(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】窒素固定微生物製品のための改善された安定性を有するポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20220202BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220202BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20220202BHJP
C12N 15/31 20060101ALN20220202BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20220202BHJP
C12N 15/52 20060101ALN20220202BHJP
C12N 15/53 20060101ALN20220202BHJP
C12N 15/55 20060101ALN20220202BHJP
C12P 19/04 20060101ALN20220202BHJP
【FI】
C12N1/20 A
C12N1/21 ZNA
A01G7/00 605Z
C12N15/31
C12N15/113 Z
C12N15/52 Z
C12N15/53
C12N15/55
C12P19/04 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531992
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(85)【翻訳文提出日】2021-08-03
(86)【国際出願番号】 US2019064782
(87)【国際公開番号】W WO2020118111
(87)【国際公開日】2020-06-11
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518011220
【氏名又は名称】ピボット バイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】レザエイ, ファルザネ
(72)【発明者】
【氏名】キッビー, ジョン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AF11
4B064CA02
4B064DA11
4B065AA01X
4B065AA29X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC15
4B065BA02
4B065BC41
4B065CA47
4B065CA48
4B065CA49
(57)【要約】
本開示は、微生物への外因性ポリマーの組み込みを提供し、これは、該外因性ポリマーが欠如した微生物の保存寿命と比較して、所望の微生物(例えば、細菌)の保存寿命を延長するように増加した安定性及び生存率を与えるものである。微生物には、トランスジェニック微生物、非トランスジェニック微生物、及びリモデリングされた非属間微生物が含まれる。教示される微生物製品の利用により、微生物組成物の典型的な保存寿命の顕著な増大が可能となろう。本明細書に記載の外因性ポリマーを含む微生物は、他の農業上有益な組成物と組み合わせることが可能である。さらに、本開示は、前述の組成物への外来微生物バイオフィルムの添加を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物組成物であって、
a.1つまたは複数の単離された細菌と、
b.1つまたは複数のポリマーを含むポリマー組成物と、を含み、
前記1つまたは複数のポリマーが、前記1つまたは複数の単離された細菌に外因性である、前記微生物組成物。
【請求項2】
c.前記1つまたは複数の単離された細菌に外因性の1つまたは複数のバイオフィルムをさらに含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項3】
前記1つまたは複数のバイオフィルムが、以下の属、すなわち、Pseudomonas、Kosakonia、Bacillus、Azospirillum、Candida、Saccharomyces、及びAgrobacteriumから選択される属内の種を含む、請求項2に記載の微生物組成物。
【請求項4】
前記1つまたは複数のバイオフィルムが、Kosakonia sacchariを含む、請求項2に記載の微生物組成物。
【請求項5】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella属由来であり、前記1つまたは複数のバイオフィルムが、Kosakonia属の微生物を含む、請求項2に記載の微生物組成物。
【請求項6】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella variicolaであり、前記1つまたは複数のバイオフィルムが、Kosakonia sacchariを含む、請求項2に記載の微生物組成物。
【請求項7】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella variicola 137-1036菌株であり、前記1つまたは複数のバイオフィルムが、Kosakonia sacchariを含む、請求項2に記載の微生物組成物。
【請求項8】
前記1つまたは複数のバイオフィルムが、2つの異なるバイオフィルム産生微生物によって産生される2つのバイオフィルムを含む、請求項2に記載の微生物組成物。
【請求項9】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、以下の属、すなわち、Achromobacter、Agrobacterium、Anabaena、Azorhizobium、Azospirillum、Azotobacter、Bacillus、Bradyrhizobium、Candida、Clostridium、Enterobacter、Klebsiella、Kluyvera、Kosakonia、Mesorhizobium、Microbacterium、Pseudomonas、Rahnella、Rhizobium、Saccharomyces、Sinorhizobium、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項10】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、Achromobacter marplatensis、Achromobacter spiritinus、Azospirillum lipoferum、Enterobacter菌種、Klebsiella variicola、Kluyvera intermedia、Kosakonia pseudosacchari、Kosakonia sacchari、Microbacterium murale、Rahnella aquatilis、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項11】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella属由来である、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項12】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella variicolaである、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項13】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella variicola 137-1036菌株である、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項14】
前記1つまたは複数のポリマーが、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル(PVP-VA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギネート、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項15】
前記1つまたは複数のポリマーが、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル(PVP-VA)である、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項16】
前記1つまたは複数のポリマーが、電界紡糸ポリマーである、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項17】
前記1つまたは複数のポリマーが、コポリマーを含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項18】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、窒素を固定することができる、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項19】
前記1つまたは複数の単離された細菌の生存率が、前記1つまたは複数のポリマーが欠如した1つまたは複数の単離された細菌を含む対照組成物と比較して増加を示す、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項20】
前記1つまたは複数の単離された細菌の生存率が、少なくとも30日間保管された場合に、前記1つまたは複数のポリマーが欠如した1つまたは複数の単離された細菌を含む対照組成物と比較して増加を示す、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項21】
前記1つまたは複数の単離された細菌の生存率が、液体培養中で保管された場合に増加を示す、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項22】
前記組成物が固体である、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項23】
前記組成物が液体である、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項24】
前記組成物が半固体である、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項25】
前記微生物組成物が、植物種子または他の植物繁殖材料上に存在する種子コーティングである、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項26】
前記微生物組成物が、トウモロコシ種子上に存在する殺虫剤、除草剤、殺真菌剤、または殺線虫剤を有する、前記種子上に存在する種子コーティングである、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項27】
前記微生物組成物が、畦間製剤中にある、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項28】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、内部寄生性、着生性、または根圏性である、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項29】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、野生型細菌である、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項30】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、トランスジェニック細菌である、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項31】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、リモデリングされた非属間細菌である、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項32】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、表1から選択されるリモデリングされた非属間細菌、またはその子孫もしくは派生物である、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項33】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、空中窒素を固定することができる、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項34】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、外因性窒素の存在下で空中窒素を固定することができるリモデリングされた非属間細菌である、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項35】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子または非コードポリヌクレオチドに導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、リモデリングされた非属間細菌である、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項36】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子に作動可能に連結された導入制御配列を含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項37】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子に作動可能に連結された異種プロモーターを含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項38】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifA、nifL、ntrB、ntrC、グルタミン合成酵素をコードするポリヌクレオチド、glnA、glnB、glnK、drat、amtB、グルタミナーゼをコードするポリヌクレオチド、glnD、glnE、nifJ、nifH、nifD、nifK、nifY、nifE、nifN、nifU、nifS、nifV、nifW、nifZ、nifM、nifF、nifB、nifQ、ニトロゲナーゼ酵素の生合成に関連する遺伝子、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される成員に導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項39】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、NifAもしくはグルタミナーゼの増加した発現もしくは活性;NifL、NtrB、グルタミン合成酵素、GlnB、GlnK、DraT、AmtBの減少した発現もしくは活性;GlnEの減少したアデニリル除去活性;またはGlnDの減少したウリジリル除去活性のうちの1つまたは複数をもたらす、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子または非コードポリヌクレオチドに導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項40】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の前記nifL遺伝子を含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項41】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、アデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子を含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項42】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、amtB遺伝子の発現の欠如をもたらす変異型の前記amtB遺伝子を含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項43】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の前記nifL遺伝子;アデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子;amtB遺伝子の発現の欠如をもたらす変異型の前記amtB遺伝子;及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項44】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の前記nifL遺伝子、及びアデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子を含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項45】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の前記nifL遺伝子、アデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子、及びamtB遺伝子の発現の欠如をもたらす変異型の前記amtB遺伝子を含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項46】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、エキソポリサッカライド産生、エンドポリガラクツロナーゼ産生、トレハロース産生、及びグルタミン変換からなる群から選択される経路に関与する遺伝子に導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項47】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、bcsii、bcsiii、yjbE、fhaB、pehA、otsB、treZ、glsA2、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される遺伝子に導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項48】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、NCMA201701002として寄託された細菌、NCMA201708004として寄託された細菌、NCMA201708003として寄託された細菌、NCMA201708002として寄託された細菌、NCMA201712001として寄託された細菌、NCMA201712002として寄託された細菌、及びそれらの組み合わせから選択される細菌を含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項49】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、配列番号177~260、296~303、及び458~469から選択される核酸配列と少なくとも約90%、95%、または99%の配列同一性を共有する核酸配列を含む細菌を含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項50】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、配列番号177~260、296~303、及び458~469から選択される核酸配列を含む細菌を含む、請求項1に記載の微生物組成物。
【請求項51】
細菌組成物の生存率を増加させるための方法であって、前記方法が、
a.1つまたは複数の単離された細菌と、
b.1つまたは複数のポリマーを含むポリマー組成物と、を組み合わせることを含み、
前記1つまたは複数のポリマーが、前記1つまたは複数の単離された細菌に外因性であり、前記生存率の増加が、前記1つまたは複数のポリマーが欠如した1つまたは複数の単離された細菌を含む対照組成物と比べてのものである、前記方法。
【請求項52】
a)及びb)と、
c.前記1つまたは複数の単離された細菌に外因性の1つまたは複数のバイオフィルムを組み合わせることをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記1つまたは複数のバイオフィルムが、以下の属、すなわち、Pseudomonas、Kosakonia、Bacillus、Azospirillum、Candida、Saccharomyces、及びAgrobacteriumから選択される属内の種を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記1つまたは複数のバイオフィルムが、Kosakonia sacchariを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella属由来であり、前記1つまたは複数のバイオフィルムが、Kosakonia属由来の微生物を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella variicolaであり、前記1つまたは複数のバイオフィルムが、Kosakonia sacchariを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella variicola 137-1036菌株であり、前記1つまたは複数のバイオフィルムが、Kosakonia sacchariを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
前記1つまたは複数のバイオフィルムが、2つの異なるバイオフィルム産生微生物によって産生される2つのバイオフィルムを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、以下の属、すなわち、Achromobacter、Agrobacterium、Anabaena、Azorhizobium、Azospirillum、Azotobacter、Bacillus、Bradyrhizobium、Candida、Clostridium、Enterobacter、Klebsiella、Kluyvera、Kosakonia、Mesorhizobium、Microbacterium、Pseudomonas、Rahnella、Rhizobium、Saccharomyces、Sinorhizobium、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項60】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、Achromobacter marplatensis、Achromobacter spiritinus、Azospirillum lipoferum、Enterobacter菌種、Klebsiella variicola、Kluyvera intermedia、Kosakonia pseudosacchari、Kosakonia sacchari、Microbacterium murale、Rahnella aquatilis、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項61】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella属由来である、請求項51に記載の方法。
【請求項62】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella variicolaである、請求項51に記載の方法。
【請求項63】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella variicola 137-1036菌株である、請求項51に記載の方法。
【請求項64】
前記1つまたは複数のポリマーが、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル(PVP-VA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギネート、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項65】
前記1つまたは複数のポリマーが、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル(PVP-VA)である、請求項51に記載の方法。
【請求項66】
前記1つまたは複数のポリマーが、電界紡糸ポリマーである、請求項51に記載の方法。
【請求項67】
前記1つまたは複数のポリマーが、コポリマーを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項68】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、窒素を固定することができる、請求項51に記載の方法。
【請求項69】
前記1つまたは複数の単離された細菌の生存率が、前記1つまたは複数のポリマーが欠如した1つまたは複数の単離された細菌を含む対照組成物と比較して増加を示す、請求項51に記載の方法。
【請求項70】
前記1つまたは複数の単離された細菌の生存率が、少なくとも30日間保管された場合に、前記1つまたは複数のポリマーが欠如した1つまたは複数の単離された細菌を含む対照組成物と比較して増加を示す、請求項51に記載の方法。
【請求項71】
前記1つまたは複数の単離された細菌の生存率が、液体培養中で保管された場合に増加を示す、請求項51に記載の方法。
【請求項72】
前記組成物が固体である、請求項51に記載の方法。
【請求項73】
前記組成物が液体である、請求項51に記載の方法。
【請求項74】
前記組成物が半固体である、請求項51に記載の方法。
【請求項75】
前記微生物組成物が、植物種子または他の植物繁殖材料上に存在する種子コーティングである、請求項51に記載の方法。
【請求項76】
前記微生物組成物が、トウモロコシ種子上に存在する殺虫剤、除草剤、殺真菌剤、または殺線虫剤を有する、前記種子上に存在する種子コーティングである、請求項51に記載の方法。
【請求項77】
前記微生物組成物が、畦間製剤中にある、請求項51に記載の方法。
【請求項78】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、内部寄生性、着生性、または根圏性である、請求項51に記載の方法。
【請求項79】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、野生型細菌である、請求項51に記載の方法。
【請求項80】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、トランスジェニック細菌である、請求項51に記載の方法。
【請求項81】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、リモデリングされた非属間細菌である、請求項51に記載の方法。
【請求項82】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、表1から選択されるリモデリングされた非属間細菌、またはその子孫もしくは派生物である、請求項51に記載の方法。
【請求項83】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、空中窒素を固定することができる、請求項51に記載の方法。
【請求項84】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、外因性窒素の存在下で空中窒素を固定することができるリモデリングされた非属間細菌である、請求項51に記載の方法。
【請求項85】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子または非コードポリヌクレオチドに導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、リモデリングされた非属間細菌である、請求項51に記載の方法。
【請求項86】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子に作動可能に連結された導入制御配列を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項87】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子に作動可能に連結された異種プロモーターを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項88】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifA、nifL、ntrB、ntrC、グルタミン合成酵素をコードするポリヌクレオチド、glnA、glnB、glnK、drat、amtB、グルタミナーゼをコードするポリヌクレオチド、glnD、glnE、nifJ、nifH、nifD、nifK、nifY、nifE、nifN、nifU、nifS、nifV、nifW、nifZ、nifM、nifF、nifB、nifQ、ニトロゲナーゼ酵素の生合成に関連する遺伝子、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される成員に導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項89】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、NifAもしくはグルタミナーゼの増加した発現もしくは活性;NifL、NtrB、グルタミン合成酵素、GlnB、GlnK、DraT、AmtBの減少した発現もしくは活性;GlnEの減少したアデニリル除去活性;またはGlnDの減少したウリジリル除去活性のうちの1つまたは複数をもたらす、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子または非コードポリヌクレオチドに導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項90】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の前記nifL遺伝子を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項91】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、アデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項92】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、amtB遺伝子の発現の欠如をもたらす変異型の前記amtB遺伝子を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項93】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の前記nifL遺伝子;アデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子;amtB遺伝子の発現の欠如をもたらす変異型の前記amtB遺伝子;及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項94】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の前記nifL遺伝子、及びアデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項95】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の前記nifL遺伝子、アデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子、及びamtB遺伝子の発現の欠如をもたらす変異型の前記amtB遺伝子を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項96】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、エキソポリサッカライド産生、エンドポリガラクツロナーゼ産生、トレハロース産生、及びグルタミン変換からなる群から選択される経路に関与する遺伝子に導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項97】
前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、bcsii、bcsiii、yjbE、fhaB、pehA、otsB、treZ、glsA2、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される遺伝子に導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項98】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、NCMA201701002として寄託された細菌、NCMA201708004として寄託された細菌、NCMA201708003として寄託された細菌、NCMA201708002として寄託された細菌、NCMA201712001として寄託された細菌、NCMA201712002として寄託された細菌、及びそれらの組み合わせから選択される細菌を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項99】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、配列番号177~260、296~303、及び458~469から選択される核酸配列と少なくとも約90%、95%、または99%の配列同一性を共有する核酸配列を含む細菌を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項100】
前記1つまたは複数の単離された細菌が、配列番号177~260、296~303、及び458~469から選択される核酸配列を含む細菌を含む、請求項51に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年12月7日に出願された米国仮出願第62/776,782号に対する優先権の利益を主張するものであり、この仮出願は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
配列表に関する記述
本明細書と共に電子的に提出されるテキストファイルの内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される:配列表のコンピューター可読形式のコピー(ファイル名:PIVO_009_01WO_SeqList_ST25.txt、作成日:2019年11月30日、ファイルサイズ約632キロバイト)。
【背景技術】
【0003】
国連食糧農業機関は、2050年までに、増大し続ける人口のニーズを満たすために食料総生産量が70%増加しなければならないと予測している。この難問は、淡水資源の減少、耕地に対する競合の増加、エネルギー価格の上昇、投入コストの増加、及び作物が、より乾燥した高温かつより極端な全地球的気候の圧力に適応する必要がある可能性が高いことを含めた、多数の要因によってさらに難しいものになっている。
【0004】
現行の農業慣行は、この増大し続ける食料生産の需要を満たしながらも、同時に農業集中の増加からもたらされる環境影響との均衡を保つための十分な装備がない。
【0005】
世界的な食料需要を満たすために必要とされる主要な農業投入物のうちの1つは、窒素肥料である。しかしながら、窒素肥料を生産するために利用される現行の工業規格は、ハーバーボッシュ法と呼ばれる人工窒素固定法であり、これは、高温高圧下で金属触媒を使用して水素(H2)との反応によって空中窒素(N2)をアンモニア(NH3)に変換するものである。このプロセスは、資源集約的であり、環境に有害である。
【0006】
合成ハーバーボッシュ法とは対照的に、ある特定の生物系は、空中窒素を固定するように進化してきた。これらの系は、N2とH2との間の反応を触媒し、窒素固定をもたらす、ニトロゲナーゼと呼ばれる酵素を利用する。例えば、根粒菌は、マメ科植物の根粒内で定着した後に窒素を固定するジアゾ栄養細菌である。窒素固定研究の重要な目標は、この表現型を非マメ科植物、特にコムギ、イネ、及びトウモロコシ等の重要な農学的な草本に拡張することである。しかしながら、根粒菌とマメ科植物との間の窒素固定共生関係の発達の理解において顕著な進歩が遂げられたにもかかわらず、その知識を使用して、非マメ科作物において窒素固定瘤を誘発させる目処は依然として立っていない。
【0007】
結果として、大多数の現代的な条播作物農業は、資源集約的で環境的に有害なハーバーボッシュ法を介して生産される窒素肥料を利用する。例えば、USDAは、米国における平均的なトウモロコシ農業従事者が典型的に、1エーカー当たり130~200lbの窒素(146~224kg/ha)を施用すると述べている。この窒素は、資源集約的な合成プロセスで生産されるだけでなく、圃場の土壌を横断し/それに衝撃を与え、石油を燃焼し、何時間もの人間の労働を必要とする重機械によって施用される。
【0008】
さらに、工業的ハーバーボッシュ法によって生産される窒素肥料は、標的作物によって十分に利用されない。雨、流出、熱、揮発、及び土壌マイクロバイオームが、施用された化学肥料を劣化させる。これは、無駄金に等しいだけでなく、収穫高の代わりに汚染の増加も上乗せする。このために、国際連合は、80%近い肥料が、作物がそれを利用することができる前に失われると算出している。結果として、現代的な農業用肥料の生産及び送達は、環境に有害なだけでなく、極めて非効率的でもある。
【0009】
空中窒素を固定することができる改善された微生物が望ましいが、微生物を保存するかまたは微生物の自然な安定性を延長する方法はさらに望ましい。
【0010】
世界の増大し続ける食料供給のニーズを満たしながらも、同時に資源利用との均衡を保ち、環境システムへの影響を最小化するために、窒素固定及び植物への窒素送達に向けたより良好な手法が緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、窒素固定微生物を保存することができる組成物、及び該組成物を作出する方法を提供する。本明細書で教示される微生物組成物は、安定である。つまり、該組成物中の微生物の生存率は、改善されている。
【0012】
故に、複数の実施形態では、微生物組成物であって、1つまたは複数の単離された細菌と、1つまたは複数のポリマーを含むポリマー組成物とを含み、該1つまたは複数のポリマーが、1つまたは複数の単離された細菌に外因性である、該微生物組成物が教示される。微生物組成物は、1つまたは複数の単離された細菌に外因性の1つまたは複数のバイオフィルムをさらに含み得る。複数の実施形態では、1つまたは複数のバイオフィルムは、以下の属、すなわち、Pseudomonas、Kosakonia、Bacillus、Azospirillum、Candida、Saccharomyces、及びAgrobacteriumから選択される属内の種を含む。複数の実施形態では、1つまたは複数のバイオフィルムは、Kosakonia sacchariを含む。複数の実施形態では、1つまたは複数の単離された細菌は、Klebsiella属由来であり、1つまたは複数のバイオフィルムは、Kosakonia属の微生物を含む。複数の実施形態では、1つまたは複数の単離された細菌は、Klebsiella variicolaであり、1つまたは複数のバイオフィルムは、Kosakonia sacchariを含む。複数の実施形態では、1つまたは複数の単離された細菌は、Klebsiella variicola 137-1036菌株であり、1つまたは複数のバイオフィルムは、Kosakonia sacchariを含む。複数の実施形態では、1つまたは複数のバイオフィルムは、2つの異なるバイオフィルム産生微生物によって産生される2つのバイオフィルムを含む。複数の実施形態では、1つまたは複数の単離された細菌は、以下の属、すなわち、Achromobacter、Agrobacterium、Anabaena、Azorhizobium、Azospirillum、Azotobacter、Bacillus、Bradyrhizobium、Candida、Clostridium、Enterobacter、Klebsiella、Kluyvera、Kosakonia、Mesorhizobium、Microbacterium、Pseudomonas、Rahnella、Rhizobium、Saccharomyces、Sinorhizobium、及びそれらの組み合わせから選択される。複数の実施形態では、1つまたは複数の単離された細菌は、Achromobacter marplatensis、Achromobacter spiritinus、Azospirillum lipoferum、Enterobacter菌種、Klebsiella variicola、Kluyvera intermedia、Kosakonia pseudosacchari、Kosakonia sacchari、Microbacterium murale、Rahnella aquatilis、及びそれらの組み合わせから選択される。複数の実施形態では、1つまたは複数の単離された細菌は、Klebsiella属由来である。複数の実施形態では、1つまたは複数の単離された細菌は、Klebsiella variicolaである。複数の実施形態では、1つまたは複数の単離された細菌は、Klebsiella variicola 137-1036菌株である。
【0013】
複数の実施形態では、1つまたは複数のポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル(PVP-VA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギネート、及びそれらの組み合わせから選択される。複数の実施形態では、1つまたは複数のポリマーは、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル(PVP-VA)である。複数の実施形態では、1つまたは複数のポリマーは、電界紡糸ポリマーである。複数の実施形態では、1つまたは複数のポリマーは、コポリマーを含む。複数の実施形態では、1つまたは複数の単離された細菌は、窒素を固定することができる。
【0014】
複数の実施形態では、1つまたは複数の単離された細菌の生存率は、1つまたは複数のポリマーが欠如した1つまたは複数の単離された細菌を含む対照組成物と比較して増加を示す。複数の実施形態では、1つまたは複数の単離された細菌の生存率は、少なくとも30日間保管された場合に、1つまたは複数のポリマーが欠如した1つまたは複数の単離された細菌を含む対照組成物と比較して増加を示す。複数の実施形態では、1つまたは複数の単離された細菌の生存率は、液体培養中で保管された場合に増加を示す。複数の態様では、「安定性」という用語が使用され、これは本開示の文脈において、組成物中に見出される微生物の「生存率」にしばしば関連する。
【0015】
複数の態様では、組成物は、固体、液体、または半固体である。複数の態様では、組成物は、植物種子または他の植物繁殖材料上に存在する種子コーティングである。複数の態様では、組成物は、トウモロコシ種子上に存在する殺虫剤、除草剤、殺真菌剤、または殺線虫剤を有する、該種子上に存在する種子コーティングである。複数の態様では、組成物は、畦間製剤中にある。
【0016】
複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌は、内部寄生性、着生性、または根圏性である。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌は、野生型細菌である。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌は、トランスジェニック細菌である。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌は、リモデリングされた非属間細菌である。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌は、表1から選択されるリモデリングされた非属間細菌、またはその子孫もしくは派生物である。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌は、空中窒素を固定することができる。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌は、外因性窒素の存在下で空中窒素を固定することができるリモデリングされた非属間細菌である。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌は、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子または非コードポリヌクレオチドに導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、リモデリングされた非属間細菌である。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌は、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子に作動可能に連結された導入制御配列を含む。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌の各々は、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子に作動可能に連結された異種プロモーターを含む。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌の各々は、nifA、nifL、ntrB、ntrC、グルタミン合成酵素をコードするポリヌクレオチド、glnA、glnB、glnK、drat、amtB、グルタミナーゼをコードするポリヌクレオチド、glnD、glnE、nifJ、nifH、nifD、nifK、nifY、nifE、nifN、nifU、nifS、nifV、nifW、nifZ、nifM、nifF、nifB、nifQ、ニトロゲナーゼ酵素の生合成に関連する遺伝子、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される成員に導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌の各々は、NifAもしくはグルタミナーゼの増加した発現もしくは活性;NifL、NtrB、グルタミン合成酵素、GlnB、GlnK、DraT、AmtBの減少した発現もしくは活性;GlnEの減少したアデニリル除去活性;またはGlnDの減少したウリジリル除去活性のうちの1つまたは複数をもたらす、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子または非コードポリヌクレオチドに導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌の各々は、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の該nifL遺伝子を含む。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌の各々は、アデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子を含む。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌の各々は、amtB遺伝子の発現の欠如をもたらす変異型の該amtB遺伝子を含む。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌の各々は、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の該nifL遺伝子;アデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子;amtB遺伝子の発現の欠如をもたらす変異型の該amtB遺伝子;及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌の各々は、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の該nifL遺伝子、及びアデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子を含む。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌の各々は、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の該nifL遺伝子、アデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子、及びamtB遺伝子の発現の欠如をもたらす変異型の該amtB遺伝子を含む。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌の各々は、エキソポリサッカライド産生、エンドポリガラクツロナーゼ産生、トレハロース産生、及びグルタミン変換からなる群から選択される経路に関与する遺伝子に導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌の各々は、bcsii、bcsiii、yjbE、fhaB、pehA、otsB、treZ、glsA2、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される遺伝子に導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌は、NCMA201701002として寄託された細菌、NCMA201708004として寄託された細菌、NCMA201708003として寄託された細菌、NCMA201708002として寄託された細菌、NCMA201712001として寄託された細菌、NCMA201712002として寄託された細菌、及びそれらの組み合わせから選択される細菌を含む。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌は、配列番号177~260、296~303、及び458~469から選択される核酸配列と少なくとも約90%、95%、または99%の配列同一性を共有する核酸配列を含む細菌を含む。複数の態様では、1つまたは複数の単離された細菌は、配列番号177~260、296~303、及び458~469から選択される核酸配列を含む細菌を含む。
【0017】
一部の態様では、本開示の組成物は、組成物の要素が、組成物のそれぞれ個々の構成成分単独で見られるであろう相加的生存率よりも高い微生物の生存率につながるという点で、相乗的である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】複数の実施形態に従った、誘導型微生物リモデリング(guided microbial remodeling)プロセスの概要を図示する。
【
図1B】
図1Aに示されるようなマイクロバイオーム組成の測定の拡大図を図示する。
【
図1C】教示される誘導型微生物リモデリング(GMR)プラットフォームと比較していくつかの欠点を有する、問題を含む「慣習的なバイオプロスペクティング」手法を図示する。
【
図1D】教示される誘導型微生物リモデリング(GMR)プラットフォームと比較していくつかの欠点を有する、問題を含む「バイオプロスペクティングに向けた圃場第一の手法(field-first approach)」システムを図示する。
【
図1E】植物によって窒素が最も必要とされる、トウモロコシ成長周期における時間枠を図示する。
【
図1F】リモデリングされた微生物のための圃場開発プロセスの概要を図示する。
【
図1G】誘導型微生物リモデリングプラットフォーム実施形態の概要を図示する。
【
図1H】計算誘導型(computationally-guided)微生物リモデリングプラットフォームの概要を図示する。
【
図1I】誘導型微生物リモデリングプラットフォームの態様におけるモデリングと組み合わされた圃場データの使用を図示する。
【
図1J】本開示のリモデリングされた微生物が持つことのできる5つの特性を図示する。
【
図1K】微生物PBC6.1のためのリモデリング手法の概略図を図示する。
【
図1L】リモデリングされた微生物における内因性窒素調節から切り離されたnifA発現を図示する。
【
図1M】リモデリングされた微生物による固定窒素の改善された同化及び排泄を図示する。
【
図1N】リモデリングされた微生物に起因するトウモロコシ収量の改善を図示する。
【
図1O】施肥不足の圃場、過剰施肥された圃場、及び環境的に有害な窒素流出をもたらす、現行の窒素送達システムの非効率性を例示する。
【
図2A】25℃で1週間保管した後の137-1036製剤の安定性を図示する。
【
図2B】37℃で1週間保管した後の137-1036製剤の安定性を図示する。
【
図3A】25℃で2週間保管した後の137-1036製剤の安定性を図示する。
【
図3B】37℃で2週間保管した後の137-1036製剤の安定性を図示する。
【
図4A】25℃で1週間保管した後の137-1034製剤の安定性を図示する。
【
図4B】37℃で1週間保管した後の137-1034製剤の安定性を図示する。
【
図5A】25℃で2週間保管した後の137-1034製剤の安定性を図示する。
【
図5B】37℃で2週間保管した後の137-1034製剤の安定性を図示する。
【
図6A】30日間、37℃の保管でのバイオフィルム及びPVP-VAを含む137-1036製剤の安定性を図示する。生存率低下の比較は、任意の所与のバイオフィルム濃度で、5%PVP-VAの添加が缶中の生存率低下を改善した(より低い対数損失)ことを実証する。
【
図6B】30日間、25℃の保管でのバイオフィルム及びPVP-VAを含む137-1036製剤の安定性を図示する。生存率低下の比較は、20%及び5%バイオフィルムで、5%PVP-VAの添加が缶中の生存率低下を改善した(より低い対数損失)ことを実証する。10%バイオフィルムは確定的でなかった。
【
図6C】30日間、37℃の保管でのバイオフィルム及びPVP-VAを含む137-1034製剤の安定性を図示する。生存率低下の比較は、任意の所与のバイオフィルム濃度で、5%PVP-VAの添加が缶中の生存率低下を改善した(より低い対数損失)ことを実証する。25Cでは有益性は何ら検出されなかった。
【
図7A】異なる商用トウモロコシ生殖質にわたってばらついた安定性応答を実証した、4℃でのPVP-VA製剤安定性研究の結果を図示する。例示されるように、一部のトウモロコシ種子は、7週間にわたって目標CFU/種子を維持したが、一方で他のトウモロコシ種子は、生存率がより迅速に低下した。生存率低下は、PVP-VAを含まない製剤においてより高く、PVP-VAの影響は、種子のタイプに依存していた。
【
図7B】異なる商用トウモロコシ生殖質にわたってばらついた安定性応答を実証した、10℃でのPVP-VA製剤安定性研究の結果を図示する。例示されるように、異なる雑種種子は、PVP-VAに対して異なる安定性応答を示した。PVP-VAは、全ての種子に対して好影響を有したが、種子安定性に対するPVP-VAの影響は、微生物に対してより悪影響を有する種子においてより明白であった。Channel種子>Heine種子>Golden Harvest種子
【
図7C】商用トウモロコシ生殖質、またはPVP-VA処理を問わず、全ての細胞で生存率が1週間以内に失われることを実証した、25℃でのPVP-VA製剤安定性研究の結果を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の種々の実施形態が本明細書に示され、説明されているが、そのような実施形態が例として提供されるにすぎないことは、当業者には明白であろう。本開示から逸脱することなく多数の変形、変更、及び置換が当業者に想到され得る。本明細書に記載の本開示の実施形態に対する種々の代替例が用いられてもよいことを理解されたい。
【0020】
肥料利用の増加は、それと共に環境上の懸念をもたらし、また、多くの経済的苦境にある地球上の地域では可能でない可能性が高い。さらに、微生物分野の多くの工業関係者が、属間微生物を作出することに注力している。しかしながら、属間性であると特性評価/分類される操作された微生物には、厳しい規制負担が課せられている。これらの属間微生物は、広範囲の採用及び実装を困難にする大きな規制負担に直面するだけでなく、社会的認識による相当の詮索にも直面する。
【0021】
現在のところ、非属間性であり、かつ非マメ科作物において窒素固定を増加させることが可能である操作された微生物は市場に存在しない。そのような微生物のこの不足は、真に環境に優しく、より持続可能な21世紀の農業システムを迎え入れるのを助ける上で欠けている要素である。
【0022】
本開示は、前述の問題を解決し、作物において窒素を容易に固定するように操作された非属間微生物を提供する。これらの微生物は、属間微生物としては特性評価/分類されず、故に、属間微生物の厳格な規制負担に直面することがない。さらに、教示される非属間微生物は、21世紀の農業従事者が、かつてなく増加している量の外因性窒素肥料の利用により依存しなくなるよう助ける役目を果たすであろう。
【0023】
定義
本開示を説明する文脈における(とりわけ添付の特許請求の範囲の文脈における)「a」及び「an」及び「the」という用語ならびに類似の指示対象の使用は、本明細書で別途指示されない限り、または文脈上明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」という用語は、別途注記のない限り、範囲を限定しない用語(すなわち、「含むが、それに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書で別途指示されない限り、その範囲内に該当する各々別個の値を個々に指す簡略表記法としての役目を果たすことが意図されるにすぎず、各々別個の値は、あたかもそれが本明細書に個々に列挙されているかのように、本明細書に援用される。例えば、10~15の範囲が開示される場合、11、12、13、及び14も開示される。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書で別途指示されない限り、または文脈上明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書に提供されるありとあらゆる例、または例示的な文言(例えば、「等」)の使用は、本開示をよりよく明らかにすることが意図されるにすぎず、別途特許請求されない限り、本開示の範囲に制限を課すものではない。本明細書のいかなる文言も、任意の特許請求されていない要素が本開示の実施に必須であることを示すものと解釈されるべきではない。
【0024】
「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、及び「オリゴヌクレオチド」という用語は、互換的に使用される。それらは、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドのいずれかの、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態、またはそれらの類似体を指す。ポリヌクレオチドは、任意の3次元構造を有してもよく、既知または未知の任意の機能を果たし得る。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子断片のコードまたは非コード領域、連鎖分析から定義される遺伝子座(複数可)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、及びプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体等の1つまたは複数の修飾ヌクレオチドを含んでもよい。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの組み立ての前または後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分によって中断されていてもよい。ポリヌクレオチドは、例えば標識成分との結合によって、重合後にさらに修飾されてもよい。
【0025】
「ハイブリダイゼーション」とは、1つまたは複数のポリヌクレオチドが反応して、ヌクレオチド残基の塩基間の水素結合を介して安定化される複合体を形成する反応を指す。水素結合は、ワトソン・クリック型塩基対形成、フーグスティーン型結合によって、または塩基相補性に従った任意の他の配列特異的様態で生じてもよい。複合体は、二重鎖構造を形成する2本の鎖、多重鎖複合体を形成する3本以上の鎖、1本の自己ハイブリダイズ鎖、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。ハイブリダイゼーション反応は、PCRの開始、またはエンドヌクレアーゼによるポリヌクレオチドの酵素的切断等のより大規模なプロセスにおけるステップを構成し得る。第1の配列に相補的な第2の配列は、第1の配列の「相補配列」と称される。ポリヌクレオチドに適用されるような「ハイブリダイズ可能」という用語は、ポリヌクレオチドが、ハイブリダイゼーション反応においてヌクレオチド残基の塩基間の水素結合を介して安定化される複合体を形成する能力を指す。
【0026】
本明細書で使用されるとき、「バイオフィルム」または「成熟バイオフィルム」とは、結び付いた及び/または蓄積した及び/または集合した微生物細胞、それらの産物(例えば、エキソポリマー物質)ならびに生体表面または不活性表面に接着性の無機粒子を指す。
【0027】
本明細書で使用されるとき、「ポリマー」または「ポリマー物質」とは、重合/共重合によって形成され、反復する構造単位を含む化合物または化合物の混合物を指す。「ポリマー」という用語は、同じモノマーの反復単位を含むポリマー、及び2つ以上の異なるタイプのモノマーの反復単位を含むポリマー(コポリマー)を包含することが理解される。
【0028】
本明細書で使用されるとき、「溶媒を実質的に含まない」ポリマーは、約1,000百万分率未満の溶媒を含有する。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「対数損失」とは、対数{最初のCFU/ml}-対数{保管後のCFU/ml}である。
【0030】
「相補性」とは、核酸が、慣習的なワトソン・クリック型または他の非従来型のいずれかによって別の核酸配列と水素結合(複数可)を形成する能力を指す。相補性パーセントは、ある核酸分子における、第2の核酸配列と水素結合を形成し得る(例えば、ワトソン・クリック型塩基対形成)残基のパーセンテージを示す(例えば、10個のうち5、6、7、8、9、10個は、それぞれ50%、60%、70%、80%、90%、及び100%相補的である)。「完全に相補的」とは、ある核酸配列の全ての連続した残基が、第2の核酸配列における同数の連続した残基と水素結合することを意味する。本明細書で使用される「実質的に相補的」とは、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50ヌクレオチド、もしくはそれよりも多くのヌクレオチドの領域にわたって少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、もしくは100%である相補性の程度を指すか、またはストリンジェントな条件下でハイブリダイズする2つの核酸を指す。相補性パーセントを評価する目的等での配列同一性は、Needleman-Wunschアルゴリズム(例えば、任意選択でデフォルト設定を用いた、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/nucleotide.htmlにて入手可能なEMBOSS Needleアライナーを参照されたい)、BLASTアルゴリズム(例えば、任意選択でデフォルト設定を用いた、blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiにて入手可能なBLASTアライメントツールを参照されたい)、またはSmith-Watermanアルゴリズム(例えば、任意選択でデフォルト設定を用いた、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_water/nucleotide.htmlにて入手可能なEMBOSS Waterアライナーを参照されたい)を含むがこれらに限定されない、任意の好適なアライメントアルゴリズムによって測定されてもよい。最適なアライメントは、デフォルトパラメータを含む、選定されたアルゴリズムの任意の好適なパラメータを使用して評価されてもよい。
【0031】
一般に、ハイブリダイゼーションのための「ストリンジェントな条件」とは、標的配列に対して相補性を有する核酸が、標的配列と優勢的にハイブリダイズし、かつ非標的配列には実質的にハイブリダイズしない条件を指す。ストリンジェントな条件は一般に、配列依存性であり、いくつかの要因に応じて様々である。一般に、配列が長いほど、配列がその標的配列に特異的にハイブリダイズする温度は高くなる。ストリンジェントな条件の非限定的な例は、Tijssen(1993),Laboratory Techniques In Biochemistry And Molecular Biology-Hybridization With Nucleic Acid Probes Part I,Second Chapter“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assay”,Elsevier,N.Yに詳述される。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「発現」とは、ポリヌクレオチドがDNA鋳型から(例えば、mRNAまたは他のRNA転写物に)転写されるプロセス、及び/または転写されたmRNAがその後、ペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。転写物及びコードされたポリペプチドは、「遺伝子産物」と総称され得る。ポリヌクレオチドがゲノムDNAからもたらされる場合、発現は、真核細胞におけるmRNAのスプライシングを含んでもよい。
【0033】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、本明細書で、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指して互換的に使用される。ポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。これらの用語はまた、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作、例えば、標識成分との結合により修飾された、アミノ酸ポリマーも包含する。本明細書で使用されるとき、「アミノ酸」という用語は、グリシン及びDまたはLの両光学異性体を含む天然及び/または非天然もしくは合成アミノ酸、ならびにアミノ酸類似体及びペプチド模倣体を含む。
【0034】
本明細書で使用されるとき、「約」という用語は、「およそ」という用語と同義的に使用される。例示説明として、量に関する「約」という用語の使用は、例証される値のわずかに外側にある、例えば、プラスまたはマイナス0.1%~10%である値を示す。
【0035】
「生物学的に純粋な培養物」または「実質的に純粋な培養物」という用語は、培養物の複製を妨げたり、または通常の細菌学的技法によって検出されたりするほど十分な量で他の細菌種を含有しない、本明細書に記載の細菌種の培養物を指す。
【0036】
「植物生産性」とは一般に、植物を成長させる根拠となる植物の成長または発達の任意の側面を指す。穀物または野菜等の食用作物の場合、「植物生産性」とは、特定の作物から収穫される穀物または果実の収量を指すことができる。本明細書で使用されるとき、改善された植物生産性とは、種々の目的で収穫される穀物、果実、花、または他の植物部位の収量の改善、茎、葉、及び根を含めた植物部位の成長の改善、植物成長の促進、葉における高葉緑素含量の維持、果実または種子数の増加、果実または種子の単位重量の増加、低減された窒素肥料使用量に起因するNO2排出量の低減、ならびに植物の成長及び発達の類似の改善を広く指す。
【0037】
食用作物中及びその周囲の微生物は、それらの作物の形質に影響を及ぼし得る。微生物によって影響を受け得る植物形質には、収量(例えば、穀物生産、バイオマス生成、果実発達、花の束)、栄養素(例えば、窒素、リン、カリウム、鉄、微量栄養素獲得)、非生物ストレス管理(例えば、干ばつ耐性、耐塩性、耐熱性)、及び生物ストレス管理(例えば、有害生物、雑草、昆虫、真菌、及び細菌)が含まれる。作物形質を改変するための戦略には、主要な代謝物濃度を増加させること、主要な代謝物に及ぼす微生物の影響の経時的動力学を変化させること、微生物による代謝物産生/分解を新たな環境要因に関連付けること、負の代謝物を低減すること、及び代謝物または基盤となるタンパク質の均衡を改善することが含まれる。
【0038】
本明細書で使用されるとき、「制御配列」とは、オペレーター、プロモーター、サイレンサー、またはターミネーターを指す。
【0039】
本明細書で使用されるとき、「植物内で(in planta)」とは、使用例の文脈に応じて、植物中にある、植物上にある、または植物に密接に結び付いていることを指し得る(例えば、内部寄生性、着生性、または根圏性の結び付き)。植物は、植物部位、組織、葉、根、根毛、根茎、茎、種子、胚珠、花粉、花、果実等を含んでもよい。
【0040】
一部の実施形態では、本開示の遺伝子の天然または内因性制御配列が、1つまたは複数の属内制御配列と置換される。
【0041】
本明細書で使用されるとき、「導入される」とは、現代的なバイオテクノロジー手段によるもので、天然に存在する導入ではない導入を指す。
【0042】
一部の実施形態では、本開示の細菌は、それらが天然に存在する細菌ではないように修飾されている。
【0043】
一部の実施形態では、本開示の細菌は、植物の新鮮または乾燥重量1グラム当たり、少なくとも103cfu、104cfu、105cfu、106cfu、107cfu、108cfu、109cfu、1010cfu、1011cfu、または1012cfuの量で植物中に存在する。一部の実施形態では、本開示の細菌は、植物の新鮮または乾燥重量1グラム当たり、少なくとも約103cfu、約104cfu、約105cfu、約106cfu、約107cfu、約108cfu、約109cfu、約1010cfu、約1011cfu、または約1012cfuの量で植物中に存在する。一部の実施形態では、本開示の細菌は、植物の新鮮または乾燥重量1グラム当たり、少なくとも103~109、103~107、103~105、105~109、105~107、106~1010、106~107cfuの量で植物中に存在する。
【0044】
本開示の肥料及び外因性窒素は、以下の窒素含有分子、すなわち、アンモニウム、硝酸塩、亜硝酸塩、アンモニア、グルタミン等を含んでもよい。本開示の窒素源には、無水アンモニア、硫酸アンモニア、尿素、リン酸二アンモニウム、尿素ホルム、リン酸一アンモニウム、硝酸アンモニウム、窒素溶液、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム等が含まれてもよい。
【0045】
本明細書で使用されるとき、「外因性窒素」とは、アンモニア、アンモニウム、硝酸塩、亜硝酸塩、尿素、尿酸、アンモニウム酸等を含む、非窒素制限条件下で存在する土壌、圃場、または増殖培地において容易に利用可能な非空中窒素を指す。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「非窒素制限条件」とは、Kant et al.(2010.J.Exp.Biol.62(4):1499-1509)(参照により本明細書に援用される)によって開示されるような、約4mM超の窒素の濃度で土壌、圃場、培地において利用可能な非空中窒素を指す。
【0047】
本明細書で使用されるとき、「属間微小生物」とは、異なる分類学的属の生物から元々単離された遺伝物質の計画的な組み合わせによって形成される微生物である。「属間突然変異体」は、「属間微小生物」と互換的に使用され得る。例示的な「属間微小生物」には、レシピエント微生物とは異なる属の微小生物において最初に同定された、可動遺伝要素を含有する微小生物が含まれる。さらなる説明は、とりわけ、連邦規則集第40巻第725.3条において見出すことができる。
【0048】
複数の態様では、本明細書で教示される微生物は、「非属間性」であり、これは、微生物が属間性でないことを意味する。
【0049】
本明細書で使用されるとき、「属内微小生物」とは、同じ分類学的属の生物から元々単離された遺伝物質の計画的な組み合わせによって形成される微小生物である。「属内突然変異体」は、「属内微小生物」と互換的に使用され得る。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「導入遺伝物質」とは、レシピエントのゲノムに追加され、その構成成分として留まる遺伝物質を意味する。
【0051】
本明細書で使用されるとき、非属間微生物の文脈において、「リモデリングされた」という用語は、「操作された」という用語と同義的に使用される。結果として、「リモデリングされた非属間微小生物」は、「操作された非属間微小生物」と同義を有し、互換的に利用されよう。さらに、本開示は、「操作された菌株」または「操作された派生物」または「操作された非属間微生物」に言及する場合があり、これらの用語は、「リモデリングされた菌株」または「リモデリングされた派生物」または「リモデリングされた非属間微生物」と同義的に使用される。
【0052】
一部の実施形態では、窒素固定及び同化遺伝子調節ネットワークは、ポリヌクレオチドコード遺伝子ならびに微生物の窒素固定及び/または同化を指示する、調整する、及び/または調節する非コード配列を含み、また、nifクラスター(例えば、nifA、nifB、nifC、……nifZ)のポリヌクレオチド配列、窒素調節タンパク質Cをコードするポリヌクレオチド、窒素調節タンパク質Bをコードするポリヌクレオチド、glnクラスター(例えば、glnA及びglnD)、draT、及びアンモニアトランスポーター/透過酵素のポリヌクレオチド配列を含み得る。一部の場合では、Nifクラスターは、NifB、NifH、NifD、NifK、NifE、NifN、NifX、hesa、及びNifVを含んでもよい。一部の場合では、Nifクラスターは、NifB、NifH、NifD、NifK、NifE、NifN、NifX、hesa、及びNifVのサブセットを含んでもよい。
【0053】
一部の実施形態では、本開示の肥料は、重量に基づき、少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の窒素を含む。
【0054】
一部の実施形態では、本開示の肥料は、重量に基づき、少なくとも約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%の窒素を含む。
【0055】
一部の実施形態では、本開示の肥料は、重量に基づき、約5%~50%、約5%~75%、約10%~50%、約10%~75%、約15%~50%、約15%~75%、約20%~50%、約20%~75%、約25%~50%、約25%~75%、約30%~50%、約30%~75%、約35%~50%、約35%~75%、約40%~50%、約40%~75%、約45%~50%、約45%~75%、または約50%~75%の窒素を含む。
【0056】
一部の実施形態では、植物における窒素固定の増加及び/または1%以上の窒素の産生は、本開示の細菌に曝露されたことのない対照植物と比べて測定される。細菌における全ての増加または減少は、対照細菌と比べて測定される。植物における全ての増加または減少は、対照植物と比べて測定される。
【0057】
本明細書で使用されるとき、「構成的プロモーター」とは、ほとんどの条件下で及び/またはほとんどの発生段階中に活性であるプロモーターである。バイオテクノロジーで使用される発現ベクターにおいて構成的プロモーターを使用することには、トランスジェニック細胞または生物を選択するために使用されるタンパク質の高レベルの産生;簡便な検出及び定量を可能にする、レポータータンパク質または採点可能マーカーの高レベルの発現;転写調節系の一部である転写因子の高レベルの産生;生物において普遍的活性を必要とする化合物の産生;ならびに全ての発生段階中に必要とされる化合物の産生等のいくつかの利点がある。非限定的で例示的な構成的プロモーターには、CaMV 35Sプロモーター、オパイン(opine)プロモーター、ユビキチンプロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター等が含まれる。
【0058】
本明細書で使用されるとき、「非構成的プロモーター」とは、ある特定のタイプの細胞におけるある特定の条件下で及び/またはある特定の発生段階中に活性であるプロモーターである。例えば、組織特異的、組織優先的、細胞タイプ特異的、細胞タイプ優先的、誘導性プロモーター、及び発生制御下にあるプロモーターは、非構成的プロモーターである。発生制御下にあるプロモーターの例としては、ある特定の組織において転写を優先的に開始するプロモーターが挙げられる。
【0059】
本明細書で使用されるとき、「誘導性」または「抑制性」プロモーターは、化学または環境要因の制御下にあるプロモーターである。誘導性プロモーターによる転写に影響を及ぼし得る環境条件の例としては、嫌気性条件、ある特定の化学物質、光の存在、酸性または塩基性条件等が挙げられる。
【0060】
本明細書で使用されるとき、「組織特異的」プロモーターは、ある特定の組織でのみ転写を開始するプロモーターである。遺伝子の構成的発現とは異なり、組織特異的発現は、いくつかの遺伝子調節レベルの相互作用の結果である。したがって、当該技術分野において、特定の組織における導入遺伝子の効率的で確実な発現を達成するために、同種または近縁種由来のプロモーターを使用することが好ましいことがある。これは、特定の組織から単離された組織特異的プロモーターが大量に、科学文献及び特許文献の両方に見出されることの主な理由のうちの1つである。
【0061】
本明細書で使用されるとき、「作動可能に連結された」という用語は、一方の機能が他方によって調節されるような、単一の核酸断片上の核酸配列の会合を指す。例えば、プロモーターは、それがコード配列の発現を調節することが可能である(すなわち、コード配列がプロモーターの転写制御下にある)場合、そのコード配列に作動可能に連結されている。コード配列は、センスまたはアンチセンス配向で調節配列に作動可能に連結され得る。別の例では、本開示の相補的RNA領域は、直接もしくは間接的のいずれかで、標的mRNAに対して5’側、もしくは標的mRNAに対して3’側、もしくは標的mRNA内で作動可能に連結され得るか、または第1の相補的領域が標的mRNAに対して5’側であり、その相補配列が3’側である。
【0062】
複数の態様では、「植物に複数の非属間細菌を施用すること」は、植物の生活環の任意の段階で植物(種子、根、茎、組織等といった植物部位を含む)を該細菌に接触させる(すなわち、曝露する)任意の手段を含む。結果として、「植物に複数の非属間細菌を施用すること」は、植物(種子、根、茎、組織等といった植物部位を含む)を該細菌に曝露する以下の手段、すなわち、植物に噴霧すること、植物に滴下すること、種子コーティングとして施用すること、その後種子を植栽される圃場に施用すること、種子をすでに植栽されられた圃場に施用すること、成植物を有する圃場に施用すること等、のうちのいずれかを含む。
【0063】
本明細書で使用されるとき、「MRTN」とは、対窒素最大収益(maximum return to nitrogen)の頭字語であり、実施例において実験的処理として利用される。MRTNは、Iowa State Universityによって開発され、情報は、//cnrc.agron.iastate.edu/にて見出すことができる。MRTNは、窒素施用に対する経済的純収益が最大化される窒素量である。MRTNを算出するための手法は、個々の州においてトウモロコシ窒素量ガイドラインを開発するための地域別手法である。窒素量試験データは、ダイズの後のトウモロコシ植栽及びトウモロコシの後のトウモロコシ植栽に関して十分な数の研究試験が入手可能であったイリノイ州、アイオワ州、ミシガン州、ミネソタ州、オハイオ州、及びウィスコンシン州に対して評価された。試験は、噴出施肥、側方施肥、または植栽前/側方分割施肥(split preplant/side dress)で施用した窒素で実施され、敷地は、ウィスコンシン州の潅漑砂地で適応とされた場合を除いて潅漑されなかった。MRTNは、トウモロコシ生産に必要とされる提案される窒素量を決定するための方法に明らかな差異があること、窒素量ガイドラインに関する誤解、及び施用量に関する懸念に起因して、Iowa State Universityによって開発された。MRTNの算出により、実施者は、以下のことを決定することができる:(1)窒素施用の経済的純収益が最大化される窒素量、(2)窒素の最終増分が、追加の窒素の費用を賄うのに十分に大きな収量増加を生み出すポイントである、経済的に最適な窒素量、(3)窒素施用に起因するトウモロコシ穀物価値の増加、及びより多くの窒素を施用してもトウモロコシ収量が増加しない収量である最大収量。故に、MRTN算出は、異なる地域でのトウモロコシ作物を最大化しつつ、窒素施用からの金融上の利得を最大化する手段を実施者に提供する。
【0064】
mmolという用語は、ミリモルの略語であり、本明細書でmolと略されるモルの1000分の1(10-3)である。
【0065】
本明細書で使用されるとき、「微小生物」または「微生物」という用語は、広義に解釈されるべきである。互換的に使用されるこれらの用語は、2つの原核生物ドメインである細菌及び古細菌を含むが、これらに限定されない。この用語はまた、真核生物真菌及び原生生物も包含し得る。
【0066】
「微生物コンソーシア」または「微生物コンソーシアム」という用語は、個々の微生物種または種の菌株の微生物群落のサブセットを指し、共通の機能を実施すると説明することができるか、または目的の表現型形質等の認識可能なパラメータに関与する、もしくはそれにつながる、もしくはそれと相関すると説明することができる。
【0067】
「微生物群落」という用語は、2つ以上の種または菌株を含む微生物の群を意味する。微生物コンソーシアとは異なり、微生物群落は、共通の機能を実施している必要はないか、または目的の表現型形質等の認識可能なパラメータに関与する、もしくはそれにつながる、もしくはそれと相関する必要はない。
【0068】
本明細書で使用されるとき、「単離する」、「単離された」、「単離された微生物」、及び類似の用語は、1つまたは複数の微小生物が、特定の環境(例えば、土壌、水、植物組織等)で結び付いている材料のうちの少なくとも1つから分離されたことを意味することが意図される。故に、「単離された微生物」は、その天然に存在する環境に存在せず、むしろ、本明細書に記載の種々の技法により、微生物がその自然設定から取り出されており、天然に存在しない状態の存在に置かれているものである。故に、単離された菌株または単離された微生物は、例えば、生物学的に純粋な培養物または胞子(または他の形態の菌株)として存在していてもよい。複数の態様では、単離された微生物は、農業的に許容される担体であり得る、許容される担体に結び付いていてもよい。
【0069】
本開示のある特定の態様では、単離された微生物は、「単離された生物学的に純粋な培養物」として存在する。当業者であれば、特定の微生物の単離された生物学的に純粋な培養物は、該培養物が他の生存生物を実質的に含まず、問題としている個々の微生物のみを含有することを表すことを理解しよう。培養物は、様々な濃度の該微生物を含有することができる。本開示では、単離された生物学的に純粋な微生物が、多くの場合、「純度がより低い材料または不純な材料とは必然的に異なる」ことに留意する。例えば、Bergstromに関して、427 F.2d 1394、(CCPA1970)(精製プロスタグランジンに関する考察)を参照されたく、また、Bergyに関して、596 F.2d 952(CCPA1979)(精製微生物に関する考察)を参照されたく、また、Parke-Davis&Co.v.H.K.Mulford&Co.,189 F.95(S.D.N.Y.1911)(精製アドレナリンに関するLearned Handの考察)、一部認容され、一部破棄されている、196 F.496(2d Cir.1912)を参照されたく、これらの各々は、参照により本明細書に援用される。さらに、一部の態様では、本開示は、単離された生物学的に純粋な微生物培養物内に見出されなければならない濃度または純度制限に関するある特定の定量的尺度を提供する。これらの純度値の存在は、ある特定の実施形態では、天然の状態で存在する微生物から本開示の微生物を区別するさらなる属性である。例えば、参照により本明細書に援用される、Merck&Co.v.Olin Mathieson Chemical Corp.,253 F.2d 156(4th Cir.1958)(微生物により産生されるビタミンB12の純度制限に関する考察)を参照されたい。
【0070】
本明細書で使用されるとき、「個々の単離株」は、1つまたは複数の他の微小生物から分離された後の、微小生物の優勢的な単一の属、種、または菌株を含む組成物または培養物を意味すると解釈されるべきである。
【0071】
本開示の微生物は、胞子及び/または栄養細胞を含んでもよい。一部の実施形態では、本開示の微生物は、生存能力があるが培養不能な(VBNC)状態の微生物を含む。本明細書で使用されるとき、「胞子(単数)」または「胞子(複数)」とは、生存及び散布に適した、細菌及び真菌によってもたらされる構造を指す。胞子は一般に、休眠構造として特性評価される。しかしながら、胞子は、発芽プロセスにより分化することが可能である。発芽は、胞子が、代謝活性、成長、及び生殖が可能な栄養細胞へと分化することである。単一の胞子の発芽は、単一の真菌または細菌栄養細胞をもたらす。真菌胞子は、無性生殖の単位であり、一部の場合では、真菌の生活環に必要な構造である。細菌胞子は、通常は栄養細胞の生存または成長の助けとならない場合がある条件を生き抜くための構造である。
【0072】
本明細書で使用されるとき、「微生物組成物」とは、1つまたは複数の本開示の微生物を含む組成物を指す。一部の実施形態では、微生物組成物は、植物(種々の植物部位を含む)及び/または農業圃場に適用される。
【0073】
本明細書で使用されるとき、「担体」、「許容される担体」、または「農業的に許容される担体」は、微生物と共に適用することができ、微生物に有害な影響を及ぼさない希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。
【0074】
窒素固定の調節
一部の場合では、窒素固定経路は、遺伝子操作及び最適化のための標的として作用し得る。本明細書に記載の方法による調節のための標的となり得る1つの形質は、窒素固定である。窒素肥料は、農場における最も大きな運営上の出費であり、トウモロコシ及びコムギのような条播作物の収量を向上させる最大の駆動因子である。本明細書では、非マメ科作物において再生可能な形態の窒素を送達することができる微生物製品が記載される。一部の内部寄生菌は、純粋培養中で窒素固定に必要な遺伝的特質を有するが、根本的な技術的課題は、穀類(cereal)及びイネ科草本の野生型内部寄生菌が、施肥された圃場では窒素固定を中止することである。化学肥料の施用及び圃場土壌中の残留窒素レベルは、微生物に対して、窒素固定の生化学経路を停止するようシグナルを送る。
【0075】
肥料の存在下で窒素を固定してトウモロコシへと移行させることが可能な微生物の開発のためには、窒素固定調節ネットワークの構成成分の転写レベル及び翻訳後レベルを変更することが有益であり得る。そのため、本明細書では、調節ネットワークを的確に進化させ、新規の表現型を誘発させるための宿主微生物進化(HoME)技術が記載される。また、本明細書では、トウモロコシから単離された窒素固定内部寄生菌の固有の独自ライブラリーが、窒素ストレス及び窒素過剰のような異なる環境条件下での微生物及び宿主植物の相互作用を取り巻く広範なオーミクスデータと対にして記載される。一部の実施形態では、この技術により、内部寄生菌の遺伝子調節ネットワークを的確に進化させて、圃場に肥料が存在する場合であっても活発に窒素を固定する微生物を生産することが可能になる。また、本明細書では、トウモロコシ根組織でコロニー形成し、施肥されている植物のために窒素を産生する微生物に進化させる技術的可能性の評価、ならびに微生物を現代的な窒素管理戦略に統合する実現可能性を決定するための、標準的製剤化慣例及び多様な土壌との内部寄生菌の適合性の評価も記載される。
【0076】
窒素元素(N)を化学合成に利用するために、生命体は、窒素固定として知られるプロセスにおいて大気中で利用可能な窒素ガス(N2)を水素と化合させる。生物学的窒素固定はエネルギー集約的性質を持つため、ジアゾトロフ(大気窒素ガスを固定する細菌及び古細菌)は、環境中の酸素及び利用可能な窒素に応答してnif遺伝子クラスターを精巧かつ緻密に調節するように進化してきた。Nif遺伝子は、窒素固定に関与する酵素(ニトロゲナーゼ複合体等)及び窒素固定を調節するタンパク質をコードする。Shamseldin(2013.Global J.Biotechnol.Biochem.8(4):84-94)には、nif遺伝子及びそれらの産物の詳細な説明が開示されており、これは参照により本明細書に援用される。本明細書では、改善された形質を有する植物を生産するための方法であって、第1の植物から細菌を単離することと、単離された細菌の遺伝子に遺伝的変異を導入して窒素固定を増加させることと、第2の植物を変種細菌に曝露することと、第1の植物と比べて改善された形質を有する第2の植物から細菌を単離することと、第2の植物から単離された細菌を用いてこれらのステップを繰り返すことと、を含む、該方法が記載される。
【0077】
プロテオバクテリアでは、nifクラスターの正の転写調節因子である、σ54依存性エンハンサー結合タンパク質NifAが、窒素固定の調節に中心的な役目を果たす。活性NifAの細胞内レベルは、nifLAオペロンの転写、及びNifLとのタンパク質間相互作用によるNifA活性の阻害という2つの主要な因子によって制御される。これらプロセスは両方とも、PIIタンパク質シグナル伝達カスケードを介して、細胞内グルタミンレベルに応答性である。このカスケードは、GlnDによって媒介され、GlnDは、グルタミンを直接感知し、結合したグルタミンの不在または存在にそれぞれ応答して、2つのPII調節タンパク質GlnB及びGlnKのウリジリル化または脱ウリジリル化を触媒する。窒素過剰条件下では、未修飾GlnBが、nifLAプロモーターの非活性化シグナルを送る。しかしながら、窒素制限条件下では、GlnBは翻訳後修飾を受け、それによりその活性が阻害され、nifLAオペロンの転写につながる。このように、nifLA転写は、PIIタンパク質シグナル伝達カスケードを介して、環境中の窒素に応答して緻密に制御される。NifAの翻訳後レベルの調節では、GlnKは、細胞内の遊離GlnKの全体的レベルに依存する様態(matter)でNifL/NifA相互作用を阻害する。
【0078】
NifAは、nifLAオペロンから転写され、そのプロモーターは、別のσ54依存性調節因子であるリン酸化NtrCによって活性化される。NtrCのリン酸化状態は、ヒスチジンキナーゼNtrBによって媒介され、NtrBは、脱ウリジリル化GlnBとは相互作用するが、ウリジリル化GlnBとは相互作用しない。窒素過剰条件下では、グルタミンの高い細胞内レベルが、GlnBの脱ウリジリル化につながり、次いで、脱ウリジリル化されたGlnBは、NtrBと相互作用して、そのリン酸化活性を不活化すると共に、そのホスファターゼ活性を活性化させて、NtrCの脱リン酸化及びnifLAプロモーターの不活化がもたらされる。しかしながら、窒素制限条件下では、低レベルの細胞内グルタミンが、GlnBのウリジリル化をもたらし、それによりNtrBとのその相互作用が阻害され、NtrCのリン酸化及びnifLAオペロンの転写を可能にする。このように、nifLA発現は、PIIタンパク質シグナル伝達カスケードを介して、環境中の窒素に応答して緻密に制御される。nifA、ntrB、ntrC、及びglnBは全て、本明細書に記載の方法で突然変異させることができる遺伝子である。また、これらのプロセスは、アンモニア、尿素、または硝酸塩の細胞内または細胞外レベルに応答性であり得る。
【0079】
また、NifAの活性は、最も典型的にはNifA活性のNifL媒介性阻害により、環境中の窒素に応答して翻訳後に調節される。一般に、NifLとNifAとの相互作用は、GlnKを介したPIIタンパク質シグナル伝達カスケードによって影響を受けるが、GlnKとNifL/NifAとの間の相互作用の性質は、ジアゾトロフ間で顕著に異なる。Klebsiella pneumoniaeでは、両形態のGlnKが、NifL/NifA相互作用を阻害し、GlnKとNifL/NifAとの間の相互作用は、細胞内の遊離GlnKの全体的レベルによって決定される。窒素過剰条件下では、脱ウリジリル化GlnKは、アンモニウムトランスポーターAmtBと相互作用し、これは、AmtBによるアンモニウム取り込みを阻止すると共に、GlnKを膜に隔離し、NifLによるNifAの阻害を可能にする役目を果たす。一方、Azotobacter vinelandiiでは、NifL/NifA相互作用及びNifA阻害には、脱ウリジリル化GlnKとの相互作用が必要とされるが、GlnKのウリジリル化は、NifLとの相互作用を阻害する。nifL遺伝子が欠如したジアゾトロフでは、NifA活性は、窒素過剰条件下では、GlnK及びGlnBの両方の脱ウリジリル化形態との相互作用によって直接阻害されるという証拠が存在する。一部の細菌では、Nifクラスターが、glnRによって調節される場合があり、さらに一部の場合では、これは、負の調節を含む場合がある。その機序を問わず、ほとんどの既知のジアゾトロフでは、NifAの翻訳後阻害は、nifクラスターの重要な調節因子である。加えて、nifL、amtB、glnK、及びglnRは、本明細書に記載の方法で突然変異させることができる遺伝子である。
【0080】
nif遺伝子クラスターの転写の調節に加えて、多くのジアゾトロフは、ニトロゲナーゼ遮断として知られる、ニトロゲナーゼ酵素自体の直接的翻訳後修飾及び阻害の機序を進化させている。これは、窒素過剰条件下でのFeタンパク質(NifH)のADPリボシル化によって媒介され、それにより、MoFeタンパク質複合体(NifDK)とのその相互作用が妨害され、ニトロゲナーゼ活性が消失する。DraTは、Feタンパク質のADPリボシル化及びニトロゲナーゼの遮断を触媒する一方で、DraGは、ADPリボースの除去及びニトロゲナーゼの再活性化を触媒する。nifLA転写及びNifA阻害の場合と同様に、ニトロゲナーゼ遮断もまた、PIIタンパク質シグナル伝達カスケードを介して調節される。窒素過剰条件下では、脱ウリジリル化GlnBは、DraTと相互作用してそれを活性化する一方で、脱ウリジリル化GlnKは、DraG及びAmtBの両方と相互作用して複合体を形成し、DraGを膜に隔離する。窒素制限条件下では、GlnB及びGlnKのウリジリル化形態は、それぞれDraT及びDraGと相互作用せず、DraTの不活化及びDraGのFeタンパク質への拡散につながり、そこでADPリボースが除去され、ニトロゲナーゼが活性化される。本明細書に記載の方法はまた、nifH、nifD、nifK、及びdraT遺伝子に遺伝的変異を導入することも企図する。
【0081】
一部の内部寄生菌は、インビトロで窒素を固定する能力を有するが、多くの場合、この遺伝的特質は、圃場では高レベルの外因性化学肥料によってサイレンシングされる。圃場に基づく窒素固定を容易にするために、外因性窒素の感知をニトロゲナーゼ酵素の発現から切り離すことができる。さらに、経時的なニトロゲナーゼ活性の積分を改善することは、作物が利用するための窒素の産生を増大させる役目を果たす。本明細書に記載の方法を使用して圃場に基づく窒素固定を容易にする遺伝的変異のための具体的な標的には、nifA、nifL、ntrB、ntrC、glnA、glnB、glnK、draT、amtB、glnD、glnE、nifJ、nifH、nifD、nifK、nifY、nifE、nifN、nifU、nifS、nifV、nifW、nifZ、nifM、nifF、nifB、及びnifQからなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子が含まれる。
【0082】
本明細書に記載の方法を使用して圃場に基づく窒素固定を容易にする遺伝的変異のための追加の標的は、NifAタンパク質である。NifAタンパク質は、典型的には、窒素固定遺伝子の発現の活性化因子である。NifAの産生を(構成的にまたは高アンモニア条件中のいずれかで)増加させることにより、天然アンモニア感知経路が迂回される。加えて、NifAの既知の阻害剤であるNifLタンパク質の産生を低減することは、遊離活性NifAレベルの増加にもつながる。加えて、nifALオペロンの転写レベルを(構成的にまたは高アンモニア条件中のいずれかで)増加させることは、全体的により高いレベルのNifAタンパク質にもつながる。nifAL発現レベルの上昇は、プロモーター自体を改変することによって、またはNtrB(元々は高窒素条件中にnifALオペロンの遮断をもたらすことになるntrB及びntrCシグナル伝達カスケードの一部)の発現を低減させることによって達成される。これらの方法または本明細書に記載の任意の他の方法によって達成される高レベルのNifAは、内部寄生菌の窒素固定活性を増加させる。
【0083】
本明細書に記載の方法を使用して圃場に基づく窒素固定を容易にする遺伝的変異のための別の標的は、GlnD/GlnB/GlnK PIIシグナル伝達カスケードである。細胞内グルタミンレベルは、GlnD/GlnB/GlnK PIIシグナル伝達カスケードにより感知される。GlnDのウリジリル除去活性を消失させるGlnDの活性部位突然変異は、窒素感知カスケードを妨害する。加えて、GlnB濃度の低減は、グルタミン感知カスケードを短絡させる。これらの突然異により、細胞を「騙して」窒素制限状態であると認識させ、それにより窒素固定レベル活性を増加させる。また、これらのプロセスは、アンモニア、尿素、または硝酸塩の細胞内または細胞外レベルに応答性であり得る。
【0084】
amtBタンパク質もまた、本明細書に記載の方法を使用して圃場に基づく窒素固定を容易にする遺伝的変異のための標的である。環境からのアンモニア取り込みは、amtBタンパク質の発現レベルを減少させることによって低減され得る。細胞内アンモニアが存在しないと、内部寄生菌は、アンモニアのレベルが高いことを感知することができず、窒素固定遺伝子の下方制御が防止される。細胞内区画への侵入を果たしたアンモニアはいずれもグルタミンに変換される。細胞内グルタミンレベルは、窒素感知の主要な通貨である。細胞内グルタミンレベルを減少させることにより、細胞が、環境中のアンモニウムレベルが高いことを感知することが防止される。この効果は、グルタミンをグルタミン酸に変換する酵素であるグルタミナーゼの発現レベルを増加させることによって達成され得る。加えて、細胞内グルタミンは、グルタミン合成酵素(アンモニアをグルタミンに変換する酵素)を減少させることによっても低減され得る。ジアゾトロフでは、固定アンモニアは、細胞プロセスに使用するためにグルタミン及びグルタミン酸へと迅速に同化される。アンモニア同化の妨害は、固定窒素をそらして、アンモニアとして細胞から搬出されることを可能にし得る。固定アンモニアは、主として、glnAによりコードされるグルタミン合成酵素(GS)によってグルタミンへと、その後はグルタミンオキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ(GOGAT)によってグルタミンへと同化される。一部の例では、glnSが、グルタミン合成酵素をコードする。GSは、GSアデニリルトランスフェラーゼ(GlnE)、すなわち、それぞれアデニリルトランスフェラーゼ(AT)ドメイン及びアデニリル除去(AR)ドメインの活性によりGSのアデニリル化及び脱アデニリル化の両方を触媒する、glnEによりコードされる二機能性酵素によって、翻訳後に調節される。窒素制限条件下では、glnAが発現され、GlnEのARドメインは、GSを脱アデニリル化して、その活性化を可能にする。窒素過剰条件下では、glnA発現は遮断され、GlnEのATドメインは、グルタミンによってアロステリック的に活性化され、GSのアデニリル化及び不活化が引き起こされる。
【0085】
さらに、draT遺伝子もまた、本明細書に記載の方法を使用して圃場に基づく窒素固定を容易にする遺伝的変異のための標的であってもよい。細胞によって窒素固定酵素が産生されると、ニトロゲナーゼ遮断が、細胞が高窒素条件で固定活性を下方制御する別のレベルを表す。この遮断は、DraTの発現レベルを減少させることによって除去することが可能である。
【0086】
新たな微生物表現型を付与するための方法は、転写レベル、翻訳レベル、及び翻訳後レベルで実施することができる。転写レベルでは、プロモーターでの変更(プロモーターの全てまたは一部分の欠失を含む、転写因子に対するシグマ因子親和性または結合部位の変更等)または転写ターミネーター及びアテニュエータを変更することが含まれる。翻訳レベルでは、リボソーム結合部位での変更、及びmRNA分解シグナルを変更することが含まれる。翻訳後レベルでは、酵素の活性部位を突然変異させること、及びタンパク質間相互作用を変更することが含まれる。これらの変更は、数多くの方式で達成することができる。発現レベルの低減(または完全な消失)は、天然リボソーム結合部位(RBS)またはプロモーターを、強度/効率がより低い別のものと交換することによって達成することができる。ATG開始部位を、GTG、TTG、またはCTG開始コドンと交換することができ、それにより、コード領域の翻訳活性の低減がもたらされる。発現の完全な消失は、遺伝子のコード領域をノックアウト(欠失)することによって行うことができる。オープンリーディングフレーム(ORF)をフレームシフトすると、ORFに未成熟終止コドンがもたらされ、それによって非機能性の短縮産物が作出されることになる可能性がある。インフレーム終止コドンの挿入も同様に、非機能性の短縮産物を作出することになる。N末端またはC末端に分解タグの付加を行って、特定の遺伝子の有効濃度を低減させることもできる。
【0087】
逆に、より強力なプロモーターを使用することによって、本明細書に記載の遺伝子の発現レベルを達成することができる。高窒素レベル条件(または任意の他の条件)中の高いプロモーター活性を確実にするために、高窒素レベル条件における全ゲノムの転写プロファイルを取得し、そのデータセットから所望の転写レベルを有する活性プロモーターを選定して、弱いプロモーターを置換することが可能である。より良好な翻訳開始効率のために、弱い開始コドンをATG開始コドンと交換することができる。弱いリボソーム結合部位(RBS)を、より高い翻訳開始効率を有する異なるRBSと交換することもできる。加えて、部位特異的突然変異誘発を実施して、酵素の活性を改変することもできる。
【0088】
植物において生じる窒素固定のレベルを増加させることにより、作物生産に必要とされる化学肥料の量の低減につながると共に、温室効果ガス排出(例えば、亜酸化窒素)を削減することができる。
【0089】
コロニー形成ポテンシャルの調節
一部の実施形態では、コロニー形成に関与する経路及び遺伝子が、遺伝子操作及び最適化のための標的として作用し得る。
【0090】
一部の場合では、エキソポリサッカライドが、植物での細菌コロニー形成に関与し得る。一部の場合では、植物コロニー形成微生物は、バイオフィルムを産生し得る。一部の場合では、植物コロニー形成微生物は、植物への接着または植物免疫応答の回避を補助し得る分子を分泌する。一部の場合では、植物コロニー形成微生物は、微生物に対する植物応答を改変するシグナル伝達分子を排泄し得る。一部の場合では、植物コロニー形成微生物は、局所微小環境を改変する分子を分泌し得る。一部の場合では、植物コロニー形成微生物は、該微生物が近接する植物に適合するように遺伝子の発現を改変し得る。一部の場合では、植物コロニー形成微生物は、局所環境において植物の存在を検出し得、応答して遺伝子の発現を変化させ得る。
【0091】
一部の実施形態では、コロニー形成を改善するために、エキソポリサッカライド産生、エンドポリガラクツロナーゼ産生、トレハロース産生、及びグルタミン変換からなる群から選択される経路に関与する遺伝子が、遺伝子操作及び最適化のための標的となり得る。
【0092】
一部の実施形態では、エキソポリサッカライドの産生に関与する酵素または経路が、コロニー形成を改善するように遺伝子組換えされ得る。コロニー形成を改善するための標的となり得る、エキソポリサッカライド産生酵素をコードする例示的な遺伝子には、bcsii、bcsiii、及びyjbEが含まれるが、これらに限定されない。
【0093】
一部の実施形態では、線維状ヘマグルチニンの産生に関与する酵素または経路が、コロニー形成を改善するように遺伝子組換えされ得る。例えば、線維状ヘマグルチニンをコードするfhaB遺伝子が、コロニー形成を改善するための標的となり得る。
【0094】
一部の実施形態では、エンドポリガラクツロナーゼの産生に関与する酵素または経路が、コロニー形成を改善するように遺伝子組換えされ得る。例えば、エンドポリガラクツロナーゼ前駆体をコードするpehA遺伝子が、コロニー形成を改善するための標的となり得る。
【0095】
一部の実施形態では、トレハロースの産生に関与する酵素または経路が、コロニー形成を改善するように遺伝子組換えされ得る。コロニー形成を改善するための標的となり得る、トレハロース産生酵素をコードする例示的な遺伝子には、otsB及びtreZが含まれるが、これらに限定されない。
【0096】
一部の実施形態では、グルタミンの変換に関与する酵素または経路が、コロニー形成を改善するように遺伝子組換えされ得る。例えば、glsA2遺伝子は、グルタミンをアンモニウム及びグルタミン酸に変換するグルタミナーゼをコードする。glsA2の上方制御は、細胞のグルタミン酸プールを増加させることによって適合性を改善し、それによって細胞に利用可能なNを増加させる。したがって、一部の実施形態では、glsA2遺伝子が、コロニー形成を改善するための標的となり得る。
【0097】
一部の実施形態では、bcsii、bcsiii、yjbE、fhaB、pehA、otsB、treZ、glsA2、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるコロニー形成遺伝子が、コロニー形成を改善するように遺伝子組換えされ得る。
【0098】
コロニー形成ポテンシャルを改善するための標的となり得るコロニー形成遺伝子については、PCT公報WO/2019/032926にも記載され、これは参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0099】
細菌集団の生成
細菌の単離
本明細書に開示される方法及び組成物に有用な微生物は、天然植物の表面または組織から微生物を抽出することによって得ることができる。微生物は、種子を粉砕して微生物を単離することによって得ることができる。微生物は、種子を多様な土壌試料に植栽し、組織から微生物を回収することによって得ることができる。加えて、微生物は、植物に外因性微生物を接種し、どの微生物が植物組織に出現するかを決定することによって得ることができる。植物組織の非限定的な例としては、種子、実生、葉、挿穂、植物、鱗茎、または塊茎が挙げられ得る。
【0100】
微生物を得るための方法は、細菌を土壌から単離することによるものであってもよい。細菌は、種々の土壌タイプから収集されてもよい。一部の例では、土壌は、高肥沃度または低肥沃度、水分のレベル、鉱物のレベル、及び種々の作付け慣習等の特色により特性評価され得る。例えば、土壌は、異なる作物が連続した植栽季節で同じ土壌に植栽される輪作に関与する場合がある。同じ土壌での異なる作物の順次栽培は、ある特定の鉱物の不均衡な枯渇を防止し得る。細菌は、選択された土壌で成長している植物から単離することができる。実生植物は、2~6週間の栽培で収穫することができる。例えば、少なくとも400個の単離株を、1ラウンドの収穫で収集することができる。土壌及び植物のタイプは、植物表現型、ならびにある特定の表現型の下流濃縮を可能にする条件を明らかにする。
【0101】
微生物を植物組織から単離して、微生物の形質を評価することができる。組織試料を処理するためのパラメータを変化させて、根圏細菌、着生菌、または内部寄生菌等の、異なるタイプの付随性微生物を単離してもよい。分離株を無窒素培地で培養して、窒素固定を実施する細菌について濃縮することができる。代替として、世界の菌株バンクから微生物を得ることができる。
【0102】
植物内分析を実施して、微生物の形質を評価する。一部の実施形態では、DNA及びRNAのハイスループット処理によるスクリーニングのために、植物組織を処理することができる。加えて、非侵襲性測定を使用して、コロニー形成等の植物特性を評価することができる。野生微生物の測定は、植物ごとに得ることができる。また、野生微生物の測定は、圃場でミディアムスループット(medium throughput)法を使用して得ることもできる。測定は、経時的に順次に行うことができる。Setariaを含むがこれに限定されないモデル植物系を使用することができる。
【0103】
植物系中の微生物は、植物系での微生物の転写プロファイリングを介してスクリーニングすることができる。転写プロファイリングによるスクリーニングの例は、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)法、転写物検出用の分子バーコード法、次世代配列決定法、及び蛍光マーカーでの微生物のタグ付け法を使用することである。マイクロバイオーム、非生物要因、土壌条件、酸素、水分、温度、接種材料条件、及び根局在化を含むがこれらに限定されない影響要因を測定して、温室におけるコロニー形成を評価することができる。窒素固定は、細菌中で、本明細書に記載されるようなIRMSまたはNanoSIMSを用いて15N気体/肥料(希釈)を測定することによって評価することができる。NanoSIMSは、高分解能二次イオン質量分析法である。NanoSIMS技法は、生物学的試料に由来する化学活性を調査するための方式である。微小生物の代謝を駆動する酸化反応を還元する触媒作用を、細胞レベル、細胞下(subcellular)レベル、分子レベル、及び元素レベルで調査することができる。NanoSIMSは、0.1μm超の高空間分解能を提供することができる。NanoSIMSは、13C、15N、及び18O等の同位体トレーサーの使用を検出することができる。したがって、NanoSIMSは、細胞における化学的活性窒素に対して使用することができる。
【0104】
植物分析には、自動化温室を使用することができる。微生物曝露に応答した植物測定基準には、バイオマス、葉緑体分析、CCDカメラ、容積トモグラフィー測定が含まれるが、これらに限定されない。
【0105】
微生物集団を濃縮するための1つの方式は、遺伝子型によるものである。例えば、標的化プライマーまたは特異的プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイである。ジアゾトロフは窒素固定のプロセス中にnifH遺伝子を発現するため、nifH遺伝子に対して設計されたプライマーを使用して、ジアゾトロフを特定することができる。また、微生物集団は、単一細胞培養非依存的手法及び走化性誘導単離手法を介して濃縮することもできる。代替として、微生物の標的化単離は、微生物を選択培地上で培養することによって実施することができる。微生物集団を所望の形質について濃縮するための計画的な手法は、バイオインフォマティクスデータによって誘導され得、これは本明細書に記載される。
【0106】
バイオインフォマティクスを使用した窒素固定能を有する微生物の濃縮
バイオインフォマティクスツールを使用して、植物成長促進性根圏細菌(PGPR)を特定及び単離することができる。これらは、窒素固定を実施する能力に基づいて選択される。高い窒素固定能を有する微生物は、植物の有利な形質を促進することができる。PGPRを特定するためのバイオインフォマティクス分析モードには、ゲノミクス、メタゲノミクス、標的化単離、遺伝子配列決定、トランスクリプトーム配列決定、及びモデリングが含まれるが、これらに限定されない。
【0107】
ゲノミクス分析を使用して、PGPRを特定し、本明細書に記載されるような次世代配列決定法、及び微生物バージョン管理法(microbe version control)により突然変異の存在を確認することができる。
【0108】
メタゲノミクスを使用して、コロニー形成の予測アルゴリズムを使用してPGPRを特定及び単離することができる。また、メタデータを使用して、環境試料及び温室試料中の操作された菌株の存在を特定することもできる。
【0109】
トランスクリプトーム配列決定を使用して、PGPR表現型につながる遺伝子型を予測することができる。加えて、トランスクリプトームデータを使用して、遺伝子発現を改変するためのプロモーターを特定する。全ゲノム配列(WGS)と併せてトランスクリプトームデータを分析して、代謝及び遺伝子調節ネットワークのモデルを生成することができる。
【0110】
微生物の順化
自然界から単離された微生物は、微生物が遺伝学的に追跡可能及び特定可能な形態に変換される順化プロセスを経ることができる。微生物を順化させる1つの方式は、抗生物質耐性を微生物に導入操作することである。抗生物質耐性を導入操作するプロセスは、野生型微生物菌株の抗生物質感受性を決定することによって開始し得る。細菌が抗生物質に感受性である場合、その抗生物質は、抗生物質耐性導入操作の良好な候補であり得る。その後、リコンビニアリング(recombineering)法を使用して、抗生物質耐性遺伝子または対抗選択可能自殺ベクターを微生物のゲノムに組み込むことができる。対抗選択可能自殺ベクターは、目的の遺伝子の欠失、選択可能マーカー、及び対抗選択可能マーカーsacBからなり得る。対抗選択を使用して、天然微生物DNA配列を抗生物質耐性遺伝子と交換することができる。ミディアムスループット法を使用して、複数の微生物を同時に評価して、並行順化を可能にすることができる。代替の順化方法は、ホーミングヌクレアーゼを使用して、自殺ベクター配列のループアウトまたは介在ベクター配列獲得を防止することを含む。
【0111】
DNAベクターは、エレクトロポレーション及び化学的形質転換を含めたいくつかの方法を介して細菌に導入することができる。ベクターの標準的ライブラリーを形質転換に使用することができる。遺伝子編集法の一例は、Cas9試験により微生物におけるCas9の活性を確実にした後でのCRISPRである。
【0112】
微生物の非トランスジェニック操作
有利な形質を有する微生物集団は、定向進化を介して得ることができる。定向進化は、自然淘汰プロセスを模倣して、タンパク質または核酸をユーザ定義目標に向かって進化させる手法である。定向進化の一例は、ランダム突然変異を微生物集団に導入した場合、最も有利な形質を有する微生物を選択し、選択した微生物の増殖を継続させることである。成長促進性根圏細菌(PGPR)の最も有利な形質は、窒素固定であり得る。定向進化法は、各反復後の選択プロセスに基づき、反復性及び適応性であってもよい。
【0113】
高い窒素固定能を有する植物成長促進性根圏細菌(PGPR)を生成することができる。PGPRの進化は、遺伝的変異の導入を介して実施することができる。遺伝的変異は、ポリメラーゼ連鎖反応突然変異誘発、オリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発、飽和突然変異誘発、断片シャフリング突然変異誘発(fragment shuffling mutagenesis)、相同組換え、CRISPR/Cas9系、化学的突然変異誘発、及びそれらの組み合わせを介して導入することができる。これらの手法により、ランダム突然変異を微生物集団に導入することができる。例えば、突然変異体は、オリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発を介して合成DNAまたはRNAを使用して生成することができる。突然変異体は、プラスミドに含まれるツール(これは後で除去される(cured))を使用して生成することができる。目的の遺伝子は、改善されたPGPR特性、穀類での改善されたコロニー形成、増加した酸素感受性、増加した窒素固定、及び増加したアンモニア排泄を含むがこれらに限定されない、改善された形質を有する他の種に由来するライブラリーを使用して特定することができる。これらのライブラリーに基づき、GeneiousまたはPlatypus設計ソフトウェア等のソフトウェアを使用して、属内遺伝子を設計することができる。突然変異は、機械学習の支援により設計することができる。突然変異は、代謝モデルの支援により設計することができる。a la Platypusを使用して突然変異の自動設計を行うことができ、Cas指向性突然変異誘発のためのRNAが誘導されることになる。
【0114】
属内遺伝子を、宿主微生物に移入することができる。加えて、レポーター系も微生物に移入することができる。レポーター系は、プロモーターの特性を決定し、形質転換成功を決定し、突然変異体をスクリーニングし、負のスクリーニングツールとして作用する。
【0115】
突然変異を担持する微生物は、連続継代を介して培養することができる。微生物コロニーは、微生物の単一の変種を含有する。微生物コロニーは、自動コロニーピッカー及び液体ハンドラーの支援によりスクリーニングされる。遺伝子重複及び増加したコピー数を有する突然変異体は、所望の形質のより高い遺伝子型を発現する。
【0116】
窒素固定に基づく植物成長促進性微生物の選択
微生物コロニーを、種々のアッセイを使用してスクリーニングして、窒素固定を評価することができる。窒素固定を測定するための1つの方式は、窒素排泄を測定する単一の発酵アッセイを介するものである。代替方法は、経時的なインライン試料採取によるアセチレン還元アッセイ(ARA)である。ARAは、マイクロチューブアレイのハイスループットプレートにおいて実施することができる。ARAは、生植物及び生植物組織で実施することができる。ARAアッセイでは、培地処方及び培地酸素濃度を変化させることができる。微生物変種をスクリーニングする別の方法は、バイオセンサーの使用によるものである。NanoSIMS及びラマン顕微分光法の使用は、微生物の活性を調査するために使用することができる。また、一部の場合では、バイオリアクタ中での発酵法を使用して細菌を培養及び増殖させることもできる。バイオリアクタは、細菌増殖の頑強性を改善する共に、酸素への細菌の感受性を減少させるように設計されている。ミディアム~ハイTPプレートに基づくマイクロ発酵槽を使用して、酸素感受性、栄養必要性、窒素固定、及び窒素排泄を評価する。また、細菌を、競合性のまたは有益な微生物と共培養して、隠れた経路を解明することもできる。フローサイトメトリーを使用して、化学的、比色定量的、または蛍光性の指示薬を使用して高レベルの窒素を産生する細菌に関してスクリーニングすることができる。細菌は、窒素源の存在下または不在下で培養されてもよい。例えば、細菌は、グルタミン、アンモニア、尿素、または硝酸塩と共に培養されてもよい。
【0117】
誘導型微生物リモデリング-概要
誘導型微生物リモデリングは、作物マイクロバイオーム内での種の役割を系統的に特定及び改善する方法である。一部の態様では、群分け/カテゴリー化の特定の方法論に従って、この方法は、1)植物-微生物間相互作用をマッピングし、特定の表現型に関連付けられる調節ネットワークを予測することによって候補種を選択すること、2)微生物のゲノム内での調節ネットワーク及び遺伝子クラスターの種内交差により、微生物表現型を実用的かつ予測可能に改善すること、ならびに3)所望の作物表現型をもたらす新たな微生物遺伝子型をスクリーニング及び選択すること、の3つのステップを含む。
【0118】
菌株の改善を系統的に評価するために、微生物群落のコロニー形成動力学を主要な種による遺伝子活性に結び付けるモデルを作出する。このモデルを使用して、非属間遺伝子リモデリング(すなわち、非トランスジェニック様式で微生物の遺伝的構造を操作する)のための遺伝子標的を予測する。このプロセスの実施形態の図形表現については、
図1を参照されたい。
【0119】
図1に例示されるように、作物マイクロバイオームの合理的改善を使用して、土壌の生物多様性を増加させ、キーストーン種の影響を調整し、及び/または重要な代謝経路のタイミング及び発現を改変してもよい。
【0120】
この目的で、発明者らは、作物マイクロバイオーム内での菌株の役割を特定及び改善するためのプラットフォームを開発した。一部の態様では、発明者らは、このプロセスを微生物育種(microbial breeding)と呼んでいる。
【0121】
前述の「誘導型微生物リモデリング」プロセスは、実施例、例えば、「誘導型微生物リモデリング-農業用の微生物種の合理的改善に向けたプラットフォーム」と題される実施例1でさらに詳述される。
【0122】
連続継代
植物形質(例えば、窒素固定)を改善する細菌の生産は、連続継代により達成することができる。この細菌の生産は、1つまたは複数の植物に1つまたは複数の改善された形質を付与することが可能な細菌及び/または組成物を特定することに加えて、微生物叢によって影響を受ける特定の改善された形質を有する植物を選択することによって行うことができる。植物形質を改善する細菌を生産する1つの方法は、(a)第1の植物の組織または土壌から細菌を単離するステップ、(b)細菌のうちの1つまたは複数に遺伝的変異を導入して、1つまたは複数の変種細菌を生産するステップ、(c)複数の植物を変種細菌に曝露するステップ、(d)複数の植物のうち1つの組織または土壌から細菌を単離するステップであって、細菌が単離される植物が、複数の植物中の他の植物と比べて改善された形質を有する、該ステップ、及び(e)改善された形質を有する植物から単離された細菌(ステップ(d))を用いて、ステップ(b)~(d)を繰り返すステップを含む。ステップ(b)~(d)は、植物の改善された形質が所望のレベルに達するまで、何回でも(例えば、1回、2回、3回、4回、5回、10回、またはそれよりも多く)繰り返すことができる。さらに、複数の植物は、10~20個の植物、または20個以上、50個以上、100個以上、300個以上、500個以上、または1000個以上の植物等の、2個を超える植物であり得る。
【0123】
改善された形質を有する植物を得ることに加えて、1つまたは複数の遺伝子(例えば、窒素固定を調節する遺伝子)に導入された1つまたは複数の遺伝的変異を含む細菌を含む細菌集団が得られる。上述のステップを繰り返すことによって、目的の植物形質と相関する集団の最も適切な成員を含む細菌の集団を得ることができる。遺伝子分析及び/または表現型分析等によって、この集団における細菌を特定して、それらの有益な特性を決定することができる。ステップ(a)において、単離された細菌の遺伝子分析を行ってもよい。表現型及び/または遺伝子型の情報は、植物起源の化学成分のハイスループットスクリーニング、遺伝物質のハイスループット配列決定を含む配列決定技法、ディファレンシャルディスプレイ技法(DDRT-PCR及びDD-PCRを含む)、核酸マイクロアレイ技法、RNAシーケンシング(全トランスクリプトームショットガンシーケンシング)、及びqRT-PCR(定量的リアルタイムPCR)を含む技法を使用して得てもよい。獲得した情報を使用して、系統発生分析、またはrRNAオペロンもしくは他の分類学的に参考になる遺伝子座の構成成分をコードする核酸のマイクロアレイに基づくスクリーニング等、存在する細菌の同一性及び活性に関する群落プロファイリング情報を得ることができる。分類学的に参考になる遺伝子座の例としては、16S rRNA遺伝子、23S rRNA遺伝子、5S rRNA遺伝子、5.8S rRNA遺伝子、12S rRNA遺伝子、18S rRNA遺伝子、28S rRNA遺伝子、gyrB遺伝子、rpoB遺伝子、fusA遺伝子、recA遺伝子、coxl遺伝子、nifD遺伝子が挙げられる。集団に存在する分類群を決定するための分類学的プロファイリングの例となるプロセスは、US20140155283に記載される。細菌の特定は、窒素固定経路に関連する遺伝子等の、1つもしくは複数の遺伝子または1つもしくは複数のシグナル伝達経路の活性を特性評価することを含んでもよい。また、異なる細菌種間の相乗的な相互作用(2つの成分が、それらを組み合わせることにより、相加的な量を超えて所望の効果が増加すること)が、細菌集団に存在している場合もある。
【0124】
遺伝的変異-ゲノム改変の位置及び供給源
遺伝的変異は、nifA、nifL、ntrB、ntrC、glnA、glnB、glnK、draT、amtB、glnD、glnE、nifJ、nifH、nifD、nifK、nifY、nifE、nifN、nifU、nifS、nifV、nifW、nifZ、nifM、nifF、nifB、及びnifQからなる群から選択される遺伝子であってもよい。遺伝的変異は、グルタミン合成酵素、グルタミナーゼ、グルタミン合成酵素アデニリルトランスフェラーゼ、転写活性化因子、抗転写活性化因子、ピルビン酸フラボドキシンオキシドレダクターゼ、フラボドキシン、またはNAD+二窒素レダクターゼaDP-D-リボシルトランスフェラーゼからなる群から選択される機能性を有するタンパク質をコードする遺伝子の変異であってもよい。遺伝的変異は、NifAもしくはグルタミナーゼの増加した発現もしくは活性;NifL、NtrB、グルタミン合成酵素、GlnB、GlnK、DraT、AmtBの減少した発現もしくは活性;GlnEの減少したアデニリル除去活性;またはGlnDの減少したウリジリル除去活性のうちの1つまたは複数をもたらす突然変異であってもよい。遺伝的変異の導入は、1、2、3、4、5、10、25、50、100、250、500ヌクレオチド、またはそれよりも多くのヌクレオチド等の、標的部位での1つまたは複数のヌクレオチドの挿入及び/または欠失を含んでもよい。本明細書に開示される方法の1つまたは複数の細菌に導入された遺伝的変異は、ノックアウト突然変異(例えば、プロモーターの欠失、未成熟終止コドンをもたらす挿入または欠失、全遺伝子の欠失)であってもよいし、またはそれは、タンパク質ドメインの活性の排除もしくは消失(例えば、活性部位に影響を及ぼす点突然変異、またはタンパク質産物の関連性のある部分をコードする遺伝子の一部分の欠失)であってもよいし、またはそれは、標的遺伝子の調節配列を改変もしくは消失させてもよい。また、異種調節配列、及び遺伝的変異が導入されている細菌に対応する細菌種または属のゲノム内に見出される調節配列を含む、1つまたは複数の調節配列が挿入されてもよい。その上、調節配列は、細菌培養物中のまたは植物組織内の遺伝子の発現レベルに基づいて選択されてもよい。遺伝的変異は、標的部位に特異的に導入される既定の遺伝的変異であってもよい。遺伝的変異は、標的部位内のランダム突然変異であってもよい。遺伝的変異は、1つまたは複数のヌクレオチドの挿入または欠失であってもよい。一部の場合では、形質改善を評価するために細菌を植物に曝露する前に、複数の異なる遺伝的変異(例えば、2、3、4、5、10個、またはそれよりも多く)が、単離された細菌のうちの1つまたは複数に導入される。複数の遺伝的変異は、上記のタイプのうちのいずれか、同じタイプまたは異なるタイプ、及び任意の組み合わせであることができる。一部の場合では、複数の遺伝的変異が細菌に蓄積されて、進行的に改善された形質が関連する植物に付与されるように、第1の単離ステップ後に第1の遺伝的変異を導入し、第2の単離ステップ後に第2の遺伝的変異を導入する等、複数の異なる遺伝的変異が連続的に導入される。
【0125】
遺伝的変異-ゲノム改変を導入する方法
一般に、「遺伝的変異」という用語は、参照ゲノムもしくはその一部分または参照遺伝子もしくはその一部分等の参照ポリヌクレオチドと比べた、ポリヌクレオチド配列に導入される任意の変更を指す。遺伝的変異は、「突然変異」と称される場合があり、遺伝的変異を含む配列または生物は、「遺伝的変種」または「突然変異体」と称される場合がある。遺伝的変異は、遺伝子発現、代謝、及び細胞シグナル伝達を含めた何らかの生物活性の増加または減少等の、任意の数の効果を有し得る。遺伝的変異は、標的部位に特異的に導入されることも、またはランダムに導入されることもできる。遺伝的変異を導入するための様々な分子ツール及び方法が利用可能である。例えば、遺伝的変異は、ポリメラーゼ連鎖反応突然変異誘発、オリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発、飽和突然変異誘発、断片シャフリング突然変異誘発、相同組換え、リコンビニアリング、ラムダレッド(lambda red)媒介組換え、CRISPR/Cas9系、化学的突然変異誘発、及びそれらの組み合わせを介して導入することができる。遺伝的変異を導入するための化学的方法には、DNAを、化学的突然変異原、例えば、メタンスルホン酸エチル(EMS)、メタンスルホン酸メチル(MMS)、N-ニトロソ尿素(ENU)、N-メチル-N-ニトロ-N’-ニトロソグアニジン、4-ニトロキノリンN-オキシド、硫酸ジエチル、ベンゾピレン、シクロホスファミド、ブレオマイシン、トリエチルメラミン、アクリルアミドモノマー、ナイトロジェンマスタード、ビンクリスチン、ジエポキシアルカン(例えば、ジエポキシブタン)、ICR-170、ホルムアルデヒド、塩酸プロカルバジン、エチレンオキシド、ジメチルニトロソアミン、7,12ジメチルベンズ(a)アントラセン、クロラムブシル、ヘキサメチルホスホラミド、ビスルファン(bisulfan)等に曝露することが含まれる。放射線突然変異誘導因子には、紫外線、γ線、X線、及び高速中性子衝撃が含まれる。また、例えば、トリメチルソラレンを紫外光と共に使用して、核酸に遺伝的変異を導入することができる。可動DNA要素、例えば転位因子のランダムな挿入または標的挿入は、遺伝的変異を生成するための別の好適な方法である。遺伝的変異は、例えば、エラープローンPCR等のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技法を使用して、無細胞インビトロ系での増幅中に核酸に導入することができる。遺伝的変異は、DNAシャフリング技法(例えば、エクソンシャフリング、ドメイン交換等)を使用して、インビトロで核酸に導入することができる。また、遺伝的変異は、細胞におけるDNA修復酵素の欠損の結果として核酸に導入され得、例えば、突然変異DNA修復酵素をコードする突然変異遺伝子が細胞に存在すると、その細胞のゲノムには、高頻度の突然変異(すなわち、約1個の突然変異/100遺伝子~1個の突然変異/10,000遺伝子)が生成されることが予想される。DNA修復酵素をコードする遺伝子の例としては、Mut H、Mut S、Mut L、及びMut U、ならびに他の種におけるそれらのホモログ(例えば、MSH16、PMS12、MLH1、GTBP、及びERCC-1等)が挙げられるが、これらに限定されない。遺伝的変異を導入するための種々の方法の例となる説明は、例えば、Stemple(2004)Nature 5:1-7、Chiang et al.(1993)PCR Methods Appl 2(3):210-217、Stemmer(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747-10751、及び米国特許第6,033,861号及び同第6,773,900号に提供される。
【0126】
微生物に導入される遺伝的変異は、トランスジェニック、シスジェニック、ゲノム内、属内、属間、合成、進化、再構成、またはSNPとして分類され得る。
【0127】
遺伝的変異を、微生物内の多数の代謝経路に導入して、上述の形質の改善を誘発してもよい。代表的な経路には、硫黄取り込み経路、グリコーゲン生合成、グルタミン調節経路、モリブデン取り込み経路、窒素固定経路、アンモニア同化、アンモニア排泄または分泌、窒素取り込み、グルタミン生合成、アナモックス(annamox)、リン酸塩可溶化、有機酸輸送、有機酸産生、凝集素産生、活性酸素ラジカルスカベンジング遺伝子、インドール酢酸生合成、トレハロース生合成、植物細胞壁分解酵素または経路、根付着遺伝子、菌体外多糖分泌、グルタミン酸合成酵素経路、鉄取り込み経路、シデロフォア経路、キチナーゼ経路、ACCデアミナーゼ、グルタチオン生合成、亜リン酸シグナル伝達(phosphorous signaling)遺伝子、クオラムクエンチング経路、チトクロム経路、ヘモグロビン経路、細菌ヘモグロビン様経路、低分子RNA rsmZ、リゾビトキシン(rhizobitoxine)生合成、lapA接着タンパク質、AHLクオラムセンシング経路、フェナジン生合成、環状リポペプチド生合成、及び抗生物質産生が含まれる。
【0128】
CRISPR/Cas9(規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列(Clustered regularly interspaced short palindromic repeats))/CRISPR関連(Cas)系を使用して、所望の突然変異を導入することができる。CRISPR/Cas9は、CRISPR RNA(crRNA)を使用して、侵入核酸のサイレンシングを誘導することによって、ウイルス及びプラスミドに対する適応免疫を細菌及び古細菌に提供する。Cas9タンパク質(またはその機能的等価体及び/もしくは変種、すなわちCas9様タンパク質)は、このタンパク質と、crRNA及びtracrRNA(ガイドRNAとも呼ばれる)と呼ばれる2つの天然に存在するRNA分子または合成RNA分子との会合に依存するDNAエンドヌクレアーゼ活性を天然で含有する。一部の場合では、これら2つの分子は、共有結合で連結されて、単一分子(単鎖ガイドRNA(「sgRNA」)とも呼ばれる)を形成する。故に、Cas9またはCas9様タンパク質は、DNAを標的とするRNA(この用語は、2分子ガイドRNA構成及び単一分子ガイドRNA構成の両方を包含する)と会合し、それによりCas9またはCas9様タンパク質が活性化され、このタンパク質が標的核酸配列に指向される。Cas9またはCas9様タンパク質がその天然の酵素機能を保持する場合、それは標的DNAを切断して、二本鎖切断が作出されることになり、それによりゲノム改変(すなわち、編集:欠失、挿入(ドナーポリヌクレオチドが存在する場合)、置換等)をもたらすことができ、それによって遺伝子発現が改変される。Cas9の一部の変種(そのような変種は、Cas9様という用語により包含される)は、減少したDNA切断活性を有するように改変されている(一部の場合では、それらは標的DNAの両鎖ではなく一本鎖を切断し、他の場合には、それらは著しく還元されて、DNA切断活性を示さない)。遺伝的変異を導入するためのCRISPR系のさらなる例示的な説明は、例えば、US8795965に見出すことができる。
【0129】
サイクリック増幅技法として、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)突然変異誘発では、変異原性プライマーを使用して、所望の突然変異を導入する。PCRは、変性、アニーリング、及び伸長のサイクルによって実施される。PCRによる増幅後、突然変異DNAの選択及び親プラスミドDNAの除去は、1)PCR中にdCTPをヒドロキシメチル化dCTPと置換し、続いて制限酵素で消化して、非ヒドロキシメチル化親DNAのみを除去する、2)抗生物質耐性遺伝子及び研究対象遺伝子を両方とも同時に突然変異誘発させて、プラスミドを異なる抗生物質耐性に変化させ、新たな抗生物質耐性により、その後の所望の突然変異の選択を容易にする、3)所望の突然変異を導入した後、メチル化DNAのみを切断する制限酵素Dpnlによって親メチル化鋳型DNAを消化し、それによって突然変異誘発された非メチル化鎖を回収する、または4)突然変異PCR産物を、追加のライゲーション反応で環状化して、突然変異DNAの形質転換効率を増加させることによって、達成することができる。例示的な方法のさらなる説明は、例えば、US7132265、US6713285、US6673610、US6391548、US5789166、US5780270、US5354670、US5071743、及びUS20100267147に見出すことができる。
【0130】
部位指向性突然変異誘発とも呼ばれるオリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発では、典型的には、合成DNAプライマーが利用される。この合成プライマーは、所望の突然変異を含有し、それが目的の遺伝子におけるDNAとハイブリダイズすることができるように、突然変異部位付近が鋳型DNAと相補的である。突然変異は、単一塩基の変更(点突然変異)、複数塩基の変更、欠失、もしくは挿入、またはこれらの組み合わせであってもよい。次いで、DNAポリメラーゼを使用して一本鎖プライマーを伸長させ、それにより遺伝子の残りがコピーされる。このようにしてコピーされた遺伝子は、突然変異部位を含有し、次いでこれをベクターとしての宿主細胞に導入し、クローニングしてもよい。最後に、突然変異体をDNA配列決定によって選択して、それらが所望の突然変異を含有することを確認することができる。
【0131】
遺伝的変異は、エラープローンPCRを使用して導入され得る。この技法では、目的の遺伝子は、配列複製の忠実度が不全である条件下でDNAポリメラーゼを使用して増幅される。その結果、増幅産物は、少なくとも1つのエラーを配列に含有する。遺伝子を増幅し、得られた反応の産物(複数可)が、鋳型分子と比較したときに1つまたは複数の改変を配列に含有する場合、得られた産物は、鋳型と比較して突然変異誘発されている。ランダム突然変異を導入する別の手段は、細胞を、ニトロソグアニジンまたはメタンスルホン酸エチル等の化学的突然変異原に曝露することであり(Nestmann,Mutat Res 1975 June;28(3):323-30)、次いで、その遺伝子を含有するベクターが宿主から単離される。
【0132】
飽和突然変異誘発は、別の形態のランダム突然変異誘発であり、特定部位にまたは遺伝子の狭い領域に、全てのまたはほぼ全ての考えられる突然変異を生成しようするものである。一般的な意味では、飽和突然変異誘発は、突然変異誘発させようとする規定のポリヌクレオチド配列(突然変異誘発させようとする配列の長さは、例えば15~100,000塩基である)に変異原性カセットの完全なセット(各カセットの長さは、例えば1~500塩基である)を突然変異誘発させることで構成されている。したがって、突然変異の群(例えば、1~100個の範囲の突然変異)が、突然変異誘発させようとする各カセットに導入される。1つのカセットに導入される突然変異の群分けは、飽和突然変異誘発の1ラウンドを施している間に第2のカセットに導入される突然変異の第2の群分けと異なることも、または同じであることもできる。そのような群分けは、欠失、付加、特定のコドンの群分け、及び特定のヌクレオチドカセットの群分けにより例示される。
【0133】
DNAシャフリングとも呼ばれる断片シャフリング突然変異誘発は、有益な突然変異を迅速に伝播する方式である。シャフリングプロセスの一例では、DNAseを使用して、1セットの親遺伝子を、例えば、長さが約50~100bpの小片に断片化する。これに続いて、プライマーを用いないポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が行われ、十分な重複相同配列を有するDNA断片が互いにアニーリングすることになり、次いでこれがDNAポリメラーゼによって伸長される。DNA分子の一部が親遺伝子のサイズに達した後も、このPCR伸長を数ラウンド継続させる。次いで、これらの遺伝子を、今度は鎖の末端に相補的になるように設計されたプライマーを添加して、別のPCRで増幅することができる。プライマーは、クローニングベクターへのライゲーションに必要とされる制限酵素認識部位の配列等の追加の配列が、それらの5’末端に付加されてもよい。シャフリング技法のさらなる例は、US20050266541に提供される。
【0134】
相同組換え突然変異誘発は、外因性DNA断片と標的ポリヌクレオチド配列との間の組換えを伴う。二本鎖切断が生じた後、切断の5’末端付近のDNAの区画は、切除と呼ばれるプロセスで切り離される。その後のストランド侵入ステップでは、切断されたDNA分子のオーバーハングを持つ3’末端が、次いで、切断されていない類似のまたは同一のDNA分子に「侵入」する。この方法を使用して、遺伝子を欠失させ、エクソンを除去し、遺伝子を付加し、点突然変異を導入することができる。相同組換え突然変異誘発は、恒久的であることも、または暫定的であることもできる。典型的には、組換え鋳型も提供される。組換え鋳型は、別のベクターの構成成分であってもよいし、別個のベクターに含有されていてもよいし、または別個のポリヌクレオチドとして提供されてもよい。一部の実施形態では、組換え鋳型は、部位特異的ヌクレアーゼによって切れ目を入れられるまたは切断される標的配列内または標的配列付近等で、相同組換えの鋳型としての役目を果たすように設計されている。鋳型ポリヌクレオチドの長さは、約10ヌクレオチド以上、約15ヌクレオチド以上、約20ヌクレオチド以上、約25ヌクレオチド以上、約50ヌクレオチド以上、約75ヌクレオチド以上、約100ヌクレオチド以上、約150ヌクレオチド以上、約200ヌクレオチド以上、約500ヌクレオチド以上、約1000ヌクレオチドヌクレオチド以上、またはそれよりも多くのヌクレオチド等の、任意の好適な長さであってもよい。一部の実施形態では、鋳型ポリヌクレオチドは、標的配列を含むポリヌクレオチドの一部分に相補的である。最適にアランメントされたとき、鋳型ポリヌクレオチドは、標的配列の1つまたは複数のヌクレオチドと重複する可能性がある(例えば、約1ヌクレオチド以上、約5ヌクレオチド以上、約10ヌクレオチド以上、約15ヌクレオチド以上、約20ヌクレオチド以上、約25ヌクレオチド以上、約30ヌクレオチド以上、約35ヌクレオチド以上、約40ヌクレオチド以上、約45ヌクレオチド以上、約50ヌクレオチド以上、約60ヌクレオチド以上、約70ヌクレオチド以上、約80ヌクレオチド以上、約90ヌクレオチド以上、約100ヌクレオチド以上、またはそれよりも多くのヌクレオチド)。一部の実施形態では、鋳型配列及び標的配列を含むポリヌクレオチドが最適にアランメントされるとき、鋳型ポリヌクレオチドの最も近いヌクレオチドは、標的配列から、約1ヌクレオチド、約5ヌクレオチド、約10ヌクレオチド、約15ヌクレオチド、約20ヌクレオチド、約25ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、約75ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、約200ヌクレオチド、約300ヌクレオチド、約400ヌクレオチド、約500ヌクレオチド、約1000ヌクレオチド、約5000ヌクレオチド、約10000ヌクレオチド、またはそれよりも多くのヌクレオチド以内にある。相同組換え法に有用な部位指向性ヌクレアーゼの非限定的な例としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、CRISPRヌクレアーゼ、TALEヌクレアーゼ、及びメガヌクレアーゼが挙げられる。そのようなヌクレアーゼの使用のさらなる説明については、例えば、US8795965及びUS20140301990を参照されたい。
【0135】
化学的突然変異原または放射線を含む、主として点突然変異、ならびに短い欠失、挿入、転換、及び/または転移を作出する突然変異原を使用して、遺伝的変異を作出してもよい。突然変異原には、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、N-エチル-N-ニトロソ尿素(nitrosurea)、トリエチルメラミン、N-メチル-N-ニトロソ尿素、プロカルバジン、クロラムブシル、シクロホスファミド、硫酸ジエチル、アクリルアミドモノマー、メルファラン、ナイトロジェンマスタード、ビンクリスチン、ジメチルニトロソアミン、N-メチル-N’-ニトロ-ニトロソグアニジン、ニトロソグアニジン、2-アミノプリン、7,12ジメチル-ベンズ(a)アントラセン、エチレンオキシド、ヘキサメチルホスホラミド、ビスルファン、ジエポキシアルカン(ジエポキシオクタン、ジエポキシブタン等)、2-メトキシ-6-クロロ-9[3-(エチル-2-クロロ-エチル)アミノプロピルアミノ]アクリジン二塩酸塩、及びホルムアルデヒドが含まれるが、これらに限定されない。
【0136】
遺伝的変異の導入は、処置される細菌集団中の一部の細菌が所望の突然変異を担持する一方で、他の細菌はそれを担持しないような、不完全なプロセスであってもよい。一部の場合では、所望の遺伝的変異を担持する細菌が濃縮されるように、選択圧を加えることが望ましい。慣習的には、成功裏の遺伝的変異の選択には、抗生物質耐性遺伝子を挿入する場合、または非致死性化合物を致死性代謝物へと変換することが可能な代謝活性を消失させる場合等、遺伝的変異によって付与されたまたは消失された何らかの機能性について選択することまたはそれらを除くように選択することを伴っていた。また、所望の遺伝的変異の導入のみが必要とされる(例えば、選択可能マーカーを同時に必要とすることなく)ように、ポリヌクレオチド配列自体に基づく選択圧を加えることも可能である。この場合、選択圧は、遺伝的変異を導入することが求められている参照配列に対して選択が効果的に向けられるように、標的部位に導入される遺伝的変異が欠如したゲノムを切断することを含み得る。典型的には、切断は、標的部位の100ヌクレオチド以内で生じる(例えば、標的部位での切断または標的部位内での切断を含めて、標的部位から75ヌクレオチド、50ヌクレオチド、25ヌクレオチド、10ヌクレオチド、またはそれよりも少ないヌクレオチド以内)。切断は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、CRISPRヌクレアーゼ、TALEヌクレアーゼ(TALEN)、またはメガヌクレアーゼからなる群から選択される部位特異的ヌクレアーゼによって指向されてもよい。そのようなプロセスは、相同組換えの鋳型が提供されないこと以外は、標的部位での相同組換えを強化するためのプロセスに類似する。結果として、所望の遺伝的変異が欠如した細菌は、修復されずに細胞死に至る切断を受ける可能性がより高い。次いで、選択を生き抜いた細菌を単離し、植物に曝露して、改善された形質の付与を評価するために使用することができる。
【0137】
CRISPRヌクレアーゼを部位特異的ヌクレアーゼとして使用して、切断を標的部位に指向してもよい。突然変異微生物の選択の改善は、Cas9を使用して非突然変異細胞を死滅させることによって得ることができる。次いで、植物に突然変異微生物を接種して共生を再確認し、進化圧を作出して、効率的な共生生物を選択する。次いで、微生物を植物組織から再単離することができる。非変種を除く選択に用いられるCRISPRヌクレアーゼ系は、相同組換えの鋳型が提供されないこと以外は、遺伝的変異の導入に関して上述したものと同様の要素を用いることができる。故に、標的部位に指向された切断は、影響を受けた細胞の死を強化する。
【0138】
ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEヌクレアーゼ(TALEN)系、及びメガヌクレアーゼ等の、標的部位での切断を特異的に誘導するための他の選択肢が利用可能である。ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、ジンクフィンガーDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合させることによって生成された人工DNAエンドヌクレアーゼである。ZFNは、所望のDNA配列を標的とするように操作することができ、これにより、ジンクフィンガーヌクレアーゼは、固有の標的配列を切断することが可能になる。細胞内に導入される場合、ZFNを使用して、二本鎖切断を誘導することによって細胞の標的DNA(例えば、細胞のゲノム)を編集することができる。転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)は、TAL(転写活性化因子様)エフェクターDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合させることによって生成された人工DNAエンドヌクレアーゼである。TALENは、事実上任意の所望のDNA配列に結合するよう迅速に操作することができ、細胞内に導入される場合、TALENを使用して、二本鎖切断を誘導することによって細胞の標的DNA(例えば、細胞のゲノム)を編集することができる。メガヌクレアーゼ(ホーミングエンドヌクレアーゼ)は、大型認識部位(12~40塩基対の二本鎖DNA配列)を特徴とするエンドデオキシリボヌクレアーゼである。メガヌクレアーゼを使用して、高度に標的化された方式で配列を置換、排除、または修飾することができる。タンパク質工学によりそれらの認識配列を修飾することによって、標的配列を変更することができる。メガヌクレアーゼは、細菌、植物、または動物に関わらず、あらゆるゲノムタイプの修飾に使用することができ、一般的に、LAGLIDADGファミリー(配列番号1)、GIY-YIGファミリー、His-Cystボックスファミリー、及びHNHファミリーの4つのファミリーに分類される。例示的なホーミングエンドヌクレアーゼには、I-SceI、I-CeuI、PI-PspI、PI-Sce、I-SceIV、I-CsmI、I-PanI、I-SceII、I-PpoI、I-SceIII、I-CreI、I-TevI、I-TevII、及びI-TevIIIが含まれる。
【0139】
遺伝的変異-特定方法
本開示の微生物は、該微生物に導入された1つまたは複数の遺伝子組換えまたは改変によって特定され得る。該遺伝子組換えまたは改変を特定することができる1つの方法は、遺伝子組換えまたは改変を特定するのに十分な微生物のゲノム配列の一部分を含有する配列番号を参照することを介するものである。
【0140】
さらに、遺伝子組換えまたは改変がそれらのゲノムに導入されていない微生物(例えば、野生型、WT)の場合、本開示では、16S核酸配列を利用して、該微生物を特定することができる。16S核酸配列は、「分子マーカー」または「遺伝子マーカー」の一例であり、これは核酸配列の特性の差異を可視化するための方法に使用される指標を指す。他のそのような指標の例は、制限断片長多型(RFLP)マーカー、増幅断片長多型(AFLP)マーカー、一塩基多型(SNP)、挿入突然変異、マイクロサテライトマーカー(SSR)、配列特性化増幅領域(SCAR)、切断増幅多型配列(CAPS)マーカー、もしくはアイソザイムマーカー、または具体的な遺伝子及び染色体位置を規定する本明細書に記載のマーカーの組み合わせである。マーカーにはさらに、16Sまたは18S rRNAをコードするポリヌクレオチド配列、及び互いに対して比較したときに関係性または区別の解明にとりわけ有用であることが判明している小サブユニットrRNA遺伝子と大サブユニットrRNA遺伝子との間に見出される配列である、内部転写スペーサー(ITS)配列が含まれる。さらに、本開示は、目的の遺伝子(例えば、nifH、D、K、L、A、glnE、amtB等)に見出される固有配列を利用して、本明細書に開示される微生物を特定する。
【0141】
主要rRNAサブユニット16Sの一次構造は、異なる速度で進化し、ドメイン等の非常に古代の系統、及び属等のより現代的な系統の両方の解像度を有効にする、保存された領域、可変領域、及び超可変領域の特定の組み合わせを含む。16Sサブユニットの二次構造は、残基の約67%の塩基対合をもたらすおよそ50個のヘリックスを含む。これらの高度に保存された二次構造特徴は、機能的に非常に重要であり、複数配列アラインメント及び系統学的分析における位置的相同性を確保するために使用することができる。これまで数十年間にわたって、16S rRNA遺伝子は、最も多く配列決定された分類学的マーカーになっており、細菌及び古細菌の現行の系統的分類の基盤である(Yarza et al.2014.Nature Rev.Micro.12:635-45)。
【0142】
故に、ある特定の態様では、本開示は、表23、24、25、及び26におけるいずれかの配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を共有する配列を提供する。
【0143】
故に、ある特定の態様では、本開示は、配列番号62~303と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を共有する配列を含む微生物を提供する。これらの配列及びそれらの関連する説明は、表25及び26に見出すことができる。
【0144】
一部の態様では、本開示は、配列番号85、96、111、121、122、123、124、136、149、157、167、261、262、269、277~283と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を共有する16S核酸配列を含む微生物を提供する。これらの配列及びそれらの関連する説明は、表26に見出すことができる。
【0145】
一部の態様では、本開示は、配列番号86~95、97~110、112~120、125~135、137~148、150~156、158~166、168~176、263~268、270~274、275、276、284~295と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を共有する核酸配列を含む微生物を提供する。これらの配列及びそれらの関連する説明は、表26に見出すことができる。
【0146】
一部の態様では、本開示は、配列番号177~260、296~303と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を共有する核酸配列を含む微生物を提供する。これらの配列及びそれらの関連する説明は、表26に見出すことができる。
【0147】
一部の態様では、本開示は、配列番号304~424と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を共有する核酸配列を含む微生物、またはプライマー、またはプローブ、または非天然ジャンクション配列を提供する。これらの配列は、表27に記載される。
【0148】
一部の態様では、本開示は、配列番号372~405と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を共有する非天然ジャンクション配列を含む微生物を提供する。これらの配列は、表27に記載される。
【0149】
一部の態様では、本開示は、配列番号77、78、81、82、または83と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を共有するアミノ酸配列を含む微生物を提供する。これらの配列及びそれらの関連する説明は、表25に見出すことができる。
【0150】
遺伝的変異-検出方法:プライマー、プローブ、及びアッセイ
本開示は、本明細書で教示される微生物の検出に有用なプライマー、プローブ、及びアッセイを教示する。一部の態様では、本開示は、WT親菌株を検出するための方法を提供する。他の態様では、本開示は、WT菌株に由来する操作された非属間微生物を検出するための方法を提供する。複数の態様では、本開示は、微生物において非属間遺伝子改変を特定するための方法を提供する。
【0151】
複数の態様では、本開示のゲノム操作法は、誘導された非属間微生物中の非天然ヌクレオチド「ジャンクション」配列の作出につながる。これらの天然に存在しないヌクレオチドジャンクションは、本明細書で教示される微生物における特定の遺伝子改変の存在を示す一種の診断手段として使用することができる。
【0152】
本技法は、固有に設計されたプライマー及びプローブを含む特化した定量的PCR法の利用を介して、これらの天然に存在しないヌクレオチドジャンクションを検出することができる。一部の態様では、本開示のプローブは、天然に存在しないヌクレオチドジャンクション配列に結合する。一部の態様では、慣習的なPCRが利用される。他の態様では、リアルタイムPCRが利用される。一部の態様では、定量的PCR(qPCR)が利用される。
【0153】
故に、本開示は、(1)任意の二本鎖DNAにインターカレートする非特異的蛍光色素、及び(2)プローブがその相補的配列とハイブリダイズした後でのみ検出が可能になる蛍光レポーターで標識されているオリゴヌクレオチドからなる配列特異的DNAプローブという、リアルタイムでPCR産物を検出するための2つの一般的な方法の利用を網羅することができる。一部の態様では、天然に存在しないヌクレオチドジャンクションのみが、教示されるプライマーを介して増幅されることになり、結果的に、非特異的色素、または特異的ハイブリダイゼーションプローブの利用のいずれかを介して検出することができる。他の態様では、本開示のプライマーは、プライマーがジャンクション配列のそれぞれの側に隣接するように選定され、それにより、増幅反応が生じる場合、該ジャンクション配列が存在することになる。
【0154】
本開示の態様は、天然に存在しないヌクレオチドジャンクション配列分子それ自体に加えて、穏やかなハイブリダイゼーション条件からストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、該天然に存在しないヌクレオチドジャンクション配列に結合することが可能な他のヌクレオチド分子を伴う。一部の態様では、穏やかなハイブリダイゼーション条件からストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、該天然に存在しないヌクレオチドジャンクション配列に結合することが可能なヌクレオチド分子は、「ヌクレオチドプローブ」と称される。
【0155】
複数の態様では、ゲノムDNAを試料から抽出し、これを使用して、qPCRを使用することによって本開示の微生物の存在を定量することができる。qPCR反応に利用されるプライマーは、野生型ゲノムの固有領域または操作された非属間突然変異体菌株の固有領域を増幅するように、Primer Blast(//www.ncbi.nlm.nih.gov/tools/primer-blast/)によって設計されたプライマーであり得る。qPCR反応は、SYBR GreenER qPCR SuperMix Universal(Thermo Fisher P/N 11762100)キットを使用し、順方向及び逆方向増幅プライマーのみを使用して実施することができる。代替として、Kapa Probe Force kit(Kapa Biosystems P/N KK4301)を、増幅プライマー、ならびに5’末端のFAM色素標識、内部のZENクエンチャー、ならびに3’末端の副溝結合剤及び蛍光クエンチャーを含むTaqManプローブ(Integrated DNA Technologies)と共に使用することができる。
【0156】
ある特定のプライマー、プローブ、及び非天然ジャンクション配列が、表27に列挙される。qPCR反応効率は、標的ゲノムに由来する既知量のgDNAから生成される標準曲線を使用して測定することができる。データは、組織重量及び抽出容量を使用して、生重量1g当たりのゲノムコピー数に正規化することができる。
【0157】
定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)は、1つまたは複数の核酸配列の増幅をリアルタイムで定量する方法である。PCRアッセイのリアルタイム定量は、増幅している目的の核酸及び校正標準としての役目を果たし得る適切な対照核酸配列を比較することによって、PCR増幅ステップによって生成されている核酸の量の決定を可能にする。
【0158】
TaqManプローブは、標的核酸配列を定量するために特異性を増加させることを必要とするqPCRアッセイで利用されることが多い。TaqManプローブは、フルオロフォアがプローブの5’末端に付着され、クエンチャーが3’末端に付着されたオリゴヌクレオチドプローブを含む。TaqManプローブが、プローブの5’末端及び3’末端が互いに緊密に接触した状態でそのまま留まる場合、クエンチャーは、フルオロフォアからの蛍光シグナル伝達を阻止する。TaqManプローブは、特異的なプライマーセットによって増幅される核酸領域内にアニーリングするように設計されている。Taqポリメラーゼが、プライマーを伸長し、新生鎖を合成するときに、Taqポリメラーゼの5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性により、鋳型にアニーリングしたプローブが分解される。このプローブ分解によりフルオロフォアが放出されるため、クエンチャーへの緊密な近接が断たれ、フルオロフォアの蛍光が可能になる。qPCRアッセイで検出される蛍光は、放出されるフルオロフォア及び反応中に存在するDNA鋳型の量に正比例する。
【0159】
qPCRのこの特徴は、実施者が、慣習的なPCRアッセイの増幅産物の観察に一般に必要とされる労働集約的なゲル電気泳動調製の増幅後ステップを排除することを可能にする。従来のPCRを上回るqPCRの有益性は大きく、これには、速度の増加、使いやすさ、再現性、及び定量能力が含まれる。
【0160】
形質の改善
本開示の方法は、様々な望ましい形質のうちの1つまたは複数を導入または改善するために用いられてもよい。導入または改善され得る形質の例としては、根バイオマス、根長、植物丈、苗条長、葉数、水利用効率、全体的バイオマス、収量、果実サイズ、穀粒サイズ、光合成速度、干ばつ耐性、耐熱性、耐塩性、線虫ストレス耐性、真菌病原体耐性、細菌病原体耐性、ウイルス病原体耐性、代謝物のレベル、及びプロテオーム発現が挙げられる。植物丈、全体的バイオマス、根及び/または苗条バイオマス、種子発芽、実生生存、光合成効率、蒸散率、種子/果実数もしくは質量、植物穀物もしくは果実の収量、葉の葉緑素含量、光合成速度、根長、またはそれらの任意の組み合わせを含めた、望ましい形質を使用して、成長を測定することができ、同一条件下で栽培された参照農業植物(例えば、改善された形質を有しない植物)の成長速度と比較することができる。
【0161】
導入または改善される好ましい形質は、本明細書に記載されるような窒素固定である。一部の場合では、本明細書に記載の方法から生じる植物は、同じ土壌条件下で栽培された参照農業植物よりも少なくとも約5%大きな、例えば、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも100%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、またはそれを超えて大きな形質の差異を示す。追加の例では、本明細書に記載の方法から生じる植物は、類似の土壌条件下で栽培された参照農業植物よりも少なくとも約5%大きな、例えば、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも100%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、またはそれを超えて大きな形質の差異を示す。
【0162】
改善されることになる形質は、1つまたは複数の生物ストレス因子または非生物ストレス因子を適用することを含む条件下で評価されてもよい。ストレス因子の例としては、非生物ストレス(熱ストレス、塩ストレス、干ばつストレス、寒冷ストレス、及び低栄養ストレス等)及び生物ストレス(線虫ストレス、昆虫草食ストレス、真菌病原体ストレス、細菌病原体ストレス、及びウイルス病原体ストレス等)が挙げられる。
【0163】
本開示の方法及び組成物によって改善された形質は、以前は窒素固定が可能ではなかった植物における窒素固定を含めた、窒素固定であってもよい。一部の場合では、本明細書に記載の方法により単離された細菌は、植物の窒素の1%以上(例えば、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、またはそれよりも多く)を産生し、これは、任意の遺伝的変異を導入する前の第1の植物から単離された細菌と比較して、少なくとも2倍(例えば、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、50倍、100倍、1000倍、またはそれよりも多く)の窒素固定能の増加に相当し得る。一部の場合では、細菌は、植物の窒素の5%以上を産生する。所望のレベルの窒素固定は、遺伝的変異を導入するステップ、複数の植物に曝露するステップ、及び改善された形質を有する植物から細菌を単離するステップを、1回または複数回(例えば、1、2、3、4、5、10、15、25回、またはそれよりも多く)繰り返した後で達成されてもよい。一部の場合では、強化されたレベルの窒素固定は、グルタミン、アンモニア、または窒素の他の化学的供給源を補充した肥料の存在下で達成される。窒素固定の程度を評価するための方法は既知であり、それらの例が本明細書に記載される。
【0164】
微生物育種は、作物マイクロバイオーム内の種の役割を系統的に特定及び改善するための方法である。この方法は、1)植物-微生物間相互作用をマッピングし、特定の表現型に関連付けられる調節ネットワークを予測することによって候補種を選択すること、2)調節ネットワーク及び遺伝子クラスターの種内交差により、微生物表現型を実用的かつ予測可能に改善すること、ならびに3)所望の作物表現型をもたらす新たな微生物遺伝子型をスクリーニング及び選択すること、の3つのステップを含む。菌株の改善を系統的に評価するために、微生物群落のコロニー形成動力学を主要な種による遺伝子活性に結び付けるモデルを作出する。このモデルを使用して、育種のための遺伝子標的を予測し、農学的に関連性のあるマイクロバイオームコード形質の改善の選択頻度を改善する。
【0165】
農業的に関連性のある圃場背景で送達された窒素の測定
圃場では、送達された窒素の量は、コロニー形成に活性を乗じた関数によって決定することができる。
【数1】
【0166】
上記の数式は、(1)植物組織1単位当たりの平均コロニー形成、及び(2)固定窒素の量または各微生物細胞によって排泄されたアンモニアの量のいずれかとしての活性を必要とする。1エーカー当たりの窒素のポンドに変換するために、トウモロコシ成長生理学、例えば植物のサイズ及び関連する根系を、成熟期全体にわたって経時的に追跡する。
【0167】
1エーカー-季節当たりの作物に送達された窒素のポンドは、以下の数式によって算出することができる。
【数2】
【0168】
植物組織(t)は、栽培時間(t)にわたるトウモロコシ植物組織の生重量である。合理的に算出を行うための値は、Roots,Growth and Nutrient Uptake(Mengel.Dept.of Agronomy Pub.# AGRY-95-08(Rev.May-95.p.1-8.)と題される刊行物に詳述される。
【0169】
コロニー形成(t)は、成長季節中の任意の特定の時間tにおける、植物組織の生重量1グラム当たりの植物組織内に見出される目的の微生物の量である。単一時点のみが利用可能である場合、その単一時点が、季節全体のピークコロニー形成速度として正規化され、残りの時点のコロニー形成速度は、それに応じて調整される。
【0170】
活性(t)は、成長季節中の任意の特定の時間tにおいて、Nが、目的の微生物によって1単位時間当たりに固定される速度である。本明細書に開示される実施形態では、この活性速度は、5mMグルタミン存在下のARA培地でのインビトロアセチレン還元アッセイ(ARA)、または5mMアンモニウムイオンの存在下のARA培地でのアンモニウム排泄アッセイによって近似される。
【0171】
次いで、上記の関数を数値積分することによって窒素送達量を算出する。上述の変数の値が、設定された時点で個別に測定される場合、それらの時点間の値は、線形補間を実施することによって近似される。
【0172】
窒素固定
本明細書では、植物における窒素固定を増加させる方法であって、植物を、窒素固定を調節する1つまたは複数の遺伝子に導入された1つまたは複数の遺伝的変異を含む細菌に曝露することを含み、細菌が、植物における窒素の1%以上(例えば、2%、5%、10%、またはそれよりも多く)を産生し、この産生が、細菌の不在下での植物と比較して、少なくとも2倍の窒素固定能に相当し得る、該方法が記載される。細菌は、グルタミン、尿素、硝酸塩、またはアンモニアを補充した肥料の存在下で窒素を産生し得る。遺伝的変異は、上記で提供した例を任意の数及び任意の組み合わせで含む、本明細書に記載の任意の遺伝的変異であり得る。遺伝的変異は、nifA、nifL、ntrB、ntrC、グルタミン合成酵素、glnA、glnB、glnK、draT、amtB、グルタミナーゼ、glnD、glnE、nifJ、nifH、nifD、nifK、nifY、nifE、nifN、nifU、nifS、nifV、nifW、nifZ、nifM、nifF、nifB、及びnifQからなる群から選択される遺伝子に導入されてもよい。遺伝的変異は、NifAもしくはグルタミナーゼの増加した発現もしくは活性;nifL、ntrB、グルタミン合成酵素、glnB、glnK、draT、amtBの減少した発現もしくは活性;GlnEの減少したアデニリル除去活性;またはGlnDの減少したウリジリル除去活性のうちの1つまたは複数をもたらす突然変異であってもよい。本明細書に開示される方法の1つまたは複数の細菌に導入された遺伝的変異は、ノックアウト突然変異であってもよいし、またはそれは、標的遺伝子の調節配列を消失させてもよいし、またはそれは、異種調節配列の挿入、例えば、同じ細菌種または属のゲノム内に見出される調節配列の挿入を含んでもよい。調節配列は、細菌培養物中のまたは植物組織内の遺伝子の発現レベルに基づいて選定され得る。遺伝的変異は、化学的突然変異誘発によってもたらされてもよい。ステップ(c)で栽培された植物を、生物ストレス因子または非生物ストレス因子に曝露してもよい。
【0173】
本明細書に記載の植物に生じる窒素固定の量は、いくつかの方法で、例えば、アセチレン還元(AR)アッセイによって測定されてもよい。アセチレン還元アッセイは、インビトロまたはインビボで実施することができる。特定の細菌が植物に固定窒素を提供している証拠としては、1)接種すると、総計植物Nが顕著に増加し、好ましくはそれに伴って植物におけるN濃度が増加すること、2)接種すると、窒素欠乏症状がN制限条件下で緩和されること(これには乾燥物質の増加が含まれるべきである)、3)N2固定が、15N手法(これは同位体希釈実験、15N2還元アッセイ、または15N天然存在量アッセイであり得る)の使用により確認されること、4)固定Nが、植物タンパク質または代謝物に組み込まれること、及び5)これら効果の全てが、未接種の植物または接種菌株の突然変異体を接種した植物で見られるものではないこと、が挙げられ得る。
【0174】
野生型の窒素固定調節カスケードは、入力O2及びNH4
+がNORゲートを通過し、その出力が、ATPに加えてANDゲートに入力されるデジタル論理回路として表すことができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、微生物が施肥圃場であっても窒素を産生することができるように、この回路に対するNH4
+の影響を調節カスケードの複数地点で妨害する。しかしながら、本明細書に開示される方法はまた、この回路に対するATPもしくはO2の影響を変化させること、または回路を細胞における他の調節カスケードと置換すること、または窒素固定以外の遺伝子回路を変化させることも想定する。異種調節系の制御下で機能性産物を生成するように遺伝子クラスターを再操作することができる。遺伝子クラスターのコード配列の外部及び内部の天然調節要素を排除し、それらを代替の調節系と置換することによって、複雑な遺伝子オペロン及び他の遺伝子クラスターの機能性産物を制御することができ、及び/または天然遺伝子が由来していた種以外の異なる種の細胞を含めた異種細胞に移動させることができる。ひとたび再操作されると、合成遺伝子クラスターは、遺伝子回路または他の誘導可能な調節系によって制御され、それによって産物の発現を所望通りに制御することができる。発現カセットを、ロジックゲート、パルス発生器、発振器、スイッチ、またはメモリデバイスとして作用するように設計することができる。制御性発現カセットは、発現カセットが、酸素、温度、接触、浸透圧ストレス、膜ストレス、または酸化還元センサ等の環境センサとして機能するように、プロモーターに連結されてもよい。
【0175】
例として、nifL、nifA、nifT、及びnifX遺伝子をnif遺伝子クラスターから排除することができる。各アミノ酸配列をコードするDNAをコドンランダム化することによって、合成遺伝子を設計することができる。コドン使用頻度を天然遺伝子のコドン使用頻度からできるだけ逸脱するよう指定しながら、コドン選択を実施する。提案された配列を、制限酵素認識部位、トランスポゾン認識部位、反復配列、シグマ54及びシグマ70プロモーター、潜在性リボソーム結合部位、ならびにrho非依存性ターミネーター等の、一切の望まれない特徴について走査する。合成リボソーム結合部位を、遺伝子の開始コドンを取り囲む150bp(-60~+90)が蛍光遺伝子に融合されている蛍光レポータープラスミドを構築すること等によって、各々対応する天然リボソーム結合部位の強度と一致するように選定する。このキメラをPtacプロモーターの制御下で発現させ、フローサイトメトリーを介して蛍光を測定することができる。合成リボソーム結合部位を生成するために、合成発現カセットの150bp(-60~+90)を使用するレポータープラスミドのライブラリーを生成する。手短に述べると、合成発現カセットは、ランダムDNAスペーサー、RBSライブラリーをコードする縮重配列、及び各合成遺伝子のコード配列からなり得る。複数のクローンをスクリーニングして、天然リボソーム結合部位に最も良好に一致した合成リボソーム結合部位を特定する。このようにして天然オペロンと同じ遺伝子からなる合成オペロンを構築し、機能的な相補性について試験する。合成オペロンのさらなる例示的な説明は、US20140329326に提供される。
【0176】
細菌種
本明細書に開示される方法及び組成物に有用な微生物は、任意の供給源から得てもよい。一部の場合では、微生物は、細菌、古細菌、原生動物、または真菌であってもよい。本開示の微生物は、窒素固定微生物、例えば、窒素固定細菌、窒素固定古細菌、窒素固定真菌、窒素固定酵母、または窒素固定原生動物であってもよい。本明細書に開示される方法及び組成物に有用な微生物は、胞子形成微生物、例えば、胞子形成細菌であってもよい。一部の場合では、本明細書に開示される方法及び組成物に有用な細菌は、グラム陽性細菌またはグラム陰性細菌であってもよい。一部の場合では、細菌は、Firmicute門の内生胞子形成細菌であってもよい。一部の場合では、細菌は、ジアゾトロフであってもよい。一部の場合では、細菌は、ジアゾトロフでない場合がある。
【0177】
本開示の方法及び組成物は、例えば、Methanothermobacter thermoautotrophicus等の古細菌と共に使用されてもよい。
【0178】
一部の場合では、有用であり得る細菌には、Agrobacterium radiobacter、Bacillus acidocaldarius、Bacillus acidoterrestris、Bacillus agri、Bacillus aizawai、Bacillus albolactis、Bacillus alcalophilus、Bacillus alvei、Bacillus aminoglucosidicus、Bacillus aminovorans、Bacillus amylolyticus(Paenibacillus amylolyticusとしても知られる)Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus aneurinolyticus、Bacillus atrophaeus、Bacillus azotoformans、Bacillus badius、Bacillus cereus(同義語:Bacillus endorhythmos、Bacillus medusa)、Bacillus chitinosporus、Bacillus circulans、Bacillus coagulans、Bacillus endoparasiticus Bacillus fastidiosus、Bacillus firmus、Bacillus kurstaki、Bacillus lacticola、Bacillus lactimorbus、Bacillus lactis、Bacillus laterosporus(Brevibacillus laterosporusとしても知られる)、Bacillus lautus、Bacillus lentimorbus、Bacillus lentus、Bacillus licheniformis、Bacillus maroccanus、Bacillus megaterium、Bacillus metiens、Bacillus mycoides、Bacillus natto、Bacillus nematocida、Bacillus nigrificans、Bacillus nigrum、Bacillus pantothenticus、Bacillus popillae、Bacillus psychrosaccharolyticus、Bacillus pumilus、Bacillus siamensis、Bacillus smithii、Bacillus sphaericus、Bacillus subtilis、Bacillus thuringiensis、Bacillus uniflagellatus、Bradyrhizobium japonicum、Brevibacillus brevis Brevibacillus laterosporus(以前はBacillus laterosporus)、Chromobacterium subtsugae、Delftia acidovorans、Lactobacillus acidophilus、Lysobacter antibioticus、Lysobacter enzymogenes、Paenibacillus alvei、Paenibacillus polymyxa、Paenibacillus popilliae(以前はBacillus popilliae)、Pantoea agglomerans、Pasteuria penetrans(以前はBacillus penetrans)、Pasteuria usgae、Pectobacterium carotovorum(以前はErwinia carotovora)、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas aureofaciens、Pseudomonas cepacia(以前はBurkholderia cepaciaとして知られていた)、Pseudomonas chlororaphis、Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas proradix、Pseudomonas putida、Pseudomonas syringae、Serratia entomophila、Serratia marcescens、Streptomyces colombiensis、Streptomyces galbus、Streptomyces goshikiensis、Streptomyces griseoviridis、Streptomyces lavendulae、Streptomyces prasinus、Streptomyces saraceticus、Streptomyces venezuelae、Xanthomonas campestris、Xenorhabdus luminescens、Xenorhabdus nematophila、Rhodococcus globerulus AQ719(NRRL受託番号B-21663)、Bacillus菌種AQ175(ATCC受託番号55608)、Bacillus菌種AQ177(ATCC受託番号55609)、Bacillus菌種AQ178(ATCC受託番号53522)、及びStreptomyces菌種菌株NRRL受託番号B-30145が含まれるが、これらに限定されない。一部の場合では細菌は、Azotobacter chroococcum、Methanosarcina barkeri、Klesiella pneumoniae、Azotobacter vinelandii、Azospirillum brasilense、Rhodobacter spharoides、Rhodobacter capsulatus、Rhodobcter palustris、Rhodosporillum rubrum、Rhizobium leguminosarum、またはRhizobium etliであり得る。
【0179】
一部の場合では、細菌は、Clostridiumの種、例えば、Clostridium pasteurianum、Clostridium beijerinckii、Clostridium perfringens、Clostridium tetani、Clostridium acetobutylicumであり得る。
【0180】
一部の場合では、本開示の方法及び組成物と共に使用される細菌は、シアノバクテリアであってもよい。シアノバクテリア属の例としては、Anabaena(例えば、Anagaena菌種PCC7120)、Nostoc(例えば、Nostoc punctiforme)、またはSynechocystis(例えば、Synechocystis菌種PCC6803)が挙げられる。
【0181】
一部の場合では、本開示の方法及び組成物と共に使用される細菌は、Chlorobi門、例えば、Chlorobium tepidumに属していてもよい。
【0182】
一部の場合では、本開示の方法及び組成物と共に使用される微生物は、既知のNifH遺伝子と相同性である遺伝子を含んでもよい。既知のNifH遺伝子の配列は、例えば、Zehr研究室NifHデータベース(://wwwzehr.pmc.ucsc.edu/nifH_Database_Public/、2014年4月4日)、またはBuckley研究室NifHデータベース(://www.css.cornell.edu/faculty/buckley/nifh.htm、及びGaby,John Christian,and Daniel H.Buckley.“A comprehensive aligned nifH gene database:a multipurpose tool for studies of nitrogen-fixing bacteria.”Database2014(2014):bau001)に見出すことができる。一部の場合では、本開示の方法及び組成物と共に使用される微生物は、Zehr研究室NifHデータベース(https://wwwzehr.pmc.ucsc.edu/nifH_Database_Public/、2014年4月4日)に由来する配列と少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、96%、98%、99%、または99%よりも高い配列同一性を有するポリペプチドをコードする配列を含んでもよい。一部の場合では、本開示の方法及び組成物と共に使用される微生物は、Buckley研究室NifHデータベース(Gaby,John Christian,and Daniel H.Buckley.“A comprehensive aligned nifH gene database:a multipurpose tool for studies of nitrogen-fixing bacteria.”Database2014(2014):bau001)に由来する配列と少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、96%、98%、99%、または99%よりも高い配列同一性を有するポリペプチドをコードする配列を含んでもよい。
【0183】
本明細書に開示される方法及び組成物に有用な微生物は、天然植物の表面もしくは組織から微生物を抽出することによって;種子を粉砕して微生物を単離することによって;多様な土壌試料に種子を植栽し、組織から微生物を回収することによって;または植物に外因性微生物を接種し、どの微生物が植物組織に出現するか決定することによって、得ることができる。植物組織の非限定的な例としては、種子、実生、葉、挿穂、植物、鱗茎、塊茎、根、及び根茎が挙げられる。一部の場合では、細菌は、種子から単離される。試料を処理するためのパラメータを変化させて、根圏菌、着生菌、または内部寄生菌等の、異なるタイプの付随性微生物を単離してもよい。また、細菌は、第1の植物から最初に単離する代わりに、環境菌株コレクション等のレポジトリを供給源としてもよい。微生物は、単離された微生物のゲノムを配列決定することにより;植物内群落の組成物をプロファイリングすることにより;群落もしくは単離された微生物のトランスクリプトーム機能性を特性評価することにより;または選択培地もしくは表現型培地(例えば、窒素固定またはリン酸可溶化表現型)を使用して微生物の特徴をスクリーニングすることにより、遺伝子型及び表現型を決定することができる。選択された候補菌株または集団は、配列データ;表現型データ;植物データ(例えば、ゲノム、表現型、及び/または収量データ);土壌データ(例えば、pH、N/P/K含量、及び/またはバルク土壌生物群落);またはこれらの任意の組み合わせにより得ることができる。
【0184】
本明細書に記載の細菌及び細菌を生産するための方法は、有害な植物防御反応を誘導することなく葉表面、根表面、もしくは内部植物組織で効率的に自己増殖することが可能な細菌、または植物防御応答に耐性である細菌に施用されてもよい。本明細書に記載の細菌は、窒素が添加されていない培地で植物組織抽出物または葉表面洗浄液を培養することによって単離されてもよい。しかしながら、細菌は、培養可能でない場合があり、すなわち、培養可能であることが知られていないか、または当該技術分野で既知の標準的方法を使用しては培養が困難である場合がある。本明細書に記載の細菌は、内部寄生菌、または着生菌、または植物根圏に生息する細菌(根圏細菌)であってもよい。遺伝的変異を導入するステップ、複数の植物に曝露するステップ、及び改善された形質を有する植物から細菌を単離するステップを、1回または複数回(例えば、1、2、3、4、5、10、15、25回、またはそれよりも多く)繰り返した後で得られる細菌は、内部寄生性、着生性、または根圏性であってもよい。内部寄生菌は、病害症状を引き起こすことなく、または共生構造の形成を誘発することなく、植物の内部に侵入する生物であり、植物成長を強化し、植物の栄養を改善する(例えば、窒素固定により)ことができるため農耕学的な関心対象となっている。細菌は、種子伝染性内部寄生菌であり得る。種子伝染性内部寄生菌には、成熟し乾燥した無損傷の(例えば、ひび割れ、目に見える真菌性感染、または早期発芽がない)種子に見出される種子伝染性細菌性内部寄生菌等の、イネ科草本または植物の種子に結び付いているまたはそれに由来する細菌が含まれる。また、種子伝染性細菌性内部寄生菌は、種子の表面に結び付いているまたはそれに由来する場合があり、代替として、またはそれに加えて、それは(例えば、表面滅菌種子の)内部種子区画に結び付いているまたはそれに由来する場合がある。一部の場合では、種子伝染性細菌性内部寄生菌は、植物組織内で、例えば種子の内部で複製することが可能である。また、一部の場合では、種子伝染性細菌性内部寄生菌は、乾燥化しても生存することができる。
【0185】
本開示の方法により単離される、または本開示の方法もしくは組成物において使用される細菌は、複数の異なる細菌分類群を組み合わせで含むことができる。例として、細菌には、プロテオバクテリア(Pseudomonas、Enterobacter、Stenotrophomonas、Burkholderia、Rhizobium、Herbaspirillum、Pantoea、Serratia、Rahnella、Azospirillum、Azorhizobium、Azotobacter、Duganella、Delftia、Bradyrhizobium、Sinorhizobium、及びHalomonas等)、Firmicutes(Bacillus、Paenibacillus、Lactobacillus、Mycoplasma、及びAcetobacterium等)、及びアクチノバクテリア(Streptomyce、Rhodococcus、Microbacterium、及びCurtobacterium等)が含まれてもよい。本開示の方法及び組成物で使用される細菌は、2つ以上の種の窒素固定細菌コンソーシアを含んでもよい。一部の場合では、細菌コンソーシアの1つまたは複数の細菌種は、窒素を固定することが可能であってもよい。一部の場合では、細菌コンソーシアの1つまたは複数の種は、窒素を固定する他の細菌の能力を促進または強化してもよい。窒素を固定する細菌及び窒素を固定する他の細菌の能力を強化する細菌は、同じであっても、または異なってもよい。一部の例では、細菌株は、異なる細菌株と組み合わせたときに、またはある特定の細菌コンソーシアにおいて、窒素を固定することができる場合があるが、単一培養では窒素を固定することができない場合がある。窒素固定細菌コンソーシアに見出され得る細菌属の例としては、Herbaspirillum、Azospirillum、Enterobacter、及びBacillusが挙げられるが、これらに限定されない。
【0186】
本明細書に開示される方法によって生産することができる細菌には、Azotobacter菌種、Bradyrhizobium菌種、Klebsiella菌種、及びSinorhizobium菌種が含まれる。一部の場合では、細菌は、Azotobacter vinelandii、Azospirillum brasilense、Bradyrhizobium japonicum、Klebsiella pneumoniae、及びSinorhizobium melilotiからなる群から選択され得る。一部の場合では、細菌は、EnterobacterまたはRahnella属のものであり得る。一部の場合では、細菌は、FrankiaまたはClostridium属のものであり得る。Clostridium属の細菌の例としては、Clostridium acetobutilicum、Clostridium pasteurianum、Clostridium beijerinckii、Clostridium perfringens、及びClostridium tetaniが挙げられるが、これらに限定されない。一部の場合では、細菌は、Paenibacillus属のもの、例えば、Paenibacillus azotofixans、Paenibacillus borealis、Paenibacillus durus、Paenibacillus macerans、Paenibacillus polymyxa、Paenibacillus alvei、Paenibacillus amylolyticus、Paenibacillus campinasensis、Paenibacillus chibensis、Paenibacillus glucanolyticus、Paenibacillus illinoisensis、Paenibacillus larvae subsp.Larvae、Paenibacillus larvae亜種、Larvae、Paenibacillus larvae亜種、Pulvifaciens、Paenibacillus lautus、Paenibacillus macerans、Paenibacillus macquariensis、Paenibacillus macquariensis、Paenibacillus pabuli、Paenibacillus peoriae、またはPaenibacillus polymyxaであり得る。
【0187】
一部の例では、本開示の方法により単離された細菌は、以下の分類群、すなわち、Achromobacter、Acidithiobacillus、Acidovorax、Acidovoraz、Acinetobacter、Actinoplanes、Adlercreutzia、Aerococcus、Aeromonas、Afipia、Agromyces、Ancylobacter、Arthrobacter、Atopostipes、Azospirillum、Bacillus、Bdellovibrio、Beijerinckia、Bosea、Bradyrhizobium、Brevibacillus、Brevundimonas、Burkholderia、Candidatus Haloredivivus、Caulobacter、Cellulomonas、Cellvibrio、Chryseobacterium、Citrobacter、Clostridium、Coraliomargarita、Corynebacterium、Cupriavidus、Curtobacterium、Curvibacter、Deinococcus、Delftia、Desemzia、Devosia、Dokdonella、Dyella、Enhydrobacter、Enterobacter、Enterococcus、Erwinia、Escherichia、Escherichia/Shigella、Exiguobacterium、Ferroglobus、Filimonas、Finegoldia、Flavisolibacter、Flavobacterium、Frigoribacterium、Gluconacetobacter、Hafnia、Halobaculum、Halomonas、Halosimplex、Herbaspirillum、Hymenobacter、Klebsiella、Kocuria、Kosakonia、Lactobacillus、Leclercia、Lentzea、Luteibacter、Luteimonas、Massilia、Mesorhizobium、Methylobacterium、Microbacterium、Micrococcus、Microvirga、Mycobacterium、Neisseria、Nocardia、Oceanibaculum、Ochrobactrum、Okibacterium、Oligotropha、Oryzihumus、Oxalophagus、Paenibacillus、Panteoa、Pantoea、Pelomonas、Perlucidibaca、Plantibacter、Polynucleobacter、Propionibacterium、Propioniciclava、Pseudoclavibacter、Pseudomonas、Pseudonocardia、Pseudoxanthomonas、Psychrobacter、Rahnella、Ralstonia、Rheinheimera、Rhizobium、Rhodococcus、Rhodopseudomonas、Roseateles、Ruminococcus、Sebaldella、Sediminibacillus、Sediminibacterium、Serratia、Shigella、Shinella、Sinorhizobium、Sinosporangium、Sphingobacterium、Sphingomonas、Sphingopyxis、Sphingosinicella、Staphylococcus、25 Stenotrophomonas、Strenotrophomonas、Streptococcus、Streptomyces、Stygiolobus、Sulfurisphaera、Tatumella、Tepidimonas、Thermomonas、Thiobacillus、Variovorax、WPS-2 genera incertae sedis、Xanthomonas、及びZimmermannellaのうちの1つまたは複数の成員であり得る。
【0188】
一部の場合では、以下の属、すなわち、Enterobacter、Klebsiella、Kosakonia、及びRahnellaのうちの少なくとも1つから選択される細菌種が利用される。一部の場合では、以下の属、すなわち、Enterobacter、Klebsiella、Kosakonia、及びRahnellaに由来する細菌種の組み合わせが利用される。一部の場合では、利用される種は、Enterobacter sacchari、Klebsiella variicola、Kosakonia sacchari、及びRahnella aquatilisのうちの1つまたは複数であり得る。
【0189】
一部の場合では、グラム陽性微生物は、nifH、nifD、nifK、nifB、nifE、nifN、nifX、hesA、nifV、nifW、nifU、nifS、nifI1、及びnifI2を含む、モリブデン-鉄ニトロゲナーゼ系を有してもよい。一部の場合では、グラム陽性微生物は、vnfDG、vnfK、vnfE、vnfN、vupC、vupB、vupA、vnfV、vnfR1、vnfH、vnfR2、vnfA(転写調節因子)を含む、バナジウムニトロゲナーゼ系を有してもよい。一部の場合では、グラム陽性微生物は、anfK、anfG、anfD、anfH、anfA(転写調節因子)を含む、鉄のみのニトロゲナーゼ系を有してもよい。一部の場合ではグラム陽性微生物は、glnB及びglnK(窒素シグナル伝達タンパク質)を含むニトロゲナーゼ系を有してもよい。グラム陽性微生物の窒素代謝に関与する酵素の一部の例としては、glnA(グルタミン合成酵素)、gdh(グルタミン酸デヒドロゲナーゼ)、bdh(3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ)、グルタミナーゼ、gltAB/gltB/gltS(グルタミン酸合成酵素)、asnA/asnB(アスパラギン酸-アンモニアリガーゼ/アスパラギン合成酵素)、及びansA/ansZ(アスパラギナーゼ)が挙げられる。グラム陽性微生物の窒素輸送に関与するタンパク質の一部の例としては、amtB(アンモニウムトランスポーター)、glnK(アンモニウム輸送の調節因子)、glnPHQ/glnQHMP(ATP依存性グルタミン/グルタミン酸トランスポーター)、glnT/alsT/yrbD/yflA(グルタミン様プロトン共輸送トランスポーター)、及びgltP/gltT/yhcl/nqt(グルタミン酸様プロトン共輸送トランスポーター)が挙げられる。
【0190】
特に関心対象となり得るグラム陽性微生物の例としては、Paenibacillus polymixa、Paenibacillus riograndensis、Paenibacillus菌種、Frankia菌種、Heliobacterium菌種、Heliobacterium chlorum、Heliobacillus菌種、Heliophilum菌種、Heliorestis菌種、Clostridium acetobutylicum、Clostridium菌種、Mycobacterium flaum、Mycobacterium菌種、Arthrobacter菌種、Agromyces菌種、Corynebacterium autitrophicum、Corynebacterium菌種、Micromonspora菌種、Propionibacteria菌種、Streptomyces菌種、及びMicrobacterium菌種が挙げられる。
【0191】
グラム陽性微生物において行われ得る遺伝子改変の一部の例としては、glnRを欠失させて、環境中の窒素の存在下でのBNFの負の調節を除去すること、nifクラスターのすぐ上流に異なるプロモーターを挿入して、環境中の窒素に応答したGlnRによる調節を除去すること、glnAを突然変異させて、GS-GOGAT経路によるアンモニウム同化の速度を低減すること、amtBを欠失させて、培地からのアンモニウムの取り込みを低減すること、glnAを突然変異させ、それによりそれを構成的にフィードバック阻害(FBI-GS)状態にして、GS-GOGAT経路によるアンモニウム同化を低減することが挙げられる。
【0192】
一部の場合では、glnRは、Paenibacillus種におけるN代謝及び固定の主要な調節因子である。一部の場合では、Paenibacillus種のゲノムは、glnRを産生するための遺伝子を含有しない場合がある。一部の場合では、Paenibacillus種のゲノムは、glnEまたはglnDを産生するための遺伝子を含有しない場合がある。一部の場合では、Paenibacillus種のゲノムは、glnBまたはglnKを産生するための遺伝子を含有し得る。例えば、Paenibacillus菌種WLY7は、glnBの遺伝子、または古細菌Methanococcus maripaludisに見出されるそのホモログであるnifI1及びnifI2を含有しない。一部の場合では、Paenibacillus種のゲノムは、様々であってもよい。例えば、Paenibacillus polymixa E681は、glnK及びgdhを欠如し、いくつかの窒素化合物トランスポーターを有するが、amtBのみが、GlnRによって制御されるようである。別の例では、Paenibacillus菌種JDR2は、glnK、gdh、及びほとんどの他の中心的な窒素代謝遺伝子を有し、はるかにより少ない窒素化合物トランスポーターを有するが、GlnRによって制御されるglnPHQを有する。Paenibacillus riograndensis SBR5は、標準glnRAオペロン、fdx遺伝子、主要nifオペロン、二次nifオペロン、及びanfオペロン(鉄のみのニトロゲナーゼをコードする)を含有する。推定上のglnR/tnrA部位が、これらのオペロンの各々の上流に見出された。GlnRは、anfオペロンを除き、上記のオペロンの全てを調節し得る。GlnRは、二量体として、これらの調節配列の各々に結合し得る。
【0193】
Paenibacillus N固定菌株は、最小限のnif遺伝子クラスターのみを含有する亜群I、ならびに最小限のクラスターに加えて、nifXとhesAとの間にある特性評価されていない遺伝子、及び多くの場合、nifH、nifHDK、nifBEN等のnif遺伝子の一部が重複している他のクラスター、またはバナジウムニトロゲナーゼ(vnf)もしくは鉄のみの(iron-only)ニトロゲナーゼ(anf)遺伝子をコードするクラスターを含有する亜群IIの2つの亜群に分類され得る。
【0194】
一部の場合では、Paenibacillus種のゲノムは、glnBまたはglnKを産生するための遺伝子を含有しない場合がある。一部の場合では、Paenibacillus種のゲノムは、シグマ-70プロモーターから転写される9つの遺伝子を有する最小限のnifクラスターを含有し得る。一部の場合では、Paenibacillus nifクラスターは、窒素または酸素によって負に調節されてもよい。一部の場合では、Paenibacillus種のゲノムは、シグマ-54を産生するための遺伝子を含有しない場合がある。例えば、Paenibacillus菌種WLY78は、シグマ-54の遺伝子を含有しない。一部の場合では、nifクラスターは、glnR、及び/またはTnrAによって調節されてもよい。一部の場合では、nifクラスターの活性が、glnR、及び/またはTnrAの活性を改変することによって改変され得る。
【0195】
Bacilliでは、グルタミン合成酵素(GS)は、高濃度の細胞内グルタミンによってフィードバック阻害され、確認のシフト(shift in confirmation)を引き起こす(FBI-GSと称される)。Nifクラスターは、いくつかのBacilli種では、調節因子GlnR及びTnrAに対して別々の結合部位を含有する。GlnRは、過剰な細胞内グルタミン及びAMPの存在下で結合し、遺伝子発現を抑制する。GlnRの役割は、高窒素利用可能条件下で、グルタミン及びアンモニウムの流入及び細胞内産生を防止することであり得る。TnrAは、限定的な細胞内グルタミンの存在下及び/またはFBI-GSの存在下で結合し得、及び/または遺伝子発現を活性化(または抑制)し得る。一部の場合では、Bacilli nifクラスターの活性は、GlnRの活性を改変することによって改変され得る。
【0196】
フィードバック阻害されたグルタミン合成酵素(FBI-GS)は、GlnRに結合し、認識配列に対するGlnRの結合を安定化し得る。いくつかの細菌種は、nifクラスターの上流にGlnR/TnrA結合部位を有する。FBI-GS及びGlnRの結合を改変することにより、nif経路の活性が改変され得る。
【0197】
微生物の供給源
細菌(または本開示による任意の微生物)は、その土壌、植物、真菌、動物(無脊椎動物を含む)、ならびに湖及び川の堆積物、水、及び生物相を含む他の生物相を含めた、任意の一般的陸生環境;海洋環境、その生物相及び堆積物(例えば、海水、海泥、海洋植物、海洋無脊椎動物(例えば、海綿動物)、海洋脊椎動物(例えば、魚類));陸生及び海洋性地圏(表土及び岩石、例えば、粉砕された地中岩石、砂、及び粘土);氷雪圏及びその融雪氷水;大気(例えば、濾過空気粉塵、雲、及び雨滴);都市環境、工業環境、及び他の人為的環境(例えば、コンクリート、道路側溝、屋根表面、及び道路表面に蓄積された有機物及び鉱物質)から得られてもよい。
【0198】
細菌(または本開示による任意の微生物)が得られる植物は、1つまたは複数の望ましい形質を有する植物、例えば、特定の環境でまたはある特定の目的の条件下で自然に成長する植物であってもよい。例として、ある特定の植物は、砂質土壌及び高塩分の砂地で、もしくは極端な温度下で、もしくは水がほとんどなくとも自然に成長する場合があり、またはそれは、環境に存在するある特定の有害生物もしくは病害に耐性であり得、商品作物がそのような条件下で成長することが望ましい場合があり、例えば、そのような条件が特定の地理的位置において利用可能な唯一の条件である場合は特に、望ましい場合がある。さらなる例として、細菌は、そのような環境で栽培された商品作物から、またはより具体的には、任意の特定の環境で栽培された作物の中でも目的の形質を最も良好に示す個々の作物植物、例えば、塩分制限土壌で栽培された作物の中でも最も迅速に成長する植物、または深刻な虫害もしくは病害流行に曝露された作物のうち最も被害が少なかった植物、または繊維含量及び油分含量等を含めた、ある特定の代謝物及び他の化合物の所望の量を有する植物、または望ましい色、味、もしくは匂いを示す植物から収集されてもよい。細菌は、先に言及したような環境の真菌及び他の動物相及び植物相、土壌、水、堆積物、ならびに他の要素を含む、目的の環境に生じる目的の植物または任意の材料から収集されてもよい。
【0199】
細菌(または本開示による任意の微生物)は、植物組織から単離されてもよい。この単離は、例えば、根、茎及び葉、ならびに植物生殖組織を含む、植物の任意の適切な組織から行われ得る。例として、植物から単離するための従来の方法は、典型的には、目的の植物材料(例えば、根または茎長、葉)を滅菌切除し、適切な溶液(例えば、2%次亜塩素酸ナトリウム)で表面を滅菌し、その後、植物材料を微生物増殖用の栄養培地に配置することを含む。代替として、表面を滅菌した植物材料を滅菌液(通常は水)中で粉砕し、粉砕した植物材料の小片を含む懸濁液を、選択的である場合もそうでない場合もある(例えば、リンの供給源としてフィチン酸のみを含有する)好適な固体寒天培地(単数または複数)の表面に播種することができる。この手法は、単離されたコロニーを形成し、個々に摘取して栄養培地のプレートから分離することができ、さらに周知の方法によって単一種に精製することができる細菌にとりわけ有用である。代替として、植物根または葉試料を表面滅菌せず、穏やかな洗浄のみを行うことにより、表面に生息する着生微生物を単離プロセスに含めてもよいし、または植物の根、茎、もしくは葉の小片を寒天培地の表面に押しつけてから離し、次いで上記のように個々のコロニーを単離することによって、着生微生物を別個に単離することができる。この手法は、例えば、細菌にとりわけ有用である。代替として、根に付着している少量の土を洗い流さずに、故に植物根圏でコロニー形成する微生物を含めて、根を処理してもよい。そうでなければ、根に接着している土を取り出し、希釈し、好適な選択的及び非選択的培地の寒天上に播種して、根圏細菌の個々のコロニーを単離することができる。
【0200】
特許手続きのための微生物寄託の国際承認に関するブダペスト条約(BUDAPEST TREATY ON THE INTERNATIONAL RECOGNITION OF THE DEPOSIT OF MICROORGANISMS FOR THE PURPOSE OF PATENT PROCEDURES)
本開示の微生物寄託は、特許手続きのための微生物寄託の国際承認に関するブダペスト条約(ブダペスト条約)の条項に基づいてなされた。
【0201】
出願人は、米国特許規則第1.808条(a)(2)に準じて、「寄託された物質の公的な入手可能性に対して寄託者により課された全ての制限は、特許付与時に変更不能に取り除かれることになる」ことを申し立てる。この陳述は、この項の段落(b)(すなわち、米国特許規則第1.808条(b))に従うものとする。
【0202】
Enterobacter sacchariは、現在はKosakonia sacchariとして再分類されており、この生物の名称は、本稿全体にわたって互換的に使用される場合がある。
【0203】
本開示の多くの微生物は、2つの野生型菌株に由来する。菌株CI006は、以前はEnterobacter属(前述のKosakoniaへの再分類を参照されたい)に分類されていた細菌種である。菌株CI019は、Rahnella属に分類されている細菌種である。CI006 Kosakonia野生型(WT)及びCI019 Rahnella WTの寄託情報は、下記の表1に見出される。
【0204】
本出願に記載される一部の微小生物は、2017年1月6日または2017年8月11日に、60 Bigelow Drive、East Boothbay、Maine 04544、USAに位置する、Bigelow National Center for Marine Algae and Microbiota(NCMA)に寄託された。前述のように、寄託は全て、特許手続きのための微生物寄託の国際承認に関するブダペスト条約の条項に基づいてなされた。前述のブダペスト条約寄託に関する、Bigelow National Center for Marine Algae and Microbiota受託番号及び寄託日は、表1に提供される。
【0205】
Kosakonia sacchari(WT)、Rahnella aquatilis(WT)、及び変種/リモデリングされたKosakonia sacchari菌株の生物学的に純粋な培養物は、2017年1月6日に、60 Bigelow Drive、East Boothbay、Maine 04544、USAに位置する、Bigelow National Center for Marine Algae and Microbiota(NCMA)に寄託され、それぞれNCMA特許寄託表示番号第201701001号、第201701003号、及び第201701002号が割り当てられた。該当する寄託情報は、下記の表1に見出される。
【0206】
変種/リモデリングされたKosakonia sacchari菌株の生物学的に純粋な培養物は、2017年8月11日に、60 Bigelow Drive、East Boothbay、Maine04544、USAに位置する、Bigelow National Center for Marine Algae and Microbiota(NCMA)に寄託され、それぞれNCMA特許寄託表示番号第201708004号、第201708003号、及び第201708002号が割り当てられた。該当する寄託情報は、下記の表1に見出される。
【0207】
Klebsiella variicola(WT)の生物学的に純粋な培養物は、2017年8月11日に、60 Bigelow Drive、East Boothbay、Maine04544、USAに位置する、Bigelow National Center for Marine Algae and Microbiota(NCMA)に寄託され、NCMA特許寄託表示番号第201708001号が割り当てられた。変種/リモデリングされた2つのKlebsiella variicola菌株の生物学的に純粋な培養物は、2017年12月20日に、60 Bigelow Drive、East Boothbay、Maine04544、USAに位置する、Bigelow National Center for Marine Algae and Microbiota(NCMA)に寄託され、それぞれNCMA特許寄託表示番号第201712001号及び第201712002号が割り当てられた。該当する寄託情報は、下記の表1に見出される。
【表1】
【0208】
単離された生物学的に純粋な微小生物
本開示は、ある特定の実施形態では、とりわけ農業に用途を有する、単離された生物学的に純粋な微小生物を提供する。開示される微小生物は、単離された生物学的に純粋な状態で利用することができると同時に、組成物に製剤化することができる(例示的な組成物の説明については、下記の節を参照されたい)。さらに、本開示は、開示される単離された生物学的に純粋な微小生物の少なくとも2つの成員を含む微生物組成物、ならびに該微生物組成物を利用する方法を提供する。さらに、本開示は、開示される単離された生物学的に純粋な微生物の利用を介して植物中の窒素固定を調節する方法を提供する。
【0209】
一部の態様では、本開示の単離された生物学的に純粋な微小生物は、表1からのものである。他の態様では、本開示の単離された生物学的に純粋な微小生物は、表1の微小生物に由来する。例えば、表1からの微小生物の菌株、子孫、突然変異体、または派生物が、本明細書に提供される。本開示では、表1に列挙される微生物のあらゆる考えられる組み合わせが企図され、該組み合わせが微生物コンソーシアを形成することがある。表1からの微生物は、個々にまたは任意の組み合わせのいずれかで、本開示で言及される任意の植物、活性分子(合成、有機等)、アジュバント、担体、補助剤、または生物学的製剤(biological)と組み合わせることができる。
【0210】
一部の態様では、本開示は、表2~8に群分けされる種を含む微生物組成物を提供する。一部の態様では、種々の微生物種を含むこれらの組成物は、微生物コンソーシアまたはコンソーシアムと呼ばれる。
【0211】
表2~8に関して、A~Iの文字は、下記のように定義される、本開示の微小生物の非限定的な選択を表す。
【0212】
A=表1で特定される受託番号201701001を有する微生物。
【0213】
B=表1で特定される受託番号201701003を有する微生物。
【0214】
C=表1で特定される受託番号201701002を有する微生物。
【0215】
D=表1で特定される受託番号201708004を有する微生物。
【0216】
E=表1で特定される受託番号201708003を有する微生物。
【0217】
F=表1で特定される受託番号201708002を有する微生物。
【0218】
G=表1で特定される受託番号201708001を有する微生物。
【0219】
H=表1で特定される受託番号201712001を有する微生物。
【0220】
I=表1で特定される受託番号201712002を有する微生物。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0221】
一部の実施形態では、微生物組成物は、表2~8からの任意の成員から選択されてもよい。
【0222】
一部の実施形態では、本開示の任意の微生物は、アンモニウムを構成的または非構成的に排泄するように修飾または最適化されてもよい。一部の実施形態では、本開示の任意の微生物の修飾は、トランスジェニック修飾である。一部の実施形態では、微生物は、すでにトランスジェニック生物であり、菌株は、それらがトランスジェニック要素をもはや含有しないように修飾される。一部の実施形態では、本開示の任意の微生物の修飾は、非トランスジェニック修飾である。一部の実施形態では、任意の2つ以上のPGPRが、微生物コンソーシア中で組み合わされる。一部の実施形態では、本開示の任意の2つ以上の微生物、またはそれに由来するものが、微生物コンソーシア中で組み合わされる。一部の実施形態では、微生物コンソーシアは、本開示の任意の1つもしくは複数の植物及び/または周囲の土壌もしくは増殖培地に施用される。一部の実施形態では、任意のPGPRは、本開示の植物のうちの任意の1つもしくは複数及び/または周囲の土壌もしくは増殖培地に施用される。
【0223】
一部の実施形態では、本開示の微生物は、植物でコロニー形成する能力を強化または増加させるように修飾または最適化される。一部の実施形態では、植物でコロニー形成する能力の強化または増加は、根の表面でコロニー形成する能力の強化または増加である。
【0224】
農業組成物
本明細書に記載の方法により生産される及び/または本明細書に記載されるような特性を有する細菌または細菌集団を含む組成物は、液体、泡沫、または乾燥製品の形態であり得る。また、本明細書に記載の方法により生産される及び/または本明細書に記載されるような特性を有する細菌または細菌集団を含む組成物を使用して、植物形質を改善してもよい。一部の例では、細菌集団を含む組成物は、乾燥粉末、粉末及び水のスラリー、または流動性種子処理剤の形態であってもよい。細菌集団を含む組成物は、種子の表面にコーティングされてもよく、液体形態であってもよい。
【0225】
組成物は、連続撹拌槽反応器、回分反応器等のバイオリアクタ中で、及び農場で製造することができる。一部の例では、組成物は、ジャグ等の容器中でまたはミニバルクで保管することができる。一部の例では、組成物は、ボトル、ジャー、アンプル、パッケージ、入れ物、袋、箱、ビン、封筒、紙箱、容器、サイロ、発送容器、トラック荷台、及び/またはケースからなる群から選択される物体内で保管されてもよい。
【0226】
また、組成物を使用して、植物形質を改善してもよい。一部の例では、1つまたは複数の組成物が、種子にコーティングされてもよい。一部の例では、1つまたは複数の組成物が、実生にコーティングされてもよい。一部の例では、1つまたは複数の組成物が、種子の表面にコーティングされてもよい。一部の例では、1つまたは複数の組成物が、種子の表面の上の層としてコーティングされてもよい。一部の例では、種子にコーティングされる組成物は、液体形態、乾燥製品形態、泡沫形態、粉末及び水のスラリー形態、または流動性種子処理剤であってもよい。一部の例では、1つまたは複数の組成物を種子及び/または実生に、噴霧、浸漬、コーティング、封入、及び/または散布することによって、1つまたは複数の組成物を種子及び/または実生に施用してもよい。一部の例では、複数の細菌または細菌集団が、植物の種子及び/または実生にコーティングされ得る。一部の例では、細菌の組み合わせのうちの少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、または10種よりも多くの細菌は、以下の属、すなわち、Acidovorax、Agrobacterium、Bacillus、Burkholderia、Chryseobacterium、Curtobacterium、Enterobacter、Escherichia、Methylobacterium、Paenibacillus、Pantoea、Pseudomonas、Ralstonia、Saccharibacillus、Sphingomonas、及びStenotrophomonasのうちの1つから選択され得る。
【0227】
一部の例では、内部寄生菌の組み合わせのうちの少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、または10種よりも多くの細菌及び細菌集団は、以下の科、すなわち、Bacillaceae、Burkholderiaceae、Comamonadaceae、Enterobacteriaceae、Flavobacteriaceae、Methylobacteriaceae、Microbacteriaceae、Paenibacillileae、Pseudomonnaceae、Rhizobiaceae、Sphingomonadaceae、Xanthomonadaceae、Cladosporiaceae、Gnomoniaceae、Incertae sedis、Lasiosphaeriaceae、Netriaceae、及びPleosporaceaeのうちの1つから選択される。
【0228】
一部の例では、内部寄生菌の組み合わせのうちの少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、または10種よりも多くの細菌及び細菌集団は、以下の科、すなわち、Bacillaceae、Burkholderiaceae、Comamonadaceae、Enterobacteriaceae、Flavobacteriaceae、Methylobacteriaceae、Microbacteriaceae、Paenibacillileae、Pseudomonnaceae、Rhizobiaceae、Sphingomonadaceae、Xanthomonadaceae、Cladosporiaceae、Gnomoniaceae、Incertae sedis、Lasiosphaeriaceae、Netriaceae、Pleosporaceaeのうちの1つから選択される。
【0229】
組成物の例としては、商業的に重要な農業作物、例えば、モロコシ、キャノーラ、トマト、イチゴ、オオムギ、イネ、メイズ、及びコムギのための種子コーティングが挙げられ得る。組成物の例としてはまた、トウモロコシ、ダイズ、キャノーラ、モロコシ、ジャガイモ、イネ、野菜、穀類、及び脂肪種子のための種子コーティングを挙げることもできる。本明細書に提供されるような種子は、遺伝子組換え生物(GMO)、非GMO、有機、または従来のものであってもよい。一部の例では、組成物は、植物の気中部分に噴霧されてもよいし、または、植物種子が植栽される畦間に挿入すること、土壌に散水すること、もしくは根を組成物の懸濁液に浸漬することによって根に施用されてもよい。一部の例では、組成物は、細胞生存率/安定性、ならびに宿主植物での人為的接種及びコロニー形成の能力を維持する好適な様態で脱水されてもよい。細菌種は、108~1010CFU/mlの濃度で組成物中に存在してもよい。一部の例では、組成物は、モリブデンイオン、鉄イオン、マンガンイオン、またはこれらイオンの組み合わせ等の微量金属イオンを補充されてもよい。本明細書に記載されるような組成物の例におけるイオン濃度は、約0.1mM~約50mMであってもよい。また、組成物の一部の例は、ベータ-グルカン、カルボキシルメチルセルロース(CMC)、細菌性細胞外ポリマー物質(EPS)、糖、畜乳、または他の好適な担体等の担体と共に製剤化されてもよい。一部の例では、泥炭もしくは植栽用材料を担体として使用することができ、または組成物がバイオポリマーに捕捉されているバイオポリマーを担体として使用することができる。本明細書に記載の細菌集団を含む組成物は、植物成長の促進、葉中の高葉緑素含量の維持、果実数または種子数の増加、及び果実単位重量または種子単位重量の増加等、植物形質を改善することができる。
【0230】
本明細書に記載の細菌集団を含む組成物は、種子の表面にコーティングされてもよい。したがって、本明細書に記載の1つまたは複数の細菌でコーティングされた種子を含む組成物もまた企図される。種子コーティング剤は、細菌集団を、多孔性の化学的に不活性な顆粒状担体と混合することによって形成することができる。代替として、組成物は、種子が植栽される畝間に直接挿入されてもよいし、または植物葉に噴霧されてもよいし、または根を組成物の懸濁液に浸漬することによって施用されてもよい。有効量の組成物を使用して、植物の根に隣接する土壌下領域に生存可能な細菌増殖を定着させてもよいし、または植物の葉に生存可能な細菌増殖を定着させてもよい。一般に、有効量は、改善された形質(例えば、所望のレベルの窒素固定)を有する植物をもたらすのに十分な量である。
【0231】
本明細書に記載の細菌組成物は、農業的に許容される担体を使用して製剤化することができる。これらの実施形態に有用な製剤は、粘着付与剤、微生物安定剤、殺真菌剤、抗細菌剤、保存剤、安定剤、界面活性剤、抗錯体剤(anti-complex agent)、除草剤、殺線虫剤、殺虫剤、植物成長調節剤、肥料、殺鼠剤、乾燥剤、殺菌剤、栄養素、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの成員を含んでもよい。一部の例では、組成物は、常温保存可能であってもよい。例えば、本明細書に記載の組成物のうちのいずれも、農業的に許容される担体(例えば、天然に存在しない肥料等の肥料、天然に存在しない接着剤等の接着剤、及び天然に存在しない農薬等の農薬のうちの1つまたは複数)を含むことができる。天然に存在しない接着剤は、例えば、ポリマー、コポリマー、または合成ろうであり得る。例えば、本明細書に記載のコーティングされた種子、実生、または植物のうちのいずれも、種子コーティングにそのような農業的に許容される担体を含有することができる。本明細書に記載の組成物または方法のうちのいずれにおいても、農業的に許容される担体は、天然に存在しない化合物(例えば、天然に存在しない肥料、ポリマー、コポリマー、もしくは合成ろう等の天然に存在しない接着剤、または天然に存在しない農薬)であり得るか、またはそれを含み得る。農業的に許容される担体の非限定的な例は、下記に記載される。農業的に許容される担体の追加の例は、当該技術分野で既知である。
【0232】
一部の場合では、細菌は、農業的に許容される担体と混合される。担体は、固体担体または液体担体であり得、ミクロスフェア、粉末、エマルション等を含めた種々の形態であり得る。担体は、増加した安定性、湿潤性、または分散性等の様々な特性を付与するいくつかの担体のうちのいずれか1つまたは複数であってもよい。非イオン性もしくはイオン性界面活性剤であってもよく、またはそれらの組み合わせであり得る、天然または合成界面活性剤等の湿潤剤が、組成物中に含まれ得る。また、油中水型エマルションを使用して、単離された細菌を含む組成物を製剤化することができる(例えば、米国特許第7,485,451号を参照されたい)。調製され得る好適な製剤には、水和性粉末、顆粒、ゲル、寒天片またはペレット、増粘剤等、マイクロカプセル化粒子等、流動性水溶液、水性懸濁液、油中水型エマルション等の液体等が含まれ得る。製剤は、穀物もしくはマメ科植物製品、例えば、地上穀物もしくは豆、穀物もしくは豆に由来するブロスまたは粉末、デンプン、糖、または油を含んでもよい。
【0233】
一部の実施形態では、農業担体は、土壌または植物増殖培地であってもよい。使用され得る他の農業担体には、水、肥料、植物系の油、保湿剤、またはそれらの組み合わせが含まれる。代替として、農業担体は、顆粒、ペレット、または懸濁液を含めた、ケイソウ土、ローム、シリカ、アルギネート、粘土、ベントナイト、バーミキュライト、種嚢、他の植物及び動物製品、または組み合わせ等の固体であってもよい。限定されないが、ローム、砂、または粘土等の中のペスタ(pesta)(粉類及びカオリン粘土)、寒天または粉類に基づくペレット等の、前述の成分のうちのいずれかの混合物もまた、担体として企図される。製剤は、オオムギ、イネ、または種子等の他の生物学的材料、植物部位、サトウキビバガス、穀物処理に由来する殻または柄、建築現場廃物に由来する地上植物材料または木材、紙、繊維、または木材の再利用に由来するおがくずまたは繊維片等の、細菌の食料源を含んでもよい。
【0234】
例えば、肥料を使用して、成長促進の一助とするか、または種子、実生、もしくは植物に栄養素を供給してもよい。肥料の非限定的な例としては、窒素、亜リン酸、カリウム、カルシウム、硫黄、マグネシウム、ホウ素、塩化物、マンガン、鉄、亜鉛、銅、モリブデン、及びセレン(またはそれらの塩)が挙げられる。肥料の追加の例としては、1つまたは複数のアミノ酸、塩、炭水化物、ビタミン、グルコース、NaCl、酵母抽出物、NH4H2PO4、(NH4)2SO4、グリセロール、バリン、L-ロイシン、乳酸、プロピオン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸水素カリウム、キシロース、リキソース、及びレシチンが挙げられる。一実施形態では、製剤は、他の活性薬剤を物質(例えば、種子の表面)に結合させる一助とするために、粘着付与剤または接着性剤(接着剤と呼ばれる)を含むことができる。そのような薬剤は、他の化合物(例えば、生物製剤ではない防除剤)を含有し得る担体を細菌と組み合わせて、コーティング組成物を産出するために有用である。そのような組成物は、植物または種子の周囲にコーティングを作出して、微生物及び他の薬剤と植物または植物部位との間の接触を維持する一助となる。一実施形態では、接着剤は、アルギネート、ゴム、デンプン、レシチン、ホルモノネチン、ポリビニルアルコール、アルカリホルモノネチネート、ヘスペリチン、ポリ酢酸ビニル、ケファリン、アラビアゴム、キサンタンガム、鉱油、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、アラビノ-ガラクタン、メチルセルロース、PEG400、キトサン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、グリセロール、トリエチレングリコール、酢酸ビニル、ジェランガム、ポリスチレン、ポリビニル、カルボキシメチルセルロース、ガッチゴム、及びポリオキシエチレン-ポリオキシブチレンブロックコポリマーからなる群から選択される。
【0235】
一部の実施形態では、接着剤は、例えば、カルナウバろう、みつろう、中国ろう、セラックろう、鯨ろう、カンデリラろう、キャスターろう、オーリクリーろう、及び米ぬかろう等のろう、多糖(例えば、デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、アルギネート、及びキトサン)、脂肪、油、タンパク質(例えば、ゼラチン及びゼイン)、アラビアガム、ならびにシェラックであり得る。接着剤は、天然に存在しない化合物、例えば、ポリマー、コポリマー、及びろうであり得る。例えば、接着剤として使用され得るポリマーの非限定的な例としては、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、セルロース(例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデンコポリマー、リグノスルホン酸カルシウム、アクリルコポリマー、ポリビニルアクリレート、ポリエチレンオキシド、アシルアミドポリマー及びコポリマー、ポリヒドロキシエチルアクリレート、メチルアクリルアミドモノマー、ならびにポリクロロプレンが挙げられる。
【0236】
一部の例では、付着剤、抗真菌剤、成長調節剤、及び農薬(例えば、殺虫剤)のうちの1つまたは複数は、(例えば、任意の組み合わせでの)天然に存在しない化合物である。農業的に許容される担体の追加の例としては、分散剤(例えば、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルPVPIVA S-630)、界面活性剤、結合剤、及び充填剤が挙げられる。
【0237】
製剤はまた、界面活性剤も含有し得る。界面活性剤の非限定的な例としては、Prefer28(Cenex)、Surf-N(US)、Inhance(Brandt)、P-28(Wilfarm)、及びPatrol(Helena)等の窒素界面活性剤配合物が挙げられる。エステル化種子油としては、Sun-It II(AmCy)、MSO(UAP)、Scoil(Agsco)、Hasten(Wilfarm)、及びMes-100(Drexel)が挙げられる。有機シリコーン界面活性剤としては、Silwet L77(UAP)、Silikin(Terra)、Dyne-Amic(Helena)、Kinetic(Helena)、Sylgard309(Wilbur-Ellis)、及びCentury(Precision)が挙げられる。一実施形態では、界面活性剤は、0.01%(v/v)~10%(v/v)の濃度で存在する。別の実施形態では、界面活性剤は、0.1%(v/v)~1%(v/v)の濃度で存在する。
【0238】
ある特定の場合では、製剤は、微生物安定剤を含む。そのような薬剤には、乾燥剤として分類することができる任意の化合物または化合物の混合物を含み得る乾燥剤が含まれ得、化合物(単数または複数)が、液体接種剤に対して実際に乾燥効果を有するような濃度で使用されるか否かを問わない。そのような乾燥剤は、理想的には、使用される細菌集団と適合性であり、微生物集団が種子に施用されても生存し、乾燥化しても生存する能力を促進するべきである。好適な乾燥剤の例としては、トレハロース、スクロース、グリセロール、及びメチレングリコールのうちの1つまたは複数が挙げられる。他の好適な乾燥剤には、非還元糖及び糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール)が含まれるが、これらに限定されない。製剤に導入される乾燥剤の量は、重量/容量に基づき約5%~約50%、例えば、約10%~約40%、約15%~約35%、または約20%~約30%の範囲であり得る。一部の場合では、製剤は、殺真菌剤、抗細菌剤、除草剤、殺線虫剤、殺虫剤、植物成長調節剤、殺鼠剤、殺菌剤、または栄養素等の薬剤を含有することが有利である。一部の例では、薬剤は、種子表面伝染性病原体からの保護を提供する保護剤を含んでもよい。一部の例では、保護剤は、いくらかのレベルの土壌伝染性病原体の防除を提供してもよい。一部の例では、保護剤は、主として種子表面上で有効であり得る。
【0239】
一部の例では、殺真菌剤は、化学的かまたは生物学的かに関わらず、真菌の増殖を阻害するかまたは真菌を死滅させることができる化合物または薬剤を含んでもよい。一部の例では、殺真菌剤は、静真菌性または殺真菌性であり得る化合物を含んでもよい。一部の例では、殺真菌剤は、保護剤であり得るか、または主として種子表面上で有効であり、種子表面伝染性病原体に対する保護を提供し、いくらかのレベルの土壌伝染性病原体の防除を提供する薬剤であり得る。保護剤殺真菌剤の非限定的な例としては、カプタン、マネブ、チラム、またはフルジオキソニルが挙げられる。
【0240】
一部の例では、殺真菌剤は、出芽中の実生に吸収され、宿主植物組織の内部の真菌を阻害するかまたは死滅させることができる浸透移行性殺真菌剤であり得る。種子処理に使用される浸透移行性殺真菌剤には、アゾキシストロビン、カルボキシン、メフェノキサム、メタラキシル、チアベンダゾール、トリフロキシストロビン、ならびにジフェノコナゾール、イプコナゾール、テブコナゾール、及びトリチコナゾールを含めた種々のトリアゾール殺真菌剤が含まれるが、これらに限定されない。メフェノキサム及びメタラキシルは、主として、水生カビ真菌Pythium及びPhytophthoraを標的とするために使用される。病原性真菌種の感受性に微妙な差異があること、または植物の殺真菌剤分布もしくは感受性に差異があることのいずれかのため、植物種に応じて、一部の殺真菌剤が、他の殺真菌剤よりも好ましい。一部の例では、殺真菌剤は、細菌または真菌等の生物学的防除剤であり得る。そのような生物は、病原性真菌に寄生性であってもよいし、または真菌を死滅させるかもしくはそうでなければ真菌の増殖を防止することができる毒素もしくは他の物質を分泌してもよい。任意のタイプの殺真菌剤、特に植物に対して一般的に使用されるものが、種子組成物中の防除剤として使用され得る。
【0241】
一部の例では、種子コーティング組成物は、抗細菌特性を有する防除剤を含む。一実施形態では、抗細菌特性を有する防除剤は、本明細書の他の箇所に記載される化合物から選択される。別の実施形態では、この化合物は、ストレプトマイシン、オキシテトラサイクリン、オキソリン酸、またはゲンタマイシンである。種子コーティング組成物の一部として使用され得る抗細菌化合物の他の例としては、ジクロロフェン及びベンジルアルコールヘミホルマールに基づくもの(ICIからのProxel(登録商標)またはThor ChemieからのActicide(登録商標)RS、及びRohm&HaasからのKathon(登録商標)MK25)、ならびにアルキルイソチアゾリノン及びベンゾイソチアゾリノン等のイソチアゾリノン誘導体に基づくもの(Thor ChemieからのActicide(登録商標)MBS)が挙げられる。
【0242】
一部の例では、成長調節剤は、アブシジン酸、アミドクロル、アンシミドール、6-ベンジルアミノプリン、ブラシノリド、ブトラリン、クロルメコート(塩化クロルメコート)、塩化コリン、シクラニリド、ダミノジット、ジケグラック、ジメチピン、2,6-ジメチルプリジン、エテホン、フルメトラリン、フルルプリミドール、フルチアセト、ホルクロルフェヌロン、ジベレリン酸、イナベンフィド、インドール-3-酢酸、マレイン酸ヒドラジド、メフルイジド、メピクアト(塩化メピクアト)、ナフタレン酢酸、N-6-ベンジルアデニン、パクロブトラゾール、プロヘキサジオンホスホロトリチオエート、2,3,5-トリ-ヨード安息香酸、トリネキサパックエチル(trinexapac-ethyl)、及びウニコナゾールからなる群から選択される。成長調節剤の追加の非限定的な例としては、ブラシノステロイド、サイトカイニン(例えば、キネチン及びゼアチン)、オーキシン(例えば、インドリル酢酸及びアスパラギン酸インドリルアセチル)、フラボノイド及びイソフラボノイド(isoflavanoid)(例えば、ホルモノネチン及びジオスメチン)、フィトアレキシン(phytoaixin)(例えば、グリセオリン)、及びフィトアレキシン誘導性オリゴ糖(例えば、ペクチン、キチン、キトサン、ポリガラクツロン酸(polygalacuronic acid)、及びオリゴガラクツロン酸)、ならびにジベレリン(gibellerin)が挙げられる。そのような薬剤は、理想的には、製剤が施用される農業種子または実生と適合性である(例えば、それは植物の成長または健康に有害であるべきではない)。さらに、薬剤は、理想的には、ヒト、動物、または工業使用に関して安全性の懸念を引き起こさないものである(例えば、安全性の問題がないか、または化合物は、植物に由来する商品植物製品が含有する化合物の量がごくわずかであるように十分に不安定である)。
【0243】
線虫アンタゴニスト生物防除剤の一部の例としては、ARF18、30 Arthrobotrys菌種、Chaetomium菌種、Cylindrocarpon菌種、Exophilia菌種、Fusarium菌種、Gliocladium菌種、Hirsutella菌種、Lecanicillium菌種、Monacrosporium菌種、Myrothecium菌種、Neocosmospora菌種、Paecilomyces菌種、Pochonia菌種、Stagonospora菌種、VA菌根菌、Burkholderia菌種、Pasteuria菌種、Brevibacillus菌種、Pseudomonas菌種、及び根圏細菌が挙げられる。特に好ましい線虫アンタゴニスト生物防除剤としては、Arthrobotrys oligospora、Arthrobotrys dactyloides、Chaetomium globosum、Cylindrocarpon heteronema、Exophilia jeanselmei、Exophilia pisciphila、Fusarium aspergilus、Fusarium solani、Gliocladium catenulatum、Gliocladium roseum、Gliocladium vixens、Hirsutella rhossiliensis、Hirsutella minnesotensis、Lecanicillium lecanii、Monacrosporium drechsleri、Monacrosporium gephyropagum、Myrotehcium verrucaria、Neocosmospora vasinfecta、Paecilomyces lilacinus、Pochonia chlamydosporia、Stagonospora heteroderae、Stagonospora phaseoli、VA菌根菌、Burkholderia cepacia、Pasteuria penetrans、Pasteuria thornei、Pasteuria nishizawae、Pasteuria ramosa、Pastrueia usage、Brevibacillus laterosporus菌株G4、Pseudomonas fluorescens、及び根圏細菌が挙げられる。
【0244】
栄養素の一部の例は、尿素、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、無加圧窒素溶液、アンモニア水、無水アンモニア、チオ硫酸アンモニウム、硫黄被覆尿素、尿素-ホルムアルデヒド、IBDU、ポリマー被覆尿素、硝酸カルシウム、尿素ホルム、及びメチレン尿素を含むがこれらに限定されない窒素肥料、リン酸二アンモニウム、リン酸一アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、濃縮過リン酸石灰、及び重過リン酸石灰等の亜リン酸肥料、ならびに塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸カリウムマグネシウム、硝酸カリウム等のカリウム肥料からなる群から選択され得る。そのような組成物は、種子コーティング組成物内の遊離塩またはイオンとして存在することができる。代替として、栄養素/肥料は、経時的な持続放出を提供するように錯化またはキレート化され得る。
【0245】
殺鼠剤の一部の例としては、2-イソバレリルインダン-1,3-ジオン、4-(キノキサリン-2-イルアミノ)ベンゼンスルホンアミド、アルファ-クロロヒドリン、リン化アルミニウム、アンツー(antu)、三酸化ヒ素(arsenous oxide)、炭酸バリウム、ビスチオセミ、ブロディファコウム、ブロマジオロン、ブロメタリン、シアン化カルシウム、クロラロース、クロロファシノン、コレカルシフェロール、クマクロル、クマフリル、クマテトラリル、クリミジン、ジフェナコウム、ジフェチアロン、ジファシノン、エルゴカルシフェロール、フロクマフェン、フルオロアセトアミド、フルプロパジン、フルプロパジン塩酸塩、シアン化水素、ヨードメタン、リンデン、リン化マグネシウム、臭化メチル、ノルボルミド、ホサセチン、ホスフィン、リン、ピンドン、亜ヒ酸カリウム、ピリヌロン、シリロシド、亜ヒ酸ナトリウム、シアン化ナトリウム、フルオロ酢酸ナトリウム、ストリキニーネ、硫酸タリウム、ワルファリン、及びリン化亜鉛からなる物質の群から選択されるものが挙げられ得る。
【0246】
液体形態、例えば、溶液または懸濁液では、細菌集団は、水中または水溶液中に混合または懸濁され得る。好適な液体希釈剤または担体には、水、水溶液、石油蒸留物、または他の液体担体が含まれる。
【0247】
固体組成物は、泥炭、コムギ、ふすま、バーミキュライト、粘土、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、フラー土、及び低温滅菌土等の適切に分割された固体担体内または固体担体上に細菌集団を分散させることによって調製することができる。そのような製剤が水和性粉末として使用される場合、非イオン性、陰イオン性、両性、または陽イオン性の分散剤及び乳化剤等の、生物学的に適合性の分散剤を使用することができる。
【0248】
製剤時に使用される固体担体には、例えば、カオリン粘土、パイロフィライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ケイソウ土、酸性白土、バーミキュライト、及びパーライト等の鉱物担体、ならびに硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、塩化アンモニウム、及び炭酸カルシウム等の無機塩が含まれる。また、小麦粉、小麦ふすま、及び米ぬか等の有機微粉末を使用してもよい。液体担体には、ダイズ油及び綿実油等の植物油、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が含まれる。
【0249】
有害生物
本明細書で教示される任意の微生物を含み得る、本開示の農業組成物は、1つまたは複数の農薬と組み合わされることがある。
【0250】
本開示の微生物と組み合わされる農薬は、下記で言及される有害生物のうちのいずれか標的とし得る。
【0251】
「有害生物」には、昆虫、真菌、細菌、線虫、ダニ、マダニ等が含まれるが、これらに限定されない。昆虫有害生物には、鞘翅目、双翅目、膜翅目、鱗翅目、ハジラミ目、同翅目、半翅目 直翅目、総翅目、革翅目、等翅目、シラミ目、ノミ目、トビケラ目等、特に鱗翅目及び鞘翅目から選択される昆虫が含まれる。
【0252】
当業者であれば、全ての化合物が全ての有害生物に対して等しく有効であるとは限らないことを認識しよう。本開示の微生物と組み合わされ得る化合物は、昆虫有害生物に対して活性を示してもよく、これには、経済的に重要な農学的観賞植物、森林観賞植物、温室観賞植物、ナーセリー観賞植物、食料及び繊維、公衆衛生及び動物衛生、家庭用構造物及び商用構造物、家庭内有害生物及び保管製品の有害生物が含まれ得る。
【0253】
前述のように、本開示の農業組成物(本明細書で教示される任意の微生物を含み得る)は、複数の実施形態では、1つまたは複数の農薬と組み合わされる。これらの農薬は、以下の有害生物のいずれかに対して活性であり得る。
【0254】
鱗翅目の幼虫には、ヤガ科Spodoptera frugiperda(J.E.Smith)(ツマジロクサヨトウ(fall armyworm));S.exigua Hubner(ビートアワヨトウ(beet armyworm));S.litura(Fabricius)(ハスモンヨトウ(tobacco cutworm)、ハスモンヨトウ(cluster caterpillar));Mamestra configurata(Walker)(バーサアワヨトウ(bertha armyworm));M.brassicae(Linnaeus)(コナガ(cabbage moth));Agrotis ipsilon(Hufnagel)(タマナヤガ(black cutworm));A.orthogonia Morrison(セイヨウネキリムシ(western cutworm));A.subterranea(Fabricius)(グラニュレートネキリムシ(granulate cutworm));Alabama argillacea(Hubner)(コットンリーフワーム(cotton leaf worm));Trichoplusia ni(Hubner)(キャベツシャクトリムシ(cabbage looper));Pseudoplusia includens Walker(ダイズシャクトリムシ(soybean looper));Anticarsia gemmatalis(Hubner)(ベルベットビーンキャタピラー(velvetbean caterpillar));Hypena scabra(Fabricius)(グリーンクローバーワーム(green clover worm));Heliothis virescens(Fabricius)(オオタバコガ(tobacco budworm));Pseudaletia unipuncta Haworth(アワヨトウ(armyworm));Athetis mindara(Barnes及びMcdunnough)(ラフスキンドネキリムシ(rough skinned cutworm));Euxoa messoria(Harris)(ダークサイデッドネキリムシ(darksided cutworm));Earias insulana Boisduval(スパイニーボールワーム(spiny bollworm));E.vittella(Fabricius)(スポッテドボールワーム(spotted bollworm));Helicoverpa armigera(Hubner)(アメリカボールワーム(American bollworm));H.zea(Boddie)(アメリカタバコガ(corn earworm)またはオオタバコガ(cotton bollworm));Melanchra picta(Harris)(ゼブラキャタピラ(zebra caterpillar));Egira(Xylomyges)curialis(Grote)(シトラスネキリムシ(citrus cutworm))のアワヨトウ(armyworm)、ネキリムシ(cutworm)、シャクトリムシ(looper)、及びタバコガ(heliothines);メイガ科Ostrinia nubilalis(Hubner)(ヨーロッパマツマダラメイガ(European corn borer));Amyelois transitella(Walker)(ネーブルオレンジワーム(naval orangeworm));Anagasta kuehniella(Zeller)(スジコナマダラメイガ(Mediterranean flour moth));Cadra cautella(Walker)(コナマダラメイガ(almond moth));Chilo suppressalis(Walker)(ニカメイガ(rice stem borer));C.partellus、(モロコシボーラー(sorghum borer));Corcyra cephalonica(Stainton)(ガイマイツヅリガ(rice moth));Crambus caliginosellus(Clemens)(コーンルートワーム(corn root webworm));C.teterrellus(Zincken)(シバツトガ(bluegrass webworm));Cnaphalocrocis medinalis(Guenee)(イネハマキムシ(rice leaf roller));Desmia funeralis Hubner(グレープリーフフォルダ(grape leaffolder));Diaphania hyalinata Linnaeus(メロンワーム(melon worm));D.nitidalis(Stoll)(ピックルワーム(pickleworm));Diatraea grandiosella(Dyar)(サウスウェスタンマツマダラメイガ(southwestern corn borer))、D.webwormsaccharalis(Fabricius)(サトウキビボーラー(surgarcane borer));Eoreuma loftini(Dyar)(メキシコニカメイガ(Mexican rice borer));Ephestia elutella(Hubner)(タバコ(カカオ)ガ(tobacco(cacao)moth));Galleria mellonella(Linnaeus)(オオハチミツガ(greater wax moth));Herpetogramma licarsisalis(Walker)(ソッドウェブワーム(sod webworm));Homoeosoma electellum(Hulst)(ヒマワリガ(sunflower moth));Elasmopalpus lignosellus(Zeller)(レッサーコーンストークボーラー(lesser cornstalk borer));Achroia grisella(Fabricius)(コハチノスツヅリガ(lesser wax moth));Loxostege sticticalis(Linnaeus)(ビートウェブワーム(beet webworm));Orthaga thyrisalis(Walker)(ティーツリーウェブモス(tea tree web moth));Maruca testulalis Geyer(マメノメイガ(bean pod borer));Plodia interpunctella(Hubner)(ノシメマダラメイガ(Indian meal moth));Scirpophaga incertulas(Walker)(イエローステムボーラー(yellow stem borer));Udea rubigalis(Guenee)(セロリリーフタイヤー(celery leaftier))のボーラー(borer)、ツツミノガ(case bearer)、ウェブワーム(webworm)、マツマダラメイガ(coneworm)、及びスケリトナイザ(skeletonizer);ならびにハマキガ科Acleris gloverana(Walsingham)(ウェスタンブラックヘッデッドバッドワーム(Western blackheaded budworm));A.variana(Fernald)(イースタンブラックヘデッドバッドワーム(Eastern blackheaded budworm));Archips argyrospila(Walker)(果樹ハマキムシ(fruit tree leaf roller);A.rosana(Linnaeus)(ヨーロッパハマキムシ);ならびに他のArchips種、Adoxophyes orana(Fischer von Rosslerstamm)(サマーフルーツトートリックスモス(summer fruit tortrix moth));Cochylis hospes(Walsingham)(バンデッドサンフラワーモス(banded sunflower moth));Cydia latiferreana(Walsingham)(フィルバートワーム(filbertworm));C.pomonella(Linnaeus)(シンクイガ(colding moth));Platynota flavedana(Clemens)(バリアゲイテッドリーフローラー);P.stultana(Walsingham)(雑食性ハマキムシ(omnivorous leafroller));Lobesia botrana(Denis及びSchiffermuller)(ヨーロピアングレープバインモス(European grape vine moth));Spilonota ocellana(Denis及びSchiffermuller)(アイスポテッドバッドモス(eyespotted bud moth));Endopiza viteana Clemens(グレープベリーモス(grape berry moth));Eupoecilia ambiguella(Hubner)(バインモス);Bonagota salubricola Meyrick(ブラジリアンアップルリーフローラー(Brazilian apple leafroller);Grapholita molesta Busck(ナシヒメシンクイ(oriental fruit moth));Suleima helianthana(Riley)(サンフラワーバッドモス(sunflower bud moth));Argyrotaenia種;Choristoneura種のハマキムシ、バッドワーム(budworm)、シードワーム(seed worm)、及びフルーツワーム(fruit worm)が含まれるが、これらに限定されない。
【0255】
鱗翅目の選択される他の農学的有害生物には、Alsophila pometaria(Harris)(フォールカンカーワーム(fall cankerworm));Anarsia lineatella(Zeller)(ピーチトゥイグボーラー(peach twig borer));Anisota senatoria(J.E.Smith)(オレンジストライプドオークワーム(orange striped oakworm));Antheraea pernyi Guerin-Meneville(チャイニーズオークタッサーモス(Chinese Oak Tussah Moth));Bombyx mori(Linnaeus)(カイコ);Bucculatrix thurberiella Busck(コットンリーフパーホレータ(cotton leaf perforator));Colias eurytheme Boisduval(アルファルファキャタピラー(alfalfa caterpillar));Datana integerrima Grote&Robinson(ウォールナッツキャタピラー(walnut caterpillar));Dendrolimus sibiricus Tschetwerikov(シベリアンシルクモス(Siberian silk moth))、Ennomos subsignaria(Hubner)(エルムスパンワーム(elm spanworm));Erannis tiliaria(Harris)(リンデンルーパー(linden looper));Euproctis chrysorrhoea(Linnaeus)(ブラウンテールモス(browntail moth));Harrisina americana Guerin-Meneville(グレープリーフスケルトナイザ(grapeleaf skeletonizer));Hemileuca oliviae Cockrell(レンジキャタピラー(range caterpillar));Hyphantria cunea Drury(アメリカシロヒトリ(fall web-worm));Keiferia lycopersicella(Walsingham)(トマトピンワーム(tomato pinworm));Lambdina fiscellaria fiscellaria(Hulst)(イースタンヘムロックルーパー(Eastern hemlock looper));L.fiscellaria lugubrosa(Hulst)(ウェスタンヘムロックルーパー(Western hemlock looper));Leucoma salicis(Linnaeus)(サテンモス(satin moth));Lymantria dispar(Linnaeus)(マイマイガ(gypsy moth));Manduca quinquemaculata Haworth(ファイブスポテッドホークモス(five spotted hawk moth)、トマトスズメガ(tomato hornworm));M.sexta Haworth(トマトスズメガ(tomato homworm)、タバコスズメガ(tobacco hornworm));Operophtera brumata(Linnaeus)(ウィンターモス(winter moth));Paleacrita vernata Peck(スプリングカンカーワーム(spring cankerworm));Papilio cresphontes Cramer(クレスフォンテスタスキアゲハオレンジドッグ(giant swallowtail orange dog));Phryganidia californica Packard(カリフォルニアオークワーム(California oakworm));Phyllocnistis citrella Stainton(ミカンハモグリガ(citrus leafminer));Phyllonorycter blancardella(Fabricius)(スポッテッドテンチフォームリーフマイナー(spotted tentiform leafminer));Pieris brassicae(Linnaeus)(オオモンシロチョウ);P.rapae(Linnaeus)(モンシロチョウ);P.napi(Linnaeus)(エゾスジグロシロチョウ);Platyptilia carduidactyla(Riley)(アーティチョークプルームモス(artichoke plume moth));Plutella xylostella(Linnaeus)(コナガ);Pectinophora gossypiella(Saunders)(ワタアカミムシガ);Pontia protodice(Boisduval及びLeconte)(サザンキャベッジワーム(Southern cabbage-worm));Sabulodes aegrotata(Guenee)(雑食性シャクトリムシ(onmivorous looper));Schizura concinna(J.E.Smith)(レッドハンプドキャタピラー(red humped caterpillar));Sitotroga cerealella(Olivier)(バクガ);Thaumetopoea pityocampa(Schiffermuller)(マツノギョウレツケムシ);Tineola bisselliella(Hummel)(ウェビングクロウズモス(webbing clothes moth));Tuta absoluta(Meyrick)(トマトリーフマイナー(tomato leafminer));Yponomeuta padella(Linnaeus)(エルミンモス(ermine moth));Heliothis subflexa(Guenee);Malacosoma種ならびにOrgyia種;Ostrinia nubilalis(ヨーロッパマツマダラメイガ);タネバエ;Agrotis ipsilon(タマナヤガ)が含まれるが、これらに限定されない。
【0256】
ヒゲナガゾウムシ、マメゾウムシ、及びゾウムシ科のゾウムシ(Anthonomus grandis(Boheman)(ワタミハナゾウムシ);Lissorhoptrus oryzophilus(Kuschel)(イネミズゾウムシ);Sitophilus granarius(Linnaeus)(グラナリアコクゾウムシ);S.oryzae(Linnaeus)(コクゾウムシ);Hypera punctata(Fabricius)(ツメクサタコゾウムシ(clover leaf weevil));Cylindrocopturus adspersus(LeConte)(サンフラワーステムウィービル(sunflower stem weevil));Smicronyx fulvus(LeConte)(レッドサンフラワーシードウィービル(red sunflower seed weevil));S.sordidus(LeConte)(グレーサンフラワーシードウィービル(gray sunflower seed weevil));Sphenophorus maidis Chittenden(メイズビルバグ(maize billbug))を含むがこれらに限定されない);ハムシ科のノミトビヨロイムシ、ウリハムシ(cucumber beetle)、ネクイムシ(rootworm)、ハムシ(leaf beetle)、イモハムシ(potato beetle)、及び潜葉性昆虫(leafminer)(Leptinotarsa decemlineata(Say)(コロラドハムシ(Colorado potato beetle));Diabrotica virgifera virgifera(LeConte)(ウェスタンコーンルートワーム(western corn rootworm));D.barberi(Smith及びLawrence)(ノーザンコーンルートワーム(northern corn rootworm));D.undecimpunctata howardi(Barber)(サザンコーンルートワーム(southern corn rootworm));Chaetocnema pulicaria(Melsheimer)(トウモロコシノミトビヨロイムシ(corn flea beetle));Phyllotreta cruciferae(Goeze)(アブラナ科植物ノミトビヨロイムシ(Crucifer flea beetle));Phyllotreta striolata(キスジノミトビヨロイムシ(stripped flea beetle));Colaspis brunnea(Fabricius)(グレープコラスピス(grape colaspis));Oulema melanopus(Linnaeus)(シリアルリーフビートル(cereal leaf beetle));Zygogramma exclamationis(Fabricius)(サンフラワービートル(sunflower beetle))を含むがこれらに限定されない);テントウムシ科の甲虫(Epilachna varivestis(Mulsant)(インゲンテントウ(Mexican bean beetle))を含むがこれらに限定されない);コガネムシ科のコガネムシ及び他の甲虫(Popillia japonica(Newman)(マメコガネ(Japanese beetle));Cyclocephala borealis(Arrow)(ノーザンマスクドチェーファー(northern masked chafer)、ホワイトグラブ(white grub));C.immaculata(Olivier)(サザンマスクドチェーファー(southern masked chafer)、ホワイトグラブ);Rhizotrogus majalis(Razoumowsky)(ヨーロピアンチェーファー(European chafer));Phyllophaga crinita(Burmeister)(ホワイトグラブ);Ligyrus gibbosus(De Geer)(キャロットビートル(carrot beetle))を含むがこれらに限定されない);カツオブシムシ科のカツオブシムシ;コメツキムシ科、Eleodes種、Melanotus種のハリガネムシ;Conoderus種;Limonius種;Agriotes種;Ctenicera種;Aeolus種;キクイムシ科のキクイムシ及びゴミムシダマシ科の甲虫;Cerotoma trifurcate(ビーンリーフビートル(bean leaf beetle));ならびにハリガネムシを含む、鞘翅目の幼虫及び成体。
【0257】
潜葉性昆虫Agromyza parvicornis(Loew)(コーンブロッチリーフマイナー(corn blotch leafminer));小虫(midge)(Contarinia sorghicola(Coquillett)(ソルガムミッジ(sorghum midge));Mayetiola destructor(Say)(コムギタマバエ(Hessian fly));Sitodiplosis mosellana(Gehin)(ウィートミッジ(wheat midge));Neolasioptera murtfeldtiana Felt、(サンフラワーシードミッジ(sunflower seed midge))を含むがこれらに限定されない);ショウジョウバエ(ミバエ科)、Oscinella frit(Linnaeus)(ショウジョウバエ);ウジ(Delia platura(Meigen)(シードコーンマゴット(seedcorn maggot));D.coarctata Fallen(ウィートバルブフライ(wheat bulb fly)及び他のDelia種、Meromyza americana(Fitch)(ムギキモグリバエ(wheat stem maggot));Musca domestica(Linnaeus)(イエバエ);Fannia canicularis(Linnaeus)、F.femoralis Stein(ヒメイエバエ);Stomoxys calcitrans(Linnaeus)(サシバエ)を含むがこれらに限定されない);フェイスフライ(face flies)、ノサシバエ、クロバエ、Chrysomya種;Phormia種、及び他のキンバエ有害生物、アブ(horse flies)Tabanus種;ウマバエ(bot flies)Gastrophilus種;Oestrus種;ウシバエ(cattle grubs)Hypoderma種;メクラアブ(deer flies)Chrysops種;Melophagus ovinus(Linnaeus)(ヒツジシラミバエ(keds))及び他のハエ亜目、蚊Aedes種;Anopheles種;Culex種;ブユProsimulium種;Simulium種;ヌカカ、スナバエ、サイアリッド(sciarid)、及び他のカ亜目を含む、双翅目の成体及び幼体。
【0258】
限定されないが、カサアブラムシ科のカサアブラムシ、メクラカメムシ科のカスミカメムシ、セミ科のセミ、ヒメヨコバイ科のヨコバイ、Empoasca種、ヒシウンカ科、アオバハゴロモ科、ビワハゴロモ上科、マルウンカ科、及びウンカ科のウンカ、ツノゼミ科のツノゼミ、キジラミ科のキジラミ、コナジラミ科のコナジラミ、アブラムシ科のアブラムシ、ネアブラムシ科のネアブラムシ、コナカイガラムシ科のコナカイガラムシ、フサカイガラムシ科(Asterolecanidae)、カタカイガラムシ科、コチニールカイガラムシ科、マルカイガラムシ科、フクロカイガラムシ科、ハカマカイガラムシ科、ホエニココシダエ(Phoenicococcidae)科、及びワタフキカイガラムシ科のカイガラムシ、グンバイムシ科のグンバイムシ、カメムシ科のカメムシ、ヒメコガネナガカメムシ、Blissus種;ならびに、ナガカメムシ科の他のナガカメムシ、アワフキムシ科のアワフキムシ、ヘリカメムシ科のヘリカメムシ、ならびにホシカメムシ科のツツガムシ及びコットンステイナー(cotton stainer)等の半翅目及び同翅亜目の成体及び若虫。
【0259】
同翅亜目の農学的に重要な成員には、Acyrthisiphon pisum(Harris)(エンドウヒゲナガアブラムシ);Aphis craccivora(Koch)(ササゲアブラムシ(cowpea aphid));A.fabae(Scopoli)(マメクロアブラムシ(black bean aphid));A.gossypii(Glover)(ワタアブラムシ、メロンアブラムシ(melon aphid));A.maidiradicis(Forbes)(コーンルートアフィド(corn root aphid));A.pomi(De Geer)(リンゴアブラムシ(apple aphid));A.spiraecola(Patch)(スピレアアフィド(spirea aphid));Aulacorthum solani(Kaltenbach)(ジャガイモヒゲナガアブラムシ(foxglove aphid));Chaetosiphon fragaefolii(Cockerell)(イチゴアブラムシ);Diuraphis noxia(Kurdjumov/Mordvilko)(ロシアコムギアブラムシ(Russian wheat aphid));Dysaphis plantaginea(Paaserini)(バラリンゴアブラムシ(rosy apple aphid));Eriosoma lanigerum(Hausmann)(リンゴワタムシ);Brevicoryne brassicae(Linnaeus)(キャベツアブラムシ);Hyalopterus pruni(Geoffroy)(モモコフキアブラムシ(mealy plum aphid));Lipaphis erysimi(Kaltenbach)(ニセダイコンアブラムシ);Metopolophium dirrhodum(Walker)(穀物アブラムシ(cereal aphid));Macrosiphum euphorbiae(Thomas)(ジャガイモヒゲナガアブラムシ(potato aphid));Myzus persicae(Sulzer)(モモアカアブラムシ(peach potato aphid)、モモアカアブラムシ(green peach aphid));Nasonovia ribisnigri(Mosley)(レタスアブラムシ);Pemphigus種(ルートアフィド(root aphid)及びガルアフィド(gall aphid));Rhopalosiphum maidis(Fitch)(トウモロコシアブラムシ(corn leaf aphid));R.padi(Linnaeus)(ムギクビレアブラムシ(bird cherry-oat aphid));Schizaphis graminum(Rondani)(ムギミドリアブラムシ);Sipha flava(Forbes)(イエローシュガーケーンアフィド(yellow sugarcane aphid));Sitobion avenae(Fabricius)(ムギヒゲナガアブラムシ(English grain aphid));Therioaphis maculata(Buckton)(マダラアルファルファアブラムシ(spotted alfalfa aphid));Toxoptera aurantii(Boyer de Fonscolombe)(コミカンアブラムシ(black citrus aphid)及びT.citricida(Kirkaldy)(ミカンクロアブラムシ(brown citrus aphid));Melanaphis sacchari(サトウキビアブラムシ(sugarcane aphid));Adelges種(カサアブラムシ);Phylloxera devastatrix(Pergande)(ペカンネアブラムシ(pecan phylloxera));Bemisia tabaci(Gennadius)(タバココナジラミ(tobacco whitefly)、ワタコナジラミ(sweetpotato whitefly));B.argentifolii(Bellows及びPerring)(シルバーリーフコナジラミ(silverleaf whitefly));Dialeurodes citri(Ashmead)(ミカンコナジラミ);Trialeurodes abutiloneus(バンデッドウィングドホワイトフライ(bandedwinged whitefly)及びT.vaporariorum(Westwood)(オンシツコナジラミ);Empoasca fabae(Harris)(ジャガイモヒゲヨコバイ(potato leafhopper));Laodelphax striatellus(Fallen)(ヒメトビウンカ);Macrolestes quadrilineatus(Forbes)(フタテンヨコバイ(aster leafhopper));Nephotettix cinticeps Uhler(ツマグロヨコバイ(green leafhopper));N.nigropictus Stal(クロスジツマグロヨコバイ(rice leafhopper));Nilaparvata lugens Stal(トビイロウンカ);Peregrinus maidis Ashmead(トウモロコシウンカ(corn planthopper));Sogatella furcifera(Horvath)(セジロウンカ);Sogatodes orizicola(Muir)(イネウンカ(rice delphacid));Typhlocyba pomaria(McAtee)(シロリンゴヨコバイ);Erythroneoura種(グレープヨコバイ(grape leafhoppers));Magicicada septendecim(Linnaeus)(周期ゼミ);Icerya purchasi(Maskell)(ワタフキカイガラムシ);Quadraspidiotus perniciosus(Comstock)(サンホセカイガラムシ(San Jose scale));Planococcus citri(Risso)(ミカンコナカイガラムシ(citrus mealybug));Pseudococcus種(他のコナカイガラムシ複合体));Cacopsylla pyricola(Foerster)(フタホシナシキジラミ);Trioza diospyri(Ashmead)(カキキジラミ(persimmon psylla)がさらに含まれるが、これらに限定されない。
【0260】
半翅目の種には、Acrosternum hilare(Say)(アオクサカメムシ(green stink bug));Anasa tristis(De Geer)(ヘリカメムシ);Blissus leucopterus leucopterus(Say)(ヒメコガネナガカメムシ);Corythuca gossypii(Fabricius)(コットンレースバグ(cotton lace bug));Cyrtopeltis modesta(Distant)(トマトバグ(tomato bug));Dysdercus suturellus(Herrich-Schaffer)(コットンステイナー(cotton stainer));Euschistus servus(Say)(茶色カメムシ(brown stink bug));E.variolarius(Palisot de Beauvais)(イッテンカメムシ(one spotted stink bug));Graptostethus種(ナガカメムシの複合体);Leptoglossus corculus(Say)(リーフフッテッドパインシードバグ(leaf footed pine seed bug));Lygus lineolaris(Palisot de Beauvais)(サビイロメクラガメ);L.Hesperus(Knight)(ウェスタンサビイロメクラガメ(Western tarnished plant bug));L.pratensis(Linnaeus)(コモンメドウバグ(common meadow bug));L.rugulipennis(Poppius)(ヨーロッパサビイロメクラガメ(European tarnished plant bug));Lygocoris pabulinus(Linnaeus)(コモングリーンカプシド(common green capsid));Nezara viridula(Linnaeus)(サザンアオクサカメムシ(southern green stink bug));Oebalus pugnax(Fabricius)(イネカメムシ);Oncopeltus fasciatus Dallas(ラージミルクウィードバグ(large milk-weed bug));Pseudatomoscelis seriatus(Reuter)(ワタノミハムシ)が含まれるが、これらに限定されない。
【0261】
Calocoris norvegicus(Gmelin)(ストロベリーバグ(strawberry bug));Orthops campestris(Linnaeus);Plesiocoris rugicollis(Fallen)(アップルカプシド(apple capsid));Cyrtopeltis modestus(Distant)(トマトバグ(tomato bug));Cyrtopeltis notatus(Distant)(サックフライ(suckfly));Spanagonicus albofasciatus(Reuter)(ホワイトマークトフリーホッパー(whitemarked fleahopper));Diaphnocoris chlorionis(Say)(ハニーロクストプラントバグ(honeylocust plant bug));Labopidicola allii(Knight)(オニオンプラントバグ(onion plant bug));Pseudatomoscelis seriatus(Reuter)(ワタノミハムシ);Adelphocoris rapidus(Say)(ラピッドプラントバグ(rapid plant bug));Poecilocapsus lineatus(Fabricius)(フォーラインドプラントバグ(four lined plant bug));Nysius ericae(Schilling)(偽ヒメコガネナガカメムシ);Nysius raphanus(Howard)(偽ヒメコガネナガカメムシ);Nezara viridula(Linnaeus)(サザンアオクサカメムシ(Southern green stink bug));Eurygaster種;Coreidae種;Pyrrhocoridae種;Tinidae種;Blostomatidae種;Reduviidae種及びCimicidae種等の半翅目。
【0262】
Aceria tosichella(Keifer)(フシダニ(wheat curl mite));Petrobia latens(Muller)(ホモノハダニ);ハダニ科のハダニ及びミカンハダニ(red mite)、Panonychus ulmi(Koch)(リンゴハダニ(European red mite));Tetranychus urticae(Koch)(ナミハダニ);(T.mcdanieli(McGregor)(マクダニエルダニ(McDaniel mite));T.cinnabarinus(Boisduval)(ニセナミハダニ(carmine spider mite));T.turkestani(Ugarov及びNikolski)(ストロベリースパイダーマイト(strawberry spider mite));ヒメハダニ科のフラットマイト(flat mite)、Brevipalpus lewisi(McGregor)(シトラスフラットマイト(citrus flat mite));フシダニ科のサビダニ及びフシダニ、ならびに、他の食葉性ダニならびにヒト及び動物の健康に重要なダニ、すなわち、ヒョウヒダニ科のチリダニ、ニキビダニ科のニキビダニ、ニクダニ科の穀物ダニ、マダニ目Ixodes scapularis(Say)(シカダニ);I.holocyclus Neumann(オーストラリアの麻痺ダニ(Australian paralysis tick));Dermacentor variabilis(Say)(アメリカイヌダニ(American dog tick));Amblyomma americanum(Linnaeus)(ローンスターチック(lone star tick))、ならびにキュウセンダニ科、シラミダニ類、及びヒゼンダニ科のキュウセンダニ及びヒゼンダニ等のダニ目(ダニ)の成体及び幼虫。
【0263】
Lepisma saccharina(Linnaeus)(セイヨウシミ);Thermobia domestica(Packard)(マダラシミ)等のシミ目の昆虫有害生物。
【0264】
追加の節足動物有害生物には、Loxosceles reclusa(Gertsch及びMulaik)(ドクイトグモ)及びLatrodectus mactans(Fabricius)(クロゴケグモ)等のクモ目のクモ、ならびにScutigera coleoptrata(Linnaeus)(ゲジ)等のゲジ目のムカデが含まれる。
【0265】
カメムシ科(Nezara viridula、Halyomorpha halys、Piezodorus guildini、Euschistus servus、Acrosternum hilare、Euschistus heros、Euschistus tristigmus、Acrosternum hilare、Dichelops furcatus、Dichelops melacanthus、及びBagrada hilaris(Bagrada Bug))、マルカメムシ科(Megacopta cribraria、すなわち、タイワンマルカメムシ)及びツチカメムシ科(Scaptocoris castanea、すなわち、ルートスティンクバグ(Root stink bug))に属する種を含むがこれらに限定されない、カメムシ及び他の関連する昆虫の上科、ならびに、コナガ、例えば、Helicoverpa zea(Boddie);ソイビーンルーパー(soybean looper)、例えば、Pseudoplusia includens(Walker)、及びベルベットビーンキャタピラー(velvet bean caterpillar)、例えば、Anticarsia gemmatalis(Hubner)を含むがこれらに限定されない鱗翅目の種。
【0266】
線虫には、Heterodera種、Meloidogyne種、及びGlobodera種を含む、ネコブセンチュウ、シストセンチュウ、及びネグサレセンチュウ(lesion nematode);特に、Heterodera glycines(ダイズシストセンチュウ(soybean cyst nematode));Heterodera schachtii(テンサイシストセンチュウ);Heterodera avenae(ムギシストセンチュウ)、及びGlobodera rostochiensis及びGlobodera pailida(ジャガイモシロシストセンチュウ)を含むがこれらに限定されない、シストセンチュウの成員等の寄生線虫が含まれる。ネグサレセンチュウ(lesion nematode)には、Pratylenchus種が含まれる。
【0267】
本開示の農薬及び微生物を含む農薬組成物
前述のように、本明細書で教示される任意の微生物を含み得る、本開示の農業組成物は、1つまたは複数の農薬と組み合わされることがある。農薬には、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺線虫剤等が含まれ得る。
【0268】
一部の実施形態では、農薬/微生物の組み合わせは、組成物の形態で施用され得、他の化合物と同時にまたは連続して、処理されるべき作付面積または植物に施用され得る。これらの化合物は、肥料、除草剤、凍結保護物質、界面活性剤、洗剤、殺有害生物性石鹸、休眠油、ポリマー、及び/または、製剤の単回施用後に標的面積の長期の投薬を可能にする徐放性もしくは生分解性担体製剤であり得る。それらはまた、所望であれば、さらなる農業的に許容される担体、界面活性剤、または製剤化技術分野で慣習的に用いられる施用促進アジュバント(application promoting adjuvant)と一緒にした、選択的除草剤、化学殺虫剤、殺ウイルス剤、殺微生物剤、抗アメーバ薬、農薬、殺真菌剤、殺菌剤、殺線虫剤、殺軟体動物剤、またはこれらの調製物のうちのいくつかの混合物であることができる。好適な担体(すなわち、農業的に許容される担体)及びアジュバントは、固体または液体であり得、製剤化技術で通常に用いられる物質、例えば、天然または再生鉱物物質、溶媒、分散剤、湿潤剤、固着剤、粘着付与剤、結合剤、または肥料に対応し得る。同様に、製剤は、食用餌へと調製されてもよいし、または標的有害生物による農薬製剤の摂食もしくは摂取を可能にする有害生物トラップへと形作られてもよい。
【0269】
本開示の微生物と組み合わされ得る例示的な化学組成物には、以下が含まれる。
【0270】
以下の果実/野菜用除草剤、すなわち、アトラジン、ブロマシル、ジウロン、グリホサート、リニュロン、メトリブジン、シマジン、トリフルラリン、フルアジホップ、グルホシネート、ハロスルフロン(Halo sulfuron)(Gowan)、パラコート、プロピザミド、セトキシジム、ブタフェナシル(Butafenacil)、ハロスルフロン(Halosulfuron)、インダジフラム;以下の果実/野菜用殺虫剤、すなわち、アルジカルブ、Bacillus thuringiensis、カルバリル、カルボフラン、クロルピリホス、シペルメトリン、デルタメトリン、ダイアジノン、マラチオン、アベルメクチン、シフルトリン/ベータシフルトリン、エスフェンバレレート(Esfenvalerate)、ラムダ-シハロトリン、アセキノシル、ビフェナゼート、メトキシフェノジド(Methoxyfenozide)、ノバルロン、クロマフェノジド(Chromafenozide)、チアクロプリド、ジノテフラン、フルアクリピリム(FluaCrypyrim)、トルフェンピラド、クロチアニジン、スピロジクロフェン、ガンマ-シハロトリン、スピロメシフェン、スピノサド、リナキシピル(Rynaxypyr)、サイアジピル(Cyazypyr)、スピネトラム、トリフルムロン、スピロテトラマト、イミダクロプリド、フルベンジアミド、チオジカルブ、メタフルミゾン、スルホキサフロル、シフルメトフェン、シアノピラフェン(Cyanopyrafen)、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、スピネトラム(Spinotoram)、チオジカルブ、フロニカミド、メチオカルブ、エマメクチン安息香酸塩、インドキサカルブ、ホルチアザート(Forthiazate)、フェナミホス、カズサホス(Cadusaphos)、ピリプロキシフェン(Pyriproxifen)、酸化フェンブタスズ、ヘキシチアゾクス(Hexthiazox)、メソミル、4-[[(6-クロロピリジン(Chlorpyridin)-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル(difluorethyl))アミノ]フラン-2(5H)-オン;以下の果実野菜用殺真菌剤、すなわち、カルベンダジム、クロロタロニル、EBDC、イオウ、チオファナートメチル、アゾキシストロビン、シモキサニル、フルアジナム、ホセチル、イプロジオン、クレソキシムメチル、メタラキシル/メフェノキサム、トリフロキシストロビン、エタボキサム、イプロバリカルブ(Iprovalicarb)、トリフロキシストロビン、フェンヘキサミド、オキスポコナゾールフマル酸塩、シアゾファミド、フェンアミドン、ゾキサミド、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、シフルフェンアミド(Cyflufenamid)、ボスカリド。
【0271】
以下の穀類用除草剤、すなわち、イソプロチュロン(Isoproturon)、ブロモキシニル、アイオキシニル、フェノキシ(Phenoxies)、クロルスルフロン(Chlorsulfuron)、クロジナホップ、ジクロホップ、ジフルフェニカン、フェノキサプロップ、フロラスラム、フルロキシピル(Fluoroxypyr)、メトスルフロン、トリアスルフロン(Triasulfuron)、フルカルバゾン(Flucarbazone)、インドスルフロン(lodosulfuron)、プロポキシカルバゾン、ピコリナフェン、メソスルフロン、ベフルブタミド(Beflubutamid)、ピノキサデン、アミドスルフロン(Amidosulfuron)、チフェンスルフロンメチル、トリベヌロン、フルピルスルフロン(Flupyrsulfuron)、スルホスルフロン、ピラスルホトール、ピロキシスラム、フルフェナセット、トラルコキシジム(Tralkoxydim)、ピロキサスルホン;以下の穀類用殺真菌剤、すなわち、カルベンダジム、クロロタロニル、アゾキシストロビン、シプロコナゾール、シプロジニル、フェンプロピモルフ、エポキシコナゾール、クレソキシム-メチル、キノキシフェン、テブコナゾール、トリフロキシストロビン、シメコナゾール、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ジモキシストロビン、プロチオコナゾール、フルオキサストロビン(Fluoxastrobin);以下の穀類用殺虫剤、すなわち、ジメトエート、ラムダ-シハロトリン、デルタメトリン、アルファ-シペルメトリン、β-シフルトリン、ビフェントリン、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、チアクロプリド、アセタミプリド、ジノテフラン(Dinetofuran)、クロルピリホス(Clorphyriphos)、メタミドホス(Metamidophos)、オキシデメトン(Oxidemethon)メチル、ピリミカルブ、メチオカルブ。
【0272】
以下のトウモロコシ用除草剤、すなわち、アトラジン、アラクロール、ブロモキシニル、アセトクロール、ジカンバ、クロピラリド、S-ジメテナミド、グルホシネート、グリホサート、イソキサフルトール、S-メトラクロール、メソトリオン、ニコスルフロン、プリミスルフロン、リムスルフロン、スルコトリオン(Sulcotrione)、ホラムスルフロン(Foramsulfuron)、トプラメゾン、テンボトリオン、サフルフェナシル、チエンカルバゾン、フルフェナセット、ピロキサスルホン;以下のトウモロコシ用殺虫剤、すなわち、カルボフラン、クロルピリホス、ビフェントリン、フィプロニル、イミダクロプリド、ラムダ-シハロトリン、テフルトリン、テルブホス、チアメトキサム、クロチアニジン、スピロメシフェン、フルベンジアミド、トリフルムロン、リナキシピル(Rynaxypyr)、デルタメトリン、チオジカルブ、β-シフルトリン、シペルメトリン、ビフェントリン、ルフェヌロン、トリフルモロン(Triflumoron)、テフルトリン、テブピリムホス(Tebupirim-phos)、エチプロール(Ethiprole)、サイアジピル(Cyazypyr)、チアクロプリド、アセタミプリド、ジノテフラン(Dinetofuran)、アベルメクチン、メチオカルブ、スピロジクロフェン、スピロテトラマト;以下のトウモロコシ用殺真菌剤、すなわち、フェニトロパン(Fenitropan)、チラム、プロチオコナゾール、テブコナゾール、トリフロキシストロビン。
【0273】
以下のイネ用除草剤、すなわち、ブタクロール、プロパニル、アジムスルフロン、ベンスルフロン、シハロホップ(Cyhalo-fop)、ダイムロン、フェントラザミド(Fentrazamide)、イマゾスルフロン、メフェナセット、オキサジクロメホン(Oxaziclomefone)、ピラゾスルフロン、ピリブチカルブ、キンクロラック、チオベンカルブ、インダノファン、フルフェナセット、フェントラザミド(Fentrazamide)、ハロスルフロン(Halosulfuron)、オキサジクロメホン(Oxaziclomefone)、ベンゾビシクロン、ピリフタリド、ペノキススラム、ビスピリバック、オキサジアルギル、エトキシスルフロン、プレチラクロール、メソトリオン、テフリルトリオン、オキサジアゾン、フェノキサプロップ、ピリミスルファン;以下のイネ用殺虫剤、すなわち、ダイアジノン、フェニトロチオン、フェノブカルブ、モノクロトホス、ベンフラカルブ、ブプロフェジン、ジノテフラン、フィプロニル、イミダクロプリド、イソプロカルブ、チアクロプリド、クロマフェノジド(Chromafenozide)、チアクロプリド、ジノテフラン、クロチアニジン、エチプロール(Ethiprole)、フルベンジアミド、リナキシピル(Rynaxypyr)、デルタメトリン、アセタミプリド、チアメトキサム、サイアジピル(Cyazypyr)、スピノサド、スピネトラム(Spinotoram)、エマメクチン安息香酸塩、シペルメトリン、クロルピリホス(Chlorpyriphos)、カルタップ、メタミドホス、エトフェンプロックス、トリアゾホス、4-[[(6-クロロピリジン(Chlorpyridin)-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル(difluorethyl))アミノ]フラン-2(5H)-オン、カルボフラン、ベンフラカルブ;以下のイネ用殺真菌剤、すなわち、チオファナートメチル、アゾキシストロビン、カルプロパミド、エディフェンホス、フェリムゾン、イプロベンホス、イソプロチオラン、ペンシクロン、プロベナゾール、ピロキロン、トリシクラゾール、トリフロキシストロビン、ジクロシメット、フェノキサニル、シメコナゾール、チアジニル。
【0274】
以下の綿用除草剤、すなわち、ジウロン、フルオメツロン、MSMA、オキシフルオルフェン、プロメトリン、トリフルラリン、カルフェントラゾン、クレトジム、フルアジホップ-ブチル、グリホサート、ノルフルラゾン、ペンディメタリン、ピリチオバックナトリウム、トリフロキシスルフロン、テプラロキシジム、グルホシネート、フルミオキサジン、チジアズロン;以下の綿用殺虫剤、すなわち、アセフェート、アルジカルブ、クロルピリホス、シペルメトリン、デルタメトリン、マラチオン、モノクロトホス、アベルメクチン、アセタミプリド、エマメクチン安息香酸塩、イミダクロプリド、インドキサカルブ、ラムダ-シハロトリン、スピノサド、チオジカルブ、ガンマ-シハロトリン、スピロメシフェン、ピリダリル、フロニカミド、フルベンジアミド、トリフルムロン、リナキシピル(Rynaxypyr)、ベータ-シフルトリン、スピロテトラマト、クロチアニジン、チアメトキサム、チアクロプリド、ジノテフラン(Dinetofuran)、フルベンジアミド、サイアジピル(Cyazypyr)、スピノサド、スピネトラム(Spinotoram)、ガンマシハロトリン、4-[[(6-クロロピリジン(Chlorpyridin)-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル(difluorethyl))アミノ]フラン-2(5H)-オン、チオジカルブ、アベルメクチン、フロニカミド、ピリダリル、スピロメシフェン、スルホキサフロル、プロフェノホス、トリアゾホス(Thriazophos)、エンドスルファン;以下の綿用殺真菌剤、すなわち、エトリジアゾール、メタラキシル、キントゼン。
【0275】
以下のダイズ用除草剤、すなわち、アラクロール、ベンタゾン、トリフルラリン、クロリムロンエチル(Chlorimuron-Ethyl)、クロランスラムメチル、フェノキサプロップ、ホメサフェン(Fomesafen)、フルアジホップ、グリホサート、イマザモックス(Imazamox)、イマザキン、イマゼタピル、(S-)メトラクロール、メトリブジン、ペンディメタリン、テプラロキシジム、グルホシネート;以下のダイズ用殺虫剤、すなわち、ラムダ-シハロトリン、メソミル、パラチオン、チオカルブ、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、チアクロプリド、アセタミプリド、ジノテフラン(Dinetofuran)、フルベンジアミド、リナキシピル(Rynaxypyr)、サイアジピル(Cyazypyr)、スピノサド、スピネトラム(Spinotoram)、エマメクチン安息香酸塩、フィプロニル、エチプロール(Ethiprole)、デルタメトリン、β-シフルトリン、ガンマ及びラムダシハロトリン、4-[[(6-クロロピリジン(Chlorpyridin)-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル(difluorethyl))アミノ]フラン-2(5H)-オン、スピロテトラマト、スピノジクロフェン(Spinodiclofen)、トリフルムロン、フロニカミド、チオジカルブ、ベータ-シフルトリン;以下のダイズ用殺真菌剤、すなわち、アゾキシストロビン、シプロコナゾール、エポキシコナゾール、フルトリアホール、ピラクロストロビン、テブコナゾール、トリフロキシストロビン、プロチオコナゾール、テトラコナゾール。
【0276】
以下のサトウダイコン用除草剤、すなわち、クロリダゾン、デスメディファム、エトフメサート、フェンメディファム、トリアレート、クロピラリド、フルアジホップ、レナシル、メタミトロン、キンメラック(Quinmerac)、シクロキシジム、トリフルスルフロン、テプラロキシジム、キザロホップ;以下のサトウダイコン用殺虫剤、すなわち、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、チアクロプリド、アセタミプリド、ジノテフラン(Dinetofuran)、デルタメトリン、β-シフルトリン、ガンマ/ラムダシハロトリン、4-[[(6-クロロピリジン(Chlorpyridin)-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロ(difluor)-エチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、テフルトリン、リナキシピル(Rynaxypyr)、シアキシピル(Cyaxypyr)、フィプロニル、カルボフラン。
【0277】
以下のキャノーラ用除草剤、すなわち、クロピラリド、ジクロホップ、フルアジホップ、グルホシネート、グリホサート、メタザクロール、トリフルラリンエタメツルフロン、キンメラック(Quinmerac)、キザロホップ、クレトジム、テプラロキシジム;キャノーラ殺真菌剤、すなわち、アゾキシストロビン、カルベンダジム、フルジオキソニル、イプロジオン、プロクロラズ、ビンクロゾリン;以下のキャノーラ用殺虫剤、すなわち、カルボフラン有機リン酸エステル(Carbofuran organophos-phates)、ピレスロイド、チアクロプリド、デルタメトリン、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、アセタミプリド、ジネトフラン(Dineto-furan)、β-シフルトリン、ガンマ及びラムダシハロトリン、タウ-フルバレリエート(tau-Fluvaleriate)、エチプロール(Ethiprole)、スピノサド、スピネトラム(Spinotoram)、フルベンジアミド、リナキシピル(Rynaxypyr)、サイアジピル(Cyazypyr)、4-[[(6-クロロピリジン(Chlorpyridin)-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル(difluorethyl))アミノ]フラン-2(5H)-オン。
【0278】
本開示の殺虫剤及び微生物を含む殺虫性組成物
前述のように、本明細書で教示される任意の微生物を含み得る、本開示の農業組成物は、1つまたは複数の殺虫剤と組み合わされることがある。
【0279】
一部の実施形態では、殺虫性組成物が、本明細書に述べられる組成物に含まれてもよく、他の化合物と同時にまたは連続して、植物(複数可)またはその部位(複数可)に施用され得る。殺虫剤には、炭酸アンモニウム、水性ケイ酸カリウム、ホウ酸、硫酸銅、元素硫黄、石灰硫黄、スクロースオクタノエートエステル、4-[[(6-クロロピリジン(Chlorpyridin)-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル(difluorethyl))アミノ]フラン-2(5H)-オン、アベルメクチン、ノテノン(notenone)、フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリダベン、ピリメジフェン(pyrimedifen)、テブフェンピラド、トルフェンピラド、アセフェート、エマメクチン安息香酸塩、レピメクチン、ミルベメクチン、ヒドロプレン(hdroprene)、キノプレン、メトプレン、フェノキシカルブ、ピリプロキシフェン、臭化メチル及び他のハロゲン化アルキル、フッ化フルフリル(fulfuryl fluoride)、クロルピクリン、ホウ砂、八ホウ酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、吐酒石、ダゾメット、メタム(metam)、ピメトロジン、ピリフルキナゾン、フロフェンテジン(flofentezine)、ジフロビダジン(diflovidazin)、ヘキシチアゾクス、ビフェナゼート、チアメトキサム、イミダクロプリド、フェンピロキシメート、アザジラクチン、ペルメトリン、エスフェンバレレート(Esfenvalerate)、アセタミプリド、ビフェントリン、インドキサカルブ、アザジラクチン、ピレトリン、イミダクロプリド、ベータ-シフルトリン、スルホテップ、テブピリンホス、テメホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、チオメトン、トリアゾホス、アラニカルブ(alanycarb)、アルジカルブ、ベンジオカルブ、ベンフルラカルブ(benfluracarb)、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ、ホルメタネート、フラチオカルブ、イソプロカルブ、メチオカルブ、メチミル(methymyl)、メトルカルブ、オキサミル、ピリミカルブ(primicarb)、プロポクスル、チオジカルブ、チオファノックス、トリアザメート、トリメタカルブ、XMC、キシリルカルブ(xylylcarb)、アセフェート、アザメチホス、アジンホスエチル、アジンホスメチル、カズサホス、クロルエトキシフォックス(chlorethoxyfox)、トリクロルホン、バミドチオン、クロルデン、エンドスルファン、エチプロール(Ethiprole)、フィプロニル、アクリナトリン、アレトリン、ビフェントリン、ビオアレトリン、ビオアレトリンX-シクロペンテニル、ビオレズメトリン、シクロロスリン(cyclorothrin)、シフルトリン、シハロトリン、シペルメトリン、シフェノトリン[(1R)-トランス異性体]、デルタメトリン、エムペントリン[(EZ)-(1R)-異性体]、エスフェンバレレート(Esfenvalerate)、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルメトリン、ハルフェンプロックス(halfenprox)、カダトリン(kadathrin)、フェノトリン[(1R)-トランス異性体]プラレトリン、ピレトリン(除虫菊(pyrethrum))、レスメトリン、シラフルオフェン、テフルトリン、テトラメトリン、テトラメトリン[(1R)-異性体]、トラロメトリン、トランスフルトリン、アルファ-シペルメトリン、ベータ-シフルトリン、ベータ-シペルメトリン、d-シス-トランスアレトリン、d-トランスアレトリン、ガンマ-シハロトリン、ラムダ-シハロトリン、タウ-フルバリネート、シータ-シペルメトリン、ゼータ-シペルメトリン、メトキシクロル、ニコチン、スルホキサフロル、アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、ニテンピラム、チアクロプリド、チアメトキサン(thiamethoxan)、テブプリムホス(tebuprimphos)、ベータ-シフルトリン、クロチアニジン、フロニカミド、ヒドラメチルノン、アミトラズ、フルベンジアミド、ブロラントラニリプロール(blorantraniliprole)、ラムダシハロトリン、スピノサド、ガンマシハロトリン、Beauveria bassiana、トウガラシオレオレジン抽出物、ニンニク油、カルバリル、クロルピリホス、スルホキサフロル、ラムダシハロトリン、クロルフェンビンホス、クロルメホス(Chlormephos)、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、クマホス、シアノホス、デメトン-S-メチル、ダイアジノン、ジクロルボス/DDVP、ジクロトホス、ジメトエート、ジメチルビンホス、ジスルホトン、EPN、エチオン、エトプロホス、ファムフール(Famphur)、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンチオン、ホスチアゼート、ヘプテノホス、イミシアホス、イソフェンホス、イソプロピルO-(メトキシアミノチオ-ホスホリル)サリチレート、イソキサチオン、マラチオン、メカルバム、メタミドホス、メチダチオン、メビンホス、モノクロトホス、ナレド、オメトエート、オキシデメトンメチル、パラチオン、パラチオンメチル、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホキシム、ピリミホスメチル、プロフェノホス、プロペタンホス、プロチオホス、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、キナルホスフルアクリピリム(Quinalphosfluacrypyrim)、テブフェノジド、クロラントラニリプロール、Bacillus thuringiensis亜種Kurstaki、テルブホス、鉱油、フェンプロパトリン、メタアルデヒド、デルタメトリン、ダイアジノン、ジメトエート、ジフルベンズロン、ピリプロキシフェン、ローズマリー油、ペパーミント油、ゲラニオール、アザジラクチン、ピペロニルブトキシド、シアントラニリプロール、アルファ シペルメトリン、テフルトリン、ピメトロジン、マラチオン、Bacillus thuringiensis亜種israelensis、ジコホル、ブロモプロピレート、ベンゾキシメート、アザジラクチン、フロニカミド、ダイズ油、Chromobacterium subtsugae菌株PRAA4-1、ゼータシペルメトリン、ホスメット、メトキシフェノジド(Methoxyfenozide)、パラフィン系油、スピロテトラマト、メソミル、Metarhizium anisopliae菌株F52、エトプロプ(ethoprop)、テトラジホン、プロパルギット、酸化フェンブタスズ、アゾシクロチン、シヘキサチン、ジアフェンチウロン、Bacillus sphaericus、エトキサゾール、フルピラジフロン、アザジラクチン、Beauveria bassiana、シフルメトフェン、アザジラクチン、キノメチオナート、アセフェート、Isaria fumosorosea Apopka株97、ナトリウムテトラボロハイドレート(sodium tetraborohydrate)十水和物、エマメクチン安息香酸塩、氷晶石、スピネトラム、Chenopodium ambrosioides抽出物、ノバルロン、ジノテフラン、カルバリル、アセキノシル、フルピラジフロン、リン酸鉄、カオリン、ブプロフェジン、シロマジン、クロマフェノジド(Chromafenozide)、ハロフェノジド(halofenozide)、メトキシフェノジド(Methoxyfenozide)、テブフェノジド、ビストリフルロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン(flucycloxuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン、ノカルロン(nocaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、テフルベンズロン、トリフルムロン、ベンスルタップ、カルタップ塩酸塩、チオシクラム、チオスルタップナトリウム(thiosultap-sodium)、DNOC、クロルフェナピル、スルフルラミド(sulfuramid)、ホレート、トルフェンピラド、スルホキサフロル、ニーム油、Bacillus thuringiensis亜種tenebrionis菌株A-10、シロマジン、Burkholderia加熱死菌種、シアントラニリプロール、シエノピラフェン、シフルメトフェン、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化カルシウム、リン化アルミニウム、リン化カルシウム、ホスフィン、亜鉛 リン化物、スピロジクロフェン(spriodiclofen)、スピロメシフェン、スピロテトラマト、メタフルミゾン、フルベンジアミド、ピフルブミド、オキサミル、Bacillus thuringiensis亜種aizawai、エトキサゾール、及びエスフェンバレレート(Esfenvalerate)が含まれる。
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【表9-4】
【表9-5】
【表9-6】
【表9-7】
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【表10-4】
【表10-5】
【表10-6】
【表10-7】
【表10-8】
【表10-9】
【表10-10】
【表10-11】
【表10-12】
【表10-13】
【表10-14】
【表10-15】
【表10-16】
【表10-17】
【表10-18】
【表10-19】
【表10-20】
【表10-21】
【表10-22】
【0280】
殺虫剤はまた、それ自体では毒性または殺虫性とみなされないが、殺虫剤と共に使用されて殺虫剤との相乗作用を生み出すかまたは殺虫剤の活性を強化する材料である、相乗剤または活性化剤を含む。相乗剤または活性化剤は、ピペロニルブトキシドを含む。
【0281】
バイオラショナル(Biorational)農薬
殺虫剤は、バイオラショナルであり得るか、または、バイオ農薬もしくは生物学的農薬としても知られ得る。バイオラショナルとは、特定の標的有害生物(複数可)、例えば、昆虫、雑草、植物病害(線虫を含む)、及び脊椎動物有害生物に対して有害または致死的効果を有し、固有の作用様式を持ち、人間、栽培植物及び飼育動物に対して非毒性であり、野生生物及び環境に悪影響をほとんどまたは全く有しない、天然起源の任意の物質(または天然起源の物質に類似した人為的物質)を指す。
【0282】
バイオラショナル殺虫剤(またはバイオ農薬もしくは生物学的農薬)は、(1)生化学物質(ホルモン、酵素、フェロモン、及び天然作用物質、例えば、昆虫及び植物成長調節剤)、(2)微生物(ウイルス、細菌、真菌、原生動物、及び線虫)、または(3)植物導入保護剤(Plant-Incorporated protectant)(PIP)(主としてトランスジェニック植物、例えば、Btトウモロコシ)として群分けされ得る。
【0283】
バイオ農薬、または生物学的農薬は、生存微小生物または天然産物から製造され、植物の有害生物の防除用に販売される薬剤を広義に含み得る。バイオ農薬は、微小生物、生化学物質、及び情報化学物質であり得る。バイオ農薬はまた、ペプチド、タンパク質、及び核酸、例えば、二本鎖DNA、一本鎖DNA、二本鎖RNA、一本鎖RNA、及びヘアピンDNAまたはRNAを含み得る。
【0284】
細菌、真菌、卵菌、ウイルス、及び原生動物は全て、昆虫有害生物の生物学的防除に使用される。最も広く使用される微生物バイオ農薬は、昆虫病原性細菌Bacillus thuringiensis(Bt)であり、この細菌は、細菌胞子形成中に、感受性のある昆虫によって消費されると腸細胞の溶解を引き起こすことが可能なタンパク質結晶(Btδ-エンドトキシン)を産生する。微生物Btバイオ農薬は、発酵槽中で大量生産され、噴霧可能な製品として製剤化される細菌胞子及びδ-エンドトキシン結晶からなる。Btは、野菜を害せず、人間、有益な生物、及び環境に対して安全である。故に、Bt噴霧剤は、それらの高レベルの選択性及び安全性が望ましいとみなされる、また合成化学殺虫剤に対する耐性が問題である、果実及び野菜作物における有害生物管理のために成長している戦術である。Bt噴霧剤はまた、メイズ、ダイズ、及び綿等の商品作物にも使用されてきたが、植物の遺伝子組換えの出現に伴い、農業従事者は、次第にBtトランスジェニック作物品種を栽培するようになっている。
【0285】
他の微生物殺虫剤には、昆虫病原性のバキュロウイルスに基づく製品が含まれる。節足動物に対して病原性であるバキュロウイルスは、ウイルスファミリーに属し、ヌクレオカプシドへとパッケージングされる大きな共有結合閉環状の二本鎖DNAゲノムを持つ。目鱗翅目、膜翅目、及び双翅目の昆虫から700種超のバキュロウイルスが同定されている。バキュロウイルスは通常、それらの宿主昆虫に高度に特異的であり、故に、環境、ヒト、他の植物、及び有益な生物に対して安全である。50種超のバキュロウイルス産物が、世界中の異なる昆虫有害生物を防除するために使用されてきた。米国及び欧州では、Cydia pomonella顆粒ウイルス(CpGV)が、リンゴにおけるシンクイガに対する大量のバイオ農薬として使用されている。米国の最大のリンゴ生産州であるワシントン州では、リンゴ作物の13%にCpGVが使用されている。ブラジルでは、1990年代中期に最大400万ヘクタール(およそ35%)のダイズ作物に対してダイズの毛虫Anticarsia gemmatalisの核多角体病ウイルスが使用された。Heliothis及びHelicoverpa種の幼虫を防除するために、Gemstar(登録商標)(Certis USA)等のウイルスが利用可能である。
【0286】
温室作物、果実及び圃場野菜ならびに商品作物における少なくとも5種の昆虫及びダニ目に対して使用するために、昆虫病原性真菌に基づく少なくとも170種の異なるバイオ農薬製品が開発されてきた。製品の大部分は、子嚢菌Beauveria bassianaまたはMetarhizium anisopliaeに基づく。M.anisopliaeはまた、アフリカ及びオーストラリアにおけるイナゴ及びバッタ有害生物の防除のためにも開発されており、イナゴ管理に対して国連食糧農業機関(FAO)によって推奨される。
【0287】
米国に登録されたいくつかの微生物農薬が、Kabaluk et al.2010(Kabaluk,J.T.et al.(ed.).2010.The Use and Regulation of Microbial Pesticides in Representative Jurisdictions Worldwide.IOBC Global.99pp.)の表16に列挙されており、また選択される国に登録された微生物農薬が、Hoeschle-Zeledon et al.2013(Hoeschle-Zeledon,I.,P.Neuenschwander and L.Kumar.(2013).Regulatory Challenges for biological control.SP-IPM Secretariat,International Institute of Tropical Agriculture(IITA),Ibadan,Nigeria.43 pp.)の付録4に列挙されており、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0288】
植物は、草食動物によるそれらの摂食を阻止する多種多様な二次代謝物を産生する。これらのうちの一部をバイオ農薬として使用することができる。それらには、例えば、ピレトリンが含まれ、これはChrysanthemum cinerariaefoliumによって産生される速効性の殺虫性化合物である。それらは、哺乳類に対する毒性は低いが、施用後に迅速に分解する。この短い持続性が合成ピレトリン(ピレスロイド)の開発を駆り立てた。最も広く使用される植物性化合物は、Azadirachta indicaの種子から抽出される殺虫性化学物質である、ニーム油である。土壌放線菌によって合成される二次代謝物に基づく2種の高活性の農薬が利用可能であるが、それらは、あたかもそれらが合成化学農薬であるかのごとく規制当局によって評価された。スピノサドは、Saccharopolyspora spinosa由来の2つのマクロライド化合物の混合物である。それは、哺乳類に対する毒性が非常に低く、残留物は、圃場で迅速に分解する。農業従事者及び栽培者は、1997年のその導入に次いで、それを広く使用していたが、ミカンキイロアザミウマ等の一部の重要な有害生物で耐性がすでに発達している。アバメクチンは、Streptomyces avermitilisによって産生される大環状ラクトン系化合物である。それは、幅広い有害生物種に対して活性であるが、これもまた、例えば、ハダニで耐性が発達している。
【0289】
いくつかの生物由来のペプチド及びタンパク質は、殺有害生物特性を持つことが見出されている。恐らく最も顕著なものは、クモ毒由来のペプチドである(King,G.F.and Hardy,M.C.(2013)Spider-venom peptides:structure,pharmacology,and potential for control of insect pests.Annu.Rev.Entomol.58:475-496)。クモ毒ペプチドにおけるジスルフィド結合の固有の配置が、それらをプロテアーゼに極度に耐性にしている。結果として、これらのペプチドは、昆虫の腸及び血リンパ中で高度に安定であり、それらのうちの多くは、経口的に活性である。このペプチドは、昆虫神経系における広範囲の受容体及びイオンチャネルを標的とする。殺虫性ペプチドの他の例としては、電位開口型Na+チャネルに作用するイソギンチャク毒(Bosmans,F.and Tytgat,J.(2007)Sea anemone venom as a source of insecticidal peptides acting on voltage-gated Na+ channels.Toxicon.49(4):550-560)、カ、一部のアブラムシ、及び穀類ゾウムシ(cereal weevil)等のいくつかの昆虫有害生物に対して致死的活性を有するマメ科植物種子由来のPA1b(エンドウマメアルブミン1、サブユニットb)ペプチド(Eyraud,V.et al.(2013)Expression and Biological Activity of the Cystine Knot Bioinsecticide PA1b(Pea Albumin 1 Subunit b).PLoS ONE 8(12):e81619)、ならびに、感受性のある昆虫内でCanavalia ensiformis(タチナタマメ)ウレアーゼの酵素的加水分解によって生成される10kDaの内部ペプチド(Martinelli,A.H.S.,et al.(2014)Structure-function studies on jaburetox,a recombinant insecticidal peptide derived from jack bean(Canavalia ensiformis)urease.Biochimica et Biophysica Acta 1840:935-944)が挙げられる。市販のペプチド殺虫剤の例としては、温室内の野菜及び観賞植物におけるアザミウマの処理用のSpear(商標)-T、コロラドハムシを防除するためのSpear(商標)-P、及び作物を鱗翅目の有害生物から保護するためのSpear(商標)-C(Vestaron Corporation,Kalamazoo,MI)が挙げられる。副胞子結晶毒素(PC)と呼ばれる、Bacillus bombysepticus由来の新規の殺虫性タンパク質は、カイコ及びCry1Ac耐性Helicoverpa armigera株に対して経口病原性活性及び致死性を示す(Lin,P.et al.(2015)PC,a novel oral insecticidal toxin from Bacillus bombysepticus involved in host lethality via APN and BtR-175.Sci.Rep.5:11101)。
【0290】
情報化学物質は、同じ種または異なる種の個体において挙動変化を引き起こす、1つの生物によってもたらされる化学シグナルである。作物保護のために最も広く使用される情報化学物質は、昆虫性フェロモンであり、これらのうちの一部は、今では合成することができ、大量捕獲、おびき寄せて殺傷する(lure-and-kill)システム、及び交信撹乱による監視または有害生物防除に使用される。世界的に、660,000ヘクタール超で交信撹乱が使用され、果樹園作物において特に有用となっている。
【0291】
本明細書で使用されるとき、「トランスジェニック殺虫性形質」とは、1つまたは複数の有害生物に有害な核酸またはポリペプチドを発現するように遺伝子操作された植物が呈する形質を指す。一実施形態では、本開示の植物は、本開示の有害生物のうちのいずれか1つまたは複数による付着及び/または侵入に耐性である。一実施形態では、形質は、Bacillus thuringiensis由来の植物性殺虫性タンパク質(vegetative insecticidal protein)(VIP)、植物由来のレクチン及びプロテイナーゼ阻害剤、テルペノイド、Streptomyces種由来のコレステロールオキシダーゼ、昆虫キチナーゼ及び真菌キチン分解酵素、細菌性殺虫性タンパク質、ならびに早期認識耐性遺伝子の発現を含む。別の実施形態では、形質は、有害生物に対して毒性であるBacillus thuringiensisタンパク質の発現を含む。一実施形態では、Btタンパク質は、Cryタンパク質(結晶タンパク質)である。Bt作物には、Btトウモロコシ、Bt綿、及びBtダイズが含まれる。Bt毒素は、Cryファミリー由来であり得(例えば、Crickmore et al.,1998,Microbiol.Mol.Biol.Rev.62:807-812を参照されたい)、これは鱗翅目、鞘翅目、及び双翅目に対して特に有効である。
【0292】
Bt Cry及びCyt毒素は、それらの宿主の細胞膜に入り込むために、またはそれを通過して移行するために立体構造変化を経る水溶性タンパク質として分泌される、膜孔形成毒素(PFT)として知られる細菌毒素のクラスに属する。PFTの以下の2つの主要な群、すなわち、(i)α-ヘリックス領域が膜貫通孔を形成するα-ヘリックス状毒素、及び(ii)各モノマーからのβシートヘアピンから構成されるβ-バレルを形成することによって膜に入り込むβ-バレル毒素が存在する。Parker MW,Feil SC,“Pore-forming protein toxins:from structure to function,”Prog.Biophys.Mol.Biol.2005 May;88(1):91-142を参照されたい。PFTの第1のクラスには、コリシン、外毒素A、ジフテリア毒素、及び再び3ドメインCry毒素等の毒素が含まれる。一方で、エロリジン、α-溶血毒、炭疽防御抗原、パーフリンゴリジンOとしてのコレステロール依存性毒素、及びCyt毒素は、β-バレル毒素に属する(同文献より)。一般に、PFT産生細菌は、それらの毒素を分泌し、これらの毒素は、宿主細胞表面上に位置する特定の受容体と相互作用する。ほとんどの場合、PFTは、受容体結合後に宿主プロテアーゼによって活性化されて、挿入能力のあるオリゴマー構造の形成を誘導する。最後に、膜挿入は、ほとんどの場合、タンパク質のモルテングロビュール状態(molten globule state)を誘導する、pHの減少によって誘発される(同文献より)。
【0293】
Bt Cryタンパク質を産生するトランスジェニック作物の開発は、環境に優しい代替物による化学殺虫剤の置換を可能にしてきた。トランスジェニック植物において、Cry毒素は、継続的に産生されるため、この毒素は分解から保護され、咀嚼性昆虫及び穿孔性昆虫に到達可能となる。植物におけるCryタンパク質産生は、植物に偏らせたコドン使用頻度を用いたcry遺伝子の操作、プロトキシンの推定上のスプライシングシグナル配列の除去及びカルボキシ末端領域の欠失によって改善されてきた。Schuler TH,et al.,“Insect-resistant transgenic plants,”Trends Biotechnol.1998;16:168-175を参照されたい。昆虫耐性作物の使用は、これらのトランスジェニック作物が植栽される地帯において化学農薬の使用を大幅に削減してきた。Qaim M,Zilberman D,“Yield effects of genetically modified crops in developing countries,”Science.2003 Feb 7;299(5608):900-2を参照されたい。
【0294】
既知のCryタンパク質には、Cry1、Cry2、Cry3、Cry4、Cry5、Cry6、Cry7、Cry8、Cry9、Cry10、Cry11、Cry12、Cry13、Cry14、Cry15、Cry16、Cry17、Cry18、Cry19、Cry20、Cry21、Cry22、Cry23、Cry24、Cry25、Cry26、Cry27、Cry28、Cry29、Cry30、Cry31、Cry32、Cry33、Cry34、Cry35、Cry36、Cry37、Cry38、Cry39、Cry40、Cry41、Cry42、Cry43、Cry44、Cry45、Cry46、Cry47、Cry49、Cry51、Cry52、Cry53、Cry54、Cry55、Cry56、Cry57、Cry58、Cry59、Cry60、Cry61、Cry62、Cry63、Cry64、Cry65、Cry66、Cry67、Cry68、Cry69、Cry70、及びCry71クラスのδ-エンドトキシン遺伝子を含むがこれらに限定されないδ-エンドトキシン、ならびにB.thuringiensis細胞溶解性cyt1及びcyt2遺伝子が含まれる。
【0295】
これらのクラスのB.thuringiensis殺虫性タンパク質のメンバーには、CrylAa1(受託番号AAA22353)、Cry1Aa2(受託番号AAA22552)、Cry1Aa3(受託番号BAA00257)、Cry1Aa4(受託番号CAA31886)、Cry1Aa5(受託番号BAA04468)、Cry1Aa6(受託番号AAA86265)、Cry1Aa7(受託番号AAD46139)、Cry1Aa8(受託番号126149)、Cry1Aa9(受託番号BAA77213)、CrylAa10(受託番号AAD55382)、CrylAa11(受託番号CAA70856)、Cry1Aa12(受託番号AAP80146)、Cry1Aa13(受託番号AAM44305)、Cry1Aa14(受託番号AAP40639)、Cry1Aa15(受託番号AAY66993)、Cry1Aa16(受託番号HQ439776)、Cry1Aa17(受託番号HQ439788)、Cry1Aa18(受託番号HQ439790)、Cry1Aa19(受託番号HQ685121)、Cry1Aa20(受託番号JF340156)、Cry1Aa21(受託番号JN651496)、Cry1Aa22(受託番号KC158223)、Cry1Abl(受託番号AAA22330)、Cry1Ab2(受託番号AAA22613)、Cry1Ab3(受託番号AAA22561)、Cry1Ab4(受託番号BAA00071)、Cry1Ab5(受託番号CAA28405)、Cry1Ab6(受託番号AAA22420)、Cry1Ab7(受託番号CAA31620)、Cry1Ab8(受託番号AAA22551)、Cry1Ab9(受託番号CAA38701)、Cry1Ab10(受託番号A29125)、CrylAb11(受託番号Il2419)、Cry1Ab12(受託番号AAC64003)、Cry1Ab13(受託番号AAN76494)、Cry1Ab14(受託番号AAG16877)、Cry1Ab15(受託番号AA013302)、Cry1Ab16(受託番号AAK55546)、Cry1Ab17(受託番号AAT46415)、Cry1Ab18(受託番号AAQ88259)、Cry1Ab19(受託番号AAW31761)、Cry1Ab20(受託番号ABB72460)、Cry1Ab21(受託番号ABS18384)、Cry1Ab22(受託番号ABW87320)、Cry1Ab23(受託番号HQ439777)、Cry1Ab24(受託番号HQ439778)、Cry1Ab25(受託番号HQ685122)、Cry1Ab26(受託番号HQ847729)、Cry1Ab27(受託番号JN135249)、Cry1Ab28(受託番号JN135250)、Cry1Ab29(受託番号JN135251)、Cry1Ab30(受託番号JN135252)、Cry1Ab31(受託番号JN135253)、Cry1Ab32(受託番号JN135254)、Cry1Ab33(受託番号AAS93798)、Cry1Ab34(受託番号KC156668)、Cry1Ab様(受託番号AAK14336)、Cry1Ab様(受託番号AAK14337)、Cry1Ab様(受託番号AAK14338)、Cry1Ab様(受託番号ABG88858)、Cry1Ac1(受託番号AAA22331)、Cry1Ac2(受託番号AAA22338)、Cry1Ac3(受託番号CAA38098)、Cry1Ac4(受託番号AAA73077)、Cry1Ac5(受託番号AAA22339)、Cry1Ac6(受託番号AAA86266)、Cry1Ac7(受託番号AAB46989)、Cry1Ac8(受託番号AAC44841)、Cry1Ac9(受託番号AAB49768)、CrylAc10(受託番号CAA05505)、CrylAc11(受託番号CAA10270)、Cry1Ac12(受託番号Il2418)、Cry1Ac13(受託番号AAD38701)、Cry1Ac14(受託番号AAQ06607)、Cry1Ac15(受託番号AAN07788)、Cry1Ac16(受託番号AAU87037)、CrylAc17(受託番号AAX18704)、Cry1Ac18(受託番号AAY88347)、Cry1Ac19(受託番号ABD37053)、Cry1Ac20(受託番号ABB89046)、Cry1Ac21(受託番号AAY66992)、Cry1Ac22(受託番号ABZ01836)、Cry1Ac23(受託番号CAQ30431)、Cry1Ac24(受託番号ABL01535)、Cry1Ac25(受託番号FJ513324)、Cry1Ac26(受託番号FJ617446)、Cry1Ac27(受託番号FJ617447)、Cry1Ac28(受託番号ACM90319)、Cry1Ac29(受託番号DQ438941)、Cry1Ac30(受託番号GQ227507)、Cry1Ac31(受託番号GU446674)、Cry1Ac32(受託番号HM061081)、Cry1Ac33(受託番号GQ866913)、Cry1Ac34(受託番号HQ230364)、Cry1Ac35(受託番号JF340157)、Cry1Ac36(受託番号JN387137)、Cry1Ac37(受託番号JQ317685)、CrylAd1(受託番号AAA22340)、Cry1Ad2(受託番号CAA01880)、CrylAe1(受託番号AAA22410)、CrylAf1(受託番号AAB82749)、CrylAg1(受託番号AAD46137)、CrylAh1(受託番号AAQ14326)、Cry1Ah2(受託番号ABB76664)、Cry1Ah3(受託番号HQ439779)、CrylAi1(受託番号AA039719)、Cry1Ai2(受託番号HQ439780)、Cry1A様(受託番号AAK14339)、Cry1Bal(受託番号CAA29898)、Cry1Ba2(受託番号CAA65003)、Cry1Ba3(受託番号AAK63251)、Cry1Ba4(受託番号AAK51084)、Cry1Ba5(受託番号AB020894)、Cry1Ba6(受託番号ABL60921)、Cry1Ba7(受託番号HQ439781)、CrylBb1(受託番号AAA22344)、Cry1Bb2(受託番号HQ439782)、Cry1Bcl(受託番号CAA86568)、Cry1Bdl(受託番号AAD10292)、Cry1Bd2(受託番号AAM93496)、CrylBe1(受託番号AAC32850)、Cry1Be2(受託番号AAQ52387)、Cry1Be3(受託番号ACV96720)、Cry1Be4(受託番号HM070026)、CrylBf1(受託番号CAC50778)、Cry1Bf2(受託番号AAQ52380)、Cry1Bgl(受託番号AA039720)、Cry1Bhl(受託番号HQ589331)、Cry1Bil(受託番号KC156700)、Cry1Cal(受託番号CAA30396)、Cry1Ca2(受託番号CAA31951)、Cry1Ca3(受託番号AAA22343)、Cry1Ca4(受託番号CAA01886)、Cry1Ca5(受託番号CAA65457)、Cry1Ca6[1](受託番号AAF37224)、Cry1Ca7(受託番号AAG50438)、Cry1Ca8(受託番号AAM00264)、Cry1Ca9(受託番号AAL79362)、CrylCa10(受託番号AAN16462)、Cry1Ca11(受託番号AAX53094)、Cry1Ca12(受託番号HM070027)、Cry1Ca13(受託番号HQ412621)、Cry1Ca14(受託番号JN651493)、CrylCb1(受託番号M97880)、Cry1Cb2(受託番号AAG35409)、Cry1Cb3(受託番号ACD50894)、Cry1Cb様(受託番号AAX63901)、Cry1Dal(受託番号CAA38099)、Cry1Da2(受託番号I76415)、Cry1Da3(受託番号HQ439784)、Cry1Dbl(受託番号CAA80234)、Cry1Db2(受託番号AAK48937)、Cry1Dcl(受託番号ABK35074)、Cry1Eal(受託番号CAA37933)、Cry1Ea2(受託番号CAA39609)、Cry1Ea3(受託番号AAA22345)、Cry1Ea4(受託番号AAD04732)、Cry1Ea5(受託番号A15535)、Cry1Ea6(受託番号AAL50330)、Cry1Ea7(受託番号AAW72936)、Cry1Ea8(受託番号ABX11258)、Cry1Ea9(受託番号HQ439785)、CrylEa10(受託番号ADR00398)、CrylEa11(受託番号JQ652456)、Cry1Ebl(受託番号AAA22346)、Cry1Fal(受託番号AAA22348)、Cry1Fa2(受託番号AAA22347)、Cry1Fa3(受託番号HM070028)、Cry1Fa4(受託番号HM439638)、CrylFbl(受託番号CAA80235)、Cry1Fb2(受託番号BAA25298)、Cry1Fb3(受託番号AAF21767)、Cry1Fb4(受託番号AAC10641)、Cry1Fb5(受託番号AA013295)、Cry1Fb6(受託番号ACD50892)、Cry1Fb7(受託番号ACD50893)、CrylGal(受託番号CAA80233)、Cry1Ga2(受託番号CAA70506)、CrylGbl(受託番号AAD10291)、Cry1Gb2(受託番号AA013756)、CrylGcl(受託番号AAQ52381)、CrylHa1(受託番号CAA80236)、CrylHbl(受託番号AAA79694)、Cry1Hb2(受託番号HQ439786)、CrylH様(受託番号AAF01213)、CrylIal(受託番号CAA44633)、Cry1Ia2(受託番号AAA22354)、Cry1Ia3(受託番号AAC36999)、Cry1Ia4(受託番号AAB00958)、Cry1Ia5(受託番号CAA70124)、Cry1Ia6(受託番号AAC26910)、Cry1Ia7(受託番号AAM73516)、Cry1Ia8(受託番号AAK66742)、Cry1Ia9(受託番号AAQ08616)、Cry1Ia10(受託番号AAP86782)、CrylIa11(受託番号CAC85964)、Cry1Ia12(受託番号AAV53390)、Cry1Ia13(受託番号ABF83202)、Cry1Ia14(受託番号ACG63871)、Cry1Ia15(受託番号FJ617445)、Cry1Ia16(受託番号FJ617448)、CrylIal7(受託番号GU989199)、CrylIal8(受託番号ADK23801)、CrylIal9(受託番号HQ439787)、Cry1Ia20(受託番号JQ228426)、Cry1Ia21(受託番号JQ228424)、Cry1Ia22(受託番号JQ228427)、Cry1Ia23(受託番号JQ228428)、Cry1Ia24(受託番号JQ228429)、Cry1Ia25(受託番号JQ228430)、Cry1Ia26(受託番号JQ228431)、Cry1Ia27(受託番号JQ228432)、Cry1Ia28(受託番号JQ228433)、Cry1Ia29(受託番号JQ228434)、Cry1Ia30(受託番号JQ317686)、Cry1Ia31(受託番号JX944038)、Cry1Ia32(受託番号JX944039)、Cry1Ia33(受託番号JX944040)、CrylIb1(受託番号AAA82114)、Cry1Ib2(受託番号ABW88019)、Cry1Ib3(受託番号ACD75515)、Cry1Ib4(受託番号HM051227)、Cry1Ib5(受託番号HM070028)、Cry1Ib6(受託番号ADK38579)、Cry1Ib7(受託番号JN571740)、Cry1Ib8(受託番号JN675714)、Cry1Ib9(受託番号JN675715)、Cry
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託番号EEM86551)、Cry8Ma3(受託番号HM210574)、Cry8Nal(受託番号HM640939)、Cry8Pal(受託番号HQ388415)、Cry8Qal(受託番号HQ441166)、Cry8Qa2(受託番号KC152468
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受託番号ACU24782)、Cry60Aa2(受託番号EA057254)、Cry60Aa3(受託番号EEM99278)、Cry60Bal(受託番号GU810818)、Cry60Ba2(受託番号EA057253)、Cry60Ba3(受託番号EEM99279)、Cry61Aal(受託番号HM035087)、Cry61Aa2(受託番号HM132125)、Cry61Aa3(受託番号EEM19308)、Cry62Aal(受託番号HM054509)、Cry63Aal(受託番号BA144028)、Cry64Aal(受託番号BAJ05397)、Cry65Aal(受託番号HM461868)、Cry65Aa2(受託番号ZP_04123838)、Cry66Aal(受託番号HM485581)、Cry66Aa2(受託番号ZP_04099945)、Cry67Aal(受託番号HM485582)、Cry67Aa2(受託番号ZP_04148882)、Cry68Aal(受託番号HQ113114)、Cry69Aal(受託番号HQ401006)、Cry69Aa2(受託番号JQ821388)、Cry69Abl(受託番号JN209957)、Cry70Aal(受託番号JN646781)、Cry70Bal(受託番号AD051070)、Cry70Bbl(受託番号EEL67276)、Cry71Aal(受託番号JX025568)、Cry72Aal(受託番号JX025569)、Cyt1Aa(GenBank受託番号X03182)、Cyt1Ab(GenBank受託番号X98793)、Cyt1B(GenBank受託番号U37196)、Cyt2A(GenBank受託番号Z14147)、及びCyt2B(GenBank受託番号U52043)が含まれるが、これらに限定されない。
【0296】
δ-エンドトキシンの例としてはまた、米国特許第5,880,275号、同第7,858,849号、同第8,530,411号、同第8,575,433号、及び同第8,686,233号のCry1Aタンパク質;米国特許第8,304,604号、同第8,304,605号、及び同第8,476,226号のDIG-3またはDIG-11毒素(Cry1A、Cry3A等のcryタンパク質のa-ヘリックス1及び/またはa-ヘリックス2のN末端欠失変種);米国特許出願第10/525,318号のCry1B;米国特許第6,033,874号のCry1C;米国特許第5,188,960号及び同第6,218,188号のCry1F;米国特許第7,070,982号、同第6,962,705号、及び同第6,713,063号)のCry1A/Fキメラ;米国特許第7,064,249号)のCry2Abタンパク質等のCry2タンパク質;可変領域の固有の組み合わせ及び少なくとも2つの異なるCryタンパク質の保存されたブロックを融合することによって作出される、操作されたハイブリッド殺虫性タンパク質(eHIP)を含むがこれらに限定されないCry3Aタンパク質(米国特許公開第2010/0017914号);Cry4タンパク質;Cry5タンパク質;Cry6タンパク質;米国特許第7,329,736号、同第7,449,552号、同第7,803,943号、同第7,476,781号、同第7,105,332号、同第7,378,499号、及び同第7,462,760号のCry8タンパク質;米国特許第8,802,933号のCry9Dタンパク質及び米国特許第8,802,934号のCry9Bタンパク質を含むがこれらに限定されない、Cry9A、Cry9B、Cry9C、Cry9D、Cry9E、及びCry9Fファミリーの成員等のCry9タンパク質;Naimov,et al.,(2008),“Applied and Environmental Microbiology,”74:7145-7151のCry15タンパク質;米国特許第6,127,180号、同第6,624,145号、及び同第6,340,593号のCry22、Cry34Ablタンパク質;米国特許第6,248,535号、同第6,326,351号、同第6,399,330号、同第6,949,626号、同第7,385,107号、及び同第7,504,229号のCryET33及びcryET34タンパク質;米国特許公開第2006/0191034号、同第2012/0278954号、及びPCT公開第WO2012/139004号のCryET33及びCryET34ホモログ;米国特許第6,083,499号、同第6,548,291号、及び同第6,340,593号のCry35Ablタンパク質;Cry46タンパク質、Cry51タンパク質、Cry二成分毒素(binary toxin);TIC901または関連する毒素;米国特許出願公開第2008/0295207号のTIC807;PCT US2006/033867のET29、ET37、TIC809、TIC810、TIC812、TIC127、TIC128;米国特許第8,513,494号のTIC853毒素、米国特許第8,236,757号のAXMI-027、AXMI-036、及びAXMI-038;米国特許第7,923,602号のAXMI-031、AXMI-039、AXMI-040、AXMI-049;WO2006/083891のAXMI-018、AXMI-020、及びAXMI-021;WO2005/038032のAXMI-010;WO2005/021585のAXMI-003;米国特許出願公開第2004/0250311号のAXMI-008;米国特許出願公開第2004/0216186号のAXMI-006;米国特許出願公開第2004/0210965号のAXMI-007;米国特許出願第2004/0210964号のAXMI-009;米国特許出願公開第2004/0197917号のAXMI-014;米国特許出願公開第2004/0197916号のAXMI-004;WO2006/119457号のAXMI-028及びAXMI-029;WO2004/074462号のAXMI-007、AXMI-008、AXMI-0080rf2、AXMI-009、AXMI-014、及びAXMI-004;米国特許第8,084,416号のAXMI-150;米国特許出願公開第2011/0023184号のAXMI-205;米国特許出願公開第2011/0263488号のAXMI-011、AXMI-012、AXMI-013、AXMI-015、AXMI-019、AXMI-044、AXMI-037、AXMI-043、AXMI-033、AXMI-034、AXMI-022、AXMI-023、AXMI-041、AXMI-063、及びAXMI-064;米国特許出願公開第2010/0197592号のAXMI-Rl及び関連するタンパク質;WO2011/103248号のAXMI221Z、AXMI222z、AXMI223z、AXMI224z、及びAXMI225z;WO2011/103247及び米国特許第8,759,619号のAXMI218、AXMI219、AXMI220、AXMI226、AXMI227、AXMI228、AXMI229、AXMI230、及びAXMI231;米国特許第8,334,431号のAXMI-115、AXMI-113、AXMI-005、AXMI-163、及びAXMI-184;米国特許出願公開第2010/0298211号のAXMI-001、AXMI-002、AXMI-030、AXMI-035、及びAXMI-045;米国特許出願公開第2009/0144852号のAXMI-066及びAXMI-076;米国特許第8,318,900号のAXMI128、AXMI130、AXMI131、AXMI133、AXMI140、AXMI141、AXMI142、AXMI143、AXMI144、AXMI146、AXMI148、AXMI149、AXMI152、AXMI153、AXMI154、AXMI155、AXMI156、AXMI157、AXMI158、AXMI162、AXMI165、AXMI166、AXMI167、AXMI168、AXMI169、AXMI170、AXMI171、AXMI172、AXMI173、AXMI174、AXMI175、AXMI176、AXMI177、AXMI178、AXMI179、AXMI180、AXMI181、AXMI182、AXMI185、AXMI186、AXMI187、AXMI188、AXMI189;米国特許出願公開第2010/0005543号のAXMI079、AXMI080、AXMI081、AXMI082、AXMI091、AXMI092、AXMI096、AXMI097、AXMI098、AXMI099、AXMI100、AXMI101、AXMI102、AXMI103、AXMI104、AXMI107、AXMI108、AXMI109、AXMI110、AXMI111、AXMI112、AXMI114、AXMI116、AXMI117、AXMI118、AXMI119、AXMI120、AXMI121、AXMI122、AXMI123、AXMI124、AXMI1257、AXMI1268、AXMI127、AXMI129、AXMI164、AXMI151、AXMI161、AXMI183、AXMI132、AXMI138、AXMI137、米国特許出願公開US20140223598号のAXMI270、米国特許出願公開US20140223599号のAXMI279、米国特許第8,319,019号の修飾されたタンパク質分解部位を有するCry1A及びCry3A等のcryタンパク質;米国特許出願公開第2011/0064710号のBacillus thuringiensis菌株VBTS 2528由来のCry1Ac、Cry2Aa、及びCry1Ca毒素タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。他のCryタンパク質は、当業者に周知である。N.Crickmore,et al.,“Revision of the Nomenclature for the Bacillus thuringiensis Pesticidal Crystal Proteins,”Microbiology and Molecular Biology Reviews,”(1998)Vol 62:807-813を参照されたい。また、://www.btnomenclature.info/にて、N.Crickmore,et al.,“Bacillus thuringiensis toxin nomenclature”(2016)も参照されたい。
【0297】
トランスジェニック植物形質としてのCryタンパク質の使用は、当業者に周知であり、CrylAc、Cry1Ac+Cry2Ab、CrylAb、CrylA.105、CrylF、Cry1Fa2、CrylF+CrylAc、Cry2Ab、Cry3A、mCry3A、Cry3Bbl、Cry34Abl、Cry35Abl、Vip3A、mCry3A、Cry9c、及びCBI-Btを発現する植物を含むがこれらに限定されないCryトランスジェニック植物が、規制当局の承認を受けている。Sanahuja et al.,“Bacillus thuringiensis:a century of research,development and commercial applications,”(2011)Plant Biotech Journal,April 9(3):283-300、及びcera-gmc.org/index.php?action=gm_crop_databaseにて、the CERA(2010)GM Crop Database Center for Environmental Risk Assessment(CERA),ILSI Research Foundation,Washington D.C.(これは「www」のプレフィックスを使用してワールドワイドウェブでアクセスすることができる)を参照されたい。また、Vip3Ab及びCrylFa(US2012/0317682)、CrylBE及びCrylF(US2012/0311746)、CrylCA及びCrylAB(US2012/0311745)、CrylF及びCryCa(US2012/0317681)、CrylDA及びCrylBE(US2012/0331590)、CrylDA及びCrylFa(US2012/0331589)、CrylAB及びCrylBE(US2012/0324606)、CrylFa及びCry2AaならびにCryll及びCrylE(US2012/0324605)、Cry34Ab/35Ab及びCry6Aa(US20130167269)、Cry34Ab/VCry35Ab及びCry3Aa(US20130167268)、CrylAb及びCrylF(US20140182018)、ならびにCry3A及びCrylAbまたはVip3Aa(US20130116170)等の、当業者に周知の1つよりも多くの殺有害生物性タンパク質を植物において発現させることができる。殺有害生物性タンパク質にはまた、米国特許第7,491,869号の脂質アシルヒドロラーゼを含む殺虫性リパーゼ、及びStreptomyces由来のもの等のコレステロールオキシダーゼ(Purcell et al.(1993)Biochem Biophys Res Commun 15:1406-1413)が含まれる。
【0298】
殺有害生物性タンパク質にはまた、VIP(植物性殺虫性タンパク質)毒素も含まれる。昆虫病原性細菌は、封入体または副胞子結晶に蓄積する殺虫性タンパク質(前述のCry及びCytタンパク質等)、ならびに培養基中に分泌される殺虫性タンパク質を産生する。後者の中には、Vipタンパク質があり、これは、それらのアミノ酸同一性に従って4つのファミリーに類別される。Vip1及びVip2タンパク質は、二成分毒素として作用し、鞘翅目及び半翅目の一部の成員に対して毒性である。Vip1構成成分は、昆虫中腸の膜における受容体に結合すると考えられ、Vip2構成成分は細胞に侵入し、細胞内でアクチンに対してそのADP-リボシルトランスフェラーゼ活性を示すことにより、微小線維形成を阻止する。Vip3は、Vip1またはVip2との配列類似性を何ら有せず、鱗翅目の多種多様な成員に対して毒性である。その作用様式は、タンパク質分解活性化、中腸上皮膜への結合、及び孔形成の点でCryタンパク質のそれに類似することが示されているが、Vip3Aタンパク質は、Cryタンパク質と結合部位を共有しない。後者の特性により、それらは、トランスジェニック植物(Bacillus thuringiensis処理作物[Bt作物])においてCryタンパク質と組み合わせて、昆虫耐性を阻止または遅延させると共に殺虫スペクトルを広げるための良好な候補となっている。Cryタンパク質と組み合わせてVip3Aaタンパク質を発現する、商業的に栽培されるBt綿及びBtメイズの品種が存在する。ごく最近報告されたVip4ファミリーについては、標的昆虫は未だ見出されていない。Chakroun et al.,“Bacterial Vegetative Insecticidal Proteins(Vip)from Entomopathogenic Bacteria,”Microbiol Mol Biol Rev.2016 Mar 2;80(2):329-50を参照されたい。VIPについては、米国特許第5,877,012号、同第6,107,279号、同第6,137,033号、同第7,244,820号、同第7,615,686号、及び同第8,237,020号等に見出すことができる。他のVIPタンパク質は、当業者に周知である(lifesci.sussex.ac.uk/home/Neil_Crickmore/Bt/vip.htmlを参照されたく、これは「www」のプレフィックスを使用してワールドワイドウェブでアクセスすることができる)。
【0299】
殺有害生物性タンパク質にはまた、Xenorhabdus、Photorhabdus、及びPaenibacillus等の生物から得ることが可能な毒素複合体(TC)タンパク質も含まれる(米国特許第7,491,698号及び同第8,084,418号を参照されたい)。「独立型の(stand alone)」殺虫性活性を有するTCタンパク質もあれば、同じ所与の生物によって産生される独立型の毒素の活性を強化するTCタンパク質もある。「独立型の」TCタンパク質(例えば、Photorhabdus、XenorhabdusまたはPaenibacillus由来)の毒性は、異なる属の供給源生物に由来する1つまたは複数のTCタンパク質「増強物質」によって強化され得る。3つの主要なタイプのTCタンパク質が存在する。本明細書で言及されるとき、クラスAタンパク質(「タンパク質A」)は、独立型の毒素である。クラスBタンパク質(「タンパク質B」)及びクラスCタンパク質(「タンパク質C」)は、クラスAタンパク質の毒性を強化する。クラスAタンパク質の例は、TcbA、TcdA、XptAl、及びXptA2である。クラスBタンパク質の例は、TcaC、TcdB、XptBlXb、及びXptCl Wiである。クラスCタンパク質の例は、TccC、XptClXb、及びXptBl Wiである。殺有害生物性タンパク質にはまた、クモ、ヘビ、及びサソリ毒タンパク質も含まれる。クモ毒ペプチドの例としては、リコトキシン(lycotoxin)-1ペプチド及びその突然変異体(米国特許第8,334,366号)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0300】
一部の現在登録済みのPIPが、表11に列挙される。トランスジェニック植物はまた、昆虫遺伝子に指向されるdsRNAを発現するように操作されている(Baum,J.A.et al.(2007)Control of coleopteran insect pests through RNA interference.Nature Biotechnology 25:1322-1326、Mao,Y.B.et al.(2007)Silencing a cotton bollworm P450 monooxygenase gene by plant-mediated RNAi impairs larval tolerance of gossypol.Nature Biotechnology 25:1307-1313)。有害生物がトランスジェニック植物を摂食することによって、有害生物においてRNA干渉を誘発することができる。故に、有害生物の接触は、その有害生物の損傷または死を引き起こす。
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表11-4】
【表11-5】
【表11-6】
【表11-7】
【表11-8】
【0301】
一部の実施形態では、本明細書に述べられる農薬のうちのいずれか1つまたは複数が、本開示の微生物のうちのいずれか1つまたは複数と共に利用されてもよく、種子を含めた植物またはその部位に施用され得る。
【0302】
除草剤
前述のように、本明細書で教示される任意の微生物を含み得る、本開示の農業組成物は、1つまたは複数の除草剤と組み合わされることがある。
【0303】
本明細書に記載の方法により生産される及び/または本明細書に記載されるような特性を有する細菌または細菌集団を含む組成物は、1つまたは複数の除草剤をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、除草組成物が、植物及び/または植物部位に施用される。一部の実施形態では、除草組成物が、本明細書に述べられる組成物に含まれてもよく、他の化合物と同時にまたは連続して、植物(複数可)またはその部位(複数可)に施用され得る。
【0304】
除草剤には、2,4-D、2,4-DB、アセトクロール、アシフルオルフェン、アラクロール、アメトリン、アトラジン、アミノピラリド、ベネフィン、ベンスルフロン、ベンスリド、ベンタゾン、ビシクロピロン、ブロマシル、ブロモキシニル、ブチラート、カルフェントラゾン、クロリムロン(chlorimuron)、クロルスルフロン(Chlorsulfuron)、クレトジム、クロマゾン、クロピラリド、クロランスラム、シクロエート、DCPA、デスメディファム、ジカンバ、ジクロベニル、ジクロホップ、ジクロスラム(diclosulam)、ジフルフェンゾピル(diflufenzopyr)、ジメテナミド、ジクワット、ジウロン、DSMA、エンドタール、EPTC、エタルフルラリン、エトフメサート、フェノキサプロップ、フルアジホップ-P、フルカルバゾン(flucarbzone)、フルフェナセット、フルメツラム、フルミクロラック、フルミオキサジン、フルオメツロン、フルロキシピル、ホメサフェン(Fomesafen)、ホラムスルフロン(Foramsulfuron)、グルホシネート、グリホサート、ハロスルフロン(Halosulfuron)、ヘキサジノン、イマザメタベンズ、イマザモックス(Imazamox)、イマザピック、イマザキン、イマゼタピル、イソキサフルトール、ラクトフェン、リニュロン、MCPA、MCPB、メソトリオン、メトラクロール-s、メトリブジン、インダジフラム、メトスルフロン、モリネート、MSMA、ナプロパミド、ナプタラム、ニコスルフロン、ノルフルラゾン、オリザリン、オキサジアゾン、オキシフルオルフェン、パラコート、ペラルゴン酸、ペンディメタリン、フェンメディファム、ピクロラム、プリミスルフロン、プロジアミン、プロメトリン、プロナミド、プロパニル、プロスルフロン、ピラゾン、ピリチオバック(Pyrithioac)、キンクロラック、キザロホップ、リムスルフロン、S-メトラクロール、セトキシジム、シデュロン、シマジン、スルフェントラゾン、スルホメツロン、スルホスルフロン、テブチウロン、テンボトリオン、ターバシル、チアゾピル、チフェンスルフロン、チオベンカルブ、トプラメゾン、トラルコキシジム(Tralkoxydim)、トリアレート、トリアスルフロン(Triasulfuron)、トリベヌロン、トリクロピル、トリフルラリン、及びトリフルスルフロンが含まれる。
【0305】
一部の実施形態では、本明細書に述べられる除草剤のうちのいずれか1つまたは複数が、本明細書に述べられる植物またはその部位のうちのいずれか1つまたは複数と共に利用されてもよい。
【0306】
除草製品には、CORVUS、BALANCE FLEXX、CAPRENO、DIFLEXX、LIBERTY、LAUDIS、AUTUMN SUPER、及びDIFLEXX DUOが含まれてもよい。
【0307】
一部の実施形態では、下記の表12に述べられる除草剤のうちのいずれか1つまたは複数が、本明細書で教示される微生物のうちのいずれか1つまたは複数と共に利用されてもよく、本明細書に述べられる植物またはその部位のうちのいずれか1つまたは複数に施用され得る。
【表12-1】
【表12-2】
【表12-3】
【0308】
殺真菌剤
前述のように、本明細書で教示される任意の微生物を含み得る、本開示の農業組成物は、1つまたは複数の殺真菌剤と組み合わされることがある。
【0309】
本明細書に記載の方法により生産される及び/または本明細書に記載されるような特性を有する細菌または細菌集団を含む組成物は、1つまたは複数の殺真菌剤をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、殺真菌性組成物が、本明細書に述べられる組成物に含まれてもよく、他の化合物と同時にまたは連続して、植物(複数可)またはその部位(複数可)に施用され得る。殺真菌剤には、アゾキシストロビン、キャプタン、カルボキシン、エタボキサム、フルジオキソニル、メフェノキサム、フルジオキソニル、チアベンダゾール、チアベンダズ(thiabendaz)、イプコナゾール、マンコゼブ、シアゾファミド、ゾキサミド、メタラキシル、PCNB、メタコナゾール(metaconazole)、ピラクロストロビン、Bacillus subtilis菌株QST 713、セダキサン、チアメトキサム、フルジオキソニル、チラム、トルクロホスメチル、トリフロキシストロビン、Bacillus subtilis菌株MBI 600、ピラクロストロビン、フルオキサストロビン(Fluoxastrobin)、Bacillus pumilus菌株QST 2808、クロロタロニル、銅、フルトリアホール、フルキサピロキサド、マンコゼブ、グルジオキソニル(gludioxonil)、ペンチオピラド、トリアゾール、プロピコナゾール(propiconaozole)、プロチオコナゾール、テブコナゾール、フルオキサストロビン(Fluoxastrobin)、ピラクロストロビン、ピコキシストロビン、Qol、テトラコナゾール、トリフロキシストロビン、シプロコナゾール、フルトリアホール、SDHI、EBDC、セダキサン、MAXIM QUATTRO(グルジオキソニル(gludioxonil)、メフェノキサム、アゾキシストロビン、及びチアベンダズ(thiabendaz))、RAXIL(テブコナゾール、プロチオコナゾール、メタラキシル、及びエトキシ化タローアルキルアミン)、及びベンゾビンジフルピルが含まれる。
【0310】
一部の実施形態では、本明細書に述べられる殺真菌剤のうちのいずれか1つまたは複数が、本明細書に述べられる植物またはその部位のうちのいずれか1つまたは複数と共に利用されてもよい。
【0311】
殺線虫剤
前述のように、本明細書で教示される任意の微生物を含み得る、本開示の農業組成物は、1つまたは複数の殺線虫剤と組み合わされることがある。
【0312】
本明細書に記載の方法により生産される及び/または本明細書に記載されるような特性を有する細菌または細菌集団を含む組成物は、1つまたは複数の殺線虫剤をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、殺線虫性組成物が、本明細書に述べられる組成物に含まれてもよく、他の化合物と同時にまたは連続して、植物(複数可)またはその部位(複数可)に施用され得る。殺線虫剤は、D-D、1,3-ジクロロプロペン、二臭化エチレン、1,2-ジブロモ-3-クロロプロパン、臭化メチル、クロルピクリン、メタムナトリウム、ダゾメット、メチルイソチオシアネート、テトラチオ炭酸ナトリウム、アルジカルブ、アルドキシカルブ、カルボフラン、オキサミル、エトプロプ(ethoprop)、フェナミホス、カズサホス、ホスチアゼート、テルブホス、フェンスルホチオン、ホレート、DiTera、クランドサン(clandosan)、シンコシン(sincocin)、ヨウ化メチル、臭化プロパルギル、2,5-ジヒドロキシメチル-3,4-ジヒドロキシピロリジン(DMDP)、アベルメクチンのうちのいずれか1つまたは複数、アジ化ナトリウム、フルフラール、Bacillus firmus、アバメクトリン(abamectrin)、チアメトキサム、フルジオキソニル、クロチアニジン(clothiandin)、サリチル酸、及びベンゾ-(1,2,3)-チアジアゾール-7-カルボチオ酸S-メチルエステルから選択されてもよい。
【0313】
一部の実施形態では、本明細書に述べられる殺線虫剤のうちのいずれか1つまたは複数が、本明細書に述べられる植物またはその部位のうちのいずれか1つまたは複数と共に利用されてもよい。
【0314】
一部の実施形態では、本明細書に述べられる殺線虫剤、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤、及び/または農薬のうちのいずれか1つまたは複数が、本明細書に述べられる植物またはその部位のうちのいずれか1つまたは複数と共に利用されてもよい。
【0315】
肥料、窒素安定剤、及びウレアーゼ阻害剤
前述のように、本明細書で教示される任意の微生物を含み得る、本開示の農業組成物は、肥料、窒素安定剤、またはウレアーゼ阻害剤のうちの1つまたは複数と組み合わされることがある。
【0316】
一部の実施形態では、肥料が、本開示の方法及び細菌と組み合わせて使用される。肥料には、数ある中でも、無水アンモニア、尿素、硝酸アンモニウム、及び尿素硝安(UAN)組成物が含まれる。一部の実施形態では、ポップアップ(pop-up)施肥及び/またはスターター(starter)施肥が、本開示の方法及び細菌と組み合わせて使用される。
【0317】
一部の実施形態では、窒素安定剤が、本開示の方法及び細菌と組み合わせて使用される。窒素安定剤には、ニトラピリン、2-クロロ-6-(トリクロロメチル)ピリジン、N-SERVE 24、INSTINCT、ジシアンジアミド(DCD)が含まれる。
【0318】
一部の実施形態では、ウレアーゼ阻害剤が、本開示の方法及び細菌と組み合わせて使用される。ウレアーゼ阻害剤には、N-(n-ブチル)-チオリン酸トリアミド(NBPT)、AGROTAIN、AGROTAIN PLUS、及びAGROTAIN PLUS SCが含まれる。さらに、本開示では、AGROTAIN ADVANCED 1.0、AGROTAIN DRI-MAXX、及びAGROTAIN ULTRAの利用が企図される。
【0319】
さらに、安定化された形態の肥料を使用することができる。例えば、安定化された形態の肥料は、安定化された尿素に基づく顆粒中に46%の窒素を含有するSUPER Uであり、SUPERUは、脱窒、浸出、及び揮発から保護するためのウレアーゼ及び硝化阻害剤を含有する。NITAMIN等の安定化及び標的化された葉面肥料もまた、本明細書で使用され得る。
【0320】
ポップアップ肥料が、トウモロコシ圃場で一般的に使用される。ポップアップ施肥は、植栽時に種子に数ポンドの栄養素を施用することを含む。ポップアップ施肥は、実生活力を増加させるために使用される。
【0321】
本明細書で使用され得る緩徐放出または制御放出肥料は、施用後に植物による取り込み及び使用のためのその利用可能性を遅延させる形態で植物栄養素を含有する肥料、または植物へのその利用可能性を、硝酸アンモニウムもしくは尿素、リン酸アンモニウム、または塩化カリウム等の参照の「迅速に利用可能な栄養素肥料」よりも顕著に長く延長する肥料を含意する。そのような最初の利用可能性の遅延または継続する利用可能性の延長時間は、様々な機構によって生じ得る。これらには、半透性コーティング、遮閉、タンパク質材料、もしくは他の化学形態による、水溶性低分子量化合物の緩徐な加水分解による、または他の未知の手段による材料の水溶解度の制御が含まれる。
【0322】
本明細書で使用され得る安定化された窒素肥料は、窒素安定剤が添加された肥料を含意する。窒素安定剤は、肥料の窒素成分が尿素-Nまたはアンモニア性-N形態で土壌に留まる時間を延長する、肥料に添加される物質である。
【0323】
本明細書で使用され得る硝化阻害剤は、アンモニア性-Nの硝酸性-Nへの生物学的酸化を阻害する物質を含意する。一部の例としては、(1)2-クロロ-6-(トリクロロメチル-ピリジン)、一般名Nitrapyrin、製造元Dow Chemical、(2)4-アミノ-1,2,4-6-トリアゾール-HCl、一般名ATC、製造元Ishihada Industries、(3)2,4-ジアミノ-6-トリクロロ-メチルトリアジン、一般名CI-1580、製造元American Cyanamid、(4)ジシアンジアミド、一般名DCD、製造元Showa Denko、(5)チオ尿素、一般名TU、製造元Nitto Ryuso、(6)1-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、一般名MT、製造元Nippon、(7)2-アミノ-4-クロロ-6-メチル-ピラミジン、一般名AM、製造元Mitsui Toatsu、(8)3,4-ジメチルピラゾールホスフェート(DMPP)、BASFより、(9)1-アミド-2-チオ尿素(ASU)、Nitto Chemical Ind.より、(10)チオ硫酸アンモニウム(ATS)、(11)1H-1,2,4-トリアゾール(HPLC)、(12)5-エチレンオキシド-3-トリクロロ-メチル1,2,4-チオジアゾール(Terrazole)、Olin Mathiesonより、(13)3-メチルピラゾール(3-MP)、(14)1-カルバモイル-3-メチル-ピラゾール(CMP)、(15)ニーム、及び(16)DMPPが挙げられる。
【0324】
本明細書で使用され得るウレアーゼ阻害剤は、酵素ウレアーゼによる尿素に対する加水分解作用を阻害する物質を含意する。何千もの化学物質が土壌ウレアーゼ阻害剤として評価されてきた(Kiss及びSimihaian、2002年)。しかしながら、試験された多くの化合物のうちの少数のみが、非毒性であり、低濃度で有効であり、安定であり、尿素(固体及び溶液)と適合性であり、土壌中で分解可能であり、かつ安価である、という必要な要件を満たす。それらは、それらの構造及び酵素ウレアーゼとのそれらの想定される相互作用に従って分類することができる(Watson、2000年、2005年)。4つの主要なクラスのウレアーゼ阻害剤、すなわち、(a)スルフヒドリル(sulphydryl)基(スルフヒドリル試薬)と相互作用する試薬、(b)ヒドロキサメート、(c)農業作物保護化学物質、ならびに(d)尿素の構造類似体及び関連する化合物が提案されている。N-(n-ブチル)チオリン酸トリアミド(NBPT)、フェニルホスホロジアミデート(PPD/PPDA)、及びヒドロキノンが恐らく最も徹底的に研究されているウレアーゼ阻害剤である(Kiss及びSimihaian、2002年)。研究及び実用試験がまた、N-(2-ニトロフェニル)リン酸トリアミド(2-NPT)及びチオ硫酸アンモニウム(ATS)で実施されている。有機リン化合物は、尿素の構造類似体であり、ウレアーゼ酵素の活性部位を遮断する、ウレアーゼ活性の最も有効な阻害剤のうちの一部である(Watson、2005年)。
【0325】
トウモロコシのための殺虫性種子処理剤(IST)
トウモロコシ種子処理剤は通常、3つの有害生物スペクトル、すなわち、線虫、真菌性実生病害、及び昆虫を標的とする。
【0326】
殺虫剤種子処理剤は通常、種子処理パッケージの主要な構成成分である。現在利用可能なほとんどのトウモロコシ種子は、殺真菌剤及び殺虫剤を含む基本パッケージを備える。一部の態様では、種子処理剤の殺虫剤選択肢には、Poncho(クロチアニジン)、Cruiser/Cruiser Extreme(チアメトキサム)、及びGaucho(イミダクロプリド)が含まれる。これらの製品の3つ全ては、ネオニコチノイド系化学物質である。250(0.25mg AI/種子)の量でのCruiser及びPonchoが、トウモロコシに利用可能な最も一般的な基本選択肢のうちの一部である。一部の態様では、処理剤の殺虫剤選択肢には、CRUISER 250チアメトキサム、CRUISER 250(チアメトキサム)とLUMIVIA(クロラントラニリプロール)、CRUISER 500(チアメトキサム)、及びPONCHO VOTIVO 1250(クロチアニジン及びBacillus firmus I-1582)が含まれる。
【0327】
Pioneerの基本殺虫剤種子処理パッケージは、同じく利用可能なPoncho/Votivo 1250とのCruiser 250からなる。Votivoは、線虫に対して保護する生物学的薬剤である。
【0328】
トウモロコシ、ダイズ、及び綿を含むMonsantoの製品は、Acceleron処理剤の包括に該当する。Dekalbトウモロコシ種子は、Poncho 250を標準で備える。生産業者はまた、Poncho/Votivoにアップグレードする選択肢を有し、このうちPonchoは500の量で施用される。
【0329】
Agrisure、Golden Harvest、及びGarstは、殺真菌剤及びCruiser 250を含む基本パッケージを有する。Avicta Complete Cornもまた利用可能であり、これは、Cruiser 500、殺真菌剤、及び線虫保護を含む。Cruiser Extremeは、種子処理パッケージとして利用可能な別の選択肢であるが、Cruiserの量は、従来のCruiser種子処理剤と同じ、すなわち、250、500、または1250である。
【0330】
別の選択肢は、利用可能な最低限の殺虫剤処理剤を購入し、販売業者に下流で種子を処理させることである。
【0331】
トウモロコシのための市販のISTが、下記の表13に列挙され、1つまたは複数の本明細書で教示される微生物と組み合わせることができる。
【表13-1】
【表13-2】
【表13-3】
【表13-4】
【表13-5】
【0332】
作物への細菌集団の施用
本明細書に記載の細菌または細菌集団の組成物は、畦間で、タルク中で、または種子処理剤として施用することができる。組成物は、バルク、ミニバルクで、袋中で、またはタルク中で種子パッケージに施用することができる。
【0333】
プランターは、処理された種子を植栽し、従来の方式に従って2条で、または耕うんを必要としない方式で作物を栽培することができる。種子は、コントロールホッパーまたは個別のホッパーを使用して散布することができる。また、種子は、加圧空気を使用してまたは手作業で散布することができる。種子配置は、可変作業技術(variable rate technology)を使用して実施することができる。加えて、本明細書に記載の細菌または細菌集団の施用は、可変作業技術を使用して施用されてもよい。一部の例では、細菌は、トウモロコシ、ダイズ、キャノーラ、モロコシ、ジャガイモ、イネ、野菜、穀類、擬似穀類(pseudocereal)の種子、及び油糧種子に施用することができる。穀類の例としては、オオムギ、フォニオ、オートムギ、パルマーグラス(palmer’s grass)、ライムギ、トウジンビエ(pearl millet)、モロコシ、スペルトコムギ、テフ、ライコムギ、及びコムギが挙げられ得る。擬似穀類の例としては、ブレッドナッツ、ソバ、ガマ、チア、亜麻、アマランサス子実、ハンザ(hanza)、キノア、及びゴマが挙げられ得る。一部の例では、種子は、遺伝子組換え生物(GMO)、非GMO、有機、または従来のものであり得る。
【0334】
マイクロ肥料、PGR、除草剤、殺虫剤、及び殺真菌剤等の添加剤を追加で使用して、作物を処理することができる。添加剤の例としては、殺虫剤、殺線虫剤、殺真菌剤等の作物保護剤、着色剤、ポリマー、ペレット化(pelleting)、プライミング(priming)、及び消毒剤等の強化剤、ならびに接種剤、PGR、軟化剤、及び微量栄養素等の他の薬剤が挙げられる。PGRは、根成長、開花、または茎伸長に影響を及ぼす天然または合成の植物ホルモンであり得る。PGRには、オーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、エチレン、及びアブシジン酸(ABA)が含まれ得る。
【0335】
組成物は、液体肥料と組み合わせて畦間で施用することができる。一部の例では、液体肥料は、槽に保持されてもよい。NPK肥料は、ナトリウム、亜リン酸、及びカリウムという多量栄養素を含有する。
【0336】
組成物は、植物成長の促進、葉中の高葉緑素含量の維持、果実数または種子数の増加、及び果実単位重量または種子単位重量の増加等、植物形質を改善し得る。本開示の方法は、様々な望ましい形質のうちの1つまたは複数を導入または改善するために用いられてもよい。導入または改善され得る形質の例としては、根バイオマス、根長、植物丈、苗条長、葉数、水利用効率、全体的バイオマス、収量、果実サイズ、穀粒サイズ、光合成速度、干ばつ耐性、耐熱性、耐塩性、低窒素ストレス耐性、窒素使用効率、線虫ストレス耐性、真菌病原体耐性、細菌病原体耐性、ウイルス病原体耐性、代謝物のレベル、代謝物のレベルの調整、プロテオーム発現が挙げられる。植物丈、全体的バイオマス、根及び/または苗条バイオマス、種子発芽、実生生存、光合成効率、蒸散率、種子/果実数もしくは質量、植物穀物もしくは果実の収量、葉の葉緑素含量、光合成速度、根長、またはそれらの任意の組み合わせを含めた、望ましい形質を使用して、成長を測定することができ、同一条件下で栽培された参照農業植物(例えば、導入及び/または改善された形質を有しない植物)の成長速度と比較することができる。一部の例では、植物丈、全体的バイオマス、根及び/または苗条バイオマス、種子発芽、実生生存、光合成効率、蒸散率、種子/果実数もしくは質量、植物穀物もしくは果実の収量、葉の葉緑素含量、光合成速度、根長、またはそれらの任意の組み合わせを含めた、望ましい形質を使用して、成長を測定することができ、類似の条件下で栽培された参照農業植物(例えば、導入及び/または改善された形質を有しない植物)の成長速度と比較することができる。
【0337】
宿主植物に対する農学的形質には、以下のもの、すなわち、油含量の改変、タンパク質含量の改変、種子炭水化物組成の改変、種子油組成の改変、及び種子タンパク質組成の改変、化学物質耐性、耐寒性、老化遅延、病害耐性、干ばつ耐性、穂重、成長改善、健康増進、耐熱性、除草剤耐性、草食動物耐性、窒素固定の改善、窒素利用の改善、根アーキテクチャの改善、水使用効率の改善、バイオマスの増加、根長の増加、種子重量の増加、苗条長さの増加、収量の増加、水制限条件下での収量の増加、穀粒質量、穀粒水分含量、金属耐性、穂数、1穂当たりの穀粒数、さや数、栄養強化、病原体耐性、有害生物耐性、光合成能力の改善、塩分耐性、緑維持(stay-green)、活力改善、成熟種子の乾燥重量の増加、成熟種子の生重量の増加、1植物当たりの成熟種子数の増加、葉緑素含量の増加、1植物当たりのさや数の増加、1植物当たりのさや長の増加、1植物当たりのしおれた葉の数の減少、1植物当たりの重度にしおれた葉の数の減少、及び1植物当たりのしおれていない葉の数の増加、該種子処理剤製剤を用いずに種子から成長させた同系統植物と比較した、代謝物レベルの検出可能な調節、転写物レベルの検出可能な調節、及びプロテオームの検出可能な調節が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0338】
一部の場合では、植物には、接種される植物の植物要素と同じ植物種から単離された細菌または細菌集団が接種される。例えば、Zea mays(トウモロコシ)の1つの品種に通常見出される細菌または細菌集団が、その天然の状態では該細菌及び細菌集団を欠如するZea maysの別の品種の植物の植物要素に結び付けられる。一実施形態では、細菌及び細菌集団は、接種される植物の植物要素と関連する植物種に属する植物に由来する。例えば、Zea diploperennis Iltis等(diploperennial teosinte)に通常見出される細菌及び細菌集団が、Zea mays(トウモロコシ)に施用されるか、またはその逆である。一部の場合では、植物には、接種される植物の植物要素に対して異種である細菌及び細菌集団が接種される。一実施形態では、細菌及び細菌集団は、別の種の植物に由来する。例えば、通常は双子葉植物に見出される細菌及び細菌集団が、単子葉植物に施用されるか(例えば、ダイズ由来細菌及び細菌集団をトウモロコシに接種する)、またはその逆である。他の場合では、植物に接種されるべき細菌及び細菌集団は、接種されている植物の関連種に由来する。一実施形態では、細菌及び細菌集団は、関連分類群、例えば関連種に由来する。別の種の植物は、農業植物であり得る。別の実施形態では、細菌及び細菌集団は、任意の宿主植物要素に接種される設計された組成物の一部である。
【0339】
一部の例では、細菌または細菌集団は、外因性であり、細菌及び細菌集団が、接種される植物とは異なる植物から単離される。例えば、一実施形態では、細菌または細菌集団は、接種される植物と同じ種の異なる植物から単離することができる。一部の場合では、細菌または細菌集団は、接種される植物に関連する種から単離することができる。
【0340】
一部の例では、本明細書に記載の細菌及び細菌集団は、1つの組織タイプから別の組織タイプへと移動することが可能である。例えば、種子の外側にコーティングした後の植物の成熟組織内での細菌及び細菌集団の本発明の検出及び単離により、種子外側から成熟中の植物の栄養組織内へと移動するそれらの能力が実証される。したがって、一実施形態では、細菌の集団及び細菌集団は、種子外側から植物の栄養組織内へと移動することが可能である。一実施形態では、植物の種子にコーティングされた細菌及び細菌集団は、種子が植物状態へと発芽すると、植物の異なる組織に局在化することが可能である。例えば、細菌及び細菌集団は、根、不定根、種子根、根毛、苗条、葉、花、芽、房、分裂組織、花粉、雌しべ、子房、雄しべ、果実、走根、根茎、根粒、塊茎、突起様構造、孔辺細胞、排水組織、花弁、がく片、穎、軸、維管束形成層、師部、及び木部を含む、植物の組織のうちのいずれか1つに局在化することが可能であり得る。一実施形態では、細菌及び細菌集団は、植物の根及び/または根毛に局在化することが可能である。別の実施形態では、細菌及び細菌集団は、光合成組織、例えば、植物の葉及び苗条に局在化することが可能である。他の場合では、細菌及び細菌集団は、植物の維管束組織、例えば、木部及び師部に局在化する。さらに別の実施形態では、細菌及び細菌集団は、植物の生殖組織(花、花粉、雌しべ、子房、雄しべ、果実)に局在化することが可能である。別の実施形態では、細菌及び細菌集団は、植物の根、苗条、葉、及び生殖組織に局在化することが可能である。さらに別の実施形態では、細菌及び細菌集団は、植物の果実または種子組織でコロニー形成する。さらに別の実施形態では、細菌及び細菌集団は、それが植物の表面に存在する(すなわち、その存在が、植物外側、または植物のエピスフィア(episphere)に検出可能に存在する)ように、植物でコロニー形成することが可能である。さらに他の実施形態では、細菌及び細菌集団は、植物の実質的に全てまたは全ての組織に局在化することが可能である。ある特定の実施形態では、細菌及び細菌集団は、植物の根には局在化しない。他の場合では、細菌及び細菌集団は、植物の光合成組織には局在化しない。
【0341】
また、組成物の有効性は、作物の相対的成熟度または作物発熱単位(crop heating unit)(CHU)を測定することによって評価することができる。例えば、細菌集団をトウモロコシに施用することができ、トウモロコシ成長を、トウモロコシ穀粒の相対的成熟度、またはトウモロコシ穀粒が最大重量になる時間に従って評価することができる。また、作物発熱単位(CHU)を使用して、トウモロコシ作物の成熟度を予測することができる。CHUは、作物が成長する際の一日の最高温を測定することによって熱蓄積量を決定する。
【0342】
複数の例では、細菌は、根、不定根、種子根、根毛、苗条、葉、花、芽、房、分裂組織、花粉、雌しべ、子房、雄しべ、果実、走根、根茎、根粒、塊茎、突起様構造、孔辺細胞、排水組織、花弁、がく片、穎、軸、維管束形成層、師部、及び木部を含む、植物の組織のうちのいずれか1つに局在化し得る。別の実施形態では、細菌または細菌集団は、光合成組織、例えば、植物の葉及び苗条に局在化することが可能である。他の場合では、細菌及び細菌集団は、植物の維管束組織、例えば、木部及び師部に局在化する。別の実施形態では、細菌または細菌集団は、植物の生殖組織(花、花粉、雌しべ、子房、雄しべ、または果実)に局在化することが可能である。別の実施形態では、細菌及び細菌集団は、植物の根、苗条、葉、及び生殖組織に局在化することが可能である。別の実施形態では、細菌または細菌集団は、植物の果実または種子組織でコロニー形成する。さらに別の実施形態では、細菌または細菌集団は、それが植物の表面に存在するように、植物でコロニー形成することが可能である。別の実施形態では、細菌または細菌集団は、植物の実質的に全てまたは全ての組織に局在化することが可能である。ある特定の実施形態では、細菌または細菌集団は、植物の根には局在化しない。他の場合では、細菌及び細菌集団は、植物の光合成組織には局在化しない。
【0343】
作物に施用される細菌組成物の有効性は、植栽率、播種活力(seeding vigor)、根の強度、干ばつ耐性、植物丈、ドライダウン(dry down)、及び検査重量を含むがこれらに限定されない、作物成長の種々の特徴を測定することによって評価することができる。
【0344】
植物種
本明細書に記載の方法及び細菌は、Hordeum属、Oryza属、Zea属、及びTriticeae属の植物等の、様々な植物のうちのいずれにも好適である。好適な植物の他の非限定的な例としては、コケ類、地衣類、及び藻類が挙げられる。一部の場合では、植物は、食用作物、繊維作物、油糧作物、林業または紙パルプ産業の植物、バイオ燃料生産用の供給原料、及び/または観賞植物等、経済的、社会的、及び/または環境的な価値を有する。一部の例では、植物は、穀物、小麦粉、デンプン、シロップ、粗挽き粉、油、フィルム、パッケージング、栄養補給製品、パルプ、動物飼料、魚飼料、工業化学物質用のバルク材料、穀類製品、加工ヒト用食品、糖、アルコール、及び/またはタンパク質等の、経済的に価値のある製品を生産するために使用されてもよい。作物植物の非限定的な例としては、メイズ、イネ、コムギ、オオムギ、モロコシ、キビ、オートムギ、ライコムギ、ソバ、スイートコーン、サトウキビ、タマネギ、トマト、イチゴ、及びアスパラガスが挙げられる。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法及び細菌は、様々なトランスジェニック植物、非トランスジェニック植物、及びその雑種植物のうちのいずれにも好適である。
【0345】
一部の例では、本明細書に開示される方法及び組成物を使用して得てもよいまたは改善されてもよい植物には、農業、園芸、バイオ燃料分子及び他の化学物質を生産するためのバイオマス、及び/または林業にとって重要であるかまたは関心対象となる植物が含まれ得る。これらの植物の一部の例としては、パイナップル、バナナ、ココナッツ、ユリ、グラスピー、及びイネ科草本;ならびに、例えば、エンドウマメ、アルファルファ、オオブドウホオズキ、メロン、ヒヨコマメ、チコリー、クローバ、ケール、レンズマメ、ダイズ、タバコ、ジャガイモ、サツマイモ、ダイコン、キャベツ、アブラナ、リンゴの木、ブドウ、綿、ヒマワリ、シロイヌナズナ、キャノーラ、柑橘類(オレンジ、マンダリン、キンカン、レモン、ライム、グレープフルーツ、タンジェリン、タンジェロ、シトロン、及びザボンを含む)、コショウ、マメ、レタス、Panicum virgatum(スイッチグラス)、Sorghum bicolor(モロコシ、スーダン)、Miscanthus giganteus(ススキ)、Saccharum種(エネルギーケーン(energycane))、Populus balsamifera(ポプラ)、Zea mays(トウモロコシ)、Glycine max(ダイズ)、Brassica napus(キャノーラ)、Triticum aestivum(コムギ)、Gossypium hirsutum(綿)、Oryza sativa(イネ)、Helianthus annuus(ヒマワリ)、Medicago sativa(アルファルファ)、Beta vulgaris(テンサイ)、Pennisetum glaucum(トウジンビエ)、Panicum種Sorghum種、Miscanthus種、Saccharum種、Erianthus種、Populus種、Secale cereale(ライムギ)、Salix種(ヤナギ)、Eucalyptus種(ユーカリ)、Triticosecale種(triticum-25コムギ×ライムギ)、タケ、Carthamus tinctorius(ベニバナ)、Jatropha curcas(ジャトロファ)、Ricinus communis(キャスター)、Elaeis guineensis(アブラヤシ)、Phoenix dactylifera(ナツメヤシ)、Archontophoenix cunninghamiana(ユスラヤシ)、Syagrus romanzoffiana(ジョウオウヤシ)、Linum usitatissimum(アマ)、Brassica juncea、Manihot esculenta(キャッサバ(cassaya))、Lycopersicon esculentum(トマト)、Lactuca saliva(レタス)、Musa paradisiaca(バナナ)、Solanum tuberosum(ジャガイモ)、Brassica oleracea(ブロッコリー、カリフラワー、メキャベツ)、Camellia sinensis(茶)、Fragaria ananassa(イチゴ)、Theobroma cacao(ココア)、Coffea arabica(コーヒー)、Vitis vinifera(ブドウ)、Ananas comosus(パイナップル)、Capsicum annum(トウガラシ及びアマトウガラシ)、Allium cepa(タマネギ)、Cucumis melo(メロン)、Cucumis sativus(キュウリ)、Cucurbita maxima(カボチャ)、Cucurbita moschata(カボチャ)、Spinacea oleracea(ホウレンソウ)、Citrullus lanatus(スイカ)、Abelmoschus esculentus(オクラ)、Solanum melongena(ナス)、Papaver somniferum(ケシ)、Papaver orientale、Taxus baccata、Taxus brevifolia、Artemisia annua、Cannabis saliva、Camptotheca acuminate、Catharanthus roseus、Vinca rosea、Cinchona officinalis、Coichicum autumnale、Veratrum californica、Digitalis lanata、Digitalis purpurea、Dioscorea種、Andrographis paniculata、Atropa belladonna、Datura stomonium、Berberis種、Cephalotaxus種、Ephedra sinica、Ephedra種、Erythroxylum coca、Galanthus wornorii、Scopolia種、Lycopodium serratum(Huperzia serrata)、Lycopodium種、Rauwolfia serpentina、Rauwolfia種、Sanguinaria canadensis、Hyoscyamus種、Calendula officinalis、Chrysanthemum parthenium、Coleus forskohlii、Tanacetum parthenium、Parthenium argentatum(グアユール)、Hevea種(ゴム)、Mentha spicata(ミント)、Mentha piperita(ミント)、Bixa orellana、Alstroemeria種、Rosa種(バラ)、Dianthus caryophyllus(カーネーション)、Petunia種(ペチュニア)、Poinsettia pulcherrima(ポインセチア)、Nicotiana tabacum(タバコ)、Lupinus albus(ルピナス)、Uniola paniculata(オートムギ)、Hordeum vulgare(オオムギ)、及びLolium種(ライムギ)等の双子葉植物が挙げられ得る。
【0346】
一部の例では、単子葉植物が使用されてもよい。単子葉植物は、Alismatales、Arales、Arecales、Bromeliales、Commelinales、Cyclanthales、Cyperales、Eriocaulales、Hydrocharitales、Juncales、Lilliales、Najadales、Orchidales、Pandanales、Poales、Restionales、Triuridales、Typhales、及びZingiberalesの目に属する。Gymnospermaeの綱に属する植物は、Cycadales、Ginkgoales、Gnetales、及びPinalesである。一部の例では、単子葉植物は、メイズ、イネ、コムギ、オオムギ、及びサトウキビからなる群から選択することができる。
【0347】
一部の例では、Aristochiales、Asterales、Batales、Campanulales、Capparales、Caryophyllales、Casuarinales、Celastrales、Cornales、Diapensales、Dilleniales、Dipsacales、Ebenales、Ericales、Eucomiales、Euphorbiales、Fabales、Fagales、Gentianales、Geraniales、Haloragales、Hamamelidales、Middles、Juglandales、Lamiales、Laurales、Lecythidales、Leitneriales、Magniolales、Malvales、Myricales、Myrtales、Nymphaeales、Papeverales、Piperales、Plantaginales、Plumb aginales、Podostemales、Polemoniales、Polygalales、Polygonales、Primulales、Proteales、Rafflesiales、Ranunculales、Rhamnales、Rosales、Rubiales、Salicales、Santales、Sapindales、Sarraceniaceae、Scrophulariales、Theales、Trochodendrales、Umbellales、Urticales、及びViolatesの目に属する双子葉植物を含む、双子葉植物が使用され得る。一部の例では、単子葉植物は、綿、ダイズ、コショウ、及びトマトからなる群から選択することができる。
【0348】
一部の場合では、改善されることになる植物は、実験条件に容易に適合しない。例えば、作物植物は、改善された形質を複数回の反復にわたって連続して実際的に評価するのに十分に成長するまでに時間が長くかかり過ぎる場合がある。したがって、細菌が最初に単離される第1の植物及び/または遺伝子操作された細菌が施用される複数の植物は、所望の条件下での評価により適合する植物等のモデル植物であり得る。モデル植物の非限定的な例としては、Setaria、Brachypodium、及びArabidopsisが挙げられる。次いで、モデル植物を使用して本開示の方法により単離された細菌の能力を、別のタイプの植物(例えば、作物植物)に施用して、改善された形質の付与を確認してもよい。
【0349】
本明細書に開示される方法によって改善され得る形質には、例えば、成長速度、植物丈、重量、色、味、匂い、植物による1つまたは複数の化合物(例えば、代謝物、タンパク質、薬物、炭水化物、油、及び任意の他の化合物を含む)の産生の変化を含めた、植物の任意の観察可能な特性が含まれる。遺伝子型情報に基づいて植物を選択することもまた想定される(例えば、細菌に応答した植物遺伝子発現のパターンを含めること、または窒素固定の増加に関連する遺伝子マーカー等の遺伝子マーカーの存在を特定すること)。また、植物は、ある特定の特徴または形質(望ましい特徴または形質等)の存在ではなく、ある特定の特徴または形質(望ましくない特徴または形質等)の不在、抑制、または阻害に基づいて選択されてもよい。
【0350】
遺伝子組換えでないトウモロコシ
本明細書に記載の方法及び細菌は、様々な遺伝子組換えでないメイズ植物またはその部位のうちのいずれにも好適である。また一部の態様では、トウモロコシは、有機である。さらに、本明細書に記載の方法及び細菌は、以下の遺伝子組換えでない雑種、品種、系統等のうちのいずれにも好適である。一部の実施形態では、トウモロコシ品種は一般に、スイートコーン、フリントコーン、ポップコーン、デントコーン、ポッドコーン、及びフラワーコーン(flour corn)の6つのカテゴリーに該当する。
【0351】
スイートコーン
イエローsu品種には、Earlivee、Early Sunglow、Sundance、Early Golden Bantam、Iochief、Merit、Jubilee、及びGolden Cross Bantamが含まれる。ホワイトsu品種には、True Platinum、Country Gentleman、Silver Queen、及びStowell’s Evergreenが含まれる。バイカラーsu品種には、Sugar&Gold、Quickie、Double Standard、Butter&Sugar、Sugar Dots、Honey&Creamが含まれる。マルチカラーsu品種には、Hookers、Triple Play、Painted Hill、Black Mexican/Aztecが含まれる。
【0352】
イエローse品種には、Buttergold、Precocious、Spring Treat、Sugar Buns、Colorow、Kandy King、Bodacious R/M、Tuxedo、Incredible、Merlin、Miracle、及びKandy Korn EHが含まれる。ホワイトse品種には、Spring Snow、Sugar Pearl、Whiteout、Cloud Nine、Alpine、Silver King、及びArgentが含まれる。バイカラーse品種には、Sugar Baby、Fleet、Bon Jour、Trinity、Bi-Licious、Temptation、Luscious、Ambrosia、Accord、Brocade、Lancelot、Precious Gem、Peaches And Cream Mid EH、及びDelectable R/Mが含まれる。マルチカラーse品種には、Ruby Queenが含まれる。
【0353】
イエローsh2品種には、Extra Early Super Sweet、Takeoff、Early Xtra Sweet、Raveline、Summer Sweet Yellow、Krispy King、Garrison、Illini Gold、Challenger、Passion、Excel、Jubilee SuperSweet、Illini Xtra Sweet、及びCrisp‘N Sweetが含まれる。ホワイトsh2品種には、Summer Sweet White、Tahoe、Aspen、Treasure、How Sweet It Is、及びCamelotが含まれる。バイカラーsh2品種には、Summer Sweet Bicolor、Radiance、Honey‘N Pearl、Aloha、Dazzle、Hudson、及びPhenomenalが含まれる。
【0354】
イエローsy品種には、Applause、Inferno、Honeytreat、及びHoney Selectが含まれる。ホワイトsy品種には、Silver Duchess、Cinderella、Mattapoisett、Avalon、及びCaptivateが含まれる。バイカラーsy品種には、Pay Dirt、Revelation、Renaissance、Charisma、Synergy、Montauk、Kristine、Serendipity/Providence、及びCameoが含まれる。
【0355】
イエロー増強スーパースイート(augmented supersweet)品種には、Xtra-Tender 1ddA、Xtra-Tender 11dd、Mirai 131Y、Mirai 130Y、Vision、及びMirai 002が含まれる。ホワイト増強スーパースイート品種には、Xtra-Tender 3dda、Xtra-Tender 31dd、Mirai 421W、XTH 3673、及びDevotionが含まれる。バイカラー増強スーパースイート品種には、Xtra-Tender 2dda、Xtra-Tender 21dd、Kickoff XR、Mirai 308BC、Anthem XR、Mirai 336BC、Fantastic XR、Triumph、Mirai 301BC、Stellar、American Dream、Mirai 350BC、及びObsessionが含まれる。
【0356】
フリントコーン
フリントコーン品種には、Bronze-Orange、Candy Red Flint、Floriani Red Flint、Glass Gem、Indian Ornamental(Rainbow)、Mandan Red Flour、Painted Mountain、Petmecky、Cherokee white Flourが含まれる。
【0357】
ポップコーン
ポップコーン品種には、Monarch Butterfly、Yellow Butterfly、Midnight Blue、Ruby Red、Mixed Baby Rice、Queen Mauve、Mushroom Flake、Japanese Hull-less、Strawberry、Blue Shaman、Miniature Colored、Miniature Pink、Pennsylvania Dutch Butter Flavor、及びRed Strawberryが含まれる。
【0358】
デントコーン
デントコーン品種には、Bloody Butcher、Blue Clarage、Ohio Blue Clarage、Cherokee White Eagle、Hickory Cane、Hickory King、Jellicorse Twin、Kentucky Rainbow、Daymon Morgan’s Knt.Butcher、Leaming、Leaming’s Yellow、McCormack’s Blue Giant、Neal Paymaster、Pungo Creek Butcher、Reid’s Yellow Dent、Rotten Clarage、及びTennessee Red Cobが含まれる。
【0359】
一部の実施形態では、トウモロコシ品種には、P1618W、P1306W、P1345、P1151、P1197、P0574、P0589、及びP0157が含まれる。W=ホワイトコーン。
【0360】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法及び細菌は、本明細書に述べられるメイズ品種のいずれの雑種にも好適である。
【0361】
遺伝子組換えトウモロコシ
本明細書に記載の方法及び細菌は、遺伝子組換えメイズ植物またはその部位の雑種、品種、系統等のうちのいずれにも好適である。
【0362】
さらに、本明細書に記載の方法及び細菌は、1つまたは複数の国で承認された、以下の遺伝子組換えメイズイベントのうちのいずれにも好適である:32138(32138 SPT Maintainer)、3272(ENOGEN)、3272×Bt11、3272×bt11×GA21、3272×Bt11×MIR604、3272×Bt11×MIR604×GA21、3272×Bt11×MIR604×TC1507×5307×GA21、3272×GA21、3272×MIR604、3272×MIR604×GA21、4114、5307(AGRISURE Duracade)、5307×GA21、5307×MIR604×Bt11×TC1507×GA21(AGRISURE Duracade 5122)、5307×MIR604×Bt11×TC1507×GA21×MIR162(AGRISURE Duracade 5222)、59122(HERCULEX RW)、59122×DAS40278、59122×GA21、59122×MIR604、59122×MIR604×GA21、59122×MIR604×TC1507、59122×MIR604×TC1507×GA21、59122×MON810、59122×MON810×MIR604、59122×MON810×NK603、59122×MON810×NK603×MIR604、59122×MON88017、59122×MON88017×DAS40278、59122×NK603(Herculex RW ROUNDUP READY 2)、59122×NK603×MIR604、59122×TC1507×GA21、676、678、680、3751 IR、98140、98140×59122、98140×TC1507、98140×TC1507×59122、Bt10(Bt10)、Bt11[X4334CBR、X4734CBR](AGRISURE CB/LL)、Bt11×5307、Bt11×5307×GA21、Bt11×59122×MIR604、Br11×59122×MIR604×GA21、Bt11×59122×MIR604×TC1507、M53、M56、DAS-59122-7、Bt11×59122×MIR604×TC1507×GA21、Bt11×59122×TC1507、TC1507×DAS-59122-7、Bt11×59122×TC1507×GA21、Bt11×GA21(AGRISURE GT/CB/LL)、Bt11×MIR162(AGRISURE Viptera 2100)、BT11×MIR162×5307、Bt11×MIR162×5307×GA21、Bt11×MIR162×GA21(AGRISURE Viptera 3110)、Bt11×MIR162×MIR604(AGRISURE Viptera 3100)、Bt11×MIR162×MIR604×5307、Bt11×MIR162×MIR604×5307×GA21、Bt11×MIR162×MIR604×GA21(AGRISURE Viptera 3111/AGRISURE Viptera 4)、Bt11、MIR162×MIR604×MON89034×5307×GA21、Bt11×MIR162×MIR604×TC1507、Bt11×MIR162×MIR604×TC1507×5307、Bt11×MIR162×MIR604×TC1507×GA21、Bt11×MIR162×MON89034、Bt11×MIR162×MON89034×GA21、Bt11×MIR162×TC1507、Bt11×MIR162×TC1507×5307、Bt11×MIR162×TC1507×5307×GA21、Bt11×MR162×TC1507×GA21(AGRISURE Viptera 3220)、BT11×MIR604(Agrisure BC/LL/RW)、Bt11×MIR604×5307、Bt11×MIR604×5307×GA21、Bt11×MIR604×GA21、Bt11×MIR604×TC1507、Bt11×MIR604×TC1507×5307、Bt11×MIR604×TC1507×GA21、Bt11×MON89034×GA21、Bt11×TC1507、Bt11×TC1507×5307、Bt11×TC1507×GA21、Bt176[176](NaturGard KnockOut/Maximizer)、BVLA430101、CBH-351(STARLINK Maize)、DAS40278(ENLIST Maize)、DAS40278×NK603、DBT418(Bt Xtra Maize)、DLL25[B16]、GA21(ROUNDUP READY Maize/AGRISURE GT)、GA21×MON810(ROUNDUP READY Yieldgard Maize)、GA21×T25、HCEM485、LY038(MAVERA Maize)、LY038×MON810(MAVERA Yieldgard Maize)、MIR162(AGRISURE Viptera)、MIR162×5307、MIR162×5307×GA21、MIR162×GA21、MIR162×MIR604、MIR162×MIR604×5307、MIR162×MIR604×5307×GA21、MIR162×MIR604×GA21、MIR162×MIR604×TC1507×5307、MIR162×MIR604×TC1507×5307×GA21、MIR162×MIR604×TC1507×GA21、MIR162×MON89034、MIR162×NK603、MIR162×TC1507、MIR162×TC1507×5307、MIR162×TC1507×5307×GA21、MIR162×TC1507×GA21、MIR604(AGRISURE RW)、MIR604×5307、MIR604×5307×GA21、MIR604×GA21(AGRISURE GT/RW)、MIR604×NK603、MIR604×TC1507、MIR604×TC1507×5307、MIR604×TC1507×5307×GA21、MIR604×TC1507×GA21、MON801[MON80100]、MON802、MON809、MON810(YIELDGARD、MAIZEGARD)、MON810×MIR162、MON810×MIR162×NK603、MON810×MIR604、MON810×MON88017(YIELDGARD VT Triple)、MON810×NK603×MIR604、MON832(ROUNDUP READY Maize)、MON863(YIELDGARD Rootworm RW、MAXGARD)、MON863×MON810(YIELDGARD Plus)、MON863×MON810×NK603(YIELDGARD Plus with RR)、MON863×NK603(YIELDGARD RW+RR)、MON87403、MON87411、MON87419、MON87427(ROUNDUP READY Maize)、MON87427×59122、MON87427×MON88017、MON87427×MON88017×59122、MON87427×MON89034、MON87427×MON89034×59122、MON87427×MON89034×MIR162×MON87411、MON87427×MON89034×MON88017、MON87427×MON89034×MON88017×59122、MON87427×MON89034×NK603、MON87427×MON89034×TC1507、MON87427×MON89034×TC1507×59122、MON87427×MON89034×TC1507×MON87411×59122、MON87427×MON89034×TC1507×MON87411×59122×DAS40278、MON87427×MON89034×TC1507×MON88017、MON87427×MON89034×MIR162×NK603、MON87427×MON89034×TC1507×MON88017×59122、MON87427×TC1507、MON87427×TC1507×59122、MON87427×TC1507×MON88017、MON87427×TC1507×MON88017×59122、MON87460(GENUITY DROUGHTGARD)、MON87460×MON88017、MON87460×MON89034×MON88017、MON87460×MON89034×NK603、MON87460×NK603、MON88017、MON88017×DAS40278、MON89034、MON89034×59122、MON89034×59122×DAS40278、MON89034×59122×MON88017、MON89034×59122×MON88017×DAS40278、MON89034×DAS40278、MON89034×MON87460、MON89034×MON88017(GENUITY VT Triple Pro)、MON89034×MON88017×DAS40278、MON89034×NK603(GENUITY VT Double Pro)、MON89034×NK603×DAS40278、MON89034×TC1507、MON89034×TC1507×59122、MON89034×TC1507×59122×DAS40278、MON89034×TC1507×DAS40278、MON89034×TC1507×MON88017、MON89034×TC1507×MON88017×59122(GENUITY SMARTSTAX)、MON89034×TC1507×MON88017×59122×DAS40278、MON89034×TC1507×MON88017×DAS40278、MON89034×TC1507×NK603(POWER CORE)、MON89034×TC1507×NK603×DAS40278、MON89034×TC1507×NK603×MIR162、MON89034×TC1507×NK603×MIR162×DAS40278、MON89034×GA21、MS3(INVIGOR Maize)、MS6(INVIGOR Maize)、MZHG0JG、MZIR098、NK603(ROUNDUP READY 2 Maize)、NK603×MON810×4114×MIR604、NK603×MON810(YIELDGARD CB+RR)、NK603×T25(ROUNDUP READY LIBERTY LINK Maize)、T14(LIBERTY LINK Maize)、T25(LIBERTY LINK Maize)、T25×MON810(LIBERTY LINK YIELDGARD Maize)、TC1507(HERCULEX I、HERCULEX CB)、TC1507×59122×MON810×MIR604×NK603(OPTIMUM INTRASECT XTREME)、TC1507×MON810×MIR604×NK603、TC1507×5307、TC1507×5307×GA21、TC1507×59122(HERCULEX XTRA)、TC1507×59122×DAS40278、TC1507×59122×MON810、TC1507×59122×MON810×MIR604、TC1507×59122×MON810×NK603(OPTIMUM INTRASECT XTRA)、TC1507×59122×MON88017、TC1507×59122×MON88017×DAS40278、TC1507×59122×NK603(HERCULEX XTRA RR)、TC1507×59122×NK603×MIR604、TC1507×DAS40278、TC1507×GA21、TC1507×MIR16
2×NK603、TC1507×MIR604×NK603(OPTIMUM TRISECT)、TC1507×MON810、TC1507×MON810×MIR162、TC1507×MON810×MIR162×NK603、TC1507×MON810×MIR604、TC1507×MON810×NK603(OPTIMUM INTRASECT)、TC1507×MON810×NK603×MIR604、TC1507×MON88017、TC1507×MON88017×DAS40278、TC1507×NK603(HERCULEX I RR)、TC1507×NK603×DAS40278、TC6275、及びVCO-01981-5。
【0363】
追加の遺伝子組換え植物
本明細書に記載の方法及び細菌は、様々な遺伝子組換え植物またはその部位のうちのいずれにも好適である。
【0364】
さらに、本明細書に記載の方法及び細菌は、1つまたは複数の国で承認された、以下の遺伝子組換え植物イベントのうちのいずれにも好適である。
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18-1】
【表18-2】
【表18-3】
【表19-1】
【表19-2】
【表19-3】
【表19-4】
【表19-5】
【表19-6】
【表19-7】
【表19-8】
【表19-9】
【表19-10】
【表19-11】
【表19-12】
【表19-13】
【0365】
以下は、表19に見出される簡略表記の定義である。AM-YGCB、HX1、LL、RR2を備えるOPTIMUM ACREMAX Insect Protectionシステム。AMT-RW、YGCB、HX1、LL、RR2を備えるOPTIMUM ACREMAX TRISECT Insect Protectioシステム。AMXT-(OPTIMUM ACREMAX XTreme)。HXX-HERCULEX XTRAは、Herculex I及びHerculex RW遺伝子を含有する。HX1-ヨーロッパマツマダラメイガ、サウスウェスタンマツマダラメイガ、タマナヤガ、ツマジロクサヨトウ、ウエスタンビーンカットワーム(western bean cutworm)、モロコシマダラメイガ、サザンコーンストークボーラー(southern corn stalk borer)、及びサトウキビボーラー(sugarcane borer)に対する保護を提供し、アメリカタバコガを抑制するHERCULEX I Insect Protection遺伝子を含有する。LL-LIBERTY除草剤への耐性のためのLIBERTYLINK遺伝子を含有する。RR2-ラベルの指示に従って施用されたときにラベル表示されるグリホサート除草剤の出芽後(over-the-top)施用に対する安全性を作物に提供するROUNDUP READY Corn 2形質を含有する。YGCB-ヨーロッパマツマダラメイガ、サウスウェスタンマツマダラメイガ、及びサザンコーンストークボーラー(southern corn stalk borer)への高レベルの耐性、アメリカタバコガ及びコモンストークボーラー(common stalk borer)へ中程度の耐性、ならびにツマジロクサヨトウへの平均を上回る耐性を提供するYIELDGARD Corn Borer遺伝子を含有する。RW-AGRISUREルートワーム(root worm)耐性形質を含有する。Q-感受性のあるヨーロッパマツマダラメイガ、サウスウェスタンマツマダラメイガ、タマナヤガ、ツマジロクサヨトウ、モロコシマダラメイガ、サザンコーンストークボーラー(southern corn stalk borer)、ストークボーラー(stalk borer)、サトウキビボーラー(sugarcane borer)、及びアメリカタバコガに対する保護または抑制を提供し、また、感受性のあるウェスタンコーンルートワーム、ノーザンコーンルートワーム、及びメキシカンコーンルートワームによって引き起こされる幼虫による損傷からの保護を提供し、(1)Cry1F及びCry34ab1及びCry35ab1タンパク質をもたらすHERCULEX XTRA Insect Protection遺伝子、(2)mCry3Aタンパク質をもたらす遺伝子を含むAGRISURE RW形質、ならびに(3)Cry1Abタンパク質をもたらすYIELDGARD Corn Borer遺伝子を含有する。
【0366】
農業組成物の施用濃度及び施用量
前述のように、教示される微生物を含む、本開示の農業組成物は、複数の方式で植物に施用することができる。2つの特定の態様では、本開示では、畦間処理剤または種子処理剤が企図される。
【0367】
種子処理剤の実施形態では、本開示の微生物は、様々な濃度で種子上に存在することができる。例えば、微生物は、1種子当たり1×101、1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、またはそれよりも高いcfu濃度で種子処理剤中に見出すことができる。特定の態様では、種子処理剤組成物は、1種子当たり約1×104~約1×108cfuを含む。他の特定の態様では、種子処理剤組成物は、1種子当たり約1×105~約1×107cfuを含む。他の態様では、種子処理剤組成物は、1種子当たり約1×106cfuを含む。
【0368】
米国では、トウモロコシ作付面積の約10%は、1エーカー当たり約36,000種子を超える種子密度で植栽され、トウモロコシ作付面積の1/3は、1エーカー当たり約33,000~36,000種子の種子密度で植栽され、トウモロコシ作付面積の1/3は、1エーカー当たり約30,000~33,000種子の種子密度で植栽され、残りの作付面積は、様々である。www.pioneer.com/home/site/us/agronomy/library/corn-seeding-rate-considerations/にて入手可能な、Steve Butzen著、「Corn Seeding Rate Considerations」を参照されたい。
【0369】
下記の表20では、企図される種子処理剤の実施形態における1種子当たりの種々のcfu濃度(行)及び種々の種子作付け植栽密度(第1の欄:15K~41K)を利用して、種々の農業シナリオで利用されよう1エーカー当たりのcfuの総計量が算出されている(すなわち、1種子当たりの種子処理剤濃度×1エーカー当たりの植栽種子密度)。故に、1種子当たり1×10
6cfuで種子処理剤を利用し、1エーカー当たり30,000種子を植栽したとすると、1エーカー当たりの総cfu含量は、3×10
10(すなわち、30K×1×10
6)になろう。
【表20-1】
【表20-2】
【0370】
畦間の実施形態の場合、本開示の微生物は、1エーカー当たり1×106、3.20×1010、1.60×1011、3.20×1011、8.0×1011、1.6×1012、3.20×1012、またはそれよりも高いcfu濃度で施用することができる。したがって、複数の態様では、液体畦間組成物は、1エーカー当たり約1×106~約3×1012cfuの濃度で施用することができる。
【0371】
一部の態様では、畦間組成物は、液体製剤に含まれる。液体畦間の実施形態では、微生物は、1×101、1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、またはそれよりも高い1ミリリットル当たりのcfu濃度で存在することができる。ある特定の態様では、液体畦間組成物は、1ミリリットル当たり約1×106~約1×1011cfuの濃度で微生物を含む。他の態様では、液体畦間組成物は、1ミリリットル当たり約1×107~約1×1010cfuの濃度で微生物を含む。他の態様では、液体畦間組成物は、1ミリリットル当たり約1×108~約1×109cfuの濃度で微生物を含む。他の態様では、液体畦間組成物は、1ミリリットル当たり最大約1×1013cfuの濃度で微生物を含む。
【0372】
候補微生物のトランスクリプトームプロファイリング
発明者らによる以前の取り組みには、菌株CI010のトランスクリプトームプロファイリングを実施して、環境中の窒素の存在下で活性なプロモーターを特定することが伴っていた。菌株CI010を、10mMグルタミンを補充した規定の無窒素培地で培養した。これらの培養物から全RNAを抽出し(QIAGEN RNeasyキット)、Illumina HiSeq(SeqMatic,Fremont CA)によるRNAseq配列決定に供した。配列決定リードを、Geneiousを使用してCI010ゲノムデータにマッピングし、近位転写プロモーターの制御下で高度に発現された遺伝子を特定した。
【0373】
表21~23には、全RNAのRNASeq配列決定により測定された、遺伝子及びそれらの相対的発現レベルが列挙される。nif経路、窒素利用関連経路、または所望の発現レベルを有する他の遺伝子の突然変異誘発に使用するための近位プロモーターの配列が記録された。
【表21】
【表22】
【表23】
【表24-1】
【表24-2】
【表24-3】
【表24-4】
【表24-5】
【表24-6】
【0374】
ポリマー
一部の態様では、異なる温度で一定期間にわたって保管された細菌の安定性及び/または生存率を増加させるために本開示のポリマーが企図される。本開示では、合成ポリマー、天然に存在するポリマー、コポリマー、乾燥相ポリマー、湿潤相ポリマー、半乾燥ポリマー、ゲルポリマー、微孔性ポリマー、乳化ポリマー、フィルム形成ポリマー、アロスフェア(allospheres)(ポリマーナノ材料)、電界紡糸ポリマー、架橋ポリマー、及びそれらの組み合わせを含めた多岐にわたるポリマーが企図される。
【0375】
一部の態様では、ポリマーは、天然に存在するポリマーである。一部の態様では、ポリマーは、植物または植物部位によって産生される。一部の態様では、ポリマーは、植物、植物部位、またはそれに由来する物質に由来する。一部の態様では、ポリマーは、動物または動物の部分によって産生される。一部の態様では、ポリマーは、動物、動物の部分、またはそれに由来する物質に由来する。一部の態様では、ポリマーは、藻類、原生生物、細菌、または真菌等の微生物によって産生される。一部の態様では、ポリマーは、微生物またはそれに由来する物質に由来する。一部の態様では、ポリマーは、エキソポリマーである。一部の態様では、ポリマーは、エンドポリマーである。
【0376】
一部の態様では、ポリマーは、1種類のモノマーの繰り返し単位のみを含有する。一部の態様では、ポリマーは、1つよりも多くのタイプのモノマーの繰り返し単位(コポリマー)を含有する。一部の態様では、ポリマー構造は、線状のポリマー、すなわち、線状ポリマーである。一部の態様では、ポリマー構造は、分岐したポリマー、すなわち、分岐ポリマーである。一部の態様では、ポリマー構造は、ネットワークポリマーである。一部の態様では、ポリマーは、相互侵入ネットワークポリマー(interpenetrating network polymer)である。
【0377】
一部の態様では、ポリマーは、高電圧を使用してポリマー溶液からサブミクロン及びナノミクロンスケールの微細なポリマー繊維を生成する電界紡糸が行われる。
【0378】
一部の態様では、ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(PVP-VA)、2-ピロリジノン,1-エテニルヘキサデシル-,ホモポリマー、カラギーナン、ナトリウムアルギネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレングリコール、アラビアガム、マルトデキストリン、アルギン酸ナトリウム、アルギネート、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na-CMC)、デンプンBR-07、デンプンBR-08、デンプン、及びデンプン誘導体、プルラン、キトサン、グリコサミノグリカン(GAG)、ケラタン硫酸GAG、ヒアルロン酸GAG、ヘパリン硫酸GAG、コンドロイチン硫酸GAG、重合フィブリン、ポリアクリル酸メチル(polymethylcrylate)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン-ブタジエン、アクリル系(acrylic)、スチレン-アクリル系(styrene-acrylic)、酢酸ビニル、トコフェニルポリエチレングリコールコハク酸エステル(TPGS)系ポリマー、及び乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)等から選択される。
【0379】
一部の態様では、ポリマーは、タンパク質である。一部の態様では、タンパク質は、ダイズタンパク質、エンドウマメタンパク質、乳清タンパク質、ヘンプタンパク質、及び乳タンパク質構成成分(脱脂乳等)から選択されてもよい。一部の態様では、ダイズタンパク質、エンドウマメタンパク質、乳清タンパク質、及びヘンプタンパク質は、名称に記載される植物または植物の特定の部分からの総タンパク質分離物である。
【0380】
一部の態様では、デンプン誘導体は、酸処理デンプン(INS 1401)、デキストリン(INS 1400)、アルカリ加工デンプン(INS 1402)、漂白デンプン(INS 1403)、酸化デンプン(INS 1404)、酵素処理デンプン(INS 1405)、リン酸化デンプン(INS 1410)、リン酸架橋デンプン(INS 1412)、アセチル化デンプン(INS 1420)、ヒドロキシプロピル化デンプン(INS 1440)、エチレンオキシドによるヒドロキシエチルデンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム(INS 1450)、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム(INS 1452)、カチオン性デンプン、モノクロロ酢酸によるカルボキシメチル化デンプンから選択される。デンプン誘導体は、以下の修飾と組み合わされ得る:リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン(INS 1413)、アセチル化リン酸架橋デンプン(INS 1414)、アセチル化アジピン酸架橋デンプン(INS 1422)、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン(INS 1422)、アセチル化酸化デンプン(INS 1451)。
【0381】
一部の態様では、ポリマーは、水不溶性でありかつ超吸水性であるポリマー鎖のネットワークである、ヒドロゲルを形成することが可能である(例えば、ヒドロゲルは、99%超の水を含有し得る。ヒドロゲルは、それらの顕著な水含量に起因して、天然組織に類似する高い柔軟度を持つ。
【0382】
細菌は、ポリマーに保存されてもよい。Rojas-Tapias et al.2015.Preservation of Azotobacter chroococcum vegetative cells in dry polymers.Universitas Scientiarum.20(2):201-207、Amalraj et al.2013.Effect of polymeric additives,adjuvants,surfactants on survival,stability and plant growth promoting ability of liquid bioinoculants.J Plant Physiol Pathol.1(2):1-5、Nagy et al.2014.Nanofibrous solid dosage form of living bacteria prepared by electrospinning.eXPRESS Polymer Letters.8(5):352-361を参照されたい。
【0383】
ポリマー組成物
一部の態様では、ポリマー組成物は、1つまたはポリマーと、本開示のいずれか1つまたは複数の微生物との組み合わせである。一部の態様では、ポリマー組成物は、本開示のいずれか1つまたは複数の細菌を含む。一部の態様では、ポリマー組成物は、本開示のいずれか1つまたは複数の窒素固定微生物を含む。一部の態様では、ポリマー組成物は、いずれの微生物も含まない。一部の態様では、ポリマー組成物は、滅菌されている。
【0384】
一部の態様では、ポリマー組成物は、2つ以上のポリマーの組み合わせである。一部の態様では、ポリマー組成物は、単一の微生物種を含むことにより、純粋な培養物を形成する。一部の態様では、ポリマー組成物は、細菌のコンソーシアムを含む。一部の態様では、ポリマー組成物は、1つまたは複数の微生物種を含む。一部の態様では、ポリマー組成物は、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、または少なくとも10種の微生物種を含む。
【0385】
一部の態様では、ポリマー組成物は、液体である。一部の態様では、ポリマー組成物は、固体である。一部の態様では、ポリマー組成物は、固体要素及び液体要素の両方を含む。一部の態様では、ポリマー組成物は、半固体である。一部の態様では、ポリマー組成物は、ゲルである。一部の態様では、ポリマー組成物は、乾燥させられる。一部の態様では、ポリマー組成物は、砂または顆粒状材料の形態である。一部の態様では、ポリマー組成物は、粉末である。一部の態様では、ポリマー組成物は、本明細書に開示されるいずれか1つまたは複数の要素を含む。
【0386】
一部の態様では、ポリマー組成物は、1つまたは複数の微生物バイオフィルムを含んでもよい。一部の態様では、バイオフィルムは、ポリマー組成物の1つまたは複数の微生物に対して異種である。一部の態様では、ポリマー組成物は、1つまたは複数の微生物バイオフィルムを他のポリマーと組み合わせて含んでもよい。複数の態様では、ポリマー及びバイオフィルムの組み合わせは、相乗効果を示す。
【0387】
一部の実施形態では、本開示の少なくとも2つのポリマーの組み合わせは、互いに接触することになるポリマーのうちの1つまたは複数の存在下で、本明細書に記載の形質のうちの1つまたは複数に対して相乗効果を示す。教示される方法によって得られる相乗効果は、例えば、コルビーの式(すなわち、(E)=X+Y-(X×Y/100))に従って定量することができる。Colby,R.S.,“Calculating Synergistic and Antagonistic Responses of Herbicide Combinations,”1967.Weeds.Vol.15,pp.20-22を参照されたい(参照によりその全体が本明細書に援用される)。故に、「相乗的」とは、相加的量を超えて増加した成果/パラメータ/効果を反映することが意図される。
【0388】
一部の態様では、本開示の細菌は、複数の細胞が生存可能なままであるように乾燥(dried)/乾燥化(desiccated)している。一部の実施形態では、乾燥/乾燥化させた細菌細胞は、ポリマー組成物に導入される。一部の態様では、細菌は、ポリマーが形成されているときにポリマーに導入される。一部の態様では、細菌は、ポリマーが架橋されているときにポリマーに導入される。一部の実施形態では、細菌に、ポリマーが噴霧またはコーティングされる。一部の態様では、細菌は、ポリマー中に混合される。一部の実施形態では、細菌は、液体バイオマスの形態である。一部の態様では、細菌は、濃縮ペーストの形態である。一部の態様では、細菌は、ゲルの形態である。
【0389】
一部の態様では、ポリマー組成物は、固体である。一部の態様では、ポリマー組成物は、砂/顆粒を作出するように磨砕される。一部の態様では、ポリマー組成物は、約10ミクロン、約20ミクロン、約30ミクロン、約40ミクロン、約50ミクロン、約60ミクロン、約70ミクロン、約80ミクロン、約90ミクロン、約100ミクロン、約150ミクロン、約200ミクロン、約250ミクロン、約300ミクロン、約350ミクロン、約400ミクロン、約450ミクロン、約500ミクロン、約550ミクロン、約600ミクロン、約650ミクロン、約700ミクロン、約750ミクロン、約800ミクロン、約850ミクロン、約900ミクロン、約950ミクロン、または約1,000ミクロンのサイズの粒子を作出するように磨砕される。
【0390】
一部の態様では、ポリマー組成物は、ろう、脂肪、油、脂肪酸、脂肪アルコール、または類似の物理化学特性を有する他の化合物と組み合わされ、約10微生物、約20ミクロン、約30ミクロン、約40ミクロン、約50ミクロン、約60ミクロン、約70ミクロン、約80ミクロン、約90ミクロン、約100ミクロン、約150ミクロン、約200ミクロン、約250ミクロン、約300ミクロン、約350ミクロン、約400ミクロン、約450ミクロン、約500ミクロン、約550ミクロン、約600ミクロン、約650ミクロン、約700ミクロン、約750ミクロン、約800ミクロン、約850ミクロン、約900ミクロン、約950ミクロン、または約1,000ミクロンのビーズへと噴霧凝固される。
【0391】
一部の態様では、本開示のポリマー組成物は、微生物を封入する。一部の実施形態では、微生物は、本開示のポリマー組成物以外の1つまたは複数の化合物によって封入される。一部の態様では、微生物は、封入され、次いでポリマー組成物に添加/曝露される。一部の態様では、微生物は、ポリマー組成物に添加/曝露され、次いで追加の材料で封入される。
【0392】
本開示の封入組成物(複数可)は、微生物を温度、放射線等の外部ストレス因子から保護する。一部の態様では、外部ストレス因子には、熱及び物理的ストレス因子が含まれる。一部の態様では、外部ストレス因子には、組成物中に存在する化学物質が含まれる。封入組成物はさらに、嫌気性微生物に対する好気性環境の酸化ストレスを最小化する等、微生物に有益であり得る環境を作出する。微生物の封入組成物、及び微生物の封入方法については、Kalstaら(US5,104,662A)、Ford(US5,733,568A)、ならびにMosbach及びNilsson(US4,647,536A)を参照されたい。
【0393】
一部の態様では、本開示の組成物は、熱耐性を示し、これは耐熱性及び熱耐性と互換的に使用される。一部の態様では、本開示の組成物は、非冷蔵環境で熱耐性を示す。一部の態様では、本開示の組成物は、周囲温度で熱耐性を示す。一部の態様では、本開示の組成物は、約4℃、約6℃、約10℃、約12℃、約14℃、約16℃、約18℃、約20℃、約22℃、約24℃、約26℃、約28℃、約30℃、約32℃、約34℃、約36℃、約38℃、約40℃、または約42℃の温度で熱耐性を示す。一部の態様では、本開示の組成物は、少なくとも4℃、少なくとも6℃、少なくとも10℃、少なくとも12℃、少なくとも14℃、少なくとも16℃、少なくとも18℃、少なくとも20℃、少なくとも22℃、少なくとも24℃、少なくとも26℃、少なくとも28℃、少なくとも30℃、少なくとも32℃、少なくとも34℃、少なくとも36℃、少なくとも38℃、少なくとも40℃、少なくとも42℃、少なくとも44℃、少なくとも46℃、少なくとも48℃、少なくとも50℃、少なくとも52℃、少なくとも54℃、少なくとも56℃、少なくとも58℃、または少なくとも60℃の温度で熱耐性を示す。
【0394】
一部の態様では、本開示の熱耐性組成物は、高熱環境等での保管に関連する高温に耐える。一部の態様では、本開示の熱耐性組成物は、細胞壁成分及び細胞内環境の熱殺菌及び変性に耐性である。
【0395】
一部の態様では、封入は、リザーバ型封入である。一部の態様では、封入は、マトリックス型封入である。一部の態様では、封入は、コーティングされたマトリックス型封入である。Burgain et al.(2011.J.Food Eng.104:467-483)は、多数の封入実施形態及び技法について開示しており、これらの全てが参照により援用される。
【0396】
一部の態様では、本開示の組成物は、以下のもの、すなわち、ジェランガム、キサンタンガム、K-カラギーナン、フタル酸酢酸セルロース、キトサン、デンプン、デンプン誘導体、乳脂、乳清タンパク質、アルギネート、アルギン酸カルシウム、アルギン酸マグネシウム、ラフチロース(raftilose)、ラフチリン(raftilin)、ペクチン、サッカライド、グルコース、マルトデキストリン、アラビアガム、グアー、種子粉、アルギネート、デキストリン、デキストラン、セルロース、ゼラチン、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、グルテン、アカシアゴム、トラガカント、ろう、パラフィン、ステアリン酸、シリケート、モノジグリセリド(monodiglycerides)、及びジグリセリドのうちの1つまたは複数に封入される。一部の実施形態では、本開示の組成物は、ポリマー、炭水化物、糖、プラスチック、ガラス、多糖、脂質、ろう、油、脂肪酸、またはグリセリドのうちの1つまたは複数によって封入される。
【0397】
一部の態様では、本開示の組成物の封入は、押出し、乳化、コーティング、凝集、凍結乾燥、ガラス化、泡沫乾燥、気化による保存、真空乾燥、電界紡糸、または噴霧乾燥によって実施される。
【0398】
一部の態様では、封入組成物は、固体シェル材料に封入された多数の液体コアを有するマイクロカプセルを含む。本開示の目的において、「多数の」コアは、2つ以上と定義される。一部の態様では、封入組成物は、多数の固体コアを含む。一部の態様では、封入組成物は、多数の2種類以上の固体コアを含む。一部の態様では、固体コアのタイプは、放出時間により異なる。一部の態様では、封入組成物は、多数の2種類以上の固体コアを含み、ここで、固体コアのうちの少なくとも1種類は、適用後に内容物の迅速放出を提供し、固体コアのうちの少なくとも1種類は、適用後に内容物の緩徐放出を提供し、故に、微生物の一定期間の持続接種を適用する組成物を生み出す。
【0399】
一部の態様では、本開示により単独でまたは他の材料と組み合わせて使用するための種々の補助的材料が企図される。一部の態様では、補助的材料は、酸化防止剤、光安定剤、色素及び顔料、精油、固結防止剤、充填剤、pH安定剤、分散剤、消泡剤、湿潤剤、カップリング剤、糖(単糖、二糖、三糖、及び多糖)等から選択されてもよく、本開示のためのその実用性を減少させない量で可融性材料に組み込まれ得る。
【0400】
一部の態様では、ポリマーは、本開示のいずれか1つまたは複数の細菌を含む液体培地に導入される。一部の態様では、ポリマーは、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、または90%の重量%で本開示のいずれか1つまたは複数の細菌を含む液体培地に導入される。
【0401】
一部の態様では、ポリマーは、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:または10:1の容量でいずれか1つまたは複数の細菌を含む液体培地に導入される。
【0402】
一部の態様では、ポリマー組成物は、エマルションを含んでもよい。一部の態様では、ポリマー組成物は、エマルションであってもよい。一部の態様では、ポリマー組成物は、ナノエマルションを含んでもよい。一部の態様では、ポリマー組成物は、ナノエマルションであってもよい。
【0403】
エマルションは、標準的な状況下で通常は非混和性である(混合不能またはブレンドすることができない)、2つ以上の液体の混合物を指す。エマルションの一例は、ビネグレットであろう。
【0404】
ナノエマルションは、液滴サイズが250nmに等しいかまたはそれよりも小さいという点でエマルションとは異なる。ナノエマルションは、自発的には形成せず、より大きな液滴をより小さな液滴に破裂させるために外部からのせん断を適用しなければならない。ナノエマルション及びナノスケールエマルションは、本開示内で同じ用語の同義語として使用される。
【0405】
一部の実施形態では、エマルション及びナノエマルションは、乳化剤の存在下で作出される。一部の実施形態では、乳化剤は、限定されないが、対応するCAS登録番号が付随する以下のもの、すなわち、ステアリン酸アンモニウム、1002-89-7;パルミチン酸アスコルビル、137-66-6;ステアリン酸ブチル、123-95-5;ステアリン酸カルシウム、1592-23-0;モノオレイン酸ジグリセリル、49553-76-6;モノステアリン酸ジグリセリル、12694-22-3;1,2,3-プロパントリオールとのドデカン酸、モノエステル、27215-38-9;モノオレイン酸グリセロール、111-03-5;ジカプリル酸グリセリル、36354-80-0;ジミリスチン酸グリセリル、53563-63-6;ジオレイン酸グリセリル、25637-84-7;ジステアリン酸グリセリル、1323-83-7;モノミリスチン酸グリセリル、27214-38-6;モノオクタノン酸グリセリル(Glyceryl monooctanoate)、26402-26-6;モノオレイン酸グリセリル、25496-72-4;モノステアリン酸グリセリル、31566-31-1;ステアリン酸グリセリル、11099-07-3;ミリスチン酸イソプロピル、110-27-0;レシチン、8002-43-5;1-モノラウリン、142-18-7;1-モノミリスチン、589-68-4;モノパルミチン、26657-96-5;オクタン酸、カリウム塩、764-71-6;オクタン酸、ナトリウム塩、1984-06-1;オレイン酸、112-80-1;パルミチン酸、57-10-3;オレイン酸ポリグリセリル、9007-48-1;ステアリン酸ポリグリセリル、9009-32-9;モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween(登録商標) 20)、9005-64-5;ミリスチン酸カリウム、13429-27-1;オレイン酸カリウム、143-18-0;ステアリン酸カリウム、593-29-3;オレイン酸ナトリウム、143-19-1;ステアリン酸ナトリウム、822-16-2;ダイズレシチン、8030-76-0;トコフェリルポリエチレングリコールコハク酸エステル(TPGS)、9002-96-4;ビタミンE、1406-18-4;557-05-1、及びステアリン酸亜鉛、557-05-1から選択されてもよい。
【0406】
一部の実施形態では、ナノエマルションは、約250nm、245nm、240nm、235nm、230nm、225nm、220nm、215nm、210nm、205nm、200nm、195nm、190nm、185nm、180nm、175nm、170nm、165nm、160nm、155nm、150nm、145nm、140nm、135nm、130nm、125nm、120nm、115nm、110nm、105nm、100nm、95nm、90nm、85nm、80nm、75nm、70nm、65nm、60nm、55nm、50nm、45nm、40nm、35nm、30nm、25nm、20nm、15nm、10nm、5nm、4nm、3nm、2nm、もしくは1nmまたはそれ未満の(less than at or about)液滴を含み、ここで、約~または~の(at or about)という修飾語句は、上記で指定されるサイズの各々に適用される。
【0407】
一部の実施形態では、ナノエマルションは、サイズが約1nm~5nm、1nm~10nm、1nm~50nm、1nm~100nm、1nm~150nm、1nm~200nm、1nm~250nm、5nm~10nm、5nm~50nm、5nm~100nm、5nm~150nm、5nm~200nm、2nm~250nm、10nm~50nm、10nm~100nm、10nm~150nm、10~200nm、10nm~250nm、25nm~50nm、25nm~100nm、25nm~150nm、25nm~200nm、25nm~250nm、50nm~100nm、50nm~150nm、50nm~200nm、50nm~250nm、100nm~150nm、100nm~200nm、100nm~250nm、150nm~200nm、150nm~250nm、及び200nm~250nmの範囲の液滴を含み、ここで、約という修飾語句は、上記の範囲の各々に適用される。
【0408】
水分含量は、組成物中の水の総量の測定値であり、通常は総重量のパーセンテージとして表される。水分含量は、組成物の乾燥重量を決定するのに有用な測定値であり、それを使用して、組成物の乾燥化/乾燥プロセスが完了しているかどうかを確認することができる。水分含量は、(組成物の湿重量-乾燥化/乾燥後の重量)を組成物の湿重量で除し、100を乗じることによって算出される。
【0409】
水分含量は、組成物中の水の量を定義するものであるが、水分活性は、組成物中の水が微小生物とどのように反応するかにより大きく関係している。水分活性が大きいほど、微小生物はより速く増殖することができる。水分活性は、組成物中の蒸気圧対純水の蒸気圧の比を見出すことによって算出される。より具体的には、水分活性は、組成物中の水の蒸気の分圧を、標準状態の純水の蒸気の分圧で除したものである。純水の水分活性は1である。組成物の水分活性の決定は、組成物中の水の量ではなく、微生物の増殖のための水の利用可能性の尺度である。微小生物は、増殖のために最小かつ最適な水分活性を有する。
【0410】
一態様では、本開示のポリマー組成物は、乾燥化している。微生物組成物は、組成物の水分含量が0%~20%である場合、乾燥化している。
【0411】
一態様では、本開示のポリマー組成物の水分含量は、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%である。
【0412】
一態様では、本開示のポリマー組成物の水分含量は、0.5%未満、0.6%未満、0.7%未満、0.8%未満、0.9%未満、1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、10%未満、11%未満、12%未満、13%未満、14%未満、15%未満、16%未満、17%未満、18%未満、19%未満、20%未満、21%未満、22%未満、23%未満、24%未満、25%未満、26%未満、27%未満、28%未満、29%未満、30%未満、31%未満、32%未満、33%未満、34%未満、35%未満、36%未満、37%未満、38%未満、39%未満、40%未満、41%未満、42%未満、43%未満、44%未満、45%未満、46%未満、47%未満、48%未満、49%未満、50%未満、51%未満、52%未満、53%未満、54%未満、55%未満、56%未満、57%未満、58%未満、59%未満、60%未満、61%未満、62%未満、63%未満、64%未満、65%未満、66%未満、67%未満、68%未満、69%未満、70%未満、71%未満、72%未満、73%未満、74%未満、75%未満、76%未満、77%未満、78%未満、79%未満、80%未満、81%未満、82%未満、83%未満、84%未満、85%未満、86%未満、87%未満、88%未満、89%未満、90%未満、91%未満、92%未満、93%未満、94%未満、95%未満、96%未満、97%未満、98%未満、99%未満、または100%未満である。
【0413】
一態様では、本開示のポリマー組成物の水分含量は、約0.5%未満、約0.6%未満、約0.7%未満、約0.8%未満、約0.9%未満、約1%未満、約2%未満、約3%未満、約4%未満、約5%未満、約6%未満、約7%未満、約8%未満、約9%未満、約10%未満、約11%未満、約12%未満、約13%未満、約14%未満、約15%未満、約16%未満、約17%未満、約18%未満、約19%未満、約20%未満、約21%未満、約22%未満、約23%未満、約24%未満、約25%未満、約26%未満、約27%未満、約28%未満、約29%未満、約30%未満、約31%未満、約32%未満、約33%未満、約34%未満、約35%未満、約36%未満、約37%未満、約38%未満、約39%未満、約40%未満、約41%未満、約42%未満、約43%未満、約44%未満、約45%未満、約46%未満、約47%未満、約48%未満、約49%未満、約50%未満、約51%未満、約52%未満、約53%未満、約54%未満、約55%未満、約56%未満、約57%未満、約58%未満、約59%未満、約60%未満、約61%未満、約62%未満、約63%未満、約64%未満、約65%未満、約66%未満、約67%未満、約68%未満、約69%未満、約70%未満、約71%未満、約72%未満、約73%未満、約74%未満、約75%未満、約76%未満、約77%未満、約78%未満、約79%未満、約80%未満、約81%未満、約82%未満、約83%未満、約84%未満、約85%未満、約86%未満、約87%未満、約88%未満、約89%未満、約90%未満、約91%未満、約92%未満、約93%未満、約94%未満、約95%未満、約96%未満、約97%未満、約98%未満、約99%未満、または約100%未満である。
【0414】
一態様では、本開示のポリマー組成物の水分含量は、1%~100%、1%~95%、1%~90%、1%~85%、1%~80%、1%~75%、1%~70%、1%~65%、1%~60%、1%~55%、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、5%~100%、5%~95%、5%~90%、5%~85%、5%~80%、5%~75%、5%~70%、5%~65%、5%~60%、5%~55%、5%~50%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、5%~15%、5%~10%、10%~100%、10%~95%、10%~90%、10%~85%、10%~80%、10%~75%、10%~70%、10%~65%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~100%、15%~95%、15%~90%、15%~85%、15%~80%、15%~75%、15%~70%、15%~65%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~100%、20%~95%、20%~90%、20%~85%、20%~80%、20%~75%、20%~70%、20%~65%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~100%、25%~95%、25%~90%、25%~85%、25%~80%、25%~75%、25%~70%、25%~65%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~100%、30%~95%、30%~90%、30%~85%、30%~80%、30%~75%、30%~70%、30%~65%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~100%、35%~95%、35%~90%、35%~85%、35%~80%、35%~75%、35%~70%、35%~65%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~100%、40%~95%、40%~90%、40%~85%、40%~80%、40%~75%、40%~70%、40%~65%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~100%、45%~95%、45%~90%、45%~85%、45%~80%、45%~75%、45%~70%、45%~65%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~100%、50%~95%、50%~90%、50%~85%、50%~80%、50%~75%、50%~70%、50%~65%、50%~60%、50%~55%、55%~100%、55%~95%、55%~90%、55%~85%、55%~80%、55%~75%、55%~70%、55%~65%、55%~60%、60%~100%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、65%~100%、65%~95%、65%~90%、65%~85%、65%~80%、65%~75%、65%~70%、70%~100%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、70%~80%、70%~75%、75%~100%、75%~95%、75%~90%、75%~85%、75%~80%、80%~100%、80%~95%、80%~90%、80%~85%、85%~100%、85%~95%、85%~90%、90%~100%、90%~95%、または95%~100%である。
【0415】
一態様では、本開示のポリマー組成物は、乾燥している。一部の態様では、本開示のポリマー組成物は、液体である。一態様では、本開示のポリマー組成物の水分活性は、約0.1、約0.15、約0.2、約0.25、約0.30、約0.35、約0.4、約0.5、約0.55、約0.60、約0.65、約0.70、約0.75、約0.8、約0.85、約0.90、または約0.95である。
【0416】
一態様では、本開示のポリマー組成物の水分活性は、約0.1未満、約0.15未満、約0.2未満、約0.25未満、約0.30未満、約0.35未満、約0.4未満、約0.5未満、約0.55未満、約0.60未満、約0.65未満、約0.70未満、約0.75未満、約0.8未満、約0.85未満、約0.90未満、または約0.95未満である。
【0417】
一態様では、本開示のポリマー組成物の水分活性は、0.1未満、0.15未満、0.2未満、0.25未満、0.30未満、0.35未満、0.4未満、0.5未満、0.55未満、0.60未満、0.65未満、0.70未満、0.75未満、0.8未満、0.85未満、0.90未満、または0.95未満である。
【0418】
一態様では、本開示のポリマー組成物の水分活性は、0.1~0.95、0.1~0.90、0.1~0.85、0.1~0.8、0.1~0.75、0.1~0.70、0.1~0.65、0.1~0.55、0.1~0.50、0.1~0.45、0.1~0.40、0.1~0.35、0.1~0.3、0.1~0.25、0.1~0.2、0.1~0.15、0.15~0.95、0.15~0.90、0.15~0.85、0.15~0.8、0.15~0.75、0.15~0.70、0.15~0.65、0.15~0.55、0.15~0.50、0.15~0.45、0.15~0.40、0.15~0.35、0.15~0.3、0.15~0.25、0.15~0.2、0.2~0.95、0.2~0.90、0.2~0.85、0.2~0.8、0.2~0.75、0.2~0.70、0.2~0.65、0.2~0.55、0.2~0.50、0.2~0.45、0.2~0.40、0.2~0.35、0.2~0.3、0.2~0.25、0.25~0.95、0.25~0.90、0.25~0.85、0.25~0.8、0.25~0.75、0.25~0.70、0.25~0.65、0.25~0.55、0.25~0.50、0.25~0.45、0.25~0.40、0.25~0.35、0.25~0.3、0.3~0.95、0.3~0.90、0.3~0.85、0.3~0.8、0.3~0.75、0.3~0.70、0.3~0.65、0.3~0.55、0.3~0.50、0.3~0.45、0.3~0.40、0.3~0.35、0.35~0.95、0.35~0.90、0.35~0.85、0.35~0.8、0.35~0.75、0.35~0.70、0.35~0.65、0.35~0.55、0.35~0.50、0.35~0.45、0.35~0.40、0.4~0.95、0.4~0.90、0.4~0.85、0.4~0.8、0.4~0.75、0.4~0.70、0.4~0.65、0.4~0.55、0.4~0.50、0.4~0.45、0.45~0.95、0.45~0.90、0.45~0.85、0.45~0.8、0.45~0.75、0.45~0.70、0.45~0.65、0.45~0.55、0.45~0.50、0.5~0.95、0.5~0.90、0.5~0.85、0.5~0.8、0.5~0.75、0.5~0.70、0.5~0.65、0.5~0.55、0.55~0.95、0.55~0.90、0.55~0.85、0.55~0.8、0.55~0.75、0.55~0.70、0.55~0.65、0.6~0.95、0.6~0.90、0.6~0.85、0.6~0.8、0.6~0.75、0.6~0.70、0.65~0.95、0.65~0.90、0.65~0.85、0.65~0.8、0.65~0.75、0.7~0.95、0.7~0.90、0.7~0.85、0.7~0.8、0.75~0.95、0.75~0.90、0.75~0.85、0.8~0.95、0.8~0.90、0.8~0.85、0.85~0.95、0.85~0.90、または0.9~0.95である。
【0419】
(i)種子コーティング剤
本明細書に記載されるとき、「種子コーティング」及び「種子処理剤」は、互換的に使用される。本明細書に記載されるとき、「種子」には、植物種子、球茎、挿穂、鱗茎、塊茎、及び任意の植物繁殖材料が含まれる。一部の態様では、ポリマー組成物は、植物種子に施用される。一部の態様では、ポリマー組成物は、トウモロコシ、ダイズ、キャノーラ、モロコシ、ジャガイモ、イネ、野菜、穀類、サトウキビ、擬似穀類、綿、及び油糧種子の種子及び/または他の植物繁殖材料に施用される。穀類の例としては、オオムギ、フォニオ、オートムギ、パルマーグラス(palmer’s grass)、ライムギ、トウジンビエ(pearl millet)、モロコシ、スペルトコムギ、テフ、ライコムギ、及びコムギが挙げられ得る。一部の態様では、その他の植物繁殖材料には、球茎及び挿穂、鱗茎、塊茎、及び任意の植物繁殖材料が含まれる。擬似穀類の例としては、ブレッドナッツ、ソバ、ガマ、チア、亜麻、アマランサス子実、ハンザ(hanza)、キノア、及びゴマが挙げられ得る。一部の例では、種子は、遺伝子組換え生物(GMO)、非GMO、有機、新たな育種技法の産物、または従来のものであり得る。
【0420】
一部の態様では、ポリマー組成物は、ポリマー組成物を含む液体、スラリー、または粉末で種子をコーティングすることによって植物種子に施用される。一部の態様では、種子コーティング剤は、乾燥種子コーティング剤である。一部の態様では、種子コーティング剤は、液体種子コーティング剤である。
【0421】
ポリマー組成物の適用
一部の態様では、本明細書に記載のポリマー組成物は、畦間で、タルク中で、または種子処理剤として施用することができる。一部の態様では、ポリマー組成物は、農場に到着する前または農場に到着した後に種子に施用される。一部の態様では、ポリマー組成物は、連続または回分処理装置で種子に施用される。一部の態様では、ポリマー組成物は、オーガ処理装置で種子(seen)に施用される。一部の態様では、ポリマー組成物は、プランターで施用される。一部の態様では、ポリマーは、ペレット化、外被形成(encrusting)、及びフィルムコーティングのプロセスを使用して種子に施用される。一部の態様では、プランターは、乾燥物質としてポリマー組成物を受け入れ、これが現地でポリマー組成物中の1つまたは複数の細菌を増殖させるための接種剤として使用される。次いで、結果として得られる細菌が、種子処理剤または畦間処理剤として使用される。一部の態様では、ポリマー組成物は、最初に種子に施用され、次いで、ポリマー組成物をすでに含む種子と共に、より後に畦間で施用される。一部の態様では、種子に施用される第1のポリマー組成物は、第1のポリマー組成物を含む種子と共に畦間で施用される、より後のポリマー組成物とは異なる。一部の態様では、ポリマー組成物は、種子滑沢剤と共に種子に施用される。一部の態様では、ポリマー組成物は、タルク、黒鉛、またはポリエチレンろう等の滑沢剤と組み合わせてプランターボックス内で種子に施用される。一部の態様では、ポリマー組成物は、タルク、黒鉛、またはポリエチレンろう等の滑沢剤と組み合わせて種子に施用される。
【0422】
一部の態様では、プランターは、処理された種子を植栽し、従来の方式に従って2条で、または耕うんを必要としない方式で作物を栽培することができる。一部の態様では、種子は、コントロールホッパーまたは個別のホッパーを使用して散布することができる。また、種子は、加圧空気を使用して、真空プランターで、機械的に、または手作業で散布することができる。一部の態様では、種子配置は、可変作業技術を使用して実施することができる。加えて、本明細書に記載の細菌または細菌集団の施用は、可変作業技術を使用して施用されてもよい。一部の態様では、ポリマー組成物は、本開示の植物種子に施用することができる。
【0423】
マイクロ肥料、PGR、除草剤、殺虫剤、及び殺真菌剤等の添加剤を追加で使用して、作物を処理することができる。添加剤の例としては、殺虫剤、殺線虫剤、殺真菌剤等の作物保護剤、着色剤、ポリマー、ペレット化(pelleting)、プライミング(priming)、及び消毒剤等の強化剤、ならびに接種剤、PGR、軟化剤、及び微量栄養素等の他の薬剤が挙げられる。PGRは、根成長、開花、または茎伸長に影響を及ぼす天然または合成の植物ホルモンであり得る。PGRには、オーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、エチレン、及びアブシジン酸(ABA)が含まれ得る。
【0424】
一部の態様では、本開示のいずれか1つまたは複数の添加剤または化学処理剤は、槽内混合、共施用、順次施用、または本開示の1つもしくは複数の添加剤もしくは化学処理剤で事前に処理された植物部位/種子の追加処理(overtreatment)によって、微生物(複数可)及びポリマー(複数可)と組み合わせて植物部位/種子に施用されてもよい。一部の態様では、微生物の最適な性能及び生存のために、ある特定の処理方法のみに施用を制限することが必要な場合がある。本明細書で使用されるとき、「槽内混合」とは、化学物質(複数可)/添加剤(複数可)/ポリマー(複数可)/微生物(複数可)が液体スラリーへとブレンドされ、次いで種子に施用されることを意味する。本明細書で使用されるとき、「共施用」とは、種子が連続または回分処理装置内にあり、化学物質(複数可)/添加剤(複数可)/ポリマー(複数可)/微生物(複数可)が同時に施用されることを意味する。本明細書で使用されるとき、「順次施用」または「順次に施用される」とは、種子が連続または回分処理装置内にあり、化学物質(複数可)/添加剤(複数可)/ポリマー(複数可)/微生物(複数可)のうちの1つまたは複数が種子に順次に施用されることを意味し、このうち、各施用間には短い遅延が伴い、微生物(複数可)/ポリマー(複数可)が最後に添加される。本明細書で使用されるとき、「追加処理」とは、種子が化学物質(複数可)/添加剤(複数可)で処理され、乾燥かつ完全に硬化させられ、次いで微生物(複数可)が添加されることを意味する。
【0425】
組成物は、液体肥料と組み合わせて畦間で施用することができる。一部の態様では、畦間施用のために製剤化される組成物は、液体肥料と適合性のものである。一部の例では、液体肥料は、槽に保持されてもよい。NPK肥料は、窒素、亜リン酸、及びカリウムという多量栄養素を含有する。
【0426】
一部の態様では、ポリマーまたはポリマー組成物は、適用の直前に1つまたは複数の細菌または微生物組成物と組み合わされ/混合される。一部の態様では、ポリマーまたはポリマー組成物は、適用の30分未満、1時間未満、2時間未満、3時間未満、4時間未満、5時間未満、6時間未満、7時間未満、8時間未満、9時間未満、10時間未満、11時間未満、12時間未満、13時間未満、14時間未満、15時間未満、16時間未満、17時間未満、18時間未満、19時間未満、20時間未満、21時間未満、22時間未満、23時間未満、24時間未満、25時間未満、26時間未満、27時間未満、28時間未満、29時間未満、30時間未満、35未満、40時間未満、45時間未満、50時間未満、55時間未満、60時間未満、65時間未満、70時間未満、75時間未満、80時間未満、85時間未満、90時間未満、95時間未満、100時間未満、110時間未満、120時間未満、130時間未満、140時間未満、150時間未満、160時間未満、170時間未満、180時間未満、190時間未満、または200時間未満前に1つまたは複数の細菌または微生物組成物と組み合わされ/混合される。
【0427】
一部の態様では、ポリマーまたはポリマー組成物は、適用の約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約25時間、約26時間、約27時間、約28時間、約29時間、約35時間、約40時間、約45時間、約50時間、約55時間、約60時間、約65時間、約70時間、約75時間、約80時間、約85時間、約90時間、約95時間、約100時間、約110時間、約120時間、約130時間、約140時間、約150時間、約160時間、約170時間、約180時間、約190時間、約200時間、または約0時間前に1つまたは複数の細菌または微生物組成物と組み合わされ/混合される。
【0428】
一部の態様では、ポリマーまたはポリマー組成物は、適用の約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約14日、約15日、約16日、約17日、約18日、約19日、約20日、約21日、約22日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、約30日、約35日、約40日、約45日、約50日、約55日、約60日、約65日、約70日、約75日、約80日、約85日、約90日、約95日、約100日、約110日、約120日、約130日、約140日、約150日、約160日、約170日、約180日、約190日、約200日、約210日、約220日、約230日、約240日、約250日、約260日、約270日、約280日、約290日、約300日、約310日、約320日、約330日、約340日、約350日、約360日、または約370日前に1つまたは複数の細菌または微生物組成物と組み合わされ/混合される。
【0429】
一部の態様では、ポリマーまたはポリマー組成物は、適用の1日未満、2日未満、3日未満、4日未満、5日未満、6日未満、7日未満、8日未満、9日未満、10日未満、11日未満、12日未満、13日未満、14日未満、15日未満、16日未満、17日未満、18日未満、19日未満、20日未満、21日未満、22日未満、23日未満、24日未満、25日未満、26日未満、27日未満、28日未満、29日未満、30日未満、35日未満、40日未満、45日未満、50日未満、55日未満、60日未満、65日未満、70日未満、75日未満、80日未満、85日未満、90日未満、95日未満、100日未満、110日未満、120日未満、130日未満、140日未満、150日未満、160日未満、170日未満、180日未満、190日未満、200日未満、210日未満、220日未満、230日未満、240日未満、250日未満、260日未満、270日未満、280日未満、290日未満、300日未満、310日未満、320日未満、330日未満、340日未満、350日未満、360日未満、または370日未満前に1つまたは複数の細菌または微生物組成物と組み合わされ/混合される。
【0430】
一部の態様では、ポリマーまたはポリマー組成物は、適用の約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約19ヶ月、約20ヶ月、約21ヶ月、約22ヶ月、約23ヶ月、約24ヶ月、約25ヶ月、約26ヶ月、約27ヶ月、約28ヶ月、約29ヶ月、約30ヶ月、約31ヶ月、約32ヶ月、約33ヶ月、約34ヶ月、約35ヶ月、約36ヶ月、約37ヶ月、約38ヶ月、約39ヶ月、約40ヶ月、約41ヶ月、約42ヶ月、約43ヶ月、約44ヶ月、約45ヶ月、約46ヶ月、約47ヶ月、約48ヶ月、約49ヶ月、約50ヶ月、約51ヶ月、約52ヶ月、約53ヶ月、約54ヶ月、約55ヶ月、約56ヶ月、約57ヶ月、約58ヶ月、約59ヶ月、または約60ヶ月前に1つまたは複数の細菌または微生物組成物と組み合わされ/混合される。
【0431】
一部の態様では、ポリマーまたはポリマー組成物は、適用の1ヶ月未満、2ヶ月未満、3ヶ月未満、4ヶ月未満、5ヶ月未満、6ヶ月未満、7ヶ月未満、8ヶ月未満、9ヶ月未満、10ヶ月未満、11ヶ月未満、12ヶ月未満、13ヶ月未満、14ヶ月未満、15ヶ月未満、16ヶ月未満、17ヶ月未満、18ヶ月未満、19ヶ月未満、20ヶ月未満、21ヶ月未満、22ヶ月未満、23ヶ月未満、24ヶ月未満、25ヶ月未満、26ヶ月未満、27ヶ月未満、28ヶ月未満、29ヶ月未満、30ヶ月未満、31ヶ月未満、32ヶ月未満、33ヶ月未満、34ヶ月未満、35ヶ月未満、36ヶ月未満、37ヶ月未満、38ヶ月未満、39ヶ月未満、40ヶ月未満、41ヶ月未満、42ヶ月未満、43ヶ月未満、44ヶ月未満、45ヶ月未満、46ヶ月未満、47ヶ月未満、48ヶ月未満、49ヶ月未満、50ヶ月未満、51ヶ月未満、52ヶ月未満、53ヶ月未満、54ヶ月未満、55ヶ月未満、56ヶ月未満、57ヶ月未満、58ヶ月未満、59ヶ月未満、または60ヶ月未満前に1つまたは複数の細菌または微生物組成物と組み合わされ/混合される。
【0432】
一部の態様では、ポリマーまたはポリマー組成物は、1つまたは複数の細菌または微生物組成物とは別個の混合物または溶液として適用される。一部の態様では、ポリマーまたはポリマー組成物は、1つまたは複数の細菌または微生物組成物とは別個の混合物または溶液として、ただし1つまたは複数の細菌または微生物組成物と同時に適用される。一部の態様では、ポリマーまたはポリマー組成物は、1つまたは複数の細菌または微生物組成物とは別個の混合物または溶液として、ただし1つまたは複数の細菌または微生物組成物の直前に適用される。一部の態様では、ポリマーまたはポリマー組成物は、1つまたは複数の細菌または微生物組成物とは別個の混合物または溶液として、ただし1つまたは複数の細菌または微生物組成物の直後に適用される。
【0433】
一部の態様では、ポリマーまたはポリマー組成物は、細菌の収集の直後に1つまたは複数の細菌または微生物組成物と組み合わされ/混合される。一部の態様では、ポリマーまたはポリマー組成物は、1つまたは複数の細菌または微生物組成物を乾燥化させた直後に1つまたは複数の細菌または微生物組成物と組み合わされ/混合される。一部の態様では、ポリマーまたはポリマー組成物は、1つまたは複数の細菌または微生物組成物と組み合わされ/混合され、次いで、結果として得られる微生物ポリマー組成物が乾燥化させられる。
【0434】
一部の態様では、第1のポリマーまたはポリマー組成物が、1つまたは複数の細菌または微生物組成物と組み合わされ/混合されて、微生物ポリマー組成物が形成される。一部の態様では、第2のポリマーまたはポリマー組成物が、微生物ポリマー組成物と組み合わされ/混合される。一部の態様では、第3のポリマーまたはポリマー組成物が、第1及び第2のポリマーまたはポリマー組成物を含む微生物ポリマー組成物と組み合わされ/混合される。
【0435】
一部の態様では、第1のポリマーまたはポリマー組成物を含む微生物ポリマー組成物が、第2のポリマーまたはポリマー組成物と同時に適用される。さらなる態様では、第1のポリマーまたはポリマー組成物は、第2のポリマーまたはポリマー組成物とは異なる。さらなる態様では、第1のポリマーまたはポリマー組成物は、第2のポリマーまたはポリマー組成物と同じである。一部の態様では、第2のポリマーまたはポリマー組成物は、微生物ポリマー組成物の適用直前に適用される。一部の態様では、第2のポリマーまたはポリマー組成物は、微生物ポリマー組成物の適用直後に適用される。
【0436】
一部の態様では、ポリマーまたはポリマー組成物と1つまたは複数の細菌または微生物組成物との混合の後に、ポリマーまたはポリマー組成物を一定期間硬化または乾燥させてから、後続のポリマーまたはポリマー組成物が施用される。一部の態様では、ポリマーまたはポリマー組成物と1つまたは複数の細菌または微生物組成物との混合の後に、ポリマーまたはポリマー組成物を一定期間硬化または乾燥させてから、微生物ポリマー組成物が適用される。
【0437】
ポリマーにより与えられる安定性/生存率
「生存率」、「微生物の生存率」、または「細胞生存率」という用語は一般に、固体または液体増殖培地上で増殖することが可能である細胞のパーセンテージを指す。「安定性」、「微生物安定性」、または「細胞安定性」という用語は一般に、一定期間にわたって固体または液体増殖培地上で増殖することが可能である細胞のパーセンテージを指し、経時的生存率と称されることがある。細胞の生存率の経時的変化は、細胞の安定性として知られる。微生物の生存率の維持は、その経時的低下の低減を指し、これは「安定性」と称される。
【0438】
一部の態様では、生存率は、試料中で生存可能なままである細胞の総数が、対応する参照/対照試料と比較して少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であることを指す。
【0439】
一部の態様では、安定性は、試料中で一定期間にわたって生存可能なままである細胞の総数が、対応する参照/対照試料と比較して少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であることを指す。
【0440】
一部の態様では、ポリマーを含む微生物組成物は、ポリマーが欠如した対照微生物組成物と比較してより長い一定期間、増加した細胞安定性を示す。
【0441】
一部の態様では、ポリマーを含む微生物組成物は、ポリマーが欠如した対照微生物組成物と比較して増加した細胞安定性を示す。一部の態様では、ポリマーを含む微生物組成物は、同じ一定期間にわたって、対応する参照/対照試料と比較して少なくとも5%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、550%、600%、700%、800%、または900%の安定性の増加を示す。
【0442】
一部の態様では、当該一定期間は、ポリマーを含む微生物組成物または対応する参照/対照試料の製造後、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間、46日間、47日間、48日間、49日間、50日間、51日間、52日間、53日間、54日間、55日間、56日間、57日間、58日間、59日間、60日間、65日間、70日間、75日間、80日間、85日間、90日間、95日間、100日間、105日間、110日間、120日間、130日間、140日間、150日間、160日間、170日間、180日間、190日間、200日間、210日間、220日間、230日間、240日間、または250日間である。
【0443】
一部の態様では、ポリマーを含む微生物組成物は、冷蔵庫(35~40°F)で、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間、46日間、47日間、48日間、49日間、50日間、51日間、52日間、53日間、54日間、55日間、56日間、57日間、58日間、59日間、または60日間の期間、同じ一定期間にわたる対応する参照/対照試料と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の安定性を示す。
【0444】
一部の態様では、ポリマーを含む微生物組成物は、冷蔵庫(35~40°F)で、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間、25週間、26週間、27週間、28週間、29週間、30週間、31週間、32週間、33週間、34週間、35週間、36週間、37週間、38週間、39週間、40週間、41週間、42週間、43週間、44週間、45週間、46週間、47週間、48週間、49週間、50週間、51週間、52週間、53週間、54週間、55週間、56週間、57週間、58週間、59週間、または60週間の期間、同じ一定期間にわたる対応する参照/対照試料と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の安定性を示す。
【0445】
一部の態様では、ポリマーを含む微生物組成物は、室温(68~72°F)で、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間、46日間、47日間、48日間、49日間、50日間、51日間、52日間、53日間、54日間、55日間、56日間、57日間、58日間、59日間、または60日間の期間、同じ一定期間にわたる対応する参照/対照試料と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の安定性を示す。
【0446】
一部の態様では、ポリマーを含む微生物組成物は、室温(68~72°F)で、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間、25週間、26週間、27週間、28週間、29週間、30週間、31週間、32週間、33週間、34週間、35週間、36週間、37週間、38週間、39週間、40週間、41週間、42週間、43週間、44週間、45週間、46週間、47週間、48週間、49週間、50週間、51週間、52週間、53週間、54週間、55週間、56週間、57週間、58週間、59週間、または60週間の期間、同じ一定期間にわたる対応する参照/対照試料と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の安定性を示す。
【0447】
一部の態様では、ポリマーを含む微生物組成物は、70~100°Fで、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間、46日間、47日間、48日間、49日間、50日間、51日間、52日間、53日間、54日間、55日間、56日間、57日間、58日間、59日間、または60日間の期間、同じ一定期間にわたる対応する参照/対照試料と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の安定性を示す。
【0448】
一部の態様では、ポリマーを含む微生物組成物は、70~100°Fで、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間、25週間、26週間、27週間、28週間、29週間、30週間、31週間、32週間、33週間、34週間、35週間、36週間、37週間、38週間、39週間、40週間、41週間、42週間、43週間、44週間、45週間、46週間、47週間、48週間、49週間、50週間、51週間、52週間、53週間、54週間、55週間、56週間、57週間、58週間、59週間、または60週間の期間、同じ一定期間にわたる対応する参照/対照試料と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の安定性を示す。
【0449】
一部の態様では、ポリマーを含む微生物組成物は、-20°F未満)の温度で、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間、46日間、47日間、48日間、49日間、50日間、51日間、52日間、53日間、54日間、55日間、56日間、57日間、58日間、59日間、または60日間の期間、同じ一定期間にわたる対応する参照/対照試料と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の安定性を示す。
【0450】
一部の態様では、ポリマーを含む微生物組成物は、-20°F未満の温度で、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間、25週間、26週間、27週間、28週間、29週間、30週間、31週間、32週間、33週間、34週間、35週間、36週間、37週間、38週間、39週間、40週間、41週間、42週間、43週間、44週間、45週間、46週間、47週間、48週間、49週間、50週間、51週間、52週間、53週間、54週間、55週間、56週間、57週間、58週間、59週間、または60週間の期間、同じ一定期間にわたる対応する参照/対照試料と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の安定性を示す。
【0451】
一部の態様では、ポリマーを含む微生物組成物は、乾燥条件に供したときに、対応する参照/対照試料と比較して増加した安定性を示す。一部の態様では、ポリマーを含む微生物組成物は、冷凍乾燥に供したときに、対応する参照/対照試料と比較して増加した安定性を示す。一部の態様では、ポリマーを含む微生物組成物は、噴霧乾燥に供したときに、対応する参照/対照試料と比較して増加した安定性を示す。一部の態様では、ポリマーを含む微生物組成物は、凍結乾燥に供したときに、対応する参照/対照試料と比較して増加した安定性を示す。一部の態様では、ポリマーを含む微生物組成物は、噴霧凝固に供したときに、対応する参照/対照試料と比較して増加した安定性を示す。
【0452】
バイオフィルム
ある特定の実施形態では、前述のポリマー組成物は、バイオフィルムと組み合わせることができる。代替として、本開示または、ポリマーを含まないバイオフィルムのみの組成物を提供する。
【0453】
ほとんどの微小生物は、バイオフィルム、フロック(プランクトンバイオフィルム)、及び汚泥等の集合した形態で生存及び増殖する。Costerton et al.1995.Annu.Rev.Microbiol.49:711-745、Wimpenny.2000.In Community Structure and Co-operation in Biofilms(ed.Allison,Gilbert,Lappin-Scott,and Wilson).Pp.1-24,Cambridge University Press,Cambridge,UKを参照されたい。バイオフィルムは、多価陽イオン、無機粒子、及び生体物質、ならびにコロイド状化合物及び溶解化合物の蓄積である。これらの形態の増殖は、バイオフィルムと総称されることが多い。バイオフィルムは、水性環境で、植物の組織及び動物上で、ならびにフィルター、船体、医療機器等の表面上で遍在的に分布している。バイオフィルムは典型的には、相境界で発生し、固体-水界面で固体表面に接着して見出され得ることが多い。バイオフィルムはまた、固体-空気界面でも見出され得る。
【0454】
バイオフィルム形成は、多くの場合、細菌等の自由に浮動する微小生物が適切な表面に接触して、細胞外ポリマー物質(EPS)を分泌し始めるときに開始する。EPSは、バイオフィルム中の微小生物が互いに接着することを可能にする、糖、タンパク質、及び核酸のネットワークである。適切な表面への接触及び付着に続いて、増殖期が生じる。微小生物及びEPSのさらなる層が、第1の層の上に積み重なる。栄養素のチャネルがバイオフィルムを縦横に通って、栄養素及び老廃物の交換を可能にする。
【0455】
バイオフィルム形成は、多くの場合、バイオフィルムが少数の細胞層のみであるか、または顕著により多くのものであるかを定める1つまたは複数の環境条件によって決定される。例えば、大量のEPSを産生する微小生物は、それらに多くの栄養素が利用可能でない場合であっても、かなり厚いバイオフィルムに増殖することができる。酸素に依存する微小生物は、バイオフィルムがどれほど密となり得るかによって制限され得る。バイオフィルム内の細胞は、バイオフィルムから離れて、新たな表面上に定着することができる。一塊の細胞が離脱し得るか、または個々の細胞が、播種散布(seeding dispersal)として知られるプロセスにおいてバイオフィルムから放出される。
【0456】
微生物の群落は、多くの場合、水不足、高pHもしくは低pH、または抗生物質、抗微生物剤、もしくは重金属等の毒性物質の存在等のストレス因子に対してより回復力がある。バイオフィルムの耐久力は、脱水を防止する保護障壁として作用する、または紫外光に対する遮蔽物として作用するEPSから生じると考えられている。抗微生物剤、漂白剤、または重金属等の有害な物質は、それらがEPSに接触するときに結合されるかまたは中和される。これらの物質は、バイオフィルム内の種々の細胞層に到達する前に、致死量以下の濃度に希釈されるようになり得る。ある特定の抗生物質/抗微生物剤がEPSを透過し、バイオフィルムの層を通過することが可能である。
【0457】
バイオフィルム内に見出される微小生物は、高細胞密度で密接に結び付いて存在し、EPSのマトリックスに埋まっている。EPS産生は、ほとんどの環境で表される一般的な微生物特性である。EPSを形成する能力は、原核生物の間で広く行き渡っているが、藻類、酵母、カビ、及び真菌等の真核微小生物でも起こり得る。Ghosle.2001.Biofouling.17:117-127、及びUS20060096918A1を参照されたい。EPSは細菌の必須の構造ではないが、天然条件下では、ほとんどの環境細菌がフロック及びバイオフィルム等の集合体で存在し、その集合体の構造的及び機能的完全性がEPSマトリックスの存在に本質的に基づくことを考慮すると、EPS産生は、生存の重要な機能である。
【0458】
EPSは、微生物集合体の形態、構成、結合性、物理化学特性、及び生化学活性を決定する主要な構成成分と見なされる。EPSは、微小生物が本質的に固定化されている、高度に水和し局所的に荷電した3次元のゲル様のバイオフィルムマトリックスである。一般に、バイオフィルム中のEPSの割合は、総有機物質の約50%~約90%の間で様々であり得る。Nielsen et al.1997.Wat.Sci.Tech.36:11-19を参照されたい。EPSは、活性化した汚泥フロック(バイオフロキュレーション)の形成及び固定バイオフィルムの発生に関与する。
EPSは、例えば、多糖(例えば、グリコシド結合によって連結された単糖(monosaccharide)、ウロン酸、及びアミノ糖)、ポリペプチド、核酸、脂質/リン脂質(例えば、脂肪酸、グリセロールリン酸、エタノールアミン、セリン、及びコリン)、及び腐植物質(例えば、フェノール化合物、単糖(simple sugar)、及びアミノ酸)等の物質を含み得る。EPS組成物は、微生物細胞から高分子を取り出した後に評価され得る。遠心分離、濾過、加熱、ブレンド、超音波処理、ならびに水酸化ナトリウム、または錯化剤、及びイオン交換樹脂での処理を含めた物理的方法及び化学的方法を使用して、微生物集合体からEPSを抽出することができる。Jahn and Nielsen.1995.Wat.Sci.Tech.31:157-164、及びNielsen and Jahn.1999.Microbial Extracellular Polymeric substances(ed.Wingender,neu,and Flemming),pp.49-72,Springer,Berlinを参照されたい。例えば、撹拌と組み合わせた陽イオン交換樹脂の使用を用いて、顕著な細胞溶解を引き起こすことなくバイオフィルムからEPSを単離することができる。そのような方法は、カルシウムイオンの除去、EPS構造の不安定化、及び細胞からのEPSの分離の容易化に基づく。
【0459】
バイオフィルム産生微小生物
一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、土壌(例えば、根圏)、空気、水(例えば、海水、淡水、廃水汚泥)、堆積物、油、植物(例えば、根、葉、茎)、動物(例えば、哺乳動物、爬虫類、鳥等)、農業産物、及び極限環境(例えば、酸性鉱山排水または熱水系)から得られる微生物から選択されてもよい。さらなる態様では、海洋、川、または湖等の海水または淡水環境から得られる微生物。さらなる実施形態では、微生物は、水域の表面、または任意の深度の水域(例えば、深海試料)からのものであり得る。
【0460】
微生物が源となる材料(例えば、それらが天然に常在する材料)から単離される、本開示の態様では、当業者には容易に知られることになるいくつかの標準技法のうちのいずれか1つまたはそれらの組み合わせが使用されてもよい。しかしながら、例として、これらは一般に、通常は固体微生物増殖培地の表面上での物理的分離によって、または液体微生物増殖培地中への容量希釈分離(volumetric dilutive isolation)によって、単一の微小生物の固体または液体培養物を実質的に純粋な形態で得ることができるプロセスを用いる。これらのプロセスには、適切な固体ゲル増殖培地の上で材料が薄層に広げられる、乾燥材料、液体懸濁液、スラリー、もしくはホモジネートからの単離、または滅菌培地中への材料の段階希釈及び液体もしくは固体培養基への接種が含まれてもよい。
【0461】
バイオフィルムは、多数のタイプの微小生物から形成され得る。例えば、バイオフィルムは、プロテオバクテリアのα-サブクラス、β-サブクラス、もしくはγ-サブクラス由来の細菌;高GC含量を有するグラム陽性菌、及び/またはCytophaga-Flavobacterium群由来の細菌を含有し得る。真菌及び酵母の種々の種もまた、バイオフィルムを産生することが知られている。
【0462】
細菌に加えて、バイオフィルムは、無脊椎動物(例えば、線虫)、鞭毛虫、及び繊毛虫(例えば、輪虫)等の原生動物及び後生動物の生物を含有し得るか、またはそれによって産生され得る。
【0463】
一部の態様では、バイオフィルム産生微生物には、細菌、真菌、及び酵母が含まれる。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、細菌である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、真菌である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、酵母である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、鞭毛虫である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、繊毛虫である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、藻類である。
【0464】
一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、グラム陰性細菌である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、グラム陽性細菌である。
【0465】
一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、病原体である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、偏性病原体である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、日和見病原体である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、植物病原体である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、ヒト病原体である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、動物病原体である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、土壌微生物である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、植物コロニー形成微生物である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、根コロニー形成微生物である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、根圏コロニー形成微生物である。
【0466】
一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、以下の種、すなわち、Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas stutzeri、Pseudomonas putida、Pseudomonas aeruginosa、Rhizobium leguminosarum、Agrobacterium tumefaciens、Paenibacillus polymyxa、Bacillus subtilis、Bacillus cereus、Azospirillum braslinense、Acetobacter xylinum、Kosakonia sacchari、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus cohnii、Enterococcus faecalis、Listeria monocytogenes、Listeria ivanovii、Lysteria innocua、Micrococcus luteus、Rhodococcus fascians、Microbacterium oxydans、Williamsia muralis、Escherichia coli、Serratia marcescens、Comamonas acidovorans、Burkholderia cepacia、Citrobacter freundii、Legionella pneumophila、Legionella waltersii、Legionella brunensis、Salmonella enterica、Shewanella putrefaciens、Rhodotorula mucilaginosa、及びCandida albicansのうちのいずれか1つまたは複数から選択される。
【0467】
一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、以下の属、すなわち、Pseudomonas、Rhizobium、Agrobacterium、Paenibacillus、Bacillus、Azospirillum、Erwinia、Xanthomonas、Pantoea、Acetobacter、Kosakonia、Staphylococcus、Mycobacterium、Micrococcus、Rhodococcus、Cellulosimicrobium、Microbacterium、Williamsia、Escherichia、Klebsiella、Streptococcus、Enterococcus、Leptospira、Clostridium、Listeria、Legionella、Salmonella、Campylobacter、Citrobacter、Shewanella、Burkholderia、Serratia、Comamonas、Cryptococcus、Candida、Saccharomyces、Penicillium、Cladosporium、及びRhodotorulaのうちのいずれか1つまたは複数の種である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、Pseudomonasの種である。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、Kosakoniaの種である。
【0468】
バイオフィルム産生
一部の態様では、増殖培地には、プランクトン微生物が接種される。一部の態様では、増殖培地には、すでにバイオフィルム中にある固着微生物が接種される。一部の態様では、増殖培地には、対数増殖期にある微生物が接種される。一部の態様では、増殖培地には、誘導増殖期にある微生物が接種される。一部の態様では、増殖培地には、静止期にある微生物が接種される。
【0469】
一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、対数期で増殖しているときにバイオフィルムを産生する。一部の態様では、バイオフィルム産生微生物は、対数期で増殖しているときにバイオフィルムを産生する。
【0470】
一部の態様では、バイオフィルムは、フラスコ中で振とうしながら培養される。一部の態様では、バイオフィルムは、フラスコ中で振とうせずに培養される。一部の態様では、バイオフィルムは、固体表面(担体)上で培養される。一部の態様では、バイオフィルムは、バイオリアクタ中で培養される。一部の態様では、バイオフィルムは、ケモスタット中で培養される。一部の態様では、バイオフィルムは、連続フローシステム中で培養される。
【0471】
一部の態様では、バイオフィルムは、増殖培地で少なくとも1つの菌株を共接種することによって培養される。一部の態様では、バイオフィルムは、増殖培地で少なくとも2つの菌株を共接種することによって培養される。一部の態様では、バイオフィルムは、増殖培地で少なくとも3つの菌株を共接種することによって培養される。一部の態様では、バイオフィルムは、増殖培地で少なくとも4つの菌株を共接種することによって培養される。一部の態様では、バイオフィルムは、増殖培地で少なくとも5つの菌株を共接種することによって培養される。
【0472】
一部の態様では、バイオフィルムは、EP2186890A1、WO2017203440A1、米国特許第5,116,506号、US20090258404A1、及びUS20090152195A1に記載されるようにバイオリアクタ中で産生させられる。
【0473】
一部の態様では、バイオフィルムは、本開示の細菌のうちの1つまたは複数を用いてインサイチュで培養される。一部の態様では、増殖培地は、1つまたは複数のバイオフィルム産生微生物及び1つまたは複数の非バイオフィルム産生微生物の対数増殖を支持することが可能である。1つまたは複数のバイオフィルム産生微生物及び1つまたは複数の非バイオフィルム産生微生物の共培養は、非バイオフィルム産生微生物が、バイオフィルム産生微生物によって産生されるバイオフィルムに包まれるように、2つ以上の微生物の十分な対数増殖をもたらす。
【0474】
(i)バイオフィルムの単離/収集
一部の態様では、バイオフィルムは、増殖培地中で撹拌されて、バイオフィルムを、それらが接着している表面から放出する。一部の態様では、撹拌には、剥離、超音波処理、せん断(sheer)力、振とう等が含まれる。
【0475】
一部の態様では、バイオフィルムは、増殖培地または増殖チャンバから単離され、フィルターの上に注がれ、これにより、バイオフィルム組成物を保留しながら上清及びプランクトン単細胞微生物が通過することを可能にする。一部の態様では、バイオフィルムは、反応チャンバ/増殖フラスコの全内容物を、直径5マイクロメートルの孔を含むフィルターに注ぐことによって、使用済み培地から単離される。一部の態様では、バイオフィルムは、反応チャンバ/増殖フラスコの全内容物を、直径10マイクロメートルの孔を含むフィルターに注ぐことによって、使用済み培地から単離される。一部の態様では、バイオフィルムは、反応チャンバ/増殖フラスコの全内容物を、直径15マイクロメートルの孔を含むフィルターに注ぐことによって、使用済み培地から単離される。一部の態様では、バイオフィルムは、反応チャンバ/増殖フラスコの全内容物を、直径20マイクロメートルの孔を含むフィルターに注ぐことによって、使用済み培地から単離される。
【0476】
一部の態様では、濾過は、陰圧吸引器の補助により生じる。
【0477】
一部の態様では、フィルターに残っているバイオフィルム材料は、適切な緩衝液または培地で少なくとも1回洗浄される。一部の態様では、フィルターに残っているバイオフィルム材料は、適切な緩衝液または培地で少なくとも2回洗浄される。一部の態様では、フィルターに残っているバイオフィルム材料は、適切な緩衝液または培地で少なくとも3回洗浄される。一部の態様では、フィルターに残っているバイオフィルム材料は、適切な緩衝液または培地で少なくとも4回洗浄される。一部の態様では、フィルターに残っているバイオフィルム材料は、適切な緩衝液または培地で少なくとも5回洗浄される。
【0478】
一部の態様では、バイオフィルムは、超音波処理されて、バイオフィルムがわずかにより小さい薄切へと粉砕されることを可能にすると共に、回収及び精製されたバイオフィルムが単一の塊のまま残ることを防止する。
【0479】
一部の態様では、バイオフィルムは、緩衝液または培地中に再懸濁され、遠心分離または超遠心分離の使用により、より小さい容量に濃縮される。
【0480】
一部の態様では、バイオフィルムは、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または10倍の容量で再懸濁される。
【0481】
(ii)バイオフィルムの処理
一部の態様では、バイオフィルムは、バイオフィルムを産生した残存する微生物を死滅させるように滅菌される。一部の態様では、滅菌は、加熱殺菌である。一部の態様では、加熱殺菌は、バイオフィルムのオートクレーブ処理である。一部の態様では、滅菌は、紫外線へのバイオフィルムの曝露である。一部の態様では、滅菌は、X線へのバイオフィルムの曝露である。一部の態様では、滅菌は、ガンマ線へのバイオフィルムの曝露である。
【0482】
一部の態様では、バイオフィルム滅菌は、バイオフィルムによって与えられるいずれか1つまたは複数の特性または形質を調整しない。
【0483】
バイオフィルム組成物
一部の態様では、バイオフィルム組成物は、本開示のいずれか1つまたは複数の微生物とのバイオフィルムの組み合わせである。一部の態様では、バイオフィルムは、本開示のいずれか1つまたは複数の細菌と混合される。一部の態様では、バイオフィルムは、本開示のいずれか1つまたは複数の空中窒素固定微生物と混合される。
【0484】
一部の態様では、バイオフィルム組成物は、異なる微小生物によって産生される2つ以上のバイオフィルムの組み合わせである。一部の態様では、本開示のバイオフィルムは、単一の微生物種で構成されるか、または単一の微生物種によって産生されて、純粋な培養物を形成してもよい。一部の態様では、バイオフィルムは、細菌のコンソーシアムで構成されるか、または細菌のコンソーシアムによって産生されてもよい。一部の態様では、バイオフィルムは、1つまたは複数の微生物種によって産生されてもよい。一部の態様では、バイオフィルムは、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、または少なくとも10種の微生物種によって産生されてもよい。
【0485】
一部の態様では、バイオフィルムは、それが添加される1つまたは複数の細菌に外因性である。一部の態様では、バイオフィルムは、それが添加される1つまたは複数の細菌に天然である。
【0486】
一部の態様では、バイオフィルム組成物は、液体である。一部の態様では、バイオフィルム組成物は、固体である。一部の態様では、バイオフィルム組成物は、固体要素及び液体要素の両方を含む。一部の態様では、バイオフィルム組成物は、半固体である。一部の態様では、バイオフィルム組成物は、乾燥させられる。一部の態様では、バイオフィルム組成物は、砂である。一部の態様では、バイオフィルム組成物は、粉末である。一部の態様では、バイオフィルム組成物は、ゲルである。
【0487】
一部の態様では、バイオフィルム組成物は、本明細書に開示されるいずれか1つまたは複数の要素を含む。
【0488】
一部の実施形態では、本開示の少なくとも2つのバイオフィルムの組み合わせは、互いに接触することになるバイオフィルムのうちの1つまたは複数の存在下で、本明細書に記載の形質のうちの1つまたは複数に対して相乗効果を示す。教示される方法によって得られる相乗効果は、例えば、コルビーの式(すなわち、(E)=X+Y-(X×Y/100))に従って定量することができる。Colby,R.S.,“Calculating Synergistic and Antagonistic Responses of Herbicide Combinations,”1967.Weeds.Vol.15,pp.20-22を参照されたい(参照によりその全体が本明細書に援用される)。故に、「相乗的」とは、相加的量を超えて増加した成果/パラメータ/効果を反映することが意図される。
【0489】
一部の態様では、バイオフィルムは、本開示のいずれか1つまたは複数の細菌を含む液体培地に導入される。一部の態様では、バイオフィルムは、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、または90の容量%で本開示のいずれか1つまたは複数の細菌を含む液体培地に導入される。
【0490】
一部の態様では、バイオフィルムは、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:または10:1の容量でいずれか1つまたは複数の細菌を含む液体培地に導入される。
【0491】
水分含量は、組成物中の水の総量の測定値であり、通常は総重量のパーセンテージとして表される。水分含量は、組成物の乾燥重量を決定するのに有用な測定値であり、それを使用して、組成物の乾燥化/乾燥プロセスが完了しているかどうかを確認することができる。水分含量は、(組成物の湿重量-乾燥化/乾燥後の重量)を組成物の湿重量で除し、100を乗じることによって算出される。
【0492】
水分含量は、組成物中の水の量を定義するものであるが、水分活性は、組成物中の水が微小生物とどのように反応するかを説明するものである。水分活性が大きいほど、微小生物はより速く増殖することができる。水分活性は、組成物中の蒸気圧対純水の蒸気圧の比を見出すことによって算出される。より具体的には、水分活性は、組成物中の水の蒸気の分圧を、標準状態の純水の蒸気の分圧で除したものである。純粋な蒸留水の水分活性は1である。組成物の水分活性の決定は、組成物中の水の量ではなく、微小生物が使用するために利用可能な過剰量の水の量である。微小生物は、増殖のために最小かつ最適な水分活性を有する。
【0493】
一態様では、本開示のバイオフィルム組成物は、乾燥化している。微生物組成物は、組成物の水分含量が0%~20%である場合、乾燥化している。
【0494】
一態様では、本開示のバイオフィルム組成物の水分含量は、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%である。
【0495】
一態様では、本開示のバイオフィルム組成物の水分含量は、0.5%未満、0.6%未満、0.7%未満、0.8%未満、0.9%未満、1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、10%未満、11%未満、12%未満、13%未満、14%未満、15%未満、16%未満、17%未満、18%未満、19%未満、20%未満、21%未満、22%未満、23%未満、24%未満、25%未満、26%未満、27%未満、28%未満、29%未満、30%未満、31%未満、32%未満、33%未満、34%未満、35%未満、36%未満、37%未満、38%未満、39%未満、40%未満、41%未満、42%未満、43%未満、44%未満、45%未満、46%未満、47%未満、48%未満、49%未満、50%未満、51%未満、52%未満、53%未満、54%未満、55%未満、56%未満、57%未満、58%未満、59%未満、60%未満、61%未満、62%未満、63%未満、64%未満、65%未満、66%未満、67%未満、68%未満、69%未満、70%未満、71%未満、72%未満、73%未満、74%未満、75%未満、76%未満、77%未満、78%未満、79%未満、80%未満、81%未満、82%未満、83%未満、84%未満、85%未満、86%未満、87%未満、88%未満、89%未満、90%未満、91%未満、92%未満、93%未満、94%未満、95%未満、96%未満、97%未満、98%未満、99%未満、または100%未満である。
【0496】
一態様では、本開示のバイオフィルム組成物の水分含量は、約0.5%未満、約0.6%未満、約0.7%未満、約0.8%未満、約0.9%未満、約1%未満、約2%未満、約3%未満、約4%未満、約5%未満、約6%未満、約7%未満、約8%未満、約9%未満、約10%未満、約11%未満、約12%未満、約13%未満、約14%未満、約15%未満、約16%未満、約17%未満、約18%未満、約19%未満、約20%未満、約21%未満、約22%未満、約23%未満、約24%未満、約25%未満、約26%未満、約27%未満、約28%未満、約29%未満、約30%未満、約31%未満、約32%未満、約33%未満、約34%未満、約35%未満、約36%未満、約37%未満、約38%未満、約39%未満、約40%未満、約41%未満、約42%未満、約43%未満、約44%未満、約45%未満、約46%未満、約47%未満、約48%未満、約49%未満、約50%未満、約51%未満、約52%未満、約53%未満、約54%未満、約55%未満、約56%未満、約57%未満、約58%未満、約59%未満、約60%未満、約61%未満、約62%未満、約63%未満、約64%未満、約65%未満、約66%未満、約67%未満、約68%未満、約69%未満、約70%未満、約71%未満、約72%未満、約73%未満、約74%未満、約75%未満、約76%未満、約77%未満、約78%未満、約79%未満、約80%未満、約81%未満、約82%未満、約83%未満、約84%未満、約85%未満、約86%未満、約87%未満、約88%未満、約89%未満、約90%未満、約91%未満、約92%未満、約93%未満、約94%未満、約95%未満、約96%未満、約97%未満、約98%未満、約99%未満、または約100%未満である。
【0497】
一態様では、本開示のバイオフィルム組成物の水分含量は、1%~100%、1%~95%、1%~90%、1%~85%、1%~80%、1%~75%、1%~70%、1%~65%、1%~60%、1%~55%、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、5%~100%、5%~95%、5%~90%、5%~85%、5%~80%、5%~75%、5%~70%、5%~65%、5%~60%、5%~55%、5%~50%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、5%~15%、5%~10%、10%~100%、10%~95%、10%~90%、10%~85%、10%~80%、10%~75%、10%~70%、10%~65%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~100%、15%~95%、15%~90%、15%~85%、15%~80%、15%~75%、15%~70%、15%~65%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~100%、20%~95%、20%~90%、20%~85%、20%~80%、20%~75%、20%~70%、20%~65%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~100%、25%~95%、25%~90%、25%~85%、25%~80%、25%~75%、25%~70%、25%~65%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~100%、30%~95%、30%~90%、30%~85%、30%~80%、30%~75%、30%~70%、30%~65%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~100%、35%~95%、35%~90%、35%~85%、35%~80%、35%~75%、35%~70%、35%~65%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~100%、40%~95%、40%~90%、40%~85%、40%~80%、40%~75%、40%~70%、40%~65%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~100%、45%~95%、45%~90%、45%~85%、45%~80%、45%~75%、45%~70%、45%~65%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~100%、50%~95%、50%~90%、50%~85%、50%~80%、50%~75%、50%~70%、50%~65%、50%~60%、50%~55%、55%~100%、55%~95%、55%~90%、55%~85%、55%~80%、55%~75%、55%~70%、55%~65%、55%~60%、60%~100%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、65%~100%、65%~95%、65%~90%、65%~85%、65%~80%、65%~75%、65%~70%、70%~100%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、70%~80%、70%~75%、75%~100%、75%~95%、75%~90%、75%~85%、75%~80%、80%~100%、80%~95%、80%~90%、80%~85%、85%~100%、85%~95%、85%~90%、90%~100%、90%~95%、または95%~100%である。
【0498】
一態様では、本開示のバイオフィルム組成物の水分活性は、約0.1、約0.15、約0.2、約0.25、約0.30、約0.35、約0.4、約0.5、約0.55、約0.60、約0.65、約0.70、約0.75、約0.8、約0.85、約0.90、または約0.95である。
【0499】
一態様では、本開示のバイオフィルム組成物の水分活性は、約0.1未満、約0.15未満、約0.2未満、約0.25未満、約0.30未満、約0.35未満、約0.4未満、約0.5未満、約0.55未満、約0.60未満、約0.65未満、約0.70未満、約0.75未満、約0.8未満、約0.85未満、約0.90未満、または約0.95未満である。
【0500】
一態様では、本開示のバイオフィルム組成物の水分活性は、0.1未満、0.15未満、0.2未満、0.25未満、0.30未満、0.35未満、0.4未満、0.5未満、0.55未満、0.60未満、0.65未満、0.70未満、0.75未満、0.8未満、0.85未満、0.90未満、または0.95未満である。
【0501】
一態様では、本開示のバイオフィルム組成物の水分活性は、0.1~0.95、0.1~0.90、0.1~0.85、0.1~0.8、0.1~0.75、0.1~0.70、0.1~0.65、0.1~0.55、0.1~0.50、0.1~0.45、0.1~0.40、0.1~0.35、0.1~0.3、0.1~0.25、0.1~0.2、0.1~0.15、0.15~0.95、0.15~0.90、0.15~0.85、0.15~0.8、0.15~0.75、0.15~0.70、0.15~0.65、0.15~0.55、0.15~0.50、0.15~0.45、0.15~0.40、0.15~0.35、0.15~0.3、0.15~0.25、0.15~0.2、0.2~0.95、0.2~0.90、0.2~0.85、0.2~0.8、0.2~0.75、0.2~0.70、0.2~0.65、0.2~0.55、0.2~0.50、0.2~0.45、0.2~0.40、0.2~0.35、0.2~0.3、0.2~0.25、0.25~0.95、0.25~0.90、0.25~0.85、0.25~0.8、0.25~0.75、0.25~0.70、0.25~0.65、0.25~0.55、0.25~0.50、0.25~0.45、0.25~0.40、0.25~0.35、0.25~0.3、0.3~0.95、0.3~0.90、0.3~0.85、0.3~0.8、0.3~0.75、0.3~0.70、0.3~0.65、0.3~0.55、0.3~0.50、0.3~0.45、0.3~0.40、0.3~0.35、0.35~0.95、0.35~0.90、0.35~0.85、0.35~0.8、0.35~0.75、0.35~0.70、0.35~0.65、0.35~0.55、0.35~0.50、0.35~0.45、0.35~0.40、0.4~0.95、0.4~0.90、0.4~0.85、0.4~0.8、0.4~0.75、0.4~0.70、0.4~0.65、0.4~0.55、0.4~0.50、0.4~0.45、0.45~0.95、0.45~0.90、0.45~0.85、0.45~0.8、0.45~0.75、0.45~0.70、0.45~0.65、0.45~0.55、0.45~0.50、0.5~0.95、0.5~0.90、0.5~0.85、0.5~0.8、0.5~0.75、0.5~0.70、0.5~0.65、0.5~0.55、0.55~0.95、0.55~0.90、0.55~0.85、0.55~0.8、0.55~0.75、0.55~0.70、0.55~0.65、0.6~0.95、0.6~0.90、0.6~0.85、0.6~0.8、0.6~0.75、0.6~0.70、0.65~0.95、0.65~0.90、0.65~0.85、0.65~0.8、0.65~0.75、0.7~0.95、0.7~0.90、0.7~0.85、0.7~0.8、0.75~0.95、0.75~0.90、0.75~0.85、0.8~0.95、0.8~0.90、0.8~0.85、0.85~0.95、0.85~0.90、または0.9~0.95である。
【0502】
(i)種子コーティング剤
一部の態様では、バイオフィルム組成物は、植物種子に施用される。一部の態様では、バイオフィルム組成物は、トウモロコシ、ダイズ、キャノーラ、モロコシ、ジャガイモ、イネ、野菜、穀類、擬似穀類、及び油糧種子の種子に施用される。穀類の例としては、オオムギ、フォニオ、オートムギ、パルマーグラス(palmer’s grass)、ライムギ、トウジンビエ(pearl millet)、モロコシ、スペルトコムギ、テフ、ライコムギ、及びコムギが挙げられ得る。擬似穀類の例としては、ブレッドナッツ、ソバ、ガマ、チア、亜麻、アマランサス子実、ハンザ(hanza)、キノア、及びゴマが挙げられ得る。一部の例では、種子は、遺伝子組換え生物(GMO)、非GMO、有機、または従来のものであり得る。
【0503】
一部の態様では、バイオフィルム組成物は、バイオフィルム組成物を含む液体、スラリー、または粉末で種子をコーティングすることによって植物種子に施用される。一部の態様では、種子コーティング剤は、乾燥種子コーティング剤である。一部の態様では、種子コーティング剤は、湿潤した種子コーティング剤である。一部の態様では、種子コーティング剤は、湿潤状態で施用され、種子上で乾燥させられる。
【0504】
バイオフィルム組成物の適用
本明細書に記載のバイオフィルム組成物は、畦間で、タルク中で、または種子処理剤として施用することができる。バイオフィルム組成物は、バルク、ミニバルクで、袋中で、またはタルク中で種子パッケージに施用することができる。
【0505】
プランターは、処理された種子を植栽し、従来の方式に従って2条で、または耕うんを必要としない方式で作物を栽培することができる。種子は、コントロールホッパーまたは個別のホッパーを使用して散布することができる。また、種子は、加圧空気を使用してまたは手作業で散布することができる。種子配置は、可変作業技術(variable rate technology)を使用して実施することができる。加えて、本明細書に記載の細菌または細菌集団の施用は、可変作業技術を使用して施用されてもよい。一部の例では、細菌は、本開示の植物種子に施用することができる。
【0506】
マイクロ肥料、PGR、除草剤、殺虫剤、及び殺真菌剤等の添加剤を追加で使用して、作物を処理することができる。添加剤の例としては、殺虫剤、殺線虫剤、殺真菌剤等の作物保護剤、着色剤、ポリマー、ペレット化(pelleting)、プライミング(priming)、及び消毒剤等の強化剤、ならびに接種剤、PGR、軟化剤、及び微量栄養素等の他の薬剤が挙げられる。PGRは、根成長、開花、または茎伸長に影響を及ぼす天然または合成の植物ホルモンであり得る。PGRには、オーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、エチレン、及びアブシジン酸(ABA)が含まれ得る。
【0507】
組成物は、液体肥料と組み合わせて畦間で施用することができる。一部の例では、液体肥料は、槽に保持されてもよい。NPK肥料は、ナトリウム、亜リン酸、及びカリウムという多量栄養素を含有する。
【0508】
バイオフィルムにより与えられる生存率
一部の態様では、「生存率」、「微生物の生存率」、または「細胞生存率」とは、固体または液体増殖培地上で増殖することが可能である細胞のパーセンテージを指す。一部の態様では、生存率は、試料中で生存可能なままである細胞の総数が、対応する参照/対照組成物と比較して少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であることを指す。
【0509】
一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、バイオフィルムが欠如した対照微生物組成物と比較してより長い一定期間、増加した細胞生存率を示す。
【0510】
一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、バイオフィルムが欠如した対照微生物組成物と比較して増加した細胞生存率を示す。一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、同じ一定期間にわたって、対応する参照/対照組成物と比較して少なくとも5%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、550%、600%、700%、800%、または900%の生存率の増加を示す。
【0511】
一部の態様では、一定期間は、バイオフィルムを含む微生物組成物または対応する参照/対照組成物の製造後、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間、46日間、47日間、48日間、49日間、50日間、51日間、52日間、53日間、54日間、55日間、56日間、57日間、58日間、59日間、60日間、65日間、70日間、75日間、80日間、85日間、90日間、95日間、100日間、105日間、110日間、120日間、130日間、140日間、150日間、160日間、170日間、180日間、190日間、200日間、210日間、220日間、230日間、240日間、または250日間である。
【0512】
一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、冷蔵庫(35~40°F)で、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間、46日間、47日間、48日間、49日間、50日間、51日間、52日間、53日間、54日間、55日間、56日間、57日間、58日間、59日間、または60日間の期間、同じ一定期間にわたる対応する参照/対照組成物と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の生存率を示す。
【0513】
一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、冷蔵庫(35~40°F)で、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間、25週間、26週間、27週間、28週間、29週間、30週間、31週間、32週間、33週間、34週間、35週間、36週間、37週間、38週間、39週間、40週間、41週間、42週間、43週間、44週間、45週間、46週間、47週間、48週間、49週間、50週間、51週間、52週間、53週間、54週間、55週間、56週間、57週間、58週間、59週間、または60週間の期間、同じ一定期間にわたる対応する参照/対照組成物と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の生存率を示す。
【0514】
一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、室温(68~72°F)で、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間、46日間、47日間、48日間、49日間、50日間、51日間、52日間、53日間、54日間、55日間、56日間、57日間、58日間、59日間、または60日間の期間、同じ一定期間にわたる対応する参照/対照組成物と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の生存率を示す。
【0515】
一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、室温(68~72°F)で、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間、25週間、26週間、27週間、28週間、29週間、30週間、31週間、32週間、33週間、34週間、35週間、36週間、37週間、38週間、39週間、40週間、41週間、42週間、43週間、44週間、45週間、46週間、47週間、48週間、49週間、50週間、51週間、52週間、53週間、54週間、55週間、56週間、57週間、58週間、59週間、または60週間の期間、同じ一定期間にわたる対応する参照/対照組成物と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の生存率を示す。
【0516】
一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、70~100°Fで、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間、46日間、47日間、48日間、49日間、50日間、51日間、52日間、53日間、54日間、55日間、56日間、57日間、58日間、59日間、または60日間の期間、同じ一定期間にわたる対応する参照/対照組成物と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の生存率を示す。
【0517】
一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、70~100°Fで、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間、25週間、26週間、27週間、28週間、29週間、30週間、31週間、32週間、33週間、34週間、35週間、36週間、37週間、38週間、39週間、40週間、41週間、42週間、43週間、44週間、45週間、46週間、47週間、48週間、49週間、50週間、51週間、52週間、53週間、54週間、55週間、56週間、57週間、58週間、59週間、または60週間の期間、同じ一定期間にわたる対応する参照/対照組成物と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の生存率を示す。
【0518】
一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、-20°F未満)の温度で、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間、46日間、47日間、48日間、49日間、50日間、51日間、52日間、53日間、54日間、55日間、56日間、57日間、58日間、59日間、または60日間の期間、同じ一定期間にわたる対応する参照/対照組成物と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の生存率を示す。
【0519】
一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、-20°F未満の温度で、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間、25週間、26週間、27週間、28週間、29週間、30週間、31週間、32週間、33週間、34週間、35週間、36週間、37週間、38週間、39週間、40週間、41週間、42週間、43週間、44週間、45週間、46週間、47週間、48週間、49週間、50週間、51週間、52週間、53週間、54週間、55週間、56週間、57週間、58週間、59週間、または60週間の期間、同じ一定期間にわたる対応する参照/対照組成物と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%の生存率を示す。
【0520】
一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、バイオフィルムが欠如した対照微生物組成物と比較して増加したジャグ中(in-jug)安定性、増加した種子上安定性、増加した畦間安定性、及び/または増加したタルク中安定性を示す。一部の態様では、安定性の増加は、生存率の点から測定される。
【0521】
一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、30℃、37℃、45℃、または60℃等のより高い温度で、バイオフィルムが欠如した対照微生物組成物と比較して、(例えば、増加した細胞生存率により反映されるような)安定性の増加、例えば、ジャグ中安定性、種子上安定性、畦間安定性、またはタルク中安定性を示す。
【0522】
一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、30℃、37℃、45℃、または60℃等のより高い温度で、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間、25週間、26週間、27週間、28週間、29週間、30週間、31週間、32週間、33週間、34週間、35週間、36週間、37週間、38週間、39週間、40週間、41週間、42週間、43週間、44週間、45週間、46週間、47週間、48週間、49週間、50週間、51週間、52週間、53週間、54週間、55週間、56週間、57週間、58週間、59週間、または60週間の期間、同じ条件下で保管されたバイオフィルムが欠如した対応する参照/対照組成物と比較して少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の、(例えば、増加した細胞生存率により反映されるような)ジャグ中安定性、種子上安定性、畦間安定性、またはタルク中安定性の増加等の安定性の増加を示す。
【0523】
一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、30℃、37℃、45℃、または60℃等のより高い温度で、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間、46日間、47日間、48日間、49日間、50日間、51日間、52日間、53日間、54日間、55日間、56日間、57日間、58日間、59日間、または60日間の期間、同じ条件下で保管されたバイオフィルムが欠如した対応する参照/対照組成物と比較して少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の、(例えば、増加した細胞生存率により反映されるような)安定性の増加、例えば、ジャグ中安定性、種子上安定性、畦間安定性、またはタルク中安定性の増加を示す。
【0524】
一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、乾燥条件に供したときに、対応する参照/対照組成物と比較して増加した生存率を示す。一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、冷凍乾燥に供したときに、対応する参照/対照組成物と比較して増加した生存率を示す。一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、噴霧乾燥に供したときに、対応する参照/対照組成物と比較して増加した生存率を示す。一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、凍結乾燥に供したときに、対応する参照/対照組成物と比較して増加した生存率を示す。一部の態様では、バイオフィルムを含む微生物組成物は、噴霧凝固に供したときに、対応する参照/対照組成物と比較して増加した生存率を示す。
【実施例】
【0525】
以下の実施例は、本開示の種々の実施形態を例示する目的で提供されるものであり、いかなる様式でも本開示を限定することは意図されていない。特許請求の範囲によって定義されるような、本開示の趣旨内に包含される本実施例の変更及び他の使用が、当業者には認識されよう。
【0526】
実施例1:誘導型微生物リモデリング-農業用の微生物種の合理的改善に向けたプラットフォーム
誘導型微生物リモデリング(GMR)プラットフォームの実施形態の例となる概要は、
図1Aの概略図に要約することができる。
【0527】
図1Aは、マイクロバイオームの組成が最初に特性評価され得、目的の種が特定される(例えば、適切なコロニー形成特性を有する微生物を見出すために)ことを例示する。
【0528】
目的の種の代謝をマッピングし、遺伝的特質に関連付けることができる。例えば、微生物の窒素固定経路を特性評価することができる。特性評価されている経路は、幅広い環境条件下で検査することができる。例えば、その環境中の種々のレベルの外因性窒素の存在下で空中窒素を固定する微生物の能力を検査することができる。窒素の代謝は、AmtBトランスポーターを介した根圏から細菌のサイトゾルへのアンモニア(NH4
+)の侵入を伴い得る。アンモニア及びL-グルタミン酸(L-Glu)が、グルタミン合成酵素及びATPによって触媒されてグルタミンとなる。グルタミンは、細菌バイオマスの形成につながり得、またそれはnifオペロンの発現を阻害し得、すなわち、微生物に空中窒素を固定させ、アンモニアを排泄させることを望む場合、それは競合する力であり得る。窒素固定経路は、本明細書の先の節でより詳細に特性評価されている。
【0529】
その後、接合及び組換え、化学的突然変異誘発、適応進化、ならびに遺伝子編集を含むがこれらに限定されない方法を使用して、標的化された非属間ゲノム改変を微生物のゲノムに導入することができる。標的化された非属間ゲノム改変には、ゲノムの挿入、破壊、欠失、改変、摂動、修飾等が含まれ得る。
【0530】
次いで、基盤となる遺伝子型のリモデリングからもたらされる所望の表現型を含む、リモデリングされた派生微生物を作物の接種に使用する。
【0531】
本開示は、ある特定の実施形態では、空中窒素を固定して、そのような窒素を植物に供給することができる、リモデリングされた非属間微生物を提供する。複数の態様では、これらのリモデリングされた非属間微生物は、外因性窒素が存在する場合であっても空中窒素を固定することができる。
【0532】
図1Bは、マイクロバイオームステップの測定値の拡大図を図示する。一部の実施形態では、本開示は、所望のコロニー形成特性を有する微生物種を見出し、次いで、それらの種を後続のリモデリングプロセスで利用する。
【0533】
これより、前述の誘導型微生物リモデリング(GMR)プラットフォームをより具体的に記載する。
【0534】
複数の態様では、GMRプラットフォームは、以下のステップを含む。
A.単離-目的の作物植物の土壌、根圏、表面等から微生物を得る。
B.特性評価-目的の遺伝子型/表現型(例えば、ゲノム配列、コロニー形成能力、窒素固定活性、P可溶化能力、目的の代謝物の排泄、植物促進化合物の排泄等)に関して、単離された微生物を特性評価することを伴う。
C.順化-微生物の非属間遺伝子組換えのための分子プロトコルの開発。
D.非属間操作計画及び最適化-主要な経路(例えば、コロニー形成関連遺伝子、窒素固定/同化遺伝子、P可溶化遺伝子)に遺伝子組換えを有する非属間派生微生物菌株の生成。
E.アナリティクス-インビトロ(例えば、ARAアッセイ)及び植物内(例えば、コロニー形成アッセイ)の両方での目的の表現型に関する誘導された非属間菌株の評価。
F.操作計画/アナリティクスの反復-微生物菌株のさらなる改善のためのステップD及びEの反復
【0535】
これより、GMRプラットフォームプロセスステップの各々を下記で詳述する。
【0536】
A.微生物の単離
1.土壌試料を得る
【0537】
微生物を植物の土壌及び/または根から単離する。一例では、植物を研究室または温室において小さな鉢で栽培する。種々の農業地帯から土壌試料を得る。例えば、ローム(例えば、泥炭質粘土ローム、砂質ローム)、粘土質土壌(例えば、重粘土、シルト質粘土)、砂質土壌、シルト質土壌、泥炭質土壌、白亜質土壌等を含めた、多様なテクスチャ特性を有する土壌を収集することができる。
【0538】
2.餌植物を栽培する
【0539】
餌植物(目的の植物)(例えば、トウモロコシ、コムギ、イネ、モロコシ、キビ、ダイズ、野菜、果実等)の種子を各土壌タイプに植栽する。一例では、異なる品種の餌植物を種々の土壌タイプに植栽する。例えば、目的の植物がトウモロコシである場合、圃場トウモロコシ、スイートコーン、ヘリテージコーン(heritage corn)等といった異なる品種のトウモロコシの種子を、上述の種々の土壌タイプに植栽する。
【0540】
3.土壌及び/または根試料を収穫し、適切な培地にプレートする
【0541】
数週間(例えば、2~4週間)の成長後、植物を根ごと引き抜くことによって収穫する。植物を研究室/温室で栽培する代わりに、目的の植物の土壌及び/または根を、異なる土壌タイプを有する圃場から直接収集することができる。
【0542】
根圏微生物及び着生菌を単離するためには、根の損傷を回避するように土壌を蒸留水で浸すかまたは土壌を手で穏やかにほぐすことによって、植物を穏やかに取り出す。より大きな土壌粒子が存在する場合、静置された蒸留水のプールに根を浸漬することによって及び/または根を穏やかに振り動かすことによって、これらの粒子を除去する。根を切断し、根を少量の蒸留水と共にプレートまたは管に入れ、プレート/管をシェーカーで穏やかに振とうするかまたは管を低速で遠心分離することによって根に固着している土壌のスラリーを調製する。このスラリーを下記に記載されるように処理する。
【0543】
内部寄生菌を単離するためには、根表面上の余分の土壌を脱イオン水で除去する。土壌の除去後、植物を表面滅菌し、滅菌水で激しくすすぐ。清浄化した根の1cm薄片を植物から切除し、3mmのスチールビーズを含有するリン酸緩衝食塩水液に入れる。Qiagen TissueLyser IIを含む溶液を激しく振とうすることによってスラリーを生成する。
【0544】
土壌及び/または根のスラリーは、単離されるべき微生物の植物に有益な所望の形質に応じて種々の方式で処理することができる。例えば、土壌及び根のスラリーを希釈し、種々のタイプのスクリーニング培地に接種して、根圏性、内部寄生性、着生性、及び他の植物付随性微生物を単離することができる。例えば、植物に有益な所望の形質が窒素固定である場合、土壌/根のスラリーを無窒素培地(例えば、Nfb寒天培地)にプレートして、窒素固定微生物を単離する。同様に、リン酸可溶化細菌(PSB)を単離するためには、リンの唯一の供給源としてリン酸カルシウムを含有する培地を使用することができる。PSBは、リン酸カルシウムを可溶化し、より高い量でリンを同化及び放出することができる。この反応は、プレート上のハローゾーンまたはクリアゾーンとして顕在化し、これをPSBの単離のための最初のステップとして使用することができる。
【0545】
4.コロニーを採集し、培養物を精製し、目的の遺伝子の存在に関してスクリーニングする
【0546】
ステップA3で得られた微生物の集団を画線培養して、単一のコロニー(純粋な培養物)を得る。純粋な培養物の一部を好適な培地(例えば、R2A及びグリセロールの混合物)中に再懸濁し、PCR分析に供して、1つまたは複数の目的の遺伝子の存在に関してスクリーニングする。例えば、窒素固定細菌(ジアゾトロフ)を特定するためには、単離された微生物の精製培養物をPCR分析に供して、空中窒素を生存生物に利用可能な形態の窒素へと固定することに関与する酵素をコードするnif遺伝子の存在を検出することができる。
【0547】
5.精製培養物を貯蔵する
【0548】
今後の参照及び分析のために、単離された菌株の精製培養物を、例えば-80℃で保管する。
【0549】
B.単離された微生物の特性評価
1.系統学的特性評価及び全ゲノム配列決定
【0550】
単離された微生物を系統学的特性評価に関して分析し(属及び種の帰属)、微生物の全ゲノムを配列決定する。
【0551】
系統学的特性評価のために、縮重16S rDNAプライマーを使用して、単離された微生物の16S rDNAを配列決定して、系統学的同一性を生成する。16S rDNA配列リードをデータベースにマッピングして、単離された微生物について属、種、及び菌株名を最初に帰属する。全ゲノム配列決定法を最終ステップとして使用して、系統学的属/種を微生物に帰属する。
【0552】
単離された微生物の全ゲノムを配列決定して、主要な経路を特定する。全ゲノム配列決定のために、ゲノムDNA単離キット(例えば、QIAGENからのQIAmp DNA mini kit)を使用してゲノムDNAを単離し、当該技術分野で既知の方法を使用して全DNAライブラリーを調製する。当該技術分野で既知のハイスループット配列決定(次世代配列決定法とも呼ばれる)法を使用して全ゲノムを配列決定する。例えば、Illumina,Inc.,Roche、及びPacific Biosciencesにより、全DNAライブラリーを調製し、全ゲノム配列決定を実施するために使用され得る全ゲノム配列決定ツールが提供される。
【0553】
各単離された菌株についての全ゲノム配列を組み立てる。目的の遺伝子を特定し、注釈し、リモデリングのための有望な標的として注記する。全ゲノム配列をデータベースに保管する。
【0554】
2.温室における宿主植物でのコロニー形成に関して微生物をアッセイする
【0555】
温室における宿主植物でのコロニー形成に関して単離された微生物を特性評価する。このために、所望の宿主植物(例えば、トウモロコシ、コムギ、イネ、モロコシ、ダイズ)の種子に、単離された微生物の培養物を個々にまたは組み合わせて接種し、この種子を土壌に植栽する。代替として、根の上から直接土壌に接種することによって、単離された微生物の培養物を個々にまたは組み合わせて、宿主植物の根に施用することができる。例えば、下記により詳細に記載される定量的PCR(qPCR)法を使用して、微生物のコロニー形成ポテンシャルをアッセイする。
【0556】
3.小規模圃場試験において宿主植物でのコロニー形成に関して微生物をアッセイし、コロニー形成された根試料からRNAを単離する(CAT試験)
【0557】
小規模圃場試験において所望の宿主植物でのコロニー形成に関して単離された微生物を評価する。加えて、コロニー形成された根試料からRNAを単離して、圃場環境での菌株についてのトランスクリプトームデータを得る。これらの小規模圃場試験は、これらの試験が圃場環境での菌株についてのコロニー形成及び転写物データを提供することから、本明細書でCAT(コロニー形成及び転写物(Colonization and Transcript))試験と称される。
【0558】
これらの試験のために、宿主植物(例えば、トウモロコシ、コムギ、イネ、モロコシ、ダイズ)の種子に、単離された微生物の培養物を個々にまたは組み合わせて使用して接種し、この種子を土壌に植栽する。代替として、根の上から直接土壌に接種することによって、単離された微生物の培養物を個々にまたは組み合わせて、宿主植物の根に施用することができる。CAT試験を様々な土壌で及び/または種々の温度及び/または水分条件下で実施して、コロニー形成ポテンシャルを評価し、種々の土壌タイプ及び環境条件での微生物のトランスクリプトームプロファイルを得ることができる。
【0559】
例えば、下記に記載されるようなqPCR法を使用して、接種された微生物(複数可)による宿主植物の根でのコロニー形成を評価する。
【0560】
1つのプロトコルでは、単離された微生物のコロニー形成ポテンシャルを以下のように評価した。トウモロコシ種子の植栽から1日後、1mlの微生物の一晩培養物(SOB培地)を、ちょうど種子が位置する箇所で灌注した。1mLのこの一晩培養物は、どの菌株が使用されているかに応じて互いに3倍以内で変動しつつ、大まかに約10^9cfuと同等であった。各実生を、2.5mMまたは0.25mMのいずれかの硝酸アンモニウムを補充した50mLの修正ホーグランド溶液で週3回施肥した。植栽から4週間後、DNA抽出のために根試料を収集した。加圧水噴霧を使用して土壌残屑を洗い流した。次いで、QIAGEN Tissuelyzerを使用してこれらの組織試料をホモジナイズし、推奨されるプロトコルに従ってQIAmp DNA Mini Kit(QIAGEN)を使用してDNAを抽出した。Stratagene Mx3005P RT-PCRを使用して、微生物のゲノムの各々における遺伝子座に特異的であるように(NCBIのプライマーBLASTを使用して)設計されたプライマーを使用して、これらのDNA抽出物に対してqPCRアッセイを実施した。
【0561】
微生物のコロニー形成ポテンシャルを反映する、微生物のゲノムコピーの存在を定量した。PCR増幅産物を配列決定することによって微生物種の同一性を確認した。
【0562】
加えて、コロニー形成された根及び/または土壌試料からRNAを単離し、配列決定した。
【0563】
DNAプロファイルとは異なり、RNAプロファイルは、環境条件に応じて様々である。したがって、コロニー形成された根及び/または土壌から単離されたRNAの配列決定は、根圏における植物内での遺伝子の転写活性を反映することになる。
【0564】
RNAを、異なる時点で、コロニー形成された根及び/または土壌試料から単離して、これらの時点でのコロニー形成された微生物のRNAプロファイルの変化を分析することができる。
【0565】
例えば、RNAを、圃場の施肥直後及び圃場の施肥から数週間後に、コロニー形成された根及び/または土壌試料から単離し、配列決定して、対応する転写プロファイルを生成することができる。
【0566】
同様に、RNA配列決定を高リン酸及び低リン酸条件下で実施して、これらの条件下でどの遺伝子が、転写活性があるかまたは転写抑制されているかを理解することができる。
【0567】
トランスクリプトーム/RNA配列決定のための方法は、当該技術分野で既知である。簡潔に述べると、単離された微生物の精製培養物から全RNAを単離し、逆転写酵素を使用してcDNAを調製し、上述のハイスループット配列決定ツールを使用してcDNAを配列決定する。
【0568】
トランスクリプトーム分析からの配列決定リードをゲノム配列にマッピングすることができ、目的の遺伝子の転写プロモーターを特定することができる。
【0569】
4.単離された微生物の植物に有益な活性をアッセイする
【0570】
単離された微生物の植物に有益な活性を評価する。
【0571】
例えば、アセチレン還元アッセイ(ARA)を使用して窒素固定活性に関して窒素固定微生物をアッセイするか、またはリン酸可溶化に関してリン酸可溶化微生物をアッセイする。目的の任意のパラメータを利用することができ、そのようなものに適切なアッセイを開発することができる。例えば、アッセイは、コロニー形成測定基準に関する成長曲線、及び植物ホルモン様インドール酢酸(IAA)またはジベレリンの産生に関するアッセイを含むことが可能である。関心対象となる任意の植物に有益な活性に関するアッセイを開発することができる。
【0572】
このステップにより目的の表現型が確認され、任意の偽陽性が排除される。
【0573】
5.単離された微生物からの潜在的候補の選択
【0574】
上記のステップで生成されたデータを使用して、微生物をさらなる開発のために選択する。例えば、コロニー形成ポテンシャル、植物に有益な活性、及び/または関連性のあるDNA及びRNAプロファイルの所望の組み合わせを示す微生物が、順化及びリモデリングのために選択されよう。
【0575】
C.選択された微生物の順化
選択された微生物を順化させる、すなわち、微生物を遺伝学的に扱いやすく、特定可能な形態に変換する。
【0576】
1.抗生物質感受性に関して試験する
【0577】
微生物を順化させるための1つの方式は、抗生物質耐性をそれらに導入操作することである。このために、種々の抗生物質に対する感受性に関して野生型微生物菌株を試験する。菌株が抗生物質に感受性がある場合、その抗生物質は、菌株のリモデリングのための遺伝的ツール/ベクターにおいて使用するのに良好な候補であり得る。
【0578】
2.ベクターを設計し、組み立てる
【0579】
それらの複製に条件のあるベクター(例えば、自殺プラスミド)を構築して、選択された微生物(宿主微生物)を順化させる。例えば、適切な抗生物質耐性マーカー、対抗選択可能マーカー、ドナー微生物(例えば、E.coli)における維持のための複製起点、蛍光により挿入に関してスクリーニングするための蛍光タンパク質(GFP、RFP、YFP、CFP等)をコードする遺伝子、宿主微生物中への接合のための移行起点(origin of transfer)、及び所望の遺伝的変異を有する宿主ゲノムに対する相同アームを含むポリヌクレオチド配列を含有する、自殺プラスミドを構築する。ベクターは、SceI部位及び他の追加の要素を含んでもよい。
【0580】
例示的な抗生物質耐性マーカーには、アンピシリン耐性マーカー、カナマイシン耐性マーカー、テトラサイクリン耐性マーカー、クロラムフェニコール耐性マーカー、エリスロマイシン耐性マーカー、ストレプトマイシン耐性マーカー、スペクチノマイシン耐性マーカー等が含まれる。例示的な対抗選択可能マーカーには、sacB、rpsL、tetAR、pheS、thyA、lacY、gata-1、ccdB等が含まれる。
【0581】
3.ドナー微生物の生成
【0582】
1つのプロトコルでは、適切な抗生物質耐性マーカー、対抗選択可能マーカー、pir複製開始遺伝子を含有するE.coli ST18における維持のためのλpir複製起点、蛍光により挿入に関してスクリーニングするための緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする遺伝子、宿主微生物中への接合のための移行起点、及び所望の遺伝的変異(例えば、異種位置に挿入するための微生物の独自のゲノム内からのプロモーター)を有する宿主ゲノムに対する相同アームを含むポリヌクレオチド配列を含有する、自殺プラスミドをE.coli ST18(アミノレブリン酸、ALAの栄養要求株)の中へ形質転換させて、ドナー微生物を生成する。
【0583】
4.ドナー微生物を宿主微生物と混合する
【0584】
ドナー微生物を宿主微生物(ステップB5からの選択された候補微生物)と混合して、宿主ゲノムへのプラスミドの接合性の組み込みを可能にする。ドナー及び宿主微生物の混合物を、抗生物質を含有し、かつALAを含有しない培地にプレートする。自殺プラスミドは、ドナー微生物(E.coli ST18)において複製することができるが、宿主においては複製することができない。したがって、ドナー及び宿主微生物を含有する混合物を、抗生物質を含有し、かつALAを含有しない培地にプレートしたとき、そのゲノムにプラスミドを組み込んだ宿主細胞のみが培地上で増殖し、コロニーを形成することが可能となる。ドナー微生物は、ALAの不在に起因して増殖しない。
【0585】
5.ベクターの組み込みを確認する
【0586】
宿主微生物の意図される遺伝子座に蛍光タンパク質マーカー、抗生物質耐性マーカー、対抗選択可能マーカー等を含有する、自殺プラスミドの適正な組み込みを、プレート上でのコロニーの蛍光により、コロニーPCRを使用して確認する。
【0587】
6.確認された組み込みコロニーを画線培養する
【0588】
宿主微生物における第2ラウンドの相同組換えにより、プラスミド骨格をループアウト(除去)して、ある特定のパーセンテージの宿主微生物の宿主ゲノムに組み込まれた所望の遺伝的変異(例えば、異種位置に挿入するための微生物の独自のゲノム内からのプロモーター)を残すと同時に、ある特定のパーセンテージを野生型に復帰させる。
【0589】
プラスミド骨格をループアウトした(したがって、対抗選択可能マーカーをループアウトした)宿主微生物のコロニーを、適切な培地上で増殖させることによって選択することができる。
【0590】
例えば、sacBを対抗選択可能マーカーとして使用する場合、スクロースを含有する培地上でコロニーを増殖させることによって(sacBは、スクロースに対する感受性を与える)、プラスミド骨格の喪失に起因するこのマーカーの喪失を試験する。この培地上で増殖するコロニーは、sacBマーカー及びプラスミド骨格を喪失したものであり、所望の遺伝的変異を含有するか、または野生型に復帰しているかのいずれかであろう。また、これらのコロニーは、蛍光タンパク質マーカーの喪失に起因してプレート上で蛍光を発しないことになる。
【0591】
一部の単離株では、sacBまたは他の対抗選択可能マーカーは、スクロースまたは他の対抗選択機構に対する完全な感受性を与えないため、多数のコロニーをスクリーニングして、成功裏のループアウトコロニーを単離することが必要となる。そのような場合、宿主細胞において独立して複製し、組み込まれた自殺プラスミド骨格内の部位を認識する制限エンドヌクレアーゼ(例えば、SceI)を発現する「ヘルパープラスミド」の使用によって、ループアウトを補助してもよい。組み込まれた自殺プラスミドを有する菌株を、抗生物質耐性マーカー、宿主菌株と適合性の複製起点、及び構成的または誘導性プロモーターによって制御される制限エンドヌクレアーゼをコードする遺伝子を含有する、ヘルパープラスミドで形質転換する。組み込まれたプラスミド骨格において誘導される、制限エンドヌクレアーゼによる二本鎖切断により、相同組換えを促進して、自殺プラスミドをループアウトする。これは、対抗選択プレート上でループアウト済みのコロニーの数を増加させると共に、所望の突然変異を含有するコロニーを見出すためにスクリーニングする必要があるコロニーの数を減少させる。次いで、ヘルパープラスミドを、抗生物質によるプラスミドの選択の不在下で培養及び連続継代によって菌株から除去する。継代された培養物を画線培養して単一のコロニーを得、コロニーを摘取し、ヘルパープラスミドの選択に使用される抗生物質に対する感受性、ならびにコロニーPCRによって確認されるプラスミドの不在に関してスクリーニングする。最後に、ゲノムを配列決定し、ヘルパープラスミドDNAの不在をD6に記載されるように確認する。
【0592】
7.コロニーPCRにより遺伝的変異の組み込みを確認する
【0593】
スクロース含有培地(または使用される対抗選択可能マーカーに応じて他の適切な培地)上でより良好に増殖したコロニーを摘取し、意図される遺伝子座における遺伝的変異の存在を、コロニーPCRを使用してコロニーをスクリーニングすることによって確認する。
【0594】
この実施例では、微生物を順化させ、微生物に遺伝的変異を導入するための1つのプロトコルについて記載しているが、当業者であれば、ポリメラーゼ連鎖反応突然変異誘発、オリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発、飽和突然変異誘発、断片シャフリング突然変異誘発、相同組換え、ZFN、TALENS、CRISPR系(Cas9、Cpf1等)、化学的突然変異誘発、及びそれらの組み合わせ等の当該技術分野で既知の様々な他の技法を使用して、選択された微生物に遺伝的変異を導入することができることを理解しよう。
【0595】
8.ステップC2~C7を反復する
【0596】
ステップC2~C7のうちのいずれかが意図される成果を提供し損なう場合、これらのステップを繰り返して、宿主微生物への所望の遺伝的変異及びマーカーの組み込みを容易にするための異なる要素を含み得る代替のベクターを設計する。
【0597】
9.標準業務手順書(SOP)を開発する
【0598】
ひとたびステップC2~C7が所与の株について一貫して再現できるようになると、これらのステップを使用して、その株及びベクターについての標準業務手順書(SOP)を開発する。このSOPを使用して、微生物の植物に有益な他の形質を改善することができる。
【0599】
D.非属間操作計画及び最適化
1.最適化のための遺伝子標的を特定する
【0600】
選択された微生物を、植物に有益な活性の性能を改善するように操作/リモデリングする。このために、植物に有益な活性を改善するための遺伝子標的を特定する。
【0601】
遺伝子標的は、種々の方式で特定することができる。例えば、単離された微生物の全ゲノム配列決定からの遺伝子に注釈を付けながら、目的の遺伝子を特定することができる。それらは、文献検索により特定することができる。例えば、窒素固定に関与する遺伝子は、文献で既知である。これらの既知の遺伝子を、遺伝的変異を導入するための標的として使用することができる。遺伝子標的はまた、ステップB3(コロニー形成に関する小規模圃場試験)で得られたRNA配列決定データに基づいて、または下記のステップに記載されるRNA配列決定を実施することによっても特定することができる。
【0602】
2.プロモーター交換のためのプロモーターを選択する
【0603】
植物に有益な活性を改善するための所望の遺伝的変異は、プロモーター交換を含み得、プロモーター交換では、標的遺伝子の天然プロモーターが、微生物のゲノム内からの(天然プロモーターと比較したときに)より強力なプロモーターもしくはより弱いプロモーター、または異なって調節されるプロモーター(例えば、N非依存性)と置換される。標的遺伝子の発現が、植物に有益な活性を増加させる場合(例えば、発現が微生物における窒素固定を強化するnifA)、プロモーター交換のための所望のプロモーターは、天然プロモーターと比較して標的遺伝子の発現レベルをさらに増加させるであろう、(標的遺伝子の天然プロモーターと比較して)より強力なプロモーターである。標的遺伝子の発現が、植物に有益な活性を減少させる場合(例えば、窒素固定を下方制御するnifL)、プロモーター交換のための所望のプロモーターは、天然プロモーターと比較して標的遺伝子の発現レベルを実質的に減少させるであろう、(標的遺伝子の天然プロモーターと比較して)弱いプロモーターである。プロモーターを遺伝子に挿入して、遺伝子の発現を「ノックアウト」しつつ、同時に下流遺伝子の発現を上方制御することができる。
【0604】
プロモーター交換のためのプロモーターは、RNA配列決定データに基づいて選択することができる。例えば、RNA配列決定データを使用して、強力なプロモーター及び弱いプロモーター、または誘導性プロモーターとは対照的に構成的に活性なプロモーターを特定することができる。
【0605】
例えば、窒素固定経路において、強力なプロモーター及び弱いプロモーター、または誘導性プロモーターとは対照的に構成的に活性なプロモーターを特定するためには、選択された微生物を窒素枯渇条件及び窒素充満条件下でインビトロで培養し、微生物のRNAをこれらの培養物から単離し、配列決定する。
【0606】
1つのプロトコルでは、窒素枯渇条件及び窒素充満条件下での微生物のRNAプロファイルを比較し、所望の転写レベルを有する活性プロモーターを特定する。これらのプロモーターは、弱いプロモーターを交換するように選択することができる。
【0607】
プロモーターはまた、宿主植物根圏における植物内での微生物のRNAプロファイルを反映する、ステップB3で得られたRNA配列決定データを使用して選択することもできる。
【0608】
種々の条件下でのRNA配列決定は、a)施肥された圃場条件で宿主植物の成長周期中に根圏で活性である、かつb)関連性のあるインビトロ条件でも活性であるため迅速にスクリーニングされ得る、プロモーターの選択を可能にする。
【0609】
例示的なプロトコルでは、コロニー形成アッセイ(例えば、ステップB3)からの植物内RNA配列決定データを使用して、単離された微生物における遺伝子の発現レベルを測定する。一実施形態では、遺伝子発現のレベルは、マッピングされたリード数100万当たり1000塩基当たりのリード数(reads per kilobase per million mapped reads)(RPKM)として算出される。種々の遺伝子の発現レベルを標的遺伝子の発現レベルと比較し、種々の遺伝子に関連する、標的遺伝子と比較して最も高いまたは最も低いレベルの発現を示す少なくとも上位10、20、30、40、50、60、または70位のプロモーターを、プロモーター交換のための考えられる候補として選択する。故に、標的遺伝子と比べた種々の遺伝子の発現レベルを検査し、次いで、標的(または標準)遺伝子と比べて増加した発現を示す遺伝子を選択し、次いで、該遺伝子に関連するプロモーターを見出す。
【0610】
例えば、標的遺伝子がnifAの上方制御である場合、nifAと比較して最も高いレベルの発現を示す遺伝子の最初の10、20、30、40、50、または60個のプロモーターを、プロモーター交換のための考えられる候補として選択する。
【0611】
これらの候補をインビトロRNA配列決定データに基づいてさらに絞り込むことができる。例えば、標的遺伝子としてのnifAの場合、植物内RNA配列決定データに基づいて選択された考えられるプロモーター候補を、インビトロ窒素枯渇条件対窒素充満条件下でnifAと比較して類似のまたは増加した遺伝子発現レベルを有するプロモーターを選定することによってさらに選択する。
【0612】
このステップで選択されるプロモーターのセットを使用して、標的遺伝子(例えば、nifA)の天然プロモーターを交換する。交換されたプロモーターを有するリモデリングされた菌株をインビトロアッセイで試験し、予想よりも低い活性を有する菌株を排除し、予想されたまたは予想よりも高い活性を有する菌株を圃場で試験する。プロモーター選択のサイクルをリモデリングされた菌株に対して繰り返して、植物に有益なそれらの活性をさらに改善してもよい。
【0613】
ここでは、窒素固定形質を改善するためにKlebsiella variicola株CI137からの植物内及びインビトロRNA配列決定データに基づいて実施した例示的なプロモーター交換実験が記載される。CI137をARAアッセイにおいて0mM及び5mMグルタミン濃度で分析し、RNAをこれらのARA試料から抽出した。NextSeqを介してRNAを配列決定し、1つの試料からのリードのサブセットをCI137ゲノムにマッピングした(インビトロRNA配列決定データ)。CI137についてのコロニー形成及び活性アッセイ(例えば、ステップB3)においてRNAをV5期のトウモロコシ植物の根から抽出した。6つの植物からの試料をプールし、NextSeqを使用してプールした試料からのRNAを配列決定し、リードをCI137ゲノムにマッピングした(植物内RNA配列決定データ)。2×108個の総リードのうち、7×104個のリードをCI137にマッピングした。植物内RNA配列決定データを使用して、遺伝子を植物内発現レベルの順に順位付けし、発現レベルを天然nifA発現レベルと比較した。天然nifA発現レベルと比較して最も高い発現レベル(遺伝子発現に基づいて)を示した最初の40個のプロモーターを選択した。これらの40個のプロモーターをインビトロRNA配列決定データに基づいてさらに絞り込み、nifAと比較して増加したまたは類似のインビトロ発現レベルを有するプロモーターを選択した。プロモーターの最終リストは、17個のプロモーターを含み、ほとんどのプロモーターの2つのバージョンを使用して、プロモーター交換突然変異体を生成し、故に、総計30個のプロモーターを試験した。nifLを部分的または完全に欠失させ、30個のプロモーターを挿入した(ΔnifL::Prm)、一揃いのCI137突然変異体の生成を試みた。30個の突然変異体のうち28個が成功裏に生成された。ΔnifL::Prm突然変異体をARAアッセイにおいて0mM及び5mMグルタミン濃度で分析し、RNAをこれらのARA試料から抽出した。いくつかの突然変異体は、予想よりも低いかまたはWT CI137株と比較して減少したARA活性を示した。少数の突然変異体は、予想よりも高いARA活性を示した。
【0614】
当業者であれば、上記の実施例から、植物内及び/またはインビトロRNA配列決定データを使用して、プロモーター交換のためのプロモーターを選択することができるが、プロモーター選択のステップが大いに予測不能であり、多くの難題を伴うことを理解しよう。
【0615】
例えば、植物内RNA配列決定は主として、高発現している遺伝子を明らかにする。しかしながら、遺伝子発現の微妙な差異及び/または発現レベルの低い遺伝子を検出することは困難である。例えば、一部の植物内RNA配列決定実験では、微生物ゲノムからの約5000個の遺伝子のうち約40個のみが検出された。故に、植物内RNA配列決定技法は、豊富に発現している遺伝子及びそれらの対応するプロモーターを特定するために有用である。しかしながら、この技法により、低発現遺伝子及び対応するプロモーターならびに遺伝子発現の間の小さな差異を特定するのは困難である。
【0616】
さらに、植物内RNAプロファイルは、微生物が単離された時点での遺伝子のステータスを反映する。しかしながら、圃場条件のわずかな変化が、根圏性/着生性/内部寄生性微生物のRNAプロファイルを実質的に変化させる場合がある。したがって、リモデリングされた菌株をインビトロ及び圃場で試験する際に、1つの圃場試験のRNA配列決定データに基づいて選択されたプロモーターが、標的遺伝子の望ましい発現レベルを提供するかどうかを前もって予測することは困難である。
【0617】
加えて、植物内評価は、時間及び資源を消費するものであるため、植物内実験は、頻繁に行う及び/または迅速にもしくは容易に繰り返すことができない。一方で、インビトロRNA配列決定は、比較的迅速かつ容易に行うことができるが、インビトロ条件は、圃場条件を模倣するものではなく、インビトロで高い活性を示し得るプロモーターは、植物内で同等の活性を示さない場合がある。
【0618】
その上、プロモーターは、多くの場合、新たな背景で予測通りに動かない。したがって、植物内及びインビトロRNA配列決定データは、よくてもプロモーター選択のステップにおける開始点としての役目を果たすことができるにすぎない。しかしながら、圃場で標的遺伝子の望ましい発現レベルを提供するであろう任意の特定のプロモーターに到達することは、一部の実例では、予測不能である。
【0619】
プロモーター選択のステップにおける別の制限は、利用可能なプロモーターの数である。本発明の目標のうちの1つは、非トランスジェニック微生物を提供することであるため、プロモーター交換のためのプロモーターは、微生物のゲノム、または属内から選択される必要がある。故に、トランスジェニック手法とは異なり、本プロセスは、単に文献を深く探り、異なる宿主生物からの特性がよく解明されているトランスジェニックプロモーターを見出す/使用することができるものではない。
【0620】
別の制約は、プロモーターが所望の成長相中に植物内で活性でなければならないということである。例えば、植物において窒素の必要量が最も高いのは一般に、成長季節の後期、例えば、後期栄養相及び初期生殖相である。例えば、トウモロコシにおいて、窒素取り込みは、V6(6枚葉)期からR1(生殖期1)期中に最も高い。したがって、トウモロコシのV6期からR1期中に窒素の利用可能性を増加させるためには、リモデリングされた微生物は、トウモロコシ生活環のこれらの段階中に最も高い窒素固定活性を示さなければならない。したがって、トウモロコシの後期栄養期及び初期生殖期中に植物内で活性であるプロモーターを選択する必要がある。この制約は、プロモーター交換において試験され得るプロモーターの数を低下させるだけでなく、プロモーター選択のステップを予測不能にもする。上記で考察したように、予測不能性は、部分的には、小規模圃場試験(例えば、ステップB3)からのRNA配列決定データを使用して、所望の成長期中に植物内で活性であるプロモーターを特定し得るものの、RNAデータが、試料収集時点での圃場条件(例えば、土壌のタイプ、土壌中の水のレベル、利用可能な窒素のレベル等)に基づいていることにより生じる。当業者であれば理解しようが、圃場条件は、同じ圃場内で一定期間にわたって変化し得、また、種々の圃場にわたって実質的に変化し得る。故に、1つの圃場条件下で選択されるプロモーターは、他の圃場条件下では予想通りに動かない場合がある。同様に、選択されたプロモーターは、交換後に予想通りに動かない場合がある。したがって、選択されたプロモーターが目的の植物の所望の成長相中に植物内で活性であるかどうかを前もって予期することは困難である。
【0621】
3.非属間遺伝的変異を設計する
【0622】
ステップD1(遺伝子標的の特定)及びD2(プロモーター交換のためのプロモーターの特定)に基づいて、非属間遺伝的変異を設計する。
【0623】
「非属間性」という用語は、宿主に導入されるべき遺伝的変異が、宿主属の外部からの核酸配列を含有しない(すなわち、トランスジェニックDNAでない)ことを示す。ベクター及び/または他の遺伝的ツールを使用して、宿主微生物に遺伝的変異が導入されるものの、本開示の方法は、宿主微生物に導入された骨格ベクター配列または他の遺伝的ツールをループアウト(除去)して、宿主ゲノムへの所望の遺伝的変異のみを残すステップを含む。故に、結果として得られる微生物は、非トランスジェニックである。
【0624】
例示的な非属間遺伝的変異には、目的の遺伝子における、その遺伝子によってコードされるタンパク質の機能を改善し得る突然変異;目的の遺伝子の内因性プロモーターを置換してその遺伝子の発現を増加させ得る、構成的に活性なプロモーター;目的の遺伝子を不活性化する突然変異;異種位置への宿主のゲノム内からのプロモーターの挿入、例えば、該遺伝子の不活性化及び下流遺伝子の上方制御をもたらす遺伝子へのプロモーターの挿入等が含まれる。突然変異は、点突然変異、挿入、及び/または欠失(遺伝子の完全または部分的な欠失)であり得る。例えば、1つのプロトコルでは、宿主微生物の窒素固定活性を改善するために、所望の遺伝的変異は、nifL遺伝子(窒素固定経路の負の調節因子)の突然変異を不活性化することを含んでもよく、及び/またはnifH遺伝子(空中窒素を固定する主反応を触媒するニトロゲナーゼ鉄タンパク質)の内因性プロモーターを、nifH遺伝子の発現を構成的に駆動する構成的に活性なプロモーターと置換することを含んでもよい。
【0625】
4.非属間派生菌株を生成する
【0626】
非属間遺伝的変異を設計した後、ステップC2~C7を実施して、非属間派生菌株(すなわち、リモデリングされた微生物)を生成する。
【0627】
5.リモデリングされた微生物の精製培養物を貯蔵する
【0628】
下記に記載される全ゲノム配列決定のためにgDNAを抽出することができるように、リモデリングされた微生物の精製培養物をバンクに保存する。
【0629】
6.所望の遺伝的変異の存在を確認する
【0630】
リモデリングされた微生物のゲノムDNAを抽出し、以前に記載された方法を使用してゲノムDNAに対して全ゲノム配列決定を実施する。結果として得られるリードを、LIMSに以前に保管されたリードにマッピングして、a)所望の遺伝的変異の存在、及びb)リモデリングされた微生物を生成するために使用したベクター配列(例えば、プラスミド骨格またはヘルパープラスミド配列)にマッピングするリードの完全な不在を確認する。
【0631】
このステップは、ベクター骨格(例えば、自殺プラスミド)のループアウト法の後に菌株に残っている場合がある非宿主属のDNA(トランスジェニックDNA)の高感度検出を可能にし、遺伝的変異の偶発的なオフターゲット挿入等に対する制御を提供することが可能である。
【0632】
E.リモデリングされた微生物に対するアナリティクス
1.植物に有益な活性の分析
【0633】
リモデリングされた微生物の植物に有益な活性及び増殖動態をインビトロで評価する。
【0634】
例えば、窒素固定機能を改善するためにリモデリングされた菌株を、アセチレン還元アッセイ、アンモニウム排泄アッセイ等により窒素固定活性及び適性に関して評価する。
【0635】
改善されたリン酸可溶化のためにリモデリングされた菌株を、リン酸可溶化活性に関して評価する。
【0636】
このステップは、目的の表現型についてのリモデリングされた菌株の迅速なミディアムスループットからハイスループットのスクリーニングを可能にする。
【0637】
2.コロニー形成及び改変遺伝子の転写の分析
【0638】
B3に記載されるステップを使用して、リモデリングされた菌株を、温室または圃場のいずれかで宿主植物でのコロニー形成に関して評価する。加えて、コロニー形成された根及び/または土壌試料からRNAを単離し、配列決定して、標的遺伝子の転写活性を分析する。標的遺伝子は、導入された遺伝的変異を含有する遺伝子を含み、また、微生物の植物に有益な形質において役割を果たす他の遺伝子も含み得る。
【0639】
例えば、遺伝子のクラスターであるnif遺伝子は、微生物の窒素固定活性を制御する。上述のプロトコルを使用して、遺伝的変異をnif遺伝子のうちの1つに導入してもよいが(例えば、プロモーター挿入)、一方で、nifクラスターにおけるその他の遺伝子は、それらの内因性形態である(すなわち、それらの遺伝子配列及び/またはプロモーター領域は、改変されていない)。RNA配列決定データを、遺伝的変異を含有するnif遺伝子の転写活性に関して分析し、また、挿入された遺伝的変化によって直接改変されてはいないが、それでもなお導入された遺伝的変化によって影響を受け得る、他のnif遺伝子に関して分析してもよい。
【0640】
このステップは、根圏において上位のインビトロ性能を有する菌株の適性の決定を可能にし、植物内での改変遺伝子の転写活性の測定を可能にする。
【0641】
F.操作計画/アナリティクスを反復する
インビトロ及び植物内アナリティクス(ステップE1及びE2)からのデータを使用して、有益な突然変異を反復的に積み上げる。
【0642】
さらに、上述のステップA~Eを繰り返して、微生物の植物に有益な形質を微調整してもよい。例えば、第1ラウンドでリモデリングされた微生物菌株を使用して植物に接種し、数週間の成長後に収穫し、植物の土壌及び/または根からの微生物を単離する。植物に有益な活性及びコロニー形成ポテンシャルが改善された微生物を選択するために、単離された微生物の機能的活性(植物に有益な形質及びコロニー形成ポテンシャル)ならびにDNA及びRNAプロファイルを特性評価する。選択された微生物を、植物に有益な活性をさらに改善するようにリモデリングする。リモデリングされた微生物を、インビトロ及び植物内での機能的活性(植物に有益な形質及びコロニー形成ポテンシャル)及びRNAプロファイルに関してスクリーニングし、上位の性能を有する菌株を選択する。所望であれば、ステップA~Eを繰り返して、第2ラウンドからのリモデリングされた微生物の植物に有益な活性をさらに改善することができる。このプロセスを、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10ラウンド、またはそれよりも多く繰り返すことができる。
【0643】
上述の例示的なステップが、下記の表Aに要約される。
【表A-1】
【表A-2】
【表A-3】
【表A-4】
【表A-5】
【表A-6】
【0644】
農業用の生物学的製剤を作出するための慣習的な手法は、それらの方法論に固有の欠点に悩まされる
【0645】
野生型(WT)微生物の純粋なバイオプロスペクティングまたはトランスジェニック手法とは異なり、GMRは、WT微生物よりも植物に有益な表現型を改善する、微生物内の主要な調節ネットワークの非属間遺伝的最適化を可能にするが、トランスジェニック手法に関連するリスク(例えば、予測不能な遺伝子機能、社会的及び規制上の懸念)を有しない。教示されるGMRプラットフォームと比較していくつかの欠点を有する、問題を含む「慣習的なバイオプロスペクティング」手法の図示について、
図1Cを参照されたい。
【0646】
農業用の微生物を開発するための他の方法は、圃場規模では奏功しない場合が多い研究室での大規模な開発、または基盤となる機構/植物-微生物間相互作用の理解を伴わない大規模な温室もしくは「圃場第一の」試験のいずれかに注力している。教示されるGMRプラットフォームと比較していくつかの欠点を有する、問題を含む「バイオプロスペクティングに向けた圃場第一の手法」システムの図示について、
図1Dを参照されたい。
【0647】
GMRプラットフォームは、これらの問題を多数の方式で解決する
【0648】
GMRプラットフォームの1つの強みは、標的作物にとって生理学的に重要な主要時期に活性であり、かつ特定の農業的に関連性のある環境条件下でも活性である、活性プロモーターの特定である。
【0649】
説明したように、窒素固定の背景内で、GMRプラットフォームは、外因性窒素が上昇した環境条件下で活性である微生物プロモーター配列を特定することができ、それによって、現代的な農業の条播作物条件下で、かつ植物が固定窒素を最も必要とする時期に、リモデリングされた微生物が空中窒素を固定すると共に、それを標的作物植物に送達することを可能にする。植物によって窒素が最も必要とされる、トウモロコシ成長周期における時間枠の図示について、
図1Eを参照されたい。教示されるGMRプラットフォームは、窒素が必要とされる時間枠でトウモロコシ植物に窒素を供給し、また土壌環境に外因性窒素が存在する場合であってもそのような窒素を送達する、リモデリングされた微生物を作出することができる。
【0650】
これらのプロモーターは、根圏RNAを配列決定し、リードを微生物のゲノム配列にマッピングすることによって特定することができ、植物の成長周期の主要な段階中に主要な経路をオンまたはオフにするよう「再プログラム」することができる。加えて、最適化された微生物の全ゲノム配列決定及び先で形質転換を行った配列へのマッピングにより、この方法は、プラスミドDNAのオフターゲット挿入、PCRまたは抗生物質耐性により検出されないプラスミドの低レベルの滞留等によりトランスジェニック配列が圃場に偶発的に何ら放出されていないことを確実にする能力を有する。
【0651】
GMRプラットフォームは、微生物を研究室及び植物環境で反復的に評価することによってこれらの手法を組み合わせて、研究室条件だけでなく温室及び圃場条件で頑強である微生物をもたらす。
【0652】
教示されるGMRプラットフォームの種々の態様及び実施形態は、
図1F~1Iに見出すことができる。GMRプラットフォームは結果的に、植物に有益な特性(例えば窒素固定)を持つ、リモデリングされた微生物の誘導/作出/生産に達する。
【0653】
慣習的なバイオプロスペクティング法では、前述の特性を有する微生物を生産することはできない。
【0654】
窒素固定に向けてリモデリングされた微生物の特性
【0655】
窒素固定に向けてリモデリングされた微生物の背景において、リモデリングされた微生物が持つ可能性があるいくつかの特性が存在する。例えば、
図1Jは、本開示のリモデリングされた微生物が持つことができる5つの特性を図示する。
【0656】
本発明者らは、GMRプラットフォームを利用して、外因性窒素が環境中に存在する条件下であっても空中窒素を固定すると共に、該窒素をトウモロコシ植物に送達することができる、リモデリングされた非属間細菌(すなわち、Kosakonia sacchari)を生産した。リモデリングプロセスが成功裏に、(1)nifA発現を内因性窒素調節から切り離した、かつ(2)固定窒素の同化及び排泄を改善したことを例示する、
図1K~Mを参照されたい。
【0657】
これらのリモデリングされた微生物は最終的に、トウモロコシ作物に施用されたときにトウモロコシ収量の改善をもたらす。
図1Nを参照されたい。
【0658】
GMRプラットフォームは、差し迫った環境上の懸念を解決する窒素固定及び送達に向けた手法を提供する
【0659】
先で説明したように、工業的ハーバーボッシュ法によって生産される窒素肥料は、標的作物によって十分に利用されない。雨、流出、熱、揮発、及び土壌マイクロバイオームが、施用された化学肥料を劣化させる。これは、無駄金に等しいだけでなく、収穫高の代わりに汚染の増加も上乗せする。このために、国際連合は、80%近い肥料が、作物がそれを利用することができる前に失われると算出している。結果として、現代的な農業用肥料の生産及び送達は、環境に有害なだけでなく、極めて非効率的でもある。施肥不足の圃場、過剰施肥された圃場、及び環境的に有害な窒素流出をもたらす、現行の窒素送達システムの非効率性を例示する、
図1Oを参照されたい。
【0660】
現行のGMRプラットフォーム、及び結果として得られるリモデリングされた微生物は、窒素固定及び植物への窒素送達に向けたより良好な手法を提供する。下記の実施例で見られるように、本開示のリモデリングされた非属間微生物は、外因性窒素が存在する場合であってもトウモロコシ植物の根でコロニー形成すると共に、該トウモロコシ植物を固定空中窒素で養うことができる。教示されるGMRプラットフォームによって可能となる、この窒素固定及び送達システムは、現代的な農業をより環境的に持続可能なシステムに変革する一助となろう。
実施例2:ポリマーにより与えられる微生物安定性-所望の微生物にポリマーの保護能力を与える
【0661】
ポリマーであるポリビニルピロリドン-酢酸ビニル(PVP-VA)を、細菌Klebsiella variicolaの液体保管または乾燥保管中の保護剤として使用した。
【0662】
微生物の液体保管
20%PVP-VA及びKlebsiella variicolaの単離された培養物を含む溶液、ならびに種々の対照溶液を調製した。細菌を含む溶液を複数のバイアルに分取し、密封し、周囲温度で保管した。200日及び250日後(表B)ならびに118日及び200日後(表C)、分取した試料をコロニー形成単位に関して評価した。
【0663】
118日目に、PVP-Vポリマーが欠如した対照Klebsiella variicola培養物は、約10.10の対数損失を示した。同日、PVP-VA含有Klebsiella variicola培養物は、2.7の対数損失を示した。200日目に、PVP-Vポリマーが欠如した対照Klebsiella variicola培養物は、約10.10の対数損失を示した。同日、PVP-VA含有Klebsiella variicola培養物は、2.70の対数損失を示した。PVP-VA含有Klebsiella variicola培養物は、118日及び200日目に、PVP-VAポリマーが欠如した対照と比較して増加した安定性を示した。表Cを参照されたい。200日目及び250日目の両方で、PVP-VA含有Klebsiella variicola培養物は、トレハロース及びトリプトン処理試料よりも低い対数損失を示した。表Bを参照されたい。
【0664】
【0665】
【0666】
微生物の固体保管(種子上)
20%PVP-VA及びKlebsiella variicolaの単離された培養物を含む溶液、ならびに種々の対照溶液を調製した。細菌を含む溶液をトウモロコシ種子にコーティングし、乾燥させ、周囲温度で保管した(周囲温度実験について、温度は保管期間中に流動的であったが、およそ20~25℃であった)。(周囲温度)で21日目(4℃)及び118日目に、種子コーティング試料をコロニー形成単位に関して評価した。
【0667】
21日目に(4℃)、PVP-VAが欠如した対照Klebsiella variicola種子コーティング試料は、0.8の対数損失を示した。同日(4℃)、実験的PVP-VA含有Klebsiella variicola種子コーティング試料は、0.73の対数損失を示した。118日目に(周囲温度)、PVP-VAが欠如した対照Klebsiella variicola種子コーティング試料は、3.3の対数損失を示した。同日、実験的PVP-VA含有種子コーティング試料は、1.96の対数損失を示した。これらのデータは、PVP-VAが、PVP-VAが欠如した対照と比較して、液体中で保管された細菌の安定性を保護/延長することを示唆する。表D及び表Eを参照されたい。
【0668】
【0669】
【0670】
表B、C、D、及びEの各々の左欄に示される実験的組成物はまた、5%修正レベルでも評価したが、この量は、有益性を実証するには不十分と見なされた。
【0671】
実施例3:ポリマーにより与えられる微生物安定性-ポリマーを所望の微生物接種剤と混合することによって所望の微生物にポリマーの保護能力を与える
滅菌したPVP-VA組成物を、Klebsiella variicolaの接種培養物の増殖を維持するのに十分な培地(最終20容量%)に添加する。PVP-VAが欠如した対照実験を並行して実施する。PVP-VAを含むKlebsiella variicola培養物をコンフルエンスまで増殖させる。PVP-VA含有Klebsiella variicola培養物及び対照Klebsiella variicola培養物を複数の密封バイアルに分取し、(1)4℃または(2)周囲温度で保管し、0日目、21日目、及び190日目にコロニー形成単位に関して評価する。
【0672】
微生物の液体保管
PVP-VA含有Klebsiella variicola培養物及び対照Klebsiella variicola培養物を複数の密封バイアルに分取し、4℃または周囲温度で保管し、0日目、21日目、及び190日目にコロニー形成単位に関して評価する。
【0673】
PVP-VA含有Klebsiella variicola培養物は、21日目及び190日目に、4℃及び周囲温度の両方で、PVP-VAが欠如した対応する対照と比較してより高い安定性を示す。
【0674】
微生物の固体保管(種子上)
PVP-VA含有Klebsiella variicola培養物及び対照Klebsiella variicola培養物をトウモロコシ種子にコーティングし、乾燥させ、4℃または周囲温度で保管する。0日目、21日目、及び190日目に、種子コーティング試料をコロニー形成単位に関して評価する。
【0675】
PVP-VA含有Klebsiella variicolaコーティング種子は、21日目及び190日目に、4℃及び周囲温度の両方で、PVP-VAが欠如した対応する対照と比較してより高い安定性を示す。
【0676】
実施例4:バイオフィルム養子移入-バイオフィルムを所望の微生物と混合することによって1つの種から別の種へバイオフィルムの保護能力を与える
本実施例は、微生物バイオフィルムを利用した窒素固定微生物の製剤化を実証する。
【0677】
窒素固定細菌の一部の菌株はバイオフィルムを作出せず、発酵条件を変化させて菌株にバイオフィルムの作出を強いることは、菌株の頑強性及び力価に対して悪影響を有し得る。
【0678】
バイオフィルムを、細菌Klebsiella variicolaの液体保管または乾燥保管中に保護剤として使用した。細菌Kosakonia sacchariは、バイオフィルム形成菌であり、また、ある程度の窒素固定も示す。K.sacchariを増殖培地中で振とうしながら増殖させて、バイオフィルムを産生させ、これを濾過によって単離して、結果として得られた微生物バイオフィルム組成物を収集し、1回または複数回の洗浄に供して、流出し緩く付着したK.sacchari細胞を除去した。次いで、バイオフィルムを、あらゆる残っているK.sacchariを死滅させるのに十分な熱ショックに供した。
【0679】
微生物の液体保管
次いで、熱ショックを与えたバイオフィルム組成物をKlebsiella variicolaの単離された培養物に1:1の比で添加した。バイオフィルム含有Klebsiella variicola培養物及び対照Klebsiella variicola培養物を複数の密封バイアルに分取し、周囲温度で保管し、0日目、21日目、及び190日目にコロニー形成単位に関して評価した。
【0680】
21日目に、K.sacchariバイオフィルムが欠如した対照Klebsiella variicola培養物は、1.09の対数損失を示した。同日、バイオフィルム含有Klebsiella variicola培養物は、1.08の対数損失を示した。バイオフィルム含有Klebsiella variicola培養物は、21日目に、バイオフィルムが欠如した対照と比較して増加した生存率を示した。
【0681】
微生物の固体保管(種子上)
次いで、熱ショックを与えたバイオフィルム組成物をKlebsiella variicolaの単離された培養物に10容量%で添加した。バイオフィルム含有Klebsiella variicola培養物及び対照Klebsiella variicola培養物をトウモロコシ種子にコーティングし、乾燥させ、可変の温度で保管した(温度は保管期間中に流動的であった)。0日目、2日目、及び21日目に、種子コーティング試料をコロニー形成単位に関して評価した。
【0682】
2日目に、K.sacchariバイオフィルムが欠如した対照Klebsiella variicola種子コーティング試料は、2.2の対数損失を示した。同日、実験的バイオフィルム含有Klebsiella variicola種子コーティング試料は、1.4の対数損失を示した。21日目に、K.sacchariバイオフィルムが欠如した対照Klebsiella variicola種子コーティング試料は、3.3の対数損失を示した。同日、実験的バイオフィルム含有Klebsiella variicola種子コーティング試料は、2.7の対数損失を示した。2日目及び21日目の両方で、バイオフィルム含有Klebsiella variicola種子コーティング試料は、バイオフィルムが欠如した対照と比較して増加した生存率を示した。
【0683】
実施例5:バイオフィルム養子移入-バイオフィルムを所望の微生物接種剤と混合することによって1つの種から別の種へバイオフィルムの保護能力を与える
バイオフィルムを、細菌Klebsiella variicolaの液体保管または乾燥保管中に保護剤として使用する。細菌Kosakonia sacchariは、バイオフィルム形成菌であり、また、ある程度の窒素固定も示す。K.sacchariを増殖培地中で振とうしながら増殖させて、バイオフィルムを産生させ、次いでこれを濾過によって単離して、結果として得られる微生物バイオフィルム組成物を収集し、1回または複数回の洗浄に供して、流出し緩く付着したK.sacchari細胞を除去する。次いで、バイオフィルムを、あらゆる残っているK.sacchariを死滅させるのに十分な熱ショックに供する。
【0684】
熱ショックを与えたバイオフィルム組成物を、Klebsiella variicolaの接種培養物の増殖を維持するのに十分な培地(10容量%)に添加する。バイオフィルム組成物を含むKlebsiella variicola培養物をコンフルエンスまで増殖させる。バイオフィルム含有Klebsiella variicola培養物及び対照Klebsiella variicola培養物を複数の密封バイアルに分取し、周囲温度で保管し、0日目、21日目、及び190日目にコロニー形成単位に関して評価する。
【0685】
微生物の液体保管
バイオフィルム含有Klebsiella variicola培養物及び対照Klebsiella variicola培養物を複数の密封バイアルに分取し、周囲温度で保管し、0日目、21日目、及び190日目にコロニー形成単位に関して評価する。
【0686】
バイオフィルム含有Klebsiella variicola培養物は、21日目及び190日目に、バイオフィルムが欠如した対応する対照と比較してより高い生存率を示す。
【0687】
微生物の固体保管(種子上)
バイオフィルム含有Klebsiella variicola培養物及び対照Klebsiella variicola培養物をトウモロコシ種子にコーティングし、乾燥させ、可変の温度で保管する(温度は保管期間中に流動的である)。0日目、2日目、21日目、及び190日目に、種子コーティング試料をコロニー形成単位に関して評価する。
【0688】
バイオフィルム含有Klebsiella variicola培養物は、2日目、21日目、及び190日目に、バイオフィルムが欠如した対応する対照と比較してより高い生存率を示す。
【0689】
実施例6:バイオフィルム保護-バイオフィルム産生菌及び非産生菌の共接種によって1つの種から別の種へバイオフィルムの保護能力を与える
バイオフィルムを、細菌Klebsiella variicolaの液体保管または乾燥保管中に保護剤として使用する。細菌Kosakonia sacchariは、バイオフィルム形成菌であり、また、ある程度の窒素固定も示す。K.sacchari及びKlebsiella variicolaを、両方の細菌の増殖を支持することが可能な増殖培地に共接種する。結果として得られる培養物は、K.sacchariによって生産されるバイオフィルムに接触したK.sacchari及びKlebsiella variicolaの両方を含むものである。微生物組成物を精製して、使用済み培地を除去する。
【0690】
微生物の液体保管
バイオフィルム含有K.sacchari及びKlebsiella variicola共培養物ならびに対照Klebsiella variicola培養物を複数の密封バイアルに分取し、周囲温度で保管し、0日目、21日目、及び190日目にKlebsiella variicolaのコロニー形成単位に関して評価する。
【0691】
バイオフィルム含有K.sacchari及びKlebsiella variicola共培養物は、21日目及び190日目に、バイオフィルムが欠如した対応する対照と比較して、Klebsiella variicolaのより高い生存率を示す。
【0692】
微生物の固体保管(種子上)
バイオフィルム含有K.sacchari及びKlebsiella variicola共培養物ならびに対照Klebsiella variicola培養物をトウモロコシ種子にコーティングし、乾燥させ、可変の温度で保管する(温度は保管期間中に流動的であった)。0日目、2日目、21日目、及び190日目に、種子コーティング試料をKlebsiella variicolaのコロニー形成単位に関して評価する。
【0693】
バイオフィルム含有K.sacchari及びKlebsiella variicola共培養物は、2日目、21日目、及び190日目に、バイオフィルムが欠如した対応する対照と比較して、Klebsiella variicolaのより高い生存率を示す。
【0694】
実施例7:1つまたは複数の単離された細菌及び1つまたは複数の微生物によって産生されるバイオフィルムを含む組成物のジャグ中安定性
K.sacchariを上述したようなバイオフィルム形成条件下で増殖させることによって、バイオフィルムを産生させた。次いで、バイオフィルムを熱ショックに供して、全ての生存可能なK.sacchari細胞を除去した。バイオフィルムを3つの異なる濃度で使用して、Klebsiella variicolaの2つのリモデリングされた菌株137-1036及び137-1034のための発酵ブロスを製剤化した。
【0695】
製剤化した試料を25℃及び37℃で保管し、生存率をT=0、T=1週間、及びT=2週間で測定した。
【0696】
リモデリングされた菌株は、25℃及び高温(37℃)で異なってバイオフィルムに応答した。37℃では、バイオフィルムが製剤中にある場合、両方の菌株が、1週間及び2週間で、対照製剤と比較して顕著な安定性改善を示した(
図2B、3B、4B、及び5B)。
【0697】
25℃で、137-1036は、2週間の保管で、バイオフィルム含有製剤について改善された安定性を示したが(
図3A)、一方で、1週間では、安定性はバイオフィルム含有製剤及び対照製剤について類似していた(
図2A)。
【0698】
25℃で、137-1034は、安定性の変動を示したが(
図4A及び5A)、一方で、37℃では、それは一貫して改善された安定性を示した(
図4B及び5B)。
【0699】
まとめると、これらのデータは、バイオフィルムの添加が、高温での両方の菌株の2週間の保管中に、対照(製剤化されていない菌株)と比較して生存率の低下を低減したことを実証する。また、生存率の改善は、バイオフィルムの濃度に正比例しており、すなわち、より高いバイオフィルムの濃度では、生存率の低下がより少なかった(製剤は、より高いバイオフィルムの濃度でより安定であった)。
【0700】
実施例8:改善された微生物製品安定性に向けたポリマー及びバイオフィルムの組み合わせ製剤
2つの微生物137-1036及び137-1034の発酵ブロスを作出した。発酵の終わりに、各微生物のための発酵ブロスを、5%PVP-VAを添加しつつ及び添加せずに、3つのレベルのバイオフィルムと共に製剤化した。バイオフィルムは、Kosakonia sacchariを利用して、先に記載したように誘導した。
【0701】
製剤化した試料(PVP-VA+バイオフィルム)を25C及び37Cで保管し、製剤材料の生存率を最大1ヶ月間測定した。
【0702】
結果は、
図6A、6B、及び6Cに見出すことができる。
【0703】
これらの結果は、5%PVP-VAの添加が、バイオフィルムのみの組成物と比較して缶中(ジャグ中)の生存率低下を改善した(より低い対数損失)ことを実証する。
【0704】
実施例9:種々の商用トウモロコシ種子上の種子安定性の改善に対するPVP-VAの影響
化学的に前処理された、4つの市販のトウモロコシ種子品種をPVP-VA製剤研究のために選択した。これら4つのトウモロコシ生殖質及び化学的前処理剤は、下記の表Fに見出すことができる。化学的前処理を伴うこれらの4つの商用種子品種の各々は、対応するPVP-VA処理対PVP-VA非処理のものであった。故に、全ての種子が、20%PVP-VAを含むまたは含まない製剤で処理された。
【0705】
種子の安定性を4C、10C、及び25Cで経時的に監視した。
【0706】
4C、10C、及び25Cについての結果は、それぞれ
図7A、7B、及び7Cに見出すことができる。PVP-VAは、4C及び10Cの保管温度で全ての商用トウモロコシ生殖質にわたって好影響を有した。しかしながら、種子安定性に対する具体的な影響の程度はばらついており、基盤となるトウモロコシ生殖質に依存していた。しかしながら、25Cの保管温度の場合、1週間以内に全ての細胞でそれらの生存率のほとんどが失われ、PVP-VA処理による容易に明らかな差異はなかった。
【0707】
これらのデータから、種子が微生物細胞にとって「より不都合」であるほど(すなわち、微生物細胞に対する悪影響)、PVP-VAは安定性に対してより好影響を有すると要約することができる。
【0708】
【0709】
表25及び表26には、微生物、それらの基盤となる遺伝的構造、及びそれらの対応する配列番号が記載される。これらの微生物は、実施例1に記載されるGMRプラットフォームを利用して誘導された。これらの微生物が、本明細書に記載されるようなポリマー組成物製剤に含まれ得ることが企図される。
【表25】
【表26-1】
【表26-2】
【表26-3】
【表26-4】
【表26-5】
【表26-6】
【表26-7】
【表26-8】
【表26-9】
【表26-10】
【表26-11】
【表26-12】
【表26-13】
【表26-14】
【表26-15】
【表26-16】
【表26-17】
【表26-18】
【表26-19】
【表26-20】
【表26-21】
【表26-22】
【表26-23】
【表26-24】
【表26-25】
【表26-26】
【表26-27】
【表26-28】
【表27-1】
【表27-2】
【表27-3】
【表27-4】
【表27-5】
【表27-6】
【表27-7】
【0710】
本開示の番号付き実施形態I
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示は、以下の番号付き実施形態を記載する。
【0711】
1.微生物組成物であって、1つまたは複数の単離された細菌と、1つまたは複数のポリマーを含むポリマー組成物とを含み、前記1つまたは複数のポリマーが、前記1つまたは複数の単離された細菌に外因性であり、任意選択で、前記1つまたは複数の単離された細菌に外因性の1つまたは複数のバイオフィルムを含む、前記微生物組成物。
【0712】
2.前記1つまたは複数の単離された細菌に外因性の前記1つまたは複数のバイオフィルムが存在する、実施形態1に記載の微生物組成物。
【0713】
3.前記1つまたは複数のバイオフィルムが、以下の属、すなわち、Pseudomonas、Kosakonia、Bacillus、Azospirillum、Candida、Saccharomyces、及びAgrobacteriumから選択される属内の種由来のバイオフィルムを含む、実施形態1または2に記載の微生物組成物。
【0714】
4.前記1つまたは複数のバイオフィルムが、Kosakonia sacchari由来のバイオフィルムを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0715】
5.前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella属由来であり、前記1つまたは複数のバイオフィルムが、Kosakonia属の微生物由来のバイオフィルムを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0716】
6.前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella variicolaであり、前記1つまたは複数のバイオフィルムが、Kosakonia sacchari由来のバイオフィルムを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0717】
7.前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella variicola 137-1036菌株であり、前記1つまたは複数のバイオフィルムが、Kosakonia sacchari由来のバイオフィルムを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0718】
8.前記1つまたは複数のバイオフィルムが、2つの異なるバイオフィルム産生微生物によって産生される2つのバイオフィルムを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0719】
9.前記1つまたは複数の単離された細菌が、以下の属、すなわち、Achromobacter、Agrobacterium、Anabaena、Azorhizobium、Azospirillum、Azotobacter、Bacillus、Bradyrhizobium、Candida、Clostridium、Enterobacter、Klebsiella、Kluyvera、Kosakonia、Mesorhizobium、Microbacterium、Pseudomonas、Rahnella、Rhizobium、Saccharomyces、Sinorhizobium、及びそれらの組み合わせから選択される、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0720】
10.前記1つまたは複数の単離された細菌が、Achromobacter marplatensis、Achromobacter spiritinus、Azospirillum lipoferum、Enterobacter菌種、Klebsiella variicola、Kluyvera intermedia、Kosakonia pseudosacchari、Kosakonia sacchari、Microbacterium murale、Rahnella aquatilis、及びそれらの組み合わせから選択される、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0721】
11.前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella属由来である、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0722】
12.前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella variicolaである、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0723】
13.前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella variicola 137-1036菌株である、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0724】
14.前記1つまたは複数のポリマーが、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル(PVP-VA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギネート、及びそれらの組み合わせから選択される、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0725】
15.前記1つまたは複数のポリマーが、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル(PVP-VA)である、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0726】
16.前記1つまたは複数のポリマーが、電界紡糸ポリマーである、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0727】
17.前記1つまたは複数のポリマーが、コポリマーを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0728】
18.前記1つまたは複数の単離された細菌が、窒素を固定することができる、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0729】
19.前記1つまたは複数の単離された細菌の生存率が、前記1つまたは複数のポリマーが欠如した1つまたは複数の単離された細菌を含む対照組成物と比較して増加を示す、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0730】
20.前記1つまたは複数の単離された細菌の生存率が、少なくとも30日間保管された場合に、前記1つまたは複数のポリマーが欠如した1つまたは複数の単離された細菌を含む対照組成物と比較して増加を示す、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0731】
21.前記1つまたは複数の単離された細菌の生存率が、液体培養中で保管された場合に増加を示す、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0732】
22.前記組成物が固体である、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0733】
23.前記組成物が液体である、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0734】
24.前記組成物が半固体である、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0735】
25.前記微生物組成物が、植物種子または他の植物繁殖材料上に存在する種子コーティングである、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0736】
26.前記微生物組成物が、トウモロコシ種子上に存在する殺虫剤、除草剤、殺真菌剤、または殺線虫剤を有する、前記種子上に存在する種子コーティングである、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0737】
27.前記微生物組成物が、畦間製剤中にある、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0738】
28.前記1つまたは複数の単離された細菌が、内部寄生性、着生性、または根圏性である、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0739】
29.前記1つまたは複数の単離された細菌が、野生型細菌である、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0740】
30.前記1つまたは複数の単離された細菌が、トランスジェニック細菌である、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0741】
31.前記1つまたは複数の単離された細菌が、リモデリングされた非属間細菌である、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0742】
32.前記1つまたは複数の単離された細菌が、表1から選択されるリモデリングされた非属間細菌、またはその子孫もしくは派生物である、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0743】
33.前記1つまたは複数の単離された細菌が、空中窒素を固定することができる、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0744】
34.前記1つまたは複数の単離された細菌が、外因性窒素の存在下で空中窒素を固定することができるリモデリングされた非属間細菌である、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0745】
35.前記1つまたは複数の単離された細菌が、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子または非コードポリヌクレオチドに導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、リモデリングされた非属間細菌である、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0746】
36.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子に作動可能に連結された導入制御配列を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0747】
37.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子に作動可能に連結された異種プロモーターを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0748】
38.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifA、nifL、ntrB、ntrC、グルタミン合成酵素をコードするポリヌクレオチド、glnA、glnB、glnK、drat、amtB、グルタミナーゼをコードするポリヌクレオチド、glnD、glnE、nifJ、nifH、nifD、nifK、nifY、nifE、nifN、nifU、nifS、nifV、nifW、nifZ、nifM、nifF、nifB、nifQ、ニトロゲナーゼ酵素の生合成に関連する遺伝子、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される成員に導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0749】
39.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、NifAもしくはグルタミナーゼの増加した発現もしくは活性;NifL、NtrB、グルタミン合成酵素、GlnB、GlnK、DraT、AmtBの減少した発現もしくは活性;GlnEの減少したアデニリル除去活性;またはGlnDの減少したウリジリル除去活性のうちの1つまたは複数をもたらす、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子または非コードポリヌクレオチドに導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0750】
40.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の前記nifL遺伝子を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0751】
41.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、アデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0752】
42.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、amtB遺伝子の発現の欠如をもたらす変異型の前記amtB遺伝子を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0753】
43.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の前記nifL遺伝子;アデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子;amtB遺伝子の発現の欠如をもたらす変異型の前記amtB遺伝子;及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0754】
44.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の前記nifL遺伝子、及びアデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0755】
45.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の前記nifL遺伝子、アデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子、及びamtB遺伝子の発現の欠如をもたらす変異型の前記amtB遺伝子を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0756】
46.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、エキソポリサッカライド産生、エンドポリガラクツロナーゼ産生、トレハロース産生、及びグルタミン変換からなる群から選択される経路に関与する遺伝子に導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0757】
47.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、bcsii、bcsiii、yjbE、fhaB、pehA、otsB、treZ、glsA2、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される遺伝子に導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0758】
48.前記1つまたは複数の単離された細菌が、NCMA201701002として寄託された細菌、NCMA201708004として寄託された細菌、NCMA201708003として寄託された細菌、NCMA201708002として寄託された細菌、NCMA201712001として寄託された細菌、NCMA201712002として寄託された細菌、及びそれらの組み合わせから選択される細菌を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0759】
49.前記1つまたは複数の単離された細菌が、配列番号177~260、296~303、及び458~469から選択される核酸配列と少なくとも約90%、95%、または99%の配列同一性を共有する核酸配列を含む細菌を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0760】
50.前記1つまたは複数の単離された細菌が、配列番号177~260、296~303、及び458~469から選択される核酸配列を含む細菌を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の微生物組成物。
【0761】
本開示の番号付き実施形態II
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示は、以下の番号付き実施形態を記載する。
【0762】
1.細菌組成物の生存率を増加させるための方法であって、前記方法が、1つまたは複数の単離された細菌と、1つまたは複数のポリマーを含むポリマー組成物とを組み合わせることを含み、前記1つまたは複数のポリマーが、前記1つまたは複数の単離された細菌に外因性であり、前記生存率の増加が、前記1つまたは複数のポリマーが欠如した1つまたは複数の単離された細菌を含む対照組成物と比べてのものであり、任意選択で、前記単離された細菌及び前記ポリマー組成物と、前記1つまたは複数の単離された細菌に外因性の1つまたは複数のバイオフィルムを組み合わせることを含む、前記方法。
【0763】
2.前記1つまたは複数の単離された細菌に外因性の前記1つまたは複数のバイオフィルムが、前記単離された細菌及び前記ポリマー組成物と組み合わされる、実施形態1に記載の方法。
【0764】
3.前記1つまたは複数のバイオフィルムが、以下の属、すなわち、Pseudomonas、Kosakonia、Bacillus、Azospirillum、Candida、Saccharomyces、及びAgrobacteriumから選択される属内の種由来のバイオフィルムを含む、実施形態1または2に記載の方法。
【0765】
4.前記1つまたは複数のバイオフィルムが、Kosakonia sacchari由来のバイオフィルムを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0766】
5.前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella属由来であり、前記1つまたは複数のバイオフィルムが、Kosakonia属由来のバイオフィルムを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0767】
6.前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella variicolaであり、前記1つまたは複数のバイオフィルムが、Kosakonia sacchari由来のバイオフィルムを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0768】
7.前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella variicola 137-1036菌株であり、前記1つまたは複数のバイオフィルムが、Kosakonia sacchari由来のバイオフィルムを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0769】
8.前記1つまたは複数のバイオフィルムが、2つの異なるバイオフィルム産生微生物によって産生される2つのバイオフィルムを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0770】
9.前記1つまたは複数の単離された細菌が、以下の属、すなわち、Achromobacter、Agrobacterium、Anabaena、Azorhizobium、Azospirillum、Azotobacter、Bacillus、Bradyrhizobium、Candida、Clostridium、Enterobacter、Klebsiella、Kluyvera、Kosakonia、Mesorhizobium、Microbacterium、Pseudomonas、Rahnella、Rhizobium、Saccharomyces、Sinorhizobium、及びそれらの組み合わせから選択される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0771】
10.前記1つまたは複数の単離された細菌が、Achromobacter marplatensis、Achromobacter spiritinus、Azospirillum lipoferum、Enterobacter菌種、Klebsiella variicola、Kluyvera intermedia、Kosakonia pseudosacchari、Kosakonia sacchari、Microbacterium murale、Rahnella aquatilis、及びそれらの組み合わせから選択される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0772】
11.前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella属由来である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0773】
12.前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella variicolaである、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0774】
13.前記1つまたは複数の単離された細菌が、Klebsiella variicola 137-1036菌株である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0775】
14.前記1つまたは複数のポリマーが、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル(PVP-VA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギネート、及びそれらの組み合わせから選択される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0776】
15.前記1つまたは複数のポリマーが、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル(PVP-VA)である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0777】
16.前記1つまたは複数のポリマーが、電界紡糸ポリマーである、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0778】
17.前記1つまたは複数のポリマーが、コポリマーを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0779】
18.前記1つまたは複数の単離された細菌が、窒素を固定することができる、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0780】
19.前記1つまたは複数の単離された細菌の生存率が、前記1つまたは複数のポリマーが欠如した1つまたは複数の単離された細菌を含む対照組成物と比較して増加を示す、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0781】
20.前記1つまたは複数の単離された細菌の生存率が、少なくとも30日間保管された場合に、前記1つまたは複数のポリマーが欠如した1つまたは複数の単離された細菌を含む対照組成物と比較して増加を示す、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0782】
21.前記1つまたは複数の単離された細菌の生存率が、液体培養中で保管された場合に増加を示す、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0783】
22.前記組成物が固体である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0784】
23.前記組成物が液体である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0785】
24.前記組成物が半固体である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0786】
25.前記微生物組成物が、植物種子または他の植物繁殖材料上に存在する種子コーティングである、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0787】
26.前記微生物組成物が、トウモロコシ種子上に存在する殺虫剤、除草剤、殺真菌剤、または殺線虫剤を有する、前記種子上に存在する種子コーティングである、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0788】
27.前記微生物組成物が、畦間製剤中にある、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0789】
28.前記1つまたは複数の単離された細菌が、内部寄生性、着生性、または根圏性である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0790】
29.前記1つまたは複数の単離された細菌が、野生型細菌である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0791】
30.前記1つまたは複数の単離された細菌が、トランスジェニック細菌である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0792】
31.前記1つまたは複数の単離された細菌が、リモデリングされた非属間細菌である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0793】
32.前記1つまたは複数の単離された細菌が、表1から選択されるリモデリングされた非属間細菌、またはその子孫もしくは派生物である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0794】
33.前記1つまたは複数の単離された細菌が、空中窒素を固定することができる、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0795】
34.前記1つまたは複数の単離された細菌が、外因性窒素の存在下で空中窒素を固定することができるリモデリングされた非属間細菌である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0796】
35.前記1つまたは複数の単離された細菌が、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子または非コードポリヌクレオチドに導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、リモデリングされた非属間細菌である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0797】
36.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子に作動可能に連結された導入制御配列を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0798】
37.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子に作動可能に連結された異種プロモーターを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0799】
38.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifA、nifL、ntrB、ntrC、グルタミン合成酵素をコードするポリヌクレオチド、glnA、glnB、glnK、drat、amtB、グルタミナーゼをコードするポリヌクレオチド、glnD、glnE、nifJ、nifH、nifD、nifK、nifY、nifE、nifN、nifU、nifS、nifV、nifW、nifZ、nifM、nifF、nifB、nifQ、ニトロゲナーゼ酵素の生合成に関連する遺伝子、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される成員に導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0800】
39.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、NifAもしくはグルタミナーゼの増加した発現もしくは活性;NifL、NtrB、グルタミン合成酵素、GlnB、GlnK、DraT、AmtBの減少した発現もしくは活性;GlnEの減少したアデニリル除去活性;またはGlnDの減少したウリジリル除去活性のうちの1つまたは複数をもたらす、窒素固定または同化遺伝子調節ネットワークの少なくとも1つの遺伝子または非コードポリヌクレオチドに導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0801】
40.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の前記nifL遺伝子を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0802】
41.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、アデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0803】
42.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、amtB遺伝子の発現の欠如をもたらす変異型の前記amtB遺伝子を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0804】
43.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の前記nifL遺伝子;アデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子;amtB遺伝子の発現の欠如をもたらす変異型の前記amtB遺伝子;及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0805】
44.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の前記nifL遺伝子、及びアデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0806】
45.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、nifL遺伝子において異種プロモーターを含む変異型の前記nifL遺伝子、アデニリル除去(AR)ドメインが欠如した短縮型GlnEタンパク質をもたらす変異型のglnE遺伝子、及びamtB遺伝子の発現の欠如をもたらす変異型の前記amtB遺伝子を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0807】
46.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、エキソポリサッカライド産生、エンドポリガラクツロナーゼ産生、トレハロース産生、及びグルタミン変換からなる群から選択される経路に関与する遺伝子に導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0808】
47.前記1つまたは複数の単離された細菌の各々が、bcsii、bcsiii、yjbE、fhaB、pehA、otsB、treZ、glsA2、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される遺伝子に導入された少なくとも1つの遺伝的変異を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0809】
48.前記1つまたは複数の単離された細菌が、NCMA201701002として寄託された細菌、NCMA201708004として寄託された細菌、NCMA201708003として寄託された細菌、NCMA201708002として寄託された細菌、NCMA201712001として寄託された細菌、NCMA201712002として寄託された細菌、及びそれらの組み合わせから選択される細菌を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0810】
49.前記1つまたは複数の単離された細菌が、配列番号177~260、296~303、及び458~469から選択される核酸配列と少なくとも約90%、95%、または99%の配列同一性を共有する核酸配列を含む細菌を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0811】
50.前記1つまたは複数の単離された細菌が、配列番号177~260、296~303、及び458~469から選択される核酸配列を含む細菌を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0812】
本開示では、番号付き実施形態に含まれる前述の要素のありとあらゆる入れ替え及び組み合わせが企図される。
【0813】
参照による援用
本明細書に引用される全ての参考文献、記事、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願は、参照によりそれらの全体があらゆる目的で援用される。しかしながら、本明細書で引用される任意の参考文献、記事、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願の言及は、世界のいずれの国でもそれらが有効な先行技術を構成するかまたは共通一般知識の一部を形成することを認めるものでも、または任意の形式で示唆するものでもなく、かつそのように解釈されるべきではない。さらに、2018年5月22日に発行された、Methods and Compositions for Improving Plant Traitsと題される米国特許第9,975,817号が、参照により本明細書に援用される。さらに、2018年1月12日に出願され、2018年7月19日にWO2018/132774 A1として公開された、Methods and Compositions for Improving Plant Traitsと題されるPCT/US2018/013671が、参照により本明細書に援用される。さらに、2019年11月1日に出願された、Biofilm Compositions with Improved Stability for Nitrogen Fixing Microbial Productsと題されるPCT/US2019/059450が、参照により本明細書に援用される。
【配列表】
【国際調査報告】