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特表2022-514330液体を電気的に加熱および循環させるための装置用の加熱体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(54)【発明の名称】液体を電気的に加熱および循環させるための装置用の加熱体
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/40 20060101AFI20220203BHJP
   H05B 3/44 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
H05B3/40 Z
H05B3/44
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535229
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 FR2019052952
(87)【国際公開番号】W WO2020128210
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】1873128
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】アルノー、フェービル
(72)【発明者】
【氏名】オシヌ、ダウ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン、ドクール
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP15
3K092QA02
3K092QA04
3K092RA02
3K092RA06
3K092VV04
3K092VV40
(57)【要約】
電気液体加熱装置(16)用の加熱体(1)であって、直径(d1)によって画定された少なくとも1つの螺旋状の第1の加熱素子(4)と、直径(d2)によって画定された螺旋状の第2の加熱素子(5)と、第1および第2の加熱素子(4、5)を支持する基部(2)とを備える、加熱体において、第1の直径(d1)が第2の直径(d2)よりも大きく、第1の加熱素子が第2の要素周りに配設される、加熱体(1)。加熱体(1)は、長さに関するサイズが制限されるように配置された、3つ以上の加熱素子を備えるように構成することができ、個々の加熱素子のすべてによって囲まれるように配設されたコアを含むことができ、それによって加熱体(1)が内部に収容されるチャンバ(15)内側の液体の体積を低減する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気液体加熱装置(16)用の加熱体(1)であって、前記加熱体(1)が、螺旋形状であり第1の直径(d1)と呼ばれる直径によって画定された第1の加熱素子(4)と、螺旋形状であり第2の直径(d2)と呼ばれる直径によって画定された第2の加熱素子(5)と、前記第1の加熱素子(4)および前記第2の加熱素子(5)を支持する基部(2)と、を少なくとも備える加熱体において、前記第1の直径(d1)が、前記第2の直径(d2)よりも大きく、前記第1の加熱素子(4)が、前記第2の加熱素子(5)周りに配設される、加熱体(1)。
【請求項2】
前記第1の加熱素子(4)の巻回軸Yが、前記第2の加熱素子(5)の巻回軸Zと一致する、請求項1に記載の加熱体(1)。
【請求項3】
前記第1の加熱素子(4)および/または前記第2の加熱素子(5)が、第1の端子セクション(7)と、それに続く巻回部分(8)と、それに続く直線状の第2の端子セクション(9)とを備え、前記第1の端子セクション(7)および前記第2の端子セクション(9)は、前記巻回部分(8)と前記基部(2)との間を延びる、請求項1または2に記載の加熱体(1)。
【請求項4】
螺旋形状であり第3の直径(d3)と呼ばれる直径によって画定された少なくとも1つの第3の加熱素子(6)を備え、前記第1の加熱素子(4)が、前記第3の加熱素子(6)周りに配設される、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱体(1)。
【請求項5】
前記第3の加熱素子(6)が、前記第2の加熱素子(5)の軸方向延長部内に配設され、前記第2の加熱素子(5)および前記第3の加熱素子(6)が、共通軸Y周りに巻回される、請求項4に記載の加熱体(1)。
【請求項6】
螺旋形状であり第3の直径(d3)と呼ばれる直径によって画定された少なくとも1つの第3の加熱素子(6)を備え、前記第1の加熱素子(4)および前記第3の加熱素子(6)が、前記第2の加熱素子(5)周りに配設される、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱体(1)。
【請求項7】
前記第1の加熱素子(4)および前記第3の加熱素子(6)が共通軸Y周りに巻回されるように、前記第3の加熱素子(6)が、前記第1の加熱素子(4)の軸方向延長部内に配設される、請求項6に記載の加熱体(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの前記加熱素子(4、5)の前記第2の端子セクション(9)が、少なくとも1つの加熱素子の前記巻回部分(8)の内側で、前記基部(2)に向かって延びる、請求項1から7のいずれか一項に記載の加熱体(1)。
【請求項9】
個々の前記加熱素子の巻回軸Yによって画定された方向に延びるコア(14)であって、個々の前記加熱素子が前記コア(14)周りに配設されるように配置される、コア(14)を備える、請求項2から8のいずれか一項に記載の加熱体(1)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の加熱体(1)と、前記基部(2)に締結されたハウジング(13)とを備える電気加熱装置(16)であって、前記加熱体(1)および前記ハウジング(13)は、個々の前記加熱素子(4、5、6)が延びるチャンバ(15)を画定する、電気加熱装置(16)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、特に自動車の内部の暖房、換気、および/または空調設備のための、液体を加熱および循環させるための電気装置の分野である。より詳細には、本発明は、高電圧電力供給ネットワークを備えた電気自動車またはハイブリッド自動車におけるそのような設備に使用される電気加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱機関によって自動車の内部を熱処理することを意図する空気は、熱交換器を介して空気流と伝熱液との間の熱交換によって加熱される。ハイブリッド自動車または電気自動車の場合、熱エネルギーの供給源を形成する電気加熱装置が知られており、電気加熱装置は、電気加熱装置に内蔵された加熱素子の温度を上昇させるために電流を内部で循環させる。したがって、加熱される液体は、加熱装置を通過して加熱素子と接触させられ、次いで、加熱素子と内部を加熱するように意図された液体との間で熱エネルギーの交換が行われ、次いで加熱素子が加熱される。
【0003】
加熱素子は通常、電気加熱手段、例えば1つまたは複数の加熱抵抗体からなる。所望の動作に十分な加熱パワーを得るためには、単一の電気加熱装置内の加熱素子の数を増やす必要があり得る。したがって、知られている方法では、これらの加熱素子を次々に整列させることができる。
【0004】
それにもかかわらず、そのような配置は、特に必要な性能レベルを達成するために加熱素子の数が増加した場合に、電気加熱装置の長さに起因して大きな嵩を作り出すという欠点を有する。
【0005】
加熱素子によって生成される嵩を制限すると同時に、より高いパワーおよび性能を保証することは、車両、特に電気自動車またはハイブリッド自動車にとって本質的な問題のままであり、これに関連して本発明が存在する。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、加熱素子を追加することによってパワーを増加させると同時に、そのような加熱素子の追加によって作り出される嵩を制限することができる加熱体を提案することである。
【0007】
本発明の主題は、電気液体加熱装置用の加熱体であって、螺旋形状であり第1の直径と呼ばれる直径によって画定された第1の加熱素子と、螺旋形状であり第2の直径と呼ばれる直径によって画定された第2の加熱素子と、第1の加熱素子および第2の加熱素子を支承する基部とを少なくとも備える、加熱体において、第1の直径が第2の直径よりも大きく、第1の加熱素子が第2の加熱素子周りに配設されることを特徴とする、加熱体である。
【0008】
そのような加熱体は、ハイブリッド自動車または電気自動車用の電気加熱装置を意図としており、特に、一般に50Vよりも高い高電圧であると言われる電源で動作するように設計される。加熱素子は、例えば、直列または並列に電気的に接続することができる1つまたは複数の電気抵抗器を意味すると理解される。
【0009】
特定の実施形態によれば、基部には、個々の加熱素子の、シール式の挿入および締結を可能にするオリフィスが設けられる。特に、個々の加熱素子を支承する基部の変形を防止するために、前記素子は、基部内の挿入部位に位置する非加熱ゾーンを備える。
【0010】
特定の実施形態によれば、各加熱素子は、螺旋管状素子である。したがって、これらの加熱素子の管は、巻回部分において、加熱素子を画定する特定の直径の螺旋を形成する。
【0011】
特に、加熱素子は、それらの巻回部分が、この素子固有である、巻回軸と呼ばれる軸を巻回することによって延びるように配置される。特に、巻回軸から最も遠い螺旋管状素子上の点は、加熱素子の巻回部分の外面に内接する。同様に、巻回軸に最も近い螺旋管状要素上の点は、加熱素子の巻回部分の内面に内接する。本発明の好ましい特徴によれば、個々の加熱素子は、第1の加熱素子の巻回軸が第2の加熱素子の巻回軸と一致するように配設される。したがって、加熱素子の直径は、巻回軸に直交する平面内で測定された、加熱素子の巻回部分の外面間を延びるディスクの直径に等しい。
【0012】
本発明の優先的な特徴によれば、第1の加熱素子および/または第2の加熱素子は、第1の端子セクションと、それに続く巻回部分と、それに続く第2の直線状端子セクションとを備え、第1の端子セクションおよび第2の端子セクションは、巻回部分と基部との間を延びる。各端子セクションは、基部を通過し、その自由端に、加熱素子を電気システムに接続することを可能にする端子を含む。
【0013】
螺旋形状の加熱素子の使用により、嵩を低減することを可能にし、また電気加熱装置を通過する流体の乱れを増加させることを可能にし、それによって前記装置の性能を高める。
【0014】
本発明の個々の加熱素子の配置はまた、従来技術で観察されたように、単一の軸上に端から端まで加熱素子を単純に追加することから生じる嵩の増加を防止するのに寄与する。本発明によれば、加熱体は、少なくとも2つの加熱素子を備え、これらの加熱素子は、第1の加熱素子が第2の加熱素子周りに巻回されるように配置され、こうして加熱体の嵩を制限する。それにもかかわらず、別個であるこれらの加熱素子は、好ましくは、互いに分離されたままであるそれら自体の端子セクションまたはそれらのそれぞれの巻回部分のいずれにおいても、互いに接触しない。
【0015】
本発明の加熱体を備える電気加熱装置が組み立てられると、ハウジングが基部に締結され、こうして、本発明の加熱体を構成する個々の加熱素子が内部を延びるチャンバを画定する。好ましくは、加熱体は、各加熱素子の巻回部分の外面上の点がハウジングの内面からほぼ等距離になるように配置される。
【0016】
このようにして、加熱素子の周りのチャンバ内の液体の循環のための空間が画定され、そのような空間は、チャンバの一端から他端まで均一であり、したがって液体の体積の良好な分配を可能にする。したがって、加熱体の加熱素子によって加熱されるように意図されたグリコール水などの液体は、個々の加熱素子間でチャンバ内を循環し、加熱素子との接触によって温度が上昇する。
【0017】
同様に、個々の加熱素子は、例えば、第2の加熱素子の巻回部分が第1の加熱素子の巻回部分の内側に中心揃えされるように、第1の加熱素子の巻回軸が第2の加熱素子の巻回軸と一致するように配置することができる。このようにして、加熱素子の周囲全体、特に第2の加熱素子の巻回部分の外面と第1の加熱素子の巻回部分の内面との間に存在する空間において、同様の体積の液体の流れの循環を確実にすることが可能になり、この空間は、中間環状ゾーンを画定する。
【0018】
電気加熱装置を異なる必要なパワーに適応させるために、加熱体は、所望のパワーに応じて3つ以上の加熱素子を備えるように構成することができる。
【0019】
加熱体が、それ自体も管状で螺旋形状である第3の加熱素子を備える場合、前記第3の加熱素子は、第3の直径と呼ばれる直径によって画定される。
【0020】
このような構成では、加熱体は、様々な形態で具体化することができる。
【0021】
第1の実施形態では、加熱体は、第1の加熱素子が第3の加熱素子周りに配設されるように配設される。したがって、より大きな直径の第1の加熱素子は、第2および第3の加熱素子周りに巻回されるように配置される。
【0022】
さらに、第3の加熱素子は、第2の加熱素子の軸方向延長部内に配設することができ、第2の加熱素子および第3の加熱素子は、共通の巻回軸周りに巻回される。好ましくは、こうして端から端まで置かれた第2および第3の加熱素子は、同一の直径のものである。次いで、第1の加熱素子は、好ましくは、第2および第3の加熱素子によって形成されたアセンブリの高さに等しいかまたは実質的に等しい高さにわたって延びる。この高さは、個々の加熱素子の巻回軸に沿って、加熱素子が締結されている基部と加熱体の反対側の端部との間で測定された距離に等しい。
【0023】
第2および第3の加熱素子によって形成されたアセンブリは、例えば、各加熱素子の巻回軸が一致するように配置することができる。したがって、第2および第3の加熱素子のアセンブリは、加熱素子の周りの同様の体積の液体の流れの循環を確実にするように、第1の素子の巻回部分上に中心揃えされる。
【0024】
第2の実施形態では、加熱体は、螺旋形状であり第3の直径と呼ばれる直径によって画定された少なくとも第3の加熱素子を備え、第1の加熱素子および第3の加熱素子は、第2の加熱素子周りに配設される。
【0025】
したがって、第3の加熱素子は、第1の加熱素子と同様の直径のものであり、第1および第3の加熱素子が端から端まで共通軸周りに巻回されるように配設される。そのような実施形態では、第1および第3の加熱素子は、第2の加熱素子を取り囲む。したがって、第2の加熱素子の直径は、第1の加熱素子および第3の加熱素子の直径よりも小さい。
【0026】
次いで、第2の加熱素子は、好ましくは、第1および第3の加熱素子によって形成されたアセンブリの高さに等しいかまたは実質的に等しい高さにわたって延びる。ここでも、第2の加熱素子は、例えば、第1および第3の加熱素子によって形成されたアセンブリの巻回軸が第2の加熱素子の巻回軸と一致するように配置することができる。
【0027】
各加熱素子の巻回部分のピッチ、すなわち、巻回軸に対して測定された各巻きを隔てる距離は、加熱素子、実施形態、および所望のパワーに応じて適応させることができる。2つの加熱素子が端から端まで配置される場合、それらのそれぞれの巻回部分の螺旋は、それらの嵩を制限するように、小さいピッチを有する傾向がある。
【0028】
端から端まで置かれた加熱素子のこのようなアセンブリの高さは、加熱素子の1つの巻回軸に沿って測定される。この高さは、これらの個々の加熱素子の個々の巻回部分の高さに、基部と基部に最も近い巻回部分の端部を接合する第1の端子セクションの長さが加えられた合計に等しく、または実質的に等しい。
【0029】
細長いと言われる加熱素子は、第2の実施形態に示すように、2つの他の加熱素子を巻回するように、またはこれらの2つの他の加熱素子によって囲まれるように配設することができる。したがって、第1の実施形態では、細長い加熱素子は、第1の加熱素子である。したがって、第2の実施形態では、細長い加熱素子は、第2の加熱素子である。次いで、細長い加熱素子は、好ましくは、端から端まで置かれた他の2つの加熱素子によって形成されたアセンブリの高さと同様または実質的に同様である高さにわたって延びる。特に、細長い加熱素子は、互いに軸方向に延びるように配設された加熱素子で測定されるピッチよりも大きいピッチを特徴とする。
【0030】
同様に、本発明の構成または実施形態にかかわらず、個々の加熱素子の巻回部分の時計回りまたは反時計回りの巻回方向は、いかなる組み合わせ制限も受けない。巻回方向は、加熱素子のうちの1つの巻回部分の巻きの延長に追従するときに行われる移動の方向を意味すると理解される。したがって、すべての加熱素子を単一の巻回方向に延ばすことができ、または加熱素子を両方の巻回方向に配設することができる。
【0031】
本発明の優先的な特徴によれば、各端子セクションは、一方では基部内の加熱素子を締結することに寄与し、他方では加熱体を電力供給システムに電気的に接続することに寄与する。特に、第2の端子セクションは、屈曲部によって巻回部分に取り付けられ、この取り付けは、巻回部分の、基部に対して遠位の領域にある。
【0032】
好ましくは、第2の端子セクションは、巻回部分の基部に対する遠位端を基部から隔てる距離に等しいか、または実質的に等しい長さにわたって延びる。これにより、第2の端子セクションは、巻回部分の遠位端から基部に向かって垂下するアームを形成する。前記屈曲部は、好ましくは、単一の加熱素子の個々の端子セクション間のいかなる障害または接触も防止するために、加熱素子の第1の端子セクションから見て、所定の巻き数、そして±1.5から3Rに対応する値に等しい角度の角度セクタが追加される追加の360°の巻き後に配設されるように配置され、Rは、加熱素子の半径である。
【0033】
本発明の優先的な特徴によれば、加熱素子の少なくとも1つの第2の端子セクションは、少なくとも1つの加熱素子の巻回部分の内側で基部に向かって延びる。このようにして、加熱体を構成する加熱素子の数とは無関係に、第2の端子部分は、より小さい直径の1つまたは複数の加熱素子の内面の直径によって画定された中央ゾーン内に配設することができる。あるいは、この第2の端子セクションは、異なる直径の加熱素子間に位置する、中間環状ゾーン内を延びることができる。
【0034】
電気加熱装置のパワーを増加させるために、加熱素子と装置内を循環する液体との間で行われる熱交換を増加させることも必要である。このような作業は、液体のいかなる局所的な沸騰も防止する必要があるため、複雑であることを証明することができる。具体的には、チャンバが大きい容積を有する場合、加熱素子によって加熱されるように意図された液体は、加熱体の中央ゾーン内に滞留しやすくなり、熱交換率がそれによって低減される。
【0035】
このような欠点を防止し、電気加熱装置の性能を高めるために、コアを中央ゾーン内に配設することができる。
【0036】
したがって、本発明の追加の優先的な特徴によれば、加熱体は、1つまたは複数の加熱素子の巻回軸によって画定された方向に延びるコアを備えることができ、このコアは、個々の加熱素子が前記コア周りに配設されるように配置される。このコアは、優先的には、加熱素子の高さにわたって延び、中央ゾーンを充填することを目的とする。
【0037】
加熱体内にコアを追加することにより、一方ではチャンバ内の液体の体積を低減し、他方ではチャンバ内の液体の流れの乱れを増加させることが可能になる。したがって、液体と加熱体との間の熱交換係数が増大し、装置の性能が最適化される。
【0038】
本発明のさらなる特徴、詳細および利点は、添付の概略図を参照して、以下に与える詳細な説明、および非限定的な指示として与えられるいくつかの例示的な実施形態を読むことにより、より明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】加熱体が2つの加熱素子を備える場合の電気加熱装置の側面図である。
図2】加熱体が少なくとも3つの加熱素子を備える場合の電気加熱装置の横方向図である。
図3】本発明の2つの可能な加熱素子を備える加熱体の概略図である。
図4】第1の実施形態によって配置された、3つの加熱素子を備える加熱体の概略図である。
図5】第2の実施形態によって配置された、3つの加熱素子を備える加熱体の概略図である。
図6図2に示すように、第1の実施形態によって配置された3つの加熱素子を備える加熱体の垂直断面図である。
図7】加熱体がコアを備える場合の加熱体の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、基部2を備える電気加熱装置16を概略的に示し、この基部は、少なくとも2つの加熱素子4および5を支承し、ハウジング13が締結されて、個々の加熱素子4および5が内部を延びるチャンバ15を画定する。基部2および加熱素子4および5は、加熱体1と呼ばれるアセンブリを形成する。チャンバ15をシールするために、環状シール17が、加熱体1の底部の、基部2とハウジング13との間に位置する受け入れ溝内に配設される。
【0041】
図1は、特に、加熱体1が2つの加熱素子4、5を備えるように構成された電気加熱装置16を示し、電気加熱装置16内の個々の加熱素子4、5の相対的な配置を示す。
【0042】
各加熱素子4、5は、チャンバ15内を循環する液体が逃げることができないように、基部2内に作製されたオリフィス3にシール式に挿入され締結される。前記加熱素子4、5は管形状のものであり、第1の端子セクション7から構成され、この第1のセクションは、基部2に締結され、軸Yによって画定された方向に螺旋が延びる螺旋形状の巻回部分8によって継続され、第2の端子セクション9で終了する。各端子セクション7、9の端部は、加熱体1を電源に電気的に接続することを可能にする端子11を備える。
【0043】
図1は、加熱体1を示し、その内部では、各加熱素子4、5の第2の端子セクション9が、第2の加熱素子5の巻回部分の内面によって画定された中央ゾーン12内を直線的に延びる。それにもかかわらず、そのような構成の代替策が以下に論じられる。
【0044】
第2の端子セクション9は、巻回部分8の、前記基部2に対する遠位端を前記基部2に接合することを可能にする。特に、巻回部分8の遠位端および第2の端子セクション9が接合されたゾーンは、屈曲部10を形成する。個々の屈曲部10、ならびに各加熱素子4、5の第1の端子セクション7および第2の端子セクション9は、個々の端子セクション7、9の間に重なりまたは接触がないように配置される。そのような配置は、図6および図7でより詳細に示される。
【0045】
図1に示す例では、加熱体1は、2つの加熱素子4および5のみを含むように構成されている。前記加熱体1は、第1の直径d1によって画定された第1の加熱素子4を備え、この第1の加熱素子4は、第1の加熱素子4の直径d1よりも小さい第2の直径d2によって画定された第2の加熱素子5周りに巻回されるように配置される。
【0046】
2つの加熱素子4、5は、図1に示すように、これらが同心になるように配置することができる。次いで、個々の加熱素子4、5の巻回部分8は、単一の軸Y周りに巻回される。これらは、巻回部分8の基部と遠位端との間で同じ軸Yに沿って測定された、等しいかまたは実質的に等しい高さHにわたってチャンバ15内を延びる。第1の加熱素子4および第2の加熱素子5の配置は、これらの別個の加熱素子がそれら自体の端子セクション7および9またはそれらの巻回部分8のいずれにおいても互いに接触しないように画定される。
【0047】
加熱体1は、ハウジング13に挿入されると、軸Yに直交する平面内において、各加熱素子4、5の巻回部分8の外面上の点が、ハウジング13の内面から等距離または実質的に等距離になるように配置され、こうしてチャンバ15内の液体の循環のための空間を画定する。このようにして、液体は、加熱体1の中、周囲、および内部を均一に循環し、個々の加熱素子4および5と接触すると温度が上昇する。
【0048】
図2および図4の概略図は、各々が管状および螺旋形状の3つの加熱素子4、5および6を備える加熱体1を示し、第1の実施形態による個々の加熱素子4、5、6の配置を示す。代替の実施形態を図5に概略的に示す。
【0049】
図2に示すこの第1の実施形態では、加熱体1は、第1の直径d1によって画定された第1の加熱素子4を備え、この第1の加熱素子は、第2の直径d2によって画定された第2の加熱素子5周りに巻回される。加熱体1は、第3の直径d3によって画定された第3の加熱素子6を備える。個々の加熱素子4、5、6は、d2よりも大きくd3よりも大きい第1の直径d1によって画定されたこの第1の加熱素子4が、第2の加熱素子5および第3の加熱素子6周りに巻回されるように配置される。特に、図2に示すように、第3の加熱素子6は、第2の加熱素子5の端部に配設され、これらの2つの加熱素子は、第1の素子4の巻回軸Zと一致する共通の巻回軸Yを有する。第2の加熱素子5および第3の加熱素子6はまた、それらの等しい直径d2およびd3によって画定される。
【0050】
そのような構成では、個々の加熱素子4、5、および6は、互いに非ゼロ距離にある。さらに、第2の加熱素子5または第3の加熱素子6の巻回部分8の外面、および第1の加熱素子4の巻回部分8の内面は、液体が内部を循環する、多かれ少なかれ狭いリングの形態の中間環状ゾーン19を画定する。
【0051】
個々の加熱素子4、5、および6は、軸Yによって画定された方向に、ハウジング13および基部2によって画定されたチャンバ15内を延びる。第1の加熱素子4は、軸Yに沿って、基部2と第1の素子4の巻回部分8の遠位端との間で測定される高さHにわたって延びる。この高さHは、軸Yに沿って測定される、基部2と第3の加熱素子6の巻回部分8の遠位端との間の高さH2、3に等しいか、または実質的に等しい。この高さH2、3は、第2の加熱素子5および第3の加熱素子6が端から端まで配置されているときの第2の加熱素子5および第3の加熱素子6の長さの合計であり、軸Yに沿って測定される。
【0052】
2つの加熱素子4、5を備える加熱体1について上述したように、これらの3つの加熱素子4、5および6のアセンブリは、好ましくは、軸Yに直交する平面内で、個々の加熱素子4、5、6の巻回部分8のそれぞれの外面上の点が、ハウジング13の内面から等距離または実質的に等距離にあるように配置され、それにより、等しく分配されるチャンバ15内の液体の循環のための空間を画定する。
【0053】
第2の加熱素子5および第3の加熱素子6の直径d2およびd3よりも大きい直径d1の第1の素子4の巻回部分8は、この実施形態では、第2の加熱素子5または第3の加熱素子6の巻回部分8で観察されるピッチPまたはPよりも大きいピッチPを有する。図2の加熱体1に示す第2の加熱素子5および第3の加熱素子6は、同一のピッチPおよびPを有する。それにもかかわらず、これらのピッチが異なる代替策が考えられる。
【0054】
各加熱素子4、5、6は、屈曲部10を備え、この屈曲部は、巻回軸Yに実質的に垂直な平面内を、第2の加熱素子5および第3の加熱素子6の巻回部分の内面によって画定された中央ゾーン12に向かって延びる。したがって、第3の加熱素子の屈曲部10は、第1の加熱素子4および第2の加熱素子5について上述したのと同様に、屈曲部に取り付けられた第2の端子セクション9が、巻回部分8から基部2の空き空間まで、中央ゾーン12内で直線的に延びることができるように配置される。
【0055】
図6に示す例では、各加熱素子4、5、および6の屈曲部10は、各加熱素子4、5、6の第2の端子セクション9がこの同じ中央ゾーン12内を延びるように、中央ゾーン12に向かって延びる。それにもかかわらず、第2の端子セクションのうちの1つまたは複数が、個々の加熱素子4、5、6間に位置する中間環状ゾーン19内を延びる代替策を想定することが可能である。
【0056】
Y軸に沿ったこの断面は、第1の加熱素子4に属する軸V上に垂直に整列した一連の巻き、続いて軸Vとは別個の軸Wに沿って垂直に整列した第2の加熱素子5および第3の加熱素子6の一連の巻きを示す。各加熱素子4、5、6の断面は同一であり、これらが同様または実質的に同様の直径の抵抗ストランドから構成される事実を示している。
【0057】
図7は、個々の加熱素子4、5、6の中心に配置されたコア14を備える加熱体1を概略的に示す。そのようなコア14は、加熱体が構成される加熱素子の数にかかわらず、上述したような加熱体1のすべての構成および実施形態に組み込むことができる。このコア14は、加熱体1の中央ゾーン12を少なくとも部分的に充填し、したがって、チャンバ15の容積を減少させ、チャンバ15内に存在する熱伝達液体の流れの乱れを増加させ、このチャンバ15内の液体の移動速度を加速することに寄与する。これにより、このコア14の存在により、加熱体1の性能が向上する。
【0058】
コア14は、中央ゾーン12内に配設され、チャンバ15内の個々の加熱素子4、5、6の巻回軸Yによって画定された方向に延びる。このコアは、可変の高さを有することができ、最も長い加熱素子の長さの全部または一部にわたって延びる。それにもかかわらず、コア14の効果を最適化するために、前記コア14を取り囲む加熱体1アセンブリの高さに近い高さのコアが採用されることが好ましい。
【0059】
図7はまた、本発明の電気加熱装置を車両またはその支持体に締結することを可能にする、基部2に組み込まれた締結手段21を示す。
【0060】
上記を読むことから、本発明は、電気加熱装置用を意図する加熱体であって、電気加熱装置の嵩を低減するように構成され、それと同時にその熱性能を維持または増加させる、加熱体を提案することが理解されよう。特に電気車両またはハイブリッド車両用の暖房および/または空調装置と協働するように意図されたこの加熱体の寸法は、個々の加熱素子の特定の配置の結果として最適化される。この加熱体内に配設されたコアの追加はまた、加熱素子と液体との間で行われる熱伝達の効率を高める効果を有する。これにより、エネルギー伝達の効率が増加する一方で、電気加熱装置の嵩は、従来技術の流体加熱装置と比較して低減される。
【0061】
しかし、本発明は、本明細書に記載および図示する手段および構成に限定されず、すべての同等の手段または構成およびそのような手段の任意の技術的に機能的な組み合わせにも及ぶ。特に、車両用の電気加熱装置が最終的に本明細書に記載されたものと同じ機能を果たす限り、加熱素子の数、前記加熱素子の巻回部分のピッチ、前記加熱素子の直径は、本発明を損なうことなく変更することができる。
【0062】
例えば、加熱素子の第2の端子セクションの1つまたは複数が中央ゾーン内ではなく中間環状ゾーン内を延びる構成を想定することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】