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特表2022-513828位置決めのための環境モデルを生成する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】位置決めのための環境モデルを生成する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/30 20060101AFI20220202BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
G01C21/30
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533710
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(85)【翻訳文提出日】2021-08-06
(86)【国際出願番号】 CN2018120904
(87)【国際公開番号】W WO2020118623
(87)【国際公開日】2020-06-18
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D-30165 Hannover, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】519154405
【氏名又は名称】コンチネンタル ホールディング チャイナ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Continental Holding China Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】#538, Dalian Road, Yangpu, Shanghai 200082, China
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ビンタオ ガオ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ティール
(72)【発明者】
【氏名】ポール バーナード
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB33
2F129BB49
2F129BB66
2F129CC15
2F129CC19
2F129EE02
2F129EE78
2F129EE94
2F129GG17
2F129GG18
5H181AA01
5H181BB20
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF07
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
位置決めのための環境モデルを生成する方法では、モバイルエンティティ(10)からの、スキャンされた環境の3次元モデルであって、点群と解される3次元モデルを生成する。点群の複数のセグメント化された部分への、3次元モデルの点群のセグメント化を実行し、点群のそれぞれのセグメント化された部分を解析することによって、点群から3次元対象体をモデル化する。スキャンされた環境の生成された3次元モデルと、環境の既存の3次元モデルとをマッチングする。環境の既存の3次元モデルと、スキャンされた環境の生成された3次元モデルとを調整することによって、環境の改善された3次元モデルの表現であるデータベースを生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決めのための環境モデルを生成する方法であって、
-モバイルエンティティからの、スキャンされた環境の3次元モデルであって、点群と解される3次元モデルを生成し、
-前記点群の複数のセグメント化された部分への、前記スキャンされた環境の前記3次元モデルの前記点群のセグメント化を実行し、
-前記点群のそれぞれの前記セグメント化された部分を解析することによって、前記点群から3次元対象体をモデル化し、
-前記スキャンされた環境の前記生成された3次元モデルと、前記環境の既存の3次元モデルとをマッチングし、
-前記環境の前記既存の3次元モデルと、前記スキャンされた環境の前記生成された3次元モデルとを調整することによって、前記環境の改善された3次元モデルの表現であるデータベースを生成する、
ことを含む、方法。
【請求項2】
前記スキャンされた環境の前記3次元モデルを生成する前に、前記モバイルエンティティの移動中に前記モバイルエンティティの軌跡を生成する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記モバイルエンティティのカメラシステムを用いて前記軌跡を生成する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
3つの空間方向における前記モバイルエンティティの速度または加速度のうちの少なくとも1つのプロフィールの生成を生成する、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
前記生成された3次元モデルと前記既存のモデルとをマッチングした後、前記生成された3次元モデルと前記既存のモデルとの間で検出された一致に応じて、前記生成された3次元モデル、または前記生成された3次元モデルの少なくとも1つのモデル化された対象体を除去する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記スキャンされた環境の表現として密または準密な点群を生成する、請求項1から5までいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記スキャンされた環境におけるそれぞれの形状、サイズ、向きおよび位置によって3次元対象体をモデル化する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記3次元対象体を特徴付けるそれぞれの属性を、それぞれのモデル化された前記3次元対象体に関連付ける、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記環境の前記生成された3次元モデルと前記既存の3次元モデルとのマッチングを実行するために、前記スキャンされた環境の前記生成された3次元モデルの表現であるデータベースを前記モバイルエンティティ(10)からリモートサーバ(20)に転送する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記環境の前記既存の3次元モデルと前記スキャンされた環境の前記生成された3次元モデルとを比較することによって、前記環境の前記改善された3次元モデルの前記データベースに付加される付加情報を抽出する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
モバイルエンティティを位置決めするための環境モデルを生成するモバイルエンティティであって、
-前記モバイルエンティティ(10)の環境をスキャンする環境センサユニット(11)と、
-前記モバイルエンティティ(10)の前記スキャンされた環境の生成された3次元モデルを記憶する記憶ユニット(12)と、
-命令を実行するプロセッサユニット(13)と、
を有し、
前記命令は、前記プロセッサユニット(13)によって実行される場合に、前記記憶ユニット(12)と協働して、請求項1から10までのいずれか1項記載の、前記モバイルエンティティ(10)を位置決めするための環境モデルを生成する方法の処理ステップを実行する、
モバイルエンティティ。
【請求項12】
モバイルエンティティを位置決めするための環境モデルを生成するシステムであって、
-前記モバイルエンティティのスキャンされた環境の3次元モデルであって、点群と解される3次元モデルを生成するモバイルエンティティ(10)と、
-プロセッサユニット(21)、および前記モバイルエンティティ(10)の前記環境の既存の3次元モデルを記憶する記憶ユニット(22)を有するリモートサーバ(20)と、
を有し、
-前記プロセッサユニット(21)は、命令を実行するように実施されており、前記命令は、前記プロセッサユニット(21)によって実行される場合に、前記記憶ユニット(22)と協働して、請求項1から10までのいずれか1項記載の、前記モバイルエンティティを位置決めするための環境モデルを生成する方法の処理ステップを行う命令を実行し、前記処理ステップには、少なくとも、前記環境の前記生成された3次元モデルと前記既存の3次元モデルとをマッチングすること、および前記環境の改善された3次元モデルのデータベースを生成することが含まれている、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、位置決めのための環境モデルを生成する方法およびシステムに関する。本開示はさらに、モバイルエンティティを位置決めするための環境モデルを生成するモバイルエンティティに関する。さらに本開示は、モバイルエンティティを位置決めするための環境モデルを生成するシステムに関する。
【0002】
背景技術
先進運転者システムおよび自動運転自動車には、道路および車両が走行可能な他の領域の高精細地図が必要である。セルフドライビングカーに必要な高精度での道路上の車両位置を特定は、例えばGPS、Galileo、GLONASSのような衛星ナビゲーションシステム、または三角測量などの他の公知の位置決め技術のような従来のナビゲーションシステムによって達成することはできない。しかしながら、特にセルフドライビング車両が複数のレーンを有する道路上を移動する場合、複数のレーンのうちの1つにおいてこの車両の位置を正確に特定することが望ましい。
【0003】
高精度のナビゲーションについては、自動運転車両の安全な運転に関連する対象体が取り込まれているデジタルマップへのアクセスを有することが必要である。セルフドライビング車両によるテストおよびシミュレーションによって示されたのは、車両環境および道路の仕様についての極めて詳細な知識が必要であることである。
【0004】
しかしながら、車両の移動のGNSSトラッキングに関連して今日使用される、道路の環境の従来のデジタルマップは、運転者制御の車両のナビゲーションをサポートするのには十分かもしれないが、セルフドライビング車両用には十分に詳細ではない。専用のスキャニング車両によって道路をスキャニングすることにより、格段に多くの詳細が提供されるが、これは、極めて複雑であり、時間を浪費し、かつコストがかかってしまう。
【0005】
道路情報およびセルフドライビングモバイルエンティティの環境に配置されている運転関連対象体の他の情報を含む、セルフドライビングモバイルエンティティの環境の正確なモデルを高い精度で作成できるようにする、位置決めのための環境モデルを生成する方法を提供することが望まれる。さらに、モバイルエンティティを位置決めするための環境モデルを生成するモバイルエンティティ、およびモバイルエンティティを位置決めするための環境モデルを生成するシステムを提供することが望ましい。
【0006】
発明の概要
位置決めのための環境モデルを生成する方法の一実施形態は、本発明の請求項1に記されている。
【0007】
一実施形態によれば、位置決めのための環境モデルを生成する方法は、モバイルエンティティ、例えばセルフドライビングカーからの、スキャンされた環境の3次元モデルを生成するステップを有する。この3次元モデルは、モバイルエンティティのスキャンされた環境の表現である点群(point cloud)と解される(construed)。次のステップでは、点群の複数のセグメント化された部分への、3次元モデルの点群のセグメント化を実行する。次のステップでは、点群のそれぞれセグメント化された部分を解析することによって、点群から3次元対象体をモデル化する。
【0008】
次のステップでは、3次元モデルマッチングを実行する。スキャンされた環境の生成された3次元モデルと、環境の既存の3次元モデルとをマッチングする。この方法の次のステップでは、環境の既存の3次元モデルと、スキャンされた環境の生成された3次元モデルとを調整する(align)ことによって、環境の改善された3次元モデルの表現であるデータベースを生成する。
【0009】
この方法は、選択的には、モバイルエンティティ、例えば自動制御車両が走行しているパスを示す軌跡を生成するステップを含んでよい。軌跡の生成は、モバイルエンティのカメラシステムによって取り込まれる画像を評価することにより、または車両の他のセンサから取得されるデータを評価することにより、モバイルエンティティ側で実行される。このために、複数の技術、例えば、VO(Vison Odometry)技術またはSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術が使用可能である。
【0010】
スキャンされた環境を3次元モデルとして描画する点群は、密な点群または準密な点群として生成可能である。モバイルエンティティの環境の3次元モデルとして、スキャンされた環境の表現を形成する点群生成は、軌跡を生成するステップ中に取得される入力データに基づいていてよい。考えられる別の一実施形態によれば、点群は、モバイルエンティティに取り付けられたカメラシステムのraw画像から、または別のセンサデータから直接に作成可能である。
【0011】
点群セグメンテーションのステップ中、生成された点群は、小さい断片に、すなわちセグメント化された部分にセグメント化され、これらの断片もしくは部分は、空間における対象体の物理的な分布に基づき、モバイルエンティティの環境において検出される対象体に関連付けられる。
【0012】
検出される対象体の対応する3次元モデルは、点群からセグメント化されるそれぞれの部分について、点群3次元モデル化のステップ中に作成される。検出される3次元対象体は、空間における形状、サイズ、向き、位置などによってモデル化可能である。スキャンされた環境の3次元モデルの点群から抽出される対象体には、対象体のタイプ、色、テクスチャなどのような他の属性も付加することも可能である。このために、従来のいくつかの2次元対象体認識アルゴリズムが使用可能である。検出される対象体に付加されるすべて属性により、それぞれの3次元対象体を識別するための付加的な情報が提供可能である。
【0013】
3次元モデルマッチングのステップ中、環境の既存の3次元モデルと比較するために、スキャンされた環境の生成された3次元モデルが使用可能である。マッチングプロセスは、モバイルエンティティ/車両側で、またはリモートサーバ側で実行可能である。環境の既存の3次元モデルは、点群と解することができ、リモートサーバまたはモバイルエンティティの記憶ユニットに記憶可能である。
【0014】
特定の一環境、例えば道路の一区間について、複数のモバイルエンティティによって生成された環境の複数の3次元モデルをマッチング可能である。しかしながらこれらのモデルのうちのいくつかは、誤ってマッチングされることがある。3次元モデルマッチングプロシージャのロバストネスを改善するためにRANSAC(Random Sample Consensus)技術のような外れ値除去法が使用可能である。
【0015】
結果として、スキャンされた環境の新たに生成された3次元モデルと、環境の既存の3次元モデルとのそれぞれマッチングされるペアにより、付加的な情報が提供される。環境のマッチングされる3次元モデルの、またはこの環境における対象体のマッチングされる3次元モデルの物理位置は、理論的には正確に同じであるべきであり、システムにいくつかの制約が付加される。これらの新たな制約により、3次元モデルの2つのデータベース間のシステムエラーが大幅に減少可能である。このことは、一環境/シナリオの複数の3次元モデルの同期化されていない2つのデータベースを調整して、これらを一緒にマージすることに役立てることも可能である。
【0016】
この方法により、スキャンされた環境の複数の3次元モデルを比較して調整することが可能になり、次に一緒にマージすることが可能になる。異なるモデルを一緒にマージして調整することにより、シナリオのクローバルな3次元モデル/マップが生成可能である。
【0017】
このようにして生成されるランドマーク/3次元モデルの個数は、従来のいくつかの対象体検出および認識アルゴリズムによって生成されるランドマーク/3次元モデルの個数よりも格段に多くてよい。というのは、環境モデルを生成するこの新たな方法では、対象体を必ずしも認識しなくてよいからである。環境の3次元モデルの密/準密の点群を評価することにより、対象体の位置、サイズ、高さ、形状、向きなどの対象体のいくつかの幾何学的な情報が容易かつ直接的に抽出可能である。
【0018】
さらに、環境モデルを生成する本発明の方法によって使用される点群ベースの対象体マッチングは、視野角の影響を受けることがなく、これにより、視野角が大きく異なっても(逆向きであっても)対象体を調整するために使用可能である。提案される方法は、単独で動作可能であるか、または特徴点ベースの位置合わせのような他のいくつかの方法を良好に補完するものとして動作可能である。
【0019】
位置決めのための環境モデルを生成する、本発明で提案される方法は、自律型車両ナビゲーション、自型律車両位置特定の分野においても、クラウドソーシングデータベース生成にも、およびクラウドソーシングデータベースの調整、マージおよび最適化にも使用可能である。モバイルエンティティを位置決めするためには、モバイルエンティティ/車両側において、環境の3次元モデルの密または準密の点群を使用して、環境におけるランドマークを探索することができる。見つかったランドマークは、環境の前の生成された3次元モデルの表現であるデータベースに記憶されているランドマークとマッチングされる。位置合わせデータは、道路の反対側を走行する複数のモバイルエンティティ/車両から収集可能である。他の複雑なシナリオにおいて走行する複数のモバイルエンティティ/車両からのデータの位置合わせは改善可能である。
【0020】
モバイルエンティティ、例えばセルフドライビング車両を位置決めするための環境モデルを生成するモバイルエンティティは、請求項11に記されている。
【0021】
考えられる一実施形態において、モバイルエンティティを位置決めするための環境モデルを生成するモバイルエンティティは、モバイルエンティティの環境をスキャンする環境センサユニットと、モバイルエンティティのスキャンされた環境の生成された3次元モデルを記憶する記憶ユニットとを有する。モバイルエンティティはさらに、命令を実行するプロセッサユニットを有し、これらの命令は、プロセッサユニットによって実行される場合に、記憶ユニットと協働して、モバイルエンティティを位置決めするための環境モデルを生成する上述の方法の処理ステップを実行する。
【0022】
モバイルエンティティを位置決めするための環境モデルを生成するシステムは、請求項12に記されている。
【0023】
考えられる一実施形態において、システムは、モバイルエンティティのスキャンされた環境の3次元モデルであって、点群と解される3次元モデルを生成するモバイルエンティティを有する。システムはさらに、プロセッサユニット、およびモバイルエンティティの環境の既存の3次元モデルを記憶する記憶ユニットを有する。プロセッサユニットは、命令を実行するように実施されており、これらの命令は、リモートサーバのプロセッサユニットによって実行される場合に、記憶ユニットと協働して、モバイルエンティティを位置決めするための環境モデルを生成する方法の処理ステップを実行する。処理ステップには、少なくとも、環境の生成された3次元モデルと既存の3次元モデルとをマッチングすることと、および環境の改善された3次元モデルのデータベースを生成することが含まれている。
【0024】
付加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明に示されている。上述の一般的な説明および以下の詳細な説明は共に単に例示的なものであり、特許請求の範囲の本質および特徴を理解するための概要またはフレームワークを提供しようするものであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれており、またこの明細書に組み込まれており、その一部を構成している。したがって、添付の図面に関連して取り上げられれば、本開示は、以下の詳細な説明からより完全に理解されよう。
図1】位置決めのための環境モデルを生成する方法の例示的かつ簡略化されたフローチャートである。
図2】モバイルエンティティを位置決めするための環境モデルを生成するシステムの例示的かつ簡略化されたブロック図である。
【0026】
詳細な説明
以下では、方法の異なるステップを説明する図1を参照して、例えば、自動運転モバイルエンティティ/車両の環境モデルであって、モバイルエンティティ/車両を位置決めするために使用可能な環境モデルを生成するために使用可能な、位置決めのための環境を生成する方法を説明する。
【0027】
車両は、パスに沿って走行し、走行されたパスに沿い、車両の環境に関する情報を含むデータを収集する。収集されたデータは、車両にすでに存在する、車両の環境についての情報/データと調整可能である。この情報は、車両の内部記憶ユニットに記憶されているデータベースとして構成されていてよい。パスに沿って走行する際に取り込まれるデータと、前に記憶されているデータとを調整およびマッチングすることにより、新たな合成データセットが作成可能である。特に、走行車両のセンサシステムによって現在、スキャンされた環境の3次元モデルと、同じ環境の前に作成された3次元モデルとをマッチングして調整し、環境と、特に車両の走行ルートの環境における走行関連の対象体とを表現する新たなデータベースを作成する。
【0028】
図2には、モバイルエンティティを位置決めするための環境モデルを生成する方法を実行するために使用可能なモバイルエンティティ10およびリモートサーバ20が、それらのそれぞれのコンポーネントと共に示されている。このシステムの異なるこれらのコンポーネントは、方法のステップの以下の説明において説明される。
【0029】
図1に示されたステップS1は、選択的であり、モバイルエンティティ、例えばセルフドライビング車両の軌跡の、モバイルエンティティの移動中の生成に関係している。軌跡生成のステップS1の間、特定のシナリオにおいて移動するモバイルエンティティ/車両のパス/軌跡を特定する。このために、モバイルエンティティ/車両10の環境センサ11により、モバイルエンティティ/車両が走行するパスの環境についての情報を収集する。軌跡を取得するために、モバイルエンティティの環境センサによって取り込まれたデータが、VO(Vision Odometry)技術またSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術によって評価可能である。
【0030】
環境センサ11は、可視画像および/または赤外画像の取り込みに適し得るCCDカメラのようなカメラシステムを有していてよい。カメラシステムは、簡単なモノカメラ、または択一的には互いに離れて取り付けられている2つのイメージングセンサを有し得るステレオカメラを有していてよい。モバイルエンティティ10の環境をスキャニングおよび検出するために、またモバイルエンティティ10が移動している軌跡を生成するために、少なくとも1つのレーダセンサまたは少なくとも1つのレーザセンサまたは少なくともRFチャネルセンサまたは少なくとも赤外線センサのような別のセンサが使用可能である。
【0031】
考えられる一実施形態によれば、軌跡生成のステップS1には、モバイルエンティティによって使用される車線の特定が含まれていてよい。さらに、軌跡の生成には、モバイルエンティティの速度または加速度のうちの少なくとも1つのプロフィールの生成が含まれてよい。モバイルエンティティ10の速度/加速度は、ステップS1において3つの空間方向に特定可能である。さらに、道路の特定の性質、例えば、幅、方向、曲率、各方向における車線の個数、車線の幅または道路の表面構造を定める重要なパラメータが、ステップS1において特定可能である。
【0032】
パス/軌跡に沿って走行するモバイルエンティティ/車両10によってスキャンされる環境は、ステップS2において、3次元点群として構成されている3次元モデルによってモデル化される。3次元モデルは、軌跡に沿って走行する間の、モバイルエンティティのスキャンされた環境全体から生成される。環境における運転関連の対象体は、生成された3次元モデルにおいて、点群の部分として記述される。
【0033】
3次元点群は、異なる密度で生成可能である。したがってステップS2では、スキャンされた環境の表現として密または準密な点群が生成可能である。スキャンされた環境の3次元モデルの点群は、モバイルエンティティ10の記憶ユニット12に記憶可能である。
【0034】
ステップS3では、ステップS2で生成された3次元モデル/点群を評価する。3次元モデルに含まれている、生成された点群を評価する間に、空間における点群の物理的な分布に基づき、点群を小さな断片/部分にセグメント化する。評価アルゴリズムにより、点群のどの点が、シナリオにおける特定の対象体、例えば、樹木、信号機、他の車両などに属するかが特定可能である。考えられる一実施形態において、環境の3次元モデルの点群全体の評価は、ニューラルネットワーク、例えばAIアルゴリズムを使用するアルゴリズムによって実行可能である。
【0035】
ステップS4では、点群のそれぞれのセグメント化された部分を解析することにより、スキャンされた環境の生成された3次元モデルの点群において認識された3次元対象体をモデル化/抽出可能である。スキャンされた環境の3次元モデルにおける対象体のモデル化/抽出は、生成された3次元点群から直接に行われる。結果として、スキャンされた環境の3次元モデルの点群のそれぞれセグメント化された部分について、取り込まれたシーンにおける対象体の形状、サイズ、向きおよび/または位置に関する情報が作成可能である。
【0036】
ステップS5では、スキャンされた環境の3次元モデルの抽出された対象体の形状、サイズ、向きおよび/または位置に加えて、対象体のタイプ、色、テクスチャなどのような他の属性も、生成された3次元モデルにおいて抽出されたそれぞれの対象体に付加することが可能である。スキャンされた環境の生成された3次元モデルにおいて3次元対象体を特徴付けるそれぞれの属性は、抽出された/モデル化されたそれぞれの対象体に関連付けられる。
【0037】
ステップS6では、スキャンされた環境の生成された3次元モデルと、環境の既存の3次元モデルとをマッチングする。
【0038】
モバイルエンティティの環境の既存の3次元モデルのデータベース/データセットは、モバイルエンティティ10の記憶ユニット12に記憶可能である。ステップS6の3次元モデルマッチングが、モバイルエンティティ10によって実行される場合、このマッチングは、モバイルエンティティ10のプロセッサユニット13によって実行可能である。
【0039】
考えられる別の一実施形態では、モバイルエンティティ10において生成され、スキャンされた環境の3次元モデルと、リモートサーバ20の記憶ユニット22に記憶されていてよい環境の既存の3次元モデルとのマッチングを実行するために、モバイルエンティティ10の記憶ユニット12に記憶されている、スキャンされた環境の生成された3次元モデルの表現であるデータベース/データセットは、モバイルエンティティ10からリモートサーバ20に転送可能である。モバイルエンティティ10において生成されておりかつモバイルエンティティのスキャンされた環境の表現である、3次元モデルを記述するデータベース/データセットは、モバイルエンティティ10の通信システム14によってリモートサーバ20に転送可能である。モデルのマッチングは、リモートサーバ20のプロセッサユニット21によって実行される。
【0040】
方法ステップS7では、3次元モデルマッチングの考えられる結果である外れ値が除去可能である。この方法の一実施形態によれば、生成された3次元モデルと既存のモデルとをマッチングした後、生成された3次元モデルと既存の3次元モデルとの間で検出された一致(conformity)に応じて、さらなる処理から、スキャンされた環境の生成されたすべての3次元モデル全体を除去することができる。
【0041】
考えられる別の一実施形態によれば、生成された3次元モデルと既存のモデルとをマッチングした後、生成された3次元モデルと既存の3次元モデルとの間で検出された一致に応じて、さらなる処理から、スキャンされた環境の生成された3次元モデルのモデル化/抽出された対象体の少なくとも1つが除去可能である。
【0042】
特に、モバイルエンティティの環境の既存の3次元モデルに対して多くの違いが、生成された3次元モデルに含まれている場合、さらなる処理から、環境の生成された最新の3次元モデル、または生成された最新の3次元モデルにおけるモデル化された/抽出された対象体が除去可能である。
【0043】
ステップS8では、環境の既存の3次元モデルと、スキャンされた環境の生成された3次元モデルとを調整することにより、モバイルエンティティの環境の改善された3次元モデルの表現であるデータベースが生成可能である。このために、スキャンされた環境の目下生成された3次元モデルと、前に生成されておりかつ現在の既存の環境の3次元モデルとを比較する。既存の3次元モデルは、モバイルエンティティ/車両10と同じ軌跡に沿って前に走行した他のモバイルエンティティ/車両から取り込まれた環境の3次元モデルを評価することによって生成可能である。
【0044】
ステップS8では、同じ環境の目下生成された3次元モデルと、既存の3次元モデルとを合成し、これにより、モバイルエンティティの環境の改善された3次元モデルの表現である改善されたデータベースを生成する。同じ環境の異なる3次元モデルの合成は、モバイルエンティティ10またはリモートサーバ20において実行可能である。
【0045】
環境の改善された3次元モデルがリモートサーバ20で合成される場合、3次元モデルを記述するデータベース/データセットは、リモートサーバ20からモバイルエンティティ10に転送可能である。モバイルエンティティ10において目下生成された、スキャンされた環境の3次元モデルと、環境の既存の3次元とを合成することにより、対象体の高確度かつ高精度の位置決め情報を有するデータセットが得られる。
【0046】
モバイルエンティティ10により、リモートサーバ20から受信された環境の3次元モデルと、環境をスキャンすることよってモバイルエンティティによって生成された3次元モデルとが比較可能である。モバイルエンティティ10は、リモートサーバ20から受信された環境の3次元モデルと、スキャンされた環境の生成された3次元モデルとをマッチングして調整することによってその位置が特定可能である。別の一実施形態によれば、モバイルエンティティ10の位置は、モバイルエンティティ10によって生成された環境の3次元モデルと、サーバ側で利用可能な環境の3次元モデルとをリモートサーバによってマッチングして調整することによって特定可能である。
【符号の説明】
【0047】
10 モバイルエンティティ
11 環境センサ
12 記憶ユニット
13 プロセッサユニット
14 通信ユニット
20 リモートサーバ
21 プロセッサユニット
22 記憶ユニット
図1
図2
【国際調査報告】