IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウルティマ・ゲノミクス・インコーポレーテッドの特許一覧

特表2022-513737サンプル処理時およびサンプル検出時における制御された環境のための実施バリア
<>
  • 特表-サンプル処理時およびサンプル検出時における制御された環境のための実施バリア 図1A
  • 特表-サンプル処理時およびサンプル検出時における制御された環境のための実施バリア 図1B
  • 特表-サンプル処理時およびサンプル検出時における制御された環境のための実施バリア 図1C
  • 特表-サンプル処理時およびサンプル検出時における制御された環境のための実施バリア 図2A
  • 特表-サンプル処理時およびサンプル検出時における制御された環境のための実施バリア 図2B
  • 特表-サンプル処理時およびサンプル検出時における制御された環境のための実施バリア 図2C
  • 特表-サンプル処理時およびサンプル検出時における制御された環境のための実施バリア 図3
  • 特表-サンプル処理時およびサンプル検出時における制御された環境のための実施バリア 図4
  • 特表-サンプル処理時およびサンプル検出時における制御された環境のための実施バリア 図5
  • 特表-サンプル処理時およびサンプル検出時における制御された環境のための実施バリア 図6
  • 特表-サンプル処理時およびサンプル検出時における制御された環境のための実施バリア 図7
  • 特表-サンプル処理時およびサンプル検出時における制御された環境のための実施バリア 図8
  • 特表-サンプル処理時およびサンプル検出時における制御された環境のための実施バリア 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】サンプル処理時およびサンプル検出時における制御された環境のための実施バリア
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20220202BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20220202BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20220202BHJP
   G02B 21/00 20060101ALN20220202BHJP
   G02B 21/34 20060101ALN20220202BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
G01N35/00 B
G01N35/00 E
C12M1/00 A
G02B21/00
G02B21/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532244
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(85)【翻訳文提出日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 US2019064916
(87)【国際公開番号】W WO2020118172
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】62/776,866
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/440,026
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/665,540
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/665,559
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.ベルクロ
3.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】520167449
【氏名又は名称】ウルティマ・ゲノミクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ベケット,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】キャズウェル,ネイサン
【テーマコード(参考)】
2G058
2H052
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G058BB02
2G058BB03
2G058BB11
2G058GA01
2H052AB02
2H052AE13
4B029AA07
4B029AA23
4B029BB20
4B029GB01
4B029GB06
4B063QA13
4B063QQ41
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
本明細書中には、サンプルの処理および/または検出のための様々な方法が提供される。1つの方法が、バリアを第1の領域と第2の領域との間に設ける工程、ただし、第1の領域がサンプルを含み、バリアにより、第1の領域が、第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持され、バリアの一部が、コヒーレント運動している流体を含む、工程と、第1の領域に少なくとも一部が含有される検出器を使用して、サンプルからの1つまたは複数のシグナルを、第1の領域が、第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持されている間に検出する工程とを含むことができる。流体を含むバリアの一部は、第1の雰囲気、第2の雰囲気または両方よりも低い圧力を有する場合がある。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的分析物を処理するための方法であって、
(a)バリアを第1の領域と第2の領域との間に設ける工程、ただし、前記第1の領域が、前記生物学的分析物がその近傍に固定化されている基体を含み、前記バリアにより、前記第1の領域が、前記第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持される、工程、および
(b)前記第1の領域に少なくとも一部が含有される検出器を使用して、前記生物学的分析物からの1つまたは複数のシグナルあるいはその変化を、(i)前記検出器が前記基体に対する運動を受けており、前記基体と前記検出器とが直接的に機械的接触しておらず、かつ、(ii)前記第1の領域が前記第2の領域の前記第2の雰囲気とは異なる前記第1の雰囲気で維持されている間に検出する工程
を含む方法。
【請求項2】
前記バリアの一部が、バルク運動している流体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流体が空気を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記バリアの前記一部が部分的真空を含む、請求項2~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記バリアの前記一部が、前記第1の領域、前記第2の領域または両方からの流体を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の雰囲気が、前記第2の雰囲気の第2の湿度または第2の湿度範囲とは異なる第1の湿度または第1の湿度範囲で維持される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の雰囲気が、90%を超える相対湿度を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の雰囲気が、前記第2の雰囲気の第2の温度または第2の温度範囲とは異なる第1の温度または第1の温度範囲で維持される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の領域が第1の部分と第2の部分とを含み、前記第1の部分が第1の局所的雰囲気で維持され、前記第2の部分が、前記第1の局所的雰囲気とは異なる第2の局所的雰囲気で維持される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の局所的雰囲気が、前記第2の局所的雰囲気の第2の局所的温度または第2の局所的温度範囲とは異なる第1の局所的温度または第1の局所的温度範囲で維持される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の局所的雰囲気が、前記第2の局所的雰囲気の第2の局所的湿度または第2の局所的湿度範囲とは異なる第1の局所的湿度または第1の局所的湿度範囲で維持される、請求項9~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記検出器が光学的検出器であり、前記1つまたは複数のシグナルが1つまたは複数の光学シグナルまたは光学シグナル変化である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記バリアが第1の固体構成要素と第2の固体構成要素とを含み、前記第1の固体構成要素と前記第2の固体構成要素とが直接的に機械的接触していない、かつ、前記第1の固体構成要素が前記第2の固体構成要素に対して可動である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記バリアの一部が、バルク運動している流体を含み、前記一部が前記第1の固体構成要素と前記第2の固体構成要素との間に配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記検出器が前記第1の固体構成要素に対して固定され、前記基体が前記第2の固体構成要素に対して並進的に固定される、請求項13から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記基体が前記第2の固体構成要素に対して回転可能である、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の固体構成要素の第1の部分が前記第1の領域と前記第2の領域との間に設けられ、前記第1の固体構成要素の第2の部分が前記第2の領域と第3の領域との間に設けられて、前記第3の領域を前記第1の雰囲気および前記第2の雰囲気から独立している第3の雰囲気で維持するように構成される別のバリアの一部分を形成し、前記別のバリアの一部が、バルク運動している流体を含み、前記第3の領域が、前記第1の領域に依存していない前記第1の固体構成要素に対して可動である、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の雰囲気が室内雰囲気または周囲雰囲気である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記検出器の第1の部分が前記第1の領域にあり、前記検出器の第2の部分が前記第2の領域にある、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記検出器の前記第1の部分が、前記第1の領域において前記基体と接触している浸漬流体に少なくとも一部が浸漬される光学的画像化対物レンズを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記生物学的分析物が核酸分子であり、かつ、さらには、前記1つまたは複数のシグナルあるいはその変化に少なくとも部分的に基づいて、前記核酸分子またはその誘導体の配列を特定することを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記運動が、(i)前記基体に対する実質的に直線的な運動、および(ii)前記基体に対する実質的に非直線的な運動からなる群から選択される1つまたは複数のものを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記検出器が前記基体に対する回転運動を受けている、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記検出器が前記基体に対する並進運動を受けている、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記検出器が前記基体に対する並進運動および回転運動を受けている、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
(b)において、前記検出器が前記基体を実質的に直線的な走査経路に沿って走査する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
(b)において、前記検出器が前記基体を実質的に非直線的な走査経路に沿って走査する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
(b)において、前記検出器が、輪形、らせん形および弧形からなる群から選択される1つまたは複数の走査経路に沿って前記基体を走査する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
生物学的分析物を処理するための方法であって、
(a)バリアを第1の領域と第2の領域との間に設ける工程、ただし、前記第1の領域が前記生物学的分析物を含み、前記バリアにより、前記第1の領域が、前記第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持され、前記バリアの一部が、バルク運動している流体を含む、工程、および
(b)前記第1の領域に少なくとも一部が含有される検出器を使用して、前記生物学的分析物からの1つまたは複数のシグナルあるいはその変化を、前記第1の領域が前記第2の領域の前記第2の雰囲気とは異なる前記第1の雰囲気で維持されている間に検出する工程
を含む方法。
【請求項30】
前記バリアの前記一部が、前記第1の領域、前記第2の領域または両方からの流体を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の雰囲気が、前記第2の雰囲気の第2の湿度または第2の湿度範囲とは異なる第1の湿度または第1の湿度範囲で維持される、請求項29から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の雰囲気が、90%を超える相対湿度を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の雰囲気が、前記第2の雰囲気の第2の温度または第2の温度範囲とは異なる第1の温度または第1の温度範囲で維持される、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の領域が第1の部分と第2の部分とを含み、前記第1の部分が第1の局所的雰囲気で維持され、前記第2の部分が、前記第1の局所的雰囲気とは異なる第2の局所的雰囲気で維持される、請求項29~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の局所的雰囲気が、前記第2の局所的雰囲気の第2の局所的温度または第2の局所的温度範囲とは異なる第1の局所的温度または第1の局所的温度範囲で維持される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の局所的雰囲気が、前記第2の局所的雰囲気の第2の局所的湿度または第2の局所的湿度範囲とは異なる第1の局所的湿度または第1の局所的湿度範囲で維持される、請求項34~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
(b)が、検出を行っている間に、前記検出器を前記生物学的分析物に対して動かすことを含む、請求項29~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記検出器が光学的検出器であり、前記1つまたは複数のシグナルあるいはその変化が1つまたは複数の光学シグナルあるいはその変化である、請求項29~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記バリアが第1の固体構成要素と第2の固体構成要素とを含み、前記第1の固体構成要素と前記第2の固体構成要素とが機械的接触しておらず、かつ、前記第1の固体構成要素が前記第2の固体構成要素に対して可動である、請求項29~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記流体を含む前記バリアの前記一部が、前記第1の固体構成要素と前記第2の固体構成要素との間に配置される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記検出器が前記第1の固体構成要素に対して固定され、前記生物学的分析物が前記第2の固体構成要素に対して並進的に固定される、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の固体構成要素の第1の部分が前記第1の領域と前記第2の領域との間に設けられ、前記第1の固体構成要素の第2の部分が前記第2の領域と第3の領域との間に設けられて、前記第3の領域を前記第1の雰囲気および前記第2の雰囲気から独立している第3の雰囲気で維持するように構成される別のバリアの一部分を形成し、前記別のバリアの一部が流体を含み、前記第3の領域が、前記第1の領域に依存していない前記第1の固体構成要素に対して可動である、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記第2の雰囲気が室内雰囲気または周囲雰囲気である、請求項29~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記検出器の第1の部分が前記第1の領域にあり、前記検出器の第2の部分が前記第2の領域にある、請求項29~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記検出器の前記第1の部分が、前記第1の領域において前記生物学的分析物と接触している浸漬流体に少なくとも一部が浸漬される光学的画像化対物レンズを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記生物学的分析物が核酸分子であり、かつ、さらには、前記1つまたは複数のシグナルまたはシグナル変化に少なくとも部分的に基づいて、前記核酸分子またはその誘導体の配列を特定することを含む、請求項29~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記流体が空気を含む、請求項29~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
分析物を処理するためのシステムであって、
(i)前記分析物をその近傍に固定化されて含む基体と、(ii)検出器の少なくとも一部とを含有するように構成される第1の領域、および
前記第1の領域と第2の領域との間に配置されるバリアであって、前記分析物からの1つまたは複数のシグナルあるいはその変化を検出するために、前記検出器および前記基体が相互に関しての相対的運動を受けている間は前記第1の領域を前記第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持するように構成される前記バリアを含むシステム。
【請求項49】
前記バリアの一部が、バルク運動している流体を含むように構成される、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記バリアの前記一部が、真空下にあるように構成される、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記バリアの前記一部が、前記第1の領域、前記第2の領域、または前記第1の領域および前記第2の領域の両方からの流体を含むように構成される、請求項49または50に記載のシステム。
【請求項52】
前記バリアの一部が、空気を含むように構成される、請求項48~51のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項53】
前記バリアが、前記第1の領域を第1の湿度または第1の湿度範囲で維持するように構成され、前記第1の湿度または第1の湿度範囲が前記第2の領域の第2の湿度または第2の湿度範囲とは異なる、請求項48~52のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項54】
前記第1の雰囲気が、90%を超える相対湿度を有する、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記バリアが、前記第1の領域を第1の温度または第1の温度範囲で維持するように構成され、前記第1の温度または第1の温度範囲が前記第2の領域の第2の温度または第2の温度範囲とは異なる、請求項48~54のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項56】
前記第1の領域が第1の部分と第2の部分とを含み、前記バリアが、前記第1の部分を第1の局所的雰囲気で維持するように、かつ前記第2の部分を前記第1の局所的雰囲気とは異なる第2の局所的雰囲気で維持するように構成される、請求項48~55のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項57】
前記バリアが、前記第1の局所的雰囲気を前記第2の局所的雰囲気の第2の局所的温度または第2の局所的温度範囲とは異なる第1の局所的温度または第1の局所的温度範囲で維持するように構成される、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
前記バリアが、前記第1の局所的雰囲気を前記第2の局所的雰囲気の第2の局所的湿度または第2の局所的湿度範囲とは異なる第1の局所的湿度または第1の局所的湿度範囲で維持するように構成される、請求項56から57のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項59】
前記検出器は少なくとも一部が前記第1の領域に含有される、請求項48~58のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項60】
前記検出器が光学的検出器であり、前記1つまたは複数のシグナルが1つまたは複数の光学シグナルあるいは光学シグナル変化である、請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
前記検出器の第1の一部が前記第1の領域にあり、前記検出器の第2の一部が前記第2の領域にある、請求項59または60に記載のシステム。
【請求項62】
前記検出器の前記第1の一部が、前記基体が前記第1の領域にあるときには前記基体と接触している浸漬流体に少なくとも一部が浸漬されるように構成される光学的画像化対物レンズを含む、請求項59~61のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項63】
前記検出器が、前記基体が静止している間に運動を受けるように構成される、請求項59~62のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項64】
前記基体が、前記検出器が静止している間に運動を受けるように構成される、請求項59~63のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項65】
前記バリアが第1の固体構成要素と第2の固体構成要素とを含み、前記第1の固体構成要素と前記第2の固体構成要素とが互いに直接的に機械的接触しておらず、かつ、前記第1の固体構成要素と前記第2の固体構成要素とが互いに対して可動である、請求項48~64のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項66】
前記バリアの一部が、バルク運動している流体を含み、前記一部が前記第1の固体構成要素と前記第2の固体構成要素との間に配置される、請求項65に記載のシステム。
【請求項67】
前記検出器が前記第1の固体構成要素に対して固定されるように構成され、前記基体が、前記第2の固体構成要素に対して固定されるように構成される、請求項65~66のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項68】
前記検出器が前記第1の固体構成要素に対して固定されるように構成され、前記基体が、前記第2の固体構成要素に対して回転可能であるように構成される、請求項65または66に記載のシステム。
【請求項69】
前記第1の固体構成要素の第1の一部が前記第1の領域と前記第2の領域との間に設けられ、前記第1の固体構成要素の第2の一部が前記第2の領域と第3の領域との間に設けられて、前記第3の領域を前記第1の雰囲気および前記第2の雰囲気から独立している第3の雰囲気で維持するように構成される別のバリアの一部を形成し、前記別のバリアの一部が、バルク運動している流体を含み、前記第3の領域が、前記第1の領域に依存していない前記第1の固体構成要素に対して可動である、請求項48~68のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項70】
前記第2の雰囲気が室内雰囲気または周囲雰囲気である、請求項48~69のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項71】
分析物を処理するための、または分析するためのシステムであって、
(1)前記分析物をその近傍に固定化されて含む基体と、(2)検出ユニットの少なくとも一部とを含有するように構成される第1の領域を含むチャンバー、および前記チャンバーの近傍に配置されるように構成される蓋、ならびに
バルク運動している流体を、前記蓋が前記チャンバーの近傍に配置されたときには前記チャンバーと前記蓋との間に配置される場所に提供し、その結果、前記第1の領域が、前記第1の領域の外側の第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持されるようにするために構成される流体流ユニット
を含むシステム。
【請求項72】
バルク運動している前記流体が、部分的真空を前記チャンバーと前記蓋との間に提供するように構成される、請求項71に記載のシステム。
【請求項73】
前記流体流ユニットが、バルク運動している前記流体を提供するために、前記第1の領域、前記第2の領域または両方からの流体を使用するように構成される、請求項71~72のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項74】
前記流体が空気を含む、請求項71~73のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項75】
前記流体流ユニットが、前記第1の領域を第1の湿度または第1の湿度範囲で維持するように構成され、前記第1の湿度または第1の湿度範囲が前記第2の領域の第2の湿度または第2の湿度範囲とは異なる、請求項71~74のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項76】
前記第1の雰囲気が、90%を超える相対湿度を有する、請求項75に記載のシステム。
【請求項77】
前記流体流ユニットが、前記第1の領域を第1の温度または第1の温度範囲で維持するように構成され、前記第1の温度または第1の温度範囲が前記第2の領域の第2の温度または第2の温度範囲とは異なる、請求項71~76のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項78】
前記第1の領域が第1の部分と第2の部分とを含み、前記流体流ユニットが、前記第1の部分を第1の局所的雰囲気で維持するように、かつ前記第2の部分を前記第1の局所的雰囲気とは異なる第2の局所的雰囲気で維持するように構成される、請求項71~77のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項79】
前記流体流ユニットが、前記第1の局所的雰囲気を前記第2の局所的雰囲気の第2の局所的温度または第2の局所的温度範囲とは異なる第1の局所的温度または第1の局所的温度範囲で維持するように構成される、請求項78に記載のシステム。
【請求項80】
前記流体流ユニットが、前記第1の局所的雰囲気を前記第2の局所的雰囲気の第2の局所的湿度または第2の局所的湿度範囲とは異なる第1の局所的湿度または第1の局所的湿度範囲で維持するように構成される、請求項78~79のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項81】
前記検出ユニットは少なくとも一部が前記第1の領域に含有される、請求項71~80のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項82】
前記検出ユニットが光学的検出ユニットである、請求項81に記載のシステム。
【請求項83】
前記検出ユニットの第1の一部が前記第1の領域にあり、前記検出ユニットの第2の一部が前記第2の領域にある、請求項81~82のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項84】
前記検出ユニットの前記第1の一部が、前記第1の領域における前記基体と接触している浸漬流体に少なくとも一部が浸漬されるように構成される光学的画像化対物レンズを含む、請求項81~83のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項85】
前記検出ユニットが、前記基体が静止している間に運動を受けるように構成される、請求項81~84のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項86】
前記基体が、前記検出ユニットが静止している間に運動を受けるように構成される、請求項81~85のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項87】
前記相対的運動が、(i)実質的に直線的な運動、および(ii)実質的に非直線的な運動からなる群から選択される1つまたは複数のものを含む、請求項81~86のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項88】
前記検出ユニットが、前記蓋に対して固定されるように構成される、請求項81~87のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項89】
前記基体が、前記チャンバーに対して回転可能であるように構成される、請求項81~88のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項90】
前記検出ユニットが1つまたは複数の光学系を含む、請求項71~89のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項91】
前記検出ユニットが、前記分析物からのシグナルを捕捉するように構成されるセンサーを含む、請求項71~90のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項92】
前記チャンバーが前記蓋と機械的接触していない、請求項71~91のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項93】
前記蓋が、前記チャンバーに対して動くように構成される、または逆に、前記チャンバーが、前記蓋に対して動くように構成される、請求項71~92のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項94】
前記流体流ユニットが、前記検出ユニットと前記基体とが互いに対する運動を受けている間は前記第1の領域を前記第1の雰囲気で維持するように構成される、請求項71~93のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項95】
前記流体流ユニットが、負圧を前記チャンバーと前記蓋との間に配置される前記場所に生じさせるように構成される、請求項71~94のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項96】
前記蓋の第1の一部が前記第1の領域と前記第2の領域との間に設けられ、前記蓋の第2の一部が前記第2の領域と第3の領域との間に設けられ、第2の流体流ユニットが、バルク運動している流体をもたらして、前記第3の領域を前記第1の雰囲気および前記第2の雰囲気から独立している第3の雰囲気で維持するように構成され、前記第3の領域が、前記第1の領域に依存していない前記蓋に対して可動である、請求項71~95のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項97】
前記第2の雰囲気が室内雰囲気または周囲雰囲気である、請求項71~96のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項98】
前記流体流ユニットに対して動作可能に連結されるコントローラーをさらに含み、前記コントローラーが、前記流体に前記バルク運動を受させるために前記流体流ユニットに指示するように構成される、請求項71~97のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項99】
基体に連結される分析物からのシグナルまたはシグナル変化を検出するように構成される画像化対物レンズ;
一定量の流体を前記画像化対物レンズと前記基体との間に含有するように構成される筺体;
水溶液を含むように構成される流体供給源;および
前記一定量の流体を前記流体供給源から前記筺体に送達するように構成される流体流ユニット
を含むシステム。
【請求項100】
前記水溶液が洗浄液を含む、請求項99に記載のシステム。
【請求項101】
前記水溶液が、塩、界面活性剤および緩衝剤を含む浸漬緩衝液を含む、請求項99~100のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項102】
前記水溶液はpHが8.0~9.0の間である、請求項99~101のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項103】
さらに前記基体を含む、請求項99~102のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項104】
前記基体が、第2の水溶液を含む流体層を含む、請求項103に記載のシステム。
【請求項105】
前記水溶液および前記第2の水溶液が異なる組成物を含む、請求項104に記載のシステム。
【請求項106】
前記水溶液および前記第2の水溶液が同じ組成物を含む、請求項104に記載のシステム。
【請求項107】
(a)画像化対物レンズを、一定量の流体を介して基体との流体接触に至らせる工程であって、前記流体が第1の水溶液を含み、前記基体が、(i)前記基体近傍に固定化される分析物と、(ii)前記基体近傍での流体の層とを含み、前記流体の層が第2の水溶液を含む、工程、および
(b)前記分析物を前記画像化対物レンズによって、前記一定量の流体を介して画像化する工程
を含む方法。
【請求項108】
前記画像化対物レンズと前記基体との間での流体接触を維持しながら、前記画像化対物レンズを前記基体に関して動かすことをさらに含む、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記画像化対物レンズと前記基体との間での流体接触を維持しながら、前記基体を前記画像化対物レンズに関して動かすことをさらに含む、請求項107~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記一定量の流体は厚さが約200マイクロメートル(μm)~500μmの間である、請求項107~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記流体の層は厚さが約5μm~50μmの間である、請求項107~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
(i)前記画像化対物レンズと前記基体との間での流体接触を中断させること、および(ii)前記画像化対物レンズと前記基体とを第2の流体接触に至らせることをさらに含む、請求項107~111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
(i)の後、前記一定量の流体の少なくとも一部が前記画像化対物レンズと流体接触しているままである、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
(i)の後、前記一定量の流体の少なくとも一部が前記基体と流体接触しているままである、請求項112~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記第1の水溶液が洗浄液を含む、請求項107~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記第1の水溶液が、塩、界面活性剤および緩衝剤を含む浸漬緩衝液を含む、請求項107~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記第1の水溶液はpHが8.0~9.0の間である、請求項107~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記第1の水溶液および前記第2の水溶液が異なる組成物を含む、請求項107~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記第1の水溶液および前記第2の水溶液が同じ組成物を含む、請求項107~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
(a)画像化対物レンズを、一定量の流体を介して、基体の近傍に固定化される分析物との流体接触に至らせる工程であって、前記基体が、第2の水溶液を含む流体の層を含む、工程、および
(b)前記分析物を前記画像化対物レンズによって、前記一定量の流体を介して画像化する工程
を含む方法。
【請求項121】
前記画像化対物レンズと前記分析物との間での流体接触を維持しながら、前記画像化対物レンズを前記分析物に関して動かすことをさらに含む、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記画像化対物レンズと前記分析物との間での流体接触を維持しながら、前記分析物を前記画像化対物レンズに関して動かすことをさらに含む、請求項120~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記一定量の流体は厚さが約200μm~500μmの間である、請求項120~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記流体の層は厚さが約5μm~50μmの間である、請求項120~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
(i)前記画像化対物レンズと前記分析物との間での流体接触を中断させること、および(ii)前記画像化対物レンズと前記分析物とを第2の流体接触に至らせることをさらに含む、請求項120~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
(i)の後、前記一定量の流体の少なくとも一部が前記画像化対物レンズと流体接触しているままである、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
(i)の後、前記一定量の流体の少なくとも一部が前記分析物と流体接触しているままである、請求項125~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記第1の水溶液が洗浄液を含む、請求項120~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記第1の水溶液が、塩、界面活性剤および緩衝剤を含む浸漬緩衝液を含む、請求項120~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記第1の水溶液はpHが8.0~9.0の間である、請求項120~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記第1の水溶液および前記第2の水溶液が異なる組成物を含む、請求項120~130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記第1の水溶液および前記第2の水溶液が同じ組成物を含む、請求項120~130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
分析物を処理するための、または分析するためのシステムであって、
内部領域を含み、かつ前記分析物をその近傍に固定化するように構成される基体を含むように構成されるチャンバー、および前記チャンバーの近傍に配置されるように構成される蓋、ならびに
第1の局所的環境、第2の局所的環境および第3の局所的環境を前記内部領域の内部に維持するように構成される環境ユニットであって、(i)前記第1の局所的環境を第1の温度または温度範囲で維持するように、(ii)前記第2の局所的環境を第2の温度または温度範囲で維持するように、かつ(iii)前記第3の局所的環境を第3の温度または温度範囲で維持するように構成される環境ユニット
を含み、
前記第1の局所的環境が前記第2の局所的環境および前記第3の局所的環境の上方に配置され、かつ前記第1の局所的環境が前記蓋に、または前記蓋に近接して位置し、
前記第2の局所的環境が前記基体の表面または表面近くに配置され、
前記第3の局所的環境が前記第1の局所的環境および前記第2の局所的環境の下方に配置され、かつ
前記第1の温度または温度範囲が前記第2の温度または温度範囲および前記第3の温度または温度範囲よりも高く、かつ前記第2の温度または温度範囲が前記第3の温度または温度範囲よりも低い、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、米国特許出願第16/665,559号(2019年10月28日出願)、米国特許出願第16/665,540号(2019年10月28日出願)、米国特許出願第16/440,026号(2019年6月13日出願)および米国仮特許出願第62/776,866号(2018年12月7日出願)の利益を主張し、これらのそれぞれが全面的に参照によって本明細書中に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
生物学的サンプルの処理は様々な用途を分子生物学の分野および医学の分野(例えば、診断)において有する。例えば、核酸配列決定は、ある特定の状態を対象において診断し、場合によっては処置計画を調整するために使用されることがある情報をもたらす場合がある。配列決定は、ベクター設計、遺伝子治療、ワクチン設計、産業用菌株設計および検証を含めて様々な分子生物学的用途のために広く使用されている。生物学的サンプルの処理は流体工学システムおよび/または検出システムを伴う場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
生物学的サンプルおよび非生物学的サンプルを含めて、様々なサンプルが、制御された環境において、例えば、制御された温度、圧力および/または湿度などを有する制御された環境において処理される場合がある。そのようなサンプルの分析では、サンプルをその制御された環境の中で検出することが伴う場合がある。検出は、連続する相対的運動が検出器(例えば、光学ヘッド)とサンプルとの間に存在する連続検出(例えば、連続走査)を伴う場合がある。検出では、対物レンズとサンプルとの間での近接が、例えば、対物レンズとサンプルとの間における直接的または間接的な接触を達成するなどのために要求される場合がある。しかしながら、検出活動、例えば、サンプルを連続して走査するという行為などが、制御された環境を乱す場合がある。場合によっては、制御された環境を維持しようとする努力が、1つまたは複数の検出器の連続運動を乱す場合がある。場合によっては、制御された環境を維持しながら検出器を制御された環境の中で動かすことが、例えば、検出器の存在または運動により、制御された環境を封じることまたは維持することが困難または不可能になることがあるために、あるいは検出器の存在または運動により、サンプルが影響され、よって検出結果が影響を受けることがあるために可能でない場合がある。場合によっては、機械的シール、例えば、ベローズまたは滑りガスケットなどを、制御された環境を通常の環境(例えば、室内環境)から維持するために実施することにより、望ましくない力が検出時に持ち込まれることがあり、あるいは検出器とサンプルとの間における相対的運動が妨害されることがあり、または乱されることがある。そのような問題は不正確かつ不明確な検出結果をもたらすことがある。したがって、本明細書中では、少なくとも上述の問題に対処するシステム、デバイスおよび方法が必要であることが認識される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書中には、制御されたサンプル環境と、外部環境との間で実施することができるバリアが提供される。そのようなバリアは、検出器とサンプルとの間における低摩擦または無摩擦の相対的運動を、制御されたサンプル環境を維持しながら可能にする場合がある。バリアは、対物レンズが検出時および移動時にサンプルと直接的に、または間接的に(例えば、流体での浸漬を介して)接触することを可能にする場合がある。バリアは、非直線方向(例えば、R、θ座標系での非直線方向)および/または直線方向(例えば、X、Yおよび/またはZ座標系での直線方向)における相対的運動を伴う連続走査を可能にする場合がある。有益なことに、そのようなバリアは連続走査を100%または実質的に100%の相対湿度環境において可能にする場合がある。バリアは、漏れたときには凝縮し、高感度な機器、例えば、光学機器および電子機器などに影響を及ぼす(例えば、腐食、汚染などを生じさせる)可能性がある湿度がサンプル環境から漏れることを防止する場合がある。さらに、バリアは、サンプルを汚染することがある、ならびに/あるいは流体工学および/または検出(例えば、画像化)に影響を及ぼすことがある外部環境からの汚染物質がサンプル環境に入ることを防止する場合がある。
【0005】
バリアが、サンプル環境と外部環境との間における移行領域を含む場合がある。バリアは流体バリアを含む場合がある。バリアは、サンプル環境、外部環境または両方からの流体を含む場合がある。バリアは低圧領域である場合がある。低圧領域は、サンプル環境、外部環境または両方よりも低い圧力を有する場合がある。バリアは部分的真空を含む場合がある。バリアはさらに物理的バリアを含む場合がある
1つの局面において、生物学的分析物を処理するための方法であって、(a)バリアを第1の領域と第2の領域との間に設ける工程、ただし、第1の領域が、生物学的分析物がその近傍に固定化されている基体を含み、バリアにより、第1の領域が、第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持される、工程と、(b)第1の領域に少なくとも一部が含有される検出器を使用して、生物学的分析物からの1つまたは複数のシグナルあるいはその変化を、(i)検出器が基体に対する運動を受けており、基体と検出器とが直接的に機械的接触していない、かつ、(ii)第1の領域が第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持されている間に検出する工程とを含む方法が提供される。
【0006】
いくつかの実施形態において、バリアの一部が、バルク運動している流体を含む。いくつかの実施形態において、流体は空気を含む。いくつかの実施形態において、バリアの一部は部分的真空を含む。いくつかの実施形態において、バリアの一部は、第1の領域、第2の領域または両方からの流体を含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、第1の雰囲気は、第2の雰囲気の第2の湿度または第2の湿度範囲とは異なる第1の湿度または第1の湿度範囲で維持される。いくつかの実施形態において、第1の雰囲気は、90%を超える相対湿度を有する。
【0008】
いくつかの実施形態において、第1の雰囲気は、第2の雰囲気の第2の温度または第2の温度範囲とは異なる第1の温度または第1の温度範囲で維持される。
【0009】
いくつかの実施形態において、第1の領域は第1の部分と第2の部分とを含み、第1の部分が第1の局所的雰囲気で維持され、第2の部分が、第1の局所的雰囲気とは異なる第2の局所的雰囲気で維持される。いくつかの実施形態において、第1の局所的雰囲気は、第2の局所的雰囲気の第2の局所的温度または第2の局所的温度範囲とは異なる第1の局所的温度または第1の局所的温度範囲で維持される。いくつかの実施形態において、第1の局所的雰囲気は、第2の局所的雰囲気の第2の局所的湿度または第2の局所的湿度範囲とは異なる第1の局所的湿度または第1の局所的湿度範囲で維持される。
【0010】
いくつかの実施形態において、検出器は光学的検出器であり、1つまたは複数のシグナルは1つまたは複数の光学シグナルまたは光学シグナル変化である。
【0011】
いくつかの実施形態において、バリアは第1の固体構成要素と第2の固体構成要素とを含み、第1の固体構成要素と第2の固体構成要素とは直接的に機械的接触しておらず、かつ、第1の固体構成要素は第2の固体構成要素に対して可動である。いくつかの実施形態において、バリアの一部が、バルク運動している流体を含み、前記一部が第1の固体構成要素と第2の固体構成要素との間に配置される。
【0012】
いくつかの実施形態において、検出器は第1の固体構成要素に対して固定され、基体は第2の固体構成要素に対して並進的に固定される。
【0013】
いくつかの実施形態において、基体は第2の固体構成要素に対して回転可能である。
【0014】
いくつかの実施形態において、第1の固体構成要素の第1の部分が第1の領域と第2の領域との間に設けられ、第1の固体構成要素の第2の部分が第2の領域と第3の領域との間に設けられて、第3の領域を第1の雰囲気および第2の雰囲気から独立している第3の雰囲気で維持するように構成される別のバリアの一部分を形成し、前記別のバリアの一部が、バルク運動している流体を含み、第3の領域は、第1の領域に依存していない第1の固体構成要素に対して可動である。
【0015】
いくつかの実施形態において、第2の雰囲気は室内雰囲気または周囲雰囲気である。
【0016】
いくつかの実施形態において、検出器の第1の部分が第1の領域にあり、検出器の第2の部分が第2の領域にある。いくつかの実施形態において、検出器の第1の部分は、第1の領域において基体と接触している浸漬流体に少なくとも一部が浸漬される光学的画像化対物レンズを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、生物学的分析物は核酸分子であり、さらには、1つまたは複数のシグナルあるいはその変化に少なくとも部分的に基づいて、核酸分子またはその誘導体の配列を特定することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、運動は、(i)基体に対する実質的に直線的な運動、および(ii)基体に対する実質的に非直線的な運動からなる群から選択される1つまたは複数のものを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、検出器は、基体に対する回転運動を受けている。
【0020】
いくつかの実施形態において、検出器は、基体に対する並進運動を受けている。
【0021】
いくつかの実施形態において、検出器は、基体に対する並進運動および回転運動を受けている。
【0022】
いくつかの実施形態において、(b)において、検出器は基体を実質的に直線的な走査経路に沿って走査する。
【0023】
いくつかの実施形態において、(b)において、検出器は基体を実質的に非直線的な走査経路に沿って走査する。いくつかの実施形態において、(b)において、検出器は、輪形、らせん形および弧形からなる群から選択される1つまたは複数の走査経路に沿って基体を走査する。
【0024】
別の局面において、生物学的分析物を処理するための方法であって、(a)バリアを第1の領域と第2の領域との間に設ける工程、ただし、第1の領域が生物学的分析物を含み、バリアにより、第1の領域が、第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持され、バリアの一部が、バルク運動している流体を含む、工程と、(b)第1の領域に少なくとも一部が含有される検出器を使用して、生物学的分析物からの1つまたは複数のシグナルあるいはその変化を、第1の領域が第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持されている間に検出する工程とを含む方法が提供される。
【0025】
いくつかの実施形態において、バリアの一部は、第1の領域、第2の領域または両方からの流体を含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、第1の雰囲気は、第2の雰囲気の第2の湿度または第2の湿度範囲とは異なる第1の湿度または第1の湿度範囲で維持される。いくつかの実施形態において、第1の雰囲気は、90%を超える相対湿度を有する。
【0027】
いくつかの実施形態において、第1の雰囲気は、第2の雰囲気の第2の温度または第2の温度範囲とは異なる第1の温度または第1の温度範囲で維持される。
【0028】
いくつかの実施形態において、第1の領域は第1の部分と第2の部分とを含み、第1の部分が第1の局所的雰囲気で維持され、第2の部分が、第1の局所的雰囲気とは異なる第2の局所的雰囲気で維持される。いくつかの実施形態において、第1の局所的雰囲気は、第2の局所的雰囲気の第2の局所的温度または第2の局所的温度範囲とは異なる第1の局所的温度または第1の局所的温度範囲で維持される。いくつかの実施形態において、第1の局所的雰囲気は、第2の局所的雰囲気の第2の局所的湿度または第2の局所的湿度範囲とは異なる第1の局所的湿度または第1の局所的湿度範囲で維持される。
【0029】
いくつかの実施形態において、(b)は、検出器を、検出を行っている間に生物学的分析物に対して動かすことを含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、検出器は光学的検出器であり、1つまたは複数のシグナルあるいはその変化は1つまたは複数の光学シグナルあるいはその変化である。
【0031】
いくつかの実施形態において、バリアは第1の固体構成要素と第2の固体構成要素とを含み、第1の固体構成要素と第2の固体構成要素とは機械的接触しておらず、かつ、第1の固体構成要素は第2の固体構成要素に対して可動である。いくつかの実施形態において、流体を含むバリアの一部は、第1の固体構成要素と第2の固体構成要素との間に配置される。
【0032】
いくつかの実施形態において、検出器は第1の固体構成要素に対して固定され、生物学的分析物は第2の固体構成要素に対して並進的に固定される。
【0033】
いくつかの実施形態において、第1の固体構成要素の第1の部分が第1の領域と第2の領域との間に設けられ、第1の固体構成要素の第2の部分が第2の領域と第3の領域との間に設けられて、第3の領域を第1の雰囲気および第2の雰囲気から独立している第3の雰囲気で維持するように構成される別のバリアの一部分を形成し、前記別のバリアの一部が流体を含み、第3の領域は、第1の領域に依存していない第1の固体構成要素に対して可動である。
【0034】
いくつかの実施形態において、第2の雰囲気は室内雰囲気または周囲雰囲気である。
【0035】
いくつかの実施形態において、検出器の第1の部分が第1の領域にあり、検出器の第2の部分が第2の領域にある。いくつかの実施形態において、検出器の第1の部分は、第1の領域において生物学的分析物と接触している浸漬流体に少なくとも一部が浸漬される光学的画像化対物レンズを含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、生物学的分析物が核酸分子であり、さらには、1つまたは複数のシグナルまたはシグナル変化に少なくとも部分的に基づいて、核酸分子またはその誘導体の配列を特定することを含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、流体は空気を含む。
【0038】
別の局面において、分析物を処理するためのシステムであって、(i)分析物をその近傍に固定化されて含む基体と、(ii)検出器の少なくとも一部とを含有するように構成される第1の領域、および第1の領域と第2の領域との間に配置されるバリアであって、分析物からの1つまたは複数のシグナルあるいはその変化を検出するために、検出器および基体が相互に関しての相対的運動を受けている間は第1の領域を第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持するように構成されるバリアを含むシステムが提供される。
【0039】
いくつかの実施形態において、バリアの一部が、バルク運動している流体を含むように構成される。いくつかの実施形態において、バリアの一部は、真空下にあるように構成される。いくつかの実施形態において、バリアの一部は、第1の領域、第2の領域、または第1の領域および第2の領域の両方からの流体を含むように構成される。
【0040】
いくつかの実施形態において、バリアの一部が、空気を含むように構成される。
【0041】
いくつかの実施形態において、バリアは、第1の領域を第1の湿度または第1の湿度範囲で維持するように構成され、第1の湿度または第1の湿度範囲は第2の領域の第2の湿度または第2の湿度範囲とは異なる。いくつかの実施形態において、第1の雰囲気は、90%を超える相対湿度を有する。
【0042】
いくつかの実施形態において、バリアは、第1の領域を第1の温度または第1の温度範囲で維持するように構成され、第1の温度または第1の温度範囲は第2の領域の第2の温度または第2の温度範囲とは異なる。
【0043】
いくつかの実施形態において、第1の領域は第1の部分と第2の部分とを含み、バリアは、第1の部分を第1の局所的雰囲気で維持するように、かつ第2の部分を第1の局所的雰囲気とは異なる第2の局所的雰囲気で維持するように構成される。いくつかの実施形態において、バリアは、第1の局所的雰囲気を第2の局所的雰囲気の第2の局所的温度または第2の局所的温度範囲とは異なる第1の局所的温度または第1の局所的温度範囲で維持するように構成される。いくつかの実施形態において、バリアは、第1の局所的雰囲気を第2の局所的雰囲気の第2の局所的湿度または第2の局所的湿度範囲とは異なる第1の局所的湿度または第1の局所的湿度範囲で維持するように構成される。
【0044】
いくつかの実施形態において、検出器は少なくとも一部が第1の領域に含有される。いくつかの実施形態において、検出器は光学的検出器であり、1つまたは複数のシグナルは1つまたは複数の光学シグナルあるいは光学シグナル変化である。いくつかの実施形態において、検出器の第1の一部が第1の領域にあり、検出器の第2の一部が第2の領域にある。いくつかの実施形態において、検出器の第1の一部は、基体が第1の領域にあるときには基体と接触している浸漬流体に少なくとも一部が浸漬されるように構成される光学的画像化対物レンズを含む。いくつかの実施形態において、検出器は、基体が静止している間に運動を受けるように構成される。いくつかの実施形態において、基体は、検出器が静止している間に運動を受けるように構成される。
【0045】
いくつかの実施形態において、バリアは第1の固体構成要素と第2の固体構成要素とを含み、第1の固体構成要素と第2の固体構成要素とは互いに直接的に機械的接触しておらず、第1の固体構成要素と第2の固体構成要素とは互いに対して可動である。いくつかの実施形態において、バリアの一部が、バルク運動している流体を含むように構成され、前記一部が第1の固体構成要素と第2の固体構成要素との間に配置される。
【0046】
いくつかの実施形態において、検出器は、第1の固体構成要素に対して固定されるように構成され、基体は、第2の固体構成要素に対して固定されるように構成される。
【0047】
いくつかの実施形態において、検出器は、第1の固体構成要素に対して固定されるように構成され、基体は、第2の固体構成要素に対して回転可能であるように構成される。
【0048】
いくつかの実施形態において、第1の固体構成要素の第1の一部が第1の領域と第2の領域との間に設けられ、第1の固体構成要素の第2の一部が第2の領域と第3の領域との間に設けられて、第3の領域を第1の雰囲気および第2の雰囲気から独立している第3の雰囲気で維持するように構成される別のバリアの一部を形成し、前記別のバリアの一部が、バルク運動している流体を含み、第3の領域は、第1の領域に依存していない第1の固体構成要素に対して可動である。
【0049】
いくつかの実施形態において、第2の雰囲気は室内雰囲気または周囲雰囲気である。
【0050】
別の局面において、分析物を処理するための、または分析するためのシステムであって、(1)分析物をその近傍に固定化されて含む基体と、(2)検出ユニットの少なくとも一部とを含有するように構成される第1の領域を含むチャンバー、およびチャンバーの近傍に配置されるように構成される蓋、ならびにバルク運動している流体を、蓋がチャンバーの近傍に配置されたときにはチャンバーと蓋との間に配置される場所に提供し、その結果、第1の領域が第1の領域の外側の第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持されるようにするために構成される流体流ユニットを含むシステムが提供される。
【0051】
いくつかの実施形態において、バルク運動している流体は、部分的真空をチャンバーと蓋との間にもたらすように構成される。
【0052】
いくつかの実施形態において、流体流ユニットは、バルク運動している流体を提供するために、第1の領域、第2の領域または両方からの流体を使用するように構成される。
【0053】
いくつかの実施形態において、流体は空気を含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、この場合、流体流ユニットは、第1の領域を第1の湿度または第1の湿度範囲で維持するように構成され、ただし、第1の湿度または第1の湿度範囲は第2の領域の第2の湿度または第2の湿度範囲とは異なる。いくつかの実施形態において、第1の雰囲気は、90%を超える相対湿度を有する。
【0055】
いくつかの実施形態において、流体流ユニットは、第1の領域を第1の温度または第1の温度範囲で維持するように構成され、ただし、第1の温度または第1の温度範囲は第2の領域の第2の温度または第2の温度範囲とは異なる。
【0056】
いくつかの実施形態において、第1の領域は第1の部分と第2の部分とを含み、流体流ユニットは、第1の部分を第1の局所的雰囲気で維持するように、かつ第2の部分を第1の局所的雰囲気とは異なる第2の局所的雰囲気で維持するように構成される。いくつかの実施形態において、流体流ユニットは、第1の局所的雰囲気を第2の局所的雰囲気の第2の局所的温度または第2の局所的温度範囲とは異なる第1の局所的温度または第1の局所的温度範囲で維持するように構成される。いくつかの実施形態において、流体流ユニットは、第1の局所的雰囲気を第2の局所的雰囲気の第2の局所的湿度または第2の局所的湿度範囲とは異なる第1の局所的湿度または第1の局所的湿度範囲で維持するように構成される。
【0057】
いくつかの実施形態において、検出ユニットは少なくとも一部が第1の領域に含有される。いくつかの実施形態において、検出ユニットは光学的検出ユニットである。いくつかの実施形態において、検出ユニットの第1の一部が第1の領域にあり、検出ユニットの第2の一部が第2の領域にある。いくつかの実施形態において、検出ユニットの第1の一部は、第1の領域において基体と接触している浸漬流体に少なくとも一部が浸漬されるように構成される光学的画像化対物レンズを含む。いくつかの実施形態において、検出ユニットは、基体が静止している間に運動を受けるように構成される。いくつかの実施形態において、基体は、検出ユニットが静止している間に運動を受けるように構成される。いくつかの実施形態において、相対的運動は、(i)実質的に直線的な運動、および(ii)実質的に非直線的な運動からなる群から選択される1つまたは複数のものを含む。いくつかの実施形態において、検出ユニットは、蓋に対して固定されるように構成される。いくつかの実施形態において、基体は、チャンバーに対して回転可能であるように構成される。
【0058】
いくつかの実施形態において、検出ユニットは1つまたは複数の光学系を含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、検出ユニットは、分析物からのシグナルを捕捉するように構成されるセンサーを含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、チャンバーは蓋と機械的接触していない。
【0061】
いくつかの実施形態において、蓋は、チャンバーに対して動くように構成され、または逆に、チャンバーは、蓋に対して動くように構成される。
【0062】
いくつかの実施形態において、流体流ユニットは、検出ユニットと基体とが互いに対する運動を受けている間は第1の領域を第1の雰囲気で維持するように構成される。
【0063】
いくつかの実施形態において、流体流ユニットは、負圧をチャンバーと蓋との間に配置される場所に生じさせるように構成される。
【0064】
いくつかの実施形態において、蓋の第1の一部が第1の領域と第2の領域との間に設けられ、蓋の第2の一部が第2の領域と第3の領域との間に設けられ、第2の流体流ユニットが、バルク運動している流体をもたらして、第3の領域を第1の雰囲気および第2の雰囲気から独立している第3の雰囲気で維持するように構成され、第3の領域が、第1の領域に依存していない蓋に対して可動である。
【0065】
いくつかの実施形態において、第2の雰囲気は室内雰囲気または周囲雰囲気である。
【0066】
いくつかの実施形態において、システムはさらに、流体流ユニットに対して動作可能に連結されるコントローラーを含み、コントローラーは、流体にバルク運動を受けさせるために流体流ユニットに指示するように構成される。
【0067】
別の局面において、基体に連結される分析物からのシグナルまたはシグナル変化を検出するように構成される画像化対物レンズ;一定量の流体を画像化対物レンズと基体との間に含有するように構成される筺体;水溶液を含むように構成される流体供給源;および一定量の流体を流体供給源から筺体に送達するように構成される流体流ユニットを含むシステムが提供される。
【0068】
いくつかの実施形態において、この場合、水溶液は洗浄液を含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、水溶液は、塩、界面活性剤および緩衝剤を含む浸漬緩衝液を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、水溶液はpHが8.0~9.0の間である。
【0071】
いくつかの実施形態において、システムはさらに基体を含む。いくつかの実施形態において、基体は、第2の水溶液を含む流体層を含む。いくつかの実施形態において、水溶液および第2の水溶液は異なる組成物を含む。いくつかの実施形態において、水溶液および第2の水溶液は同じ組成物を含む。
【0072】
別の局面において、(a)画像化対物レンズを、一定量の流体を介して基体との流体接触に至らせる工程であって、流体が第1の水溶液を含み、基体が、(i)基体近傍に固定化される分析物と、(ii)基体近傍での流体の層とを含み、流体の層が第2の水溶液を含む、工程、および(b)分析物を画像化対物レンズによって、一定量の流体を介して画像化する工程を含む方法が提供される。
【0073】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、画像化対物レンズと基体との間での流体接触を維持しながら、画像化対物レンズを基体に関して動かすことを含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、画像化対物レンズと基体との間での流体接触を維持しながら、基体を画像化対物レンズに関して動かすことを含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、一定量の流体は厚さが約200マイクロメートル(μm)~500μmの間である。
【0076】
いくつかの実施形態において、流体の層は厚さが約5μm~50μmの間である。
【0077】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、(i)画像化対物レンズと基体との間での流体接触を中断させること、および(ii)画像化対物レンズと基体とを第2の流体接触に至らせることを含む。いくつかの実施形態において、(i)の後、一定量の流体の少なくとも一部が画像化対物レンズと流体接触しているままである。いくつかの実施形態において、(i)の後、一定量の流体の少なくとも一部が基体と流体接触しているままである。
【0078】
いくつかの実施形態において、第1の水溶液は洗浄液を含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、第1の水溶液は、塩、界面活性剤および緩衝剤を含む浸漬緩衝液を含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、第1の水溶液はpHが8.0~9.0の間である。
【0081】
いくつかの実施形態において、第1の水溶液および第2の水溶液は異なる組成物を含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、第1の水溶液および第2の水溶液は同じ組成物を含む。
【0083】
別の局面において、(a)画像化対物レンズを、一定量の流体を介して、基体の近傍に固定化される分析物との流体接触に至らせる工程であって、基体が、第2の水溶液を含む流体の層を含む、工程、および(b)分析物を画像化対物レンズによって、一定量の流体を介して画像化する工程を含む方法が提供される。
【0084】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、画像化対物レンズと分析物との間での流体接触を維持しながら、画像化対物レンズを分析物に関して動かすことを含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、画像化対物レンズと分析物との間での流体接触を維持しながら、分析物を画像化対物レンズに関して動かすことを含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、一定量の流体は厚さが約200μm~500μmの間である。
【0087】
いくつかの実施形態において、流体の層は厚さが約5μm~50μmの間である。
【0088】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、(i)画像化対物レンズと分析物との間での流体接触を中断させること、および(ii)画像化対物レンズと分析物とを第2の流体接触に至らせることを含む。いくつかの実施形態において、(i)の後、一定量の流体の少なくとも一部が画像化対物レンズと流体接触しているままである。いくつかの実施形態において、(i)の後、一定量の流体の少なくとも一部が分析物と流体接触しているままである。
【0089】
いくつかの実施形態において、第1の水溶液は洗浄液を含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、第1の水溶液は、塩、界面活性剤および緩衝剤を含む浸漬緩衝液を含む。
【0091】
いくつかの実施形態において、第1の水溶液はpHが8.0~9.0の間である。
【0092】
いくつかの実施形態において、第1の水溶液および第2の水溶液は異なる組成物を含む。
【0093】
いくつかの実施形態において、第1の水溶液および第2の水溶液は同じ組成物を含む。
【0094】
別の局面において、分析物を処理するための、または分析するためのシステムであって、内部領域を含み、かつ分析物をその近傍に固定化するように構成される基体を含むように構成されるチャンバー、およびチャンバーの近傍に配置されるように構成される蓋、ならびに第1の局所的環境、第2の局所的環境および第3の局所的環境を内部領域の内部に維持するように構成される環境ユニットであって、(i)第1の局所的環境を第1の温度または温度範囲で維持するように、(ii)第2の局所的環境を第2の温度または温度範囲で維持するように、かつ(iii)第3の局所的環境を第3の温度または温度範囲で維持するように構成される環境ユニットを含み、第1の局所的環境が第2の局所的環境および第3の局所的環境の上方に配置され、かつ第1の局所的環境が蓋に、または蓋に近接して位置し、第2の局所的環境が基体の表面または表面近くに配置され、第3の局所的環境が第1の局所的環境および第2の局所的環境の下方に配置され、かつ第1の温度または温度範囲が第2の温度または温度範囲および第3の温度または温度範囲よりも高く、かつ第2の温度または温度範囲が第3の温度または温度範囲よりも低い、システムが提供される。
【0095】
本開示のさらなる局面および利点が、本開示の例示的な実施形態のみが示され、説明される下記の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。認識されるであろうように、本開示は他の実施形態および異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細が、すべてが本開示から逸脱することなく、様々な明白な点での改変が可能である。したがって、図面および説明は、本質的には例示的であるとして考慮されなければならず、限定的であるとして考慮してはならない。
【0096】
参照による組み込み
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許および特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許または特許出願が参照によって組み込まれることが具体的かつ個々に示されていたかのと同じ程度に、参照によって本明細書中に組み込まれる。参照によって組み込まれる刊行物および特許または特許出願が、本明細書に含まれる開示と矛盾する範囲内において、本明細書は、どのような資料であれそのような矛盾する資料に取って代わることおよび/または優先することが意図される。
【0097】
本発明の新規な特徴が、添付された請求項において詳しく示される。本発明の特徴および利点をよりよく理解することが、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を示す下記の詳細な説明、および添付されている図面(同様に本明細書中の「図」)を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1A】一例のバリアシステムの断面側面図を例示する図である。
図1B図1Aの透視図を例示する図である。
図1C】一例の液浸光学システムの断面図を例示する図である。
図2A】流体バリアを維持するバリアシステムの部分断面図を例示する図である。
図2B図2Aのバリアシステムの拡大図を例示する図である。
図2C図2Aのバリアシステムのチャンバーの透視図を例示する図である。
図3】多数のサンプル環境を有するバリアシステムを例示する図である。
図4】異なる局所的環境を含む一例のバリアシステムを例示する図である。
図5】一例のバリアシステムを含む処理システムを例示する図である。
図6】基体上でのアレイの様々な例を例示する図である。
図7】本明細書中に提供される方法を実施するようにプログラムされるまたはそうでない場合には環境設定されるコンピューターシステムを示す図である。
図8】生物学的分析物が固定化される基体を本開示のバリアシステムのサンプル環境において画像化することによって生じる画像の一例を示す図である。
図9】生物学的分析物が固定化される基体を本開示のバリアシステムのサンプル環境において画像化することによって処理されるシグナルデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
本発明の様々な実施形態が本明細書中に示され、記載されているが、そのような実施形態は例としてのみ提供されることが当業者には明白であろう。数多くの変化、変更および代用が、本発明から逸脱することなく当業者には想起されることがある。本明細書中に記載される本発明の実施形態に対する様々な代替が用いられ得ることが理解されなければならない。
【0100】
本明細書中には、制御されたサンプル環境と、外部環境との間で実施することができるバリアが提供される。バリアが、サンプル環境と外部環境との間における移行領域を含む場合がある。バリアは流体バリアを含む場合がある。バリアは、サンプル環境、外部環境または両方からの流体を含む場合がある。バリアは低圧領域である場合がある。低圧領域は、サンプル環境、外部環境または両方よりも低い圧力を有する場合がある。バリアは部分的真空を含む場合がある。バリアはさらに物理的バリアを含む場合がある
有益なことに、そのようなバリアは、検出器とサンプルとの間における無摩擦または低摩擦の相対的運動を、制御されたサンプル環境を維持しながら可能にする場合がある。バリアは、非直線方向(例えば、R、θ座標系での非直線方向)および/または直線方向(例えば、X、Yおよび/またはZ座標系での直線方向)における相対的運動を伴う連続走査を可能にする場合がある。バリアは連続走査を100%または実質的に100%の相対湿度環境において可能にする場合がある。バリアは、漏れたときには凝縮し、高感度な機器、例えば、光学機器などに影響を及ぼす(例えば、腐食、汚染などを生じさせる)可能性がある湿度がサンプル環境から漏れることを防止する場合がある。さらに、バリアは、流体工学および/または検出(例えば、画像化)に影響を及ぼすことがある外部環境からの汚染物質がサンプル環境に入ることを防止する場合がある。
【0101】
用語「流体」は、本明細書中で使用される場合、一般には気体もしくは液体またはそれらの混合物を示す。流体は、固体粒子、液体粒子(例えば、水滴)、気体粒子(例えば、不活性ガス原子または非不活性ガス分子)、またはそれらの混合物を含む場合がある。流体は蒸気を含む場合がある。流体は水分含有量を含む場合がある。流体は、空気、例えば、周囲空気、室内空気、大気および/または加圧空気などを含む場合がある。流体は、濃縮された素成分または化合物を分離された状態で、または混合物で、例えば、混合物において少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%または100%の濃度で含む場合がある。代替において、または加えて、流体は、濃縮された素成分または化合物を混合物において最大でも約100%、99.9%、99.8%。99.7%、99.6%、99.5%、99.4%、99.3%、99.2%、99.1%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ未満の濃度で含む場合がある。流体は、ガス状媒体におけるどのような粒子であれ粒子の浮遊物または混合物を含む場合がある。流体は、液体媒体におけるどのような粒子であれ粒子の浮遊物または混合物を含む場合がある。流体は、ミスト、霧、水蒸気またはエアロゾルを含む場合がある。いくつかの場合において、流体はプラズマを含む場合がある。一定量の流体が、例えば、ランダム運動、コヒーレント運動および/またはバルク運動などで流れることが可能である場合がある。一定量の流体が、1つまたは複数の方向に沿って、あるいは基準となる到着地に向かって配向する正味の平均運動を有する場合がある。いくつかの場合において、コヒーレント運動またはバルク運動している一定量の流体が、同じ全体的方向に沿って配向する流線を有する場合がある。コヒーレント運動またはバルク運動している一定量の流体が、ランダム運動している流体(例えば、コヒーレント運動していない流体、バルク運動していない流体、正味の平均運動を有しない流体)と区別される場合がある。一定量の流体が乱流および/または層流を有する場合がある。
【0102】
用語「サンプル」は、本明細書中で使用される場合、一般には生物学的サンプルを示す。本明細書中に提供されるシステム、デバイスおよび方法は、環境に対して、例えば、環境の温度、圧力および/または湿度などに対して非常に敏感であり得る生物学的サンプルを分析するために特に有益である場合がある。生物学的サンプルが、被験体または生きている生物のどのようなものであれそれらに由来する場合がある。例えば、被験体が、動物、哺乳動物、鳥類、脊椎動物、齧歯類(例えば、マウス)、霊長類、類人猿、ヒト、または他の生物、例えば、植物などである場合がある。動物には、家畜、競技動物およびペットが含まれる場合があるが、これらに限定されない。被験体が、健康な個体もしくは無症状の個体、疾患(例えば、ガン)もしくは該疾患の素因を有する、もしくは有することが疑われる個体、および/または治療を必要としている、もしくは治療を必要とすることが疑われる個体であることが可能である。被験体が患者であることが可能である。被験体が微小生物または微生物(例えば、細菌、真菌、古細菌、ウイルス)であることが可能である。
【0103】
生物学的サンプルが多くの高分子を含む場合があり、例えば、多くの細胞高分子を含む場合がある。生物学的サンプルは細胞サンプルである場合がある。生物学的サンプルは細胞株または細胞培養サンプルである場合がある。生物学的サンプルは1つまたは複数の細胞を含むことができる。生物学的サンプルは1つまたは複数の微生物を含むことができる。生物学的サンプルは核酸サンプルまたはタンパク質サンプルである場合がある。生物学的サンプルはまた、炭水化物サンプルまたは脂質サンプルである場合がある。生物学的サンプルは別のサンプルに由来する場合がある。サンプルは、組織サンプル、例えば、生検物、コア生検物、針吸引物または細針吸引物などである場合がある。サンプルは、流体サンプル、例えば、血液サンプル、尿サンプルまたは唾液サンプルなどである場合がある。サンプルは皮膚サンプルである場合がある。サンプルは口腔粘膜スワブ物である場合がある。サンプルは血漿サンプルまたは血清サンプルである場合がある。サンプルは無細胞サンプルまたは細胞非含有サンプルである場合がある。無細胞サンプルが細胞外ポリヌクレオチドを含む場合がある。細胞外ポリヌクレオチドが、血液、血漿、血清、尿、唾液、粘膜排出物、痰、便および涙からなる群から選択され得る身体サンプルから単離される場合がある。
【0104】
生物学的サンプルが1つまたは複数の生物学的粒子を含む場合がある。生物学的粒子は高分子である場合がある。生物学的粒子は小分子である場合がある。生物学的粒子はウイルスである場合がある。生物学的粒子は細胞または細胞の派生物である場合がある。生物学的粒子はオルガネラである場合がある。生物学的粒子は細胞の集団からの希少細胞である場合がある。生物学的粒子は、単細胞生物または多細胞生物に由来するかどうかにかかわらず、限定されないが、原核生物細胞、真核生物細胞、細菌細胞タイプ、真菌細胞タイプ、植物細胞タイプ、哺乳動物細胞タイプもしくは他の動物細胞タイプ、マイコプラズマ、正常な組織細胞、腫瘍細胞、またはどのような細胞タイプであれ他の細胞タイプを含めて、どのようなタイプの細胞であってもよい。生物学的粒子は、細胞の成分(例えば、高分子成分)、例えば、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、核、オルガネラ、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、またはどのような組み合わせであれそれらの組み合わせなどである場合がある。RNAはコーディングまたは非コーディングである場合がある。RNAは、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)、リボソームRNA(rRNA)またはトランスファーRNA(tRNA)である場合がある。RNAは転写物である場合がある。RNAは、長さが200核酸塩基未満である小さいRNA、または長さが200核酸塩基を超える大きいRNAである場合がある。小さいRNAには、5.8SリボソームRNA(rRNA)、5S rRNA、トランスファーRNA(tRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、tRNA由来低分子RNA(tsRNA)および低分子rRNA由来RNA(srRNA)が含まれる場合がある。RNAは二本鎖RNAまたは一本鎖RNAである場合がある。RNAは環状RNAである場合がある。生物学的粒子は硬化細胞(hardened cell)である場合がある。そのような硬化細胞は細胞壁または細胞膜を含む場合があり、あるいは細胞壁または細胞膜を含まない場合がある。代替において、または加えて、本開示のサンプルが非生物学的サンプルを含む場合がある。
【0105】
用語「分析物」は、本明細書中で使用される場合、一般には、分析される、すなわち、1つまたは複数の性質が測定される、決定される、または他の場合にはアッセイされる対象を示す。分析物が、例えば、生物学的サンプルである生物学的分析物、または生物学的サンプルに由来する生物学的分析物である場合がある。分析物は、例えば、非生物学的サンプルである非生物学的分析物、または非生物学的サンプルに由来する非生物学的分析物である場合がある。
【0106】
用語「に対する運動」または類似する変形(「に対して可動」、「に対して動く」)は、第1の対象と第2の対象との間における関係(例えば、第2の対象に対する第1の対象の運動)に関連して本明細書中で使用される場合、一般には、他方に対する第1の対象による運動、他方に対する第2の対象による運動、または両方を示す。
【0107】
用語「検出器」は、本明細書中で使用される場合、シグナルを検出するように構成されるデバイスまたはデバイスの集合体をどのようなものであれ示す場合がある。検出器は対物レンズを含む場合がある。検出器は複数の対物レンズを含む場合がある。検出器は画像化システムを含む場合がある。
【0108】
用語「少なくとも」、用語「を超える」、または用語「以上」が、一連の2つ以上の数値における最初の数値に先行するときは常に、用語「少なくとも」、用語「を超える」、または用語「以上」は、その一連の数値における数値のそれぞれに適用される。例えば、1、2または3以上は、1以上、2以上、または3以上に相当する。
【0109】
用語「たかだか」、「未満」、または用語「以下」が、2つ以上の数値の一連における最初の数値に先行するときは常に、用語「たかだか」、、用語「未満」、または用語「以下」は、その一連の数値における数値のそれぞれに適用される。例えば、「3、2または1以下」は、3以下、2以下、1以下に相当する。
【0110】
流体バリア
本明細書中には、サンプルの処理および/または検出のための様々な方法が提供される。いくつかの場合において、方法は、バリアを第1の領域(例えば、サンプル含有領域)と第2の領域(例えば、外部領域)との間に設けることを含むことができる。バリアは、第1の領域を第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持する場合がある。バリアの一部が、コヒーレント運動またはバルク運動している流体を含む場合がある。第1の領域はサンプルを含むことができる。その後、第1の領域に少なくとも一部が含有される検出器により、サンプルからの1つまたは複数のシグナルが、第1の領域が第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持されている間に検出されることが可能である。検出器は、第1の領域に含有される基体と直接的に機械的接触していない場合がある。基体はサンプルをその上に含む場合がある。検出器は基体と流体的接触(または流体接触)している場合がある(例えば、検出器は基体と直接的に機械的接触していない場合があり、しかし、流体を介して基体に連結される場合がある)。検出器は基体と液体接触している場合がある。検出器は基体とガス接触している場合がある。
【0111】
いくつかの場合において、方法は、バリアを第1の領域(例えば、サンプル含有領域)と第2の領域(例えば、外部領域)との間に設け、バリアにより、第1の領域が第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持されることを含むことができる。第1の領域はサンプルを含むことができる。その後、第1の領域に少なくとも一部が含有される検出器により、サンプルからの1つまたは複数のシグナルが、(i)検出器が、例えば、(1)検出器が第1の領域に対する連続した低摩擦または無摩擦の運動を受けているとき、(2)検出器が異なる時間間隔での(例えば、不連続な様式での)第1の領域に対する離散的運動を受けているときなどにおいて検出事象を受けている間に、かつ(ii)第1の領域が第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持されている間に検出されることが可能である。検出事象は、検出器とサンプルとの間における相対的運動の期間中における画像化または走査を含む場合がある。検出事象は、検出器とサンプルとが互いに対して静止している間における画像化または走査を含む場合がある。検出器は、サンプルをその上に含む基体であって、第1の領域に含有される基体と直接的に機械的接触していない場合がある。検出器は基体と流体的接触している場合がある。検出器は基体と液体接触している場合がある。検出器は基体とガス接触している場合がある。
【0112】
本明細書中には、サンプルの処理および/または検出のための様々なシステムが提供される。いくつかの場合において、システムは、第1の領域(例えば、サンプル含有領域)と第2の領域(例えば、外部領域)との間に配置されるバリアを含むことができる。第1の領域は、サンプルを含有するように構成される場合がある。バリアは、第1の領域を第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持するように構成される場合がある。バリアの一部が、コヒーレント運動またはバルク運動している流体を含む場合がある。システムは、第1の領域に少なくとも一部が含有される検出器を含むことができる。検出器は、第1の領域が第2の領域の第2の雰囲気とは異なる第1の雰囲気で維持されている間にサンプルからの1つまたは複数のシグナルを検出するように構成される場合がある。いくつかの場合において、検出器は、検出器が検出事象を受けている間にサンプルからの1つまたは複数のシグナルを検出するように構成されることが可能である。例えば、検出事象は、第1の領域に対する検出器の連続した低摩擦または無摩擦の運動を含む場合がある。例えば、検出事象は、異なる時間間隔での(例えば、不連続な様式での)第1の領域に対する検出器の離散的運動を含む場合がある。検出事象は、検出器とサンプルとの間における相対的運動の期間中における画像化または走査を含む場合がある。検出事象は、検出器とサンプルとが互いに対して静止している間における画像化または走査を含む場合がある。いくつかの場合において、第1の領域は、サンプルをその表面に含む基体を含む場合がある。例えば、サンプルは基体の近傍に固定化される場合がある。いくつかの場合において、検出器は基体と直接的に機械的接触していない場合がある。いくつかの場合においては、検出器は基体と流体的接触している場合がある。検出器は基体と液体接触している場合がある。検出器は基体とガス接触している場合がある。
【0113】
図1Aおよび図1Bは一例のバリアシステム100を例示しており、断面側面図および透視図をそれぞれ示す。流体バリア113が、サンプル環境105(例えば、第1の領域)と外部環境107(例えば、第2の領域)との間で実施される場合がある。サンプル環境105は、1つまたは複数のサンプルをその中に含む制御された環境である場合がある。外部環境107は閉鎖環境または開放環境である場合がある。いくつかの場合において、外部環境107は室内環境または周囲環境である場合がある。いくつかの場合において、外部環境107もまた、制御された環境である場合がある。
【0114】
サンプル環境105の領域が、チャンバー115、プレート103および流体バリア113によって規定される場合がある。流体バリア113は、チャンバー115とプレート103との間における物理的間隙の間に維持される場合がある。用語「プレート」は、本明細書中で使用される場合、本明細書中では蓋として互換的に示される場合がある。いくつかの場合において、物理的間隙は、流体バリア113がそうでない場合において所定位置にないときにはサンプル環境105と外部環境107との間での流体連絡を可能にするために十分に大きい場合がある。チャンバー115とプレート103とは、チャンバー115と、それらによって規定されるサンプル環境105の領域とがプレート103に対して可動であるように独立している場合がある。例えば、サンプル環境105の領域が、プレート103に対するチャンバー115の異なる場所とともにプレート103の異なる部分によって規定される場合がある。チャンバー115とプレート103との間での相対的運動は任意の方向であることが可能であり、例えば、非直線方向(例えば、R、θ座標系での非直線方向)および/または直線方向(例えば、X、Yおよび/またはZ座標系での直線方向)などであることが可能である。例えば、相対的運動は中心軸に関して回転している場合があり、または任意の直線軸に沿って直線的である場合がある。いくつかの場合において、アクチュエーターユニット(例えば、リニアステージ、モーターなど)および/または構造的ユニット(例えば、ビーム、支持体、トラックなど)により、チャンバー115とプレート103との間での相対的運動が制約される場合がある。
【0115】
プレート103とチャンバー115とは直接的に機械的接触していない場合があり、その結果、最小距離がプレートとチャンバーとの間に存在するようにされる。プレート103とチャンバー115との間での最小距離は、少なくとも約100マイクロメートル(μm)、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μm、1ミリメートル(mm)、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、1センチメートル(cm)またはそれを超える場合がある。代替において、または加えて、最小距離は、最大でも約1cm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、1mm、950μm、900μm、850μm、800μm、750μm、700μm、650μm、600μm、550μm、500μm、450μm、400μm、350μm、300μm、250μm、200μm、150μm、100μmまたはそれ未満である場合がある。代替において、または加えて、最小距離は、前述の値のいずれか2つによって規定される範囲の範囲内である場合がある。
【0116】
流体バリア113は、サンプル環境105と外部環境107との間における移行領域として作用する場合がある。流体バリア113は、サンプル環境、外部環境または両方からの流体(例えば、空気)を含む場合がある。流体バリア113は低圧領域である場合がある。流体バリア113は、サンプル環境、外部環境または両方よりも低い圧力を有する場合がある。バリアは部分的真空を含む場合がある。バリアは、負圧を受ける(1つまたは複数の)流体体積を含む場合がある。いくつかの場合において、流体バリア113は高圧領域である場合がある。例えば、流体バリアは、サンプル環境、外部環境または両方よりも高い圧力を有する場合がある。流体バリア113は、コヒーレントな流れ方向などでコヒーレント運動している場合がある。流体バリア113はバルク運動している場合がある。流体バリアは、1つまたは複数の方向に沿って、あるいは基準となる到着地に向かって配向する正味の平均運動を有する一定量の流体を含む場合がある。いくつかの場合において、コヒーレント運動またはバルク運動している一定量の流体が、同じ全体的方向に沿って配向する流線を有する場合がある。コヒーレント運動またはバルク運動している流体が、流体バリアの一部分ではないランダム運動している流体(例えば、コヒーレント運動していない流体、バルク運動していない流体、正味の平均運動を有しない流体)と区別される場合がある。流体バリアにおける流体が乱流および/または層流を有する場合がある。
【0117】
サンプル環境105は基体を含む場合がある。1つまたは複数のサンプルが基体の上または近傍に固定化される場合がある。代替において、または加えて、1つまたは複数のサンプルはそうでない場合には、基体上に配置される場合がある。いくつかの場合において、チャンバー115の少なくとも一部分が基体である場合があり、または基体を含む場合がある。他の例において、チャンバー115は基体に連結される場合がある。いくつかの場合において、基体はチャンバー115に対して固定される場合がある。代替において、基体は、例えば、直線方向および/または非直線方向(例えば、回転方向)で、チャンバー115に対して可動である場合がある。例えば、基体は、チャンバー115に対して回転可能であることを除いて、チャンバー115にXY座標(および/またはZ座標)で固定される場合がある。チャンバー115がプレート103に対して可動であるだけでなく、基体がチャンバー115に対して可動である場合、これら2つの相対的運動は同じアクチュエーターユニットによって動作させられる場合があり、または動作させられない場合がある。
【0118】
検出器101が、プレート103を通って、例えば、プレート103における開口部を通るなどして、外部環境107からサンプル環境105の中に突き出る場合がある。検出器101と開口部との間における嵌合は、検出器101が開口部を通して嵌合したときには開口部を介する流体連絡が全くないように流体漏れしない場合がある。代替において、または加えて、開口部は密封される場合がある。代替において、プレート103は検出器101と一体化している場合がある。代替において、検出器101は、例えば、サンプルに面しない端部をプレート103に取り付けることによって、サンプル環境105に完全に含有される場合がある。
【0119】
検出器101の少なくとも一部がプレート103に対して固定される場合がある。いくつかの場合において、検出器101は、プレート103の平面に対して実質的に直交する軸に沿って(例えば、開口を通って)、プレート103に依存することなく並進することが可能である場合がある。いくつかの場合において、検出器101の少なくとも一部(例えば、サンプル環境領域の内部にある検出器の一部)が、プレート103に依存することなく動くこと(例えば、直線的または非直線的に、例えば、回転することなど)が可能である場合がある。
【0120】
サンプル環境105内において、検出器101は、基体上に配置される1つまたは複数のサンプルを、浸漬光学システムを使用して検出するように構成される場合がある。サンプル環境105の内部にある検出器の一部(例えば、光学的画像化対物レンズなど)が、液体流体131媒体を介して基体と光学的に連絡している場合がある。いくつかの場合において、液体流体媒体は基体の局所的領域に配置される場合がある。他の例において、液体流体媒体は、基体の所与表面の全域にわたって(例えば、チャンバー115の所与基部全体にわたって)配置される場合がある。代替において、検出器は、液体流体媒体を伴うことなく基体と光学的に連絡している場合がある。
【0121】
図1Cは、一例の液浸光学システム1100の断面図を例示する。システム1100は、本明細書中に記載される基体を光学的に画像化するために使用される場合がある。システム1100は、本明細書中のどこか他のところで記載されるどのようなバリアシステムとでも一体化される場合がある。システムは光学的画像化対物レンズ1110(例えば、検出器101)を含む場合がある。例えば、対物レンズはサンプル環境内に(例えば、プレート103を通って)突き出ている場合があり、またはサンプル環境内に含有される(例えば、プレート103の表面に取り付けられる)場合がある。光学的画像化対物レンズは液浸光学的画像化対物レンズである場合がある。光学的画像化対物レンズは、基体1160と光学的に連絡しているように構成される場合がある。光学的画像化対物レンズは筺体1120によって部分的または完全に取り囲まれる場合がある。筺体は光学的画像化対物レンズのサンプル面の端部を部分的または完全に取り囲む場合がある。筺体は光学的画像化対物レンズおよび/またはプレートに固定される場合がある。筺体は、概してカップ様の形状または形態を有する場合がある。筺体はどのような容器であってもよい。筺体は、光学的画像化対物レンズが浸漬されることになる流体1140(例えば、水または水溶液または油または有機溶液など)を含有するように構成される場合がある。流体は基体1160と接触している場合がある。したがって、対物レンズと基体とは、例えば、液体接触しているなど、流体的接触している場合がある。
【0122】
いくつかの場合には、対物レンズ1110および基体1160は、実質的にはX-Y平面における相対的運動(例えば、直線運動、非直線運動、回転運動など)を受けるので、対物レンズと基体とは、流体1140を介して流体的接触している(例えば、液体接触している)ままである場合がある。
【0123】
いくつかの場合には、例えば、対物レンズが、例えば、異なる回の走査の間で、基体との流体的接触(例えば、液体接触)から外れるときなどにおいて、対物レンズ1110および基体1160はZ軸または別の軸(Z成分を有する)に沿った相対的運動を受けるので、対物レンズと基体との間における以前の流体的接触からの流体1140の一定量の少なくとも一部が対物レンズと接触しているままである場合がある。いくつかの場合において、対物レンズと基体との間における以前の流体的接触からの流体1140の一定量の少なくとも一部が基体上に留まる場合がある。いくつかの場合において、そのような流体は、基体の近傍に配置される水溶液または水性混合物の1つまたは複数の層の水性界面または水性環境の一部分となる場合がある。対物レンズと基体との間における次の流体的接触のときに、新たな一定量の流体が、例えば、本明細書中のどこか他のところで記載される流体流管1130の助けを借りるなどして筺体1120内にもたらされる場合がある。
【0124】
筺体1120は、基体がプレートに対して動いている期間中における筺体と基体1160との間での接触を避けるために、基体と筺体との間での最小距離1150を維持するように構成される場合がある。最小距離は、少なくとも約100ナノメートル(nm)、200nm、300nm、400nm、500nm、1マイクロメートル(μm)、2μm、3μm、4μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、1ミリメートル(mm)またはそれを超える場合がある。代替において、または加えて、最小距離は、最大でも約1mm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm、5μm、4μm、3μm、2μm、1μm、500nm、400nm、300nm、200nm、100nmまたはそれ未満である場合がある。代替において、または加えて、最小距離は、前述の値のいずれか2つによって規定される範囲の範囲内である場合がある。最小距離を伴う場合でさえ、筺体は表面張力効果に起因して流体を含有する場合がある。システムは、流体1140を筺体の内側に送達するように構成される流体流管1130を含む場合がある。筺体における一定量の流体1140が、流体流管を介して検出事象の期間中に連続的または断続的に補充および/または洗浄される場合がある。有益なことに、流体体積における混入物はどのようなものであれ、そのような補充および/または洗浄の期間中に洗い流される場合がある。例えば、いくつかの場合には、一定量の流体は連続的に補充される場合がある。補充中に、新たな一定量の流体が筺体に向けられる場合があり、筺体における既存の一定量の流体の少なくとも一部分が基体の表面を濡らし、また、いくつかの場合には基体の表面の縁から離脱する場合がある。既存の一定量の流体は基体の水性界面または流体層の一部分となる場合がある。流体流管はアダプター1135を介して筺体に接続される場合がある。アダプターは、ねじ込みアダプター、圧縮アダプター、またはどのようなものであれ他のアダプターを含む場合がある。
【0125】
電場印加ユニット(示されず)が、例えば、電場を印加することなどによって、容器の1つまたは複数の表面の疎水性を調節して、液浸対物レンズと開放基体とを接触させる流体の少なくとも一部を保持するように構成されることが可能である。
【0126】
流体1140は水または水溶液を含む場合がある。流体は油または有機溶液を含む場合がある。流体は水溶液と非水溶液との混合物を含む場合がある。流体が水または(1つまたは複数の)水溶液を含む場合、そのような流体は好都合には、基体1160の近傍での水性界面または水性環境の連続性を維持すること、および対物レンズと基体との間での相互作用を促進することに関してとりわけ適合可能である場合がある。例えば、基体1160は、基体近傍での水溶液または水性混合物の1つまたは複数の層を、例えば、基体上に配置される分析物またはサンプルの化学的処理作業および/または維持などのために含む場合がある。基体の近傍での水溶液または水性混合物の1つまたは複数の層と接触させられる、および/または該層に対して動かされる(1つまたは複数の)一定量の流体1140は、基体の近傍での水溶液または水性混合物のそのような1つまたは複数の層を乱さない場合があり、あるいは基体の近傍での水溶液または水性混合物のそのような1つまたは複数の層に対する乱れを最小限にする場合があり、または軽減する場合がある。例えば、前記一定量の流体1140が基体の近傍での1つまたは複数の層の組成物と不混和性であるならば、対物レンズから基体表面のサンプルまでの光路が乱される場合があり、対物レンズと基体との間での相対的運動が乱される場合があり、基体の近傍での水性界面または水性環境が乱される場合があり、望まれない残留物が基体または流体体積の近傍での1つまたは複数の層に生じる、もしくは取り残される、または両方である場合があり、ならびに/あるいはどのような組み合わせであれ上記の組み合わせが生じる場合がある。いくつかの場合において、流体と、水溶液または水性混合物の1つまたは複数の層とは、同じ水溶液または水性混合物を含む場合がある。いくつかの場合において、流体と、水溶液または水性混合物の1つまたは複数の層とは、異なる水溶液または水性混合物を含む場合がある。
【0127】
いくつかの例において、流体1140は浸漬緩衝液を含む。浸漬緩衝液は、化学的作業の期間中に使用される洗浄液と同じ組成を物有する場合がある。浸漬緩衝液および/または洗浄液は、緩衝剤、塩および界面活性剤の組成物を含むことができる。緩衝剤はpHが約8.0~9.0の間である場合がある。いくつかの例では、流体は、少なくとも約6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5またはそれ以上のpHを有する場合がある。代替において、または加えて、流体は、最大でも約9.5、9.4、9.3、9.2、9.1、9.0、8.9、8.8、8.7、8.6、8.5、8.4、8.3、8.2、8.1、8.0、7.9、7.8、7.7、7.6、7.5、7.4、7.3、7.2、7.1、7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5またはそれ未満のpHを有する場合がある。いくつかの例において、浸漬緩衝液は、20ミリモル濃度(mM)のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、110mMのNaCl、および0.1%のTriton-X100を含む。
【0128】
いくつかの場合には、光学的画像化対物レンズ1110および筺体1120は、化学的処理作業が行われる基体における第1の場所と、検出作業が行われる基体における第2の場所との間での物理的バリアをもたらす場合がある。このようにして、化学的処理作業および検出作業は、独立した作業条件を用いて行われる場合があり、かつ、検出器の汚染が回避される場合がある。第1および第2の場所は、異なる湿度、温度、圧力または雰囲気混和物を有する場合がある。
【0129】
分析物からの1つまたは複数のシグナルあるいはその変化を検出する1つの方法が、液浸光学システムを使用することを含む場合がある。本方法は、流体1140を対物レンズと基体との間に筺体1120内においてもたらすことによって、光学的画像化対物レンズ1110を、分析物をその上に配置されて含む基体1160と流体的接触させることを含む場合がある。流体は、流体流管1130を使用して連続的または断続的に補充または洗浄される場合がある。本方法はさらに、対物レンズを基体と流体的接触させる前に、基体の表面を洗浄することを含む場合がある。本方法はさらに、基体の表面を洗浄する前に、反応混合物を基体の表面と接触させて、1つまたは複数の化学的処理作業を行うことを含む場合がある。洗浄作業により、1つまたは複数の化学的処理作業と検出作業との間での汚染(例えば、反応混合物による汚染)が防止される場合がある。例えば、そのような洗浄作業により、化学的処理作業からのヌクレオチドまたは他の試薬が画像化作業または走査作業に持ち越されることが防止される場合がある。
【0130】
本方法はさらに、対物レンズと基体との間での流体的接触を、例えば、対物レンズを基体に対して持ち上げること、および/または基体を対物レンズに対して押し下げることなどによって解除することを含む場合がある。
【0131】
本方法はさらに、同じ基体に対する検出作業(例えば、光学的画像化対物レンズを基体と流体的接触させること、および流体的接触を解除すること)を多数回繰り返すことを含む。例えば、検出作業は、少なくとも2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、20回、30回、40回、50回、60回、70回、80回、90回、100回またはそれを超える回数、同じ基体に対して繰り返される場合がある。
【0132】
流体1140は水または水溶液または水性混合物を含む場合がある。流体は、油、非水溶液、および/または有機溶液もしくは有機混合物を含む場合がある。基体は、水溶液または水性混合物の1つまたは複数の層をその近傍に含む場合がある。基体は、油、非水性の溶液もしくは混合物、および/または有機溶液もしくは有機混合物の1つまたは複数の層をその近傍に含む場合がある。流体1140と、その近傍での溶液または混合物の1つまたは複数の層とは、混和性組成物をそれぞれ含む場合がある。
【0133】
検出のための様々なシステムおよび方法が、本明細書中に記載されるような浸漬対物レンズシステムを含む場合がある。
【0134】
1つのシステムが、基体に連結される分析物からのシグナルまたはシグナル変化を検出するように構成される画像化対物レンズと、一定量の流体を画像化対物レンズと基体との間に含有するように構成される筺体と、水溶液を含む流体供給源と、一定量の流体を流体供給源から筺体に送達するように構成される流体流ユニットとを含む場合がある。筺体は物理的筺体である場合がある。水溶液は浸漬緩衝液を含む場合がある。基体は1つまたは複数の流体層を含む場合がある。1つまたは複数の流体層は第2の水溶液を含むことができる。第2の水溶液と、水溶液とは、異なる組成物(例えば、異なる塩またはその濃度、異なる界面活性剤またはその濃度、異なる緩衝剤またはその濃度、異なる化合物もしく混合物またはその濃度)を含む場合がある。第2の水溶液と、水溶液とは、同じ溶液を含む場合がある。分析物および対物レンズは、水溶液と、第2の水溶液とを介して流体接触している場合がある。システムはさらに基体を含むことができる。基体は、本明細書中のどこか他のところで記載されるような基体がどのようなものであれ可能である。
【0135】
画像化対物レンズを一定量の流体を介して基体と流体接触させることを含む方法が提供される。一定量の流体は第1の水溶液を含む場合がある。基体は、(i)その近傍に固定化される分析物、および(ii)その近傍での流体の層を含む場合がある。流体の層は第2の水溶液を含む場合がある。本方法は、分析物を画像化対物レンズによって、一定量の流体を介して画像化することを含む場合がある。本方法はさらに、画像化対物レンズと基体との間での流体接触を維持しながら、画像化対物レンズを基体に関して動かすこと、または基体を画像化対物レンズに関して動かすこと、または両方を含む場合がある。本方法はさらに、(i)画像化対物レンズと基体との間での流体接触を中断させること、および(ii)画像化対物レンズと基体とを第2の流体接触に至らせることを含む場合がある。流体接触を中断させた後、一定量の流体の少なくとも一部が画像化対物レンズおよび/または基体と流体接触しているままであることが可能である。
【0136】
画像化対物レンズを、第1の水溶液を含む一定量の流体を介して、基体の近傍に固定化される分析物と流体接触させることを含む方法が提供される。基体は、第2の一定量の流体を含む流体の層を含む場合がある。本方法は、分析物を画像化対物レンズによって、一定量の流体を介して画像化することを含む場合がある。本方法はさらに、画像化対物レンズと基体との間での流体接触を維持しながら、画像化対物レンズを基体に関して動かすこと、または基体を画像化対物レンズに関して動かすこと、または両方を含む場合がある。本方法はさらに、(i)画像化対物レンズと分析物との間での流体接触を中断させること、および(ii)画像化対物レンズと分析物とを第2の流体接触に至らせることを含む場合がある。流体接触を中断させた後、一定量の流体の少なくとも一部が画像化対物レンズおよび/または分析物と流体接触しているままであることが可能である。
【0137】
一定量の流体は、厚さ(例えば、対物レンズと基体および/または分析物との間での最小距離)が、ほぼ10μm、100μm、1000μm(すなわち1ミリメートル(mm))、10mm、100mmまたはそれを超える場合がある。いくつかの場合において、流体体積の厚さは、少なくとも約50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、200μm、210μm、220μm、230μm、240μm、250μm、260μm、270μm、280μm、290μm、300μm、310μm、320μm、330μm、340μm、350μm、360μm、370μm、380μm、390μm、400μm、410μm、420μm、430μm、440μm、450μm、460μm、470μm、480μm、490μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μm、1000μmまたはそれを超える場合ある。代替において、または加えて、一定量の流体の厚さは、最大でも約1000μm、950μm、900μm、850μm、800μm、750μm、700μm、650μm、600μm、550μm、500μm、490μm、480μm、470μm、460μm、450μm、440μm、430μm、420μm、410μm、400μm、390μm、380μm、370μm、360μm、350μm、340μm、330μm、320μm、310μm、300μm、290μm、280μm、270μm、260μm、250μm、240μm、230μm、220μm、210μm、200μm、190μm、180μm、170μm、160μm、150μm、140μm、130μm、120μm、110μm、100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μmまたはそれ未満を有する場合がある。代替において、または加えて、一定量の流体の厚さは、前述の値のいずれか2つの間の範囲である場合がある。基体は1つまたは複数の流体層を含む場合があり、この場合、それぞれの層が同じ流体組成または異なる流体組成を有する。流体層が水溶液を含む場合がある。流体層が非水溶液を含む場合がある。流体層が薄膜である場合がある。いくつかの場合において、流体層の厚さが、少なくとも約10ナノメートル(nm)、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1000μmまたはそれを超える場合がある。代替において、または加えて、流体層の厚さは、最大でも約1mm、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μm、19μm、18μm、17μm、16μm、15μm、14μm、13μm、12μm、11μm、10μm、9μm、8μm、7μm、6μm、5μm、4μm、3μm、2μm、1μm、900mm、800mm、700mm、600mm、500nm、450nm、400nm、350nm、300nm、250nm、200nm、150nm、100nm、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、10nmまたはそれ未満である場合がある。代替において、または加えて、流体層の厚さは、前述の値のいずれか2つの範囲の間である場合がある。
【0138】
図2Aは、流体バリア213を維持するバリアシステム200の部分断面図を例示する。図2Bは、バリアシステム200の拡小図を例示する。図2Cは、バリアシステム200のチャンバー215の透視図を例示する。バリアシステム200および/またはそのそれぞれの構成要素はバリアシステム100および/またはそのそれぞれの構成要素に対応する場合がある。
【0139】
バリアシステム200は、プレート203、チャンバー215および流体バリア213によって規定されるサンプル環境205を含む。チャンバー215とプレート203とは物理的間隙によって隔てられる場合がある。サンプル環境205は外部環境207から隔離(および/または遮断)される場合がある。
【0140】
流体バリア213は、サンプル環境205と外部環境207との間における移行領域として作用する場合がある。流体バリア213は、サンプル環境205、外部環境207または両方からの流体(例えば、空気)を含む場合がある。流体バリア213は低圧領域である場合がある。流体バリア213は、サンプル環境、外部環境または両方よりも低い圧力を有する場合がある。流体バリア213は流体流ユニットを介して、例えば、圧力変更装置211などを介して維持される場合がある。流体バリア213は、コヒーレント運動またはバルク運動している流体を含む場合がある。
【0141】
圧力変更装置211はチャンバー215と一体化している場合がある。例えば、図2A図2Cに例示されるように、圧力変更装置はチャンバー215の壁において流路220として一体化される場合がある。例えば、吸引が、流体を外部環境207またはサンプル環境205または両方から引き入れて、部分的真空カーテンを(例えば、コヒーレント運動において、バルク運動において、その他において)生じさせ、それにより流体バリア213をもたらすために流路220を通して適用される場合がある。そうでない場合、流体は負圧にさらされる場合がある。流体排出物が流路の別の端部において排出される場合がある。代替において、または加えて、装置はチャンバー215と一体化されていない場合がある。流体流ユニットおよび/または圧力変更装置211は、1つまたは複数の圧縮機を介して(例えば、負圧を生じさせるために)、1つまたは複数のポンプを介して(例えば、正圧を生じさせるために)、吸引装置を介して、および/またはより低い圧力を移行領域においてもたらすために他のデバイスを介して動作させられる場合がある。チャンバー215は、本開示の流体バリアを実施するための1つまたは複数の流路220を含む場合がある。
【0142】
2つの圧力変更装置211が図2A図2Cには例示されるが、任意の数のそのような装置が存在し得ることが理解されるであろう。例えば、少なくとも約2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、20、30、40、50またはそれを超えるそのような装置が存在する場合がある。代替において、または加えて、最大でも約50、40、30、20、10、9つ、8つ、7つ、6つ、5つ、4つ、3つまたは2つのそのような装置が存在する場合がある。いくつかの場合において、1つまたは複数の圧力変更装置211が、サンプル環境領域を取り囲む環状流路として、あるいはサンプル環境領域の周囲または境界に沿った他の流路として実施される場合がある。いくつかの場合において、1つまたは複数のさらなる流体流路(例えば、233)が、過剰な流体(例えば、液体、気体)をサンプル環境領域から引き寄せるためにチャンバーの底部近くに設けられる場合がある。
【0143】
有益なことに、流体バリア213はサンプル環境205と外部環境207との間における低摩擦または無摩擦のシールをもたらす場合がある。いくつかの場合において、流体バリア213を通る流体流速が、少なくとも約5リットル/分(L/分)、5.5L/分、6L/分、6.5L/分、7L/分、7.5L/分、8L/分、8.5L/分、9L/分、9.5L/分、10L/分、10.5L/分、11L、11.5L/分、12L/分、12.5L/分、13L/分、13.5L/分、14L/分、14.5L/分、15L/分またはそれを超える場合がある。代替において、または加えて、流体流速は、最大でも約15L/分、14.5L/分、14L/分、13.5L/分、13L/分、12.5L/分、12L/分、11.5L/分、11L/分、10.5L/分、10L/分、9.5L/分、9L/分、8.5L/分、8L/分、7.5L/分、7L/分、6.5L/分、6L/分、5.5L/分、5L/分またはそれ未満である場合がある。理解されるであろうように、流体流速は、種々のパラメーター(例えば、プレートとチャンバーとの間での最小距離、圧力、温度など)により変化する場合がある。いくつかの例において、約500ミクロンの間隙がプレート203とチャンバー215との間にある場合、流体流速は、約10L/分、または約0.42メートル/秒(m/s)の速度については円周に沿って1ミリメートル(mm)当たり約13ミリリットル/分(mL/分)であることが可能である。
【0144】
本開示のシステムは、例えば、同じプレートによって規定される多数のサンプル環境領域を有するなどのために、スケール変更される場合がある。図3は、多数のサンプル環境を有するバリアシステム300を例示する。バリアシステム300および/またはそのそれぞれの構成要素は、本明細書中に記載されるいずれかの他のバリアシステム(例えば、100および/または200)および/またはそのそれぞれの構成要素に対応する場合がある。
【0145】
ただ1つのプレート303が、2つの独立したチャンバーによってさらに規定される少なくとも2つの独立した同じサンプル環境(305、309)を規定する場合がある。それぞれのサンプル環境が、他のサンプル環境に依存することなく制御され、かつ維持される場合がある。それぞれのサンプル環境が、それ以外のサンプル環境に依存していないプレート303に対して可動である場合がある。流体バリアが、それぞれのサンプル環境と外部環境との間に維持される場合がある。
【0146】
2つのサンプル環境が図3には例示されるが、本開示のシステムは、ただ1つのプレートを使用して任意の数のサンプル環境のために実施され得ることが理解されるであろう。例えば、少なくとも約2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、20、30、40、50またはそれを超えるそのようなサンプル環境がただ1つのプレートシステムに存在する場合がある。代替において、または加えて、最大でも約50、40、30、20、10、9つ、8つ、7つ、6つ、5つ、4つ、3つまたは2つのそのようなサンプル環境が存在する場合がある。多数のサンプル環境のどのようなサブセットも、または多数のサンプル環境のすべてが、他のサンプル環境に依存することなく動くことが可能である場合がある。
【0147】
いくつかの場合において、プレート303におけるただ1つの検出器が、1つまたは複数のサンプル環境を検出するために使用される場合がある。代替において、または加えて、ただ1つのプレート303が、少なくとも2つの検出器がただ1つのプレート303を通って突き出て、並行して検出することを可能にする場合がある。例えば、そのような検出器は、検出器との流体漏れしない嵌合を有する1つまたは複数の開口部(321a、321b)を介してプレートを通って突き出る場合がある。検出器はプレートに対して固定される場合がある。いくつかの場合において、多数の検出器により、同じサンプル環境における2つの異なる場所が並行して検出される場合がある。いくつかの場合において、多数の検出器により、少なくとも2つの異なるサンプル環境が並行して検出される場合がある。
【0148】
2つの検出器開口部が図3には例示されるが、本開示のシステムは、ただ1つのプレートを使用して任意の数の検出器のために実施され得ることが理解されるであろう。例えば、少なくとも約2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、20、30、40、50またはそれを超える検出器が1つのプレートシステムに存在する場合がある。代替において、または加えて、最大でも約50、40、30、20、10、9つ、8つ、7つ、6つ、5つ、4つ、3つまたは2つのそのような検出器が存在する場合がある。
【0149】
本開示のサンプル環境(例えば、105、205、305、309)は制御される場合がある。例えば、環境は、指定された温度または湿度で維持される場合がある。環境(またはどのような要素であれその要素)は、少なくとも約摂氏20度(℃)、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃またはそれ以上で維持される場合がある。代替において、環境は20℃未満で維持される場合がある。代替において、または加えて、環境(またはどのような要素であれその要素)は、最大でも約100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃、20℃またはより低い温度で維持される場合がある。環境は、前述の値のいずれか2つによって規定される範囲の範囲内である温度で維持される場合がある。
【0150】
サンプル環境の様々な異なる要素、例えば、サンプル環境におけるチャンバー、検出器の突き出る一部、浸漬流体、プレート、基体、溶液および/またはサンプルなどが、異なる温度で、または異なる温度範囲の範囲内で、例えば、本明細書中に記載される温度または温度範囲などで維持される場合がある。システムの様々な要素が、結露を防止するために露点を超える温度で設定される場合がある。システムの様々な要素が、結露を集めるために露点未満の温度で設定される場合がある。
【0151】
いくつかの場合において、サンプル環境は、外部環境よりも高い湿度で維持される場合がある。いくつかの場合において、サンプル環境は、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の相対湿度で維持される場合がある。代替において、または加えて、相対湿度は、最大でも約100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25 20%、15%、10%、5%またはそれ未満で維持される場合がある。代替において、または加えて、相対湿度は、前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内で維持される場合がある。
【0152】
環境ユニット(例えば、加湿器、ヒーター、熱交換器、圧縮機など)が、1つまたは複数の動作条件をそれぞれのサンプル環境において調節するように構成される場合がある。いくつかの場合において、それぞれの環境が、独立した環境ユニットによって調節される場合がある。いくつかの場合において、ただ1つの環境ユニットが複数の環境を調節する場合がある。いくつかの場合において、複数の環境ユニットが個々に、または共同で、異なる環境を調節する場合がある。環境ユニットでは、能動的方法または受動的方法が、動作条件を調節するために使用される場合がある。例えば、温度が、加熱素子または冷却素子を使用して制御される場合がある。湿度が、加湿器または除湿器を使用して制御される場合がある。
【0153】
いくつかの場合において、サンプル環境の第1の部分がさらに、サンプル環境の他の部分から制御される場合がある。異なる局所的部分が、異なる局所的な温度、圧力および/または湿度を有する場合がある。例えば、サンプル環境は、第1の内部環境または局所的環境と、第2の内部環境または局所的環境とを、例えば、シールによって隔てられて含む場合がある。いくつかの場合において、シールは、本明細書中のどこか他のところで記載されるように液浸対物レンズを含む場合がある。例えば、液浸対物レンズは、サンプル環境を、100%(または実質的に100%)の相対湿度を有する第1の内部環境と、異なる温度、圧力または湿度を有する第2の環境とに隔てるシールの一部分である場合がある。第2の環境は周囲環境である場合があり、または周囲環境でない場合がある。液浸対物レンズは接触して検出器である場合がある。
【0154】
図4は、異なる局所的環境(441、442、443)を含む一例のバリアシステム400を例示しており、断面側面図を示す。この一例のバリアシステム400およびそれにおける1つまたは複数の構成要素は上記一例のバリアシステム100およびそれにおける1つまたは複数の構成要素に対応する場合がある。流体バリア413が、サンプル環境405(例えば、第1の領域)と外部環境(例えば、第2の領域)との間で実施される場合がある。サンプル環境405は、1つまたは複数のサンプルをその中に含む制御された環境である場合がある。外部環境は閉鎖環境または開放環境である場合がある。サンプル環境405の領域が、チャンバー415、プレート403および流体バリア413によって規定される場合がある。流体バリア413は、チャンバー415とプレート403との間における物理的間隙の間に維持される場合がある。チャンバー415とプレート403とは、チャンバー145、およびそれらによって規定されるサンプル環境405の領域がプレート403に対して可動であるように独立している場合がある。プレート403とチャンバー415とは直接的に機械的接触していない場合があり、その結果、最小距離がプレートとチャンバーとの間に存在するようにされる。流体バリア413は、サンプル環境、外部環境または両方からの流体を含む場合があり、サンプル環境405と外部環境との間における移行領域として作用する場合がある。
【0155】
サンプル環境405は基体417を含む場合がある。1つまたは複数のサンプルが基体417の上または近傍に固定化される場合がある。代替において、または加えて、1つまたは複数のサンプルはそうでない場合には、基体417の上に配置される場合がある。いくつかの場合において、チャンバー415の少なくとも一部分が基体417である場合があり、または基体417を含む場合がある。他の例において、チャンバー415は基体417に連結される場合がある。いくつかの場合において、基体417はチャンバー415に対して固定される場合がある。代替において、基体417は、例えば、直線方向および/または非直線方向(例えば、回転方向)で、チャンバー415に対して可動である場合がある。例えば、基体417は、チャンバー415に対して回転可能であることを除いて、チャンバー415にXY座標(および/またはZ座標)で固定される場合がある。
【0156】
検出器401が、プレート403を通って、例えば、プレート403における開口部を通るなどして、外部環境からサンプル環境105の中に突き出る場合がある。検出器401の少なくとも一部がプレート403に対して固定される場合がある。いくつかの場合において、検出器401は、プレート403の平面に対して実質的に直交する軸に沿って(例えば、開口を通って)、プレート403に依存することなく並進することが可能である場合がある。サンプル環境405内において、検出器401は、基体上に配置される1つまたは複数のサンプルを、浸漬光学システムを使用して、例えば、図1Cに関して記載されるシステムなどを使用して検出するように構成される場合がある。サンプル環境405の内部にある検出器401の一部(例えば、光学的画像化対物レンズなど)が、液体流体431媒体を介して基体と光学的に連絡している場合がある。いくつかの場合において、液体流体媒体は基体417の局所的領域に配置される場合がある。代替において、検出器401は、液体流体媒体を伴うことなく基体と光学的に連絡している場合がある。
【0157】
サンプル環境405は、サンプル環境の異なる部分に位置する任意の数の異なる局所的環境(441、442、443)を含む場合がある。これらの異なる局所的環境は調節される場合がある。流体バリア413により、これらの異なる局所的環境が、異なる局所的環境条件で維持される場合がある。例えば、局所的環境が局所的温度または局所的温度範囲で維持される場合がある。例えば、局所的環境が局所的湿度または局所的湿度範囲で維持される場合がある。例えば、局所的環境が局所的圧力または局所的圧力範囲で維持される場合がある。局所的温度が、少なくとも約摂氏20度(℃)、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃またはそれ以上である場合がある。代替において、局所的温度は20℃未満で維持される場合がある。代替において、または加えて、局所的温度は、最大でも約100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃、20℃またはそれ未満である場合がある。局所的環境は、前述の値のいずれか2つによって規定される範囲の範囲内である局所的温度で維持される場合がある。局所的相対湿度が、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%である場合がある。代替において、または加えて、局所的相対湿度は、最大でも約100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25 20%、15%、10%、5%またはそれ未満である場合がある。代替において、または加えて、相対湿度は、前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内で維持される場合がある。局所的環境は、本明細書中に記載される環境ユニットのいずれかを使用して維持される場合がある。
【0158】
図4に例示される例において、サンプル環境405(またはチャンバー415)の上部またはその上部近くに位置する第1の局所的環境441が、結露、および望まれないものが基体417に滴り落ちることを防止するなどのために、サンプル環境405内における最も高い局所的温度として維持される。第2の局所的環境442が、湿度源419を、例えば、液体(例えば、水)の塊などを、サンプル環境405(またはチャンバー415)の底部またはその底部近くに含む。第2の局所的環境442は、蒸気を湿度源419から発生させるなどのために、サンプル環境405内における第2の最も高い局所的温度で維持される場合がある。第3の局所的環境443が、表面が乾燥することを防止するなどのために、基体417の表面またはその表面近くに配置され、サンプル環境405内における最も低い局所的温度として維持される。3つの局所的環境が例示されるが、サンプル環境が、異なる局所的環境条件で維持される任意の数の異なる局所的環境を有し得ること、例えば、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10またはそれを超える局所的環境などを有し得ることが理解されるであろう。
【0159】
検出器401の対物レンズが、対物レンズと基体417との間での結露および光路の乱れを防止するために加熱される場合がある。代替において、または加えて、基体と流体接触している検出器の別の構成要素または部分が加熱される場合がある。用語「加熱」は、本明細書中で使用される場合、一般には、対象を加熱作業前の基準となる温度と比較して温度上昇にさらすことを示す場合がある。加熱は、本明細書中に記載されるような環境ユニットによって行われる場合がある。加熱は、検出器および基体と接触している一定量の浸漬流体を加熱することによって、または該一定量の浸漬流体の温度(またはその範囲)を維持することによって行われる場合がある。加熱素子が対物レンズ(および/または検出器の他の構成要素)と連結される場合があり、または一体化される場合がある。
【0160】
分析物を処理するための、または分析するためのシステムであって、チャンバーと、蓋とを含むシステムが提供される。チャンバーは、基体に固定化される分析物を固定化するように構成される基体を含む内部領域を含む場合がある。蓋は、チャンバーの近傍に配置されるように構成される場合がある。システムは、第1の局所的環境、第2の局所的環境および第3の局所的環境を内部領域の中において維持するように構成される環境ユニットを含む場合がある。環境ユニットは、第1の局所的環境を第1の温度または温度範囲で、第2の局所的環境を第2の温度または温度範囲で、かつ第3の局所的環境を第3の温度または温度範囲で維持するように構成されることが可能である。第1の局所的環境は第2の局所的環境および第3の局所的環境の上方に配置される場合がある。第1の局所的環境は蓋に、または蓋に近接して存在する場合がある。第2の局所的環境は基体の表面に、または基体の表面に近接して配置される場合がある。第3の局所的環境は第1の局所的環境および第2の局所的環境の下方に配置される場合がある。第1の温度または温度範囲は第2の温度または温度範囲および第3の温度または温度範囲よりも高い場合がある。第2の温度または温度範囲は第3の温度または温度範囲よりも低い場合がある。
【0161】
図5は、一例のバリアシステムを含む処理システム500を例示する。処理システム500は1つまたは複数のモジュール式の構成要素を含む場合がある。
【0162】
処理システム500は1つまたは複数のバリアシステムを含む場合があり、例えば、第1のバリアシステム505aおよび第2のバリアシステム505bなどを含む場合がある。処理システム500のバリアシステム(例えば、505a、505b)およびその1つまたは複数の構成要素が、本明細書中に記載されるいずれかのバリアシステムおよびその1つまたは複数の構成要素に対応する場合がある。2つのバリアシステムが図5には例示されるが、処理システムは任意の数のバリアシステムを有し得ることが理解されるであろう。
【0163】
いくつかの場合において、本開示のバリアシステムはどれもが、検出に代わる作業または検出に加えての作業を処理するために使用される場合がある。
【0164】
例えば、本開示のバリアシステムはどれもが、検出器(例えば、501)に代わる、または検出器(例えば、501)に加えての1つまたは複数の動作ユニットを有する場合がある。動作ユニットが1つまたは複数のデバイスあるいはその集合体を含む場合があり、サンプルまたはサンプル環境(またはその(1つまたは複数の)局所的環境)に関する作業を容易にするように構成される場合がある。例えば、動作ユニットが、サンプルからのシグナルまたはシグナル変化の検出を容易にするように構成される1つまたは複数の検出器を含む場合がある。別の例において、動作ユニットが、サンプルへの試薬または流体の分配を容易にするように構成される流体ディスペンサー(例えば、509a、509b)を含む場合がある。別の例において、動作ユニットが、サンプル環境の環境調節を容易にするように構成される環境ユニットを含む場合がある。別の例において、動作ユニットが、光源、熱源または湿度源を含む場合がある。別の例において、動作ユニットが、どのようなセンサーであれ1つまたは複数のセンサーを含む場合がある。バリアシステムが、同じタイプまたは異なるタイプの多数の動作ユニットを有する場合がある。
【0165】
動作ユニット(例えば、509a)が、プレート(例えば、503)を通って、例えば、プレートにおける開口部を通るなどして、外部環境からバリアシステムのサンプル環境の中に突き出る場合がある。動作ユニットと開口部との間における嵌合は、動作ユニットが開口部を通って嵌合したときには開口部を通る流体連絡が全くないように流体漏れしない場合がある。代替において、または加えて、開口部は密封される場合がある。代替において、プレートは動作ユニットと一体化している場合があり、または動作ユニットはプレートと一体化している場合がある。代替において、動作ユニットは、例えば、サンプルに面しない端部をプレートに取り付けることによって、サンプル環境に完全に含有される場合がある。いくつかの場合において、動作ユニットの少なくとも一部がプレートに対して固定される場合がある。いくつかの場合において、動作ユニットは、プレートの平面に対して実質的に直交する軸に沿って(例えば、開口部を通って)、プレートに依存することなく並進することが可能である場合がある。いくつかの場合において、動作ユニットの少なくとも一部(例えば、サンプル環境領域の内部にある動作ユニットの一部)が、プレートに依存することなく動くこと(例えば、直線的または非直線的に、例えば、回転することなど)が可能である場合がある。
【0166】
いくつかの場合において、処理システム500は、途切れないプレート503をもたらすために相互に連結され得るまたはそうでない場合には締結され得る複数のモジュール式プレート(例えば、503a、503b、503c)を含む場合がある。隣り合うモジュール式プレートの間における嵌合は、モジュール式プレート間の流体連絡が全くないように流体漏れしない場合がある。代替において、または加えて、嵌合は気密シールを含む場合がある。隣り合うモジュール式プレート(例えば、第1のモジュール式プレートおよび第2のモジュール式プレート)が1つまたは複数の締結機構を介して連結される場合がある。締結機構の例には、相補的なねじ切り、形状嵌合対、フックおよびループ、ラッチ、ねじ山、ねじ、ステープル、クリップ、クランプ、プロング、リング、ブラッド(brad)、ゴムバンド、リベット、グロメット、ピン、タイ、スナップ、ベルクロ、接着剤(例えば、糊)、テープ、真空、シール、磁石、磁気シール、それらの組み合わせ、またはどのようなものであれ他のタイプの締結機構が含まれる場合があるが、これらに限定されない。
【0167】
いくつかの場合において、第1のモジュール式プレートと第2のモジュール式プレートとは、相補的な締結ユニットを介して相互に締結されることが可能である。例えば、第1のモジュール式プレートと第2のモジュール式プレートとは形状嵌合対を完成させることができる。第1のモジュール式プレートは、形状嵌合する雄型の構成要素を含むことができ、第2のモジュール式プレートは、形状嵌合する雌型の構成要素を含むことができ、および/または逆に、第1のモジュール式プレートは、形状嵌合する雌型の構成要素を含むことができ、第2のモジュール式プレートは、形状嵌合する雄型の構成要素を含むことができる。いくつかの場合において、第1のモジュール式プレートの突き出るタイプの締結ユニットの外径が、締まりばめを形成するために第2のモジュール式プレートのへこみタイプの締結ユニットの内径と実質的に等しいことが可能であり、またはその逆も可能である。代替において、または加えて、これら2つのモジュール式プレートは、締結されて一緒になることが可能である他のタイプの相補的なユニットまたは構造(例えば、フックおよびループ、ラッチ、スナップオン、ボタン、ナットおよびボルト、磁石など)を含むことができる。代替において、または加えて、これら2つのモジュール式プレートは、他の締結機構を使用して、例えば、限定されないが、ステープル、クリップ、クランプ、プロング、リング、ブラッド、ゴムバンド、リベット、グロメット、ピン、タイ、スナップ、ベルクロ、接着剤(例えば、糊)、磁石または磁場、テープ、それらの組み合わせ、またはどのようなものであれ他のタイプの締結機構などを使用して締結されることが可能である。
【0168】
いくつかの場合において、第1のモジュール式プレートと第2のモジュール式プレートとは、中間構造を介して相互に締結されることが可能である。中間構造は、第1のモジュール式プレートと第2のモジュール式プレートとの間におけるリンカーまたはコネクターである場合がある。いくつかの場合において、中間構造は、本明細書中に記載される締結機構のいずれかの1つまたは複数を介して第1のモジュール式プレートおよび第2のモジュール式プレートの一方または両方に締結される場合がある。中間構造は固体である場合がある。中間構造は液体または気体である場合がある。中間構造はゲルである場合がある。いくつかの場合において、中間構造は1つの相(例えば、液体)として適用され、締結を達成するなどのために時間経過の後で別の相(例えば、固体)に変わる場合がある。例えば、中間構造は、締結を達成するために固化する流体接着剤を含む場合がある。いくつかの場合において、中間構造体は、締結または締結解除(または両方)を達成するために刺激(例えば、熱変化、pH変化、圧力変化、磁場、電場など)が加えられると、第1の相から第2の相に、例えば、液体から固体に、または固体から液体に変わることが可能である場合がある。いくつかの場合において、第1のモジュール式プレートおよび/または第2のモジュール式プレートは中間構造を含む場合がある。例えば、中間構造は第1のモジュール式プレートおよび/または第2のモジュール式プレートと一体化している場合がある。いくつかの場合において、第1のモジュール式プレートおよび/または第2のモジュール式プレートは、他方のプレートに対する締結または締結解除(または両方)を達成するために刺激(例えば、熱変化、pH変化、圧力変化、磁場、電場など)が加えられると、一部または全体が第1の相から第2の相に、例えば、液体から固体に、または固体から液体に変わることが可能である場合がある。いくつかの場合において、これら2つのモジュール式プレートが締結されて一緒になったとき、これら2つのモジュール式プレートの一方または両方が他方によって切り込まれることまたは貫かれることが可能である。
【0169】
第1のモジュール式プレートと第2のモジュール式プレートとの間における締結は、例えば、これら2つのモジュール式プレートのその後の締結解除を、これら2つのモジュール式プレートに対する損傷(例えば、永久変形、外観変化など)を伴うことなく、または最小限の損傷を伴って可能にするなどのために、一時的であることが可能である。いくつかの場合において、第1のモジュール式プレートは、第2のモジュール式プレートおよび/またはプレート503の残りから繰り返しかつ容易に締結解除することが可能である場合がある。
【0170】
いくつかの場合において、モジュール式プレートが、1つまたは複数のバリアシステムの1つまたは複数の動作ユニットによる作業(例えば、試薬分配、洗浄、検出など)の期間中などに、プレートの残りの少なくとも一部分を含むそれぞれの1つまたは複数のバリアシステムの1つまたは複数のサンプル環境を妨げることなく、別のモジュール式プレートまたは該プレートの残りから取り外し可能である場合がある。有益なことに、モジュール式プレートの取り外しは、チャンバーに対するアクセスを、例えば、チャンバーを処理システム500において装着することまたは取り出すことなどのために可能にする場合がある。モジュール式プレートの取り外しはまた、バリアシステムのチャンバーの内部へのアクセスを、例えば、基体を装着することまたはチャンバーから取り出すことなどのために可能にする場合がある。モジュール式プレートの取り外しはまた、取り外されたモジュール式プレートに連結されるまたはそうでない場合には付随する1つまたは複数の動作ユニットに対するアクセスを、例えば、該1つまたは複数の動作ユニットの整備、修理および/または取り換えなどのために可能にする場合がある。そのような取り外しは、別のバリアシステムが通常の作業(例えば、化学的処理作業、検出作業など)を続けている間に生じる場合がある。いくつかの場合において、モジュール式プレートの取り外しはZ軸または実質的にZ軸に沿って、あるいは任意の他の軸(例えば、X-Y平面など)に沿ってである場合がある。いくつかの場合において、モジュール式プレートはどれもが、別のモジュール式プレートから取り外し可能である場合がある。いくつかの場合において、モジュール式プレートはどれもが、別のモジュール式プレートに対して可動である場合がある。いくつかの場合において、モジュール式プレートはどれもが、取り外し時において、基準となる座標に関して可動である場合がある。いくつかの場合において、モジュール式プレートはどれもが、取り外し時において、基準となる座標に関して実質的に静止している場合がある。いくつかの場合において、第1のモジュール式プレート(例えば、520a、520cなど)が基準となる座標に関して可動である場合があり、第2のモジュール式プレート(例えば、520b)が基準となる座標に関して静止している場合がある。
【0171】
処理システム500は、様々な異なる動作ステーション(例えば、520a、502b、520c)を含む場合がある。動作ステーションがプレート503の所与区域に対して位置づけられる場合がある。いくつかの場合において、ただ1つのモジュール式プレートが1つまたは複数の動作ユニットを1つの動作ステーションのために含む場合がある。いくつかの場合において、多数のモジュール式プレートが1つまたは複数の動作ユニットを1つの動作ステーションのために含む場合がある。いくつかの場合において、ただ1つのモジュール式プレートが1つまたは複数の動作ユニットを多数の動作ステーションのために含む場合がある。いくつかの場合において、多数のモジュール式プレートが1つまたは複数の動作ユニットを多数の動作ステーションのために含む場合がある。動作ステーションが、化学的動作ステーション(例えば、520a、520c)を、例えば、試薬分配および/または洗浄などのために含む場合がある。動作ステーションが、検出ステーション(例えば、520b)を、例えば、シグナルまたはシグナル変化の検出などのために含む場合がある。処理システムのバリアシステム(例えば、505a、505b)はどれもが、異なる動作ステーションの間を行き来することが可能である場合がある。代替において、または加えて、プレート503は、バリアシステムを(例えば、プレートの所与区域に関して位置する)動作ステーションに関して位置づけられるためにいずれかのバリアシステムに対して行き来することが可能である場合がある。いくつかの場合において、バリアシステムには、異なる動作ステーションの間での行き来を可能にするためのレールもしくはトラック507または他の運動経路が設けられる場合がある。いくつかの場合において、異なるバリアシステムが、(例えば、図5に例示されるように)同じレールもしくはトラックまたは他の運動経路を異なる動作システムの間での行き来のために共有する場合がある。そのような場合、異なるバリアシステムは、同じレールもしくはトラックまたは他の運動経路で互いに独立して動くように、あるいは一斉に動くように構成される場合がある。いくつかの場合において、異なるバリアシステムが、専用の別個のレールもしくはトラックまたは他の運動経路で動く場合がある。いくつかの場合において、バリアシステムの流体バリアは、プレート503とバリアシステムとの間での相対的運動の期間中において、例えば、動作ステーションの切り替えの期間中などにおいて維持される場合がある。いくつかの場合には、1つまたは複数の動作ユニットは、バリアシステムが動作ステーションに関して位置づけられることを可能にするために、プレート503に対する動き(例えば、プレートに直交する軸に沿う動きなど)、またはプレート503からの取り外しが可能である場合がある。
【0172】
本開示の外部環境(例えば、107、207)はサンプル環境の外側のどのような環境であってもよい。例えば、外部環境は室内環境である場合がある。外部環境は周囲環境である場合がある。外部環境は、例えば、本明細書中のどこか他のところで記載される1つまたは複数の環境ユニットを介するなどして、自己制御される場合がある。外部環境は開放されている場合があり、または閉ざされている場合がある。いくつかの場合において、外部環境は、室内の温度、圧力および/または湿度にある場合がある。いくつかの場合において、外部環境は、周囲の温度、圧力および/または湿度にある場合がある。
【0173】
本開示のチャンバー(例えば、115、215、415)は、基部、およびプレート(または蓋)ともう少しで接触する開口部を規定するための側壁を含む場合がある。側壁は、閉じた連続する表面、または複数の隣接する(および/または隣り合う)表面である場合がある。例えば、基部は基体を含む場合があり、または基体である場合がある。いくつかの場合において、基部は基体に連結される場合がある。基体は基部に並進的に固定される場合がある。基体は基部に対して回転可能である場合がある。並進運動には、物体が第1の座標から第2の座標に動くことが含まれる場合がある。並進運動には、物体の基準点が第1の座標から第2の座標に動くことが含まれる場合がある。いくつかの場合において、チャンバーの側壁の少なくとも一部が、圧力変更装置の動作を可能にするための1つまたは複数の流路の一体化を可能にするために十分に大きい厚さ寸法を有する場合がある。いくつかの場合において、チャンバーの側壁が、低圧流体バリアを維持するために十分に大きい厚さ寸法を有する場合がある。チャンバーは全体または一部が、ガラス、ケイ素、金属、例えば、アルミニウム、銅、チタン、クロムまたはスチールなど、セラミック、例えば、酸化チタンまたは窒化ケイ素など、プラスチック、例えば、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアセチレン、ポリアミド、ポリカルボナート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フェノールホルムアルデヒド(PF)、メラミンホルムアルデヒド(MF)、尿素ホルムアルデヒド(UF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド、ポリ乳酸(PLA)、フラン類、シリコーン、ポリスルホン、どのような混合物であれ前述の材料のいずれかの混合物など、またはどのような材料であれ他の適切な材料の1つまたは複数を含む場合がある。
【0174】
本開示の基体(例えば、417)は開放基体である場合がある。基体は固体基体である場合がある。基体は全体または一部が、ガラス、ケイ素、金属、例えば、アルミニウム、銅、チタン、クロムまたはスチールなど、セラミック、例えば、酸化チタンまたは窒化ケイ素など、プラスチック、例えば、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアセチレン、ポリアミド、ポリカルボナート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フェノールホルムアルデヒド(PF)、メラミンホルムアルデヒド(MF)、尿素ホルムアルデヒド(UF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド、ポリ乳酸(PLA)、フラン類、シリコーン、ポリスルホン、どのような混合物であれ前述の材料のいずれかの混合物など、またはどのような材料であれ他の適切な材料の1つまたは複数を含む場合がある。基体は全体または一部が、金属、例えば、アルミニウム、銅、銀または金など、酸化物、例えば、酸化ケイ素(Si、式中、x、yは、任意の可能な値を取り得る)など、フォトレジスト、例えば、SU8など、表面被覆剤、例えば、アミノシランもしくはヒドロゲルなど、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドデキストラン、ポリエチレングリコール(PEG)、またはどのような組み合わせであれ前述の材料のいずれかの組み合わせなど、あるいはどのような被覆剤であれ他の適切な被覆剤の1つまたは複数の層により被覆される場合がある。1つまたは複数の層は厚さが少なくとも1ナノメートル(nm)、少なくとも2nm、少なくとも5nm、少なくとも10nm、少なくとも20nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも200nm、少なくとも500nm、少なくとも1マイクロメートル(μm)、少なくとも2μm、少なくとも5μm、少なくとも10μm、少なくとも20μm、少なくとも50μm、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも500μm、または少なくとも1ミリメートル(mm)である場合がある。1つまたは複数の層は、前述の値のいずれか2つによって規定される範囲の範囲内である厚さを有する場合がある。
【0175】
基体および/またはチャンバーは、任意の形状、形態または寸法を有する場合がある。いくつかの場合において、例えば、基体は、円筒、円筒形のシェルもしくはディスク、長方形プリズム、またはどのような形態であれ他の幾何学的形態の全体的形態を有する場合がある。基体は厚さ(例えば、最小寸法)が少なくとも約100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cmまたはそれを超える場合がある。基体は、前述の値のいずれか2つによって規定される範囲の範囲内である厚さを有する場合がある。基体は、第1の横寸法(例えば、全体的形態が長方形プリズムである基体についての幅、または全体的形態が円筒である基体についての半径など)が少なくとも約1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cm、10cm、20cm、30cm、40cm、50cm、60cm、70cm、80cm、90cm、1メートル(m)またはそれを超えるある場合がある。基体は、前述の値のいずれか2つによって規定される範囲の範囲内である第1の横寸法を有する場合がある。基体は、第2の横寸法(例えば、全体的形態が長方形プリズムである基体についての長さなど)が少なくとも約1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cm、10cm、20cm、30cm、40cm、50cm、60cm、70cm、80cm、90cm、1メートル(m)またはそれを超える場合がある。基体は、前述の値のいずれか2つによって規定される範囲の範囲内である第2の横寸法を有する場合がある。基体の表面が平坦または実質的に平坦である場合がある。代替において、または加えて、基体の表面が表面加工またはパターン化される場合がある。例えば、基体は、溝、トラフ、丘および/またはピラーを含む場合がある。いくつかの場合において、基体はウェルを含む場合がある。いくつかの場合において、基体により、1つまたは複数の空洞(例えば、マイクロスケールの空洞またはナノスケールの空洞)が規定される場合がある。基体は規則的な表面加工および/またはパターンを基体の表面全体にわたって有する場合がある。例えば、基体は、表面の基準レベルを上回る、または下回る規則的な幾何学的構造(例えば、くさび、直方体、円柱、球状体、半球など)を有する場合がある。代替において、基体は不規則な表面加工および/またはパターンを基体の表面全体にわたって有する場合がある。例えば、基体は、基体の基準レベルを上回る、または下回る任意の構造をどのようなものであれ有する場合がある。いくつかの場合において、基体の表面加工が、基体の総厚さまたは基体の所与層の最大でも約100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.1%、0.01%、0.001%、0.0001%、0.00001%である最大寸法を有する構造を含む場合がある。いくつかの場合において、基体の表面加工および/またはパターンにより、基体上における個々にアドレス指定可能な場所の少なくとも一部分が規定される場合がある。表面加工および/またはパターン加工が施された基体は実質的に平坦である場合がある。
【0176】
基体はアレイを含む場合がある。例えば、アレイは基体の側面に位置する場合がある。アレイは平面アレイである場合がある。アレイは、円、環、長方形、またはどのような形状であれ他の形状の全体的形状を有する場合がある。アレイは直線状および/または非直線状の列を含む場合がある。アレイは等間隔である場合があり、または均等に分布する場合がある。アレイは任意の間隔である場合があり、または任意に分散する場合がある。アレイは規則的な間隔を有する場合がある。アレイは不規則な間隔を有する場合がある。アレイは、表面加工されたアレイである場合がある。アレイは、パターン化されたアレイである場合がある。図6は、基体上における個々にアドレス指定可能な場所601のアレイの様々な例を(例えば、上面図から)例示しており、パネルAは、規則的な直線状アレイを有する実質的に長方形の基体を示し、パネルBは、規則的な直線状アレイを有する実質的に円形の基体を示し、パネルCは、不規則なアレイを有する任意に形状化された基体を示す。
【0177】
アレイは複数の個々にアドレス指定可能な場所(例えば、501)を含む場合がある。いくつかの場合において、これらの場所は基体上における個々にアドレス指定可能な座標に対応する場合がある。代替において、または加えて、これらの場所は基体上における物理的構造(例えば、ウェル)に対応する場合がある。検出器によって処理および/または検出されることになる分析物が、アレイに固定化される場合がある。アレイは、本明細書中に記載される1つまたは複数のバインダー、例えば、分析物に連結される、または分析物に連結されるように構成される1つまたは複数の物理的なリンカーもしくはアダプターまたは化学的なリンカーまたはアダプターなどを含む場合がある。例えば、アレイは、核酸分子に連結されるリンカーまたはアダプターを含む場合がある。代替において、または加えて、分析物はビーズに連結される場合があり、該ビーズがアレイに固定化される場合がある。
【0178】
個々にアドレス指定可能な場所は、操作のためにアクセス可能である分析物または分析物群の場所を含む場合がある。操作は、設置、抽出、試薬分配、播種、加熱、冷却または撹拌を含む場合がある。抽出は、個々の分析物または分析物群を抽出することを含む場合がある。例えば、抽出は、少なくとも2つ、少なくとも5つ、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、または少なくとも1,000の分析物または分析物群を抽出することを含む場合がある。代替において、または加えて、抽出は、最大でも1,000、最大でも500、最大でも200、最大でも100、最大でも50、最大でも20、最大でも10、最大でも5つ、または最大でも2つの分析物または分析物群を抽出することを含む場合がある。操作は、例えば、分析物またはその周囲との限局化されたマイクロ流体相互作用、ピペット相互作用、光学相互作用、レーザー相互作用、音響相互作用、磁気相互作用および/または電磁相互作用を介して達成される場合がある。
【0179】
アレイはバインダーにより被覆される場合がある。例えば、アレイはランダムにバインダーにより被覆される場合がある。代替において、アレイは、規則的なパターンで(例えば、直線状アレイ、放射状アレイ、六角形アレイで)並べられるバインダーにより被覆される場合がある。アレイは、個々にアドレス指定可能な場所の数の、または基体の表面積の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%でバインダーにより被覆される場合がある。アレイは、前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲の範囲内にある個々にアドレス指定可能な場所の割合で、または前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲の範囲内にある基体の表面積の割合でバインダーにより被覆される場合がある。バインダーはアレイと一体化されている場合がある。バインダーはアレイに付加される場合がある。例えば、バインダーは、アレイにおける1つまたは複数の被覆層としてアレイに付加される場合がある。
【0180】
バインダーにより、分析物が非特異的相互作用を介して、例えば、親水性相互作用、疎水性相互作用、静電相互作用、および物理的相互作用(例えば、ピラーへの接着またはウェル内での沈降)などの1つまたは複数などを介して固定化される場合がある。いくつかの場合において、バインダーにより、生物学的分析物が特異的相互作用を介して固定化される場合がある。例えば、生物学的分析物が核酸分子である場合、バインダーは、核酸分子に結合するように構成されるオリゴヌクレオチドアダプターを含む場合がある。代替において、または加えて、例えば、他のタイプの分析物と結合するなどのために、バインダーは、抗体、オリゴヌクレオチド、アプタマー、親和性結合タンパク質、脂質、および炭水化物などの1つまたは複数を含む場合がある。バインダーにより、生物学的分析物が、相互作用のどのような組み合わせであれ可能な組み合わせを介して固定化される場合がある。例えば、バインダーにより、核酸分子が、物理的相互作用および化学的相互作用の組み合わせを介して、タンパク質相互作用および核酸相互作用の組み合わせなどを介して固定化される場合がある。アレイは、少なくとも約10個、100個、1000個、10,000個、100,000個、1,000,000個、10,000,000個、100,000,000個またはそれ以上のバインダーを含む場合がある。代替において、または加えて、アレイは、最大でも約100,000,000個、10,000,000個、1,000,000個、100,000個、10,000個、1000個、100個、10個またはそれ未満のバインダーを含む場合がある。アレイは、前述の値のいずれか2つによって規定される範囲の範囲内である数のバインダーを有する場合がある。いくつかの場合において、ただ1つのバインダーがただ1つの分析物(例えば、核酸分子)と結合する場合がある。いくつかの場合において、ただ1つのバインダーが複数の分析物(例えば、複数の核酸分子)と結合する場合がある。いくつかの場合において、複数のバインダーがただ1つの分析物と結合する場合がある。本明細書中のいくつかの例では、バインダーの核酸分子との相互作用が記載されるが、バインダーにより、他の分子(例えば、タンパク質など)、他の粒子、細胞、ウイルス、または他の生物など、および非生物学的分析物が固定化される場合がある。
【0181】
いくつかの場合において、それぞれの場所、またはそのような場所のサブセットが、それに固定化されて分析物(例えば、核酸分子、タンパク質分子、炭水化物分子など)を有する場合がある。他の場合において、複数の個々にアドレス指定可能な場所の一部が、それに固定化されて分析物を有する場合がある。基体に固定化される複数の分析物がテンプレート分析物のコピー体である場合がある。例えば、複数の分析物(例えば、核酸分子)は配列相同性を有する場合がある。他の例において、基体に固定化される複数の分析物はコピー体でない場合がある。複数の分析物は、同じタイプの分析物(例えば、核酸分子)である場合があり、または異なるタイプの分析物(例えば、核酸分子、タンパク質分子など)の組み合わせである場合がある。
【0182】
いくつかの場合において、アレイは、例えば、複数のタイプのバインダーを、異なるタイプの分析物と結合するなどのために含む場合がある。例えば、アレイは、第1のタイプの分析物(例えば、核酸分子)と結合するように構成される第1のタイプのバインダー(例えば、オリゴヌクレオチド)、および第2のタイプの分析物(例えば、タンパク質)と結合するように構成される第2のタイプのバインダー(例えば、抗体)などを含む場合がある。別の例において、アレイは、第1のタイプの核酸分子と結合するための第1のタイプのバインダー(例えば、第1のタイプのオリゴヌクレオチド分子)、および第2のタイプの核酸分子と結合するための第2のタイプのバインダー(例えば、第2のタイプのオリゴヌクレオチド分子)などを含む場合がある。例えば、基体は、異なるタイプのバインダーを基体表面の特定の一部または特異的場所に有することによって、基体表面の特定の一部または特異的場所において異なるタイプの分析物と結合するように構成される場合がある。
【0183】
分析物が、複数の個々にアドレス指定可能な場所の定められた個々にアドレス指定可能な場所においてアレイに固定化される場合がある。アレイは任意の数の個々にアドレス指定可能な場所を有する場合がある。例えば、アレイは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも5つ、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも2,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも20,000、少なくとも50,000、少なくとも100,000、少なくとも200,000、少なくとも500,000、少なくとも1,000,000、少なくとも2,000,000、少なくとも5,000,000、少なくとも10,000,000、少なくとも20,000,000、少なくとも50,000,000、少なくとも100,000,000、少なくとも200,000,000、少なくとも500,000,000、少なくとも1,000,000,000、少なくとも2,000,000,000、少なくとも5,000,000,000、少なくとも10,000,000,000、少なくとも20,000,000,000、少なくとも50,000,000,000、または少なくとも100,000,000,000の個々にアドレス指定可能な場所を有する場合がある。アレイは、前述の値のいずれか2つによって規定される範囲の範囲内である数の個々にアドレス指定可能な場所を有する場合がある。それぞれの個々にアドレス指定可能な場所が、(複数の個々にアドレス指定可能な場所から)個々にデジタル的および/または物理的にアクセス可能である場合がある。例えば、それぞれの個々にアドレス指定可能な場所が、マッピング、検知、デバイス(例えば、検出器、プロセッサー、ディスペンサーなど)との連携、またはそうでない場合には処理のために電子的またはデジタル的に探し出される、特定される、および/またはアクセスされる場合がある。代替において、または加えて、それぞれの個々にアドレス指定可能な場所が、例えば、個々にアドレス指定可能な場所に位置する分析物、試薬、粒子または他の成分の物理的操作または抽出のためなどに、物理的に探し出される、特定される、および/またはアクセスされる場合がある。
【0184】
それぞれの個々にアドレス指定可能な場所が、円、長方形、ピット、バンプ、またはどのような形状もしくは形態であれ他の形状もしくは形態の全体的な形状または形態を有する場合がある。それぞれの個々にアドレス指定可能な場所が、第1の横寸法(例えば、全体的形状が円である個々にアドレス指定可能な場所についての半径、または全体的形状が長方形である個々にアドレス指定可能な場所についての幅など)を有する場合がある。第1の横寸法は、少なくとも1ナノメートル(nm)、少なくとも2nm、少なくとも5nm、少なくとも10nm、少なくとも20nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも200nm、少なくとも500nm、少なくとも1,000nm、少なくとも2,000nm、少なくとも5,000nm、または少なくとも10,000nmである場合がある。第1の横寸法は、前述の値のいずれか2つによって規定される範囲の範囲内である場合がある。それぞれの個々にアドレス指定可能な場所が、第2の横寸法(例えば、全体的形状が長方形である個々にアドレス指定可能な場所についての長さなど)を有する場合がある。第2の横寸法は、少なくとも1ナノメートル(nm)、少なくとも2nm、少なくとも5nm、少なくとも10nm、少なくとも20nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも200nm、少なくとも500nm、少なくとも1,000nm、少なくとも2,000nm、少なくとも5,000nm、または少なくとも10,000nmである場合がある。第2の横寸法は、前述の値のいずれか2つによって規定される範囲の範囲内である場合がある。いくつかの場合において、それぞれの個々にアドレス指定可能な場所が、分析物を該場所に固定化するために、本明細書中に記載されるように、バインダーを有する場合があり、またはバインダーに連結される場合がある。いくつかの場合において、個々にアドレス指定可能な場所の一部のみがバインダーを有する場合があり、またはバインダーに連結される場合がある。いくつかの場合において、個々にアドレス指定可能な場所が、分析物を該場所に固定化するために、複数のバインダーを有する場合があり、または複数のバインダーに連結される場合がある。
【0185】
個々にアドレス指定可能な場所に結合する分析物には、分子、細胞、生物、核酸分子、核酸コロニー、ビーズ、クラスター、ポロニー(polonies)またはDNAナノボールが含まれる場合があるが、これらに限定されない。結合した分析物は、規則的な配置、パターン化された配置、周期的な配置、ランダムな配置もしくは擬似ランダムな配置、またはどのような配列であれ他の空間的配列でアレイに固定化される場合がある。
【0186】
本開示の例では、基体表上の個々にアドレス指定可能な場所に固定化されるサンプルおよび分析物の処理および/または検出が記載されるが、本明細書中に記載されるシステム、デバイスおよび方法は、(どのようなサンプルおよび/または分析物もその上に配置されていない)基体自体の検出もまた可能にする。
【0187】
基体は、プレートに関して動くように構成される場合がある。そのような運動が、1つまたは複数のアクチュエーターまたは他のデバイス(例えば、歯車、ステージ、アクチュエーター、ディスク、プーリー、モーターなど)によって促進される場合がある。そのようなアクチュエーターおよびデバイスは、直接的に、または中間構成要素を介して間接的に基体に機械的接続される場合がある。そのようなアクチュエーターおよびデバイスは自動化される場合がある。代替において、または加えて、アクチュエーターおよびデバイスは手動入力を受け取る場合がある。基体は、どのような速度であれ検出を可能にする速度で動くように構成される場合がある。いくつかの場合において、または回転運動において、回転軸は、基体の中心を通る軸である場合がある。軸は、中心から外れた軸である場合がある。例えば、基体はチャック(例えば、真空チャックなど)に取り付けられる場合がある。基体は、少なくとも1回転/分(rpm)、少なくとも2rpm、少なくとも5rpm、少なくとも10rpm、少なくとも20rpm、少なくとも50rpm、少なくとも100rpm、少なくとも200rpm、少なくとも500rpm、少なくとも1,000rpm、少なくとも2,000rpm、少なくとも5,000rpm、または少なくとも10,000rpmの回転速度により回転するように構成される場合がある。基体は、前述の値のいずれか2つによって規定される範囲の範囲内である回転速度により回転するように構成される場合がある。基体は、本明細書中に記載される様々な異なる作業の期間中に異なる回転速度により回転するように構成される場合がある。基体は、時間依存関数に従って、例えば、ランプ関数、シヌソイド関数、パルス関数、または他の関数もしくは関数の組み合わせなどに従って変化する回転速度により回転するように構成される場合がある。時変関数は周期的または非周期的である場合がある。
【0188】
本明細書中に提供される流体バリアは、基体と検出器との間における無摩擦または低摩擦の相対的運動をもたらす場合がある。機械的接触が、(検出器に連結される)プレートと、(基体に連結される)チャンバーとの間に何ら存在しない場合がある。
【0189】
本開示の検出器(例えば、101、1110)には、シグナルを検出することができるデバイスが含まれる場合がある。例えば、シグナルは、1つもしくは複数の構成要素(例えば、組み込まれたヌクレオチド、蛍光標識、電子シグナルなど)の有無を示すシグナルおよび/または1つもしくは複数の構成要素における状態の変化を示すシグナルであることが可能である。検出器により、多数のシグナルが検出される場合がある。シグナルまたは多数のシグナルは、反応、例えば、配列決定反応などの前に、その期間中(または実質的に期間中)に、またはその後においてリアルタイムで検出される場合がある。いくつかの場合には、検出器が、シグナルを検出することができる光学的構成要素および/または電子的構成要素を含むことができる。検出器が1つまたは複数の検出方法を実施する場合がある。検出方法の限定されない例には、光学的検出、分光学的検出、静電的検出、電気化学的検出、音響検出および磁気検出などが含まれる。光学的検出方法には、光吸収、紫外可視(UV-vis)光吸収、赤外光吸収、光散乱、レイリー散乱、ラマン散乱、表面増強ラマン散乱、ミー散乱、蛍光、発光およびリン光が含まれるが、これらに限定されない。分光学的検出方法には、質量分析法、核磁気共鳴(NMR)分光法および赤外分光法が含まれるが、これらに限定されない。静電的検出方法には、ゲルに基づく技術、例えば、ゲル電気泳動などが含まれるが、これらに限定されない。電気化学的検出方法には、増幅産物を高速液体クロマトグラフィー分離した後での増幅産物の電気化学的検出が含まれるが、これに限定されない。
【0190】
検出可能なシグナル、例えば、光学シグナル(例えば、蛍光シグナル)などが、分析物と別の成分(例えば、プローブ)とが反応したときに生じる場合がある。例えば、シグナルはプローブおよび/または分析物に由来する場合がある。検出可能なシグナルはプローブと分析物との間での反応または相互作用を示す場合がある。検出可能なシグナルは非光学シグナルである場合がある。例えば、検出可能なシグナルは電子シグナルである場合がある。検出可能なシグナルは1つまたは複数のセンサーによって検出される場合がある。例えば、光学シグナルが、本明細書中のどこか他のところで記載される光学的検出スキームにおいて1つまたは複数の光学的検出器を介して検出される場合がある。シグナルは基体の運動の期間中に検出される場合がある。シグナルは、運動が終了した後で検出される場合がある。いくつかの場合において、検出後、シグナルは、例えば、標識をプローブおよび/または分析物から切断すること、ならびに/あるいはプローブおよび/または分析物を修飾することなどによって弱まる場合がある。そのような切断および/または修飾が、1つまたは複数の刺激によって、例えば、化学物質、酵素、光(例えば、紫外光)または温度変化(例えば、熱)にさらすことなどによって引き起こされる場合がある。いくつかの場合において、シグナルは他の場合には、1つまたは複数のセンサーのモード(例えば、検出波長)を停止するか、または変更すること、あるいはシグナルの励起を終了させるか、または逆行させることによって検出不能になる場合がある。いくつかの場合において、シグナルの検出は、画像を取り込むこと、またはデジタル出力を(例えば、異なる画像の間で)生じさせることを含む場合がある。
【0191】
検出器は、サンプルと基体との間での連続的な直線運動および/または連続的な非直線運動(例えば、回転運動)の期間中における連続面走査が可能である場合がある。例えば、検出器は基体またはアレイを直線的または実質的に直線的な経路に沿って走査することができる。代替において、または加えて、検出器は、回転する基体における輪形、らせん形または弧形での経路を含めて、非直線的な経路に沿って走査する場合がある。検出器は連続面走査検出器である場合がある。連続面走査検出器が、走査域にわたる連続積分が可能である画像化アレイセンサーを含む場合がある。走査は、相対的運動している物体の画像に電子的に同期させられる場合がある。連続面走査検出器が、時間遅延積分(TDI)電荷結合デバイス(CCD)、ハイブリッドTDI、および/または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)擬似TDIを含む場合がある。
【0192】
回転走査経路については、走査方向は、物体の回転運動がθ方向においてである(R、θ)座標系において実質的にθである場合がある。走査システムによって画像化される物体(基体)の表面での任意の視野にわたって、見かけの速度が、
【数1】
【0193】
として物体表面での視野点の半径方向位置(R)とともに変化する場合がある。連続面走査検出器はすべての画像位置について同じ速度で走査する場合があり、したがって、曲面(または弧状または非直線走査)走査ではすべての画像化点について正しい走査速度で動作することができない場合がある。したがって、走査が、走査速度とは異なる速度で動く画像化された視野点については速度ぶれによって損なわれる場合がある。連続回転面走査が、この接線速度ぶれを実質的に補償するための、それによりこの走査収差を低減させるアルゴリズム的補正、光学的補正および/または電子的補正を行う光学的検出システムまたは光学的検出方法を含む場合がある。例えば、この補償が、示差的速度ぶれを補償するために回転基体での異なる半径に対応する様々な画像位置において示差的速度ぶれをデコンボリューションする画像処理アルゴリズムを使用することによってアルゴリズム的に達成される。別の例において、この補償が、アナモルフィック拡大勾配を使用することによって達成される。これは、走査方向を横切る2つ以上の基体位置において基体を異なる量によって1つの軸で拡大すること(アナモルフィック拡大)に役立つ場合がある。アナモルフィック拡大勾配はそのような2つ以上の位置の画像化速度を実質的に等しくなるように変更して、それにより基体上の2つの位置の接線速度差を補償する場合がある。この補償は、異なる速度勾配を基体表面の異なる半径での視野にわたって補うするために調節可能である場合がある。いくつかの場合において、画像化視野は、異なる速度で走査するためにそれぞれが電子的に制御されることが可能である2つ以上の領域にセグメント化される場合がある。これらの速度は、それぞれの領域の内部における平均投影物体速度に一致するように調節される場合がある。これらの領域は、1つまたは複数のビームスプリッターあるいは1つまたは複数のミラーを使用して光学的に規定される場合がある。これら2つ以上の領域は2つ以上の検出器に向けられる場合がある。これらの領域は、ただ1つの検出器のセグメントとして規定される場合がある。
【0194】
本明細書中に記載されるシステム、デバイスおよび方法は、特定の生物学的用途を有する場合がある。いくつかの例において、流体バリアシステムは核酸配列決定用途において使用される場合がある。サンプル環境が、アレイを含む基体を有するチャンバーの内部に設けられる場合がある。複数の核酸分子がアレイにおける個々にアドレス指定可能な場所に固定化される場合がある。標識されたヌクレオチドの溶液が、適するならば(例えば、標識されたヌクレオチドが核酸分子において空位位置に対して相補的であるならば)、標識されたヌクレオチドの少なくとも1つのサブセットが複数の核酸分子の少なくとも1つのサブセットに取り込まれることを可能にするために十分である条件のもとで基体に分配される場合があり、取り込まれなかったヌクレオチドが洗浄液により洗浄される場合がある。温度、圧力および/または湿度を含めてサンプル環境は、サンプル環境において使用される特定のサンプル(例えば、核酸分子)および/または行われる処理(例えば、取り込み反応)に一致して維持される場合がある。その後、流体バリアを実施し、それによりサンプル環境条件を維持している間に、本明細書中のどこか他のところで記載されるように構成される、プレートを通ってサンプル環境の中に突き出る検出器により、取り込まれている標識されたヌクレオチドからの1つまたは複数の検出可能なシグナルが、検出器と基体との相対的運動の期間中にアレイにおける個々にアドレス指定可能な場所から検出される場合がある。例えば、基体は、例えば、検出器が基体(または基体の所望のサブ区域)におけるすべての個々にアドレス指定可能な場所を検出することを可能にするなどのために、検出器に対して動かされる場合がある。いくつかの場合において、基体は、回転運動と、その後には直線運動とを繰り返された周期で受けて、その結果、それぞれの回転運動の後で、検出器が環状の輪を走査することができ、かつ、それぞれの直線運動の後で、検出器が、基体の中心からの異なる半径で別の環状の輪を走査するために位置づけられるようにされる場合がある。代替において、または加えて、基体は回転運動のみを受ける場合がある。代替において、または加えて、基体は直線運動のみを受ける場合がある。
【0195】
検出時に維持される流体バリアはバリアを制御されたサンプル環境と外部環境との間にもたらし、かつ、検出器とサンプルとの間における低摩擦または無摩擦の相対的運動を、制御されたサンプル環境を維持しながら可能にする場合がある。有益なことに、そのようなバリアは連続走査を100%または実質的に100%の相対湿度環境において可能にする場合がある。バリアは、漏れたときには凝縮し、高感度な機器、例えば、光学機器などに影響を及ぼす(例えば、腐食、汚染などを生じさせる)可能性がある湿度がサンプル環境から漏れることを防止する場合がある。さらに、バリアは、流体工学および/または検出(例えば、画像化)に影響を及ぼすことがある外部環境からの汚染物質がサンプル環境に入ることを防止する場合がある。
【0196】
理解されるであろうように、本明細書中に記載されるシステム、デバイスおよび方法はまた、例えば、非生物学的サンプルを分析するためなどの非生物学的用途を有する場合がある。
【0197】
コンピューターシステム
本開示は、本開示の方法を実施するためにプログラムされるコンピューター制御システムを提供する。図7は、サンプルの処理および/または検出を行うようにプログラムされるまたはそうでない場合には環境設定されるコンピューターシステム701を示す。コンピューターシステム701は本開示の方法およびシステムの様々な局面を調整することができる。コンピューターシステムは、本明細書中に記載されるいずれかのバリアシステムもしくはその構成要素および/またはいずれかの処理システムもしくはその構成要素を調整するように、あるいは本明細書中に記載されるいずれかのバリアシステムもしくはその構成要素および/またはいずれかの処理システムもしくはその構成要素と連絡するように構成される場合がある。例えば、コンピューターシステム701は、本明細書中に記載されるシステムの流体流ユニット、アクチュエーターおよび/または検出器と連絡するように構成されるコントローラーを備える場合があり、またはそのようなコントローラーである場合がある。
【0198】
コンピューターシステム701は、シングルコアプロセッサーまたはマルチコアプロセッサー、あるいは並列処理のための複数のプロセッサーであることが可能である中央処理装置(CPU、これはまた、本明細書中では「プロセッサー」および「コンピュータープロセッサー」)705を含む。コンピューターシステム701はまた、メモリーまたはメモリー場所710(例えば、ランダムアクセスメモリー、読み取り専用メモリー、フラッシュメモリー)と、電子記憶装置715(例えば、ハードディスク)と、1つまたは複数の他のシステムと通信するための通信インターフェース720(例えば、ネットワークアダプター)と、周辺機器725、例えば、キャッシュ、他のメモリー、データストレージおよび/または電子ディスプレイアダプターなどとを含む。メモリー710、記憶装置715、インターフェース720および周辺機器725は、通信バス(実線)を介して、例えば、マザーボードなどを介してCPU705と通信している。記憶装置715は、データを記憶するためのデータ記憶装置(またはデータ保存庫)であることが可能である。コンピューターシステム701は、通信インターフェース720の助けを借りてコンピューターネットワーク(「ネットワーク」)730に動作可能に連結されることが可能である。ネットワーク730は、インターネット、インターネットおよび/またはエクストラネット、あるいはインターネットと通信しているイントラネットおよび/またはエクストラネットであることが可能である。ネットワーク730はいくつかの場合には遠距離通信ネットワークおよび/またはデータネットワークである。ネットワーク730は、分散化計算処理、例えば、クラウド計算処理などを可能にすることができる1つまたは複数のコンピューターサーバーを含むことができる。ネットワーク730は、いくつかの場合にはコンピューターシステム701の助けを借りて、コンピューターシステム701に連結されるデバイスにクライアントまたはサーバーとして働くことを可能にさせることがあるピアツーピア・ネットワークを実施することができる。
【0199】
CPU705は、プログラムまたはソフトウェアにおいて具現化され得る一連の機械読み取り可能な命令を実行することができる。命令は、メモリー710などのメモリー場所に記憶される場合がある。命令はCPU705に向けられることが可能であり、続いて、命令は、本開示の方法を実施するためにCPU705をプログラムすることができ、またはそうでない場合には環境設定することができる。CPU705によって行われる作業の例には、フェッチ、デコード、実行およびライトバックを含むことができる。
【0200】
CPU705は、集積回路などの回路の一部分であることが可能である。システム701の1つまたは複数の他の構成要素が回路に含まれることが可能である。いくつかの場合には、回路は特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0201】
記憶装置715は、ドライバー、ライブラリーおよび保存されたプログラムなどのファイルを記憶することができる。記憶装置715は、ユーザーデータ、例えば、ユーザー選択およびユーザープログラムを記憶することができる。コンピューターシステム701はいくつかの場合には、コンピューターシステム701の外部にある、例えば、イントラネットまたはインターネットを介してコンピューターシステム701と通信しているリモートサーバーに置かれるなどの1つまたは複数のさらなるデータ記憶装置を含むことができる。
【0202】
コンピューターシステム701はネットワーク730を介して1つまたは複数のリモートコンピューターシステムと通信することができる。例えば、コンピューターシステム701はユーザーのリモートコンピューターシステムと通信することができる。リモートコンピューターシステムの例には、パーソナルコンピュータ(例えば、携帯用PC)、スレートPCもしくはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone、Android対応デバイス、Blackberry(登録商標))、または携帯情報端末が含まれる。ユーザーはネットワーク730を介してコンピューターシステム701にアクセスすることができる。
【0203】
本明細書中に記載されるような方法は、コンピューターシステム701の電子記憶場所に記憶される、例えば、メモリー710または電子記憶装置715などに記憶される機械(例えば、コンピュータープロセッサー)実行可能なコードとして実施されることが可能である。機械実行可能な、または機械読み取り可能なコードは、ソフトウェアの形態で提供することが可能である。使用中に、コードはプロセッサー705によって実行されることが可能である。いくつかの場合には、コードは記憶装置715から取り出され、プロセッサー705による容易なアクセスのためにメモリー710に記憶されることが可能である。いくつかの状況において、電子記憶装置715は含まれないことが可能であり、機械実行可能な命令がメモリー710に記憶される。
【0204】
コードは、該コードを実行するために適合化されるプロセッサーを有する機械を用いた使用のためにプリコンパイルされ、構成されることが可能であり、または実行時間中にコンパイルされることが可能である。コードは、プリコンパイルされた様式またはコンパイルされたままの様式で該コードが実行されることを可能にするために選択することができるプログラミング言語で与えられることが可能である。
【0205】
本明細書中に提供されるシステムおよび方法の様々な局面、例えば、コンピューターシステム701などの様々な局面が、プログラム作成において具現化されることが可能である。本技術の様々な局面が、所与タイプの機械読み取り可能な媒体で伝えられる、または所与タイプの機械読み取り可能な媒体において具体化される機械(またはプロセッサー)実行可能なコードおよび/または関連データの形態であることが典型的である「製造物」または「製造品」であると考えられる場合がある。機械実行可能なコードは、電子記憶装置、例えば、メモリー(例えば、読み取り専用メモリー、ランダムアクセスメモリー、フラッシュメモリー)またはハードディスクなどに記憶されることが可能である。「記憶」タイプの媒体には、コンピューター、プロセッサーもしくは類似物の有形メモリー、またはそれらの関連モジュール、例えば、様々な半導体メモリー、テープドライブ、ディスクドライブおよび類似物などのいずれかまたはすべてが含まれることが可能であり、これらは、ソフトウェアプログラミングのためにどのような時にでも非一時的な記憶を提供することがある。ソフトウェアのすべてまたは一部が時々、インターネットまたは様々な他の遠距離通信ネットワークを介して通信される場合がある。そのような通信は、例えば、ソフトウェアを1つのコンピューターまたはプロセッサーから別のコンピューターまたはプロセッサーに、例えば、管理サーバーまたはホストコンピューターからアプリケーションサーバーのコンピュータープラットフォームにロードすることを可能にする場合がある。したがって、ソフトウェアエレメントを運び得る別のタイプの媒体には、ローカルデバイスの間での物理的インターフェース同士の間で、有線陸線ネットワークおよび光陸線ネットワークを介して、ならびに様々なエアリンクによって使用されるなどの光波、電波および電磁波が含まれる。そのような波を伝える物理的要素、例えば、有線リンクもしくは無線リンク、光リンクまたは類似物などもまた、ソフトウェアを運ぶ媒体であると見なされる場合がある。本明細書中で使用される場合、非一時的な有形「記憶」媒体に限定される場合を除き、コンピューターまたは機械「読み取り可能な媒体」などの用語は、命令を実行のためにプロセッサーに提供することに関与する媒体をどのようなものであれ示す。
【0206】
したがって、機械読み取り可能な媒体、例えば、コンピューター実行可能なコードなどは、有形記憶媒体、搬送波媒体または物理的伝送媒体(これらに限定されない)を含めて多くの形態を取る場合がある。不揮発性記憶媒体には、例えば、光ディスクまたは磁気ディスク、例えば、どのようなコンピューターであれ(1つまたは複数の)コンピューターまたは類似物における記憶デバイスのいずれかなど、例えば、データベースなどを実施するために使用されることがある図面に示される記憶デバイスなどが含まれる。揮発性記憶媒体には、ダイナミックメモリー、例えば、そのようなコンピュータープラットフォームのメインメモリーなどが含まれる。有形の伝送媒体には、同軸ケーブル;コンピューターシステム内のバスを構成するワイヤを含めて銅線および光ファイバーが含まれる。搬送波伝送媒体は、電気シグナルもしくは電磁シグナルまたは音波もしくは光波、例えば、無線周波数(RF)データ通信時および赤外線(IR)データ通信時に生じるものなどの形態を取る場合がある。したがって、コンピューター読み取り可能な媒体の一般的形態には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVDまたはDVD-ROM、任意の他の光学的媒体、パンチカード紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理的記憶媒体、RAM、ROM、PROMおよびEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリーチップまたはメモリーカートリッジ、データまたは命令を伝達する搬送波、そのような搬送波を伝達するケーブルまたはリンク、あるいはコンピューターがプログラミングコードおよび/またはデータを読み取ることがある任意の他の媒体が含まれる。これらの形態のコンピューター読み取り可能な媒体の多くが、1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを実行のためにプロセッサーに伝えることに関与する場合がある。
【0207】
コンピューターシステム701は、例えば、検出結果をユーザーに提供するためのユーザーインターフェース(UI)740を備える電子ディスプレイ735を含むこと、またはそのような電子ディスプレイ735と通信していることが可能である。UIはさら、本開示の流体バリアシステムおよび/またはその構成要素(例えば、圧力変更装置、環境ユニット、検出器、浸漬筺体、検出器の運動、プレートの運動、容器の運動、基体の運動、サンプル処理など)を環境設定するためのコンソールを与える場合がある。UIの例には、限定されないが、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)、およびウェブに基づくユーザーインターフェースが含まれる。
【0208】
本開示の方法およびシステムが1つまたは複数のアルゴリズムとして実施されることが可能である。アルゴリズムが、中央処理装置705によって実行されるとソフトウェアとして実施される場合がある。
【0209】
本発明の様々な好ましい実施形態が本明細書中に示され、記載されているが、そのような実施形態は例としてのみ提供されることが当業者には明白であろう。本発明は、本明細書の範囲内において提供される具体的な例によって限定されることは意図されない。本発明が前述の明細書を参照して説明されているが、本明細書中の実施形態の説明および例示は、限定的な意味で解釈されることを意味していない。数多くの変化、変更および代用が今や、本発明から逸脱することなく当業者には想起されるであろう。さらに、本発明のすべての局面が、様々な条件および変数に依存する本明細書中に示される具体的な描写、構成または相対的割合に限定されないことが理解されなければならない。本明細書中に記載される本発明の実施形態に対する様々な代替が、本発明を実施する際に用いられ得ることが理解されなければならない。したがって、本発明はまた、そのような代替、改変、変形または均等物をどのようなものであれ包含するものとすることが意図される。下記の請求項は本発明の範囲を規定すること、ならびにこれらの請求項およびそれらの均等物の範囲に含まれる方法および構造が当該請求項によって包含されることが意図される。
【0210】
[実施例]
[実施例1]
核酸分子の配列決定のための画像化
図8は、生物学的分析物が固定化される基体を本開示のバリアシステムのサンプル環境において画像化することによって生じる画像の一例を示す。実質的に平面のアレイを含む基体810が、それに固定化されて、複数の生物学的分析物を、例えば、複数の核酸分子などを複数の個々にアドレス指定可能な場所820において有する。個々にアドレス指定可能な場所はランダムに並べられる場合があり、または順序づけられたパターンで並べられる場合がある。生物学的分析物がビーズに結合させられる場合があり、この場合、該ビーズがアレイに固定化される。ただ1つのビーズが複数の分析物を含む場合がある。ビーズが、個々にアドレス指定可能な場所に関連づけられる場合がある。複数の蛍光プローブ(例えば、蛍光標識されたA、T、CまたはGを含有する複数のヌクレオチドまたはその類似体)が、化学的処理作業ステーションにおける1つまたは複数の作業ユニット(例えば、試薬ディスペンサー)の助けを借りて基体810上に分配される。いくつかの実施形態において、基体は、所与の軸に関して回転するように構成される。基体810はその後、複数のプローブの少なくとも1つのプローブと生物学的分析物との間で反応を行わせて、この少なくとも1つのプローブを生物学的分析物に連結するために十分である条件に供される。連結されていないプローブが、1つまたは複数の作業ユニットの助けを借りて洗い流される。検出作業ステーションでは、流体バリアが維持されている間に、生物学的分析物に対する前記少なくとも1つのプローブの結合が、基体810の少なくとも一部分を(例えば、走査または固定視野画像化を介して)画像化すること、およびそれぞれの個々にアドレス指定可能な場所820のシグナルを測定することを含む測光学を使用して検出される。蛍光プローブに対して相補的であるヌクレオチドを含む核酸分子が、個々にアドレス指定可能な場所820において蛍光を有する。その後、これらの作業はそれぞれの作業ステーションで繰り返される場合があり、画像からのシグナルが、時間でのシグナルの軌跡をそれぞれの個々にアドレス指定可能な場所820におけるそれぞれの生物学的分析物について得るために同じ基体の以前の画像からのシグナルと照合される。複数の蛍光プローブの配列は作業のそれぞれの繰り返しについて既知であり、これにより、個々にアドレス指定可能な場所820のそれぞれにおける分析物についての知られた配列が得られる。
【0211】
[実施例2]
シグナル処理
図9は、生物学的分析物が固定化される基体を本開示のバリアシステムのサンプル環境において画像化することによって処理されるシグナルデータを示す。実質的に平面のアレイを含む基体が、それに固定化されて、大腸菌由来の核酸分子を有する。合成による配列決定を、本明細書中に記載される処理システムを使用して、フロー型の化学を使用して行った。画像化を、本明細書中のどこか他のところで記載されるように、バリアシステムの流体バリアが維持されている間に行った。パネル(A)は数百のコロニーの一組についてのシグナル分布(それぞれがただ1つの合成モノテンプレートの複製物である)を示す。x軸は、それぞれのサイクル(例えば、それぞれの化学フロー作業)の後における配列決定の長さを示す。パネル(B)では、同じデータがパラメトリックモデルにより処理されている。このパラメトリックモデルでは、異なるテンプレートカウント数(振幅)およびバックグラウンドレベルの原因がそれぞれのコロニーについて説明される。シグナルは、進みおよび遅れの位相合わせのモデルによりデコンボリューションされ、サイクル当たりの全般的シグナル損失の原因もまた説明する。ここに示される例では、名目上の位相合わせが、0.54%の遅延、0.41%の進み、および0.45%のシグナル損失であった。残存系統的変動はシーケンスコンテキストによるシグナル変動に起因することがあり、他のアルゴリズム(示されず)を使用してさらに補正することができる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】