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特表2022-514201可動導体を有する埋め込み可能な医療用リード線
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(54)【発明の名称】可動導体を有する埋め込み可能な医療用リード線
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/05 20060101AFI20220203BHJP
   A61B 5/388 20210101ALI20220203BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20220203BHJP
   A61B 5/294 20210101ALI20220203BHJP
   A61B 5/283 20210101ALI20220203BHJP
【FI】
A61N1/05
A61B5/388
A61B5/33 110
A61B5/33 120
A61B5/294
A61B5/283
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530085
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(85)【翻訳文提出日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 US2019049532
(87)【国際公開番号】W WO2020117345
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】16/212,256
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ツウェバー,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラン,ビンセント
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,イアン
【テーマコード(参考)】
4C053
4C127
【Fターム(参考)】
4C053CC10
4C127AA02
4C127AA04
4C127BB05
4C127DD03
4C127DD04
4C127LL08
(57)【要約】
医療用リード線は、リード線本体と、コネクタと、電気伝導体と、スリーブと、を備える。リード線本体は、リード線本体の長手方向軸を画定する遠位端と近位端とを含む。コネクタは、リード線本体の近位端の近くに配置される。電気伝導体は、リード線本体の長手方向軸の周りに延在する。スリーブは、リード線本体の絶縁材料に結合され、電気伝導体の周囲に配置される。電気伝導体は、コネクタに電気的に結合される。スリーブは、電気伝導体に固定される固定部分と、電気伝導体に固定されない非固定部分とを含む。医療用リード線の屈曲に応答して、導体は、非固定部分内で移動して、屈曲によって作り出されるひずみを緩和することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み可能な医療用リード線システムであって、
絶縁材料を含むリード線本体であって、前記リード線本体の長手方向軸を画定する遠位端と近位端とを含む、リード線本体と、
前記近位端の近くに配置された電気コネクタと、
前記リード線本体の前記長手方向軸を中心に延在する電気伝導体と、
前記リード線本体の前記絶縁材料に結合されたスリーブであって、前記電気伝導体の周囲に配置される、スリーブと、を備え、
前記電気伝導体は、前記コネクタに電気的に結合され、
前記スリーブは、前記電気伝導体に固定される固定部分と、前記電気伝導体に固定されない非固定部分とを含む、埋め込み可能な医療用リード線システム。
【請求項2】
前記スリーブが、刺激に応答して収縮するように構成されている、請求項1に記載の埋め込み可能な医療用リード線システム。
【請求項3】
前記スリーブが熱収縮スリーブである、請求項2に記載の埋め込み可能な医療用リード線システム。
【請求項4】
前記スリーブが約0.25mm未満の厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の埋め込み可能な医療用リード線システム。
【請求項5】
前記スリーブの前記非固定部分が、約10センチメートルを超える長さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の埋め込み可能な医療用リード線システム。
【請求項6】
前記スリーブの前記固定部分が前記スリーブの前記非固定部分の近位にあり、前記スリーブの前記非固定部分の近位端は、前記電気コネクタから約10センチメートル未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載の埋め込み可能な医療用リード線システム。
【請求項7】
前記絶縁材料がエポキシを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の埋め込み可能な医療用リード線システム。
【請求項8】
前記電気コネクタが第1の電気コネクタであり、前記電気伝導体は第1の電気伝導体であり、前記スリーブは第1のスリーブであり、前記固定部分は第1の固定部分であり、前記非固定部分は第1の非固定部分であり、前記医療用リード線は、
前記近位端の近くに配置された第2の電気コネクタと、
前記リード線本体の前記長手方向軸を中心に延在する第2の電気伝導体と、
前記リード線本体の前記絶縁材料に結合された第2のスリーブであって、前記第2の電気伝導体の周囲に配置される、第2のスリーブと、を更に備え、
前記第2の電気伝導体は、前記第2のコネクタに電気的に結合され、
前記第2のスリーブは、前記第2の電気伝導体に固定される第1の部分と、前記第2の電気伝導体に固定されない第2の部分とを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の埋め込み可能な医療用リード線システム。
【請求項9】
前記医療用リード線が、電極を含まない医療用リード線延長部を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の埋め込み可能な医療用リード線システム。
【請求項10】
前記医療用リード線が、前記遠位端に配置された複数の電極を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の埋め込み可能な医療用リード線システム。
【請求項11】
前記遠位端にある電極であって、前記電気伝導体に電気的に結合されている、電極と、
前記電気コネクタに電気的に結合するように構成されている埋め込み可能な医療装置であって、電気刺激を前記電極に送達するか、又は前記電極からの電気信号を感知するように構成されている、埋め込み可能な医療装置と、を更に備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の埋め込み可能な医療用リード線システム。
【請求項12】
医療用リード線を製造する方法であって、
リード線本体の長手方向軸を中心に延在するチャネル内に導体アセンブリを配置することと、
前記チャネルを絶縁材料で充填することであって、前記絶縁材料が前記導体アセンブリの外側表面を取り囲む、ことと、を含み、
前記リード線本体は、前記リード線本体の前記長手方向軸を画定する遠位端と近位端とを含み、
前記導体アセンブリは、
電気伝導体と、
前記電気伝導体の周囲に配置されたスリーブであって、前記導体アセンブリの前記外側表面を形成する、スリーブと、を含み、
前記スリーブは、前記電気伝導体に固定される固定部分と、前記電気伝導体に固定されない非固定部分とを含む、方法。
【請求項13】
前記電気伝導体を前記スリーブ内に配置することと、
前記スリーブの前記固定部分を前記電気伝導体に固定することと、を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記絶縁材料を硬化して、前記絶縁材料を前記スリーブに結合することを更に含む、請求項12~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記スリーブの前記非固定部分が、約2.5センチメートルを超える長さを有する、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記スリーブの前記固定部分が、前記スリーブの前記非固定部分の近位にある、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記スリーブの前記非固定部分の近位端が、前記電気コネクタから約10センチメートル未満である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記導体アセンブリが第1の導体アセンブリであり、前記電気伝導体が第1の電気伝導体であり、前記スリーブが第1のスリーブであり、前記外側表面が第1の外側表面であり、前記方法が、
前記チャネル内に第2の導体アセンブリを配置することと、
前記チャネルを前記絶縁材料で充填することであって、前記絶縁材料が前記第2の導体アセンブリの第2の外側表面を取り囲む、ことと、を更に含み、
前記第2の導体アセンブリは、
第2の電気伝導体と、
前記第2の電気伝導体の周囲に配置された第2のスリーブであって、前記導体アセンブリの前記第2の外側表面を形成する、第2のスリーブと、を含み、
前記第2のスリーブは、前記第2の電気伝導体に固定される第1の部分と、前記第2の電気伝導体に固定されない第2の部分とを含む、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
電気リード線であって、
長手方向に沿って分離された近位部分と遠位部分とを有する、リード線本体と、
前記長手方向に沿って延在する電気伝導体であって、前記電気伝導体の少なくとも一部分は、前記リード線本体に対して移動して圧縮応力又は引張応力を緩和するように構成されている、電気伝導体と、を備える、電気リード線。
【請求項20】
前記リード線本体の前記近位部分及び前記リード線本体の前記遠位部分に結合するように構成されているスリーブを更に備え、前記スリーブは、前記リード線本体に対して移動して圧縮応力又は引張応力を緩和するように構成されている前記電気伝導体の前記部分を、少なくとも部分的に取り囲んでいる、請求項19に記載の電気リード線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]
本開示は、埋め込み可能な医療装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]
医療装置は、慢性疼痛、発作性疾患(例えば、てんかん)、不整脈(例えば、細動)、振戦、パーキンソン病、他の種類の運動障害、肥満、気分障害、尿若しくは便失禁、又は他の種類の症状若しくは状態などの症状又は状態を治療するため、患者に治療法を送達するために使用することができる。この治療法は、電気刺激療法であり得る。医療装置、例えば埋め込み可能な医療装置(IMD)は、深部脳刺激(DBS)、脊髄刺激(SCS)、仙骨神経変調、骨盤刺激、胃刺激、末梢神経刺激、心臓刺激、機能的電気刺激、又は他の種類の刺激などの治療法に使用することができる。
【発明の概要】
【0003】
[0003]
本開示は、治療法を患者に送達するための医療装置システムについて記載する。例えば、埋め込み可能な医療装置は、1つ以上の電極を有する医療用リード線を備える患者に、電気刺激を送達し、かつ/又は、患者の電気信号を感知するように構成され得る。1つ以上の電極は、医療用リード線及び/又は医療用リード線延長部内の1つ以上の導体によって、埋め込み可能な医療装置の電気回路に電気的に結合され得る。これらの医療用リード線及び/又は医療用リード線延長部は、医療用リード線及び/又は医療用リード線延長部が医療用リード線及び/又は医療用リード線延長部の屈曲によって生じる応力にさらされ得るように、患者の身体を通され得る。
【0004】
[0004]
いくつかの例では、医療用リード線及び/又は医療用リード線延長部は、リード線内の導体に対して1つ以上の応力除去部分を含んでもよい。これらの応力除去部分では、リード線の導体はリード線本体に固定されず、その代わりに、これらの部分の導体は、リード線の屈曲又は他の動きによって引き起こされる圧縮又は引張応力に応答して、リード線本体に対して自由に移動する。この相対運動は、破損の可能性を低減するために、圧縮又は引張応力を緩和することを可能にできる。
【0005】
[0005]
いくつかの例では、本開示は、リード線本体と、コネクタと、電気伝導体と、スリーブと、を備える、医療用リード線システムについて記載する。リード線本体は、リード線本体の長手方向軸を画定する遠位端と近位端とを含む。コネクタは、リード線本体の近位端の近くに配置される。電気伝導体は、リード線本体の長手方向軸の周りに延在する。スリーブは、リード線本体の絶縁材料に結合され、電気伝導体の周囲に配置される。電気伝導体は、コネクタに電気的に結合される。スリーブは、電気伝導体に固定される固定部分と、電気伝導体に固定されない非固定部分とを含む。
【0006】
[0006]
上記例のいくつかの変形例では、スリーブは、刺激に応答して収縮するように構成されている。
【0007】
[0007]
上記例のいくつかの変形例では、スリーブは、熱収縮スリーブである。
[0008]
上記例のいくつかの変形例では、スリーブは、約0.25mm未満の厚さを有する。
【0008】
[0009]
上記例のいくつかの変形例では、スリーブの非固定部分は、約10センチメートルを超える長さを有する。
【0009】
[0010]
上記例のいくつかの変形例では、スリーブの固定部分はスリーブの非固定部分の近位にあり、スリーブの非固定部分の近位端は、電気コネクタから約10センチメートル未満である。
【0010】
[0011]
上記例のいくつかの変形例では、絶縁材料はエポキシを含む。
[0012]
上記例のいくつかの変形例では、電気コネクタは第1の電気コネクタであり、電気伝導体は第1の電気伝導体であり、スリーブは第1のスリーブであり、固定部分は第1の固定部分であり、非固定部分は第1の非固定部分であり、医療用リード線は、近位端付近に配置された第2の電気コネクタと、リード線本体の長手方向軸を中心に延在する第2の電気伝導体と、リード線本体の絶縁材料に結合された第2のスリーブであって、第2の電気伝導体の周囲に配置された第2のスリーブと、を更に備え、第2の電気伝導体は、第2のコネクタに電気的に結合されており、第2のスリーブは、第2の電気伝導体に固定された第1の部分と、第2の電気伝導体に固定されない第2の部分と、を含む。
【0011】
[0013]
上記例のいくつかの変形例では、医療用リード線は、電極を含まない医療用リード線延長部を含む。
【0012】
[0014]
上記例のいくつかの変形例では、医療用リード線は、遠位端に配置された複数の電極を更に含む。
【0013】
[0015]
上記例のいくつかの変形例では、医療用リード線システムは、遠位端にある電極であって、電気伝導体に電気的に結合されている、電極と、電気コネクタに電気的に結合するように構成されている埋め込み可能な医療装置であって、電気刺激を電極に送達するか、又は電極から電気信号を感知するように構成されている、埋め込み可能な医療装置と、を更に備える。
【0014】
[0016]
他の実施形態では、電気リード線は、長手方向に沿って分離された近位部分及び遠位部分を有するリード線本体と、長手方向に沿って延在する電気伝導体と、を備え、電気伝導体の少なくとも一部分は、リード線本体に対して移動して圧縮又は引張応力を緩和するように構成されている。
【0015】
[0017]
上記例のいくつかの変形例では、電気リード線は、リード線本体の近位部分及びリード線本体の遠位部分に結合するように構成されたスリーブを更に備え、スリーブは、リード線本体に対して移動して圧縮又は引張応力を緩和するように構成されている電気伝導体の部分を、少なくとも部分的に取り囲んでいる。
【0016】
[0018]
いくつかの例では、本開示は、リード線本体の長手方向軸を中心に延在するチャネル内に導体アセンブリを配置することと、チャネルを絶縁材料で充填することと、を含む、埋め込み可能な医療用リード線を製造する方法について記載する。絶縁材料は、導体アセンブリの外側表面を取り囲む。リード線本体は、リード線本体の長手方向軸を画定する遠位端と近位端とを含む。導体アセンブリは、電気伝導体と、電気伝導体の周囲に配置されたスリーブと、を含む。スリーブは導体アセンブリの外側表面を形成し、電気伝導体に固定される固定部分と、電気伝導体に固定されない非固定部分とを含む。
【0017】
[0019]
上記例のいくつかの変形例では、方法は、スリーブ内に電気伝導体を配置することと、スリーブの固定部分を電気伝導体に固定することと、を更に含む。
【0018】
[0020]
上記例のいくつかの変形例では、スリーブは熱収縮スリーブであり、スリーブの固定部分を電気伝導体に固定することは、スリーブの固定部分に熱を加えることを含む。
【0019】
[0021]
上記例のいくつかの変形例では、埋め込み可能な医療用リード線は、近位端の近くに配置されたコネクタを更に含み、方法は、電気伝導体をコネクタに電気的に結合することを更に含む。
【0020】
[0022]
上記例のいくつかの変形例では、方法は、絶縁材料を硬化して、絶縁材料をスリーブに結合することを更に含む。
【0021】
[0023]
上記例のいくつかの変形例では、スリーブの非固定部分は、約2.5センチメートルを超える長さを有する。
【0022】
[0024]
上記例のいくつかの変形例では、スリーブの固定部分は、スリーブの非固定部分の近位にある。
【0023】
[0025]
上記例のいくつかの変形例では、スリーブの非固定部分の近位端は、電気コネクタから約10センチメートル未満である。
【0024】
[0026]
上記例のいくつかの変形例では、導体アセンブリは第1の導体アセンブリであり、電気伝導体は第1の電気伝導体であり、スリーブは第1のスリーブであり、外側表面は第1の外側表面であり、この方法は、チャネル内に第2の導体アセンブリを配置することと、チャネルを絶縁材料で充填することであって、絶縁材料が第2の導体アセンブリの第2の外側表面を取り囲んでいる、ことと、を更に含み、第2の導体アセンブリは、第2の電気伝導体と、第2の電気伝導体の周囲に配置された第2のスリーブであって、導体アセンブリの第2の外側表面を形成する、第2のスリーブと、を備え、第2のスリーブは、第2の電気伝導体に固定された第1の部分と、第2の電気伝導体に固定されない第2の部分と、を含む。
【0025】
[0027]
本開示の1つ以上の態様の詳細は、付随する図面及び以下の記述において説明される。その他の特徴、対象及び利点は、説明及び図面並びに特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】[0028] 電気刺激療法を患者に送達するか、又は患者から電気信号を受信する、治療システムの例の概略図を示す概念図である。
図2】[0029] 医療装置システムの例の概略図の概念的ブロック図である。
図3A】[0030] 例示的な医療用リード線の長手方向断面図を示す概念図である。
図3B】[0031] 導体アセンブリの開口図を有する例示的な医療用リード線の部分切欠上面図を示す概念図である。
図3C】[0032] 直線構成にあるリード線延長部の近位端の断面を示す長手方向断面図である。
図3D】[0033] 屈曲構成にあるリード線延長部の近位端の断面を示す長手方向断面図である。
図4】[0034] 例示的な医療用リード線延長部の斜視図を示す概念図である。
図5A】[0035] 導体がリード線本体に固定されている例示的な埋め込み可能な医療用リード線の断面図における、導体のひずみの大きさを示す概念図である。
図5B】[0036] 導体がリード線本体に固定されていない例示的な埋め込み可能な医療用リード線の断面図における、導体のひずみの大きさを示す概念図である。
図5C】[0037] 導体がリード線本体に固定されている例示的な埋め込み可能な医療用リード線の破断の断面図を示す概念図である。
図5D】[0038] 導体がリード線本体に固定されていない例示的な埋め込み可能な医療用リード線の破断の断面図を示す概念図である。
図6】[0039] 埋め込み可能な医療用リード線を製造するための例示的な手法のフロー図である。
図7A】[0040] 例示的な埋め込み可能な医療用リード線の断面の斜視図を示す概念図である。
図7B】[0041] 導体がリード線本体に固定されている例示的な埋め込み可能な医療用リード線の断面の断面図における、導体のひずみの大きさを示す概念図である。
図7C】[0042] 導体がリード線本体に固定されていない例示的な埋め込み可能な医療用リード線の断面の断面図における、導体のひずみの大きさを示す概念図である。
図8A】[0043] 導体がリード線本体に固定されている例示的な埋め込み可能な医療用リード線の断面の斜視図を示す概念図である。
図8B】[0044] 導体がリード線本体に固定されていない例示的な埋め込み可能な医療用リード線の断面の斜視図を示す概念図である。
図9】[0045] 様々な例示的なサンプルの取外荷重のグラフである。
図10】[0046] 様々な例示的なサンプルの破損に対するサイクルのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[0047]
上述したように、本開示のいくつかの例は、1つ以上の導電性電極及び/又は1つ以上の導電性端子コネクタ(「コネクタ」とも称する)を備える、埋め込み可能な医療用リード線、リード線延長部、及びリードアダプタ(「リード線システム」、「医療用リード線」又は「リード線」とも称する)に関する。リード線及び電極を使用して、医療装置は、患者に治療を施して患者の状態を治療するため電気信号を送達又は感知することができる。医療用リード線は、リード線本体を通って延在してコネクタに電気的に接続する、1つ以上の導電性リードワイヤ(「導体」とも称する)又は他の導電性材料に電気的に接続された電極を含んでもよい。コネクタに電気的に接続された医療装置からの電気刺激は、電極の表面にわたって送達される導体に沿って行われてもよい。
【0028】
[0048]
リード線の特定の重要部分、例えば電極又はコネクタ付近の部分は、導体の周囲に、エポキシ又はポリマーなどの絶縁性補強材料(「絶縁体」又は「絶縁材料」とも称する)を含んでもよい。この絶縁材料は、リード線の重要部分に構造的一体性を提供し、導体をリード線本体に固定することによってリード線本体内の導体の移動を低減し、及び/又は導体間により多くの絶縁体を提供することができる。しかしながら、この剛性絶縁材料は、重要部分におけるリード線の可撓性を低減し得る。特に導体が直線かつ軸外である構成において、リード線のこれらの重要部分に屈曲がかかると、リード線本体内の導体は、高い圧縮又は引張応力を経験し得る。導体が自由にこれらの応力を緩和できない場合、導体が全体的に又は部分的に破断する場合があり、電気刺激又は他の電気信号が、破断した導体を通して伝達されなくなり得る。
【0029】
[0049]
本開示の実施形態によれば、以下で更に説明するように、医療用リード線は、リード線のリード線本体に固定されないが、代わりにリード線本体内で自由に移動して、リード線の屈曲又は他の運動によって引き起こされる圧縮又は引張応力を緩和する、1つ以上の導体の部分を含み得る。例えば、リード線は、導体と、導体を取り囲む絶縁材料とを含み得る。しかしながら、絶縁材料を導体に直接結合するのではなく、絶縁材料は、導体を取り囲み、導体に直接接触して導体アセンブリを形成するスリーブに結合される。この導体アセンブリの非固定部分では、導体がリード線本体に対してスリーブ内で自由に移動するように、スリーブは導体に固定されなくてもよい。しかしながら、この導体アセンブリの固定部分では、スリーブは導体に固定されてもよく(例えば、機械的若しくは化学的結合を形成、又はまとめて封止)、これにより、リード線製造中にリード線本体に注入される絶縁材料は、スリーブ内に流入せず、導体アセンブリの非固定部分内の導体の移動を制限することができる。
【0030】
[0050]
このようにして、本明細書で説明される例示的なリード線は、リード線内の導体が、屈曲又は他の何らかの応力に応答して自己応力緩和することを可能にし得る。例えば、リード線の固定部分におけるリード線の長手方向軸を中心とする屈曲(例えば、直線的初期位置から)に応答して、導体は、周囲のリード線本体に対してスリーブ内で、例えば、引張応力に応答して屈曲部に向かって、又は圧縮応力に応答して屈曲部から離れるように、移動することができる。この動きは、屈曲部によって生じる圧縮及び/又は引張応力を緩和することができ、それにより、導体がこれらの応力によって破断する可能性を低減することができる。したがって、本明細書で説明される例示的なリード線は、急な屈曲部など、通常はリード線内の導体に著しい応力を生じさせる構成に配置することができ、これにより、リード線を、よりコンパクトかつ/又は様々な位置に取り付けることができる。
【0031】
[0051]
本明細書で論じられる埋め込み可能な医療用リード線は、治療システムを含む様々なシステムにおいて使用され得る。図1は、患者40の脳49に埋め込まれたリード線延長部50及びリード線51を含む例示的な治療システム10を示す概念図である。説明を容易にするために、本開示の例は、主に、深部脳刺激(DBS)の形態で患者40の脳49に神経刺激療法を適用する埋め込み可能な電気刺激リード線及び埋め込み可能な医療装置に関して記載される。しかしながら、本明細書に記載される特徴及び技術は、医療用リード線を使用して患者に電気刺激を送達する、及び/又は、リード線の1つ以上の電極を介した電気信号を感知するための、他の種類の医療装置システムにおいて有用であり得る。例えば、本明細書に記載される特徴及び技術は、患者の心臓に刺激療法を送達する医療装置、例えばペースメーカー、及びペースメーカー除細動器を伴うシステムにおいて使用され得る。他の例として、本明細書に記載される特徴及び技術は、他の種類の神経刺激療法(例えば、脊髄刺激又は迷走神経刺激)、少なくとも1つの筋肉又は筋群の刺激、胃系刺激などの少なくとも1つの器官の刺激、遺伝子治療に付随する刺激、及び一般に、患者の任意の組織の刺激を送達するシステムにおいて具現化されてもよい。医療用リード線システムは、ヒト対象又は非ヒト対象と共に使用されてもよい。
【0032】
[0052]
図1に示されるように、治療システム10は、医療装置プログラマー30と、埋め込み可能な医療装置(IMD)20と、リード線延長部50と、リード線51と、を含む。リード線51は、リード線51の遠位端54に隣接する複数の電極60を含む。IMD20は、電極60のうちの1つ以上を介して患者40の脳49の1つ以上の領域で電気刺激を生じさせ、その領域に電気刺激療法を送達する、電気刺激発生器を含むスイッチング回路を含む。図1に示される例では、IMD20は、脳49内の組織、例えば、脳49の硬膜下の組織部位に直接電気刺激療法を提供するため、治療システム10はDBSシステムと称され得る。他の例では、リード線51は、脳49の表面(例えば、脳49の皮質表面)に治療を送達するように配置されてもよい。
【0033】
[0053]
本開示の例によれば、リード線51は遠位端54を含み、リード線延長部50は、リード線51及びリード線延長部50を含むリード線システムの近位端52を含む。リード線51が組み立てられると、近位端52に隣接するそれぞれの電気的接続スリーブ(図1には図示せず)は、IMD20と、リード線延長部50の複数の導体によって画定された遠位端54に隣接する電極60に延びるリード線51の導電経路との間に、電気的接続を提供する。導電経路を使用して、IMD20は、患者40に電気刺激を送達し、及び/又はリード線51及びリード線延長部50を使用して患者40の電気信号を感知することができる。
【0034】
[0054]
図1に示される例では、IMD20は、患者40の鎖骨の下の皮下ポケット内に埋め込まれてもよい。他の例では、IMD20は、患者40の他の領域、例えば、患者40の腹部若しくは臀部、又は患者40の頭蓋48に近接する皮下ポケット内に埋め込まれてもよい。リード線延長部50の近位端52は、接続スリーブブロック53(ヘッダ53とも称する)を介してIMD20に結合され、これは、例えば、リード線延長部50の近位端52においてそれぞれの電気接点に電気的に結合する電気接点を含み得る。電気接点は、リード線51の遠位端54によって支えられた電極60をIMD20に、導体(図示せず)を通して電気的に結合する。リード線延長部50及びリード線51は、患者40の胸腔内のIMD20の埋め込み部位を横切り、患者40の頸部に沿って、患者40の頭蓋を通り、脳49に到達する。一般に、IMD20は、体液による腐食及び分解に耐える生体適合性材料で構成される。IMD20は、処理回路、治療回路、及びメモリなどの構成要素を実質的に封入する気密ハウジングを備えてもよい。
【0035】
[0055]
これらの導体を定位置に固定し、リード線延長部50及び/又はリード線51の重要部分、例えばそれぞれ近位端52及び遠位端54において電気接点間の追加の絶縁を提供するために、リード線延長部50及び/又はリード線51の1つ以上の重要部分は、エポキシ又はポリマーなどの剛性補強絶縁材料で充填されてもよい。重要部分としては、例えば、IMD20との接触を意図したリード線延長部50の部分を含んでもよい。しかしながら、この例では、この絶縁材料は、リード線延長部50の、これらの重要部分での屈曲が高い圧縮及び/又は引張応力を有し得るように、重要部分におけるリード線延長部50の可撓性を低減することができる。これらの応力は、リード線延長部50内の導体の破損につながる場合がある。例えば、図1に示されるように、リード線延長部50は、リード線延長部50がIMD20に結合している近位端52付近に屈曲部を有し得る。この屈曲部は、リード線延長部50がIMD20から離れて配置された場合よりも、リード線延長部50の侵襲性がより低くなり得るように、リード線延長部50をIMD20付近に配置し、通されることを可能にし得る。しかしながら、この屈曲部は、応力除去機構を有さずに、屈曲部付近の導体が破断しやすいように、重要部分にあってもよい。本開示の実施形態によれば、リード線延長部50は応力緩和部分を含んでもよく、この部分では、リード線延長部50の端部付近のリード線延長部50の導体がリード線延長部50の本体に固定されないが、その代わりに自由に移動し、それによって、以下で更に説明するように、リード線延長部50の屈曲部又は他の移動によって生じる圧縮又は引張応力を緩和する。
【0036】
[0056]
リード線51は、脳49内の1つ以上の標的組織部位に電気刺激を送達するように配置され、患者40の障害に関連する患者症状を管理することができる。リード線51は、頭蓋48内のそれぞれの孔を通って脳49の所望の位置に電極60を配置するために埋め込まれてもよい。リード線51は、電極60が治療中に脳49内の標的組織部位に電気刺激を提供することができるように、脳49内の任意の位置に位置付けられ得る。図1は、IMD20に結合された単一のリード線51を含むシステム10を示すが、いくつかの例では、システム10は、2つ以上のリード線を含んでもよい。
【0037】
[0057]
リード線51は、電極60を介して電気刺激を送達し、運動障害に加えて、様々な神経障害又は疾患、例えば発作障害又は精神障害を治療することができる。リード線51は、任意の好適な手法、例えば、患者40の頭蓋内のそれぞれの穿頭孔を通して、又は頭蓋48内の共通の穿頭孔を通して、脳49の所望の位置内に埋め込むことができる。リード線51は、リード線51の電極60が治療中に標的組織に電気刺激を提供することができるように、脳49内の任意の位置に位置付けられ得る。図1に示される例では、リード線51の電極60は、分割電極及びリング電極として示されている。リード線51の電極60は、成形された電界を生成することができる複合電極アレイ形状を有してもよい。このように、電気刺激をリード線51から特定の方向に向け、治療効果を向上させ、大量の組織を刺激することによる有害な副作用の可能性を低減することができる。
【0038】
[0058]
IMD20は、1つ以上の刺激療法プログラムに従って患者40の脳49に電気刺激療法を送達することができる。治療プログラムは、IMD20から患者40の脳49に生成かつ送達される治療について、1つ以上の電気刺激パラメータ値を定義することができる。IMD20が、例えば電気パルスの形態で電気刺激を送達する場合、刺激療法は、パルス振幅、パルス繰返数、及びパルス幅などの選択されたパルスパラメータによって特徴付けることができる。加えて、刺激の送達のために異なる電極が利用可能である場合、治療は、選択された電極及びそれぞれの極性を含み得る、異なる電極の組み合わせによって更に特徴付けられてもよい。患者の障害を管理又は治療するのに役立つ刺激療法の正確な治療パラメータ値は、含まれる特定の標的刺激部位(例えば、脳の領域)、並びに特定の患者及び患者状態に特異的であり得る。
【0039】
[0059]
患者40の障害を管理するための治療を送達することに加えて、治療システム10は、例えば、患者40の1つ以上の生体電気脳信号などの電気信号を監視する。例えば、IMD20は、脳49の1つ以上の領域内の生体電気脳信号を感知する感知回路を含んでもよい。図1に示される例では、電極60によって生成された信号は、リード線51及びリード線延長部50内の導体、例えば、リード線51の遠位端54とリード線延長部50の近位端52との間のリード線51及びリード線延長部50内の1つ以上の導体を介して、IMD20内の感知回路に伝導される。
【0040】
[0060]
プログラマー30は、必要に応じてIMD20と無線通信し、治療情報を提供又は取得する。プログラマー30は、ユーザー、例えば臨床医及び/又は患者40がIMD20と通信するために使用され得る外部コンピューティングデバイスである。例えば、プログラマー30は、臨床医が使用してIMD20と通信し、IMD20に対する1つ以上の治療プログラムをプログラムする、臨床医用プログラマーであってもよい。あるいは、プログラマー30は、患者40がプログラムを選択し、かつ/又は治療パラメータを閲覧及び修正することを可能にする、患者用プログラマーであってもよい。臨床医用プログラマーは、患者用プログラマーよりも多くのプログラミング特徴を含んでもよい。換言すれば、より複雑な、又は慎重に行うべきタスクは、訓練されていない患者がIMD20への望まれない変更をすることを避けるために、臨床医用プログラマーによってのみ許容され得る。
【0041】
[0061]
プログラマー30は、ユーザーによって閲覧可能なディスプレイと、プログラマー30への入力を提供するためのインターフェース(すなわち、ユーザ入力機構)とを有する手持ち式コンピューティングデバイスであってもよい。他の例では、プログラマー30は、専用のコンピューティングデバイスではなく、別の多機能デバイス内のより大きなワークステーション又は別個のアプリケーションであってもよい。例えば、多機能デバイスは、コンピューティングデバイスが安定した医療装置プログラマー30として動作することを可能にするアプリケーションを実行することができる、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、ワークステーション、携帯電話、携帯情報端末、又は別のコンピューティングデバイスであってもよい。
【0042】
[0062]
この場合も、リード線51はDBS用途で使用するために記載されているが、リード線51又は他のリード線は、患者40内の任意の他の場所に埋め込まれてもよい。例えば、リード線51は、脊髄、陰部神経、仙骨神経、又は刺激され得る任意の他の神経若しくは筋肉組織の近くに埋め込むことができる。本明細書に記載されるユーザーインターフェースを用いて、任意の種類の刺激療法の刺激パラメータをプログラムすることができる。骨盤神経の場合、刺激フィールドを画定することにより、臨床医は、複数のリード線を患者40内に深く、かつ傷つきやすい神経組織に隣接して複数のリード線を配置することなく、複数の所望の神経を刺激することを可能にし得る。また、リード線が、刺激の治療効果をもはや知覚しない組織又は患者40内の新たな位置に移動する場合、治療法を変更することもできる。本開示の特徴又は技術は、他の種類の医療用途において有用であり得る。
【0043】
[0063]
図2は、IMD20の構成要素を示す機能的ブロック図である。示されるように、治療システム10は、リード線延長部50を介してリード線51に連結されたIMD20を含む。図2の例では、IMD20は、処理回路24と、メモリ26と、スイッチング回路21と、感知回路22と、テレメトリ回路23と、センサ25と、電源29とを含む。処理回路24は、任意の1つ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は別個の論理回路を含んでもよい。処理回路24を含む、本明細書に記載されるプロセッサに起因する機能は、例えば、ソフトウェア及び/又はファームウェアによってサポートされるようなハードウェアデバイスの処理回路によって提供されてもよい。処理回路24は、スイッチング回路を制御し、振幅、パルス幅、及びパルス繰返数などの特定の刺激パラメータ値を適用する。
【0044】
[0064]
メモリ26は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、不揮発性RAM(NVRAM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリなどの、任意の揮発性又は不揮発性媒体を含んでもよい。メモリ26は、処理回路24によって実行されると、IMD20に様々な機能を実行させるコンピュータ可読命令を記憶してもよい。メモリ26は、記憶デバイス又は他の非一時的媒体であってもよい。
【0045】
[0065]
図2に示される例では、リード線51は、遠位端54に位置する電極60を含む。処理回路24はまた、スイッチング回路21を制御し、刺激発生器によって生成され得る刺激信号を生成し、選択された電極の組み合わせに印加する。いくつかの例では、スイッチング回路21は、リード線51及びリード線延長部50内の選択された導体に刺激信号を結合し、次に、選択された電極全体に刺激信号を送達する。このようなスイッチング回路21は、選択された電極に刺激エネルギーを選択的に結合し、選択された電極を用いて脊椎の生体電気神経信号を選択的に感知するように構成されている、スイッチアレイ、スイッチマトリックス、マルチプレクサ、又は任意の他の種類のスイッチング回路であってもよい。
【0046】
[0066]
しかしながら、他の例では、刺激発生器はスイッチング回路を含まない。これらの例では、刺激発生器は、各対の電極が固有の信号発生器を有するように電極のそれぞれに接続された、複数の対の電圧源、電流源、電圧シンク、又は電流シンクを備える。換言すれば、これらの例では、電極間の信号の切り替えとは対照的に、各電極は、それ自体の信号発生器を介して(例えば、調節された電圧源とシンク又は調節された電流源及びシンクの組み合わせを介して)、独立して制御される。
【0047】
[0067]
スイッチング回路21は、単一チャネル又はマルチチャネル刺激発生器であってもよい。特に、スイッチング回路21は、単一の電極の組み合わせを介して所与の時間に単一の刺激パルス若しくは複数の刺激パルスを、又は、複数の電極の組み合わせを介して所与の時間に複数の刺激パルスを送達することが可能であり得る。しかしながら、いくつかの例では、スイッチング回路21は、時間インターリーブに基づいて複数のチャネルを送達するように構成されてもよい。例えば、スイッチング回路21は、異なる時間に異なる電極の組み合わせにわたってスイッチング回路21の出力を時間分割して、患者40に刺激エネルギーの複数のプログラム又はチャネルを送達するように機能し得る。別の例では、スイッチング回路21は、時間インターリーブに基づいて独立した源又はシンクを制御することができる。
【0048】
[0068]
リード線延長部50は、複合電極アレイ形状を含む遠位端54を含んでもよいが、他の例では、長手方向軸に沿って1つ以上の単一のリング電極を含んでもよい。一例では、リード線51の遠位端54は、リード線の長手方向軸に沿って異なる軸方向位置で配置された複数の電極60と、リード線の周囲に異なる角度位置で配置された複数の電極60(電極セグメントと称し得る)とを含む。このようにして、電極を、リード線51の長手方向軸に沿って、かつリード線の円周に沿って選択することができる。リード線51の電極60を選択的に活性化することにより、脳49の標的解剖学的領域の周囲の刺激フィールドを隔離するために、リード線51の特定の側に向けられ得るカスタマイズ可能な刺激フィールドを生成することができる。これらの技術はまた、3つ以上又は1つ以下のリング電極を有するリード線に適用されてもよい。更に他の場合では、リード線51は、分割電極のみ、又はリング電極のみを含んでもよい。
【0049】
[0069]
図2では、感知回路22は、刺激発生器21及び処理回路24を有する共通のハウジング内に組み込まれているが、他の例では、感知回路22は、IMD20とは別のハウジング内にあってもよく、有線又は無線通信技術を介して処理回路24と通信することができる。例示的な生体電気信号としては、例えば、脊椎又は脳の1つ以上の領域内の局所電場電位から生成される信号が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
[0070]
センサ25は、それぞれの患者パラメータの値を感知する1つ以上の感知素子を含んでもよい。例えば、センサ25は、1つ以上の加速度計、光センサ、化学センサ、温度センサ、圧力センサ、又は任意の他の種類のセンサを含んでもよい。センサ25は、治療の送達を制御するためのフィードバックとして使用され得る患者パラメータ値を出力することができる。IMD20は、IMD20のハウジング内に、及び/又はリード線50又は他のリード線のうちの1つを介して別個のモジュールとして連結された、追加のセンサを含んでもよい。加えて、IMD20は、例えばテレメトリ回路23を介してリモートセンサから無線でセンサ信号を受信することができる。いくつかの例では、これらのリモートセンサのうちの1つ以上は、患者の外部であってもよい(例えば、皮膚の外部表面上に置く、衣類に取り付ける、ないしは別の方法で患者の体外に配置される)。
【0051】
[0071]
テレメトリ回路23は、処理回路24の制御下で、IMD20と外部プログラマー(例えば、プログラマー30など)又は他のコンピューティングデバイスとの間の無線通信をサポートする。IMD20の処理回路24は、プログラマー30からテレメトリ回路23を介して、振幅及び電極の組み合わせなどの様々な刺激パラメータの値を、プログラムに対する更新として受信し得る。IMD20のテレメトリ回路23、並びに本明細書に記載される他の装置及びシステムのテレメトリ回路、例えばプログラマー30は、無線周波数(RF)通信技術による通信を達成することができる。加えて、テレメトリ回路23は、プログラマー30とのIMD20の近位誘導的相互作用を介して外部医療装置プログラマー30と通信することができる。したがって、テレメトリ回路23は、連続的に、周期的な間隔で、又はIMD20又はプログラマー30からの要求時に、プログラマー30に情報を送信することができる。
【0052】
[0072]
電源29は、IMD20の様々な構成要素に動作電力を供給する。電源29は、小型の充電式又は非充電式電池、及び動作電力を生成するための発電回路を含んでもよい。再充電は、外部充電器とIMD20内の誘導充電コイルとの間の近位誘導的相互作用によって達成されてもよい。いくつかの例では、電力要件は、IMD20が患者の運動の利用を可能にし、充電式電池をトリクル充電するための動力学的エネルギー消去装置を実行する程度に、小さくてよい。他の例では、従来の電池を限られた期間使用することができる。
【0053】
[0073]
上述したように、本明細書で説明される埋め込み可能な医療用リード線は、周囲のリード線本体に対して移動することによって応力を緩和することができる導体を含んでもよい。図3Aは、本明細書で論じる応力除去機構を含む、例示的な医療用リード線延長部50の近位端52の長手方向断面図を示す概念図である。IMD20との接続部付近の近位端52に最も近いこのような領域は、リード線延長部50内の導体に相当な引張及び/又は圧縮応力を及ぼす急な屈曲部を有し得る。これらの応力除去機構は、単一の導体アセンブリ70Aの近位端52に関して説明されるが、これらの原理は、リード線延長部50の他の部分並びに/又は複数の導体アセンブリ及びそれらの対応する導体及びスリーブに適用されることが理解されるであろう。更に、他の埋め込み可能な医療装置は、本明細書で論じられる技術を利用して、埋め込み可能な医療装置内の導体に対する応力を緩和し得ることが理解されるであろう。
【0054】
[0074]
リード線延長部50は、リード線本体62の長手方向軸を画定する、遠位端(例えば、図1の遠位端54)と近位端52との間に延在するリード線本体62を含む。リード線本体62は、リード線延長部50の構造をなし、及び/又はリード線延長部50の導体及びコネクタなどの様々な機能的構成要素を包み込むように構成されてもよい。図3Aに示される近位端52において、リード線本体62は、ルーメン64と、ジャケット66と、絶縁材料68とを含む。ジャケット66は、リード線延長部50の構成要素を包み、リード線延長部50の外側表面を形成するように構成されてもよい。ポリウレタン(例えば、55D、80A、75Dなど)、シリコーン、シリコン-ポリウレタンブレンドなどが挙げられるが、これらに限定されない様々な材料が、ジャケット66に使用されてもよい。ルーメン64は、患者内にリード線延長部50を配置するためのスタイレット、ガイドワイヤ、又は他のガイド装置を受容するように構成されてもよい。例えば、ルーメン64は、ガイド装置と係合する1つ以上の構造体を含んでもよい。図3Aの例では、ルーメン64は軸外で示されており、そのため、1つ以上の導体が、ルーメン64の反対側の長手方向軸の周りに配置され得るが、いくつかの例では、ルーメン64は中央ルーメンであり、長手方向軸がルーメン64を通って延在し、複数の導体がルーメン64の周囲に配置され得る。
【0055】
[0075]
絶縁材料68は、ジャケット66内のリード線延長部50の構造をなすように構成されてもよい。例えば、絶縁材料68は、リード線延長部50内の定位置に1つ以上の導体を固定し、絶縁材料68を含むリード線延長部50の部分においてリード線延長部50の構造的一体性を維持することができる、剛性材料を含み得る。絶縁材料68は、身体組織との接触に適している、ポリウレタン、シリコーン、フルオロポリマー、フルオロエラストマー、ポリエチレン、ポリエステル、エポキシ、及び他の生体適合性ポリマーを含むが、これらに限定されないポリマー材料から形成され得る。いくつかの例では、絶縁材料68は、2つ以上の材料を含む。例えば、絶縁材料68は、以下で更に論じるように、ジャケット66の内面に接触し、導体アセンブリのためのチャネルを含む、弾性ポリマーなどの第1の材料を含んでもよい。絶縁材料68は、第1の材料のチャネル内の導体アセンブリの外側表面に接触する、剛性ポリマーなどの第2の材料を更に含んでもよい。
【0056】
[0076]
リード線本体62は、近位端52に絶縁材料68を含むが、リード線延長部50の他の部分において、リード線本体62は、より多くの構成要素、又は、絶縁材料68を含まないなどより少ない構成要素を含んでもよい。例えば、近位端52から更に離れたリード線延長部50の他の部分が絶縁材料を含まないことが望ましい場合があり、そのような部分において、剛性が大きな構造的利点を提供しないからである。
【0057】
[0077]
図示されていないが、リード線延長部50は、図1のIMD20の接続ヘッダ53など、医療装置と係合するように構成された1つ以上の固定機構を含み、リード線延長部50を装置に固定し、及び/又はリード線延長部50の装置への挿入距離を制限することができる。例えば、リード線延長部50の近位端52は、プラグのような雌コネクタに挿入される雄コネクタを形成する。ヘッダ53内の、リード線延長部50の近位端52上の電気コネクタ56と整列する電気接点であってもよい。コネクタ56A上の隆起部59は、リード線延長部50がヘッダ53内に設定距離を超えて延在することを防ぐことができる。図3Aには隆起部が示されているが、クリップ、磁石、ねじなどが挙げられるが、これらに限定されない様々な固定機構が使用されてもよい。
【0058】
[0078]
リード線延長部50の近位端52は、1つ以上のコネクタを含む。単一の電気コネクタ56Aのみが示されているが、リード線延長部50は複数のコネクタを含んでもよく、各コネクタは、図3Bに記載されるように、少なくとも1つの導体に電気的に接続されている。電気コネクタ56Aは、リード線本体62内の導体72Aに電気的に結合されてもよく、図1又は2のIMD20の接点など、リード線延長部50の外部の導電コンタクトに電気的に結合するように構成されてもよい。電気コネクタ56Aは、IMD20が近位端52を受容し、電気コネクタ56Aに電気的に結合され得るように、リード線延長部50の近位端52に又はその付近に配置されてもよい。いくつかの例では、電気コネクタ56Aは、リード線延長部50の外周に延在するリング接点であってもよい。電気コネクタ56Aは、白金、パラジウム、イリジウム、チタン及びチタン合金、例えば、チタンモリブデン合金(TiMoly)、ニッケル及びニッケル合金、例えばMP35N合金などを含むが、これらに限定されない、導電性材料から形成されてもよい。
【0059】
[0079]
医療用リード線の例示的な設計では、導体を、リード線の絶縁材料68などのポリマー充填物に直接固定することができる。これらの例示的な設計では、ポリマー充填物にかかる応力が導体に伝達されるように、導体はポリマー充填物に対して移動しなくてもよい。これらの例示的な設計とは対照的に、リード線延長部50は、それぞれの導体アセンブリ内の導体72Aなどの導体の相対的な移動を可能にするように構成されている、リード線延長部50内の導体アセンブリ70Aなどの1つ以上の導体アセンブリを含む。図3Aの例では、1つの導体アセンブリ70Aのみが示されているが、図3Bに示されるように、リード線50は、リード線延長部50が複数の導体及び複数のコネクタを含むように、複数の導体アセンブリを含んでもよい。したがって、導体アセンブリ70A、導体72A、スリーブ74A、及び電気コネクタ56Aの説明及び構成は、リード線延長部50の内部の導体及び延長部上のコネクタに適用することができる。
【0060】
[0080]
導体アセンブリ70Aは、電気伝導体72Aを含む。電気伝導体72Aは、リード線本体62の長手方向軸の周りに延在する。電気伝導体72Aは、例えばコネクタスリーブ58Aを介して電気コネクタ56Aに、及び、電極、止めねじ、又は別の導体素子などのリード線延長部50の遠位端にある導体素子に、電気的に結合される。レーザー溶接、圧着、抵抗溶接、延伸加工などが挙げられるが、これらに限定されない様々な方法を用いて、電気コネクタ56Aを電気伝導体72Aに電気的に結合することができる。導体72Aは、リード線本体62によって他の導体から電気的に絶縁されて、リード線本体62を通る別個のチャネル、回路、又は導電性経路を形成することができる。いくつかの例では、導体72Aは、導電部分の周囲に電気絶縁体シースを含んでもよい。電気絶縁体シースは、導体72Aに対して電気接点が意図されない電極又はコネクタなどの、リード線延長部50内の別の構成要素との望ましくない接触から導体72Aを電気的に絶縁するように構成されてもよい。いくつかの例では、導体72Aは、低摩擦コーティングなどのコーティングを含んでもよい。いくつかの例では、導体72Aは、電気絶縁体シースの有無にかかわらず、少なくとも約0.0025インチ~約0.0080インチの直径を有してもよい。導体72Aは、遠位端上に遠位接続部分と、近位端上の近位接続部分とを有してもよい。遠位及び近位接続部分は、導体72Aを電気コネクタ56Aと、電極、例えば図1及び2に示される電極60のうちの1つとに電気的に結合するように構成されてもよい。いくつかの例では、導体72Aは、編組又はケーブル配線された2つ以上の導電性材料のストランドを含み得る。いくつかの例では、導体72Aは、コイル状である1つ以上の糸を含んでもよい。
【0061】
[0081]
導体アセンブリ70Aは、導体72Aの周囲に配置されたスリーブ74Aを含む。スリーブ74Aの外側表面は、リード線本体62の絶縁材料68に結合され(すなわち、接触するか、又は取り付けられる)、これにより、スリーブ74Aはリード線本体62に固定され得る。スリーブ74Aの内側表面は導体72Aと接触する。いくつかの例では、スリーブ74Aは、約1mm未満の厚さを有する。いくつかの例では、スリーブ74Aは、約0.0005インチ(約13μm)~約0.010インチ(約0.25mm)の厚さを有してもよい。
【0062】
[0082]
スリーブ74Aは、リード線延長部50の通常の動作条件中に経験する導体72Aに対する圧縮又は引張力に応答して、導体72Aの1つ以上の部分がスリーブ74A内で移動することを可能にするように構成されている。スリーブ74Aは、電気伝導体72Aに固定される固定部分76Aを含む。例えば、導体72A及びスリーブ74Aにより絶縁材料68がスリーブ74A内に入るのを防げるように、固定部分76Aは導体72Aに化学的又は機械的に結合されてもよい。いくつかの例では、導体72Aは、リード線延長部50の通常の動作条件下で固定部分76A内で移動しなくてもよい。いくつかの例では、スリーブ74Aの端部が導体72Aの外側表面とスリーブ74Aの内面との間を浸透する液体から封止されるように、固定部分76Aが固定されてもよい。スリーブ74Aはまた、電気伝導体72Aに固定されない非固定部分78Aを含む。例えば、導体72Aが、リード線延長部50の通常の動作条件下で非固定部分78A内で移動できるように、非固定部分78Aは、導体72Aに化学的又は機械的に結合されていなくてもよい(又は、低い程度で化学的又は機械的に結合されてもよい)。このようにして、絶縁材料68は、絶縁材料68の長さに対して適所に導体を機械的に係止することなく、近位端52などのリード線延長部50の特定の部分への構造的支持を依然として提供することができ、それにより、導体72の自己応力緩和を可能にする。
【0063】
[0083]
図3C及び図3Dは、スリーブ74A内に導体72Aを含むリード線延長部50の近位端52の断面を示す簡略化された長手方向断面図である。スリーブ74Aは、固定部分76A及び非固定部分78Aを含む。図3Cは、スリーブ74A内の導体72Aが線75Aによって示される第1の位置にあるように、直線構成のリード線延長部50を示す。図3Dは、スリーブ74A内の導体72Aがスリーブ74A内で第1の位置75Aに対して移動した線75Bによって示される第2の位置へと移動するように、屈曲構成にあるリード線延長部50を示す。したがって、スリーブ74Aの非固定部分78Aでは、導体72Aは、スリーブ74Aに対して、したがってリード線本体に対して移動する。しかしながら、スリーブ74Aの非固定部分78Aではなく、スリーブ74Aの固定部分76Aに屈曲部がある場合、導体72Aは、スリーブ74Aに対して移動しない。
【0064】
[0084]
図3Aを再び参照すると、いくつかの例では、固定部分76Aは、導体72Aに対してスリーブ74Aの近位端を封止するように構成されてもよい。例えば、固定部分76Aは、スリーブ74Aの近位端、及び/又はリード線延長部50の近位端52、例えば電気コネクタ56A付近に配置されてもよい。以下の図6の工程136で説明されるように、固定部分76Aのそのような位置は、絶縁材料68を意図した材料が、スリーブ74A内に流入し、導体72Aをスリーブ74A又は絶縁材料68に不注意に固定することなく、スリーブ74Aの近位端を封止し、導体アセンブリ70Aが絶縁材料68によって取り囲まれることを可能にできる。しかしながら、スリーブ74Aの対応する遠位端は、絶縁材料68がスリーブ74Aの遠位端まで延在しなくてもよいため、導体72Aに固定されなくてもよい。いくつかの例では、固定部分76Aは、例えば電気コネクタ56Aに最も近いリード線延長部50の近位端52から約2インチ(約5cm)以内に配置されてもよい。いくつかの例では、スリーブ74Aの固定部分76Aは、スリーブ74Aの非固定部分78Aの近位にある。例えば、固定部分76Aは、スリーブ74Aの残部が非固定部分78Aであり得るように、スリーブ74Aの近位端にあってもよい。
【0065】
[0085]
固定部分76Aは、固定部分76Aが導体72Aを固定部分76Aでスリーブ74A内に固定できるように、様々な長さを有してもよい。固定部分76Aの長さは、製造中に絶縁材料68から導体アセンブリ70Aを確実に封止する距離(例えば、射出中の絶縁材料68の粘度又は表面張力に依存する)、リード線延長部50内の空間的制約、コネクタ56の数、コネクタ56の間隔、リード線延長部50の予想される屈曲位置、固定部分76Aの取外荷重などが挙げられるが、これらに限定されない、様々な要因に従って選択され得る。いくつかの例では、近位端52における固定部分76Aの長さは、近位端52における最遠位電気コネクタを越えて約0.05インチ(約0.13cm)~約1インチ(約2.5cm)であってもよい。固定部分76Aは、スリーブ74Aの単一部分に関して説明されているが、いくつかの例では、導体アセンブリ70Aは、複数の固定部分を含んでもよい。例えば、リード線51の遠位端は、複数の電極に最も近い固定部分と、固定部分の近位の非固定部分とを含んでもよい。
【0066】
[0086]
いくつかの例、例えば、リード線延長部50の近位端52では、非固定部分78Aは、固定部分76Aの遠位に配置されてもよい。例えば、スリーブ74Aの近位端が封止されると、スリーブ74Aの残部は、非固定部分78Aの一部であってもよい。非固定部分78Aは、導体72Aが、近位端52に最も近いリード線延長部50の部分など、高応力の領域でスリーブ74Aに対して移動できるように構成されてもよい。リード線延長部50のそのような部分は、IMD20から比較的鋭い角度で通されてもよい。いくつかの例では、スリーブ74Aの非固定部分78Aの近位端は、最遠位電気コネクタから約10cm未満であり、非固定部分78Aの遠位端は、リード線延長部50の遠位端まで延在してもよい。非固定部分78Aは、様々な長さを有してもよい。いくつかの例では、スリーブ74Aの非固定部分78Aは、約2.5cmを超える、例えば、絶縁材料68で充填されたリード線本体62の部分の近位端よりも大きい長さを有する。例えば、上述したように、固定部分76Aは、絶縁材料68がスリーブ74Aの近位端に流入するのを防ぐことができる。絶縁材料68がスリーブ74Aの遠位部分に流入するのを防ぐために、以下の図3Bに記載されるように、スリーブ74Aの遠位端が、絶縁材料68の予想される充填ラインを越えて延在するように、スリーブ74Aの長さが選択されてもよい。
【0067】
[0087]
固定部分76A及び非固定部分78Aを形成するために、スリーブ74Aは、固定部分76Aに選択的に固定される一方で非固定部分78Aに固定されないように構成されてもよい。スリーブ74Aは、様々な機構を用いて導体72Aに固定されるように構成されてもよい。いくつかの例では、スリーブ74Aは、スリーブ74Aの内面の直径が減少してスリーブ74Aを導体72Aに対して固定する、及び/又はスリーブ74Aを導体72Aに対して封止するのに十分な力を導体72Aに及ぼすように、刺激に応じて半径方向に収縮するように構成されている。スリーブ74Aを導体72Aに固定するための機構としては、熱収縮、化学収縮、接着などを挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの例では、スリーブ74Aは熱収縮スリーブであり、熱源にさらされたスリーブ74Aの長さが収縮して固定部分76Aを形成することができる。ポリオレフィン、ポリプロピレンなどを含むが、これらに限定されない様々な熱収縮材料を、スリーブ74Aに使用してもよい。いくつかの例では、スリーブ74Aは、スリーブ74Aが周囲で導体72Aを完全に取り囲むような管である。
【0068】
[0088]
図3Bは、4つのリングコネクタ56A、56B、56C、及び56D(まとめて「コネクタ56」と称する)を含む、例示的なリード線延長部50の部分切欠上面図を示す概念図である。コネクタ56のそれぞれは、導体アセンブリ70A、70B、70C、及び70D(まとめて「導体アセンブリ70」と称する)のそれぞれの導体に電気的に結合されている。各導体アセンブリ70A、70B、70C、70Dは、導体に固定されたそれぞれの固定部分76A、76B、76C、76D(まとめて「固定部分76」と称する)と、導体に固定されないそれぞれの非固定部分78A、78B、78C、78D(まとめて「非固定部分78」と称する)とを有するスリーブを含む。固定部分76は異なる長さを有するものとして示され、非固定部分78は同じ長さを有するものとして示されているが、固定部分76のそれぞれ及び非固定部分78のそれぞれは、同じ又は異なる長さを有してもよい。例えば、絶縁材料68は、導体アセンブリ70の対応するスリーブの長さ73よりも小さい近位端52からのリード線延長部50の特定の充填ライン69まで延在してもよく、それにより、スリーブ74の非固定部分78内の導体72の部分が自由に移動し、絶縁材料68の充填ライン69を越えた導体72の部分が自由に移動する。
【0069】
[0089]
本明細書で論じる埋め込み可能な医療用リード線は、図1図2図3A及び図3Bのリード線延長部50などの様々な設計を含み得る。医療用リード線に加えて、埋め込み可能な医療用リード線は、電極と電気刺激装置との間の導管として使用される他の細長い部材を含んでもよい。図4は、例示的な医療用リード線延長部80の斜視図を示す概念図である。リード線延長部80は、遠位端84及び近位端82を含む。リード線延長部80は、近位端82の複数の接点86と、伸長不可能な本体区分88と、移行部90と、伸長可能な本体区分92と、遠位端54Aの止めねじコネクタ94とを含む。
【0070】
[0090]
リード線延長部は、複数の接点86を止めねじコネクタ94のコネクタに電気的に結合する導体(図示せず)を含んでもよい。これらの導体は、導体がスリーブに固定される複数の接点86及び止めねじコネクタ94の近くなどの部分を含む、スリーブによって取り囲まれてもよい。しかしながら、スリーブはまた、伸長不可能な本体区分88の近くなど、導体がスリーブに固定されない非固定部分96を含んでもよい。伸長不可能な本体区分88が屈曲すると、導体は伸長不可能な本体区分88内で移動して、屈曲によって生じる応力を緩和することができる。
【0071】
[0091]
いずれの特定の理論にも限定されないが、図5A~5Dは、本明細書で説明される埋め込み可能な医療用リード線内の導体に対する応力に対する比較応答を示す。図5A及び図5Bは、それぞれ固定されている導体、及び自由に移動する導体を有する埋め込み可能な医療用リード線全体のひずみの分布を示す。図5Aは、導体108がリード線本体に固定されている例示的な埋め込み可能な医療用リード線100Aの断面図における、導体のひずみの大きさを示す概念図である。リード線100Aは、リード線本体を形成するジャケット102と、絶縁材料104と、ルーメン106とを含む。導体108がリード線100Aの絶縁材料104に固定されるとき、左(圧縮ひずみ)及び右(引張ひずみ)の矢印によって示されるように、リード線100Aは一体として作動し、ひずみが中立軸110Aを有するリード線100Aの断面にわたって分散される。そのため、図5Aの例では、導体108は中立軸110Aからオフセットされているため、導体108を破壊し得る高度のひずみを受ける。例えば、ひずみ(ε)は、以下の式に示されるように、中立軸110Aからの距離(γ)及び屈曲部の曲率半径(ρ)に関連し得る。
【0072】
【数1】
【0073】
[0092]
対称的に、図5Bは、導体108がリード線本体に固定されていない例示的な埋め込み可能な医療用リード線100Bの断面図における、導体のひずみの大きさを示す概念図である。リード線100Bは、リード線本体を形成するジャケット102と、絶縁材料104と、ルーメン106とを含む。しかしながら、図5Bの例では、スリーブ112がスリーブ112の外側表面において絶縁材料104に固定されるが、スリーブ112の内側表面において導体108に固定されないように、スリーブ112は導体108の周囲に配置される。導体108がリード線100Bの絶縁材料104に固定されていない場合、導体108はスリーブ112内で別々の本体として作動し、中立軸110Aを有するリード線100Aの断面全体ではなく、中立軸110Bを有する導体108の断面にわたって応力が分散される。そのため、図5Bの例では、リード線100B内の導体108は、図5Aのリード線100Aにおける導体108よりも低い引張ひずみを受ける。
【0074】
[0093]
図5C及び図5Dは、それぞれ固定されている導体、及び自由に移動する導体を有する埋め込み可能な医療用リード線内の亀裂に対する応答を示す。図5Cは、導体108がリード線本体に固定されている図5Aの例示的な埋め込み可能な医療用リード線100Aの破断の断面図を示す概念図である。リード線100Aの屈曲中、リード線100Aの部分上の引張力により、絶縁材料104及び導体108の部分など、リード線100Aの部分に亀裂を生じさせ得る。図5Dは、導体がリード線本体に固定されていない図5Bの例示的な埋め込み可能な医療用リード線100Bの破断の断面図を示す概念図である。図5Cのリード線100Aの導体108とは対照的に、リード線100Bの導体108は、導体108がスリーブ112を通って移動し得るように絶縁材料104に固定されなくてもよい。結果として、より低いレベルの引張ひずみが導体108全体に存在し得る。
【0075】
[0094]
図6は、図3Aのリード線延長部50などの埋め込み可能な医療用リード線を製造するための例示的な手法のフロー図である。図6は、非固定導体を有する医療用リード線を製造するための工程の一部分のみを説明し得る。図3Aのリード線延長部50が参照され得るが、図6の例示的な技術を使用して、様々な埋め込み可能な医療用リード線を製造することができる。例示的な技術は、電気伝導体72Aをスリーブ74A内に配置すること(130)を含み得る。いくつかの例では、スリーブ74Aの長さは、導体72Aの長さよりも短い。例えば、導体72Aを電気コネクタ56Aに電気的に結合するため導体72Aの端部が露出されるように、スリーブ74Aを配置してもよい。
【0076】
[0095]
例示的な技術は、スリーブ74Aの固定部分76Aを電気伝導体72Aに固定し、導体アセンブリ70Aを形成すること(132)を含み得る。スリーブ74Aが導体72Aに十分な力をかけ、通常の動作条件中にスリーブ74Aを適所に保持するように、スリーブ74Aの寸法を低減し得る、熱処理、化学処理、又は任意の他の機構が挙げられるが、これらに限定されない、様々な機構を用いて、スリーブ74Aの固定部分76Aを導体72Aに固定することができる。その結果、導体アセンブリ70Aは、導体72Aに固定される固定部分76Aと、電気伝導体に固定されない非固定部分78Aとを含み得る。いくつかの例では、スリーブ74Aは、熱収縮スリーブである。この例では、この技術は、固定部分76Aに対応するスリーブ74Aの外側表面に熱を加えて、導体72Aの周囲のスリーブ74Aの固定部分76Aを収縮させることを含み得る。スリーブ74Aの固定部分76Aを導体72Aに固定することに加えて、固定部分76Aは、導体72Aに対してスリーブ74Aの端部を封止してもよい。いくつかの例では、導体アセンブリ70Aは、スリーブ74Aの複数の部分が導体72Aに固定され得るように、複数の固定部分76Aを含んでもよい。
【0077】
[0096]
例示的な技術は、予め組み立てられたリード線本体の長手方向軸を中心に延在するチャネル内に導体アセンブリ70を配置すること(134)を含み得る。いくつかの例では、1つ以上の導体アセンブリ70がジャケット66内に配置され得るように、予め組み立てられたリード線本体は絶縁材料68を含まないジャケット66を含んでもよい。いくつかの例では、予め組み立てられたリード線本体は、絶縁材料68内に組み入れられたチャネルと共に絶縁材料68を含んでもよく、それにより、導体アセンブリ70は絶縁材料68を用いずに絶縁材料68の内部に嵌合して、導体アセンブリ70のスリーブ74の外側と緊密な結合を形成することができる。
【0078】
[0097]
いくつかの例では、例示的な技術は、導体アセンブリ70Aの導体72Aを電気コネクタ56Aに電気的に結合することを含み得る。例えば、導体72Aの裸部分が電気コネクタ56Aに溶接され得るように、導体アセンブリ70Aは、スリーブ74Aによって覆われていない導体72Aの近位端における部分を含んでもよい。
【0079】
[0098]
例示的な技術は、チャネルを絶縁材料で充填すること(136)を含み得る。絶縁材料は、スリーブ74Aによって形成された導体アセンブリ70Aの外側表面を取り囲む。チャネルがジャケット66によって形成される例では、絶縁材料は、ジャケット66内のルーメン64、導体72A、及び任意の他の導体72の周囲の容積を満たしてもよい。いくつかの例では、絶縁材料68は、スリーブ74Aの端部よりも近位端52に近い充填ラインまでのみ、チャネルを充填することができる。例えば、リード線延長部50の一部分のみが、構造的支持のための絶縁材料68を含み得る。この設計では、スリーブ74Aの近位端は、スリーブ74Aを絶縁材料から封止する固定部分76Aを有し、スリーブ74Aの遠位端は、絶縁材料68の充填ラインを超えてもよく、封止されなくてもよい。絶縁材料でチャネルを充填する間、スリーブ74Aの固定部分76Aは、絶縁材料が非固定部分78A内に入ることを実質的に防止することができ、これにより、導体72Aが非固定部分78A内で移動することができる。
【0080】
[0099]
例示的な技術は、絶縁材料を硬化させて絶縁材料68を形成し、絶縁材料68をスリーブ74に結合すること(138)を含み得る。絶縁材料68は、スリーブ74Aが絶縁材料68との境界面を形成するようにスリーブ74Aに接触又は取り付けられることによって、スリーブ74Aに結合することができる。例えば、絶縁材料は、スリーブ74Aによって形成された導体アセンブリ70Aの外側表面を包囲し、スリーブ74Aの外側表面と化学的及び/又は機械的に結合することができる。得られる医療用リード線は、スリーブ74Aの固定部分76Aを介して導体72Aに固定され、導体72Aに固定されていない非固定部分78Aを介して導体72Aに固定されない、リード線本体を含む。
【0081】
[0100]
上記の特徴及び技術は、例示である。任意の好適な技術を使用して、本明細書に記載される構造体を製造することができ、それぞれの構成要素に使用される特定の材料に基づいて変化させてもよい。
【0082】
[0101]
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部をなす添付の図面を参照することを含む。図面は、例示として、本発明が実施され得る特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも称される。このような例は、図示又は記載されたものに加えて、要素を含んでもよい。しかしながら、本発明者らはまた、図示又は記載された要素のみが提供される例を想到する。
【0083】
[0102]
これらの例は、任意の並べ替え又は組み合わせで組み合わされてもよい。更に、本発明者らはまた、本明細書に示される若しくは記載される特定の例(又はその1つ以上の態様)に関して、又は他の例(又はその1つ以上の態様)に関して、示される又は説明されるこれらの要素の任意の組み合わせ又は並べ替えを用いる例(又はその1つ以上の態様)も想到する。
【0084】
[0103]
実験結果
[0104]
モデリングサンプル1
[0105]
図7A図7Cは、中立軸から離れる方向への屈曲による、それぞれの医療用リード線上の圧縮応力及び引張応力を示す、本明細書で論じられる医療用リード線のシミュレーションから生成された図である。参照のために、図7Aは、屈曲がない例示的な医療用リード線140Aの0.1インチの断面の斜視図を示す概念図である。医療用リード線140Aは、ジャケット142と、それぞれのケーブルを含む4つの導体146Aと、コイルを含むルーメン148と、ジャケット142内で導体146A及びルーメン148を取り囲むキノコ形状のエポキシ絶縁材料144と、を含む。
【0085】
[0106]
図7Bは、導体146Bが絶縁材料144に固定されている、図7Aの医療用リード線140Aなどの例示的な埋め込み可能な医療用リード線140Bの断面の断面図における、導体のひずみの大きさを示す概念図である。横軸を中心に屈曲にさらされると、医療用リード線140Bは、リード線140Bの上の部分、例えばジャケット142の上部及び絶縁材料144の上部に圧縮力を受け、リード線140Bの下の部分、例えばジャケット142の底部、絶縁材料144の底部、導体146Bに引張力を受ける。そのため、導体146Bが絶縁材料144に固定される際に、導体146Bは、周囲の絶縁材料144と同様の引張ひずみにさらされる。対照的に、図7Cは、導体146Cが絶縁材料144に固定されていない、図7Aの医療用リード線140Aなどの例示的な埋め込み可能な医療用リード線140Cの断面の断面図における、導体のひずみの大きさを示す概念図である。横軸を中心に屈曲にさらされると、医療用リード線140Cは、リード線140Cの上の部分、例えばジャケット142の上部及び絶縁材料144の上部に圧縮力を受け、リード線140Cの下の部分、例えばジャケット142の底部、絶縁材料144の底部に引張力を受ける。しかしながら、導体146Cは絶縁材料144に固定されていないため、導体146Cは、はるかに低い引張応力にさらされる。
【0086】
[0107]
モデリングサンプル2
[0108]
図8A及び図8Bは、屈曲による医療用リード線の応答を示す、本明細書で論じられる医療用リード線のシミュレーションから生成された図である。図8Aは、導体158Aがリード線本体の絶縁材料154に固定されている例示的な埋め込み可能な医療用リード線150Aの断面の斜視図を示す概念図である。図8Aに示されるように、屈曲部は、剛性絶縁材料154及び導体158Aの両方を破断し得る。図8Bは、導体156Bがリード線本体の絶縁材料154に固定されていない例示的な埋め込み可能な医療用リード線の断面の斜視図を示す概念図である。図8Bに示されるように、屈曲部は絶縁材料154を破壊し得るが、導体158Bが絶縁材料154内で移動するため導体158Bを破断しない場合がある。
【0087】
[0109]
試験方法
[0110]
本明細書に前述した導体アセンブリを代表する4種類のケーブルサンプルを、試験のために作製した。実施例1では、非収縮包装スリーブをETFE絶縁ケーブル上に配置して、エポキシ絶縁材料に固定されていない医療用リード線の部分をシミュレーションした。実施例2では、非収縮包装スリーブをETFE絶縁ケーブル上に配置して、エポキシ絶縁材料に固定されておらず、導体ケーブル内により深くETFE埋め込みされた追加の加速係数を有する医療用リード線の部分をシミュレーションした。比較例1では、非収縮包装スリーブを有さないETFE絶縁ケーブルで、エポキシ絶縁材料に固定された医療用リード線の部分をシミュレーションした。比較例2では、非収縮包装スリーブを有さないETFE絶縁ケーブルで、エポキシ絶縁材料に固定されておらず、導体ケーブル内により深くETFE埋め込みされた追加の加速係数を有する医療用リード線の部分をシミュレーションした。各サンプルをポリウレタンコーティング内のエポキシに入れ、医療用リード線のリード線本体を表した。様々なサンプルについて、ケーブル取外荷重試験(実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2)、自動化急速ヘッダ屈曲試験(実施例1、比較例1、及び比較例2)、自動化急速ヘッダ屈曲試験後の恒久的ヘッダ疲労屈曲(実施例1及び比較例1)の、3つの異なる試験を実施した。
【0088】
[0111]
試験方法1-ケーブル取外荷重試験
[0112]
ケーブル取外荷重試験を使用して、医療用リード線のリード線本体を表すエポキシ内の、医療用リード線の近位端の導体を表すETFE被覆ケーブルの機械的係止レベルの特徴を確認した。このケーブル取外荷重試験は、材料型からそれぞれのケーブルを取り外すために必要な荷重を測定することができる。ケーブル取外荷重試験は、以下に示されるように、実施例1及び2などの装置本体内で移動できるサンプル群と、比較例1及び2などの装置本体内で移動できないサンプル群との間の区別を示し得る。更に、ケーブル取外荷重試験は、導体ケーブル内へのETFEのより深い埋め込みを含む加速ケースが、ETFE絶縁導体がエポキシの型に固定(又はより固定)される導体アセンブリの部分のように、エポキシ内の機械的係止を増加させることを達成でき、導体ケーブル内へのETFEのより深い埋め込みを含まない減速ケースが、導体がエポキシの型に固定されていない(又はより低い程度で固定されている)ETFE絶縁導体アセンブリの部分のように、エポキシ内の機械的係止を減少させることを達成できることを示し得る。ケーブル取外荷重試験の結果を以下の表1に示す。
【0089】
[0113]
【0090】
【表1】
【0091】
[0114]
図9は、ケーブル取外荷重試験を使用した、実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2の取外荷重のグラフである。図9に示されるように、非収縮包装スリーブの取外荷重は、スリーブを全く持たないサンプルの取外荷重よりも著しく低かった。したがって、非収縮包装スリーブ内の部分を有する導体は、導体に比較的低い力が加えられると、スリーブ内で移動し得ることが予想できる。
【0092】
[0115]
試験方法2-自動化急速ヘッダ屈曲試験
[0116]
自動化急速ヘッダ屈曲試験を使用して、ヘッダ周囲の急な屈曲部をシミュレーションし、屈曲中立軸に対するケーブルの方向を制御する間の破断を検出した。この方法では、破断を検出するため、実施例1、比較例1、及び比較例2内のケーブルの電気的連続性の測定中に、ヘッダ周囲の延長部を屈曲させることによって急な屈曲部を作り出す。各方向への屈曲は、各ケーブルが中立屈曲軸の引張側にある間に試験されることを可能にする。自動化急速ヘッダ屈曲試験の結果を以下の表2に示す。
【0093】
[0117]
【0094】
【表2】
【0095】
[0118]
表2に示されるように、1回のサイクルでスリーブを持たないサンプルにおいて破断が生じ得る。比較例2と同様に、加速係数としての熱処理を用いて、公称設計に比べてケーブル破断率を大幅に増加させる。これは、加速係数が、エポキシ中に注型されたETFE被覆ケーブルの機械的係止を増加させると予想される。対照的に、非収縮包装設計(実施例1)は、いかなるケーブル破断も有さなかった。
【0096】
[0119]
試験方法3-自動化急速ヘッダ屈曲試験後の恒久的ヘッダ疲労屈曲
[0120]
試験方法2の「90°方向」の急な屈曲部の延長の後、システム仕様によるヘッダ疲労屈曲の恒久的延長に曝露するため、自動化急速ヘッダ屈曲試験後の恒久的ヘッダ疲労屈曲を実施例1及び比較例1に対して実施した。この方法は、システム要件による疲労屈曲についてこの曝露がサンプルを損なうかどうかを理解するために、試験方法2による1つの急な屈曲部の延長を露出させる。サンプルを、試験の両部分において電気的連続性について監視した。自動化急速ヘッダ屈曲試験後の恒久的ヘッダ疲労屈曲の結果を以下の表3に示す。
【0097】
[0121]
【0098】
【表3】
【0099】
[0122]
図10は、実施例1及び比較例1の破断までのサイクルのグラフである。比較例1は、急な屈曲部によって損傷し、いくつかのサンプルは、第2の曝露中に1Mサイクルに到達しなかった。
【0100】
[0123]
本開示の様々な態様が記載されている。これらの例及び他の態様は、下記の特許請求の範囲の範囲内である。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10
【国際調査報告】