(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(54)【発明の名称】改善された付着のための毛髪コンディショニング組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/41 20060101AFI20220203BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20220203BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20220203BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A61K8/41
A61Q5/12
A61K8/891
A61K8/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535071
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(85)【翻訳文提出日】2021-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2019084382
(87)【国際公開番号】W WO2020126660
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】バーフット,リチャード・ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】クック,マイケル・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ディキンソン,ケルビン・ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ケルソ,ヘイリー
(72)【発明者】
【氏名】メンドーサ,フェルナンデス・セザル・エルネスト
(72)【発明者】
【氏名】プライス,ポール・ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】ショー,ニール・スコット
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC691
4C083AC692
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083BB41
4C083BB51
4C083CC33
4C083EE07
4C083EE21
(57)【要約】
(i)0.01~10重量%の直鎖状カチオン性コンディショニング界面活性剤と、(ii)0.1~10重量%の直鎖状脂肪質と、(iii)コンディショニング活性剤、頭皮活性剤、カプセル化芳香剤、乳化芳香剤、およびそれらの混合物から選択される微粒子状有効薬剤と、(iv)0.01~5重量%(100%活性成分として)の分枝状カチオン性補助界面活性剤であって、構造1、構造2、構造3またはそれらの混合物(式中、R
1、R
2、R
5およびR
6は、C
4~C
20、好ましくはC
6~C
18の炭素-炭素鎖長を有する、飽和または不飽和の直鎖状アルキル鎖を含んでなり;R
3およびR
4は、C
6~C
22、好ましくはC
6~C
12の炭素-炭素鎖長を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のアルキル鎖を含んでなり;nおよびmは0~10の範囲を有し、好ましくは0および1から選択され;pは1~6の範囲を有し、好ましくは1および2から選択され;R
7は、C
1~C
4、好ましくはC
1~C
2の炭素-炭素鎖長を有するアルキル鎖を含んでなり;R
8は、プロトンまたはC
1~C
4、好ましくはC
1~C
2の炭素-炭素鎖長を有するアルキル鎖を含んでなり;および、Xは有機または無機アニオンである)から選択される分枝状カチオン性補助界面活性剤とを含有する組成物であって、分枝状カチオン性補助界面活性剤(iv)と直鎖状カチオン性界面活性剤(i)とのモル比が1:20~1:1の範囲であり、それにより微粒子状有効薬剤の毛髪への付着が改善される組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の、
(i)0.01~10重量%の直鎖状カチオン性コンディショニング界面活性剤;
(ii)0.1~10重量%の直鎖状脂肪質;
(iii)コンディショニング活性剤、頭皮活性剤、カプセル化芳香剤、乳化芳香剤、およびそれらの混合物から選択される微粒子状有効薬剤;
(iv)0.01~5重量%(100%活性成分として)の、分枝状カチオン性補助界面活性剤であって、以下の構造1、構造2、構造3およびそれらの混合物から選択される分枝状カチオン性補助界面活性剤
【化1】
[式中、
R
1、R
2、R
5およびR
6は、C
4~C
20、好ましくはC
6~C
18の炭素-炭素鎖長を有する、飽和または不飽和の直鎖状アルキル鎖を含んでなり;
R
3およびR
4は、C
6~C
22、好ましくはC
6~C
12の炭素-炭素鎖長を有する、飽和または不飽和の直鎖状または分枝状アルキル鎖を含んでなり;
nおよびmは0~10の範囲を有し、好ましくは0または1から選択され;
pは1~6の範囲を有し、好ましくは1または2から選択され;
R
7はC
1~C
4、好ましくはC
1~C
2の炭素-炭素鎖長を有するアルキル鎖を含んでなり;
R
8はプロトンまたはC
1~C
4、好ましくはC
1~C
2の炭素-炭素鎖長を有するアルキ鎖を含んでなり;および
Xは有機または無機アニオンである]
を含有する組成物であって、
分枝状カチオン性補助界面活性剤(iv)と直鎖状カチオン性コンディショニング界面活性剤(i)とのモル比が、1:20~1:1の範囲である、前記組成物。
【請求項2】
前記直鎖状カチオン性コンディショニング界面活性剤が、式1:N
+(R
1)(R
2)(R
3)(R
4)を有し、式中、R
1、R
2、R
3およびR
4は、独立してC
1~C
30アルキルまたはベンジルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記直鎖状カチオン性コンディショニング界面活性剤が、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、セチルトリメチルアンモニウムクロリドおよびこれらの混合物から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記コンディショニング活性剤がシリコーンエマルジョンである、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記シリコーンエマルジョンが疎水性変性を含まず、好ましくはミリスチロキシル変性シリコーンでない、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記シリコーンエマルジョンが、ジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコンまたはそれらの混合物のエマルジョンから選択される、請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
シリコーンが全組成物の0.1重量%~10重量%の量で存在し、より好ましくは0.1重量%~5重量%、最も好ましくは0.25重量%~3重量%が適切なレベルである、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記分枝状カチオン性補助界面活性剤が、0.1~2重量%、より好ましくは0.1~1.0重量%、最も好ましくは0.2~0.7重量%の量で存在する、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記分枝状カチオン性補助界面活性剤(iv)と直鎖状カチオン性コンディショニング界面活性剤(i)とのモル比が、1:10~1:1、好ましくは1:5~1:2の範囲である、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
25℃および1Hzで、30~200パスカル(Pa)、最も好ましくは40~150Paのピーク値の範囲の降伏応力を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
X
-がハロゲン化物、メタンスルホナート基またはエタンスルホナート基から選択されるアニオンを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の組成物を毛髪に塗布し、毛髪を水ですすぐ工程を含む、毛髪へのコンディショニング活性剤、頭皮活性剤、カプセル化芳香剤、乳化芳香剤またはそれらの混合物から選択される微粒子状有効薬剤の付着を増加させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分枝状補助界面活性剤を含有する、毛髪トリートメントのためのコンディショニング組成物であって、使用中に毛髪上へ付着するべき有効薬剤、例えばシリコーンを含有するコンディショニング組成物に関する。特に、付着するべき有効薬剤の量の増大を可能とするコンディショニング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア組成物、例えばヘアトリートメント組成物では、有効薬剤の付着および送達は、製品性能の鍵となる要因であることが多い。例えば、現在市販されているヘアコンディショナー製品の多くは、洗浄工程およびケア工程中に、芳香剤材料、シリコーンおよび損傷修復活性剤などの有効薬剤を、毛髪上へ付着させることによって、利益を毛髪に送達するように機能する。
【0003】
しかし、消費者からは、いくつかの組成物の使用から得られる利益のレベルに失望したと報告が上がっている。これは通常、表面に送達される有効薬剤の量が不十分であるために引き起こされる。したがって、表面、例えば毛髪に、有効物質の改善された送達を提供する組成物の開発が望まれている。
【0004】
様々なタイプの分枝状カチオン性化合物が、様々な利益のためのヘアトリートメント組成物において知られている。
【0005】
国際公開第17/172117号は、そこで定義された第1の第4級アンモニウム化合物およびイミダゾリン化合物、変性デンプン、2つのシラン化合物、カチオン性ビニルピロリドンポリマーおよび水を含むカチオン性製剤を含む、ケラチン性基材を処理するための組成物を開示する。当該組成物で処理された毛髪は、改善された質感、ボディ感、ボリューム感、リンスのし易さ、乾燥の速さ、より長い清潔性および十分なコンディショニング性が意図されている。米国特許出願公開第2005/175569号明細書は、第四級アンモニウム塩であり得るカチオン性界面活性剤を含む、例えばコンディショニングおよびスタイリング毛髪のための化粧品組成物を開示している。
【0006】
日本国特許出願公開第2005-060271号公報には、(A)一般式(1)で表されるジメチルポリシロキサン、(B)一般式(2)で表されるジメチルポリシロキサン、(C)一般式(3)で表される環状ジメチルポリシロキサンを、[(B)+(C)]/(A)が1以上の比率で含むことができ、並びに(D)追加の第4級アンモニウム成分を含む水性毛髪化粧用組成物が開示されている。この組成物は、湿潤、すすぎおよび乾燥段階において毛髪にある範囲のコンディショニング利益を提供すると言われている。
【0007】
本発明者ら自身のもので、国際公開第02/102334号および国際公開第01/43718号として公開された出願は、そこで定義されたヒドロカルビル鎖を有する第四級アンモニウムベースのカチオン性界面活性剤を含む、クレンジングおよびコンディショニング特性を有する水性ヘアトリートメント組成物を提供する。
【0008】
グリシンベタイン誘導体は、家庭用製品およびパーソナルケア製品では既知である。これらの誘導体は、毛髪にコンディショニング効果を送達するための、毛髪用の用途で使用されてきた。
【0009】
米国特許出願公開第2017/087074号明細書(フランス国立科学研究センター)は、化粧品組成物および医薬品組成物で使用する界面活性剤組成物について開示している。この界面活性剤組成物は、グリシンベタインでグラフト化したアルキルポリグルコシドをグリシンベタインと組み合わせて含有し、安定である。同様の組成物が、米国特許出願公開第2017/087077号明細書において開示されている。
【0010】
米国特許出願公開第2014/246041号明細書(ヘンケル)は、そこで定義された、グリシンベタイン誘導体を含み得る構造を有するエステル4級塩と、Lカルニチンおよび/もしくはその塩、ならびに/またはタウリンおよび/もしくはその塩、ならびに/またはビタミンおよびビタミン前駆体、ならびに/またはナイアシンアミド、ならびに/またはユビキノン、ならびに/またはエクトインからなる群から選択される少なくとも1種(または複数種)のケア提供物質とを含有する、毛髪をコンディショニングするための組成物について開示している。国際公開第13/083349号は、ケラチン繊維をコンディショニングするための同様のエステル4級塩について開示している。
【0011】
欧州特許出願公開第1016650号明細書(花王)は、手触りをよくする利益を毛髪に与える、毛髪化粧品で使用可能なベタインアルキルエステルの調製法について開示している。実施例の配合物では、セタノール(花王株式会社製)が使用されている。
【0012】
米国特許第5374421号明細書は、(a)分子中に少なくとも1つのアルキ-オキシ基を有し、30℃以上の融点を有する変性シリコーンポリマーの0.1~10重量%、(b)カチオン性界面活性剤の0.1~20重量%、(c)油性または脂肪性物質の0.1~30重量%、(d)水と適合性であり、その分子が少なくとも1つのヒドロキシ基を有する有機液体の0.1~90重量%、および(e)水を含有するヘアトリートメント用組成物を開示している。カチオン性コンディショニング材料としてセトステアリルトリメチルアンモニウムクロリドを例示し、微粒子状有効薬剤としてミリスチロキシル変性シリコーンを例示する。
【0013】
分枝状材料は家庭用製品およびパーソナルケア製品において知られているが、有効薬剤の毛髪への改善された付着を提供するために有効に適用されたことはない。
【0014】
消費者にとって、製品のレオロジーは鍵となる特性である。しかしながら、ゲルネットワーク中に分枝状界面活性剤材料を添加すると、ゲル二分子層を破壊し、結果的に粘度および降伏応力を、容認できないほど低い水準に低減させると、本発明者らは見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第17/172117号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/175569号明細書
【特許文献3】日本国特許出願公開第2005-060271号公報
【特許文献4】国際公開第02/102334号パンフレット
【特許文献5】国際公開第01/43718号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願公開第2017/087074号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2017/087077号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2014/246041号明細書
【特許文献9】国際公開第13/083349号パンフレット
【特許文献10】欧州特許出願公開第1016650号明細書
【特許文献11】米国特許第5374421号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
消費者に所望される粘度特性を損なうことなく、毛髪への改善された利益送達を提供するニーズは、先行技術にかかわらず依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、驚くべきことに、ここで定義される直鎖状コンディショニング界面活性剤と組み合わせた特定の分枝状補助界面活性剤の組み合わせを含む組成物が、優れた製品レオロジーを維持しながら、有効薬剤(例えば、シリコーン、カプセル化芳香剤)の付着において予想外に大きな増強を提供することを見出した。
【0018】
本明細書で引用されるすべての百分率は、特に指定のない限り、総重量に基づく重量である。
【0019】
発明の定義
したがって、
(i)0.01~10重量%の直鎖状カチオン性コンディショニング界面活性剤;
(ii)0.1~10重量%の直鎖状脂肪質;
(iii)コンディショニング活性剤、頭皮活性剤、カプセル化芳香剤、乳化芳香剤およびそれらの混合物から選択される微粒子状有効薬剤;
(iv)0.01~5重量%の、100%活性の、構造1、構造2、構造3およびそれらの混合物から選択される分枝状カチオン性補助界面活性剤;
【化1】
式中、
・R
1、R
2、R
5およびR
6は、C
4~C
20、好ましくはC
6~C
18の炭素-炭素鎖長を有する、飽和または不飽和の直鎖状アルキル鎖を含んでなり;
・R
3およびR
4は、C
6~C
22、好ましくはC
6~C
12の炭素-炭素鎖長を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のアルキル鎖を含んでなり;
・nおよびmは0~10の範囲を有し、好ましくは0および1から選択され;
・pは1~6の範囲を有し、好ましくは1および2から選択され;
・R
7は、C
1~C
18、好ましくはC
1~C
4、最も好ましくはC
1~C
2の炭素-炭素鎖長を有するアルキル鎖を含んでなり;
・R
8は、プロトン、またはC
1~C
18、好ましくはC
1~C
4、最も好ましくはC
1~C
2の炭素-炭素鎖長を有するアルキル鎖を含んでなり;および
・Xは有機または無機アニオンである、
を含有する組成物であって、
分枝状カチオン性補助界面活性剤(iv)と直鎖状カチオン性界面活性剤(i)とのモル比が、1:20~1:1、好ましくは1:10~1:1、最も好ましくは1:5~1:2の範囲である、前記組成物が提供される。
【0020】
第2の態様において、本発明は、前記第1の態様の組成物を毛髪に適用する工程を含む、コンディショニング活性剤、頭皮活性剤、カプセル化芳香剤、乳化芳香剤およびそれらの混合物から選択される微粒子状有効薬剤の毛髪への付着を増加させる方法を提供する。
【0021】
本発明の方法は、好ましくは、毛髪から組成物をすすぐ追加の工程を含む。
【0022】
好ましくは、上記方法は、本発明の第1態様によって定義される組成物を毛髪に適用する工程と、水で毛髪をすすぐ工程と、を含む毛髪へのシリコーン付着を増大させる方法である。
【0023】
本発明による組成物は、好ましくは、毛髪のトリートメント(一般的にシャンプー後)およびその後にすすぐためのコンディショナーとして配合される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好ましくは、トリートメント組成物は、洗い流すヘアコンディショナー、ヘアマスク、洗い流さないコンディショナー組成物およびプレトリートメント組成物から選択され、より好ましくは、洗い流すヘアコンディショナー、ヘアマスク、洗い流さないコンディショナー組成物およびプレトリートメント組成物、例えばオイルトリートメントから選択され、最も好ましくは、洗い流すヘアコンディショナー、ヘアマスクおよび洗い流さないコンディショナー組成物から選択される。トリートメント組成物は、好ましくは、洗い流すヘアコンディショナーおよび洗い流さないコンディショナーから選択される。
【0025】
本発明で使用される洗い流すコンディショナーは、通常、洗い流される前に濡れた毛髪の上に1~2分間留まるコンディショナーである。
【0026】
本発明で使用されるヘアマスクは、通常、洗い流される前に毛髪の上に3~10分間、好ましくは3~5分間、より好ましくは4~5分間留まるトリートメントである。
【0027】
本発明で使用される洗い流さないコンディショナーは、通常毛髪に適用され、毛髪上に10分を超えて留まり、好ましくは洗髪後の毛髪に適用され、次回の洗髪まで洗い流さないものである。
【0028】
直鎖状カチオン性コンディショニング界面活性剤
コンディショナー組成物は、美容的に許容でき、毛髪への局所適用に適した直鎖状カチオン性コンディショニング界面活性剤を含有するものである。
【0029】
好ましくは、当該直鎖状カチオン性コンディショニング界面活性剤は、式1:
N+(R1)(R2)(R3)(R4)[式中、R1、R2、R3およびR4は、独立して(C1~C30)アルキルまたはベンジルである]の構造を有する。
【0030】
式1において、好ましくはR1、R2、R3およびR4のうち1つ、2つまたは3つは、独立して(C4~C30)アルキルであり、かつその他のR1、R2、R3およびR4基は、(C1~C6)アルキルまたはベンジルである。
【0031】
より好ましくはR1、R2、R3およびR4のうち1つまたは2つは、独立して(C6~C30)アルキルであり、かつその他のR1、R2、R3およびR4基は、(C1~C6)アルキルまたはベンジル基である。アルキル基は、当該アルキル鎖内に、1つ以上のエステル(-OCO-もしくは-COO-)結合、アミド(-NOC-もしくはNCO-)結合、および/またはエーテル(-O-)結合を有してもよい。アルキル基は、1つ以上のヒドロキシ基によって置換されてもよい。アルキル基は、直鎖状または分枝状でもよく、3個以上の炭素原子を有するアルキル基は、環状であってもよい。アルキル基は飽和してもよく、または1つ以上の炭素-炭素二重結合(例えば、オレイル)を含有してもよい。アルキル基は、1つ以上のエチレンオキシ基によって、アルキル鎖上でエトキシル化されていてもよい。
【0032】
本発明によるコンディショナー組成物で使用するのに好適な第4級アミン塩は、12~24個の炭素原子、好ましくは16~22個の炭素原子を有する第4級アミン塩である。
【0033】
本発明によるコンディショナー組成物で使用するのに好適な第4級アミン塩は、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ベヘニルアミドプロピルジメチルアミン、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、塩化セチルピリジニウム、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアラルコニウムクロリド、ステアラルコニウムメトサルフェート、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、タロウトリメチルアンモニウムクロリド、二水素化タロウジメチルアンモニウムクロリド(例えばAkzoNobel製のArquad2HT/75)およびココトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0034】
好ましい第4級アミン塩は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、およびこれらの混合物から選択される。
【0035】
本発明によるコンディショナーで使用するのに特に有用なカチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、例えば、Hoechst CelaneseからGENAMIN CTACとして市販されているものがある。本発明によるコンディショナーで使用するのに、特に好ましい別のカチオン性界面活性剤は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、例えばClariantからGENAMIN KDMPとして市販されているものがある。
【0036】
さらに好適なカチオン性界面活性剤には、CTFA名クアテルニウム-5、クアテルニウム-31、クアテルニウム-18を有する材料が挙げられる。前述の材料のいずれかの混合物もまた、好適であり得る。
【0037】
単独で、または1種以上のその他のカチオン性界面活性剤と合わせて、本発明で使用するための、好適なカチオン性界面活性剤の別部類の例としては、下記の(i)と(ii)の組み合わせ:
(i)一般式(II):
【化2】
[式中、R
1は10個以上の炭素原子を有するヒドロカルビル鎖であり、R
2およびR
3は独立して、炭素原子1~10個のヒドロカルビル鎖から選択され、mは1~約10の整数である]に相当するアミドアミン、および
(ii)酸、
がある。
【0038】
本明細書で使用する場合、用語ヒドロカルビル鎖とは、アルキル鎖またはアルケニル鎖を意味する。
【0039】
好ましいアミドアミン化合物は、式(II)において、R1は約11~約24個の炭素原子を有するヒドロカルビル残基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して1~約4個の炭素原子を有するヒドロカルビル残基、好ましくはアルキル基であり、mは1~約4の整数である化合物に相当するようなものである。
【0040】
好ましくは、R2およびR3はメチル基またはエチル基である。
【0041】
好ましくは、mは2または3、すなわちエチレン基またはプロピレン基である。
【0042】
本明細書で有用な好ましいアミドアミンとしては、ステアラミド-プロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジメチルアミン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0043】
本明細書で有用な、特に好ましいアミドアミンは、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミンおよびこれらの混合物である。
【0044】
本明細書で有用な市販のアミドアミンとしては、Inolex(米国、ペンシルバニア州フィラデルフィア)から入手可能な、商品名LEXAMINE S-13、およびNikko(日本、東京)から入手可能なAMIDOAMINE MSPなどのステアラミドプロピルジメチルアミン、商標名AMIDOAMINE SでNikkoから入手可能なステアラミドエチルジエチルアミン、商標名INCROMINE BBでCroda(英国、ノースハンバーサイド)から入手可能なベヘナミドプロピルジメチルアミン、商品名SCHERCODINEシリーズでScher(米国、ニュージャージー州クリフトン)から入手可能な各種アミドアミンが挙げられる。
【0045】
酸は、コンディショナー組成物中でアミドアミンをプロトン化できる任意の有機酸または鉱酸であってよい。本明細書で有用な好適な酸としては、塩酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸およびこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、酸は、酢酸、酒石酸、塩酸、フマル酸、乳酸およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0046】
酸の主要な役割は、ヘアトリートメント組成物中でアミドアミンをプロトン化し、それによってヘアトリートメント組成物中で第3級アミン塩(TAS)をin situで形成することである。実際のTASは、非永久的な第4級アンモニウムカチオン性界面活性剤、または偽性の第4級アンモニウムカチオン性界面活性剤である。
【0047】
好適には、酸は、存在するアミドアミンの95モル%(293K)を超える量をプロトン化するのに十分な量で含有される。
【0048】
本発明で使用するためのコンディショナーにおいて、直鎖状カチオン性コンディショニング界面活性剤の濃度は、組成物の総重量を基準として、カチオン性コンディショニング界面活性剤の総重量を単位として、一般的には、0.01~10重量%、より好ましくは0.05~7.5重量%、最も好ましくは0.1~5重量%の範囲である。
【0049】
直鎖状脂肪質
本発明の組成物は、0.1~10重量%の直鎖状脂肪質を含有する。
【0050】
脂肪質とカチオン性界面活性剤とをコンディショニング組成物中で混ぜ合わせて使用することは、カチオン性界面活性剤が分散する構造的なラメラまたは液晶相の形成につながるため、特に有利であると考えられる。
【0051】
「脂肪質」とは、脂肪族アルコール、アルコキシル化脂肪族アルコール、脂肪酸またはこれらの混合物を意味する。好ましくは、直鎖状脂肪質は、脂肪族アルコールおよび脂肪酸、最も好ましくは脂肪族アルコールから選択される。
【0052】
好ましくは、脂肪質のアルキル鎖は完全に飽和している。代表的な脂肪質は、8~22個、より好ましくは16~22個の炭素原子を含有する。
【0053】
好適な脂肪族アルコールは、8~22個、好ましくは16~22個の炭素原子を含有し、最も好ましくはC16~C18である。脂肪族アルコールは、通常、直鎖アルキル基を含有する化合物である。好ましくは、アルキル基は飽和している。好ましい脂肪族アルコールの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの混合物が挙げられる。これらの物質の使用はさらに、これらの物質が、本発明で使用するための組成物の全体的なコンディショニング性に寄与するという点でも有利である。
【0054】
アルキル鎖中に約12~約18個の炭素原子を有する、アルコキシル化(例えば、エトキシル化またはプロポキシル化)脂肪族アルコールは、脂肪族アルコール自体の代わりに、または脂肪族アルコールに加えて使用することができる。好適な例としては、エチレングリコールセチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)セチルエーテルおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0055】
本明細書のコンディショナーにおける脂肪質の濃度は、好適には組成物の総重量の0.01~10重量%、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%である。カチオン性界面活性剤と脂肪族アルコールとの重量比は、好適には10:1~1:10、好ましくは4:1~1:8、最も好ましくは1:1~1:7、例えば1:3などである。
【0056】
微粒子状有効薬剤
本発明の組成物は、微粒子状有効薬剤を含有する。微粒子状有効薬剤は、コンディショニング活性剤、頭皮活性剤、カプセル化芳香剤、乳化芳香剤およびこれらの混合物から選択される。より好ましくは、微粒子状有効薬剤は、コンディショニング活性剤、カプセル化芳香剤およびこれらの混合物から選択される。最も好ましくは、微粒子状有効薬剤は、シリコーンエマルジョンおよびカプセル化芳香剤から選択される。
【0057】
好ましいコンディショニング活性剤は、シリコーンエマルジョンである。
【0058】
好ましいシリコーンエマルジョンは疎水性変性を有さず、好ましくはシリコーンエマルジョンはミリスチロキシル変性シリコーンではなく、最も好ましくはミリスチロキシル変性シリコーンでもセチルオキシル変性シリコーンでもない。最も好ましくは、本発明の組成物に用いるためのシリコーンエマルジョンがジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコン、およびそれらの混合物のエマルションから選択される。
【0059】
微粒子状有効薬剤は、本発明の組成物に不溶性であるか、またはエマルジョンの形態である頭皮活性剤であってもよい。好ましい頭皮活性剤は、金属ピリチオン、アゾール、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、硫化セレン、サリチル酸およびそれらの組み合わせ、好ましくは金属ピリチオン、アゾールおよびオクトピロックスから選択される。アゾール系抗真菌剤には、ケトコナゾール、クリンバゾール、好ましくはクリンバゾールが含まれる。
【0060】
微粒子状有効薬剤は、乳化芳香剤またはカプセル化芳香剤であってもよい。明確にするために、「芳香剤」は、本明細書では「香料」と呼ぶこともある。以下は、本発明の組成物において使用するために適切に乳化またはカプセル化され得る香料材料である。
【0061】
本発明で使用する香料材料の例には、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、リナロール、リナリルアセテート、テトラヒドロリナロール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、ジヒドロミルセノール、ジヒドロミルセニルアセテート、テトラヒドロミルセノール、テルピネオール、テルピニルアセテート、ノピルアセテート、2-フェニルエタノール、2-フェニルエチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルアセテート、ベンジルサリチル酸塩、酢酸スチラリル、安息香酸ベンジル、サリチル酸アミル、ジメチルベンジル-カルビノール、トリクロロメチルフェニル-カルビニルアセテート、p-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、イソノニルアセテート、酢酸ベチベリル、ベチベロール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、2-メチル-3-(p-tert-ブチルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(p-イソプロピルフェニル)プロパナール、2-(p-tert-ブチルフェニル)プロパナール、2,4-ジメチル-シクロヘキセン-3-エニル-カルボキサルデヒド、酢酸トリシクロデセニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセンカルボキサルデヒド、4-アセトキシ-3-ペンチル-テトラヒドロピラン、3-カルボキシメチル-2-ペンチルシクロペンタン、2-n-ヘプチルシクロペンタノン、3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテノン、n-デカナール、n-ドデカナール、9-デセノール-1、フェノキシエチルイソブチレート、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、酢酸セドリル、3-イソカンフィルシクロヘキサノール、セドリルメチルエーテル、イソロンギフォラノン、オーベピンニトリル、オーベピン、ヘリオトロピン、クマリン、オイゲノール、バニリン、ジフェニルオキシド、ヒドロキシシトロネラール、イオノン、メチルイオノン、イソメチルイオノン、アイアン、シス-3-ヘキセノールおよびそれらのエステル、インダンムスク、テトラリンムスク、イソクロマンムスク、大環状ケトン、マクロラクトンムスク、エチレンブラシレートおよびそれらの混合物が含まれる。
【0062】
カプセル化芳香剤は、好ましくはマイクロカプセルを形成するポリマーシェル(カプセル壁)を含む。マイクロカプセルのポリマーシェルは、界面重合を用いて調製することができる。
【0063】
界面重合は、油相中に存在する少なくとも1つの油溶性壁形成材料と、水相中に存在する少なくとも1つの水溶性壁形成材料との反応から、カプセル化シェルを生成する。2つの壁形成材料間の重合反応が起こり、油相と水相との界面に共有結合が形成され、カプセル壁が形成される。
【0064】
好ましいマイクロカプセルのポリマーシェルは、ポリイソシアネートとポリアミン、ポリイミンまたはそれらの混合物から選択される材料との反応によって形成されるポリウレアから選択されるアミノプラスト樹脂である。
【0065】
好ましくは、マイクロカプセルは剪断によって活性化される;すなわち、マイクロカプセルは剪断によって破壊されて内容物を放出する。
【0066】
特に好ましいマイクロカプセルは、米国特許出願公開第2013/0330292号明細書および米国特許出願公開第2012/0148644号明細書に記載されているように調製され、International Flavors & Fragrances Inc.から入手可能なポリウレアシェルを有する。
【0067】
有利には、ポリマーシェルがマイクロカプセルの重量の最大20重量%を構成する。
【0068】
プロセス条件を修正することにより、所望のサイズのマイクロカプセルを公知の方法で製造することができる。マイクロカプセルは、典型的には1~500ミクロン、好ましくは1~300ミクロン、より好ましくは1~50ミクロン、最も好ましくは1~10ミクロンの範囲の平均直径を有する。必要であれば、最初に製造されたマイクロカプセルを濾過または篩分けして、より大きなサイズ均一な製品を製造することができる。
【0069】
本発明による典型的な組成物では、マイクロカプセルの含有量が一般に、組成物の総重量を基準にして0.2~2重量%、好ましくは0.5~1.5重量%の範囲である。
【0070】
シリコーン
本発明の組成物は、シリコーンコンディショニング剤の乳化液滴を含有し得る。当該シリコーンコンディショニング剤は、好ましくは疎水性変性されていない。
【0071】
適切なシリコーンには、CTFA名称ジメチコンを有するポリジメチルシロキサンが含まれる。また、本発明の組成物での使用に適しているのは、ヒドロキシ末端基を有するポリジメチルシロキサンであり、これはCTFA名がジメチコノールである。好ましくは、シリコーンは、ジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。アミノ変性シリコーンとジメチコンとのブレンドも同様に好ましい。
【0072】
乳化シリコーン自体(そのエマルジョンまたは最終ヘアコンディショニング組成物ではない)の粘度は、通常、25℃で少なくとも10,000cStであり、シリコーン自体の粘度は、好ましくは少なくとも60,000cSt、最も好ましくは少なくとも500,000cSt、理想的には少なくとも1,000,000cStである。上記粘度は、調合を容易にするため109cStを超えないことが好ましい。
【0073】
本発明の組成物で使用される乳化シリコーンは、通常、組成物において、シリコーン液滴直径D90が、30マイクロメートル未満、好ましくは20マイクロメートル未満、より好ましくは10マイクロメートル未満、理想的には0.01~1マイクロメートルである。0.15マイクロメートルの平均シリコーン液滴直径(D50)を有するシリコーンエマルジョンは、一般的にはマイクロエマルジョンと称される。
【0074】
シリコーン粒子径は、レーザ光散乱技術を用いて、例えば、Malvern Instruments製の2600D Particle Sizerを使用して測定されてもよい。
【0075】
予め形成された好適なエマルジョンの例としてはXiameter MEM 1785およびマイクロエマルジョンDC2-1865が挙げられ、いずれもDow Corningより入手可能である。これらは、ジメチコノールのエマルジョン/マイクロエマルジョンである。予め乳化された形態での架橋シリコーンガムも利用可能であり、これは調合しやすさのために有利である。
【0076】
本発明の組成物中に含有されるシリコーンのさらに好ましい部類は、アミノ変性シリコーンである。「アミノ変性シリコーン」とは、少なくとも1つの第1級、第2級もしくは第3級のアミン基、または第4級アンモニウム基を含有するシリコーンを意味する。好適なアミノ変性シリコーンの例としては、CTFA名「アモジメチコン」を有するポリシロキサンが挙げられる。好ましいアモジメチコンは、DC 7134としてDow Corningより市販されている。
【0077】
本発明で使用するのに好適なアミノ変性シリコーンの具体例は、アミノシリコーンオイルDC2-8220、DC2-8166およびDC2-8566(すべてDow Corning製)である。
【0078】
好適な第4級シリコーンポリマーは、欧州特許出願公開第0530974号明細書に記載されている。好ましい第4級シリコーンポリマーは、Goldschmidt製、K3474である。
【0079】
また、アミノ変性シリコーンオイルと、非イオン界面活性剤および/またはカチオン性界面活性剤とのエマルジョンも好適である。
【0080】
また、アミノ変性シリコーンの予め形成されたエマルジョンは、シリコーンオイルの供給元、例えばDow CorningおよびGeneral Electricなどから入手可能である。具体例としては、DC939カチオン性エマルジョンならびに非イオン性エマルジョンDC2-7224、DC2-8467、DC2-8177およびDC2-8154(すべてDow Corning製)が挙げられる。
【0081】
シリコーンの総量は、好ましくは全組成物の0.1重量%~10重量%、より好ましくは0.1重量%~5重量%であり、最も好ましくは0.25重量%~3重量%が好適な濃度である。
【0082】
分枝状カチオン性補助界面活性剤
本発明の組成物は、分枝状カチオン性補助界面活性剤を含有する。
【0083】
分枝状カチオン性補助界面活性剤は、構造1、構造2、構造3およびそれらの混合物から選択される。
【化3】
式中:
・R
1、R
2、R
5およびR
6は、C
4~C
20、好ましくはC
6~C
18の炭素-炭素鎖長を有する、飽和または不飽和の直鎖状アルキル鎖を含んでなり;任意で、R
1、R
2、R
5およびR
6の少なくとも1つは、エステル基、アミド基およびエーテル基から選択される基を含み;
・R
3およびR
4は、C
6~C
22、好ましくはC
6~C
12の炭素-炭素鎖長を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のアルキル鎖を含んでなり;任意で、R
3およびR
4の少なくとも1つはエステル基またはアミド基を含み;
・nおよびmは0~10の範囲を有し、好ましくは0および1から選択され;
・pは、1~6の範囲を有し;
・R
7は、C
1~C
4、好ましくはC
1~C
2の炭素-炭素鎖長を有するアルキル鎖を含んでなり;
・R
8は、プロトン、またはC
1~C
4、好ましくはC
1~C
2の炭素-炭素鎖長を有するアルキル鎖を含んでなり;および
・Xは、有機または無機アニオンであり;
分枝状カチオン性補助界面活性剤(iv)と直鎖状カチオン性界面活性剤(i)とのモル比が、1:20~1:1、好ましくは1:10~1:1、最も好ましくは1:5~1:2の範囲である。
【0084】
変数pは1~6の範囲を有し、好ましくは1~2から選択され、最も好ましくは1である。
【0085】
構造1~3において、アミンヘッドグループは最終配合物内で帯電している。しかしながら、原材料には、電荷が永続的でなく、調合中に強酸を使用したプロトン化によって電荷が誘発され得る化学種が含まれる。したがって、上記一般式中でR8がプロトンであるとき、プロトンは原材料中に存在するか、または調合の間に結合するようになってもよい。
【0086】
任意選択で、R1、R2、R3、R4、R5およびR6ののうち少なくとも1つは、アルキル鎖内に、エステル基(-OCO-または-COO-)、アミド基(-NOC-またはNCO-)およびエーテル基(-O-)からなる群から選択される結合を有してもよい。
【0087】
上記の分枝状補助界面活性剤は、0.01~5重量%、好ましくは0.1~2重量%、より好ましくは0.1~1.0重量%、最も好ましくは0.2~0.7重量%(100%活性で、全組成物の重量に基づいて)の量で存在する。
【0088】
Xは、有機または無機アニオンである。好ましくは、Xは、ハロゲン化物イオン、一般式:RSO3
-(Rは、1~4個の炭素原子を有する、飽和または不飽和アルキルラジカル)のサルフェート、および有機酸のアニオン性ラジカルから選択されるアニオンを含む。
【0089】
好ましいハロゲン化物イオンは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオンおよびヨウ化物イオンから選択される。好ましい有機酸のアニオン性ラジカルは、マレアート、フマレート、オキザラート、タータラート、シトラート、ラクタートおよびアセタートから選択される。好ましいサルフェートは、メタンスルホナートおよびエタンスルホナートである。
【0090】
最も好ましくは、X-は、ハロゲン化物、メタンスルホナート基およびエタンスルホナート基から選択されるアニオンである。
【0091】
好ましい実施形態では、
・R1、R2、R5およびR6は、C6~C18の炭素-炭素鎖長を有する、飽和または不飽和の直鎖状アルキル鎖を含んでなり;
・R3およびR4は、C6~C12の炭素-炭素鎖長を有する、飽和または不飽和の直鎖状または分枝状アルキル鎖を含んでなり;
・nおよびmは、0および1から選択され;
・pは1であり;
・R7は、C1~C2の炭素-炭素鎖長を有するアルキル鎖を含んでなり;
・R8は、プロトン、またはC1~C2の炭素-炭素鎖長を有するアルキル鎖を含んでなり;および
・Xは、ハロゲン化物、メタンスルホネートおよびエタンスルホネートから選択される。
【0092】
構造1に特有の好適な材料の例は、N,N,N-トリメチル-2-オクチルドデカン-1-アミニウムメタンスルホン酸塩である。
【0093】
構造2に特有の好適な材料の例は、2-(ジオクチルアミノ)-N,N,N-トリメチル-2-オキソエタン-1-アミニウムメタンスルホン酸塩である。
【0094】
構造3に合致する好適な材料の例は、2-((2-ブチルオクチル)オキシ)-N,N,N-トリメチル-2-オキソエタン-1-アミニウムメタンスルホン酸塩、2-((2-ヘキシルデシル)オキシ)-N,N,N-トリメチル-2-オキソエタン-1-アミニウムメタンスルホン酸塩、N,N,N-トリメチル-2-((2-オクチルドデシル)オキシ)-2-オキソエタン-1-アミニウムメタンスルホン酸塩、2-((2-デシルテトラデシル)オキシ)-N,N,N-トリメチル-2-オキソエタン-1-アミニウムメタンスルホン酸塩、2-((2-ドデシルヘキサデシル)オキシ)-N,N,N-トリメチル-2-オキソエタン-1-アミニウムメタンスルホン酸塩およびN,N,N-トリメチル-2-オキソ-2-((2-テトラデシルオクタデシル)オキシ)エタン-1-アミニウムメタンスルホン酸塩である。
【0095】
組成物のレオロジー
本発明の組成物は、良好な粘度特性および降伏応力特性を提供する。
【0096】
本組成物は、好ましい降伏応力の範囲、25℃および1Hzで、30~200パスカル(Pa)、最も好ましくは40~150Paのピーク値を有する。降伏応力を測定する方法は、1Hzの一定周波数で振動を適用でき、振幅掃引の範囲が0.1%~2000%である好適なレオメーターに取り付けた、直径40mmのギザギザのある平行板ジオメトリーを使用する。振幅掃引範囲は、振幅当たり4サイクル以下でカバーされる歪10個の範囲につき、10ポイント以下で適用される。計器は、例えばTA Instruments製のARES G2 Rheometerを用いるなど、制御された歪の下で作動されなければならない。ジオメトリーの温度は、例えばペルチェ制御プレートまたは再循環式恒温槽によって、25℃に設定しなければならない。降伏応力は、振幅歪に対して弾性応力をプロットすることによって決定され、曲線のピークにおける最大値が降伏応力として引用される。弾性応力は、(貯蔵弾性率)×(振幅歪)の乗算として計算され、それぞれ計器によって容易に得られる。
【0097】
組成物は、Brookfield RVTでスピンドルAまたはBを用いて、Helipath standにおいて、0.5rpmで60秒間、30℃で測定したとき、5,000~750,000センチポアズ、好ましくは50,000~600,000センチポアズ、より好ましくは50,000~450,000センチポアズの粘度を有する。
【0098】
好ましいコンディショナーはコンディショニングゲル相を含有する。これらのコンディショナーは、ほとんどまたはまったくベシクル含有量を有しない。そのようなコンディショナーおよびそれらを製造する方法は、国際公開第2014/016354号、国際公開第2014/016353号、国際公開第2012/016352号および国際公開第2014/016351号に記載されている。
【0099】
このようなコンディショニングゲル相は、組成物の総重量に対して、
i)0.4~8重量%の、8~22個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、
ii)0.1~2重量%のカチオン性界面活性剤、
を含有し、且つ該組成物は、組成物で処理される毛髪に対して、1~250g、好ましくは2~100g、より好ましくは2~50g、さらにより好ましくは5~40g、最も好ましくは5~25gの引っ張り質量(DrawMass)を与える。
【0100】
引っ張り質量は、ヘアピースを、櫛またはブラシを通して引っ張るのに必要な質量である。したがって、毛髪のもつれが多いほど、ヘアピースに櫛またはブラシを通して引っ張るのにより大きな質量が必要とされ、毛髪の状態の水準が高いほど、引っ張り質量はより小さくなる。
【0101】
引っ張り質量は、例えば重量1~20g、長さ10~30cmおよび幅0.5~5cmのヘアピースを、櫛またはブラシを通して引っ張るのに必要な質量であり、最初に櫛またはブラシの上に、毛髪の5~20cmが、接着されたヘアピース末端にぶら下がったままになるようにヘアピースを置くこと、続いてヘアピースが櫛またはブラシを通して落下するまで、ぶら下がった末端に重量を与えることによって測定する。
【0102】
好ましくは、ヘアピースは1~20g、より好ましくは2~15g、最も好ましくは5~10gの重量である。好ましくは、ヘアピースは10~40cm、より好ましくは10~30cmの長さ、および0.5~5cm、より好ましくは1.5~4cmの幅を有する。
【0103】
最も好ましくは、引っ張り質量は、例えば重量10g、長さ20cmおよび幅3cmのヘアピースを、櫛またはブラシを通して引っ張るのに必要な質量であり、最初に櫛またはブラシの上に、毛髪の20cmが、接着されたヘアピース末端でぶら下がったままになるようにヘアピースを置くこと、続いてヘアピースが櫛またはブラシを通して落下するまで、ぶら下がった末端に重量を与えることによって測定する。
【0104】
追加成分
本発明による組成物は、ヘアコンディショニング組成物に一般的に使用される、多数の成分のいずれかを含有してもよい。
【0105】
その他の成分は、防腐剤、着色剤、グリセリンおよびポリプロピレングリコールなどのポリオール、EDTAなどのキレート化剤、ビタミンEアセタートなどの酸化防止剤、芳香剤、抗菌物質ならびに日焼け止めが挙げられ得る。これらの各成分は、その目的を達成するために効果的な量で存在するだろう。通常、これらの任意成分は、個々に、組成物の総重量に対して、最大約5重量%の濃度で含有される。
【0106】
好ましくは、追加成分には香料、防腐剤、着色剤およびコンディショニング用シリコーンが挙げられる。
【0107】
本発明の組成物は、好ましくは粘度調整剤および増粘剤、例えば増粘ポリマーを含まない。
【0108】
また、上記の有効成分のいずれかの混合物が使用されてもよい。
【0109】
通常、このような成分は、個々に、組成物の総重量に対して、最大2重量%、好ましくは最大1重量%の濃度で含有される。
【0110】
本発明の実施形態が以下の実施例にて提供されるが、ここで引用されるすべての百分率は、特に指定のない限り、総重量に基づく重量である。
【実施例】
【0111】
実施例1:本発明による組成物1~4および比較組成物A
以下の組成物を調製した:
【表1】
【0112】
以下の方法を用いて、例Aおよび実施例1~3のコンディショナーを調製した。
1.界面活性剤および脂肪質(分枝状材料を含有)を好適な容器に添加し、80℃まで加熱する。
2.溶融ブレンドを、45~70℃の温度で、開示された組成物に従って好適な量の水に添加する。
3.混合物を、不透明および濃厚になるまで混合する。
4.続いて、加熱を止め、40℃未満に冷却し、残りの材料とともに残りの水を添加する。
5.最後に、配合物を、Silversonミキサーにて、5000rpmで5分間、高せん断力で混合する。
【0113】
実施例2:組成物Aおよび組成物1~3を用いた毛髪のトリートメント
使用した毛髪は、ダークブラウンの、ヨーロッパ人の毛髪を、重量5gおよび長さ6インチのヘアピースにしたものであった。
【0114】
最初に、毛髪を洗浄用シャンプーで以下の方法を用いて処理した。
【0115】
毛髪繊維を流水の下で30秒間保持し、毛髪1g当たりシャンプー0.1mlの用量でシャンプーを適用し、さらに30秒間毛髪にすりこんだ。流水の下で30秒間保持することにより過剰な泡を除去し、シャンプー工程を繰り返した。毛髪を流水の下で1分間すすいだ。
【0116】
続いて、濡れた毛髪を組成物で以下の方法を用いて処理した。
【0117】
毛髪1g当たりコンディショナー0.2mlの用量で、濡れた毛髪にコンディショナーを適用し、1分間毛髪にもみ込んだ。毛髪を流水の下で1分間すすぎ、余分な水を取り除いた。
【0118】
実施例3:組成物Aおよび組成物1~3で処理した毛髪上へのシリコーンの付着および降伏応力
【表2】
【国際調査報告】