(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】鉄およびリチウムヒドロキシスルフィドをベースとする負極活物質
(51)【国際特許分類】
H01M 4/58 20100101AFI20220202BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
H01M4/58
H01M4/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535114
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2019085857
(87)【国際公開番号】W WO2020127427
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】13-15 Quai Alphonse Le Gallo 92100 Boulogne-Billancourt,France
(71)【出願人】
【識別番号】510021203
【氏名又は名称】サントル・ナショナル・ド・ラ・ルシェルシェ・シアンティフィーク(セーエヌエールエス)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE(CNRS)
(71)【出願人】
【識別番号】519069589
【氏名又は名称】エコール・ナシオナル・スーぺリウール・ドゥ・シミ・ドゥ・パリ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】バルブー, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】チャキール, モハメド
(72)【発明者】
【氏名】ギアメ, ドミティーユ
(72)【発明者】
【氏名】ミール, カロリーヌ
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA07
5H050BA17
5H050CB01
5H050DA10
5H050EA02
5H050EA08
5H050EA09
5H050GA02
5H050GA10
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA14
(57)【要約】
本発明は、以下の式(I):Li1-xOHFe1+xS (I)[式中、xは0.00から0.25まで、好ましくは0.05から0.20まで変動する]を有する、リチウムイオン電池のための負極活物質に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
Li
1-xOHFe
1+xS (I)
[式中、xは0.00から0.25まで、好ましくは0.05から0.20まで変動する]
を有する、リチウムイオン電池のための負極活物質。
【請求項2】
xが0.05に等しいことを特徴とする、請求項1に記載の活物質。
【請求項3】
請求項1または2に記載の活物質を作る方法であって、以下の工程:
(a)LiOHの水溶液中に、鉄および硫黄を2~6モル/L、好ましくは4~6モル/Lの範囲の濃度で添加する工程と;
(b)工程(a)の完了時に得られた混合物を、130~190℃の範囲の温度に加熱する工程と;
(c)前記活物質を回収する工程と
を含む、方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の少なくとも1種の活物質を含む、負極。
【請求項5】
少なくとも1種の導電性化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の負極。
【請求項6】
導電性化合物が、金属粒子、炭素、およびこれらの混合物から選択され、好ましくは炭素であることを特徴とする、請求項5に記載の負極。
【請求項7】
炭素が、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノワイヤー、カーボンナノチューブ、カーボンナノスフィア、好ましくはカーボンブラックの形態にあることを特徴とする、請求項6に記載の負極。
【請求項8】
活物質の含有量が、負極の全重量に対して50から97重量%まで、好ましくは70から97重量%まで、より好ましくは80から97重量%まで変動することを特徴とする、請求項4から7のいずれか一項に記載の負極。
【請求項9】
導電性化合物の含有量が、負極の全重量に対して3から30重量%まで、好ましくは3から20重量%まで変動することを特徴とする、請求項4から8のいずれか一項に記載の負極。
【請求項10】
請求項4から9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの負極を含む、リチウムイオン電池。
【請求項11】
以下の式(I):
Li
1-xOHFe
1+xS (I)
[式中、xは0.00から0.25まで、好ましくは0.05から0.20まで変動する]
を有する材料の、リチウムイオン電池のための負極活物質としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン(Li-イオン)充電式電池の一般分野に関する。本発明は、より詳細には、Li-イオン電池のための負極材およびそれらが含まれる負極に関する。本発明はまた、活性電極材料を作るための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
慣習的に、Li-イオン電池は、1つまたは複数の正極、1つまたは複数の負極、電解質、およびセパレータを含む。
【0003】
加えて、Li-イオン電池は、特に電気的移動性と関係する用途での、自律的動力源としてますます使用されている。この傾向は、従来のニッケル-カドミウム(Ni-Cd)電池およびニッケル水素(Ni-MH)電池より著しく大きい、質量および体積の観点からのエネルギー密度、メモリー効果の非存在、他の電池と比較して最低限の自己放電、ならびにこの技術に関連した1キロワット時当たりのコストの低下によっても説明される。
【0004】
Li-イオン電池は、充電および放電プロセス中のリチウムイオンの挿入および脱挿入を可能にする、電極活物質を含む。これらの挿入および脱挿入は、電池が複数のサイクルにわたってエネルギーを貯蔵することができるように、可逆的でなければならない。
【0005】
構造内でのリチウムイオンの良好な移動性および電極材料の良好な電気伝導度は、高い充電および放電速度でこれらの電池を使用できるようにし、従って高い電気出力(electrical power)を可能にするのに必須の性質である。電池の比出力は、同じ量の力に対してより軽量の電池を使用できるようにするか、またはより確かな条件下で電池を使用できるようにするので、自動車用途にとって重要な側面である。
【0006】
1970年代の終わりに、硫化物系電極材料が開発された。硫化物の強い共有結合が、それらにリチウムイオンの良好な移動性および良好な電子移動性を与え、従って良好な電気伝導度を確実にすると想定された。多くの遷移金属硫化物(MOS2、TiS2)は、間にリチウムが素早く大量に拡散することができる箔(foil)を備える層状構造を有し、従って、化合物に良好な容量(mAhとして表現される、電極質量の単位当たり挿入され得るリチウムイオンまたは電荷の数)を与える。
【0007】
しかしながら、硫化物の欠点は硫黄の質量に関係する。加えて、リチウムの挿入-脱挿入中に大きく変形する、これらの化合物の(機械的な意味での)軟らかい性質は、しばしば、電池の機械的経時変化および膨潤をもたらす。さらに、これらの化合物はリチウムがなく、金属リチウムまたは低電位を有するリチオ化化合物(lithiated compound)とともに電池を製造しなければならず、しばしば空気中で非常に不安定(すなわち、LiC6)である。
【0008】
従って1980年代の初めに、すでにリチウムを含有する酸化物が、硫化物の代替として提案された。これらの化合物が今、現行の電池で通常使用されている。主要な化合物は、層状酸化物、例えば、LiCoO2、LCO、スピネル構造(例えば、LiM2O4、LMO)およびオリビン構造(LiFePO4、LFP)に由来する三次元酸化物である。
【0009】
これらの前もってリチオ化された酸化物の観点からすると、負極活物質は、リチウムに関して低い挿入電位を有し、リチウムを挿入できる必要がある。最も広く知られているのは黒鉛であるが、他の通常使用される材料の中で、「Ti-based compounds as anode materials for Li-ion batteries」,Zhu,G.N.,Wang,Y.G.,Xia,Y.Y.,Energy & Environmental Science,5(5),6652~6667,2012に言及されているように、175mAh/gの理論容量および1.5Vの酸化還元電位を有する、酸化物Li4Ti5O12(LTO)に言及しよう。この活物質は、サイクリングを通して高い安定性を有し、それが、黒鉛と比較して限られたエネルギー密度にもかかわらず、活物質を魅力的にしている。さらに、それは、最初は絶縁特性を有し、導電性化合物を負極に添加することを義務付けている。
【発明の概要】
【0010】
結果的に、酸化物LTOの使用に関連して上で言及した欠点を克服できるようにする、新しい負極活物質を開発する必要性が存在する。
【0011】
リチウムおよび鉄ヒドロキシスルフィドをベースとする特定の負極活物質が、改善された容量および改善された導電性を生じさせることが発見された。
【0012】
このため、本発明は以下の式:
Li1-xOHFe1+xS (I)
[式中、xは0.00から0.25まで、好ましくは0.05から0.20まで変動する]
を有する、リチウムイオン電池のための負極活物質に関する。
【0013】
本発明は、さらに、本発明による活物質を調製するための方法に関する。本発明はまた、本発明による活物質を含む負極に関する。本発明はまた、少なくとも1つの本発明による負極を含む、Li-イオン電池に関する。
【0014】
本発明の他の利点および特徴は、詳細な記述および添付の図から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】Li-イオン電池の半電池の電位を、容量として表現される電気化学的に挿入されたリチウムの量の関数として示すグラフである。
【
図2】Li-イオン電池の半電池の容量を、サイクル数の関数として示すグラフである。
【
図3】Li-イオン電池の半電池の電位を、容量として表現される電気化学的に挿入されたリチウムの量の関数として示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の明細書中で使用される「...~...(...から...まで)」という表現は、各示される端点を含むと理解しなければならないことを明記する。
【0017】
本発明によるリチウムイオン電池のための負極活物質の(合成後の)初期組成は、上で言及した式(I)を満たす。
【0018】
好ましくは、xは0.05に等しい。その結果、活性電極材料は、式Li0.95OHFe1.05Sを満たす。
【0019】
有利には、本発明による活物質は、0.5~3μmの範囲の横寸法、および90~110nmの範囲の厚さを有するプレートの形態で存在する。
【0020】
本発明はまた、本発明による活物質を調製する方法であって、以下の工程:
(a)LiOHの水溶液中に、鉄および硫黄を2~6モル/L、好ましくは4~6モル/Lの範囲の濃度で添加する工程と;
(b)工程(a)の完了時に得られた混合物を、130~190℃の範囲の温度に加熱する工程と;
(c)前記活物質を回収する工程と
を含む、方法に関する。
【0021】
有利には、鉄は、鉄粉末の形態にある。
【0022】
リチウムの量が飽和濃度(20℃で約5モル/L)を越える場合、水酸化物の一部は固体である。
【0023】
好ましい実施形態によれば、工程(b)に冷却、ろ過、および乾燥の工程が続く。次に、乾燥の後、結果として得られた生成物は粉砕され得る。
【0024】
本発明は、さらに、本発明による活物質を含む負極に関する。
【0025】
好ましくは、本発明による負極は、少なくとも1種の導電性化合物をさらに含む。従って、この実施形態では、本発明による電極は、本発明による活物質および少なくとも1種の導電性化合物を含むことができる。
【0026】
特定の実施形態によれば、導電性化合物は、金属粒子、炭素、およびこれらの混合物の中から選択され、好ましくは炭素である。
【0027】
炭素は、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノワイヤー、カーボンナノチューブ、カーボンナノスフィア、好ましくはカーボンブラックの形態にあり得る。
【0028】
特に本発明による負極は、有利には、Timcalによって販売されるSuperC65(登録商標)カーボンブラックを含む。
【0029】
好ましくは、本発明による活物質の含有量は、負極の全重量に対して50から97重量%まで、好ましくは70から97重量%まで、より好ましくは80から97重量%まで変動する。
【0030】
有利には、導電性化合物の含有量は、負極の全重量に対して3から30重量%まで、好ましくは3から20重量%まで変動する。
【0031】
特に好ましい実施形態によれば、負極の全重量に対して、活物質の含有量は70から97重量%まで変動し、導電性化合物の含有量は3から30重量%まで変動する。
【0032】
本発明はまた、本発明による活物質を含む負極、正極、セパレータ、および電解質を含む、Li-イオン電池セルに関し得る。
【0033】
好ましくは、電池セルは、電気絶縁体として機能する、電極間に局所化されたセパレータを含む。いくつかの材料が、セパレータとして使用され得る。セパレータは、一般に多孔質ポリマー、好ましくはポリエチレンおよび/またはポリプロピレンから構成される。それらは、ガラスマイクロファイバーで作ることもできる。
【0034】
有利には、使用されるセパレータは、Whatmanにより販売されるガラスマイクロファイバー、CAT No.1823-070(登録商標)で作られたセパレータである。
【0035】
好ましくは、前記電解質は液体である。
【0036】
この電解質は、1種または複数のリチウム塩および1種または複数の溶媒を含み得る。
【0037】
リチウム塩(単数または複数)は、一般に不活性アニオンを含む。適切なリチウム塩は、リチウムビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド(LiN(CF3SO2)2)、リチウムトリフルオロメタンスルホネート(LiCF3SO3)、リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロ(オキソラト)ボレート(LiDFOB)、リチウムビス(ペルフルオロエチルスルホニル)イミド(LiN(CF3CF2SO2)2)、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiI、LiCH3SO3、LiB(C2O4)2、LiN(RFSO2)2、LiC(RFSO2)3[式中、RFは、フッ素原子、および1~8個の炭素原子を含むペルフルオロアルキル基から選択される基である]から選択され得る。
【0038】
リチウム塩(単数または複数)は、好ましくは、極性非プロトン性溶媒、例えば、エチレンカーボネート(「EC」と記)、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(「DEC」と記)、メチルカーボネートおよびエチルカーボネート、1,3-ジオキソラン、ならびにジメトキシエタンから選択される1種または複数の溶媒、ならびにこれら様々な溶媒のすべての混合物に溶解される。
【0039】
有利には、電解質は、1Mのリチウム塩LiPF6とともに、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの等容量混合物を含む。
【0040】
本発明の1つの目的は、本発明による少なくとも1つの負極を含むLi-イオン電池でもある。
【0041】
本発明はまた、以下の式(I):
Li1-xOHFe1+xS (I)
[式中、xは0.00から0.25まで、好ましくは0.05から0.20まで変動する]
を有する材料の、リチウムイオン電池のための負極活物質としての使用に関する。
【0042】
特に好ましくは、xは0.05に等しい。
【0043】
本発明を、以下の実施例によって、非限定的に説明する。
【実施例】
【0044】
I.電気化学的半電池の調製
1.活物質の合成
活物質Li0.95OHFe1.05Sの合成
1.117gの鉄粉末および0.64gの硫黄を、30mlのLiOH溶液中に添加する(濃度は6モル/Lに等しい)。この組合せを40mLオートクレーブに入れ、密閉された容器中で圧力に耐えて、撹拌せずに160℃に14時間加熱する。冷却後、黒色沈殿物が観察され、次にろ過して、乾燥窒素雰囲気で90℃において4時間乾燥する。この乾燥の後、生成物を粉砕し、微粉を得る(収率は約80重量%である)。
【0045】
2.活物質電極(負極)の調製
材料から、それぞれEN-AおよびEN-Bと呼ぶ、2つの活物質電極を調製した。
【0046】
2.1 電極EN-Aの調製
80重量%の式Li0.95OHFe1.05Sの活物質と20重量%のSuperC65(登録商標)カーボンブラックを混合し、次に、混合物をめのう乳鉢にて手で粉砕することによって、活物質電極を作製する。
【0047】
2.2 電極EN-Bの調製
負極を、式Li0.95OHFe1.05Sの活物質だけから作る。
【0048】
3.電気化学的半電池の組み立て
次に、それぞれ負極EN-AおよびEN-Bを含む、2つの電気化学的半電池を調製した。半電池は、それぞれDC-AおよびDC-Bと呼んだ。電気化学的半電池の組み立ては、12mm直径のSwagelok(登録商標)取付具からなる装置の助けを借りて、グローブボックス中で行う。各半電池は、セパレータ、正極、および電解質を含む。
【0049】
3.1 半電池DC-Aの組み立て
活物質電極
次に、粉末の形態にある重量25mgの電極EN-Aを、電気化学的半電池DC-Aに配置されたステンレス鋼ピストンにわたって広げる。
【0050】
セパレータ
充電および放電サイクル中の正極と負極の間のいかなる短絡も回避するために、ガラスマイクロファイバーセパレータ、CAT No.1823-070(登録商標)の2層を使用する。これらのセパレータを、12mmの直径および1mmの厚さに切り抜き、負極を構成する粉末上に置く。
【0051】
リチウムで作られた対向電極
直径12mmの寸法のペレットを、リチウム金属のシートから切り抜く。次に、結果として得られたペレットを、ステンレス鋼集電体に圧力によって付着させる。次に、この集電体を電池の分離膜上に置く。
【0052】
電解質
使用する電解質は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの等容量混合物中に、1モル/Lの濃度で溶解したLiPF6から構成される市販の溶液を含む。シールを確実にし、活物質電極との電気的接触を可能にするために、第2のピストンを電池中に入れる。
【0053】
3.2 半電池DC-Bの組み立て
活物質電極
次に、粉末形態にある重量25mgの電極EN-Bを、電気化学的半電池DC-Bに配置されたステンレス鋼ピストンにわたって広げる。
【0054】
セパレータ、リチウム対向電極、および電解質は、半電池DC-Aで使用されるものと同一である。
【0055】
II.電気化学的試験
1.半電池DC-A
BioLogicサイクラーを使用し、Cが、1時間に鉄1つ当たり1つのリチウムを材料に挿入する電流に相当する、C/10のサイクリング処理(cycling regimen)で、定電流サイクリング(galvanostatic cycling)を行う。
【0056】
電圧端子は、参照Li/Li
+電極に対して、3.0~1.0Vと規定した。
図1に示すように、3回の充電および放電のサイクルを実施した。実際に、
図1は、電極を構成する活物質の質量に関する容量として表現される(mAh/g)挿入されたリチウムの量の関数としての、半電池Aの電位を示すグラフである。
【0057】
この
図1では、曲線A1は、最初の充電および放電サイクルに相当する。曲線A2は、2回目の充電および放電サイクルに相当する。曲線A3は、3回目の充電および放電サイクルに相当する。
【0058】
その結果、観測結果は、最初の放電サイクルは200mAh/gの不可逆容量に到達し、一方、次のサイクルは240mAh/gの可逆容量に至る。
【0059】
さらに、
図2に曲線Bにより示すように、サイクル数の関数としての、本発明による半電池Aの容量も評価した。
【0060】
20回の充電および放電サイクルの後に、容量は約250mAh/gである。その結果、本発明による半電池Aの容量は、酸化物LTOを含む負極を有する半電池の容量よりはるかに大きい。実際に、酸化物LTOは、175mAh/gの理論容量を有する。
【0061】
加えて、半電池Aは、サイクリングによく耐える。
【0062】
半分の容量での電位として決定される平均電位は、Li/Li+に対して1.7Vであり、酸化物LTOの電位に非常に近い。その結果、本発明による活物質は、改善された容量を得ることを可能にする。
【0063】
2.半電池DC-B
BioLogicサイクラーを使用し、Cが、1時間に鉄1つ当たり1つのリチウムを材料に挿入する電流に相当する、C/10のサイクリング処理で、定電流サイクリングを行う。
【0064】
電圧端子は、参照Li/Li
+電極に対して3.0~1.0Vと規定した。
図3に示すように、3回の充電および放電のサイクルを実施した。実際に、
図3は、容量の関数としての半電池Bの電位を示すグラフである。
【0065】
この
図3では、曲線C1は、最初の充電および放電サイクルに相当する。曲線C2は、2回目の充電および放電サイクルに相当する。曲線C3は、3回目の充電および放電サイクルに相当する。
【0066】
その結果、観測結果は、3回のサイクルの後に容量は140mAh/gである。
【0067】
その結果、本発明による半電池Bの容量は高いままである。実際に、導電性化合物が存在しないにもかかわらず、容量損失は半電池Aの容量損失と比較してわずか約45%である。
【0068】
そのため、本発明による活物質は導電性材料である。換言すれば、導電性は、本発明の活物質のおかげで改善される。
【国際調査報告】