(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(54)【発明の名称】非24時間型睡眠覚醒障害の処置のためのガボキサドールの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/437 20060101AFI20220203BHJP
A61K 31/4045 20060101ALI20220203BHJP
A61K 31/343 20060101ALI20220203BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20220203BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220203BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20220203BHJP
A61P 1/12 20060101ALI20220203BHJP
A61P 1/08 20060101ALI20220203BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20220203BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220203BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220203BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220203BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20220203BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20220203BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20220203BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20220203BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A61K31/437
A61K31/4045
A61K31/343
A61P25/20
A61P25/28
A61P25/24
A61P1/12
A61P1/08
A61P17/14
A61P29/00
A61P17/00
A61P19/02
A61P15/00
A61P21/00
A61P3/04
A61P25/18
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534725
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(85)【翻訳文提出日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 US2019066817
(87)【国際公開番号】W WO2020131856
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516365758
【氏名又は名称】オービッド・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ovid Therapeutics Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】デューリング,マシュー
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA06
4C086BC13
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA06
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA14
4C086ZA15
4C086ZA18
4C086ZA22
4C086ZA71
4C086ZA72
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZA94
4C086ZA96
(57)【要約】
ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を使用する非24時間睡眠覚醒障害の処置が提供される。非24時間睡眠覚醒障害の1つ以上の症状を改善するために使用され得る医薬組成物が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを投与することを含む方法。
【請求項2】
患者において非24時間睡眠覚醒障害の1つ以上の症状の改善をもたらす、請求項1記載の方法。
【請求項3】
改善が、投与後少なくとも6時間にわたってもたらされる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
患者が、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約1mg~約15mgを含んでいる組成物を投与される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与から6時間後の患者のインビボ血漿プロファイルが50%超減少する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与から6時間後の患者のAUC
6-12が、投与された用量の75%未満である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
不規則な睡眠パターン、不規則な概日リズム、不眠症、失行、例えば観念失行、観念運動失行、運動失行、四肢失行、発語失行、認知機能不全、集中力低下、錯乱、抑うつ気分、下痢、嘔気、疲労、脱毛症、頭痛、平衡障害、光線過敏症、関節痛、筋肉協調運動の喪失(運動失調)、月経不順、筋痛、自殺念慮、体重増加および幻覚からなる群から選択される少なくとも1つの症状の改善をもたらす、請求項1記載の方法。
【請求項8】
組成物が、6時間超にわたって患者において改善をもたらす、請求項3記載の方法。
【請求項9】
組成物が、少なくとも12時間にわたって患者において改善をもたらす、請求項3記載の方法。
【請求項10】
さらに患者にメラトニンまたはタシメルテオンを投与することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法であり、約400ng/ml未満のC
maxを含むインビボ血漿プロファイルをもたらす、方法。
【請求項12】
非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法であり、約900ng・時/ml未満のAUC
6-12を含むインビボ血漿プロファイルをもたらす、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年12月17日に出願された米国仮出願第62/780,382号(出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)の利益および優先権を主張する。
【0002】
技術分野
非24時間型睡眠覚醒障害の処置。
【背景技術】
【0003】
非24時間睡眠覚醒障害(非24)は、概日リズムの正常な24時間同調に影響を及ぼす障害である。非24時間睡眠覚醒障害はまた過長日症候群(hypernychthemeral syndrome)としても知られている。非24時間睡眠覚醒障害を持つ人は、24時間の昼夜サイクルと同調しない概日リズムを有する。米国国立衛生研究所の遺伝性および希少疾患情報センター(National Institutes of Health, Genetic and Rare Diseases Information Center)によると、非24時間睡眠覚醒障害とは、正常な生活状況下の人において入眠時間および覚醒時間が1~2時間遅延するという定常パターンをいう。これは、その人の睡眠-覚醒サイクルの期間が24時間よりも長いために生じる。この状態は、明暗サイクルの感覚障害のために視覚障害者に最も一般的に見られる。しかしながら、非24時間睡眠覚醒障害はまた晴眼者にも見られる。非24時間睡眠覚醒障害は、正常機能に悪影響を及ぼし得る。例えば、この障害を持つ人は、体内時計がシフトして昼間に眠くなり、夜間に不眠になることがあるため、通常のスケジュールを守るのが難しいと感じ得る。非24時間睡眠覚醒障害の処置は、就寝前のメラトニン投与を含み得る。米国食品医薬品局(FDA)は、視覚障害者の非24時間睡眠覚醒障害の処置のためにメラトニンアゴニストであるタシメルテオンを承認している。光線療法も非24時間睡眠覚醒障害の処置に利用されている。
【0004】
ガボキサドール(4,5,6,7-テトラヒドロイソオキサゾロ[5,4-c]ピリジン-3-オール)(THIP))は、特許文献1、ならびに特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5および特許文献6に記載されている。ガボキサドールは、δサブユニット含有GABAA受容体を優先する選択的GABAA受容体アゴニストである。1980年代初頭、ガボキサドールは、鎮痛薬および抗不安薬としての有効性ならびに遅発性ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病および痙攣の処置をテストする一連のパイロット研究の対象であった。1990年代に、ガボキサドールは不眠症の処置のための後期開発段階に移行した。該化合物が3か月有効性試験において入眠および睡眠維持に有意な効果を示さなかった後、該開発は中止された。また、ガボキサドールを投与された薬物乱用歴のある患者は精神医学的有害事象が急激に増加した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第0000338号
【特許文献2】欧州特許第0840601号
【特許文献3】米国特許第4,278,676号
【特許文献4】米国特許第4,362,731号
【特許文献5】米国特許第4,353,910号
【特許文献6】国際公開第2005/094820号
【発明の概要】
【0006】
非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法が提供される。非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与して非24時間睡眠覚醒障害の1つ以上の症状の改善をもたらすことを含む。本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、また、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、該方法は患者の翌日機能の改善をもたらすものである。本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、また、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、該方法は、患者への投与後4時間超、6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超、または24時間超、またはそれ以上の時間超にわたって患者の改善をもたらすものである。本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、また、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、該方法は、患者への投与後少なくとも4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、または24時間、またはそれ以上の時間にわたって患者の改善をもたらすものである。ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物が非24時間睡眠覚醒障害の処置における使用のために提供される。非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む。実施態様では、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与して、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与後1日で患者に非24時間睡眠覚醒障害の症状の改善をもたらすことを含む。
【0007】
本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを投与することを含み、該方法は非24時間睡眠覚醒障害の改善をもたらすものである。本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを含む組成物を投与することを含み、該組成物は非24時間睡眠覚醒障害の改善をもたらすものである。本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを投与することを含み、該方法は非24時間睡眠覚醒障害の1つ以上の症状の改善をもたらす。本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを含む組成物を投与することを含み、該組成物は非24時間睡眠覚醒障害の1つ以上の症状の改善をもたらすものである。本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを投与することを含み、該方法は翌日の非24時間睡眠覚醒障害の改善をもたらすものである。本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを含む組成物を投与することを含み、該組成物は翌日の非24時間睡眠覚醒障害の改善をもたらすものである。本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを投与することを含み、該方法は、患者への投与後6時間以上にわたって患者の改善をもたらすものである。本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを含む組成物を投与することを含み、該組成物は、患者への投与後6時間以上にわたって患者の改善をもたらすものである。本明細書には、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法であり、該方法が約400ng/ml未満のCmaxを含むインビボ血漿プロファイルをもたらすものであり、該方法がガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与後6時間以上にわたって患者の改善をもたらすものである、該方法が記載されている。本明細書には、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が約400ng/ml未満のCmaxを含むインビボ血漿プロファイルをもたらすものであり、該方法がガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与後6時間以上にわたって患者の改善をもたらすものである、該方法が記載されている。本明細書には、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法であり、該方法が約900ng・時/ml未満のAUC6-12を含むインビボ血漿プロファイルをもたらすものであり、該方法がガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与後6時間以上にわたって患者の改善をもたらすものである、該方法が記載されている。本明細書には、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が約900ng・時/ml未満のAUC6-12を含むインビボ血漿プロファイルをもたらすものであり、該方法がガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与後6時間以上にわたって患者の改善をもたらすものである、該方法が記載されている。本明細書には、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第1の医薬組成物と、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第2の医薬組成物を投与することを含む方法であり、第2の医薬組成物が第1の医薬組成物よりも少なくとも20%低い平均AUC0-∞を有するインビボ血漿プロファイルをもたらすものである、該方法が記載されている。本明細書には、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgをメラトニンまたはメラトニンアゴニストと組み合わせて投与することを含む方法であり、該方法が非24時間睡眠覚醒障害の改善をもたらすものである、該方法が記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、6時間から12時間の間の変化を示す水平線Δを付した、実施例1に記載の単回経口投与(2.5、5、10、15および20mg)後のガボキサドールの算術平均血漿中濃度時間プロファイルを示す。
【
図2】
図2は、実施例1に記載の単回経口投与(2.5、5、10、15および20mg)後のガボキサドールの算術平均血漿中濃度時間プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
本明細書には、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩で非24時間睡眠覚醒障害(非24)を処置する方法が記載されている。本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、該方法は非24時間睡眠覚醒障害の1つ以上の症状の改善をもたらすものである。本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法はまた、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、該方法は患者の翌日機能の改善をもたらすものである。本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法はまた、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、該方法は患者へのガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与後4時間超、6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超、または24時間超、またはそれ以上の時間超にわたって患者の改善をもたらすものである。本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法はまた、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、該方法は患者へのガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与後少なくとも4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、または24時間、またはそれ以上の時間にわたって患者の改善をもたらすものである。
【0010】
非24時間睡眠覚醒障害の症状としては、不規則な睡眠パターン、不規則な概日リズム、不眠症、失行、例えば観念失行、観念運動失行、運動失行、四肢失行、発語失行、認知機能不全、集中力低下(difficulties concentrating)、錯乱、抑うつ気分、下痢、嘔気、疲労、脱毛症、頭痛、平衡障害、光線過敏症、関節痛、筋肉協調運動の喪失(運動失調)、月経不順、筋痛、自殺念慮、体重増加、および幻覚が挙げられる。
【0011】
多くの医薬品は、治療有効性を達成するために、一定間隔で一定用量として投与される。薬物の作用期間は、その血漿半減期によって反映される。ガボキサドールは、半減期が比較的短い(t1/2=1.5時間)選択的GABAA受容体アゴニストである。有効性は中枢神経系内での十分な曝露に依存することが多いため、半減期が短いCNS薬物の投与には頻繁な維持投与が必要となり得る。
【0012】
本明細書には、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与によって非24時間睡眠覚醒障害を処置する方法が有利に開示されている。実施態様では、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が患者への投与後少なくとも4時間にわたって改善をもたらすものである、該方法が提供される。実施態様では、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が患者への投与後少なくとも6時間にわたって改善をもたらすものである、該方法が提供される。実施態様では、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が患者への投与後6時間以上にわたって改善をもたらすものである、該方法が提供される。
【0013】
本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを投与することを含み、該方法は非24時間睡眠覚醒障害の1つ以上の症状の改善をもたらすものである。本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを投与することを含み、該方法は投与の翌日の非24時間睡眠覚醒障害の改善をもたらすものである。本明細書に記載の非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを投与することを含み、該方法は患者への投与後6時間以上にわたって患者の改善をもたらすものである。本明細書には、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法であり、該方法が約400ng/ml未満のCmaxを含むインビボ血漿プロファイルをもたらすものであり、該方法がガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与後6時間以上にわたって患者の改善をもたらすものである、該方法が記載されている。本明細書には、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法であり、該方法が約900ng・時/ml未満のAUC6-12を含むインビボ血漿プロファイルをもたらすものであり、該方法がガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与後6時間以上にわたって患者の改善をもたらすものである、該方法が記載されている。本明細書には、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第1の医薬組成物と、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第2の医薬組成物を投与することを含む方法であり、該第2の医薬組成物が第1の医薬組成物よりも少なくとも20%低い平均AUC0-∞を含むインビボ血漿プロファイルをもたらすものである、該方法が記載されている。
【0014】
本明細書に記載の実施態様は、それを必要とする患者がガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与されることを提供する。ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩は、酸付加塩、双性イオン水和物、双性イオン無水物、塩酸塩もしくは臭化水素酸塩として、または双性イオン一水和物の形態で提供され得る。酸付加塩としては、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、シュウ酸、ビス-メチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタン-ジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、桂皮酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸またはテオフィリン酢酸の酸付加塩、ならびに、8-ハロテオフィリン、例えば8-ブロモ-テオフィリンが挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な実施態様では、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸または硝酸の酸付加塩が挙げられるがこれらに限定されない無機酸付加塩を使用し得る。
【0015】
実施態様では、ガボキサドールは、ガボキサドール・一水和物として提供される。当業者は、医薬組成物中の活性成分の量が提供されるガボキサドールの形態に依存することを容易に理解する。例えば、ガボキサドール5.0mg、10.0mgまたは15.0mgを含む医薬組成物は、ガボキサドール・一水和物5.6mg、11.3mgまたは16.9mgに相当する。
【0016】
実施態様では、ガボキサドールは結晶性であり、例えば、結晶性塩酸塩、結晶性臭化水素酸塩、または結晶性双性イオン一水和物である。実施態様では、ガボキサドールは結晶性一水和物として提供される。
【0017】
薬物動態(PK)、薬力学(PD)、および毒性プロファイルを改善するための医薬品の重水素化は,いくつかのクラスの薬物で以前から実証されている。したがって、重水素濃縮ガボキサドールの使用は、本明細書に記載されている方法および組成物の範囲内で考えられる。当技術分野で知られている合成手順に従って、任意の位置で水素の代わりに重水素を合成的に組み込むことができる。例えば、プロトン-重水素平衡交換を介して、アミンN--Hなどの交換可能なプロトンを有する様々な位置に重水素を組み込むことができる。したがって、当技術分野で知られている方法を介して重水素を選択的または非選択的に組み込んで、重水素濃縮ガボキサドールを提供することができる。Journal of Labeled Compounds and Radiopharmaceuticals 19(5) 689-702 (1982)を参照。
【0018】
重水素濃縮ガボキサドールは、該分子の所定の位置で水素の代わり重水素が組み込まれたパーセンテージによって説明され得る。例えば、所定の位置での重水素濃縮度1%とは、所定のサンプル中の分子の1%がその特定の位置に重水素を含んでいることを意味する。重水素濃縮度は、質量分析および核磁気共鳴分光法などの慣用の分析方法を用いて測定することができる。実施態様では、重水素濃縮ガボキサドールとは、特定の位置が自然に発生する分布を超えて(すなわち、約0.0156%を超えて)重水素濃縮されていることを意味する。実施態様では、重水素濃縮度は、特定の位置での重水素が約1%以上、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約50%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、または約98%以上である。
【0019】
実施態様では、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法は、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0020】
実施態様では、医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩0.1mg~25mg、0.1mg~20mg、0.1mg~15mg、0.5mg~25mg、0.5mg~20mg、0.5~15mg、1mg~25mg、1mg~20mg、1mg~15mg、1.5mg~25mg、1.5mg~20mg、1.5mg~15mg、2mg~25mg、2mg~20mg、2mg~15mg、2.5mg~25mg、2.5mg~20mg、2.5mg~15mg、3mg~25mg、3mg~20mg、3mg~15mgを含む。
【0021】
実施態様では、医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩5mg~20mg、5mg~10mg、4mg~6mg、6mg~8mg、8mg~10mg、10mg~12mg、12mg~14mg、14mg~16mg、16mg~18mg、または18mg~20mgを含む。
【0022】
実施態様では、医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、10.5mg、11mg、12mg、12.5mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、17.5mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mgもしくは30mg、またはこのような用量の倍数である量を含む。実施態様では、医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、15mgまたは20mgを含む。
【0023】
実施態様では、本明細書における医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、坐剤、吸入剤、液剤、懸濁剤または乳剤の剤形で提供され得る。本明細書における医薬組成物(本明細書では、「医薬製剤」または単に「製剤」とも称される)は、剤形を包含する。本明細書における剤形は、単位用量を包含する。実施態様では、後述するように、慣用の製剤および放出調節(modified release)製剤を含む様々な剤形を1日1回以上投与することができる。好適な投与経路、例えば、経口、直腸、経鼻、肺、膣、舌下、桂皮、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内および皮下などの経路を利用することができる。実施態様では、本明細書における医薬組成物は、例えば筋肉内(i.m.)、静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、腹腔内(i.p.)、または髄腔内(i.t.)を含む、非経口投与に適している。本明細書における非経口組成物は、注射、注入または体内への移植による投与のために無菌でなければならず、単回投与容器または複数回投与容器のいずれかに包装されてもよい。非経口組成物は、バッグ、ガラスバイアル、プラスチックバイアル、またはボトルに入っていてもよい。
【0024】
実施態様では、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を約0.005μg/ml~約500μg/mlの濃度で含む、対象体への非経口投与のための液体医薬組成物が提供される。実施態様では、該組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を、例えば約0.005μg/ml~約250μg/ml、約0.005μg/ml~約200μg/ml、約0.005μg/ml~約150μg/ml、約0.005μg/ml~約100μg/ml、または約0.005μg/ml~約50μg/mlの濃度で含む。
【0025】
実施態様では、非経口投与用組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を、例えば約0.05μg/ml~約50μg/ml、約0.1μg/ml~約50μg/ml、約0.05μg/ml~約25μg/ml、約0.05μg/ml~約10μg/ml、約0.05μg/ml~約5μg/ml、または約0.05μg/ml~約1μg/mlの濃度で含む。実施態様では、非経口投与用組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を、例えば約0.05μg/ml~約15μg/ml、約0.5μg/ml~約10μg/ml、約0.5μg/ml~約7μg/ml、約1μg/ml~約10μg/ml、約5μg/ml~約10μg/ml、または約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で含む。実施態様では、非経口投与用医薬組成物は、例えば、約10ml、約20ml、約25ml、約50ml、約100ml、約200ml、約250mlまたは約500mlの総量として製剤化される。
【0026】
実施態様では、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約100mgを含む非経口投与用組成物が提供される。実施態様では、医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を、例えば、およそ、0.1mg~25mg、0.1mg~20mg、0.1mg~15mg、0.5mg~25mg、0.5mg~20mg、0.5~15mg、1mg~25mg、1mg~20mg、1mg~15mg、1.5mg~25mg、1.5mg~20mg、1.5mg~15mg、2mg~25mg、2mg~20mg、2mg~15mg、2.5mg~25mg、2.5mg~20mg、2.5mg~15mg、3mg~25mg、3mg~20mg、3mg~15mg含む。
【0027】
実施態様では、非経口投与用医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を、例えば、およそ、5mg~20mg、5mg~10mg、4mg~6mg、6mg~8mg、8mg~10mg、10mg~12mg、12mg~14mg、14mg~16mg、16mg~18mg、または18mg~20mg含む。実施態様では、非経口投与用医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を、例えば、約0.1mg、約0.25mg、約0.5mg、約1mg、約2.5mg、約3mg、約4mg、約5mg、約7mg、約7.5mg、約10mg、約12.5mg、約15mg、約17.5mg、約20mg、またはこのような用量の倍数である量含む。
【0028】
実施態様では、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩が約1.0M未満のモル濃度で存在する、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む非経口投与用医薬組成物が提供される。実施態様では、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩は、例えば、約0.0001M超、約0.001M超、約0.01M超、約0.1M超、約0.2M超、約0.5超、約1.0M超、約1.2M超、約1.5M超、約1.75M超、約2.0M超または約2.5M超のモル濃度で存在する。実施態様では、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩は、例えば、約0.00001M~約0.1M、約0.01~約0.1M、約0.1M~約1.0M、約1.0M~約5.0M、または約5.0M~約10.0Mのモル濃度で存在する。実施態様では、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩は、例えば、約0.01M未満、約0.1M未満、約1.0M未満、約5.0M未満または約10.0M未満のモル濃度で存在する。
【0029】
実施態様では、非経口投与用組成物中におけるガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の溶解度は、例えば25℃の水中で測定した場合、例えば、約10mg/mL超、約15mg/mL超、約20mg/mL超、約25mg/mL超、約30mg/mL超、約40mg/mL超、約50mg/mL超、約75mg/mL超、約100mg/mL超、約150mg/mL超である。
【0030】
実施態様では、非経口投与用組成物中におけるガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の溶解度は、例えば25℃の水中で測定した場合、例えば、約1mg/mL~約50mg/mL、約5mg/mL~約50mg/mL、約10mg/mL~約50mg/mL、約20mg/mL~約50mg/ml、約20mg/mL~約30mg/mL、または約10mg/mL~約45mg/mLである。
【0031】
実施態様では、少なくとも6か月間安定である非経口投与用医薬組成物が提供される。実施態様では、本明細書における医薬組成物は、例えば3か月後または6か月後に、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の減少が約5%以下であることを示す。実施態様では、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の分解の量は、例えば、約2.5%以下、約1%以下、約0.5%以下または約0.1%以下である。実施態様では、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の分解は、少なくとも6か月間、例えば、約5%未満、約2.5%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.25%未満、約0.1%未満である。
【0032】
実施態様では、可溶性のままである非経口投与用医薬組成物が提供される。実施態様では、安定で、可溶性で、局所部位適合性で、および/または、すぐに使用できる医薬組成物が提供される。実施態様では、本明細書における医薬組成物は、それを必要とする患者に直接投与するためにすぐに使用できる。
【0033】
本明細書における非経口組成物は、1種類以上の賦形剤、例えば、溶媒、溶解度向上剤、懸濁化剤、緩衝剤、等張化剤(isotonicity agent)、安定化剤または抗菌性保存剤(antimicrobial preservative)を含み得る。非経口組成物の賦形剤は、使用される場合、該組成物に使用されるガボキサドールまたは薬学的に許容される塩の安定性、バイオアベイラビリティ、安全性、および/または有効性に悪影響を及ぼさない。したがって、剤形の成分のいずれの間にも不適合性がない非経口組成物が提供される。
【0034】
したがって、実施態様では、安定化量の少なくとも1種類の賦形剤を含むガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の非経口組成物が提供される。例えば、賦形剤は、緩衝剤、可溶化剤、等張化剤(tonicity agent)、抗酸化剤、キレート剤、抗菌剤、保存剤およびそれらの組み合わせから選択され得る。当業者であれば、賦形剤が1つ以上の機能を有することができ、1つ以上の定義されたグループに分類され得ることを理解できる。
【0035】
実施態様では、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩と、安定化量の緩衝剤を含む賦形剤とを含む非経口投与用医薬組成物が提供される。実施態様では、緩衝剤は、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、グルタミン酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、重炭酸緩衝剤およびそれらの組み合わせであり得る。例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム無水物(trisodium citrate anhydrous)、クエン酸二ナトリウム・二水和物、脱水クエン酸ナトリウム(sodium citrate dehydrate)、トリエタノールアミン(TRIS)、クエン酸三ナトリウム・五水和物・二水和物(trisodium citrate pentahydrate dihydrate)(すなわち、脱水クエン酸三ナトリウム(trisodium citrate dehydrate))、酢酸、クエン酸、グルタミン酸、リン酸を緩衝剤として使用することができる。実施態様では、緩衝剤は、アミノ酸緩衝剤、アルカリ金属緩衝剤またはアルカリ土類金属緩衝剤であり得る。例えば、緩衝剤は、酢酸ナトリウムまたはリン酸水素ナトリウムであり得る。実施態様では、本明細書において、pHが約4.0~約8.0である、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の非経口組成物が提供される。実施態様では、組成物のpHは、例えば、約5.0~約8.0、約6.0~約8.0、約6.5~約8.0である。実施態様では、組成物のpHは、例えば、約6.5~約7.5、約7.0~約7.8、約7.2~約7.8、または約7.3~約7.6である。実施態様では、ガボキサドールの水溶液のpHは、例えば、約6.8、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.7、約7.8、約8.0、約8.2、約8.4、または約8.6である。
【0036】
実施態様では、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩と、可溶化剤を含む賦形剤とを含む非経口投与用医薬組成物が提供される。例えば、本発明による可溶化剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、L-リジン、L-アルギニン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、および/またはリン酸カリウムを挙げることができる。実施態様では、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩と、粒子形成阻害剤(particulate formation inhibitor)を含む賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。粒子形成阻害剤とは、非経口組成物における粒子の形成を阻害するという望ましい性質を有する化合物をいう。本発明の粒子形成阻害剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩、例えば、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム塩(好ましくは水和物として);エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム塩(好ましくは水和物として);エチレンジアミン四酢酸二カリウム塩(好ましくは二水和物として);エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(好ましくは二水和物として、必要に応じて、無水物形態として);エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩(好ましくは水和物として);エチレンジアミン四酢酸三カリウム塩(好ましくは二水和物として);エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム塩(好ましくは水和物として)およびエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩USP(好ましくは二水和物として)が挙げられる。
【0037】
実施態様では、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩と、可溶化剤を含む賦形剤とを含む非経口投与用医薬組成物が提供される。例えば、可溶化剤としては、酸、例えばカルボン酸、アミノ酸を挙げることができるが、これらに限定されない。他の例では、可溶化剤は、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、脂肪酸、ケト酸、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、α-ヒドロキシ酸、アミノ酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アクリル酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ピルビン酸、安息香酸、サリチル酸、アルダル酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、クエン酸、乳酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プラリネ(praline)、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0038】
実施態様では、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩と、組成物を等張にする賦形剤とを含む非経口投与用医薬組成物が提供される。本明細書における等張性医薬組成物は、適切な量の塩化ナトリウム、グルコース、レブロース、デキストロース、マンニトール、または塩化カリウム、または塩化カルシウム、またはグルコノグルコヘプトン酸カルシウム、またはそれらの混合物を添加することによって達成することができる。実施態様では、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩と、フリーラジカルアンタゴニストを含む賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。実施態様では、フリーラジカルアンタゴニストは、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、少なくとも1つのチオールを有する有機化合物、ポリヒドロキシル化アルキル、およびシクロアルキルポリヒドロキシル化化合物、およびそれらの組み合わせである。
【0039】
実施態様では、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩と、保存剤を含む賦形剤とを含む非経口投与用医薬組成物が提供される。実施態様では、保存剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、クロロクレゾール、メタクレゾール、フェノール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、およびチメロサールから選択される。他の実施態様では、保存剤は、フェノール、メタクレゾール、ベンジルアルコール、パラベン(例えば、メチル、プロピル、ブチル)、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、フェニル水銀塩(例えば、酢酸の塩、ホウ酸の塩または硝酸の塩)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0040】
本明細書における非経口組成物は、投与されると、ヒト患者におけるガボキサドールの最大血漿中濃度到達時間(a time of maximum plasma concentration)(Tmax)が約1時間以上(例えば、約1.5時間以上)となる。実施態様では、ヒト患者におけるガボキサドールのTmaxは、例えば、約1~約5時間、約1~約4時間、約1~約3時間、約1~約2時間の範囲である。実施態様では、ヒト患者におけるガボキサドールのTmaxが約1.5を超えることが観察される。実施態様では、ヒト患者におけるガボキサドールのTmaxが約3時間未満であることが観察される。注入が完了したらすぐに最大血漿中濃度到達時間を測定する。
【0041】
本明細書における実施態様では、剤形は、ガボキサドール約1mg~約500mgを含み、該剤形の非経口投与(例えば、筋肉内、静脈内、皮下、腹腔内、または髄腔内)により、約25ng・時/mlを超える平均AUC0-∞を含むガボキサドールのインビボ血漿プロファイルが得られる。実施態様では、該剤形の単回投与により、例えば、約50ng・時/ml超、約75ng・時/ml超、約150ng・時/ml超、約250ng・時/ml超、約500ng・時/ml超、約1000ng・時/ml超、または約1500ng・時/ml超の平均AUC0-∞を含むガボキサドールのインビボ血漿プロファイルが得られる。
【0042】
実施態様では、非経口投与用の剤形は、ガボキサドール約1mg~約500mgを含み、該剤形の投与により、約10000ng/ml未満の平均Cmaxを含むガボキサドールのインビボ血漿プロファイルが得られる。実施態様では、非経口投与用組成物の単回投与により、例えば、約5000ng/ml未満、約2500ng/ml未満、約1000ng/ml未満、約500ng/ml未満、約250ng/ml未満、または約100ng/ml未満の平均Cmaxのガボキサドールのインビボ血漿プロファイルが得られる。
【0043】
実施態様では、非経口投与用医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含んでおり、該非経口投与は、該非経口組成物の投与から約1分~約120分後にTmaxの薬物動態プロファイルを示し;その後、約90分~約360分の間、少なくとも50%Cmaxの血漿中薬物濃度を示す。実施態様では、ガボキサドールの非経口投与の後、例えば、約10分~約60分、約15分~約90分、約30分~約120分、約60分~約180分、約90分~約180分の間、血漿中薬物濃度は少なくとも50%Cmaxである。
【0044】
上記のとおり、本明細書における医薬組成物は、慣用のものでも調節された(modified)ものでもよく、すなわち、慣用の放出プロファイルまたは放出調節プロファイルを有するものである。錠剤またはカプセル剤などの慣用(または非調節)放出型経口剤形は、典型的には、該錠剤またはカプセルシェルが溶解するときに胃または腸に薬物を放出する。放出調節(MR)剤形からの薬物放出パターンは、所望の治療目的および/またはより良い患者コンプライアンスを達成するために、慣用の剤形のパターンから意図的に変更されている。MR製剤の種類としては、即時放出を提供する口内崩壊剤形(ODDF)、持続放出剤形、遅延放出剤形(例えば、腸溶性)、およびパルス放出剤形が挙げられる。実施態様では、異なる薬物放出プロファイルを有する医薬組成物を組み合わせて、2相または3相放出プロファイルを作成し得る。例えば、医薬組成物は、即時放出プロファイルおよび持続放出プロファイルを有し得る。実施態様では、医薬組成物は、持続放出プロファイルおよび遅延放出プロファイルを有し得る。このような組成物は、パルス製剤、多層錠、または錠剤、ビーズ、顆粒などを含むカプセル剤として提供され得る。組成物は、安全で効果的であると考えられる物質で構成される薬学的に許容される「担体」を使用して調製され得る。「担体」には、医薬製剤中に存在する活性成分以外の全ての成分が含まれる。用語「担体」としては、希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、充填剤およびコーティング組成物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0045】
ODDFは、舌の上に置くと、急速に、通常数秒以内に崩壊する医薬用物質または活性成分を含有する固体剤形である。ODDFの崩壊時間は一般的に1~2秒から約1分の範囲である。ODDFは、唾液と接触すると急速に崩壊または溶解するように設計されている。この投与モードは、身体的な虚弱質によるものであれ、精神的性質によるものであれ、錠剤をのみ込むのに問題があり得る人々にとって有益であり得る。実施態様では、口腔内に投与されると、本明細書におけるODDFは、1分未満、55秒未満、50秒未満、45秒未満、40秒未満、35秒未満、30秒未満、25秒未満、20秒未満、15秒未満、10秒未満、または5秒未満で崩壊する。
【0046】
口内崩壊錠(ODT)は、舌の上に置くと、急速に、通常数秒以内に崩壊する医薬用物質または活性成分を含有する固体剤形である。ODTの崩壊時間は一般的に数秒から約1分の範囲です。ODTは、唾液と接触すると急速に崩壊または溶解するように設計されており、したがって、錠剤を噛んだり、無傷の錠剤をのみ込んだり、または錠剤を液体と一緒に服用したりする必要がなくなる。実施態様では、本明細書におけるODTは、例えばsection 701, Revision Bulletin Official August 1, 2008に記載されている米国薬局方(USP)崩壊試験法に基いて、1分未満、55秒未満、50秒未満、45秒未満、40秒未満、35秒未満、30秒未満、25秒未満、20秒未満、15秒未満、10秒未満、5秒未満で崩壊する。
【0047】
本明細書で使用され得る他のODDFは、口腔への投与のすぐ後にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩などの薬物を放出する薄い口腔ストリップである速溶性フィルム剤を含む。該フィルム剤は、患者の舌または他の粘膜表面に置かれ、瞬時に唾液によって濡れ、その後、該フィルム剤は急速に水和化し、溶解して薬物を放出する。例えば、Chaturvedi et al., Curr Drug Deliv. 2011 Jul;8(4):373-80を参照。ファストカップ(fastcap)剤は、ゼラチンカプセルをベースとした急速崩壊薬物である。フリーズドライ(凍結乾燥)オブラート剤(wafer)は、薬物を含む急速に崩壊する薄いマトリックスである。該オブラート剤またはフィルム剤は、口腔内で急速に崩壊し、唾液に溶解または分散する薬物を放出する。例えば、Boateng et al., Int J Pharm. 2010 Apr 15;389(1-2):24-31を参照。当業者は、フリーズドライ、スプレー乾燥、相転移処理、溶融造粒、昇華、大量押出、綿菓子処理(cotton candy processing)、直接圧縮などのODDFを製造するために利用される様々な技術に精通している。
【0048】
投与されると、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を単独でまたは本明細書で論じられる1種類以上のさらなる薬物、例えばメラトニンまたはタシメルテオンと組み合わせて含有するODDF(本明細書では総称して「薬物」または「活性薬物」と称する)は、急速に崩壊して、唾液に溶解または分散する薬物を放出する。薬物は、唾液が下に移動するにつれて、口腔内で、例えば舌下で、頬側で、咽頭および食道から、または胃腸管の他の部位から吸収され得る。このような場合、バイオアベイラビリティは、薬物が放出され得る胃または腸に移動する慣用の錠剤剤形から観察されるものよりも有意に高くなり得る。
【0049】
実施態様では、放出調節プロファイルを有する医薬組成物は、急速な作用開始と作用期間の持続の両方をもたらす薬物動態特性を提供する。このような医薬組成物は、即時放出態様および持続放出態様を含み得る。即時放出態様は、ODDFと関連付けて上記で説明されている。持続放出剤形(ERDF)は、持続放出プロファイルを有しており、慣用の剤形、例えば液剤または非放出調節剤形によって示される投与頻度と比較して、投与頻度の低減を可能にする剤形である。ERDFは、薬物の作用期間の持続を提供する。実施態様では、本明細書における放出調節剤形は、ODDF態様を有しないERDFであり得る。実施態様では、本明細書における放出調節剤形は、負荷用量の即時放出を提供するためにODDF態様を組み込み、その上、薬物の単回投与により生じる活性を超える望ましい期間望ましい治療範囲内の血中薬物レベルを維持するための長期送達を提供するERDF態様を組み込んでいる。実施態様では、ODDF態様が薬物を直ちに放出し、その後、ERDF態様が作用持続のために薬物の連続的な放出を提供する。
【0050】
実施態様では、ODDFは、ERDF上のコーティングもしくはバンドとして、またはERDFに隣接する層として適用することができて、口腔へのODDFの直接曝露を可能し、その結果としてODDFの崩壊を可能にすることができる。実施態様では、ODDFおよびERDFは、チュアブル樹脂、例えばガムと混合物ことができる。当業者は、医薬剤形を製造するためにコーティング、バンドおよび層を適用するための技術に精通している。
【0051】
持続放出プロファイルを提供する好適な製剤は、当該技術分野で周知である。例えば、例えばガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を単独でまたは1種類以上の薬物と組み合わせて、ビーズ、例えば製菓用ノンパレイユビーズに適用し、次いで、ワックス、腸溶コーティングおよび類似のものなどの慣用の放出遅延化物質で塗布した、コーティングされた徐放性ビーズまたは顆粒(本明細書において、本明細書において、「ビーズ」と「顆粒」とは意味を区別せずに使用される)。実施態様では、あるビーズは1種類の薬物を組み込んでいるが、他のビーズは異なるビーズを組み込んでいる。実施態様では、1種類以上の薬物と、該薬物が浸出する塊を提供するための物質とを混合したビーズが形成され得る。実施態様では、該ビーズは、種々の物質などを用いて、コーティングまたは塊の特性、例えば厚さ、多孔性などを変化させることにより、異なる放出速度を提供するように設計することができる。異なる放出速度を有するビーズを単一剤形に配合して、可変的放出または連続的な放出を提供することができる。ビーズは、カプセル剤に含まれ得るか、または錠剤に圧縮され得る。実施態様では、ODDFは、コーティング、層またはバンドとしてカプセル剤または錠剤に適用される。実施態様では、錠剤またはカプセル剤に組み込まれている徐放性コアもまた持続放出プロファイルを提供することができる。例えば、1種類以上の薬物が、胃腸管から吸収されないが浸出による薬物の溶出または喪失を遅らせることができる物質またはそのような物質の混合物、および、例えば圧縮またはスプレーにより、コアに適用される外側の薬物含有ODDF層に混合され得る。実施態様では、持続放出プロファイルは、各層が異なる放出特性を有する多層錠によって提供され得る。多層打錠機は、1種類以上の薬物を異なる速度で放出するように製造され得る2つ以上の別々の層の1つの錠剤への組み込みを可能にする。例えば、1つ以上の外層はODDFであり得、他の各層は異なる放出速度を示すERDFであり得る。実施態様では、1種類以上の薬物が、持続放出プロファイルを提供する多孔性不活性担体に組み込まれる。実施態様では、多孔性不活性担体は、薬物が周囲の液体に拡散するチャネルまたは通路を組み込んでいる。実施態様では、1種類以上の薬物は持続放出プロファイルを提供するためにイオン交換樹脂に組み込まれている。長期作用は、薬物-樹脂複合体が消化液およびそこに溶解しているイオン成分と接触したときに、樹脂から薬物が所定の速度で放出されることにより生じ得る。実施態様では、薬物含有リザーバーからの放出速度を制御するために膜が利用される。実施態様では、持続放出プロファイルを提供するために液体製剤もまた利用され得る。例えば、粒子が溶けない液相全体に分散した固体粒子からなる液体製剤。懸濁剤は、慣用の剤形として(例えば、液剤、または即時に薬物を放出する慣用の固体剤形として)提供される薬物と比較して、少なくとも投与頻度の減少を可能にするように製剤化される。例えば、イオン交換樹脂成分またはマイクロビーズの懸濁剤。
【0052】
実施態様では、ERDFを形成するために吸収性または非吸収性ポリマーを利用することができる。上記のERDFおよび本明細書で利用可能であり得るERDFを含む種々のERDFは当業者に知られている。例えば、Fu and Kao, Expert Opin Drug Deliv. 2010 Apr; 7(4): 429-444を参照。
【0053】
実施態様では、本明細書における調節された剤形は、遅延放出プロファイルを有する遅延放出剤形を組み込んでいる。遅延放出剤形は、遅延放出錠剤または遅延放出カプセル剤を含み得る。遅延放出錠剤は、投与直後以外の時点でガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩などの薬物を放出する固体剤形である。遅延放出カプセル剤は、好適な形態のゼラチンで製造したハードまたはソフト可溶性容器に薬物が封入されており、投与直後以外の時点で薬物を放出する固体剤形である。例えば、錠剤またはカプセル剤に関して、腸溶コーティングを施したものが遅延放出剤形の一例である。実施態様では、遅延放出錠剤は、投与直後以外の時点で薬物を放出する医薬用粒子の集合体を含有する固体剤形である。実施態様では、医薬用粒子の集合体は、薬物の放出を遅延させるコーティングで被覆される。実施態様では、遅延放出カプセル剤は、投与直後以外の時点で薬物を放出する医薬用粒子の集合体を含有する固体剤形である。実施態様では、医薬用粒子の集合体は、薬物の放出を遅延させるコーティングで被覆される。
【0054】
実施態様では、舌の上に置くと、急速に、通常数秒以内に崩壊するが、投与直後以外の時点で薬物を放出する、医薬用物質を含有する固体剤形である遅延放出製剤態様を有するODDFが提供される。したがって、実施態様では、本明細書における放出調節剤形は、負荷用量の即時放出を提供するためにODDF態様を組み込み、その上、薬物送達がない期間に続いて、薬物の単回投与により生じる活性を超える望ましい期間望ましい治療範囲内の血中薬物レベルを提供するための薬物送達期間を提供する遅延放出製剤態様を組み込む。実施態様では、ODDF態様が薬物を即時に放出し、次いで、遅延期間の後、遅延放出製剤態様が、その後、薬物を単回放出してさらなる活性期間を提供する。実施態様では、ODDF態様が薬物を即時に放出し、次いで、遅延期間の後、遅延放出製剤態様が、その後、持続的な作用のための薬物の継続的な放出を提供する。実施態様では、異なる薬物が一緒にまたは異なる時点で放出される。
【0055】
遅延放出剤形は当業者に知られている。例えば、例えばガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩および/または他の薬物をビーズ、例えば製菓用ノンパレイユビーズに適用し、次いで、ワックス、腸溶コーティングおよび類似のものなどの慣用の放出遅延化物質で塗布した、コーティングされた遅延放出ビーズまたは顆粒(本明細書において、「ビーズ」と「顆粒」とは意味を区別せずに使用される)。実施態様では、薬物と、該薬物が浸出する塊を提供するための物質とを混合したビーズが形成され得る。実施態様では、該ビーズは、種々の物質などを用いて、コーティングまたは塊の特性、例えば厚さ、多孔性などを変化させることにより、異なる放出速度を提供するように設計することができる。実施態様では、薬物の腸溶性顆粒は、小腸において該顆粒を放出する腸溶コーティングされたカプセル剤または錠剤に含有され得る。実施態様では、該顆粒は、少なくとも回腸に到達するまで無傷のままであり、その後、結腸で薬物の遅延放出をもたらす、コーティングを有する。実施態様では、剤形全体を腸溶コーティングすることができ、例えば、腸溶性錠剤またはカプセル剤。好適な腸溶コーティング物質は、当該技術分野で周知であり、例えば、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルポリマーおよびその他のものなどのオイドラギット(登録商標)コーティング。顆粒は、カプセルに入れられ得るかまたは錠剤に圧縮され得る。実施態様では、ODDFは、コーティング、層またはバンドとしてカプセル剤または錠剤に適用される。実施態様では、錠剤またはカプセル剤に組み込まれている遅延放出コアもまた遅延放出プロファイルを提供することができる。例えば、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩は、胃腸管から吸収されないが浸出による薬物の溶出または喪失を遅らせることができる物質またはそのような物質の混合物、および、例えば圧縮またはスプレーにより、コアに適用される外側のODDF層に混合され得る。実施態様では、遅延放出プロファイルは、各層が異なる放出特性を有する多層錠によって提供され得る。多層打錠機は、遅延期間の後に薬物を異なる速度で放出するように製造され得る2つ以上の別々の層の1つの錠剤への組み込みを可能にする。例えば、1つ以上の外層はODDFであり得、他の各層は異なる放出速度を示す遅延放出剤形であり得る。実施態様では、薬物が、遅延放出プロファイルを提供する多孔性不活性担体に組み込まれる。実施態様では、多孔性不活性担体は、薬物が周囲の液体に拡散するチャネルまたは通路を組み込んでいる。実施態様では、薬物は遅延放出プロファイルを提供するためにイオン交換樹脂に組み込まれている。遅延作用は、薬物-樹脂複合体が消化液およびそこに溶解しているイオン成分と接触したときに、樹脂から薬物が所定の速度で放出されることにより生じ得る。実施態様では、薬物含有リザーバーからの放出速度を制御するために膜が利用される。実施態様では、遅延放出プロファイルを提供するために液体製剤もまた利用され得る。例えば、粒子が溶けない液相全体に分散した固体粒子からなる液体製剤。懸濁剤は、慣用の剤形として(例えば、液剤、または即時に薬物を放出する慣用の固体剤形として)提供される薬物と比較して、少なくとも投与頻度の減少を可能にするように製剤化される。例えば、イオン交換樹脂成分またはマイクロビーズの懸濁剤。
【0056】
実施態様では、本明細書における放出調節医薬組成物としては、パルス放出投与製剤(PRDF)が挙げられる。パルス薬物放出は、薬物の最初の放出後の遅延時間後の、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩などの薬物の所定量または離散的な(discrete)量の急速な放出を含む。実施態様では、PRDFは、単回のパルスを提供し得る。実施態様では、PRDFは、経時的に複数回のパルスを提供し得る。種々のPRDFが当業者に知られている。
【0057】
実施態様では、PRDFはカプセルであり得る。実施態様では、遅延時間後の放出は、プラグの放出を引き起こすために浸透圧を使用するシステムによって提供される。このシステムでは、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩は、膨潤または侵食によって押しのけられる浸透圧応答性プラグ、例えばハイドロゲルによって密封された不溶性カプセルシェルに入っている。密封が解かれると、薬物がカプセル本体からパルスとして放出される。消化液または溶解媒体との接触によりプラグが膨潤し、遅延時間後にそれ自体がカプセルから押し出されるかまたはカプセルを破裂させる。プラグの位置および寸法により、遅延時間を制御することができる。薬物の急速な放出のために、発泡剤または崩壊剤を添加することができる。発泡性物質は、圧力の上昇を引き起こすので、プラグの排出を助けたり引き起こしたりし得る。好適なプラグ物質の例は、透過性ポリマー(ポリメタクリレート)、侵食性圧縮ポリマー(HPMC、ポリビニルアルコール)、凝固溶融ポリマー(グリセリルモノオレエート)、およびペクチンなどの酵素的に制御された侵食性ポリマーでコーティングされた膨潤性物質であり得る。実施態様では、不溶性カプセルは、浸透圧活性化プラグによって分離された複数の薬物区画を含む。第1のプラグが環境液に曝露されると、第1のコンパートメントが開き、薬物が放出され、隣接するプラグが曝露される。このプロセスは、密封されたコンパートメントがなくなるまで続く。パルス間の遅延時間は、プラグの厚さおよびプラグを作っている物質の特性を変えることでさらに制御できる。より吸湿性の物質は、より速く液体を吸収し、より速く膨潤する。実施態様では、プラグの代わりに膜を使用することができる。発泡性物質が1つ以上のコンパートメントに含まれている場合、液体は浸透によって膜を通過し、発泡作用および圧力上昇により膜が破裂し、それによって薬物が放出される。実施態様では、膜は侵食性であり、溶解してコンパートメントの内容物を放出する。膜の材料の厚さ、多孔性および特性を変えることにより、パルス間の遅延時間をさらに制御できる。実施態様では、PRDFは錠剤であり得る。実施態様では、単回パルス錠剤は、膨潤性で破裂性のコーティングの1つ以上の層によって囲まれたガガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含油するコアを含む。実施態様では、破裂可能なコーティングが膨潤性層を取り囲む。膨潤性層が膨張すると、破裂性コーティングが破裂し、それによって薬物がコアから放出される。ヒドロゲルなどの膨潤性物質はよく知られている。実施態様では、内側の膨潤層は、超崩壊剤、例えばクロスカルメロースナトリウムを含有することができ、外側の破裂可能な層は、ポリエチレンオキシド、エチルセルロースおよび同類のものなどの高分子多孔性物質で作ることができる。シュークロースの多孔性フィルムコートも好適であり得る。実施態様では、複数回パルス錠剤は、コアを取り囲む複数の層を組み込んでいる。第1の最外層が侵食され、その層内に含まれる薬物を放出すると、下にある層が曝露されるため、所定の遅延時間後に薬物が放出される。このプロセスは、最も内側のコアが曝露されるまで繰り返される。
【0058】
実施態様では、PRDFは、舌の上に置くと、急速に、通常数秒以内に崩壊するが、パルス様式で薬物を放出する、医薬用物質を含有する固体剤形であるODDFを組み込むことができる。したがって、実施態様では、本明細書における放出調節剤形は、負荷用量の即時放出を提供するためにODDF態様を組み込み、薬物送達がない期間(遅延時間)に続いて、薬物の単回投与により生じる活性を超える望ましい期間望ましい治療範囲内の血中薬物レベルを提供するためのパルス薬物送達を提供するPRDF態様を組み込むことができる。実施態様では、ODDF態様が薬物を即時に放出し、次いで、遅延期間の後、PRDF態様が、その後、薬物を単回パルス放出してさらなる活性期間を提供する。実施態様では、ODDF態様が薬物を即時に放出し、次いで、遅延期間の後、PRFD態様が、その後、延長された治療効果のための薬物の複数回パルス放出を提供する。
【0059】
実施態様では、ODDFは、PRDF上でコーティングまたはバンドとして、または、PRDFと隣接する層として提供されて、ODDFの口腔への直接曝露およびその結果としてのODDFの崩壊を可能にする。実施態様では、ODDFおよびPRDFは、チュアブル樹脂、例えばガムに混合され得る。当業者は、医薬剤形を製造するためにコーティング、バンドおよび層を適用するための技術に精通している。
【0060】
実施態様では、放出調節製剤である医薬組成物を含む医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩0.1mg~75mg、0.1mg~70mg、0.1mg~65mg、0.1mg~55mg、0.1mg~50mg、0.1mg~45mg、0.1mg~40mg、0.1mg~35mg、0.1mg~30mg、0.1mg~25mg、0.1mg~20mg、0.1mg~15mg、0.1mg~10mg、0.5mg~75mg、0.5mg~70mg、0.5mg~65mg、0.5mg~55mg、0.5mg~50mg、0.5mg~45mg、0.5mg~40mg、0.5mg~35mg、0.5mg~30mg、0.5mg~25mg、0.5mg~20mg、0.5~15mg、0.5~10mg、1mg~75mg、1mg~70mg、1mg~65mg、1mg~55mg、1mg~50mg、1mg~45mg、1mg~40mg、1mg~35mg、1mg~30mg、1mg~25mg、1mg~20mg、1mg~15mg、1mg~10mg、1.5mg~75mg、1.5mg~70mg、1.5mg~65mg、1.5mg~55mg、1.5mg~50mg、1.5mg~45mg、1.5mg~40mg、1.5mg~35mg、1.5mg~30mg、1.5mg~25mg、1.5mg~20mg、1.5mg~15mg、1.5mg~10mg、2mg~75mg、2mg~70mg、2mg~65mg、2mg~55mg、2mg~50mg、2mg~45mg、2mg~40mg、2mg~35mg、2mg~30mg、2mg~25mg、2mg~20mg、2mg~15mg、2mg~10mg、2.5mg~75mg、2.5mg~70mg、2.5mg~65mg、2.5mg~55mg、2.5mg~50mg、2.5mg~45mg、2.5mg~40mg、2.5mg~35mg、2.5mg~30mg、2.5mg~25mg、2.5mg~20mg、2.5mg~15mg、2.5mg~10mg、3mg~75mg、3mg~70mg、3mg~65mg、3mg~55mg、3mg~50mg、3mg~45mg、3mg~40mg、3mg~35mg、3mg~30mg、3mg~25mg、3mg~20mg、3mg~15mg、3mg~10mg、3.5mg~75mg、3.5mg~70mg、3.5mg~65mg、3.5mg~55mg、3.5mg~50mg、3.5mg~45mg、3.5mg~40mg、3.5mg~35mg、3.5mg~30mg、3.5mg~25mg、3.5mg~20mg、3.5mg~15mg、3.5mg~10mg、4mg~75mg、4mg~70mg、4mg~65mg、4mg~55mg、4mg~50mg、4mg~45mg、4mg~40mg、4mg~35mg、4mg~30mg、4mg~25mg、4mg~20mg、4mg~15mg、4mg~10mg、4.5mg~75mg、4.5mg~70mg、4.5mg~65mg、4.5mg~55mg、4.5mg~50mg、4.5mg~45mg、4.5mg~40mg、4.5mg~35mg、4.5mg~30mg、4.5mg~25mg、4.5mg~20mg、4.5mg~15mg、4.5mg~10mg、5mg~75mg、5mg~70mg、5mg~65mg、5mg~55mg、5mg~50mg、5mg~45mg、5mg~40mg、5mg~35mg、5mg~30mg、5mg~25mg、5mg~20mg、5mg~15mg、または5mg~10mgを含むことができる。
【0061】
実施態様では、医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩5mg~20mg、5mg~10mg、4mg~6mg、6mg~8mg、8mg~10mg、10mg~12mg、12mg~14mg、14mg~16mg、16mg~18mg、または18mg~20mgを含む。
【0062】
実施態様では、医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、7mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mg、17.5mgもしくは20mg、またはこのような用量の倍数である量含む。実施態様では、医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、15mgまたは20mgを含む。
【0063】
実施態様では、ODDFは、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を0.05mg、0.1mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、1.25mg、1.5mg、1.75mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、7mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mg、17.5mgもしくは20mg、またはこのような用量の倍数である量を含む。
【0064】
実施態様では、ERDFは、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約1mg~約100mgを含む。実施態様では、ERDFは、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mgまたは100mgを含む。
【0065】
実施態様では、遅延放出剤形は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約100mgを含む。実施態様では、遅延放出剤形は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩0.05mg、0.1mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、1.25mg、1.5mg、1.75mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mgまたは100mgを含む。
【0066】
実施態様では、PRDFは、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を約0.05mg~約100mg有する1つ以上のパルス提供ドメインを含む。実施態様では、PRDFは、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩0.05mg、0.1mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、1.25mg、1.5mg、1.75mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mgまたは100mgを含む。
【0067】
実施態様では、メラトニンおよび/またはタシメルテオンのそれぞれの1日量を、上記の量および剤形のガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することができる。メラトニンの量は、0.5mg~40mgの範囲であり得、例えば、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mgであり得る。タシメルテオンの量は、0.5mg~40mgの範囲であり得、例えば、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mgであり得る。それぞれの1日量は、一度にまたは分割された用量で投与され得る。実施態様では、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩、メラトニンおよび/またはタシメルテオンは、就寝1時間前から就寝直前までの間に投与し得る。上記の1日投与量の範囲は、本明細書に完全に記載されているかのように、低量と高量の間のすべての整数および整数の10分の1を含むことを理解すべきである。
【0068】
実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、1日に1回、2回もしくは3回、または1日おきに投与され得る。実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、晩に患者に提供される。実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、就寝時に患者に提供される。実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、晩に1回と朝に1回患者に提供される。実施態様では、24時間に対象体に投与されるガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の総量は1mg~50mgである。実施態様では、24時間に対象体に投与されるガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の総量は1mg~30mgである。実施態様では、24時間に対象体に投与されるガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の総量は1mg~20mgである。実施態様では、24時間に対象体に投与されるガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の総量は5mg、10mgまたは15mgである。実施態様では、24時間に対象体に投与されるガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の総量は20mgである。実施態様では、24時間に対象体に投与されるガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の総量は25mgである。
【0069】
実施態様では、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、該組成物が、患者への医薬組成物の投与後4時間超にわたって少なくとも1つの非24時間睡眠覚醒障害症状の改善をもたらす、方法が提供される。実施態様では、本開示に従って、患者への医薬組成物の投与後6時間超にわたって少なくとも1つの非24時間睡眠覚醒障害症状の改善がもたらされる。実施態様では、本開示に従って、患者への医薬組成物の投与後、例えば8時間超、10時間超、12時間超、15時間超、18時間超、20時間超、または24時間超にわたって少なくとも1つの非24時間睡眠覚醒障害症状の改善がもたらされる。実施態様では、本開示に従って、患者への医薬組成物の投与後少なくとも、例えば6時間、8時間、10時間、12時間、15時間、18時間、20時間、または24時間の少なくとも1つの非24時間睡眠覚醒障害症状の改善がもたらされる。実施態様では、本開示に従って、患者への医薬組成物の投与後12時間の少なくとも1つの非24時間睡眠覚醒障害症状の改善がもたらされる。
【0070】
図1は、単回経口投与(2.5、5、10、15および20mg)後のガボキサドールの算術平均血漿中濃度時間プロファイル(下記の実施例1を参照)を示し、水平線Δは6時間~12時間の間の変化を示す。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者に、インビボ血漿プロファイルを提供するガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを投与することを含む方法であり、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与から6時間後の患者のインビボ血漿プロファイルが50%超減少し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者に、インビボ血漿プロファイルを提供するガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを投与することを含む方法であり、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与から6時間後の患者のインビボ血漿プロファイルが55%超減少し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者に、インビボ血漿プロファイルを提供するガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを投与することを含む方法であり、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与から6時間後の患者のインビボ血漿プロファイルが60%超減少し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者に、インビボ血漿プロファイルを提供するガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを投与することを含む方法であり、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与から6時間後の患者のインビボ血漿プロファイルが65%超減少し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者に、インビボ血漿プロファイルを提供するガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを投与することを含む方法であり、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与から6時間後の患者のインビボ血漿プロファイルが70%超減少し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者に、インビボ血漿プロファイルを提供するガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.05mg~約30mgを投与することを含む方法であり、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の投与から6時間後の患者のインビボ血漿プロファイルが75%超減少し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす方法が提供される。
【0071】
実施態様では、本明細書において、医薬組成物の投与から約4時間後の患者内のガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の量が投与された用量の約75%未満である、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法が提供される。実施態様では、本明細書において、医薬組成物の投与から、例えば約6時間後、約8時間後、約10時間後、約12時間後、約15時間後または約20時間後の患者内のガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の量が約75%未満である、方法が提供される。
【0072】
実施態様では、本明細書において、医薬組成物の投与から約4時間後の患者内のガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の量が投与された用量の約80%未満である、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法が提供される。実施態様では、本明細書において、医薬組成物の投与から、例えば約6時間後、約8時間後、約10時間後、約12時間後、約15時間後または約20時間後の患者内のガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の量が投与された用量の約80%未満である、方法が提供される。
【0073】
実施態様では、本明細書において、医薬組成物の投与から約4時間後の患者内のガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の量が投与された用量の約65%~約85%である、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法が提供される。実施態様では、医薬組成物の投与から、例えば約6時間後、約8時間後、約10時間後、約12時間後、約15時間後または約20時間後の患者内のガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の量が投与された用量の約65%~約85%である。
【0074】
実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、投与された用量の75%未満の投与から6時間後のインビボ血漿中濃度を提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、投与された用量の80%未満の投与から6時間後のインビボ血漿中濃度を提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、投与された用量の85%未満投与から6時間後のインビボ血漿中濃度を提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、投与された用量の90%未満の投与から6時間後のインビボ血漿中濃度を提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、投与された用量の95%未満の投与から6時間後のインビボ血漿中濃度を提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、投与された用量の100%未満の投与から6時間後のインビボ血漿中濃度を提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。
【0075】
実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、約500ng/ml未満のCmaxを有するインビボ血漿プロファイルを提供する、方法が提供される。実施態様では、該組成物は、患者への投与後6時間超にわたって改善をもたらす。
【0076】
実施態様では、該組成物は、例えば、約450ng/ml未満、約400ng/ml未満、約350ng/ml未満または約300ng/ml未満のCmaxを有するインビボ血漿プロファイルを提供し、該組成物は、投与後1日で非24時間睡眠覚醒障害の1つ以上の症状の改善をもたらす。実施態様では、該組成物は、例えば、約250ng/ml未満、約200ng/ml未満、約150ng/ml未満または約100ng/mlのCmaxを有するインビボ血漿プロファイルを提供し、該組成物は、投与後1日で非24時間睡眠覚醒障害の1つ以上の症状の改善をもたらす。
【0077】
実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、約900ng・時/ml未満のAUC0-∞を有するインビボ血漿プロファイルを提供する、方法が提供される。実施態様では、該組成物は、投与後1日で非24時間睡眠覚醒障害の1つ以上の症状の改善をもたらす。実施態様では、該組成物は、例えば、約850ng・時/ml未満、約800ng・時/ml未満、約750ng・時/ml未満、または約700ng・時/ml未満のAUC0-∞を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、該組成物は、投与後1日で非24時間睡眠覚醒障害の1つ以上の症状の改善をもたらす。実施態様では、該組成物は、投与後6時間超にわたって1つ以上の非24時間睡眠覚醒障害症状の改善をもたらす。
【0078】
実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、例えば、約650ng・時/ml未満、約600ng・時/ml未満、約550ng・時/ml未満、約500ng・時/ml未満、または約450ng・時/ml未満のAUC0-∞を有するインビボ血漿プロファイルを提供する、方法が提供される。実施態様では、該組成物は、例えば、約400ng・時/ml未満、約350ng・時/ml未満、約300ng・時/ml未満、約250ng・時/ml未満、または約200ng・時/ml未満のAUC0-∞を有するインビボ血漿プロファイルを提供する。実施態様では、該組成物は、例えば、150ng・時/ml未満、約100ng・時/ml未満、約75ng・時/ml未満、または約50ng・時/ml未満のAUC0-∞を有するインビボ血漿プロファイルを提供する。実施態様では、該組成物は、患者への該組成物の投与から、例えば、4時間超、6時間超、8時間超、10時間超、または12時間超にわたって非24時間睡眠覚醒障害の症状の改善をもたらす。
【0079】
実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者に、Cmaxの75%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす量のガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者に、Cmaxの80%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす量のガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者に、Cmaxの85%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす量のガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者に、Cmaxの90%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす量のガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者に、Cmaxの95%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす量のガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者に、Cmaxの100%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす量のガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が提供される。
【0080】
実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、Cmaxの75%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、Cmaxの80%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、Cmaxの85%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、Cmaxの90%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、Cmaxの95%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、Cmaxの100%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。
【0081】
実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、投与された用量の75%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、投与された用量の80%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、投与された用量の85%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、投与された用量の90%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、投与された用量の95%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法であり、該組成物が、投与された用量の100%未満であるAUC6-12を有するインビボ血漿プロファイルを提供し、投与後6時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、20時間超、22時間超または24時間超にわたって患者において改善をもたらす、方法が提供される。
【0082】
実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第1の医薬組成物と、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第2の医薬組成物を投与することを含む方法であり、該第2の医薬組成物が第1の医薬組成物よりも少なくとも約20%少ない平均AUC0-∞を有するインビボ血漿プロファイルを提供する、方法が提供される。
【0083】
ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第1の医薬組成物と、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第2の医薬組成物の投与を含む実施態様では、第1の医薬組成物および/または第2の医薬組成物は、1日に1回、2回もしくは3回、または1日おきに投与され得る。実施態様では、第1の医薬組成物または第2の医薬組成物は、晩に患者に提供される。実施態様では、第2の医薬組成物は、第1の医薬組成物で提供されるガボキサドールの量の少なくとも3分の1の量のガボキサドールを含む。実施態様では、第2の医薬組成物は、第1の医薬組成物で提供されるガボキサドールの量の少なくとも半分の量のガボキサドールを含む。
【0084】
実施態様では、第1の医薬組成物または第2の医薬組成物は、晩に1回と朝に1回患者に提供される。実施態様では、24時間に対象体に投与されるガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の総量は1mg~30mgである。実施態様では、24時間に対象体に投与されるガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の総量は1mg~20mgである。実施態様では、24時間に対象体に投与されるガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の総量は10mg、15mgまたは20mgである。実施態様では、24時間に対象体に投与されるガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の総量は20mgである。
【0085】
実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第1の医薬組成物と、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第2の医薬組成物を投与することを含む方法であり、第2の医薬組成物が第1の医薬組成物よりも少なくとも、例えば約25%、約30%、約35%、約40%、約45%または約50%少ない平均AUC0-∞を有するインビボ血漿プロファイルを提供する、方法が提供される。実施態様では、該組成物は、投与後1日で非24時間睡眠覚醒障害の1つ以上の症状の改善をもたらす。例えば、該組成物は、第1の医薬組成物および/または第2の医薬組成物の投与後、例えば、約6時間超、約8時間超、約10時間超、または約12時間超にわたって1つ以上の症状の改善をもたらし得る。
【0086】
実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第1の医薬組成物と、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第2の医薬組成物を投与することを含む方法であり、該第2の医薬組成物が約900ng・時/ml未満の平均AUC0-∞を有するインビボ血漿プロファイルを提供する、方法が提供される。実施態様では、第2の医薬組成物は、例えば、約800ng・時/ml未満、約750ng・時/ml未満、約700ng・時/ml未満、約650ng・時/ml未満、または約600ng・時/ml未満のAUC0-∞を有するインビボ血漿プロファイルを提供する。実施態様では、第2の医薬組成物は、例えば、550ng・時/ml未満、約500ng・時/ml未満、約450ng・時/ml未満、約400ng・時/ml未満、または約350ng・時/ml未満のAUC0-∞を有するインビボ血漿プロファイルを提供する。実施態様では、第2の医薬組成物は、例えば、約300ng・時/ml未満、約250ng・時/ml未満、約200ng・時/ml未満、約150ng・時/ml未満、または約100ng・時/ml未満のAUC0-∞を有するインビボ血漿プロファイルを提供する。実施態様では、第1の医薬組成物および第2の医薬組成物が投与され、これら組成物は、患者の翌日機能の改善をもたらす。実施態様では、第1の医薬組成物は、第1の医薬組成物の投与から、例えば、6時間超、8時間超または12時間超にわたって1つ以上の症状の改善をもたらす。
【0087】
実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者にガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第1の医薬組成物と、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第2の医薬組成物を投与することを含む方法であり、該第1の組成物が、第2の医薬組成物の投与によって提供されるCmaxよりも約50%超大きいCmaxを有するインビボ血漿プロファイルを提供する。本明細書で用いる場合、第2の医薬組成物の投与によって提供されるCmaxは、第1の医薬組成物の血漿プロファイル寄与を含んでも含まなくてもよい。実施態様では、第2の医薬組成物の投与は、第1の医薬組成物の血漿プロファイル寄与を含まない。実施態様では、第1の組成物は、第2の医薬組成物の投与によって提供されるCmaxよりも、例えば、約60%超、約70%超、約80%超、または約90%超大きいCmaxを有するインビボ血漿プロファイルを提供する。
【0088】
ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第1の医薬組成物と、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第2の医薬組成物の投与を含む実施態様では、第1の医薬組成物のTmaxは3時間未満である。実施態様では、第1の医薬組成物のTmaxは2.5時間未満である。実施態様では、第1の医薬組成物のTmaxは2時間未満である。実施態様では、第1の医薬組成物のTmaxは1.5時間未満である。実施態様では、第1の医薬組成物のTmaxは1時間未満である。
【0089】
実施態様では、第1の医薬組成物および/または第2の医薬組成物は治療量以下の投与量を含有する。ガボキサドールの治療量以下の投与量は、治療効果に必要な量よりも少ないガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の量である。実施態様では、治療量以下の投与量は、単独では非24時間睡眠覚醒障害少なくとも1つの症状の改善をもたらし得ないが、このような改善を維持するには十分である、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の量である。実施態様では、該方法は、非24時間睡眠覚醒障害の少なくとも1つの症状の改善をもたらす第1の医薬組成物と、該改善を維持する第2の組成物の投与を提供する。実施態様では、第1の医薬組成物の投与後、第2の医薬組成物は、非24時間睡眠覚醒障害の少なくとも1つの症状を改善するための相乗効果をもたらし得る。実施態様では、第2の医薬組成物は、非24時間睡眠覚醒障害の少なくとも1つの症状を改善するための相乗効果をもたらし得る。
【0090】
実施態様では、本明細書において、非24時間睡眠覚醒障害の処置方法であって、それを必要とする患者に、投与から6時間超にわたって改善をもたらすガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を含む第1の医薬投与量を含む医薬組成物と、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の治療量以下の投与量を含む第2の医薬組成物を投与することを含む方法が提供される。
【0091】
第1の医薬組成物および第2の医薬組成物の投与は、非24時間睡眠覚醒障害の少なくとも1つの症状の長期の改善を達成するために時間間隔によって隔てられていてよい。実施態様では、第1の医薬組成物および第2の医薬組成物は、6時間空けて投与され得る。実施態様では、第1の医薬組成物および第2の医薬組成物は、12時間空けて投与され得る。実施態様では、第1の医薬組成物および第2の医薬組成物は、例えば、6時間以内、12時間以内、18時間以内、24時間以内などに投与され得る。実施態様では、第1の医薬組成物および第2の医薬組成物は、少なくとも、例えば、6時間、12時間、18時間、24時間などによって隔てられて投与され得る。実施態様では、患者への投与から8時間超にわたって非24時間睡眠覚醒障害の少なくとも1つの症状の改善がもたらされる。実施態様では、患者への投与から、例えば、約10時間超、約12時間超、約15時間超、約18時間超、約20時間超、または約24時間超にわたって改善が提供される。実施態様では、患者への投与から8時間超にわたって非24時間睡眠覚醒障害の少なくとも1つの症状の改善が提供される。実施態様では、患者への投与から、例えば、約10時間超、約12時間超、約15時間超、約18時間超、約20時間超、または約24時間にわたって改善がもたらされる。
【0092】
実施態様では、第1の医薬組成物および/または第2の医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩約0.1mg~約40mgを含む。第1の医薬組成物および第2の医薬組成物中のガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の量は同じであっても異なっていてもよい。実施態様では、第1の医薬組成物および第2の医薬組成物の投与は、非24時間睡眠覚醒障害の少なくとも1つの症状を改善するため相乗効果をもたらし得る。
【0093】
実施態様では、第1の医薬組成物および/または第2の医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩0.1mg~25mg、0.1mg~20mg、0.1mg~15mg、0.5mg~25mg、0.5mg~20mg、0.5~15mg、1mg~25mg、1mg~20mg、1mg~15mg、1.5mg~25mg、1.5mg~20mg、1.5mg~15mg、2mg~25mg、2mg~20mg、2mg~15mg、2.5mg~25mg、2.5mg~20mg、2.5mg~15mg、3mg~25mg、3mg~20mg、または3mg~15mgを含む。
【0094】
実施態様では、第1の医薬組成物および/または第2の医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩5mg~15mg、5mg~10mg、4mg~6mg、6mg~8mg、8mg~10mg、10mg~12mg、12mg~14mg、14mg~16mg、16mg~18mg、または18mg~20mgを含む。
【0095】
実施態様では、第1の医薬組成物および/または第2の医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩を0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、7mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mg、17.5mg、20mg、またはこのような用量の倍数である量含む。実施態様では、第1の医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、15mg、または20mgを含む。実施態様では、第2の医薬組成物は、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、15mg、または20mgを含む。
【0096】
実施態様では、第1の医薬組成物は、それを必要とする患者への投与の最初の20分以内に少なくとも約80%の溶出を提供する。実施態様では、第1の医薬組成物は、それを必要とする患者への投与の最初の20分以内に少なくとも、例えば、約85%、約90%または約95%の溶出を提供する。実施態様では、第1の医薬組成物は、それを必要とする患者への投与の最初の10分以内に少なくとも80%の溶出を提供する。
【0097】
特記しない限り、本明細書で使用されているすべての技術的および科学的用語は、本明細書の開示が属する技術分野の当業者が一般的に理解しているものと同じ意味を持つ。
【0098】
本明細書で用いられる用語「約」または「およそ」とは、当業者が判断するような特定の値に対する許容可能な誤差範囲内を意味するが、これは、値の測定方法または決定方法、すなわち測定系の限界に一部依存する。例えば、「約」とは、当該技術分野の慣行に従い、3標準偏差以内または3標準偏差以上を意味することができる。あるいは、「約」とは、所与の値の最大20%、最大10%、最大5%および/または最大1%の範囲を意味することができる。あるいは、特に生物学的システムまたはプロセスに関しては、値の1桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味することができる。
【0099】
「改善」とは、非24時間睡眠覚醒障害の少なくとも1つの症状に対して測定された非24時間睡眠覚醒障害の処置をいう。
【0100】
「投与後1日での非24時間睡眠覚醒障害の1つ以上の症状の改善」とは、少なくとも1つの症状に対する有益な効果が、一定期間、例えば6時間、12時間、24時間などの期間にわたって持続する改善をいう。「翌日の改善」とは、活性薬剤の投与後1日で起こる改善をいう。
【0101】
「翌日機能の改善」または「翌日機能の改善がある」とは、ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩の単独でのまたは1以上のメラトニンまたはタシメルテオンと組み合わせた投与の有益な効果が、非24時間睡眠覚醒障害に関連する少なくとも1つの症状または状態に適用され、覚醒後一定期間、例えば2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、24時間などの期間にわたって、患者により主観的にまたは観察者により客観的に認識可能である、一晩の睡眠期間から覚醒した後の改善をいう。
【0102】
「PK」とは、薬物動態プロファイルをいう。Cmaxは、試験中に推定される最も高い血漿中薬物濃度(ng/ml)と定義される。Tmaxは、Cmaxが推定される時間(分)と定義される。AUC0-∞は、薬物投与から薬物が除去されるまでの血漿中薬物濃度-時間曲線下総面積(ng・時/mlまたはμg・時/ml)である。その曲線下面積は、クリアランスによって支配される。クリアランスは、単位時間あたりの、その薬物含有量が完全に消失する血液または血漿の体積(ml/分)と定義される。
【0103】
「処置すること(treating)」または「処置(treatment)」とは、疾患または状態に苦しんでいるかまたは罹患しやすいが、疾患もしくは状態の臨床的または亜臨床的症状をまだ経験または発症していない対象体における疾患または状態の臨床症状の発症を軽減することまたは遅延させることをいう。特定の実施態様では、「処置する(treat)」、「処置すること」または「処置」は、疾患または状態に苦しんでいるかまたは罹患しやすいが、疾患もしくは状態の臨床的または亜臨床的症状を経験または発症していない対象における疾患または状態の臨床胞状の発症を予防することを示し得る。「処置すること」または「処置」とはまた、疾患または状態を阻止すること、例えばその発症またはその少なくとも1つの臨床的もしくは亜臨床的症状を停止または減少させることをいう。「処置すること」または「処置」とは、さらに、疾患または状態を緩和すること、例えば疾患もしくは状態またはその臨床的もしくは亜臨床的症状の少なくとも1つの退行を引き起こすことをいう。処置される対象体に対する利益は、統計的に有意であり得る、数学的に有意であり得る、または対象体および/または医師にとって少なくとも知覚可能であり得る。それにもかかわらず、予防的(prophylactic)(予防的(preventive))な処置と治療的(治癒的)な処置は、本明細書の開示の2つの別々の態様である。
【0104】
「薬学的に許容される」とは、「一般的に安全とみなされる」、例えば、生理学的に許容可能であり、ヒトに投与された場合に、胃の不調などのアレルギー反応または類似の有害反応を典型的に生じない分子実体および組成物をいう。実施態様では、この用語は、FDAによる市販前調査および承認の対象である連邦食品・医薬品・化粧品法第204項(s)および第409項のGRASリストもしくは類似のリストとして連邦政府または州政府の規制機関によって、または米国薬局方もしくは別の一般に認められた薬局方によって、動物、より特にヒトへの使用が認められている分子実体および組成物をいう。
【0105】
「組成物」、「医薬組成物」、「治療組成物」、「製剤」、「医薬製剤」とは、本明細書では意味を区別せずに使用される。「組成物」、「医薬組成物」、「治療組成物」、「製剤」、「医薬製剤」は剤形を包含する。剤形は単位用量(unit dose)を包含し得る。
【0106】
「有効量」または「治療有効量」とは、処置される障害、疾患または状態の1つ以上の症状、例えば、非24時間睡眠覚醒障害を緩和するのに十分な投与量、またはそうでなければ所望の薬理学的および/または生理学的効果をもたらすのに十分な投与量を意味する。
【0107】
「と共投与される」、「と組み合わせて」、「の組合せ」、「と一緒に投与される」、または「併用療法」は意味を区別せずに使用することができ、治療の過程で2つ以上の薬剤が投与されることを意味する。これらの薬剤は、同時に一緒に投与されてもよいし、間隔を空けて別々に投与されてもよい。これらの薬剤は、単一の剤形で投与されても、別々の剤形で投与されてもよい。
【0108】
「それを必要とする患者」は、非24時間睡眠覚醒障害と診断された個体を含む。当該方法は、例えば患者が新生児、乳児、小児患者(6か月~12歳)、思春期患者(12~18歳)または成人(18歳以上)である場合を含む任意の固体に提供され得る。本明細書では、「患者」および「対象体(被験者)」は意味を区別せずに使用される。
【実施例】
【0109】
本明細書において提供される実施例は、本明細書における開示を補強するためにのみ含まれており、いかなる点においても限定的であると考えられるべきではない。
【0110】
実施例1
以下の実施例は、2.5~20mgの範囲の単回経口投与後のガボキサドール一水和物の血漿中濃度プロファイルおよび用量比例性を提供する。また、2.5~20mgの範囲のガボキサドール一水和物カプセル剤の絶対的バイオアベイラビリティも評価する。
【0111】
この試験は、2.5~20mgの用量範囲における5種類のガボキサドール単回経口投与の用量比例性および絶対的バイオアベイラビリティにアクセスするように設計された6期間二重盲検無作為化クロスオーバー試験に参加した健康な成人被験者10名(各性別少なくとも4名)の別々のグループで構成された。処置期間1~5内で、被験者が5種類のガボキサドール単回経口投与(2.5mg、5mg、10mg、15mgおよび20mg)を受けた順序が無作為化された。各被験者は6つの処置期間すべてを完了することが期待され、各処置期間の間に少なくとも4日間のウォッシュアウトがあった。
【0112】
処置期間内の各経口投与は、予定された各投与時に同時に服用された2つの試験薬カプセルから構成された。経口投与された試験薬の処置指定は以下の通りであった:処置A - 2.5mgガボキサドールカプセル剤1個と適合するプラセボカプセル剤1個;処置B - 5mgガボキサドールカプセル剤1個と適合するプラセボカプセル剤1個、処置C - 10mgガボキサドールカプセル剤1個と適合するプラセボカプセル剤1個、処置D - 15mgガボキサドールカプセル剤1個と適合するプラセボカプセル剤1個、および処置E - 20mgガボキサドール(10mgガボキサドールカプセル剤2個)。被験者は一晩絶食した後、午前8:00頃に水240mLと一緒に試験薬を服用した。水は、試験薬投与の前後1時間以内を除き、自由に摂取させた。投与後4時間は食事をしてはならなかった。
【0113】
各治療法の各被験者について、薬物動態パラメータ(例えば、必要に応じて、AUC、Cmax、Tmax、見かけのt1/2、累積尿中排泄量、腎クリアランス、クリアランス、および定常状態の分布容積)を決定するために、投与後16時間にわたって血漿試料および尿試料を採取した。ガボキサドールのAUCおよびCmaxは、試験にまたがる薬物動態データの比較を容易にするために力価調整を行った。表1は,単回経口投与(2.5mg、5mg、10mg、15mgおよび20mg)後の個々のガボキサドールの力価調整薬物動態パラメータを提供する。
【0114】
【0115】
図2は、単回経口投与(2.5mg、5mg、10mg、15mgおよび20mg)後のガボキサドールの算術平均血漿中濃度時間プロファイルを示す。ガボキサドールのバイオアベイラビリティは、約92%である。ガボキサドールの血漿AUC
0-∞およびC
maxは、2.5~20mgの全用量範囲にわたって、用量比例増加を示し、線形性であると考えられる。ガボキサドールの血漿中濃度がピークに達するまでの時間(T
max 30~60分)および半減期(t1/2 1.5時間)は、2.5~20mgのガボキサドール用量範囲にわたって用量に無関係であると考えられる。ガボキサドールの排泄は主に尿を介しており、投与量の96.5%が回収され;75%は投与後4時間以内に回収される。
【0116】
実施例2
ガボキサドール投与に起因する残存効果の評価
この試験は、健康な高齢男女被験者における二重盲検二重ダミー無作為化実薬およびプラセボ対照単回投与3期間クロスオーバー試験、その後の非盲検単回投与1期間試験であった。被験者は,3つの処置(処置A、BおよびC)の各々に無作為化されて、最初の3つの処置期間にわたってクロスオーバー方式で投与された。処置Aについては、被験者はガボキサドール10mgの単回投与を受け、処置Bについては、被験者はフルラゼパム30mgの単回投与を受け;処置Cについては、被験者はプラセボの単回投与を受けた。投与は1日目の就寝時に経口投与された。被験者は、処置期間ごとにその期間じゅう、投与日の晩の早い時間から投与後約36時間(3日目の朝)まで定住した。処置期間1~3に参加した被験者は、4回目の処置期間に参加した。この期間に、ガボキサドールのPKのために、ガボキサドール10mgの単回投与(処置D)が1日目の朝に非盲検方式で単回経口投与された。連続した処置期間の投与の間に少なくとも14日間のウォッシュアウトがあった。試験参加者は、ミニメンタルステータスが24であり、体重が少なくとも55kgである、65~80歳の健康な高齢男女を含んだ。被験者全員に10mgガボキサドール一水和物カプセル剤と30mgフルラゼパム(15mgカプセル2個として提供)を投与し、ガボキサドールとガボキサドールの両方にマッチングプラセボを投与した。
【0117】
評価された主要エンドポイントは、薬力学(午後の投与後の、精神運動能力、記憶、注意、昼間の眠気の測定)、ガボキサドールの薬物動態、および安全性を含んだ。ガボキサドール(単回投与10mg)が、主要エンドポイントである選択反応時間(Choice Reaction Time)および臨界フリッカー融合(Critical Flicker Fusion)に対して投与の9時間後に残存効果を示さなかったのに対し、実薬対照であるフルラゼパム(30mg単回投与)は同試験において有意な効果を示した。また、ガボキサドールは、この試験で適用された他の測定項目(睡眠潜時反復試験(MSLT)、数字符号置換検査(DSST)、トラッキング、記憶テスト、身体動揺、リーズ睡眠評価質問票)においても残存効果のいずれの兆候も示さなかった。
【0118】
実施例3
非24時間睡眠覚醒障害の患者におけるガボキサドールの有効性の前向き評価
この試験は、ガボキサドールが非24時間睡眠覚醒障害の改善をもたらすかどうかを決定するように設計されている。この試験の主要目的は、非24時間睡眠覚醒障害を有する成人被験者におけるベースラインから6週目および12週目までのガボキサドールの安全性、忍容性および有効性を、異なる用量レベルおよび2つの投与スケジュールで評価することである。この試験には2つのフェーズがある:無作為化前フェーズとそれに続く無作為化フェーズまたは非盲検継続投与(OLE)。無作為化前フェーズは、被験者の初期適格性を評価するスクリーニング訪問、概日周期(τ)推定セグメント、および、被験者の概日フェーズが目標就寝時刻と一致するまで処置開始を待つ可変長の同相遷移セグメントを包含する。該試験のすべてのエントリー基準を満たす被験者は、無作為化フェーズに入る。被験者は、無作為化フェーズの間じゅう、目標就寝時刻の約1時間前にガボキサドールまたはプラセボを二重盲検法で服用するよう求められる。また、以下の投与スケジュールでプラセボに対して試験することもできる:(1)1日1回(o.d.):忍容されない限り15mgの目標用量までタイトレーションされる晩の投与;(2)1日2回(b.i.d.):忍容されない限り晩の投与15mgおよび朝の投与10mgの目標用量までタイトレーションされる晩および朝の投与。
【0119】
この試験に関連する安全性エンドポイントとしては以下のものが挙げられ得る:(1)有害事象(AE)および重篤な有害事象の頻度および重症度;(2)バイタルサイン(体重、血圧、体温);(3)パラメータ(電解質、脂質、グルコース、肝・膵機能検査、血液学、クレアチニン)。
【0120】
この試験の別の目的は、その後の有効性試験のために非24時間睡眠覚醒障害被験者におけるガボキサドールの有効性を最もよく特徴づけることができる一連のパラメータの同定を含み得る。これらの試験は、成人の非24時間睡眠覚醒障害患者に試験を提供するために適切な訓練を受けた専門家によって、4回の丸1日施設訪問(スクリーニング、ベースライン、中間、および処置終了)で実施され得る。評価は、部分的には、患者の症状認識に基づくことがある。
【0121】
この試験は、3つの処置群を含むことができる。例えば、合計約75人の被験者を登録することができ、試験終了時には、3つの処置群のそれぞれに約25人の被験者が存在し得る:1)就寝時刻に近い晩の単回投与;2)朝および晩の投与;ならびに3)プラセボ。この目標用量が忍容されない場合を除き、すべての被験者は目標用量までアップタイトレーションされ得る(以下に説明するタイトレーション規則)。すべての被験者は、最適な忍容用量で最大12週間処置を受けることができる。
【0122】
投与量は、スケジュールAおよびBでは晩の3カプセルの投与ならびにスケジュールBでは朝の2カプセルの投与の目標用量まで、5mgずつ(実薬またはプラセボ)漸増することができる。各用量増加は、介護者および治験責任医師によって適切な忍容性が評価された後に実施され得る。例えば、1日目の晩に1カプセル(実薬(Act)またはプラセボ(Plc))で治療を開始する。その後、3日目(ウィンドウ+2日)に目標のアップタイトレーションを開始することができる:介護者および/または治験責任医師によって試験薬に関連する有害事象が観察されない場合は、晩にもう1カプセル(実薬またはプラセボ)を追加する。7日目(ウィンドウ+2日)、10日目(ウィンドウ+2日)、および14日目(ウィンドウ+2日)でも、介護者および/または治験責任医師によって試験薬に関連するAEが観察されない場合は、朝にもう1カプセル(実薬またはプラセボ)を追加することができる。以下の表IIは、タイトレーションスケジュールの図解を提供している。
【0123】
【0124】
上記の詳細な日(3、7、10、14)のいずれかで忍容性によりすぐに更なる用量増加が可能ではない場合、ゆっくりとしたアップタイトレーションまたは遅延したアップタイトレーションが許容される。前のアップタイトレーションステップの後または12週間の処置の経過中に忍容性が認められない場合(例えば、傾眠、めまい、行動の変化)、ダウンタイトレーションは、用量を前のレベルまでまたはそれ以上に減らすことができる。しかし、忍容性のある用量に達すると、処置期間中、該用量を一定に維持すべきである。目標用量が達成されると、処置を継続することができる。例えば、目標用量(朝に2カプセル、晩に3カプセル)に達することができる最も早い日である14日目に、非忍容性によるダウンタイトレーションが必要とされない限り、被験者は処置訪問の最後(12週目)まで安定した状態を保つことができる。
【0125】
すべての被験者は、初回投与の28日前までに、試験に参加するためのスクリーニングを受ける。組み入れ基準には、以下の1つ以上が含まれる:(1)年齢≧18歳、≦40歳;(2)非24時間睡眠覚醒障害の臨床診断を有していることが必要。記述統計学を用いて、処置群ごとに、すべての主要エンドポイントおよび副次エンドポイント、ならびにベースライン変数をまとめることができる。連続変数については、n、欠測値の数、平均値、標準偏差、中央値、最小値および最大値が提供される。カテゴリー変数については、各カテゴリーの頻度およびパーセンテージが表示される。信頼区間(CI)は意味がある場合に提供される。すべてのCIは両側95%信頼区間である。
【0126】
主要なアウトカム指標:1)同調(entrained)患者の割合。同調(entrainment)とは、マスターボディクロックが1日24時間と同期していることを示す指標である。概日周期(τ)は、約1週間の間隔を空けて連続しない4週間、4つの48時間の期間にわたって回収された尿中aMT6を用いて算出される。同調とは、ベースライン後のτ値が24.1未満であり、95%CIが24.0を含むと定義することができる。
【0127】
2)ステップダウン主要エンドポイントは、臨床反応(1ヵ月目の同調に加えて、非24臨床反応尺度(Non-24 Clinical Response Scale)で測定した臨床的改善)を有する患者の割合を評価する。臨床反応は、同調(aMT6)と非24臨床反応尺度(N24CRS)で3以上のスコアとを同時に示したものと定義できる。N24CRSは、睡眠覚醒測定および総合的な機能(LQ-nTST、UQ-dTSD、MoST、およびCGI-C)の改善を測定する。各評価は、1または0で採点される。
【0128】
副次アウトカム指標:1)安全性は、すべての有害事象(AE)および重篤な有害事象(SAE)の監視および記録、血液学、血液化学、および尿値の定期的な監視、バイタルサインの定期的な測定、ならびに身体検査および心電図の実施により評価される。
【0129】
2)尿中コルチゾールによって評価された同調患者の割合。概日周期(τ)は、スクリーニング期間中および試験の無作為化フェーズの1ヵ月目に、約1週間の間隔を空けて連続しない4週間、4つの48時間の期間にわたって回収された尿中コルチゾールを用いて算出される。同調とは、ベースライン後のτ値が24.1未満であり、95%CIが24.0を含むと定義することができる。
【0130】
3)平均の変化の臨床全般印象(CGI-C)。CGI-C スコアは、1(非常に改善された)から7(非常に悪くなった)までの範囲である。各患者の平均ランダム化後スコアは、最新の2つの定期的評価(D112日目およびD183日目)を平均することにより得られる。数値が小さいほど改善を示す。
【0131】
4)LQ-nTST(90分以上)およびUQ-dTSD(90分以下)の複合的な睡眠/覚醒反応を有する反応者の割合。睡眠/覚醒反応は、夜間睡眠時間と昼間睡眠時間の複合的な改善の測定を表す。主観的な夜間総睡眠時間の下位四分位(LQ-nTST)が90分以上増加し、昼間総睡眠時間の上位四分位(UQ-dTSD)が90分以上減少したと定義された夜間睡眠時間と昼間睡眠時間が改善した個体は、反応者とみなされる。
【0132】
5)平均の夜間総睡眠時間の夜の下位四分位(LQ-nTST)。LQ-nTSTは、無作為化フェーズとスクリーニングフェーズ(約6週間)との間の、患者の最悪の25%の夜(最短の総夜間睡眠時間)における平均夜間睡眠時間の差を測定する。数値が大きいほど改善を示す。
【0133】
当業者は、本明細書に記載された特定の実施態様に対する多くの等価物を認識するか、または単なる日常的な実験を用いて確認することができるであろう。そのような等価物は、特許請求の範囲により包含されることが意図されている。
【国際調査報告】