(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(54)【発明の名称】シクロドデセンの合成方法および合成装置
(51)【国際特許分類】
C07C 5/05 20060101AFI20220203BHJP
C07C 13/275 20060101ALI20220203BHJP
B01F 23/232 20220101ALI20220203BHJP
B01F 27/90 20220101ALI20220203BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
C07C5/05
C07C13/275
B01F3/04 C
B01F7/18 B
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534655
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(85)【翻訳文提出日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 KR2019013029
(87)【国際公開番号】W WO2020130304
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0165183
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501014658
【氏名又は名称】ハンワ ソリューションズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA SOLUTIONS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンジン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ナムジュン
(72)【発明者】
【氏名】ソン キュウホ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ウク
【テーマコード(参考)】
4G035
4G078
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G035AB19
4G035AE13
4G078AA21
4G078AA22
4G078AA24
4G078AB11
4G078BA05
4G078DA01
4G078DC06
4G078EA01
4G078EA03
4G078EA10
4H006AA02
4H006AC11
4H006BA23
4H006BA48
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC14
4H006BC32
4H006BD81
4H006BE20
4H039CA40
4H039CB10
(57)【要約】
本発明によるシクロドデセンの合成方法およびその合成装置は、反応物であるシクロドデカトリエンの転化率が高いとともに、求められる生成物であるシクロドデセンの選択度が高く、それにもかかわらず反応時間が著しく減少するという効果がある。また、エタノールなどの有機溶媒がなくても優れた反応性を維持し、且つシクロドデカトリエンの転化率およびシクロドデセンの選択度に優れるという効果がある。したがって、シクロドデセンの生成量に対して反応器の体積をより減少させることができるという効果がある。また、設備および工程にかかるコストを最小化することができ、実用的であり、工程時間が減少し、従来と比較して、工業的に大量生産に有利であるという効果がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒下で、シクロドデカトリエンが部分水素添加反応し、シクロドデセンが合成される水素添加ステップを含むシクロドデセンの合成方法であって、
前記水素添加ステップは、ガス誘導中空型撹拌機が備えられた撹拌槽型反応器でシクロドデカトリエンおよび水素ガスが反応し、シクロドデセンが合成される、シクロドデセンの合成方法。
【請求項2】
前記水素添加ステップにおいて、ガス誘導中空型撹拌機が撹拌を行って反応が行われ、前記ガス誘導中空型撹拌機の中空部を介して水素ガスがシクロドデカトリエンに供給される、請求項1に記載のシクロドデセンの合成方法。
【請求項3】
前記撹拌槽型反応器は、内部に形成される反応空間を含み、
前記反応空間は、上部に形成され、水素ガスが存在する気相空間と、
下部に形成され、シクロドデカトリエンおよび触媒を含む混合物が存在する液相空間とを含む、請求項2に記載のシクロドデセンの合成方法。
【請求項4】
前記ガス誘導中空型撹拌機は、
内部が中空部となり、一端部と他端部にそれぞれ開口部が形成されるインペラ軸と、
前記インペラ軸の一端部に形成され、この際、前記開口部が撹拌機の外部と連通するように形成されるインペラとを含み、
前記水素添加ステップにおいて、インペラが位置するインペラ軸の一端部に形成された開口部が前記液相空間に位置し、前記インペラ軸の他端部に形成された開口部が前記気相空間に位置して撹拌が行われる、請求項3に記載のシクロドデセンの合成方法。
【請求項5】
前記水素添加ステップにおいて、撹拌速度は400~3,000rpmである、請求項1に記載のシクロドデセンの合成方法。
【請求項6】
前記水素添加ステップにおいて、反応圧力は10~80barである、請求項5に記載のシクロドデセンの合成方法。
【請求項7】
前記水素添加ステップにおいて、反応温度は100~200℃である、請求項1に記載のシクロドデセンの合成方法。
【請求項8】
前記触媒は、均一系触媒を含み、
前記均一系触媒は、塩化ルテニウム、トリフェニルホスフィンおよびホルムアルデヒドを含む、請求項1に記載のシクロドデセンの合成方法。
【請求項9】
前記塩化ルテニウムおよび前記トリフェニルホスフィンのモル比は1:100~300であり、前記トリフェニルホスフィンおよび前記ホルムアルデヒドのモル比は1:1~2である、請求項7に記載のシクロドデセンの合成方法。
【請求項10】
ラウロラクタム合成用である、請求項1に記載のシクロドデセンの合成方法。
【請求項11】
触媒下で、シクロドデカトリエンを部分水素添加反応させてシクロドデセンを合成するシクロドデセン合成用反応器であって、
前記反応器は、反応空間が内部に形成される反応部と、前記反応空間に備えられるガス誘導中空型撹拌機とを含み、
前記ガス誘導中空型撹拌機は、内部が中空となり、一端部と他端部にそれぞれ開口部が形成されるインペラ軸と、前記インペラ軸の一端部に形成され、この際、前記開口部が撹拌機の外部と連通するように形成されるインペラとを含む、シクロドデセン合成用反応器。
【請求項12】
前記反応空間は、上部に形成され、水素ガスが存在する気相空間と、下部に形成され、シクロドデカトリエンおよび触媒を含む混合物が存在する液相空間とを含み、
前記インペラが位置するインペラ軸の一端部に形成された開口部が前記液相空間に位置し、前記インペラ軸の他端部に形成された開口部が前記気相空間に位置する、請求項11に記載のシクロドデセン合成用反応器。
【請求項13】
前記ガス誘導中空型撹拌機の撹拌速度および前記反応空間の圧力を制御する制御部をさらに含む、請求項12に記載のシクロドデセン合成用反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応物の転化率およびシクロドデセンの選択度がより高いシクロドデセンの合成方法および合成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シクロドデカトリエン(Cyclododecatriene、CDT)を出発物質とする選択的水素添加反応によるシクロドデセン(Cyclododecene、CDEN)の合成は、文献によく記載されており、シクロドデセンの収率を向上させるための様々な研究が行われてきた。
【0003】
例えば、トランス‐1,5,9‐シクロドデカトリエンを含むシクロドデカトリエンは、水素添加反応過程で、シクロドデセンの他にシクロドデジエン(CDDN)、シクロドデカン(Cyclododecan、CDAN)などの副生成物が生成され、反応の最後まで残留することによって、シクロドデカトリエンの転化率およびシクロドデセンの選択度を低下させる。
【0004】
高い転化率(収率)でシクロドデセンを合成するために、US5180870Aには、シクロドデカトリエンのRu錯体による均一系触媒およびアミン化合物による水素化に関する技術が記載されている。しかし、この技術でシクロドデカトリエンから触媒およびアミン化合物を分離することは難しく、生成物であるシクロドデセンがアミンで汚染する可能性があるという問題がある。
【0005】
金属酸化物触媒によるシクロドデセンの製造において、不均一系触媒によって液相中での気体/液体/固体の物質伝達による水素化、固定層反応器(fixed bed)での連続した3段階の水素化および連続した気相水素化などが可能である。
【0006】
このように転化率を向上させるためのシクロドデセンの合成方法が多方面で研究されているが、これを工業的に且つ商業的に大規模の環境として活用するための方法および装置については、実質的且つ具体的な手段がなく、充分でない状況である。
【0007】
具体的には、シクロドデセンを工業的に用いるためには、これを大量に合成しなければならず、このために、装置の設備、メンテナンスなどの工程効率が高くなければならない。一例として、日本国特許第4523301号公報には、工業的規模で実現することができ、容易に使用可能な触媒を用いる、シクロドデカトリエンを出発物質として、選択的不均一系水素化を用いたシクロドデセンの合成方法について開示されている。しかし、前記特許には、工業的規模を実現するために通常の固定層反応器が使用されることから、選択度が62~90%程度と著しく低いという限界がある。
【0008】
より具体的には、反応物およびこれらの反応に関する観点からみると、転化率を高めるために、シクロドデカトリエンと水素の接触面積を増加させるための公知の従来の一般的な手段を採択する場合、シクロドデカトリエンの完全水素化が行われて、求められる生成物であるシクロドデセンに対する選択度が低下するという問題がある。
【0009】
また、従来、反応物の転化率と求められる生成物の選択度を増加させるために、有機溶媒の使用含量などの制御が求められ、再現性も低下し、特に、求められる転化率を満たす時間、すなわち、求められる生成物の生産量に対する反応時間が非常に長くなるという問題があった。したがって、従来の技術では、シクロドデセンの合成の大量化および商業化において大きな困難がある。
【0010】
そのため、シクロドデカトリエンの転化率および合成されるシクロドデセンの選択度に優れるとともに、工業的に大量生産が容易であるように、反応時間が著しく減少するシクロドデセンの合成方法およびこのため合成装置に関する研究が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、反応物であるシクロドデカトリエンの転化率が高いとともに、求められる生成物であるシクロドデセンの選択度が高く、それにもかかわらず、反応時間が著しく減少するシクロドデセンの合成方法およびその合成装置を提供することを目的とする。
【0012】
本発明は、酢酸、エタノールなどの有機溶媒がなくても優れた反応性を維持し、且つシクロドデカトリエンの転化率およびシクロドデセンの選択度に優れたシクロドデセンの合成方法およびその合成装置を提供することを他の目的とする。
【0013】
本発明は、有機溶媒がなくても優れた反応性を維持し、且つシクロドデセンの生成量に対する反応器の体積をより減少させることができるシクロドデセンの合成方法およびその合成装置を提供することを他の目的とする。
【0014】
本発明は、設備および工程にかかるコストを最小化することができ、実用的であり、工程時間が減少し、従来と比較して、工業的に大量生産に有利なシクロドデセンの合成方法およびその合成装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によるシクロドデセンの合成方法は、触媒下で、シクロドデカトリエンが部分水素添加反応し、シクロドデセンが合成される水素添加ステップを含むものであって、前記水素添加ステップは、ガス誘導中空型撹拌機が備えられた撹拌槽型反応器でシクロドデカトリエンおよび水素ガスが反応し、シクロドデセンが合成される。
【0016】
前記水素添加ステップにおいて、ガス誘導中空型撹拌機が撹拌を行って反応が行われ、前記ガス誘導中空型撹拌機の中空部を介して水素ガスがシクロドデカトリエンに供給される。
【0017】
本発明の一例において、前記撹拌槽型反応器は、内部に形成される反応空間を含むことができ、前記反応空間は、上部に形成され、水素ガスが存在する気相空間と、下部に形成され、シクロドデカトリエンおよび触媒を含む混合物が存在する液相空間とを含むことができる。
【0018】
本発明の一例において、前記ガス誘導中空型撹拌機は、内部が中空となり、一端部と他端部にそれぞれ開口部が形成されるインペラ軸と、前記インペラ軸の一端部に形成され、この際、前記開口部が撹拌機の外部と連通するように形成されるインペラとを含むことができ、前記水素添加ステップにおいて、インペラが位置するインペラ軸の一端部に形成された開口部が前記液相空間に位置し、前記インペラ軸の他端部に形成された開口部が前記気相空間に位置して撹拌が行われ得る。
【0019】
本発明の一例において、前記水素添加ステップにおいて、撹拌速度は400~3,000rpmであってもよい。
【0020】
本発明の一例において、前記水素添加ステップにおいて、反応圧力は10~80barであってもよい。
【0021】
本発明の一例において、前記水素添加ステップにおいて、反応温度は100~200℃であってもよい。
【0022】
本発明の一例において、前記触媒は、均一系触媒を含むことができ、前記均一系触媒は、塩化ルテニウム、トリフェニルホスフィンおよびホルムアルデヒドを含むことができる。
【0023】
本発明の一例において、前記塩化ルテニウムおよび前記トリフェニルホスフィンのモル比は1:100~300であってもよく、前記トリフェニルホスフィンおよび前記ホルムアルデヒドのモル比は1:1~2であってもよい。
【0024】
本発明の一例によるシクロドデセンの合成方法で合成されるシクロドデセンは、ラウロラクタム合成用に使用され得る。
【0025】
本発明によるシクロドデセン合成用反応器は、触媒下で、シクロドデカトリエンを部分水素添加反応させてシクロドデセンを合成するものであって、前記反応器は、反応空間が内部に形成される反応部と、前記反応空間に備えられるガス誘導中空型撹拌機とを含み、前記ガス誘導中空型撹拌機は、内部が中空となり、一端部と他端部にそれぞれ開口部が形成されるインペラ軸と、前記インペラ軸の一端部に形成され、この際、前記開口部が撹拌機の外部と連通するように形成されるインペラとを含む。
【0026】
本発明によるシクロドデセン合成用反応器において、前記反応空間は、上部に形成され、水素ガスが存在する気相空間と、下部に形成され、シクロドデカトリエンおよび触媒を含む混合物が存在する液相空間とを含むことができ、前記インペラが位置するインペラ軸の一端部に形成された開口部が前記液相空間に位置し、前記インペラ軸の他端部に形成された開口部が前記気相空間に位置することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によるシクロドデセンの合成方法およびその合成装置は、反応物であるシクロドデカトリエンの転化率が高いとともに、求められる生成物であるシクロドデセンの選択度も高く、それにもかかわらず、反応時間が著しく減少するという効果がある。
【0028】
本発明によるシクロドデセンの合成方法およびその合成装置は、有機溶媒がなくても優れた反応性を維持し、且つシクロドデカトリエンの転化率およびシクロドデセンの選択度に優れるという効果がある。
【0029】
本発明によるシクロドデセンの合成方法およびその合成装置は、有機溶媒がなくても優れた反応性を維持し、且つシクロドデセンの生成量に対する反応器の体積をより減少させるという効果がある。
【0030】
本発明によるシクロドデセンの合成方法およびその合成装置は、設備および工程にかかるコストを最小化することができ、実用的であり、工程時間が減少し、従来と比較して、工業的に大量生産に有利であるという効果がある。
【0031】
本発明において明示的に言及されていない効果であっても、本発明の技術的特徴によって期待される明細書に記載の効果およびその内在的な効果は、本発明の明細書に記載のものと同様に取り扱われる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明によるシクロドデセンの合成方法を概略的に示す工程図である。
【
図2】本発明によるガス誘導中空型反応器の一例を示す図である。
【
図3】本発明によるガス誘導中空型反応器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照して、本発明によるシクロドデセンの合成方法および合成装置について詳細に説明する。
【0034】
本明細書に記載されている図面は、当業者に本発明の思想が充分に伝達するために例として提供されるものである。したがって、本発明は、提示される図面に限定されず、他の形態に具体化されてもよく、前記図面は、本発明の思想を明確にするために誇張して図示され得る。
【0035】
本明細書において使用される技術用語および科学用語において他の定義がなければ、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が通常理解している意味を有し、下記の説明および添付の図面において本発明の要旨を不明瞭にし得る公知の機能および構成に関する説明は省略する。
【0036】
本明細書において使用される用語の単数形は、特別な指示がない限り、複数形も含むものと解釈され得る。
【0037】
本明細書で言及しているs1、s2、s3、...;a1、a2、a3、...;b1、b2、b3、...;a、b、c、...;などの各ステップを称す用語自体は、あるステップ、手段などを称すために使用されるだけであって、その用語が称す各対象の順序関係を意味するものと解釈してはならない。
【0038】
本明細書において特別な言及なしに使用されている%の単位は、別の定義がない限り、重量%を意味する。
【0039】
本発明者らは、シクロドデカトリエンを部分水素添加反応させてシクロドデセンを合成する工程において、反応物の転化率および求められる生成物の選択度に対する特性が高いとともに、反応時間を著しく減少させるために鋭意努力を重ねた結果、ガス誘導中空型撹拌機を使用する手段を採択して前記反応を行う場合、前記特性を高めるために使用される有機溶媒がなくても優れた反応性を維持するとともに、前記特性が高く、且つ反応時間が著しく減少することを見出した。
【0040】
また、従来、多重結合を有する反応物に水素ガスを反応させる時に、反応物と水素ガスの接触面積を過剰に大きくする場合、水素添加反応が最後まで行われることによって、二重結合がないシクロドデカン(Cyclododecane、CDAN)が生成され、二重結合を有するシクロドデセンに対する選択度が低下し、これを解決するためには、制御が難しいという問題があった。例えば、シクロドデカトリエンの部分水素添加反応によるシクロドデセンの従来の合成技術では、シクロドデカトリエンを含む液相に水素ガスを含む気相の混合および分散をどの程度まで行うべきか、また、それを行う手段として如何なるものを採択し、これをどのように制御すべきであるかなどの実際の大量化および商用化のための実質的手段および装置の選択、また、このための具体的実施が非常に難しいという問題があった。
【0041】
しかし、本発明では、シクロドデカトリエンの部分水素添加反応によるシクロドデセンの合成工程においてガス誘導中空型撹拌機を使用する場合、シクロドデカトリエンと水素ガスの接触面積が大幅に増加し、反応物の転化率が向上するにもかかわらず、前記接触面積の増加に伴うシクロドデセンに対する選択度の減少が実質的に示されていない。それだけでなく、有機溶媒などを使用しなくても高い水準の転化率および選択度が実現される。
【0042】
以下、本発明によるシクロドデセンの合成方法および合成装置について詳細に説明する。
【0043】
本発明によるシクロドデセンの合成方法は、触媒下で、シクロドデカトリエンが部分水素添加反応し、シクロドデセンが合成される水素添加ステップを含むものであって、前記水素添加ステップは、ガス誘導中空型撹拌機200が備えられた撹拌槽型反応器でシクロドデカトリエンおよび水素ガスが反応し、シクロドデセンが合成される。
【0044】
具体的には、前記水素添加ステップにおいて、ガス誘導中空型撹拌機200が回転/撹拌して反応が行われ、前記ガス誘導中空型撹拌機200の中空部213を介して水素ガスがシクロドデカトリエンに供給される。ガス誘導中空型撹拌機200は、内部に中空部213の通路が形成されていることから、水素ガスが前記中空部213の通路を介して流入され、シクロドデカトリエンに接触し、部分水素添加反応が行われる。この際、ガス誘導中空型撹拌機200が軸210を中心に回転し、中空部213の内部に負圧がかかることによって水素ガスがシクロドデカトリエンに供給される。撹拌槽型反応器の内部圧力が一定に維持されても、ガス誘導中空型撹拌機200の中空部213を介して水素ガスがシクロドデカトリエンに接触する一連の過程および接触して反応する瞬間にその接触部分で圧力差が発生し、シクロドデカトリエンと水素ガスの接触面積が各単位面積当たり部分的に差が発生する。
【0045】
すなわち、インペラ220が位置する軸210の中心から離れるほど次第にシクロドデカトリエンと水素ガスの接触面積が減少する。かかる部分的に接触面積の差を引き起こす状態で、シクロドデカトリエンの部分水素添加反応が行われることから、反応物の転化率およびシクロドデセンに対する選択度が高いとともに、反応時間が著しく減少する効果が実現される。それだけでなく、有機溶媒を使用しなくても優れた反応性を維持し、前記効果が実現される。
【0046】
前記撹拌槽型反応器は、シクロドデカトリエンおよび水素ガスが滞留することができる内部空間を含む反応部100を含み、その内部空間にガス誘導中空型撹拌機200が備えられたものであって、水素ガスがガス誘導中空型撹拌機200の中空部213を介してシクロドデカトリエンに接触するように、撹拌機200が反応器の内部空間に備えられる構造を備えればよい。
【0047】
前記撹拌槽型反応器について詳細に説明すると、
図1に図示されているように、前記撹拌槽型反応器は、内部に形成される反応空間が形成される反応部100を含むことができる。前記反応空間は、上部に形成され、水素ガスが存在する気相空間110と、下部に形成され、シクロドデカトリエンおよび触媒を含む混合物が存在する液相空間120とを含むことができる。この際、ガス誘導中空型撹拌機200は、水素ガスが撹拌機200の中空部213を介してシクロドデカトリエンに接触するように、反応器の内部空間に備えられればよい。
【0048】
その他、言及されていない撹拌槽型反応器の具体的な構造、例えば、空間のサイズ、空間の形状、反応器の規格/規模などは、制限されず、適切に調節され得る部分であるため、公知の文献を参考すればよい。
【0049】
前記ガス誘導中空型撹拌機200について詳細に説明すると、
図2に図示されているように、ガス誘導中空型撹拌機200は、内部が中空部213になり、一端部と他端部にそれぞれ開口部が形成されるインペラ軸210と、前記インペラ軸210の一端部に形成され、この際、前記開口部が撹拌機200の外部と連通するように形成されるインペラ220とを含むことができる。
【0050】
前記ガス誘導中空型撹拌機200が備えられる構造について説明すると、水素ガスが撹拌機200の中空部213を介してシクロドデカトリエンに接触するように、インペラ220が位置するインペラ軸210の一端部に形成された開口部211が前記液相空間120に位置し、前記インペラ軸210の他端部に形成された開口部212が前記気相空間110に位置し、前記水素添加ステップで撹拌され得る構造であればよい。すなわち、インペラ軸210の一端部に形成された開口部211と、インペラ軸210の他端部に形成された開口部212は、中空部213を介して連通し、水素ガスが供給されるようにする。
【0051】
水素ガスが供給される構造は、反応器の内部空間に水素ガスが供給され得る構造であれば制限されず、気相空間110、液相空間120またはこれらの両者に供給される構造を有することができ、各空間に供給され得る反応器の内面に供給口があればよい。具体的な一例として、
図1に図示されているように、インペラ220が位置するインペラ軸210の一端部に形成された開口部が反応器の前記液相空間120に露出して備えられてもよい。
【0052】
シクロドデセンが供給される構造は、反応器の内部空間にシクロドデセンまたはこれを含む混合液が供給され得る構造であれば制限されず、別の供給部材なしに反応器の内部に投入する方法または反応器の内面に別の供給口を有して供給される構造など、様々な手段が採択され得る。供給口を有する場合、水素ガスが気相空間110、液相空間120またはこれらの両者に供給される構造を有することができ、水素ガスが各空間に供給され得る反応器の内面に供給口があればよい。
【0053】
形成される開口部211、212の数は、特に制限されず、例えば、1~10個、具体的には2~8個を有することができ、開口部211、212の配列においても特に制限されない。さらには、開口部211、212のサイズ、形状は、水素ガスが充分に供給され得る程度であれば特に制限されず、例えば、球形、楕円形、n角形(nは、3以上の自然数)、不規則形など、様々な形態を有してもよい。しかし、これは、具体的な一例として説明されたものであって、本発明がこれに制限されないことは言うまでもない。
【0054】
本発明で言及しているインペラ軸210の一端部または他端部は、説明のために、一端または他端という用語が使用されただけであって、一端、他端などの先端のみを意味するものではなく、部分として用語を定義したように、インペラ軸210の側面までも含んで広く解釈されることは言うまでもない。
【0055】
上述のように、インペラ軸210の一端部に形成される開口部211およびインペラ軸210の他端部に形成される開口部212の形成位置は、撹拌機の様々な位置に形成され得、例えば、
図2に図示されているように、それぞれインペラ軸210の一端および他端に形成されてもよく、
図3に図示されているように、インペラ軸210の側面に形成されてもよい。
【0056】
好ましい一例として、インペラ軸210の一端部に形成される開口部211およびインペラ軸210の他端部に形成される開口部212は、それぞれ、液相空間120および気相空間110に、より露出するように、
図3に図示されているように、互いに独立して、インペラ軸210の側面に位置することが好ましい。インペラ軸210の一端部に形成される開口部211がインペラ軸210の側面に位置する場合、ブレード221が液状を押し出す力による中空部における負圧の形成がさらに誘導され、反応時間の減少などの上述の効果がよりよく実現され得るため好ましい。
【0057】
その他、言及されていないガス誘導中空型撹拌機200の具体的構造、例えば、中空部213の直径、中空部213の通路長さ、軸210の長さ、軸210の直径、インペラ220の構造/形状、軸210とインペラ220の結合構造、インペラ220に形成されるブレード221の角度、ブレード221のサイズ、ブレード221の形状、撹拌機200の規格/規模などは、制限されず、適切に調節され得る部分であるため、公知の文献を参考すればよい。
【0058】
本発明によるシクロドデセンの合成方法において、撹拌速度は、反応物の転化率および求められる生成物の選択度に対する重要因子の一つである。すなわち、前記水素添加ステップにおいて、撹拌速度は、400~3,000rpmであってもよく、好ましくは1、600rpm以下、具体的には600~1,600rpm、より好ましくは800~1,600rpmであることが好ましい。シクロドデカトリエンの部分水素添加反応によるシクロドデセンの合成方法において、ガス誘導中空型撹拌機200が、前記好ましい撹拌速度範囲である場合、転化率および選択度が98%以上であり、且つ反応時間が5時間未満、具体的には4.5時間以下、より具体的には3.5時間以下に減少し得るため好ましい。一方、ガス誘導中空型撹拌機200ではなく、通常の非中空型撹拌機が使用される場合、前記好ましい撹拌速度範囲である場合であっても、反応時間が5時間以上と長くなる。
【0059】
本発明によるシクロドデセンの合成方法において、反応圧力も反応物の転化率および求められる生成物の選択度に影響を及ぼす重要因子の一つとして認められる。好ましい一例として、前記水素添加ステップにおいて、反応圧力は、10~80bar、好ましくは10~50bar、より好ましくは15~40barである。これを満たす場合、ガス誘導中空型撹拌機200が回転し、中空部213の内部に負圧がかかり、撹拌機200の外部と中空部213の内部との適切な圧力の差がより安定して形成され得る。したがって、前述の効果とともに、安定して再現性をもって実施できるようになることから、工程において、その他の変数による効果の低下を最小化することができ、特に、大量化および商業化に対してより効果的に、本発明を適用することができる。
【0060】
前記水素添加ステップにおいて、反応温度は、反応が進む温度であればよく、反応時間などに対する工程効率の面から100~200℃であってもよい。しかし、これは、好ましい一例として説明しただけであって、本発明がこれに必ずしも制限して解釈されるものではない。
【0061】
前記触媒は、均一系触媒および不均一系触媒の両方とも使用可能であるが、好ましくは、均一系触媒であることが、上述の効果がより向上することができる面で好ましい。好ましい一例として、前記均一系触媒としては、塩化ルテニウム(RuCl3)、トリフェニルホスフィン(Triphenylphosphine、TPP)およびホルムアルデヒド(Formaldehyde)などを含むことができる。前記ホルムアルデヒドは、ホルムアルデヒドをそのまま使用してもよく、ホルムアルデヒドを所定の濃度で含む商用製品であるホルマリンを使用してもよい。
【0062】
前記触媒において、トリフェニルホスフィンは、塩化ルテニウムに錯体を形成して、部分水素添加反応の触媒の役割を果たし、ホルムアルデヒドの存在下で前記反応がより活性化する。
【0063】
前記触媒において、塩化ルテニウムおよびトリフェニルホスフィンのモル比は、シクロドデカトリエンが水素添加反応して、シクロドデセンに転換するように触媒作用を行うことができる程度であればよく、1:100~300であってもよく、前記トリフェニルホスフィンおよび前記ホルムアルデヒドのモル比は1:1~2であってもよい。しかし、これは、好ましい一例として説明しただけであって、本発明がこれに必ずしも制限して解釈されるものではない。
【0064】
前記水素添加ステップにおいて、触媒の使用含量は、シクロドデカトリエンに水素が部分水素添加反応を行うことができる程度であればよい。具体的な一例として、シクロドデカトリエン100重量部に対して、0.1~20重量部、具体的には1~15重量部、より具体的には3~12重量部使用され得る。しかし、これは、好ましい一例として説明しただけであって、本発明がこれに必ずしも制限して解釈されるものではない。
【0065】
本発明の一例において、有機溶媒の使用がなくても優れた反応性を維持することができるものであるが、場合に応じて、前記水素添加ステップにおいて、酢酸(Acetic acid)、エタノール(Ethanol)などの有機溶媒がさらに使用されてもよい。しかし、これは具体的な一例として説明されただけであって、本発明では、前記有機溶媒を使用しなくても、反応物の転化率および求められる生成物の選択度に優れるため、本発明がこれに制限して解釈されてはならない。前記有機溶媒が使用される場合、シクロドデカトリエン100重量部に対して0.01~2重量部で使用され得るが、これに本発明が制限されないことは言うまでもない。
【0066】
本発明により合成されたシクロドデセンは、様々な用途で使用可能であり、その用途は制限されるものではなく、一例として、ラウロラクタム(Laurolactam)合成用として使用される場合が挙げられる。具体的には、本発明により合成されるシクロドデセンは、ラウロラクタムの合成のための中間物質として使用され得る。本発明によるシクロドデセンの合成方法または合成装置を用いて製造されたシクロドデセンを含む生成物をラウロラクタムの合成の中間物質として使用する場合、目標生成物の選択度が非常に高いことから、本発明による合成方法または合成装置から取得された未反応物、中間生成物、副反応物などまで含み得る生成物を含む取得物をそのまま前記中間物質として使用できるにもかかわらず、ラウロラクタムを合成する最終ステップにおいて、転化率および選択度に著しく優れた効果が具現される。
【0067】
本発明によるシクロドデセン合成用反応器は、触媒下で、シクロドデカトリエンを部分水素添加反応させてシクロドデセンを合成するものであって、前記反応器は、反応空間が内部に形成される反応部100と、前記反応空間に備えられるガス誘導中空型撹拌機200とを含み、前記ガス誘導中空型撹拌機200は、内部が中空部213となり、一端部と他端部にそれぞれ開口部が形成されるインペラ軸210と、前記インペラ軸210の一端部に形成され、この際、前記開口部が撹拌機200の外部と連通するように形成されるインペラ220とを含む。
【0068】
本発明によるシクロドデセン合成用反応器において、前記反応空間は、上部に形成され、水素ガスが存在する気相空間110と、下部に形成され、シクロドデカトリエンおよび均一系触媒を含む混合物が存在する液相空間120とを含むことができ、前記インペラ220が位置するインペラ軸210の一端部に形成された開口部211が、前記液相空間120に位置し、前記インペラ軸210の他端部に形成された開口部212が、前記気相空間110に位置することができる。
【0069】
上述のように、本発明によるシクロドデセン合成用反応器を用いて、上述の方法により、シクロドデセンを合成することができる。したがって、前記反応器は、上述の方法、例えば、撹拌速度、反応温度、反応物の供給流量などの各変数を調節することができる制御部をさらに含むことができる。上述のように、撹拌速度および反応器の内部空間の圧力が効果を具現する重要な手段であり得ることから、前記反応器は、ガス誘導中空型撹拌機200の撹拌速度および前記反応空間の圧力を制御する制御部をさらに含むことが好ましい。かかる各変数を調節する具体的手段は、既に公知のものであるため、公知の文献を参考することができる。
【0070】
本発明による合成方法および合成装置により合成される場合、シクロドデカトリエンの転化率およびシクロドデセンに対する選択度は、互いに独立して、98%以上である。この際、転化率および選択度の上限値は、100%である。
【0071】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、これらは、本発明をより詳細に説明するためのものであって、本発明の権利範囲が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0072】
[実施例1]
図2のガス誘導中空型撹拌機(Gas inducing impeller)が内部に備えられた反応器を使用して、均一系触媒の下で、シクロドデカトリエンを水素添加反応させてシクロドデセンを合成した。
【0073】
具体的には、塩化ルテニウム(RuCl3)0.044g、トリフェニルホスフィン11.13gおよびホルマリン(37重量%濃度のホルムアルデヒド水溶液)5.31gを含む均一系触媒(塩化ルテニウム:トリフェニルホスフィン:ホルムアルデヒドのモル比=1:200:292)、シクロドデカトリエン220g、酢酸0.5gおよびエタノール20gを前記反応器に投入し、反応器を閉鎖(engage)した。次いで、前記反応器に対して、5barの窒素気体(N2)で3回パージ(purge)した後、水素ガス(H2)で3回パージ(purge)し、水素ガス(H2)が6barになるように供給した。前記反応器のガス誘導中空型撹拌機をx rpm(下記表1参照)の撹拌速度で作動し、反応器の内部温度を145℃まで約40分間昇温した。前記温度に達した後、水素ガス(H2)の消費を感知すると、反応器に水素ガス(H2)を20barになるまで供給し、反応器の内部温度を160℃まで約10分間昇温した。反応は、20barで水素ガスが供給された時点(反応温度:160℃)からy時間(下記表1参照)行われ、この際、消費する水素ガス(H2)によって圧力が低下することを防止するために、反応中に前記圧力を維持するように、水素ガス(H2)が供給され続けた。前記反応時間は、転化率が約98%になる時点と決定された。
【0074】
かかる手段でシクロドデカトリエンを水素添加反応させてシクロドデセンを合成し、これと同じ手段で、撹拌速度(x)および反応時間(y)のみをそれぞれ異ならせ、撹拌速度および反応時間によるシクロドデカトリエンの転化率およびシクロドデセンの選択度を測定した。これに関する結果は、下記表1に示されている。
【0075】
[実施例2]
実施例1で、酢酸およびエタノールの使用有無、これらの使用含量および反応温度を下記表3のように調節した以外は、実施例1と同じ手段で行って、有機溶媒(酢酸、エタノール)の使用の有無および使用含量によるイクロドデカトリエンの転化率およびシクロドデセンの選択度を測定した。これに関する結果は、下記表3に示されている。
【0076】
[実施例3]
実施例1(撹拌速度:1,600rpm)で、反応温度、触媒のモル比(構成比)および反応時間を下記表4のように調節した以外は、実施例1と同じ手段で行って、反応温度および触媒のモル比によるシクロドデカトリエンの転化率およびシクロドデセンの選択度を測定した。
【0077】
[比較例1]
実施例1で、ガス誘導中空型撹拌機の代わりに通常の非中空型撹拌機を使用した以外は、実施例1と同じ手段で行って、撹拌速度および反応時間によるシクロドデカトリエンの転化率およびシクロドデセンの選択度を測定した。これに関する結果は下記表2に示されている。
【0078】
[比較例2]
実施例2で、ガス誘導中空型撹拌機の代わりに通常の非中空型撹拌機を使用した以外は、実施例2と同じ手段で行って、有機溶媒(酢酸、エタノール)の使用有無および使用含量によるシクロドデカトリエンの転化率およびシクロドデセンの選択度を測定した。これに関する結果は下記表3に示されている。
【0079】
[実験例1]
<撹拌速度による転化率、選択度および反応時間の評価>
【表1】
【0080】
【0081】
前記表1および前記表2のように、通常の非中空型撹拌機が使用されている比較例1の場合には、撹拌速度を増加させても求められる転化率(約98%)までの反応時間が5時間以上であった。一方、ガス誘導中空型撹拌機が使用されている実施例1の場合には、求められる転化率(約98%)までの反応時間が4.5時間以下であり、撹拌速度が増加することで最大2.5時間に減少し、98%以上の高い選択度を有している。また、撹拌速度が1,200rpmを超える場合、求められる転化率までの反応時間がより減少することはなかった。
【0082】
【0083】
前記表3のように、通常の非中空型撹拌機が使用されている比較例の場合には、有機溶媒の使用含量によって同一反応時間(5時間)が与えられた時に、シクロドデカトリエン転化率の変化幅が49.9~98.5%範囲と非常に大きかった。一方、ガス誘導中空型撹拌機が使用されている実施例1の場合には、有機溶媒が使用されていなくても、約98%の転化率および選択度で、反応時間が2.5時間と非常に低く、有機溶媒による転化率または選択度の変化が実質的に示されていない。
【符号の説明】
【0084】
100 反応部
110 気相空間
120 液相空間
200 撹拌機
210 インペラ軸
211 一端部に形成された開口部
212 他端部に形成された開口部
213 中空部
220 インペラ
221 ブレード
CDT シクロドデカトリエン
CDEN シクロドデセン
【国際調査報告】