(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】C-JUN-N末キナーゼのピラゾロピリジンインヒビターおよびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20220202BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20220202BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20220202BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220202BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220202BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220202BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20220202BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220202BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220202BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220202BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20220202BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
C07D471/04 106A
C07D471/04 CSP
A61K31/506
A61K31/55
A61P35/00
A61P29/00
A61P37/02
A61P9/00
A61P43/00 111
A61P11/00
A61P17/00
A61P13/08
A61P35/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533779
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(85)【翻訳文提出日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 US2019066201
(87)【国際公開番号】W WO2020123925
(87)【国際公開日】2020-06-18
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511071555
【氏名又は名称】ダナ-ファーバー キャンサー インスティテュート, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,ナサナエル,エス.
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ティンフー
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ヤン
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA03
4C065BB05
4C065CC01
4C065DD01
4C065EE02
4C065HH01
4C065HH02
4C065JJ03
4C065KK02
4C065KK06
4C065LL01
4C065PP03
4C065PP08
4C065PP09
4C065PP11
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
(57)【要約】
本明細書に提供されるのは、式(I)で表される化合物、ならびにそれらの薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体分子種、プロドラッグ、および組成物である。また提供されるのには、対象における疾患(例として、増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、および血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化)を処置および/または予防するための本発明の化合物または組成物を伴う方法ならびにキットもある。提供されるのは、対象におけるJNK(例として、JNK1、JNK2、またはJNK3)を阻害する方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
式中:
R
1は、任意置換アリールまたは任意置換ヘテロアリールである;
R
2、R
3、R
4、およびR
5は、各々独立して、水素、ハロゲン、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-NO
2、-CN、-SCN、-OR
D1、-N(R
D1)
2、または-SR
D1であり、ここでR
D1は、独立して、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、酸素原子へ付着されているとき酸素保護基、窒素原子へ付着されているとき窒素保護基、または硫黄原子へ付着されているとき硫黄保護基である;
nは、1、2、または3である;
mは、1、2、3、または4である;
L
1は、O、S、または-N(R
a)-であり、ここでR
aは、水素、任意置換アシル、任意置換C
1~6アルキル、または窒素保護基である;
L
2は、O、S、-N(R
L2a)-、-C=O-、-N(R
L2a)C(=O)-、または-C(=O)N(R
L2a)-であり、ここでR
L2aは、水素、任意置換アシル、任意置換C
1~6アルキル、または窒素保護基である;
V
1は、C(R
1a)Hである;
V
2は、C(R
1b)Hである;
V
3は、NまたはC(R
1c)である;
R
1aおよびR
1bは、独立して、水素、ハロゲン、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-CN、-OR
C1、-N(R
C1)
2、または-SR
C1であり、ここでR
C1は、独立して、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、窒素原子へ付着されているとき窒素保護基、酸素原子へ付着されているとき酸素保護基、または硫黄原子へ付着されているとき硫黄保護基であるか、あるいは、R
1aおよびR
1bは、一緒に結び合って任意置換架橋環を形成する;
R
1cは、水素、または置換もしくは非置換のC
1~6アルキルである;
pは、1、2、または3である;
D
1は、式(i-1)~(i-42):
【化2】
【化3】
【化4】
のいずれか1つで表されるウォーヘッドである;式中:
L
3は、結合または任意置換C
1~4炭化水素鎖であり、任意にここで炭化水素鎖の1以上の炭素単位は、独立して、-O-、-S-、-NR
L3a-、-NR
L3aC(=O)-、-C(=O)NR
L3a-、-SC(=O)-、-C(=O)S-、-OC(=O)-、-C(=O)O-、-NR
L3aC(=S)-、-C(=S)NR
L3a-、trans-CR
L3b=CR
L3b-、cis-CR
L3b=CR
L3b-、-C≡C-、-S(=O)-、-S(=O)O-、-OS(=O)-、-S(=O)NR
L3a-、-NR
L3aS(=O)-、-S(=O)
2-、-S(=O)
2O-、-OS(=O)
2-、-S(=O)
2NR
L3a-、または-NR
L3aS(=O)
2-に置き換えられており、ここでR
L3aは、水素、置換もしくは非置換のC
1~6アルキル、または窒素保護基であり、ならびにここでR
L3bの各出現は、独立して、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、および任意置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは、2個のR
L3b基は、結び合って任意置換炭素環式のまたは任意置換複素環式の環を形成する;
L
4は、結合または任意置換C
1~4炭化水素鎖である;
R
E1は、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-CN、-CH
2OR
E1a、-CH
2N(R
E1a)
2、-CH
2SR
E1a、-OR
E1a、-N(R
E1a)
2、-Si(R
E1a)
3、および-SR
E1aからなる群から選択され、ここでR
E1aの各出現は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、および任意置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは、2個のR
E1a基は、結び合って任意置換複素環式の環を形成する;
R
E2は、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-CN、-CH
2OR
E2a、-CH
2N(R
E2a)
2、-CH
2SR
E2a、-OR
E2a、-N(R
E2a)
2、および-SR
E2aからなる群から選択され、ここでR
E2aの各出現は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、および任意置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは、2個のR
E2a基は、結び合って任意置換複素環式の環を形成する;
R
E3は、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-CN、-CH
2OR
E3a、-CH
2N(R
E3a)
2、-CH
2SR
E3a、-OR
E3a、-N(R
E3a)
2、および-SR
E3aからなる群から選択され、ここでR
E3aの各出現は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルコキシ、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、および任意置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは2個のR
E3a基は、結び合って任意置換複素環式の環を形成する;
あるいは、R
E1およびR
E3、またはR
E2およびR
E3、またはR
E1およびR
E2は、結び合って任意置換炭素環式のまたは任意置換複素環式の環を形成する;
R
E4は、脱離基である;
R
E5は、ハロゲンである;
Yは、O、S、またはNR
E6であり、ここでR
E6は、水素、置換もしくは非置換のC
1~6アルキル、または窒素保護基である;
aは、1または2である;ならびに
zの各場合は、独立して、0、1、2、3、4、5、または6である、
で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項2】
L
1が、-N(Ra)-である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項3】
L
1が、-NH-である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項4】
V
3が、-N-である、請求項1、2もしくは3に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項5】
式(II):
【化5】
式中:
pは、1、2、または3である、
で表される請求項4に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項6】
p=1である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項7】
p=2である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項8】
p=3である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項9】
式(III):
【化6】
で表される請求項4に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項10】
L
2が、-(C=O)-である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項11】
L
2が、-(C=O)N(R
L2a)-である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項12】
V
3が、C(R
1c)である、請求項3に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項13】
R
1cが、Hである、請求項12に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項14】
V
1が、C(R
1a)(H)である、請求項13に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項15】
R
1aが、Hである、請求項14に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項16】
V
2が、-C(R
1b)(H)-である、請求項12~15に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項17】
R
1bが、Hである、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項18】
L
2が、N(R
L2a)である、請求項12~17のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項19】
L
2が、-NH-である、請求項18に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項20】
式(IV):
【化7】
で表される請求項19に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項21】
R
2が、アリールである、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項22】
R
2が、フェニルである、請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項23】
R
2が、非置換フェニルである、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項24】
R
1が、Hである、請求項1~23のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項25】
R
3が、Hである、請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項26】
R
4が、Hである、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項27】
D
1が、以下:
【化8】
から選択される、請求項1~26のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
化合物が、式:
【化9】
【化10】
【化11】
で表される、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項29】
請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体と、任意に、薬学的に許容し得る賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項30】
疾患の処置を、これを必要とする対象においてする方法であって、方法が、治療的に有効な量の、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体、あるいは請求項29に記載の医薬組成物を対象へ投与することを含む、前記方法。
【請求項31】
増殖性疾患を処置する方法であって、これを必要とする対象へ、有効量の、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的許容し得る塩、または請求項29に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項32】
炎症性疾患を処置する方法であって、これを必要とする対象へ、有効量の、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的許容し得る塩、または請求項29に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項33】
自己免疫疾患を処置する方法であって、これを必要とする対象へ、有効量の、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的許容し得る塩、または請求項29に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項34】
心血管疾患を処置する方法であって、これを必要とする対象へ、有効量の、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的許容し得る塩、または請求項29に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項35】
有効量が、治療的に有効な量である、請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
有効量が、予防的に有効な量である、請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
化合物が、JNKインヒビターである、請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
化合物は、選択的JNKインヒビターである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
化合物が、JNK1、JNK2、および/またはJNK3を選択的に阻害する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
化合物が、JNK2を選択的に阻害する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
化合物が、JNK1よりJNK2を選択的に阻害する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
化合物が、JNK3よりJNK2を選択的に阻害する、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
増殖性疾患が、がんである、請求項31に記載の方法。
【請求項44】
がんが、肺がんである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
がんが、癌である、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
がんは、膠芽腫である、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
がんが、皮膚がんである、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
がんが、前立腺がんである、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
がんが、扁平上皮細胞癌である、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
がんは、白血病である、請求項43に記載の方法。
【請求項51】
JNK媒介性の疾病を処置する方法であって、方法が、これを必要とする対象へ、有効量の、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体、あるいは請求項29に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項52】
生体試料中のc-Jun N末キナーゼ(JNK)の活性を阻害する方法であって、方法が、治療的に有効な量の、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体、あるいは請求項29に記載の医薬組成物を対象へ投与すること、あるいはこれと生体試料とを接触させることを含む、前記方法。
【請求項53】
対象におけるc-Jun N末キナーゼ(JNK)の活性を阻害する方法であって、方法が、治療的に有効な量の、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体、あるいは請求項29に記載の医薬組成物を対象へ投与すること、あるいはこれと生体試料とを接触させることを含む、前記方法。
【請求項54】
疾患の処置を、これを必要とする対象においてすることにおける使用のための、式(I)で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項55】
疾患の処置を、これを必要とする対象においてするための医薬の製造における使用のための、式(I)で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項56】
疾患が、増殖性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、または心血管疾患である、請求項54または55に記載の使用。
【請求項57】
対象、生体試料、組織、または細胞におけるキナーゼの活性を選択的に阻害することにおける使用のための、式(I)で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
【請求項58】
キナーゼが、JNK2を選択的に阻害する、請求項57に記載の使用。
【請求項59】
請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体、あるいは請求項29に記載の医薬組成物;および
前記化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体、あるいは医薬組成物を対象へ投与するための、あるいはこれと生体試料とを接触させるための指示
を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、35 U.S.C.§119(e)の下、2018年12月14日出願の米国仮出願第62/780,066号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に対して優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
哺乳動物の細胞中、MAPK(マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ)、哺乳動物細胞中のMAPK(マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ)シグナリング系は、少なくとも、MAP4K、MAP3K、MAP2K、およびMAPK(各経路:ERK1、ERK2、JNK1、JNK2、JNK3、p38アルファ/ベータ、およびERK5における「末端の」MAPKキナーゼにちなんで命名された)のコアによって定義される4種の別個のシグナリングモジュールから構成される(Chang et al.,2001;Johnson et al.,2002;Pearson et al.,2001;およびRaman et al.,2007)。JNK(c-Jun N末キナーゼ)は、細胞が、サイトカイン、浸透圧ストレス、低酸素症、およびUV光などのストレス条件へ晒された後、高度に活性化されるようになり、成長因子またはマイトジェンへの曝露によってはほとんど活性化されない(Derijard et al.,1994;およびPulverer et al.,1991)。3種の別個の遺伝子JNK1、JNK2、およびJNK3は選択的スプライシングされて、主要なアイソフォーム:遍在的に発現されるJNK1およびJNK2、ならびに主に神経系に発現されるJNK3をもつ、およそ10種の異なるタンパク質が生産される(Derijard et al.,1994;Kallunki et al.,1994;Sluss et al.,1994;およびMohit et al.,1995)。JNKは、MAP2K:MKK4およびMKK7による活性化Tループ残基Thr183/Tyr185でのリン酸化によって活性化され、MKP1およびMKP5を包含するMAPキナーゼホスファターゼによって不活化される。JNK経路を通るシグナリングは、JNKによってリン酸化されるc-Jun、ATF2、およびElk1などの転写因子に加えてMAP3K、MAP2K、およびMAPKを含有するシグナリング複合体を集めるJIPなどの「足場」タンパク質への結合を通して体系化される。JNKが炎症のシグナリングネットワークにおける中心点(central node)を含むところ、JNKシグナリングの高活性化が、細胞増殖性疾患(例として、がん)、炎症性疾患、自己免疫疾患、心血管疾患、および神経変性疾患を包含する数多の病状における極めて一般的な知見であることは驚くべきものではない。JNKシグナリングのインヒビターが有望な治療ストラテジーを提供する可能性があることを示唆する、著しい数(significant body)の遺伝学的および薬理学的な証拠が得られている。JNK3ノックアウトマウスは、パーキンソン病およびアルツハイマー病の動物モデルにおいて神経変性の回復を呈する(Kyriakis et al.,2001;Zhang et al.,2005;およびHunot et al.,2004)。JNK1は、インスリンシグナリングを下方調節するインスリン検知経路における鍵分子であるIRS-1をリン酸化し、JNK1ノックアウトマウスは食餌性肥満に耐性がある(Aguirre et al.,2000および2002;Hirosumi et al.,2002;およびSabio et al.,2010)。JNK2は、しばしばJNK1と協調し、リウマチ性関節炎(Han et al.,2002)および喘息(Wong,W.S.,2005;Pelaia et al.,2005;Blease et al.,2003;Chialda et al.,2005)などの自己免疫障害の病的状態に関与している;近年の研究は、JNK2が心血管疾患およびアテローム性動脈硬化にも役割を果たし得ることを示唆する(Osto et al.,2008)。
【0003】
同様に位置付けられたシステイン残基をもつ高度に相同なキナーゼ間の選択性の獲得能は、同様の問題が存在する多数の他のキナーゼにとっても重要な前例を定めるであろうし、JNKシグナリングを阻害する新しい化合物、具体的にはJNK2を選択的に阻害する化合物へのニーズもある。よって、本発明は、化合物の、JNK2にユニークな立体配座の認識能に基づき、JNK1およびJNK3に保存された残基Cys116を標的にするJNK2の共有結合のインヒビターに向けられる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の概要
本発明は、式(I)で表される化合物、ならびにそれらの薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体分子種、プロドラッグ、および組成物を提供する。本発明はさらに、JNKおよびJNKシグナリングの阻害、ならびにJNK活性に関連する疾患の予防および処置のための治療法を研究するための、本発明の化合物、ならびにそれらの薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体分子種、プロドラッグ、および組成物を使用する方法を提供する。ある態様において、本発明の化合物は、対象、生体試料、組織、または細胞における増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、および心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))の予防ならびに処置のために使用される。
【0005】
一側面において、本開示は、式(I):
【化1】
で表される化合物、ならびにそれらの薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体分子種、およびプロドラッグを提供し、式中:
R
1は、任意置換アリールまたは任意置換ヘテロアリールである;
R
2、R
3、R
4、およびR
5は、各々独立して、水素、ハロゲン、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-NO
2、-CN、-SCN、-OR
D1、-N(R
D1a)
2、または-SR
D1であり、ここでR
D1は、独立して、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、酸素原子へ付着されているとき酸素保護基、窒素原子へ付着されているとき窒素保護基、または硫黄原子へ付着されているとき硫黄保護基である;
nは、1、2、または3である;
mは、1、2、3、または4である;
L
1は、O、S、または-N(R
a)-であり、ここでR
aは、水素、任意置換アシル、任意置換C
1~6アルキル、または窒素保護基である;
L
2は、O、S、-NR
L2a-、-C=O-、-NR
L2aC(=O)-、または-C(=O)NR
L2a-であり、ここでR
L2aは、水素、任意置換アシル、任意置換C
1~6アルキル、または窒素保護基である;
V
1は、C(R
1a)Hである;
V
2は、C(R
1b)Hである;
V
3は、NまたはC(R
1c)である;
R
1aおよびR
1bは、独立して、水素、ハロゲン、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-CN、-OR
C1、-N(R
C1)
2、または-SR
C1であるか(ここでR
C1は、独立して、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、窒素原子へ付着されているとき窒素保護基、酸素原子へ付着されているとき酸素保護基、硫黄原子へ付着されているとき硫黄保護基である)、あるいはR
1aおよびR
1bは、一緒に結び合って、任意置換架橋環を形成する;
R
1cは、水素、または置換もしくは非置換のC
1~6アルキルである;
pは、1、2、または3である;
D
1は、式(i-1)~(i-42):
【化2】
【化3】
のいずれか1つで表されるウォーヘッド(warhead)であり、式中:
L
3は、結合または任意置換C
1~4炭化水素鎖であり、任意にここで炭化水素鎖の1以上の炭素単位は、独立して、-O-、-S-、-NR
L3a-、-NR
L3aC(=O)-、-C(=O)NR
L3a-、-SC(=O)-、-C(=O)S-、-OC(=O)-、-C(=O)O-、-NR
L3aC(=S)-、-C(=S)NR
L3a-、trans-CR
L3b=CR
L3b-、cis-CR
L3b=CR
L3b-、-C≡C-、-S(=O)-、-S(=O)O-、-OS(=O)-、-S(=O)NR
L3a-、-NR
L3aS(=O)-、-S(=O)
2-、-S(=O)
2O-、-OS(=O)
2-、-S(=O)
2NR
L3a-、または-NR
L3aS(=O)
2-に置き換えられており、ここでR
L3aは、水素、置換もしくは非置換のC
1~6アルキル、または窒素保護基であり、ならびにここでR
L3bの各出現は、独立して、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、および任意置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは2個のR
L3b基は、結び合って任意置換炭素環式のまたは任意置換複素環式の環を形成する;
L
4は、結合または任意置換C
1~4炭化水素鎖である;
R
E1は、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-CN、-CH
2OR
E1a、-CH
2N(R
E1a)
2、-CH
2SR
E1a、-OR
E1a、-N(R
E1a)
2、-Si(R
E1a)
3、および-SR
E1aからなる群から選択され、ここでR
E1aの各出現は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、および任意置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは2個のR
E1a基は、結び合って任意置換複素環式の環を形成する;
R
E2は、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-CN、-CH
2OR
E2a、-CH
2N(R
E2a)
2、-CH
2SR
E2a、-OR
E2a、-N(R
E2a)
2、および-SR
E2aからなる群から選択され、ここでR
E2aの各出現は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、および任意置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは2個のR
E2a基は、結び合って任意置換複素環式の環を形成する;
R
E3は、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-CN、-CH
2OR
E3a、-CH
2N(R
E3a)
2、-CH
2SR
E3a、-OR
E3a、-N(R
E3a)
2、および-SR
E3aからなる群から選択され、ここでR
E3aの各出現は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルコキシ、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、および任意置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは2個のR
E3a基は、結び合って任意置換複素環式の環を形成する;
あるいは、R
E1およびR
E3、またはR
E2およびR
E3、またはR
E1およびR
E2は、結び合って任意置換炭素環式のまたは任意置換複素環式の環を形成する;
R
E4は、脱離基である;
R
E5は、ハロゲンである;
Yは、O、S、またはNR
E6であり、ここでR
E6は、水素、置換もしくは非置換のC
1~6アルキル、または窒素保護基である;
aは、1または2である;ならびに
zの各場合は、独立して、0、1、2、3、4、5、または6である。
【0006】
式(I)で表される例示の化合物は、これらに限定されないが:
【化4】
ならびにそれらの薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体分子種、およびプロドラッグを包含する。
【0007】
別の側面において、本発明は、対象、生体試料、組織、または細胞における疾患の処置のための方法および組成物を提供する。本発明の方法によって処置されている疾患は、JNK関連疾患を包含する。例示の疾患は、これらに限定されないが、増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患、自己免疫疾患(例として、リウマチ性関節炎)、ならびに心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化)を包含する。本発明の方法は、治療的に有効な量の式(I)で表される化合物を、疾患の処置を必要とする対象へ投与することを包含する。式(I)で表される化合物は、例として、I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-9、I-10、I-11、I-12、I-13、I-14、I-15、I-16、I-17、I-18、I-19、I-20、I-21、I-22、I-23、I-24、I-25、I-26、I-27、I-28、I-29、もしくはI-30、あるいはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体分子種、またはプロドラッグであってもよい。
【0008】
別の側面において、本開示は、本明細書に記載の化合物、および任意に、薬学的に許容し得る賦形剤を包含する医薬組成物を提供する。ある態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、治療的または予防的有効量の本明細書に記載の化合物を包含する。医薬組成物は、疾患(例として、増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、ならびに心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))の処置および/または予防を、これを必要とする対象においてするのに有用であってもよい。医薬組成物は、対象、生体試料、組織、または細胞におけるJNK(例として、JNK2)の活性を阻害するのに有用であってもよい。
【0009】
別の側面において、本開示は、本明細書に記載の化合物、および任意に、薬学的に許容し得る賦形剤を包含する医薬組成物を提供する。ある態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、治療的または予防的有効量の本明細書に記載の化合物を包含する。医薬組成物は、疾患(例として、増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、および心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))の処置を、これを必要とする対象においてするのに、あるいは生体試料、組織、または細胞におけるJNK(例として、JNK2)の活性を阻害するのに、有用であってもよい。
【0010】
別の側面において、本明細書に記載されるのは、対象、生体試料、組織、または細胞における疾患(例として、増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、ならびに心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))を処置および/または予防するための方法である。処置されてもよい例示の増殖性疾患は、JNKの過剰発現または増大した活性に関連する疾患(例として、がんまたは良性新生物)を包含する。
【0011】
別の側面は、生体試料(例として、細胞、または組織)において本明細書に記載の化合物を使用しキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を阻害する方法に関する。別の側面において、本明細書に記載されるのは、対象において本明細書に記載の化合物を使用しキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を阻害する方法である。別の側面は、生体試料(例として、細胞、または組織)において本明細書に記載の化合物を使用しキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を選択的に阻害する方法に関する。別の側面において、本明細書に記載されるのは、対象において本明細書に記載の化合物を使用しキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を選択的に阻害する方法である。
【0012】
別の側面において、本開示は、対象における疾患(例として、増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、ならびに心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))の処置における使用のための、式(I)で表される化合物、ならびにそれらの薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体分子種、プロドラッグ、および組成物を提供する。
【0013】
別の側面において、本開示は、対象、生体試料、組織、または細胞におけるキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を選択的に阻害することにおける使用のための、式(I)で表される化合物、ならびにそれらの薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体分子種、プロドラッグ、および組成物を提供する。
【0014】
本開示の別の側面は、本明細書に記載のとおりの化合物またはその医薬組成物とともに容器を含むキットに関する。本明細書に記載のキットは、化合物もしくは医薬組成物の単回用量または複数回用量を包含していてもよい。キットは、本開示の方法において有用であってもよい。ある態様において、キットはさらに、化合物または医薬組成物を使用するための指示を包含する。本明細書に記載のキットはまた、必要に応じ、米国食品医薬品局(FDA)などの規制当局による情報(例として処方情報)をも包含していてもよい。
【0015】
本発明の1以上の態様の詳細は本明細書に明記されている。本発明の他の特色、目的、および利点は、詳細な記載、例、図、およびクレームから明らかであろう。
【0016】
定義
特定の官能基および化学用語の定義は、より詳細に下に記載される。化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.内表紙の元素周期表CAS版に従って同定され、特定の官能基はそこに記載のとおり、一般に定義される。加えて、有機化学の一般法則、ならびに特定の官能部分および反応性は、Thomas Sorrell,Organic Chemistry,University Science Books,Sausalito,1999; Michael B.Smith,March's Advanced Organic Chemistry,7th Edition,John Wiley & Sons,Inc.,New York,2013; Richard C.Larock,Comprehensive Organic Transformations,John Wiley & Sons, Inc.,New York,2018;およびCarruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載されている。
【0017】
本明細書に記載の化合物は、1以上の不斉中心を含み得、よって様々な立体異性体の形態、例として鏡像異性体および/またはジアステレオマーで存在し得る。例えば、本明細書に記載の化合物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマー、または幾何異性体の形態であり得るか、または立体異性体の混合物(ラセミ混合物、および1以上の立体異性体が富化された混合物を包含する)の形態であり得る。異性体は、当業者に知られている方法(キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、およびキラル塩の形成および結晶化を包含する)によって混合物から単離され得る;または好ましい異性体は、不斉合成によって調製され得る。例えば、Jacques et al.,Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley Interscience, New York, 1981); Wilen et al.,Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,E.L.Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962);およびWilen,S.H.,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照。本発明は加えて、他の異性体が実質的にない個々の異性体としても、代わりに様々な異性体の混合物としても、化合物を網羅する。
【0018】
式中、結合
【化5】
は、単結合であり、破線
【化6】
は、単結合であるかまたは存在せず、結合
【化7】
は、単結合または二重結合である。
【0019】
用語「同位体分子種」は、それらの同位体組成のみが異なる化合物を指す。別様に述べられない限り、本明細書に描かれる構造はまた、同位体が濃縮された(enriched)1以上の原子の存在下でのみ異なる化合物を包含することも意図される。例えば、水素の重水素もしくはトリチウムによる置き換え、19Fの18Fでの置き換え、または12Cの13Cもしくは14Cでの置き換えを除く、本構造を有する化合物は、本開示の範囲内にある。かかる化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールまたはプローブとして有用である。
【0020】
値の範囲(「範囲」)が列挙されているとき、範囲内の各値および部分範囲を網羅することを意図する。範囲は、別様に提供されない限り、範囲の両端(two ends)での値を包含する。例えば「C1~6アルキル」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1~6、C1~5、C1~4、C1~3、C1~2、C2~6、C2~5、C2~4、C2~3、C3~6、C3~5、C3~4、C4~6、C4~5、およびC5~6のアルキルを網羅することを意図する。
【0021】
用語「脂肪族」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、および炭素環の基を指す。同じく、用語「ヘテロ脂肪族」は、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、および複素環式の基を指す。
【0022】
用語「アルキル」は、1個から20個までの炭素原子を有する、直鎖または分枝の飽和炭化水素基のラジカルを指す(「C1~20アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は、1~12個の炭素原子を有する(「C1~12アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は、1~10個の炭素原子を有する(「C1~10アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は、1~9個の炭素原子を有する(「C1~9アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は、1~8個の炭素原子を有する(「C1~8アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は、1~7個の炭素原子を有する(「C1~7アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は、1~6個の炭素原子を有する(「C1~6アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は、1~5個の炭素原子を有する(「C1~5アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は、1~4個の炭素原子を有する(「C1~4アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は、1~3個の炭素原子を有する(「C1~3アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は、1~2個の炭素原子を有する(「C1~2アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は、1個の炭素原子を有する(「C1アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C2~6アルキル」)。C1~6アルキル基の例は、メチル(C1)、エチル(C2)、プロピル(C3)(例として、n-プロピル、イソプロピル)、ブチル(C4)(例として、n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチル)、ペンチル(C5)(例として、n-ペンチル、3-ペンタニル、アミル、ネオペンチル、3-メチル-2-ブタニル、tert-アミル)、およびヘキシル(C6)(例として、n-ヘキシル)を包含する。アルキル基の追加の例は、n-へプチル(C7)、n-オクチル(C8)、n-ドデシル(C12)等を包含する。別様に特定されない限り、アルキル基の各場合は、独立して、非置換であるか(「非置換アルキル」)、または1以上の置換基(例として、Fなどのハロゲン)で置換されている(「置換アルキル」)。ある態様において、アルキル基は、非置換C1~12アルキル(非置換C1~6アルキル、例として、-CH3(Me)、非置換エチル(Et)、非置換プロピル(Pr、例として、非置換n-プロピル(n-Pr)、非置換イソプロピル(i-Pr))、非置換ブチル(Bu、例として、非置換n-ブチル(n-Bu)、非置換tert-ブチル(tert-Buまたはt-Bu)、非置換sec-ブチル(sec-Buまたはs-Bu)、非置換イソブチル(i-Bu)など)である。ある態様において、アルキル基は、置換C1~12アルキル(置換C1~6アルキル、例として、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2CH2F、-CH2CHF2、-CH2CF3、またはベンジル(Bn)など)である。
【0023】
用語「ヘテロアルキル」は、親鎖内にある(例として、親鎖の、隣接する炭素原子間に挿入されている)かおよび/または親鎖の1以上の末端位(単数もしくは複数)に置かれている、酸素、窒素、または硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子(例として、1、2、3、または4個のヘテロ原子)をさらに包含するアルキル基を指す。ある態様において、ヘテロアルキル基は、1個から20個までの炭素原子と1個以上のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~20アルキル」)。ある態様において、ヘテロアルキル基は、1個から12個までの炭素原子と1個以上のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~12アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~11個の炭素原子と1個以上のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~11アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~10個の炭素原子と1個以上のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~10アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~9個の炭素原子と1個以上のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~9アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~8個の炭素原子と1個以上のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~8アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~7個の炭素原子と1個以上のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~7アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~6個の炭素原子と1個以上のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~6アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~5個の炭素原子と1個または2個のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~5アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~4個の炭素原子と1個または2個のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~4アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~3個の炭素原子と1個のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~3アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~2個の炭素原子と1個のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~2アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1個の炭素原子と1個のヘテロ原子とを有する飽和基を指す(「ヘテロC1アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、2~6個の炭素原子と1個または2個のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC2~6アルキル」)。別様に特定されない限り、ヘテロアルキル基の各場合は、独立して、非置換であるか(「非置換ヘテロアルキル」)、または1以上の置換基で置換されている(「置換ヘテロアルキル」)。ある態様において、ヘテロアルキル基は、非置換ヘテロC1~12アルキルである。ある態様において、ヘテロアルキル基は、置換ヘテロC1~12アルキルである。
【0024】
用語「ヘテロアルキル」は、親鎖内にある(例として、親鎖の、隣接する炭素原子間に挿入されている)かおよび/または親鎖の1以上の末端位(単数もしくは複数)に置かれている、酸素、窒素、または硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子(例として、1、2、3、または4個のヘテロ原子)をさらに包含するアルキル基を指す。ある態様において、ヘテロアルキル基は、1個から10個までの炭素原子と1個以上のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~10アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~9個の炭素原子と1個以上のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~9アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~8個の炭素原子と1個以上のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~8アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~7個の炭素原子と1個以上のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~7アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~6個の炭素原子と1個以上のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~6アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~5個の炭素原子と1個または2個のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~5アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~4個の炭素原子と1個または2個のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~4アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~3個の炭素原子と1個のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~3アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1~2個の炭素原子と1個のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC1~2アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、1個の炭素原子と1個のヘテロ原子とを有する飽和基を指す(「ヘテロC1アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は、2~6個の炭素原子と1個または2個のヘテロ原子とを親鎖内に有する飽和基を指す(「ヘテロC2~6アルキル」)。別様に特定されない限り、ヘテロアルキル基の各場合は、独立して、非置換であるか(「非置換ヘテロアルキル」)、または1以上の置換基で置換されている(「置換ヘテロアルキル」)。ある態様において、ヘテロアルキル基は、非置換ヘテロC1~10アルキルである。ある態様において、ヘテロアルキル基は、置換ヘテロC1~10アルキルである。
【0025】
用語「アルケニル」は、2個から10個までの炭素原子と1個以上の炭素-炭素二重結合(例として、1、2、3、または4個の二重結合)とを有する、直鎖または分枝の炭化水素基のラジカルを指す。いくつかの態様において、アルケニル基は、2~9個の炭素原子を有する(「C
2~9アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、2~8個の炭素原子を有する(「C
2~8アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、2~7個の炭素原子を有する(「C
2~7アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C
2~6アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、2~5個の炭素原子を有する(「C
2~5アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、2~4個の炭素原子を有する(「C
2~4アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、2~3個の炭素原子を有する(「C
2~3アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、2個の炭素原子を有する(「C
2アルケニル」)。1個以上の炭素-炭素二重結合は、(2-ブテニルなどにおいて見られるように)内側にあるか、または(1-ブテニルなどにおいて見られるように)末端にあり得る。C
2~4アルケニル基の例は、エテニル(C
2)、1-プロペニル(C
3)、2-プロペニル(C
3)、1-ブテニル(C
4)、2-ブテニル(C
4)、ブタジエニル(C
4)等を包含する。C
2~6アルケニル基の例は、先述のC
2~4アルケニル基、ならびにペンテニル(C
5)、ペンタジエニル(C
5)、ヘキセニル(C
6)等を包含する。アルケニルの追加の例は、ヘプテニル(C
7)、オクテニル(C
8)、オクタトリエニル(C
8)等を包含する。別様に特定されない限り、アルケニル基の各場合は、独立して、非置換であるか(「非置換アルケニル」)、または1以上の置換基で置換されている(「置換アルケニル」)。ある態様において、アルケニル基は、非置換C
2~10アルケニルである。ある態様において、アルケニル基は、置換C
2~10アルケニルである。アルケニル基において、立体化学が特定されていないC=C二重結合(例として、-CH=CHCH
3または
【化8】
は、(E)-二重結合であっても、または(Z)-二重結合であってもよい。
【0026】
用語「アルケニル」は、1個から20個までの炭素原子と1個以上の炭素-炭素二重結合(例として、1、2、3、または4個の二重結合)とを有する、直鎖または分枝の炭化水素基のラジカルを指す。いくつかの態様において、アルケニル基は、1~20個の炭素原子を有する(「C
1~20アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、1~12個の炭素原子を有する(「C
1~12アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、1~11個の炭素原子を有する(「C
1~11アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、1~10個の炭素原子を有する(「C
1~10アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、1~9個の炭素原子を有する(「C
1~9アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、1~8個の炭素原子を有する(「C
1~8アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、1~7個の炭素原子を有する(「C
1~7アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、1~6個の炭素原子を有する(「C
1~6アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、1~5個の炭素原子を有する(「C
1~5アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、1~4個の炭素原子を有する(「C
1~4アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、1~3個の炭素原子を有する(「C
1~3アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、1~2個の炭素原子を有する(「C
1~2アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は、1個の炭素原子を有する(「C
1アルケニル」)。1個以上の炭素-炭素二重結合は、(2-ブテニルなどにおいて見られるように)内側にあるか、または(1-ブテニルなどにおいて見られるように)末端にあり得る。C
1~4アルケニル基の例は、メチリデニル(C
1)、エテニル(C
2)、1-プロペニル(C
3)、2-プロペニル(C
3)、1-ブテニル(C
4)、2-ブテニル(C
4)、ブタジエニル(C
4)等を包含する。C
1~6アルケニル基の例は、先述のC
2~4アルケニル基、ならびにペンテニル(C
5)、ペンタジエニル(C
5)、ヘキセニル(C
6)等を包含する。アルケニルの追加の例は、ヘプテニル(C
7)、オクテニル(C
8)、オクタトリエニル(C
8)等を包含する。別様に特定されない限り、アルケニル基の各場合は、独立して、非置換であるか(「非置換アルケニル」)、または1以上の置換基で置換されている(「置換アルケニル」)。ある態様において、アルケニル基は、非置換C
1~20アルケニルである。ある態様において、アルケニル基は、置換C
1~20アルケニルである。アルケニル基において、立体化学が特定されていないC=C二重結合(例として、-CH=CHCH
3または
【化9】
は、(E)-立体配置であっても、または(Z)-立体配置であってもよい。
【0027】
用語「アルキニル」は、1個から20個までの炭素原子と1個以上の炭素-炭素三重結合(例として、1、2、3、または4個の三重結合)とを有する、直鎖または分枝の炭化水素基のラジカルを指す(「C1~20アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は、1~10個の炭素原子を有する(「C1~10アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は、1~9個の炭素原子を有する(「C1~9アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は、1~8個の炭素原子を有する(「C1~8アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は、1~7個の炭素原子を有する(「C1~7アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は、1~6個の炭素原子を有する(「C1~6アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は、1~5個の炭素原子を有する(「C1~5アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は、1~4個の炭素原子を有する(「C1~4アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は、1~3個の炭素原子を有する(「C1~3アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は、1~2個の炭素原子を有する(「C1~2アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は、1個の炭素原子を有する(「C1アルキニル」)。1個以上の炭素-炭素三重結合は、(2-ブチニルなどにおいて見られるように)内側にあるか、または(1-ブチニルなどにおいて見られるように)末端にあり得る。C1~4アルキニル基の例は、限定せずに、メチリジニル(C1)、エチニル(C2)、1-プロピニル(C3)、2-プロピニル(C3)、1-ブチニル(C4)、2-ブチニル(C4)等を包含する。C1~6アルケニル基の例は、先述のC2~4アルキニル基、ならびにペンチニル(C5)、ヘキシニル(C6)等を包含する。アルキニルの追加の例は、ヘプチニル(C7)、オクチニル(C8)等を包含する。別様に特定されない限り、アルキニル基の各場合は、独立して、非置換であるか(「非置換アルキニル」)、または1以上の置換基で置換されている(「置換アルキニル」)。ある態様において、アルキニル基は、非置換C1~20アルキニルである。ある態様において、アルキニル基は、置換C1~20アルキニルである。
【0028】
用語「ヘテロアルキニル」は、親鎖内にある(例として、親鎖の、隣接する炭素原子間に挿入されている)かおよび/または親鎖の1以上の末端位(単数もしくは複数)に置かれている、酸素、窒素、または硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子(例として、1、2、3、または4個のヘテロ原子)をさらに包含するアルキニル基を指す。ある態様において、ヘテロアルキニル基は、1個から20個までの炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個以上のヘテロ原子を親鎖内に有する基を指す(「ヘテロC1~20アルキニル」)。ある態様において、ヘテロアルキニル基は、1個から10個までの炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個以上のヘテロ原子を親鎖内に有する基を指す(「ヘテロC1~10アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は、1~9個までの炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個以上のヘテロ原子を親鎖内に有する基を指す(「ヘテロC1~9アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は、1~8個までの炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個以上のヘテロ原子を親鎖内に有する基を指す(「ヘテロC1~8アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は、1~7個までの炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個以上のヘテロ原子を親鎖内に有する基を指す(「ヘテロC1~7アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は、1~6個までの炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個以上のヘテロ原子を親鎖内に有する基を指す(「ヘテロC1~6アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は、1~5個までの炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個または2個のヘテロ原子を親鎖内に有する基を指す(「ヘテロC1~5アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は、1~4個までの炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個または2個のヘテロ原子を親鎖内に有する基を指す(「ヘテロC1~4アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は、1~3個までの炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個のヘテロ原子を親鎖内に有する基を指す(「ヘテロC1~3アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は、1~2個までの炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個のヘテロ原子を親鎖内に有する基を指す(「ヘテロC1~2アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は、1~6個までの炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個または2個のヘテロ原子を親鎖内に有する基を指す(「ヘテロC1~6アルキニル」)。別様に特定されない限り、ヘテロアルキニル基の各場合は、独立して、非置換であるか(「非置換ヘテロアルキニル」)、または1以上の置換基で置換されている(「置換ヘテロアルキニル」)。ある態様において、ヘテロアルキニル基は、非置換ヘテロC1~20アルキニルである。ある態様において、ヘテロアルキニル基は、置換ヘテロC1~20アルキニルである。
【0029】
用語「カルボシクリル」または「炭素環式」は、3個から14個までの環炭素原子(「C3~14カルボシクリル」)とゼロ個のヘテロ原子とを非芳香環系中に有する、非芳香族環式の炭化水素基のラジカルを指す。いくつかの態様において、カルボシクリル基は、3~14個の環炭素原子を有する(「C3~14カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は、3~13個の環炭素原子を有する(「C3~13カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は、3~12個の環炭素原子を有する(「C3~12カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は、3~11個の環炭素原子を有する(「C3~11カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は、3~10個の環炭素原子を有する(「C3~10カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は、3~8個の環炭素原子を有する(「C3~8カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は、3~7個の環炭素原子を有する(「C3~7カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は、3~6個の環炭素原子を有する(「C3~6カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は、4~6個の環炭素原子を有する(「C4~6カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は、5~6個の環炭素原子を有する(「C5~6カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は、5~10個の環炭素原子を有する(「C5~10カルボシクリル」)。例示のC3~6カルボシクリル基は、シクロプロピル(C3)、シクロプロペニル(C3)、シクロブチル(C4)、シクロブテニル(C4)、シクロペンチル(C5)、シクロペンテニル(C5)、シクロヘキシル(C6)、シクロヘキセニル(C6)、シクロヘキサジエニル(C6)等を包含する。例示のC3~8カルボシクリル基は、先述のC3~6カルボシクリル基、ならびにシクロへプチル(C7)、シクロヘプテニル(C7)、シクロへプタジエニル(C7)、シクロへプタトリエニル(C7)、シクロオクチル(C8)、シクロオクテニル(C8)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル(C7)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(C8)等を包含する。例示のC3~10カルボシクリル基は、先述のC3~8カルボシクリル基、ならびにシクロノニル(C9)、シクロノネニル(C9)、シクロデシル(C10)、シクロデセニル(C10)、オクタヒドロ-1H-インデニル(C9)、デカヒドロナフタレニル(C10)、スピロ[4.5]デカニル(C10)等を包含する。例示のC3~8カルボシクリル基は、先述のC3~10カルボシクリル基、ならびにシクロウンデシル(C11)、スピロ[5.5]ウンデカニル(C11)、シクロドデシル(C12)、シクロドデセニル(C12)、シクロトリデカン(C13)、シクロテトラデカン(C14)等を包含する。上記の例が説明するとおり、ある態様において、カルボシクリル基は、単環式(「単環式カルボシクリル」)あるいは多環式(例として、二環系(「二環式カルボシクリル」)もしくは三環系(「三環式カルボシクリル」)などの、縮合環系、架橋環系、またはスピロ環系を含有する)のいずれかであって、飽和であり得るか、または1個以上の炭素-炭素二重結合もしくは三重結合を含有し得る。「カルボシクリル」はまた、上に定義されるとおりのカルボシクリル環が1個以上のアリール基またはヘテロアリール基で縮合されており、かつ付着点がカルボシクリル環上にある環系も包含し、かかる場合において炭素数は、炭素環式環系中の炭素の数が途切れなく指定される。別様に特定されない限り、カルボシクリル基の各場合は、独立して、非置換であるか(「非置換カルボシクリル」)、または1以上の置換基で置換されている(「置換カルボシクリル」)。ある態様において、カルボシクリル基は、非置換C3~14カルボシクリルである。ある態様において、カルボシクリル基は、置換C3~14カルボシクリルである。
【0030】
いくつかの態様において、「カルボシクリル」は、3個から14個までの環炭素原子を有する、単環式の飽和カルボシクリル基である(「C3~14シクロアルキル」)。いくつかの態様において、シクロアルキル基は、3~10個の環炭素原子を有する(「C3~10シクロアルキル」)。いくつかの態様において、シクロアルキル基は、3~8個の環炭素原子を有する(「C3~8シクロアルキル」)。いくつかの態様において、シクロアルキル基は、3~6個の環炭素原子を有する(「C3~6シクロアルキル」)。いくつかの態様において、シクロアルキル基は、4~6個の環炭素原子を有する(「C4~6シクロアルキル」)。いくつかの態様において、シクロアルキル基は、5~6個の環炭素原子を有する(「C5~6シクロアルキル」)。いくつかの態様において、シクロアルキル基は、5~10個の環炭素原子を有する(「C5~10シクロアルキル」)。C5~6シクロアルキル基の例は、シクロペンチル(C5)およびシクロヘキシル(C5)を包含する。C3~6シクロアルキル基の例は、先述のC5~6シクロアルキル基、ならびにシクロプロピル(C3)およびシクロブチル(C4)を包含する。C3~8シクロアルキル基の例は、先述のC3~6シクロアルキル基、ならびにシクロへプチル(C7)およびシクロオクチル(C8)を包含する。別様に特定されない限り、シクロアルキル基の各場合は、独立して、非置換であるか(「非置換シクロアルキル」)、または1以上の置換基で置換されている(「置換シクロアルキル」)。ある態様において、シクロアルキル基は、非置換C3~14シクロアルキルである。ある態様において、シクロアルキル基は、置換C3~14シクロアルキルである。ある態様において、カルボシクリルは、原子価が許す限り、0、1、または2個のC=C二重結合を炭素環式の環系中に包含する。
【0031】
用語「ヘテロシクリル」または「複素環式」は、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する、3~14員の非芳香環系のラジカルを指し(「3~14員のヘテロシクリル」)、ここで各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される。1個以上の窒素原子を含有するヘテロシクリル基において、付着点は、原子価が許す限り、炭素原子または窒素原子であり得る。ヘテロシクリル基は、単環式(「単環式ヘテロシクリル」)あるいは多環式(例として、二環系(「二環式ヘテロシクリル」)もしくは三環系(「三環式ヘテロシクリル」)などの、縮合環系、架橋環系、またはスピロ環系)のいずれかであり得、かつ飽和であり得るか、または1個以上の炭素-炭素二重結合または三重結合を含有し得る。ヘテロシクリル多環式の環系は、1個以上のヘテロ原子を片方の環または両方の環を包含し得る。「ヘテロシクリル」はまた、上に定義されるとおりのヘテロシクリル環が1以上のカルボシクリル基で縮合されており、かつ付着点がカルボシクリル環上またはヘテロシクリル環上にある環系、あるいは、上に定義されるとおりのヘテロシクリル環が1以上のアリール基またはヘテロアリール基で縮合されており、かつ付着点がヘテロシクリル環上にある環系も包含し、かかる場合において環員数はヘテロシクリル環系中の環員数が途切れなく指定される。別様に特定されない限り、ヘテロシクリルの各場合は、独立して、非置換であるか(「非置換ヘテロシクリル」)、または1以上の置換基で置換されている(「置換ヘテロシクリル」)。ある態様において、ヘテロシクリル基は、非置換の3~14員ヘテロシクリルである。ある態様において、ヘテロシクリル基は、置換の3~14員ヘテロシクリルである。ある態様において、ヘテロシクリルは、置換または非置換の3~7員の単環式ヘテロシクリルであり、ここで複素環式の環系中1、2、または3個の原子は、原子価が許す限り、独立して、酸素、窒素、または硫黄である。
【0032】
いくつかの態様において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する5~10員の非芳香環系であり、ここで各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される(「5~10員のヘテロシクリル」)。いくつかの態様において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する5~8員の非芳香環系であり、ここで各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される(「5~8員のヘテロシクリル」)。いくつかの態様において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する5~6員の非芳香環系であり、ここで各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される(「5~6員のヘテロシクリル」)。いくつかの態様において、5~6員のヘテロシクリルは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1~3個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの態様において、5~6員のヘテロシクリルは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1~2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの態様において、5~6員のヘテロシクリルは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。
【0033】
1個のヘテロ原子を含有する、例示の3員ヘテロシクリル基は、アジリジニル、オキシラニル、およびチイラニルを包含する。1個のヘテロ原子を含有する、例示の4員ヘテロシクリル基は、アゼチジニル、オキセタニル、およびチエタニルを包含する。1個のヘテロ原子を含有する、例示の5員ヘテロシクリル基は、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル、およびピロリル-2,5-ジオンを包含する。2個のヘテロ原子を含有する、例示の5員ヘテロシクリル基は、ジオキソラニル、オキサチオラニル、およびジチオラニルを包含する。3個のヘテロ原子を含有する、例示の5員ヘテロシクリル基は、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、およびチアジアゾリニルを包含する。1個のヘテロ原子を含有する、例示の6員ヘテロシクリル基は、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、およびチアニルを包含する。2個のヘテロ原子を含有する、例示の6員ヘテロシクリル基は、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、およびジオキサニルを包含する。3個のヘテロ原子を含有する、例示の6員ヘテロシクリル基は、トリアジニルを包含する。1個のヘテロ原子を含有する、例示の7員ヘテロシクリル基は、アゼパニル、オキセパニル、およびチエパニルを包含する。1個のヘテロ原子を含有する、例示の8員ヘテロシクリル基は、アゾカニル、オキセカニル、およびチオカニルを包含する。例示の二環式ヘテロシクリル基は、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロインドリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロクロメニル、オクタヒドロイソクロメニル、デカヒドロナフチリジニル、デカヒドロ-1,8-ナフチリジニル、オクタヒドロピロロ[3,2-b]ピロール、インドリニル、フタルイミジル、ナフタルイミジル、クロマニル、クロメニル、1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピニル、1,4,5,7-テトラヒドロピラノ[3,4-b]ピロリル、5,6-ジヒドロ-4H-フロ[3,2-b]ピロリル、6,7-ジヒドロ-5H-フロ[3,2-b]ピラニル、5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラニル、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロフロ[3,2-c]ピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[3,2-b]ピリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジニル等を包含する。
【0034】
用語「アリール」は、単環式または多環式の(例として、二環式もしくは三環式の)4n+2芳香環系(例として、環状アレイ中に共有された6、10、または14個のπ電子を有する)であって、芳香環系中に提供されている6~14個の環炭素原子とゼロ個のヘテロ原子とを有する、前記芳香環系ラジカルを指す(「C6~14アリール」)。いくつかの態様において、アリール基は、6個の環炭素原子を有する(「C6アリール」;例として、フェニル)。いくつかの態様において、アリール基は、10個の環炭素原子を有する(「C10アリール」;例として、1-ナフチルおよび2-ナフチルなどのナフチル)。いくつかの態様において、アリール基は、14個の環炭素原子を有する(「C14アリール」;例として、アントラシル)。「アリール」はまた、上に定義されるとおりのアリール環が1以上のカルボシクリル基またはヘテロシクリル基で縮合されており、かつラジカルまたは付着点がアリール環上にある環系も包含し、かかる場合において炭素原子数は、アリール環系中の炭素原子の数が途切れなく指定される。別様に特定されない限り、アリール基の各場合は、独立して、非置換であるか(「非置換アリール」)、または1以上の置換基で置換されている(「置換アリール」)。ある態様において、アリール基は、非置換C6~14アリールである。ある態様において、アリール基は、置換C6~14アリールである。
【0035】
「アラルキル」は、「アルキル」の部分集合であって、アリール基によって置換されたアルキル基を指し、ここで付着点はアルキル部分上にある。
【0036】
用語「ヘテロアリール」は、5~14員の単環式または多環式の(例として、二環式の、三環式の)4n+2芳香環系(例として、環状アレイ中に共有された6、10、または14個のπ電子を有する)であって、芳香環系中に提供されている環炭素原子と1~4個の環ヘテロ原子とを有する、前記芳香環系のラジカルを指し、ここで各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される(「5~14員のヘテロアリール」)。1個以上の窒素原子を含有するヘテロアリール基において、付着点は、原子価が許す限り、炭素原子または窒素原子であり得る。ヘテロアリール多環式の環系は、1個以上のヘテロ原子を片方の環または両方の環中に包含し得る。「ヘテロアリール」は、上に定義されるとおりのヘテロアリール環が1以上のカルボシクリル基またはヘテロシクリル基で縮合されており、かつ付着点がヘテロアリール環上にある環系を包含し、かかる場合において環員数は、ヘテロアリール環系中の環員数が途切れなく指定される。「ヘテロアリール」はまた、上に定義されるとおりのヘテロアリール環が1以上のアリール基と縮合されており、かつ付着点がアリール環上またはヘテロアリール環上のいずれかにある環系も包含し、かかる場合において環員数は、縮合された多環式の(アリール/ヘテロアリール)環系において環員数が指定される。1つの環がヘテロ原子を含有しない多環ヘテロアリール基(例として、インドリル、キノリニル、カルバゾリル等)において、付着点は、いずれかの環(例として、ヘテロ原子を担持する環(例として、2-インドリル)またはヘテロ原子を含有しない環(例として、5-インドリル)のいずれか)上にあり得る。ある態様において、ヘテロアリールは、置換または非置換の、5員または6員の、単環式ヘテロアリールであり、ここでヘテロアリール環系中1、2、3、または4個の原子は、独立して、酸素、窒素、または硫黄である。ある態様において、ヘテロアリールは、置換または非置換の、9員または10員の、二環式ヘテロアリールであり、ここでヘテロアリール環系中1、2、3、または4個の原子は、独立して、酸素、窒素、または硫黄である。
【0037】
いくつかの態様において、ヘテロアリール基は、芳香環系中に提供されている環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する、5~10員の芳香環系であり、ここで各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される(「5~10員のヘテロアリール」)。いくつかの態様において、ヘテロアリール基は、芳香環系中に提供されている環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する、5~8員の芳香環系であり、ここで各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される(「5~8員のヘテロアリール」)。いくつかの態様において、ヘテロアリール基は、芳香環系中に提供されている環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する、5~6員の芳香環系であり、ここで各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される(「5~6員のヘテロアリール」)。いくつかの態様において、5~6員のヘテロアリールは、窒素、酸素、および硫黄から選択される、1~3個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの態様において、5~6員のヘテロアリールは、窒素、酸素、および硫黄から選択される、1~2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの態様において、5~6員のヘテロアリールは、窒素、酸素、および硫黄から選択される、1個の環ヘテロ原子を有する。別様に特定されない限り、ヘテロアリール基の各場合は、独立して、非置換であるか(「非置換ヘテロアリール」)、または1以上の置換基で置換されている(「置換ヘテロアリール」)。ある態様において、ヘテロアリール基は、非置換の5~14員ヘテロアリールである。ある態様において、ヘテロアリール基は、置換の5~14員ヘテロアリールである。
【0038】
1個のヘテロ原子を含有する、例示の5員ヘテロアリール基は、ピロリル、フラニル、およびチオフェニルを包含する。2個のヘテロ原子を含有する、例示の5員ヘテロアリール基は、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、およびイソチアゾリルを包含する。3個のヘテロ原子を含有する、例示の5員ヘテロアリール基は、トリアゾリル、オキサジアゾリル、およびチアジアゾリルを包含する。4個のヘテロ原子を含有する、例示の5員ヘテロアリール基は、テトラゾリルを包含する。1個のヘテロ原子を含有する、例示の6員ヘテロアリール基は、ピリジニルを包含する。2個のヘテロ原子を含有する、例示の6員ヘテロアリール基は、ピリダジニル、ピリミジニル、およびピラジニルを包含する。3個または4個のヘテロ原子を含有する、例示の6員ヘテロアリール基は夫々、をトリアジニルおよびテトラジニル包含する。1個のヘテロ原子を含有する、例示の7員ヘテロアリール基は、アゼピニル、オキセピニル、およびチエピニルを包含する。例示の5,6-二環式ヘテロアリール基は、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズチアジアゾリル、インドリジニル、およびプリニルを包含する。例示の6,6-二環式ヘテロアリール基は、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、およびキナゾリニルを包含する。例示の三環式ヘテロアリール基は、フェナントリジニル、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、およびフェナジニルを包含する。
【0039】
「ヘテロアラルキル」は、「アルキル」の部分集合であって、ヘテロアリール基によって置換されたアルキル基を指し、ここで付着点は、アルキル部分上にある。
【0040】
用語「不飽和結合」は、二重結合または三重結合を指す。
【0041】
用語「不飽和」または「部分的に不飽和」は、少なくとも1個の二重結合または三重結合を包含する部分を指す。
【0042】
「飽和」または「完全飽和」は、二重結合も三重結合も含有しない部分、例として、単結合のみを含有する部分を指す。
【0043】
接尾辞「エン(-ene)」を基へ添えることは、基が二価成分であること、例として、アルキレンがアルキルの二価成分であること、アルケニレンがアルケニルの二価成分であること、アルキニレンがアルキニルの二価成分であること、ヘテロアルキレンがヘテロアルキルの二価成分であること、ヘテロアルケニレンがヘテロアルケニルの二価成分であること、ヘテロアルキニレンがヘテロアルキニルの二価成分であること、カルボシクリレンがカルボシクリルの二価成分であること、ヘテロシクリレンがヘテロシクリルの二価成分であること、アリーレンがアリールの二価成分であること、およびヘテロアリーレンがヘテロアリールの二価成分であること、ということを示す。
【0044】
基は、別様にはっきりと提供されていない限り、任意に置換されている。用語「任意に置換されている(任意置換(の))」は、置換されていること、または非置換であることを指す。ある態様において、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールの基は、任意に置換されている。「任意に置換されている(任意置換(の))」は、置換されていてもよい基、または非置換であってもよい基(例として、「置換」もしくは「非置換」のアルキル、「置換」もしくは「非置換」のアルケニル、「置換」もしくは「非置換」のアルキニル、「置換」もしくは「非置換」のヘテロアルキル、「置換」もしくは「非置換」のヘテロアルケニル、「置換」もしくは「非置換」のヘテロアルキニル、「置換」もしくは「非置換」のカルボシクリル、「置換」もしくは「非置換」のヘテロシクリル、「置換」もしくは「非置換」のアリール、または「置換」もしくは「非置換」のヘテロアリールの基)を指す。一般に、用語「置換(されている/の)」は、基上に存在する少なくとも1個の水素が、容認できる置換基(例として、置換の際に安定した化合物をもたらす置換基、例として、再配置、環化、脱離などの転換、または他の反応を自発的に経ない化合物)に置き換えられていることを意味する。別様に示されていない限り、「置換(されている/の)」基は、基の1以上の置換可能位置にて置換基を有し、あらゆる所定の構造において1より多くの位置が置換されているとき、置換基は各位置にて同じであるかまたは異なっている。用語「置換(されている/の)」は、有機化合物であるすべての容認できる置換基での置換を包含すること、および安定した化合物の形成をもたらす本明細書に記載の置換基のいずれも包含することが企図される。本発明は、安定した化合物に達するために、ありとあらゆるかかる組み合わせを企図する。本発明の目的上、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/または、ヘテロ原子の原子価を満たしかつ安定した部分の形成をもたらす、本明細書に記載のとおりのいずれの好適な置換基を有していてもよい。本発明は、形はどうあれ、本明細書に記載の例示の置換基によって限定されることを意図しない。
【0045】
例示の炭素原子置換基は、ハロゲン、-CN、-NO2、-N3、-SO2H、-SO3H、-OH、-ORaa、-ON(Rbb)2、-N(Rbb)2、-N(Rbb)3
+X-、-N(ORcc)Rbb、-SH、-SRaa、-SSRcc、-C(=O)Raa、-CO2H、-CHO、-C(ORcc)2、-CO2Raa、-OC(=O)Raa、-OCO2Raa、-C(=O)N(Rbb)2、-OC(=O)N(Rbb)2、-NRbbC(=O)Raa、-NRbbCO2Raa、-NRbbC(=O)N(Rbb)2、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-OC(=NRbb)Raa、-OC(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb)2、-OC(=NRbb)N(Rbb)2、-NRbbC(=NRbb)N(Rbb)2、-C(=O)NRbbSO2Raa、-NRbbSO2Raa、-SO2N(Rbb)2、-SO2Raa、-SO2ORaa、-OSO2Raa、-S(=O)Raa、-OS(=O)Raa、-Si(Raa)3、-OSi(Raa)3、-C(=S)N(Rbb)2、-C(=O)SRaa、-C(=S)SRaa、-SC(=S)SRaa、-SC(=O)SRaa、-OC(=O)SRaa、-SC(=O)ORaa、-SC(=O)Raa、-P(=O)(Raa)2、-P(=O)(ORcc)2、-OP(=O)(Raa)2、-OP(=O)(ORcc)2、-P(=O)(N(Rbb)2)2、-OP(=O)(N(Rbb)2)2、-NRbbP(=O)(Raa)2、-NRbbP(=O)(ORcc)2、-NRbbP(=O)(N(Rbb)2)2、-P(Rcc)2、-P(ORcc)2、-P(Rcc)3
+X-、-P(ORcc)3
+X-、-P(Rcc)4、-P(ORcc)4、-OP(Rcc)2、-OP(Rcc)3
+X-、-OP(ORcc)2、-OP(ORcc)3
+X-、-OP(Rcc)4、-OP(ORcc)4、-B(Raa)2、-B(ORcc)2、-BRaa(ORcc)、C1~20アルキル、C1~20ペルハロアルキル、C1~20アルケニル、C1~20アルキニル、ヘテロC1~20アルキル、ヘテロC1~20アルケニル、ヘテロC1~20アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6~14アリール、および5~14員ヘテロアリールを包含し、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、または5個のRdd基で置換されている;ここでX-は、対イオンである;
あるいは、炭素原子上の2個のジェミナル水素は、基=O、=S、=NN(Rbb)2、=NNRbbC(=O)Raa、=NNRbbC(=O)ORaa、=NNRbbS(=O)2Raa、=NRbb、または=NORccに置き換えられている;
Raaの各場合は、独立して、C1~20アルキル、C1~20ペルハロアルキル、C1~20アルケニル、C1~20アルキニル、ヘテロC1~20アルキル、ヘテロC1~20アルケニル、ヘテロC1~20アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6~14アリール、および5~14員ヘテロアリールから選択されるか、あるいは2個のRaa基は、結び合って3~14員ヘテロシクリルまたは5~14員ヘテロアリール環を形成し、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4、または5個のRdd基で置換されている;
Rbbの各場合は、独立して、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc)2、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc)2、-CO2Raa、-SO2Raa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc)2、-SO2N(Rcc)2、-SO2Rcc、-SO2ORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc)2、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)(Raa)2、-P(=O)(ORcc)2、-P(=O)(N(Rcc)2)2、C1~20アルキル、C1~20ペルハロアルキル、C1~20アルケニル、C1~20アルキニル、ヘテロC1~20アルキル、ヘテロC1~20アルケニル、ヘテロC1~20アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6~14アリール、および5~14員ヘテロアリールから選択されるか、あるいは2個のRbb基は、結び合って3~14員ヘテロシクリルまたは5~14員のヘテロアリール環を形成し、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、または5個のRdd基で置換されている;
Rccの各場合は、独立して、水素、C1~20アルキル、C1~20ペルハロアルキル、C1~20アルケニル、C1~20アルキニル、ヘテロC1~20アルキル、ヘテロC1~20アルケニル、ヘテロC1~20アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6~14アリール、および5~14員ヘテロアリールから選択されるか、あるいは2個のRcc基は、結び合って3~14員ヘテロシクリルまたは5~14員ヘテロアリール環を形成し、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、または5個のRdd基で置換されている;
Rddの各場合は、独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-N3、-SO2H、-SO3H、-OH、-ORee、-ON(Rff)2、-N(Rff)2、-N(Rff)3
+X-、-N(ORee)Rff、-SH、-SRee、-SSRee、-C(=O)Ree、-CO2H、-CO2Ree、-OC(=O)Ree、-OCO2Ree、-C(=O)N(Rff)2、-OC(=O)N(Rff)2、-NRffC(=O)Ree、-NRffCO2Ree、-NRffC(=O)N(Rff)2、-C(=NRff)ORee、-OC(=NRff)Ree、-OC(=NRff)ORee、-C(=NRff)N(Rff)2、-OC(=NRff)N(Rff)2、-NRffC(=NRff)N(Rff)2、-NRffSO2Ree、-SO2N(Rff)2、-SO2Ree、-SO2ORee、-OSO2Ree、-S(=O)Ree、-Si(Ree)3、-OSi(Ree)3、-C(=S)N(Rff)2、-C(=O)SRee、-C(=S)SRee、-SC(=S)SRee、-P(=O)(ORee)2、-P(=O)(Ree)2、-OP(=O)(Ree)2、-OP(=O)(ORee)2、C1~10アルキル、C1~10ペルハロアルキル、C1~10アルケニル、C1~10アルキニル、ヘテロC1~10アルキル、ヘテロC1~10アルケニル、ヘテロC1~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~10員ヘテロシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリールから選択され、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、または5個のRgg基で置換されているか、あるいは2個のジェミナルRdd置換基は、結び合って=Oまたは=Sを形成し得る;ここでX-は、対イオンである;
Reeの各場合は、独立して、C1~10アルキル、C1~10ペルハロアルキル、C1~10アルケニル、C1~10アルキニル、ヘテロC1~10アルキル、ヘテロC1~10アルケニル、ヘテロC1~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、C6~10アリール、3~10員ヘテロシクリル、および3~10員ヘテロアリールから選択され、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、または5個のRgg基で置換されている;
Rffの各場合は、独立して、水素、C1~10アルキル、C1~10ペルハロアルキル、C1~10アルケニル、C1~10アルキニル、ヘテロC1~10アルキル、ヘテロC1~10アルケニル、ヘテロC1~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~10員ヘテロシクリル、C6~10アリール、および5~10員ヘテロアリールから選択されるか、あるいは2個のRff基は、結び合って3~10員ヘテロシクリルまたは5~10員ヘテロアリール環を形成し、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、または5個のRgg基で置換されている;
Rggの各場合は、独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-N3、-SO2H、-SO3H、-OH、-OC1~6アルキル、-ON(C1~6アルキル)2、-N(C1~6アルキル)2、-N(C1~6アルキル)3
+X-、-NH(C1~6アルキル)2
+X-、-NH2(C1~6アルキル)+X-、-NH3
+X-、-N(OC1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-N(OH)(C1~6アルキル)、-NH(OH)、-SH、-SC1~6アルキル、-SS(C1~6アルキル)、-C(=O)(C1~6アルキル)、-CO2H、-CO2(C1~6アルキル)、-OC(=O)(C1~6アルキル)、-OCO2(C1~6アルキル)、-C(=O)NH2、-C(=O)N(C1~6アルキル)2、-OC(=O)NH(C1~6アルキル)、-NHC(=O)(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)C(=O)(C1~6アルキル)、-NHCO2(C1~6アルキル)、-NHC(=O)N(C1~6アルキル)2、-NHC(=O)NH(C1~6アルキル)、-NHC(=O)NH2、-C(=NH)O(C1~6アルキル)、-OC(=NH)(C1~6アルキル)、-OC(=NH)OC1~6アルキル、-C(=NH)N(C1~6アルキル)2、-C(=NH)NH(C1~6アルキル)、-C(=NH)NH2、-OC(=NH)N(C1~6アルキル)2、-OC(NH)NH(C1~6アルキル)、-OC(NH)NH2、-NHC(NH)N(C1~6アルキル)2、-NHC(=NH)NH2、-NHSO2(C1~6アルキル)、-SO2N(C1~6アルキル)2、-SO2NH(C1~6アルキル)、-SO2NH2、-SO2C1~6アルキル、-SO2OC1~6アルキル、-OSO2C1~6アルキル、-SOC1~6アルキル、-Si(C1~6アルキル)3、-OSi(C1~6アルキル)3、-C(=S)N(C1~6アルキル)2、C(=S)NH(C1~6アルキル)、C(=S)NH2、-C(=O)S(C1~6アルキル)、-C(=S)SC1~6アルキル、-SC(=S)SC1~6アルキル、-P(=O)(OC1~6アルキル)2、-P(=O)(C1~6アルキル)2、-OP(=O)(C1~6アルキル)2、-OP(=O)(OC1~6アルキル)2、C1~10アルキル、C1~10ペルハロアルキル、C1~10アルケニル、C1~10アルキニル、ヘテロC1~10アルキル、ヘテロC1~10アルケニル、ヘテロC1~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、C6~10アリール、3~10員ヘテロシクリル、または5~10員ヘテロアリールである;あるいは2個のジェミナルRgg置換基は、結び合って=Oまたは=Sを形成し得る;ならびに
各X-は、対イオンである。
【0046】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(ブロモ、-Br)、またはヨウ素(ヨード、-I)を指す。
【0047】
用語「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」は、基-OHを指す。用語「置換ヒドロキシル」または「置換ヒドロキシ」は、その延長線上で考えると、親分子へ直接付着されている酸素原子が水素以外の基で置換されているヒドロキシル基を指し、-ORaa、-ON(Rbb)2、-OC(=O)SRaa、-OC(=O)Raa、-OCO2Raa、-OC(=O)N(Rbb)2、-OC(=NRbb)Raa、-OC(=NRbb)ORaa、-OC(=NRbb)N(Rbb)2、-OS(=O)Raa、-OSO2Raa、-OSi(Raa)3、-OP(Rcc)2、-OP(Rcc)3
+X-、-OP(ORcc)2、-OP(ORcc)3
+X-、-OP(=O)(Raa)2、-OP(=O)(ORcc)2、および-OP(=O)(N(Rbb))2から選択される基を包含し、ここでX-、Raa、Rbb、およびRccは、本明細書に定義されるとおりである。
【0048】
用語「チオール」または「チオ」は、基-SHを指す。用語「置換チオール」または「置換チオ」は、その延長線上で考えると、親分子へ直接付着されている硫黄原子が水素以外の基で置換されているチオール基を指し、-SRaa、-S=SRcc、-SC(=S)SRaa、-SC(=S)ORaa、-SC(=S)N(Rbb)2、-SC(=O)SRaa、-SC(=O)ORaa、-SC(=O)N(Rbb)2、および-SC(=O)Raaから選択される基を包含し、ここでRaaおよびRccは、本明細書に定義されるとおりである。
【0049】
用語「アミノ」は、基-NH2を指す。用語「置換アミノ」は、その延長線上で考えると、単置換アミノ、二置換アミノ、または三置換アミノを指す。ある態様において、「置換アミノ」は、単置換アミノまたは二置換アミノ基である。
【0050】
用語「単置換アミノ」は、親分子へ直接付着されている窒素原子が1個の水素および水素以外の1個の基で置換されているアミノ基を指し、-NH(Rbb)、-NHC(=O)Raa、-NHCO2Raa、-NHC(=O)N(Rbb)2、-NHC(=NRbb)N(Rbb)2、-NHSO2Raa、-NHP(=O)(ORcc)2、および-NHP(=O)(N(Rbb)2)2から選択される基を包含し、ここでRaa、RbbおよびRccは、本明細書に定義されるとおりであり、およびここで基-NH(Rbb)のRbbは、水素ではない。
【0051】
用語「二置換アミノ」は、親分子へ直接付着されている窒素原子が水素以外の2個の基で置換されているアミノ基を指し、-N(Rbb)2、-NRbbC(=O)Raa、-NRbbCO2Raa、-NRbbC(=O)N(Rbb)2、-NRbbC(=NRbb)N(Rbb)2、-NRbbSO2Raa、-NRbbP(=O)(ORcc)2、および-NRbbP(=O)(N(Rbb)2)2から選択される基を包含し、ここでRaa、Rbb、およびRccは、本明細書に定義されるとおりであり、ただし親分子へ直接付着されている窒素原子は、水素で置換されていない。
【0052】
用語「三置換アミノ」は、親分子へ直接付着されている窒素原子が3個の基で置換されているアミノ基を指し、-N(Rbb)3および-N(Rbb)3
+X-から選択される基を包含し、ここでRbbおよびX-は、本明細書に定義されるとおりである。
【0053】
用語「スルホニル」は、-SO2N(Rbb)2、-SO2Raa、および-SO2ORaaから選択される基を指し、ここでRaaおよびRbbは、本明細書に定義されるとおりである。
【0054】
用語「スルフィニル」は、基-S(=O)Raaを指し、ここでRaaは、本明細書に定義されるとおりである。
【0055】
用語「アシル」は、一般式-C(=O)RX1、-C(=O)ORX1、-C(=O)-O-C(=O)RX1、-C(=O)SRX1、-C(=O)N(RX1)2、-C(=S)RX1、-C(=S)N(RX1)2、および-C(=S)S(RX1)、-C(=NRX1)RX1、-C(=NRX1)ORX1、-C(=NRX1)SRX1、および-C(=NRX1)N(RX1)2を有する基を指し、式中RX1は、水素;ハロゲン;置換もしくは非置換のヒドロキシル;置換もしくは非置換のチオール;置換もしくは非置換のアミノ;置換もしくは非置換のアシル、環状もしくは非環式の、置換または非置換の、分枝あるいは非分枝の脂肪族;環状もしくは非環式の、置換または非置換の、分枝あるいは非分枝のヘテロ脂肪族;環状もしくは非環式の、置換または非置換の、分枝あるいは非分枝のアルキル;環状もしくは非環式の、置換または非置換の、分枝あるいは非分枝のアルケニル;置換もしくは非置換のアルキニル;置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、アルキルオキシ、ヘテロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、脂肪族チオキシ、ヘテロ脂肪族チオキシ、アルキルチオキシ、ヘテロアルキルチオキシ、アリールチオキシ、ヘテロアリールチオキシ、モノ-もしくはジ-脂肪族アミノ、モノ-もしくはジ-ヘテロ脂肪族アミノ、モノ-もしくはジ-アルキルアミノ、モノ-もしくはジ-ヘテロアルキルアミノ、モノ-もしくはジ-アリールアミノ、またはモノ-もしくはジ-ヘテロアリールアミノである;あるいは、2個のRX1基は一緒になって、5~6員の複素環式の環を形成する。例示のアシル基は、アルデヒド(-CHO)、カルボン酸(-CO2H)、ケトン、ハロゲン化アシル、エステル、アミド、イミン、カーボナート、カルバマート、および尿素を包含する。アシル置換基は、これらに限定されないが、安定した部分(例として、脂肪族、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロ脂肪族、複素環式、アリール、ヘテロアリール、アシル、オキソ、イミノ、チオオキソ、シアノ、イソシアノ、アミノ、アジド、ニトロ、ヒドロキシル、チオール、ハロ、脂肪族アミノ、ヘテロ脂肪族アミノ、アルキルアミノ、ヘテロアルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、アルキルアリール、アリールアルキル、脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、アルキルオキシ、ヘテロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、脂肪族チオキシ、ヘテロ脂肪族チオキシ、アルキルチオキシ、ヘテロアルキルチオキシ、アリールチオキシ、ヘテロアリールチオキシ、アシルオキシ等(これらの各々は、さらに置換されていても、またはされていなくてもよい))の形成をもたらす、本明細書に記載の置換基のいずれも包含する。
【0056】
用語「カルボニル」は、親分子へ直接付着されている炭素がsp2混成され、かつ酸素原子、窒素原子、または硫黄原子で置換されている基、例として、ケトン(-C(=O)Raa)、カルボン酸(-CO2H)、アルデヒド(-CHO)、エステル(-CO2Raa、-C(=O)SRaa、-C(=S)SRaa)、アミド(-C(=O)N(Rbb)2、-C(=O)NRbbSO2Raa、-C(=S)N(Rbb)2)、およびイミン(-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa)、-C(=NRbb)N(Rbb)2)から選択される基を指し、ここでRaaおよびRbbは、本明細書に定義されるとおりである。
【0057】
用語「オキソ」は、基=Oを指し、用語「チオオキソ」は、基=Sを指す。
【0058】
窒素原子は、原子価が許す限り、置換されているかまたは非置換であり得、一級、二級、三級、および四級の窒素原子を包含する。例示の窒素原子置換基は、これらに限定されないが、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc)2、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc)2、-CO2Raa、-SO2Raa、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc)2、-SO2N(Rcc)2、-SO2Rcc、-SO2ORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc)2、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)(ORcc)2、-P(=O)(Raa)2、-P(=O)(N(Rcc)2)2、C1~10アルキル、C1~10ペルハロアルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、ヘテロC1~10アルキル、ヘテロC2~10アルケニル、ヘテロC2~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6~14アリール、および5~14員ヘテロアリールを包含するか、あるいは、N原子へ付着されている2個のRcc基は、結び合って3~14員ヘテロシクリルまたは5~14員ヘテロアリール環を形成し、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、または5個のRdd基で置換されており、およびここでRaa、Rbb、RccおよびRddは、上に定義されるとおりである。
【0059】
ある態様において、窒素原子上に存在する置換基は、窒素保護基である(また本明細書中「アミノ保護基」とも称される)。窒素保護基は、これらに限定されないが、-OH、-ORaa、-N(Rcc)2、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc)2、-CO2Raa、-SO2Raa、-C(=NRcc)Raa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc)2、-SO2N(Rcc)2、-SO2Rcc、-SO2ORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc)2、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、C1~10アルキル(例として、アラルキル、ヘテロアラルキル)、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、ヘテロC1~10アルキル、ヘテロC2~10アルケニル、ヘテロC2~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6~14アリール、および5~14員ヘテロアリールの基を包含し、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アラルキル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、または5個のRdd基で置換されており、ならびにここでRaa、Rbb、RccおよびRddは、本明細書に定義されるとおりである。窒素保護基は、当該技術分野において周知であって、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999(参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載される当該基を包含する。
【0060】
例えば、アミド基などの窒素保護基(例として、-C(=O)Raa)は、これらに限定されないが、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3-フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド、3-ピリジルカルボキサミド、N-ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、ベンズアミド、p-フェニルベンズアミド、o-ニトロフェニルアセトアミド、o-ニトロフェノキシアセトアミド、アセトアセトアミド、(N'-ジチオベンジルオキシアシルアミノ)アセトアミド、3-(p-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、3-(o-ニトロフェニル)プロパンアミド、2-メチル-2-(o-ニトロフェノキシ)プロパンアミド、2-メチル-2-(o-フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4-クロロブタンアミド、3-メチル-3-ニトロブタンアミド、o-ニトロシンナミド、N-アセチルメチオニン誘導体、o-ニトロベンズアミド、およびo-(ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミドを包含する。
【0061】
カルバマート基などの窒素保護基(例として、-C(=O)ORaa)は、これらに限定されないが、メチルカルバマート、エチルカルバマート、9-フルオレニルメチルカルバマート(Fmoc)、9-(2-スルホ)フルオレニルメチルカルバマート、9-(2,7-ジブロモ)フルオレニルメチルカルバマート、2,7-ジ-t-ブチル-[9-(10,10-ジオキソ-10,10,10,10-テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバマート(DBD-Tmoc)、4-メトキシフェナシルカルバマート(Phenoc)、2,2,2-トリクロロエチルカルバマート(Troc)、2-トリメチルシリルエチルカルバマート(Teoc)、2-フェニルエチルカルバマート(hZ)、1-(1-アダマンチル)-1-メチルエチルカルバマート(Adpoc)、1,1-ジメチル-2-ハロエチルカルバマート、1,1-ジメチル-2,2-ジブロモエチルカルバマート(DB-t-BOC)、1,1-ジメチル-2,2,2-トリクロロエチルカルバマート(TCBOC)、1-メチル-1-(4-ビフェニリル)エチルカルバマート(Bpoc)、1-(3,5-ジ-t-ブチルフェニル)-1-メチルエチルカルバマート(t-Bumeoc)、2-(2'-および4'-ピリジル)エチルカルバマート(Pyoc)、2-(N,N-ジシクロヘキシルカルボキサミド)エチルカルバマート、t-ブチルカルバマート(BOC)、1-アダマンチルカルバマート(Adoc)、ビニルカルバマート(Voc)、アリルカルバマート(Alloc)、1-イソプロピルアリルカルバマート(Ipaoc)、シンナミルカルバマート(Coc)、4-ニトロシンナミルカルバマート(Noc)、8-キノリルカルバマート、N-ヒドロキシピペリジニルカルバマート、アルキルジチオカルバマート、ベンジルカルバマート(Cbz)、p-メトキシベンジルカルバマート(Moz)、p-ニトロベンジルカルバマート、p-ブロモベンジルカルバマート、p-クロロベンジルカルバマート、2,4-ジクロロベンジルカルバマート、4-メチルスルフィニルベンジルカルバマート(Msz)、9-アントリルメチルカルバマート、ジフェニルメチルカルバマート、2-メチルチオエチルカルバマート、2-メチルスルホニルエチルカルバマート、2-(p-トルエンスルホニル)エチルカルバマート、[2-(1,3-ジチアニル)]メチルカルバマート(Dmoc)、4-メチルチオフェニルカルバマート(Mtpc)、2,4-ジメチルチオフェニルカルバマート(Bmpc)、2-ホスホニオエチルカルバマート(Peoc)、2-トリフェニルホスホニオイソプロピルカルバマート(Ppoc)、1,1-ジメチル-2-シアノエチルカルバマート、m-クロロ-p-アシルオキシベンジルカルバマート、p-(ジヒドロキシボリル)ベンジルカルバマート、5-ベンゾイソオキサゾリルメチルカルバマート、2-(トリフルオロメチル)-6-クロモニルメチルカルバマート(Tcroc)、m-ニトロフェニルカルバマート、3,5-ジメトキシベンジルカルバマート、o-ニトロベンジルカルバマート、3,4-ジメトキシ-6-ニトロベンジルカルバマート、フェニル(o-ニトロフェニル)メチルカルバマート、t-アミルカルバマート、S-ベンジルチオカルバマート、p-シアノベンジルカルバマート、シクロブチルカルバマート,シクロヘキシルカルバマート、シクロペンチルカルバマート、シクロプロピルメチルカルバマート、p-デシルオキシベンジルカルバマート、2,2-ジメトキシアシルビニルカルバマート、o-(N,N-ジメチルカルボキサミド)ベンジルカルバマート、1,1-ジメチル-3-(N,N-ジメチルカルボキサミド)プロピルカルバマート、1,1-ジメチルプロピニルカルバマート、ジ(2-ピリジル)メチルカルバマート、2-フラニルメチルカルバマート、2-ヨードエチルカルバマート、イソボルニルカルバマート、イソブチルカルバマート、イソニコチニルカルバマート、p-(p'-メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバマート、1-メチルシクロブチルカルバマート、1-メチルシクロヘキシルカルバマート、1-メチル-1-シクロプロピルメチルカルバマート、1-メチル-1-(3,5-ジメトキシフェニル)エチルカルバマート、1-メチル-1-(p-フェニルアゾフェニル)エチルカルバマート、1-メチル-1-フェニルエチルカルバマート、1-メチル-1-(4-ピリジル)エチルカルバマート、フェニルカルバマート、p-(フェニルアゾ)ベンジルカルバマート、2,4,6-トリ-t-ブチルフェニルカルバマート、4-(トリメチルアンモニウム)ベンジルカルバマート、および2,4,6-トリメチルベンジルカルバマートを包含する。
【0062】
スルホンアミド基などの窒素保護基(例として、-S(=O)2Raa)は、これらに限定されないが、p-トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルホンアミド、2,3,6-トリメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtr)、2,4,6-トリメトキシベンゼンスルホンアミド(Mtb)、2,6-ジメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Pme)、2,3,5,6-テトラメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Mte)、4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Mbs)、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホンアミド(Mts)、2,6-デメトキシ-4-メチルベンゼンスルホンアミド(iMds)、2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β-トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9-アントラセンスルホンアミド、4-(4',8'-デメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルホンアミド(DNMBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミド、およびフェナシルスルホンアミドを包含する。
【0063】
他の窒素保護基は、これらに限定されないが、フェノチアジニル-(10)-アシル誘導体、N'-p-トルエンスルホニルアミノアシル誘導体、N'-フェニルアミノチオアシル誘導体、N-ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、N-アセチルメチオニン誘導体、4,5-ジフェニル-3-オキサゾリン-2-オン、N-フタルイミド、N-ジチアスクシンイミド(Dts)、N-2,3-ジフェニルマレイミド、N-2,5-ジメチルピロール、N-1,1,4,4-テトラメチルジシリルアザシクロペンタン付加体(STABASE)、5-置換の1,3-ジメチル-1,3,5-トリアザシクロヘキサン-2-オン、5-置換の1,3-ジベンジル-1,3,5-トリアザシクロヘキサン-2-オン、1-置換の3,5-ジニトロ-4-ピリドン、N-メチルアミン、N-アリルアミン、N-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチルアミン(SEM)、N-3-アセトキシプロピルアミン、N-(1-イソプロピル-4-ニトロ-2-オキソ-3-ピロリン-3-イル)アミン、四級アンモニウム塩、N-ベンジルアミン、N-ジ(4-メトキシフェニル)メチルアミン、N-5-ジベンゾスベリルアミン、N-トリフェニルメチルアミン(Tr)、N-[(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N-9-フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N-2,7-ジクロロ-9-フルオレニルメチレンアミン、N-フェロセニルメチルアミノ(Fcm)、N-2-ピコリルアミノN'-オキシド、N-1,1-ジメチルチオメチレンアミン、N-ベンジリデンアミン、N-p-メトキシベンジリデンアミン、N-ジフェニルメチレンアミン、N-[(2-ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N-(N',N'-ジメチルアミノメチレン)アミン、N,N'-イソプロピリデンジアミン、N-p-ニトロベンジリデンアミン、N-サリチリデンアミン、N-5-クロロサリチリデンアミン、N-(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N-シクロヘキシリデンアミン、N-(5,5-ジメチル-3-オキソ-1-シクロヘキセニル)アミン、N-ボラン誘導体、N-ジフェニルボリン酸誘導体、N-[フェニル(ペンタアシルクロム-またはタングステン)アシル]アミン、N-銅キレート、N-亜鉛キレート、N-ニトロアミン、N-ニトロソアミン、アミンN-オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、ホスホロアミド酸ジアルキル、ホスホロアミド酸ジベンジル、ホスホロアミド酸ジフェニル、ベンゼンスルフェンアミド、o-ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4-ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2-ニトロ-4-メトキシベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド、および3-ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)を包含する。
【0064】
ある態様において、酸素原子上に存在する置換基は、酸素保護基である(また本明細書中「ヒドロキシル保護基」とも称される)。酸素保護基は、これらに限定されないが、-Raa、-N(Rbb)2、-C(=O)SRaa、-C(=O)Raa、-CO2Raa、-C(=O)N(Rbb)2、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb)2、-S(=O)Raa、-SO2Raa、-Si(Raa)3、-P(Rcc)2、-P(Rcc)3
+X-、-P(ORcc)2、-P(ORcc)3
+X-、-P(=O)(Raa)2、-P(=O)(ORcc)2、および-P(=O)(N(Rbb)2)2を包含し、ここでX-、Raa、Rbb、およびRccは、本明細書に定義されるとおりである。酸素保護基は、当該技術分野において周知であって、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999(参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載される当該基を包含する。
【0065】
例示の酸素保護基は、これらに限定されないが、メチル、メトキシルメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t-ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p-メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4-メトキシフェノキシ)メチル(p-AOM)、グアイアコールメチル(GUM)、t-ブトキシメチル、4-ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2-メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2-トリクロロエトキシメチル、ビス(2-クロロエトキシ)メチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3-ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1-メトキシシクロヘキシル、4-メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニルS,S-ジオキシド、1-[(2-クロロ-4-メチル)フェニル]-4-メトキシピペリジン-4-イル(CTMP)、1,4-ジオキサン-2-イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a-オクタヒドロ-7,8,8-トリメチル-4,7-メタノベンゾフラン-2-イル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、1-メチル-1-メトキシエチル、1-メチル-1-ベンジルオキシエチル、1-メチル-1-ベンジルオキシ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-トリメチルシリルエチル、2-(フェニルセレニル)エチル、t-ブチル、アリル、p-クロロフェニル、p-メトキシフェニル、2,4-ジニトロフェニル、ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル、3,4-デメトキシベンジル、o-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、p-ハロベンジル、2,6-ジクロロベンジル、p-シアノベンジル、p-フェニルベンジル、2-ピコリル、4-ピコリル、3-メチル-2-ピコリルN-オキシド、ジフェニルメチル、p,p'-ジニトロベンズヒドリル、5-ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α-ナフチルジフェニルメチル、p-メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p-メトキシフェニル)メチル、4-(4'-ブロモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4',4''-トリス(4,5-ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4',4''-トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4',4''-トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3-(イミダゾール-1-イル)ビス(4',4''-デメトキシフェニル)メチル、1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-1'-プレニルメチル、9-アントリル、9-(9-フェニル)キサンテニル、9-(9-フェニル-10-オキソ)アントリル、1,3-ベンゾジチオラン-2-イル、ベンズイソチアゾリルS,S-ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルテキシルシリル、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ-p-キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t-ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、ホルマート、ベンゾイルホルマート、アセタート、クロロアセタート、ジクロロアセタート、トリクロロアセタート、トリフルオロアセタート、メトキシアセタート、トリフェニルメトキシアセタート、フェノキシアセタート、p-クロロフェノキシアセタート、3-フェニルプロピオナート、4-オキソペンタノアート(レブリナート)、4,4-(エチレンジチオ)ペンタノアート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロアート、アダマントアート、クロトナート、4-メトキシクロトナート、ベンゾアート、p-フェニルベンゾアート、2,4,6-トリメチルベンゾアート(メシトアート)、メチルカーボナート、9-フルオレニルメチルカーボナート(Fmoc)、エチルカーボナート、2,2,2-トリクロロエチルカーボナート(Troc)、2-(トリメチルシリル)エチルカーボナート(TMSEC)、2-(フェニルスルホニル)エチルカーボナート(Psec)、2-(トリフェニルホスホニオ)エチルカーボナート(Peoc)、イソブチルカーボナート、ビニルカーボナート、アリルカーボナート、t-ブチルカーボナート(BOCまたはBoc)、p-ニトロフェニルカーボナート、ベンジルカーボナート、p-メトキシベンジルカーボナート、3,4-デメトキシベンジルカーボナート、o-ニトロベンジルカーボナート、p-ニトロベンジルカーボナート、S-ベンジルチオカーボナート、4-エトキシ-1-ナフトチル(napththyl)カーボナート、メチルジチオカーボナート、2-ヨードベンゾアート、4-アジドブチラート、4-ニトロ-4-メチルペンタノアート、o-(ジブロモメチル)ベンゾアート、2-ホルミルベンゼンスルホナート、2-(メチルチオメトキシ)エチル、4-(メチルチオメトキシ)ブチラート、2-(メチルチオメトキシメチル)ベンゾアート、2,6-ジクロロ-4-メチルフェノキシアセタート、2,6-ジクロロ-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシアセタート、2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェノキシアセタート、クロロジフェニルアセタート、イソブチラート、モノスクシノアート、(E)-2-メチル-2-ブテノアート、o-(メトキシアシル)ベンゾアート、α-ナフトエアート、ニトラート、アルキルN,N,N',N'-テトラメチルホスホロジアミダート、アルキルN-フェニルカルバマート、ボラート、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル2,4-ジニトロフェニルスルフェナート、スルファート、メタンスルホナート(メシラート)、ベンジルスルホナート、およびトシラート(Ts)を包含する。
【0066】
ある態様において、硫黄原子上に存在する置換基は、硫黄保護基である(また「チオール保護基」とも称される)。硫黄保護基は、これらに限定されないが、-Raa、-N(Rbb)2、-C(=O)SRaa、-C(=O)Raa、-CO2Raa、-C(=O)N(Rbb)2、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb)2、-S(=O)Raa、-SO2Raa、-Si(Raa)3、-P(Rcc)2、-P(Rcc)3
+X-、-P(ORcc)2、-P(ORcc)3
+X-、-P(=O)(Raa)2、-P(=O)(ORcc)2、および-P(=O)(N(Rbb)2)2を包含し、ここでRaa、Rbb、およびRccは、本明細書に定義されるとおりである。硫黄保護基は、当該技術分野において周知であって、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999(参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載される当該基を包含する。
【0067】
「対イオン」または「アニオン性対イオン」は、電子的中性を維持するために、正に荷電した基と結び付けられた負に荷電した基である。アニオン性対イオンは、一価であってもよい(例として、負の形式電荷を1個包含する)。アニオン性対イオンはまた、二価または三価などの多価であってもよい(例として、負の形式電荷を1個以上包含する)。例示の対イオンは、ハロゲン化物イオン(例として、F-、Cl-、Br-、I-)、NO3
-、ClO4
-、OH-、H2PO4
-、HCO3
-、HSO4
-、スルホン酸イオン(例として、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、10-カンファ-スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1-スルホン酸-5-スルホン酸、エタン-1-スルホン酸-2-スルホン酸等)、カルボン酸イオン(例として、酢酸、プロパン酸、安息香酸、グリセリン酸、乳酸、酒石酸、グリコール酸、グリコン酸等)、BF4
-、PF4
-、PF6
-、AsF6
-、SbF6
-、B[3,5-(CF3)2C6H3]4]-、B(C6F5)4
-、BPh4
-、Al(OC(CF3)3)4
-、およびカルボランアニオン(例として、CB11H12
-または(HCB11Me5Br6)-)を包含する。多価であってもよい例示の対イオンは、CO3
2-、HPO4
2-、PO4
3-、B4O7
2-、SO4
2-、S2O3
2-、カルボン酸アニオン(例として、酒石酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、グリコン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、サリチル酸、フタル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等)、およびカルボランを包含する。
【0068】
本明細書に使用されるとき、「脱離基」(LG)は、当該技術分野において理解されている用語であって、不均等結合開裂(heterolytic bond cleavage)において電子対とともに離れる分子フラグメントを指す前記用語であるが、ここで分子フラグメントは、アニオン分子または中性分子である。本明細書に使用されるとき、脱離基は、求核試薬によって置き換えられることができる原子または基であり得る。例えば、Smith,March Advanced Organic Chemistry 6th ed.(501-502)を参照。例示の脱離基は、これらに限定されないが、ハロ(例として、クロロ、ブロモ、ヨード)、および活性化された置換ヒドロキシル基(例として、-OC(=O)SRaa、-OC(=O)Raa、-OCO2Raa、-OC(=O)N(Rbb)2、-OC(=NRbb)Raa、-OC(=NRbb)ORaa、-OC(=NRbb)N(Rbb)2、-OS(=O)Raa、-OSO2Raa、-OP(Rcc)2、-OP(Rcc)3、-OP(=O)2Raa、-OP(=O)(Raa)2、-OP(=O)(ORcc)2、-OP(=O)2N(Rbb)2、および-OP(=O)(NRbb)2、ここでRaa、Rbb、およびRccは、本明細書に定義されるとおりである)を包含する。
【0069】
句「少なくとも1つの場合」の使用は、1、2、3、4、またはこれより多い場合を指すが、例として、例えば、1から4までの、1から3までの、1から2までの、2から4までの、2から3までの、または3から4までの場合の範囲(両端含む)をもまた網羅する。
【0070】
用語「炭水化物」または「糖類」は、多価アルコールのアルデヒド誘導体またはケトン誘導体を指す。炭水化物は、相対的に小さい分子(例として、糖)、ならびに高分子物質またはポリマー物質(例として、デンプン、グリコーゲン、およびセルロース多糖類)である化合物を包含する。用語「糖」は、単糖類、二糖類、または多糖類を指す。単糖類は、より小さい炭水化物へ加水分解され得ない点で、最も単純な炭水化物である。ほとんどの単糖類は、一般式CyH2yOy(例として、C6H12O6(グルコースなどのヘキソース))によって表され得るが、ここでyは、3に等しいかまたは3より大きい整数である。上に記載の一般式によって表されないある多価アルコールはまた、単糖類と見なされてもよい。例えば、デオキシリボースは、式C5H10O4で表され、かつ単糖類である。単糖類は大抵、5個または6個の炭素原子からなり、夫々ペントースおよびヘキソースと称される。単糖類がアルデヒドを含有する場合は、アルドースと称される;ケトンを含有する場合は、ケトースと称される。単糖類はまた、アルドース体またはケトース体においても、3個、4個、または7個の炭素原子からなり、夫々トリオース、テトロース、およびヘプトースと称される。グリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンは夫々、アルドトリオース糖およびケトトリオース糖と見なされている。アルドテトロース糖の例は、エリトロースおよびトレオースを包含する;ケトテトロース糖は、エリトルロースを包含する。アルドペントース糖は、リボース、アラビノース、キシロース、およびリキソースを包含する;ケトペントース糖は、リブロース、アラブロース(arabulose)、キシルロース、およびリキスロースを包含する。アルドヘキソース糖の例は、グルコース(例えば、デキストロース)、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、タロース、グロース、およびイドースを包含する;ケトヘキソース糖は、フルクトース、プシコース、ソルボース、およびタガトースを包含する。ケトヘプトース糖は、セドヘプツロースを包含する。ヒドロキシル基(-OH)を持つ単糖類の各炭素原子は、最初のおよび最後の炭素を除き、不斉であって、その炭素原子を、2種の実行可能な立体配置(RまたはS)をもつ立体中心とさせる。この不斉のせいで、数多の異性体がどのような単糖類の式であっても存在し得る。アルドヘキソースD-グルコースは、例えば式C6H12O6を有し、その6個の炭素原子のうち2個を除くすべてが不斉中心になり得(stereogenic)、D-グルコースを、16(すなわち、24)種の実行可能な立体異性体のうちの1種にさせる。DまたはLの割り当ては、カルボニル基から最も遠い不斉炭素の配向に従ってなされる:標準的なフィッシャー投影法において、ヒドロキシル基が右手にある場合、分子はD糖であって、そうでなければL糖である。直鎖の単糖類のアルデヒド基またはケトン基は、異なる炭素原子上のヒドロキシル基と可逆的に反応することで、ヘミアセタールまたはヘミケタールを形成し、2個の炭素原子間に酸素橋をもつ複素環式の環を形成するであろう。5個および6個の原子をもつ環は夫々、フラノース体およびピラノース体と呼ばれ、直鎖形態の平衡状態で存在する。直鎖形態から環状形態への変換の最中、アノマー炭素と呼ばれる、カルボニル酸素を含有する炭素原子は、2種の実行可能な立体配置の立体中心(stereogenic center)になる:酸素原子は、環の平面の上側または下側のいずれかの位置に付いてもよい。その結果得られる実行可能な対の立体異性体は、アノマーと呼ばれる。αアノマーにおいて、アノマー炭素上の-OH置換基は、-CH2OH側枝から環の反対側(trans)にある。-CH2OH置換基およびアノマーヒドロキシルが環の平面の同じ側(cis)にある代替の形態は、βアノマーと呼ばれる。結び合った2以上の単糖類単位を包含する炭水化物は夫々、二糖類または多糖類(例として、三糖類)と呼ばれる。2以上の単糖類単位は、脱水反応を介して形成されるグリコシド連結として知られている共有結合によって一緒に結合されるので、一方の単糖類から水素原子の喪失が、もう一方の単糖類からヒドロキシル基の喪失がもたらされる。例示の二糖類は、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、セロビオース、キシロビオース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、マンノビオース、メリビオース、ニゲロース、またはルチノースを包含する。例示の三糖類は、これらに限定されないが、イソマルトトリオース、ニゲロトリオース(nigerotriose)、マルトトリオース、メレチトース、マルトトリウロース(maltotriulose)、ラフィノース、およびケストースを包含する。
【0071】
用語「ヘテロ原子」は、水素でも炭素でもない原子を指す。ある態様において、ヘテロ原子は、窒素である。ある態様において、ヘテロ原子は、酸素である。ある態様において、ヘテロ原子は、硫黄である。
【0072】
用語「小分子」は、天然に存在するものかまたは人工的に(例として、化学合成を介して)創出されたものかにかかわらず、相対的に低分子量を有する分子を指す。典型的には、小分子は有機化合物である(すなわち、これは炭素を含有する)。小分子は、複数の炭素-炭素結合、立体中心、および他の官能基(例として、アミン、ヒドロキシル、カルボニル、および複素環式の環等々)を含有していてもよい。ある態様において、小分子の分子量は、約1,000g/mol以下、約900g/mol以下、約800g/mol以下、約700g/mol以下、約600g/mol以下、約500g/mol以下、約400g/mol以下、約300g/mol以下、約200g/mol以下、または約100g/mol以下である。ある態様において、小分子の分子量は、少なくとも約100g/mol、少なくとも約200g/mol、少なくとも約300g/mol、少なくとも約400g/mol、少なくとも約500g/mol、少なくとも約600g/mol、少なくとも約700g/mol、少なくとも約800g/mol、または少なくとも約900g/mol、または少なくとも約1,000g/molである。上の範囲の組み合わせ(例として、少なくとも約200g/molであり、かつ約500g/mol以下である)もまた、実行可能である。ある態様において、小分子は、薬物(例として、連邦規則集(C.F.R.)に規定される(provided in)とおりの米国食品医薬品局によって承認された分子)などの治療的に活性な剤である。小分子はまた、1以上の金属原子および/または金属イオンと複合体化されていてもよい。この実例において、小分子はまた、「有機金属小分子」とも称される。好ましい小分子は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおいて生物学的効果を産生する点で生物学的に活性がある。小分子は、これらに限定されないが、放射性核種および造影剤を包含する。ある態様において、小分子は、薬物である。好ましくは、そうとは限らないが(though not necessarily)、薬物は、適切な政府機関(governmental agency)または規制機関(regulatory body)によってヒトまたは動物における使用に安全かつ有効であると既に見なされたものである。例えば、ヒト使用に承認された薬物は、21 C.F.R.§§330.5、331~361、および440~460(参照により本明細書に組み込まれる)の下FDAによって列挙されている;獣医が使用するための(for veterinary use)薬物は、21 C.F.R.§§500~589(参照により本明細書に組み込まれる)の下FDAによって列挙されている。列挙されたすべての薬物は、本発明に従う使用に許容し得るものと考えられる。
【0073】
一価成分-Rの「分子量」は、化合物R-Hの分子量から1を引くことによって算出される。二価成分-L-の「分子量」は、化合物H-L-Hの分子量から2を引くことによって算出される。
【0074】
「炭化水素鎖」は、置換もしくは非置換の二価のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を指す。炭化水素鎖は、(1)炭化水素鎖の2個のラジカル間にすぐ接して(immediately)、炭素原子の1以上の鎖;(2)炭素原子の鎖(単数または複数)上に、任意に1以上の水素原子;および(3)炭素原子の鎖(単数または複数)上に、任意に1以上の置換基(水素ではない「非鎖置換基(non-chain substituents)」)を包含する。炭素原子の鎖は、連続的に接続された炭素原子(「鎖原子(chain atoms)」)からなり、水素原子もヘテロ原子も包含しない。しかしながら、炭化水素鎖の非鎖置換基は、水素原子、炭素原子、およびへテロ原子を包含する、いずれの原子も包含していてもよい。例えば、炭化水素鎖-C
AH(C
BH
2C
CH
3)-は、1個の鎖原子C
A、C
A上の1個の水素原子、および非鎖置換基-(C
BH
2C
CH
3)を包含する。用語「C
x炭化水素鎖」(ここでxは正の整数である)は、炭化水素鎖の2個のラジカル間に鎖原子(単数または複数)のx数を包含する炭化水素鎖を指す。xの取り得る値が1より大きい場合、xの取り得る最も小さい値が、炭化水素鎖の定義に使用される。例えば、-CH(C
2H
5)-は、C
1炭化水素鎖であり、
【化10】
は、C
3炭化水素鎖である。値のある範囲が使用されるとき、その範囲の意味は、本明細書に記載のとおりである。例えば、C
3~10炭化水素鎖は、炭化水素鎖の2個のラジカル間にすぐ接して、炭素原子の最も短い鎖の鎖原子数が3、4、5、6、7、8、9、または10である、炭化水素鎖を指す。炭化水素鎖は、飽和(例として-(CH
2)
4-)であってもよい。炭化水素鎖はまた、不飽和であってもよく、1以上のC=Cおよび/またはC≡C結合を、炭化水素鎖中のどこかに包含してもよい。実例として、-CH=CH-(CH
2)
2-、-CH
2-C≡C-CH
2-、および-C≡C-CH=CH-はすべて、非置換かつ不飽和の炭化水素鎖の例である。ある態様において、炭化水素鎖は、非置換である(例として、-C≡C-または-(CH
2)
4-)。ある態様において、炭化水素鎖は、置換されている(例として、-CH(C
2H
5)-および-CF
2-)。炭化水素鎖上のいずれか2個の置換基は、結び合うことで、任意に置換されていてもよいカルボシクリル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、または任意に置換されていてもよいヘテロアリール環を形成してもよい。実例として、
【化11】
はすべて、炭化水素鎖の例である。対照的に、ある態様において、
【化12】
は、本明細書に記載の炭化水素鎖の範囲内にはない。C
x炭化水素鎖の鎖原子がヘテロ原子で置き換えられているとき、その結果得られる基は、C
x-1炭化水素鎖とは対照的に、鎖原子がヘテロ原子に置き換えられたC
x炭化水素鎖と称される。例えば、
【化13】
は、1個の鎖原子が酸素原子に置き換えられたC
3炭化水素鎖である。
【0075】
用語「結晶」または「結晶形態」は、実質的に3次元秩序を呈する固体形態を指す。ある態様において、固体の結晶形態は、実質的にアモルファスではない固体形態である。ある態様において、結晶形態のX線粉末回折(XRPD)パターンは、1以上の明瞭な(sharply defined)ピークを包含する。
【0076】
本明細書に使用されるとき、用語「塩」は、ありとあらゆる塩を指し、薬学的に許容し得る塩を網羅する。
【0077】
用語「薬学的に許容し得る塩」は、正しい医学的判断の範囲内において、ヒトおよび下等動物の組織との接触における使用に好適であって、過度の毒性、刺激、アレルギー性応答等がなく、妥当なベネフィット/リスク比に見合った塩を指す。薬学的に許容し得る塩は、当該技術分野において周知である。例えば、Bergeらは薬学的に許容し得る塩を詳細にJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19(参照により本明細書に組み込まれる)に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容し得る塩は、好適な無機および有機の酸ならびに塩基に由来するものを包含する。薬学的に許容し得る無毒な酸付加塩の例は、無機酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸など)で、または有機酸(酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、またはマロン酸)で、または当該技術分野において知られている他の方法(イオン交換など)を使用することによって、形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容し得る塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、しょうのう酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等を包含する。適切な塩基に由来する塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、およびN+(C1~4アルキル)4
-塩を包含する。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属の塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等を包含する。さらなる薬学的に許容し得る塩は、適切な場合、無毒のアンモニウム、四級アンモニウム、および対イオン(ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸、硫酸、リン酸、硝酸、低級アルキルスルホン酸、およびアリールスルホン酸など)を使用して形成されたアミンカチオンを包含する。
【0078】
用語「溶媒和物」は、通常ソルボリシス反応によって、溶媒と結び付いた化合物またはその塩の形態を指す。この物理的な結び付きは、水素結合を包含してもよい。従来の溶媒は、水、メタノール、エタノール、酢酸、DMSO、THF、ジエチルエーテル等を包含する。本明細書に記載の化合物は、例として結晶形態で調製されてもよく、溶媒和されてもよい。好適な溶媒和物は、薬学的に許容し得る溶媒和物を包含し、さらに、化学量論的な溶媒和物および非化学量論的な溶媒和物の両方を包含する。ある実例において、溶媒和物は、例えば1個以上の溶媒分子が、結晶固体の結晶格子中に組み込まれるときに、単離できるであろう。「溶媒和物」は、溶液相と単離可能な溶媒和物との両方を網羅する。代表的な溶媒和物は、水和物、エタノラート、およびメタノラートを包含する。
【0079】
用語「水和物」は、水と結び付いた化合物を指す。典型的には、化合物の水和物中に含有される水分子数が、水和物中の化合物分子数に対して一定の比である。したがって、化合物の水和物は、例えば一般的式R・xH2O(ここでRは、化合物であり、xは、0より大きい数である)によって表されてもよい。所定の化合物は、1より多いタイプの水和物を形成してもよく、例として、一水和物(xは、1である)、低級水和物(xは、0より大きくかつ1より小さい数であり、例として、ヘミ水和物(R・0.5H2O))、および多水和物(xは、1より大きい数であり、例として、二水和物(R・2H2O)および六水和物(R・6H2O))包含する。
【0080】
用語「互変異性体(tautomer)」または「互変異性体の(tautomeric)」は、水素原子の少なくとも1つの形式的な移動と、原子価の少なくとも1つの変化(例として、単結合~二重結合、三重結合~単結合、またはその逆)とからもたらされる、2以上の相互変換可能な化合物を指す。互変異性体の厳密な比は、温度、溶媒、およびpHを包含する数個の因子に依存する。互変異性体化(すなわち、互変異性体の対を提供する反応)は、酸または塩基によって触媒されてもよい。例示の互変異性体化は、ケト-エノール、アミド-イミド、ラクタム-ラクチム、エナミン-イミン、およびエナミン-(異なる)エナミン互変異性化を包含する。
【0081】
同じ分子式を有するが、それらの原子の結合の性質もしくは順序、または空間中のそれらの原子の配置が異なる化合物は、「異性体」と呼ばれることもまた理解されるであろう。空間中のそれらの原子の配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。相互の鏡像ではない立体異性体は「ジアステレオマー」と呼ばれ、互いの重ね合わせ不可能な鏡像であるものは「鏡像異性体」と呼ばれる。化合物が不斉中心を有する(例えば、それが4つの異なる基へ結合している)とき、一対のエナンチオマーが可能である。鏡像異性体は、その不斉中心の絶対立体配置によって特徴付けられ得、CahnおよびPrelogのRおよびS順位則によって、または分子が偏光面を回転させる様式によって、記載され、右旋性または左旋性として(すなわち、夫々(+)または(-)異性体として)指定される。キラル化合物は、個々の鏡像異性体またはその混合物のいずれかとして存在し得る。等しい割合の鏡像異性体を含有する混合物は、「ラセミ混合物」と呼称される。
【0082】
用語「多形」は、結晶形態の化合物(またはその塩、水和物、もしくは溶媒和物)を指す。すべての多形は、同じ元素組成を有する。異なる結晶形態は通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬さ、結晶形状、光学的および電気的特性、安定性、ならびに可溶性を有する。再結晶化溶媒、結晶化速度、保管温度、および他の因子は、1つの結晶形態を優勢にさせ得る。化合物の種々の多形は、異なる条件下の結晶化によって調製され得る。
【0083】
用語「プロドラッグ」は、切断可能な基を有する化合物であって、加溶媒分解によってもしくは生理条件下で本明細書に記載の化合物になる化合物を指し、これはin vivoで薬学的に活性である。かかる例は、これらに限定されないが、コリンエステル誘導体等、N-アルキルモルホリンエステル等を包含する。本明細書に記載の化合物の他の誘導体は、それらの酸および酸誘導体の両方の形態で活性を有するが、酸感応性形態においてはしばしば、可溶性、組織適合性、または遅延放出の利点を哺乳生物に提供する(Bundgard,H.,Design of Prodrugs,pp.7-9,21-24,Elsevier,Amsterdam 1985を参照)。プロドラッグは、例えば、親酸と好適なアルコールとの反応によって調製されたエステル、または親酸化合物と置換もしくは非置換のアミンとの反応によって調製されたアミド、または酸無水物、または混合無水物などの、当該技術分野の専門家に周知の酸誘導体を包含する。本発明の化合物上にぶら下がっている(pendant)酸性基に由来する、単純な脂肪族または芳香族のエステル、アミド、および無水物は、特定のプロドラッグである。いくつかのケースにおいて、例えば(アシルオキシ)アルキルエステルまたは((アルコキシカルボニル)オキシ)アルキルエステルなどの二重エステル型プロドラッグを調製することが望ましい。本明細書に記載の化合物の、C1~C8アルキル、C2~C8アルケニル、C2~C8アルキニル、アリール、C7~C12置換アリール、およびC7~C12アリールアルキルエステルが、好ましいこともある。
【0084】
用語「組成物」および「製剤」は、交換可能に使用される。
【0085】
投与が企図される「対象」は、ヒト(すなわち、いずれの年齢群の男性(male)もしくは女性(female)、例として、小児対象(例として、乳児、子ども(child)、もしくは若者(adolescent))、または成年対象(例として、年少の成年者、中年の成年者、もしくは年長の成年者))、あるいは非ヒト動物を指す。ある態様において、非ヒト動物は、哺乳動物(例として、霊長目の動物(例として、カニクイザルもしくは赤毛猿)、商業的に関係のある哺乳動物(例として、畜牛(cattle)、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、もしくはイヌ)、または鳥類(例として、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、もしくはシチメンチョウなどの、商業的に関係のあるトリ))である。ある態様において、非ヒト動物は、魚類、爬虫類、または両生類の動物である。非ヒト動物は、いずれの発生段階でのオス(male)またはメス(female)であってもよい。非ヒト動物は、トランスジェニック動物または遺伝子学的に改変された動物であってもよい。用語「患者」は、疾患の処置を必要とするヒト対象を指す。
【0086】
用語「生体試料」は、組織試料(組織切片および組織の針生検など);細胞試料(例として、細胞学的塗抹標本(Papもしくは血液の塗抹標本など)または顕微解剖によって得られた試料);全生物の試料(酵母または細菌の試料など);あるいは、細胞画分、フラグメント、またはオルガネラ(細胞を溶解して、その構成要素を遠心分離によってまたは別様に分離することによって得られたものなど)を包含するいずれの試料も指す。生体試料の他の例は、血液、血清、尿、精液、排泄物、脳脊髄液、間質液、粘液、涙液、汗、膿、生検組織(例として、外科生検もしくは針生検によって得られたもの)、乳頭吸引物、乳、膣液、唾液、ぬぐい液(口腔内のぬぐい液など)、または第1の生体試料に由来する生体分子を含有するいずれの材料も包含する。生体試料はまた、トランスジェニック卵母細胞、精子細胞、胚盤胞、胚、胎児、ドナー細胞、または細胞核などのトランスジェニックである、それらの生体試料をも包含する。
【0087】
用語「投与する(施す)」、「投与すること(施すこと)」、または「投与(施し)」は、本明細書に記載の化合物またはその組成物を、対象中にまたは対象上に、インプラントすること、吸収させること、摂取させること、注射すること、吸入させること、または別のやり方で導入することを指す。
【0088】
用語「処置」、「処置する」、および「処置すること」は、本明細書に記載の疾患を食い止めること、緩和すること、その発病を遅延させること、またはその進行を阻害することを指す。いくつかの態様において、処置は、疾患の1以上の兆候もしくは症状が発症した後または観察された後に、施されてもよい。他の態様において、処置は、疾患もしくは疾病の兆候または症状の非存在下で施されてもよい。例えば、処置は、症状の発病に先立って(例として、症状の既往に照らして、および/または病原体への曝露に照らして)、罹患しやすい(susceptible)対象に施されてもよい。処置はまた、例えば、再発(recurrence)を遅延させるかおよび/または予防するために、症状が消散した後でも継続されてもよい。
【0089】
用語「疾病」、「疾患」、および「障害」は、交換可能に使用される。
【0090】
本明細書に記載の化合物の「有効量」は、所望の生物学的応答を惹起するのに充分な量を指す。本明細書に記載の化合物の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、化合物の薬物動態、処置されようとする状態、投与モード、ならびに対象の齢(age)および健康などの因子に依存して変動してもよい。ある態様において、有効量は、治療的に有効な量である。ある態様において、有効量は、予防的な処置である。ある態様において、有効量は、単回用量中の本明細書に記載の化合物の量である。ある態様において、有効量は、複数回用量における本明細書に記載の化合物の合わされた量である。
【0091】
本明細書に記載の化合物の「治療的に有効な量」は、疾病の処置の点で治療ベネフィットを提供するのに、または疾病と関連する1以上の症状を遅延もしくは最小化するのに、充分な量である。化合物の治療的な有効な量は、治療剤単独での量、または他の治療と組み合わせた治療剤の量を意味し、この量は、疾病の処置の点で治療ベネフィットを提供する。用語「治療的に有効な量」は、治療を全面的に改善する量、疾病の症状、兆候、もしくは原因を減少または回避する量、および/または別の治療剤の治療有効性を増強する量を網羅し得る。ある態様において、治療的に有効な量は、JNK(例として、JNK2)の阻害に充分な量である。
【0092】
本明細書に記載の化合物の「予防的に有効な量」は、疾病、もしくは疾病と関連する1以上の症状を予防するのに、またはその再発(recurrence)を予防するのに、充分な量である。化合物の予防的に有効な量は、治療剤単独での量、または他の剤と組み合わせた治療剤の量を意味し、この量は、疾病の予防の点で予防的ベネフィットを提供する。用語「予防的に有効な量」は、予防法を全面的に改善する量、または別の予防的な剤の予防的な有効性を増強する量を網羅し得る。ある態様において、予防的に有効な量は、JNK(例として、JNK2)の阻害に充分な量である。
【0093】
本明細書に使用されるとき、タンパク質文脈における(例えば、JNKの文脈における)用語「阻害する」または「阻害」は、キナーゼ活性の低減を指す。いくつかの態様において、用語は、活性(例として、JNK2活性)レベルの、当初レベルより統計的に有意に低いレベル(このレベルは、例えば、活性のベースラインレベルであってもよい)までの低減を指す。いくつかの態様において、用語は、酵素活性(例として、JNK2活性)レベルの、当初レベルの75%未満、50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.01%未満、0.001%未満、または0.0001%未満であるレベル(このレベルは、例えば、酵素活性のベースラインレベルであってもよい)までの低減を指す。
【0094】
本明細書に記載の医薬組成物は、薬理学の分野において知られているいずれの方法によっても調製され得る。一般に、かかる調製方法は、本明細書に記載の化合物(すなわち、「活性成分」)を、担体または賦形剤、および/または1以上の他の補助成分と結び付けさせること、次いで、必要ならばおよび/または所望ならば、生成物を所望の単回用量または複数回用量の単位に成形および/またはパッケージングすることを包含する。
【0095】
「増殖性疾患」は、細胞の倍増による正常でない成長または伸展が原因で生起する疾患を指す(Walker,Cambridge Dictionary of Biology;Cambridge University Press:Cambridge,UK,1990)。増殖性疾患は、1)正常には静止期の細胞の、病的な増殖;2)それらの正常な所在からの細胞の病的な移動(例として、新生物性細胞の転移);3)マトリックスメタロプロテイナーゼなどのタンパク質分解酵素(例として、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、およびエラスターゼ)の病的な発現;または4)増殖性網膜症および腫瘍転移に見られるような病的な血管新生、と関連し得る。例示の増殖性疾患は、がん(すなわち、「悪性新生物」)、良性新生物、血管新生、炎症性疾患、および自己免疫疾患を包含する。
【0096】
用語「血管新生」は、新しい血管(blood vessels)が既存の血管(vessels)から形成される生理学的プロセスを指す。血管新生は、中胚葉細胞前駆体からの内皮細胞のde novo形成である脈管形成とは別個のものである。発生中の胚における第1の血管が脈管形成を通して形成され、その後に血管新生は、正常なまたは正常でない発生の最中のほとんどの血管成長を担っている。血管新生は、成長および発生において、ならびに創傷治癒において、および肉芽組織の形成において、欠かせないプロセスである。しかしながら、血管新生はまた、良性の状態から悪性の状態への腫瘍の移行(transition)における基本のステップでもあり、これががんの処置における血管新生インヒビターの使用に繋がる。血管新生は、成長因子(例として、VEGF)などの血管新生タンパク質によって化学的に刺激されることもある。「病的な血管新生」は、疾患になるかおよび/または疾患に関連する正常でない(例として、過度のまたは不充分な)血管新生を指す。
【0097】
用語「新生物」および「腫瘍」は本明細書中、交換可能に使用され、組織の正常でない塊を指し、ここで塊の成長は、正常な組織の成長を上回り、正常な組織の成長と調和しない。新生物または腫瘍は、以下の特徴:細胞分化の程度(モルホロジーおよび機能性を包含する)、成長の速度、局所浸潤、および転移、に依存して「良性」であってもまたは「悪性」であってもよい。「良性新生物」は、一般に十分に分化しており、特徴として悪性新生物よりも低速の成長を有し、元の部位に局在したままである。加えて、良性新生物は、浸潤、侵襲、または遠隔部位へ転移する性質を有さない。例示的な良性新生物は、これらに限定されないが、脂肪腫、軟骨腫、アデノーマ、アクロコルドン、老人性血管腫、脂漏性角化症、黒子、および脂腺増殖症を包含する。いくつかのケースにおいて、ある「良性」腫瘍は、後に、悪性新生物を生じさせ得、これは腫瘍の新生物性細胞の部分集団中の追加の遺伝子変化からもたらされ得、これらの腫瘍は「前悪性新生物」と言及される。例示的な前悪性新生物は、テラトーマである。対照的に「悪性新生物」は、一般に不十分に分化しており(退形成)、特徴として進行性の浸潤、侵襲、および周辺組織の破壊を伴う急速な成長を有する。しかも、悪性新生物は一般に、遠隔部位へ転移する性質を有する。用語「転移」、「転移性(の)」、または「転移する」は、原発性のまたは元の腫瘍から別の臓器または組織へのがん性細胞の拡散または移動を指し、典型的には、二次性(転移性)腫瘍が在る臓器または組織のものではなく、原発性のまたは元の腫瘍の組織型の「二次性腫瘍」または「二次性細胞塊」の存在によって同定可能である。例えば、骨へ移動した前立腺がんは、転移性前立腺がんと言われ、骨組織中で成長するがん性前立腺がん細胞を包含する。
【0098】
用語「がん」は、制御不能に増殖しかつ正常な生体組織に浸潤して破壊する能力を有する正常でない細胞の発生によって特徴付けられる疾患の類を指す。例として、Stedman's Medical Dictionary,25th ed.;Hensyl ed.;Williams & Wilkins:Philadelphia,1990を参照。例示のがんは、これらに限定されないが、聴神経腫;腺癌;副腎のがん;肛門がん;血管肉腫(例として、リンパ管肉腫、リンパ管内皮性肉腫、血管肉腫);虫垂がん;良性単一クローン性免疫グロブリン血症;胆管がん(例として、胆管癌);膀胱がん;乳房がん(breast cancer)(例として、乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳がん(mammary cancer)、乳房の髄様癌;脳がん(例として、髄膜腫、神経膠芽腫、神経膠腫(例として、星状細胞腫、乏突起神経膠腫)、髄芽腫);気管支がん;カルチノイド腫瘍;子宮頚がん(例として、子宮頸部腺癌);絨毛癌;脊索腫;頭蓋咽頭腫;大腸がん(colorectal cancer)(例として、結腸(colon)がん、直腸(rectal)がん、結腸直腸腺癌);結合組織のがん;上皮癌;上衣腫;内皮性肉腫(例として、カポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫);子宮内膜がん(例として、子宮がん、子宮肉腫);食道がん(例として、食道の腺癌、バレット腺癌);ユーイング肉腫;眼がん(例として、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫);家族性過好酸球増加症;胆嚢がん;胃部のがん(例として、胃腺癌);消化管間質腫瘍(GIST);胚細胞がん;頭頸部がん(例として、頭頸部扁平上皮癌、口腔がん(例として、口腔扁平上皮癌)、咽喉がん(例として、喉頭がん、咽頭がん、鼻咽頭がん、口腔咽頭がん));造血器がん(hematopoietic cancers)(例として、急性リンパ芽球性白血病(ALL)(例として、B細胞ALL、T細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例として、B細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例として、B細胞CML、T細胞CML)、および慢性リンパ性白血病(CLL)(例として、B細胞CLL、T細胞CLL)などの白血病);ホジキンリンパ腫(HL)(例として、B細胞HL、T細胞HL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)(例として、びまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)(例として、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫)などのB細胞NHL))、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(例として、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、節性辺縁帯B細胞性リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわち、ワルデンストレームマクログロブリン血症)、有毛細胞性白血病(HCL)、免疫芽球型大細胞性リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、および原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫などのリンパ腫;および、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)(例として、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(例として、菌状息肉症、セザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸管症型T細胞リンパ腫、皮下蜂窩織炎様T細胞リンパ腫、および未分化大細胞性リンパ腫)などのT細胞NHL;上に記載の1以上の白血病/リンパ腫の混合物;および多発性骨髄腫(MM)、重鎖病(例として、アルファ鎖病、ガンマ鎖病、ミュー鎖病);血管芽腫;下咽頭がん;炎症性筋線維芽細胞腫瘍;免疫球性アミロイドーシス;腎臓がん(例として、腎芽細胞腫、別名ウィルムス腫瘍、腎細胞癌);肝臓がん(例として、肝細胞がん(HCC)、悪性肝細胞癌);肺がん(例として、気管支癌、小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺の腺癌)平滑筋肉腫(LMS);肥満細胞症(例として、全身性肥満細胞症);筋肉のがん;骨髄異形成症候群(MDS);中皮腫;骨髄増殖性疾患(MPD)(例として、真性多血症(PV)、本態性血小板増加症(ET)、特発性骨髄様化生(AMM)、別名骨髄線維症(MF)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増多症候群(HES));神経芽細胞腫;神経線維腫(例として、神経線維腫症(NF)1または2型、神経鞘腫症);神経内分泌癌(例として、胃腸すい管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍);骨肉腫(例として、骨のがん);卵巣がん(例として、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌);乳頭腺癌;膵臓がん(例として、膵臓腺癌、管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、膵島細胞腫瘍);陰茎がん(例として、陰茎と陰嚢のパジェット病);松果体腫;原始神経外胚葉性腫瘍(PNT);形質細胞新生物;腫瘍随伴症候群;上皮内新生物;前立腺がん(例として、前立腺腺癌);直腸がん;横紋筋肉腫;唾液腺のがん;皮膚がん(例として、扁平上皮癌(SCC)、角化棘細胞腫(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC));小腸がん(例として、虫垂がん);軟部組織肉腫(例として、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫);皮脂腺癌;小腸がん;汗腺癌;滑膜腫;精巣がん(例として、精上皮腫、精巣胚性癌腫);甲状腺がん(例として、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様がん);尿道がん;膣のがん;および外陰がん(例として、外陰部パジェット病)を包含する。
【0099】
用語「炎症性疾患」は、炎症をもたらすかまたは結果として炎症になることによって引き起こされる疾患を指す。用語「炎症性疾患」はまた、マクロファージ、顆粒球、および/またはT-リンパ球による、異常な組織損傷および/または細胞死に繋がる過剰な(exaggerated)応答を引き起こす調節不全の炎症性反応をも指すことがある。炎症性疾患は、急性または慢性いずれかの炎症性の疾病であり得、感染または非感染性の原因から生じ得る。炎症性疾患は、限定せずに、アテローム性動脈硬化、動脈硬化症、自己免疫障害、多発性硬化症、全身性の紅斑性狼瘡、リウマチ性多発筋痛症(PMR)、痛風性関節炎、変形性関節炎、腱炎、滑液包炎、乾癬、嚢胞性線維症、骨関節炎、リウマチ性関節炎、炎症性関節炎、シェーグレン症候群、巨細胞性動脈炎、進行性の全身性硬化症(強皮症)、強直性脊椎炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、天疱瘡、類天疱瘡、糖尿病(例として、I型)、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、グレーブス病、グッドパスチャー症候群、混合性結合組織疾患、硬化性胆管炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、悪性貧血、炎症性皮膚疾患、通常型間質性肺臓炎(UIP)、石綿症、珪肺症、気管支拡張症、ベリリウム中毒、滑石肺、塵肺、サルコイドーシス、剥離性間質性肺炎、リンパ球様間質性肺炎、巨細胞性間質性肺炎、細胞性の間質性肺炎、外因性アレルギー性肺胞炎、ウェゲナー肉芽腫症および血管炎(angiitis)の関連形態(側頭動脈炎および結節性多発動脈炎)、炎症性皮膚疾患、肝炎、遅延型の過敏反応(例として、毒ツタ皮膚炎)、肺炎、気道炎症、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、脳炎、即時型過敏反応、喘息、花粉症、アレルギー、急性のアナフィラキシー、リウマチ熱、糸球体腎炎、腎盂腎炎、蜂巣炎、膀胱炎、慢性胆嚢炎、虚血(虚血性傷害)、再灌流傷害、同種移植片拒絶、宿主対移植片拒絶、虫垂炎、動脈炎、眼臉炎、細気管支炎、気管支炎、子宮頸炎、胆管炎、絨毛羊膜炎、結膜炎、涙腺炎、皮膚筋炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、小腸結腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合織炎、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、回腸炎、虹彩炎、咽頭炎、脊髄炎、心筋炎、腎炎、臍炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺臓炎、直腸炎、前立腺炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、精巣炎、扁桃炎、尿道炎、膀胱炎(urocystitis)、ブドウ膜炎、膣炎、血管炎、外陰炎、外陰膣炎、血管炎(angitis)、慢性気管支炎、骨髄炎、視神経炎、側頭動脈炎、横断性脊髄炎、壊死性筋膜炎、および壊死性腸炎を包含する。眼の炎症性疾患は、術後の炎症を包含するがこれに限定されない。
【0100】
「自己免疫疾患」は、通常身体中に存在する物質および組織に対する対象の身体の不適切な免疫応答に由来する疾患を指す。言い換えれば、免疫系は、身体のある部分を病原体と誤解して、その自身の細胞を攻撃する。これは、ある器官に制限されていることもあり(例として、自己免疫性甲状腺炎において)、または種々の場所における特定の組織を伴うこともある(例として、肺と腎臓との両方における基底膜に影響を及ぼし得るグッドパスチャー病)。自己免疫疾患の処置は、典型的には、免疫抑制、例として、免疫応答を減少させる医薬による。例示の自己免疫疾患は、これらに限定されないが、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、壊死性血管炎、リンパ節炎、結節性動脈周囲炎、全身性エリテマトーデス、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、乾癬、潰瘍性大腸炎、全身性硬化症、皮膚筋炎/多発筋炎、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、尋常性天疱瘡、ANCA関連血管炎(例として、ウェゲナー肉芽腫症、顕微鏡的多発性血管炎)、ブドウ膜炎、シェーグレン症候群、クローン病、ライター症候群、強直性脊椎炎、ライム病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、および心筋ミオパチーを包含する。ある態様において、自己免疫疾患は、リウマチ性関節炎である。
【0101】
「キナーゼ」は、ホスファート基をATPなどの高エネルギードナー分子から特定の基質へ移す(リン酸化と称される)酵素の一種である。キナーゼは、ホスホトランスフェラーゼのより大きなファミリーの一部である。キナーゼの最も大きな群の1つは、特定のタンパク質に作用してその活性を修飾するタンパク質キナーゼである。キナーゼは、細胞中、広範にシグナルを伝達して複雑なプロセスを制御するのに使用されている。様々な他のキナーゼは、脂質、炭水化物、アミノ酸、およびヌクレオチドなどの小分子に、シグナリングかまたは代謝経路に係るそれらを刺激するか(prime)のいずれかのために作用する。キナーゼはしばしば、それらの基質にちなんで命名される。500種超の種々のタンパク質キナーゼがヒトにおいて同定されている。これら例示のヒトタンパク質キナーゼは、これらに限定されないが、AAK1、ABL、ACK、ACTR2、ACTR2B、AKT1、AKT2、AKT3、ALK、ALK1、ALK2、ALK4、ALK7、AMPKa1、AMPKa2、ANKRD3、ANPa、ANPb、ARAF、ARAFps、ARG、AurA、AurAps1、AurAps2、AurB、AurBps1、AurC、AXL、BARK1、BARK2、BIKE、BLK、BMPR1A、BMPR1Aps1、BMPR1Aps2、BMPR1B、BMPR2、BMX、BRAF、BRAFps、BRK、BRSK1、BRSK2、BTK、BUB1、BUBR1、CaMK1a、CaMK1b、CaMK1d、CaMK1g、CaMK2a、CaMK2b、CaMK2d、CaMK2g、CaMK4、CaMKK1、CaMKK2、caMLCK、CASK、CCK4、CCRK、CDC2、CDC7、CDK10、CDK11、CDK2、CDK3、CDK4、CDK4ps、CDK5、CDK5ps、CDK6、CDK7、CDK7ps、CDK8、CDK8ps、CDK9、CDKL1、CDKL2、CDKL3、CDKL4、CDKL5、CGDps、CHED、CHK1、CHK2、CHK2ps1、CHK2ps2、CK1a、CK1a2、CK1aps1、CK1aps2、CK1aps3、CK1d、CK1e、CK1g1、CK1g2、CK1g2ps、CK1g3、CK2a1、CK2a1-rs、CK2a2、CLIK1、CLIK1L、CLK1、CLK2、CLK2ps、CLK3、CLK3ps、CLK4、COT、CRIK、CRK7、CSK、CTK、CYGD、CYGF、DAPK1、DAPK2、DAPK3、DCAMKL1、DCAMKL2、DCAMKL3、DDR1、DDR2、DLK、DMPK1、DMPK2、DRAK1、DRAK2、DYRK1A、DYRK1B、DYRK2、DYRK3、DYRK4、EGFR、EphA1、EphA10、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB6、Erk1、Erk2、Erk3、Erk3ps1、Erk3ps2、Erk3ps3、Erk3ps4、Erk4、Erk5、Erk7、FAK、FER、FERps、FES、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FGR、FLT1、FLT1ps、FLT3、FLT4、FMS、FRK、Fused、FYN、GAK、GCK、GCN2、GCN22、GPRK4、GPRK5、GPRK6、GPRK6ps、GPRK7、GSK3A、GSK3B、Haspin、HCK、HER2/ErbB2、HER3/ErbB3、HER4/ErbB4、HH498、HIPK1、HIPK2、HIPK3、HIPK4、HPK1、HRI、HRIps、HSER、HUNK、ICK、IGF1R、IKKa、IKKb、IKKe、ILK、INSR、IRAK1、IRAK2、IRAK3、IRAK4、IRE1、IRE2、IRR、ITK、JAK1、JAK2、JAK3、JNK1、JNK2、JNK3、KDR、KHS1、KHS2、KIS、KIT、KSGCps、KSR1、KSR2、LATS1、LATS2、LCK、LIMK1、LIMK2、LIMK2ps、LKB1、LMR1、LMR2、LMR3、LOK、LRRK1、LRRK2、LTK、LYN、LZK、MAK、MAP2K1、MAP2K1ps、MAP2K2、MAP2K2ps、MAP2K3、MAP2K4、MAP2K5、MAP2K6、MAP2K7、MAP3K1、MAP3K2、MAP3K3、MAP3K4、MAP3K5、MAP3K6、MAP3K7、MAP3K8、MAPKAPK2、MAPKAPK3、MAPKAPK5、MAPKAPKps1、MARK1、MARK2、MARK3、MARK4、MARKps01、MARKps02、MARKps03、MARKps04、MARKps05、MARKps07、MARKps08、MARKps09、MARKps10、MARKps11、MARKps12、MARKps13、MARKps15、MARKps16、MARKps17、MARKps18、MARKps19、MARKps20、MARKps21、MARKps22、MARKps23、MARKps24、MARKps25、MARKps26、MARKps27、MARKps28、MARKps29、MARKps30、MAST1、MAST2、MAST3、MAST4、MASTL、MELK、MER、MET、MISR2、MLK1、MLK2、MLK3、MLK4、MLKL、MNK1、MNK1ps、MNK2、MOK、MOS、MPSK1、MPSK1ps、MRCKa、MRCKb、MRCKps、MSK1、MSK12、MSK2、MSK22、MSSK1、MST1、MST2、MST3、MST3ps、MST4、MUSK、MYO3A、MYO3B、MYT1、NDR1、NDR2、NEK1、NEK10、NEK11、NEK2、NEK2ps1、NEK2ps2、NEK2ps3、NEK3、NEK4、NEK4ps、NEK5、NEK6、NEK7、NEK8、NEK9、NIK、NIM1、NLK、NRBP1、NRBP2、NuaK1、NuaK2、Obscn、Obscn2、OSR1、p38a、p38b、p38d、p38g、p70S6K、p70S6Kb、p70S6Kps1、p70S6Kps2、PAK1、PAK2、PAK2ps、PAK3、PAK4、PAK5、PAK6、PASK、PBK、PCTAIRE1、PCTAIRE2、PCTAIRE3、PDGFRa、PDGFRb、PDK1、PEK、PFTAIRE1、PFTAIRE2、PHKg1、PHKg1ps1、PHKg1ps2、PHKg1ps3、PHKg2、PIK3R4、PIM1、PIM2、PIM3、PINK1、PITSLRE、PKACa、PKACb、PKACg、PKCa、PKCb、PKCd、PKCe、PKCg、PKCh、PKCi、PKCips、PKCt、PKCz、PKD1、PKD2、PKD3、PKG1、PKG2、PKN1、PKN2、PKN3、PKR、PLK1、PLK1ps1、PLK1ps2、PLK2、PLK3、PLK4、PRKX、PRKXps、PRKY、PRP4、PRP4ps、PRPK、PSKH1、PSKH1ps、PSKH2、PYK2、QIK、QSK、RAF1、RAF1ps、RET、RHOK、RIPK1、RIPK2、RIPK3、RNAseL、ROCK1、ROCK2、RON、ROR1、ROR2、ROS、RSK1、RSK12、RSK2、RSK22、RSK3、RSK32、RSK4、RSK42、RSKL1、RSKL2、RYK、RYKps、SAKps、SBK、SCYL1、SCYL2、SCYL2ps、SCYL3、SGK、SgK050ps、SgK069、SgK071、SgK085、SgK110、SgK196、SGK2、SgK223、SgK269、SgK288、SGK3、SgK307、SgK384ps、SgK396、SgK424、SgK493、SgK494、SgK495、SgK496、SIK(例として、SIK1、SIK2)、skMLCK、SLK、Slob、smMLCK、SNRK、SPEG、SPEG2、SRC、SRM、SRPK1、SRPK2、SRPK2ps、SSTK、STK33、STK33ps、STLK3、STLK5、STLK6、STLK6ps1、STLK6-rs、SuRTK106、SYK、TAK1、TAO1、TAO2、TAO3、TBCK、TBK1、TEC、TESK1、TESK2、TGFbR1、TGFbR2、TIE1、TIE2、TLK1、TLK1ps、TLK2、TLK2ps1、TLK2ps2、TNK1、Trad、Trb1、Trb2、Trb3、Trio、TRKA、TRKB、TRKC、TSSK1、TSSK2、TSSK3、TSSK4、TSSKps1、TSSKps2、TTBK1、TTBK2、TTK、TTN、TXK、TYK2、TYK22、TYRO3、TYRO3ps、ULK1、ULK2、ULK3、ULK4、VACAMKL、VRK1、VRK2、VRK3、VRK3ps、Wee1、Wee1B、Wee1Bps、Wee1ps1、Wee1ps2、Wnk1、Wnk2、Wnk3、Wnk4、YANK1、YANK2、YANK3、YES、YESps、YSK1、ZAK、ZAP70、ZC1/HGK、ZC2/TNIK、ZC3/MINK、およびZC4/NRKを包含する。
【0102】
用語「阻害」、「阻害すること」、「阻害する」、または「インヒビター」は、ビヒクルと比べて、化合物の、細胞中の具体的な生物学的プロセス(例として、キナーゼ)の活性を低減、遅延、停止(halt)、または防止する(prevent)能力を指す。
【0103】
抗がん剤は、生物療法用(biotherapeutic)抗がん剤ならびに化学治療剤を網羅する。
【0104】
例示の生物療法用抗がん剤は、これらに限定されないが、インターフェロン、サイトカイン(例として、腫瘍壊死因子、インターフェロンα、インターフェロンγ)、ワクチン、造血成長因子、モノクローナル血清療法、免疫刺激薬および/または免疫調整剤(例として、IL-1、2、4、6、または12)、免疫細胞成長因子(例として、GM-CSF)、ならびに抗体(例として、ハーセプチン(トラスツズマブ)、T-DM1、AVASTIN(ベバシズマブ)、アービタックス(セツキシマブ)、ベクチビックス(パニツムマブ)、リツキサン(リツキシマブ)、ベキサール(トシツモマブ))を包含する。
【0105】
例示の化学治療剤は、これらに限定されないが、抗エストロゲン(例として、タモキシフェン、ラロキシフェン、およびメゲストロール)、LHRHアゴニスト(例として、ゴセレリンおよびリュープロリド)、抗アンドロゲン薬(例として、フルタミドおよびビカルタミド)、光線力学的治療(例として、ベルテポルフィン(BPD-MA)、フタロシアニン、光増感剤Pc4、およびデメトキシ-ヒポクレリンA(2BA-2-DMHA))、ナイトロジェンマスタード(例として、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、エストラムスチン、およびメルファラン)、ニトロソ尿素(例として、カルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU))、スルホン酸アルキル(例として、ブスルファンおよびトレオスルファン)、トリアゼン(例として、ダカルバジン、テモゾロミド)、白金含有化合物(例として、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、ビンカアルカロイド(例として、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビン)、タキソイド(例として、パクリタキセル、またはナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル(ABRAXANE)などのパクリタキセル等価物、ドコサキサエン酸結合パクリタキセル(DHA-パクリタキセル、タキソプレキシン)、ポリグルタマート結合パクリタキセル(PG-パクリタキセル、パクリタキセル・ポリグルメックス、CT-2103、XYOTAX)、腫瘍活性化プロドラッグ(TAP)ANG1005(3分子のパクリタキセルへ結合されたAngiopep-2)、パクリタキセル-EC-1(erbB2認識ペプチドEC-1へ結合されたパクリタキセル)、およびグルコース抱合パクリタキセル、例として、2'-パクリタキセルメチル2-グルコピラノシルスクシナート;ドセタキセル、タキソール)、エピポドフィリン(epipodophyllins)(例として、エトポシド、エトポシドリン酸塩、テニポシド、トポテカン、9-アミノカンプトテシン、カンプトイリノテカン(camptoirinotecan)、イリノテカン、クリスナトール、マイトマイシンC)、代謝拮抗薬、DHFRインヒビター(例として、メトトレキサート、ジクロロメトトレキサート、トリメトレキサート、エダトレキサート)、IMPデヒドロゲナーゼインヒビター(例として、ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン、およびEICAR)、リボヌクレオチドレダクターゼインヒビター(例として、ヒドロキシ尿素およびデフェロキサミン)、ウラシル類似体(例として、5-フルオロウラシル(5-FU)、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラルチトレキセド、テガフール-ウラシル、カペシタビン)、シトシン類似体(例として、シタラビン(araC)、シトシンアラビノシド、およびフルダラビン)、プリン類似体(例として、メルカプトプリンおよびチオグアニン)、ビタミンD3類似体(例として、EB1089、CB1093、およびKH1060)、イソプレニル化インヒビター(例として、ロバスタチン)、ドーパミン作動性神経毒(例として、1-メチル-4-フェニルピリジニウムイオン)、細胞周期インヒビター(例として、スタウロスポリン)、アクチノマイシン(例として、アクチノマイシンD、ダクチノマイシン)、ブレオマイシン(例として、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、ペプロマイシン)、アントラサイクリン(例として、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン)、MDRインヒビター(例として、ベラパミル)、Ca2+ ATPアーゼインヒビター(例として、タプシガルジン)、イマニチブ、サリドマイド、レナリドマイド、チロシンキナーゼインヒビター(例として、アキシチニブ(AG013736)、ボスチニブ(SKI-606)、セジラニブ(RECENTIN(商標)、AZD2171)、ダサチニブ(SPRYCEL(登録商標)、BMS-354825)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、イマニチブ(Gleevec(登録商標)、CGP57148B、STI-571)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、TYVERB(登録商標))、レスタウルチニブ(CEP-701)、ネラチニブ(HKI-272)、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、セマクサニブ(セマキシニブ、SU5416)、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、SU11248)、トセラニブ(PALLADIA(登録商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(登録商標)、ZD6474)、バタラニブ(PTK787、PTK/ZK)、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))、セツキシマブ(アービタックス(登録商標))、パニツムマブ(ベクチビックス(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、エベロリムス(AFINITOR(登録商標))、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標))、ゲムツズマブ・オゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、テムシロリムス(TORISEL(登録商標))、ENMD-2076、PCI-32765、AC220、ドビチニブラクタート(TKI258、CHIR-258)、BIBW 2992(TOVOK(商標))、SGX523、PF-04217903、PF-02341066、PF-299804、BMS-777607、ABT-869、MP470、BIBF 1120(VARGATEF(登録商標))、AP24534、JNJ-26483327、MGCD265、DCC-2036、BMS-690154、CEP-11981、チボザニブ(AV-951)、OSI-930、MM-121、XL-184、XL-647、および/またはXL228)、プロテアソームインヒビター(例として、ボルテゾミブ(VELCADE))、mTORインヒビター(例として、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD-001)、リダフォロリムス、AP23573(Ariad)、AZD8055(AstraZeneca)、BEZ235(Novartis)、BGT226(Norvartis)、XL765(Sanofi Aventis)、PF-4691502(Pfizer)、GDC0980(Genetech)、SF1126(Semafoe)、およびOSI-027(OSI))、オブリメルセン、ゲムシタビン、カルミノマイシン、ロイコボリン、ペメトレキセド、シクロホスファミド、ダカルバジン、プロカルバジンprocarbizine、プレドニゾロン、デキサメタゾン、カンプトテシンcampathecin、プリカマイシン、アスパラギナーゼ、アミノプテリン、メトプテリン、ポルフィロマイシン、メルファラン、ロイロシジン、ロイロシン、クロラムブシル、トラベクテジン、プロカルバジン、ディスコデルモリド、カルミノマイシン、アミノプテリン、およびヘキサメチルメラミンを包含する。
【0106】
化合物、医薬組成物、方法、使用、またはキットが、「選択的に」、「特異的に」、または「競合的に」阻害するJNKキナーゼと称されるとき、医薬組成物、方法、使用、またはキットは、HMTを、異なるHMTを阻害するよりも高く(例として、2倍以上、5倍以上、10倍以上、30倍以上、100倍以上、1,000倍以上、もしくは10,000倍以上;および/または:2倍以下、5倍以下、10倍以下、30倍以下、100倍以下、1,000倍以下、または10,000倍以下で)阻害する。
【0107】
用語「予防する」、「予防すること」、または「予防」は、疾患をもっていないしもってもいなかったが、疾患を発症するリスクがある対象、または疾患をもってはいたが今はもっていないものの疾患が後戻りする(regression)リスクがある対象の予防的な処置を指す。ある態様において、対象は、平均して健康なメンバーの集団より、疾患を発症するリスクがより高いか、または疾患が後戻りするリスクがより高い。
【図面の簡単な説明】
【0108】
図面の簡単な記載
【
図1】
図1は、ビオチン-JNK-IN-7をプローブとして用いる多発性骨髄腫MM1.S細胞からの競合プルダウン実験を示す。
【0109】
【
図2】
図2は、MDA-MB-231細胞株を使用する競合プルダウンアッセイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0110】
本発明のある態様の詳細な記載
本発明は、疾患をもつ対象の予防および処置のための、キナーゼを阻害する化合物、およびそれらの医薬組成物を提供する。ある態様において、キナーゼを選択的に阻害する化合物である。ある態様において、JNKを阻害する化合物である。ある態様において、JNKを選択的に阻害する化合物である。ある態様において、JNKを不可逆的に阻害する化合物である。本発明はさらに、本明細書に記載の化合物を、例として、JNK活性の阻害を研究するための生物学的プローブとして、および治療法(例として、JNK活性に関連する疾患の予防および処置における治療法)として使用する方法を提供する。ある態様において、疾患は、これらに限定されないが、対象、生体試料、組織、または細胞における、増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、ならびに心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化)を包含する。
【0111】
化合物
本開示のある側面は、本明細書に記載の化合物に関する。本明細書に記載の化合物は、対象における疾患(例として、増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))、もしくはJNK(例として、JNK2)の活性に関連する疾患を処置および/または予防するのに、あるいは対象、生体試料、組織、または細胞におけるJNK(例として、JNK2)の活性を阻害するのに、有用であってもよい。ある態様において、本明細書に記載の化合物は、式(I)で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体分子種、もしくはプロドラッグである。ある態様において、本明細書に記載の化合物は、式(I)で表される化合物、またはその薬学的許容し得る塩である。
【0112】
ある態様において、本明細書に記載の化合物は、式(I):
【化14】
で表されるか、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体であり、式中:
R
1は、任意置換アリールまたは任意置換ヘテロアリールである;
R
2、R
3、R
4、およびR
5は、各々独立して、水素、ハロゲン、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-NO
2、-CN、-SCN、-OR
D1、-N(R
D1)
2、または-SR
D1であり、ここでR
D1は、独立して、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、酸素原子へ付着されているとき酸素保護基、窒素原子へ付着されているとき窒素保護基、または硫黄原子へ付着されているとき硫黄保護基である;
nは、1、2、または3である;
mは、1、2、3、または4である;
L
1は、O、S、または-N(R
a)-であり、ここでR
aは、水素、任意置換アシル、任意置換C
1~6アルキル、または窒素保護基である;
L
2は、O、S、-N(R
L2a)-、-C=O-、-NR
L2aC(=O)-、または-C(=O)NR
L2a-であり、ここでR
L2aは、水素、任意置換アシル、任意置換C
1~6アルキル、または窒素保護基である;
V
1は、C(R
1a)Hである;
V
2は、C(R
1b)Hである;
V
3は、NまたはC(R
1c)である;
R
1aおよびR
1bは、独立して、水素、ハロゲン、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-CN、-OR
C1、-N(R
C1)
2、または-SR
C1であり、ここでR
C1は、独立して、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、窒素原子へ付着されているとき窒素保護基、酸素原子へ付着されているとき酸素保護基、または硫黄原子へ付着されているとき硫黄保護基であるか、あるいはR
1aおよびR
1bは、一緒に結び合って任意置換架橋環を形成する;
R
1cは、水素、または置換もしくは非置換のC
1~6アルキルである;
pは、1、2、または3である;
D
1は、式(i-1)~(i-42):
【化15】
【化16】
のいずれか1つで表されるウォーヘッドであり、式中:
L
3は、結合または任意置換C
1~4炭化水素鎖であり、任意にここで炭化水素鎖の1以上の炭素単位は、独立して、-O-、-S-、-NR
L3a-、-NR
L3aC(=O)-、-C(=O)NR
L3a-、-SC(=O)-、-C(=O)S-、-OC(=O)-、-C(=O)O-、-NR
L3aC(=S)-、-C(=S)NR
L3a-、trans-CR
L3b=CR
L3b-、cis-CR
L3b=CR
L3b-、-C≡C-、-S(=O)-、-S(=O)O-、-OS(=O)-、-S(=O)NR
L3a-、-NR
L3aS(=O)-、-S(=O)
2-、-S(=O)
2O-、-OS(=O)
2-、-S(=O)
2NR
L3a-、または-NR
L3aS(=O)
2-に置き換えられており、ここでR
L3aは、水素、置換もしくは非置換のC
1~6アルキル、または窒素保護基であり、およびここでR
L3bの各出現は、独立して、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、または任意置換ヘテロアリールであるか、あるいは2個のR
L3b基は、結び合って任意置換炭素環式のまたは任意置換複素環式の環を形成する;
L
4は、結合または任意置換C
1~4炭化水素鎖である;
R
E1は、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-CN、-CH
2OR
E1a、-CH
2N(R
E1a)
2、-CH
2SR
E1a、-OR
E1a、-N(R
E1a)
2、-Si(R
E1a)
3、または-SR
E1aであり、ここでR
E1aの各出現は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、および任意置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは2個のR
E1a基は、結び合って任意置換複素環式の環を形成する;
R
E2は、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-CN、-CH
2OR
E2a、-CH
2N(R
E2a)
2、-CH
2SR
E2a、-OR
E2a、-N(R
E2a)
2、または-SR
E2aであり、ここでR
E2aの各出現は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、および任意置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは2個のR
E2a基は、結び合って任意置換複素環式の環を形成する;
R
E3は、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-CN、-CH
2OR
E3a、-CH
2N(R
E3a)
2、-CH
2SR
E3a、-OR
E3a、-N(R
E3a)
2、または-SR
E3aであり、ここでR
E3aの各出現は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルコキシ、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、および任意置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは2個のR
E3a基は、結び合って任意置換複素環式の環を形成する;
あるいは、R
E1およびR
E3、またはR
E2およびR
E3、またはR
E1およびR
E2は、結び合って任意置換炭素環式のまたは任意置換複素環式の環を形成する;
R
E4は、脱離基である;
R
E5は、ハロゲンである;
Yは、O、S、またはNR
E6であり、ここでR
E6は、水素、置換もしくは非置換のC
1~6アルキル、または窒素保護基である;
aは、1または2である;ならびに
zの各場合は、独立して、0、1、2、3、4、5、または6である。
【0113】
式(I)は、置換基R1を含有する。ある態様において、R1は、任意置換アリールである。ある態様において、R1は、置換フェニルである。ある態様において、R1は、非置換フェニルである。ある態様において、R1は、4-メトキシフェニルである。ある態様において、R1は、4-クロロフェニルである。ある態様において、R1は、水素ではない。ある態様において、R1は、任意置換ヘテロアリールである。ある態様において、R1は、置換または非置換のピリジンである。ある態様において、R1は、非置換ピリジンである。ある態様において、R1は、置換または非置換のピリミジンである。
【0114】
式(I)は、置換基R2、R3、R4、およびR5を包含する。ある態様において、式(I)は、置換基R2、R3、R4、またはR5の1以上の場合を包含する。ある態様において、nは、1である。ある態様において、nは、2である。ある態様において、nは、3である。ある態様において、mは、1である。ある態様において、mは、2である。ある態様において、mは、3である。ある態様において、mは、4である。ある態様において、R2、R3、R4、またはR5のうち少なくとも1つの場合は、水素である。ある態様において、R2、R3、R4、またはR5のうち少なくとも1つの場合は、ハロゲンである。ある態様において、R2、R3、R4、またはR5のうち少なくとも1つの場合は、任意置換アシルである。ある態様において、R2、R3、R4、またはR5のうち少なくとも1つの場合は、任意置換のアルキル(例として、C1~6アルキル、例として、Me、Et、Pr、またはBu)である。ある態様において、R2、R3、R4、またはR5のうち少なくとも1つの場合は、任意置換アルケニル(例として、置換もしくは非置換のビニルまたは置換もしくは非置換のアリル)である。ある態様において、R2、R3、R4、またはR5のうち少なくとも1つの場合は、任意置換のアルキニル(例として、C2~6アルキニル)である。ある態様において、R2のうち少なくとも1つの場合は、任意置換カルボシクリルである。ある態様において、R2、R3、R4、またはR5のうち少なくとも1つの場合は、任意置換ヘテロシクリルである。ある態様において、R2のうち少なくとも1つの場合は、任意置換アリールである。ある態様において、R2、R3、R4、またはR5のうち少なくとも1つの場合は、任意置換ヘテロアリールである。ある態様において、R2、R3、R4、またはR5のうち少なくとも1つの場合は、-NO2である。ある態様において、R2、R3、R4、またはR5のうち少なくとも1つの場合は、-CNである。ある態様において、R2のうち少なくとも1つの場合は、-SCNである。ある態様において、R2、R3、R4、またはR5のうち少なくとも1つの場合は、ORD1であり、ここでRD1は、独立して、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、または酸素保護基である。ある態様において、R2、R3、R4、またはR5のうち少なくとも1つの場合は、N(RD1a)2であり、ここでRD1は、独立して、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、または窒素保護基である。ある態様において、R2のうち少なくとも1つの場合は、SRD1であり、ここでRD1は、独立して、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、または硫黄保護基から選択される。
【0115】
ある態様において、R3およびR4は、同じである。ある態様において、R3およびR4は、異なっている。ある態様において、R3は、水素であり、およびR4は、水素である。ある態様において、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、水素ではない。ある態様において、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、任意置換アリールである。ある態様において、R3は、水素であいr、R4は、水素であり、およびR1は、フェニルである。ある態様において、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、4-メトキシフェニルである。ある態様において、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、4-クロロフェニルである。ある態様において、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、ヘテロアリールである。ある態様において、R3は、水素、R4は、水素であり、およびR1は、ピリジルである。
【0116】
ある態様において、R2は、水素であり、R3は、水素であり、およびR4は、水素である。ある態様において、R2は、水素であり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、水素ではない。ある態様において、R2は、水素であり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、任意置換アリールである。ある態様において、R2は、水素であり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、フェニルである。ある態様において、R2は、水素であり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、4-メトキシフェニルである。ある態様において、R2は、水素であり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、4-クロロフェニルである。ある態様において、R2は、水素であり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、ヘテロアリールである。ある態様において、R2は、水素であり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、ピリジルである。
【0117】
ある態様において、R2は、水素であり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR5は、水素である。ある態様において、R2は、水素であり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、R5は、水素であり、およびR1は、水素ではない。ある態様において、R2は、水素であり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、R5は、水素であり、およびR1は、任意置換アリールである。ある態様において、R2は、水素であり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、R5は、水素であり、およびR1は、フェニルである。ある態様において、R2は、水素であり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、R5は、水素であり、およびR1は、4-メトキシフェニルである。ある態様において、R2は、水素であり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、R5は、水素であり、およびR1は、4-クロロフェニルである。ある態様において、R2は、水素であり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、R5は、水素であり、およびR1は、ヘテロアリールである。ある態様において、R2は、水素であり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、R5は、水素であり、およびR1は、ピリジルである。
【0118】
ある態様において、R2は、メチルである。ある態様において、R2は、メチルであり、R3は、水素であり、およびR4は、水素である。ある態様において、R2は、メチルであり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、水素ではない。ある態様において、R2は、メチルであり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、任意置換アリールである。ある態様において、R2は、メチルであり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、フェニルである。ある態様において、R2は、メチルであり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、4-メトキシフェニルである。ある態様において、R2は、メチルであり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、4-クロロフェニルである。ある態様において、R2は、メチルであり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、ヘテロアリールである。ある態様において、R2は、メチルであり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、ピリジルである。
【0119】
ある態様において、R2は、メトキシである。ある態様において、R2は、メトキシであり、R3は、水素であり、およびR4は、水素である。ある態様において、R2は、メトキシであり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、水素ではない。ある態様において、R2は、メトキシであり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、任意置換アリールである。ある態様において、R2は、メトキシであり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、フェニルである。ある態様において、R2は、メトキシであり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、4-メトキシフェニルである。ある態様において、R2は、メトキシであり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、4-クロロフェニルである。ある態様において、R2は、メトキシであり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、ヘテロアリールである。ある態様において、R2は、メトキシであり、R3は、水素であり、R4は、水素であり、およびR1は、ピリジルである。
【0120】
式(I)は、置換基L1を包含する。ある態様において、L1は、-O-である。ある態様において、L1は、-S-である。ある態様において、L1は、原子価が許す限り、-N(Ra)-であり、ここでRaは、独立して、水素、置換もしくは非置換のC1~6アルキル、または窒素保護基である。ある態様において、Raは、水素である。ある態様において、Raは、C1~6アルキルである。ある態様において、Raは、置換または非置換のメチルである。ある態様において、L1は、-NH-である。
【0121】
式(I)は、置換基L2を包含する。ある態様において、L2は、-O-である。ある態様において、L2は、-S-である。ある態様において、L2は、原子価が許す限り、N(RL2a)であり、ここでRL2aは、独立して、水素、置換もしくは非置換のC1~6アルキル、または窒素保護基である。ある態様において、RL2aは、水素である。ある態様において、RL2aは、C1~6アルキルである。ある態様において、RL2aは、置換または非置換のメチルである。ある態様において、L2は、-C(=O)-である。ある態様において、L2は、-NRL2aC(=O)-であり、ここでRL2aは、水素、任意置換アシル、任意置換C1~6アルキル、または窒素保護基である。ある態様において、L2は、-C(=O)NRL2a-であり、ここでRL2aは、水素、任意置換アシル、任意置換C1~6アルキル、または窒素保護基である。ある態様において、L2は、-C(=O)NH-である。
【0122】
式(I)は、置換基V1を包含する。ある態様において、V1は、式:C(R1a)Hで表される。ある態様において、R1aは、水素である。ある態様において、R1aは、ハロゲンである。ある態様において、R1aは、任意置換アシルである。ある態様において、R1aは、任意置換アルキルである。ある態様において、R1aは、任意置換アルケニルである。ある態様において、R1aは、任意置換アルキニルである。ある態様において、R1aは、環中の別の原子とともに二環式の環系を形成する。ある態様において、R1aは、任意置換カルボシクリルである。ある態様において、R1aは、任意置換ヘテロシクリルである。ある態様において、R1aは、任意置換アリールである。ある態様において、R1aは、任意置換ヘテロアリールである。ある態様において、R1aは、-CNである。ある態様において、R1aは、-ORC1であり、ここでRC1の各出現は、独立して、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、窒素原子へ付着されているとき窒素保護基、酸素原子へ付着されているとき酸素保護基、および硫黄原子へ付着されているとき硫黄保護基からなる群から選択される。ある態様において、R1aは、-N(RC1)2であり、ここでRC1の各出現は、独立して、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、窒素原子へ付着されているとき窒素保護基、酸素原子へ付着されているとき酸素保護基、および硫黄原子へ付着されているとき硫黄保護基からなる群から選択される。ある態様において、R1aは、-SRC1であり、ここでRC1の各出現は、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、窒素原子へ付着されているとき窒素保護基、酸素原子へ付着されているとき酸素保護基、および硫黄原子へ付着されているとき硫黄保護基である。
【0123】
式(I)のある場合は、置換基V2を包含する。ある態様において、式(I)は、V2の場合を含有しない。ある態様において、pは、0である。ある態様において、pは、1である。ある態様において、pは、2である。ある態様において、pは、3である。ある態様において、V2は、式:C(R1b)Hで表される。ある態様において、R1bは、水素である。ある態様において、R1bは、ハロゲンである。ある態様において、R1bは、任意置換アシルである。ある態様において、R1bは、任意置換アルキルである。ある態様において、R1bは、任意置換アルケニルである。ある態様において、R1bは、任意置換アルキニルである。ある態様において、R1bは、任意置換カルボシクリルである。ある態様において、R1bは、任意置換ヘテロシクリルである。ある態様において、R1bは、任意置換アリールである。ある態様において、R1bは、任意置換ヘテロアリールである。ある態様において、R1bは、-(=O)-である。ある態様において、R1bは、-CNである。ある態様において、R1bは、-ORC1であり、ここでRC1の各出現は、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、窒素原子へ付着されているとき窒素保護基、酸素原子へ付着されているとき酸素保護基、および硫黄原子へ付着されているとき硫黄保護基である。ある態様において、R1bは、-N(RC1)2であり、ここでRC1の各出現は、独立して、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、窒素原子へ付着されているとき窒素保護基、酸素原子へ付着されているとき酸素保護基、および硫黄原子へ付着されているとき硫黄保護基からなる群から選択される。ある態様において、R1bは、-SRC1であり、ここでRC1の各出現は、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、窒素原子へ付着されているとき窒素保護基、酸素原子へ付着されているとき酸素保護基、および硫黄原子へ付着されているとき硫黄保護基である。ある態様において、R1aおよびR1bは、一緒に結び合って任意置換架橋環を形成する。
【0124】
ある態様において、V1は、-CH2-であり、およびV2は、-CH2-である。ある態様において、V1は、-CH2-であり、およびV2は、-C(H)F-である。ある態様において、V1は、-CH2-であり、およびV2は、-C(H)Me-である。ある態様において、V1は、-CH2-であり、V2は、-CH2-であり、およびp=1である。ある態様において、V1は、-CH2-であり、V2は、-CH2-であり、およびp=2である。ある態様において、V1は、-CH2-であり、V2は、-CH2-であり、およびp=3である。ある態様において、V1は、-CH2-であり、V2は、-CH2-であり、およびV3は、-CH-である。ある態様において、V1は、-CH2-であり、V2は、-CH2-であり、およびV3は、-N-である。
【0125】
式(I)は、置換基V3を包含する。ある態様において、V3は、-N-である。ある態様において、V3は、式:-C(R1c)-で表される。ある態様において、R1cは、水素である。ある態様において、R1cは、ハロゲンである。ある態様において、R1cは、任意置換アシルである。ある態様において、R1cは、任意置換アルキルである。ある態様において、R1cは、任意置換アルケニルである。ある態様において、R1cは、任意置換アルキニルである。ある態様において、R1cは、任意置換カルボシクリルである。ある態様において、R1cは、任意置換ヘテロシクリルである。ある態様において、R1cは、任意置換アリールである。ある態様において、R1cは、任意置換ヘテロアリールである。ある態様において、R1cは、-CNである。ある態様において、R1cは、-ORC1であり、ここでRC1の各出現は、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、窒素原子へ付着されているとき窒素保護基、酸素原子へ付着されているとき酸素保護基、および硫黄原子へ付着されているとき硫黄保護基である。ある態様において、R1cは、-N(RC1)2であり、ここでRC1の各出現は、独立して、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、窒素原子へ付着されているとき窒素保護基、酸素原子へ付着されているとき酸素保護基、および硫黄原子へ付着されているとき硫黄保護基からなる群から選択される。ある態様において、R1cは、-SRC1であり、ここでRC1の各出現は、水素、任意置換アシル、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、窒素原子へ付着されているとき窒素保護基、酸素原子へ付着されているとき酸素保護基、および硫黄原子へ付着されているとき硫黄保護基である。
【0126】
ある態様において、V
1は、-CH
2-であり、V
2は、-CH
2-であり、およびV
3は、-N-である。ある態様において、V
1は、-CH
2-であり、V
2は、-C(Me)H-であり、およびV
3は、-N-である。ある態様において、V
1は、-CH
2-であり、V
2は、-C(F)H-であり、およびV
3は、-N-である。ある態様において、式(I)は、式:
【化17】
で表される。ある態様において、式(I)は、式:
【化18】
で表される。
【0127】
ある態様において、V1は、-CH2であり、V2は、-CH2-であり、およびV3は、-CHである。ある態様において、V1は、-CH2であり、V2は、-CH2であり、V3は、-CHであり、およびp=2である。
【0128】
ある態様において、L1は、-NH-であり、V1は、-CH2-であり、V3は、-Nであり、およびV2は、-CH2である。ある態様において、L1は、-NH-であり、V1は、CH2であり、V3は、Nであり、V2は、CH2であり、およびp=0である。ある態様において、L1は、-NHであり、V1は、CH2であり、V3は、Nであり、V2は、CH2であり、およびp=1である。ある態様において、L1は、-NH-であり、V1は、CH2であり、V3は、Nであり、V2は、CH2であり、およびp=2である。ある態様において、L1は、-NH-であり、V1は、-CH2-であり、V3は、-N-であり、V2は、-CH2-であり、およびp=3である。ある態様において、L1は、-NH-であり、V1は、-CH2-であり、V3は、-N-であり、V2は、-CH2-であり、およびp=3である。
【0129】
ある態様において、式(I)は、式:
【化19】
で表される。
【0130】
ある態様において、式(I)は、式:
【化20】
で表される。ある態様において、式(I)は、式:
【化21】
で表される。ある態様において、式(I)は、式:
【化22】
で表される。ある態様において、式(I)は、式:
【化23】
で表される。
【0131】
ある態様において、L
1は、-NH-であり、V
1は、C(R
1a)Hであり、V
3は、Nであり、およびV
2の場合の一方は、C(R
1b)Hであり、ここでR
1aおよびR
1bは、一緒に結び合って任意置換架橋環を形成する。ある態様において、式(I)は、式:
【化24】
で表される。ある態様において、式(I)は、式:
【化25】
で表される。ある態様において、L
1は、-NH-であり、V
1は、CH
2であり、V
3は、CHであり、およびV
2は、CH
2である。ある態様において、式(I)は、式:
【化26】
で表される。ある態様において、式(I)は、式:
【化27】
で表される。
【0132】
本明細書に一般に定義されるとおり、式(I)は、置換基D
1を包含し、ここでD
1は、式(i-1)~(i-42):
【化28】
【化29】
で表されるウォーヘッドであり、式中:
L
3は、結合または任意置換C
1~4炭化水素鎖であり、任意にここで炭化水素鎖の1以上の炭素単位は、独立して、-O-、-S-、-NR
L3a-、-NR
L3aC(=O)-、-C(=O)NR
L3a-、-SC(=O)-、-C(=O)S-、-OC(=O)-、-C(=O)O-、-NR
L3aC(=S)-、-C(=S)NR
L3a-、trans-CR
L3b=CR
L3b-、cis-CR
L3b=CR
L3b-、-C≡C-、-S(=O)-、-S(=O)O-、-OS(=O)-、-S(=O)NR
L3a-、-NR
L3aS(=O)-、-S(=O)
2-、-S(=O)
2O-、-OS(=O)
2-、-S(=O)
2NR
L3a-、または-NR
L3aS(=O)
2-#に置き換えられており、ここでR
L3aは、水素、置換もしくは非置換のC
1~6アルキル、または窒素保護基であり、ならびにここでR
L3bの各出現は、独立して、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、および任意置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは2個のR
L3b基は、結び合って任意置換炭素環式のまたは任意置換複素環式の環を形成する;
L
4は、結合、または任意置換C
1~4炭化水素鎖である;
R
E1は、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-CN、-CH
2OR
E1a、-CH
2N(R
E1a)
2、-CH
2SR
E1a、-OR
E1a、-N(R
E1a)
2、-Si(R
E1a)
3、および-SR
E1aからなる群から選択され、ここでR
E1aの各出現は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、および任意置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは2個のR
E1a基は、結び合って任意置換複素環式の環を形成する;
R
E2は、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-CN、-CH
2OR
E2a、-CH
2N(R
E2a)
2、-CH
2SR
E2a、-OR
E2a、-N(R
E2a)
2、および-SR
E2aからなる群から選択され、ここでR
E2aの各出現は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、および任意置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは2個のR
E2a基は、結び合って任意置換複素環式の環を形成する;
R
E3は、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、任意置換ヘテロアリール、-CN、-CH
2OR
E3a、-CH
2N(R
E3a)
2、-CH
2SR
E3a、-OR
E3a、-N(R
E3a)
2、および-SR
E3aからなる群から選択され、ここでR
E3aの各出現は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルコキシ、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、および任意置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは2個のR
E3a基は、結び合って任意置換複素環式の環を形成する;
あるいは、R
E1およびR
E3、またはR
E2およびR
E3、またはR
E1およびR
E2は、結び合って任意置換炭素環式のまたは任意置換複素環式の環を形成する;
R
E4は、脱離基である;
R
E5は、ハロゲンである;
Yは、O、S、またはNR
E6であり、ここでR
E6は、水素、置換もしくは非置換のC
1~6アルキル、または窒素保護基である;
aは、1または2である;ならびに
zの各場合は、独立して、0、1、2、3、4、5、または6である。
【0133】
ある態様において、D
1は、式(i-1)~(i-42)で表されるウォーヘッドである。ある態様において、ウォーヘッドは、式:
【化30】
で表される。ある態様において、D
1は、式:
【化31】
で表されるウォーヘッドである。ある態様において、D
1は、式:
【化32】
で表されるウォーヘッドである。ある態様において、D
1は、式:
【化33】
で表されるウォーヘッドである。ある態様において、D
1は、式:
【化34】
で表される。ある態様において、L
3は、結合である。ある態様において、L
3は、-NH-である。ある態様において、R
E1およびR
E2は、水素である。ある態様において、R
E1、R
E2、およびR
E3は、水素である。ある態様において、R
E3は、-CH
2NMe
2である。
【0134】
ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化35】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化36】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化37】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化38】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化39】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化40】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化41】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式:
【化42】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式:
【化43】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式:
【化44】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式:
【化45】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化46】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化47】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化48】
で表される。
【0135】
ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化49】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化50】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化51】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化52】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化53】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、
【化54】
である。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化55】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化56】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化57】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化58】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化59】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化60】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化61】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化62】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化63】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化64】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化65】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化66】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化67】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化68】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化69】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化70】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化71】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化72】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化73】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化74】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化75】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化76】
で表される。ある態様において、ウォーヘッドは、式
【化77】
で表される。
【0136】
ある態様において、L3は、結合(例として、単結合、二重結合、または三重結合)である。ある態様において、L3は、単結合である。ある態様において、L3は、二重結合である。ある態様において、L3は、三重結合である。ある態様において、L3は、任意置換C1~4炭化水素鎖であるが、任意にここで、炭化水素鎖の1以上の炭素単位は、独立して、-C=O-、-O-、-S-、-NRL3a-、-NRL3aC(=O)-、-C(=O)NRL3a-、-SC(=O)-、-C(=O)S-、-OC(=O)-、-C(=O)O-、-NRL3aC(=S)-、-C(=S)NRL3a-、trans-CRL3b=CRL3b-、cis-CRL3b=CRL3b-、-CC-、-S(=O)-、-S(=O)O-、-OS(=O)-、-S(=O)NRL3a-、-NRL3aS(=O)-、-S(=O)2-、-S(=O)2O-、-OS(=O)2-、-S(=O)2NRL3a-、または-NRL3aS(=O)2-に置き換えられていてもよく、ここでRL3aは、水素、置換もしくは非置換のC1~6アルキル、または窒素保護基であり、およびここでRL3bの各出現は、独立して、水素、ハロゲン、任意置換アルキル、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、または任意置換ヘテロアリールであるか、あるいは2個のRL3b基は、結び合うことで、任意置換炭素環式の環または任意置換複素環式の環を形成する。ある態様において、L4は、結合(例として、単結合、二重結合、または三重結合)である。ある態様において、L4は、任意置換の分枝C1~6炭化水素鎖(例として、i-Pr)である。ある態様において、L4は、任意置換の非分枝C1~6炭化水素鎖(例として、n-Pr、またはn-Bu)である。ある態様において、RE1のうち少なくとも1個の場合は、Hである。ある態様において、RE1のうち少なくとも1個の場合は、ハロゲン(例として、F、Cl、Br、またはI)である。ある態様において、RE1のうち少なくとも1個の場合は、任意置換アルキル(例として、Me、またはEt)である。ある態様において、RE1のうち少なくとも1個の場合は、任意置換アルケニル(例として、任意置換ビニル)である。ある態様において、RE1のうち少なくとも1個の場合は、任意置換アルキニルである。ある態様において、RE1のうち少なくとも1個の場合は、置換または非置換のカルボシクリル(例として、炭素環式の環系中ゼロ個、1個、もしくは2個の二重結合を含む、置換または非置換の、3~7員の、単環式カルボシクリル)である。ある態様において、RE1のうち少なくとも1個の場合は、置換または非置換のヘテロシクリルである(例として、複素環式の環系中ゼロ個、1個、もしくは2個の二重結合を含む、置換または非置換の、3~7員の、単環式ヘテロシクリル、ここで複素環式の環系中1個、2個、または3個の原子は、独立して、窒素、酸素、または硫黄である)。ある態様において、RE1のうち少なくとも1個の場合は、置換または非置換のアリール(例として、置換または非置換の、6~10員のアリール)である。ある態様において、RE1のうち少なくとも1個の場合は、置換または非置換のフェニルである。ある態様において、RE1のうち少なくとも1個の場合は、置換または非置換のヘテロアリールである(例として、置換または非置換の、5~6員の、単環式ヘテロアリール、ここでヘテロアリール環系中1個、2個、3個、または4個の原子は、独立して、窒素、酸素、または硫黄である)。ある態様において、RE1のうち少なくとも1個の場合は、-CNである。ある態様において、RE1のうち少なくとも1個の場合は、-CH2OREEであるが、ここでREEの各場合は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルコキシ、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、または任意置換ヘテロアリールである。ある態様において、RE1のうち少なくとも1個の場合は、-CH2N(REF)2または-N(REF)2であるが、ここでREFの各場合は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルコキシ、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、または任意置換ヘテロアリールであり、任意にここで、2個のREF基は、結び合うことで、任意置換複素環式の環を形成していてもよい。ある態様において、RE1のうち少なくとも1個の場合は、-CH2SREEまたは-SREE(例として、-CH2SMeまたは-SMe)である。ある態様において、RE1のうち少なくとも1個の場合は、-OREE(例として、-OMe)である。ある態様において、RE1のうち少なくとも1個の場合は、-Si(REG)3であるが、ここでREGの各場合は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルコキシ、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、または任意置換ヘテロアリール(例として、-Si(Me)3)である。
【0137】
ある態様において、RE2のうち少なくとも1個の場合は、Hである。ある態様において、RE2のうち少なくとも1個の場合は、ハロゲン(例として、F、Cl、Br、またはI)である。ある態様において、RE2のうち少なくとも1個の場合は、任意置換アルキル(例として、Me、またはEt)である。ある態様において、RE2のうち少なくとも1個の場合は、任意置換アルケニル(例として、任意置換ビニル)である。ある態様において、RE2のうち少なくとも1個の場合は、任意置換アルキニルである。ある態様において、RE2のうち少なくとも1個の場合は、置換または非置換のカルボシクリル(例として、炭素環式の環系中ゼロ個、1個、もしくは2個の二重結合を含む、置換または非置換の、3~7員の、単環式カルボシクリル)である。ある態様において、RE2のうち少なくとも1個の場合は、置換または非置換のヘテロシクリルである(例として、複素環式の環系中ゼロ個、1個、もしくは2個の二重結合を含む、置換または非置換の、3~7員の、単環式ヘテロシクリル、ここで複素環式の環系中1個、2個、または3個の原子は、独立して、窒素、酸素、または硫黄である)。ある態様において、RE2のうち少なくとも1個の場合は、置換または非置換のアリール(例として、置換または非置換の、6~10員のアリール)である。ある態様において、REのうち少なくとも1個の場合2は、置換または非置換のフェニルである。ある態様において、RE2のうち少なくとも1個の場合は、置換または非置換のヘテロアリールである(例として、置換または非置換の、5~6員の、単環式ヘテロアリール、ここでヘテロアリール環系中1個、2個、3個、または4個の原子は、独立して、窒素、酸素、または硫黄である)。ある態様において、RE2のうち少なくとも1個の場合は、-CNである。ある態様において、RE2のうち少なくとも1個の場合は、-CH2OREEであるが、ここでREEの各場合は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルコキシ、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、または任意置換ヘテロアリールである。ある態様において、RE2のうち少なくとも1個の場合は、-CH2N(REF)2または-N(REF)2であるが、ここでREFの各場合は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルコキシ、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、または任意置換ヘテロアリールであり、任意にここで、2個のREF基は、結び合うことで、任意置換複素環式の環を形成していてもよい。ある態様において、RE2のうち少なくとも1個の場合は、-CH2SREEまたは-SREE(例として、-CH2SMeまたは-SMe)である。ある態様において、RE2のうち少なくとも1個の場合は、-OREE(例として、-OMe)である。ある態様において、RE2のうち少なくとも1個の場合は、-Si(REG)3であるが、ここでREGの各場合は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルコキシ、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、または任意置換ヘテロアリール(例として、-Si(Me)3)である。ある態様において、RE3のうち少なくとも1個の場合は、Hである。ある態様において、RE3のうち少なくとも1個の場合は、ハロゲン(例として、F、Cl、Br、またはI)である。ある態様において、RE3のうち少なくとも1個の場合は、任意置換アルキル(例として、Me、またはEt)である。ある態様において、RE3のうち少なくとも1個の場合は、任意置換アルケニル(例として、任意置換ビニル)である。ある態様において、RE3のうち少なくとも1個の場合は、任意置換アルキニルである。ある態様において、RE3のうち少なくとも1個の場合は、置換または非置換のカルボシクリル(例として、炭素環式の環系中ゼロ個、1個、もしくは2個の二重結合を含む、置換または非置換の、3~7員の、単環式カルボシクリル)である。ある態様において、RE3のうち少なくとも1個の場合は、置換または非置換のヘテロシクリルである(例として、複素環式の環系中ゼロ個、1個、もしくは2個の二重結合を含む、置換または非置換の、3~7員の、単環式ヘテロシクリル、ここで複素環式の環系中1個、2個、または3個の原子は、独立して、窒素、酸素、または硫黄である)。ある態様において、RE3のうち少なくとも1個の場合は、置換または非置換のアリール(例として、置換または非置換の、6~10員のアリール)である。ある態様において、RE3のうち少なくとも1個の場合は、置換または非置換のフェニルである。ある態様において、RE3のうち少なくとも1個の場合は、置換または非置換のヘテロアリールである(例として、置換または非置換の、5~6員の、単環式ヘテロアリール、ここでヘテロアリール環系中1個、2個、3個、または4個の原子は、独立して、窒素、酸素、または硫黄である)。ある態様において、RE3のうち少なくとも1個の場合は、-CNである。ある態様において、RE3のうち少なくとも1個の場合は、-CH2OREEであるが、ここでREEの各場合は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルコキシ、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、または任意置換ヘテロアリールである。ある態様において、RE3のうち少なくとも1個の場合は、-CH2N(REF)2または-N(REF)2であるが、ここでREFの各場合は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルコキシ、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、または任意置換ヘテロアリールであり、任意にここで、2個のREF基は、結び合うことで、任意置換複素環式の環を形成していてもよい。ある態様において、RE3のうち少なくとも1個の場合は、-CH2SREEまたは-SREE(例として、-CH2SMeまたは-SMe)である。ある態様において、RE3のうち少なくとも1個の場合は、-OREE(例として、-OMe)である。ある態様において、RE3のうち少なくとも1個の場合は、-Si(REG)3であるが、ここでREGの各場合は、独立して、水素、任意置換アルキル、任意置換アルコキシ、任意置換アルケニル、任意置換アルキニル、任意置換カルボシクリル、任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリール、または任意置換ヘテロアリール(例として、-Si(Me)3)である。ある態様において、RE1およびRE3は、結び合うことで、任意置換炭素環式の環(例として、炭素環式の環系中ゼロ個、1個、もしくは2個の二重結合を含む、置換または非置換の、3~7員の、単環式カルボシクリル)を形成する。ある態様において、RE1およびRE3は、結び合うことで、任意置換複素環式の環(例として、複素環式の環系中ゼロ個、1個、もしくは2個の二重結合を含む、置換または非置換の、3~7員の、単環式ヘテロシクリル、ここで複素環式の環系中1個、2個、または3個の原子は、独立して、窒素、酸素、または硫黄である)を形成する。ある態様において、RE2およびRE3は、結び合うことで、任意置換炭素環式の環(例として、炭素環式の環系中ゼロ個、1個、もしくは2個の二重結合を含む、置換または非置換の、3~7員の、単環式カルボシクリル)を形成する。ある態様において、RE2およびRE3は、結び合うことで、任意置換複素環式の環(例として、複素環式の環系中ゼロ個、1個、もしくは2個の二重結合を含む、置換または非置換の、3~7員の、単環式ヘテロシクリル、ここで複素環式の環系中1個、2個、または3個の原子は、独立して、窒素、酸素、または硫黄である)を形成する。ある態様において、RE1およびRE2は、結び合うことで、任意置換炭素環式の環(例として、炭素環式の環系中ゼロ個、1個、もしくは2個の二重結合を含む、置換または非置換の、3~7員の、単環式カルボシクリル)を形成する。ある態様において、RE1およびRE2は、結び合うことで、任意置換複素環式の環(例として、複素環式の環系中ゼロ個、1個、もしくは2個の二重結合を含む、置換または非置換の、3~7員の、単環式ヘテロシクリル、ここで複素環式の環系中1個、2個、または3個の原子は、独立して、窒素、酸素、または硫黄である)を形成する。ある態様において、RE4は、脱離基(例として、ハロゲンまたはスルホン酸エステル、例として、-O(トシラート)もしくは-O(メシラート))である。ある態様において、RE5は、ハロゲン(例として、F、Cl、Br、またはI)である。ある態様において、RE6は、Hである。ある態様において、RE6は、置換または非置換のC1~6アルキル(例として、Me、-CF3、Bn、Et、ペルフルオロエチル、Pr、ペルフルオロプロピル、Bu、またはペルフルオロブチル)である。ある態様において、RE6は、窒素保護基(例として、Bn、Boc、Cbz、Fmoc、トリフルオロアセチル、トリフェニルメチル、アセチル、またはTs)である。ある態様において、Yのうち少なくとも1個の場合は、Oである。ある態様において、Yのうち少なくとも1個の場合は、Sである。ある態様において、Yのうち少なくとも1個の場合は、NRE7であるが、ここでRE7は、水素、置換もしくは非置換のC1~6アルキル、または窒素保護基(例として、NMe)である。ある態様において、aは、1である。ある態様において、aは、2である。ある態様において、zのうち少なくとも1個の場合は、0である。ある態様において、zのうち少なくとも1個の場合は、1である。ある態様において、zのうち少なくとも1個の場合は、2である。ある態様において、zのうち少なくとも1個の場合は、3である。ある態様において、zのうち少なくとも1個の場合は、4である。ある態様において、zのうち少なくとも1個の場合は、5である。ある態様において、zのうち少なくとも1個の場合は、6である。
【0138】
ある態様において、式(I)で表される化合物は、式:
【化78】
【化79】
で表されるか、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体分子種、およびプロドラッグである。
【0139】
ある態様において、本明細書に記載の化合物は、式(I)で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、共誘導体、結晶、互変異性体、立体異性体、同位体分子種、もしくはプロドラッグである。ある態様において、本明細書に記載の化合物は、式(I)で表される化合物、またはその薬学的許容し得る塩である。
【0140】
処置の方法および使用
本開示は、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性(例として、増大したもしくは減少した活性などの、異常な活性または望ましくない活性)を調整する(例として、阻害する、または増大させる)方法を提供する。本開示は、対象、生体試料、組織、または細胞におけるJNK(例として、JNK2)の活性(例として、増大したまたは減少した活性などの、異常な活性)を調整する(例として、阻害する、または増大させる)方法を提供する。本開示はまた、対象、生体試料、組織、または細胞におけるキナーゼの異常な活性(例として、増大した活性)に関連する疾患、例として、増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、ならびに心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))などの広範な疾患の処置のための方法も提供する。本開示は、対象、生体試料、組織、または細胞における増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、ならびに心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))の処置および/または予防のための方法を提供する。
【0141】
本開示はさらに、本明細書に記載の化合物を、例として、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性の阻害を研究するための生物学的プローブとして、ならびに治療法、例として、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の過剰発現および/または異常な活性に関連する疾患の処置および/または予防における治療法として使用する方法を提供する。ある態様において、化合物は、JNK(例として、JNK2)を共有結合して阻害する。ある態様において、処置および/または予防される疾患は、これらに限定されないが、対象、生体試料、組織、または細胞における増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、ならびに心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))を包含する。ある態様において、がんは、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の過剰発現および/または異常な活性に関連する。本開示によって提供されるものには、本明細書に記載のとおりの式(I)で表される化合物の医薬組成物、キット、方法、および使用もある。
【0142】
本明細書に記載のある化合物は、キナーゼに結合し、これを共有結合して修飾し、および/または阻害する。ある態様において、本明細書に記載の化合物は、キナーゼを不可逆的に阻害する。ある態様において、キナーゼは、JNKである。ある態様において、キナーゼは、JNK2である。ある態様において、本明細書に記載の化合物は、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))へ共有結合的に結合する。ある態様において、本明細書に記載の化合物は、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))へ非可逆的に結合する。ある態様において、本明細書に記載の化合物は、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK1、JNK2、JNK3))の活性を調整する。ある態様において、本明細書に記載の化合物は、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を阻害する。ある態様において、本明細書に記載の化合物は、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を不可逆的に阻害する。
【0143】
本明細書に記載の化合物の、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))への結合親和性は、当該技術分野において知られている方法(例として、等温滴定熱量計(ITC))を使用して、化合物およびキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の付加体の解離定数(Kd)値によって測定されてもよい。ある態様において、付加体のKd値は、約100μM以下、約10μM以下、約1μM以下、約100nM以下、約10nM以下、または約1nM以下である。
【0144】
ある態様において、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性は、本明細書に記載の化合物によって阻害される。本明細書に記載の化合物によるキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性の阻害は、化合物またはその医薬組成物がキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))と接触させられたときの、化合物の半数阻害濃度(IC50)を決定することによって測定されてもよい。IC50値は、当該技術分野において知られている(例として、競合結合アッセイによる)方法を使用して得られてもよい。ある態様において、本明細書に記載の化合物のIC50値は、約1mM以下、約100μM以下、約10μM以下、約1μM以下、約100nM以下、約10nM以下、または約1nM以下である。
【0145】
いくつかの態様において、阻害されるキナーゼの活性は、異なるタンパク質(例として、異なるキナーゼ)の活性と比較して、本明細書に記載の化合物または医薬組成物によって選択的に阻害される。ある態様において、JNK(例として、JNK2)の活性は、異なるタンパク質(例として、異なるキナーゼ)の活性と比較して、本明細書に記載の化合物または医薬組成物によって選択的に阻害される。ある態様において、JNK2の活性は、別のJNK(例として、JNK1またはJNK3)の活性と比較して、本明細書に記載の化合物または医薬組成物によって選択的に阻害される。
【0146】
キナーゼ活性を阻害することにおける、本明細書に記載の化合物または医薬組成物の、異なるタンパク質(例として、異なるキナーゼ)に対する選択性は、キナーゼ活性の阻害における化合物または医薬組成物のIC50値分の、異なるタンパク質活性の阻害における化合物または医薬組成物のIC50値の商によって測定されてもよい。本明細書に記載の化合物または医薬組成物のキナーゼへの、異なるタンパク質に対する選択性は、化合物または医薬組成物とキナーゼとの付加体のKd値分の、化合物または医薬組成物と異なるタンパク質との付加体のKd値の商によって測定されてもよい。ある態様において、選択性は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも30倍、少なくとも100倍、少なくとも300倍、少なくとも1,000倍、少なくとも3,000倍、少なくとも10,000倍、少なくとも30,000倍、または少なくとも100,000倍である。ある態様において、選択性は、100,000倍以下、10,000倍以下、1,000倍以下、100倍以下、10倍以下、または2倍以下である。上の参照範囲の組み合わせ(例として、少なくとも2倍および10,000倍以下)もまた、本開示の範囲内にある。
【0147】
本明細書に記載の化合物は、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を選択的に調整してもよい。ある態様において、化合物は、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を選択的に増大させる。ある態様において、化合物は、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を選択的に阻害する。ある態様において、化合物は、2種以上のキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK1、JNK2、JNK3))の活性をある程度阻害する。
【0148】
ある態様において、本開示は、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2)の選択的インヒビターを提供する。ある態様において、本発明の化合物は、JNK(例として、JNK2)の活性を選択的に阻害する。第1キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を第2キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK1、JNK3))に対して阻害するための本明細書に記載の化合物の選択性は、第1キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2)の活性における化合物のIC50値分の、第2キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK1、JNK3)の活性を阻害することにおける化合物のIC50値の商によって測定されてもよい。第1キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2)の活性を第2キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK1、JNK3))に対して調整することにおける本明細書に記載の化合物の選択性はまた、化合物と第1JNK(例として、JNK2)との付加体のKd値分の、化合物と第2JNK(例として、JNK1、JNK3)との付加体のKd値の商によっても測定されてよい。ある態様において、選択性は、少なくとも約1倍、少なくとも約3倍、少なくとも約10倍、少なくとも約30倍、少なくとも約100倍、少なくとも約300倍、少なくとも約1,000倍、少なくとも約3,000倍、少なくとも約10,000倍、少なくとも約30,000倍、または少なくとも約100,000倍である。
【0149】
表1は、本開示の例示化合物を用いたJNK1、JNK2、およびJNK3のためのJNKキナーゼ阻害に対するIC
50アッセイの結果を示す。
表1.例示化合物でのIC
50アッセイ
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0150】
本明細書に記載の化合物は、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の異常な活性(例として、増大した活性、望ましくない活性、正常でない活性)に関連する疾患を処置および/または予防するのに有用であり得ることが期待される。キナーゼが、対象、生体試料、組織、または細胞における増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、ならびに心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))などの、広範な疾患および疾病に関わることは、当該技術分野において知られている。したがって、本明細書に記載の化合物は、疾患(例として、増殖性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、心血管疾患)を処置および/または予防するのに有用であることが期待される。
【0151】
本開示はまた、対象、生体試料、組織、または細胞における増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、ならびに心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))などの、疾患の処置における使用のための、式(I)で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、共結晶、互変異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、多形、同位体分子種、もしくはプロドラッグ、あるいは組成物も提供する。
【0152】
本開示はまた、対象、生体試料、組織、または細胞における増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、ならびに心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))などの、疾患の処置のための医薬の製造における、式(I)で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、共結晶、互変異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、多形、同位体分子種、もしくはプロドラッグ、あるいは組成物の使用も提供する。
【0153】
別の側面において、本開示は、対象、生体試料、組織、または細胞におけるキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を調整する方法を提供する。ある態様において、提供されるのは、対象におけるキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を阻害する方法である。ある態様において、提供されるのは、細胞におけるキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を阻害する方法である。ある態様において、提供されるのは、対象におけるキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK1、JNK2、またはJNK3))の活性を増大させる方法である。本明細書に記載の化合物は、キナーゼ阻害活性;キナーゼの阻害能;JNKの阻害能;JNK2を阻害するが別のJNK(例として、JNK1またはJNK3)は阻害しない能力;がんの処置における治療効果および/または予防効果;増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、ならびに心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))の処置における、治療効果および/または予防効果;および/または、増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、および心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))を処置するための現行の化学治療剤または薬剤(agents)より優れている治療プロファイル(例として、最適安全性および治癒効果)を呈してもよい。
【0154】
ある態様において、提供されるのは、本明細書に記載の方法によって、対象または生体試料(例として、細胞、組織)におけるキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を、少なくとも約1%、少なくとも約3%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%まで減少させる方法である。ある態様において、対象または細胞におけるキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2、JNK3))の活性は、本明細書に記載の方法によって、少なくとも約1%、少なくとも約3%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%まで減少させられる。いくつかの態様において、対象、生体試料、組織、または細胞におけるキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2、JNK3))の活性は、本方法によって選択的に阻害される。いくつかの態様において、対象または細胞におけるキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK1、JNK2、JNK3))の活性は、本方法によって選択的に減少させられる。
【0155】
いずれの具体的な理論によっても拘束されることは望まないが、本明細書に記載の化合物は、阻害されるJNKに結合する(例として、共有結合して修飾する)ことができる。ある態様において、本明細書に記載の化合物は、JNKに結合する(例として、共有結合して修飾する)ことができる。ある態様において、本明細書に記載の化合物は、JNKのシステイン残基に共有結合的に結合することができる。ある態様において、化合物は、JNKのCys116を共有結合して修飾することが可能である。ある態様において、化合物は、JNKのCys116を共有結合して修飾することが可能である。ある態様において、化合物は、JNK2のCys116を共有結合して修飾することが可能である。ある態様において、化合物は、JNK2を共有結合して修飾することが可能である。
【0156】
別の側面において、本開示は、対象におけるキナーゼの活性を阻害する方法であって、本明細書に記載のとおりの有効量(例として、治療的に有効な量)の化合物、またはその医薬組成物を対象へ投与することを含む方法を提供する。別の側面において、本開示は、生体試料におけるキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を阻害する方法であって、本明細書に記載のとおりの有効量の化合物またはその医薬組成物と生体試料を接触させることを含む方法を提供する。別の側面において、本開示は、組織または細胞におけるキナーゼの活性を阻害する方法であって、本明細書に記載のとおりの有効量の化合物もしくはその医薬組成物と組織または細胞を接触させることを含む方法を提供する。
【0157】
別の側面において、本開示は、細胞におけるキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を阻害する方法であって、本明細書に記載のとおりの有効量の化合物またはその医薬組成物と細胞を接触させることを含む方法を提供する。
【0158】
ある態様において、処置される対象は、哺乳動物である。ある態様において、対象は、ヒトである。ある態様において、対象は、非ヒト哺乳動物である。ある態様において、対象は、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヤギなどの、飼育動物である。ある態様において、対象は、イヌまたはネコなどの、伴侶動物である。ある態様において、対象は、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヤギなどの、家畜動物である。ある態様において、対象は、動物園の動物である。別の態様において、対象は、齧歯類の動物、イヌ、または霊長目の非ヒト動物などの、研究動物である。ある態様において、対象は、トランスジェニックマウスまたはトランスジェニックブタなどの、非ヒトトランスジェニック動物である。ある態様において、対象は、魚類または爬虫類である。ある態様において、対象は、動物である。動物は、いずれの性別であってもよく、いずれの発生段階にあってもよい。ある態様において、本明細書に記載の対象は、ヒトである。ある態様において、対象は、非ヒト動物である。ある態様において、対象は、哺乳動物である。
【0159】
ある態様において、本明細書に記載の化合物または組成物と接触させられる細胞は、in vitroにある。ある態様において、本明細書に記載の化合物または組成物と接触させられる細胞は、in vivoにある。
【0160】
ある態様において、化合物または組成物と接触させられる生体試料は、乳房組織、骨髄、リンパ節、リンパ組織、脾臓、または血液である。ある態様において、化合物または組成物と接触させられる生体試料は、腫瘍またはがん性組織である。ある態様において、化合物または組成物と接触させられる生体試料は、血清、脳脊髄液、間質液、粘液、涙液、汗、膿、生検組織(例として、外科生検もしくは針生検によって得られたもの)、乳頭吸引物、乳、膣液、唾液、ぬぐい液(口腔内のぬぐい液など)、または第1の生体試料に由来する生体分子を含有するあらゆる材料である。
【0161】
ある態様において、化合物または組成物と接触させられる細胞または組織は、in vitroに存在する。ある態様において、化合物または組成物と接触させられる細胞または組織は、in vivoに存在する。ある態様において、化合物または組成物と接触させられる細胞または組織は、ex vivoに存在する。ある態様において、化合物または組成物と接触させられる細胞または組織は、悪性細胞(例として、悪性血液細胞)である。ある態様において、化合物または組成物と接触させられる細胞は、悪性造血幹細胞(例として、悪性骨髄性細胞または悪性リンパ球様細胞)である。ある態様において、化合物または組成物と接触させられる細胞は、悪性リンパ球(例として、悪性T細胞または悪性B細胞)である。ある態様において、化合物または組成物と接触させられる細胞は、悪性白血球である。ある態様において、化合物または組成物と接触させられる細胞は、悪性好中球、悪性マクロファージ、または悪性形質細胞である。ある態様において、化合物または組成物と接触させられる細胞は、癌細胞である。ある態様において、化合物または組成物と接触させられる細胞は、乳房癌細胞である。ある態様において、化合物または組成物と接触させられる細胞は、肉腫細胞である。ある態様において、化合物または組成物と接触させられる細胞は、乳房組織からの肉腫細胞である。
【0162】
本明細書に記載の化合物を使用して処置または予防されるべき疾患(例として、増殖性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、または心血管疾患)は、JNK(例として、JNK2)などのキナーゼの増大した活性に関連し得る。本明細書に記載の化合物を使用して処置または予防されるべき疾患(例として、増殖性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、または心血管疾患)は、JNK(例として、JNK2)などのキナーゼの過剰発現に関連し得る。
【0163】
ある態様において、本明細書に記載の化合物を使用して処置または予防されるべき疾患(例として、増殖性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、または心血管疾患)は、JNK(例として、JNK2)の過剰発現に関連し得る。疾患(例として、増殖性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、または心血管疾患)は、JNK(例として、JNK2)の異常な活性に関連し得る。JNK(例として、JNK2)の異常な活性は、JNKの上がった、および/または不適切な、および/または望ましくない活性であり得る。本明細書に記載の化合物、ならびにその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体分子種、プロドラッグ、および組成物は、JNK(例として、JNK2)の活性を阻害して、疾患(例として、増殖性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、もしくは心血管疾患)を処置および/または予防するのに有用であってもよい。本明細書に記載の化合物、ならびにその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体分子種、プロドラッグ、および組成物は、JNKの活性を阻害して、疾患(例として、増殖性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、もしくは心血管疾患)を処置および/または予防するのに有用であってもよい。本明細書に記載の化合物、ならびにその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体分子種、プロドラッグ、および組成物は、JNKの活性を阻害して、疾患(例として、増殖性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、もしくは心血管疾患)を処置および/または予防するのに有用であってもよい。
【0164】
ある態様において、本明細書に記載の化合物を使用して処置もしくは予防されるべき疾患(例として、増殖性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、または心血管疾患)は、がんである。本明細書に開示のまたは当該技術分野において知られているすべてのタイプのがんは、本発明の範囲内にあるものとして企図される。ある態様において、増殖性疾患は、血液学的な悪性腫瘍である。ある態様において、増殖性疾患は、血液がんである。ある態様において、増殖性疾患は、白血病である。ある態様において、増殖性疾患は、慢性リンパ球性白血病(CLL)である。ある態様において、増殖性疾患は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)である。ある態様において、増殖性疾患は、T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)である。ある態様において、増殖性疾患は、慢性骨髄性白血病(CML)である。ある態様において、増殖性疾患は、急性骨髄性白血病(AML)である。ある態様において、増殖性疾患は、急性単球性白血病(AMoL)である。ある態様において、増殖性疾患は、骨髄異形成症候群(MDS)である。ある態様において、増殖性疾患は、癌である。ある態様において、増殖性疾患は、リンパ腫である。ある態様において、増殖性疾患は、T細胞リンパ腫である。いくつかの態様において、増殖性疾患は、バーキットリンパ腫である。ある態様において、増殖性疾患は、ホジキンリンパ腫である。ある態様において、増殖性疾患は、非ホジキンリンパ腫である。ある態様において、増殖性疾患は、多発性骨髄腫である。ある態様において、増殖性疾患は、黒色腫である。ある態様において、増殖性疾患は、大腸がんである。ある態様において、増殖性疾患は、結腸がんである。ある態様において、増殖性疾患は、乳房がんである。ある態様において、増殖性疾患は、再発性乳房がんである。ある態様において、増殖性疾患は、突然変異の乳房がん(mutant breast cancer)である。ある態様において、増殖性疾患は、HER2+乳房がんである。ある態様において、増殖性疾患は、HER2-乳房がんである。ある態様において、増殖性疾患は、三種陰性乳房がん(TNBC)である。ある態様において、増殖性疾患は、骨がんである。ある態様において、増殖性疾患は、肉腫である。ある態様において、増殖性疾患は、骨肉腫である。ある態様において、増殖性疾患は、カポジ肉腫である。ある態様において、増殖性疾患は、ユーイング肉腫である。いくつかの態様において、増殖性疾患は、脳がんである。いくつかの態様において、増殖性疾患は、神経芽細胞腫である。いくつかの態様において、増殖性疾患は、肺がんである。いくつかの態様において、増殖性疾患は、小細胞肺がん(SCLC)である。いくつかの態様において、増殖性疾患は、非小細胞肺がんである。いくつかの態様において、増殖性疾患は、肝臓がんである。いくつかの態様において、増殖性疾患は、膵臓がんである。いくつかの態様において、増殖性疾患は、胃部のがんである。いくつかの態様において、増殖性疾患は、卵巣がんである。いくつかの態様において、増殖性疾患は、卵巣がんである。いくつかの態様において、増殖性疾患は、良性新生物である。本明細書に開示のまたは当該技術分野において知られているすべてのタイプの良性新生物は、本発明の範囲内にあるものとして企図される。いくつかの態様において、増殖性疾患は、血管新生に関連する。本明細書に開示のまたは当該技術分野において知られているすべてのタイプの血管新生は、本発明の範囲内にあるものとして企図される。
【0165】
医薬組成物、キット、および投与
本開示はまた、本明細書に記載の化合物、および任意に、薬学的に許容し得る賦形剤を含む医薬組成物をも提供する。ある態様において、本明細書に記載の化合物は、式(I)で表される化合物、またはその薬学的許容し得る塩、および薬学的に許容し得る賦形剤である。
【0166】
ある態様において、本明細書に記載の化合物は、医薬組成物中、有効量で提供される。ある態様において、有効量は、治療的に有効な量である。ある態様において、有効量は、予防的に有効な量である。ある態様において、治療的に有効な量は、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK1、JNK2、JNK3))の異常な活性を阻害するのに有効な量である。ある態様において、治療的に有効な量は、疾患(例として、対象、生体試料、組織、または細胞におけるJNKの異常な活性に関連する疾患(例として、増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、ならびに心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化)))を処置するのに有効な量である。ある態様において、治療的に有効な量は、細胞(例として、in vivoまたはin vitroでの細胞)のアポトーシスを誘導するのに有効な量である。ある態様において、予防的に有効な量は、タンパク質(例として、JNK(例として、JNK1、JNK2、またはJNK3))の異常な活性を阻害するのに有効な量である。ある態様において、予防的に有効な量は、疾患(例として、JNKの異常な活性に関連する疾患(例として、増殖性疾患)の予防またはその寛解の維持を、これを必要とする対象においてするのに有効な量である。ある態様において、予防的に有効な量は、JNKの異常な活性の阻害、疾患(例として、JNKの異常な活性に関連する疾患(例として、増殖性疾患)の予防またはその寛解の維持を、これを必要とする対象においてするのに有効な量である。
【0167】
ある態様において、有効量は、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK1、JNK2、またはJNK3))の活性を、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%まで阻害するのに有効な量である。ある態様において、有効量は、JNK(例として、JNK1、JNK2、またはJNK3))の活性を、10%以下、20%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、80%以下、90%以下、95%以下、または98%以下まで阻害するのに有効な量である。
【0168】
本開示の別の側面は、生体試料、組織、細胞、または対象におけるキナーゼの活性を阻害する方法に関する。ある態様において、JNKは、JNK2である。ある態様において、JNK2は、別のキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK1、JNK3))より選択的に阻害される。ある態様において、キナーゼの活性は、キナーゼの異常な活性である。ある態様において、キナーゼの活性は、キナーゼの増大した活性である。ある態様において、キナーゼの活性の阻害は、不可逆的である。ある態様において、キナーゼの活性を阻害する方法は、本明細書に記載の化合物をキナーゼへ付着させることを包含する。ある態様において、方法は、JNK(例として、JNK2)を共有結合して阻害することを含む。本発明は、生体試料、組織、細胞、または対象における細胞成長を阻害する方法を提供する。
【0169】
ある態様において、本明細書に記載の方法は、有効量の本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体分子種、もしくはプロドラッグ、あるいはその医薬組成物を対象へ投与すること、あるいはそれと生体試料を接触させることを包含する。本明細書に記載のまたは当該技術分野において知られているすべてのタイプの生体試料は、本発明の範囲内にあるものとして企図される。ある態様において、本明細書に記載の方法は、有効量の本明細書に記載の化合物、もしくその薬学的許容し得る塩、またはその医薬組成物を対象へ投与すること、あるいはそれと生体試料を接触させることを包含する。ある態様において、化合物は、生体試料と接触させられる。ある態様において、化合物は、対象へ投与される。ある態様において、化合物は、本明細書に記載の1以上の追加の医薬品と組み合わせて投与される。追加の医薬品は、抗増殖剤であってもよい。ある態様において、追加の医薬品は、抗がん剤である。追加の医薬品はまた、キナーゼインヒビターであってもよい。ある態様において、追加の医薬品は、キナーゼのインヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、JNKのインヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、JNK1のインヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、JNK2のインヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、JNK3のインヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、キナーゼの選択的インヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、JNKの選択的インヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、JNK1の選択的インヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、JNK2の選択的インヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、JNK3の選択的インヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、JNK1の非選択的インヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、JNK2の非選択的インヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、JNK3の非選択的インヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、抗がん剤(例として、化学治療剤)、抗炎症剤、ステロイド、免疫抑制薬、放射線治療剤(radiation therapy)、または他の薬剤である。ある態様において、追加の医薬品は、抗増殖剤である。ある態様において、追加の医薬品は、キナーゼのインヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、キナーゼの非選択的インヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、免疫治療剤(例として、PD1インヒビター、PDL1インヒビター)である。ある態様において、追加の医薬品は、免疫チェックポイントインヒビターである。
【0170】
追加の医薬品は、これらに限定されないが、抗増殖剤、抗がん剤、抗血管新生剤、抗炎症剤、免疫抑制薬、抗細菌剤、抗ウイルス剤、心血管作動薬、コレステロール降下剤、抗糖尿病剤、抗アレルギー剤、避妊剤、鎮痛剤、およびそれらの組み合わせを包含する。ある態様において、追加の医薬品は、抗増殖剤(例として、抗がん剤)である。ある態様において、追加の医薬品は、抗白血病剤である。ある態様において、追加の医薬品は、ABITREXATE(メトトレキサート)、ADE、アドリアマイシンRDF(ドキソルビシン塩酸塩)、アンボクロリン(クロラムブシル)、ARRANON(ネララビン)、ARZERRA(オファツムマブ)、BOSULIF(ボスチニブ)、BUSULFEX(ブスルファン)、CAMPATH(アレムツズマブ)、CERUBIDINE(ダウノルビシン塩酸塩)、CLAFEN(シクロホスファミド)、CLOFAREX(クロファラビン)、CLOLAR(クロファラビン)、CVP、CYTOSAR-U(シタラビン)、CYTOXAN(シクロホスファミド)、ERWINAZE(黒脚病菌(Erwinia Chrysanthemi)アスパラギナーゼ)、FLUDARA(フルダラビンリン酸エステル)、FOLEX(メトトレキサート)、FOLEX PFS(メトトレキサート)、GAZYVA(オビヌツズマブ)、GLEEVEC(イマニチブメシル酸塩)、Hyper-CVAD、ICLUSIG(ポナチニブ塩酸塩)、IMBRUVICA(イブルチニブ)、LEUKERAN(クロラムブシル)、LINFOLIZIN(クロラムブシル)、MARQIBO(硫酸ビンクリスチンリポソーム)、METHOTREXATE LPF(メトトレキサート)、MEXATE(メトトレキサート)、MEXATE-AQ(メトトレキサート)、ミトキサントロン塩酸塩、MUSTARGEN(メクロレタミン塩酸塩)、MYLERAN(ブスルファン)、NEOSAR(シクロホスファミド)、ONCASPAR(ペグアスパルガーゼ)、PURINETHOL(メルカプトプリン)、PURIXAN(メルカプトプリン)、ルビドマイシン(ダウノルビシン塩酸塩)、SPRYCEL(ダサチニブ)、SYNRIBO(オマセタクシンメペスクシナート)、TARABINE PFS(シタラビン)、TASIGNA(ニロチニブ)、TREANDA(ベンダムスチン塩酸塩)、TRISENOX(三酸化ヒ素)、VINCASAR PFS(硫酸ビンクリスチン)、ZYDELIG(イデラリシブ)、またはそれらの組み合わせである。ある態様において、追加の医薬品は、抗リンパ腫剤である。ある態様において、追加の医薬品は、ABITREXATE(メトトレキサート)、ABVD、ABVE、ABVE-PC、ADCETRIS(ブレンツキシマブベドチン)、ADRIAMYCIN PFS(ドキソルビシン塩酸塩)、ADRIAMYCIN RDF(ドキソルビシン塩酸塩)、AMBOCHLORIN(クロラムブシル)、AMBOCLORIN(クロラムブシル)、ARRANON(ネララビン)、BEACOPP、BECENUM(カルムスチン)、BELEODAQ(ベリノスタット)、BEXXAR(トシツモマブおよびヨウ素I131トシツモマブ)、BICNU(カルムスチン)、BLENOXANE(ブレオマイシン)、CARMUBRIS(カルムスチン)、CHOP、CLAFEN(シクロホスファミド)、COPP、COPP-ABV、CVP、CYTOXAN(シクロホスファミド)、DEPOCYT(リポソーマルシタラビン)、DTIC-DOME(ダカルバジン)、EPOCH、FOLEX(メトトレキサート)、FOLEX PFS(メトトレキサート)、FOLOTYN(プララトレキサート)、HYPER-CVAD、ICE、IMBRUVICA(イブルチニブ)、INTRON(組換えインターフェロンアルファ-2b)、ISTODAX(ロミデプシン)、LEUKERAN(クロラムブシル)、LINFOLIZIN(クロラムブシル)、ロムスチン、MATULANE(プロカルバジン塩酸塩)、METHOTREXATE LPF(メトトレキサート)、MEXATE(メトトレキサート)、MEXATE-AQ(メトトレキサート)、MOPP、MOZOBIL(プレリキサフォル)、MUSTARGEN(メクロレタミン塩酸塩)、NEOSAR(シクロホスファミド)、OEPA、ONTAK(デニロイキンジフチトクス)、OPPA、R-CHOP、REVLIMID(レナリドマイド)、RITUXAN(リツキシマブ)、STANFORD V、TREANDA(ベンダムスチン塩酸塩)、VAMP、VELBAN(硫酸ビンブラスチン)、VELCADE(ボルテゾミブ)、VELSAR(硫酸ビンブラスチン)、VINCASAR PFS(硫酸ビンクリスチン)、ZEVALIN(イブリツモマブチウキセタン)、ZOLINZA(ボリノスタット)、ZYDELIG(イデラリシブ)、またはそれらの組み合わせである。ある態様において、追加の医薬品は、REVLIMID(レナリドマイド)、DACOGEN(デシタビン)、VIDAZA(アザシチジン)、CYTOSAR-U(シタラビン)、IDAMYCIN(イダルビシン)、CERUBIDINE(ダウノルビシン)、LEUKERAN(クロラムブシル)、NEOSAR(シクロホスファミド)、FLUDARA(フルダラビン)、LEUSTATIN(クラドリビン)、またはそれらの組み合わせである。ある態様において、追加の医薬品は、ABITREXATE(メトトレキサート)、ABRAXANE(パクリタキセルアルブミン-安定化されたナノ粒子製剤)、AC、AC-T、ADE、ADRIAMYCIN PFS(ドキソルビシン塩酸塩)、ADRUCIL(フルオロウラシル)、AFINITOR(エベロリムス)、AFINITOR DISPERZ(エベロリムス)、ALDARA(イミキモド)、ALIMTA(ペメトレキセド2ナトリウム)、AREDIA(パミドロン酸二ナトリウム)、ARIMIDEX(アナストロゾール)、AROMASIN(エキセメスタン)、AVASTIN(ベバシズマブ)、BECENUM(カルムスチン)、BEP、BICNU(カルムスチン)、BLENOXANE(ブレオマイシン)、CAF、CAMPTOSAR(イリノテカン塩酸塩)、CAPOX、CAPRELSA(バンデタニブ)、CARBOPLATIN-TAXOL、CARMUBRIS(カルムスチン)、CASODEX(ビカルタミド)、CEENU(ロムスチン)、CERUBIDINE(ダウノルビシン塩酸塩)、CERVARIX(組換えHPV二価ワクチン)、CLAFEN(シクロホスファミド)、CMF、COMETRIQ(カボザンチニブ-s-リンゴ酸塩)、COSMEGEN(ダクチノマイシン)、CYFOS(イホスファミド)、CYRAMZA(ラムシルマブ)、CYTOSAR-U(シタラビン)、CYTOXAN(シクロホスファミド)、DACOGEN(デシタビン)、DEGARELIX、DOXIL(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、DOXORUBICIN HYDROCHLORIDE、DOX-SL(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、DTIC-DOME(ダカルバジン)、EFUDEX(フルオロウラシル)、ELLENCE(エピルビシン塩酸塩)、ELOXATIN(オキサリプラチン)、ERBITUX(セツキシマブ)、ERIVEDGE(ビスモデギブ)、ETOPOPHOS(リン酸エトポシド)、EVACET(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、FARESTON(トレミフェン)、FASLODEX(フルベストラント)、FEC、FEMARA(レトロゾール)、FLUOROPLEX(フルオロウラシル)、FOLEX(メトトレキサート)、FOLEX PFS(メトトレキサート)、FOLFIRI、FOLFIRI-BEVACIZUMAB、FOLFIRI-CETUXIMAB、FOLFIRINOX、FOLFOX、FU-LV、GARDASIL(組換えヒト乳頭腫ウイルス(HPV)四価ワクチン)、GEMCITABINE-CISPLATIN、GEMCITABINE-OXALIPLATIN、GEMZAR(ゲムシタビン塩酸塩)、GILOTRIF(ジマレイン酸アファチニブ)、GLEEVEC(イマニチブメシル酸塩)、GLIADEL(カルムスチン・インプラント)、GLIADEL WAFER(カルムスチン・インプラント)、HERCEPTIN(トラスツズマブ)、HYCAMTIN(トポテカン塩酸塩)、IFEX(イホスファミド)、IFOSFAMIDUM(イホスファミド)、INLYTA(アキシチニブ)、INTRON(組換えインターフェロンアルファ-2b)、IRESSA(ゲフィチニブ)、IXEMPRA(イクサベピロン)、JAKAFI(ルキソリチニブリン酸塩)、JEVTANA(カバジタキセル)、KADCYLA(アドトラスツズマブエムタンシン)、KEYTRUDA(ペンブロリズマブ)、KYPROLIS(カルフィルゾミブ)、LIPODOX(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、LUPRON(リュープロリド酢酸塩)、LUPRON DEPOT(リュープロリド酢酸塩)、LUPRON DEPOT-3 MONTH(リュープロリド酢酸塩)、LUPRON DEPOT-4 MONTH(リュープロリド酢酸塩)、LUPRON DEPOT-PED(リュープロリド酢酸塩)、MEGACE(酢酸メゲストロール)、MEKINIST(トラメチニブ)、METHAZOLASTONE(テモゾロミド)、METHOTREXATE LPF(メトトレキサート)、MEXATE(メトトレキサート)、MEXATE-AQ(メトトレキサート)、MITOXANTRONE HYDROCHLORIDE、MITOZYTREX(マイトマイシンC)、MOZOBIL(プレリキサフォル)、MUSTARGEN(メクロレタミン塩酸塩)、MUTAMYCIN(マイトマイシンC)、MYLOSAR(アザシチジン)、NAVELBINE(ビノレルビン酒石酸塩)、NEOSAR(シクロホスファミド)、NEXAVAR(ソラフェニブトシル酸塩)、NOLVADEX(タモキシフェンクエン酸塩)、NOVALDEX(タモキシフェンクエン酸塩)、OFF、PAD、PARAPLAT(カルボプラチン)、PARAPLATIN(カルボプラチン)、PEG-INTRON(ペグインターフェロンアルファ-2b)、PEMETREXED DISODIUM、PERJETA(ペルツズマブ)、PLATINOL(シスプラチン)、PLATINOL-AQ(シスプラチン)、POMALYST(ポマリドミド)、プレドニゾン、PROLEUKIN(アルデスロイキン)、PROLIA(デノスマブ)、PROVENGE(シプロイセル-t)、REVLIMID(レナリドマイド)、RUBIDOMYCIN(ダウノルビシン塩酸塩)、SPRYCEL(ダサチニブ)、STIVARGA(レゴラフェニブ)、SUTENT(スニチニブリンゴ酸塩)、SYLATRON(ペグインターフェロンアルファ-2b)、SYLVANT(シルツキシマブ)、SYNOVIR(サリドマイド)、TAC、TAFINLAR(ダブラフェニブ)、TARABINE PFS(シタラビン)、TARCEVA(エルロチニブ塩酸塩)、TASIGNA(ニロチニブ)、TAXOL(パクリタキセル)、TAXOTERE(ドセタキセル)、TEMODAR(テモゾロミド)、THALOMID(サリドマイド)、TOPOSAR(エトポシド)、TORISEL(テムシロリムス)、TPF、TRISENOX(三酸化ヒ素)、TYKERB(二トシル酸ラパチニブ)、VECTIBIX(パニツムマブ)、VEIP、VELBAN(硫酸ビンブラスチン)、VELCADE(ボルテゾミブ)、VELSAR(硫酸ビンブラスチン)、VEPESID(エトポシド)、VIADUR(リュープロリド酢酸塩)、VIDAZA(アザシチジン)、VINCASAR PFS(硫酸ビンクリスチン)、VOTRIENT(パゾパニブ塩酸塩)、WELLCOVORIN(ロイコボリンカルシウム)、XALKORI(クリゾチニブ)、XELODA(カペシタビン)、XELOX、XGEVA(デノスマブ)、XOFIGO(ラジウム223二塩化物)、XTANDI(エンザルタミド)、YERVOY(イピリムマブ)、ZALTRAP(ziv-アフリバーセプト)、ZELBORAF(ベムラフェニブ)、ZOLADEX(ゴセレリン酢酸塩)、ZOMETA(ゾレドロン酸)、ZYKADIA(セリチニブ)、ZYTIGA(アビラテロン酢酸エステル)、ENMD-2076、PCI-32765、AC220、ドビチニブ乳酸塩(TKI258、CHIR-258)、BIBW 2992(TOVOK(商標))、SGX523、PF-04217903、PF-02341066、PF-299804、BMS-777607、ABT-869、MP470、BIBF 1120(VARGATEF(登録商標))、AP24534、JNJ-26483327、MGCD265、DCC-2036、BMS-690154、CEP-11981、チボザニブ(AV-951)、OSI-930、MM-121、XL-184、XL-647、および/またはXL228)、プロテアソームインヒビター(例として、ボルテゾミブ(Velcade))、mTORインヒビター(例として、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD-001)、リダフォロリムス、AP23573(Ariad)、AZD8055(AstraZeneca)、BEZ235(Novartis)、BGT226(Norvartis)、XL765(Sanofi Aventis)、PF-4691502(Pfizer)、GDC0980(Genetech)、SF1126(Semafoe)、およびOSI-027(OSI))、オブリメルセン、ゲムシタビン、カルミノマイシン、ロイコボリン、ペメトレキセド、シクロホスファミド、ダカルバジン、プロカルバジン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、カンプトテシン、プリカマイシン、アスパラギナーゼ、アミノプテリン、メトプテリン、ポルフィロマイシン、メルファラン、ロイロシジン、ロイロシン、クロラムブシル、トラベクテジン、プロカルバジン、ディスコデルモリド、カルミノマイシン、アミノプテリン、ならびにヘキサメチルメラミン、またはそれらの組み合わせである。ある態様において、追加の医薬品は、BTKインヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、イブルチニブである。
【0171】
ある態様において、追加の医薬品は、キナーゼインヒビター(例として、JNKファミリーキナーゼインヒビター)である。ある態様において、追加の医薬品は、JNK(例として、JNK1、JNK2、またはJNK3)の結合剤またはインヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、JNKの結合剤またはインヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、JNK1の結合剤またはインヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、JNK2の結合剤またはインヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、JNK3の結合剤またはインヒビターである。ある態様において、追加の医薬品は、後成的モジュレーターまたは転写モジュレーター(例として、DNAメチルトランスフェラーゼインヒビター、ヒストンデアセチラーゼインヒビター(HDACインヒビター)、リシンメチルトランスフェラーゼインヒビター)、抗有糸分裂薬物(例として、タキサンおよびビンカアルカロイド)、ホルモン受容体モジュレーター(例として、エストロゲン受容体モジュレーターおよびアンドロゲン受容体モジュレーター)、細胞シグナリング経路インヒビター(例として、転写因子インヒビター)、タンパク質安定性のモジュレーター(例として、プロテアソームインヒビター)、Hsp90インヒビター、グルココルチコイド、オールトランス型レチノイン酸、ならびに分化を促進する他の剤からなる群から選択される。ある態様において、本明細書に記載の化合物または医薬組成物は、これらに限定されないが、外科手術、放射線治療、移植(例として、幹細胞移植、骨髄移植)、免疫治療、および化学治療を包含する抗がん治療と組み合わせて、投与され得る。いくつかの態様において、追加の医薬品は、BTKインヒビター(例として、イブルチニブ)、トポイソメラーゼインヒビター、MCL1インヒビター、BCL-2インヒビター、BCL-xLインヒビター、BRD4インヒビター、BRCA1インヒビター、BRCA2インヒビター、HER1インヒビター、HER2インヒビター、CDK9インヒビター、Jumonjiヒストンデメチラーゼインヒビター、またはDNA損傷誘導剤である。いくつかの態様において、追加の医薬品は、エトポシド、オバトクラックス、ナビトクラックス、JQ1、4-(((5'-クロロ-2'-(((1R,4R)-4-(((R)-1-メトキシプロパン-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)アミノ)-[2,4'-ビピリジン]-6-イル)アミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニトリル、JIB04、またはシスプラチンである。例示の化学治療剤は、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン、メチルメラミン、スルホン酸アルキル、ニトロソ尿素、およびトリアゼンなどのアルキル化剤;葉酸類似体、ピリミジン類似体、とりわけフルオロウラシルおよびシトシンアラビノシド、およびプリン類似体などの代謝拮抗薬;ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、抗生物質、酵素、および生物学的応答修飾因子などの天然産物;ならびに、白金配位錯体、アントラセンジオン、ヒドロキシ尿素などの置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、およびアドレノコルチコイド抑制剤などの雑多な製品を包含する。例示の化学治療剤はまた、アントラサイクリン抗生物質、アクチノマイシンD、プリカマイシン、ピューロマイシン、グラミシジンD、パクリタキセル、コルヒチン、サイトカラシンB、エメチン、マイタンシン、アムサクリン、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、アルトレタミン、シクロホスファミド、ロムスチン、およびカルムスチンをも包含する。ある態様において、本明細書に記載の医薬組成物はさらに、本明細書に記載の追加の医薬品の組み合わせを含む。
【0172】
本発明の化合物または組成物は、生体試料または対象において追加の医薬品(単数または複数)によって誘導されるJNKの阻害を相乗的に増進させてもよい。よって、本発明の化合物または組成物と追加の医薬品(単数または複数)との組み合わせは、本発明の化合物または組成物を用いずに追加の医薬品(単数または複数)を使用する処置に耐性がある増殖性疾患を処置するのに有用であってもよい。
【0173】
ある態様において、本明細書に記載のキットは、本明細書に記載の化合物または医薬組成物を含む第1容器を包含する。ある態様において、本明細書に記載のキットは、対象における増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、ならびに心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))などの疾患を処置および/または予防するのに有用である。ある態様において、本明細書に記載のキットは、対象、生体試料、組織、または細胞におけるキナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を阻害するのに有用である。
【0174】
ある態様において、本明細書に記載のキットはさらに、キットに包含される化合物または医薬組成物を使用するための指示を包含する。本明細書に記載のキットはまた、必要に応じ、米国食品医薬品局(FDA)などの規制当局による情報をも包含していてよい。ある態様において、キットに包含される情報は、処方情報である。ある態様において、キットおよび指示は、対象、生体試料、組織、または細胞において、疾患(例として、増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、および心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))を処置すること、疾患(例として、増殖性疾患(例として、がんおよび良性新生物)、炎症性疾患(例として、リウマチ性関節炎)、自己免疫疾患、および心血管疾患(例として、アテローム性動脈硬化))を予防すること、キナーゼ(例として、JNK(例として、JNK2))の活性を阻害すること、を提供する。本明細書に記載のキットは、本明細書に記載の1種以上の追加の医薬品を別々の組成物として包含していてもよい。
【0175】
例
本開示がより完全に理解され得るために、以下の例が記述される。本出願に記載の合成例および生物学的例は、本明細書に提供される化合物、医薬組成物、および方法を説明するために提示されるのであって、いずれにしても、それらの範囲を限定するものとして解釈されるべきものではない。
例1.本開示の化合物の調製。
I-1およびI-4の合成
【化80】
【0176】
2-クロロ-4-(フェニルエチニル)ピリミジン
DMF(10mL)中の2,4-ジクロロピリミジン(600mg、4mmol)およびエチニルベンゼン(500mg、4.8mmol)の溶液へPd(dppf)Cl2(14mg、0.02mmol)、CuI(7.6mg、0.04mmol)、およびEt3N(5.5mL、40mmol)をN2雰囲気下で加えた。反応混合物を30℃にて終夜撹拌した。室温まで冷却後、反応混合物を水(50mL)で希釈して酢酸エチルで抽出し、Na2SO4上で乾燥させてin vacuoで濃縮した(concentrated)。残渣をシリカゲル上カラムクロマトグラフィー(EA/ヘキサン=1/4)によって精製することで標題化合物(640mg、74%)が与えられた。LC/MS(ESI)m/z=215(M+H)+。
【0177】
MeCN(10mL)中の2-クロロ-4-(フェニルエチニル)ピリミジン(640mg、3mmol)および1-アミノピリジニウムヨウ化物(800mg、3.6mmol)の溶液へDBU(544mg、3.6mmol)を0℃にて加えた。反応混合物を50℃にて終夜撹拌した。室温まで冷却後、反応混合物を水(200mL)で希釈し、沈殿した固体を濾過することで標題化合物(700mg、76%)が与えられた。LC/MS(ESI) m/z=307(M+H)+。
【0178】
tert-ブチル(S)-3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシラート
NMP(3mL)中の3-(2-クロロピリミジン-4-イル)-2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン(200mg、0.65mmol)およびtert-ブチル(S)-3-アミノピペリジン-1-カルボキシラート(195mg、1.5mmol)の溶液へDIEA(0.32mL、1.95mmol)を加えた。反応混合物を140℃にて終夜撹拌した。混合物を水(200mL)で希釈して酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄してNa2SO4上で乾燥させ、in vacuoで濃縮した。次いで残渣を何らの精製をせずに次のステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=471(M+H)+。
【0179】
(S)-4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)-N-(ピペリジン-3-イル)ピリミジン-2-アミン
ジオキサン(2mL)中tert-ブチル(S)-3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシラート(最後ステップからの粗製物)の溶液へ2mLのHCl(ジオキサン中4N)を加えた。反応混合物を室温にて終夜撹拌し、次いでin vacuoで濃縮した。残渣をMeOHに再溶解し、次いで1N NaHCO3 aqでpH=9まで中性にした。その結果得られた混合物をイソプロパノール/クロロホルム(v/v=1/3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させてin vacuoで濃縮した。残渣をシリカゲル上カラムクロマトグラフィー(メタノール/DCM=1/5中1.75N NH3)によって精製することで標題化合物(2ステップまでで93mg、38%)が与えられた。LC/MS(ESI) m/z=371(M+H)+。
【0180】
(S)-(4-ニトロフェニル)(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メタノン
ピリジン(3mL)中(S)-4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)-N-(ピペリジン-3-イル)ピリミジン-2-アミン(93mg、0.25mmol)の溶液へ4-ニトロベンゾイル塩化物(70mg、0.38mmol)を加えた。反応混合物を室温にて終夜撹拌し、次いでin vacuoで濃縮した。残渣を水(200mL)に再溶解し、次いでイソプロパノール/クロロホルム(v/v=1/3)で抽出した。合わせた有機層をin vacuoで濃縮することで粗産物が与えられたが、これを何らの精製をせずに次のステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=520(M+H)+。
【0181】
(S)-(4-アミノフェニル)(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メタノン(I-4)
5mLの酢酸エチル/メタノール(v/v=1/1)中の(S)-(4-ニトロフェニル)(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メタノン(最後のステップからの粗製物)の溶液へSnCl2(380mg、8mmol)を加えた。反応混合物を80℃にて2h撹拌した。室温まで冷却後、反応混合物をNa2CO3(sat.aq.)で希釈した。その結果得られた混合物をイソプロパノール/クロロホルム(v/v=1/3)で抽出した。合わせた有機層をin vacuoで濃縮し、次いで分取HPLC(MeOH/H2O中0.15%TFA、0~100%)によって精製することでI-4(2ステップまでで68mg、45%)がTFA塩として与えられた。LC/MS(ESI) m/z=490(M+H)+。
【0182】
(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
無水THF(1mL)中の(S)-(4-アミノフェニル)(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メタノン(28mg、0.057mmol)およびDIEA(28μL、0.17mmol)の溶液へ(E)-4-ブロモブタ-2-エノイル塩化物を、反応が終わるまで0℃にて滴加した。次いで過剰のジメチルアミン(ジオキサン中2N)を加えた。混合物を室温にて1h撹拌し、次いでin vacuoで濃縮した。残渣を分取HPLC(MeOH/H2O中0.15%TFA、0~100%)によって精製することでI-1(30mg、73%)がTFA塩として与えられた。LC/MS(ESI) m/z=601(M+H)+。
【0183】
I-5の合成
【化81】
(R,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
I-5(23mg、25%)をI-1と同じ手順を使用することによって調製する。Tert-ブチル(R)-3-アミノピペリジン-1-カルボキシラートを第3ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=601(M+H)
+。
【0184】
I-2の合成
【化82】
(S)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタンアミド
I-2(24.8mg、39%)をI-1と同じ手順を使用することによって調製する。4-クロロブタノイル塩化物を最後のステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=603(M+H)
+。
【0185】
I-3の合成
【化83】
(S)-N-(4-(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボニル)フェニル)アクリルアミド
I-3(24.8mg、39%)をI-1と同じ手順を使用することによって調製する。塩化アクリロイルを最後のステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=544(M+H)
+。
【0186】
I-6の合成
【化84】
(R)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタンアミド
I-6(24.8mg、80%)をI-5と同じ手順をすることによって調製する。4-クロロブタノイル塩化物を最後のステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=603(M+H)
+。
【0187】
I-15の合成
【化85】
(E)-4-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エンアミド)-N-(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)ベンズアミド
I-15(34.4mg、95%)をI-1と同じ手順を使用することによって調製する。Tert-ブチル(3-アミノシクロヘキシル)カルバマートを第3ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=615(M+H)
+。
【0188】
I-7の合成
【化86】
(R,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
I-7(20.1mg、57%)をI-1と同じ手順を使用することによって調製する。Tert-ブチル(R)-3-アミノピロリジン-1-カルボキシラートを第3ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=587(M+H)
+。
【0189】
I-9の合成
【化87】
(R,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)アゼパン-1-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
I-9(31.2mg、88%)をI-1と同じ手順を使用することによって調製する。Tert-ブチル(R)-3-アミノアゼパン-1-カルボキシラートを第3ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=615(M+H)
+。
【0190】
I-10の合成
【化88】
(R)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)アゼパン-1-カルボニル)フェニル)ブタンアミド
I-10(28.2mg、78%)をI-9と同じ手順を使用することによって調製する。4-クロロブタノイル塩化物を最後のステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=617(M+H)
+。
【0191】
I-8の合成
【化89】
(R)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタンアミド
I-8(6.8mg、30%)をI-7と同じ手順を使用することによって調製する。4-クロロブタノイル塩化物を最後のステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=589(M+H)
+。
【0192】
I-11の合成
【化90】
(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
I-11(18mg、51%)をI-1と同じ手順を使用することによって調製する。Tert-ブチル(S)-3-アミノピロリジン-1-カルボキシラートを第3ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=587(M+H)
+。
【0193】
I-12の合成
【化91】
(S)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタンアミド
I-12(23.8mg、66%)をI-11と同じ手順を使用することによって調製する。4-クロロブタノイル塩化物を最後のステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=589(M+H)
+。
【0194】
I-13の合成
【化92】
(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)アゼパン-1-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
I-13(26.6mg、75%)をI-1と同じ手順を使用することによって調製する。Tert-ブチル(S)-3-アミノアゼパン-1-カルボキシラートを第3ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=615(M+H)
+。
【0195】
I-14の合成
【化93】
(S)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)アゼパン-1-カルボニル)フェニル)ブタンアミド
I-14(12.8mg、36%)をI-13と同じ手順を使用することによって調製する。4-クロロブタノイル塩化物を最後のステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=617(M+H)
+。
【0196】
I-16の合成
【化94】
(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(3-(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
I-16(2.6mg、62%)をI-1と同じ手順を使用することによって調製する。3-ニトロベンゾイル塩化物を第5ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=587(M+H)
+。
【0197】
I-17の合成
【化95】
(E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-(6-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
I-17(7.6mg、44%)をI-1と同じ手順を使用することによって調製する。Tert-ブチル 6-アミノ-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキシラートを第3ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=613(M+H)
+。
【0198】
I-18の合成
【化96】
(S,E)-N-(4-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エンアミド)フェニル)-3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボキサミド
I-18(10mg、50%)をI-1と同様の手順を使用することによって調製する。1-イソシアナト-4-ニトロベンゼンを第5ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=602(M+H)
+。
【0199】
I-19の合成
【化97】
(E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3S,4S)-3-メチル-4-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
I-19(1.4mg、15%)をI-1と同様の手順を使用することによって調製する。Tert-ブチル(3S,4S)-3-アミノ-4-メチルピロリジン-1-カルボキシラートを第3ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=601(M+H)
+。
【0200】
I-20の合成
【化98】
(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(1-(3-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)イソキノリン-6-イル)ブタ-2-エンアミド
I-20(4.8mg、19%)をI-1と同様の手順を使用することによって調製する。1-クロロ-6-ニトロイソキノリンを第5ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=610(M+H)
+。
【0201】
I-21の合成
【化99】
(S,E)-N-(4-(3-((5-クロロ-4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エンアミド
I-21(7.5mg、26%)をI-1と同様の手順を使用することによって調製する。2,4,5-トリクロロピリミジンを第1ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=621(M+H)
+。
【0202】
I-22の合成
【化100】
(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-(3-((4-(2-(4-フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
I-21(5.1mg、21%)をI-1と同様の手順を使用することによって調製する。1-エチニル-4-フルオロベンゼンを第1ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=605(M+H)
+。
【0203】
I-23の合成
【化101】
(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-(3-((4-(4-メチル-2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
I-23(27mg、53%)をI-1と同様の手順を使用することによって調製する。1-アミノ-3-メチルピリジニウムヨウ化物を第2ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=601(M+H)
+。
【0204】
I-24の合成
【化102】
(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-(3-((4-(6-メチル-2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
I-24(20mg、51%)をI-23と同様の手順を使用することによって調製する。3-(2-クロロピリミジン-4-イル)-6-メチル-2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジンを第3ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=601(M+H)
+。
【0205】
I-25の合成
【化103】
(S,E)-N-(4-(3-((4-(2-(3-クロロフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エンアミド
I-25(12.3mg、39%)をI-1と同様の手順を使用することによって調製する。1-クロロ-3-エチニルベンゼンを第1ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=621(M+H)
+。
【0206】
I-26の合成
【化104】
(S,E)-N-(4-(3-((4-(2-(4-クロロフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エンアミド
I-26(21.1mg、29%)をI-1と同様の手順を使用することによって調製する。1-クロロ-4-エチニルベンゼンを第1ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=621(M+H)
+。
【0207】
I-27の合成
【化105】
4-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3S,4S)-3-メチル-4-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタンアミド
I-27(4.8mg、40%)をI-19と同様の手順を使用することによって調製する。4-クロロブタノイル塩化物を最後のステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=603(M+H)
+。
【0208】
I-28の合成
【化106】
(E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3R,4S)-3-メチル-4-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
I-28(10mg、50%)をI-1と同様の手順を使用することによって調製する。Tert-ブチル(3S,4R)-3-アミノ-4-メチルピロリジン-1-カルボキシラートを第3ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=601(M+H)
+。
【0209】
I-29の合成
【化107】
(E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3R,4R)-3-メチル-4-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
I-29(10mg、57%)をI-1と同様の手順を使用することによって調製する。Tert-ブチル(3R,4R)-3-アミノ-4-メチルピロリジン-1-カルボキシラートを第3ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=601(M+H)
+。
【0210】
I-30の合成
【化108】
(E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3S,4R)-3-メチル-4-((4-(2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
I-30をI-1と同様の手順を使用することによって調製する。Tert-ブチル(3R,4S)-3-アミノ-4-メチルピロリジン-1-カルボキシラートを第3ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=601(M+H)
+。
【0211】
I-31の合成
【化109】
(E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3S,4S)-3-メチル-4-((4-(6-メチル-2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
I-31(3mg、26%)をI-24と同様の手順を使用することによって調製する。3-(2-クロロピリミジン-4-イル)-6-メチル-2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジンを第3ステップに使用した。LC/MS(ESI) m/z=601(M+H)
+。
【0212】
I-32の合成
【化110】
(E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3S,4S)-3-((4-(4-メトキシ-2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-4-メチルピロリジン-1-カルボニル)フェニル)ブタ-2-エンアミド
I-32(7.4mg、21%)をI-1と同様の手順を使用することによって調製するが、ただし1-アミノ-3-メトキシピリジン-1-イウムヨウ化物第2ステップに使用したことを除く。
1H NMR(500MHz,DMSO-d
6)δ10.29(s,1H),8.38(dd,J=9.4,6.8Hz,1H),8.25(dd,J=25.3,5.0Hz,1H),7.70(d,J=8.6Hz,2H),7.47(dd,J=23.2,8.3Hz,4H),7.40-7.18(m,4H),6.92(q,J=7.7Hz,1H),6.74(ddd,J=21.8,15.6,6.7Hz,3H),6.42-6.22(m,1H),3.86-3.56(m,5H),3.22-3.01(m,4H),2.26(s,7H),1.25(s,3H)。LC/MS(ESI) m/z=631(M+H)
+。
【0213】
例2.JNK-IN-8の阻害をI-11と比較するプルダウンアッセイ。
多発性骨髄腫細胞MM1.S(
図1)またはトリプルネガティブ乳房がん細胞MDA-MB-231(
図2)を、表示された用量でのI-11または他の試験化合物で6h処置した。全細胞ライセートを調製し、0.5mgライセートを、ビオチン化JNK-IN-7(ビオチン-JNK-IN-7)を1μMにて16h4℃にて使用するJNK1/2のプルダウンへ供した。ビオチン-JNK-IN-7によってプルダウンされたタンパク質をストレプトアビジンアガロースビーズで4℃にて2hの回転によって濃縮した(enriched)。次いで25μl 2×SDS-PAGEローディング緩衝液を各試料へ加え、濃縮されたタンパク質を95℃にて10minの加熱によってビーズから放出させた。続いてウェスタンブロッティングを使用して、試験化合物の結合の半定量(semi-quantitative estimation)を得た。
【0214】
均等物および範囲
クレームにおいて、「a」、「an」、および「the」などの冠詞は、1または1より多いことを意味してもよいが、それと反する指示がないか、またはそれとは別に、文脈から明らかでない場合に限る。ある群の1以上のメンバー間に「または」を包含するクレームまたは記載は、その群のメンバーのうち、1つ、1つより多いか、または、すべてが、所定の生成物またはプロセスに存在するか、それに採用されるか、またはそれとは別に、それに関係があるか、を満たすと考えるが、それと反する指示がないか、またはそれとは別に、文脈から明らかでない場合に限る。本開示は、その群のうち、正確に1つのメンバーが、所定の生成物またはプロセスに存在するか、それに採用されるか、またはそれとは別に、それに関係がある態様を包含する。本開示は、その群のメンバーのうち、1つより多いかまたはすべてが、所定の生成物またはプロセスに存在するか、それに採用されるか、またはそれとは別に、それに関係がある態様を包含する。
【0215】
しかも、本開示は、列挙されたクレームの1以上からの1以上の限定、要素、節、および記述用語(descriptive terms)が、別のクレーム中へ導入される、すべての変動、組み合わせ、および順列を網羅する。例えば、別のクレームに従属するいずれのクレームも、同じ基本クレームに従属するいずれか他のクレーム中に見出される1以上の限定を包含するように修飾され得る。要素が、例として、マーカッシュ群形式において列挙されたものとして提示されている場合、要素の各下位群もまた開示されており、いずれの要素(単数または複数)も群から除去され得る。一般に、本開示、または本明細書に記載の側面が、特定の要素および/または特長を含むとして見なされる場合、本明細書に記載のある態様または本明細書に記載のある側面は、かかる要素および/または特長からなるか、または実質的にそれからなると理解されるべきである。簡潔さを目的として、それらの態様は、本明細書中、in haec verbaで具体的に表明されていない。用語「含むこと(comprising)」および「含有すること(containing)」が、オープンであることを意図し、追加の要素またはステップの包含を容認することにもまた留意する。範囲が与えられるとき、エンドポイントも包含される。しかも、別段の指示がないか、またはそれとは別に、文脈および当業者の理解から明らかでない場合に限り、範囲として表現された値は、いずれか具体的な値、または本明細書に記載の異なる態様において述べられた範囲内の部分範囲を、文脈が明確に別段の指図をしない限り範囲の下限の単位の10倍まで、想定し得る。
【0216】
本出願は、種々の発行済み特許、公開特許出願、雑誌記事、および他の公刊物を参照し、これらのすべては参照によって本明細書に組み込まれる。組み込まれる参照のいずれかと本明細書との間に矛盾がある場合、本明細書がコントロールする(control)ものとする。加えて、先行技術に属する本開示のいずれか特定の態様は、クレームのいずれかの1以上からはっきりと除外され得る。かかる態様は当業者に知られていると思われるので、それらは、除外が本明細書においてはっきりと表明されていない場合であっても、除外され得る。本明細書に記載のいずれか特定の態様は、先行技術の存在に関するか否かにかかわらず、いずれかのクレームから、いずれかの理由で除外され得る。
【0217】
当業者は、本明細書に記載の具体的な態様の多くの均等物を認識するか、またはせいぜいルーチンな実験法を使用して確かめる能力があるであろう。本明細書に記載の本態様の範囲は、上の記載に限定されることを意図せず、むしろ添付のクレームに表明されているとおりである。当業者は、以下のクレームにおいて定義されるとおり、本開示の精神または範囲から逸脱せずに、この記載への種々の変化および修飾がなされてもよいことを解するであろう。
【国際調査報告】