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特表2022-513803不均一な厚さを有するサイロバッグおよび製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】不均一な厚さを有するサイロバッグおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20220202BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B65D65/40 A
B32B27/32 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533571
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(85)【翻訳文提出日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 US2019061446
(87)【国際公開番号】W WO2020123091
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】62/777,978
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】516370305
【氏名又は名称】ピービービー ポリシャー エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ガーグ、アカンクシャ
(72)【発明者】
【氏名】ロクハンデ、アシシュクマル エス.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラヴァラ、パバン クマール
(72)【発明者】
【氏名】ルイス、ホセ エドアルド
(72)【発明者】
【氏名】ザネッティ、マクシミリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】コッピ、カート エイ.
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA02
3E086AB01
3E086AD30
3E086BA04
3E086BA15
3E086CA16
3E086DA08
4F100AK03A
4F100AK03B
4F100AK03J
4F100AK04A
4F100AK04B
4F100AK04J
4F100AK06A
4F100AK06B
4F100AK62A
4F100AK62B
4F100AK63A
4F100AK63B
4F100AL01A
4F100AL01B
4F100AL05A
4F100AL05B
4F100BA02
4F100BA05
4F100BA16
4F100EH20
4F100GB15
4F100JA06A
4F100JA06B
4F100JA13A
4F100JA13B
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
本開示の実施形態は、少なくとも2つの層と、第1の開放端と、第2の開放端と、第1の端と第2の端との間に配置された第1の領域および第2の領域と、を含み得るチューブ、を含み得る多層サイロバッグに関する。少なくとも3つの層のうちの1つ以上は、0.90g/cc~0.965g/ccの密度および0.1~6.0g/10分のIを有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、0.917g/cc~0.935g/ccの密度および0.1~2.0g/10分のIを有する低密度エチレン系ポリマー、またはそれらの組み合わせを含み得る。第1の領域の厚さは、第2の領域の厚さよりも少なくとも10%超厚くてもよい。第1の領域は、多層サイロバッグの全表面積の少なくとも50%である表面積を有し得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層サイロバッグであって、
少なくとも2つの層を含むチューブであって、第1の開放端、第2の開放端、前記第1の端と前記第2の端との間に配置された第1の領域、および前記第1の端と前記第2の端との間に配置された第2の領域を有する、チューブ、を含み、
前記少なくとも2つの層の各々が、ASTM D792に従って測定すると0.90g/cc~0.965g/ccの密度およびASTM D1238に従って測定すると0.1~6.0g/10分のメルトインデックス(I)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、0.917g/cc~0.935g/ccの密度および0.1~2.0g/10分のメルトインデックス(I)を有する低密度エチレン系ポリマー、またはそれらの組み合わせを含み、
前記第1の領域の厚さが、前記第2の領域の厚さよりも少なくとも10%厚く、
前記第1の領域が、前記多層サイロバッグの全表面積の少なくとも65%である表面積を有し、
前記チューブが、50マイクロメートル(μm)~350μmの全厚を有する、多層サイロバッグ。
【請求項2】
前記インターポリマーが、直鎖状低密度エチレン系ポリマーである、請求項1に記載の多層サイロバッグ。
【請求項3】
前記第1の領域が、前記第2の領域の厚さよりも10%~40%超厚い、請求項1または2のいずれかに記載の多層サイロバッグ。
【請求項4】
前記第1の領域が、50μm~350μmの厚さを有する、請求項1~3のいずれかに記載の多層サイロバッグ。
【請求項5】
前記第2の領域が、50μm~350μmの厚さを有する、請求項1~4のいずれかに記載の多層サイロバッグ。
【請求項6】
前記多層サイロバッグが、少なくとも10重量%の低密度エチレン系ポリマーを含む、請求項1~5のいずれかに記載の多層サイロバッグ。
【請求項7】
前記多層サイロバッグが、10重量%~60重量%の低密度エチレン系ポリマーを含む、請求項1~6のいずれかに記載の多層サイロバッグ。
【請求項8】
少なくとも40重量%の直鎖状低密度エチレン系ポリマーを含む、請求項2に記載の多層サイロバッグ。
【請求項9】
前記多層サイロバッグが、40重量%~95重量%の直鎖状低密度エチレン系ポリマーを含む、請求項2に記載の多層サイロバッグ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の多層サイロバッグを使用する方法であって、前記多層サイロバッグを充填することにより、前記第1の領域の前記厚さが、15%未満だけ減少する、方法。
【請求項11】
多層サイロバッグを製造する方法であって、
多層インフレーションフィルムバブルを形成することであって、前記多層層インフレーションフィルムバブルは、少なくとも2つの層を含み、
前記少なくとも2つの層の各々が、0.90g/cc~0.965g/ccの密度および、0.1~6.0g/10分のメルトインデックス(I)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、0.917g/cc~0.935g/ccの密度および0.1~2.0g/10分のメルトインデックス(I)を有する低密度エチレン系ポリマー、またはそれらの組み合わせを含む、形成することと、
前記多層インフレーションフィルムバブルを切断して、第1の開放端、第2の開放端、第1の領域、および第2の領域を有するチューブを含む多層サイロバッグを形成することと、を含み、
前記第1の領域の厚さが、前記第2の領域の厚さよりも少なくとも10%厚く、
前記第1の領域が、前記多層サイロバッグの全表面積の65%である表面積を有し、
前記チューブが、50μm~350μmの全厚を有する、方法。
【請求項12】
前記多層インフレーションフィルムチューブを形成することが、ダイに通して多層インフレーションフィルムバブルを押出すことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記多層インフレーションフィルムバブルを前記ダイに通して押出すことが、前記ダイの中心をオフセットすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記多層サイロバッグの表面の少なくとも一部に第2のフィルムを積層することをさらに含む、請求項11~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記多層サイロバッグを折り畳むことをさらに含む、請求項11~14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月11日に出願された米国仮特許出願第62/777,978号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載の実施形態は、一般に、サイロバッグに関し、具体的には、不均一な厚さを有するサイロバッグに関する。
【背景技術】
【0003】
サイロバッグ(「サイレージバッグ」と称されることがある)には、ポリマーフィルムから作製することができる貯蔵溶液のために使用されるバッグが含まれ得る。サイロバッグは、しばしば農業用途で使用される場合がある。例えば、サイロバッグは、穀物の大量貯蔵、または農地で「サイレージ」のために使用することができる。
【発明の概要】
【0004】
使用中、例えばサイロバッグにサイレージを充填することによって、サイロバッグが変形する可能性がある。サイロバッグのそのような変形は、サイロバッグに負担をかける可能性がある。場合によっては、サイロバッグにかかる歪みがサイロバッグの特定の領域に局所化することがある。この局所的な歪みは「ネッキング」と称されることがある。
【0005】
これらのネッキング領域では、ポリマーフィルムの縦方向の減肉が発生する可能性がある。縦方向の減肉とは、過度の変形によりサイロバッグの長さに沿って発生する局所的な減肉を指し得る。いくつかの例では、縦方向の減肉化によって影響されるゾーンは、50%超の減厚を有し得る。さらに、縦方向に薄くすると、サイロバッグのパフォーマンスに関する様々な問題が発生する可能性がある。例えば、縦方向に薄くすると、サイロバッグの貫入抵抗が低下する可能性がある。
【0006】
したがって、局所的な歪みに対する耐性が改善され、かつ縦方向の薄化に対する耐性が改善されたサイロバッグに関するニーズが存在する。
【0007】
本開示の実施形態は、不均一な厚さのサイロバッグを提供することによって、それらのニーズを満たす。現在開示されているサイロバッグの不均一な厚さは、均一な厚さのサイロバッグと比較して、サイロバッグの性能を改善することができる。不均一な厚さを有する現在記載しているサイロバッグの実施形態は、追加の材料を必要とせずに、サイロバッグの性能をさらに改善することができる。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、サイロバッグの厚さは、応力に最も影響を受けやすい可能性があるサイロバッグの領域で増加させることができる。さらに、いくつかの実施形態では、サイロバッグの厚さは、応力の影響を受けにくい可能性があるサイロバッグの領域で減少させることができる。したがって、本開示の実施形態において、不均一なサイロバッグを作製するために使用される材料の量は、一定に保つことができる。
【0008】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、多層サイロバッグが提供される。多層サイロバッグの実施形態は、少なくとも2つの層を含むチューブを含むことができ、そのチューブは、第1の開放端、第2の開放端、第1の開放端と第2の開放端との間に配置された第1の領域、および第1の開放端と第2の開放端との間に配置された第2の領域を有する。少なくとも2つの層の各々は、ASTM D792に従って測定したときに、1立方センチメートルあたり0.90グラム(g/cc)~0.965g/ccの密度およびASTM D1238に従って測定したときに、0.1~6.0グラム(g)/10分のメルトインデックス(I)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、0.917g/cc~0.935g/ccの密度および0.1~2.0g/10分のメルトインデックス(I)を有する低密度エチレン系ポリマー、またはそれらの組み合わせを含み得る。第1の領域の厚さは、第2の領域の厚さよりも少なくとも10%厚くてもよい。第1の領域は、多層サイロバッグの全表面積の少なくとも50%である表面積を有し得る。チューブは、50マイクロメートル(μm)~350マイクロメートルμmの全厚を有し得る。
【0009】
本開示の少なくとも別の実施形態によれば、多層サイロバッグを製造する方法が提供される。この方法の実施形態は、多層インフレーションフィルムバブルを形成することと、その多層インフレーションフィルムバブルを切断して多層サイロバッグを形成することと、を含み得る。多層インフレーションフィルムバブルは、少なくとも3つの層を含み得る。少なくとも3つの層の各々は、0.90g/cc~0.965g/ccの密度および、0.1~6.0g/10分のメルトインデックス(I)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、0.917g/cc~0.935g/ccの密度および0.1~2.0g/10分のメルトインデックス(I)を有する低密度エチレン系ポリマー、またはそれらの組み合わせを含み得る。多層サイロバッグは、第1の開放端、第2の開放端、第1の領域、および第2の領域を有するチューブを含み得る。第1の領域の厚さは、第2の領域の厚さよりも少なくとも10%厚くてもよい。第1の領域は、多層サイロバッグの全表面積の50%の表面積を有し得る。チューブは、50μm~350μmの全厚を有し得る。
【0010】
したがって、本開示の実施形態は、追加の材料を必要とせずに、均一な厚さを有する従来のサイロバッグと比較して、性能が改善されたサイロバッグを提供することができる。
【0011】
これらおよび他の実施形態は、以下の発明を実施するための形態においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読むと最も良く理解することができ、これらの図面では、同様の構造体が同様の参照番号で示される。
図1】本開示の1つ以上の実施形態に従う、不均一な厚さを有するサイロバッグの概略図である。
図2A】変形前に均一な厚さを有するモデル化されたサイロバッグである。
図2B】変形後に均一な厚さを当初有するモデル化されたサイロバッグである。
図2C】変形後に均一な厚さを当初有するモデル化されたサイロバッグである。
図3A】変形前に不均一な厚さを有するモデル化されたサイロバッグである。
図3B】厚さの減少を示している変形後の不均一な厚さのモデル化されたサイロバッグの半分の図である。
図4A】変形前に不均一な厚さを有するモデル化されたサイロバッグである。
図4B】厚さの減少を示している変形後の不均一な厚さのモデル化されたサイロバッグである。
図4C】厚さの減少を示している変形後の不均一な厚さのモデル化されたサイロバッグである。
図5A】変形前に不均一な厚さを有するモデル化されたサイロバッグの半分の図である。
図5B】厚さの減少を示している変形後の不均一な厚さのモデル化されたサイロバッグの半分の図である。
図6A】変形前に不均一な厚さを有するモデル化されたサイロバッグである。
図6B】厚さの減少を示している変形後の不均一な厚さのモデル化されたサイロバッグの半分の図である。
図7A】変形前に不均一な厚さを有するモデル化されたサイロバッグである。
図7B】厚さの減少を示している変形後の不均一な厚さのモデル化されたサイロバッグの半分の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、本出願の特定の実施形態について記載する。これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり、当業者に主題の範囲を完全に伝えるように提供される。
【0014】
「ポリマー」という用語は、同じタイプまたは異なるタイプにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を指す。したがって、一般的な用語のポリマーは、「ホモポリマー」という用語を包含し、それは通常は、1つのタイプのモノマーのみから調製されるポリマーを指し、「コポリマー」は、2つ以上の異なるモノマーから調製されるポリマーを指す。本明細書で使用される、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、一般用語のインターポリマーは、ターポリマーなどの2つ以上の異なるタイプのモノマーから調製されたコポリマーまたはポリマーを含む。
【0015】
「ポリエチレン」または「エチレン系ポリマー」は、エチレンモノマー由来の50モル%超の単位を含むポリマーを意味するものとする。これには、エチレン系ホモポリマーまたはコポリマー(2つ以上のコモノマー由来の単位を意味する)が含まれる。当技術分野で知られているエチレン系ポリマーの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(Ultra Low Density Polyethylene,ULDPE)、極低密度ポリエチレン(Very Low Density Polyethylene,VLDPE)、直鎖状および実質的に直鎖状の低密度樹脂(m-LLDPE)の両方を含むシングルサイト触媒による直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン(MDPE)、および高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0016】
「LDPE」という用語は、「高圧エチレンポリマー」または「高度に分岐したポリエチレン」とも称されることがあり、ポリマーが、過酸化物などのフリーラジカル開始剤を使用することによって、14,500psi(100MPa)を超える圧力で、オートクレーブまたは管状反応器において、部分的または完全にホモ重合または共重合されることを意味するように定義される(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,599,392号を参照されたい)。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.940g/ccの範囲の密度を有する。
【0017】
「LLDPE」という用語には、チーグラー・ナッタ触媒系を使用して作製された樹脂、およびシングルサイト触媒を使用して作製された樹脂が含まれ、ビスメタロセン触媒(「m-LLDPE」と称されることもある)、ホスフィンイミン、拘束幾何触媒、およびポストメタロセン分子触媒を使用して作製された樹脂が含まれるが、これらに限定されず、ビス(ビフェニルフェノキシ)触媒(多価アリールオキシエーテル触媒とも称される)が含まれるが、これらに限定されない。LLDPEは、直鎖状の、実質的に直鎖状の、または不均一なエチレン系コポリマーまたはホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEよりも少ない長鎖分岐を含有し、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、および米国特許第5,733,155号においてさらに定義される、実質的に直鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号におけるものなどの、均一分岐直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されるプロセスに従って調製されるものなどの不均一分岐エチレンポリマー、それらのブレンド(米国特許第3,914,342号および米国特許第5,854,045号に開示されるものなど)が挙げられる。LLDPE樹脂は、当該技術分野で知られている任意の種類の反応器または反応器構成を使用して、気相、液相、もしくはスラリー重合、またはこれらの任意の組み合わせによって作製され得る。
【0018】
「多層構造」とは、2つ以上の層を有する任意の構造を意味する。例えば、多層構造(例えば、フィルム)は、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の層を有し得る。多層構造は、文字で示される層を有するとして説明され得る。例えば、A/B/Cと明示された3層構造は、コア層Bと、2つの外層AおよびCを有し得る。同様に、2つのコア層BおよびC、ならびに2つの外層AおよびDを有する構造は、A/B/C/Dと明示されよう。いくつかの実施形態では、本開示の多層フィルムは、最大13の層を含む。
【0019】
本明細書に記載されるような不均一な厚さを有するサイロバッグの実施形態を詳細に参照する。本明細書で説明するサイロバッグの実施形態は、2つの開放端を有するチューブ状構造を形成する1つ以上の層を含むことができ、本明細書では「チューブ」と称することができる。いくつかの実施形態において、チューブは、1つ以上の層を含み得る。チューブは、第1の開放端、第2の開放端を有することができ、第1の領域および第2の領域は、第1の開放端と第2の開放端との間に配置され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、サイロバッグは、「単層サイロバッグ」であることができ、それは、単層フィルムがチューブを形成し得るサイロバッグを指す。いくつかの実施形態では、サイロバッグは、「多層サイロバッグ」であることができ、それは、フィルムが、チューブを形成する複数の層を有するサイロバッグを指す。チューブを形成するために使用されるフィルムは、1つ以上の層、2つ以上の層、3つ以上の層、または最大15の層を有し得る。いくつかの実施形態では、多層サイロバッグは、本開示で後に説明するように、押出プロセスを介して形成され得る。
【0021】
不均一な厚さを有する様々なサイロバッグの実施形態を詳細に参照する。図1を参照すると、多層サイロバッグ100は、少なくとも2つの層を含むチューブを含むことができ、そのチューブは、第1の開放端110、第2の開放端120、ならびに第1の開放端110と第2の開放端120との間に配置された第1の領域101および第2の領域102を有する。少なくとも2つの層の各々は、ASTM D792に従って測定すると、0.905g/cc~0.935g/ccの密度およびASTMD1238に従って測定すると、0.1~2.0g/10分のメルトインデックス(I)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含み得る。少なくとも2つの層の各々は、0.917g/cc~0.935g/ccの密度および0.1~2.0g/10分のメルトインデックス(I)を有する低密度エチレン系ポリマー、またはそれらの組み合わせも含み得る。第1の領域101の厚さは、第2の領域102の厚さよりも少なくとも10%厚くてもよい。第1の領域101は、多層サイロバッグ100の全表面積の少なくとも50%の表面積を有し得る。チューブは、50μm~350μmの全厚を有し得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、1つ以上の層の各々は、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含み得る。実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、ASTM D792に従って測定すると、約0.860g/cc~約0.965g/ccの密度を有し得る。他の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、約0.860g/cc~約0.940g/cc、約0.860g/cc~約0.930g/cc、約0.905g/cc~約0.965g/cc、約0.905g/cc~約0.940g/cc、約0.905g/cc~約0.930g/cc、約0.910g/cc~約0.965g/cc、約0.910g/cc~約0.940g/cc、または約0.910g/cc~約0.930g/ccの密度を有し得る。実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、ASTM D1238に従って測定すると、約0.1~約2.0g/10分メルトインデックス(I)を有し得る。他の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、約0.1~約1.5g/10分メルトインデックス(I)を有し得る。いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、直鎖状低密度エチレン系ポリマー(LLDPE)であり得る。
【0023】
エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを製造するための様々な方法論が企図される。例えば、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、一般に、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、またはシングルサイト触媒、例えば、限定するものではないがビスメタロセン触媒、および拘束幾何触媒を使用して調製される。
【0024】
1つ以上の層の各々は、実施形態では、ASTM D792に従って測定すると、0.917g/cc~0.935g/ccの密度を有し得る低密度エチレン系ポリマー(LDPE)を含み得る。他の実施形態では、低密度エチレン系ポリマー(LDPE)は、約0.917g/cc~約0.93g/cc、約0.917g/cc~約0.920g/cc、約0.917g/cc~約0.910g/cc、約0.920g/cc~約0.935g/cc、約0.920g/cc~約0.930g/cc、約0.930g/cc~約0.935g/ccの密度有し得る。実施形態では、低密度エチレン系ポリマー(LDPE)は、ASTM D1238に従って測定すると、約0.1~約6.0g/10分のメルトインデックス(I)を有し得る。他の実施形態では、低密度エチレン系ポリマー(LDPE)は、約0.1~約5.0g/10分、約0.1~約4.0g/10分、約0.1~約3.0g/10分、または約0.1~約2.0g/10分、または約0.1~約1.5g/10分のメルトインデックス(I)を有し得る。
【0025】
1つ以上の実施形態では、LDPE組成物は、粘着防止剤、スリップ剤、またはそれらの両方を含み得る。様々な市販のLDPE製品は、1つ以上の層での使用に好適と考えられる。そのような市販のLDPE製品としては、AGILITY(商標)EC7000、AGILITY(商標)EC7220、DOW(商標)LDPE 7008およびDOW(商標)LDPE 7004を挙げることができ、それらはすべて、Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能である。
【0026】
インフレーションフィルムまたはキャストフィルムを含み得る単層および多層フィルムでは、フィルムが加工性、剛性、および靭性を有することは有益であり得る。実施形態では、LDPEは、溶融強度を改善し、それによって加工性を改善することができるため、LDPEは、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーとブレンドされ得る。
【0027】
1つ以上の層は、エチレン/アルファオレフィンインターポリマー、低密度エチレン系ポリマー(LDPE)、またはそれらの組み合わせを含み得ることが企図される。
【0028】
上記のように、サイロバッグの1つ以上の層は、1つ以上の層の総重量に基づいて、少なくとも40重量%のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含み得ることが企図される。他の実施形態では、1つ以上の層は、1つ以上の層の総重量に基づいて、約40重量%~約95重量%、約40重量%~約80重量%、約40重量%~約70重量%、約40重量%~約60重量%、約40重量%~約50重量%、約50重量%~約95重量%、約50重量%~約80重量%、約50重量%~約70重量%、約50重量%~約60重量%、約60重量%~約95重量%、約60重量%~約80重量%、約60重量%~約70重量%、約70重量%~約95重量%、約70重量%~約80重量%、または約80重量%~約95重量%のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、直鎖状低密度エチレン系ポリマー(LLDPE)であり得る。他の実施形態では、1つ以上の層は、約40重量%~約95重量%のLLDPEを含み得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、1つ以上の層は、低密度のエチレン系ポリマーを含み得ることが企図される。1つ以上の層は、1つ以上の層の総重量に基づいて、少なくとも10重量%の低密度エチレン系ポリマーを含み得ることが企図される。他の実施形態では、1つ以上の層は、1つ以上の層の総重量に基づいて、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約20重量%、約20重量%~約60重量%、約20重量%~約50重量%、約20重量%~約40重量%、約20重量%~約30重量%、約30重量%~約60重量%、約30重量%~約50重量%、約30重量%~約40重量%、約40重量%~約60重量%、約40重量%~約50重量%、または約50重量%~約60重量%の低密度エチレン系ポリマーを含み得る。
【0030】
前述したように、サイロバッグの実施形態は、第1の開放端と第2の開放端との間に配置された第1の領域および第2の領域を有するチューブを含み得る。実施形態では、第1の領域は、第2の領域の厚さとは異なる厚さを有し得る。したがって、サイロバッグの厚さは「不均一」とみなすことができる。
【0031】
理論に拘束されることなく、本明細書に記載されるような不均一な厚さを有するサイロバッグは、ネッキングに対してより耐性があり得る。本明細書で使用されるとき、「ネッキング」とは、サイロバッグの特定の領域に不均衡に局所化する比較的大量の歪みを指し得る。ネッキング領域は、縦方向に薄くなっているフィルムの領域をさらに指し得る。縦方向の薄化とは、15%超、25%超、50%超、または75%超の局所的な厚さの減少を有する領域を指し得る。ネッキング領域はまた、15%超、25%超、50%超、または75%超の局所的な歪みを有するフィルムの領域を指し得る。サイロバッグがネッキングを含む場合、サイロバッグは不良を有するとみなすことができる。
【0032】
本開示の実施形態によれば、不均一な厚さを有するサイロバッグは、均一な厚さを有するサイロバッグと比較して、不良に対してより耐性があり得る。均一な厚さの従来のサイロバッグの場合、歪みは、ネッキングとして知られるサイロバッグの特定の領域に不均衡に局所化され得る。例えば、均一な厚さを有するサイロバッグが穀物またはサイレージで充填されると、穀物の重量により、充填されたバッグが変形する場合がある。前述のように、「サイロバッグ」は、あるいは「サイレージバッグ」と称されることもある。サイロバッグがサイレージで充填されると、重力下での穀物の動きにより、典型的には、サイロバッグはバッグの頂部において伸びる。充填されたバッグが変形すると、歪みが均一な厚さを有するサイロバッグの頂部に集中し、ネッキングをもたらし、その後にサイロバッグの不良につながる場合がある。
【0033】
本開示の実施形態では、不均一な厚さを有するサイロバッグは、局所的な応力またはネッキングに対して耐性があり得る。本明細書に記載のサイロバッグの実施形態では、第1の領域は、より歪みを受けやすい可能性がある。したがって、実施形態では、歪みが局所化されてネッキングおよびその後の不良につながることがないように、サイロバッグを強化するために第1の領域の厚さを増加させることができる。例えば、サイロバッグの頂部領域の厚さを増加させると、充填されたサイロバッグの頂部にあるサイレージの断面積が大きくなり、局所的な薄化の傾向が減少し、耐荷重が向上し得る。バッグが地面に接触している領域(バッグの底部領域と称されることもある)は、バッグが充填されているときには、穀物に起因する圧縮応力下にあり得る。この領域の厚さを減らしても、バッグの性能は有意には変わらないであろう。サイロバッグの底部における不良の原因の1つとしては、石および他の破片などの物体による突刺を挙げることができる。しかしながら、バッグの下に石および鋭利なものが存在している場合に、底部領域の厚さを約10%~約20%だけ薄くしても、性能に有意な変化は生じない場合がある。さらに、第1の領域の厚さをより厚くすると、例えば、サイロバッグが長期間保管され得るときには、改善された耐クリープ性を提供し、バッグの平坦化を防止することができる。
【0034】
前述したように、実施形態では、第1の領域は、第2の領域とは異なる厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、第1の領域の厚さは、第2の領域の厚さよりも、少なくとも約10%厚くてもよい。他の実施形態では、第1の領域の厚さは、第2の領域の厚さよりも約10%~約50%、第2の領域の厚さよりも約10%~約40%、第2の領域の厚さよりも約10%~約30%、第2の領域の厚さよりも約10%~約20%、第2の領域の厚さよりも約20%~約50%、第2の領域の厚さよりも約20%~約40%、第2の領域の厚さよりも約20%~約30%、第2の領域の厚さよりも約30%~約50%、第2の領域の厚さよりも約30%~約40%、または第2の領域の厚さよりも約40%~約50%厚くてもよい。
【0035】
実施形態では、不均一な厚さを有するサイロバッグは、局所的な応力またはネッキングに対して耐性があり得る。しかしながら、第1の領域が、第2の領域の厚さより50%超の厚さを有する場合、サイレージで充填されると、重力下での穀物の動きによって、第1の領域が第2の領域に接触する場所で伸長が起こり得る。したがって、これらの領域での伸張は、局所的な応力またはネッキングを引き起こし得る。
【0036】
第1の領域は、サイロバッグの全表面積の少なくとも50%の表面積を有し得る。他の実施形態では、第1の領域は、サイロバッグの全表面積の少なくとも65%、75%、85%、または95%の表面積を有し得る。実施形態では、第2の領域は、サイロバッグの全表面積の50%未満の表面積を有し得る。他の実施形態では、第2の領域は、サイロバッグの全表面積の35%、25%、15%、または5%未満の表面積を有し得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の領域は、約50μm~約350μmの厚さを有し得る。他の実施形態では、第1の領域は、約50μm~約300μm、50μm~約250μm、約50μm~約200μm、約50μm~約150μm、約50μm~約100μm、約100μm~約300μm、約100μm~約250μm、約100μm~約200μm、約100μm~約150μm、約150μm~約300μm、約150μm~約250μm、約150μm~約200μm、約200μm~約300μm、約200μm~約250μm、または約200μm~約250μmの厚さを有し得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、第2の領域は、約50μm~約350μmの厚さを有し得る。他の実施形態では、第2の領域は、約50μm~約300μm、50μm~約250μm、約50μm~約200μm、約50μm~約150μm、約50μm~約100μm、約100μm~約300μm、約100μm~約250μm、約100μm~約200μm、約100μm~約150μm、約150μm~約300μm、約150μm~約250μm、約150μm~約200μm、約200μm~約300μm、約200μm~約250μm、または約200μm~約250μmの厚さを有し得る。
【0039】
実施形態では、第1の領域の厚さは、一定の厚さを有し得る。他の実施形態では、第1の領域は、第1の領域の中点から第2の領域の中点に向かって徐々に減少する厚さを有し得る。実施形態では、第2の領域の厚さは、一定の厚さを有し得る。他の実施形態では、第1の領域は、第2の領域の中点から第1の領域の中点に向かって徐々に増加する厚さを有し得る。
【0040】
上記のように、応力が最小の領域の厚さを減少させることにより、不均一な厚さを有するサイロバッグの実施形態が、追加の材料を必要とせずにネッキングに耐性を持つことが可能になり得る。実施形態では、不均一な厚さを有するサイロバッグは、第1の領域および第2の領域の合計重量を含む「全重量」を有し得る。均一な厚さを有するサイロバッグと比較して、均一な厚さを有するサイロバッグの重量は、不均一な厚さを有するサイロバッグの全重量と同じであり得る。実施形態では、不均一な厚さを有するサイロバッグは、約50μm~約350μmの全厚を有し得るチューブを含む。本明細書で使用されるとき、「全厚」は、第1の領域および第2の領域の両方を含む、サイロバッグ全体の平均の厚さを指す。他の実施形態では、全厚は、約50μm~約250μm、約50μm~約150μm、約50μm~約100μm、約100μm~約350μm、約100μm~約250μm、約100μm~約150μm、約200μm~約350μm、約200μm~約250μm、または約300μm~約350μmであり得る。
【0041】
サイロバッグの実施形態を製造する様々な方法は、当業者によく知られている。不均一な厚さを有する様々なサイロバッグを製造するプロセスの様々な実施形態を詳細に参照する。
【0042】
1つ以上の実施形態では、サイロバッグを製造するプロセスは、インフレーションフィルムバブルを形成することを含み得る。いくつかの実施形態では、インフレーションフィルムバブルは、多層インフレーションフィルムバブルであり得る。さらに、この実施形態によれば、多層インフレーションフィルムバブルは、少なくとも2つの層を含むことができ、その少なくとも2つの層は、互いに接着することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの層の各々は、本開示で前述したように、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、低密度エチレン系ポリマー、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、プロセスの気泡サイズは、約300フィート(ft.)(約91.44メートル)の長さまでインフレートされ得る。他の実施形態では、気泡サイズは、約50ft.~約300ft.、約50ft.~約250ft.、約50ft.~約200ft.、約50ft.~約150ft.、約50ft.~約100ft.、約100ft.~約300ft.、約100ft.~約250ft.、約100ft.~約200ft.、約100ft.~約150ft.、約150ft.~約300ft.、約150ft.~約250ft.、約150ft.~約200ft.、約200ft.~約300ft.、約200ft.~約250ft.、約または250ft.~約300ft.の長さまでインフレートされ得る。
【0044】
インフレーションフィルムプロセスの実施形態中に、押出ダイから押出フィルムが、形成され(インフレートされ)、タワーの中を上方にニップ上に引き上げられ得る。次に、そのフィルムをコアに巻き付けることができる。フィルムをコアに巻く前に、折り畳み装置を使用してフィルムの端を切断して折り畳むことができる。それにより、フィルムの層を分離することが困難になり、それは、農業用途、一般的には、またはサイレージバッグ用途にとって重要であり得る。
【0045】
さらなる実施形態では、インフレーションフィルムバブルは、30対1の長さ対直径(「L/D」)比を有するインフレーションフィルム押出ラインを介して形成され得る。いくつかの実施形態では、押出ラインは、約1~約5、約1~約3、約2~約5、または約2~約3のブローアップ比を有し得る。いくつかの実施形態では、押出ラインは、内部気泡冷却を有するダイを利用してもよい。いくつかの実施形態では、ダイギャップは、約1ミリメートル(mm)~約5mm、約1mm~約3mm、約2mm~約5mm、または約2mm~約3mmであり得る。いくつかの実施形態では、多層インフレーションフィルムバブルをダイに通して押出すことは、押出フィルムの厚さ分布を本質的に変えるようにダイの設計を変えることを含む。いくつかの実施形態では、多層インフレーションフィルムバブルをダイに通して押出すことは、ダイの中心をオフセットすることを含む。実施形態では、ダイの中心をオフセットすると、フィルムがダイを通って押出されるときに、フィルムの厚さが不均一になり得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、押出ラインは、フィルム厚ゲージスキャナーを利用してもよい。いくつかの実施形態では、押出プロセスの間、フィルム厚は、約50μm~約350μmに維持され得る。他の実施形態では、フィルム厚は、約50μm~約300μm、50μm~約250μm、約50μm~約200μm、約50μm~約150μm、約50μm~約100μm、約100μm~約300μm、約100μm~約250μm、約100μm~約200μm、約100μm~約150μm、約150μm~約300μm、約150μm~約250μm、約150μm~約200μm、約200μm~約300μm、約200μm~約250μm、または約200μm~約250μmであり得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、フロストラインの高さは、約25インチ~約40インチ、約25インチ~約35インチ、約25インチ~約35インチ、約25インチ~約30インチ、約30インチ~約40インチ、約30インチ~約35インチ、または約35インチ~約40インチであり得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、多層インフレーションフィルムバブルステップの形成は、350~500°F、または375~475°Fの温度で起こり得る。出力速度は、約5ポンド/時/インチ~約25ポンド/時/インチ、約5ポンド/時/インチ~約20ポンド/時/インチ、約5ポンド/時/インチ~約15ポンド/時/インチ、約5ポンド/時/インチ~約10ポンド/時/インチ、約10ポンド/時/インチ~約25ポンド/時/インチ、約10ポンド/時/インチ~約20ポンド/時/インチ、約10ポンド/時/インチ~約15ポンド/時/インチ、約15ポンド/時/インチ~約25ポンド/時/インチ、約15ポンド/時/インチ~約20ポンド/時/インチ、または約20ポンド/時/インチ~約25ポンド/時/インチであり得る。
【0049】
他の実施形態では、多層サイロバッグを製造するプロセスは、多層サイロバッグの表面の少なくとも一部に第2のフィルムを積層することをさらに含み得る。実施形態では、第2のフィルムは、サイロバッグに不均一な厚さを持たせることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、不均一な厚さを有する前述のサイロバッグのうちの1つ以上を、貯蔵溶液の用途に利用され得る。さらなる実施形態では、不均一な厚さを有する前述のサイロバッグのうちの1つ以上は、農業用途において利用され得る。
【0051】
試験方法
試験方法は、以下を含む。
【0052】
メルトインデックス(I
メルトインデックス(I)を試験するために、エチレン系ポリマーサンプルは、ASTM D1238に従って、190℃、2.16kgで測定される。値は、g/10分で報告される。それは、10分あたりに溶出されるグラム数に対応している。プロピレン系ポリマーは、ASTM D1238に従って、230℃、2.16kgで測定される。
【0053】
密度
密度を試験するために、サンプルは、ASTM D4703に従って調製および測定され、グラム/立方センチメートル(g/ccまたはg/cm)で報告される。測定は、ASTM D792、方法Bを使用して、サンプルプレスから1時間以内に行われる。
【0054】
ASTM D1922 MD(機械方向)およびCD(交差方向)エルメンドルフ引裂強度タイプB
エルメンドルフ引裂試験は、エルメンドルフ型引裂試験機を使用して、引裂が開始された後に、プラスチックフィルムまたは非硬質シートの特定の長さにわたって引裂を伝播させる平均力を決定する。
【0055】
試験すべきサンプルからフィルムを製造した後、そのフィルムをASTM規格に従って23℃(±2℃)および50%R.H(±5)で少なくとも40時間馴化させた。標準試験条件は、ASTM標準に従って23℃(±2℃)および50%R.H(±5)であった。
【0056】
フィルムまたはシート試験片に引裂を伝播させるのに必要な力(グラム単位)を、正確に較正された振り子装置を使用して測定した。重力によって作用し、振り子は円弧を描いてスイングし、予め切断された切れ目から試験片を引裂く。試験片は、片側が振り子によって保持され、反対側が固定部材によって保持される。振り子によるエネルギーの損失は、ポインタまたは電子スケールによって示される。スケール表示は、試験片を引裂くのに必要な力の関数である。
【0057】
エルメンドルフ引裂強度試験で使用されたサンプル試験片形状は、ASTM D1922に規定されているように、「一定半径の形状」であった。試験は、典型的には、フィルムのMD方向およびCD方向の両方から切断された試験片に対して行われる。試験前に、フィルム試験片の厚さをサンプルの中央で測定した。フィルム方向当たり合計15個の試験片を試験し、平均引裂強度および平均厚さを報告した。平均引裂強度は平均厚さに対して正規化した。
【0058】
ASTM D882 MDおよびCD、1%および2%割線弾性係数
フィルムのMD(機械方向)およびCD(交差方向)割線弾性係数をASTM D882に従って決定した。報告される割線弾性係数値は5回の測定の平均であった。
【0059】
突刺強度
突刺試験は、標準低速、単一試験速度、でのプローブの貫通に対するフィルムの耐性を判定する。突刺試験方法はASTM D5748に基づいている。フィルム製造後、そのフィルムを、ASTM標準に従って23℃(±2℃)および50%R.H(±5)で少なくとも40時間馴化させた。標準試験条件は、ASTM標準に従って23℃(±2℃)および50%R.H(±5)である。突刺は引張試験機で測定した。正方形の標本を、シートから「6インチ×6インチ」のサイズに切断した。その試験片を、「直径4インチ」の円形試験片ホルダーに固定し、突刺プローブを、その固定されたフィルムの中心に、10インチ/分のクロスヘッド速度で押込んだ。内部試験方法は、1つの修正を加えてASTM D5748に準拠している。この方法は、ASTM D5748の方法とは、使用されたプローブが(D5748において規定されている直径0.75インチの洋ナシ型プローブではなく)、「0.25インチ」の支持具上の「直径0.5インチ」の磨製鋼球であったという点において異なった。
【0060】
試験治具への損傷を防止するために、最大移動長は「7.7インチ」であった。ゲージ長は存在せず、試験前、プローブは、試験片に対して可能な限り近付けられるが接触はしない。試験片の中央において、単回の厚さ測定を行った。各試験片について、最大力、破断時の力、貫通距離、および破断するエネルギーを決定した。合計5つの試験片を試験して、平均突刺値を決定した。突刺プローブは、各試験片に対して使用した後、「キムワイプ」を使用して清掃した。
【0061】
ASTM D882 MDおよびCD、破断応力、ピーク荷重、破断歪み、降伏歪み、降伏応力
フィルムのMD(機械方向)およびCD(交差方向)の引張特性、すなわち、破断応力、ピーク荷重、破断歪み、および降伏歪み、降伏応力は、ASTMD882に従って決定した。報告された引張特性は、5回の測定の平均であった。
【実施例
【0062】
以下の実施例は、本開示の特徴を説明するものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。以下の実験で、本明細書に記載のサイロバッグの実施形態の性能を分析した。
【0063】
3Dシミュレーションを使用して、均一な厚さを有する穀物で充填されたサイロバッグと比較して、不均一な厚さを有する穀物で充填されたサイロバッグの実施形態の変形を試験した。シミュレーションは、Abaqus Unified FEA Explicit(Dassault Systemes(登録商標)によるProduct of Simulia(商標))を使用してモデル化した。
【0064】
サイロバッグは、硬質床の上にあって、約95%が穀物(上記の特性を有する)で充填されているバッグ容積を有する、直径12フィート(約3.65m)および長さ3フィート(約0.91m)であるサイロバッグをシミュレートした。以下の実施例のためにモデル化されたフィルムは、7つの層および次の組成、すなわち、密度0.919g/ccおよびメルトインデックス0.53g/10分を有するLLDPE樹脂ブレンドを45重量%、ならびに、密度0.92g/ccおよびメルトインデックス0.25g/10分を有するLDPE樹脂を55重量%有していた。モデルに使用したインフレーションフィルムの特性を表1~3に示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【0065】
上で説明した特性を有するフィルムは、溝付き供給セクション、30/1 L/D比のバレル、バリアスクリュー、Alpineエアリングを備えたAlpine押出機を介して製造した。押出ラインは、内部気泡冷却を備えた250mmダイを有していた。押出ラインは、フィルム厚ゲージスキャナーも有していた。フィルムの二次加工条件は次のとおり、すなわち、9.0ミルのフィルム厚、2.39のブローアップ比(BUR)、2mmのダイギャップ、34インチのフロストライン高さ(FLH)、1時間あたり約400ポンドの出力速度、および華氏約450度のポリマー溶融温度である。
【0066】
バッグに穀物を充填した後の各サイロバッグの厚さの減少および歪み場を観察するためにシミュレーションを使用した。Mohr-Coulombモデルを使用して、準静的荷重下での重力によるバッグ中での穀物の流れをシミュレートした。穀物とバッグならびにバッグと硬質床との間の接触は、「一般的な接触」相互作用パラメータを使用してモデル化される。Mohr-Coulombモデルの場合、低凝集挙動を示す一般的な粒状材料に関するパラメータを使用した。
【0067】
実施例1-均一な厚さのサイロバッグの設計(対照ケース)
実施例1では、サンプル1は、230μmの均一なバッグ厚さを有するサイロバッグであった。サンプル1のサイロバッグの材料特性および穀物特性は、表1~3に記載されているパラメータに従ってモデル化した。
【0068】
変形後のサンプル1の最終厚さおよび歪み場を、図2Bおよび図2Cそれぞれに示す。図2Bは、4つのサブ領域(約221μmの厚さを有する領域211、約213μmの厚さを有する領域221、および約137μmの厚さを有する領域231および241)に関する変形後のサンプル1の厚さを示す。厚さの減少の結果を表4に要約する。
【表4】
【0069】
表4に提示した結果に示されているように、変形後、サンプル1は、領域231および241において初期の厚さの約40%の厚さの減少を示した。
【0070】
図3Cに示したように、サンプル1の歪み場も、変形後に観察された。サンプル1に関する歪み場の結果を表5に示す。
【表5】
【0071】
図2Cおよび表5に示されるように、サンプル1の変形後バッグの最大歪みは、約52%であった(領域281)。したがって、サンプル1の変形バッグにはネッキングが観察され、サンプル1は、変形前は当初230μmの均一な厚さを有していた。
【0072】
実施例2-14%の一定の厚さの差を有する不均一な厚さのサイロバッグの設計
実施例1では、本明細書に記載の実施形態に従って、不均一な厚さを有するサイロバッグをモデル化した(サンプル2)。サンプル2のサイロバッグの材料特性および穀物特性を、上記パラメータおよび表1~3に記載されているパラメータに従ってモデル化した。サンプル2の全質量はサンプル1と同じであった。
【0073】
図3Aは、穀物で充填される前のサンプル2(不均一な厚さを有するサイロバッグ)を示している。図3Aに示したように、サンプル1の第1の領域301は約240μmの厚さを有し、サンプル1の第2の領域302は約210μmの厚さを有していた。全体として、第1の領域301と第2の領域302との間には約14%の厚さの差があった。
【0074】
変形後のサンプル2の最終厚さを図3Bに示す。図3Bは、7つのサブ領域の変形後のサンプル2の厚さを示している。厚さの減少の結果を表6に要約する。
【表6】
【0075】
表6に提示した結果によって示されているように、変形後、サンプル2は、領域301の初期厚さの約22%の最大の厚さの減少を示した。このように、厚さの減少が30%未満であったため、サンプル2では不良は観察されなかった。
【0076】
実施例3-31.5%の一定の厚さの差を有する不均一な厚さのサイロバッグの設計
実施例3では、本明細書に記載の実施形態に従って、不均一な厚さを有するサイロバッグをモデル化した(サンプル3)。サンプル3のサイロバッグの材料特性および穀物特性を、上記パラメータおよび表1~3に記載されているパラメータに従ってモデル化した。サンプル3の全質量はサンプル1と同じであった。
【0077】
図4Aは、穀物で充填される前のサンプル3(不均一な厚さを有するサイロバッグ)を示している。図4Aに示したように、サンプル3の第1の領域401は約250マイクロメートル(μm)の厚さを有し、サンプル1の第2の領域402は約193μmの厚さを有していた。全体として、第1の領域401と第2の領域402との間には約31.5%の厚さの差があった。
【0078】
変形後のサンプル3の最終厚さを図4Bに示す。図4Bは、6つのサブ領域の変形後のサンプル3の厚さを示している。厚さの減少の結果を表7に要約する。
【表7】
【0079】
表4に提示した結果によって示されているように、変形後、サンプル3は、領域401の初期厚さの約9%の最大の厚さの減少を示した。
【0080】
図4Cに示すように、サンプル3の歪み場も変形後に観察された。歪み場の結果を表8に示す。
【表8】
【0081】
図4Cおよび表8に示すように、サンプル3の変形後のバッグの最大歪みは、約12%(領域481)であり、最小歪みは、約4.3%(領域462)であった。したがって、サンプル3の変形したサイロバッグにはネッキングは観察されなかった。
【0082】
実施例4-36%の可変厚の差を有する不均一な厚さのサイロバッグの設計
実施例4では、本明細書に記載の実施形態に従って、不均一な厚さを有するサイロバッグをモデル化した(サンプル4)。サンプル4のサイロバッグの材料特性および穀物特性を、上記パラメータおよび表1~3に記載されているパラメータに従ってモデル化した。サンプル4の全質量はサンプル1と同じであった。
【0083】
図5Aは、穀物で充填される前のサンプル4(不均一な厚さを有するサイロバッグ)を示している。図5Aに示すように、サンプル4の厚さは、第1の領域(501)から第10の領域(510)へと減少する。変形前、サンプル4の第1の領域501は約260μmの厚さを有し、サンプル4の第10の領域310は約190μmの厚さを有していた。全体として、第1の領域501と第10の領域510との間には約36%の厚さの差があった。
【0084】
変形後のサンプル4の最終厚さを図5Bに示す。図5Bは、13のサブ領域の変形後のサンプル4の厚さを示している。厚さの減少の結果を表9に要約する。
【表9】
【0085】
表9に提示した結果に示されているように、変形後、サンプル4は、領域533において初期の厚さの約13%の厚さの減少を示した。
【0086】
実施例5-6.3%の一定の厚さの差を有する不均一な厚さのサイロバッグの設計
実施例5では、本明細書に記載の実施形態に従って、不均一な厚さを有するサイロバッグをモデル化した(サンプル5)。サンプル5のサイロバッグの材料特性および穀物特性を、上記パラメータおよび表1~3に記載されているパラメータに従ってモデル化した。サンプル5の全質量はサンプル1と同じであった。
【0087】
図6Aは、穀物で充填される前のサンプル5(不均一な厚さを有するサイロバッグ)を示している。図6Aに示したように、サンプル1の第1の領域601は約235μmの厚さを有し、サンプル1の第2の領域602は約220μmの厚さを有していた。全体として、第1の領域601と第2の領域602との間には約6.3%の厚さの差があった。
【0088】
変形後のサンプル5の最終厚さを図6Bに示す。図6Bは、6つのサブ領域の変形後のサンプル5の厚さを示している。厚さの減少の結果を表10に要約する。
【表10】
【0089】
表10に提示した結果に示されているように、変形後、サンプル5は、領域611において初期の厚さの約33%の厚さの減少を示した。
【0090】
実施例6-45%の一定の厚さの差を有する不均一な厚さのサイロバッグの設計
実施例6では、本明細書に記載の実施形態に従って、不均一な厚さを有するサイロバッグをモデル化した(サンプル6)。サンプル6のサイロバッグの材料特性および穀物特性を、上記パラメータおよび表1~3に記載されているパラメータに従ってモデル化した。サンプル6の全質量はサンプル1と同じであった。
【0091】
図7Aは、穀物で充填される前のサンプル2(不均一な厚さを有するサイロバッグ)を示している。図7Aに示したように、サンプル6の第1の領域701は約258μmの厚さを有し、サンプル6の第2の領域302は約177μmの厚さを有していた。
【0092】
変形後のサンプル6の最終厚さを図7Bに示す。図7Bは、モデル化されたサイロバッグの半分の図であり、4つのサブ領域の変形後のサンプル6の厚さを示している。厚さの減少の結果を表11に要約する。
【表11】
【0093】
表11に提示した結果に示されているように、変形後、サンプル6は、領域712において初期の厚さの約47%の厚さの減少を示した。
【0094】
実施例7-サンプル1~6の厚みの減少の比較
サンプル1~6を比較するために、表12に、実施例1~6で説明した厚みの減少の結果を要約する。
【表12】
【0095】
表12に示すように、変形後、均一な厚さを有するサンプル1は、約40%の厚さの減少を伴う重度のネッキングによる不良を示した。本開示で前述したように、約30%を超える厚さの減少を有するサイロバッグは、引裂不良および突刺不良となり得る。一般に、厚さが不均一なサイロバッグ(サンプル1~5)は、厚さが均一なサイロバッグ(サンプル1)よりも一般に厚みの減少が少ないことが観察された。しかしながら、サンプル5および6で観察されたように、第1の領域(一定の厚さ)と第2の領域(一定の厚さ)との間の厚さの差が約10%未満の場合(サンプル5)または40%を超える場合(サンプル6)、サイロバッグは、ネッキング、引裂、および突刺の不良の影響を受けやすくなり得る。したがって、本開示の実施形態を表すサンプル2~4は、厚さの減少が比較的少ないサイロバッグを提供する。そのように、本開示の実施形態は、改善されたクリープ性能または改善された耐荷重性能を提供することができ、それは、様々な用途における機能にとって重要であり得る。
【0096】
実施例8-サンプル1およびサンプル3で観測された歪み場の比較
サンプル1および3を比較するために、表13に、実施例1および3で説明した歪み場の結果の要約を示す。
【表13】
【0097】
サンプル1および3の歪み場において示されているように、厚さが均一なサイロバッグ(サンプル1)は、厚さが不均一なサイロバッグであるサンプル3と比較して、ネッキングを有し、かつ歪みがより大きかった。さらに、2つのサンプルの全質量は同じでも、厚さが不均一なサイロバッグ(サンプル3)は、厚さが均一なサイロバッグ(サンプル1)と比較して、改善された性能を示した。そのように、本開示の実施形態は、追加の材料を必要とせずに、均一な厚さを有する従来のサイロバッグと比較して、強度が改善されたサイロバッグを提供することができる。
添付の特許請求の範囲に定義される本開示の範囲から逸脱することなく、修正および変更が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において好ましいまたは特に有利であると認識されているが、本開示は、必ずしもこれらの態様に限定されないことが企図される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
【国際調査報告】