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  • 特表-高屈折率組成物およびその使用 図1
  • 特表-高屈折率組成物およびその使用 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(54)【発明の名称】高屈折率組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/38 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
C08F220/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534701
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(85)【翻訳文提出日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 US2019066714
(87)【国際公開番号】W WO2020131786
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】62/781,344
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/931,235
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘロルド, ロバート ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ヘイ, ジェレミー ジョン
【テーマコード(参考)】
4J100
【Fターム(参考)】
4J100AL66P
4J100AL66Q
4J100BA02Q
4J100BA51P
4J100BA51Q
4J100CA04
4J100DA49
4J100DA63
4J100DA66
4J100FA18
4J100JA33
(57)【要約】
活性水素基を有する反応物とアクリレート化剤を共反応させることによって調製される、(メタ)アクリロイル-末端モノマーとオリゴマーの組み合わせを含む組成物が開示される。この(メタ)アクリロイル-末端モノマーとオリゴマーの組み合わせを使用して形成された重合物は、高い硬度、優秀な熱機械特性、および高い屈折率を示す。この組成物は、光学コンポーネントを製作するために使用することができる。本発明によれば、重合性組成物は、本発明による組成物;およびフリーラジカル開始剤を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマー(ここで、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、式(1):
【化31】
(式中、
各Rは、水素またはメチルから独立して選択され;
bは、0または1から選択され;そして
aは、1~6の整数である)の構造を有する);および
(b)2つまたはそれを超える(メタ)アクリロイル基を含む第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマー(ここで、
前記2つまたはそれを超える(メタ)アクリロイル基は、それぞれ(メタ)アクリロイルオキシ基または(メタ)アクリロイルチオ基から独立して選択され;
前記(メタ)アクリロイル基の少なくとも1つは、(メタ)アクリロイルチオ基であり;そして
前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマー(b)は、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマー(a)とは異なる)
を含む、組成物。
【請求項2】
aが、1または2から選択される、請求項1の組成物。
【請求項3】
前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、ビス(2-メタクリロイルチオエチル)スルフィド:
【化32】
を含む、請求項1の組成物。
【請求項4】
前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、ポリチアアルキレン部分を含む、請求項1の組成物。
【請求項5】
前記ポリチアアルキレン部分が、環状ポリチアアルキレン部分または分枝ポリチアアルキレン部分である、請求項4の組成物。
【請求項6】
前記ポリチアアルキレン部分が、分枝ポリチアアルキレン部分であり、そして前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、3~6個の(メタ)アクリロイル基を含む、請求項4の組成物。
【請求項7】
前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、少なくとも1つの(メタ)アクリロイルチオ基と、少なくとも1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含む、請求項1の組成物。
【請求項8】
前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、2,5-ビス[(メタ)アクリロイルチオメチル]-1,4-ジチアン、4-(メタ)アクリロイルチオメチル-3,6-ジチア-1,8-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]オクタン、7-(メタ)アクリロイルオキシメチル-3,6,9,12-テトラチア-1,14-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]テトラデカン、4,8-ビス[(メタ)アクリロイルチオメチル]-3,6,9-トリチア-1,11-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]ウンデカンならびにその4,7-および5,7-位置異性体などの位置異性体、2-エチル-2-((メタ)アクリロイルチオメチル)-1,3-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]プロパン、1,2,3-トリス[(メタ)アクリロイルチオ]プロパン、または上記の任意のものの組み合わせを含む、請求項1の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーをさらに含む、請求項1の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、15wt%~60wt%の硫黄を含む(ここで、wt%は、前記組成物の総重量に基づく)、請求項1の組成物。
【請求項11】
前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、第1の(メタ)アクリロイル当量を含み;
前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、第2の(メタ)アクリロイル当量を含み;そして
前記第1の(メタ)アクリロイル当量と前記第2の(メタ)アクリロイル当量の比が、1:1を超える、
請求項1の組成物。
【請求項12】
フリーラジカル開始剤をさらに含み、前記フリーラジカル開始剤が、光開始剤または熱活性化フリーラジカル開始剤を含む、請求項1の重合性組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの第3のモノマーをさらに含み、
前記第3のモノマーが、1つまたはそれを超えるエチレン性不飽和ラジカル重合性基を含み;そして
前記第3のモノマーが、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとも、前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとも異なる、
請求項1の重合性組成物。
【請求項14】
前記重合性組成物が、熱安定剤、UV安定剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、二色性材料、フォトクロミック材料、重合減速剤、重合促進剤、顔料、染料、または上記の任意のものの組み合わせのうちの1つまたはそれを超えるものをさらに含む、請求項1の重合性組成物。
【請求項15】
前記重合促進剤が、オルガノホスフィン、オルガノホスファイト、アミン、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい、請求項14の重合性組成物。
【請求項16】
(i)2つの活性水素基を有する第1の反応物(前記第1の反応物は、式(5):
【化33】
(式中、bは、0または1から選択され;そしてaは、1~6の整数である)の構造を有する);
(ii)2つまたはそれを超える活性水素基を含む第2の反応物(ここで、前記2つまたはそれを超える活性水素基は、それぞれヒドロキシルまたはチオールから独立して選択され;
前記2つまたはそれを超える活性水素基の少なくとも1つは、チオールであり;そして
前記第2の反応物は、前記第1の反応物とは異なる);および
(iii)アクリレート化剤を含む第3の反応物
を含む反応物の反応生成物を含む、組成物。
【請求項17】
aが、1または2から選択される、請求項16の組成物。
【請求項18】
前記第1の反応物が、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド:
【化34】
を含む、請求項16の組成物。
【請求項19】
前記第2の反応物が、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、2-エチル-2-(メルカプトメチル)プロパン-1,3-ジチオール、1,2,3-トリメルカプトプロパン、2,2-ビス(メルカプトメチル)プロパン-1,3-ジチオール、4-メルカプトメチル-3,6-ジチア-1,8-オクタンジチオール、1,3-ジメルカプト-2-プロパノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプト-1,3-プロパンジオール、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、7-ヒドロキシメチル-1,14-ジメルカプト-3,6,9,12-テトラチアテトラデカン、4,8-ビス(メルカプトメチル)-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンならびにその4,7-および5,7-位置異性体などの位置異性体、または上記の任意のものの組み合わせを含む、請求項16の組成物。
【請求項20】
前記アクリレート化剤が、塩化(メタ)アクリロイルまたは(メタ)アクリル酸無水物を含む、請求項16の組成物。
【請求項21】
前記第1の反応物の活性水素基当量と、前記第2の反応物の活性水素基当量の比が、1:1を超える、請求項16の組成物。
【請求項22】
前記反応生成物が、
第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマー(ここで、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、前記第1の反応物に由来する);
第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマー(ここで、前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、前記第2の反応物に由来する);および
(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせ(ここで、前記(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせは、前記第1の反応物と、前記第2の反応物と、前記アクリレート化剤との反応に由来する)
を含む、請求項16の組成物。
【請求項23】
前記組成物が、15wt%~60wt%の硫黄を含む(ここで、wt%は、前記組成物の総重量に基づく)、請求項16の組成物。
【請求項24】
フリーラジカル開始剤をさらに含み、前記フリーラジカル開始剤が、光開始剤または熱活性化フリーラジカル開始剤を含む、請求項16の重合性組成物。
【請求項25】
物品を製作する方法であって、
請求項24の重合性組成物をある形状に成型すること、
ここで、成型することは、成形、付加製造、3Dプリンティング、インクジェット印刷、転写印刷、またはステレオリソグラフィーを含む;および
前記成型を施された組成物を硬化させて前記物品を得ること、
を含む、方法。
【請求項26】
前記方法が、前記形状の成型前に、前記形状の成型後に、前記形状の成型中に、または上記の任意のものの組み合わせにおいて、前記組成物を化学線に曝露することを含む、請求項25の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年12月18日に出願された、米国仮出願第62/781,344号明細書、および2019年11月6日に出願された米国仮出願第62/931,235号明細書(参照により、それらの全体が本明細書に援用される)に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
分野
(メタ)アクリロイル-末端モノマーとオリゴマーの組み合わせを含む組成物は、活性水素基を有する反応物とアクリレート化剤を共反応させることによって調製される。この(メタ)アクリロイル-末端モノマーとオリゴマーの組み合わせを使用して形成された重合物は、高い硬度、優秀な熱機械特性、および高い屈折率を示す。この組成物は、光学コンポーネントを製作するために使用することができる。
【背景技術】
【0003】
背景
高硫黄含量の重合性組成物は、光学コンポーネントを形成するために有用である。この重合性組成物は、典型的には、フリーラジカル存在下で反応する(メタ)アクリロイル-末端モノマーを含有する。この(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、末端活性水素を含有する個々の反応物とアクリレート化剤を反応させることによって調製することができる。この反応は、活性水素基と、前記アクリレート化剤の(メタ)アクリロイル基のアルケニルとの反応によって形成される不溶性オリゴマーの形成によって、低収率になることがあり得る。
【0004】
高い硬度、有用な熱機械特性、および高い屈折率を有する重合物の形成に使用するための、改善された重合性組成物が望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本発明によれば、組成物は、
(a)第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマー(ここで、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、式(1):
【化1】
(式中、
各Rは、水素またはメチルから独立して選択され;
bは、0または1から選択され;そして
aは、1~6の整数である)の構造を有する);および
(b)2つまたはそれを超える(メタ)アクリロイル基を含む第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマー(ここで、
前記2つまたはそれを超える(メタ)アクリロイル基は、それぞれ(メタ)アクリロイルオキシ基または(メタ)アクリロイルチオ基から独立して選択され;
前記(メタ)アクリロイル基の少なくとも1つは、(メタ)アクリロイルチオ基であり;そして
前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマー(b)は、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとは異なる)
を含む。
【0006】
本発明によれば、組成物は、
(i)2つの活性水素基を有する第1の反応物(前記第1の反応物は、式(5):
【化2】
(式中、bは、0または1から選択され;そしてaは、1~6の整数である)の構造を有する);
(ii)2つまたはそれを超える活性水素基を含む第2の反応物(ここで、
前記2つまたはそれを超える活性水素基は、それぞれヒドロキシルまたはチオールから独立して選択され;
前記2つまたはそれを超える活性水素基の少なくとも1つは、チオールであり;そして
前記第2の反応物は、前記第1の反応物とは異なる);および
(iii)アクリレート化剤を含む第3の反応物
を含む反応物の反応生成物を含む。
【0007】
本発明によれば、重合性組成物は、本発明による組成物;およびフリーラジカル開始剤を含む。
【0008】
本発明によれば、物品は、本発明による重合物を含む。
【0009】
本発明によれば、物品を製作する方法は、本発明による前記重合性組成物をある形状に成型すること;および前記成型を施された組成物を硬化させて前記物品を得ること、を含む。
【0010】
本発明によれば、物品は、本発明による方法を使用して製作される。
【0011】
本発明によれば、組成物の合成方法は:
(A)反応物(i)、反応物(ii)、および反応物(iii)を合わせて混合物を形成すること(ここで、前記反応物は:
(i)2つの活性水素基を有する第1の反応物(前記第1の反応物は、式(5):
【化3】
(式中、bは、0または1から選択され;そしてaは、1~6の整数である)の構造を有する);
(ii)2つまたはそれを超える活性水素基を含む第2の反応物(ここで、
前記2つまたはそれを超える活性水素基は、それぞれヒドロキシルまたはチオールから独立して選択され;
前記2つまたはそれを超える活性水素基の少なくとも1つは、チオールであり;そして
前記第2の反応物は、前記第1の反応物とは異なる);および
(iii)第3の反応物(ここで、前記第3の反応物は、アクリレート化剤を含む);および
(B)塩基存在下で、前記混合物を反応させ、(メタ)アクリロイル-末端モノマーと(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせを得ること、
を含む。
【0012】
本明細書に記載されている図面は、単に例示を目的とするものである。図面は、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示によって提供される(メタ)アクリロイル-末端モノマーとオリゴマーの組み合わせの、ゲル浸透クロマトグラフィーのクロマトグラムを示す。
【0014】
図2図2は、本開示によって提供される(メタ)アクリロイル-末端モノマーとオリゴマーの組み合わせを調製するための、合成スキームの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
下記の詳細な説明の目的で、本開示によって提供される実施形態は、別段の明確な指示がある場合を除き、種々の代替的な変形形態およびステップの順序が想定され得ることを理解すべきである。さらに、作業実施例のいずれかにおける場合の他、または別段の記載がある場合を除き、例えば本明細書または特許請求の範囲で用いられている成分の量などを表す全ての数字は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されているものとして理解すべきである。よって、これに反する記載がない限り、下記の詳細な説明および添付の特許請求の範囲に記載されている数的パラメーターは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変わり得る概数である。少なくとも、かつ特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を制限しようとするものではないが、各数的パラメーターは、少なくとも、報告された有効数字の数値を考慮し、かつ通常の数値の丸め技術を適用することによって解釈すべきである。
【0016】
本発明の幅広い範囲を記述する数的範囲およびパラメーターは概数であるにもかかわらず、特定の例に記載されている数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、あらゆる数値は、各試験の測定において観察される標準的な変動に必然的に起因する、ある程度の誤差を本質的に含む。
【0017】
また、本明細書に記載されているあらゆる数的範囲は、それらの範囲に包含される全ての部分範囲を含むことが意図されていることを理解すべきである。例えば、範囲「1~10」は、記載されている最小の値である1と、記載されている最大の値である10の間(および両端を含む)の全ての部分範囲、すなわち、最小値が1に等しいまたはそれを超える値であり、最大値が10に等しいまたはそれ未満の値である部分範囲を含むことが意図されている。
【0018】
2つの文字または記号の間にないダッシュ(「-」)は、置換基の結合点、または2つの原子間の結合点を示すために用いられている。例えば、-CONHは、炭素原子を介して結合される。
【0019】
「アルカンジイル」は、例えば1~18個の炭素原子(C1-18)、1~14個の炭素原子(C1-14)、1~6個の炭素原子(C1-6)、1~4個の炭素原子(C1-4)、または1~3個の炭化水素原子(hydrocarbon atoms)(C1-3)を有する、飽和または不飽和の、分枝または直鎖の非環式炭化水素基のジラジカルを指す。分枝アルカンジイルは、最低でも3個の炭素原子を有することが理解されよう。アルカンジイルは、C2-14アルカンジイル、C2-10アルカンジイル、C2-8アルカンジイル、C2-6アルカンジイル、C2-4アルカンジイル、またはC2-3アルカンジイルであり得る。アルカンジイル基としては、例えば、メタン-ジイル(-CH-)、エタン-1,2-ジイル(-CHCH-)、プロパン-1,3-ジイルおよびiso-プロパン-1,2-ジイル(例えば、-CHCHCH-および-CH(CH)CH-)、ブタン-1,4-ジイル(-CHCHCHCH-)、ペンタン-1,5-ジイル(-CHCHCHCHCH-)、ヘキサン-1,6-ジイル(-CHCHCHCHCHCH-)、ヘプタン-1,7-ジイル、オクタン-1,8-ジイル、ノナン-1,9-ジイル、デカン-1,10-ジイル、およびドデカン-1,12-ジイルがあげられる。アルカンジイル基は、炭素原子間に、単結合、二重結合、および/または三重結合を含み得る。
【0020】
「アルカンシクロアルカン」は、1つまたはそれを超えるシクロアルキルおよび/またはシクロアルカンジイル基と、1つまたはそれを超えるアルキルおよび/またはアルカンジイル基を有する飽和炭化水素基を指し、シクロアルキル、シクロアルカンジイル、アルキル、およびアルカンジイルは、本明細書において定義される。各シクロアルキルおよび/またはシクロアルカンジイル基は、C3-6、C5-6、シクロヘキシル、またはシクロヘキサンジイルであり得る。各アルキルおよび/またはアルカンジイル基は、C1-6、C1-4、C1-3、メチル、メタンジイル、エチル、またはエタン-1,2-ジイルであり得る。アルカンシクロアルカン基は、C4-18アルカンシクロアルカン、C4-16アルカンシクロアルカン、C4-12アルカンシクロアルカン、C4-8アルカンシクロアルカン、C6-12アルカンシクロアルカン、C6-10アルカンシクロアルカン、またはC6-9アルカンシクロアルカンであり得る。アルカンシクロアルカン基としては、例えば、1,1,3,3-テトラメチルシクロヘキサンおよびシクロヘキシルメタンがあげられる。
【0021】
「アルカンシクロアルカンジイル」は、アルカンシクロアルカン基のジラジカルを指す。アルカンシクロアルカンジイル基は、C4-18アルカンシクロアルカンジイル、C4-16アルカンシクロアルカンジイル、C4-12アルカンシクロアルカンジイル、C4-8アルカンシクロアルカンジイル、C6-12アルカンシクロアルカンジイル、C6-10アルカンシクロアルカンジイル、またはC6-9アルカンシクロアルカンジイルであり得る。アルカンシクロアルカンジイル基としては、例えば、1,1,3,3-テトラメチルシクロヘキサン-1,5-ジイルおよびシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイルがあげられる。
【0022】
「アルカンアレーン」は、1つまたはそれを超えるアリールおよび/またはアレーンジイル基と、1つまたはそれを超えるアルキルおよび/またはアルカンジイル基を有する炭化水素基を指し、アリール、アレーンジイル、アルキル、およびアルカンジイルは、本明細書において定義される。各アリールおよび/またはアレーンジイル基は、C6-12、C6-10、フェニル、またはベンゼンジイルであり得る。各アルキルおよび/またはアルカンジイル基は、C1-6、C1-4、C1-3、メチル、メタンジイル、エチル、またはエタン-1,2-ジイルであり得る。アルカンアレーン基は、C4-18アルカンアレーン、C4-16アルカンアレーン、C4-12アルカンアレーン、C4-8アルカンアレーン、C6-12アルカンアレーン、C6-10アルカンアレーン、またはC6-9アルカンアレーンであり得る。アルカンアレーン基としては、例えば、ジフェニルメタンがあげられる。
【0023】
「アルカンアレーンジイル」は、アルカンアレーン基のジラジカルを指す。アルカンアレーンジイル基は、C4-18アルカンアレーンジイル、C4-16アルカンアレーンジイル、C4-12アルカンアレーンジイル、C4-8アルカンアレーンジイル、C6-12アルカンアレーンジイル、C6-10アルカンアレーンジイル、またはC6-9アルカンアレーンジイルである。アルカンアレーンジイル基としては、例えば、ジフェニルメタン-4,4’-ジイルがあげられる。
【0024】
「アルケニル」基は、構造-CR=C(R)を指し、アルケニル基は、末端基であり、かつそれより大きな分子に結合している。このような実施形態において、各Rは、独立して、例えば水素またはC1-3アルキルを含んでいてもよい。各Rは、水素であってもよく、アルケニル基は、構造-CH=CHを有していてもよい。
【0025】
「アルコキシ」は、-OR基を指し、Rは、本明細書において定義されるアルキルである。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、およびn-ブトキシがあげられる。アルコキシ基は、C1-8アルコキシ、C1-6アルコキシ、C1-4アルコキシ、またはC1-3アルコキシであってもよい。
【0026】
「アルキル」は、例えば1~20個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、または1~3個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、分枝または直鎖の非環式炭化水素基のモノラジカルを指す。分枝アルキルは、最低でも3個の炭素原子を有することが理解されよう。アルキル基は、C1-6アルキル、C1-4アルキル、またはC1-3アルキルであり得る。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、n-デシル、およびテトラデシルがあげられる。アルキル基は、C1-6アルキル、C1-4アルキル、およびC1-3アルキルである。
【0027】
「アレーンジイル」は、ジラジカル単環式または多環式芳香族基を指す。アレーンジイル基としては、例えば、ベンゼン-ジイルおよびナフタレン-ジイルがあげられる。アレーンジイル基は、C6-12アレーンジイル、C6-10アレーンジイル、C6-9アレーンジイル、またはベンゼン-ジイルであり得る。
【0028】
「シクロアルカンジイル」は、ジラジカル飽和単環式または多環式炭化水素基を指す。シクロアルカンジイル基は、C3-12シクロアルカンジイル、C3-8シクロアルカンジイル、C3-6シクロアルカンジイル、またはC5-6シクロアルカンジイルであり得る。シクロアルカンジイル基としては、例えば、シクロヘキサン-1,4-ジイル、シクロヘキサン-1,3-ジイル、およびシクロヘキサン-1,2-ジイルがあげられる。
【0029】
「シクロアルキル」は、飽和単環式または多環式モノラジカル基を指す。シクロアルキル基は、C3-12シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、C3-6シクロアルキル、またはC5-6シクロアルキルであり得る。
【0030】
「ヘテロアルカンジイル」は、アルカンジイル基であって、その炭素原子のうち1つまたはそれを超えるものが、ヘテロ原子、例えばN、O、S、またはPで置き換えられている、アルカンジイル基を指す。ヘテロアルカンジイルにおいて、前記1つまたはそれを超えるヘテロ原子は、NまたはOを含んでいてもよい。
【0031】
「ヘテロシクロアルカンジイル」は、シクロアルカンジイル基であって、その炭素原子のうち1つまたはそれを超えるものが、ヘテロ原子、例えばN、O、S、またはPで置き換えられている、シクロアルカンジイル基を指す。ヘテロシクロアルカンジイルにおいて、前記1つまたはそれを超えるヘテロ原子は、NまたはOを含んでいてもよい。
【0032】
「(ヘテロシクロアルカン)アルカンジイル」は、アルカンシクロアルカンジイル基であって、そのシクロアルカン炭素原子のうち1つまたはそれを超えるものが、ヘテロ原子、例えばN、O、S、またはPで置き換えられている、アルカンシクロアルカンジイル基を指す。
【0033】
「ヘテロアレーンジイル」は、アレーンジイル基であって、その炭素原子のうち1つまたはそれを超えるものが、ヘテロ原子、例えばN、O、S、またはPで置き換えられている、アレーンジイル基を指す。ヘテロアレーンジイルにおいて、前記1つまたはそれを超えるヘテロ原子は、NまたはOを含んでいてもよい。
【0034】
「から形成される」または「から調製される」は、オープン(例えば、含む(comprising))クレームランゲージを指す。したがって、列挙されたコンポーネントのリスト「から形成される」または「から調製される」組成物は、少なくともその列挙されたコンポーネント、または少なくともその列挙されたコンポーネントの反応生成物を含み、その組成物を形成または調製するために使用される、その他の列挙されていないコンポーネントをさらに含んでいてもよい。
【0035】
「の反応生成物」は、少なくとも列挙された反応物の化学反応生成物(単数または複数)を意味し、部分反応生成物、ならびに完全に反応した生成物、および存在量がより少ないその他の反応生成物を含んでいてもよい。例えば、「反応物の反応生成物を含むプレポリマー」は、少なくとも列挙された反応物の反応生成物である、プレポリマーまたはプレポリマーの組み合わせを指す。反応物は、追加の反応物をさらに含んでいてもよい。
【0036】
用語「当量(equivalent)」は、物質の官能活性基の数を指す。「当量(equivalent weight)」は、実際上、物質の分子量を、その物質の官能活性基の価数または数で割ったものに等しい。
【0037】
化合物またはポリマーの「コア」は、反応性末端基の間のセグメントを指す。例えば、ポリチオール(HS-R-SH)のコアは、-R-である。化合物またはプレポリマーのコアは、化合物のバックボーンまたはプレポリマーのバックボーンとも呼ばれ得る。多官能化剤のコアは、そこに反応性官能基を有する部分が結合している、原子または構造(例えば、シクロアルカン、置換シクロアルカン、ヘテロシクロアルカン、置換ヘテロシクロアルカン、アレーン、置換アレーン、ヘテロアレーン、または置換ヘテロアレーン)であり得る。
【0038】
「置換」は、基であって、1つまたはそれを超える水素が、それぞれ独立して、同じまたは異なる置換基(単数または複数)で置き換えられている、基を指す。置換基は、ハロゲン、-S(O)OH、-S(O)、-SH、-SR(式中、Rは、C1-6アルキルである)、-COOH、-NO、-NR(式中、各Rは、独立して、水素およびC1-3アルキルを含む)、-CN、=O、C1-6アルキル、-CF、-OH、フェニル、C2-6ヘテロアルキル、C5-6ヘテロアリール、C1-6アルコキシ、または-COR(式中、Rは、C1-6アルキルである)を含んでいてもよい。置換基は、-OH、-NH、またはC1-3アルキルであり得る。
【0039】
「化合物に由来する部分」におけるような、「に由来する」は、親化合物と反応物との反応で生成された部分を指す。例えば、ビス(アルケニル)化合物(CH=CH-R-CH=CH)は、別の化合物(例えば、チオール基を有する2つの化合物)と反応して、そのアルケニル基の、チオール基との反応に由来する部分-(CH-R-(CH-を生成し得る。例えば、構造O=C=N-R-N=C=Oを有する親のジイソシアネートについて、そのジイソシアネートに由来する部分は、構造-C(O)-NH-R-NH-C(O)-を有する。別の例として、構造HO-R-OHを有する親の非線状短鎖ジオールについて、その非線状短鎖ジオールに由来する部分は、構造-O-R-O-を有する。
【0040】
「-Vとチオールの反応に由来する」は、チオール基と、チオール基と反応性の末端基を含む部分との反応の結果として生じる、部分-V’-を指す。例えば、基V-は、CH=CH-CH-O-(その末端アルケニル基(CH=CH-)は、チオール基(-SH)と反応性である)を含み得る。チオール基と反応すると、前記部分-V’-は、-CH-CH-CH-O-である。
【0041】
「組成物」は、特定されたコンポーネントを特定された量で含む生成物を包含すること、ならびに特定された成分の特定された量の組み合わせから(直接的または間接的に)生じる任意の生成物を包含することが意図されている。
【0042】
「分子量」は、モノマー化合物などの化合物の化学構造から推定される理論的な分子量、または、例えばポリスチレン標準を使用してゲル浸透クロマトグラフィーを用いて決定される、プレポリマーについて適切であるような、数平均分子量を指す。
【0043】
「チオエーテル」は、1つまたはそれを超えるチオエーテル(-S-)基を有する化合物を指す。チオエーテルは、チアアルキレンとも呼ばれ得る。ポリチオエーテルは、2つまたはそれを超えるチオエーテル(-S-)基を有する化合物を指す。ポリチオエーテルは、ポリチアアルキレンとも呼ばれ得る。
【0044】
「マイクロ押込み硬さ」(マルテンス硬さとも呼ばれる)は、ISO 14577-07に従って、Fischerscope H-100SMC(Fischer Technology,Incから入手できる)を使用して測定される。
【0045】
「フィッシャー微小硬度」または「フィッシャー硬度」は、Fischerscope H-100SMC(Fischer Technology,Incから入手できる)を使用して、荷重300mN(ミリニュートン)で、15秒間に0mN~300mNの荷重を付与して測定された。
【0046】
「アッベ数」は、ASTM C1648に従って、Metriconモデル2010Mプリズムカプラーを使用して測定される。
【0047】
「屈折率」は、Metriconモデル2010Mプリズムカプラーを使用して、ASTM C1648に従って、20℃(セ氏温度)、波長546.07nm(ナノメートル)(水銀のe線)で決定され、n 20として報告される。
【0048】
「E’貯蔵弾性率」は、ASTM D5023「プラスチックのための標準試験方法.動的機械特性:たわみ(3点曲げ)(Standard Test Method for Plastics.Dynamic Mechanical Properties:In Flexure(Three-Point Bending)」に従って、Perkin Elmer Diamond動的機械分析(DMA(Diamond Dynamic Mechanical Analysis))分析装置を使用して測定される。
【0049】
「黄色度指数」は、ASTM E313に従って、HunterLab UltraScan PROを使用して測定される。
【0050】
化合物は、化学構造および/または化学名のいずれかによって特定され得る。ある特定の化合物は、ChemBioDraw Ultra 14.0.0.117(CambridgeSoft,Cambridge,MA)命名プログラムを使用して命名される。化学構造と化学名が矛盾する場合、化学構造によって化合物の同一性を決定する。本明細書に記載されている化合物は、1つまたはそれを超える不斉中心および/または二重結合を含み得るため、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはアトロプ異性体などの立体異性体として存在し得る。よって、全体的または部分的に相対配置によって描かれた本明細書の範囲内のあらゆる化学構造は、描かれた化合物の全ての可能なエナンチオマーおよび立体異性体(立体異性的に純粋な形態(例えば、幾何異性的に純粋、エナンチオマー的に純粋、またはジアステレオマー的に純粋)、ならびにエナンチオマー的混合物および立体異性体的混合物を含む)を包含する。エナンチオマー的混合物および立体異性体的混合物は、分離技術またはキラル合成技術を使用して、それらの構成要素のエナンチオマーまたは立体異性体に分割され得る。
【0051】
次に、本発明のある特定の化合物、組成物、および方法について述べる。開示されている化合物、組成物、および方法は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。その逆に、特許請求の範囲は、全ての代替物、改変物、および同等物に及ぶことが意図されている。
【0052】
本開示によって提供される組成物は、(メタ)アクリロイル-末端モノマーとオリゴマーの組み合わせを含む。この組成物は、高い硬度と高い屈折率を示す重合物を形成するために使用し得る。
【0053】
前記(メタ)アクリロイル-末端モノマーとオリゴマーの組み合わせは、第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマー、第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマー(ここで、前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、前記第1のモノマーとは異なる)、および(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーを含んでいてもよい。
【0054】
第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、式(1):
【化4】
(式中、各Rは、水素またはメチルから独立して選択されてもよく;bは、0または1から選択され;そしてaは、1~6の整数である)
の構造を有する(メタ)アクリロイル-末端モノマーを含んでいてもよい。
【0055】
式(1)のモノマーにおいて、各Rは、水素であってもよく、または各Rは、メチルであってもよい。
【0056】
式(1)のモノマーにおいて、bは、0であってもよく、またはbは、1であってもよい。
【0057】
式(1)のモノマーにおいて、aは、1~5の整数、1~4の整数、1~3の整数、または1~2の整数であってもよい。
【0058】
式(1)のモノマーにおいて、aは、1、2、3、4、5、または6であってもよい。
【0059】
式(1)のモノマーにおいて、aは、1または2から選択されてもよい。
【0060】
式(1)のモノマーにおいて、各Rは、水素であってもよく;bは、0であってもよく;そしてaは、1または2であってもよい。
【0061】
式(1)のモノマーにおいて、各Rは、メチルであってもよく;bは、0であってもよく;そしてaは、1または2であってもよい。
【0062】
式(1)のモノマーにおいて、各Rは、水素であってもよく;bは、1であってもよく;そしてaは、1または2であってもよい。
【0063】
式(1)のモノマーにおいて、各Rは、メチルであってもよく;bは、1であってもよく;そしてaは、1または2であってもよい。
【0064】
第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、前記式(1)の構造を有するモノマーの組み合わせを含んでいてもよい。
【0065】
式(1)のモノマーとしては、例えば、ビス(2-メタクリロイルチオエチル)スルフィド、ビス(2-アクリロイルチオエチル)スルフィド、2-アクリロイルオキシエチル-2’-アクリロイルチオエチルスルフィド、2-メタクリロイルオキシエチル-2’-メタクリロイルチオエチルスルフィド、またはそれらの組み合わせがあげられる。
【0066】
前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、ビス(2-メタクリロイルチオエチル)スルフィド(1a)を含んでいてもよい。
【化5】
【0067】
第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとは異なる構造を有する。
【0068】
前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、2つまたはそれを超える(メチル)アクリロイル基を有していてもよく、ここで、前記2つまたはそれを超える(メタ)アクリロイル基は、それぞれ(メタ)アクリロイルオキシ基または(メタ)アクリロイルチオ基から独立して選択され;前記(メタ)アクリロイル基の少なくとも1つは、(メタ)アクリロイルチオ基であり;そして前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとは異なる。
【0069】
前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、以下:
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
を含んでいてもよい。
【0070】
前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、2,5-ビス(メタクリロイルチオメチル)1,4-ジチアン(4a)、2-エチル-2-((メタ)アクリロイルチオメチル)-1,3-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]プロパン(4b)、1,2,3-トリス[(メタ)アクリロイルチオ]プロパン(4c)、2,2-ビス[(メタ)アクリロイルチオメチル]-1,3-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]プロパン(4d)、4-(メタ)アクリロイルチオメチル-3,6-ジチア-1,8-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]オクタン(4e)、1,3-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]-2-(メタ)アクリロイルオキシプロパン(4f)、1-(メタ)アクリロイルチオ-2,3-ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]プロパン(4g)、1,2-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]-3-(メタ)アクリロイルオキシプロパン(4h)、7-(メタ)アクリロイルオキシメチル-3,6,9,12-テトラチア-1,14-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]テトラデカン(4i)、7-[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]-3,6,8,11-テトラチア-1,13-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]トリデカン、4,8-ビス[(メタ)アクリロイルチオメチル]-3,6,9-トリチア-1,11-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]ウンデカン(4j)または4,7-もしくは5,7-位置異性体などの(4j)の位置異性体、または上記の任意のものの組み合わせを含んでいてもよい。
【0071】
前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、式(2)の構造を有する環状(メタ)アクリロイル-末端モノマー、式(3)の構造を有する分枝(メタ)アクリロイル-末端モノマー、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい:
【化10】
B(-R-X-C(=O)-C(-R)=CH (3)
(式中、
zは、3~6の整数であり;
各Rは、水素またはメチルから独立して選択され;
各Xは、OまたはSから独立して選択され;そしてXの少なくとも1つは、Sであり;
は、(ヘテロシクロアルカン)アルカン-ジイル、C6-20ヘテロアルカンアレーン-ジイル、置換(ヘテロシクロアルカン)アルカン-ジイル、または置換C6-20ヘテロアルカンアレーン-ジイルから選択され;
は、C1-12アルカン-ジイル、C2-12ヘテロアルカン-ジイル、C5-12ヘテロシクロアルカン-ジイル、C6-12ヘテロアレーン-ジイル、(ヘテロシクロアルカン)アルカン-ジイル、C6-20ヘテロアルカンアレーン-ジイル、置換C2-12アルカン-ジイル、置換C2-12ヘテロアルカン-ジイル、置換C5-12ヘテロシクロアルカン-ジイル、置換C6-12ヘテロアレーン-ジイル、置換(ヘテロシクロアルカン)アルカン-ジイル、または置換C6-20ヘテロアルカンアレーン-ジイルから選択され;そして
Bは、多官能性の部分である。
【0072】
式(2)および式(3)のモノマーにおいて、前記1つまたはそれを超えるヘテロ原子は、Sであってもよい。
【0073】
式(2)のモノマーおよび分枝モノマー式(3)において、各Rは、水素であってもよく、または各Rは、メチルであってもよい。
【0074】
式(2)および式(3)のモノマーにおいて、各Xは、Sであってもよい。
【0075】
式(2)のモノマーにおいて、1つのXは、Oであってもよく、および1つのXは、Sであってもよい。
【0076】
式(2)のモノマーにおいて、Rは、(ヘテロシクロアルカン)アルカン-ジイルであってもよい。
【0077】
式(2)のモノマーにおいて、Rは、構造:
【化11】
を有していてもよい。
【0078】
適切な式(2)の環状モノマーとしては、例えば、2,5-ビス(メタクリロイルチオメチル)1,4-ジチアンがあげられる。
【0079】
式(3)のモノマーにおいて、1つのXは、Sであってもよく、およびその他のXは、それぞれOであってもよい。
【0080】
式(3)のモノマーにおいて、2つのXは、Sであってもよく、およびその他のXは、それぞれOであってもよい。
【0081】
式(3)のモノマーにおいて、zは、3~5の整数、または3~4の整数であってもよい。
【0082】
式(3)のモノマーにおいて、zは、3、4、5、または6であってもよい。
【0083】
式(3)のモノマーにおいて、Rは、C2-12アルカン-ジイルまたはC5-12ヘテロアルカン-ジイルから選択されてもよい。
【0084】
式(3)の分枝モノマーにおいて、Bは、HC(-)または他の多官能性の部分であってもよい。
【0085】
前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、ポリチオエーテル(ポリチアアルキレン)部分を含んでいてもよい。例えば、前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、脂肪族ポリチアアルキレン部分を含んでいてもよい。ポリチアアルキレン部分は、環状ポリチアアルキレン部分または分枝ポリチアアルキレン部分であってもよい。環状ポリチアアルキレン部分を含む、適切な第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとしては、例えば、2,5-ビス(メタクリロイルチオメチル)1,4-ジチアンがあげられる。分枝ポリチアアルキレン部分を含む、適切な第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとしては、例えば、3つまたはそれを超える(メタ)アクリロイル基(例えば、3~6個の(メタ)アクリロイル基)を含むモノマーがあげられる。分枝ポリチアアルキレン部分を含む、適切な第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとしては、例えば、4-(メタ)アクリロイルチオメチル-3,6-ジチア-1,8-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]オクタン、7-(メタ)アクリロイルオキシメチル-3,6,9,12-テトラチア-1,14-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]テトラデカン、4,8-ビス[(メタ)アクリロイルチオメチル]-3,6,9-トリチア-1,11-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]ウンデカンもしくはその4,7-および5,7-位置異性体などの位置異性体、2-エチル-2-((メタ)アクリロイルチオメチル)-1,3-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]プロパン、または上記の任意のものの組み合わせがあげられる。
【0086】
前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、2つまたはそれを超える(メタ)アクリロイルチオ基(例えば2~6個、2~5個、2~4個、または2~3個の(メタ)アクリロイルチオ基)を含んでいてもよい。
【0087】
前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、少なくとも1つの(メタ)アクリロイルチオ基と、少なくとも1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含んでいてもよい。例えば、前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、1つの(メタ)アクリロイルチオ基と、1~5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を含んでいてもよい。前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、2つの(メタ)アクリロイルチオ基と、1~4個の(メタ)アクリロイルオキシ基を含んでいてもよく;前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、3つの(メタ)アクリロイルチオ基と、1~3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を含んでいてもよく;前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、4つの(メタ)アクリロイルチオ基と、1~2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を含んでいてもよく;前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、5つの(メタ)アクリロイルチオ基と、1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含んでいてもよい。
【0088】
式(2)または式(3)の第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとしては、例えば、上述したように、式(4a)~(4j)の構造を有するものがあげられる。
【0089】
前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーおよび前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、それぞれ独立して、例えば、15重量%(wt%)を超える硫黄原子、20wt%を超える硫黄原子、または25wt%を超える硫黄原子を含んでいてもよい(ここで、wt%は、前記各モノマーの分子量に基づく)。
【0090】
前記(メタ)アクリロイル-末端モノマーとオリゴマーの相対的な量は、組成物が、15wt%を超える硫黄含量、25wt%を超える硫黄含量、28wt%を超える硫黄含量、または30wt%を超える硫黄含量を有するように選択されてもよい(ここで、wt%は、前記組成物中の前記モノマーとオリゴマーの総重量に基づく)。
【0091】
前記(メタ)アクリロイル-末端モノマーとオリゴマーの相対的な量は、組成物が15wt%~55wt%の硫黄含量(例えば、20wt%~50wt%の硫黄含量、25wt%~50wt%の硫黄含量、または25wt%~45wt%の硫黄含量)を有するように選択してもよい(ここで、wt%は、前記組成物中の前記モノマーとオリゴマーの総重量に基づく)。
【0092】
前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーおよび前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、それぞれ独立して、例えば、15wt%~55wt%の硫黄(例えば、20wt%~50wt%、25wt%~50wt%、または25wt%~45wt%の硫黄)を含んでいてもよい(ここで、wt%は、前記各モノマーの分子量に基づく)。
【0093】
本開示によって提供される組成物は、前記組成物が、前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーに関する(メタ)アクリロイル当量の数に対して、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーに関する(メタ)アクリロイル当量を過剰に含むような量で、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーと前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーを含む。さらに、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーに関する(メタ)アクリロイル当量の数は、前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーの(メタ)アクリロイル官能性に関わらず、前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーに関する(メタ)アクリロイル当量を超え得る。
【0094】
例えば、本開示によって提供される組成物において、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、第1の(メタ)アクリロイル当量を含んでいてもよく;前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、第2の(メタ)アクリロイル当量を含んでいてもよく;そして前記第1の(メタ)アクリロイル当量と前記第2の(メタ)アクリロイル当量の比は、1:1を超えていてもよく、例えば1.1:1を超えていてもよく、2:1を超えていてもよく、3:1を超えていてもよく、5:1を超えていてもよく、10:1を超えていてもよく、または20:1を超えていてもよい。例えば、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーに関する(メタ)アクリロイル当量と前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーに関する(メタ)アクリロイル当量の比は、1:1~25:1、1.1:1~20:1、2:1~15:1、3:1~10:1、または5:1~10:1であってもよい。
【0095】
本開示によって提供される組成物は、(メタ)アクリロイル-末端オリゴマー、または(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせをさらに含んでいてもよい。反応生成物の文脈で説明されているように、(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーは、第1の反応物と、前記第1の反応物とは異なる第2の反応物と、アクリレート化剤との反応に由来する。前記(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーは、前記第1の反応物と前記第2の反応物の分子量を超える分子量を有する。
【0096】
本開示によって提供される組成物は、
(a)2つの活性水素基を有する第1の反応物(前記第1の反応物は、式(5):
【化12】
(式中、bは、0または1から選択され;そしてaは、1~6の整数である)の構造を有する);
(b)2つまたはそれを超える活性水素基を含む第2の反応物(ここで、前記2つまたはそれを超える活性水素基は、それぞれヒドロキシルまたはチオールから独立して選択され;前記2つまたはそれを超える活性水素基の少なくとも1つは、チオールであり;そして前記第2の反応物は、前記第1の反応物とは異なる);および
(c)アクリレート化剤を含む第3の反応物
を含む反応物の反応生成物を含む。
【0097】
式(5)の反応物において、bは、0であってもよく、またはbは、1であってもよい。
【0098】
式(5)の反応物において、aは、1~5の整数、1~4の整数、1~3の整数、または1~2の整数であってもよい。
【0099】
式(5)の反応物において、aは、1または2から選択されてもよい。
【0100】
式(5)の反応物において、aは、1、2、3、4、5、または6であってもよい。
【0101】
式(5)の反応物としては、例えば、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド(5a)があげられる。
【化13】
【0102】
前記第2の反応物は、例えば、2~6個の活性水素基(例えば2~5個、2~4個、または2~3個の活性水素基)を含んでいてもよい。前記第2の反応物は、例えば、2、3、4、5、または6個の活性水素基を含んでいてもよい。前記第2の反応物は、活性水素基の平均官能性が、2~6、2~5、2~4、または2~3の非整数値であるような、異なる官能性を有する反応物の組み合わせであってもよい。
【0103】
適切な活性水素基としては、例えば、ヒドロキシル基およびチオール基があげられる。
【0104】
前記第2の反応物は、式(6)の構造を有する環状反応物、式(7)の構造を有する分枝反応物、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい:
【化14】
B(-R-X-H) (7)
(式中、
zは、3~6の整数であり;
各Xは、OまたはSから独立して選択され;そしてXの少なくとも1つは、Sであり;そして
は、(ヘテロシクロアルカン)アルカン-ジイル、C6-20ヘテロアルカンアレーン-ジイル、置換(ヘテロシクロアルカン)アルカン-ジイル、または置換C6-20ヘテロアルカンアレーン-ジイルから選択され;
は、C1-12アルカン-ジイル、C2-12ヘテロアルカン-ジイル、C5-12ヘテロシクロアルカン-ジイル、C6-12ヘテロアレーン-ジイル、(ヘテロシクロアルカン)アルカン-ジイル、C6-20ヘテロアルカンアレーン-ジイル、置換C2-12アルカン-ジイル、置換C2-12ヘテロアルカン-ジイル、置換C5-12ヘテロシクロアルカン-ジイル、置換C6-12ヘテロアレーン-ジイル、置換(ヘテロシクロアルカン)アルカン-ジイル、または置換C6-20ヘテロアルカンアレーン-ジイルから選択され;そして
Bは、多官能性の部分である。
【0105】
式(6)および式(7)の反応物において、前記1つまたはそれを超えるヘテロ原子Xは、それぞれSであってもよい。
【0106】
式(6)および式(7)の反応物において、前記1つまたはそれを超える置換基は、それぞれチオール(-SH)またはヒドロキシル(-OH)から独立して選択されてもよい。
【0107】
前記第2の反応物は、例えば、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4-メルカプトメチル-3,6-ジチア-1,8-オクタンジチオール(2,2’-((3-メルカプトプロパン-1,2-ジイル)ビス(スルファンジイル))ビス(エタン-1-チオール))、7-ヒドロキシメチル-3,6,9,12-テトラチア-1,14-テトラデカンジチオール(2,3-ビス((2-((2-メルカプトエチル)チオ)エチル)チオ)プロパン-1-オール)および/またはその異性体、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン((1,4-ジチアン-2,5-ジイル)ジメタンチオール)、または上記の任意のものの組み合わせを含んでいてもよい。
【0108】
前記第2の反応物は、例えば、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン(8a)、2-エチル-2-(メルカプトメチル)プロパン-1,3-ジチオール(8b)、1,2,3-トリメルカプトプロパン(8c)、2,2-ビス(メルカプトメチル)プロパン-1,3-ジチオール(8d)、4-メルカプトメチル-3,6-ジチア-1,8-オクタンジチオール(8e)、1,3-ジメルカプト-2-プロパノール(8f)、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(8g)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(8h)、7-ヒドロキシメチル-1,14-ジメルカプト-3,6,9,12-テトラチアテトラデカン(8i)、7-[2-(ヒドロキシエチル)]-1,13-ジメルカプト-3,6,8,11-テトラチアトリデカン、4,8-ビス(メルカプトメチル)-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン(8j)または4,7-もしくは5,7-位置異性体などの(8j)の位置異性体、2-メルカプト-1,3-プロパンジオール(8k)、または上記の任意のものの組み合わせを含んでいてもよい。これらの化合物は、式(8a)~(8k)の構造:
【化15】
【化16】
【化17】
を有する。
【0109】
本開示によって提供されるチオール含有反応物は、少なくとも前記チオール基のうち1つまたはそれを超えるものが、例えば-CH-CH-OH、-CH(-CH)-CH-OH、または-CH(-CH-CH-OH基で延長されている、部分的にアルコキシル化された反応物を含んでいてもよい。チオール基は、例えばエチレンオキシドと反応させることによって、エトキシル化され得る。例えば、式(8j)の部分的にエトキシル化された反応物は、以下の構造:
【化18】
を有していてもよい。
【0110】
前記第1の反応物、前記第2の反応物、または前記第1の反応物と第2の反応物の両方は、1つまたはそれを超えるエトキシル化チオール基を含んでいてもよい。
【0111】
適切なアクリレート化剤としては、例えば、塩化(メタ)アクリロイルおよび(メタ)アクリル酸無水物があげられる。ある特定の実施形態において、前記アクリレート化剤は、塩化(メタ)アクリロイルである。
【0112】
前記反応物において、前記第1の反応物の活性水素基の当量(すなわち、ヒドロキシル当量とチオール当量の合計)と、前記第2の反応物の活性水素基の当量の比は、1:1を超える。
【0113】
例えば、前記第1の反応物の活性水素基当量と、前記第2の反応物の活性水素基当量の比は、2:1を超えてもよく、3:1を超えてもよく、4:1を超えてもよく、5:1を超えてもよく、6:1を超えてもよく、7:1を超えてもよく、または8:1を超えてもよい。
【0114】
前記第1の反応物の活性水素基当量と、前記第2の反応物の活性水素基当量の比は、例えば、2:1~10:1、3:1~9:1、4:1~8:1、または5:1~7:1であってもよい。
【0115】
前記反応生成物は、第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーと、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとは異なる第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーと、(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせを含んでいてもよい。
【0116】
前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、前記第1の反応物に由来していてもよく、前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、前記第2の反応物に由来していてもよく、および前記(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせは、前記第1の反応物と、前記第2の反応物と、前記アクリレート化剤との反応に由来していてもよい。
【0117】
前記第1の反応物に由来する前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、式(1)の構造を有する反応物を含んでいてもよい。
【0118】
前記第2の反応物に由来する前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、(メタ)アクリロイル基が終端になっている前記第2の反応物を含んでいてもよい。前記第2の反応物に由来する前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、式(2)の(メタ)アクリロイル-末端モノマー、式(3)の(メタ)アクリロイル-末端モノマー、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0119】
前記(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせは、前記第1の反応物の活性水素基と前記第2の反応物の活性水素基の、前記アクリレート化剤との反応に由来し、かつその(メタ)アクリレートの活性化されたアルケニルに対するマイケル付加によるものであり得る。
【0120】
前記(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーは、前記第1の反応物に由来する部分と、前記第2の反応物に由来する部分を含んでいてもよい。例えば、(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーは、前記第1の反応物に由来する1~50個の部分と、前記第2の反応物に由来する1~50個の部分を含んでいてもよい。(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーは、独立して、前記第1および第2の反応物に由来する部分を、1~40個、1~30個、1~20個、1~10個、または1~5個含んでいてもよい。
【0121】
前記第1の反応物および前記第2の反応物は、それぞれ独立して、例えば、15wt%~55wt%の硫黄(例えば20wt%~50wt%、25wt%~50wt%、または25wt%~45wt%の硫黄)を含んでいてもよい(ここで、wt%は、前記各反応物の分子量に基づく)。
【0122】
前記(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせは、前記第2の反応物の官能性を超える、平均(メタ)アクリロイル官能性を有していてもよい。例えば、前記オリゴマーの組み合わせは、3を超える、5を超える、7を超える、または9を超える平均(メタ)アクリロイル官能性を有していてもよい。前記オリゴマーの組み合わせは、例えば、3~10、4~10、または6~10の平均(メタ)アクリロイル官能性を有していてもよい。
【0123】
前記(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせは、例えば、前記第1の反応物に由来する1~50個の部分と、前記第2の反応物に由来する1~50個の部分を含んでいてもよい。
【0124】
(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーは、例えば、15wt%~55wt%の硫黄(例えば20wt%~50wt%、25wt%~50wt%、または25wt%~45wt%の硫黄)を含んでいてもよい(ここで、wt%は、前記オリゴマーまたはオリゴマーの組み合わせの分子量に基づく)。
【0125】
(メタ)アクリロイル-末端モノマーと(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせを含む組成物の合成方法は、
(A)反応物(i)、反応物(ii)、および反応物(iii)を合わせて混合物を形成すること(ここで、前記反応物は:
(i)2つの活性水素基を有する第1の反応物(前記第1の反応物は、式(5):
【化19】
(式中、bは、0または1から選択され;そしてaは、1~6の整数である)の構造を有する);
(ii)2つまたはそれを超える活性水素基を含む第2の反応物(ここで、
前記2つまたはそれを超える活性水素基は、それぞれヒドロキシルまたはチオールから選択され;
前記2つまたはそれを超える活性水素基の少なくとも1つは、チオールであり;そして
前記第2の反応物(ii)は、前記第1の反応物(i)とは異なる);および
(iii)第3の反応物(ここで、前記第3の反応物は、アクリレート化剤を含む);および
(B)塩基存在下で、前記混合物を反応させ、(メタ)アクリロイル-末端モノマーと(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせを得ること、
を含む。
【0126】
本開示によって提供される組成物の合成方法は、以下の(1)~(3)のステップ、すなわち、(1)活性水素含有反応物(i)の塩と活性水素含有反応物(ii)の塩を、個別にまたは組み合わせて形成するステップであって、その活性水素当量の量に対して、少なくとも定量的な量の強塩基(それらに限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、またはアルコキシド)と反応させることによって形成するステップ;(2)前記塩を、アクリレート化剤(iii)と合わせるステップであって、例えば、前記アクリレート化剤を前記塩に加えることによって、前記塩を前記アクリレート化剤に加えることによって、または前記塩と前記アクリレート化剤を同時に合わせることによって、合わせるステップ;および(3)水溶性塩の副生成物を除去するステップ、を含んでいてもよい。
【0127】
本開示によって提供される組成物の合成方法は、(1)前記活性水素含有反応物とアクリレート化剤を合わせること;(2)活性水素当量の量に対して定量的な量の強塩基(例えば、NaOH、KOH、またはアルコキシドなど)を加えること;および(3)前記可溶性塩の副生成物を除去すること、を含んでいてもよい。
【0128】
本開示によって提供される組成物の合成方法は、部分的にアルコキシル化された第2の反応物を形成する前記強塩基を加える前に、アルコキシル化剤と反応させることによって、前記第2の反応物を部分的にアルコキシル化して、前記チオール基の部分に、対応するアルコールを形成することを含んでいてもよい。例えば、ポリチオール反応物は、前記チオール基の部分が、チオール当量の数に対して、1未満のオキシラン当量の官能性材料(例えば、エチレンオキシドなど)で延長されるように、部分的にエトキシル化されてもよい。例えば、前記チオールの0.9当量未満、0.75当量未満、または0.5当量未満が、アルコキシル化されてもよい。
【0129】
前記アクリレート化剤は、塩化(メタ)アクリロイルまたは(メタ)アクリル酸無水物を含んでいてもよい。例えば、前記アクリレート化剤は、塩化(メタ)アクリロイルであってもよい。
【0130】
適切な塩基としては、アルカリ塩基があげられ、その非限定的な例としては、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム、ナトリウムアルコキシドなどのアルコキシド、または上記の任意のものの組み合わせがあげられる。
【0131】
前記の反応は、溶媒の存在下、例えば、塩素化炭化水素(ジクロロメタンおよびクロロホルムが含まれる);エーテル(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、およびtert-ブチルメチルエーテルが含まれる);エステル(酢酸エチルおよび酢酸ブチルが含まれる)、または上記の任意のものの組み合わせ、などの存在下で行うことができる。
【0132】
前記反応混合物は、また、水も含んでいてもよい。
【0133】
前記反応混合物は、フリーラジカル抑制剤をさらに含んでいてもよい。適切なフリーラジカル抑制剤の非限定的な例としては、4-メトキシフェノールなどのフェノール、4-tert-ブチルカテコール、または上記の任意のものの組み合わせがあげられる。
【0134】
前記反応混合物において、アクリレート化剤の当量と、活性水素基の当量の比は、例えば、1:1または1:1を超えていてもよく、例えば、1.05:1を超えていてもよく、1.08:1を超えていてもよく、1.1:1を超えていてもよく、1.15:1を超えていてもよく、1.2:1を超えていてもよく、1.4:1を超えていてもよく、1.6:1を超えていてもよく、1.8:1を超えていてもよく、または1.9:1を超えていてもよい。
【0135】
前記反応混合物において、アクリレート化剤の当量と、活性水素基の当量の比は、例えば、1:1~2:1、1:1~1.5:1、1:1~1.25:1、または1:1~1.1:1であってもよい。
【0136】
前記反応混合物において、塩基の当量と、活性水素基の当量の比は、例えば、1:1または1:1を超えていてもよく、例えば、1.05:1を超えていてもよく、1.08:1を超えていてもよく、1.1:1を超えていてもよく、1.15:1を超えていてもよく、1.2:1を超えていてもよく、1.4:1を超えていてもよく、1.6:1を超えていてもよく、1.8:1を超えていてもよく、または1.9:1を超えていてもよい。
【0137】
前記反応混合物において、塩基の当量と、活性水素基の当量の比は、例えば、1:1~2:1、1:1~1.5:1、1:1~1.25:1、または1:1~1.1:1であってもよい。
【0138】
前記第1の反応物の活性水素基当量と、前記第2の反応物の活性水素基当量の比は、1:1を超えていてもよく、2:1を超えていてもよく、3:1を超えていてもよく、4:1を超えていてもよく、5:1を超えていてもよく、6:1を超えていてもよく、7:1を超えていてもよく、または8:1を超えていてもよい。
【0139】
前記第1の反応物の活性水素基当量と、前記第2の反応物の活性水素基当量の比は、例えば、1:1~25:1、1:1~20:1、1:1~15:1、1:1~10:1、2:1~10:1、3:1~8:1、または5:1~7:1であってもよい。
【0140】
本開示によって提供される合成方法は、例えば、60%を超える収率、70%を超える収率、80%を超える収率、90%を超える収率、または95%を超える収率で、(メタ)アクリロイル-末端モノマーと(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせを有する組成物をもたらす。本開示によって提供される合成方法は、例えば、70%~100%、75%~98%、または80%~95%の収率で、(メタ)アクリロイル-末端モノマーと(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせを有する組成物をもたらす。
【0141】
重合性組成物は、前記(メタ)アクリロイル-末端モノマーと(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせ、重合開始剤、および、必要に応じて、1つまたはそれを超える添加剤を含んでいてもよい。
【0142】
本開示によって提供される重合性組成物は、フリーラジカル開始剤などの重合開始剤を含んでいてもよい。重合性組成物は、熱活性化フリーラジカル開始剤、または化学線によって活性化されるフリーラジカル開始剤などの、1つまたはそれを超えるフリーラジカル開始剤を含んでいてもよい。熱活性化フリーラジカル開始剤は、高温で、例えば、25℃を超える温度で活性になり得る。
【0143】
適切な熱活性化フリーラジカル開始剤としては、例えば、有機過酸化化合物、アゾビス(オルガノニトリル)化合物、N-アシルオキシアミン化合物、O-イミノ-イソウレア化合物、または上記の任意のものの組み合わせがあげられる。適切な有機過酸化化合物(熱重合開始剤として使用され得る)としては、例えば、ペルオキシモノカーボネートエステル、例えばtert-ブチルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネートおよびtert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートなど;ペルオキシケタール、例えば1,1-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンなど;ペルオキシジカーボネートエステル、例えばジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(sec-ブチル)ペルオキシジカーボネート、およびジイソプロピルペルオキシジカーボネートなど;ジアシルペルオキシド(diacyperoxides)、例えば2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、プロピオニルペルオキシド、アセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、およびp-クロロベンゾイルペルオキシドなど;ペルオキシエステル、例えばtert-ブチルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシオクチレート、およびtert-ブチルペルオキシイソブチレートなど;メチルエチルケトンペルオキシド、アセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシド、または上記の任意のものの組み合わせがあげられる。適切なペルオキシ化合物の他の例としては、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、および/または1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンがあげられる。熱重合開始剤として使用され得る適切なアゾビス(オルガノニトリル)化合物としては、例えば、アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチル-ブタンニトリル)、および/またはアゾビス(2/1-ジメチルバレロニトリル)があげられる。熱活性化フリーラジカル開始剤は、1-アセトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンおよび/または1,3-ジシクロヘキシル-O-(N-シクロヘキシリデンアミノ)-イソウレアを含んでいてもよい。
【0144】
フリーラジカル開始剤は、光開始剤を含んでいてもよい。
【0145】
本開示によって提供される重合性組成物は、光開始剤または光開始剤の組み合わせを含んでいてもよい。放射線は、光重合開始剤をその照射線によって照射した時、その光重合開始剤から開始種を生じさせ得るエネルギーを付与することができる化学線であってもよく、前記放射線には、幅広く、α線、γ線、X線、紫外(UV)光(UVA、UVA、UVCスペクトルを含む)、可視光線、青色光、赤外線、近赤外線、または電子ビームが含まれる。例えば、光開始剤は、UV光開始剤であってもよい。
【0146】
適切なUV光開始剤としては、例えば、α-ヒドロキシケトン、ベンゾフェノン、α,α-ジエトキシアセトフェノン、4,4-ジエチルアミノベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-イソプロピルフェニル2-ヒドロキシ-2-プロピルケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、o-ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、およびビスアシクロホスフィンオキシドがあげられる。
【0147】
適切なベンゾフェノン光開始剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1,4,4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン、α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、および2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノンがあげられる。
【0148】
適切なオキシム光開始剤としては、例えば、(ヒドロキシイミノ)シクロヘキサン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-オクタン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタノン-1-(O-アセチルオキシム)、トリクロロメチル-トリアジン誘導体)、4-(4-メトキシスチリル)-2,6-トリクロロメチル-1,3,5-トリアジン)、4-(4-メトキシフェニル)-2,6-トリクロロメチル-1,3,5-トリアジン、およびα-アミノケトン(1-(4-モルホリノフェニル)-2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-ブタン-1-オン)があげられる。
【0149】
適切なホスフィンオキシド光開始剤としては、例えば、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)およびフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(BAPO)があげられる。
【0150】
適切なUV光開始剤の他の例としては、Irgacure(商標)製品(BASFから)、例えば、Irgacure(商標)184、Irgacure(商標)500、Irgacure(商標)1173、Irgacure(商標)2959、Irgacure(商標)745、Irgacure(商標)651、Irgacure(商標)369、Irgacure(商標)907、Irgacure(商標)1000、Irgacure(商標)1300、Irgacure(商標)819、Irgacure(商標)819DW、Irgacure(商標)2022、Irgacure(商標)2100、Irgacure(商標)784、またはIrgacure(商標)250という製品があげられ;さらに、前記Irgacure(商標)製品(BASFから)、例えば、Irgacure(商標)MBF、Darocur(商標)1173、Darocur(商標)TPO、Darocur(商標)4265という製品が用いられる。
【0151】
UV光開始剤は、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(Irgacure(登録商標)651、Ciba Specialty Chemicals)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシド(Darocur(登録商標)TPO、Ciba Specialty Chemicals)、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0152】
適切な光開始剤の他の例としては、Darocur(登録商標)TPO(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能)、Lucirin(登録商標)TPO(BASFから入手可能)、Speedcure(登録商標)TPO(Lambsonから入手可能)、Irgacure(登録商標)TPO(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能、およびOmnirad(登録商標)(IGM Resinsから入手可能)、または上記の任意のものの組み合わせがあげられる。
【0153】
本開示によって提供される組成物は、0.05wt%~5wt%、0.1wt%~4.0wt%、0.25wt%~3.0wt%、または0.5wt%~1.5wt%の光開始剤または光開始剤の組み合わせを含んでいてもよい(ここで、wt%は、重合性組成物の総重量に基づく)。
【0154】
重合性組成物は、フリーラジカル抑制剤、熱安定剤、UV安定剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、二色性材料、フォトクロミック材料、重合減速剤、重合促進剤、単一のエチレン性不飽和ラジカル重合性基を有するモノマー、2つまたはそれを超えるエチレン性不飽和ラジカル重合性基を有するモノマー、顔料、染料、または上記の任意のものの組み合わせをさらに含んでいてもよい。
【0155】
本開示によって提供される重合性組成物は、フリーラジカル抑制剤またはフリーラジカル抑制剤の組み合わせを含んでいてもよい。適切なフリーラジカル抑制剤としては、例えば、4-メトキシフェノール、ヒドロキノン、ピロガロール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、または4-tert-ブチルカテコールがあげられる。
【0156】
本開示によって提供される重合性組成物は、熱安定剤または熱安定剤の組み合わせを含んでいてもよい。
【0157】
本開示によって提供される重合性組成物は、UV安定剤またはUV安定剤の組み合わせを含んでいてもよい。UV安定剤としては、UV吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤があげられる。適切なUV安定剤としては、例えば、Cyasorb(登録商標)(Solvay)、Uvinul(登録商標)(BASF)、およびTinuvin(登録商標)(BASF)という商品名の製品があげられる。
【0158】
本開示によって提供される重合性組成物は、二色性材料または二色性材料の組み合わせを含んでいてもよい。適切な二色性材料としては、例えば、アゾメチン、インジゴイド(indigolds)、チオインジゴイド、メロシアニン、インダン、キノフタロン染料、ペリレン、フタロペリン、トリフェノジオキサジン、インドロキノキサリン、イミダゾ-トリアジン、テトラジン、アゾおよび(ポリ)アゾ染料、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントロキノン、(ポリ)アントロキノン、アントロピリミジノン、ヨウ素、およびヨウ素酸塩があげられる。
【0159】
本開示によって提供される重合性組成物は、フォトクロミック材料またはフォトクロミック材料の組み合わせを含んでいてもよい。フォトクロミック材料は、可逆性フォトクロミック材料であってもよく、不可逆性フォトクロミック材料であってもよい。フォトクロミック材料は、熱可逆性フォトクロミック材料であってもよく、熱不可逆性フォトクロミック材料であってもよい。
【0160】
本開示によって提供される重合性組成物は、エチレン性不飽和ラジカル重合性基を有する第3のモノマーもしくは第3のモノマーの組み合わせ、またはエチレン性不飽和ラジカル重合性基を有するモノマーの組み合わせを含んでいてもよく、ここで、前記第3のモノマーは、前記第1のモノマーとも、前記第2のモノマーとも異なる。
【0161】
第3のモノマーは、1つのエチレン性不飽和ラジカル重合性基を有していてもよく、または1つを超えるエチレン性不飽和ラジカル重合性基を有していてもよい。例えば、第3のモノマーは、2つのエチレン性不飽和ラジカル重合性基、3つのエチレン性不飽和ラジカル重合性基、または3つを超えるエチレン性不飽和ラジカル重合性基を含んでいてもよい。
【0162】
本開示によって提供される重合性組成物は、少なくとも1つの第3の(メタ)アクリロイル-末端モノマーを含んでいてもよく、ここで、前記少なくとも1つの第3の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとも、前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとも異なる。
【0163】
単一のエチレン性不飽和ラジカル重合性基を有する、適切な第3のモノマーとしては、例えば、モノ(メタ)アクリレート、例えばシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート;ビニルエーテル、スチレン、または上記の任意のものの組み合わせがあげられる。
【0164】
1つを超えるエチレン性不飽和ラジカル重合性基を有する、適切な第3のモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート)、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、グリセロールポリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビス-フェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ビス-フェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートポリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、または上記の任意のものの組み合わせがあげられる。
【0165】
本開示によって提供される重合性組成物は、重合減速剤または重合減速剤の組み合わせを含んでいてもよい。重合減速剤は、本発明の重合性組成物から得られ得る重合物中の、あらゆる歪みまたは欠陥、例えば、条痕および/またはクラック/亀裂の形成を最小限にし得る。適切な重合減速剤としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、1-イソプロピル-4-メチル-1,4-シクロヘキサジエン(γ-テルピネン);1-イソプロピル-4-メチル-1,3-シクロヘキサジエン(α-テルピネン);1-メチル-4-(プロパン-2-イリデン)シクロヘキサ-1-エン、(テルピノレン);およびα-メチルスチレンダイマー、1,1-ジフェニルエチレン、cis-1,2-ジフェニルエチレン、3,7,7-トリメチルビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-エン(3-カレン)、4-イソプロペニル-1-メチルシクロヘキセン(ジペンテン)、(S)-(+4-イソプロペニル-1-メチルシクロヘキセン((S)-リモネン)、2,6-ジメチル-2,4,6-オクタトリエン、4-tert-ブチルピロカテコール、トリフェニルメタン、または上記の任意のものの組み合わせがあげられる。
【0166】
重合減速剤は、1-イソプロピル-4-メチル-1,4-シクロヘキサジエン;1-イソプロピル-4-メチル-1,3-シクロヘキサジエン;1-メチル-4-(プロパン-2-イリデン)シクロヘキサ-1-エン;2,6-ジメチル-2,4,6-オクタトリエン、α-メチルスチレンダイマー、または上記の任意のものの組み合わせを含んでいてもよい。α-メチルスチレンダイマーは、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテンなど、および、必要に応じて2,4-ジフェニル-4-メチル-2-ペンテンおよび/または2-フェニル-1-プロペン(α-メチルスチレンとも呼ばれる)のうちの少なくとも1つなどの重合減速剤を指す。いくつかの実施形態について、前記α-メチルスチレンダイマー重合減速剤は、90~93wt%の2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、6~8wt%の2,4-ジフェニル-4-メチル-2-ペンテン、および0.25~0.75wt%の2-フェニル-1-プロペンを含む(それぞれの場合について、重量パーセントは、α-メチルスチレンダイマー(dimmer)の総重量に基づく)。
【0167】
組成物は、例えば、0.01wt%~15wt%、0.1wt%~8wt%、または0.3wt%~5wt%の重合減速剤を含んでいてもよい(ここで、wt%は、前記組成物の総重量に基づく)。
【0168】
本開示によって提供される重合性組成物は、重合(または形成速度)促進剤または重合促進剤の組み合わせを含んでいてもよい。重合促進剤は、化学線に曝露された場合に、本発明の重合性組成物の重合速度を増加させ得る。適切な重合促進剤としては、例えば、オルガノホスフィン、オルガノホスファイト、アミン、または上記の任意のものの組み合わせがあげられる。適切な重合促進剤には、例えば、脂肪族置換、環式脂肪族置換、アリール置換、またはそれらの組み合わせを有する化合物が含まれ得る。適切なオルガノホスフィン重合促進剤としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、またはそれらの組み合わせがあげられる。例えば、前記オルガノホスフィン重合促進剤は、トリフェニルホスフィンであってもよい。適切なオルガノホスファイト重合促進剤としては、例えば、トリエチルホスファイト、トリプロピルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、またはそれらの組み合わせがあげられる。例えば、前記オルガノホスファイト重合促進剤は、トリエチルホスファイトである。別の例において、前記オルガノホスファイト重合促進剤は、トリフェニルホスファイトであってもよい。適切なアミン重合促進剤としては、例えば、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、トリベンジルアミン、および1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンがあげられる。例えば、前記アミン重合促進剤は、トリエチルアミンである。
【0169】
本開示に示されている組成物は、0.001wt%~10wt%、0.01wt%~5wt%、または0.05wt%~2wt%の重合促進剤または重合促進剤の組み合わせを含んでいてもよい(ここで、wt%は、前記重合性組成物の総重量に基づく)。
【0170】
本開示によって提供される重合性組成物は、顔料、染料、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0171】
適切な無機顔料としては、例えば、金属含有無機顔料、例えば、カドミウム、炭素、クロム、コバルト、銅、酸化鉄、鉛、水銀、チタン、タングステン、および亜鉛を含有する金属含有無機顔料があげられる。例としては、ウルトラマリンブルー、ウルトラマリンバイオレット、酸化タングステン還元物、アルミン酸コバルト、リン酸コバルト、ピロリン酸マンガンアンモニウム、および/または金属を含まない無機顔料があげられる。特定の実施形態において、前記無機顔料ナノ粒子は、ウルトラマリンブルー、ウルトラマリンバイオレット、プルシアンブルー、コバルトブルー、および/または酸化タングステン還元物を含む。特定の有機顔料としては、例えば、インダントロン、キナクリドン、フタロシアニンブルー、銅フタロシアニンブルー、およびペリレンアントラキノンがあげられる。
【0172】
適切な顔料の追加の例としては、黄色、ブラウン、赤、および黒の色合いの酸化鉄顔料の全て;それらの全ての物理形態および粒子区分のもの;異なる無機表面処理が施された酸化チタン顔料の全て;酸化クロム顔料、さらにニッケルおよびチタン酸ニッケルと共沈殿されたもの;有機物の燃焼由来の黒色顔料(例えば、カーボンブラック);銅フタロシアニンに由来する青色および緑色顔料、さらに塩素化および臭素化されたもの、種々のα、β、およびε結晶形のもの;スルホクロム酸鉛に由来する黄色顔料;バナジン酸鉛ビスマス(lead bismuth vanadate)に由来する黄色顔料;モリブデン酸スルホクロム酸鉛に由来するオレンジ顔料;アリールアミドに基づく有機性の黄色顔料;ナフトールに基づく有機性のオレンジ顔料;ジケト-ピロロ-ピロールに基づく有機性のオレンジ顔料;アゾ染料のマンガン塩に基づく赤色顔料;β-オキシナフトエ酸のマンガン塩に基づく赤色顔料;キナクリドン赤色有機顔料;およびアントラキノン赤色有機顔料があげられる。
【0173】
本開示によって提供される重合性組成物は、フリーラジカル反応を活性化させることによって、例えば、前記重合性組成物を化学線に曝露することによって硬化され得る。硬化した重合性組成物は、重合物と呼ばれる。
【0174】
本開示によって提供される重合物は、例えば、90N/mm(ニュートン/平方ミリメートル)を超える、100N/mmを超えるフィッシャー微小硬度を有していてもよい。110N/mmを超える、120N/mmを超える、130N/mmを超える、140N/mmを超える、または150N/mmを超えるフィッシャー微小硬度を有していてもよい(ここで、フィッシャー微小硬度は、Fischerscope H-100SMC(Fischer Technology,Incから入手できる)を使用して、荷重300mNで、15秒間に0~300mNの荷重を付与して測定される)。
【0175】
本開示によって提供される重合物は、例えば、90N/mm~160N/mm、100N/mm~150N/mm、110N/mm~140N/mm、または120N/mm~140N/mmのフィッシャー微小硬度を有していてもよい(ここで、フィッシャー微小硬度は、Fischerscope H-100SMC(Fischer Technology,Incから入手できる)を使用して、荷重300mNで、15秒間に0~300mNの荷重を付与して測定される)。
【0176】
本開示によって提供される重合物は、例えば、30に等しいもしくはそれを超える、32に等しいもしくはそれを超える、34に等しいもしくはそれを超える、または36に等しいもしくはそれを超えるアッベ数を有していてもよい(ここで、アッベ数は、ASTM C1648に従って、Metriconモデル2010Mプリズムカプラーを使用して測定される)。アッベ数Vは、式1、
【化20】
(式中、n、n、およびnは、フラウンホーファー線のスペクトルD、F、およびC線の波長、すなわち、それぞれ589.3nm、486.1nm、および656.3nmにおける、物質の屈折率である)
に従って算出してもよい。
【0177】
本開示によって提供される重合物は、例えば、30~50、32~45、または33~42のアッベ数を有していてもよい(ここで、アッベ数は、ASTM C1648に従って、Metriconモデル2010Mプリズムカプラーを使用して測定される)。
【0178】
本開示によって提供される重合物は、例えば、1.50を超える、1.54を超える、1.58を超える、1.62を超える、1.66を超える、1.70を超える、または1.74を超える屈折率を有していてもよい(ここで、屈折率は、Metriconモデル2010Mプリズムカプラーを使用して、ASTM C1648に従って、20℃、波長546.07nm(水銀のe線)で測定され、n 20として報告される)。
【0179】
本開示によって提供される重合物は、例えば、1.50~1.75、1.52~1.73、1.54~1.71、1.56~1.69、1.58~1.67、1.60~1.65、または1.61~1.64の屈折率を有していてもよい(ここで、屈折率は、Metriconモデル2010Mプリズムカプラーを使用して、ASTM C1648に従って、20℃、波長546.07nm(水銀のe線)で測定され、n 20として報告される)。
【0180】
本開示によって提供される重合物は、例えば、25℃において、1.5GPa(ギガパスカル)を超える、2.0GPaを超える、2.5GPaを超える、3.0GPaを超える、または3.5GPaを超える貯蔵弾性率(E’)を有していてもよい(ここで、E’貯蔵弾性率は、3.5mm(ミリメートル)の厚さのサンプルについて、25℃で、ASTM D5023「プラスチックのための標準試験方法.動的機械特性:たわみ(3点曲げ)」に従って、Perkin Elmer Diamond DMA分析装置を使用して測定される)。
【0181】
本開示によって提供される重合物は、例えば、75℃で、0.5を超える、1.0GPaを超える、1.5GPaを超える、または2.0GPaを超えるE’貯蔵弾性率を有していてもよい(ここで、E’貯蔵弾性率は、3.5mmの厚さのサンプルについて、75℃で、ASTM D5023「プラスチックのための標準試験方法.動的機械特性:たわみ(3点曲げ)」に従って、Perkin Elmer Diamond DMA分析装置を使用して測定される)。
【0182】
本開示によって提供される重合物は、例えば、5未満、4未満、3未満、2.8未満、2.6未満、2.4未満、または2.2未満の黄色度指数を有していてもよい(ここで、黄色度指数は、3.5mmの厚さのサンプルについて、ASTM E313に従って、HunterLab UltraScan PROを使用して測定される)。
【0183】
本開示によって提供される重合物は、例えば、1.0~5.0、1.0~4.0、1.0~3.0、1.5~2.8、1.75~2.6、または2.0~2.5の黄色度指数を有していてもよい(ここで、黄色度指数は、3.5mmの厚さのサンプルについて、ASTM E313に従って、HunterLab UltraScan PROを使用して測定される)。
【0184】
本開示によって提供される重合性組成物は、光学コンポーネントなどの物品を製作するために使用することができる。
【0185】
物品は、本開示によって提供される硬化性組成物を使用して、任意の適切な方法、例えば成形、3Dプリンティング(three-dimensional printing)およびインクジェット印刷などの付加製造、転写印刷、またはステレオリソグラフィーによって製作することができる。
【0186】
例えば、物品は、重合性組成物をある形状に成型し、その重合性組成物を硬化させることによって製作することができる。硬化は、前記(メタ)アクリロイル基の反応を引き起こし、重合物を形成させるために、フリーラジカル反応を開始させることを含んでいてもよい。フリーラジカル反応を開始させることは、例えば、重合性組成物を化学線、例えば可視光線またはUV照射などに曝露することを含んでいてもよい。重合性組成物は、物品が成形される前に、物品が成形されている間に、物品が成形された後に、または上記の任意のものの組み合わせにおいて、化学線に曝露してもよい。前記フリーラジカル反応が開始された後、物品は、硬化の完了を促進するために、熱処理に曝露してもよい。例えば、成形された物品は、50℃を超える温度、75℃を超える温度、100℃を超える温度に、30分~2時間曝露してもよい。
【0187】
3Dプリンティングを、物品を製作するために使用することができる。
【0188】
3Dプリンティングは、物品を製造するための、連続した層の堆積を含んでいてもよい。本開示によって提供される重合性組成物は、混合装置にポンプで送り込み、加圧下でノズルから押し出すことができる一剤型の系として提供されてもよい。物品は、重合性組成物の層を、物品の形状に逐次的に堆積させることによって形成することができる。フリーラジカル反応は、組成物がポンプ、混合装置、および/またはノズルを通過している時に、および/または重合性組成物が堆積された後に、重合性組成物を熱または化学線に曝露することによって開始させてもよい。フリーラジカル開始剤を、(メタ)アクリロイル-末端モノマーおよび/または(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせを含む組成物と合わせ、混合し、次いで逐次的に堆積させて、物品を形成してもよい。フリーラジカル反応は、混合している間または混合後に、重合性組成物を熱および/または化学線に曝露することによって開始させてもよい。
【0189】
本開示によって提供される重合性組成物および方法は、多種多様な光学コンポーネントを製作するために使用することができ、そのような光学コンポーネントとしては、例えば、光学ディスプレイ、シールド、窓、透明材(transparencies)、風防、眼鏡、サングラス、眼用レンズ、光学レンズ、スポーツマスク、フェイスシールド、ゴーグル、イメージングシステム、カメラ、光学コンポーネント、オプトエレクトロニックデバイス、発光ダイオード、レーザー、光検出器、光電変換装置、LIDARイメージング、遠距離通信デバイス、および赤外線通信デバイスがあげられる。
【0190】
本開示によって提供される組成物および方法を使用して製作された光学コンポーネントは、1つまたはそれを超えるコーティングを含んでいてもよい。
【0191】
前記1つまたはそれを超えるコーティングには、耐スクラッチコーティング、反射防止コーティング、波長選択的反射コーティング、波長選択的吸収コーティング、平坦化コーティング、偏光コーティング、または上記の任意のものの組み合わせを含む、1つまたはそれを超える表面コーティングが含まれ得る。
本発明の態様
【0192】
本発明は、以下の本発明の態様によってさらに明確化される。
【0193】
態様1.
(a)第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマー(ここで、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、式(1):
【化21】
(式中、
各Rは、水素またはメチルから独立して選択され;
bは、0または1から選択され;そして
aは、1~6の整数である)の構造を有する);および
(b)2つまたはそれを超える(メタ)アクリロイル基を含む第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマー(ここで、
前記2つまたはそれを超える(メタ)アクリロイル基は、それぞれ(メタ)アクリロイルオキシ基または(メタ)アクリロイルチオ基から独立して選択され;
前記(メタ)アクリロイル基の少なくとも1つは、(メタ)アクリロイルチオ基であり;そして
前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマー(b)は、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマー(a)とは異なる)
を含む、組成物。
【0194】
態様2.各Rが、水素である、態様1の組成物。
【0195】
態様3.各Rが、メチルである、態様1の組成物。
【0196】
態様4.bが、0である、態様1~3のいずれか1つの組成物。
【0197】
態様5.bが、1である、態様1~3のいずれか1つの組成物。
【0198】
態様6.aが、1または2から選択される、態様1~5のいずれか1つの組成物。
【0199】
態様7.前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、ビス(2-メタクリロイルチオエチル)スルフィド:
【化22】
を含む、態様1の組成物。
【0200】
態様8.前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、ポリチアアルキレン部分を含む、態様1~7のいずれか1つの組成物。
【0201】
態様9.前記ポリチアアルキレン部分が、脂肪族ポリチアアルキレン部分である、態様8の組成物。
【0202】
態様10.前記ポリチアアルキレン部分が、環状ポリチアアルキレン部分または分枝ポリチアアルキレン部分である、態様8の組成物。
【0203】
態様11.前記ポリチアアルキレン部分が、分枝ポリチアアルキレン部分であり、前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、3~6個の(メタ)アクリロイル基を含む、態様8の組成物。
【0204】
態様12.前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、2つまたはそれを超える(メタ)アクリロイルチオ基を含む、態様1~11のいずれか1つの組成物。
【0205】
態様13.前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、少なくとも1つの(メタ)アクリロイルチオ基と、少なくとも1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含む、態様1~11のいずれか1つの組成物。
【0206】
態様14.前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、2,5-ビス(メタクリロイルチオメチル)1,4-ジチアン、4-(メタ)アクリロイルチオメチル-3,6-ジチア-1,8-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]オクタン、7-(メタ)アクリロイルオキシメチル-3,6,9,12-テトラチア-1,14-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]テトラデカン、4,8-ビス[(メタ)アクリロイルチオメチル]-3,6,9-トリチア-1,11-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]ウンデカンもしくはその4,7-および5,7-位置異性体などの位置異性体、2-エチル-2-((メタ)アクリロイルチオメチル)-1,3-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]プロパン、1,2,3-トリス[(メタ)アクリロイルチオ]プロパン、または上記の任意のものの組み合わせを含む、態様1~7のいずれか1つの組成物。
【0207】
態様15.前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、2,5-ビス(メタクリロイルチオメチル)1,4-ジチアン:
【化23】
を含む、態様1~7のいずれか1つの組成物。
【0208】
態様16.前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、4-(メタ)アクリロイルチオメチル-3,6-ジチア-1,8-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]オクタン:
【化24】
を含む、態様1~7のいずれか1つの組成物。
【0209】
態様17.前記組成物が、(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーをさらに含む、態様1~16のいずれか1つの組成物。
【0210】
態様18.前記組成物が、15wt%~60wt%の硫黄、例えば15wt%~55wt%の硫黄を含む(ここで、wt%は、前記組成物の総重量に基づく)、態様1~17のいずれか1つの組成物。
【0211】
態様19.前記組成物が、25wt%~45wt%の硫黄を含む(ここで、wt%は、前記組成物の総重量に基づく)、態様1~17のいずれか1つの組成物。
【0212】
態様20.前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、第1の(メタ)アクリロイル当量を含み;前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、第2の(メタ)アクリロイル当量を含み;そして前記第1の(メタ)アクリロイル当量と前記第2の(メタ)アクリロイル当量の比が、1:1を超える、態様1~19のいずれか1つの組成物。
【0213】
態様21.前記比が、1.1:1を超える、態様20の組成物。
【0214】
態様22.前記比が、1:1~25:1である、態様20の組成物。
【0215】
態様23
(i)2つの活性水素基を有する第1の反応物(前記第1の反応物は、式(5):
【化25】
(式中、bは、0または1から選択され;そしてaは、1~6の整数である)の構造を有する);
(ii)2つまたはそれを超える活性水素基を含む第2の反応物(ここで、
前記2つまたはそれを超える活性水素基は、それぞれヒドロキシルまたはチオールから独立して選択され;
前記2つまたはそれを超える活性水素基の少なくとも1つは、チオールであり;そして
前記第2の反応物は、前記第1の反応物とは異なる);および
(iii)アクリレート化剤を含む第3の反応物
を含む反応物の反応生成物を含む、組成物。
【0216】
態様24.bが、0である、態様23の組成物。
【0217】
態様25.bが、1である、態様23の組成物。
【0218】
態様26.aが、1または2から選択される、態様23~25のいずれか1つの組成物。
【0219】
態様27.前記第1の反応物が、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド:
【化26】
を含む、態様23の組成物。
【0220】
態様28.前記第2の反応物が、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン:
【化27】
を含む、態様23~27のいずれか1つの組成物。
【0221】
態様29.前記第2の反応物が、4-メルカプトメチル-3,6-ジチア-1,8-オクタンジチオール:を含む、態様23~27のいずれか1つの組成物。
【化28】
を含む、態様23~27のいずれか1つの組成物。
【0222】
態様30.前記第2の反応物が、7-ヒドロキシメチル-1,14-ジメルカプト-3,6,9,12-テトラチアテトラデカンを含む、態様23~27のいずれか1つの組成物。
【0223】
態様31.前記第2の反応物が、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、2-エチル-2-(メルカプトメチル)プロパン-1,3-ジチオール、1,2,3-トリメルカプトプロパン、2,2-ビス(メルカプトメチル)プロパン-1,3-ジチオール、4-メルカプトメチル-3,6-ジチア-1,8-オクタンジチオール、1,3-ジメルカプト-2-プロパノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプト-1,3-プロパンジオール、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、7-ヒドロキシメチル-1,14-ジメルカプト-3,6,9,12-テトラチアテトラデカン、4,8-ビス(メルカプトメチル)-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンもしくはその4,7-および5,7-位置異性体などの位置異性体、または上記の任意のものの組み合わせを含む、態様23~27のいずれか1つの組成物。
【0224】
態様32.前記第1の反応物、前記第2の反応物、または前記第1の反応物と第2の反応物の両方が、少なくとも1つのエトキシル化チオール基を含む、態様23~31のいずれか1つの組成物。
【0225】
態様33.前記アクリレート化剤が、塩化(メタ)アクリロイルまたは(メタ)アクリル酸無水物を含む、態様23~32のいずれか1つの組成物。
【0226】
態様34.前記第1の反応物の活性水素基当量と、前記第2の反応物の活性水素基当量の比が、1:1を超える、態様23~33のいずれか1つの組成物。
【0227】
態様35.前記第1の反応物の活性水素基当量と、前記第2の反応物の活性水素基当量の比が、1:1~25:1である、態様23~33のいずれか1つの組成物。
【0228】
態様36.前記反応生成物が、第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマー(ここで、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、前記第1の反応物に由来する);第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマー(ここで、前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーは、前記第2の反応物に由来する);および(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせ(ここで、前記(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせは、前記第1の反応物と、前記第2の反応物と、前記アクリレート化剤との反応に由来する)を含む、態様23~35のいずれか1つの組成物。
【0229】
態様37.前記組成物が、15wt%~60wt%の硫黄、例えば15wt%~55wt%の硫黄を含む(ここで、wt%は、前記組成物の総重量に基づく)、態様23~36のいずれか1つの組成物。
【0230】
態様38.前記組成物が、25wt%~45wt%の硫黄を含む(ここで、wt%は、前記組成物の総重量に基づく)、態様23~36のいずれか1つの組成物。
【0231】
態様39.重合性組成物であって、態様1~38のいずれか1つの組成物;およびフリーラジカル開始剤を含む、重合性組成物。
【0232】
態様40.前記フリーラジカル開始剤が、光開始剤または熱活性化フリーラジカル開始剤を含む、態様39の重合性組成物。
【0233】
態様41.第3のモノマーをさらに含み、前記第3のモノマーが、1つまたはそれを超えるエチレン性不飽和ラジカル重合性基を含み;そして前記第3のモノマーが、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとも、前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとも異なる、態様39~40のいずれか1つの重合性組成物。
【0234】
態様42.少なくとも1つの第3の(メタ)アクリロイル-末端モノマーをさらに含み、前記少なくとも1つの第3の(メタ)アクリロイル-末端モノマーが、前記第1の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとも、前記第2の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとも異なる、態様39~41のいずれか1つの重合性組成物。
【0235】
態様43.前記重合性組成物が、熱安定剤、UV安定剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、二色性材料、フォトクロミック材料、重合減速剤、重合促進剤、顔料、染料、または上記の任意のものの組み合わせのうちの1つまたはそれを超えるものをさらに含む、態様39~42のいずれか1つの重合性組成物。
【0236】
態様44.前記重合促進剤が、オルガノホスフィン、オルガノホスファイト、アミン、または上記の任意のものの組み合わせを含んでいてもよい、態様43の重合性組成物。
【0237】
態様45.態様39~44のいずれか1つの重合性組成物から調製される、重合物。
【0238】
態様46.前記重合物が、1.50~1.75の屈折率を有する(ここで、屈折率は、Metriconモデル2010Mプリズムカプラーを使用して、ASTM C1648に従って、20℃、波長546.07nm(水銀のe線)で測定され、n 20として報告される)、態様45の重合物。
【0239】
態様47.前記重合物が、1.60~1.65の屈折率を有する(ここで、屈折率は、Metriconモデル2010Mプリズムカプラーを使用して、ASTM C1648に従って、20℃、波長546.07nm(水銀のe線)で測定され、n 20として報告される)、態様45の重合物。
【0240】
態様48.前記重合物が、90N/mmを超えるフィッシャー微小硬度を有する(ここで、フィッシャー微小硬度は、Fischerscope H-100SMC(Fischer Technology,Incから入手できる)を使用して、荷重300mNで、15秒間に0~300mNの荷重を付与して測定される)、態様45~47のいずれか1つの重合物。
【0241】
態様49.前記重合物が、120N/mmを超えるフィッシャー微小硬度を有する(ここで、フィッシャー微小硬度は、Fischerscope H-100SMC(Fischer Technology,Incから入手できる)を使用して、荷重300mNで、15秒間に0~300mNの荷重を付与して測定される)、態様45~47のいずれか1つの重合物。
【0242】
態様50.前記重合物が、25℃で、1.5GPaを超える貯蔵弾性率E’を有する(ここで、E’貯蔵弾性率は、3.5mmの厚さのサンプルについて、ASTM D5023「プラスチックのための標準試験方法.動的機械特性:たわみ(3点曲げ)」に従って、Perkin Elmer Diamond DMA分析装置を使用して測定される)、態様45~49のいずれか1つの重合物。
【0243】
態様51.前記重合物が、25℃で、2.0GPaを超える貯蔵弾性率E’を有する(ここで、E’貯蔵弾性率は、3.5mmの厚さのサンプルについて、ASTM D5023「プラスチックのための標準試験方法.動的機械特性:たわみ(3点曲げ)」に従って、Perkin Elmer Diamond DMA分析装置を使用して測定される)、態様45~49のいずれか1つの重合物。
【0244】
態様52.前記重合物が、75℃で、0.5を超える貯蔵弾性率E’を有する(ここで、E’貯蔵弾性率は、3.5mmの厚さのサンプルについて、ASTM D5023「プラスチックのための標準試験方法.動的機械特性:たわみ(3点曲げ)」に従って、Perkin Elmer Diamond DMA分析装置を使用して測定される)、態様45~51のいずれか1つの重合物。
【0245】
態様53.前記硬化したポリマーが、75℃で、1.0GPaを超える貯蔵弾性率E’を有する(ここで、貯蔵弾性率E’は、3.5mmの厚さのサンプルについて、ASTM D5023「プラスチックのための標準試験方法.動的機械特性:たわみ(3点曲げ)」に従って、Perkin Elmer Diamond DMA分析装置を使用して測定される)、態様45~51のいずれか1つの重合物。
【0246】
態様54.前記重合物が、30に等しいまたはそれを超えるアッベ数を有する(ここで、アッベ数は、ASTM C1648に従って、Metriconモデル2010Mプリズムカプラーを使用して測定される)、態様45~53のいずれか1つの重合物。
【0247】
態様55.前記重合物が、34に等しいまたはそれを超えるアッベ数を有する(ここで、アッベ数は、ASTM C1648に従って、Metriconモデル2010Mプリズムカプラーを使用して測定される)、態様45~53のいずれか1つの重合物。
【0248】
態様56.態様45~55のいずれか1つの重合物を含む、物品。
【0249】
態様57.前記物品が、1つまたはそれを超える表面コーティングを含む、態様56の物品。
【0250】
態様58.前記1つまたはそれを超える表面コーティングが、耐スクラッチコーティング、反射防止コーティング、波長選択的反射コーティング、波長選択的吸収コーティング、平坦化コーティング、偏光コーティング、または上記の任意のものの組み合わせを含む、態様57の物品。
【0251】
態様59.物品を製作する方法であって、態様39の重合性組成物をある形状に成型すること;および前記成型を施された組成物を硬化させて物品を得ること、を含む、方法。
【0252】
態様60.成型することが、成形、付加製造、3Dプリンティング、インクジェット印刷、転写印刷、またはステレオリソグラフィーを含む、態様59の方法。
【0253】
態様61.前記方法が、前記形状の成型前に、前記形状の成型後に、前記形状の成型中に、または上記の任意のものの組み合わせにおいて、前記組成物を化学線に曝露することを含む、態様59~60のいずれか1つの方法。
【0254】
態様62.態様59~61のいずれか1つの方法を用いて製作される、物品。
【0255】
態様63.前記物品が、光学ディスプレイ、シールド、窓、トランスペアレンシー、風防、サングラス、眼鏡、光学レンズ、スポーツマスク、フェイスシールド、ゴーグル、光学コンポーネント、またはオプトエレクトロニックデバイスを含む、態様62の物品。
【0256】
態様64.組成物の合成方法であって、
(A)反応物(i)、反応物(ii)、および反応物(iii)を合わせて混合物を形成すること(ここで、前記反応物は:
(i)2つの活性水素基を有する第1の反応物(前記第1の反応物は、式(5):
【化29】
(式中、bは、0または1から選択され;そしてaは、1~6の整数である)の構造を有する);および
(ii)2つまたはそれを超える活性水素基を含む第2の反応物(ここで、
前記2つまたはそれを超える活性水素基は、それぞれヒドロキシルまたはチオールから独立して選択され;
前記2つまたはそれを超える活性水素基の少なくとも1つは、チオールであり;そして
前記第2の反応物は、前記第1の反応物とは異なる);および
(iii)第3の反応物(ここで、前記第3の反応物は、アクリレート化剤を含む);および
(B)塩基存在下で、前記混合物を反応させ、(メタ)アクリロイル-末端モノマーと(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせを得ること、
を含む、方法。
【0257】
態様65.前記アクリレート化剤が、塩化(メタ)アクリロイルまたは(メタ)アクリル酸無水物を含む、態様64の方法。
【実施例
【0258】
本開示によって提供される実施形態を、以下の実施例を参照することによってさらに例示し、これらの実施例は、本開示によって提供される組成物、方法、および使用を説明している。本開示の範囲を逸脱することなく、材料および方法の両方に対して多くの変更がなされ得ることが、当業者には明らかである。
パート1
(メタ)アクリロイル-末端モノマーとオリゴマーの合成
【0259】
(メタ)アクリロイル-末端モノマーとオリゴマーを含む組成物を、表1に記載されている量を用いて調製した。まず、1.03当量のNaOH水溶液に、示されているポリチオールまたはポリチオールの混合物1.0当量を、窒素雰囲気下で撹拌しながら、滴下で添加することによって、ポリチオール塩溶液を調製した。
【0260】
次いで、1.0当量の塩化メタクリロイルのジクロロメタン溶液に、窒素雰囲気下で撹拌しながら、前記ポリチオール塩溶液を滴下で添加し、0℃~5℃の反応温度に冷却した。実施例6については、1.0当量の塩化メタクリロイルの酢酸エチル溶液に、窒素雰囲気下で撹拌しながら、前記ポリチオール塩溶液を滴下で添加し、0℃~5℃の反応温度に冷却した。この溶液を25℃にして、さらに2~3時間、ヨウ素滴定によって反応の完了が示されるまで置いた。有機層を集め、(i)水、(ii)飽和炭酸水素ナトリウム溶液、および(iii)飽和塩化ナトリウム溶液を使用して3回洗浄した。この有機層に250ppm(百万分率)の4-メトキシフェノールおよび250ppmの4-tert-ブチルカテコールを加えた。揮発性成分を真空蒸留によって除去し、生成物を濾過して(メタ)アクリロイル-末端モノマーと(メタ)アクリロイル-末端オリゴマーの組み合わせを含む組成物を得た。
【表1】
パート2
レンズ成形
【0261】
比較例1および2、ならびに実施例3~5の各重合性組成物を使用して、以下の手順に従って成形レンズ(「重合物」)を調製した。
【0262】
各重合性組成物をポリプロピレン容器に移し、そこに0.1重量%のDarocure(登録商標)1173光開始剤(BASFから入手可能)を加えた。得られた混合物を、25℃で、均一になるまで撹拌した。この光開始剤を含む重合性組成物を濾過し、レンズの厚さを調節するためのプラスチックガスケット(スペーサー)を備えた、2枚の平坦なディスク形状のUV透過性ガラスモールドからなるモールド中に分注した。このモールドの空隙の内寸は、最終的に得られる硬化レンズの直径が75mm、厚さが3.5mmになるように設計されていた。前記の充填済みモールドを、Fusion UV硬化システムF-300収束ビームマイクロ波駆動ランプ(Dバルブを備え、放射エネルギーの64%が、300~400nmであった)を装備した、UV照射デバイス(LESCO Incorporatedから)によるUV光に曝露した。使用したUV強度および線量のエネルギーを表2に示す。
【表2】
【0263】
1.5ft/min(フィート毎分)(0.45m/min(メートル毎分))の線速度を用い、各充填済みモールドアセンブリーを、UV光下に3回通過させた。通過と通過の間、モールドを裏返して、反対側の面をUV光源に曝露した。前記重合性組成物をUV照射に曝露した後、ディスク形状のレンズをモールドアセンブリーから回収し、次いで100℃で1時間加熱した。そして、そのレンズを物理的特性の測定に使用した。
パート3
物理的特性の測定
【0264】
以下の手順を前記重合物の特性を評価するために使用した。結果を表3に示す。
フィッシャー微小硬度
【0265】
マイクロ押込み硬さ(マルテンス硬さ(ISO 14577-07)とも呼ばれる)を、Fischerscope H-100SMC(Fischer Technology,Incから入手可能)を使用して測定した。(±)3N/mmの範囲内の前記重合物のフィッシャー微小硬度(または「フィッシャー硬度」)を、荷重300mNで、15秒間に0mN~300mNの荷重を付与して測定した。一般に、レンズの度の保持性を改善するために、および/または光学材料加工中の歪みに対する耐性を改善するために、より高いフィッシャー微小硬度が望まれる。
E’貯蔵弾性率
【0266】
動的機械分析DMAを、ASTM D5023「プラスチックのための標準試験方法.動的機械特性:たわみ(3点曲げ)」に従って、Perkin Elmer Diamond DMA分析装置を使用して実施した。貯蔵弾性率は、3.5mmの厚さのサンプルについて、25℃、75℃、または95℃において、「DMA E’貯蔵弾性率」として報告された。一般に、レンズの度の保持性を改善するために、および/または光学材料加工中の歪みに対する耐性を改善するために、より高いE’貯蔵弾性率が望まれる。
屈折率およびアッベ数
【0267】
屈折率およびアッベ数は、ASTM C1648に従って、Metriconモデル2010Mプリズムカプラーを使用して測定された。屈折率は、20℃、波長546.07nm(すなわち、水銀のe線)で測定され、n 20として報告される。アッベ数Vは、式1、
【化30】
(式中、n、n、およびnは、それぞれフラウンホーファー線のスペクトルD、F、およびC線の波長、すなわち、589.3nm、486.1nm、および656.3nmにおける、物質の屈折率である)
に従って算出した。アッベ数は、「Abbe」として報告された。
【0268】
より高い屈折率は、所定の処方について、より薄く、より外見的に魅力的なレンズを使用する余地があり得るため、一般的に有利である。より高いアッベ数は、光学レンズのエンドユーザーに対して、より明瞭でより歪みの少ないイメージをもたらし得るため、一般的に有利である。
【表3】
パート4
GPC分子量分布分析
【0269】
実施例3の(メタ)アクリロイル-末端モノマーとオリゴマーの組み合わせの分子量を、Waters 2414屈折率検出器、2本のPL gel 5μm(マイクロメートル)MIXED-C 300×7.5mmカラム、およびPerkinElmer TotalChrom C/Sクロマトグラフィーデータシステムを装備したWaters 2695液体クロマトグラフィー(LC)機器を使用して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて決定した。サンプルはテトラヒドロフラン(THF)溶液として調製し、移動相はTHF(均一濃度)からなり、流速は1.0mL/分(ミリリットル/分)であり、カラム温度は35℃であった。ピーク分子量(M)範囲が1,000~1,200,000Da(ダルトン)の8種のポリスチレン標準を使用した。結果を表4および図1に示す(RTは保持時間(分)、Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量、およびMw/Mnは多分散指数である)。図1はGPCクロマトグラムであり、相対ピーク強度は、時間(分)の関数である。
【0270】
ピーク分子量が240Daである18.03分のGPCピークは、ビス(2-メタクリロイルチオエチル)スルフィドに対応する。ピーク分子量が539Daである17.93分のより幅が広いGPCピークは、図2に示す合成スキームに記載されているように、4-メタクリロイルチオメチル-3,6-ジチア-1,8-ビス(メタクリロイルチオ)オクタンに加えて、オリゴマー性の副生成物が存在していることを示す。
【表4】
【0271】
最後に、本明細書に開示されている実施形態の実施には、代替的な方法が存在することに留意すべきである。よって、本実施形態は、例示的であると考えるべきであり、限定的であると考えるべきではない。さらに、特許請求の範囲は、本明細書に記載されている詳細によって限定されるべきではなく、その範囲全体およびその等価物に権利が与えられるものである。
図1
図2
【国際調査報告】