(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】平面的振動式密度計、密度計部材、及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 9/00 20060101AFI20220202BHJP
【FI】
G01N9/00 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533585
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 US2018065242
(87)【国際公開番号】W WO2020122899
(87)【国際公開日】2020-06-18
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド, ジョージ アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ゴフ, ジョナサン ジェイムズ
(57)【要約】
振動式密度計(500)で使用する動作可能な平面的振動部材(300,400)が提供される。平面的振動部材(300,400)は、本体(302)と、本体(302)から発する振動可能な部分(304)とを備え、振動可能な部分(304)は複数の振動可能な突出部を含み、複数の振動可能な突出部は片持ち支持される。振動可能な部分は、ドライバ(504)によって振動されるように動作可能である。
【選択図】
図3b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動式密度計(500)で使用する動作可能な平面的振動部材(300,400)であって、
本体(302)と、
前記本体(302)から発する振動可能な部分(304)であって、前記振動可能な部分(304)は複数の振動可能な突出部を含み、前記複数の振動可能な突出部は片持ち支持される、振動可能な部分(304)とを備え、
前記振動可能な部分は、ドライバ(504)によって振動されるように動作可能である、平面的振動部材(300,400)。
【請求項2】
前記複数の振動可能な突出部は、3つの振動可能なビーム部(308)を含む、請求項1に記載の平面的振動部材(300,400)。
【請求項3】
前記3つの振動可能なビーム部(308)は、同じ大きさである、請求項2に記載の平面的振動部材(300,400)。
【請求項4】
前記3つの振動可能なビーム部(308)は、互いに実質的に平行である、請求項2に記載の平面的振動部材(300,400)。
【請求項5】
前記3つの振動可能なビーム部(308)は、隣り合うビーム部とは異なる寸法を有する中央のビーム部を含む、請求項2に記載の平面的振動部材(300,400)。
【請求項6】
前記複数の振動可能な突出部は、外側櫂状部(418)内に入れ子になる内側櫂状部(416)を含む、請求項1に記載の平面的振動部材(300,400)。
【請求項7】
前記本体(302)の縁部(312)は、前記振動可能な部分(304)を取り囲む、請求項1に記載の平面的振動部材(300,400)。
【請求項8】
前記振動可能な部分(304)は、磁気によって駆動可能である、請求項1に記載の平面的振動部材(300,400)。
【請求項9】
内部の流体の密度を決定するように動作可能である密度計(500)であって、
ドライバ(504)と、
前記ドライバ(504)によって振動可能である平面的振動部材(300,400)であって、本体(302)と、前記本体(302)から発する振動可能な部分(304)とを含み、前記振動可能な部分(304)が複数の振動可能な突出部を含み、前記複数の振動可能な突出部が片持ち支持される、平面的振動部材(300,400)と、
前記振動部材(300,400)の振動を検出するように構成される少なくとも1つのピックオフセンサ(506)と、
励起信号を前記ドライバ(504)に送り、前記少なくとも1つのピックオフセンサ(506)から振動応答を受け取るように構成されるインタフェース(701)を含む計測電子機器(700)であって、前記密度計(500)の内部の流体の密度(725)を測定するための計測電子機器(700)とを備える、密度計(500)。
【請求項10】
振動式密度計を動作させる方法であって、
少なくとも1つのコイルと通信する計測電子機器を備える振動式密度計を提供することと、
前記少なくとも1つのコイルにより振動部材を振動させることと、
前記少なくとも1つのコイルにより励起信号を受け取ることと、
前記少なくとも1つのコイルから検出信号を出力することであって、前記少なくとも1つのコイルが、ドライバ又はピックオフのいずれかとして交互に作用するように動作可能である、前記検出信号を出力することと、
前記励起信号が、前記計測電子機器によって前記少なくとも1つのコイルに供給され、続いて前記計測電子機器が前記少なくとも1つのコイルから検出信号を受け取るように、前記励起信号及び前記検出信号のタイミングを、前記計測電子機器と共にスイッチング回路を用いて制御することとを含む、方法。
【請求項11】
前記振動部材は平面的であり、前記振動部材は、本体と、前記本体から発する振動可能な部分とを含み、前記振動可能な部分は複数の振動可能な突出部を含み、前記複数の振動可能な突出部は片持ち支持される、請求項10に記載の振動式密度計を動作させる方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのコイルが、第1コイル及び第2コイルを含み、前記第1コイル及び前記第2コイルは、
同時励起信号を受け取ることと、
前記振動部材を駆動することと、
前記振動部材から信号を検出することと、
同時検出信号を供給することとを行うように動作可能である、請求項10に記載の振動式密度計を動作させる方法。
【請求項13】
前記第1コイルと前記第2コイルとが磁気的に反対である、請求項10に記載の振動式密度計を動作させる方法。
【請求項14】
コイル励起中の信号ノイズを無視するように前記検出信号をゲート制御することを含む、請求項10に記載の振動式密度計を動作させる方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのコイルが単一のコイルを含み、前記単一のコイルは、
励起信号を受け取ることと、
前記振動部材を駆動することと、
前記振動部材から信号を検出することと、
検出信号を供給することとを行うように動作可能である、請求項10に記載の振動式密度計を動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動式計測器に関し、より詳細には、平面的部材を用いて密度を測定するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
密度計は、当技術分野で一般に知られており、流体の密度を測定するために使用される。流体は、液体、気体、懸濁微粒子及び/若しくは同伴気体を有する液体、又はこれらの組合せを含み得る。振動式密度計は、典型的には、測定されるべき流体材料の存在下で振動する振動要素の運動を検出することによって作動する。密度、粘度及び温度等のような流体材料に関連付けられる特性は、振動要素に関連付けられる運動変換器から受信される測定信号を処理することによって決定されることができる。振動要素系の振動モードは一般に、振動要素及び周囲の流体材料の組み合わされた質量、剛性、及び減衰特性によって影響を受ける。
【0003】
振動式密度計は、供試流体に曝されるシリンダなどの振動部材を備えることができる。振動式密度計の一例は、片持ち式に取り付けられる円筒形導管を含み、円筒形導管の入口端部は、既存の管路又は他の構造体に連結され、円筒形導管の出口端部は、自由に振動することができる。導管が振動され、共振周波数が測定されることができる。当技術分野で一般に知られているように、供試流体の密度は、流体の存在下で導管の共振周波数を測定することによって決定されることができる。周知の原理によれば、導管の共振周波数は、導管に接触している流体の密度に反比例して変化することになる。
【0004】
図1は、振動式気体密度計の従来技術の振動シリンダを示す。従来技術の円形の振動シリンダは、固有周波数(即ち、共振周波数)又はこれに近い周波数で振動され得る。気体の存在下でシリンダの共振周波数を測定することにより、気体の密度が決定されることができる。従来技術の振動シリンダは、金属で形成され得、シリンダ壁の変化及び/又は不完全性が振動するシリンダの共振周波数に影響を及ぼさないように、均一な厚さで理想的に構成される。
【0005】
図2は、従来技術の密度計を示す。従来技術の密度計は、ハウジング内に少なくとも部分的に位置する円筒形の振動部材を含む。ハウジング又は振動部材は、密度計を管路又は同様の流体送達デバイスに流体密封様式で動作可能に連結するためのフランジ又は他の部材を含み得る。図示の例では、振動部材は、入口端でハウジングに片持ち式に取り付けられ、反対側の端部を自由に振動できる状態にしている。振動部材は、流体が密度計に入り且つハウジングと振動部材との間を流れることを可能にする複数の流体開口を含む。従って、流体は、振動部材の外面と同様に内部と接触する。このことは、より大きな表面積が気体に曝されるので、供試流体が気体を含む場合に特に有用である。他の例では、開口部が、ハウジングに設けられて、振動部材開口は必要でない場合がある。
【0006】
ドライバ及び振動センサがシリンダ内に配置される。ドライバは、計測電子機器から駆動信号を受け取り、共振周波数又はその近傍で振動部材を振動させる。振動センサは、振動部材の振動を検出し、処理のためにその振動情報を計測電子機器に送る。計測電子機器は、振動部材の共振周波数を決定し、測定された共振周波数から密度測定値を生成する。
【0007】
正確な密度の測定値を得るために、共振周波数は非常に安定したものでなければならない。所望の安定性を達成するための1つの従来技術のアプローチは、半径方向の振動のモードで振動部材を振動させることである。半径方向の振動のモードでは、振動部材の長手方向軸が本質的に静止したままであるが、振動部材の壁の少なくとも一部はその静止位置から離れるように平行移動及び/又は回動する。気体密度シリンダの重要な設計基準は、振動のモードの形状を容易に且つ正確に識別できるように、振動のモードの形状を分離することである。振動部材が、完全な円形の断面形状を有し且つ完全に均一な壁厚を有する場合、3つのローブ状の半径方向の振動のモードが1つのみ存在する。しかしながら、設計公差のために、このことは、通常、達成できることではない。その結果、製造業者が完全に均一な壁厚を有する完全な円形の振動部材を作製しようと試みる場合、小さな不完全性は、3つのローブ状の半径方向の振動のモードを2つ生むことになり、これらの振動のモードは、周波数が互いに非常に近い2つの振動モードで振動する。2つのモード間の周波数分離は通常、非常に小さく、例えば、1ヘルツ未満であり得る。2つの周波数が互いに近接している場合、密度の決定は困難であるか、又は不可能であり得る。従って、このような精密な円筒形部材の製造は困難であり且つ費用がかかることが理解されるであろう。
【0008】
製造を容易にし且つコストを低減するために、本願の実施形態は、平面的な共振体を有する密度計を提供する。平面的な共振体を使用することができることは、そのような部材が、例えば化学的な加工処理、レーザ加工/切断、又は打ち抜き加工さえも用いて薄い金属シートから容易に製造されることができるため、有利である。従って、製造コストは、精密機械加工された振動シリンダよりも大幅に低くすることができ、製造プロセスは、迅速化され、全体コストは大幅に低くなり、最終製品は大幅に小さくすることができる。これにより、当該技術分野における進歩が実現される。
【発明の概要】
【0009】
一実施形態によると、振動式密度計で使用する動作可能な平面的振動部材が提供される。平面的振動部材は、本体と、本体から発する振動可能な部分とを備える。振動可能な部分は、複数の振動可能な突出部を含み、複数の振動可能な突出部は、片持ち支持される。振動可能な部分は、ドライバによって振動されるように動作可能である。
【0010】
一実施形態によると、流体の密度を決定するように動作可能である密度計が提供される。密度計は、ドライバと、ドライバによって振動可能である平面的振動部材とを備え、平面的振動部材は、本体と、本体から発する振動可能な部分とを含む。振動可能な部分は複数の振動可能な突出部を含み、複数の振動可能な突出部は片持ち支持される。少なくとも1つのピックオフセンサが、振動部材の振動を検出するように構成される。計測電子機器が設けられ、当該計測電子機器は、励起信号をドライバに送り且つ少なくとも1つのピックオフセンサから振動応答を受け取るように構成されるインタフェースを含み、密度計の内部の流体の密度を測定するためのものである。
【0011】
一実施形態によると、振動式密度計を動作させる方法が提供される。少なくとも1つのコイルと通信する計測電子機器を備える振動式密度計が提供される。振動部材が、少なくとも1つのコイルにより振動される。励起信号が、少なくとも1つのコイルにより受け取られる。検出信号が、少なくとも1つのコイルから出力され、少なくとも1つのコイルが、ドライバ又はピックオフのいずれかとして交互に作用するように動作可能である。励起信号が、計測電子機器によって少なくとも1つのコイルに供給され、続いて計測電子機器が少なくとも1つのコイルから検出信号を受け取るように、励起信号及び検出信号のタイミングが、計測電子機器と共にスイッチング回路を用いて制御される。
【0012】
[態様]
一態様によると、振動式密度計で使用する動作可能な平面的振動部材が提供される。平面的振動部材は、本体と、本体から発する振動可能な部分とを備える。振動可能な部分は、複数の振動可能な突出部を含み、複数の振動可能な突出部は、片持ち支持される。振動可能な部分は、ドライバによって振動されるように動作可能である。
【0013】
好ましくは、複数の振動可能な突出部は、3つの振動可能なビーム部を含む。
【0014】
好ましくは、3つの振動可能なビーム部は、同じサイズ及び寸法である。
【0015】
好ましくは、3つの振動可能なビーム部は、互いに実質的に平行である。
【0016】
好ましくは、3つの振動可能なビーム部は、隣り合うビーム部とは異なる寸法を有する中央のビーム部を含む。
【0017】
好ましくは、複数の振動可能な突出部は、外側櫂状部内に入れ子になる内側櫂状部を含む。
【0018】
好ましくは、本体の縁部は、振動可能な部分を取り囲む。
【0019】
好ましくは、振動可能な部分は、磁気によって駆動可能である。
【0020】
一態様によると、流体の密度を決定するように動作可能である密度計が提供される。密度計は、ドライバと、ドライバによって振動可能である平面的振動部材とを備え、平面的振動部材は、本体と、本体から発する振動可能な部分とを含む。振動可能な部分は複数の振動可能な突出部を含み、複数の振動可能な突出部は片持ち支持される。少なくとも1つのピックオフセンサが、振動部材の振動を検出するように構成される。計測電子機器が設けられ、当該計測電子機器は、励起信号をドライバに送り且つ少なくとも1つのピックオフセンサから振動応答を受け取るように構成されるインタフェースを含み、密度計の内部の流体の密度を測定するためのものである。
【0021】
一態様によると、振動式密度計を動作させる方法が提供される。少なくとも1つのコイルと通信する計測電子機器を備える振動式密度計が提供される。振動部材が、少なくとも1つのコイルにより振動される。励起信号が、少なくとも1つのコイルにより受け取られる。検出信号が、少なくとも1つのコイルから出力され、少なくとも1つのコイルが、ドライバ又はピックオフのいずれかとして交互に作用するように動作可能である。励起信号が、計測電子機器によって少なくとも1つのコイルに供給され、続いて計測電子機器が少なくとも1つのコイルから検出信号を受け取るように、励起信号及び検出信号のタイミングが、計測電子機器と共にスイッチング回路を用いて制御される。
【0022】
好ましくは、振動部材は平面的であり、振動部材は、本体と、本体から発する振動可能な部分とを含み、振動可能な部分は複数の振動可能な突出部を含み、複数の振動可能な突出部は片持ち支持される。
【0023】
好ましくは、少なくとも1つのコイルが、第1コイル及び第2コイルを含み、第1コイル及び第2コイルは、同時励起信号を受け取ることと、振動部材を駆動することと、振動部材から信号を検出することと、同時検出信号を供給することとを行うように動作可能である。
【0024】
好ましくは、第1コイルと第2コイルとが磁気的に反対である。
【0025】
好ましくは、本方法は、コイル励起中の信号ノイズを無視するように検出信号をゲート制御することを含む。
【0026】
好ましくは、少なくとも1つのコイルが単一のコイルを含み、単一のコイルは、励起信号を受け取ることと、振動部材を駆動することと、振動部材から信号を検出することと、検出信号を供給することとを行うように動作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、振動式気体密度計の従来技術の振動シリンダを示す。
【
図3a】
図3aは、密度計用の振動部材の一実施形態を示す。
【
図3b】
図3bは、密度計用の振動部材の一実施形態を示す。
【
図4a】
図4aは、密度計用の振動部材の別の実施形態を示す。
【
図4b】
図4bは、密度計用の振動部材の別の実施形態を示す。
【
図5】
図5は、一実施形態による密度計の一部分を示す。
【
図6】
図6は、一実施形態による密度計の別の部分を示す。
【
図7】
図7は、一実施形態による計測電子機器を示す。
【
図8a】
図8aは、一実施形態による計測電子機器を示す。
【
図8b】
図8bは、一実施形態による計測電子機器を示す。
【
図9】
図9は、一実施形態による密度計の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1~
図9及び以下の説明は、本発明の最良の形態をどのように作製し且つ使用するかを当業者に教示するための特定の例を示す。本発明の原理を教示する目的で、一部の従来の態様が単純化又は省略されている。当業者は、本発明の範囲内に包含されるこうした例からの変形形態を理解することであろう。当業者は、以下で説明される特徴が本発明の複数の変形形態を形成するために様々な方法で組み合わされることができるということを理解することであろう。その結果、本発明は、以下に説明される特定の例に限定されず、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定される。
【0029】
図3a、
図3b、
図4a及び
図4bは、密度計500(
図5参照)の振動部材300,400を示す。振動部材300,400は、固有周波数(即ち、共振周波数)で、又はこの周波数に近い周波数で振動され得る。当業者によって理解されるように、流体の存在下で振動部材300,400のそのような周波数を測定することによって、流体の密度が決定されることができる。振動部材300,400は、金属で形成されてもよく、振動部材300,400は、部材の壁の変化及び/又は不完全性が振動部材300,400の共振周波数に及ぼす影響が最小限であるように、均一な厚さで構築されてもよい。
【0030】
図3a及び
図3bは、3つ組みのビーム構造を備える振動部材300の実施形態を示す。振動部材300の本体302は、振動可能な部分304を支持する。振動可能部分304は、片持ち式であり、単一の端部306によってのみ支持される。複数の振動可能なビーム部308が、端部306から突出し、振動励起時に自由に揺動することができる。複数の振動可能なビーム部308は、少なくとも2つのビーム部を備える。本明細書では、3つのビーム部が例として示されている。複数のビーム部のサイズは、一致したものであってよく、複数のビーム部は、形状及び/又は寸法で異なっていてもよい。図示の実施形態では、端部306は、本体の縁部312から突出する部材を含む。一実施形態では、本体302の端部306及び縁部312が同じ部分を含む。図示の実施形態では、複数のビーム部308は、共通領域314から突出する。別の実施形態では、複数のビーム部308は、端部306領域から突出する。
図3bは、振動運動を受ける複数のビーム部308を示す。
【0031】
複数の取り付け穴310が、振動部材300が密度計500(
図5参照)の一部に留め付けられることを可能にするように与えられることができる。穴、切り込み、ビーム、インデックス特徴部、又は任意の他の特徴が、振動部材300を密度計500の一部に固定するために使用されてもよく、実施形態によっては、例えば、振動部材300が密度計500の部分同士の間に挟まれ得る場合等では、取り付け特徴部は全く必要とされない場合もあることが、理解されるであろう。
【0032】
図4a及び
図4bは、バランスがとられた櫂状構造を備える振動部材400の実施形態を示す。振動部材400の本体402は、振動可能部分404を支持する。振動可能部分404は、片持ち式であり、単一の端部406によってのみ支持される。複数の振動可能な櫂状部408が、端部406から突出し、振動励起時に自由に揺動することができる。図示の実施形態では、端部406は、本体の縁部412から突出する部材を含む。一実施形態では、本体402の端部406及び縁部412が同じ部分を含む。図示の実施形態では、複数の櫂状部408は、共通領域414から突出する。別の実施形態では、複数の櫂状部408は、端部領域407から突出する。内側櫂状部416が、外側櫂状部418内に入れ子になっている。
図4bは、振動運動を受ける櫂状部408を示す。
【0033】
複数の取り付け穴410が、振動部材400が密度計500(
図5参照)の一部に留め付けられることを可能にするように与えられることができる。穴、切り込み、ビーム、インデックス特徴部、又は任意の他の特徴が、振動部材400を密度計500の一部に固定するために使用されてもよく、実施形態によっては、例えば、振動部材400が密度計500の部分同士の間に挟まれ得る場合等では、取り付け特徴部は全く必要とされない場合もあることが、理解されるであろう。
【0034】
振動部材300,400はそれぞれ、単一端型(即ち、片持ち式)の構造を示す。単一端型構造の利点は、単一端型構造が本体302,402の取付構成部に生じ得る応力に実質的に反応しないことであるが、片持構造を欠いている両端型構造は、取り付け又は温度勾配の影響に起因する引張応力を受け得る。一方、両端型構造は、共振体への地球の引力から生じる向きの影響に対して、より堅牢で且つ感度が低くなり得、そのため、図示されていないが、振動部材の実施形態として考えられる。
【0035】
バランス化された櫂状振動部材400は、内側櫂状部の表面積が、相対的に比例的に大きく、そのため、特に振動部材400が物理的に相対的に小さい実施形態では、振動の励起及び検出がより容易になり得るという利点を提供する。バランス化された櫂状振動部材400はまた、比例的により低い動作周波数を達成することができるという利点も有する。
【0036】
図5は、ハウジング510内に少なくとも部分的に位置する振動部材300,400を有する密度計500を示す。図面では、振動部材300が一例として示されている。しかしながら、任意の他の振動部材のジオメトリが与えられてもよい。一実施形態によれば、密度計500は、ハウジングの内側に(明確にするために図示せず)振動部材300を含む。振動部材300,400は、ベース502に永久的に又は取り外し可能に取り付けられてもよい。一実施形態では、縁部312,412領域は、実質的に剛性を有するかたちでベースに固定される。一実施形態では、ベース502の複数の部分が、縁部312,412の近くで当該部分の間で振動部材を挟持するが、依然として、振動可能部分304,404が振動することを可能にする。数量化されるべき流体は、供試流体が振動部材300,400の振動可能部分304,404と接触するように、ベース内の複数の導管(図示せず)に導入されてもよく、又は当該導管を通過してもよい。
【0037】
ベース502は、密度計を管路又は同様の流体送達デバイスに流体密封様式で動作可能に連結するためのフランジ又は他の部材を含んでもよい。
【0038】
ドライバ504及び振動センサ(ピックオフ)506(
図6参照)が、振動部材300,400の近くに配置される。ドライバ504は、計測電子機器から駆動信号を受信し、共振周波数又は共振周波数の近傍で振動部材300,400を振動させる。振動センサ506は、振動部材300,400の振動を検出し、その振動情報を処理のために計測電子機器に送信する。計測電子機器は、振動部材300,400の共振周波数を決定し、測定された共振周波数から密度測定値を生成する。
【0039】
振動部材300,400の励起及び検出は、特に共振体のサイズが小さくなるにつれて困難になる可能性がある。理想的には、励起及び検出は非接触である。というのは、圧電素子のような変換器を取り付けることは、共振を低下させる効果しか有し得ないからである。静電的な励起及び検出、又は電磁的な励起及び検出を使用することは、励起変換器及び検出変換器が互いに接近しており、その結果、2つの間に直接的な容量結合又は直接的な変圧器結合が存在するため、一般に困難である。このクロスカップリングは、検出信号を劣化させる可能性があり、最悪の場合、検出信号を完全に抑えてしまい、それにより、計測電子機器が共振を識別することができない。このクロスカップリングを回避するために、一実施形態では、励起及び検出のための異なる方法が利用される。例えば、一実施形態では、電磁的励起及び光学的検出が利用されるか、又はその逆の光学的励起及び電磁的検出が利用される。
【0040】
図6は、振動部材300,400の周りのドライバ504及びピックオフ506の向きを開示する。ベース502及び密度計500全般は、明確にするために省略されている。ドライバ504は、振動部材300,400を1つ以上の振動モードで振動させるように適応する。ドライバ504は、振動可能部分304,404に近接する任意の所望の位置に配置されてもよい。一実施形態によると、ドライバ504は、計測電子回路から電気信号を受信することができる。図示の実施形態では、少なくとも1つの振動センサ506が、ドライバ504と同軸上に整列される。他の実施形態では、少なくとも1つの振動センサ506は、他の場所で振動部材300,400に結合されてもよい。例えば、少なくとも1つの振動センサ506は、振動部材300,400の外面上に配置されてもよい。
【0041】
少なくとも1つの振動センサ506は、計測電子機器に信号を送信することができる。計測電子機器は、少なくとも1つの振動センサ506によって受信された信号を処理することで、振動部材300,400の共振周波数を決定することができる。一実施形態では、ドライバ504及び振動センサ506は、振動部材300,400に磁気的に結合され、これ故、ドライバ504は、磁場を介して振動部材300,400に振動を励起し、振動センサ506は、近接磁場内の変化を介して振動部材300,400の振動を検出する。供試流体が存在する場合、振動部材300,400の共振周波数は、当該技術分野で既知であるように、流体密度に反比例的に変化することになる。比例的変化は例えば、初期キャリブレーション中に決定されてもよい。図示の実施形態では、少なくとも1つの振動センサ506はコイルを含む。ドライバ504は、電流を受け取ることで、振動部材300,400に振動を励起し、少なくとも1つの振動センサ506は、ドライバ504によって生成される振動部材300,400の運動を使用することで、電圧を誘起する。コイルのドライバ及びセンサは当技術分野で周知であり、当該ドライバ及びセンサの動作のさらなる説明は、説明を簡潔にするために省略される。さらに、ドライバ504及び少なくとも1つの振動センサ506は、コイルに限定されず、むしろ、例えば、圧電センサ、歪みゲージ、光学センサ又はレーザセンサ等の種々の他の周知の振動構成要素を備えてもよいことを理解されたい。従って、本実施形態は、電磁的なドライバ及びセンサに、決して限定されるものではない。さらに、ドライバ504及び少なくとも1つの振動センサ506の特定の配置は、本実施形態の範囲内に留まりながら変更することができることを、当業者は容易に認識するであろう。
【0042】
図7は、一実施形態による計測電子機器700のブロック図である。動作の際、密度計500は、種々の測定値を提供し、当該測定値は、密度、質量流量、体積流量、個々の流動構成要素の質量流量及び体積流量、並びに総流量の、測定された値又は平均値の1つ以上を含んで出力され得る。なお、例えば、総流量は、個々の流動構成要素の体積流量及び質量流量の両方を含む。
【0043】
密度計500は、振動応答を生成する。振動応答は、1つ以上の流体測定値を生成するために、計測電子機器700によって受信され且つ処理される。当該流体測定値は、監視される、記録される、保存される、合計される、及び/又は出力されることができる。
【0044】
計測電子機器700は、インタフェース701と、インタフェース701と通信する処理システム703と、処理システム703と通信するストレージシステム704とを含む。これらの構成要素は区別されたブロックとして示されているが、計測電子機器700は、統合された構成要素及び/又は別々の構成要素の種々の組み合わせで構成されることができることを理解されたい。
【0045】
インタフェース701は、リード線に連結し、例えば、ドライバ504、ピックオフ506及び温度センサ(図示せず)と信号を交換するように構成されてもよい。インタフェース701は、外部装置への通信経路を介して通信するようにさらに構成されてもよい。
【0046】
処理システム703は、任意のかたちの処理システムを含むことができる。処理システム703は、密度計500を動作させるために、記憶されたルーチンを読み出し、実行するように構成される。ストレージシステム704は、全体的な計測ルーチン705を含むルーチンを記憶することができる。ストレージシステム704は、測定結果、受信された値、作動値、及び他の情報を記憶することができる。いくつかの実施形態では、ストレージシステムは、質量流量(m)721、密度(ρ)725、粘度(μ)723、温度(T)724、圧力709、駆動ゲイン706、及び当技術分野で既知の任意の他の変数を記憶する。他の測定/処理ルーチンも考えられ、本明細書及び特許請求の範囲の範囲内である。
【0047】
全体計測ルーチン705は、流体の数量化されたもの及び流動の測定値を生成及び記憶することができる。これらの値は、実質的に瞬間的な測定値を含むことができ、又は、合計値若しくは累積値を含むことができる。例えば、全体計測ルーチン705は、質量流量測定値を生成し、当該質量流量測定値を、例えば、ストレージシステム704の質量流量721ストレージに記憶することができる。同様に、全体計測ルーチン705は、例えば、密度測定値を生成し、当該密度測定値をストレージシステム704の密度725ストレージに記憶することができる。質量流量721及び密度725の値は、前述したように且つ当技術分野で既知であるように、振動応答から決定される。密度及び他の測定結果は、実質的に瞬間的な値を含むことができ、サンプルを含むことができ、時間間隔にわたる平均値を含むことができ、又は時間間隔にわたる累積値を含むことができる。時間間隔は、特定の流体状態が検出される間の1ブロックの時間に対応するように選択されてもよく、例えば、特定の流体状態は、液体のみの流体状態、又は、その代わりとして、液体、同伴気体、及び/又は固体、及び/又は溶質を含む流体状態である。加えて、他の質量流量及び体積流量並びに関連する数量化されたものも考慮され、それらは本明細書及び特許請求の範囲の範囲内である。
【0048】
計測電子機器700は、パスリンク又は他の通信リンクに結合されてもよい。計測電子機器700は、当該パスを介して密度測定値を通信してもよい。計測電子機器700はまた、いかなるかたちの他の信号、測定結果、又はデータも当該パスを介して送信してもよい。さらに、計測電子機器700は、当該パスを介して、命令、プログラミング、他のデータ、又はコマンドを受信してもよい。
【0049】
図8a及び
図8bは、クロスカップリングの問題を克服するための計測電子機器700の実施形態を示す。
図8a及び
図8bに概略的に示すスイッチング回路800の実施例は、2つのコイルを示し、当該コイルは、励磁され、調和する検出器として使用される。しかしながら、この実施例では、これらコイルへの配線は、磁場同士が反対になるように形成される。このようにして、実質的に静止力は共振体には存在せず、励起力は約2倍になる。同様に、検出信号は約2倍になる。
図8aは励起モードを示し、この場合、スイッチ網802は、パルス発生器804に、1つ以上のコイルに駆動信号を供給するように指示する。
図8bは検出モードを示し、この場合、スイッチ網802は、1つ以上のコイルに駆動信号を提供するために、コイルからの信号を位相検出器806に向かわせる。プリアンプ808、フィルタ810、発振器812、及び当技術分野で既知である他の構成要素等の他の構成要素が、考慮される。スイッチング回路800はまた、一実施形態における励起及び検出のために、単一の電磁コイルが代わりに使用されることを可能にすることもできる。これにより、複数のコイルの必要性が排除される。
【0050】
図9は、スイッチング回路800を動作させる密度計500の一実施形態の実施例のオシロスコープの軌跡を示す。上側の軌跡902は、コイルに指向された3つの励起パルスのバーストを示し、当該バーストは、次に、振動部材300,400を励起する。下側の軌跡904は、励起パルスの結果としてコイルによって受け取られる信号である。本方法が駆動回路及び検出回路を連続的に動作させるよりも複雑であるという事実により、周波数又は時間周期がそれほど安定したものにはならないという可能性が理論的にはあるが、図示される結果は、約+/-0.5nsの時間周期の安定性が達成されたことを示している。縦軸906は、時間周期を示し、横軸908は、時間周期にわたるサンプルの数量を示す。いくつかの実施形態では、前の励起/検出サイクルからのノイズ及び残留信号を無視し得る電子的ゲーティングが設けられてもよい。これらは、スイッチング回路の機能性を示し且つ駆動サイクルと検出サイクルとを交互に行う単なる例である。実際の軌跡の形状及び各タイミングの値/強度/周波数等は、密度計500の構造、サイズ、供試流体等に基づいて異なることになり、決して限定するものではない。
【0051】
上記の実施形態の詳細な説明は、本発明の範囲内にあると本発明者が考える全ての実施形態の網羅的な説明ではない。実際に、当業者は、上述の実施形態の特定の要素がさらなる実施形態を生成するために様々に組み合わされ又は除去されてもよく、そのようなさらなる実施形態が本発明の範囲及び教示に含まれることを、認識するであろう。また、上述の実施形態が本発明の範囲及び教示内でさらなる実施形態を生成するために全体的に又は部分的に組み合わされてもよいことも、当業者には明らかであろう。
【0052】
これ故、本発明の特定の実施形態及び本発明のための例は、例示の目的のために本明細書に記載されるが、関連技術分野の当業者が認識するように、本発明の範囲内で、様々な均等的なモディファイが可能である。本明細書で提供される教示は、他の振動システムに適用されることができ、上記で説明され且つ添付の図面に示される実施形態にだけ適用されることができるものではない。従って、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲から決定されるべきである。
【国際調査報告】