(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】生検デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20220202BHJP
G01N 1/04 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
A61B10/02 110K
G01N1/04 H
A61B10/02 110J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535689
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 EP2019086314
(87)【国際公開番号】W WO2020127737
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514116109
【氏名又は名称】テースバク アンパーツゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100197169
【氏名又は名称】柴田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】ジョーン ビズケーア
(72)【発明者】
【氏名】ラスムス キアゲゴー
(72)【発明者】
【氏名】ヨーナス イェアル ハンスン
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA33
2G052AD14
2G052BA28
2G052CA02
2G052CA11
(57)【要約】
生検デバイス(1)は、外側切り取り針(4)と、組織区画(6)を備えた内側試料針(5)とを含む生検針(3)を有しており、各試料採取作業中に、外側切り取り針(4)及び内側試料針(5)を、組織区画の開位置と閉位置との間で変異させるように構成されている。生検デバイスはそれぞれの試料採取作業時に組織区画内を減圧するように構成された真空源及び弁システム(8)を含む。真空源は、少なくとも1つの初期前排気型真空容器(91,92,93,94,95,96)の形態を有しており、そして生検デバイスは、少なくとも1つの初期前排気型真空容器の初期真空によって、限定された数の連続的な試料採取作業のそれぞれ1回の作業時に内側試料針の組織区画内を減圧するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)と前記ハウジングから延びる生検針(3)とを含む生検デバイス(1)であって、前記生検針(3)が外側切り取り針(4)と、組織試料を受容するための組織区画(6)を備えた内側試料針(5)とを含み、前記外側切り取り針(4)が前記内側試料針(5)を取り囲み、前記外側切り取り針(4)と前記内側試料針(5)とが前記外側切り取り針及び前記内側試料針の長手方向に沿って互いに相対的にスライド可能に配置されており、前記外側切り取り針(4)が前記ハウジング(2)から離隔した切り取り端部(7)を有しており、前記生検デバイス(1)が、前記内側試料針(5)の前記組織区画(6)内に組織試料が捕集される各試料採取作業中に、前記外側切り取り針(4)及び前記内側試料針(5)を、少なくとも、前記組織区画(6)が前記外側切り取り針(4)の切り取り端部(7)を超えて延びる前記組織区画(6)の開位置と、前記外側切り取り針(4)が前記組織区画(6)を覆う前記組織区画(6)の閉位置との間で変位させるように、構成されており、前記生検デバイス(1)が、前記生検針(3)内に長手方向に配置された真空チャネルを介して、前記内側試料針(5)の前記組織区画(6)内を減圧するための真空源を含み、そして前記生検デバイス(1)が、各試料採取作業時に前記組織区画(6)内を減圧するように構成された弁システム(8)を含む形式のものにおいて、
前記真空源が、複数の初期前排気型真空容器(9
1,9
2,9
3,9
4,9
5,9
6)の形態を有していること、前記生検デバイス(1)が、前記複数の初期前排気型真空容器(9)の初期真空によって、限定された数の連続的な試料採取作業のそれぞれ1回の作業時に前記内側試料針(5)の前記組織区画(6)内を減圧するように構成されていること、そして、前記弁システム(8)が、それぞれの初期前排気型真空容器を別々に且つ相次いで、それぞれの連続的な試料採取作業に相応して、前記生検針(3)内の真空チャネルと接続するように構成されていることを特徴とする、生検デバイス。
【請求項2】
それぞれの初期前排気型真空容器(9
1,9
2,9
3,9
4,9
5,9
6,21)が、弁メンブレン(11)を有する真空弁(10)に接続されており、そして前記弁システム(8)が、前記真空弁(10)の弁メンブレン(11)を貫通するように構成された針先端(13)を有する中空真空針(12)を含む、請求項1に記載の生検デバイス。
【請求項3】
それぞれの初期前排気型真空容器(9
1,9
2,9
3,9
4,9
5,9
6,21)が、弁メンブレン(11)を有する各真空弁(10)に接続されており、そして前記弁システム(8)が、それぞれの真空弁(10)の弁メンブレン(11)を貫通するように構成された針先端(13)と、前記生検針(3)内の真空チャネルに接続された反対側のコネクタ端部(14)とを有する中空真空針(12)を含む、請求項1又は2に記載の生検デバイス。
【請求項4】
各真空弁(10)が、円弧(15)又は円(16)のような経路に沿って配列されており、そして前記弁(10)と前記中空真空針(12)の針先端(13)との配列が、前記針先端(13)をそれぞれの真空弁(10)に位置決めし得るように相対的に変位可能である、請求項3に記載の生検デバイス。
【請求項5】
前記真空源が、共通ハウジング内に形成された複数の初期前排気型真空容器(9
1,9
2,9
3,9
4,9
5,9
6)の形態を有している、請求項1から4までのいずれか1項に記載の生検デバイス。
【請求項6】
前記共通ハウジングが、内方へ延びる仕切り壁(18)によって前記初期前排気型真空容器(9
1,9
2,9
3,9
4,9
5,9
6)に分離された円筒形容器(17)の形態を有している、請求項5に記載の生検デバイス。
【請求項7】
前記真空源が、内方へ延びる仕切り壁(18)によって複数の初期前排気型真空容器(9
1,9
2,9
3,9
4,9
5,9
6)に分離された円筒形容器(17)の形態を有しており、前記各真空弁(10)が前記円筒形容器(17)の端壁(19)に配列されており、前記円筒形容器(17)が前記円筒形容器の中心軸線を中心として回転可能に配置されており、そして前記中空真空針(12)の針先端(13)が前記円筒形容器(17)の回転方向で固定位置に配置されている、請求項3又は4に記載の生検デバイス。
【請求項8】
前記真空源が、共通ハウジング内に形成された複数の初期前排気型真空容器(9
1,9
2,9
3,9
4,9
5,9
6)の形態を有しており、前記各真空弁(10)が円弧(15)に沿って前記共通ハウジングに配置されており、そして前記針先端(13)を各真空弁(10)に位置決めできるように、前記中空真空針(12)の針先端(13)が旋回アーム(20)上に配置されている、請求項3に記載の生検デバイス。
【請求項9】
前記生検デバイス(1)が手持ち式生検デバイスであり、そして前記少なくとも1つの初期前排気型真空容器(9
1,9
2,9
3,9
4,9
5,9
6,21)が前記生検デバイス(1)のハウジング(2)内に配置されている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の生検デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングと前記ハウジングから延びる生検針とを含む生検デバイスであって、前記生検針が外側切り取り針と、組織試料を受容するための組織区画を備えた内側試料針とを含み、前記外側切り取り針が前記内側試料針を取り囲み、前記外側切り取り針と前記内側試料針とが前記外側切り取り針及び前記内側試料針の長手方向に沿って互いに相対的にスライド可能に配置されており、前記外側切り取り針が前記ハウジングから離隔した切り取り端部を有しており、前記生検デバイスが、前記内側試料針の前記組織区画内に組織試料が捕集される各試料採取作業中に、前記外側切り取り針及び前記内側試料針を、少なくとも、前記組織区画が前記外側切り取り針の切り取り端部を超えて延びる前記組織区画の開位置と、前記外側切り取り針が前記組織区画を覆う前記組織区画の閉位置との間で変位させるように、構成されており、前記生検デバイスが、前記生検針内に長手方向に配置された真空チャネルを介して、前記内側試料針の前記組織区画内を減圧するための真空源を含み、そして前記生検デバイスが、各試料採取作業時に前記組織区画内を減圧するように構成された弁システムを含む形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第99/48425号パンフレットには、排気された容器内への吸引により身体試料を取得するための細針試料捕集デバイスが開示されている。デバイスは、試料を採取しようとする身体内へ挿入するための前側中空針部分と、排気された容器と連通するための後ろ側中空針部分と、前側針部分を後ろ側針部分に接続するコンジットと、コンジットを開閉するための弁機構とを含む。弁機構は片手で手動操作可能であり、前側針部分内の負圧の印加を制御する。コンジットは可撓性チューブを含んでよく、そして弁機構は可撓性チューブを圧密に締め付けるための解離可能な手段を含んでよい。使用に際しては、前側針部分を通過した試料を、コンジットを通して後ろ側針部分へ、そして前排気された容器内へ引き込むように、負圧を前側針部分内に加えるのに十分な時間にわたって、そして所望の場合には繰り返し、弁機構は作動させられる。
【0003】
国際公開第96/32147号パンフレットに開示された、組織から細胞試料を捕集するための吸引細針装置は、準大気圧まで排気されて貫通可能なダイアフラムによってシールされた閉鎖型の排気済空間を有する真空容器を含む。真空容器を受容するように構成された凹部を有するアダプタが設けられている。アダプタによって針集成体が支持されており、針集成体は、細胞試料を捕集するための吸引針として役立つ遠位端を有している。針集成体の近位端は前記凹部内に配置され、真空容器のダイヤフラムを貫通することによって、排気済空間を針集成体の流路にカップリングし、これにより準大気圧を針集成体の遠位端に供給することができる。アダプタによってオン・オフ機構が支持されており、オン・オフ機構は、真空容器によって係合されて凹部内の軸線方向運動のために凹部内に取り付けられた部材を含む。
【0004】
欧州特許出願公開第2 775 929号明細書(TeesuVac ApS)には、コア針装置と制御装置とを含む、組織試料を抽出するための手持ち式デバイスが開示されている。針装置は切り取り針、試料抽出針、及び組織内へ挿入するための第1端部を有している。切り取り針は組織試料を切り取るためのカッティングエッジを有している。試料抽出針は組織を受容するための側方開口を有している。制御装置は、試料抽出針と流体連通する真空生成チャンバを有することにより、試料抽出針の側方開口の近くの組織を組織試料チャンバ内へ吸い込むのを容易にする。これにより、手持ち式デバイス及び組織は、切り取り針が組織から組織試料を切り取るための準備ができる。組織試料の切り取りは、前記切り取り針が前記側方開口に後退することにより実施することができる。真空生成チャンバは、互いに相対運動する第1部材と第2部材とを有している。第1部材は切り取り針に機械的に結合されている。手持ち式デバイスは、第1部材と第2部材との運動が真空チャンバの容積を増大させ、これにより試料抽出針内の圧力を低減し、切り取り針と試料抽出針との運動を引き起こして側方開口を露出させるように形成されている。デバイスは、好ましくはバッテリに接続された電動モータによって駆動することができる。しかしながら、真空生成チャンバの可動部材は、比較的複雑な構造をもたらすことがある。具体的には、単回使用デバイスの場合、製造コストを下げるためにより単純な構造が必要である。
【0005】
欧州特許第1 843 705号明細書に開示された、組織試料を採取するためのコア針生検デバイスは、電力源と電力源に接続されたテンションスライドとを含むハウジングを含んでおり、テンションスライドは、電力源によりばねの作用に抗してコックド位置(cocked position)にもたらされる。テンションスライド上には生検カニューレユニットが配置されており、生検カニューレユニットは、試料取り出しチャンバと切り取りシースとを備えた中空生検カニューラを含む。生検デバイスは真空圧生成デバイス、弁、生検カニューレユニットと弁とを接続する第1接続エレメント、及び弁と真空圧生成デバイスとを接続する第2接続エレメントを含む。カニューレを患者体内の組織体内へ挿入することにより、当該組織の試料を抽出することができる。試料組織が吸引を通してカニューレ内の組織チャンバ内へ引き込まれたら、チャンバは閉じられ、試料組織を患者の身体から切り離す。カニューレは次いで患者の身体から取り除くことができる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、より単純な構造を有する、コア針生検を実施するための生検デバイスを提供することである。
【0007】
この目的に照らして、前記真空源が、少なくとも1つの初期前排気型真空容器の形態を有しており、前記生検デバイスが、前記少なくとも1つの初期前排気型真空容器の初期真空によって、限定された数の連続的な試料採取作業のそれぞれ1回の作業時に前記内側試料針の前記組織区画内を減圧するように構成されている。
【0008】
こうして、少なくとも1つの初期前排気型真空容器によって組織区画内を減圧することにより、可動部分の数を、従来の真空支援型のコア針生検デバイスと比較して実質的に減らすことができる。具体的には、真空生成デバイスを駆動するための電動モータを必要でなくすることができ、ひいてはエネルギー消費量を無くする又は低減することができ、そしてバッテリを省くことができ、あるいは使用するバッテリを小型化することができる。その結果、製造コストを下げることができ、単回使用デバイスとしてより適したデバイスを実現することができる。
【0009】
1実施態様では、少なくとも1つの初期前排気型真空容器が、弁メンブレンを有する真空弁に接続されており、そして弁システムが、前記真空弁の弁メンブレンを貫通するように構成された針先端を有する中空真空針を含む。これにより、組織試料を採取するために吸引圧が必要なときには、中空真空針の先端は前記真空弁の弁メンブレンを貫通することができる。試料採取作業間において、組織試料を採取するために吸引圧が必要とされないときには、弁メンブレンから中空真空針を引き込むことにより、真空弁の弁メンブレンを使用して密閉し、そして初期前排気型真空容器内の残留真空が保存されるのを保証することも可能である。あるいはこの目的のために別個の弁を使用し、試料採取作業間に中空真空針をメンブレン内へ挿入したままにすることもできる。
【0010】
1実施態様では、前記真空源が、複数の初期前排気型真空容器の形態を有しており、そして前記弁システムが、それぞれの初期前排気型真空容器を別々に且つ相次いで、それぞれの連続的な試料採取作業に相応して、前記生検針内の真空チャネルと接続するように構成されている。これにより、それぞれの連続的な試料採取作業時に内側試料針の組織区画内に一貫した吸引圧が加えられることを保証し得る。なぜならば、試料採取作業毎に新しい初期前排気型真空容器が使用されるからである。このようにすると、真空源によって供給される吸引圧は、試料採取作業毎に低下することがない。この実施態様によれば、それぞれの初期前排気型真空容器は、それぞれの初期前排気型真空容器のための別々の弁を組み込んだマニホルドによって、生検針内の真空チャネルと接続されてよい。しかしながら、それぞれの初期前排気型真空容器は、各容器と生検針内の真空チャネルとを接続するために、上述のように中空真空針の先端によって貫通されるように、事前には破断されていないメンブレンによってシールされることが好ましい。このようにすると、初期前排気型真空容器の漏れを貯蔵中に最小化又は回避し、これにより製品の保存期間を最大化することができる。
【0011】
1実施態様では、それぞれの初期前排気型真空容器が、弁メンブレンを有する各真空弁に接続されており、そして前記弁システムが、それぞれの真空弁の弁メンブレンを貫通するように構成された針先端と、前記生検針内の真空チャネルに接続された反対側のコネクタ端部とを有する中空真空針を含む。これにより、上述のように、それぞれの初期前排気型真空容器を、事前には破断されていないメンブレンによってシールすることができるので、初期前排気型真空容器の漏れを貯蔵中に最小化又は回避し、これにより製品の保存期間を最大化することができる。
【0012】
構造的に特に有利な実施態様では、各真空弁が、円弧又は円のような経路に沿って配列されており、そして前記弁と前記中空真空針の針先端との配列が、前記針先端をそれぞれの真空弁に位置決めし得るように相対的に変位可能である。
【0013】
1実施態様では、前記真空源が、共通ハウジング内に形成された複数の初期前排気型真空容器の形態を有している。これにより、異なる真空容器を一体構造で配列することによって、真空圧を好適に保持する比較的剛性の構造を、別々の真空容器を使用する場合よりも少ない材料で達成することができる。
【0014】
構造的に特に有利な実施態様では、前記共通ハウジングが、内方へ延びる仕切り壁によって前記初期前排気型真空容器に分離された円筒形容器の形態を有している。
【0015】
構造的に特に有利な実施態様では、前記真空源が、内方へ延びる仕切り壁によって複数の初期前排気型真空容器に分離された円筒形容器の形態を有しており、前記各真空弁が前記円筒形容器の端壁に配列されており、前記円筒形容器が前記円筒形容器の中心軸線を中心として回転可能に配置されており、そして前記中空真空針の針先端が前記円筒形容器の回転方向で固定位置に配置されている。これにより、円筒形容器のステップ状の回転によって、中空真空針の針先端をそれぞれの真空弁に1つずつ位置付けすることができる。それぞれの真空弁において、中空真空針が円筒形容器に対してその長手方向に変位することによって、針先端は真空弁のメンブレンを貫通することができ、内側試料針の組織区画内に吸引圧を得ることができる。
【0016】
別の実施態様では、前記真空源が、共通ハウジング内に形成された複数の初期前排気型真空容器の形態を有しており、前記各真空弁が円弧に沿って前記共通ハウジングに配置されており、そして前記針先端を各真空弁に位置決めできるように、前記中空真空針の針先端が旋回アーム上に配置されている。これにより、それぞれの真空弁が好適に配置されることによって、旋回アームの比較的僅かな回転によって、針先端をそれぞれの真空弁に位置決めすることができる。
【0017】
別の実施態様では、真空源は、弁によって生検針内の真空チャネルと接続された単一の初期前排気型真空容器の形態を有しており、そして生検デバイスは、弁によって内側試料針の組織区画内の減圧を制御するように構成されている。これにより、限定された数の連続的な試料採取作業のそれぞれ1回の作業時に単一の初期前排気型真空容器の初期真空量を供給するために弁を使用することによって、ただ1つの内部チャンバを有する単純な真空容器を採用することができる。
【0018】
別の実施態様では、真空源は、第1弁によって真空定量供給リザーバと接続された単一の初期前排気型真空容器の形態を有しており、そして真空定量供給リザーバは、第2弁によって生検針内の真空チャネルと接続されている。これにより、ただ1つの内部チャンバを有する単純な真空容器を採用することができる。真空定量供給リザーバによって、限定された数の連続的な試料採取作業のそれぞれ1回の作業時に、単一の初期前排気型真空容器の初期真空を与えることができる。それぞれの試料採取作業時には、先ず、第1弁を開くのに対して、第2弁を閉じたままにすることにより、真空定量供給リザーバを排気する。続いて、第2弁を開くのに対して、第1弁を閉じたままにすることにより、内側試料針の組織区画内を減圧する。このようにすると、真空定量供給リザーバによって、単一の初期前排気型真空容器の初期真空をより一貫して与えることができる。
【0019】
1実施態様では、単一の初期前排気型真空容器が、弁メンブレンを有する真空弁に接続されており、そして前記弁システムが、真空弁の弁メンブレンを貫通するように構成された針先端と、第1弁に接続された反対側のコネクタ端部とを有する中空真空針を含む。これにより、組織試料を採取するために吸引圧が必要なときには、中空真空針の先端は前記真空弁の弁メンブレンを貫通することができ、そして試料採取作業間において、組織試料を採取するために吸引圧が必要とされないときには、真空弁の弁メンブレンは密に閉じ、そして初期前排気型真空容器内の残留真空がより良好に保存されるのを保証することができる。
【0020】
1実施態様の場合、前記生検デバイスが手持ち式生検デバイスであり、そして前記少なくとも1つの初期前排気型真空容器が前記生検デバイスのハウジング内に配置されている。
【0021】
極めて概略的な図面を参照しながら、実施態様を用いて本発明を以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明による生検デバイスを、ハウジングの一部が取り除かれ、中空真空針が第1位置にある状態で示す斜視図である。
【
図2】
図2は、中空真空針が第2位置にある状態を示す、
図1に対応する斜視図である。
【
図3】
図3及び
図4は、本発明による生検デバイスの別の実施態様を示す、それぞれ
図1及び
図2に対応する斜視図である。
【
図4】
図3及び
図4は、本発明による生検デバイスの別の実施態様を示す、それぞれ
図1及び
図2に対応する斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3及び4の生検デバイスの初期前排気型真空容器を、弁メンブレンが取り除かれた状態で示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明による生検デバイスの別の実施態様を示す、
図3に対応する斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明による生検デバイスのさらに別の実施態様を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明による生検デバイスのさらに別の実施態様を示す斜視図である。
【
図9】
図9及び
図10は、本発明による生検デバイスの2つの異なる実施態様の初期前排気型真空容器及び生検針を示す斜視図である。
【
図10】
図9及び
図10は、本発明による生検デバイスの2つの異なる実施態様の初期前排気型真空容器及び生検針を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1及び
図2は、本発明による生検デバイス1の1実施態様を示している。生検デバイス1は、ハウジング2と、患者の組織内へ挿入するように構成された、ハウジングから延びる生検針3とを含む。生検針3は、外側切り取り針4と、組織試料を受容するための組織区画6を備えた内側試料針5とを含む。外側切り取り針4は内側試料針5を取り囲み、そして外側切り取り針4と内側試料針5とはこれらの長手方向に沿って互いに相対的にスライド可能に配置されている。外側切り取り針4はハウジング2から隔たった切り取り端部7を有している。切り取り端部7は、患者の周囲身体組織から内側試料針5の組織区画6内に位置する組織試料を切り取り分離するように構成されている。生検デバイス1はさらに、内側試料針5の組織区画6内に組織試料が捕集される各試料採取作業中に、外側切り取り針4及び内側試料針5を、少なくとも、組織区画6が外側切り取り針4の切り取り端部7を超えて延びる、
図1に示された組織区画の開位置と、外側切り取り針4が組織区画6を覆う、
図2に示された組織区画の閉位置との間で変位させるように、構成されている。これにより、生検針が患者の組織内へ挿入されているときに、組織区画6がその開位置からその閉位置へもたらされると、組織区画6内に位置する組織試料は、外側切り取り針4の切断端部7によって、患者の周囲組織から切り取られる。
【0024】
生検デバイス1は、生検針3内に長手方向に配置された図示されていない真空チャネルを介して、内側試料針5の組織区画6内を減圧するための真空源を含む。図示されていない真空チャネルは典型的には内側試料針5内に、好ましくは内側試料針5の中心線に沿って配置されていてよい。生検デバイス1はさらに、各試料採取作業時に組織区画6内を減圧するように構成された弁システム8を含んでよい。減圧は、組織区画がその開位置にもたらされる前、もたらされている間、又はもたらされた後に組織区画6内で行うことができる。これにより、組織区画内に少なくとも部分的な真空を形成することができ、外側切り取り針4の切り取り動作中に組織試料を組織区画内へ引き込むことができる。これにより、組織試料の採取を容易にすることができ、より大きい組織試料を得ることができる。
【0025】
本発明によれば、真空源は、少なくとも1つの初期前排気型真空容器91,92,93,94,95,96,21の形態を有しており、そして生検デバイス1は、少なくとも1つの初期前排気型真空容器の初期真空によって、限定された数の連続的な試料採取作業のそれぞれ1回の作業時に内側試料針5の組織区画6内を減圧するように構成されている。以下に説明するように、このことは本発明の種々異なる実施態様によって達成することができる。生検デバイス1はこれにより単回使用デバイスとして好適でありえる。この場合、デバイスは少なくとも1つの初期前排気型真空容器とともに提供することができる。この初期前排気型真空容器は前記限定された数の連続的な試料採取作業中に使い切ることができる。これにより、具体的には、真空生成デバイスを駆動するための電動モータを必要でなくすることができ、ひいてはエネルギー消費量を無くする又は低減することができ、そしてバッテリを省くことができ、あるいは使用するバッテリを小型化することができる。その結果、製造コストを下げることができる。図示の実施態様では、少なくとも1つの初期前排気型真空容器91,92,93,94,95,96,21は生検デバイス1のハウジング2内に配置されており、生検デバイス1は、手持ち式生検デバイス1である。
【0026】
図1~8に示された本発明の実施態様の場合、少なくとも1つの初期前排気型真空容器9
1,9
2,9
3,9
4,9
5,9
6,21は、弁メンブレン11を有する真空弁10と流体連通しており、そして弁システム8は、前記真空弁10の弁メンブレン11を貫通するように構成された針先端13を有する中空真空針12を含む。前記実施態様では、このことは、中空真空針12をハウジング内でその長手方向に変異させることにより行われる。真空弁10はこの方向の変位に対して固定されている。図から判るように、真空弁10は少なくとも1つの初期前排気型真空容器上に直接に配置されている。あるいは針をその長手方向に固定することもでき、そして弁10を変異させることにより、中空真空針12が弁10の弁メンブレン11を貫通するようにすることもできる。組織試料を採取するために吸引圧が必要なときには、中空真空針12の先端は前記真空弁10の弁メンブレン11を貫通することができ、そして使用前に、弁メンブレン11は密に閉じ、そして初期前排気型真空容器内の真空が保存されるのを保証することができる。
【0027】
図1~7に示された本発明の実施態様では、真空源は、6つの初期前排気型真空容器9
1,9
2,9
3,9
4,9
5,9
6の形態を有しており、そして弁システム8は、それぞれの初期前排気型真空容器を別々に且つ相次いで、それぞれの連続的な試料採取作業に相応して、生検針3内の図示されていない真空チャネルと接続するように構成されている。もちろん任意の適宜な数の初期前排気型真空容器を採用してよい。それぞれの初期前排気型真空容器9
1,9
2,9
3,9
4,9
5,9
6は、弁メンブレン11を有する各真空弁10に接続されており、そして弁システム8は、それぞれの真空弁10の弁メンブレン11を貫通するように構成された針先端13と、生検針3内の図示されていない真空チャネルに接続された反対側のコネクタ端部14とを有する中空真空針12を含む。
【0028】
図1~7に示された本発明の実施態様では、各真空弁10は、
図1~6では円16の形態を成し、そして
図7では円弧15の形態を成す経路に沿って配列されており、そして弁10と中空真空針12の針先端13との配列は、針先端13をそれぞれの真空弁10に位置決めし得るように相対的に変位可能である。
【0029】
さらに明らかなように、
図1~7に示された実施態様では、円筒形容器17の形態を成す共通ハウジングが、内方へ延びる仕切り壁18によって前記初期前排気型真空容器9
1,9
2,9
3,9
4,9
5,9
6に分離されている。図から判るように、内方へ延びる仕切り壁18は円筒形容器17内で内方へ延びている。この場合、対称的な配置を得ることができる。これにより円筒形容器17の耐圧性を最適化することができる。しかしながら、内方へ延びる仕切り壁18は他の形式で配置することもでき、例えばこれらは湾曲形態を有してもよい。内方へ延びる仕切り壁18は円筒形容器17の長手方向に間隔を置いて配置さていてもよい。さらに、初期前排気型真空容器によって形成された共通ハウジングは円筒形である必要はなく、任意の適宜な形状を有していてもよい。
【0030】
図1~6に示された本発明の実施態様では、各真空弁10は円筒形容器17の端壁19上に配置されており、円筒形容器17は矢印31によって示されているように中心軸線を中心として回転可能に配置されており、中空真空針12の針先端13は円筒形容器17の回転方向で固定位置に配置されている。これにより、円筒形容器17の回転によって、弁10と中空真空針12の針先端13との配列は、針先端13をそれぞれの真空弁10に位置決めし得るように相対的に変位可能である。
【0031】
図7に示された本発明の別の実施態様では、各真空弁10は円弧15に沿って共通ハウジングに配置されており、そして針先端13を各真空弁10に位置決めできるように、中空真空針12の針先端13は旋回アーム20上に配置されている。各真空弁10を相応の各初期前排気型真空容器9
1,9
2,9
3,9
4,9
5,9
6と接続する接続チャネル26を示すために、円筒形容器17の端壁19と円筒形容器17の部分とは透明なものとして示されている。
【0032】
図9及び10に示された本発明の別の実施態様では、真空源は、弁22によって生検針3内の図示されていない真空チャネルと接続された単一の初期前排気型真空容器21の形態を有しており、そして生検デバイス1は、弁22によって内側試料針5の組織区画6内の減圧を制御するように構成されている。弁22は例えば圧力制御弁又はオン・オフ弁であってよい。組織区画6内の減圧はいわば、弁の開放時間及び閉鎖時間を制御し、場合によっては弁がどの程度開かれるかを制御することによって正確に行うことができる。図から判るように、
図9ではバタフライ弁が使用されるのに対して、
図10ではピストン弁が使用される。
【0033】
図8に示された本発明の別の実施態様では、真空源は、第1弁24によって真空定量供給リザーバ23と接続された単一の初期前排気型真空容器21の形態を有しており、そして真空定量供給リザーバ23は、第2弁25によって生検針3内の図示されていない真空チャネルと接続されている。第2弁25は、真空接続チューブ27によって生検針3内の図示されていない真空チャネルと接続されている。真空定量供給リザーバ23によって、限定された数の連続的な試料採取作業のそれぞれ1回の作業時に、単一の初期前排気型真空容器21の初期真空を与えることができる。それぞれの試料採取作業時には、先ず、第1弁24を開くのに対して、第2弁25を閉じたままにすることにより、真空定量供給リザーバ23を排気する。続いて、第2弁25を開くのに対して、第1弁24を閉じたままにすることにより、内側試料針5の組織区画6内を減圧する。このようにすると、真空定量供給リザーバ23によって、単一の初期前排気型真空容器21の初期真空をより一貫して与えることができる。所望の場合には、第1弁24は、採取されるべき新しい試料毎により長い時間にわたって開くように制御することができる。真空定量供給リザーバ23内に得られる実際の圧力は各試料採取作業においてほぼ同じである。
【0034】
図8に示された本発明の実施態様では、任意には、図示のように、単一の初期前排気型真空容器21が、弁メンブレン11を有する真空弁10を備えており、そして前記弁システム8は、真空弁10の弁メンブレン11を貫通するように構成された針先端13と、第1弁24に接続された反対側のコネクタ端部14とを有する中空真空針12を含む。第1弁24は、フレキシブルな真空接続チューブ28によって中空真空針12のコネクタ端部14と接続されている。これにより、組織試料を採取するために吸引圧が必要なときには、中空真空針12の針先端13は前記真空弁10の弁メンブレン11を貫通することができ、そして試料採取作業間において、組織試料を採取するために吸引圧が必要とされないときには、中空真空針12の針先端13を弁メンブレン11から引き込むことができ、そして真空弁10の弁メンブレン11は密に閉じることができ、そして初期前排気型真空容器21内の残留真空がより良好に保存されるのを保証することができる。しかしながら、好ましいのは、生検デバイスの作業開始時に中空真空針12を弁メンブレン11内へ挿入することができ、そして連続的な試料採取作業中に弁メンブレン11内へ挿入したままにすることができ、そして第1弁24を試料採取作業間には閉じるように制御し得ることである。中空真空針12と弁メンブレン11との組み合わせの主な利点は、使用前の生検デバイスの貯蔵中に密な閉鎖が可能になることである。
【0035】
あるいは
図8に示された本発明の実施態様において、中空真空針12を有する真空弁10が省かれる場合には、第1弁24はフレキシブルな真空接続チューブ28によって、単一の初期前排気型真空容器21と直接に接続することもできる。第1弁24は単一の初期前排気型真空容器21と真空定量供給リザーバ23との接続を開閉するのに完全な機能を有し、且つ十分であり得る。しかしながら、上述のように、また第1弁24の種類に応じて、真空弁10及び中空真空針12をさらに加えることにより、より長い時間、例えば貯蔵時間にわたるより良好な閉鎖を可能にする。
【0036】
あるいは、
図8に示された本発明の実施態様において、中空真空針12を備えた真空弁10は第1弁24と置き換えることもでき、又は第1弁24を構成してもよく、これにより、中空真空針12のコネクタ端部14を、フレキシブルな真空接続チューブ28によって真空定量供給リザーバ23と直接に接続することができる。
【0037】
なお、
図1及び
図2に示された実施態様では、それぞれの真空弁10は、初期前排気型真空容器を形成する円筒形容器17の端壁19の各穴に配置された別々の弁メンブレン11を備えている。
図1及び
図2では、円筒形容器17の内方へ延びる仕切り壁18を示すために、端壁19は透明なものとして示されている。さらに、
図3~6に示された実施態様では、6つ全ての真空弁10が、
図5に示されているような共通の弁メンブレン11を備えている。共通の弁メンブレン11は、円筒形容器17の端壁19の外側又は内側に配置され、そしてシールされた状態で端壁19と結合されている。それぞれの真空弁10は端壁19の穴として形成されているので、中空真空針12は、前記穴のところでメンブレンを貫通することにより、対応する初期前排気型真空容器9に入ることができる。
図3及び
図6では、共通の弁メンブレン11は端壁19の外側に配置されているが、しかしメンブレンは透明なものとして示されている。
図3と同じ実施態様を示す
図4では、円筒形容器17の内方へ延びる仕切り壁18を示すために、メンブレン11及び端壁19の両方は透明なものとして示されている。
【0038】
弁メンブレン11は、適宜な自己シール性エラストマー材料から成る自己シール性のダイヤフラム又はメンブレンの形態を有していてよい。この材料は、コンベンショナルな外科用針などによって容易に貫通することができる。図から明らかなように、
図3~6に示された実施態様では、共通の弁メンブレン11は平らな材料片であり、そしてこれは、それぞれの弁10が別々の弁メンブレン11を備えた
図1及び2に示された実施態様にも当てはまる。しかしながら、この後者の実施態様では、それぞれの別々の弁メンブレン11は、図面で見ることのできる丸み付きヘッドを有するマッシュルーム様形状を有している。丸み付きヘッドの直径は、円筒形容器17の端壁19の対応穴よりも僅かに大きく、丸み付きヘッドの下方に、見ることのできないステムが配置されており、このステムは端壁19の前記穴内に挿入されている。これにより、円筒形容器17は排気され、マッシュルーム状の弁メンブレン11の丸み付きヘッドは前記穴の外側に密に保持され、これにより穴を密に閉じる。丸み付きヘッドのステムは、マッシュルーム状弁メンブレン11の場所を穴に維持するように役立つ。
図1及び
図2からも判るように、丸み付きヘッドは小さな中心凹部を備えている。この中心凹部は中空真空針12の針先端13を誘導して、これがマッシュルーム状弁メンブレン11の中心を貫通するのに役立つ。しかしながら、本発明によれば、弁メンブレン11は数多くの異なる形態、例えば中空真空針12によって貫通されるように端壁が一体化された小型チューブの形態を有することもできる。
【0039】
図7~10に示された実施態様では、初期前排気型真空容器9は、試料採取作業中に回転するように構成されてはおらず、ひいては初期前排気型真空容器は、ハウジングの形状とは無関係に、生検デバイス1のハウジング2の内部ジオメトリに適合する形状を有し、これによりハウジング内部の利用可能な空間を良好に用いることができる。
【0040】
さらに
図1及び
図2に示された実施態様、並びに
図3及び
図4に示された実施態様において、中空真空針12の長手方向の変位は、接続アーム29によって生検針3の外側切り取り針4の長手方向変位と連携しているので、外側切り取り針4の切り取り端部7が組織を切り取り、内側試料針5の組織区画6を閉じ始めたその時点に関連して所定のタイミングで、中空真空針12は各真空弁10の弁メンブレン11を貫通することができる。例えば、弁メンブレン11の貫通は、組織区画6の開放前、開放中、又は開放後に発生するようになっていてよく、続いて組織を切り取ることができる。これにより、単純な形式で、周囲組織から組織試料を切り取ったときに組織試料の採取が真空によって支援されるように、組織区画6内の減圧を所定のタイミングで行うことができるので有利である。他方において、
図6,7及び8に示された実施態様では、中空真空針12をそれぞれ保持する針保持アーム30及び旋回アーム20は外側切り取り針4に直接には連結されていない。したがって、これらの実施態様によれば、中空真空針12の長手方向運動は、外側切り取り針4の長手方向運動とは独立して制御される。
【0041】
本発明によれば、初期前排気型真空容器とは、生検デバイスを利用する前に排気されている真空容器を意味する。本発明による生検デバイスを利用すると、初期前排気型真空容器の真空をいわば使い切り、もはや組織試料を真空によって支援された状態で採取できなくなる前に、複数の連続的な組織試料を採取することができる。少なくとも1つの初期前排気型真空容器は0.5~0.05bar(abs)まで前排気されることが適切である。少なくとも1つの初期前排気型真空容器は0.4bar(abs)以下まで前排気されることが好ましい。少なくとも1つの初期前排気型真空容器は0.3bar(abs)以下まで前排気されることがより好ましい。少なくとも1つの初期前排気型真空容器は0.2bar(abs)以下まで前排気されることがさらにより好ましい。
【0042】
本発明による生検デバイスは好ましくは単回使用製品であり、すなわち生検デバイスは、患者から一連の組織試料を採取し、続いて廃棄されるように意図されている。
【0043】
本発明によれば、下記実施態様が開示される。
【0044】
実施態様1 ハウジング(2)と前記ハウジングから延びる生検針(3)とを含む生検デバイス(1)であって、前記生検針(3)が外側切り取り針(4)と、組織試料を受容するための組織区画(6)を備えた内側試料針(5)とを含み、前記外側切り取り針(4)が前記内側試料針(5)を取り囲み、前記外側切り取り針(4)と前記内側試料針(5)とが前記外側切り取り針及び前記内側試料針の長手方向に沿って互いに相対的にスライド可能に配置されており、前記外側切り取り針(4)が前記ハウジング(2)から離隔した切り取り端部(7)を有しており、前記生検デバイス(1)が、前記内側試料針(5)の前記組織区画(6)内に組織試料が捕集される各試料採取作業中に、前記外側切り取り針(4)及び前記内側試料針(5)を、少なくとも、前記組織区画(6)が前記外側切り取り針(4)の切り取り端部(7)を超えて延びる前記組織区画(6)の開位置と、前記外側切り取り針(4)が前記組織区画(6)を覆う前記組織区画(6)の閉位置との間で変位させるように、構成されており、前記生検デバイス(1)が、前記生検針(3)内に長手方向に配置された真空チャネルを介して、前記内側試料針(5)の前記組織区画(6)内を減圧するための真空源を含み、そして前記生検デバイス(1)が、各試料採取作業時に前記組織区画(6)内を減圧するように構成された弁システム(8)を含む形式のものにおいて、前記真空源が、少なくとも1つの初期前排気型真空容器(91,92,93,94,95,96,21)の形態を有していること、前記生検デバイス(1)が、前記少なくとも1つの初期前排気型真空容器(9)の初期真空によって、限定された数の連続的な試料採取作業のそれぞれ1回の作業時に前記内側試料針(5)の前記組織区画(6)内を減圧するように構成されていることを特徴とする、生検デバイス。
【0045】
実施態様2 前記少なくとも1つの初期前排気型真空容器(91,92,93,94,95,96,21)が、弁メンブレン(11)を有する真空弁(10)に接続されており、そして前記弁システム(8)が、前記真空弁(10)の弁メンブレン(11)を貫通するように構成された針先端(13)を有する中空真空針(12)を含む、実施態様1に記載の生検デバイス。
【0046】
実施態様3 前記真空源が、複数の初期前排気型真空容器(91,92,93,94,95,96)の形態を有しており、そして、前記弁システム(8)が、それぞれの初期前排気型真空容器を別々に且つ相次いで、それぞれの連続的な試料採取作業に相応して、前記生検針(3)内の真空チャネルと接続するように構成されている、実施態様1又は2に記載の生検デバイス。
【0047】
実施態様4 それぞれの初期前排気型真空容器(91,92,93,94,95,96)が、弁メンブレン(11)を有する各真空弁(10)に接続されており、そして前記弁システム(8)が、それぞれの真空弁(10)の弁メンブレン(11)を貫通するように構成された針先端(13)と、前記生検針(3)内の真空チャネルに接続された反対側のコネクタ端部(14)とを有する中空真空針(12)を含む、実施態様3に記載の生検デバイス。
【0048】
実施態様5 各真空弁(10)が、円弧(15)又は円(16)のような経路に沿って配列されており、そして前記弁(10)と前記中空真空針(12)の針先端(13)との配列が、前記針先端(13)をそれぞれの真空弁(10)に位置決めし得るように相対的に変位可能である、実施態様4に記載の生検デバイス。
【0049】
実施態様6 前記真空源が、共通ハウジング内に形成された複数の初期前排気型真空容器(91,92,93,94,95,96)の形態を有している、実施態様1から5までのいずれか1つに記載の生検デバイス。
【0050】
実施態様7 前記共通ハウジングが、内方へ延びる仕切り壁(18)によって前記初期前排気型真空容器(91,92,93,94,95,96)に分離された円筒形容器(17)の形態を有している、実施態様6に記載の生検デバイス。
【0051】
実施態様8 前記真空源が、内方へ延びる仕切り壁(18)によって複数の初期前排気型真空容器(91,92,93,94,95,96)に分離された円筒形容器(17)の形態を有しており、前記各真空弁(10)が前記円筒形容器(17)の端壁(19)に配列されており、前記円筒形容器(17)が前記円筒形容器の中心軸線を中心として回転可能に配置されており、そして前記中空真空針(12)の針先端(13)が前記円筒形容器(17)の回転方向で固定位置に配置されている、実施態様4又は5に記載の生検デバイス。
【0052】
実施態様9 前記真空源が、共通ハウジング内に形成された複数の初期前排気型真空容器(91,92,93,94,95,96)の形態を有しており、前記各真空弁(10)が円弧(15)に沿って前記共通ハウジングに配置されており、そして前記針先端(13)を各真空弁(10)に位置決めできるように、前記中空真空針(12)の針先端(13)が旋回アーム(20)上に配置されている、実施態様4に記載の生検デバイス。
【0053】
実施態様10 前記真空源が、弁(22)によって前記生検針内の真空チャネルと接続された単一の初期前排気型真空容器(21)の形態を有しており、そして前記生検デバイス(1)は、前記弁(22)によって前記内側試料針(5)の組織区画(6)内の減圧を制御するように構成されている、実施態様1に記載の生検デバイス。
【0054】
実施態様11 前記真空源は、第1弁(24)によって真空定量供給リザーバ(23)と接続された単一の初期前排気型真空容器(21)の形態を有しており、そして前記真空定量供給リザーバ(23)は、第2弁(25)によって前記生検針(3)内の真空チャネルと接続されている、実施態様1に記載の生検デバイス。
【0055】
実施態様12 前記単一の初期前排気型真空容器(21)が、弁メンブレン(11)を有する真空弁(10)に接続されており、そして前記弁システム(8)が、前記真空弁(10)の弁メンブレン(11)を貫通するように構成された針先端(13)と、前記第1弁(24)に接続された反対側のコネクタ端部(14)とを有する中空真空針(12)を含む、実施態様11に記載の生検デバイス。
【0056】
実施態様13 前記生検デバイス(1)が手持ち式生検デバイスであり、そして前記少なくとも1つの初期前排気型真空容器(91,92,93,94,95,96,21)が前記生検デバイス(1)のハウジング(2)内に配置されている、実施態様1から12までのいずれか1つに記載の生検デバイス。
【符号の説明】
【0057】
1 生検デバイス
2 生検デバイスのハウジング
3 生検針
4 生検針の外側切り取り針
5 生検針の内側試料針
6 内側試料針の組織区画
7 外側切り取り針の切り取り端部
8 弁システム
9 初期前排気型真空容器
10 真空弁
11 真空弁の弁メンブレン
12 中空真空針
13 中空真空針の針先端
14 中空真空針のコネクタ端部
15 真空弁の配列の円弧
16 真空弁の配列の円
17 円筒形容器
18 円筒形容器の内部に延びる仕切り壁
19 円筒形容器の端壁
20 旋回アーム
21 初期前排気型真空容器
22 弁
23 真空定量供給リザーバ
24 第1弁
25 第2弁
26 接続チャネル
27,28 真空接続管
29 接続アーム
30 針保持アーム
31 回転を示す矢印
【国際調査報告】