(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】二環式誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 407/12 20060101AFI20220202BHJP
A61P 33/10 20060101ALI20220202BHJP
A61K 31/4709 20060101ALI20220202BHJP
C07D 215/42 20060101ALI20220202BHJP
A61K 31/4706 20060101ALI20220202BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20220202BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20220202BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20220202BHJP
A61K 31/4375 20060101ALI20220202BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20220202BHJP
C07D 311/66 20060101ALI20220202BHJP
A61K 31/353 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
C07D407/12 CSP
A61P33/10
A61K31/4709
C07D215/42
A61K31/4706
A61K31/5377
C07D413/14
C07D471/04 113
A61K31/4375
C07D471/04 117Z
A61K31/519
C07D311/66
A61K31/353
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535052
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(85)【翻訳文提出日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 US2019066302
(87)【国際公開番号】W WO2020131631
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521263308
【氏名又は名称】エランコ・ティアゲゾンタイト・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】デュクレイ,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ポートラット,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ラゲオット,デニス
(72)【発明者】
【氏名】タータウィ,シュエブ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB07
4C063CC79
4C063DD14
4C063EE01
4C065AA04
4C065AA05
4C065BB09
4C065CC01
4C065DD02
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH02
4C065JJ07
4C065KK01
4C065LL01
4C065LL07
4C065PP07
4C065QQ04
4C065QQ05
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BA08
4C086BC28
4C086BC73
4C086CB09
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA09
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB39
4C086ZC61
(57)【要約】
本発明は、温血動物における内部寄生虫、例えば犬糸状虫の制御に有用な、式(I):の化合物を提供する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
(式中
nは、0又は1であり;
X
1は、N及びCR
1からなる群から選択され;
X
2は、N及びCR
2からなる群から選択され;
X
3は、N及びCR
3からなる群から選択され;
X
4は、N及びCR
4からなる群から選択され;
X
5は、N及びCR
5からなる群から選択され;
X
6は、N及びCR
6からなる群から選択され;
Gは、
【化2】
基であり;
Y
1は、CR
8R
9、O、S、及びNR
10からなる群から選択され;
Y
2は、CR
8R
9、O、S、及びNR
10からなる群から選択され;
前記基Y
1又はY
2の少なくとも一方は、CR
8R
9であり;
Z
1は、N、O、S、及びCR
11からなる群から選択され;
Z
2は、無、N、及びCR
11からなる群から選択され;
Z
3は、からなる群から選択される無、N及びCR
11;
Z
4は、N、O、S、及びCR
11からなる群から選択され;
Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4の2つ以下はNであり、Z
1及びZ
4の1つのみが、O又はSであり、Z
2は、Z
1がO又はSである場合にのみ無であり、及びZ
3は、Z
4がO又はSである場合にのみ無であり;
R
1は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、-SH、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)(C
1-C
4アルキル、-SO
2(C
1-C
4アルキル、シアノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4-アルコキシ、-B(OR
16)(OR
17)からなる群から選択され、R
16は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、R
17は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、又はR
16及びR
17は、それらが結合する酸素原子と共に5~7員の環を形成し、これは、1~4つのC
1-C
4アルキル;-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2で場合により置換され;
R
2は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、-SH、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)(C
1-C
4アルキル、-SO
2(C
1-C
4アルキル、シアノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4-アルコキシ、-B(OR
16)(OR
17)からなる群から選択され、R
16は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、R
17は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、又はR
16及びR
17は、それらが結合する酸素原子と共に5~7員の環を形成し、これは、1~4つのC
1-C
4アルキル;-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2で場合により置換され;
R
3は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、-SH、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)(C
1-C
4アルキル、-SO
2(C
1-C
4アルキル、シアノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4-アルコキシ、-B(OR
16)(OR
17)からなる群から選択され、R
16は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、R
17は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、又はR
16及びR
17は、それらが結合する酸素原子と共に5~7員の環を形成し、これは、1~4つのC
1-C
4アルキル;-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2で場合により置換され;
R
4は、ハロゲン、シアノ、-CHO、ヒドロキシル、C
1-C
4アルキル、C
2-C
4アルケニル、C
2-C
4アルキニル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4-アルコキシ置換-C
1-C
4アルキル、1~5つのハロゲン原子で場合により置換されたベンジル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)
2、-NH(C
3-C
6シクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
3-C
6-シクロアルキル)、-NH(4~7員のヘテロシクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(4~7員のヘテロシクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
3-C
6-シクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
1-C
4アルコキシ)、-C(O)NH(C
1-C
4アルキル)、-C(O)N(C
1-C
4アルキル)
2、-NHSO
2(C
1-C
4アルキル)、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4アルキル、-SO
2C
1-C
4アルキル、-B(OR
16)(OR
17)からなる群から選択され、R
16は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、R
17は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、又はR
16及びR
17は、それらが結合する酸素原子と共に5~7員の環を形成し、これは、1~4つのC
1-C
4アルキルで場合により置換される);6又は10員のアリール;及び4~7員のヘテロシクロアルキル、少なくとも1つの窒素原子(それを介して前記5員のヘテロアリール環が前記分子の残りに接続される)を有する5員のヘテロアリールの群から選択される単環式複素環;少なくとも1つの窒素原子を有する6員のヘテロアリールからなる群から選択され;R
4の前記アリール、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリール環の各々は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、オキソ、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)
2、-NH(C
3-C
6シクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
3-C
6-シクロアルキル)、-NHSO
2(C
1-C
4アルキル)、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4アルキル、-SO
2C
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4-ハロゲノアルキル及び-SO
2C
1-C
4ハロゲノアルキルからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換され;R
4の各C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル及びC
1-C
4アルコキシは、ハロゲン、ヒドロキシル、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)
2、シアノ、カルボキシル、カルバモイル、C
1-C
4アルコキシカルボニル、-C(O)NH(C
1-C
4アルキル)、-C(O)N(C
1-C
4アルキル)
2、及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換されてもよく;
R
5は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、-SH、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)(C
1-C
4アルキル、-SO
2(C
1-C
4アルキル、シアノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4-アルコキシ、-B(OR
16)(OR
17)からなる群から選択され、R
16は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、R
17は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、又はR
16及びR
17は、それらが結合する酸素原子と共に5~7員の環を形成し、これは、1~4つのC
1-C
4アルキル;-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2で場合により置換され;
R
6は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、-SH、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)(C
1-C
4アルキル、-S(O)
2(C
1-C
4アルキル、シアノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4-アルコキシ、-B(OR
16)(OR
17)からなる群から選択され、R
16は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、R
17は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、又はR
16及びR
17は、それらが結合する酸素原子と共に5~7員の環を形成し、これは、1~4つのC
1-C
4アルキル;-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2で場合により置換され;
R
7は、水素、C
1-C
4アルキル、及び1~5つのハロゲン原子で場合により置換されたC
3-C
6シクロアルキル、-C(H)O、C
2-C
4アルケニル、C
2-C
4アルキニル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、及びC
1-C
4-アルコキシからなる群から選択され;
R
8は、選択毎に、水素、フルオロ、及びC
1-C
4アルキルからなる群から独立して選択され;
R
9は、選択毎に、水素、フルオロ、及びC
1-C
4アルキルからなる群から独立して選択され;
R
10は、水素及びC
1-C
4アルキルからなる群から選択され;
R
11は、選択毎に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4-アルコキシ、C
3-C
6シクロアルキル、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択され;
Qは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、C
3-C
6シクロアルキル、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)
2、-NH(C
3-C
6シクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
3-C
6-シクロアルキル)、-NHSO
2(C
1-C
4アルキル)、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4アルキル、-SO
2C
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4-ハロゲノアルキル及び-SO
2C
1-C
4ハロゲノアルキルからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換された6又は10員のアリール(前記6又は10員のアリールは、場合により、O、S、及びNの群から選択される1又は2つのヘテロ原子を有する4~7員のヘテロシクロアルキルと縮合され、前記ヘテロシクロアルキルの炭素は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、オキソ、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)及び-N(C
1-C
4アルキル)
2の群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換され、前記ヘテロシクロアルキルの任意のNは、原子価が可能な限り、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる群から選択される置換基で置換される);O、S、及びNの群から選択される1又は2つのヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール(前記5~10員のヘテロアリールの炭素は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換され、前記ヘテロアリールの任意のNは、原子価が可能な限り、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる群から選択される置換基で場合により置換される);O、S、Nの群から選択される1又は2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロシクロアルキル(前記ヘテロシクロアルキルは、場合によりベンゾ縮合され、前記4~7員のヘテロシクロアルキル又は場合によりベンゾ縮合された4~7員のヘテロシクロアルキルの炭素は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、オキソ、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換され、前記ヘテロシクロアルキルの任意のNは、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる群から選択される置換基で場合により置換される);ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)
2、-NH(C
3-C
6シクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
3-C
6-シクロアルキル)、-NHSO
2(C
1-C
4アルキル)、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4アルキル、-SO
2C
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4-ハロゲノアルキル及び-SO
2C
1-C
4ハロゲノアルキルからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換された6又は10員のアリールオキシ;ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)
2、-NH(C
3-C
6シクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
3-C
6-シクロアルキル)、-NHSO
2(C
1-C
4アルキル)、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4アルキル、-SO
2C
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4-ハロゲノアルキル及び-SO
2C
1-C
4ハロゲノアルキルからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換された6又は10員のアリールチオ-オキシ;並びにハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、オキソ、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)
2、-NH(C
3-C
6シクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
3-C
6-シクロアルキル)、-NHSO
2(C
1-C
4アルキル)、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4アルキル、-SO
2C
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4-ハロゲノアルキル及び-SO
2C
1-C
4ハロゲノアルキルからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換された5~10員のヘテロアリールオキシからなる群から選択され;
Mは、N-R
13、O、及びSからなる群から選択され;
R
13は、ヒドロキシ、C
1-C
4アルコキシ、及び-NH
2からなる群から選択され;
V
1は、NR
14、O、及びSからなる群から選択され;
R
14は、水素及びC
1-C
4アルキルであり;
V
2及びV
3は、独立して、CR
15及びNからなる群から選択され;
R
15は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、及びC
1-C
4アルコキシからなる群から選択される;)
の化合物又はその塩。
【請求項2】
Gは
【化3】
である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
Gは
【化4】
である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
Gは
【化5】
である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項5】
Gは
【化6】
である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項6】
X
1はCR
1であり;X
2はCR
2であり;X
3はCR
3であり;X
4はCR
4であり;X
5はCR
5であり;及びX
6はCR
6である;請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項7】
X
1はCR
1であり;X
2はCR
2であり;X
3はCR
3であり;X
4はCR
4であり;X
5はCR
5であり;及びX
6はNである;請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項8】
X
1はNであり;X
2はCR
2であり;X
3はCR
3であり;X
4はCR
4であり;X
5はCR
5であり;及びX
6はNである;請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項9】
X
1はCR
1であり;X
2はCR
2であり;X
3はCR
3であり;X
4はCR
4であり;X
5はCR
5であり;及びX
6はNである;請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項10】
Qは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、C
3-C
6シクロアルキル、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)
2、-NH(C
3-C
6シクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
3-C
6-シクロアルキル)、-NHSO
2(C
1-C
4アルキル)、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4アルキル、-SO
2C
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4-ハロゲノアルキル及び-SO
2C
1-C
4ハロゲノアルキルからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換された6又は10員のアリールである;
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項11】
Qは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、C
3-C
6シクロアルキル、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)
2、-NH(C
3-C
6シクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
3-C
6-シクロアルキル)、-NHSO
2(C
1-C
4アルキル)、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4アルキル、-SO
2C
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4-ハロゲノアルキル及び-SO
2C
1-C
4ハロゲノアルキルからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換された6員のアリールであり、前記6員のアリールは、O、S、及びNの群から選択される1又は2つのヘテロ原子を有する4~7員のヘテロシクロアルキルと縮合され、前記ヘテロシクロアルキルの炭素は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、オキソ、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換され、前記ヘテロシクルアルキル(heterocyclalkyl)の任意のNは、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる群から選択される置換基で置換される;
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項12】
Qは、O、S、及びNの群から選択される1又は2つのヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリールであり、前記ヘテロアリールの炭素は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、-OH、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換され、前記ヘテロアリールの任意のNは、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる群から選択される置換基で場合により置換される;
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項13】
Qは、O、S、Nの群から選択される1又は2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロシクロアルキルであり、前記ヘテロシクロアルキルは、場合によりベンゾ縮合され、前記ヘテロシクロアルキル又は場合によりベンゾ縮合されたヘテロシクロアルキルの炭素は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、オキソ、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換され、前記ヘテロシクルアルキル(heterocyclalkyl)の任意のNは、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる群から選択される置換基で場合により置換される;
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項14】
nは1である、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物;又はその塩。
【請求項15】
Y
1はCR
8R
9であり、Y
2はOである、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物;又はその塩。
【請求項16】
R
4は、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、-N(C
1-C
4アルキル)
2、及び4~7員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物;又はその塩。
【請求項17】
前記化合物は、
(4R)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4S)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]クロマン-4-カルボキサミド;
(1R)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]テトラリン-1-カルボキサミド
(1S)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]テトラリン-1-カルボキサミド;
(4R)-N-[4-シクロプロピル-8-(3,5-ジクロロフェニル)-3-キノリル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4S)-N-[4-シクロプロピル-8-(3,5-ジクロロフェニル)-3-キノリル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4R)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-[メトキシ(メチル)アミノ]-3-キノリル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4S)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-[メトキシ(メチル)アミノ]-3-キノリル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4S)-N-[8-(2,3-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4R)-N-[8-[3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4S)-N-[8-[3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4S)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-モルホリノ-3-キノリル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4R)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-モルホリノ-3-キノリル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4S)-N-[4-モルホリノ-8-(2,3,5-トリフルオロフェニル)-3-キノリル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4R)-N-[4-モルホリノ-8-(2,3,5-トリフルオロフェニル)-3-キノリル]クロマン-4-カルボキサミド;]
3-[1-[[(4R)-クロマン-4-イル]アミノ]-2,2,2-トリフルオロ-エチル]-8-(3,5-ジクロロフェニル)-N,N-ジメチル-キノリン-4-アミン;
3-[1-[[(4S)-クロマン-4-イル]アミノ]-2,2,2-トリフルオロ-エチル]-8-(3,5-ジクロロフェニル)-N,N-ジメチル-キノリン-4-アミン;
N-[(4S)-クロマン-4-イル]-8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)キノリン-3-スルホンアミド;
N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]-(4R及びS)-クロマン-4-スルホンアミド;
(4S)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,7-ナフチリジン-3-イル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4R)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,7-ナフチリジン-3-イル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4S)-N-[4-モルホリノ-8-(2,3,5-トリフルオロフェニル)-1,7-ナフチリジン-3-イル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4R)-N-[4-モルホリノ-8-(2,3,5-トリフルオロフェニル)-1,7-ナフチリジン-3-イル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4S)-N-[4-(3,5-ジクロロフェニル)-8-(ジメチルアミノ)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-イル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4R)-N-[4-(3,5-ジクロロフェニル)-8-(ジメチルアミノ)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-イル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4R)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,5-ナフチリジン-3-イル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4S)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,5-ナフチリジン-3-イル]クロマン-4-カルボキサミド;
(4S)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-モルホリノ-1,5-ナフチリジン-3-イル]クロマン-4-カルボキサミド;
1-[(4S)-クロマン-4-イル]-3-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]尿素;
(4R)-N-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-1-(ジメチルアミノ)-2-ナフチル]クロマン-4-カルボキサミド;及び
(4S)-N-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-1-(ジメチルアミノ)-2-ナフチル]クロマン-4-カルボキサミド
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物;又は上述した化合物の各々の塩。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその塩、及び少なくとも1つの許容可能な担体を含む組成物。
【請求項19】
医薬としての請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその塩の使用。
【請求項20】
寄生虫を処置するための医薬の製造における請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその塩の使用。
【請求項21】
犬糸状虫を制御するための医薬の製造における請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品化学、薬理学、及び獣医学及びヒト医学に関する。より詳細には、本発明は、式(I)の化合物及び温血動物における内部寄生虫、例えば犬糸状虫の制御におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
犬糸状虫(ジロフィラリア・インミティス(Dirofilaria immitis))は、蚊に刺されて宿主から宿主へと広がる寄生性の回虫である。生活環は、雌の蚊が感染した宿主から血粉を摂取したときに始まる。蚊は未成熟な犬糸状虫を摂取し、これは感染幼虫期に脱皮して蚊の口器に移動する。次いで、蚊は、犬又は猫などの感受性宿主を餌とし、感染性幼虫を寄託する。次いで、幼虫は新しい宿主の中で次の幼虫期に脱皮した後、体中を移動し、最終的には血管に到達する。幼虫は組織中を移動するにつれて、脱皮して幼若成虫になる。幼若成虫は最終的に肺の血管に入り、そこで成熟して性的に活性な成虫になる。次いで、成虫の犬糸状虫は繁殖し、未成熟な犬糸状虫を放出してサイクルを完了する。犬糸状虫感染は宿主にとって重篤な疾患をもたらすことがある。
【0003】
成虫の犬糸状虫感染症はヒ素系化合物で処置される場合があり、この処置は時間がかかり、煩わしく、しばしば部分的にしか成功しない。したがって、処置は、犬糸状虫感染の制御に焦点が当てられている。犬糸状虫の制御は、現在、通年の定期的な薬物投与のみで行われている。典型的な処置には、イベルメクチン、モキシデクチン、及びミルベマイシンオキシムなどの大環状ラクトンが含まれる。残念ながら、大環状ラクトンに対するジロフィラリア・インミティス(Dirofilaria immitis)の耐性発現が観察されている。したがって、予防によって、又は犬糸状虫を直接殺すことによって、犬糸状虫を効果的に制御する新規化合物が必要とされている。内部寄生虫の特定の処置は、国際公開第2017/178416号パンフレット、国際公開第2018/087036号パンフレット、国際公開第2018/197401号パンフレット、国際公開第2019/025341号パンフレット、及び国際公開第2019/002132号パンフレットに記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、温血動物における内部寄生虫(例えば、犬糸状虫)を効果的に処置及び/又は制御する、式(I)の化合物を提供する。
【0005】
一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物:
【化1】
(式中
nは、0又は1であり;
X
1は、N及びCR
1からなる群から選択され;
X
2は、N及びCR
2からなる群から選択され;
X
3は、N及びCR
3からなる群から選択され;
X
4は、N及びCR
4からなる群から選択され;
X
5は、N及びCR
5からなる群から選択され;
X
6は、N及びCR
6からなる群から選択され;
Gは、
【化2】
基であり;
Y
1は、CR
8R
9、O、S、及びNR
10からなる群から選択され;
Y
2は、CR
8R
9、O、S、及びNR
10からなる群から選択され;
基Y
1又はY
2の少なくとも一方は、CR
8R
9であり;
Z
1は、N、O、S、及びCR
11からなる群から選択され;
Z
2は、無、N、及びCR
11からなる群から選択され;
Z
3は、無、N及びCR
11からなる群から選択され;
Z
4は、N、O、S、及びCR
11からなる群から選択され;
Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4の2つ以下はNであり、Z
1及びZ
4の1つのみが、O又はSであり、Z
2は、Z
1がO又はSである場合にのみ無であり、及びZ
3は、Z
4がO又はSである場合にのみ無であり;
R
1は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、-SH、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)(C
1-C
4アルキル、-S(O)
2(C
1-C
4アルキル、シアノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4-アルコキシ、-B(OR
16)(OR
17)からなる群から選択され、R
16は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、R
17は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、又はR
16及びR
17は、それらが結合する酸素原子と共に5~7員の環を形成し、これは、1~4つのC
1-C
4アルキル;-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2で場合により置換され;
R
2は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、-SH、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)(C
1-C
4アルキル、-S(O)
2(C
1-C
4アルキル、シアノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4-アルコキシ、-B(OR
16)(OR
17)からなる群から選択され、R
16は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、R
17は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、又はR
16及びR
17は、それらが結合する酸素原子と共に5~7員の環を形成し、これは、1~4つのC
1-C
4アルキル;-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2で場合により置換され;
R
3は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、-SH、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)(C
1-C
4アルキル、-S(O)
2(C
1-C
4アルキル、シアノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4-アルコキシ、-B(OR
16)(OR
17)からなる群から選択され、R
16は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、R
17は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、又はR
16及びR
17は、それらが結合する酸素原子と共に5~7員の環を形成し、これは、1~4つのC
1-C
4アルキル;-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2で場合により置換され;
R
4は、ハロゲン、シアノ、-CHO、ヒドロキシル、C
1-C
4アルキル、C
2-C
4アルケニル、C
2-C
4アルキニル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4-アルコキシ置換-C
1-C
4アルキル、1~5つのハロゲン原子で場合により置換されたベンジル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)
2、-NH(C
3-C
6シクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
3-C
6-シクロアルキル)、-NH(4~7員のヘテロシクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(4~7員のヘテロシクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
3-C
6-シクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
1-C
4アルコキシ)、-C(O)NH(C
1-C
4アルキル)、-C(O)N(C
1-C
4アルキル)
2、-NHSO
2(C
1-C
4アルキル)、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4アルキル、-S(O)
2C
1-C
4アルキル、-B(OR
16)(OR
17)(R
16は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、R
17は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、又はR
16及びR
17は、それらが結合する酸素原子と共に5~7員の環を形成し、これは、1~4つのC
1-C
4アルキルで場合により置換される);6又は10員のアリール;及び4~7員のヘテロシクロアルキル、少なくとも1つの窒素原子(それを介して5員のヘテロアリール環が分子の残りに接続される)を有する5員のヘテロアリールの群から選択される単環式複素環;少なくとも1つの窒素原子を有する6員のヘテロアリールからなる群から選択され;R
4のアリール、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリール環の各々は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、オキソ、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)
2、-NH(C
3-C
6シクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
3-C
6-シクロアルキル)、-NHSO
2(C
1-C
4アルキル)、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4アルキル、-S(O)
2C
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4-ハロゲノアルキル及び-S(O)
2C
1-C
4ハロゲノアルキルからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換され;R
4の各C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル及びC
1-C
4アルコキシは、ハロゲン、ヒドロキシル、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)
2、シアノ、カルボキシル、カルバモイル、C
1-C
4アルコキシカルボニル、-C(O)NH(C
1-C
4アルキル)、-C(O)N(C
1-C
4アルキル)
2、及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換されてもよく;
R
5は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、-SH、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)(C
1-C
4アルキル、-S(O)
2(C
1-C
4アルキル、シアノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4-アルコキシ、-B(OR
16)(OR
17)からなる群から選択され、R
16は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、R
17は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、又はR
16及びR
17は、それらが結合する酸素原子と共に5~7員の環を形成し、これは、1~4つのC
1-C
4アルキル;-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2で場合により置換され;
R
6は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、-SH、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)(C
1-C
4アルキル、-S(O)
2(C
1-C
4アルキル、シアノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4-アルコキシ、-B(OR
16)(OR
17)からなる群から選択され、R
16は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、R
17は、毎回、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる(or)群から選択され、又はR
16及びR
17は、それらが結合する酸素原子と共に5~7員の環を形成し、これは、1~4つのC
1-C
4アルキル;-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2で場合により置換され;
R
7は、水素、C
1-C
4アルキル、及び1~5つのハロゲン原子で場合により置換されたC
3-C
6シクロアルキル、-C(H)O、C
2-C
4アルケニル、C
2-C
4アルキニル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、及びC
1-C
4-アルコキシからなる群から選択され;
R
8は、選択毎に、水素、フルオロ、及びC
1-C
4アルキルからなる群から独立して選択され;
R
9は、選択毎に、水素、フルオロ、及びC
1-C
4アルキルからなる群から独立して選択され;
R
10は、水素及びC
1-C
4アルキルからなる群から選択され;
R
11は、選択毎に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4-アルコキシ、C
3-C
6シクロアルキル、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択され;
Qは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、C
3-C
6シクロアルキル、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)
2、-NH(C
3-C
6シクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
3-C
6-シクロアルキル)、-NHSO
2(C
1-C
4アルキル)、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4アルキル、-SO
2C
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4-ハロゲノアルキル及び-SO
2C
1-C
4ハロゲノアルキルからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換された6又は10員のアリールからなる群から選択され(6又は10員のアリールは、場合により、O、S、及びNの群から選択される1又は2つのヘテロ原子を有する4~7員のヘテロシクロアルキルと縮合され、ヘテロシクロアルキルの炭素は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、オキソ、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2の群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換され、ヘテロシクロアルキルの任意のNは、原子価が可能な限り、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる群から選択される置換基で置換される);O、S、及びNの群から選択される1又は2つのヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール(5~10員のヘテロアリールの炭素は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換され、ヘテロアリールの任意のNは、原子価が可能な限り、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる群から選択される置換基で場合により置換される);O、S、Nの群から選択される1又は2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロシクロアルキル(ヘテロシクロアルキルは、場合によりベンゾ縮合され、4~7員のヘテロシクロアルキル又は場合によりベンゾ縮合された4~7員のヘテロシクロアルキルの炭素は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、オキソ、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、及び-N(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換され、ヘテロシクロアルキルの任意のNは、水素、C
1-C
4アルキル、及びC
3-C
6シクロアルキルからなる群から選択される置換基で場合により置換される);ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)
2、-NH(C
3-C
6シクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
3-C
6-シクロアルキル)、-NHSO
2(C
1-C
4アルキル)、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4アルキル、-SO
2C
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4-ハロゲノアルキル及び-SO
2C
1-C
4ハロゲノアルキルからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換された6又は10員のアリールオキシ;1、2又は3個の置換基で場合により置換されたハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)
2、-NH(C
3-C
6シクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
3-C
6-シクロアルキル)、-NHSO
2(C
1-C
4アルキル)、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4アルキル、-SO
2C
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4-ハロゲノアルキル及び-SO
2C
1-C
4ハロゲノアルキルからなる群から独立して選択される6又は10員のアリールチオ-オキシ;並びにハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、オキソ、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、C
1-C
4アルコキシ、-NH
2、-NH(C
1-C
4アルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)
2、-NH(C
3-C
6シクロアルキル)、-N(C
1-C
4アルキル)(C
3-C
6-シクロアルキル)、-NHSO
2(C
1-C
4アルキル)、-SC
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4アルキル、-SO
2C
1-C
4アルキル、-S(O)C
1-C
4-ハロゲノアルキル及び-SO
2C
1-C
4ハロゲノアルキルからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換された5~10員のヘテロアリールオキシからなる群から選択され;
Mは、N-R
13、O、及びSからなる群から選択され;
R
13は、ヒドロキシ、C
1-C
4アルコキシ、及び-NH
2からなる群から選択され;
V
1は、NR
14、O、及びSからなる群から選択され;
R
14は、水素及びC
1-C
4アルキルであり;
V
2及びV
3は、独立して、CR
15及びNからなる群から選択され;
R
15は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲノアルキル、及びC
1-C
4アルコキシからなる群から選択される;)
又はその塩を提供する。
【0006】
一実施形態において、本発明はまた:式(I)の化合物又はその塩及び許容可能な賦形剤を含む組成物を提供し、組成物は、場合により、少なくとも1つの追加の活性化合物を更に含む。
【0007】
一実施形態において、本発明はまた、寄生虫を処置するための方法を提供し、当該方法は:有効量の式(I)の化合物又はその塩を、それを必要とする対象に投与することを含み、本方法は、場合により、有効量の少なくとも1つの追加の活性化合物を更に含む。
【0008】
一実施形態において、本発明はまた、寄生虫を制御するための方法を提供し、当該方法は:有効量の式(I)の化合物又はその塩を、それを必要とする対象に投与することを含み、本方法は、場合により、有効量の少なくとも1つの追加の活性化合物を更に含む。
【0009】
一実施形態において、本発明はまた、寄生虫を処置又は制御するための方法を提供し、当該方法は:対象の環境を有効量の式(I)の化合物又はその塩と接触させることを含み、本方法は、場合により、有効量の少なくとも1つの追加の活性化合物を更に含む。
【0010】
したがって、本発明は、医薬の製造のためを含む、医薬としての本発明の化合物の使用を提供する。一実施形態において、本発明は、寄生虫を処置するための式(I)の化合物又はその塩を含む医薬の製造を提供する。一実施形態において、本発明は、寄生虫を制御するための式(I)の化合物又はその塩を含む医薬の製造を提供する。
【0011】
本発明はまた、本発明の化合物及びその中間体の作製のための(from)プロセスを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
用語「C1-C4アルキル」は、1~4つの炭素原子を有する直鎖又は分枝状アルキル鎖を指し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなどを含む。
【0013】
用語「C1-C4ハロゲノアルキル」は、1~4つの炭素原子及び1~5つのハロゲンを有する直鎖又は分枝状アルキル鎖を指し、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2,2-トリフルオロエチル、3,3,3-トリフルオロプロピルなどを含む。
【0014】
用語「C2-C4アルケニル」は、2~4つの炭素原子及び1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分枝状アルケニル鎖を指し、及びエチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレンなどを含む。
【0015】
用語「C2-C4アルキニル」は、2~4つの炭素原子及び1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖又は分枝状アルキニル鎖を指し、アセチレン、プロパルギルなどを含む。
【0016】
用語「C1-C4アルコキシ」は、酸素原子を介して結合したC1-C4アルキルを指し、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなどを含む。
【0017】
用語「C3-C6シクロアルキル」は、3~6つの炭素原子のアルキル環を指し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルを含む。
【0018】
用語「ハロゲン」及び「ハロゲノ」は、クロロ、フルオロ、ブロモ又はヨード原子を指す。
【0019】
用語「C6又はC10員のアリール」は、フェニル又はナフチルを指す。
【0020】
用語「C6又はC10員のアリールオキシ」は、酸素原子を介して結合したフェニル又はナフチルを指し、フェノキシ及びナフチルオキシを含む。
【0021】
用語「C6又はC10員のアリールチオ-オキシ」は、硫黄原子を介して結合したフェニル又はナフチルを指し、フェンチオ(phenthio)-オキシ及びナフチルチオ-オキシを含む。更に、用語「C6又はC10員のアリールチオ-オキシ」は、硫黄が-SO2-及び-S(O)-であるものも包含することが理解される。
【0022】
用語「4~7員のヘテロシクロアルキル」は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される1又は2つのヘテロ原子を有する4~7員の単環式飽和又は部分(完全ではない)不飽和環を指し、環は、場合によりカルボニルを含んでラクタム又はラクトンを形成する。硫黄は、硫黄が-S-、-SO-、又は-SO2-のいずれかであり得るものを含むことが理解される。例えば、限定するものではないが、この用語は、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、オキセタニル、ジオキソラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフリル、ヘキサヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリミジニル、ジヒドロイミダゾリルなどを含む。
【0023】
用語「5員のヘテロアリール」は、1~4つの炭素原子と窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される1~4つのヘテロ原子とを有する、5員の単環式完全不飽和環を指す。例えば、限定するものではないが、この用語は、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾニル、テトラゾリルなどを含む。5員のヘテロアリールは、置換基として環炭素又は環窒素原子を介して結合できることが理解され、そのような結合モードは、例えばピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾニルなどについて利用可能である。
【0024】
用語「6員のヘテロアリール」は、1~5つの炭素原子と、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される1つ以上、典型的には1~4つのヘテロ原子とを有する6員の単環式完全不飽和環を指す。例えば、限定するものではないが、この用語は、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジルなどを含む。6員のヘテロアリールは、置換基として環炭素又は環窒素原子を介して結合できることが理解され、そのような結合モードは利用可能である。
【0025】
用語「O、S、及びNの群から選択される1又は2つのヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール」は、1~9つの炭素原子と、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される1又は2つのヘテロ原子とを有する5~10員の単環式又は多環式完全不飽和環又は環系を指す。例えば、限定するものではないが、この用語は、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、アゼピニル、ジアゼピニル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピラジニル、ベンゾピラゾリル、キナゾリル、チエノピリジル、キノリル、イソキノリルベンゾチアゾリルなどを含む。O、S、及びNの群から選択される1又は2つのヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリールは、置換基として環炭素又は環窒素原子を介して結合できることが理解され、そのような結合モードは利用可能である。
【0026】
用語「5~10員のヘテロアリールオキシ」は、酸素原子を介して結合した、O、S、及びNの群から選択される1又は2つのヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリールを指し、イミダゾリルオキシ、ピラゾリルオキシ、ピリジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどを含む。
【0027】
用語「オキソ」は、それが結合する炭素に二重結合して、ケトン又はアルデヒドのカルボニルを形成する酸素原子を指す。例えば、ピリドン基は、オキソ置換された6員のヘテロアリールとして意図される。
【0028】
用語「カルボキシル」は、下記の基を指す:
【化3】
【0029】
用語「カルバモイル」は、下記の基を指す:
【化4】
【0030】
用語「C
1-C
4アルコキシカルボニル」は、下記の基を指す:
【化5】
式中、Rは、C
1-C
4アルキルである。
【0031】
基、置換基、部分などを参照して本明細書で使用される用語「無」は、その基、置換基、又は部分が存在しないことを示す。基、置換基、又は部分が、通常、2つ以上の他の基、置換基、又は部分に結合する場合、この他の基、置換基、又は部分は、無である基、置換基、又は部分の代わりに互いに結合する。例えば、Bは無である構造A-B-Cを有する化合物の場合;Aは、Cに直接結合し、化合物は、A-Cである。別の例として、Cが無である構造A-B-Cを有する化合物の場合;化合物は、A-Bである。
【0032】
用語「塩」は、獣医学的又は薬学的に許容可能な有機酸及び塩基又は無機酸及び塩基の塩を指す。そのような塩は、当技術分野で周知であり、Journal of Pharmaceutical Science,66,2-19(1977)に記載されているものを含む。例は、塩酸塩である。
【0033】
用語「置換されている」は、「場合により置換されている」において使用される場合を含めて、基の1つ以上の水素基が非水素基(置換基)で置き換えられていることを指す。置換基は置換された全ての位置で同じ又は異なり得ることが理解される。本発明により想定される基及び置換基の組み合わせは、安定であり又は化学的に実行可能であるものである。
【0034】
用語「安定な」は、それらの生成を可能にする条件に供された場合に実質的に変化しない化合物を指す。非限定的な例では、安定な化合物又は化学的に実行可能な化合物は、水分又は他の化学反応性条件の非存在下で、40℃以下の温度に約1週間保たれた場合に実質的に変化しない化合物である。
【0035】
本明細書で定義される用語が多数の炭素原子に言及する場合、言及された数は言及された基を指し、その上の任意の場合による置換基に存在し得る炭素、又はベンゾ縮合環を含む縮合環の一部として存在し得る炭素を含まないことが理解される。
【0036】
当業者は、本発明の化合物の特定のものは、異性体として存在することを認識するであろう。幾何異性体、エナンチオマー、及びジアステレオマーを任意の比で含む本発明の化合物の全ての立体異性体は、本発明の範囲内であることが意図される。
【0037】
当業者はまた、本発明の化合物の特定のものは、互変異性体として存在することを認識するであろう。本発明の化合物の全ての互変異性形態は、本発明の範囲内であることが意図される。
【0038】
本発明の化合物はまた、優勢な原子質量の少なくとも1つの原子が、同じ原子番号を有するが、優勢な原子質量とは異なる原子質量を有する原子によって置換される、全ての同位体変形を含む。同位体変形(例えば、重水素、2H)の使用により、より大きな代謝安定性が得られる。加えて、本発明の化合物の特定の同位体変形は、放射性同位体(例えば、トリチウム、3H、又は14C)を組み込み得、これは、薬物及び/又は基質組織分布研究において有用であり得る。11C、18F、15O及び13Nなどの陽電子放出同位体との置換は、陽電子放出トポグラフィー(PET)研究において有用であり得る。
【0039】
「本発明の化合物」などの用語は、式(I)の実施形態、及び本明細書に記載される式(I)に包含され、且つ本明細書に記載される化合物によって例示される他のより具体的な実施形態と、これらの実施形態の各々の塩とを含む。
【0040】
Gが定義される通りである式(I)の化合物は、以下の式を有する:
【化6】
【化7】
【0041】
本発明の化合物の更なる実施形態は、下記に提供される:
(a)一実施形態は、式(I)の化合物に関する。
(b)一実施形態は、Gが式(Ia)の化合物におけるものと同様である、式(I)の化合物;又はその塩に関する。
(c)一実施形態は、Gが式(Ib)の化合物におけるものと同様である、式(I)の化合物;又はその塩に関する。
(d)一実施形態は、Gが式(Ic)の化合物におけるものと同様である、式(I)の化合物;又はその塩に関する。
(e)一実施形態は、Gが式(Id)の化合物におけるものと同様である、式(I)の化合物;又はその塩に関する。
(f)一実施形態は、Gが式(Ie)の化合物におけるものと同様である、式(I)の化合物;又はその塩に関する。
(g)一実施形態は、Gが式(If)の化合物におけるものと同様である、式(I)の化合物;又はその塩に関する。
(l)一実施形態は、X1、X2、X3、及びX5の少なくとも1つがNである、実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、及び(g)に関する。
(h)一実施形態は、X1はCR1であり;X2はCR2であり;X3はCR3であり;X4はCR4であり;X5はCR5であり;及びX6はCR6である実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(1);又はその塩に関する。
(i)一実施形態は、X1はNであり;X2はCR2であり;X3はCR3であり;X4はCR4であり;X5はCR5であり;及びX6はNである実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、及び(g);又はその塩に関する。
(j)一実施形態は、X1はCR1であり;X2はCR2であり;X3はCR3であり;X4はCR4であり;X5はNであり;及びX6はNである実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(1);又はその塩に関する。
(k)一実施形態は、X1はCR1であり;X2はCR2であり;X3はCR3であり;X4はCR4であり;X5はNであり;及びX6はCR6である実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(1);又はその塩に関する。
(l)一実施形態は、X1はCR1であり;X2はCR2であり;X3はCR3であり;X4はNであり;X5はNであり;及びX6はNである実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(1);又はその塩に関する。
(m)一実施形態は、Qは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-C4アルキル、C1-C4ハロゲノアルキル、C1-C4アルコキシ、C3-C6シクロアルキル、-NH2、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)2、-NH(C3-C6シクロアルキル)、-N(C1-C4アルキル)(C3-C6-シクロアルキル)、-NHSO2(C1-C4アルキル)、-SC1-C4アルキル、-S(O)C1-C4アルキル、-SO2C1-C4アルキル、-S(O)C1-C4-ハロゲノアルキル及び-SO2C1-C4ハロゲノアルキルからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換された6又は10員のアリールである実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(1)、(h)、(i)、(j)、(k)、及び(l);又はその塩に関する。
(n)一実施形態は、Qは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-C4アルキル、C1-C4ハロゲノアルキル、C1-C4アルコキシ、C3-C6シクロアルキル、-NH2、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)2、-NH(C3-C6シクロアルキル)、-N(C1-C4アルキル)(C3-C6-シクロアルキル)、-NHSO2(C1-C4アルキル)、-SC1-C4アルキル、-S(O)C1-C4アルキル、-SO2C1-C4アルキル、-S(O)C1-C4-ハロゲノアルキル及び-SO2C1-C4ハロゲノアルキルからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換された6員のアリールであり、6員のアリールは、O、S、及びNの群から選択される1又は2つのヘテロ原子を有する4~7員のヘテロシクロアルキルと縮合され、ヘテロシクロアルキルの炭素は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、オキソ、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C4ハロゲノアルキル、C1-C4アルコキシ、-NH2、-NH(C1-C4アルキル)、及び-N(C1-C4アルキル)2からなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換され、ヘテロシクルアルキル(heterocyclalkyl)の任意のNは、水素、C1-C4アルキル、及びC3-C6シクロアルキルからなる群から選択される置換基で置換される実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(1)、(h)、(i)、(j)、(k)、及び(l);又はその塩に関する。
(o)一実施形態は、Qは、O、S、及びNの群から選択される1又は2つのヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリールであり、ヘテロアリールの炭素は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、-OH、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C4ハロゲノアルキル、C1-C4アルコキシ、-NH2、-NH(C1-C4アルキル)、及び-N(C1-C4アルキル)2からなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換され、ヘテロアリールの任意のNは、水素、C1-C4アルキル、及びC3-C6シクロアルキルからなる群から選択される置換基で場合により置換される実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(1)、(h)、(i)、(j)、(k)及び(l);又はその塩に関する。
(p)一実施形態は、Qは、O、S、Nの群から選択される1又は2個のヘテロ原子を有する4~7員のヘテロシクロアルキルであり、ヘテロシクロアルキルは、場合によりベンゾ縮合され、ヘテロシクロアルキル又は場合によりベンゾ縮合されたヘテロシクロアルキルの炭素は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、オキソ、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C4ハロゲノアルキル、C1-C4アルコキシ、-NH2、-NH(C1-C4アルキル)、及び-N(C1-C4アルキル)2からなる群から独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換され、ヘテロシクロアルキルの任意のNは、水素、C1-C4アルキル、及びC3-C6シクロアルキルからなる群から選択される置換基で場合により置換される実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(1)、(h)、(i)、(j)、(k)及び(l);又はその塩に関する。
(q)一実施形態は、Qは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C4ハロゲノアルキル、C1-C4アルコキシ、-NH2、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)2、-NH(C3-C6シクロアルキル)、-N(C1-C4アルキル)(C3-C6-シクロアルキル)、-NHSO2(C1-C4アルキル)、-SC1-C4アルキル、-S(O)C1-C4アルキル、-SO2C1-C4アルキル、-S(O)C1-C4-ハロゲノアルキル及び-SO2C1-C4ハロゲノアルキルからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換された6又は10員のアリールオキシである実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(1)、(h)、(i)、(j)、(k)及び(l);又はその塩に関する。
(r)一実施形態は、Qは、及びハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、オキソ、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C4ハロゲノアルキル、C1-C4アルコキシ、-NH2、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)2、-NH(C3-C6シクロアルキル)、-N(C1-C4アルキル)(C3-C6-シクロアルキル)、-NHSO2(C1-C4アルキル)、-SC1-C4アルキル、-S(O)C1-C4アルキル、-SO2C1-C4アルキル、-S(O)C1-C4-ハロゲノアルキル及び-SO2C1-C4ハロゲノアルキルからなる群から独立して選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換された5~10員のヘテロアリールオキシである実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(1)、(h)、(i)、(j)、(k)及び(l);又はその塩に関する。
(s)一実施形態は、nは1である実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(1)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、及び(r);又はその塩に関する。
(t)一実施形態は、Y1はCR8R9であり、Y2はOである実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(1)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)及び(s);又はその塩に関する。
(u)一実施形態は、Z1はCR11であり、Z2はCR11であり、Z3はCR11であり、Z4はCR11である実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(1)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)及び(t);又はその塩に関する。
(v)一実施形態は、Z1はCR11であり、Z2はCR11であり、Z3は無であり、Z4はSである実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(1)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)及び(t);又はその塩に関する。
(w)一実施形態は、R4は、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、-N(C1-C4アルキル)2、及び4~7員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択される実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(1)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)及び(v);又はその塩に関する。
(v)一実施形態は、R4は-N(C1-C4アルキル)2である実施形態(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(1)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)及び(v);又はその塩に関する。
(w)別の実施形態は、例示された化合物の各々の塩に関する。
【0042】
本発明の化合物は、多様な手順により調製することができ、そのいくつかは以下に記載される。全ての置換基は、特に示されない限り、以前に定義した通りである。
【0043】
各ステップの生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、濾過、粉砕、結晶化などを含む従来の方法により回収することができる。望ましくない反応を最小限にするために、特定の基、例えばヒドロキシ、チオール、アミノ、又はカルボキシ基を保護する手順を必要とする場合がある。保護基の選択、使用、及び除去は周知であり、標準的な実践として認識されている(例えばT.W.Greene and P.G.M.Wuts in Protective Groups in Organic Chemistry(John Wiley and Sons,1991))。
【0044】
本明細書で使用される場合:AcOHは酢酸を指し;aq.は水性を指し、brは幅広を指し、CH3CNはアセトニトリルを指し、CH2Cl2は塩化メチレンを指し、dは二重項を指し、ddは二重項の二重項を指し、DIPEAはN-ジイソプロピルエチルアミンを指し、DMAはN,N-ジメチルアセトアミドを指し、DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを指し、DMSOはジメチルスルホキシドを指し、ee:はエナンチオマー過剰率を指し、eq.は等価を指し、ESはエレクトロスプレーイオン化を指し、EtOAcは酢酸エチルを指し、EtOHはエタノールを指し、HATUは1-[ビス(ジエチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェートを指し、HPLCは高速液体クロマトグラフィーを指し、iPrOHはイソプロパノールを指し、Jは結合定数を指し、KOAcは酢酸カリウムを指し、K2CO3は炭酸カリウムを指し、LCMSは液体クロマトグラフィー-質量分析を指し、m/z:は質量電荷比を指し、Mはモル濃度を指し、mは多重項を指し、MeOHはメタノールを指し、minは分を指し、NaHCO3は重炭酸ナトリウムを指し、Na2CO3は炭酸ナトリウムを指し、NEt3はトリエチルアミンを指し、NMRは核磁気共鳴を指し、NMPはN-メチルピロリドンを指し、qは四重項を指し、rtは室温を指し、Rtは保持時間を指し、sは一重項を指し、sat.は飽和を指し、Tは温度を指し、tは三重項を指し、tdは、二重項の三重項を指し、THFはテトラヒドロフランを指し、wtは重量を指し、δは化学シフトを指す。
【0045】
【化8】
スキームAは、式(I)の化合物を提供するための、式(1)の化合物と式(2)の化合物との反応を示す。示される式(1)の化合物Q、R
7、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、及びX
6は、最終的な式(I)の化合物に所望されるものであり、又は最終的な式(I)の化合物に所望されるQ、R
7、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、及びX
6を生じる基であるものである。例えば、式(1)の化合物は、示される基「Q」が、図示しない続くステップで更に精緻化(elaborate)されて、Qが式(I)に定義される化合物を提供するハロゲンであるものであり得る。そのような式(1)の化合物の調製は、当技術分野で容易に認識される。式(2)の化合物は、基A
1がカルボキシ基、又は以下に論じられる活性化基、又はハロゲン化スルホニルであり、n、Y
1、Y
2、Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4が式(I)の最終生成物に所望されるものであり、又は式(I)の最終生成物に所望されるY
1、Y
2、Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4を生じる基であるものである。式(2)の化合物の調製は、当技術分野で容易に認識される。
【0046】
上述したように、スキームAは、式(2)の化合物を使用して式(I)の化合物を提供する、式(1)の化合物のアミド化を示している。典型的な基A1は、スルホニルクロリド、カルボキシ又は酸塩化物若しくは酸臭化物、又はイミダジド(imidazide)、活性化部分、ギ酸、酢酸などの別のカルボン酸の混合無水物であり、又はA1がカルボキシである2つの式(2)の化合物から形成される対称的な無水物の他方の部分を表す。例えば、2-(1H-7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタンアミニウム(HATU)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、及び1-(3-ジエチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド・HClなどの、ペプチドカップリングに使用されるものを含むカップリング剤を使用するなどの標準的なカルボキシアミド形成条件を使用することができる。必要又は所望であれば、4-(ジエチルアミノ)ピリジン、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールなどの添加剤を使用して反応を促進してもよい。そのような反応は、一般に、CH2Cl2、DMF、N-メチルピロリドン(NMP)、DMA、THFなどの非常に様々な適切な溶媒中で、N-メチルモルホリン又はトリエチルアミンなどの塩基を使用して行われる。そのようなカルボキシアミド形成反応は、当技術分野で十分理解及び認識されている。スルホニルアミドの形成も同様に、一般に、CH2Cl2、トルエン、THFなどの非常に様々な適切な溶媒中で、N-メチルモルホリン又はトリエチルアミンなどの塩基を使用して行われる。そのようなスルホニルアミド形成反応は、当技術分野で十分理解及び認識されている。
【0047】
当業者は、式(I)の化合物が多様な方法で精緻化されて、他の式(I)の化合物を提供できることを認めるであろう。そのような反応には、加水分解、酸化、還元、アルキル化、アリール化(ヘテロアリール基を含む)アミド化、スルホン化などが含まれる。
【0048】
また、図示しない、場合によるステップにおいて、式(I)の化合物は、当業者に周知であり且つ認識される方法によって塩に変換され得る。
【0049】
当業者は、式Ibの化合物が、-NHR7がハロゲン化スルホニルで置き換えられている式(1)に関する化合物と、「A1」が-NHR7である式(2)の化合物とを使用して、スキームAの方法論によって容易に調製されることを容易に認識するであろう。
【0050】
【化9】
スキームBは、式(I)の化合物を提供するための、式(3)の化合物及び式(4)の化合物のMitsunobu型反応を示す。示される式(3)の化合物は、A
2が-OH基であり、Q、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、及びX
6が、最終的な式(I)の化合物に所望されるもの、又は最終的な式(I)の化合物に所望されるQ、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、及びX
6を生じるものである。例えば、式(3)の化合物は、示される基「Q」が、図示しない続くステップで更に精緻化されて、Qが式(I)に定義される化合物を提供するハロゲンであるものであり得る。そのような式(1)の化合物の調製は、当技術分野で容易に認識される。式(4)の化合物は、n、R
7、Y
1、Y
2、Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4が式(I)の最終生成物に所望されるものであり、又は式(I)の最終生成物に所望されるR
7、Y
1、Y
2、Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4を生じる基であるものである。そのような式(4)の化合物の調製は、当技術分野で容易に認識される。このようなアルコール及び酸性成分のMitsunobu型反応は、当技術分野で周知であり且つ認識されている。
【0051】
或いは、スキームBは、式(I)の化合物を提供するための、上述したような式(3)の化合物(A2が酸素原子であり、A2とA2が結合する炭素との間が二重結合であることを除く)と、上述したような式(4)の化合物との還元的アミノ化を示す。このようなアルデヒド又はケトンとアミンとの還元的アミノ化は、当技術分野で周知であり且つ認識されている。
【0052】
【化10】
スキームCは、MがOである式(I)の化合物を提供するための、式(5)の化合物と式(6)の化合物との反応を示す。示される式(5)の化合物は、示されるR
7及びQ、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、及びX
6が、最終的な式(I)の化合物に所望されるものであり、又は最終的な式(I)の化合物に所望される示されるR
7、及びQ、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、及びX
6を生じる基であるものである。上記のように、式(5)の化合物は、示される基「Q」が、図示しない続くステップで更に精緻化されて、Qが式(I)に定義される化合物を提供するハロゲンであるものであり得る。そのような式(5)の化合物の調製は、当技術分野で容易に認識される。式(6)の化合物は、示されるR
7及びn、Y
1、Y
2、Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4が、最終的な式(I)の生成物に所望されるものであり、又は最終的な式(I)の生成物に所望される示されるR
7、及びY
1、Y
2、Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4を生じる基であるものである。そのような式(6)の化合物の調製は、当技術分野で容易に認識される。非対称尿素の形成は、ホスゲン、カルボニルジイミダゾール、及びイソプロペニルカルバメートを使用して周知である。
【実施例】
【0053】
以下の実施例は、例示及び非限定的であることが意図され、本発明の特定の実施形態を表す。
【0054】
分析方法A及びBは、1260 HiP脱気装置(G4225A)、1260バイナリーポンプ(G1312B)、1290オートサンプラー(G4226A)、1290サーモステーテッド(thermo-stated)カラムコンパートメント(G1316C)、及びAgilent 6150単一四重極質量分析(MS)検出器に連結された1260ダイオードアレイ検出器(G4212B)からなるAgilent 1200 Infinityシリーズ液体クロマトグラフィー(LC)システムを使用して行った。注入容量は、デフォルトで1μLに設定した。UV(DAD)取得は40Hzで行い、スキャン範囲は190~400nm(5nmステップにより)であった。MS検出器の前に、1:1のフロースプリットを使用した。MSは、エレクトロスプレーイオン化源(ESI)を用いて、陽イオンモード及び陰イオンモードの両方で操作した。ネブライザー圧を50psiに設定し、乾燥ガス温度及び流量を各々350℃及び12L/分に設定した。使用したキャピラリ電圧は、正モードで4000V、負モードで3500Vであった。MS取得範囲は、両方の極性モードにおいて0.2m/zのステップサイズで100~800m/zに設定した。フラグメンター電圧を70(ESI+)又は120(ESI-)、利得を0.40(ESI+)又は1.00(ESI-)、イオンカウント閾値を4000(ESI+)又は1000(ESI-)に設定した。全体のMSスキャンサイクル時間は0.15s/サイクルであった。データ取得は、Agilent Chemstationソフトウエアを用いて行った。
【0055】
方法A:分析は、長さ50mm、内径2.1mm及び粒子サイズ3μmのPhenomenex Gemini-NX C18カラム上で行った。使用した移動相は:A1=0.1%ギ酸を有する水/B1=0.1%ギ酸を有するCH3CNであった。溶出(run)は、50℃の温度、1.2mL/分の流速、1.5分間の5%~95%(B1)の勾配溶出で行い、続いて95%(B1)で0.5分保持した。
【0056】
方法B:分析は、長さ50mm、内径2.1mm及び粒子サイズ3.5μmのWaters XBridge C18カラム上で行った。使用した移動相は:A2=水酸化アンモニウムでpH9に調整した、10mM重炭酸アンモニウムを有する水/B2=CH3CNであった。溶出は、50℃の温度及び1.2mL/分の流速で行い、1.5分間の5%~95%(B2)の勾配溶出で行い、続いて95%(B2)で0.5分保持した。
【0057】
分析方法C及びDは、Waters SQ Detector 2単一四重極質量分析(MS)検出器に連結されたWaters Acquity UPLC液体クロマトグラフィー(LC)システムを使用して行った。UV(DAD)取得は200~400nm(1.2nm分割による)のスキャン範囲で行った。MSは、エレクトロスプレーイオン化源(ESI)を用いて、陽イオンモード及び陰イオンモードの両方で操作した。キャピラリ電圧3.50(kV)、コーン電圧35(V)、及び脱溶媒和温度550℃。脱溶媒和ガス流1000(L/Hr)、コーンガス流50(L/Hr)。MS取得範囲は、100~1500m/zに設定した。MSスキャンサイクル時間は0.5sであった。データ取得は、Waters Masslynxソフトウエアを用いて行った。
【0058】
方法C:分析は、長さ50mm、内径2.1mm及び粒子サイズ1.7μmのAcquity UPLC BEH C18カラム上で行った。使用した移動相は:A1=0.1%ギ酸を有する水/B1=0.1%ギ酸を有するCH3CNであった。注射容量は、1μLであった。溶出は、40℃の温度及び0.6mL/分の流速で、勾配溶出を用いて行った。方法情報(info)(時間(分)及びB%):0-5;0.3-5;2.5-95;3.7-95;4-5;4.6-5。
【0059】
方法D:分析は、長さ50mm、内径2.1mm及び粒子サイズ1.7μmのAcquity UPLC BEH C18カラム上で行った。使用した移動相は:A1=10mM酢酸アンモニウムを有する水/B1=0.1%ギ酸を有するCH3CNであった。注射容量は、0.1μLであった。溶出は、45℃の温度及び0.5mL/分の流速で、勾配溶出を用いて行った。方法情報(時間(分)及びA%):0-98;0.3-98;3.2-2;4.4-2;4.7-98。
【0060】
実施例1.1及び1.2
(4R)及び(4S)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]クロマン-4-カルボキサミド
【化11】
撹拌している8-ブロモキノリン-4-オール(2g、8.82mmol)のプロピオン酸(20mL、265mmol)溶液に、100℃で硝酸(1mL、16mmol)を5分間かけてゆっくり加えた。反応物を125℃に加熱し、45分間撹拌したままにした。次いで、反応物を室温に冷却させて、沈殿を提供した。固体を濾過により収集し、水(3x10mL)、iPrOH(10mL)、イソヘキサン(10mL)で洗浄し、次いで真空炉内で1時間乾燥して8-ブロモ-3-ニトロ-キノリン-4-オールを提供した。LCMS(方法B):R
t=0.54分、m/z=269[M+H]
+。
【0061】
8-ブロモ-3-ニトロ-キノリン-4-オール(1.52g、5.37mmol)の溶液に、POCl3(10mL、107mmol)を加えた。この懸濁液を加熱還流し、2時間撹拌したままにした。反応混合物を室温に冷却させ、一晩放置した。反応混合物を真空下で濃縮して(トルエンとの共沸)8-ブロモ-4-クロロ-3-ニトロ-キノリンを提供し、これを直接次のステップで使用した。
【0062】
8-ブロモ-4-クロロ-3-ニトロ-キノリン(2.32g、5.38mmol)のTHF(30mL)溶液に、ジメチルアミン(THF中2M、7mL、14mmol、2M)をゆっくり加えた。反応物を室温で1.5時間撹拌したままにした。反応混合物をEtOAcと飽和aq.NaHCO3(各々50mL)の間に分割した。ブライン(50mL)を加えた。層を分離し、水層をEtOAc(2x50mL)で抽出した。合わせた有機層を真空下で濃縮して、8-ブロモ-N,N-ジメチル-3-ニトロ-キノリン-4-アミンを提供した。LCMS(方法B):Rt=1.13分、m/z=296[M+H]+。
【0063】
8-ブロモ-N,N-ジメチル-3-ニトロ-キノリン-4-アミン(505mg、1.62mmol)の溶液に、(3,5-ジクロロフェニル)ボロン酸(314mg、1.61mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(92mg、0.079mmol)、及びNa2CO3(351mg、3.28mmol)を加えた。バイアルを密封し、次いで排気し、N2で3回再充填した。1,4-ジオキサン(9mL)、次いで水(3mL)を加え、反応物をマイクロ波中で100℃に1時間加熱した。反応混合物をEtOAcと飽和aq.NaHCO3(各々50mL)の間に分割した。層を分離し、水層をEtOAc(2x25mL)で抽出した。合わせた有機層を真空下で濃縮し、次いでカラムクロマトグラフィーにより精製して、8-(3,5-ジクロロフェニル)-N,N-ジメチル-3-ニトロ-キノリン-4-アミンを提供した。LCMS(方法B):Rt=1.57分、m/z=362[M+H]+。
【0064】
撹拌している8-(3,5-ジクロロフェニル)-N,N-ジメチル-3-ニトロ-キノリン-4-アミン(401mg、1.052mmol)のTHF(5mL)、EtOH(5mL)及び水(2.5mL)中の懸濁液に、鉄(184mg、3.23mmol)及びNH4Cl(168mg、3.13mmol)を加えた。反応物を75℃に加熱し、45分間撹拌したままにした。反応物を室温に冷却させ、次いで、飽和aq.NaHCO3とEtOAc(各々25mL)の間に分割した。この混合物をCelite(登録商標)で濾過し(EtOAcで洗浄)、濾液の層を分離した。水層をEtOAc(2x25mL)で抽出し、合わせた有機層を真空下で濃縮した後、カラムクロマトグラフィーにより精製して、8-(3,5-ジクロロフェニル)-N4,N4-ジメチル-キノリン-3,4-ジアミンを提供した。LCMS(方法B):Rt=1.48分、m/z=3632[M+H]+。
【0065】
撹拌している(rac)-クロマン-4-カルボン酸(182mg、0.97mmol)のCH2Cl2(10mL)溶液に、N2雰囲気下で塩化オキサリル(172μL、1.94mmol)、次いでDMF(4μL、0.0516mmol)を加えた。反応物を室温で45分間撹拌したままにした。この反応混合物を真空下で濃縮して、(rac)-クロマン-4-カルボン酸クロリドを提供し、これを直接次のステップで使用した。
【0066】
撹拌している8-(3,5-ジクロロフェニル)-N4,N4-ジメチル-キノリン-3,4-ジアミン(0.237g、0.62mmol)及びNEt3(262μL、1.86mmol)のCH2Cl2(6mL)中の懸濁液に、N2下でCH2Cl2(6mL)中の(rac)-クロマン-4-カルボニルクロリド(242mg、0.97mmol)を滴加した。反応物を室温で15分間撹拌したままにした。この反応混合物を飽和aq.NaHCO3とCH2Cl2(各々25mL)の間に分割した。合わせた層を濾過し、水層を分離し、CH2Cl2(2x25mL)で洗浄した。合わせた有機層を真空下で濃縮し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を提供した。LCMS(方法B):Rt=1.58分、m/z=492[M+H]+。Chiral SFC分離を、カラム寸法250mm×30mm(5μm)、流速118g/分、及び0.2%イソプロピルアミンを添加物として含む40% iPrOHを有するCO2ベースの移動相を有するChiralpak(登録商標)IG上で行って、(4R)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]クロマン-4-カルボキサミド及び(4S)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]クロマン-4-カルボキサミドを提供した。1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ[ppm]:9.98(s,1H),8.87(s,1H),7.86(dd,J=1.6,8Hz,1H),7.51(m,4H),7.38(t,J=2Hz,1H),7.33(t,J=8.4Hz,1H),7.04(t,J=7.6Hz,1H),6.98(d,J=8Hz,1H),4.37(d,J=11.6Hz,1H),4.09(td,J=2,12Hz,1H),3.88(d,J=2.8Hz,1H),2.7(s,6H),2.65(m,1H),2.25(m,1H).
【0067】
以下の化合物は、実施例1の方法論によって同様に調製した:
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
実施例2.1
3-[1-[[(4R及びS)-クロマン-4-イル]アミノ]-2,2,2-トリフルオロ-エチル]-8-(3,5-ジクロロフェニル)-N,N-ジメチル-キノリン-4-アミン
【化12】
8-ブロモキノリン-4-オール(1g、4.46mmol)をマイクロ波バイアルに入れ、POCl
3(3mL、32.3mmol)中に懸濁した。この混合物にマイクロ波照射を100℃で1時間提供した。反応混合物を氷/水混合物に注ぎ、約5分間撹拌した。固体K
2CO
3を用いてpHをpH=9に調整した。この混合物をCH
2Cl
2(100mL)で希釈した。層を分離し、水層をCH
2Cl
2(2x25mL)で抽出した。合わせた有機層を真空下で濃縮して、8-ブロモ-4-クロロ-キノリンを提供した。LCMS(方法B):R
t=1.13分、m/z=241.8[M+H]
+。
【0073】
8-ブロモ-4-クロロ-キノリン(0.99g、4mmol)をマイクロ波バイアルに入れ、1,4-ジオキサン(13mL)に溶解した。この溶液にジメチルアミンHCl(650mg、7.97mmol)を加えた後、DIPEA(2.8mL、16mmol)を加えた。この混合物にマイクロ波照射を150℃で2.5時間提供した。反応混合物を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して、8-ブロモ-N,N-ジメチル-キノリン-4-アミンを提供した。LCMS(方法B):Rt=1.04分、m/z=251.0[M+H]+。
【0074】
4-ジメチル(Dimethly)アミノピリジン(1.2g、9.8mmol)をo-キシレン(16mL)に溶解した。この溶液に無水トリフルオロ酢酸(1.4mL、10mmol)を加え、混合物を室温で30分撹拌した。次いで、8-ブロモ-N,N-ジメチル-キノリン-4-アミン(0.85g、3.3mmol)のo-キシレン(6mL)溶液をフラスコに加え、この混合物を還流下で3時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、飽和aq.NaHCO3溶液の添加によりクエンチした。層を分離し、水層をCH2Cl2(2x25mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で減少させて粗物質を提供し、これをカラムクロマトグラフィーにより精製し、1-[8-ブロモ-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]-2,2,2-トリフルオロ-エタノンを得た。LCMS(方法A):Rt=0.90分、m/z=346.8[M+H]+。
【0075】
1-[8-ブロモ-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(1.13g、2.93mmol)を、(3,5-ジクロロフェニル)ボロン酸(560mg、2.93mmol)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-Pd(II)・CH2Cl2複合体(125mg、0.150mmol)及びNa2CO3(620mg、5.85mmol)と共にマイクロ波バイアルに装填した。次いで、1,4-ジオキサン(10mL)及び水(5mL)をバイアルに加え、混合物にマイクロ波照射を100℃で1時間提供した。粗反応混合物を乾燥するまで減少させ、次いでカラムクロマトグラフィーにより精製して、1-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]-2,2,2-トリフルオロ-エタノンを提供した。LCMS(方法A):Rt=1.34分、m/z=413.0[M+H]+。
【0076】
1-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(513mg、0.95mmol)をMeOH(3mL)に溶解した。この溶液を0℃に冷却し、次いでNaBH4(72mg、1.90mmol)をフラスコに加えた。この混合物を0℃で15分間撹拌し、次いで室温に温まらせた。反応混合物を水(50mL)の添加によりクエンチした。層を分離し、水層をCH2Cl2(2x25mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥するまで真空下で減少させて(1R)-1-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]-2,2,2-トリフルオロ-エタノールを提供した。LCMS(方法A):Rt=1.34分、m/z=415.0[M+H]+。
【0077】
(1R)-1-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]-2,2,2-トリフルオロ-エタノール(360mg、0.67mmol)及び(4S)-クロマン-4-アミンHCl(250mg、1.35mmol)を1,4-ジオキサン(2.5mL)及びNEt3(0.1mL、0.72mmol)に溶解した。次いで、PPh3(880mg、3.32mmol)及びDIAD(0.660mL、3.33mmol)を室温でフラスコに加えた。この混合物を一晩、90℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、真空下で乾燥するまで減少させ、クロマトグラフィー(0~20%シクロヘキサン中EtOAc)により精製して、表題化合物を提供した。LCMS(方法B):Rt=1.81分、m/z=546.0[M+H]+。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ[ppm]:9.14(s,1H),8.19(dd,J=0.8,8.4Hz,1H),7.85(t,J=7.2Hz,1H),7.46-7.76(m,4H),7.41(dd,J=0.8,7.6Hz,1H),7.1(m,1H),6.97(dd,J=0.8,7.6Hz,1H),6.85(t,J=7.6Hz,1H),6.8(t,J=7.6Hz,1H),6.72(t,J=9.6Hz,1H),5.34(m,1H),4.29(t,J=10Hz,1H),3.97-4.19(m,2H),3.54-3.59(m,1H),3.06(s,3H),3.02(s,3H),1.64-2.04(m,2H).
【0078】
実施例3.1
N-[(4S)-クロマン-4-イル]-8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)キノリン-3-スルホンアミド
【化13】
8-ブロモキノリン-4-オール(496.4mg、2.21mmol)のクロロスルホン酸(5mL、75.22mmol)溶液をN
2雰囲気下で100℃に加熱した。次いで、反応物を室温に冷却し、氷上に注ぎ、固体を沈殿させた。この固体を濾去し、水(50mL)で洗浄し、風乾して無色固体を得た。8-ブロモ-4-ヒドロキシ-キノリン-3-スルホニルクロリドを更に精製することなく次のステップに持ち込んだ。
【0079】
8-ブロモ-4-ヒドロキシ-キノリン-3-スルホニルクロリド(571.9mg、1.59mmol)のPOCl3(5mL、53.8mmol)中の懸濁液をN2雰囲気下で130℃に加熱した。反応物を室温に冷却し、次いで、真空下で濃縮した。次いで、残留物をトルエン(2x15mL)と共に共沸して、8-ブロモ-4-クロロ-キノリン-3-スルホニルクロリドを茶色油として提供した。LCMS(方法B):Rt=1.27分、m/z=340[M+H]+。
【0080】
冷却した8-ブロモ-4-クロロ-キノリン-3-スルホニルクロリド(985mg、2.54mmol)のCH2Cl2(10mL)溶液に、0℃でN2雰囲気下で(4S)-クロマン-4-アミンHCl(365mg、1.96mmol)、次いでNEt3(0.54mL、3.9mmol)を加えた。反応物を0℃で撹拌し、室温まで一晩ゆっくり温まらせた。この反応混合物を真空下で濃縮し、次いで、固体をカラムクロマトグラフィーにより精製して、8-ブロモ-4-クロロ-N-[(4S)-クロマン-4-イル]キノリン-3-スルホンアミドを提供した。LCMS(方法B):Rt=1.25分、m/z=453[M+H]+。
【0081】
5mLマイクロ波バイアル内の8-ブロモ-4-クロロ-N-[(4S)-クロマン-4-イル]キノリン-3-スルホンアミド(420mg、0.88mmol)、ジメチルアミンHCl(144mg、1.77mmol)及びDIPEA(0.62mL、3.6mmol)の1,4-ジオキサン(4mL)中の混合物を、100℃まで1時間照射した。反応物を濃縮し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、8-ブロモ-N-[(4S)-クロマン-4-イル]-4-(ジメチルアミノ)キノリン-3-スルホンアミドを提供した。LCMS(方法B):Rt=1.26分、m/z=462[M+H]+。
【0082】
5mLマイクロ波バイアル内の(3,5-ジクロロフェニル)ボロン酸(158.3mg、0.83mmol)、Na2CO3(192mg、1.81mmol)及び1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-Pd(II)・CH2Cl2複合体(38.8mg、0.047mmol)の混合物に、1,4-ジオキサン(3mL)中の8-ブロモ-N-[(4S)-クロマン-4-イル]-4-(ジメチルアミノ)キノリン-3-スルホンアミド(383mg、0.78mmol)、次いで水(1.5mL)を加えた。次いで、マイクロ波バイアルを密封し、100℃まで1時間照射した。反応物をEtOAc(20mL)で希釈し、Celite(登録商標)のパッドに通した。Celite(登録商標)をEtOAc(100mL)を通して洗浄した。次いで、合わせた濾液を真空下で濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を得た。LCMS(方法B):Rt=1.58分、m/z=528.1[M+H]+。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ[ppm]:9.15(s,1H),8.50(d,J=8.4Hz,1H),8.29(dd,J=1.2,8.4Hz,1H),7.93(dd,J=1.2,7.2Hz,1H),7.75(t,J=7.2Hz,1H),7.67(s,3H),7.12(m,2H),6.75(m,2H),4.58(q,J=7.8Hz,1H),4.18(m,2H),3.18(s,6H),1.87(q,J=5.8Hz,2H).
【0083】
以下の化合物は、実施例3.1の方法論によって同様に調製した:
【0084】
【0085】
実施例4.1
(4S)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,7-ナフチリジン-3-イル]クロマン-4-カルボキサミド
【化14】
2-クロロ-3-フルオロ-ピリジン-4-カルボン酸(15.1g、84.2mmol)及び塩化チオニル(60mL、821mmol)の溶液を80℃に2時間加熱した。反応物を室温に冷却させ、真空下で濃縮して、2-クロロ-3-フルオロ-ピリジン-4-カルボニルクロリドを残留物として提供し、これを次のステップで直接使用した。
【0086】
撹拌している2-クロロ-3-フルオロ-ピリジン-4-カルボニルクロリド(17.5g、83.9mmol)のトルエン(210mL)溶液に、NEt3(14mL、99.4mmol)、次いでエチル3-(ジメチルアミノ)プロパ-2-エノエート(14.7g、101mmol)を加えた。反応物を80℃に加熱し、45分間撹拌したままにした。この反応物を室温に冷却させ、Celite(登録商標)で濾過した(EtOAcで洗浄)。濾液を真空下で濃縮し、残留物をEtOAcとaq.2M HCl(各々200mL)の間に分割した。層を分離し、水層をEtOAc(200mL)で抽出した。合わせた有機物を無水MgSO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮してエチル2-(2-クロロ-3-フルオロ-ピリジン-4-カルボニル)-3-[(4-メトキシフェニル)メチルアミノ]プロパ-2-エノエートを提供した。LCMS(方法B)Rt=0.86分、m/z=301.0[M+H]+。
【0087】
撹拌しているエチル2-(2-クロロ-3-フルオロ-ピリジン-4-カルボニル)-3-[(4-メトキシフェニル)メチルアミノ]プロパ-2-エノエート(19.37g、46.8mmol)のDMF(90mL)溶液にK2CO3(19.3g、140mmol)を加えた。反応物を50℃に加熱し、2時間撹拌したままにした。反応物を室温に冷却させ、真空下で濃縮した。次いで、この混合物をEtOAcと水の間に分割した。水層をEtOAc(2x)で抽出し、合わせた有機物をブラインで洗浄し、無水MgSO4上で乾燥し、濾過した。合わせた有機層を真空下で濃縮し、残留物をEt2Oで粉砕した。溶媒を減圧下で除去して、エチル8-クロロ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-4-オキソ-1,7-ナフチリジン-3-カルボキシレートを提供した。LCMS(方法B)Rt=1.02、m/z=373.0[M+H]+。
【0088】
撹拌しているエチル8-クロロ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-4-オキソ-1,7-ナフチリジン-3-カルボキシレート(9.00g、22.93mmol)のCH2Cl2(115mL)溶液に、アニソール(12.5mL、114mmol)、次いでTFA(35mL、458.3mmol)を加えた。反応物を室温で1時間撹拌したままにした。反応物を真空下で濃縮し、粗生成物を飽和aq.NaHCO3とEtOAc(各々300mL)の間に分割した。懸濁液を15分間激しく撹拌した。沈殿を濾過により単離して(水、次いでEtOAcで洗浄)エチル8-クロロ-4-ヒドロキシ-1,7-ナフチリジン-3-カルボキシレートを提供した。LCMS(方法B)Rt=0.47分、m/z=253.0[M+H]+。
【0089】
撹拌しているエチル8-クロロ-4-ヒドロキシ-1,7-ナフチリジン-3-カルボキシレート(4.76g、18.85mmol)のCH2Cl2(190mL)中の懸濁液に、塩化オキサリル(2.5mL、28mmol)、次いでDMF(73μL、0.94mmol)を0℃で加えた。反応物を室温で4時間撹拌したままにした。反応物をNaHCO3(200mL)中に加えることによりクエンチし、反応混合物をCH2Cl2で2回抽出した。合わせた有機物を無水MgSO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、エチル4,8-ジクロロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボキシレートを提供した。LCMS(方法B)Rt=1.07分、m/z=271.0[M+H]+。
【0090】
THF(18mL)中のエチル4,8-ジクロロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボキシレート(5.23g、18.33mmol)に、THF中のジメチルアミン(18mL、36mmol、2M)を加え、沈殿を伴う黄色溶液が直ちに形成した。反応物を室温で20分間撹拌したままにした。EtOAc(250mL)、次いでaq.NaHCO3(200mL)を加えた。層を分離し、水層をEtOAc(250mL)で抽出した。合わせた有機物を無水MgSO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮してエチル8-クロロ-4-(ジメチルアミノ)-1,7-ナフチリジン-3-カルボキシレートを提供した。LCMS(方法B)Rt=0.96分、m/z=280.0[M+H]+。
【0091】
エチル8-クロロ-4-(ジメチルアミノ)-1,7-ナフチリジン-3-カルボキシレート(3.00g、10.2mmol)、(3,5-ジクロロフェニル)ボロン酸(1.89g、9.68mmol)、Na2CO3(2.12g、20.4mmol)の混合物に、1,4-ジオキサン(50mL)、次いで水(17mL)を加えた。N2ガスを混合物中に5分間バブリングした。次いで、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-Pd(II)・CH2Cl2複合体(380mg、0.51mmol)を加え、反応物を80℃で90分間加熱した。反応物を室温に冷却し、CH2Cl2/水で希釈した。層が分離した。CH2Cl2層を収集し、溶媒を減圧下で除去して粗生成物を提供した。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(0~40% EtOAc:シクロヘキサン)により精製して、エチル8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,7-ナフチリジン-3-カルボキシレートを提供した。LCMS(方法B)Rt=1.52分、m/z=390.0[M+H]+。
【0092】
エチル8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,7-ナフチリジン-3-カルボキシレート(4.46g、9.71mmol)のTHF(95mL)及びMeOH(32mL)溶液に、水(32mL)中の水酸化リチウム(712mg、29.1mmol)を加えた。反応物を50℃に加熱し、4時間撹拌したままにした。この混合物を減圧下で濃縮し、水を加え、水層をEtOAcで洗浄した。水層を2M HClの添加によりpH4に調整し、黄色沈殿が形成し、これを濾過により単離して8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,7-ナフチリジン-3-カルボン酸を提供した。LCMS分析(方法B)Rt=0.78分、m/z=362.0[M+H]+。
【0093】
8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,7-ナフチリジン-3-カルボン酸(0.42g、0.93mmol)のDMF(10mL)中の懸濁液をN2雰囲気下に置き、NEt3(2.9mmol、0.4mL)で処理した。得られた溶液をジフェニルホスホリルアジド(0.41g、1.5mmol、0.325mL)で処理した後、室温で45分間撹拌した。次いで、反応混合物をMeOH(4mL)で処理し、一晩撹拌したままにした。反応混合物を飽和aq.NaHCO3(25mL)の添加によりクエンチし、CH2Cl2(3x20mL)で抽出した。合わせた有機層を濾過し、真空下で濃縮した。メチルN-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,7-ナフチリジン-3-イル]カルバメートを含む残留物を、更に精製することなく、次のステップに持ち込んだ。
【0094】
メチルN-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,7-ナフチリジン-3-イル]カルバメート(1.23g、0.932mmol)の1,4-ジオキサン(10mL)溶液を水(10mL)中の水酸化ナトリウム(2mol/L)で処理し、100℃で2時間加熱した。反応混合物を室温に冷却させ、水(20mL)で希釈し、CH2Cl2(3x20mL)で抽出した。合わせた有機層を濾過し、真空下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(0~25%シクロヘキサン中EtOAc)により精製して、8-(3,5-ジクロロフェニル)-N,N-ジメチル-1,7-ナフチリジン-3,4-ジアミンを提供した。LCMS分析(方法B)Rt=1.29分、m/z=333.0[M+H]+。
【0095】
8-(3,5-ジクロロフェニル)-N,N-ジメチル-1,7-ナフチリジン-3,4-ジアミン(105mg、0.3mmol)及びS-クロマン-4-カルボン酸(0.065g、0.35mmol)の混合物をN2雰囲気下に置き、EtOAc(1.5mL)で処理し、氷上で冷却した。次いで、反応混合物をピリジン(0.075mL、0.918mmol)及びT3P(EtOAc中50重量%;0.608mmol、0.365mL)で処理し、その後、一晩撹拌した。反応混合物を水(20mL)で希釈し、CH2Cl2(3x15mL)で抽出した。合わせた有機層を濾過し、真空下で濃縮した。残留物をMeOHに溶解し、濾過し、分取HPLC((Phenomenex Gemini 5ミクロン30x100mm C-18)(濃水酸化アンモニウム溶液[水2.5L当たり濃水酸化アンモニウム0.5mL]で約pH9に調整したアセトニトリル及び水、30%~100% CH3CN、60mL/分で9分間)により精製して、表題化合物を提供した。LCMS分析(方法B)Rt=1.47分、m/z=493.0[M+H]+。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ[ppm]:10.15(s,1H),8.8(s,1H),8.63(d,J=5.6Hz,1H),8.09(d,J=2Hz,2H),8.00(d,J=2.8Hz,1H),7.72(t,J=2Hz,1H),7.27(d,J=7.6Hz,1H),7.16(m,1H),6.91(m,1H),6.82(d,J=8Hz,1H),4.38(m,1H),4.2(m,1H),4.08(t,J=6Hz,1H),3.04(s,6H),2.25(m,2H).
【0096】
以下の化合物は、実施例4.1の方法論によって同様に調製した:
【0097】
【0098】
実施例5.1
(4S)-N-[4-(3,5-ジクロロフェニル)-8-(ジメチルアミノ)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-イル]クロマン-4-カルボキサミド
【化15】
エチル6-ヒドロキシピリミジン-4-カルボキシレート(5.04g、28.7mmol)のDMF(25mL、323mmol)中の懸濁液に、N
2雰囲気下で1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(dimethlyhydantoin)(3.48g、17.3mmol)を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。反応物を水(200mL)とEtOAc(100mL)の間に分割した。水層を分離し、EtOAc(2x75mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。LCMS(方法B)R
t=0.54分、m/z=203.0[M+H]
+。
【0099】
エチル5-クロロ-6-ヒドロキシ-ピリミジン-4-カルボキシレート(8.74g、28.1mmol)のCH3CN(100mL)中の懸濁液に、室温でN2雰囲気下でDIPEA(6.4mL、36mmol)、次いでオキシ臭化リン(9.44g、31.28mmol)を加えた。得られた混合物を室温で撹拌した。反応物をCH2Cl2(100mL)で希釈し、水(100mL)中にゆっくり注いだ。次いで、この混合物をCH2Cl2(3x100mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。この油をカラムクロマトグラフィー(0~10%シクロヘキサン中EtOAc)により精製して、エチル6-ブロモ-5-クロロ-ピリミジン-4-カルボキシレートを提供した。LCMS(方法B)Rt=0.98分、m/z=265.0[M+H]+。
【0100】
撹拌しているエチル6-ブロモ-5-クロロ-ピリミジン-4-カルボキシレート(4.31g、14.9mmol)及び(3,5-ジクロロフェニル)ボロン酸(2.71g、14.20mmol)の1,4-ジオキサン(55mL)溶液に、N2雰囲気下でK2CO3(8.69g、62.87mmol)、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(732mg、0.63mmol)を加えた。反応物を脱気し、N2雰囲気下に置き、次いで90℃で16時間加熱した。混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、Celite(登録商標)に通した。合わせた有機濾液を真空下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(0~20%シクロヘキサン中EtOAc)により精製して、エチル5-クロロ-6-(3,5-ジクロロフェニル)ピリミジン-4-カルボキシレートを提供した。LCMS(方法A)Rt=1.43分、m/z=331.0[M+H]+。
【0101】
エチル5-クロロ-6-(3,5-ジクロロフェニル)ピリミジン-4-カルボキシレート(2.90g、8.75mmol)のTHF(85mL)及び水(30mL)中の混合物に、室温でN2雰囲気下で水酸化リチウム(624.4mg、25.55mmol)を加えた。得られた混合物を50℃に1時間加熱した。反応物を室温に冷却し、次いで、真空下で濃縮してTHFを除去した。得られた溶液を水(50mL)で希釈し、次いで、2M HClでpH=1まで酸性化し、固体を沈殿させた。沈殿を濾去し、水(25mL)で洗浄した。次いで、沈殿を真空下で50℃で乾燥して5-クロロ-6-(3,5-ジクロロフェニル)ピリミジン-4-カルボン酸を提供した。LCMS(方法A)Rt=0.72分、m/z=303.0[M+H]+。
【0102】
5-クロロ-6-(3,5-ジクロロフェニル)ピリミジン-4-カルボン酸(2.49g、7.82mmol)の塩化チオニル(30mL、411mmol)中の懸濁液を、N2雰囲気下で80℃に加熱した。DMF(0.5mL、6mmol)を加え、反応物は完全に溶解した。次いで、反応物を真空下で濃縮した。残留物をトルエン(20mL)中に取り上げ、共沸させて(3x)5-クロロ-6-(3,5-ジクロロフェニル)ピリミジン-4-カルボニルクロリドを提供し、これを更に精製することなく、次のステップで使用した。
【0103】
5-クロロ-6-(3,5-ジクロロフェニル)ピリミジン-4-カルボニルクロリド(2.65g、7.82mmol)のトルエン(20mL)溶液に、室温でN2雰囲気下でNEt3(2mL、14mmol)、次いでエチル3-(ジメチルアミノ)プロパ-2-エノエート(1.4mL、9.7mmol)を加えた。反応物を室温でN2雰囲気下で撹拌した。反応物をEtOAc(125mL)で希釈し、Celite(登録商標)で濾過した。Celite(登録商標)をEtOAc(125mL)を通して洗浄した。合わせた有機濾液を真空下で濃縮した。残留物をEtOAc(250mL)及び2M HCl(aq、100mL)中に取り上げた。水層を分離し、EtOAc(125mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、エチル2-[5-クロロ-6-(3,5-ジクロロフェニル)ピリミジン-4-カルボニル]-3-(ジメチルアミノ)プロパ-2-エノエートを提供した。LCMS(方法A)Rt=1.24分、m/z=428.0[M+H]+。
【0104】
4-メトキシベンジルアミン(1.20mL、9.09mmol)をエチル2-[5-クロロ-6-(3,5-ジクロロフェニル)ピリミジン-4-カルボニル]-3-(ジメチルアミノ)プロパ-2-エノエート(3.59g、6.29mmol)のジエチルエーテル(25mL)及びEtOH(6mL)溶液に、室温でN2雰囲気下で1時間加えた。反応物を水(150mL)で希釈し、CH2Cl2(4x75mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、エチル2-[5-クロロ-6-(3,5-ジクロロフェニル)ピリミジン-4-カルボニル]-3-[(4-メトキシフェニル)メチルアミノ]プロパ-2-エノエートを提供し、これを更に精製することなく採用した。LCMS(方法A)Rt=1.49分、m/z=520.0[M+H]+。
【0105】
エチル2-[5-クロロ-6-(3,5-ジクロロフェニル)ピリミジン-4-カルボニル]-3-[(4-メトキシフェニル)メチルアミノ]プロパ-2-エノエート(4.4g、5.66mmol)のDMF(15mL、194mmol)溶液に、室温でN2雰囲気下でK2CO3(2.37g、17.1mmol)を加えた。得られた混合物を90℃に24時間加熱した。反応物を室温に冷却し、次いで水(300mL)中に注ぎ、CH2Cl2(3x100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(0~5%CH2Cl2中MeOH)により精製して、エチル4-(3,5-ジクロロフェニル)-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-8-オキソ-ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキシレートを提供した。LCMS(方法A)Rt=1.17分、m/z=484.0[M+H]+。
【0106】
エチル4-(3,5-ジクロロフェニル)-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-8-オキソ-ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキシレート(1.89g、3.70mmol)のCH2Cl2(75mL)及びDMF(0.5mL、6mmol)溶液に、室温でN2雰囲気下で塩化オキサリル(2mL、23.1mmol)をゆっくり加えた。反応物を60℃で1時間、加熱還流した。反応物を室温に冷却し、次いで、飽和aq.NaHCO3(200mL)の添加によりクエンチし、CH2Cl2(3x100mL)で抽出した。合わせた有機層を合わせ、真空下で濃縮して、エチル8-クロロ-4-(3,5-ジクロロフェニル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキシレートを提供した。LCMS(方法A)Rt=1.52分、m/z=382.0[M+H]+。
【0107】
エチル8-クロロ-4-(3,5-ジクロロフェニル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキシレート(1.04g、1.93mmol)のTHF(10mL)中の懸濁液に、室温でN2雰囲気下でTHF中のジメチルアミン(2mL、4mmol、2M)を加えた。反応物を室温で1時間撹拌した。この混合物を飽和aq.NaHCO3(50mL)中に注ぎ、CH2Cl2(3x25mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(0~15%シクロヘキサン中EtOAc)により精製して、エチル4-(3,5-ジクロロフェニル)-8-(ジメチルアミノ)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキシレートを提供した。LCMS(方法B)Rt=1.58分、m/z=391.0[M+H]+。
【0108】
エチル4-(3,5-ジクロロフェニル)-8-(ジメチルアミノ)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキシレート(571mg、1.34mmol)の1,4-ジオキサン(14mL)及び水(4.5mL)中の混合物に、室温でN2雰囲気下で水酸化リチウム(107mg、4.375mmol)を加えた。得られた混合物を80℃に4時間加熱した。この反応物を真空下で濃縮してジオキサンを除去した。残留物を水(20mL)中に取り上げ、2M HCl(aq、2.2mL)で酸性化した。得られた黄色沈殿を濾去し、水(20mL)で洗浄した。次いで、黄色固体を真空下で60℃で乾燥して4-(3,5-ジクロロフェニル)-8-(ジメチルアミノ)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-カルボン酸を提供した。LCMS(方法B)Rt=0.78分、m/z=363[M+H]+。
【0109】
4-(3,5-ジクロロフェニル)-8-(ジメチルアミノ)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-カルボン酸(209mg、0.52mmol)のDMF(5.2mL)溶液に、室温でN2雰囲気下でNEt3(0.22mL、1.6mmol)、次いでジフェニルホスホリルアジド(0.17mL、0.79mmol)を加えた。室温で2時間後、無水MeOH(2.1mL、52mmol)を加え、反応物を室温でN2雰囲気下で一晩撹拌したままにした。
【0110】
反応を飽和aq.NaHCO3(25mL)の添加によりクエンチし、次いで、CH2Cl2(3x50mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、メチルN-[4-(3,5-ジクロロフェニル)-8-(ジメチルアミノ)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-イル]カルバメートを提供した。LCMS(方法B)Rt=1.47分、m/z=392[M+H]+。
【0111】
メチルN-[4-(3,5-ジクロロフェニル)-8-(ジメチルアミノ)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-イル]カルバメート(0.517mmol、0.517mmol)の1,4-ジオキサン(5.2mL)溶液を、室温でN2雰囲気下で水酸化ナトリウム(aq.、2M)で処理した。次いで、この混合物を100℃に加熱した。反応物を室温に冷却し、水(25mL)で希釈し、CH2Cl2(3x50mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(0~25%シクロヘキサン中EtOAc)により精製して4-(3,5-ジクロロフェニル)-N,N-ジメチル-ピリド[3,2-d]ピリミジン-7,8-ジアミンを提供した。LCMS(方法B)Rt=1.41分、m/z=334.0[M+H]+。
【0112】
4-(3,5-ジクロロフェニル)-N,N-ジメチル-ピリド[3,2-d]ピリミジン-7,8-ジアミン(114mg、0.32mmol)及び(4S)-クロマン-4-カルボン酸(69.4mg、0.39mmol)のEtOAc(5mL)中の懸濁液を、氷浴を用いてN2雰囲気下で0℃に冷却した。次いで、ピリジン(0.08mL、1mmol)を反応物に0℃で加え、次いでT3P(EtOAc中50重量%;0.39mL、0.65mmol)を加えた。この反応物を室温にゆっくり温まらせ、一晩撹拌した。反応混合物を水(25mL)で希釈し、CH2Cl2(3x25mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。この油をカラムクロマトグラフィー(0~15%シクロヘキサン中EtOAc)により精製して表題化合物を提供した。LCMS(方法B)Rt=1.61分、m/z=494.0[M+H]+。1H NMR(400MHz,DMSO)δ[ppm]10.15(s,1H),9.32(s,1H),8.93(s,1H),8.29(d,J=1.6Hz,2H),7.84(t,J=2Hz,1H),7.27(d,J=7.2Hz,1H),7.17(t,J=7.2Hz,1H),6.91(t,J=7.2Hz,1H),9.82(d,J=8Hz,1H),4.33-4.41(m,1H),4.16-4.24(m,1H),4.11(t,J=7.2Hz,1H),3.17(s,6H),2.17-2.27(m,2H).
【0113】
以下の化合物は、実施例5.1の方法論によって同様に調製した:
【0114】
【0115】
実施例6.1
(4R)-N-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,5-ナフチリジン-3-イル]クロマン-4-カルボキサミド
【化16】
塩化チオニル(15mL、205mmol)を3,4-ジクロロピリジン-2-カルボン酸(3.96g、20.6mmol)に加え、反応物を80℃で1時間加熱した。反応物を室温に冷却させ、真空下で濃縮して3,4-ジクロロピリジン-2-カルボニルクロリドを提供し、これを更に精製することなく次のステップで使用した。
【0116】
3,4-ジクロロピリジン-2-カルボニルクロリド(20.6mmol、4.76g)のトルエン(50mL)溶液に、NEt3(3.5mL、2.5g)、次いでエチル3-(ジメチルアミノ)プロパ-2-エノエート(3.6mL、25mmol)を加えた。反応物を室温で一晩撹拌した。反応物をCelite(登録商標)で濾過した(EtOAcで洗浄)。濾液を真空下で濃縮し、残留物をEtOAcとaq.1M HCl(各々100mL)の間に分割した。層を分離し、水層をEtOAc(50mL)で抽出した。合わせた有機層を真空下で濃縮して、エチル2-(3,4-ジクロロピリジン-2-カルボニル)-3-(ジメチルアミノ)プロパ-2-エノエートを提供した。LCMS(方法B)Rt=0.88分、m/z=317.0[M+H]+。
【0117】
撹拌しているエチル2-(3,4-ジクロロピリジン-2-カルボニル)-3-(ジメチルアミノ)プロパ-2-エノエート(5.58g、12.7mmol)のジエチルエーテル(50mL)及びEtOH(12mL)溶液に、4-メトキシベンジルアミン(1.9mL、14mmol)を加えた。反応物を室温で2時間撹拌したままにした。この反応混合物を水(100mL)で希釈した。層を分離し、水層をCH2Cl2(3x50mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、エチル2-(3,4-ジクロロピリジン-2-カルボニル)-3-[(4-メトキシフェニル)メチルアミノ]プロパ-2-エノエートを提供した。
【0118】
エチル2-(3,4-ジクロロピリジン-2-カルボニル)-3-[(4-メトキシフェニル)メチルアミノ]プロパ-2-エノエート(5.92g、9.40mmol)をDMF(24mL)に溶解した。K2CO3(4.00g、28.9mmol)を加え、この混合物を90℃で6時間撹拌した。反応物を室温に冷却した。この反応混合物を水(250mL)の添加によりクエンチし、CH2Cl2(100mL)で希釈した。層を分離し、水層をCH2Cl2(2x50mL)で抽出した。合わせた有機層をCelite(登録商標)で濾過し、次いでブライン(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。粗物質をクロマトグラフィー(0~6% CH2Cl2中MeOH)により精製して、エチル8-ヒドロキシ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-4-オキソ-1,5-ナフチリジン-3-カルボキシレートを提供した。
【0119】
エチル8-ヒドロキシ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-4-オキソ-1,5-ナフチリジン-3-カルボキシレート(840mg、1.09mmol)をCH2Cl2(11mL)及びDMF(0.05mL)に溶解した。この混合物に塩化オキサリル(0.48mL、5.5mmol)を加え、この混合物を3時間加熱還流した。次いで、反応混合物を冷却し、飽和aq.NaHCO3溶液(50mL)の添加によりクエンチした。層を分離し、水層をCH2Cl2(2x25mL)で抽出した。合わせた有機層を真空下で減少させて、エチル4,8-ジクロロ-1,5-ナフチリジン-3-カルボキシレートを提供した。
【0120】
エチル4,8-ジクロロ-1,5-ナフチリジン-3-カルボキシレート(950mg、2.21mmol)をTHF(5mL)に溶解した。この溶液に、THF中のジメチルアミン(1.1mL、2.2mmol、2M)を滴加し、この混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残留物をクロマトグラフィー(20~50%シクロヘキサン中EtOAc)により精製して、エチル8-クロロ-4-(ジメチルアミノ)-1,5-ナフチリジン-3-カルボキシレートを提供した。LCMS(方法B)Rt=1.07分、m/z=280.0[M+H]+。
【0121】
エチル8-クロロ-4-(ジメチルアミノ)-1,5-ナフチリジン-3-カルボキシレート(315mg、0.93mmol)を1,4-ジオキサン(3mL)及び水(1mL)に溶解した。この混合物に、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(40mg、0.048mmol)を加え、次いで(3,5-ジクロロフェニル)ボロン酸(215mg、1.13mmol)及びNa2CO3(300mg、2.83mmol)を加えた。混合物にマイクロ波照射を100℃で1時間提供した。粗反応混合物を乾燥するまで減少させ、残留物をカラムクロマトグラフィー(5~40%シクロヘキサン中EtOAc)により精製して、エチル8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,5-ナフチリジン-3-カルボキシレートを提供した。LCMS(方法B)Rt=1.56分、m/z=390.0[M+H]+。
【0122】
撹拌しているエチル8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,5-ナフチリジン-3-カルボキシレート(272mg、0.65mmol)の1,4-ジオキサン(2mL)溶液に、水(2mL)中の水酸化リチウム(32mg、1.34mmol)を加えた。反応物を100℃に一晩加熱した。この反応混合物を冷却した。反応混合物を水(50mL)及びEtOAc(50mL)の添加によりクエンチした。pHを2M HClでpH=4に調整した。層を分離し、水層をEtOAc(2x50mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で減少させて8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,5-ナフチリジン-3-カルボン酸を提供した。LCMS(方法B)Rt=0.82分、m/z=362.0[M+H]+。
【0123】
8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,5-ナフチリジン-3-カルボン酸(282mg、0.71mmol)のDMF(7mL)溶液に、室温でN2雰囲気下でNEt3(3当量、2.12mmol)、次いでジフェニルホスホリルアジド(230μL、1.06mmol)を加えた。この混合物を室温で1時間撹拌した。無水MeOH(2.90mL)を加え、反応物をN2雰囲気下で室温で一晩撹拌したままにした。反応を飽和aq.NaHCO3(25mL)の添加によりクエンチした。有機層を分離し、CH2Cl2(3x50mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、メチルN-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,5-ナフチリジン-3-イル]カルバメートを提供した。LCMS(方法B)Rt=1.43分、m/z=391[M+H]+。
【0124】
メチルN-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-1,5-ナフチリジン-3-イル]カルバメート(0.71mmol)の1,4-ジオキサン(12mL)溶液を、室温でN2雰囲気下で水中の水酸化ナトリウム(10.6mL、21.2mmol、2M)で処理した。この混合物を100℃に90分間加熱した。反応物を水(25mL)で希釈し、CH2Cl2(3x50mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(5~10%シクロヘキサン中EtOAc)により精製して、8-(3,5-ジクロロフェニル)-N4,N4-ジメチル-1,5-ナフチリジン-3,4-ジアミンを提供した。LCMS(方法B)Rt=1.41分、m/z=333[M+H]+。
【0125】
8-(3,5-ジクロロフェニル)-N4,N4-ジメチル-1,5-ナフチリジン-3,4-ジアミン(93.7mg、0.28mmol)及び(S)-クロマン-4-カルボン酸(65.7mg、0.35mmol)のEtOAc(4mL)溶液を、氷浴を用いてN2雰囲気下で0℃に冷却した。ピリジン(0.07mL、0.9mmol)を反応物に0℃で加え、次いでT3P(EtOAc中50重量%;0.34mL、0.57mmol)を加えた。反応物を室温にゆっくり温まらせ、一晩撹拌した。この反応混合物を水(20mL)で希釈し、CH2Cl2(3x15mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(5~15%シクロヘキサン中EtOAc)により精製して、表題化合物を提供した。LCMS(方法B)Rt=1.61分、m/z=493[M+H]+。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ[ppm]:9.97(s,1H),8.92(d,J=4Hz,1H),8.88(s,1H),7.74(m,4H),7.28(d,J=7.6Hz.1H),7.17(td,J=1.6,8.4Hz),1H),6.91(td,J=1.2,7.2Hz,1H),6.82(dd,J=1.2,8Hz,1H),4.35(m,1H),4.20(m,1H),4.10(t,J=5.6Hz,1H),3.12(s,6H),2.26(m,2H).
【0126】
以下の化合物は、実施例6.1の方法論によって同様に調製した:
【0127】
【0128】
実施例7.1
1-[(4S)-クロマン-4-イル]-3-[8-(3,5-ジクロロフェニル)-4-(ジメチルアミノ)-3-キノリル]尿素
【化17】
撹拌している8-ブロモキノリン-4-オール(2.0g、8.82mmol)のプロピオン酸(20mL、265mmol)溶液に、100℃で硝酸(1mL、16mmol)を5分間かけてゆっくり加えた。反応物を125℃に加熱し、45分間撹拌したままにした。次いで、反応物を室温に冷却させ、生成物を沈殿させた。固体を濾過により収集し、水(3x10mL)、iPrOH(10mL)、イソヘキサン(10mL)で洗浄し、次いで真空炉内で1時間乾燥して8-ブロモ-3-ニトロ-キノリン-4-オールを提供した。LCMS(方法B):R
t=0.54分、m/z=269[M+H]
+。
【0129】
8-ブロモ-3-ニトロ-キノリン-4-オール(1.52g、5.37mmol)の溶液に、POCl3(10mL、107mmol)を加えた。この懸濁液を2時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却させ、一晩放置した。反応混合物を真空下で濃縮して(トルエンとの共沸)8-ブロモ-4-クロロ-3-ニトロ-キノリンを提供し、これを更に精製することなく、次のステップで直接使用した。
【0130】
8-ブロモ-4-クロロ-3-ニトロ-キノリン(2.32g、5.38mmol)のTHF(30mL)溶液に、ジメチルアミン(THF中2M、7mL、14mmol)をゆっくり加えた。反応物を室温で1.5時間、撹拌したままにした。反応混合物をEtOAcと飽和aq.NaHCO3(各々50mL)の間に分割した。ブライン(50mL)を加えた。層を分離し、水層をEtOAc(2x50mL)で抽出した。合わせた有機層を真空下で濃縮して、8-ブロモ-N,N-ジメチル-3-ニトロ-キノリン-4-アミンを提供した。LCMS(方法B):Rt=1.13分、m/z=296[M+H]+。
【0131】
8-ブロモ-N,N-ジメチル-3-ニトロ-キノリン-4-アミン(505mg、1.62mmol)の溶液に、(3,5-ジクロロフェニル)ボロン酸(314mg、1.61mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(92mg、0.08mmol)、及びNa2CO3(351mg、3.28mmol)を加えた。バイアルを密封し、次いで排気し、N2雰囲気で3回再充填した。1,4-ジオキサン(9mL)、次いで水(3mL)を加え、反応物をマイクロ波中で100℃に1時間加熱した。反応混合物をEtOAcと飽和aq.NaHCO3(各々50mL)の間に分割した。層を分離し、水層をEtOAc(2x25mL)で抽出した。合わせた有機層を真空下で濃縮し、次いでカラムクロマトグラフィーにより精製して、8-(3,5-ジクロロフェニル)-N,N-ジメチル-3-ニトロ-キノリン-4-アミンを提供した。LCMS(方法B):Rt=1.57分、m/z=362[M+H]+。
【0132】
撹拌している8-(3,5-ジクロロフェニル)-N,N-ジメチル-3-ニトロ-キノリン-4-アミン(401mg、1.05mmol)のTHF(5mL)、EtOH(5mL)及び水(2.5mL)中の懸濁液に、鉄(184mg、3.23mmol)及びNH4Cl(168mg、3.13mmol)を加えた。反応物を75℃に加熱し、45分間撹拌したままにした。反応物を室温に冷却させ、次いで飽和aq.NaHCO3とEtOAc(各々25mL)の間に分割した。この混合物をCelite(登録商標)で濾過し(EtOAcで洗浄)、濾液の層を分離した。水層をEtOAc(2x25mL)で抽出し、合わせた有機層を真空下で濃縮した後、カラムクロマトグラフィーにより精製して、8-(3,5-ジクロロフェニル)-N4,N4-ジメチル-キノリン-3,4-ジアミンを提供した。LCMS(方法B):Rt=1.48分、m/z=363.2[M+H]+。
【0133】
4-ニトロフェニルクロロホルメート(94mg、0.45mmol)のTHF(2mL)溶液に、0℃でN2雰囲気下で、THF(2.5mL)中の8-(3,5-ジクロロフェニル)-N4,N4-ジメチル-キノリン-3,4-ジアミン(151mg、0.43mmol)を2分間かけて滴加した。反応物を0℃で1時間撹拌したままにした。この反応混合物に(4S)-クロマン-4-アミンHCl(90mg、0.47mmol)及びNEt3(179μL、1.27mmol)を加えた。反応物を室温に温まらせ、30分間撹拌した。反応混合物を飽和aq.NaHCO3とCH2Cl2(各々20mL)の間に分割した。層を分離し、水層をCH2Cl2(2x20mL)で抽出した。合わせた有機層を濾過し、真空下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製した。LCMS(方法B)Rt=1.49分、m/z=507[M+H]+。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ[ppm]:9.51(s,1H),7.98(m,1H),7.56(m,4H),7.38(t,J=2Hz,1H),7.31(m,2H),7.18(t,J=8.4Hz,1H),6.91(t,J=7.6Hz,1H),6.83(d,J=8Hz,1H),5.12(q,J=6.8Hz,1H),4.94(d,J=7.2Hz,1H),4.2(m,2H),3.06(s,6H),2.23(m,2H).
【0134】
実施例8.1及び8.2
(4S及び4R)-N-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-1-(ジメチルアミノ)-2-ナフチル]クロマン-4-カルボキサミド
【化18】
撹拌している1-ブロモ-5-ニトロナフタレン(6.0g、23.90mmol)及び3,5-ジクロロフェニルボロン酸(4g、21.05mmol)の1,4-ジオキサン(80mL)-水(26mL)溶液にNa
2CO
3(5.06g、47.73mmol)を加え、反応混合物をN
2を使用して10分間脱気した。Pd(dppf)Cl
2(0.87g、1.19mmol)を加えた後、得られた反応混合物を80℃で45分間撹拌した。反応混合物を水(50mL)を加えることによってクエンチし、EtOAc(2x50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥し、真空下で濃縮した。粗化合物を、エーテル中50% EtOAcで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して、1-(3,5-ジクロロフェニル)-5-ニトロナフタレンを得た。
【0135】
撹拌している1-(3,5-ジクロロフェニル)-5-ニトロナフタレン(5g、15.77mmol)及びNH4Cl(2.6g、48.88mmol)のTHF(70mL)、EtOH(70mL)及び水(35mL)溶液に鉄粉(2.6g、47.31mmol)を加え、反応混合物を75℃で16時間撹拌した。反応混合物をCelite(登録商標)で濾過し、EtOH(30mL)で洗浄した。濾液を濃縮し、次いで飽和aq.NaHCO3溶液(30mL)でクエンチし、EtOAc(3x40mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、真空下で濃縮した。粗化合物をEt2O及びペンタン(1:1)で粉砕して、5-(3,5-ジクロロフェニル)ナフタレン-1-アミンを得た。
【0136】
撹拌している5-(3,5-ジクロロフェニル)ナフタレン-1-アミン(3.3g、11.49mmol)のDMF(10mL)溶液に、NBS(2.04g、11.49mmol)を-5℃で加え、反応混合物を30分間撹拌した。反応混合物を飽和aq.NaHCO3溶液(20mL)を加えることによってクエンチし、CH2Cl2(2x30mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、エーテル中30% EtOAcで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、2-ブロモ-5-(3,5-ジクロロフェニル)ナフタレン-1-アミンを得た。LCMS(方法D)Rt=2.69分、m/z=368.05[M+H]+。
【0137】
撹拌している2-ブロモ-5-(3,5-ジクロロフェニル)ナフタレン-1-アミン(1.6g、4.38mmol)のホルムアルデヒド溶液(水中37%、15mL)及びギ酸(15mL)の溶液を、100℃で1時間撹拌した。反応を、飽和aq.NaHCO3溶液(2x20mL)を0℃で加えることによってクエンチし、CH2Cl2(3x20mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、Et2O中30% EtOAcで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して、2-ブロモ-5-(3,5-ジクロロフェニル)-N,N-ジメチルナフタレン-1-アミンを得た。LCMS(方法D)Rt=3.76分、m/z=394.09[M+H]+。
【0138】
撹拌している2-ブロモ-5-(3,5-ジクロロフェニル)-N,N-ジメチルナフタレン-1-アミン(1.2g、3.06mmol)のトルエン(25mL)溶液に、tert-ブチルカルバメート(537mg、4.59mmol)、炭酸セシウム(5.23g、9.18mmol)を加え、N2を使用して10分間脱気した。Pd2(dba)3(0.248g、0.15mmol)及びXantphos(0.162g、0.15mmol)を連続して加え、得られた反応混合物を110℃で16時間撹拌した。反応混合物を水(10mL)を加えることによってクエンチし、EtOAc(3x20mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、エーテル中50% EtOAcで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル(5-(3,5-ジクロロフェニル)-1-(ジメチルアミノ)ナフタレン-2-イル)カルバメートを得た。LCMS(方法D)Rt=3.06分、m/z=431[M+H]+。
【0139】
撹拌しているtert-ブチル(5-(3,5-ジクロロフェニル)-1-(ジメチルアミノ)ナフタレン-2-イル)-カルバメート(0.56g、1.30mmol)のEtOH(5mL)溶液に、EtOH(5mL)中5M HClを室温で加え、50℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、次いで減圧下で濃縮した。粗化合物をジエチルエーテル及びペンタン(1:1)で粉砕することにより精製した。LCMS(方法D)Rt=2.7分;m/z=331.21[M+H]+。
【0140】
撹拌している5-(3,5-ジクロロフェニル)-N1,N1-ジメチルナフタレン-1,2-ジアミンHCl(0.44g、1.34mmol)、(S)-クロマン-4-カルボン酸(0.2g、1.12mmol)のCH2Cl2(2mL)溶液に、DIPEA(0.6mL、3.37mmol)及びT3P(EtOAc中50重量%、0.5mL、1.68mmol)を0℃で加えた。得られた反応混合物を50℃で24時間撹拌した。反応混合物を水(5mL)の添加によりクエンチし、CH2Cl2(3x10mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物をSFC:Chiralpak IC(30x250mm)、5μ % CO2:65%共溶媒:35%(MeOH)総流量:100g/分 背圧:100bar 温度:35℃ UV:260nm)により精製して、表題化合物を提供した。LCMS(方法D)Rt=3.83;m/z=491.0[M+H]+。1H NMR(400MHz,DMSO)δ[ppm]:9.63(s,1H),8.26(d,J=9.2Hz,1H),8.02(d,J=8.4Hz,1H),7.72(t,J=2Hz,1H),7.49-7.59(m,4H),7.33-7.38(m,2H),7.26(td,J=1.2,8Hz,1H),6.99(t,J=7.6Hz,1H),6.88(d,J=8.4Hz,1H),4.05-4.25(m,3H),2.79(s,6H),2.33-2.37(m,1H),2.07-2.18(m,1H).
【0141】
表の化合物についての実験の詳細:
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
本発明の式(I)の化合物は、内部寄生線虫及び吸虫が哺乳動物及び家禽の重篤な疾患の原因であり得る、特に蠕虫の処置及び/又は制御に有用である。この適応症の典型的な線虫は:糸状虫科(Filariidae)、セタリア科(Setariidae)、捻転胃虫属(Haemonchus)、トリコストロンギルス属(Trichostrongylus)、オステルタジア属(Ostertagia)、ネマトジルス属(Nematodirus)、クーペリア属(Cooperia)、カイチュウ属(Ascaris)、ブノストヌム属(Bunostonum)、腸結節虫属(Oesophagostonum)、シャルベルティア属(Charbertia)、鞭虫属(Trichuris)、円虫属(Strongylus)、トリコネマ属(Trichonema)、ディクチオカウルス属(Dictyocaulus)、毛細線虫属(Capillaria)、ヘテラキス属(Heterakis)、トキソカラ属(Toxocara)、アスカリディア属(Ascaridia)、ギョウ虫属(Oxyuris)、鉤虫属(Ancylostoma)、ウンシナリア属(Uncinaria)、イヌ回虫属(Toxascaris)及びウマ回虫属(Parascaris)である。吸虫には、特に、ファスキオリデアエ科(Fasciolideae)、特にファスシオラ・ヘパティカ(Fasciola hepatica)が含まれる。
【0146】
ネマトジルス属(Nematodirus)、クーペリア属(Cooperia)及び腸結節虫属(Oesophagostonum)の種の特定の寄生虫は、宿主動物の異腸管に寄生するが、その他のヘモンクス属(Haemonchus)及びオステルタジア属(Ostertagia)の種は胃に寄生し、ディクチオカウルス属(Dictyocaulus)の種のものは、肺組織に寄生する。科の寄生虫は、内部細胞組織内、並びに例えば心臓、血管、リンパ管、及び皮下組織などの器官内に見出すことができる。特に注目すべき寄生虫は、犬の犬糸状虫、ジロフィラリア・インミティス(Dirofilaria iminitis)である。
【0147】
式(I)の化合物によって処置及び/又は制御することができる寄生虫には、条虫(Cestoda)(サナダムシ)の綱のもの、例えばメソセストイダエ(Mesocestoidae)科、特にメソセストイデス(Mesocestoides)属のもの、特にM.リネアツス(M.lineatus);ジピリジイダエ(Dipylidiidae)、特にジピリジウム・カニヌム(Dipylidium caninum)、ジョイエウキシエラ種(Joyeuxiella spp.)、特にジョイエウキシエラ・パスカリ(Joyeuxiella pasquali)、及びジプロピリジウム種(Diplopylidium spp.)、及びテニア科(Taeniidae)、特にテニア・ピスフォルミス(Taenia pisformis)、テニア・セルビ(Taenia cervi)、テニア・オビス(Taenia ovis)、テニア・ヒダチゲナ(Taeneia hydatigena)、テニア・ムルチセプス(Taenia multiceps)、テニア・タエニアフォルミス(Taenia taeniaeformis)、テニア・セリアリス(Taenia serialis)、及びエキノコックス種(Echinococcus spp.)、最も特にはテニア・ヒダチゲナ(Taneia hydatigena)、テニア・オビス(Taenia ovis)、テニア・ムルチセプス(Taenia multiceps)、テニア・セリアリス(Taenia serialis);単包条虫(Echinococcus granulosus)及び多包条虫(Echinococcus multilocularis)も含まれる。
【0148】
更に、式(I)の化合物は、ヒト病原性寄生虫の処置及び/又は制御に適切である。このうち、消化管内に現れる代表的なものは、アンシロストーマ(Ancylostoma)、ネカトール(Necator)、アスカリス(Ascaris)、ストロンギロイデス(Strongyloides)、トリキネラ(Trichinella)、キャピラリア(Capillaria)、トリチュリス(Trichuris)及びエンテロビウス(Enterobius)属のものである。本発明の化合物はまた、ドラクンクルス(Dracunculus)科からのウケレリア(Wuchereria)、ブルギア(Brugia)、オンコセルカ(Onchocerca)及びロア(Loa)属の寄生虫、並びに、特に胃腸管に感染するストロンギロイデス(Strongyloides)及びトリキネラ(Trichinella)属の寄生虫にも対抗する。
【0149】
本発明の化合物によって処置及び/又は制御される特定の寄生虫は、犬糸状虫(Dirofilaria immitis)である。そのような処置のための特定の対象は、犬及び猫である。
【0150】
本発明の化合物は、単独で、又は組成物の形態で投与することができる。実際には、本発明の化合物は、通常、組成物の形態で、即ち、少なくとも1つの許容可能な賦形剤との混合物で投与される。任意の許容可能な賦形剤の割合及び性質は、本発明の選択された化合物の特性、選択された投与経路、並びに獣医学及び医薬分野におけるような標準的実践によって決定される。
【0151】
一実施形態において、本発明は:本発明の化合物及び少なくとも1つの許容可能な賦形剤を含む組成物を提供する。
【0152】
このような処置及び/又は制御を行う際に、本発明の化合物は、化合物を生物学的に利用可能にする任意の形態及び経路で投与され得る。本発明の化合物は、経口、特に錠剤及びカプセル剤を含む多様な経路によって投与することができる。本発明の化合物は、非経口経路、より詳細には、吸入、皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、経皮、経鼻、直腸、膣、眼、局所、舌下、及び口腔、腹腔内、脂肪内、髄腔内、及び例えばカテーテル又はステントによる局所送達を介して投与することができる。
【0153】
当業者は、選択される化合物の特定の特徴、処置される障害又は状態、障害又は状態の段階、及び他の関連する状況に応じて、適切な形態及び投与経路を容易に選択することができる。本発明の医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、カシェ剤、紙、ロゼンジ、ウエハース、エリキシル、軟膏、経皮パッチ、エアロゾル、吸入剤、坐剤、ドレンチ、溶液、及び懸濁液の形態で対象に投与され得る。
【0154】
用語「許容可能な賦形剤」は、獣医学的及び医薬組成物を調製する際に典型的に使用されるものを指し、使用される量で純粋且つ無毒であるべきである。それらは、一般に、集合体で活性成分のためのビヒクル又は媒体として働くことができる固体、半固体、又は液体材料である。許容可能な賦形剤のいくつかの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences and the Handbook of Pharmaceutical Excipientsに見出され、希釈剤、ビヒクル、担体、軟膏基剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤、甘味剤、香味剤、ゲル基剤、徐放性マトリクス、安定化剤、保存剤、溶媒、懸濁化剤、緩衝剤、乳化剤、染料、噴射剤、コーティング剤、及びその他を含む。
【0155】
一実施形態では、組成物は、経口投与に適合した錠剤又はカプセル剤又は液体製剤、例えば溶液又は懸濁液など、経口投与に適合する。一実施形態では、組成物は、経口投与に適合したチュアブル製剤など、経口投与に適合する。更に別の実施形態では、組成物は、非経口投与に適合した液体又は半固体製剤、例えば、溶液又は懸濁液又はペーストである。
【0156】
線虫/蠕虫の処置及び/又は制御において対象に使用するための特定の組成物は、溶液;古典的なエマルジョン、マイクロエマルジョン及び自己乳化組成物(これは、対象の身体に添加すると体液と一緒にエマルジョンを形成する、水なし有機組成物、好ましくは油性組成物である)を含むエマルジョン;懸濁液(ドレンチ);注ぎ込み製剤;食品添加物;粉末;発泡性錠剤を含む錠剤;巨塊剤;マイクロカプセルを含むカプセル剤;並びにチュアブルトリートを含む。特に、組成物形態は、錠剤、カプセル剤、食品添加物又はチュアブルトリートである。
【0157】
本発明の組成物は、獣医学及び医薬技術分野で周知の方法で調製され、活性成分として本発明の化合物の少なくとも1つを含む。本発明の化合物の量は、その特定の形態に応じて変化させることができ、都合よくは単位剤形の1%~約50%であり得る。本医薬組成物は、好ましくは単位剤形に処方され、各用量は、典型的には約0.5mg~約100mgの本発明の化合物を含有する。処置投与量に影響を及ぼすために、1つ以上の単位剤形をとることができる。
【0158】
一実施形態において、本発明はまた、寄生虫を処置するための方法を提供し、当該方法は:有効量の式(I)の化合物又はその塩を、それを必要とする対象に投与することを含み、本方法は、場合により、有効量の少なくとも1つの追加の活性化合物を更に含む。
【0159】
一実施形態において、本発明はまた、寄生虫を制御するための方法を提供し、当該方法は:有効量の式(I)の化合物又はその塩を、それを必要とする対象に投与することを含み、本方法は、場合により、有効量の少なくとも1つの追加の活性化合物を更に含む。
【0160】
一実施形態において、本発明はまた、寄生虫を処置又は制御するための方法を提供し、当該方法は:対象の環境を有効量の式(I)の化合物又はその塩と接触させることを含み、本方法は、場合により、有効量の少なくとも1つの追加の活性化合物を更に含む。
【0161】
したがって、本発明は、医薬の製造のためを含む、医薬としての本発明の化合物の使用を提供する。一実施形態において、本発明は、寄生虫を処置するための式(I)の化合物又はその塩を含む医薬の製造を提供する。一実施形態において、本発明は、寄生虫を制御するための、本発明の化合物又はその塩を含む医薬の製造を提供する。
【0162】
用語「処置する」、「処置すること」、「処置した」、又は「処置」は、限定するものではないが、既存の症状の進行若しくは重症度を抑制する、遅延させる、停止させる、減少させる、改善する、逆転させる、又は障害、状態、若しくは疾患を予防することを含む。例えば、成体の犬糸状虫感染は、本発明の化合物を投与することによって処置される。処置は、治療的に適用又は投与することができる。
【0163】
用語「制御する」、「制御している」、又は「制御される」は、症状、障害、状態、又は疾患のリスクを低下させる、減少させる、又は改善すること、及び症状、障害、状態、又は疾患から動物を保護することを含むことに言及する。制御は、治療的、予防的(prophylactic)、又は予防的(preventative)投与を指すことができる。幼虫又は未成熟の犬糸状虫感染は無症候性であり、成熟した寄生虫による感染は症候性及び/又は衰弱性であることはよく理解されている。したがって、例えば、犬糸状虫感染は、幼虫又は未成熟な寄生虫に作用して、感染が成熟した寄生虫による感染に進行するのを防ぐことによって制御されるであろう。
【0164】
したがって、内部寄生線虫及び吸虫である寄生虫、特に蠕虫の処置及び/又は制御における本発明の化合物の使用は、罹患率又は死亡率を含む症状を対象が発現しているかどうかにかかわらず、及び寄生虫チャレンジの段階とは独立して、その生活環全体にわたって様々な形態の寄生虫に作用するための本発明の化合物の使用を指す。
【0165】
本明細書中で使用される場合、「対象に投与する」は、皮膚、皮下、筋肉内、粘膜、粘膜下、経皮、経口又は鼻腔内投与を含むが、これらに限定されない。投与は、注射又は局所投与を含み得る。
【0166】
用語「対象」及び「患者」は、ヒト及びイヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、フェレット、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、及びブタなどの非ヒト哺乳動物を含むことに言及する。より特定の対象は、ヒトであることが理解される。また、より特定の対象は、哺乳動物のペット又はコンパニオン動物、例えば、イヌ及びネコ、並びにマウス、モルモット、フェレット、及びウサギである。
【0167】
用語「有効量」は、対象に所望の利益を与え、処置及び制御の両方のための投与を含む量を指す。この量は、個々の対象ごとに異なり、対象の全体的な身体状態及び処置されるべき状態の根本的な原因の重篤度、付随する処置、並びに有益なレベルで所望の応答を維持するために使用される本発明の化合物の量を含む、多くの因子に依存するであろう。
【0168】
有効量は、当業者のように、既知の技術の使用によって、及び類似の状況下で得られた結果を観察することによって、担当の診断医によって容易に決定され得る。有効量、用量を決定する際には、多くの因子が担当の診断医によって考慮され、それらには;患者の種;その大きさ、年齢、及び全身の健康状態;関与する特定の状態、障害、感染、又は疾患;状態、障害、又は疾患の程度又は重篤度、個々の患者の反応;投与される特定の化合物;投与モード;投与される製剤のバイオアベイラビリティ特性;選択された投与レジメン;併用薬の使用;及び他の関連する状況が含まれるが、これらに限定されない。本発明の有効量、処置投与量は、0.5mg~100mgの範囲であると予想される。特定の量は、当業者によって決定され得る。これらの投与量は、約1kg~約20kgの質量を有する対象に基づくが、診断医は、その質量がこの体重範囲外にある対象について適切な用量を決定することができるであろう。本発明の有効量、処置投与量は、対象の0.1mg~10mg/kgの範囲であると予想される。投与レジメンは、連日投与、週1回投与、又は月1回投与が予想される。
【0169】
本発明の化合物は、当該化合物が指示される寄生虫の処置を含む、1つ以上の障害、疾患又は状態の処置のために、1つ以上の他の活性化合物又は処置と組み合わせることができる。本発明の化合物は、寄生虫及び他の障害を処置するための1つ以上の化合物又は処置と組み合わせて、同時に、連続して、又は別々に投与され得る。
【0170】
例えば、寄生虫(犬糸状虫を含む)を処置するために使用される場合、本発明の化合物は、大環状ラクトン(例えば、イベルメクチン、モキシデクチン、又はミルベマイシンオキシム)、又はイミダクロプリドと組み合わせられ得る。寄生虫を処置するための特定の組み合わせには、本発明の化合物及びイベルメクチンが含まれる。寄生虫を処置するための別の特定の組み合わせには、本発明の化合物及びミルベマイシンオキシムが含まれる。
【0171】
したがって、本発明の組成物及び方法は、有効量の少なくとも1つの追加の活性化合物を場合により含むことが理解される。
【0172】
寄生虫駆除剤としての化合物の活性は、インビトロ及びインビボ方法を含む多様な方法によって決定することができる。
【0173】
実施例A
犬糸状虫ミクロフィラリア
D.インミチス(D.immitis)ミクロフィラリアを、ビーグルの感染ドナーの血液から濾過によって単離し、適切な培地中でインキュベートする。試験化合物をDMSOで希釈し、寄生虫を含有する96ウェルプレートに添加する。プレートを所望の時間インキュベートし、LCDカメライメージングシステムを用いて運動性を評価する。血清の効果を、アッセイにおいて20%までのウシ胎仔血清の添加によって試験する。パーセント運動性阻害値を、DMSOのみのウェルの平均に対して生成する。
【0174】
例えばこの試験では、調製例からの以下の化合物は、EC50<0.1μg/mLを示した:1.1、1.3、1.4、1.6、1.7、1.9、1.11、1.12、6.2、及び6.3。
【0175】
実施例B
反芻動物胃腸(H.コントーツス(H.contortus)(H.c.)):
ヒツジの糞便から分離したH.c.の卵を一晩孵化させる。試験化合物をDMSOで希釈し、適切な培地を含む96ウェルプレートに添加する。H.c.幼虫を各ウェルに添加し、プレートを所望の時間インキュベートする。LCDカメライメージングシステムを用いて運動性を評価する。パーセント運動性阻害値を、DMSOのみのウェルの平均に対して生成する。
【0176】
例えばこの試験では、調製例からの以下の化合物は、EC50<1μg/mLを示した:1.1、1.4、1.6、1.9、1.11、1.12、4.2、6.1、6.2、6.3、及び7.1。
【0177】
実施例C
胃腸線虫
スナネズミ(jird)(メリオネス・ウングイクラツス(Meriones unguiculatus))を、T.コルブリホルミス(T.colubriformis)及びH.コントーツス(H.contortus)の各々の3齢幼虫を強制経口投与することにより人工的に感染させる。次いで、例えばDMSO/PEG 2/1中に処方した試験化合物で、感染後6日目に1×3mg/kg~1×32mg/kgの範囲の用量で経口的に処置する。処置の3日後、スナネズミ(gerbil)を安楽死させ、解剖して胃からH.コントーツス(H.contortus)、小腸からT.コルブリホルミス(T.colubriformis)を回収する。有効性は、Abbotの公式を用いて、プラセボ処置群と比較した虫数の%減少として表される。
【0178】
実施例1.1の化合物は、Hc及びTcに対して>80%有効であった。実施例1.4及び1.11の化合物は、Hcに対して>80%有効であった。
【0179】
実施例D
フィラリア線虫
Avモデル:感染性A.ビテアエ(A.viteae)幼虫を皮下注射したスナネズミを、続いて、例えばDMSO/PEG 2/1中に処方した試験物質で、1×3mg/kg~5×32mg/kgの範囲の用量(1日1用量、連続5日間)で強制経口投与することにより処置した。感染12週後の剖検において、有効性は、Abbotの式を用いて、プラセボ処置群と比較した虫数の%減少として表される。
【0180】
実施例1.1、1.4、及び1.11の化合物は、Avに対して>80%の有効性を示した。
【0181】
実施例E
L.s.モデル
感染性L.シグモドンティス(L.sigmodontis)幼虫を皮下注射したマウスを、続いて、例えばDMSO/PEG 2/1中に処方した試験物質で、1×3mg/kg~5×32mg/kgの範囲の用量(1日1用量、連続5日間)で強制経口投与することにより処置した。感染5週後の剖検において、Abbotの式を用いて、発育した幼虫対未処置動物を数えることにより有効性を算出する。
【0182】
実施例1.4の化合物は、Lsに対して>80%の有効性を示した。
【国際調査報告】