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特表2022-514245基板を改質するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(54)【発明の名称】基板を改質するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/26 20060101AFI20220203BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20220203BHJP
   B05D 1/28 20060101ALI20220203BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20220203BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B05D1/26 Z
B05D7/00 K
B05D1/28
B05D3/00 D
H01L21/30 502D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534137
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(85)【翻訳文提出日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 US2019066207
(87)【国際公開番号】W WO2020123929
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】62/779,091
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】スリーニヴァッサン,シトルガタ ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】シンハル,シュラワン
(72)【発明者】
【氏名】ダン,ローレンス アール.
【テーマコード(参考)】
4D075
5F146
【Fターム(参考)】
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC52
4D075AC84
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC95
4D075AC96
4D075BB21Z
4D075BB37Z
4D075BB42Z
4D075BB46Z
4D075BB60Z
4D075BB91X
4D075DA07
4D075DB14
4D075DC21
4D075DC22
4D075EA05
4D075EA45
4D075EB22
4D075EB24
5F146AA31
(57)【要約】
本技術の各種の実施形態は、一般に、基板の平坦化に関する。より具体的には、本技術のいくつかの実施形態は、公称平面基板上の平坦化として知られる精密表面トポグラフィー最適化のための多用途システム及び方法に関する。いくつかの実施形態において、インクジェットを用いてパターン化基板を平坦化する方法は、パターン化基板のグローバル及びナノスケールトポグラフィーとパターン情報とを決定することができる。グローバル及びナノスケールトポグラフィーとパターン情報とに基づいて、液滴パターンを決定でき、次いで、パターン化基板上に分配できる。パターン化基板とスーパーストレートとの間のギャップを閉じて、分配された液滴が実質的に連続した膜を形成するようにできる。実質的に連続した膜を硬化させることができ、スーパーストレートを、実質的に連続した膜を有するパターン化基板から分離できる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットを用いてパターン化基板を平坦化する方法であって、
前記パターン化基板のグローバル及びナノスケールトポグラフィーとパターン情報とを決定する工程と、
前記グローバル及びナノスケールトポグラフィーと前記パターン情報とに基づいて、液滴パターンを決定する工程と、
前記パターン化基板上に前記液滴パターンを分配する工程と、
実質的に連続した膜を形成するために分配された液滴に起因する前記パターン化基板とスーパーストレートとの間のギャップを閉じる工程と、
前記実質的に連続した膜を硬化する工程と、
前記スーパーストレート及び前記パターン化基板を、前記パターン化基板上の前記実質的に連続した膜から分離する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記液滴パターンは、プロセスのモデル、最適化スキーム、及び実験データから決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パターン化基板の前記グローバル及びナノスケールトポグラフィーと前記パターン情報を表すデータで符号化されたデジタルファイルをロードする工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記液滴パターンは、前記グローバル及びナノスケールトポグラフィーと前記パターン情報、スーパーストレートジオメトリー、スーパーストレート材料特性、平坦化材料特性、インクジェット液滴解像度、インクジェットノズルピッチ、及び公差情報を含む入力によるモデルベースの最適化を用いて計算されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記スーパーストレートの表面は、広がる前方の位置で、前記基板の表面よりも実質的に凸状であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記スーパーストレートは犠牲膜を有しており、当該方法は、前記スーパーストレートを前記基板から分離するための剥離を開始するように前記犠牲膜をアブレーションする工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
半導体デバイスダイのサブ領域における平坦化性能に優先順位を付ける工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記半導体デバイスダイの前記サブ領域は、後続のリソグラフィープロセスにおいて最高のリソグラフィー解像度が必要とされる前記半導体デバイスダイの一部に対応することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記サブ領域は、露光中に、フォトリソグラフィースキャナの走査方向に直交して配列され、前記フォトリソグラフィースキャナは、その焦点が表面トポグラフィー制御から利益を得る下流プロセスであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記インクジェットは、前記サブ領域に平行に配列されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記ギャップは第1のステーションで閉じられ、硬化することは第2のステーションで行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
硬化することは、所望のプロセス時間の終わりに行われ、前記所望のプロセス時間は、気泡が実質的に軽減されるように十分に長くなるように選択され、また望ましくない寄生が平坦化性能に影響を及ぼさないように十分に短くなるように選択されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記スーパーストレートの厚さは、空間的に変化するように設計されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ナノインプリントリソグラフィープロセスにおいて、気泡又は空隙から生じるホットスポットを軽減するための方法であって、
基板上の、粒子、気泡又は空隙によって引き起こされるホットスポットを識別する工程と、
前記ホットスポットの特性に基づいて、蒸発制御、圧力ゾーンチャック、デジタルマイクロミラーデバイス又はプログラマブルヒータアレイを含む補償解決策を識別する工程と、
前記ホットスポットを軽減するために前記補償解決策を実装する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記ホットスポットは、粒子によって引き起こされ、且つ、液相又はUV硬化後固相で画像化する高解像度撮像システムを用いて識別され、前記粒子は、スーパーストレートと基板との間に依然として捕獲されていることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ナノインプリントリソグラフィープロセスから生じる系統的なホットスポットを軽減する方法であって、
前記ナノインプリントリソグラフィープロセスの開始前にホットスポットの識別する工程と、
前記ホットスポットの特性に基づいて、蒸発制御、圧力ゾーンチャック、デジタルマイクロミラーデバイス、又はプログラマブルヒータアレイを含む補償解決策を識別する工程と、
前記ホットスポットを軽減するために前記補償解決策を実装する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記ホットスポットの特性に基づいて前記ホットスポットを分類する工程と、
前記ホットスポットを補償する液滴パターンを計算する工程と、
前記液滴パターンを適用する工程と、
を更に含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記補償解決策は、アナログ液滴体積制御を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ホットスポットは、前記ナノインプリントリソグラフィープロセスにおける上流プロセス、インプロセス又は下流プロセスから生じる系統的なホットスポットであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ホットスポットは、平坦化プロセスにおける上流プロセス、インプロセス又は下流プロセスに由来する系統的なホットスポットであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記補償解決策は、前記ホットスポットの近傍内領域にのみ適用されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記圧力ゾーンチャックは、スーパーストレート上、基板上又は前記ホットスポットの近傍の両側で圧搾するように構成されたプログラマブル圧力ゾーンチャックであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記プログラマブルヒータアレイは、前記ホットスポットの近傍に熱毛管流れを誘発するように構成されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記補償解決策は、所望の平坦化を達成するために系統的なホットスポットを軽減するようにスーパーストレートの厚さ変動を選択することを含む、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記選択された厚さ変動は、空間座標の滑らかな関数であるか、又は前記空間座標のステップ関数であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記厚さ変動は、アライメントマークによって識別される関数であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記アライメントマークは、基板上のアライメントマークに対して10ミクロン未満まで位置合わせされることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
基板上のアライメントマークに対して1ミクロンよりも良好に位置合わせされたアライメントマークに基づいて前記厚さ変動の関数を選択する工程を更に含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記ホットスポットは、可変プロセス時間、可変パターン密度又は接触線ピン止めを含む系統的なホットスポットであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項30】
平坦化のためのシステムは、
プロセッサと、
該プロセッサの制御下にある基板形状変調チャックと、
前記プロセッサの制御下にあるスーパーストレート形状変調チャックと、
前記プロセッサにより実行されたときに、マシンに、基板及びスーパーストレートの接触の開始と実質的にコンフォーマルな接触の完了との間の全期間で、前記基板及び前記スーパーストレート間の相対曲率を最大化するために前記基板及び前記スーパーストレートの時間変動形状――ここで、前記基板及び前記スーパーストレートの接触の開始と実質的にコンフォーマルな接触の完了との間の少なくとも一の時点において、前記スーパーストレート及び前記基板の曲率の少なくとも一方は凹状である――を識別させる、自身に格納された命令セットを有するメモリと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項31】
少なくとも100μm、少なくとも10μm又は少なくとも1μmのカメラ画素サイズを有するカメラを更に備えることを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
RGB又はグレースケールであるカメラを更に備えることを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
ラインスキャン、エリア又はテレセントリックであるカメラを更に備えることを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項34】
前記粒子の中心位置を用いて、粒子との接触領域で伝播した可能性のある前記スーパーストレート上の損傷によって生じる欠陥を探すために、その点の周囲の小さな領域を検出することを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項35】
ナノインプリントリソグラフィープロセスから生じる系統的なホットスポットを検出する方法であって、
ナノスケール解像度テンプレートよりも大きなフィーチャを有するダミーテンプレート――ここで、前記ダミーテンプレートは、前記ナノスケール解像度テンプレートの物理的特性を実質的に模倣しており、前記ナノスケール解像度テンプレートの前記物理的特性を模倣することは実質的に類似する欠陥をもたらす――を加工する工程と、
該ダミーテンプレートを用いて、前記ナノインプリントリソグラフィープロセスを実施する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年12月13日に出願された米国仮出願第62/779,091号の優先権を主張する。
【0002】
(連邦政府による支援を受けた研究に関する陳述)
本発明は、米国科学財団によって授与された助成金番号ECCS1120823の下で政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0003】
(技術分野)
本技術の各種の実施形態は、一般に、基板の平坦化に関する。より具体的には、本技術のいくつかの実施形態は、公称平面基板上の平坦化として知られる精密表面トポグラフィー最適化のための多用途システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ナノスケール薄膜のプログラマブル適応インクジェット(PAINT)プロセスのようなプロセスは、材料浪費がほぼゼロで、調整した厚さの膜の堆積に利用できる。PAINTは、基板の種類、厚さ、又は物質の選択肢に実質的に依存せず、広い領域にわたって膜を堆積させることができる。設計によって、PAINTはまた、低空間周波数表面トポグラフィーやインクジェット液滴体積変動等の系統的寄生の影響を実質的に切り離し、それらが最終膜厚を損なうことを防止することができる。
【0005】
しかしながら、そのようなプロセスにおいて、平坦化する際のように基板の表面が主に重要である場合、基板上の公称及び寄生トポグラフィーのマップを得るために、表面プロファイル計測が必要とされる。表面プロファイル計測は、PAINTプロセスの実施の直前に、(インクジェットによって分配された液体有機材料液滴に、基板を横切って横方向に結合するよう促すために利用される)「スーパーストレート」に最も近い最終表面のトポグラフィーを測定する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
基板平坦化のためのシステム及び方法を説明する。より具体的には、本技術のいくつかの実施形態は、公称平面基板上の平坦化として知られる精密表面トポグラフィー最適化のための多用途システム及び方法に関する。いくつかの実施形態において、インクジェットを用いてパターン化基板を平坦化する方法は、パターン化基板のグローバル及びナノスケールトポグラフィーとパターン情報とを使用する。例えば、トポグラフィー及びパターン情報は、データで符号化されたデジタルファイルからロードすることができる。グローバル及びナノスケールトポグラフィーとパターン情報とに基づいて、液滴パターンを決定でき、次いで、パターン化基板上に分配できる。パターン化基板とスーパーストレートとの間のギャップを閉じて、分配された液滴が実質的に連続した膜を形成するようにできる。実質的に連続した膜を硬化させることができ、スーパーストレートを、実質的に連続した膜を有するパターン化基板から分離できる。各種の実施形態によれば、ギャップは、第1のステーションで閉じることができ、硬化することは、第2のステーションで行われる。硬化することは、気泡が実質的に軽減されるように十分に長くなるように選択され、また望ましくない寄生が平坦化性能に影響を及ぼさないように十分に短くなるように選択された所望のプロセス時間の終わりに行うことができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、液滴パターンは、プロセスのモデル、最適化スキーム、及び/又は実験データから決定できる。例えば、液滴パターンは、グローバル及びナノスケールトポグラフィーとパターン情報、スーパーストレートジオメトリー、スーパーストレート材料特性、平坦化材料特性、インクジェット液滴解像度、インクジェットノズルピッチ、及び公差情報を含む入力とともに、モデルに基づく最適化を用いて計算することができる。スーパーストレートの表面は、広がる前方の位置で、基板の表面よりも実質的に凸状であってもよい。いくつかの実施形態では、スーパーストレートは犠牲膜を有しており、方法は、スーパーストレートを基板から分離するための剥離を開始するように犠牲膜をアブレーションする工程を更に含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、半導体デバイスダイのサブ領域における平坦化性能は、優先順位を付けることができる。例えば、半導体デバイスダイのサブ領域は、実質的に高いリソグラフィー解像度が後続のリソグラフィープロセス中に必要とされる半導体デバイスダイの一部に対応してよい。他の例として、サブ領域は、露光中に、フォトリソグラフィースキャナの走査方向に直交して配列することができる。但し、フォトリソグラフィースキャナは、その焦点が表面トポグラフィー制御から利益を得る下流プロセスである。いくつかの実施形態では、インクジェットは、サブ領域に平行に配列させることができる。
【0009】
いくつかの実施形態は、ナノインプリントリソグラフィープロセスにおける気泡又は空隙から生じるホットスポットの軽減を提供する。いくつかの方法は、基板上のホットスポットを識別する工程を含むことができる。ホットスポットは、粒子、気泡、又は空隙によって引き起こされてよい。例えば、ホットスポットは、スーパーストレートと基板との間に依然として捕獲されている粒子によって生じてよい。ホットスポットは、液相又はUV硬化後固相で画像化する高解像度撮像システムを用いて識別することができる。次に、ホットスポットの特性に基づいて、ホットスポットを軽減するために、補償解決策を識別且つ実装できる。補償解決策は、蒸発制御、圧力ゾーンチャック、デジタルマイクロミラーデバイス、又はプログラマブルヒータアレイを含んでよい。
【0010】
ナノインプリントリソグラフィープロセスから生じる系統的なホットスポットの軽減する方法は、各種の実施形態によって提供される。本方法は、ナノインプリントリソグラフィープロセスの開始前にホットスポットを識別する工程を含むことができる。ホットスポットの特性に基づいて、ホットスポットを軽減するために、補償解決策を識別且つ実装できる。いくつかの実施形態では、補償解決策は、ホットスポットの近傍内領域にのみ適用されてよい。補償解決策は、蒸発制御、圧力ゾーンチャック、デジタルマイクロミラーデバイス、又はプログラマブルヒータアレイを含んでよい。圧力ゾーンチャックは、スーパーストレート上、基板上、又は前記ホットスポットの近傍の両側で圧搾するように構成されたプログラマブル圧力ゾーンチャックとすることができる。プログラマブルヒータアレイは、ホットスポットの近傍に熱毛管流れを誘発するように構成することができる。補償解決策は、所望の平坦化を達成するために系統的なホットスポットを軽減するようにスーパーストレートの厚さ変動を選択することを含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、ホットスポットは、ホットスポットの特性に基づいて分類することができる。ホットスポットを補償する液滴パターンを計算することができる。次に、液滴パターンを適用することができる。ホットスポットは、系統的又は非系統的なホットスポットとすることができる。系統的なホットスポットは、可変プロセス時間、可変パターン密度、又は接触線ピン止めを含むことができる。系統的なホットスポットは、(例えば、ナノインプリントリソグラフィープロセス又は平坦化プロセスにおける)例えば上流プロセス、インプロセス、又は下流プロセスから生じてよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、選択された厚さ変動は、空間座標の滑らかな関数であってよく、又は空間座標のステップ関数である。厚さ変動は、アライメントマークによって識別される関数であってよい。いくつかの実施形態では、アライメントマークは、基板上のアライメントマークに対して10ミクロン未満まで位置合わせすることができる。厚さ変動の関数は、基板上のアライメントマークに対して1ミクロンよりも良好に位置合わせされたアライメントマークに基づいて選択することができる。
【0013】
本技術の実施形態は、一又は複数のプロセッサに、本明細書で説明する方法、該方法の変形、及びその他の動作を実行させるための命令セットを含むコンピュータ可読記憶媒体も含む。
【0014】
いくつかの実施形態は、プロセッサと、該プロセッサの制御下にある基板形状変調チャックと、前記プロセッサの制御下にあるスーパーストレート形状変調チャックと、メモリと、を備えた平坦化のためのシステムを提供する。該メモリは、前記プロセッサによって実行される際に、マシンに、基板及びスーパーストレート間の接触の開始と実質的にコンフォーマルな接触の完了との間の全ての期間で、前記基板と前記スーパーストレートとの間の相対曲率を最大にするように、前記基板と前記スーパーストレートとの時間変動形状を識別させる命令セットを記憶してよい。いくつかの実施形態では、前記基板及び前記スーパーストレート間の接触の開始と実質的にコンフォーマルな接触の完了との間の少なくとも一の時点において、前記スーパーストレート及び前記基板の曲率のうちの少なくとも一方は、凹状である。
【0015】
いくつかの実施形態は、少なくとも100μm、少なくとも10μm又は少なくとも1μmのカメラ画素サイズを有するカメラを含むことができる。カメラは、RGB又はグレースケールであってよい。いくつかの実施形態では、カメラは、ラインスキャン、エリア、又はテレセントリックであってよい。いくつかの実施形態では、粒子の中心位置を用いて、粒子との接触領域で伝播した可能性のある前記スーパーストレート上の損傷によって生じる欠陥を探すために、その点の周囲の小さな領域を検出することができる。
【0016】
ナノインプリントリソグラフィープロセスから生じる系統的なホットスポットの検出のための方法は、ナノスケール解像度テンプレートよりも大きなフィーチャを有するダミーテンプレートを加工する工程を含むことができる。前記ダミーテンプレートは、ナノスケール解像度テンプレートの物理的特性を実質的に模倣できる。前記ナノスケール解像度テンプレートの模倣された物理的特性は、実質的に類似した欠陥をもたらしうる。ダミーテンプレートを用いて、前記ナノインプリントリソグラフィープロセスを実施できる。
【0017】
複数の実施形態が開示されているが、本技術の例示的な実施形態を示し且つ説明する以下の詳細な説明から、本技術の更なる他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。認識されるように、本技術は、全てが本技術の範囲から逸脱することなく、各種の態様における変更が可能である。従って、図面及び詳細な説明は、事実上の例示であると見なされ、それらに限定すべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本技術の実施の形態について、添付の図面を用いて説明する。
図1A】平坦化メトリックの例示を提供する。
図1B】平坦化メトリックの例示を提供する。
図2】幾何学的ジオメトリーに伴う収縮の変動を示すプロットである。
図3】浮揚液滴に対する突刺し(浸透)液滴を示す。
図4】本技術の一又は複数の実施形態に係る、y方向よりもx方向において実質的により正確である平坦化性能を示している走査型フォトリソグラフィーのための平坦化の一例を示す図である。
図5】スーパーストレート及び基板の所望の相対的形状又は曲率を示す、異なる液滴の広がりシナリオを示す図である。
図6】本技術の一又は複数の実施形態に従った、基板平坦化のための一連の動作を示すフローチャートである。
図7】本技術のいくつかの実施形態に従った、ホットスポットを識別し、これを補償する一連の動作を示すフローチャートである。
図8】本技術のいくつかの実施形態において、各種の計算を実行及び/又は機器を制御するために用いられてよいコンピューティングシステムの一例である。
【0019】
これらの図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。同様に、本技術のいくつかの実施形態の議論の目的のために、いくつかのコンポーネント及び/又は動作は、異なるブロックに分離されるか、又は単一のブロックに組み合わされてよい。更に、本技術は、各種の変更形態及び代替形態を受け入れることができるが、特定の実施形態について、例として図面に示され、以下で詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本技術を記載された特定の実施形態に限定するものではない。それどころか、本技術は、添付の特許請求の範囲によって定義される本技術の範囲内にあるすべての変更物、等価物、及び代替物を包含することが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本技術の各種の実施形態は、一般に、基板の平坦化に関する。より具体的には、本技術のいくつかの実施形態は、公称平面基板上の平坦化として知られる精密表面トポグラフィー最適化のための多用途システム及び方法に関する。各種の実施形態によれば、これらの技法は、高空間周波数フィーチャを平面化しつつ、場合によっては低及び中空間周波数基板トポグラフィーに適合する、平面トップ膜を獲得することを含む。このプロセスの各種の実施形態は、すべての目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる「Programmable Deposition of Thin Films of a User-Defined Profile with Nanometer Scale Accuracy」と題する米国特許第9,415,418号に記載されているように、本明細書ではナノスケール薄膜のプログラマブル適応インクジェット(PAINT)と称される。
【0021】
PAINTは、インクジェットを用いて、基板上に前駆体モノマーの液滴を分配する。基板表面は、モノマーの広がりを高めるために、及び/又は重合材料の接着のために、前処理されてもよい。インクジェットが複数のノズルを有する場合、所望の基板領域は、分配された各液滴の体積及び位置を制御したままで、基板に対してインクジェットを駆動する走査ステージを用いて、数秒以下で必要な液滴で覆うことができる。各所望の膜厚プロファイルについて、最適な液滴体積及び位置をモデルから得ることができる。
【0022】
液滴分配後、背圧又は重力の助けを借りて湾曲させられた最適にフレキシブルなスーパーストレートを、液滴への最初の接触が前側でなされるように下降させることができる。これが、外側に急速に広がって液滴と結合することで連続した膜を生成する液体フロントを生じる。次いで、この基板-流体-スーパーストレート「サンドイッチ」は、所望の持続時間にわたって進展させることができ、その後、モノマーは、光エネルギー又は熱エネルギーによって硬化されて、架橋結合して高分子となる。次に、スーパーストレートをサンドイッチから分離して、基板上に薄い高分子膜を残すことができる。
【0023】
スーパーストレートは、プロセスが基板表面上で行われている間、基板の上に位置すると仮定したが、本技術の原理は、二の表面の相対的な位置が逆である場合、例えば、基板がスーパーストレートの上に位置する場合のような実施形態に適用される。同様に、インクジェットステップでは、これらの表面の相対的な位置に応じて、液滴が分配されるのは、基板又はスーパーストレートであってもよい。また、分離ステップでは、プロセスの性質を変えることなく、スーパーストレート又は基板のいずれかを他方から離すことができる。以下では、基板を「塗装」する必要のある表面を有するものとして説明するが、本技術の原理は、そのように限定されるものではなく、「塗装」する必要のある他の表面を含んでよい。
【0024】
適切なスーパーストレート及び基板の組み合わせの使用が重要である。一般に、基板の特性は不変であり、プロセスに合わせて変更することはできない。従って、典型的には、スーパーストレートの特性のみが変更できる。しかしながら、一般的な場合には、プロセス動力学に影響を及ぼすのは基板とスーパーストレートとの両方であり、従って、実際には2つのうちの一方のみが他方に対して自由に変更されるとしても、それらの組み合わせとして提示されている。このスーパーストレートと基板との組み合わせは、「最適な可撓性」を有する必要がある。但し、剛性は、スーパーストレート/基板が周りに巻き付けられたアイランドとして個々の液滴を捕獲するよりもむしろ、モノマー液滴に横方向に結合することを促す程度に十分に高く、また変形によりスーパーストレート及び基板に蓄積された歪みエネルギーがモノマーの硬化又は架橋の前に薄膜流体の動的挙動にあまり影響しない程度に、十分に低い。また、寄生又は望ましくないトポグラフィーシグネチャの存在を実質的に軽減する程度に十分に低くなければならず、それに対して鈍感でなければならない。
【0025】
一般に、スーパーストレート又は基板のいずれか、又はその両方は、用途に応じて剛性でなくてもよい。可撓性基板又はスーパーストレートは、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック材料のシート、ロール、又は他の発現、並びに薄いガラス状材料(例えば、コーニング社からのウイローガラス)のロール、シート、又は他の発現を含んでよい。しかしながら、本技術の説明のために、基板は、剛性(例えば、シリコンウエハ)であり、チャックに対して保持されると仮定される。一方、スーパーストレートは、曲げることができる。基板はまた、PAINTプロセスの裏にある基本概念を乱すことなく、曲げることができる。
【0026】
各種の実施形態によれば、スーパーストレートは、平坦な表面を有し、所望の可撓性を与えるのに適切な厚さを有した、ガラス、セラミック、又は高分子等の材料から構成されてもよい。他の実施形態は、(陽極酸化アルミニウム(AAO)等の)加工された、又は天然に存在する細孔を有する、より硬質の基材に取り付けられた薄い可撓性膜の使用を含んでよい。基材は、二の真空ゾーン(1つは、例えば外側環状部に沿っており、1つは、内側に向かっている)を有するスーパーストレートチャックに取り付けることができる。真空の制御は、多孔質基材を介して、それに取り付けられた薄膜へ移される。
【0027】
スーパーストレートが広がりステップで用いられる場合、全ての真空ゾーンが係合されて、薄膜を剛性基材に取り付けることが可能になる。広がりが達成された後、内部真空ゾーンは、離脱される(又は陽圧を吹き出すことさえ可能になる)ので、薄膜は、外部真空ゾーンによってのみ支持されうる。これは、前平衡過渡現象(以下で更に説明する)の進展及び捕捉に望ましいスーパーストレートの有効厚さ(それ故に剛性)を実質的に減少させるのに役立つ。いくつかの実施形態では、薄膜スーパーストレートの厚さは、材料(例えば、高分子、ガラス、セラミック等)に対して、約100nmから約100μmまでであってよい。多孔質基材は、いくつかの実施形態では、10μm~5mmの厚さを有することができる。
【0028】
他のスーパーストレートの実施形態は、スーパーストレートのどの断面が流体及び基板とのサンドイッチを形成する際に関与するかに応じて、異なるスーパーストレート断面で変化する厚さを有することによって実現することができる。この実施形態は、スーパーストレートの厚さを、密度が変化する基板トポグラフィーの存在に対して制御ノブとすることができる。
【0029】
スーパーストレートの他の特徴は、硬化前にガス放出された材料の広がり及び溶解を促進し、次いで硬化後に分離することを含む。これは、典型的には、スーパーストレートが、前駆体液体と良好な濡れ性を有し、次いで、後硬化高分子との脱濡れ性を有することを必要とする。このような特性は、酸化物又は金属の薄膜でスーパーストレートを被覆することによって得ることができる。スーパーストレートの表面も処理できる。
【0030】
このプロセスの他のステップは、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Precision Alignment of the Substrate Coordinate System Relative to the Inkjet Coordinate System」と題する米国特許出願第2017/0333940号に記載されているアライメントである。
【0031】
堆積膜として用いられてよいいくつかの代表的な材料は、エッチングバリア溶液、マイクロレジストテクノロジー社からのmv-Cur、及びキャノンナノテクノロジーズ社からのMonomat(登録商標)等の、インクジェット可能な組成物を含む。基板はまた、濡れ性を調整するために前処理される必要があってよい。基板と堆積膜との間の接着を促進するために用いられるいくつかの材料は、キャノンナノテクノロジーズ社からのValMat(登録商標)及びTranspin(登録商標)を含む。
【0032】
高さ(薄膜)と比較して、はるかに大きな横方向長さスケールを有するドメイン内の流体の流れは、流れが主に表面に平行であり、垂直方向の圧力勾配がゼロであると仮定する潤滑モデルを用いて解くことができる。典型的には、これは、非線形モデルを導き、該非線形モデルは、より低い計算コスト及びプロセス機構のより良い理解のために線形化することができる。線形化は、以下のようにして得られる特徴的なプロセス時間スケールをもたらす。
【0033】
【数1】
【0034】
【数2】
【0035】
但し、hは平均膜厚であり、Rは水平長さスケールであり、典型的には堆積領域の半径であり、a及びbはプロセスの正確な性質に依存する指数であり、Deffはスーパーストレートの有効曲げ剛性(基板が剛体である場合、また逆も同様)であり、これは、ヤング率E、スーパーストレートの厚さb及びポアソン比vに依存する。基板も可撓性であれば、有効曲げ剛性は、両者の組み合わせを含むであろう。一般に、τPAINTの値が大きいほど、前平衡過渡現象を捉えるための時間が長くなるので望ましい。数式(1)から、Deffが小さくなると、より高いτpaintをもたらすように見える。従って、適切なプロセス条件(高い値のτpaintを意味する)は、スーパーストレート剛性が低いことを必要とする。
【0036】
この項(τpaint)を用いて、無次元プロセス時間(t)を、実際のプロセス流体の広がり時間(τ)とτpaintとの比率として次のように定義できる。
【0037】
【数3】
【0038】
各種の実施形態の目的は、最終膜厚が初期材料分布と強い相関関係を有するように、横方向の流体の再分布を最小化することであり、その結果、PAINTの「プログラマブル」な性質が、インクジェットされる流体滴の予め定義された位置及び体積によって達成されうる。言い換えれば、典型的には望ましくなく、且つ基板の寄生的な低空間周波数トポグラフィーによって破壊される、一の可能な定常状態解(これは、平坦化の場合には平坦な頂部である)のみを平衡状態が許容するため、潤滑モデルは、サンドイッチの進展において前平衡過渡状態を捉えることが必須であるという事実を明らかにする。これは、薄膜のプログラマブルな堆積の目的を無効にする。異なる空間長スケールでの基板及びスーパーストレートトポグラフィーの影響を最小にしながら、「インクジェット流体液滴と実質的に相関する前平衡過渡現象を補足する」というこの概念は、PAINTプロセスの中心である。
【0039】
平坦化の分野では、ナノスケールパターン等の高周波空間トポグラフィーが存在する場合、平均膜厚hの適切な定義が重要になる。なぜなら、ここで必要なことは、中・低空間周波数トポグラフィーによる任意の流体分布も最小化しながら、この高周波数トポグラフィーを克服することである。従って、数式(1)における平均膜厚は、極大膜厚値と極小膜厚値との間の適切な平均として選択することができる。例えば、最小膜厚は残留層厚とすることができ、最大膜厚は、残留層厚と最大フィーチャ高との和とすることができる。適切な平均は、面積加重平均等の中心傾向の統計的尺度であってもよく、又は最も保守的な境界であってもよく、このケースでは、極大膜厚であってよい。平均膜厚の定義は、次式のように膜厚変動の尺度を含んでよい。
【0040】
【数4】
【0041】
但し、happroxは平均膜厚の近似尺度であり、hは真の平均膜厚であり、sは膜厚の標準偏差である。或いは、全プロセス時定数τpaintは、スーパーストレートの厚さを変更することにより、パターン密度の異なる領域で実質的に同じに保つことができる。
【0042】
モデルの一時特性は、次式を用いて線形解析を行うことで解析的に求めることができる。
【0043】
【数5】
【0044】
但し、rが公称基板表面座標系にある。実質的な基板トポグラフィーの存在を要因として含めて、モデルの線形化を不明瞭化しないことが重要である。しかしながら、基板トポグラフィーを説明する適切な基板座標系を確立することは、線形化が実現可能な結果をもたらすことを確実にするために必要である。例えば、パターン又は高空間周波数基板トポグラフィーの存在下での線形化の結果は、おおよその平均膜厚の定義において、項s、即ち標準偏差の存在につながる。
【0045】
線形化されたモデルは、解析的に解くことができるので、計算の複雑さを大幅に低減し、PAINTの重要な側面、即ち、所望の膜厚プロファイルに対する流体液滴の最適な位置及び体積を解くことを可能にする。本プロセスの一の実施形態では、インクジェットによって分配される最小体積に液滴体積を固定したまま、液滴位置のみを最適化してよい。また、低空間周波数トポグラフィーが異なるウエハにわたって実質的に類似している場合、それは毎回測定される必要はない。本プロセスの一の実施形態では、最適な液滴体積及び位置は、特に、無次元プロセス時間が低い場合には、低周波ナノトポグラフィーに対していかなる入力なしに、潤滑モデルの周りの逆最適化スキームから得ることができる。本プロセスの他の実施形態では、最適な液滴体積及び位置は、プロセスからリアルタイムで取り込まれた画像の周りの逆最適化スキームから得ることができる。他の実施形態では、潤滑モデルが、リアルタイムデータに基づくモデル、統計的モデル、又は経験的モデルで増強されるハイブリッドアプローチを選択することができる。
【0046】
プロセス機構に基づく最適膜厚プロファイルに対する逆最適化に加えて、PAINTプロセスの重要な側面は、ラップ機能最適化スキームを含んでいる。機能最適化スキームの目的は、所望の膜厚をプロセス及び基板の所望の機能性能と相関させることである。例えば、半導体の平坦化では、平坦化膜が最終的に反射防止にならないこと、又は他の所望の光学特性を有することを保証することが重要であってよい。このより高レベルの制約の計算コストは、逆最適化スキームを減速させる可能性があり、計算コストがどれだけ高いかに基づいて、最適化を実行中に得られた各最適以下の膜厚プロファイルに対してというよりもむしろ、計算コストがかからない周波数で、光学性能の計算が断続的に行われるアプローチを取ることができる。また、平坦化膜の厚さが後続のエッチバックに干渉しないことを保証することも重要であってよい。
【0047】
本技術の各種の実施形態は、計算システム及びコンポーネントに対して広範囲の技術的効果、利点、及び/又は改良点を提供する。例えば、各種の実施形態は、以下の技術的効果、利点、及び/又は改良点のうちの一又は複数を含む。即ち、1)ナノスケールフィーチャの存在下でのグローバル(又はほぼグローバル)平坦化、2)カスタマイズされた液滴パターンを識別するための最適化及び逆最適化技法の統合使用、3)加工製造ワークフローに統合された自動化インサイチュホットスポット検出及び軽減、4)平坦化のためのカスタマイズされたアルゴリズムの使用、5)ホットスポット及び対応するホットスポット軽減解決策をより効率的に識別するための機械学習のクロスプラットフォーム統合、及び/又は、6)(i)スーパーストレートの設計、(ii)スーパーストレート及び基板の取り扱い、(iii)UV硬化メカニズム、(iv)基板及びスーパーストレートの分離の技法、(v)同じツール上における複数の基板の並列処理、におけるイノベーションにより、高収率で高スループット平坦化を可能にするためのシステム設計、である。
【0048】
以下の説明では、説明の目的のために、本技術の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の詳細が多数記載される。しかしながら、当業者には、本技術の実施形態が、これらの特定の詳細のいくつかがなくても実施されうることが明らかであろう。
【0049】
本明細書で導入される技法は、専用ハードウェア(例えば、回路)、ソフトウェア及び/又はファームウェアで適切にプログラムされたプログラマブル回路、又は専用及びプログラマブル回路の組合せとして実施することができる。従って、実施形態は、プロセスを実行するようにコンピュータ(又は他の電子デバイス)をプログラムするために使用されてよい命令を記憶した機械可読媒体を含んでよい。機械可読媒体は、フロッピーディスク、光ディスク、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)、光磁気ディスク、ROM、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)、磁気又は光カード、フラッシュメモリ、又は電子命令を記憶するのに適した他の種類の媒体/機械可読媒体を含むことができるが、これらに限定されない。
【0050】
「いくつかの実施形態では」、「いくつかの実施形態によれば」、「示された実施形態において」、「他の実施形態において」等の句は、一般に、句に続く特定の特徴、構造、又は特性を意味し、本技術の少なくとも一の実装形態に含まれおり、また二以上の実装形態に含まれてもよい。更に、そのような句は、必ずしも同じ実施形態又は異なる実施形態を指すものではない。
【0051】
(平坦化性能)
平坦化は、半導体デバイス加工製造の分野における重要なプロセスステップである。焦点深度を所望のリソグラフィー公差内に維持することにより、フィーチャ解像度の損失なしに、複数の平面層上でのフォトリソグラフィーを実行することが可能になる。その使用は、トランジスタ回路のフロントエンド半導体デバイス処理、並びに、加工製造された回路の包装体等のバックエンド半導体デバイス処理用途の両方において一般的である。プロセス要件は、下地パターン及び所望のプロセス性能に応じて変わり得るが、このような平坦化を達成するためのインクジェットの使用のいくつかの一般的な態様を以下に説明した。
【0052】
平坦化プロセスの性能は、一般に、(i)平坦化度、及び(ii)平坦化長という二のメトリックスで捉えられる。平坦化度は、ステップパターンが平坦化される程度を表し、平坦化前後のステップ高さの差として定量化される。平坦化長は、ある程度の平坦化が達成される距離を表す。
【0053】
図1Aから図1Bは、これら二のメトリックと、それらが平坦化プロセスにどのように関係するかとについて示す。理想的なプロセスは、グローバル平坦化として知られているものを達成するために、無限平坦化長で100%の平坦化度を達成する。しかしながら、既存のプロセスは理想的ではなく、グローバル平坦化を達成するには不十分である。例えば、スピンコーティングは、平滑化と呼ばれるもの(即ち、フィーチャピッチオーダーの非常に短い平坦化長)のみを達成することができる。
【0054】
化学機械平坦化(CMP)は、今日では平坦化に対する半導体産業の作業馬であるが、典型的には、局所平坦化(即ち、ダイオーダーであって、且つダイ内のパターン密度に大きく依存する平坦化長)のみを達成することができる。例えば、CMPプロセスにおいて、平坦化性能のパターン密度への依存性は、機能パターンと同じ密度を有する非機能パターンの加工製造からなるダミーフィル等の技法の使用を必要とする。この非機能的パターンの加工製造は、フォトリソグラフィープロセスの複雑さを加え、また、集積回路(IC)の電気的性能に有害となり得る。更に、フォトリソグラフィープロセスが(例えば、二重及び四重パターン化技法を利用して)既に非常に複雑である14nm以下の現在の半導体製造技術ノードにおいて、平坦化性能を損なうことなくダミーフィルの必要性を回避することができれば、実質的な節約を達成することができる。
【0055】
この目的のために、本開示で議論される平坦化プロセスのいくつかの実施形態の主要な目標は、以下の通りである。即ち、
1.変化するフィーチャ(例えば、変化する密度、ピッチ、フィーチャサイズ等)の存在下でのグローバル(又はほぼグローバル)平坦化と、
2.フロントエンド及びバックエンドの両方における既存リソグラフィープロセスとの適合性と、である。
これらの目標は、PAINTプロセスの裏でソフトウェア及びハードウェアの両方を最適化することによって達成できる。
【0056】
(平坦化寄生)
ほぼグローバル平坦化を達成するPAINTプロセスの能力は、いくつかの寄生現象又は因子(「寄生」)の存在によって損なわれる可能性がある。これらの寄生の1つは、重合時の平坦化プロセスに用いられるUV硬化性モノマーの収縮である。モノマーの収縮量は、下地フィーチャの幾何学的ジオメトリーに依存する。例えば、重合膜は、はるかに広いトレンチにわたる膜収縮と比較して、狭いトレンチにわたる収縮が少ない。
【0057】
本技術のいくつかの実施形態では、この寄生は、高分子の弾性及び粘弾性の理論から導き出された古典的な薄膜収縮モデルを用いて得ることができ、最適な液滴体積及び位置を得るために用いられる。他の実施形態では、この寄生は、実験により得られ、最適な液滴体積及び位置を得るために用いられる。更に、多段階平坦化プロセスを用いて、この寄生を克服し、所望の平坦化性能を得ることができる。但し、第1の平坦化プロセスは適度な平坦化性能を与え、より高い平坦化性能を得るためには、後続のステップが1つ以上必要である。
【0058】
バルク収縮特性は、パターン化されていない基板に関する実験から得ることができ、フィーチャ上の収縮を得る際のパラメータとして用いることができる。フィーチャジオメトリーに伴う収縮の変動の例を図2に示す。図2のプロット200では、x軸は、汎用トレンチの深さに対する幅の比(即ち、幅/深さ)を示しており、y軸は、トレンチがない場合の最大収縮が0.1(即ち、10%)であると仮定した場合の、トレンチを覆う薄膜の重合時に観察された収縮の割合を示している。ここで、初期厚さt及び最終厚さtを有する薄膜の収縮Sは、S=1-t/tとして定義される。
【0059】
平坦化性能に影響を及ぼし得る他の寄生効果は、スピンコーティング、真空蒸着等の各種のプロセスを用いて堆積されるパターン上に、異種材料の既存膜が存在することである。これらのプロセスの各々は、堆積して平坦化の必要のある最終パターンを変化させる、対応する膜の厚さに望ましくない変動をもたらす。異なるパターンの存在下でこれらのプロセスのロバストなモデルを有すること、又は最終パターン情報を実験的に得ることが重要である。パターンの存在下でこれらの薄膜堆積プロセスのロバストな計算モデル又は分析モデルを有すること、又はこれらのプロセスからの実験データを有することは、寄生の補償を可能にする。例えば、インクジェット液滴の広がり及び結合を促進する接着層のスピンコーティングは、平坦化ステップの前に必要であり得る。
【0060】
上述したように、スピンコーティングは、フィーチャの平滑化をもたらし、それにより、鋭利なエッジ又は隅部が鋭さを失うことになる。スピンコーティングは、フィーチャの側壁角度を、より緩和(即ち、急峻さがより少ない)させてもよく、これは、インクジェット液滴が、パターン上でどのように振る舞うか又は流れるかを変化させる。液滴を広げて連続膜を形成するためには、この効果を捉えることが重要である。いくつかの実施形態では、そのような前処理及び後処理ステップが平坦化性能に及ぼす影響は、最適な位置に最適な体積を有する液滴を配置することによって補償される。一の実施形態では、そのような前処理及び後処理ステップが平坦化性能に及ぼす影響は、実験により決定される。上述の議論は、薄膜堆積プロセスに限定されているが、他の例示的な前処理(上流)ステップは、CMP、エッチング、ウエハ厚さの変化を生じるウエハダイシングを含み、例示的な後処理(下流)ステップは、エッチング、CMP等を含む。
【0061】
一般に、平坦化プロセスの目標は、所望のレベルの平坦化性能を得ることである。この目標が、最適化ルーチンによって計算的に達成される場合、所望の平坦化長と所望の平坦化度との組合せとすることができる目的関数を必要とすることがある。各種の実施形態では、所望の平坦化性能メトリックは、基板全体にわたって実質的に同様である。しかしながら、平坦化性能が、特定の局所領域、又は各ダイがデバイスであるダイのサブ領域において、該サブ領域におけるより高いリソグラフィー解像度又は他のプロセス制約のために、より困難な場合がある。ウエハには50~50,000個ものダイが存在してよく、ダイは同一であってもなくてもよい。そのような場合、平坦化性能要件は、これらのサブ領域について増加させることができ、よって、平坦化プロセスの目標を、同じプロセスステップ内で一のサブ領域から他のサブ領域に空間的に適合させる。一の実施形態では、これは、目的関数を適切に変更して、所望の平坦化性能に対する実際の平坦化性能の重み付き誤差を最小化することによって行うことができる。但し、重量は、より正確な平坦化性能を必要とする領域においてより高い。
【0062】
計算費用を管理する必要がある場合、これらのサブ領域における性能要件の増加は、歩留まりが許容可能であり、且つ所望のメトリックを変更することによって歩留まりの問題が予想されない他のサブ領域において、性能要件を低減することによって補償することができる。所望の平坦化性能の補償又は向上は、パターンGDSファイル等の入力パターンジオメトリーに関連付けてもよい。一の実施形態では、平坦化性能に関連する目標は、空間的に変動可能である。但し、空間的変動源は、入力パターン情報又は欠陥ホットスポットに関する事前情報であってよく、ホットスポットは、望ましくない平坦化性能、又は歩留まりロスの領域として定義される。
【0063】
(液滴広がりのモデルに基づく予測又は実験的予測)
パターン化された表面上の連続膜の形成は、先に説明した薄い液膜の進展に先行し、液滴の広がりの予測は、モデルに基づく技法又は実験のいずれかを用いて行うことができる。以下の議論は、モデルに基づく予測に主に焦点を当てている。但し、実験データはモデルを支持するために用いるか、又は単独で用いることができる。一の実施形態では、個々の液滴がどのように結合するかについての理解は、これらの方法のうちの一又は複数の組み合わせを含む、分析的、経験的、又は統計的技法によって支持できる。分析方法は、1滴以上の液滴がスーパーストレートの作用下で圧搾される際に、それらの液滴の動力学を同時に解く。これらの液滴の動的挙動は、濡れ、蒸発等の現象を含んでよい。
【0064】
パターン化基板の存在は、平坦な基板と比較して、これらの液滴の濡れ及び広がり挙動を変更する。実質的に平坦な基板上では、液滴の濡れは実質的に連続的である。しかしながら、パターンの存在は、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、「Dynamics of low capillary number interfaces moving through sharp features, Physics of Fluids 17, 122104 (2005)」に記載されているように、これらの液滴の運動に不連続性を導入する可能性がある。これらの不連続性は、接触線ピン止め、即ち、液滴と周囲環境との間の界面から、これらのフィーチャの実質的に鋭利な隅部上で生じる。接触線ピン止めは、ヒステリシスとしても知られている。
【0065】
先に議論したように、スピンコーティング等の早期のプロセスステップでは、フィーチャのいくつかは、鋭利な隅部を失い、比較的急峻でない側壁角度を有しうる。これにより、接触線は、重力の助けを借りて、これらの隅部をより容易にナビゲートすることができ、よって、接触線ピン止めの影響を最小にすることになるであろう。一の実施形態では、接触線ピン止めの決定は、薄膜の進展と補完され、機械システムにおける摩擦及びバックラッシュの現象から類推して行われる。このスティックスリップ挙動は、液滴に対して重力、毛管現象、慣性及び粘度の組み合わせである外力の存在下で運動の開始の遅延をもたらしうる。いくつかの実施形態は、実質的に急峻な遷移を有さないフィーチャからのヒステリシスの欠如を利用する。このような滑らかな遷移は、PAINTプロセスの前に1回以上のスピンコーティングステップが実行される場合に得ることができる。
【0066】
スピンコートされる材料は、平坦化材料と実質的に同様とすることができ、又は(i)下地基板又は膜と平坦化材料(例えば、Transpin)との接着を改善し、(ii)エッチング耐性(例えば、スピンオンカーボン)等の必要な光学的、熱的、又はプロセス特性を提供する機能材料とすることができる。スピンコーティングが実行可能でない場合、単一のステップよりもむしろ、複数のステップで所望の平坦化性能が達成される多段階PAINTプロセスを実行することができる。これは、平坦化要件が基板全体にわたって実質的に変化する場合、又は実質的に高いアスペクト比のフィーチャを平坦化する必要がある場合、又は収縮等の望ましくないプロセス寄生がプロセス性能の望ましくない損失を引き起こす場合、又は厳しい歩留まり要件が実質的にロバストなプロセス動作ウインドウを必要とする場合に、特に有用である。多段階PAINTプロセスの結果として全体の膜厚が大きくなりすぎる場合には、各PAINTステップの後にエッチバックを行うことができる(例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Adaptive Nanotopography Sculpting」と題する米国特許第8,394,282号を参照)。
【0067】
(液滴のスティックスリップ挙動)
何らかのフィーチャがない場合、特徴的な横方向フィーチャ寸法が液滴の直径よりもはるかに小さい(10X未満)と仮定すると、基板上に着座する液滴の接触角は、液体のバルク接触角によって与えられるであろう。フィーチャが存在する場合、平衡接触角は、また、パターンジオメトリー(又は、パターンジオメトリー情報を組み込む粗さ係数)によって支配される。このパターンジオメトリーは、濡れ液滴をより濡れさせてよく(Wenzel状態)、又は液滴が実質的に疎水性であるCassie-Baxter状態に遷移されてよい(例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Wetting and Roughness, David Quere, Annual Review of Materials Research 2008 38:1, 71-99を参照)。疎水性は、液滴を自然に濡れさせず、且つ基板のフィーチャが深い場合に生じうるため望ましくないが、位置精度を改善する必要がある場合には、液滴をより容易に移動させることができる。
【0068】
一の実施形態では、このような液滴の移動は、圧電アクチュエータアレイを介した基板の音響振動又は形状変調等の方法(例えば、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,307,697号を参照)、基板上の温度勾配の存在下での熱毛管運動、又は基板の正確に制御された先端/傾斜によって、容易にすることができる。これは、疎水性液滴が、浸透することなくフィーチャの上部で浮揚する傾向があるためである。
【0069】
一方、親水性液滴は、フィーチャの内側に液滴自体を突刺す可能性があり、これにより、図3の例示300に示すように、フィーチャに「付着」することになる。浮揚状態から突刺し状態への遷移は、パターンジオメトリー、基板の材料、及び液滴に加えられる圧力の関数である(例えば、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれるImpalement of fakir drops, M. Reyssat, J. M. Yeomans and D. Quere, 20 December 2007, EPL (Europhysics Letters), Volume 81, Number 2を参照)。従って、あるフィーチャ密度から他のフィーチャ密度への遷移がある領域では、液滴スティックスリップ挙動は、大きく異なり得る。いくつかの実施形態では、望ましくない液滴の移動を防止するために、液滴をフィーチャに実質的に付着させることが望ましい。
【0070】
一の実施形態では、この遷移領域における液滴挙動は、まず、液滴の突刺しに必要な閾値圧力を越えるようにスーパーストレートを用いて圧力を印加し、次いで、スーパーストレートを後退させることによって調べることができる。この後退は、液滴が基板に実質的に付着するので、液滴を引き出すことはない。次に、基板上に突刺さっていない液滴であって、依然として滑っている液滴を移動させることができる。このプロセスを数回繰り返して、液滴を所望の位置に到達させることができる。或いは、特にパターンが第1のステップの後に実質的に平滑化され、それによって望ましくない液滴の移動が防止されるので、一のステップから次のステップへの寄生誤差を軽減する多段階平坦化プロセスを実行することができる。
【0071】
変更された液滴濡れ挙動の他の発現は、特に、線及び空間等の実質的に一次元のフィーチャが存在する場合に、液滴の異方性を介して生じる。この状況では、液滴は、(線に沿って)一方向に、他の方向に対して優先的に広がることができる。一の実施形態では、そのようなフィーチャ上に分配される個々の液滴の平衡伸び率は、解析的定式又は実験データによって決定することができ、よって、液滴の広がりを決定するのに役立ち得る(例えば、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれるAnisotropic Drop Morphologies on Corrugated Surfaces, H. Kusumaatmaja, R. J. Vrancken, C. W. M. Bastiaansen and J. M. Yeomans, Langmuir, 2008, 24 (14), pp 7299-7308を参照)。
【0072】
異方性拡がり又はスティックスリップ等の異常な液滴挙動が存在する場合、多段階平坦化プロセスを行うことができ、そこでは平坦化性能が一のステップから次のステップに実質的に改善される。第1の平坦化ステップは、フィーチャを実質的に満たし、異常な液滴広がりをもたらす不連続性を平滑化するであろう。これは、その後のステップにおける平坦化膜が、異方性が実質的に減少したフィーチャ、即ち、接触線ピン止めを導く「粗い」パターンジオメトリーに遭遇することを可能にするであろう。次いで、基板のこの比較的平滑なトポグラフィーを測定し、次の平坦化ステップにおいて実質的に平坦化することができる。
【0073】
(計算モデリング)
先に記載された分析アプローチは、個々の液滴のモデリングに依存する。これらの分析モデルは、分子動力学、格子ボルツマン技法又はナビエ-ストークス方程式の数値解等のツールを用いてシミュレーションすることができる。典型的な平坦化シナリオでは、数万の液滴が分配されてよく、これは、初期膜を形成するための個々の液滴の広がり及び濡れ挙動を解くために実質的な計算馬力の使用を必要とするであろう。このような計算リソースは、スーパーコンピュータ又はサーバのクラスタの形で利用可能にすることができるが、そのようなリソースが利用可能でない状況もあり得る。そのようなシナリオでは、分析モデルの使用は、経験的及び統計的技法で増強することができる。これらの技法は、実験データのみに依存するか、若しくは、数滴分の液滴のモデリングからの分析的洞察を実験データと組み合わせて、基板パターン存在下での数滴分の液滴挙動を説明する統計的に関連するモデルを開発することができる。
【0074】
統計的関連性は、ベイズ統計学、信頼区間等の不確実性定量化の方法の助けを借りて決定することができる。関連モデル(分析的、経験的、統計的)と各モデルにおけるパラメータ数の選択は、所望の正確さ要件及び精度要件に基づいて行うことができる。これらの精度要件は、空間的に均一でなくてもよく、例えば、基板パターンに遷移が存在する領域において、より厳しくてよい。一の実施形態では、数滴分の液滴からの初期膜の決定は、各液滴を、液滴の体積に見合った高さ及び半径を有するディスクとしてモデリングする経験的技法の助けを借りて行われる。これは、液滴体積が1pl未満であり、液滴が高度に濡れている場合に有用である。
【0075】
ディスクの湾曲した側壁は、完全に急勾配でなくてもよく、傾斜を有するものとしてモデリングされてもよい。更に、側壁プロファイルは、三角級数、多項式級数、ステップ関数、誤差関数等を含む、他の関数的表現によって記述されてもよい。これらの表現の各々において、パラメータ数の選択は重要であり、結果の所望の精度に基づいて調整することができる。このトレードオフは、より多くのパラメータを追加すると結果を計算するための時間が長くなることを考えれば、計算費用となる。一の実施形態では、初期オフライン計算には、実質的に正確な表現を選択することができるが、一方、後続の又はリアルタイムの計算には、パラメータ数のより少ない表現を選択することができる。
【0076】
逆最適化スキームは、所望の膜厚及び開始基板トポグラフィーの入力に依存してよい。プロセス時間が10秒未満で十分に最適なスーパーストレートを有する高スループット平坦化の場合、グローバル基板トポグラフィーは、スーパーストレート-流体-基板サンドイッチ薄膜の進展にあまり寄与しない可能性がある。これは、計算モデルが、グローバル基板トポグラフィーを、平坦化された全てのウエハにおけるこのトポグラフィーを測定する必要性を排除する入力として組み込まない可能性があることを意味する。
【0077】
計算モデルは、二の板の間に捕獲された流体の挙動を支配する非線形薄膜流体モデルの複雑さを線形化又は低減する能力を持ってよい。線形化は、基板の領域にわたる膜厚の小さな変化に依存し、典型的には、膜厚の特徴的な長さスケールとして定義される平均膜を有することを含む。基板パターンが存在すると、膜厚は局所的に急激に変化する。これは線形化を複雑にし、平均膜厚は、もはや特徴的な膜厚の正確な尺度ではなくなる。平均膜厚は、膜厚の標準偏差によって与えられる膜厚分散のような付加的な項で増強される必要があってもよい。
【0078】
最適化スキームは、実際の膜厚と所望の膜厚との間の誤差を最小化することに依存する。プロセス時間が短く、空隙を有さないための厳しい要件がある場合、誤差メトリックは、空隙の有無、公差寸法を超える空隙の数、空隙の総領域、又はこれらの組合せも含むように拡張してもよい。完全非線形モデルの線形化が正確でない場合には、平坦化のために誤差を高くすることができるため、線形化モデルで逆最適化スキームによって生成された最適パラメータで完全非線形モデルのシミュレーションを行うことも重要である。
【0079】
(バブル軽減)
連続膜を形成しながらレジスト液滴を結合する際の重要な問題は、気泡軽減の問題である。このような気泡及び空隙の存在は、最終平坦化膜に欠陥を引き起こす可能性があり、気泡に捕獲されたガスが、気孔率が低いために基板又はスーパーストレートを通って放出されない場合に、発生する可能性がある。これはまた、膜厚及び下地フィーチャの制約のために、液滴が互いに離れて配置され得る領域でも問題である。気泡捕獲の軽減は、液滴が結合するのに要する時間を増加させることによって、又は、レジスト及びレジストに接触する二の表面を通って迅速に溶解することができるCO等の気体を環境に提供することによって達成されてよい。
【0080】
(インクジェットの正確さと精度)
PAINTの重要な側面の一つは、個々の液滴を用いて薄い流体膜が形成される基板とスーパーストレートとの間の薄膜流体の進展の決定である。本開示では、ナノスケールのフィーチャを有する基板を含むPAINTプロセスの実施形態を説明する。薄膜の進展及びそれに対する任意のモデルは、関連するプロセス時間スケールを定義する膜厚の程度に依存する。いくつかの実施形態は、パターンの存在が局所的に膜厚値を変化させると仮定すると、基板の異なる領域に対して様々な膜厚値を使用することができる。これは、基板の異なる領域の平坦化に対する正確さ要件に従うであろう。
【0081】
これは、基板を各種ドメインに分割する能力によって増強することができ、各ドメインは、その位置での公差及び正確さ要件と実質的によく相関する、明確に定義された平均膜厚値を有する。下地基板は、いくつかの基板上に実質的に類似したパターンを有することができるので、正確さ要件の増加にも対応する異なる位置で異なるスーパーストレートの厚さを有することによって、ドメイン分割をスーパーストレート設計においてハードコードすることもできる。例えば、パターン密度遷移領域、即ち、パターン密度が実質的に変化する領域では、このパターンの複雑さに対処するために、より高い正確さ要件を有することが有利であり得る。同時に、インクジェットは、インクジェットプリントヘッドの固有変動性によって与えられる基板上への不正確な液滴噴射を介して、膜厚の進展に不正確さを導入してもよい。
【0082】
典型的には、この変動性は、完全グリッドに対する液滴配置の精度として表される。この精度は、プリントヘッドに沿った方向、即ちインクジェットノズル列に沿った方向においてより高く、これに垂直な方向においてより低い。従って、平坦化プロセス中により高い精度を要求する領域は、実質的にノズル列の方向に沿って発生し得るより精密なインクジェットを必要とし得る。これは、これら重要部位がインクジェットノズルの方向に沿って実質的に配列するように基板を配向させることによって達成することができる。このような配向及びアライメントは、ウエハチャックと共に適切な回転ステージを用いて達成することができ、基板パターンの事前知識で可能になる。座標系に対する基板の精密な配向及びアライメントを達成する技法は、上述の「Precision Alignment of the Substrate Coordinate System Relative to the Inkjet Coordinate System」と題する米国特許出願第2017/0333940号で論じられている。同様に、いくつかの実施形態は、特定の位置においてインクジェット液滴体積のよりアナログな制御を有してよい。
【0083】
例えば、典型的なインクジェットでは、分配液滴体積は、インクジェット液滴解像度の整数倍である。従って、インクジェット液滴体積が6pLである場合、インクジェットは、6pL、12pL、18pL等の体積の液滴を分配することができる。これは、前記重要部位において所望される精度の水準の達成を妨げ得る液滴体積の離散的変化につながる。この点に関して、一の実施形態では、最終膜厚プロファイルと実質的に相関し得る、より望ましい初期膜厚プロファイルを得るために、そのような重要部位においてインクジェット液滴体積(例えば、6pL、7pL等)に対してよりアナログな制御を有することができることが望ましい。
【0084】
これは、インクジェット液滴体積全体の解像度が、インクジェットシステムからの最小液滴体積とは異なる可能性があることを意味する。このアナログ制御は、本明細書で説明する一又は複数の表現を用いて達成することができる。この実施形態の一の表現では、単一のインクジェットアレイが使用される。但し、これら重要部位の近傍で液滴を分配する際に波形が変更されて、インクジェット液滴体積及び速度に関する、故に、配置正確さ及び精度に関する所望のアナログ制御が得られる(例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれ、http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0141635918300114においてオンラインで利用可能な、Synder et al, “Automated tuning of high-order waveforms for picoliter resolution jetting of rheologically challenging materials,” Precision Engineeringを参照)。この実施形態の他の表現では、インクジェットシステムは、インクジェットノズルの複数アレイから成り、各インクジェットノズルアレイは、異なる液滴体積解像度及び最小液滴体積に較正される。他の表現では、上記の2つのアプローチを組み合わせることができる。他の表現では、最高精度で識別された各ヘッド内のノズル又はノズルセットが、高正確さ要件又は高精度要件を有する領域で使用される。
【0085】
マルチノズルプリントヘッドは、通常、基板の単一方向に沿って配列される。これは、インクジェットの精度が、典型的には、ノズル列に平行な方向においてより高いことを意味する。この状況は、下流プロセスとしての走査型フォトリソグラフィーに応答して平坦化プロセスを行う場合に有利である。走査方向に平行な方向の平坦化誤差は、交差走査方向の誤差よりもはるかに大きい程度まで許容することができる。走査型フォトリソグラフィーは、押し出し表面のように見える表面トポグラフィー誤差を実質的に許容することができる。これは、走査方向に沿った表面の任意の断面が、走査方向に沿った同じ表面の異なる断面に実質的に類似していることを意味する。従って、インクジェットノズルを交差走査方向に平行に配列させると、その方向においてより高い精度を得ることができる。一般に、ここで意味するところは、走査型フォトリソグラフィーが平坦化への下流プロセスであれば、図4に示すように、正確さ要件は、一方向では他に比べて実質的に高くなる可能性があるということである。
【0086】
図4は、走査型フォトリソグラフィーのための平坦化400を示しており、平坦化性能は、y方向よりもむしろ、x方向において実質的により正確であるべきであることを示している。言い換えれば、基板プロファイル断面AA’、BB’、…、 EE’は、実質的に線形に近いが、一方、線ABCDE及びA’B’C’D’E’は、実質的に平行である間に実質的に線形でなくてもよい。
【0087】
(液滴及び連続薄膜状態の制御)
高い液滴位置の正確さ及び精度の達成は、基板トポグラフィーを平坦化する場合に、PAINTプロセスにとって重要な要件である。これは、パターン化基板上の液滴の挙動が、パターンジオメトリーに対して液滴がどこにあるかによって影響されるためである。先に議論したように、液滴は、パターン化基板との相互作用に基づいて、接触線ピン止め、浮揚、又は突刺しを呈し得る。この挙動が異なる基板にわたって一貫している限り、液滴の体積及び位置を得るためのフィーチャとして組み込むことができる。これは、繰り返し可能であるが望ましくない平坦化性能を有する系統的なホットスポット又は領域に関する情報を提供できるセンドアヘッド(send-ahead)ウエハを用いて、精密な実験を介して行うことができる。これらの系統的なホットスポットは、システムのシミュレーション、又は、センドアヘッドウエハを用いたシミュレーションと精密な実験との組み合わせから決定されてもよい。これらの系統的なホットスポットは、次のメカニズム、即ち、(格子等の異方性フィーチャ、接触線ピン止め、基板上のパターンから生じる可能性がある)予期しない流れの非対称性、液滴体積における不正確さ、液滴位置、スーパーストレートを基板と配列させる際の誤差、収縮、蒸発等によって引き起こされ得るが、これらに限定されない。
【0088】
ホットスポットは、それらに対処するように特異に構成された複数AFM/AFMアレイを用いた実験システムにおいて検出され得る。しかしながら、実質的にピン止めされた一の基板上には液滴等のランダムなホットスポットがあるのに、異なる基板上にはホットスポットがない場合には、平坦化性能を損なう可能性のある不正確さが存在する可能性がある。望ましい液滴位置及び体積の精度及び正確さを達成するために、いくつかの異なる戦略を採用することができる。一の戦略は、変更される必要がある液滴の近傍で部分真空を用いることであってよい。部分真空の使用は、局所的に液滴の体積を変化させることができ、また、接触線ピン止めに打ち勝つことを含めて、基板上に変位を誘発することができる。
【0089】
部分的に真空にされた又は加圧された環境を用いて、分配液滴の蒸発を増強又は抑制して、パターン化表面上の接触線ヒステリシスによって支配される液滴の体積、位置、又は濡れ角を更に制御することもできる。部分的に真空にされた又は加圧された環境は、蒸発による望ましくない影響を制御するために用いられており、溶媒蒸気の助けを借りて行うことができる。これは、液滴が連続膜に結合した場合にも用いることができる。周囲環境は、スーパーストレート-流体-基板サンドイッチの開放側からの蒸発等の寄生に影響を及ぼすように制御することができる。相補的な戦略は、個々にアドレス可能な単一の空気ジェット又は空気ジェットアレイを、好ましくは、連続膜の形成後に、スーパーストレートの上又は基板の下で用いることであってよい。これらの空気ジェットからの余分な空気圧は、スーパーストレート又は基板を局所的に変形させることができ、それにより、連続膜の流れを制御する制御ノブを効果的に提供する。
【0090】
空気圧と真空との組み合わせは、圧力ゾーンチャックの形態で用いることもでき、その実施形態は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,982,783号に開示されている。このゾーンチャックは、液滴の結合及び広がりが強制されて、接触開始と基板及びスーパーストレート間の実質的な共形性の達成との間で気泡又は空隙の捕獲を生じないように、基板とスーパーストレートとの過渡的で相対的な形状又は曲率を制御するために用いることができる。
【0091】
基板及びスーパーストレートの異なる相対的形状又は曲率500が図5に示されている。最良の場合のシナリオは、実質的に凸状のスーパーストレート及び実質的に凸状の基板である。二の表面の一方が実質的に凹状又は平坦である場合は、他方の表面を実質的により凸状にすることが望ましい。この形状制御は、液滴の広がり及び薄膜形成が、各チャックと一方の表面とが実質的に固定された接点が存在する領域等のスーパーストレート及び基板上の屈曲の領域で、他方の表面の形状制御がこの屈曲を克服し、実質的な気泡軽減と共に液滴の広がり及び薄膜の進展が可能となるように起きる際に、特に妥当である。
【0092】
他の戦略は、制御された熱エネルギーを用いることであり得る。熱を用いて、液滴を部分的に蒸発させ体積を変化させることができるが、一方、音響エネルギーを用いて、液滴の精度要件を満たすために局所的にそれらを変位させることができ、若しくは、連続膜の形成後に薄膜の流れに影響を及ぼすことができる。熱エネルギーは、基板上の個々にアドレス可能なマイクロヒータセット(例えば、高精度の熱作動及び温度制御については、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願第2017/0131640号に示されている)を介して、又はデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)等の空間光変調器を用いてスーパーストレートにより焦点を結ぶ局在化赤外線を介して、基板から提供することができる。
【0093】
或いは、スーパーストレートは、電流を供給された際にスーパーストレートを加熱できる透明導電電極又は金属ナノスケールメッシュパターンの層を有するように設計することもできる。熱は、基板上の液滴又は連続膜に伝達され、それによって、液滴又は連続膜が、熱毛管効果によって移動するか、又は蒸発して体積を変更することが可能になる。透明電極又は金属メッシュパターンは、実質的に透明であり、スーパーストレートを通るUV露光を遮断しない。電気エネルギーを直接用いても、エレクトロウェッティングと称される現象を介した薄膜の流れ又は個々の液滴の変位を導くことができる。これは、スーパーストレート上で電極パターンを用いる必要があり、その後、液滴又は膜と最終的に接触する透明誘電体で被覆される。本開示では、飛行中又は基板上の、若しくはピエゾインクジェット波形を変更することによって、個々の液滴体積を制御する概念を、アナログ液滴体積制御と称する。
【0094】
液滴位置精度は、基板をインクジェットに近づけることによっても改善することができる。基板上の液滴の計測は、スーパーストレートに接触する前に液滴の位置及び体積を決定するように、精密なX-Yグリッドに対して液滴を配列させて、液滴を基板上に結像させることによって行うことができる。十分な解像度を有した、特に直径300mmのフルウエハにわたる撮像は、スーパーストレート接触への十分に急速な遷移を可能にするためにこのステップが迅速に起こる必要があることを考慮すると、法外に高価な又は面倒な光学系につながる可能性がある。従って、既知の歩留まり問題がある領域、又は処理歩留まりの問題が予想される領域には、計測を優先することができる。粗い計測を、ウエハの残りの部分について行ってよい。
【0095】
(スーパーストレート設計)
急勾配及び可変密度を有する基板上のナノスコピックフィーチャの存在は、スーパーストレートと基板との間に挟まれた液体の薄い連続膜の進展を複雑にする可能性がある。モデルに基づく予測が関与する場合には、高度に非線形で計算コストがかかる可能性があり、そのため、モデルを線形化及び単純化することが望ましい可能性がある。従って、モデルは、スーパーストレートに必要な最適な幾何学的パラメータを決定するために、経験的な実験的証拠で増強することができる。
【0096】
例えば、スーパーストレートの厚さは、膜厚のノルムに基づいて決定することができる。但し、ノルムは、2ノルム、無限大ノルム等とすることができる。このスーパーストレートの厚さは、定義された平坦化メトリックスに基づいて最適値を決定するための実験に対して検証することができる。他の実施形態では、平坦化される必要のある基板は、半導体の平坦化で通常見られるナノスケールフィーチャよりも実質的に大きいフィーチャでパターン化されてよい。なぜなら、薄膜潤滑は、近似空間波長の下で流体が実質的に平坦化し、近似空間波長の上で流体が下地トポグラフィーに適合し得る近似空間波長を定義するからである。従って、この臨界波長よりも小さい任意のフィーチャは、例えば、最適なスーパーストレートの厚さを決定するための試験のためにパターン化される必要はない。この実施形態では、テストウエハ又はセンドアヘッドウエハは、平坦化性能を損なうことなく、実質的により大きなフィーチャでパターン化される。これは、実質的に小さなナノスケールフィーチャを有する基板よりも、マイクロスケールフィーチャを有する基板を加工する方がはるかに安価であることを考慮すると、実質的に低いコストで、平坦化性能の試験を可能にするであろう。
【0097】
スーパーストレートの厚さは、この平坦化プロセスの性能を定義する重要なプロセスパラメータである。なぜなら、スーパーストレートの厚さは、液膜がフィーチャを平坦化するのに要する時間に指数関数的な影響を及ぼすからである。従って、スーパーストレートの厚さの任意の変動は、プロセス時間が一般にスループット又は他の制約によって定められると仮定すると、平坦化性能に実質的な変動を誘発する可能性がある。従って、スーパーストレートの厚さにおける望ましくない変動が最小にされることを保証することが必須となる。厚さ変動公差の選択は、プロセス時間における許容公差から決定することができる。
【0098】
或いは、平坦化処理を実行する前に、スーパーストレートにおける厚さ変動を高い精度で測定することができる。この空間的厚さ変動は、プロセス中の任意の寄生挙動を最小化するために、モデル又は実験に組み込むことができる。一の実施形態では、スーパーストレートのTTV(total thickness variation:全体厚さ変動)は、曲げ剛性変動が、液膜がフィーチャを平坦化するのに要する時間に反比例する所望の剛性変動の10%以内に収まるように、十分な公差内に保たれる。一の実施形態では、スーパーストレートのTTVは、曲げ剛性変動が、液膜がフィーチャを平坦化するのに要する時間に反比例する所望の剛性変動の5%以内に収まるように、十分な公差内に保たれる。一の実施形態では、スーパーストレートのTTVは、曲げ剛性変動が、液膜がフィーチャを平坦化するのに要する時間に反比例する所望の剛性変動の1%以内に収まるように、十分な公差内に保たれる。
【0099】
スーパーストレートには望ましくない厚さ変動があり得るが、スーパーストレートの厚さが意図的な空間変動を有する場合がある。例えば、ウエハを平坦化するには、数秒からほぼ1分間を要する。このプロセスでは、初期接触点(本実施形態の場合では中心であると想定されるが、実質的にエッジに近いものを含めた他の点、線又は領域であってもよい)に由来し、且つウエハのエッジに半径方向外側に延びる流体膜は、エッジよりも長い時間、スーパーストレートにさらされることになる。更に、上流プロセスにおける系統的誤差又は下流プロセスからの予想される系統的シグネチャに起因して、他の寄生中心-エッジ変動が存在し得る。
【0100】
スーパーストレートの厚さは、このような変動を補償するために変化させることができる。例えば、不等プロセス時間の場合、スーパーストレートを、初期接触位置又は領域で意図的に薄くして、厚さが最終接触位置又は領域に向かって次第に増加するようにできる。PAINTプロセスを用いて、この段階的な厚さのスーパーストレートを作ることができる(例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Programmable Deposition of Thin Films of a User-Defined Profile with Nanometer Scale Accuracy」と題する米国特許第9,415,418号を参照)。
【0101】
一の実施形態では、実質的に気泡のない連続膜を膜が形成するのに要する時間(広がり時間と称される)は、1から10秒を要し得る。一の実施形態では、連続膜の形成と平坦化膜のUV硬化との間の時間(待ち時間と称される)は、1から60秒を要し得る。(広がり時間及び待ち時間を合わせた)総プロセス時間に実質的な変動があり得るので、スーパーストレートの厚さ変動を所望の公差内に維持することが重要となる。例えば、一の実施形態では、スーパーストレートの厚さは、最大総プロセス時間を考慮して設計される。これは、スーパーストレートを、最大総プロセス時間によって定義される厚さよりも高く保つことが、基板の特定の領域において望ましくない寄生をもたらす可能性があるからである。
【0102】
基板上にパターン密度変化が存在する場合、平坦化膜の厚さは、ウエハの各種領域において異なる可能性があり、これは、スーパーストレートの厚さが実質的に同様に保たれる場合、ウエハ全体にわたって異なるプロセス時間スケールをもたらす可能性がある。通常、パターン密度変化は、基板の一の領域から他の領域への急峻な遷移を有する。但し、各々の領域は、数平方mmのオーダである。これは、任意のスーパーストレートの厚さの変動は、パターン密度の遷移に一致すべきであり、パターン化基板のGDSファイルに基づいて、フォトリソグラフィー又はレーザ加工によって、スーパーストレート上にパターン化され得ることを意味する。ここでの考え方は、プロセス時間スケールが、スーパーストレートの厚さの関数と平坦化膜の厚さの関数との積の関数であるということである。従って、スーパーストレートの厚さを変化させることによって、この積がウエハ全体にわたって実質的に類似した状態に保たれる場合には、基板全体にわたる全プロセス時間スケールは類似した状態にとどまる。このアプローチは、不等プロセス時間スケールに由来し得る寄生を潜在的に最小にすることができる。
【0103】
パターン密度が異なる領域を有するウエハにわたってプロセス時間スケールを実質的に同様に保つために、一つの戦略は、上述したように、スーパーストレートの厚さを空間的に対応して変更することである。これは、一の領域から他の領域への所望のスーパーストレートの厚さの変化が約30ミクロン未満である場合に、フォトリソグラフィーを用いて可能にすることができる。厚さ変化がより高い場合は、パターン密度が異なる領域に対応する厚さの所望の空間的変動に基づいて、レーザ加工又は切断/研磨(石英、溶融シリカ等のスーパーストレート材料に対して)等の、他の技法が必要されてよい。レーザ加工は、加工品の密度がスーパーストレートに必要とされる所望の剛性と等価となるようにも行われ得る。スーパーストレートは、それを基板に配列するために用いることができるアライメントマークを有することができる。但し、そのようなアライメントマークは、10ミクロン及び1ミクロンよりも優れた精度までスーパーストレートを基板と位置合わせすることができる。
【0104】
平坦化には、基板上にマイクロ及びナノスケールのフィーチャが存在することが必要である。一の実施形態では、平坦化材料は、インクジェットを用いて、パターン化基板上に直接、又は通常は基板上のフィーチャと実質的に適合するパターン化基板上に堆積された任意の膜上に堆積される。他の実施形態では、平坦化材料は、インクジェットを用いてスーパーストレート上に堆積される。スーパーストレートは、パターン化フィーチャも無く実質的に平坦であるため、基板よりもむしろ、スーパーストレート上へ材料をインクジェットすることで、平坦化膜を形成する前の液滴の結合において不連続性を引き起こす急峻なプロファイルを有したフィーチャ上への液滴の分配に起因する問題を克服することができる。
【0105】
(インサイチュ計測)
平坦化のためのPAINTの実行は、リアルタイム、ほぼリアルタイム、又はオフライン条件で平坦化プロセスの性能を決定するために、インサイチュ計測と組み合わせることができる。このインサイチュ計測は、光学に基づく(例えば、薄膜反射率測定)又はチップに基づく(例えば、AFMに基づく)計測であり得る。AFMシステムは、ホットスポット領域で位置決めするために個々にアドレス可能な単一のAFM又はAFMアレイとすることができる。計測のための、又は(以下に開示される)粒子事象の検出のための光学技法は、撮像システムの使用に依存してよく、その場合、そのような撮像システムは、軸外画像からのシグネチャを最小にするテレセントリックレンズと結合されてよい、ラインスキャンカメラ又はエリアカメラであり得る。高解像度のためには、ラインスキャンカメラが好ましい実施形態であってよい。なぜなら、これらのカメラをインラインで設置し、UV LEDのリニアアレイと併せて用いることで、UV硬化が別個のステーションで行われる際に基板の運動から利益を得ることができるからである。グレースケールカメラを用いることでも、より高い解像度を生じ得るが、ハイパースペクトルシグネチャが所望される場合には、RGBカメラもこの目的のために用いられてよい。このようなカメラの画素サイズは、100μm未満、10μm未満又は1μm程度の小さいものであってもよい。
【0106】
これは、プロセスを支えるモデルが、いくつかの経験的な実験的証拠に基づいている場合に特に有用である(プロセスの物理的理解と組み合わされた場合にはグレーボックスモデルとしばしば称され、プロセスの物理に依存しない場合にはブラックボックスモデルと称される)。計測は、要件に応じて、基板上の一又は複数の位置で実施することができる。或いは、最適な計測位置の決定は、インテリジェントサンプリングを用いて行うことができる。更に、インサイチュ計測を用いて、平坦化プロセスを監視及び「感知」することもでき、これは、特にグレー又はブラックボックスモデルに対して、連続的なシステム改良に有用であり得る。これは、次に、予測分析及び仮想計測、即ち、夫々、系統的な寄生によって変化するインクジェット体積等の要因に起因して差し迫る欠陥又は故障を予測するプロセス、及び、どこで何を測定するかを決定するプロセス、を容易にすることができる。
【0107】
粒子汚染はまた、このプロセスの実行中に問題となり得る。基板又はスーパーストレート上の粒子の存在は、スーパーストレートが粒子近傍の液滴を強制的に結合させることができない場合に、空隙及び歩留まりの損失につながる可能性がある。空隙のサイズは、典型的には、粒子自体のサイズよりもはるかに大きいが、スーパーストレートが溶融シリカであり、粒子が鋭い高分子である場合には、粒子よりも1000倍も大きくすることができる(例えば、例えば、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Singhal S, Grigas MA, Sreenivasan SV. Mechanics-Based Approach for Detection and Measurement of Particle Contamination in Proximity Nanofabrication Processes. ASME. J. Micro Nano-Manuf. 2016;4(3):031004-031004-7. doi:10.1115/1.4033742を参照)。これらの空隙のサイズは、スーパーストレートの厚さとスーパーストレートの弾性率との両方に依存することができる。従って、そのような粒子事象のインサイチュ検出及び正確な特徴付けを可能にするために、スーパーストレートの厚さにおける望ましくない変動を制御することが重要である。
【0108】
広がり中の粒子のインサイチュ検出は、液体フロントの流れの不連続性又は異常によって捉えることができる。これらの異常は、画像処理技法を介してリアルタイムで捉えることができ、粒子汚染物質のサイズ及び原料に関する決定を行うために用いることができる。光学計測は、粒子事象を検出するために、また、粒子事象に近い領域でこのような事象によって引き起こされる損傷についてスーパーストレートを検査するためにも、分離前に実施されるべきであり、カメラアレイ又は単一カメラのいずれかを介して行うことができる。システムは、単一方向(ラインスキャン)又は複数方向(エリア)に基板をスキャンすることができる。光学計測システムは、粒子事象を検出し、排除ゾーン及び遷移ゾーン情報を用いて、粒子サイズ、粒子高さ、又はスーパーストレートに加えられる力のうちの少なくとも1つを検出する。
【0109】
(スーパーストレートの分離)
スーパーストレートの基板からの分離もPAINTプロセスにおいて重要なステップであり、平坦化膜への損傷を最小にして行うべきである。この目的のために、先に開示されたような形状制御システムが有用であり得る。この状況で分離を可能にする他の方法は、中空中心の内外に移動できるピンを備えたシールドを有することである。このシールドは、スーパーストレートの裏側に実質的に接触して分離中に支えを強化するように、UV光を露光して後方に移動させる必要がある場合に、外に移動させることができる。ピンは、Geckskin(例えば、http://geckskin.umass.eduを参照)等の接着剤の助けを借りて増強され得る。或いは、スーパーストレートチャックは、そのようなGeckskinのような接着剤の助けを借りて分離中にスーパーストレートのエッジに取り付けることができる折り畳み可能なウイングを有することができる。第3の戦略は、エッジで熱を用いて部分的に又は実質的に蒸発させることができるスーパーストレート上の犠牲高分子膜を用いることであってよい。この蒸発は、エッジに隙間を生じさせ、スーパーストレートの基板からの分離を可能にするであろう。
【0110】
スーパーストレートの基板からの分離は、スーパーストレート又は基板の形状又は曲率に屈曲の領域がある際に、又はスーパーストレートが、プロセス制約のためにスーパーストレート全体の直径よりも実質的に小さい狭い環状領域上にのみ保持され得る場合には、困難であり得る。分離中、この狭い環状部に沿ったチャックとスーパーストレートとの接着は、スーパーストレート領域全体と平坦化高分子膜との接着に打ち勝つべきである。
【0111】
これは、上述のGeckskin等のメカニズムを介してチャックとスーパーストレートとの接着を強化することによって、又はスーパーストレート-高分子膜積層体の界面強度を低下させることによって可能にすることができる。後者は、PTEE等の粘着防止材料で上板を被覆することによって達成することができる。このような状況において、スーパーストレートと基板とが平坦化膜を介して「接合」されると、右界面における剥離「クラック」の無欠陥の発生が極めて重要となる。クラックを発生させるための一の戦略は、音響撹拌の使用であり得る。これは、分離のサブプロセス中に広範な異種材料にわたって複数の界面が存在するためである。適切な音響周波数を選択することにより、スーパーストレートと高分子膜との所望の界面で振動を誘発し、それによってクラックを発生させることができる。
【0112】
クラックは、エッジにおいてより大きなコンプライアンスを有するようにスーパーストレート設計を変更することによって発生させることができる。なぜなら、エネルギー解放率は、界面の有効弾性係数に逆比例し、より高いコンプライアンス、即ち、より低い剛性は、より大きなエネルギー解放率及び層剥離の容易さを意味するからである。コンプライアンスは、(エネルギー解放率もスーパーストレートの厚さの指数に反比例するので)エッジでのスーパーストレートの厚さを減少させることによって、又はバルクスーパーストレート材料よりも実質的に剛性の低い物質を備えたエッジで薄い表面を追加することによって得ることができる。より薄い又はよりコンプライアンスの高いスーパーストレートを有する必要性は、初期接触点が中心であり、最終接触点がウエハのエッジであると仮定すると、不等広がり時間を補償するためにより厚いスーパーストレートを有する必要性と直接矛盾する。この衝突は、クラック発生領域におけるスーパーストレートのエッジ厚さに優先順位を付け、次に、最適な広がりのためにスーパーストレートの残りの部分におけるスーパーストレートの厚さに優先順位を付けることによって管理することができる。
【0113】
基板からのスーパーストレートの分離は、異なる位置で行うこともできる。一の実施形態では、スーパーストレート及び基板は、ツール内の一の位置で互いに接触させられる。スーパーストレートは、ツールのこの位置でスーパーストレートチャック上に取り付けられる。但し、スーパーストレートチャックは、UV光硬化を可能にするために中央にキャビティを有する環状リングである。硬化が完了した後、基板及びスーパーストレート「サンドイッチ」が今や実質的に基板チャックによって支持されるように真空を減少させることによって、スーパーストレートが解放される。
【0114】
平坦化材料の薄膜は、二の表面を互いに接合する。次に、基板チャックは、ツール内部の第2の位置に移動される。ここでは、スーパーストレートが、第1の位置にある環状リングチャックよりも実質的に大きな支えをスーパーストレートに与えることができるチャック又はマウントの下に位置決めされる。これは、第2の位置にあるスーパーストレートチャックが、基板のUV硬化を可能にするために中央に実質的に大きなキャビティを有する必要がないからである。この第2の位置にあるスーパーストレートチャックは、真空又は機械的把持(例えば、前述のGeckskinフィンガー)の助けを借りて、裏側でスーパーストレートに接着する。次いで、スーパーストレートは基板から剥離され、基板上の後ろに平坦化膜を残す。
【0115】
上記概念の他の実施形態では、一のステーションにおいて、基板及びスーパーストレートは、その間の連続平坦化膜の形成に接触させられる。これに続いて、他のステーションでUV硬化が行われ、続いて、第3のステーション、又は基板とスーパーストレートとの接触が行われたのと同じ初期ステーションで、分離が行われる。平坦化膜は、初期ステーションからUV硬化ステーションに移送される際に、実質的に液体であることが理解される。平均膜厚が小さいので、液体膜は、再分配することなく、スーパーストレートと基板との間で液体接着剤のように本質的に作用する。これは、スーパーストレートの厚さを最適に低く保つことによって更に保証される。液体平坦化膜は、実質的にエッジで突出するUV光源又はLEDのリングによって、初期ステーションのエッジで部分的に硬化させることができる。これは、エッジで膜を固化させ、それによってサンドイッチの周りにシールを形成する。このプロセスは、基板がUV硬化ステーションにある際に、第2の基板が第1のステーションの下に運ばれてプロセスの実施を開始するように、少なくとも二の基板チャックを有することによって並列化することができる。
【0116】
(ナノインプリントリソグラフィー)
ナノインプリントリソグラフィーにおける重要な欠陥メカニズムの一つは、気泡又は空隙の捕獲である。これらは、典型的には、2滴以上の液滴が実質的に結合することができないか、又はテンプレートのナノスケールフィーチャを実質的に満たすことができない場合に生じる。これらの欠陥は、しばしば、かなり繰り返し可能であり、偶発誤差というよりもむしろ、系統誤差として分類することができる。ナノスケールフィーチャの充填は、典型的には毛管ピン止めの現象に依存し、そこではナノスケールフィーチャに起因して、移動メニスカスがテンプレート内で急峻な遷移に遭遇する。メニスカスは、急峻な遷移を横切るように強制され、従ってフィーチャを充填することができるが、これは、その遷移によって提示される抵抗に打ち勝つ有意な毛管圧がある場合に限られる。フィーチャがかなり高い場合、メニスカスは、それらを完全に濡らすことができず、従って、空隙の捕獲につながる可能性がある。
【0117】
液体にフィーチャを濡らすことを余儀なくさせる一の方法は、例えば圧力ゾーンチャックを用いて、液体膜を更に圧搾するようにテンプレートに圧力を加えることである。しかしながら、これは、テンプレートの歪みと、それによるオーバーレイ仕様の歪みとの問題を引き起こす可能性がある。また、液体に局所的な温度変化が生じるように、液体を局所的に加熱する方法もある。この温度変化は、圧力差を作り出し、液体にナノスケールフィーチャをナビゲーションさせることができる。液体の局所的な加熱は、このような系統的な欠陥がある領域に焦点を当てて、1mm未満の領域にわたって、個々にアドレス可能なマイクロヒータを介して基板側から行うことができる。しかしながら、この熱は、基板を膨張させ、よって、オーバーレイ仕様を乱すこともある。
【0118】
基板を加熱する他の方法は、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)等の空間光変調器を用いることによる。現行のDMDは、サブ10ミクロンである画素サイズを有し、従って、画素サイズほど小さな領域が選択的に加熱され得る。光の投射は、テンプレート又は基板を通して行うことができる。レジストはUVを強く吸収し、これらの波長で架橋されるので、好ましい波長は赤外線であるべきである。例えば、メタクリル酸メチル等のモノマーは、同様にIR領域に吸収ピークを有する。この領域では、石英及びシリコンの両方を透明にすることができ、それによって、液体レジスト組成物を架橋することなく、液体レジスト組成物を効果的に加熱する方法を提供する。或いは、たとえレジストが架橋しても、完全には架橋せず、依然として流れることができるように十分に低出力のUV光を提供することができる場合には、UV波長も用いることができる。しかしながら、シリコンはUV光を強く吸収するので、このような光はテンプレート側から来なければならない。
【0119】
平坦化と同様に、ナノインプリントリソグラフィーにおける流体の流れも、拡張された薄膜潤滑によって決定することができる。プロセス中のホットスポットに関する情報を得る一の方法は、ダミーテンプレートの助けを借りて得ることができる。このようなダミーテンプレートは、ナノインプリントリソグラフィーに用いられる実際のテンプレートよりも厳密でない解像度でパターン化することができ、このようなフィーチャ解像度は100nm未満とすることができる。ここでの鍵は、ダミーテンプレート上のフィーチャの長さスケールが、実際のナノスケールテンプレートと同様に、バルクフロー等の重要な物理的特性を捕捉するのに十分でなければならないことである。これは、ナノインプリントリソグラフィープロセスのための欠陥データを捕捉する際のコストを実質的に低減することになる。また、流体は本質的にある長さスケール以下のフィーチャの存在には依存せず、且つ、その長さスケール以上のフィーチャと主に相互作用するであろうから、これは可能になるであろう。従って、この臨界長さスケールを超えるフィーチャを有するテンプレートは、一の実施形態では、流体特性とプロセス時間との組合せとして与えられるが、バルク流体特性から生じる欠陥を捕捉するのに十分である。
【0120】
図6は、本技術の一又は複数の実施形態に従った、基板平坦化のための一連の動作600を示すフローチャートである。図6に示されるように、決定動作610は、パターン化基板の(例えば、グローバル及びナノスケールの)トポグラフィーとパターン情報とを決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、パターン化基板のトポグラフィーは、Zygo干渉計等の機器を用いて得ることができる。パターン情報は、パターン密度、異方性、領域、並びに、高さ/深さ、幅、直径等の幾何学的情報を含んでよいが、通常、入力として利用可能である。パターン情報が入力として利用可能でない場合、パターン情報は、顕微鏡検査/検査機器(例えば、SEM、AFM等)から決定できる。
【0121】
トポグラフィー及びパターン化基板情報に基づいて、液滴パターン動作620は、分配動作630中に分配され得る液滴パターンを決定できる。いくつかの実施形態では、逆最適化アプローチを用いて液滴パターンを決定することができる。但し、逆最適化スキームは、液滴パターンを用いてシステムを表すモデルを解く。一旦、所与の液滴パターンが所望の結果の許容範囲内でシステムを表すと、その液滴パターンは最適であると判定される。このアプローチでは、システムパラメータ(例えば、インクジェットノズルピッチ、液体のレオロジー、基板の既存トポグラフィー等)は、システムのモデル表現に影響するので、入力として与えることができる。例えば、領域中の基板トポグラフィーの存在は、その領域中に更なる物質を堆積させて既存トポグラフィーを満たすことを必要とするであろう。これは、最適な液滴パターンに影響を及ぼし、より多くの液をその領域に堆積可能とする。
【0122】
閉鎖動作640は、パターン化基板とスーパーストレートとの間のギャップを閉じて、分配された液滴が実質的に連続した膜を形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、基板及びスーパーストレートをチャック上に取り付けることができる。チャックは、スプリング式ボイスコイル等のアクチュエータを介して、比較的互いに近づけることができる。硬化動作650は、閉鎖動作640によって生成された実質的に連続した膜を硬化させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、硬化は、UV光の助けを借りて行うことができる。これは、液体材料の配合組成に依存する。硬化ステップは、液体材料を硬化させて高分子膜にし、スーパーストレート-流体-基板サンドイッチの進展を本質的に凍結させる。従って、硬化ステップは、典型的には、所望のサンドイッチの進展が達成された後に行われるべきである。
【0123】
硬化動作650が完了すると、分離動作660は、スーパーストレートとパターン化基板とを分離することができる。パターン化基板上に堆積された硬化膜からスーパーストレートを分離することは、上述のように各種の方法で行うことができる。戦略には、シールド、犠牲材料、Geckskin等の使用が含まれるが、これらに限定されない。クラックが発生された後、上述の同様のアクチュエータ(例えば、スプリング式ボイスコイル)を用いることによって、スーパーストレートチャック及び基板チャックを相対的に互いに離間させることができる。
【0124】
図7は、本技術のいくつかの実施形態に従った、ホットスポットを識別し、これを補償するための一連の動作700を示すフローチャートである。図7に示されるように、監視動作710は、ホットスポットについて基板を監視することができる。各種の実施形態によれば、ホットスポットは、先に説明したように、光学カメラ、顕微鏡及びAFM等のインサイチュ計測技法を用いて監視することができる。ホットスポットは、それらのシグネチャに基づいて識別することができる。例えば、粒子によって引き起こされるホットスポットは、パターンのない円形領域の典型的なシグネチャを有する。但し、円形領域は、粒子サイズの1000倍に近づき得る直径を有する。他のホットスポットは、例えば、インクジェット上の誤点火ノズルに起因し得る低膜厚の/膜厚の無い直線として識別することができる。これは、ノズルが実質的に損傷を受けた場合には、インクジェットを完全に交換することを必要となる可能性がある。一般に、ホットスポットは、所与の領域を横切る所与の許容誤差ウインドウ外における理想的なプロセス性能からの実質的な逸脱を表す。
【0125】
判定動作720は、ホットスポットが識別されたかどうかを判定することができる。判定動作720がホットスポットの識別に失敗した場合、判定動作720は、システムがホットスポットを監視し続けることができる監視動作710に分岐する。判定動作720がホットスポットを識別すると、判定動作720は、識別されたホットスポットが系統的なホットスポットであるかどうかについての評価が行われる判定動作730に分岐する。系統的なホットスポットの古典的な例は、前述のミッシングノズルである。系統的なホットスポットは、非ランダム事象によって引き起こされるシステム内の繰り返し誤差と考えることができる。例えば、粒子の出会いはランダムなホットスポットである。通常、マシンは繰り返し可能であり、従って、同じシグネチャが複数のフィールドにわたって観察される場合には、マシン内に不正確に調整されたものがあると判定することができる。この不正確なパラメータは、ツール設計自体、又はプロセスパラメータ(気泡及び空隙の存在につながる低いプロセス時間等)に関連する可能性がある。
【0126】
判定動作730が、ホットスポットは系統的なホットスポットであると判定した場合、判定動作730は、補償解決策が識別される識別動作740に分岐する。前述のように、類似のシグネチャが複数のフィールドにわたって観察される場合には、それが系統的なホットスポットであると判定することができる。次いで、注入動作750は、補償解決策を実装することができる。各種の実施形態によれば、系統的なホットスポットは、不正確なパラメータを正しく調整することによって補償することができる。例えば、インクジェットの幾何学的ジオメトリーのために固定することが困難な系統的なインクジェット誤点火に起因して、液滴が基板トポグラフィーフィーチャ上に不正確に配置又はピン止めされた場合、補償解決策は、熱毛管又は他のメカニズムを用いて、液滴を局所的に移動させることができる。
【0127】
判定動作730が、ホットスポットが系統的なホットスポットではないと判定した場合、判定動作730は、非系統的なホットスポットから潜在的な故障メカニズムを識別する識別動作760に分岐する。粒子等の非系統的なホットスポットからの潜在的な故障メカニズムには、不完全な流体充填に起因した、若しくはIAP用スーパーストレート又はNIL用テンプレートへの損傷にさえ起因した、堆積膜又はパターニングの損失が含まれる。このようなホットスポットは、例えば、リアルタイムのインサイチュ光学検査技法を用いて識別することができる。
【0128】
補償動作770は、実装動作780によって実装される補償解決策を決定する。ランダムなホットスポットに対する補償解決策は、これらが反復せずに歩留まり損失を引き起こす可能性があるので、インサイチュ変更を必要としてもよい。例えば、インクジェットは、確率論的な液滴配置精度を有しており、そのため、液滴は、理想的なスポット周囲の円形領域内に配置され得る。この円形領域がパターン密度変化の領域を包含する場合、液滴が異なるフィーチャと相互作用するため、ランダムなホットスポットが予想され得る。このようなホットスポットは、先ずホットスポットを識別し、次に、熱毛管、音響等の解決策を実装することによって補償されてよい。補償解決策は、ホットスポットの性質に依存する。
【0129】
系統的なホットスポットは、根本原因のより深い理解を必要とし、従って、ツール設計及びプロセスパラメータの系統的な変更を必要とする可能性がある。一方、ランダムなホットスポットは、一時的な介入を必要とすることがある。ランダムホットスポットと系統的なホットスポットの両方に対して同じ補償解決策を提案することができる場合がある。例えば、熱毛管作用は、ランダムなインクジェット液滴配置変化の場合には、液滴の分布を局所的に変化させるために、また系統的に誤点火するノズルによる液滴消失のために用いられてよい。
【0130】
(例示的なコンピュータシステムの概要)
本技術の態様及び実装形態について、各種のステップ及び動作の一般的な文脈で説明されている。様々なこれらのステップ及び動作は、ハードウェアコンポーネントによって実行されてもよく、又はコンピュータ実行可能命令において具体化されてもよく、これは当該命令と共にプログラムされた(例えば、コンピュータ、サーバ、又は他の計算装置における)汎用又は専用プロセッサにステップ又は動作を実行させるために用いられてよい。例えば、ステップ又は動作は、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの組み合わせによって実行することができる。
【0131】
図8は、平坦化システムのコンピュータシステム化を表すマシンの一例を示すブロック図である。コントローラ800は、一以上のユーザ825クライアント/端末装置820、ユーザ入力装置805、周辺装置810、オプションのコプロセッサ装置(例えば、暗号プロセッサ装置)815、及びネットワーク830を含むエンティティと通信してよい。ユーザは、ネットワーク830上で端末装置820を介してコントローラ800に関与してよい。
【0132】
コンピュータは、情報処理に中央処理装置(CPU)又はプロセッサを使用することができる。プロセッサは、プログラマブル汎用又は専用マイクロプロセッサ、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、埋め込みコンポーネント、そのようなデバイスの組合せなどを含むことができる。プロセッサは、ユーザ及び/又はシステムが生成した要求に応答してプログラムコンポーネントを実行する。これらのコンポーネントのうちの一又は複数のコンポーネントは、ソフトウェア、ハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアの両方で実装されてよい。プロセッサは、各種の動作を可能にするために命令(例えば、動作命令及びデータ命令)を伝達する。
【0133】
コントローラ800は、クロック865と、CPU870と、読出し専用メモリ(ROM)885やランダムアクセスメモリ(RAM)880等のメモリと、コプロセッサ875等とを含むことができる。これらのコントローラコンポーネントは、システムバス860に接続され、システムバス860を介してインターフェースバス835に接続される。更に、ユーザ入力装置805、周辺装置810、コプロセッサ装置815等は、インターフェースバス835を介してシステムバス860に接続されてもよい。インターフェースバス835は、プロセッサインターフェース840、入出力インターフェース(I/O)845、ネットワークインターフェース850、メモリインターフェース855等の多数のインターフェースアダプタに接続されてよい。
【0134】
プロセッサインターフェース840は、コプロセッサ装置815とコプロセッサ875との間の通信を容易にすることができる。一の実装形態では、プロセッサインターフェース840は、要求又はデータの暗号化及び復号化を早めることができる。入出力インターフェース(I/O)845は、オーディオ、データ、ビデオインターフェース、無線トランシーバ等(例えば、Bluetooth、IEEE1394a-b、シリアル、ユニバーサルシリアルバス(USB)、デジタルビジュアルインターフェース(DVI)、802.11a/b/g/n/x、セルラー等)を扱うためのプロトコル等のプロトコルを用いて、ユーザ入力装置805、周辺装置810、コプロセッサ装置815等、とコントローラ800のコンポーネントとの間の通信を促進する。ネットワークインターフェース850は、ネットワーク830と通信してもよい。ネットワーク830を介して、コントローラ800は、遠隔端末装置820にアクセス可能であってもよい。ネットワークインターフェース850は、直接接続、イーサネット、IEEE802.11a-x等の無線接続等の各種の有線及び無線接続プロトコルを用いてよい。
【0135】
ネットワーク830の例としては、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、広域ネットワーク(WAN)、(例えば無線アプリケーションプロトコルWAPを用いた)無線ネットワーク、安全なカスタム接続等が挙げられる。ネットワークインターフェース850は、ある局面において、コンピュータネットワーク内のアクセス/プロキシデータに対する許可を左右し及び/又は管理し、異なるマシン及び/又はアプリケーション間の様々なレベルの信頼を追跡することができるファイアウォールを含むことができる。ファイアウォールは、例えば、これらの変動するエンティティ間のトラフィック及びリソース共有の流れを規制するために、特定セットのマシン及びアプリケーション間、マシン間、及び/又はアプリケーション間における所定セットのアクセス権を実施することができる、ハードウェア及び/又はソフトウェアコンポーネントの任意の組み合わせを有する任意の数のモジュールであることができる。ファイアウォールは、更に、例えば、個人、マシン、及び/又はアプリケーションによるオブジェクトのアクセス権及び動作権や、許可権が存在する状況を含む、許可を詳細に示すアクセス制御リストを管理及び/又は利用してよい。ファイアウォールの機能に含まれる、又は実行される他のネットワークセキュリティ機能は、例えば、本開示の新規な技術から逸脱することなく、侵入防止、侵入検出、次世代ファイアウォール、パーソナルファイアウォール等とすることができるが、これらに限定されない。
【0136】
メモリインターフェース855は、記憶装置890、リムーバブルディスク装置等の多数の記憶装置と通信してよい。メモリインターフェース855は、シリアルアドバンスドテクノロジーアタッチメント(SATA)、IEEE1394、イーサネット、ユニバーサルシリアルバス(USB)等の各種の接続プロトコルを使用することができる。
【0137】
ユーザ入力装置805及び周辺装置810は、I/Oインターフェース845及び潜在的に他のインターフェース、バス、及び/又はコンポーネントに接続されてよい。ユーザ入力装置805は、カードリーダ、指紋リーダ、ジョイスティック、キーボード、マイク、マウス、リモコン、網膜リーダ、タッチスクリーン、センサ等を含んでよい。周辺装置810は、アンテナ、オーディオデバイス(例えば、マイク、スピーカ等)、カメラ、外部プロセッサ、通信装置、無線周波数識別子(RFID)、スキャナ、プリンタ、記憶装置、トランシーバ等を含んでよい。コプロセッサ装置815は、インターフェースバス835を介してコントローラ800に接続されてもよく、マイクロコントローラ、プロセッサ、インターフェース、又は他の装置を含んでもよい。
【0138】
コンピュータ実行可能命令及びデータは、プロセッサによってアクセス可能なメモリ(例えば、レジスタ、キャッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュ等)に記憶されてもよい。これらの記憶された命令コード(例えば、プログラム)は、所望の動作を実行するために、プロセッサコンポーネント、マザーボード及び/又は他のシステムコンポーネントとかみ合うことができる。コントローラ800は、オンチップCPUメモリ(例えば、レジスタ)、RAM880、ROM885、及び記憶装置890を含む各種の形態のメモリを用いてよい。記憶装置890は、固定又は取外し可能磁気ディスクドライブ、光学ドライブ、ソリッドステートメモリデバイス、及び他のプロセッサ可読記憶媒体等の、任意の数の有形の非一時的な記憶装置又はシステムを用いてよい。メモリに記憶されたコンピュータ実行可能命令は、特定のタスクを実行したり、又は特定の抽象データタイプを実装したりする、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等の、一又は複数のプログラムモジュールを含んでよい。例えば、メモリは、オペレーティングシステム(OS)コンポーネント895、モジュール及び他のコンポーネント、データベーステーブルを含んでよい。これらのモジュール/コンポーネントは、インターフェースバスを介してアクセス可能な外部記憶装置からを含めて、記憶装置から記憶及びアクセスされてよい。
【0139】
データベースコンポーネントは、プロセッサによって実行されるプログラムを記憶して、記憶されたデータを処理することができる。データベースコンポーネントは、リレーショナル、スケーラブル、且つセキュアなデータベースの形態で実装されてよい。このようなデータベースの例としては、DB2、MySQL、Oracle、Sybase等がある。或いは、データベースは、アレイ、ハッシュ、リスト、スタック、構造化テキストファイル(例えばXML)、表等の各種の標準データ構造を用いて実装されてもよい。このようなデータ構造は、メモリ及び/又は構造化ファイル内に記憶されてよい。
【0140】
コントローラ800は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネット等の通信ネットワークを介して連結される遠隔処理装置によってタスク又はモジュールが実行される分散コンピューティング環境で実装されてもよい。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュール又はサブルーチンは、ローカルメモリ記憶装置及び遠隔メモリ記憶装置の両方に配置されてもよい。分散コンピューティングを用いて、処理のためのリソースを負荷分散及び/又は集約してもよい。或いは、コントローラ800の態様は、インターネットで、又は他のネットワーク(無線ネットワークを含む)で、電子的に分散されてもよい。当業者は、システムの一部がサーバコンピュータ上に存在し、対応する部分がクライアントコンピュータ上に存在し得ることを認識するであろう。コントローラ800の態様に特有のデータ構造及びデータの伝送も、本開示の範囲内に包含される。
【0141】
(結論)
文脈上別段の意味を有することが明らかな場合を除き、明細書及び特許請求の範囲を通じて、単語「備える」、「備えている」等の語句は、排他的又は網羅的な意味ではなく、包括的な意味で解釈されるべきである。即ち、「含むが、これらに限定されない」という意味である。ここで用いられるように、「接続された」、「結合された」、又はそれらの任意の変形の文言は、二以上の要素間の直接的又は間接的な任意の接続又は結合を意味する。要素間の結合又は接続は、物理的、論理的、又はそれらの組み合わせであってよい。更に、「ここに」、「上に」、「下に」、及び類似の語句は、本明細書で使用される場合、単本出願全体を指し、本出願の任意の特定の部分を指すものではない。文脈が許す場合、単数又は複数を使用する上記詳細な説明における語句は、それぞれ、複数又は単数を含んでもよい。「又は」という語句は、二以上の項目のリストに関連して、語句の以下の解釈の全てを包含する。即ち、リスト内の項目のいずれか、リスト内の全ての項目、及びリスト内の項目の任意の組み合わせである。
【0142】
本技術の例の上記の詳細な説明は、網羅的であること、又は本技術を上記に開示された厳密な形態に限定することを意図していない。本技術のための特定の例が例示の目的のために上述されているが、当業者が認識するように、各種の同等の変更が本技術の範囲内で可能である。例えば、プロセス又はブロックは所与の順序で提示されているが、別の実装形態は、異なる順序で、ステップを有するルーチンを実行してよく、又はブロックを有するシステムを用いてよい。いくつかのプロセス又はブロックは、削除され、移動され、追加され、細分化され、結合され、及び/又は変更されて、代替物又は部分的組合せ(サブコンビネーション)を提供してよい。これらのプロセス又はブロックの各々は、各種の異なる方法で実装されてよい。また、プロセス又はブロックは、時には、連続して実行されるものとして示されているが、これらのプロセス又はブロックは、代わりに、並行して実行又は実装されてもよく、或いは異なる時間に実行されてもよい。更に、本明細書で言及される任意の具体的な数は、単なる例である。別の実装形態では、異なる値又は範囲を採用してよい。
【0143】
本明細書で提供される技術の教示は、必ずしも上記のシステムではなく、他のシステムに適用することができる。上述の各種の例の要素及び動作を組み合わせて、本技術の更なる実装形態を提供できる。本技術のいくつかの別の実装形態は、上記の実装に対する追加的な要素だけでなく、より少ない要素を含んでもよい。
【0144】
上記の詳細な説明に照らして、これらの変更及び他の変更を本技術に加えることができる。上記の説明では、本技術のある一定の例を説明し、企図される最良の形態を説明するが、上記が文中でどれほど詳細に見えても、本技術は、多くの方法で実践することができる。システムの詳細は、本明細書に開示される技術に依然として包含されながら、その特定の実施においてかなり変化し得る。上述したように、本技術のある特性又は態様を説明するときに使用される特定の用語は、その用語が関連付けられる技術の任意の特定の特徴、特性、又は態様に限定されるように本明細書で用語が再定義されることを示唆するものと解釈されるべきではない。一般に、以下の特許請求の範囲で使用される文言は、上記の詳細な説明セクションがそのような文言を明示的に定義しない限り、本明細書で開示される特定の例に本技術を限定すると解釈されるべきではない。従って、本技術の実際の範囲は、開示された例だけでなく、特許請求の範囲の下で本技術を実践又は実施する全ての同等の方法も包含する。
【0145】
請求項の数を減らすために、本技術のある一定の態様を、ある一定の請求形態で以下に提示するが、出願人は、任意の数の請求形態で本技術の各種の態様を企図する。例えば、本技術の一の態様のみが、コンピュータ可読媒体の請求項として記載されているが、他の態様も同様にコンピュータ可読媒体の請求項として、又は、ミーンズプラスファンクションクレームで具現化されるような他の形態で具現化されてもよい。35U.S.C.§112(f)に基づいて取り扱われることを意図された請求項は、「するための手段(means for)」という語句で始まるが、任意の他の文脈における文言「のための/用の」の使用は、35U.S.C.§112(f)に基づく取り扱いを意図するものではない。従って、出願人は、本出願又は継続出願において、このような更なる請求形態を追求するために、本出願の提出後に更なる請求項を追求する権利を留保する。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットを用いパターン化基板への膜堆積の方法であって、
前記パターン化基板のグローバル及びナノスケールトポグラフィーとパターン情報とを決定する工程と、
前記グローバル及びナノスケールトポグラフィーと前記パターン情報と堆積膜の所望の膜厚プロファイルとに基づいて、液滴パターンを決定する工程と、
前記パターン化基板上に前記液滴パターンを分配する工程と、
実質的に連続した膜を形成するために分配された液滴に起因する前記パターン化基板とスーパーストレートとの間のギャップを閉じる工程と、
前記実質的に連続した膜を硬化する工程と、
前記スーパーストレート及び前記パターン化基板を、前記パターン化基板上の前記実質的に連続した膜から分離する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記液滴パターンは、プロセスのモデル、最適化スキーム、及び実験データから決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パターン化基板の前記グローバル及びナノスケールトポグラフィーと前記パターン情報を表すデータで符号化されたデジタルファイルをロードする工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記液滴パターンは、前記グローバル及びナノスケールトポグラフィーと前記パターン情報、スーパーストレートジオメトリー、スーパーストレート材料特性、インクジェットされた材料特性、インクジェット液滴解像度、インクジェットノズルピッチ、及び公差情報を含む入力によるモデルベースの最適化を用いて計算されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
硬化することは、所望のプロセス時間の終わりに行われ、前記所望のプロセス時間は、気泡が実質的に軽減されるように十分に長くなるように選択され、また望ましくない寄生を防止するように十分に短くなるように選択されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記スーパーストレートの厚さは、空間的に変化するように設計されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
膜堆積プロセスから生じるホットスポットを軽減するための方法であって、
基板上のホットスポットを識別する工程と、
前記ホットスポットの特性に基づいて、蒸発制御、圧力ゾーンチャック、デジタルマイクロミラーデバイス又はプログラマブルヒータアレイを含む補償解決策を識別する工程と、
前記ホットスポットを軽減するために前記補償解決策を実装する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
ナノインプリントリソグラフィープロセスから生じるホットスポットを軽減する方法であって、
前記ナノインプリントリソグラフィープロセスの開始前又はその最中にホットスポットの識別する工程と、
前記ホットスポットの特性に基づいて、蒸発制御、圧力ゾーンチャック、デジタルマイクロミラーデバイス、又はプログラマブルヒータアレイを含む補償解決策を識別する工程と、
前記ホットスポットを軽減するために前記補償解決策を実装する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
膜堆積のためのシステムは、
プロセッサと、
該プロセッサの制御下にある基板形状変調チャックと、
前記プロセッサの制御下にあるスーパーストレート形状変調チャックと、
前記プロセッサにより実行されたときに、マシンに、基板及びスーパーストレートの接触の開始と実質的にコンフォーマルな接触の完了との間の全期間で、前記基板及び前記スーパーストレート間の相対曲率を最大化するために前記基板及び前記スーパーストレートの時間変動形状――ここで、前記基板及び前記スーパーストレートの接触の開始と実質的にコンフォーマルな接触の完了との間の少なくとも一の時点において、前記スーパーストレート及び前記基板の曲率の少なくとも一方は凹状である――を識別させる、自身に格納された命令セットを有するメモリと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項10】
RGBピクセルと、グレースケールピクセルと、ラインスキャン構成と、エリアスキャン構成と、テレセントリック構成と、少なくとも100μm、少なくとも10μm又は少なくとも1μmのカメラ画素サイズという特性のうちの一つを有するカメラを更に備えることを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記所望の膜厚プロファイルは、所望の基板の光学特性を含む前記パターン化基板の機能的挙動を最適化するように選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記パターン化基板がエッチバックされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記デジタルマイクロミラーデバイス又は前記プログラマブルヒータアレイは、前記ホットスポットの近傍に熱毛管流れを誘発するように構成されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記基板はパターン化され、前記ホットスポットは、可変プロセス時間、可変パターン密度、又は接触線ピン止めを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記デジタルマイクロミラーデバイス又は前記プログラマブルヒータアレイは、前記ホットスポットの近傍に熱毛管流れを誘発するように構成されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法を用いて、パターン化基板上に堆積された膜を有する装置。
【国際調査報告】