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特表2022-513762固体電池のための油圧式等方圧プレスプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】固体電池のための油圧式等方圧プレスプロセス
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20220202BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20220202BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20220202BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20220202BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20220202BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/052
H01M10/0565
H01M10/04 W
H01M10/058
H01M10/0587
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532925
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(85)【翻訳文提出日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 US2019065738
(87)【国際公開番号】W WO2020123659
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】16/217,010
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521240527
【氏名又は名称】テラワット テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】緒方 健
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】星 肇
(72)【発明者】
【氏名】リウ イン
【テーマコード(参考)】
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028BB07
5H028CC17
5H028HH08
5H028HH09
5H029AJ02
5H029AK03
5H029AL07
5H029AL08
5H029AM05
5H029AM07
5H029AM11
5H029BJ02
5H029CJ02
5H029CJ03
5H029HJ14
5H029HJ15
(57)【要約】
本願では、バッテリセルの電解質と活性材料との間の接触量を増やすための各種の装置が提示される。バッテリセルは筐体に挿入されてよく、バッテリセルが液体中に浸漬される。筐体は密閉されてよく、その後、圧力と熱が液体に印加されてよい。すると、バッテリセルは筐体から取り出されて、密閉バッテリモジュールの一部として使用されてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリセルの電解質と活性材料との間の接触量を増やす方法において、
アノード、カソード、及び前記電解質を含む前記バッテリセルが液体中に浸漬されるように当該バッテリセルを第一の筐体の中に挿入することと、
前記第一の筐体をシールすることと、
前記液体に圧力を印加して、前記液体が前記シールされた前記第一の筐体内の前記バッテリセルに等方圧を印加するようにすることと、
前記液体に熱を印加して、前記シールされた前記第一の筐体内で熱が前記液体から前記バッテリセルへと伝えられるようにすることと、
前記液体への前記圧力及び前記熱の印加を停止することと、
前記液体への前記圧力及び前記熱の印加を停止した後に、前記第一の筐体を非シール状態にすることと、
前記バッテリセルを前記第一の筐体から取り出すことと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第一の筐体から取り出された前記バッテリセルを液体が充填されている第二の筐体の中に据え付けることをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二の筐体を加圧して、前記第二の筐体内の前記液体が、前記シールされた前記第一の筐体内で前記バッテリセルに印加された前記等方圧より低い圧力を前記バッテリセルにかけるようにすることをさらに含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記バッテリセルはジェリロール型バッテリセルである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記バッテリセルは固体バッテリセルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記バッテリセルの前記電解質はLiイオン伝導性ポリマである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記液体は非導電性オイルである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記バッテリセルは柔軟なフィルム内に包まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記シールされた前記第一の筐体内で前記バッテリセルに印加される前記等方圧は少なくとも1MPaである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記液体は、前記シールされた前記第一の筐体内で少なくとも100℃の温度まで加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法により製作されるバッテリセル。
【請求項12】
アノード、カソード、及び電解質を含むバッテリセルが液体中に浸漬されるように当該バッテリセルを第一の筐体の中に挿入するステップと、
前記第一の筐体をシールするステップと、
前記液体に圧力を印加して、前記液体が前記シールされた前記第一の筐体内の前記バッテリセルに等方圧を印加するようにするステップと、
前記液体に熱を印加して、前記シールされた前記第一の筐体内で熱が前記液体から前記バッテリセルへと伝えられるようにするステップと、
前記液体への前記圧力及び前記熱の印加を停止するステップと、
前記液体への前記圧力及び前記熱の印加を停止した後に、前記第一の筐体を非シール状態にするステップと、
前記バッテリセルを前記第一の筐体から取り出すステップと、
前記第一の筐体から取り出された前記バッテリセルを液体が充填されている第二の筐体の中に据え付けるステップと、
前記第二の筐体を加圧して、前記第二の筐体内の前記液体が、前記シールされた第一の筐体内で前記バッテリセルに印加された前記等方圧より低い圧力を前記バッテリセルにかけるようにするステップと、
を含むプロセスにより準備される加圧バッテリモジュール。
【請求項13】
前記プロセスは、前記第一の筐体から取り出された前記バッテリセルを液体が充填されている第二の筐体に据え付けるステップをさらに含む、
請求項12に記載の加圧バッテリモジュール。
【請求項14】
前記プロセスは、前記第二の筐体を加圧して、前記第二の筐体内の前記液体が、前記シールされた第一の筐体内で前記バッテリセルに印加される前記等方圧より低い圧力が前記バッテリセルにかけられるようにするステップをさらに含む、
請求項13に記載の加圧バッテリモジュール。
【請求項15】
前記バッテリセルはジェリロール型バッテリセルである、請求項12に記載の加圧バッテリモジュール。
【請求項16】
前記バッテリセルは固体バッテリセルである、請求項12に記載の加圧バッテリモジュール。
【請求項17】
前記液体は非導電性オイルである、請求項12に記載の加圧バッテリモジュール。
【請求項18】
前記シールされた第一の筐体内で前記バッテリセルに印加される前記等方圧は少なくとも1MPaである、請求項12に記載の加圧バッテリモジュール。
【請求項19】
シール可能筐体と、
液体ポンプと、
加熱システムと、
シールされた筐体内で加圧される液体と、
を含む固体バッテリセルを活性化するシステムにおいて、
前記シール可能筐体内で1つ又は複数の固体バッテリセルが前記液体中に浸漬された状態で前記シール可能筐体がシールされている間に、前記液体ポンプは前記液体を送出して前記シール可能筐体内で等方圧を発生させ、
前記加熱システムによって熱が生成され、前記液体に、前記シール可能筐体内で熱が前記液体から前記1つ又は複数の固体バッテリセルに伝えられるように伝えられ、
前記等方圧及び前記熱が前記液体に印加された後に、前記シール可能筐体が非シール状態とされ、前記固体バッテリセルが前記シール可能筐体から取り出されるシステム。
【請求項20】
前記シールされた筐体内で前記1つ又は複数のバッテリセルに印加される前記等方圧は少なくとも1MPaである、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本PCT国際特許出願は、2018年12月11日に出願された、“Hydraulic Isostatic Press Processes for Solid-State Batteries”と題する米国特許出願第16/217,010号の優先権を主張するものである。同出願の開示の全体をあらゆる目的のために参照によって本願に援用する。
【背景技術】
【0002】
[0002] ある種のバッテリは、バッテリのアノード、カソード、及び電解質間で圧力が保持されるとよりよい性能を示す。従来、これを実現するためにジグを使用できる。ジグは複数の剛体板を含んでいてよく、これらは剛体板間に延びるファスナを使って相互に向かって圧縮される。バッテリは、剛体板間に位置付けられて、ジグの板の圧縮力を受けてよい。このような装置は、バッテリアセンブリに重量と体積を付加することになる。さらに、このような圧力は、バッテリの厚さのばらつき又はジグの板の屈曲によって均一でないかもしれない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003] バッテリセルの電解質と活性材料との間の接触量を増やすための各種の装置が提示される。バッテリセルは第一の筐体に挿入されてよく、バッテリセルが液体中に浸漬され、バッテリセルは、アノード、カソード、及び電解質を含む。第一の筐体はシールされてよい。圧力は液体に、シールされた第一の筐体内で液体がバッテリセルに等方圧をかけるように印加される。熱は液体に、シールされた第一の筐体内で熱が液体からバッテリセルに伝えられるように加えられてよい。圧力と熱の液体への印加が停止されてよい。第一の筐体は、液体への圧力と熱の印加が停止された後に、非シール状態とされてよい。バッテリセルは、第一の筐体から取り出されてよい。
【0004】
[0004] 実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含み得る:第一の筐体から取り出されたバッテリセルは、第二の筐体に据え付けられてよく、第二の筐体には液体が充填されている。第二の筐体は、第二の筐体内の液体がバッテリセルに、シールされた第一の筐体内でバッテリセルに印加される等方圧より低い圧力をかけるように加圧されてよい。バッテリセルは、ジェリロール型バッテリセルであってよい。バッテリセルは、固体バッテリセルであってもよい。バッテリセルの電解質は、Liイオン伝導性ポリマであってよい。液体は、非導電コイルであってよい。バッテリセルは、柔軟フィルムに包まれていてよい。シールされた第一の筐体内でバッテリセルに印加される等方圧は、少なくとも1MPaであってよい。液体は、シールされた第一の筐体内で少なくとも100℃の温度まで加熱されてよい。
【0005】
[0005] 幾つかの実施形態において、固体バッテリセルを活性化するシステムが提示される。システムは、シール可能筐体と、液体ポンプと、加熱システムと、シールされた筐体内で加圧される液体と、を含んでいてよい。液体ポンプは、シール可能筐体が、1つ又は複数の固体バッテリセルがシール可能筐体内の液体に浸漬されている状態でシールされている間に、液体を送出して、シール可能筐体内で等方圧を発生させてよい。熱は、加熱システムによって生成されて、シール可能筐体内で熱が液体から1つ又は複数の固体バッテリセルに伝えられるように液体へと伝えられてよい。圧力と熱を液体に印加した後、シール可能筐体が非シール状態にされて、固体バッテリセルはシール可能筐体から取り出される。
【0006】
[0006]各種の実施形態の性質と利点は、次のような図面を参照することによってさらに理解できる。添付の図面において、同様のコンポーネント又は特徴には同じ参照符号を有し得る。さらに、同じ種類の各種のコンポーネントは、参照符号の末尾にダッシュ及び同様のコンポーネント同士を区別する第二の符号を付加することによって区別され得る。第一の参照符号だけが明細書で使用される場合、その説明は第二の参照符号に関係なく、同じ第一の参照符号を有する同様のコンポーネントの何れの1つにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】[0007]円柱バッテリセルパウチの実施形態を示す。
図2】[0008]円柱バッテリセルパウチの実施形態の断面を示す。
図3】[0009]円柱バッテリセルパウチを含む加圧バッテリモジュールの実施形態を示す。
図4】[0010]積層型パウチセル配列群の実施形態を示す。
図5】[0011]積層型パウチセル配列群の実施形態の断面を示す。
図6】[0012]積層型パウチセル配列群の他の実施形態の断面を示す。
図7】[0013]積層型パウチセル配列群を含む加圧バッテリモジュールの実施形態を示す。
図8】[0014]バッテリセル活性化システムの実施形態の側面図を示す。
図9】[0015]バッテリセル活性化システムの実施形態の上面図を示す。
図10】[0016]バッテリセル活性化システムの他の実施形態の側面図を示す。
図11】[0017]バッテリセルの電解質と活性材料との間の接触量を増やすことによってバッテリセルを活性化する方法の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0018]様々な種類のバッテリは、バッテリの能動コンポーネント(すなわち、カソードとアノード)を能動コンポーネントと電解質との間のセパレータに対して押圧するために圧力が印加されると、より有効に機能し得る。さらに、このような種類のバッテリセルはまた、比較的高温(例えば、60℃より高い)で動作すると、より有効に機能し得る。圧力と熱は、各バッテリセルを取り囲む、又は部分的に取り囲む熱伝導性電気的絶縁性液体を加圧することによって、バッテリセルに等方的に分散させられてよい。熱伝導性電気的絶縁性液体を使用することにより、一貫した圧力が各バッテリセルに印加され得、熱エネルギがバッテリセル間で均一且つ効率的に分散され得る。例えば、再充電可能とすることのできるこのようなバッテリは、電気車の推進力供給における使用にとって有益であり得る。電気車は、高いエネルギ密度と出力密度を有する軽量バッテリから恩恵を受けることができる。
【0009】
[0019] 異なる形態のバッテリセルパウチがオイル等の加圧液体内に懸架されてよい。円柱バッテリセルパウチは各々、複数の支持柱により支持されてよい。加圧されたオイルは、各円柱の曲面(及びおそらく円柱の円形上平面及び/又は円形底平面)に同じ圧力を提供し得る。積層型パウチセルは、積み重ねられて、バッテリパウチセル配列群を形成してよい。加圧オイルは、積層型パウチセルの各面に同じ圧力を提供し得る。代替的に、オイルによって第一のバッテリセルパウチの外面にかけられる圧力によって、第一のバッテリセルパウチは第二のバッテリセルパウチに押圧させられ、その結果として有効にバッテリセルパウチ配列群の各バッテリセルパウチが加圧オイルにより相互に圧縮されることになる。
【0010】
[0020] バッテリセルパウチ及び加圧オイルは、シールされた筐体内に格納されてよい。シールされた筐体は、オイルの加圧状態を保持してよく、それゆえ、筐体内でオイルを能動的に加圧する必要がない。オイルは、バッテリ筐体内で能動的又は受動的に循環して、熱を均等に分散させてよい。幾つかの実施形態において、能動加熱素子はシールされた筐体又は加圧オイルを、バッテリセルがより効率的に機能する(例えば、より高いエネルギ密度、より高い出力密度)温度まで加熱する。
【0011】
[0021] 図1は、円柱パウチセルシステム100の実施形態を示す。示されている円柱パウチセルシステム100の図は上から見ている。円柱パウチセルシステム100は、円柱パウチセル110、支持手段120、及び加圧液体130を含んでいてよい。円柱パウチセル110は、ジェリロール型又は円柱型能動コンポーネント112を含んでいてよい。能動コンポーネントは、カソード、アノード、及び電解質を含むことができる。円柱パウチセル110は固体バッテリであってよく、これは、カソード、アノードが液体又はポリマ系ではなく固体であることを意味する。例えば、円柱パウチセル110は、硫黄系固体電解質又はLiイオン伝導性ポリマ電解質を使用してよい。円柱パウチセル110は、酸化物系バッテリパウチであってよい。その他の種類のバッテリパウチ、例えば非固体バッテリ等も可能であり得る。
【0012】
[0022] 能動コンポーネント112は、変形可能パウチ筐体116によって取り囲まれていてよい。変形可能パウチ筐体116により、円柱パウチセル110の外面にかかる圧力が能動コンポーネント112に伝えられ、それゆえアノード、カソード、及び電解質が相互に押し付けられる。円柱パウチセル110の中央に、中央領域114が示されてよい。したがって、変形可能パウチ筐体116は、加圧液体によりかけられる圧力に対して、幾分かの変形も生じずに抵抗できるように、それほど高い剛性を持たなくてよい。変形可能パウチ筐体116(及びそれゆえ、円柱パウチセル110)の直径は15mm~50mmの範囲であってよい。中央領域114は空気隙間であっても、又は金属製ポール等のポールであってもよい。
【0013】
[0023] 円柱パウチセル110を特定の位置及び向きに保持するために、複数の支持手段120が存在してよい。図の実施形態において、3つの円柱支持柱、すなわち支持手段120-1、支持手段120-2、及び支持手段120-3が存在する。これらの支持手段は断熱のためであってよい。これらの支持手段は、円柱パウチセル110が入っているシールされた筐体の上部及び底部に固定されてもよい。したがって、円柱パウチセル110を特定の位置に保持することに加えて、支持手段120はシールされた筐体の構造的剛性に寄与し得る。図1に示される実施形態は、円柱パウチセル110の周囲に約120°間隔で分散された3つの支持手段120を示しているが、他の実施形態では、それより多い、又は少ない支持手段を使って円柱パウチセル110を所定の場所に保持してもよい。例えば、1つの異なる形状の支持手段を使って円柱パウチセル110を所定の場所に保持してもよい。
【0014】
[0024] 円柱パウチセル110は熱伝導性電気的絶縁性加圧液体130、例えばオイルによって取り囲まれていてよい。このオイルは、油圧が変形可能パウチ筐体116に、少なくとも円柱の曲面に沿って、等方的に印加されるように加圧されてよい。加圧液体130によりかけられるこの等方圧は、矢印140で可視化されている。幾つかの実施形態において、加圧液体130は少なくとも1MPa(1平方インチ当たり145ポンドの力)に加圧される。このような圧力によって、能動コンポーネント112内の電解質はカソード及びアノードに押し付けられたままとされ得る。
【0015】
[0025] 図1に、断面200の位置が示されている。図2は、円柱バッテリセルパウチの断面200を示す。断面200は、円柱パウチセル110の断面の側面図を示している。断面200は、支持手段120-1、能動コンポーネント112、中央領域114、加圧液体130、シールされた筐体の上部210、シールされた筐体の底部220、絶縁シール230、上部ギャップ空間240、リード250、底部絶縁材260、及び底部ギャップ空間270を示している。図1に示される断面の位置により、1つの支持手段120-1が見えている。支持手段120-1は幅において1mm~100mmであってよく、これは距離280で示されている。円柱パウチセル110は高さにおいて300mm~1000mmであってよく、これは距離282で示されている。
【0016】
[0026] 円柱パウチセル110の電荷を使用できるようにするために、能動コンポーネント112のアノードとカソードとの電気接続を確立する必要がある。リード250-1及び250-2は、絶縁シール230を通り、能動コンポーネント112のそれぞれアノード及びカソードに至ってよい。絶縁シール230は、円柱パウチセル110とシールされた筐体との間にシールを作ってよい。絶縁シール230は、ポリマ系シーラントであってよく、非導電性であってよい。シールされた筐体の上部210は、リード250が突出できるようにする開口を有していてよい。絶縁シール230は、円柱パウチセル110とシールされた筐体の上部210との間にシールを形成してよく、それによってシールされた筐体の上部210の開口があっても加圧液体130が漏出しない(又は、減圧を生じさせない)。絶縁シール230は高さにおいて1mm~100mmであってよく、これは距離281により示されている。
【0017】
[0027] 円柱パウチセル110とシールされた筐体の上部210との間には、上部ギャップ空間240(例えば、240-1、240-2)が存在してよい。幾つかの実施形態において、これらのギャップは空のままとされてよく、それによって加圧液体130が上部ギャップ空間240に入り、円柱パウチセル110の上面に圧力をかけることができる。同様に、円柱パウチセル110とシールされた筐体の底部220との間に底部ギャップ空間270(例えば、270-1、270-2、270-3)が存在してよい。幾つかの実施形態において、これらのギャップは空のままとされてよく、それによって加圧液体130が底部ギャップ空間270に入り、円柱パウチセル110の底面に圧力をかけることができる。したがって、加圧液体130は、変形可能パウチ筐体116の湾曲した側壁、円形上面、及び円形底面に圧力をかけ得る。他の実施形態では、上部ギャップ空間240、底部ギャップ空間270、又はそれらの両方は充填又はシールされて、加圧オイルがこれらの領域に入らないようにされてもよい。加圧液体130がこれらの領域に入らない場合、加圧液体130によりかけられる等方圧は、円柱パウチセル110の湾曲側壁のみにかかり得る。
【0018】
[0028] 底部絶縁材260(260-1、260-2)は、直立して円柱パウチセル110とシールされた筐体の底部220との間の距離を保持するための円柱パウチセル110の底部を提供してよい。図のように、2つの底部絶縁材260が存在し、他の実施形態では、それより多い、又は少ない底部絶縁材が存在する。底部絶縁材260は高さにおいて1mm~100mmであってよく、これは距離283により示されている。
【0019】
[0029] 図3は、円柱バッテリセルパウチを含む加圧バッテリモジュール300の実施形態を示す。加圧バッテリモジュール300は、上から見て示されている。加圧バッテリモジュール300は複数の円柱パウチセルシステム100を含む。例えば、何百もの円柱パウチセルシステム100がシールされた筐体305の中にあってよい。シールされた筐体の上部210とシールされた筐体の底部220を含むシールされた筐体305。円柱パウチセル対加圧液体空間の詰込み比は、10%~90.7%であってよい。幾つかの実施形態において、円柱パウチセルシステム100はオフセットされた行に配置される。円柱パウチセルシステム100は、相互に平行に配置されてよい。
【0020】
[0030] 幾つかの実施形態において、加熱システム310が存在する。円柱パウチセルは、例えば少なくとも60℃まで加熱されると、より効率的に機能し得る。加熱システム310は、シールされた筐体305の外部に配置された加熱素子を含んでいてよい。加熱システム310は代替的に、シールされた筐体305内に加熱素子を有していてもよい。幾つかの実施形態において、加熱システム310は、シールされた筐体305内に、加圧液体130を循環させて加圧液体130をより均等に加熱するためのサーキュレータを含んでいてよい。加圧液体130は、比較的高い熱伝導率を有していてよく、したがって、加圧液体130の能動的循環が不要であり得る。
【0021】
[0031] 図1~3は円柱パウチセルに焦点を当てているが、例えば平坦パウチセル等、他の形状のパウチセルも使用されてよい。このようなパウチセルは、パウチセル配列群を形成するように積み重ね可能であってよい。図4は、平坦セル配列群システム400の実施形態の上面図を示す。概して長方形で平坦な形状であってよい複数のパウチセルが相互に積み重ねられてよい。図4に示される実施形態において、6つのパウチセル(410-1、410-2、410-3、410-4、410-5、及び410-6)が相互に積み重ねられている。他の実施形態では、より多い、又は少ない数のパウチセルがあってもよい。幾つかの実施形態において、パウチセル410は配列群を形成するために積み重ねられなくてもよい。支持板420-1及び420-2が、パウチセル410を支持し、シールされた筐体内の所定の場所に保持するために使用されてもよい。
【0022】
[0032] パウチセル410の各々の中に、固体バッテリセルがあってよく、これは、カソード、アノード、及び電解質が液体又はポリマ系ではなく固体であることを意味する。例えば、パウチセル410-1は、硫黄系固体電解質を使用してもよい。パウチセル410-1は、酸化物系のバッテリパウチであってよい。非固体バッテリ等のその他の種類のバッテリパウチも可能であり得る。
【0023】
[0033] 能動コンポーネントはパウチセル410の各々のパウチセルと共に、変形可能パウチ筐体411の変形可能パウチ筐体により取り囲まれてよい。変形可能パウチ筐体411によって、パウチセル410の外面にかけられる圧力は各パウチセル内の能動コンポーネントに伝えられ得、それによってアノード、カソード、及び電解質が相互に押し付けられる。したがって、変形可能パウチ筐体411は、それが加圧液体によりかけられる圧力に対して、幾分かの変形も生じずに抵抗できるように、それほど高い剛性を持たなくてよい。中央領域114は空気隙間であっても、また金属製ポール等のポールであってもよい。
【0024】
[0034] パウチセル410の周囲は、オイル等の熱伝導性電気的絶縁性加圧液体130により取り囲まれてよい。このオイルは、油圧が変形可能パウチ筐体411に、少なくともパウチセル410の露出面に沿って等方的に印加されるように加圧されてよい。加圧液体130によりかけられるこの等方圧は、矢印440で可視化されている。幾つかの実施形態において、加圧液体130は少なくとも1MPa(1平方インチ当たり145ポンドの力)に加圧される。このような圧力によって、パウチセル410の能動コンポーネント内の電解質はカソード及びアノードに押し付けられたままとされ得る。
【0025】
[0035] 加圧液体130は、パウチセル410の露出した外面に等方圧をかけ得る。幾つかの実施形態において、パウチセル410は相互に押し付けられ、加圧液体130は配列群のうち最も外側のパウチセル、例えばパウチセル410-1及び410-6とだけ接触する。そのような実施形態において、圧力は、パウチセル410-1及び410-6を通じた力の伝達を介してパウチセル410-2~410-5にかけられる。他の実施形態において、加圧液体は、配列群内のパウチセル間に入り込むことができる。例えば、加圧液体はパウチセル410-3とパウチセル410-4の間に存在してよい。そのような実施形態において、加圧液体130は、各パウチセル410に圧縮圧力を直接かけてもよい。
【0026】
[0036] 断面500が図4に示されている。図5は、積層型パウチセル配列群の実施形態の断面500を示す。各パウチセル(例えば、パウチセル410-1)内に能動コンポーネント560が見える。能動コンポーネント560、例えば能動コンポーネント560-1は、アノード、カソード、及び電解質を含んでいてよい。
【0027】
[0037] 底部絶縁材540は、パウチセル配列群の各パウチセル410を支持し、シールされた筐体底部530-2とパウチセル410との間の絶縁バッファを提供してよい。絶縁シール510は、上部支持手段及び、シールされた筐体の上部530-1とパウチセル410との間のバッファを提供してよい。リード520は、絶縁シール510を通過してよく、パウチセル410の能動コンポーネントと電気的に接続してよい。各パウチセルに2つのリードがあってよく、第一のリードはパウチセルのアノードと接続し、第二のリードはパウチセルのカソードと接続する。簡潔にするために、図のリードのうちの幾つかだけに符号が付けられている。シールされた筐体の上部530-1に穴が存在でき、それによってリード520は外部環境へと通過できる。絶縁シール510は、シールされた筐体の内部環境を外部からシールして、加圧液体130が加圧筐体の内部から漏出するのを防止してよい。絶縁シール510は、ポリマ系シーラントであってもよく、非導電性であってもよい。
【0028】
[0038] 幾つかの実施形態において、加圧液体130は、矢印440により示される方向にのみパウチセル410に圧力を印加し得る。加圧液体130は、絶縁シール510及び底部絶縁材540により各パウチセルの上部及び底部に力をかけないようにされ得る。他の実施形態において、加圧液体130はそれに加えて、パウチセル410の上部、底部、又はその両方に圧力を印加し得る(矢印550により示される)。パウチセル410を絶縁シール510、底部絶縁材540、又はその両方にシールしないことによって、加圧液体130は絶縁シール510、底部絶縁材540、及びパウチセル410の間の領域に入り込み得ず、それによってパウチセル410の上部、底部、又はその両方に等方圧がかかる。
【0029】
[0039] 図6は、積層型パウチセル配列群の他の実施形態の断面を示す。パウチセル配列群は、幅において10mm~100mmであってよい。パウチセル配列群は、高さにおいて300mm~3000mmであってよい。絶縁シール510は、高さにおいて1mm~100mmであってよい。底部絶縁材540は、高さにおいて1mm~100mmであってよい。このような測定値は、パウチ配列群が組み込まれたバッテリ及びバッテリモジュールの具体的な用途に基づいて異なっていてもよい。
【0030】
[0040] 図7は、積層型パウチセル配列群を含む加圧バッテリモジュール700の実施形態を示す。加圧バッテリモジュール700は、上から見て示されている。加圧バッテリモジュール700は、複数のパウチセル配列群システム400を含む。例えば、何百ものパウチセル配列群システム400がシールされた筐体305の中にあってよい。シールされた筐体の上部530-1とシールされた筐体の底部530-2を含むシールされた筐体305。平坦パウチセル配列群対加圧液体空間の詰込み比は、10%~90%であってよい。幾つかの実施形態において、パウチセル配列群システム400は行に、又は格子に配置される。パウチセル配列群システム400は、相互に縦方向に平行に配置されてよい。
【0031】
[0041] 幾つかの実施形態において、加熱システム310が存在する。円柱パウチセルは、例えば少なくとも60℃まで加熱されると、より効率的に機能し得る。加熱システム310は、シールされた筐体305の外部に配置された加熱素子を含んでいてよい。加熱システム310は代替的に、シールされた筐体305内に加熱素子を有していてもよい。幾つかの実施形態において、加熱システム310は、シールされた筐体305内に、加圧液体130を循環させて加圧液体130をより均等に加熱するためのサーキュレータを含んでいてよい。加圧液体130は、比較的高い熱伝導率を有していてよく、したがって、加圧液体130の能動的循環が不要であり得る。
【0032】
[0042] 本明細書に詳述するバッテリセルは加圧環境で格納されていてよいが、このようなバッテリセルの製造時に、製造プロセスのうち活性化プロセスと呼ぶことのできる部分は、バッテリセルの電解質とバッテリセルのアノードとの間及び/又はバッテリセルの電解質とバッテリセルのカソードとの間に改善された接触を形成するために行われるプロセスを含んでいてよい。すでに詳しく説明したように、様々なバッテリ、例えば円柱形のジェリロールバッテリセル等は、バッテリセルの能動コンポーネント(すなわち、カソード及び/又はアノード)を電解質に押し付けるために圧力を印加すると、より効果的に機能し得る。さらに、硫黄又は酸化物系固体電解質の使用におけるこれらの種類のバッテリセルの幾つかはまた、比較的高温(例えば、60℃より高い)で動作すると、より効果的に機能し得る。このようなバッテリセルを製造するために、能動コンポーネントと電解質との間の改善された接触は、その後の動作条件中に印加さる圧力及び温度より高い圧力及び温度を付加することによって実現され得る。
【0033】
[0043] 熱伝導性電気的絶縁性液体を使用すると、一貫した圧力が各バッテリセルの外部に印加され得、またおそらく、熱エネルギがバッテリセル間で均等且つ効率的に分散され得る。この圧力及びより高い温度は、ある期間にわたって保持されてよく、その後、圧力が解放され、温度が下げられる。このプロセスが実行された後、バッテリセルは半活性化されたと呼ばれてよい。
【0034】
[0044] 半活性化されたバッテリセルは、バッテリモジュールの中に永久的に据え付けられてもよい。バッテリモジュール内で、半活性化されたバッテリセルは再加圧されてよいが、活性化プロセス中ほど高い圧力までは加圧されない。温度もまた動作中に上昇されてよいが、おそらく、活性化プロセスの圧力レベルまでは上げられない。バッテリセルは、活性化プロセスが行われなかった場合より改善された動作特性(より高い出力密度及び/又はより高いエネルギ密度を含む)を示し得る。
【0035】
[0045] このようなシステム及びプロセスについてのさらに詳しい説明を、図8~11に関して提供する。図8は、バッテリセル活性化システム800の実施形態の側面図を示す。バッテリセル活性化システム800は、シール可能筐体810(側壁810-1及び側壁810-2を含む)と、キャップ820と、加熱素子815と、バッテリセル上部支持手段830と、バッテリ底部支持手段835と、液体キャビティ840と、を含んでいてよい。
【0036】
[0046] シール可能筐体810は剛体筐体であってよく、それをシールし、シールされた筐体810内を外部周囲環境と比較して高い圧力レベルに保持することができる。シール可能筐体810は金属であってよい。シール可能筐体810の1つ又は複数の側壁(例えば、側壁810-1及び810-2)の中に加熱素子815があってよい。加熱素子815は抵抗加熱素子であってよく、これはジュール加熱又はオーミック加熱素子と呼ぶこともでき、電流が存在するときに熱を生成する。加熱素子815は、側壁810-2及び810-2の全体に分散されてよく、それによって熱はほぼ均等に液体キャビティ840に加えられる。
【0037】
[0047] シール可能筐体810は、取外し可能キャップ820と接していてよい。キャップ820は取外し可能であってよく、それによってバッテリセル850は液体キャビティ840内に取出し可能に挿入されてよい。キャップ820は、シール可能筐体810と共にシールされてよく、それによって液体キャビティ840内に生成された圧力によってキャップ820が外れることがない。図の実施形態はキャップ820がシール可能筐体810の上にあるように示しているが、理解すべき点として、上の代わりに、シール可能筐体810上の他の何れの箇所のアクセスパネルが使用されてもよい。
【0038】
[0048] シール可能筐体810の中には各種の支持手段、例えばバッテリセル上部支持手段830とバッテリ底部支持手段835があってよい。バッテリ底部支持手段835は、バッテリセル850を液体キャビティ840の底から上昇された位置に保持してよい。バッテリセル上部支持手段830は、キャップ820に取り付けられてよく、バッテリセル850を液体キャビティ840内の固定位置に保持するのを助けてよい。
【0039】
[0049] バッテリセル850は円柱バッテリセルであってよい。「ジェリロール」型バッテリセルは、異なる材料が相互に層状にされ、その後丸めて円柱にされ、円柱筐体内に設置されることにより構成されてよい。例えば、第一の層はアノード層であってよく、第二の層は電解質層であってよく、第三の層はカソード層であってよい。それ以外の層が存在してもよく、これは例えばアノードと電解質との間及び/又はカソードと電解質との間の界面層である。バッテリセル850は、柔軟なフィルムで包まれてよい。柔軟なフィルムは、液体が円柱バッテリセル内に入り込むのを防止し得る。柔軟なフィルムは、圧力に対してほとんど抵抗を提供し得ず、それゆえ、外部圧力が円柱バッテリセルの層状コンポーネントに圧力をかけることができ得る。このような圧力の結果として、アノードが電解質に押し付けられ、及び/又はカソードが電解質に押し付けられることになり得る。
【0040】
[0050] バッテリセル850は、固体バッテリセルであってよい。使用される電解質は、Liイオン伝導性ポリマ又は、酸化物系固体電解質であってよい。このような電解質を使用したバッテリセルの出力密度は、電解質、アノード、及びカソードの間に多くの量の接触が存在すると高まり得る。
【0041】
[0051] 液体キャビティ840は、シール可能筐体810内の開放空間によって形成されてよい。液体キャビティ840には、非導電性熱伝導性の液体が充填されてもよい。幾つかの実施形態において、オイルが使用されてよい。液体キャビティ840を満たすために使用される液体は、シールされた筐体305を満たすのに使用されるものと同じ種類の液体であってもよい。液体キャビティ840は、少なくとも一部が液体で満たされている状態に保たれてよい。バッテリセル850が挿入されてよく、液体キャビティ840の残りの部分に液体が充填され、すると、シール可能筐体810が加圧される。加圧された熱が加熱素子815を介してバッテリセル850に加えられ得る間に。加熱素子815はシール可能筐体810を加熱してよく、これは液体キャビティ840内の液体を加熱し、それが今度はバッテリセル850を加熱する。熱はよく分散され得、ほぼ同じ温度の液体がバッテリセル850の側面、上部、及び底部の付近に存在する。空気ではなく液体を使って加熱素子815とバッテリセル850との間で熱を伝達させることによって、熱伝達は大幅に速くなり、それゆえ、バッテリセル850をより速く加熱できる。
【0042】
[0052] 幾つかの実施形態において、加熱素子815が側壁811内に埋め込まれるのではなく、加熱素子815は、液体キャビティ840と共に、又はシール可能筐体810の外側に位置付けられることによって側壁811の外にあってよい。このような実施形態では、加熱素子815はシール可能筐体810の外面に巻き付けられてよい。
【0043】
[0053] 図9は、バッテリセル活性化システム900の実施形態の上面図を示す。バッテリセル活性化システム900は、図8のバッテリセル活性化システム800の実施形態を表していてよい。バッテリセル活性化システム900は、液体ポンプ905を含んでいてよい。液体ポンプ905は複数の目的に使用されてよく、すなわち液体ポンプ905は、バッテリセル850が液体キャビティ840内に位置付けられた後に液体キャビティ840に完全に、又はほとんど完全に液体を充填するために使用されてよく、液体ポンプ905は、シール可能筐体810がシールされた後にシール可能筐体810内の圧力を上昇させ、下降させ、制御するために使用されてよく、液体ポンプ905は、液体キャビティ840内で液体を循環させるために使用されてよい。液体ポンプ905は、液体キャビティ840と配管910を介して接続されてよく、それによって液体は液体キャビティ840の中へと送出され、及びおそらく、そこから排出されることができる。
【0044】
[0054] 図10は、バッテリセル活性化システム1000の実施形態の側面図を示す。バッテリセル活性化システム1000は、図8及び9のそれぞれバッテリセル活性化システム800(及びおそらく900)と同様に機能してよい。バッテリセル活性化システム1000によって、複数のバッテリセルを同時に活性化できる。図の例では4つのバッテリセル850がシール可能筐体1010内に存在する。バッテリセルのこの数は例示のためにすぎず、他の実施形態では、それより少ない、又は多い数のバッテリセル、例えば何十もの、又はさらには何百ものバッテリセルが存在してもよい。液体キャビティ1020内の液体は、バッテリセル850の外面に圧力を印加するために使用されるため、圧力はバッテリセル外面上で等方である。
【0045】
[0055] 図11は、バッテリセルの電解質と活性材料との間の接触量を増やすことによってバッテリセルを活性化する方法1100の実施形態を示す。方法1100は、図8~10に詳細に示したシステムと機器を使って行われてよい。方法1100は、図1~7に関して詳述したシステムと機器で使用するための1つ又は複数のバッテリセルを活性化又はコンディショニングするために製造プロセスの一環として使用されてよい。
【0046】
[0056] ブロック1105で、固体Liイオン伝導性ポリマ電解質を使用してよいバッテリセルがシール可能な筐体内の液体中に浸漬されてよい。液体は、非導電性熱伝導性液体であってよい。この液体は、オイルの一種であってもよい。ブロック1105で浸漬されるバッテリセルは、電解質、アノード、及びカソードを有し、これはジェリロール型円柱パウチ式バッテリセル又は平坦パウチセルとして製造されてよい。ブロック1105で浸漬されるバッテリセルは機能的であってよいが、バッテリセルの機能性は、アノードと電解質及び/又はカソードと電解質間の接触量を増やすことによって改善され得る。
【0047】
[0057] ブロック1110で、浸漬されたバッテリセルが入った状態で筐体がシールされてよい。このブロックでは、シールされた筐体内にある程度の空気隙間があってよい。他の実施形態では、空気隙間がまったくなくてもよい。ある量の空気隙間が存在する場合、ブロック1115で、シールされた筐体の内部に追加の液体が送出されるか、それ以外に追加されてよい。ブロック1115は、空気が漏出できるようにすることを含んでいてよい。ブロック1115の後、空気の全部又は空気の実質的に全部が除去されてよく、それによってバッテリセルは液体中に完全に浸漬される(例えば、バッテリの外面の全てが液体と接触する)。
【0048】
[0058] ブロック1120で、液体はシールされた筐体内で、バッテリセルの種類に応じて例えば1MPa~300MPaまで加圧されてよい。液体が加圧されることによって、圧力は液体中に浸漬されたバッテリセルの外面(上部、底部、及び/又は側壁)に等方的に印加され得る。ブロック1120で印加される圧力は少なくとも1MPaであってよい。ブロック1125で、液体は、熱が浸漬されたバッテリセルの外面にほぼ等方的に加えられるように加熱されてよい。いくつかの実施形態において、液体は100℃~200℃まで加熱される。バッテリセルは、バッテリセルが空気によって取り囲まれている場合と比較して、より速く加熱され得、これは、液体のほうが気体より高い熱伝導性を有するからである。ブロック1120及び1125は、様々な実施形態において、順序が逆転されても、又は同時に実行されてもよい。幾つかの実施形態において、液体は加熱されなくてもよい。バッテリセルは、加圧された、及び/又は加熱された液体の中に、ある時間、例えば1~10分間にわたり保持されてもよい。圧力は、液体ポンプを使って生成され、保持されてよい。熱は、シールされた筐体の壁の中、シールされた筐体の内部、又はシールされた筐体の外部にあってよい1又は複数のジュール加熱素子を使って生成されてよい。
【0049】
[0059] ブロック1130で、液体は、加熱されていれば冷却され、周囲環境の圧力まで減圧されてよい。幾つかの実施形態において、液体は能動的に冷却されて、他の実施形態では液体は周囲環境に熱を発散させることによって冷まされる。
【0050】
[0060] ブロック1135で、バッテリセルは液体から取り出されてよい。バッテリセルはこの時点で、半活性化されたと考えられてよい。すなわち、ブロック1105~1130が行われたことによって、バッテリは半活性化された状態となっている。バッテリセルは、ブロック1150に詳しく記されているようにそれが加圧環境中に据え付けられたときに活性化されたと考えられてよい。ブロック1140で、半活性化されたバッテリセルは洗浄されて、バッテリセルの外面上に残った液体が除去されてよい。
【0051】
[0061] ブロック1145で、半活性化されたバッテリはシール可能筐体内に据え付けられてよく、その中でバッテリセルは充放電されることになる。この筐体はブロック1105~1135に使用された筐体とは別であり、異なる。ブロック1145で使用される筐体は、バッテリモジュールの一部として機能することになる筐体であってよい。このようなシール可能筐体は、車に搭載されてよい。例えば、図3及び7のシールされた筐体305が使用されてもよい。バッテリセルがシール可能筐体内に据え付けられると、シール可能筐体は、ブロック1150で、バッテリセルが入っている状態でシールされてよい。オイル等の液体は、ブロック1120で使用された液体と同じ形態であってよく、シール可能筐体内にあってよく、それによってバッテリセルの周囲の空間の全部又はほとんどが液体で占められる。バッテリセルが筐体に挿入された後、シール可能筐体内の液体の量はいっぱいにされるか、又はすべての液体が追加されてもよい。
【0052】
[0062] ブロック1150で、筐体内の液体は、例えばポンプを使って加圧されてよい。液体が所望の圧力まで加圧されると、ブロック1150で、シール可能筐体は、おそらく永久にシールされてよい。バッテリセルはこれで、活性化されたと考えられてよい。そのため、圧力は、シール可能筐体が圧力の漏出を防止することによって保持され得る。ブロック1150で確立された圧力は、ブロック1120で印加される圧力より低圧であってよい。同様に、筐体内の液体は、例えば加熱システム310等の1つ又は複数の加熱素子を使って加熱されてよい。ブロック1150で確立された熱は、ブロック1125で付加された熱より少なくてよく、それによって動作温度はバッテリがブロック1125で活性化された際の温度より低い。熱は、バッテリを所望の温度動作範囲内に保持するために加えられてよい。
【0053】
[0063] ブロック1155で、活性化されたバッテリセルは充放電サイクルを経てよく、それによって、等方圧が加えられた環境内にある活性化されたバッテリセルは電気を生成し、これは電気車等のシステム又は機器に動力を供給するために使用できる。
【0054】
[0064] 上述の方法、システム、及び機器は例である。必要に応じて、各種の構成において様々な手順又はコンポーネントが省かれ、代替され、又は追加されてよい。例えば、代替的構成では、方法は説明されたものとは異なる順序で行われてよく、及び/又は各種のステージが追加され、省略され、及び/又は結合されてもよい。また、特定の構成に関して説明された特徴は、他の様々な構成で組み合わされてもよい。構成の異なる面と要素が同様に組み合わされてもよい。また、技術は進化するため、要素の多くは例であって、本開示の範囲又は特許請求の範囲を限定しない。
【0055】
[0065] 説明文の中で、具体的な詳細事項は例示的構成(実施例を含む)を十分に理解するために提供されている。しかしながら、構成はこれらの具体的な詳細事項がなくても実施され得る。例えば、よく知られている回路、プロセス、アルゴリズム、構造、及び技術は、その構成が不明瞭になるのを避けるために、不必要な詳細を含めずに示されている。この説明は、例示的な構成のみを提供しており、特許請求項の範囲、適用可能性、又は構成を限定しない。むしろ、構成に関する上述の説明は、当業者に対して、記載された技術の実施を可能にする説明を提供している。要素の機能及び配置には、本開示の主旨と範囲から逸脱せずに様々な変更を加えてよい。
【0056】
[0066] また、構成は、フロー図又はブロック図として描かれたプロセスとして説明され得る。各々は連続的プロセスとして動作を説明し得るものの、動作の多くは並列して、又は同時に行うことができる。それに加えて、動作の順序は並べ替えてもよい。プロセスは、図中に含められていない追加のステップを有していてもよい。さらに、方法の例はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア説明言語、又はこれらの何れかの組合せにより実装されてよい。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、又はマイクロコードで実装された場合、必要なタスクを実行するためのプログラムコード又はコードセグメントは、記憶媒体等の非一時的コンピュータ可読媒体内に保存されてもよい。プロセッサは、説明されたタスクを実行してよい。
【0057】
[0067] 幾つかの例示的な構成を説明したが、本開示の主旨から逸脱することなく、様々な改良、代替的構成、及び等価物が使用されてよい。例えば、前述の要素は、他のルールが優先されるか、又はそれによってそれ以外に本発明の応用が変更され得る、より大きいシステムのコンポーネントであってもよい。また、多くのステップが、前述の要素が考慮される前、考慮中、又は考慮された後に行われてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】