(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】低ナトリウムタンパク質単離物
(51)【国際特許分類】
A23J 1/14 20060101AFI20220202BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20220202BHJP
A23J 3/26 20060101ALI20220202BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20220202BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20220202BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20220202BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20220202BHJP
A23K 20/147 20160101ALI20220202BHJP
A23J 3/00 20060101ALN20220202BHJP
【FI】
A23J1/14
A23J3/14
A23J3/26 501
A61K36/48
A61K8/9789
A61Q1/00
A23K10/30
A23K20/147
A23J3/00 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532898
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(85)【翻訳文提出日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 US2019065605
(87)【国際公開番号】W WO2020123585
(87)【国際公開日】2020-06-18
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】カルモン、ルシル
(72)【発明者】
【氏名】ラロシュ、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ペレラ、チャンダニ
(72)【発明者】
【氏名】カント、カルロス
【テーマコード(参考)】
2B150
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
2B150AB20
2B150BA01
2B150BC03
2B150BC06
2B150BD01
2B150BD06
2B150BE01
2B150CE11
4C083AA111
4C083CC01
4C088AB59
4C088BA16
4C088NA14
(57)【要約】
本発明は、単離物及び濃縮物、好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、より好ましくはエンドウ豆タンパク質単離物を含む植物性タンパク質であって、乾燥物の乾燥重量で0.6%未満のナトリウム及び乾燥重量で1%未満のカルシウムを含有することを特徴とする、植物性タンパク質に関する。本発明は更に、単離物及び濃縮物、好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、より好ましくは本発明のエンドウ豆タンパク質単離物を含む、植物性タンパク質の抽出及び精製方法に関する。最後に、本発明はまた、本発明の、単離物及び濃縮物、好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、より好ましくはエンドウ豆タンパク質単離物を含む植物性タンパク質の食品、飼料及び医薬産業における応用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性タンパク質、好ましくは植物性タンパク質単離物、より好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、更により好ましくは、エンドウ豆タンパク質単離物であって、ナトリウムの最大含有量が、乾燥物の乾燥重量で0.6%未満であり、かつカルシウムの含有量が乾燥物の乾燥重量で1%未満であることを特徴とする、植物性タンパク質、好ましくは植物性タンパク質単離物、より好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、更により好ましくは、エンドウ豆タンパク質単離物。
【請求項2】
乾燥物の乾燥重量で80%より高いタンパク質豊富度を含有することを特徴とする、請求項1に記載の植物性タンパク質、好ましくは植物性タンパク質単離物、より好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、更により好ましくは、エンドウ豆タンパク質単離物。
【請求項3】
カリウム含有量が、乾燥物の乾燥重量で0.5%~3%であることを特徴とする、請求項1に記載の植物性タンパク質、好ましくは植物性タンパク質単離物、より好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、更により好ましくは、エンドウ豆タンパク質単離物。
【請求項4】
最大ナトリウム含有量が、乾燥物の乾燥重量で好ましくは0.2%未満、より好ましくは0.1%未満であり、かつカリウム含有量が、乾燥物の乾燥重量で0.5%~3%、好ましくは1.5%~2.5%、より好ましくは乾燥物の乾燥重量で1.8%~2.5%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の植物性タンパク質、好ましくは植物性タンパク質単離物、より好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、更により好ましくは、エンドウ豆タンパク質単離物。
【請求項5】
ナトリウム含有量が、乾燥物の乾燥重量で0.3%~0.6%を構成し、好ましくは0.4%~0.6%を構成し、より好ましくは0.5%を構成し、かつそのカリウム含有量が、乾燥物の乾燥重量で0.5%~3%、好ましくは1%~2%、より好ましくは乾燥物の乾燥重量で1.3%~1.5%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の植物性タンパク質、好ましくは植物性タンパク質単離物、より好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、更により好ましくは、エンドウ豆タンパク質単離物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の植物性タンパク質を調製する方法であって、
a)タンパク質を含有する植物種子を準備する工程と、
b)前記種子を粉砕し、水中で粉砕された懸濁液を得る工程と、
c)前記粉砕された懸濁液からタンパク質を抽出する工程と、
d)pHを6~9に調整する工程と、
e)任意選択的に、100℃~160℃の温度で加熱し、及び/又は前記得られたタンパク質を低温殺菌する工程と、
f)任意選択的に、前記得られたタンパク質を乾燥させる工程と、を含み、
工程(d)において、水酸化カリウムがpH試薬として用いられることを特徴とする、方法。
【請求項7】
工程d)が、水酸化ナトリウムの完全な非在下で実施されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとの混合物が、工程d)においてpHを調整するために使用され、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとのモル比が、10/90~90/10、好ましくは20/80~40/60、より好ましくは30/70~40/60の範囲であり、更により好ましくは、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとのモル比が35/65であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
食品、飼料、医薬品、及び化粧品用途を含む工業分野における、請求項1~5のいずれか一項に記載の植物性タンパク質の使用。
【請求項10】
食品テクスチャ加工方法における、請求項1~5のいずれか一項に記載の植物性タンパク質の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単離物及び濃縮物、好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、より好ましくはエンドウ豆タンパク質単離物を含む植物性タンパク質であって、乾燥物の乾燥重量で0.6%未満のナトリウム及び乾燥重量で1%未満のカルシウムを含有することを特徴とする、植物性タンパク質に関する。本発明は更に、単離物及び濃縮物、好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、より好ましくは本発明のエンドウ豆タンパク質単離物を含む、植物性タンパク質の抽出及び精製方法に関する。最後に、本発明はまた、本発明の、単離物及び濃縮物、好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、より好ましくはエンドウ豆タンパク質単離物を含む植物性タンパク質の食品、飼料及び医薬産業における適用に関する。
【背景技術】
【0002】
炭水化物及び脂質と共に、タンパク質は、我々の食事のかなりの部分を構成する。タンパク質の必要量は、一般に、1日の食物摂取量の12%~20%であると言われている。
【0003】
消費されるタンパク質は、一般に、肉、魚、卵、及び乳製品などの動物性のもの、又は穀物、油性植物、及びマメ科植物を含む植物性のもののいずれかである。
【0004】
工業先進国では、タンパク質摂取は、主に動物性のタンパク質に由来する。多くの研究により、動物性のタンパク質の過剰な摂取、及び著しく少ない植物性タンパク質が、癌及び循環器疾患の発生率の増加の1つの原因であることが示されていることに留意することが重要である。
【0005】
更に、動物性タンパク質は、動物性タンパク質の生産に必要な集約農業に起因する我々の環境の悪化と共に、特に乳及び卵からのタンパク質についてのアレルゲン性の両方において多くの欠点を有する。
【0006】
これを考慮すると、実際に製造業者は、動物性タンパク質の代替品として、徐々に植物性タンパク質に目を向けており、植物性タンパク質を使用して食品製品中の動物性タンパク質の全て又は一部を置換することは、周知の慣行である。
【0007】
この種の置換は、植物性タンパク質の機能特性が動物性タンパク質の機能特性と異なるため、必ずしも容易ではなく、機能特性とは、技術的変革、保管、又は家庭用料理調製中に生成された食品システムの知覚的品質に影響を与える物理的又は物理化学的特性を指す。
【0008】
植物性タンパク質の中でも、マメ科植物性タンパク質を使用することは周知の慣行である。乳タンパク質は大きな栄養的利点を有するが、生産コストの高いことは、大規模食品加工分野での使用を制限する。代替として、マメ科植物性タンパク質は、乳タンパク質に代わることができる。エンドウ豆タンパク質は、特に、現在この分野における大きな影響を与えるタンパク質として考えられている。エンドウ豆タンパク質単離物は、大豆タンパク質単離物ではなく、非GMOから供給される種子から得られる。
【0009】
特定の植物性タンパク質、特にマメ科植物性タンパク質及びエンドウ豆タンパク質の1つの欠点は、高濃度のナトリウムを含有し得るという事実である。本出願において以下に例示されるように、現在の市販のタンパク質単離物、特にエンドウ豆タンパク質単離物は、その乾燥物中に1%より多いナトリウムを含有する。このようなナトリウムは、主に抽出プロセス中に、pHを調整するために用いられる水酸化ナトリウムによって導入される。「Pea protein Isolates:Structure,extraction,and functionality」(Lam & al.,2018)で説明されるように、水酸化ナトリウムはこのようなタイプの湿潤タンパク質抽出方法において一般的に使用されている。
【0010】
ナトリウムは、神経流入又は筋肉収縮のような多くの重要な代謝機能にとって重要である。しかし、食事中のナトリウムが多すぎると、心臓疾患又は高血圧疾患のような有害な影響をもたらし得る。FAOは、成人について1日当たり2gの最大レベルを推奨している(「Sodium intake for adults and children」,FAO,2012を参照されたい)。
【0011】
いくつかのタンパク質単離物は、水酸化ナトリウムを置換することによって得られる低濃度のナトリウムを既に含有している。例えば、欧州特許第2911524号は、pHを調整するためにエンドウ豆の方法で主に使用される水酸化ナトリウムが水酸化カルシウムによって置き換えられる方法を開示している。得られた単離物は、低濃度のナトリウムを有するが、用途に例示されるように、低い溶解度を含むその機能特性は完全に変化する。この単離物は、製パン用途に完全に専用であるが、高い溶解度及びゲル強度を必要とする他の食品用途に適合しない。
【0012】
Lam & al.2018は、「硫酸塩、リン酸水素塩、アンモニウム塩、及びカリウム塩は、イオン-水相互作用を促進し、これはタンパク質を包囲する水和層を破壊して疎水性部分の曝露を引き起こすように作用する。結果として、イオン強度及び疎水性のレベルに応じて、凝集及び沈殿が起こる」。当業者は、このような塩をpH試薬として使用することが、タンパク質単離機能、特に溶解度に深い影響を有し得ることを明らかに理解するであろう」と明確に言及している。
【0013】
乾燥分画方法はまた、低ナトリウム含有量のタンパク質を実現させることができるが、高タンパク質単離物、例えば、80%より高いタンパク質豊富度を超える単離物を実現させることはできない。
【0014】
したがって、ナトリウム系単離物と比較して良好な機能特性を維持しつつ、低ナトリウム含有量を有するタンパク質単離物に対する必要性が依然として存在する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の態様は、ナトリウムの最大含有量が、乾燥物の乾燥重量で0.6%未満であり、かつカルシウムの含有量が乾燥物の乾燥重量で1%未満であることを特徴とする植物性タンパク質である。
【0016】
好ましい実施形態では、このような植物性タンパク質単離物は、乾燥物の乾燥重量で80%より高いタンパク質豊富度を含有する。
【0017】
より好ましい実施形態では、本発明の植物性タンパク質は、カリウム含有量が乾燥物の乾燥重量で0.5%~3%であることを特徴とする。
【0018】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に記載される植物性タンパク質を調製する方法であって、以下の工程:
a)タンパク質を含有する植物種子を準備する工程と、
b)前述の種子を粉砕し、水中で粉砕された懸濁液を得る工程と、
c)当該粉砕された懸濁液からタンパク質を抽出する工程と、
d)pHを6~9に調整する工程と、
e)任意選択的に、100℃~160℃の温度で加熱し、及び/又は得られたタンパク質を低温殺菌する工程と、
f)任意選択的に、得られたタンパク質を乾燥させる工程と、を含み、
工程(d)において、水酸化カリウムがpH試薬として用いられることを特徴とする。
【0019】
本発明の第3の態様は、食品、飼料、医薬品、及び化粧品用途を含む工業分野における本発明の第1の態様に記載の植物性タンパク質の使用である。
【0020】
本発明の別の態様は、食品テクスチャ加工方法における本発明による植物性タンパク質の使用である。
【0021】
本発明は、以下の発明を実施するための形態の章でよりよく理解されるであろう。
【0022】
本発明の第1の態様は、植物性タンパク質、好ましくは植物性タンパク質単離物、より好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、更により好ましくはエンドウ豆タンパク質単離物であって、ナトリウムの最大含有量が、乾燥物の乾燥重量で0.6%未満、好ましくは0.2%未満、より好ましくは乾燥物の乾燥重量で0.1%未満であり、かつカルシウムの含有量が、乾燥物の乾燥重量で1%未満、好ましくは0.5%未満、より好ましくは0.25%未満、更により好ましくは乾燥物の乾燥重量で0.1%未満であることを特徴とする、植物性タンパク質、好ましくは植物性タンパク質単離物、より好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、更により好ましくはエンドウ豆タンパク質単離物である。
【0023】
用語「植物性タンパク質」は、本明細書において、全ての種類の植物から抽出された全ての種類のタンパク質と見なされる。植物は、セルロースでできた細胞壁を有し、胚を生成し、かつ自発運動の能力を欠く、特徴的に葉緑体を含有する、植物界(kingdom Plantae)の様々な光合成、真核生物、多細胞生物のいずれかとして理解されねばならない。植物としては、樹木、低木、ハーブ、シダ類、苔類、及び特定の緑藻類が挙げられる。特に本出願では、植物という用語は、エンドウ豆及びソラマメを含むマメ科植物に適用される。他の好ましい種類の植物は、亜麻、オート麦、米、及びレンズ豆である。
【0024】
本出願で使用される用語「タンパク質」は、アミノ酸残基の1つ以上の長鎖からなる分子を指すものとして理解されねばならない。本出願では、タンパク質は、植物由来のものであり得るか、又は加水分解タンパク質を含む改変されたものであり得る。これらのタンパク質は、80%より多い単離物又は50%より多い濃縮物を含む、異なる濃度のものであり得る。本出願では、そのタンパク質含有量が乾燥物の乾燥重量で80%より多い単離物が特に好ましい。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「マメ科植物」は、マメ科(Leguminosae)の植物として理解されねばならない。これらは、裂開性の実、特徴的な花、及び典型的には根粒を有する。これらの根粒には、窒素を固定することができる共生細菌が含まれる。
【0026】
用語「エンドウ豆」は、本明細書では、その許容可能な意味の最も広いものであると考えられる。具体的には、エンドウ豆には、「丸エンドウ豆(smooth pea)」及び「しわエンドウ豆(wrinkled pea)」の全ての品種、及び「丸エンドウ豆」及び「しわエンドウ豆」の全ての変異品種が含まれる》。これらの品種は、通常、それぞれのエンドウ豆の種類に対して意図されている使用(ヒトの摂取のための食品、動物飼料、及び/又は他の使用)に関する。本出願では、用語「エンドウ豆」は、エンドウ(Pisum)属に属するエンドウ豆の品種、より具体的には、サティヴム(sativum)及びアエスティウム(aestivum)種に属する。変異品種は、C-L HEYDLEYらによる論文、題名「Developing novel pea starches」,Proceedings of the Symposium of the Industrial Biochemistry and Biotechnology Group of the Biochemical Society,1996,pp.77-87に記載されているように、特に、「r変異体」、「rb変異体」、「rug3変異体」、「rug4変異体」、「rug5変異体」及び「lam変異体」として知られるものである。
【0027】
ナトリウム定量化は、化学分野及び生化学分野において当業者に周知であり、当業者はナトリウム含有量を定量化することを可能にする全ての好適な分析方法を知るであろう。本出願の文脈では、フレーム吸収分光計の使用が好ましい。
【0028】
好ましい実施形態では、このような植物性タンパク質単離物は、乾燥物の乾燥重量で80%より高いタンパク質豊富度、より好ましくは乾燥物の乾燥重量で85%より高いタンパク質豊富度を含有する。
【0029】
当業者に周知のタンパク質の濃度を定量化するための任意の参照アッセイ法を使用することができる。好ましくは、全窒素(%/粗製)の決定を行い、その結果に係数8.25を乗算する。タンパク質の分野におけるこの周知の方法論は、タンパク質が平均で16%の窒素を含有するという観察に基づく。
【0030】
エンドウ豆濃縮物を含む、空気分級によって得られる一部のタンパク質濃縮物は、ナトリウムの濃度が低くあり得るが、それらのタンパク質含有量は、乾燥物の乾燥重量で80%をはるかに下回る。この種の製品は、高タンパク質含有量を必要とする一部の食品用途には適していない。
【0031】
より好ましい実施形態では、本発明の植物性タンパク質、好ましくは植物性タンパク質単離物、より好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、更により好ましくはエンドウ豆タンパク質単離物は、そのカリウム含有量が、乾燥物の乾燥重量で0.5~3%、好ましくは1.5~2.5%、より好ましくは乾燥物の乾燥重量で1.8~2.5%であることを特徴とする。
【0032】
第1の変形では、本発明の植物性タンパク質、好ましくは植物性タンパク質単離物、より好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、更により好ましくはエンドウ豆タンパク質単離物は、最大ナトリウム含有量が、好ましくは0.2%未満、より好ましくは乾燥物の乾燥重量で0.1%未満、かつカリウム含有量が、乾燥物の乾燥重量で0.5%~3%、好ましくは1.5%~2.5%、より好ましくは乾燥物の乾燥重量で1.8%~2.5%であることを特徴とする。
【0033】
第2の変形では、本発明の植物性タンパク質、好ましくは植物性タンパク質単離物、より好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、更により好ましくはエンドウ豆タンパク質単離物は、ナトリウム含有量が、乾燥物の乾燥重量で0.3%~0.6%を構成し、好ましくは0.4%~0.6%を構成し、より好ましくは0.5%を構成し、かつカリウム含有量が、その乾燥物の乾燥重量で0.5%~3%、好ましくは1%~2%、より好ましくは乾燥物の乾燥重量で1.3%~1.5%であることを特徴とする。
【0034】
タンパク質抽出方法における水酸化ナトリウムの全体的置き換え及び部分的置き換えにおける水酸化カリウムの使用は、カリウムが豊富でナトリウムに乏しいタンパク質を得ることができる。特にエンドウ豆の方法では、当業者は、得られたエンドウ豆単離物の溶解度を直接改変させることが知られているため、pHを調整するために、水酸化カリウムをpH試薬として使用することを回避するであろう。Lam & al.2018は、「硫酸塩、リン酸水素塩、アンモニウム塩、及びカリウム塩は、イオン-水相互作用を促進し、これはタンパク質を包囲する水和層を破壊して疎水性部分の曝露を引き起こすように作用する。結果として、イオン強度及び疎水性のレベルに応じて、凝集及び沈殿が起こる」と明確に言及している。驚くべきことに、水酸化カリウムを使用してpHを調整することにより、pHを調整するために水酸化ナトリウムが使用されたタンパク質単離物と同じ溶解度を有するエンドウ豆タンパク質単離物を得ることができることが、出願人により発見された。
【0035】
このようなタンパク質単離物はまた、良好な繊維形成及び水分保持を伴って押出成形されることも可能にする。カルシウム系単離物のような他の低ナトリウムタンパク質単離物は、繊維形成及び水分保持に乏しい。
【0036】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に記載される、植物性タンパク質、好ましくは植物性タンパク質単離物、より好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、更により好ましくはエンドウ豆タンパク質単離物を調製する方法であって、
a)タンパク質を含有する植物種子、好ましくはマメ科植物種子、より好ましくはエンドウ種子を準備する工程と、
b)前述の種子を粉砕し、水中で粉砕された懸濁液を得る工程と、
c)粉砕された懸濁液から、好ましくは、等電pHで熱凝固することによって、タンパク質を抽出する工程と、
d)pHを6~9に、好ましくは7に調整する工程と、
e)任意選択的に、100℃~160℃の温度で加熱し、及び/又は得られたタンパク質を低温殺菌する工程と、
f)任意選択的に、得られたタンパク質を乾燥させる工程と、を含み、
水酸化カリウムが工程(d)においてpH試薬として、好ましくは水酸化ナトリウムの完全な非在下で使用されることを特徴とする、方法である。
【0037】
工程(a)において、本発明に好適な植物種子は、食品適合性植物種子、特にエンドウ豆、ソラマメ、オート麦、レンズ豆、及び亜麻のリストから選択することができる。マメ科植物が好ましい。エンドウ豆種子は、実際には最もよく、最も好適な種子であり、それにすぐ続いてソラマメがある。種子は、工程(b)で使用される前に、洗浄され、選別され、及び/又は焙煎され、脱色することができる。
【0038】
工程(b)は、種子を粉末に粉砕することからなり、これは、当業者に既知の任意の方法によって行うことができる。これは、リポキシゲナーゼのような内因性酵素を阻害するために使用される、前述の浸漬、脱色、又は更には周知の焙煎工程を含むことができる。種子は、水に混合される前に粉末に粉砕することができ、「乾式粉砕」として知られる方法である。
【0039】
しかしながら、「湿式粉砕」方法としても知られる、種子を水中に懸濁させながら、粉砕を行うこともできる。
【0040】
工程(c)は、粉砕された種子からタンパク質を抽出することからなる。湿式抽出プロセスは、本発明に特に好適である。水性粉末懸濁液は、好ましくは、遠心デカンタとヒドロサイクロンとの組み合わせの助けを借りて、内部繊維及びデンプンを分離するために、有利に処理される。これにより、乾燥画分中でエンドウ豆繊維画分及びデンプンを除去し、タンパク質を含む他の化合物を湿潤画分に残すことができる。
【0041】
抽出は、有利には、水の存在下で行われる。湿式粉砕の場合、水は粉砕前に導入される。乾式粉砕プロセスでは、乾燥重量で20~30%の濃度で、好ましくは乾燥重量で25%の濃度で、粉末を水に導入する。粉末を水中に懸濁させる場合、100μm以下の平均粒径を有する粉を選択することが最も有利である。溶液のpHは制限因子ではないが、懸濁液のpHを補正しないことが最も有利であり、これは、6.2~7の範囲のpHで作用することを意味する。
【0042】
次いで、タンパク質は、その等電pHで(エンドウ豆タンパク質では約4.5である)の沈殿によって湿潤画分から容易に単離することができる。pHは、有利には4~5に、好ましくは4.5に調整される。鉱酸の使用が好ましく、塩化水素酸の使用が最も好ましい。好ましい方法は、等電pH及び「熱凝固」と呼ばれるタンパク質の熱凝固を組み合わせて使用することである。その場合、温度は、有利には、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃及び85℃が含まれる50℃~90℃の範囲で選択される。70℃が好ましい。このような温度での接触時間は、温度に応じて1秒~20分で変化するであろう。ここでの目的は、グロブリン画分を他のより可溶性の化合物から分離するために、グロブリン画分を凝固させることである。凝固後、グロブリンタンパク質は、遠心分離及び濾過を含む任意の既知の方法によって、残りの可溶性化合物から有利に除去される。
【0043】
工程(d)は、前述の工程で酸性化されていることを考慮して、pHを6~9、好ましくは中性レベルで約7に調整することからなる。第1の実施形態では、本発明の方法の工程(d)は、水酸化ナトリウムの完全な非在下で実施される。次いで、水酸化ナトリウムの全置換には、純粋な水酸化カリウムが有利に使用される。水酸化カリウムの好ましい濃度は、0.5~2Mで変化し、好ましくは約1Mである。pHを調整する前に、乾燥物の乾燥重量で30%~10%、好ましくは約20%を構成する乾燥物含有量に達するために、水をグロブリン画分に添加してもよい。
【0044】
代替的な実施形態では、pHを調整するために、水酸化カリウムと水酸化ナトリウムとの混合物を使用することができる。この実施形態では、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとのモル比は、最終的なタンパク質生成物において所望されるナトリウム及びカリウムのレベルに応じて、10/90~90/10、好ましくは20/80~40/60、より好ましくは30/70~40/60の範囲であり得、更により好ましくは、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとのモル比は、35/65である。水酸化カリウムと水酸化ナトリウムとの混合物は、pH修正前に水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムを一緒に混合することによって、又はpH修正中に水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムを併用することによって行うことができる。最後に、別の可能な選択肢は、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムで得られたタンパク質単離物を混合することである。
【0045】
次いで、本発明の方法は、任意選択的に、(e)100℃~160℃の温度で加熱する工程、及び/又は工程(d)の後に得られるタンパク質を低温殺菌する工程を含む。この加熱工程は、例えば、0.1秒~1秒間、100℃~160℃の温度で水蒸気にタンパク質を分散させることからなるHTST処理などの、当業者に既知の任意の方法を使用して行うことができる。
【0046】
次いで、本発明の方法は、任意選択的に、(f)好ましくは噴霧乾燥機、より好ましくは多段階噴霧乾燥機の助けを借りて、タンパク質を安定化させるために、得られるタンパク質を乾燥させる工程を含む。剪断ポンプで得られたタンパク質の任意選択の均質化、及び低温殺菌のような一般的な既知の方法、又は食品グレードの補助化合物の導入は、乾燥前に行うことができる。
【0047】
本発明の第3の態様は、食品、飼料、医薬品、及び化粧品用途を含む工業分野における、本発明の第1の態様に記載される、植物性タンパク質、好ましくは植物性タンパク質単離物、より好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、更により好ましくはエンドウ豆タンパク質単離物の使用である。
【0048】
特に、本発明からのタンパク質単離物は、食品テクスチャ加工方法で、好ましくは食品押出方法によって、より好ましくは乾式押出方法によって使用することができる。
【0049】
食品押出は、食品加工に使用される押出成形の形態である。食品押出は、混合された成分のセットが、食品に特有の設計を有する穿孔板又はダイの開口部を押し通され、次いでブレードによって指定されたサイズに切断される方法である。このような押出方法により、タンパク質単離物は、代替肉又は製パン業界で使用することができる、テクスチャード植物性タンパク質(Textured Vegetable Protein(TVP))に転換することができる。
【0050】
本発明の植物性タンパク質単離物により、ナトリウム含有量が低く、良好な特性、特に、繊維化レベル及び水分保持を有するTVPを得ることができる。タンパク質濃縮物又はカルシウム系タンパク質単離物のような従来技術からの低ナトリウムタンパク質の使用により、それぞれ低含有量タンパク質及び低繊維化TVPがもたらされる。
【0051】
したがって、本発明は更に、食品のテクスチャ加工の方法、好ましくは食品押出方法、より好ましくは、乾式押出の方法に更に関し、この方法は、植物性タンパク質、好ましくは植物性タンパク質単離物、より好ましくはマメ科植物性タンパク質単離物、更により好ましくは本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を、任意選択的に、植物繊維、好ましくはマメ科植物繊維、より好ましくはエンドウ豆繊維と共に、押出装置に供給する工程を含む。
【0052】
本発明は、以下の実施例でよりよく理解されるであろう。
【実施例】
【0053】
実施例1:最新技術の方法で得られたエンドウ豆タンパク質単離物
乾燥して皮をむき、及び選別した黄色エンドウ豆を最初に粉末に粉砕した。次いで、得られた粉末を、1:4(w/v)のエンドウ豆粉末対水の比で蒸留水と混合した。次いで、デンプン及び内部繊維を除去するために、粉末懸濁液を3,000gで15分間遠心分離し、タンパク質溶液を得た。次いで、タンパク質を凝固させるために、30%のHClでpHを4.5に調整し、70℃で15分間加熱することにより、タンパク質溶液を沈殿させた。次いで、タンパク質カードを回収するために、凝固した溶液を3,000gで15分間遠心分離する。乾燥物含有量の乾燥重量でおよそ20%を得るために、タンパク質カードを蒸留水中に再懸濁させ、1MのNaOHでpH7.0に中和した。得られたタンパク質を最終的にHTST(115℃、1秒)で処理し、乾燥物の乾燥重量で95%に到達させるために、噴霧乾燥させた。試料「先行技術-ナトリウム」を得た。
【0054】
実施例2:最新技術の方法で得られたエンドウ豆タンパク質単離物
乾燥して皮をむき、及び選別した黄色エンドウ豆を最初に粉末に粉砕した。次いで、得られた粉末を、1:4(w/v)のエンドウ豆末粉対水の比で蒸留水と混合した。次いで、デンプン及び内部繊維を除去するために、粉末懸濁液を3,000gで15分間遠心分離し、タンパク質溶液を得た。次いで、タンパク質を凝固させるために、30%のHClでpHを4.5に調整し、70℃で15分間加熱することにより、タンパク質溶液を沈殿させた。次いで、凝固した溶液を3,000gで15分間遠心分離して、タンパク質カードを回収する。乾燥物含有量の乾燥重量でおよそ20%を得るために、タンパク質カードを蒸留水中に再懸濁させ、1MのCa(OH)2でpH7.0に中和した。得られたタンパク質を最終的にHTST(115℃、1秒)で処理し、乾燥物の乾燥重量で95%に到達させるために、噴霧乾燥させた。試料「先行技術-カルシウム」を得た。
【0055】
実施例3:本発明の方法で得られたエンドウ豆タンパク質単離物
乾燥して皮をむき、及び選別した黄色エンドウ豆を最初に粉末に粉砕した。次いで、得られた粉末を、1:4(w/v)のエンドウ豆粉末対水の比で蒸留水と混合した。次いで、デンプン及び内部繊維を除去するために、粉末懸濁液を3,000gで15分間遠心分離し、タンパク質溶液を得た。次いで、タンパク質を凝固させるために、30%のHClでpHを4.5に調整し、70℃で15分間加熱することにより、タンパク質溶液を沈殿させた。次いで、凝固した溶液を3,000gで15分間遠心分離して、タンパク質カードを回収する。乾燥物含有量の乾燥重量でおよそ20%を得るために、タンパク質カードを蒸留水中に再懸濁させ、1MのKOHでpH7.0に中和した。得られたタンパク質を最終的にHTST(115℃、1秒)で処理し、乾燥物の乾燥重量で95%に到達させるために、噴霧乾燥させた。試料「本発明-カリウム」を得た。
【0056】
実施例4:本発明の方法で得られたエンドウ豆タンパク質単離物
乾燥して皮をむき、及び選別した黄色エンドウ豆を最初に粉末に粉砕した。次いで、得られた粉末を、1:4(w/v)のエンドウ豆粉末対水の比で蒸留水と混合した。次いで、デンプン及び内部繊維を除去するために、粉末懸濁液を3,000gで15分間遠心分離し、タンパク質溶液を得た。次いで、タンパク質を凝固させるために、30%のHClでpHを4.5に調整し、70℃で15分間加熱することにより、タンパク質溶液を沈殿させた。次いで、凝固した溶液を3,000gで15分間遠心分離して、タンパク質カードを回収する。乾燥物含有量の乾燥重量でおよそ20%を得るために、タンパク質カードを蒸留水中に再懸濁させ、1MのKOHとNaOHとのブレンド(65/35のそれぞれの質量比)でpH7.0に中和した。得られたタンパク質を最終的にHTST(115℃、1秒)で処理し、乾燥物の乾燥重量で95%に到達させるために、噴霧乾燥させた。試料「本発明-ブレンドナトリウムカリウム」を得た。
【0057】
実施例5:実施例1~4で得られた異なるタンパク質単離物の分析
実施例1~3で得られた全てのタンパク質単離物を、以下のプロトコルの助けを借りて分析した。
乾燥物を、天秤及びオーブンの助けを借りて乾燥させることによって測定した
総窒素濃度をアッセイし、それを6.25で乗算することによりタンパク質を定量した
ナトリウム及びカリウム含有量を、フレームイオン化分光計の助けを借りて定量化した
水分及び油分保持は、
10g(=P1)のタンパク質及び10gの油又は水を、50mLのビーカーに入れ
攪拌下で5時間放置し
10000Gで10分間遠心分離し、上清を廃棄し
ペレット(=P2)を秤量した
水分/油分保持=((P2-P1)/P1)*100
乳化能
0.2gのタンパク質試料を20mLの水に導入し、
Ultraturax IKA T25で9500rpmで30秒の間均質化し、
上で前述の工程と同じ条件で均質化下で20mLのコーン油を添加し、
3100gで5分間の遠心分離する。
a.良好なエマルジョン(エマルジョン中の破壊又は転相なし)の場合、50%の水及び油の量を上昇させた後に新たな実験を行う。
b.不良なエマルジョン(エマルジョン中の破壊又は転相あり)の場合、50%の水及び油の量を低下させた後に新たな実験を行う。
乳化され得る最大油量(Qmax(mL単位)と呼ばれる)は、繰り返して決定することができる。
乳化能=(Qmax/0.2)*100発泡体安定性/能力
溶解度
2.0gの試料及び100gの蒸留水を、20℃で400mLのビーカーに入れる。
pHを1NのHCl及び/又は1NのNaOHで調整し、混合物を蒸留水で正確に200.0gまで作製する。
この混合物を30分間撹拌し、次いで、3000gで15分間遠心分離する。
遠心分離後、正確に25.0gの上清を結晶皿(ml)に回収する。皿は、一定の質量(m2)に達するまで、103℃のオーブン内に置く。
溶解度=((m2-m1)/25)*100
【0058】
【0059】
結果は、本発明のタンパク質が、従来技術のナトリウム系タンパク質と同じ機能特性、特に溶解度を有することを示し、これは非常に予想外である。
【0060】
以下の表は、競合他社から最も一般的なエンドウ豆タンパク質単離物の概要を示す。
【0061】
【0062】
【0063】
当業者は、本発明の単離物が、最も一般的な市販の単離物と比較して非常に独特な塩プロファイルを有することを理解するであろう。
【0064】
実施例6:乾式押出方法における実施例1~4で得られたタンパク質単離物の使用
混合物の総重量に対する、87重量%の実施例1~4で得られたタンパク質単離物と13重量%のエンドウ豆繊維(ROQUETTEからのI50M)との混合物を、Leistritz/ZSE 27MAXX-80D二軸押出装置に供給する。
【0065】
二軸押出装置は、テクスチャ加工タンパク質(texturized proteins)中に良好な繊維化を提供するように実行される。平均稼働条件は、以下の通りである。
40kg/時の乾燥ミックス及び6.85kg/時の水
1150tr/分の比エネルギー240kW/kg
【0066】
2つの分析が行われる:
繊維形成の品質の観察(視覚)
細断なしの水分保持分析
テクスチャ加工タンパク質約10gを、ビーカー中に置く(重量=m1)
100mLの蒸留水を添加し、20分間待つ
3000g、15分間の遠心分離により残留水を排除する
残りの水和したテクスチャ加工タンパク質を秤量する
水分保持=(m2-m1)/m1
細断を伴う水保持分析
テクスチャ加工化ンパク質約10gを、ビーカー中に置く(重量=m1)
100mLの蒸留水を添加し、20分間待つ
3000g、15分間の遠心分離により残留水を排除する
Kenwoodミキサーを用いて、残りの水和されたテクスチャ加工タンパク質を、2分間最高速度で細断する
100mLの蒸留水を添加し、20分間待つ
3000g、15分間の遠心分離により残留水を排除する
残りの水和したテクスチャ加工タンパク質を秤量する
水分保持=(m2-m1)/m1
【0067】
【0068】
当業者は、低ナトリウム含有量のテクスチャ加工タンパク質を生成するために、本発明が良好な代替物であることを直ちに学習するであろう。
繊維形成は、「本発明-カリウム」、「本発明-ブレンドナトリウムカリウム」及び「先行技術-ナトリウム」と非常に同等である。「先行技術カルシウム」は、良好なテクスチャ加工を提供しない。いくつかの試験(水投入の修正、二軸速度修正、等)にもかかわらず、テクスチャ加工されたタンパク質中の繊維化に到達できなかった。
細断なしの水分保持は、ナトリウムに富む参照物よりわずかに低く、これは、食品生産者が食品用途で使用することを可能とし、細断なしの水分保持は低くなる必要がある。
「本発明-ブレンドナトリウムカリウム」は、「先行技術-ナトリウム」に近い、特に「本発明-カリウム」でわずかに低い嵩密度のテクスチャ加工タンパク質を生成することを可能にする。
【0069】
実施例7:
この実施例は、実施例3及び4に記載される本発明の2つの実施形態、それぞれ「本発明-カリウム」及び「本発明-ブレンドナトリウムカリウム」を、乾燥タンパク質の食感で使用した場合に比較することを目的とする。これは、実施例1の「先行技術-全ナトリウム」と比較して行った。
【0070】
混合物の総重量に対する、87重量%の実施例1、3及び4で得られたタンパク質単離物と13重量%のエンドウ豆繊維(ROQUETTEからのI50M)との混合物を、9ゾーンを備えたCoperion ZSK-25二軸押出装置に供給する。ゾーン1及び2は搬送要素からなり、ゾーン3は混合要素からなり、ゾーン4~5は搬送要素からなり、ゾーン6~7は混合要素からなり、最終ゾーン8~9は搬送要素からなり、
【0071】
二軸押出装置は、テクスチャ加工タンパク質中に良好な繊維化を提供するように実行される。平均稼働条件は、以下の通りである。乾燥供給速度22kg/時及び水6.6kg/時である。
【0072】
スクリュー速度-1100及び特定の機械的エネルギー560~595Kw.時/kg
【0073】
3つの分析は、得られたタンパク質の食感で行われる:
繊維形成の品質の観察(視覚)
テクスチャ加工タンパク質の嵩密度
1000mLのメスシリンダーの空の重さを秤量する(重量=m1)
メスシリンダーに、テクスチャ加工タンパク質を充填する。
シリンダーの重量を記録する(重量=m2)
嵩密度=m2-m1(g/Lで表される)。
細断なしの水分保持分析
テクスチャ加工タンパク質約10gを、ビーカー中に置く(重量=m1)
100mLの蒸留水を添加し、20分間待つ
3000g、15分間の遠心分離により残留水を排除する
残りの水和したテクスチャ加工タンパク質を秤量する
水分保持=(m2-m1)/m1
細断を伴う水分保持分析
テクスチャ加工タンパク質約10gを、ビーカー中に置く(重量=m1)
100mLの蒸留水を添加し、20分間待つ
3000g、15分間の遠心分離により残留水を排除する
Kenwoodミキサーを用いて、残りの水和されたテクスチャ加工タンパク質を、2分間最高速度で細断する
100mLの蒸留水を添加し、20分間待つ
3000g、15分間の遠心分離により残留水を排除する
残りの水和したテクスチャ加工タンパク質を秤量する
水分保持=(m2-m1)/m1
【0074】
【0075】
当業者は、本発明により作製された両方の単離物が、良好な繊維形成及び良好な水分保持を有するテクスチャードタンパク質を供給することを理解するであろう。
【0076】
「本発明-全カリウム」は、「先行技術-ナトリウム」(約20%)に対して嵩密度の点で著しく低い、テクスチャードタンパク質を供給する。これにより、この製品は、気泡入りのテクスチャード加工製品が求められているスナックのような用途で最適になる。
【0077】
「本発明のブレンドナトリウムカリウム」は、「先行技術-ナトリウム」と比較して嵩密度の点で非常に近いテクスチャードタンパク質を供給する。これにより、この製品は、代替肉のような用途で最適になる。
【国際調査報告】