(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】移植片の締結のための医療締結装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20220202BHJP
A61F 2/08 20060101ALI20220202BHJP
A61B 17/86 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
A61B17/56
A61F2/08
A61B17/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535680
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 EP2019086213
(87)【国際公開番号】W WO2020127667
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516334802
【氏名又は名称】アバンサ、テクノメッド、ソシエダッド、リミターダ
【氏名又は名称原語表記】ABANZA TECNOMED, S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】ホセ、マヌエル、アバスカル、ルビオ
(72)【発明者】
【氏名】フアン、アバスカル、アサンサ
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA21
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC13
4C097CC14
4C097DD02
4C097DD10
4C097DD15
4C097EE07
4C160LL28
4C160LL29
4C160LL30
4C160LL57
(57)【要約】
本発明は、移植片の締結のための医療締結装置であって、医療締結装置は骨の骨孔に挿入されるのに適しており、前記医療締結装置は第1の締結要素および第2の締結要素を備える、医療締結装置に関する。本発明はまた、本発明の医療締結装置を挿入するためのシステム、および移植片の締結のための第2の代替的な医療締結装置も記載している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植片(10)の締結のための医療締結装置(1)であって、前記医療締結装置(1)は、骨の骨孔(11、12)に挿入されるのに適しており、前記医療締結装置(1)は、
-第1の締結要素(100)と、
-第2の締結要素(200)であって、
・第1の端部(211)および第2の端部(212)を有する第1の貫通導管(210)であって、前記第1の貫通導管(210)は第1の縦軸(215)に沿って延在し、前記第1の貫通導管(210)は、その第1の端部(211)に前記移植片(10)を受容し、その第2の端部(212)でその中に前記移植片(10)を収容するように構成されている、第1の貫通導管(210)と、
・第1の端部(221)および第2の端部(222)を有する第2の締結導管(220)であって、前記第2の締結導管(220)は第2の縦軸(225)に沿って延在する、第2の締結導管(220)と、
を備える第2の締結要素と、
を備え、
前記第1の貫通導管(210)および前記第2の締結導管(220)は、前記第1の縦軸(215)および前記第2の縦軸(225)が、互いに0以外である角度αを画定するように、前記第2の締結要素(200)内に配置され、
前記第1の貫通導管(210)の前記第2の端部(212)および前記第2の締結導管(220)の前記第2の端部(222)は、接合されて環状近位表面(230)を画定し、
前記第1の締結要素(100)が前記締結導管(220)内に収容および締結されると、前記第1の締結要素(100)と前記環状近位表面(230)との間に環状締結通路(300)が画定されるようになっている、
医療締結装置。
【請求項2】
前記環状近位表面(230)は、環状周縁全体に沿って延長し、近位空洞(235)を画定することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の締結要素(200)は、第1の端部(251、261、271、281)および第2の端部(252、262、272、282)を有する遠位付属物(250、260、270、280)を備える、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記遠位付属物(250、260、270、280)の前記第2の端部(252、262、272、282)は、前記第1の貫通導管(210)の前記第1の端部(211)に接続されており、前記遠位付属物(250、260、270、280)は、前記第1の貫通導管(210)の前記第1の端部(211)から突出している、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
-前記遠位付属物(280)の前記第2の端部(282)は、第1の貫通導管(210)内に追加で収容されて前記第1の貫通導管(210)を2つのセクションに分割し、
-前記第1の端部(281)は、前記第1の貫通導管(210)の前記第1の端部(211)から突出している
請求項3または4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記遠位付属物(270、280)の前記第1の端部(271、281)は、穴(273、283)を追加的に備え、前記穴(273、283)は、前記第1の締結要素(100)が前記第2の締結要素(200)の前記第2の締結導管(220)内に収容および締結されたときに、前記医療締結装置(1)が前記移植片(10)の少なくとも1つの自由端を締結することを可能にし、同時に、前記穴(263)が前記移植片(10)の少なくとも1つの屈曲端の吊りを維持することを可能にするように、前記移植片(10)の屈曲端の吊りを意図している、請求項4または5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記遠位付属物(240)は好ましくはストリップ、コード、またはバンドであり、
前記遠位付属物(240)の前記第1の端部(241)は前記第2の締結要素(200)に接続され、
前記遠位付属物(240)の前記第2の端部(242)は自由端であり、前記締結要素(100)が前記締結導管(220)内に収容および締結されると、追加的に前記遠位付属物(240)の前記第2の端部(242)が前記締結通路(300)内に収容されるように、調整可能ループ(245)を構成し、前記調整可能ループ(245)は、前記移植片(10)の屈曲端の吊りを意図している、
請求項3に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記遠位付属物(250、260)は、好ましくはストリップ、コード、またはバンドであり、
前記遠位付属物(250、260)の前記第1の端部(251、261)および前記第2の端部(252、262)は、穴(253、263)を構成する前記第2の締結要素(200)に接続され、前記穴(253、263)は、前記第1の締結要素(100)が前記第2の締結要素(200)の前記第2の締結導管(220)内に収容および締結されたときに、前記医療締結装置(1)が前記移植片(10)の少なくとも1つの自由端を締結することを可能にし、同時に、前記穴(253、263)が前記移植片(10)の少なくとも1つの屈曲端の吊りを維持するように、前記移植片(10)の屈曲端の吊りを意図している
請求項3に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記第1の締結要素は、ねじ軸およびヘッドを有するねじ(110)、ならびにワッシャ(120)であり、
-前記ねじの前記ヘッドは、前記ねじ(110)の前記軸と同心の円形段差(111)を備え、
-前記ワッシャ(120)は、前記ねじ(110)の前記軸と同心の前記円形段差(111)に対して相補的な形状を有する内側円形段差(121)を備え、前記内側円形段差(121)は、前記ねじの前記ヘッドを受容するための前記ワッシャ(120)の領域内に位置している
請求項1から8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記第2の締結要素(200)は、前記第1の貫通導管(210)と前記第2の締結導管(220)との間で移動可能な可動接合領域(290)を備え、前記可動接合領域は、
-前記第2の締結導管(220)の内部の第1の位置まで移動し、
-前記第1の貫通導管(210)の内部の第2の位置まで移動する
ように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記角度(α)は30°から60°の間である、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記第2の締結要素(200)の前記第2の端部(222)は、前記第2の縦軸(225)に対して垂直な軸上に位置する少なくとも1つのフランジ(231)を追加で備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記第2の締結要素(200)の前記第2の端部(222)は、前記第2の縦軸(225)に対して垂直な軸上に位置する2つのフランジ(231)を備える、請求項12に記載の装置(1)。
【請求項14】
医療締結装置を挿入するためのシステム(400)であって、
-請求項1から13のいずれか一項に記載の医療締結装置(1)と、
-インサータ(450)であって、
・前記第2の締結要素(200)の形状に対して相補的な形状を有し、前記第2の締結要素(200)の前記第2の端部(212)と係合するように構成された、第1の端部(410)と、
・前記インサータ(450)の第2の端部(420)に位置するハンドル(430)と、
を備えるインサータ(450)と、
-連結ねじ(440)と、
を備えるシステム(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外傷学の分野に関する。具体的には、本発明は、少なくとも1つの骨孔の少なくとも1つの移植片の締結のための医療締結装置に関する。この発明は、膝関節または人体の他の部分の、腱および靱帯などの結合組織の再建を目的とする。
【背景技術】
【0002】
外傷学の分野において、最も一般的な傷害の1つは、関節の靱帯の断裂からなる。靱帯は、関節内で骨を互いに接合するように構成された、縦方向の結合組織の帯である。
【0003】
スポーツ医学において最も一般的な断裂の1つは、膝の前十字靱帯(ACL)の断裂である。ACLが完全に断裂した人は、前後方向の不安定性、および再びスポーツを行うことを妨げる回転の不安定性の両方を呈する。
【0004】
断裂または損傷したACLを修復するための今日の好適な選択肢は、実際の患者から得られた繊維製結合組織、主に半腱様筋および薄筋腱の自家移植片の使用である。
【0005】
いずれにせよ、損傷したACLを修復するために、移植片が脛骨および大腿骨骨孔に挿入される。具体的には、現在広く行われている実践方法は、皮質ボタンによって大腿骨骨孔または大腿骨骨孔内に移植片の屈曲端を吊り、脛骨骨孔内に自由端を締結するために、プラグ/スリーブの有無にかかわらず、干渉ねじを使用することからなる。
【0006】
この実践方法は、十分な体積の移植片を有することを要するため、通常は半腱様筋および薄筋腱の両方の自家移植片が使用される。
【0007】
半腱様筋-薄筋腱は、約260mmの平均長さを有するため、2つの移植片が提供されて一度折り畳まれると、修復に十分な長さおよび厚さの移植片が得られる。
【0008】
薄筋腱を除去せずに半腱様筋のみが使用されたときに患者の後遺症が少ないことを実証する、異なる研究がある。以下は、前記研究の例である。
【0009】
Ardern CL, Webster KE, Taylor NF, Feller JA.(2010)「Hamstring strength recovery after Hamstring tendon harvest for anterior cruciate ligament reconstruction: a comparison between graft types(前十字靱帯再建のためのハムストリング腱採取後のハムストリング強度回復:移植片タイプ間の比較)」,およびSegawa H, Omori G, Koga Y, Kameo T, Iida S, Tanaka M.(2002)「Rotational muscle strength of the limb after anterior cruciate ligament reconstruction using semitendinosus and gracilis tendon(半腱様筋および薄筋腱を使用した前十字靱帯再建後の下肢の回転筋力)」。
【0010】
このため、第2の実践方法がこのタイプの修復において一般的となっており、前記実践方法は、単一の半腱様筋移植片の自由端を接合することからなり、これは縫合によって接合された3つまたは4つの枝の移植片を構成するために折り畳まれている。これは、十分な体積を提供し、大腿骨骨孔および脛骨骨孔の両方における半腱様筋自家移植片の吊りのために皮質ボタンを使用することを可能にする。
【0011】
しかしながら、結び目、縫合、および皮質ボタンの使用は、結び目および縫合内の摺動、および骨孔内に入り込むことさえある皮質ボタンの移動の両方による移植片張力損失のため、修復を失敗させる可能性があるということを実証する研究がある。以下は、前記研究の例である。
【0012】
Barrow AE, Pilia M, Guda T et al.(2014)「Femoral suspension devices for anterior cruciate ligament reconstruction:do adjustable loops lengthen ?(前十字靱帯再建のための大腿骨吊り装置:調整可能ループは長くなるか?)」およびJohnson JS, Smith SD, Laprade CM et al.(2014)「A biomechanical comparison of femoral cortical suspension devices for soft tissue anterior cruciate ligament reconstruction under high loads(高負荷下での軟組織前十字靱帯再建のための大腿骨皮質吊り装置の生体力学的比較)」。
【0013】
干渉ねじは、多孔質骨梁内に位置する骨孔の内壁に対して移植片を直接拘束する締結装置である。したがって、ねじは、移植片に縦方向に隣接して位置し、骨孔の壁に対してこれを拘束する。この締結には、干渉ねじを貫通するねじ留めガイドおよびねじ回しが使用される。
【0014】
図1Aは、ほとんどの干渉ねじと同様に、より小さい直径を有する2つの連続する縦方向貫通導管(601、602)を備える干渉ねじ(600)を示す。具体的には、2つのうち最小の直径を有する遠位導管(601)は、ねじ留めガイドを導入するように意図される。2つのうち最大の直径を有する近位導管(602)は、ねじ回しを係合するための多角形の内面を有して構成されており、このような導管の他の用途は考えられない。
図1Aは、ねじの断面において、両方の導管(601、602)を示す。干渉ねじ(600)は、骨孔の内壁に対して移植片を拘束するように設計された締結装置である。内部導管は、骨孔内にねじを案内してねじ込むための二次的な要素である。
【0015】
干渉ねじの使用に関連するリスクは、骨梁が最大90%の多孔性を有することである。したがって、脛骨の多孔質骨の不一致により、これらの干渉ねじは移動を受け、孔の中に移植片を正確に保持せず、その後修復が失敗する可能性がある。
【0016】
干渉ねじに関連する別の複雑さは、これらが移植片に直接ねじ込まれ、これを損傷するリスクがあること、およびこれらは移植片が締結される張力を正確に制御できるようにしないことである。さらに、装置は、骨孔を広げる可能性があり、これによって移植片の正確な骨結合を減速させて妨害する。
【0017】
この意味において、現在の先端技術では、干渉ねじの場合、極限引張強度、移植片張力損失、骨孔内への装置の移動の可能性、薄筋腱を抽出する必要のない単一の半腱様筋移植片の締結の有効性、および移植片の摺動に対する抵抗に関する現在の締結装置の性能を改善する必要がある。
【0018】
干渉ねじおよび皮質ボタンの使用に関連する既述の問題を解決するために、ACL修復のための締結装置を開示する様々な特許が開発されてきた。しかしながら、これらの装置に関連する複雑さは、再建後の関節の機械的特性を調整し続け、干渉ねじおよび皮質ボタンは依然として最も使用される装置である。前記特許のいくつかが、以下に特定される。
【0019】
移植片を損傷するリスクを軽減する目的のために、米国特許第6517579号明細書は、ねじがプラグ内に存在する縦中央導管内に導入されたときに、移植片がプラグの外面と骨孔の壁との間に拘束されるように、移植片が配置される外部縦方向チャネルを有するプラグ/スリーブ内に導入されるねじによる移植片の締結からなる技術的解決策を記載している。
【0020】
このタイプの技術的解決策は、ねじ留めしている間に移植片がねじと接触するのを防止し、これは実際に、プラグ/スリーブのない干渉ねじで発生する。しかしながら、この技術的解決策は、干渉ねじに関連する主要な問題を抱えており、移植片がプラグの外面と骨孔の壁との間で拘束されるとき、脛骨骨孔の壁の多孔質骨の不一致により、装置は十分な保持力を提供せず、移植片は脛骨骨孔内に摺動する可能性がある。
【0021】
米国特許出願公開第20160100936号明細書は、移植片を収容するフェルールと同軸にねじ込まれるねじを記載している。
図1Cおよび
図1Dは、前記特許出願の装置を示す。見てわかるように、ねじは移植片に直接ねじ込まれているが、これは干渉ねじの場合のように、移植片を損傷する可能性がある。
【0022】
国際公開第2006/091278号パンフレットは、骨孔内に導入され、孔の内壁に対して移植片を拘束するねじを記載しており、同時に、ワッシャを有して、皮質骨に対して垂直に侵入し、第1のねじの傾斜面にねじ込まれる第2のねじが、移植片をもう一度拘束する。
【0023】
この構成において、補強ねじは、締結を実行するために移植片の束の間を分離して必ず通過しなければならず、したがって、
-ねじの実際の傾斜面に形成された領域は、実際の補強ねじによって占有される空間に起因して減少し、したがって締結面が非常に小さく、
-この装置の使用は、ワッシャと限られた開放締め付け領域との間に移植片を嵌合することを伴い、結果的に不完全な締結および/または移植片を損傷する可能性をもたらす。
【0024】
米国特許第2006052787号明細書は、国際公開第2006/091278号パンフレットで提案されたものと同様の解決策を提案するが、ねじは非ねじ拘束要素に置き換えられている。
図1Eおよび
図1Fは、前記特許出願の装置を示す。見てわかるように、移植片(10)は必然的に、拘束要素(801)の外面と骨の骨孔の壁との間を通過し、次いで拘束要素の傾斜面に向かって屈曲し、ワッシャを有するねじ(802)が前記要素に対して移植片(10)を押しつける。
【0025】
国際公開第2015/169978号パンフレットは、縦導管およびねじ留め要素を用いる移植片の締結、ならびにフェルールの近位上部リム内のみにある締結通路を記載している。
図2Aから
図2Eは、前記特許出願の装置を示す。実際には、この装置は以下の制限を示している。
-近位上部リムは顕著な保持屈曲部を提供するものの、これは移植片の一部を拘束されないままにする制限された保持通路を提供し、拘束された移植片の摺動に対する抵抗を低減し、このため装置は、移植片全体を拘束するようにサイズ変更されなければならない。
-十分な厚さを達成するために、3本鎖または4本鎖構成で折り畳まれ、これは皮質締結には短すぎるので、国際公開第2015/169978号パンフレットに記載されるタイプの、皮質骨上に配置された直接機械的拘束装置の使用は、単一の半腱様筋移植片によるACL修復を可能にしない。
【0026】
米国特許出願公開第2013/304099号明細書は、骨孔内に移植組織を固定するための固定装置を記載している。
【0027】
米国特許出願公開第2008/051795号明細書は、準備された骨孔内に靱帯または移植片を固定するために好ましく使用される組織固定装置を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】米国特許第6517579号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第20160100936号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/091278号パンフレット
【特許文献4】米国特許第2006052787号明細書
【特許文献5】国際公開第2015/169978号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願公開第2013/304099号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2008/051795号明細書
【非特許文献】
【0029】
【非特許文献1】Ardern CL, Webster KE, Taylor NF, Feller JA.(2010)「Hamstring strength recovery after Hamstring tendon harvest for anterior cruciate ligament reconstruction: a comparison between graft types(前十字靱帯再建のためのハムストリング腱採取後のハムストリング強度回復:移植片タイプ間の比較)」
【非特許文献2】Segawa H, Omori G, Koga Y, Kameo T, Iida S, Tanaka M.(2002)「Rotational muscle strength of the limb after anterior cruciate ligament reconstruction using semitendinosus and gracilis tendon(半腱様筋および薄筋腱を使用した前十字靱帯再建後の下肢の回転筋力)」
【非特許文献3】Barrow AE, Pilia M, Guda T et al.(2014)「Femoral suspension devices for anterior cruciate ligament reconstruction: do adjustable loops lengthen ?(前十字靱帯再建のための大腿骨吊り装置:調整可能ループは長くなるか?)」
【非特許文献4】Johnson JS, Smith SD, Laprade CM et al.(2014)「A biomechanical comparison of femoral cortical suspension devices for soft tissue anterior cruciate ligament reconstruction under high loads(高負荷下での軟組織前十字靱帯再建のための大腿骨皮質吊り装置の生体力学的比較)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
したがって、骨孔内に少なくとも1つの移植片を締結し、現在の装置の性能を改善し、必要な剛性および力を提供し、既述の問題を解決することを可能にする解決策を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明は、請求項1に記載の移植片を締結するための医療締結装置、および請求項14に記載の医療締結装置を挿入するためのシステムによる、前述の問題に対する解決策を提案する。本発明の好適な実施形態は、従属請求項において定義されている。
【0032】
第1の発明の態様では、移植片の締結のための医療締結装置であって、医療締結装置は、骨の骨孔に挿入されるのに適しており、前記医療締結装置は、
-第1の締結要素と、
-第2の締結要素であって、
・第1の端部および第2の端部を有する第1の貫通導管であって、前記第1の貫通導管は第1の縦軸に沿って延在し、前記第1の貫通導管は、その第1の端部に移植片を受容し、その第2の端部でその中に移植片を収容するように構成されている、第1の貫通導管と、
・第1の端部および第2の端部を有する第2の締結導管であって、前記第2の締結導管は第2の縦軸に沿って延在する、第2の締結導管と、
を備える第2の締結要素と、
を備え、
第1の貫通導管および第2の締結導管は、第1の縦軸および第2の縦軸が、互いに0以外である角度αを画定するように、第2の締結要素内に配置され、
第1の貫通導管の第2の端部および第2の締結導管の第2の端部は、接合されて環状近位表面を画定し、
第1の締結要素が締結導管内に収容および締結されると、第1の締結要素と環状近位表面との間に環状締結通路が画定されるようになっている、
医療締結装置が提供される。
【0033】
一実施形態では、第1の縦軸は、第1の貫通導管の軸方向の対称軸と一致する。前述の実施形態のいずれかと両立する別の実施形態では、第2の締結導管は、第1の締結要素を収容および締結するように構成されている。前述の実施形態のいずれかと両立する別の実施形態では、第2の締結導管は、第2の縦軸に沿って延在する。
【0034】
本明細書を通して、移植片は、以下のように理解される。
-実際の患者からの任意のタイプの自家移植片、
-ドナーからの任意のタイプの同種移植片または異種移植片、もしくは
-任意のタイプの人工移植片、可撓性材料、または合成インプラント。
【0035】
本明細書を通して、医療締結装置の各要素の第1の端部は、前記要素の遠位端、すなわち、骨孔に挿入されたときに外科医から最も遠い要素の端部を意味すると理解されるだろう。一方、医療締結装置の各要素の第2の端部は、前記要素の近位端、すなわち、骨孔に挿入されたときに外科医から最も近い要素の端部を意味すると理解されるだろう。一方、第1の貫通導管および第2の締結導管の両方が中空であることもまた理解されるだろう。
【0036】
この意味において、近位要素または近位端は、それぞれ、外科医による使用のための第2の締結要素の最も近い把持位置に位置する要素または領域である。したがって、第2の締結要素が骨孔に導入されたとき、近位端は、外科医に最も近く、骨孔から最も離れた領域である。遠位要素または遠位領域は、それぞれ、外科医によるその使用のために最も遠い、したがって骨孔に最も近い位置にある、要素または領域である。したがって、第2の締結要素が骨孔に導入されたとき、遠位領域は、外科医から最も遠く、骨孔に最も近い領域である。
【0037】
第2の締結要素の第1の貫通導管は、貫通導管の端部の一方を通じて移植片を受容し、これを通じて移植片の端部の少なくとも一方が環状近位表面の内部または内面に位置するまで前記移植片を導くように構成されている。
【0038】
環状近位表面は、医療締結装置の第2の端部に位置している。具体的には、環状近位表面は、第1の貫通導管の第2の端部および第2の締結導管の第2の端部を接合するリムである。有利には、環状近位表面は、移植片が保持屈曲部を有する第1の縦軸から分離するように、移植片を案内する。前記リムの結果として、保持屈曲部は、リムの周縁の任意の部分に形成されることが可能であり、締結を補強する。
【0039】
環状近位表面の内面は、環状締結通路の一部であり、有利には、先端技術の前述の要素のものよりも大きい締結通路を用いていくつかの移植片の締結を可能にする。したがって、本発明の装置は、1つ以上の移植片を締結するように構成されている。
【0040】
環状近位表面の配置は、第1の貫通導管の第2の端部および第2の締結導管の第2の端部の接合部を画定する周縁を連続的に延長するので、環状締結通路が環状であることは、理解されなければならない。
【0041】
環状締結通路の表面の内面は締結面である。締結面は、移植片が環状締結通路内に収容され、締結面を構成する表面上に固定されるように、移植片を締結する表面である。
【0042】
したがって、移植片が環状締結通路内に収容され、次いで締結通路を構成する表面の間に固定されたときに、移植片を締結および固定できるように、環状締結通路は、第1の締結要素が第2の締結導管内に収容されたときに、第1の締結要素と第2の締結要素の第2の端部の環状近位表面の内面との間に画定された空間または容積である。移植片の経路は、直線、湾曲、ジグザグ、屈曲、または医学文献に示されるその他任意の形状であり得る。有利には、前記環状締結通路は、締結が完全であり、先端技術の装置と比較してより簡単で信頼性の高い方法で実行されることを保証する。
【0043】
一実施形態では、環状近位表面は、環状周縁全体に沿って延長し、近位空洞を画定する。
【0044】
近位空洞は、医療締結装置の第2の端部または近位端に位置し、あらゆる空洞と同様に、前記容積を画定する底部および外側開口部を備える。したがって、空洞の底部および開口部は、所与の距離だけ互いに分離されている。
【0045】
近位空洞の底部は、第1の貫通導管の第2の端部と第2の締結導管の第2の端部との間の接合部を画定する。特定の実施形態では、環状近位表面および近位空洞は、第1の締結要素を収容するように意図された第2の締結導管の第2の縦軸の周りに位置している。
【0046】
環状近位表面は、骨材と接触するように意図される外面、および移植片と接触するように意図される内面の、2つの表面を備える。近位空洞は、第1および第2の縦軸から分離する突出部のように第2の締結要素から現れるように、第1の貫通導管および第2の締結導管の延長部と見なされることが可能である。
【0047】
したがって、この実施形態では、環状締結通路は、少なくとも1つの移植片の締結を可能にするように、第1の締結要素が第2の締結導管に収容されたときに、第1の締結要素と環状近位表面との間に画定された空間または容積である。
【0048】
有利には、この実施形態は、近位空洞を環状締結通路の一部とすることができ、実質的かつ有利に締結面を増加させる。したがって、本発明の締結装置の締結面および環状締結通路は、移植片の締結および可能性を補強し、結果的に修復を成功させる。この新しい構成は、移植片が拘束されたときにその膨張に適応するのに十分な環状の締結面を、移植片に提供する。
【0049】
これにより、少なくとも1つの移植片における締結力を増加させ、最適な締結を得ることを可能にし、こうして先端技術で観察された問題を解決する。これは、ねじ自体によって占有される面積に起因して非常に小さいまたは減少した締結面が利用可能なため、達成される締結が不完全になり得る、干渉ねじの傾斜した近位端にある締結装置に起こることとは異なる。
【0050】
有利には、本発明の環状締結通路は、移植片の完全な締結を提供し、これにより、移植片が拘束される際に移植片の材料の一部が環状締結通路から出てくるのを防止し、これによって先端技術で観察された問題を解決する。これは、締結面が非常に小さいまたは減少したときに締結が不完全なことがある、別の締結装置に起こることとは異なる。
【0051】
特定の実施形態では、第2の締結要素は、締結フェルールである。
【0052】
特定の実施形態では、第2の締結要素は、第1の端部および第2の端部を有する遠位付属物を備える。
【0053】
別の特定の実施形態では、遠位付属物の第2の端部は、第1の貫通導管の第1の端部に接続されており、遠位付属物は、第1の貫通導管の第1の端部から突出している。好ましくは、遠位付属物は、第1の貫通導管の第1の端部に接続されている。
【0054】
特定の実施形態では、遠位付属物の第2の端部は、第1の貫通導管内に追加で収容されて前記第1の貫通導管を2つのセクションに分割し、第1の端部は、第1の貫通導管の第1の端部から突出している。
【0055】
別の追加の実施形態では、第1の貫通導管は、軸対称性を有する。一方、遠位付属物は、第1の貫通導管の第1の端部の進入セクションに対して垂直な第1の平面上に位置している。この位置は、本明細書を通して、垂直位置にある遠位付属物と見なされる。
【0056】
別の実施形態では、遠位付属物は、第1の貫通導管の第1の端部の進入セクションに対して垂直な第2の平面上に位置しており、これはまた、前述の実施形態において定義された第1の貫通導管の第1の端部の進入セクションに対して垂直な第1の平面に対しても垂直である。この位置は、本明細書を通して、水平位置にある遠位付属物と見なされる。
【0057】
遠位付属物は、少なくとも1つの移植片の枝を離れたまま維持することを可能にする。有利には、これらの実施形態は、単一の脛骨骨孔による十字靱帯の解剖学的修復において、移植片の枝の関節内セグメントに、修復される膝の特定の屈伸位置で元のACLが有する正確な度合いのねじれを提供することを可能にすることができる。関節内セグメントは、脛骨および大腿骨の両方の関節内空洞への挿入間の移植片のセグメントを指すことが理解されなければならない。したがって、これは、脛骨および大腿骨の両方の骨を接合し、骨孔の外側、すなわちACLが元々位置していた場所に位置する、移植片の部分全体に対応する。
【0058】
単一の脛骨骨孔によるACL修復では、遠位付属物は、有利には、脛骨骨孔内に、ACLの2つの主要な枝、前内側(AM)枝および後外側(PL)枝を、元の挿入の両方の枝に対応する位置まで導くことを可能にする。したがって、ACLの元の解剖学的構造が、有利に修復される。
【0059】
有利には、遠位付属物が移植片の枝を特定の距離だけ離れたまま維持する1つ以上の実施形態において、脛骨および/または大腿骨で二重骨孔技術を使用する必要性を伴わずに、脛骨および大腿骨の両方で、この分離が元のACLの広い挿入領域を修復できるようにする、より解剖学的なACL修復を可能にする。
【0060】
一実施形態では、遠位付属物の第1の端部は、穴を追加的に備え、前記穴は、第1の締結要素が第2の締結要素の第2の締結導管内に収容および締結されたときに、医療締結装置が移植片の少なくとも1つの自由端を締結することを可能にし、同時に、穴が移植片の少なくとも1つの屈曲端の吊りを維持することを可能にするように、移植片の屈曲端の吊りを意図している。
【0061】
穴を有する遠位付属物は、穴を通じて導入されたときに移植片の吊りを可能にするので、移植片の屈曲端を受容するように構成された吊り要素である。この構成は、移植片の自由端が元に戻ることを可能にするので、これらは締結されることが可能である。十分な長さの単一の移植片による十字靱帯修復では、これにより、縫合または結び目を使用しない3本鎖または4本鎖移植片構成の使用を有利に可能になる。縫合または結び目の使用を防止することで、移植片の両方の自由端を装置によって直接機械的に締結することができる。
【0062】
有利には、移植片の関節内セグメントが3本鎖または4本鎖構成であっても、2つの自由端が関節内領域を通る経路から回り込んで、脛骨から大腿骨へ、そして大腿骨から脛骨へ回り込んで戻ってくると、装置はその2つの自由端を締結するだけでよいので、この構成は装置のサイズを縮小する。
【0063】
したがって、単一の脛骨骨孔を用いる3本鎖構成では、移植片は2つのループ、脛骨ループおよび大腿骨ループで構成され、これらは、大腿骨締結装置によって締結された脛骨穴から来る移植片の自由端と、脛骨締結装置によって締結された大腿骨穴から来る移植片の自由端とを用いて、それぞれの脛骨および大腿骨締結装置のそれぞれの穴から吊られている。
【0064】
一実施形態では、遠位付属物は好ましくはストリップ、コード、またはバンドであり、遠位付属物の第1の端部は第2の締結要素に接続され、遠位付属物の第2の端部は自由端であり、第1の締結要素が締結導管内に収容および締結されると、追加的に遠位付属物の第2の端部が締結通路内に収容されるように、調整可能ループを構成し、調整可能ループは、移植片の屈曲端の吊りを意図している。
【0065】
有利には、皮質ボタンとは異なり、この調整可能ループは結び目を必要とせず、必要に応じて、その屈曲端が調整可能ループから吊られる移植片の張力を変化させるために第1の締結要素が緩められ得るように、修正されることが可能である。
【0066】
特定の方法で、前述の実施形態のストリップ、コード、またはバンドの形態の遠位付属物が編み込まれるかまたは織り込まれる。
【0067】
特定の実施形態では、遠位付属物は好ましくはストリップ、コード、またはバンドであり、遠位付属物の第1の端部および第2の端部は第2の締結要素に接続され、穴を構成し、穴は、第1の締結要素が第2の締結要素の第2の締結導管内に収容および締結されたときに、医療締結装置は移植片の少なくとも1つの自由端を締結することを可能にし、同時に、穴は移植片の少なくとも1つの屈曲端の吊りを維持するように、移植片の屈曲端の吊りを意図している。遠位付属物の両端が接続されているので、遠位付属物は締結されており、調整不可能である。
【0068】
特定の方法で、前述の実施形態のストリップ、コード、またはバンドの形態の遠位付属物が編み込まれるかまたは織り込まれる。
【0069】
特定の実施形態では、第1の締結要素は、ねじ軸およびヘッドを有するねじ、ならびにワッシャであり、
-ねじのヘッドは、ねじの軸と同心の円形段差を備え、
-ワッシャは、ねじの軸と同心の円形段差に対して相補的な形状を有する内側円形段差を備え、前記内側円形段差は、ねじのヘッドを受容するためのワッシャの領域内に位置している。
【0070】
ワッシャの内表面は、ねじを収容するように意図された内面またはセクションであり、これは前記円形段差が位置する場所である。一方、ワッシャの外表面は、移植片および/または環状近位表面と接触するように意図されるワッシャの外面である。
【0071】
有利には、この実施形態は、ねじの軸と同軸ではない位置までワッシャが引きずられるのを防止し、これにより、ねじの回転運動がワッシャに伝わるのを防止して、本発明の医療締結装置の挿入および締結を容易にする。
【0072】
特定の実施形態では、第1の締結要素は、
-円形のヘッドおよびそのシャンク上のねじ山を有するねじと、
-ねじのヘッド内に収容されるように構成された円形のワッシャと、
を備え、
第2の締結導管は、ねじを第2の導管に締結するように構成されたねじのねじ山と相補的なねじ山を備える。
【0073】
ワッシャは、オリフィスと、オリフィスから内表面が終端する外縁部まで延在する内表面とを備える。オリフィスは、ねじのシャンクを受容するように構成されており、ワッシャの内表面は、ねじのヘッドを収容するように構成されている。ワッシャを備える実施形態では、ワッシャの外表面と環状近位表面の内面との間に締結面が構成されている。
【0074】
これらの実施形態では、環状近位表面がねじのねじ切り軸の周りに構成された結果として、近位空洞の開口部全体を完全に包囲するので、本発明の締結装置は、移植片を引きずることなく、ならびに締結中に締結ねじが移植片を貫通することなく、より大きい圧縮力を印加することを可能にする。したがって、本発明は、ワッシャを有するねじによって現在の装置で発生するように、ねじが必然的に移植片を貫通して劣化させることを防止する。
【0075】
有利には、移植片は、ワッシャの外面の広いセクタと、環状近位表面の内面との間に配置される。本発明の装置は、先端技術のねじおよびワッシャ装置によって提供されるよりも高い締結剛性を提供する。
【0076】
特定の実施形態では、第2の締結要素は、第1の貫通導管と第2の締結導管との間で移動可能な可動接合領域を備え、前記可動接合領域は、
-第2の締結導管の内部の第1の位置まで移動し、
-第1の貫通導管の内部の第2の位置まで移動する、
ように構成されている。
【0077】
接合領域は、第1の貫通導管の第2の端部と第2の締結導管の第2の端部との縁部が接合する領域として理解されなければならない。
【0078】
一方では、第1の位置は、移植片を収容するための余裕を残す。他方では、第2の位置は、移植片が第2の締結導管内に挿入されている間に第1の締結要素によって挟持および/または穿孔されることを防止することによって、移植片を保護する。
【0079】
特定の実施形態では、第2の締結要素の第2の端部は、第2の縦軸に対して垂直な軸上に位置する少なくとも1つのフランジを追加で備える。好ましくは、少なくとも1つのフランジは、環状保持ローブの形態である。
【0080】
少なくとも1つのフランジは、骨孔内への入口開口部の外側上部分を区切る皮質骨に当接するように構成されている。有利には、この実施形態は、骨孔内の本発明の医療締結装置の移動を防止する。
【0081】
特定の実施形態では、角度(α)は30°から60°の間である。
【0082】
好適な実施形態では、第2の締結要素の第2の端部は、第2の縦軸に対して垂直な軸上に位置する2つのフランジを備える。
【0083】
調整可能ループを有する特定の実施形態では、第2の締結要素は、第1の締結要素内に存在する溝と相補的な溝、好ましくはワッシャのないねじを追加的に備える、ストリップまたはバンドを備える。有利には、この実施形態は、装置を構成する調整可能ループの締結を補強する。
【0084】
一実施形態では、第2の締結要素は一体型である。
【0085】
一実施形態では、医療締結装置の要素は、半結晶性で生体適合性の熱可塑性ポリマー材料から製造される。
【0086】
特定の実施形態では、第1の締結要素はチタンから製造され、第2の締結要素はポリエーテルエーテルケトンから製造される。
【0087】
特定の実施形態では、第2の締結要素はツーピースであり、第1の部分はポリエーテルエーテルケトンから製造され、クリップ留めおよび/または超音波によって結合されており、第2の部分は織り込みまたは編み込みされたコードまたはバンドを備える。
【0088】
別の特定の実施形態では、第2の締結要素はツーピースであり、ポリエーテルエーテルケトンから製造され、チタンリングまたは半リングを有する。
【0089】
特定の実施形態では、第2の締結要素は、その外表面に少なくとも1つの縦または螺旋リブを備える。
【0090】
有利には、第2の締結要素がその外表面に少なくとも1つの縦リブを備える実施形態では、締結ねじがねじ込まれる際の骨孔の中の第2の締結要素の回転が防止される。
【0091】
特定の実施形態では、環状近位表面は、その内面に少なくとも1つのスロットまたは溝を備える。別の実施形態では、環状近位表面は、その内面に少なくとも1つのリブまたは突起を備える。別の実施形態では、環状近位表面は、その内面に少なくとも1つの溝および少なくとも1つのリブを備える。
【0092】
有利には、締結面の内面が少なくとも1つの溝および/またはリブを備える実施形態では、移植片上の締結が補強される。
【0093】
第2の発明の態様では、本発明は、医療締結装置を挿入するためのシステムであって、
-第1の発明の態様の実施形態のいずれかによる医療締結装置と、
-インサータであって、
・第2の締結要素の形状に対して相補的な形状を有し、第2の締結要素の第2の端部と係合するように構成された、第1の端部と、
・インサータの第2の端部に位置するハンドルと、
を備えるインサータと、
-連結ねじと、
を備えるシステムを提供する。
【0094】
具体的には、本発明のインサータシステムは、患者に医療締結装置を埋め込むための迅速で効率的なシステムを提供することを可能にする。
【0095】
さらなる例では、移植片の締結のための医療締結装置であって、医療締結装置は、骨の骨孔に挿入されるのに適しており、前記医療締結装置は、
-第1の締結要素と、
-第2の締結要素であって、
・骨に対して、もしくは装置自体に対して締結するための締結通路を構成する第1の締結要素を収容するように意図された締結導管と、
・移植片の少なくとも1つの屈曲端の吊りを意図した吊り要素、好ましくは穴またはループを構成する、遠位付属物と、
を備える第2の締結要素と、
を備える医療締結装置が提供される。
【0096】
第1の発明の態様で示された移植片の定義は、第3の発明の態様の全ての実施形態でも必要な修正を加えて適用されることが、理解されなければならない。
【0097】
穴またはループは、移植片の屈曲端を受容または吊るように構成されている。この構成は、移植片の自由端が締結され得るように戻ってくることを可能にする。これは、十分な長さの単一の移植片による十字靱帯修復において、縫合または結び目を使用しない3本鎖または4本鎖移植片構成を使用することを有利に可能にする。縫合または結び目の使用を防止することで、移植片の両方の自由端を装置によって直接機械的に締結することができる。
【0098】
さらに、関節内セグメントが3本鎖移植片構成を有するとき、移植片は2つのループ、脛骨ループ、および別の大腿骨ループで構成され、これらは、大腿骨締結装置によって締結された脛骨穴またはループから出てくる移植片の自由端と、脛骨締結装置によって締結された大腿骨骨孔内に位置する穴またはループから来る移植片の自由端とを用いて、それぞれの脛骨および大腿骨締結装置のそれぞれの穴またはループから吊られているので、この構成は、装置のサイズを有利に縮小する。
【0099】
同様に、4本鎖構成では、2つの自由端が関節内領域を通る経路から、脛骨から大腿骨へ、そして大腿骨から脛骨へ回り込んで戻ってくると、装置はその2つの自由端を締結するだけでよい。
【0100】
特定の実施形態では、遠位付属物は好ましくはストリップ、コード、またはバンドであり、第1の端部および第2の端部を備え、遠位付属物の第1の端部は第2の締結要素に接続され、遠位付属物の第2の端部は自由端であり、第1の締結要素が締結導管内に収容および締結されると、追加的に遠位付属物の第2の端部が締結通路内に収容されるように、調整可能ループを構成し、調整可能ループは、移植片の屈曲端の吊りを意図している。
【0101】
特定の方法で、前述の実施形態のストリップ、コード、またはバンドの形態の遠位付属物が編み込まれるかまたは織り込まれる。
【0102】
有利には、穴またはループが吊られた移植片の屈曲端の枝を特定の距離だけ離れたまま維持する1つ以上の実施形態において、脛骨および/または大腿骨で二重骨孔技術を使用する必要性を伴わずに、脛骨および大腿骨の両方で、この分離が元のACLの広い挿入領域を修復できるようにする、より解剖学的なACL修復を可能にする。
【0103】
特定の実施形態では、遠位付属物は、好ましくはストリップ、コード、またはバンドであり、第1の端部および第2の端部を備え、遠位付属物の第1の端部および第2の端部は第2の締結要素に接続され、穴またはループを構成し、穴またはループは、第1の締結要素が締結導管内に収容および締結されたときに、医療締結装置が締結通路内の移植片の少なくとも1つの自由端を締結することを可能にし、同時に、穴またはループは移植片の少なくとも1つの屈曲端の吊りを維持することを可能にするように、移植片の屈曲端の吊りを意図している。
【0104】
特定の方法で、前述の実施形態のストリップ、コード、またはバンドの形態の遠位付属物が編み込まれるかまたは織り込まれる。
【0105】
第1の発明の態様について記載された実施形態の全ての特徴は、排他的または互換性のない組み合せを除いて、この第3の発明の態様に適用される。
【0106】
同様に、本明細書(請求項、説明、および図面を含む)に記載される全ての特徴は、一般的に、相互に排他的な特徴の組み合せを除いて、任意の組み合せで組み合わせられることが可能である。
【0107】
本発明のこれらおよびその他の特徴および利点は、添付図面を参照して非限定的な説明例によってのみ与えられる、好適な実施形態の以下の詳細な説明から、より明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【
図1A】先端技術の移植片保持システムを示す図である。
【
図1B】先端技術の移植片保持システムを示す図である。
【
図1C】先端技術の移植片保持システムを示す図である。
【
図1D】先端技術の移植片保持システムを示す図である。
【
図1E】先端技術の移植片保持システムを示す図である。
【
図2A】フェルールの内部の上部分で保持が実行される、先端技術の移植片締結システムを示す図である。
【
図2B】フェルールの内部の上部分で保持が実行される、先端技術の移植片締結システムを示す図である。
【
図2C】フェルールの内部の上部分で保持が実行される、先端技術の移植片締結システムを示す図である。
【
図2D】フェルールの内部の上部分で保持が実行される、先端技術の移植片締結システムを示す図である。
【
図2E】フェルールの内部の上部分で保持が実行される、先端技術の移植片締結システムを示す図である。
【
図3A】第1の発明の態様の医療締結装置の分解図である。
【
図3B】第1の発明の態様の医療締結装置の分解図である。
【
図3C】第1の発明の態様の医療締結装置の分解図である。
【
図3D】第1の発明の態様の医療締結装置の分解図である。
【
図4A】第1の締結要素が第2の締結要素内に収容されたときの、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図4B】第1の締結要素が第2の締結要素内に収容されたときの、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図4C】第1の締結要素が第2の締結要素内に収容されたときの、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図5A】移植片が締結されている、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図5B】移植片が締結されている、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図6A】遠位付属物が調整可能ループを構成している、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図6B】遠位付属物が調整可能ループを構成している、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図6C】遠位付属物が調整可能ループを構成している、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図6D】遠位付属物が調整可能ループを構成している、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図7A】遠位付属物が締結されたループを構成している、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図7B】遠位付属物が締結されたループを構成している、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図7C】遠位付属物が締結されたループを構成している、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図8A】遠位付属物が半リングを構成している、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図8B】遠位付属物が半リングを構成している、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図8C】遠位付属物が半リングを構成している、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図9A】水平な遠位付属物を有する第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図9B】水平な遠位付属物を有する第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図9C】水平な遠位付属物を有する第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図9D】水平な遠位付属物を有する第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図10A】垂直な遠位付属物を有する第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図10B】垂直な遠位付属物を有する第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図10C】垂直な遠位付属物を有する第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図10D】垂直な遠位付属物を有する第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図11A】第1および第2の発明の態様による医療締結装置を挿入するためのシステムの図である。
【
図11B】第1および第2の発明の態様による医療締結装置を挿入するためのシステムの図である。
【
図11C】第1および第2の発明の態様による医療締結装置を挿入するためのシステムの図である。
【
図11D】第1および第2の発明の態様による医療締結装置を挿入するためのシステムの図である。
【
図11E】第1および第2の発明の態様による医療締結装置を挿入するためのシステムの図である。
【
図12A】右膝ACL修復中の、大腿骨内の調整可能ループおよび穴のない垂直な付属物を有する、第1の発明の態様による医療締結装置を使用するためのステップを示す図である。
【
図12B】右膝ACL修復中の、大腿骨内の調整可能ループおよび穴のない垂直な付属物を有する、第1の発明の態様による医療締結装置を使用するためのステップを示す図である。
【
図12C】右膝ACL修復中の、大腿骨内の調整可能ループおよび穴のない垂直な付属物を有する、第1の発明の態様による医療締結装置を使用するためのステップを示す図である。
【
図12D】右膝ACL修復中の、大腿骨内の調整可能ループおよび穴のない垂直な付属物を有する、第1の発明の態様による医療締結装置を使用するためのステップを示す図である。
【
図13A】単一の移植片の3本鎖構成を可能にする、全体としての第1の発明の態様の装置のシステムの概略図を示す。
【
図13B】単一の移植片の3本鎖構成を可能にする、全体としての第1の発明の態様の装置のシステムの概略図を示す。
【
図13C】単一の移植片の3本鎖構成を可能にする、全体としての第1の発明の態様の装置のシステムの概略図を示す。
【
図13D】単一の移植片の3本鎖構成を可能にする、全体としての第1の発明の態様の装置のシステムの概略図を示す。
【
図14A】単一の移植片の4本鎖構成を可能にする、全体としての第1の発明の態様の装置のシステムの概略図を示す。
【
図14B】単一の移植片の4本鎖構成を可能にする、全体としての第1の発明の態様の装置のシステムの概略図を示す。
【
図14C】単一の移植片の4本鎖構成を可能にする、全体としての第1の発明の態様の装置のシステムの概略図を示す。
【
図17A】第2の締結要素の第2の端部に位置する2つのフランジを有する、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図17B】第2の締結要素の第2の端部に位置する2つのフランジを有する、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図17C】第2の締結要素の第2の端部に位置する2つのフランジを有する、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図17D】第2の締結要素の第2の端部に位置する2つのフランジを有する、第1の発明の態様の医療締結装置の図である。
【
図18A】本発明の第1および第2の締結装置によって損傷した前十字靱帯(ACL)を修復するための外科的方法のステップを示す図である。
【
図18B】本発明の第1および第2の締結装置によって損傷した前十字靱帯(ACL)を修復するための外科的方法のステップを示す図である。
【
図18C】本発明の第1および第2の締結装置によって損傷した前十字靱帯(ACL)を修復するための外科的方法のステップを示す図である。
【
図18D】本発明の第1および第2の締結装置によって損傷した前十字靱帯(ACL)を修復するための外科的方法のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0109】
本発明は、2つの代替的な移植片締結装置を記載する。本発明は、2つの代替的な移植片締結装置を記載し、好ましくは、このセクションに記載される実施形態では、第2の締結要素は、半結晶性で生体適合性の熱可塑性ポリマー材料から製造された一体型であり得、第1の締結要素は、チタン合金で作られたねじと、半結晶性で生体適合性の熱可塑性ポリマー材料または先端技術に記載されるその他いずれかの材料で作られたワッシャとを備え得る。加えて、第2の締結要素の外表面は、骨の接触表面を増加させることによって装置の骨結合を促進する溝を備え得る。
【0110】
第2の締結要素および第1の締結要素について、他の実施形態では、医学文献に見出される全ての可能な幾何形状、全ての可能な材料、全ての可能な製造方法、および全ての可能な表面処理が考えられる。
【0111】
他の実施形態では、第1の締結要素が一体型であることもまた同様に考えられる。
【0112】
移植片による膝の前十字靱帯(ACL)の修復において、大腿骨骨孔が通常使用され、移植片の屈曲端が、ループ、調整可能ループ、穴、または吊り要素を用いて、本明細書に記載される締結装置によって吊られる。一方、本明細書に記載される1つ以上の締結装置は、移植片の他端を締結するために、6mmから12mmの直径を有する1つまたは2つの径骨孔内で使用される。したがって、この範囲は、図示される実施形態で使用されることを意図する医療締結装置の第2の締結要素に想定される好適なサイズである。
【0113】
これは、いずれの場合も適切な寸法を有する、関節内に存在する任意の靱帯の修復において効果的に作用する、本発明の用途を制限するものではない。
【0114】
第1の締結装置
図3Aから
図14Dは、第1の医療締結装置(1)の実施形態を示す。具体的には、医療締結装置(1)は、第1の締結要素(100)および第2の締結要素(200)を備える。記載される例のいずれにおいても、第2の締結要素(200)は締結フェルールであり得ることが観察されるはずである。
【0115】
第1の締結装置:第1の締結要素(100)
第1の発明による第1の締結要素(100)の実施形態が、
図3Aから
図3Dにおいて観察され得る。この例では、第1の締結要素は、アレンタイプの作動領域が設けられたヘッドと、第2の導管(220)のねじ山(223)に対して相補的なねじ山(113)とを有する、締結ねじ(110)である。
【0116】
さらに、第1の締結要素(100)は、使用時にねじのヘッドを包囲するワッシャ(120)を備える。
【0117】
図3Aから
図3Dは、ねじ(110)およびワッシャ(120)の図を示す。具体的には、ねじのヘッドは、ワッシャ(120)の内表面の形状に対して相補的である。この実施形態では、ねじ(110)は、ねじの軸に対して垂直な平面内に、円形段差(111)を備える。そして、ワッシャ(120)内には相補的な方法で、ねじのものとは反対の内側円形段差(121)が設けられている。有利には、この例は、ワッシャとねじとの係合が崩れるのを防止し、これにより、ワッシャをねじと整合させたまま維持することを可能にし、両者間の力の伝達を最適化する。
【0118】
第1の締結装置:第2の締結要素(200)の第1の実施形態:図3Aから図5B
図3Aから
図5Bは、第1の医療締結装置(1)の第1の実施形態を示す。具体的には、第2の締結要素(200)は、第1の縦軸(215)に沿って延在する第1の貫通導管(210)を備える。
図3Cおよび
図3Dの断面図に見られるように、第2の締結要素(200)は、第1の端部(211)および第2の端部(212)をさらに備える。
【0119】
第2の締結要素(200)の第1の貫通導管(210)に関連して、
図3Aおよび
図3Bは、前記貫通導管(210)が第1の端部(211)および第2の端部(212)をさらに備えることを示している。具体的には、第1の貫通導管(210)は、
図5Aから
図5B、
図14Aから
図14Dに示される使用方法の説明において以下に示されるように、移植片(10)を収容するように構成されている。具体的には、第1の端部(211)は移植片(10)を受容するように意図され、第2の端部(212)は、
図5Aおよび
図5Bに示されるように環状締結通路(300)の締結面の一部となるように意図される。
【0120】
第2の締結要素(200)の第1の導管(210)の遠位端の構成は、円形、楕円形、矩形、三葉状(trilobular)、半環状であり得、または必ずしも遠位端と近位端との構成間に対応を有することなく、先端技術で既知のその他いずれかの幾何形状に対応することが可能である。
【0121】
さらに、
図3Aから
図3Dに見られるように、第2の締結要素(200)は、第2の縦軸(225)に沿って延在する第2の締結導管(220)を備える。第2の締結導管(220)は、第1の端部(221)および第2の端部(222)をさらに備える。
【0122】
第2の締結導管(220)は、
図3Aから
図5Bに見られるように、第1の締結要素(100)を収容および締結するように構成されている。この目的のために、第2の締結導管(220)は、第1の締結要素(100)のタイプの形態に応じてその内面にいくつかの形態を有することができる。たとえば、
図3Cの断面図では、第2の締結導管(220)の内面は、ねじのねじ山と相補的なねじ山の形態を有する。別の実施形態では、第2の導管(220)の内面は、第1の締結要素(100)の外表面と相補的なクリップまたは板ばねの形態である。別の実施形態では、第2の締結導管(220)の内面は、第1のセルフタッピング締結要素(100)のための滑らかな形態を有する。
【0123】
図3Cの断面図の例に見られるように、第1の貫通導管(210)および第2の締結導管(220)は、第1の縦軸(215)および第2の縦軸(225)が互いに対して0以外の角度(α)、好ましくは0°から90°の角度を画定するように、第2の締結要素(200)の内部に配置される。好ましくは、角度(α)は30°から60°の間である。好ましくは、これらの実施形態では、角度(α)は45°であり得る。
【0124】
具体的には、
図3Aは、第2の締結要素(200)が、第2の締結要素(200)の第2の端部(212)に近位空洞(235)を画定する環状近位表面(230)を備えることを示している。さらに、第1の貫通導管(210)の第2の端部(212)および第2の締結導管(220)の第2の端部(222)は接合されて、近位空洞(235)の底部に接合部(290)を画定する。接合部(290)、第1の貫通導管(210)の第2の端部(212)、および第2の締結導管(220)の第2の端部(222)は、前記近位空洞(235)の開口部まで延在する第2の締結要素(200)の第2の端部(212)の近位空洞(235)の底部の一部である。
【0125】
さらに、この実施形態では接合部(290)が可動であることが、
図4Bに見られる。
【0126】
図3Dの実施形態に見られるように、第2の締結要素(200)の環状近位表面(230)上には下部停止部(236)がある。したがって、環状近位表面(230)は下部停止部(236)を備える。環状近位表面(230)と停止部(236)との組み合せにより、第1の締結要素(100)の輪郭のセクタが下部停止部(236)上に支持される最大締め付けの位置が存在でき、これは装置によって提供される締結の剛性を有利に向上させる。
【0127】
停止部(236)は、所定の厚さへの移植片の締結を可能にし、締結に剛性を提供する。環状近位表面(230)の環状構成は、開始厚さから締結装置(1)の最大締め付けの位置に対応するこの所定の厚さまでの移植片(10)の膨張のために十分な空間を確保する。
【0128】
図3Aから
図5Bの実施形態に見られるように、第2の締結要素は、骨孔内への装置(1)の移動を有利に防止するフランジ(231)を備える。
【0129】
最後に、
図4Aから
図5Bは、第2の締結要素(200)の第1の実施形態の第2の締結導管(220)内に収容および締結された第1の締結要素(100)を有する実施形態を示す。環状近位表面(230)の内面とワッシャ(120)の外表面との間に環状締結通路(300)が形成される様子が見られる。
【0130】
図5Aおよび
図5Bは、少なくとも1つの移植片(10)が内部に拘束された医療締結装置の、上部分全体の図および下部分の断面図をそれぞれ示す。具体的には、本発明の医療締結装置(1)によって作成された環状締結通路(300)が、
図5Bにはっきりと見られる。前記環状締結通路(300)は、環状近位表面(230)の配置が近位空洞(235)の連続的で環状の表面を生成するので、環状である。これにより、環状近位表面(230)を環状締結通路(300)の一部とすることができ、これにより、先端技術で述べられた要素よりも大きな締結通路を用いていくつかの移植片を締結させることができる。さらに、環状締結通路(300)の形状は、締結とのより大きな構造的一貫性を提供する。
【0131】
図5Aおよび
図5Bが
図1Aから
図1Fと比較された場合、先端技術の他の装置(600、700、800)に対する本発明の医療締結装置(1)の違いが明確に見られる。
図1Aおよび
図1Bの干渉ねじ(600)は、骨に対する締結を実行し、前記骨(900)の多孔性のため、これは非常に弱い締結である。さらに、前記干渉ねじ(600)が靱帯を損傷し、締結をさらに弱める可能性があることがわかる。
【0132】
図1Cおよび
図1Dのねじ(700)は、移植片上に直接、移植片を収容するフェルール内に同軸にねじ込まれ、これは干渉ねじと同様に、前記移植片を損傷する可能性がある。さらに、脛骨で使用する場合、ねじのヘッドの最大部分は脛骨内に収容され、これはこの骨の高い多孔性のため、装置の移動に対する抵抗を弱める。
【0133】
図1Eから
図1Fの拘束要素(800)は、骨孔内に導入され、孔の内壁に対して移植片を拘束し、同時に、腓骨室に対して垂直に浸入し、拘束要素の傾斜面にねじ込まれる、ワッシャを有するねじ(802)が、移植片をもう一度拘束する。この構成は、ワッシャを有するねじの周りに締結領域を配置するので、ねじは、その締結に進むために必然的に移植片の束の間を分離して通過しなければならず、これにより、発明の背景に記載されたこれらの装置に関連する他の問題を引き起こすことに加えて、2つの従来技術の例のように、移植片を損傷する可能性がある。
【0134】
対照的に、第1の医療締結装置(1)は、第1の縦軸(215)および第2の縦軸(225)が互いに対して0以外の角度(α)を画定するように、第1の導管(210)および第2の導管(220)が第2の締結要素(200)の内部に配置されるという事実のため、ねじ(110)で靱帯を損傷するのを防止する。さらに、第1の医療締結装置(1)と同様に、靱帯は、環状近位表面(230)の助けを借りてその中に収容され、より大きい締結通路(300)が得られ、多孔質骨(900)に対する締結が防止されて、より強力でより耐久性のある締結を提供する。
【0135】
フェルールの上部近位領域のみの締結通路の構成は、
図2Eに見られる。
図2Eが
図5Aおよび
図5Bと比較された場合、
図2Eは、移植片(10)の一部を拘束されないままにする制限された締結通路を提供するが、装置が大きすぎるのでなければ、これは締結の安定性および装置によって提供される極限引張強度の両方を低下させ、許容可能な解決策ではない。
【0136】
第1の締結装置:第2の締結要素(200)の第2の実施形態:調整可能ループ(245)を構成する遠位付属物(240):図6Aから図6D
図6Aから
図6Dは、本発明の第1の医療締結装置(1)の第2の実施形態を示す。見てわかるように、第2の実施形態は、第2の実施形態が調整可能ループ(245)を構成する遠位付属物(240)をさらに備えることを除いて、第1の実施形態と同様である。
【0137】
図6Aに見られるように、遠位付属物(240)は、第1の端部(241)が第2の締結要素(200)の第1の端部と接合し、第2の端部(242)が第1の締結自由位置を有する、ストリップ、コード、またはバンドを備える。第2の位置では、
図6B、
図6C、および
図6Dに示されるように、第2の端部(242)は、前記端部(242)が第1の締結要素(100)によって所望の位置に締結される調整可能ループ(245)を構成する第2の締結要素(200)に戻るように、構成されることが可能である。
【0138】
具体的には、
図6Bから
図6Dに示されるように、第1の締結要素(100)が第2の締結要素(200)の第2の締結導管(220)内に収容および締結されると、自由端(242)もまた前記締結通路(300)内に締結される。
【0139】
図6Cに見られるように、点線は、調整可能ループ(245)が取ることができる異なる位置の一例を示し、したがって、遠位付属物(240)は可撓性であり、この実施形態において1つ以上の最終位置を画定することができると見なされ得る。
【0140】
調整可能ループ(245)の長さは第1の締結要素(100)によって締結され、調整可能ループ(245)は、骨孔または骨管内の移植片(10)の屈曲端の吊りを意図している。前記締結は、張力のない第1の位置から、吊られた移植片の理想的な張力を有する最終位置まで調整可能である。
【0141】
第1の締結装置:第2の締結要素(200)の第3の実施形態:締結されたループを構成する遠位付属物(250):図7Aから図7C
図7Aから
図7Cは、本発明の第1の医療締結装置(1)の第3の実施形態を示す。見てわかるように、第3の実施形態は、第3の実施形態は非調整可能ループを構成する穴(253)を有する遠位付属物(250)をさらに備えることを除いて、第1の実施形態と同様である。これは、付属物(250)の両端(251、252)が第2の締結要素(200)に締結されており、したがって吊りの領域、すなわち穴(253)のサイズが一定であるため、締結または非調整可能ループと呼ばれることが可能である。一実施形態では、遠位付属物(250)は可撓性である。
図7Aから
図7Cの例では、遠位付属物(250)は垂直位置にある。
【0142】
この特定の実施形態に見られるように、遠位付属物(250)は、骨孔内の移植片の屈曲端の吊りを意図した閉または非調整可能ループが構成されるように、両端(251、252)が第2の締結要素(200)に接合された、ストリップ、コード、またはバンドを備える。
【0143】
第1の締結装置:第2の締結要素(200)の第4の実施形態:吊り用の穴を有する遠位付属物(260,270):図8Aから図9D
図8Aから
図8Cは、本発明の第1の医療締結装置(1)の第4の実施形態を示す。見てわかるように、第4の実施形態は、第4の実施形態が遠位付属物(260)をさらに備えることを除いて、第1の実施形態と同様である。これらの例では、遠位付属物(260)は、骨孔内の移植片の屈曲端の吊りを意図した、穴(263)を画定する半リングである。
【0144】
図9Aから
図9Dの特定の実施形態では、第2の締結要素(200)はフランジ(231)を備えず、代わりに円錐台状の外部輪郭を有し、これは骨孔(10)の入口に装置を有利に保持して骨孔(10)を貫通するのを防止し、前記第2の締結要素(200)は、残りの態様に関して第1の発明の第1の実施形態に示されたものと同様である。
【0145】
図9Cおよび
図9Dの例に見られるように、遠位付属物(270)は、第1の端部(271)と、第2の締結要素(200)の第1の端部に位置する第2の端部(272)とを備える。さらに、遠位付属物(270)は、骨孔内の移植片の屈曲端の吊りを意図した穴(273)を備える。より具体的には、穴(273)は、遠位付属物(270)の第1の端部(271)に位置している。
【0146】
別の実施形態では、
図9Aから
図9Dの第2の締結要素(200)は、
図8Aから
図8Dの例に示されるもののようなフランジ(231)を備えてもよい。
【0147】
図8Aから
図9Dを見ると、遠位付属物(260、270)は水平位置にあると見なされ得る。
【0148】
第1の締結装置:第2の締結要素(200)の第5の実施形態:吊り用の穴(281)を有する遠位付属物(280):図10Aから図10D
【0149】
図10Aから
図10Dは、本発明の第1の医療締結装置(1)の第5の実施形態を示す。見てわかるように、第5の実施形態は、第5の例が第2の締結要素(200)の第1の端部に位置する遠位付属物(280)をさらに備えることを除いて、第1の実施形態と同様である。これらの例では、遠位付属物(280)は、第1の端部(281)、第2の端部(282)、および骨孔内の移植片の屈曲端の吊りを意図した穴(283)を備える。さらに、穴(283)は、遠位付属物(280)の第1の端部(281)に位置している。
【0150】
図10Aから
図10Dを見ると、遠位付属物(280)は垂直位置にあると見なされ得る。
【0151】
特定の方法で、第2の端部(282)は、第1の貫通導管(210)を2つのセクションに分割する第1の貫通導管(210)内に収容される。言い換えると、第1の貫通導管(210)は、遠位付属物(280)の第2の端部(282)によって第1のセクション(213)および第2のセクション(214)に分割される。
【0152】
一方、
図10A、
図10B、および
図10Dは、遠位付属物(280)の第2の端部(282)が、近位空洞(235)の底部、および第1の貫通導管(210)の第2の端部(212)と第2の締結導管(220)の第2の端部(222)との間の接合部の一部であることを示している。
【0153】
第1の締結装置:第2の締結要素(200)の第6の実施形態:吊り用の穴(293)を有する遠位付属物(290):図17Aから図17D
図17Aから
図17Dは、本発明の第1の医療締結装置(1)の第6の実施形態を示す。見てわかるように、第6の実施形態は、第6の例の第2の締結導管(220)の第2の端部(222)が第2の縦軸(225)に対して垂直な軸上で反対側に位置する2つのフランジをさらに備えることを除いて、第1の実施形態と同様である。第1の実施形態とのもう1つの違いは、第6の例が、第2の締結要素(200)の第1の端部に位置する遠位付属物(290)を備えることである。
【0154】
例では、2つのフランジ(231)は、骨孔内への入口開口部の外側上部分を区切る皮質骨に当接するように構成された環状保持ローブの形態である。
【0155】
有利には、フランジ(231)は、骨孔(10)の入口に装置を保持し、これが骨孔(10)を貫通するのを防止する。
【0156】
例では、遠位付属物(290)は、骨孔内の移植片の屈曲端の吊りを意図した穴(293)を備える。
【0157】
第1の締結装置:医療締結装置(1)を挿入するためのシステム(400):図11Aから図11E
図11Aから
図11Eは、上記で示された実施形態のいずれかによる医療締結装置(1)を挿入するためのシステム(400)の実施形態を示す。システム(400)は、本発明の医療締結装置(1)、連結ねじ(440)、および第2の締結要素(200)の第2の端部と係合するように構成された第1の端部(410)とインサータ(450)の第2の端部(420)に位置するハンドル(430)とを有するインサータ(450)を備える。
【0158】
有利には、連結ねじ(440)を有するインサータ(450)の使用は、ハンドル(430)を通じて装置を操作すること、および骨孔(11)への装置(1)の挿入に必要な力を印加することを可能にする。これにより、
図11Aおよび
図11Eでより詳細にわかるように、装置(1)がインサータ(450)から分離するのを防止する。
【0159】
第1の締結装置:大腿骨内の調整可能ループおよび脛骨内の剛性の垂直な遠位付属物を有する医療締結装置の使用例:図12Aから図12D
図12Aから
図12Dは、本発明の第1の医療締結装置(1)のうちの2つを使用する右膝(15)の前十字靱帯(ACL)の修復を示す。第1の医療締結装置(1)は、
図6Aから
図6Cの例に記載されたものと同様であり、第2の医療装置(1)は、穴のない、垂直位置の遠位付属物を備える。
【0160】
有利には、穴のないこの遠位付属物は、ねじれが孔内セグメントに到達することなく、移植片枝の関節内セグメントのねじれを維持することを可能にし、これは、
図12Aから
図12Dの実施形態に見られるように、元のACLのねじれの解剖学的構造および生体力学を修復するために重要である。
【0161】
図12Aは、脛骨内にできた骨孔(12)から突出する移植片(10)の自由端を示す。移植片(10)の屈曲端は、第1の医療締結装置(1)の調整可能ループ(245)から吊られている。
【0162】
有利には、調整可能ループ(245)は、大腿骨骨孔(11)、または大腿骨骨管を形成すること、およびこれに嵌合するために移植片の屈曲端を引っ張ることを可能にし、これにより、移植片(10)が締結される張力を確認および調整することをさらに可能にする。
【0163】
図12Bは、調整可能ループが大腿骨締結装置によって拘束された状態の、嵌合された後の移植片の屈曲端を示す。移植片(10)の自由端は、依然として脛骨内にできた骨孔(12)から突出している。
【0164】
図12Cは、図示される右膝のACLにおける、元のACLの、すなわち反時計回り方向の解剖学的ねじれ(16)特性を模倣する、移植片(10)の関節内セグメントのねじれを示す。有利には、
図12Cに示される、遠位付属物を有して穴を有さない第2の医療装置(1)は、移植片の関節内セグメントに付与された解剖学的ねじれが制御不能に骨孔内に伝播しないように、移植片(10)の枝を分離したまま維持することを可能にする。見てわかるように、インサータシステム(400)は、装置を操作するために使用される。
【0165】
図12Dは、移植片(10)が膝関節内の安定性を回復するために必要な張力で張られた後の、第1のねじ切り締結要素(100)を有する締結装置(1)を示す。
【0166】
第1の締結装置:本発明の第1の医療締結装置(1)の使用例:移植片の3本鎖構成:図13Aから図13D
図13Aは、右膝のACLの修復における、本発明の2つの第1の医療装置(1)の共同使用の図を示し、前記使用は、以下を備える。
-3つの枝で構成された移植片(10)に、2つの屈曲端および2つの自由端を提供するステップと、
-それぞれの第1および第2の骨孔(11、12)に導入されるように意図された、穴を有する遠位付属物(250、260、270、280)を2つの医療締結装置(1)に提供するステップ。第1の締結要素(100)および第2の締結要素(200)の組立体は、
図13Aに矩形として描写されている。穴(253、263、273、283)は、
図13Aに円として描写されている。
-
図13Bから
図13Dに示されるように、第1の自由端を締結し、第1の骨孔(11)に挿入された第1の医療装置(1)によって移植片(10)の第1の屈曲端を吊ることを可能にするように、2つの医療締結装置(1)を構成するステップ。一方、第2の自由端を締結し、第2の骨孔に挿入された第2の医療装置(1)によって移植片(10)の第2の屈曲端を吊るステップ。
【0167】
【0168】
第1の締結装置:第1の発明の医療締結装置(1)の使用例:移植片の4本鎖構成:図14Aから図14C
図14Aは、右膝のACLの修復における本発明の2つの第1の医療装置(1)の使用図を示し、前記使用は、以下を備える。
-4つの枝の4本鎖構成を有する移植片(10)に、3つの屈曲端および2つの自由端を提供するステップと、
-2つの医療締結装置(1)を提供するステップであって、第1の装置は、第1の骨孔(11)内に導入されるように意図された、
図10Aから
図10Dの、穴(280)を有する垂直な遠位付属物を有し、第2の装置は、第2の骨孔(12)内に導入されるように意図された調整可能ループを有する、ステップ。第1の締結要素(100)および第2の締結要素(200)の組立体は、
図14Aに矩形として描写されている。吊り要素、すなわち、穴または調整可能ループは、
図14Aに円として描写されている。
-
図14Bおよび
図14Cに示されるように、両方の自由端を締結し、同時に第1の骨孔(11)に挿入された第1の医療装置(1)によって移植片(10)の第1の屈曲端を吊ることを可能にするように、2つの医療締結装置(1)を構成するステップ。一方、第2の骨孔(12)に挿入された第2の医療装置(1)によって、調整可能な方法で、移植片(10)の第2および第3の屈曲端を吊るステップ。
【0169】
第2の締結装置
図15Aから
図16Dは、本発明の第2の医療締結装置(500)の実施形態を示す。具体的には、医療締結装置(500)は、第1の締結要素(510)と、締結導管(523)および吊り要素を備える第2の締結要素(520)とを備える。この第2の締結装置(500)では、第1の締結要素(510)が第2の締結要素(520)の締結導管(523)に締結され、骨孔内に導入されると、第2の締結要素(520)と、骨孔内に移植片を締結する前記骨孔との間に、または第1の締結要素(510)と装置自体に移植片を締結する第2の締結要素(520)との間に、締結通路が形成される。
【0170】
第2の締結装置:第1の締結要素(510)
第2の締結装置による第1の締結要素(510)の実施形態が、
図15Aから
図16Dにおいて観察され得る。
図15A、
図15C、および
図15Dの例では、第1の締結要素(510)は、そのヘッドがそのシャンク(514)と同じ直径を有するねじである。
図15Bの例では、ねじのヘッドの直径は、そのシャンク(514)の直径よりも大きい。ねじ(511)のヘッドにはアレンタイプの作動領域(512)が設けられ、そのシャンク(514)はねじ山を備える。
【0171】
第2の締結装置:第2の締結要素(520)の第1の実施形態:図15Aから図15Cおよび図16Aから図16D
図15Aから
図15Cおよび
図16Aから
図16Dは、本発明の第2の医療締結装置(500)の第1の実施形態を示す。
図15Aから
図15Cおよび
図16Aから
図16Dの例において明確にするために、第2の締結要素(520)は第1の端部(521)および第2の端部(522)を有し、さらに、第2の締結要素(520)は、第1の締結要素(510)を収容するように意図されたその第2の端部(522)に位置する締結導管(523)を備えることが、示されている。
【0172】
見てわかるように、第2の締結要素(520)は、骨孔内の移植片の屈曲端の吊りを意図した非調整可能穴または閉ループ(533)が構成されるように、第2の締結要素(520)の第1の端部(521)に接続された第1の端部(531)および第2の端部(532)を有する、吊り要素を構成する遠位付属物(530)を備える。
【0173】
【0174】
第2の締結装置:調整可能ループを構成する第2の締結要素(520)の第2の実施形態:図15D
図15Dは、本発明の第2の医療締結装置(500)の第2の実施形態を示す。見てわかるように、第2の実施形態は、遠位付属物(530)が調整可能ループ(533)として構成されていることを除いて、第1の実施形態と同様である。
【0175】
図15Dに見られるように、この特定の実施形態では、遠位付属物(530)は、第1の端部(531)が第2の締結要素(520)の第1の端部(521)および第2の締結自由端(532)に接続された、ストリップ、コード、またはバンドを備える。第2の端部(532)は、
図15Dに示されるように、調整可能ループ(533)を構成する第2の締結要素(520)に戻るように構成されることが可能である。
【0176】
調整可能ループの長さは第1の締結要素(510)によって締結され、調整可能ループ(533)は、骨孔または骨管内の移植片(10)の屈曲端の吊りを意図している。前記締結は、張力のない第1の位置から、吊られた移植片の理想的な張力を有する最終位置まで調整可能である。
【0177】
外科的方法:第1および第2の締結装置(1)による損傷した前十字靱帯(ACL)の修復:図18A~図18D
図18A~
図18Dには、損傷した前十字靱帯(ACL)を修復するための外科的方法の一例が示されている。この外科的方法では、ACLの修復は、吊り穴(273)を有する第1および第2の締結装置(1)によって実行される。
【0178】
有利には、骨孔(脛骨および大腿骨骨孔)の各々のための吊り穴(273)を装置(1)に設けることにより、
図18B、
図18C、および
図18Dに示されるように、いずれの場合も、移植片(10)が吊られる反対側に配置された装置(1)を用いて各移植片(10)の自由端を締結するために、骨孔の一方に第1の移植片(10)を吊り、締結するために反対の骨孔に第2の移植片(10)を吊ることを可能にする。
【0179】
外科的方法は、
1)元のACLの挿入部位の大腿骨骨孔の関節内進入口を用いて、大腿骨骨孔を実施するステップと、
2)元のACLの挿入部位の脛骨骨孔の関節内進入口を用いて、脛骨骨孔を実施するステップと、
3)第1の締結装置(1)の吊り穴(273)から、第1の移植片(10)の屈曲端を吊るステップと、
4)第1の移植片(10)の自由端が脛骨骨孔の関節外進入口から突出するまで、膝関節の関節内空洞を通じて脛骨骨孔の関節内進入口に到達するまでの大腿骨骨孔の関節外進入口を通じて第1の移植片(10)の自由端を導入するステップと、
5)第2の締結装置(1)の吊り穴(273)から、第2の移植片(10)の屈曲端を吊るステップと、
6)第2の移植片(10)の自由端が大腿骨骨孔の関節外進入口から突出するまで、膝関節の関節内空洞を通じて大腿骨骨孔の関節内進入口に到達するまでの大腿骨骨孔の関節外進入口を通じて第2の移植片(10)の自由端を導入するステップと、
を備え、
図18Cおよび
図18Dに示されるように、自由端の各々が、移植片(10)が吊られる反対側に締結された装置(1)によって締結され得るように、第1および第2の移植片(1)の自由端は関節外脛骨および大腿骨進入口内に配置される。
【0180】
この構成は、追加的に、
図18Cおよび
図18Dに示されるように、移植片の関節内セグメントが、元のACLの生体力学の特性である解剖学的ねじれで構成されるように、両方の移植片をねじることを可能にする。
【国際調査報告】