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特表2022-513809副鼻腔術と、ナビゲーションモダリティ及び照明モダリティを有するシーカ器具との組み合わせ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】副鼻腔術と、ナビゲーションモダリティ及び照明モダリティを有するシーカ器具との組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/24 20060101AFI20220202BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20220202BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20220202BHJP
【FI】
A61B17/24
A61M25/10
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533587
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(85)【翻訳文提出日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 IB2019060448
(87)【国際公開番号】W WO2020121129
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】62/778,376
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/666,488
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516389190
【氏名又は名称】アクラレント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Acclarent, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】パルシ・ジェットミア
(72)【発明者】
【氏名】アクバリアン・ファテメ
(72)【発明者】
【氏名】パパダキス・アタナシオス
(72)【発明者】
【氏名】サラザール・ヘンリー・エフ
(72)【発明者】
【氏名】トロット・ジョーダン・アール
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160MM06
4C267AA07
4C267BB62
4C267CC15
(57)【要約】
器具は、ハンドルアセンブリと、シャフトと、拡開カテーテルと、位置センサと、を含む。シャフトは、ハンドルアセンブリから遠位側に延びる。シャフトは、ヒトの頭部内の解剖学的通路に導入されるように構成されている遠位端を含む。拡開カテーテルは、拡張可能な拡開器を含み、シャフトに対して遠位側に前進するように構成されている。位置センサは、頭部内における位置センサの位置を示す信号を生成するように構成されている。位置センサは、少なくとも第1の位置と第2の位置との間で遠位側に前進するように構成されている。位置センサは、シャフトの遠位端に隣接して第1の位置に配設され、拡開カテーテルによって、第2の位置まで更に遠位側に搬送されるように構成されている。第2の位置では、位置センサは、シャフトの遠位端から、ある距離、離れている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具であって、
(a)ハンドルアセンブリと、
(b)前記ハンドルアセンブリから遠位側に延びるシャフトであって、ヒトの頭部内の解剖学的通路に導入されるように構成されている遠位端を含む、シャフトと、
(c)拡張可能な拡開器を含む拡開カテーテルであって、前記シャフトに対して遠位側に前進するように構成されている、拡開カテーテルと、
(d)位置センサであって、前記ヒトの前記頭部内における前記位置センサの位置を示す信号を生成するように構成されており、前記位置センサは、少なくとも第1の位置と第2の位置との間で遠位側に前進するように構成されており、前記位置センサは、前記第1の位置では、前記シャフトの前記遠位端に隣接して配設され、前記位置センサは、前記拡開カテーテルによって、前記第2の位置まで更に遠位側に搬送されるように構成されており、前記第2の位置では、前記位置センサは、前記シャフトの前記遠位端から、ある距離、離れている、位置センサと、
を備える、器具。
【請求項2】
前記第1の位置では、前記拡開カテーテルの遠位端は、前記シャフトの前記遠位端の近位に配置されるように構成されている、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記第2の位置では、前記拡開カテーテルの前記遠位端は、前記シャフトの前記遠位端の遠位に配置されるように構成されている、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記第1の位置では、前記位置センサは、前記シャフトの前記遠位端によって搬送され、前記第2の位置では、前記位置センサは、前記拡開カテーテルの遠位端によって搬送される、請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記位置センサは、前記拡開カテーテルを前記シャフトの外面の周りで遠位側に前進させるときに、前記拡開カテーテルが、前記位置センサを遠位側に搬送するように、前記シャフトよりも大きい直径を有するディスクと動作可能に連結されている、請求項1に記載の器具。
【請求項6】
前記ディスクと連結された光源を更に備える、請求項5に記載の器具。
【請求項7】
前記光源は、前記拡張可能な拡開器の遠位側に配置された内部電池を含む、請求項6に記載の器具。
【請求項8】
前記ディスクは、近位面及び遠位面を含み、前記ディスクの前記遠位面は、前記光源と接触しており、前記ディスクの前記近位面は、前記位置センサと接触している、請求項6に記載の器具。
【請求項9】
前記ハンドルアセンブリは、前記拡開カテーテルを遠位側に独立して前進させるように構成されている第1の前進機構及び第2の前進機構を含み、前記第1の前進機構は、前記拡開カテーテルを第1の距離、遠位側に前進させるように動作可能であり、前記第2の前進機構は、前記拡開カテーテルを第2の距離、遠位側に前進させるように動作可能である、請求項1に記載の器具。
【請求項10】
前記拡開カテーテルは、前記第1の前進機構と前記第2の前進機構の両方を前記ハンドルアセンブリ上で完全に前進させるまで、完全には遠位側に前進しないように構成されている、請求項9に記載の器具。
【請求項11】
前記ハンドルアセンブリは、長手方向に延びる第1のチャネル及び第2のチャネルを含み、前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構は、長手方向に延びる前記第1のチャネル及び前記第2のチャネル内で摺動するように構成されている、第1のスライダ及び第2のスライダを含む、請求項9に記載の器具。
【請求項12】
長手方向に延びる前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルは、約90度だけ角度オフセットしている、請求項11に記載の器具。
【請求項13】
前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構はそれぞれ、複数の歯を含み、前記拡開カテーテルの外部は、前記第1の前進機構又は前記第2の前進機構を前記拡開カテーテルの前記外部に沿って遠位側に又は近位側に移動させているときにのみ、前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構の前記複数の歯に係合するように構成されている複数の歯を含む、請求項9に記載の器具。
【請求項14】
前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構の前記複数の歯は、前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構を前記拡開カテーテルに沿って遠位側に又は近位側に移動させていないときには、前記拡開カテーテルの前記複数の歯に係合しないように構成されている、請求項13に記載の器具。
【請求項15】
前記シャフトは中空であり、前記シャフトの少なくとも遠位部分は展性である、請求項1に記載の器具。
【請求項16】
器具であって、
(a)長手方向に延びる第1のチャネル及び第2のチャネルを含むハンドルアセンブリと、
(b)前記ハンドルアセンブリの長手方向に延びるそれぞれの前記第1のチャネル及び前記第2のチャネル内で移動するように構成されている、第1の前進機構及び第2の前進機構と、
(c)前記ハンドルアセンブリから遠位側に延びるシャフトであって、ヒトの頭部内の解剖学的通路に導入されるように構成されている遠位端を含む、シャフトと、
(d)拡張可能な拡開器を含む拡開カテーテルであって、前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構のそれぞれは、前記拡開カテーテルを部分的にのみ前進させるように動作可能である、拡開カテーテルと、
を備える、器具。
【請求項17】
前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構はそれぞれ、複数の歯を含み、前記拡開カテーテルの外部は、前記第1の前進機構又は前記第2の前進機構を前記拡開カテーテルの前記外部に沿って遠位側に又は近位側に移動させているときにのみ、前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構の前記複数の歯に係合するように構成されている複数の歯を含む、請求項16に記載の器具。
【請求項18】
前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構の前記複数の歯は、前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構を前記拡開カテーテルに沿って遠位側に又は近位側に移動させていないときには、前記拡開カテーテルの前記複数の歯に係合しないように構成されている、請求項17に記載の器具。
【請求項19】
前記第1の前進機構は、互いに反対向きに配設された第1のレール及び第2のレールを含み、前記第1の前進機構は、互いに反対向きに配設された前記第1のレール及び前記第2のレールの空洞内に少なくとも部分的に配設された第1のばね及び第2のばねを含み、前記第1のばね及び前記第2のばねは、前記第1の前進機構を前記拡開カテーテルに沿って遠位側に移動させると変形するように構成されており、前記第1のばね及び前記第2のばねは、前記第1の前進機構を前記拡開カテーテルに沿って近位側に移動させると変形するように構成されており、前記第1のばね及び前記第2のばねは、前記第1の前進機構を弾性的に付勢して前記拡開カテーテルの前記外部を係合解除するように構成されている、請求項16に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2018年12月12日出願の「Combined Sinuplasty and Seeker Instrument with Navigation and Illumination Modalities」と題された米国仮特許出願第62/778,376号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
一部の症例においては、患者の解剖学的通路の拡開が望ましい場合がある。これには、副鼻腔の口の拡張(例えば、副鼻腔炎を治療するため)、喉頭の拡張、耳管の拡張、耳、鼻、又は喉内の他の通路の拡張などが含まれ得る。解剖学的通路を拡張する1つの方法としては、ガイドワイヤ及びカテーテルを用いて解剖学的通路内に膨張可能なバルーンを配置し、続いてバルーンを流体(例えば、生理食塩水)を用いて膨張させて解剖学的通路を拡張することが挙げられる。例えば、拡張可能なバルーンを副鼻腔の口内に配置し、次に膨張させることによって、粘膜の切開又は骨の切除を必要とせずに、口に隣接する骨を再構築することにより口を拡開することができる。その後、拡開した口によって、罹患した副鼻腔からの排液及びその副鼻腔の通気を改善することができる。このような処置を行うために用い得るシステムは、米国特許出願公開第2011/0004057号、発明の名称「Systems and Methods for Transnasal Dilation of Passageways in the Ear,Nose or Throat」(2011年1月6日に公開)の教示に従って提供され得、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれている。このようなシステムの一例として、Acclarent,Inc.(Irvine,California)によるRelieva(登録商標)Spin Balloon Sinuplasty(商標)Systemがある。
【0003】
耳管拡開との関連で、拡開カテーテル又は他の拡開器具を耳管に挿入し、続いて、これを膨張させるか、ないしは別の方法で拡張することによって耳管を拡開することができる。拡開された耳管は、鼻咽頭から中耳への通気を改善し、更に中耳から鼻咽頭への排液を改善することができる。耳管を拡開するための方法及びデバイスは、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010/0274188号、発明の名称「Method and System for Treating Target Tissue within the ET」(210年10月28日公開);及びその開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0274715号、発明の名称「Method and System for Eustachian Tube Dilation」(2013年10月17日公開)、に開示されている。このようなシステムの一例として、Acclarent,Inc.(Irvine,California)によるAera(登録商標)Eustachian Tube Balloon Dilation Systemがある。
【0004】
また、患者の解剖学的通路を単に探索することが望ましい場合がある。これは、副鼻腔の口、喉頭、耳管、又は耳、鼻、若しくは喉内の他の通路などを含んでもよい。解剖学的通路を探索する1つの方法は、受動的なシーカ器具、又は器具の近位端を把持している操作者に触覚フィードバックを提供する、他の種類のプローブデバイスを使用することを含む。
【0005】
画像誘導手術(IGS)は、コンピュータを用いて、患者の身体内に挿入された器具の位置の、術前に得られた画像(例えば、CTスキャン又はMRIスキャン、3Dマップなど)のセットに対するリアルタイムの相関を得ることで、コンピュータシステムが器具の現在の位置を術前に得られた画像に重ねる技術である。IGS処置で使用できる電磁IGSナビゲーションシステムの例は、Biosense-Webster,Inc.(Irvine,California)によるCARTO(登録商標)3 Systemである。いくつかのIGS手技では、術野のデジタルトモグラフィスキャン(例えば、CT又はMRI、3Dマップなど)を外科手術の前に得る。次に、特別にプログラムされたコンピュータを用いて、デジタルトモグラフィスキャンデータをデジタルマップに変換する。外科手術中、センサ(例えば、電磁界を発生させる及び/又は外部で発生した電磁界に反応する電磁コイル)を有する特別な器具を用いて処置を実行し、同時に、センサがコンピュータに各手術用器具の現在位置を示すデータを送る。コンピュータは、センサから受信したデータを、術前トモグラフィスキャンから作成されたデジタルマップと相関付ける。トモグラフィスキャン画像は、スキャン画像内に示される解剖学的構造に対する各外科用器具のリアルタイムでの位置を示す指標(例えば、クロスヘア、照明ドットなど)と共にビデオモニタに表示される。したがって、外科医が器具自体を体内のその現在の位置において直接視覚化することができない場合であっても、ビデオモニタを見ることによって、各センサ搭載器具の正確な位置を知ることができる。
【0006】
外科処置において、いくつかのシステム及び方法が製造及び使用されてきたが、本発明者ら以前に、添付の特許請求の範囲に記載される発明を製造又は使用した者はいないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書は、本発明を具体的に示し、明確にその権利を請求する特許請求の範囲をもって結論とするものであるが、本発明は以下の特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでより深い理解が得られるものと考えられる。図中、同様の参照番号は同様の要素を示す。
図1】例示的な医療処置チェアに着座した患者に使用される例示的な手術ナビゲーションシステムの概略図である。
図2】直線構成にある例示的な器具の斜視図である。
図3図2の器具の分解斜視図であり、器具は、ハンドルアセンブリ、第1及び第2のスライダ、外側シャフト、拡開カテーテル、レール、位置センサ、及び位置センサシャフトを含む。
図4】レールの遠位端に配設された図2の位置センサである。
図5図4のレールの遠位端の詳細な切欠き部分であり、この切欠き部分は位置センサシャフトを露呈させ、位置センサシャフトもまた、位置センサ及び付随するワイヤを露呈させるための切欠き部分を含む。
図6A図2の器具の斜視図であり、位置センサは、レールの遠位端に配置されている。
図6B図6Aの器具の斜視図であるが、拡開カテーテルは、拡開カテーテルの拡張可能なバルーンがレールの近位部分を覆うように部分的に前進している。
図6C図6Bの器具の斜視図であるが、位置センサは拡開カテーテルの遠位端に配置され、拡開カテーテルは完全に前進し、かつ、拡張可能なバルーンは収縮状態にある。
図6D図6Cの器具の斜視図であるが、拡張可能なバルーンは拡張状態にある。
図7A図6Aの器具の遠位部分の側面概略図であり、位置センサは、レールの遠位端に配置され、拡開カテーテルは遠位側に前進している。
図7B図7Aの器具の遠位部分の側面概略図であるが、拡開カテーテルの遠位端は、レールの遠位端と同一平面に配置されている。
図7C図7Bの器具の遠位部分の側面概略図であるが、拡開カテーテルの遠位端は、レールの遠位端から離れる方向に遠位側に位置センサを搬送しており、かつ、拡開カテーテルの拡張可能なバルーンが収縮状態にある。
図7D図7Cの器具の遠位部分の側面概略図をであるが、拡張可能なバルーンは拡張状態にある。
図8図2の第1のスライダの拡大斜視図である。
図9図8のスライダの別の斜視図であるが、視界から遮られた特徴部は仮想線で示されている。
図10A図8のスライダ及び図3の拡開カテーテルの側面図であり、第1のスライダは、ニュートラル状態にあり、第1のスライダの遠位歯止め部及び近位歯止め部は、拡開カテーテルの対応する溝と係合されていない。
図10B図8のスライダ及び図3の拡開カテーテルの側面図であり、第1のスライダは、遠位側に前進しており、第1のスライダの遠位歯止め部及び近位歯止め部は、拡開カテーテルの溝と係合されている。
図10C図8のスライダ及び図3の拡開カテーテルの側面図であり、スライダは、近位側に遠位側に後退しており、スライダの遠位歯止め部及び近位歯止め部は、拡開カテーテルの溝と係合されている。
図11図2の器具の側面図であるが、レールの遠位部分は、屈曲構成にある。
【0008】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本明細書と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴部/機構、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0010】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医に対して使用されることが理解されるであろう。すなわち、エンドエフェクタは、より近位のハンドピースアセンブリに対して遠位側にある。便宜上及び明確さのために、「上部」及び「下部」などの空間用語もまた、本明細書において、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医を基準にして使用されていることが更に理解されよう。しかしながら、手術用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0011】
本明細書に記載の教示、表現、変形、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、変形、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点も更に理解される。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例などは、互いに独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方式が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0012】
I.例示的な画像誘導手術ナビゲーションシステム
患者(P)の頭部(H)内で医療処置を実施するとき、特に器具が患者(P)の頭部(H)内の器具の作業要素の内視鏡視野を得ることが困難又は不可能である場所にある場合に、患者(P)の頭部(H)内の器具の位置に関する情報を有することが望ましい場合がある。図1は、画像誘導を使用してENT手技の実施を可能にする例示的なIGSナビゲーションシステム(10)を示す。本明細書に記載されている構成要素及び動作性を有することに加えて、あるいはそれに代わって、IGSナビゲーションシステム(10)は、以下の文献の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能となり得る。すなわち、米国特許第7,720,521号、発明の名称「Methods and Devices for Performing Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2010年5月18日発行)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)、米国特許出願公開第2014/0364725号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2014年12月11日公開)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)。
【0013】
本実施例のIGSナビゲーションシステム(10)は、馬蹄形フレーム(22)に一体化された一連の磁界発生器(24)を備える、磁界発生器アセンブリ(20)を備える。磁界発生器(24)は、患者(P)の頭部(H)の周りに異なる周波数の交流磁界を発生させるように動作可能である。この実施例では、ナビゲーションガイドワイヤ(40)が患者(P)の頭部(H)に挿入される。ナビゲーションガイドワイヤ(40)は、独立型デバイスであってもよく、又は外科用切断器具若しくは拡開器具などの医療器具のエンドエフェクタ又は他の場所に配置されてもよい。本実施例では、フレーム(22)が椅子(30)に装着され、患者(P)は、フレーム(22)が患者(P)の頭部(H)に隣接して位置するように椅子(30)に着座している。単に一例として、椅子(30)及び/又は磁界発生器アセンブリ(20)は、米国特許出願公開第2018/0310886号、発明の名称「Apparatus to Secure Field Generating Device to Chair」(2018年11月1日公開)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)の少なくとも一部の教示に従って構成され、動作可能であり得る。
【0014】
本実施例のIGSナビゲーションシステム(10)は、IGSナビゲーションシステム(10)の磁界発生器(24)及び他の要素を制御するプロセッサ(12)を更に備える。例えば、プロセッサ(12)は、磁界発生器(24)を駆動して交流電磁界を発生させ、ナビゲーションガイドワイヤ(40)からの信号を処理して患者(P)の頭部(H)内におけるナビゲーションガイドワイヤ(40)内のセンサの場所を判定するように動作可能である。プロセッサ(12)は、1つ以上のメモリと通信する処理ユニットを備える。本実施例のプロセッサ(12)は、キーパッド、及び/又はマウス若しくはトラックボールなどのポインティングデバイスを含む動作制御部(14)を備えるコンソール(18)内に装着されている。医師は、外科手技を実施しながら、プロセッサ(12)と相互作用する動作制御部(14)を使用する。
【0015】
ナビゲーションガイドワイヤ(40)は、磁界発生器(24)によって発生された交流電磁界内における配置に応答するセンサ(図示せず)を含む。連結ユニット(42)はナビゲーションガイドワイヤ(40)の近位端に固定され、コンソール(18)とナビゲーションガイドワイヤ(40)との間のデータ及び他の信号の通信を提供するように構成されている。連結ユニット(42)は、データ及び他の信号の有線又は無線通信を提供することができる。
【0016】
本実施例では、ナビゲーションガイドワイヤ(40)のセンサは、ナビゲーションガイドワイヤ(40)の遠位端に少なくとも1つのコイルを備える。磁界発生器(24)によって発生された交流電磁界の中にこのようなコイルが配置されると、交流磁界がコイルの中に電流を発生させ、この電流は、ナビゲーションガイドワイヤ(40)内の導電路(単数又は複数)に沿って、連結ユニット(42)を介してプロセッサ(12)に更に通信され得る。この現象により、IGSナビゲーションシステム(10)は、三次元空間内(すなわち、患者(P)の頭部(H)内など)のナビゲーションガイドワイヤ(40)又は他の医療器具(例えば、拡開器具、外科用切断器具など)の遠位端の場所を判定することができる。これを達成するため、プロセッサ(12)は、ナビゲーションガイドワイヤ(40)内のコイル(単数又は複数)の位置関連信号からナビゲーションガイドワイヤ(40)の遠位端の位置座標を計算するアルゴリズムを実行する。この実施例では、位置センサはガイドワイヤ(40)内に配置されているが、このような位置センサは、以下により詳細に記載されるものを含む、様々な他の種類の器具に統合されてもよい。
【0017】
プロセッサ(12)は、プロセッサ(12)のメモリに格納されたソフトウェアを使用して、IGSナビゲーションシステム(10)を較正及び操作する。このような動作は、磁界発生器(24)を駆動することと、ナビゲーションガイドワイヤ(40)からのデータを処理することと、動作制御部(14)からのデータを処理することと、ディスプレイスクリーン(16)を駆動することと、を含む。いくつかの実装形態では、動作はまた、IGSナビゲーションシステム(10)の1つ以上の安全上の機構又は機能の監視及び施行も含み得る。プロセッサ(12)は、患者の頭部(H)のビデオカメラ画像、患者の頭部(H)のCTスキャン画像、及び/又は患者の鼻腔内及び患者の鼻腔に隣接する解剖学的構造のコンピュータ生成三次元モデルに関してナビゲーションガイドワイヤ(40)の遠位端の位置を示すビデオを、ディスプレイスクリーン(16)を介してリアルタイムで提供するように更に動作可能である。ディスプレイスクリーン(16)は、外科手技中にこのような画像を同時に及び/又は互いに重ねて表示することができる。このように表示される画像は、ナビゲーションガイドワイヤ(40)などの患者の頭部(H)に挿入される器具のグラフィック表現も含んでもよく、こうして、操作者は、その実際の場所で、リアルタイムで器具の仮想レンダリングを見ることができる。単に一例として、ディスプレイスクリーン(16)は、米国特許出願公開第2016/0008083号、発明の名称「Guidewire Navigation for Sinuplasty」(2016年1月14日公開)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)の教示の少なくとも一部に従って画像を提供してもよい。
【0018】
操作者が内視鏡も使用している場合には、内視鏡画像をディスプレイスクリーン(16)に提供することもできる。ディスプレイスクリーン(16)によって提供される画像は、器具がナビゲーションワイヤ(40)を組み込んでいる場合、患者の頭部(H)内の器具を操縦する、及びその他の方法で操作を行う際に操作者を誘導するのに役立ち得る。また、以下に記載するように、手術用器具の他の構成要素及び他の種類の手術用器具は、ナビゲーションガイドワイヤ(40)のセンサのようなセンサを組み込んでもよいことを理解されたい。
【0019】
II.例示的な器具
いくつかの従来のシナリオでは、操作者は、解剖学的通路を観察するためのシーカ/ポインタ器具、及び患者(P)の頭部(H)内の解剖学的通路を拡開するための別個のバルーンカテーテル器具を使用してもよい。2つの別個の器具の使用には欠点がある。その結果、耳管、副鼻腔の口、又は副鼻腔の排液に関連する他の通路を含むが、これらに限定されない、患者(P)の頭部(H)内の1つ以上の解剖学的通路を探索し、かつ拡張するための単一の器具を使用することが望ましい場合がある。また、IGSナビゲーションシステム(10)のようなシステムを利用して、患者(P)の頭部(H)内にある間に、器具の遠位端の位置をリアルタイムで示すことが望ましい場合がある。これは、上述のように、ガイドワイヤ(40)が位置センサを組み込むのと同様にして、位置センサを器具に組み込むことによって達成され得る。快適に片手を使用して器具を操作することを可能にすることが更に望ましい。
【0020】
A.直線構成にある例示的な器具
図2図11は、これら及び他の課題を解決する例示的な器具(110)を示している。以下でより詳細に説明するように、器具(110)は、シーカ/ポインタ器具及びバルーンカテーテル器具の機能性を統合して、両方の器具の利点の組み合わせを実現することを可能にする。器具(110)は、低プロファイルの人間工学的ハンドル、複数の前進機構を使用した拡張可能なバルーンの片手での前進、解剖学的通路を拡張するバルーン副鼻腔術デバイスと、拡張可能なバルーンの前進の邪魔にならないように組織を移動させるポインタ/シーカデバイスとの間の変換、器具(110)の遠位端に配設された位置センサを使用したナビゲーション、及び器具(110)の遠位端に配設された光源を使用した照明を含む利点を提供することができる。
【0021】
図2図3は、直線構成にある器具(110)の斜視図を示している。図2に示すように、器具(110)は、本体(ハンドルアセンブリ(112)として示される)と、長手方向軸(LA)に沿ってハンドルアセンブリ(112)から遠位側に延びているシャフトアセンブリ(113)とを含む。図3の分解斜視図に示すように、器具(110)はまた、第1の前進機構及び第2の前進機構(第1のスライダ(114)及び第2のスライダ(116)として示される)、シャフト(レール(118)として示される)、拡開カテーテル(120)、及び位置センサ(122)も含む(図2図3に概略的に示される)。図3に示し、かつ図7A図7Dに関連してより詳細に示すように、シャフトアセンブリ(113)は、レール(118)と、位置センサシャフト(124)と、外側シャフト(126)と、拡開カテーテル(120)の拡開カテーテルシャフト(128)と、を含む。器具(110)は、カップリング(129)及びプラグ(130)を更に含んでもよい。
【0022】
図2に示すように、器具(110)は、ケーブル(133)を使用して、ナビゲーションシステム(132)と信号通信している。図1を参照して上述したIGSナビゲーションシステム(10)と同様のナビゲーションシステム(132)は、操作者がディスプレイスクリーン(16)と同様のディスプレイスクリーンを使用して、2D空間又は3D空間内における位置センサ(122)の位置を視覚的に判定することを可能にする。器具(110)はまた、拡開カテーテル(120)の拡張可能なバルーン(136)を流体的に膨張させるように動作可能な1つ以上のチューブ(135)を使用して、流体供給源(134)と流体連通している。
【0023】
図2及び図3に示すように、ハンドルアセンブリ(112)は、ペンシルグリップ、パワーグリップ、又は任意の他の好適な種類のグリップを使用して、操作者の片手で把持されるように構成されている。ハンドルアセンブリ(112)は、快適性を向上させ、操作者による把持を強化するための、低プロファイルの人間工学的形状を有する。ハンドルアセンブリ(112)は、長手方向に延びる第1のチャネル(138)及び第2のチャネル(140)を含む。図示のように、長手方向に延びる第1のチャネル(138)及び第2のチャネル(140)は、約90度だけ角度的にオフセットしており、ハンドルアセンブリ(112)の大部分に沿って長手方向に延びる。しかしながら、長手方向に延びる第1のチャネル(138)及び第2のチャネル(140)の他の構成も想定される。第1のスライダ(114)及び第2のスライダ(116)は、ハンドルアセンブリ(112)の長手方向に延びるそれぞれの第1のチャネル(138)及び第2のチャネル(140)内で移動するように構成されている。第1のスライダ(114)及び第2のスライダ(116)は同一であるものとして示されているが、所望される場合、第1のスライダ(114)は第2のスライダ(116)と異なっていてもよい。追加のスライダ及び対応するチャネルを組み込んでもよいことも想定される。第1のスライダ(114)及び第2のスライダ(116)は、図6A図6C及び図10A図10Cに関連して更に説明される。
【0024】
図3及び図7A図7Dに示すシャフトアセンブリ(113)の同軸構成に関して、外側シャフト(126)のルーメン(144)は、拡開カテーテルシャフト(128)の少なくとも一部分を収容するようにサイズ決めされ、構成されている。同様に、拡開カテーテルシャフト(128)のルーメン(148)は、レール(118)の少なくとも一部分を収容するようにサイズ決めされ、構成されている。同様に、レール(118)のルーメン(150)は、位置センサシャフト(124)の少なくとも一部分を収容するようにサイズ決めされ、構成されている。同様に、位置センサシャフト(124)のルーメン(152)は、図5を参照してより詳細に説明するように、位置センサ(122)を収容するようにサイズ決めされ、構成されている。したがって、外側シャフト(126)のルーメン(144)、拡開カテーテルシャフト(128)のルーメン(148)、レール(118)のルーメン(150)、及び位置センサシャフト(124)のルーメン(152)はそれぞれ、長手方向軸(LA)に沿って同軸上に配置される(半径方向内向きに移動する)。
【0025】
図2図5に示すように、レール(118)は、ハンドルアセンブリ(112)から遠位側に延び、ルーメン(150)を画定する外面(154)と内面(156)とを含む(図7A図7Dを参照)。更に、レール(118)は、対向する近位端(158)及び遠位端(160)を含む。レール(118)の遠位端(160)は、患者(P)の頭部(H)内の解剖学的通路に導入されるように構成されている。図2図3は、直線構成にあるレール(118)を示し、図11は、屈曲構成にあるレール(118)を示す。拡開カテーテル(120)は、近位部分(162)及び遠位部分(164)を有する拡開カテーテルシャフト(128)を含む。図示のように、拡張可能なバルーン(136)は、拡開カテーテル(120)の遠位端(166)に配設される。拡張可能なバルーン(136)は、流体供給源(134)によって流体がチューブ(135)を通って拡張可能なバルーン(136)内に導入されると拡張するように構成されている。逆に、拡張可能なバルーン(136)は、流体が拡張可能なバルーン(136)からチューブ(135)を通って除去されると収縮するように構成されている。拡張可能なバルーン(136)は、レール(118)の外面(154)の周りで遠位側に前進するように構成されている。図10A図10Cを参照して以下でより詳細に説明するように、拡開カテーテルシャフト(128)の近位部分(162)は平滑ではないが、遠位部分(164)は概ね平滑である。
【0026】
図4は、図2と同様に、レール(118)の遠位端(160)に配設された位置センサ(122)を示している。位置センサ(122)は、(例えば、患者(P)の頭部(H)内における)器具(110)の遠位端(142)の特定の場所を示す信号を生成するように構成されている。図4及び図5に示すように、器具(110)は、円形のプレートとして成形されたディスク(168)を含む。ディスク(168)は、近位面(170)及び遠位面(172)を含む。図示のように、ディスク(168)の近位面(170)は、位置センサ(122)と接触している。図6A図7Dを参照して以下で説明するように、ディスク(168)は、位置センサ(122)又は位置センサシャフト(124)の少なくとも一方と固定して連結されていてもよく、それによって、ディスク(168)は、ディスク(168)が遠位側に移動すると、位置センサシャフト(124)又は少なくとも位置センサ(122)も遠位側に移動する。逆に、ディスク(168)が近位側に移動すると、位置センサシャフト(124)又は少なくとも位置センサ(122)も近位側に移動する。しかしながら、ディスク(168)を位置センサ(122)又は位置センサシャフト(124)と間接的に連結してもよいことも想定される。
【0027】
図4図5に示すように、ディスク(168)の遠位面(172)は、器具(110)の遠位端(142)に光を提供するために光源に隣接している。図示のように、光源は発光ダイオード(「LED」)(174)であるが、様々な他の光源も想定される。図示のように、電池はLED(174)と直接接触している。LED(174)は、ディスク(168)の遠位面(172)と直接接触しているものとして示されているが、LED(174)は、ディスク(168)の遠位面(172)と間接的に接触し、ある距離だけ離れていてもよいことも想定される。LED(174)は、LED(174)の近くに配置された電池(176)を含んでもよく、あるいはハンドルアセンブリ(112)内の電源又は器具(110)の外部の電源によって電力供給されてもよい。図示のように、電池(176)は、ディスク(168)内で位置センサ(122)の遠位側に配置されているが、電池(176)は、ディスク(168)の遠位側に配置されてもよいことも想定される。LED(174)を使用することにより、低コストの照明方法が提供される。これは、ポインタ器具として使用されるときのレール(118)の遠位端(160)、あるいはバルーン副鼻腔術器具に使用されるときの拡開カテーテル(120)の遠位端(166)のいずれかについて、器具(110)の遠位端(142)のナビゲーションを補助する。
【0028】
LED(174)に直接隣接して配置された又はその近くに配置された電池(176)を使用してLED(174)に電力供給することにより、光ファイバ光源の場合に必要な追加のスペースがなくなり、これにより、位置センサ(122)をLED(174)のすぐ近位に又はその近くに配置することが可能になる。LED(174)を使用した照明及び位置センサ(122)を使用した位置感知により、レール(118)の遠位端(160)又は拡開カテーテル(120)の遠位端(166)が適切に配置されているかどうかを判定する際に、操作者に更なる信頼性が提供される。(照明ガイドワイヤのような)透照効果を潜在的に提供することに加えて、器具(110)の遠位端(142)にあるディスク(168)上に配設されたLED(174)により、患者(P)の鼻腔内に挿入される内視鏡の視野の照明もまた更に強化することができる。LED(174)は、内視鏡が物理的に到達することができない(が、依然として内視鏡によって見ることができる)場所に到達することができる。したがって、内視鏡自体が一体型光源を有する場合であっても、この追加の光源(例えば、LED(174))を、内視鏡の光源の、鼻腔内に更に前進させることができ、それによって、内視鏡に、到達しにくい場所のより良好に照明された視界を提供する。
【0029】
図5は、図4のレール(118)の遠位端(160)の詳細な切欠き部分を示し、この切欠き部分は、位置センサシャフト(124)を露呈させ、位置センサシャフト(124)のルーメン(152)は、位置センサ(122)及び1つ以上のワイヤ(178)を収容する。ワイヤ(178)は、ルーメン(152)及びハンドルアセンブリ(112)を通って、位置センサ(122)からケーブル(133)まで近位側に延びている。これにより、位置センサ(122)から、IGSナビゲーションシステム(10)と同様のナビゲーションシステム(132)と連結されたケーブル(133)まで、位置指示信号の通信のための経路が提供される。
【0030】
本実施例では、位置センサ(122)は、長手方向軸(LA)と同軸である軸の周りに巻かれたワイヤコイルを備える。いくつかの変形では、位置センサ(122)は2つ以上のワイヤコイルを備え、それらのワイヤコイルは、互いに直交するそれぞれの軸の周りに巻かれている。ケーブル(133)は、任意の好適な様式で、IGSナビゲーションシステム(10)のプロセッサ(12)と更に結合されていてもよく、それによって、位置センサ(122)からの位置指示信号がプロセッサ(12)に到達することが可能になる。磁界発生器(24)によって発生された交流電磁界の中に位置センサ(122)が配置されると、交流磁界が位置センサ(122)の中に電流を発生させることができ、この電流は、位置センサシャフト(124)内のワイヤ(単数又は複数)(178)及びハンドルアセンブリ(112)に沿って、ケーブル(133)に、更にプロセッサ(12)まで伝達され得る。この現象により、IGSナビゲーションシステム(10)は、三次元空間内(すなわち、患者(P)の頭部(H)内など)における位置センサ(122)の場所を判定することができる。これを達成するために、プロセッサ(12)は、位置センサ(122)の位置関連信号から位置センサ(122)の位置座標を計算するアルゴリズムを実行する。
【0031】
操作者は、患者(P)の頭部(H)内の様々な通路へと位置センサ(122)を前進させてもよく、患者(P)の頭部(H)内における位置センサ(122)の場所に関するリアルタイムのフィードバックを受信してもよいことが理解されるべきである。したがって、操作者は、IGSナビゲーションシステム(10)のディスプレイスクリーン(16)を介して提供される視覚化のコンテキストにおいて、患者(P)の頭部(H)内の様々な通路を探索するために、レール(118)の遠位端(160)及び/又は拡開カテーテル(120)の遠位端(166)を操縦することができる。いくつかの変形形態では、ハンドルアセンブリ(112)は、操作者が解剖学的構造を介して遠位端(142)を操縦する際に、操作者が解剖学的構造内の点に選択的にマーキングすることを可能にする1つ以上のボタン又は他のユーザー入力機構を含む。操作者がそのようなボタン又は他のユーザー入力機構を作動させると、プロセッサ(12)は、ボタン又は他のユーザー入力機構が作動された時点の、患者(P)の頭部(H)内におけるレール(118)の遠位端(160)又は拡開カテーテル(120)の遠位端(166)の特定の場所を保存してもよい。また、ディスプレイスクリーン(16)は、マーキングされた場所に関連する更なる情報を提供するために、注釈又は他の注記を入力するように促してもよい。いくつかの変形形態では、ハンドルアセンブリ(112)又はケーブル(133)の自由端にあるコネクタは、IGSナビゲーションシステム(10)に対する器具(110)の較正に関連する較正データを格納するように構成されたEEPROM又は他の記憶デバイスを含む。
【0032】
B.器具の例示的な操作
図6A図7Dは、器具(110)を操作する例示的な方法を示しており、第1のスライダ(114)及び第2のスライダ(116)の長手方向の移動により、拡開カテーテル(120)の拡張可能なバルーン(136)を、レール(118)の遠位端(160)に対して長手方向に移動させる。図6A図6Bはそれぞれ、位置センサ(122)の第1の位置を示しており、位置センサ(122)は、レール(118)の遠位端(160)に隣接して配設されている。第1の位置では、拡開カテーテル(120)の遠位端(166)は、レール(118)の遠位端(160)の近位に配置されている。図6Bでは、依然として第1の位置にある間、操作者が第1のスライダ(114)を第1の距離(D1)、遠位側に移動させることによって、拡開カテーテル(120)の拡張可能なバルーン(136)を、レール(118)の外面(154)の周りで第1の距離(D1)、遠位側に前進させる。拡張可能なバルーン(136)の一部分を含んでいる拡開カテーテル(120)の遠位端(166)は、レール(118)の一部分を円周方向に覆っている。図6Aでは、拡張可能なバルーン(136)が外側シャフト(126)によって概ね隠されている状態の直線状のポインタ器具として器具(110)を使用してもよく、図6B図6Dでは、拡張可能なバルーン(136)が外側シャフト(126)によって隠されておらず、所望の時に拡張し得るので、バルーン副鼻腔術デバイスとして器具(110)を使用してもよい。
【0033】
図7A図7Bは、レール(118)の遠位端(160)に配置された位置センサ(122)の側面概略図を示す。図7Aに示すように、位置センサ(122)は、レール(118)の第2の外径(OD2)よりも大きい第1の外径(OD1)を有するディスク(168)に動作可能に連結されており、それにより、拡張可能なバルーン(136)は、レール(118)の外面(154)の周りで遠位側に前進するように構成されている。また、別の構造体(例えば、LED(174)又はディスク位置センサ(122))の第1の外径(OD1)がレール(118)の外径(OD2)よりもわずかに大きいことにより、拡開カテーテル(120)の一部分(例えば、拡張可能なバルーン(136))がこの構造体上に捕捉されるように、ディスクを省略してもよいことも想定される。図7Bは、図7Aの器具(110)の側面概略図を示しているが、拡開カテーテル(120)の遠位端(166)は、レール(118)の遠位端(160)と同一平面に配置されている。換言すれば、図7Bは、拡開カテーテル(120)の拡張可能なバルーン(136)が、図6Bよりも更に遠位側に配置されていることを示している。この点は、位置センサ(122)の「ハンドオフ位置」と見なされるが、これは、位置センサ(122)はこの点で、拡開カテーテル(120)の遠位端(166)をレール(118)の遠位端(160)を越えて遠位側に前進させたときに、拡開カテーテル(120)の遠位端(166)と動作可能に連結するように遷移するからである。
【0034】
図6C及び図7Cは、拡開カテーテル(120)によって第2の位置まで遠位側に搬送された位置センサ(122)を示しており、それにより、拡開カテーテル(120)の遠位端(166)は、レール(118)の遠位端(160)の遠位に配置されている。図6Cに示すように、第2のスライダ(116)は、長手方向に延びる第2のチャネル(140)内で前進する。これにより、拡開カテーテル(120)は、レール(118)の遠位端(160)(図6Cの破線を使用して示される)を越えて遠位側に位置センサ(122)を搬送する。図6B図6C、及び図7Cに示すように、第1のスライダ(114)は、拡張可能なバルーン(136)を第1の距離(D1)、前進させ、第2のスライダ(116)は、拡張可能なバルーン(136)を第2の距離(D2)、前進させ、それにより、拡開カテーテル(120)の遠位端(166)を、レール(118)の遠位端(160)を越えて第3の距離(D3)だけ遠位側に前進させる。第1のスライダ(114)は、拡張可能なバルーン(136)を第2のスライダ(116)に対して同じ距離、前進させても、あるいは異なる距離、前進させてもよい。図7Cに示す第2の位置では、位置センサ(122)は、レール(118)の遠位端(160)から第3の距離(D3)だけ離れており、それによって、器具(110)の遠位端(142)は、拡開カテーテル(120)の遠位端(166)に概ね隣接する。
【0035】
第1の位置から第2の位置まで移動する際、拡張可能なバルーン(136)の遠位端(180)として示される拡開カテーテル(120)の一部分は、実際には、位置センサ(122)を第2の位置まで遠位側に搬送し、ないしは別の方法で第2の位置まで遠位側に押す。拡開カテーテル(120)の別の部分が、位置センサ(122)を遠位側に搬送してもよいことが想定される。操作者は、第1のスライダ(114)又は第2のスライダ(116)のいずれかを独立して前進させることができる。図6Cに示すように、拡張可能なバルーン(136)は、第1のスライダ(114)と第2のスライダ(116)の両方をハンドルアセンブリ(112)上で完全に前進させるまで、完全には遠位側に前進しない。第1のスライダ(114)及び第2のスライダ(116)が進む累積距離は、単一のスライダの代わりに2つのスライダを使用することによって半分になるので、第1のスライダ(114)及び第2のスライダ(116)は、片手を使用して操作されるように構成されている。これにより、第1のスライダ(114)と第2のスライダ(116)の両方を片手で制御することが可能になる。操作者は、最初に第1のスライダ(114)を前進させ、次いで第2のスライダ(116)を前進させてもよく、あるいは代替的には、操作者は、第2のスライダ(116)を前進させ、次いで第1のスライダ(114)を前進させてもよい。しかしながら、図示のように、第1のスライダ(114)及び第2のスライダ(116)のそれぞれは、拡張可能なバルーン(136)を部分的にのみ前進させるだけである。
【0036】
図6Dは、図6Cの器具(110)の斜視図を示しているが、拡張可能なバルーン(136)は拡張状態にある。同様に、図7Dは、同じく拡張状態にある、図7Cの器具(110)の側面概略図を示している。前述したように、拡張可能なバルーン(136)は、流体供給源(134)によって流体がチューブ(135)を通って拡張可能なバルーン(136)内に導入されると拡張するように構成されている。逆に、拡張可能なバルーン(136)は、流体がチューブ(135)を通って除去されると収縮するように構成されている。図示されていないが、拡張可能なバルーン(136)の近位端及び遠位端はテーパ状であってもよいことが想定される。画像誘導手術システムは、位置センサ(122)からの信号に基づいて、患者(P)の頭部(H)内における位置センサ(122)の位置をリアルタイムで表示する。
【0037】
C.例示的な前進機構
図8図9は、図2の第1のスライダ(114)の拡大斜視図を示している。上述したように、第1のスライダ(114)は、拡開カテーテルシャフト(128)をレール(118)の遠位端(160)に対して移動させる。図8図9は、第1のスライダ(114)に関して以下に説明されているが、以下の説明は、拡開カテーテルシャフト(128)をレール(118)の遠位端(160)に対して移動させる第2のスライダ(116)にも当てはまる。図8に示すように、第1のスライダ(114)は、ヘッド部分(212)、中間部分(214)、並びに遠位歯止め部(216)及び近位歯止め部(218)を含む、本体(210)を含む。ヘッド部分(212)は、凹状の中央部分(219)を含み、これにより操作者の指が、第1のスライダ(114)の場所をより容易に特定し、続いて第1のスライダ(114)を前進させることが可能になる。遠位歯止め部(216)は、底面(220)と、遠位歯止め部(216)の遠位側面(222)として示される遠位係合機構とを含む。同様に、近位歯止め部(218)は、底面(224)と、近位歯止め部(218)の近位側面(226)として示される近位係合機構とを含む。
【0038】
図8図9に示すように、第1のスライダ(114)は、互いに反対向きに配設された第1のレール(228)及び第2のレール(230)を更に含む。第1のレール(228)は、近位面(232)及び遠位面(234)を含む。同様に、第2のレール(230)は、近位面(236)及び遠位面(238)を含む。第1のスライダ(114)は、第1のレール(228)及び第2のレール(230)の空洞(244)及び空洞(246)内に少なくとも部分的に配設された第1のばね(240)及び第2のばね(242)を含む。図9に示すように、第1のレール(228)は、ピン(248)を使用して第2のレール(230)に接続される。換言すれば、ピン(248)は、第1のレール(228)と第2のレール(230)とを一緒に固定して連結する。ピン(248)は、本体(210)の開口部(250)内に配設される。この構成により、本体(210)と第1のレール(228)及び第2のレール(230)との間の相対移動が可能になり、それにより、第1のレール(228)及び第2のレール(230)は、図10A図10Cに示される拡開カテーテル(120)の長手方向軸(LA1)に沿って水平配向を維持することができる。開口部(250)及びピン(248)は、ピン(248)の長手方向軸の周りで、第1のレール(228)及び第2のレール(230)に対して本体(210)が枢動できるようにサイズ決めされている。ピン(248)は、第1のレール(228)と第2のレール(230)の両方と一体的に連結されてもよく、第1のレール(228)及び第2のレール(230)のうちの一方と一体的に連結されてもよく、あるいは、(例えば、ねじ山付きコネクタ又は他の好適な接続構造体)を使用した)アセンブリ中に、第1のレール(228)及び第2のレール(230)と続いて結合されてもよい。
【0039】
図9に関して、第1のスライダ(114)は、遠位歯止め部(216a)及び近位歯止め部(218a)の異なる遠位係合機構及び近位係合機構を含む。より具体的には、図9は、遠位歯止め部(216a)を、底面(220a)と、歯(222a)として示される遠位係合機構とを含むとして示し、近位歯止め部(218a)を、底面(224a)と、歯(226a))として示される近位係合機構とを含むとして示す。第1のばね及び第2のばね(242)は、近位係合機構(例えば、遠位側面(222)又は歯(222a))あるいは近位係合機構(近位側面(226)又は歯(226a))のいずれかを拡開カテーテル(120)の外部と係合させるように構成されている。歯(222a、226a)は、様々な異なる形状を有してもよく、任意の数の好適な歯を含んでもよい。遠位歯止め部(216a)及び近位歯止め部(218a)は、拡開カテーテルシャフト(128)と係合するために、それぞれの遠位側面(222)及び近位側面(226)を含むことも想定される。
【0040】
図10A図10Cは、拡張可能なバルーン(136)をレール(118)の遠位端(160)に対して移動させるために、上述のように拡開カテーテルシャフト(128)を前進及び後退させる例示的な方法を示している。図10A図10Cは、第1のスライダ(114)に関して記載されており、これらの態様は、同じく拡張可能なバルーン(136)をレール(118)の遠位端(160)に対して移動させる第2のスライダ(116)に等しく当てはまる。図10A図10Cに示すように、拡開カテーテルシャフト(128)の近位部分(162)は、近位部分(162)の外部(184)に沿って長手方向に配設された複数の環状アレイ(182)を含む。2つの隣接する環状アレイ(182)は、後述するように、遠位歯止め部(216、216a)又は近位歯止め部(218、218a)を受容するように構成された環状溝(186)を画定する。しかしながら、環状溝(186)の他の構成も想定される。各環状アレイ(182)は、複数の離間した突起部(188)を含む。図示のように、離間した突起部(188)は、近位部分(162)の周りに均等に離間している。
【0041】
図10Aは、ニュートラル状態にある第1のスライダ(114)を示しており、第1のスライダ(114)の遠位歯止め部(216)及び近位歯止め部(218)は、拡開カテーテル(120)の対応する環状溝(186)と能動的に係合されない。換言すれば、第1のスライダ(114)の遠位歯止め部(216)及び近位歯止め部(218)は、環状溝(186)からある距離、離れている。器具(110)は、第1のスライダ(114)又は第2のスライダ(116)を移動させると、拡開カテーテル(120)も前進又は後退のいずれかによって移動することを確実にする。この移動は、能動的に前進又は後退していないときには、拡開カテーテル(120)から係合解除されている第1のスライダ(114)及び第2のスライダ(116)をニュートラル状態に維持するために、第1のばね(240)及び第2のばね(242)を第1のスライダ(114)及び第2のスライダ(116)に一体化することによって達成される。図示のように、レール(228、230)は、ハンドルアセンブリ(112)のハウジングのチャネル(190)内に摺動可能に配設される。チャネル(190)は、チャネル(190)内の第1のレール(228)及び第2のレール(230)の移動を制限する対向する第1の表面(192)及び第2の表面(194)を含む。
【0042】
図10B及び図10Cは、遠位歯止め部(216)又は近位歯止め部(218)のいずれかが近位部分(162)の溝(186)と係合されているところを示す。図10Bは、遠位側に前進している第1のスライダ(114)を示し、第1のスライダ(114)の近位歯止め部(218)は、拡開カテーテル(120)の溝(186)と係合されている。より具体的には、第1のスライダ(114)の近位歯止め部(218)の近位側面(226)は、拡開カテーテル(120)の溝(186)と係合される。
【0043】
図9を参照して前述したように、レール(228、230)は、ピン(248)を介して一緒に連結される。第1のスライダ(114)の本体(210)は、ピン(248)上に回転可能に配置され、それにより、本体(210)は、ピン(248)の長手方向軸を中心に枢動可能に揺動することができる。図9に示すように、ピン(248)の長手方向軸は、拡開カテーテル(120)の長手方向軸(LA1)に対して横方向である。第1のレール(228)と第2のレール(230)とを接続するピン(248)を中心としたこの枢動により、第1のスライダ(114)の本体(210)は、第1のレール(228)及び第2のレール(230)に対して回転することが可能になる。図示のように、第1のレール(228)及び第2のレール(230)は、枢動することなくチャネル(190)に沿って長手方向に摺動する。更に、図10A図10Cの向きを使用すると、第1のレール(228)及び第2のレール(230)は、第1のスライダ(114)の本体(210)が(図10Bに示される)時計回りに枢動される場合、又は(図10Cに示される)反時計回りに枢動される場合あっても、水平の向きを維持する。第1のスライダ(114)の本体(210)が枢動状態にあるとき、第1のばね(240)及び第2のばね(242)は横方向に屈曲する。
【0044】
図10Bに示すように、第1のばね(240)及び第2のばね(242)は、第1のスライダ(114)を拡開カテーテル(120)に沿って遠位側に移動させると、圧縮する、ないしは別の方法で変形することができる。第1のばね(240)及び第2のばね(242)の弾性付勢は、拡開カテーテル(120)の長手方向軸(LA1)に対して概ね横方向に示されている。換言すれば、第1のばね(240)及び第2のばね(242)の弾性付勢は、ばねの長手方向軸に対して横断する経路に沿っている。図示のように、弾性付勢は、第1のばね(240)及び第2のばね(242)の長手方向軸に沿っていない。弾性付勢は、屈曲状態(図10B図10Cに示される)からニュートラル状態(図10Aに示される)に戻ろうとする第1のばね(240)及び第2のばね(242)によって引き起こされる。
【0045】
図10Cは、近位側に後退している第1のスライダ(114)を示しており、第1のスライダ(114)の遠位歯止め部(216)は、拡開カテーテル(120)の対応する溝と係合されている。より具体的には、第1のスライダ(114)の遠位歯止め部(216)の遠位側面(222)は、拡開カテーテル(120)の溝(186)と係合されている。図10Cでは、第1のばね(240)及び第2のばね(242)は、第1のスライダ(114)を拡開カテーテル(120)に沿って近位側に移動させると伸張するように構成されている。
【0046】
歯(222a、226a)は、拡開カテーテル(120)の近位部分(162)の溝(186)と選択的に係合するように構成されてもよい。図10Aと同様に、第1のスライダ(114)の歯(222a、226a)は、第1のスライダ(114)を拡開カテーテル(120)に沿って遠位側に又は近位側に移動させないときには拡開カテーテル(120)の溝(186)に係合しないように構成されている。図10Bと同様に、近位歯止め部(218)の歯(226a)は、第1のスライダ(114)を遠位側に移動させると溝(186)と係合するように構成されている。図10Cと同様に、遠位歯止め部(216)の歯(222a)は、第1のスライダ(114)を拡開カテーテル(120)の外部(184)に沿って近位側に移動させると溝(186)と係合するように構成されている。
【0047】
D.屈曲構成にある器具
図11は、屈曲構成にあるレール(118)の遠位部分を有する図6Aの器具を示している。各解剖学的通路は、その特定の解剖学的通路と固有に関連付けられる進入角度を必要とし得る。例えば、ポインティング器具を上顎洞の口に進入させるには、ポインティング器具が前頭洞の前頭陥凹に進入するのに必要となる進入角度とは異なる進入角度が必要となり得る。したがって、展性の機構を有するポインティング器具を提供することが望ましい場合があり、それによって、操作者は、探索される特定の通路に基づいてポインティング器具を調節することが可能になる。また、レール(118)の可展性により、操作者は、同じ医療手技の中に異なる通路を異なる進入角度で探索することが可能になる場合があり、それにより、操作者は、探索と探索との間にガイド機構を屈曲させて、異なる出口角度を達成することができる。
【0048】
図示のように、レール(118)は中空であり、レール(118)の少なくとも遠位部分は展性である。レール(118)は全体的に、展性材料(例えば、鋼など)で形成されてもよい。代替的には、レールの遠位部分のみが展性である一方で、レール(118)の近位部分は剛性であるか、ないしは別の方法で非展性であることも想定される。図11に示すように、レール(118)の少なくとも遠位部分は、レール(118)の遠位端(160)を、レール(118)の近位部分の中央の長手方向軸から横方向に離れる方向に配置するように、横方向に屈曲可能である。レール(118)の可展性は、患者(P)の頭部(H)内の解剖学的通路を通して遠位端(160)を前進させる際に、この屈曲角度を維持する。操作者は、患者(P)の頭部(H)に挿入される前に、レール(118)を臨機応変に容易に屈曲させることができ、選択される屈曲角度は、標的とする解剖学的通路に基づく。場合によっては、別個の屈曲器具を使用して、レール(118)を屈曲させて、所定の屈曲角度を一貫して達成してもよい。更に、レール(118)の遠位部分が展性であることにより、操作者は、前頭/上顎ポインタ及び前頭/上顎バルーン副鼻腔術デバイスとして器具(110)を使用することが可能となる。例えば、図6A図7Dに関連して前述したように、拡開カテーテル(120)は、レール(118)の上を摺動することができ、それにより、図6D及び図7Dに関して図示し、上述した屈曲構成並び直線構成において、流体供給源(134)を使用して拡張可能なバルーン(136)を膨張させることができる。
【0049】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の否定要素を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の承継者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴部のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴部以外の更なる特徴部を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴部は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0050】
器具であって、(a)ハンドルアセンブリと、(b)ハンドルアセンブリから遠位側に延びるシャフトであって、ヒトの頭部内の解剖学的通路に導入されるように構成されている遠位端を含む、シャフトと、(c)拡張可能な拡開器を含む拡開カテーテルであって、シャフトに対して遠位側に前進するように構成されている、拡開カテーテルと、(d)位置センサであって、ヒトの頭部内における位置センサの位置を示す信号を生成するように構成されており、位置センサは、少なくとも第1の位置と第2の位置との間で遠位側に前進するように構成されており、位置センサは、第1の位置では、シャフトの遠位端に隣接して配設され、位置センサは、拡開カテーテルによって、第2の位置まで更に遠位側に搬送されるように構成されており、第2の位置では、位置センサは、シャフトの遠位端から、ある距離、離れている、位置センサと、を備える、器具。
【実施例2】
【0051】
第1の位置では、拡開カテーテルの遠位端は、シャフトの遠位端の近位に配置されるように構成されている、実施例1に記載の器具。
【実施例3】
【0052】
第2の位置では、拡開カテーテルの遠位端は、シャフトの遠位端の遠位に配置されるように構成されている、実施例2に記載の器具。
【実施例4】
【0053】
第1の位置では、位置センサは、シャフトの遠位端によって搬送され、第2の位置では、位置センサは、拡開カテーテルの遠位端によって搬送される、実施例1~3のいずれか1つ以上に記載の器具。
【実施例5】
【0054】
位置センサは、拡開カテーテルをシャフトの外面の周りで遠位側に前進させるときに、拡開カテーテルが、位置センサを遠位側に搬送するように、シャフトよりも大きい直径を有するディスクと動作可能に連結されている、実施例1~4のいずれか1つ以上に記載の器具。
【実施例6】
【0055】
ディスクと連結された光源を更に備える、実施例5に記載の器具。
【実施例7】
【0056】
光源は、拡張可能な拡開器の遠位側に配置された内部電池を含む、実施例6に記載の器具。
【実施例8】
【0057】
ディスクは、近位面及び遠位面を含み、ディスクの遠位面は、光源と接触しており、ディスクの近位面は、位置センサと接触している、実施例6~7のいずれか1つ以上に記載の器具。
【実施例9】
【0058】
ハンドルアセンブリは、拡開カテーテルを遠位側に独立して前進させるように構成されている第1の前進機構及び第2の前進機構を含み、第1の前進機構は、拡開カテーテルを第1の距離、遠位側に前進させるように動作可能であり、第2の前進機構は、拡開カテーテルを第2の距離、遠位側に前進させるように動作可能である、実施例1~8のいずれか1つ以上に記載の器具。
【実施例10】
【0059】
拡開カテーテルは、第1の前進機構と第2の前進機構の両方をハンドルアセンブリ上で完全に前進させるまで、完全には遠位側に前進しないように構成されている、実施例9に記載の器具。
【実施例11】
【0060】
ハンドルアセンブリは、長手方向に延びる第1のチャネル及び第2のチャネルを含み、第1の前進機構及び第2の前進機構は、長手方向に延びる第1のチャネル及び第2のチャネル内で摺動するように構成されている、第1のスライダ及び第2のスライダを含む、実施例9又は10に記載の器具。
【実施例12】
【0061】
長手方向に延びる第1のチャネル及び第2のチャネルは、約90度だけ角度オフセットしている、実施例11に記載の器具。
【実施例13】
【0062】
第1の前進機構及び第2の前進機構はそれぞれ、複数の歯を含み、拡開カテーテルの外部は、第1の前進機構又は第2の前進機構を拡開カテーテルの外部に沿って遠位側に又は近位側に移動させているときにのみ、第1の前進機構及び第2の前進機構の複数の歯に係合するように構成されている複数の歯を含む、実施例9~12のいずれか1つ以上に記載の器具。
【実施例14】
【0063】
第1の前進機構及び第2の前進機構の複数の歯は、第1の前進機構及び第2の前進機構を拡開カテーテルに沿って遠位側に又は近位側に移動させていないときには、拡開カテーテルの複数の歯に係合しないように構成されている、実施例13に記載の器具。
【実施例15】
【0064】
シャフトは中空であり、シャフトの少なくとも遠位部分は展性である、実施例1~14のいずれか1つ以上に記載の器具。
【実施例16】
【0065】
器具であって、(a)長手方向に延びる第1のチャネル及び第2のチャネルを含むハンドルアセンブリと、(b)ハンドルアセンブリの長手方向に延びるそれぞれの第1のチャネル及び第2のチャネル内で移動するように構成されている、第1の前進機構及び第2の前進機構と、(c)ハンドルアセンブリから遠位側に延びるシャフトであって、ヒトの頭部内の解剖学的通路に導入されるように構成されている遠位端を含む、シャフトと、(d)拡張可能な拡開器を含む拡開カテーテルであって、第1の前進機構及び第2の前進機構のそれぞれは、拡開カテーテルを部分的にのみ前進させるように動作可能である、拡開カテーテルと、を備える、器具。
【実施例17】
【0066】
第1の前進機構及び第2の前進機構はそれぞれ、複数の歯を含み、拡開カテーテルの外部は、第1の前進機構又は第2の前進機構を拡開カテーテルの外部に沿って遠位側に又は近位側に移動させているときにのみ、第1の前進機構及び第2の前進機構の複数の歯に係合するように構成されている複数の歯を含む、実施例16に記載の器具。
【実施例18】
【0067】
第1の前進機構及び第2の前進機構の複数の歯は、第1の前進機構及び第2の前進機構を拡開カテーテルに沿って遠位側に又は近位側に移動させていないときには、拡開カテーテルの複数の歯に係合しないように構成されている、実施例16又は17に記載の器具。
【実施例19】
【0068】
第1の前進機構は、互いに反対向きに配設された第1のレール及び第2のレールを含み、第1の前進機構は、互いに反対向きに配設された第1のレール及び第2のレールの空洞内に少なくとも部分的に配設された第1のばね及び第2のばねを含み、第1のばね及び第2のばねは、第1の前進機構を拡開カテーテルに沿って遠位側に移動させると変形するように構成されており、第1のばね及び第2のばねは、第1の前進機構を拡開カテーテルに沿って近位側に移動させると変形するように構成されており、第1のばね及び第2のばねは、第1の前進機構を弾性的に付勢して拡開カテーテルの外部を係合解除するように構成されている、実施例16~18のいずれか1つ以上に記載の器具。
【実施例20】
【0069】
方法であって、(a)ヒトの頭部内の1つ以上の解剖学的通路にシャフトを挿入することであって、シャフトの遠位端は、第1の位置に位置センサを搬送する、挿入することと、(b)位置センサに拡開カテーテルが接触するように、拡開カテーテルをシャフトに対して遠位側に前進させることであって、拡開カテーテルは拡張可能な拡開器を含む、前進させることと、(c)拡開カテーテルを使用して、位置センサを第2の位置まで更に遠位側に搬送することであって、第2の位置では、位置センサは、シャフトの遠位端から、ある距離、離れている、搬送することと、(d)画像誘導手術システム上のディスプレイを見ることであって、画像誘導手術システムは、位置センサからの信号に基づいて、ヒトの頭部内の位置センサの位置をリアルタイムで表示する、見ることと、を含む、方法。
【0070】
IV.その他
本明細書に記載されている実施例のうちのいずれも、上述のものに加えて又はそれに代えて、様々な他の特徴部を含み得ることが理解されるべきである。単に一例として、本明細書に記載されている実施例のうちのいずれも、参照により本明細書に組み込まれる様々な参考文献のいずれかに開示されている様々な特徴部のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0071】
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方式が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0072】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、又はその他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0073】
本明細書に開示される装置の変形形態は、1回の使用後に処分されるように設計するか又は複数回使用されるように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、装置の変形形態は、分解することができ、かつ、装置の任意の数の特定の部品若しくは部分を、任意の組み合わせにおいて選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部分を洗浄時及び/又は交換時に、装置の変形形態は、再調整用の施設において、又は外科手技の直前に外科チームによってのどちらかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本発明の範囲内にある。
【0074】
単に一例として、本明細書に記載の変形形態は、手術前に処理することができる。まず、新品又は使用済みの器具を入手し、必要に応じて洗浄することができる。次いで器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられる。次いで、容器及び器具を、γ線、X線、又は高エネルギー電子などの容器を透過し得る放射線野に置くことができる。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌済みの器具を滅菌容器内で保管することができる。密封容器は、手術設備で開封されるまで器具を滅菌状態に保つことができる。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0075】
本発明の種々の変形形態について図示し説明したが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる応用が、当業者による適切な改変形態により、本発明の範囲から逸脱することなく実現可能である。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかになるであろう。例えば、上述の実施例、変形形態、幾何形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0076】
〔実施の態様〕
(1) 器具であって、
(a)ハンドルアセンブリと、
(b)前記ハンドルアセンブリから遠位側に延びるシャフトであって、ヒトの頭部内の解剖学的通路に導入されるように構成されている遠位端を含む、シャフトと、
(c)拡張可能な拡開器を含む拡開カテーテルであって、前記シャフトに対して遠位側に前進するように構成されている、拡開カテーテルと、
(d)位置センサであって、前記ヒトの前記頭部内における前記位置センサの位置を示す信号を生成するように構成されており、前記位置センサは、少なくとも第1の位置と第2の位置との間で遠位側に前進するように構成されており、前記位置センサは、前記第1の位置では、前記シャフトの前記遠位端に隣接して配設され、前記位置センサは、前記拡開カテーテルによって、前記第2の位置まで更に遠位側に搬送されるように構成されており、前記第2の位置では、前記位置センサは、前記シャフトの前記遠位端から、ある距離、離れている、位置センサと、
を備える、器具。
(2) 前記第1の位置では、前記拡開カテーテルの遠位端は、前記シャフトの前記遠位端の近位に配置されるように構成されている、実施態様1に記載の器具。
(3) 前記第2の位置では、前記拡開カテーテルの前記遠位端は、前記シャフトの前記遠位端の遠位に配置されるように構成されている、実施態様2に記載の器具。
(4) 前記第1の位置では、前記位置センサは、前記シャフトの前記遠位端によって搬送され、前記第2の位置では、前記位置センサは、前記拡開カテーテルの遠位端によって搬送される、実施態様1に記載の器具。
(5) 前記位置センサは、前記拡開カテーテルを前記シャフトの外面の周りで遠位側に前進させるときに、前記拡開カテーテルが、前記位置センサを遠位側に搬送するように、前記シャフトよりも大きい直径を有するディスクと動作可能に連結されている、実施態様1に記載の器具。
【0077】
(6) 前記ディスクと連結された光源を更に備える、実施態様5に記載の器具。
(7) 前記光源は、前記拡張可能な拡開器の遠位側に配置された内部電池を含む、実施態様6に記載の器具。
(8) 前記ディスクは、近位面及び遠位面を含み、前記ディスクの前記遠位面は、前記光源と接触しており、前記ディスクの前記近位面は、前記位置センサと接触している、実施態様6に記載の器具。
(9) 前記ハンドルアセンブリは、前記拡開カテーテルを遠位側に独立して前進させるように構成されている第1の前進機構及び第2の前進機構を含み、前記第1の前進機構は、前記拡開カテーテルを第1の距離、遠位側に前進させるように動作可能であり、前記第2の前進機構は、前記拡開カテーテルを第2の距離、遠位側に前進させるように動作可能である、実施態様1に記載の器具。
(10) 前記拡開カテーテルは、前記第1の前進機構と前記第2の前進機構の両方を前記ハンドルアセンブリ上で完全に前進させるまで、完全には遠位側に前進しないように構成されている、実施態様9に記載の器具。
【0078】
(11) 前記ハンドルアセンブリは、長手方向に延びる第1のチャネル及び第2のチャネルを含み、前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構は、長手方向に延びる前記第1のチャネル及び前記第2のチャネル内で摺動するように構成されている、第1のスライダ及び第2のスライダを含む、実施態様9に記載の器具。
(12) 長手方向に延びる前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルは、約90度だけ角度オフセットしている、実施態様11に記載の器具。
(13) 前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構はそれぞれ、複数の歯を含み、前記拡開カテーテルの外部は、前記第1の前進機構又は前記第2の前進機構を前記拡開カテーテルの前記外部に沿って遠位側に又は近位側に移動させているときにのみ、前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構の前記複数の歯に係合するように構成されている複数の歯を含む、実施態様9に記載の器具。
(14) 前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構の前記複数の歯は、前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構を前記拡開カテーテルに沿って遠位側に又は近位側に移動させていないときには、前記拡開カテーテルの前記複数の歯に係合しないように構成されている、実施態様13に記載の器具。
(15) 前記シャフトは中空であり、前記シャフトの少なくとも遠位部分は展性である、実施態様1に記載の器具。
【0079】
(16) 器具であって、
(a)長手方向に延びる第1のチャネル及び第2のチャネルを含むハンドルアセンブリと、
(b)前記ハンドルアセンブリの長手方向に延びるそれぞれの前記第1のチャネル及び前記第2のチャネル内で移動するように構成されている、第1の前進機構及び第2の前進機構と、
(c)前記ハンドルアセンブリから遠位側に延びるシャフトであって、ヒトの頭部内の解剖学的通路に導入されるように構成されている遠位端を含む、シャフトと、
(d)拡張可能な拡開器を含む拡開カテーテルであって、前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構のそれぞれは、前記拡開カテーテルを部分的にのみ前進させるように動作可能である、拡開カテーテルと、
を備える、器具。
(17) 前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構はそれぞれ、複数の歯を含み、前記拡開カテーテルの外部は、前記第1の前進機構又は前記第2の前進機構を前記拡開カテーテルの前記外部に沿って遠位側に又は近位側に移動させているときにのみ、前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構の前記複数の歯に係合するように構成されている複数の歯を含む、実施態様16に記載の器具。
(18) 前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構の前記複数の歯は、前記第1の前進機構及び前記第2の前進機構を前記拡開カテーテルに沿って遠位側に又は近位側に移動させていないときには、前記拡開カテーテルの前記複数の歯に係合しないように構成されている、実施態様17に記載の器具。
(19) 前記第1の前進機構は、互いに反対向きに配設された第1のレール及び第2のレールを含み、前記第1の前進機構は、互いに反対向きに配設された前記第1のレール及び前記第2のレールの空洞内に少なくとも部分的に配設された第1のばね及び第2のばねを含み、前記第1のばね及び前記第2のばねは、前記第1の前進機構を前記拡開カテーテルに沿って遠位側に移動させると変形するように構成されており、前記第1のばね及び前記第2のばねは、前記第1の前進機構を前記拡開カテーテルに沿って近位側に移動させると変形するように構成されており、前記第1のばね及び前記第2のばねは、前記第1の前進機構を弾性的に付勢して前記拡開カテーテルの前記外部を係合解除するように構成されている、実施態様16に記載の器具。
(20) 方法であって、
(a)ヒトの頭部内の1つ以上の解剖学的通路にシャフトを挿入することであって、前記シャフトの遠位端は、第1の位置に位置センサを搬送する、挿入することと、
(b)前記位置センサに拡開カテーテルが接触するように、前記拡開カテーテルを前記シャフトに対して遠位側に前進させることであって、前記拡開カテーテルは拡張可能な拡開器を含む、前進させることと、
(c)前記拡開カテーテルを使用して、前記位置センサを第2の位置まで更に遠位側に搬送することであって、前記第2の位置では、前記位置センサは、前記シャフトの前記遠位端から、ある距離、離れている、搬送することと、
(d)画像誘導手術システム上のディスプレイを見ることであって、前記画像誘導手術システムは、前記位置センサからの信号に基づいて、前記ヒトの前記頭部内の前記位置センサの位置をリアルタイムで表示する、見ることと、
を含む、方法。
図1
図2
図3
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図5
図6A
図6B
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【国際調査報告】