(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】ドッフィングレッジを有する履物品
(51)【国際特許分類】
A43B 11/00 20060101AFI20220202BHJP
A43B 13/14 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
A43B11/00
A43B13/14 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535502
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 US2019067595
(87)【国際公開番号】W WO2020132314
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ホプキンス,ティモシー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】オーウィングス,アンドリュー エー.
(72)【発明者】
【氏名】トエル,ヘイリー
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA31
4F050BC09
4F050BF01
4F050GA10
4F050JA01
4F050JA22
(57)【要約】
履物品は、着用者が一方向に自分の踵を履物品の外へスライドさせる間、履物品を異なる方向に圧迫するためのレバーを提供し得るドッフィングレッジ(doffing ledge)を含む。ドッフィングレッジのドッフィング角度は、少なくとも部分的には、足首の襟の後方部分の近くにある中央連結バンドの前傾角に基づく。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物品であって、地面接触表面と、足受容空洞に面する上位表面と、外側縁と、内側縁と、側壁と、を有するソール;前記ソールに結合され、前記ソールにより近く位置決めされた降下状態と、前記ソールからより遠く位置決めされた直立状態との間で移動可能な足首の襟を備えるアッパー(upper);前記足首の襟を前記降下状態から前記直立状態に戻すように動作可能な襟エレベータであって、内側レバーアームと、外側レバーアームと、前記内側レバーアームを前記外側レバーアームに結合し、前記足首の襟の後方部分の近くに位置する中央連結バンドと、を有する襟エレベータ;を備え、前記中央連結バンドは、前記足首の襟が前記直立状態にあるとき、水平基準面に対して65度以下の前傾角を備え、前記内側レバーアームおよび前記外側レバーアームは、前方末端縁および後末端縁を備える基部に取り付けられ、前記前方末端縁および前記後末端縁は、それぞれ前記ソールの外側縁から始まって、前記ソールの上位表面を横切って線形的かつ連続的に延び、前記ソールの内側縁で終結し、前記末端後縁は、前記上位表面の最後方点の前方に離隔しており、前記側壁は、前記ソールの踵部分にあり、前記アッパーにより近いドッフィングレッジ(doffing-ledge)の第1部分から、前記アッパーからより遠く離れたドッフィングレッジの第2部分まで外向きに突出するドッフィングレッジを備え、前記ドッフィングレッジは、前記水平基準面に対して前記前傾角未満のドッフィング角度で前記ドッフィングレッジの第1部分から前記ドッフィングレッジの第2部分まで傾斜しているドッフィング表面を備える、履物品。
【請求項2】
前記内側レバーアームは、前記中央連結バンドに結合された第1端部と前記基部に結合された第2端部とを含み、前記外側レバーアームは、前記中央コネクタに結合された第3端部と前記基部に結合された第4端部とを含む、請求項1に記載の履物品。
【請求項3】
前記基部は、インソールの下、およびミッドソールの上に積層され、前記ミッドソールは、前記上位表面を含む、請求項2に記載の履物品。
【請求項4】
前記ミッドソールの上位表面は、前記基部の末端後縁と、前記上位表面の最後方点と、から延びる表面踵部分を含む、請求項3に記載の履物品。
【請求項5】
前記前傾角は、55度以下である、請求項1に記載の履物品。
【請求項6】
前記ドッフィングレッジは、前記履物品のソールの内側に位置決めされる、請求項1に記載の履物品。
【請求項7】
前記ドッフィング表面は、前記履物品の最後方点および最前方点を通過する中間線基準面と整列される、請求項1に記載の履物品。
【請求項8】
前記ドッフィングレッジは、前記履物品のソールの外側に位置決めされる、請求項1に記載の履物品。
【請求項9】
前記ドッフィングレッジの第2部分は、アウトソールまで延びる、請求項1に記載の履物品。
【請求項10】
第1力が、前記ドッフィング表面に直角に加えられるとき、および、第2力が、前記直立状態で前記前傾角を有する前記中央連結バンドに直角に加えられるとき、前記第1力の方向は、前記第2力の方向よりも前記水平基準面に対して垂直である、請求項1に記載の履物品。
【請求項11】
履物品であって、地面接触表面と、足受容空洞に面する上位表面と、外側縁と、医学的な縁と、側壁と、を有するソール;前記ソールに結合され、前記ソールにより近く位置決めされた降下状態と、前記ソールからより遠く位置決めされた直立状態との間で移動可能な足首の襟を備えるアッパー;前記足首の襟を前記降下状態から前記直立状態に戻すように動作可能な襟エレベータであって、内側レバーアームと、外側レバーアームと、前記内側レバーアームを前記外側レバーアームに結合し、前記足首の襟の後方部分の近くに位置する中央連結バンドと、を有する襟エレベータ;を備え、前記中央連結バンドは、前記足首の襟が前記直立状態にあるとき、水平基準面に対して45度~70度の範囲内の前傾角を備え、前記内側レバーアームおよび前記外側レバーアームは、前方末端縁および後末端縁を備える基部に取り付けられ、前記前方末端縁および前記後末端縁は、それぞれ前記ソールの外側から始まって、前記ソールの上位表面を横切って線形的かつ連続的に延び、前記ソールの内側縁で終結し、前記末端後縁は、前記上位表面の最後方点の前方に離隔しており、前記側壁は、前記ソールの踵部分にあり、前記アッパーにより近いドッフィングレッジの第1部分から、前記アッパーからより遠く離れたドッフィングレッジの第2部分まで外向きに突出するドッフィングレッジを備え、前記ドッフィングレッジは、前記水平基準面に対して前記前傾角未満のドッフィング角度で前記ドッフィングレッジの第1部分から前記ドッフィングレッジの第2部分まで傾斜しているドッフィング表面を備える、履物品。
【請求項12】
前記前傾角は、50度~65度の範囲内にある、請求項11に記載の履物品。
【請求項13】
前記前傾角は、52度~62度の範囲内にある、請求項12に記載の履物品。
【請求項14】
前記ドッフィング角度は、30度を超える、請求項11に記載の履物品。
【請求項15】
前記ドッフィング角度は、40度~60度の範囲内にある、請求項14に記載の履物品。
【請求項16】
前記ドッフィング角度は、45度~55度の範囲内にある、請求項15に記載の履物品。
【請求項17】
第1力が、前記ドッフィング表面に直角に加えられるとき、および、第2力が、前記直立状態で前記前傾角を有する前記中央連結バンドに直角に加えられるとき、前記第1力の方向は、前記第2力の方向よりも前記水平基準面に対して垂直である、請求項12に記載の履物品。
【請求項18】
履物品であって、地面接触表面と、足受容空洞に面する上位表面と、外側縁と、医学的な縁と、側壁と、を有するソール;前記ソールに結合され、前記ソールにより近く位置決めされた降下状態と、前記ソールからより遠く位置決めされた直立状態との間で移動可能な足首の襟を備えるアッパー;前記足首の襟を前記降下状態から前記直立状態に戻すように動作可能な襟エレベータであって、内側レバーアームと、外側レバーアームと、前記内側レバーアームを前記外側レバーアームに結合し、前記足首の襟の後方部分の近くに位置する中央連結バンドと、を有する襟エレベータ;を備え、前記中央連結バンドは、前記足首の襟が前記直立状態にあるとき、水平基準面に対して65度以下の前傾角を備え、前記内側レバーアームおよび前記外側レバーアームは、前方末端縁および後末端縁を備える基部に取り付けられ、前記前方末端縁および前記後末端縁は、それぞれ前記ソールの外側縁から始まって、前記ソールの上位表面を横切って線形的かつ連続的に延び、前記ソールの内側縁で終結し、前記末端後縁は、前記上位表面の最後方点の前方に離隔しており、前記中央連結バンドは、長手方向の向きに沿う第1終点から前記長手方向の向きに沿う第2終点まで延びる長さを含み、前記側壁は、前記ソールの踵部分にあり、前記アッパーにより近いドッフィングレッジの第1部分から、前記アッパーからより遠く離れたドッフィングレッジの第2部分まで外向きに突出するドッフィングレッジを備え、前記ドッフィングレッジは、前記水平基準面に対して前記前傾角未満のドッフィング角度で前記ドッフィングレッジの第1部分から前記ドッフィングレッジの第2部分まで傾斜しているドッフィング表面を備え、よって、第1力が、前記ドッフィング表面に直角に加えられるとき、および、第2力が、前記直立状態で65度以下の前記前傾角を有する前記中央連結バンドに直角に加えられるとき、前記第1力の方向は、第2力の方向よりも前記水平基準面に対して垂直であり、前記ドッフィング表面は、前記ドッフィングレッジの第1部分から前記ドッフィングレッジの第2部分まで延びるドッフィング表面長さを備え、前記ドッフィング表面長さは、前記中央連結バンドの長さの1と3分の1以上である、履物品。
【請求項19】
前記ドッフィング表面長さは、前記中央連結バンドの長さの1と2分の1以上である、請求項18に記載の履物品。
【請求項20】
前記ドッフィングレッジは、前記履物品のソールの内側に位置決めされる、請求項18に記載の履物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドッフィングレッジ(doffing ledge)を有する履物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の履物品は、履物品を履くときに操作される足首の襟を含む。たとえば、足首の襟は、着用者の足がアッパー(upper)内にスライドするときにソールに向かって押される場合がある。また、このようないくつかの履物品は、足首の襟を、押された状態または降下状態から直立状態に移動させるように動作可能な襟エレベータを含む。襟エレベータの1つのタイプに関する一例は、米国特許第9,820,527号に記載されており、他の襟エレベータの例は、米国公開特許第2018/0110292号および米国公開特許第2018/0289109号に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本開示に記載されている一部の主題は図面を参照しており、その全文は参照として本明細書に組み込まれる。
【
図2】本開示の態様による
図1の履物品の上面図を示す。
【
図3A】本開示の態様による襟エレベータを有する別の履物品を示す。
【
図3B】本開示の態様による襟エレベータを有する別の履物品を示す。
【
図3C】本開示の態様による襟エレベータを有する別の履物品を示す。
【
図4A】本開示の態様による代替の襟エレベータを有する別の履物品を示す。
【
図4B】本開示の態様による代替の襟エレベータを有する別の履物品を示す。
【
図4C】本開示の態様による代替の襟エレベータを有する別の履物品を示す。
【
図6】本開示の態様によって足首の襟が降下状態にある、
図5の履物品を示す。
【
図7】本開示の態様による
図5の履物品の上面図を示す。
【
図8】本開示の態様による
図5の履物品の断面図を示す。
【
図9】本開示の態様による代替の中央連結バンドを示す。
【
図10】本開示の態様による履物品のドッフィングを示す。
【
図11】本開示の態様による別のドッフィングレッジを示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
主題は、法定要件を満たすように、本明細書の全体に具体的かつ詳しく説明される。本明細書の全体に記載された態様は、限定ではなく例示のためのものであり、説明それ自体には、必ずしも特許請求の範囲を限定しようとする意図があるわけではない。むしろ、請求された主題は、本明細書に記載されたものと同一であり、かつ他の現在の技術または将来の技術に係わっている様々な要素または要素の組み合わせを含むように、他の方式で実施され得る。本開示を読むとき、代替的な態様は、本開示の範囲から逸脱することなく、記載の態様に関する分野に従事している当業者に明らかになるであろう。特定の特徴および下位組み合わせは実用的であり、他の特徴および下位組み合わせを参照せずに採用され得ることが理解されよう。これは、請求項により考慮され、特許請求の範囲内に属する。
【0005】
一般的に、本明細書に記載された主題は、特にドッフィングレッジを有する履物品に関し、それに関連する製造、機械および方法を含む。いくつかの態様において、ドッフィングレッジは、着用者が一方向に自分の踵を履物品の外へスライドさせる間、履物品を異なる方向に圧迫するためのレバーを提供し得る。本開示のいくつかの態様は、ドッフィングレッジおよび襟エレベータを有する履物品に関する。
【0006】
図面をより詳しく説明するに先立って、以下では本開示に使用され得る特定の用語について一部のさらなる説明をする。
【0007】
単数形(「a」、「an」、「the」)、「少なくとも1つ」および「1つ以上」は、項目のうち少なくとも1つが存在することを示すように相互交換的に使用され得る。これらの用語が使用される場合、文脈上別段に明示しない限り、当該項目は複数存在し得る。本明細書において、パラメータ(たとえば、量または条件)のすべての数値は、添付の請求項を含む文脈に鑑み、別段に明示的または明確に示していない限り、「約」という用語が実際に数値の前にあるか否かを問わず、「約」によってすべての場合において変更されることであると、理解されたい。「約」とは、記述された数値が多少の不正確性(値の正確性への若干の近接、値におおよそあるいは合理的に近似、ほぼ)を許容することを示す。「約」によって提供される不正確性が、このような一般的な意味として当業界で別段に理解されない場合、本明細書で用いられる「約」は、このようなパラメータを測定および使用する通常の方法で生じ得る最小限の変動を示す。また、範囲の開示は、すべての値と当該範囲内のさらに分割された範囲とを具体的に開示するものと理解されたい。参照されたすべての参考文献は、その全文が本明細書に組み込まれる。
【0008】
「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は包括的であり、したがって、記述された特徴、ステップ、動作、要素または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素もしくは構成要素の存在または付加を排除しない。ステップ、プロセスおよび動作の手順は、可能な場合変更され得、さらなるまたは代替的ステップが採用され得る。本明細書で用いられる「または」という用語は、リストに挙げられた関連項目の任意の1つおよびすべての組み合わせを含む。「のいずれか」という用語は、参照される項目「のうちいずれか1つ」を含む、参照される項目の任意の可能な組み合わせを含むものと理解される。「のいずれか」という用語は、参照される請求項「のうちいずれか1つ」を含む、添付の請求項のうち参照される請求項の任意の可能な組み合わせを含むものと理解される。
【0009】
一貫性および便宜のために、図示の例に対応する本詳細な説明全体に、方向の形容詞が採用され得る。通常の当業者なら、「上」、「下」、「上方」、「下方」、「上端」、「下端」などのような用語は、請求項によって定義されているように、本発明の範囲に対する限定を表すことなく、図面に関する説明として使用され得ることが認識されよう。
【0010】
本詳細な説明全体および請求項に使用され得る「長手方向」という用語は、構成要素の長さを延ばす方向を指す。たとえば、靴の長手方向は、靴の前足部領域と踵領域との間で延びる。「前方」または「前」という用語は、踵領域から前足部領域への一般的な方向を指すために用いられ、「後方」または「後」という用語は、逆方向、すなわち前足部領域から踵領域への方向を指すために用いられる。場合によって、構成要素は長手方向軸だけでなく、その軸に沿う前後方の長手方向として識別され得る。長手方向または長手方向軸は、前後方向または前後方向軸と呼ばれ得る。
【0011】
本詳細な説明全体および請求項に使用され得る「横方向」という用語は、構成要素の幅を延ばす方向を指す。たとえば、靴の横方向は、靴の外側と内側との間で延びる。横方向または横方向軸は、左右方向もしくは左右方向軸、または内外側方向もしくは内外側方向軸とも呼ばれ得る。
【0012】
本詳細な説明全体および請求項に使用され得る「垂直」という用語は、一般的に左右方向および長手方向の両方に垂直な方向を指す。たとえば、ソールが地表面に平坦に装着された場合に、垂直方向は地表面から上方に延び得る。これらの方向の形容詞はそれぞれ、ソールの個々の構成要素に適用され得ることが理解されよう。「上方」という用語は、構成要素の上端に向かう垂直方向を指し、靴の甲、締結領域、および/またはアッパーのスロートを含み得る。「下方」という用語は、構成要素の下端に向かう、上方向とは反対の垂直方向を指し、一般的に履物品のソール構造体の下端を指し得る。
【0013】
靴などの履物品の「内部」は、靴を着用したときに着用者の足が占める空間の部分を指す。構成要素の「内側」は、組み立てられた履物品において構成要素または履物品の内部に向かって方向付けられた(または方向付けられる)構成要素の側面または表面を指す。構成要素の「外側」または「外部」は、組み立てられた靴において靴の内部から離れるように方向付けられた(または方向付けられる)構成要素の側面または表面を指す。場合によって、他の構成要素は、構成要素の内側と、組み立てられた履物品における内部との間にあり得る。同様に、他の構成要素は、構成要素の外側と、組み立てられた履物品の外部の空間との間にあり得る。また、「内向き」および「内向きに」という用語は、靴などの履物品または構成要素の内部へ向かう方向を指し、「外向き」および「外向きに」という用語は、靴などの履物品または構成要素の外部へ向かう方向を指す。また、「近位」という用語は、履物の構成要素の中央により近い方向を指すか、または利用者が履物品を着用することによって足が履物品に挿入されるときに足に向かってより近い方向を指す。同様に、「遠位」という用語は、履物の構成要素の中央から遠く離れている相対的位置を指すか、または利用者が履物品を着用することによって足が履物品に挿入されるときに足からより遠く離れている方向を指す。したがって、近位および遠位という用語は、一般的に反対の用語を提供して相対的空間位置を説明するためのものであると理解されよう。
【0014】
本明細書の態様の説明および理解を助けるために、以下では
図1および
図2を参照して、舌革補強材を含み得る通常の履物品10の要素を説明する。
図1は履物品10の外側を示し、
図2は履物品の上端を示す。本開示で言及される多様な図面を説明する場合、類似の参照番号は、ずべての図を通して類似の構成要素を指す。
【0015】
履物品10は、ソール構造体12とアッパー14とを含む少なくとも2つの主要要素を含む。履物品10を(足に意図どおり)着用する場合、ソール構造体12は通常、足底面(すなわち、足の下端)の近くに位置決めされる。ソール構造体12は、足の下端を保護し得、さらに、地面反力を減衰させ、エネルギーを吸収し、静止摩擦を提供し、回内および回外などの足の動きを制御し得る。アッパー14は、ソール構造体12に結合され、ソール構造体12と一緒に足受容空洞16を形成する。すなわち、ソール構造体12は、一般的に足の下端を取り巻くが、アッパー14は、足の背側部(すなわち、足の上端または足の甲)上に延び、それを少なくとも部分的に覆い、履物品10を足に固定させる。アッパー14は、履物品10を履く場合、足が足受容空洞16内に配置されるとき足が挿入される足挿入開口18を含む。
【0016】
図1に示したように、履物品10は、前足部領域20、中足部領域22、踵領域24、および足首領域26を含み得る。前足部領域20、中足部領域22、および踵領域24は、ソール構造体12およびアッパー14を通じて延びる。足首領域26は、アッパー14の一部に位置する。前足部領域20は、一般に、中足骨を指骨と連結する足指および関節に対応する、履物品10の一部を含む。中足部領域22は、一般に、足のアーチ区域および足の甲に対応する履物品10の部分を含む。踵領域24は、踵骨を含む足の後方部分に対応する。足首領域26は、足首に対応する。前足部領域20、中足部領域22、踵領域24、および足首領域26は、履物品10の正確な区域を画定することを意図せずに、その代わりに本明細書の多様な態様の理解を助けるために履物品10の一般的な区域を示すことを意図する。また、履物品の一部は、これらの一般的な区域を用いて相対的な用語で説明され得る。たとえば、第1構造体は、第2構造体よりも踵の方にあると説明され得、この場合、第2構造体は足指の方にあり、前足部の方により近い。
【0017】
履物品10はまた、内側28(
図2で確認され、
図1では隠されている)および外側30(
図2で確認され、
図1で見られる)を有する。内側28および外側30は、前足部領域20、中足部領域22、踵領域24、および足首領域26のそれぞれを通じて延び、履物品10の両側に対応し、当業者によって理解されるように、それぞれは履物品10の長手方向の中間線基準面29の反対側に位置する。たとえば、長手方向の中間線基準面29は、ソール構造体の最前方点、およびソール構造体の最後方点を通過し得る。よって、内側28は、外側30に対向するものと考えられる。通常、内側は、足の内側区域(すなわち、他の足に面する表面)に対応し、外側は、足の外側区域(すなわち、他の足から離れて他の足に面する表面)に対応する。別の態様において、履物品は、履物品10の緯線方向の中間線基準面31の反対側に位置する前部分33および後部分35を含む。緯線方向の中間線基準面31は、長手方向の中間線基準面29および地表面に垂直に延び、履物品10の最前方点と履物品10の最後方点との間に等間隔で配置される。また、これらの用語は、多様な構造体の相対的位置を説明するために使用され得る。たとえば、履物品の内側部分により近い第1構造体は、第2構造体(外側区域により近く、より外側にある)の内側にあるものと説明され得る。
【0018】
履物品を説明する場合、「下位」および「上位」という相対的用語も用いられ得る。たとえば、上位部分は一般的に、ヒトの足が水平な地表面に平坦に置かれており、ヒトが直立しているとき、ヒトの頭の方向へより近く方向付けられている上端部分に対応する一方、下位部分は、一般的に、ヒトの頭から離れて方向付けられ、かつ地表面により近い下端部分に対応する。
【0019】
ソール構造体12は、多様な材料で構成され得、多様な要素を含み得る。たとえば、ソール構造体12は、ミッドソール32およびアウトソール34を含み得る。ミッドソール32は、歩行、ランニングまたはその他歩行活動中において、足と地面との間で圧縮されるとき、地面反力を減衰させる(つまり、クッションを提供する)圧縮可能なポリマーフォーム要素(たとえば、ポリウレタンまたはエチルビニルアセテート(EVA)フォーム)で形成され得る。さらなる態様において、ミッドソール32は、流体充填チャンバ、プレート、調節器、または力をさらに減衰させたり、安定性を向上させたり、足の動きに影響を与えたりする他の要素を含み得る。ミッドソール32は、単一のワンピース型ミッドソールであってもよく、または1つのユニットとして一体化された多数の構成要素であってもよい。いくつかの態様において、ミッドソール32は、ユニソールとしてアウトソール34と一体化され得る。アウトソール34は、ワンピース型であってもよく、またはいくつかのアウトソールの構成要素であってもよく、静止摩擦を与えるためにテキスチャ加工され得る耐摩耗性ゴム材料で形成され得、かつ/またはミッドソール32に固定されたトレッド(tread)またはクリート(cleat)などの静止摩擦要素を含み得る。アウトソール34は、ソールの全長および全幅にを延ばすか、または長さおよび/または幅にわたって部分的にのみ延び得る。
【0020】
アッパー14はまた、多様な材料で構成され得、多様な特徴を含み得る。たとえば、アッパー14は、革、織地、またはその他の合成材料もしくは天然材料で構成され得る。また、アッパー14は、編織地、織物、編組物、不織布、積層体、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。アッパー14は、通気性、伸縮性、柔軟性、ウィッキング性(wicking)、耐水性などと関連した多様な材料特性を有し得る。
【0021】
アッパー14は、通常、ソール構造体12と重なり、これに連結される一部を含み、かかる連結の接合部はバイトライン(biteline)と呼ばれ得る。また、アッパー14は、アッパー14からソール構造体12の足対向表面の少なくとも一部を横切って延びる材料パネルを含む「ストローベル(strobel)」を含み得、ストローベルは、ソール構造体12がアッパー14に取り付けられるときにアッパー14を靴型に保持するために使用され得る。言い換えれば、履物品10に一体化されたソール構造体12は足対向表面を含み、場合によっては、アッパー14は、バイトライン領域の近くから内向きに延びて足対向表面を少なくとも部分的に覆うパネル(ストローベルと呼ばれる)を含み得る。この場合、履物品を着用するときに、ストローベルは足の下に位置決めされる。ストローベルは、インソールまたはその他の材料層で覆われ得る。
【0022】
アッパー14は、他の特徴を含む。たとえば、アッパー14は、足挿入開口18の少なくとも一部の周囲に周縁を形成する足首の襟36を含む。また、アッパー14は、多くの場合、足首の襟36から延びるスロート38を含み、細長い開口40の少なくとも1つ以上の側面に沿って周縁を形成する。舌革42は、細長い開口40に位置しており、細長い開口40のサイズは、様々な閉鎖システムを用いて調整することができる。たとえば、
図1は、紐44を図示し、他の閉鎖システムは、弾性バンド、フックアンドループストラップ、ジッパー、バックルなどを含み得る。舌革42の位置、および閉鎖システムの連結部は、たとえば、履物品を着用するかドッフィングするときに開口をより大きくすることと、履物品を足に固定するときに開口をより小さくすることとによって、足挿入開口および細長い開口のサイズを変更するように調整することができる。本開示の他の箇所で説明されているように、舌革42は、舌革が他の履物品要素または着用者などから力または調整を受けるとき、舌革の形状および位置を保持するのに役立ち得る舌革補強材を含み得る。
【0023】
履物品10は、たとえばランニングまたは歩行時に着用可能な運動用靴を含み得、
図1および
図2に関して説明された要素を含む履物品10についての説明は、他のタイプのシューズ、たとえば、バスケットボールシューズ、テニスシューズ、アメリカンフットボールシューズ、サッカーシューズ、レジャーまたはカジュアルシューズ、ドレスシューズ、作業靴、サンダル、スリッパー、ブーツ、ハイキングシューズなどにも適用され得る。
【0024】
図1および
図2について説明したが、以下では
図3A~
図3Cおよび
図4A~
図4Cを参照して本開示のいくつかの他の態様について説明する。
図3A、
図3B、および
図3Cのそれぞれは、ソール312に結合されたアッパー314を含む履物品310を示し、アッパー314は、踵領域324と、足首の襟336を有する足首領域326とを含む。足首の襟336は、降下状態(
図3Cに示す)と直立状態(
図3Aおよび
図3Bに示す)との間で移動可能である。降下状態で、足首の襟336は、ソール312により近く位置決めされ、直立状態で、足首の襟336は、ソール312からより遠く位置決めされる。同様に、履物品410は、ソール412に結合されたアッパー414を含み、アッパー414は踵領域424と、足首の襟436を有する足首領域426とを含む。
【0025】
また、履物品310は襟エレベータ350を含み、襟エレベータ350は、踵領域324および/または足首領域326近くにあるアッパー314に結合され、足首の襟336を降下状態から直立状態に移動させるように動作可能である。より具体的に、襟エレベータ350は、踵領域324に位置決めされ、足首領域326まで延びる部分を含む。前述したように、踵領域324と足首領域326との間に必ずしも正確な輪郭設定(delineation)があるわけではなく、その代わり、これらの領域に対する襟エレベータ350の位置決めを説明することは、襟エレベータ350が、より下位にある部分(ソールに近い部分)から、より上位にある部分(足首の襟336に近い部分)まで延びることを説明する1つの方式である。襟エレベータ350をアッパー314(踵領域324および/または足首領域326の近くにある)に結合する限り、このような結合の形態は多様であり得る。たとえば、襟エレベータ350は、踵領域324でアッパーに結合されるか、足首領域326で結合されるか、足首の襟336に結合されるか、あるいはこれらのあらゆるすべての組み合わせが可能である。襟エレベータ350は、足首の襟を降下状態から直立状態に移動させるように動作可能な、襟エレベータの1つのタイプに関する一例であり、本開示の他の箇所で説明されているように、襟エレベータは、
図3A~
図3Cに示したもの以外に1つ以上の代替の構造体を含み得る。たとえば、
図4A~
図4Cは、足首の襟436を降下状態(たとえば、
図4C)から直立状態(たとえば、
図4Aおよび
図4B)に移動させるように動作可能であり、襟エレベータ350とは異なる構造の襟エレベータ450を備えた履物品410を示す。
【0026】
例示の目的で、アッパー314およびアッパー414は、仮想の破線によって示され、襟エレベータは、アッパーに対して多様な位置に配置され得る。たとえば、襟エレベータは、踵領域、足首領域、足首の襟、またはこれらのあらゆるすべての組み合わせにおいて、外部層と内部ライニング(inner lining)との間に、少なくとも部分的に、場合によって完全に貼り付けられ得る。別の態様において、襟エレベータは少なくとも部分的に露出しており、アッパーの外側または外部表面に配置され得る。さらなる態様において、襟エレベータの少なくとも一部は、内部ライニングの内側の足対向表面上に配置され得る。別の態様において、襟エレベータは履物品の外部に配置され得、タブ、熱かしめ、接合剤、ステッチまたはその他の結合により足首の襟の踵部分に取り付けられ得る。
【0027】
襟エレベータ(たとえば、襟エレベータ350および450)は、多様な要素を含み得る。一態様において、襟エレベータは、内側レバーアームと、外側レバーアームと、内側レバーアームを外側レバーアームに結合し、足首の襟の踵部分に位置する中央連結バンドと、を含む。さらなる態様において、それぞれのレバーアームは、基部に貼り付けられ、基部は、足首の襟が降下状態に移動する場合にレバーアームが変形されることによって、レバーアームに対して静止状態で維持される。基部は、履物品の一部、たとえばソールの一部またはアパーの一部であり得る。また、基部は、ソール、ソールそれ自体、またはこれらの任意の組み合わせに直接または間接的に貼り付けられた1つ以上の他のアンカー(anchor)であってもよい。米国特許第9,820,527号には、1つ以上の襟エレベータが記載されており、その一部は、変形可能部材(単数または複数)(基部を備えるか、または備えない)と呼ばれてもよく、米国特許第9,820,527号の開示全体は参照として本明細書に組み込まれる。本開示の一態様によれば、米国特許第9,820,527号に記載されている変形可能部材のうち少なくとも一部は、内側レバーアームと、外側レバーアームと、内側レバーアームを外側レバーアームに結合する中央連結バンドと、を含む。他の例において、米国特許第2018/0110292号および米国特許第2018/0289109号のそれぞれには、複数の他の襟エレベータが記載されており、その一部は、コントロールバー(基部を備えるか、または備えない)と呼ばれており、米国特許第2018/0110292号および米国特許第2018/0289109号の開示全体は、参照として本明細書に組み込まれる。本開示の一態様によれば、米国特許第2018/0110292号および米国特許第2018/0289109号に記載されているコントロールバーのうち少なくとも一部は、内側レバーアームと、外側レバーアームと、内側レバーアームを外側レバーアームに結合する中央連結バンドと、を含む。
【0028】
図示された襟エレベータ350および450のそれぞれは、内側レバーアーム352および452の例をそれぞれ示す。また、図示された襟エレベータ350および450のそれぞれは、外側レバーアーム354および454の例をそれぞれ示し、中央連結バンド356および456の例をそれぞれ示す。また、レバーアーム352および354は、基部358に取り付けられ、レバーアーム452および454は、基部358とは異なる構造の基部458に取り付けられる。基部358は、ソール312の足対向表面に、またはその近くに貼り付けられ、基部358は、アウトソールの一部、ミッドソールの一部、インソールの一部、ストローベルの一部、これらのソール層のうち任意の層の間に積層された材料のプレートもしくはシート、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。特に、基部358は、レバーアーム352および354が固定されている硬質の部分またはセクションを含み得る。
図3Bに示したように、基部358は、ソール312の上位表面を部分的に覆い、上位表面は、足受容空洞316に面する。いくつかの態様において、ソール312はミッドソールを含み、よって、上位表面はミッドソールであり、基部358はミッドソールとインソールとの間に積層される。
図3Bにおいて、表面前足部分360および表面踵部分362が識別され、両者とも基部358によって覆われていない。基部358は、前方の前縁364および後方の後縁366を含み、これらは両方とも、履物品310の内側から外側まで延びる。後方の後縁366は、(前方の前縁364に比して)表面踵部分362の最後方点368により近く配置され、かつ、最後方点368の前方に離隔している。このように基部358は、最後方点368まで完全に延びておらず、表面踵部分362(後方の後縁366から最後方点368まで延びる)は、基部358によって覆われない。
図4A~
図4Cは他の態様を示し、ここで基部458は、アッパーの一部(たとえば、ヒールカウンター(heel counter))、ミッドソール側壁の一部、またはこれらの任意の組み合わせに取り付けられ得、基部458は、基部358について説明されている方式で中底を通って延びることとは対照的に、履物品の裏面を巻き付ける。
【0029】
内側レバーアーム、外側レバーアーム、および中央連結バンドは、単一の連続体であってもよく、よって、内側レバーアームと、外側レバーアームと、中央連結バンドとの間には、明確な境界が存在しなくてもよい。たとえば、内側および外側アーム、ならびに中央連結バンドは、成形されるか、鋳造されるか、3Dプリントされるか、そうでなければ単一の一体形成ユニットとして形成され得る。他の態様において、内側レバーアームおよび外側レバーアームは、機械的もしくは化学的結合、摩擦嵌め、被覆、または他の結合により中央連結バンドに連結される別々の、別個の、および個別の細長い部材であり得る。
【0030】
襟エレベータの一部の構造的要素について一般的に説明したが、以下では襟エレベータの一部の動作態様について説明する。簡単に前述したように、襟エレベータは、足首の襟を降下状態から直立状態に移動させる。より具体的に、内側レバーアーム、外側レバーアーム、中央連結バンドまたはこれらの任意の組み合わせの少なくとも一部は、アッパーの一部に貼り付けられる。一態様において、中央連結バンドは、足首の襟の踵部分の近くに貼り付けられ得る。たとえば、本開示の他の箇所で説明されているように、中央連結バンドは、接着剤、連結タブ、熱かしめ、ステッチなどにより足首の襟の踵部分に取り付けられ得る。このように、足首の襟がソールにより近く降下状態に移動すると、内側レバーアームおよび外側レバーアームは、より圧縮された姿勢、またはより負荷のかかった姿勢に変形される。言い換えれば、襟エレベータは、加えられた力が足首の襟を直立状態から降下状態に移動させるとき、より圧縮されていない構成(たとえば、
図3Aおよび
図4A)から、より一層圧縮された構成(たとえば、
図3Cおよび
図4C)へと、弾性変形されることによって位置エネルギーを蓄積する。位置エネルギーは、加えられた力の除去時、襟エレベータをより圧縮されていない構成に戻し、襟エレベータがアッパーに貼り付けられるため、足首の襟も降下状態から直立状態に移動する。足首の襟が降下状態に移動すれば(直立状態に比して)、襟エレベータの圧縮が大きくなり得るが、直立状態において襟エレベータは、少なくとも部分的に変形された状態における位置エネルギーを依然として蓄積して(すなわち、予圧圧縮)、着用者の踵の周りで足首の襟の後方、すなわち踵部分の保持を可能にし得る。たとえば、襟エレベータが上部踵領域および/または上部足首領域に取り付けられている場合、アッパーの一部は、足首の襟が直立状態にあるときの予圧構成で襟エレベータを保持し得るか、または維持し得る。他の態様において、足首の襟が直立状態にあるときに、襟エレベータには負荷がかからないことがある。
【0031】
一態様において、中央連結バンドの下のアッパーの部分325または425は、アッパーの他の部分よりも柔軟な1つ以上の織地の壁を含み得る。アッパーのより柔軟な領域は、たとえば少なくとも部分的にヒールカウンター領域にあり得る。特に、このようなアッパーのより柔軟な部分325または425は、足首の襟が降下状態に移動するときに容易に折り畳まれ得、襟エレベータがより圧縮されていない状態に戻るときに襟エレベータに一層小さな抵抗を提供し得る(履物品の他の部分または通常の履物品における、あまり柔軟でないアッパーに比して)。
【0032】
いくつかの態様において、内側レバーアームと、外側レバーアームと、中央連結バンドとの組み合わせは、変形可能要素と呼ばれ得る。「変形可能要素」という用語は、弾性的に柔軟な部材を指し、弾性的に柔軟な部材は、屈折させることができるか、または圧縮することができるが、非屈折または非圧縮状態に向かって移動するための付勢を有する。変形可能要素は、内側レバーアームから外側レバーアームまで連続的に延びる単一の一体形成された変形可能要素を含み得る。他の態様において、内側レバーアームおよび外側レバーアームは、ヒールピース(heel piece)とも呼ばれ得る、中央連結バンドに連結される2つ以上の別個の個別的な変形可能要素であってもよい。
【0033】
いくつかの態様において、変形可能要素は、基部に直接結合されるか、装着されるか、または取り付けられ得る。他の態様において、基部は、変形可能要素を所定の位置に係合させて維持する1つ以上のアンカーを含み得る。たとえば、アンカーは、レバーアームと基部との間の接合部(たとえば、359および459)に位置し得る。かかるアンカーは、ソール(たとえば、インソール、ミッドソール、アウトソール)の部分と一体形成され、かつ/または、結合され、かつ/または、その内部もしくは間もしくは外側に位置し得る。たとえば、アンカーは、ソールの間、上端または下に積層されるブロック、プレートまたはウェッジに配置され得る。場合によっては、ソール(たとえば、ミッドソール)の一部は、彫刻されるか、または切り取られて、アンカーに取り付けられるか、またはこれを収容し得る。別の態様において、内外側方向に延びる基部(たとえば、基部358)は、アンカーが抵抗嵌め、圧縮嵌め、スナップ嵌めによって、または連動メカニズム/構成を介して係合するアンカー状受容部を含む。他の例において、アンカーは、アッパーの部分と一体形成され、かつ/または、結合され、かつ/または、その内部、間もしくは外側に位置し得る。たとえば、アンカーはアッパー、ヒールカウンター、またはこれらの組み合わせに位置し得る。単一のアンカーは、履物品の全幅を延ばし得るか、または2つのアンカーは、履物品の両側上に(たとえば、内側および外側上に)位置決めされ得る。変形可能部材は、基部またはアンカーに斜めに取り付けられ得る。たとえば、変形可能部材は、基部に垂直な角度で取り付けられ、その後、後方を向いて湾曲したりまたは弧状になり得る。別の態様において、変形可能部材は、後方を向いて弧状になる前に、前方に傾いている角度で(すなわち、上方および前方に)、または後方に傾いている角度で(すなわち、上方および後方に)に取り付けられ得る。
【0034】
変形可能部材と基部またはアンカーとの間の連結は、多様な方式で説明され得る。たとえば、一態様において、変形可能要素は、基部を中心に(たとえば、インソール、ミッドソールまたはアウトソールを中心に)枢動しない(すなわち、非枢動式である)。言い換えれば、変形可能要素は、基部に回転不可能に結合され得る。様々な態様において、変形可能要素と基部(またはアンカー)との間の係合には遊びがなく、これは、2つの構成要素間の相対的移動がほとんどまたは全くないことを意味する。
【0035】
変形可能要素は、チューブ、ワイヤー、バネ、形状記憶構造または材料などのうち1つ以上を含み得る。また、変形可能要素は、1つ以上の材料、たとえば炭素鋼、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン(ニチノール)、ならびにその他の金属および合金(形状記憶またはその他)、ポリマー(形状記憶またはその他)、複合材料、フォーム材、グラファイト、炭素繊維、ガラス繊維、TPC-ET、シリコン、TPUおよびポリカーボネートを含むことができる。たとえば、変形可能要素は、チタンを含むか、またはチタンワイヤーであり得る。なお、1つ以上の変形可能要素は、第1材料、たとえばチタンからなり得、1つ以上の追加の変形可能要素は、第2材料、たとえばグラファイトからなり得る。
【0036】
いくつかの態様において、変形可能要素は、単一の単片を含み得る。たとえば、変形可能要素の第1端部(たとえば、内側レバーアームの端部)は、内側アンカーに内蔵されるか取り付けられ得、変形可能要素の第2端部(たとえば、外側レバーアームの端部)は、外側アンカーに内蔵されるか取り付けられ得、変形可能要素の中間部分(たとえば、中央連結バンド)は、アッパーの踵部分または足首部分の周りで延びるか、いくつかの追加のヒールピース構造に内蔵され得る。
【0037】
他の態様において、変形可能要素は、複数の別個の個別的な構成要素を含み得る。たとえば、変形可能要素は、2つの個別的構成要素を含み得、第1構成要素(たとえば、内側レバーアーム)は、内側アンカーに内蔵されるか取り付けられる第1端部と、ヒールピースまたは中央連結バンドの内側に内蔵されるか取り付けられる第2端部と、を有する。したがって、第2構成要素(たとえば、外側レバーアーム)は同様に、外側アンカーに内蔵されるか取り付けられる第1端部と、ヒールピースまたは中央連結バンドの外側に内蔵されるか取り付けられる第2端部と、を含み得る。複数の別個の個別的な構成要素は、たとえばテープラップ(tape wrap)、織成インケーシング(woven encasing)、オーバーモールド(たとえば、TPU)、熱収縮チューブなどのうち1つ以上によって一緒に固定することができ、これらの各々は、異なる安定性および強度を提供することができる。たとえば、変形可能要素は、カバー、スリーブ、オーバーモールドまたは熱収縮チューブに独立的に収納されるか、または一緒に収納される1つ以上のワイヤーを含み得る。変形可能要素の弾性変形を容易にするために、1つ以上のワイヤーはアーチ状になり、屈折し、揺動した後、初期/正常状態に戻ることができる。
【0038】
変形可能要素は、その長さに沿って、かつ/またはその長さに沿う別個の点で、可変の機械的特性を有し得る。かかる変形は、変形可能要素(たとえば、ワイヤーまたは2つ以上のワイヤーの束)、変形可能要素(複数可)の全部または一部を取り囲む固定装置、あるいはこれらの任意の組み合わせによって提供され得る。たとえば、変形可能要素および/または固定装置は、その長さに沿って可変断面、可変密度、可変材料などを有し得る。よって、厚さまたは形状の変化により、あるいは、他に変形可能要素の厚さまたは形状が一定した場合には、変形可能要素をその長さに沿ってねじることにより、可変断面を提供することができる。
【0039】
簡単に前述したように、変形可能要素は、カバー、スリーブ、オーバーモールド、またはその他の適宜な構造を含み得、これは、変形可能要素の他の要素(たとえば、ワイヤー、バネなど)を保護し得、変形可能要素の屈曲または圧縮を制御し、かつ/または案内し、かつ/または支持し、かつ/または別な方法でこれに影響を及ぼし得る。いくつかの態様において、カバーは、その製造材料、形状、幾何学形状などに基づき、変形可能要素から(たとえば、ワイヤー(複数可)またはバネから)カバーへ機械的曲げ/変形の力を伝達することによって機械的応力の分散を促進するように構成されて、変形可能要素の損傷または破損を防止するか、または少なくとも抑制し、そうでなければ、変形可能要素が受ける集中的で繰り返しの機械的応力によって、該損傷または該破損が生じ得る。たとえば、カバーは、応力の分散を促進して変形可能要素の動的屈曲に寄与するように、その長さに沿って変わる寸法(たとえば、漏斗様のテーパ状)を有し得る。変形可能要素が破損した場合、カバーは、少なくともある程度の付勢を依然として提供することによって、足首の襟を降下位置から直立位置に移動させるのに役立ち得る。また、カバーは、変形可能要素に追加のパッドおよび/または支持を提供し得、着用者が変形可能要素を感じることを防止するか、少なくとも抑制し得る。
【0040】
簡単に前述したように、中央連結バンドは、ヒールピースとも呼ばれ得る。中央連結バンドは、内側および外側レバーアームと、単一の連続ユニットとして一体形成され得る。他の態様において、中央連結バンドは、内側レバーアームと外側レバーアームとの間で延び、これらの間の橋渡しとなる個別的なピースであり得る。特に、中央連結バンドは、アッパーへの結合を提供し得、足首の襟にフレームを提供して、足が挿入されるときに足首の襟が足受容開口内に折り畳まれることを防止し得る。
【0041】
着用者によって着用される場合、襟エレベータ(たとえば、襟エレベータ350および450)を有する履物品は、着用者が履物品を操作するために自分の手を使用しなくても、着用者が着用し得る履物品である。たとえば、着用者の足指は、足挿入開口318または418を通じて挿入され得る一方、自分の足のアーチまたは踵は、足首の襟336または436をソール312または412に向かって下方へ圧迫するのに用いられる。このように、足首の襟336または436をソールにより近く降下状態に調整することにより、足挿入開口318または418のサイズが大きくなり得る。着用者の足が足受容空洞316または416内にスライドすると、襟エレベータ350または450は、足首の襟を降下状態(すなわち、
図3Cおよび
図4C)から直立状態(すなわち、
図3Aおよび
図4A)へ移動させて履物品を着用者の足に固定するのに役立つ。
【0042】
特に、襟エレベータ350および450は、時間が経つにつれて上部踵領域および上部足首領域の構造的破壊の可能性を減少させ得、これは、直立状態に戻るように、または付勢されるように動作するフレームの提供による繰り返しのハンドフリー着用(hands-free donning)に起因し得る。また、襟エレベータ350および450は、利用者が手を使用することおよび/もしくは紐を結ぶために屈むことなく、靴べらを使用することなく、またはフィット(fit)のための他のそのような調整機構、要素またはメカニズムを使用することなく、自分の靴を容易に着用する(すなわち、履く)ことを可能にし得る。さらに、履物品310および410は、足受容開口内に着用者の足を容易に受容したり容易に導いたりし、あるいは他の方式で足受容開口に対して着用者の足を収容し得る。このような簡単な着用の可能性は、特に足首の襟の上端線が足受容空洞に向かって内向きに折れないようにしながら大きな足挿入開口を提供するのに役立つ襟エレベータ350および450に起因し得る。
【0043】
履物品310および410の動作は、多様な方式で説明され得る。たとえば、足首の襟336および436には、弾性があり得るか、たとえば足首の襟が降下状態に移動するとき、足挿入開口318および418の膨張を可能にするゴアリング要素(goring element)が含まれ得る。降下状態で、足挿入開口318および418は、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、または少なくとも約15%膨張し得る。かかる測定された膨張は、多様な方式で検出され得る。たとえば、足挿入開口の第1円周は、足首の襟が第1状態にあるときに測定され得、第2円周は、足首の襟が(第1状態に比して)ソールの近くにある第2状態にあるときに測定され得る。第1および第2状態においてソールから足首の襟までの距離は、垂直面(すなわち、水平基準面に対して垂直であり、地面接触表面が休止位置(at-rest position)に着座する平坦な地表面を含む)で測定され得、距離は、足首の襟の上端線の縁の最後方点から、ソールの上端線の縁(たとえば、バイトラインでソールがアッパーに連結されるところ)までの距離として測定され得る。このように、第1状態における距離は、第2状態における距離よりも長く、一態様では、第2距離は、第1距離の75%以下である。前述の例に続いて、第1状態における距離の75%以下の距離を有する第2状態において、円周は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、または少なくとも約15%膨張し得る。さらなる例において、足挿入開口318および418の円周は、足首の襟が第1状態における距離の75%以下の距離を有する第2状態にあるとき、少なくとも約1.0インチ(約2.54センチメートル)だけ膨張し得る。足挿入開口318および418の膨張量は、靴のスタイルおよびサイズによって異なり得る。他の態様において、降下状態におけるソール312および412の上の足首の襟336および436の高さは、直立状態における高さよりも約50%低いが、他のパラメータと同様に、これは、靴のスタイルおよびサイズによって異なり得る。
【0044】
本開示の他の箇所で説明されているように、襟エレベータ350および450は、足首の襟336および436を降下状態から直立状態に移動させるときに復帰力を提供する。いくつかの態様において、復帰力は、約1重量ポンド~約15重量ポンドであり、これは、足首の襟の多様な位置で測定され得る。たとえば、前述のように、足首の襟は、ソールからの第1距離を有する第1状態と、ソールからの第2距離(第1状態における距離よりも短い)を有する第2状態と、を含み得る。一態様において、襟エレベータ350および450は、第1状態における距離の約85%以下の距離を有する第2状態で、約1重量ポンド~約15重量ポンドの復帰力を提供する。さらなる態様において、襟エレベータ350および450は、第1状態における距離の約75%以下の距離を有する第2状態で、約1重量ポンド~約15重量ポンドの復帰力を提供する。さらに、襟エレベータ350および450は、第1状態における距離の約50%以下の距離を有する第2状態で、約1重量ポンド~約15重量ポンドの復帰力を提供し得る。復帰力は、足首の襟の後部が第2状態から跳ね戻って着用者の踵の周りにぴったりとフィットするように十分に強いものであり得る。たとえば、足首の襟336および436は、降下状態における足首の襟とソールとの間の距離が、直立状態における距離の85%未満、または75%未満、または50%未満である場合、約1秒未満の間に降下状態から直立状態に上昇し得る。他の態様において、足首の襟336および436は、降下状態における足首の襟とソールとの間の距離が、直立状態における距離の85%未満、または75%未満、または50%未満である場合、約0.5秒未満の間に降下状態から直立状態に上昇し得る。そして、さらなる態様において、足首の襟336および436は、降下状態における足首の襟とソールとの間の距離が、直立状態における距離の85%未満、または75%未満、または50%未満である場合、約0.2秒未満の間に降下状態から直立状態に上昇し得る。跳ね戻り時間は、外力(たとえば、着用者の踵により加えられ得る摩擦)による相殺のない状態で測定される。
【0045】
以下では、
図5~
図7を参照して、ソール512に結合されたアッパー514を有する別の履物品510が説明され、
図5は、履物品510の外側を示している。アッパー514は、踵領域524と、足首の襟536を有する足首領域526と、を含む。足首の襟536は、ソール512により近く位置決めされた降下状態(たとえば、
図6)と、ソール512からより遠く位置決めされた直立状態(たとえば、
図5)との間で移動可能である。また、履物品510は、アッパーの踵領域524に、アッパーの足首領域526に、足首の襟536もしくはその近くに、またはこれらの任意の組み合わせに結合され、足首の襟536を降下状態から直立状態に移動させるように動作可能な襟エレベータ550を含む。たとえば、本開示の他の箇所で説明されるように、中央連結バンド556は、足首の襟536の後方部分に(またはその近くに)貼り付けられ得、かつ/またはレバーアーム552および554は、アッパーの踵領域524に貼り付けられ得る。
図5および
図6に図示した襟エレベータ550は、襟エレベターの1つのタイプに関する一例であり、本開示の他の態様において、履物品510は、本明細書に開示された多様な他の襟エレベータのうちいずれかを含み得る。アッパー514には舌革がなく、よって、つま革は、前足部領域から足首の襟536の前方の上端線の縁までずっと延びる。代替の態様において、アッパー514は、スロート(たとえば、38)、舌革(たとえば、42)、および閉鎖システム(たとえば、フックアンドループストラップ、弾性バンド、紐44など)を含み得る。
【0046】
ソール512は、側壁540を含む。側壁540は、ソール周縁の少なくとも一部の周りで延びるソールの表面である。通常、側壁は、アッパーに近い上位部分(たとえば、バイトラインでアッパーと連結されるソールの上端縁の近くにある部分541)から、地面接触表面に近い下位部分(たとえば、部分543)まで延びる。場合によっては、側壁540は、側壁と地面接触表面との間の接合部で、より丸いコーナを有する地面接触表面に漸進的に移行し得る。他の場合において、側壁から地面接触表面への移行は、あまり漸進的ではなくてもよく、移行時に、より鋭いコーナ縁で表されてもよい。履物品がミッドソール(たとえば、フォームミッドソール)を含む場合、側壁の少なくとも一部は、多くの場合、ミッドソールによって形成される。側壁はまた、カップソール(cupsole)、またはアウトソールの周縁によって形成され得る。
図5の側壁540は、表面の変化がほとんどまたは全くなく、比較的平坦である。他の態様において、側壁は、多様な湾曲、傾斜の変化、湾入(indention)、ディンプル(dimple)、節点(node)、突出、凹み、溝、リブ、サイプ(sipe)などを含み得る。
【0047】
前述したように、履物品510は、襟エレベータ550を含む。襟エレベータ550は、足首の襟536の後方部分にまたはその近くに位置する中央連結バンド556を含む。
図8を参照すると、長手方向の中間線基準面529に沿って取った断面図が図示されている。本開示の他の箇所で説明されるように、長手方向の中間線基準面は、一般的に垂直向き(地面接触表面が置かれている地表面に垂直)に延び、履物品510の最後方点、および履物品の最前方点を通過する。
図8に図示したように、中央連結バンド556は、足首の襟536が直立状態にある場合、水平基準面562に対して前傾角560を含む。一般的に、水平基準面562は、休止状態(at-rest state)で、地面接触表面が置かれている(ここで、履物品は静止している)比較的平坦な地表面の平面を含む。
【0048】
前傾角560は、中央連結バンド556の構成に基づいて、多様な方式で決定され得る。たとえば、
図8は、中央連結バンド556の断面を示し、拡大
図10Bが提供されて中央連結バンド556の断面2D形態または形状をより容易に見ることができる。2D形態は、湾曲したコーナ部を有する矩形、楕円形、または細長い丸薬の形状として図示されている。また、中央連結バンド556は、長手方向の向きに沿う第1終点570から長手方向の向きに沿う第2終点572まで延びる長さ568を含む。
図8の2D形態は、本開示の一態様を表し、他の態様において、2D形態は多様な形状を有し得る。たとえば、
図9を参照すると、複数の代替の断面2D形態が図示されており、中央連結バンドの断面は、代替的に、これらの2D形態のうち1つ以上を含み得る。「前」および「後」という相対的な方向の基準が、
図9において履物品510のそれぞれの方向に対応するように位置決めされていることに、留意しなければならない。
【0049】
図9は、中央連結バンドの代替の態様に含まれ得る断面2D形態のグループにまとめられる。たとえば、グループAは、単一の固形体を含み得る中央連結バンドを表す。グループBは、できれば空間を介在させて、前層または前壁と、後層または後壁とを含み得る中央連結バンドを表す。たとえば、B1は、互いに貼り付けられた前層および後層を含み、それらの間には任意の空間がなく、B2およびB3は、それぞれ空間を含んでいる。グループCは、スラット(slat)などの複数の別々の細長い部材を(内側方向から外側方向へ)有する中央連結バンドを含み、これは、少なくとも中央連結バンドの領域内で互いに連結解除され、離隔し得る。グループDは、別々のブリッジおよび/またはネック(neck)を有する中央連結バンドを含み、別々のブリッジおよび/またはネックは、中央連結バンド内のパドルまたは他の支持構造体の間で延び、これらに連結する。たとえば、D1の断面図において、符号556Bは、外側パドルを識別する。
【0050】
本開示の一態様によれば、角度基準線564は、断面2D形態(複数可)を実質的に対称的な鏡像に二等分する長手方向の基準軸に沿って測定され得る。たとえば、
図9において、グループA~Dのそれぞれの例示的な2D形態は、断面2D形態を実質的に対称的な鏡像に二等分し、中央連結バンド(そのような特定の2D形態を有する断面を含む)内の角度基準線564を決定するのに使用され得る、それぞれの長手方向の基準軸を含むように図示されている。
【0051】
代替の方法を使用して、角度基準線564を位置付け、測定してもよい。たとえば、場合によっては、中央連結部材の断面2D形態は、前述した方法が適用されないように、二等分のための長手方向の基準軸の両側上で対称的ではなくてもよい。その代わりに、断面2D形態は、角度基準線を決定するのに使用できる他の特徴を呈し得る。たとえば、
図9のグループEを参照すれば、断面2D形態は、凸状前表面556Cを含み得、この場合、弧の中間点565に位置決めされた接線564Bは、角度基準線を決定するのに使用され得る。他の場合に、Fという文字で図示したように、断面2D形態は、凹状前表面を含み得、この場合、角度基準線は弧の終点を通じて延び得る。
【0052】
角度基準線を識別する別の方法は、2D形態の比較的直線的かつ平坦な前表面に基づき得る。たとえば、グループGにおいて、断面図の2D形態は、比較的平坦かつ直線的な前表面556Dを含む。また、グループGにおける2D形態は、長手方向の向きに沿う第1終点570から長手方向の向きに沿う第2終点572まで延びる長さ568を含む。本開示の一態様によれば、角度基準線は、前表面の平坦な部分が中央連結バンド長さ568の50%以上の直線的な表面高さ574を含む場合、前表面556Dに沿って(すなわち、それに平行して、そしてそれと同一線上に)設定され得る。
【0053】
前述の方法のうちいずれも所定の2D形態に適用することができなければ、角度基準線564は、2D形態の最上位点と2D形態の最前点との間、および最下位点と最後点との間で均一に離隔している基準線に沿って位置決めされ得る。1つよりも多くの最上位点がある場合、(他の最上位点に比して)最も前にある最上位点が選択され、1つよりも多くの最前点がある場合、最上位にある前点が選択される。同様に、1つよりも多くの最下位点がある場合、また最も後にある最下位点が選択され、1つよりも多くの最後点がある場合、最下位にある後点が選択される。
【0054】
本開示の一態様によれば、断面2D形態を含む中央連結バンドの構造が、可能性のある角度基準線を識別するために、前述の方法のうち1つよりも多くの方法を使用するのに資する場合、最も小さな角度を提供する角度基準線が、前傾角560を決定するために選択される。
【0055】
前傾角560は、多様な方式で履物品の1つ以上の動作に寄与する。たとえば、直立している中央連結バンドに比して、前傾角が小さい中央連結バンドは、大きなオーバーハングキャッチ表面(overhanging catch surface)を提供し得、これは、履物品の踵部分に対する着用者の足滑りを阻害することができる。内部ライニング材料(たとえば、
図8の526B)が中央連結バンドを覆い得るが、中央連結バンドは、硬質の裏材を提供して、足挿入開口の外に踵が滑ることを阻害し得る。
【0056】
本開示の態様において、また、前傾角を有する中央連結バンドは、たとえば着用者が履物品から自分の足を引き抜こうとする場合、履物品を脱ぐことを阻害し得る。たとえば、着用者が足挿入開口から自分の足をスライドさせようとする場合、着用者の踵は、中央連結バンドにより支持される踵部分、または後方足首の襟に引っかかり得る。このような意味で、足と中央連結バンドとの間の相互作用は、角度基準線に実質的に垂直なベクトルを有する力を生成し、中央連結バンドの抵抗により生成される力のベクトルの一例は、
図10において「矢印A」で識別される。次に、中央連結バンドに対する足の力のベクトルは、矢印Aの逆方向にあり、力ベクトルが中央連結バンドの前傾に影響を受けるので、矢印Bで表される。前述したように、場合によって、ヒールカウンター領域525は、より柔軟な壁を含み得、これは、足挿入開口の外に踵を滑らせる場合、着用者の踵を後方にも移動させることを可能にし得、このような後方移動は、着用者の踵が中央連結バンドに引っかかるのに寄与し得る。本開示において、「ドッフィング」という用語は、一般的に履物品を脱ぐ行為を説明する。
【0057】
本開示の1つ以上の態様がない場合、着用者は、自分の足指、または自分の母指球を中底内に入れ込んで、中央連結バンドを超えて自分の踵を引っ張るための静止摩擦を得ることができる。代替的に(あるいは追加的に)着用者は、自分の踵を引っ張って中央連結バンドを移しかつ迂回する経路を、変化させるか変更し得る。さらに、着用者は、靴をドッフィングすることを補助するために、自分の手を使用しなければならない場合がある。また、左足の靴を脱ぐために、着用者は、自分の右足で左足の靴のヒールカウンターを踏まなければならな場合があり、これは、アッパー材料が剥離するか、ソールからの引き離されるか、あるいは破壊される原因となり得る。しかし、これらの問題の一部を回避するか、または減らすために、本開示の態様は、ソールの踵部分にあるドッフィングレッジを含み、ドッフィングレッジは、履物品を脱ぐことを補助するために、着用者が自分の反対側の足で押し得る表面を提供する(たとえば、
図10参照)。
【0058】
図8において、ドッフィングレッジ580は、履物品510の側壁によって形成される。ドッフィングレッジ580は、アッパー514に近いドッフィングレッジの第1部分582から、アッパー514から遠く離れたドッフィングレッジの第2部分584まで外向きに突出する。さらに、ドッフィングレッジは、ドッフィングレッジの第1部分582からドッフィングレッジの第2部分584まで延びることにより、ドッフィング角度588で傾斜しているドッフィング表面586を備える。前傾角560と同様に、ドッフィング角度588は、水平基準面562に対して相対的である。また、一態様において、ドッフィング角度基準線589は、ドッフィング表面586に並行して、その同一線上に延びる。
【0059】
ドッフィングレッジ580は一例を提供し、本開示の一態様によって、1つ以上のドッフィングレッジは、側壁540に沿う1つ以上の位置に位置決めされ得る。たとえば、
図8において、ドッフィングレッジ580は、長手方向の中間線基準面529(
図7で識別される)と実質的に整列されており、他の態様において、ドッフィング表面は、踵領域(たとえば、
図7参照)の内側537に沿って、踵領域の外側539に沿って、踵領域の内側から外側への横方向部分535に沿って、またはこれらのあらゆるすべての組み合わせによって延び得る。たとえば、側壁540およびドッフィング表面586は、内側537から横方向部分535まで、外側539から横方向部分535まで、または内側537から外側539までずっと連続的に巻き付け得る。このように、本開示の一態様によって、
図11を参照すれば、別のドッフィングレッジ580Bは、踵領域の内側537上の履物品510の側壁によって形成される。内側537上の位置は、長手方向の中間線基準面と整列されている状態で、横方向部分535に偏在している、ドッフィングレッジ580の位置にわたっていくらかの差異を提供し得る。たとえば、内側537上の位置は、反対側の足上の履物品の内側との、反対側の足の内側部分または母指球との係合に資し得る。別の態様において、別のドッフィングレッジ580Cは、踵領域の外側539上の履物品510の側壁により形成され得る。外側539上の位置は、他のドッフィングレッジ580および580Bの位置にわたっていくらかの差異を提供し得る。たとえば、外側539上の位置は、反対側の足上の履物品の外側との、または反対側の足の外側部分との係合に資し得る。説明のために別々に符号を付するが、ドッフィングレッジ580、580Bおよび580Cは、側壁540の別の位置で異なる領域または部分を有する単一のドッフィングレッジと見なされ得る。
【0060】
図11において、ドッフィングレッジ580Bは、アッパー514に近いドッフィングレッジの第1部分582Bから、アッパー514から遠く離れたドッフィングレッジの第2部分584Bまで外向きに突出する。さらに、ドッフィングレッジ580Bは、ドッフィングレッジの第1部分582Bからドッフィングレッジの第2部分584Bまで延びることにより、ドッフィング角度588Bで傾斜しているドッフィング表面586Bを備える。前傾角560と同様に、ドッフィング角度588Bは、水平基準面562に対して相対的である。また、一態様において、ドッフィング角度基準線589Bは、ドッフィング表面586に並行して、その同一線上に延びる。ドッフィングレッジ580Cの断面図は、本開示にて明示的に提供されていないが、ドッフィングレッジ580Cのみならず、本開示による任意の他のドッフィングレッジは、アッパーにより近いドッフィングレッジの第1部分から、アッパーからより遠く離れたドッフィングレッジの第2部分まで外向きに突出し、ドッフィングレッジは、ドッフィングレッジの第1部分からドッフィングレッジの第2部分までドッフィング角度で傾斜しているドッフィング表面を有するものと理解される。
【0061】
場合によっては、靴を(たとえば、ハンドフリー方式で)脱ぐことを補助するためのドッフィングレッジ(たとえば、580、580Bおよび580C)の動作性は、少なくとも部分的には、前傾角560に対するドッフィング角度の大きさに依存する。たとえば、本開示の態様において、ドッフィング角度は、前傾角560未満である。このような標準をドッフィング角度に適用することにより、反対側の足によって生成される力ベクトル(たとえば、
図10の矢印C)は、垂直下方に案内されて、中央連結バンド(たとえば、矢印B)に対する足の力を克服するのに役立ち得る。言い換えれば、より小さいドッフィング角度を有するドッフィングレッジ(すなわち、水平基準面562に平行しており、水平に近い)に加えられる力は、より大きなドッフィング角度を有するドッフィングレッジよりも、垂直下方を指向するであろう。
図10において、力ベクトルCは、力ベクトルBよりも垂直に方向付けられ、これは、履物品を脱ぐとき、着用者が中央連結バンドの力を克服することを補助し得る。ドッフィングレッジ580Bが必ずしも中央連結バンド556と垂直に整列されているわけではないが、ドッフィングレッジ580Bの動作性は、前傾角560に基づいて構成され得る。このように、本開示の態様において、内側537に位置決めされたドッフィングレッジ580Bのドッフィング角度588B(
図11における)は、前傾角560(
図8における)未満である。
【0062】
本開示の一態様によれば、中央連結バンドの前傾角560は、45度~70度の第1範囲内にあり、この範囲内で前傾角は、多様な理由で履物品に含まれ得る。たとえば、このような第1範囲内の前傾角を選択して、一部のさらなる踵固定機能を提供し得る(すなわち、履物の着用中において、踵の滑りを阻害し、着用者の踵にぴったりと合う)。別の例において、このような第1範囲内の前傾角は、足首領域または足首の襟の後方部分において、所望の審美的輪郭を提供し得る。さらなる態様において、中央連結バンドの前傾角560は、50度~65度の第2範囲内にあり、第1範囲に比してこのような第2範囲では、十分な踵の安定性を提供しない可能性のある、一部の角度が省略され、ドッフィングに対して大きすぎる抵抗性を提供し得る、他の角度が省略される。これらの同一の考慮すべき事柄を念頭に置いてさらに改善するために、さらなる態様において、前傾角は、52度~62度の範囲内にあり得る。
【0063】
本開示の別の態様において、前傾角560は、45度~70度の第1範囲内にあり、ドッフィング角度は、前傾角以下であり、30度~70度の第3範囲内にある。ドッフィング角度の第3範囲は、前傾角よりも数度小さいドッフィング角度を選択することが望ましい場合があるため、前傾角の範囲に比して小さい角度で延び得る。たとえば、前傾角560が45度である場合、足を引き抜こうとする間に、ドッフィングレッジが30度のドッフィング角度(この角度は、ドッフィングレッジ上で履物品を所定の位置に保持するのに十分な梃子の作用(leverage)を生成する)を有することが好ましい可能性がある。ドッフィング角度が前傾角以下である場合、別の態様において、ドッフィング角度は、約40度~約60度の第4範囲内にあり得、第3範囲に比してこのような第2範囲では、十分な梃子の作用を提供しない可能性のある、一部のより大きな角度が省略され、側壁から過度に遠く外向きに突き出ている表面を生成し得る、一部のより小さな角度が省略される。これらの同一の考慮すべき事柄を念頭に置いてさらに改善するために、さらなる態様において、ドッフィング角度は、約45度~約55度の第4範囲内にあり得る。
【0064】
本開示の別の態様において、ドッフィング表面(たとえば、586および586B)は、(垂直基準面内で)ドッフィング表面の実質的に平坦な部分に沿って測定され、最少長さの閾値を満たす長さ590を含む。一例において、ドッフィング表面長さ590は、中央連結バンド長さ568の少なくとも75%であってもよい。さらなる例において、ドッフィング表面長さ590は、中央連結バンド長さ568の少なくとも90%であってもよい。さらなる態様において、ドッフィング表面長さ590は、少なくとも中央連結バンド長さ568と同じ長さであってもよい。さらなる態様において、ドッフィング表面長さ590は、中央連結バンド長さ568の少なくとも130%(たとえば、1と3分の1は,少なくとも130%である)であってもよい。代替の態様において、ドッフィング表面長さ590は、中央連結バンド長さ568の少なくとも150%(すなわち、1と2分の1)である。最少長さの閾値は、他の標準にも基き得る。たとえば、ドッフィング表面長さ590は、ソール高さ592の少なくとも3分の1であってもよく、これは、(垂直基準面内で)ソールの最上位点から水平基準面(本開示の他の箇所で定義されている)まで延びる。別の例において、ドッフィング表面長さ590は、ソール高さの少なくとも50%である。さらなる態様において、ドッフィング表面長さ590は、ソール高さの少なくとも75%である。さらに別の態様において、ドッフィング表面長さ590は、ソール高さ以上である。
【0065】
本発明は、構造に固有であり当業者によって実現される他の利点と共に、上述のすべての目標および目的を達成するようによく適合しているものであると、前述のところから分かるであろう。
【0066】
特定の特徴および下位組み合わせは実用的であり、他の特徴および下位組み合わせを参照せずに採用され得ることが理解されよう。これは、請求項により考慮され、特許請求の範囲内に属する。
【0067】
本発明の範囲を逸脱することなく、多数の可能な態様が本発明で作られ得るので、本発明に説明されるか、添付の図面に示されるすべての事項は、例示的のものとして解釈されるべきであり、限定的な意味では解釈されないことを理解されたい。
【0068】
本開示のいくつかの態様は、図面に提供された例について説明されている。出願時の本出願の1つ以上の請求項または条項、あるいは1つ以上の関連出願に含まれる関連主題であり得る、本開示のさらなる態様が以下で説明されるが、請求項または条項は、この説明の下記に説明される主題のみに限定されるものではない。これらのさらなる態様は、図面によって図示している特徴、図面によって示していない特徴、およびこれらの任意の組み合わせを含み得る。これらのさらなる態様を説明する場合、例示の目的で図面によって示した要素が参照され得る。
【0069】
本発明、および以下で列挙されている請求項に関連して使用される「条項のうちいずれか」という用語または前記用語の類似した変形は、請求項/条項の特徴が任意の組み合わせで組み合わせられ得るように解釈されることを意図する。たとえば、例示的な条項4は、条項1~条項3のうちいずれか1つの方法/装置を示してもよく、これは条項1および条項4の特徴が組合わせられ得、かつ/または、条項2および条項4の要素が組合わせられ得、かつ/または、条項3および条項4の要素が組合わせられ得、かつ/または、条項1、条項2、および条項4の要素が組合わせられ得、かつ/または、条項2、条項3、および条項4の要素が組合わせられ得、かつ/または、条項1、条項2、条項3、および条項4の要素が組合わせられ得、かつ/または、その他の変形があり得るものと解釈されることを意図する。さらに、「条項のうち任意の条項」という用語または前記用語の類似した変形は、上記に提供された例の一部により示されているように、「条項のうちいずれか1つ」、またはこのような用語のその他の変形を含むことを意図する。
【0070】
以下の条項は、本発明にて考慮される態様である。
【0071】
条項1.履物品であって、地面接触表面および側壁を有するソール;ソールに結合され、ソールにより近く位置決めされた降下状態と、ソールからより遠く位置決めされた直立状態との間で移動可能な足首の襟を備えるアッパー;足首の襟を降下状態から直立状態に戻すように動作可能な襟エレベータであって、内側レバーアームと、外側レバーアームと、内側レバーアームを外側レバーアームに結合し、足首の襟の後方部分の近くに位置する中央連結バンドと、を有する襟エレベータ;を備え、中央連結バンドは、足首の襟が直立状態にあるとき、水平基準面に対して65度以下の前傾角を備え、側壁は、ソールの踵部分にあり、アッパーにより近いドッフィングレッジの第1部分から、アッパーからより遠く離れたドッフィングレッジの第2部分まで外向きに突出するドッフィングレッジを備え、ドッフィングレッジは、水平基準面に対して前傾角未満のドッフィング角度でドッフィングレッジの第1部分からドッフィングレッジの第2部分まで傾斜しているドッフィング表面を備える、履物品。
【0072】
条項2.内側レバーアームは、中央コネクタに結合された第1端部と基部に結合された第2端部とを含み、外側レバーアームは、中央コネクタに結合された第3端部と基部に結合された第4端部とを含む、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0073】
条項3.基部は、インソールの下、およびミッドソールの上に積層される、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0074】
条項4.基部は、履物品の裏面、および中央連結バンドの下を巻き付ける、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0075】
条項5.前傾角は、55度以下である、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0076】
条項6.ドッフィングレッジは、履物品のソールの内側に位置決めされる、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0077】
条項7.ドッフィング表面は、履物品の最後方点および最前方点を通過する中間線基準面と整列される、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0078】
条項8.ドッフィングレッジは、履物品のソールの外側に位置決めされる、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0079】
条項9.ドッフィング表面は、ドッフィングレッジの第1部分からドッフィングレッジの第2部分まで延びるドッフィング表面長さを備え;ドッフィングレッジにおいて、ソールは、ソール高さを含み;ドッフィング表面長さは、ソール高さの2分の1以上である、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0080】
条項10.ドッフィング表面は、水平基準面に垂直に延びる垂直基準面で実質的に平坦である、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0081】
条項11.ドッフィング表面の第2部分は、アウトソールまで延びる、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0082】
条項12.履物品であって、地面接触表面および側壁を有するソール;ソールに結合され、ソールにより近く位置決めされた降下状態と、ソールからより遠く位置決めされた直立状態との間で移動可能な足首の襟を備えるアッパー;足首の襟を降下状態から直立状態に戻すように動作可能な襟エレベータであって、内側レバーアームと、外側レバーアームと、内側レバーアームを外側レバーアームに結合し、足首の襟の後方部分の近くに位置する中央連結バンドと、を有する襟エレベータ;を備え、中央連結バンドは、足首の襟が直立状態にあるとき、水平基準面に対して70度~45度の範囲内の前傾角を備え、側壁は、ソールの踵部分にあり、アッパーにより近いドッフィングレッジの第1部分から、アッパーからより遠く離れたドッフィングレッジの第2部分まで外向きに突出するドッフィングレッジを備え、ドッフィングレッジは、水平基準面に対して前傾角未満のドッフィング角度でドッフィングレッジの第1部分からドッフィングレッジの第2部分まで傾斜しているドッフィング表面を備える、履物品。
【0083】
条項13.前傾角は、65度~50度の範囲内にある、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0084】
条項14.前傾角は、52度~62度の範囲内にある、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0085】
条項15.ドッフィング角度は、30度を超える、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0086】
条項16.ドッフィング角度は、40度~60度の範囲内にある、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0087】
条項17.ドッフィング角度は、45度~55度の範囲内にある、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0088】
条項18.履物品であって、地面接触表面および側壁を有するソール;ソールに結合され、ソールにより近く位置決めされた降下状態と、ソールからより遠く位置決めされた直立状態との間で移動可能な足首の襟を備えるアッパー;足首の襟を降下状態から直立状態に戻すように動作可能な襟エレベータであって、内側レバーアームと、外側レバーアームと、内側レバーアームを外側レバーアームに結合し、足首の襟の後方部分の近くに位置する中央連結バンドと、を有する襟エレベータ;を備え、中央連結バンドは、足首の襟が直立状態にあるとき、水平基準面に対して65度以下の前傾角を備え、中央連結バンドは、長手方向の向きに沿う第1終点から長手方向の向きに沿う第2終点まで延びる長さを含み、側壁は、ソールの踵部分にあり、アッパーにより近いドッフィングレッジの第1部分から、アッパーからより遠く離れたドッフィングレッジの第2部分まで外向きに突出するドッフィングレッジを備え、ドッフィングレッジは、水平基準面に対して前傾角未満のドッフィング角度でドッフィングレッジの第1部分からドッフィングレッジの第2部分まで傾斜しているドッフィング表面を備え、ドッフィング表面は、ドッフィングレッジの第1部分からドッフィングレッジの第2部分まで延びるドッフィング表面長さを備え、ドッフィング表面長さは、長さの1と3分の1以上である、履物品。
【0089】
条項19.ドッフィング表面長さは、長さの1と2分の1以上である、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0090】
条項20.ドッフィングレッジは、履物品のソールの内側に位置決めされる、条項のうちいずれかに記載の装置。
【0091】
条項21.ソールは、足受容空洞に面する上位表面と、外側縁と、内側縁とを含み;基部は、前方末端縁および後末端縁を含み;前方末端縁および後末端縁は、それぞれソールの外側縁から始まって、ソールの上位表面を横切って延び、ソールの内側縁で終結し;末端後縁は、上位表面の最後方点の前方に離隔している、条項1~条項20のいずれかに記載の履物品。
【0092】
条項22.前方末端縁、後末端縁、またはこれらの任意の組み合わせは、上位表面を横切って線形的かつ連続的に延びる、条項21に記載の履物品。
【国際調査報告】