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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】多段ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 265/06 20060101AFI20220202BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20220202BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220202BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20220202BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20220202BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20220202BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20220202BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220202BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
C08F265/06
A61K47/34
A61K47/32
A61K8/891
A61Q15/00
A61Q5/12
A61Q1/00
A61Q19/00
C11D3/37
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530921
(86)(22)【出願日】2019-12-03
(85)【翻訳文提出日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 US2019064156
(87)【国際公開番号】W WO2020123196
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】62/778,528
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バス、ヒルダ
(72)【発明者】
【氏名】ツォン、ファンウェン
(72)【発明者】
【氏名】マクロッチ、ブライアン エル.
(72)【発明者】
【氏名】メッカ、ジョディ エム.
(72)【発明者】
【氏名】イーヴン、ラルフ シー.
(72)【発明者】
【氏名】パチョロスキ、マイケリーン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4H003
4J026
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076EE12
4C076EE27
4C083AD161
4C083CC01
4C083CC03
4C083CC11
4C083CC17
4C083CC19
4C083CC33
4H003EB30
4H003EB37
4J026AA43
4J026AA45
4J026AA72
4J026AC09
4J026AC22
4J026AC23
4J026BA43
4J026DA04
4J026DA07
4J026DA13
4J026DB08
4J026DB32
4J026GA01
(57)【要約】
(a)C1~22アルキル(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物から選択されるモノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含むアクリレートに富む段と、(b)式(I)のカルボシロキサンモノマーの構造単位を含むカルボシロキサンに富む段と、を含み、式中、aは、0~3であり、dは、0または1であり、Rは、水素、C1~10アルキル基、およびアリール基から選択され、Rは、水素、およびC1~10アルキル基から選択され、Rは、-O-Si(CH-O-Si(CH基であり、Yは、式(II)、(III)、および(IV)から選択され、式中、RおよびRは、水素、およびメチル基から選択され、RおよびRは、C1~10アルキレン基であり、Rは、C1~10アルキル基であり、bは、0~4であり、cは、0または1である、多段ポリマーが提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段ポリマーであって、
(a)アクリレートに富む段であって、
前記アクリレートに富む段の重量に対して88~100重量%の、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位であって、前記モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーが、C1~22アルキル(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位と、
前記アクリレートに富む段の重量に対して0~10重量%の、モノエチレン性不飽和カルボン酸のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位と、
前記アクリレートに富む段の重量に対して0~2重量%の、1分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する多エチレン性不飽和のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位と、を含む、アクリレートに富む段と、
(b)カルボシロキサンに富む段であって、
前記カルボシロキサンに富む段の重量に対して0~90重量%の、ビニルモノマーの構造単位と、
前記カルボシロキサンに富む段の重量に対して10~100重量%の、式(I)のカルボシロキサンモノマーの構造単位と、を含み、
【化1】
式中、aは、0~3であり、dは、0または1であり、各Rは、独立して、水素、C1~10アルキル基、およびアリール基からなる群から選択され、各Rは、独立して、水素、およびC1~10アルキル基からなる群から選択され、各Rは、-O-Si(CH-O-Si(CH基であり、Yは、式(II)、(III)、および(IV)からなる群から選択され、
【化2】
式中、各RおよびRは、独立して、水素、およびメチル基からなる群から選択され、各RおよびRは、独立して、C1~10アルキレン基であり、各Rは、独立して、C1~10アルキル基であり、bは、0~4であり、cは、0または1である、カルボシロキサンに富む段と、を含む、多段ポリマー。
【請求項2】
担体をさらに含む、請求項1に記載の多段ポリマー。
【請求項3】
前記担体が、水を含む、請求項2に記載の多段ポリマー。
【請求項4】
請求項3に記載の多段ポリマーを含む組成物であって、前記組成物が、パーソナルケア配合物、ホームケア配合物、コーティング、油田整備流体、土木工学整備流体、建設配合物、および医薬製剤からなる群から選択される、組成物。
【請求項5】
前記組成物が、パーソナルケア配合物であり、前記パーソナルケア配合物が、防水剤、皮膚軟化剤、防腐剤、酸化防止剤、芳香剤、デオドラント、制汗剤活性物質、皮膚冷却剤、保湿剤、レオロジー調整剤、美的修飾剤、ビタミン、皮膚保護剤、油、乳化剤、界面活性剤、真珠光沢剤、一貫性因子、増粘剤、超脂肪剤、安定剤、ポリマー、シリコーンオイル、脂肪、ワックス、レシチン、リン脂質、充填剤、光管理粉末および粒子、モイスチャライザー、クレンザー、サンケア活性物質、ヘアトリートメント活性物質、フケ防止剤、およびスキンケア活性物質からなる群から選択される少なくとも1つのパーソナルケア活性物質をさらに含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、コーティングであり、前記コーティングが、フィルム形成結合剤、垂れ防止剤、レベリング剤、硬化促進剤、乳白剤、顔料、レオロジー調整剤、湿潤剤、および金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1つのコーティング成分をさらに含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、ホームケア配合物であり、前記ホームケア配合物が、芳香剤、防虫剤、脱臭剤、洗浄剤、消毒剤、洗濯洗剤、洗濯柔軟剤、食器洗い洗剤、便器洗浄剤、布サイズ剤、潤滑剤、テキスタイルワイプからなる群から選択される少なくとも1つのホームケア活性成分をさらに含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、油田整備流体であり、前記油田整備流体が、粘土、キサンタンガム、デンプン、ポリマー、酸可溶性炭酸塩、塩化ナトリウム、およびレオロジー調整剤のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、建設配合物であり、前記建設配合物が、セメント、コンクリート、接着剤、プラスター、モルタル、接合化合物、粘土、および雲母のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、医薬製剤であり、前記医薬製剤が、賦形剤、生物学的活性物質、錠剤化材料、不活性成分、結合剤、徐放剤、香料、および着色剤をさらに含む、請求項4に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段ポリマーに関する。特に、本発明は、(a)C1~22アルキル(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物から選択されるモノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含むアクリレートに富む段と、(b)式(I)のカルボシロキサンモノマーの構造単位を含むカルボシロキサンに富む段と、を含み、式中、aは、0~3であり、dは、0または1であり、Rは、水素、C1~10アルキル基、およびアリール基から選択され、Rは、水素、およびC1~10アルキル基から選択され、Rは、O-Si(CH-O-Si(CH基であり、Yは、式(II)、(III)、および(IV)から選択され、式中、RおよびRは、水素、およびメチル基から選択され、RおよびRは、C1~10アルキレン基であり、Rは、C1~10アルキル基であり、bは、0~4であり、cは、0または1である、多段ポリマーに関する。
【0002】
シリコーン含有ポリマーは、コーティング、パーソナルケア、およびホームケア産業向けに提案され、使用されてきた。コーティング配合物では、シリコーン含有ポリマーは、これらのポリマーが、配合されたコーティングに、撥水性および撥油性、耐汚染性、バリア特性、界面活性剤特性、および潤滑性を付与し得るので、表面特性の一般的な改質の可能性を提供する。パーソナルケア配合物では、シリコーン含有ポリマーは、配合された生成物の性能改善および望ましい感覚特性を提供する。
【0003】
シリコーン含有ポリマーを設計し、それを配合生成物に組み込む試みは、しかしながら、重大な課題に直面している。シリコーン含有ポリマーは、極性ポリマー、ならびにコーティング配合物およびホームケア組成物およびパーソナルケア組成物に典型的に含有される他の成分など、配合された生成物の他の成分としばしば相溶しない。したがって、補助添加剤が典型的に用いられて、シリコーン含有ポリマーを配合された生成物中の他の成分と相溶化させて、貯蔵中の主要成分の相分離を防止する。
【0004】
化粧品配合物に対する改善された相溶性を提供するシリコーン含有ポリマーを提供するための手法は、米国特許第6,403,074号において、Blankenburgらによって開示されている。米国特許第6,403,074号において、Blankenburgらは、(a)エチレン性不飽和モノマーを、(b)下記の式のポリアルキレンオキシド含有シリコーン誘導体の存在下で、フリーラジカル重合に供することによって得られる水溶性または水分散性ポリマーを開示している。
【化1】
【0005】
それにもかかわらず、様々なコーティング配合物、パーソナルケア配合物、ホームケア配合物で使用するための配合設計の柔軟性および相溶性を提供する新規なシリコーン含有ポリマーの必要性が残っている。
【0006】
本発明は、多段ポリマーであって、(a)アクリレートに富む段であって、アクリレートに富む段の重量に対して88~100重量%の、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位であって、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーが、C1~22アルキル(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位と、アクリレートに富む段の重量に対して0~10重量%の、モノエチレン性不飽和カルボン酸のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位と、アクリレートに富む段の重量に対して0~2重量%の、1分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する多エチレン性不飽和のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位と、を含む、アクリレートに富む段と、(b)カルボシロキサンに富む段であって、カルボシロキサンに富む段の重量に対して0~90重量%の、ビニルモノマーの構造単位と、カルボシロキサンに富む段の重量に対して10~100重量%の、式(I)のカルボシロキサンモノマーの構造単位と、を含み、
【化2】
式中、aは、0~3であり、dは、0または1であり、各Rは、独立して、水素、C1~10アルキル基、およびアリール基からなる群から選択され、各Rは、独立して、水素、およびC1~10アルキル基からなる群から選択され、各Rは、-O-Si(CH-O-Si(CH基であり、Yは、式(II)、(III)、および(IV)からなる群から選択され、
【化3】
式中、各RおよびRは、独立して、水素、およびメチル基からなる群から選択され、各RおよびRは、独立して、C1~10アルキレン基であり、各Rは、独立して、C1~10アルキル基であり、bは、0~4であり、cは、0または1である、カルボシロキサンに富む段と、を含む、多段ポリマーを提供する。
【0007】
本発明は、本発明の多段ポリマーを含む組成物を提供し、組成物は、パーソナルケア配合物、ホームケア配合物、コーティング、油田整備流体、土木工学整備流体、建設配合物、および医薬製剤からなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
シリコーン含有ポリマーの組み込みを介して付与される望ましい特性が調整されて、そのような組成物中の他の成分との相溶化を促進し得る、様々な組成物で使用するための独自の多段ポリマーを特定した。
【0009】
他に示されない限り、比率、パーセンテージ、部等は、重量による。
【0010】
パーソナルケア配合物に関連する本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる用語「美的特性」は、視覚的および触覚的感覚特性(例えば、滑らかさ、粘着性、潤滑性、質感、カラー、透明度、混濁度、均一性)を指す。
【0011】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる用語「構成単位」は、特許請求の範囲に記載されるポリマー中の示されたモノマーの残存物を指し、したがって、n-ブチルアクリレートの構成単位は、以下のように例示され、
【化4】
式中、点線は構成単位のポリマー骨格への結合点を表す。
【0012】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる用語「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を包含する一般的な表現として役立つことを意図している。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの両方を包含する一般的な表現として役立つことを意図している。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる用語「化粧品として許容可能な」は、皮膚への局所的塗布に典型的に使用される成分を指し、スキンケア組成物中に典型的に見られる量で存在する場合に有毒な材料は、本発明の一部として企図されないことを強調することを意図する。
【0015】
好ましくは、本発明の多段ポリマーは、(a)(多段ポリマーの重量に対して好ましくは60~95重量%(より好ましくは65~90重量%、さらにより好ましくは70~85重量%、最も好ましくは75~82重量%)の)アクリレートに富む段であって、アクリレートに富む段の重量に対して88~100重量%(好ましくは94~99.49重量%、より好ましくは97~99.23重量%、さらにより好ましくは97.9~98.95重量%、最も好ましくは97.45~98.05重量%)の、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位であって、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーが、C1~22アルキル(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位と、アクリレートに富む段の重量に対して0~10重量%(好ましくは0.5~5重量%、より好ましくは0.75~2.5重量%、さらにより好ましくは1~2重量%、最も好ましくは1.25~1.75重量%)の、モノエチレン性不飽和カルボン酸のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位と、アクリレートに富む段の重量に対して0~2重量%(好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.02~0.5重量%、さらにより好ましくは0.05~0.1重量%、最も好ましくは0.07~0.08重量%)の、1分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する多エチレン性不飽和のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位と、を含む、アクリレートに富む段と、(b)(多段ポリマーの重量に対して好ましくは5~40重量%(より好ましくは10~35重量%、さらにより好ましくは15~30重量%、最も好ましくは18~25重量%)の)カルボシロキサンに富む段であって、カルボシロキサンに富む段の重量に対して0~90重量%(好ましくは10~50重量%、より好ましくは12.5~30重量%、さらにより好ましくは15~25重量%、最も好ましくは19~21重量%)の、ビニルモノマーの構造単位と、カルボシロキサンに富む段の重量に対して10~100重量%(好ましくは50~90重量%、より好ましくは70~87.5重量%、さらにより好ましくは75~85重量%、最も好ましくは79~81重量%)の、式(I)のカルボシロキサンモノマーの構造単位と、を含み、
【化5】
式中、aは、0~3(好ましくは0~2、最も好ましくは1)であり、dは、0または1(好ましくは0)であり、各Rは、独立して、水素、C1~10アルキル基、およびアリール基(好ましくは、水素、およびC1~10アルキル基、より好ましくは、水素、およびC1~4アルキル基、さらにより好ましくは、水素、およびメチル基、最も好ましくは、メチル基)からなる群から選択され、各Rは、独立して、水素、およびC1~10アルキル基(好ましくは、水素、およびC1~5アルキル基、より好ましくは、水素、およびC1~4アルキル基、さらにより好ましくは、水素、およびメチル基、最も好ましくは、メチル基)からなる群から選択され、各Rは、-O-Si(CH-O-Si(CH基であり、Yは、式(II)、(III)、および(IV)(好ましくは(II)または(III)、最も好ましくは(II))からなる群から選択され、
【化6】
式中、各RおよびRは、独立して、水素、およびメチル基(好ましくは、メチル基)からなる群から選択され、各RおよびRは、独立して、C1~10アルキレン基(好ましくは、C1~7アルキレン基、より好ましくは、C2~6アルキレン基、さらにより好ましくは、C3~5アルキレン基、最も好ましくは、Cアルキレン基)であり、各Rは、独立して、C1~10アルキル基であり、bは、0~4であり、cは、0または1である、カルボシロキサンに富む段と、を含む。
【0016】
好ましくは、本発明の多段ポリマーは、アクリレートに富む段を含む。より好ましくは、本発明の多段ポリマーは、多段ポリマーの重量に対して60~95重量%(好ましくは65~90重量%、より好ましくは70~85重量%、最も好ましくは75~82重量%)の、アクリレートに富む段を含む。最も好ましくは、本発明の多段ポリマーは、多段ポリマーの重量に対して60~95重量%(好ましくは65~90重量%、より好ましくは70~85重量%、最も好ましくは75~82重量%)の、アクリレートに富む段を含み、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して88~100重量%(好ましくは94~99.49重量%、より好ましくは97~99.23重量%、さらにより好ましくは97.9~98.95重量%、最も好ましくは97.45~98.05重量%)の、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位であって、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーが、C1~22アルキル(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位と、アクリレートに富む段の重量に対して0~10重量%(好ましくは0.5~5重量%、より好ましくは0.75~2.5重量%、さらにより好ましくは1~2重量%、最も好ましくは1.25~1.75重量%)の、モノエチレン性不飽和カルボン酸のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位と、アクリレートに富む段の重量に対して0~2重量%(好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.02~0.5重量%、さらにより好ましくは0.05~0.1重量%、最も好ましくは0.07~0.08重量%)の、1分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する多エチレン性不飽和のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位と、を含む。
【0017】
好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して88~100重量%(好ましくは94~99.49重量%、より好ましくは97~99.23重量%、さらにより好ましくは97.9~98.95重量%、最も好ましくは97.45~98.05重量%)の、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーは、C1~22アルキル(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して88~100重量%(好ましくは94~99.49重量%、より好ましくは97~99.23重量%、さらにより好ましくは97.9~98.95重量%、最も好ましくは97.45~98.05重量%)の、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーは、少なくとも2つのC1~12アルキル(メタ)アクリレートの混合物からなる群から選択される。さらにより好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して88~100重量%(好ましくは94~99.49重量%、より好ましくは97~99.23重量%、さらにより好ましくは97.9~98.95重量%、最も好ましくは97.45~98.05重量%)の、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーは、少なくとも2つのC1~8アルキル(メタ)アクリレートの混合物からなる群から選択される。よりいっそう好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して88~100重量%(好ましくは94~99.49重量%、より好ましくは97~99.23重量%、さらにより好ましくは97.9~98.95重量%、最も好ましくは97.45~98.05重量%)の、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーは、少なくとも3つのC1~8アルキル(メタ)アクリレートの混合物からなる群から選択される。
【0018】
好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して88~100重量%(好ましくは94~99.49重量%、より好ましくは97~99.23重量%、さらにより好ましくは97.9~98.95重量%、最も好ましくは97.45~98.05重量%)の、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーは、(i)アクリレートに富む段の重量に対して40~75重量%(より好ましくは50~70重量%、最も好ましくは55~65重量%)の、少なくとも1つのC1~5アルキル(メタ)アクリレートと、(ii)アクリレートに富む段の重量に対して25~60重量%(より好ましくは30~50重量%、最も好ましくは35~45重量%)の、少なくとも1つのC6~22アルキル(メタ)アクリレートとの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して88~100重量%(好ましくは94~99.49重量%、より好ましくは97~99.23重量%、さらにより好ましくは97.9~98.95重量%、最も好ましくは97.45~98.05重量%)の、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーは、(i)アクリレートに富む段の重量に対して40~75重量%(より好ましくは50~70重量%、最も好ましくは55~65重量%)の、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つのC1~4アルキル(メタ)アクリレートと、(ii)アクリレートに富む段の重量に対して25~60重量%(より好ましくは30~50重量%、最も好ましくは35~45重量%)の、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル-エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つのC6~22アルキル(メタ)アクリレートとの混合物からなる群から選択される。さらにより好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して88~100重量%(好ましくは94~99.49重量%、より好ましくは97~99.23重量%、さらにより好ましくは97.9~98.95重量%、最も好ましくは97.45~98.05重量%)の、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーは、(i)アクリレートに富む段の重量に対して40~75重量%(より好ましくは50~70重量%、最も好ましくは55~65重量%)の、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート イソブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つのC1~4アルキル(メタ)アクリレートと、(ii)アクリレートに富む段の重量に対して25~60重量%(より好ましくは30~50重量%、最も好ましくは35~45重量%)の、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つのC6~22アルキル(メタ)アクリレートとの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して88~100重量%(好ましくは94~99.49重量%、より好ましくは97~99.23重量%、さらにより好ましくは97.9~98.95重量%、最も好ましくは97.45~98.05重量%)の、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和非イオン性のアクリレートに富む段のモノマーは、(i)アクリレートに富む段の重量に対して40~75重量%(より好ましくは50~70重量%、最も好ましくは55~65重量%)の、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート イソブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つのC1~4アルキル(メタ)アクリレートと、(ii)アクリレートに富む段の重量に対して25~60重量%(より好ましくは30~50重量%、最も好ましくは35~45重量%)の、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つのC6~22アルキル(メタ)アクリレートとの混合物からなる群から選択される。
【0019】
好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して0~10重量%(好ましくは0.5~5重量%、より好ましくは0.75~2.5重量%、さらにより好ましくは1~2重量%、最も好ましくは1.25~1.75重量%)の、モノエチレン性不飽和カルボン酸のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含む。より好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して0~10重量%(好ましくは0.5~5重量%、より好ましくは0.75~2.5重量%、さらにより好ましくは1~2重量%、最も好ましくは1.25~1.75重量%)の、モノエチレン性不飽和カルボン酸のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和カルボン酸のアクリレートに富む段のモノマーは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクロキシプロピオン酸、イタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、他の誘導体(例えば、対応する無水物、アミド、およびエステル)、およびこれらの混合物からなる群から選択される。さらにより好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して0~10重量%(好ましくは0.5~5重量%、より好ましくは0.75~2.5重量%、さらにより好ましくは1~2重量%、最も好ましくは1.25~1.75重量%)の、モノエチレン性不飽和カルボン酸のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和カルボン酸のアクリレートに富む段のモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される。よりいっそう好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して0~10重量%(好ましくは0.5~5重量%、より好ましくは0.75~2.5重量%、さらにより好ましくは1~2重量%、最も好ましくは1.25~1.75重量%)の、モノエチレン性不飽和カルボン酸のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和カルボン酸のアクリレートに富む段のモノマーは、アクリル酸、およびメタクリル酸のうちの少なくとも1つからなる群から選択される。最もより好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して0~10重量%(好ましくは0.5~5重量%、より好ましくは0.75~2.5重量%、さらにより好ましくは1~2重量%、最も好ましくは1.25~1.75重量%)の、モノエチレン性不飽和カルボン酸のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和カルボン酸のアクリレートに富む段のモノマーは、メタクリル酸である。
【0020】
好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して0~2重量%(好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.02~0.5重量%、さらにより好ましくは0.05~0.1重量%、最も好ましくは0.07~0.08重量%)の、1分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する多エチレン性不飽和のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含む。より好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して0~2重量%(好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.02~0.5重量%、さらにより好ましくは0.05~0.1重量%、最も好ましくは0.07~0.08重量%)の、1分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する多エチレン性不飽和のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、1分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する多エチレン性不飽和モノマーは、ジビニル芳香族化合物、ジ-(メタ)アクリレートエステル、トリ-(メタ)アクリレートエステル、テトラ-(メタクリレート)エステル、ジ-アリルエーテル、トリ-アリルエーテル、テトラ-アリルエーテル、ジ-アリルエステル、トリ-アリルエステル、テトラ-アリルエステル、アリル(メタ)アクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択される。さらにより好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して0~2重量%(好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.02~0.5重量%、さらにより好ましくは0.05~0.1重量%、最も好ましくは0.07~0.08重量%)の、1分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する多エチレン性不飽和のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、1分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する多エチレン性不飽和モノマーは、ジビニルベンゼン(DVB)、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、テトラ-アリルペンタエリスリトール、トリアリルペンタエリスリトール、ジアリルペンタエリスリトール、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、ビスフェノールAジアリルエーテル、アリルスクロース、メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリレート(ALMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、ヘキサン-1,6-ジオールジアクリレート(HDDA)、ブチレングリコールジメタクリレート(BGDMA)、およびこれらの混合物からなる群から選択される。よりいっそう好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して0~2重量%(好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.02~0.5重量%、さらにより好ましくは0.05~0.1重量%、最も好ましくは0.07~0.08重量%)の、1分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する多エチレン性不飽和のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、1分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する多エチレン性不飽和モノマーは、DVB、ALMA、EGDMA、HDDA、およびBGDMAからなる群から選択される。さらによりいっそう好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して0~2重量%(好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.02~0.5重量%、さらにより好ましくは0.05~0.1重量%、最も好ましくは0.07~0.08重量%)の、1分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する多エチレン性不飽和のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、1分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する多エチレン性不飽和モノマーは、ALMAを含む。最も好ましくは、アクリレートに富む段は、アクリレートに富む段の重量に対して0~2重量%(好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.02~0.5重量%、さらにより好ましくは0.05~0.1重量%、最も好ましくは0.07~0.08重量%)の、1分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する多エチレン性不飽和のアクリレートに富む段のモノマーの構造単位を含み、1分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する多エチレン性不飽和モノマーは、ALMAである。
【0021】
好ましくは、本発明の多段ポリマーは、カルボシロキサンに富む段を含む。より好ましくは、本発明の多段ポリマーは、多段ポリマーの重量に対して5~40重量%(好ましくは10~35重量%、より好ましくは15~30重量%、最も好ましくは18~25重量%)の、カルボシロキサンに富む段を含む。最も好ましくは、本発明の多段ポリマーは、多段ポリマーの重量に対して5~40重量%(好ましくは10~35重量%、より好ましくは15~30重量%、最も好ましくは18~25重量%)の、カルボシロキサンに富む段を含み、カルボシロキサンに富む段は、カルボシロキサンに富む段の重量に対して0~90重量%(好ましくは10~50重量%、より好ましくは12.5~30重量%、さらにより好ましくは15~25重量%、最も好ましくは19~21重量%)の、ビニルモノマーの構造単位と、カルボシロキサンに富む段の重量に対して10~100重量%(好ましくは50~90重量%、より好ましくは70~87.5重量%、さらにより好ましくは75~85重量%、最も好ましくは79~81重量%)の、式(I)のカルボシロキサンモノマーの構造単位と、を含む。
【0022】
好ましくは、カルボシロキサンに富む段は、カルボシロキサンに富む段の重量に対して0~90重量%(好ましくは10~50重量%、より好ましくは12.5~30重量%、さらにより好ましくは15~25重量%、最も好ましくは19~21重量%)の、ビニルモノマーの構造単位を含む。より好ましくは、カルボシロキサンに富む段は、カルボシロキサンに富む段の重量に対して0~90重量%(好ましくは10~50重量%、より好ましくは12.5~30重量%、さらにより好ましくは15~25重量%、最も好ましくは19~21重量%)の、ビニルモノマーの構造単位を含み、ビニルモノマーは、1分子当たり少なくとも1つのラジカル重合性ビニル基を含有する。さらにより好ましくは、カルボシロキサンに富む段は、カルボシロキサンに富む段の重量に対して0~90重量%(好ましくは10~50重量%、より好ましくは12.5~30重量%、さらにより好ましくは15~25重量%、最も好ましくは19~21重量%)の、ビニルモノマーの構造単位を含み、ビニルモノマーは、C1~3アルキルアクリレート(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート)、C1~3アルキルメタクリレート(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート)、モノエチレン性不飽和カルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロキシプロピオン酸、イタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノメチル)、C4~20アルキルアクリレート(例えば、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクレラート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート)、C4~20アルキルメタクリレート(例えば、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート)、芳香族ビニルモノマー(例えば、スチレン、ビニルトルエン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、ビニルピロリドン)、およびこれらの混合物からなる群から選択される。よりいっそう好ましくは、カルボシロキサンに富む段は、カルボシロキサンに富む段の重量に対して0~90重量%(好ましくは10~50重量%、より好ましくは12.5~30重量%、さらにより好ましくは15~25重量%、最も好ましくは19~21重量%)の、ビニルモノマーの構造単位を含み、ビニルモノマーは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレートメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、メタクリル酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、カルボシロキサンに富む段は、カルボシロキサンに富む段の重量に対して0~90重量%(好ましくは10~50重量%、より好ましくは12.5~30重量%、さらにより好ましくは15~25重量%、最も好ましくは19~21重量%)の、ビニルモノマーの構造単位を含み、ビニルモノマーは、メチルメタクリレート、およびメタクリル酸を含む。
【0023】
好ましくは、カルボシロキサンに富む段は、カルボシロキサンに富む段の重量に対して10~100重量%(好ましくは50~90重量%、より好ましくは70~87.5重量%、さらにより好ましくは75~85重量%、最も好ましくは79~81重量%)の、式(I)のカルボシロキサンモノマーの構造単位を含む。より好ましくは、カルボシロキサンに富む段は、カルボシロキサンに富む段の重量に対して10~100重量%(好ましくは50~90重量%、より好ましくは70~87.5重量%、さらにより好ましくは75~85重量%、最も好ましくは79~81重量%)の、式(I)のカルボシロキサンモノマーの構造単位を含み、式中、aは、0~3(好ましくは0~2、最も好ましくは1)であり、dは、0または1(好ましくは0)であり、Rは、独立して、水素、C1~10アルキル基、およびアリール基(好ましくは、水素、およびC1~10アルキル基、より好ましくは、水素、およびC1~4アルキル基、さらにより好ましくは、水素、およびメチル基、最も好ましくは、メチル基)からなる群から選択され、各Rは、独立して、水素、およびC1~10アルキル基(好ましくは、水素、およびC1~5アルキル基、より好ましくは、水素、およびC1~4アルキル基、さらにより好ましくは、水素、およびメチル基、最も好ましくは、メチル基)からなる群から選択され、各Rは、-O-Si(CH-O-Si(CH基であり、Yは、式(II)、(III)、および(IV)(好ましくは(II)または(III)、最も好ましくは(II))からなる群から選択され、各RおよびRは、独立して、水素、およびメチル基(好ましくはメチル基)からなる群から選択され、各RおよびRは、独立して、C1~10アルキレン基(好ましくは、C1~7アルキレン基、より好ましくは、C2~6アルキレン基、さらにより好ましくは、C3~5アルキレン基、最も好ましくは、Cアルキレン基)であり、各R、独立して、C1~10アルキル基、bは、0~4、cは、0または1である。最も好ましくは、カルボシロキサンに富む段は、カルボシロキサンに富む段の重量に対して10~100重量%(好ましくは50~90重量%、より好ましくは70~87.5重量%、さらにより好ましくは75~85重量%、最も好ましくは79~81重量%)の、式(I)のカルボシロキサンモノマーの構造単位を含み、式中、aは、1であり、dは、0であり、各Rは、メチル基であり、各Rは、メチル基であり、Yは、式(II)のものであり、式中、各Rは、C3~5アルキレン基であり、各Rは、メチル基である。
【0024】
好ましくは、本発明の組成物は、本発明の多段ポリマーを含む。より好ましくは、本発明の組成物は、0.1~10重量%(好ましくは0.5~7.5重量%、より好ましくは1~7重量%、さらにより好ましくは3~5重量%、最も好ましくは3.5~4.5重量%)の本発明の多段ポリマーを含む。最も好ましくは、本発明の組成物は、0.1~10重量%(好ましくは0.5~7.5重量%、より好ましくは1~7重量%、さらにより好ましくは3~5重量%、最も好ましくは3.5~4.5重量%)の本発明の多段ポリマーを含み、多段ポリマーは、アクリレートに富む段、およびカルボシロキサンに富む段を含む。
【0025】
好ましくは、本発明の組成物は、パーソナルケア配合物(例えば、ヘアケア配合物、スキンケア配合物、サンケア配合物、ネイルケア配合物、ペットケア配合物、制汗剤/デオドラント配合物、カラー化粧品配合物)、ホームケア配合物、コーティング、油田整備流体、土木工学整備流体、建設配合物、および医薬製剤からなる群から選択される。
【0026】
好ましくは、本発明の組成物は、担体をさらに含む。より好ましくは、本発明の組成物は、組成物の重量に対して0.1~99.9重量%(好ましくは10~95重量%、より好ましくは25~90重量%、より好ましくは40~80重量%)の、担体を含む。最も好ましくは、本発明の組成物は、組成物の重量に対して0.1~99.9重量%(好ましくは10~95重量%、より好ましくは25~90重量%、より好ましくは40~80重量%)の、担体を含み、多段ポリマーは、担体中に分散する。
【0027】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物の重量に対して0.1~99.9重量%(好ましくは10~95重量%、より好ましくは25~90重量%、より好ましくは40~80重量%)の、担体をさらに含み、担体は、水、エマルジョン(例えば、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン)、アルコール(例えば、C1~4直鎖または分岐鎖アルコール、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール)、グリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、エトキシジグリコール)、グリセリン、ブチルセロソルブ、およびこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、本発明の組成物は、0.1~99.9重量%(好ましくは10~95重量%、より好ましくは25~90重量%、より好ましくは40~80重量%)の担体を含み、担体は、水を含む。
【0028】
好ましくは、本発明の組成物は、パーソナルケア配合物である。より好ましくは、本発明の組成物は、ヘアケア配合物、スキンケア配合物、サンケア配合物、ネイルケア配合物、ペットケア配合物、制汗剤/デオドラント配合物、カラー化粧品配合物からなる群から選択されるパーソナルケア配合物である。好ましくは、本発明の組成物は、ヘアケア配合物、スキンケア配合物、サンケア配合物、ネイルケア配合物、ペットケア配合物、制汗剤/デオドラント配合物、カラー化粧品配合物からなる群から選択されるパーソナルケア配合物であり、パーソナルケア配合物は、化粧品として許容可能な担体をさらに含み、化粧品として許容可能な担体は、パーソナルケア配合物を哺乳動物の皮膚および/または毛髪に塗布すると蒸発し得るように選択される。
【0029】
好ましくは、本発明の組成物は、パーソナルケア配合物であり、パーソナルケア配合物は、防水剤、皮膚軟化剤、防腐剤、酸化防止剤、芳香剤、デオドラント、制汗剤活性物質、皮膚冷却剤、保湿剤、レオロジー調整剤、美的修飾剤、ビタミン、皮膚保護剤、油、乳化剤、界面活性剤、真珠光沢剤、一貫性因子、増粘剤、超脂肪剤、安定剤、ポリマー、シリコーンオイル、脂肪、ワックス、レシチン、リン脂質、充填剤、光管理粉末および粒子、モイスチャライザー、クレンザー、サンケア活性物質、ヘアトリートメント活性物質、フケ防止剤、着色剤、およびスキンケア活性物質からなる群から選択される少なくとも1つのパーソナルケア活性物質をさらに含む。
【0030】
好ましくは、本発明の組成物は、コーティングである。より好ましくは、本発明の組成物は、コーティングであり、コーティングは、フィルム形成結合剤、乳白剤、顔料、レオロジー調整剤、湿潤剤、および金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1つのコーティング成分をさらに含む。
【0031】
好ましくは、本発明の組成物は、ホームケア配合物である。より好ましくは、本発明の組成物は、ホームケア配合物であり、ホームケア配合物は、芳香剤、防虫剤、脱臭剤、洗浄剤、消毒剤、洗濯洗剤、洗濯柔軟剤、食器洗い洗剤、便器洗浄剤、布サイズ剤、潤滑剤、テキスタイルワイプからなる群から選択される少なくとも1つのホームケア活性成分をさらに含む。
【0032】
好ましくは、本発明の組成物は、油田整備流体である。より好ましくは、本発明の組成物は、油田整備流体であり、油田整備流体は、粘土、キサンタンガム、デンプン、ポリマー、酸可溶性炭酸塩、塩化ナトリウム、およびレオロジー調整剤のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0033】
好ましくは、本発明の組成物は、建設配合物である。より好ましくは、本発明の組成物は、建設配合物であり、建設配合物は、セメント、コンクリート、接着剤、プラスター、モルタル、接合化合物、粘土、および雲母のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0034】
好ましくは、本発明の組成物は、医薬製剤である。より好ましくは、本発明の組成物は、医薬製剤である。医薬製剤は、薬剤的に許容可能な担体をさらに含み、薬剤的に許容可能な担体は、医薬製剤を哺乳動物の組織または毛髪に塗布すると蒸発し得るように選択される。
【0035】
好ましくは、本発明の組成物は、医薬製剤であり、医薬製剤は、賦形剤、生物学的活性物質、錠剤化材料、不活性成分、結合剤、徐放剤、香料、および着色剤のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0036】
本発明の多段ポリマーは、例えば、乳化重合などの従来の重合技術によって調製され得る。水性エマルジョン重合プロセスは、典型的には、水性反応媒体中に少なくとも1つのモノマーおよび種々の合成アジュバント、例えばフリーラジカル源、緩衝剤、連鎖移動剤および還元剤を含む水性反応混合物中で行われる。好ましくは、本発明の多段ポリマーは、エマルジョンポリマーである。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態をこれより以下の実施例において詳細に説明する。
【0038】
実施例で使用されるモノマーの略語を、表1に記載する。
【表1】
【0039】
比較例CS1:単段ポリマー
オーバーヘッドスターラー、サーモカップル、コンデンサ、ならびにモノマーおよび開始剤を添加するための入口を備えた1リットルの丸底フラスコに、脱イオン水(150.0g)、ドデシル硫酸ナトリウム界面活性剤(3.3gの23%DS-4)および炭酸ナトリウム(1.1g)を入れた。次にフラスコの内容物を撹拌し、85℃で加熱した。脱イオン水(81.1g)およびドデシル硫酸ナトリウム界面活性剤(3.1gの23%DS-4)を容器に入れ、撹拌を始めることにより、モノマーエマルジョンを調製した。界面活性剤を水に取り込んだ後、ブチルアクリレート(BA)(50g)、エチルヘキシルアクリレート(EHA)(100g)、メチルメタクリレート(MMA)(96.3g)、メタクリル酸(MAA)(3.8g)およびアリルメタクリレート(ALMA)(0.2g)を容器内の撹拌混合物にゆっくりと加えた。過硫酸ナトリウム(0.25g)および脱イオン水(22g)を別の容器に入れることにより、コフィード触媒溶液も調製した。フラスコの内容物が85℃の温度に達したとき、上記で調製したモノマーエマルジョン10gをフラスコに入れ、続いて脱イオン水リンス(10g)水リンス、続いて過硫酸ナトリウムの開始剤溶液(0.9g)を脱イオン水(5.7g)に入れた。最初の重合後、85℃で、上記で調製したモノマーエマルジョンのフラスコへのモノマーエマルジョンのコフィードを15分間1.97g/分の速度で開始し、その後次の75分間を3.93g/分の速度で開始した。同時に、モノマーエマルジョンコフィードを用いて、触媒コフィードを92分間0.24g/分の速度で開始した。コフィードの完了時点で、フラスコの内容物を追跡して、残留モノマーの量を減らして、生成物の単段ポリマーを得た。
【0040】
比較例CS2:樹枝状シリコーングラフト化ビニルコポリマー
オーバーヘッドスターラー、サーモカップル、コンデンサ、ならびにモノマーおよび開始剤を添加するための入口を備えたフラスコに、以下の構造のカルボシロキサンデンドリマー(150部)、
【化7】
メチルメタクリレート(MMA)(99部)、n-ブチルメタクリレート(BMA)(51部)および2ーフェノキシエタノール(9部)を入れた。次に、フラスコの内容物に、ラウレス-1ホスフェート(7部)、水酸化ナトリウム溶液(4部、20%)および脱イオン水(676部)を加えた。次に、フラスコの内容物を乳化し、ホモジナイザーを使用して分散させた。次にフラスコの内容物を窒素下で80℃に加熱した。温度に達したら、温度調節器を80℃に維持しながら、過硫酸カリウム(2.2部)をフラスコの内容物に加えた。過硫酸カリウム添加の3時間後、温度調節器を80℃に維持しながら、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]四水化物(2.2部)をフラスコの内容物に加えた。フラスコの内容物を、温度調節器を80℃に維持しながらさらに3時間撹拌して、生成物の樹枝状シリコーングラフト化ビニルコポリマーを得た。
【0041】
実施例S1:多段ポリマー
(オーバーヘッドスターラー、サーモカップル、コンデンサ、ならびにモノマーおよび開始剤を添加するための入口を備えた)2リットルの丸底フラスコに、脱イオン水(252.0g)、50%のCAVASOL(商標)W7 MTL(Wacker Fine Chemicalsのシクロデキストリン)(5.3g)、23%のDS-4界面活性剤(5.3g)(StepanのA-16-22)、および炭酸ナトリウム(1.8g)を入れた。フラスコの内容物を撹拌し、85℃に加熱した。
【0042】
脱イオン水(103.8g)および23%のDS-4界面活性剤(4.0g)を、第1の槽に入れ、攪拌するように設定することによって、アクリレートに富むモノマーエマルジョンを調製した。界面活性剤を、水に組み込んだら、以下のモノマーを、攪拌を続けながら第1の槽にゆっくりと添加した:BA(64g)、EHA(128.0g)、MMA(123.2g)、メチルアクリル酸MAA(4.8g)、およびALMA(0.24g)。
【0043】
脱イオン水(26.0g)および23%のDS-4界面活性剤(1.0g)を、第2の槽に入れ、攪拌するように設定することによって、カルボシロキサンに富むモノマーエマルジョンを調製した。界面活性剤を、水に組み込んだら、以下のモノマーを、撹拌を続けながら第2の槽にゆっくりと添加した:MD’M-ALMA(64g)、MMA(14.8g)、およびMAA(1.2g)。カルボキシロキサンに富むモノマーエマルジョンを、10Krpmで10分間の均質化を使用してさらに乳化した。
【0044】
過硫酸ナトリウム(0.8g)および脱イオン水(35.2g)を含有するコフィード触媒溶液を調製した。
【0045】
炭酸ナトリウム(0.8g)および脱イオン水(35.2g)を含有するコフィード緩衝溶液を調製した。
【0046】
85℃の反応設定温度で、第1の槽からの12.8gのアクリレートに富むモノマーエマルジョンを、脱イオン水リンス(16.0g)と共に、フラスコの内容物に入れた。次いで、脱イオン水(12.0g)中の過硫酸ナトリウム(1.8g)の開始剤溶液を、フラスコの内容物に添加した。第1の重合後、第1の槽内のアクリレートに富むモノマーエマルジョンの残りを、3.08g/分の速度で15分間、次いで、6.15g/分の速度で60分間、フラスコの内容物にコフィードした。アクリレートに富むモノマーエマルジョンのコフィードと同時に、コフィード触媒溶液およびコフィード緩衝溶液を、0.39g/分の速度で92分間、反応器の内容物に添加した。
【0047】
アクリレートに富むモノマーエマルジョンの添加に続いて、第2の容器内のカルボシロキサンに富むモノマーエマルジョンを、7.23g/分の速度で15分間、反応器の内容物に添加した。様々なフィードの完了後、フラスコの内容物を追跡して、残留モノマーの量を低減して、生成物の多段ポリマーを得た。
【0048】
実施例S2:多段ポリマー
実施例S2の多段ポリマーを、カルボシロキサンに富むモノマーエマルジョンが、ショットとしてフラスコの内容物に添加されたことを除いて、実施例S1の多段ポリマーと同じ様式で調製した。添加後、85℃で20分間攪拌しながら、反応混合物を安定に保持した。保持時間の終了時に、触媒および緩衝剤のコフィードを再開した。触媒コフィードの完了時点で、フラスコの内容物を追跡して、残留モノマーの量を低減して、生成物の多段ポリマーを得た。
【0049】
実施例S3~S19:多段ポリマー
多段ポリマーを、実施例S1に記載されるように実質的に調製した。表2に記載されるように、実施例S3~S19のそれぞれの多段ポリマー中のアクリレートに富む段およびカルボシロキサンに富む段の総重量%を反映して、それぞれの段中のアクリレートに富む段のモノマーおよびカルボシロキサンに富む段のモノマーを用いて、適切な変更を行った。
【表2】
【0050】
実施例S20:多段ポリマー
コンデンサ、オーバーヘッド混合器、マントルヒーター、および窒素スイープを備えた四ツ口の3Lガラス反応器に、脱イオン水(500g)、および29重量%のラウリル硫酸ナトリウム溶液(10g)(すなわち、Stepan Companyから入手可能であるPolystep(登録商標)B-5-N)(以下「SLS」)を入れた。脱イオン水(600g)、SLS(60g)、ブチルアクリレート(550g)、メチルメタクリレート(450g)、メタクリル酸(10g)、およびn-ドデシルメルカプタン(20g)のモノマーエマルジョンを、IKAミキサーを使用したオーバーヘッド攪拌で形成した。反応器の内容物を88℃に加熱した後、17.5gのモノマーエマルジョン、および脱イオン水(20g)中の過硫酸アンモニウム(0.3g)の溶液を、反応器に添加した。次いで、モノマーエマルジョンの残り、および脱イオン水(80g)水中の過硫酸アンモニウム(1.05g)の溶液を、反応器温度を88℃に維持しながら、2時間にわたって反応器に供給した。モノマーエマルジョンの添加後、反応器を、88℃で30分間保持した。次いで、反応器の内容物を、60℃に冷却した。次いで、SLS(0.2g)、85重量%の水性tert-アミルヒドロ過酸化物(10g)(すなわち、Arkemaから入手可能であるLuperox(登録商標)TAH85開始剤)(以下、「TAH」)、および脱イオン水(10g)の混合物を、反応器の内容物に添加し、続いて、イソアスコルビン酸(0.5g)、硫酸鉄(II)の0.15重量%水溶液(11.5g)、および脱イオン水(10g)の混合物を添加する。次いで、反応器の内容物を、室温に冷却し、水酸化アンモニウム水溶液を使用してpH7に中和した。生成物のラテックス混合物を、メッシュスクリーンを通して濾過し、回収した。
【0051】
次いで、コンデンサ、オーバーヘッド混合器、マントルヒーター、および窒素スイープを備えた四ツ口の500mLガラス反応器に、回収された生成物のラテックス混合物の一部(100g)、脱イオン水(10g)、防汚剤(0.2g)(すなわち、Ecolabから入手可能であるActrene(商標)防汚剤)を入れた。MD’M-ALMA(11.75g)、SLS(0.85g)、および脱イオン水(12.82g)のモノマーエマルジョンを、IKAミキサーを使用したオーバーヘッド攪拌、続いて、小型のハンドヘルドローターステーターを使用したさらなる攪拌によって形成し、2~15マイクロメートルの液滴径を生成した。反応器の内容物を70℃に加熱した後、モノマーエマルジョンを、反応器の内容物に添加し、次いで、それを70℃で1時間維持した。次いで、イソアスコルビン酸(0.1g)、エチレンジアミン四酢酸の1重量%溶液(0.1g)(すなわち、Thermo Fisher Scientificから入手可能であるVersene(商標))、0.15重量%の硫酸鉄(II)溶液(1.2g)、および脱イオン水(9.6g)の混合物、ならびにSLS(0.02g)、TAH(0.16g)、および脱イオン水(10g)の混合物を、反応器を70℃に維持しながら、90分間にわたって同時に反応器に供給した。これらの供給が終了した後、反応器を、70℃で30分間維持し、その後60℃に冷却した。次いで、イソアスコルビン酸(0.1g)、および脱イオン水(10g)の混合物、ならびにSLS(0.04g)、TAH(0.19g)、および脱イオン水(10g)の混合物を、反応器の内容物に順次添加した。次いで、50重量%の水酸化アンモニウム溶液を、2滴添加して、反応器の内容物の最終pHを中性に近づけた。次いで、最終反応混合物を、メッシュスクリーンを通して濾過して、生成物の多段ポリマーを得た。
【0052】
比較例CS3および実施例S21~S30:多段ポリマー
多段ポリマーを、実施例S20に記載されるように実質的に調製した。表3に記載されるように、比較例CS3および実施例S21~S30のそれぞれの生成物の多段ポリマー中のアクリレートに富む段およびカルボシロキサンに富む段の総重量%を反映して、それぞれの段中のアクリレートに富む段のモノマーおよびカルボシロキサンに富む段のモノマーを用いて、適切な変更を行った。
【表3】
【0053】
ポリマー特性
比較例CS1、CS3、および実施例S1~S30に従って調製された生成物多段ポリマーを、固形分パーセント、pH、平均粒子径(Brookhaven Instruments BI-90粒子径分析器を使用)、およびTA機器モデル2920示差走査熱量計(DSC)を使用して測定されたガラス転移温度Tgについて分析した。結果を表4に提供する。
【0054】
撥水性および撥皮脂性
フィルムの撥水性および撥皮脂性は、表面エネルギーによって支配される。長期間の高い撥水性および撥皮脂性が、様々な用途、例えば、建築用コーティングおよびパーソナルケア用途で所望される(すなわち、特に、カラー化粧品、日焼け止め剤、および汚染防止生成物における、長期にわたる活性物質の沈着、および耐擦性の有益性の提供)。撥水性および撥皮脂性は、フィルム表面からの水接触角および皮脂接触角を測定することによって評価され得る。具体的には、フィルムを、比較例CS1~CS3および実施例S1~S30に従って調製された生成物の多段ポリマーから、LENETA P121-16黒色プラスチックチャート上で、3ミルまたは6ミルのドクターブレードを用いてのドローダウンによって調製した。ドローされたフィルムを、環境制御された部屋内(72°Fおよび50%RH)で少なくとも72時間空気乾燥させた。次いで、乾燥したフィルムを、少なくとも48時間フォグボックス内に配置して、フィルム表面から残留界面活性剤を除去した。フォグボックス内での処理後、測定を行う前に、フィルムを、環境制御された部屋内(72°Fおよび50%RH)で少なくとも24時間空気乾燥させた。水または皮脂の液滴を、液滴形状分析器(Kruss DSA100)を使用して基材上に堆積させた後、水接触角および皮脂接触角の両方を、4秒および250秒で測定した。皮脂接触角の測定のために、表5に記載される組成を有する人工皮脂溶液を調製した。水接触角および皮脂接触角の測定の結果を、表4に示す。
【表4】
【表5】
【国際調査報告】