(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】係止システムを備える棚および家具に棚を係止する方法
(51)【国際特許分類】
A47B 96/06 20060101AFI20220202BHJP
【FI】
A47B96/06 B
A47B96/06 H
A47B96/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547551
(86)(22)【出願日】2019-12-15
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 IB2019060813
(87)【国際公開番号】W WO2020128769
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】102018000020011
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516265621
【氏名又は名称】ボルトルッツィ システミ エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】スポンガ,ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】ピアンカ,マルコ
(57)【要約】
家具または棚ユニットの壁から突出する固定要素(50)に、家具または棚ユニットの棚(12)を係止するにあたり、棚の側面(18)に、表面溝(20)を形成される。表面溝(20)は、少なくとも、使用時には縦方向で使用される第1部分(22)と、第1部分に対して角度がつけられ、行き止まり端で終端している第2部分(24)と、を結合することで形成される。第1部分および第2部分を順に移動させ、固定要素を行き止まり端に近づけることで、表面溝が固定要素に接合可能となる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具または棚ユニットの壁から突出する固定要素(50)に係止可能な、家具または棚ユニットの棚(12)であって、前記棚は、
物体を支持する支持面(F)と、及び、
棚において、互いに対向する側面(18)と、を備え、
前記側面(18)のそれぞれは、側面の土台かつ、前記支持面に直交する線から逸脱した側溝(22,24)に接続された行き止まり端に、入口(22)を有する表面溝(20)を有し、
前記表面溝は、前記固定要素が、前記入口に挿入され、前記側溝に沿って摺動することで、前記行き止まり端に位置決めされるよう、構成される、ことを特徴とする、棚。
【請求項2】
前記側溝は、第2部分(24)に接続された第1部分(22)であり、
前記第1部分は、前記支持面(F)が設けられた仮想面と略直交し、一端に前記入口を有しており、
前記第2部分は、前記第1部分に対して角度がつけられ、前記行き止まり端で終端している、ことを特徴とする、請求項1に記載の棚。
【請求項3】
前記第1部分および前記第2部分(22,24)は、互いに約90度の角度をもって配置されている、ことを特徴とする、請求項1に記載の棚。
【請求項4】
少なくとも前記行き止まり端において、前記側溝の周囲下で延伸するアンダーカットをさらに備える、ことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の棚。
【請求項5】
前記第1部分の縁部は、前記第2部分との接続領域に向かって、集束する、ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の棚。
【請求項6】
家具または棚ユニットの壁から突出する固定要素(50)に、家具または棚ユニットの棚(12)を係止するシステムであって、
前記システムは、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の棚(12)と、
家具または棚ユニットの壁から突出する前記固定要素(50)と、を備え、
前記表面溝(20)および前記固定要素(50)は、前記第1部分および前記第2部分を順に移動させ、前記固定要素を前記行き止まり端に近づけることで、前記表面溝が前記固定要素に接合可能となるよう、構成される、ことを特徴とする、システム。
【請求項7】
前記固定要素は、家具に固定する幹部(52)と、茸型に突出した頭部(54)と、を備え、
少なくとも、前記行き止まり端における箇所、および/または、前記直交する線から逸脱した箇所において、前記側溝の周囲は、前記頭部よりも狭い、ことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記幹部(52)の寸法は、前記第1部分および前記第2部分(22,24)の幅に入るような大きさに設定され、
前記頭部(54)の寸法は、前記第1部分および前記第2部分の幅よりも大きく、前記アンダーカットのみに入るような大きさに設定される、ことを特徴とする、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1部分に挿入可能で、前記第2部分内において、前記固定要素をブロックする要素(80)をさらに備える、ことを特徴とする、請求項6乃至8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
家具または棚ユニットの壁から突出する固定要素(50)に、家具または棚ユニットの棚(12)を係止する方法であって、前記方法は、棚の側面(18)に、表面溝(20)を形成する工程を含み、
前記表面溝(20)は、少なくとも、使用時には縦方向で使用される第1部分(22)と、前記第1部分に対して角度がつけられ、前記行き止まり端で終端している第2部分(24)と、を結合することで形成され、
前記第1部分および前記第2部分を順に移動させ、前記固定要素を前記行き止まり端に近づけることで、前記表面溝が前記固定要素に接合可能となる、ことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具または棚ユニットの棚の係止システムおよび係止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スライド式ではなく、水平に引き出さないタイプの棚、つまり、家具壁に固定された棚を備える家具またはキャビネットが知られている。コスト面や組み立て性の理由から、壁から突出する突起と、突起に対応する縦凹所との間で、棚の固定がなされていた。
【0003】
しかし、棚の自重のみで家具に固定されているため、棚が意図せず浮き上がってしまうことがあり、明白かつ最大の問題点であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした先行技術の現状を改善することが、添付の請求項で定義される本発明の主たる目的である。また、従属項では、有利な変形例が定義される。
【0005】
さらなる目的は、製造が容易であり、取付け時の扱いも容易である、上述したような種類の棚を提供することにある。
【0006】
さらなる目的は、製造コストのかからない、上述したような種類の棚を提供することにある。
【0007】
さらなる目的は、上述したような種類の棚と、棚を家具に固定する手段とにより、組み立て性が改善されたものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
家具または棚ユニットの壁から突出する固定要素に係止可能な、家具または棚ユニットの棚であって、前記棚は、物体を支持する支持面と、棚において、互いに対向する側面とを備え、側面のそれぞれは、側面の土台かつ、支持面に直交する線から(例えば、約90度程度)逸脱した側溝に接続された行き止まり端に、入口を有する表面溝を有し、表面溝は、固定要素が、入口に挿入され、側溝に沿って摺動することで行き止まり端に位置決めされるよう、構成される。
【0009】
これにより、固定要素は、脱落することなく、表面溝の端に嵌合される。表面溝の形状は、直線ではなく、少なくとも一か所で補講が変化しているため、棚が縦方向に持ち上げられたとしても、固定要素が表面溝から脱落することが防がれる。
【0010】
本発明のさらなる形態は、家具または棚ユニットの壁から突出する固定要素に、家具または棚ユニットの棚を係止するシステムに関する。前記システムは、いずれの変形例に記載される棚と、家具または棚ユニットの壁から突出する固定要素とを備える。表面溝および固定要素は、第1部分および第2部分を順に移動させ、前記固定要素を前記行き止まり端に近づけることで、前記表面溝が前記固定要素に接合可能となるよう、構成される。
【0011】
本発明のさらなる形態は、家具または棚ユニットの壁から突出する固定要素に、家具または棚ユニットの棚を係止する方法に関する。前記方法は、棚の側面に、表面溝を形成する工程を含む。表面溝は、少なくとも、使用時には縦方向で使用される第1部分と、第1部分に対して角度がつけられ、行き止まり端で終端している第2部分と、を結合することで形成され、第1部分および第2部分を順に移動させ、固定要素を行き止まり端に近づけることで、表面溝が固定要素に接合可能となる。
【0012】
本発明のこれらの形態における、好ましい変形例を述べる。
【0013】
この解決手段により、引き出しまたは棚が、誤って浮き上がることが防止される。
【0014】
好ましい実施形態によれば、組み立てを単純化でき、側溝は、第2部分に接続された第1部分であり、第1部分は、支持面が設けられた仮想面と略直交し、一端に入口を有しており、第2部分は、第1部分に対して角度がつけられ、行き止まり端で終端している。
【0015】
より好ましい実施形態によれば、第1部分および第2部分は、互いに約90度の角度をもって配置されている。
【0016】
組み立てを容易にするため、好ましくは、第2部分は、仮想面と略平行になっている。
【0017】
棚の安定性向上のため、好ましくは、棚は、少なくとも行き止まり端において、側溝の周囲下で延伸するアンダーカットをさらに備える。これにより、固定要素がアンダーカットに保持される。
【0018】
好ましくは、棚は、第2部分の周囲下、好ましくは、第1部分の周囲下にも延伸するアンダーカットを備える。
【0019】
固定要素を表面溝に挿入しやすくするため、第1部分の縁部は、第2部分との接続領域に向かって、集束する。
【0020】
好ましくは、固定要素は、家具に固定する幹部と、茸型に突出した頭部と、を備える。少なくとも、行き止まり端における箇所、および/または、直交する線から逸脱した箇所において、側溝の周囲は、頭部よりも狭い。
【0021】
好ましくは、幹部の寸法は、第1部分および第2部分の幅に入るような大きさに設定され、頭部の寸法は、第1部分および第2部分の幅よりも大きく、アンダーカットのみに入るような大きさに設定される。
【0022】
好ましくは、システムは、第1部分に接合可能で、第2部分内において、固定要素をブロックする要素を備える。
【0023】
さらにより好ましくは、接合要素は、接合要素が第1部分内に挿入される際、棚を押圧するよう設けられた弾性変形可能な部位である。
【0024】
好ましくは、接合要素は、接合要素が第1部分内に挿入される際、第1部分の縁部を押圧するよう設けられた弾性変形可能な部位である。
【0025】
好ましくは、方法において、例えば、第2部分に障害物を挿入することで、第2部分内で第1部分を塞ぐ固定要素を捕捉する工程が含まれる。こうした障害物は、例えば、前述の接合要素として構成されていてもよい。
【0026】
添付の図面を参照しつつ、好ましい例示におけるシステムに関して、以下に説明する。これにより、本発明の利点がより明確になるであろう。
【0027】
図面において、同じ符号は、同等の箇所または概念的に類似する箇所を示し、各要素は、使用時の状態で説明される。図面を複雑化させないため、符号の一部は記載を省略している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、家具または棚ユニットの棚の立体図を示す。
【
図2】
図2は、
図1の面VI-VIに沿った、棚の縦断面図を示す。
【
図3】
図3は、ブロック用コンポーネントの立体図を示す。
【
図4】
図4は、ブロック用コンポーネントの立体図を示す。
【
図6】
図6は、
図5の面VI-VIに沿った、
図4のコンポーネントの縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に、棚12を示す。棚12は、前方部分14と、底部分16と、二つの横部分18とからなるフレームを備える。
部分14,16,18は、例えば、管形状を有し、互いに合致するよう、90度の角度に切断された端部を有する。これらを組み合わせることで、全体として四角形または正方形をなすフレームが形成される。棚12の底は、符号Fで示され、使用時には、水平面、つまり、Y軸に直交する面として設けられている。
【0030】
横部分18には、それぞれ、少なくとも同形状を有する、二つの側面開口またはスロット20が設けられる。これらは、材料をくりぬくこと、あるいは、除去することで形成される。
【0031】
各スロット20は、Y軸に平行な垂直部分22と、部分18の長さ方向に沿って、第1部分に対して約90度に向いている水平部分24とを組み合わせることで、形成される。
【0032】
垂直部分22は、部分18の下縁から、その高さの約半分のところまで延伸しており、先にいくほど幅が小さくなっている。水平部分24は、略一定の幅を有する。
【0033】
垂直部分22の縁部および水平部分24の縁部には、両方とも、アンダーカットが形成されている。
【0034】
棚は、四つの支持部50によって、壁40に固定される。各部分18につき、二つの支持部が設けられる。
図2および
図7aを参照すると、支持部50は、壁40に固定された幹部52と、茸型に突出した頭部54と、を備える。
【0035】
幹部52は、垂直部分22(
図7b)内に挿入された後、摺動し、続いて、限界位置に至るまで、水平部分54に沿って摺動する(
図7c)ような大きさに設定される。
【0036】
垂直部分52の縁部間の距離は、頭部54の幅よりも大きくなっている。
【0037】
水平部分24の縁部間の距離は、幹部52の幅と略等しく、したがって、頭部がアンダーカット内に捕捉され留まるよう、頭部54の幅より小さくなっている。
【0038】
棚12(
図7a)を取り付けるにあたって、棚12を、支持部50に近づけるよう移動させる。
【0039】
支持部50を垂直部分22と合わせ、棚12を下げることで、支持部50は、垂直部分22内に挿入される(
図7b)。
【0040】
そして、棚12を水平に移動させ、各水平部分24の端部に支持部50を近づけるような動き(
図7c)により、支持部50は、各水平部分24(
図7c)内に挿入される。
【0041】
図7cの構成においても、通常の位置ずれでは、棚12は、支持部50から外れることはない。特に、支持部50は、垂直方向の浮き上がりを押さえる。
【0042】
好ましい変形例において、棚12は、少なくとも一つのブロック要素、特に、水平部分24付近でスロット20に挿入された、あるいは挿入可能な要素により、支持部50上の静止位置で固定される。これにより、位置決めされた支持部50の後退変位を防ぐ。
【0043】
好ましいブロック要素80を、
図3乃至
図6、および
図7dに示す。
【0044】
ブロック要素は、例えば、プラスチック、ゴム、または、変形可能な素材からなり、略長方形ベース82を有する直方体要素を、同一平面状に短いベースを有する円錐台突起84上に重ねて組み合わせることで形成される。要素82の長方形ベースは、部分22の入口と同じ幅を有する。一方、円錐台突起84の周囲は、部分22の縁部を補足する。これにより、要素80が、部分22内に隙間なく挿入される。挿入後、直方体要素82の縁部は、部分22のアンダーカット内に滑り込み、一方、突起84の周囲は、部分22の縁部に当接する(
図7d)。
【0045】
有利な点として、ブロック要素80は、要素82に掛かるアンダーカットの圧力により、部分22内部に安定して保持される。
【0046】
有利な点として、ブロック要素80は、突起84により、部分22の空洞を埋める。これにより、部分18の体積を一定にする。
【0047】
ブロック要素80が部分22から滑り出てしまうことを防ぐため、ブロック要素80を変形することが好ましい。
【0048】
例えば、突起84は、先細部位を二つの部位88に分割する、中央凹所86を有していてもよい。部分22への挿入時に、わずかに曲げることで、そして、部分22の縁部に当接する位置に、弾性的に押し戻すことで、部位88同士が互いに近接する。これにより、部分18へのアンカリングが改善される。
【0049】
あるいは、また、これと組み合わせて、ブロック要素80は、柔軟性を有するフラップ90を備えていてもよい。フラップは、静止時は、直方体要素82の長方形ベースの面から突出し、また、曲がることで、ベース内に戻される(突出が抑えられる)。ブロック要素80が部分22内に挿入されると、フラップ90は、部分22の壁に対して弾性的に押し当てられ、摩擦により、部分18に対するアンカリング力が強まる。
【国際調査報告】