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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】減少した色を有するポリマー中間膜
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20220202BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20220202BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
C08J5/18 CEX
B32B17/10
C03C27/12 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532843
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 US2019065374
(87)【国際公開番号】W WO2020123443
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】62/777,826
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503316891
【氏名又は名称】ソルティア・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】カンポ,ベルト・ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ブース,ハワード・ディー,ジュニア
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
4G061
【Fターム(参考)】
4F071AA29
4F071AA78
4F071AC10
4F071AE04
4F071AE09
4F071AF30
4F071AF34Y
4F071AH03
4F071AH07
4F071BB06
4F071BC01
4F071BC02
4F071BC12
4F100AG00A
4F100AG00C
4F100AK23B
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA13B
4F100CA04B
4F100CA13B
4F100GB07
4F100GB31
4F100GB32
4F100JN01
4F100JN01A
4F100JN01C
4F100JN30
4F100JN30A
4F100JN30B
4F100JN30C
4F100YY00
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4G061AA03
4G061BA02
4G061CB03
4G061CB19
4G061CD03
4G061CD18
4G061DA23
(57)【要約】
多層パネルのための低い色度を有するポリマー中間膜が開示される。低い色度を有するポリマー中間膜の使用は、低い色度及び低い黄色度指数を有する多層パネルを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(ビニルブチラール)樹脂及び少なくとも1種類の可塑剤を含むポリ(ビニルブチラール)中間膜であって、
前記中間膜が、6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定して)-1<a<0及び0<b<2の色座標a及びbを有する上記ポリ(ビニルブチラール)中間膜。
【請求項2】
前記中間膜が、6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定して)-0.55<a<0及び0<b<1.2の色座標a及びbを有する、請求項1に記載のポリ(ビニルブチラール)中間膜。
【請求項3】
前記中間膜が、6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定して)-0.3<a<0及び0<b<0.4の色座標a及びbを有する、請求項1に記載のポリ(ビニルブチラール)中間膜。
【請求項4】
前記中間膜が、6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に(ASTM-E313-III.C/2°Obs.にしたがって測定して)約-1.0~1.0の黄色度指数(YI)を有する、請求項1に記載のポリ(ビニルブチラール)中間膜。
【請求項5】
前記中間膜が、3.8mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に(ASTM-E313-III.C/2°Obs.にしたがって測定して)約-1.0~1.0の黄色度指数(YI)を有する、請求項1に記載のポリ(ビニルブチラール)中間膜。
【請求項6】
6.3mmの厚さを有する中間膜を有する積層体について測定した場合に(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定して)L≧90である、請求項1~5のいずれかに記載のポリ(ビニルブチラール)中間膜。
【請求項7】
3.8mmの厚さを有する中間膜を有する積層体について測定した場合に(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定して)L≧92である、請求項1~6のいずれかに記載のポリ(ビニルブチラール)中間膜。
【請求項8】
0.76mmの厚さを有する中間膜を有する積層体について測定した場合に(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定して)L≧95である、請求項1~7のいずれかに記載のポリ(ビニルブチラール)中間膜。
【請求項9】
前記中間膜が、少なくとも2つの層を有する多層中間膜である、請求項1~8のいずれかに記載のポリ(ビニルブチラール)中間膜。
【請求項10】
前記中間膜が、少なくとも3つの層を有する多層中間膜である、請求項1~8のいずれかに記載のポリ(ビニルブチラール)中間膜。
【請求項11】
第1のガラス基材;及び
第2のガラス基材;
ここで、前記第1及び第2のガラス基材は、4mmの厚さ、並びに色座標L、a及びb(ここで、L=96.6、-0.20<a<-0.15、及び0.08<b<0.15)を有する特に透明なフロートガラスからなる;並びに
前記第1の基材と前記第2の基材との間に請求項1~10のいずれかに記載のポリ(ビニルブチラール)中間膜;
を含む透明多層パネルであって;
前記多層パネルは、(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定した場合に)色座標L、a、及びb(ここで、L=92、a=-0.7、及びb=0.7)を有する上記透明多層パネル。
【請求項12】
前記多層パネルが、(ASTM-D1003及びASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定した場合に)少なくとも80%の光透過率(%T)を有する、請求項11に記載の多層パネル。
【請求項13】
前記中間膜が、厚さ0.76mmの少なくとも1つの層を有する多層中間膜である、請求項11に記載の多層パネル。
【請求項14】
前記中間膜が、厚さ0.76mmの少なくとも2つの層を有する多層中間膜である、請求項11に記載の多層パネル。
【請求項15】
色座標L、a、及びb(ここで、L=97.7、a=-0.05、及びb=0.7)を有する、6mmの呼び厚さを有するフロートガラスを含む第1の硬質基材;
色座標L、a、及びb(ここで、L=97.7、a=-0.05、及びb=0.7)を有する、6mmの呼び厚さを有するフロートガラスを含む第2の硬質基材;及び
前記第1の基材と第2の基材との間の0.76mmの呼び厚さを有するポリ(ビニルブチラール)中間膜;
を含む透明多層パネルであって、
前記多層パネルは、色座標L、a、及びb(ここで、L≧97.5、0<a<-0.4、及び0<b<1.5)を有し;
前記中間膜は、ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定した場合に、0<a<0.48及び0<b<0.6の色座標a及びbを有する上記透明多層パネル。
【請求項16】
色座標L、a、及びb(ここで、L=97.7、a=-0.05、及びb=0.7)を有する、6mmの呼び厚さを有するフロートガラスを含む第1の硬質基材;
色座標L、a、及びb(ここで、L=97.7、a=-0.05、及びb=0.7)を有する、6mmの呼び厚さを有するフロートガラスを含む第2の硬質基材;及び
前記第1の基材と第2の基材との間の1.52mmの呼び厚さを有するポリ(ビニルブチラール)中間膜;
を含む透明多層パネルであって、
前記多層パネルは、色座標L、a、及びb(ここで、L≧97.5、0<a<-0.48、及び0<b<1.5)を有し;
前記中間膜は、ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定した場合に、0<a<0.25及び0<b<0.35の色座標a及びbを有する上記透明多層パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、少なくとも1つのポリマー中間膜シートを有する多層パネル及び多層パネルのためのポリマー中間膜の分野に関する。具体的には本発明が低い色度を有するポリマー中間膜、及び低い色度、特に低い黄色度を有するポリマー中間膜を含む多層パネルの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
[002]多層パネルは、一般に、基材(例えばガラス、ポリエステル、ポリアクリレート、又はポリカーボネートであるが、これらに限定されない)の2つのシートを含み、その間に1以上のポリマー中間膜がサンドイッチされているパネルである。積層多層ガラスパネルは、建築用窓の用途、並びに自動車及び航空機の窓において通常的に用いられている。これらの用途は、通常は積層安全ガラスと呼ばれる。積層安全ガラスにおける中間膜の主要な機能は、ガラスに加えられる衝撃又は力から生起するエネルギーを吸収し、力が加えられてガラスが破損する場合であってもガラスの層を結合した状態で保持し、ガラスが鋭利な小片に分割されるのを阻止することである。更に、中間膜はまた、ガラスに非常により高い遮音等級を与え、UV及び/又はIR光の透過を減少させ、関連する窓の美的魅力を増大させることもできる。中間膜は、単一の層、2つ以上の単一の層の組み合わせ、共押出された多層、少なくとも1つの単一の層と少なくとも1つの多層の組み合わせ、或いは複数の多層シートの組み合わせであってよい。
【0003】
[003]積層安全ガラス、又は多層ガラスパネルは、自動車、鉄道、及び航空機などの輸送産業における多くの異なる用途において使用される。積層安全ガラスにおいて使用されるポリマー中間膜はまた、建築又は建物用途、例えば、建物又はスタジアムの窓用パネル、欄干、装飾パネル(オフィスなど)などにおいても使用されている。そのような用途は、色及び他の装飾的特徴をデザインに組み込むことによって、さらなる創造性を可能にする。
【0004】
[004]窓、風防、及び他の多層ガラスパネル用途のための中間膜は、一般にポリ(ビニルブチラール)などのポリマー樹脂(又は複数の樹脂)を1種類又は複数の可塑剤及び他の添加剤と混合し、この混合物を、押出など(しかしながらこれに限定されない)の当業者に公知の任意の適用可能なプロセス又は方法によってシートに溶融加工することによって製造される。2つ以上の層を含む多層中間膜については、これらの層を共押出及び積層などのプロセスによって結合させることができる。場合により、他の追加の成分を種々の他の目的のために添加することができる。中間膜シートが形成された後、中間膜シートは、通常は、下記で議論するように、輸送及び貯蔵のために、及び多層ガラスパネルにおけるその後の使用のために、回収されて圧延される。
【0005】
[005]PVB中間膜を製造するプロセスにおいて、樹脂及び可塑剤(及び任意の他の添加剤)と一緒に有機化合物を配合物に添加することができ、これらの有機化合物はしばしば特定の色を有する。中間膜の押出中に追加の色が加えられるることがあり(又はプロセス温度によって幾らかの追加の色が引き起こされることがあり)、これはしばしば僅かな黄色を有する中間膜をもたらす。
【0006】
[006]過去においては、黄色度又は黄色を減少させる試みにおいて、安定剤及び蛍光増白剤のような添加剤が配合物に添加されている。更に、黄色度に対する個々の成分の寄与を制限し、製造プロセスを変更する試みがなされてきたが、このようにして黄色度又は黄色を全て排除することは実際的ではない。現在商業的に入手できるPVB中間膜は、通常は少なくとも約2の黄色度指数(YI)(下記において更に議論するように、6.3mmの呼び厚さのPVBシートについてASTM-D1348及びE313にしたがって測定及び計算されるYI)を有し、CIELab色空間において測定される最も低い黄色(即ち無彩色に最も近い色)を有する中間膜は、約95を超えるL値、-1.0未満のa値、及び2.0を超えるか又は2.5を超えるb値を有する(YIについてはASTM法E313、色についてはE308によって測定される)。
【0007】
[007]企図されるポリマー中間膜としては、ポリ(ビニルブチラール)(PVB)などのポリ(ビニル)アセタール樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。多層積層体としては、多層ガラスパネル及び多層ポリマーフィルムを挙げることができる。特定の実施形態においては、多層積層体中の複数のポリマーフィルムを一緒に積層して多層フィルム又は中間膜を提供することができる。特定の実施形態においては、これらのポリマーフィルムは、金属、シリコーン、又は当業者に公知の他の適用可能なコーティングなどのコーティングを有し得る。多層ポリマーフィルムを含む個々のポリマーフィルムは、当業者に公知の接着剤を使用して一緒に積層することができる。
【0008】
[008]以下において、一般に中間膜と組み合わせた多層ガラスパネルを製造する方法の簡単な説明を与える。まず、少なくとも1つのポリマー中間膜シート(単一又は多層)をガラスパネルのような2つの基材の間に配置し、過剰の中間膜を端部から切除してアセンブリを形成する。特に建物における窓、内装又は外装パネル、欄干などのような建築及び/又は建物用途においては、複数のポリマー中間膜シート、又は複数の層を有するポリマー中間膜シート(或いは両方の組み合わせ)を2つの基材の間に配置して複数のポリマー中間膜を有する多層ガラスパネルを形成することは稀ではない。次に、当業者に公知の適用可能なプロセス又は方法によって、例えばニップローラー、真空バッグ、又は他の脱気メカニズムを用いてアセンブリから空気を除去する。更に、当業者に公知の任意の方法によって、中間膜を部分的に基材にプレス接着する。最後の工程においては、最終的な一体構造を形成するために、オートクレーブ処理など(しかしながらこれに限定されない)の当業者に公知の高温・高圧積層プロセスによってか、又は当業者に公知の任意の他のプロセスによって、この予備接着をより永久的にする。
【0009】
[009]多層積層体ガラスパネルの製造における問題の1つは、最終的な一体構造又は積層体(例えば、窓又はパネル)における種々の光学的欠陥及び/又は望ましくない色の存在である。多層ガラスパネルは、光学的欠陥がなく、一貫した色又は色調を有する必要がある。更に、多層ガラスパネルは美的に満足できるものである必要があり、すなわち、ガラスパネルは、望ましくない製造上の欠陥を有することができない。ガラスパネルに新しい特徴及び機能性を追加する際には、高い光学基準を維持することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
[010]良好な光学的品質及び色調は、多層ガラスパネルが窓のような、より高いレベルの光学的又は視覚的品質を必要とする用途に使用されるものである場合に、特に重要である。窓及び他のグレージング用途に使用される多層ガラスパネルを改良する試みにおいて、特に、それらを消費者にとってより美的に心地よいものにする試みにおいて、新しい色及び特徴が絶えず開発されている。低い色度又は結晶の透明な外観が望ましい窓及び他のパネルに使用するための改良された中間膜が必要とされている。また、非常に低い色度、特に低い黄色度を有する改良された中間膜が必要とされている。また、積層ガラスパネルにおいて他の中間膜及び異なるガラスタイプと組み合わせて使用することができる、低い色度又は結晶の透明な外観を有する中間膜が必要とされている。したがって、中間膜の光学的、機械的、及び性能特性を低下させることなく、特別な透明グレージング用途に使用するための、より低い色度又はより少ない黄色度を有する中間膜の開発が当技術分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[011]当技術分野におけるこれら及び他の問題のために、中でもa及びbの改善された組合せのような改善された色を有するポリマー中間膜がここで開示される。一実施形態においては、中間膜は、ポリ(ビニルブチラール)樹脂、可塑剤、及び少なくとも1種類の着色剤を含み、中間膜は、低い色度又は低い黄色度指数(YI)のような改善された特性を有する。一実施形態においては、ポリ(ビニルブチラール)中間膜は、ポリ(ビニルブチラール)樹脂及び少なくとも1種類の可塑剤を含み、中間膜は、(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定して)6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に、-1<a<0及び0<b<2の色座標a及びbを有する。
【0012】
[012]複数の実施形態においては、ポリ(ビニルブチラール)中間膜は、(ASTM-E313-III-C/2°Obsにしたがって測定して)6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に約-2.0~約2.0の黄色度指数(YI)を有するか、6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に約-1.5~約1.5の黄色度指数(YI)を有するか、又は6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に約-1.0~約1.0の黄色度指数(YI)を有するか、又は6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に約-0.5~約0.5の黄色度指数(YI)を有するか、又は3.8mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に約-1.0~約1.0の黄色度指数(YI)を有するか、又は3.8mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に約-0.5~約0.5の黄色度指数(YI)を有するか、又は3.8mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に約-0.4~約0.4の黄色度指数(YI)を有するか、又は0.76mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に約-1.0~約0.1.0の黄色度指数(YI)を有するか、又は0.76mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に約-0.5~0.5の黄色度指数(YI)を有するか、又は0.76mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に約-0.4~約0.4の黄色度指数(YI)を有するか、又は0.76mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に約-0.3~0.3の黄色度指数(YI)を有するか、又は0.76mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に約-0.20~0.20の黄色度指数(YI)を有する。
【0013】
[013]複数の実施形態において、ポリ(ビニルブチラール)中間膜は、(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定して)6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に-0.65<a<0及び0<b<1.5の色座標a及びbを有するか、又は6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に-0.55<a<0及び0<b<1.2の色座標a及びbを有するか、又は6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に-0.45<a<0及び0<b<0.8の色座標a及びbを有するか、又は6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に-0.4<a<0及び0<b<0.7の色座標a及びbを有するか、又は6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に-0.3<a<0及び0<b<0.4である色座標a及びbを有する。
【0014】
[014]複数の実施形態において、中間膜は、(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定して)6.3mmの厚さを有する中間膜を有する積層体上で測定した場合に、L≧90、又はL≧90.5、又はL≧91、又はL≧91.5を有する。
【0015】
[015]複数の実施形態において、中間膜は、(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定して)3.8mmの厚さを有する中間膜を有する積層体上で測定した場合にL≧92、又はL≧92.5、又はL≧93を有する。
【0016】
[016]複数の実施形態において、中間膜は、(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定して)0.76mmの厚さを有する中間膜を有する積層体上で測定した場合にL≧94、又はL≧94.5、又はL≧95を有する。
【0017】
[017]複数の実施形態において、中間膜は少なくとも2つの層を有する多層中間膜であり、又は中間膜は少なくとも3つの層を有する多層中間膜であり、又は中間膜は3つより多い層を有する多層中間膜である。
【0018】
[018]別の実施形態においては、透明多層パネルは、第1のガラス基材、及び第2のガラス基材(ここで、第1及び第2のガラス基材は、4mmの厚さ、及び色座標L、a及びb(L=96.6、-0.20<a<-0.15、及び0.08<b<0.15)を有する特に透明なフロートガラスからなる)、並びに第1及び第2の基材の間に前述のポリ(ビニルブチラール)中間膜を含み、多層パネルは、色座標L、a及びb(L=92、a=-0.7、及びb=0.7)を有する(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定した場合)。
【0019】
[019]別の実施形態においては、透明多層パネルは、第1のガラス基材、及び第2のガラス基材(ここで、第1及び第2のガラス基材は、4mmの厚さ、及び色座標L、a及びb(L=96.6、-0.20<a<-0.15及び0.08<b<0.15)を有する特に透明なフロートガラスからなる)、並びに第1及び第2の基材間に前述のポリ(ビニルブチラール)中間膜を含み、多層パネルは、色座標L、a及びb(L=93.5、a=-0.6及びb=0.6)を有する(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定した場合)。
【0020】
[020]別の実施形態においては、透明多層パネルは、第1のガラス基材、及び第2のガラス基材(ここで、第1及び第2のガラス基材は、4mmの厚さ、及び色座標L、a及びb(L=96.6、-0.20<a<-0.15及び0.08<b<0.15)を有する特に透明なフロートガラスからなる)、並びに第1及び第2の基材間に前述のポリ(ビニルブチラール)中間膜を含み、多層パネルは、色座標L、a及びb(L=95.7、a=-0.45及びb=0.3)を有する(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定した場合)。
【0021】
[021]複数の実施形態において、多層パネルは、(ASTM-D1003及びASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定した場合に)少なくとも80%の光透過率(%T)を有するか、又は多層パネルは少なくとも84%の光透過率(%T)を有するか、又は多層パネルは少なくとも89%の光透過率(%T)を有する。
【0022】
[022]別の実施形態においては、多層パネルは、6mmの厚さを有する第1のガラス基材、ポリ(ビニルブチラール)樹脂及び少なくとも1種類の可塑剤を含む中間膜(ここで、(1.52mmPVBの中間膜厚さを有するパネルについて測定した場合に)パネルは色座標a及びbを有し、パネルは色座標a及びbを有し、ここでa=-0.45及びb=1.31である)、及び6mmの厚さを有する第2のガラス基材を含み、ここで6mmのガラス基材のそれぞれは色座標a=0.04及びb=1.15を有し、これらは全てASTM-E1348-III.D65/10°ObsCIELab.にしたがって測定される。複数の実施形態において、多層パネルは、1.52mmの厚さを有する中間膜を有するパネルについてASTM-E313-III-C/2°Obsにしたがって測定した場合に-0.5≦YI≦0.5である黄色度指数(YI)を有する。
【0023】
[023]別の実施形態においては、多層パネルは、6mmの厚さを有する第1のガラス基材、ポリ(ビニルブチラール)樹脂及び少なくとも1種類の可塑剤を含む中間膜(ここで、パネルは、(0.76mmの厚さを有する中間膜を有するパネルについて測定し場合に)色座標a及びbを有し、a=-0.31及びb=1.31である)6mmの厚さを有する第2のガラス基材を含み、6mmのガラス基材のそれぞれは色座標a=0.04及びb=1.15を有し、これらは全てASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELab.にしたがって測定される。複数の実施形態において、多層パネルは、0.76mmの厚さを有する中間膜についてASTM-E313-III-C/2°Obs.にしたがって測定した場合に-0.25≦YI≦0.25である黄色度指数(YI)を有する。
【0024】
[024]複数の実施形態において、多層パネルは、ASTM-D1003及びASTM-E1348-III-D65/10°Obs.CIELab.にしたがって測定した場合、L≧97.5及び少なくとも95%の視感透過率(%T)、又はL≧97.0及び少なくとも94%の視感透過率(%T)を有する。
【0025】
[025]複数の実施形態においては、中間膜は、厚さ0.76mmの少なくとも1つの層を有する多層中間膜であり、又は中間膜は厚さ0.76mmの少なくとも2つの層を有する多層中間膜である。
【0026】
[026]別の実施形態においては、透明多層パネルは、色座標L、a及びb(ここで、L=97.7、a=-0.05、b=0.7)を有する6mmの呼び厚さを有するフロートガラスを含む第1の硬質基材、色座標L、a及びb(ここで、L=97.7、a=-0.05、b=0.7)を有する6mmの呼び厚さを有するフロートガラスを含ム第2の硬質基材、及び第1及び第2の基材の間の0.76mmの呼び厚さを有するポリ(ビニルブチラール)中間膜を含み、多層パネルは色座標L、a及びb(ここで、L≧97.5、0<a<-0.4及び0<b<1.5)を有し、中間膜はASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELab.にしたがって測定した場合に0<a<0.48及び0<b<0.6の色座標a及びbを有する。
【0027】
[027]別の実施形態においては、透明多層パネルは、色座標L、a及びb(ここで、L=97.7、a=-0.05、b=0.7)を有する呼び厚さ6mmを有するフロートガラスを含む第1の硬質基材、色座標L、a及びb(ここで、L=97.7、a=-0.05、b=0.7)を有する呼び厚さ6mmを有するフロートガラスを含む第2の硬質基材、及び第1及び第2の基材の間に1.52mmの呼び厚さを有するポリ(ビニルブチラール)中間膜を含み、多層パネルは、色座標L、a及びb(ここで、L≧97.5、0<a<-0.48及び0<b<1.5)を有し、中間膜はASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELab.にしたがって測定した場合に0<a<0.25及び0<b<0.35の色座標a及びbを有する。
【0028】
[028]追加の実施形態においては、改良された着色ポリ(ビニルブチラール)シートを製造するための方法は、ポリ(ビニルブチラール)樹脂を提供すること;可塑剤を提供すること;ポリ(ビニルブチラール)シートの色度を減少させるのに十分な量の少なくとも1種類の添加剤を提供すること;ポリ(ビニルブチラール)樹脂、可塑剤、及び添加剤を溶融ブレンドしてポリ(ビニルブチラール)溶融ブレンドを生成させること;及びポリ(ビニルブチラール)溶融ブレンドをポリ(ビニルブチラール)シートに押し出すこと;を含み;ポリ(ビニルブチラール)シートは、6.3mmの厚さを有するシートについて測定した場合に(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定して)-1<a<0及び0<b<2の色座標a及びbを有する。複数の実施形態において、ポリ(ビニルブチラール)シートは、6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に約-2.0~約2.0の黄色度指数(YI)を有する。他の実施形態においては、ポリ(ビニルブチラール)シートは、いずれかの前述の範囲内の色座標及び/又は黄色度指数を有する。
【0029】
[029]複数の実施形態においては、中間膜は単一の層を含み、他の実施形態においては中間膜は、2つの層、3つの層、又は4つ以上の層のような複数の層を含む。
[030]特定の実施形態においては、硬質基材(単数又は複数)はガラスである。他の実施形態においては、パネルは、中間膜が光起電セルを封入している光電池を更に含み得る。他の実施形態においては、パネルは、反射コーティング又はUVを吸収するコーティングのようなコーティングを有するか又は有しないフィルムを更に含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】[031]図1は、色座標、及び色を調整することができる範囲を示すグラフを与える。
図2】[032]図2は、低い色度又は低い黄色度を有するための対象の領域のより詳細なグラフ図を与える。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[033]本明細書では、中でも熱可塑性樹脂、可塑剤、及び少なくとも1種類の添加剤から構成される中間膜であって、中間膜は低い黄色度及び透明な外観、良好な光学特性、並びに他の特性が許容されるような他の特性の最小の変化又は減少を有する中間膜を記載する。
【0032】
[034](PVBのような)ポリマー中間膜中にある量の黄色度又は黄色が存在するために、顧客は、建築用途のような用途において透明なグレージングを使用しようとする場合にこの問題をしばしば見出す。本発明者らは、PVBの得られる色がほとんどか又は全く黄色度を有さないように選択された比率及び濃度で着色剤を添加することによって、黄色度を低下させて(又は黄色のレベルを低下させて)、より無色のポリマー材料を生成することが可能であることを見出した。本明細書で使用する低い色度又は低い黄色度とは、一般に0<YI<2の黄色度指数を有する中間膜を指す。下記において更に記載するように、特定の着色剤をポリマー中間膜に添加することによって、ポリマーシートのa及びb値を変化させることが可能である。異なる着色剤の組み合わせを使用して色を変更又は制御するこの同じ原理を使用して、所望であればポリマーシートの色を異なる範囲の色座標(すなわち、0、0のa及びb値に近い色座標)に制御することができる。
【0033】
[035]一実施形態においては、中間膜は、ポリ(ビニルブチラール)樹脂、可塑剤、及び着色剤、顔料又は染料のような少なくとも1種類の添加剤を含み、中間膜は(ASTM-E313によって測定して)0.0~0.2のYIを有する。
【0034】
[036]一実施形態においては、ポリ(ビニルブチラール)中間膜はポリ(ビニルブチラール)樹脂及び少なくとも1種類の可塑剤を含み、中間膜は6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に、(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定して)-1<a<0及び0<b<2の色座標a及びbを有する。
【0035】
[037]複数の実施形態において、ポリ(ビニルブチラール)中間膜は、6.3mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に、約-2.0~約2.0の黄色度指数(YI)を有するか、又は3.8mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に約-1.0~約1.0の黄色度指数(YI)を有するか、又は0.76mmの厚さを有する中間膜について測定した場合に、(ASTM-E313-III-C/2°Obsにしたがって測定して)約-1.0~1.0の黄色度指数(YI)を有する。
【0036】
[038]複数の実施形態において、中間膜は、6.3mmの厚さを有する中間膜を有する積層体について測定した場合、(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定して)L≧90を有する。複数の実施形態において、中間膜は、3.8mmの厚さを有する中間膜を有する積層体について測定した場合に、(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定して)L≧92を有する。複数の実施形態において、中間膜は、0.76mmの厚さを有する中間膜を有する積層体について測定した場合に、(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定して)L≧94を有する。
【0037】
[039]複数の実施形態において、中間膜は少なくとも2つの層を有する多層中間膜であり、又は中間膜は少なくとも3つの層を有する多層中間膜であり、又は中間膜は3つより多い層を有する多層中間膜である。
【0038】
[040]別の実施形態においては、透明多層パネルは、第1のガラス基材、第2のガラス基材(ここで、第1及び第2のガラス基材は4mmの厚さ及び色座標L、a及びb(ここで、L=96.6、-0.20<a<-0.15及び0.08<b<0.15である)を有する特に透明なフロートガラスからなる)、及び第1及び第2の基材の間に請求項1に記載のポリ(ビニルブチラール)中間膜を含み、多層パネルは、(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定した場合に)色座標L、a及びb(ここで、L=92、a=-0.7及びb=0.7である)を有する。
【0039】
[041]別の実施形態においては、透明多層パネルは、第1のガラス基材、第2のガラス基材(ここで、第1及び第2のガラス基材は4mmの厚さ及び色座標L、a及びb(ここで、L=96.6、-0.20<a<-0.15及び0.08<b<0.15である)を有する特に透明なフロートガラスからなる)、及び第1及び第2の基材の間に請求項2に記載のポリ(ビニルブチラール)中間膜を含み、多層パネルは、(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定した場合に)色座標L、a及びb(ここで、L=93.5、a=-0.6及びb=0.6である)を有する。
【0040】
[042]別の実施形態においては、透明多層パネルは、第1のガラス基材、第2のガラス基材(ここで、第1及び第2のガラス基材は4mmの厚さ及び色座標L、a及びb(ここで、L=96.6、-0.20<a<-0.15及び0.08<b<0.15である)を有する特に透明なフロートガラスからなり、及び第1及び第2の基材の間に請求項3に記載のポリ(ビニルブチラール)中間膜を含み、多層パネルは、(ASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定した場合に)色座標L、a及びb(ここで、L=95.7、a=-0.45及びb=0.3である)を有する。
【0041】
[043]複数の実施形態において、多層パネルは、(ASTM-D1003及びASTM-E1348-III.D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定した場合)少なくとも80の光透過率(%T)を有する。
【0042】
[044]別の実施形態においては、多層パネルは、6mmの厚さを有する第1のガラス基材、ポリ(ビニルブチラール)樹脂及び少なくとも1種類の可塑剤を含む中間膜、及び6mmの厚さを有する第2のガラス基材を含み、ここで、6mmのガラス基材のそれぞれは色座標a=0.04及びb=1.15を有し、パネルは、1.52mmPVBの中間膜厚さを有するパネルについて測定した場合にa=-0.45及びb=1.31の色座標a*及びb*値を有し、これらは全てASTM-E1348-III-D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定される。複数の実施形態において、多層パネルは、1.52mmの厚さを有する中間膜を有するパネルについてASTM-E313-III-C/2°Obsにしたがって測定した場合に-0.5≦YI≦0.5である黄色度指数(YI)を有する。
【0043】
[045]別の実施形態においては、多層パネルは、6mmの厚さを有する第1のガラス基材、ポリ(ビニルブチラール)樹脂及び少なくとも1種類の可塑剤を含む中間膜、及び6mmの厚さを有する第2のガラス基材を含み、6mmのガラス基材のそれぞれは色座標a=0.04及びb=1.15を有し、パネルは、0.76mmの厚さを有する中間膜を有するパネルについて測定した場合にa=-0.31及びb=1.31を有し、これらは全てASTM-E1348-III-D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定される。複数の実施形態において、多層パネルは、0.76mmの厚さを有する中間膜について、ASTM-E313-III-C/2°Obsにしたがって測定した場合に-0.25≦YI≦0.25である黄色度指数(YI)を有する。
【0044】
[046]複数の実施形態において、多層パネルは、ASTM-D1003及びASTM-E1348-III-D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定した場合に、L≧97.5及び少なくとも95%の視感透過率(%T)、又はL≧97.0及び少なくとも94%の視感透過率(%T)を有する。複数の実施形態において、中間膜は厚さ0.76mmの少なくとも1つの層を有する多層中間膜であり、又は中間膜は厚さ0.76mmの少なくとも2つの層を有する多層中間膜である。
【0045】
[047]別の実施形態においては、透明多層パネルは、色座標L、a及びb(ここで、L=97.7、a=-0.05、b=0.7)を有する6mmの呼び厚さを有するフロートガラスを含む第1の硬質基材、色座標L、a及びb(ここで、L=97.7、a=-0.05、b=0.7)を有する6mmの呼び厚さを有するフロートガラスを含む第2の硬質基材、及び第1及び第2の基材の間に0.76mmの呼び厚さを有するポリ(ビニルブチラール)中間膜を含み、多層パネルは色座標L、a及びb(ここで、L≧97.5、0<a<-0.4及び0<b<1.5)を有し、中間膜はASTM-E1348-III-D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定した場合に0<a<0.48及び0<b<0.6の色座標a及びbを有する。
【0046】
[048]別の実施形態においては、透明多層パネルは、色座標L、a及びb(ここで、L=97.7、a=-0.05、b=0.7)を有する6mmの呼び厚さを有するフロートガラスを含む第1の硬質基材、色座標L、a及びb(ここで、L=97.7、a=-0.05、b=0.7)を有する呼び厚さ6mmを有するフロートガラスを含む第2の硬質基材、及び第1及び第2の基材の間に呼び厚さ1.52mmを有するポリ(ビニルブチラール)中間膜を含み、多層パネルは色座標L、a及びb(ここで、L≧97.5、0<a<-0.48及び0<b<1.5)を有し、中間膜は、ASTM-E1348-III-D65/10°Obs.CIELabにしたがって測定した場合に0<a<0.25及び0<b<0.35の色座標a及びbを有する。
【0047】
[049]ポリ(ビニルブチラール)樹脂のようなポリ(ビニルアセタール)樹脂、可塑剤、及び少なくとも1種類の添加剤の使用は、溶融押出した場合に、他の物理的及び光学的特性を犠牲にすることなく、低い黄色度を有する中間膜を生成する。本明細書で使用する「より低い色度」、「無彩色」及び「透明」は、より少ない黄色度又はより低い黄色度指数(YI)を有し、0にできるだけ近いa及びb値、好ましくはb>0及びa<0を有する色を意味するが、他の実施形態においては、所望の特性に応じて、色座標はa及びbが実質的に0に近い限りにおいて、b<0及びa<0、b<0及びa>0並びにb>0及びa>0を含み得る。より低い色度、無彩色、及び透明という用語はすべて、黄色度又は黄色(又はその欠如)を指し、本明細書全体にわたって互換的に使用されてもよい。
【0048】
[050]前述したように、中間膜に黄色度の低い外観を与える試みは、黄色度又は黄色を低減する糸で安定剤及び蛍光増白剤などの添加剤を配合物に添加することによってなされてきた。黄色度を減少させる以前の試みの例は、例えば、Liu, R., He, B. & Chen, X. 2008に見出すことができる。Degradation of poly(vinyl butyral) and its stabilization by bases. Polymer Degradation and Staibility 93(4): 846-853;米国公開第20140371356号;及び米国特許第5,573,842号において見られる。しばしば「青色」化合物と考えられる蛍光増白剤を添加して黄色を補償又は減少させると、得られるポリマーはしばしば緑色に見える。更に、製造プロセスを変更することによって個々の成分の黄色度への寄与を制限する試みがなされてきたが、この方法で黄色度又は黄色をすべて除去することは実際的ではない。
【0049】
[051]本発明者らは、得られるPVBの色が黄色度をほとんどか又は全く有さない(0<YI<2)ように選択された比及び濃度で、他の原料(PVB及び可塑剤など)に着色剤を添加することによって、色度(a値及びb値によって決定される)を低下させ、黄色の外観(YI値によって決定される)を低下させて、より無色のPVB材料を生成することが可能であることを発見した。良好な光学品質及び改善された色(より低い色度又は特別な透明)を有するポリマー中間膜を製造することができる。特定の着色剤の添加を使用することによって、以下に更に記載されるように、PVBシートのa及びb値を制御することが可能である。
【0050】
[052]図1は、着色剤などの特定の添加剤を添加することによって、色座標a、b及びLを制御することができ、添加剤を適切な量で添加すると、低い黄色座標bを有する色度が減少したポリマーシートを製造することができることを示す。図2に示すように、本発明の例は0に近いa及びb値を有し、添加剤を含まない市販のPVBシートのような他の中間膜シートは、はるかに高いa及びb値を有する色座標を有する。a及びb値が高いほど、望ましくない高い色度(すなわち黄色度)につながる。
【0051】
[053]本明細書を通して使用されるいくつかの用語は、本発明のより良い理解を提供するために説明される。本明細書で使用される用語「ポリマー中間膜シート」、「中間膜」、及び「ポリマー溶融シート」は、一般に、単層シート又は多層中間膜を指すことができる。「単層シート」は名前が意味するように、1つの層として押し出される単一ポリマー層である。他方、多層中間膜は別々に押し出される層、同時押出される層、又は別々に押し出される層と同時押出される層との任意の組み合わせを含む複数の層を含むことができる。したがって、多層中間膜は例えば、2つ以上の一緒に組み合わされた単層シート(複数層シート)、2つ以上の共押出されたシート(共押出されたシート)、一緒に組み合わされた2つ以上の共押出されたシート、少なくとも1つの単層シートと少なくとも1つの共押出されたシートとの組み合わせ、及び少なくとも1つの複数層シートと少なくとも1つの共押出されたシートとの組み合わせを含むことができる。本発明の種々の実施形態においては、多層中間膜は、互いに直接接触して配置された少なくとも2つのポリマー層(例えば、単一層又は共押出された複数の層)(ここで、それぞれの層は以下に詳述されるようにポリマー樹脂を含む)を含む。本明細書において使用する「スキン層」は一般に多層中間膜の外側層を指し、「コア層」は一般に1つ又は複数の内側層を指す。したがって、1つの代表的な実施形態は、スキン層/コア層/スキン層である。しかしながら、さらなる実施形態は、3つ以上の層(例えば、4、5、6、又は10以下の個々の層)を有する中間膜を含む。更に、利用される任意の多層中間膜は、層の組成、厚さ、又は配置などを操作することによって変化させることができる。例えば、1つの三層ポリマー中間膜シートにおいて、2つの外側層又はスキン層は可塑剤又は複数の可塑剤の混合物を有するポリ(ビニルブチラール)(PVB)樹脂を含んでいてよく、一方、内側層又はコア層は同じか又は異なるPVB樹脂又は異なる熱可塑性材料を、可塑剤及び/又は複数の可塑剤の混合物と共に含んでいてよい。したがって、多層中間膜シートのスキン層及び1つ又は複数のコア層は、同じ熱可塑性材料又は異なる熱可塑性材料から構成することができると考えられる。いずれか又は両方の層には、所望に応じて当該技術において公知の追加の添加剤を含ませることができる。
【0052】
[054]以下に記載される実施形態はPVBであるポリマー樹脂を言及するが、ポリマーは多層パネルでの使用に適した任意のポリ(ビニルアセタール)ポリマーであり得ることが当業者によって理解される。PVBは、窓及び他のグレージング用途において使用するために、本発明の中間膜と共に使用される場合に特に望ましい。
【0053】
[055]中間膜(一般的な中間膜及び本発明の中間膜の両方)において見られるいくつかの一般的な成分、及びその形成について議論する。PVB樹脂は、酸触媒の存在下でポリビニルアルコール(PVOH)をブチルアルデヒドと反応させ、樹脂の分離、安定化、及び乾燥することによって、公知の水性又は溶媒アセタール化プロセスによって製造される。このようなアセタール化プロセスは例えば、米国特許2,282,057及び2,282,026ならびにWade, B.2016, Vinyl Acetal Polymers, Encyclopedia of Polymer Science and Technology.1-22(オンライン, 著作権2016 John Wiley & Sons, Inc.)(その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる)において開示されている。この樹脂は例えば、Eastman Chemical CompanyからButvar(登録商標)樹脂のような種々の形態で市販されている。
【0054】
[056]本明細書中で使用する残留ヒドロキシル含有量(PVOHとして計算)は、処理が完了した後にポリマー鎖上に残留するヒドロキシル基の量を指す。例えば、PVBはポリ(酢酸ビニル)をPVOHに加水分解し、次いでPVOHをブチルアルデヒドと反応させることによって製造することができる。ポリ(酢酸ビニル)を加水分解するプロセスにおいて、通常はアセテート側基の全てがヒドロキシル基に変換されるわけではない。更に、ブチルアルデヒドとの反応では、通常は全てのヒドロキシル基がアセタール基に変換されるわけではない。その結果、いずれの最終的なポリ(ビニルブチラール)樹脂においても、通常はポリマー鎖上の側基として残留アセテート基(酢酸ビニル基として)及び残留ヒドロキシル基(ビニルヒドロキシル基として)が存在する。本明細書中で使用する残留ヒドロキシル含有量は、ASTM-1396にしたがって重量パーセント基準で測定される。
【0055】
[057]種々の実施形態において、ポリ(ビニルブチラール)樹脂は、中間膜の所望の特性に応じて、PVOHとして計算して約8~約35質量%(重量%)のヒドロキシル基を含む。複数の実施形態においては、樹脂(又は少なくとも1つの樹脂)は、PVOHとして計算して約10~30重量%、又は約15~25重量%のヒドロキシル基を含み得るが、所望の特性に応じて他の量も考えられる。樹脂はまた、ポリビニルエステル、例えばアセテートとして計算して15重量%未満の残留エステル基、13重量%未満、11重量%未満、9重量%未満、7重量%未満、5重量%未満、又は1重量%未満の残留エステル基を含み得、残りはアセタール、例えばブチルアルデヒドアセタールであるが、場合によっては他のアセタール基、例えば2-エチルヘキサナールアセタール基、又はブチルアルデヒドアセタール、イソブチルアルデヒドアセタール、及び2-エチルヘキサナールアセタール基の混合物である(例えば、米国特許第5,137,954号(その全内容は本明細書中に参考として援用される)を参照)。
【0056】
[058]与えられたタイプの可塑剤について、ポリマー中における可塑剤の相溶性は、主としてポリマーのヒドロキシル含有量によって決定される。より大きな残留ヒドロキシル含量を有するポリマーは、通常は減少した可塑剤相溶性又は容量と相関する。逆に、より低い残留ヒドロキシル含量を有するポリマーは、通常は増加した可塑剤相溶性又は容量を与える。一般に、ポリマーの残留ヒドロキシル含有量と可塑剤の相溶性/容量との間のこの相関は、適切な量の可塑剤のポリマー樹脂への添加を可能にし、複数の中間膜間の可塑剤含有量の差を安定的に維持するために操作及び利用することができる。
【0057】
[059]本発明のPVB樹脂(又は複数の樹脂)は、通常は、小角レーザー光散乱を用いてサイズ排除クロマトグラフィーによって測定して50,000ダルトンより大きく、約50,000ダルトン~約500,000ダルトン、約70,000ダルトン~約500,000ダルトン、約80,000ダルトン~約250,000ダルトン、約500,000ダルトン未満、又は約250,000ダルトン未満の分子量を有する。本明細書で使用される「分子量」という語は、重量平均分子量を意味する。
【0058】
[060]添加剤が所望の色及び他の特性に悪影響を及ぼさない限りにおいて、他の添加剤を中間膜に組み込んで、最終製品におけるその性能を向上させ、中間膜に特定の追加の特性を付与することができる。そのような添加剤としては、当業者に公知の添加剤の中で、接着制御剤(ACA)、色素、他の顔料(例えば、着色顔料又は二酸化チタン)、安定剤(例えば、紫外線安定剤)、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤又は遮蔽剤(例えば、インジウムスズ酸化物、アンチモンスズ酸化物、六ホウ化ランタン(LaB)、及びセシウムタングステン酸化物)、加工助剤、流動促進添加剤、潤滑剤、衝撃改質剤、成核剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、分散剤、界面活性剤、キレート剤、カップリング剤、接着剤、プライマー、強化添加剤、及び充填剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
[061]本発明の中間膜の種々の実施形態においては、中間膜は約5~約100phr(樹脂100部当たりの部数)の全可塑剤を含む。本明細書で使用される中間膜中の可塑剤又は任意の他の成分の量は、重量/重量基準で、樹脂100部当たりの部(phr)として測定することができる。例えば、30グラムの可塑剤を100グラムのポリマー樹脂に添加する場合、得られる可塑化ポリマーの可塑剤含有量は30phrになる。本明細書において、中間膜の可塑剤含有量が与えられる場合、可塑剤含有量は、中間膜を製造するために使用された溶融物中の可塑剤のphrを参照して決定される。
【0060】
[062]これらの中間膜において使用するのに適した可塑剤の例としては、中でも多塩基酸又は多価アルコールのエステルが挙げられる。好適な可塑剤としては、例えば、トリエチレングリコールジ-(2-エチルヘキサノエート)(3GEH)、テトラエチレングリコールジ-(2-エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコールジ-(2-エチルブチレート)、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート、ジブチルセバケート、及びそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態においては、可塑剤は3GEHである。
【0061】
[063]他の実施形態において、高屈折率可塑剤を、単独か、又は3GEHなどの他の可塑剤と組み合わせて使用することができる。本明細書で使用する「高屈折率可塑剤」は、少なくとも約1.460の屈折率を有する可塑剤である。3GEHなどの一般に使用される可塑剤の屈折率は約1.442であり、多くの他の従来の可塑剤の屈折率は約1.442~約1.449である。ポリマー中間膜に使用することができる高屈折率を有する可塑剤の例としては、ポリアジペート(約1.460~約1.485のRI);エポキシ化大豆油などのエポキシド(約1.460~約1.480のRI);フタレート及びテレフタレート(約1.480~約1.540のRI);ベンゾエート(約1.480~約1.550のRI);及び他の特殊な可塑剤(約1.490~約1.520のRI)が挙げられるが、これらに限定されない。ポリ(ビニルブチラール)樹脂の屈折率は約1.485~1.495である。高屈折率可塑剤の例としては特に、多塩基酸又は多価アルコールのエステル、ポリアジペート、エポキシド、フタレート、テレフタレート、ベンゾエート、トルエート、メリテート、及び他の特殊な可塑剤が挙げられるが、これらに限定されない。好適な可塑剤の例としては、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ポリプロピレングリコールジベンゾエート、イソデシルベンゾエート、2-エチルヘキシルベンゾエート、ジエチレングリコールベンゾエート、プロピレングリコールジベンゾエート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールベンゾエートイソブチレート、1,3-ブタンジオールジベンゾエート、ジエチレングリコールジ-o-トルエート、トリエチレングリコールジ-o-トルエート、ジプロピレングリコールジ-o-トルエート、1,2-オクチルジベンゾエート、トリ-2-エチルヘキシルトリメリテート、ジ-2-エチルヘキシルテレフタレート、ビスフェノールAビス(2-エチルヘキサノエート)、エトキシル化ノニルフェノール、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態においては、高屈折率可塑剤の例は、ジプロピレングリコールジベンゾエート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、及びトリプロピレングリコールジベンゾエートである。
【0062】
[064]本明細書に記載のポリマー中間膜シートは、多層パネル(ガラス積層体又はガラスパネルなど)に使用することができるポリマー中間膜シートを製造する技術の当業者に知られている任意の好適なプロセスによって製造することができると考えられる。例えば、ポリマー中間膜シートは、溶液キャスト、圧縮成形、射出成形、溶融押出、メルトブロー、又は当業者に公知のポリマー中間膜シートを作成及び製造するための任意の他の手順によって形成することができると意図される。更に、複数のポリマー中間膜を用いる実施形態においては、これらの複数のポリマー中間膜は、共押出、ブローンフィルム、浸漬被覆、溶液被覆、ブレード塗布、パドル塗布、エアナイフ塗布、印刷、粉末被覆、噴霧被覆、又は当業者に公知の他のプロセスによって形成することができると意図される。当業者に公知のポリマー中間膜シートを製造するための全ての方法が、本明細書において記載するポリマー中間膜シートを製造するために可能な方法として意図されるが、本明細書では、押出及び共押出プロセスによって製造されるポリマー中間層シートに焦点を当てている。本発明の最終多層ガラスパネル積層体は、当該技術において公知のプロセスを用いて形成される。
【0063】
[065]一般に、その殆どの基本的な意味において、押出は、一定の断面形状の物体を生成させるために用いられるプロセスである。これは、最終製品のために所望の断面のダイを通して材料を押出すか又は引き出すことによって行う。一般に、押出プロセスにおいては、上記に記載した任意の樹脂、可塑剤、及び他の添加剤を含む熱可塑性樹脂及び可塑剤を予め混合して押出機装置中に供給する。着色剤、及びUV抑制剤のような添加剤(液体、粉末、又はペレット形態)がしばしば用いられ、これらは押出機装置に到達する前に熱可塑性樹脂股は可塑剤中に混合することができる。これらの添加剤は熱可塑性ポリマー樹脂中に導入され、得られるポリマー中間層シートを延伸することによって、ポリマー中間層シートの幾つかの特性、及び最終多層ガラスパネル製品におけるその性能が向上する。
【0064】
[066]押出機装置においては、熱可塑性原材料の粒子、可塑剤、及び1種類又は複数の顔料、並びに上記に記載の任意の他の添加剤を更に混合及び溶融させて、温度及び組成が概して均一な溶融体を得る。溶融体が押出機装置の終端部に達したら、溶融体を押出機ダイ中に送り出す。押出機ダイは、最終ポリマー中間層シート製品にその外形を与える熱可塑性材料押出プロセスの構成要素である。一般に、ダイは、溶融体がダイから排出される円筒形の外形から生成物の最終外形形状に均一に流れるように設計される。連続的な外形が存在する限りにおいて、ダイによって最終ポリマー中間層シートに複数の形状を与えることができる。
【0065】
[067]押出ダイによって溶融体が連続的な外形に成形された後の状態のポリマー中間層は、「ポリマー溶融体シート」と呼ぶ。プロセスのこの段階においては、押出ダイによって熱可塑性樹脂に特定の外形形状が与えられて、そのようにしてポリマー溶融体シートが形成される。ポリマー溶融体シートは常に非常に粘稠であり、概して溶融状態にある。ポリマー溶融体シートにおいては、溶融体はシートが概して完全に「固化」する温度には未だ冷却されていない。而して、ポリマー溶融体シートが押出ダイから排出された後は、一般に現在用いられている熱可塑性材料押出プロセスにおける次の工程は、冷却装置によってポリマー溶融体シートを冷却することである。従来用いられているプロセスにおいて用いられている冷却装置としては、ジェット噴霧器、ファン、冷却浴、及び冷却ローラーが挙げられるが、これらに限定されない。冷却工程は、ポリマー溶融体シートを概して均一な非溶融冷却温度のポリマー中間層シートに固化させるように働く。幾つかの実施形態においては、ポリマー溶融体シートを、ダイから排出した後で冷却工程の前に、上記で議論したようにエンボス加工することができる。ポリマー溶融体シートとは対比的に、このポリマー中間層シート溶融状態ではなく、高粘稠ではない。むしろ、これは固化された最終形態の冷却されたポリマー中間層シート製品である。本出願の目的のために、この固化及び冷却されたポリマー中間層は、「ポリマー中間層シート」と呼ぶ。
【0066】
[068]押出プロセスの幾つかの態様においては、共押出プロセスを用いることができる。共押出は、ポリマー材料の複数の層を同時に押出すプロセスである。一般に、このタイプの押出は、一定の体積の処理量の異なる粘度又は他の特性の異なる熱可塑性樹脂溶融体を、溶融し、共押出ダイを通して供給して所望の最終形態にするために2以上の押出機を用いる。共押出プロセスにおける押出ダイから排出される複数のポリマー層の厚さは、一般に、押出ダイを通る溶融体の相対速度を調節すること、及びそれぞれの溶融した熱可塑性樹脂材料を処理する個々の押出機の寸法によって制御することができる。
【0067】
[069]一般に、ポリマー中間膜シート又は層もしくは中間膜のいずれかの厚さ又はゲージは、少なくとも約2ミル、少なくとも約5ミル、少なくとも約10ミル、少なくとも約15ミル、少なくとも約20ミル及び/又は約120ミル以下、約100ミル以下、約90ミル以下、約60ミル以下、約50ミル以下、又は約35ミル以下であってよく、又は約2~約120ミル、約10~約100ミル、約15~約60ミル、又は約20~約35ミルの範囲であってもよいが、所望の特性及び/又は用途に応じて他の厚さが好適であり得る。ミリメートルでは、ポリマー層又は中間膜の厚さは少なくとも約0.05mm、少なくとも約0.13mm、少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.38mm、少なくとも約0.51mm及び/又は約2.74mm以下、約2.54mm以下、約2.29mm以下、約1.52mm以下、又は約0.89mm以下、又は約0.05~2.74mm、約0.25~約2.54mm、約0.38~約1.52mm、又は約0.51~約0.89mmの範囲であってよいが、所望の特性及び/又は用途に応じて他の厚さも好適であり得る。
【0068】
[070]上記のように、本発明の中間膜は、単層シート又は多層シートとして使用することができる。改善されたか又はより低い色度を有する中間膜は、所望の積層体の色及び外観を提供するために、1つ以上の透明又は着色された中間膜とともに使用することができる。種々の実施形態においては、本発明の中間膜(単層シート、多層シート、又は同一もしくは異なる材料の1つ以上の層のいずれかとして)は、透明多層パネルなどの多層パネルに組み込むことができる。
【0069】
[071]本発明において用いる多層パネルには、ガラス、アクリル樹脂、又はポリカーボネートのような単一の基材を含ませることができ、その上にポリマー中間層シートが配置され、最も通常的にはポリマー中間層の上にポリマーフィルムが更に配置される。ポリマー中間層シートとポリマーフィルムとの組み合わせは、当該技術において通常は二重層と呼ばれる。二重層構造を有する通常の多層パネルは、(ガラス)/(ポリマー中間層シート)/(ポリマーフィルム)であり、ここでポリマー中間層シートには上述したように複数の中間層を含ませることができる。ポリマーフィルムは、平滑で薄くて剛性の基材を提供し、これはポリマー中間層シート単独によって通常得られるものよりも良好な光学特性を与え、性能向上層として機能する。ポリマーフィルムは、ポリマーフィルムそれ自体は必要な浸透抵抗及びガラス保持特性を与えないが、赤外吸収特性のような性能の向上を与えるという点で、本発明において用いるポリマー中間層シートと異なる。ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)は最も通常的に用いられるポリマーフィルムである。
【0070】
[072]本発明の中間膜は、最も通常的には、2つの基材、好ましくは1対のガラスシート(或いはポリカーボネート又はアクリル樹脂のような当該技術において公知の他の硬質材料)を、2つの基材の間に配置される中間膜と共に含む多層パネルにおいて用いられる。かかる構造の例は(ガラス)/(ポリマー中間膜シート)/(ガラス)であり、ここではポリマー中間膜シートに、上述の多層中間膜又は複数の異なる単層又は多層中間膜を含ませることができ、ポリマー中間膜(又はその中の層)の少なくとも1つは改良された中間膜を含む。これらの多層パネルの例はいかなるようにも限定することは意図しておらず、当業者であれば本発明の中間層を用いて上記に記載のもの以外の数多くの構造を形成することができることを容易に認識するであろう。
【0071】
[073]通常のガラス積層プロセスは次の工程:(1)2つの基材(例えばガラス)及び中間層をアセンブリにし;(2)IR放射又は対流手段によってアセンブリを短時間加熱し;(3)アセンブリを、第1の脱気のために加圧ニップロール中に通し;(4)アセンブリに対して約70℃~約120℃への2回目の加熱を行って、中間層の端部を封止するのに十分な一時的接着をアセンブリに与え;(5)アセンブリを第2の加圧ニップロール中に送って、中間層の端部を更に封止して更なる取扱いを可能にし;そして(6)アセンブリを、例えば135℃~150℃の間の温度及び150psig~200psigの間の圧力において約30~90分間オートクレーブ処理する;工程を含む。
【0072】
[074]ポリマー中間膜を記述するためにしばしば使用される1つのパラメーターは透明度であり、これはヘイズ値又はヘイズパーセント(%ヘイズ)を測定することによって決定される。材料のフィルム又はシートを通過する際に散乱される光は、物体が材料を通して見られるときに曇った又は煙のような場を生成することができる。したがって、ヘイズ値は入射光とは対照的に、試料による散乱光の定量化である。ヘイズパーセントについての試験は、Hunter Associates(Reston, VA)から入手可能なUltrascan XE又はUltrascan PROなどの分光光度計を用いて、ASTM-D1003-13手順Bにしたがって、光源Cを使用して、2°の観察角度で実施する。本発明の中間膜はまた、PVBの厚さ及び使用されるガラスの種類に応じて、(HunterLab Ultrascan XEで測定して)少なくとも85%又は少なくとも85~95%以上の典型的な視感透過率(%T)を有する。複数の実施形態において、%Tは、特に中間膜が2つの低鉄ガラス片の間に積層される場合、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、又は少なくとも90%以上であってよい。本発明の中間膜は、望ましくは中間膜が単層又は単層である場合、約-0.1のa及び約0.1のbを有する。所望の色レベル、厚さ、最終用途、ならびに他の要因に応じて、他の値が可能であり得る。
【実施例
【0073】
[075]PVB樹脂、可塑剤及び着色剤を、他の一般的な添加剤(接着制御剤及びUV安定剤を含む)と一緒に混合し、溶融押出することによって、改善されたより低い色度を有する中間膜シートの試料を製造した。混合物を押出して、約0.76mm(30ゲージ(30ミル))の厚さを有する中間膜シートを形成した。
【0074】
[076]得られた中間膜を試験するために、複数の層を積層し、プレスして、YI及びL値を測定するためのターゲット厚さを形成した。以下に更に説明するように、約6.3mmのターゲット又は呼び厚さに関しては10の層を積層し、3.8mmのターゲット厚さに関してはターゲット厚さにプレスする前に5層を積層した。以下に示すように、PVBの単層についても測定を行った。実際のPVBの厚さを表に示す。
【0075】
[077]いくつかの表においては、PVBのa及びbの値が表示される。これらの値は計算により求めた。中間膜のa及びbを計算するために、使用されるガラスを積層前に測定し、次いで積層体(すなわち、ガラス/中間膜/ガラス)についての測定を行い、以下に更に記載するように差を計算した。得られたポリマー中間膜は、表1~5に示す特性を有していた。
【0076】
[078]中間膜の色度及びYI値は、使用されるガラスの特性を測定し、次いで積層体試料(2つのガラス片の間に積層された1つ又は複数の中間膜)を測定することによって計算した。積層体の色度は、使用されるガラスの色度に中間膜の色度を加えたものに等しい。ガラスの色度が既知である(すなわち、積層の前にガラスのみとして測定される)場合、中間膜の色度は、積層体の色度とガラスの色度との間の差に等しい。ガラスの色度及び積層体の色度は、ASTM法E1348にしたがって同じ方法で測定した。
【0077】
[079]異なる厚さ(又は層の数)の複数の試料を測定して、中間膜の色度及び黄色度指数(YI)を決定した。中間膜は、単一の層として、一緒に積層された5層の積層体として、及び10層のプレスされた積層体として測定した。単層及び5層試料については、中間膜を所望のサイズの2つのガラス片の間に配置し、空気を除去するために予備プレスし、次いで積層した。10層の試料については、中間膜を所望のサイズの2つのガラス片の間に置き、機械的プレスの間に置き、PVBの6.3mmの目標厚さに融合させた。
【0078】
[080]表1は、異なるタイプのガラス及び異なるガラス厚さと組み合わせて10層を使用する標準的な市販のPVBの特性を示す。測定されたYIは、次のようにPVBの厚さについて補正した
YIcorrected=(YImeasured×6.3)/PVBの厚さ。
【0079】
[081]
【0080】
【表1】
【0081】
[082]YI、L、a、b及び%T値は、色に関して補正しなかった。同じ数を有する試料(すなわち、試料1、試料1A、試料1B、及び試料1C)については、PVBは同じであるが、ガラスの種類及び/又は厚さは変化する。PVBa及びPVBbは、ガラスの色に関して補正し、PVBシートについて計算された値を表す。試料1、2、3及び4については、2.2mmの厚さを有する標準透明フロートガラスを使用した。「A」試料には4mmの低鉄ガラスを用い、「B」試料には4mmの標準の透明フロートガラスを用い、「C」試料には5mmの低鉄ガラスを用いた。
【0082】
[083]表1のデータによって示されるように、PVBは-0.86~-2.56のa値及び2.89~6.65のb値を有し、色がLカラースケール上で非常に黄色であることを示す。補正されたYI値はまた、PVBが4.3~10.0の範囲の黄色(又は高い黄色度指数)を有することを示す。
【0083】
[084]表2は、異なるタイプのガラス及び異なるガラス厚さ(ガラスのタイプ及び厚さは表1について上記に列挙したものと同じである)と組み合わせてPVBの1つの層を使用する、標準的な市販のPVBの特性を示す。
【0084】
[085]
【0085】
【表2】
【0086】
[086]試料はPVBの単一層のみであったので、YIは測定しなかった。PVBa及びb値は表1の10層試料についてと同じ傾向に従い、Lカラースケール上でより黄色である。
【0087】
[087]前述のように黄色度を低減するのに十分な量の追加の着色剤を添加したことを除いて上述のようにして、本発明の色度が低減された(黄色度がより低い)中間膜の試料を製造した。表3は、上表1の標準中間膜について記載したのと同じ方法で10層を積み重ね、プレスした場合の減少した色度の中間膜の特性を示す。
【0088】
[088]
【0089】
【表3】
【0090】
[089]表3に示すように、PVBa及びb値は、市販の同じ厚さのPVBについて表1に示す値よりも有意に低い。低減された色度のPVBはより低い%T値を有するが、レベルは依然として許容可能な範囲内である。YI値はまた、標準的なPVBのものよりも、低減された色度のPVBについて有意に低い。
【0091】
[090]表4は、上記記載と同じ方法で積み重ね、プレスした5つの層を使用する減少した色度のPVBの特性を示す。
[091]
【0092】
【表4】
【0093】
[092]表4に示すように、PVBa及びb値は、表3に示す値と非常に類似している。低減された色度のPVBは標準PVBよりも低い%T値を有するが、レベルは依然として許容可能な範囲内である。
【0094】
[093]表5は、前述のように積層された低減された色度のPVBの1つの層の特性を示す。
[094]
【0095】
【表5】
【0096】
[095]表5に示されるように、PVBa及びb値は、同じ厚さ(呼び厚さ0.76mm)の市販のPVBについて、表2に示される値よりも有意に低い(したがって、黄色度が少ない)。低減された色度のPVBはより低い%T値を有するが、レベルは依然として許容可能な範囲内である。
【0097】
[096]表1~5の色データ(L)は、着色剤の組み合わせを添加すると、減少したか又は低い色度を有する(又は特に透明であり、より低い黄色度又は黄色を有する)ポリマー中間膜が与えられることを示す。減少した色度を有するこの中間膜は、標準的な市販の中間膜とは著しく異なり、改善された外観を有する。例えば、YIは少なくとも4.3であり(表1の試料1)、YIが10までである10層の標準中間膜のデータと比較すると、減少した色度の中間膜の場合、全てのYI値は1.0未満であり、最も高いYI値は0.7である。同様に、a及びb値は、減少した色度の中間膜について標準中間膜についてよりも有意に低く、減少した色度の中間膜はより少ない黄色であるか、又はより低い黄色度又は黄色を有することを示す。
【0098】
[097]結論として、本明細書に記載されるような低い色度(すなわち、特別な透明度)を有するポリマー中間膜は、それらがより美的に満足できるので、より高レベルの色度を有するポリマー中間膜を上回る利点を有する。他の利点は、当業者には容易に明らかであろう。
【0099】
[098]好ましい実施形態であると現在考えられているものを含む幾つかの態様の記載に関連して発明を開示したが、詳細な説明は例示の意図であり、本発明の範囲を限定すると理解すべきではない。当業者に理解されるように、本明細書において詳細に記載されているもの以外の態様は本発明に包含される。発明の精神及び範囲から逸脱することなく、記載されている態様の修正及び変更を行うことができる。
【0100】
[099]更に、本発明の任意の単一の構成要素に関して与えられている任意の範囲、値、又は特徴は、互換的な場合には、本発明の任意の他の構成要素に関して与えられている任意の範囲、値、又は特徴と互換的に用いて、本明細書全体にわたって与えられているそれぞれの構成要素に関して規定されている値を有する一態様を形成することができることが理解される。例えば、与えられている任意の範囲の可塑剤を含むことに加えて、与えられている任意の範囲の残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルブチラール)を含む中間膜を形成して、本発明の範囲内であるが、列記するのは煩雑である多くの変形体を形成することができる。更に、フタレート又はベンゾエートのような属又はカテゴリーに関して与えられている範囲はまた、他に示していない限りにおいて、ジオクチルテレフタレートのようなそのカテゴリーの属又は構成要素の中の種に適用することもできる。
図1
図2
【国際調査報告】