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特表2022-513773眼科検査デバイス用の形状変更光学デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】眼科検査デバイス用の形状変更光学デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20220202BHJP
   G02B 3/14 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B3/14
G02B7/04 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533141
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2019085453
(87)【国際公開番号】W WO2020120806
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】18212803.3
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516049342
【氏名又は名称】オプトチューン アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パットシェイダー、ローマン
(72)【発明者】
【氏名】アスクワンデン、マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ニーデラー、ダヴィッド アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ラニンク、クリス
(72)【発明者】
【氏名】ガーラット、アーロン
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044BD10
2H044BD12
2H044BD17
2H044BE07
2H044BE09
2H044BE20
(57)【要約】
本発明は、光学デバイス、特に眼科デバイス用の光学デバイス(1)であって、容器(2)の内部空間(3)を取り囲む容器(2)であって、内部空間(3)は透明な液体(L)で満たされ、液体(L)が膜(22)と底部(21)との間に配置されるように、透明な底部(21)と、前記底部(21)に対向する透明で弾性式に変形可能な膜(22)とを備える容器(2)と、膜(22)に接続され、その結果、レンズ成形要素(4)の周縁部(41)は膜(22)の中心領域(23)を画定し、その結果、光が中心領域(23)および底部(21)を介して容器(2)の中を通過することができる、変形可能な環状レンズ成形要素(4)であって、変形されていない状態では、前記縁部(41)は平面内にある、変形可能な環状レンズ成形要素(4)と、調整可能な球面屈折力および調整可能な円柱屈折力と、を備え、光学デバイス(1)の円柱屈折力を適合させるために、レンズ成形要素(4)は、前記平面(P)から外に曲げられるように構成される、光学デバイス(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイス、特に眼科デバイス用の光学デバイス(1)であって、
容器(2)の内部空間(3)を取り囲む容器(2)であって、前記内部空間(3)は透明な液体(L)で満たされ、前記液体(L)が膜(22)と底部(21)との間に配置されるように、前記透明な底部(21)と、前記底部(21)に対向する透明で弾性式に変形可能な前記膜(22)とを備える、容器(2)と、
前記膜(22)に接続され、その結果、前記レンズ成形要素(4)の周縁部(41)は前記膜(22)の中心領域(23)を画定し、その結果、光が中心領域(23)および前記底部(21)を介して前記容器(2)の中を通過することができる、変形可能な環状レンズ成形要素(4)であって、変形されていない状態では前記縁部(41)は平面内にある、変形可能な環状レンズ成形要素(4)と、
調整可能な球面屈折力および調整可能な円柱屈折力と、を備え、前記光学デバイス(1)の前記円柱屈折力を適合させるために、前記レンズ成形要素(4)は、前記平面(P)から外に曲げられるように構成される、
光学デバイス(1)。
【請求項2】
前記光学デバイス(1)の前記円柱屈折力を適合させるために、前記レンズ成形要素(4)は、前記平面(P)から外に曲げられるように構成され、その結果、前記レンズ成形要素(4)の前記縁部(41)は、円柱面と一致する、請求項1に記載の光学要素。
【請求項3】
前記光学デバイス(1)は、調整可能なプリズム屈折力を備える、請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記底部(21)は、前記容器(2)の周方向の側壁(24)に接続される、請求項1から3のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記側壁(24)は、前記底部(21)と一体式に形成されている請求項4に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記側壁(24)および前記底部(21)は、互いに接続された別個の要素である、請求項4に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記膜(22)は前記側壁(24)に接続される、請求項4から6のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記容器(2)は、前記レンズ成形要素(4)を前記側壁(24)または前記底部(21)に接続する、別個の周方向の可撓性のシーリング要素(25)を備える請求項1から6のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記底部(21)は、弾性式に変形可能なさらなる膜(21)を形成し、前記光学デバイス(1)は、前記さらなる膜(21)に接続され、その結果、前記さらなるレンズ成形要素(24)の周縁部(42)はさらなる膜(21)の中心領域(29)を画定する、環状のさらなるレンズ成形要素(24)を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記さらなるレンズ成形要素(24)は、変形可能なさらなるレンズ成形要素(24)であり、変形されていない状態では、前記さらなるレンズ成形要素(24)の前記縁部(42)は、さらなる平面(P’)を画定し、前記光学デバイス(1)の前記円柱屈折力を適合させるために、前記さらなるレンズ成形要素(24)は、前記さらなる平面(P’)から外に曲げられるように構成される、請求項9に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記さらなるレンズ成形要素(24)は、剛性である、請求項9に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記膜(22)はシェルを形成する、請求項9から11のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記光学デバイス(1)は、前記内部空間(3)が2つの別個の領域(3a,3b)に分割されるように、前記膜(22)と前記底部(21)との間に配置された透明な光学要素(210)を備え、前記光学デバイス(1)は、可撓性の第1の側壁(240)および可撓性の第2の側壁(241)を備え、前記第1の側壁(240)は、前記レンズ成形要素(4)を前記光学要素(210)に接続し、前記第2の側壁(241)は、前記光学要素(210)を前記底部(21)に接続する、請求項1から3のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記光学デバイス(1)は、前記円柱屈折力を調整するために、前記変形可能レンズ成形要素(4)を前記平面(P)から外に曲げるように構成されたアクチュエータシステム(30)を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記アクチュエータシステム(30)は、前記円柱屈折力を調整するために、前記レンズ成形要素(4)の複数の点(S1,...,S6)を前記光学デバイス(1)の光軸(A)に沿って変位させて前記変形可能なレンズ成形要素(4)を前記平面(P)から外に曲げるように構成される、請求項14に記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記点(S1,...,S6)は、前記レンズ成形要素(4)の外周(40)に沿って分散される、請求項15に記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記複数の点(S1,...,S6)は、少なくとも5つの点、特に6つの点である請求項15または16に記載の光学デバイス。
【請求項18】
前記点(S1,...,S6)は、前記レンズ成形要素(4)の外周(40)に沿って等距離に離間される、請求項15から17のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項19】
前記アクチュエータシステム(30)は、前記光学デバイス(1)の光軸(A)に沿って前記点(S1、…、S6)を変位させて前記光学デバイス(1)の前記球面屈折力を調整するように構成される、請求項15から18のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項20】
前記アクチュエータシステム(30)は、液体(L)を内部空間(3)に、または内部空間(3)からポンプで送るように構成されたポンプ(27)を備えることで、前記光学デバイス(1)の前記球面屈折力を調整する、請求項14から19のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項21】
前記アクチュエータシステム(30)は、前記レンズ成形要素(4)が前記光学デバイス(1)の前記光軸(A)に対して傾斜されるように、前記レンズ成形要素(4)の点(S1,...,S6)を変位させて前記光学デバイス(1)の前記プリズム屈折力を調整するように構成される、請求項15から20のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項22】
前記アクチュエータシステム(30)は、前記レンズ成形要素(4,24)を互いに対して傾斜させて前記光学デバイス(1)の前記プリズム屈折力を調整するように構成される、請求項9および請求項14から20のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項23】
前記アクチュエータシステム(30)は、複数のアクチュエータ(31)を備え、各アクチュエータ(31)は、前記点(S1,...,S6)のうちの1つを変位させるように構成される、請求項15から22のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項24】
各アクチュエータ(31)は、前記アクチュエータ(31)を利用して前記光学デバイス(1)の前記光軸(A)に沿って前後に可動である可動子(33)を備え、各可動子(33)は、特に、準拠した結合要素(34)を介して前記レンズ成形要素(4)の前記関連する点(S1,...,S6)に結合される、請求項23に記載の光学デバイス。
【請求項25】
各アクチュエータ(31)は、前記アクチュエータ(31)によって前記光学デバイス(1)の前記光軸(A)に沿って前記レンズ成形要素(4)に向かって、または前記レンズ成形要素(4)から離れるように可動である可動子(33)を備え、各可動子(33)は、前記レンズ成形要素(4)の前記関連する点(S1,...,S6)を押す、または前記関連する点を引っ張るように構成され、各アクチュエータ(31)は、前記レンズ成形要素(4)の前記関連する点(S1,...,S6)に復元力を加えるように構成されたばね要素(5)を備える、請求項23に記載の光学デバイス。
【請求項26】
前記それぞれの可動子(33)は、永久磁石(33)によって形成される、または永久磁石(33)を備え、前記それぞれのアクチュエータ(31)は、前記それぞれのアクチュエータ(31)の前記永久磁石(33)を移動させるための電磁石(32)を備える、請求項24または25に記載の光学デバイス。
【請求項27】
前記それぞれのばね要素(5)は、前記容器(2)の前記底部(21)上で支持される、請求項25または26に記載の光学デバイス。
【請求項28】
前記それぞれのばね要素(5)は、前記側壁(24)上で支持される、請求項4および請求項25または26に記載の光学デバイス。
【請求項29】
前記それぞれのばね要素(5)はコイルばねである、請求項25から27のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項30】
前記それぞれのばね要素(5)は板ばねである、請求項25から28のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項31】
前記それぞれのばね要素(5)は、前記内部空間(3)内に配置され、前記液体(L)に浸漬される、請求項25から30のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項32】
前記それぞれのばね要素(5)は、前記容器(2)の前記内部空間(3)の外側に配置される、請求項25から30のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項33】
前記それぞれのばね要素(5)は、前記レンズ成形要素(4)と一体式に形成される、請求項25から30のいずれか一項または請求項32に記載の光学デバイス。
【請求項34】
前記アクチュエータシステム(30)は、少なくとも第1の環状能動層(4a)を備える曲げアクチュエータ(300)を備え、前記第1の能動層(4a)は、前記レンズ成形要素(4)によって構成され、前記第1の能動層(4a)は、第1の方向(D1)に膨張または収縮して前記レンズ成形要素(4)を前記平面(P)から外に曲げるように構成され、その結果、前記光学デバイスは、円柱基準軸(C1)に対する円柱屈折力を備える、請求項14に記載の光学デバイス。
【請求項35】
前記曲げアクチュエータ(300)は第2の環状能動層(4b)を備え、前記第2の能動層(4b)は、前記レンズ成形要素(4)によって構成され、前記第2の能動層(4b)は、第2の方向(D2)に膨張または収縮して前記レンズ成形要素(4)を前記平面(P)から外に曲げるように構成され、その結果、前記光学デバイス(1)は前記円柱基準軸(C1)に対する前記円柱屈折力を備える、請求項34に記載の光学デバイス。
【請求項36】
前記曲げアクチュエータ(300)は、前記レンズ成形要素(4)によって構成される環状受動層(4c)を備え、前記受動層(4c)は、前記第1の能動層(4a)に接続される、または前記受動層(4c)は、前記第1の能動層(4a)と前記第2の能動層(4b)との間に配置され、前記第1の能動層(4a)および前記第2の能動層(4b)に接続される、請求項34または35に記載の光学デバイス。
【請求項37】
前記アクチュエータシステム(30)は、少なくとも第1の環状能動層(4a)を備えるさらなる曲げアクチュエータ(301)を備え、前記さらなる曲げアクチュエータ(301)の前記第1の能動層(4a)は、前記さらなるレンズ成形要素(24)によって構成され、前記さらなる曲げアクチュエータ(301)の前記第1の能動層(4a)は、第1の方向(D1)に拡張または収縮して、前記さらなるレンズ成形要素(24)を前記平面(P’)から外に曲げるように構成され、その結果、前記光学デバイス(1)は、さらなる円柱基準軸(C2)に対する円柱屈折力を備える、請求項10および請求項34から36のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項38】
前記別の曲げアクチュエータ(301)は、第2の環状能動層(4b)を備え、前記さらなる曲げアクチュエータ(301)の前記第2の能動層(4b)は、前記さらなるレンズ成形要素(24)によって構成され、前記さらなる曲げアクチュエータ(301)の前記第2の層(4b)は、第2の方向(D2)に膨張または収縮して前記さらなるレンズ成形要素(24)を前記平面(P’)から外に曲げるように構成され、その結果、前記光学デバイス(1)は、前記さらなる円柱基準軸(C2)に対する前記円柱屈折力を備える、請求項37に記載の光学デバイス。
【請求項39】
前記さらなる曲げアクチュエータ(301)は、前記さらなるレンズ成形要素(24)によって構成される環状受動層(4c)を備え、前記さらなる曲げアクチュエータ(301)の前記受動層(4c)は、前記さらなる曲げアクチュエータ(301)の前記第1の能動層(4a)に接続される、または、前記さらなる曲げアクチュエータ(301)の前記受動層(4c)は、前記さらなる曲げアクチュエータ(301)の前記第1の能動層(4a)と前記第2の能動層(4b)との間に配置され、前記さらなる曲げアクチュエータ(301)の前記第1の能動層(4a)および前記第2の能動層(4b)に接続される、請求項37または38に記載の光学デバイス。
【請求項40】
前記円柱基準軸(C1、C2)は、互いに対して45°回転される、請求項34から36のいずれか一項および請求項37から39のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項41】
前記アクチュエータシステム(30)は、少なくとも第1の環状能動層(4a)を備える曲げアクチュエータ(302)を備え、前記第1の層(4a)は、前記レンズ成形要素(4)によって構成され、前記第1の能動層(4a)は、前記第1の能動層(4a)の周方向(40)に並んで配置されたセグメント(S1,...,S12)を備え、前記セグメントは、収縮または拡張するように選択的に活性化されて前記レンズ成形要素(4)を前記平面(P)から外に曲げるように構成され、その結果、前記光学デバイス(1)は円柱屈折力を備える、請求項14に記載の光学デバイス。
【請求項42】
前記曲げアクチュエータ(302)は、第2の環状能動層を備え、前記第2の能動層は、前記レンズ成形要素(4)によって構成され、前記第2の能動層は、収縮または拡張するように選択的に活性化されて前記レンズ成形要素(4)を前記平面(P)から外に曲げるように構成され、その結果、前記光学デバイスは、前記円柱屈折力を備える、前記第2の能動層の周方向に並んで配置されたセグメントを備える、請求項41に記載の光学デバイス。
【請求項43】
前記曲げアクチュエータ(302)は、前記第1の能動層に接続される、または前記第1の能動層(4a)と前記第2の能動層(4b)との間に配置され、前記第1の能動層(4a)および前記第2の能動層(4b)に接続される環状の受動層(4c)を備える、請求項41または42に記載の光学デバイス。
【請求項44】
前記レンズ成形要素(4)は、前記光学デバイス(1)の保持構造体(7)に弾性的に取り付けられる、請求項14または請求項34から43のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項45】
前記アクチュエータシステム(30)は、前記レンズ成形要素(4)に対して前記底部(21)を傾斜させて前記光学デバイス(1)の前記プリズム屈折力を調整するように構成される、請求項14に記載の、または請求項14を参照するときの請求項15から44のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項46】
前記アクチュエータシステム(30)は、前記レンズ成形要素(4)に対して前記光学デバイス(1)の光軸(A)に沿って前記底部(21)を移動させて前記光学デバイス(1)の前記球面屈折力を調整するように構成される、請求項14に記載の、または請求項14を参照するときに請求項15から45のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に眼科デバイス用の光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
眼科検査機器は、通常、対応する規格に規定されている特定の要件を満たさなければならない。特に、ISO 10341:2012(E)によれば、球面屈折力、円柱屈折力、およびプリズム屈折力、ならびに対応する軸は調整可能である必要がある。
【0003】
特に、耐熱性ヘッドの球面屈折力は、0.25D刻みで0Dから+15Dまで、および0,25D刻みで0Dから-15Dまでの最小測定範囲を有するものとする。
【0004】
さらに、円柱(または非点収差)屈折力は、プラスまたはマイナスの円柱形態で0.25D刻みで0D~5Dの最小測定範囲を有するものとし、プリズム屈折力は、1Δ刻みで、または連続的に0Δ~10Δの最小測定範囲を有するものとする。
【0005】
さらなる要件は、自由な開口部および瞳孔間距離に関する。
【0006】
さらに、最新技術では、ゼルニケモードを介した非点収差および焦点ぼけ波面補正は、流体レンズを用いて生成できることが知られている(すなわち、Appl Opt.2009;48(19):3580-7、また:Lin Pang、Uriel Levy、Kyle Campbell、Alex Groisman、およびYeshaiahu Fainman、「Set of two orthogonal adaptive cylindrical lenses in a monolith elastomer device」、Opt.Express 13、9003-9013(2005);Randall Marks、David L.Mathine、Gholam Peyman、Jim Schwiegerling、およびNasser Peyghambarian、「Adjustable fluidic lenses for ophthalmic corrections」、Opt.Lett.34、515-517(2009);Randall Marks、David L.Mathine、Gholam Peyman、Jim Schwiegerling、およびN.Peyghambarian、「Adjustable adaptive compact fluidic phoropter with no mechanical translation of lenses」、Opt.Lett.35、739-741(2010)も参照されたい)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Appl Opt.2009;48(19):3580-7
【非特許文献2】Lin Pang、Uriel Levy、Kyle Campbell、Alex Groisman、およびYeshaiahu Fainman、「Set of two orthogonal adaptive cylindrical lenses in a monolith elastomer device」、Opt.Express 13、9003-9013(2005)
【非特許文献3】Randall Marks、David L.Mathine、Gholam Peyman、Jim Schwiegerling、およびNasser Peyghambarian、「Adjustable fluidic lenses for ophthalmic corrections」、Opt.Lett.34、515-517(2009)
【非特許文献4】Randall Marks、David L.Mathine、Gholam Peyman、Jim Schwiegerling、およびN.Peyghambarian、「Adjustable adaptive compact fluidic phoropter with no mechanical translation of lenses」、Opt.Lett.35、739-741(2010)
【発明の概要】
【0008】
上記に基づいて、本発明の目的は、眼科検査デバイスにおいて特に使用することができ、比較的小さい設置スペースを備え、調整可能な球面屈折力および円柱屈折力を(および同様にプリズム屈折力も)単一の光学要素に統合することを可能にする光学デバイスを提供することである。
【0009】
この問題は、請求項1の特徴を有する光学デバイスによって解決される。
【0010】
本発明のこれらの態様の好ましい実施形態は、対応するサブクレームに提示されており、また以下にも記載される。
【0011】
請求項1によれば、光学デバイス、特に眼科デバイス用の光学デバイスであって、
容器の内部空間を取り囲む容器であって、内部空間は透明な液体で満たされ、液体が膜と底部との間に配置されるように、透明な底部と、前記底部に対向する透明で弾性式に変形可能な膜とを備える容器と、
膜に接続され、その結果、レンズ成形要素の周(例えば、円形)縁部は膜の中心領域を画定し、その結果、光が中心領域および底部を介して容器を通過することができる、変形可能な環状レンズ成形要素であって、変形されていない状態では、レンズ成形要素の前記縁部は平面(すなわち、平坦な仮想表面)を画定する、変形可能な環状レンズ成形要素と、を備え、
光学デバイスは、調整可能な球面屈折力および調整可能な円柱屈折力を備え、光学デバイスの円柱屈折力を適合させるために、レンズ成形要素は、前記平面から外に曲げられるように構成され、特にその結果、縁部は湾曲面上にある、光学デバイスが開示される。
【0012】
特に、一実施形態によれば、変形可能なレンズ成形要素は、(例えば、復元力を提供するために)弾性式に変形可能なレンズ成形要素であり得る。
【0013】
一実施形態によれば、光学デバイスの円柱屈折力を適合させるために、レンズ成形要素は、前記平面から外に曲げられるように構成され、その結果、レンズ成形要素の前記縁部は円柱面と一致する。
【0014】
特に、レンズ成形要素の縁部は、膜の中心領域がレンズ成形要素から突出する接触線を画定する。したがって、レンズ成形要素は軸方向に(すなわち、光軸に沿って)移動される場合、この移動は、レンズの前記領域の曲率の球面成分を変化させるため、光学デバイスの球面屈折力は変更される。さらに、レンズ成形要素は前記平面から外に曲げられる場合、膜のその領域は、円柱曲率および対応する円柱屈折力を発達させる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、光学デバイスはまた、調整可能なプリズム屈折力を備える。さらに、プリズム屈折力を調整するために、レンズ成形要素は、光学デバイスの光軸に対して傾斜されるように構成される。このような傾斜により、容器を、例えばプリズムに形成する(例えば、平らな状態から始める)ことができるため、光学デバイスのプリズム屈折力が調整される。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、底部は、容器の周方向の側壁に接続される。特に、底部は、平坦な透明板として(例えば、ガラスまたはポリマーから)形成することができる。
【0017】
また、本発明の一実施形態によれば、側壁は、底部と一体式に形成される。特に、側壁および底部は、容器の内部空間またはこの内部空間の一部を形成するための凹部を備える板状部材によって形成されてもよい。
【0018】
さらに、本発明の一実施形態によれば、側壁および底部は、互いに接続された(例えば、互いに接着された)別個の要素である。
【0019】
さらに、本発明の一実施形態によれば、膜は側壁に接続される(例えば、側壁に接着される)。
【0020】
さらに、本発明の一実施形態によれば、容器は、レンズ成形要素を側壁または底部に接続する、別個の周方向で可撓性のシーリング要素を備える。
【0021】
さらに、本発明の一実施形態によれば、底部は、弾性式に変形可能なさらなる膜を形成し、光学デバイスは、さらなる膜に接続され、その結果、さらなるレンズ成形要素の周(例えば円形の)縁部はさらなる膜の中心領域を画定し、その結果、光が対向する膜の前記中心領域を通って容器を通過することができる、環状のさらなるレンズ成形要素を備える。特に、側壁は、環状のさらなるレンズ成形要素を形成し得る。
【0022】
さらに、本発明の一実施形態によれば、さらなるレンズ成形要素は、変形可能なさらなるレンズ成形要素であり、変形されていない状態では、さらなるレンズ成形要素の縁部はさらなる平面を画定し、光学デバイスの円柱屈折力を適合させるために、さらなるレンズ成形要素もまた、前記さらなる平面から外に曲げられように構成され、特にその結果、さらなるレンズ成形要素の前記縁部は湾曲面上にある、および/または円柱面と一致する。
【0023】
さらに、本発明の一実施形態によれば、さらなるレンズ成形要素は、(特に変形可能なレンズ成形要素と比較して)剛性である。
【0024】
さらに、本発明の一実施形態によれば、膜はシェルを形成する、すなわち、膜は、その延長面から外に弾性式に曲げることができ、シェルをその初期の平らな状態に戻そうとする復元力を生成する。特に、本発明の構成において、弾性式に変形可能な膜は、その無次元張力パラメータkが5より小さい場合にシェルであるとみなされる。無次元張力パラメータkは、以下のように定義され、
【数1】

式中、Nは初期の面内の半径方向引張荷重であり、aは円形膜またはシェルの半径であり、Dは曲げ剛性である。それは、
【数2】

のように定義され、式中、Eは弾性率であり、hは膜またはシェルの厚さであり、νはポアソン比である(Sheploak,M.,&Dugundji,J.(1998)、Large deflections of clamped circular plates under initial tension and transitions to membrane behavior.Journal of Applied Mechanics,65(1)、107-115を参照)。
【0025】
本発明による光学デバイスの別の実施形態によれば、光学デバイスは、容器の内部空間が2つの別個の領域に分割されるように、膜と底部との間に配置された透明な光学要素を備え、各領域は液体で満たされ、光学デバイスは可撓性の第1の側壁(例えば、ベローズ)と、可撓性の第2の側壁(例えば、ベローズ)とを備え、第1の側壁はレンズ成形要素を光学要素に接続し、第2の側壁は光学要素を底部に接続する。これにより、別個のアクチュエータによって底部を傾斜させる、および/または移動させてプリズム屈折力および/または球面屈折力を調整することが可能になる。
【0026】
さらに、本発明の一実施形態によれば、光学デバイスは、円柱屈折力を適合させるために、変形可能レンズ成形要素を平面から外に曲げるように構成されたアクチュエータシステムを備える。
【0027】
さらに、本発明の一実施形態によれば、アクチュエータシステムは、円柱屈折力を適合させるために、レンズ成形要素の複数の点を光学デバイスの光軸に沿って変位させて変形可能なレンズ成形要素を平面から外に曲げるように構成される。
【0028】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記点は、レンズ成形要素の外周に沿って配置される。特に、前記点は、レンズ成形要素の表面上に配置され、この表面は膜から離れるように向いている。特に、点は、レンズ成形要素の表面の中心線上に配置することができる。
【0029】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記複数の点は、少なくとも5つの点、特に6つの点を有する。特に、前記複数の点は、一実施形態に従って正確に6つの点によって形成することができる。
【0030】
さらに、本発明の一実施形態によれば、点は、レンズ成形要素の外周に沿って等距離で離間される。
【0031】
さらに、本発明の一実施形態によれば、アクチュエータシステムは、長手方向軸に沿って点を同じ量だけ変位させて光学デバイスの球面屈折力を調整するように構成される。
【0032】
さらに、本発明の一実施形態によれば、アクチュエータシステムは、液体を内部空間に、または内部空間からポンプで送るように構成されたポンプを備えることで、光学デバイスの球面屈折力を調整する。
【0033】
さらに、本発明の一実施形態によれば、アクチュエータシステムは、レンズ成形要素が光学デバイスの光軸に対して傾斜されるように、レンズ成形要素の点を変位させて光学デバイスのプリズム屈折力を調整するように構成される。
【0034】
さらに、本発明の一実施形態によれば、アクチュエータシステムは、レンズ成形要素を互いに対して傾斜させて光学デバイスのプリズム屈折力を調整するように構成される。
【0035】
特に、本発明の好ましい実施形態によれば、アクチュエータシステムは、複数のアクチュエータを備え、各アクチュエータは、点のうちの1つを変位させるように構成される。
【0036】
特に、一実施形態では、各アクチュエータは、アクチュエータを利用して光学デバイスの光軸に沿って前後に可動である可動子を備え、各可動子は、特に、準拠した結合要素を介してレンズ成形要素の関連する点に結合される。一実施形態では、それぞれのアクチュエータは、線形プッシュプルアクチュエータとすることができる。
【0037】
さらに、別の実施形態によれば、各アクチュエータは、アクチュエータを利用して光学デバイスの光軸に沿ってレンズ成形要素に向かって可動である可動子を備え、各可動子は、特に点接触を介してレンズ成形要素の関連する点を押すように構成され、各アクチュエータは、レンズ成形要素の関連する点に復元力を及ぼすように構成されたばね要素を備える。代替として(または追加で)、それぞれのアクチュエータはまた、レンズ成形要素のそれぞれの点を引っ張ってもよい。
【0038】
さらに、一実施形態によれば、それぞれの可動子は、永久磁石によって形成される、または永久磁石を備え、それぞれのアクチュエータは、それぞれのアクチュエータの永久磁石(可動子)を移動させるための電磁石を備える。
【0039】
一実施形態によれば、それぞれのばね要素は底部上で支持される。あるいは、それぞれのばね要素は側壁上で支持される場合もある。
【0040】
さらに、一実施形態によれば、それぞれのばね要素は、例えば、コイルばねまたは板ばねとすることができる(他のばね要素も可能である)。
【0041】
さらに、一実施形態では、それぞれのばね要素は、内部空間に配置され、透明な液体に浸漬される。
【0042】
あるいは、それぞれのばね要素は、容器の内部空間の外側に配置される場合がある。後者の場合、それぞれのばね要素は、本発明の一実施形態によるレンズ成形要素と一体式に形成することができる。
【0043】
さらに、一実施形態によれば、レンズ成形要素の複数の点に力を及ぼすための複数のアクチュエータの代わりに、アクチュエータシステムは、曲げアクチュエータ(アイソモルフまたはバイモルフアクチュエータなど)を備えることができる。特に、一実施形態では、曲げアクチュエータは、少なくとも第1の環状能動層を備え、前記第1の能動層は、レンズ成形要素によって構成される(またはさらにはレンズ成形要素を形成し)、第1の能動層は、第1の方向に(例えば異方性に)膨張または収縮してレンズ成形要素を前記平面から外に曲げるように構成され、その結果、光学デバイスは円柱基準軸に対して円柱屈折力を備える。
【0044】
さらに、曲げアクチュエータは、レンズ成形要素によって構成され、かつ第2の方向(第2の方向は第1の方向に直交することができる)に(例えば異方性に)膨張または収縮して、レンズ成形要素を前記平面から外に曲げるように構成され、その結果、光学デバイスは、円柱基準軸に対して円柱屈折力を備える、第2の能動層を備えてよい。特に、第2の能動層は、第1の能動層に接続することができる。あるいは、第2の方向はまた、第1の方向と同一直線上にあってもよく、ここでは、第2の能動層は、第1の能動層が膨張するときに好ましくは収縮し、逆もまた同様である。
【0045】
さらに、曲げアクチュエータは、レンズ成形要素によって構成される環状受動層を備えることができ、受動層は、第1の能動層に接続することができる(すなわち、曲げアクチュエータは、能動層と、受動層とを備える)、または受動層は、第1の能動層と第2の能動層との間に配置され、これらの能動層に接続される。ここでは、曲げアクチュエータは、3つの層、すなわち第1の能動層と第2の能動層との間に配置された受動層を備える。
【0046】
特に、受動層は、以下の材料、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、銅を含む合金、真鍮、ポリマー、PET、PMMA、繊維強化材料、炭素繊維強化ポリマー、または他の適切な材料のうちの1つを含むことができる、または以下の材料のうちの1つから形成される。
【0047】
さらに、特に、第1および/または第2の能動層は、以下の材料:圧電材料、(Pb(Zr、Ti)O3(PZT)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3-PbTiO3(PZN-PT)のうちの1つを含む、または以下の材料のうちの1つから形成される。
【0048】
特に、単一の曲げ(例えば、バイモルフ)アクチュエータを使用すると、1つの所与の円柱基準軸の円柱屈折力しか調節することができない可能性がある。円柱基準軸の向きを調整することを可能にするために、そのような変形可能な2つのレンズ成形要素を使用することができ、その円柱基準軸は互いに対して45°回転される。
【0049】
したがって、別の実施形態によれば、アクチュエータシステムは、さらなる円柱基準軸に対して円柱屈折力を生成するために、上述の曲げアクチュエータとして設計することができるさらなる曲げアクチュエータを備え、さらなる円柱軸は好ましくは、他の曲げアクチュエータの円柱基準軸に対して約45°回転される(上記を参照)。
【0050】
それぞれの曲げアクチュエータのそれぞれの能動層が圧電材料である場合、能動層は、(例えば、材料に接触する電極間の電圧差を利用して)圧電材料全体に電界を印加することによって変形(例えば、拡張または収縮)させることができる。
【0051】
さらに、代替の一実施形態によれば、アクチュエータシステムは、少なくとも第1の環状能動層を備えるアクチュエータを備え、前記第1の能動層は、レンズ成形要素によって構成され(またはレンズ成形要素を形成し)、第1の能動層は、(例えば、等方性または異方性に)収縮または拡張するように選択的に活性化されるように構成された、能動層の周方向に並んで配置されたセグメントを備える。また、ここでは、曲げアクチュエータは、第1の能動層に接続された第2の能動層(例えば、第1の能動層と同様に構成される)、または第1の能動層に接続された受動層を備えることができる。さらに、能動層は、第1の能動層と第2の能動層(これもまた上記を参照)との間に配置された受動層を備える場合がある。
【0052】
特に、第1の(または第2の)能動層は12個のセグメントを含んでよく、各セグメントは、環状能動層の30°の中心角に対応する周方向の長さを含む。
【0053】
特に、曲げアクチュエータの受動層は、受動層に関して上述した材料のうちの1つを含むことができ、またはこれらの材料のうちの1つから形成することができる。
【0054】
特に、曲げアクチュエータの第1の(または第2の)能動層のセグメントは、これらの材料のうちの1つを含むことができる、または能動層に関して上述した材料のうちの1つから形成することができる。
【0055】
さらに、それぞれのセグメントは、(例えば、それぞれのセグメントに接触する電極間の電圧差を利用して)それぞれのセグメント/圧電材料全体に電界を印加することによって変形(拡張または収縮)させることができる。
【0056】
また、一実施形態によれば、レンズ成形要素は、光学デバイスの保持構造体に弾性式に取り付けられる。
【0057】
特に、一実施形態では、アクチュエータシステムは、底部をレンズ成形要素に対して傾斜させて光学デバイスのプリズム屈折力を調整するように構成される。
【0058】
さらに、一実施形態では、アクチュエータシステムは、底部を光学デバイスの光軸に沿ってレンズ成形要素に対して移動させて光学デバイスの球面屈折力を調整するように構成される。
【0059】
上記に述べた実施形態に関して、光学デバイスの円柱屈折力および/または球面屈折力および/またはプリズム屈折力を調整するために使用することができる特定のアクチュエータが説明されている。
【0060】
しかしながら、レンズ成形要素の点を変位させることを可能にする、あるいはレンズ成形要素、または底部などの光学デバイスの別の要素を傾斜させる、あるいは軸方向に移動させることを可能にする他のアクチュエータも本発明の構成において使用することができる。
【0061】
特に、アクチュエータシステムは(例えば、光学デバイスの円柱屈折力および/または球面屈折力および/またはプリズム屈折力を調整するための)以下のアクチュエータ、
永久磁石を引き付ける、または反発させる電磁石(上記も参照)、
電気抵抗力アクチュエータ、
ボイスコイルアクチュエータ、
回転運動を直線運動に変換するための機械的変速機(例えば、スクリュー型、ボールスクリュー、カム、ウォームギア、スライダ-クランク機構など)を特に備える回転アクチュエータ(例えば、DCモータ、ブラシレスDCモータ、ステッパーモータ、超音波モータなど)、
圧電スタック(任意選択的にストローク増幅機構を有する)、
曲げピエゾ(上記も参照されたい)、
リニア超音波モータ、
形状記憶合金アクチュエータ、
熱膨張アクチュエータ、および
油圧作動システム
のうちの1つを備えることができる。
【0062】
さらに、光学デバイスは、光学デバイスの円柱屈折力および/または球面屈折力および/またはプリズム屈折力をそれぞれ所望の値に調整するように、光学デバイスのアクチュエータシステムを制御するように構成される、一実施形態による制御ユニットを備えてもよい。
【0063】
特に、前記調整を行うために、制御ユニットは、フィードバック信号を使用するように構成される。特に、アクチュエータシステム自体を、このフィードバック信号を提供するように構成することができる。特に、フィードバック信号は、それぞれのアクチュエータ(例えば、サーボアクチュエータ)の位置を示すことができる。代替として、または追加で、光学デバイスは、レンズ成形要素(および/またはさらなるレンズ成形要素)の状態(特に形状および/または曲率)を示すフィードバック信号を提供し、その結果、レンズ成形要素(および/またはさらなるレンズ成形要素)を、例えば光学デバイスが所望の円柱屈折力を有するような方法で曲げることができるように構成された少なくとも1つのセンサを備えてもよい。
【0064】
本発明のさらなる態様によれば、光学デバイス、特に眼科デバイス用の光学デバイスであって、
容器の内部空間を取り囲む容器であって、内部空間は透明な液体で満たされ、液体が膜と底部との間に配置されるように、透明な底部と、前記底部に対向する透明で弾性式に変形可能な膜とを備える容器と、
膜に接続され、その結果、レンズ成形要素の周縁部は膜の中心領域を画定し、その結果、光が中心領域および底部を介して容器を通過することができる、変形可能な環状レンズ成形要素であって、変形されていない状態では、前記縁部は平面内にある、変形可能な環状レンズ成形要素と、
調整可能な球面屈折力および調整可能な円柱屈折力と、を備え、光学デバイスの円柱屈折力を適合させるために、レンズ成形要素は、前記縁の形状は調整可能(例えば円形と楕円形との間で)であるが、なおも前記面内にあるように変形されるように構成される、光学デバイスが開示される。
【0065】
ここでは、球面屈折力および/またはプリズム屈折力は、レンズ成形要素に対して底部を移動させることによって(球面屈折力を)、および傾斜させることによって(プリズム屈折力を)調整することができる。
【0066】
以下では、本発明のさらなる利点、特徴、および実施形態が、図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】本発明による光学デバイスの一実施形態の概略断面図である。
図2】本発明による光学デバイスのレンズ成形要素がその延長面から外に曲げられることで光学デバイスの円柱屈折力を調整する状態で示す図である。
図3】光学デバイスの膜全体にわたる圧力差が全くない状態では、その形状はZ -1 Zゼルニケ関数によく似ている。純粋な円柱形状(基準軸における屈折力が0)を達成するために、光学デバイスの容器内の圧力を増減させることによって球面成分を生成することができ、ここでは、(A)はΔp=0を示し、(B)はΔp>0を示す図である。
図4】円柱屈折力を調整するためのさらなる可能性を示す図である。
図5】本発明による光学デバイスの別の実施形態の概略断面図であり、ここでは、容器は、光学デバイスの容器の内部空間に出入りする液体をポンプで送るための入口を備える。
図6図1に示す実施形態の変形形態の概略断面図であり、ここでは、容器の側壁および底部は、互いに接続された別個の要素によって形成されている。
図7図6に示す実施形態の変形形態の概略断面図であり、ここでは、レンズ成形要素を容器の側壁に接続する別個のシーリング要素を省略するために、膜は側壁に接続されている。
図8】本発明による光学デバイスの別の実施形態の概略断面図を示す図であり、ここでは、容器は、2つの対向する膜と、変形可能なレンズ成形要素と、剛性のレンズ成形要素とを備える。
図9図8に示す実施形態の変形形態を示す図であり、変形可能レンズ成形要素に接続される膜はシェルとして形成されている。
図10】レンズ成形要素の有限数の点、ここでは6つの点に有限数のアクチュエータ、ここでは対応するアクチュエータを用いて作用することによって、光学デバイスの円柱屈折力を調整することができることを示す図である。
図11】アクチュエータシステムによって構成される複数のアクチュエータを備える、本発明による光学デバイスの一実施形態の概略断面図を示し、各アクチュエータは、プッシュプル方式でレンズ成形要素の関連点に作用するように構成される。
図12図11に示す実施形態の変形例の概略断面図であり、ここでは、それぞれのアクチュエータは、関連するレンズ成形要素の点を押すように構成され、その一方で、容器の内部空間に配置されたばね要素(例えば、コイルばね)によって復元力が提供される。
図13図12に示す実施形態の変形形態を示す図であり、ここではコイルばねの代わりに板ばねが使用されている。詳細には、(A)は、個々の点の位置を示す概略上面図を示し、(B)は、光学デバイスの概略断面図を示す。
図14図13に示される実施形態の変形形態を示す図であり、ここでは、板ばねは、光学デバイスの容器の内部空間の外側に配置される。ここでも同様に、(A)は装置の概略上面図を示し、(B)は概略断面図を示す。
図15】レンズ成形要素を面外に曲げるためのアクチュエータの別の実施形態を示す図であり、ここではアクチュエータは曲げアクチュエータである。
図16図15の曲げアクチュエータの上面斜視図である。
図17図15の曲げアクチュエータの斜視底面図である。
図18】複数の円柱基準軸に対する円柱屈折力を調節することを可能にするために、2つの対向する曲げアクチュエータをどのように使用することができるかを示す図である。
図19】異なる円柱基準軸に関してレンズ成形要素を面外に曲げるためのさらなる曲げアクチュエータを示す図であり、曲げアクチュエータは、(例えば等方的に)膨張/収縮することができる、能動層の隣接するセグメントを備える。
図20図19に示すアクチュエータを使用してレンズ成形要素が面外に曲げられた状態を示す図である。
図21図19に示すアクチュエータを使用してレンズ成形要素が面外に曲げられた別の状態(異なる円柱基準軸での)を示す図である。
図22】例えば図20に示すアクチュエータを備える本発明による光学デバイスの一実施形態を示す図であり、レンズ成形要素/アクチュエータは保持構造体に弾性式に結合され、容器の底部は、レンズ成形要素に対して軸方向に傾斜または移動されて球面屈折力およびプリズム屈折力を調節するように構成される。
図23】レンズ成形要素を曲げることで円柱屈折力を調整すること、および容器の底部を傾斜させてプリズム屈折力を調節することを可能にする、本発明による光学デバイスの別の実施形態を示す図である。
【0068】
図1は、眼科(検査)デバイスでの使用に適した本発明による光学デバイス1の一実施形態を示す。特に、光学デバイス1は、透明な液体Lで満たされた、容器2の内部空間3を取り囲む容器2を備える。容器2は、液体Lが膜22と底部21との間に配置されるように、透明な底部21と、前記底部21に対向する透明で弾性式に変形可能な膜22とをさらに備える。
【0069】
さらに、光学デバイス1は、膜22に接続され、その結果、レンズ成形要素4は膜22の中心領域23を画定し、その結果、光が中心領域23および底部21を介して容器2の中を通過することができる、レンズ成形要素4を備え、変形していない状態ではレンズ成形要素4は(仮想)平面を画定し、光学デバイス1は、調整可能な球面屈折力と、調整可能なプリズム屈折力と、調整可能な円柱屈折力とを備え、光学デバイス1の円柱屈折力を適合させるために、レンズ成形要素4は、前記平面P(図2を参照)から外に曲げられるように構成され、その結果、レンズ成形要素4は(仮想)円柱面を画定する。
【0070】
特に、レンズ成形要素4が軸方向に(すなわち、光軸Aに沿って)移動され、前記光軸Aに対して(または底部21に対して)傾斜される、あるいは平面から外に曲げられるとき、中心領域23の曲率はそれに応じてゆがめられ、それにより、球面屈折力(光軸Aに沿ったレンズ成形要素4の移動)、プリズム屈折力(レンズ成形要素4の傾斜)、および円柱屈折力(レンズ成形要素4の初期平面Pからの曲がり)を調整することが可能になり、このことは、領域23に円柱曲率/成分を与える。
【0071】
特に、光学デバイス1の膜22の全体にわたる圧力差が全くない場合、その形状は、Z -1ゼルニケ関数によく似ている。純粋な円柱形状(基準軸におけるゼロ屈折力)を達成するために、周囲圧力に対して光学デバイス1の容器2内の液体Lの圧力を増減させることによって球面成分を生成することができ、図3(A)はΔp=0を示し、図3(B)はΔp>0を示す。
【0072】
あるいは、図4に示すように、非点収差(円柱)屈折力は、例えば、図4(A)および(B)に示すように、レンズ成形要素4の開口部を非円形形状(楕円/角を丸めた長方形など)に面内変形することによって、(初期の)膜の平面内でレンズ成形要素4を変形させることによって制御することもできる。ここで、理想的な形状は、所望の波面からの偏差を最小化することによって特定することができる。
【0073】
この場合、レンズ/光学デバイス1の非点収差(Z -2)屈折力および球面(Z )屈折力は一定の関係(例えば、0球面屈折力での0の円柱屈折力)によって結びつけられている。必要なすべての自由度を達成するために、追加の球形に調整可能な要素が必要とされる。
【0074】
さらに、図1に示すように、容器2の底部21は、容器2の周方向の側壁24に(例えば、一体式に)接続され、この側壁24は、側壁24をレンズ成形要素4に接続する可撓性のシーリング要素25(例えば接着剤)を接続することができる面側24aを備える。
【0075】
図1に示す実施形態では、光学デバイス1の球面屈折力は、レンズ成形要素4を光軸Aに沿って移動させて、容器2の内部空間3内の圧力を増加させ、それによって膜22の領域23の球面曲率を増加させる、または内部空間3内の圧力を減少させ、それによって領域23の球面曲率を減少させることによって調整することができる。
【0076】
代替として、または追加で、容器2内の圧力は、図5に従って、リザーバ28から入口26を通って容器2の内部空間3にポンプ27で液体Lを送ることによって、または内部空間3からリザーバ28に液体Lを送ることによって調整される場合もある。
【0077】
図6は、図1に示す実施形態の変形形態を示し、ここでは、側壁24は、側壁24に接続される、特に接着される透明の底部21に対して別個の要素を形成する。
【0078】
さらに、図7は、図1図5、および図6に示す別個のシーリング要素25が省略された構成を示す。代わりに、膜22は、側壁24の表面24aに接続しており、したがって一体部分としてのシーリング要素を備える。
【0079】
図8は、本発明による光学デバイス1のさらに別の実施形態を示し、ここでは、上述の実施形態に示される容器2の剛性の底部21は、この場合、透明で弾性式に変形可能なさらなる膜21の形態の底部によって置き換えられており、さらなる膜21は、この場合剛性のさらなるレンズ成形要素24を形成する側壁24に接続し、さらなるレンズ成形要素24は、さらなる膜21の中心領域29を画定する。
【0080】
特に、この二重面の実施形態では、さらなる固定された剛性のレンズ成形要素24は、好ましくは、変形可能なレンズ成形要素4と同じ見通しのきく開口部を備える。
【0081】
ここで、特に、球面屈折力(両方の膜の領域23、29の複合的な効果)は、(剛性が著しく異なる場合)膜22、21のうちの一方によって抑制することができ、例えばレンズ成形要素4、24の一方または両方の軸方向移動によって(または図5に示すようなポンプ27を利用して)液圧を変化させることによって制御することができる。
【0082】
さらに、プリズム屈折力は、レンズ成形要素4、24を互いに対して傾斜させることによって制御することができ、円柱屈折力は、以下でより詳細に説明する変形可能なレンズ成形要素4の面外の曲げによって制御することができる。
【0083】
さらに、図9に示す実施形態によれば、膜22はシェル(例えば、ガラス、プラスチック材料またはポリマーから形成され、例えば10μm~200μmの範囲の厚さを有する薄い部材)とすることができ、これは、面外の大きな力を有することもできることを特徴とする。これは、シェル22の全体にわたる圧力差なしで、純粋な円柱屈折力(その基準軸に屈曲力が全く存在しない)を達成することができることを意味する。さらに、球面屈折力は、(E1>>E2が与えられたとすると、E1およびE2はそれぞれヤング率に対応する)さらなる膜21の形状によって(ほぼ)排他的に特定することができる。
【0084】
ここで、図10に示されるように、驚くべきことに、円柱屈折力は、レンズ成形要素4の有限数の選択された点S1、...に作用することによって調整することができることが分かった。したがって、円柱屈折力の正確な制御は、比較的少数の、例えばリニアアクチュエータで達成することができる。
【0085】
特に、2つの異なる円柱角度に関して図10に示すように、(任意の円柱角度に関して)(リング形状の)レンズ成形要素4の所望の変形は、例えば少なくとも5つの点を変位させることによって達成することができ、ここでは、一例として、要素4の外周40に沿ってレンズ成形要素4上に好ましくは等間隔で離間された6つの点S1、...、S6が使用される。
【0086】
特に、液圧(球面屈折力)および要素の傾斜(球面およびプリズム)についての変位量を有利に重ね合わせることができる。したがって、球面、円柱、およびプリズムの完全な制御には、光軸Aに沿ったわずか6点の変位で十分である。
【0087】
特に、図11図14に示す異なる実施形態では、光学デバイス1は、このかなり少数の点の変位のみを使用して円柱屈折力を調整するために、変形可能レンズ成形要素4を平面Pから外に曲げるように構成されたアクチュエータシステム30を備える。
【0088】
特に、図11に示すように、アクチュエータシステム30は、個々のアクチュエータ31を備えることができ、各アクチュエータ31は、円柱屈折力、および特に他の屈曲力(球面およびプリズム)も同様に調整するために、点S1、...、S6のうちの1つを変位させて、変形可能なレンズ成形要素4を平面Pから曲げるように構成される。
【0089】
特に、それぞれのアクチュエータ31は、ステータ32と、アクチュエータ31を利用して光軸Aに沿って可動であり、準拠した結合部34を介してレンズ成形要素4のそれぞれの点S1、...、S6に結合される可動子33とを備えることができる。
【0090】
図11に示すように、それぞれのアクチュエータ31は、それぞれの点S1、...、S6を光軸A/垂直軸Aに沿って反対方向に変位させることができる線形プッシュプルアクチュエータ31とすることができる。
【0091】
あるいは、それぞれのアクチュエータ31は、それぞれの点S1、...、S6を押すように構成される場合があり、図12図13および図14の実施形態に描かれるように、関連するばね要素5によって復元力が提供される。また、ここでは、それぞれのアクチュエータ31を使用して、球面屈折力および/またはプリズム屈折力を調整することもできる。
【0092】
特に、図12によれば、それぞれのばね要素5はコイルばね5とすることができる。さらに、それぞれのばね要素5は、内部空間3に配置する(すなわち、液体Lに浸漬される)ことができ、容器2の底部21上で支持される。特に、レンズ成形要素4は、点接点35を介してそれぞれの可動子33に結合され、対向する点接点35を介してそれぞれのばね要素5に結合される。
【0093】
図12とは対照的に、それぞれのばね要素5は、代わりに容器2の側壁24上で支持することができる板ばね5によって形成される場合もある。図13(A)に示すように、それぞれの板ばね5は、側壁24から半径方向内側に延びることができ、容器2の漏れを回避するためにシール36を介して側壁24に取り付けることができる(図13(B)参照)。
【0094】
さらに、図14によれば、それぞれの板ばね5は、図14(A)および図14(B)に示すように、内部空間3の外側で容器2の側壁24上で支持される場合もあり、半径方向内側に延びてレンズ成形要素4と接続することができる。特に、図14に示す実施形態では、レンズ成形要素4およびばね5は、互いに一体式に接続することができ、単一のユニットを形成してもよい。
【0095】
図15は、図16および図17に関連して、光学デバイス1の円柱屈折力を調整するために、アクチュエータシステムの他のアクチュエータと併せて、または単独で使用され得るアクチュエータ300のさらに別の実施形態を示す。
【0096】
図15図17によれば、このアクチュエータ300は、第1の環状能動層4aと第2の環状能動層4bとの間に配置された環状受動層4cを備える曲げ(例えば、バイモルフ)アクチュエータであり、前記層4a、4b、4cは、レンズ成形要素4によって構成される、またはレンズ成形要素4を形成する場合すらあり、第1の能動層4aは、第1の方向D1に異方性に膨張または収縮するように構成され、第2の能動層4bは、第1の方向D1に直交する第2の方向D2に異方性に膨張または収縮してレンズ成形要素4を前記平面Pから外に曲げるように構成され、その結果、レンズ成形要素4は、円柱基準軸C1(図15を参照)に平行な円柱面を画定する。
【0097】
能動層4a、4bの膨張または収縮は、上記のように(例えば、能動層が圧電材料を含む場合には電界を利用して)達成されてよい。
【0098】
しかしながら、図15図17に示すバイモルフアクチュエータ300は、所与の基準軸の円柱屈折力のみを調節することを可能にする場合がある。その場合、2つのそのような変形可能なレンズ成形要素4、24/アクチュエータ300,301が必要とされ、その円柱基準軸C1、C2は、図15に示すように45°の角度を形成する。
【0099】
2つのアクチュエータ300,301を備えるそのような構成は、図18に概略的に示されている。ここで、光学デバイス1は、図8に関連して説明したように構成されるが、今度は、さらなるレンズ成形要素24もまた(レンズ成形要素4のように)変形可能であり、変形されていない状態では、さらなるレンズ成形要素24はさらなる平面P’を画定し、光学デバイス1の円柱屈折力を適合させるために、さらなるレンズ成形要素24は、レンズ成形要素4のように、前記さらなる平面P’から外に曲げられるように構成され、その結果、さらなるレンズ成形要素24も円柱面を画定する、または円柱屈折力を生成する。可変の基準軸を達成するために、図15に示すように、2つのアクチュエータ300,301を互いに対して前記45°だけ回転させることができる。
【0100】
図19は、図20および図21に関連して、本発明による光学デバイス1のアクチュエータ302の別の実施形態を示し、ここではアクチュエータ302は、環状受動層4bと、環状能動層4aとを備える曲げ(例えば、バイモルフ)アクチュエータ300であり、前記層4a、4bは、レンズ成形要素4によって構成される、またはレンズ成形要素4を形成する場合すらあり、能動層4aは、等方性または異方性に収縮または拡張するように選択的に活性化されるように構成された、能動層4aの周方向40に並んで配置された隣接するセグメントS1、...、S12を備える。これにより、図20および図21に示すように、レンズ成形要素4の可変の面外の曲げが可能になる。
【0101】
特に、能動層4aは、12個のセグメントS1、...、S12を備えることができ、各セグメントは、環状能動層4aの30°の中心角Bに対応する周方向40の長さを有する。
【0102】
ここでもまた、それぞれのセグメントS1、...、S12の拡張または収縮は、上述したように(例えば、セグメントが圧電材料を含む場合には電界を利用して)達成されてよい。
【0103】
特に、このようなアクチュエータ302は、本発明による任意の実施形態で使用することができる。特に、図22は、そのようなアクチュエータ302の利用を示し、アクチュエータ300によって形成されるレンズ成形要素4は、光学デバイス1の保持構造体7(例えば、固定ベース)に弾性式に取り付けられる。
【0104】
このような結合を使用して、(例えば、アクチュエータシステムの適切なさらなるアクチュエータによって)容器2を光軸Aに対して傾斜させて光学デバイス1のプリズム屈折力を調整することができる。また、容器2または底部21を、レンズ成形要素4に対して光学デバイス1の光軸Aに沿って移動させて光学デバイス1の球面屈折力を調整することができる。
【0105】
さらに、図23は、本発明の別の実施形態を示しており、ここでは、円柱屈折力、および特に球面屈折力は、個々のアクチュエータ31を利用して調整可能であり、各アクチュエータ31は、例えば、レンズ成形要素4に結合された磁石33(可動子)を移動させる電磁石32を備え、その結果、上述したように、(例えば、上記のようにレンズ成形要素4の少なくとも5つの点、特に6つの点を変位させることによって)レンズ成形要素4をその初期の平面Pから外に曲げることができる。
【0106】
プリズム屈折力を調節するために、光学デバイス1は、光学デバイス1の容器2の内部空間3が2つの別個の領域3a、3bに分割されるように、膜22と底部21との間に配置された透明の光学要素210をさらに備え、各領域3a、3bは液体Lで満たされ、光学デバイス1は、ベローズによって形成することができる可撓性の第1の側壁240と、これもまたベローズによって形成することができる可撓性の第2の側壁241とを備え、第1の側壁240はレンズ成形要素4を光学要素1に接続し、第2の側壁241は光学要素を底部21に接続する。したがって、底部21は、ここでは、光学デバイス1のプリズム屈折力を調整するために、光学要素210(例えば、透明な平坦なガラスまたはポリマー部材)に対して、アクチュエータシステムのアクチュエータによって傾斜させることができるのに対して、アクチュエータ31は、磁石33を変位させて光学デバイス1の円柱屈折力および/または球面屈折力を調整するために使用することができる。
図1
図2
図3
図4(A)】
図4(B)】
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13(A)】
図13(B)】
図14(A)】
図14(B)】
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2021-08-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイス、特に眼科デバイス用の光学デバイス(1)であって、
容器(2)の内部空間(3)を取り囲む容器(2)であって、前記内部空間(3)は透明な液体(L)で満たされ、前記液体(L)が膜(22)と底部(21)との間に配置されるように、前記透明な底部(21)と、前記底部(21)に対向する透明で弾性式に変形可能な前記膜(22)とを備える、容器(2)と、
前記膜(22)に接続され、その結果、前記レンズ成形要素(4)の周縁部(41)は前記膜(22)の中心領域(23)を画定し、その結果、光が中心領域(23)および前記底部(21)を介して前記容器(2)の中を通過することができる、変形可能な環状レンズ成形要素(4)であって、変形されていない状態では前記縁部(41)は平面内にある、変形可能な環状レンズ成形要素(4)と、
調整可能な球面屈折力および調整可能な円柱屈折力と、を備え、前記光学デバイス(1)の前記円柱屈折力を適合させるために、前記レンズ成形要素(4)は、前記平面(P)から外に曲げられるように構成され、
前記光学デバイス(1)は、前記円柱屈折力を調整するために、前記変形可能レンズ成形要素(4)を前記平面(P)から外に曲げるように構成されたアクチュエータシステム(30)を備え、
前記アクチュエータシステム(30)は、前記円柱屈折力を調整するために、前記レンズ成形要素(4)の複数の点(S1,...,S6)を前記光学デバイス(1)の光軸(A)に沿って変位させて前記変形可能なレンズ成形要素(4)を前記平面(P)から外に曲げるように構成され、
前記アクチュエータシステム(30)は、複数のアクチュエータ(31)を備え、各アクチュエータ(31)は、前記点(S1,...,S6)のうちの1つを変位させるように構成され、
前記複数のアクチュエータ(31)は、それぞれ、前記アクチュエータ(31)を利用して前記光学デバイス(1)の前記光軸(A)に沿って前記レンズ成形要素(4)に向かって可動である可動子を備え、前記可動子は、点接触を介して前記レンズ成形要素(4)の関連する点を押すように構成される、
光学デバイス(1)。
【請求項2】
前記光学デバイス(1)の前記円柱屈折力を適合させるために、前記レンズ成形要素(4)は、前記平面(P)から外に曲げられるように構成され、その結果、前記レンズ成形要素(4)の前記縁部(41)は、円柱面と一致する、請求項1に記載の光学要素。
【請求項3】
前記光学デバイス(1)は、調整可能なプリズム屈折力を備える、請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記底部(21)は、弾性式に変形可能なさらなる膜(21)を形成し、前記光学デバイス(1)は、前記さらなる膜(21)に接続され、その結果、前記さらなるレンズ成形要素(24)の周縁部(42)はさらなる膜(21)の中心領域(29)を画定する、環状のさらなるレンズ成形要素(24)を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記さらなるレンズ成形要素(24)は、変形可能なさらなるレンズ成形要素(24)であり、変形されていない状態では、前記さらなるレンズ成形要素(24)の前記縁部(42)は、さらなる平面(P’)を画定し、前記光学デバイス(1)の前記円柱屈折力を適合させるために、前記さらなるレンズ成形要素(24)は、前記さらなる平面(P’)から外に曲げられるように構成される、請求項に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記さらなるレンズ成形要素(24)は、剛性である、請求項に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記膜(22)は、無次元張力パラメータkが5より小さいシェルを形成
前記無次元張力パラメータkは、以下により定義され、
【数1】

式中、N は初期の面内の半径方向引張荷重であり、aは円形膜の半径であり、Dは曲げ剛性である、請求項からのいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記光学デバイス(1)は、前記内部空間(3)が2つの別個の領域(3a,3b)に分割されるように、前記膜(22)と前記底部(21)との間に配置された透明な光学要素(210)を備え、前記光学デバイス(1)は、可撓性の第1の側壁(240)および可撓性の第2の側壁(241)を備え、前記第1の側壁(240)は、前記レンズ成形要素(4)を前記光学要素(210)に接続し、前記第2の側壁(241)は、前記光学要素(210)を前記底部(21)に接続する、請求項1から3のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記点(S1,...,S6)は、前記レンズ成形要素(4)の外周(40)に沿って分散される、請求項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記複数の点(S1,...,S6)は、少なくとも5つの点、特に6つの点である請求項またはに記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記点(S1,...,S6)は、前記レンズ成形要素(4)の外周(40)に沿って等距離に離間される、請求項から10のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記アクチュエータシステム(30)は、前記光学デバイス(1)の光軸(A)に沿って前記点(S1、…、S6)を変位させて前記光学デバイス(1)の前記球面屈折力を調整するように構成される、請求項から11のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記アクチュエータシステム(30)は、前記レンズ成形要素(4)が前記光学デバイス(1)の前記光軸(A)に対して傾斜されるように、前記レンズ成形要素(4)の点(S1,...,S6)を変位させて前記光学デバイス(1)の前記プリズム屈折力を調整するように構成される、請求項から12のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記アクチュエータシステム(30)は、前記レンズ成形要素(4,24)を互いに対して傾斜させて前記光学デバイス(1)の前記プリズム屈折力を調整するように構成される、請求項に記載の光学デバイス。
【請求項15】
各アクチュエータ(31)は、前記アクチュエータ(31)によって前記光学デバイス(1)の前記光軸(A)に沿って前記レンズ成形要素(4)に向かって、または前記レンズ成形要素(4)から離れるように可動である可動子(33)を備え、各可動子(33)は、前記レンズ成形要素(4)の前記関連する点(S1,...,S6)を押す、または前記関連する点を引っ張るように構成され、各アクチュエータ(31)は、前記レンズ成形要素(4)の前記関連する点(S1,...,S6)に復元力を加えるように構成されたばね要素(5)を備え、前記レンズ成形要素(4)は、点接点(35)を介してそれぞれの前記可動子(33)に結合され、対向する前記点接点(35)を介してそれぞれの前記ばね要素(5)に結合される、請求項に記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記それぞれのばね要素(5)は、前記容器(2)の前記底部(21)上で支持される、または前記側壁(24)上で支持される、請求項15に記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記それぞれのばね要素(5)はコイルばねまたは板ばねである、請求項15または16に記載の光学デバイス。
【請求項18】
前記それぞれのばね要素(5)は、前記内部空間(3)内に配置され、前記液体(L)に浸漬される、または、前記それぞれのばね要素(5)は、前記容器(2)の前記内部空間(3)の外側に配置される、請求項15から17のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項19】
前記それぞれのばね要素(5)は、前記レンズ成形要素(4)と一体式に形成される、請求項15から18のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【国際調査報告】