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特表2022-514371自動車両熱交換器のためのシール装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(54)【発明の名称】自動車両熱交換器のためのシール装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/00 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
F28F9/00 C
F28F9/00 321
F28F9/00 331
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535628
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 FR2019052885
(87)【国際公開番号】W WO2020128195
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】1873290
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】レミ、トゥルノワ
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン、ビロー
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌ、アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル、エノン
【テーマコード(参考)】
3L065
【Fターム(参考)】
3L065AA01
3L065BA04
3L065BA25
(57)【要約】
本発明は、熱交換器のチューブの通過を可能にするように構成される中央キャビティ(12)を備えるプレート(5)から成る自動車両熱交換器(4)のためのシール装置(3)であって、前記プレート(5)の少なくとも2つの反対側の端縁にはそれぞれスナップ締結手段(8)が設けられ、スナップ締結手段のそれぞれが、熱交換器の支持フレームに位置される凹部に一体化される相補的なスナップ締結要素と係合することができ、シール装置(3)が、プレート(5)に形成される中央キャビティ(12)周囲に配置される弾性変形可能なシール手段(14)を備えることを特徴とする、シール装置(3)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器パイプ(17)が通過できるようにするべく構成される中央凹部(12)を備えるプレート(5)から成る自動車両熱交換器(4)のためのシール装置(3)であって、前記プレート(5)の少なくとも2つの反対側の端縁にはそれぞれスナップ締結手段(8)が設けられ、前記各スナップ締結手段は、前記熱交換器(4)の支持フレーム(1)に位置されるハウジング(10)に一体化される相補的なスナップ締結要素(9)と相互作用することができ、前記シール装置(3)は、前記プレート(5)に形成される前記中央凹部(12)の周囲に配置される弾性変形可能なシール手段(6,14)を備えることを特徴とする、シール装置(3)。
【請求項2】
前記スナップ締結手段(8)はそれぞれ、前記プレート(5)及び前記中央凹部が延在する平面に対して略垂直な端縁の近傍に配置される壁上に位置され、前記スナップ締結手段(8)は、前記プレート(5)及び前記中央凹部が延在する平面と平行な平面内で、前記プレート(5)の対応する端縁の長さよりも短い長さにわたって延在する、請求項1に記載のシール装置(3)。
【請求項3】
前記プレート(5)は、軸方向にオフセットされてプラットフォームを形成する外周ゾーン(20)によって取り囲まれ、前記プレート(5)と前記外周ゾーン(20)とが側壁(19)によって接続される、請求項1又は2に記載のシール装置(3)。
【請求項4】
前記外周ゾーン(20)は、前記プレート(5)及び前記中央凹部(12)が延在する平面と平行な平面内で延在し、前記側壁(19)とは反対側の前記外周ゾーン(20)の端部は、前記外周ゾーンの前記平面と直交して戻り壁(21)を形成する材料の部分を備え、前記戻り壁(21)は、該戻り壁(21)、前記外周ゾーン(20)、及び、前記側壁(19)が前記スナップ締結手段(8)を収容するクリアランスゾーン(22)を形成するように配置される、請求項3に記載のシール装置(3)。
【請求項5】
前記スナップ締結手段(8)が前記側壁(19)に配置される、請求項3又は4に記載のシール装置(3)。
【請求項6】
前記スナップ締結手段(8)が前記戻り壁(21)上に配置される、請求項4に記載のシール装置(3)。
【請求項7】
1つ以上のパイプ(17a,17b)が設けられる少なくとも1つの熱交換器(4)と、前記熱交換器(4)の取り付けを可能にするように構成される支持フレーム(1)と、前記支持フレーム(1)の前端面(24)と相互作用するように構成されるとともに前記熱交換器に向けて空気を案内するように構成される換気ダクト(2)と、請求項1から6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのシール装置とを備える自動車両用のフロントエンドモジュール(100)であって、前記フロントエンドモジュール(100)は、前記熱交換器の流体入口パイプ(17a)又は流体出口パイプ(17b)が通過する通過領域で前記支持フレームの壁に形成されるハウジング(10)を更に備え、前記ハウジングは、前記シール装置の形状及び寸法に対して少なくとも部分的に相補的な形状及び寸法を有し、前記ハウジング(10)は、前記シール装置内に存在する前記スナップ締結手段(8)と相互作用することができる相補的なスナップ締結要素(9)を備える、自動車両用のフロントエンドモジュール(100)。
【請求項8】
前記換気ダクト(2)が前記支持フレーム(1)に取り付けられるときに前記シール装置(3)のいずれの側面も前記換気ダクト(2)と接触しないように、相補的な形状の前記ハウジング(10)はその全ての側面が閉じられている、請求項7に記載の自動車両用のフロントエンドモジュール。
【請求項9】
前記シール装置が請求項4に記載されるシール装置であり、前記ハウジングは、前記シール装置(3)の前記戻り壁(21)を受け入れることができる少なくとも2つの溝(11)によって取り囲まれ、前記溝(11)は、前記ハウジング(10)の長さよりも長い長さにわたって前記ハウジング(10)と平行に延在する、請求項7又は8に記載のフロントエンドモジュール。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載のシール装置(3)を備える自動車両用のフロントエンドモジュール(100)を組み立てる方法であって、前記熱交換器(4)を前記支持フレーム(1)内に配置する第1のステップと、前記シール装置(3)が前記相補的なハウジング(10)内に配置されるまで前記熱交換器(4)の前記パイプ(17)上に挿入によって前記シール装置を締結する第2のステップと、前記換気ダクト(2)を前記支持フレーム(1)に取り付けることによって前記フロントエンドモジュール(100)をロックする第3のステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール装置に関し、より詳細には、自動車両、特にハイブリッド車両又は電気車両の熱交換システム用のシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の様々な構成要素、特にエンジン又はバッテリを冷却するために、冷却剤又は熱伝達流体のための様々な回路を自動車両に設けること、及び/又は、暖房、空調、及び/又は、換気システムのための冷却回路を形成することは既知のやり方である。これらの様々な流体回路は、特に車両の前端部で車両に取り付けられる1つ以上の熱交換器を通過しなければならず、それにより、交換器内を循環する流体は、車両の前端部を通って入る空気の流れと熱を交換することができる。
【0003】
そのようなシステムは、燃焼エンジン車両及び電気車両又はハイブリッド車両の両方に使用される。電気車両又はハイブリッド車両において、現在の電動力化は、車両の範囲を拡大しながら、車両のエンジン性能及び快適性を向上させるために益々強力なバッテリを使用することを意味する。バッテリ電力の増大は、急速充電手段の研究と連動しなければならない。50kWを超える電力を使用する急速充電ステーションが知られている。しかしながら、そのような高い電力では、車両バッテリで放熱があり、そのため、放電されなければ、バッテリ寿命の低下やバッテリの充電速度の制限などの不可逆的な損傷が引き起こされ得る。
【0004】
そのような損傷を防止するためには、バッテリを熱調節し、特にバッテリを冷却する必要がある。この目的のために、自動車両は、従来、ある流体から他の流体へカロリーを伝達できる熱交換システムを装備している。換気ダクトが、冷たい流入空気を1つ以上の熱交換器へ導くために使用され、1つ以上の熱交換器は、同様にモータファンユニットを封入する密閉封入ケーシング内に配置され得る。
【0005】
急速充電の特定の状況では、車両が静止している。バッテリの最適な冷却を可能にするのに十分な空気流を確保するために、モータファンユニットが高速で動作し、それにより、ケーシング内に高い過圧が生み出される。そのような過圧は、新鮮な空気、すなわち、交換器を通過せずにケーシングから出る空気の漏れ、及び、適切な場合には、ケーシングの外側から来る高温空気の再循環を引き起こす傾向があり、いずれの場合も、フロントエンドモジュールの熱性能を低下させる効果を有する。したがって、特に熱交換器入口パイプ及び出口パイプなどの構成要素がケーシングを通過する場合には、これらの構成要素が空気漏れの原因となり得る脆弱領域を構成するため、封入ケーシングをシールすることが不可欠である。
【0006】
この欠点を克服するために、パイプがケーシングを通過する領域においてシール装置を封入ケーシング内で使用することができる。この問題は、前述のような熱伝達流体回路もまた燃焼エンジン車両の換気システム、暖房システム、又は、空調システムの一部を形成する場合があるため、電気車両及びハイブリッド車両に限定されないことに留意すべきである。しかしながら、既知の装置は多くの欠点を有する。熱交換システムを構成する様々な直径及びタイプのパイプに起因して、これらのシール装置は、多くの場合に適合が困難であり、それらが意図される様々なゲージのパイプにとって最適なシールを確保するために特定の寸法に形成されなければならない。そのような欠点は、異なるモデルに必要な多数のシール部品に起因する生産コストの増大、並びに、装置の交換が必要なときの供給問題をもたらす。
【0007】
更に、そのような要因は、シール装置の性能を妨げる可能性がある。例えば、類似するが同一ではない直径を伴うパイプ上の特定の直径のパイプ用に意図されたシール装置の使用は、最適ではなく、高温空気流の再循環及び/又は新鮮空気の漏れを防止しない。逆に、狭すぎるシール装置に僅かに大きい直径を伴うパイプを挿入すると、シール装置に物理的応力がもたらされ、それにより、シール装置の摩耗が加速され、シール装置の寿命が短くなる可能性がある。
【0008】
既知のシール装置で見られる他の欠点は、シール装置の組み立て及び分解の複雑さである。これらの装置の多くは、特にパイプが封入ケーシングを通過する場合にパイプのシールされた取り付けを確保するためにオーバーモールド作業を必要とする際に、恒久的に取り付けられる。そのような作業は、組み立てを複雑にするだけでなく、保守又は修理のための任意のその後の分解をより困難にもする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、この文脈に含まれ、フロントエンドモジュールのパイプの異なる直径に容易に適合され得るとともに、製造が容易な、熱交換器のための耐久性のあるシール装置を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的は、特にオーバーモールドなどの任意の更なる取り付け工程を必要としないことから単純であるとともに、熱交換器封入ケーシングの最適なシールを維持しつつ、任意のその後の分解を容易にすることも可能にするフロントエンドモジュール組み立て方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、熱交換器パイプが通過できるようにするべく構成される中央凹部を備えるプレートから成る自動車両熱交換器のためのシール装置であって、前記プレートの少なくとも2つの反対側の端縁にはそれぞれスナップ締結手段が設けられ、各スナップ締結手段が、熱交換器の支持フレームに位置されるハウジングに一体化される相補的なスナップ締結要素と相互作用することができ、シール装置が、プレートに形成される中央凹部の周囲に配置される弾性変形可能なシール手段を備えることを特徴とする、シール装置に関する。
【0012】
「スナップ締結」とは、一方では雄要素を形成する材料の突出部を含み、他方では雌要素を形成する切り欠き又はスロットを含む、締結を意味し、突出部は切り欠きに対して相補的な形状を成し、それにより、突出部を切り欠きに挿入することができ、この挿入は、雄要素及び雌要素の一方及び/又は他方の弾性変形によって達成される。
【0013】
シール装置とハウジングとの間の相互作用のために、前記ハウジングは、熱交換器パイプが支持フレームの壁を通過する領域で、熱交換器の支持フレームに一体化されるとともに、シール装置の形状に対して相補的な形状を有する。前記装置の形状に応じて、ハウジングは、シール装置と相互作用することもできる溝によって取り囲まれてもよい。
【0014】
前記装置の形状に応じて、ハウジングは、シール装置と相互作用することもできる溝によって取り囲まれてもよい。したがって、前述したように、ハウジングは、支持フレームの壁のうちの1つに一体化されてもよく、したがって、それぞれの側面が閉じられてもよく、或いは、ハウジングは、ハウジングの1つの側面が支持フレームの壁の1つの端部に位置されて、ハウジングが1つの側面で開口したままになるように配置されてもよい。最後に、ハウジングは、支持フレームと、前記支持フレームに取り付けられる換気ダクトとの間の接触領域に配置されてもよく、そのような場合、ハウジングは、支持フレームに部分的に組み込まれて換気ダクトに部分的に組み込まれることが理解される。
【0015】
したがって、シール装置及びハウジングと溝とによって形成されるアセンブリは、フロントエンドモジュールへの装置の簡単な挿入を可能にするように相互作用する。更に、熱交換器のパイプのうちの1つ以上が画定された通過領域内で前記フレームを通過するように、熱交換器をその支持フレーム内に最初に配置することができ、換気ダクトを支持フレームに取り付けることができ、及び、換気ダクトを取り付ける前又は後のいずれかに、フロントエンドモジュール内の熱交換器の設置に応じて、シール装置をいつでも挿入することができるため、フロントエンドモジュール全体の組み立てが簡素化される。
【0016】
シール装置がそのハウジングに設置されてしまった時点で、更なる取り付け工程が必要とされず、また、装置を容易に取り外すことができるため、メンテナンスのための任意の将来の取り扱いが簡単になる。この目的のために必要なのは、通気ダクトを取り外し、その後にシール装置の面のうちの1つ、好適にはフロントエンドモジュールの内側の方へ向けられた面に十分な圧力を及ぼして、スナップ締結手段の係合を解除し、それにより、シール装置を取り外すことだけである。
【0017】
プレートに形成される中央凹部の周囲に配置される弾性変形可能なシール手段の存在は、最適なシールを確保しつつ、様々なゲージのパイプに適合できる能力を装置に与える。「弾性変形可能」とは、シール手段が可撓性材料から形成され、可撓性材料が、パイプを前記凹部に挿入するなどの物理的な応力の印加に続いて変形を受けることができるとともに、パイプの輪郭を押圧するように弾性復元力によってその位置に戻ることができることを意味する。
【0018】
本発明の第1の実施形態によれば、弾性変形可能なシール手段は、中央凹部の周囲のプレート上にオーバーモールドされて複数のプレカットゾーンが設けられる可撓性シールシースを備えてもよい。シースは、最初は穿孔されない標準状態にあり、フロントエンドモジュールが組み立てられるときに、シース内の所望のパイプのゲージに合わせて調整された直径を有する穴をかなりの労力を伴わずに穿孔可能である。或いは、パイプが穿孔されていないシールシースに直接に挿入される場合には、シースが引き裂きによって穿孔されてもよい。そのようなシール手段は、シール装置の標準化を確保し、したがって、広範囲のパイプに適している。
【0019】
一方で、プレカットゾーンは、所望の直径にほぼ等しい特定の直径を有するカットアウトゾーンを画定できるようにする。他方で、シースを形成する材料の弾性は、材料がその形状に適合するため、パイプが通過する領域のシールを保証する。したがって、シール装置の標準化は、フロントエンドモジュールの組み立てを簡単にしつつ製造コストの削減に寄与する。好適には、シール装置の標準化は、シール装置においてであろうとパイプにおいてであろうと、応力の集中を回避しながら、パイプの挿入も容易にする。
【0020】
本発明の1つの特徴によれば、可撓性シールシースは、互いに重なり合って直列に配置される幾つかのプラトーを備えてもよく、前記プラトーは、プレートから直径を減少させることによって配置され、各プラトーは、対応する直径のパイプの通過のためのプレカットゾーンを形成する。
【0021】
本発明の1つの特徴によれば、少なくともシールシースは、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンモノマー)ゴム製であってもよい。
【0022】
同様の利点を有する第2の実施形態によれば、弾性変形可能なシール手段は、中央凹部から生じる少なくとも2つの切り欠きによってシール装置のプレートと一体に形成され、これらの切り欠きは変形可能なタブを画定する。言い換えると、弾性変形可能なシール手段は、プレートの延在面に配置される変形可能タブによって形成され、前記変形可能タブは、この中央凹部内に通じる少なくとも2つの切り欠きによって中央凹部の周囲に形成される。「変形可能タブ」とは、実質的に長方形又は台形の可撓性材料から形成されて、その2つの側面が前記切り欠きによって画定されるとともに、異なるゲージのパイプに適合するように、パイプの挿入などの物理的な応力を加えるだけで変形又は移動され得る領域を意味する。
【0023】
したがって、熱交換器システムを組み立てるための方法は、シール装置がパイプを挿入することを目的として特定の直径に切断するステップなどの事前の準備を必要としないため、最大限まで単純化される。変形可能タブの存在は、中央ゾーンの可撓性に起因して、各タブが通過するパイプの形状に適合するため、システムのシールを損なうことなくシール装置が異なるパイプゲージに適合できるようにする。
【0024】
したがって、これらの2つの実施形態は、フロントエンドモジュールの適切なシールを確保するために必要な適合部品の種類を制限しながら、シール装置を異なるタイプのパイプに適合させることができるようにすることが理解される。
【0025】
同様に、図に記載される又は示されるプレートの形状は、決して限定するものではない。したがって、プレートは、略長方形の形状を有してもよく、或いは、第1の実施形態の場合には、その縁のうちの1つにあるシールシースの輪郭に追従してもよい。
【0026】
各実施形態において、これらのシール装置は、一方のスナップ締結手段と他方の中央凹部に配置されるシール手段との間で材料に差がある、したがって、剛性に差があるように製造されてもよい。例えば、スナップ締結手段がポリプロピレン(PP)又はポリアミド(PA)などの硬質材料から形成されてもよく、一方、シール手段がEPDMゴムなどのより可撓性の高い材料から形成される。
【0027】
しかしながら、プレートの形状は、以下に記載されて示されるように、限定するものではなく、したがって、略長方形の形状を有してもよく、或いは更には、より丸みを帯びた縁を有してもよい。
【0028】
前述したように、シール装置は、弾性変形可能なシール手段に加えて、少なくとも2つのスナップ締結手段を備え、各スナップ締結手段は、プレートの反対側の端縁に配置されるとともに、熱交換器支持フレームに一体化される更なる締結要素と相互作用することができる。
【0029】
本発明の1つの特徴によれば、スナップ締結手段は、シール装置がシステムに組み込まれてしまった時点でフロントエンドモジュールの内側の方へと向けられるシール装置の面上に配置されてもよい。そのような形態において、締結手段は、プレートの長さよりも短い長さにわたって、プレートにより画定される平面に対して垂直に延在する。
【0030】
本発明の他の特徴によれば、スナップ締結手段はそれぞれ、プレート及び中央凹部が延在する平面に対して略垂直な端縁の近傍に配置される壁上に位置され、スナップ締結手段は、プレート及び中央凹部が延在する平面と平行な平面内で、前記プレートの対応する端縁の長さよりも短い長さにわたって延在する。この形態に係る締結手段は、前記プレートの側縁の長さよりも短い長さにわたって延在する。スナップ締結手段は、側壁、より詳細には、部品の外側の方へ向けられる前記側壁の面上に配置されてもよい。
【0031】
本発明の1つの特徴によれば、プレートは、軸方向にオフセットされてプラットフォームを形成する外周ゾーンによって取り囲まれ、プレートと外周ゾーンとが側壁によって接続される。なお、それに沿ってプレート及び外周ゾーンがオフセットされる軸は、プレート及び中央凹部が延在する平面に対して垂直な軸である。プレート及び外周ゾーンは、プレートの平面と直交する平面内で延在し得る側壁によって接続される。
【0032】
本発明の1つの特徴によれば、外周ゾーンは、プレート及び中央凹部が延在する平面と平行な平面内で延在し、側壁とは反対側の外周ゾーンの端部は、前記外周ゾーンの平面と直交して戻り壁を形成する材料の部分を備え、戻り壁は、該戻り壁、外周ゾーン、及び、側壁がスナップ締結手段を収容するクリアランスゾーンを形成するように配置される。このクリアランスゾーンは、締結手段におけるシステムのシールを強化し、任意の空気漏れの障害物として作用する。チャネルの形態を成すクリアランスゾーンは、例えば、スナップ締結手段を受け入れるように寸法付けられるU字形又はJ字形の輪郭を有してもよい。
【0033】
シール装置がそのような戻り壁を備える場合、相補的な形状のハウジングにも、戻り壁を受け入れることができる少なくとも2つの溝が設けられ、前記溝は、ハウジングを取り囲むように、ハウジングの長さよりも長い長さにわたってハウジングと平行に延在する。
【0034】
したがって、戻り壁は、それらを受け入れる相補的な形状の溝に当接してハウジング内での任意の動きを妨げることによってシール装置をロックするのに役立つ。クリアランスゾーンを形成する、外周ゾーン、側壁、及び、戻り壁は、それらの配置により、スナップ締結手段で更なるバリアを形成し、それにより、そのシールを補強する。
【0035】
本発明の1つの特徴によれば、スナップ締結手段は、スナップ締結手段がクリアランスゾーン内へ延びるように、側壁の方に向けられる面上の戻し壁上に配置される。
【0036】
提示された各実施形態及び構成に関して、相補的なスナップ締結要素及び手段が、突出した(雄型)要素の構造又は前記突出部と相互作用するのに適したスロット(雌型)を形成する要素の構造のいずれかを有し、一方及び/又は他方がこのスナップ締結を容易にするために弾性変形可能であることに留意されたい。締結手段に関して考慮される形態にしたがって、これらの要素のうちの1つがシール装置内に配置され、一方、相補的な要素は、熱交換器の支持フレーム内、ハウジング内、又は、ハウジングを取り囲む溝内に配置される。したがって、本発明の1つの特徴によれば、突出した(雄型)要素がシール装置に一体化されてもよく、一方、相補的な(雌型)スロットが支持フレームに一体化され、逆もまた同様である。そのような締結は、フロントエンドモジュールの組み立ての簡素化に寄与するとともに、シール装置を任意のメンテナンス作業のために有利に取り外し可能にする。
【0037】
スナップ締結手段は、一方又は他方の弾性変形によって雄要素が雌要素内に収容されるように、及び、これらの雄要素及び雌要素の少なくとも一方がこれらの要素の互いからの係合解除に対抗するためのストッパを形成する膨出部を備えるように構成される。
【0038】
また、本発明は、1つ以上のパイプを備える少なくとも1つの熱交換器と、交換器のための支持フレームと、前記フレームと相互作用するように構成される少なくとも1つの換気ダクトと、本発明の実施形態のうちの1つに係る少なくとも1つのシール装置と、シール装置内に存在するスナップ締結手段と相互作用することができる相補的な締結要素と称されるスナップ締結手段を備える相補的な形状の関連するハウジングとを備えるフロントエンドモジュールに関し、前記ハウジングは支持フレームに組み込まれ、又は、支持フレームと換気ダクトとが「閉鎖」形態をとるように組み立てられるときに支持フレームと換気ダクトとによって形成されるアセンブリに組み込まれる。本発明のシール装置の形状に応じて、相補的な形状のハウジングも、シール装置の戻り壁を受け入れることができる少なくとも2つの溝によって取り囲まれてもよく、前記溝は、ハウジングの長さよりも長い長さにわたってハウジングと平行に延在する。
【0039】
「閉鎖形態」とは、熱交換器を一種の封入ケーシング内に封入するべく、換気ダクトの後面が熱交換器の支持フレームの前端面と接触するように、換気ダクトが支持フレームに締結されることを意味する。グリルと嵌め付けられ得る入口導管において車両の前方に向かって開口している換気ダクトは、このように、ダクトが支持フレームに締結されるときに、流入する新鮮な空気を換気ダクトの後面に向かって、したがって、熱交換器に向かって導く。
【0040】
熱交換器が支持フレーム内に配置されると、その流入パイプ及び流出パイプが支持フレームの壁に通される。シール装置を受け入れるようになっている相補的な形状のハウジングは、熱交換器流体用のこれらの入口パイプ又は出口パイプが支持フレームを通過する領域に位置される。
【0041】
前記ハウジングは、完全に支持フレーム内に位置されるように配置されてもよく、その全ての側面が閉じられてもよく、或いは、支持フレームの側壁の延在部に開放する側面を有してもよい。特に、ハウジングは、支持フレーム及び換気ダクトの両方で延在してもよい。
【0042】
この代替案のケースでは、支持フレームに取り付けられる換気ダクトのリムが、シール装置の少なくとも一部を受け入れることができるキャビティを有するべきである。同様に、ハウジングが開放していてシール装置の少なくとも1つの側縁と換気ダクトとの間に接触がある場合には、前記ダクトがハウジング内でシール装置をロックすることに関与し、フロントエンドモジュールは、受け入れハウジングの開口に位置されるシール装置の側縁が支持フレームに取り付けられる換気ダクトのリムに当接するように配置される。
【0043】
単独で又は組み合わせて解釈される本発明の様々な特徴によれば、以下が提供され得る。
【0044】
自動車両用のフロントエンドモジュールは、1つ以上のパイプが設けられる少なくとも1つの熱交換器と、熱交換器の取り付けを可能にするように構成される支持フレームと、前記支持フレームの前端面と相互作用するように構成されるとともに熱交換器に向けて空気を案内するように構成される換気ダクトと、前述の少なくとも1つのシール装置とを備え、フロントエンドモジュールは、熱交換器の流体入口パイプ又は出口パイプが通過する通過領域で支持フレームの壁に形成されるハウジングを更に備え、前記ハウジングは、シール装置の形状及び寸法に対して少なくとも部分的に相補的な形状及び寸法を有し、ハウジングは、シール装置内に存在するスナップ締結手段と相互作用することができる相補的なスナップ締結要素を備える。
【0045】
相補的な形状のハウジングは、換気ダクトが支持フレームに取り付けられるときにシール装置のいずれの側面も換気ダクトと接触しないように、その側面の全てが閉じられている。
【0046】
ハウジングは、シール装置の戻り壁を受け入れることができる少なくとも2つの溝によって取り囲まれ、前記溝は、ハウジングの長さよりも長い長さにわたってハウジングと平行に延在する。
【0047】
また、本発明は、前述のシール装置を備える自動車両用のフロントエンドモジュールを組み立てる方法であって、熱交換器を支持フレーム内に配置する第1のステップと、シール装置が相補的なハウジング内に配置されるまで熱交換器のパイプ上に挿入によってシール装置を締結する第2のステップと、換気ダクトを支持フレームに取り付けることによってフロントエンドモジュールをロックする第3のステップとを含む、方法にも関する。
【0048】
本発明の更なる特徴、詳細、及び、利点は、添付の概略図を参照して、以下の詳細な説明を読むこと、及び、単なる非限定的な表示として与えられる幾つかの典型的な実施形態を検討することにより、より明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】換気ダクトが少なくとも1つの熱交換器(ここでは図示せず)を収容する支持フレームに締結される閉鎖形態にある、本発明の1つの態様に係るフロントエンドモジュールの概略斜視図であり、この図1は、単なる例示的で非限定的な態様で、本発明に係るシール装置の2つの異なる実施形態を示す。
図2】開放形態にあるときの図1に示されるフロントエンドモジュールの概略斜視図であり、この場合、換気ダクトは、支持フレームの内部を解放してその中に収容される熱交換器をアクセス可能にするために取り外されている。
図3】第1の実施形態に係る、本発明のシール装置の断面を概略的に示す。
図4】第2の実施形態に係る、本発明のシール装置の断面を概略的に示す。
図5】第3の実施形態に係る、本発明のシール装置の断面を概略的に示す。
図6】第3の実施形態に係る本発明のシール装置の該装置の後部から見た斜視図である。
図7図6のシール装置の該装置の前面から見た斜視図である。
図8】本発明のシール装置の、この装置が第2のタイプのシール手段を備えるときの図7と同様の角度での斜視図である。
図9】支持フレーム内に配置されるとともに第3の実施形態に係る本発明のシール装置と相互作用することができるハウジング及び溝を概略的に示す。
図10図7のシール装置と図9の関連する相補的なハウジングとの間の相互作用を概略的に示す。
図11】ハウジングが片側で開放している別の実施形態に係る図10と同様の相互作用を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明に係るフロントエンドモジュール100は、1つ以上のパイプ17a、17bが設けられる少なくとも1つの熱交換器4と、熱交換器4のための支持フレーム1と、前記フレームと相互作用するとともに新鮮な空気をこのフレームに向けて案内して熱交換器に強制的に通過させるように構成される少なくとも1つの換気ダクト2と、パイプが支持フレームの壁を通過する通過領域内でパイプの周囲に配置される少なくとも1つのシール装置3と、シール装置3の形状に対して相補的な形状を伴う関連するハウジング10とを備え、この場合、ハウジング10は、支持フレーム1内に又は支持フレーム1と換気ダクト2とによって形成されるアセンブリ内に形成されてもよく、換気ダクトは、それが「閉鎖」形態をとるように組み立てられ、したがって封入ケーシングを形成するときに、空気流のためのフローダクトに対応する。ホルダフレームとも称される支持フレーム1は、剛性構造、より具体的には、熱交換器4及び場合によってはモータファンユニットが内部に配置される表面を画定する4つの部材を伴う剛性プラスチックフレームに対応する。フローダクト2の連続性を確保するために、前記換気ダクト2は、シールされた態様で支持フレーム1に取り付けられる。言い換えると、ホルダフレームは換気ダクト2の連続性を確保し、或いは、言い換えると、ホルダフレームはフローダクト2の一部に対応する。
【0051】
以下では、図の三面体に示されるように、縦軸Lは、支持フレーム及び各熱交換器を通じた空気流の主循環方向と平行な軸として規定され、また、横方向Lt及び横断方向Tは、縦軸に対して垂直な向きとして規定される。
【0052】
そのようなシステム100は、特に、図1及び図2では、閉鎖形態及び開放形態でそれぞれ概略的に示される。熱交換器4は、換気ダクト2の取り付けを可能にするように構成される支持フレーム1内に収容される。
【0053】
換気ダクト2は、自動車両の前端で開口する通気口101を有し、したがって、熱交換器4に向かって封入状態で変向する新鮮な空気流の進入を可能にする。この換気ダクトは、通気口とは反対側の端部に、図1に示される閉鎖形態において支持フレーム1と接触される後端面を有する。
【0054】
支持フレーム1は、壁間で1つ以上の熱交換器4を受け入れるための開放フレームを画定する2つの側壁102及び2つの横断壁104を備える。支持フレームの前端面24は、換気ダクト2、より詳細にはこの換気ダクトの後端面と接触するようになっている面として規定される。図示の例では、この前端面24を通じて、新鮮な空気が交換器を通過するようにフレーム内へ至らされる。
【0055】
各熱交換器は、交換面25、及び、この交換面に対して側方に配置される少なくとも1つの収集ボックス、並びに、収集ボックスから来て冷却剤の循環を確保する少なくとも1つの入口パイプ17a及び出口パイプ17bを備える。冷却剤は、交換面を通過する空気とカロリーを交換させられる。
【0056】
パイプ17a、17bは、実質的に交換器の主延在面内で、すなわち、フレームを画定する側壁に対して垂直に、交換器の収集ボックスから突出する。結果として、交換器をここに示されない冷却剤回路に接続できるようにするパイプは、交換器がフレーム上に組み付けられるときに画定される通過領域26において支持フレーム1を通過するように配置される。
【0057】
フロントエンドモジュールの封入のシールを確保し、したがって、新鮮な空気の任意の漏れを防止する、すなわち、空気が熱交換器又は交換器4を通過することなくケーシングから流出しないようにするために、或いは、いずれの場合もフロントエンドモジュール100の熱性能に有害であろうケーシングの外側からその内側への高温空気の任意の再循環を防止するために、システムは、各熱交換器4の入口パイプ17a及び出口パイプ17bが支持フレーム1を通過する通過領域26に少なくとも1つのシール装置3を装備する。このシール装置3については、以下の説明において更に詳しく記載する。
【0058】
例示目的のため、図1及び図2は、シール装置が適切なフロントエンドモジュールに組み込まれる際の、本発明のシール装置3の実施形態のうちの2つを示す。それにもかかわらず、本発明はこの使用例に決して限定されず、また、製造コストに関連する理由から、熱交換器4の流入管17a及び流出管17bでシール装置3の同じ実施形態を実施することができる。
【0059】
本発明に係るシール装置3は、熱交換器4のパイプ17が通過できるようにするプレート5から成り、前記シール装置3は、熱交換器4の支持フレーム1内に位置されるハウジング10と相互作用できる。
【0060】
シール装置3は、それが熱交換器4の支持フレーム1に一体化される相補的な締結要素9と相互作用することができる少なくとも2つのスナップ締結手段8を備える、及び、シール装置3がプレート5に形成される中央凹部12に配置される弾性変形可能なシール手段6、13を備えることを特徴とする。
【0061】
このシール装置3は、図10又は図11に示されるようにハウジング10内に挿入されるようになっており、前記ハウジング10は、パイプが支持フレーム1の壁を通過する通過領域内に位置される。シール装置3に一体化されるスナップ締結手段8は、支持フレーム1に、より詳細にはハウジング10に又はこのハウジング10を取り囲む溝11に一体化される相補的なスナップ締結要素9と相互作用する。
【0062】
互いに相互作用するようになっているスナップ締結手段8と相補的な締結要素9とから構成されるそれぞれの対に関して、一方は突出部を形成する雄要素から成り、他方は突出部の形状に対応する形状の雌要素、例えばスロットから成る。
【0063】
図3はシール装置3の第1の実施形態を示し、シール装置3は、特に、シール装置が適切なパイプの周囲でハウジングに装着されるときにシール装置のハウジングが形成されるフレームの側壁の主延在面と平行な縦軸と横軸とによって画定される平面内で延在するプレート5から成る。
【0064】
プレート5は、交換器のパイプ17が通過できるようにし得る中央凹部12を有し、また、プレートは、パイプの周囲に係合されてこの通過領域26をシールするように寸法付けられる弾性変形可能なシール手段13を形成する又は支持することに関与する。
【0065】
また、プレート5は、プレート5から突出する少なくとも2つのスナップ締結手段8も備え、スナップ締結手段8は、プレート5の両端縁部に配置されて、前記プレート5の主延在面X内に位置される。これらの突出するスナップ締結手段8は、プレート5の寸法よりも小さい寸法にわたって延在するとともに、以下で詳細に説明するように、支持フレーム1内に、より正確にはハウジング10内に位置されるスロットを形成する相補的なスナップ締結要素9と相互作用するように構成される。
【0066】
或いは、スナップ締結手段を形成する雄要素及び雌要素の配置を逆にすることができ、また、支持フレーム1が相補的な形状及び寸法の突起を含む状態で、スロットを備えるプレート5を設けることができる。
【0067】
図示されない代替案では、この第1の実施形態のスナップ締結手段8を図示される形態に対して90°を成して配置するとともにプレートの主延在面Xに対して略垂直にプレートの端縁から延在させるようにし得る。ここでも、締結手段8は、プレートの長さよりも短い寸法にわたって延在する。
【0068】
図4及び図5は、シール装置の別の実施形態を示す。
【0069】
図4に概略的に示される第2の実施形態では、シール装置3がより複雑な構成を有し、すなわち、シール装置は、プレート5によって画定される平面Xと平行な別個の平面内に配置されるプラットフォームを形成するように軸方向にオフセットされる外周ゾーン20によって取り囲まれるプレート5を備える。プレート5及び外周ゾーン20は、プレート5の平面と直交する平面内で延在する側壁19によって接続される。
【0070】
シール装置3は少なくとも2つのスナップ締結手段8を備え、各スナップ締結手段は側壁19に配置される。図示のように、これらの締結手段は、より詳細には、この側壁の外面、すなわち、部品の外側に向けられる、言い換えれば、プレート5から離れる方向を向く側壁の面に配置されてもよい。したがって、スナップ締結手段8は、中央凹部12で又はプレート5において、したがって、パイプ17が通過する場所においてコンパクトである。
【0071】
この形態に係る締結手段8は、プレート5の平面Xと平行な平面内で、前記プレート5の側縁の長さよりも短い長さにわたって延在する。図示のように、シール装置3に一体化されるスナップ締結手段8は、突出部の形態を成し、したがって、雄型スナップ締結要素を形成する。したがって、スナップ締結手段は、支持フレーム1に、より詳細にはハウジング10に一体化される相補的なスナップ締結要素9と相互作用するように構成され、スロットの形態を成す。前述したように、それにもかかわらず、逆の形態を想定することができ、それにより、シール装置3がスロットを形成するスナップ締結手段8を備え、また、支持フレーム1が突出する締結手段を一体的に有する。
【0072】
特に図5図6図7及び図8に示される第3の実施形態によれば、外周ゾーン20のそれぞれの先端には、前記ゾーンの平面と直交して戻り壁21を形成する材料の部分が設けられる。外周ゾーンの先端は、それが垂直に延在する側壁とは反対側の端部であることが理解される。戻り壁21、外周ゾーン20、及び、側壁19を備えるアセンブリは、様々なスナップ締結手段8が配置されるチャネルに相当するクリアランスゾーン22を形成し、それにより、その締結手段8におけるシール装置3のシールを強化する。
【0073】
この第3の実施形態に関して、締結手段はここでも異なる形態をとることができる。図5及び図6に示される第1の形態によれば、スナップ締結手段8は、プレート5によって画定される平面Xと平行な平面内に延在するように且つクリアランスゾーン22によって形成されるチャネル内に収容されるように側壁19に配置される。
【0074】
別の形態によれば、スナップ締結手段8は、同じ特徴を有するが、今度はそれぞれが図5に示されるものとは反対の方向に延在するその内面から、この場合もクリアランスゾーン22内に収容されてプレート5に向かって延在するように戻り壁21上に配置される。
【0075】
或いは、シール装置3のスナップ締結手段8は、それらがクリアランスゾーン22内に収容されずに前記プレート5から離れる方向でプレート5により画定される平面Xと平行な平面内で延在するように戻り壁の外面から突出してもよい。
【0076】
既に述べたように、この第3の実施形態に関して説明されるそれぞれの形態に関して、シール装置に一体化されるスナップ締結手段8は、雄型の突出部又は雌型のスロットを有することができ、一方、相補的なスナップ締結要素9は反対の形状を有する。
【0077】
上記及び下記の全てにおいて、「スロット」という用語は、突出部が当接する又は対向する端壁を備える止まり穴、及び、これらのスロットが形成される壁を貫通する穴の両方を意味することに留意されたい。
【0078】
シール装置3がこの第3の実施形態にしたがってそのような戻り壁21を備える場合、相補的な形状のハウジング10は、特に図9に見える特定の形状を有する。
【0079】
ハウジング10は、戻り壁21を受け入れることができる少なくとも2つの溝11によって取り囲まれ、これについては以下でより詳細に説明する。したがって、シール装置3のプレート5はハウジング10と相互作用し、一方、戻り壁21は溝11と相互作用する。
【0080】
したがって、戻り壁21は、それらを受け入れる溝11に当接することによってシール装置3をロックするのに役立ち、それにより、プレート5により画定される平面X内におけるハウジング10内でのいかなる移動も防止する。
【0081】
図10及び図11は、シール装置3が第3の実施形態にしたがって製造されるときのシール装置3とそれに関連するハウジング10との間の相互作用を示す。
【0082】
前記ハウジング10の特定の構成は、シール装置3がない場合、図9においてより明らかである。提示されたハウジング10は、支持フレーム1の側壁102に形成される窓の形態を成し、それにより、熱交換器4が支持フレーム1内に挿入されるときにパイプ17が通過できるようにするべく配置されるキャビティを取り囲む。以下では、この窓の様々な面が「ハウジングの側面」10と称される。したがって、前述のように通過領域26を形成するキャビティは、一方ではパイプの通過を可能にし、他方ではシール装置3の組み込みを可能にする。
【0083】
どのような実施形態を考えても、ハウジング10は、シール装置3の形状に対して相補的な形状をとるように配置される。より詳細には、ハウジング10の側面は、シール装置3がハウジング10内に挿入されるときに前記ハウジング10の側面がプレート5を取り囲むように、プレート5の形状と相互作用できなければならない。側壁19を備える第2又は第3の実施形態などのより複雑な実施形態に関して、ハウジング10の側面は側壁19と接触している。
【0084】
シール装置3のスナップ締結手段8のためにとられる形態によれば、相補的な締結要素9がハウジング10の側面に一体化される。これは、例えば、スナップ締結手段8が側壁19に一体化される任意の形態に当てはまる。
【0085】
シール装置3の第3の実施形態では、シール装置3が戻り壁21を備える。支持フレーム1によって画定される容積内にこれらの戻り壁を受け入れることができるように、ハウジング10は、前記戻り壁21の形状に対して相補的な形状の溝11によって少なくとも2つの側で取り囲まれる。したがって、これらの溝11は、戻り壁21のための受け入れレールを形成し、該レールは、ハウジングを取り囲むことができるように、ハウジングの長さよりも長い長さにわたってハウジング10と平行に延びる。
【0086】
図10に示されるケースでは、ハウジング10がハウジングの4つの側面によって閉じられ、また、ハウジングは、閉じられた外周を画定する溝11によって完全に取り囲まれる。
【0087】
図11に示される代替案によれば、ハウジング10は、前端面24から支持フレームの壁、この場合には側壁102に形成される切り欠きによってもたらされる。この場合も、ハウジングは、シール装置3の形状及び寸法、より詳細にはプレート5の形状及び寸法に対して相補的な形状及び寸法を有する。言い換えると、ハウジング10は、それが支持フレーム1の前端面24に向けて開口するように、少なくとも一方側で開口している。したがって、以下で説明するように、シール装置が挿入されてしまった時点で、システムが閉鎖形態を成すときに換気ダクト2を支持フレーム1に押し付けることによって、ハウジングが閉鎖されるようになっている。
【0088】
そのような代替案では、溝11も少なくとも一方側で開口している。より詳細には、溝は、支持フレームの壁の前端面24に向けて開口するように縦方向の端部で開口している。図示のように、溝11は、ハウジング10の両側に配置され、ハウジングの開口と同じ面に向けて開口する。
【0089】
したがって、溝は、支持フレーム1の側壁の端部からハウジング10の外周を越えるまで延在する。ハウジング10の開放側に位置されるシール装置の側縁16は、シール装置3がハウジング10に組み込まれるときに、支持フレーム1の壁の前端面24の延在部に配置される。したがって、シール装置の側縁16は、フロントエンドモジュールが閉鎖形態にあって換気ダクトが支持フレーム1に取り付けられるときに、換気ダクト2、より詳細にはこの換気ダクト2の後端面と接触する領域を形成する。したがって、換気ダクト2が支持フレーム1に取り付けられ、それにより、封入ケーシングが形成されると、換気ダクト2の後面は、支持フレーム1/シール装置3のアセンブリと連続的に接触し、したがって、一方ではケーシングのシールが確保され、他方ではシール装置3のそのハウジング10内へのロックが確保される。
【0090】
前述したように、プレート5は、プレート5における中央凹部12に配置される弾性変形可能なシール手段の形成又は支持に関与する。熱交換器4のパイプ17が通過する通過領域で封入ケーシングのシールを確保できるようにするこのシール手段については、様々な実施形態に関連して以下に記載される。前述のスナップ締結手段のうちの一方又は他方及び後述する弾性変形可能なシール手段のうちの一方又は他方を備えるシール装置を伴って、一例として示される組み合わせ以外の組み合わせを本発明との関連で実施できることが理解される。
【0091】
図8に概略的に示される第1の実施形態において、弾性変形可能なシール手段は、その中央ゾーンで凹部12の周囲のプレート5上にオーバーモールドされる可撓性シールシース6を備える。前記シールシース6には複数のプレカットゾーン7が設けられ、各プレカットゾーン7はパイプの異なるゲージに対応する。この特定の特徴は、シール装置と熱交換器4のパイプ17との組み立てを容易にできるようにするとともに、幾つかのサイズのパイプのために標準的なシール部品を使用できるようにする。
【0092】
プレカットゾーンを伴う可撓性シースの形態を成す弾性変形可能なシール手段の生成は、パイプ17を挿入する前にシールシースを所望の直径まで穿孔できるようにする、或いは、穿孔されないシールシースに対してパイプにより及ぼされる物理的応力の結果としてプレカットゾーンを引き裂くことによってシールシースを直接に穿孔できるようにする。
【0093】
図示の例において、様々なプレカットゾーンは、プレートから離れる方向で減少する直径を伴う可撓性シールシース6の構成と、可撓性シースに沿う脆弱ゾーンの構成とによって形成され、各脆弱ゾーン位置は、所定の直径のパイプに対応するようにシースの切り欠きに対応する。より詳細には、シールシースは、プレートから離れる方向で直径が減少する一連のプラトー60を有してもよく、この場合、各プラトーは、プレートによって画定される平面と略平行であるとともに、プラトーに対して略垂直な接続リング61によって隣り合うプラトーに接続される。そのような接続リングとプラトー60との接合部は、挿入されるべきパイプの寸法に対応する寸法を有するプラトーの取り外しを容易にする直角を形成する。
【0094】
そのような実施形態において、少なくともシールシース6は、EPDMなどの可撓性材料から形成されるべきである。代案において、プレート5及びスナップ締結手段8は、適切な場合にはガラス繊維で強化されるポリアミドPA66などのより大きな応力に耐えることができるより硬質の材料から形成され、一方、中央凹部12の周囲でプレート上にオーバーモールドされるシールシースは、EPDMから形成される。
【0095】
シールシースを形成する材料の可撓性は、パイプが通過するときにシールシースが変形できるようにし、この材料の弾性的性質は、通過領域をシールするように、パイプが通過するときにパイプの周囲でシースを押圧するのに役立つ。シールシースを形成する材料の所定位置への弾性復帰は、パイプ上に形成される離脱防止ストッパ手段と相互作用できるようにもする。
【0096】
例えば、図6及び図7に示される第2の実施形態において、プレート5は、その延在面内で弾性変形可能なシール手段を形成することに関与する。これは、中央凹部12からプレート5の縁に向かって延びる少なくとも2つの切り欠き13によって、プレート5と一体に形成される。これらの切り欠き13は、凹部ゾーン12の輪郭全体にわたってそれぞれが略台形形状の変形可能タブ14を形成できるようにし、したがって、シール装置3を可変直径のパイプ17を受け入れるのに適したものにする。パイプ17がそのようなシール装置内に挿入されると、変形可能タブ14は、パイプが通過するにつれて曲げられ、また、それらの弾性的性質に起因する所定位置への弾性的な復帰は、これらのタブがパイプ17を押圧してシステムのシールを確保できるようにする。
【0097】
更に、そのような実施形態は、パイプの挿入を目的として、事前に特定の直径にシール装置を切断する必要がないため、フロントエンドモジュールの組み立てを可能な限り単純化するという利点を有する。そのような実施形態において、シール装置3は、単一の材料から形成されてもよく、また、EPDMゴムなどの、パイプの挿入時にタブの弾性変形を可能にする材料から形成されてもよい。
【0098】
ここで、前述したような、より詳細には図7又は図8に示される第3の実施形態に係るシール装置を備える熱交換システムを組み立てる方法について説明する。第1のステップでは、熱交換器4が支持フレーム1内に挿入され、それにより、その流入パイプ17a及び流出パイプ17bが、シール装置3を受け入れるようになっているハウジング10で支持フレーム1の壁を通過する。次に、シール装置3が、それがハウジング10内に挿入されるまで、或いは、より正確には、第3の実施形態に係るシール装置の場合には、戻り壁21が溝11内に挿入されてプレート5がハウジング10によって取り囲まれ、最終的にシール装置3のスナップ締結手段8がハウジング10の相補的な締結要素9と相互作用するまで、パイプによって規定される縦軸に沿ってスライドすることによりシステム内に挿入される。
【0099】
そのシール手段がシールシース6であるシール装置3の場合には、シール装置3がパイプ17上に直接に挿入されてもよく、それにより、前記パイプ17によって及ぼされる応力が引き裂きによってシールシース6を穿孔する。或いは、シールシース6は、最初に所望の直径に切断されてもよく、そのようなステップは任意である。
【0100】
最後に、換気ダクト2が、フロントエンドモジュールを閉じるように支持フレーム1に締結される。
【0101】
本発明に係るフロントエンドモジュール100は、空気流の流量を変化させるように回転可能に回動できる遮断フラップのセットを備える遮断装置を更に備えてもよく、前記遮断装置は、空気流の流れに対して熱交換器4の上流側の換気ダクト2内に配置される。遮断装置は、遮断フラップを保持するようにベアリングを有する支持フレームを更に備える。回転軸は、遮断フラップが開放形態から閉鎖形態へ切り換わることができるようにする。開放形態は、遮断フラップが空気流を適切に配向しながら空気流の通過に対する抵抗を可能な限り小さくするように遮断フラップを(回転によって)配置することにある。閉鎖形態は、遮断フラップがそれらの前面によって他の遮断フラップと協力して空気流Fの流れに対して可能な限り対抗するように遮断フラップを配置することにある。
【0102】
図示されないフロントエンドモジュール100の一実施形態によれば、熱交換器4及び支持フレーム1が遮断装置に対して傾斜されてもよい。言い換えると、支持フレーム1及び遮断装置の中央平面は、0°以外の(非ゼロの)角度、特に10°~80°の間隔の角度、より具体的には30°~60°の間隔の角度を形成する。このような配置は、フロントエンドモジュール100の空間フットプリントを低減できるようにする。
【0103】
以上を読むと、本発明が熱交換器用のシール装置を提案し、このシール装置が、フロントエンドモジュールの組み立て及び分解を容易にしながらフロントエンドモジュールのシールを確保するように構成されることが理解され得る。スナップ締結手段の存在は、フロントエンドモジュールの組み立てを容易にしながら、前記装置の容易な挿入に寄与し、一方、提示されたシール手段は、システムの最適なシール及びシール装置の標準化の両方を確保する。
【0104】
しかしながら、本発明は、本明細書中に記載されて例示される手段及び形態に限定されないとともに、全ての同等の手段又は形態、及び、そのような手段の任意の技術的に作用可能な組み合わせにも及ぶ。特に、スナップ締結手段の形状又はプレートの形状は、それらがこの文書に記載される機能を満たす限り、本発明を損なうことなく変更されてもよい。
【0105】
したがって、前述した実施形態は完全に非限定的であり、特に、特徴のこの選択が技術的利点を与える又は本発明を従来技術と区別するのに十分である場合、この文書に記載される他の特徴から分離して、以下に記載される特徴の選択のみを含む本発明の実施形態の代替形態を想起することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】