(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(54)【発明の名称】組織成分の非侵襲的検出方法、装置、システム、及びウェアラブルデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 21/3577 20140101AFI20220203BHJP
A61B 5/1455 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G01N21/3577
A61B5/1455
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533668
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 CN2019125781
(87)【国際公開番号】W WO2020119825
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】201811539082.1
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511082333
【氏名又は名称】天津先陽科技発展有限公司
【住所又は居所原語表記】No. 6, 5th Floor, B Area,No. 41, The Fifth Street,Tianjin Development Area,Tianjin 300457, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】徐 可欣
(72)【発明者】
【氏名】韓 同師
(72)【発明者】
【氏名】王 玉祥
(72)【発明者】
【氏名】趙 丕城
【テーマコード(参考)】
2G059
4C038
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB04
2G059BB08
2G059BB12
2G059CC16
2G059EE01
2G059EE02
2G059EE11
2G059HH01
2G059KK01
2G059MM01
2G059MM05
4C038KK10
4C038KL05
4C038KL07
4C038KX01
(57)【要約】
本発明は、組織成分の非侵襲的検出方法、装置、システム、及びウェアラブルデバイスを提供する。当該方法は、各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射することと、各所定の波長に対して、入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて、被検出部位の表面から射出される光強度値を取得することと、各所定の波長における各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することと、を含む。本発明の実施例は、広い範囲の光強度値の受光を実現できるので、光の受光効率を向上させ、さらに、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。また、異なる光強度値に対しては、差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除できるので、同様に、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する照射ステップと、
各前記所定の波長に対して、前記入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて、前記被検出部位の表面から射出される光強度値を取得する取得ステップと、
各前記所定の波長における各前記光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する確定ステップと、を含む、
ことを特徴とする、組織成分の非侵襲的検出方法。
【請求項2】
前記取得ステップは、各前記所定の波長に対して、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得することを含み、
前記感光領域と前記光強度値とは、一対一で対応する、
ことを特徴とする、請求項1に記載的方法。
【請求項3】
前記取得ステップは、各前記所定の波長に対して、M個のループ状感光面に基づいて、前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得することをさらに含み、
各前記ループ状感光面と前記光強度値とは、一対一で対応し、
ここで、M≧1である、
ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各前記ループ状感光面の内径は、0.5mm以上、6mm以下であり、
各前記ループ状感光面のループ幅は、0.05mm以上、0.3mm以下である、
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
M=4であると、径方向に沿って内から外へのM個の前記ループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、及び第4内径であり、前記第1内径は、1.2mm以上、3mm未満であり、前記第2内径は、3mm以上、3.8mm未満であり、前記第3内径は、3.8mm以上、4.4mm未満であり、前記第4内径は、4.4mm以上、6mm以下であり、または、
M=5であると、径方向に沿って内から外へのM個の前記ループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、第4内径、及び第5内径であり、前記第1内径は、1.2mm以上、2mm未満であり、前記第2内径は、2mm以上、2.8mm未満であり、前記第3内径は、2.8mm以上、3.6mm未満であり、前記第4内径は、3.6mm以上、4.2mm未満であり、前記第5内径は、4.2mm以上、6mm以下である、
ことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各前記ループ状感光面のループ幅は、0.1mm又は0.2mmである、
ことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各前記所定の波長の範囲は、900nm以上、2400nm以下である、
ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記確定ステップは、
各前記所定の波長における各前記光強度値から、1つの光強度値を確定して各前記所定の波長における光強度目標値とすることと、
各前記所定の波長における前記光強度目標値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することと、を含む、
ことを特徴とする、請求項2~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記確定ステップは、
各前記所定の波長における各前記光強度値から、光強度測定値及び光強度参考値を確定することと、
各前記所定の波長における前記光強度測定値及び前記光強度参考値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することと、を含む、
ことを特徴とする、請求項2~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記各前記所定の波長における各前記光強度値から、光強度測定値及び光強度参考値を確定することは、
各前記所定の波長に対して、波長特性、光学パラメーター、及び皮膚構成パラメーターのうちの少なくとも1つを含む所定の条件に応じて、前記所定の波長に対応する各前記光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定すること、を含む、
ことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記各前記所定の波長に対して、波長特性、光学パラメーター、及び皮膚構成パラメーターのうちの少なくとも1つを含む所定の条件に応じて、前記所定の波長に対応する各前記光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定することは、
各前記所定の波長に対して、光強度変化量に応じて、前記所定の波長に対応する各前記光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定すること、を含み、
前記光強度測定値は、光強度変化量の絶対値が第1変化量閾値以上である光強度値であり、
前記光強度参考値は、光強度変化量の絶対値が第2変化量閾値以下である光強度値であり、
前記光強度変化量は、前記光強度値と対応する所定の光強度値との間の変化量であり、
前記第1変化量閾値は、前記第2変化量閾値よりも大きく、
前記所定の光強度値は、検出されるべき組織成分の濃度が所定の濃度であるとき、被検出部位の表面から射出された光強度値である、
ことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記各前記所定の波長における前記光強度測定値及び前記光強度参考値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することは、
各前記所定の波長に対して、前記所定の波長に対応する前記光強度測定値及び前記光強度参考値に対して差分演算を行って、差分光強度値を得ることと、
各前記所定の波長における前記差分光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することと、を含む、
ことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記取得ステップの前に、干渉光を遮蔽することをさらに含む、
ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
光源モジュール、検出モジュール、及び処理モジュールを含み、
前記検出モジュールは前記処理モジュールに通信可能に接続され、
前記光源モジュールは、各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射し、
前記検出モジュールは、各前記所定の波長に対して、前記入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各前記光強度値を前記処理モジュールに送信し、前記所定の距離の数は少なくとも1つであり、
前記処理モジュールは、各前記所定の波長における各前記光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する、
ことを特徴とする、組織成分の非侵襲的検出装置。
【請求項15】
前記検出モジュールは、少なくとも1つの感光面を含み、
同一の所定の距離における異なる前記感光面の陽極電極は接続され、
各所定の距離に対して、少なくとも1つの前記感光面が設けられ、
前記検出モジュールは、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、
前記感光領域と前記光強度値とは、一対一で対応する、
ことを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
各前記感光面は、ループ状感光面であり、
異なる前記ループ状感光面は、幾何的中心が同じように設けられており、
前記ループ状感光面の数は、M個であり、ここで、M≧1である、
ことを特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
各前記ループ状感光面の内径は、0.5mm以上、6mm以下であり、
各前記ループ状感光面のループ幅は、0.05mm以上、0.3mm以下である、
ことを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
M=4であると、径方向に沿って内から外へのM個の前記ループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、及び第4内径であり、前記第1内径は、1.2mm以上、3mm未満であり、前記第2内径は、3mm以上、3.8mm未満であり、前記第3内径は、3.8mm以上、4.4mm未満であり、前記第4内径は、4.4mm以上、6mm以下であり、または、
M=5であると、径方向に沿って内から外へのM個の前記ループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、第4内径、及び第5内径であり、前記第1内径は、1.2mm以上、2mm未満であり、前記第2内径は、2mm以上、2.8mm未満であり、前記第3内径は、2.8mm以上、3.6mm未満であり、前記第4内径は、3.6mm以上、4.2mm未満であり、前記第5内径は、4.2mm以上、6mm以下である、
ことを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
各前記ループ状感光面のループ幅は、0.1mm又は0.2mmである、
ことを特徴とする、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
各前記所定の波長の範囲は、900nm以上、2400nm以下である、
ことを特徴とする、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項21】
第1スリーブをさらに含み、
前記第1スリーブは前記検出モジュールの上面に設けられ、前記第1スリーブの内径は前記検出モジュール上の孔の直径よりも大きく、
前記第1スリーブは、各前記入射光が前記被検出部位の表面を通過することにより生成される表面反射光が前記検出モジュールに入ることを阻止するとともに、各前記入射光が前記検出モジュールの孔を通過することにより生成される回折光が前記検出モジュールに入ることを阻止する、
ことを特徴とする、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項22】
前記検出モジュールには、一体的に接続された第2スリーブがさらに設けられており、
前記第2スリーブは、前記検出モジュールの上面に設けられ、前記第2スリーブの内径は前記検出モジュール上の孔の直径よりも大きく、
前記第2スリーブは、各前記入射光が前記被検出部位の表面を通過することにより生成される表面反射光が前記検出モジュールに入ることを阻止するとともに、各前記入射光が前記検出モジュールの孔を通過することにより生成される回折光が前記検出モジュールに入ることを阻止する、
ことを特徴とする、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項23】
第3スリーブをさらに含み、
前記第3スリーブの上面は、前記検出モジュールの孔を通過して、前記検出モジュールの上面からはみだしており、
前記第3スリーブは、各前記入射光が前記被検出部位の表面を通過することにより生成される表面反射光が前記検出モジュールに入ることを阻止するとともに、各前記入射光が前記検出モジュールの孔を通過することにより生成される回折光が前記検出モジュールに入ることを阻止する、
ことを特徴とする、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項24】
ハウジングをさらに含み、
前記光源モジュール、前記検出モジュール、及び前記処理モジュールは前記ハウジングの内部に設けられており、
前記検出モジュールの上面は前記ハウジングの上面よりも低い、
ことを特徴とする、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項25】
保護部品をさらに含み、
前記保護部品は、前記ハウジングの上面の孔のところに設けられ、且つ、前記保護部品の上面は前記ハウジングの上面よりも低く、前記保護部品上には孔が開けられており、前記ハウジングと幾何的中心が同じように設けられ、
前記保護部品の光透過率は、光透過率閾値以上であり、
前記保護部品は、前記検出モジュールを保護するとともに、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたとき、前記被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現する、
ことを特徴とする、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
接触部品をさらに含み、
前記接触部品は、前記ハウジングの上面に設けられ、前記接触部品の材料の熱伝導係数は空気熱伝導係数の範囲内であり、
前記接触部品は、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたとき、前記被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現し、前記接触部品の材料の熱伝導係数が空気熱伝導係数の範囲内であることにより、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたときに、前記被検出部位との間で熱伝導が熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮させる、
ことを特徴とする、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記ハウジングの上面には、断熱材料がめっきされており、前記断熱材料の熱伝導係数は、空気熱伝導係数の範囲内であり、
前記断熱材料は、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたとき、前記被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現し、前記断熱材料の熱伝導係数が空気熱伝導係数の範囲内であることにより、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたときに、前記被検出部位との間で熱伝導が熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮させる、
ことを特徴とする、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記光源モジュールは、光源照射ユニット又は入射光ファイバーを含む、
ことを特徴とする、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項29】
ウェアラブルデバイスであって、
本体と、
請求項1~28のいずれか1項に記載の組織成分の非侵襲的検出装置と、を含み、
前記組織成分の非侵襲的検出装置は、前記本体上に設けられ、
前記ウェアラブルデバイスは、被検出部位に装着される、
ことを特徴とする、ウェアラブルデバイス。
【請求項30】
請求項29に記載のウェアラブルデバイス及び端末を含み、
前記処理モジュールは、前記検出モジュール及び前記端末にそれぞれ通信可能に接続され、
前記ウェアラブルデバイスは、被検出部位に装着され、
前記検出モジュールは、各前記所定の波長に対して、前記入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各前記光強度値を前記処理モジュールに送信し、
前記処理モジュールは、各前記所定の波長における各前記光強度値を処理して、処理後の各前記所定の波長における各前記光強度値を得て、処理後の各前記所定の波長における各前記光強度値を前記端末に送信し、
前記端末は、処理後の各前記所定の波長における各前記光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する、
ことを特徴とする、組織成分の非侵襲的検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトル検出技術分野に関し、特に、組織成分の非侵襲的検出方法、装置、システム、及びウェアラブルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
人体の体液には、例えば、血糖、脂肪、白血球等の複数の種類の組織成分が含まれており、人体の健康的な働きを保障するためには、各種の組織成分の濃度が対応する濃度範囲内でなければならない。しかし、一部の個体にとっては、組織成分のアンバランスの状態、即ち、組織成分の濃度が正常的な数値範囲内でない状態になりやすく、さらに、体が病気になって、健康ひいては命まで危うくなるおそれもあるので、このような個体に対しては、組織成分をリアルタイムで検出する必要がある。
【0003】
光学的方法は、迅速、非侵襲的、及び情報の多次元化等のメリットがあるので、従来技術では、一般的に、光学的方法によって組成成分の検出を行ってきた。光学的方法は、測定の原理によって大分すると、主に、ラーマンスペクトル法、偏光法、OCT(Optical Coherence Tomography)法、光音響分光法、中赤外線スペクトル法、及び近赤外線スペクトル法等が含まれる。
【0004】
しかしながら、従来技術には、少なくとも以下の問題点がある。(1)SNR(Signal to Noise Ratio)が低い。被検出組織を通過して射出する散漫散乱光自体は比較的に微弱なので、検出されるべき組織成分の濃度変化による散漫散乱光の変化も微弱であり、且つ、光の受光効率も低くなる。従って、受信された散漫散乱光信号のSNRが低く、これは検出されるべき組織成分の検出精度に直接影響を与え、検出精度を低下させる。(2)検出条件の変化が大きい。被検出組織は軟部組織であるので、毎回検出装置を被検出部位に接して測定を行うとき、検出条件は異なる。従って、検出条件による散漫散乱光の変化は、検出されるべき組織成分の濃度変化による散漫散乱光の変化よりもはるかに大きくなり、これは、検出精度の低下につながる。ここで、検出条件には、入射光の入射位置、入射光の入射角度、接触圧力、及び被検出部位の温度等が含まれる。(3)被検出個体自体の背景ノイズが大きい。被検出個体は生体なので、被検出個体の血液中の水、脂肪、及び蛋白質等は生理的や心理的等の自体の背景ノイズの影響を受けやすく、大きな背景ノイズの干渉により、微弱な信号の抽出は困難であり、これは、検出精度の低下につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施例は、検出されるべき組織成分の濃度に対する検出精度を向上させることができる組織成分の非侵襲的検出方法、装置、システム、及びウェアラブルデバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1局面によると、本発明の実施例は、
各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する照射ステップと、
各前記所定の波長に対して、前記入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて、前記被検出部位の表面から射出される光強度値を取得する取得ステップと、
各前記所定の波長における各前記光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する確定ステップと、を含む、組織成分の非侵襲的検出方法を提供する。
【0007】
選択的に、前記取得ステップは、
各前記所定の波長に対して、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得することを含み、前記感光領域と前記光強度値とは、一対一で対応する。
【0008】
選択的に、前記取得ステップは、
各前記所定の波長に対して、M個のループ状感光面に基づいて、前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得することをさらに含み、各前記ループ状感光面と前記光強度値とは、一対一で対応し、ここで、M≧1である。
【0009】
選択的に、各前記ループ状感光面の内径は、0.5mm以上、6mm以下であり、各前記ループ状感光面のループ幅は、0.05mm以上、0.3mm以下である。
【0010】
選択的に、M=4であると、径方向に沿って内から外へのM個の前記ループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、及び第4内径であり、前記第1内径は、1.2mm以上、3mm未満であり、前記第2内径は、3mm以上、3.8mm未満であり、前記第3内径は、3.8mm以上、4.4mm未満であり、前記第4内径は、4.4mm以上、6mm以下であり、または、
M=5であると、径方向に沿って内から外へのM個の前記ループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、第4内径、及び第5内径であり、前記第1内径は、1.2mm以上、2mm未満であり、前記第2内径は、2mm以上、2.8mm未満であり、前記第3内径は、2.8mm以上、3.6mm未満であり、前記第4内径は、3.6mm以上、4.2mm未満であり、前記第5内径は、4.2mm以上、6mm以下である。
【0011】
選択的に、各前記ループ状感光面のループ幅は、0.1mm又は0.2mmである。
【0012】
選択的に、各前記所定の波長の範囲は、900nm以上、2400nm以下である。
【0013】
選択的に、前記確定ステップは、
各前記所定の波長における各前記光強度値から、1つの光強度値を確定して各前記所定の波長における光強度目標値とすることと、
各前記所定の波長における前記光強度目標値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することと、を含む。
【0014】
選択的に、前記確定ステップは、
各前記所定の波長における各前記光強度値から、光強度測定値及び光強度参考値を確定することと、
各前記所定の波長における前記光強度測定値及び前記光強度参考値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することと、を含む。
【0015】
選択的に、前記各前記所定の波長における各前記光強度値から、光強度測定値及び光強度参考値を確定することは、
各前記所定の波長に対して、波長特性、光学パラメーター、及び皮膚構成パラメーターのうちの少なくとも1つを含む所定の条件に応じて、前記所定の波長に対応する各前記光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定すること、を含む。
【0016】
選択的に、前記各前記所定の波長に対して、波長特性、光学パラメーター、及び皮膚構成パラメーターのうちの少なくとも1つを含む所定の条件に応じて、前記所定の波長に対応する各前記光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定することは、
各前記所定の波長に対して、光強度変化量に応じて、前記所定の波長に対応する各前記光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定すること、を含み、前記光強度測定値は、光強度変化量の絶対値が第1変化量閾値以上である光強度値であり、前記光強度参考値は、光強度変化量の絶対値が第2変化量閾値以下である光強度値であり、前記光強度変化量は、前記光強度値と対応する所定の光強度値との間の変化量であり、前記第1変化量閾値は、前記第2変化量閾値よりも大きく、前記所定の光強度値は、検出されるべき組織成分の濃度が所定の濃度であるとき、被検出部位の表面から射出された光強度値である。
【0017】
選択的に、前記各前記所定の波長における前記光強度測定値及び前記光強度参考値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することは、
各前記所定の波長に対して、前記所定の波長に対応する前記光強度測定値及び前記光強度参考値に対して差分演算を行って、差分光強度値を得ることと、
各前記所定の波長における前記差分光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することと、を含む。
【0018】
選択的に、前記取得ステップの前に、干渉光を遮蔽することをさらに含む。
【0019】
第2局面によると、本発明の実施例は、さらに、光源モジュール、検出モジュール、及び処理モジュールを含み、前記検出モジュールは前記処理モジュールに通信可能に接続され、
前記光源モジュールは、各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射し、
前記検出モジュールは、各前記所定の波長に対して、前記入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各前記光強度値を前記処理モジュールに送信し、前記所定の距離の数は少なくとも1つであり、
前記処理モジュールは、各前記所定の波長における各前記光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する、組織成分の非侵襲的検出装置を提供する。
【0020】
選択的に、前記検出モジュールは、少なくとも1つの感光面を含み、同一の所定の距離における異なる前記感光面の陽極電極は接続され、
各所定の距離に対して、少なくとも1つの前記感光面が設けられ、
前記検出モジュールは、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、前記感光領域と前記光強度値とは、一対一で対応し、前記所定の距離の数は、少なくとも1つである。
【0021】
選択的に、各前記感光面は、ループ状感光面であり、異なる前記ループ状感光面は、幾何的中心が同じように設けられており、前記ループ状感光面の数は、M個であり、ここで、M≧1である。
【0022】
選択的に、各前記ループ状感光面の内径は、0.5mm以上、6mm以下であり、各前記ループ状感光面のループ幅は、0.05mm以上、0.3mm以下である。
【0023】
選択的に、M=4であると、径方向に沿って内から外へのM個の前記ループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、及び第4内径であり、前記第1内径は、1.2mm以上、3mm未満であり、前記第2内径は、3mm以上、3.8mm未満であり、前記第3内径は、3.8mm以上、4.4mm未満であり、前記第4内径は、4.4mm以上、6mm以下であり、または、
M=5であると、径方向に沿って内から外へのM個の前記ループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、第4内径、及び第5内径であり、前記第1内径は、1.2mm以上、2mm未満であり、前記第2内径は、2mm以上、2.8mm未満であり、前記第3内径は、2.8mm以上、3.6mm未満であり、前記第4内径は、3.6mm以上、4.2mm未満であり、前記第5内径は、4.2mm以上、6mm以下である。
【0024】
選択的に、各前記ループ状感光面のループ幅は、0.1mm又は0.2mmである。
【0025】
選択的に、各前記所定の波長の範囲は、900nm以上、2400nm以下である。
【0026】
選択的に、第1スリーブをさらに含み、前記第1スリーブは前記検出モジュールの上面に設けられ、前記第1スリーブの内径は前記検出モジュール上の孔の直径よりも大きく、
前記第1スリーブは、各前記入射光が前記被検出部位の表面を通過することにより生成される表面反射光が前記検出モジュールに入ることを阻止するとともに、各前記入射光が前記検出モジュールの孔を通過することにより生成される回折光が前記検出モジュールに入ることを阻止する。
【0027】
選択的に、前記検出モジュールには、一体的に接続された第2スリーブがさらに設けられており、前記第2スリーブは、前記検出モジュールの上面に設けられ、前記第2スリーブの内径は前記検出モジュール上の孔の直径よりも大きく、
前記第2スリーブは、各前記入射光が前記被検出部位の表面を通過することにより生成される表面反射光が前記検出モジュールに入ることを阻止するとともに、各前記入射光が前記検出モジュールの孔を通過することにより生成される回折光が前記検出モジュールに入ることを阻止する。
【0028】
選択的に、第3スリーブをさらに含み、前記第3スリーブの上面は、前記検出モジュールの孔を通過して、前記検出モジュールの上面からはみだしており、
前記第3スリーブは、各前記入射光が前記被検出部位の表面を通過することにより生成される表面反射光が前記検出モジュールに入ることを阻止するとともに、各前記入射光が前記検出モジュールの孔を通過することにより生成される回折光が前記検出モジュールに入ることを阻止する。
【0029】
選択的に、ハウジングをさらに含み、前記光源モジュール、前記検出モジュール、及び前記処理モジュールは前記ハウジングの内部に設けられており、前記検出モジュールの上面は前記ハウジングの上面よりも低い。
【0030】
選択的に、保護部品をさらに含み、前記保護部品は、前記ハウジングの上面の孔のところに設けられ、且つ、前記保護部品の上面は前記ハウジングの上面よりも低く、前記保護部品上には孔が開けられており、前記ハウジングと幾何的中心が同じように設けられ、前記保護部品の光透過率は、光透過率閾値以上であり、
前記保護部品は、前記検出モジュールを保護するとともに、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたとき、前記被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現する。
【0031】
選択的に、接触部品をさらに含み、前記接触部品は、前記ハウジングの上面に設けられ、前記接触部品の材料の熱伝導係数は空気熱伝導係数の範囲内であり、
前記接触部品は、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたとき、前記被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現し、前記接触部品の材料の熱伝導係数が空気熱伝導係数の範囲内であることにより、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたときに、前記被検出部位との間で熱伝導が熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮させる。
【0032】
選択的に、前記ハウジングの上面には、断熱材料がめっきされており、前記断熱材料の熱伝導係数は、空気熱伝導係数の範囲内であり、
前記断熱材料は、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたとき、前記被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現し、前記断熱材料の熱伝導係数が空気熱伝導係数の範囲内であることにより、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたときに、前記被検出部位との間で熱伝導が熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮させる。
【0033】
選択的に、前記光源モジュールは、光源照射ユニット又は入射光ファイバーを含む。
【0034】
第3局面によると、本発明の実施例は、さらに、ウェアラブルデバイスであって、本体と、本発明の実施例の第2局面に記載の組織成分の非侵襲的検出装置と、を含み、前記組織成分の非侵襲的検出装置は、前記本体上に設けられ、
前記ウェアラブルデバイスは、被検出部位に装着される、ウェアラブルデバイスを提供する。
【0035】
第4局面によると、本発明の実施例は、さらに、本発明の実施例の第3方面に記載のウェアラブルデバイス及び端末を含み、前記処理モジュールは、前記検出モジュール及び前記端末にそれぞれ通信可能に接続され、
前記ウェアラブルデバイスは、被検出部位に装着され、
前記検出モジュールは、各前記所定の波長に対して、前記入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各前記光強度値を前記処理モジュールに送信し、
前記処理モジュールは、各前記所定の波長における各前記光強度値を処理して、処理後の各前記所定の波長における各前記光強度値を得て、処理後の各前記所定の波長における各前記光強度値を前記端末に送信し、
前記端末は、処理後の各前記所定の波長における各前記光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する、組織成分の非侵襲的検出システムを提供する。
【0036】
本実施例の技術案は、各所定の波長に対して、各感光面に基づいて被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各所定の波長における光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することで、広い範囲の光強度値の受光を実現できるので、光の受光効率を向上させ、さらに、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させることができる。また、異なる光強度値に対して、差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除できるので、これによっても、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の実施例における組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャート
【
図2】本発明の実施例における均質散乱光の射出領域の模式図
【
図4】本発明の実施例における他の感光面の分布模式図
【
図5】本発明の実施例における感光領域において陽極電極が接続された模式図
【
図6】本発明の実施例における他の組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャート
【
図7】本発明の実施例における別の組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャート
【
図8】本発明の実施例におけるさらに別の組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャート
【
図9】本発明の実施例におけるさらに別の組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャート
【
図10】本発明の実施例における組織成分の非侵襲的検出装置の構成模式図
【
図11】本発明の実施例における検出モジュールの構成模式図
【
図12】本発明の実施例における第1スリーブの構成模式図
【
図13】本発明の実施例における入射光が伝播される模式図
【
図14】本発明の実施例における第2スリーブの構成模式図
【
図15】本発明の実施例における第3スリーブの構成模式図
【
図16】本発明の実施例における他の組織成分の非侵襲的検出装置の構成模式図
【
図17】本発明の実施例における接触部品の構成模式図
【
図18】本発明の実施例におけるウェアラブルデバイスの構成模式図
【
図19】本発明の実施例における組織成分の非侵襲的検出装置の構成模式図
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付の図面と実施例を参照しながら本発明をより詳細に説明する。当然ながら、本明細書に記載された具体的な実施例は、単なる本発明を分かりやすくするためのものであり、本発明を限定するものではない。実施例に記載された各特徴を組み合わせることで、複数の選択可能な技術案を得ることができる。なお、説明の便宜のため、図面においては全体構成ではなく、本発明に関係ある部分のみを示していることを指摘しておく。
【0039】
検出精度を向上させるためには、(1)光の受光効率を向上させる、(2)検出条件を安定化させる、(3)コモンモード干渉情報を排除する、という3つの観点から改良を行うことができる。ここで、第1観点においては、均質散乱光を受光する効率を最大限に高めることで実現することができる。均質散乱光は、ほぼ同じ伝播経路を有する散漫散乱光である。第2観点においては、組織成分の非侵襲的検出装置の体積小型化及び軽量化により実現することができる。第3観点においては、差分処理により、浮動基準理論に基づいて実現することができる。以下、本発明の実施例により提供される技術案をよりよく理解するため、まず、関連する一部の概念について説明する。
【0040】
人体にとって、人体組織は、散乱体及び散乱背景からなる複雑な媒体として近似化することができ、入射光が組織に入った後は、吸収作用及び散乱作用が発生するが、吸収作用は、直接光エネルギーの減衰につながり、散乱作用は、光子が伝播する方向を変えることで光エネルギーの分布を影響し、被検出部位の表面から射出された散漫散乱光強度の分布は両者がともに作用した結果である。浮動基準理論によると、検出されるべき組織成分にとっては、ある領域が存在し、当該位置において、吸収作用と散乱作用とによる散漫散乱光強度への影響は同じ程度で方向は反対であるので、散漫散乱光強度の検出されるべき組織成分の濃度変化に対する感度は低下する。上記の特性を有する位置を参考位置(あるいは、基准位置)と呼ぶ。参考位置における散漫散乱光強度は、検出過程中の検出されるべき組織成分以外の他の干渉の応答を反映している。また、検出されるべき組織成分にとっては、ある位置が存在し、当該位置において、散漫散乱光強度の検出されるべき組織成分の濃度変化に対する感度は感度閾値以上である。上記の特性を有する位置を測定位置と呼ぶ。測定位置における散漫散乱光強度は、検出されるべき組織成分の応答、及び検出されるべき組織成分以外の他の干渉の応答を反映している。また、上記の検出されるべき組織成分を反映する応答を有効情報と呼ぶ。以下、具体的な実施例を参照しながら、上記の内容を説明する。
【0041】
図1は、本発明の実施例により提供される組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャートであり、本実施例は検出されるべき組織成分の濃度の検出精度を提供させる場合に適用することができる。本発明の実施例は、組織成分の非侵襲的検出装置により実行されることができ、組織成分の非侵襲的検出装置は、ソフトウェア及び/又はハードウェアの形態で実現でき、組織成分の非侵襲的検出装置は、例えばスマートウォッチのようなウェアラブルデバイスに配置されることができる。
図1に示すように、この方法は、具体的に、以下のステップを含む。
【0042】
ステップ110:各所定の波長における各入射光をそれぞれ被検出部位に照射する。
【0043】
本発明の実施例においては、光源モジュールにより各所定の波長における入射光を被検出部位に照射することができる。被検出部位は、手のひら、腕、及び耳たぶ等の部位を含んでもよい。各所定の波長の範囲は、900nm以上、2400nm以下であってもよい。所定の波長の数は少なくとも1つであってもよい。入射光は、コリメート光であってもよく、非コリメート光であってもよい。
【0044】
ステップ120:各所定の波長に対して、入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得する。
【0045】
本発明の実施例において、感光面は、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得するためのものである。感光面が入射光の中心から離れている距離を所定の距離と呼んでもよい。この場合、所定の距離は、ソース-センサー距離、即ち、感光面が入射光から離れている距離として理解できる。異なる感光面に対応される所定の距離は同じであってもよく、異なってもよい。異なる感光面に対応される方向は、同じであってもよく、異なってもよい。感光面の位置及び数は、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。所定の距離の数は、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。同一の所定の距離には、少なくとも1つの感光面が対応されてもよく、異なる所定の距離に対応される感光面の数は、同じであってもよく、異なってもよく、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。異なる所定の波長に対応される各感光面は同じである。
【0046】
各所定の波長に対して、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、感光領域と光強度値とは一対一で対応し、所定の距離の数は少なくとも1つである。これにより、各所定の波長に対応する光強度値が得られる。
【0047】
ステップ130:各所定の波長における各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0048】
本発明の実施例においては、各所定の波長における光強度値を取得した後、各所定の波長における各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができる。光強度値の数によって、以下の形態に分けられる。(形態1)各所定の波長における光強度値の数が1つであると、各感光面が同一の所定の距離に対応することを意味し、このような場合、各所定の波長における光強度初期値から、検出されるべき組織成分の濃度を直接確定してもよい。具体的には、各所定の波長における1つの光強度値を予めトレーニングして生成された組織成分予測モデルに入力して、予測結果を取得し、当該予測結果は、検出されるべき組織成分の濃度である。(形態2)各所定の波長における光強度値の数が少なくとも2つであると、各所定の距離が異なる所定の距離に対応することを意味し、このような場合、差分演算によって、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができる。つまり、各所定の波長に対して、当該所定の波長における各光強度値から、2つの光強度値を確定し、これらの2つの光強度値に対して差分演算を行って、当該所定の波長における差分光強度値を得る。各所定の波長における差分光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。具体的には、各所定の波長における差分光強度値を予めトレーニングして生成された組織成分予測モデルに入力して、予測結果を取得し、当該予測結果は検出されるべき組織成分の濃度である。具体的な計算過程は、公開番号がCN1699973Aである特許文献を参照することができるので、ここでは、説明を省略する。
【0049】
上記差分演算により、コモンモード干渉情報による検出結果への影響を排除して、検出精度を向上させることができる。原因は、以下の通りである。入射光は、被検出部位の表面まで伝播された後、一部の入射光は被検出部位の内部に入り、伝播過程中に組織と吸収作用及び散乱作用が発生し、そして、被検出部位の表面から散漫散乱光の形で射出される。組織での光の伝播経路が異なるので、散漫散乱光は、被検出部位の表面において入射光の中心から異なる距離が離れているところから射出し、且つ、持っている有効情報も異なるが、持っているコモンモード干渉情報はほぼ同じである。有効情報は、検出過程中の検出されるべき組織成分に対する応答である。被検出部位の表面において入射光の中心から異なる距離が離れているところから射出する散漫散乱光が持っている有効情報は異なるものの、持っているコモンモード干渉情報はほぼ同じであるので、検出精度を向上させ、コモンモード干渉情報の影響を排除するためには、取得された2つの光強度初期値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができる。2つの光強度初期値に対応される所定の距離は異なる。これを実現するためには、少なくとも2つの所定の距離を設定することで、取得された2つの所定の距離における光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定できるようにする必要がある。
【0050】
本実施例の技術案は、各所定の波長に対して、各感光面に基づいて被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各所定の波長における光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することで、広い範囲の光強度値の受光を実現できるので、光の受光効率を向上させ、さらに、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させることができる。また、異なる光強度値に対して、差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除できるので、これによっても、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させることができる。
【0051】
選択的に、上記技術案の上で、ステップ120は、各所定の波長に対して、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得することを含んでもよく、感光領域と光強度値とは一対一で対応する。
【0052】
本発明の実施例において、光の受光効率が低いことは、信号のSNRが低く、検出精度が臨床で要求する精度を満たすことができない要因の1つであるので、検出精度をさらに向上させるためには、光の受光効率を向上させることで実現できる。光の受光効率を向上させるためには、感光面の設け方に対する設計が必要であるが、設計の発送は以下の通りである。入射光は被検出部位の表面まで伝播された後、一部の入射光は被検出部位の内部に入り、伝播過程中に組織と吸収作用及び散乱作用が発生し、そして、被検出部位の表面から散漫散乱光の形で射出される。組織での光の伝播経路が異なるので、散漫散乱光は、被検出部位の表面において入射光の中心から異なる距離が離れている位置から射出され、且つ、持っている有効情報も異なるが、持っているコモンモード干渉情報はほぼ同じである。有効情報は、検出過程中の検出されるべき組織成分に対する応答である。均質散乱光は、ほぼ同じ伝播経路を有するので、均質散乱光が持っている情報もほぼ同じである。均質散乱光の受光効率を向上させることができれば、光の受光効率の向上を実現できる。つまり、均質散乱光の受光効率を向上させることで、光の受光効率を向上させることができる。
【0053】
均質散乱光は、ほぼ同じ伝播経路を有するので、均質散乱光の被検出部位の表面からの射出位置は、入射光の中心を原点とし、射出位置と入射光の中心との間の線分の距離を半径とする円形環を形成する。つまり、均質散乱光の射出領域はループ状である。具体的には、
図2を参照することができる。
図2に示すように、均質散乱光の射出領域の模式図が示されている。上記により、できる限り上記射出領域内から射出される光強度値を取得することができれば、均質散乱光の受光効率の向上を実現でき、さらに、光の受光効率を向上させることで、検出精度を向上させることができる。均質散乱光の射出位置が入射光の中心から離れている距離はほぼ同じであるが、方向は互いに異なる。これにより、各所定の波長に対して、予め所定の距離及び感光面を設定することができる。
【0054】
均質散乱光の受光効率をできる限り向上させるためには、各所定の波長に対して、各所定の距離において、少なくとも1つの感光面を設けることができ、全ての感光面は、1つの感光領域を構成する。当該感光領域に基づいて、光電変換を実現し、さらに、被検出部位の表面から射出された光強度値、即ち、少なくとも1つの感光面により被検出部位の表面から射出された光により形成された1つの光強度値を取得する。感光領域と光強度値とは、一対一で対応する。つまり、各感光領域には、1つの光強度値が対応される。これにより、当該所定の波長において各所定の距離に対応する各光強度値を取得することができ、所定の距離の数は少なくとも1つである。つまり、各所定の波長に対して、同じ所定の距離を有するT個の感光面において、T個の被検出部位の表面から射出された光による1つの光強度値を取得し、ここで、T≧1であり、且つ、異なる所定の距離に対応する感光面の数は、同じであってもよく、異なってもよい。所定の距離の数は少なくとも1つである。
各所定の距離にとって、それに対応される感光面の数は、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、限定しない。異なる所定の距離に対応される感光面の数は、同じであってもよく、異なってもよく、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、限定しない。
図3及び
図4に示すように、
図3は、感光面の分布模式図を示している。
図4は、他の感光面の分布模式図を示している。
図3において、異なる所定の距離に対応される感光面の数は同じである。
図4において、異なる所定の距離に対応される感光面の数は異なる。
【0055】
各所定の距離にとって、それに対応される感光領域は少なくとも1つの感光面からなってもよい。感光面は、分散された円形面又は多角形面であってもよく、分散されたセグメントリングであってもよく、完全なる環形面であってもよい。ここで、分散された円形面及び多角形面の面積は大き過ぎない方がよい。具体的には、
図3及び
図4を参照することができる。
図3及び
図4において、感光面は、分散された角形面である。
【0056】
各所定の距離に対して、各感光面の分布は、入射光の中心を中心とする対称分布であってもよく、入射光の中心を中心とする非対称分布であってもよく、これは実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。
図3及び
図4に示すように、
図3は対称分布である。
図4は、非対称分布である。
【0057】
各感光領域に対応される1つの光強度値は、各感光面の陽極電極を接続することで、1つの信号を出力することにより実現できる。具体的には、
図5を参照することができる。
図5は、感光領域において陽極電極が接続された模式図を示している。
【0058】
所定の距離の数が1つであると、上記の場合、差分演算により光強度値を処理して、検出されるべき組織成分の濃度を確定することはできない。しかし、上記検出方式を採用すること自体でも光の受光効率を大幅に向上させ、さらに、信号のSNRを向上させることができるので、差分演算を行わなくても、SNRの向上により、検出精度を向上させることができる。所定の距離の数が2つ又は2つ以上であると、上記の場合、各光強度値を取得した後、差分演算により、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができる。所定の距離の数が1つである場合に比べて、差分演算によりコモンモード干渉情報を排除できるので、さらに検出精度を向上させることができる。もちろん、所定の距離の数が2つである場合、差分演算を行わなくてもよい。
【0059】
上記のように、同じ所定の距離を有する各感光面からなる感光領域の検出により、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得することで、均質散乱光の受光効率を向上させることができる。
【0060】
選択的に、上記技術案の上で、各所定の波長に対して、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、感光領域と光強度値とが一対一で対応することは、以下のことを含む。つまり、各所定の波長に対して、M個のループ状感光面の検出に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各ループ状感光面と光強度値とは、一対一で対応し、ここで、M≧1である。
【0061】
本発明の実施例においては、前述した内容から分かるように、均質散乱光により形成する射出領域はループ状領域であるので、均質散乱光の受光効率を向上させるためには、ループ状感光面の検出により実現できる。各ループ状感光面は、対応する領域から射出される光強度値を取得することができる。各ループ状感光面には、1つのソース-センサー距離が対応される。ループ状感光面は、360°範囲で均質散乱光の光強度値を取得することができるので、均質散乱光を最大限に受光することを実現でき、さらに、均質散乱光の受光効率を向上させることができる。均質散乱光の受光効率を向上させたので、検出精度も向上させることができる。上記の各所定の波長に対して、M個のループ状感光面の検出に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各ループ状感光面と光強度値とが一対一で対応し、ここで、M≧1であることに関しては、各所定の波長に対して、T個の感光面からなるループ状感光領域に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各ループ状感光領域には1つの光強度値が対応され、T≧1である、と理解できる。
【0062】
ループ状感光面の数及びループ状感光面のサイズは、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。ここに記載された実際の状況に応じて設定するとは、波長特性、光学パラメーター、及び皮膚構成パラメーターに応じて設定することである、と理解できる。これは、上記の条件が、入射光が組織での伝播経路に影響を与えるからである。
【0063】
M=1であると、つまり、1つのループ状感光面の検出により、被検出部位の表面から射出される光強度値を取得すると、上記の場合、差分演算により光強度値を処理して、検出されるべき組織成分の濃度を確定することはできない。しかし、ループ状検出自体でも光の受光効率を極大に向上させ、さらに、信号のSNRを向上させることができるので、差分演算を行わなくても、SNRの向上により、検出精度を向上させることができる。M≧2であると、つまり、少なくとも2つのループ状感光面の検出により、被検出部位の表面から射出される光強度値を取得すると、上記の場合、各光強度値を取得した後、差分演算により、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができる。M=1である場合に比べて、差分演算によりコモンモード干渉情報を排除できるので、さらに検出精度を向上させることができる。もちろん、M≧2である場合、差分演算を行わなくてもよい。
【0064】
選択的に、上記技術案の上で、各ループ状感光面の内径は0.5mm以上、6mm以下であってもよく、各ループ状感光面のループ幅は0.05mm以上、0.3mm以下であってもよい。
【0065】
本発明の実施例において、内径とは、直径である。M個のループ状感光面は、幾何的中心が同じように設けてもよく、異なるループ状感光面の内径が中心から離れている距離は異なる。異なるループ状感光面のループ幅は同じであってもよく、異なってもよく、これは実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、限定しない。各ループ状感光面の内径及びループ幅が属する範囲は、異なる所定の波長及び異なる被検出個体に対して行う実験により得られた実験結果から確定できる。径方向に沿って、内から外へのM個のループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、・・・、第M-1内径、及び第M内径とすることができる。所定の波長の範囲は、900nm以上、2400nm以下であってもよい。
【0066】
選択的に、M=1である場合、第1内径が0.5mmであり、ループ状感光面のループ幅が0.05mmであり、所定の波長が900nmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は0.136Vである。第1内径が3mmであり、ループ状感光面のループ幅が0.05mmであり、所定の波長が900nmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は0.654Vである。第1内径が1.5mmであり、ループ状感光面のループ幅が0.05mmであり、所定の波長が900nmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は0.401Vである。第1内径が0.5mmであり、ループ状感光面のループ幅が0.3mmであり、所定の波長が900nmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は1.168Vである。第1内径が0.5mmであり、ループ状感光面のループ幅が0.2mmであり、所定の波長が900nmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は0.702Vである。第1内径が3mmであり、ループ状感光面のループ幅が0.05mmであり、所定の波長が2400nmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は2.678Vである。第1内径が3mmであり、ループ状感光面のループ幅が0.05mmであり、所定の波長が1400nmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は0.571Vである。
【0067】
選択的に、M=4であり、第1内径が1.2mm以上、3mm未満であってもよく、第2内径が3mm以上、3.8mm未満であってもよく、第3内径が3.8mm以上、4.4mm未満であってもよく、第4内径が4.4mm以上、6mm以下であってもよい場合、第1内径が1.2mmであり、第2内径が3mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が4.4mmであり、所定の波長が900nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.05mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、0.316V、0.632V、0.611V、及び0.508Vである。
【0068】
第1内径が2mmであり、第2内径が3mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が4.4mmであり、所定の波長が900nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.05mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、0.496V、0.632V、0.611V、及び0.508Vである。
【0069】
第1内径が2mmであり、第2内径が3.6mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が4.4mmであり、所定の波長が900nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.05mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、0.496V、0.639V、0.611V、及び0.508Vである。
【0070】
第1内径が2mmであり、第2内径が3.6mmであり、第3内径が4mmであり、第4内径が4.4mmであり、所定の波長が900nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.05mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、0.496V、0.639V、0.596V、及び0.508Vである。
【0071】
第1内径が2mmであり、第2内径が3.6mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が6mmであり、所定の波長が900nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.05mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、0.496V、0.639V、0.611V、及び0.265Vである。
【0072】
第1内径が2mmであり、第2内径が3.6mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が5mmであり、所定の波長が900nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.05mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、0.496V、0.639V、0.611V、及び0.312Vである。
【0073】
第1内径が2mmであり、第2内径が3.6mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が4.4mmであり、所定の波長が2400nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.05mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、2.085V、2.006V、2.331、及びV1.518Vである。
【0074】
第1内径が2mmであり、第2内径が3.6mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が4.4mmであり、所定の波長が1400nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.05mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は0.449V、0.574V、0.561V、及び0.467Vである。
【0075】
第1内径が2mmであり、第2内径が3.6mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が4.4mmであり、所定の波長が1400nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.3mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、2.941V、3.335V、3.189V、及び2.415Vである。
【0076】
第1内径が2mmであり、第2内径が3.6mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が4.4mmであり、所定の波長が900nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.2mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、2.012V、2.325V、2.301V、及び0.168Vである。
【0077】
当業者なら、上記と同様の発想に従って、他の数のループ状感光面を設け、さらに、各ループ状感光面のサイズを設定してもよい。ここでは、具体的な説明を省略する。そして、実際の状況に応じて、使用するループ状感光面を選択してもよい。つまり、M個のループ状感光面を設けたものの、実際には、そのうちのH個のループ状感光面により取得された光強度値のみを利用して検出されるべき組織成分の濃度を確定する。ここで、0<H≦Mである。
【0078】
選択的に、上記技術案の上で、M=4である。径方向に沿って内から外へのM個のループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、及び第4内径である。第1内径は1.2mm以上、3mm未満であってもよく、第2内径は3mm以上、3.8mm未満であってもよく、第3内径は3.8mm以上、4.4mm未満であってもよく、第4内径は4.4mm以上、6mm以下であってもよい。あるいは、M=5である。径方向に沿って内から外へのM個のループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、第4内径、及び第5内径である。第1内径は1.2mm以上、2mm未満であってもよく、第2内径は2mm以上、2.8mm未満であってもよく、第3内径は2.8mm以上、3.6mm未満であってもよく、第4内径は3.6mm以上、4.2mm未満であってもよく、第5内径は4.2mm以上、6mm以下であってもよい。
【0079】
本発明の実施例において、所定の波長範囲は、900nm以上、2400nm以下であってもよい。各ループ状感光面のループ幅は、0.05mm以上、0.3mm以下であってもよい。
【0080】
選択的に、上記技術案の上で、各ループ状感光面のループ幅は0.1mm又は0.2mmであってもよい。
【0081】
本発明の実施例において、異なるループ状感光面のループ幅は同じであってもよく、異なってもよく、これは実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。例示的に、M=3であると、内径が第1内径であるループ状感光面のループ幅は0.1mmであり、内径が第2内径であるループ状感光面のループ幅は0.2mmである。内径が第3内径であるループ状感光面のループ幅は0.1mmである。
【0082】
選択的に、上記技術案の上で、各所定の波長の範囲は900nm以上、2400nm以下であってもよい。
【0083】
本発明の実施例において、所定の波長の範囲は、近赤外線バンドをほぼカーバできる。具体的にどの波長を選択して所定の波長とするかは、検出されるべき組織成分のスペクトル特徴、干渉成分のスペクトル特徴、及び被検出個体によって確定することができる。
【0084】
選択的に、上記技術案の上で、ステップ130は、各所定の波長における各光強度値から、1つの光強度値を確定して各所定の波長における光強度目標値とすることを含んでもよい。各所定の波長における光強度目標値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0085】
本発明の実施例においては、各所定の波長における各光強度値から、1つの光強度値を確定して各所定の波長における光強度目標値とすることができる。つまり、各所定の波長は、同一の光強度目標値に対応する。各所定の波長における当該光強度目標値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。即ち、各所定の波長における当該光強度目標値を予めトレーニングして生成された組織成分濃度予測モデルに入力して、予測結果を取得し、当該予測結果は、検出されるべき組織成分の濃度である。
【0086】
上記の検出方式自体でも、光の受光効率を極大に向上させ、さらに、信号のSNRを向上させることができるので、各所定の波長における1つの光強度目標値から、検出されるべき組織成分の濃度を直接確定しても、SNRの向上により、検出精度を向上させることができる。
【0087】
選択的に、上記技術案の上で、ステップ130は、各所定の波長における各光強度値から、光強度測定値及び光強度参考値を確定することを含んでもよい。各所定の波長における光強度測定値及び光強度参考値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0088】
本発明の実施例において、異なる所定の距離における光強度値が持っている有効情報は異なるが、コモンモード干渉情報はほぼ同じであるので、2つの異なる所定の距離における光強度値から、差分演算により、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができる。差分演算により、コモンモード干渉情報を排除し、検出精度の向上を実現できる。光強度値と所定の距離とは、一対一で対応するので、各所定の波長における各光強度値から、任意的に2つの光強度値を選択して、それぞれ光強度測定値及び光強度参考値とすることができる。各所定の波長における光強度測定値及び光強度参考値は、一致する。
【0089】
光強度測定値及び光強度参考値を取得した後、光強度測定値及び光強度参考値に対して差分演算を行って、差分光強度値を得ることができ、当該差分光強度値は、各所定の波長における差分光強度値である。各所定の波長における差分光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。具体的な計算過程は、公開番号がCN1699973Aである特許文献を参照することができるので、ここでは、説明を省略する。
【0090】
選択的に、上記技術案の上で、各所定の波長における各光強度値から、光強度測定値及び光強度参考値を確定することは、各所定の波長に対して、波長特性、光学パラメーター、及び皮膚構成パラメーターのうちの少なくとも1つを含む所定の条件に応じて、所定の波長に対応する各光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定すること、を含む。
【0091】
本発明の実施例において、所定の条件は、光強度測定値及び光強度参考値を選択するための根拠として用いられる。所定の条件は、波長特性、光学パラメーター、及び皮膚構成パラメーターのうちの少なくとも1つを含んでもよい。ここで、光学パラメーターは、吸収係数、散乱係数、屈折率、及び異方性因子等を含んでもよい。皮膚構成パラメーターは、皮膚組織の厚みであってもよい。
【0092】
選択的に、上記技術案の上で、各所定の波長に対して、波長特性、光学パラメーター、及び皮膚構成パラメーターのうちの少なくとも1つを含む所定の条件に応じて、所定の波長に対応する各光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定することは、各所定の波長に対して、光強度変化量に応じて、所定の波長に対応する各光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定することを含み、光強度測定値は光強度変化量の絶対値が第1変化量閾値以上の光強度値であり、光強度参考値は光強度変化量の絶対値が第2変化量閾値以下の光強度値であり、光強度変化量は、光強度値と対応する所定の光強度値との間の変化量であり、第1変化量閾値は第2変化量閾値よりも大きく、所定の光強度値は、検出されるべき組織成分の濃度が所定の濃度であるとき、被検出部位の表面から射出された光強度値である。
【0093】
本発明の実施例においては、上記のように、光の受光効率を向上させることで、検出精度を向上させた上で、さらに検出精度を向上させるために、浮動基準理論に基づいて、所定の波長に対して、当該所定の波長における各光強度値から参考光強度値及び各測定光強度値を確定し、各所定の波長における光強度測定値及び光強度参考値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができる。浮動基準理論に基づいて、所定の波長に対して、当該所定の波長における各光強度値から参考光強度値及び各測定光強度値を確定することに関しては、以下のように理解できる。光強度変化量とは、光強度値と対応する所定の光強度値との間の変化量である。所定の光強度値とは、検出されるべき組織成分の濃度が所定の濃度である、取得された被検出部位の表面から射出された光強度値である。光強度測定値は、光強度変化量の絶対値が第1変化量閾値以上の光強度値であってもよく、光強度参考値は、光強度変化量の絶対値が第2変化量閾値以下の光強度値であってもよい。ここで、第1変化量閾値及び第2変化量閾値の具体的な数値は、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。
【0094】
上記のように、さらに検出精度を向上させることができるのは、以下の理由によるものである。光強度参考値は、検出過程中の検出されるべき組織成分以外の他の干渉の応答を反映する。光強度測定値は、検出されるべき組織成分の応答、及び、検出されるべき組織成分以外の他の干渉の応答を反映しており、検出過程中の検出されるべき組織成分以外の他の干渉を反映する応答は干渉情報となり、検出過程中の検出されるべき組織成分の応答は有効情報となるので、光強度参考値は、干渉情報を含み、光強度測定値は干渉情報及び有効情報を含み、光強度参考値及び光強度測定値から、両者のコモンモード干渉情報を排除して、検出精度を向上させることができる。
【0095】
選択的に、上記技術案の上で、各所定の波長における光強度測定値及び光強度参考値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することは、各所定の波長に対して、所定の波長に対応する光強度測定値及び光強度参考値に対して差分演算を行って、差分光強度値を得ることを含んでもよい。各所定の波長における差分光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0096】
本発明の実施例においては、各所定の波長に対して、当該所定の波長における光強度参考値及び各光強度測定値に対して差分演算を行って、差分光強度値を得ることができる。これにより、各所定の波長における差分光強度値を取得することができる。各所定の波長における各差分光強度値を入力変数として予めトレーニングして生成された組織成分濃度予測モデルに入力して、予測結果を得ることができる。当該予測結果は、検出されるべき組織成分の濃度である。具体的な計算過程は、公開番号がCN1699973Aである特許文献を参照することができるので、ここでは、説明を省略する。上記のように、差分演算により光強度参考値と光強度測定値のコモンモード干渉情報を排除し、さらに、検出精度を向上させた。
【0097】
選択的に、上記技術案の上で、ステップ120の前に、干渉光を遮蔽することをさらに含んでもよい。
【0098】
本発明の実施例において、入射光は被検出部位まで伝播された後、一部の入射光は被検出部位の表面で直接反射されて表面反射光を形成し、一部の入射光は前述した散漫散乱光を形成する。ここで、表面反射光は、組織と作用しないので、有効情報を持たない。従って、表面反射光を干渉光とすることができる。また、回折光も存在するが、同様に、回折光も、組織と作用しないので、有効情報を持たない。従って、回折光を干渉光とすることができる。つまり、干渉光は、回折光、及び入射光が被検出部位の表面を通過しながら生成された表面反射光を含んでもよい。散漫散乱光は、皮膚組織と作用するので、有効情報を持つ。従って、散漫散乱光を有効光とすることができる。
【0099】
上記により、検出精度をさらに向上させるため、ステップ120の前に、干渉光を遮蔽することで、取得された被検出部位の表面から射出された光強度値が散漫散乱光に対応する光強度値であるようにして、表面反射光に対応する光強度値及び回折光に対応する光強度値を排除することができる。
【0100】
上記のように、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得する前に、干渉光を遮蔽することで、光強度値のうち干渉光に対応する光強度値を排除し、光強度値のうち散漫散乱光に対応する光強度値を保留した。散漫散乱光は有効情報を持っており、干渉光は有効情報を持っていないので、さらに検出精度を向上させた。
【0101】
図6は、本発明の実施例により提供される他の組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャートである。
図6に示すように、この方法は、具体的に、以下のステップを含む。
【0102】
ステップ210:各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する。
ステップ220:干渉光を遮蔽する。
ステップ230:各所定の波長に対して、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、感光領域と光強度値とは、一対一で対応する。
ステップ240:各所定の波長における各光強度値から、1つの光強度値を確定して各所定の波長における光強度目標値とする。
ステップ250:各所定の波長における光強度目標値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0103】
本実施の技術案は、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、さらに、均質散乱光を受光する効率を向上させることで、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。この上で、異なるループ状感光領域により取得された光強度値に対して、差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除し、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。
【0104】
図7は、本発明の実施例により提供される別の組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャートである。
図7に示すように、この方法は、具体的に、以下のステップを含む。
【0105】
ステップ310:各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する。
ステップ320:干渉光を遮蔽する。
ステップ330:各所定の波長に対して、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、感光領域と光強度値とは一対一で対応し、所定の距離の数は少なくとも1つである。
【0106】
ステップ340:各所定の波長における各光強度値から、光強度測定値及び光強度参考値を確定する。
ステップ350:所定の波長に対応する光強度測定値及び光強度参考値に対して差分演算を行って、差分光強度値を得る。
ステップ360:各所定の波長における差分光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0107】
本実施の技術案は、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、さらに、均質散乱光を受光する効率を向上させることで、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。この上で、異なるループ状感光領域により取得された光強度値に対して、差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除し、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。
【0108】
図8は、本発明の実施例により提供されるさらに別の組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャートである。
図8に示すように、この方法は、具体的に、以下のステップを含む。
【0109】
ステップ410:各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する。
ステップ420:干渉光を遮蔽する。
ステップ430:各所定の波長に対して、M個のループ状感光面に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各ループ状感光面と光強度値とは一対一で対応し、ここで、M≧1である。
ステップ440:各所定の波長における各光強度値から、1つの光強度値を確定して各所定の波長における光強度目標値とする。
ステップ450:各所定の波長における光強度目標値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0110】
本実施例の技術案は、各所定の距離において、M個のループ状感光面に基づいて被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、さらに、均質散乱光を受光する効率を向上させることで、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。この上で、異なるループ状感光領域により取得された光強度値に対して、差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除し、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。
【0111】
図9は、本発明の実施例により提供されるさらに別の組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャートである。
図9に示すように、この方法は、具体的に、以下のステップを含む。
【0112】
ステップ510:各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する。
ステップ520:干渉光を遮蔽する。
ステップ530:各所定の波長に対して、M個のループ状感光面に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各ループ状感光面と光強度値とは一対一で対応し、ここで、M≧1である。
ステップ540:各所定の波長における各光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定する。
ステップ550:所定の波長に対応する光強度測定値及び光強度参考値に対して差分演算を行って、差分光強度値を得る。
ステップ560:各所定の波長における差分光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0113】
本実施の技術案は、M個のループ状感光面に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、さらに、均質散乱光を受光する効率を向上させることで、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。この上で、異なるループ状感光領域により取得された光強度値に対して、差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除し、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。
【0114】
上記ステップ220、ステップ320、ステップ420、及びステップ520は、対応するステップ230、ステップ330、ステップ430、及びステップ530の前に実行さればよい。
【0115】
本発明の実施例により提供される組織成分の非侵襲的検出方法は、組織成分の非侵襲的検出装置により実行することができ、組織成分の非侵襲的検出装置は、ソフトウェア及び/又はハードウェアの形態で実現でき、組織成分の非侵襲的検出装置は、例えばスマートウォッチのようなウェアラブルデバイスに配置されてもよい。
【0116】
図10は、本発明の実施例により提供される組織成分の非侵襲的検出装置の構成模式図であり、本実施例は、検出されるべき組織成分の濃度の検出精度を向上させる場合に適用することができる。
図10に示すように、この組織成分の非侵襲的検出装置1は、光源モジュール10、検出モジュール11、及び処理モジュール12を含んでもよい。検出モジュール11は、処理モジュール12に通信可能に接続されてもよい。以下、添付の図面を参照しながらその構成及び動作原理について説明する。
【0117】
光源モジュール10は、各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する。
【0118】
検出モジュール11は、各所定の波長に対して、入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各光強度値を処理モジュール12に送信する。
【0119】
処理モジュール12は、各所定の波長における各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0120】
本発明の実施例において、光源モジュール10は、入射光を被検出部位に照射することができる。ここで、光源モジュール10には、以下の2つの形態が存在する。(1)光源モジュール10は、入射光を直接発光することができるモジュールであってもよく、(2)光源モジュール10は、例えば光ファイバーのような入射光を伝播する媒体であって、外部光源が発光する入射光を、光ファイバーを介して被検出部位に照射してもよい。
【0121】
各所定の波長に対して、各感光面において、検出モジュール11は、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各光強度値を処理モジュール12に送信することができる。検出モジュール11は、少なくとも1つの感光面111を含んでもよい。均質散乱光の受光効率を向上させるためには、以下の形態により実現できる。各所定の距離に対して、少なくとも1つの感光面111を設け、且つ、同一の所定の距離における異なる感光面111の陽極電極が接続されてもよい。検出モジュール11は、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域の検出により、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、感光領域と光強度値とは、一対一で対応し、所定の距離の数は少なくとも1つである。感光面111は、ループ状感光面1110であってもよい。
【0122】
また、検出モジュール11は、被検出部位から射出された光強度値を直接取得することができるので、光損失を低下させ、さらに、検出効率を向上させた。
【0123】
処理モジュール12は、各所定の波長における各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができる。各所定の波長における各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することに関しては、前述した組織成分の非侵襲的検出方法に対する対応する部分の説明を参照することができ、ここでは、具体的な説明を省略する。
【0124】
本実施例の技術案は、広い範囲の光強度値の受光を実現できるので、光の受光効率を向上させ、さらに、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させることができる。検出モジュールは、被検出部位から射出された光強度値を直接処理できるので、光損失を低下させ、さらに検出効率を向上させた。検出装置の体積を大幅に減少できるので、検出装置を被検出部位上に容易に装着して固定することができるので、検出条件の安定性を保証でき、これに対応して、検出条件の安定性を向上させることができる。また、携帯可能な検出が可能になる。この上で、異なる光強度値に対して差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除することができるので、検出されるべき組織成分に対する検出精度も向上させることができる。
【0125】
選択的に、
図11に示すように、上記技術案の上で、検出モジュール11は、少なくとも1つの感光面1110を含んでもよい。同一の所定の距離における異なる感光面1110の陽極電極は接続される。
【0126】
各所定の距離に対して、少なくとも1つの感光面111が設けられている。
【0127】
検出モジュール11は、各所定の距離において、各感光面111からなる感光領域に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、感光領域と光強度値とは、一対一で対応する。
【0128】
本発明の実施例においては、均質光の受光効率を向上させるため、各所定の距離に対して、少なくとも1つの感光面111を設けてもよい。当該所定の距離における異なる感光面111の陽極電極は接続される。感光面に対する説明は、前述した感光面に対する説明を参照することができ、ここでは、具体的な説明を省略する。
【0129】
上記のように、同一の所定の距離に対して少なくとも1つの感光面111を設けることで、当該所定の距離における各感光面111は、1つのソース-センサー距離に対応するので、均質散乱光を受光する効率を向上させた。
【0130】
選択的に、
図11に示すように、上記技術案の上で、各感光面111はループ状感光面1110である。異なるループ状感光面1110は、幾何的中心が同じように設けられており、ループ状感光面1110の数はM個であってもよく、ここで、M≧1である。
【0131】
本発明の実施例において、各感光面111はループ状感光面1110であってもよい。各ループ状感光面1110は、1つのソース-センサー距離に対応する。上記のように、検出モジュール11の感光面111を異なる内径を有するループ状構成に設ける、設計することで、各ループ状感光面は、1つのソース-センサー距離に対応し、均質散乱光に対する受光を最大限に実現しているので、均質散乱光を受光する効率を向上させた。
【0132】
選択的に、上記技術案の上で、各ループ状感光面1110の内径は、0.5mm以上、6mm以下であってもよく、各ループ状感光面1110のループ幅は、0.05mm以上、0.3mm以下であってもよい。
【0133】
選択的に、上記技術案の上で、M=4であると、径方向に沿って内から外へのM個のループ状感光面1110の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、及び第4内径である。第1内径は1.2mm以上、3mm未満であってもよく、第2内径は3mm以上、3.8mm未満であってもよく、第3内径は3.8mm以上、4.4mm未満であってもよく、第4内径は4.4mm以上、6mm以下であってもよい。あるいは、M=5であると、径方向に沿って内から外へのM個のループ状感光面1110の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、第4内径、及び第5内径である。第1内径は1.2mm以上、2mm未満であってもよく、第2内径は2mm以上、2.8mm未満であってもよく、第3内径は2.8mm以上、3.6mm未満であってもよく、第4内径は3.6mm以上、4.2mm未満であってもよく、第5内径は4.2mm以上、6mm以下であってもよい。
【0134】
選択的に、上記技術案の上で、各ループ状感光面1110のループ幅は、0.1mm又は0.2mmであってもよい。
【0135】
選択的に、上記技術案の上で、各所定の波長の範囲は、900nm以上、2400nm以下であってもよい。
【0136】
本発明の実施例において、各ループ状感光面1110は、1つのループ状感光面に対応できる。上記ループ状感光面1110のサイズ及びループ状感光面1110の数は、前述したループ状感光面に対する説明を参照することができ、ここでは、具体的な説明を省略する。また、入射光の波長範囲に対する説明も前述した対応部分の説明を参照することができ、ここでは、具体的な説明を省略する。
【0137】
選択的に、
図12に示すように、上記技術案の上で、組織成分の非侵襲的検出装置1は、第1スリーブ13をさらに含んでもよい。第1スリーブ13は、検出モジュール11の上面に設けてもよく、第1スリーブ13の内径は検出モジュール11上の孔の直径よりも大きくてもよい。
【0138】
第1スリーブ13は、被検出部位の表面で生成された表面反射光が検出モジュール11に入ることを阻止でき、また、各入射光が検出モジュール11の孔を通過することで生成された回折光が検出モジュール11に入ることを阻止できる。
【0139】
本発明の実施例においては、
図13に示すように、一部の入射光は、被検出部位の表面で直接反射され、表面反射光を形成する。表面反射光は、有効情報を持っていないので、検出モジュール11により取得された光強度値に表面反射光に対応する光強度値が存在すると、検出精度を低下させてしまう。また、入射光が検出モジュール11の孔を通過すると、回折光が生成され、回折光も有効情報を持っていないので、検出モジュール11により取得された光強度値に表面反射光に対応する光強度値が存在すると、同様に検出精度を低下させてしまう。表面反射光が検出モジュール11に入ることを避けるためには、検出モジュール11の上面に第1スリーブ13を設けることができる。第1スリーブ13の内径は、検出モジュール11上の孔の直径よりも大きくてもよい。表面反射光及び回折光は、いずれも、第1スリーブ13に阻止されて、検出モジュール11には受光されない。
【0140】
選択的に、
図14に示すように、上記技術案の上で、検出モジュール11には、一体的に接続された第2スリーブ112が設けられていてもよい。第2スリーブ112は検出モジュール11の上面に設けられてもよく、第2スリーブ112の内径は検出モジュール11上の孔の直径よりも大きくてもよい。
【0141】
第2スリーブ112は、被検出部位の表面で生成された表面反射光が検出モジュール11に入ることを阻止でき、また、各入射光が検出モジュール11の孔を通過することで生成された回折光が検出モジュール11に入ることを阻止できる。
【0142】
本発明の実施例においては、表面反射光及び回折光が検出モジュール11に入ることを避けるため、検出モジュール11の上面に第1スリーブ13を設ける形態以外にも、検出モジュール11を作製する時、検出モジュール11の上面に直接第2スリーブ112を設けてもよい。つまり、第2スリーブ112は検出モジュール11の構成部分である。ここで、第2スリーブ112の内径は検出モジュール11上の孔の直径よりも大きくてもよい。
【0143】
選択的に、
図15に示すように、上記技術案の上で、組織成分の非侵襲的検出装置1は、第3スリーブ14をさらに含んでもよい。第3スリーブ14の上面は、検出モジュール11の孔を通過して、検出モジュール11の上面からはみ出してもよい。
【0144】
第3スリーブ14は、被検出部位の表面で生成された表面反射光が検出モジュール11に入ることを阻止でき、また、各入射光が検出モジュール11の孔を通過することで生成された回折光が検出モジュール11に入ることを阻止できる。
【0145】
本発明の実施例においては、表面反射光及び回折光が検出モジュール11に入ることを避けるために、上記の2つの形態以外にも、第3スリーブ14を設けてもよく、第3スリーブ14の上面は検出モジュール11の孔を通過して、検出モジュール11の上面からはみ出してもよい。第3スリーブ14の外径は検出モジュール11上の孔の直径よりも小さくてもよい。
【0146】
上記第1スリーブ13及び第2スリーブ112にとって、検出モジュール11上の孔を貫通するかどうかは、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。検出モジュール11上に孔が貫通されているかないかに関係なく、光は通過できる。また、第2スリーブ112は、検出モジュール11の作製難易度を増加させる。第1スリーブ13に比べて、第3スリーブ14の実現方はより簡単である。どのような形のスリーブを選択して表面反射光及び回折光が検出モジュール11に入ることを阻止するかは、実際の状況に応じて決めることができ、ここでは、具体的に限定しない。
【0147】
選択的に、
図16に示すように、上記技術案の上で、組織成分の非侵襲的検出装置1は、ハウジング15をさらに含んでもよい。光源モジュール10、検出モジュール11及び処理モジュール12は、ハウジング15の内部に設けられてもよく、検出モジュール11の上面はハウジング15の上面より低くてもよい。
【0148】
本発明の実施例においては、組織成分の非侵襲的検出装置1により組織成分の検出を行う際に非接触検出を実現するため、つまり、検出モジュール11の上面と被検出部位の表面が接触しないようにするため、検出モジュール11の上面がハウジング15の上面より低いようにしてもよい。
【0149】
上記第1スリーブ13、第2スリーブ112及び第3スリーブ14の上面はハウジング15の上面からはみ出してもよい。
【0150】
選択的に、
図16に示すように、上記技術案の上で、組織成分の非侵襲的検出装置1は、保護部品16をさらに含んでもよい。保護部品16は、ハウジング15の上面の孔のところに設けてもよく、保護部品16の上面はハウジング15の上面より低くてもよく、保護部品16上には孔を開けてもよく、且つ、ハウジング15と幾何的中心が同じように設けてもよい。保護部品16の光透過率は光透過率閾値以上であってもよい。
【0151】
保護部品16は、検出モジュール11を保護でき、組織成分の非侵襲的検出装置1が被検出部位に装着されたとき、被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現する。
【0152】
本発明の実施例においては、埃の付着や、人の触りから検出モジュール11を保護するために、ハウジング15の孔のところに保護部品16を設けてもよい。ここで、保護部品16上にも、同様に孔を開けてもよく、且つ、保護部品16は、ハウジング15と幾何的中心が同じように設けられてもよく、保護部品16の上面はハウジング15の上面より低くてもよい。また、検出モジュール11は被検出部位に直接接触しないので、被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現できる。また、非接触検出により、熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮させることもできる。
【0153】
保護部品16の材料は、透射率が光透過率閾値以上である材料であってもよい。光透過率閾値は0.6であってもよい。選択的に、保護部品16は、水晶ガラスシートであってもよい。入射光が近赤外光であると、水晶ガラス排進の材料はJGS1Sであってもよい。上記ハウジング15の中心に、例えば正六角形のようなT角形の孔を開けて、水晶ガラスシートを設けるようにしてもよい。水晶ガラスシートは、中心に孔が開けられてもよく、且つ、水晶ガラスシート上の孔の直径は、第1スリーブ13及び第2スリーブ1117の外径より少々大きい。また、ハウジング15の周囲に溝を設けることで、放熱を実現してもよい。
【0154】
選択的に、
図17に示すように、上記技術案の上で、組織成分の非侵襲的検出装置1は、接触部品17をさらに含んでもよい。接触部品17は、ハウジング15の上面に設けてもよく、接触部品17の材料の熱伝導係数は、空気熱伝導係数の範囲内であってもよい。
【0155】
接触部品17は、組織成分の非侵襲的検出装置1が被検出部位に装着されたとき、被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現し、また、断熱材料の熱伝導係数が空気熱伝導係数の範囲内であることにより、組織成分の非侵襲的検出装置1が被検出部位に装着されたときに、被検出部位との間で熱伝導が熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮させる。
【0156】
本発明の実施例においては、組織成分の非侵襲的検出装置1を装着した後、被検出部位ができる限り早く熱平衡状態になるように確保することで、被検出部位と組織成分の非侵襲的検出装置1との間で熱伝導が熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮させるため、ハウジング15の上面に接触部品17を設けてもよく、且つ、接触部品17の材料の熱伝導係数は、空気熱伝導係数の範囲内である必要がある。空気熱伝導係数の範囲内とは、0.01W/mKよりも大きく、0.4W/mK以下であってもよい。例示的に、接触部品17を使用しないと、熱平衡状態になるまでかかる時間は、約1時間である。接触部品17の材料の熱伝導係数が0.14W/mKであると、熱平衡状態になるまでかかる時間は0.25時間である。接触部品17の材料の熱伝導係数が0.4W/mKであると、熱平衡状態になるまでかかる時間は約0.3時間である。これから分かるように、接触部品17を使用しない場合に比べて、接触部品17を使用し、接触部品17の材料の熱伝導係数が空気熱伝導係数の範囲内であるようにすることで、熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮できる。また、検出モジュール11は被検出部位に直接接触しないので、被検出部位の皮膚状態を自然状態に維持するように確保しながら、非接触検出を実現できる。また、非接触検出によっても、熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮できる。
【0157】
材料の熱伝導係数が空気熱伝導係数の範囲内であるように保証するために、接触部品17の材料は、シリカゲル及びポリ塩化ビニル等からなってもよい。接触部品17はインターフェースパッドであってもよい。インターフェースパッドの形状としては、環形、角形ボックス等であってもよい。インターフェースパッドの形状及びサイズは、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。
【0158】
選択的に、上記技術案の上で、ハウジング15の上面には、断熱材料がめっきされていてもよく、断熱材料の熱伝導係数は空気熱伝導係数の範囲内であってもよい。
【0159】
断熱材料は、組織成分の非侵襲的検出装置1が被検出部位に装着されたとき、被検出部位の皮膚状態を自然状態に維持するように確保しながら、非接触検出を実現し、また、断熱材料の熱伝導係数が空気熱伝導係数の範囲内であることにより、組織成分の非侵襲的検出装置1が被検出部位に装着されたときに、被検出部位との間で熱伝導が熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮させる。
【0160】
本発明の実施例においては、接触部品17と同様の作用を奏するため、ハウジング15の上面に直接断熱材料をめっきしてもよく、断熱材料の熱伝導係数は、空気熱伝導係数の範囲内であってもよい。空気熱伝導係数の範囲内とは、0.01W/mKよりも大きく、0.4W/mK以下であってもよい。断熱材料は、シリカゲル、ポリ塩化ビニル等であってもよい。
【0161】
選択的に、上記技術案の上で、光源モジュール10は、光源照射ユニット又は入射光ファイバーを含んでもよい。
【0162】
本発明の実施例において、光源モジュール10は光源照射ユニット又は入射光ファイバーを含んでもよい。光源モジュール10が光源照射ユニットを含む場合、入射光は当該光源照射ユニットにより被検出部位に直接照射してもよい。光源モジュール10が入射光ファイバーを含む場合、入射光は入射光ファイバーを介して被検出部位に照射してもよい。ここで、入射光は、外部光源により生成される。
【0163】
上記のように、光源モジュール10が光源照射ユニットを含む場合、光源モジュール10が入射光ファイバーを含む場合に比べて、組織成分の非侵襲的検出装置1の体積が大きくなるが、内部に光源照射ユニットが含まれているので、入射光ファイバーを介して入射光を伝播する必要がなく、光ファイバーによる伝播は光損失を発生するため、光損失がよりも小さく、且つ、光ファイバーの導入による干渉を避けることもできる。逆に、光源モジュール10が入射光ファイバーを含む場合、光源モジュール10が光源照射ユニットを含む場合に比べて、組織成分の非侵襲的検出装置1の体積は小さくなるが、入射光が入射光ファイバーを介して伝播し、光ファイバーによる伝播は光損失を発生するので、光損失がよりも大きく、且つ、光ファイバーは外部環境の影響を受けやすく、干渉が起きりやすい。光源モジュール10が光源照射ユニットを含むか、それとも、入射光ファイバーを含むかは、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、限定しない。
【0164】
本発明の実施例に記載された上面とは、いずれも、被検出部位に近接する表面を意味し、下面とは、いずれも、被検出部位から離れる表面を意味する。
【0165】
図18は、本発明の実施例により提供されるウェアラブルデバイスの構成模式図であり、本実施例は、検出されるべき組織成分の濃度の検出精度を向上させる場合に適用することができる。
図18に示すように、このウェアラブルデバイス2は、本体20と、本発明の実施例に記載された組織成分の非侵襲的検出装置1と、を含んでもよい。組織成分の非侵襲的検出装置1は、本体上20上に設けられてもよく、組織成分の非侵襲的検出装置1は、光源モジュール10、検出モジュール11、及び処理モジュール12を含むことができる。検出モジュール11と処理モジュール12とは、通信可能に接続される。以下、添付の図面を参照しながらその構成及び動作原理について説明する。
【0166】
ウェアラブルデバイス2は、被検出部位に装着される。
【0167】
光源モジュール10は、各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する。
【0168】
検出モジュール11は、各所定の波長に対して、入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて被検出部位の表面から射出される光強度値を取得し、各光強度値を処理モジュール12に送信し、所定の距離の数は少なくとも1つである。
【0169】
処理モジュール12は、各所定の波長における各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0170】
本発明の実施例において、組織成分の非侵襲的検出装置1は本体20上に設けることができ、組織成分の非侵襲的検出装置1により組織成分の検出を行う必要があるとき、ウェアラブルデバイス2を被検出部位に装着すればよい。また、組織成分の非侵襲的検出装置1を利用して検出を行うので、検出条件の影響を受けやすくなり、さらに、検出精度を影響する可能性がある。従って、検出条件の安定性を保証して、検出精度をさらに向上させるためには、当該組織成分の非侵襲的検出装置1を固定することで、被検出部位と組織成分の非侵襲的検出装置1との間の位置関係が所定の関係になるようにしてもよい。上記のように、組織成分の非侵襲的検出装置1を本体20上に設けることで、位置を固定することができ、検出条件の安定性を保証して、さらに、検出精度を向上させることができる。また、組織成分の非侵襲的検出装置1の構成及び動作原理は、前述した非侵襲的検出装置1に対する説明を参照することができ、ここでは、説明を省略する。
【0171】
ウェアラブルデバイス2は、表示モジュールをさらに含んでもよく、表示モジュールは、処理モジュール12に通信可能に接続されてもよく、処理モジュール12は、検出されるべき組織成分の濃度を表示モジュールに送信し、表示モジュールが検出されるべき組織成分の濃度を表示することで、被検出個体は表示モジュールから検出されるべき組織成分の濃度を知ることができる。また、ウェアラブルデバイス2は、音声モジュールをさらに含んでもよく、音声モジュールは、処理モジュール12に通信可能に接続されてもよく、処理モジュール12は、検出されるべき組織成分の濃度を音声モジュールに送信し、音声モジュールは、検出されるべき組織成分の濃度に応じて音声指令を生成し、当該音声指令を再生することで、被検出個体に検出されるべき組織成分の濃度を知らせてもよい。
【0172】
本実施の技術案は、広い範囲の光強度値の受光を実現できるので、光の受光効率を向上させ、さらに、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させることができる。検出モジュールは、被検出部位から射出された光強度値を直接処理できるので、光損失を低下させ、さらに検出効率を向上させた。検出装置の体積を大幅に減少できるので、検出装置をウェアラブルデバイス上に設けることが可能になる。さらに、被検出部位上に容易に装着して固定することができるので、検出条件の安定性を保証でき、これに対応して、検出条件の安定性を向上させることができる。また、携帯可能な検出が可能になる。この上で、異なる光強度値に対して差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除することができるので、検出されるべき組織成分に対する検出精度も向上させることができる。
【0173】
図19は、本発明の実施例により提供される組織成分の非侵襲的検出システムの構成模式図であり、本実施例は、検出されるべき組織成分の濃度の検出精度を向上させる場合に適用することができる。
図19に示すように、当該組織成分の非侵襲的検出システムは、本発明の実施例に記載されたウェアラブルデバイス2と端末3とを含む。ウェアラブルデバイス2は、本体20と、組織成分の非侵襲的検出装置1とを含み、組織成分の非侵襲的検出装置1は、本体上20上に設けられる。組織成分の非侵襲的検出装置1には、光源モジュール10と、検出モジュール11と、処理モジュール12とが含まれる。処理モジュール12は、検出モジュール11及び端末3のそれぞれに通信可能に接続される。以下、添付の図面を参照しながらその構成及び動作原理について説明する。
【0174】
ウェアラブルデバイス2は、被検出部位に装着される。
【0175】
光源モジュール10は、各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する。
【0176】
検出モジュール11は、各所定の波長に対して、入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて被検出部位の表面から射出される光強度値を取得し、各光強度値を処理モジュール12に送信し、所定の距離の数は少なくとも1つである。
【0177】
処理モジュール12は、各所定の波長における各光強度値を処理して、処理後の各所定の波長における各光強度値を取得し、処理後の各所定の波長における各光強度値を端末3に送信する。
【0178】
端末3は、処理後の各所定の波長における各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0179】
本発明の実施例においては、前述したものに比べて、組織成分の非侵襲的検出装置1のコストを低減するために、ウェアラブルデバイス2と端末3とを組み合わせる形態により検出されるべき組織成分の濃度を確定することを実現する点において異なる。つまり、処理モジュール12は、各光強度値を処理して、処理後の各光強度値を取得し、処理後の各光強度値を端末3に送信し、端末3は、処理後の各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。ここで、処理モジュール12による各光強度値に対する処理操作には、電流と電圧との変換及び増幅、並びにAD変換等が含まれる。端末3は、本発明の実施例に記載された組織成分の非侵襲的検出方法と同じ方法を採用して、処理後の各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができるので、ここでは、具体的な説明を省略する。また、ウェアラブルデバイス2の構成及び動作原理については、前述したウェアラブルデバイス2に対する説明を参照することができ、ここでは、説明を省略する。
【0180】
端末3は、検出されるべき組成成分の濃度を表示することで、被検出個体に検出されるべき組織成分の濃度を知らせてもよい。端末3は、検出されるべき組織成分の濃度を含む音声指令を生成し、当該音声指令を再生することで、被検出個体に検出されるべき組織成分の濃度を知らせてもよい。
端末3とウェアラブルデバイス2とを組み合わせる形態により検出されるべき組織成分の濃度を確定することを実現する以外にも、クラウドサーバーとウェアラブルデバイス2とを組み合わせる形態によって検出されるべき組織成分の濃度を確定することを実現してもよい。
【0181】
本実施例の技術案は、広い範囲の光強度値の受光を実現できるので、光の受光効率を向上させ、さらに、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させることができる。検出モジュールは、被検出部位から射出された光強度値を直接処理できるので、光損失を低下させ、さらに検出効率を向上させた。検出装置の体積を大幅に減少できるので、検出装置をウェアラブルデバイス上に設けることが可能になる。さらに、被検出部位上に容易に装着して固定することができるので、検出条件の安定性を保証でき、これに対応して、検出条件の安定性を向上させることができる。また、携帯可能な検出が可能になる。この上で、異なる光強度値に対して差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除することができるので、検出されるべき組織成分に対する検出精度も向上させることができる。
【0182】
以上の具体的な実施例においては、本発明的目的、技術案、及び有益な効果についてより詳細に説明したが、これらは、本発明の具体的な実施例に過ぎず、本発明を限定するためのものではないと考えるべきである。本発明の主旨と原則を逸脱しない範囲で行う全ての変更、等価的な切り替え、改良等は、全て本発明の保護範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する照射ステップと、
各前記所定の波長に対して、前記入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて、前記被検出部位の表面から射出される光強度値を取得する取得ステップと、
各前記所定の波長における各前記光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する確定ステップと、を含む、
ことを特徴とする、組織成分の非侵襲的検出方法。
【請求項2】
前記取得ステップは、各前記所定の波長に対して、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得することを含み、
前記感光領域と前記光強度値とは、一対一で対応する、
ことを特徴とする、請求項1に記載的方法。
【請求項3】
前記取得ステップは、各前記所定の波長に対して、M個のループ状感光面に基づいて、前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得することをさらに含み、
各前記ループ状感光面と前記光強度値とは、一対一で対応し、
ここで、M≧1である、
ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記確定ステップは、
各前記所定の波長における各前記光強度値から、1つの光強度値を確定して各前記所定の波長における光強度目標値とすることと、
各前記所定の波長における前記光強度目標値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することと、を含む、
ことを特徴とする、請求項2
又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記確定ステップは、
各前記所定の波長における各前記光強度値から、光強度測定値及び光強度参考値を確定することと、
各前記所定の波長における前記光強度測定値及び前記光強度参考値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することと、を含む、
ことを特徴とする、請求項2
又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記各前記所定の波長における各前記光強度値から、光強度測定値及び光強度参考値を確定することは、
各前記所定の波長に対して、波長特性、光学パラメーター、及び皮膚構成パラメーターのうちの少なくとも1つを含む所定の条件に応じて、前記所定の波長に対応する各前記光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定すること、を含む、
ことを特徴とする、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記各前記所定の波長に対して、波長特性、光学パラメーター、及び皮膚構成パラメーターのうちの少なくとも1つを含む所定の条件に応じて、前記所定の波長に対応する各前記光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定することは、
各前記所定の波長に対して、光強度変化量に応じて、前記所定の波長に対応する各前記光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定すること、を含み、
前記光強度測定値は、光強度変化量の絶対値が第1変化量閾値以上である光強度値であり、
前記光強度参考値は、光強度変化量の絶対値が第2変化量閾値以下である光強度値であり、
前記光強度変化量は、前記光強度値と対応する所定の光強度値との間の変化量であり、
前記第1変化量閾値は、前記第2変化量閾値よりも大きく、
前記所定の光強度値は、検出されるべき組織成分の濃度が所定の濃度であるとき、被検出部位の表面から射出された光強度値である、
ことを特徴とする、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記各前記所定の波長における前記光強度測定値及び前記光強度参考値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することは、
各前記所定の波長に対して、前記所定の波長に対応する前記光強度測定値及び前記光強度参考値に対して差分演算を行って、差分光強度値を得ることと、
各前記所定の波長における前記差分光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することと、を含む、
ことを特徴とする、請求項
5に記載の方法。
【請求項9】
光源モジュール、検出モジュール、及び処理モジュールを含み、
前記検出モジュールは前記処理モジュールに通信可能に接続され、
前記光源モジュールは、各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射し、
前記検出モジュールは、各前記所定の波長に対して、前記入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各前記光強度値を前記処理モジュールに送信し、前記所定の距離の数は少なくとも1つであり、
前記処理モジュールは、各前記所定の波長における各前記光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する、
ことを特徴とする、組織成分の非侵襲的検出装置。
【請求項10】
前記検出モジュールは、少なくとも1つの感光面を含み、
同一の所定の距離における異なる前記感光面の陽極電極は接続され、
各所定の距離に対して、少なくとも1つの前記感光面が設けられ、
前記検出モジュールは、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、
前記感光領域と前記光強度値とは、一対一で対応する、
ことを特徴とする、請求項
9に記載の装置。
【請求項11】
各前記感光面は、ループ状感光面であり、
異なる前記ループ状感光面は、幾何的中心が同じように設けられており、
前記ループ状感光面の数は、M個であり、ここで、M≧1である、
ことを特徴とする、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
第1スリーブをさらに含み、
前記第1スリーブは前記検出モジュールの上面に設けられ、前記第1スリーブの内径は前記検出モジュール上の孔の直径よりも大きく、
前記第1スリーブは、各前記入射光が前記被検出部位の表面を通過することにより生成される表面反射光が前記検出モジュールに入ることを阻止するとともに、各前記入射光が前記検出モジュールの孔を通過することにより生成される回折光が前記検出モジュールに入ることを阻止
し、
及び/又は、
前記検出モジュールには、一体的に接続された第2スリーブがさらに設けられており、
前記第2スリーブは、前記検出モジュールの上面に設けられ、前記第2スリーブの内径は前記検出モジュール上の孔の直径よりも大きく、
前記第2スリーブは、各前記入射光が前記被検出部位の表面を通過することにより生成される表面反射光が前記検出モジュールに入ることを阻止するとともに、各前記入射光が前記検出モジュールの孔を通過することにより生成される回折光が前記検出モジュールに入ることを阻止し、及び/又は、
第3スリーブをさらに含み、
前記第3スリーブの上面は、前記検出モジュールの孔を通過して、前記検出モジュールの上面からはみだしており、
前記第3スリーブは、各前記入射光が前記被検出部位の表面を通過することにより生成される表面反射光が前記検出モジュールに入ることを阻止するとともに、各前記入射光が前記検出モジュールの孔を通過することにより生成される回折光が前記検出モジュールに入ることを阻止する、
ことを特徴とする、請求項
9又は
10に記載の装置。
【請求項13】
ハウジングをさらに含み、
前記光源モジュール、前記検出モジュール、及び前記処理モジュールは前記ハウジングの内部に設けられており、
前記検出モジュールの上面は前記ハウジングの上面よりも低い、
ことを特徴とする、請求項
9又は
10に記載の装置。
【請求項14】
保護部品をさらに含み、
前記保護部品は、前記ハウジングの上面の孔のところに設けられ、且つ、前記保護部品の上面は前記ハウジングの上面よりも低く、前記保護部品上には孔が開けられており、前記ハウジングと幾何的中心が同じように設けられ、
前記保護部品の光透過率は、光透過率閾値以上であり、
前記保護部品は、前記検出モジュールを保護するとともに、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたとき、前記被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現
し、
及び/又は、
接触部品をさらに含み、
前記接触部品は、前記ハウジングの上面に設けられ、前記接触部品の材料の熱伝導係数は空気熱伝導係数の範囲内であり、
前記接触部品は、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたとき、前記被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現し、前記接触部品の材料の熱伝導係数が空気熱伝導係数の範囲内であることにより、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたときに、前記被検出部位との間で熱伝導が熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮させ、及び/又は、
前記ハウジングの上面には、断熱材料がめっきされており、前記断熱材料の熱伝導係数は、空気熱伝導係数の範囲内であり、
前記断熱材料は、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたとき、前記被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現し、前記断熱材料の熱伝導係数が空気熱伝導係数の範囲内であることにより、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたときに、前記被検出部位との間で熱伝導が熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮させる、
ことを特徴とする、請求項
13に記載の装置。
【請求項15】
ウェアラブルデバイスであって、
本体と、
請求項
9~
14のいずれか1項に記載の組織成分の非侵襲的検出装置と、を含み、
前記組織成分の非侵襲的検出装置は、前記本体上に設けられ、
前記ウェアラブルデバイスは、被検出部位に装着される、
ことを特徴とする、ウェアラブルデバイス。
【請求項16】
請求項
15に記載のウェアラブルデバイス及び端末を含み、
前記処理モジュールは、前記検出モジュール及び前記端末にそれぞれ通信可能に接続され、
前記ウェアラブルデバイスは、被検出部位に装着され、
前記検出モジュールは、各前記所定の波長に対して、前記入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各前記光強度値を前記処理モジュールに送信し、
前記処理モジュールは、各前記所定の波長における各前記光強度値を処理して、処理後の各前記所定の波長における各前記光強度値を得て、処理後の各前記所定の波長における各前記光強度値を前記端末に送信し、
前記端末は、処理後の各前記所定の波長における各前記光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する、
ことを特徴とする、組織成分の非侵襲的検出システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトル検出技術分野に関し、特に、組織成分の非侵襲的検出方法、装置、システム、及びウェアラブルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
人体の体液には、例えば、血糖、脂肪、白血球等の複数の種類の組織成分が含まれており、人体の健康的な働きを保障するためには、各種の組織成分の濃度が対応する濃度範囲内でなければならない。しかし、一部の個体にとっては、組織成分のアンバランスの状態、即ち、組織成分の濃度が正常的な数値範囲内でない状態になりやすく、さらに、体が病気になって、健康ひいては命まで危うくなるおそれもあるので、このような個体に対しては、組織成分をリアルタイムで検出する必要がある。
【0003】
光学的方法は、迅速、非侵襲的、及び情報の多次元化等のメリットがあるので、従来技術では、一般的に、光学的方法によって組織成分の検出を行ってきた。光学的方法は、測定の原理によって大分すると、主に、ラーマンスペクトル法、偏光法、OCT(Optical Coherence Tomography)法、光音響分光法、中赤外線スペクトル法、及び近赤外線スペクトル法等が含まれる。
【0004】
しかしながら、従来技術には、少なくとも以下の問題点がある。(1)SNR(Signal to Noise Ratio)が低い。被検出組織を通過して射出する散漫散乱光自体は比較的に微弱なので、検出されるべき組織成分の濃度変化による散漫散乱光の変化も微弱であり、且つ、光の受光効率も低くなる。従って、受信された散漫散乱光信号のSNRが低く、これは検出されるべき組織成分の検出精度に直接影響を与え、検出精度を低下させる。(2)検出条件の変化が大きい。被検出組織は軟部組織であるので、毎回検出装置を被検出部位に接して測定を行うとき、検出条件は異なる。従って、検出条件による散漫散乱光の変化は、検出されるべき組織成分の濃度変化による散漫散乱光の変化よりもはるかに大きくなり、これは、検出精度の低下につながる。ここで、検出条件には、入射光の入射位置、入射光の入射角度、接触圧力、及び被検出部位の温度等が含まれる。(3)被検出個体自体の背景ノイズが大きい。被検出個体は生体なので、被検出個体の血液中の水、脂肪、及び蛋白質等は生理的や心理的等の自体の背景ノイズの影響を受けやすく、大きな背景ノイズの干渉により、微弱な信号の抽出は困難であり、これは、検出精度の低下につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施例は、検出されるべき組織成分の濃度に対する検出精度を向上させることができる組織成分の非侵襲的検出方法、装置、システム、及びウェアラブルデバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1局面によると、本発明の実施例は、
各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する照射ステップと、
各前記所定の波長に対して、前記入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて、前記被検出部位の表面から射出される光強度値を取得する取得ステップと、
各前記所定の波長における各前記光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する確定ステップと、を含む、組織成分の非侵襲的検出方法を提供する。
【0007】
選択的に、前記取得ステップは、
各前記所定の波長に対して、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得することを含み、前記感光領域と前記光強度値とは、一対一で対応する。
【0008】
選択的に、前記取得ステップは、
各前記所定の波長に対して、M個のループ状感光面に基づいて、前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得することをさらに含み、各前記ループ状感光面と前記光強度値とは、一対一で対応し、ここで、M≧1である。
【0009】
選択的に、各前記ループ状感光面の内径は、0.5mm以上、6mm以下であり、各前記ループ状感光面のループ幅は、0.05mm以上、0.3mm以下である。
【0010】
選択的に、M=4であると、径方向に沿って内から外へのM個の前記ループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、及び第4内径であり、前記第1内径は、1.2mm以上、3mm未満であり、前記第2内径は、3mm以上、3.8mm未満であり、前記第3内径は、3.8mm以上、4.4mm未満であり、前記第4内径は、4.4mm以上、6mm以下であり、または、
M=5であると、径方向に沿って内から外へのM個の前記ループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、第4内径、及び第5内径であり、前記第1内径は、1.2mm以上、2mm未満であり、前記第2内径は、2mm以上、2.8mm未満であり、前記第3内径は、2.8mm以上、3.6mm未満であり、前記第4内径は、3.6mm以上、4.2mm未満であり、前記第5内径は、4.2mm以上、6mm以下である。
【0011】
選択的に、各前記ループ状感光面のループ幅は、0.1mm又は0.2mmである。
【0012】
選択的に、各前記所定の波長の範囲は、900nm以上、2400nm以下である。
【0013】
選択的に、前記確定ステップは、
各前記所定の波長における各前記光強度値から、1つの光強度値を確定して各前記所定の波長における光強度目標値とすることと、
各前記所定の波長における前記光強度目標値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することと、を含む。
【0014】
選択的に、前記確定ステップは、
各前記所定の波長における各前記光強度値から、光強度測定値及び光強度参考値を確定することと、
各前記所定の波長における前記光強度測定値及び前記光強度参考値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することと、を含む。
【0015】
選択的に、前記各前記所定の波長における各前記光強度値から、光強度測定値及び光強度参考値を確定することは、
各前記所定の波長に対して、波長特性、光学パラメーター、及び皮膚構成パラメーターのうちの少なくとも1つを含む所定の条件に応じて、前記所定の波長に対応する各前記光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定すること、を含む。
【0016】
選択的に、前記各前記所定の波長に対して、波長特性、光学パラメーター、及び皮膚構成パラメーターのうちの少なくとも1つを含む所定の条件に応じて、前記所定の波長に対応する各前記光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定することは、
各前記所定の波長に対して、光強度変化量に応じて、前記所定の波長に対応する各前記光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定すること、を含み、前記光強度測定値は、光強度変化量の絶対値が第1変化量閾値以上である光強度値であり、前記光強度参考値は、光強度変化量の絶対値が第2変化量閾値以下である光強度値であり、前記光強度変化量は、前記光強度値と対応する所定の光強度値との間の変化量であり、前記第1変化量閾値は、前記第2変化量閾値よりも大きく、前記所定の光強度値は、検出されるべき組織成分の濃度が所定の濃度であるとき、被検出部位の表面から射出された光強度値である。
【0017】
選択的に、前記各前記所定の波長における前記光強度測定値及び前記光強度参考値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することは、
各前記所定の波長に対して、前記所定の波長に対応する前記光強度測定値及び前記光強度参考値に対して差分演算を行って、差分光強度値を得ることと、
各前記所定の波長における前記差分光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することと、を含む。
【0018】
選択的に、前記取得ステップの前に、干渉光を遮蔽することをさらに含む。
【0019】
第2局面によると、本発明の実施例は、さらに、光源モジュール、検出モジュール、及び処理モジュールを含み、前記検出モジュールは前記処理モジュールに通信可能に接続され、
前記光源モジュールは、各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射し、
前記検出モジュールは、各前記所定の波長に対して、前記入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各前記光強度値を前記処理モジュールに送信し、前記所定の距離の数は少なくとも1つであり、
前記処理モジュールは、各前記所定の波長における各前記光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する、組織成分の非侵襲的検出装置を提供する。
【0020】
選択的に、前記検出モジュールは、少なくとも1つの感光面を含み、同一の所定の距離における異なる前記感光面の陽極電極は接続され、
各所定の距離に対して、少なくとも1つの前記感光面が設けられ、
前記検出モジュールは、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、前記感光領域と前記光強度値とは、一対一で対応し、前記所定の距離の数は、少なくとも1つである。
【0021】
選択的に、各前記感光面は、ループ状感光面であり、異なる前記ループ状感光面は、幾何的中心が同じように設けられており、前記ループ状感光面の数は、M個であり、ここで、M≧1である。
【0022】
選択的に、各前記ループ状感光面の内径は、0.5mm以上、6mm以下であり、各前記ループ状感光面のループ幅は、0.05mm以上、0.3mm以下である。
【0023】
選択的に、M=4であると、径方向に沿って内から外へのM個の前記ループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、及び第4内径であり、前記第1内径は、1.2mm以上、3mm未満であり、前記第2内径は、3mm以上、3.8mm未満であり、前記第3内径は、3.8mm以上、4.4mm未満であり、前記第4内径は、4.4mm以上、6mm以下であり、または、
M=5であると、径方向に沿って内から外へのM個の前記ループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、第4内径、及び第5内径であり、前記第1内径は、1.2mm以上、2mm未満であり、前記第2内径は、2mm以上、2.8mm未満であり、前記第3内径は、2.8mm以上、3.6mm未満であり、前記第4内径は、3.6mm以上、4.2mm未満であり、前記第5内径は、4.2mm以上、6mm以下である。
【0024】
選択的に、各前記ループ状感光面のループ幅は、0.1mm又は0.2mmである。
【0025】
選択的に、各前記所定の波長の範囲は、900nm以上、2400nm以下である。
【0026】
選択的に、第1スリーブをさらに含み、前記第1スリーブは前記検出モジュールの上面に設けられ、前記第1スリーブの内径は前記検出モジュール上の孔の直径よりも大きく、
前記第1スリーブは、各前記入射光が前記被検出部位の表面を通過することにより生成される表面反射光が前記検出モジュールに入ることを阻止するとともに、各前記入射光が前記検出モジュールの孔を通過することにより生成される回折光が前記検出モジュールに入ることを阻止する。
【0027】
選択的に、前記検出モジュールには、一体的に接続された第2スリーブがさらに設けられており、前記第2スリーブは、前記検出モジュールの上面に設けられ、前記第2スリーブの内径は前記検出モジュール上の孔の直径よりも大きく、
前記第2スリーブは、各前記入射光が前記被検出部位の表面を通過することにより生成される表面反射光が前記検出モジュールに入ることを阻止するとともに、各前記入射光が前記検出モジュールの孔を通過することにより生成される回折光が前記検出モジュールに入ることを阻止する。
【0028】
選択的に、第3スリーブをさらに含み、前記第3スリーブの上面は、前記検出モジュールの孔を通過して、前記検出モジュールの上面からはみだしており、
前記第3スリーブは、各前記入射光が前記被検出部位の表面を通過することにより生成される表面反射光が前記検出モジュールに入ることを阻止するとともに、各前記入射光が前記検出モジュールの孔を通過することにより生成される回折光が前記検出モジュールに入ることを阻止する。
【0029】
選択的に、ハウジングをさらに含み、前記光源モジュール、前記検出モジュール、及び前記処理モジュールは前記ハウジングの内部に設けられており、前記検出モジュールの上面は前記ハウジングの上面よりも低い。
【0030】
選択的に、保護部品をさらに含み、前記保護部品は、前記ハウジングの上面の孔のところに設けられ、且つ、前記保護部品の上面は前記ハウジングの上面よりも低く、前記保護部品上には孔が開けられており、前記ハウジングと幾何的中心が同じように設けられ、前記保護部品の光透過率は、光透過率閾値以上であり、
前記保護部品は、前記検出モジュールを保護するとともに、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたとき、前記被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現する。
【0031】
選択的に、接触部品をさらに含み、前記接触部品は、前記ハウジングの上面に設けられ、前記接触部品の材料の熱伝導係数は空気熱伝導係数の範囲内であり、
前記接触部品は、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたとき、前記被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現し、前記接触部品の材料の熱伝導係数が空気熱伝導係数の範囲内であることにより、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたときに、前記被検出部位との間で熱伝導が熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮させる。
【0032】
選択的に、前記ハウジングの上面には、断熱材料がめっきされており、前記断熱材料の熱伝導係数は、空気熱伝導係数の範囲内であり、
前記断熱材料は、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたとき、前記被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現し、前記断熱材料の熱伝導係数が空気熱伝導係数の範囲内であることにより、前記組織成分の非侵襲的検出装置が被検出部位に装着されたときに、前記被検出部位との間で熱伝導が熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮させる。
【0033】
選択的に、前記光源モジュールは、光源照射ユニット又は入射光ファイバーを含む。
【0034】
第3局面によると、本発明の実施例は、さらに、ウェアラブルデバイスであって、本体と、本発明の実施例の第2局面に記載の組織成分の非侵襲的検出装置と、を含み、前記組織成分の非侵襲的検出装置は、前記本体上に設けられ、
前記ウェアラブルデバイスは、被検出部位に装着される、ウェアラブルデバイスを提供する。
【0035】
第4局面によると、本発明の実施例は、さらに、本発明の実施例の第3方面に記載のウェアラブルデバイス及び端末を含み、前記処理モジュールは、前記検出モジュール及び前記端末にそれぞれ通信可能に接続され、
前記ウェアラブルデバイスは、被検出部位に装着され、
前記検出モジュールは、各前記所定の波長に対して、前記入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて前記被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各前記光強度値を前記処理モジュールに送信し、
前記処理モジュールは、各前記所定の波長における各前記光強度値を処理して、処理後の各前記所定の波長における各前記光強度値を得て、処理後の各前記所定の波長における各前記光強度値を前記端末に送信し、
前記端末は、処理後の各前記所定の波長における各前記光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する、組織成分の非侵襲的検出システムを提供する。
【0036】
本実施例の技術案は、各所定の波長に対して、各感光面に基づいて被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各所定の波長における光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することで、広い範囲の光強度値の受光を実現できるので、光の受光効率を向上させ、さらに、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させることができる。また、異なる光強度値に対して、差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除できるので、これによっても、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の実施例における組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャート
【
図2】本発明の実施例における均質散乱光の射出領域の模式図
【
図4】本発明の実施例における他の感光面の分布模式図
【
図5】本発明の実施例における感光領域において陽極電極が接続された模式図
【
図6】本発明の実施例における他の組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャート
【
図7】本発明の実施例における別の組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャート
【
図8】本発明の実施例におけるさらに別の組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャート
【
図9】本発明の実施例におけるさらに別の組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャート
【
図10】本発明の実施例における組織成分の非侵襲的検出装置の構成模式図
【
図11】本発明の実施例における検出モジュールの構成模式図
【
図12】本発明の実施例における第1スリーブの構成模式図
【
図13】本発明の実施例における入射光が伝播される模式図
【
図14】本発明の実施例における第2スリーブの構成模式図
【
図15】本発明の実施例における第3スリーブの構成模式図
【
図16】本発明の実施例における他の組織成分の非侵襲的検出装置の構成模式図
【
図17】本発明の実施例における接触部品の構成模式図
【
図18】本発明の実施例におけるウェアラブルデバイスの構成模式図
【
図19】本発明の実施例における組織成分の非侵襲的検出
システムの構成模式図
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付の図面と実施例を参照しながら本発明をより詳細に説明する。当然ながら、本明細書に記載された具体的な実施例は、単なる本発明を分かりやすくするためのものであり、本発明を限定するものではない。実施例に記載された各特徴を組み合わせることで、複数の選択可能な技術案を得ることができる。なお、説明の便宜のため、図面においては全体構成ではなく、本発明に関係ある部分のみを示していることを指摘しておく。
【0039】
検出精度を向上させるためには、(1)光の受光効率を向上させる、(2)検出条件を安定化させる、(3)コモンモード干渉情報を排除する、という3つの観点から改良を行うことができる。ここで、第1観点においては、均質散乱光を受光する効率を最大限に高めることで実現することができる。均質散乱光は、ほぼ同じ伝播経路を有する散漫散乱光である。第2観点においては、組織成分の非侵襲的検出装置の体積小型化及び軽量化により実現することができる。第3観点においては、差分処理により、浮動基準理論に基づいて実現することができる。以下、本発明の実施例により提供される技術案をよりよく理解するため、まず、関連する一部の概念について説明する。
【0040】
人体にとって、人体組織は、散乱体及び散乱背景からなる複雑な媒体として近似化することができ、入射光が組織に入った後は、吸収作用及び散乱作用が発生するが、吸収作用は、直接光エネルギーの減衰につながり、散乱作用は、光子が伝播する方向を変えることで光エネルギーの分布を影響し、被検出部位の表面から射出された散漫散乱光強度の分布は両者がともに作用した結果である。浮動基準理論によると、検出されるべき組織成分にとっては、ある位置が存在し、当該位置において、吸収作用と散乱作用とによる散漫散乱光強度への影響は同じ程度で方向は反対であるので、散漫散乱光強度の検出されるべき組織成分の濃度変化に対する感度は低下する。上記の特性を有する位置を参考位置(あるいは、基准位置)と呼ぶ。参考位置における散漫散乱光強度は、検出過程中の検出されるべき組織成分以外の他の干渉の応答を反映している。また、検出されるべき組織成分にとっては、ある位置が存在し、当該位置において、散漫散乱光強度の検出されるべき組織成分の濃度変化に対する感度は感度閾値以上である。上記の特性を有する位置を測定位置と呼ぶ。測定位置における散漫散乱光強度は、検出されるべき組織成分の応答、及び検出されるべき組織成分以外の他の干渉の応答を反映している。また、上記の検出されるべき組織成分を反映する応答を有効情報と呼ぶ。以下、具体的な実施例を参照しながら、上記の内容を説明する。
【0041】
図1は、本発明の実施例により提供される組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャートであり、本実施例は検出されるべき組織成分の濃度の検出精度を
向上させる場合に適用することができる。本発明の実施例は、組織成分の非侵襲的検出装置により実行されることができ、組織成分の非侵襲的検出装置は、ソフトウェア及び/又はハードウェアの形態で実現でき、組織成分の非侵襲的検出装置は、例えばスマートウォッチのようなウェアラブルデバイスに配置されることができる。
図1に示すように、この方法は、具体的に、以下のステップを含む。
【0042】
ステップ110:各所定の波長における各入射光をそれぞれ被検出部位に照射する。
【0043】
本発明の実施例においては、光源モジュールにより各所定の波長における入射光を被検出部位に照射することができる。被検出部位は、手のひら、腕、及び耳たぶ等の部位を含んでもよい。各所定の波長の範囲は、900nm以上、2400nm以下であってもよい。所定の波長の数は少なくとも1つであってもよい。入射光は、コリメート光であってもよく、非コリメート光であってもよい。
【0044】
ステップ120:各所定の波長に対して、入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得する。
【0045】
本発明の実施例において、感光面は、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得するためのものである。感光面が入射光の中心から離れている距離を所定の距離と呼んでもよい。この場合、所定の距離は、ソース-センサー距離、即ち、感光面が入射光から離れている距離として理解できる。異なる感光面に対応される所定の距離は同じであってもよく、異なってもよい。異なる感光面に対応される方向は、同じであってもよく、異なってもよい。感光面の位置及び数は、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。所定の距離の数は、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。同一の所定の距離には、少なくとも1つの感光面が対応されてもよく、異なる所定の距離に対応される感光面の数は、同じであってもよく、異なってもよく、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。異なる所定の波長に対応される各感光面は同じである。
【0046】
各所定の波長に対して、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、感光領域と光強度値とは一対一で対応し、所定の距離の数は少なくとも1つである。これにより、各所定の波長に対応する光強度値が得られる。
【0047】
ステップ130:各所定の波長における各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0048】
本発明の実施例においては、各所定の波長における光強度値を取得した後、各所定の波長における各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができる。光強度値の数によって、以下の形態に分けられる。(形態1)各所定の波長における光強度値の数が1つであると、各感光面が同一の所定の距離に対応することを意味し、このような場合、各所定の波長における光強度初期値から、検出されるべき組織成分の濃度を直接確定してもよい。具体的には、各所定の波長における1つの光強度値を予めトレーニングして生成された組織成分予測モデルに入力して、予測結果を取得し、当該予測結果は、検出されるべき組織成分の濃度である。(形態2)各所定の波長における光強度値の数が少なくとも2つであると、各所定の距離が異なる所定の距離に対応することを意味し、このような場合、差分演算によって、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができる。つまり、各所定の波長に対して、当該所定の波長における各光強度値から、2つの光強度値を確定し、これらの2つの光強度値に対して差分演算を行って、当該所定の波長における差分光強度値を得る。各所定の波長における差分光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。具体的には、各所定の波長における差分光強度値を予めトレーニングして生成された組織成分予測モデルに入力して、予測結果を取得し、当該予測結果は検出されるべき組織成分の濃度である。具体的な計算過程は、公開番号がCN1699973Aである特許文献を参照することができるので、ここでは、説明を省略する。
【0049】
上記差分演算により、コモンモード干渉情報による検出結果への影響を排除して、検出精度を向上させることができる。原因は、以下の通りである。入射光は、被検出部位の表面まで伝播された後、一部の入射光は被検出部位の内部に入り、伝播過程中に組織と吸収作用及び散乱作用が発生し、そして、被検出部位の表面から散漫散乱光の形で射出される。組織での光の伝播経路が異なるので、散漫散乱光は、被検出部位の表面において入射光の中心から異なる距離が離れているところから射出し、且つ、持っている有効情報も異なるが、持っているコモンモード干渉情報はほぼ同じである。有効情報は、検出過程中の検出されるべき組織成分に対する応答である。被検出部位の表面において入射光の中心から異なる距離が離れているところから射出する散漫散乱光が持っている有効情報は異なるものの、持っているコモンモード干渉情報はほぼ同じであるので、検出精度を向上させ、コモンモード干渉情報の影響を排除するためには、取得された2つの光強度初期値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができる。2つの光強度初期値に対応される所定の距離は異なる。これを実現するためには、少なくとも2つの所定の距離を設定することで、取得された2つの所定の距離における光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定できるようにする必要がある。
【0050】
本実施例の技術案は、各所定の波長に対して、各感光面に基づいて被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各所定の波長における光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することで、広い範囲の光強度値の受光を実現できるので、光の受光効率を向上させ、さらに、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させることができる。また、異なる光強度値に対して、差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除できるので、これによっても、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させることができる。
【0051】
選択的に、上記技術案の上で、ステップ120は、各所定の波長に対して、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得することを含んでもよく、感光領域と光強度値とは一対一で対応する。
【0052】
本発明の実施例において、光の受光効率が低いことは、信号のSNRが低く、検出精度が臨床で要求する精度を満たすことができない要因の1つであるので、検出精度をさらに向上させるためには、光の受光効率を向上させることで実現できる。光の受光効率を向上させるためには、感光面の設け方に対する設計が必要であるが、設計の発送は以下の通りである。入射光は被検出部位の表面まで伝播された後、一部の入射光は被検出部位の内部に入り、伝播過程中に組織と吸収作用及び散乱作用が発生し、そして、被検出部位の表面から散漫散乱光の形で射出される。組織での光の伝播経路が異なるので、散漫散乱光は、被検出部位の表面において入射光の中心から異なる距離が離れている位置から射出され、且つ、持っている有効情報も異なるが、持っているコモンモード干渉情報はほぼ同じである。有効情報は、検出過程中の検出されるべき組織成分に対する応答である。均質散乱光は、ほぼ同じ伝播経路を有するので、均質散乱光が持っている情報もほぼ同じである。均質散乱光の受光効率を向上させることができれば、光の受光効率の向上を実現できる。つまり、均質散乱光の受光効率を向上させることで、光の受光効率を向上させることができる。
【0053】
均質散乱光は、ほぼ同じ伝播経路を有するので、均質散乱光の被検出部位の表面からの射出位置は、入射光の中心を原点とし、射出位置と入射光の中心との間の線分の距離を半径とする円形環を形成する。つまり、均質散乱光の射出領域はループ状である。具体的には、
図2を参照することができる。
図2に示すように、均質散乱光の射出領域の模式図が示されている。上記により、できる限り上記射出領域内から射出される光強度値を取得することができれば、均質散乱光の受光効率の向上を実現でき、さらに、光の受光効率を向上させることで、検出精度を向上させることができる。均質散乱光の射出位置が入射光の中心から離れている距離はほぼ同じであるが、方向は互いに異なる。これにより、各所定の波長に対して、予め所定の距離及び感光面を設定することができる。
【0054】
均質散乱光の受光効率をできる限り向上させるためには、各所定の波長に対して、各所定の距離において、少なくとも1つの感光面を設けることができ、全ての感光面は、1つの感光領域を構成する。当該感光領域に基づいて、光電変換を実現し、さらに、被検出部位の表面から射出された光強度値、即ち、少なくとも1つの感光面により被検出部位の表面から射出された光により形成された1つの光強度値を取得する。感光領域と光強度値とは、一対一で対応する。つまり、各感光領域には、1つの光強度値が対応される。これにより、当該所定の波長において各所定の距離に対応する各光強度値を取得することができ、所定の距離の数は少なくとも1つである。つまり、各所定の波長に対して、同じ所定の距離を有するT個の感光面において、T個の被検出部位の表面から射出された光による1つの光強度値を取得し、ここで、T≧1であり、且つ、異なる所定の距離に対応する感光面の数は、同じであってもよく、異なってもよい。所定の距離の数は少なくとも1つである。
各所定の距離にとって、それに対応される感光面の数は、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、限定しない。異なる所定の距離に対応される感光面の数は、同じであってもよく、異なってもよく、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、限定しない。
図3及び
図4に示すように、
図3は、感光面の分布模式図を示している。
図4は、他の感光面の分布模式図を示している。
図3において、異なる所定の距離に対応される感光面の数は同じである。
図4において、異なる所定の距離に対応される感光面の数は異なる。
【0055】
各所定の距離にとって、それに対応される感光領域は少なくとも1つの感光面からなってもよい。感光面は、分散された円形面又は多角形面であってもよく、分散されたセグメントリングであってもよく、完全なる環形面であってもよい。ここで、分散された円形面及び多角形面の面積は大き過ぎない方がよい。具体的には、
図3及び
図4を参照することができる。
図3及び
図4において、感光面は、分散された角形面である。
【0056】
各所定の距離に対して、各感光面の分布は、入射光の中心を中心とする対称分布であってもよく、入射光の中心を中心とする非対称分布であってもよく、これは実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。
図3及び
図4に示すように、
図3は対称分布である。
図4は、非対称分布である。
【0057】
各感光領域に対応される1つの光強度値は、各感光面の陽極電極を接続することで、1つの信号を出力することにより実現できる。具体的には、
図5を参照することができる。
図5は、感光領域において陽極電極が接続された模式図を示している。
【0058】
所定の距離の数が1つであると、上記の場合、差分演算により光強度値を処理して、検出されるべき組織成分の濃度を確定することはできない。しかし、上記検出方式を採用すること自体でも光の受光効率を大幅に向上させ、さらに、信号のSNRを向上させることができるので、差分演算を行わなくても、SNRの向上により、検出精度を向上させることができる。所定の距離の数が2つ又は2つ以上であると、上記の場合、各光強度値を取得した後、差分演算により、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができる。所定の距離の数が1つである場合に比べて、差分演算によりコモンモード干渉情報を排除できるので、さらに検出精度を向上させることができる。もちろん、所定の距離の数が2つである場合、差分演算を行わなくてもよい。
【0059】
上記のように、同じ所定の距離を有する各感光面からなる感光領域の検出により、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得することで、均質散乱光の受光効率を向上させることができる。
【0060】
選択的に、上記技術案の上で、各所定の波長に対して、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、感光領域と光強度値とが一対一で対応することは、以下のことを含む。つまり、各所定の波長に対して、M個のループ状感光面の検出に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各ループ状感光面と光強度値とは、一対一で対応し、ここで、M≧1である。
【0061】
本発明の実施例においては、前述した内容から分かるように、均質散乱光により形成する射出領域はループ状領域であるので、均質散乱光の受光効率を向上させるためには、ループ状感光面の検出により実現できる。各ループ状感光面は、対応する領域から射出される光強度値を取得することができる。各ループ状感光面には、1つのソース-センサー距離が対応される。ループ状感光面は、360°範囲で均質散乱光の光強度値を取得することができるので、均質散乱光を最大限に受光することを実現でき、さらに、均質散乱光の受光効率を向上させることができる。均質散乱光の受光効率を向上させたので、検出精度も向上させることができる。上記の各所定の波長に対して、M個のループ状感光面の検出に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各ループ状感光面と光強度値とが一対一で対応し、ここで、M≧1であることに関しては、各所定の波長に対して、T個の感光面からなるループ状感光領域に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各ループ状感光領域には1つの光強度値が対応され、T≧1である、と理解できる。
【0062】
ループ状感光面の数及びループ状感光面のサイズは、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。ここに記載された実際の状況に応じて設定するとは、波長特性、光学パラメーター、及び皮膚構成パラメーターに応じて設定することである、と理解できる。これは、上記の条件が、入射光が組織での伝播経路に影響を与えるからである。
【0063】
M=1であると、つまり、1つのループ状感光面の検出により、被検出部位の表面から射出される光強度値を取得すると、上記の場合、差分演算により光強度値を処理して、検出されるべき組織成分の濃度を確定することはできない。しかし、ループ状検出自体でも光の受光効率を極大に向上させ、さらに、信号のSNRを向上させることができるので、差分演算を行わなくても、SNRの向上により、検出精度を向上させることができる。M≧2であると、つまり、少なくとも2つのループ状感光面の検出により、被検出部位の表面から射出される光強度値を取得すると、上記の場合、各光強度値を取得した後、差分演算により、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができる。M=1である場合に比べて、差分演算によりコモンモード干渉情報を排除できるので、さらに検出精度を向上させることができる。もちろん、M≧2である場合、差分演算を行わなくてもよい。
【0064】
選択的に、上記技術案の上で、各ループ状感光面の内径は0.5mm以上、6mm以下であってもよく、各ループ状感光面のループ幅は0.05mm以上、0.3mm以下であってもよい。
【0065】
本発明の実施例において、内径とは、直径である。M個のループ状感光面は、幾何的中心が同じように設けてもよく、異なるループ状感光面の内径が中心から離れている距離は異なる。異なるループ状感光面のループ幅は同じであってもよく、異なってもよく、これは実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、限定しない。各ループ状感光面の内径及びループ幅が属する範囲は、異なる所定の波長及び異なる被検出個体に対して行う実験により得られた実験結果から確定できる。径方向に沿って、内から外へのM個のループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、・・・、第M-1内径、及び第M内径とすることができる。所定の波長の範囲は、900nm以上、2400nm以下であってもよい。
【0066】
選択的に、M=1である場合、第1内径が0.5mmであり、ループ状感光面のループ幅が0.05mmであり、所定の波長が900nmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は0.136Vである。第1内径が3mmであり、ループ状感光面のループ幅が0.05mmであり、所定の波長が900nmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は0.654Vである。第1内径が1.5mmであり、ループ状感光面のループ幅が0.05mmであり、所定の波長が900nmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は0.401Vである。第1内径が0.5mmであり、ループ状感光面のループ幅が0.3mmであり、所定の波長が900nmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は1.168Vである。第1内径が0.5mmであり、ループ状感光面のループ幅が0.2mmであり、所定の波長が900nmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は0.702Vである。第1内径が3mmであり、ループ状感光面のループ幅が0.05mmであり、所定の波長が2400nmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は2.678Vである。第1内径が3mmであり、ループ状感光面のループ幅が0.05mmであり、所定の波長が1400nmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は0.571Vである。
【0067】
選択的に、M=4であり、第1内径が1.2mm以上、3mm未満であってもよく、第2内径が3mm以上、3.8mm未満であってもよく、第3内径が3.8mm以上、4.4mm未満であってもよく、第4内径が4.4mm以上、6mm以下であってもよい場合、第1内径が1.2mmであり、第2内径が3mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が4.4mmであり、所定の波長が900nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.05mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、0.316V、0.632V、0.611V、及び0.508Vである。
【0068】
第1内径が2mmであり、第2内径が3mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が4.4mmであり、所定の波長が900nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.05mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、0.496V、0.632V、0.611V、及び0.508Vである。
【0069】
第1内径が2mmであり、第2内径が3.6mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が4.4mmであり、所定の波長が900nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.05mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、0.496V、0.639V、0.611V、及び0.508Vである。
【0070】
第1内径が2mmであり、第2内径が3.6mmであり、第3内径が4mmであり、第4内径が4.4mmであり、所定の波長が900nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.05mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、0.496V、0.639V、0.596V、及び0.508Vである。
【0071】
第1内径が2mmであり、第2内径が3.6mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が6mmであり、所定の波長が900nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.05mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、0.496V、0.639V、0.611V、及び0.265Vである。
【0072】
第1内径が2mmであり、第2内径が3.6mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が5mmであり、所定の波長が900nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.05mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、0.496V、0.639V、0.611V、及び0.312Vである。
【0073】
第1内径が2mmであり、第2内径が3.6mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が4.4mmであり、所定の波長が2400nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.05mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、2.085V、2.006V、2.331V、及び1.518Vである。
【0074】
第1内径が2mmであり、第2内径が3.6mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が4.4mmであり、所定の波長が1400nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.05mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は0.449V、0.574V、0.561V、及び0.467Vである。
【0075】
第1内径が2mmであり、第2内径が3.6mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が4.4mmであり、所定の波長が1400nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.3mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、2.941V、3.335V、3.189V、及び2.415Vである。
【0076】
第1内径が2mmであり、第2内径が3.6mmであり、第3内径が3.8mmであり、第4内径が4.4mmであり、所定の波長が900nmであり、各ループ状感光面のループ幅が0.2mmであると、このような場合、当該ループ状感光面の検出により取得された被検出部位の表面から射出された光強度値は、それぞれ、2.012V、2.325V、2.301V、及び0.168Vである。
【0077】
当業者なら、上記と同様の発想に従って、他の数のループ状感光面を設け、さらに、各ループ状感光面のサイズを設定してもよい。ここでは、具体的な説明を省略する。そして、実際の状況に応じて、使用するループ状感光面を選択してもよい。つまり、M個のループ状感光面を設けたものの、実際には、そのうちのH個のループ状感光面により取得された光強度値のみを利用して検出されるべき組織成分の濃度を確定する。ここで、0<H≦Mである。
【0078】
選択的に、上記技術案の上で、M=4である。径方向に沿って内から外へのM個のループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、及び第4内径である。第1内径は1.2mm以上、3mm未満であってもよく、第2内径は3mm以上、3.8mm未満であってもよく、第3内径は3.8mm以上、4.4mm未満であってもよく、第4内径は4.4mm以上、6mm以下であってもよい。あるいは、M=5である。径方向に沿って内から外へのM個のループ状感光面の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、第4内径、及び第5内径である。第1内径は1.2mm以上、2mm未満であってもよく、第2内径は2mm以上、2.8mm未満であってもよく、第3内径は2.8mm以上、3.6mm未満であってもよく、第4内径は3.6mm以上、4.2mm未満であってもよく、第5内径は4.2mm以上、6mm以下であってもよい。
【0079】
本発明の実施例において、所定の波長範囲は、900nm以上、2400nm以下であってもよい。各ループ状感光面のループ幅は、0.05mm以上、0.3mm以下であってもよい。
【0080】
選択的に、上記技術案の上で、各ループ状感光面のループ幅は0.1mm又は0.2mmであってもよい。
【0081】
本発明の実施例において、異なるループ状感光面のループ幅は同じであってもよく、異なってもよく、これは実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。例示的に、M=3であると、内径が第1内径であるループ状感光面のループ幅は0.1mmであり、内径が第2内径であるループ状感光面のループ幅は0.2mmである。内径が第3内径であるループ状感光面のループ幅は0.1mmである。
【0082】
選択的に、上記技術案の上で、各所定の波長の範囲は900nm以上、2400nm以下であってもよい。
【0083】
本発明の実施例において、所定の波長の範囲は、近赤外線バンドをほぼカーバできる。具体的にどの波長を選択して所定の波長とするかは、検出されるべき組織成分のスペクトル特徴、干渉成分のスペクトル特徴、及び被検出個体によって確定することができる。
【0084】
選択的に、上記技術案の上で、ステップ130は、各所定の波長における各光強度値から、1つの光強度値を確定して各所定の波長における光強度目標値とすることを含んでもよい。各所定の波長における光強度目標値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0085】
本発明の実施例においては、各所定の波長における各光強度値から、1つの光強度値を確定して各所定の波長における光強度目標値とすることができる。つまり、各所定の波長は、同一の光強度目標値に対応する。各所定の波長における当該光強度目標値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。即ち、各所定の波長における当該光強度目標値を予めトレーニングして生成された組織成分濃度予測モデルに入力して、予測結果を取得し、当該予測結果は、検出されるべき組織成分の濃度である。
【0086】
上記の検出方式自体でも、光の受光効率を極大に向上させ、さらに、信号のSNRを向上させることができるので、各所定の波長における1つの光強度目標値から、検出されるべき組織成分の濃度を直接確定しても、SNRの向上により、検出精度を向上させることができる。
【0087】
選択的に、上記技術案の上で、ステップ130は、各所定の波長における各光強度値から、光強度測定値及び光強度参考値を確定することを含んでもよい。各所定の波長における光強度測定値及び光強度参考値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0088】
本発明の実施例において、異なる所定の距離における光強度値が持っている有効情報は異なるが、コモンモード干渉情報はほぼ同じであるので、2つの異なる所定の距離における光強度値から、差分演算により、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができる。差分演算により、コモンモード干渉情報を排除し、検出精度の向上を実現できる。光強度値と所定の距離とは、一対一で対応するので、各所定の波長における各光強度値から、任意的に2つの光強度値を選択して、それぞれ光強度測定値及び光強度参考値とすることができる。各所定の波長における光強度測定値及び光強度参考値は、一致する。
【0089】
光強度測定値及び光強度参考値を取得した後、光強度測定値及び光強度参考値に対して差分演算を行って、差分光強度値を得ることができ、当該差分光強度値は、各所定の波長における差分光強度値である。各所定の波長における差分光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。具体的な計算過程は、公開番号がCN1699973Aである特許文献を参照することができるので、ここでは、説明を省略する。
【0090】
選択的に、上記技術案の上で、各所定の波長における各光強度値から、光強度測定値及び光強度参考値を確定することは、各所定の波長に対して、波長特性、光学パラメーター、及び皮膚構成パラメーターのうちの少なくとも1つを含む所定の条件に応じて、所定の波長に対応する各光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定すること、を含む。
【0091】
本発明の実施例において、所定の条件は、光強度測定値及び光強度参考値を選択するための根拠として用いられる。所定の条件は、波長特性、光学パラメーター、及び皮膚構成パラメーターのうちの少なくとも1つを含んでもよい。ここで、光学パラメーターは、吸収係数、散乱係数、屈折率、及び異方性因子等を含んでもよい。皮膚構成パラメーターは、皮膚組織の厚みであってもよい。
【0092】
選択的に、上記技術案の上で、各所定の波長に対して、波長特性、光学パラメーター、及び皮膚構成パラメーターのうちの少なくとも1つを含む所定の条件に応じて、所定の波長に対応する各光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定することは、各所定の波長に対して、光強度変化量に応じて、所定の波長に対応する各光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定することを含み、光強度測定値は光強度変化量の絶対値が第1変化量閾値以上の光強度値であり、光強度参考値は光強度変化量の絶対値が第2変化量閾値以下の光強度値であり、光強度変化量は、光強度値と対応する所定の光強度値との間の変化量であり、第1変化量閾値は第2変化量閾値よりも大きく、所定の光強度値は、検出されるべき組織成分の濃度が所定の濃度であるとき、被検出部位の表面から射出された光強度値である。
【0093】
本発明の実施例においては、上記のように、光の受光効率を向上させることで、検出精度を向上させた上で、さらに検出精度を向上させるために、浮動基準理論に基づいて、所定の波長に対して、当該所定の波長における各光強度値から光強度参考値及び各光強度測定値を確定し、各所定の波長における光強度測定値及び光強度参考値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができる。浮動基準理論に基づいて、所定の波長に対して、当該所定の波長における各光強度値から光強度参考値及び各光強度測定値を確定することに関しては、以下のように理解できる。光強度変化量とは、光強度値と対応する所定の光強度値との間の変化量である。所定の光強度値とは、検出されるべき組織成分の濃度が所定の濃度であるとき、取得された被検出部位の表面から射出された光強度値である。光強度測定値は、光強度変化量の絶対値が第1変化量閾値以上の光強度値であってもよく、光強度参考値は、光強度変化量の絶対値が第2変化量閾値以下の光強度値であってもよい。ここで、第1変化量閾値及び第2変化量閾値の具体的な数値は、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。
【0094】
上記のように、さらに検出精度を向上させることができるのは、以下の理由によるものである。光強度参考値は、検出過程中の検出されるべき組織成分以外の他の干渉の応答を反映する。光強度測定値は、検出されるべき組織成分の応答、及び、検出されるべき組織成分以外の他の干渉の応答を反映しており、検出過程中の検出されるべき組織成分以外の他の干渉を反映する応答は干渉情報となり、検出過程中の検出されるべき組織成分の応答は有効情報となるので、光強度参考値は、干渉情報を含み、光強度測定値は干渉情報及び有効情報を含み、光強度参考値及び光強度測定値から、両者のコモンモード干渉情報を排除して、検出精度を向上させることができる。
【0095】
選択的に、上記技術案の上で、各所定の波長における光強度測定値及び光強度参考値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することは、各所定の波長に対して、所定の波長に対応する光強度測定値及び光強度参考値に対して差分演算を行って、差分光強度値を得ることを含んでもよい。各所定の波長における差分光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0096】
本発明の実施例においては、各所定の波長に対して、当該所定の波長における光強度参考値及び各光強度測定値に対して差分演算を行って、差分光強度値を得ることができる。これにより、各所定の波長における差分光強度値を取得することができる。各所定の波長における各差分光強度値を入力変数として予めトレーニングして生成された組織成分濃度予測モデルに入力して、予測結果を得ることができる。当該予測結果は、検出されるべき組織成分の濃度である。具体的な計算過程は、公開番号がCN1699973Aである特許文献を参照することができるので、ここでは、説明を省略する。上記のように、差分演算により光強度参考値と光強度測定値のコモンモード干渉情報を排除し、さらに、検出精度を向上させた。
【0097】
選択的に、上記技術案の上で、ステップ120の前に、干渉光を遮蔽することをさらに含んでもよい。
【0098】
本発明の実施例において、入射光は被検出部位まで伝播された後、一部の入射光は被検出部位の表面で直接反射されて表面反射光を形成し、一部の入射光は前述した散漫散乱光を形成する。ここで、表面反射光は、組織と作用しないので、有効情報を持たない。従って、表面反射光を干渉光とすることができる。また、回折光も存在するが、同様に、回折光も、組織と作用しないので、有効情報を持たない。従って、回折光を干渉光とすることができる。つまり、干渉光は、回折光、及び入射光が被検出部位の表面を通過しながら生成された表面反射光を含んでもよい。散漫散乱光は、皮膚組織と作用するので、有効情報を持つ。従って、散漫散乱光を有効光とすることができる。
【0099】
上記により、検出精度をさらに向上させるため、ステップ120の前に、干渉光を遮蔽することで、取得された被検出部位の表面から射出された光強度値が散漫散乱光に対応する光強度値であるようにして、表面反射光に対応する光強度値及び回折光に対応する光強度値を排除することができる。
【0100】
上記のように、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得する前に、干渉光を遮蔽することで、光強度値のうち干渉光に対応する光強度値を排除し、光強度値のうち散漫散乱光に対応する光強度値を保留した。散漫散乱光は有効情報を持っており、干渉光は有効情報を持っていないので、さらに検出精度を向上させた。
【0101】
図6は、本発明の実施例により提供される他の組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャートである。
図6に示すように、この方法は、具体的に、以下のステップを含む。
【0102】
ステップ210:各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する。
ステップ220:干渉光を遮蔽する。
ステップ230:各所定の波長に対して、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、感光領域と光強度値とは、一対一で対応する。
ステップ240:各所定の波長における各光強度値から、1つの光強度値を確定して各所定の波長における光強度目標値とする。
ステップ250:各所定の波長における光強度目標値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0103】
本実施例の技術案は、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、さらに、均質散乱光を受光する効率を向上させることで、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。この上で、異なるループ状感光領域により取得された光強度値に対して、差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除し、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。
【0104】
図7は、本発明の実施例により提供される別の組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャートである。
図7に示すように、この方法は、具体的に、以下のステップを含む。
【0105】
ステップ310:各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する。
ステップ320:干渉光を遮蔽する。
ステップ330:各所定の波長に対して、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、感光領域と光強度値とは一対一で対応し、所定の距離の数は少なくとも1つである。
【0106】
ステップ340:各所定の波長における各光強度値から、光強度測定値及び光強度参考値を確定する。
ステップ350:所定の波長に対応する光強度測定値及び光強度参考値に対して差分演算を行って、差分光強度値を得る。
ステップ360:各所定の波長における差分光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0107】
本実施例の技術案は、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域に基づいて被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、さらに、均質散乱光を受光する効率を向上させることで、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。この上で、異なるループ状感光領域により取得された光強度値に対して、差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除し、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。
【0108】
図8は、本発明の実施例により提供されるさらに別の組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャートである。
図8に示すように、この方法は、具体的に、以下のステップを含む。
【0109】
ステップ410:各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する。
ステップ420:干渉光を遮蔽する。
ステップ430:各所定の波長に対して、M個のループ状感光面に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各ループ状感光面と光強度値とは一対一で対応し、ここで、M≧1である。
ステップ440:各所定の波長における各光強度値から、1つの光強度値を確定して各所定の波長における光強度目標値とする。
ステップ450:各所定の波長における光強度目標値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0110】
本実施例の技術案は、各所定の距離において、M個のループ状感光面に基づいて被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、さらに、均質散乱光を受光する効率を向上させることで、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。この上で、異なるループ状感光領域により取得された光強度値に対して、差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除し、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。
【0111】
図9は、本発明の実施例により提供されるさらに別の組織成分の非侵襲的検出方法のフローチャートである。
図9に示すように、この方法は、具体的に、以下のステップを含む。
【0112】
ステップ510:各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する。
ステップ520:干渉光を遮蔽する。
ステップ530:各所定の波長に対して、M個のループ状感光面に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各ループ状感光面と光強度値とは一対一で対応し、ここで、M≧1である。
ステップ540:各所定の波長における各光強度値から光強度測定値及び光強度参考値を確定する。
ステップ550:所定の波長に対応する光強度測定値及び光強度参考値に対して差分演算を行って、差分光強度値を得る。
ステップ560:各所定の波長における差分光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0113】
本実施例の技術案は、M個のループ状感光面に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、さらに、均質散乱光を受光する効率を向上させることで、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。この上で、異なるループ状感光領域により取得された光強度値に対して、差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除し、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させた。
【0114】
上記ステップ220、ステップ320、ステップ420、及びステップ520は、対応するステップ230、ステップ330、ステップ430、及びステップ530の前に実行さればよい。
【0115】
本発明の実施例により提供される組織成分の非侵襲的検出方法は、組織成分の非侵襲的検出装置により実行することができ、組織成分の非侵襲的検出装置は、ソフトウェア及び/又はハードウェアの形態で実現でき、組織成分の非侵襲的検出装置は、例えばスマートウォッチのようなウェアラブルデバイスに配置されてもよい。
【0116】
図10は、本発明の実施例により提供される組織成分の非侵襲的検出装置の構成模式図であり、本実施例は、検出されるべき組織成分の濃度の検出精度を向上させる場合に適用することができる。
図10に示すように、この組織成分の非侵襲的検出装置1は、光源モジュール10、検出モジュール11、及び処理モジュール12を含んでもよい。検出モジュール11は、処理モジュール12に通信可能に接続されてもよい。以下、添付の図面を参照しながらその構成及び動作原理について説明する。
【0117】
光源モジュール10は、各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する。
【0118】
検出モジュール11は、各所定の波長に対して、入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各光強度値を処理モジュール12に送信する。
【0119】
処理モジュール12は、各所定の波長における各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0120】
本発明の実施例において、光源モジュール10は、入射光を被検出部位に照射することができる。ここで、光源モジュール10には、以下の2つの形態が存在する。(1)光源モジュール10は、入射光を直接発光することができるモジュールであってもよく、(2)光源モジュール10は、例えば光ファイバーのような入射光を伝播する媒体であって、外部光源が発光する入射光を、光ファイバーを介して被検出部位に照射してもよい。
【0121】
各所定の波長に対して、各感光面において、検出モジュール11は、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、各光強度値を処理モジュール12に送信することができる。検出モジュール11は、少なくとも1つの感光面111を含んでもよい。均質散乱光の受光効率を向上させるためには、以下の形態により実現できる。各所定の距離に対して、少なくとも1つの感光面111を設け、且つ、同一の所定の距離における異なる感光面111の陽極電極が接続されてもよい。検出モジュール11は、各所定の距離において、各感光面からなる感光領域の検出により、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、感光領域と光強度値とは、一対一で対応し、所定の距離の数は少なくとも1つである。感光面111は、ループ状感光面1110であってもよい。
【0122】
また、検出モジュール11は、被検出部位から射出された光強度値を直接取得することができるので、光損失を低下させ、さらに、検出効率を向上させた。
【0123】
処理モジュール12は、各所定の波長における各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができる。各所定の波長における各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することに関しては、前述した組織成分の非侵襲的検出方法に対する対応する部分の説明を参照することができ、ここでは、具体的な説明を省略する。
【0124】
本実施例の技術案は、広い範囲の光強度値の受光を実現できるので、光の受光効率を向上させ、さらに、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させることができる。検出モジュールは、被検出部位から射出された光強度値を直接処理できるので、光損失を低下させ、さらに検出効率を向上させた。検出装置の体積を大幅に減少できるので、検出装置を被検出部位上に容易に装着して固定することができるので、検出条件の安定性を保証でき、これに対応して、検出条件の安定性を向上させることができる。また、携帯可能な検出が可能になる。この上で、異なる光強度値に対して差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除することができるので、検出されるべき組織成分に対する検出精度も向上させることができる。
【0125】
選択的に、
図11に示すように、上記技術案の上で、検出モジュール11は、少なくとも1つの感光面1110を含んでもよい。同一の所定の距離における異なる感光面1110の陽極電極は接続される。
【0126】
各所定の距離に対して、少なくとも1つの感光面111が設けられている。
【0127】
検出モジュール11は、各所定の距離において、各感光面111からなる感光領域に基づいて、被検出部位の表面から射出された光強度値を取得し、感光領域と光強度値とは、一対一で対応する。
【0128】
本発明の実施例においては、均質光の受光効率を向上させるため、各所定の距離に対して、少なくとも1つの感光面111を設けてもよい。当該所定の距離における異なる感光面111の陽極電極は接続される。感光面に対する説明は、前述した感光面に対する説明を参照することができ、ここでは、具体的な説明を省略する。
【0129】
上記のように、同一の所定の距離に対して少なくとも1つの感光面111を設けることで、当該所定の距離における各感光面111は、1つのソース-センサー距離に対応するので、均質散乱光を受光する効率を向上させた。
【0130】
選択的に、
図11に示すように、上記技術案の上で、各感光面111はループ状感光面1110である。異なるループ状感光面1110は、幾何的中心が同じように設けられており、ループ状感光面1110の数はM個であってもよく、ここで、M≧1である。
【0131】
本発明の実施例において、各感光面111はループ状感光面1110であってもよい。各ループ状感光面1110は、1つのソース-センサー距離に対応する。上記のように、検出モジュール11の感光面111を異なる内径を有するループ状構成に設計することで、各ループ状感光面は、1つのソース-センサー距離に対応し、均質散乱光に対する受光を最大限に実現しているので、均質散乱光を受光する効率を向上させた。
【0132】
選択的に、上記技術案の上で、各ループ状感光面1110の内径は、0.5mm以上、6mm以下であってもよく、各ループ状感光面1110のループ幅は、0.05mm以上、0.3mm以下であってもよい。
【0133】
選択的に、上記技術案の上で、M=4であると、径方向に沿って内から外へのM個のループ状感光面1110の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、及び第4内径である。第1内径は1.2mm以上、3mm未満であってもよく、第2内径は3mm以上、3.8mm未満であってもよく、第3内径は3.8mm以上、4.4mm未満であってもよく、第4内径は4.4mm以上、6mm以下であってもよい。あるいは、M=5であると、径方向に沿って内から外へのM個のループ状感光面1110の内径は、それぞれ、第1内径、第2内径、第3内径、第4内径、及び第5内径である。第1内径は1.2mm以上、2mm未満であってもよく、第2内径は2mm以上、2.8mm未満であってもよく、第3内径は2.8mm以上、3.6mm未満であってもよく、第4内径は3.6mm以上、4.2mm未満であってもよく、第5内径は4.2mm以上、6mm以下であってもよい。
【0134】
選択的に、上記技術案の上で、各ループ状感光面1110のループ幅は、0.1mm又は0.2mmであってもよい。
【0135】
選択的に、上記技術案の上で、各所定の波長の範囲は、900nm以上、2400nm以下であってもよい。
【0136】
本発明の実施例において、各ループ状感光面1110は、1つのループ状感光面に対応できる。上記ループ状感光面1110のサイズ及びループ状感光面1110の数は、前述したループ状感光面に対する説明を参照することができ、ここでは、具体的な説明を省略する。また、入射光の波長範囲に対する説明も前述した対応部分の説明を参照することができ、ここでは、具体的な説明を省略する。
【0137】
選択的に、
図12に示すように、上記技術案の上で、組織成分の非侵襲的検出装置1は、第1スリーブ13をさらに含んでもよい。第1スリーブ13は、検出モジュール11の上面に設けてもよく、第1スリーブ13の内径は検出モジュール11上の孔の直径よりも大きくてもよい。
【0138】
第1スリーブ13は、被検出部位の表面で生成された表面反射光が検出モジュール11に入ることを阻止でき、また、各入射光が検出モジュール11の孔を通過することで生成された回折光が検出モジュール11に入ることを阻止できる。
【0139】
本発明の実施例においては、
図13に示すように、一部の入射光は、被検出部位の表面で直接反射され、表面反射光を形成する。表面反射光は、有効情報を持っていないので、検出モジュール11により取得された光強度値に表面反射光に対応する光強度値が存在すると、検出精度を低下させてしまう。また、入射光が検出モジュール11の孔を通過すると、回折光が生成され、回折光も有効情報を持っていないので、検出モジュール11により取得された光強度値に
回折光に対応する光強度値が存在すると、同様に検出精度を低下させてしまう。表面反射光が検出モジュール11に入ることを避けるためには、検出モジュール11の上面に第1スリーブ13を設けることができる。第1スリーブ13の内径は、検出モジュール11上の孔の直径よりも大きくてもよい。表面反射光及び回折光は、いずれも、第1スリーブ13に阻止されて、検出モジュール11には受光されない。
【0140】
選択的に、
図14に示すように、上記技術案の上で、検出モジュール11には、一体的に接続された第2スリーブ112が設けられていてもよい。第2スリーブ112は検出モジュール11の上面に設けられてもよく、第2スリーブ112の内径は検出モジュール11上の孔の直径よりも大きくてもよい。
【0141】
第2スリーブ112は、被検出部位の表面で生成された表面反射光が検出モジュール11に入ることを阻止でき、また、各入射光が検出モジュール11の孔を通過することで生成された回折光が検出モジュール11に入ることを阻止できる。
【0142】
本発明の実施例においては、表面反射光及び回折光が検出モジュール11に入ることを避けるため、検出モジュール11の上面に第1スリーブ13を設ける形態以外にも、検出モジュール11を作製する時、検出モジュール11の上面に直接第2スリーブ112を設けてもよい。つまり、第2スリーブ112は検出モジュール11の構成部分である。ここで、第2スリーブ112の内径は検出モジュール11上の孔の直径よりも大きくてもよい。
【0143】
選択的に、
図15に示すように、上記技術案の上で、組織成分の非侵襲的検出装置1は、第3スリーブ14をさらに含んでもよい。第3スリーブ14の上面は、検出モジュール11の孔を通過して、検出モジュール11の上面からはみ出してもよい。
【0144】
第3スリーブ14は、被検出部位の表面で生成された表面反射光が検出モジュール11に入ることを阻止でき、また、各入射光が検出モジュール11の孔を通過することで生成された回折光が検出モジュール11に入ることを阻止できる。
【0145】
本発明の実施例においては、表面反射光及び回折光が検出モジュール11に入ることを避けるために、上記の2つの形態以外にも、第3スリーブ14を設けてもよく、第3スリーブ14の上面は検出モジュール11の孔を通過して、検出モジュール11の上面からはみ出してもよい。第3スリーブ14の外径は検出モジュール11上の孔の直径よりも小さくてもよい。
【0146】
上記第1スリーブ13及び第2スリーブ112にとって、検出モジュール11上の孔を貫通するかどうかは、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。検出モジュール11上に孔が貫通されているかないかに関係なく、光は通過できる。また、第2スリーブ112は、検出モジュール11の作製難易度を増加させる。第1スリーブ13に比べて、第3スリーブ14の実現方はより簡単である。どのような形のスリーブを選択して表面反射光及び回折光が検出モジュール11に入ることを阻止するかは、実際の状況に応じて決めることができ、ここでは、具体的に限定しない。
【0147】
選択的に、
図16に示すように、上記技術案の上で、組織成分の非侵襲的検出装置1は、ハウジング15をさらに含んでもよい。光源モジュール10、検出モジュール11及び処理モジュール12は、ハウジング15の内部に設けられてもよく、検出モジュール11の上面はハウジング15の上面より低くてもよい。
【0148】
本発明の実施例においては、組織成分の非侵襲的検出装置1により組織成分の検出を行う際に非接触検出を実現するため、つまり、検出モジュール11の上面と被検出部位の表面が接触しないようにするため、検出モジュール11の上面がハウジング15の上面より低いようにしてもよい。
【0149】
上記第1スリーブ13、第2スリーブ112及び第3スリーブ14の上面はハウジング15の上面からはみ出してもよい。
【0150】
選択的に、
図16に示すように、上記技術案の上で、組織成分の非侵襲的検出装置1は、保護部品16をさらに含んでもよい。保護部品16は、ハウジング15の上面の孔のところに設けてもよく、保護部品16の上面はハウジング15の上面より低くてもよく、保護部品16上には孔を開けてもよく、且つ、ハウジング15と幾何的中心が同じように設けてもよい。保護部品16の光透過率は光透過率閾値以上であってもよい。
【0151】
保護部品16は、検出モジュール11を保護でき、組織成分の非侵襲的検出装置1が被検出部位に装着されたとき、被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現する。
【0152】
本発明の実施例においては、埃の付着や、人の触りから検出モジュール11を保護するために、ハウジング15の孔のところに保護部品16を設けてもよい。ここで、保護部品16上にも、同様に孔を開けてもよく、且つ、保護部品16は、ハウジング15と幾何的中心が同じように設けられてもよく、保護部品16の上面はハウジング15の上面より低くてもよい。また、検出モジュール11は被検出部位に直接接触しないので、被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現できる。また、非接触検出により、熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮させることもできる。
【0153】
保護部品16の材料は、透射率が光透過率閾値以上である材料であってもよい。光透過率閾値は0.6であってもよい。選択的に、保護部品16は、水晶ガラスシートであってもよい。入射光が近赤外光であると、水晶ガラスシートの材料はJGS1Sであってもよい。上記ハウジング15の中心に、例えば正六角形のようなT角形の孔を開けて、水晶ガラスシートを設けるようにしてもよい。水晶ガラスシートは、中心に孔が開けられてもよく、且つ、水晶ガラスシート上の孔の直径は、第1スリーブ13及び第2スリーブ1117の外径より少々大きい。また、ハウジング15の周囲に溝を設けることで、放熱を実現してもよい。
【0154】
選択的に、
図17に示すように、上記技術案の上で、組織成分の非侵襲的検出装置1は、接触部品17をさらに含んでもよい。接触部品17は、ハウジング15の上面に設けてもよく、接触部品17の材料の熱伝導係数は、空気熱伝導係数の範囲内であってもよい。
【0155】
接触部品17は、組織成分の非侵襲的検出装置1が被検出部位に装着されたとき、被検出部位の皮膚状態が自然状態を維持するように確保しながら、非接触検出を実現し、また、断熱材料の熱伝導係数が空気熱伝導係数の範囲内であることにより、組織成分の非侵襲的検出装置1が被検出部位に装着されたときに、被検出部位との間で熱伝導が熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮させる。
【0156】
本発明の実施例においては、組織成分の非侵襲的検出装置1を装着した後、被検出部位ができる限り早く熱平衡状態になるように確保することで、被検出部位と組織成分の非侵襲的検出装置1との間で熱伝導が熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮させるため、ハウジング15の上面に接触部品17を設けてもよく、且つ、接触部品17の材料の熱伝導係数は、空気熱伝導係数の範囲内である必要がある。空気熱伝導係数の範囲内とは、0.01W/mKよりも大きく、0.4W/mK以下であってもよい。例示的に、接触部品17を使用しないと、熱平衡状態になるまでかかる時間は、約1時間である。接触部品17の材料の熱伝導係数が0.14W/mKであると、熱平衡状態になるまでかかる時間は0.25時間である。接触部品17の材料の熱伝導係数が0.4W/mKであると、熱平衡状態になるまでかかる時間は約0.3時間である。これから分かるように、接触部品17を使用しない場合に比べて、接触部品17を使用し、接触部品17の材料の熱伝導係数が空気熱伝導係数の範囲内であるようにすることで、熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮できる。また、検出モジュール11は被検出部位に直接接触しないので、被検出部位の皮膚状態を自然状態に維持するように確保しながら、非接触検出を実現できる。また、非接触検出によっても、熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮できる。
【0157】
材料の熱伝導係数が空気熱伝導係数の範囲内であるように保証するために、接触部品17の材料は、シリカゲル及びポリ塩化ビニル等からなってもよい。接触部品17はインターフェースパッドであってもよい。インターフェースパッドの形状としては、環形、角形ボックス等であってもよい。インターフェースパッドの形状及びサイズは、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、具体的に限定しない。
【0158】
選択的に、上記技術案の上で、ハウジング15の上面には、断熱材料がめっきされていてもよく、断熱材料の熱伝導係数は空気熱伝導係数の範囲内であってもよい。
【0159】
断熱材料は、組織成分の非侵襲的検出装置1が被検出部位に装着されたとき、被検出部位の皮膚状態を自然状態に維持するように確保しながら、非接触検出を実現し、また、断熱材料の熱伝導係数が空気熱伝導係数の範囲内であることにより、組織成分の非侵襲的検出装置1が被検出部位に装着されたときに、被検出部位との間で熱伝導が熱平衡状態になるまでかかる時間を短縮させる。
【0160】
本発明の実施例においては、接触部品17と同様の作用を奏するため、ハウジング15の上面に直接断熱材料をめっきしてもよく、断熱材料の熱伝導係数は、空気熱伝導係数の範囲内であってもよい。空気熱伝導係数の範囲内とは、0.01W/mKよりも大きく、0.4W/mK以下であってもよい。断熱材料は、シリカゲル、ポリ塩化ビニル等であってもよい。
【0161】
選択的に、上記技術案の上で、光源モジュール10は、光源照射ユニット又は入射光ファイバーを含んでもよい。
【0162】
本発明の実施例において、光源モジュール10は光源照射ユニット又は入射光ファイバーを含んでもよい。光源モジュール10が光源照射ユニットを含む場合、入射光は当該光源照射ユニットにより被検出部位に直接照射してもよい。光源モジュール10が入射光ファイバーを含む場合、入射光は入射光ファイバーを介して被検出部位に照射してもよい。ここで、入射光は、外部光源により生成される。
【0163】
上記のように、光源モジュール10が光源照射ユニットを含む場合、光源モジュール10が入射光ファイバーを含む場合に比べて、組織成分の非侵襲的検出装置1の体積が大きくなるが、内部に光源照射ユニットが含まれているので、入射光ファイバーを介して入射光を伝播する必要がなく、光ファイバーによる伝播は光損失を発生するため、光損失がよりも小さく、且つ、光ファイバーの導入による干渉を避けることもできる。逆に、光源モジュール10が入射光ファイバーを含む場合、光源モジュール10が光源照射ユニットを含む場合に比べて、組織成分の非侵襲的検出装置1の体積は小さくなるが、入射光が入射光ファイバーを介して伝播し、光ファイバーによる伝播は光損失を発生するので、光損失がよりも大きく、且つ、光ファイバーは外部環境の影響を受けやすく、干渉が起きりやすい。光源モジュール10が光源照射ユニットを含むか、それとも、入射光ファイバーを含むかは、実際の状況に応じて設定可能であり、ここでは、限定しない。
【0164】
本発明の実施例に記載された上面とは、いずれも、被検出部位に近接する表面を意味し、下面とは、いずれも、被検出部位から離れる表面を意味する。
【0165】
図18は、本発明の実施例により提供されるウェアラブルデバイスの構成模式図であり、本実施例は、検出されるべき組織成分の濃度の検出精度を向上させる場合に適用することができる。
図18に示すように、このウェアラブルデバイス2は、本体20と、本発明の実施例に記載された組織成分の非侵襲的検出装置1と、を含んでもよい。組織成分の非侵襲的検出装置1は、本
体20上に設けられてもよく、組織成分の非侵襲的検出装置1は、光源モジュール10、検出モジュール11、及び処理モジュール12を含むことができる。検出モジュール11と処理モジュール12とは、通信可能に接続される。以下、添付の図面を参照しながらその構成及び動作原理について説明する。
【0166】
ウェアラブルデバイス2は、被検出部位に装着される。
【0167】
光源モジュール10は、各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する。
【0168】
検出モジュール11は、各所定の波長に対して、入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて被検出部位の表面から射出される光強度値を取得し、各光強度値を処理モジュール12に送信し、所定の距離の数は少なくとも1つである。
【0169】
処理モジュール12は、各所定の波長における各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0170】
本発明の実施例において、組織成分の非侵襲的検出装置1は本体20上に設けることができ、組織成分の非侵襲的検出装置1により組織成分の検出を行う必要があるとき、ウェアラブルデバイス2を被検出部位に装着すればよい。また、組織成分の非侵襲的検出装置1を利用して検出を行うので、検出条件の影響を受けやすくなり、さらに、検出精度を影響する可能性がある。従って、検出条件の安定性を保証して、検出精度をさらに向上させるためには、当該組織成分の非侵襲的検出装置1を固定することで、被検出部位と組織成分の非侵襲的検出装置1との間の位置関係が所定の関係になるようにしてもよい。上記のように、組織成分の非侵襲的検出装置1を本体20上に設けることで、位置を固定することができ、検出条件の安定性を保証して、さらに、検出精度を向上させることができる。また、組織成分の非侵襲的検出装置1の構成及び動作原理は、前述した非侵襲的検出装置1に対する説明を参照することができ、ここでは、説明を省略する。
【0171】
ウェアラブルデバイス2は、表示モジュールをさらに含んでもよく、表示モジュールは、処理モジュール12に通信可能に接続されてもよく、処理モジュール12は、検出されるべき組織成分の濃度を表示モジュールに送信し、表示モジュールが検出されるべき組織成分の濃度を表示することで、被検出個体は表示モジュールから検出されるべき組織成分の濃度を知ることができる。また、ウェアラブルデバイス2は、音声モジュールをさらに含んでもよく、音声モジュールは、処理モジュール12に通信可能に接続されてもよく、処理モジュール12は、検出されるべき組織成分の濃度を音声モジュールに送信し、音声モジュールは、検出されるべき組織成分の濃度に応じて音声指令を生成し、当該音声指令を再生することで、被検出個体に検出されるべき組織成分の濃度を知らせてもよい。
【0172】
本実施例の技術案は、広い範囲の光強度値の受光を実現できるので、光の受光効率を向上させ、さらに、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させることができる。検出モジュールは、被検出部位から射出された光強度値を直接処理できるので、光損失を低下させ、さらに検出効率を向上させた。検出装置の体積を大幅に減少できるので、検出装置をウェアラブルデバイス上に設けることが可能になる。さらに、被検出部位上に容易に装着して固定することができるので、検出条件の安定性を保証でき、これに対応して、検出条件の安定性を向上させることができる。また、携帯可能な検出が可能になる。この上で、異なる光強度値に対して差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除することができるので、検出されるべき組織成分に対する検出精度も向上させることができる。
【0173】
図19は、本発明の実施例により提供される組織成分の非侵襲的検出システムの構成模式図であり、本実施例は、検出されるべき組織成分の濃度の検出精度を向上させる場合に適用することができる。
図19に示すように、当該組織成分の非侵襲的検出システムは、本発明の実施例に記載されたウェアラブルデバイス2と端末3とを含む。ウェアラブルデバイス2は、本体20と、組織成分の非侵襲的検出装置1とを含み、組織成分の非侵襲的検出装置1は、本
体20上に設けられる。組織成分の非侵襲的検出装置1には、光源モジュール10と、検出モジュール11と、処理モジュール12とが含まれる。処理モジュール12は、検出モジュール11及び端末3のそれぞれに通信可能に接続される。以下、添付の図面を参照しながらその構成及び動作原理について説明する。
【0174】
ウェアラブルデバイス2は、被検出部位に装着される。
【0175】
光源モジュール10は、各所定の波長における入射光をそれぞれ被検出部位に照射する。
【0176】
検出モジュール11は、各所定の波長に対して、入射光の中心から対応する所定の距離が離れている各感光面に基づいて被検出部位の表面から射出される光強度値を取得し、各光強度値を処理モジュール12に送信し、所定の距離の数は少なくとも1つである。
【0177】
処理モジュール12は、各所定の波長における各光強度値を処理して、処理後の各所定の波長における各光強度値を取得し、処理後の各所定の波長における各光強度値を端末3に送信する。
【0178】
端末3は、処理後の各所定の波長における各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。
【0179】
本発明の実施例においては、前述したものに比べて、組織成分の非侵襲的検出装置1のコストを低減するために、ウェアラブルデバイス2と端末3とを組み合わせる形態により検出されるべき組織成分の濃度を確定することを実現する点において異なる。つまり、処理モジュール12は、各光強度値を処理して、処理後の各光強度値を取得し、処理後の各光強度値を端末3に送信し、端末3は、処理後の各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定する。ここで、処理モジュール12による各光強度値に対する処理操作には、電流と電圧との変換及び増幅、並びにAD変換等が含まれる。端末3は、本発明の実施例に記載された組織成分の非侵襲的検出方法と同じ方法を採用して、処理後の各光強度値から、検出されるべき組織成分の濃度を確定することができるので、ここでは、具体的な説明を省略する。また、ウェアラブルデバイス2の構成及び動作原理については、前述したウェアラブルデバイス2に対する説明を参照することができ、ここでは、説明を省略する。
【0180】
端末3は、検出されるべき組織成分の濃度を表示することで、被検出個体に検出されるべき組織成分の濃度を知らせてもよい。端末3は、検出されるべき組織成分の濃度を含む音声指令を生成し、当該音声指令を再生することで、被検出個体に検出されるべき組織成分の濃度を知らせてもよい。
端末3とウェアラブルデバイス2とを組み合わせる形態により検出されるべき組織成分の濃度を確定することを実現する以外にも、クラウドサーバーとウェアラブルデバイス2とを組み合わせる形態によって検出されるべき組織成分の濃度を確定することを実現してもよい。
【0181】
本実施例の技術案は、広い範囲の光強度値の受光を実現できるので、光の受光効率を向上させ、さらに、検出されるべき組織成分に対する検出精度を向上させることができる。検出モジュールは、被検出部位から射出された光強度値を直接処理できるので、光損失を低下させ、さらに検出効率を向上させた。検出装置の体積を大幅に減少できるので、検出装置をウェアラブルデバイス上に設けることが可能になる。さらに、被検出部位上に容易に装着して固定することができるので、検出条件の安定性を保証でき、これに対応して、検出条件の安定性を向上させることができる。また、携帯可能な検出が可能になる。この上で、異なる光強度値に対して差分演算を行うことで、コモンモード干渉情報を排除することができるので、検出されるべき組織成分に対する検出精度も向上させることができる。
【0182】
以上の具体的な実施例においては、本発明的目的、技術案、及び有益な効果についてより詳細に説明したが、これらは、本発明の具体的な実施例に過ぎず、本発明を限定するためのものではないと考えるべきである。本発明の主旨と原則を逸脱しない範囲で行う全ての変更、等価的な切り替え、改良等は、全て本発明の保護範囲に含まれる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】