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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(54)【発明の名称】遊星歯車式変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20220203BHJP
   F16H 1/28 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
F16H57/04 D
F16H57/04 J
F16H1/28
F16H57/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535569
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(85)【翻訳文提出日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 EP2019085044
(87)【国際公開番号】W WO2020126887
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】102018222527.3
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】ヴャチェスラフ ブルシュキフスキー
【テーマコード(参考)】
3J027
3J063
【Fターム(参考)】
3J027FA21
3J027GA01
3J027GC22
3J027GE01
3J027GE03
3J027GE07
3J027GE30
3J063AB12
3J063AC03
3J063BA11
3J063BB50
3J063CA01
3J063CB06
3J063CB48
3J063XD03
3J063XD17
3J063XD32
3J063XD72
3J063XE15
3J063XF04
3J063XF14
(57)【要約】
【課題】本発明は遊星歯車式変速機に関する。
【解決手段】遊星歯車式変速機(1)は、遊星キャリア(2)と、複数の遊星歯車(3)と、を備える。遊星歯車(3)は、遊星ボルト(5)および遊星軸受(4)を介して遊星キャリア(2)に対して支持されている。遊星ボルト(5)は、それぞれ、遊星軸受(4)に潤滑油を供給する少なくとも1つの穴(6、7、11)を備える。この少なくとも1つの穴(6、7、11)に、遊星キャリア(2)に固定された構成部品(8)のオイルキャッチ要素(8b)が割り当てられている。構成部品(8)は、さらに、回転数センサ(20)用のパルス発生器(8a)として構成されている。パルス発生器(8a)は、構成部品(8)の円周上に配置されて軸方向に延在する複数のエンボス部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊星歯車式変速機(1)であって、遊星キャリア(2)と、複数の遊星歯車(3)と、を備え、前記遊星歯車(3)は、遊星ボルト(5)および遊星軸受(4)を介して前記遊星キャリア(2)に対して支持され、前記遊星ボルト(5)は、それぞれ、前記遊星軸受(4)に潤滑油を供給する少なくとも1つの穴(6、7、11)を備え、前記少なくとも1つの穴(6、7、11)に、前記遊星キャリア(2)に固定された構成部品(8)のオイルキャッチ要素(8b)が割り当てられ、前記構成部品(8)は、さらに、回転数センサ(20)用のパルス発生器(8a)として構成され、前記パルス発生器(8a)は、前記構成部品(8)の円周上に配置されて軸方向に延在するエンボス部(9)を備える、遊星歯車式変速機(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の遊星歯車式変速機(1)であって、軸方向に延在する前記エンボス部(9)は、屋根状に構成され、それぞれ、径方向面に対して斜めに、または平行に配置された屋根面(9a)を備えることを特徴とする、遊星歯車式変速機(1)。
【請求項3】
請求項2に記載の遊星歯車式変速機(1)であって、軸方向に延在する前記エンボス部(9)は第1開口部(9b)を構成し、前記第1開口部(9b)は径方向内側に開いていることを特徴とする、遊星歯車式変速機(1)。
【請求項4】
請求項3に記載の遊星歯車式変速機(1)であって、軸方向に延在する前記エンボス部(9)は第2開口部を構成し、前記第2開口部は軸方向に開いていることを特徴とする、遊星歯車式変速機(1)。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の遊星歯車式変速機(1)であって、前記構成部品(8)は板金部品として構成されていることを特徴とする、遊星歯車式変速機(1)。
【請求項6】
請求項5に記載の遊星歯車式変速機(1)であって、軸方向に延在する前記エンボス部(9)は、成形によって前記板金部品から製造可能であることを特徴とする、遊星歯車式変速機(1)。
【請求項7】
請求項5または6に記載の遊星歯車式変速機(1)であって、前記オイルキャッチ要素(8b)は、周方向のエンボス部として構成されたキャッチパンを備えることを特徴とする、遊星歯車式変速機(1)。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の遊星歯車式変速機(1)であって、回転数センサ(20)は前記パルス発生器(8a)に関連付けられていることを特徴とする、遊星歯車式変速機(1)。
【請求項9】
請求項8に記載の遊星歯車式変速機(1)であって、前記回転数センサ(20)は長手方向軸(b)を備え、前記長手方向軸(b)は、軸方向に延在する前記エンボス部(9)の前記屋根面(9a)に対して略垂直に配向されていることを特徴とする、遊星歯車式変速機(1)。
【請求項10】
少なくとも1つの遊星キャリアおよび複数の遊星歯車を有する遊星歯車式変速機(1)用の構成部品(8)であって、オイルキャッチ要素(8b、13)と、回転数センサ(20)用のパルス発生器(8a、12a、13a)と、を備え、前記パルス発生器(8a、12a、13a)は、前記構成部品(8)の円周上に配置されて軸方向に延在する屋根状の複数のエンボス部(9、12、13)から構成されている、構成部品(8)。
【請求項11】
請求項10に記載の構成部品(8)であって、軸方向に延在する前記エンボス部(9、12、13)は、それぞれ、径方向面に対して斜めに、または平行に配置された屋根面(9a、12a、13a)を備えることを特徴とする、構成部品(8)。
【請求項12】
請求項10または11に記載の構成部品(8)であって、前記構成部品(8)は板金部品として構成されていることを特徴とする、構成部品(8)。
【請求項13】
請求項12に記載の構成部品(8)であって、軸方向に延在する前記エンボス部(9、12、13)および前記オイルキャッチ要素(8b、13)は、成形によって板金プレートから製造されていることを特徴とする、構成部品(8)。
【請求項14】
請求項10~13の何れか一項に記載の構成部品(8)であって、軸方向に延在して前記パルス発生器(13a)を構成する前記エンボス部(13)は、オイルキャッチ要素を構成することを特徴とする、構成部品(8)。
【請求項15】
請求項10~14の何れか一項に記載の構成部品(8)であって、前記構成部品(8)は、径方向に見て、前記パルス発生器(8a)を構成する前記エンボス部(9)の外側に、更なるエンボス部(12)を備え、前記更なるエンボス部(12)は、前記構成部品(8)の円周上に配置されて軸方向に延在し、第2パルス発生器を構成することを特徴とする、構成部品(8)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の遊星歯車式変速機に関する。さらに本発明は、遊星キャリアと、複数の遊星歯車と、を備える遊星歯車式変速機用の構成部品に関する。
【背景技術】
【0002】
前述の種類の遊星歯車式変速機は、ドイツ特許出願公開第10 2017 205 491 A1号によって開示される。この場合、信号発生器とも称されるパルス発生器は、円周上に配置された歯部を備える歯付きディスクとして構成されている。歯付きディスクは、遊星キャリアが回転すると、信号の形態のパルスを回転数センサにおいて発生させる。この信号から、回転数が導出される。オイルキャッチ要素は、遊星ボルトの長手方向穴の領域に配置されている。そのため、オイルキャッチ要素によってキャッチされた油が、盲穴として構成された長手方向穴へと軸方向に搬送される。そこから、横方向穴または径方向穴を介して、油が遊星軸受に到達し、そこでの潤滑を確実にする。
【0003】
パルス発生器を備える回転数センサは、例えば、ドイツ特許出願公開第10 2009 045 676 A1号またはドイツ公開特許第10 2008 056 700 B4号から既知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第10 2017 205 491 A1号
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第10 2009 045 676 A1号
【特許文献3】ドイツ公開特許第10 2008 056 700 B4号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述の出願の主題をさらに改良することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載の遊星歯車式変速機、および請求項10に記載の構成部品によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項、ならびに以下の説明および図面から明らかとなる。
【0007】
本発明によれば、遊星歯車式変速機が提案される。遊星歯車式変速機は、遊星キャリアと、複数の遊星歯車と、を備える。遊星歯車は、遊星ボルトおよび遊星軸受を介して遊星キャリアに対して支持されている。遊星ボルトは、それぞれ、遊星軸受に潤滑油を供給する少なくとも1つの穴を備える。この少なくとも1つの穴に、遊星キャリアに固定された構成部品のオイルキャッチ要素が割り当てられている。この構成部品は、さらに、回転数センサ用のパルス発生器として構成されている。パルス発生器は、構成部品の円周上に配置されて軸方向に延在する複数のエンボス部を備える。軸方向に延在するエンボス部は、ポケット状に構成することができ、以下の記載ではポケットと称される。遊星キャリアの端面に配置されて軸方向にエンボス部を構成する金属ポケットは、ハウジングに固定して配置された回転数センサを通過するときに、パルスを回転数センサにおいて発生させる。パルスは、例えば矩形波信号を供給する。この矩形波信号から、遊星キャリアの回転数を導出することができる。回転数センサは、好適には、既知であり市販されているホールセンサとして構成されている。回転数センサをハウジングに固定して配置するために、回転数センサを、遊星歯車式変速機のハウジングと直接的または間接的に接続することができる。
【0008】
好適な一実施形態によれば、ポケットは、屋根状に構成され、径方向面または仮想の平面に対して斜めに、または平行に配置された屋根面を備える。したがって、屋根面は軸方向に隆起部を構成する。この隆起部の後、周方向に見て次のポケットまで凹部が続く。したがって、ポケットは、円周上に配置された複数のパルス発生要素のうちの1つを構成する。
【0009】
更なる好適な実施形態によれば、ポケットは、径方向に開いた第1開口部を備える。径方向のこの開口部は、特に成形によってポケットを製造する際の、主として製造上の理由によるものである。
【0010】
更なる好適な実施形態によれば、ポケットは、軸方向に開いた第2開口部を備える。すなわち、ポケットは、径方向面で一種の窓を構成する。この開口部も、製造工程によるものである。
【0011】
更なる好適な実施形態によれば、オイルキャッチ要素およびパルス発生器を備える構成部品は、好適には強磁性材料製である板金部品として構成されている。これによって、費用対効果に優れた製造であるという利点が達成される。組み合わせ部品とも称される板金部品は、一方ではオイルキャッチ要素としての機能を果たし、他方ではパルス発生器としての機能を果たす。板金部品は、板金プレートから成形することによって、特に打ち抜きエンボス加工によって製造できる。したがって、屋根状に構成されたポケットは、プレートの平面から切断およびエンボス加工することによって提示される。
【0012】
更なる好適な実施形態によれば、オイルキャッチ要素は、板金部品の周方向のエンボス部として構成されたキャッチパンを備える。エンボス部は、断面が略アーチ状に構成され、径方向内側に開いている。そのため、キャッチパンは、径方向に吹き出す油をキャッチし、それを遊星ボルトの長手方向穴内に偏向することができる。この周方向のキャッチパンは、簡単なエンボス加工によって製造することができる。
【0013】
更なる好適な実施形態によれば、ハウジングに固定して配置された回転数センサは、パルス発生器に、したがってポケットに関連付けられている。関連付けは、ポケットの屋根面に対して行われる。速度センサの長手方向軸、すなわちその磁場の軸は、ポケットの屋根面に対して略垂直に配向されている。このように配置することによって、利用可能な速度信号が得られる。
【0014】
本発明による、少なくとも1つの遊星キャリアおよび複数の遊星歯車を有する遊星歯車式変速機用の構成部品は、オイルキャッチ要素と、回転数センサ用のパルス発生器と、を備える。パルス発生器は、構成部品の円周上に配置されて軸方向に延在する屋根状の複数のエンボス部から構成されている。軸方向に延在するエンボス部は、ポケット状に構成することができ、以下の記載ではポケットと称される。
【0015】
構成部品の好適な実施形態によれば、屋根状に構成されたポケットは、径方向面または仮想の平面に対して斜めに、または平行に配置された屋根面を備える。したがって、屋根面は軸方向に隆起部を構成する。この隆起部の後、周方向に見て次のポケットまで凹部が続く。したがって、ポケットは、円周上に配置された複数のパルス発生器要素のうちの1つを構成する。
【0016】
更なる好適な実施形態によれば、オイルキャッチ要素およびパルス発生器を構成する構成部品は、好適には強磁性材料製である板金部品として構成されている。これによって、費用対効果に優れた製造であるという利点が達成される。組み合わせ部品とも称される板金部品は、一方ではオイルキャッチ要素としての機能を果たし、他方ではパルス発生器としての機能を果たす。板金部品は、板金プレートから成形することによって、特に打ち抜きエンボス加工によって製造できる。したがって、屋根形状のポケットは、プレートの平面から切断およびエンボス加工することによって提示される。ポケットは、径方向に開いた第1開口部と、軸方向に開いた第2開口部と、の両方を備えることができる。径方向および軸方向の開口部は、特に成形によってポケットを製造する際の、主として製造上の理由によるである。このようにして製造されたポケットは、打ち抜き技術において、えら状部分(ギル:gill)とも称される。
【0017】
更なる実施形態によれば、軸方向に延在してパルス発生器を構成するポケットは、同時にオイルキャッチ要素を構成するように設計されている。これによって、費用対効果に優れた製造であるという利点が達成される。
【0018】
更なる実施形態によれば、構成部品は、径方向に見て、パルス発生器を構成するポケットの外側に、更なるポケットを備える。更なるポケットは、構成部品の円周上に配置され、同様に軸方向に延在する。これらのポケットを、前述のように構成し、それによって第2パルス発生器を構成することができる。その結果、このように構成された構成部品は、2つの回転数センサ用のパルス発生器として機能することができる。
【0019】
本発明の実施形態を、図に示し、以下で詳説する。更なる特徴および/または利点は、記載および/または図面から明らかとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】パルス発生器およびオイルキャッチ要素を有する本発明による組み合わせ部品を備える遊星歯車式変速機の断面図である。
図2】組み合わせ部品を個別部品として三次元で表示した図である。
図3】パルスリングに対する回転数センサの配置を示す図である。
図4】第2実施形態による組み合わせ部品を個別部品として示す図である。
図5】第3実施形態による組み合わせ部品を個別部品として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、遊星キャリア2がその周りで回転可能に配置された中心軸aを有する遊星歯車式変速機1を、軸方向断面図で示す。遊星歯車式変速機1は、円周上に配置された複数の遊星歯車を備える。これらの遊星歯車のうち1つの遊星歯車3が図示されている。遊星歯車3は、好適にはニードル軸受4である転がり軸受4として構成された遊星軸受4を用いて、遊星ボルト5上に支持されている。遊星ボルト5自体は、遊星キャリア2内に堅固に受容されている。遊星ボルト5は、連続する略中央に配置された横方向または径方向穴6を備える。横方向または径方向穴6は、遊星ボルト5の端面にまで延在する長手方向または軸方向穴7と接続されている。遊星キャリア2は、図において右側に配置された端面2aを備える。端面2aには、本発明による組み合せ部品8が固定されている。図2で個別部品として示される組み合わせ部品8は、一方ではパルスリング8aと、他方ではオイルキャッチパン8bと、を備える。パルスリング8aは、ここでは図示されない回転数センサ用のパルス発生器または信号発生器として機能する。オイルキャッチパン8bは、長手方向穴7の領域に配置されている。オイルキャッチパン8bは、長手方向穴7の直径の領域において、周方向に、径方向内側に開いた環状チャンバを構成する。環状チャンバは、径方向外側に吹き出す油がキャッチされ、長手方向穴7内に偏向され、そこから径方向穴6を介して遊星軸受4に到達し、その潤滑を確実とするように、各遊星ボルト5の長手方向穴7と流体連通する。
【0022】
図2は、本発明による組み合わせ部品8を個別部品として、外側8cを、すなわち遊星キャリア2の端面2aと反対側を見る斜視図で示す。リング状に構成された組み合わせ部品8は、板金部品として構成され、成形によって板金プレートから製造されている。図面から分かるように、パルスリング8aは、円周上に均等に配置された6つのポケット9を備える。これらのポケット9は、成形によって、すなわち板金プレートから切断およびエンボス加工することによって製造される。ポケット9は、それぞれ、図1からも分かるように、端面2aに、または仮想の平面に対して斜めに配置された屋根面9aを備える。屋根面9aは、径方向内側に開いた開口部9bを構成する。リング状の組み合わせ部品8の裏側で、ポケット9の領域に、屋根状のポケット9を提示することに起因する材料のリセスまたは窓(参照番号なし)が存在する。オイルキャッチパン8bの断面は、図1の軸方向の断面図で認識可能である。オイルキャッチパン8bは、図2では円環状のエンボス部として認識可能である。組み合わせ部品8は、円周上に配置された複数の固定開口部10を備える。これらの固定開口部10は、組み合わせ部品8を遊星キャリア2に固定するように機能する。
【0023】
遊星歯車式変速機21に関して、図3は、ポケット29を有して遊星キャリア22に固定されたパルスリング28aを備える遊星キャリア22を示す。長手方向軸bを有する回転数センサ20は、ポケット29の前方に端面側の空隙を残してハウジングに固定して配置されている。この場合、長手方向軸bは、ポケット29の屋根面9a(図2)に対して略垂直に配向されている。遊星キャリア22が回転すると、パルスリング28aのポケット29は、周方向速度で回転数センサ20を通過する。その際に、ポケット29が、それぞれ、好適にはホールセンサである回転数センサ20においてパルスを発生させる。これらから、遊星キャリア22の回転数が決定される。
【0024】
図1に示したものとは異なり、代替的な実施形態による遊星ボルト5は、遊星軸受4に潤滑油を供給するために、遊星歯車ボルト5内で斜めに延びる穴11を備える。斜めに延びる穴11は、遊星歯車ボルト5の端面から、遊星歯車ボルト5内で径方向外側に延び、遊星軸受4の略中央に開口する。したがって、オイルキャッチパン8bによってキャッチされた油は、斜めの穴11を通って遊星軸受4に到達可能であり、その潤滑を確実とすることができる。
【0025】
図4は、本発明の第2実施形態による組み合わせ部品8を、個別部品として、やはり外側8cを見る斜視図で示す。個別部品として示される組み合わせ部品8は、この場合でも円環状に構成され、図2に記載される、組み合わせ部品8の円周上に均等に配置されたポケット9を備える。これらのポケット9に加えて、この場合に図示される組み合わせ部品8は、組み合わせ部品8の円周上に配置された更なるポケット12を備える。これらの更なるポケット12は、オイルキャッチパン8bから径方向に見て、ポケット9の外側に配置されている。組み合わせ部品8は、円周上に均等に配置された、例えば8つのポケット12を備えることができる。これらのポケット12も、成形によって、すなわち板金プレートから切断およびエンボス加工することによって製造できる。この場合のポケット12は、ポケット9とは異なり、端面2aに、または仮想の平面に対して平行に配置された屋根面12aを備える。これらの屋根面12aは、同様に、径方向内側に開いた開口部を構成する。リング状の組み合わせ部品8の裏側で、ポケット12の領域にも、屋根状のポケット12を提示することに起因する材料のリセスまたは窓が存在する。オイルキャッチパン8bの断面は、図1の軸方向の断面図で認識可能である。オイルキャッチパン8bは、この場合でも円環状のエンボス部として構成されている。組み合わせ部品8は、円周上に配置された複数の固定開口部10を備える。これらの固定開口部10は、組み合わせ部品8を遊星キャリア2に固定するように機能する。
【0026】
この組み合わせ部品8が、図1による遊星キャリア2または図3による遊星キャリア22に固定されると、組み合わせ部品8は、2つの回転数センサ用のパルスリングとして機能することができる。第1回転数センサ20は、図3に示すように、長手方向軸bを備え、ポケット29の前方に端面側の空隙を残してハウジングに固定して配置されている。この場合、長手方向軸bは、端面2aに対して斜めに配置されたポケット9、29の屋根面9aに対して略垂直に配向されている。これに対して、第2回転数センサは、その長手方向軸が遊星キャリア22の中心軸または回転軸aに対して平行であり、ポケット12の前方に端面側の空隙を残してハウジングに固定して配置されている。この場合、第2回転数センサの長手方向軸は、端面2aに対して平行に配置されたポケット12の屋根面12aに対して略垂直に配向されている。
【0027】
代替的な配置において、第2回転数センサは、その長手方向軸が遊星キャリア22の中心軸または回転軸aに対して垂直でもあり、ポケット12の軸方向に延在するエンボス部の前方に端面側の空隙を残して径方向に配置することができる。
【0028】
遊星キャリア22が回転すると、パルスリング8a、28aのポケット9、12、29は、周方向速度で両方の回転数センサを通過する。その際にポケットが、それぞれ、回転数センサにおいてパルスを発生させる。これらから、遊星キャリア22の回転数が決定される。回転数センサは、ホールセンサとして構成することができる。
【0029】
図5は、本発明よる組み合わせ部品8の第3実施形態を、個別部品として、やはり外側8cを見る斜視図で示す。個別部品として示される組み合わせ部品8は、この場合円環状に構成され、組み合わせ部品8の円周上に均等に配置された4つのポケット13を備える。この場合ポケット13は、上述したように、回転数センサ用のパルス発生器として機能する態様で構成されている。この目的のために、ポケット13は、端面2aに、または仮想の平面に対して斜めに、または平行に配置された屋根面13aを備えることができる。これらの屋根面13aは、径方向内側に開いた開口部を構成する。図5に示すように、開口部は、組み合わせ部品8の内周にまで達することができる。ポケット13は、この場合、パルス発生器としての機能に加えてオイルキャッチ要素としても機能するように構成され、組み合わせ部品8の円周に亘って配置されている。
【0030】
ポケット13は、成形によって、すなわち板金プレートから切断およびエンボス加工することによって製造できる。リング状の組み合わせ部品8の裏側で、ポケット13の領域にも、屋根状のポケット13を提示することに起因する材料のリセスまたは窓が存在する。組み合わせ部品8は、円周上に配置された複数の固定開口部10を備える。これらの固定開口部10は、組み合わせ部品8を遊星キャリア2に固定するように機能する。
【0031】
組み合わせ部品8は、オイルキャッチ要素として構成されたポケット13が遊星歯車ボルト5内に設けられた穴7、11の領域で遊星軸受4に潤滑油を供給すべく配置されるように、図1による遊星キャリア2または図3による遊星キャリア22に、固定されている。したがって、組み合わせ部品8に設けられるポケット13の数は、少なくとも、潤滑油が供給される遊星歯車式変速機1の遊星歯車3の数に対応する。
【0032】
オイルキャッチと要素して構成されたポケット13は、径方向外側に吹き出す油がキャッチされ、穴6、7,11を介して遊星軸受4に到達し、その潤滑を確実とするように、遊星歯車ボルト5内に設けられた穴7、11と流体連通する。
【符号の説明】
【0033】
1 遊星歯車式変速機
2 遊星キャリア
2a 端面
3 遊星歯車
4 遊星軸受/転がり軸受
5 遊星ボルト
6 径方向穴/横方向穴
7 軸方向穴/長手方向穴
8 組み合わせ部品/共通の板金部品
8a パルス発生器/パルスリング
8b オイルキャッチ要素/オイルキャッチパン
8c 外側
9 ポケット
9a 屋根面
9b 第1開口部
10 固定開口部
11 穴
12 ポケット
12a 屋根面
13 ポケット
13a 屋根面
20 回転数センサ
21 遊星歯車式変速機
22 遊星キャリア
28a パルスリング
29 ポケット
a 遊星キャリアの中心軸または回転軸
b 回転数センサの長手方向軸
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】