(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】基板の浮動を制御するデバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
B65G 51/03 20060101AFI20220202BHJP
B65G 49/06 20060101ALI20220202BHJP
B65G 7/06 20060101ALI20220202BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20220202BHJP
B05C 13/02 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
B65G51/03 E
B65G49/06 Z
B65G7/06 C
B05C5/00 101
B05C13/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533739
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(85)【翻訳文提出日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 US2019066236
(87)【国際公開番号】W WO2020131620
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513317345
【氏名又は名称】カティーバ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140833
【氏名又は名称】岡東 保
(72)【発明者】
【氏名】ディグビー プン
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA02
4F041AA05
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA22
4F041BA34
4F042AA02
4F042AA06
4F042AB00
4F042DF10
(57)【要約】
システムは、浮動式テーブルであって、基板を浮動式テーブルの上方で浮動させるための気体軸受を構成するのに十分なガスを流すための複数の孔を備える浮動式テーブルと、浮動式テーブルの複数の孔にガスを供給するように結合された流体ネットワークと、浮動式テーブルの第1のゾーン、第2のゾーン、および第3のゾーンの各々に配設された複数の孔に含まれる孔を通るガスの流れを独立して制御するように、流体ネットワークを制御するように構成された制御部とを備える。第1、第2、および第3のゾーンは、浮動式テーブルに沿った基板の搬送方向に平行に延在する浮動式テーブル内の複数のセクションで画定される。第1のゾーンは、第2のゾーンを画定する2つのセクションの間に配設された浮動式テーブルの中央セクションで画定される。第1および第2のゾーンは、第3のゾーンを画定する2つのセクションの間に配設される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮動式テーブルであって、基板を前記浮動式テーブルの上方で浮動させるための気体軸受を構成するのに十分なガスを流すための複数の孔を備える浮動式テーブルと、
前記浮動式テーブルの前記複数の孔にガスを供給するように結合された流体ネットワークと、
前記浮動式テーブルの第1のゾーン、第2のゾーン、および第3のゾーンの各々に配設された前記複数の孔に含まれる孔を通るガスの流れを独立して制御するように、前記流体ネットワークを制御するように構成された制御部と
を備え、
前記第1、第2、および第3のゾーンは、前記浮動式テーブルに沿った前記基板の搬送方向に平行に延在する前記浮動式テーブル内の複数のセクションで画定され、
前記第1のゾーンは、前記第2のゾーンを画定する2つのセクションの間に配設された前記浮動式テーブルの中央セクションで画定され、
前記第1および第2のゾーンは、前記第3のゾーンを画定する2つのセクションの間に配設される、システム。
【請求項2】
前記浮動式テーブルの上方に取り付けられたプリントヘッドアセンブリをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プリントヘッドアセンブリは、印刷領域において、前記浮動式テーブルによって支持された基板上に有機材料を堆積させるように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
浮動式テーブルであって、基板を前記浮動式テーブルの上方で浮動させるための気体軸受を構成するのに十分なガスを流すための複数の孔を備える浮動式テーブルと、
前記浮動式テーブルの前記複数の孔にガスを供給するように結合された流体ネットワークと、
前記流体ネットワークに動作可能に結合された制御部と
を備え、前記制御部は、
第1の圧力および第1の流量で、前記浮動式テーブルの前記中央セッションの前記複数の孔のうちの一部の孔からの第1のガスの流れを制御するとともに、
第2の圧力および第2の流量で、前記複数の孔のうちの他の孔からの第2のガスの流れを制御するように構成されており、前記第2の圧力および前記第2の流量のうちの少なくとも一方は、前記第1の圧力および前記第1の流量のうちの少なくとも一方よりも高く、
前記第2の圧力と前記第2の流量で制御される前記複数の孔のうちの他の孔は2つのセクションに配置されており、前記中央セクションは前記2つのセクションの間に位置している、システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1のガスの流れおよび前記第2のガスの流れを互いに独立して制御するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体ネットワークは、
前記中央セッションの複数の孔に前記第1のガスを供給するように、前記第1の複数の孔に動作可能に結合された第1のガス供給マニホールドと、
前記第1のガス供給マニホールドに動作可能に結合された第1のガス制御弁と、
前記二つのセッションの複数の孔に前記第2のガスを供給するように、前記第2の複数の孔に動作可能に結合された第2のガス供給マニホールドと、
前記第2のガス供給マニホールドに動作可能に結合された第2のガス制御弁と
を備え、
前記制御部は、前記第1のガス制御弁および前記第2のガス制御弁に動作可能に結合されており、前記第1のガス制御弁および前記第2のガス制御弁を制御して、前記第1の圧力、前記第1の流量、前記第2の圧力、および前記第2の流量のうちの少なくとも1つを調節するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記浮動式テーブルのうち、前記中央セクションの両側であって前記2つのセクションの間に配設された2つの追加セクションに位置する前記複数の孔のうちの複数の孔と、
前記2つの追加セクションの複数の孔に動作可能に結合されるとともに、前記制御部に動作可能に結合された第3のガス制御弁と
をさらに備え、
前記制御部は、前記第1のガス制御弁と前記第3のガス制御弁とを個別に制御するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記中央セッションの複数の孔は複数のノズルを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記2つセッションの複数の孔は複数のノズルを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記浮動式テーブルの上方に取り付けられたプリントヘッドアセンブリをさらに備え、前記浮動式テーブルは、順に配設されたインフィード領域と、上方に前記プリントヘッドアセンブリが取り付けられた印刷領域と、アウトフィード領域とを含み、
前記印刷領域に設けられた前記複数の孔に含まれる孔は、圧力孔と吸引孔とを含み、
前記2つセッションの複数の孔は、前記インフィード領域および前記アウトフィード領域に位置する、請求項4に記載のシステム。
【請求項11】
前記浮動式テーブルの前記中央セクションおよび前記2つのセクションは、前記インフィード領域、前記印刷領域、および前記アウトフィード領域が順に配設された方向に平行な方向に延在する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1のガスと前記第2のガスは同じガスである、請求項4に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のガスと前記第2のガスは互いに異なるガスである、請求項4に記載のシステム。
【請求項14】
前記浮動式テーブルの上方に取り付けられたプリントヘッドアセンブリをさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項15】
印刷領域において、前記浮動式テーブルによって支持された基板上に有機材料を堆積させるように構成されているプリントヘッドアセンブリを有する、請求項4に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年12月21日出願の米国仮特許出願第62/784,216号、名称「基板の浮動を制御するデバイス、システム、および方法」の優先権を主張し、その内容の全体を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して、例えば基板の処理中等に、浮動によって基板を支持するためのデバイス、システム、および方法に関する。より具体的には、本開示は、電子表示デバイス製造用基板の処理中に、基板の浮動を制御することに関する。
【0003】
光電子デバイス等の電子デバイスは、1層以上の材料層を基板上に堆積させる種々の薄膜堆積技術および加工技術を用いて作製することができる。基板は、犠牲基板の場合もあれば、最終デバイスの一部の場合もある。このようなデバイスの例として、マイクロチップ、プリント回路基板、太陽電池、電子ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ、量子ドットエレクトロルミネッセンスディスプレイ)、または他のデバイスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。電子表示デバイスの用途としては、一般照明、バックライト照明光源、画素光源等がある。光電子デバイスの1種として、有機発光ダイオード(OLED)デバイスがある。OLEDデバイスは、低分子、ポリマー、蛍光体、燐光体等のエレクトロルミネッセンス発光有機材料を用いて光を発生させることができる。
【0004】
有機発光デバイス(OLED)を製造するためには、一般的に、1種以上の有機材料を基板上に堆積させて薄膜積層体を形成し、薄膜積層体の上面と下面を電極に結合させる。薄膜積層体の形成には、種々の手法を用いることができる。熱蒸着法を用いる場合、有機材料を相対的な真空環境で気化させ、その後、基板上に凝縮させてもよい。薄膜積層体を形成するための別の方法として、有機材料を溶媒に溶解させ、その溶液を基板に塗布した後、溶媒を除去するという方法もある。溶媒に溶解させた有機材料の堆積には、インクジェット印刷システムまたはサーマルジェット印刷システムを用いることが可能である。
【0005】
電子デバイスの製造に用いる材料(例えば、OLEDデバイスに用いる有機材料)の中には、酸素、オゾン、水、および/またはその他の蒸気(例:溶媒蒸気)等の種々の環境物質の影響を非常に受けやすいものもあるため、基板印刷用のシステム全体を筐体に収容する場合がある。筐体内では、1種以上の不活性ガスまたは貴ガスと、印刷システムから発生する粒子を筐体内から除去するガス循環濾過システムとを用いて、低粒子で非反応性の雰囲気が維持され得る。
【0006】
粒子による汚染が生じたり、処理中にシステム内の他の構成要素が基板または基板上の堆積層に接触したりすると、種々の電子デバイス(OLEDデバイス等)の品質に影響を及ぼす可能性がある。光電子デバイスの作製工程において基板を支持するには、種々の方法が用いられ得る。例えば、真空または機械式クランプを用いた機械的プラットフォーム(テーブルまたはチャックと称される場合もある)によって基板を支持することにより、処理中に基板を所定の位置に保持することが可能である。リフトピンを用いて基板の中央領域を支持し、例えばチャックに対して基板を上下させることによって搬入出を容易にすることも可能である。真空チャックを用いる場合、チャックのうち、基板の中央領域が配置される部分に設けた真空穴または溝を利用して、基板を所定の位置に保持することが可能である。このような穴または溝が原因で、OLEDデバイスの製造工程において、例えば基板上に堆積させた有機材料層に不均一性(ムラ)が生じる場合がある。また、有機材料を堆積させた有効領域が基板と物理的に接触した場合にも、ムラ現象が生じ得る。一般的に、ムラ現象はOLEDデバイスの製造工程以外の薄膜堆積処理においても生じる可能性がある。ムラ現象の深刻度合いは、例えば、誘電性、揮発性、流動性等、基板上に堆積させた材料の特性に応じて異なり得る。したがって、本開示のデバイス、システム、および方法は、他の薄膜堆積処理にも適用可能である。
【0007】
一般的に、材料の堆積(例:印刷)処理中または処理後に、基板の有効領域が連続的かつ均一に(例:基板の有効領域の下から基板の表面に沿って均一に力を加えることによって)支持されていない場合、基板上に堆積させた有機材料に不均一性または目に見える欠陥が生じる場合がある。均一で実質的に欠陥のない塗布膜を実現するためには、均一に支持するための種々の特殊技術を用いることができる。例えば、基板の非有効領域に非一様な支持体または物理的な支持体を設けてもよい。非有効領域の例としては、ディスプレイにおいて有効電子部品や発光部の一部を形成しない基板の周縁領域(例:OLEDデバイスにおいて有機材料が堆積されない周縁領域)等が挙げられる。また、印刷、搬送、および/または熱処理の工程中、基板を非接触で支持してもよい。このような非接触支持は、気体軸受を用いて基板を浮動式テーブルの表面上で浮動させる(持ち上げる)浮動システムを用いて実現することができる。浮動式テーブルの一実現例では、加圧ガスを放出する圧力孔と、ガスを吸引する吸引孔(例:真空)とを両方設けることにより、厳格に制御された流体ばね式気体軸受を構成する。加圧ガスの排出孔によって、基板を円滑に非接触で浮動支持することが可能になる。一方、吸引孔によって、比較的軽量な基板の浮上高さを厳密に制御するために必要な逆向きの力が確保される。このような浮動システムでは、窒素等の不活性ガス、貴ガス、空気、またはそれらの組み合わせ等、種々のガスを用いることができるが、これらに限定されない。
【0008】
浮動システムは、浮動式テーブルの表面の上方で基板を垂直方向(例:基板が略xy平面内にある場合、xyz直交座標系のz方向)に浮動制御するように設計されているが、基板の浮上高さ(すなわち、浮動式テーブルの表面からの基板の高さ)を確実に制御することは依然として困難である。浮動式テーブルの表面と基板との間の空間に加圧ガスが供給されると、基板の下方における1つ以上の領域(例えば、中央領域)にガスが滞留し、閉じ込められる可能性がある。このような滞留は、浮動式テーブルに逃げ経路(例:真空孔もしくは真空開口、または専用の逃げ孔もしくは逃げ開口)がない、または不十分な場合に特に起こりやすい。ガスが滞留すると、基板の下方における1つ以上の領域に閉じ込められたガスの圧力が、基板の下方の空間のうちの他の領域(例:非中央領域および/または端縁領域)のガスの圧力よりも高くなる。基板の下方の空間における1つ以上の領域でのガスの閉じ込めに伴って圧力が高まると、そのガスが空間から抜ける、すなわち逃げるために、不安定および/または予測不能な経路が形成される場合がある。ガスは、抵抗が最も少ない任意の経路を通って、空間の中央領域から任意の周縁領域に向かって不規則な方向に抜ける、すなわち逃げる場合がある。すなわち、逃げ経路が不規則になる場合がある。ガスが逃げ経路に沿って逃げると、その逃げ経路に沿った基板の部分の浮上高さが増す。基板の他の部分(例えば、逃げ経路の反対側に位置する角部または端縁部)では、ガスが逃げ経路に沿って逃げて失われるため、浮上高さが低下する場合がある。基板の端縁部または角部の浮上高さが低下すると、基板が浮動式テーブルの表面上の他の物体に衝突する等、接触する可能性がある。このような接触は基板への傷等の損傷の原因となり、ひいてはムラ現象を生じさせたり、粒子状物質を発生させて基板表面を汚染したりする可能性がある。したがって、浮動式テーブルの表面と基板との間の空間におけるガスの圧力を制御し、基板の浮動をより確実に制御することのできるシステムと方法が求められている。
【0009】
このような基板の下方における圧力の不均一性は、浮動式テーブルまたは浮動式テーブルの一部領域によって基板を支持する際に、吸引ガス(基板の浮上高さを厳格に制御する流体ばねを構成するための加圧ガスとは逆向きの力を発生させるガス)を用いずに加圧ガスを用いる場合にも起こる場合がある。このような吸引孔を用いない加圧ガスによる支持は、一般的には基板処理領域に対するインフィード領域およびアウトフィード領域で用いられる。というのは、インフィード領域およびアウトフィード領域では、基板の浮上高さを精密に制御する必要がないためである。
【発明の概要】
【0010】
例示的な実施形態によれば、本開示において、浮動式テーブルであって、基板を浮動式テーブルの上方で浮動させるための気体軸受を構成するのに十分なガスを流すための複数の孔を備える浮動式テーブルと、浮動式テーブルの複数の孔にガスを供給するように結合された流体ネットワークとを備えるシステムが企図される。本システムは、浮動式テーブルの第1のゾーン、第2のゾーン、および第3のゾーンの各々に配設された複数の孔に含まれる孔を通るガスの流れを独立して制御するように、流体ネットワークを制御するように構成された制御部をさらに備える。第1、第2、および第3のゾーンは、浮動式テーブルに沿った基板の搬送方向に平行に延在する浮動式テーブル内の複数のセクションで画定される。第1のゾーンは、第2のゾーンを画定する2つのセクションの間に配設された浮動式テーブルの中央セクションで画定される。第1および第2のゾーンは、第3のゾーンを画定する2つのセクションの間に配設される。
【0011】
別の例示的な実施形態による方法は、基板が浮動式テーブルに沿って搬送される際に、基板を浮動式テーブルの上方で浮動させるのに十分な気体軸受を基板の表面の下方に確立するように浮動式テーブルの複数の孔にガスを流すことと、浮動式テーブルの第1のゾーン、第2のゾーン、および第3のゾーンの各々に配設された複数の孔に含まれる孔を通るガスの流れを独立して制御することとを含む。第1、第2、および第3のゾーンは、浮動式テーブルに沿った基板の搬送方向に平行に延在する浮動式テーブル内の複数のセクションで画定される。第1のゾーンは、第2のゾーンを画定する2つのセクションの間に配設された浮動式テーブルの中央セクションで画定される。第1および第2のゾーンは、第3のゾーンを画定する2つのセクションの間に配設される。
【0012】
さらに別の例示的な実施形態による方法は、基板が浮動式テーブルに沿って搬送される際に、基板を浮動式テーブルの上方で浮動させるのに十分な気体軸受を基板の表面の下方に確立するように浮動式テーブルの複数の孔にガスを流すことを含む。ガスを流すことは、浮動式テーブルの第1の複数の孔に第1の流量および第1の圧力で第1のガスを流すことと、浮動式テーブルの第2の複数の孔に第2の流量および第2の圧力で第2のガスを流すこととを含む。第2の複数の孔は、基板の両側端縁領域の下方に位置する。第1の複数の孔は、基板の両側端縁領域の間の領域の下方に位置する。第2の流量および第2の圧力のうちの少なくとも一方は、第1の流量および第1の圧力のうちの少なくとも一方よりも高い。
【0013】
別の例示的な実施形態によれば、本開示において、浮動式テーブルであって、基板を浮動式テーブルの上方で浮動させるための気体軸受を構成するのに十分なガスを流すための複数の孔を備える浮動式テーブルと、浮動式テーブルの複数の孔にガスを供給するように結合された流体ネットワークと、流体ネットワークに動作可能に結合された制御部とを備えるシステムが企図される。制御部は、第1の圧力および第1の流量で、複数の孔のうちの第1の複数の孔からの第1のガスの流れを制御するとともに、第2の圧力および第2の流量で、複数の孔のうちの第2の複数の孔からの第2のガスの流れを制御するように構成されている。第2の圧力および第2の流量のうちの少なくとも一方は、第1の圧力および第1の流量のうちの少なくとも一方よりも高い。第1の複数の孔は、浮動式テーブルのうち、第2の複数の孔が位置する2つのセクションの間に配設された中央セクションに位置する。
【0014】
別の例示的な実施形態によれば、本開示において、浮動式テーブルによって構成された気体軸受を用いて浮動式テーブルの上方で基板を支持することを含む、基板の処理方法が企図される。本方法はまた、基板を支持しながら、浮動式テーブルの第1の領域と浮動式テーブルの第2の領域との間で基板を搬送することを含む。本方法はまた、基板が第1の領域にある間、基板の下方からほぼ均一にガスが逃げるように浮動式テーブル内の異なるゾーンにおけるガスの流れを制御することと、基板が第2の領域にある間、基板の浮上高さを制御するための流体ばねを構成するように浮動式テーブルからのガスの流れを制御することとを含む。
【0015】
追加の目的、特徴、および/または他の利点は、一部は以下の説明に記載され、一部は本明細書から明白であり、あるいは本開示および/または特許請求の範囲を実施することによって理解されるであろう。これらの目的および利点の少なくとも一部は、添付の特許請求の範囲に特に記載された要素および組み合わせによって実現し、達成することができる。
【0016】
前述の概略および以下の詳細な説明は、例示および説明のためにすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲は、均等物を含めてその全範囲にわたり権利が及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示は、以下の詳細な説明を単独で、または添付の図面と合わせて読めば理解されるであろう。図面は、本開示の理解を促すために含まれており、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成している。図面は、本教示の1つ以上の例示的な実施形態を示しており、説明と合わせて特定の原理および動作を説明している。
【0018】
【
図1】本開示の例示的な一実施形態に係る、電子デバイス製造用の印刷システムの種々の構成要素を模式的に示す部分上面斜視図である。
【0019】
【
図2】基板を支持する浮動式テーブルを模式的に示す部分側断面図であって、ガスが閉じ込められることに伴う課題を模式的に示す図である。
【0020】
【
図3】本開示に係る、基板を支持する浮動式テーブルの例示的な一実施形態を模式的に示す部分側断面図である。
【0021】
【
図4】本開示に係る、基板を支持する浮動式テーブルの別の例示的な一実施形態を模式的に示す部分側断面図である。
【0022】
【
図5】本開示に係る、基板を支持する浮動式テーブルのさらに別の例示的な一実施形態を模式的に示す部分側断面図である。
【0023】
【
図6】本開示の例示的な一実施形態に係る、ある配置で端縁に端縁制御孔が設けられた浮動式テーブルを簡略化して模式的に示す部分上面図である。
【0024】
【
図7】本開示の別の例示的な一実施形態に係る、別の配置で端縁に端縁制御孔が設けられた浮動式テーブルを簡略化して模式的に示す部分上面図である。
【0025】
【
図8】本開示の別の例示的な一実施形態に係る、別の配置で端縁に端縁制御孔が設けられた浮動式テーブルを簡略化して模式的に示す部分上面図である。
【0026】
【
図9】本開示に係る、基板を支持するための方法の例示的なステップを示すフローチャートである。
【0027】
【
図10】本開示に係る、基板を支持するための別の方法の例示的なステップを示すフローチャートである。
【0028】
【
図11】本開示の例示的な一実施形態に係る、長手方向に延在する3つの異なるガス流孔セクション(各セクションの孔からのガスの流れは独立して制御可能)を含む浮動式テーブル構造を模式的に示す図である。
【0029】
【
図12】本開示の例示的な一実施形態に係る、
図11の浮動式テーブル内の異なる孔セクションに供給されるガスの流れを制御するシステムを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書および添付の図面に諸態様および実施形態を示すが、これらは限定的なものとみなすべきではない。特許請求の範囲は、均等物を含む保護の範囲を定義している。本明細書および特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の機械的、組成的、構造的、電気的、および動作上の変更がなされ得る。本発明を不明瞭にしないために、周知の回路、構造、および技術を詳細には図示または説明しない場合がある。種々の実施形態において、2つ以上の図における同一符号は、同一または類似の要素を表す。
【0031】
さらに、本明細書の用語は、特許請求の範囲を限定するものではない。例えば、「下方」「下」「下側」「上」「上側」「近位」「遠位」「x方向」「y方向」「z方向」等の空間的な相対用語を用いて、図面に示す一要素または一特徴部と他の要素または特徴部との関係を説明する場合がある。これらの空間的な相対用語は、図示された位置および向きに加えて、使用中または動作中のデバイスにおける異なる方向(例:直交座標系における異なる方向)、位置(すなわち、場所)、および向き(すなわち、回転配置)を包含するものとする。例えば、図中のデバイスを反転すると、他の要素または特徴部の「下」または「下方」と説明されていた要素が、他の要素または特徴部の「上」または「上方」となる。このように、「下」という例示的な用語は、上および下の位置および向きの両方を包含し得る。デバイスは他の向きに配置することも可能であり(90度回転または他の向きに配置)、本明細書で使用する空間的に相対的な記述も同様にその向きに応じて解釈することができる。同様に、種々の軸に沿った動きおよび軸周りの動きの説明には、特定のデバイスの種々の位置および向きが含まれる。また、不定冠詞および定冠詞を伴う単数形は、文脈上特段の明記がない限り、複数形も含むものとする。また、「備える」「備えている」「含む」等の用語は、記載の特徴部、ステップ、動作、要素、および/または部品の存在を示すものであり、1つ以上の他の特徴部、ステップ、動作、要素、部品、および/または群の存在または追加を排除するものではない。結合されていると説明した部品は、電気的または機械的に直接結合されている場合もあれば、1つ以上の中間部品を介して間接的に結合されている場合もある。数学用語および幾何学用語は、本明細書の文脈上特段の明記がない限り、必ずしも厳密な定義に従って使用するものではない。というのは、記載用語は厳密な定義も有するが、例えば実質的に同様に機能する実質的に同様の要素が記載用語の範囲に明らかに含まれ得ることを、当業者であれば理解するからである。
【0032】
一実施形態を参照して詳細に説明される要素およびそれに関連する態様は、実施可能であれば、それらの要素が特に図示あるいは説明されていない他の実施形態に含めてもよい。例えば、ある要素が一実施形態で詳細に説明され、第2の実施形態では説明されていない場合であっても、その要素は第2の実施形態に含まれるものとして請求の範囲に含まれ得る。
【0033】
本明細書に記載の例示的な実施形態は、例えば、OLED表示デバイス等の種々の電子デバイスのうちの任意のデバイスの作製中に基板を支持するためのシステム、方法、およびデバイスを含む。本開示の例示的なシステム、方法、およびデバイスによって、所望の予測可能なガス流路を実現するように、ガス流ゾーンを選択的とすることが可能になる。基板内の異なる領域に供給されるガスの流れを選択的に制御することにより、ガスの流れが供給される基板の表面全体への圧力がほぼ均一になり、基板をより安定して浮動させることができる。これにより、基板の衝突および損傷のリスクを低減することができる。例えば、本開示のシステム、方法、およびデバイスでは、浮動式テーブル内の異なるゾーンからのガスの流れを独立して制御してもよい。浮動式テーブル内の異なるゾーンに、ガスの流れを供給するための異なる孔を設けてもよい。基板との相対位置が異なる孔は、異なる機能(例えば、基板の浮動、基板内の異なる領域の浮上高さ制御、基板の搬送)を実現するガスの流れを供給するように選択してもよい。基板内の異なる領域に供給されるガスの流れ(例:圧力および/または流量)を制御することによって、基板を所望の形状および浮上高さプロファイルに維持することができる。これにより、不安定な浮動および基板の損傷リスクを低減することができる。すなわち、基板内の異なる領域に対応して位置する浮動式テーブル内の異なる孔から供給されるガスの流れ(例:圧力および/または流量)を制御することにより、基板内の異なる領域におけるガスの流れを個別に制御することができる。
【0034】
ある実施形態では、本開示の例示的なデバイス、システム、および方法において、浮動式テーブルは、基板内の異なる領域に異なるガスの流れを供給するための異なるガス供給ゾーン(各ゾーンは1つ以上の孔を有する)を含んでもよい。これにより、基板と浮動式テーブルとの間の空間からガスを逃がすための所望のガス流路を確立することができる。所望のガス流路が確立されると、基板の下方に生じるガス圧をほぼ均一にすることができる。これにより、基板がガスの流れに乗って浮動している間、基板を所望の形状(略平面形状)に維持することができる。例えば、ある実施形態では、浮動式テーブルは、その表面の上方で基板を浮動させるようにガスを供給する第1の複数の孔と、より高い圧力および/または流量で基板の特定の領域にガスを供給する第2の複数の孔とを有してもよい。ある実施形態では、浮動式テーブルは、基板の側端縁で用いられる孔を有してもよい。この孔は、基板と浮動式テーブルとの間の空間において、基板の中央領域でのガスの滞留、およびその結果としての基板の湾曲を回避するためのガスの逃げ経路が形成されるような浮上高さおよび全体のガス流分布を実現するためのものである。本明細書では、このような孔を「端縁制御孔」と称する。端縁制御孔は、基板の浮上高さを制御するのに十分な力(端縁制御孔から供給されるガスの流れによって生じる力)が生じるように、基板の側端縁に対応する浮動式テーブルの位置に設けられてもよい。これにより、基板が浮動式テーブルの表面の上方で浮動している間、浮動式テーブルとは反対側に面する基板表面の下方で圧力が不均一に上昇するのを防ぐことができる。
【0035】
例示的な一実施形態では、端縁制御孔は、浮動式テーブルのインフィード領域およびアウトフィード領域に分散配置されてもよい。これらの領域には、基板の中央寄り領域に閉じ込められたガスを基板と浮動式テーブルとの間の空間から逃がすための逃げ孔または逃げ経路が設けられていない(例:吸引孔がない)。端縁制御孔を浮動式テーブルの適切な位置(例:浮動式テーブルの側端縁)に設けることによって、気体軸受の逃げ経路の予測可能性が向上したガス流プロファイルを基板全体わたり作り出すことができる。その結果、浮上高さおよび基板の下方におけるガスの圧力の制御可能性と安定性が高まる。説明の便宜上、本開示のシステムはOLEDデバイスを作製するためのシステムとして説明するが、当業者であれば、他のデバイス(例えば、基板堆積技術を用いた他の電子デバイス)の作製、他の材料の処理(本明細書に開示の有機材料以外)、または他の目的のための基板処理(例:洗浄、熱処理)等、他の目的で本開示のシステムが用いられ得ることを理解するであろう。
【0036】
本明細書のある例では、一組の孔、ノズル等に供給されるガスと、別の組の孔、ノズル等に供給されるガスとを区別しやすいように、異なる孔、ノズル、開口等に供給されるガスを第1のガス、第2のガス、第3のガス等と称する場合がある。このように称する場合、供給されるガスは互いに同じであってもよいし、1種以上が互いに異なるものであってもよいことが企図される。
【0037】
図1は、種々の電子デバイス等(例えば、OLEDデバイス等であるが、これに限定されない)の製造工程中に基板上に材料を堆積させるために用いることが可能な例示的なシステム100を模式的に示す。
図1には示されていないが、当業者であれば、システム100が他の種々の構成要素を備えることもでき、より大型の作製システム全体の一部であるサブシステムであってもよいことを理解するであろう。例として、システム100は、各種技術を用いて材料を基板上に堆積させる前および/または後に材料を処理するための1つ以上の熱処理装置(例:加熱器、冷却器、UV処理装置)を有する熱処理システムまたは熱処理セクションを備えてもよく、またはそれらに動作可能に結合されてもよい。同様に、システム100は、基板の温度を下げるための1つ以上の冷却装置を備える1つ以上の冷却セクションまたは冷却ゾーンを含んでもよく、またはそれらに動作可能に結合されてもよい。システム100は、材料を基板上に堆積させる前または後に基板を保持するように構成された構造(例えば、積層棚)を備える1つ以上の保持セクションまたは保持ゾーンを含んでもよく、またはそれらに動作可能に結合されてもよい。
【0038】
ある実施形態では、システム100は、筐体(図示せず)内に設けられる。筐体は密閉されていてもよい。筐体内の環境は、低粒子および/または非反応性の環境として制御および維持されてもよい。例えば、システム100は、ガス(例えば、不活性ガス)を筐体の中で循環させ、濾過するように構成されたガス循環濾過システムを備えることができる。不活性ガスは、基板上に堆積させた材料(例えば、有機材料)と反応しないガスであってもよい。ガスは、窒素等の不活性ガス、貴ガス、空気、またはそれらの組み合わせであってもよい。ガス循環濾過システムは、少なくとも一部が筐体内に配設され、少なくとも別の部分が筐体外に配設されてもよい。ガス循環濾過システムは、粒子、水蒸気、酸素、およびオゾンが存在する場合、その含有量が指定された制限値(例えば、100ppm、50ppm、10ppm、1ppm、0.1ppm)未満に維持されるように、筐体内の環境に含まれる粒子、水蒸気、酸素、およびオゾンを除去してもよい。また、1種以上の反応種(例えば、オゾン、水蒸気、および/または溶媒蒸気)を除去するためのガス浄化システムを、筐体に動作可能に結合してもよい。ディスプレイの印刷等の電子デバイス部品製造用システムの非限定的な例が、米国特許出願公開第2014/0311405A1号、同第2017/0028731A1号、同第2018/0014411A1号、および米国特許第9,505,245号に開示され、各公報の内容全体を参照により本明細書に組み込む。
【0039】
システム100は、基板110を支持および/または搬送(例:並進および/または回転)するための基板支持装置105を備えてもよい。種々の例示的な実施形態では、基板支持装置は、浮動式テーブル105である。浮動式テーブル105は、システム100における基板110の処理中の任意の適切な段階で、基板110を浮動させるための気体軸受を確立することにより、基板110を非接触で支持するように構成されてもよい。
【0040】
浮動式テーブル105は、
図1に示すように、所定の厚さを有する単一の板状部材であってもよい。浮動式テーブル105は、電子デバイスの作製中に基板が搬送される方向に沿って複数の領域を含んでもよい。例えば、浮動式テーブル105は、インフィード領域101、印刷領域102、およびアウトフィード領域103を含んでもよい。インフィード領域101は、基板110の搬送方向Aにおいて、印刷領域102の上流側に位置してもよい(ただし、印刷領域102では、基板110は前後両方向に移動可能であってもよい)。アウトフィード領域103は、基板110の搬送方向Aにおいて、印刷領域102の下流側に位置してもよい。また、浮動式テーブルには、処理領域や保持領域等、別の領域が含まれてもよい。浮動式テーブル105のプラットフォームは、アルミニウム、セラミック、スチール、それらの組み合わせ、またはその他の適切な材料で作られてもよい。
図1には示されていないが、浮動式テーブル105は、支持フレームまたは支持構造体によって、例えば地面に対して支持されてもよい。
【0041】
図1に示すように、浮動式テーブル105は複数の孔120を有する。用語「孔」とは、浮動式テーブル105に設けられた開口、浮動式テーブル105の開口内に配設されたノズルの孔、または開口と開口内に配設されたノズルの孔との組み合わせを指す。孔120は、浮動式テーブル105の厚さ方向に延び、浮動式テーブル105の上部支持面115で開口していてもよい。ある実施形態では、孔120は、浮動式テーブル105を貫通する穴を含んでもよい。その穴は、上部支持面115から、浮動式テーブル105の表面115とは反対側の底面まで延びてもよい。孔120の大きさは互いに同じであっても異なってもよい。ある実施形態では、第1の複数の孔120は、第1の大きさ(例:第1の直径)を有し、第2の複数の孔120は、第1の大きさとは異なる第2の大きさ(例:第2の直径)を有し得る。孔120の形状は互いに同じであっても異なってもよい。ある実施形態では、第1の複数の孔120は、第1の形状(例えば、円形)を有し得る。第2の複数の孔120は、第1の形状とは異なる第2の形状(例えば、楕円形)を有し得る。
【0042】
孔120は、種々の機能を実現するように配置され得る。例えば、第1の複数の孔120(または全ての孔120)は、基板110を表面115の上方で浮動させるための気体軸受を表面115と基板110との間に形成するようにガスを流すような配置であってもよい。ある実施形態では、孔120に供給されるガスは、空気、貴ガス、不活性ガス、もしくはその他の適切なガスまたはそれらの組み合わせであってもよい。第1の複数の孔120は、表面115に対して略直角すなわち垂直方向にガスの流れを向けるように構成されてもよい。第1の複数の孔120に流出入したガスは、基板110の下面と浮動式テーブル105の表面115との間に気体軸受を形成し得る。気体軸受は、浮動式テーブル105の表面115の上方または上において、ある浮上高さで基板110を浮動可能に支持する(すなわち、浮動させる)ことができるものであればよい。浮上高さは、z方向(テーブルの表面115に直角)で測定される高さである。本明細書では、xyz直交座標系が図面の向きに反映されているが、x方向とy方向は入れ替え可能であることは言うまでもない。ガスの流れはある圧力およびある流量を有し得る。それらは、後述するように、制御部およびシステム内の他の構成要素によって制御され得る。制御部は、ガスの流れ(例:ガスの圧力および流量のうちの少なくとも一方)を制御することによって基板110の浮上高さを制御してもよい。
【0043】
気体軸受を設けるための孔120のうちの一部は、圧力孔として用いられてもよい。この圧力孔を通った加圧ガスは、正の圧力で圧力孔から基板110と表面115との間の空間に吹き付けられる。圧力孔は、圧力源(例:加圧ガスの供給源)に動作可能に結合されてもよい。一部の孔は、基板110と表面115との間の空間からガスを吸引するための吸引孔(例:真空孔)として用いられてもよい。吸引孔は、真空源(例:真空機または真空装置)に動作可能に結合されてもよい。例えば、インフィード領域101とアウトフィード領域103では、気体軸受を設けるための孔が全て圧力孔であってもよい。ある実施形態では、インフィード領域101およびアウトフィード領域103には吸引孔が設けられていなくてもよい。印刷領域102では、一部の孔が圧力孔として構成され、一部の孔が吸引孔として構成されてもよい。圧力孔と吸引孔は、印刷領域102において交互に隣接して配置されてもよい。印刷領域102において加圧および吸引の両方を行うことにより、気体軸受の有効剛性が向上する(そのため、印刷領域102の気体軸受を流体ばねと称する場合もある)。これにより、圧力孔のみが設けられるインフィード領域101およびアウトフィード領域103と比較して、印刷領域102では浮上高さをより正確に制御しやすくなる。
【0044】
浮動式テーブル105の第2の複数の孔120は、基板110の端縁領域の浮上高さを制御する(例:上昇させる)ように選択されてもよい。
図1に示す実施形態において、基板は、浮動式テーブル105と同じ幅か、またはそれよりも幅広となるような向きに置かれており、側端縁部111、112が浮動式テーブル105の端縁と揃うか、またはそこからはみ出している。本実施形態では、第2の複数の孔120は、基板110の端縁領域の浮上高さの制御(すなわち、「端縁制御」)を行うために、表面115の端縁(例:
図1に示すように、基板110の進行方向Aに平行な側端縁)付近に位置してもよい。しかし、言うまでもなく、端縁制御用の第2の複数の孔120は、必ずしも浮動式テーブル105の端縁に位置していなくてもよい。例えば、基板110が、
図1に示す点線の基板のように浮動式テーブル105よりも幅狭となるような向きに置かれている場合、端縁制御用の第2の複数の孔120は、浮動式テーブル105に設けられた孔のうち、基板110の端縁領域の下方に配設された孔であってもよい。
【0045】
ある実施形態では、第2の複数の孔120は、
図1に示す孔120のうちから選択されたものであってもよい。例えば、第2の複数の孔120は、浮動式テーブル105の側端縁に近い孔のうちから選択されたものであってもよい。本実施形態では、孔120のうち浮動式テーブル105の端縁に位置する特定の孔を、基板110の浮上高さの端縁制御を行うために用いてもよい。一方、他の孔120を、基板110を浮動させるための気体軸受を設けるために用いてもよい。ある実施形態では、
図1に示された孔120を全て、気体軸受を設けるためのみに用いてもよく、後述するように、浮動式テーブル105には、基板110の浮上高さの端縁制御を行う専用の孔(
図1には図示せず)を追加で設けてもよい。
【0046】
ある実施形態では、浮動式テーブル105に沿って基板110を搬送する搬送システムの一部として、第3の複数の孔120を用いてもよい。あるいは、浮動式テーブル105に沿って基板110を搬送するために、浮動式テーブル105に第3の複数の孔を追加で設けてもよい。第3の複数の孔から流出したガスによって、基板110が表面115に沿って搬送され得る。基板110の搬送には、基板110の並進および/または(z軸周りの)回転が含まれる。
【0047】
ある実施形態では、孔120には、同じ圧力および同じ流量で同じガスが供給されてもよい。ある実施形態では、孔120には、異なる圧力および/または異なる流量で同じガスが供給されてもよい。ある実施形態では、異なる孔120または異なる群の孔120に、異なるガスが供給されてもよい。同じもしくは異なる圧力、および/または同じもしくは異なる流量で、異なるガスが供給されてもよい。例えば、ある実施形態では、孔120のうち特定の孔には、孔120のうち他の孔に供給されるガスよりも高い圧力のガスが供給されてもよい。ある実施形態では、特定の孔120には、孔120のうち他の孔に供給されるガスよりも多い流量のガスが供給されてもよい。ある実施形態では、全ての孔120が気体軸受を設けるために用いられる場合、全ての孔120に同じ圧力および/または流量で同じガスが供給されてもよい。あるいは、全ての孔120が気体軸受を設けるために用いられる場合、一部の孔120には、他の孔120と同じガスが異なる圧力および/または流量で供給されてもよい。例えば、浮動式テーブル105に配設された孔120のうち基板110の中央領域に対応する位置にある孔120には、基板110の非中央領域に対応する位置に配設された他の孔120よりも低い圧力および/または少ない流量のガスが供給されてもよい。ある実施形態では、全ての孔120が気体軸受を設けるために用いられる場合、基板110の浮上高さの端縁制御を行うための端縁制御孔を、浮動式テーブル105の両側端縁に沿って追加で分散配置してもよい。浮動式テーブル105の端縁に位置するそれらの追加の端縁制御孔に供給されるガスは、気体軸受を設けるための孔120に供給されるガスとは異なる圧力および/または流量を有してもよい。ある実施形態では、追加の端縁制御孔には、孔120とは異なるガスが供給されてもよい。
【0048】
再び
図1を参照すると、システム100は、印刷領域102に位置するプリントヘッドアセンブリ125を備える。プリントヘッドアセンブリ125は、ブリッジ130に取り付けられ、ブリッジ130に沿って移動可能であってもよい。説明の便宜上、プリントヘッドアセンブリ125は、インクジェット印刷技術を用いて基板110の表面に材料(例えば、有機材料)をあるパターンで堆積させるインクジェットプリントヘッドを少なくとも1つ有するインクジェット印刷アセンブリとしてもよい。例えば、
図1に示す実施形態では、プリントヘッドアセンブリ125は、複数のプリントヘッド126、127、128を備える。プリントヘッド126、127、128の各々は、基板110上に1層以上の層を形成するために、有機材料等の材料を基板110上に堆積させるように構成されてもよい。プリントヘッド126、127、128の各々は、インクジェットプリントヘッドであってもよい。材料がインクに含まれてもよい。システム100は、例えば、基板上に堆積させた有機材料を処理して層を形成するための熱処理装置(例えば、加熱器および冷却器)を1つ以上有する処理システムを備えてもよい。上述したように、種々の例示的な実施形態において、基板110上に形成される層は、OLEDデバイスの一部となり得る。
【0049】
図1および本明細書に記載の種々の例示的な実施形態では、インクジェット印刷技術を用いた基板上への材料の堆積について説明しているが、当業者であれば、このような堆積技術は例示的なものにすぎず、非限定的であることを理解するであろう。本開示の浮動搬送機構には、例えば、蒸着、サーマルジェット堆積等の他の材料堆積技術を用いることも可能であり、そのような技術も本開示の範囲内とみなされる。
【0050】
ブリッジ130は、浮動式テーブル105の中間セクションにおいて、例えば浮動式テーブル105の全幅にわたって配設されてもよい。例えば、ブリッジ130は、浮動式テーブル105の印刷領域102の上方に配設されてもよい。プリントヘッドアセンブリ125は、浮動式テーブル105の上方でブリッジ130に沿って例えばx方向(例:浮動式テーブル105の幅方向)に移動可能である。基板110は、浮動式テーブル105に沿って(例:浮動式テーブル105の長さ方向に沿った搬送方向Aに)移動可能であり、ブリッジ130およびプリントヘッドアセンブリ125の下方に配置され得る。プリントヘッドアセンブリ125は、作製すべきOLEDデバイスの一部となる薄層を形成するために、有機材料を基板110の上面に堆積させ得る。ある実施形態では、プリントヘッドアセンブリ125は、基板110の下に配置されてもよい。例えば、プリントヘッドは、浮動式テーブル105の表面115に埋め込まれ、あるいは表面115上に設けられてもよく、基板110の下面の下から、基板110の下面に有機材料を堆積させてもよい。
【0051】
ある実施形態では、プリントヘッドアセンブリ125は、固定された基板110(例:ガントリ型)に対して、x方向および/またはy方向(例:基板搬送方向)に移動可能である。例えば、プリントヘッドアセンブリ125は、固定された基板110に対してブリッジ130に沿ってx方向に移動可能であってもよい。ある実施形態では、固定された基板110に対してプリントヘッドアセンブリ125がy方向に沿って移動可能となるように、ブリッジ130が移動路に取り付けられ、その移動路に沿って移動可能であってもよい。ある実施形態では、プリントヘッドアセンブリ125は、固定された基板110に対してx方向およびy方向の両方向に移動可能であってもよい。
【0052】
ある実施形態では、プリントヘッドアセンブリ125が固定されており、基板110が浮動式テーブル105上でx方向および/またはy方向に沿って移動可能であってもよい。例えば、基板110は、固定されたプリントヘッドアセンブリ125に対してx方向に移動可能であってもよい。ある実施形態では、基板110は、固定されたプリントヘッドアセンブリ125に対してy方向に移動可能であってもよい。ある実施形態では、基板110は、固定されたプリントヘッドアセンブリ125に対して、x方向およびy方向の両方向に移動可能であってもよい。
【0053】
ある実施形態では、基板110およびプリントヘッドアセンブリ125の両方が、互いに対してx方向およびy方向のうちの少なくとも一方に移動可能であってもよい(例:2軸型)。例えば、基板110はx方向に移動可能であり、プリントヘッドアセンブリ125はy方向に移動可能であってもよい。ある実施形態では、基板110はy方向に移動可能であり、プリントヘッドアセンブリ125はx方向に移動可能であってもよい。ある実施形態では、基板110はx方向およびy方向の両方向に移動可能であり、プリントヘッドアセンブリ125も基板に対してx方向およびy方向の両方向に移動可能であってもよい。
【0054】
ある実施形態では、基板110および/またはプリントヘッドアセンブリ125は、z方向に移動可能であってもよい。例えば、基板110は、プリントヘッドアセンブリ125に近接および離隔するようにz方向に上下移動可能であってもよい。この移動は、例えば基板を浮動可能に支持する気体軸受によって生じる力を調節することにより実現され得る。ある実施形態では、プリントヘッドアセンブリ125は、固定された基板110に対してブリッジ130上でz方向に上下移動可能なZ軸プレート(
図1には図示せず)にさらに取り付けられてもよい。ある実施形態では、基板110とプリントヘッドアセンブリ125の両方が、互いに対してz方向に移動可能であってもよい。
【0055】
浮動式テーブル105は、単独で、または別の機械的搬送機構との協働により、基板110を搬送(例:並進および/または回転)して、基板110を浮動式テーブル105の表面115に対して(すなわち、プリントヘッドアセンブリ125に対して)位置決めするように構成されてもよい。例えば、基板110は、浮動式テーブル105に沿って、インフィード領域101から印刷領域102まで、また印刷領域102からアウトフィード領域103まで搬送可能である。あるいは、インフィード領域101と印刷領域102との間、また印刷領域102とアウトフィード領域103との間で前後に往復するように搬送可能である。基板110の大きさおよび印刷中の基板110の動きによっては、印刷領域102で有機材料が印刷されている間、基板110の一部がインフィード領域101および/またはアウトフィード領域103内にまで延在する場合もある。また、基板110は、1台以上の浮動式テーブル105または1台の浮動式テーブル105内の複数のセクションに沿って、システム100内の種々のセクション(例えば、処理セクション、保持セクション、冷却セクション)を通って浮動しながら搬送される場合もある。これに代えて、またはこれに加えて、基板110が浮動式テーブル105上の所定の位置に搬送(例:並進)された後、基板110は、把持システム(図示せず)によって機械的に把持されてもよい。ただし、基板がシステム内の異なる領域に沿って移動する際、種々の所望の搬送、回転、および/または浮上高さを実現するために、浮動式テーブル105が種々の形態を取り得ることを当業者であれば理解するであろう。
【0056】
本開示のシステムで対応可能な基板の大きさは限定されない。ディスプレイの製造では、基板の大きさを世代の観点から「Gen n」と称することが多い。nは異なる数を表し、各世代の大きさは、処理される基板全体の大きさにほぼ対応する。この基板から、それよりも小型のディスプレイが最終的に作られることになる。例示的かつ非限定的な高世代の大型基板は、約1500mm×1850mm、約2200mm×2500mm、または約2940mm×3370mm程度のものであってもよい。ただし、これらよりも大型の基板、および数百mm×数百mmの小型基板も本開示の範囲内であることが企図される。本開示の実施形態は、いずれの世代の大きさにも対応可能であり、この点では限定されない。ただし、本開示の例示的な実施形態に係る本明細書に記載の技術を用いていずれかの特定の世代の大きさを処理する態様を決定する際に、表面積および抗力を考慮すべきであることを当業者であれば理解するであろう。他の大きさの基板も、本開示のシステムで処理可能である。
【0057】
ある実施形態では、
図1に示すように、浮動式テーブル105は基板110よりも幅狭であるか、またはおよそ同じ幅であってもよい。その場合、基板110の側端縁における端縁部111、112が浮動式テーブル105の端縁と重なるか、またはそこからはみ出すことになる。端縁部111、112の幅は、約10ミリメートル(mm)から15ミリメートル(mm)の範囲であってもよい。浮動式テーブル105からはみ出した端縁部111、112の幅は、他の値であってもよい(例えば、約0mmから約10mm、あるいは約15mmから約20mm等)。ある実施形態では、はみ出した端縁部の幅は、基板全体の大きさとは無関係である。基板110の側端縁部が浮動式テーブル105の端縁からはみ出している場合、はみ出した側端縁部の重量を利用して、基板110の浮上高さが均一になるように制御することが可能である。側端縁部が浮動式テーブル105の端縁からはみ出している場合、基板110内の異なる部分の浮上高さのばらつきを低減することが可能である。浮上高さがより均一である(すなわち、基板110がより平坦であり、テーブルからの高さが基板の全領域にわたってより均一である)ことによって、印刷領域102において基板110の上面に有機材料を印刷(例:堆積)したときに、より良好な印刷結果が得られる。
【0058】
図1に示す実施形態では、浮動式テーブル105の表面115(例:連続した面)に孔が分散配置されている。特定の理論に縛られることを望むものではないが、本発明者らは、表面115と基板110の下面との間の空間にガスを供給し、孔からの加圧ガスの流れを用いて気体軸受を構成する際に、例えば逃げ孔または吸引孔を設けなければ(例えば、インフィード領域101またはアウトフィード領域103のように)、ガスが基板110の下方の中央領域に滞留したり、閉じ込められたりする傾向があると考えている。ガスの滞留により、基板の特定の領域(例えば、中央領域)の下方で圧力が上昇する。その結果、基板110は1つ以上の領域で湾曲する場合がある。例えば、基板の中央領域の下方にガスが滞留して圧力が上昇した場合、浮動式テーブル105とは反対側に面する基板110の表面は、中央領域で浮上高さが最も高く、端縁部(または端縁領域)で浮上高さが最も低くなるような凸状になる場合がある。基板110の下方に滞留したガスは、1つ以上の不規則な逃げ経路(例:ある瞬間に最も抵抗が少ないいずれかの経路)を通って空間から逃げる傾向がある。したがって、基板110のうち、1つ以上の不規則かつ予測不能な領域で浮上高さが低下する。浮動式テーブル105の表面からの基板110の浮上高さは一般的に非常に小さく、例えば、約30ミクロンから約500ミクロンである。ある実施形態では、浮上高さは、中央領域では約250ミクロン、基板110の端縁では約100ミクロンである場合もある。端縁での浮上高さがさらに不規則に低下すると、基板110の端縁が浮動式テーブル105または浮動式テーブル105上の他の物体と接触する可能性がある。そのため、この課題に対処し、浮動中の基板の下方の圧力をより均一かつ制御されたものにすることが可能なシステムを提供する必要がある。制御された予測可能なガスの逃げ経路を設け、浮動と基板110の下方におけるガスの圧力とを確実に制御することによって、印刷処理中の基板110の操作全体の制御性を高めることができる。上述の課題に対処するために、本開示では、浮動式テーブル105のうち、基板110の側端縁に対応する位置に配設された端縁制御孔を用いる。
【0059】
図2は、基板110を支持する浮動式テーブル105の一実施形態を模式的に示す部分側断面図であって、ガスが閉じ込められることに伴う課題を模式的に示す図である。この断面図は、インフィード領域101またはアウトフィード領域103において、基板110の進行方向Aに略垂直な浮動式テーブル105の幅(すなわち、
図1のB-B’)に沿って切り取ったものである。インフィード領域101およびアウトフィード領域103には、気体軸受を設けるための圧力孔のみを設けてもよい。言い換えれば、浮動式テーブル105において、インフィード領域101およびアウトフィード領域103には、基板110の下方の空間の中央領域に閉じ込められたガスを逃がすための真空孔(吸引孔とも称する)等の逃げ孔を設けなくてもよい。浮動式テーブル105は、複数の孔121、122、123、124、125を備えてもよい。これらの孔は、例えば、
図1に示す孔120の実施形態である。論点を簡略に示すために、孔121~125は、ノズルが配設されていない開口として図示されている。他の実施形態では、
図4から
図5を参照して以下でさらに説明するように、これらの開口にノズルが配設されてもよいことは言うまでもない。
【0060】
孔121~125は、流体ネットワークを介してガス源147と流体連通している。流体ネットワークは、ガス供給マニホールド145、ガス制御弁146、および種々の構成要素を接続する種々の流体管(ガス管とも称する)を備える。
図2に示すように、孔121~125の各々は、ガス供給マニホールド145に動作可能に(例:流体連通可能に)結合されている。孔121~125は、ガスパイプやチューブ等のガス管を介して、ガス供給マニホールド145と結合させることができる。ガス供給マニホールド145から孔121~125に正圧でガスが供給され得る。ある実施形態では、孔121~125に供給されるガスは、空気、窒素、他の不活性ガス、貴ガス、もしくはその他の適切なガス、またはそれらの組み合わせであってもよい。ある実施形態では、例えば、孔121~125がインフィード領域101またはアウトフィード領域103に位置する場合、孔121~125のいずれも真空孔としては用いられない。ある実施形態では、例えば、孔121~125が印刷領域102に位置する場合、1つ以上の孔121~125が真空孔として用いられる。ある実施形態では、インフィード領域101およびアウトフィード領域103においても、1つ以上の孔が真空孔として用いられてもよいことは言うまでもない。
【0061】
ガス供給マニホールド145は、ガス制御弁146に動作可能に(例:流体連通可能に)結合している。ガス制御弁146は、電磁弁等の任意の適切な電動式の流量制御弁とすることができる。ある実施形態では、ガス制御弁146は、手動制御式の弁である。ガス制御弁146は、ガス源147に動作可能に結合させることができる。ガス源147は、例えばガスパイプまたはガスタンクであり、ガス制御弁146、ガス供給マニホールド145、および孔121~125にガスを供給するために用いられ得る。ある実施形態では、ガス源147は加圧ガス源であってもよい。
【0062】
ガス制御弁146は、制御部148に動作可能に結合されてもよい。制御部148は、適切な回路、ゲート、スイッチ、論理、および他の適切なソフトウェアコンポーネントおよびハードウェアコンポーネントを備えることができる。例えば、制御部148は、信号を処理し、制御下にある他のデバイスに命令を与えるための回路および論理を有するプロセッサを備えてもよい。制御部148は、孔121~125に供給されるガスの圧力および/または流量を制御するために、ガス制御弁146を制御するように構成またはプログラミングされてもよい。制御部148は、ガス制御弁146から信号を受信するように構成されてもよい。制御部148は、ガス制御弁146から受信した信号を処理するとともに、ガス制御弁146に信号を送信することによって、孔121~125に供給されるガスの圧力および/または流量を調整することができる。また、制御部148は、センサ、アクチュエータ、モータ等、システム100に含まれる他の構成要素から信号を受信してもよい。制御部148は、システム100に含まれるそれらの構成要素に命令信号を与えることによって、その動作を制御してもよい。
【0063】
図2では単一のガス供給マニホールド145が示されているが、システム100は、2つ以上のガス供給マニホールドを備え、その各々が一群の孔に動作可能に結合されてガスを個別に供給するようにしてもよい。異なる群の孔には、異なるガス供給マニホールドを介して同じ圧力および/または流量のガスが供給されてもよい。あるいは、異なる群の孔には、異なるガス供給マニホールドを介して異なる圧力および/または異なる流量のガスが供給されてもよい。2つ以上のガス供給マニホールド145を用いる場合には、2つ以上のガス制御弁146を設け、その各々がそれぞれのガス供給マニホールドに供給されるガスを制御するようにしてもよい。また、2つ以上のガス源147と、2つ以上の制御部148とを設けてもよい。2つ以上の制御部148の各々は、それぞれのガス制御弁146を制御し、それによってそれぞれのガス供給マニホールドを制御するように構成またはプログラミングされてもよい。
【0064】
図2は、孔121~125から浮動式テーブルの表面115と基板110との間の空間にガスが供給される様子を示す。参照符号131~135は、孔121~125から供給されたガスの流れを示す。ある実施形態では、ガスの流れ131~135は、ほぼ同じ圧力および/または流量を有する。ある実施形態では、ガスの流れ131~135は、異なる圧力および/または流量を有する。例えば、空間の中央領域付近の流れ(例:流れ133)は、非中央領域の流れ(例:流れ131、132、134、135)よりも低い圧力および/または流量を有してもよい。
図2に示すように、気体軸受を形成するガスは、基板110の下方の空間の略中央領域(本実施形態では図中の略中央領域)に滞留し、閉じ込められる可能性がある。この滞留により、中央領域の圧力が上昇するため、基板110の中央領域の浮上高さが上昇する。これにより、基板110が上方向に湾曲し、その結果、浮動式テーブル105の表面115とは反対側に面する基板110の表面が凸状になる。すなわち、基板110のうち、中央領域の浮上高さが他の領域(例えば、側端縁領域)の浮上高さよりも高くなる。図示および説明の便宜上、基板110の湾曲は誇張して図示されている。
【0065】
中央領域、非中央領域、および端縁領域に供給するガスの圧力および流量は、任意の適切な値でよい。例えば、ある実施形態では、中央領域、非中央領域、および端縁領域に供給されるガスの圧力は、約4kPa(キロパスカル)から約20kPaまでの範囲の値であってもよく、流量は、浮動式テーブル105の1平方メートル当たり約200リットル/分から約700リットル/分までの範囲の値であってもよい。
【0066】
基板110が上向きに湾曲している場合、空間の中央領域に滞留したガスは、抵抗が少ない方のルートまたは経路で逃げようとする。そのため、逃げ経路が不規則で予測不能なものになる。最も抵抗の少ないルートは、基板110が浮動可能に支持された状態において、矢印151、152、または153で任意に示される。矢印151は第1の例の一方向を示し、矢印152は第2の例の別の方向を示し、矢印153は第3の例のさらに別の方向を示す。その結果、ガスは中央領域から不規則なルートを通ってxy方向に逃げていくことになる。これにより、基板110の不規則な部分または領域において浮上高さが不安定になる。基板110の不規則な領域(例えば、浮上高さが既に低い特定方向の端縁部)で浮上高さが低下すると、端縁部が浮動式テーブル105に設けられた別の物体と接触する可能性がある。
【0067】
図3は、
図2を参照して説明および提示された課題に対処するための、浮動式テーブルの圧力プロファイルを制御するための例示的な一実施形態を示す。
図3は、基板110を支持する浮動式テーブル105の例示的な一実施形態を模式的に示す部分側断面図である。
図2に関連して上述した課題に対処するために、本開示では、浮動式テーブル105内の異なるゾーンを通って基板110内の異なる領域に供給されるガスの流れを制御する。これにより、基板の下方の圧力、ひいては基板110の全体的な表面プロファイルおよび浮動安定性をより良好に制御することができる。例えば、本開示のシステムは、浮動式テーブル105に設けられた異なる孔を通って基板110内の異なる領域に供給されるガスの流れを制御することができる。これにより、基板の下方の領域にガスをそれほど滞留させることなく、基板110の下方の圧力をほぼ均一に維持することができる。ある実施形態では、本開示のシステムは端縁制御を用いる。すなわち、浮動式テーブル105に選択的に配置された端縁制御孔を用いて、基板110の端縁における浮上高さを制御する。一実施形態では、
図3に示すように、浮動式テーブル105のうち、基板110の幅方向における側端縁(または周縁領域)に近接して位置する1つ以上の孔が、端縁制御用に選択(または構成)されてもよい(幅方向は、浮動式テーブル105に沿った基板110の搬送方向に対する横断方向または垂直方向として定義される)。例えば、
図3に示す実施形態では、基板の幅が浮動式テーブルの全幅にわたるように、基板が横長に置かれている。この場合、両側端縁(例:基板の進行方向に平行な両辺)における浮動式テーブル105の側端縁に沿った孔の列が端縁制御孔として選択されてもよい。端縁制御用に選択された孔には、浮動基板110に気体軸受を設けるために用いられる他の孔よりも高い圧力および/または流量で(より多い単位流量を実現するように)ガスが供給される。
図3に示す実施形態では、孔は、浮動式テーブル105に設けられた開口を含む。開口にはノズルは配設されない。
【0068】
端縁制御孔は、必ずしも浮動式テーブル105の側端縁に位置していなくてもよい。例えば、基板110が浮動式テーブル105よりも幅狭である場合(例えば、ある大きさの基板が搬送方向に縦長に置かれている場合)、端縁制御孔は、浮動式テーブル105のうち、基板110の端縁領域に対応する位置に配設された孔のうちから選択されてもよく、その位置は、浮動式テーブル105の側端縁に最も近い孔よりも内側であってもよい。
【0069】
図3に示す実施形態では、孔121、125は、浮動式テーブル105の幅方向の端縁付近に位置する。
図3に示すように、このような配置の孔121、125は、基板110のうち、この基板110の進行方向に平行に延在する端縁部(周縁部)にガスの流れを供給することができる。孔121、125は、端縁制御するように配置され得るものである(したがって、孔121、125を端縁制御孔と称する場合もある)。孔122、123、124は、基板110を浮動させる気体軸受が設けられるように選択され得る(したがって、本明細書では、説明の便宜上、孔122~124を気体軸受孔と称する場合もある)。孔121~125は、流体ネットワークを介してガス源180と流体連通している。流体ネットワークは、第1のガス供給マニホールド170、第2のガス供給マニホールド185、第1のガス制御弁175、第2のガス制御弁190、任意選択の第3のガス制御弁176、および種々の構成要素を接続する種々の流体管(ガス管とも称する)を備える。
図3の例示的な実施形態では、孔122、123、124は、ガス管(例:ガスパイプ、チューブ)を介して第1のガス供給マニホールド170に流体的に結合され、孔121、125は、ガス管を介して第2のガス供給マニホールド185に流体的に結合される。第1のガス供給マニホールド170は、ガス管を介して第1のガス制御弁175に動作可能に結合されてもよい。第2のガス供給マニホールド185は、ガス管を介して第2のガス制御弁190に動作可能に結合されてもよい。第1および第2のガス供給マニホールド170、185は、
図2に示すガス供給マニホールド145と同様のものであってもよい。
【0070】
図3を参照すると、第1および第2のガス制御弁175、190は、ガス管を介してガス源180に動作可能に結合されている。第1および第2のガス制御弁175、190は、
図2に示すガス制御弁146と同様のものであってもよい。ガス源180は、
図2に示すガス源147と同様のものであってもよい。ガス源180は、第1および第2のガス制御弁175、190にガスを供給する。これにより、第1および第2のガス供給マニホールド170、185にそれぞれガスが供給される。ある実施形態では、ガス源180は加圧ガス源であってもよい。さらに、第1および第2のガス制御弁175、190は、データおよび/または信号を通信するために、電子接続によって制御部195に動作可能に結合されてもよい。電子接続は、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。制御部195は、
図2に示す制御部148と同様のものであってもよい。制御部195は、第1のガス制御弁175と第2のガス制御弁190とを独立して制御して、第1および第2のガス制御弁175、190から第1および第2のガス供給マニホールド170、185にそれぞれ供給されるガスの圧力および/または流量を調節するようにプログラミングされ得る。
【0071】
例示的な一実施形態では、制御部195は、気体軸受を設けるための第1のガス供給マニホールド170および孔122~124に供給されるガスが第1の圧力および第1の流量を有するように、第1のガス制御弁175を制御するようにプログラミングされている。また、制御部195は、浮上高さの端縁制御を行うための第2のガス供給マニホールド185および孔121、125に供給されるガスが第2の圧力および第2の流量を有するように、第2のガス制御弁190を制御するようにプログラミングされている。このように、孔121、125からのガスの流れを孔122~124からのガスの流れとは異ならせ、孔122~124からのガスの流れとは独立して制御することができる。例えば、一実施形態では、第2の圧力および第2の流量のうちの少なくとも一方は、第1の圧力および第1の流量のうちの少なくとも一方よりも高くてもよい。この場合、浮動式テーブル105の端縁における孔121、125から供給されるガスの流れ161、165は、孔122、123、124から供給されるガスの流れ162、163、164よりも高い圧力および/または流量を有する。
【0072】
例えば、一実施形態では、端縁制御孔121、125から供給されるガスの流れ161、165の第2の圧力は、孔122、123、124から供給されるガスの流れ162、163、164の第1の圧力よりも高くてもよい。この場合、基板のうち、孔121、125からの流れ161、165が向けられる端縁領域付近での浮上高さをわずかに増加させるように、ガスの流れ161、165を制御することが可能である。これにより、基板の中央領域の下方にガスが滞留することが防止される。その結果、
図3に示すように、基板110の浮上高さが端縁において他の領域(例えば、中央領域)よりもわずかに高くなるように、基板110全体の浮上高さを制御することができる。これにより、浮動式テーブル105とは反対側に面する基板110の表面を、ほぼ平坦な形状またはわずかに凹んだ形状とすることができる(
図3に示すプロファイルも、図示および説明の便宜上誇張されている)。このようにして、浮動式テーブル105の表面115と基板110の下面(すなわち、浮動式テーブルに対向する面)との間の空間に滞留したガスを、矢印171、172で示す一定のまたは予測可能な逃げルートまたは逃げ経路に沿って逃がすことができる。その結果、基板110の浮上高さ分布または浮動がより確実かつ均一になり、制御しやすくなる。さらに、
図3に示す基板110の浮上高さプロファイルでは、基板110の浮上高さが、図中幅方向(x方向)における基板の中心線に沿った領域から徐々に増加し、外側の側端縁で最大となっている。これにより、基板110が特に端縁部で、浮動式テーブル105上の他の物体と接触する可能性を低減または排除することができる。
【0073】
ある実施形態では、基板と浮動式テーブルの表面が平坦であると仮定した場合、基板の浮上高さは一般的に次の式(数1)で制御されることになる。
【数1】
式中、Qは基板の下方のガスの流れであり、dは浮上高さであり、μは粘度である。本式に示されるように、Qは「d」の3乗に比例する。したがって、浮上高さが少し変わっただけでも、基板の下方の空間から逃げるガスの量が大幅に増え、システムが不安定になる場合がある。
【0074】
図3では第1および第2のガス制御弁175、190を制御する単一の制御部195が示されているが、システム100は、第1のガス制御弁175と第2のガス制御弁190とを独立して個別に制御するための2つ以上の制御部を備えてもよい。システム100は、
図3には示されていないシステム100内の他の構成要素を制御するための他の制御部を備えてもよい。また、
図3ではガスを供給する単一のガス源180が示されているが、システム100は、第1のガス制御弁175に第1のガス、第2のガス制御弁190に第2のガスをそれぞれ個別に供給するために、2つ以上の個別のガス源を備えてもよい。
【0075】
さらに、
図3は、孔121~125を有する浮動式テーブル105の断面図である。各孔が浮動式テーブル105の長さ方向(すなわち、基板の進行方向に沿った、
図3の紙面奥側への方向)に配列された孔を表していることが理解される。この配置は、
図6、
図7、
図8でより明確に示されている(図中、端縁制御孔のみが示されている)。また、図中進行方向に対して横断方向に並ぶ孔の数は説明の便宜上のものであり、孔の数は異なってもよい(例えば、一群の端縁制御孔の一部として設けられたものであってもよい)。さらに、当業者であれば理解することであるが、テーブル全体にわたる孔の大きさ、形状、および密度、ならびに本明細書に記載の浮動式テーブル内の長手方向に延在する各ゾーンにおける孔の大きさ、形状、および密度は、種々の考慮事項に基づいて変更および選択することができる。
【0076】
ある実施形態では、気体軸受を設けるための孔のうち、中央領域に位置する1つ以上の孔に供給されるガスの流れを、非中央領域(例:中央領域と、端縁制御孔が位置する端縁領域との間の領域)に位置する他の孔に供給されるガスの流れよりも減少させてもよい。例えば、
図3に示す実施形態では、孔121、125を、基板110または浮動式テーブル105の端縁領域付近に位置する孔端縁制御孔とみなすことができる。孔122、124を、基板110の非中央領域付近に位置する孔とみなすことができる。孔123を、浮動式テーブル105のうち、基板110の中央領域付近の部分に位置する孔とみなすことができる。
図3の実施形態では、簡略化のために、中央領域付近に示されるのは1つの孔123のみであり、非中央領域に示されるのは2つの孔(122、124)のみである。しかし、より多くの孔が浮動式テーブル105に設けられる場合、中央領域に2つ以上の孔が設けられてもよく、非中央領域に3つ以上の孔が設けられてもよいことは言うまでもない。
【0077】
図3に示す実施形態では、流れ162、163、164を用いて気体軸受が設けられる。孔123を通って供給される流れ163を、孔122、124を通って供給される流れ162、164よりも減少させてもよい。例えば、孔123を通って供給される流れ163の圧力および流量のうちの少なくとも一方を、孔122、124を通って供給される対応の流れ162、164の圧力および流量のうちの少なくとも一方よりも減少させてもよい。このように中央領域において流れを減少させ、合わせて端縁制御孔(例:121、125)における流れの供給を増大させると、基板110をほぼ平坦またはわずかに凹んだ形状に維持することができる。以下の説明では繰り返さないが、中央領域の流れを減少させることは、
図4から
図9に示す他の実施形態にも適用可能である。したがって、種々の例示的な実施形態では、2つ以上のガス流孔ゾーンが、浮動式テーブルに沿った基板の進行方向に平行に延在する浮動式テーブル内のセクション(例:長手方向に延在するセクション)において画定されてもよく、異なるゾーンの孔からのガスの流れを独立して制御してもよい。
【0078】
中央領域付近に位置する1つ以上の孔に供給されるガスの流れを減少させる場合、システム100は、中央領域付近に位置する1つ以上の孔に供給されるガスを制御する第3のガス制御弁176を、任意選択で別途備えることができる。第3のガス制御弁176は、第1および第2のガス制御弁175、190と同様のものであってもよい。第3のガス制御弁176は、中央領域付近に位置する1つ以上の孔に、動作可能に直接結合されてもよいし、第1のガス供給マニホールド170を介して動作可能に結合されてもよい。あるいは、第3のガス制御弁176は、
図3には示されていない別のガス供給マニホールドを介して、中央領域付近に位置する1つ以上の孔に動作可能に結合されてもよい。このようにして、中央領域付近に位置する1つ以上の孔に供給されるガスを、非中央領域(例:中央領域と、端縁制御孔が位置する端縁制御領域との間の領域)に位置する他の孔に供給されるガスとは独立して制御することができる。第3のガス制御弁176は、制御部195または別の制御部に動作可能に結合されてもよい。制御部195は、中央領域付近に位置する1つ以上の孔に供給されるガスの圧力および/または流量を、非中央領域に位置する孔に供給されるガスよりも減少させるように、第3のガス制御弁176を制御してもよい。
図4、
図5の実施形態には示されていないが、上記実施形態および本明細書に開示された他の実施形態のいずれにおいても、第3のガス制御弁176を任意選択で設けてもよいことは言うまでもない。
【0079】
図4は、基板110を支持する浮動式テーブル105のさらに別の例示的な一実施形態を模式的に示す部分側断面図である。
図4に示すシステム100のシステム構成要素は、
図3に示すシステム構成要素と類似しているが、以下の点で異なる。すなわち、
図4に示す実施形態では、基板110の側端縁部において基板110の浮上高さの端縁制御を行うガスの流れを供給するためのノズル201、205が開口121、125内に少なくとも部分的に追加で配設される点で異なる。基板110の側端縁孔は、インフィード領域101とアウトフィード領域103(および任意選択で印刷領域102)を通って進む基板110の進行方向に平行に並ぶ。ノズル201、205は、任意の適切なノズルでよい。
図4に示す実施形態では、ノズル201、205は、ガス管を介して第2のガス供給マニホールド185に動作可能に結合されている。第2のガス供給マニホールド185は、ガス管を介して第2のガス制御弁190に動作可能に結合されてもよい。第2のガス制御弁190は、電子接続によって制御部195に動作可能に結合されてもよい。
【0080】
制御部195は、第1のガス制御弁175を制御して、孔121、122、123に供給されるガスの流れ(例:第1の圧力および/または第1の流量)を調節するようにプログラミングされ得る。また、制御部195は、第2のガス制御弁190を制御して、ノズル201、205に供給されるガスの流れ(例:第2圧力および/または第2流量)を調節することができる。例示的な適用例では、
図4に示すように、基板110の浮上高さが中央領域よりも端縁部でわずかに高くなるように、流れ161、165の第2の圧力および第2の流量のうちの少なくとも一方を、流れ162、163、164の第1の圧力および第1の流量のうちの少なくとも一方よりも高くする(上述したように、図示の基板表面プロファイルは、説明の便宜上誇張されている)。基板110の浮上高さのプロファイルまたは分布は、
図3に関連して上述したものと同様に、わずかに凹んだ形状を有してもよい。言い換えれば、基板110は、浮動式テーブル105によって支持搬送されている間、ほぼ平坦またはわずかに凹んだ形状に維持され得る。したがって、少なくともインフィード領域101およびアウトフィード領域103(これらの領域では、浮動式テーブル105から加圧ガスを供給するが、加圧ガス孔に吸引孔を組み合わせて同等の精密な浮上高さ制御を行うことはしない)において、基板の下方のガスの圧力をほぼ均一に制御することができ、基板の下方の領域でガスが逃げられない状態になったり、ガスの逃げ経路が予測不能になったりすることなく、基板の概ね安定した浮動を維持することが可能である。
【0081】
種々の例示的な実施形態において、ノズル201、205は、基板110の端縁部にガスの噴流をパルス状に送出することにより、基板の端縁領域で浮上高さをわずかに増加させて、基板110の所望の浮上高さを維持することができる。これにより、基板と浮動式テーブルとの間の空間からガスを逃がすための所望の予測可能なルートが形成される。ある実施形態では、ノズル201、205は、基板110の端縁部にガスの噴流を連続して送出する。ある実施形態では、ノズル201、205および孔122~124に供給されるガスは、空気、窒素、他の不活性ガス、貴ガス、もしくはその他の適切なガスまたはそれらの組み合わせであってもよい。
【0082】
図5は、浮動式テーブル105のさらに別の例示的な一実施形態を模式的に示す部分側断面図である。
図5に示すシステム構成要素は、
図3および
図4に示すシステム構成要素と類似しているが、以下の点で異なる。すなわち、
図5に示す実施形態では、側端縁部(図中で基板が進行するy方向に平行)において基板110の浮上高さの端縁制御を行うガスの流れを供給するためのノズル201、205が開口121、125内に少なくとも部分的に配設される点、および、基板110を浮動させる気体軸受を設けるためのノズル202、203、204が開口122、123、124内に少なくとも部分的に配設される点で異なる。ある実施形態では、ノズル201~205に供給されるガスは、空気、窒素、他の不活性ガス、貴ガス、もしくはその他の適切なガスまたはそれらの組み合わせであってもよい。ノズル202、203、204は、ノズル201、205と同様の構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
図5の例示的な実施形態では、ノズル202、203、204は、ガス管を介して第1のガス供給マニホールド170に流体的に結合されている。第1のガス供給マニホールド170は、ガス管を介して第1のガス制御弁175に動作可能に結合されている。第1のガス制御弁175は、電子接続によって制御部195に動作可能に結合されている。制御部195は、第1のガス制御弁175を制御して、第1のガス供給マニホールド170に供給されるガスの流れ(例:第2圧力および第2流量のうちの少なくとも一方)を調節し、これをノズル202、203、204に供給するようにプログラミングされている。流れ161、165(ノズル201、205を通って供給される)の圧力および流量のうちの少なくとも一方は、流れ162、163、164(ノズル202、203、204を通って供給される)の圧力および流量のうちの少なくとも一方よりも高くなるように制御することができる。このようにして、ガスの流れ161、165により、浮上高さのプロファイルまたは分布がわずかに凹んだ形状になるように、端縁領域において基板110の浮上高さをわずかに上昇させることが可能である。言い換えれば、基板が浮動式テーブル105によって支持され、浮動式テーブル105に沿って搬送されている間、基板110の下方の空間におけるガスの圧力をほぼ均一に維持することができる。これにより、ガスの逃げ方が予測可能となり、基板内の1つ以上の領域の下方に望ましくない滞留が生じるのを防止することができる。
【0083】
気体軸受を設けるためのノズル202、203、204としては、任意の適切なノズルを用いることができる。側端縁領域で基板110の浮上高さの端縁制御を行うためのノズル201、205としては、任意の適切なノズルを用いることができる。例えば、一実施形態では、気体軸受を設けるためのノズルおよび/または端縁制御用のノズルとして、Coreflow社から市販されているSmartNozzle(登録商標)を用いることができる。
【0084】
また、当業者にはよく知られている、空気軸受を設けるための多孔質材を利用したテーブル等の他の浮動式テーブルも本開示のシステムに用いることができる。このため、本明細書で使用される用語「孔」は種々の開口を含み得ると考えるべきである。これらの開口としては、種々の浮動式テーブルの素材として用いられる焼結材またはセラミック材の細孔または開口、および中実素材のテーブルを厚さ方向に貫通して形成された貫通穴または開口等が含まれる。
【0085】
図6は、ある配置で端縁に端縁制御孔が設けられた浮動式テーブル105を簡略化して示す概略上面図である。
図6は、浮動式テーブル105と、浮動式テーブル105によって支持された基板110とを示す。簡略化のために、浮動式テーブル105に設けられた端縁制御孔(開口の場合もあればノズルの場合もある)のうち、基板110がインフィード領域101またはアウトフィード領域103に沿って搬送される間、基板110の端縁部に対応する位置にある端縁制御孔のみが示されている。図示されていないが、浮動式テーブル105においては、基板110で覆われた領域以外の領域の側端縁に沿っても、同様の端縁制御孔が分散配置されている(例:基板110で覆われた領域以外の領域の側端縁に沿って、図示された端縁制御孔のパターンが繰り返されてもよい)。
図6に示す位置において、基板110は、浮動式テーブル105のインフィード領域101に位置してもよいし、浮動式テーブル105のアウトフィード領域103に位置してもよい。
図6に示す位置において、基板110は、任意選択で印刷領域102または他の処理領域に位置してもよい。言い換えれば、
図6に示す端縁制御孔は、インフィード領域101またはアウトフィード領域103、または任意選択で印刷領域102に位置してもよい。図示の簡略化のために、気体軸受を設けるために浮動式テーブル105に設けられた他の孔は示していない。例えば、
図1、3、4、5に示された孔と同様の気体軸受を設けるための孔が、概ね浮動式テーブル105の表面全体に分散配置されている。
【0086】
図6に示すように、本実施形態では、基板110の浮上高さの端縁制御を行うための端縁制御孔の列を、両側端縁(基板110で覆われていない領域を含む)に配置してもよい。基板110が
図6に示す位置にあり、インフィード領域101またはアウトフィード領域103(または任意選択で印刷領域102)のいずれかで搬送されている間、基板110は、左側の端縁制御孔601~605および右側の端縁制御孔606~610によって支持され、端縁制御されてもよい。簡略化のために、浮動式テーブル105のうち、基板110で覆われた領域に設けられた気体軸受を設けるための他の孔は図示されていない。しかし、
図1、3、4、5に示された孔と同様の気体軸受を設けるための孔が、概ね浮動式テーブル105の表面全体に分散配置されていることを、当業者であれば理解するであろう。ある実施形態では、端縁制御孔601~610に供給されるガスは、空気、窒素、他の不活性ガス、貴ガス、もしくはその他の適切なガスまたはそれらの組み合わせであってもよい。
【0087】
本開示の実施形態では、例えば
図6に示す実施形態のように、基板110が浮動式テーブル105よりも幅広に図示されており、基板110の端縁部111、112が浮動式テーブル105の側端縁からはみ出している。ある実施形態では、基板110は、浮動式テーブル105よりも幅狭であってもよい。この場合、基板110の端縁部が浮動式テーブル105の端縁からはみ出すことはない。このような配置では、浮動式テーブル105に設けられた孔のうち、基板110の端縁部付近に配置される特定の孔が、端縁制御孔として選択されてもよい。これにより、浮動式テーブルにおいて長手方向に延在する各セクション(すなわち、浮動式テーブルに沿った基板の進行方向に平行に延在する各セクション)におけるガスの流れを、基板の下方の空間の圧力がほぼ均一になるように制御することが可能である。例えば、これらの選択された孔を通って供給されるガスの圧力および/または流量を増大させることによって、端縁部における基板110の浮上高さを上昇させてもよい。これにより、中央部の浮上高さが最も低い凹状となるような基板110の浮上高さプロファイルを作り出すことができる。言い換えれば、浮動式テーブル105に設けられた任意の孔を端縁制御孔として選択してもよい。このような孔は、必ずしも浮動式テーブル105の端縁に位置していなくてもよい。例えば、基板の端縁部にガスを供給できるのであれば、いずれの位置にこのような孔を配置してもよい。このような孔に供給するガスの圧力および/または流量を増大させることにより、必要に応じて基板110の端縁部の浮上高さを変化させることが可能である。これにより、浮動式テーブルと基板との間の空間からのガスの逃げ経路を予測可能なものとすることができる。
【0088】
図7は、別の配置で端縁に端縁制御孔が設けられた浮動式テーブル105を簡略化して示す概略上面図である。
図7は、浮動式テーブル105と、浮動式テーブル105によって支持された基板110とを示す。
図6に示された実施形態と同様に、
図7では、簡略化のために、浮動式テーブル105に設けられた端縁制御孔(開口の場合もあればノズルの場合もある)のうち、基板110がインフィード領域101またはアウトフィード領域103(または任意選択で印刷領域102)に沿って搬送される間、基板110の端縁部に対応する位置で基板110に覆われた端縁制御孔のみが示されている。
図7に示すように、両側端縁において、端縁制御孔701~705を(直線的な列ではなく)互いにずらして配置してもよい。
図7に示すように、端縁制御孔701~705を線で結んだ場合に線がジグザグパターンを示してもよい。同様に、右側の端縁の端縁制御孔706~710も、ジグザグパターンを形成するように互いにずらして配置してもよい。
【0089】
図8は、別の配置で端縁に端縁制御孔が設けられた浮動式テーブル105を簡略化して示す概略上面図である。
図8は、浮動式テーブル105と、浮動式テーブル105によって支持された基板110とを示す。
図6および
図7と同様に、
図8では、簡略化のために、浮動式テーブル105に設けられた端縁制御孔(開口の場合もあればノズルの場合もある)のうち、基板110がインフィード領域101またはアウトフィード領域103に沿って搬送される間、基板110の位置で基板110に覆われた端縁領域に位置する端縁制御孔のみが示されている。
図8に示すように、両側端縁において、端縁制御用の端縁制御孔を2列設けてもよい。例えば、浮動式テーブル105の左側の端縁において、端縁制御孔811~815と孔821~825とを分散配置させてもよい。右側の端縁において、端縁制御孔831~835と孔841~845とを分散配置させてもよい。
図8の実施形態では両端縁に設けられた端縁制御用の端縁制御孔を2列示しているが、両端縁に端縁制御用の端縁制御孔を3列以上設けてもよいことは言うまでもない。
【0090】
多孔質材または焼結材の浮動式テーブルを用いる場合、浮動式テーブル内の個々の開口を通る流れを制御するのではなく、もともと存在する細孔(「孔」)を含むテーブル内のゾーン(例えば、端縁ゾーン)に供給されるガスを制御してもよいことは、当業者であれば当然理解するであろう。
【0091】
図9は、本開示に係る、基板を支持するための方法の例示的なステップを示すフローチャートである。方法900は、本明細書に開示のシステム100によって実行され得る。例えば、方法900は、システム100の種々の実施形態で開示された任意の制御部(例えば、制御部195)によって、システム100に含まれる他の構成要素との協働により実行されてもよい。他の構成要素としては、ガス供給マニホールド、ガス制御弁、システム100に含まれ得る任意の圧力センサおよび/または流量センサ等が挙げられるが、それらは上述の図には示されていない場合もある。
【0092】
方法900は、浮動式テーブルの表面の上方で基板を浮動させるのに十分な気体軸受を確立するように、浮動式テーブルの第1の複数の孔に第1の流量および第1の圧力でガスを流すことを含み得る(ステップ910)。例えば、
図3および
図4に示す実施形態では、孔122~124は、表面115の上方で基板110を浮動させるための気体軸受を表面115と基板110との間に設けるような第1のガスの流れを供給し得る。第1のガスは、第1の流量および第1の圧力を有し得る。制御部195は、第1のガス制御弁175を制御して、第1のガス供給マニホールド170に供給されるガスの圧力および/または流量を調節し得る。これにより、基板110を浮動させるために孔122~124から供給されるガスの圧力および/または流量を調節することができる。ガスの流れによって構成される気体軸受が、基板110を浮動式テーブル105の表面115の上方で浮動させるのに十分な力を与えるように、圧力および/または流量が制御部195によって調節され得る。基板110の浮上高さは、約30ミクロンから約500ミクロンの範囲であってもよく、例えば、基板110内の異なる部分において数百ミクロン台である。例えば、中央領域付近では100ミクロン、端縁領域付近では約250ミクロン以上であってもよい。
【0093】
図3に示す実施形態において、制御部195は、気体軸受を設けるための孔のうち、中央領域に位置する孔に供給されるガスを非中央領域に位置する他の孔とは独立して制御し、中央領域に位置する孔から供給される流れ(例:流量の圧力および/または流量)が非中央領域に位置する孔から供給される流れよりも小さくなるようにしてもよい。中央領域に位置する孔から供給される流れを減少させると、中央領域での圧力上昇が緩和される。したがって、上述したような端縁制御も合わせて実施すれば、浮動式テーブル105とは反対側に面する基板110の表面を凹状に維持することができる。例えば、制御部195は、任意選択の第3のガス制御弁176および任意選択の別個のガス供給マニホールド(
図3には図示せず)を介して(または第1のガス供給マニホールド170を介して)、中央領域に位置する孔に供給されるガスを独立して制御してもよい。
【0094】
図5に示す実施形態では、制御部195は、第1のガス制御弁175を制御して、第1のガス供給マニホールド170に供給されるガスの圧力および/または流量を調節してもよい。このガスは、浮動式テーブル105に設けられた孔202~204(ノズル202~204の形態)に供給される。上述したように、
図4、
図5には示されていないが、
図4、
図5に示す実施形態においても、中央領域に位置する孔を個別に独立して制御するための第3のガス制御弁176を任意選択で設けてもよい。この場合、中央領域の流れを個別に独立して減少させるという上述の説明は、
図5の実施形態にもあてはまる。
【0095】
方法900はさらに、第2の流量および第2の圧力で、浮動式テーブルの第2の複数の孔を通して基板に向かってガスを流すことを含み得る。第2の複数の孔は、浮動式テーブルのうち、この浮動式テーブルに沿った基板の進行方向に平行に延在する両側の端縁セクションに沿って設けられたものであってもよい。各端縁セクションは、第1の複数の孔を有するセクションの両側にある。第2の流量および第2の圧力のうちの少なくとも一方は、第1の流量および第1の圧力のうちの少なくとも一方よりも高い(ステップ920)。例えば、
図3から
図5の実施形態に示すように、端縁制御孔121、125は、基板110のうち、この基板110の搬送方向に平行に延在する両端縁領域に、第2のガス(気体軸受を設けるための第1のガスと同じあっても異なってもよい)の流れを供給し得る。
図9のステップ930では、第1の複数の孔への第1のガスの流れと、第2の複数の孔への第2のガスの流れとを独立して制御することができる。これにより、不安定な浮動を引き起こし得る望ましくないガスの滞留を防止することができる。例えば、基板の下方の空間にほぼ均一な圧力が生じるように、各流れを独立して制御してもよい。例示的な一実施形態では、上述したように、端縁制御孔から流れるガスの第2の圧力および/または流量のうちの一方または両方を、第1の孔からの圧力および/または流量よりも高くしてもよい。再び
図3から
図5の例示的な実施形態を参照すると、制御部195は、第2のガス制御弁190を制御して、孔121、125を通って供給されるガスの圧力および/または流量を調節してもよい。このガスの圧力および/または流量は、気体軸受を設けるために孔122~124を通って供給されるガスの流れの圧力および/または流量よりも高くなるように調節されてもよい。
【0096】
制御部195は、例えば、基板110の浮上高さが中央領域よりも端縁部でわずかに高くなるように基板110の端縁部の浮上高さが制御されるよう、孔121、125を通って供給されるガスの流れの圧力および/または流量を調節してもよい。これにより、気体軸受を設けるために供給されたガスを、比較的安定した方向または流路で、基板110と浮動式テーブル105の表面115との間の空間から逃がすことができる。その結果、ガスが上記空間から逃げる際、不規則で予測不能な経路を通ることがない。これにより、基板110の端縁が浮動式テーブル105上の他の物体に衝突する可能性が低減または排除され、基板の全体的な浮上高さ分布および表面プロファイルがより安定して均一になる。
【0097】
図10は、本開示に係る、基板を支持するための別の方法の例示的なステップを示すフローチャートである。方法1000は、本明細書に開示のシステム100によって実行され得る。例えば、方法1000は、システム100の種々の実施形態で開示された任意の制御部(例えば、制御部195)によって、システム100に含まれる他の構成要素との協働により実行されてもよい。他の構成要素としては、ガス供給マニホールド、ガス制御弁、システム100に含まれ得る任意の圧力センサおよび/または流量センサ等が挙げられるが、それらは上述の図には示されていない場合もある。
【0098】
方法1000は、浮動式テーブルによって構成された気体軸受を用いて、浮動式テーブルの上方で基板を支持することを含み得る(ステップ1010)。例えば、浮動式テーブル105は、表面115と基板110との間の空間にガスの流れを供給して、表面115の上方で基板110を支持するための気体軸受を構成してもよい。方法1000はさらに、基板を支持しながら、浮動式テーブルの第1の領域と浮動式テーブルの第2の領域との間で基板を搬送することを含み得る(ステップ1020)。例えば、気体軸受を用いて基板110を支持しながら、浮動式テーブル105(またはシステム100の別の構成要素)により、第1の領域(例:インフィード領域101またはアウトフィード領域103)と第2の領域(例:印刷領域102または他の処理領域)との間で基板110を搬送してもよい。方法1000はさらに、基板が第1の領域にある間、基板の両側端縁領域の下方に位置する浮動式テーブルからのガスの流れを制御することを含み得る。基板の両側端縁領域は、基板の搬送方向に平行な方向に延在する(ステップ1030)。例えば、基板110がインフィード領域101またはアウトフィード領域103に位置する間、本明細書に開示の任意の制御部は、
図3から
図8に関連して上述したように、基板110の両側端縁領域の下方に位置する浮動式テーブル105からのガスの流れと、他の孔から基板110内の他の領域に供給されるガスの流れとを独立して制御してもよい。両端縁領域とは、基板110の両側であって、かつ基板110の搬送方向に平行な方向に延在する領域であってもよい。基板の端縁領域の下方に位置する孔からのガスの流れを、基板の他の領域の下方に位置する孔からのガスの流れとは独立して制御して、基板の下方の空間におけるガスの圧力をほぼ均一にすることができる。これにより、ガスの逃げ経路を予測可能なものにすることができるとともに、不安定な浮動および基板の衝突や損傷を引き起こし得るガスの閉じ込めを回避することができる。
【0099】
方法1000はさらに、基板が第2の領域にある間、流体ばねを用いることによって、基板全体にわたって浮上高さをほぼ均一にするように浮動式テーブルからのガスの流れを制御することを含み得る(ステップ1040)。例えば、
図3から
図5に開示のいずれかの制御部、または同様の制御部により、基板110が印刷領域102にある間、基板110の全体にわたって浮上高さが厳格に制御されてほぼ均一になるように、浮動式テーブル105からのガスの流れを制御してもよい。例えば、ある実施形態では、制御部は、浮動式テーブル105の一部の孔には加圧ガスを供給し、浮動式テーブル105の一部の孔には基板110と表面115との間の空間からガスを吸引する真空力を与えるように、ガスの流れを制御してもよい。加圧と真空の併用により、加圧ガスおよび真空によって生じる流体ばねの有効剛性を高めることができる。有効剛性が高まることにより、より均一で厳格な浮上高さ制御が実現され得る。ある実施形態では、はみ出した端縁部111、112を設けて、基板110の中央部の重量と釣り合いを取ることができ、したがって基板110全体でより均一な浮上高さ分布が得られる。
【0100】
図11は、種々の例示的な実施形態に係る浮動式テーブルが、異なる向き(または幅)の基板を受ける様子を模式的に示す。いずれも、本開示に係る端縁制御孔および対応するガスの流れを設けることによって、望ましい圧力均一性と浮動安定性を実現している。浮動式テーブル105は、基板(110または110’)の搬送方向に略平行に延在する複数のゾーンを含む。図示のように、浮動式テーブル105は、中央ゾーン1101、端縁ゾーン1104、1105、および中央ゾーン1101と端縁ゾーン1104、1105との間に位置する非中央ゾーン1102、1103を含む。各ゾーンは、複数の孔(説明の便宜上、図示せず)を備えており、これらの孔は、本明細書の他の例示的な実施形態に関連して説明したように、アレイ状または他の配列で配置することができる。端縁ゾーンの孔へのガスの流れ、中央ゾーンの孔へのガスの流れ、および非中央ゾーンの孔へのガスの流れは独立して制御することができ、それによって、基板が浮動式テーブル105に沿って搬送される際に望ましい圧力均一性と浮動安定性を実現することができる。3つ以上の異なる孔ゾーン(少なくとも、第1の複数の孔を有する端縁ゾーン1104、1105、第2の複数の孔を有する非中央ゾーン1102、1103、および第3の複数の孔を有する中央ゾーン1101を含む)においてガスの流れを互いに独立して制御して、これらのゾーンの上方の流れを独立して制御することにより、浮動式テーブルは、種々の形態および向きの基板に対して望ましい基板浮動制御を実現することができる。
【0101】
非中央ゾーン1102、1103を構成する領域は同じ大きさである必要はなく、および/または、端縁ゾーン1104、1105を構成する領域は同じ大きさである必要はない。例えば、基板がテーブルの中央に対称的に置かれていない場合、基板上の位置に合わせるために区域分けが偏る場合がある。さらに、浮動式テーブルよりも幅狭である基板(例えば、基板110’)が搬送の際に偏って配置されている(例:中央に対していずれかの側に寄っている)場合に、端縁ゾーン1104、1105が操作される場合もある。ある適用例では、例えば、基板の一方の側辺が端縁ゾーン1104、1105のうちの1つに重なる場合もある。この場合、基板の全体幅の関係で、基板の反対側の端縁は非中央ゾーンのうちの1つの上方に位置し、反対側の端縁ゾーンまでは及ばない場合もある。
【0102】
例えば、
図11に示すように、基板の幅(浮動式テーブル105に沿った基板搬送に対して垂直方向の寸法)がゾーン1101~1105の全てにわたって延在するような向きに基板が配置されている場合、ゾーン1104、1105の孔を端縁制御孔として制御することができる。すなわち、上述したように、ゾーン1104、1105の孔からのガスの単位流量がゾーン1101、1102、1103の孔からのガスの単位流量よりも多くなるように制御することができる。ゾーン1102、1103は、1101の孔とほぼ同じ流量を有するように制御することができる。あるいは、ゾーン1102、1103は、中央ゾーン1101の単位流量と端縁ゾーン1104、1105の単位流量との間の単位流量を有するように制御してもよい。別の例示的な使用例では、基板が浮動式テーブルよりも幅狭となるような向きおよび寸法を有し、基板が端縁ゾーン1104、1105の孔よりも外側にはみ出さない場合もある(
図11の基板110’)。この場合、異なるそれぞれのゾーン(すなわち、中央ゾーン1101、非中央ゾーン1102、1103、および端縁ゾーン1104、1105)を以下のように制御することができる。すなわち、ゾーン1102、1103の孔については、端縁制御孔としてガスの流れを制御し(これらの孔は基板110’の端縁領域の下方に位置するため)、中央ゾーン1101の孔については、上述の他の実施形態で説明したようにガスの流れを制御することができる。端縁ゾーン1104、1105の孔が基板110’の下方に位置していない場合、例示的な一実施形態では、これらの孔を完全にオフにして、ガスの流れを生じさせないようにすることもできる。このように、少なくとも3つのガス流孔ゾーンを独立して制御可能とした場合、どの孔ゾーンを端縁制御孔として制御するかを柔軟に選択することができる。これにより、本開示に係る基板内の異なる領域に所望のガスの流れを向けることができる。
【0103】
図12は、空気圧システム1100の例示的な一実施形態を模式的に示す。このシステム1100は、浮動式テーブル105内の異なるゾーン(すなわち、ゾーン1104、1105、ゾーン1102、1103、およびゾーン1101)の孔にガスの流れを供給し、それらを独立して制御するための流体部品および制御部を備える。
図12に示すように、空気圧システム1100は、第1のガス供給サブシステム1110と、第2のガス供給サブシステム1120とを備える。
図12を参照すると、空気圧システムの例示的な一実施形態が示されている。第1のガス供給サブシステム1110は、端縁ゾーン1104、1105の孔にガスを供給し、第2のガス供給サブシステム1120は、中央ゾーン1101および非中央ゾーン1102、1103の孔にガスを供給する。また、空気圧システム1100は、システム1100に含まれる種々の構成要素を制御するための制御部1550を備える。制御部1550は、当技術分野で公知の任意の適切な制御部であってもよく、本明細書に開示の方法および処理に基づいてプログラミングまたは符号化されてもよい。
【0104】
第1のガス供給サブシステム1110は、高圧調整器1111または制御部1111と、低圧調整器1112または制御部1112とを備える。高圧調整器1111および低圧調整器1112の各々は、流れの圧力を制御し得るものであり、当業者にはよく知られている任意の適切な構成要素を備えてもよい。低圧調整器1112、高圧調整器1111、またはそれらの組み合わせを制御することにより、端縁ゾーン1104、1105に供給されるガスを適切な圧力にすることができる。
【0105】
第2のガス供給サブシステム1120は、圧力センサ1125、弁1130、および送風機1135を備える。圧力センサ1125は、ガス管内のガスの圧力を測定可能な任意の適切な圧力センサであってもよい。弁1130は、流体の流れを制御可能な任意の適切な弁(例えば、ガス流制御弁)であってもよい。ある実施形態では、弁1130は、ボール弁であってもよい。送風機1135は、ガスを吹き付けることが可能な任意の適切な送風機であってもよい。送風機1135は、モータおよびモータの速度を制御する可変周波数制御部1150等、種々の構成要素を備えてもよい。例示的な一実施形態では、送風機1135は、遠心ポンプであってもよい。
図12に示すように、第2のガス供給サブシステム1120は、ゾーン1101および非中央のゾーン1102、1103にガスを供給する。例示的な一実施形態では、中央ゾーン1101に供給されるガスはボール弁1130によって制御されるが、非中央ゾーン1102、1103に供給されるガスはボール弁1130によって制御されない。上述したように、中央ゾーン1101に供給されるガスの流れを、非中央ゾーン1102、1103よりも減少させてもよい。これにより、基板110の中央ゾーン1101の下方の空間における圧力上昇を緩和することができる。中央ゾーン1101に供給されるガスの流れの減少は、ボール弁1130の調節によって行ってもよい。
【0106】
浮動式テーブルによって支持されている基板の幅が端縁ゾーン1104、1105にまでは及んでいない場合(例えば、基板110’)、第1のガス供給サブシステムは、ゾーン1104、1105へのガスの供給を遮断(例えば、弁を用いて遮断、または流体供給源から遮断)することができる。第2のガス供給サブシステムは、基板110’の中央領域の下方に配置される中央ゾーン1101の孔よりも、非中央ゾーン1102、1103の孔(基板110’の端縁領域の下方に配置されるため、端縁制御孔となる)を通るガスの流れが多くなるように(圧力および/または流量を高くすることによって単位流量が多くなるように)、制御することができる。
【0107】
ある実施形態では、空気圧システム1100は、第1のガス供給サブシステム1110および第2のガス供給サブシステム1120と通信可能な制御部1550を備えてもよい。制御部1550は、第1のガス供給サブシステム1110および第2のガス供給サブシステム1120の種々の構成要素を制御して、異なるゾーン(1101、1102/1103、1104/1105)に供給されるガスの圧力および/または流量を調節してもよい。これにより、基板110を支持し、および/または基板110、110’の下方の空間におけるガスの圧力分布を調節することが可能である。
【0108】
ある実施形態では、本開示に係る空気圧システムは、基板の種々の部分の浮上高さを測定するために種々のセンサを備えてもよい。例えば、基板110の各部分の浮上高さを測定するために、1つ以上のレーザセンサ(例えば、レーザ三角測量センサ)を利用することができる。また、1つ以上のセンサを用いて、浮動式テーブルに対する基板の向きまたは寸法を求めることもできる。
【0109】
制御部1150は、第1のガス供給サブシステム1110および第2のガス供給サブシステム1120の1つ以上のセンサやその他の構成要素から信号を受信し、受信した信号に基づいて、第1のガス供給サブシステム1110および第2のガス供給サブシステム1120によるガス供給を制御することができる。例えば、基板が中央領域で過度に湾曲していることが測定された場合、制御部1150によって基板の幅を求め、基板の端縁領域に対応するゾーンの孔を通るガスの流れを調節することができる。これにより、所望の予測可能なガス経路の逃げルートを形成し、基板の浮上高さおよび表面プロファイルを安定かつ均一な状態に維持することができる。制御部1150は、任意の適切な制御方式を用いることができる。例えば、フィードバック制御、フィードフォワード制御、比例制御、ロバスト制御等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。制御部1150は、本明細書に開示された他の制御部と同様のものであってもよいし、本明細書に開示された他の制御部の一実施形態であってもよい。
【0110】
図12の空気圧システム1100は、本開示の例示的かつ非限定的なシステムである。当業者であれば、異なる孔ゾーンを選択的かつ独立的に制御することによって基板の下方の空間における浮動ガスの圧力を均一にし、かつ種々の大きさおよび向きの基板に対応できるように、他の種々の流体部品および制御システムが用いられ得ることを理解するであろう。
【0111】
種々の例示的な実施形態では、浮動式テーブルとは反対側に面する基板の表面に関して、わずかに凹状になっているものとして説明したが、一般的には、許容されるのはわずかなずれ(凹または凸)のみであり、基板はほぼ平坦な表面プロファイルを維持することが望ましいことを理解すべきである。基板の凹状の表面プロファイルを示す図は、説明の便宜上誇張されている。これにより、本開示の種々の態様に従って、ガスの流量および/または圧力が中央寄りの領域よりも端縁領域で高くなることを分かりやすく示している。さらに、基板内の異なる領域における所望の制御と基板表面プロファイルに基づき、ガス流ゾーンの数を任意に選択可能であることを、当業者であれば理解するであろう。
【0112】
本開示の種々の例示的な実施形態では、浮動式テーブルを通るガス流の使用について説明している。種々のガスが使用可能であり、各ゾーンにおけるガスは同じであっても異なっていてもよいことが当然理解されるであろう。さらに、各孔ゾーンの大きさ、レイアウト、および孔の密度は、本開示の範囲から逸脱することなく、同じであっても異なっていてもよい。さらに、浮動式テーブルにガス以外の流体を使用することも企図される。例えば、ある適用例では、浮動式テーブルの孔から液体を流すことが望ましい場合もある。
【0113】
本明細書に記載の例示的なシステムおよび方法は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として具現化されたコンピュータ読み取り可能なコード、または一時的な媒体を介して送信された通信信号を実行するプロセッサまたは制御部の制御下で実施することができる。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、プロセッサまたは制御部によって読み取り可能なデータを格納することができる任意のデータ記憶装置であってもよい。データ記憶装置は、揮発性媒体および不揮発性媒体、取り外し可能媒体および取り外し不能媒体、ならびに他の種々のネットワーク機器等を含み得る。
【0114】
コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例としては、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的に消去可能なPROM(EEPROM)、フラッシュメモリ等のメモリ技術、ホログラフィック媒体等の光ディスクストレージ、磁気テープおよび磁気ディスクを含む磁気ストレージ、ならびにソリッドステート記憶装置が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータ読み取り可能なコードが分散して格納され実行されるように、ネットワーク接続されたコンピュータシステム上に分散されてもよい。一時的な媒体を介して送信される通信信号は、例えば、有線または無線の伝送路を介して送信される変調信号を含み得る。
【0115】
本開示のデバイス、システム、および方法の実施形態を用いて製造されたデバイスとして、例えば、電子ディスプレイまたはディスプレイ部品、プリント回路基板、または他の電子部品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの部品は、例えば、携帯用電子デバイス、テレビ、コンピュータディスプレイ、またはディスプレイ技術を組み込んだ他の電子デバイスに使用することができる。
【0116】
本開示は、添付の特許請求の範囲に記載のシステムに限定されるものではなく、他のシステム、デバイス、および方法も本開示の範囲内であることが企図され、またそのようにみなされることが理解されるであろう。例えば、本開示ではさらに、基板が浮動式テーブルに沿って搬送される際に、基板を浮動式テーブルの上方で浮動させるのに十分な気体軸受を基板の表面の下方に確立するように浮動式テーブルの複数の孔にガスを流すことと、浮動式テーブルの第1のゾーン、第2のゾーン、および第3のゾーンの各々に配設された複数の孔に含まれる孔を通るガスの流れを独立して制御することとを含む、方法が企図される。第1、第2、および第3のゾーンは、浮動式テーブルに沿った基板の搬送方向に平行に延在する浮動式テーブル内の複数のセクションで画定されてもよい。第1のゾーンは、第2のゾーンを画定する2つのセクションの間に配設された浮動式テーブルの中央セクションで画定される。第1および第2のゾーンは、第3のゾーンを画定する2つのセクションの間に配設される。
【0117】
ガスの流れを独立して制御することは、基板が浮動している間にガスを選択的に流したり止めたりすることを含み得る。上記方法はさらに、第1、第2、および第3のゾーンのうち少なくとも2つのゾーンにおける孔の密度を異ならせるように実現してもよい。ガスの流れを独立して制御することは、基板の幅に基づいて各ゾーンにおけるガスの流れを独立して制御することを含み得る。基板の幅は、浮動式テーブルに沿った基板の搬送方向に垂直な方向で測定される。上記方法はさらに、基板内の異なる位置で基板の浮上高さを検知することを含み得る。ガスの流れを独立して制御することは、基板内の1つ以上の位置で浮上高さの所定のずれを検知した場合に、各ゾーンにおけるガスの流れを独立して制御することを含み得る。ガスの流れを独立して制御することは、基板が浮動している間、基板の表面に加わるガスの圧力がほぼ均一になるように、ガスの流れを独立して制御することを含み得る。ガスの流れを独立して制御することは、第1および第2のゾーンの孔からほぼ均一にガスを流すことを含み得る。第1、第2、および第3のゾーンの各々の孔に供給されるガスは、空気または不活性ガスから選択される同種のガスである。第1、第2、および第3のゾーンの各々の孔を通るガスの流れを独立して制御することは、第1、第2、および第3のゾーンの各々の孔を通るガスの圧力および流量のうちの少なくとも一方を独立して制御することを含み得る。
【0118】
本開示ではさらに、基板が浮動式テーブルに沿って搬送される際に、基板を浮動式テーブルの上方で浮動させるのに十分な気体軸受を基板の表面の下方に確立するように浮動式テーブルの複数の孔にガスを流すことを含む、方法が企図される。ガスを流すことは、浮動式テーブルの第1の複数の孔に第1の流量および第1の圧力で第1のガスを流すことと、浮動式テーブルの第2の複数の孔に第2の流量および第2の圧力で第2のガスを流すこととを含み得る。第2の複数の孔は、基板の両側端縁領域の下方に位置する。第1の複数の孔は、基板の両側端縁領域の間の領域の下方に位置する。第2の流量および第2の圧力のうちの少なくとも一方は、第1の流量および第1の圧力のうちの少なくとも一方よりも高い。
【0119】
上記方法の実現例としては、電子表示デバイスを製造するための基板の処理中に、基板の両側端縁領域が、浮動式テーブルに沿った基板の搬送方向に平行な方向に延在する態様であってもよい。第1の複数の孔に第1のガスを流すことは、浮動式テーブルに設けられた第1の複数のノズルに第1のガスを流すことを含み得る。第2の複数の孔に第2のガスを流すことは、浮動式テーブルに設けられた第2の複数のノズルに第2のガスを流すことを含み得る。一実現例では、浮動式テーブルは、浮動式テーブルに沿った基板の搬送方向に沿って順に配設されたインフィード領域、印刷領域、およびアウトフィード領域を有する。第1の複数の孔に第1のガスを流すこと、および第2の複数の孔に第2のガスを流すことは、インフィード領域およびアウトフィード領域のうちの少なくとも一方で行われる。上記方法はさらに、第2の複数の孔に第2のガスを流すことにより、基板の領域の下方に閉じ込められたガスを基板の側端縁で逃がすことを含み得る。第1の複数の孔に第1のガスを流し、第2の複数の孔に第2のガスを流すことは、不活性ガスを第1の複数の孔および第2の複数の孔に流すことを含み得る。第1のガスと第2のガスは、同じガスであっても異なるガスであってもよい。
【0120】
本開示ではさらに、浮動式テーブルによって構成された気体軸受を用いて浮動式テーブルの上方で基板を支持することと、基板を支持しながら、浮動式テーブルの第1の領域と浮動式テーブルの第2の領域との間で基板を搬送することと、基板が第1の領域にある間、基板の下方からほぼ均一にガスが逃げるように浮動式テーブル内の異なるゾーンにおけるガスの流れを制御することと、基板が第2の領域にある間、基板の浮上高さを制御するための流体ばねを構成するように浮動式テーブルからのガスの流れを制御することとを含む、基板の処理方法が企図される。
【0121】
上記方法はさらに、基板の両側端縁領域の下方に位置する浮動式テーブルのゾーンからのガスの流れを、基板の中央領域の下方に位置する浮動式テーブルのゾーンからのガスの流れとは異なるように調節することによって、ガスの流れを制御することを含み得る。基板の両側端縁領域は、浮動式テーブルの第1の領域と第2の領域との間で基板が搬送される際の搬送方向に平行に延在する。上記方法は、基板が第2の領域にある間、インクジェット印刷アセンブリから材料を堆積させることを含み得る。上記方法はさらに、気体軸受を用いて基板を支持する前に、基板を第1の領域に搬入することを含み得る。上記方法は、材料を堆積させた基板を第1の領域から搬出することを含み得る。材料を堆積させることは、有機発光材料を堆積させることを含み得る。基板が第2の領域にある間にガスの流れを制御することは、浮動式テーブルからの加圧ガスの流れと吸引ガスの流れとを組み合わせて用いることを含み得る。一実現例では、浮動式テーブルで用いられるガスは不活性ガスであり、例えば、窒素、貴ガス、またはそれらの組み合わせから選択されるものである。
【0122】
本明細書に開示の方法はさらに、例えば、基板上に材料をインクジェット印刷することによって、基板上に材料を堆積させることを含み得る。材料は、例えば、有機発光ダイオードディスプレイの層を形成するための材料等の有機材料であってもよい。
【0123】
本明細書に記載の例および実施形態は、非限定的であり、構造、寸法、材料、および方法について、本教示の範囲から逸脱することなく改変可能であることが理解されるであろう。本開示による他の実施形態は、本開示の発明の明細書および実施を考慮すれば当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は、例示にすぎず、均等物を含め、以下の特許請求の範囲全体が適用法の下で権利範囲に含まれるものである。
【国際調査報告】