(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】鼻形成器具
(51)【国際特許分類】
A61F 5/08 20060101AFI20220202BHJP
【FI】
A61F5/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542270
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(85)【翻訳文提出日】2021-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2019076319
(87)【国際公開番号】W WO2020070028
(87)【国際公開日】2020-04-09
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521131719
【氏名又は名称】ボーヌ 3デ
(71)【出願人】
【識別番号】507139834
【氏名又は名称】アシスタンス ピュブリック-オピト ドゥ パリ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アダム、ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ペラン、ベノワ
(72)【発明者】
【氏名】コーンサリ、ローマン オッセン
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA01
4C098BB20
4C098BC08
4C098BC17
4C098BD15
(57)【要約】
本発明は、対象者の鼻の中へと導入されるように構成され、
‐鼻の鼻孔の中へとそれぞれ導入されるのに適しており、その下端部において接続ブリッジ(50)によって共に接続した、2本の管部(10)と、
‐接続ブリッジ(50)に取り付けられ、管部(10)に対して接続ブリッジ(50)の反対側に延在する板部(20)であって、管部(10)が鼻の鼻孔の中へとそれぞれ導入される際に、対象者の人中に圧力を加えるように構成される板部(20)とを備える、鼻形成器具(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の鼻の中へと導入されるように構成される鼻形成器具(1)において、
‐鼻の鼻孔の中へとそれぞれ導入されるのに適しており、その下端部において接続ブリッジ(50)によって共に接続した、2本の管部(10)と、
‐前記接続ブリッジ(50)に取り付けられ、前記管部(10)に対して前記接続ブリッジ(50)の反対側に延在する板部(20)であって、前記管部(10)が鼻の鼻孔の中へとそれぞれ導入される際に、対象者の人中に圧力を加えるように構成される板部(20)とを備えることを特徴とする、鼻形成器具(1)。
【請求項2】
前記板部(20)が、
‐前記形成器具(1)を位置付ける前の、前記板部(20)が、前記管部(10)の反対側に、前記鼻形成器具(1)の後方に向かって延在する休止位置と、
‐前記鼻形成器具(1)が鼻の中へと導入された際の、前記板部(20)が、前記鼻形成器具(1)の前方に向かって延在する使用位置との間で変形可能に、前記接続ブリッジ(50)に取り付けられる、請求項1に記載の鼻形成器具(1)。
【請求項3】
前記板部(20)をその休止位置に戻す力を加える補強手段(60)、例えば挿入部、を備える、請求項1又は2に記載の鼻形成器具(1)。
【請求項4】
各管部(10)が、その上方前部に、前記管部(10)を鼻孔の中に位置付けるための突出部(16)を少なくとも1つ備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の鼻形成器具(1)。
【請求項5】
各管部(10)が、その後部に、対象者の鼻腔の中に前記管部(10)を押し込むための押込突出部(12,14)を少なくとも1つ備え、好適には、2つの前記押込突出部(12,14)が対象者の鼻腔の中にある、請求項1~4のいずれか一項に記載の鼻形成器具(1)。
【請求項6】
各管部(10)の下端部が、前記管部(10)の下端部と鼻孔の底部との間に空間を空けるように、窪みを有し、好適には、この窪みが、角を丸めるようにフィレットが設けられ、前記管部(10)の後方と下部とを接続する、一般的な階段の形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の鼻形成器具(1)。
【請求項7】
前記管部の下端部から上方に延在する、前記形成器具を鼻の上に保持するための外側タブ(30,40)を更に備え、好適には、鼻翼に押し付けられるようになっている2つの側方タブ(30)及び/又は鼻先に押し付けられるようになっている1つの前方タブ(40)を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の鼻形成器具(1)。
【請求項8】
鼻形成器具(1)が、シリコーンを備え、好適にはシリコーンから作られる、請求項1~7のいずれか一項に記載の鼻形成器具(1)。
【請求項9】
前記板部(20)が、前記管部(10)の素材よりも堅い素材から作られる、請求項1~8のいずれか一項に記載の鼻形成器具(1)。
【請求項10】
前記補強要素(60)が、前記管部(10)の素材よりも堅い素材から作られる、請求項3~9のいずれか一項に記載の鼻形成器具(1)。
【請求項11】
異なる色の素材を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の鼻形成器具(1)。
【請求項12】
様々な長さの接続ブリッジを有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の鼻形成器具(1)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の鼻形成器具を製造する方法であって、射出成形工程を含み、型が、好適には積層造形によって製造されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に鼻形成術の処置後に、鼻孔を形成するための鼻形成器具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されるような、特に小児の口唇裂や口蓋裂の再建手術の場合における、鼻形成術の後に使用される鼻形成器具が知られている。これらの形成器具は、比較的申し分なく機能する。また、どのような傷痕においても、治癒の過程で生じる膨らみ又はへこみによって、審美性の低い外観を有しうることも知られている。これは、唇と鼻との間に延在する領域、すなわち、人中の領域内にできた顔面の傷痕において、特に問題となる。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の鼻形成器具では、全ての患者が審美的に申し分のない外観の傷痕を得ることは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明は、特に、鼻呼吸の回復及び浮腫の発生への対抗を保証しながら、鼻形成術後の治癒を向上させる、鼻形成器具を提供することを目的とする。
【0006】
このため、本発明は、対象者の鼻の中へと導入されるように構成され、
‐鼻の鼻孔の中へとそれぞれ導入されるのに適しており、その下端部において接続ブリッジによって共に接続した、2本の管部と、
‐接続ブリッジに取り付けられ、管部に対して接続ブリッジの反対側に延在する板部であって、管部が鼻の鼻孔の中へとそれぞれ導入される際に、対象者の人中に圧力を加えるように構成される板部とを備える、鼻形成器具に関する。
【0007】
このように、提案される鼻形成器具は、形成器具が鼻孔の中に位置付けられた後に、人中に押し付けられるように設計される板部を備える。板部は、この、人中に加える圧力によって、人中における傷痕を保護するだけでなく、傷痕に十分な圧力を加えることで、傷痕の膨らみ又はへこみを回避することができる。この板部の作用は、手術痕に対する利益が認識されている、圧力療法の原理に従うものである。
【0008】
なお、形成器具は、この、傷痕を保護するだけでなく、圧力を加えることで治癒プロセスを制御するという、傷痕に対する圧力がもつ側面によって、特に興味深いものとなっている。従って、我々は、提案される板部が人中の表面と接触するように構成されることを理解する。
【0009】
この場合、管部の「下端部」は、形成器具が位置に着いている際に、鼻孔の下端部に配置される端部を意味する。
【0010】
鼻形成器具は、以下の特徴を、単体で又は組み合わせて、更に備えてもよい。
【0011】
‐板部は、
・形成器具を位置付ける前の、板部が、管部の反対側に、鼻形成器具の後方に向かって延在する休止位置と、
・鼻形成器具が鼻の中へと導入された際の、板部が、鼻形成器具の前方に向かって延在する使用位置との間で変形可能に、接続ブリッジに取り付けられる。
【0012】
この、2つの位置に移動可能な板部の構造は、特に、人中に圧力を加えるのに有利である。
【0013】
‐鼻形成器具は、板部をその休止位置に戻す力を加える補強手段、例えば挿入部、を備える。補強手段は、板部と一体に作られてもよいし、板部に取り付けられてもよい。また、補強手段は、板部と同じ素材から作られてもよいし、異なる素材から作られてもよい。こうした補強手段によって、板部をその休止位置に戻すように加えられる力が増加し、板部によって人中に加わる圧力が更に向上する。
【0014】
‐各管部は、その上方前部に、管部を鼻孔の中に位置付けるための突出部を少なくとも1つ備える。こうして、1つ又は複数の突出部は、鼻孔の上方前端部に位置付けられて、形成器具をよりしっかりと保持する。
【0015】
‐各管部は、その後部に、対象者の鼻腔の中に管部を押し込むための押込突出部を少なくとも1つ備え、好適には、2つの押込突出部が対象者の鼻腔の中にある。この実施例は特に有利である。こうして、我々は、形成器具が鼻孔内に位置している際、突出部が甲介の下に位置付けられることで、形成器具が最適に位置付けられて保持されることを理解する。こうした突出部を後部に有していない、特に特許文献1に提案される既存の形成器具では、形成器具が、下方に滑りやすいことから鼻孔内の的確な位置に維持されず、これは、対象者、特に小児の場合に、鼻に縫合しなければならなくなることが多いことを意味する。我々は、突出部が、管部の後面から突出する凸部に対応することを理解する。管部が2つの突出部を備える場合は、つまり、凹部によって分離した2つの凸部を備える。
【0016】
‐各管部の下端部は、管部の下端部と鼻孔の底部との間に空間を空けるように、窪みを有し、好適には、この窪みは、角を丸めるようにフィレットが設けられ、管部の後方と下部とを接続する、一般的な階段の形状を有する。このように、我々は、鋭い角をもたない形状が得られ、鼻孔の入口に生じる縫い目がこすれて、痛みが生じたり縫い目が傷付いたりしうることが回避される。
【0017】
‐鼻形成器具は、管部の下端部から上方に延在する、形成器具を鼻の上に保持するための外側タブを更に備え、好適には、鼻翼に押し付けられるようになっている2つの側方タブ及び/又は鼻先に押し付けられるようになっている1つの前方タブを備える。これらのタブの存在によって、鼻形成器具を鼻の中によりしっかりと保持することができ、有利には、鼻翼の様々な組織層に圧力をかけることを可能としてもよく、タブは、術中は分離することで、治癒を向上させて、術中に執刀医に求められる形状の維持を可能としてもよい。これらのタブは、鼻翼を通るように生じる縫い目の支持にも使用されてもよく、鼻翼の様々な組織層同士の接触をより向上させる。
【0018】
‐鼻形成器具は、シリコーンを備え、好適にはシリコーンから作られる。
【0019】
‐板部及び/又は補強要素は、管部の素材よりも堅い素材から作られる。
【0020】
‐鼻形成器具は、異なる色の素材を備える。このため、形成器具を、患者の肌の色に最も合う色で作ることができ、形成器具に装飾を施してもよい。
【0021】
‐鼻形成器具は、様々な長さの接続ブリッジ又は柱を有する。その、接続ブリッジの様々な長さによって、鼻形成器具を、人間の解剖学的差異、例えば人種の差に適合させることができる。
【0022】
本発明は、鼻の鼻孔の中へとそれぞれ導入されるのに適しており、その下端部において接続ブリッジによって共に接続した、2本の管部であって、各管部が、その後部に、対象者の鼻腔の中に管部を押し込むための押込突出部を少なくとも1つ備え、好適には、2つの押込突出部が対象者の鼻腔の中にある、鼻形成器具にも関する。
【0023】
上記のように、我々は、こうした鼻形成器具によって、1つ又は複数の突出部があることから、形成器具を保持するのに鼻孔に縫合する必要がなく、形成器具を鼻孔の中によりしっかりと保持するという課題が解決されることを理解する。こうした鼻形成器具は、上記の鼻形成器具の1つ又は複数の特徴を、単体で又は組み合わせて備えてもよい。我々は、特に、鼻形成器具が、接続ブリッジに取り付けられる板部を備えても備えなくてもよいことを理解する。
【0024】
本発明の他の目的は、射出成形工程を含む、上記のような鼻形成器具を製造する方法であって、型が、好適には積層造形によって製造されている、方法である。
【0025】
積層造形は、有利には、カスタマイズされた型、延いてはカスタマイズされた鼻形成器具の製造に用いることができ、これは、特に、形成器具をしっかりと保持すること及び人中に的確な圧力をかけることを保証する点で興味深い。
【0026】
本発明は、添付の図面を参照して、単に例示として示される以下の説明を読むことによって、より理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施例に係る鼻形成器具の等角斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2実施例に係る鼻形成器具の前面図である。
【
図7】
図7は、
図1の鼻形成器具と同様の鼻形成器具を製造するための型の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1~
図3は、一般参照1によって指定される、本発明の第1実施例に係る鼻形成器具を示す。
【0029】
こうした鼻形成器具は、一般的には鼻形成術の後に使用される。鼻形成器具1が最も多く使用されるのは、小児の口唇裂や口蓋裂の再建手術の後である。この種類の手術の後に、鼻形成器具は、対象者の鼻孔を、対象者が呼吸でき、特に幼児の場合は容易に嚥下可能な状態で食事できるようにしながら、執刀医が事前に定めた形状に従って形成するのに使用される。また、この鼻形成器具は、以下に詳述するように、そして圧力療法の原理に従って、技術水準の形成器具によって得られるものよりも外観の良い傷痕が得られるという利点を提供する。
【0030】
図1~
図3に示す鼻形成器具1は、対象者の鼻孔の中へと導入されるようになっている、2本の管部10を備える。管部10は、接続ブリッジ50によって共に接続される。接続ブリッジ50は、管部10が対象者の鼻孔内に位置している際、一般的には、対象者の鼻の根本と実質的に接触する。
【0031】
図1~
図3に示す実施例では、鼻形成器具1は、接続ブリッジ50に取り付けられる板部20を更に備える。板部20は、鼻形成器具1が対象者の鼻の中に位置している際、すなわち、管部10が対象者の鼻孔の中へとそれぞれ導入されている際に、板部20が、対象者の人中の上に平らに位置付けられて、人中に圧力を加えるように構成される。この圧力は、人中における傷痕に対して、審美的に申し分のない外観を与えるのに役立つ。
【0032】
有利には、板部20は、休止位置と使用位置とに移動可能である。その休止位置において、板部20は、管部10の反対側に、鼻形成器具1の後方に向かって延在する。この、板部20の休止位置は、一般的には、鼻形成器具の製造後に得られる、板部20の位置である。
図2に示す、板部の平面と接続ブリッジ50の下部を通過する平面とによって形成される角度αが、0°~90°の間である。
【0033】
板部20が、鼻形成器具1が対象者の鼻の中に位置する位置に対応する、使用位置にある場合、板部20は、鼻形成器具1の前方に向かって、接続ブリッジ50に対して管部10の反対側に延在する。板部20は、鼻形成器具1が対象者の鼻の上に位置付けられている際に、板部によって、治癒を向上させるのに十分と考えられる圧力が加えられるように構成される。
【0034】
有利には、
図3に示すように、鼻形成器具1は、板部20を、その使用位置からその休止位置に戻すのに用いられる力を増加させる、補強手段60を備える。この補強手段60は、板部20の下部及び接続ブリッジ50の下部に配置される挿入部であってもよいし、板部20の残りの部分と一体に作られてもよい。この補強手段60は、板部20を接続ブリッジ50に取り付ける要素を、少なくとも部分的に形成してもよい。この補強手段60の存在によって、対象者の人中に加わる圧力が増加し、板部20の作用が向上する。
【0035】
一実施例では、鼻形成器具1の管部10は、
図2に示す、管部10の前方且つ上部に配置されて、鼻孔の前方且つ上部に位置付けられるようになっており、鼻形成器具1を対象者の鼻の中によりしっかりと保持するという利点を提供する、突出部16を備える。
【0036】
他の実施例では、管部10のそれぞれには、特に
図1及び
図2に示すように、管部の後部に位置付けられる、少なくとも1つの押込突出部12,14が設けられる。これらの押込突出部は、鼻形成器具が位置に着いている場合に、対象者の鼻腔の中、より正確には甲介の下に位置付けられる。これらの押込突出部12,14の存在によって、鼻形成器具の最適な位置付け及び保持が可能となる。これにより、特に、既存の形成器具に多く見られる主な欠点であった、鼻形成器具を対象者の鼻に縫合しなければならなくなる事態を回避できる。
【0037】
更に他の実施例では、各管部10には、
図2に示す窪み18が、その下方前端部において、管部10の下端部と鼻孔の底部との間に空間を空けるように設けられる。有利には、この窪みは、角を丸めるようにフィレットが設けられる、一般的な階段の形状を有する。言い換えれば、窪みは、実質的に「S字形状」の部分を有し、Sの端部がそれぞれ、管部10及び接続ブリッジ50に正接している。
【0038】
図4~
図6に示す他の実施例では、鼻形成器具1は、鼻形成器具1を、対象者の鼻の中の位置に保持するようになっている、外側保持タブ30,40を更に備える。これらのタブ30,40は、管部10の下端部から上方に延在する。これらのタブは、それぞれが鼻翼の片側を押すようになっている、2つの外側側方タブ30であってもよい。鼻先を押すようになっている前方タブ40も用いられてもよい。これらの側方30及び前方40タブは、単体で又は組み合わせて用いることができる。
【0039】
これらのタブは、鼻形成器具1を対象者の鼻の中によりしっかりと保持すること以外に、鼻翼の様々な組織層に圧力をかけることを可能にし、一般的には、手術中には分離する。これによって、治癒が向上し、術中に執刀医によって与えられる鼻孔の形状を維持することが可能となる。最後に、これらのタブは、鼻翼を通るように生じる縫い目の支持にも使用されてもよく、鼻翼の様々な組織層同士の接触をより向上させる。
【0040】
口唇裂や口蓋裂の再建手術の後、執刀医は、有利には、以降の数日間は、タブ30,40を備えていない鼻形成器具1を使用し、以降の数週間は、外側側方タブ30及び/又は前方外側タブ40を有する鼻形成器具1を使用する。これによって、鼻孔を、より良好に治癒して、求められるように形成することができる。
【0041】
他の実施例では、接続ブリッジ50の長さが変動可能であり、各対象者の生体構造に適合させることができる。
【0042】
好適には、管部10は、柔軟な素材から作られ、鼻孔の中へとより容易に導入でき、対象者の不快感が軽減されるようになっている。シリコーンは、管部10に特に適した素材である。シリコーンは、実際、極めて柔軟であり、生物学的に不活性で、身体に対する耐容性が良好である。同様に、接続ブリッジ50は好適には柔軟であり、シリコーンが特に適している。有利には、接続ブリッジ50は、管部10と一体に作られる。
【0043】
好適には、板部20もシリコーンを備える。また、板部20は、人中、特に、人中の傷痕がある領域に対して、十分且つ実質的に均一な圧力をかけることができるように構成され、これを行うのに適した、言い換えれば、比較的高い剛性を有する。
【0044】
このように、有利には、板部20は、管部10及び接続ブリッジ50よりも堅い。管部10をより使い易く、より快適なものにするためには、管部10は、好適には、極めて柔軟であるべきである。しかしながら、板部20は、申し分なく機能させるには堅くなければならない。
【0045】
補強手段60も、有利には、シリコーンを備えるか、シリコーンから作られる。補強手段60は、板部20に加えられる、戻す力の増加を助けなければならないことから、その剛性は、一般的には、比較的高く、例えば板部20の剛性と同等である。一実施例では、補強手段60は、板部20と一体に作られて、接続ブリッジ50に取り付けられる。他の実施例では、補強手段60は、板部20の下部に配置される挿入部であり、接続ブリッジ50に接続される。
【0046】
本発明の他の目的は、鼻形成器具1を製造する方法である。好適には、鼻形成器具1は、射出成形によって製造される。有利には、使用される素材はシリコーンである。
【0047】
特に有利な実施例では、射出成形に使用される型は、それ自体が積層造形によって製造される。この製造方法は、任意で、カスタマイズされた型の製造に利用できる。
【0048】
図7は、鼻形成器具1を製造するのに使用される型の一例を示す。型100は、2つの外側部品110及び120と、1つの内側部品130とを備える。部品110は上方の部品であり、シリコーン(又は他の適切な素材)を射出するための孔112を備える。部品120は型の下方の部品である。型100は、特に、鼻形成器具1の管部10が周囲に成形される2つのつまみ132を備える、内側部品130も備える。
【0049】
本発明は上記の実施例に限定されず、当業者にとっては他の実施例が明白であろう。
【0050】
特に、鼻形成器具1は、板部20を備えなくてもよい。この場合、管部に1つ又は2つの押込突出部12,14が設けられているということだけでも、鼻の中によりしっかりと保持できる鼻形成器具、特に、鼻の中に縫合する必要のない形成器具が提供される。
【0051】
言い換えれば、鼻形成器具1は、対象者の鼻の中へと導入されるように構成され、
‐鼻の鼻孔の中へとそれぞれ導入されるのに適しており、その下端部において接続ブリッジ50によって共に接続した、2本の管部10を備え、
‐各管部10が、その後部に、管部10を対象者の鼻腔の中に押し込むための押込突出部12,14を少なくとも1つ備え、好適には、2つの押込突出部12,14が対象者の鼻腔の中にある。
【0052】
この種類の鼻形成器具は、例えば、人中に縫い目が生じない鼻形成術において有用である。形成器具が鼻孔内に位置している際、突出部が甲介の下に位置付けられることで、形成器具が最適に位置付けられて保持される。実際、これらの突出部が設けられていない、特に特許文献1に提案される既存の形成器具では、形成器具が、下方に滑りやすいことから鼻孔内の的確な位置に維持されないという、鼻に縫合しなければならなくなることが多いことを意味する事態が見られている。
【0053】
他の実施例では、鼻形成器具1は、板部20を備えないが、形成器具を対象者の鼻の上に保持するための外側タブを備える。こうした実施例では、鼻形成器具1は、対象者の鼻の中へと導入されるように構成され、
‐鼻の鼻孔の中へとそれぞれ導入されるのに適しており、その下端部において接続ブリッジ50によって共に接続した、2本の管部10と、
‐管部の下端部から上方に延在する、形成器具を鼻の上に保持するための外側タブ30,40であって、好適には、鼻翼に押し付けられるようになっている2つの側方タブ30及び/又は鼻先に押し付けられるようになっている1つの前方タブ40を備える。
【0054】
この種類の鼻形成器具は、例えば、人中に縫い目が生じない鼻形成術において有用である。タブ30,40の存在によって、形成器具をよりしっかりと保持できると共に、鼻翼の様々な組織層に圧力をかけることもでき、それらが手術中に分離する場合は、治癒が向上し、術中に執刀医に求められる形状の維持が可能となる。これらのタブ30,40は、鼻翼を通るように生じる縫い目の支持にも使用されてもよく、鼻翼の様々な組織層同士の接触をより向上させる。
【0055】
また、上記の2つの実施例は組み合わせることができ、この場合の本発明の目的は、
‐鼻の鼻孔の中へとそれぞれ導入されるのに適しており、その下端部において接続ブリッジ50によって共に接続した、2本の管部10を備え、
‐各管部10が、その後部に、管部10を対象者の鼻腔の中に固定するための押込突出部12,14を少なくとも1つ備え、好適には、2つの押込突出部12,14が対象者の鼻腔の中にあり、
‐管部の下端部から上方に延在する、形成器具を鼻の上に保持するための外側タブ30,40であって、好適には、鼻翼に押し付けられるようになっている2つの側方タブ30及び/又は鼻先に押し付けられるようになっている1つの前方タブ40を備える、鼻形成器具1である。
【0056】
様々な実施例における特徴の、他の組み合わせ又は削除が検討されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 鼻形成器具
10 鼻孔の中へと導入されるようになっている管部
12 対象者の鼻甲介によって受け入れられるようになっている管部10の後方突出部
14 対象者の鼻甲介によって受け入れられるようになっている管部10の後方突出部
16 対象者の鼻の上方前部によって受け入れられるようになっている管部10の前方突出部
18 管部10の下端部における、丸められた角を有する窪み
20 人中に押し付けられる板部
30 側方外側タブ
40 前方外側タブ
50 管部10同士の間の接続ブリッジ
60 補強手段
100 鼻形成器具1を製造するための型
110 型の上方部品
112 射出孔
120 型の下方部品
130 管部10を形成するようになっている型の部品
132 つまみ
【国際調査報告】