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特表2022-514200スパイラル状冷却チャネル付き燃焼室ライナー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(54)【発明の名称】スパイラル状冷却チャネル付き燃焼室ライナー
(51)【国際特許分類】
   F02K 9/64 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
F02K9/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530068
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(85)【翻訳文提出日】2021-07-02
(86)【国際出願番号】 US2019065638
(87)【国際公開番号】W WO2020123601
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】16/216,454
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521197209
【氏名又は名称】ストラトローンチ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ソーンバーグ、ジェフ
(57)【要約】
複数のスパイラル状冷却チャネルを含む燃焼室ライナーが、材料部品から形成される。燃焼室ライナー本体が、第1の端部と第2の端部との間に延びる。燃焼室ライナー本体は、第1の端部と第2の端部との間に延びる燃焼領域キャビティを画定する燃焼室ライナー内壁を含む。燃焼室ライナー本体はまた、内壁に対向する燃焼室ライナー外壁を含む。燃焼室ライナー本体はまた、入口ポート、入口ポートに対向するノズル出口ポート、及びスロート部分を画定する。燃焼室ライナー外壁に沿って、スパイラル状冷却チャネルが外壁に切り込まれ、スパイラル状冷却チャネルが第1の端部と前記第2の端部との間に延びる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロケット推進システム用の燃焼室ライナーであって、
第1の端部と第2の端部との間に延びる燃焼室ライナー本体と、
前記燃焼室ライナー本体によって画定される燃焼室ライナー内壁であって、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる燃焼領域キャビティを画定する、前記燃焼室ライナー内壁と、
前記燃焼室ライナー本体によって画定される燃焼室ライナー外壁であって、前記燃焼室ライナー内壁と対向する、前記燃焼室ライナー外壁と、
前記第1の端部で前記燃焼室ライナー本体によって画定される入口ポートと、
前記第2の端部で前記燃焼室ライナー本体によって画定されるノズル出口ポートと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記燃焼室ライナー本体の部分によって画定されるスロート部分と、
前記燃焼室ライナー外壁によって画定される複数のスパイラル状冷却チャネルであって、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる、前記複数のスパイラル状冷却チャネルと、
を含む、燃焼室ライナー。
【請求項2】
前記複数のスパイラル状冷却チャネルの各スパイラル状冷却チャネルが、第1の冷却チャネル端部に第1の面取りを含み、第2の冷却チャネル端部に第2の面取りを含む、請求項1に記載の燃焼室ライナー。
【請求項3】
前記複数のスパイラル状冷却チャネルの各スパイラル状冷却チャネルが均一な幅によって画定される、請求項1に記載の燃焼室ライナー。
【請求項4】
前記複数のスパイラル状冷却チャネルの各スパイラル状冷却チャネル間の前記燃焼室ライナー本体の円周に沿った距離が、前記均一な幅に少なくとも等しい、請求項3に記載の燃焼室ライナー。
【請求項5】
前記燃焼室ライナー本体が、銅、銅合金、チタン、炭素繊維、及びインコネルからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の燃焼室ライナー。
【請求項6】
前記スロート部分の前記燃焼領域キャビティの第1の部分が、前記第1の端部の前記燃焼領域キャビティの第2の部分の第2の領域よりも小さい第1の領域を有する、請求項1に記載の燃焼室ライナー。
【請求項7】
ロケット推進システム用の燃焼室ライナーを製造する方法であって、
材料部品を、第1の端部と第2の端部との間に延びる燃焼室ライナー本体に形成することであって、前記燃焼室ライナー本体は、
前記燃焼室ライナー本体によって画定される燃焼室ライナー内壁であって、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる燃焼領域キャビティを画定する、前記燃焼室ライナー内壁と、
前記燃焼室ライナー本体によって画定される燃焼室ライナー外壁であって、前記燃焼室ライナー内壁と対向する、前記燃焼室ライナー外壁と、
前記第1の端部で前記燃焼室ライナー本体によって画定される入口ポートと、
前記第2の端部で前記燃焼室ライナー本体によって画定されるノズル出口ポートと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記燃焼室ライナー本体の部分によって画定されるスロート部分と、
を含む、前記形成することと、
前記燃焼室ライナー外壁の中に、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる複数のスパイラル状冷却チャネルを切り込むことと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記燃焼室ライナー本体は、前記燃焼室ライナー本体のデジタル表現に少なくとも部分的に基づいてプログラムされたコンピュータ数値制御機を使用して形成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のスパイラル状冷却チャネルが、前記燃焼室ライナー外壁の中に切り込まれ、各スパイラル状冷却チャネルが均一な幅を有するように前記複数のスパイラル状冷却チャネルが画定される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のスパイラル状冷却チャネルの各スパイラル状冷却チャネル間の前記燃焼室ライナー本体の円周に沿った距離が、前記均一な幅に少なくとも等しい、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のスパイラル状冷却チャネルを切り込むことが、前記複数のスパイラル状冷却チャネルの第1の冷却チャネル端部に第1の面取りをもたらし、前記複数のスパイラル状冷却チャネルの第2の冷却チャネル端部に第2の面取りをもたらす、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記材料部品が、銅、銅合金、チタン、炭素繊維、及びインコネルからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記燃焼室ライナー本体は、前記スロート部分の前記燃焼領域キャビティの第1の部分が、前記第1の端部の前記燃焼領域キャビティの第2の部分の第2の領域よりも小さい第1の領域を有するように形成される、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年12月11日に出願された「COMBUSTION CHAMBER LINER WITH SPIRAL COOLING CHANNELS」と題する米国特許出願第16/216,454号に対する優先権を主張するものである。この米国特許出願の開示は、参照によりその全体があらゆる目的のために本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
燃焼室は、ロケットエンジンで一般的に使用され、推進剤を燃焼させてロケット推進システムの推力を生成する。この推進剤の燃焼は、燃焼室のノズルを通過するときにこの推力を生成する高温の排気をもたらす。しかし、燃焼プロセスを通じて生成される温度及び圧力は非常に高い可能性があり、燃焼室の損傷または完全な熱破壊を防ぐために燃焼室の冷却を必要とする。これを悪化させるのは、ロケット推進システムを軽量化のために最適化するという一般的な要件である。したがって、燃焼室の最適な冷却をもたらし、また重量の考慮に基づいて最適化される複雑なロケット推進システムを採用することは困難であり、費用がかかる。
【0003】
図面を参照して、多様な技術が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】燃焼室ライナーの燃焼室ライナー外壁に沿った複数のスパイラル状冷却チャネルを含む燃焼室ライナーの透視図である。
図2】燃焼室ライナーの斜視図であり、燃焼室ライナーの燃焼室ライナー外壁と、燃焼室ライナーのノズルから燃焼室ライナーの入口ポートまで延びる複数のスパイラル状冷却チャネルとを示している。
図3図2の燃焼室ライナーの縦方向の断面図であり、燃焼室ライナーの燃焼室ライナー外壁および燃焼室ライナーの燃焼室ライナー内壁に沿ったスパイラル状冷却チャネルを示している。
図4】燃焼室ライナーの斜視図であり、入口ポートから燃焼室ライナーのスロートまでの燃焼室ライナーの燃焼室ライナー内壁を示している。
図5】燃焼室ライナーのスロートからの燃焼室ライナーの横断面図であり、燃焼室ライナーの燃焼室ライナー外壁に沿った複数のスパイラル状冷却チャネルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下に説明する技術及びシステムは、運転中の燃焼室の再生冷却のためにスパイラルの冷却室を使用する燃焼室ライナーに関する。例では、ロケット推進システムの燃焼室ライナーは、銅などの熱伝導性材料を使用して作成される。燃焼室ライナーは入口ポートを備えることができ、燃焼と、推力を生成するために使用可能な高温排気の生成とを行うために、入口ポートを通して推進剤を燃焼室に導入することができる。さらに、燃焼室ライナーは、推進剤の燃焼によって生成された高温ガスが加速されてロケット推進システムの推力を生成するノズルを備え得る。ノズルは、燃焼室ライナーの入口ポートに対向する端部に向かって、収束セクションとそれに続く末広がりのセクションを含み得る。入口ポートとノズルの端部との間で、燃焼室ライナーの収束部分にスロートがあり得、そこでは、高温ガスの流れが絞られ、高温ガスがスロートを出るときに、ノズルの面積が入口ポートに対向する端部に向かって広がって、高温ガスの速度が増加する(超音速流の場合)ようになる。これは、スロートから燃焼室ライナーの入口ポートに対向するノズル出口ポートまでの、ノズルを通る高温ガスの流れの等エントロピー膨張として説明することができる。
【0006】
燃焼室内での推進剤の燃焼により、燃焼室ライナー内部の圧力と温度が非常に高くなる可能性がある。結果として、燃焼室ライナーは、内壁で著しい熱膨張を受ける可能性があるが、燃焼室ライナーの外壁は、内壁と外壁との間の温度の勾配のために、この熱膨張を抑制し得る。この温度の勾配により、燃焼室ライナーの寿命に影響を与える可能性のある熱応力が発生する可能性がある。燃焼室内部の高温高圧に起因する応力により燃焼室ライナーが構造的に劣化するのを防ぐために、燃焼室ライナーは、燃焼室ライナーの外壁に沿って、入口ポートから燃焼室ライナーの周囲に沿ってノズル出口ポートに延びる一連の冷却チャネルを含み得る。これらの冷却室を通して、推進剤または他の極低温材料が導入されて、燃焼室ライナーに再生冷却を施し、したがって、燃焼室ライナーへの熱応力を低減することができる。
【0007】
例では、燃焼室ライナーの外壁に沿った各冷却チャネルは、冷却チャネルの深さ、幅、及び長さが外壁に沿って均一になるように、螺旋状に外壁に切り込まれている。冷却チャネルは、燃焼室ライナーの外壁全体にわたって均一な距離で互いに分離され得る。これは、より均一な流れの推進剤または他の極低温材料が、入口ポートからノズル出口ポートまでの外壁のスパンにわたって冷却チャネルを通過するので、再生冷却機構の効率を改善し得る。さらに、冷却チャネルの寸法は、燃焼室ライナーの外壁のスパン全体にわたって一貫しているため、冷却チャネル内で発生する圧力は、急激に低下する傾向が少なく、その結果、推進剤または他の極低温材料を冷却チャネルに通す燃料ポンプの効率が向上する可能性がある。
【0008】
例では、冷却チャネルはそれぞれ、燃焼室ライナーの入口ポートの近くの第1の面取りと、ノズル出口ポートの近くの第2の面取りとを含む。これらの面取りは、燃焼室ライナーの壁の厚さの勾配を生じ、燃焼室ライナーの入口ポートの近く及びノズル出口ポートの近くで始まり、燃焼室ライナーのスロートで最小の壁の厚さに達するまで壁の厚さが減る。これにより、燃焼室ライナーのスロートでの温度の勾配が小さくなる可能性があり、ロケット推進システムの動作中に温度と圧力が最大になる可能性がある。さらに、この勾配は、推進剤または他の極低温材料が冷却チャネルを通過するときに、冷却チャネルに沿った圧力の低下を低減し得る。
【0009】
上記の説明及び以下の説明で、多様な技術を説明する。説明を目的として、具体的な構成及び詳細が、技術を実施するのに可能な方法の完全な理解をもたらすために記載される。しかし、以下に説明される技術が、具体的な詳細なしに異なる構成で実施されてよいことも明らかである。さらに、説明されている技術を曖昧するのを回避するために、周知の特徴が省略または簡略化される場合がある。
【0010】
本開示で説明及び提案される技術は、ロケット推進システムが動作している間の燃焼室ライナーへの熱応力によって、ロケット推進システムの分野、特に燃焼室ライナーの実施の分野を改善する。さらに、本開示で説明及び提案される技術は、燃焼室ライナーの壁に沿った温度の勾配を低減することによってロケット推進システムの効率を改善し、したがって、燃料ポンプ及びロケット推進システムの他の構成要素の性能を改善する。さらに、本開示で説明及び提案される技術は、推進剤及び他の化学物質の燃焼で特に生じる問題を克服するために、必然的にロケット推進技術に根ざしている。
【0011】
図1は、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー外壁104に沿った複数のスパイラル状冷却チャネル116を含む燃焼室ライナー10の斜視図である。燃焼室ライナー10は、任意の構造的に正常な材料、好ましくは銅、銅合金、チタン、炭素繊維、インコネル、または高圧から生じるフープ応力に耐えることができ、また、ロケット推進システムの動作中に燃焼室ライナー10の壁104に沿った温度の勾配から生じる熱応力に耐えることができる、他のいずれかの材料を用いて製造できる。燃焼室ライナー10は、燃焼室ライナー10の一般的な設計を作成すること、ならびに本明細書に記載の燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー外壁104に沿ってスパイラル状切り込み冷却チャネル116を作成することができるコンピュータ数値制御(CNC)ツールを使用して製造することができる。
【0012】
実施形態では、燃焼室ライナー10は、CNCマシンに導入されて、スパイラル状切り込み冷却チャネル116を燃焼室ライナー外壁104に切り込む。CNCマシンは、いくつかの移動軸を有し得、レーザーまたはウォータージェットを使用して、燃焼室ライナー外壁104の周囲に沿ってスパイラル状切り込み冷却チャネル116を作成することができる。例えば、CNCマシンは、3つの直線軸及び2つの回転軸に沿ってスパイラル状切り込み冷却チャネル116を作成することができる場合がある。燃焼室ライナー10のデジタル化されたモデルを作成することができ、これは、燃焼室ライナー10及び燃焼室ライナー外壁104のグラフィック表現に沿ったスパイラル状切り込み冷却チャネル116のグラフィック表現を含み得る。このデジタル化されたモデルは、プログラムコードに変換することができ、このプログラムコードは、CNCマシンによって実行されて、レーザーまたはウォータージェットと係合して、マシンに導入された燃焼室ライナー10にスパイラル状切り込み冷却チャネル116を切り込むことができる。あるいは、1つのプロセスで燃焼室ライナー10及びスパイラル状切り込み冷却チャネル116を生成するためにCNCマシンによって使用され得る固体材料が導入され得る。いくつかの実施形態では、スパイラル状切り込み冷却チャネル116は、スパイラル状切り込み冷却チャネル116を画定及び作成するためにCNCマシンによって使用可能である螺旋状のパターンの数学的表現の符号化を通じて定義される。
【0013】
実施形態では、燃焼室ライナー10は、入口ポート110、スロート114、及びノズル112を含み、これらは、燃焼室ライナー10の燃焼領域キャビティ122を集合的に取り囲むことができる。ロケット推進システムのための推力を生成するために、推進剤は、噴射器、または推進剤を燃焼領域キャビティ122に注入するための他の手段を使用して、入口ポート110を介して燃焼領域キャビティ122に導入され得る。燃焼領域キャビティ122の内部で、推進剤は、ロケット推進システムの推力を生成するために使用され得る高温の排気ガスを生成するために燃焼される。例えば、推進剤の燃焼によって生成された熱エネルギーは、大部分が運動エネルギーに変換される。燃焼室ライナー10は、燃焼領域キャビティ122の断面積が、燃焼室ライナー10の入口ポートからスロート114まで減少するように、入口ポート110からスロート114に収束するように製造され得る。スロート114からさらに後方で、燃焼領域キャビティ122の断面積は、ノズル全体からノズル出口ポート112まで増加し得る。スロート114を通る燃焼領域キャビティ122の狭窄により、燃焼室ライナー10のスロート114は、単位面積あたりの最大のガスの流れを受け、燃焼室ライナー10の最高の圧力及び温度の勾配を経ることが可能になる。
【0014】
ロケット推進システムの場合、スロート114を通るガスの速度が音速であることが理想的である可能性がある。したがって、高温ガスがスロート114を出て、ノズル出口ポート112に向かってノズルの末広がりの部分に入ると、圧力が低下し、超音速条件下で速度が増加する可能性がある。これにより、エンタルピーから運動エネルギーへの変換が達成されるため、ロケット推進システムの推力が発生する。ロケット推進システムの推力を発生させるための推進剤の燃焼は、燃焼領域キャビティ122内部で高温をもたらす可能性があり、したがって、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー内壁102は、このプロセスの間にかなりの温度及び圧力にさらされ得る。燃焼室ライナー10の燃焼領域キャビティ122を通るガスの流れにとって最高の温度及び圧力が、スロート114の内部に位置するので、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー内壁102は、スロート114で最大の熱応力及びフープ応力を受ける可能性がある。
【0015】
燃焼室ライナー10に対する熱応力及びフープ応力の影響を軽減するために、燃焼室ライナー10の再生冷却を使用することができる。実施形態では、燃焼室ライナー10は、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー外壁104に切り込まれた複数の冷却チャネル116を含み、推進剤または他の極低温材料の導入が、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー内壁102及び燃焼室ライナー10の燃焼ライナー外壁104間の温度の勾配を低減することを可能にする。これらの冷却チャネル116は、対流熱伝達を可能にし得、それにより、推進剤は、燃焼室ライナー10から熱を吸収して、推進剤の初期温度を上昇させ、噴射器を通過して、入口ポート110を経て燃焼領域キャビティ122の内部に入る前にそれらのエネルギーレベルを上昇させる。
【0016】
実施形態では、冷却チャネル116は、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー内壁102から燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー外壁104への熱伝達の結果として生成される気泡形成の速度及び気泡サイズを最小化するように設計されている。当技術分野で知られているように、過度の気泡形成速度は、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー外壁104に沿って不安定なガス膜が形成され、壁の温度の急速な上昇を引き起こし得る断熱層をもたらし得る。この壁の温度の上昇は、壁の材料及び燃焼室ライナー10自体に損傷を与える可能性がある。
【0017】
実施形態では、冷却チャネル116内の気泡形成の速度を低減するために、冷却チャネル116は、入口ポート110の前方部分から燃焼室ライナー外壁104の円周に沿ってノズル出口ポート112への螺旋状のパターンを使用して、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー外壁104に切り込まれる。これは、冷却チャネル116が、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー外壁104に沿って均一な長さを共有し、入口ポート110からスロート114を通ってノズル出口ポート112まで燃焼室ライナー外壁104に沿った勾配の量を低減することを確実にし得る。さらに、螺旋状のパターンは、冷却チャネル116が燃焼室ライナー外壁104内で均一な幅及び深さを共有することを可能にし、それにより、燃焼室ライナー10に沿った圧力降下の可能性を最小限に抑えることができる。冷却チャネル116に利用される螺旋状のパターンはまた、冷却チャネル116を通る推進剤の均一な流れを促進し得、それにより、冷却チャネル116のスパン全体にわたる乱流及び熱のホットスポットの発生を低減する。冷却チャネル116は、CNCツールまたは他のコンピュータ支援製造ツールを使用して、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー外壁104に切り込むことができる。
【0018】
実施形態では、複数の冷却チャネルの各冷却チャネル116は、燃焼室ライナー10の入口ポート110及び燃焼室ライナー10のノズル出口ポート112の近くに、入口ポート面取り106及びノズル出口ポート面取り108を各々備える。これらの面取り106、108は、冷却チャネル116への推進剤の漸進的な導入をもたらし、冷却チャネル116からの推進剤のスムーズな流れを可能にし得る。入口ポート面取り106は、燃焼室ライナー本体124の完全な厚さで開始し、冷却チャネル116の完全な深さに達するまで、ある角度で、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー外壁104に切り込むことができ、この場合、燃焼室ライナー本体124の厚さは最も薄くすることができる。実施形態では、複数の冷却チャネルのうちの各冷却チャネル116は、燃焼室ライナー10の長さに沿って均一な幅を有する。さらに、実施形態では、冷却チャネル間の燃焼室ライナー本体124の円周に沿った距離は、複数の冷却チャネルの各冷却チャネル116の均一な幅に少なくとも等しい。
【0019】
燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー内壁102は、滑らか(例えば、均一な表面が存在するのを妨げ得る突起、隆起、リッジまたは他の不均一な要素がない)にして、ガスの流れがスロート114を通過してノズル出口ポート112から出るときに、燃焼領域キャビティ122を通るガスの流れのいかなる乱れをも防ぐようにし得る。したがって、燃焼室ライナー内壁102は、下流の圧力が上昇して燃焼室ライナー10の臨界圧力値を超える原因となる可能性がある、燃焼領域キャビティ122を通るガスの流れの乱れを引き起こす可能性のある障害物を有し得ない。燃焼室ライナー内壁102と燃焼室ライナー外壁104は、燃焼室ライナー本体124の壁の厚さによって隔てることができる。
【0020】
図2は、燃焼室ライナー10の斜視図であり、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー外壁104と、燃焼室ライナー10のノズル出口ポート112から燃焼室ライナー10の入口ポート110まで延びる複数のスパイラル状冷却チャネル116とを示している。図2に示される実施形態では、燃焼室ライナー10は、燃焼室ライナー10内の燃焼領域キャビティを円周方向に取り囲む燃焼室ライナー外壁104を含む。燃焼室ライナー外壁104は、入口ポート110からスロート114で狭くなり、次いで、ノズル出口ポート112まで拡張することができる。実施形態では、燃焼室ライナー外壁104は、上記の図1に詳細に示されている燃焼室ライナー本体のものであり、燃焼室ライナー外壁104と、燃焼室ライナー外壁104から壁の厚さだけ分離された燃焼室ライナー内壁102とを含み得る。燃焼室ライナー内壁102は、燃焼室ライナー10内部の燃焼領域キャビティ122を円周方向に取り囲むことができる。
【0021】
実施形態では、燃焼室ライナー本体124の燃焼室ライナー外壁104は、運転中に燃焼室ライナー10の熱及びフープ応力を低減するために推進剤または他の極低温材料を導入することができる複数のスパイラル状切り込み冷却チャネル116を備える。スパイラル状切り込み冷却チャネル116は、燃焼室ライナー外壁104で燃焼室ライナー本体124に切り込まれ、したがって、燃焼室ライナー外壁104から始まり、冷却チャネルの壁の厚さが目標達成するまで、燃焼室ライナー本体124の厚さを減少させることができる。実施形態では、スパイラル状切り込み冷却チャネル116は、入口ポート110からある角度で開始し、燃焼室ライナー本体124のスパン及び円周に沿って螺旋状のパターンで進行し、ノズル出口ポート112に対して別の角度で終端する。各スパイラル状切り込み冷却チャネル116に対して選択された螺旋状のパターンは、複数の冷却チャネルの各冷却チャネル116に対して均一な幅を維持するように選択され得る。さらに、燃焼室ライナー本体124の円周に沿った冷却チャネル間の距離が、複数の冷却チャネルの各冷却チャネル116の均一な幅に少なくとも等しくなるように、スパイラル状切り込み冷却チャネル116の数は、燃焼室ライナー本体124の円周に沿って、選択し得る。スパイラル状切り込み冷却チャネル116間の燃焼室ライナー本体124の厚さは、その最大限の厚さであり得る。
【0022】
実施形態では、冷却チャネルの壁の厚さは、各冷却チャネル116の長さに沿って異なり、スロート114で最も薄い厚さを有する。例えば、冷却チャネル116は、燃焼室ライナー本体124の燃焼室ライナー外壁104に切り込まれて、面取りが、入口ポート110から離れて始まり、スロート114まで延在し、冷却チャネルの壁の厚さが徐々に減少してもよい。面取りを使用して作成された冷却チャネルの壁の厚さの勾配は、燃焼室ライナー10の円周及びスパンに沿った、予測または分析された熱応力及び温度の勾配に少なくとも部分的に基づいて、決定することができる。また、実施形態で、冷却チャネル116は、燃焼室ライナー本体124の燃焼室ライナー外壁104に切り込まれて、面取りが、ノズル出口ポート112から離れて始まり、スロート114まで延在し、冷却チャネルの壁の厚さが徐々に減少し、スロート114で最も薄い冷却チャネルの壁の厚さにすることができる。いくつかの実施形態では、最も薄い厚さの冷却チャネルの壁が、冷却チャネル116のスパンの大部分に沿って存在するように、いずれかの面取りの角度を変えることができる。
【0023】
図3は、図2の燃焼室ライナー10の縦方向の断面図であり、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー外壁104および燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー内壁102に沿ったスパイラル状切り込み冷却チャネル116を示している。図3に示される実施形態では、燃焼室ライナー本体124の燃焼室ライナー内壁102は滑らかであり、燃焼室ライナー10の燃焼領域キャビティ122を通る高温ガスの流れを損なう可能性のある突起、隆起、または他の粗い表面がない。燃焼室ライナー本体124の燃焼室ライナー外壁104は複数の冷却チャネル116を含み得て、これは推進剤または他の極低温材料を通過させて、推進剤の燃焼中に燃焼室ライナー10内の燃焼領域キャビティ122内部で燃焼室ライナー本体124への熱応力を低減するために使用され得る。
【0024】
燃焼室ライナー本体124は、入口ポート110及びノズル出口ポート112において、燃焼室ライナー10の許容される最大限の厚さに等しい初期の厚さ126を有し得る。この初期の厚さ126は、燃焼室ライナー10の設計上の考慮事項(例えば、重量、熱伝導率、熱放散など)に少なくとも部分的に基づいて選択することができる。実施形態では、スパイラル状切り込み冷却チャネル116は、燃焼室ライナー10の入口ポート110からの距離で、燃焼室ライナー本体124の燃焼室ライナー外壁104に、少なくとも部分的に入口ポート110の設計上の考慮事項に基づいて切り込まれる。さらに、実施形態では、スパイラル状切り込み冷却チャネル116は、燃焼室ライナー10のノズル出口ポート112から離れた距離で終端する。この距離は、ノズル出口ポート112の設計上の考慮事項に少なくとも部分的に基づいて選択することができる。これらの設計上の考慮事項は、上記のように、燃焼室ライナー10の全体的な設計に関する考慮事項と同様であり得る。
【0025】
実施形態では、冷却チャネル116は、冷却チャネルの壁の厚さ120が、燃焼室ライナー本体124の初期の厚さ126の厚さよりも薄くなるように切り込まれる。冷却チャネルの壁の厚さ120は、各スパイラル状切り込み冷却チャネル116の長さ全体にわたって均一であり得る。あるいは、各冷却チャネル116は、面取りで開始及び終端することができ、これは、燃焼室ライナー10のスパンに沿った冷却チャネル116の長さまたは長さの一部に沿って、燃焼室ライナーの厚さを初期の厚さ126から冷却チャネルの壁の厚さ120まで徐々に減少させることができる。これらの面取りの角度は、燃焼室ライナー10の設計上の考慮事項に少なくとも部分的に基づいて決定され得、好ましくは、燃焼室ライナー10のスパンに沿って決定された熱応力に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。
【0026】
上記のように、スパイラル状切り込み冷却チャネル116は、入口ポート110からノズル出口ポート112まで、燃焼室ライナー10の円周に沿って螺旋状のパターンで、燃焼室ライナー本体の燃焼室ライナー外壁104に、切り込まれる。冷却チャネル116に利用される螺旋状のパターンは、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー外壁104が、スロート114のより広い領域にわたって冷却チャネルの壁の厚さ120を有するように選択され得る。燃焼室ライナー10のスロート114は、燃焼領域キャビティ122での推進剤の燃焼に起因する最大の熱応力及びフープ応力を示し得るので、冷却チャネルの壁の厚さ120を有するスロート114の領域の増大は、これらの応力のより大きな低減をもたらし得る。しかし、各冷却チャネル116は、冷却チャネル116の長さに沿って均一な幅及び深さを有することができる。したがって、燃焼室ライナー10の長手方向の断面積は、スロート114において、燃焼室ライナー本体の厚さが最も薄くなり得るより大きな領域を示し得る。
【0027】
図4は、燃焼室ライナー10の斜視図であり、入口ポート110から燃焼室ライナー10のスロート114までの燃焼室ライナーの燃焼室ライナー内壁102を示している。上記のように、燃焼室ライナー10は、推進剤の燃焼のための燃焼領域キャビティ122を包含する円周方向の燃焼室ライナー本体124を使用して構築され得る。入口ポート110において、燃焼室ライナー本体124は、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー内壁102と、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー外壁104との間の初期の厚さ126を有し得る。実施形態では、冷却チャネル116は、上記のような燃焼室ライナー10の入口ポート110からの距離で、燃焼室ライナー本体124の燃焼室ライナー外壁104に切り込まれ得る場合に、燃焼室ライナー10の入口ポート110には存在しない。
【0028】
燃焼室ライナー本体124の燃焼室ライナー内壁102は、ロケット推進システムの動作中に燃焼領域キャビティ122を通る乱れのない排気の流れを可能にするために、突起、粗いエッジ、隆起などがなく、滑らかであり得る。さらに、燃焼室ライナー本体124は、燃焼室ライナー10の長手方向のスパンに沿って、入口ポート110での初期の断面の直径から燃焼室ライナー10のスロート114での最小断面直径に収束することができる。燃焼室ライナー10の長手方向のスパンに沿った直径の先細りは、燃焼室ライナー10の燃焼領域キャビティ122を通る、所望している排気の流れの条件に少なくとも部分的に基づいて決定することができる。例えば、燃焼室ライナー10の長手方向のスパンに沿った直径の先細りは、燃焼室ライナー10のスロート114を通る排気の流れが音速であるように選択され得る。これにより、スロート114の後方の断面の直径がノズル出口ポート112で最大に拡大する可能性があるため、排気の流れがノズル及びスロート114の後方のノズル出口ポート112で超音速になる可能性がある。
【0029】
実施形態では、入口ポート110における燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー内壁102と燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー外壁104との間の初期の厚さ126は、燃焼室ライナー10の最大の燃焼室ライナー本体の厚さである。燃焼室ライナー10の入口ポート110からの距離において、燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー外壁104は、燃焼室ライナー本体124の燃焼室ライナー外壁104の円周に沿って、冷却チャネル116を導入するように切り込まれる。実施形態では、冷却チャネル116は、冷却チャネル116の長さに沿って、燃焼室ライナー本体124の厚さを初期の厚さ126から最も薄い冷却チャネルの壁の厚さ120まで徐々に減少させるチャンバを備えた燃焼室ライナー10の燃焼室ライナー外壁104に切り込まれており、燃焼室ライナー10のスロート114で例示される。面取りの角度は、燃焼室ライナー10の長手方向のスパンに沿って、及び各冷却チャネル116の長さに沿って、予測される熱応力に少なくとも部分的に基づいて選択することができる。したがって、これらの予測される熱応力に少なくとも部分的に基づいて、各冷却チャネルに対して異なる面取り及び厚さを選択することができる。
【0030】
図5は、燃焼室ライナー10のスロート114からの燃焼室ライナー10の横断面図であり、燃焼室ライナー本体124の燃焼室ライナー外壁104に沿った複数のスパイラル切り込み冷却チャネル116を示している。スロート114において、各冷却チャネル116の冷却チャネルの壁の厚さ120は、推進剤または他の極低温材料が冷却チャネル116を通してポンプ輸送されるときに、ロケット推進システムの動作中にスロート114で受ける極端な熱応力を軽減し得るので、最小であり得る。実施形態では、燃焼室ライナー本体124の燃焼室ライナー外壁104に沿って切り込まれた冷却チャネル116はそれぞれ、上記の入口ポート110からの初期の厚さ126を有する燃焼室ライナー本体124によって分離され得る。場合によっては、各冷却チャネル116間の分離は、初期の厚さ126とは異なる厚さを有し得る。しかし、この異なる厚さは、依然として、冷却チャネル116の冷却チャネルの壁の厚さ120よりも大きくてもよい。
【0031】
各冷却チャネル116は、均一な冷却チャネルの幅118を有し得る。実際の冷却チャネルの幅118は、燃焼領域キャビティ122内部の推進剤の燃焼から生じる燃焼室ライナー10の熱応力の影響を軽減するのに必要な、燃焼室ライナー10の円周に沿った表面積の大きさを含むがこれらに限定されない様々な設計上の考慮事項に少なくとも部分的に基づいて選択され得る。さらに、上記のように、冷却チャネル間の燃焼室ライナー本体124の円周に沿った距離は、複数の冷却チャネルの各冷却チャネル116の均一な幅に少なくとも等しくてもよい。燃焼室ライナー10のスロート114で最も高い熱応力が発生する可能性があるため、これらの熱応力は、理想的な冷却チャネルの幅118を選択するための基礎となり得る。残りの円周方向の領域は、燃焼室ライナー本体124の残りのために確保され、これは、初期の厚さ126または冷却チャネルの壁の厚さ120よりも厚い他の任意の厚さを有し得る。
【0032】
実施形態では、冷却チャネル116の螺旋状のパターンは、スロート114に沿った燃焼室ライナー10の長手方向のスパンを通る冷却チャネル116の長さが、ほぼ冷却チャネルの幅118である均一な断面幅を示すように選択される。したがって、スパイラル状切り込み冷却チャネル116は、燃焼室ライナー10のスロート114に沿って、燃焼室ライナー10の長手方向軸に平行であり得る。これは、推進剤または他の極低温材料が、スロート114に沿った冷却チャネル116の方向のために、スロート114でより大きなヒートシンクとして機能し得るので、燃焼室ライナー10のスロート114に沿った熱応力のより大きな緩和をもたらし得る。
【0033】
したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で捉えられるべきである。また一方、特許請求の範囲に記載された本発明の広範な趣旨と範囲から逸脱することなく、様々な修正や変更を行うことができることは明らかである。他の変形形態も本開示の趣旨の範囲内である。したがって、開示された技法は様々な修正や代替的構造の影響を受けやすいが、その特定の例示された実施形態が図面に示されており、上記で詳細に説明されている。ただし、本発明を開示された特定の1つまたは複数の形態に限定する意図はなく、逆に、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の趣旨及び範囲内にあるすべての修正、代替的構造、及び均等物を網羅する意図があることを理解すべきである。
【0034】
さらに、本開示の実施形態は、以下の条項を考慮したうえで説明することができる。
1.ロケット推進システム用の燃焼室ライナーであって、
第1の端部と第2の端部との間に延びる燃焼室ライナー本体と、
前記燃焼室ライナー本体によって画定される燃焼室ライナー内壁であって、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる燃焼領域キャビティを画定する、前記燃焼室ライナー内壁と、
前記燃焼室ライナー本体によって画定される燃焼室ライナー外壁であって、前記燃焼室ライナー内壁と対向する、前記燃焼室ライナー外壁と、
前記第1の端部で前記燃焼室ライナー本体によって画定される入口ポートと、
前記第2の端部で前記燃焼室ライナー本体によって画定されるノズル出口ポートと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記燃焼室ライナー本体の部分によって画定されるスロート部分と、
前記燃焼室ライナー外壁によって画定される複数のスパイラル状冷却チャネルであって、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる前記複数のスパイラル状冷却チャネルと、
を含む、前記燃焼室ライナー。
2.前記複数のスパイラル状冷却チャネルの各スパイラル状冷却チャネルが、第1の冷却チャネル端部に第1の面取りを含み、第2の冷却チャネル端部に第2の面取りを含む、条項1に記載の燃焼室ライナー。
3.前記複数のスパイラル状冷却チャネルの各スパイラル状冷却チャネルが均一な幅によって画定される、条項1または2に記載の燃焼室ライナー。
4.前記複数のスパイラル状冷却チャネルの各スパイラル状冷却チャネル間の前記燃焼室ライナー本体の円周に沿った距離が、前記均一な幅に少なくとも等しい、条項3に記載の燃焼室ライナー。
5.前記燃焼室ライナー本体が、銅、銅合金、チタン、炭素繊維、及びインコネルからなる群から選択される材料を含む、条項1~4のいずれかに記載の燃焼室ライナー。
6.前記スロート部分の前記燃焼領域キャビティの第1の部分が、前記第1の端部の前記燃焼領域キャビティの第2の部分の第2の領域よりも小さい第1の領域を有する、条項1~5のいずれかに記載の燃焼室ライナー。
7.ロケット推進システム用の燃焼室ライナーを製造する方法であって、
材料部品を、第1の端部と第2の端部との間に延びる燃焼室ライナー本体に形成することであって、前記燃焼室ライナー本体は、
前記燃焼室ライナー本体によって画定される燃焼室ライナー内壁であって、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる燃焼領域キャビティを画定する、前記燃焼室ライナー内壁と、
前記燃焼室ライナー本体によって画定される燃焼室ライナー外壁であって、前記燃焼室ライナー内壁と対向する、前記燃焼室ライナー外壁と、
前記第1の端部で前記燃焼室ライナー本体によって画定される入口ポートと、
前記第2の端部で前記燃焼室ライナー本体によって画定されるノズル出口ポートと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記燃焼室ライナー本体の部分によって画定されるスロート部分と、
を含む、前記形成することと、
前記燃焼室ライナー外壁の中に、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる複数のスパイラル状冷却チャネルを切り込むことと、
を含む、前記方法。
8.前記燃焼室ライナー本体は、前記燃焼室ライナー本体のデジタル表現に少なくとも部分的に基づいてプログラムされたコンピュータ数値制御機を使用して形成される、条項7に記載の方法。
9.前記複数のスパイラル状冷却チャネルが、前記燃焼室ライナー外壁の中に切り込まれ、各スパイラル状冷却チャネルが均一な幅を有するように前記複数のスパイラル状冷却チャネルが画定される、条項7または8に記載の方法。
10. 前記複数のスパイラル状冷却チャネルの各スパイラル状冷却チャネル間の前記燃焼室ライナー本体の円周に沿った距離が、前記均一な幅に少なくとも等しい、条項9に記載の方法。
11. 前記複数のスパイラル状冷却チャネルを切り込むことが、前記複数のスパイラル状冷却チャネルの第1の冷却チャネル端部に第1の面取りをもたらし、前記複数のスパイラル状冷却チャネルの第2の冷却チャネル端部に第2の面取りをもたらす、条項7~10のいずれかに記載の方法。
12. 前記材料部品が、銅、銅合金、チタン、炭素繊維、及びインコネルからなる群から選択される、条項7~11のいずれかに記載の方法。
13. 前記燃焼室ライナー本体は、前記スロート部分の前記燃焼領域キャビティの第1の部分が、前記第1の端部の前記燃焼領域キャビティの第2の部分の第2の領域よりも小さい第1の領域を有するように形成される、条項7~12のいずれかに記載の方法。
【0035】
開示された実施形態を説明する文脈での(特に以下の特許請求の範囲の文脈での)用語「a」、「an」、「the」などの指示語の使用は、別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を網羅するように解釈されるべきである。用語「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」は、別段の記載がない限り、非制限型用語(すなわち、「~を含むが、それに限定されない」を意味する)として解釈される。用語「接続された(connected)」は、修飾されておらず、物理的な接続に言及している場合には、たとえ介在する何かがあるとしても、部分的にまたは完全に内部に含まれている、取り付けられている、または互いに結合されていると解釈されるべきである。値の範囲の記載は、別段の指示がない限り、その範囲内にある各個別の値を個別に参照する略記法としての役割を果たすことを単に意図しており、各個別の値は、それが個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。「セット」(例えば、「項目のセット」)または「サブセット」という用語の使用は、特に明記しない限り、または文脈上矛盾しない限り、1つ以上のメンバを含む空ではないコレクションと解釈されるべきである。さらに、特に明記しない限り、または文脈上矛盾しない限り、対応するセットの「サブセット」という用語は、必ずしも対応するセットの適切なサブセットを示すものではないが、サブセットと対応するセットとが等しい場合もある。
【0036】
例えば表現形式「A、B、及びCの少なくとも1つ」または「A、B及びCの少なくとも1つ」の言い回しなどの連言的な語法は、特に別段の記載がある場合や文脈上明らかに矛盾する場合を除き、項目、用語などがAもしくはBもしくはC、またはA及びB及びCの集合の任意の非空部分集合のどちらかであってよいことを示すために概して使用されるとして文脈で理解される。例えば、3つの要素を有する集合の例示的な例では、連言的な言い回しの「A、B、及びCの少なくとも1つ」と「A、B、及びCの少なくとも1つ」は、以下の{A}、{B}、{C}、{A、B}、{A、C}、{B、C}、{A、B、C}というセットのいずれかを示している。したがって、そのような連言的な言い回しは、一般に、特定の実施形態が、Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、及びCの少なくとも1つがそれぞれ存在することを要することを意味することを意図するものではない。さらに、特に断りのない限り、または文脈上矛盾しない限り、用語「複数(plurality)」は、複数である状態を示す(例えば、「複数(plurality)の項目」は、複数(multiple)の項目を示す)。複数の項目の数は、少なくとも2つであるが、明示的にまたは文脈によって示される場合は、それ以上になることもある。
【0037】
提供される任意の例、または例示的な文言(例えば、「など」)の使用は、単に本発明の実施形態をよりよく明らかにすることを意図したものにすぎず、別段の特許請求がない限り、本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書中のいかなる文言も、請求されていない要素が本発明の実施に必須であると示すものと解釈されるべきではない。
【0038】
本開示の実施形態は、本発明を実施するために本発明者に知られている最良のモードを含めて記載されている。それらの実施形態の変形形態は、上記の説明を読むと当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者が適宜そのような変形形態を採用することを期待しており、本発明者らは、本開示の実施形態が、具体的に記載されている以外にも実施されることを意図している。したがって、本開示の範囲には、添付の特許請求の範囲に記載されている主題の、適用法で認められたすべての修正及び均等物が含まれる。さらに、上記の要素は、本明細書の特定の実施形態の文脈で説明され得るが、別段の記載がない限り、または文脈から明らかでない限り、これらの要素は、それらが説明される実施形態のみに相互に排他的であるわけではなく、そのすべての可能な変形における上記の要素の任意の組み合わせは、他に示されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、本開示の範囲に含まれる。
【0039】
本明細書で引用されている刊行物、特許出願、及び特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が個別にかつ具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が記載されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】