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特表2022-514411リポペプチドビルディングブロックおよび合成ウイルス様粒子
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  • 特表-リポペプチドビルディングブロックおよび合成ウイルス様粒子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(54)【発明の名称】リポペプチドビルディングブロックおよび合成ウイルス様粒子
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/00 20060101AFI20220203BHJP
   C12N 7/00 20060101ALI20220203BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20220203BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220203BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20220203BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220203BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220203BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20220203BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20220203BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
C07K14/00 ZNA
C12N7/00
C07K19/00
A61K35/76
A61P35/00
A61P31/00
A61P37/08
A61P37/04
A61P31/14
A61K38/16
A61K47/54
A61K47/60
A61K9/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535744
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2019086302
(87)【国際公開番号】W WO2020127728
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】18214485.7
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516160474
【氏名又は名称】ヴァイロメティックス アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】515098691
【氏名又は名称】ウニヴェルズィテート チューリッヒ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ガスパリアン, アリン
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン, ジョン エー.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA30
4B065CA13
4B065CA24
4B065CA45
4C076AA31
4C076AA95
4C076CC06
4C076CC27
4C076CC29
4C076CC31
4C076CC35
4C076CC41
4C076DD55
4C076DD60
4C076EE23
4C076EE59
4C076FF02
4C076FF04
4C076FF31
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA19
4C084BA23
4C084BA42
4C084CA59
4C084MA05
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB321
4C084ZB322
4C084ZB331
4C084ZB332
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087MA05
4C087MA41
4C087NA05
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB13
4C087ZB26
4C087ZB32
4C087ZB33
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA14
4H045BA17
4H045BA18
4H045BA19
4H045BA20
4H045BA40
4H045BA55
4H045CA40
4H045DA86
4H045EA31
4H045FA33
(57)【要約】
本発明は、(i)コイルドコイルペプチド鎖セグメントを含むペプチド部分であって、該コイルドコイルペプチド鎖セグメントが、3~8つの繰り返し単位を含み、該繰り返し単位が、配列IEKKIE-X0(配列番号58)からなり、配列中、X0がアミノ酸を表し、好ましくは、該繰り返し単位が、IEKKIEG(配列番号59)、IEKKIEA(配列番号12)、またはIEKKIES(配列番号13)から選択される配列からなり、さらに好ましくは、該繰り返し単位が、配列IEKKIES(配列番号13)からなる、ペプチド部分、(ii)式LM-Iを含む、好ましくは、それからなる脂質部分であって、式中、RおよびRが、独立して、C1115アルキルであり、好ましくは、RおよびRが、独立して、-C1123、-C1327、または-C1531であり、さらに好ましくは、RおよびRが、-C1531であり、Rが、水素または-C(O)C1115アルキルであり、好ましくは、Rが、Hまたは-C(O)C1531であり、該脂質部分が、該ペプチド部分に連結されており、式LM-I中の波線が、該ペプチド部分への連結部位を示し、好ましくは、該脂質部分が、該ペプチド部分のN末端に連結されている、脂質部分からなる、リポペプチドビルディングブロック、同様に抗原が結合する該リポペプチドビルディングブロックを含むコンジュゲート、そのようなコンジュゲートの束、コンジュゲートの少なくとも1つの束を含む合成ウイルス様粒子(SVLP)、ならびにそれを含む医薬組成物に関する。本発明はさらに、薬剤として、ワクチンとして使用するための、かつ好ましくは感染症、アレルギー、および癌から選択される疾患を予防または治療する方法で使用するための、かつ一般的に、抗原特異的免疫応答を効率的に誘導するための、該コンジュゲート、コンジュゲートの束、該SVLPおよび該医薬組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)コイルドコイルペプチド鎖セグメントを含むペプチド部分であって、前記コイルドコイルペプチド鎖セグメントが、3~8つの繰り返し単位を含み、前記繰り返し単位が、配列IEKKIE-X0(配列番号58)からなり、配列中、X0がアミノ酸を表し、好ましくは、前記繰り返し単位が、IEKKIEG(配列番号59)、IEKKIEA(配列番号12)、またはIEKKIES(配列番号13)から選択される配列からなり、さらに好ましくは、前記繰り返し単位が、配列IEKKIES(配列番号13)からなる、ペプチド部分、
(ii)式LM-I
を含む脂質部分であって、式中、RおよびRが、独立して、C1115アルキルであり、好ましくは、RおよびRが、独立して、-C1123、-C1327、または-C1531であり、さらに好ましくは、RおよびRが、-C1531であり、Rが、水素または-C(O)C1115アルキルであり、好ましくは、Rが、Hまたは-C(O)C1531である、脂質部分からなり、
前記脂質部分が、前記ペプチド部分に連結されており、式LM-I中の波線が、前記ペプチド部分への連結部位を示し、好ましくは、前記脂質部分が、前記ペプチド部分のN末端に連結されている、リポペプチドビルディングブロック。
【請求項2】
前記ペプチド部分の前記コイルドコイルペプチド鎖セグメントが、4つの繰り返し単位からなり、好ましくは、前記4つの繰り返し単位が、互いに連続的に連結されている、請求項1に記載のリポペプチドビルディングブロック。
【請求項3】
前記コイルドコイルペプチド鎖セグメントが、配列(IEKKIES)(配列番号62)からなる、請求項1または2に記載のリポペプチドビルディングブロック。
【請求項4】
前記脂質部分が、式LM-I*
からなり、式中、Rが、水素または-C(O)C1115アルキル、好ましくはHまたは-C(O)C1531であり、好ましくは、前記脂質部分が、前記ペプチド部分の前記N末端に連結されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のリポペプチドビルディングブロック。
【請求項5】
前記脂質部分が、式LM-I*1からなる、請求項1~4のいずれか一項に記載のリポペプチドビルディングブロック
【請求項6】
前記脂質部分および前記ペプチド部分が、直接またはカップリング部分を介して連結され、好ましくは、前記カップリング部分が、アミノ酸リンカーであり、好ましくは2~15個のアミノ酸、好ましくは2~10個のアミノ酸、さらに好ましくは2~5個のアミノ酸からなる、請求項1~5のいずれか一項に記載のリポペプチドビルディングブロック。
【請求項7】
前記ペプチド部分が、Tヘルパー細胞エピトープをさらに含み、好ましくは、前記Tヘルパー細胞エピトープが、(i)配列番号6、配列番号63~配列番号87、および(ii)1個、2個、または3個のアミノ酸が、他のアミノ酸によって交換されるか、または欠失する、配列番号6、配列番号63~配列番号87からなる群から選択される配列を含むか、または好ましくはそれらからなる、請求項1~6のいずれか一項に記載のリポペプチドビルディングブロック。
【請求項8】
前記リポペプチドビルディングブロックが、式LBB-2のものである、請求項1~7のいずれか一項に記載のリポペプチドビルディングブロック
【請求項9】
(a)請求項1~8のいずれか一項に記載のリポペプチドビルディングブロック、および
(b)抗原
を含むコンジュゲートであって、前記抗原が、直接またはリンカーを介して、前記リポペプチドビルディングブロックに接続されている、コンジュゲート。
【請求項10】
抗原が、腫瘍抗原、自己抗原、病原体のポリペプチド、アレルゲン、またはハプテンである、請求項9に記載のコンジュゲート。
【請求項11】
前記コンジュゲートが、式(38)、(39)、(40)、(41)、または(42)のいずれか1つから選択され、好ましくは、前記コンジュゲートが、式(38)のものである、請求項9に記載のコンジュゲート
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つ、好ましくは2つ、3つ、4つ、または5つ、より好ましくは3つのコンジュゲートを含むコンジュゲートの束であって、好ましくは前記束において、前記ペプチド部分の前記コイルドコイルペプチド鎖セグメントが、左巻きのアルファ-ヘリックスコイルドコイルを形成し、前記コイルドコイルペプチド鎖セグメントが、前記コイルドコイルにおいて平行な配向を有する、コンジュゲートの束。
【請求項13】
請求項12に記載のコンジュゲートの少なくとも1つの束を含む、合成ウイルス様粒子。
【請求項14】
薬学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤と一緒に、免疫学的有効量の、請求項10もしくは11に記載のコンジュゲート、または請求項13に記載の合成ウイルス様粒子を含む医薬組成物であって、好ましくは、前記医薬組成物が、ワクチンである、医薬組成物。
【請求項15】
さらに好ましくは、前記疾患が、感染症、癌、またはアレルギーであり、さらにより好ましくは、前記疾患が、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染である、薬剤として使用するための、好ましくは疾患を予防するため、または疾患を治療するための疾患のリスクを低減するための方法で使用するための、請求項10もしくは11に記載のコンジュゲート、請求項13に記載の合成ウイルス様粒子、または請求項14に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リポペプチドビルディングブロック、抗原が結合される該リポペプチドビルディングブロックを含むコンジュゲート、そのようなコンジュゲートの束、コンジュゲートの少なくとも1つの束を含む合成ウイルス様粒子(SVLP)、およびそれを含む医薬組成物に関する。本発明はさらに、薬剤として、ワクチンとして使用するための、かつ好ましくは感染症、アレルギー、および癌から選択される疾患を予防または治療する方法で使用するための、かつ一般的に、抗原特異的免疫応答を効率的に誘導するための、該コンジュゲート、コンジュゲートの束、該SVLPおよび該医薬組成物に関する。
【0002】
関連技術
合成ウイルス様粒子(SVLP)、特に、抗原がコンユゲートし、20~30nmの免疫原性の高いナノ粒子に自発的に自己組織化する合成リポペプチドビルディングブロックを使用し、約60~80の該リポペプチドビルディングブロックのコピーを含むSVLPベースのワクチン候補が最近大きな関心を集めている。該抗原は、それぞれナノ粒子およびSVLPの外面にわたって提示されるため、抗原に対する強い免疫応答、特にB細胞応答が誘導される。重要なことに、SVLPには遺伝情報が含まれておらず、細胞内で複製することができない。典型的には、該リポペプチドビルディングブロックは、コイルドコイルペプチド配列ならびにTヘルパー細胞エピトープを含む(A,Ghasparian and John A.Robinson in...Eds....、A.Ghasparian,et al.,ChemBioChem 2011,12,100-109、T.Riedel,et al.,ChemBioChem 2011,12,2829 、R.Sharma,et al.,PLoS One 2012,7,e43248、WO2008/068017、WO2015/082501)。コイルドコイルの設計は当業者に既知であり、考察されている(Woolfson,D.N.,Adv.Prot.Chem.,2005,70,79-112; Parry,D.A.D.,et al.,Advancs in Protein Chemistry,2005,70)。
【0003】
特別に設計されたSVLPおよびワクチンとしてのそれらの使用が近年報告および記載され、マラリア原虫Plasmodium falciparumのスポロゾイト周囲(CS)タンパク質において特定された無差別CD4+Tヘルパーエピトープ(IEKKIAKMEKASSVFNVVNS)に融合した三量体平行ヘリックス束を形成することが知られているコイルドコイル(IEKKIEA)を含む、リポペプチドビルディングブロックが記載されている(A.Ghasparian,et al.,ChemBioChem 2011,12,100-109)。Tヘルパーエピトープは、CSタンパク質の残基379~398に対応し(2つのCysからAlaへの置換で)、多種多様な異なるMHCクラスII分子と関連してマウスおよびヒトT細胞によって認識される(J.Kilgus,et al.,J.lmmunol.1991,146,307、F.Sinigaglia,et al.,Nature 1988,336,778)。記載のリポペプチドビルディングブロックは、システインチオールを介したB細胞エピトープのコンジュゲーションを可能にするためにC末端にKKKCを付加することによって、およびホスファチジルエタノールアミンに関連するリン脂質、またはPamCysもしくはPamCys部分のいずれかを含むN末端に脂質部分を付加することによって完成する(A.Ghasparian,et al.,ChemBioChem 2011,12,100-109)。PamCys部分、すなわち、トリパルミトイル-S-グリセリルシステイン(N-パルミトイル-S-(2,3-ビス-(O-パルミトイルオキシ)-プロピル)-システイニル-)およびPamCys部分、すなわち、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(2,3-ビス-(O-パルミトイルオキシ)-プロピル)-システイニル-)は、当業者に既知であり、十分に説明されている(Ghielmetti,M.,et al.,Immunobiology,2005,210,211-215; Reutter,F.,et al.,J.Pept.Res.,2005,65,375-383; Buwitt-Beckmann,U.,et al.,Eur.J.Immunol.,2005,35,1-8)。
【0004】
それぞれリポペプチドビルディングブロックおよびSVLP、特にSVLPベースのワクチン候補の開発における最近の進歩にもかかわらず、具体的には、誘発された免疫応答の質をさらに増強するために、さらにおよびよりいっそう効果的なリポペプチドビルディングブロックおよびSVLPがそれぞれ依然として必要である。
【発明の概要】
【0005】
我々は、ここで、驚くべきことに、2-プロピル炭素原子に(R)-立体配置を有するPamCysまたはPamCys部分を含み、好ましくはX0がGly、Ala、またはSer、最も好ましくはSerである、数単位の配列IEKKIE-X0をコイルドコイルペプチド鎖セグメントとしてさらに含むリポペプチドビルディングブロックが、本発明のリポペプチドビルディングブロックに連結された抗原に対して生成され、それぞれ、本発明のコンジュゲートまたはSVLPで構成された抗体の増加したアビディティを示したことを見出した。
【0006】
したがって、第1の態様では、本発明は、
(i)コイルドコイルペプチド鎖セグメントを含むペプチド部分であって、該コイルドコイルペプチド鎖セグメントが、3~8つの繰り返し単位を含み、該繰り返し単位が、配列IEKKIE-X0(配列番号58)からなり、配列中、X0がアミノ酸を表し、好ましくは、該繰り返し単位が、IEKKIEG(配列番号59)、IEKKIEA(配列番号12)、またはIEKKIES(配列番号13)から選択される配列からなり、さらに好ましくは、該繰り返し単位が、配列IEKKIES(配列番号13)からなる、ペプチド部分、
(ii)式LM-1
を含むか、または好ましくはそれからなる脂質部分であって、式中、RおよびRが、独立して、C1115アルキルであり、好ましくは、RおよびRが、独立して、-C1123、-C1327、または-C1531であり、さらに好ましくは、RおよびRが、-C1531であり、Rが、水素または-C(O)C1115アルキルであり、好ましくは、Rが、Hまたは-C(O)C1531である、脂質部分からなり、
該脂質部分が、該ペプチド部分に連結されており、式LM-I中の波線が、該ペプチド部分への連結部位を示し、好ましくは、該脂質部分が、該ペプチド部分のN末端に連結されている、リポペプチドビルディングブロックを提供する。
【0007】
さらなる態様では、本発明は、(a)本発明のリポペプチドビルディングブロック、および(b)抗原を含み、該抗原が、直接またはリンカーを介して、該リポペプチドビルディングブロックに接続されている、コンジュゲートを提供する。
【0008】
さらなる態様では、本発明は、(a)本発明のリポペプチドビルディングブロック、および(b)抗原を含み、該抗原が、直接またはリンカーを介して、該リポペプチドビルディングブロックに接続されている、コンジュゲートを提供する。
【0009】
別の態様では、本発明は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つ、好ましくは2つ、3つ、4つ、または5つ、より好ましくは3つの本発明のコンジュゲートを含むコンジュゲートの束を提供する。
【0010】
別の態様では、本発明は、本発明のコンジュゲートの少なくとも1つの束を含む合成ウイルス様粒子を提供する。
【0011】
別の態様では、本発明は、薬学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤と一緒に、免疫学的有効量の本発明のコンジュゲートまたは本発明の合成ウイルス様粒子を含む医薬組成物を提供し、好ましくは、該医薬組成物はワクチンである。
【0012】
また別の態様では、本発明は、薬剤として使用するための本発明のコンジュゲートまたは本発明の合成ウイルス様粒子を提供する。
【0013】
また別の態様では、本発明は、さらに好ましくは、該疾患が、感染症、癌、またはアレルギーであり、またより好ましくは、該疾患が、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染である、疾患を予防するため、または疾患のリスクを低減するための方法で使用するための、本発明のコンジュゲートまたは本発明の合成ウイルス様粒子を提供する。
【0014】
また別の態様では、本発明は、さらに好ましくは、該疾患が、感染症、癌、またはアレルギーであり、またより好ましくは、該疾患が、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染である、疾患を予防するため、または疾患のリスクを低減するため、または疾患を治療するための方法で使用するための、本発明のコンジュゲートまたは本発明の合成ウイルス様粒子を提供する。また別の態様では、本発明は、感染症を予防するため、または感染症のリスクを低減するための方法で使用するための方法、好ましくは呼吸器合胞体ウイルスに関連するか、またはそれによって引き起こされる感染症のリスクを予防または軽減するための方法で使用するための、本発明のコンジュゲートまたは本発明の合成ウイルス様粒子を提供する。
【0015】
この説明を続けると、本発明のさらなる態様および実施形態が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例4に記載される免疫原性研究で決定されたコンジュゲート44、45、および46の平均アビディティインデックスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0018】
本明細書および以下の特許請求の範囲全体を通して、文脈上別段の必要がない限り、「含む(comprise)」という用語および「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などのその変形は、網羅的ではない表現として理解されるべきであり、任意の他の機能または要素の除外ではなく、記載される機能または要素が含まれることを意味する。「含む」という用語およびその変形は、「からなる」という用語を網羅する。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明白に他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書で使用される場合、「低減する」、「阻害する」、または「減少する」という用語は、単に検出可能な低減だけでなく、ゼロまでの低減(100%低減)も含む。
【0019】
本明細書で定義されるペプチドまたはペプチド部分は、長さ、二次および三次構造、サブユニットの数、または翻訳後修飾に関係なく、アミノ酸の任意のペプチド結合で連結された鎖である。したがって、「ぺプチド部分」の「ペプチド」という用語は、「ポリペプチド」、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、および「ポリペプチド鎖」という用語を網羅すると理解されるべきである。本発明のペプチドに含まれるアミノ酸は、タンパク質原性、非タンパク質原性、および合成アミノ酸である。ペプチドは、開線状ペプチド鎖または環状ペプチドであり、脂質化、グリコシル化、およびリン酸化などの少なくとも1つの化学修飾を含み得る。ペプチドは、化学合成、RNA翻訳、および/または組換えプロセスによって産生され得る。
【0020】
本明細書で使用される「環状ペプチド」という用語は、アミノ酸鎖が共有結合によって少なくとも1つの環構造を形成するペプチドを指す。本発明の環状ペプチドは、各々がジスルフィド結合によって形成される2つの環構造を含み、システインC4およびC25の側鎖が連結されて、第1のジスルフィド結合を形成し、システインC8およびC21の側鎖が連結されて、第2のジスルフィド結合を形成する。
【0021】
本明細書で使用される「アミノ酸」という用語は、官能基アミン(-NH2)およびカルボン酸(-COOH)およびその両性イオンを、典型的かつ好ましくは、各アミノ酸に特異的な側鎖と共に含む有機化合物を指す。「アミノ酸」という用語は、典型的かつ好ましくは、タンパク質原性アミノ酸(RNA翻訳によって産生される)、非タンパク質原性アミノ酸(他の代謝メカニズム、例えば翻訳後修飾によって産生される)、標準または基準アミノ酸(遺伝暗号のコドンによって直接コードされている)および非標準または非基準アミノ酸(遺伝暗号によって直接コードされていない)などの天然に存在するアミノ酸を含む。天然に存在するアミノ酸には、非真核生物および真核生物のアミノ酸が含まれる。
【0022】
本明細書で使用される「アミノ酸」という用語はまた、化学合成される非天然アミノ酸:アルファ-(α-)、ベータ-(β-)、ガンマ-(γ-)、およびデルタ-(δ-)などのアミノ酸、ならびにこれらの任意の比率の混合物、および該当する場合は、アミノ酸の任意の異性体、すなわち、そのD-立体異性体(小文字の頭文字で表示される)およびL-立体異性体(大文字の頭文字で表示される)(あるいは(R)および(S)の命名法で呼ばれる)、ならびにこれらの任意の比率、好ましくはラセミ比が1:1の混合物を含む。本発明におけるアミノ酸は、具体的にD配置として言及されない限り、好ましくはL配置である。「D-立体異性体」、「L-立体異性体」、「D-アミノ酸」または「L-アミノ酸」という用語は、アミノ酸のキラルアルファ炭素を指す。アミノ酸は、1つ以上の修飾および/または結合基、例えば、Boc、Fmoc、またはその両方などのペプチド合成に使用される保護基を含み得る。「欠失」という用語は、本明細書では、アミノ酸によって占められていないアミノ酸配列中の位置を指す。本発明の好ましい実施形態では、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸であり、該天然に存在するアミノ酸は、そのL配置、そのD配置、または該L配置とD配置との任意の比率の混合物にある。本発明のさらに好ましい実施形態では、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸であり、該天然に存在するアミノ酸は、そのL配置にある。
【0023】
本明細書で使用される「抗原」という用語は、抗体によって結合することができる分子を指すべきである。抗原は、動物において抗原特異的液性免疫応答を誘発するために使用される1つ以上のB細胞エピトープを有するペプチド、タンパク質、またはエピトープ模倣物を含み得る。あるいは、抗原は、ハプテンまたは炭水化物を含み得る。好適なペプチドおよびタンパク質抗原は、最大150個のアミノ酸を含み、糖ペプチドおよび糖タンパク質を含む。ペプチドおよびタンパク質配列は、例えば、1種類以上の感染病原体に対する免疫応答を誘発するように選択することができる。そのような抗原は当技術分野で周知である。エピトープ模倣物は、1つ以上の非天然アミノ酸、例えば、D-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、δ-アミノ酸、またはε-アミノ酸を含むペプチド化合物、およびエピトープ模倣物の分野で知られている他の置換を含む、天然のペプチドまたは炭水化物エピトープを模倣する分子である。タンパク質様立体構造で固定される、立体構造が制約されたペプチド模倣物が好ましい。ハプテンは、それ自体では液性免疫応答を誘発しないが、担体に結合されると免疫応答を誘発する、分子量が3,000未満の有機化合物を指す。例示的なハプテンには、薬物、ホルモン、毒素、および炭水化物が含まれる。
【0024】
本明細書で使用される「N末端」という用語は、遊離(-NH)または修飾されたアミノまたはアミン基を有するペプチドの末端を指す。好ましいN末端修飾は、N末端をタンパク質分解から保護する修飾である。本発明によるN末端修飾には、アセチル化、少なくとも1つのポリマー、好ましくはポリエチレングリコール(PEG化)またはポリ(乳酸)の結合、または少なくとも1つのアミノ酸、好ましくは少なくとも1つのD-アミノ酸の結合、または少なくとも1つの化合物、例えば、細胞浸透性ペプチド、核酸、カルバメート、例えば、フルオレニルメトキシカルバメートまたはベンジルオキシカルバメート、アルデヒド、ヒドラジノニコチン酸、4-ホルミルベンズアミド、メチル、ミリストイル、プレニル基、パルミトイル、ユビキチン、7-メトキシクマリン酢酸(Mca)、ダンシル、ホルミル、4-ジニフェニル、ピログルタミル、尿素、カルバメート、スルホンアミド、アルキルアミン、脂肪酸、例えば、パルミチン酸、放射性リガンド、クエンチャー、フルオレセイン、または他の色素もしくは標識、例えば、ビオチンの結合が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用される「C末端」という用語は、遊離(-COOH)または修飾されたカルボキシル基を有するペプチドの末端を指す。好ましいC末端修飾は、C末端をタンパク質分解から保護するものである。本発明によるC末端修飾には、少なくとも1つのアミノ酸、好ましくは少なくとも1つのD-アミノ酸のアミド化もしくは結合、または少なくとも1つの化合物、例えば、細胞浸透性ペプチド、核酸、ポリペプチドグリコール(PEG化)、チオール、エステル、アルデヒド、スルホンアミド、pNA(パラ-ニトロアニリド)、Amc(7-アミノ-4-メチルクマリニル)、ヒドラジド、ヒドロキサム酸、クロロメチルケトン、ビオチン、放射性リガンド、クエンチャー、Abz、または他の色素および標識の結合が含まれるが、これらに限定されない。本明細書および一般的な慣例により、ペプチド配列は、(翻訳の方向に従って)左側のN末端から右側のC末端に書かれている。
【0026】
本明細書で使用される「コイルドコイルペプチド鎖セグメント」という用語は、少なくとも1つの他のコイルドコイルペプチド鎖セグメントとコイルドコイル(スーパーコイル)を形成することができるペプチド鎖の配列である。コイルドコイルは、各々が好ましくはアルファヘリックス二次構造を有する少なくとも2つのコイルドコイルペプチド鎖セグメントが束に結合されるペプチド構造である。本発明のコイルドコイルペプチド鎖セグメントは、典型的かつ好ましくは、互いに連続的に連結された複数の繰り返し単位を含む。コイルドコイルペプチド鎖セグメントの繰り返し単位は、同一であっても異なってもよく、例えば、少なくとも1つの、好ましくは正確に1個、2個、3個、または4個のアミノ酸の挿入、欠失、または交換などの少なくとも1つの不連続を繰り返し単位内に含み得る。
【0027】
第1の態様では、本発明は、
(i)コイルドコイルペプチド鎖セグメントを含むペプチド部分であって、該コイルドコイルペプチド鎖セグメントが、3~8つの繰り返し単位を含み、該繰り返し単位が、配列IEKKIE-X0(配列番号58)からなり、配列中、X0がアミノ酸を表し、好ましくは、該繰り返し単位が、IEKKIEG(配列番号59)、IEKKIEA(配列番号12)、またはIEKKIES(配列番号13)から選択される配列からなり、さらに好ましくは、該繰り返し単位が、配列IEKKIES(配列番号13)からなる、ペプチド部分、
(ii)式LM-1
を含むか、または好ましくはそれからなる脂質部分であって、式中、RおよびRが、独立して、C1115アルキルであり、好ましくは、RおよびRが、独立して、-C1123、-C1327、または-C1531であり、さらに好ましくは、RおよびRが、-C1531であり、Rが、水素または-C(O)C1115アルキルであり、好ましくは、Rが、Hまたは-C(O)C1531である、脂質部分からなり、
該脂質部分が、該ペプチド部分に連結されており、式LM-I中の波線が、該ペプチド部分への連結部位を示し、好ましくは、該脂質部分が、該ペプチド部分のN末端に連結されている、リポペプチドビルディングブロックを提供する。
【0028】
好ましい実施形態では、該ペプチド部分の該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つの繰り返し単位、より好ましくは4つの繰り返し単位を含む3~8つの繰り返し単位からなる。上位数のペプチド部分の繰り返し単位は、コイルドコイルの安定性に影響を与える。好ましい実施形態では、該ペプチド部分の該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、4つの繰り返し単位を含むか、または好ましくはそれからなる。好ましい実施形態では、該ペプチド部分の該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、4つの繰り返し単位からなる。好ましい実施形態では、該4つの繰り返し単位は、互いに連続して連結される。
【0029】
本発明のコイルドコイルペプチド鎖セグメントは、正準繰り返し単位、典型的かつ好ましくは、右巻きの両親媒性アルファヘリックスを形成する正準タンデム7アミノ酸繰り返しに基づいており、これは、その後、組織化して、左巻きのコイルドコイルとヘリックス束を形成する。
【0030】
コイルドコイルペプチド鎖セグメントの繰り返し単位は、ある特定の数のアミノ酸を含む配列を有し、アミノ酸の位置は、伝統的に小文字として表示される。設計規則については、例えば、Woolfson,D.N.,Adv.Prot.Chem.2005,70,79-112により詳細に考察される。
【0031】
本発明において、コイルドコイルペプチド鎖セグメントの該繰り返し単位は、7つのアミノ酸からなり、7つのアミノ酸位置は、文字a、b、c、d、e、f、およびgで指定される。好ましい実施形態では、該7アミノ酸モチーフは、配列IEKKIE-X0(配列番号58)からなり、配列中、X0はアミノ酸を表す。好ましい実施形態では、該繰り返し単位は、配列IEKKIE-X0(配列番号58)からなり、配列中、X0は、該X0がプロリンでないという条件で、アミノ酸を表す。別の好ましい実施形態では、該繰り返し単位は、配列IEKKIE-X0(配列番号58)からなり、配列中、X0は、アミノ酸を表し、該アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸であり、該天然に存在するアミノ酸は、該アミノ酸がプロリンでないという条件で、そのL配置、そのD配置、またはそれらの任意の比率の混合物にある。別の好ましい実施形態では、該繰り返し単位は、配列IEKKIE-X0(配列番号58)からなり、配列中、X0は、アミノ酸を表し、該アミノ酸は、そのL配置において天然に存在するアミノ酸である。
【0032】
好ましい実施形態では、該繰り返し単位は、IEKKIEG(配列番号59)、IEKKIEA(配列番号12)、またはIEKKIES(配列番号13)から選択される配列からなる。好ましい実施形態では、該繰り返し単位は、IEKKIEA(配列番号12)またはIEKKIES(配列番号13)から選択される配列からなる。好ましい実施形態では、該繰り返し単位は、配列IEKKIEG(配列番号59)からなる。好ましい実施形態では、該繰り返し単位は、配列IEKKIEA(配列番号12)からなる。非常に好ましい実施形態では、該繰り返し単位は、配列IEKKIES(配列番号13)からなる。
【0033】
好ましい実施形態では、該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、(IEKKIEG)(配列番号60)、(IEKKIEA)(配列番号61)、または(IEKKIES)(配列番号62)から選択される配列を含むか、または好ましくはそれからなる。好ましい実施形態では、該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、(IEKKIEG)(配列番号60)、(IEKKIEA)(配列番号61)、または(IEKKIES)(配列番号62)から選択される配列からなる。好ましい実施形態では、該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、配列(IEKKIEG)(配列番号60)を含むか、または好ましくはそれからなる。好ましい実施形態では、該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、配列(IEKKIEG)(配列番号60)からなる。
【0034】
好ましい実施形態では、該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、配列(IEKKIEA)(配列番号61)を含むか、または好ましくはそれからなる。好ましい実施形態では、該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、配列(IEKKIEA)(配列番号61)からなる。
【0035】
非常に好ましい実施形態では、該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、配列(IEKKIES)(配列番号62)を含むか、または好ましくはそれからなる。非常に好ましい実施形態では、該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、配列(IEKKIES)(配列番号62)からなる。
【0036】
好ましい実施形態では、該RおよびRは、独立して、-C1123、-C1327、または-C1531である。非常に好ましい実施形態では、該RおよびRは、-C1531である。好ましい実施形態では、該Rは、Hまたは-C(O)C1531である。
【0037】
好ましい実施形態では、該RおよびRは、独立して、-C1123、-C1327、または-C1531であり、Rは、水素または-C(O)C1115アルキルである。非常に好ましい実施形態では、該RおよびRは、-C1531であり、Rは、水素または-C(O)C1115アルキルである。
【0038】
好ましい実施形態では、該RおよびRは、独立して、-C1123、-C1327、または-C1531であり、Rは、Hまたは-C(O)C1531である。非常に好ましい実施形態では、該RおよびRは、-C1531であり、Rは、Hまたは-C(O)C1531である。
【0039】
好ましい実施形態では、該脂質部分は、該ペプチド部分のN末端に連結される。これは、固相ペプチド合成によって該ペプチド部分のペプチド鎖を組み立てた後、該連結が樹脂上で実施され得ることを都合よく可能にする。該脂質部分の該ペプチド部分のC末端への連結もまた、本発明に含まれ、当業者に既知の連結化学を使用して可能である。
【0040】
好ましい実施形態では、該ペプチド部分は、12~200個のアミノ酸、より好ましくは21~120個のアミノ酸、またより好ましくは21~80個のアミノ酸、またより好ましくは21~70個のアミノ酸、またより好ましくは21~60個のアミノ酸、またより好ましくは21~50個のアミノ酸の長さを有し、またより好ましくは、該ペプチド部分は、28~48個のアミノ酸の長さを有する。好ましいペプチド部分は、ヒトのワクチン接種に適用された場合の自己免疫障害のリスクを回避するために非ヒト配列である。
【0041】
好ましい脂質部分は、ジ-パルミトイル-S-グリセリルシステイニル(PamCys)またはトリパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)であり、両方ともキラル2-プロピル炭素原子にR配置、およびシステイニル部分のキラル炭素のR配置を有する。
【0042】
好ましい実施形態では、脂質部分は、直接またはカップリング部分を介してのいずれかで、ペプチド部分に連結される。好ましくは、脂質部分は、1つの末端で、すなわち、N末端またはC末端、好ましくはN末端で、またはその近くでペプチド部分に連結される。好ましい実施形態では、脂質部分は、ペプチド部分のN末端またはC末端から計算された、ペプチド部分の最初、2番目、3番目、4番目または5番目のアミノ酸に連結される。脂質部分は、直接またはカップリング部分を介して、ペプチド部分のアミノ酸のうちの1つの主鎖または側鎖に連結され得、好ましくは、該アミノ酸は、末端に近く、より好ましくは、ペプチド部分の最初、2番目、3番目、4番目または5番目のアミノ酸である。
【0043】
脂質部分は、ペプチド部分に直接、またはカップリング部分を介して結合される。ペプチド部分と脂質部分が直接連結される場合、これは、好ましくは、脂質部分のカルボニル機能とペプチド部分のアミノ機能、例えば、N末端アミノ機能との間のアミド結合を介して達成される。ジカルボン酸誘導体に基づくリンカー、1つもしくは複数のエチレングリコール単位、アミノ酸残基(アルファ-、ベータ-、ガンマ-、オメガ-アミノ酸を含む)、もしくは糖(炭水化物)単位を含む、または複素環を含むリンカーを含むがこれらに限定されない、多種多様の好適なカップリング部分およびカップリング戦略が存在することは、当業者には明らかであろう。
【0044】
好ましい実施形態では、該脂質部分は、式LM-I*
を含むか、または好ましくはそれからなり、式中、Rは、水素または-C(O)C1115アルキル、好ましくはHまたは-C(O)C1531であり、好ましくは、該脂質部分は、該ペプチド部分のN末端に連結される。
【0045】
好ましい実施形態では、該脂質部分は、式LM-I*からなり、式中、Rは、水素または-C(O)C1115アルキルである。好ましい実施形態では、該脂質部分は、式LM-1*を含み、好ましくはそれからなり、式中、Rは、Hまたは-C(O)C1531である。好ましい実施形態では、該脂質部分は、式LM-1*を含み、好ましくはそれからなり、式中、Rは、Hまたは-C(O)C1531であり、該脂質部分は、該ペプチド部分のN末端に連結される。好ましい実施形態では、該脂質部分は、式LM-1*
からなり、式中、Rは、Hまたは-C(O)C1531であり、好ましくは、該脂質部分は、該ペプチド部分のN末端に連結される。
【0046】
非常に好ましい実施形態では、該脂質部分は、式LM-1*1またはLM-1*2を含み、好ましくはそれからなる。非常に好ましい実施形態では、該脂質部分は、式LM-1*1またはLM-1*2からなる。
【0047】
非常に好ましい実施形態では、該脂質部分は、式LM-1*1からなる。
【0048】
非常に好ましい実施形態では、該脂質部分は、式LM-1*2からなる。
【0049】
したがって、本発明の非常に好ましい脂質部分は、(R,R)-PamCys LM-I*2、すなわちトリパルミトイル-S-グリセリルシステイン(N-パルミトイル-S-(2,3-ビス-(O-パルミトイルオキシ)-(2R)-プロピル)-(R)-システイニル-)、および(R,R)-PamCys LM-I*1、すなわちジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(2,3-ビス-(O-パルミトイルオキシ)-(2R)-プロピル)-(R)-システイニル-)である。
【0050】
したがって、さらに非常に好ましい実施形態では、該脂質部分は、N-α-パルミトイル-S-[2,3-ビス(パルミトイルオキシ)-(2R)-プロピル]-(R)-システイン、またはS-[2,3-ビス(パルミトイルオキシ)-(2R)-プロピル]-(R)-システイン、したがってLM-I*1である。
【0051】
さらに好ましい実施形態では、該ペプチド部分は、(i)N末端アミノ酸配列であって、該N末端アミノ酸配列が、線維芽細胞刺激リポペプチドFSL-1(S-(2,3-ビスパルミトイルオキシプロピル)-またはPAM2-Cys-Gly-Asp-Pro-Lys-His-Pro-Lys-Ser-Phe;配列番号7)、FSL-2(S-(2,3-ビスパルミトイルオキシプロピル)-またはPAM2-Cys-Gly-Asp-Pro-Lys-His-Pro-Lys-Ser-Arg;配列番号8)、FSL-3(S-(2,3-ビスステアリルオキシプロピル)-Cys-Gly-Asp-Pro-Lys- His-Pro-Lys-Ser-Phe;配列番号9)、Mycoplasma fermentans由来ペプチドMALP-2(S-(2,3-ビスパルミトイルオキシプロピル)-またはPAM2-Cys-Gly-Asn-Asn-Asp-Glu-Ser-Asn-Ile-Ser-Phe-Lys-Glu-Lys;配列番号10)、またはGG;および/もしくはGX(Xは、AsxまたはSer)を含むか、またあそれらからなる、N末端アミノ酸配列、ならびに/または(ii)C末端アミノ酸配列を含み、該C末端アミノ酸配列は、酵素によって切断部位として認識される配列を含むか、または好ましくはそれからなり、好ましくは、該C末端アミノ酸配列は、配列KKKCa(配列番号11)を含むか、もしくは好ましくはそれからなるか、または好ましくは、該C末端アミノ酸配列は、連続する5個のアミノ酸のアミノ酸配列である。
【0052】
好ましい実施形態では、該脂質部分および該ペプチド部分は、直接連結される。好ましい実施形態では、該脂質部分および該ペプチド部分は、カップリング部分を介して連結される。好ましい実施形態では、該脂質部分および該ペプチド部分は、カップリング部分を介して連結されており、該カップリング部分は、2~15個のアミノ酸からなるアミノ酸リンカーである。本明細書の例には、FSL-1、FSL-2、FSL-3、PAM2、またはMALP-2部分によって構成されるアミノ酸リンカー配列が含まれる。好ましい実施形態では、該脂質部分および該ペプチド部分は、カップリング部分を介して連結されており、該カップリング部分は、2~10個のアミノ酸からなるアミノ酸リンカーである。好ましい実施形態では、該脂質部分および該ペプチド部分は、カップリング部分を介して連結されており、該カップリング部分は、2~5個のアミノ酸からなるアミノ酸リンカーである。好ましい実施形態では、該脂質部分および該ペプチド部分は、カップリング部分を介して連結されており、該カップリング部分は、アミノ酸リンカーであり、アミノ酸リンカーは、Gly-Gly部分である。好ましい実施形態では、該脂質部分および該ペプチド部分は、カップリング部分を介して連結されており、該カップリング部分は、Gly-Gly部分である。
【0053】
好ましい実施形態では、該脂質部分と該ペプチド部分との該直接連結は、該脂質部分のカルボニル機能と該ペプチド部分のアミノ機能との間のアミド結合によるものである。
【0054】
好ましい実施形態では、該カップリング部分を介した該脂質部分と該ペプチド部分との該連結は、該脂質部分のカルボニル機能と該カップリング部分のアミノ機能との間のアミド結合によるものである。
【0055】
好ましい実施形態では、該カップリング部分を介した該脂質部分と該ペプチド部分との該連結は、該脂質部分のカルボニル機能と該カップリング部分のアミノ機能との間のアミド結合によるものであり、該カップリング部分は、好ましくは2~15個のアミノ酸、好ましくは2~10個のアミノ酸からなるアミノ酸リンカーであり、該アミノ機能は、該カップリング部分のN末端アミノ機能である。
【0056】
好ましい実施形態では、該カップリング部分を介した該脂質部分と該ペプチド部分との該連結は、該脂質部分のカルボニル機能と該カップリング部分のアミノ機能との間のアミド結合によるものであり、該カップリング部分は、好ましくは2~5個のアミノ酸からなるアミノ酸リンカーであり、該アミノ機能は、該カップリング部分のN末端アミノ機能である。
【0057】
好ましい実施形態では、該脂質部分および該ペプチド部分の該直接連結は、該脂質部分のカルボニル機能と該ペプチド部分のアミノ機能との間のアミド結合によるものであり、該アミノ機能は、該ペプチド部分のN末端アミノ機能である。
【0058】
好ましい実施形態では、2つのGly残基は、脂質部分、好ましくは、本発明の該(R,R)-PamCys部分LM-I*1と、コイルドコイル7アミノ酸繰り返しの開始部、典型的かつ好ましくは、配列IEKKIES(配列番号13)を含む、好ましくはそれからなるコイルドコイルペプチド鎖セグメントとの間のリンカーとして含まれる。
【0059】
アミノ酸リンカー、好ましくは2つのアミノ酸、好ましくはグリシンからなる短いアミノ酸リンカーの導入により、ペプチド合成中、各アミノ酸のカップリング後に、無水酢酸でキャッピングステップを実施することができる。これは、ペプチド組み立ての完了後、および脂質部分、好ましくは式LM-I*1[(R,R)-PamCys部分]または式LM-I*2[(R,R)-PamCys部分]からなる脂質部分の遊離N末端へのカップリング後、ペプチドのHPLC保持時間が脂質化によって劇的に変化するため、本発明の所望のリポペプチドビルディングブロックのHPLC精製が大幅に容易になる、実用的な利点を有する。
【0060】
好ましい実施形態では、該ペプチド部分は、Tヘルパー細胞エピトープをさらに含む。好ましい実施形態では、該ペプチド部分は、Tヘルパー細胞エピトープをさらに含み、該Tヘルパー細胞エピトープは、(i)配列番号6、配列番号63~配列番号87、および(ii)1個、2個、または3個のアミノ酸は、他のアミノ酸によって交換されるか、または欠失する、配列番号6、配列番号63~配列番号87からなる群から選択される配列を含むか、または好ましくはそれらからなる。好ましい実施形態では、該ペプチド部分は、Tヘルパー細胞エピトープをさらに含み、該Tヘルパー細胞エピトープは、(i)配列番号6、配列番号63~配列番号87、および(ii)1個、2個、または3個のアミノ酸は、他のアミノ酸によって交換されるか、または欠失する、配列番号6、配列番号63~配列番号87からなる群から選択される配列からなる。好ましい実施形態では、該ペプチド部分は、Tヘルパー細胞エピトープをさらに含み、該Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号6、配列番号63~配列番号87からなる群から選択される配列を含む。好ましい実施形態では、該Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号6、配列番号63~配列番号87からなる群から選択される配列からなる。
【0061】
一実施形態では、該ペプチド部分は、1つ以上のTヘルパー細胞エピトープ、および/または水中でのリポペプチドビルディングブロックの溶解度を促進する極性残基のストリングを含むアミノ酸配列をさらに含む。好適なTヘルパー細胞エピトープは、当業者に既知であり、例えば、Weber et al.,Advanced Drug Delivery Reviews,2009,61:11,965-976、Caro-Aguilar et al.,Infect.Immun.,2002,70:7,3479-3492、Mishra et al.,Immunology,1993,79:3,362-367、Kobayashi et al.,Cancer Research,2000,60:18,5228-523、Fraser et al.,Vaccine,2014,32:24,2896-2903、Grabowska et al.,Int.J.Cancer,2015,136:1,212-224、およびWO1998/023635A1に記載されている。ペプチド部分に含まれるより好ましいTヘルパー細胞エピトープは、TT830-843、TT1064-1079、TT1084-1099、TT947-968、TT1174-1189、DTD271-290、DTD321-340、DTD331-350、DTD351-370、DTD411-430、DTD431-450、TT632-651、CTMOMP36-60、TraT1、TraT2、TraT3、HbcAg50-69、HbSAg19-33、HA307-319、MA17-31、MVF258-277、MVF288-302、CS.T3、SM Th、PADRE1、およびPADRE2、ならびに1個、2個、または3個のアミノ酸が挿入されるか、他のアミノ酸に置き換えられるか、または欠失するそれらの変異型などのWO2015/082501に列記されるものである。
【0062】
該ペプチド部分に組み込むことができる好ましいTヘルパーエピトープは、以下の表1に列記される群から選択される任意のもの、および1個、2個、または3個のアミノ酸が他のアミノ酸によって置換されるか、または欠失するその変異型である。
【0063】
したがって、さらに好ましい実施形態では、該Tヘルパー細胞エピトープは、(i)配列番号1~配列番号26、および(ii)1個、2個、または3個のアミノ酸は、他のアミノ酸によって交換されるか、または欠失する、配列番号1~配列番号26からなる群から選択される配列を含むか、または好ましくはそれらからなる。
【0064】
好ましい実施形態では、該ペプチド部分は、Tヘルパー細胞エピトープをさらに含み、該Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号6のアミノ酸配列を含むか、または好ましくはそれからなる。好ましい実施形態では、該ペプチド部分は、Tヘルパー細胞エピトープをさらに含み、該Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号6のアミノ酸配列からなる。好ましい実施形態では、該Tヘルパー細胞エピトープは、配列番号6の配列からなる。
【0065】
さらに非常に好ましい実施形態では、該ペプチド部分は、(配列番号88):
GGIEKKIESIEKKIESIEKKIESIEKKIESIEKKIAKMEKASSVFNVVNSKKKCを含むか、または好ましくはそれからなる。さらに非常に好ましい実施形態では、該ペプチド部分は、(配列番号88)からなる。
【0066】
さらに非常に好ましい実施形態では、該リポペプチドビルディングブロックは、式LBB-2またはLBB-3、
好ましくはLBB-2のものである。
【0067】
さらに非常に好ましい実施形態では、該リポペプチドビルディングブロックは、式LBB-2のものである。さらに非常に好ましい実施形態では、該リポペプチドビルディングブロックは、式LBB-3のものである。
【0068】
さらなる態様では、本発明は、
(i)コイルドコイルペプチド鎖セグメントを含むペプチド部分であって、該コイルドコイルペプチド鎖セグメントが、(配列番号62)の配列を含むか、好ましくはそれからなる、ペプチド部分、
(ii)式LM-1
を含むか、または好ましくはそれからなる脂質部分であって、式中、RおよびRが、独立して、C1115アルキルであり、好ましくは、RおよびRが、独立して、-C1123、-C1327、または-C1531であり、さらに好ましくは、RおよびRが、-C1531であり、Rが、水素または-C(O)C1115アルキルであり、好ましくは、Rが、Hまたは-C(O)C1531である、脂質部分からなり、
該脂質部分が、該ペプチド部分に連結されており、式LM-I中の波線が、該ペプチド部分への連結部位を示し、好ましくは、該脂質部分が、該ペプチド部分のN末端に連結されている、リポペプチドビルディングブロックを提供する。
【0069】
さらなる態様では、本発明は、(a)本発明のリポペプチドビルディングブロック、および(b)抗原を含み、該抗原が、直接またはリンカーを介して、該リポペプチドビルディングブロックに接続されている、コンジュゲートを提供する。
【0070】
1つ以上の抗原は、例えば、ペプチド部分のアミノ酸の側鎖のうちの1つ以上を介して、またはペプチド部分の鎖末端を介して、ペプチド部分にコンジュゲートされ得る。抗原は、典型的には、側鎖のうちの1つまたはペプチド部分の末端の官能基へのコンジュゲートに好適な官能基を持つ。抗原特異的抗体に基づく免疫応答を誘発するために、B細胞受容体またはハプテンによって認識される抗原が好ましい。
【0071】
様々なカップリングまたはコンジュゲーション手順を使用して、抗原をペプチド部分に結合させることができ、これは、当業者には周知である。したがって、LBBのペプチド部分のアミノ酸の側鎖の遊離アミノ基は、抗原の反応性エステル(例えば、カルボン酸から調製されたN-ヒドロキシスクシンイミドエステル)に結合され得る。ペプチド部分のチオールは、抗原のマレイミド基に結合され得る。アジドは、ペプチド部分のアミノ酸残基の側鎖に組み込まれ、銅触媒による環化付加反応を使用して、アセチレン基を含む抗原に結合され得る。ペプチドの他の求核試薬(例えば、ヒドラジノ、ヒドロキシルアミノ、vic-アミノチオール基)は、抗原の求電子試薬(例えば、アルデヒド、ケトン、活性エステル)に結合され得る。選択的カップリングを達成するために、原則として、ペプチド鎖および抗原中の2つの反応性基の位置を逆にすることが可能であることは明らかであろう。
【0072】
さらに好ましい実施形態では、該抗原は、ペプチド、タンパク質、エピトープ模倣物、炭水化物、またはハプテンから選択される。
【0073】
さらに好ましい実施形態では、該抗原は、(a)ウイルス、(b)細菌、(c)寄生虫、好ましくは寄生原虫、(d)腫瘍、(e)自己分子、(f)非ペプチド性ハプテン分子、(g)アレルゲン、および(h)ホルモンからなる群から選択される供給源に由来する。
【0074】
別の好ましい実施形態では、該抗原は、(1)癌細胞に対する免疫応答を誘導するのに適した抗原、(2)感染症に対する免疫応答を誘導するのに適した抗原、(3)アレルゲンに対する免疫応答を誘導するのに適した抗原、(4)自己分子に対する応答を誘導するのに適した抗原、および(5)薬物またはホルモンに対する応答を誘発するのに適した抗原からなる群から選択される。
【0075】
別の好ましい実施形態では、該抗原は、腫瘍抗原、自己抗原、病原体のポリペプチド、アレルゲン、またはハプテンである。
【0076】
別の好ましい実施形態では、該抗原は、腫瘍抗原、自己抗原、病原体のポリペプチド、アレルゲン、またはハプテンである。
【0077】
別の好ましい実施形態では、該抗原は、マラリア原虫であるPlasmodium falciparumのスポロゾイト周囲(CS)タンパク質に由来する。さらに好ましい実施形態では、該抗原は抗原43である。
【0078】
別の好ましい実施形態では、該抗原は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、WO2015/082501に記載されるプロリン豊富ペプチド抗原である。別の好ましい実施形態では、該抗原は、好ましくは、WO2015/082501で定義される配列番号27~112のペプチド、または1個、2個、または3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置き換えられている、WO2015/082501で定義される配列番号27~112のペプチドを含む。別の好ましい実施形態では、該抗原は、(i)WO2015/082501で定義される配列番号27~112のペプチド、または(ii)1個、2個、または3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置き換えられている、WO2015/082501で定義される配列番号27~112のペプチドを含み、該抗原は8~80個のアミノ酸からなり、好ましくは、該抗原は8~60個のアミノ酸からなり、さらに好ましくは、該抗原は8~50個のアミノ酸からなる。別の好ましい実施形態では、該抗原は、(i)WO2015/082501で定義される配列番号27~112のペプチド、または(ii)1個、2個、または3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置き換えられている、WO2015/082501で定義される配列番号27~112のペプチドを含み、該抗原は8~80個のアミノ酸からなり、好ましくは、該抗原は8~60個のアミノ酸からなり、さらに好ましくは、該抗原は8~50個のアミノ酸からなる。別の好ましい実施形態では、該抗原は、(i)WO2015/082501で定義される配列番号27~83のペプチド、または(ii)1個、2個、または3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置き換えられている、WO2015/082501で定義される配列番号27~83のペプチドを含み、該抗原は8~80個のアミノ酸からなり、好ましくは、該抗原は8~60個のアミノ酸からなり、さらに好ましくは、該抗原は8~50個のアミノ酸からなる。別の好ましい実施形態では、該抗原は、(i)WO2015/082501で定義される配列番号27~36、38~48、50~55、61~79、81~83のペプチド、または(ii)1個、2個、または3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置き換えられている、WO2015/082501で定義される配列番号27~36、38~48、50~55、61~79、81~83のペプチドを含み、該抗原は8~80個のアミノ酸からなり、好ましくは、該抗原は8~60個のアミノ酸からなり、さらに好ましくは、該抗原は8~50個のアミノ酸からなる。
【0079】
別の好ましい実施形態では、該抗原は、アミノ酸配列(I)を含む環状ペプチドであり、該アミノ酸配列(I)は、アミノ酸配列:
X1-X2-X3-C4-X5-X6-X7-C8-X9-X10-X11-P12-I13-T14-N15-D16-Q17-K18-K19-L20-C21-X22-X23-X24-C25-X26-X27-X28-X29-X30(配列番号1)
(式中、
X1、X2、X3、X5、X6、X7、X9、X10、X11、X22、X23、X24、X26、X27、X28、およびX29は、互いに独立して、アミノ酸であり、
C4、C8、C21、およびC25は、互いに独立して、システインであり、
P12は、プロリンであり、
I13は、イソロイシンであり、
T14は、スレオニンでり、
N15は、アスパラギンであり、
D16は、アスパラギン酸であり、
Q17は、グルタミンであり、
K18およびK19は、互いに独立して、リジンであり、
L20は、ロイシンであり、
X30は、アミノ酸または欠失である)を含む、好ましくはそれからなり、
該システインC4およびC25は、第1のジスルフィド結合を形成し、該システインC8およびC21は、第2のジスルフィド結合を形成する。
【0080】
本発明で使用される環状ペプチドは、本発明のコンジュゲートにつながる本発明の脂質ビルディングブロックに結合される場合、またはさらに、および特に本発明の合成ウイルス様粒子(SVLP)に組み込まれる場合、典型的には、アジュバントの投与なしで、RSVウイルスに対して中和および防御抗体を誘発することができる。ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、Pneumoviridaeのウイルスファミリーのメンバーであり、肺および気道に感染する伝染性の高い季節性呼吸器ウイルスである。それは、感染した人によるくしゃみまたは空中に喀出する飛沫を介して広がり得る。特に、RSVは、特に乳児期および小児期における下気道および上気道感染、ならびに通院の主な原因であるが、成人および免疫不全の人にも影響を及ぼす。RSV感染による入院に伴う高い医療費のため、RSV感染の予防が必要である。アプローチは、RSVワクチンによる能動免疫化である。そのようなワクチンを生成するためのいくつかの異なる試みがなされたが(WO2006/034292、US2010/0239617、WO2010/149745、WO2014/144756、WO2012/048115)、これまでに評価された候補のいずれもRSV感染を予防する目的で安全かつ効果的なワクチンとして承認されていない。
【0081】
使用される環状ペプチドにおいて、システインC4およびC25とシステインC8およびC21との間の特定のジスルフィド架橋は、「ヘリックスヘアピン」または「ヘリックスターンヘリックス」立体構造によって該ペプチドを安定化する。特に、ジスルフィド架橋がないか、もしくは1つだけのペプチド、または異なる位置にジスルフィド架橋を有するペプチドは、中和抗体を誘発することができないことがわかっている。さらに、使用された環状ペプチドは、忍容性の高いワクチンであると考えられている。SVLPに組み込まれた環状ペプチドによって誘発された免疫応答は、生体のRSV感染後にVAERDを活性化しなかった。
【0082】
該環状ペプチドは、自動化された固相ペプチド合成を使用して生成され、システインC4およびC25とシステインC8およびC21との間の該ジスルフィド結合は、有益な空間的立体構造をもたらす酸化的リフォールディングによって得られた。
【0083】
別の好ましい実施形態では、該環状ペプチドは、最大で80個のアミノ酸、好ましくは最大で60個のアミノ酸、より好ましくは最大で40個のアミノ酸、またより好ましくは最大で30個のアミノ酸の長さを有する。
【0084】
別の好ましい実施形態では、該X11は、ノルロイシン、6-ヒドロキシ-ノルロイシン、ノルバリン、5-オキソ-ノルロイシン、2-アミノヘプタン酸、メチオニン、エチオニン、ヒドロキシ-メチオニン、s-オキシメチオニン、メチオニンスルホン、またはメチオニンスルホキシドから選択され、好ましくは、X11は、ノルロイシンである。
【0085】
別の好ましい実施形態では、該X23は、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、グルタミン、グルタミンヒドロキサメート、3-メチル-グルタミン、n-メチル-アスパラギン、n5-メチル-グルタミン、システイン-s-アセトアミド;セリン、ホモセリン、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、4-ヒドロキシ-1-スレオニン、スレオニン、ヒドロキシノルバリン、6-ヒドロキシ-1-ノルロイシンまたはグリシンから選択され、好ましくは、X23は、アスパラギン、セリン、グルタミン、またはグリシンである。さらに好ましい実施形態では、該X23は、セリンである。さらに好ましい実施形態では、該X23は、グルタミンである。さらに好ましい実施形態では、該X23は、グリシンである。さらに好ましい実施形態では、該X23は、アスパラギンである。
【0086】
別の好ましい実施形態では、該X24は、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、グルタミン、グルタミンヒドロキサメート、3-メチル-グルタミン、n-メチル-アスパラギン、n5-メチル-グルタミン、システイン-s-アセトアミド;リジン、2,4-ジアミノ酪酸、2,3-ジアミノプロパン酸、2,8-ジアミノオクタン酸、オルニチン、アミノ-アジピン酸、チアリシン;アスパラギン酸、2-アミノ-6-オキソピメリン酸、3-メチル-アスパラギン酸、l-2-アミノ-6-メチレン-ピメリン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、グルタメート、5-o-メチルグルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、2s,4r-4-メチルグルタメート2-アミノアジピン酸、セリン、ホモセリン、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、スレオニン、ヒドロキシノルバリン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、またはグリシンから選択される。別の好ましい実施形態では、X24は、アスパラギン、リジン、オルニチン、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、グルタミン、グリシン、またはセリンから選択される。別の好ましい実施形態では、X24は、グリシン、グルタミン、またはセリンである。別の好ましい実施形態では、X24は、セリンである。別の好ましい実施形態では、X24は、グルタミンである。別の好ましい実施形態では、X24は、グリシンである。
【0087】
別の好ましい実施形態では、X11はノルロイシンであり、X24は、アスパラギン、リジン、オルニチン、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、グルタミン、グリシン、またはセリンから選択される。
【0088】
別の好ましい実施形態では、X11は、ノルロイシンであり、X24は、セリンである。別の好ましい実施形態では、X11は、ノルロイシンであり、X24は、グルタミンである。別の好ましい実施形態では、X11は、ノルロイシンであり、X24は、アスパラギンである。別の好ましい実施形態では、X11は、ノルロイシンであり、X24は、アスパラギン酸である。別の好ましい実施形態では、X11は、ノルロイシンであり、X24は、アスパラギンである。別の好ましい実施形態では、X11は、ノルロイシンであり、X24は、オルニチンである。別の好ましい実施形態では、X11は、ノルロイシンであり、X24は、2,4-ジアミノ酪酸である。別の好ましい実施形態では、X11は、ノルロイシンであり、X24は、リジンである。
【0089】
別の好ましい実施形態では、該アミノ酸配列(I)のC末端アミノ酸は、アラニン、ロイシン、バリン、ノルロイシン、ノルバリン、イソロイシン、ホモロイシン、ビニルグリシン、2-アミノ酪酸、2-アリルグリシン、アロロイシン、アロイソロイシン、2-アミノヘプタン酸、セリン、グルタミン、またはグリシンから選択される。
【0090】
別の好ましい実施形態では、X11は、ノルロイシンであり、X24は、リジン、2,4-ジアミノ酪酸、アスパラギン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、またはグリシンから選択され、該アミノ酸配列(I)の該C末端アミノ酸は、アラニン、ロイシン、バリン、ノルロイシン、ノルバリン、イソロイシン、ホモロイシン、ビニルグリシン、2-アミノ酪酸、2-アリルグリシン、アロロイシン、アロイソロイシン、または2-アミノヘプタン酸から選択される。好ましくは、該アミノ酸配列(I)の該C末端アミノ酸は、アラニン、ロイシン、バリン、ノルロイシン、ノルバリン、イソロイシン、ホモロイシン、ビニルグリシン、2-アミノ酪酸、2-アリルグリシン、アロロイシン、アロイソロイシン、または2-アミノヘプタン酸から選択され、さらに好ましくはまたは代替的に好ましくは、該アミノ酸配列(I)の該C末端アミノ酸は、D-立体異性体である。
【0091】
別の好ましい実施形態では、該アミノ酸配列(I)の該C末端アミノ酸は、アラニン、ロイシン、バリン、ノルロイシン、ノルバリン、イソロイシン、ホモロイシン、ビニルグリシン、2-アミノ酪酸、2-アリルグリシン、アロロイシン、アロイソロイシン、または2-アミノヘプタン酸のD-立体異性体から選択される。別の好ましい実施形態では、該アミノ酸配列(I)の該C末端アミノ酸は、アラニン、好ましくはD-アラニンである。
【0092】
別の好ましい実施形態では、該X1は、極性または疎水性アミノ酸である。別の好ましい実施形態では、該X1は、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、グルタミン、グルタミンヒドロキサメート、3-メチル-l-グルタミン、n-メチル-アスパラギン、n5-メチル-グルタミン、システイン-s-アセトアミド;ロイシン、アロロイシン、アロイソロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、2-アミノ酪酸、ノルロイシン、ノルバリン、バリン;セリン、ホモセリン、アロ-トニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、スレオニン、ヒドロキシノルバリン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン;またはグリシンから選択される。別の好ましい実施形態では、該X1は、アスパラギン、グルタミン、ロイシン、セリン、またはグリシンから選択される。別の好ましい実施形態では、該X1は、グリシンである。別の好ましい実施形態では、該X1は、グルタミンである。別の好ましい実施形態では、該X1は、セリンである。
【0093】
別の好ましい実施形態では、該X1、X23、およびX24は、各々独立して、オルニチン、アスパラギン酸、リジン、アスパラギン、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、グルタミン、ロイシン、セリン、およびグリシンからなる群から選択される。
【0094】
別の好ましい実施形態では、該X1、X23、およびX24は、各々独立して、アスパラギン、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、グルタミン、ロイシン、セリン、およびグリシンからなる群から選択される。別の好ましい実施形態では、該X1は、グルタミン、セリン、またはグリシンから選択され、該X23は、セリンであり、該X24は、グルタミンまたはセリンである。
【0095】
別の好ましい実施形態では、該X2、X6、およびX22は、互いに独立して、極性アミノ酸である。好ましくは、X2、X6、およびX22は、互いに独立して、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、4-クロロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s,3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシ-ロイシン、ホモセリン、3-ヒドロキシ-l-バリン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、s-(2-ヒドロキシエチル)-l-システイン、ホスホセリン、セリン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、スレオニン、ホスホスレオニン、またはヒドロキシノルバリンの選択される。別の好ましい実施形態では、X2、X6、およびX22は、セリンである。
【0096】
別の好ましい実施形態では、該X3は、生理学的pH(約pH7)で酸性または負に帯電した側鎖を有するアミノ酸である。好ましくは、X3は、グルタメート、5-o-メチル-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、2s,4r-4-メチルグルタメート、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、2-アミノアジピン酸、l-2-アミノ-6-メチレン-ピメリン酸、2-アミノ-6-オキソピメリン酸;3-メチル-アスパラギン酸、6-カルボキシリジン、アスパラギン酸、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、または2-アミノ-プロパン二酸の選択される。より好ましくは、X3は、グルタメート、5-o-メチル-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、2s,4r-4-メチルグルタメート、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、2-アミノアジピン酸、l-2-アミノ-6-メチレン-ピメリン酸、または2-アミノ-6-オキソピメリン酸の選択される。別のさらにより好ましい実施形態では、X3は、グルタメートである。
【0097】
別の好ましい実施形態では、該X5およびX7は、互いに独立して、疎水性アミノ酸である。好ましくは、X5およびX7は、互いに独立して、ロイシン、アロロイシン、アロイソロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、2-アミノ酪酸、ノルロイシン、ノルバリン、またはバリンの選択される。より好ましくは、X5またはX7は、ロイシンである。別のさらにまた好ましい実施形態では、X5およびX7は、ロイシンである。
【0098】
別の好ましい実施形態では、該X9およびX23は、互いに独立して、極性アミノ酸である。好ましくは、X9およびX23は、互いに独立して、アスパラギン、グルタミン、セリン、またはグリシンの選択される。別のより好ましい実施形態では、X9またはX23は、独立して、アスパラギン、グルタミン、セリン、またはグリシンから選択される。別のまたより好ましい実施形態では、X9およびX23は両方とも、独立して、アスパラギン、グルタミン、セリン、またはグリシンから選択される。別のまたより好ましい実施形態では、X9およびX23は、アスパラギンである。
【0099】
別の好ましい実施形態では、該X10は、生理学的pH(約pH7)で酸性または負に帯電した側鎖を有するアミノ酸である。好ましくは、X10は、3-メチル-アスパラギン酸、6-カルボキシリジン、アスパラギン酸、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、または2-アミノ-プロパン二酸の選択される。別のまたより好ましい実施形態では、X10は、アスパラギン酸である。
【0100】
別の好ましい実施形態では、該X26は、疎水性または極性アミノ酸である。好ましくは、X26は、ロイシン、アロロイシン、アロイソロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、2-アミノ酪酸、ノルロイシン、ノルバリン、バリン;2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、グルタミンヒドロキサメート、3-メチル-l-グルタミン、n5-メチル-グルタミン、アスパラギン、2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、またはn-メチル-アスパラギンの選択される。より好ましくは、X26は、ロイシンまたはグルタミンである。
【0101】
別の好ましい実施形態では、該X27は、極性もしくは疎水性アミノ酸、または生理学的pH(約pH7)で酸性もしくは負に帯電した側鎖を有するアミノ酸である。好ましくは、X27は、セリン、イソロイシン、またはリジンである。
【0102】
別の好ましい実施形態では、該X28は、極性または疎水性アミノ酸である。好ましくは、X28は、バリンまたはセリンである。
【0103】
別の好ましい実施形態では、該X29は、疎水性アミノ酸、または生理学的pH(約pH7)で負に帯電した側鎖を有するアミノ酸である。好ましくは、X29は、D-もしくはL-アラニンまたはD-もしくはL-アルギニンである。別のより好ましい実施形態では、X29は、D-アラニンまたはD-アルギニンである。
【0104】
別の好ましい実施形態では、該X30は、欠失であるか、または疎水性もしくは極性のD-またはL-アミノ酸であり、好ましくは、X30は、疎水性または極性のアミノ酸D-アミノ酸である。好ましくは、X30は、欠失であるか、またはX30は、D-もしくはL-グルタミンまたはD-もしくはL-アラニンである。別のより好ましい実施形態では、X30は、D-グルタミンまたはD-アラニンである。別のまたより好ましい実施形態では、X30は、D-アラニンである。好ましい実施形態では、X30は欠失であり、X29はアラニン、好ましくはD-アラニンである。別の好ましい実施形態では、X30は、アラニン、好ましくはD-アラニンであり、X29は、アルギニンである。
【0105】
別の好ましい実施形態では、X1は、アスパラギンまたはロイシンであり、X2は、セリンであり、X3は、グルタメートである。別の好ましい実施形態では、X1は、セリン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、またはロイシンであり、X2は、セリンであり、X3は、グルタメートである。別の好ましい実施形態では、X5は、ロイシンであり、X6は、セリンであり、X7は、ロイシンである。別の好ましい実施形態では、X9は、アスパラギンであり、X10は、アスパラギン酸であり、X11は、ノルロイシンまたはメチオニンであり、好ましくは、X11は、ノルロイシンである。
【0106】
別の好ましい実施形態では、X22は、セリンであり、X23は、アスパラギンであり、X24は、セリン、グリシン、グルタミン、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、アスパラギン、またはリジンであり、好ましくは、X24は、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)またはリジンである。別の好ましい実施形態では、X26は、グルタミンまたはロイシンであり、X27は、セリン、リジン、またはイソロイシンであり、X28は、バリンであり、X29は、D-もしくはL-アルギニンまたはD-もしくはL-アラニンであり、好ましくは、X29は、D-またはL-アラニンであり、より好ましくは、X29は、D-アラニンであり、X30は、欠失、D-もしくはL-アラニン、またはD-もしくはL-グルタミンであり、好ましくは、X30は、D-またはL-アラニンであり、より好ましくは、X30は、D-アラニンである。
【0107】
別の好ましい実施形態では、X1は、アスパラギンまたはロイシンであり、X2は、セリンであり、X3は、グルタメートであり、X5は、ロイシンであり、X6は、セリンであり、X7は、ロイシンであり、好ましくは、X9は、アスパラギンであり、X10は、アスパラギン酸であり、X11は、ノルロイシンまたはメチオニンであり、さらに好ましくは、X11は、ノルロイシンである。別の好ましい実施形態では、X1は、アスパラギンまたはロイシンであり、X2は、セリンであり、X3は、グルタメートであり、X22は、セリンであり、X23は、アスパラギンであり、X24は、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、アスパラギン、またはリジンであり、好ましくは、X24は、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)またはリジンであり、好ましくは、X26は、グルタミンまたはロイシンであり、X27は、セリン、リジン、またはイソロイシンであり、X28は、バリンであり、X29は、D-もしくはL-アルギニンまたはD-もしくはL-アラニンであり、さらに好ましくは、X29は、D-またはL-アラニンであり、より好ましくは、X29は、D-アラニンであり、X30は、欠失、D-もしくはL-アラニン、またはD-もしくはL-グルタミンであり、さらに好ましくは、X30は、D-またはL-アラニンであり、より好ましくは、X30は、D-アラニンである。
【0108】
別の好ましい実施形態では、X1は、アスパラギンまたはロイシンであり、X2は、セリンであり、X3は、グルタメートであり、X5は、ロイシンであり、X6は、セリンであり、X7は、ロイシンである。別の好ましい実施形態では、X1は、アスパラギンまたはロイシンであり、X2は、セリンであり、X3は、グルタメートであり、X9は、アスパラギンであり、X10は、アスパラギン酸であり、X11は、ノルロイシンまたはメチオニンであり、好ましくは、X11は、ノルロイシンである。別の好ましい実施形態では、X1は、アスパラギンまたはロイシンであり、X2は、セリンであり、X3は、グルタメートであり、X22は、セリンであり、X23は、アスパラギンであり、X24は、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、アスパラギン、またはリジンであり、好ましくは、X24は、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)またはリジンである。別の好ましい実施形態では、X1は、アスパラギンまたはロイシンであり、X2は、セリンであり、X3は、グルタメートであり、X26は、グルタミンまたはロイシンであり、X27は、セリン、リジン、またはイソロイシンであり、X28は、バリンであり、X29は、D-もしくはL-アルギニンまたはD-もしくはL-アラニンであり、好ましくは、X29は、D-またはL-アラニンであり、より好ましくは、X29は、D-アラニンであり、X30は、欠失、D-もしくはL-アラニン、またはD-もしくはL-グルタミンであり、好ましくは、X30は、D-またはL-アラニンであり、より好ましくは、X30は、D-アラニンである。
【0109】
好ましい実施形態では、該X2、X3、X5、X6、X7、X9、X10、X11、X22、X23、X24、X26、X27、X28、およびX29は、互いに独立して、L-アミノ酸である。好ましい実施形態では、プロリンP12、イソロイシンI13、スレオニンT14、アスパラギンN15、アスパラギン酸D16、グルタミンQ17、リジンK18およびK19、ならびにロイシンL20は、互いに独立して、L-アミノ酸である。好ましい実施形態では、C4、C8、C21、およびC25は、互いに独立して、D-システインまたはL-システイン、好ましくはL-システインである。
【0110】
好ましい実施形態では、該環状ペプチドは、該アミノ酸配列(I)からなる。別の好ましい実施形態では、該アミノ酸配列(I)は、配列番号1の該アミノ酸配列からなる。
【0111】
別の非常に好ましい実施形態では、配列番号1の該アミノ酸配列は、配列番号2~5、21~36、または39~57のいずれか1つから選択される。
【0112】
別の非常に好ましい実施形態では、配列番号1の該アミノ酸配列は、配列番号39~57のいずれか1つから選択される。
【0113】
別の非常に好ましい実施形態では、配列番号1の該アミノ酸配列は、配列番号2~5、21~36のいずれか1つから選択される。
【0114】
別の非常に好ましい実施形態では、該アミノ酸配列(I)は、(配列番号2)、(配列番号3)、(配列番号4)、(配列番号5)、(配列番号21)、(配列番号22)、(配列番号23)、(配列番号24)、(配列番号25)、(配列番号26)、(配列番号27)、(配列番号28)、(配列番号29)、(配列番号30)、(配列番号31)、(配列番号32)、(配列番号33)、(配列番号34)、(配列番号35)、または(配列番号36)のいずれか1つから選択される。
【0115】
別の非常に好ましい実施形態では、配列番号1の該アミノ酸配列は、配列番号2、3、21、22、または23のいずれか1つである。
【0116】
別の非常に好ましい実施形態では、配列番号1の該アミノ酸配列は、配列番号2または配列番号3から選択されるアミノ酸である。
【0117】
ある特定の実施形態では、該環状ペプチドの該アミノ酸配列(I)は、(i)遊離アミノ基またはアセチル化N末端から選択されるN末端、および/または(ii)遊離カルボキシル基もしくはアミド化C末端から選択されるC末端を含む。
【0118】
別の好ましい実施形態では、該環状ペプチドは、リンカーをさらに含み、該リンカーは、該アミノ酸配列(I)に結合され、該リンカーは、(i)少なくとも1つの結合部分、(ii)少なくとも1つのスペーサー部分、(iii)少なくとも1つ、好ましくは1つの連結部分、または(iv)(i)、(ii)、および(iii)の任意の組み合わせを含む。
【0119】
別の好ましい実施形態では、該少なくとも1つの結合部分は、-O-NH、-O-NH-(アミノオキシ部分)、-C(O)-CH-O-NH、-C(O)-CH-O-NH-(アミノオキシアセチル部分)、-NH-NH、-NH-NH-(ヒドラジン部分)、-E(O)-NH-NH、または-E(O)-NH-NH-(ヒドラジド部分)を含むか、または好ましくはそれらからなり、Eは、C、S(O)、またはPである。さらに好ましい実施形態では、該結合部分は、-O-NH、-O-NH-(アミノオキシ部分)、-C(O)-CH-O-NH、-C(O)-CH-O-NH-(アミノオキシアセチル部分)、-NH-NH、-NH-NH-(ヒドラジン部分)、または(-C(O)-NH-NH、-C(O)-NH-NH-(カルボヒドラジド部分)を含むか、またはそれらからなる。別のさらに好ましい実施形態では、該結合部分は、-O-NHまたは-O-NH-(アミノオキシ部分)を含むか、または好ましくはそれらからなる。別の好ましい実施形態では、該少なくとも1つのスペーサー部分は、NH-CH-CH-(O-CH-CH-C(O)-もしくは-NH-CH-CH-(O-CH-CH-C(O)-(式中、nは、1~45、好ましくは2~20、より好ましくは6~8の整数である)、またはNH-(CH-C(O)-もしくは-NH-(CH-C(O)-(式中、mは、2~45、好ましくは2~20、より好ましくは2~6の整数である)を含むか、または好ましくはそれらからなる。別の好ましい実施形態では、該少なくとも1つの連結部分は、環状ペプチドを第2のペプチドと架橋することができる。環状ペプチドを第2のペプチドと架橋することができる連結部分は、当技術分野で周知である。本発明の一実施形態では、環状ペプチドを第2のペプチドと架橋することができる該結合部分は、グルタルアルデヒド部分、オクタンジアルデヒド部分、ジアルデヒド部分、スクシンアルデヒド部分などのアルデヒド部分;1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩部分などのカルボジイミド部分;グリオキソール部分;N-ヒドロキシ-スルホスクシンイミジル部分などのN-ヒドロキシ-スルホスクシンイミジル部分;カチオン性連結部分;ポリエチレングリコール部分;ベンゾイル安息香酸部分を含むか、またはそれらからなる。さらに好適な連結部分は、Pierce Catalog and Handbook,Pierce Chemical Company,Rockford (1997)、Bioconjugate Techniques,Greg T.Hermanson,Pierce Biotechnology,Thermo Fisher Scientific,Rockford (2013)に列記されており、EP 1321466 A1、DE 19821859 A1、US 6875737、US 5456911、US 5612036、US 5965532、WO 2001/004135、WO 2001/070685、US 2014/0302001 A1、US 6800728、US 2014/0171619 A1、US 8168190、WO 2012/166594 A1、およびWO 2015/082501に記載されている。
【0120】
一実施形態では、該リンカーは、少なくとも1つ、好ましくは正確に1つの結合部分である。別の実施形態では、該リンカーは、少なくとも1つ、好ましくは正確に1つ、2つ、または3つのスペーサー部分であり、2つ以上のスペーサー部分の場合、それらは、好ましくは、直接または相互接続基を介してのいずれかで一緒に連結される。別の実施形態では、該リンカーは、少なくとも1つ、好ましくは正確に1つのスペーサー部分である。別の実施形態では、該リンカーは、少なくとも1つ、好ましくは正確に1つの連結部分である。
【0121】
別の実施形態では、該リンカーは、少なくとも1つの結合部分と、少なくとも1つ、好ましくは正確に1つのスペーサー部分とを含み、少なくとも1つの結合部分は、該アミノ酸配列(I)のN末端に結合され、少なくとも1つのスペーサー部分は、結合部分に結合される。別の実施形態では、該リンカーは、少なくとも1つの結合部分と、少なくとも1つ、好ましくは正確に1つのスペーサー部分とを含み、少なくとも1つのスペーサー部分は、該アミノ酸配列(I)のN末端に結合され、少なくとも1つの結合部分は、スペーサー部分に結合される。
【0122】
一実施形態では、該少なくとも1つのリンカーは、少なくとも1つの結合部分と、少なくとも1つのスペーサー部分と、少なくとも1つの連結部分とを含み、少なくとも1つの連結部分または少なくとも1つのスペーサー部分は、該アミノ酸配列(I)のN末端に結合される。別の実施形態では、少なくとも1つの結合部分は、該アミノ酸配列(I)のN末端に結合され、少なくとも1つのスペーサー部分は、結合部分に結合され、少なくとも1つの連結部分は、スペーサーに部分に結合される。別の実施形態では、少なくとも1つのスペーサー部分は、アミノ酸配列(I)のN末端に結合され、少なくとも1つの結合部分は、スペーサー部分に結合され、少なくとも1つの連結部分は、結合部分に結合される。
【0123】
好ましい実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列(I)に、典型的かつ好ましくは、アミド結合を介して該アミノ酸配列(I)のN末端に、または該アミノ酸配列(I)のアミノ酸の側鎖の遊離アミノ基に、好ましくは該アミノ酸配列(I)のN末端に結合される。好ましい実施形態では、該連結部分は、該環状ペプチドを第2のペプチドのチオール基と架橋することができる。好ましい実施形態では、該連結部分は、マレイミド部分を含む。
【0124】
好ましい実施形態では、該リンカーは、該アミノ酸配列(I)に含まれるアミノ基に結合され、好ましくは、該リンカーは、(i)該アミノ酸配列(I)のN末端、または(ii)該アミノ酸配列(I)のアミノ酸の側鎖の遊離アミノ基に結合される。好ましくは、リンカーは、アミド結合によって、該アミノ酸配列(I)に含まれる該アミノ基に結合される。該側鎖は、好ましくは、アミノ酸リジンのものである。好ましい実施形態では、X24は、リジンであり、該リンカーは、X24の側鎖の遊離アミノ基に結合される。
【0125】
非常に好ましい実施形態では、該リンカーは、以下の式:
から選択され、nは、1~45、好ましくは6~8の整数であり、波線は、該アミノ酸配列(I)への結合部位を示す。さらに非常に好ましくは、該nは、6である。
【0126】
コンジュゲートなどの本発明の化合物、およびこれにより該リンカーを含む化合物が1つ以上の二重結合を含む場合、該二重結合は、(E)-もしくは(Z)配置のいずれか、またはそれらの任意の比率の混合物であり得る。同じことが、オキシム部分を含む好ましいリンカーに適用される。したがって、オキシム部分を含む好ましいリンカーは、したがって、そのsyn配置で(およびしたがって、syn異性体として)該オキシム部分を有する該リンカー、そのアンチ配置で(およびしたがって、アンチ異性体部分として)該オキシムを有するリンカーのいずれか、およびそれらの任意の比率の混合物を含み得る。該二重結合または該オキシム部分について本明細書に提示される化学式内では、これは、典型的かつ好ましくは波線で表される。
【0127】
さらに非常に好ましい実施形態では、該リンカーは、以下の式:
から選択され、式中、波線は、該アミノ酸配列(I)への結合部位を示す。
【0128】
さらに非常に好ましい実施形態では、該環状ペプチドは、好ましくは、以下の式のいずれか1つから選択される式を含み、好ましくはそれである:
【0129】
さらに非常に好ましい実施形態では、該環状ペプチドは、好ましくは、式(3)(配列番号16)、式(4)(配列番号17)、式(5)(配列番号18)、式(6)(配列番号19)、式(7)(配列番号20)、および実施例のセクションに示される式(19)~(37)のいずれか1つから選択される式を含み、好ましくはそれである。
【0130】
さらに非常に好ましい実施形態では、該環状ペプチドは、好ましくは、式(3)(配列番号16)を含み、好ましくはそれである。さらに非常に好ましい実施形態では、該環状ペプチドは、好ましくは、式(4)(配列番号17)を含み、好ましくはそれである。さらに非常に好ましい実施形態では、該環状ペプチドは、好ましくは、式(5)(配列番号18)を含み、好ましくはそれである。さらに非常に好ましい実施形態では、該環状ペプチドは、好ましくは、式(6)(配列番号19)を含み、好ましくはそれである。さらに非常に好ましい実施形態では、該環状ペプチドは、好ましくは、式(7)(配列番号20)を含み、好ましくはそれである。
【0131】
環状ペプチドをリポペプチドビルディングブロックに結合するために使用され得る連結およびコンジュゲーション手順は、当業者に周知である(例えば、Hermanson,G.T,Bioconjugate Techniques,2nd edition,Academic Press,2008を参照されたい)。ペプチドまたは他の抗原を、抗原送達系、例えば、担体タンパク質、ポリマー、デンドリマー、ナノ粒子、またはウイルス様粒子に連結およびコンジュゲートするために使用される任意の方法を使用して、該環状ペプチドを該リポペプチドビルディングブロックに連結することができる。リポペプチドビルディングブロックのペプチド部分のアミノ酸の側鎖の遊離アミノ基は、環状ペプチドまたはリンカーの反応性エステル(例えば、カルボン酸から調製されたN-ヒドロキシスクシンイミドエステル)に結合され得る。ペプチド部分のチオールは、リンカーのマレイミド基に結合され得る。アジドは、ペプチド部分のアミノ酸残基の側鎖に組み込まれ、銅触媒による環化付加反応を使用して、アセチレン基を含む環状ペプチドまたはリンカーに結合され得る。ペプチド部分の他の求核試薬(例えば、ヒドラジノ、ヒドロキシルアミノ、vic-アミノチオール基)は、環状ペプチドまたはリンカーの求電子試薬(例えば、アルデヒド、ケトン、活性エステル)に結合され得る。さらに、選択的カップリングを達成するための、ペプチド部分および環状ペプチドまたはリンカーにおける2つの反応性基の位置の逆転がさらに想定される。
【0132】
脂質ビルディングブロック、コンジュゲート、および本明細書に記載の抗原およびリンカーを含むそのすべての構成要素のすべての実施形態ならびに好ましいおよび非常に好ましい実施形態は、すべての実施形態ならびに好ましいおよび非常に好ましい実施形態が必ずしも再度繰り返され、繰り返し述べられなくても、本発明のすべての態様に適用可能である。
【0133】
さらに非常に好ましい実施形態では、該コンジュゲートは、以下の式のいずれか1つから選択される:
さらに非常に好ましい実施形態では、該コンジュゲートは(38)である。
さらに非常に好ましい実施形態では、該コンジュゲートは(39)である。
さらに非常に好ましい実施形態では、該コンジュゲートは(40)である。
さらに非常に好ましい実施形態では、該コンジュゲートは(41)である。
さらに非常に好ましい実施形態では、該コンジュゲートは(42)である。
さらに非常に好ましい実施形態では、該コンジュゲートは(45)である。
さらに非常に好ましい実施形態では、該コンジュゲートは(46)である、
別の態様では、本発明は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つの本発明のコンジュゲートを含むコンジュゲートの束を提供する。別の態様では、本発明は、2つ、3つ、4つ、または5つの本発明のコンジュゲートを含むコンジュゲートの束を提供する。別の非常に好ましい態様では、本発明は、3つの本発明のコンジュゲートを含むコンジュゲートの束を提供する。
【0134】
別の態様では、本発明は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つの本発明のコンジュゲートを含むコンジュゲートの束を提供し、該コンジュゲートは、式(38)、(39)、(40)、(41)、(42)、(45)、または(46)のいずれか1つから選択され、好ましくは、該コンジュゲートは、式(38)、(40)、(41)、(42)、または(46)のいずれか1つから選択され、さらに好ましくは、該コンジュゲートは、式(38)または(46)、好ましくは(38)である。
【0135】
別の非常に好ましい態様では、本発明は、3つ、好ましくは正確に3つの本発明のコンジュゲートを含むコンジュゲートの束を提供し、該コンジュゲートは、式(38)、(39)、(40)、(41)、(42)、(45)、または(46)のいずれか1つから選択され、好ましくは、該コンジュゲートは、式(38)、(40)、(41)、(42)、または(46)のいずれか1つから選択され、さらに好ましくは、該コンジュゲートは、式(38)または(46)、好ましくは(38)である。
【0136】
好ましい実施形態によれば、該束において、該コンジュゲートによって構成される該ペプチド部分のコイルドコイルペプチド鎖セグメントは、一緒にコイル状にされ、好ましくは、該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、ヘリックス状に一緒にコイル状にされ、より好ましくは、該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、アルファヘリックス状に一緒にコイル状にされる。好ましい実施形態では、該ペプチド部分の該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、左巻きまたは右巻きで一緒にコイル状にされる。好ましい実施形態によれば、該束において、該ペプチド部分の該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、アルファヘリックス左巻きコイルを形成する。
【0137】
好ましい実施形態では、該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、平行な配向を有する、すなわち、それらは同じ方向に走るか、またはそれらは逆平行の配向を有する、つまり、それらは互いに反対の方向に走っており、最初の選択肢が好ましい。「方向」という用語は、一方の側にN末端を有し、他方の側にC末端を有するペプチド鎖の方向に基づく。該本発明の束の好ましい実施形態では、該ペプチド部分の該コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、左巻きのアルファヘリックスコイルドコイルを形成し、コイルドコイルペプチド鎖セグメントは、該コイルドコイルにおいて平行な配向を有する。好ましくは、該束は、該コイルドコイルにおいて平行な配向を有する、2~7つ(例えば、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、または七量体)、より好ましくは2つ、3つ、4つ、または5つ、またより好ましくは3つのヘリックス状にねじれたコイルドコイルペプチド鎖セグメントを含む。
【0138】
別の態様では、本発明は、本発明のコンジュゲートの少なくとも1つの束を含む合成ウイルス様粒子を提供する。
【0139】
別の態様では、本発明は、本発明のコンジュゲートの少なくとも1つの束を含む合成ウイルス様粒子を提供し、該コンジュゲートは、式(38)、(39)、(40)、(41)、(42)、(45)、または(46)のいずれか1つから選択され、好ましくは、該コンジュゲートは、式(38)、(40)、(41)、(42)、または(46)のいずれか1つから選択され、さらに好ましくは、該コンジュゲートは、式(38)または(46)、好ましくは(38)である。
【0140】
本発明はまた、本発明の合成ウイルス様粒子を調製する方法に関する。合成ウイルス様粒子(SVLP)は、例えば、水溶液中で、自己組織化プロセスによって生成され得る。この方法は、リポペプチドビルディングブロックを好適な担体、好ましくは水性緩衝系(例えば、緩衝生理食塩水または非緩衝生理食塩水)に溶解することを伴い得る。溶媒は、合成ウイルス様粒子の調製後、例えば凍結乾燥または噴霧乾燥によって除去することができる。本発明の環状ペプチドおよび本発明のリポペプチドビルディングブロックの特定の組み合わせを含むコンジュゲートは、自己組織化して束になり、さらに合成ウイルス様粒子(SVLP)になる。
【0141】
別の態様では、本発明は、薬学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤と一緒に、免疫学的有効量の本発明のコンジュゲートまたは本発明の合成ウイルス様粒子を含む医薬組成物を提供し、好ましくは、該医薬組成物はワクチンである。
【0142】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、所望の生物学的効果を実現するために必要なまたは十分な量を指す。好ましくは、「有効量」という用語は、(i)特定の疾患、病状、もしくは障害を治療する、もしくは予防する、(ii)特定の疾患、病状、もしくは障害の1つ以上の症状を軽減する、回復させる、もしくは排除する、または(iii)本明細書に記載の特定の疾患、病状、もしくは障害の1つ以上の症状の発症を予防する、もしくは遅延させる、本発明の抗原、本発明のコンジュゲート、または本発明の合成ウイルス様粒子の量を指す。本明細書で理解されるように、免疫原的有効量は、抗原または病原体に対する対象の免疫系の応答を調節することができ、好ましくはそれを増強することができる量である。
【0143】
本発明はさらに、ワクチンとして使用するための本発明のコンジュゲートまたは合成ウイルス様粒子に関する。本明細書で使用されるワクチンは、特定の抗原または病原体に対する体の免疫系の応答を調節するために、好ましくは刺激するために使用される医薬組成物である。好ましい実施形態では、医薬組成物または好ましくはワクチンは、対象、好ましくはヒト、より好ましくは子供または高齢者におけるRSV感染のリスクを予防または低減するために使用される。
【0144】
また別の態様では、本発明は、薬剤として使用するための、好ましくは疾患を予防するため、または疾患のリスクを低減するための方法で使用するための、本発明のコンジュゲートまたは本発明の合成ウイルス様粒子を提供し、さらに好ましくは、該疾患は、感染症、癌、またはアレルギー、またより好ましくは、該疾患は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染である。
【0145】
また別の態様では、本発明は、さらに好ましくは、該疾患が、感染症、癌、またはアレルギーであり、またより好ましくは、該疾患が、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染である、疾患を予防するため、または疾患のリスクを低減するため、または疾患を治療するための方法で使用するための、本発明のコンジュゲートまたは本発明の合成ウイルス様粒子を提供する。また別の態様では、本発明は、感染症を予防するため、または感染症のリスクを低減するための方法で使用するための方法、好ましくは呼吸器合胞体ウイルスに関連するか、またはそれによって引き起こされる感染症のリスクを予防または軽減するための方法で使用するための、本発明のコンジュゲートまたは本発明の合成ウイルス様粒子を提供する。本明細書で使用される治療という用語は、治療および治療的処置を指す。
【0146】
本発明は、薬剤として使用するための、好ましくは感染症を予防するため、または感染症のリスクを低減するための方法で使用するための、より好ましくは呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に関連するか、またはそれによって引き起こされる感染症のリスクを予防または軽減するための方法で使用するための、本発明のコンジュゲート、本発明の合成ウイルス様粒子、または本発明の医薬組成物を提供する。本発明は、薬剤として使用するための、好ましくは感染を予防するため、または感染のリスクを低減するための方法で使用するための、より好ましくは呼吸器合胞体ウイルスによって引き起こされる感染のリスクを予防または軽減するための方法で使用するための、本発明のコンジュゲート、本発明の合成ウイルス様粒子、または本発明の医薬組成物を提供する。本発明は、薬剤として使用するための、好ましくは感染を予防するため、または感染のリスクを低減するための方法で使用するための、より好ましくはRSV感染のリスクを予防または軽減するための方法で使用するための、本発明のコンジュゲート、本発明の合成ウイルス様粒子、または本発明の医薬組成物を提供する。
【0147】
本発明はさらに、免疫応答を誘発もしくは調節する方法、または疾患、好ましくは感染、より好ましくはRSVに関連するかまたはそれによって引き起こされる感染を発症するリスクを制限する方法に関し、免疫学的有効量の本発明のコンジュゲートまたは合成ウイルス様粒子は、対象、好ましくはヒト、より好ましくは子供または高齢者に投与される。本発明はさらに、疾患、好ましくは感染、より好ましくはRSVに関連するかまたはそれによって引き起こされる感染を治療するための方法に関し、これには、免疫学的有効量の本発明のコンジュゲートまたは合成ウイルス様粒子を、対象、好ましくはヒト、より好ましくは子供または高齢者に投与することが含まれる。さらに、本発明は、疾患、好ましくはRSVに関連するかまたはそれによって引き起こされる感染を治療する際に使用するための、本発明のコンジュゲートまたは合成ウイルス様粒子に関する。さらに、本発明は、疾患、好ましくはRSVによって引き起こされる感染を治療する際に使用するための、本発明のコンジュゲートまたは合成ウイルス様粒子に関する。さらに、本発明は、疾患、好ましくはRSV感染を治療する際に使用するための、本発明の環状ペプチド、コンジュゲート、または合成ウイルス様粒子に関する。
【実施例
【0148】
実施例1
脂質ビルディングブロックの調製
【0149】
このリポペプチド10は、溶解性および安定性を改善し、抗原のコンジュゲートを可能にするために、C末端でユニバーサルTヘルパー細胞エピトープ配列番号6および配列番号11)の余分な残基に、およびGGリンカーを介してS-[2,3-ビス(パルミトイルオキシ)-(2)-プロピル]-システインに融合したdefgabc7アミノ酸繰り返しモチーフである、IEKKIEA(配列番号12)に基づく。リポペプチド10の合成が基本的に実施され、生成物は、WO2008/068017に記載されているようにRP-HPLCによって精製された。RP-HPLC(Zorbax Cカラム、10分間にわたってHO(+0.1%CHOOH)中30~100%MeCN):純度:95%、t=4.87分。MALDI-TOF:m/zは、C3125527485に対する計算値;m / z実測値:6797.4[M+H]
【0150】
このリポペプチド11は、コイルドコイルドメインを含み、これは、7アミノ酸繰り返し「defgabc」の「c」位置にセリンを有する:IEKKIES(配列番号13)。リポペプチド11を合成し、リポペプチド10について上述したようにRP-HPLCにより精製し、分析RP-HPLCおよびMALDI-MSにより分析した。HPLC(Zorbax Cカラム、10分間にわたってHO(+0.1%CHOOH)中30~100%MeCN):純度:90%、t= 4.81分; MALDI-MS:MWは、C31255274893:に対する計算値 6860.46Da;実測値6860.61Da(±0.05%)。
【0151】
このリポペプチドビルディングブロックLBB-1は、脂質Pam-Cysがキラル2-プロピル炭素原子にR配置、およびシステイニル部分のキラル炭素のR配置を有することを除いて、リポペプチド10に対応する。ビルディングブロックLBB-1は、RP-HPLCRP-HPLC(Agilent VariTide RPC、63分間にわたってHO(+0.1%TFA)中0~95%MeCN)により分析された:純度97.0%、t= 45.58;ESI-MS MWは、C3125527485に対する計算値:6796.46Da:実測値:6793.1。
【0152】
このリポペプチドビルディングブロックLBB-2は、脂質Pam-Cysがキラル2-プロピル炭素原子にR配置、およびシステイニル部分のキラル炭素のR配置を有することを除いて、リポペプチド11に対応する。ビルディングブロックLBB-2は、RP-HPLC(Agilent VariTide RPC、63分間にわたってHO(+0.1%TFA)中0~95%MeCN)により分析された:純度97.0%、t= 45.58分。MALDI-MS:MWは、C31255274893:に対する計算値6860.46Da:実測値:6861.1Da(±0.05%)。
【0153】
実施例2
環状RSVペプチドおよび該ペプチドを含むコンジュゲートの合成
本出願人は、2018年6月13日に出願されたその出願PCT/EP2018/065714において、本発明のコンジュゲートの抗原としても有用かつ好ましい環状ペプチドをすでに記載している。特に、そのような環状ペプチドの設計および合成は、PCT/EP2018/065714の実施例1に記載された。
【0154】
さらに、そのようなペプチドを含むコンジュゲートの調製は、PCT/EP2018 / 065714の実施例2に記載されており、RSV感染に対する免疫化のためのその使用は、PCT/EP2018/065714の実施例3~5、およびこれにより詳細に、PCT/EP2018/065714の実施例3では、マウスにおけるRSVに対する免疫原性研究のため、PCT/EP2018/065714の実施例4では、さらなる筋肉内免疫化実験のため、そして実施例5では、モノクローナル抗体の生成のためのその使用が記載されている。
【0155】
PCT/EP2018/065714の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるだけでなく、PCT/EP2018/065714のすべての開示、特に、特定の環状ペプチド、コンジュゲート、および他の構成要素部分に関連する開示、ならびにそこで生成された生物学的データは、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる。
【0156】
開示の環状ペプチド、コンジュゲート、および構成要素部分を考慮して、特にPCT/EP2018/065714の実施例1~2の記載の環状ペプチド、コンジュゲート、および構成要素を考慮して、PCT/EP2018/065714の特に実施例3~5に記載の該生物学的データおよび効果は、該生物学的データおよび効果が本発明の脂質ビルディングブロック、コンジュゲート、およびSVLPでも同様に、したがって本発明および本発明の特徴への適応時に達成されるのを妥当なものにすると考えられる。したがって、本発明の範囲は、本発明および本発明の特徴への適応、ならびに本発明の脂質ビルディングブロック、コンジュゲート、およびSVLPを考慮に入れる該生物学的データおよび効果を参照することによってさらに妥当なものとなると考えられる。
【0157】
PCT/EP2018/065714の参照によるその組み込みに関係なく、そのいくつかの開示は、完全にまたは要約された形のいずれかで本明細書で再び繰り返される。便宜上、該環状ペプチド、コンジュゲート、および他の構成要素部分の番号付け、ならびにPCT/EP2018/065714のそれらの配列は、本発明および説明のために維持されている。
【0158】
PCT/EP2018/065714の実施例1は、PCT/EP2018/065714の実施例3に開示されるように、該ペプチドを含むコンジュゲートは、RSV A2およびA/Long株に対する抗体応答および中和抗体を生成しないため、特に参照例としてマレイミド-ペプチド1(配列番号14)および(アミノオキシ)アセチルペプチド2(配列番号15)を記載している。
【0159】
本発明に有用かつ好ましい環状ペプチドを含む該ペプチドの合成は、典型的には、0.5mmolスケールでTentagel R Ram樹脂を使用するFmoc固相ペプチド合成(SPPS)法を使用して実施された。組み立て完了後、ペプチドを樹脂から切断し、側鎖保護基を除去し、ペプチドを分取カラムでのRP-HPLCによって精製し、典型的には、凍結乾燥して、ペプチドを白色粉末として得た。続いて、RP-HPLCによる分析を行い、純度、t、ESI-MS、およびMWを決定した。
【0160】
本発明のためのさらに好ましい環状ペプチド、PCT/EP2018/065714に既に記載されたその合成および特徴付けは、以下の通りである:
【0161】
(アミノオキシ)アセチルペプチド3(配列番号16)において、(アミノオキシ)アセチル部分(「AOAc」として表される)は、21-アミノ-3,6,9,12,15,18-ヘキサオキサヘンエイコサン(hexaoxaheneicosan)-21-酸アミドリンカーを介してペプチドのN末端に結合され、D-Ala(「a」と表される)は、エキソプロテアーゼに安定性を付与するために、アミドとしてC末端に結合される。(アミノオキシ)アセチルペプチド3は、2つのジスルフィド結合を含む。
【0162】
(アミノオキシ)アセチルペプチド4(配列番号17)は、いくつかの配列修飾によるRSVウイルスのFタンパク質に由来する。(アミノオキシ)アセチル部分(「AOAc」と表される)は、ペプチドのN末端に結合され、D-Ala(「a」と表される)は、エキソプロテアーゼに安定性を与えるためにアミドとしてC末端に結合される。(アミノオキシ)アセチルペプチド4は、上記の式に示されるように、2つのジスルフィド結合を含む。(アミノオキシ)アセチルペプチド4は、標準のFmoc SPPSによって組み立てられた。AOAcは、ビス-Boc-アミノオキシ-酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(Boc-Aoa-OSu)として結合された。組み立ての完了後、ペプチドを樹脂から切断し、側鎖保護基を、87.5%TFA、5%TA、5%HO、2.5%EDTで2.5時間処理することにより除去した。空気酸化による環化のために、還元されたペプチドを0.33 M重炭酸アンモニウム緩衝液、pH 7.8に溶解し、一晩撹拌した。次に、環状ペプチドを分取C18カラムでのRP-HPLCにより精製し、凍結乾燥して、4を白色粉末として得た。分析RP-HPLC(Vydac 218TP54、5μm、4.6mm × 250mmカラム、40分間にわたってHO(+0.1%TFA)中0~60%MeCN):純度:90.4%; t=25.07分。MALDI-MS:MWは、C1342264449に対する計算値:3365.78Da;検MW実測値:3365.80 Da(±0.01%)。
【0163】
(アミノオキシ)アセチルペプチド5(配列番号18)において、(アミノオキシ)アセチル部分(「AOAc」として表される)は、ペプチドのリジン側鎖に結合され、N末端は、アセチル化され、D-Ala (「a」として示される)は、C末端に結合される。(アミノオキシ)アセチルペプチド5は、2つのジスルフィド結合を含む。
【0164】
(アミノオキシ)アセチルペプチド6(配列番号19)において、(アミノオキシ)アセチル部分(「AOAc」として表される)は、ペプチドのN末端に結合され、D-Ala(「a」として表される)は、C末端に結合される。(アミノオキシ)アセチルペプチド6は、2つのジスルフィド結合を含む。
【0165】
(アミノオキシ)アセチルペプチド7(配列番号20)において、(アミノオキシ)アセチル部分(「AOAc」として表される)は、N末端に結合され、D-Ala(「a」として表される)は、C末端に結合される。(アミノオキシ)アセチルペプチド7は、2つのジスルフィド結合を含む。
【0166】
免疫化のためのコンジュゲートの調製
PCT/EP2018/065714の実施例2は、さらに一般的なスキームA-B-C(「A」は抗原、「B」はリンカー、「C」はリポペプチドビルディングブロックを表し、「X」は、リポペプチドビルディングブロックCへの結合を表す)として、環状RSVペプチドを含むコンジュゲートの調製を記載する。
【0167】
抗原A1は配列番号37を含み、抗原A2は配列番号38を含み、抗原A3は配列番号2を含み、抗原A4は配列番号3を含む。
【0168】
さらに、さらなる特定のリンカー、リポペプチド、およびコンジュゲートは、PCT/EP2018/065714の実施例2に記載されており、その特定の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、以下の通りである。
【0169】
リンカー化合物8を、SM-PEG(Thermo Fisher Scientific)をHO中のアミノアセトアルデヒドジメチルアセタールと反応させることによって合成した。SM-PEG(7.6mg、12.6μmol)を、0.3mlのHOに懸濁し、HO中のアミノアセトアルデヒドジメチルアセタールの1:10(v/v)溶液17μlを加えた。混合物を室温で90分間撹拌した。架橋剤をC8カラムでのRP-HPLCにより精製し、凍結乾燥した。ESI-MS:MWは、C264512について計算された:591.66;MW実測値:591.32(±0.05%)。
【0170】
ジメチルアセタールの加水分解のために、リンカー8(20mg)を、95%TFA、5%HOで5分間処理した。TFAを真空中で除去した。ESI-MS C243911:545.59 Da;MW実測値:545.28Da(±0.05%)。
【0171】
PCT/EP2018/065714の実施例3は、マウスにおけるRSVに対する免疫原性研究を記載しており、その特定の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。 PCT/EP2018/065714の実施例3の結果は、コンジュゲート12、13、および15での免疫化が、アジュバントの共投与なしに血清中で高い中和力価を誘発することを示す。コンジュゲート14および16で免疫化した動物からの血清では低いが検出可能な力価が見られたが、対応する線状または単環ペプチド抗原(コンジュゲート17および18)で免疫化した動物からの血清では見られなかった。コンジュゲート12での免疫化は、接種後の肺の完全な保護および肺の組織病理学の低減をもたらすが、FI-RSVでの免疫化後の接種では、肺のウイルスの部分的な低減および強い組織病理学のみが観察される。13での免疫化は、肺および肺の組織病理学におけるウイルス複製も大幅に低減される。
【0172】
PCT/EP2018/065714の実施例4は、筋肉内免疫化実験を記載しており、その特定の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0173】
PCT/EP2018/065714の実施例4の結果は、150μgまたは300μgのコンジュゲート12で免疫化された動物が、PBS対照群と比較してウイルス力価の大幅な低下(約3×Log10)を示したことを示す。大多数の動物は、肺に検出可能なウイルスを有さなかった(Log10力価≦2.6PFU/g)。FI-RSV、15μgまたは15μgのAdju-Phos(登録商標)でワクチン接種された動物は、あまり防御を示さなかった(約2×Log10低減)。アジュバントは、防御を改善するようには見えなかった。PBSで免疫化された動物は、典型的には一次RSV感染に関連する病理を示した。FI-RSVでワクチン接種された動物は、ワクチンに関連する疾患の増強を示す強い病理を示した。コンジュゲート12で免疫化されたすべての動物は、ワクチン関連疾患の増強の兆候を示さず、PBS対照動物に対して同等またはそれ以下の病理スコアを示した。結果は、アジュバントを共投与せずにコンジュゲート12での2回の筋肉内免疫化が高レベルの防御中和抗体に十分であり、コンジュゲート12での免疫化が広い用量範囲にわたって呼吸器疾患の増強を引き起こさないことを示す。
【0174】
実施例5は、モノクローナル抗体の生成を記載しており、その特定の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0175】
PCT/EP2018/065714の実施例5の結果は、サブナノモル範囲のKDを有し、パリビズマブと同等またはそれ以上の中和効力を有する抗体が、コンジュゲート12で免疫化した後のマウスにおいて生成され得ることを示す。
【0176】
実施例6は、環状ペプチドの配列変異型の生成およびそれらの合成を記載しており、その特定の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0177】
コンジュゲート38は、LBB-1の代わりにリポペプチドビルディングブロックLBB-2を使用したことを除いて、コンジュゲート39について基本的に以下に記載されるように調製および精製された。分析UPLC(ACQUITY UPLC BEH C8、1.7μm、2.1×150mm 45分間にわたってHO(+0.1%TFA)中10~90%MeCN、40°C):純度79%、t=32.43分。MALDI-MS:MWは、C470815121144に対する計算値:10689.8 Da;実測値:10746.9
【0178】
コンジュゲート39を調製するために、0.25mlの0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH3.5)中の(アミノオキシ)アセチルペプチド4(3mg、0.9μmol)の溶液を、0.25mlの0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH3.5)中のリンカー8(1.9mg、3.6μmol)に加えた。混合物を2.5時間撹拌し、オキシムを分取C8カラムでのRP-HPLCにより精製した。中間体を分析UPLC(ACQUITY UPLC BEH C8、1.7μm、2.1×150 mm、60分間にわたってHO(+0.1%TFA)中10~70%MeCN、70°C)により分析した:純度95%、t=16.59分。ESI-MS:MWは、C1582634759に対する計算値:3893.35Da;MW実測値:3892.35(±0.01%)。オキシム(2.0mg、0.5μmol)を、0.5mlのHOに溶解し、2mlの50%MeCN中のリポペプチドビルディングブロックLBB-1(3.1mg、0.5μmol)の溶液に加えた。0.1N NaOH/0.1N HClでpHをpH=6.5に調整し、混合物を室温で2.5時間撹拌した。コンジュゲート47をC8カラムでのRP-HPLCにより精製した。TFAは、AG-X2陰イオン交換樹脂(アセテートフォーム)を使用して除去した。コンジュゲートは、分析UPLCおよびMSにより分析した。UPLC(ACQUITY UPLC BEH C8、1.7μm、2.1×150 mm 50分間にわたってHO(+0.1%TFA)中40~80%MeCN、40°C):純度94%、t=20.75分。ESI-MS:MWは、C470815121148に対する計算値:10753.81 Da;実測値10751.1Da(±0.05%)。
【0179】
実施例3
マラリアペプチド抗原および該ペプチドを含むコンジュゲートの合成
【0180】
ペプチド配列は、マラリア原虫Plasmodium falciparumのスポロゾイト周囲(CS)タンパク質のNPNA繰り返し領域から取得される。余分なD-アラニン-アミド(「-NH」と表される)は、安定性を改善するためにC末端に付加される。システイン残基とのコンジュゲートを可能にするために、ガンマ-マレイミドブチリル(GMB)基が付加されている。抗原43の合成は基本的に実施され、生成物は、WO2008/068017に記載されるようにRP-HPLCにより精製された。分析逆相RP-HPLC(Zorbax C18カラム、25分間にわたってH2O(+ 0.1%TFA)中5~30%MeCN:純度>95%、tR=13.02分。LC-MS(Zorbax C18カラム、10分間にわたってH2O中5~100%MeCN(+0.1%CHOOH)):tR=3.15分; ESI-MS m/z=746.5[M+3H]3+
【0181】
抗原43をリポペプチド10に結合するために、HO/MeCN1:1(0.5ml)中のリポペプチド10(6.8mg、1.0μmol)の溶液を、H2O/MeCN1:1(1 ml、2.7 mg、1.2μmol、1.2当量)中の43(2.7mg、1.2μmol、1.2当量)の溶液に滴下した。0.1N NaOHを使用してpHを慎重にpH6.5に調整し、混合物を3時間撹拌した。カップリング反応の完了後、混合物を0.1%TFA(2ml)を含むH2Oで希釈し、C4セミ分取カラム(Interchrom)で、17分間にわたってHO(+0.1%TFA)中50~100%MeCNの勾配を使用して逆相RP-HPLCによりコンジュゲートを精製した。分析逆相RP-HPLC(Interchrom C4カラム、25分間にわたってHO(+ 0.1%TFA)中25~100%MeCN):純度>97%、tR=19.64分; MALDI-TOF:m / zは、C403686106120に対する計算値:9032.6。 m / z実測値:9032.2[M+H]+。
【0182】
コンジュゲート45の合成および精製は、リポペプチド10の代わりにLBB-1を使用したことを除いて、基本的にコンジュゲート44について上述したように実施した。分析逆相RP-HPLC(Interchrom C4カラム、25分間にわたってHO(+0.1%TFA)25~100%MeCN):純度> 97%、tR=19.64分。 MALDI-TOF:m/zは、C403686106120に対する計算値:9032.6;m/z実測値:9032.4[M+H]+
【0183】
コンジュゲート46の合成および精製は、リポペプチド10の代わりにLBB-2を使用したことを除いて、基本的にコンジュゲート44について上述したように実施した。UPLC(ACQUITY UPLC BEH C8、1.7μm、2.1×150 mm、10分間にわたってHO(+0.1%TFA)中10~90%MeCN25°C):純度>79%、tR=35.76分) :純度90%、tR=8.62分; MALDI-TOF:m/zは、C403H687N107O123S3に対する計算値:9095.74;m/z実測値:9096.6
【0184】
実施例4
マラリアペプチド抗原を含むコンジュゲートのアビディティインデックス
マウスの免疫原性研究のために、Balb/cマウス(群当たり5匹)を表2に示す製剤でsc免疫化した。
【0185】
0日目、28日目、56日目に免疫化を実施した。66日目に採血した。相対的アビディティインデックスは、基本的に記載されるように(Perciani et al,J Clin Lab Anal.2007;21(3):201-6)、溶出に2M KSCNを使用して、KSCN溶出ELISAにより決定された。
【0186】
IgGエンドポイント希釈ELISAは、基本的にWO2008/068017にあるように実施された。KSCN溶出ELISAについて、PBS中の5μg/mlの抗原溶液50μlで一晩コーティングし、0.05%TWEEN(登録商標)20を含むPBS150μlで3回洗浄し、0.5%脱脂粉乳および0.05%TWEEN(登録商標)(ウェル当たり50μL)を含むPBS中2倍血清希釈の2つ組で、室温で2.5時間インキュベートした、ELISA,Nunc Immunoplates Polysorb F96)。プレートを上述のように、0.05%TWEEN(登録商標)20を含むPBSで3回洗浄した。ウェルの半分をPBS(pH7.2)中2MのKSCNと共に15分間インキュベートし、ウェルの残りの半分をただのPBSと共に同じ時間インキュベートした。次いで、プレートを洗浄し、アルカリホスファターゼコンジュゲートウサギ抗マウスIgG抗体(Sigma、ガンマ鎖特異的)50μlと共にインキュベートし、室温で1時間、0.5%脱脂粉乳および0.05%TWEEN(登録商標)20を含むPBSで1:20,000希釈し、PBS+0.05%TWEEN(登録商標)20で再度3回洗浄し、50mM炭酸ナトリウム、1mM MgCl2(pH9.6)中のp-ニトロフェニルホスフェート(Sigma)の1mg/ml溶液50μlと共に、室温で、暗所でインキュベートした。SpectraMaxM5マイクロプレートリーダーで405nmで適切な時間後に吸光度を読み取った。次に、アビディティインデックスを、KSCN処理ウェルについて得られた曲線下面積と対応する対照について得られた曲線下面積との比率として各血清に対して計算した(Perciani et al,J Clin Lab Anal.2007;21(3):201-6)。
【0187】
平均log10 IgG ELISAエンドポイント希釈力価および平均アビディティインデックス±1つの平均の標準誤差を表3および図1に示す。
【0188】
結果は、アジュバントの共投与なしで、7アミノ酸繰り返しモチーフIEKKIEAおよび2-プロピル炭素で(R)配置を有する脂質Pam2Cysを含むコンジュゲート45での免疫化が、2-プロピル炭素に(R)-および(S)-ジアステレオマーの混合物を含むコンジュゲート44での免疫化よりも高いアビディティ抗体をもたらすことを示し、エンドポイント希釈力価が44に対して大幅に低い(P = 0.0011)にもかかわらず、IEKKIEAの代わりにIEKKIESを含むコンジュゲート46での免疫化が、さらに高い平均アビディティインデックス(P = 0.0291)をもたらすことをさらに示す。
【0189】
実施例5
RSV抗原を含むコンジュゲートのアビディティインデックス
マウスの免疫原性研究のために、Balb/cマウス(群当たり5匹)を表4の製剤で免疫化した。
【0190】
0日目、28日目、56日目に免疫化を実施した。66日目に採血した。相対的アビディティインデックスは、基本的に記載されるように(Perciani et al,J Clin Lab Anal.2007;21(3):201-6)、溶出に2M KSCNを使用して、KSCN溶出ELISAにより決定された。
【0191】
平均アビディティインデックス±1つの平均の標準誤差を表5に示す。
【0192】
実施例6
マウスにおけるコンジュゲート38の2回の皮下投与の免疫原性および有効性
この実験では、6~8週齢の雌のBALB / cマウス(1群当たり10匹の動物)を、0.1mlのPBS中の150μgのコンジュゲート38で、皮下経路で2回免疫化した(表6、番号1)。2つの対照群(1群当たり10匹の動物)を、それぞれFI-RSVおよびPBSで2回免疫化した(表6、番号2および3)。
【0193】
0日目および21日目に動物を免疫化した。42日目(D42)に、出血し、さらに鼻腔内に10pfu RSVA2生ウイルスでさらに接種されたすべての動物。5日後の47日目(D47)に、動物を屠殺し、完全に出血させ、肺を採取し、ウイルス滴定および組織病理学的分析のために二分した。
【0194】
コンジュゲート38、FI-RSV、およびPBSで免疫化された群のD0およびD42(接種前に出血させた動物)からの血清を、RSV A2株に対する中和抗体についてPlaque Reduction Neutralization Test(PRNT)により分析した。試験血清を、30分間56°Cで熱不活化し、EMEMで1:10に希釈し、さらに1:4に段階希釈した。希釈した血清試料を等量のRSVA2(25~50 PFU)と共に室温で1時間インキュベートし、24ウェルプレートのコンフルエントなHEp-2単層に2つ組で播種した。5%COインキュベーター内で37℃で1時間インキュベートした後、ウェルを0.75%メチルセルロース培地で覆った。4日間のインキュベーション後、オーバーレイを取り除き、細胞を固定し、0.1%クリスタルバイオレットで1時間染色した後、すすぎ、風乾した。中和力価は、ウイルス対照ウェルに対して60%のプラーク低下に到達するために必要な血清希釈の逆数として計算された。RSV A2のLog2ウイルスPRNT力価を表7に要約する。
【0195】
コンジュゲート38での2回の免疫化は、150μgの用量で高力価の中和抗体を誘導した。FI-RSVおよびPBSは、検出限界(<4.32)を下回る中和抗体の力価をもたらす。
【0196】
ウイルス滴定では、D47からの肺ホモジネートを遠心分離で清澄化し、EMEMで希釈した。コンフルエントなHEp-2単層を、2つ組で、24ウェルプレートで希釈ホモジネートで感染させた。5%CO2インキュベーター内で37℃で1時間インキュベートした後、ウェルを0.75%メチルセルロース培地で覆った。4日間のインキュベーション後、オーバーレイを取り除き、細胞を固定し、0.1%クリスタルバイオレットで1時間染色した後、すすぎ、風乾した。プラークを数え、組織1グラム当たりのプラーク形成単位を計算した。D47(接種の5日後)の試料の幾何平均ウイルス力価は、以下の表8に要約される。
【0197】
肺の組織病理学的分析のために、上述のように肺を解剖し、ホルマリン固定し、パラフィンに包埋した。肺の炎症の4つのパラメーターである細気管支周囲炎、血管周囲炎、間質性肺炎、および肺胞炎の分析のために、肺切片をヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した。スライドは、0~4の重症度スケールでブラインドスコア化された。その後、スコアは0~100%の組織病理学的スケールに変換された。D47試料の平均病理スコアを以下の表8に要約する。
【0198】
PBSで免疫化されたすべての動物は、接種の5日後に肺において最大のウイルス力価を示した(平均力価約4.76 Log10PFU/g)。150μgのコンジュゲート38で免疫化された動物は、ウイルス力価の大幅な低下(平均力価約2.58 Log10 PFU/g)を示し、大多数の動物は、肺に検出可能なウイルスを有さなかった(Log10力価≦2.6 PFU/g)。FI-RSVでワクチン接種された動物は、あまり防御を示さなかった(平均力価約3.95 Log10PFU/g)。組織病理学的レベルでは、PBSで免疫化された動物は、一次RSV感染に典型的に関連する病理を示した。FI-RSVでワクチン接種された動物は、ワクチンに関連する疾患の増強を示す強い病理を示した。コンジュゲート38で免疫化されたすべての動物は、ワクチン関連疾患の増強の兆候を示さず、PBS対照動物に対して同等またはそれ以下の病理スコアを示した(表8)。
【0199】
結果は、アジュバントの共投与なしのコンジュゲート38での2回の皮下免疫化が、肺におけるRSV A2ウイルス複製を防ぐために高力価の防御中和抗体を誘発するのに十分であり、コンジュゲート38での免疫化が呼吸器疾患の増強を引き起こさないことを示す。
図1
【配列表】
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【国際調査報告】