(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】静電放電に対する保護手段が組み込まれた車両用ランプ
(51)【国際特許分類】
F21S 45/10 20180101AFI20220202BHJP
F21S 41/37 20180101ALI20220202BHJP
F21S 41/39 20180101ALI20220202BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220202BHJP
F21V 7/28 20180101ALI20220202BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20220202BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20220202BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20220202BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220202BHJP
【FI】
F21S45/10
F21S41/37
F21S41/39
F21V23/00 130
F21V23/00 160
F21V7/28 210
F21V17/00 252
F21V19/00 150
F21W102:00
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535701
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(85)【翻訳文提出日】2021-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2019084540
(87)【国際公開番号】W WO2020126714
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】フアン、ララ-カベサ
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル-アンヘル、ペナ
(72)【発明者】
【氏名】フアン-ホセ、サンタエージャ
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ、ドミンゴ、イジャン
(72)【発明者】
【氏名】ホセ-ダビド、ロルダン
【テーマコード(参考)】
3K011
3K013
3K014
【Fターム(参考)】
3K011CA00
3K011JA01
3K011KA02
3K013AA08
3K013BA01
3K013CA05
3K013CA16
3K014AA01
(57)【要約】
本発明は、静電放電に対する保護手段が組み込まれた車両用ランプ(100)に関する。一実施形態において、車両用ランプ(100)は、合成ポリマーから作製された金属化部品(105)であって、少なくともその1つの面が金属化された金属化部品(105)を備える。車両用ランプ(100)は、金属化部品(105)と一体の金属化保持クリップ(110)と、金属化保持クリップ(110)を介して金属化部品(105)をグランドに電気的に接続するグランドケーブル(115)と、をさらに備える。グランドケーブル(115)の第1端部(120)は、金属化保持クリップ(110)のロック端部(305)に固定され、グランドケーブル(115)の第2端部(125)は、グランドに接続されることにより、金属化部品(105)とグランドとの間で適切な接続が保証される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ランプ(100)であって、
合成ポリマーで作製された金属化部品(105)であって、少なくともその1つの面が金属化された金属化部品(105)を備え、
前記車両用ランプ(100)は、前記金属化部品(105)と一体の金属化保持クリップ(110)と、前記金属化保持クリップ(110)を介して前記金属化部品(105)をグランドに電気的に接続するグランドケーブル(115)と、をさらに備えることを特徴とする、車両用ランプ(100)。
【請求項2】
前記グランドケーブル(115)の第1端部(120)は、前記金属化保持クリップ(110)のロック端部(305)に固定され、前記グランドケーブル(115)の第2端部(125)は、グランドに接続される、請求項1に記載の車両用ランプ(100)。
【請求項3】
前記金属化保持クリップ(110)は、前記グランドケーブル(115)と前記金属化部品(105)とを接続するスナップフィットコネクタの一種である、請求項1または2に記載の車両用ランプ(100)。
【請求項4】
前記金属化部品(105)は、リフレクタである、請求項1~3のいずれかに記載の車両用ランプ(100)。
【請求項5】
前記金属化保持クリップ(110)は、前記リフレクタ(105)の反射面とは反対側の面の下部において、前記リフレクタ(105)と一体的に形成されている、請求項4に記載の車両用ランプ(100)。
【請求項6】
前記車両ランプ(100)は、
透明なアウターレンズと、
光を発光する単数または複数の発光ダイオードであって、前記透明な表面カバーの内側に配置される単数または複数の発光ダイオードと、
前記単数または複数の発光ダイオードが搭載される印刷回路基板(PCB)であって、金属化ヒートシンクに配置される印刷回路基板(PCB)と、をさらに備え、
前記金属化部品(105)は、締結具により前記金属化ヒートシンクに固定される、請求項4または5に記載の車両用ランプ(100)。
【請求項7】
前記グランドケーブル(115)の前記第1端部(120)は、前記金属化保持クリップ(110)の前記ロック端部(305)に係止する端子クリップ(405)を含む、請求項2~6のいずれかに記載の車両用ランプ(100)。
【請求項8】
前記金属化保持クリップ(110)は、少なくとも2つのジョー(310)を備える、請求項2~7のいずれか一項に記載の車両用ランプ(100)。
【請求項9】
前記端子クリップ(405)は、合成ポリマー材料または金属から作製されている、請求項7に記載の車両用ランプ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の車両用ランプの分野に関し、より具体的には、静電放電に敏感な電子部品の保護物が組み込まれたこのような装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用のヘッドランプやテールランプ等の車両用ランプの分野では、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)またはレーザダイオード等の光源の使用が指定されることが多くなっている。車両用ランプは、異なる機能を有する光源としての複数のLEDを含んでいる。LEDは、透明なアウターレンズの内側に配置されている。車両用ランプは、発光ダイオードから発光された光をアウターレンズに向けて反射するための金属化された単数または複数のリフレクタを含んでいる。単数または複数の導電性リフレクタは、発光ダイオードと表面カバーとの間に配置されてもよい。さらに、LEDが設けられた車両用ランプには、熱冷却手段も関連付けられており、これらは、一般に、LEDに給電し制御するための電子部品をも支持するプリント回路基板によって支持されている。熱冷却手段は、金属化ヒートシンクであり得る。車両用ランプは、リフレクタの他にも、装飾ベゼル等の金属化部品を備え得る。
【0003】
LEDは繊細な電子部品であり、特に静電放電に敏感である。自動車のサービス寿命の間に、このような部品は、当該部品が一部をなす車両用ランプ内で静電放電に晒される可能性があり、静電放電が発生した場合には故障しやすい。自動車の車両用ランプ内で静電気が発生する理由はいくつか存在する。例えば、車両のボディが汚れたら洗車することがある。洗車後、車両用ランプのアウターレンズは布で拭かれる。車両の走行中に、小石等が車両用ランプのアウターレンズに当たることで擦れることがある。さらに、車両の流通段階において、摩擦により車両用ランプのアウターレンズに静電気が発生し得る。したがって、車両用ランプのアウターレンズには、頻繁にまたは定期的に静電気が発生しやすい。
【0004】
上述の事情や車両用ランプの構造を考慮すると、車両用ランプのアウターレンズに発生する静電気が、誘導充電または放電を発生させるとともに、LEDに近接するリフレクタに静電気の帯電を生じさせ、そしてリフレクタに蓄積された静電気が放電によってLEDに作用するということが考えられる。LEDが放電を受けた場合、LEDの早期劣化、さらには早期破壊を招くおそれが高くなる。
【0005】
LEDを静電気から保護するために、単数または複数の導電性リフレクタを、リフレクタに蓄積された静電気がグランドに導かれるようにグランドすることで、LEDの保護を行うことが知られている。したがって、リフレクタに蓄積された静電気がリフレクタとリフレクタに近接するLEDとの間で放電するような現象が防止され得る。このため、LEDが静電気を理由として故障することを防止できる。しかしながら、既知の技術では、リフレクタのグランドを目的として金属製のSMT部品、ネジ、および他の種々の追加部品が採用されている。したがって、車両用ランプの構造または構成が複雑になり、このような追加部品を採用するプロセスには費用がかかる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、先行技術による問題を軽減することである。より正確には、本発明の目的は、追加部品や高価なプロセスを使用することなく、静電放電に敏感な電子部品を保護するための手段が組み込まれた車両用ランプを提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、静電放電から電子部品を保護する一体型の金属化保持クリップを有する金属化部品、例えばリフレクタを有する車両用ランプを提供することである。
【0008】
本発明の一の非限定的な実施形態によれば、車両用ランプであって、合成ポリマーで作製された金属化部品であって、少なくともその1つの面が金属化された金属化部品を備え、前記車両用ランプは、前記金属化部品と一体の金属化保持クリップと、前記金属化保持クリップを介して前記金属化部品をグランドに電気的に接続するグランドケーブルと、をさらに備えることを特徴とする、車両用ランプが提供される。
【0009】
本発明の一の非限定的な実施形態によれば、前記グランドケーブルの第1端部は、前記金属化保持クリップのロック端部に固定され、前記グランドケーブルの第2端部は、グランドに接続される。
【0010】
本発明の一の非限定的な実施形態によれば、金属化保持クリップは、前記グランドケーブルと前記金属化部品とを接続するスナップフィットコネクタの一種である。
【0011】
本発明の一の非限定的な実施形態によれば、前記金属化部品は、リフレクタである。
【0012】
本発明の一の非限定的な実施形態によれば、前記金属化保持クリップは、前記リフレクタの反射面とは反対側の面の下部において、前記リフレクタと一体的に形成されている。
【0013】
本発明の一の非限定的な実施形態によれば、
前記車両用ランプは、
透明なアウターレンズと、
光を発光する単数または複数の発光ダイオードであって、前記透明な表面カバーの内側に配置される単数または複数の発光ダイオードと、
前記単数または複数の発光ダイオードが搭載される印刷回路基板(PCB)であって、金属化ヒートシンクに配置される印刷回路基板(PCB)と、をさらに備え、
前記金属化部品は、締結具により前記金属化ヒートシンクに固定される。
【0014】
本発明の一の非限定的な実施形態によれば、前記グランドケーブルの前記第1端部は、前記金属化保持クリップの前記ロック端部に係止する端子クリップを含む。
【0015】
本発明の一の非限定的な実施形態によれば、前記金属化保持クリップは、少なくとも2つのジョーを備える。
【0016】
本発明の一の非限定的な実施形態によれば、前記端子クリップは、合成ポリマー材料または金属で作製されている。
【0017】
以上のように、追加部品を使用することなく、金属化リフレクタをグランド電位に設定することができるため、ESD放電が発生した場合であっても、これは直接グランドに放電される。この結果、LEDが静電気を理由として故障することを防止することができる。
【0018】
説明を完全なものとして本発明をより良く理解できるように、一連の図面が提供される。これらの図面は、本明細書の不可欠な一部を形成し、本発明の実施形態を図示する。本発明の実施形態は、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではなく、本発明がいかに実施され得るかを示す単なる例示である。図面は以下の特徴を備える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による、金属化保持クリップと一体の金属化部品を有する車両用ランプの後面の斜視図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による、
図1に示す一体型の金属化保持クリップを有する金属化部品の切断部を示す。
【
図3a】
図3aは、本発明の一実施形態による、
図1に示す一体型の金属化保持クリップを有する金属化部品の切断部の正面図である。
【
図3b】
図3bは、本発明の一実施形態による、
図1に示す一体型の金属化保持クリップを有する金属化部品の切断部の等角図である。
【
図3c】
図3cは、本発明の一実施形態による、グランドケーブルに組み付けられた一体型の金属化保持クリップを有する金属化部品の切断部の側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態による、端子クリップを有するグランドケーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0021】
以下の説明において、ある一の実施形態について説明した技術的特徴は、逆の表明がある場合や、種々の実施形態について説明した要素が代替的な解決策を表す場合を除き、本発明の範囲から逸脱することなく、別の実施形態の特徴と組み合わせられ得る。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による、金属化保持クリップ110と一体の金属化部品105を有する車両用ランプ100の後面の斜視図を示す。一実施形態による車両用ランプ100は、左右のヘッドランプ(「ヘッドランプ」と称する)の一方である。ヘッドランプは、左前方または右前方において車体に取り付けられ、車両の前方領域を照明する。ヘッドランプは、ランプ本体とフロントカバーとを含む。ランプ本体には、フロント開口が形成されている。フロントカバーは、フロントカバーの開口を閉鎖する。一実施形態において、フロントカバーは、透明なアウターレンズである。フロントカバーおよびランプ本体は、それらの内部に気密なランプ室を形成している。光を発光する単数または複数の発光ダイオードが、透明なアウターレンズの内側に配置されている。ランプ室は、単数または複数の発光ダイオードが搭載されるプリント回路基板(PCB)をさらに有している。PCBは、金属化ヒートシンクに配置され得る。さらに、車両用ランプは、金属化プラスチック部品105を含んでいる。金属化プラスチック部品105は、例えば、発光ダイオードから発光された光を透明なアウターレンズに向けて反射するリフレクタである。
【0023】
一実施形態において、金属化プラスチック部品105は合成ポリマーから作製され、金属化部品は、少なくともその1つの面が金属化されている。プラスチック部品の金属化は、好適にはアルミニウムを用いて行われ、被覆層の厚さは、好適には100~300ナノメートルである。
【0024】
金属化プラスチック部品105は、締結具により金属化ヒートシンク(図示せず)に固定され得る。本発明はリフレクタに関して説明されるが、本発明は任意の金属化部品、例えば金属化ヒートシンクに適合され得ることが当業者には理解される。
【0025】
図1aに、金属化プラスチック部品105を有する車両用ランプ100の後面を示す。
図1aから理解されるように、車両用ランプ100は、金属化プラスチック部品105に一体的に形成された金属化保持クリップ105をさらに備えている。一実施形態において、金属化保持クリップ105は、例えばリフレクタである金属化プラスチック部品105の反射面とは反対側の面の下部において、金属化プラスチック部品105と一体的に形成されている。あるいは、金属化保持クリップ110は、リフレクタ105の反射面とは反対側の平坦面において、金属化プラスチック部品105と一体的に形成されていてもよい。さらに、金属化保持クリップ110は、ケーブルが長くならないように、電気コネクタの付近の平坦面において、金属化プラスチック部品105と一体的に形成されていてもよい。金属化保持クリップ110の位置は、金属化プラスチック部品105のモールド構成によっても変わり得る。
【0026】
一実施形態において、金属化保持クリップ110および金属化部品105は、同時に金属化され得る。
【0027】
一実施形態において、金属化プラスチック部品105は、グランドに接続される。グランドケーブル115は、金属化保持クリップ110を介して金属化プラスチック部品105をグランドに電気的に接続するように使用される。金属化保持クリップ110の一端部はプラスチック製金属化部品105に固定され、金属化保持クリップ110の他端部には、グランドケーブル115の挿入時にこれに係合するロック部が形成される。
図3bから理解されるように、金属化保持クリップ115の他端部を、本明細書においてロック端部305と称する場合がある。
図2および
図3cから理解されるように、グランドケーブル115は、金属化保持クリップ115のロック端部305に固定され、グランドケーブル115の第2端部125は、グランドに接続される。
【0028】
一実施形態において、金属化保持クリップ110は、グランドケーブル115と金属化プラスチック部品105とを接続するスナップフィットコネクタの一種である。
【0029】
一実施形態において、
図3cに示すように、金属化保持クリップ110は、少なくとも2つのジョーを備えている。一実施形態において、
図3cに示すように、金属化保持クリップは、平行に配置された2つのジョー310を備えている。2つのジョー310は、互いから離間するように移動可能である。すなわち、ジョー310の弾性移動により、グランドケーブル115が中央通路330内に挿入され得る。
【0030】
別の実施形態において、金属化保持クリップ110は、3つのジョーを備えている。さらに別の実施形態において、金属化保持クリップ110は、4つのジョーを備えている。各ジョー310には、ロック端部305に凸部315が形成されている。ジョー310は、ジョーの凸部の面が互いに対面して、グランドケーブル115の挿入時にその一端部120を受容する中央通路330が形成されるように配置される。
図3aは、本発明の一実施形態による、
図1に示す一体型の金属化保持クリップ110を有する金属化部品の切断部の正面図である。
図3aに示すように、ジョー310を互いに組み付けてロック端部305を形成したとき、中央通路330が形成される。
【0031】
一実施形態において、
図3cに示すように、凸部315は、互いに対面する鋭角縁部320を含んでいる。別の実施形態において、凸部315は、互いに対面する切断縁部または切頭縁部を含んでいる(図示せず)。切頭縁部は、グランドケーブル115と金属化保持クリップ110との間に良好な接触面を提供するため、より良好な保持力および導電性を保証する。したがって、本発明は、金属化保持クリップ110に対するグランドケーブル115の適切な固定を保証する良好な接触面325を提供する。
【0032】
本発明の別の実施形態において、グランドケーブル115には、金属化保持クリップ110のロック端部305と係合する端子クリップ405が設けられる。
図4は、本発明の一実施形態による、端子クリップ110を有するグランドケーブル115を示す。端子クリップ110は、合成ポリマー材料または金属から作製されている。端子クリップ110は、金属化保持クリップ110とグランドケーブル115との間の機械的固定をさらに向上させ得る。
【0033】
以上のように、追加部品や追加プロセスを使用することなく、金属化プラスチック部品105とグランドとの間の良好な接続が、金属化保持クリップ110およびグランドケーブル115を介して保証され得る。金属化保持クリップ110は、グランドケーブル115と金属化プラスチック部品105との間の永続的な接続を保証する。したがって、本発明は、SMT部品、ネジ、コネクタ、または圧着プロセスをいずれも使用することなく、金属化部品をグランドするための単純で経済的な解決策を提供する。
【国際調査報告】