IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セラ ロイヤル エッセ.ピ.ア.の特許一覧

特表2022-513706車両シートなどの人体用支持要素を製造するための成形ユニット
<>
  • 特表-車両シートなどの人体用支持要素を製造するための成形ユニット 図1
  • 特表-車両シートなどの人体用支持要素を製造するための成形ユニット 図2
  • 特表-車両シートなどの人体用支持要素を製造するための成形ユニット 図3
  • 特表-車両シートなどの人体用支持要素を製造するための成形ユニット 図4
  • 特表-車両シートなどの人体用支持要素を製造するための成形ユニット 図5
  • 特表-車両シートなどの人体用支持要素を製造するための成形ユニット 図6
  • 特表-車両シートなどの人体用支持要素を製造するための成形ユニット 図7
  • 特表-車両シートなどの人体用支持要素を製造するための成形ユニット 図8
  • 特表-車両シートなどの人体用支持要素を製造するための成形ユニット 図9
  • 特表-車両シートなどの人体用支持要素を製造するための成形ユニット 図10
  • 特表-車両シートなどの人体用支持要素を製造するための成形ユニット 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】車両シートなどの人体用支持要素を製造するための成形ユニット
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/08 20060101AFI20220202BHJP
   B29C 39/12 20060101ALI20220202BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20220202BHJP
   B29C 44/06 20060101ALI20220202BHJP
   A47C 27/22 20060101ALI20220202BHJP
   A47C 27/15 20060101ALI20220202BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20220202BHJP
   B29L 31/58 20060101ALN20220202BHJP
【FI】
B29C44/08
B29C39/12
B29C44/00 A
B29C44/06
A47C27/22 B
A47C27/15 A
B29K105:04
B29L31:58
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531575
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(85)【翻訳文提出日】2021-06-30
(86)【国際出願番号】 IB2019059786
(87)【国際公開番号】W WO2020115587
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】102018000010890
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516186290
【氏名又は名称】セラ ロイヤル エッセ.ピ.ア.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビゴリン,バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】マルファッティ,マルコ
【テーマコード(参考)】
3B096
4F204
4F214
【Fターム(参考)】
3B096AD04
4F204AA42
4F204AB02
4F204AC05
4F204AD08
4F204AD16
4F204AG03
4F204AG20
4F204AH26
4F204EA01
4F204EB01
4F204EB11
4F204EB22
4F204EF05
4F204EK13
4F204EK17
4F214AA42
4F214AB02
4F214AC05
4F214AD08
4F214AD16
4F214AG03
4F214AG20
4F214AH26
4F214UA01
4F214UB01
4F214UB11
4F214UB22
4F214UD13
4F214UD17
4F214UF27
(57)【要約】
本発明は、車両シート等の人体用支持要素を製造するための成形ユニット(1)と、該成形ユニットを用いた成形方法とに関する。成形ユニット(1)は、雄構成要素(2)と雌構成要素(4)とを備える。雄構成要素(2)は、成形対象となる人体用支持要素を構成するフェルトまたは外殻(HU)を係合させるための係合手段(2a)を有する。雌構成要素(4)は、その第1の面(4a)において第1の凹部領域(5)を画定し、第1の面とは反対側の第2の面(4b)において第2の凹部領域(7)を画定する。当該成形ユニットを用いることで、フェルトまたは外殻(HU)の上に第1の発泡層または成形層(S1)を成形し、それに続いて、第1の発泡層または成形層の上に第2の発泡層または成形層(S2)を更に成形することができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シートなどの、人体用の支持要素を製造するための成形ユニットであって、当該成形ユニットは、
成形されるべき支持要素またはシート用のフェルトまたは外殻(HU)のための係合手段(2a)を有する雄構成要素(2)と、
前記フェルトまたは外殻の近傍で固化または硬化される第1の混合物が供給され得る第1の成形凹部領域(5)を画定する雌構成要素(4)と、
前記雄構成要素(2)および前記雌構成要素(4)を、少なくとも1つの第1の開位置と少なくとも1つの第1の閉位置との間で接近・離間させて、第1の発泡層または第1の成形層(S1)によりフェルトまたは外殻を成形するか、または得るための手段と、
を備えており、
前記成形ユニットが、前記第1の凹部領域(5)に対して異なる寸法を有する少なくとも1つの第2の凹部領域(7)を画定し、前記少なくとも1つの第2の凹部領域(7)内には、固化および硬化されるべき第2の混合物が供給可能であり、
第1の発泡層または第1の成形層(S1)を伴って以前に成形されたフェルトまたは外殻上に、第2の発泡層または第2の成形層または噴霧層を成形するために、前記少なくとも1つの第2の凹部領域(7)が、前記第1の凹部領域(5)に代わって、第1の発泡層または第1の成形層(S1)を伴って以前に成形された前記フェルトまたは外殻(HU)に近接した第2の閉位置に配置されることができ、
その結果、2つの発泡層または2つの成形層(S1、S2)で覆われたフェルトまたは外殻を得ることができる、ことを特徴とする成形ユニット。
【請求項2】
前記成形ユニットの前記少なくとも1つの第1の開位置では、フェルトまたは外殻(HU)を前記係合手段(2a)に拘束することが可能であり、一方、前記少なくとも1つの第1の閉位置では、前記雄構成要素(2)および雌構成要素(4)は、それぞれの表面または面(2c,4a)に沿って接触して、前記フェルトまたは外殻(HU)の近傍にあって前記フェルトまたは外殻を囲む前記第1の凹部領域(5)を密封的に閉鎖し、かつ、
第1の発泡層または第1の成形層(S1)を伴ったフェルトまたは外殻を得るために、前記フェルトまたは外殻上に第1の混合物を成形する、請求項1に記載の成形ユニット。
【請求項3】
前記雌構成要素(4)が、前記第1の凹部領域(5)および前記第2の凹部領域(7)の両方を画定している、請求項1又は2に記載の成形ユニット。
【請求項4】
前記雌構成要素(4)は、所定の軸を中心として回転可能に取り付けられ、前記雌構成要素(4)は、その第1の面(4a)上に前記第1の凹部領域(5)を画定すると共に、前記第1の面(4a)とは反対の、または異なる第2の面(4b)上に前記第2の凹部領域(7)を画定し、
前記成形ユニットは、前記第1の発泡層または第1の成形層(S1)を得るために前記第1の面(4a)が前記雄構成要素(2)に対面する第1の状態と、前記第2の発泡層または第2の成形層(S2)を得るために前記第2の面(4b)が前記雄構成要素(2)に対面する第2の状態との間で、前記雌構成要素(4)を回転または角度変位させるための手段を備える、請求項3に記載の成形ユニット。
【請求項5】
前記雄構成要素(2)および前記雌構成要素(4)を接近・離間させる又は開閉させるべく、前記雌構成要素(4)が、前記雄構成要素(2)および前記雌構成要素(4)の接近・離間方向に対してまたは相対回転軸に対して直交する軸を中心として回転可能に取り付けられている、請求項4に記載の成形ユニット。
【請求項6】
前記雌構成要素(4)が前記第1の凹部領域(5)および前記第2の凹部領域(7)を画定し、前記雌構成要素(4)は、前記第1の発泡層または前記第1の成形層(S1)を得るために前記第1の凹部領域(5)が前記雄構成要素(2)に向かって対面する第1の状態と、前記第2の発泡層または前記第2の成形層または噴霧層(S2)を得るために前記第2の凹部領域(7)が前記雄構成要素(2)に向かって対面する第2の状態との間で、並進手段によって変位され得る、請求項3に記載の成形ユニット。
【請求項7】
前記雌構成要素(4)が前記第2の状態にあるとき、前記接近・離間手段は、前記雄構成要素(2)および前記雌構成要素(4)を、当該成形ユニットの少なくとも1つの第2の開位置と、前記雄構成要素(2)および前記雌構成要素(4)がそれぞれの表面または面(2c,4b)に沿って接触する少なくとも1つの第2の閉位置との間で接近・離間させるように設計されており、
雄構成要素(2)および雌構成要素(4)が接触することで、第1の発泡層または第1の成形層(S1)を伴った前記フェルトまたは外殻の近傍で前記第2の凹部領域(7)を密封的に閉鎖し、次いで、第1の発泡層または第1の成形層(S1)を伴った前記フェルトまたは外殻上で、熱および/または圧力によって第2の発泡層または第2の成形層を成形して、2つの発泡層または2つの成形層または噴霧層(S2)で覆われたフェルまたは外殻を得る、請求項4,5または6に記載の成形ユニット。
【請求項8】
前記雄構成要素(2)が、主シート(2b)を備え、一方、前記係合手段が、前記主シート(2b)から突出した成形部分(2a)を備えており、
当該成形部分(2a)は、スナップ係合するように、又は、強制挿入によって若しくは、支持要素のフェルトもしくは外殻(HU)の空洞を吸引することによって係合するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の成形ユニット。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の成形ユニットによる成形方法であって、
フェルトまたは外殻(HU)を前記雄構成要素(2)の前記係合手段(2a)に拘束するステップと、
前記成形ユニットを前記少なくとも1つの第1の閉位置にもたらすステップと、
前記成形ユニットが前記少なくとも1つの第1の閉位置にもたらされる前または後に、第1の混合物を前記第1の凹部領域(5)内に供給するか又は注入するステップと、
前記第1の混合物を前記フェルトまたは外殻(HU)の近傍で成形し、それにより、第1の発泡層または第1の成形層(S1)で覆われたフェルトまたは外殻を得るステップと、
第1の発泡層または第1の成形層(S1)を伴ったフェルトまたは外殻が、前記雄構成要素(2)の係合手段(2a)に付着または拘束されたままの状態で、前記雄構成要素(2)および前記雌構成要素(4)を離間させるステップと、
前記第2の凹部領域(7)が第1の発泡層または第1の成形層(S1)を伴ったフェルトまたは外殻に接近した、又は囲んだ第2の閉位置に前記成形ユニット(1)をもたらすステップと、
前記成形ユニットが前記少なくとも1つの第2の閉位置にもたらされる前または後に、第2の混合物を前記第2の凹部領域(7)内に供給するか又は注入するステップと、
前記第2の混合物を成形し、それにより、2つの発泡層または成形層(S1,S2)で覆われたフェルトまたは外殻を得るステップと、
を備えた、成形方法。
【請求項10】
請求項4,5又は6に記載の成形ユニットを用いて得られる場合における、請求項9に記載の成形方法であって、
前記第2の凹部領域(7)を前記フェルト(HU)に接近させるために、前記雌構成要素(4)が回転または変位駆動され、次いで、前記雄構成要素(2)および前記雌構成要素(4)の前記接近・離間手段が、それらを前記第2の閉位置にもたらすように駆動される、ことを特徴とする成形方法。
【請求項11】
前記第1の混合物が膨張可能な流体であり、それは、成形時に、前記フェルトまたは外殻上に第1のパッドを形成させる、請求項9又は10に記載の成形方法。
【請求項12】
前記第1の混合物がポリウレタンを含むか、またはポリウレタンからなる、請求項9,10又は11に記載の成形方法。
【請求項13】
前記第2の混合物が膨張可能な流体であり、それは、成形時に、第1の発泡体または第1の成形体(S1)を有する前記フェルトまたは外殻上に第2のパッドを形成させる、請求項9~12のいずれか一項に記載の成形方法。
【請求項14】
前記第2の混合物が自己剥離性ポリウレタンを含むか、または自己剥離性ポリウレタンからなる、請求項9~13のいずれか一項に記載の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体用支持要素を製造するための成形ユニットおよび成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両シート、特に自転車用シートの鋳型は、通常、閉位置と開位置との間で互いに対して移動可能な雌構成要素と雄構成要素とを備える。
【0003】
既知のように、多くの場合、車両シートは、例えばいわゆる「フォーク」によってシートポストチューブに拘束され得るフェルトまたはベース本体と、フェルトに貼付されたパッドと、必要に応じてパッドを囲むカバーまたはスリーブとを備える。
【0004】
次いで、互いに異なる密度を有する二重パッドを含むシートを作製するための解決策が提案された。
【0005】
これらの解決策によれば、まず、第1の発泡層がシートのフェルトまたは外殻上に付着され、次いで、第1の発泡層を含み(例えば一体型ポリウレタンを含み)外殻上に第2の発泡を実行するために、半発泡層が別の型内に移動される。
【0006】
特許文献1は、従来技術による解決策を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008193699号(A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、車両用のシート、例えば自転車またはオートバイ用のシートなどの人体用の支持要素を作製するための新しい成形ユニットを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、上述のような支持要素を簡単かつ迅速に製造することを可能にする成形ユニットを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、従来の鋳型に対してより高い品質および効率で支持要素の取得を確実にする成形ユニットを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、顕著な軽さおよび柔軟性を支持要素またはシートに付与するために、耐性のある外層、および柔らかく密度の低い内層を有するシートなどの支持要素を得ることを可能にする成形ユニットを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、車両シート、例えば自転車またはオートバイ用のシートだけでなく、特に高齢者および障害者向けの解剖学的椅子用の背もたれおよびシート、靴用インソール、中でも整形外科用マットレスなどの人体用支持要素を成形するための新しい方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、請求項1に記載の成形ユニットが提供される。
従属請求項は、本発明の好ましく、かつ有利な実施形態に言及する。
【0014】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面に例として示されている成形ユニットの一実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】閉位置にある、本発明による成形ユニットの上面側の斜視図である。
図2】それぞれの側から見た図1のユニットの雌構成要素を示す。
図3】それぞれの側から見た図1のユニットの雌構成要素を示す。
図4】本発明による方法の各ステップの概略図である。
図5】本発明による方法の各ステップの概略図である。
図6】本発明による方法の各ステップの概略図である。
図7】本発明による方法の各ステップの概略図である。
図8】本発明による方法の各ステップの概略図である。
図9】本発明による方法の各ステップの概略図である。
図10】本発明による方法の各ステップの概略図である。
図11】本発明による方法によって得られる車両シートの断面図である。
【0016】
添付の図面では、同等の部品または構成要素は同じ参照番号で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
開示された図面を参照して、車両シート、例えば自転車またはオートバイ用のシートだけでなく、特に高齢者および障害者向けの解剖学的椅子用の背もたれおよびシート、靴用インソール、中でも整形外科用および整形外科用ではないマットレスなどの人体用支持要素を製造するための本発明による成形ユニット1が説明される。
【0018】
より具体的には、ユニット1は、成形される支持要素またはシートSAのためのフェルトまたは外殻HU用の係合手段2aを有する第1の構成要素または雄構成要素2と、フェルトまたは外殻HUの近傍で固化または硬化される混合物が供給または注入され得る第1の成形凹部領域5を画定する第2の構成要素または雌構成要素4とを備える。
【0019】
次いで、ユニット内には、第1の発泡層または第1の成形層S1を含むフェルトまたは外殻HUを成形するか、または得るために、成形ユニット1の少なくとも1つの第1の開位置(図4参照)と少なくとも1つの第1の閉位置(図5参照)との間で第1の構成要素2および第2の構成要素4を接近・離間させるための手段が設けられる。
【0020】
第1の発泡層または第1の成形層S1は、異なる発泡体、または互いに異なる密度を有する発泡体のサンドイッチによって得ることができる。
【0021】
前記接近・離間手段は、第1の構成要素2および第2の構成要素4を直線方向または均一な角度方向に沿って相互に接近・離間させるように設定された電気アクチュエータ、空気圧アクチュエータまたは別のタイプのアクチュエータを備えることができ、すなわち、第1の構成要素2または第2の構成要素4は、所定の直線方向に沿って他方の構成要素4、2に対して移動させることができ、あるいは他方の構成要素4、2に対して接近して閉じる、または離間して開くように角度移動させることができる。明らかに、接近・離間手段は、第1の構成要素2および第2の構成要素4の両方を移動させるために設定することもでき、必ずしも2つのうちの1つのみを移動させる必要はない。
【0022】
より具体的には、第1の開位置では、フェルトまたは外殻HUを係合手段2aに拘束することが可能である。
【0023】
そのような目的のために、雄構成要素2は主シート2bを備え、一方、係合手段が、主シート2bから突出し、より良好にはさらにその主面2cから突出する成形部分2aを備え、成形部分2aは、支持要素のフェルトまたは外殻HUの空洞にスナップ係合する、または強制挿入によって係合するように構成されている。
【0024】
必要に応じて、貫通チャネルも、そして当該貫通チャネルと流体連通する吸引手段と共に、主シート2b内に設けることができて、吸引によってフェルトまたは外殻HUを係合手段上の所定の位置に維持することが可能である。
【0025】
自転車または電動自転車などの車両シートの場合、成形部分2aは、例えばシートのフェルトまたは外殻HUによって画定される凹部領域と実質的に相補的に、シートのフェルトまたは外殻HUと係合するように構成される。したがって、例えば、成形部分2aは、減少部分が主シート2bから離間して減少する部分を有し、一方の側から他方の側に向かって、シートの後部、またはより良好にはシート用の外殻の後部に相当する、第1の部分2a1と、シートの先端、またはより良好にはシート用の外殻の先端に相当する、第1の部分2a1よりも小さい幅の、または第1の部分2a1の約半分未満の幅の第2の部分2a2と、第1の部分2a1と第2の部分2a2とを接続するために第1の部分2a1と第2の部分2a2との間の中間にある第3の部分2a3とを有する構成を有する本体を備えることができ、そのような第3の部分2a3は、第1の部分2a1から第2の部分2a2への移行部において徐々に減少する幅を有する。
【0026】
必要に応じて、成形部分2aは、主シート2bから離間して、側方環状境界2a4を有する第1の部分と、次いで、外部肩部2a5を有する側方環状境界2a4を有する第1の部分よりも幅が小さい側方環状境界(図面内ではフェルトまたは外殻HUによって覆われている)を有する第2の部分とを備えることができ、面2cに平行であるか、またはそれに対して傾斜しており、側方環状境界2a4によって第2の部分の外縁と第1の部分の外縁との間に画定される。
【0027】
そのような場合、係合部分は、主に、側方環状境界を有する第2の部分によって構成される。
【0028】
まだ第1の開位置では、第1の混合物は、成形ユニットが閉じた状態で、第1の混合物がフェルトまたは外殻HUの上または周囲にあるように、第1の凹部領域5内に供給され得る。明らかに、第1の混合物は、例えば第2の構成要素または雌構成要素内に作製された適切な搬送チャネルによって、成形ユニットが閉じた状態でも供給され得る。
【0029】
第1の閉位置では、代わりに、第1の構成要素2および第2の構成要素4は、それぞれの表面または面2c、4aに沿って接触して、フェルトまたは外殻HUの近傍にあり、それを囲む凹部領域5を密封的に閉鎖する(必要に応じて適切なシールにより)。これは、凹部領域5が、フェルトまたは外殻HUよりも大きい幅を有し、したがって、係合手段2aよりも明らかに大きい幅を有して、その結果、凹部領域5の画定壁と係合手段2a上に取り付けられたフェルトHUとの間に、第1の混合物が第1の閉位置に位置するか、または第1の混合物が実際に導入または注入される第1の成形印象(moulding impression)を画定することを示す。
【0030】
凹部領域5を少なくとも部分的に充填するように第1の混合物を開いた成形ユニット内に供給または注入した後、凹部領域5がフェルトまたは外殻HUの上、またはその周囲にあるように、成形ユニットは第1の閉位置にもたらされ、フェルトまたは外殻HUは、以前に供給または注入された第1の混合物内に実際に浸漬される。この時点で、混合物は、第1の発泡層または第1の成形層S1を有するフェルトまたは外殻を得るように成形され得る。明らかに、成形は、圧力および/または熱を加えることによって実行されることができ、その結果、成形ユニット1は、凹部成形領域5を加熱するための手段を備える、または備えないことが可能である。
【0031】
加えて、成形ユニット1は、第1の凹部領域5とは異なる寸法、特に第1の凹部領域5よりも大きいサイズを有し、第1の凹部領域5に等しい形状およびサイズの領域を含むことができるように構成された少なくとも1つの第2の凹部領域7を画定する。
【0032】
第2の凹部領域7は、フェルトまたは外殻HU、より好ましくは第1の凹部領域5の代替として、第1の発泡層または第1の成形層S1によるフェルトまたは外殻の近傍に、それを囲むように配置可能である。
【0033】
固化または硬化されるべき第2の混合物は、第2の発泡層または第2の成形層または噴霧層S2を作製するために、第1の発泡体または第1の成形体S1を含むフェルトまたは外殻の特に近傍に、第2の凹部領域7内に供給され、または注入され得る。
【0034】
次いで、第2の凹部領域7は、第1の発泡層または第1の成形層S1を含む、以前に成形されたフェルトまたは外殻の上に第2の発泡層または第2の成形層を成形するために、第1の凹部領域5の代わりに、第1の発泡層または第1の成形層S1を含む以前に成形されたフェルトまたは外殻の近傍に第2の閉位置に配置可能であり、その結果、2つの発泡層または2つの成形層S1、S2で覆われたフェルトまたは外殻を得ることができる。
【0035】
明らかに、第2の凹部領域7は、第2の凹部領域7の画定壁と、係合手段2a上に取り付けられた第1の発泡層または第1の成形層S1を含む予め成形されたフェルトまたは外殻との間に、第2の成形印象(moulding impression)を画定するような幅を有し、第2の成形印象には、第2の発泡層または第2の成形層をフェルト上に作製するための成形中に混合物が実際に存在する。第2の成形印象は、0.5~10mm、好ましくは1~4mmの厚さを有することができて、そのような厚さを有する第2の発泡層または第2の成形層を得ることができる。
【0036】
いずれの場合も、成形ユニット1が第2の開位置にある状態で、第2の混合物が第2の凹部領域7内に供給され、次いで成形ユニットが閉鎖され、それにより第1の発泡層または第1の成形層S1を含む以前に成形されたフェルトまたは外郭の上、またはその周りに第2の凹部領域7を有する第2の閉位置内にそれをもたらし、第1の発泡層または第1の成形層S1を含むフェルトまたは外殻が、凹部領域7に以前に供給または注入された第2の混合物内に実際に浸漬される。
【0037】
したがって、第2の閉位置では、第2の混合物が成形されて、2つの発泡層または2つの成形層S1、S2を有するフェルトまたは外殻を得ることができる。このような場合にも、明らかに、成形は、熱を加えることによって実行されることができ、その結果、成形ユニット1は第2の凹部成形領域7を加熱するための手段を備える、または備えないことが可能である。明らかに、第2の混合物は、例えば第2の構成要素または雌構成要素内に作製された適切な搬送チャネルによって、閉鎖された成形ユニットに供給されることもできる。
【0038】
好ましくは、雌構成要素4は、第1の凹部領域5および第2の凹部領域7の両方を画定する。
【0039】
このようなことに関して、雌構成要素4は、必要に応じて、第1の構成要素2および第2の構成要素4の接近・離間方向に直交する軸を中心として、またはいずれの場合にも相対回転軸に対して回転可能に取り付けられて、第1の構成要素2および第2の構成要素4を接近・離間させ、または開閉することができる。
【0040】
そのような場合、雌構成要素4は、その第1の面4a上の第1の凹部領域5と、第1の面4aとは反対側の、または異なる第2の面4b上の第2の凹部領域7とを画定する。このような態様を参照すると、雌構成要素4は、例えば、第1の面4aが第2の面4bと実質的に平行であり、反対側にあるか、またはいずれの場合にも第2の面4bとは異なる箱状または平行六面体の構成を有する主本体を備えることができる。
【0041】
このような実施形態によれば、成形ユニット1はまた、第1の発泡層または第1の成形層を得るために、第1の面4a、またはより良好にはさらに第1の凹部領域5が雄構成要素2に向けられ、必要に応じて、その主面2cに平行である第1のトリム(状態)と、第2の発泡層または第2の成形層を得るために、第2の面4b、またはより良好にはさらに第2の凹部領域7が雄構成要素2に向けられ、必要に応じて、その主面2cに平行である第2のトリム(状態)との間で、電気アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、または別のタイプのアクチュエータなど、雌構成要素4の回転または角度変位手段を備える。明らかに、第1のトリム(状態)では、第2の面4bが雄構成要素2から離間するように向けられ、第2のトリム(状態)では、第1の面4aが雄構成要素2から離間するように向けられる。
【0042】
したがって、例えば、雌構成要素4は、明らかにユニット1が開位置にある場合、雌構成要素4を回転駆動するための機械のマンドレルに拘束される回転ピン9を含むことができる。
【0043】
別法として、雌構成要素4は、必要に応じて同じ面上にも、第1の凹部領域5および第2の凹部領域7を画定することができ、並進手段によって変位可能であって、そのような領域5、7を、選択的に第1の雄構成要素2の真向いに、または第1の雄構成要素2に向かって、またはより良好にはさらにその主面に向かってもたらすことができる。実質的に、並進手段は、第1の発泡層または第1の成形層S1を得るために、第1の凹部領域5が雄構成要素2に向けられている第1のトリム(状態)と、第2の発泡層または第2の成形層または噴霧層S2を得るために、第2の凹部領域7が雄構成要素2に向けられている第2のトリム(状態)とに、雌構成要素4を選択的にもたらすようになる。
【0044】
一変形形態によれば、雌構成要素4は、第1の凹部領域5を画定する第1の要素と、第2の凹部領域7を画定する第2の要素との2つの要素を備えることができ、第1の要素は、第2の要素内に取り外し可能に収容可能であり、より良好には、第1の凹部領域5の画定壁は、第2の凹部領域内に取り外し可能に収容可能である。
【0045】
別の変形形態によれば、成形ユニットは、2つの雌構成要素を備えることができ、それぞれがそれぞれの凹部領域5、7を画定し、第1の発泡層もしくは第1の成形層S1または第2の発泡層もしくは第2の成形層もしくは噴霧層S2を成形するためのそれぞれのステップを実行するために雄構成要素に対向して選択的に配置可能である。
【0046】
加えて、雌構成要素4が第2のトリム(状態)にある場合、第2の混合物を供給した後、接近・離間手段が、成形ユニット1の少なくとも1つの第2の開位置と、雄構成要素2および雌構成要素4がそれぞれの表面または面2c,4bに沿って接触する少なくとも1つの第2の閉位置との間で、第1の構成要素2および第2の構成要素4を、直線的変位または角度変位にしたがって、互いに接近・離間させるように設計されて、第1の発泡層または第1の成形層S1を含むフェルトまたは外殻の近傍で第2の凹部領域7を密封的に閉鎖し(必要に応じて適切なシールにより)、次いで、第1の発泡層または第1の成形層S1を含むフェルトまたは外殻上の熱および/または圧力によって第2の発泡層または第2の成形層S2を成形するように進み、2つの発泡層または2つの成形層S1またはS2で覆われたフェルトまたは外殻を得る。
【0047】
車両シートを製造するための成形ユニットの場合、雌構成要素4は、第1のセクション2a1から第2のセクション2a2への方向、すなわち、製造されるシートの背面方向に実質的に平行な軸を中心として回転可能に取り付けられ得る。明らかに、解決策は、異なる回転軸または枢動軸を備えることができる。
【0048】
詳細には、凹部領域5、7の構成に関して、ユニット1が自転車または電動自転車などの車両シートを製造するためのものである場合、第1の凹部領域5は、フェルトまたは外殻HUによって、シートのパッドまたはシートのパッドの内層に実質的に相当する第1の成形印象を画定するような構成を有することができ、一方、第2の凹部領域7は、第1の発泡層または第1の成形層S1を備え付けるフェルトまたは外殻HUによって、シートのカバーまたはシートのパッドの外層に実質的に相当する第2の成形印象を画定するような構成を有することができる。
【0049】
したがって、例えば、一方または両方の凹部領域5、7は、一方の側から他方の側に向かって、シートの背面に相当し、フェルトまたは外殻HUの背面ならびに第1の部分2a1を囲むように指定された第1の部分5a、7aと、よりも小さい幅、第1の部分5a、7aの約半分より小さい幅を有し、フェルトまたは外殻HUの先端ならびに第2の部分2a2を囲むように指定された第2の部分5b、7bと、第1の部分5a、7aと第2の部分5b、7bとの間の中間にあり、それらを接続する第3の部分5c、7cとを有し、そのような第3の部分5c、7cは、第1の部分5a、7aから第2の部分5b、7bまでの移行部において徐々に減少する幅を有する。
【0050】
必要に応じて、一方または両方の凹部領域5、7は、雌構成要素4のそれぞれの面4a、4bから離れる方向に、すなわち雌構成要素4自体の外側から内側に向かう方向に減少する断面を有することができる。
【0051】
本発明に従う成形ユニットを用いて、車両シート、例えば自転車またはオートバイ用のシートだけでなく、椅子用の背もたれおよびシートなどの人体用の支持要素を成形するための方法を提供することができる。
【0052】
より具体的には、このような方法は、以下のステップを含む、即ち、
例えばスナップまたは強制挿入によって、フェルトまたは外殻HUを第1の構成要素または雄構成要素2の係合手段2aに拘束するステップと、
第1の凹部領域5内に第1の混合物を、例えば噴霧および/または注入することによって、供給または注入するステップと(図4参照)、
接近・離間手段によって(第1の構成要素2および/または第2の構成要素4を移動させることによって)ユニット1を第1の閉位置(図5参照)にもたらすステップと、
熱を加えることによって、および/または第1の構成要素2と第2の構成要素4との間の閉鎖または当接圧力によって、フェルトまたは外殻HUの近傍で第1の混合物を成形して、第1の発泡層または第1の成形層S1で覆われたフェルトまたは外殻を得るステップと、
第1の発泡層または第1の成形層S1を含むフェルトまたは外殻が第1の構成要素または雄構成要素2の係合手段2aに接着または拘束されたままである間に、第1の構成要素2および第2の構成要素4を移動させるステップ(図6参照)と、
第2の凹部領域7内に第2の混合物を、例えば噴霧および/または注入することによって、供給または注入するステップと(図8を参照)、
第2の凹部領域7が、第1の発泡層または第1の成形層S1を含むフェルトまたは外殻に接近し、又は囲むところの第2の閉位置に、ユニット1をもたらす(第1の構成要素2および/または第2の構成要素4を移動させることによって)ステップ(図9参照)と、
熱を加えることによって、および/または第1の構成要素2と第2の構成要素4との間に閉鎖または当接圧力によって、第2の混合物を成形し、したがって、2つの発泡層または2つの成形層S1、S2で覆われたフェルトまたは外殻を得るステップと、
を含む。
【0053】
第1の発泡層または第1の成形層S1は、互いに異なる密度を有する異なる発泡体または発泡体のサンドイッチによって得ることができ、また後続のステップ中に付加することができることが確認される。加えて、これは、例えば発泡および/または噴霧および/または注入によって得ることができる。
【0054】
第2の成形層S2に関して、代わりに、これは、例えば発泡および/または噴霧および/または注入によって得ることができる。
【0055】
ユニット1が回転可能に取り付けられた第2の構成要素4を備える場合には、第2の凹部領域7をフェルトHUに接近させるために、まず、雌構成要素4の回転または変位が駆動され(図7参照)、次いで、第1の構成要素2および第2の構成要素4を第2の閉位置にもたらすように、第1の構成要素2および第2の構成要素4を接近・離間させるための手段が駆動される。
【0056】
そのような場合、第2の凹部領域7への第2の混合物の供給は、好ましくは、雌構成要素4の回転または変位の後に実行される。
【0057】
明らかに、上記のものの代替として、第1の混合物の供給は、成形ユニットが既に閉じているか、またはより良好には第1の閉位置にある状態で実行されることも可能である。
【0058】
同様に、第2の混合物の供給は、成形ユニットが既に閉じているか、またはより良好には第1の閉位置にある状態で実行されることも可能である。
【0059】
そのようなことに関して、フェルトまたは外殻HUは、熱可塑性材料または熱可塑性もしくは熱硬化性複合材で構成される群から選択される材料で作製され得る。
【0060】
加えて、第1の混合物は、第1の成形印象を充填するように指定された膨張可能な流体とすることができる。
【0061】
このようなことに関して、第1の混合物は、ポリウレタンを含むことができ、またはポリウレタンによって構成され得る。
【0062】
上述のように、第1の混合物は、成形されると、フェルトまたは外殻HU上に第1のパッドS1の形成をもたらす。
【0063】
第2の混合物は、第2の成形印象を充填するように指定された膨張可能な流体とすることができる。
【0064】
このようなことに関して、第2の混合物は、自己剥離性ポリウレタンを含むことができ、または自己剥離性ポリウレタンによって構成され得る。
【0065】
好ましくは、特にシートを製造するための成形ユニットの場合、第2の発泡層は、使用時に、水を吸収せず、耐摩耗性である外部下層を有する。
【0066】
上述のように、第2の混合物は、成形されると、第1の発泡層または第1の成形層または噴霧層S1を有するフェルトまたは外殻上に第2のパッドS2の形成をもたらす。
【0067】
さらに、第1の発泡層または第1の成形層S1は、有利には、第2の発泡層または第2の成形層S2よりも密度が低く、柔らかい。
【0068】
理解されるように、本発明による成形ユニットを用いて、二重発泡体を含むフェルトまたは外殻を得ることが可能であり、プラント内の動きを低減し、操作を容易にし、完成した物体の品質を向上させ、並びにこれまでに提案された解決策に対して効率を高める。
【0069】
単一の発泡層または成形層を含む要素またはシートに対してより顕著な軽さ、および柔軟性を付与するために、耐摩耗性であるが、より密度が低く、柔らかい第1の発泡層または第1の成形層の内部に第2の発泡層または第2の成形層を含むシートなど、支持要素もまた得られる。さらに、上述したように、第1の発泡層または第1の成形層S1は、互いに異なる密度を有する異なる発泡体または発泡体のサンドイッチによって得ることができ、後続のステップ中に付加され得る。
【0070】
本発明の修正形態および変形形態は、特許請求の範囲によって定義される保護範囲内で可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 成形ユニット
2 雄構成要素(雄型構成要素)
4 雌構成要素(雌型構成要素)
5 雌構成要素における第1の(成形)凹部領域
7 雌構成要素における第2の(成形)凹部領域
HU フェルトまたは外殻
S1 第1の発泡層または成形層
S2 第2の発泡層または成形層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】