(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】安定化されたドネペジル含有経皮吸収製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/445 20060101AFI20220202BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220202BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20220202BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20220202BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20220202BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220202BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
A61K31/445
A61P25/28
A61K9/70 401
A61K47/20
A61K47/06
A61K47/10
A61K47/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535228
(86)(22)【出願日】2019-09-05
(85)【翻訳文提出日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 KR2019011483
(87)【国際公開番号】W WO2020130287
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0167289
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513131590
【氏名又は名称】ドン-ア エスティ カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】510239369
【氏名又は名称】株式会社 ケイ・エム トランスダーム
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、スン-ウー
(72)【発明者】
【氏名】シン、チャン-イェル
(72)【発明者】
【氏名】キム、へ-スン
(72)【発明者】
【氏名】チャ、クワン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒュン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正興
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA74
4C076BB31
4C076CC01
4C076DD45
4C076DD55
4C076DD59
4C076FF63
4C076GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC21
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA32
4C086MA63
4C086NA03
4C086ZA16
(57)【要約】
【要約】
本発明は、ドネペジルを含有する認知症治療用経皮吸収製剤に関し、具体的には、支持層、薬物含有層及び剥離層で構成されたドネペジル経皮吸収製剤であって、薬物含有層は、有効成分としてドネペジル又はその薬学的に許容される塩、安定化剤としてモノチオグリセロール、チオシアン酸塩(好ましくは、カリウム塩)又はジメチルチオ尿素、及び粘着基剤を含有する、認知症治療用経皮吸収製剤に関する。本発明に係る認知症治療用経皮吸収製剤は、ドネペジル類縁物質の生成を減少させることができるドネペジル含有経皮吸収製剤を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層、薬物含有層及び剥離層で構成されたドネペジル経皮吸収製剤であって、
薬物含有層は、有効成分としてドネペジル又はその薬学的に許容される塩、安定化剤としてモノチオグリセロール、チオシアン酸塩及びジメチルチオ尿素の中から選択される安定化剤を含むことを特徴とする、ドネペジル経皮吸収製剤。
【請求項2】
前記ドネペジルが遊離塩基(free base)形態であることを特徴とする、請求項1に記載のドネペジル経皮吸収製剤。
【請求項3】
前記安定化剤であるチオシアン酸塩は、チオシアン酸カリウムであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のドネペジル経皮吸収製剤。
【請求項4】
i)有機溶媒にドネペジル及びモノチオグリセロール、チオシアン酸塩又はジメチルチオ尿素を溶解させるステップと、
ii)前記ステップで製造された溶液を剥離層に塗布して乾燥させ、薬物含有層を形成するステップと、
iii)前記薬物含有層を支持層とラミネートするステップと、を含む、ドネペジル経皮吸収製剤の製造方法。
【請求項5】
前記有機溶媒は、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、2-プロパノール、メタノール、エタノール、塩化メチレン及びテトラヒドロフランの中から選択されることを特徴とする、請求項4に記載のドネペジル経皮吸収製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドネペジル類縁物質の生成を抑制させた、安定化されたドネペジル含有経皮吸収製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州医薬品庁(European Medicines Agency)から発行した「Guideline on quality of transdermal patches」によると、経皮吸収製剤での類縁物質は、医薬品規制調和国際会議(International Council for Harmonization of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use;ICH)から発刊したガイドライン、ICH Q3Bに基づいて類縁物質の基準を管理するように勧告している。ICH Q3Bにおける類縁物質は、1日投与量に応じて一般的な類縁物質設定基準が提示されており、主成分が分解されて生成される類縁物質のうちの特定の類縁物質の毒性程度に応じてその類縁物質の基準を上方又は下方調整することができる。
【0003】
一方、アセチルコリン分解酵素阻害剤であるドネペジルは、アルツハイマー性認知症を治療するために開発された薬物であって、その代表的な市販製品としては、アリセプト(登録商標)経口用錠剤がある。ドネペジルは、熱/光/水分などによって分解されて様々な類縁物質を発生させ、これにより、米国薬局方では、ドネペジルが分解されて発生しうる類縁物質に対して基準を設定してドネペジル含有錠剤に対して管理をしており、基準を超過する類 縁物質の発生時に、類縁物質による毒性を考慮して使用を禁じている。
【0004】
主成分が分解されて発生する類縁物質を評価する方法は、一般的に、液体クロマトグラフ法によって評価し、液体クロマトグラフ法に使用される分析条件(カラム条件、移動相条件、吸収波長など)によって、分析可能な類縁物質の種類が異なる。米国薬局方では、ドネペジル類縁物質分析法として次の2つの方法を提示している。
【0005】
第一の方法(以下、「第1法」という。)では、ドネペジル類縁物質のうちのデスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezil)、ドネペジルオーブンリング(Donepezil open ring)、ドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxide)を分析することができ、この3種の類縁物質に対してそれぞれ0.5%以下、その他の未知類縁物質に対しては0.2%以下に管理することを勧告している。第二の方法(以下、「第2法」という。)では、ドネペジル類縁物質のうちのデスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezil)、ドネペジルピリジンアナログ(Donepezil pyridine analog)、ドネペジル第4級塩(Donepezil quaternary salt)、ドネペジルインデンアナログ(Donepezil indene analog)、デオキシドネペジル(Deoxydonepezil)を分析することができ、この5種の類縁物質に対してそれぞれ0.15%以内、その他の未知類縁物質に対しては0.1%以下、総類縁物質に対しては1.0%以内に管理することを勧告しており、ドネペジル含有製剤において、前記5種の類縁物質が潜在的に発生する可能性がある場合には、第1法よりは第2法で類縁物質を管理することを勧告している。
【0006】
一方、ドネペジル含有経口用製剤は、服用の際に、急激な血中濃度の上昇により悪心、嘔吐、下痢などの副作用が激しく、嚥下能力が低下した高齢患者の場合には服薬利便性の面で問題となっているのが実情である。かかる欠点を克服するために、ドネペジル含有経皮吸収製剤に関する国外内の研究が盛んに行われたが、これらの研究のほとんどは、ドネペジル含有経皮吸収製剤の低い皮膚透過度を改善させるための研究であり、ドネペジルの安定性を改善させるための研究は、米国特許公報第6,372,760号、韓国登録特許公報第10-0866720号、同第10-1408500号及び同第10-1408454号に掲載されている。
【0007】
米国特許公報第6,372,760号は、有機酸の添加によってドネペジルの安定性を向上させるものであり、韓国登録特許公報第10-0866720号は、高分子量の酸性物質と高分子量の塩基性物質の添加によってドネペジルの安定性を向上させるものであるが、経口剤、シロップ剤などの経口投与製剤を提案したもので、経皮吸収製剤に対する安定化剤の適用を開示するものではない。
【0008】
また、韓国登録特許公報第10-1408500号及び同第10-1408454号では、イソアスコルビン酸、2-メルカプトベンズイミダゾール、ヒドロキシメタンスルホン酸金属塩、ルチン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、アスコルビン酸、及びメタ重亜硫酸金属塩などの安定化剤2種を組み合わせて使用して経皮吸収製剤でのドネペジル類縁物質の生成を抑制することを開示している。これらの従来技術によれば、単一の安定化剤では2種の類縁物質(ドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxide)、デスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezil))及び総類縁物質を効果的に抑制することができず、2種の安定化剤を組み合わせて使用する場合、ドネペジルの分解によって生成される類縁物質のうちの2種の類縁物質(ドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxide)、デスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezil))及び総類縁物質を抑制することができるとしたが、米国薬局方で提示された分析法のうちの第1法を用いてのみ類縁物質を評価して、ドネペジルにより生成できる様々な類縁物質を効果的に抑制したとは認め難いという欠点がある。
【0009】
そこで、本発明者らは、ドネペジル含有経皮吸収製剤について研究している中で、様々な安定化剤のうち、モノチオグリセロール、チオシアン酸塩(好ましくは、カリウム塩)又はジメチルチオ尿素を使用するとき、単一の安定化剤のみでも、ドネペジルが分解されて生成される様々な類縁物質を効果的に抑制することができることを見出し、本発明に至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ドネペジル類縁物質の生成を減少させて、安定化されたドネペジル含有経皮吸収製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、支持層、薬物含有層及び剥離層で構成されたドネペジル経皮吸収製剤であって、薬物含有層は、有効成分としてドネペジル又はその薬学的に許容される塩、安定化剤としてモノチオグリセロール、チオシアン酸塩(好ましくは、カリウム塩)又はジメチルチオ尿素、及び粘着基剤を含有する、認知症治療用経皮吸収製剤を提供する。
【0012】
本発明は、具体的に、次の通りである。
【0013】
本発明に使用される前記ドネペジルは、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤であって、遊離塩基(free base)形態であるドネペジル又はその薬学的に許容される塩を使用することができる。前記薬学的に許容される塩としては、薬学的に許容される遊離酸(free acid)によって形成された酸付加塩が有用である。好ましい酸付加塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜硝酸又は亜リン酸などの無機酸類と、脂肪族モノ及びジカルボキシレート、フェニル置換されたアルカノエート、ヒドロキシアルカノエート、ヒドロキシアルカンジオアート、芳香族酸類、脂肪族及び芳香族スルホン酸類などの無毒性有機酸から得る。このような薬学的に無毒な塩類としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素、リン酸二水素、メタリン酸塩、塩化ピロリン酸エステル、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、クエン酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオアート、ヘキサン-1,6-ジオアート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、安息香酸メチル、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、ベンゼンスルホナート、トルエンスルホナート、クロロベンゼンスルホナート、キシレンスルホナート、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、酪酸フェニル、クエン酸塩、乳酸塩、β-ヒドロキシ酪酸、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メタンンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホナート、ナフタレン-2-スルホナート、又はマンデル酸塩を使用することができるが、これに限定されない。
【0014】
分散性及び経皮吸収性の観点から、本発明の薬物含有層には、遊離塩基形態のドネペジルが使用されることが好ましい。本発明の経皮吸収製剤中に含有されるドネペジルの含有量は特に制限されないが、薬物含有層におけるドネペジルの分散性及び経皮吸収性を考慮すると、ドネペジルの含有量は、好ましくは薬物含有層の重量に対して1~20重量%、より好ましくは1.5~15重量%、最も好ましくは2~10重量%であり得る。
【0015】
本発明において、安定化剤は、モノチオグリセロール、チオシアン酸塩(好ましくはカリウム塩)又はジメチルチオ尿素である。上述の安定化剤群から選択される少なくとも一つ又はそれ以上の安定化剤を使用することもできる。
【0016】
安定化剤は、薬物含有層に含有され、安定化剤の重量割合は、薬物含有層の物性に悪影響を提供しない限り、特に限定されない。安定化剤の割合の上限値の好ましい例は、薬物含有層(即ち、薬物含有層の形成に使用する組み合わせ物の固形分の総重量)に基づいて、その総量として5重量%を超えると、薬物含有層の接着性などの物性が低下するおそれがあり、0.005重量%を下回ると、十分な安定化効果が得られないおそれがある。したがって、安定化剤の重量割合は、薬物含有層に基づいて、好ましくは0.0005重量%以上5重量%以下、より好ましくは0.005重量%以上3重量%以下、特に好ましくは0.05重量%以上2重量%以下である。薬物含有層にさらに従来の公知の安定化剤が添加できる。
【0017】
本発明の粘着基剤において、粘着基剤は、特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤;ポリイソプレン、ポリイソブチレン、スチレン-ブタジエン、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体などのゴム系粘着剤;シリコーン系粘着剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ酢酸ビニルなどのビニル系高分子粘着剤などを挙げることができる。
【0018】
本発明において、特に好ましい粘着基剤としては、ゴム系粘着剤であるスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体を使用する。スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体は、スチレン及びイソプレンからなる熱可塑性エラストマーであり、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体ゴム内のスチレン含有量及びジブロック(diblock)含有量によって融点、溶液粘度などのさまざまな性質が変化する。
【0019】
本発明に使用されるスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体は、特に限定されないが、好ましくは、日本医薬品添加物規格集2013年版に記載された「スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の粘度測定方法」に基づいてスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の溶液粘度を測定したとき、溶液粘度の下限は、0.5Pa・s以上、好ましくは0.7Pa・s以上、さらに好ましくは0.9Pa・s以上であり、溶液粘度の上限は、特に限定されないが、2.0Pa・s以下、好ましくは1.8Pa・s以下である。
【0020】
薬物含有層中の粘着基剤の含有量があまり少ない場合には、薬物含有層の形状を維持し難く、あまり多い場合には、薬物の皮膚透過度が減少するという欠点がある。したがって、本発明の薬物含有層中の粘着基剤の含有量は、10重量%以上70重量%以下、より好ましくは15重量%以上65重量%以下であり、さらに好ましくは20重量%以上60重量%以下、特に好ましくは25重量%以上55重量%以下である。
【0021】
本発明が提供する経皮吸収製剤における粘着物組成物には、可塑剤を含有させてもよい。本発明に使用できる可塑剤としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、オリーブ油、ツバキ油、トール油、ヒマシ油、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミネラルオイル、ミリスチン酸オクチルドデシル、プロピレングリコール、モノカプリル酸プロピレングリコールなどがあるが、これらに限定されない。これらの成分は、2種以上混合して使用してもよく、このような可塑剤の配合量は、経皮吸収製剤の十分な凝集力の維持を考慮して、薬物含有層中の可塑剤の含有量は、10重量%以上80重量%以下、好ましくは20重量%以上75重量%以下、より好ましくは25重量%以上70重量%以下、さらに好ましくは30重量%以上65重量%以下である。
【0022】
本発明の薬物含有層には、経皮吸収製剤の粘着力を調整するために粘着付与樹脂を追加することができる。使用できる粘着付与樹脂としては、ロジン誘導体、脂環族飽和炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂などを挙げることができ、本発明では、テルペン樹脂を代表的に使用したが、これに限定されない。
【0023】
しかし、粘着付与剤が薬物含有層に含有される場合、薬物含有層中の粘着付与剤の含有量は、皮膚刺激などを減少させるために、好ましくは20重量%以下である。その含有量は、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは8重量%以下であり、粘着付与剤がないことが最も好ましい。つまり、パッチの皮膚接着力に関連して、粘着付与剤の含有量は、薬物含有層内のドネペジル、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、可溶化剤、及び可塑剤の種類及び配合比に応じて調整できる。また、粘着付与剤の添加なしに十分な皮膚接着力を持つ場合、粘着付与剤は必要としない。
【0024】
本発明において、経皮吸収製剤の製造方法は、特に限定されず、通常の経皮吸収製剤の製造方法、例えば、韓国薬局方製剤総則の経皮吸収製剤の製造方法などの方法、すなわち粘着基剤、ドネペジル、安定化剤及び可塑剤などを溶媒に溶解又は分散させて組み合わせ、得られた溶液又は分散液を剥離層の表面上に塗布し、乾燥させた後、支持体をラミネートさせることにより製造することができる。本発明の一つの実施態様として、(1)有機溶媒にドネペジル及びモノチオグリセロール、チオシアン酸塩又はジメチルチオ尿素を溶解させるステップと、(2)前記ステップで製造された溶液を剥離層に塗布して乾燥させ、薬物含有層を形成するステップと、(3)前記薬物含有層を支持層とラミネートするステップと、を含んでドネペジル経皮吸収製剤を製造することができる。
【0025】
前記本発明による製造方法に使用される溶媒には、例えば酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、2-プロパノール、メタノール、エタノール、塩化メチレン、テトラヒドロフランなどを挙げることができ、粘着基剤などを溶媒に溶解又は分散させるときに温度は特に限定されないが、温度が高いほど、溶媒蒸発の可能性が高くなり、また、温度に応じてドネペジルが分解されて類縁物質が多量生成できるので、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下である。
【0026】
また、本発明において、上記の実施形態で得られた溶液又は分散液を剥離層の表面上に塗布する方法、乾燥させる方法、及び支持体ラミネート方法は、通常の経皮吸収製剤の製造方法によって製造することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、製剤中のドネペジルの分解を抑制することにより、類縁物質の生成を減少させて安定性の高いドネペジル含有経皮吸収製剤を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施例及び試験例によって本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例及び試験例は、本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0029】
<実施例1乃至3>
本発明による経皮吸収製剤
スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体16g、ミリスチン酸オクチルドデシル4.7g、テルペン樹脂3g、モノカプリル酸プロピレングリコール6.5g及びドネペジル1.3gを酢酸エチル27gに溶かして、ドネペジルが含有された酢酸エチル溶液を得た。次いで、下記表1に記載された安定化剤0.13gをメタノール1gに溶かした後、前記酢酸エチル溶液に混合して得られた溶液をシリコーンコーティングされたPETフィルムに塗布して、80℃のオーブンで30分間乾燥させた後、支持フィルム(Backing film)とラミネートして経皮吸収製剤を製造し、それぞれ実施例1~実施例3とした。
【表1】
<比較例1>
安定化剤を添加していない経皮吸収製剤
安定化剤を添加せずに、実施例1と同様の組成及び方法で経皮吸収製剤を製造し、比較例1とした。
【0030】
<比較例2>安定化剤としてクエン酸を添加した経皮吸収製剤
米国特許公報第6,372,760号に記載された安定化剤のうちのクエン酸を添加して、実施例1と同様の組成及び方法によって経皮吸収製剤を製造することにより、比較例2とした。
【0031】
<比較例3~15>
各種安定化剤を添加した経皮吸収製剤
下記表2に記載された安定化剤として公知の各種安定剤を添加して実施例1と同様の組成及び方法で経皮吸収製剤を製造し、比較例3~15とした。
【表2】
<比較例16~19>
安定化剤2種を添加した経皮吸収製剤
韓国登録特許公報第10-1408500号に記載された安定化剤のうち、類縁物質であるドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxide)、デスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezil)及び総類縁物質を最も効果的に抑制した安定化剤2種の4群を選択して安定化剤それぞれを0.13gずつ添加することで、実施例1と同様の組成及び方法で経皮吸収製剤を製造し、比較例16~19とした。比較例16~19に添加される安定化剤は、下記表3に示した。
【表3】
<比較例20>
安定化剤2種を添加した経皮吸収製剤
韓国登録特許公報第10-1408454号に記載された安定化剤としてのアスコルビン酸とメタ重亜硫酸ナトリウムをそれぞれ0.13gずつ添加して実施例1と同様の組成及び方法で経皮吸収製剤を製造し、比較例20とした。
【0032】
<実験例1>70℃で48時間保管の後、第1法による類縁物質の評価
ドネペジル類縁物質を評価するために、実施例及び比較例で製造された経皮吸収製剤を70℃で48時間保管した後、次のとおりに第1法で類縁物質を評価した。
【0033】
1.類縁物質分析法第1法
類縁物質分析法第1法の場合は、それぞれの経皮吸収製剤を酢酸エチルに溶かした後、メタノールを添加して30分間攪拌し、その後、5分間遠心分離した上澄み液を検液として、米国薬局方「ドネペジル錠剤」項の類縁物質分析法第1法によって評価した。標準液は、ドネペジル塩酸塩標準品を酢酸エチル:メタノール=15:85(体積比)で混合した溶媒を用いて0.8μg/mLとなるように製造して使用した。
【0034】
<第1法の液体クロマトグラフ条件>
カラム:Inertsil ODS-2(4.6×150mm、C18、5μm)
移動相:1-デカンスルホン酸ナトリウム2.5gを精製水650mLに添加して溶かした後、70%過塩素酸溶液1mLとアセトニトリル350mLを添加した液を移動相とする。
【0035】
カラム温度:35℃
流速:1.4mL/min
サンプル注入量:20μL
紫外部吸光光度計:271nm
類縁物質計算式
類縁物質%=(Ru/Rs)×(Cs/Cu)×(1/F)×100
Ru:検液中の各類縁物質のピーク面積
Rs:標準液中のドネペジルのピーク面積
Cs:標準液の濃度(mg/mL)
Cu:検液の濃度(mg/mL)
F:個々の類縁物質の相対的な補正係数
2.
70℃で48時間保管の後、第1法の分析による類縁物質の評価
本発明に係る実施例及び比較例で製造された経皮吸収製剤を70℃で48時間保管した後、第1法によって分析したドネペジル類縁物質の生成量は、表4に示した。
【0036】
下記表4から分かるように、安定化剤が含まれていない比較例1の場合、第1法では、相手保持時間0.53(未知類縁物質)、0.7(ドネペジルオープンリング(Donepezil open ring))、1.2(ドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxide))及び総類縁物質でドネペジルが分解されて多くの量が生成され、ドネペジル経皮吸収製剤は、類縁物質の生成を抑制することが可能な安定化剤が必要な製剤である。
【0037】
米国特許公報第6,372,760号に開示された有機酸であるクエン酸を用いた比較例2の場合、相手保持時間1.2(ドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxide))は、米国薬局方の基準に適合せず、従来の公知の安定化剤を添加した経皮吸収製剤である比較例3~15の場合、比較例3(システイン)、比較例5(チオリンゴ酸)、比較例7(チオ硫酸ナトリウム)及び比較例14(2-メルカプトベンズイミダゾール)は、個々の類縁物質が米国薬局方の基準に適合したが、比較例6(カテキン)、比較例11(アスコルビン酸)、比較例12(イソアスコルビン酸)及び比較例15(メタ重亜硫酸ナトリウム)は、相対保持時間1.2(ドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxide))で類縁物質が基準以上に生成され、比較例4(トリプトファン)及び比較例10(ルチン)は、比較例2と同様に、1.2(ドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxide))は適合せず、比較例8(ジブチルヒドロキシトルエン)、比較例9(ブチルヒドロキシアニソール)及び比較例13(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール)はほとんど、個々の類縁物質及び総類縁物質が適合しなかった。
【0038】
また、韓国登録特許公報第10-1408500号及び韓国登録特許公報第10-1408454号に記載された2種の安定化剤を混合した比較例16(アスコルビン酸/2-メルカプトベンズイミダゾール)、比較例17(2-メルカプトベンズイミダゾール/2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール)、比較例18(2-メルカプトベンズイミダゾール/ルチン)、比較例19(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール/ヒドロキシメタンスルホン酸ナトリウム)及び比較例20(アスコルビン酸/メタ重亜硫酸ナトリウム)の場合は、比較例19で相手保持時間0.48(未知類縁物質)の類縁物質が米国薬局方の基準に適合しない以外はすべてに適している。
【0039】
これに対して、本発明に係る実施例1~3の場合は、安定化剤の単独使用にもかかわらず、類縁物質の生成量が米国薬局方の基準に適合し、安定化剤としてモノチオグリセロール、チオシアン酸塩(好ましくはカリウム塩)又はジメチルチオ尿素の優れた安定化効果を示すことを確認することができる。
【表4】
1)RRT 0.33:デスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezi)、0.5%以内
2)RRT 0.48:未知類縁物質、0.2%以内
3)RRT 0.53:未知類縁物質、0.2%以内
4)RRT 0.7:ドネペジルオープンリング(Donepezil open ring)、0.5%以内
5)RRT 1.2:ドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxide)、0.5%以内
<実験例2>
70℃で48時間保管の後、第2法による類縁物質の評価
ドネペジル類縁物質を評価するために、実施例及び比較例で製造された経皮吸収製剤を70℃で48時間保管した後、次のとおりに第2法で類縁物質を評価した。
【0040】
1.類縁物質分析法第2法
類縁物質分析法第2法の場合は、それぞれの経皮吸収製剤を酢酸エチルに溶かした後、0.1N塩酸:メタノールが25:75で混合された溶液を添加して30分間攪拌し、その後、5分間遠心分離した上澄み液を検液として、米国薬局方「ドネペジル錠剤」項の類縁物質分析法第2法によって評価した。標準液は、ドネペジル塩酸塩標準品を酢酸エチル:メタノール:0.1N塩酸=100:675:225(体積比)で混合した溶媒を用いて、10μg/mLとなるように製造して使用した。
【0041】
<第2法の液体クロマトグラフ条件>
カラム:Capcellpak(4.6×250mm、C18、5μm)
移動相A:リン酸1mLを精製水1Lに添加した後、トリエチルアミンを用いてpHを6.5に調整した。得られた溶液を濾過した後、超音波洗浄機で気泡を除去して移動相として使用した。
【0042】
移動相B:アセトニトリル
カラム温度:50℃
流速:1.5mL/min
サンプル注入量:20μL
紫外部吸光光度計:286nm
類縁物質計算式
類縁物質%=(Ru/Rs)×(Cs/Cu)×(1/F)×100
Ru:検液中の各類縁物質のピーク面積
Rs:標準液中のドネペジルのピーク面積
Cs:標準液の濃度(mg/mL)
Cu:検液の濃度(mg/mL)
F:個々の類縁物質の相対的な補正係数
2.
70℃で48時間保管の後、第2法の分析による類縁物質の評価
本発明に係る実施例及び比較例で製造された経皮吸収製剤を70℃で48時間保管した後、第2法によって分析したドネペジル類縁物質の生成量は、表5に示した。
【0043】
下記表5から分かるように、安定化剤が含まれていない比較例1の場合、第2法では、相手保持時間0.49(ドネペジルピリジンアナログ(Donepezil pyridine analog))、0.57(未知類縁物質)及び総類縁物質からドネペジルが分解されて多くの量が生成され、ドネペジル経皮吸収製剤は、類縁物質の生成を抑制することが可能な安定化剤が必要な製剤である。
【0044】
米国特許公報第6,372,760号に記載された有機酸であるクエン酸を用いた比較例2の場合、相手保持時間0.49(ドネペジルピリジンアナログ(Donepezil pyridine analog))及び0.57(未知類縁物質)は、米国薬局方の基準に適合しなかった。
【0045】
また、従来の公知の安定化剤を添加した経皮吸収製剤である比較例3~15の場合は、第1法とは異なり、個々の類縁物質及び総類縁物質が米国薬局方の基準に適合した比較例の経皮吸収製剤はなかった。つまり、比較例6(カテキン)、比較例11(アスコルビン酸)及び比較例12(イソアスコルビン酸)は、相対保持時間0.49(ドネペジルピリジンアナログ(Donepezil pyridine analog))で類縁物質が基準以上に生成され、比較例5(チオリンゴ酸)及び比較例7(チオ硫酸ナトリウム)は、相手保持時間0.57(未知類縁物質)で類縁物質が基準以上に生成され、比較例8(ジブチルヒドロキシトルエン)、比較例9(ブチルヒドロキシアニソール)、比較例13(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール)及び比較例14(2-メルカプトベンズイミダゾール)は、1~3種の類縁物質及び総類縁物質が適合しなかった。
【0046】
韓国登録特許公報第10-1408500号に記載された2種の安定化剤を混合した比較例16(アスコルビン酸/2-メルカプトベンズイミダゾール)、比較例17(2-メルカプトベンズイミダゾール/2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール)、比較例18(2-メルカプトベンズイミダゾール/ルチン)及び比較例19(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール/ヒドロキシメタンスルホン酸ナトリウム)の場合は、いずれも相対保持時間0.57(未知類縁物質)が米国薬局方の基準に適合せず、比較例16~18の場合は、総類縁物質も米国薬局方の基準に適合しなかった。
【0047】
また、韓国登録特許公報第10-1408454号に記載された2種の安定化剤を混合した比較例20(アスコルビン酸/メタ重亜硫酸ナトリウム)の場合、相手保持時間0.49(ドネペジルピリジンアナログ(Donepezil pyridine analog)の類縁物質が米国薬局方の基準に適合しなかった。
【0048】
これに対して、本発明に係る実施例1~3の場合は、安定化剤の単独使用にもかかわらず、類縁物質の生成量が米国薬局方の基準に適合し、安定化剤としてモノチオグリセロール、チオシアン酸塩(好ましくはカリウム塩)又はジメチルチオ尿素の優れた安定化効果を示すことを確認することができる。
【表5】
1)RRT 0.23:デスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezi)、0.15%以内
2)RRT 0.49:ドネペジルピリジンアナログ(Donepezil pyridine analog)、0.15%以内
3)RRT 0.57:未知類縁物質、0.1%以内
4)RRT 0.68:ドネペジル第4級塩(Donepezil quaternary salt、0.15%以内
5)RRT 1.03:未知類縁物質、0.1%以内
6)RRT 1.7:ドネペジルインデンアナログ(Donepezil indene analog)、0.15%以内
7)RRT 2.1:デオキシドネペジル(Deoxydonepezi)、0.15%以内
<実験例3>
80℃で24時間保管の後、第1法及び第2法による類縁物質の評価
ドネペジル類縁物質を評価するために、実施例及び比較例で製造された経皮吸収製剤を80℃で24時間保管した後、前記実験例1の第1法及び第2法と同一の方法で類縁物質を評価した。その結果を表6及び表7に示した。
【0049】
1.
80℃で24時間保管の後、第1法の分析による類縁物質の評価
【表6】
1)RRT 0.33:デスベンジルドネペジル(Desbenzyldonepezil)、0.5%以内
2)RRT 0.48:未知類縁物質、0.2%以内
3)RRT 0.53:未知類縁物質、0.2%以内
4)RRT 0.7:ドネペジルオープンリング(Donepezil open ring)、0.5%以内
5)RRT 1.2:ドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxdie)、0.5%以内
2.
80℃、24時間保管の後、第2法の分析による類縁物質の評価
【表7】
1)RRT 0.23:デスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezil)、0.15%以内
2)RRT 0.49:ドネペジルピリジンアナログ(Donepezil pyridine analog)、0.15%以内
3)RRT 0.57:未知類縁物質、0.1%以内
4)RRT 0.68:ドネペジル第4級塩(Donepezil quaternary salt)、0.15%以内
5)RRT 1.03:未知類縁物質、0.1%以内
6)RRT 1.7:ドネペジルインデンアナログ(Donepezil indene analog)、0.15%以内
7)RRT 2.1:デオキシドネペジル(Deoxydonepezil)、0.15%以内
前記表6及び表7から、実験例3は実験例1、2とは加速条件を異にした評価であるが、類縁物質の生成程度は実験例1、2と同等の程度に評価された。
【0050】
上記の結果から、従来の公知の安定化剤を含むドネペジル経皮吸収製剤はドネペジルの類縁物質分析法第1法による評価では一部適合し、類縁物物質分析法第2法による評価ではすべて適合しないことが確認された。また、従来技術である比較例2、比較例16~20は、類縁物質分析法第1法による評価ではほとんど適合し、類縁物物質分析法2法による評価ではすべて適合しないことが確認された。
【0051】
これに対して、本発明に係る実施例1~3の場合は、安定化剤の単独使用にもかかわらず、類縁物質の生成量が米国薬局方の第1法及び第2法の基準に適合し、安定化剤としてモノチオグリセロール、チオシアン酸塩(好ましくはカリウム塩)又はジメチルチオ尿素を添加する場合には、従来技術とは異なり、ドネペジルの経皮吸収製剤中のドネペジルの分解を抑制して類縁物質の生成量を減少させることができる。
【0052】
米国薬局方に掲載されたドネペジル類縁物質は、第1法によって総3種の類縁物質、第2法によって総5種の類縁物質を確認することができ、第1法と第2法によって確認される類縁物質は、デスベンジルドネペジル(Desbenzyl Donepezil)を除いてはすべて異なる種類の類縁物質である。これらの類縁物質は、毒性を考慮して、製剤内の許容基準値を設定して管理している。
【0053】
本発明者らは、ドネペジル類縁物質分析法の第1法及び第2法のうちのいずれか一つの方法でドネペジルの類縁物質を分析するとき、ドネペジルが分解されて生成される様々な類縁物質を確認することができず、実際に、比較例16のように、第1法では類縁物質が基準値以下に発生するが、第2法で評価するときに未知類縁物質が基準値以上発生することを確認することができた。このような基準値以上発生する未知類縁物質が含有された製剤を持続的に投薬するとき、未知類縁物質の毒性による潜在的な危険が発生する可能性がある。
【0054】
そこで、本発明者らは、類縁物質分析第1法及び第2法の両方で類縁物質の生成を減少させることができる安定化剤の必要性を認識し、実施例1~3のように安定化剤としてモノチオグリセロール、チオシアン酸塩(好ましくはカリウム塩)又はジメチルチオ尿素の添加時に第1法及び第2法の両方で効果的にドネペジルの類縁物質の生成を抑制させることを確認することができた。
【国際調査報告】