(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(54)【発明の名称】UV LED用に構成された光拡散マルチファイバ設計
(51)【国際特許分類】
G02B 6/42 20060101AFI20220203BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20220203BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20220203BHJP
G02B 6/04 20060101ALI20220203BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20220203BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20220203BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220203BHJP
【FI】
G02B6/42
F21V8/00 200
A61L2/10
G02B6/04 Z
G02B6/00 326
G02B6/02 Z
G02B6/02 376B
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535681
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(85)【翻訳文提出日】2021-08-18
(86)【国際出願番号】 US2019064865
(87)【国際公開番号】W WO2020131420
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ログノフ,ステファン ルヴォヴィッチ
【テーマコード(参考)】
2H038
2H137
2H250
4C058
【Fターム(参考)】
2H038BA42
2H137AA08
2H137AB06
2H137BA02
2H137BA15
2H137BB02
2H250AB03
2H250AB07
2H250AB18
2H250AB20
2H250AB33
2H250AB37
2H250AB70
2H250AC33
2H250AC51
2H250AH37
2H250BA32
2H250BA33
2H250BB01
2H250BB07
2H250BD18
2H250CA03
2H250CA08
2H250CA62
2H250CA69
2H250CD18
4C058AA12
4C058BB06
4C058KK02
4C058KK27
(57)【要約】
紫外線(UV)照明システムの実施形態が本明細書に開示される。UV照明システムは、少なくとも1つのUV発光ダイオード(LED)、及び光拡散光ファイババンドルを含む。光拡散光ファイババンドルは、バンドルジャケット、及び該バンドルジャケット内に配置された複数の光ファイバを含む。各光ファイバは、90モル%未満のシリカを含むガラス組成を有するガラスコア及び、該ガラスコアを取り囲むクラッドで構成されている。ガラスコア又はクラッドのうちの少なくとも一方は、散乱中心を含む。さらには、光拡散光ファイババンドルは、UV LEDに光学的に結合される。UV光拡散ファイバ、及びUV光拡散ファイバを含むUV照明システムを使用して対象物を滅菌する方法もまた本明細書に開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線(UV)照明システムにおいて、該システムが、
少なくとも1つのUV発光ダイオード(LED)と、
光拡散光ファイババンドルと
を備えており、該光拡散光ファイババンドルが、
バンドルジャケット;
前記バンドルジャケット内に配置された複数の光ファイバであって、各光ファイバが、
90モル%未満のシリカを含むガラス組成物を含むガラスコア;及び
前記ガラスコアを取り囲むクラッド;
を含み、
前記ガラスコア又は前記クラッドのうちの少なくとも一方が散乱中心を含む;
複数の光ファイバ
を備えており、
前記光拡散光ファイババンドルが前記UV LEDに光学的に結合される、
UV照明システム。
【請求項2】
前記UV LEDが、365nm~405nmの波長を有するUV光を生成するように構成される、請求項1に記載のUV照明システム。
【請求項3】
前記ガラスコアが散乱中心を含み、前記ガラスコアの前記散乱中心が、エアライン、ZrO
2、Al
2O
3、又はガラス相分離のうちの少なくとも1つを含み、かつ前記ガラスコア内の前記散乱中心の濃度が約0.01体積%~約5体積%である、請求項1又は請求項2に記載のUV照明システム。
【請求項4】
前記クラッドが散乱中心を含み、前記クラッド内の前記散乱中心の濃度が0.05体積%~2体積%である、請求項1から3のいずれか一項に記載のUV照明システム。
【請求項5】
前記バンドルジャケットが散乱中心を含み、前記バンドルジャケットの前記散乱中心が、Al
2O
3、BaS、中空ガラス球、又は気泡のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のUV照明システム。
【請求項6】
紫外線(UV)光拡散ファイバ(LDF)であって、
90モル%未満のSiO
2を含むガラス組成物を含むガラスコア;及び
前記ガラスコアの周りに長手方向に配置されたクラッド;
を備えており、
前記ガラスコア又は前記クラッドのうちの少なくとも一方が散乱中心を含み;かつ
前記ガラス組成物が、1メートルあたり400nm未満の波長を有する光の少なくとも10%を吸収する、
UV LDF。
【請求項7】
前記ガラス組成物が、SiO
2を少なくとも50モル%、Al
2O
3を最大で20モル%、B
2O
3を最大で20モル%、及びR
2O又はROのうちの少なくとも一方を最大で25モル%含み、ここで、R
2O中のRはLi、Na、K、Rb、又はCsのうちのいずれか1つ以上であり、RO中のRは、Zn、Mg、Ca、Sr、又はBaのうちのいずれか1つ以上であり、前記ガラス組成物が、それぞれ最大1ppmのCo、Ni、及びCr、並びに最大50ppmのFeを含む、請求項6に記載のUV LDF。
【請求項8】
光ファイババンドルであって、
バンドルジャケット;
前記バンドルジャケット内に配置された請求項6又は請求項7に記載の複数のUV LDF
を含む、光ファイババンドル。
【請求項9】
紫外線(UV)光を使用して対象物を滅菌する方法において、該方法が、
少なくとも1つのUV発光ダイオード(LED)から前記UV LEDに結合された光ファイババンドルにUV光を放出させる工程であって、前記光ファイババンドルが、ジャケット内に配置された複数の光ファイバを含み、前記複数の光ファイバの各々が90モル%未満のシリカを含むガラスコアを有する、工程;
前記光ファイババンドルから前記UV光を散乱させる工程;及び
前記光ファイババンドルから散乱した前記UV光に前記対象物を曝露させる工程
を含む、方法。
【請求項10】
前記UV光が、365nm~405nmの波長を有し、前記UV光に前記対象物を曝露させる工程が、約40J/cm
2~約600J/cm
2の線量で行われる、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2018年12月21日出願の米国仮特許出願第62/783,751号の米国法典第35編特許法119条に基づく優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、概して、光拡散光ファイバに関し、より詳細には、紫外線発光ダイオードと共に使用するように構成された、光拡散光ファイバ又はファイババンドルに関する。
【背景技術】
【0003】
光拡散光ファイバ(LDF)は、ある長さにわたって比較的均一に光を散乱するように構成されている。LDFから散乱された光は、照明又は装飾を含めたさまざまな目的に使用することができる。概して、これらのLDFは可視スペクトルから選択される。しかしながら、LDFは、紫外線及び赤外線スペクトルを含めた可視スペクトルの外側に由来する光を伝送することができる。これらの波長を伝送するLDFは、ある特定のタイプの機能も提供する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一実施形態は、紫外線(UV)照明システムに関する。UV照明システムは、少なくとも1つのUV発光ダイオード(LED)、及び光拡散光ファイババンドルを含む。光拡散光ファイババンドルは、バンドルジャケット、及びバンドルジャケット内に配置された複数の光ファイバを含む。各光ファイバは、90モル%未満のシリカを含むガラス組成物を有するガラスコアと、該ガラスコアを取り囲むクラッドとで構成されている。ガラスコア又はクラッドのうちの少なくとも一方は、散乱中心を含む。さらには、光拡散光ファイババンドルは、UV LEDに光学的に結合される。
【0005】
本開示の別の実施形態は、紫外線(UV)光拡散ファイバ(LDF)に関する。UV LDFは、90モル%未満のSiO2のガラス組成を有するガラスコアを含む。UV LDFはまた、ガラスコアの周りに長手方向に配置されたクラッドを含む。ガラスコア又はクラッドのうちの少なくとも一方は、散乱中心を含む。さらには、ガラス組成物は、1メートルあたり400nm未満の波長を有する光の少なくとも10%を吸収する。
【0006】
本開示の別の実施形態は、紫外線(UV)光を使用して対象物を滅菌する方法に関する。該方法では、UV光は、少なくとも1つのUV発光ダイオード(LED)から、UV LEDに結合された光ファイババンドルに放出される。光ファイババンドルは、ジャケット内に配置された複数の光ファイバを含み、該複数の光ファイバの各々は、90モル%未満のシリカを含むガラスコアを有する。光ファイババンドルからのUV光は散乱され、対象物は、光ファイババンドルから散乱されたUV光に曝露される。
【0007】
追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部には、その説明から当業者に容易に明らかとなり、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含めた本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されよう。
【0008】
前述の概要及び後述する詳細な説明はいずれも、単なる例示であり、特許請求の範囲の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれて、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施形態を例証しており、その説明とともに、さまざまな実施形態の原理及び動作を説明する役割を担う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】例示的な実施形態による、光拡散光ファイバの断面図
【
図2】例示的な実施形態による、光拡散光ファイババンドルの第1の例示的な実施形態の断面図
【
図3】例示的な実施形態による、光拡散光ファイババンドルの第2の例示的な実施形態の断面図
【
図4】例示的な実施形態による、UV LEDに接続された光ファイババンドルを示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
一般に図を参照すると、紫外線(UV)発光ダイオード(LED)とともに使用するように構成された光拡散ファイバ(LDF)の実施形態が提供されている。UV LEDは、レーザダイオードなどの他のUV光源よりも安価である。しかしながら、UV LEDは他のUV光源よりも大きく、これは、UV LEDと組み合わせるにはより大きいLDFが必要であることを意味する。より大きいLDFを使用するには、通常、複数のシリカファイバを束ねる必要があり、LDF内のファイバに高純度のシリカを提供することもまたコストがかかる。したがって、本開示によれば、低シリカガラスファイバを組み込んだLDFの実施形態が提供される。通常、低シリカガラスは、シリカの質量パーセント(質量%)が減少するにつれて、このようなガラスのUV吸収が増加することが知られているため、UV用途には用いられない。しかしながら、UV LEDを短い長さで使用する場合、LDFは、例えば医療機器の滅菌などの滅菌用途に十分なUV光を依然として拡散することができる。このような用途では、一般的な細菌性病原体を死滅させるのに十分なUVがLDFから短い長さ(例えば、2m以下)で拡散されることから、UV波長での高い吸収が許容される。これら及び他の実施形態を以下でさらに詳細に説明する。
【0011】
図1は、円形断面を有する光拡散光ファイバ(LDF)10の断面を示している。LDF10は、コア12、クラッド14、及び被覆16を含む。コア12、クラッド14、又は被覆16のうちの少なくとも1つの内部には、LDF10からの光の均一な拡散を促進する散乱中心18が配置される。図示される実施形態では、散乱中心18はクラッド16内に含まれている。クラッド14は、コア12の外側コア表面20上に配置され、被覆16は、クラッド14の外側クラッド表面22上に配置されている。実施形態では、外側被覆表面24は、LDF10の最も外側の範囲(例えば、半径方向最外面)を画成する。動作中、UV LED光源から供給される光は、コア12に入り、LDF10を通って導かれる。LDF10における誘導光の伝播方向は、本明細書では、長手方向又は軸方向と呼ぶことができる。散乱中心18は、LDF10内を伝播する光の散乱に影響を与える。加えて、コア12とクラッド14との間の屈折率の差(クラッド14はコア12よりも低い屈折率を有する)は、LDF10内を伝播する光の散乱にさらに寄与する。コア12及びクラッド14の一部におけるレイリー散乱もまた、散乱損失に寄与する。
【0012】
コア12とクラッド14との間の屈折率の差は、コアが導波路として機能することを可能にし、コア内でのレイリー散乱及びコア/クラッド界面での散乱を生じさせる。LDF10では、屈折率は開孔数(NA)の観点から考えることができ、これは√(nコア
2-nクラッド
2)に等しく、nコア>nクラッドである。実施形態では、NAは0.12~0.7である。
【0013】
実施形態では、コア12は、シリカガラス又は改質シリカガラスなどのガラスである。コア領域10のガラス組成物は、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、アルカリホウケイ酸塩ガラス、又はアルミノケイ酸塩ガラスとして特徴づけられる。ソーダ石灰ケイ酸塩ガラスは、さまざまなレベルのNa2O、CaO及びSiO2を含むことができる。例えば、適切なソーダ石灰ケイ酸塩ガラスの組成は、72質量%のSiO2、17質量%のNa2O、4質量%のCaO、5質量%のLiO2、及び2質量%のMgOである。アルカリホウケイ酸塩ガラスは、さまざまなレベルのSiO2、B2O3、及びアルカリ、例えばNa2Oを含みうる。例えば、適切なアルカリホウケイ酸塩ガラスの組成は、75質量%のSiO2、10質量%のB2O3、及び25質量%のNa2Oである。アルミノケイ酸塩ガラスは、さまざまなレベルのSiO2及びAl2O3を含みうる。アルカリ、例えばNa2Oは、アルミノケイ酸塩ガラス組成物にも含まれうる。例えば、適切なアルミノケイ酸塩ガラス組成物は、50.0質量%~75.0質量%のSiO2、0.0質量%~20.0質量%のB2O3、0.0質量%~15.0質量%のAl2O3、0.0質量%~1.5質量%のLi2O、及び3.0質量%~11.0質量%のNa2Oを含む。さらに別の実施形態では、ガラス組成物は、SiO2を約50モル%~約90モル%、Al2O3を最大で20モル%、B2O3を最大で20モル%、及びR2O又はROのうちの少なくとも一方を最大で25モル%含む。R2O中、RはLi、Na、K、Rb、又はCsのうちのいずれか1つ以上であり、RO中、RはZn、Mg、Ca、Sr、又はBaのうちのいずれか1つ以上である。さらには、実施形態では、ある特定の不純物が比較的低レベルに保たれる。特に、Co、Ni、及びCrは、それぞれ1ppm以下で存在し、Feは50ppm以下で存在する。実施形態では、ガラス組成物は、405nmで約85%、及び375nmで約70%のUV光を透過する。本発明の実施形態での使用に適したガラス組成物の例は、Corning Iris(商標)(米国ニューヨーク州コーニング所在のCorning Incorporatedから入手可能)である。
【0014】
上記のように、コア12のガラス組成物は、UV用途に通常用いられる他のガラス組成物よりもSiO2が少ない。SiO2が少ないほど、LDF10のコストが削減される。しかしながら、低いSiO2レベルは、より多くのUV光がLDF10のコア12において吸収されることを意味する。したがって、UV用途で90モル%未満のSiO2を含むガラス組成物を使用することは直感に反する。実際、LDF10のコア領域12で用いられるガラス組成物は、LDF10の端部に入射するUV光を1mあたり少なくとも10%吸収する。他の実施形態では、ガラス組成物は、1mあたり少なくとも30%の入射UV光を吸収し、さらに他の実施形態では、ガラス組成物は、1mあたり少なくとも50%の入射UV光を吸収する。ある特定の実施形態では、ガラス組成物は、1mあたり最大で60%の入射UV光を吸収する。以下で議論されるように、LDF10のバンドル化は、とりわけ短い長さにわたって十分な総量の散乱を生じさせることから、高い吸収損失は、ある特定の用途にとって許容可能である。
【0015】
実施形態では、クラッド14はガラス又はポリマーでありうる。クラッド14用のガラスは、コア12と同じ低シリカガラス又は改質シリカガラスを含む。クラッド14用のポリマーは、アクリレートポリマー及び/又はフッ素変性ポリマーを含む。
【0016】
実施形態では、被覆16は、アクリレートポリマーなどのポリマーである。コア12及びクラッド14の材料を選択する際に、コア12は、クラッド14よりも高い屈折率を有するように選択される。さらには、被覆16の材料を選択する際に、該材料は、クラッド14よりも高い屈折率を有するように選択される。
【0017】
散乱中心18は、360nmと420nmの波長の間の低UV吸収の特性に基づいて選択される。特に、TiO2などの高UV吸収材料は、LDF10の散乱中心18として用いられない。散乱中心18として使用することができる例示的な材料は、ZrO2、BaS、Al2O3、中空ガラス球、ガラス相分離、気泡(例えば、SO2の泡)、及びエアラインを含む。コア12、クラッド14、及び/又は被覆16は、2以上のタイプの散乱中心18を含みうる。
【0018】
実施形態では、クラッド14内の散乱中心18は、クラッド14の屈折率よりも高い屈折率を有するように選択される。実施形態では、散乱中心18の屈折率は、クラッド14の屈折率よりも少なくとも0.05高い。さらなる実施形態では、散乱中心18の屈折率は、クラッド14の屈折率よりも少なくとも0.1高い。さらなる実施形態では、散乱中心18の屈折率は、クラッド14の屈折率よりも少なくとも0.2高く、さらに別の実施形態では、散乱中心18の屈折率は、クラッド14の屈折率よりも少なくとも0.5高い。
【0019】
散乱中心18は、少なくとも30nm、又は少なくとも50nm、又は少なくとも100nm、又は少なくとも250nm、又は少なくとも500nm、又は少なくとも1000nm、又は30nmから40μm(40,000nm)の間、又は100nmから40μmの間、又は250nmから40μmの間、500nmから20μmの間、又は1000nmから10μmの間、又は30nmから2000nmの間の寸法を有する断面を有しうる。コア12、クラッド14、及び/又は被覆16内の散乱中心18は、断面寸法の分布を含みうる。
【0020】
コア12では、散乱中心18(存在する場合)は、コア12の0.01%~5%の充填率を占めることができる。さらには、実施形態では、コア12は、複数の領域、例えば、中心領域12a、中間領域12b、及び外側領域12cに分けることができる。実施形態では、散乱中心18は、1つのみ、2つのみ、又は3つすべての領域12a、12b、12cに含まれうる。クラッド14では、散乱中心18(存在する場合)は、クラッド14の0.05%~2%の充填率を占めることができる。被覆16では、散乱中心18(存在する場合)は、被覆16の0.5%から30%の間、又は1%から15%の間、又は2%から10%の間の充填率を占めることができる。本明細書で用いられる場合、充填率とは、散乱中心が占める断面積の割合を指す。一実施形態では、充填率は、光拡散要素の長さに沿って一定である。別の実施形態では、充填率は、光拡散要素の長さに沿って変化する。適切な近似では、充填率は、散乱中心18の体積分率に対応する。したがって、コア12内の散乱中心18の体積分率は、0.01%~5%でありうる。クラッド14内の散乱中心18の体積分率は、0.05%~2%でありうる。被覆16内の散乱中心18の体積分率は、少なくとも0.5%、又は少なくとも1.0%、又は少なくとも2.0%、又は少なくとも5.0%、又は0.5%から30%の間、又は1.0%から15%の間、又は2.0%から10%の間、又は2.0%から30%の間、又は3.0%から20%の間でありうる。
【0021】
散乱中心18の断面分布は、LDF10の長さに沿って、コア12、クラッド14、及び/又は被覆16の異なる位置で変動しうる。変動はLDF10の軸方向又は長さ方向にも生じうる。
【0022】
LDF10は、クラッド14及び/又は被覆16内の散乱中心18の配置及び濃度を制御することによって、その長さの全部又は一部に沿って光を散乱するように構成することができる。散乱中心18を含むLDF10の領域は、光を効率的に散乱して照明効果を生じさせることができるが、散乱中心18を欠くLDF10の領域はそうではない場合がある。
【0023】
コア12の外側コア表面20は、第1の断面寸法D1を画成する。実施形態では、LDF10の長さにわたって平均して、コア12の第1の断面寸法D1は、少なくとも65μm、又は少なくとも80μm、又は少なくとも100μm、又は少なくとも150μm、又は少なくとも170μm、又は少なくとも200μm、又は少なくとも250μm、又は少なくとも300μm、又は65μmから500μmの間、又は100μmから400μmの間、又は200μmから350μmの間、若しくはそれらの間の任意の部分範囲でありうる。
【0024】
クラッド14の外側クラッド表面22は、第2の断面寸法D2を画成する。実施形態では、第2の断面寸法D2は、第1の断面寸法D1のサイズにかかわらず、第1の断面寸法D1よりも5μm~20μm大きい。したがって、実施形態では、クラッド14の厚さ、すなわち、LDF10の長さに沿った外側コア表面20と外側クラッド表面22との間の平均距離は、少なくとも5μm、又は少なくとも10μm、又は少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも60μm、少なくとも70μm、少なくとも80μm、少なくとも90μm、又は最大で100μmでありうる。
【0025】
実施形態では、被覆16の外側被覆表面24は、第3の断面寸法D3を画成する。実施形態では、第3の断面寸法D2は、第2の断面寸法D2よりも20μm~50μm大きい。したがって、実施形態では、クラッド14を取り囲む被覆16は、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、又は少なくとも50μm、又は20μmから50μmの間、又は20μmから40μmの間、又は20μmから30μmの間、又は40μmから50μmの間、又は30μmから50μmの間の厚さ、すなわち、LDF10の長さに沿った外側クラッド表面22と外側被覆表面24との間の平均距離を有する。実施形態では、外側被覆表面24は、約230μm、約300μm、約400μm、約500μm、又は約550μmのLDF10の最も外側の半径方向範囲を画成する。
【0026】
LDF10は円形の断面を有すると説明されているが、しかしながら、LDF10の断面は任意の形状とすることができ、丸みを帯びた又は平坦な側部を含んでよいことが理解されるべきである。断面の形状には、円、楕円、正方形、長方形、及び多角形、並びに、丸みを帯びた側部と平坦な側部との組合せを含む形状が含まれうる。したがって、本明細書で用いられる場合には、断面寸法とは、断面の輪郭(例えば、円周、外周)の2点を結ぶ最長の直線距離を指す。例として、円形断面の場合、断面寸法は直径である;楕円形の断面の場合、断面寸法は主軸の長さである;正方形又は長方形の断面の場合、断面寸法は対角線間の距離である。断面の形状及び/又は寸法は、光拡散要素の長さ寸法に沿って一定又は可変でありうることがさらに理解される。例えば、円形断面を有するLDFは、円形断面の直径がLDFの長さに沿って変化する、テーパ状であってもよい。
【0027】
LDF10の長さ寸法に関して、コア12における低シリカガラスの高い吸収の理由から、本開示は主に短いLDF10に関する。したがって、実施形態では、LDF10の長さは、0.01m~2mの長さ、0.1m~2mの長さ、0.3m~2mの長さ、0.5m~2mの長さ、0.7m~2mの長さ、0.9m~2mの長さ、1.1m~2mの長さ、1.3m~2mの長さ、1.5m~2mの長さ、又は1.7m~2mの長さ、並びに前述の範囲のいずれかの間のすべての部分範囲である。
【0028】
上で簡単に述べたように、単一のLDF10は、UV LEDのサイズと一致しなくてもよく、したがって、複数のLDF10をLDFバンドル100内に配置することができる。
図2を参照すると、LDFバンドル100の一実施形態が図示されている。LDFバンドル100は、ジャケット110内に配置された複数のLDF10を含む。各LDF10は、
図1に関して上で説明したものと実質的に同じである。また、ジャケット110内には、360nm~420nmの波長を有するUV光に対して実質的に透明であるように選択される充填剤材料120が配置されている。LDFバンドル100の動作は、単一のLDF10の動作と実質的に一致する。すなわち、UV LEDからの入射光は、LDFバンドル100の端部の一方に導かれ、それによって、LDFバンドル100に含まれる各LDF10の端部の一方に導かれる。入射光は、各LDF10内を移動し、散乱UV光線としてコア領域12、クラッド14、及び被覆16を通過する。次に、散乱光線は、実質的に透明な充填剤120に入り、ジャケット110を通ってLDFバンドル100から出る。
【0029】
各LDFバンドル100内のLDF10の分布及び濃度は、アプリケーションの寸法要件、バンドル100の長さの関数としてのアプリケーションに必要な光の量などを含めたさまざまな検討事項を考慮して、特定の照明アプリケーション用に選択することができる。特定のアプリケーションでは、所与のLDFバンドル100内でLDF10の複数の構成(例えば、LDF10と散乱中心18のさまざまな構成との組合せ)を利用することも可能である。実施形態では、LDFバンドル100は、4~10,000本のLDF10を含む。例えば、3mm2の面積を有するUV LED光源では、LDFバンドル100は約100本のLDF10を含み、各LDF10は170μmの第3の断面寸法D3を有する。LDFバンドル100内のLDF10の数は、LDFバンドル100の直径及び各LDF10の直径(すなわち、LDF10の第3の断面寸法D3)に応じて決まる。上で論じたように、第3の断面寸法D3は、約60μm(例えば、約35μm~40μmの第1の断面寸法D1を有するガラスコアの場合)から500μm(例えば、約450μmの第1の断面寸法D1を有するガラスコアの場合)まで変動しうる。所与のLDFバンドル100に含まれうるLDF10の量は、大まかに、N≒D/a2として計算することができ、ここで、NはLDF10の数であり、DはLEDの面積であり、aはLDF10の直径である。この関係は、大まかな概算を提供する;LDF10は、LDFバンドル100内のLDF10の数Nを増加させるように、LDFバンドル100内のデッドスペースを少なくすることができる方法で、LDFバンドル100内に充填することを可能にしうる。
【0030】
図3を参照すると、光拡散光ファイババンドル200の別の実施形態が図示されている。LDFバンドル200は、散乱中心218を含むジャケット210を含む。LDFバンドル200は、ジャケット210内に配置された複数のLDF10をさらに含む。ジャケット210が散乱中心218を含む実施形態では、LDFバンドル200のLDF10は、クラッド14又は被覆16の散乱中心218を含まない。また、ジャケット210内には、充填剤220が配置されている。
図3に示される実施形態では、充填剤220は、散乱中心218も含む。散乱中心218は、個々のLDF10に提供される散乱中心18と同じであっても異なっていてもよい。前の実施形態と同様に、入射光は、LDFバンドル200の端部の一方に導かれ、それによって、LDFバンドル200内に含まれる各LDF10の端部の一方に導かれる。入射光は、各LDF10内を移動し、散乱UV光線としてコア12、クラッド14、及び被覆16を通過する。したがって、入射光線は各LDF10から出て、充填剤220及びジャケット210を通過し、その後、散乱光線としてLDFバンドル200から出る。
【0031】
図2及び3の実施形態の各々では、LDFバンドル100、200のジャケット110、210は、塩素化又はフッ素化ポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレンなどでできている。他の実施形態では、LDFバンドル100、200のジャケット110、210は、とりわけ、エチレン酢酸ビニル(例えば、フランス国コロンブ所在のArkema S.A.社から入手可能なApolhya(登録商標))、コポリエステル-熱可塑性エラストマー、ポリエーテルブロックアミン、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、ポリウレタン、ポリアミド、及びポリカーボネートのうちの少なくとも1つを含む。
【0032】
図4は、UV LED光源300に接続されたLDFバンドル100又はLDFバンドル200を示している。実施形態では、UV LED光源300は、360nm~420nmの波長でUV光を放出することができる。ある特定の市販のUV LEDは、405nm、395nm、385nm、及び365nmの波長を有する。このようなUV LEDは、1mm
2~5mm
2の範囲の断面寸法を有する。LDFバンドル100、200は、少なくともUV LEDの断面積に一致するように構築される。
【0033】
405nmの波長を有するUV LED300及びUV光の15%/mを吸収するガラス組成を有するLDF10を使用する例示的な実施形態では、使用可能な最長の長さ(すなわち、損失が90%を超える長さ)は約6mである。吸収損失が50%/mの場合、使用可能な最長のLDF10は約2mである。UV LED300が405nm未満の波長で光を放出した場合、LDF10の長さはさらに短くなるであろう。
【0034】
特定の場合、中効率のUVファイババンドルを使用して、次式で説明することができる:
E=N*P*C0*EF/A
式中、Eは望ましい放射強度(mW/cm2)であり、Nはバンドル内のLDF10の数であり、Pは単一光源UV LEDの電力であり、C0は光源から拡散ファイバへの結合効率であり、EFは光源の波長でのファイバ拡散効率であり、Aはシステム内の放射の面積である。10cm×10cmの面積A、10mW/cm2に等しい所望の放射強度E、LDFバンドル100、200内の単一のLDF10、0.8の結合効率C0、及び100%の拡散効率EFでは、単一のUV LED光源300に必要な電力は1.25Wである。効率EFが50%に下降すると、電力Pは2倍になる。同様に、LDFバンドル100、200内のLDF10の本数Nが2倍の2本になると、必要な電力Pも2倍になるであろう。所望の放射強度Eを達成するために複数のUV LED光源300が必要とされる範囲では、例えば、UVレーザダイオードと比較して、UV LEDのコストははるかに低く、システムの全体的なコストが削減される。さらには、より大きいUV LED光源300のサイズに一致するようにより多くのLDF10を必要とする範囲では、低シリカガラス組成物は、典型的な溶融シリカLDFと比較して、システムのコストの節約をもたらす。
【0035】
実施形態では、LDFバンドル100、200及びUV LED光源300は、特に医療機器用の滅菌装置に組み込まれる。LDFバンドル100、200は、滅菌される一又は複数の対象物が配置される滅菌チャンバを通って延びる。UV光は、LDFバンドル100、200から放出され、(一又は複数の)対象物を約10分~約2400分の期間にわたってUV光に曝露した後、少なくともlog104の細菌性病原体の減少があるであろう。
【0036】
態様(1)は、紫外線(UV)照明システムに関し、該システムは、少なくとも1つのUV発光ダイオード(LED);並びに、光拡散光ファイババンドルであって、バンドルジャケット;及び、各光ファイバが、90モル%未満のシリカを含むガラス組成物を含むガラスコアと、該ガラスコアを取り囲むクラッドとを含む、バンドルジャケット内に配置された複数の光ファイバを備えた、光拡散光ファイババンドルを備えており;ここで、ガラスコア又はクラッドのうちの少なくとも一方は散乱中心を含み;かつ、光拡散光ファイババンドルはUV LEDに光学的に結合される。
【0037】
態様(2)は、UV LEDが、365nm~405nmの波長を有するUV光を生成するように構成される、態様(1)に記載のUV照明システムに関する。
【0038】
態様(3)は、UV LEDが少なくとも1mm2の発光面積を有し、光拡散光ファイババンドルの端部の端面面積(facial area)が発光面積と少なくとも同じ大きさである、態様(1)又は態様(2)に記載のUV照明システムに関する。
【0039】
態様(4)は、ガラスコアのガラス組成物が、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、又はアルミノケイ酸塩ガラスのうちの少なくとも1つを含む、態様(1)から(3)のいずれかに記載のUV照明システムに関する。
【0040】
態様(5)は、ガラスコアが散乱中心を含む、態様(1)から(4)のいずれかに記載のUV照明システムに関する。
【0041】
態様(6)は、ガラスコアの散乱中心がエアラインを含む、態様(5)に記載のUV照明システムに関する。
【0042】
態様(7)は、散乱中心が、ZrO2、Al2O3、又はガラス相分離のうちの少なくとも1つを含む、態様(5)又は態様(6)に記載のUV照明システムに関する。
【0043】
態様(8)は、ガラスコア内の散乱中心の濃度が、約0.01体積%~約5体積%である、態様(5)から(7)のいずれかに記載のUV照明システムに関する。
【0044】
態様(9)は、クラッドがポリマーを含む、態様(1)から(8)のいずれかに記載のUV照明システムに関する。
【0045】
態様(10)は、クラッドが第2のガラス組成物を含み、該第2のガラス組成物がガラスコアのガラス組成物とは異なっている、態様(1)から(8)のいずれかに記載のUV照明システムに関する。
【0046】
態様(11)は、クラッドが散乱中心を含む、態様(9)又は態様(10)に記載のUV照明システムに関する。
【0047】
態様(12)は、クラッドの散乱中心が高屈折率粒子を含み、該高屈折率粒子の屈折率がクラッドの屈折率よりも少なくとも0.05高い、態様(11)に記載のUV照明システムに関する。
【0048】
態様(13)は、高屈折率粒子が、BaS、SiO2、Al2O3、又はZrO2のうちの少なくとも1つを含む、態様(12)に記載のUV照明システムに関する。
【0049】
態様(14)は、散乱中心がボイドを含む、態様(11)に記載のUV照明システムに関する。
【0050】
態様(15)は、クラッド内の散乱中心の濃度が、0.05体積%~2体積%である、態様(11)から(14)のいずれかに記載のUV照明システムに関する。
【0051】
態様(16)は、バンドルジャケットがポリマーを含む、態様(1)から(15)のいずれかに記載のUV照明システムに関する。
【0052】
態様(17)は、ポリマーが、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、エチレン-酢酸ビニル、コポリエステル-熱可塑性エラストマー、ポリエーテルブロックアミン、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、ポリウレタン、ポリアミド、又はポリカーボネートのうちの少なくとも1つを含む、態様(16)に記載のUV照明システムに関する。
【0053】
態様(18)は、バンドルジャケットが散乱中心を含む、態様(1)から(17)のいずれかに記載のUV照明システムに関する。
【0054】
態様(19)は、バンドルジャケットの散乱中心が、Al2O3、BaS、中空ガラス球、又は気泡のうちの少なくとも1つを含む、態様(18)に記載のUV照明システムに関する。
【0055】
態様(20)は、光ファイババンドルが、バンドルジャケット内及び複数の光ファイバの周りに配置された充填剤をさらに含む、態様(1)から(19)のいずれかに記載のUV照明システムに関する。
【0056】
態様(21)は、複数の光ファイバが、少なくとも10本の光ファイバを含む、態様(1)から(20)のいずれかに記載のUV照明システムに関する。
【0057】
態様(22)は、紫外線(UV)光拡散ファイバ(LDF)に関し、該UV LDFは、90モル%未満のSiO2を含むガラス組成物を含むガラスコア;及び、該ガラスコアの周りに長手方向に配置されたクラッド;を含み、ここで、ガラスコア又はクラッドのうちの少なくとも一方は散乱中心を含み;ガラス組成物は、1メートルあたり400nm未満の波長を有する光の少なくとも10%を吸収する。
【0058】
態様(23)は、ガラス組成物が、SiO2を少なくとも50モル%、Al2O3を最大で20モル%、B2O3を最大で20モル%、及びR2O又はROのうちの少なくとも一方を最大で25モル%含み、ここで、R2O中のRは、Li、Na、K、Rb、又はCsのうちのいずれか1つ以上であり、RO中のRは、Zn、Mg、Ca、Sr、又はBのうちのいずれか1つ以上である、態様(22)に記載のUV LDFに関する。
【0059】
態様(24)は、ガラス組成物が、それぞれ最大1ppmのCo、Ni、及びCr、並びに最大50ppmのFeを含む、態様(22)又は態様(23)に記載のUV LDFに関する。
【0060】
態様(25)は、ガラスコアが散乱中心を含む、態様(22)から(24)のいずれかに記載のUV LDFに関する。
【0061】
態様(26)は、ガラスコアの散乱中心がエアラインを含む、態様(25)に記載のUV LDFに関する。
【0062】
態様(27)は、ガラスコアの散乱中心が、ZrO2、Al2O3、又はガラス相分離のうちの少なくとも1つを含む、態様(25)に記載のUV LDFに関する。
【0063】
態様(28)は、ガラスコア内の散乱中心の濃度が、約0.01体積%~約5体積%である、態様(25)から(27)のいずれかに記載のUV LDFに関する。
【0064】
態様(29)は、クラッドがポリマーを含む、態様(22)から(28)のいずれかに記載のUV LDFに関する。
【0065】
態様(30)は、クラッドが第2のガラス組成物を含み、該第2のガラス組成物がガラスコアのガラス組成物とは異なっている、態様(22)から(28)のいずれかに記載のUV LDFに関する。
【0066】
態様(31)は、クラッドが散乱中心を含む、態様(22)から(30)のいずれかに記載のUV LDFに関する。
【0067】
態様(32)は、散乱中心が高屈折率粒子を含み、該高屈折率粒子の屈折率がクラッドの屈折率よりも少なくとも0.05高い、態様(31)に記載のUV LDFに関する。
【0068】
態様(33)は、高屈折率粒子が、BaS、SiO2、Al2O3、又はZrO2のうちの少なくとも1つを含む、態様(32)に記載のUV LDFに関する。
【0069】
態様(34)は、クラッドの散乱中心がボイドを含む、態様(31)に記載のUV LDFに関する。
【0070】
態様(35)は、クラッド内の散乱中心の濃度が約0.05体積%~約2体積%である、態様(31)から(34)のいずれかに記載のUV LDFに関する。
【0071】
態様(36)は、クラッドの周りに配置された被覆をさらに含む、態様(22)から(35)のいずれかに記載のUV LDFに関する。
【0072】
態様(37)は、バンドルジャケットと、該バンドルジャケット内に配置された態様(22)から(36)のいずれかに記載の複数のUV LDFとを備えた光ファイババンドルに関する。
【0073】
態様(38)は、バンドルジャケットがポリマーを含む、態様(37)に記載の光ファイババンドルに関する。
【0074】
態様(39)は、ポリマーが、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、エチレン-酢酸ビニル、コポリエステル-熱可塑性エラストマー、ポリエーテルブロックアミン、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、ポリウレタン、ポリアミド、又はポリカーボネートのうちの少なくとも1つを含む、態様(38)に記載の光ファイババンドルに関する。
【0075】
態様(40)は、バンドルジャケットが散乱中心を含む、態様(37)から(39)のいずれかに記載の光ファイババンドルに関する。
【0076】
態様(41)は、バンドルジャケットの散乱中心が、Al2O3、BaS、中空ガラス球、又は気泡のうちの少なくとも1つを含む、態様(40)に記載の光ファイババンドルに関する。
【0077】
態様(42)は、バンドルジャケット内及び複数の光ファイバの周りに配置された充填剤をさらに含む、態様(37)から(41)のいずれかに記載の光ファイババンドルに関する。
【0078】
態様(43)は、複数の光ファイバが、少なくとも10本の光ファイバを含む、態様(37)から(42)のいずれかに記載の光ファイババンドルに関する。
【0079】
態様(44)は、紫外線(UV)光を使用して対象物を滅菌する方法に関し、該方法は、少なくとも1つのUV発光ダイオード(LED)からUV LEDに結合された光ファイババンドルにUV光を放出させる工程であって、光ファイババンドルが、ジャケット内に配置された複数の光ファイバを含み、該複数の光ファイバの各々が90モル%未満のシリカを含むガラスコアを有する、工程;光ファイババンドルからUV光を散乱させる工程;及び、光ファイババンドルから散乱されたUV光に対象物を曝露させる工程を含む。
【0080】
態様(45)は、UV光が365nm~405nmの波長を有する、態様(44)に記載の方法に関する。
【0081】
態様(46)は、対象物をUV光に曝露させる工程が、約40J/cm2~約600J/cm2の線量で行われる、態様(44)又は態様(45)に記載の方法に関する。
【0082】
態様(47)は、曝露工程の後、対象物が細菌性病原体のlog104以上の減少を被る、態様(44)から(46)のいずれかに記載の方法に関する。
【0083】
態様(48)は、散乱工程が、100cm2の面積にわたり少なくとも10mW/cm2を供給する、態様(44)から(47)のいずれかに記載の光ファイババンドルに関する。
【0084】
特に明記しない限り、本明細書に記載の任意の方法は、その工程が特定の順序で実行されることを必要とすると解釈されることは、決して意図していない。したがって、方法クレームがその工程が従うべき順序を実際に列挙していないか、又は工程が特定の順序に限定されるべきであることが特許請求の範囲又は明細書に具体的に述べられていない場合には、いかなる特定の順序も、推測されることは決して意図していない。加えて、本明細書で用いられる場合には、冠詞「a」は、1つ又は1つ以上の構成要素又は要素を含むことが意図されており、1つだけを意味すると解釈されることは意図されていない。
【0085】
開示される実施形態の精神又は範囲から逸脱することなく、さまざまな修正及び変更を加えることができることは、当業者にとって明白であろう。実施形態の精神及び本質を組み込んだ開示された実施形態の修正、組合せ、部分組合せ、及び変形が当業者に想起されうることから、本開示の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内のあらゆるものを含むと解釈されるべきである。
【0086】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0087】
実施形態1
紫外線(UV)照明システムにおいて、該システムが、
少なくとも1つのUV発光ダイオード(LED)と、
光拡散光ファイババンドルと
を備えており、該光拡散光ファイババンドルが、
バンドルジャケット;
前記バンドルジャケット内に配置された複数の光ファイバであって、各光ファイバが、
90モル%未満のシリカを含むガラス組成物を含むガラスコア;及び
前記ガラスコアを取り囲むクラッド;
を含み、
前記ガラスコア又は前記クラッドのうちの少なくとも一方が散乱中心を含む;
複数の光ファイバ
を備えており、
前記光拡散光ファイババンドルが前記UV LEDに光学的に結合される、
UV照明システム。
【0088】
実施形態2
前記UV LEDが、365nm~405nmの波長を有するUV光を生成するように構成される、実施形態1に記載のUV照明システム。
【0089】
実施形態3
前記UV LEDが少なくとも1mm2の発光面積を有し、前記光拡散光ファイババンドルの端部の端面面積(facial area)が前記発光面積と少なくとも同じ大きさである、実施形態1又は実施形態2に記載のUV照明システム。
【0090】
実施形態4
前記ガラスコアの前記ガラス組成物が、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、又はアルミノケイ酸塩ガラスのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1から3のいずれかに記載のUV照明システム。
【0091】
実施形態5
前記ガラスコアが散乱中心を含む、実施形態1から4のいずれかに記載のUV照明システム。
【0092】
実施形態6
前記ガラスコアの前記散乱中心がエアラインを含む、実施形態5に記載のUV照明システム。
【0093】
実施形態7
前記散乱中心が、ZrO2、Al2O3、又はガラス相分離のうちの少なくとも1つを含む、実施形態5又は実施形態6に記載のUV照明システム。
【0094】
実施形態8
前記ガラスコア内の前記散乱中心の濃度が、約0.01体積%~約5体積%である、実施形態5から7のいずれかに記載のUV照明システム。
【0095】
実施形態9
前記クラッドがポリマーを含む、実施形態1から8のいずれかに記載のUV照明システム。
【0096】
実施形態10
前記クラッドが第2のガラス組成物を含み、該第2のガラス組成物が前記ガラスコアの前記ガラス組成物とは異なっている、実施形態1から8のいずれかに記載のUV照明システム。
【0097】
実施形態11
前記クラッドが散乱中心を含む、実施形態9又は実施形態10に記載のUV照明システム。
【0098】
実施形態12
前記クラッドの前記散乱中心が高屈折率粒子を含み、該高屈折率粒子の屈折率が前記クラッドの屈折率よりも少なくとも0.05高い、実施形態11に記載のUV照明システム。
【0099】
実施形態13
前記高屈折率粒子が、BaS、SiO2、Al2O3、又はZrO2のうちの少なくとも1つを含む、実施形態12に記載のUV照明システム。
【0100】
実施形態14
前記散乱中心がボイドを含む、実施形態11に記載のUV照明システム。
【0101】
実施形態15
前記クラッド内の前記散乱中心の濃度が、0.05体積%~2体積%である、実施形態11から14のいずれかに記載のUV照明システム。
【0102】
実施形態16
前記バンドルジャケットがポリマーを含む、実施形態1から15のいずれかに記載のUV照明システム。
【0103】
実施形態17
前記ポリマーが、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、エチレン-酢酸ビニル、コポリエステル-熱可塑性エラストマー、ポリエーテルブロックアミン、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、ポリウレタン、ポリアミド、又はポリカーボネートのうちの少なくとも1つを含む、実施形態16に記載のUV照明システム。
【0104】
実施形態18
前記バンドルジャケットが散乱中心を含む、実施形態1から17のいずれかに記載のUV照明システム。
【0105】
実施形態19
前記バンドルジャケットの前記散乱中心が、Al2O3、BaS、中空ガラス球、又は気泡のうちの少なくとも1つを含む、実施形態18に記載のUV照明システム。
【0106】
実施形態20
前記光ファイババンドルが、前記バンドルジャケット内及び前記複数の光ファイバの周りに配置された充填剤をさらに含む、実施形態1から19のいずれかに記載のUV照明システム。
【0107】
実施形態21
前記複数の光ファイバが、少なくとも10本の光ファイバを含む、実施形態1から20のいずれかに記載のUV照明システム。
【0108】
実施形態22
紫外線(UV)光拡散ファイバ(LDF)であって、
90モル%未満のSiO2を含むガラス組成物を含むガラスコア;及び
前記ガラスコアの周りに長手方向に配置されたクラッド;
を備えており、
前記ガラスコア又は前記クラッドのうちの少なくとも一方が散乱中心を含み;かつ
前記ガラス組成物が、1メートルあたり400nm未満の波長を有する光の少なくとも10%を吸収する、
UV LDF。
【0109】
実施形態23
前記ガラス組成物が、SiO2を少なくとも50モル%、Al2O3を最大で20モル%、B2O3を最大で20モル%、及びR2O又はROのうちの少なくとも一方を最大で25モル%含み、ここで、R2O中のRは、Li、Na、K、Rb、又はCsのうちのいずれか1つ以上であり、RO中のRは、Zn、Mg、Ca、Sr、又はBaのうちのいずれか1つ以上である、実施形態22に記載のUV LDF。
【0110】
実施形態24
前記ガラス組成物が、それぞれ最大1ppmのCo、Ni、及びCr、並びに最大50ppmのFeを含む、実施形態22又は実施形態23に記載のUV LDF。
【0111】
実施形態25
前記ガラスコアが散乱中心を含む、実施形態22から24のいずれかに記載のUV LDF。
【0112】
実施形態26
前記ガラスコアの前記散乱中心がエアラインを含む、実施形態25に記載のUV LDF。
【0113】
実施形態27
前記ガラスコアの前記散乱中心が、ZrO2、Al2O3、又はガラス相分離のうちの少なくとも1つを含む、実施形態25に記載のUV LDF。
【0114】
実施形態28
前記ガラスコア内の前記散乱中心の濃度が、約0.01体積%~約5体積%である、実施形態25から27のいずれかに記載のUV LDF。
【0115】
実施形態29
前記クラッドがポリマーを含む、実施形態22から28のいずれかに記載のUV LDF。
【0116】
実施形態30
前記クラッドが第2のガラス組成物を含み、前記第2のガラス組成物が前記ガラスコアの前記ガラス組成物とは異なっている、実施形態22から28のいずれかに記載のUV LDF。
【0117】
実施形態31
前記クラッドが散乱中心を含む、実施形態22から30のいずれかに記載のUV LDF。
【0118】
実施形態32
前記散乱中心が高屈折率粒子を含み、該高屈折率粒子の屈折率が、前記クラッドの屈折率よりも少なくとも0.05高い、実施形態31に記載のUV LDF。
【0119】
実施形態33
前記高屈折率粒子が、BaS、SiO2、Al2O3、又はZrO2のうちの少なくとも1つを含む、実施形態32に記載のUV LDF。
【0120】
実施形態34
前記クラッドの前記散乱中心がボイドを含む、実施形態31に記載のUV LDF。
【0121】
実施形態35
前記クラッド内の前記散乱中心の濃度が約0.05体積%~約2体積%である、実施形態31から34のいずれかに記載のUV LDF。
【0122】
実施形態36
前記クラッドの周りに配置された被覆をさらに含む、実施形態22から35のいずれかに記載のUV LDF。
【0123】
実施形態37
光ファイババンドルであって、
バンドルジャケット;
前記バンドルジャケット内に配置された実施形態22から36のいずれかに記載の複数のUV LDF
を含む、光ファイババンドル。
【0124】
実施形態38
前記バンドルジャケットがポリマーを含む、実施形態37に記載の光ファイババンドル。
【0125】
実施形態39
前記ポリマーが、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、エチレン-酢酸ビニル、コポリエステル-熱可塑性エラストマー、ポリエーテルブロックアミン、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、ポリウレタン、ポリアミド、又はポリカーボネートのうちの少なくとも1つを含む、実施形態38に記載の光ファイババンドル。
【0126】
実施形態40
前記バンドルジャケットが散乱中心を含む、実施形態37から39のいずれかに記載の光ファイババンドル。
【0127】
実施形態41
前記バンドルジャケットの前記散乱中心が、Al2O3、BaS、中空ガラス球、又は気泡のうちの少なくとも1つを含む、実施形態40に記載の光ファイババンドル。
【0128】
実施形態42
前記バンドルジャケット内及び前記複数の光ファイバの周りに配置された充填剤をさらに含む、実施形態37から41のいずれかに記載の光ファイババンドル。
【0129】
実施形態43
前記複数の光ファイバが、少なくとも10本の光ファイバを含む、実施形態37から42のいずれかに記載の光ファイババンドル。
【0130】
実施形態44
紫外線(UV)光を使用して対象物を滅菌する方法において、該方法が、
少なくとも1つのUV発光ダイオード(LED)から前記UV LEDに結合された光ファイババンドルにUV光を放出させる工程であって、前記光ファイババンドルが、ジャケット内に配置された複数の光ファイバを含み、前記複数の光ファイバの各々が90モル%未満のシリカを含むガラスコアを有する、工程;
前記光ファイババンドルから前記UV光を散乱させる工程;及び
前記光ファイババンドルから散乱した前記UV光に前記対象物を曝露させる工程
を含む、方法。
【0131】
実施形態45
前記UV光が、365nm~405nmの波長を有する、実施形態44に記載の方法。
【0132】
実施形態46
前記UV光に前記対象物を曝露させる工程が、約40J/cm2~約600J/cm2の線量で行われる、実施形態44又は実施形態45に記載の方法。
【0133】
実施形態47
前記曝露工程の後、前記対象物が細菌性病原体のlog104以上の減少を被る、実施形態44から46のいずれかに記載の方法。
【0134】
実施形態48
前記散乱工程が、100cm2の面積にわたり少なくとも10mW/cm2を供給する、実施形態44から47のいずれかに記載の方法。
【符号の説明】
【0135】
10 光拡散光ファイバ(LDF)
12 コア
14 クラッド
16 被覆
18,218 散乱中心
20 外側コア表面
22 外側クラッド表面
24 外側被覆表面
100,200 LDFバンドル
110,210 ジャケット
120,220 充填剤
300 UV LED光源
【国際調査報告】