(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】光沢度及び表面特性に優れためっき鋼板、その製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 28/00 20060101AFI20220202BHJP
B32B 15/01 20060101ALI20220202BHJP
B32B 15/18 20060101ALI20220202BHJP
B32B 15/082 20060101ALI20220202BHJP
B32B 15/095 20060101ALI20220202BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20220202BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20220202BHJP
C23C 14/16 20060101ALI20220202BHJP
C23C 14/14 20060101ALI20220202BHJP
C23C 14/24 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
C23C28/00 A
B32B15/01 C
B32B15/18
B32B15/082 Z
B32B15/095
B32B27/30 A
B32B27/40
C23C14/16 A
C23C14/14 G
C23C14/24 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534750
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(85)【翻訳文提出日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 KR2019016479
(87)【国際公開番号】W WO2020130396
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0165569
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ハン、 ヒョンースプ
(72)【発明者】
【氏名】クァク、 ヤン-ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 テ-ヨブ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジン-テ
【テーマコード(参考)】
4F100
4K029
4K044
【Fターム(参考)】
4F100AB03A
4F100AB18B
4F100AB18D
4F100AK25C
4F100AK51C
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100EH66B
4F100EH71B
4F100EH71D
4F100EJ54C
4F100GB07
4F100GB32
4F100GB48
4F100HB09B
4F100JB14C
4F100JN01C
4F100JN21C
4F100YY00B
4F100YY00C
4K029AA02
4K029AA24
4K029BA18
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4K029BB02
4K029BC07
4K029CA01
4K029DB03
4K029DB04
4K029DB19
4K029DB21
4K029EA03
4K029EA08
4K044AA02
4K044BA01
4K044BA10
4K044BA21
4K044BB03
4K044BB04
4K044BB15
4K044BC02
4K044BC09
4K044CA13
4K044CA53
4K044CA67
(57)【要約】
本発明は、家電、建材、車両などの内装材及び外装材などに使用されるめっき鋼板、及びこれを製造する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素地鉄;
前記素地鉄の上に形成されたZn-Mgめっき層;及び
前記Zn-Mgめっき層の上に形成されたUV硬化被膜層
を含み、
前記Zn-Mgめっき層の表面にはヘアライン模様が形成されており、前記Zn-Mgめっき層はMgの含量が8~27重量%であり、残りはZn及び不可避不純物である、光沢度及び表面特性に優れためっき鋼板。
【請求項2】
前記UV硬化被膜層は透明である、請求項1に記載の光沢度及び表面特性に優れためっき鋼板。
【請求項3】
前記Zn-Mgめっき層は、素地鉄の上のZn層、及び前記Zn層の上のZn-Mg層を含む二層構造を有する、請求項1に記載の光沢度及び表面特性に優れためっき鋼板。
【請求項4】
前記UV硬化被膜層の厚さは0.8~1.2μmである、請求項1に記載の光沢度及び表面特性に優れためっき鋼板。
【請求項5】
前記めっき鋼板の光沢度は、光沢計を用い、測定角度60度での測定時に、ガラスの反射率を100としたときの相対的な値が60~120である、請求項1に記載の光沢度及び表面特性に優れためっき鋼板。
【請求項6】
素地鉄を準備する段階;
前記素地鉄の上に、真空蒸着方法によって、Mgの含量が8~27重量%、残りはZn及び不可避不純物を含むZn-Mgめっき層を形成する段階;
前記Zn-Mgめっき層の表面にヘアライン模様を形成する段階;
前記Zn-Mgめっき層の上にUV硬化塗料を塗布する段階;及び
前記UV硬化塗料を硬化させてUV硬化被膜層を形成する段階
を含む、光沢度及び表面特性に優れためっき鋼板の製造方法。
【請求項7】
前記UV硬化塗料は、3以上の官能基を有する多官能性ウレタン(メタ)アクリレート3~35重量部、2官能性ウレタン(メタ)アクリレート3~35重量部、単官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び多官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマーから選ばれた一つ以上の(メタ)アクリル酸エステルモノマー20~60重量部、及び放射線重合開始剤0.1~15重量部を含む樹脂組成物である、請求項6に記載の光沢度及び表面特性に優れためっき鋼板の製造方法。
【請求項8】
前記UV硬化塗料を800~1200mg/m
2の塗布量で塗布する、請求項6に記載の光沢度及び表面特性に優れためっき鋼板の製造方法。
【請求項9】
前記硬化は、280~400nmの波長を有する紫外線を照射して行われる、請求項6に記載の光沢度及び表面特性に優れためっき鋼板の製造方法。
【請求項10】
前記真空蒸着方法は電磁浮揚物理気相蒸着法で行われる、請求項6に記載の光沢度及び表面特性に優れためっき鋼板の製造方法。
【請求項11】
前記電磁浮揚物理気相蒸着時、チャンバー内部の真空度は1.0×10
-3mbar~1.0×10
-5mbarである、請求項10に記載の光沢度及び表面特性に優れためっき鋼板の製造方法。
【請求項12】
前記電磁浮揚物理気相蒸着時、コーティング物質の温度は700℃以上である、請求項10に記載の光沢度及び表面特性に優れためっき鋼板の製造方法。
【請求項13】
前記電磁浮揚物理気相蒸着時、蒸着後の素地鉄の幅方向における温度差が100℃以下である、請求項10に記載の光沢度及び表面特性に優れためっき鋼板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電、建材、車両などの内装材及び外装材などに使用されるめっき鋼板、及びこれを製造する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
家電、建材、車両などの内装材及び外装材として使用される鋼板は、腐食に対する耐性に優れながら、美麗な外観を有する必要がある。そこで、耐食性及び表面外観を同時に確保することができるステンレス鋼板が広く使用されている。
【0003】
一般に、ステンレス鋼板は、美麗な表面外観を得るために表面仕上げ工程が施されており、このような仕上げ工程の一つとして、ヘアライン模様を形成する方法がある。このようなヘアライン模様を形成する方法は、鋼材の表面を適当な研磨材で研磨して研磨跡が残るようにすることによって、研磨表面に髪のように長く連続的にラインが形成されるようにして美麗な外観を確保する技術である。
【0004】
しかし、上記ステンレス鋼板は価格が高く、経済的ではない。また、ヘアライン模様の形成後に、指紋跡や外部汚染を防止するために追加塗装を行うことがあるが、上記ステンレス鋼板の表面は塗装の付着性などに問題がある。
【0005】
したがって、上記ステンレス鋼板と代替可能な鋼材に対する要求が引き続き存在しているのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面は、表面特性に優れ、優れた光沢度及び耐食性を有するめっき鋼板、及びこれを製造する方法を提供する。
本発明の課題は、上述した内容に限定されない。本発明の更なる課題は、明細書の全般的な内容に記述されており、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の明細書に記載された内容から、本発明の更なる課題を理解するのに何ら困難がない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、素地鉄;
上記素地鉄の上に形成されたZn-Mgめっき層;及び
上記Zn-Mgめっき層の上に形成されたUV硬化被膜層を含み、
上記Zn-Mgめっき層の表面にはヘアライン模様が形成されており、上記Zn-Mgめっき層はMgの含量が8~27重量%であり、残りはZn及び不可避不純物である、光沢度及び表面特性に優れためっき鋼板に関する。
【0008】
本発明のさらに他の一態様は、素地鉄を準備する段階;
上記素地鉄の上に真空蒸着方法によって、Mgの含量が8~27重量%、残りはZn及び不可避不純物を含むZn-Mgめっき層を形成する段階;
上記Zn-Mgめっき層の表面にヘアライン模様を形成する段階;
上記Zn-Mgめっき層の上にUV硬化塗料を塗布する段階;及び
上記UV硬化塗料を硬化させてUV硬化被膜層を形成する段階を含む、光沢度及び表面特性に優れためっき鋼板の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、表面ムラ、欠陥などが低減され、優れた表面特性を有すると共に、光沢度に優れためっき鋼板を提供できる。特に、本発明によると、高価なステンレス鋼を代替して、家電、建材、車両などの内装材及び外装材を経済的に提供できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の単層構造のZn-Mgめっき層を有するめっき鋼板を模式化したものである。
【
図2】本発明の二層構造のZn-Mgめっき層を有するめっき鋼板を模式化したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のめっき鋼板は、素地鉄、上記素地鉄の上に形成されたZn-Mgめっき層、及び上記Zn-Mgめっき層の上に形成されたUV硬化被膜層を含む。
【0012】
上記素地鉄は、その種類は特に限定されず、本発明が適用され得る家電、建材などの用途に使用される鋼種であれば構わない。また、熱延、冷延、厚板、線材など、その形態も特に制限されない。
【0013】
上記素地鉄の上にはZn-Mgめっき層が存在する。上記Zn-Mgめっき層のMgの含量は8~27重量%であり、残りはZn及び不可避不純物であることが好ましい。上記Mgの含量が8重量%未満の場合には、優れた光沢度を確保し難く、27重量%を超える場合には、めっき層の硬度が高くなり、ムラなどの表面欠陥ないしクラックが発生する可能性が高い。そのため、上記Mgの含量は27重量%を超えないことが好ましい。後述するように、Zn-Mgめっき層が二層構造を有する場合、上記めっき層全体のMgの含量は8~27重量%であることが好ましい。
【0014】
一方、上記Zn-Mgめっき層を形成する方法の一例として、めっき層の優れた表面特性及び光沢度を確保するために真空蒸着方式を用いることが好ましい。
【0015】
他方、上記Zn-Mgめっき層は単層構造を有してよく、又は上記Zn-Mgめっき層と素地鉄との間にZnめっき層を有する二層構造を有してもよい。これについては、
図1及び
図2に模式的に示している。すなわち、
図1は、素地鉄100の上にZn-Mgめっき層200が形成されており、その表面にヘアライン模様300が設けられている。そして、その上にUV硬化被膜400が形成されている構造である。
【0016】
図2は、Zn-Mgめっき層200が2層構造を有しており、より詳細には、Zn-Mg層220と素地鉄100との間にZn層210が形成されていてよい。ヘアライン模様300及びUV硬化被膜層400は
図2においても同様である。
図2のような構造においてZn層210は、素地鉄100とZn-Mg層220との密着力を向上させる役割を果たすことができる。
【0017】
上記Zn-Mgめっき層の表面にはヘアライン模様が形成されることが好ましい。上記ヘアライン模様によって、ヘアラインの質感及び意匠性を付与することができる。上記ヘアライン模様の形態、深さなどは特に限定されるものではなく、用途、クライアントの要求などに応じて適切に形成することができる。
【0018】
上記Zn-Mgめっき層の上にUV硬化被膜層が形成されてよい。上記UV硬化被膜層は透明であることが好ましい。上記UV硬化被膜層は、後述するUV硬化塗料を塗布した後、硬化させて形成されることが好ましい。
上記UV硬化被膜層の厚さは0.8~1.2μmであることが好ましい。上記UV硬化被膜層の厚さが1.2μmを超える場合には、写像性や表面光沢の観点から有利であるが、塗膜が厚くなって加工が困難になりやすい。これに対し、0.8μm未満の場合には、耐食性、高写像及び高光沢の品質を確保し難いという問題がある。上記UV硬化被膜層の厚さは、約1μmレベルが最も好ましい。
【0019】
本発明のめっき鋼板は、光沢計(glossmeter)を用い、測定角度60度での測定時に、ガラスの反射率を100としたときの相対的な値が60~120である光沢度を有することが好ましい。
【0020】
以下、本発明のめっき鋼板を製造する方法について詳細に説明する。具体的に、上記方法は、素地鉄を準備する段階と、上記素地鉄の表面にZn-Mgめっき層を形成する段階と、上記Zn-Mgめっき層の表面にヘアライン模様を形成する段階と、上記Zn-Mgめっき層上にUV硬化塗料を塗布する段階と、上記UV硬化塗料を硬化させてUV硬化被膜層を形成する段階と、を含む。
Zn-Mgめっき層を形成する前に、上記素地鉄について、表面に存在する酸化物、異物を除去する工程を含むことができる。
【0021】
上記Zn-Mgめっき層は、真空蒸着方法を用いて形成することが好ましい。上記真空蒸着方法として、例えば、電子ビーム法、スパッタリング法、熱蒸発法、誘導加熱蒸発法、イオンプレーティング法などを適用できるが、上記Zn-Mgめっき層を形成する場合には、電磁攪拌(ElectromagneticStirring)効果を有する電磁浮揚物理気相蒸着法によって形成することが好ましい。
【0022】
Zn-Mgめっき層を形成する方法のうち、電気めっき、溶融めっきによる方法よりも、上記真空蒸着方法、特に、電磁浮揚物理気相蒸着法による方法を適用したとき、優れた光沢度を確保することができる。
【0023】
電磁浮揚物理気相蒸着法とは、交流電磁場を生成する一対の電磁コイルに高周波電源を印加して電磁力を発生させた時に、コーティング物質(本発明の場合、Zn、MgあるいはZn-Mg合金)が交流電磁場に取り囲まれた空間で外部からの助けなしに空中に浮上加熱され、浮上加熱されたコーティング物質が大量の金属蒸気を発生するようになる現象を利用したものであって、上記金属蒸気(蒸着蒸気)がノズルを介して素地鉄の表面に高速で噴射されてめっき層を形成する蒸着法を意味する。
【0024】
通常の真空蒸着装置では、コーティング物質は坩堝の内部に備えられ、コーティング物質の気化は、このようなコーティング物質を備えた坩堝を加熱することによって行われる。この場合、坩堝の溶融、坩堝による熱損失などの理由で、コーティング物質自体に十分な熱エネルギーを供給することが難しい。そのため、蒸着速度が遅くなるだけでなく、めっき層を構成する結晶粒サイズの微細化においても一定の限界が存在する。また、Zn-Mg合金蒸気を蒸着させる場合、めっき層の均一性の確保においても一定の限界が存在する。
【0025】
しかし、電磁浮揚物理気相蒸着法によって蒸着を行う場合、通常の真空蒸着法とは異なり、温度による制約条件がなく、より高温でコーティング物質を露出させることができる。これにより、高速蒸着が可能なだけでなく、結果的に、形成されためっき層を構成する結晶粒サイズの微細化、及びめっき層内の合金元素分布の均質化を達成することができるという利点がある。
【0026】
上記電磁浮揚物理気相蒸着時に、チャンバー内部の真空度は1.0×10-3mbar~1.0×10-5mbarであることが好ましい。これは、めっき層の形成過程において、酸化物の形成による脆性増加及び物性低下の発生を効果的に防止するためである。
【0027】
一方、蒸着工程時に、浮揚されるコーティング物質の温度は700℃以上に調節することが好ましい。その温度が700℃未満である場合、結晶粒の微細化及びめっき層の均質化の効果を十分に確保できない恐れがある。温度の上限は特に限定されないが、温度が一定のレベル以上である場合、その効果が飽和するだけでなく、工程コストが過度に高くなる。そのため、これを考慮すると、温度の上限は1500℃とすることができる。
【0028】
一方、蒸着後に素地鉄の幅方向における温度差を100℃以下に調整することが好ましい。温度差が100℃を超える場合には、幅鋼板の温度不均性によって生じる幅方向における反曲のために、多段階差等の減圧システムを通過するときに出口側で真空度の保持を妨げる可能性がある。
【0029】
上記製造されたZn-Mgめっき層の上にヘアライン模様を形成する。上記ヘアライン模様を形成する方法としては、特に限定されず、ロール方式または物理的手段を挙げることができる。一例として、上記Zn-Mg真空蒸着設備の後段、又はUV硬化塗布設備の前段に、サンドペーパーなどの研磨機を含む設備を位置させ、ヘアラインを形成することができる。この時、形成されるヘアラインの模様、深さなどは特に限定されず、用途、クライアントの要求などに応じて適切に形成することができる。
【0030】
上記ヘアライン模様が形成されたZn-Mgめっき層の上にUV硬化塗料を塗布した後、硬化させてUV硬化被膜層を形成する。
上記UV硬化塗料は、放射線など、UVによって硬化し得るコーティング組成物であることが好ましい。
【0031】
一例として、3以上の官能基を有する多官能性ウレタン(メタ)アクリレート3~35重量部、2官能性ウレタン(メタ)アクリレート3~35重量部、単官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び多官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマーから選ばれた一つ以上の(メタ)アクリル酸エステルモノマー20~60重量部、及び放射線重合開始剤0.1~15重量部を含む、樹脂組成物を使用することができる。
【0032】
上記UV硬化塗料を塗布する方法としては、ロールコーティング法、フローコーティング法、スロットコーティング法、カーテンコーティング法など、様々な方法を適用することが可能である。上記塗布量は、硬化したUV硬化被膜層が0.8~1.2μmの膜厚を有し得るように塗布することが好ましい。一例として、800~1200mg/m2の塗布量で塗布することが好ましい。
【0033】
上記UV硬化塗料を硬化させる方法としては、上記UV硬化塗料を塗布した後、紫外線を照射して硬化させてよい。この時、紫外線ランプを用いることが好ましく、紫外線の波長は280~400nmであることが好ましい。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。下記実施例は、本発明の理解を助けるためのものであり、本発明の権利範囲を限定するためのものではない。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲に記載された事項及びこれにより合理的に類推される事項によって決定されるからである。
【0035】
(実施例)
重量%で、C:0.125%、Si:0.102%、Ti:0.019%、Cu:0.012%、残りはFe及び不可避不純物を含む、厚さ1.0mmtの冷延鋼板を準備し、下記表1のように、めっき付着量及びMgの含量をかえて、電磁浮揚物理気相蒸着法によってZn-Mgめっき層を形成した。この時、二層構造とは、鋼板の表面にZnめっき層を形成した後、その上にZn-Mgめっき層を形成したものを意味する。この時、めっき条件は次の通りである。
- 真空度:3.2×10-4mbar
- 蒸気分配ボックスの温度:1000℃
- 電磁コイルの電流:1.6kA
- 供給されるコーティング物質の重量:亜鉛(3kg)、亜鉛-マグネシウム合金(3.3kg)
【0036】
一方、表1において、従来例は、通常の溶融亜鉛めっき方式(GI)及び電気めっき方式(EG)によって製造された亜鉛めっき鋼板である。
上記のように製造されためっき鋼板のめっき層の表面に、サンドペーパー研磨機を用いて、ヘアライン模様を形成し、Zn層/Zn-Mg層(二層構造)とZn-Mgめっき層(単層構造)の上にUV硬化塗料を塗布した後、UVランプを用いて硬化させ、約1μm厚さの透明なUV硬化被膜層を形成した。この時、上記塗料としては、2、3、6官能基を有するウレタンアクリレート;モノマーとしてIBOA、THFA、リン酸アクリレート;光開始剤としてはIrgacure 1840、Darocure1173;その他の物性補完の添加剤としてワックス、SiO2粒子、消泡剤、レベリング剤;を含む塗料を用いた。
【0037】
上記UV硬化被膜層の表面について、光沢度計を用いて光沢度及び表面特性を観察した。その結果を表1に併せて示した。
上記光沢度は、めっき鋼板を75mm×150mmサイズの試験片に切断して加工した後、光沢度計で評価したものである。上記光沢度は、光沢計(glossmeter、BYK-Gardner社)を用い、測定角度60度での測定時に、ガラスの反射率を100としたときの相対的な値で示したものである。
一方、表面の欠陥、ムラなど、表面の均一性を観察した表面特性については、従来例である電気亜鉛めっき鋼板(EG)及び溶融亜鉛めっき鋼板(GI)と相対的に比較して、目視観察で評価した。その基準は、以下の通りである。
1:優良
2:普通(GI 60g/m2レベル)
3:不良
【0038】
【0039】
上記表1の結果から分かるように、従来例1及び2は、UV硬化被膜層を形成した後でも、光沢度があまり高くないことが分かる。
一方、本発明の条件を満たす発明例では、優れた光沢度及び表面特性を確保することができる。
これに比べて、比較例1及び2は、めっき層のMgの含量が低すぎるため、満足できる光沢度を持たないことが分かる。一方、めっき層内のMgの含量が増加するほど光沢度は増加する。しかし、比較例3~6のように、Mgの含量が高すぎる場合には、表面特性が低下し、特に、比較例5及び6の場合には、光沢が過度に高くなるという問題も発生することが確認できる。
【国際調査報告】