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特表2022-514182外傷シミュレータに使用する模擬血管
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(54)【発明の名称】外傷シミュレータに使用する模擬血管
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/30 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
G09B23/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524292
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(85)【翻訳文提出日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 GB2019052570
(87)【国際公開番号】W WO2020053593
(87)【国際公開日】2020-03-19
(31)【優先権主張番号】1814929.4
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521189204
【氏名又は名称】トラウマ シミュレーション リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TRAUMA SIMULATION LIMITED
【住所又は居所原語表記】c/o Broomfields & Alexander Ltd, Charter Court, Phoenix Way, Enterprise Park, Swansea West Glamorgan SA7 9FS, GB
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】イアン パリスター
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032CA03
2C032CA06
(57)【要約】
本発明は、外傷シミュレータに使用する模擬血管に関するものである。模擬血管は、可撓性と弾力性がある本体から成っており、本体内に一体的に成形された流体チャンネルを有する。流体チャンネルは、第1と第2の端部と、第1と第2の端部の間に長さ方向に配置された圧縮ゾーンとを有し、開放構成と、流体チャンネルを通る流れが遮断された閉鎖構成との間で圧縮可能である。圧縮ゾーンは、流体チャンネルの長さに対して横方向に配置された圧縮軸を有し、この圧縮軸に沿って流体チャンネルに圧縮力が加えられ、圧縮ゾーンは、圧縮軸と整列した第1軸と、第1軸に対して横方向に配置された第2軸とを有する断面形状を有し、第2軸に沿った流体チャンネルの直径は、第1軸に沿った直径よりも大きく、流体チャンネルを一層容易に閉鎖構成に圧縮することができる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性と弾力性とを有する本体と、前記本体内に一体的に成形された流体チャンネルとを備え、前記流体チャンネルは、第1と第2の端部と、前記第1と第2の端部の間に長さ方向に配置されて開放構成と流体チャンネルを通る流れが遮断される閉鎖構成との間で圧縮可能である圧縮ゾーンとを有し、前記圧縮ゾーンは、前記流体チャンネルの長さ方向に配置された圧縮軸を有し、前記圧縮軸に沿って前記流体チャンネルに圧縮力が加えられ、前記圧縮ゾーンは、前記圧縮軸と整列した第1軸と前記第1軸と直交するように配置された第2軸とを有する断面形状を有し、前記第2軸に沿った前記流体チャンネルの直径、第1軸に沿った高さよりも大きく、流体チャンネルがより容易に閉塞形状に圧縮されることを可能にする。第2軸に沿ったチャンネルの幅が第1軸に沿った直径よりも大きく、前記流体チャンネルを一層容易に閉鎖構成に圧縮することができる外傷シミュレータ用擬似血管。
【請求項2】
請求項1に記載の模擬血管であって、前記流体チャンネルの第1の端部が入口を形成し、第2の端部が出口を形成し、前記流体チャンネルの第1の端部が円形の断面を有する模擬血管。
【請求項3】
請求項2に記載の模擬血管であって、前記流体チャンネルの断面形状は、前記流体チャンネルの長さに沿って、第1の端部の円形の断面形状から圧縮ゾーンの断面形状にテーパー状に変化する模擬血管。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の模擬血管であって、前記流体チャンネルの第2の端部の断面形状が円形である模擬血管。
【請求項5】
請求項4に記載の模擬血管であって、前記流体チャンネルの断面形状は、前記流体チャンネルの長さに沿って、圧縮ゾーンの断面形状から第1の端部の円形断面形状にテーパー状に変化する模擬血管。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の模擬血管であって、 前記圧縮ゾーンが楕円形の断面形状を有する模擬血管。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の模擬血管であって、前記本体がシリコーンから形成されている模擬血管。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の模擬血管であって、前記本体が細長い立方体の形をしており、前記流体チャンネルが前記本体内に長さ方向に配置されている模擬血管。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の模擬血管であって、前記第2軸に沿って前記圧縮ゾーンの相対する側部に配置された第1及び第2の膨張ゾーンを更に備え、前記膨張ゾーンは、前記第1軸に沿って圧縮されると、前記圧縮ゾーンが第2軸に沿って一層容易に外側に膨張することを可能にするために、前記本体の残りの部分よりも大きな圧縮性を有する本体内の領域である模擬血管。
【請求項10】
請求項9に記載の模擬血管であって、前記第1及び第2の膨張ゾーンは、前記本体内に一体成形され、前記流体チャンネルと平行に配置された1及び第2の圧縮チャンネルを含み、前記圧縮チャンネルは、前記圧縮ゾーンが第2軸に沿って外側に拡張する際に圧縮されるようになっている模擬血管。
【請求項11】
請求項9に記載の模擬血管であって、前記第1及び第2の膨張ゾーンは、前記本体の残りの部分よりも大きな圧縮性の材料で構成されている模擬血管。
【請求項12】
人体又はその一部をシミュレートするモデルを含む外傷シミュレータであって、前記モデルは、前記モデルによってシミュレートされた体または体の一部の内部構造をレプリカとするように配置された模擬内部本体のパーツのアセンブリを含んでおり、前記模擬本体のパーツのアセンブリは、請求項1乃至11のいずれかに記載の模擬血管を含んでいる外傷シミュレータ。
【請求項13】
請求項12に記載の外傷シミュレータであって、前記流体チャンネルの第1の端部は、模擬血液を供給するための流体供給源に接続するように配置され、第2の端部は、前記モデルの創傷をシミュレートした領域に位置されて、模擬血液の外部流を形成するように配置され、前記圧縮ゾーンは、圧縮技術が施される血管上の位置に対応するモデル内の領域に配置され、また前記圧縮ゾーンは、前記モデルに所定の圧縮力を加えることによって、前記圧縮ゾーンが閉鎖構成に圧縮されるように配置されている外傷シミュレータ。
【請求項14】
請求項1に記載の外傷シミュレータであって、模擬本体内部のパーツのアセンブリは、模擬骨及び模擬筋肉組織と、この本体内部のパーツを囲む外皮とを含み、前記模擬血管は、前記外皮と前記模擬骨及び模擬筋肉組織の一方との間のモデル内に配置されており、これにより、前記模擬血管が圧縮される可能性のある模擬血管の本体よりも圧縮性の低い基体が提供される外傷シミュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模擬血管に関し、特に、外傷シミュレータに使用する模擬血管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外傷シミュレーションデバイスは、安全で制御された環境で外傷患者の治療に必要な外科技術を医療従事者や医学生が訓練するためのリアルタイムで現実的な手段を提供する。外傷シミュレーションモデルは、実際の戦闘地域の環境を再現した没入型の環境で軍の外科医を訓練するために使用されることがあり、外科医が手術を必要とする状況を可能な限り忠実に再現する。このような状況では、即席爆発装置(IED)による負傷の再現が含まれることがあり、下肢の切断や大量出血などの深刻な事態を招くことになる。このような状況では、患者の血流を止めることが非常に重要であり、医療従事者は、止血帯、骨盤結合剤、止血剤の塗布の如き必要な創傷部位の技術を迅速、正確且つ効果的に実施することが求められる。従って、医療従事者が行う技術に反応し、技術が正しく実施されていることを確認するために、できるだけリアルな方法で人体に模したトレーニング補助器具が重要となる。
【0003】
外傷シミュレーション用のダミーは、リアルタイムの出血を生成するために模擬血液が供給される循環系を含んでいる。このようなダミーは、典型的には、合成肉材と人工骨との配列を含み、この配列は、皮膚層で覆われている。プラスチックチューブは、特定の血管を表すために選択された深さで、肉の配列の中に位置している。このプラスチックチューブは、外部出血をシミュレートする(模擬的に再現する)ように配置され、このシミュレートされた血液の供給源がプラスチックチューブに接続され、チューブ内を流れて血流をシミュレートする。
【0004】
止血帯の如き創傷処置では,患者に圧力をかけて出血している血管を圧迫し,血管を閉塞させて血流を止めている。模擬循環を生成するのに用いられるプラスチック製のチューブは,実際の血管のような圧縮特性を有しないため,訓練者が圧力をかけても同じように反応しないことが分かっている。そのため、創傷技術が正しく適用されているかどうかを確認することが困難である。
【0005】
従って、上述の問題に対処し、及び/又は一般的に改良を提供する、改良された模擬血管及び改良された外傷シミュレーションデバイスを提供することが望ましい。
【0006】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載の模擬血管が提供される。また、本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載の外傷シミュレーションデバアイスが提供される。
【0007】
本発明の一つの実施形態では、柔軟で弾力性のある本体と、この本体内に一体的に成形された流体チャンネルとを備えた模擬血管が提供される。流体チャンネルは、第1と第2の端部と、第1と第2の端部の間に長さ方向に配置されて、開放構成と流体チャンネルを通る流れが遮断される閉鎖構成との間で圧縮可能である圧縮ゾーンとを有する。圧縮ゾーンは、流体チャンネルの長さに対して横切るように配置された圧縮軸を有し、使用時に、この圧縮軸に沿って、流体チャンネルに圧縮力が加えられ、またこの圧縮ゾーンは、圧縮軸と整列した第1軸とこの第1軸に対して横切るように配置された第2軸とを有する断面形状を有し、この第2軸に沿った流体チャンネルの幅は、第1軸に沿った高さよりも大きく、流体チャンネルが一層容易に閉塞構成に圧縮されることを可能にする。第2軸に沿ったチャンネルの幅が第1軸に沿った高さよりも大きいので、流体チャンネルを閉塞するのに必要な第1軸に沿った圧縮と第2軸に沿った圧縮との比率が減少し、必要とされる圧力や効果的な実生活での治療に対応する印加圧力でチャンネルを一層効果的に閉塞することができる。
【0008】
流体チャンネルの第1の端部は、入口を形成し、第2の端部は、出口を形成し、また、流体チャンネルの第1の端部は、円形の断面を有していることが好ましい。これにより、第1の端部を流体供給コネクタに効果的に接続することができる。
【0009】
流体チャンネルの断面形状は、チャンネルの長さに沿って、第1の端部の円形断面形状から圧縮ゾーンの断面形状まで、テーパー状に変化してもよい。これによって、チャンネルに沿って流体の円滑な流れが確保され、これは、断面形状の段階的な変化によって達成される。
【0010】
流体チャンネルの第2の端部は、円形の断面を有している。
【0011】
流体チャンネルの断面形状は、好ましくは、チャンネルの長さに沿って、圧縮ゾーンの断面形状から第1の端部の円形の断面形状にテーパー状に変化している。
【0012】
圧縮ゾーンは、楕円形又は長円形の断面形状を有することが好ましい。
【0013】
本体は、好ましくは、シリコーンから形成されている。
【0014】
本体は、好ましくは、細長い立方体の形状を有し、流体チャンネルは、本体内で長さ方向に配置されている。好ましくは、本体は、長方形の立方体である。この立方体の形態とすると、本体を一層容易に成形することができる。
【0015】
模擬血管は、第2軸に沿って圧縮ゾーンの相対する側部に位置する第1と第2の膨張ゾーンを更に含むことができる。この膨張ゾーンは、第1軸に沿って圧縮されると、圧縮ゾーンが第2軸に沿って一層容易に外側に膨張できるように、本体の残りの部分よりも大きな圧縮性を有する本体内の領域である。
【0016】
第1と第2の膨張〈拡張〉ゾーンは、本体内に一体成形された第1と第2の圧縮チャンネルを含んでおり、これらの圧縮チャンネルは、圧縮ゾーンが第2の軸に沿って外側に拡張する際に圧縮するように、流体チャンネルと平行で、且つ横方向に間隔を置いて配置されている。これらのチャンネルは、円形の断面を有する円筒形のチャンネルであることが好ましく、圧縮ゾーンの第1と第2の直径よりも小さい直径を有している。
【0017】
第1及び第2の膨張ゾーンは、本体の他の部分よりも圧縮性の高い材料で構成することができ、これは、圧縮性が一層高いシリコーン又は他の材料とすることができる。
【0018】
本発明の他の態様では、人体又はその一部を模擬したモデルを含む外傷シミュレータが提供される。このモデルは、ダミーであってもよいし、下半身の如き身体の解剖学的部分のレプリカであってもよい。このモデルは、骨や筋肉組織の如きシミュレートされた身体の内部部分のアセンブリを含み、この身体の内部部分は、このモデルによってシミュレートされた身体又はその一部の内部構造を模写するように配列されている。シミュレートされた身体部分のアセンブリは、上述のようにシミュレートされた血管を含んでいる。流体チャンネルの第1の端部は、模擬(シミュレーション)血液を供給するための流体供給源に接続するように配列され、第2の端部は、傷をシミュレートしたモデルの領域に配置されて、模擬血液の外部の流れを形成するように配列され、圧縮ゾーンは、圧縮技術が適用されるべき血管に沿った位置に対応するモデル内の領域に配置され、この圧縮ゾーンは、モデルに所定の圧縮力をかけると、圧縮ゾーンが閉鎖構成に圧縮されるように配置されている。模擬血管の深さと位置は、選択された血管をシミュレートするように選択され、圧縮ゾーンは、外傷シミュレータによって模擬された傷害に対して、血流を止めるために圧力が正しく掛けられるべき血管に沿った位置に配置されている。
【0019】
シミュレートされた身体内部(模擬身体内部)のアセンブリは、模擬骨と模擬筋肉組織を含んでおり、外皮がこの模擬身体内部を取り囲んでいる。模擬血管は、外皮と模擬骨及び模擬筋肉組織の一方との間でモデル内に配置されており、模擬血管の本体よりも圧縮性の低い基体を提供し、この基体に向けて模擬血管を圧縮することができる。血管の下に固いベースがないと、血管が適切に圧縮されるのではなく、その基体を圧縮することになるが、このように血管をサンドイッチすることによって血管を適正に圧縮することができる。
【0020】
以下の図を参照して本発明を例示的にのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る外傷シミュレータの断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る模擬血管を示す図である。
図3図2の模擬血管の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、人間の患者の身体の解剖学的断面をシミュレートするための外傷シミュレータ1の断面図を示す。シミュレータ1は、下半身のフルスケールモデルを表す本体2を備えているが、他の実施形態では、シミュレータは、他の解剖学的セクション又は人体全体のレプリカであってもよいことは理解されることと思う。シミュレータ1は、下部胴体部3、骨盤4、及び第1と第2の上部脚部8,9を含んでいる。上脚部8、9は、片方又は両方の脚の下肢切断をシミュレートするために切り詰められている。
【0023】
本体2は、樹脂又はそれと同様の材料で形成された骨10を含んでいる。骨10の周りには、筋肉組織の構造や質感を再現するのに適合したゴム、ラテックス、シリコーン又は他の材料から形成された合成筋肉組織部12が配置されている。説明の目的で、幾つかの筋肉組織部12は図示されていない。また、筋肉組織の間やその周囲の空隙に発泡充填材16を設けてもよい。サーキュレータシステムも提供され、このシステムは、脚部8内に選択的に配置された模擬血管18を含んでいて、脚部8内の事前に決定された主要な血管、例えば、生きている患者では切断されると著しい出血をもたらす大腿動脈をシミュレート(模擬的に再現)している。外皮18は、内部構造の周りに成形され、内部構造を収容し統合して、実際の外観を提供している。
【0024】
第1の脚部8は、切断点を形成する末端11を有し、脚部8の内部構造が外部に露出している創傷部位をシミュレートしている(模擬的に再現している)。模擬血管12は、脚部8内に選択的に配置され、脚部8内の事前に決定された主要な血管、例えば、生きている患者において切断されると大量の出血をもたらす大腿動脈の如き血管をシミュレートしている。
【0025】
模擬血管18は、可撓性材料の細長い本体20から成っており、この本体20を通して血管を形成する流体チャンネル22が形成されている。本体20は、好ましくは、シリコーンの如き弾力性と可撓性と圧縮性とを有する材料で形成されている。図2は、模擬血管18を例示する図である。流体チャンネル22は、可撓性の本体20内に成形されている。流体チャンネル22は、第1の端部24と第2の端部26とを含んでいる。第1及び第2の端部セクション27、28は、第1及び第2の端部22,24にそれぞれ配置されている。第1及び第2の端部セクション27,28は、実質的に円形の断面を有する円筒形である。第2の端部28は、チャンネル22の入口を形成し、模擬血液がチャンネル22に流入する供給チューブに接続されている。第1の端部26は、出血をシミュレートするために模擬血流が排出される出口を形成している。
【0026】
チャンネル22は、第1及び第2端部セクション26,28の間に位置する中央セクション30を更に含んでいる。この中央セクション30は、止血帯の如き所定の創傷技術のために圧縮を施す適正点に対応する位置で脚部8内に配置される圧縮ゾーンである。先行技術の装置で使用される円形チューブは、血管と一致する方法でその場で圧縮されないことが分かっている。従って、中央セクション0は、圧縮されて横方向に拡大された断面形状を有して形成されている。具体的には、中央セクション30の断面形状は、実質的に楕円形又は長円形であり、その高さよりも大きい幅を有する。
【0027】
このようにすると、中央セクション30を一層効果的で、実際の血管に一層近い形で圧迫することができる。これは、訓練者が実際の治療のために適切な量の圧力をかけたときにチャンネル22を閉塞することができることを意味する。
【0028】
図3に示すように、使用時には、身体の表面に、実質的に垂直な圧縮軸A-Aに沿って、訓練者によって圧縮力Fが加えられる。流体チャンネル22の中央セクション30は、使用時に圧縮軸A-Aと一致する高さhと、高さhに対して横方向に配置される幅wとを有する断面形状を有する。中央セクションの高さhは、幅wよりも小さく、中央セクション30が圧縮された形態を有するようになっている。このようにすると、模擬血管20の圧縮特性が改善され、圧縮し易くなることが分かっており、これは、実際には、模擬血管18が実際の血管に一層忠実に模倣していることを意味する。
【0029】
中央セクション30に力Fが加わると、本体20が圧縮される。本体20が圧縮されると、中央セクション30は、高さ方向に圧縮し始め、それと同時に、中央セクション30は、幅方向に膨張する。中央セクション30の圧縮された楕円形の形状は、チャンネル22を閉塞するために中央セクション30が高さ方向に圧縮されなければならない距離が、円形の断面の場合よりも幅wに対して小さくなるようになっている。
【0030】
中央セクション30が一層容易に幅方向に拡張できるようにするために、圧縮チャンネル32が本体20内に成形され、この圧縮チャンネル32は、流体チャンネル22の幅方向の対相対する両側部に流体チャンネル22と平行に配置されている。これらの圧縮チャンネル32は、中空の圧縮可能なチャンネルであり、中央セクション30が幅広方向に拡張する際に圧縮するように構成され、配置されている。これにより、圧縮チャンネルは、中央セクション30の両側の領域における本体20の圧縮性を向上させる。そのため、中央セクション30の幅方向の膨張に対する抵抗が減少し、中央セクション30が一層容易に圧縮することができる。それに代えて、本体20は、中央セクション30の幅方向の両側に位置する圧縮ゾーンを含んでいてもよい。この圧縮ゾーンは、本体20の残りの部分を形成する材料よりも高い圧縮性、即ち、低いショア硬度を有するシリコーン又は他の材料で形成されていてもよい。
【0031】
本体20は、矩形断面の細長いストリップとして形成されているが、他の断面を利用してもよい。本体20は成形され、その型は、中央セクション30の形状に対応する形状を有するコアを含んでいる。また、圧縮チャンネル32を形成するために、円筒形のインサートが型内に設けられている。シリコーン本体20は、コア及びインサートのまわりに形成される。本体20が硬化したら、コアとインサートは、本体20から取り外される。本体20を形成するシリコーン材料は、膨張した中央セクション30を端部の1つを通して引き出すことができるのに十分に膨張することができるように選択されたショア硬度を有する。
【0032】
成形された本体20は、組立時、及び皮膚の鋳造に先立って、脚部8の構造内に予め形成して設けられる。それに代えて、本体20は、脚部8の一体成形部分から成っていてもよく、チャンネル20及び32は、脚部8又は他の本体部分の成形中に形成されてもよい。
図1
図2
図3
【国際調査報告】