熱交換器 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】支持されるべき領域を含む熱交換器を製造するための方法及びそのような方法を用いて製造された熱交換器
(51)【国際特許分類】
   B21D 53/04 20060101AFI20220202BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20220202BHJP
   F28F 3/08 20060101ALN20220202BHJP
【FI】
B21D53/04 C
F28D9/02
F28F3/08 301A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529420
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(85)【翻訳文提出日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 FR2019052761
(87)【国際公開番号】W WO2020109698
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】1871822
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】マリー、カミーユ
(72)【発明者】
【氏名】マスリア、エリック
(72)【発明者】
【氏名】アマン、ルドヴィック
(72)【発明者】
【氏名】ゲゲン、アルノー
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103DD51
(57)【要約】
本発明は、a)少なくとも1種の流体の流れに適した複数の通路(3)をプレート(2)間に画定するように相互に平行な複数のプレート(2)を間隔を置いて積み重ねるステップであって、前記通路(3)は周縁(4)によって区切られ、少なくとも1つの通路(3)は、周縁(4)の少なくとも1つの開口部(5)を介して通路(3)の外側に開口する、支持されるべき少なくとも1つの領域(12)を含む、積み重ねるステップ;b)支持されるべき領域(12)に、少なくとも1つの支持部材(11)を配置するステップ;c)支持部材(11)を備えるプレート(2)のスタックをろう付けするステップ;及びd)開口部(5)を介して、支持されるべき領域(12)から支持部材(11)を除去するステップを含む、ろう付けプレートタイプの熱交換器(1)を製造する方法に関する。本発明によれば、支持部材(11)は変形可能であり、ステップd)において、支持部材(11)の少なくとも一部の変形及び支持部材(11)の通路(3)の外側への並進運動を引き起こすように、引張力が支持部材(11)に加えられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種の流体の流れに適した複数の通路(3)をプレート(2)間に画定するように間隔を置いていくつかの相互に平行なプレート(2)を積み重ねるステップであって、前記通路(3)は周縁(4)によって区切られ、少なくとも1つの通路(3)は、周縁(4)の少なくとも1つの開口部(5)を介して前記通路(3)の外側に開口する、支持されるべき少なくとも1つの領域(12)を含む、積み重ねるステップ、
b)支持されるべき前記領域(12)に、少なくとも1つの支持部材(11)を配置するステップ、
c)前記支持部材(11)を備えるプレート(2)のスタックをろう付けするステップ、及び
d)前記開口部(5)を介して、支持されるべき前記領域(12)から前記支持部材(11)を除去するステップ、
を含む、ろう付けプレートタイプの熱交換器(1)を製造する方法であって、
前記支持部材(11)が変形可能であり、ステップd)において、前記支持部材(11)の少なくとも一部の変形及び前記支持部材(11)の前記通路(3)の外側への並進運動を引き起こすように、引張力が前記支持部材(11)に加えられること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記支持部材(11)が、前記積み重ねステップa)の間に、支持されるべき前記領域(12)に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記支持部材(11)が塑性変形を受けることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記引張力が、前記プレート(2)に平行であり且つ前記開口部(5)を備える前記周縁(4)に垂直な方向に全体的に向けられることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップb)において、前記支持部材(11)の一部が前記開口部(5)を越えて前記通路(3)の外側に延び、前記支持部材(11)の把持部分を形成することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記通路(3)が、長手方向(z)に延びる一対の周縁(4)と、横方向(x)に延びる別の一対の周縁(4)とを備え、一方又は他方の対が、それぞれ前記長手方向(z)又は前記横方向(x)に、互いに向き合って配置された2つの開口部(5)を有し、支持されるべき前記領域(12)は前記2つの開口部(5)を介して前記通路(3)の外側に開口していることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
支持されるべき前記領域(12)に2つの別個の支持部材(11)が配置され、引張力が前記2つの支持部材(11)のそれぞれに加えられ、それにより、各支持部材(11)の変形、及び前記それぞれの開口部(5)を介した前記通路(3)の外側へ向かう2つの反対方向の並進運動が引き起こされることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記支持部材(11)が、前記引張力の影響下で、前記プレート(2)の積み重ねの方向(y)に平行な少なくとも第1の方向と、前記プレート(2)に平行であり且つ前記開口部(5)を備える前記周縁(4)に垂直な第2の方向とにおいて同時に変形を受けることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記支持部材(11)が、ステップe)の前に、前記第2の方向で測定された初期寸法(Di)及び前記第1の方向で測定された初期高さ(hi)を有し、前記支持部材(11)が、前記引張力の影響下で、前記初期寸法(Di)の増加を受け、前記初期高さ(hi)の減少を受けることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プレート(2)が、所定の溶融温度を有するろう付け材料でコーティングされ、前記支持部材(11)が、完全に又は部分的に、前記所定の温度を超える溶融温度を有する第1の材料から形成されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記支持部材(11)が、第2の材料から形成された内部部分(11a)と、前記第1の材料から形成された2つの外部要素(11b)とを備え、各外部要素(11b)は、前記内部部分(11a)と、隣接するプレート(2)との間に配置され、前記第2の材料は、前記第1の材料の溶融温度よりも低い溶融温度を有することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記支持部材(11)が、第1の流体の流れのための複数のチャネル(13)を区切るように前記通路(3)内に延びるいくつかのフィン又は波脚(123)を備えることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記支持部材(11)が、波の頂部(121)及び波の谷部(122)によって交互に接続された一連の波脚(123)を含む波形製品(11、11a)を含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記フィン又は波脚(123)が、前記プレート(2)に平行であり且つ前記開口部(5)を備える前記周縁(4)に垂直な第1の方向において互いに連続することを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記支持部材(11)が、2.54センチメートルあたり少なくとも6脚、及び/又は2.54センチメートルあたり最大26脚の、第1の横方向に沿って測定された単位長さあたりの波脚又はフィン(123)の数として定義される密度を有することを特徴とする、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1種の流体の流れに適した複数の通路(3)をそれらの間に画定するように間隔を置いたいくつかの互いに平行に積み重ねられたプレート(2)を備え、前記通路(3)は周縁(4)によって区切られているろう付けプレート型熱交換器であって、少なくとも1つの通路(3)が、2つの反対側の周縁(4)の間に延びる支持されるべき少なくとも1つの領域(12)を含み、支持されるべき前記領域(12)はスペーサ要素を含まず、前記通路(3)は、長手方向(z)において第1の長さ(L1)にわたって、横方向(x)において第1の幅(D1)にわたって延在し、支持されるべき前記領域(12)は、前記通路(3)の前記第1の長さ(L1)又は前記第1の幅(D1)の少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%の、それぞれ前記長手方向(z)及び前記横方向(x)において測定された第2の長さ(L2)及び/又は第2の幅(D2)を有することを特徴とする、ろう付けプレート型熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持されるべき少なくとも1つの領域を有するろう付けプレートタイプの熱交換器を製造するための方法、及びそのような方法を用いて製造された熱交換器に関する。
【0002】
本発明は、特に、ガスの極低温分離、特に空気の極低温分離の分野で、加圧ガス状酸素を生成するために使用されるASU(空気分離ユニット)として知られているものにおいて用途を見出す。特に、本発明は、熱をガス流、例えば空気又は窒素と交換することによって、液体、例えば液体酸素、窒素及び/又はアルゴンの流れを気化させる熱交換器の製造に適用され得る。
【0003】
本発明はまた、少なくとも1種の他の流体、例えば天然ガスとの熱交換を通じて、液体-ガス混合物の少なくとも1種の流れ、特に多成分混合物、例えば炭化水素の混合物の流れを気化させる熱交換器に適用され得る。
【背景技術】
【0004】
熱交換器に一般的に使用されている技術は、ろう付けプレート型熱交換器の技術であり、これにより、大きな熱交換表面積を提供する非常にコンパクトな構成要素を得ることができる。これらの熱交換器は平行なプレートで構成され、それらプレートの間に熱交換構造、特に波形又は波が挿入され、かくして様々な流体が熱交換関係に置かれるための平らな通路のスタックを構成する。
【0005】
ろう付けプレート型熱交換器の熱交換構造は、熱交換のための熱交換器の表面積を増やす機能を有するだけでなく、プレート間のスペーサとしても機能する。
【0006】
具体的には、交換器が製造されているとき、圧縮装置を使用して、プレートのスタック、スペーサ要素、及び交換器の他の構成要素を一緒に押す。次に、これらの要素は、通常20000~40000N/mの範囲の圧縮力を加えて、550~650°Cの温度で真空炉内でろう付けすることによって相互に付着される。
【0007】
ろう付けサイクル中、セパレータプレートは高レベルの応力にさらされる。スペーサ要素は、熱交換器の通路に剛性を提供し、圧縮に耐える能力を提供し、プレートがクリープによって変形するのを防ぐ。
【0008】
ここで、特定の用途向けには、交換器の通路内に、流体が自由に循環できる領域、すなわち、流体の循環に障害がない自由体積又は領域を作り出すことが望ましい。そのような自由体積は、プレート間に配置されたスペーサ要素によってではなく、プレートに適用された特定のコーティングによって熱交換の強化が得られる交換器にも存在する。
【0009】
これらの構成では、通路は、ろう付け工程中にプレートが変形しやすい強度が低下した領域を完全に又は部分的に示す。これにより、ろう付けされた後の交換器の通路の機械的強度及び液密性が損なわれる。
【0010】
欧州特許出願公開第A-2271456号明細書は、ろう付け中の熱交換器の剛性を確保するために、スペーサのセットが熱交換器の通路に導入される熱交換器を製造する方法を教示している。このセットは、特定の形状のいくつかのスペーサが結合されて構成されており、各スペーサに回転運動を加えることによってその除去が実行される。
【0011】
さらに、DE-B-1190910号明細書は、ろう付け前の交換器の通路での剛性スペーサの使用を開示しており、ろう付け後、専用工具を使用してスペーサを引っ張ることによりスペーサは除去される。
【0012】
既存の解決策は、特に使用される保持構成要素の複雑さ、操作しなければならないかなりの数の要素、及び/又はろう付け作業後にそれらを除去することの困難さの結果として、完全に満足できるものではないことが見出されており、これは通路が損傷する原因となり得るものである。さらに、それらの形状のために、隣接するプレートと接触するための領域の表面密度は、既知の保持構成要素では不十分であり、これは支持されるべき領域の不均一な支持につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の注目するべき目的は、ろう付け中の交換器の機械的強度を確保することを可能にし、且つ従来技術の解決策のように実行が複雑ではない、ろう付けプレート型熱交換器を製造する方法を提案することによって、上記の問題の全部又は一部を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のために、本発明の主題は、
a)少なくとも1種の流体の流れに適した複数の通路をプレート間に画定するように間隔を置いていくつかの相互に平行なプレートを積み重ねるステップであって、前記通路は周縁によって区切られ、少なくとも1つの通路は、周縁の少なくとも1つの開口部を介して通路の外側に開口する、支持されるべき少なくとも1つの領域を含む、積み重ねるステップ、
b)支持されるべき領域に、少なくとも1つの支持部材を配置するステップ、
c)支持部材を備えるプレートのスタックをろう付けするステップ、及び
d)開口部を介して、支持されるべき領域から支持部材を除去するステップ、
を含む、ろう付けプレートタイプの熱交換器を製造する方法であって
ステップd)において、支持部材の少なくとも一部の変形及び前記支持部材の通路の外側への並進運動を引き起こすように、引張力が支持部材に加えられること、
を特徴とする方法である。
【0015】
場合に応じて、本発明による交換器は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る:
-支持部材は、積み重ねステップa)の間に、支持されるべき領域に配置される。
-支持部材は塑性変形可能である。
-支持部材は塑性変形を受ける。
-引張力は、全体的に、プレートに平行であり且つ開口部を備える周縁に垂直な方向に向けられる。
-ステップb)において、支持部材の一部が開口部を越えて通路の外側に延び、支持部材の把持部分を形成する。
-通路は、長手方向に延びる一対の周縁と、横方向に延びる別の一対の周縁とを備え、一方又は他方の対は、それぞれ長手方向又は横方向に、互いに向き合って配置された2つの開口部を有し、支持されるべき領域は2つの開口部を介して前記通路の外側に開口している。
-支持されるべき少なくとも1つの領域に2つの別個の支持部材が配置され、引張力が2つの支持部材のそれぞれに加えられ、それにより、各支持部材の変形、及びそれぞれの開口部を介した通路の外側へ向かう2つの反対方向の並進運動が引き起こされる。
-支持部材は、引張力の影響下で、プレートの積み重ねの方向に平行な第1の方向と、プレートに平行であり且つ開口部を備える前記少なくとも1つの周縁に垂直である、特に横方向及び長手方向の一方又は他方の第2の方向とにおいて同時に変形を受ける。
-支持部材は、ステップe)の前に、第2の方向で測定された初期寸法及び第1の方向で測定された初期高さを有し、支持部材は、引張力の影響下で、初期寸法の増加を受け、初期高さの減少を受ける。
-プレートは、所定の溶融温度を有するろう付け材料でコーティングされ、支持部材は、完全に又は部分的に、前記所定の温度を超える溶融温度を有する第1の材料から形成される。
-支持部材は、第2の材料から形成された内部部分と、第1の材料から形成された2つの外部要素とを備え、各外部要素は、内部部分と隣接するプレートとの間に配置され、第2の材料は、第1の材料の溶融温度よりも低い溶融温度を有する。
-支持部材は、第1の流体の流れのための複数のチャネルを区切るように、通路内に延びるいくつかのフィン又は波脚を備える。
-フィン又は波脚は、プレートに平行であり且つ開口部を備える周縁に垂直な第1の方向において互いに連続する。
-支持部材は、波の頂部及び波の谷部によって交互に接続された一連の波脚を含む波形製品を含む。
-支持部材は、2.54センチメートルあたり少なくとも6脚、及び/又は2.54センチメートルあたり最大26脚の、第1の横方向に沿って測定された単位長さあたりの波脚又はフィンの数として定義される密度を有する。
【0016】
さらに、本発明は、本発明による方法を用いて製造された熱交換器であって、少なくとも1種の流体の流れに適した複数の通路をそれらの間に画定するように間隔を置いて互いに平行に積み重ねられたいくつかのプレートを含み、少なくとも1つの通路は、通路の周縁を区切るように2つの連続するプレートの間に配置された閉鎖バーを備える熱交換器において、閉鎖バーの間で区切られた通路の体積がスペーサ要素を含まないことを特徴とする熱交換器に関する。
【0017】
好ましくは、ろう付けプレート型熱交換器は、周縁によって区切られた通路のスタックを備え、少なくとも1つの通路3は、2つの反対側の周縁の間に延びる支持されるべき少なくとも1つの領域を含み、前記支持されるべき領域はスペーサ要素を含まない。
【0018】
通路は、長手方向zにおいて第1の長さL1にわたって、横方向xにおいて第1の幅D1にわたって延在し得、支持されるべき領域は、通路の第1の長さL1又は第1の幅D1の少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%の、それぞれ長手方向z及び横方向xにおいて測定された第2の長さL2及び/又は第2の幅D2を有する。
【0019】
ここで本発明は、非限定的な例として与えられ、添付の図を参照する以下の記載のおかげで、より深く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による方法を用いて製造することができるろう付けプレート型熱交換器の三次元図である。
図2図1の交換器の部分図である。
図3図1の交換器の通路の長手方向断面図である。
図4】本発明の一実施形態による支持部材を備える通路のスタックの断面図である。
図5】本発明の別の実施形態による支持部材を備える通路のスタックの断面図である。
図6】本発明の一実施形態による支持部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、それぞれ長手方向zの長さ及び横方向xの幅の2次元に広がるプレート2のスタックを含むろう付けプレートタイプの熱交換器1を示す。プレート2は、互いに平行に、及び間隔を置いて上下に配置され、したがって、プレート2を介した間接的な熱交換関係に配置される流体F1、及び少なくとも1種類の他の流体F2、F3のための通路3のいくつかのセットを形成する。横方向xは長手方向zに直交し、プレート2に平行である。
【0022】
好ましくは、各通路は平らな平行六面体の形状を有する。通路は、長さが長手方向zに、幅が横方向xに延びる。プレート2の積み重ねの方向yで測定された、通路の高さに対応する2つの連続するプレート2の間のギャップは、各連続するプレートの長さ及び幅と比較して小さい。
【0023】
通路3は、通路を完全には閉じないが、対応する流体の出入りのために自由な開口部を残す閉鎖バー6によって境界を定められる。
【0024】
交換器1は、交換器1への流体の導入及び交換器1からの流体の排出のための開口部10を備えた半管状マニホルド7、9を備える。これらのマニホルドは、通路よりも狭い開口部を有する。入口マニホルドの下流及び出口マニホルドの上流に配置された分配ゾーンは、通路の幅全体に、又は通路の幅全体から流体を均一に導くために使用される。
【0025】
好ましくは、交換器1は、ろう付けされたプレート及びフィンタイプのものである。通路3の少なくとも一部は、フィンスペーサ要素8を備え、これは、プレート2に平行に、熱交換器の通路の幅を横切って及び長さに沿って有利に延びる。図示の例では、スペーサ要素8は、波形シートの形態の熱交換波を備える。この場合、波の連続する天辺と底を接続する波の脚は「フィン」と呼ばれる。スペーサ要素8はまた、所望の流体流れ特性に従って画定された他の特定の形状を採用することができる。より一般的には、「フィン」という用語は、一次熱交換面、すなわち熱交換器のプレートから熱交換器の通路に延びるブレード又は他の二次熱交換面をカバーする。
【0026】
本発明の文脈において、「スペーサ要素」という用語は、通路3の周縁4を少なくとも部分的に閉じるように配置され得るいかなる閉鎖バー6もカバーしないことに留意されたい。「スペーサ要素」とは、好ましくは、2つのプレート2の間に配置されたフィン付き熱交換構造、例えば熱交換波を意味する。
【0027】
本発明の文脈において、交換器の少なくとも1つの通路3は、支持されるべき(そして図1では見えない)少なくとも1つの領域12を含む。支持されるべきこの領域12は、好ましくは、スペーサ要素を欠く領域、すなわち、2つの隣接するプレート2の間に自由に残された体積である。
【0028】
支持されるべき領域12はまた、スペーサ要素を備えているが、フィンの密度が同一の通路3の別の領域よりも低いか、又はフィンの密度が別の隣接する通路3の別の領域よりも低い領域であり得る。
【0029】
通路3は、支持されるべき単一の領域12、又は支持されるべき複数の領域12を含み得、これらは横方向x又は長手方向zに沿って間隔を置いて配置され、例えば、支持されるべき領域12は、通路3の高さに延びる1つ又は複数の保持バーによって分離されることが明確に記載される。
【0030】
図2は、好ましくは横方向x及び長手方向zのペアとして相互に平行である周縁4によって区切られた通路3を示している。向き合って位置する縁は、反対側の面であると言われる。支持されるべき領域12は、周縁4に形成された少なくとも1つの開口部5を介して通路3の外側に開口している。
【0031】
本発明によれば、熱交換器をろう付けする前に、少なくとも1つの支持部材11が、支持されるべき領域12に配置される。ろう付け後、支持部材11は、少なくとも1つの引張力(矢印F)を加えることによって開口部5を通して除去される。この力は、支持部材11の変形及び通路3の外側に向かう並進運動を引き起こすように加えられる。
【0032】
したがって、支持部材11は、ろう付けによる熱交換器の組み立て中に、支持されるべき領域12に機械的剛性を提供し、支持部材11の除去は、それに複雑な動きを課す必要なしに、簡単且つ迅速に実行することができる。変形可能な支持部材11を使用することにより、除去が容易になり、それが挿入された通路3の損傷又は変形のリスクが低減される。
【0033】
支持部材11は、プレート2を積み重ねるステップの間又は後に、支持されるべき領域12に配置することができることに留意されたい。
【0034】
1つの有利な実施形態によれば、支持部材11は、プレート2を積み重ねるステップの間に、支持されるべき領域12に配置される。特に、それらの間に通路3を画定するために上下に積み重ねられる2つのプレートを考慮すると、支持部材11は、2つのプレートの一方が他方に積み重ねられる前に配置される。これは、したがって、積み重ねによって作り出されるマトリックス上での作業を回避し、交換器の動作を損ない得る、支持部材11を通路3に挿入する際のスタックの損傷又はスタックの1つの要素の移動のリスクを制限する。
【0035】
前記少なくとも1つの力Fは、可変又は一定の強度で支持部材11に連続的に又は数回加えることができることが強調される。
【0036】
好ましくは、支持部材は、少なくとも部分的に塑性変形可能である。支持部材は、全体的又は部分的に塑性変形、すなわち不可逆的変形を受けるように構成される。これにより、力Fを継続的に加える必要がないため、支持部材の除去がさらに容易になる。
【0037】
好ましくは、部材11の並進運動は、支持部材11の変形後又は変形中に始まる。これは、したがって、通路3を損傷又は変形するリスクをさらに低減する。
【0038】
引張力は、プレート2に実質的に平行であり、開口部5が配置されている周縁4の延在方向に垂直な方向に有利に向けられる。図2の構成では、開口部5は、長手方向zに平行な長手方向縁部上に配置され、力Fは横方向xに向けられる。
【0039】
好ましくは、支持部材11は、力Fの影響下で、力が加えられる方向、すなわち、図2の例では横方向x及びプレート2に直交する積層方向yにおいて同時に変形を受ける。
【0040】
有利には、支持部材11は、その初期寸法Diの増加を受け、Diは、プレート2に平行であり且つ開口部5を含む周縁4に垂直である第2の方向において、特に開口部5の位置及び引張力の方向に依存して横方向x又は長手方向zの一方又は他方において測定され、支持部材11はまた、その初期高さhiの減少を受け、hiは、積み重ね方向yに平行な第1の方向において測定される。
【0041】
好ましくは、支持部材11の変形前の高さは、部材11が積み重ね方向yに通路3の高さのほとんどすべて、又はすべてに延在するようなものであり、その結果、部材11と隣接するプレート2との間に遊びはまったく又はほとんど存在しない。これにより、熱交換器のろう付け中に効果的な支持が提供される。引張力の影響下での部材11の高さの減少は、通路3の外側に向かう部材11の並進運動を可能にする。
【0042】
有利には、支持部材11は、部材の一部が開口部5を越えて通路3の外側に延びるように、支持されるべき領域12に配置される。したがって、該当する周縁4の閉鎖バー6を越えて延びる部材の部分は、手動又は機械的な把持部分を形成し、これにより支持部材11の除去が容易になる。
【0043】
図2は、開口部5が長手方向zに平行な周縁4上に配置されている実施形態を示している。
【0044】
図3は、支持されるべき領域12が、反対側の周縁4に配置された2つの開口部5を介して通路3を貫き、通路3の外側に開いている実施形態を示す。反対側の開口部5は、図3に示されるように、一対の長手方向周縁に配置され得るか、又は横方向xに延びる一対の横方向周縁に配置され得る。
【0045】
次に、支持されるべき領域12に2つの支持部材11を配置することが有利であり、そのそれぞれは反対の引張力Fの影響下で開口部5の1つを介して取り除かれる。
【0046】
本発明の状況において、交換器1のいくつかの通路3が、支持されるべき少なくとも1つの領域12を有し得、これらの通路は、異なる構成、特に異なる数の開口部及び異なる縁部に配置された開口部を有することができることに留意されたい。
【0047】
交換器の要素をろう付けによって組み立てることを可能にするために、プレート2は、好ましくは、所定の溶融温度を有するろう付け剤又はろう付け材料でコーティングされる。
【0048】
有利には、支持部材11は、全体的又は部分的に、前記所定の温度を超える溶融温度を有する第1の材料から形成される。したがって、支持部材は、通路3のプレート2とろう付けされず、容易に取り外すことができる。
【0049】
図4は、支持部材11が、第2の材料から形成された内部部分11aと、第1の材料から形成された2つの外部要素11bとを含み、各外部要素11bが内部部分11aと隣接するプレート2との間に配置され、第2の材料が第1の材料の溶融温度よりも低い溶融温度を有する実施形態を示している。
【0050】
内部部分11aは、支持部材11の変形可能部分を構成し、2つの外部要素11bは、隣接するプレート2への部分11aのろう付けを防止する絶縁部品の役割を果たす。
【0051】
かくして、所定の溶融温度以下の溶融温度を潜在的に有することができる内部部分11aの材料の選択に関してより大きな自由度が提供される。例えば、外部要素11bは、鉄合金、特にステンレス鋼で形成することができる。内部部分は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成することができる。
【0052】
有利には、外部要素11bは、平らな構成要素、例えば、シート又はストリップの形態をとる。これにより、隣接するプレート2とほぼ連続的又は連続的な接触領域を有することが可能になり、したがって、支持されるべき領域12の機械的強度がさらに改善される。
【0053】
この実施形態では、本発明による方法は、好ましくは、2つのサブステップで実行される:変形を伴う引張力及び通路3の外側に向かう内部部分11aの並進運動による内部部分11aの除去、並びに外部要素11bの変形を伴わない2つの外部要素11bの除去。
【0054】
図5は、支持部材11が第1の材料のみから形成された構成要素である代替の実施形態を示している。例えば、プレート2にろう付けされることがないステンレス鋼などの鉄合金を第1の材料として使用することができる。
【0055】
好ましくは、支持部材11又はその内部部分11aは、フィンタイプのスペーサ要素の形態をとる。したがって、部材11は、二次熱交換面を形成し、流体の流れのための複数のチャネル13を区切るように、通路3内に延びるいくつかのフィン又は波脚を備える。したがって、本発明による方法は、従来の波形シートを支持部材として使用することができるので、低投資コストで、産業レベルで容易に実施される。さらに、このタイプの要素は、従来技術の支持構成要素によって提供されるよりも高い隣接するプレートとの接触領域の面密度を提供する。
【0056】
図6は、支持部材11が、波の頂部121及び波の谷部122によって交互に接続された一連の波脚123を備える波形製品11、11aを備える有利な実施形態を示す。好ましくは、波形製品は、図4の平面(y、z)で考慮される場合、波脚123が、プレート2に平行であり、開口部5を備える周縁4に垂直な方向に互いに連続するように、支持されるべき領域12に配置される。したがって、支持部材11は、プレート2に平行であり、周縁4に垂直な方向に展開することによって容易に変形する。展開は、引張力の影響による部材11の伸長及び部材11の高さの減少によって特に現れ、それによって部材11の通路3の外側への並進運動を可能にする。
【0057】
図6は、平坦な表面の波脚123を有する矩形の波の形態の支持部材11、11aの断面図である。支持部材11はまた、穿孔されているか否かを問わない、部分的にオフセットされた、波状又はヘリングボーン状の波形から選択される波形製品であり得る。
【0058】
好ましくは、支持部材11は、波形の方向、例えば図2図6の構成における横方向xに測定された、単位長さあたりの波脚又はフィンの数として定義される所定の密度を有する。好ましくは、前記密度は、2.54センチメートルあたり少なくとも6脚であり、好ましくは、2.54センチメートルあたり最大26脚である。そのような値は、支持部材の除去を容易にしながら、ろう付け中に通路3を効果的に補強することを可能にする。
【0059】
有利なことに、ろう付けプレート型熱交換器で従来見られるスペーサ要素を備えた通路3を考慮すると、支持部材11は、支持されるべき領域12と同じ通路3、又は支持されるべき領域を備える通路3に隣接する通路内に配置されたスペーサ要素の2.54センチメートルあたりの脚の数と同じかほとんど同じ2.54センチメートルあたりの脚の数を有する。
【0060】
長手方向zに測定された第1の長さL1にわたって延びる通路3の場合、支持されるべき領域12は、第1の長さL1の少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%に対応する、長手方向zに測定された第2の長さL2を有する。
【0061】
本発明による方法は、製造される交換器が、支持されるべき少なくとも1つの領域12を有し、その範囲が交換器の通路3の寸法と比較して比較的大きい場合に特に有利である。
【0062】
したがって、支持されるべき領域12の長さは、通路3の長さの半分超、好ましくは80%超を表し得、通路3のほぼ全長にわたってさえ延在し得、典型的には、第1の長さL1の98%以上を表す長さL2を有し得、又は全体にわたってさえ延在し得、そのときL2はL1の100%を表す。その場合、通路3は空又はほぼ空であり、つまりスペーサ要素がない。
【0063】
本発明の状況において、通路3の長さは、2つの反対側の周縁4の間で測定され、これは、通路3が閉鎖バー6によって閉鎖される場合、2つの反対側の閉鎖バー6の間の距離に対応することが強調される。
【0064】
当然のことながら、ここで記載される寸法関係性及び特徴は、支持されるべき領域12が、横方向xに平行に延びる周縁4に配置された少なくとも1つの開口部5を介して通路3の外側に開いている場合、横方向xに測定される、通路3及び支持されるべき領域12の幅に適用可能である。
【0065】
当然のことながら、本発明は、本出願で記載及び図示された特定の例に限定されない。当業者の力量内のさらなる変形又は実施形態もまた、以下の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく想定され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】